○土井
委員 私は、いままで
長官を非常に評価しておったのですよ。ただいま、がっくりきました。一体、何のための
規制なんですか。この
法案の二十四条「条例との
関係」というところをよく読んでみましょう。最後の方で「条例で必要な
規制を定めることを妨げるものではない。」この
法案にちゃんと明記してありますよ。この中には上乗せというのは当然入ってくるのじゃないですか。そうして特に、これは科学的なデータに基づいて今回、権威ある全国一律の
規制値を定めたのだから、それに従ってもらいたいということを言われるけれ
ども、科学的なデータに基づいて、現に各自治体では、それぞれの場所で条例というものを制定されてきた経過があると思うのです。全国一律となると、山間、離島と都会の密集地帯とが一律に取り扱われるということでは、かなりの矛盾があるでしょう。山間、離島も都会の密集地も一律に、
振動はこれでよいというわけにはいかぬだろうと思います。
現に具体的にこれを見ていくと、工場
振動については、第一種の区域の夜間の
基準値は睡眠に及ぼす影響の観点から
考えながら、しかも、なおかつ第二種区域においては、この点が無視されて五デジベル上積みされている点というのは問題だと思うのです。このことは科学的な
裏づけがあると、恐らく大臣はおっしゃるかもしれませんけれ
ども、第一種区域というのは、本来的には基本的に工場が存在すべき場所じゃないのですよ。だから、夜間の
基準値を睡眠影響の限度いっぱいに定めることが、第二種区域の夜間の
基準値さらには昼間の
基準値を積み上げるのに役立てられているにすぎないということに、結果としてはなってしまうのではないか。第二種区域といえ
ども決して工場専用区域じゃないのです。だから、いまの第一種、第二種区域についての工場
振動の取り上げ方というのは、夜間の
基準値について睡眠に影響を及ぼさないように配慮されているという点からすると、もう少し
考え直さなければならないと科学的に言えるのじゃなかろうかと思うのです。それはいろいろ問題点があると思いますよ。自治体それぞれで、その自治体の実情に即応して、科学的データも
裏づけにしながら現に条例がある。この条例を、いまの
法案が予定している
規制値にまで引き下げろということを、大臣は先ほどの御答弁の結果としては、おっしゃっておるがごとくに私は
理解しておりますけれ
ども、それは断じてあってはならないと思うのです。
そういう点、私は非常に気にかかるので問題として持ってまいりましたが、現に公害防止の資金に対して融資がございますね。この融資のやり方についても、これは新聞紙上にも出ましたけれ
ども、選別制度というのが出てきて、その選別制度の中で選別融資方式というのは、四十九年度まで採用してきた公害防止投資なら所要資金に対して五〇%までの融資比率で一律に融資するという無差別一律方式、これを五十年度からは、五〇%融資のほかに新たに三〇%融資というのを設けているのだが、
中身を見ると、国の方で設定している環境
基準を上回るような
基準値を持ち出している条例を現に実行しつつある自治体に対しては、特に融資の上からいっても、国が予定している
基準値よりも厳しい
基準値を問題にしているのだから、融資も削るというかっこうで持ち出されているという気配が新聞紙上にも出ているのです。世の中が不況だ、あるいは景気がよい、そういう経済変動に従って
基準値に対してのあり方が問題にされたり、融資のあり方が問題にされたり、さらには国の方で一律に
考えた
基準値に対して、
地方自治体の条例の中で、なぜ、いままで上乗せということが問題にされてきたか、そういうことが無視されるような
態度で、これの取り扱いが進められたりするということは、もってのほかだと思っているのですよ。公害
対策基本法の一条の二項が昭和四十五年に削除されたという由来を、もう一度お
考えいただきたいと思います。
そういう点から
考えても、自治体での条例の果たす役割りは非常に大きいということを公害防止の上からも
考え、
対策からも
考えていっていただいて、今回の
振動の
規制にあっても上乗せということを自治体の条例の中で認めるという
態度であって、しかるべきだと私は思いますが、いかがですか。