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1976-03-05 第77回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月五日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 田中  覚君 理事 羽生田 進君    理事 葉梨 信行君 理事 深谷 隆司君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       住  栄作君    萩原 幸雄君       橋本龍太郎君    渡部 恒三君       岩垂寿喜男君    田口 一男君       岡本 富夫君    坂口  力君       折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境政務次官  越智 伊平君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九号)      ————◇—————
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本龍太郎君。
  3. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 大臣の方、時間がある程度、限られておりますので、最初に基本的な点から大臣の御意見を伺い、その後ある程度、事務当局からの説明を受けたいと思います。  実は、この公害健康被害補償法、この国会提案をされました内容については、私は賛成をいたします。     〔委員長退席田中(覚)委員長代理着席〕 これをもう事前に申し上げた上で、残る問題点お尋ねをしたいと思うわけであります。  もともと、この補償法が本院に提出をされました一番、最初段階というものは、四日市判決の後、患者救済迅速化等をねらいとして、非常に制定を急いだ経緯があったわけであります。そのために本来、民事責任を踏まえながら行政救済を行うという、技術的にも基本的な、また制度的にも基本的な、ある意味では矛盾点のあることを承知の上で、国会審議を急いだという経過がありましたし、政府自身もそういう点を認めながら、とにかく患者救済のためには一日も早く法律をスタートさせたいということで、提案を急いだ経緯があったわけであります。  今回この改正案提出をされた時点までに、制度運用上、実はいろいろな問題点が提起をされてきました。この法律案は、この委員会に付記をされた案文としては珍しく、与野党の中で非常に意見の分かれた法律案であります。本法そのものに対しては社会党さんと公明党さんから反対がありました。財産あるいは生業被害救済がされていない、あるいは給付の種類、水準が不備だ、認定手続に問題がある、あるいは原因者責任原則原状回復原則がむしろ、あいまいになるんじゃないか、こうした観点から反対意見が出されたと記憶しております。そして、一部改正提案をされました時点では、公明党さんと共産党さんから、やはり反対がありました。公明党さんから出されたのは、本法反対理由にほぼ同じものであると同時に、自動車重量税というものの性格が、もともと大衆課税である、これを公害健康被害補償引き当てることが、むしろメーカーに対する免罪符になりはしないか、また自動車重量税引き当てということが実質的な公費負担につながるのではないか、こうした御議論から反対がなされたように記憶をいたしております。  しかし、それでも、とにかく患者被害救済を急ぐということで本院を通過し、現に施行がなされているわけでありますが、昨年の十二月に第三次の地域指定がなされた段階で、実は非常にこの問題点というものが露骨に出てまいりました。当時、私どもが非常に急いで審議を進め、そうした問題点の十分な解明をし得なかった、これは当時の委員としても私どもも、その責任は共同のものだと思いますし、その点の不明はわびなければなりません。ただ、現実に私自身が、それならこれをどうすればいいか、確たる結論にはまだ至りません。正直、困っておりますということが実態だと思います。  たまたま、この第三次で私どもの郷里の倉敷市の水島地区指定になりました。そして、その指定について、あらゆる分野から市内反対が起こり、県議会でも、それが問題になりました。それぞれ意見の違いというものはありながら、今回の地域指定をむしろ返上しろというような意見中心がかかったわけであります。そして、公害被害によって集団移転を余儀なくされつつある、その地域人たちまでが実は、この地域指定反対という状態になりました。それこそ岡本先生も何回か水島に行かれて、安江地区状況はよく御承知のはずであります。その安江地区そのもの反対急先鋒に立つという状態になったわけであります。しかし、そうはいっても、この指定を受けることによって救われる患者も非常にふえるということで、市は指定を受けることに踏み切ったわけでありますが、現在もなお、実は混乱が続いておる状況でありまして、その概況を簡単に申し上げつつ、そこから出てくる問題点について今後の検討課題にしていただきたいと思います。  もともと倉敷市は、四十七年の八月一日から市の条例によって、市の全域特定気道疾患患者に対して医療費救済制度を実施してまいりました。これは全市対象にし、現在の時点患者数は千五十二名であります。これに対して倉敷市の人口は約四十万人でありますが、この臨海部に四十五の主要工場立地をし、四十七年ベースでいけば市の全体の製品出荷額の八三%を占めている状況であります。そして、その臨海部水島地域が昨年の十二月十九日、本法による第一種の地域指定を受けたわけでありまして、当地域内人口というものは約十万人余でありますが、主要工場がほとんどここに立地をしている状況も、いま申し上げたとおりであります。  昭和五十年度の大気汚染に係る本制度賦課金というものは、非指定地域である場合は約二億円でありました。ところが指定地域になると、同年度単価で約十八億円になります。そして五十年度の国の支給額、いま、もう少し高くなったようでありますが、年間、大体一人四十万円という計算で試算をしてみますと、倉敷全域支給対象範囲であったとしても約四億円、指定地域となった水島地区だけの患者救済考えれば大体、二、三億円が地元の補償として支給されるにすぎない状況であります。仮に倉敷市が独自に、国のレベルで同じ補償制度を実施する場合、ほぼ四億円で済むわけでありますし、そのほかに非指定地域としての賦課金を加算しても六億円で済むわけでありますから、みすみす他の地域のために十四億あるいは賦課金を入れて十二億円というものを拠出してしまうということに対して、地域住民の中から、立場を超えた反対が実は出てきました。  企業とすれば、それは出したくない、一銭でも少ない方がいいというのは、これは当然でありますが、それ以上に住民感情として、それが倉敷市の被害者救済に使われるならばともかく、他に出ていくことには反対だ。また多少、範囲を広げてみても、岡山県内備前あるいは玉野と、他の指定地域になったところの患者救済に使われるならともかく、東京大阪方々に使われるために、そんなにたくさんの金を持ち出されるということには反対だ。これは実は立場を超えた議論として市議会、県議会等各党派から議論が出たところであります。岡山県知事は、たしか大臣に対し、この制度を何とか考えてもらいたいということを申し入れてきたはずでありますが、私どもとして、この住民の声というものに対しては、これは実は党派を超えて当惑をいたしております。  先ほどから後ろで、企業は、企業は、というやじがありました。企業でありません。最も被害に悩み、企業の言うことなど聞きっこはない、集団移転を希望している安江地区住民そのものが、この指定地域に対しての反対急先鋒であります。その理由にはいろいろなものがあります。地域ぐるみ集団移転をしようというやさき、非常に限定された地域指定がされたために、むしろ地価が下がってしまい、自分たちが移る場合、財産そのものが減ってしまうのではないだろうかというような不安、むしろ、それだけの県外へ持ち出される金があるならば、われわれの補償に、もっと、その金が使われるべきだという素朴な疑問、そういうものが導火線になり、倉敷市長から十二月の十二日、大臣にあてて、この地域指定をされる場合に全市指定していただきたいと繰り返し御要望を申し上げたような現場の意見というものになってきました。私は、その状況を一発で完全に改善をする、地域間格差を完全に是正する、私自体として、こうすれば確実にできるという的確な考えを今日、持っているわけではありません。いろいろ考えてみましたが、これなら確実に、そういう不満にこたえ得るという対策を、私自体が今日もなお持たぬわけであります。  指定地域が昨年十二月十九日の三次の追加指定によって、固定発生源の少ない都市部に非常に大きく拡大をされましたために、地域内人口というものが約六百万から一挙に一千二百万にふえた。しかも、その内訳を見てみますと、追加された六百万人のうちで、東京大阪で占めておるものが五百六十五万人。一千二百万人の対象者中、東京都の二十二区だけで約六百五十万人、五四%、大阪市が約三百万、二五%、この両者でほぼ八〇%、大半を占めているわけであります。これは確かに徴収財源となる固定発生源の少ない地域でありますから、この制度考え方そのままでいけば、そういうアンバランスは仕方がないと言わざるを得ないことでありますが、私どもとしては、これに対して住民を納得せしめるだけの実は論拠を持たないわけであります。調べてみますと、同様な問題が派生しておるところは北九州市、ほかにもあるようでありますし、たまたま現在は、賦課金の額と補償給付がほぼパラレルであるために、川崎市あたりは問題が起きておりませんけれども、今後、指定地域固定発生源の少ない都市部拡大されれば拡大されるほど、そういう問題が起きてくる地域は多くなるわけであります。ちょうど今度、自動車重量税引き当てで二年間の延長という改正を出されたわけでありますが、逆に言えば、二年後には、どうしてももう一回、改正を、われわれは審議をする場面が出るわけであります。  これは大臣の基本的なお考えを承っておきたいのでありますが、この法律ができて以来、今日までの運用の中で露呈してまいりました、こうした問題点を踏まえて、次回の改正までに根本的な制度改正というものを考えていただけるものかどうか、私ども考えていただきたい。その点についての大臣の方針をお聞かせいただきたい。
  4. 小沢辰男

    小沢国務大臣 橋本先生が非常に具体的な事例を挙げての、この制度どうもいろいろな点で矛盾があるじゃないか、疑問点が少なくとも相当あるじゃないか、さりとて、いま具体案、こういうようにしたらいいという理想的な案こついて自分はいま・ここで提示する存のものはないけれども、どう考えても、いろいろな点で納得がいかない、疑問を感ずるような諸点が多い。したがって、あと二年間に根本的にひとつ検討してみる必要があるのじゃないかというお話でございました。  私も、実はこの予算時期に、いろいろ折衝を、重量税から一般会計を通じて二割もらうということについて予算折衝をいたしましたり、また各省との了解を得たりいたしましたときに、初めて実態をいろいろ勉強してみました。また、岡山倉敷市の方からも、余りにもおかしな話じゃないかというので、この具体的な事例考えてみると、それから全体の制度欠陥というものは、やはり負担割り振り方についての欠陥があるのじゃないかということが出てまいりました。確かに岡山県なり倉敷市としては、この自分たちが、自分たちの中で持っておる工場から四億ぐらいいただければ、全体のいまの国の給付水準と同じ健康被害補償ができる。しかるに全国プールだということで十八億も金を取られる。どうにも合わない。それなら、もう少し地区住民に手厚く、せめて倍以上やったところで、あと十億も得するのじゃないか。そんな全国東京大阪人たちのために、われわれが何で負担しなければならぬのかという疑問。また自動車固定発生源との割り振りについて、東京なり大阪方々からは、どう考えても自動車が二割というのはおかしいじゃないか。これは全国平均して計算をすると大体、八対二だということで、制度はそういうたてまえになっておるわけですが、東京大阪はむしろ、かえって自動車の方が多いんじゃないか、おかしいじゃないか、こういう意見が出ます。  それから指定を受けて非常におかしいのは、四日市をとってみますと、私も着任早々、言ったのですが、その後のデータをいろいろ拝見すると非常によくなっておるわけでございまして、非常によくなってきつつある。そういうところは、ほとんど今後、その面から考えると、もう患者が発生するような大気状況ではないというようなところが、その後いろいろ改善をすることによって出てくる。そういうことで、すでに被害を受けた方々だけの救済ということになる場合に、果たして、いまのような制度なり負担の割合が一体いいのか。いろいろな点から問題点があることは、もう御指摘のとおりでございます。  しかし、さりとて、みんなが共済金みたいに、みんなで出し合って、そして助けていこうというときには、どうしても、いろいろな制度考えましても、健康保険を使ったことのない人も健康保険料を払うわけでございまして、また病気になって健康保険のお世話にばかりなっている人、自分の掛金の何十倍ということをやっている患者さんも同じ負担である。共済的な考え方というのは、やはりそういう点がある。自動車との関係でも、どうも地域的に取る方法があれば、たとえば東京自動車はうんと高くして、いなかの自動車を安くするということができればいいんですけれども、これも東京を走っているのを一々検問しましてやるということはなかなかできない。東京都の登録番号だけでない、ほかの車もうんとこっちに来ているものですから、なかなか、これは容易でないわけでございますが、しかし確かに御指摘のいろいろな面で矛盾がある、こう考えられることはもっともでございますので、私自身も同感なんです。だけれども具体的にいい方法がなかなか見つからない。そこで、なお省内では十分、検討しようということになっております。私自身が命題を与えて研究をさしているわけです。何とか皆さん方の知恵も借りて、必要な金は捻出しなければいかぬのですから、これは企業から負担をしてもらわなければいかぬ。これはやむを得ない。それを負担をさせない方法考えるのではなくて、負担の公平な、また、どういうことをやれば一番みんなが納得するかという負担のやり方、方法論について今後ひとつ十分、詰めて研究してまいります。必ずこの次までには、これ以外にはないという、また堂々といろいろ議論もできる内容にいたしたいと思っておりますので、御了承をいただき、またなお今後とも御指導をいただきたいと思います。
  5. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 大臣予算委員会の時間が参っておりますから、どうぞ予算委員会の方へお移りください。  政務次官にお越しいただきましたが、政務次官並びに事務当局に、いまの内容を補足しながら、なお今後の検討課題にしていただきたい問題点を挙げていきたいと思います。  実は現在、この地域指定の後始末で、県、市の間で大悶着をやっておるわけであります。水島地区以外にも現在、倉敷市の場合、認定患者がございます。そして地域指定がなされたために、指定地域内の患者指定地域外になった倉敷市内患者との間に、給付の非常に大きな格差が生じました。しかし、それはそれとして、従来の指定地域漏れのところにいる患者負担について、県、市の間の意見が真っ向から食い違ってしまったわけであります。いまの岡山県、倉敷市のルールは、企業に七〇%の拠出を命じ、残りの三〇%を県、市が一五%ずつ負担をしている。ところが、今度の地域指定と同時に、県の一五%分は県は出さないという考え方になりました。同じ県内で、独自の制度を持っていない玉野備前という二地区があり、ここにも指定地域外患者がある。その人たちとのバランス上、県の一五%分の負担はできないというのが県のいまの考え方であります。いま県、市の話し合いが続行している最中でございますが、県とすれば、これはどうも出せないということになりそうであります。  一方では、企業が七〇%を拠出している状態でありますが、今度、企業の方からは市に対して、一体給付の時期はいつまで、これを続けるのか、言いかえれば、国の地域指定はもう拡大する余地はないのか。確かに倉敷の場合には現在、汚染度は非常に落ちました。SOx対象にする限りでは非常に落ちた。ですから今度の指定でも、それこそ指定されるかされないか、すれすれぐらいの数字が出ておったと思いますが、それだけ汚染が減少している一方で、患者はなおふえているという状態はどういうことなのか。それよりも、国が指定地域拡大方向一体、踏み切ってくれるのか、どうなのかという疑問が出され、国の方で地域拡大をしていただくための再調査について、現在、市自体汚染データあるいは疫学データなどの資料も作成中であり、四月の下旬ごろに国に対して資料提出し、再調査を依頼するという予定のようであります。ですから当然これは、そういうものが出てくれば、環境庁としては、指定地域拡大になるのか、あるいは追加になるのか、よくわかりませんが、そういう作業はしていただけるのでしょうね。まず、その点をお聞きしたい。
  6. 野津聖

    野津政府委員 ただいま橋本先生から御指摘がございましたような、現在の法律そのものが相当な割り切りから始まっているということにつきましては、もうよく御案内のとおりでございまして、少なくとも線引きをすれば、線引きの内と外に完全な格差が出てくるということは、現在の制度の中では大きな問題になってくるだろうというふうに考えております。特に倉敷市の立場としましては、現在の山陽本線の南側をひとつ全域指定してもらいたい、こういう御要望もあったわけでございますが、実際に過去のデータ、特に慢性疾患でございますので、現在、中心としましてはSOx考えておるわけでございますけれども、過去におきます汚染状態から考えてみましても、なかなかむずかしいという状況にあったわけで、現在の水島地区指定という結果になったわけでございます。ただ先般来、倉敷市あるいは岡山県の御意向をいただいております。それをもとにいたしまして、さらに詳しい、地域におきます環境汚染実態というもののデータにつきまして、現在いただくようにお願いをしているところでもございます。  それから、ちょっと触れられました、要するに環境はきれいになっているにもかかわらず患者さんがふえているという問題でございますけれども、これは新たな地域指定の問題、さらには過去におきます汚染によりまして潜在患者でありましたのが顕在化しできているというふうな面もあるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、倉敷市から詳細な資料をいただくことによりまして、それをもとに十分な検討を加えていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
  7. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 実は、移動発生源による汚染者分については、自動車重量税の一部を引き当て負担しているわけでありますが、今回の改正案においても、その点は同じなわけであります。ところが、固定発生源との比率は、先ほど大臣もちょっと触れられましたように、全国固定発生源移動発生源からのSOx、NOxの排出総量推定値単純比例の結果、八対二というふうに定められております。しかし、認定患者が今後いまのような状態でいって、固定発生源の少ない東京都や大阪市に集中する傾向というものは必至でありますだけに、単純な全国排出量比率で算定することは非常に不合理なのじゃないだろうかという気が私はいたします。それと同時に、地域における自動車からの汚染排出量が少ない場合でありましても、地上での排出源としての自動車というものは、人の居住に影響のある地上環境濃度に対しては、むしろ高煙突から排出される固定発生源に比して著しく大きな寄与をしているということも知られておるわけでありますから、単純な全国排出量比でこれを割り切ってしまうということは、矛盾が非常に拡大する傾向になる。この点について、まず考え方を示していただきたい。これが一つ。  もう一つ汚染負荷量賦課金についてであります。固定発生源負担分は前年のSO2の排出量賦課料率を乗じて課せられ、この料率指定地域内と、その他の非指定地域で九対一となっておるわけでありますが、先ほどの水島の例、また、私はまだ計算しておりませんけれども北九州がやはり同じような状態になるはずでありますが、こうした指定地域中の地方工業都市の多くにとっては非常に不合理な状態を引き起こしている。そういう状況から考えてみまして、私どもは、企業がその責任において患者救済に資するための費用を捻出するのは当然だと思いますし、その指定地域内にかけて現状より厳しいものになっていくことも将来、方向としてあり得ると思うのでありますが、同時に、先ほど申し上げましたような地域住民感情というものを考えました場合に、他地域患者への充当分は非指定地域並み料率であってもいいのではないだろうかという感じがしてなりません。賦課料率について、指定地域からの持ち出し分については、この比率緩和というもの、これはゼロにするわけにはいかぬと私は思います。そして他の地域に対しては一銭も拠出しないのだなどということも許されることではありません。ただ持ち出し分比率緩和考えるべきではないだろうか。これが第二点。  それから、時間が余りありませんので、一括して事務的な答え、同時に政務次官のお答えをいただきたいと思うのでありますが、今度の地域指定以降、むしろ公害防止対策を非常に進めてきているのにかかわらず、それが全然メリットにつながってこないという不満産業界側からも出てきました。これは、ある意味では、そのとおり私も認めざるを得ない部分があると思います。公害防除に対する投資を加速していくためにも、むしろ汚染源対策に対する企業努力というものが何かの形で反映できるような工夫ができないものだろうか。  それと同時に、最後にお尋ねをしたいことは、患者認定のための認定基準を明確化してもらいたいということがあります。これは診断基準といいますか、認定基準といいますか、これが一定していないために非常に不公平を生じているケースがある。そのお医者さんは大変やかましく言われる。そのために、はた目から見れば当然、認定患者になり得るのではないかと思う方でありましても認定患者になれない。同時に、あるお医者様の場合には、その点が非常に緩い。そのためにあれ、この人がと思うような方も認定患者になる。そういう、基準が一定していないための不公平というものは、やはり何か考えてあげる必要がある。認定基準そのものを明確化してもらいたい。いま私がとっさに考えておりましたのは、実は労働省等がやっております安全衛生法に基づく特殊健康診断、あれは一応の診断基準をつくり、バランスのとれない部分はありますけれども、一応の基準というものを明確化している。ああいった形で、やはり患者認定のための診断基準というものを明確化してもらいたい。これは別に法改正を待つまでもなく、行政当局として当然、示していただけることだと思います。  以上の点をまとめてお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  8. 野津聖

    野津政府委員 ただいま橋本先生から四点にわたります御質問があったわけでございます。  初めに自動車いわゆる移動発生源工場固定発生源の割合、いわゆる汚染負荷量賦課金の割合の問題があったわけでございますが、この第一種地域と申しますのは、むしろ私が申し上げるまでもなく、全国大気汚染物質の排出者を原因者集団という形でとらえまして、その拠出によりましての全国一本のプール方式という形で費用を調達するということになっているわけでございまして、これにつきまして全国ベースで推計をいたしますと、いわゆる固定発生源移動発生源が八対二の比率になっているということにつきましては御指摘のとおりであるわけでございますが、最近の、特に現在の指定地域拡大、新しい指定というふうな形を持ってまいりますと、御指摘のございましたような、いわゆる都市型の問題というのが大きなことになってくるわけでございます。ただ、このような場合に、実際に、その地域におきましての寄与度というものにつきましては非常にむずかしい面があるわけでございます。各指定地域におきます。いわゆる大気汚染の発生源別の寄与度になりますでしょうか、そのデータというものは現段階で把握するということは非常にむずかしい問題がございます。しかし、御指摘のような、この法律の出発の際に相当な割り切りというものをもちまして、できるだけ早く患者救済したいという考え方で進んできているわけでございますので、その辺が問題があったにいたしましても、このデータの収集というものにできるだけ努めまして、この収集あるいは解明ということによります実態を明らかにしていくことによって検討していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから第二番目に、いわゆる硫黄酸化物を中心としました現在の汚染負荷量賦課金制度におきまして、賦課金について硫黄酸化物を対象とした計算でいくならば、もし企業が努力しておっても結局、賦課金は高くなっていくということでございますが、これは若干、分析をしてまいりますと、御案内のとおり、この制度が発足しまして一年半ちょっと、たったわけでございますが、その間いわゆる地域指定拡大という問題がございました。それからまた、過去におきましての汚染に基づいて潜在しておられました患者さんのいわゆる顕在化という問題がございまして、現在の段階では、現在の補償給付に支払います費用というものが非常に高くなってきている時期でございまして、したがいまして各企業、特に固定発生源立場から見ますと、一単位当たりの賦課金というのがふえてくるというふうな実態が表には出てまいっております。しかし原因は、ただいま申し上げましたような一つの過渡的な状況だろうと思っております。特に個々の企業が、現在、着目しております硫黄酸化物につきまして、もし減らしてまいりますと、単位当たりの、ほかの何も処置をしていない企業と比べますと、減らしてくる努力によりましては減ってくるわけでございます。ただ、総体の金額がふえてまいりますので、出面としましてふえてくるような考え方になっているかと思います。しかし、いずれにしましても、この問題が健康被害というだけに着目した形でまいった場合に、いわゆるチャージというふうな形でこれが生きていくかどうかという問題、非常にむずかしい面があるのじゃないかと思っておりますが、いずれにしましても、これはコンスタントな状態になった場合には当然、努力は反映してくるべきものであろうというふうに思っておりますし、また、前から考えがございました賦課金によっての、いわゆる課徴金制度のような形でいくことができるかどうかという大きな問題があるわけでございますが、これもどうも健康被害補償だけでは課徴金という形にはいかない。もっと幅の広い形での、いわゆる環境汚染の防止なり、あるいはその対策なりのものを含めないといけないのではないかというふうにも考えているところでございます。  それから地域によりますアンバランスは、これは冒頭に先生から御質問がございまして、大臣もお答え申し上げたところではございます。流れから見てまいりますと、やはり基本的には全国一本の制度という形で走ったところでございますが、やはり、このような問題がこれからは大きな一つの問題であろうと、私どもも大きな問題意識を持っているわけでございまして、長官からの御指示もございまして、現在どのような形でこれに対応するかということを考えていかなければならないと思いますし、地域別に、先ほど申し上げましたように大気汚染の発生源別の寄与度というものが相当程度に明らかになりまして、これに基づいて地域出資を均衡させるべきであるというふうな形でのコンセンサスが、もし得られることとなりましたらば、その方向検討すべきであろうというふうに考えております。  それから認定基準の問題でございます。私どもは各地域におきます認定審査会におきまして、きちんとした認定が行われているというふうに理解をいたしておりますが、ただ、大気系の疾患でございます慢性気管支炎とか、あるいは気管支ぜんそくというふうな疾病につきましては、一般的にある疾病でございます。したがいまして、これが、もし一つの因果関係というものがきわめて明確になったような、たとえばいわゆる第二種の地域というふうなことになりますと、これはきちんとした認定基準ということも考えられるかと思いますけれども、御指摘がございましたような自然有症率等もあるわけでございまして、これは一般的な疾病であるというところで、現在の段階では、その個々についての認定基準というものを設けてはいないところでございます。  しかし一番、大事なことは、認定の際に行います医学的な検査の問題であろうというふうに考えておりまして、その項目につきましては私どもから各都道府県に対しまして、その中身についての通知をいたしておるところでもございますし、また、認定審査会につきましては、診断書のほかにも医学的な検査を実施する等の、ほかの資料に基づいての認定を行っているというふうなところでございます。また、これらの認定や検査方法などにつきましては、定期的に年に一回は全員各委員、審査会からお集まりいただき、それから年に一回はブロック会議という形をとりまして、各認定審査会の意見の交換等を行いまして、この認定が適正に行われるということを前提といたしましての仕事を進めておるところでございまして、ちょっと、この疾患の特異性から見まして基準をつくるということが若干むずかしい問題がありますから、別の形で認定の適正化ということについての努力を重ねてまいっているところでございます。
  9. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 時間がありませんので、政務次官に最後に、ひとつ確認の意味お尋ねをいたします。  いままで挙げてまいりましたような問題点が現実に実は出てきました。私どもは、これを最初に申し上げましたように、立法する時点で、そこまで考えていなかった責任は共同で負うものでありますが、現実問題として、こういう問題点にこれから答えなければなりません。ちょうど二年間の延長期間が終わる時点においては当然、本法改正の作業にまた取り組むわけでありますから、いま申し上げましたような諸点を含めて、次回、本法改正が論議される時点にまで、環境庁としてのきっちりした考え方を整理し、こうした疑問点に答えられるようなものをおまとめいただく。その点についての御決意を伺って終わりたいと思います。
  10. 越智伊平

    ○越智政府委員 先生の御意見をいろいろ拝聴いたしまして、最初大臣がお答えいたしましたように、固定発生源移動発生源の関係あるいは地域の関係、また公害施設等をだんだんやっておる、この排出量の関係、いろいろ問題がございますし、私も環境庁に参りまして、勉強すればするほど、いろいろ問題点の多いことを認識いたしておるのでございます。  大臣のお話がありましたように、環境庁といたしましても十分データの整備その他あらゆる研究をいたしまして、二年後までには、よりりっぱな法律改正すべく努力をいたしたい、かように思いますので、どうぞ、ひとつよろしく御指導をいただきたい、かように思います。
  11. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 終わります。(拍手)
  12. 田中覚

    田中(覚)委員長代理 岩垂寿喜男君。
  13. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この法律は、原因者が不特定多数の公害から発生する健康被害を行政上、敏速に救済することを目的としたものであることは、もう言うまでもないわけでありますが、この法律問題点が、制定の経過の中でも、たとえば指定地域の問題、あるいは指定疾病をぜんそくなどの四疾病にしぼってしまった問題、あるいは汚染調査が硫黄酸化物を中心にして行われていることから、NOx、や粉じんが対象に加わっていないというような問題が議論されてきたことは、もう御承知のとおりであります。そこで、これらの問題を振り返ってみて、この法の精神と実体というものを、ますます充実させていくためには、いま何をなすべきかということを真剣に実は考えなければなりません。  そこで、この機会に私は環境庁に、これらの関係する問題についての改善措置の姿勢といいましょうか、態度を伺ってみたいと思うわけでありますが、一つ指定地域の問題です。  昨年の十二月十六日だったと思うのですが、東京都の世田谷、中野、杉並、練馬の四区の地域指定の問題について質問いたしました。そのときの議事録をちょっと読んでみますと、環境庁長官は「何とか今週中には暇を見て、省内で担当者を含めた、私みずから主宰をしまして検討会をやって、そして東京都とも連絡をして、できるだけ早く、その地域の再調査をやって、分区をしてでも、ひどいところは、地域指定の要件に合えば、私は指定すべきじゃないかという気持ちを持っておるわけでございます。」という答弁をいただきました。つまり四地域について見直しをするという方針を明らかにされたわけでありますが、その後、この作業がどのように進んでいるかということを報告をいただきたいと思います。
  14. 野津聖

    野津政府委員 長官の御指示によりまして、長官のところで、これに対応する対策をいかにするかということにつきまして、いろいろと議論を交わしたわけでございます。ただ、その経緯から見ました場合に、もう御案内のとおり、一つの区全体に対する環境汚染調査あるいは健康調査ということを実施したわけでございまして、大気汚染状況等につきましては区全体ということを考えてまいりますと、非常に薄められたような形にもなってまいるわけでございまして、その辺につきましては、私ども協議の結果を踏まえまして、東京都に対しまして、さらに詳細な測定のデータ等につきまして詰めるということ、さらには、その区の中でも一部の地域というものを中心とした形での考え方を導入できないかということにつきまして、東京都にも話をしておるわけでございまして、東京都におきましても各区におきましての各種のデータの収集を現在、行っているというふうに聞いておるところでございます。
  15. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 東京都に私、聞いたのです。だけれども余り環境庁ときちんと話ししていないのですね。たとえば、調査がどのくらいかかって、どういうふうに結論を練り合わせていくかという手続などについて十分な打ち合わせが済んでいない。こういう状態というのは、長官が少なくとも今週中に暇を見て省内で担当者を含めて云々というところから見れば、もうすでに三カ月の歳月が流れようとしている。これは事柄の緊急性から見ても、長官が今週中にもと言った意味から見ても、かなり時間の経過があり過ぎるように思いますが、その点はどのように考えていますか。
  16. 野津聖

    野津政府委員 東京都には、たしか、その週の土曜日でございましたか、話をしているわけでございまして、東京都の方では具体的にどのような形でいくかということにつきまして、ある程度の事務的な段階での細部につきましては指示をしてあると聞いておるわけでございます。東京都の方で、どういうふうな対応の仕方に持っていくかということにつきまして、議論が現在あるのではないかというふうには思いますが、いずれにしましても、すでにその問題が起こりまして三カ月というものがたっているわけでございます。さらに東京都に対しまして、将来の見通し、あるいは現在の作業の過程というふうなものにつきまして十分、詰めまして、これを進めてまいりたいと考えております。
  17. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 指定の仕方について、たとえば区全体をとか四区全体をという議論ではなくて、地域的にもう一遍、再調査をしろという、そういう詰め方で東京都と話をしたのですか。
  18. 野津聖

    野津政府委員 各区全体で申しますと、過去に私ども指定をする際に詰めた資料しかないわけでございまして、この流れでまいりますと、少なくとも区全体としては現在、指定要件に合致していないという問題があるわけでございます。ただ、御指摘ございますように、いわゆる幹線自動車道沿道付近の方々にとっては、少なくとも自分たちの方は健康被害がある、あるいはまた本当に被害を受けておる方もおられるようでございます。したがいまして、これが実際問題としまして区全体であれば、もうすでにあるデータということになるわけでございます。したがいまして、区の中での地域をどう考えていくかというところも踏まえましての調査ということを東京都に指示したところでございます。     〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 野津さん、その点はもうちょっと東京都ときちんと話をしなければいかぬと私は思うのです。私は東京都にも文句を言ったのです。都民の非常に切実なそこにある存在、要求に速やかに対応するということが行政の責任です。にもかかわらず、どうやら両方とも何となくすれ違いのままで時間が来ている。こういう状態はいいことじゃございません。やはり一定の期間を区切って結論を出した上で、どういうふうに詰めていくかということを、もっと積極的にやってもらわぬと、やはり都民が持っている要求から見まして、いまの対応というのは少しテンポがのろ過ぎる、こんなふうにも思いますので、その点についての見解をもう一遍、承っておきたいと思います。
  20. 野津聖

    野津政府委員 冒頭に先生からお話がございましたように、この救済法の精神というものは、被害を受けておられます患者の速やかな救済ということが基本的な考え方でございます。したがいまして、少し東京都の進捗状況などにつきましても具体的に詰めていく必要があるのではないかと思います。ただ、東京都の場合、東京都も全区指定というふうな考え方は、いま持っているような気持ちもするわけでございます。したがいまして、その辺は一体、全区でいいのか、全区でいけば、  いままでのデータしかないじゃないかということでの議論というものも、これは当然、加えていくべきであろうと思いますし、いずれにしましても、これは早急に解明しなければならない問題でもございます。また、東京都におきます進捗状況というふうなものも詰めまして、少し突っ込んだ議論を加えて、できるだけ早く解決するようにいたしたいと考えております。
  21. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 東京都は実際は区に、また、それを委託というか、その調査を求めている形ですからね。段階が幾つもなって、そして、そこのところでみんな、もとのところが決まらないと、区の方まで決まりませんから、そういう点でも速やかに、その調査方法などを含めて合意に達するような努力を、もっと熱心にやっていただきたい、そのことを、まず第一にお願いをしておきたいと思うのです。  東京のことで関連をしますけれども、たとえば大原ぜんそくで有名な世田谷区だとか、全国で初めて光化学スモッグの被害が出た杉並区とか、そういうところが除外されているということは、実態に即した調査が十分じゃないんじゃないだろうかという疑問も出るのは当然だろうと思うのであります。今度たまたま、この法律改正が予定をされているわけでありますけれども、この法律の趣旨に見れば「大気汚染の原因である物質を排出する自動車に係る費用に自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を充てる」こういうわけなんですね。自動車がもたらす被害自動車大気汚染の原因になっているその事実は、もう否定をすべくもないわけだが、その自動車汚染をするものというのは、たとえばCOとかHCとかNOxとかあるわけであります。自動車と、この負担をさせる汚染物質の因果関係というものはNOxのことを予定をして、自動車重量税から取っていくという配慮も当然あったと思うのです。したがって、そのことを考えるならば、こういう形で徴収をする、その一部をこちらへ回すわけですから、二つの意味があると思うのですね。それは自動車重量税というものが道路目的財源にも使われている面も含めて言えば、自動車と道路と二つの面で、これは結びついている。道路がなければ自動車が走らないのですから、道路がよくなれば、ますます自動車がふえるわけですから、二つの問題で、まあ切り離しがたく結びついている二つだけれども住民に対して迷惑をかけているわけですね。そういう意味ではNOxの問題というのは、きちんと基準の中に加えていくというのが、この法律改正するときに検討されるべき事柄ではなかっただろうかと私は思うのです。これについて見解を承っておきたいと思います。
  22. 野津聖

    野津政府委員 この法律が制定いたしましたときに、いわゆる第一種地域におきましては著しい大気汚染があるということが一つの問題になっていたわけでございまして、その大気汚染として考えられておりましたのは、現在、実際に測定のデータとして使用しております硫黄酸化物と、それから窒素酸化物と、さらには浮遊粉じんと、この三つが大気汚染物質であるというふうな考え方で、この法律が出発しているわけでございます。ただ、硫黄酸化物につきましては過去、相当にわたってのいわゆる地域におきます測定データを持っておりまして、また、いわゆる疫学的に見ましても、硫黄酸化物と健康被害というふうなものの関連性につきましても、相当の相関性というものが見られたわけでございますが、そのほかの特に窒素酸化物につきましては、いわゆる実験室内と、いわゆる疫学的な問題との乖離が若干ございまして、その辺がございますので、一応、目標としまして先ほど申し上げました三つの問題点を、この大気汚染というものの中に取り込んで考えてまいりながら、結局は、なかなか具体的な数値として、あるいは汚染の寄与度というふうなものについての線が出てこないというふうなことがございまして、中央公害対策審議会の御審議の、あるいは答申の中におきましても、この三つを考えるべきであると、特に窒素酸化物につきましても非常に大きな影響があるというふうな点を御指摘されながらも、なおかつ、この健康被害に対します。いわゆる相関性の問題というものにつきましての若干の疑問も含まれているというふうなこともあったわけでございます。  ただ基本的には窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊粉じんというものが、この対象というふうに考えられてはおりながら、具体的に詰められてないという一つの問題があるわけでございますが、現在、昭和四十五年から四十九年まで五カ年間に実施いたしました、いわゆるこの三つの物質を中心としました大気汚染と健康影響というものにつきましての最終的なまとめを実施いたしているところでございまして、専門家の会議あるいはワーキンググループの会議と、それから総会というふうに、現在まで五回ほど会議を持ちまして進めつつあるわけでございますが、この結果も十分、活用さしていただきながら、このいわゆる窒素酸化物という問題につきましての対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  23. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 東京だとか、いま言った自動車が非常に多いところ、あるいは幹線道路の付近、ここがNOxの大きな被害を受けていることは、もう疑うべくもないわけでありますが、東京の場合は、それとSO2の複合汚染だという認識をお持ちになっていらっしゃるかどうか。東京を初めとするそういう地域、それはどうですか。
  24. 野津聖

    野津政府委員 先ほど申し上げましたように、硫黄酸化物だけでなくて窒素酸化物、浮遊粉じんというものによる、いわゆる複合汚染というふうな考え方でございますし、また、そういう認識のもとに、現在の五年間の調査の見直しも、複合大気汚染の健康に及ぼす影響というところを中心とした形で、いま詰めているところでございます。
  25. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま四十九年から五カ年でということなんですが、昭和五十四年ですね、五カ年で調査をしてなんというのですから。そうじゃないですか。
  26. 野津聖

    野津政府委員 四十五年から五カ年で四十九年まで、全国地域でやりました調査のまとめを、いま実施いたしているところでございます。
  27. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 四十五年から五カ年間で結論が出て、そして早くこれを生かしていく方法というのを考えないと、やはり片手落ちだと思うんですね。いまの練馬や杉並や世田谷や中野の状況を見てみますと、有症率と基準で、どっちかで落ちているわけですね。すれすれのところも、それぞれあるわけですけれども、両方で追っていきますと結果的には落ちるわけですよ。ところが、そこでは、やはり複合汚染だという前提を考えてみれば、NOxその他、粉じんなどの汚染物質というものの正体も、これはつかまえておかないと、そして、そこの上で配慮しておかないと、どう見たって片手落ちになってしまうと思うのです。だから東京都の指定の場合にも、そのSO2だけで見るのではなくて、現実にもう五カ年の調査の結論も急いでいるわけですから、そういう区切りをどこでつけるかは別としても、早くそのことも配慮した基準を出さないと、どうしたって、この法律が持っている矛盾点というのは私は解明されぬように思うのです。いま現実に川崎などの調査をやっていまして、三月に結論が、解析が終わるということになっているわけですが、NOxの基準に加えていく作業というのは、ことしじゅうにめどがつくのですか、その点を承っておきたいと思います。
  28. 野津聖

    野津政府委員 ただいま御指摘ございました自動車道沿道の調査は昨年の十月から実施いたしておりまして、兵庫県それから川崎市におきまして、いろいろと、いま数値の取りまとめをいただいておるわけでございます。先ほど申し上げました四十五年から四十九年までの調査の整理と、それからこの自動車道沿道の調査というふうなものを踏まえてからの結論を出すべきであろうというふうに考えております。ただ、その場合に、できるだけ私どもも、この影響というものが、いままでは少なくとも浮遊粉じんなり、あるいは窒素酸化物につきましては、地域指定におきまして参考的な見方はさしていただいておるわけでございますが、いわゆる御指摘ございました複合大気汚染という形での問題は、これは早く解明しなければいけないと考えております。したがいまして、まあ先の期限と申しますか、この結果にもよるかと思いますし、あるいは結果によりましては若干、補完的な調査も加えていきませんといけない面も出てくるかとも思いますけれども、少なくとも、いま行っております二つの調査の問題につきましては今年内に数字がまとまるわけでございますので  (岩垂委員「今年と言うのは」と呼ぶ)年度でございます。五十年度に数字がまとまるわけでございますので、これをいわゆる解析しなければいけないという作業が若干、残っております。したがいまして、私どもはできるだけ早いうちに、この結果を出していくということを前提として進めてまいりたいと思いますし、そう遅くならない時期には、まとまり得るというふうな見通しも立てておりますが、ただ申し上げましたように、今回の結果を踏まえて、さらに補完的な調査というものも絡んでくるかとも思います。まだ結果はわかりませんので何とも申し上げられませんけれども、相当、広範囲にわたったプログラムを立てての調査を実施したわけでございますけれども、若干、物によりましては補完的な調査も必要としてくるということもあるかもしれません。いま、ちょっと数字もまだ集計の段階でございますので、私も何とも申し上げられませんけれども、そういうことを踏まえましても、私どもは少なくとも今年内には結論を出していきたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 吉田法晴

    吉田委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  30. 吉田法晴

    吉田委員長 速記を始めてください。  岩垂寿喜男君。
  31. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまのお話を伺って、NOxを指標に加えていくという考え方、それをできるだけ早く出していくという努力、できれば私はことしの間に結論を出して、どんなに長くても来年度からはNOxを指標に加えていくということのための環境庁の答弁をいただきたいのですけれども、いつごろということを言えないとしても、年内にそういう結論を出していく、そういう努力の目標については、この際、環境庁の努力の、いわば姿勢として承っておきたいと思います。くどいようですが、その点をもう一遍、承っておきたい。
  32. 野津聖

    野津政府委員 この複合大気汚染によります患者さんの救済ということを前提として考えます際には、できるだけ早く出すべきことであろうと私ども十分、認識を持ちながら努力を重ねているところでございますので、先生、御指摘のような形での結果が出ることが、私どもは一番、望ましい形であろうというふうな考え方で、さらに努力を重ねてまいりたいと思っております。
  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この地域指定について、たとえば大阪、名古屋は市を一つ地域として考えてやっていますね。東京の場合は特別区ごとに地域を一地域として扱っていくというわけです。これは東京都からの要望を生かした形で、そういうふうになったわけですか。
  34. 野津聖

    野津政府委員 結局、東京の場合には特別区という形での地方自治上の制度があるわけでございますので、それに沿っての考え方になったわけでございます。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと具体的に伺っておきますが、東京を区でなくて地域指定するということは、結論が出て、そういうことが当然だということになれば、つまり年度途中でもやれるわけですね。
  36. 野津聖

    野津政府委員 地域指定につきましては政令の改正という形でございまして、昨年も十二月に実施した形でございます。これは条件の詰まり次第、中公審の意見あるいは地方自治体の意見を聞きますと、年度途中でも、これは指定ができるわけでございます。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私がなぜ、そういうことを言うかといいますと、たとえば地域指定されたときにも、かねてから問題になる、道路一つ、線路一つで差別されるという議論が出てくるわけです。そういう意味から言うと、やはり片方で部分指定という経過があったとしても、それを追っかけて、たとえばNOxの指定というようなことがあれば、それを基準に加えていくということがあれが、時間的な多少のタイムラグはあっても、全体的な事態の深刻さというものを救済していく措置が、ごく近い展望として、住民の間に、あるいは都民の間に理解がつくと思うのです。したがって、そういう意味では、私がさっき、なぜ今年度内というようなことを固執して言ったかと言えば、部分指定と全体的な指定で、全体的な指定のときにはNOxの問題も入っていくということであることを、私は環境行政の中で配慮すべきであろう、こういうつもりで申し上げておりますので、その点も含めて野津さんのお考えを、率直な見解を承っておきたいと思うのです。
  38. 野津聖

    野津政府委員 地域指定というものの一つの大きな問題点としましては、御指摘ございましたように、どこかで線を引かなければいけないという問題がございます。  それからもう一つは、現在は硫黄酸化物を中心としまして、窒素酸化物あるいは浮遊粉じんにつきましては参考としながらの地域指定といたしておるわけでございます。これが窒素酸化物あるいは浮遊粉じん等につきましてのいろいろな問題、特に窒素酸化物につきましての問題というものが解明される場合には、新たな一つ指定の条件ということになってくるわけでございます。したがいまして、それが全体とか、あるいは部分ということの問題でなしに、一つ地域指定の要件の大気汚染の程度という形で、これを把握してまいりたいというふうに考えておるわけでございますので、必ずしも、それがそのまま全区指定ということとのつながりはなり得ないというふうに理解しております。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは光化学スモッグのシーズンが来るわけですよね。いまから予想することはできませんけれども、国民が深刻な不安というものに脅かされるわけですから、やはり環境庁としては、そういう努力を科学的にやっていくために、そう拙速でやることはできないとしても、やはり行政の目標として、きちんとしたものを立てて、そしてやはり、そういう不安が来るシーズンを前にして、どういう努力の目標でやっていくということは、どのくらい期間があれば結論が出る、解析ができるということも経験的にわかるのですから、そういう努力をこの際ぜひお願いをしたいと思うのですが、その点、くどいですけれども、もう一遍、御答弁を煩わしておきたいと思います。
  40. 野津聖

    野津政府委員 この法律の施行に携わっている者といたしまして、この法の目的に従いまして、できるだけ早く健康被害を受けている方々救済ということを考えるべきであろうということがございますので、その線に沿って努力を重ねてまいりたいと思っております。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 仄聞するところによると、昨年の指定地域拡大に当たって、環境庁と通産省との間で意見の対立があった。通産は企業負担がふえることを考慮して、ばらつきの多い地域については保健所単位で分割指定をすべきではないかというふうなことを主張したということも承ったわけですが、そういう経過はございますか。
  42. 野津聖

    野津政府委員 そのようなことでの意見の食い違いはございませんでした。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 通産省の方で、たとえば地域指定などについて、いろいろ見解を述べるとか意見を述べるということはなかったですね。
  44. 野津聖

    野津政府委員 地域指定の問題につきましては当然、通産との合意を得る必要があるわけでございますので、それにつきましては十分、検討を両者で加えましての意見の交換はございました。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 通産としては、企業負担がふえることに余り賛成でないというような見解が述べられた経過はございますか。
  46. 野津聖

    野津政府委員 この法律のいわゆる汚染負荷量賦課金につきましては、一つ割り切り、あるいは方式に従っての汚染負荷量賦課金企業にかかるわけでございます。したがいまして、その問題につきましての、いわゆる賦課金がふえるということにつきましての問題につきましては、初めから法律で割り切られている問題でございます。したがいまして、それにつきましての大きな議論はございませんでした。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 指定疾病の拡大の問題について伺いたいのですが、もう言わなくてもいいのですけれども、慢性気管支炎とか気管支ぜんそくとか、ぜんそく性気管支炎とか肺気腫とか、四疾病というわけですが、現実に、この前にも申し上げましたが、目や耳や、あるいはのどや、あるいは鼻などについて被害が及んでいるという事実が進行しているわけでありまして、環境庁が来年度の予算で、これらの指定を目標にした調査予算をお組みになって、それが新しい年度の予算案の中に出ているようでありますが、それはどういう内容のものであるか、この機会にお教えをいただきたいと思います。
  48. 野津聖

    野津政府委員 かねがね御指摘がございましたように、必ずしもいわゆる閉塞性の呼吸器疾患というものだけが大気汚染によります疾病ではないというふうなこともございましたし、また、中公審におきましても、これらの問題の議論があったわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、ただいま御審議いただいております五十一年度の予算案の中で、目、耳、鼻等の疾病につきましての調査を実施するということであるわけでございます。考え方といたしましては、現在まだ予算を御審議いただいている最中でございますので、方法論等につきましては早急に手をつけなければいけないとは思っておりますが、具体的には、まだ調査等につきましては細かく申し上げる段階に至っておりませんけれども、総額にしまして八百二十八万九千円の予算額をもちまして、目、鼻、耳あるいは上気道部分大気汚染によります影響というものにつきましての調査検討を行ってまいるというふうに考えております。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 こういう調査というのは大体、一年で結論が出ますか。
  50. 野津聖

    野津政府委員 調査の中身あるいは、その結果によるかとも思いますが、私どもとしましては、まず手をつけまして、もし一年で結果が出れば非常にいいというふうにも考えておりますけれども、なかなかむずかしい問題も抱えておるようではございますが、とりあえず今年度、御審議いただいておりますのは五十一年度の予算でございまして、一年の間に結論がつく部分は結論をつけていただきたいというふうな考え方で、この調査を進めてまいりたいと思っております。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 補償法給付条件を四月からアップするということを承っていますが、具体的内容をお教えいただきたいと思います。
  52. 野津聖

    野津政府委員 給付につきましては四月からの給付の改定と、それから十月からの給付の改定と、両方を考えているところでございます。その中で、四月から改定いたしますのは、いわゆる障害補償費でございまして、これにつきましては約一一・二%のアップということを考えておるわけでございまして、これに伴いまして遺族補償費あるいは遺族補償一時金も、これがベースになってくるわけでございますので、これに伴いまして増額を図ってまいりたいと考えております。また、児童補償手当につきましても、障害補償費と同様、四月から上げてまいりたいと考えております。療養手当につきましてと、それから介護加算につきましては、ほかの給付等の関係もございまして、十月から上げていくということを考えておるわけでございます。また、葬祭料につきましては四月から上げるというふうなことで、現在、中公審には御了解を得まして、各種の政令あるいは告示につきましては、法律改正あるいは予算の問題とも関連いたしまして、手続を進めてまいりたいと思っております。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは長官に、せっかくお越しですから、お尋ねというか、そういうふうにしてほしいという要望を申し上げたいと思うのですが、この前も、ちょっと私はこの委員会で申し上げたのですが、小児ぜんそくの子供たちの長期転地療養という問題を、ぜひお考えをいただきたいということを、ここで提案をしておきたいと思うのです。  たとえば夏休み中に、かなり長期にわたって、たとえば国立の療養所とか病院などを配慮してということを、長官からこの間ちょっと御答弁をいただいたことがございますけれども、小児ぜんそくの子供たちが、とにかく親にしてみると、夜中に発作が起きて一晩じゅう寝れないという状態が続いている。そして学業の面でも非常なハンディキャップを背負っていることを考えたときに、これは見るに忍びない。私も実は、たまたま小児ぜんそくの発作を起こした子供のところで、その現場を見たことがあるわけですが、これは大変なことです。そういう意味で、いろいろな手当てや手段があるわけですけれども、とにかく転地をするということ、それから親から離して自立心を持たせるということ、あるいは長期的に、そうやって夏休みの間を利用して集団的に活動することを通して、団体の訓練あるいは集団保健指導などができるし、その中で児童の協調性を高めたり、あるいは児童自身の自信を高める。自分自身に対する自信を高めるということが、どんなにか、この子供たちの小児ぜんそくに対する対策として有効であるかということは、すでに地方自治体がやっているデータの中でも、細かくは申し上げませんが、成果が上がっているわけであります。ですから、非常に短時間ではなくて、やや長期にわたって、そして、いろいろな条件があります。医者がついて行くとか教師がついて行くとか、あるいはバスで行くには、最も長い時間でも三時間以上になると、ちょっと、かえって苦労になるとかいうような、いろいろな条件がございますけれども、この際、思い切ってこの法律で、そういう子供たちの長期療養の条件をぜひ確保していただきたい。これは環境庁長官にぜひ積極的なイニシアチブをとっていただいて、これはやはり大変な朗報になると私は思うのです。それはしかも実積が上がっているわけですから、そういう点で、全国の地方自治体がやっているさまざまな経験というものをやはり生かして、同時に子供たちの父兄、父母たちの気持ちなどもよく意見を聞きながら、この制度について、ぜひ英断を求めたいと思いますが、環境庁長官の御回答を煩わしたいと思います。
  54. 小沢辰男

    小沢国務大臣 大変いいことで、私も実はそういう制度、というよりも運用によってできないかというので、医師が入院を要すると判定をしてくだされば、その入院先の問題を転地療養的な面で考えられるような個所を設定するということが可能なわけでございます。ただ遠方の、そこまでの旅費その他いろいろなものをどうするかという点がございます。それと、どうしてもやはり子供たちは医療を要する人であって、かつ教育を要する年代でございますので、どうも、その辺のところがかみ合ってきませんと実行はなかなかできない。転地療養もいいんだけれども、おれは勉強の方が心配だとか、それから、さあそれじゃ国立少年自然の家というものが普及してくるに従って、そこへ先生と一緒に行くわけですから、そこは先生もおって勉強にはなる、ただ医者を置いておく施設ではないわけでございますので、医療管理をどういうように結びつけていくか、なかなか、その立地によってはめんどうなんです。しかし、先生のおっしゃる点もよくわかる。私も実は、それはいい方法だな、何とか方法はないかということなんですが、今度の改正では一応、三泊四日の制度もつくりまして、その効果を見た上で、それじゃ制度として、こちら側で何か来年あたりから考えるかということになっておるわけでございます。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは、この事業の一つの重要な側面を私は持っていると思うのです。つまり指定地域調査の中では、ほんの一部を除いて子供は調査対象になってませんよ。成年の男子でございまして結局、子供たちの被害についての配慮というものが、私はどうも十分でない、そういうふうに指摘をせざるを得ない。しかも、そういう小児ぜんそくの子供たちは、医療ということよりも転地をすることだけに意味があるわけですから、親から離すだけで意味があるわけですから、それはもちろん病院が隣接していれば、それにこしたことはございませんけれども、しかし、そう重症な子供たちが参加できる条件はございませんから、そういう点では、こういう厳しい入試地獄という条件のもとでは、高校進学などを抱えている子供たちは、なかなか大変かもしれませんけれども、あるいは小学校や中学校の低学年、そういう人たちが転地をする。そうして、かなり長期にわたって、それが十日でいいのか十五日でいいのか私にもわかりませんが、そういう長期にわたって、医療よりも転地ということと、親元から離して、そうしてやはり自立心を持たせる、自信を持たせる、そういうことの中に、結果的に医療よりも効果のあるような結論が出ているケースが間々あるわけでございますので、これは長官ぜひ積極的に取り上げていただきたい、このことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。
  56. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 先生おっしゃいますこと、まことにごもっともでございまして、転地療養につきましては私どもも都道付県を指導して、できるだけそういう保健福祉事業として、そういう計画を立てるようにということを指導しておるのでございますが、残念ながら、ことし、去年あたりの実績によりますと、非常にそういう企画が少ない。これはいろいろ事情があるんだと思うのです。その子供を家から手放すということが、なかなかあれとか、それから計画する側で、いろいろとまた職員がついて行ってめんどうを見るというようなことで、いろいろな持ち出しがあるとか、いろいろな問題がありまして、必ずしもスムーズに進んでないということも実情でございますので、私ども今後できるだけ、せっかく、こういういい制度がございますので、その制度を活用していくように都道府県などを指導していきたい、こういうふうに思っております。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 指導していくというか、環境庁としてはこういうことについて、これはもう長官がせっかく積極的な姿勢を示していただいたわけですから、こういう制度をどうだろうか、そうして、また同時に、子供たちの親に寄ってもらって、もちろん、そういう人たちも参加して、いろいろな知恵をしぼれば、私は積極的な参加は望めると思います。だから制度がある、あるけれども結局やっているのは、いまのところは地方自治体の持ち出しでやっている部分もあるわけでございますから、これは細かくは申し上げません、どのぐらいになって、どういうふうになっているということは、ここでは申し上げませんけれども、後で事務局にもお届けをしますけれども、そういう実績をもうちょっと認識されて、この制度がカバーし合っていくようなそういう配慮を、せっかく長官のイニシアチブで、そういうことを事務当局に話しておられるそうですから、その点をぜひ積極的に取り組んでいただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思うのです。
  58. 小沢辰男

    小沢国務大臣 次回までといいますか、次回の改正までには必ずひとつ検討しまして、どういう方法がいいか、また御相談をいたします。
  59. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後でございますが、これは大変いやなことなんですけれども、中公審の運営にかかわる問題について、長官の見解を承りたいと思うのです。  中公審の運営が、あらかじめできているシナリオで進められるなどということは、私は中公審というものが持っている機能から見て適切でない、こういうふうに思います。特に、委員会で座長を選ぶ手続あるいは委員長の互選にかかわる発言などを含めて、どなたが何を言うという原稿を持って、そうして委員長が決められていくなどという、会長が決められていくなどという、そういうやり方というのはフェアな環境行政のあり方ではない、私はそう思います。すでに伝えられているように、中公審の委員会の経過が一部の新聞などにも指摘をされておりますけれども、これは環境庁がシナリオを書いたわけですか。その点についての御答弁を煩わしたいと思います。
  60. 金子太郎

    ○金子政府委員 昨日の中公審の総会は、これまで会長をしてくだされました和達委員が、この機会に、もう少し勉強したいものがあるとか、そのほか、いろいろな個人的な事情がおありでございまして、ぜひやめたい、こういう強い御意向がございました。それに対しまして私どもの方は長官初め、適当な後任もさしあたり見当たらないような現状でもございますので、ぜひ引き続きやっていただきたいということを強くお願い申し上げておりましたが先生の辞意がなかなかおかたいものですから非常に苦慮をしていた、こういう状況が率直に申し上げましてございました。  それで開会劈頭、新しい会長を選ぶための手続などを考えますと、どうしても仮議長を選ばざるを得ない。そして仮議長を選ぶということになりますと、多くの審議会等の慣例かと思いますが、最年長の方に仮議長をお願いすることにいたしまして、そしてあらかじめ仮議長をある委員の方にお願いに上がったわけでございます。仮議長は、こういう経験は初めてでもあるし、また先生の辞意が非常におかたいというようなこともあって、先生は、どうしてもやめたいという衷情を吐露したい、こういう強い御希望がございましたので、それを無視することは、もちろんできませんし、といって仮座長を引き受けた以上、最終的に会長の選任を滞りなくしなければならない、こういう使命もあることだから、その辺は多数の意見を想定して、もう一回、和達先生にお願いするようにしたらどうだろうかと思う。ついては、たとえば仮座長にどなたをお願いするかとか、あるいはもう一回、御苦労だけれども和達先生にお願いしたらどうかというような、きっかけの発言を頼まなければいけない。自分も頼む人があるが、人によっては事務当局の方でも頼んでおいてくれ、こういうような話がございまして、それで、そういうことがあった、こういうことでございます。  実際の審議の経過は、きっかけの発言をしなくても発言をされる方が多数ありまして、必ずしも予定どおりに運んだわけではありませんけれども、そういう事態があったことは事実として申し上げたいと思います。私どもといたしまして、その際、和達先生を選出していただくような多数工作的な根回しのようなものは一切いたしておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、事務当局がそういうメモをつくって、そして、たとえば日ごろ余り発言なさらなかった方々の発言をも含めて、そういうことで会長になっていただくための根回しをした、こういうことですか。
  62. 金子太郎

    ○金子政府委員 そのシナリオといいますか、台本といいますか、これは大きな審議会を運営いたします場合は必ずと言ってもいいぐらい、会長さんから御相談がございまして、きょうは大体こういう議事進行でやったらどうかというようなものをつくって、何枚かのメモにしてお渡しする、大体それを見ながら会長さんが議事運営をされるというのがいわば慣例になっております。ただ、その予定どおりに結論が出るときもありますし、あるいは、その日には出ないということもございましょうし、その予定どおりにいく保証はないわけでございますけれども、それは従来から、うちの審議会だけじゃないと思いますが、簡単なメモ書きを会長自身が座右に置かれまして、そして議事をお進めになる。最後には、次回はどうするというようなことも、そこに書いてございまして、情勢いかんによって、予定どおりに計らってよければ、次回はこうするとか、あるいは大体、議論が尽きたようだから、こういうところで会長に御一任願いたいというような、そういうような御発言をされるわけでございますが、そういうようなものも時と場合によっては書いておくことがございます。会議の進行を確保するために、そういうことは慣例化いたしておりまして、それが公害対策あるいは環境政策にかかわる政策的な結論を強引に、そこに持っていくというような範書きではございませんで、滞りなく会議を進めるためのメモみたいなものでございます。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃ、メモというのは委員長のほかの委員方々にも配っておいて、そして先生はこれをしゃべってください、その次は先生しゃべってください、そこまで書いてあるんですよ。それは慣例で全部よそもやっているんですか。
  64. 金子太郎

    ○金子政府委員 ほかの先生がそれをお持ちになって、おしゃべりになったということはございません。(岩垂委員「絶対にないですね」と呼ぶ)ございません。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それならば、そのことは、後で取り上げますが、公害連の代表と金子官房長が会ったときに、各省と違って環境庁は、そんな根回しなんかしませんと断言なさいましたね。根回しではないけれども、根回しに似たようなことになっていることは事実ですね。それはお認めになりますか。
  66. 金子太郎

    ○金子政府委員 きのうのような新しい会長を選ぶのに、かなりむずかしい局面があるとか、仮座長が議事をお進めになるとかいうような場合に、会長または座長からの御依頼によりましてシナリオを書き、場合によっては発言のきっかけを、ある委員にお願いするというようなことはございますが、私ども、ある結論を先に想定いたしまして、その方向に持っていくような根回しをやるというようなことはいたしておりません。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 根回しをやってはいないと言いながら、現実に起こった事態というのは、あらかじめシナリオができていて、どなたに発言をいただいて、そして全体をリードしていくという意味では、結果的に、これは根回しという結論になるんです。そう言われてもやむを得ない、抗弁ができないというふうな客観的な見方が成り立つわけであります。しかも大事なことは、環境庁は各省庁と違って、そういうことは一切やっていないということを断言なさった、その直後に、こういう問題が指摘をされざるを得ないという事態は、私は、ここで会長選任問題についていろいろ言うつもりはありません。しかし、少なくとも四年間の在任期間の中で、委員会の運営をめぐって、たとえば五十一年規制の問題などをめぐって、いろいろな問題があったこと、いろいろな指摘を受けたことは、これはもう十分に御承知のはずだと思うのであります。物事が中公審という、その討論を経て環境行政の中に重大な影響、決定的な影響と言っていいほどの事態がずっと積み重なってきているわけであります。その会長のいわば選任について、こういう形をとるということは、中公審それ自体のあり方についても大きな問題点を私たちは持っているという疑惑の目で見ざるを得ないのであります。少なくとも中公審を公開にして、できるだけ国民の皆さんにも開かれた中公審の機能を持てと言われてきたことは、五十一年規制の問題をめぐっての、さまざまな議論の中でも何回か言われてきたことであります。公開の原則そして言ってしまえば国民の参加の道、これが私はソフトな環境行政を国民の信頼に基づいてやっていくという道筋を貫いていく環境行政の姿勢だし、環境庁の姿勢でなければならぬと思うのであります。  この点については、たとえば、私はここで余り、そのことについてだけ触れるつもりはないですけれども大気部会に、たとえば日産の川又さんがいるとか、石油連盟の江上さんがいるとか、あるいは騒音振動部会に日航の朝田さんだとか日産の川又さんとか飛島組の飛島社長とか国鉄の方がおられるとか、つまり加害者と言われる企業の代表が入っているではないか、そういう問題指摘をも受けて、中公審の改組とか中公審のあり方についての指摘が、この委員会でも、あるいはマスコミなども含めて、国民も含めて何回か言われてきたことですよ。そういう条件のもとで、まるきり環境庁がシナリオを書いて会長を決めていくと思われてもやむを得ないような、そういうやり方というのは一体どうなんだと私は指摘をせざるを得ないと思うのであります。中公審のあり方、そして同時に今度の会長選任をめぐっての経過と言われることの中で、環境庁長官責任ある御答弁を煩わしたいと思います。
  68. 小沢辰男

    小沢国務大臣 中公審全体は公正でなければいけません。イデオロギーや、あるいは特定の目的を持った運動に利用されてはいけない。これは左右いかなる問題についてもそうだと思います。だから私どもは、中公審の会長あるいは部会長、専門委員に、こういうふうにしてくれ、こういう結論に持っていってくれと言ったことは一回もございません。私自身は、結論がつくまでは会ってないのです。少なくとも会いません。  この会長問題について私が奇妙に思うのは、一部の委員がいろいろ、あれしまして、最初から和達さんをやめさせろ、やめさせろという運動をするわけであります。それはやはりいかぬと思うんですよ。会長は互選だというなら、何も役所へ来て、やめさせろなんて言う必要はないので、互選ですから内部で議論したらいいんですよ、こっちを何も関与させぬでもいいじゃないですか。それを事務次官なりに、私はいなかったようですが、新聞記者帯同で来て、どうだこうだと言うのも、これもやはりおかしいと思うんですよ。私どもは、いま官房長が言っているように、和達さんを再任してくれなんという運動を全委員にやっているのは一つもありません、いま話したように。根回しはやっていないのです。ただ、問題の委員会ですから、そういうような経過があった委員会ですから、だれが座長になって座長としての互選をやる。互選をやるということは、いままでは確かに法的には、やらなければいけなかったことなのです。ところが、慣例上いままでやってないんですね。今度もそうだと思っておったのに、そういう異議が出てきて、いろいろなことを何回か外部の勢力とも一緒になって来られましたから、今度は、それじゃ互選は、ちゃんと法的に従ってしなければいかぬだろう。だから、そのために発言のきっかけになる手順だけを一、二の人にお願いした、そうだろうと思うんですよ。私は、何も和達さんをやってくれという根回しを一生懸命にやれなんと言ったこともないし何でもないのです。私どもは、公正な審議を保つために必要な、どなたかが会長になられても、ちっとも構いませんよ。そのために何もやったわけじゃない。ただ、和達さんをやめさせろ、やめさせろなんというような運動がましいことを二週間前からわあわあ言ってくるようなときに、それは互選をしろというなら、それは法的にはそのとおりだから互選はしましょう、これはやらなければいかぬ。いままでの慣例で、まあ、うちがお願いして会長が決まったというような簡単なやり方をしておったのは、これはやらなければいかぬ。しかし、そういうことをいままでやったことはない中公審で、初めて今度は互選をやるわけですから、そうすれば、だれが仮議長になるのか、それから、だれかきっかけで互選は、選挙はやりましょうと言うことがなければ、なかなか、あらかじめ議事がみんなわかっておるわけじゃないんです。そういう問題が起こって初めて中公審で会長互選ということになりたわけですから、そのきっかけに当たる発言をお願いしたのであって、何も和達さんにしてくれということを全委員に根回しして、それで、あの会長でなければ、こっちは都合が悪いから、やるんだというような態度じゃない。和達さん自身も、もうそろそろおやめになりたいという気持ちを持っておられる。おやめになりたいにしても、やはりどうでしょうか、何か、ある一方だけの運動で文句を言われたから、いやになってやめたというようなかっこうでは、これはどうでしょう。審議会全体の運営として、今後もあることですから、やはり一応これは互選で円満に会長は決まって、その後、いろいろな問題を考えながら、われわれは審議会の構成について、できる範囲の、われわれのできる範囲ですよ、内部の自治的にやることについては、われわれ関与しないのですが、できる範囲内について、それぞれ、こういう経過も踏まえて善処をしていくというのが、やはり正しい行政のあり方じゃないでしょうか。その点はひとつ御理解をいただきたいのであります。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうおっしゃると、私も文句を言いたくなるのです。中公審の委員ですよ。委員が発言をすることを、その問題について発言してはいけない、それは一部の意見だという断定ならば、一部でない人たちはどういう人たちですか。みんな一部なんですよ。いろいろな国民の意見、各層各層の意見を代表する人が委員に選ばれているんですよ。その上で議論をしていくわけです。ただ、たとえばその問題を議論するときに、長官は、この間、加害者が入っていると言ったら、その人たちを巻き込んでやっていかなければいけないじゃないか、こう言ったですよ。それならば、被害者の代表も加えるという論理があっていいはずなんですよ。そうなっていないじゃないですか。少なくとも被害者の代表ということで、労働組合やそういうところからも人が入ってもらう、住民からも入ってもらう、こういう道があれば、委員会というのは、それは論争になりますよ。論争になったっていいじゃないですか。民主主義というのは、その論争の過程が重要なんですよ。それを、一部の委員だとか、あるいは、それでわいわい言ってきたとか、そういう見方とか発言というのは、私が信頼をしてきた環境庁長官としては言葉が過ぎますよ。委員が自由に発言したり人事について意見を述べることは当然でしょう。(小沢国務大臣「いいですよ」と呼ぶ。)そうでしょう。それは認めますね。(「外部が」と呼ぶ者あり)外部といって、国民が見ているわけですよ。あなたとやりとりしているわけじゃないけれども。  五十一年規制の問題などを含めて、この四年間の実績の中で、和達さんは一生懸命でやってこられたと私は思う。それは私は否定しない。否定しないけれども、国民の目から見て、まあいろいろあるじゃないかというふうにお考えになっている人は、委員だけじゃなくて国民の中にだってあるのですよ。国民がいろいろ言うことだって自由でしょう。そういう選択を配慮しながら、どういう形で互選をしていくかという議論がある中に、本当の意味の権威のある会長が生まれるのですよ。そういうものでしょうが。これはおかしいですよ。一部の勢力だけだとか、イデオロギーだとか、あるいは一部の委員が文句を言ってとか、そんな形じゃないですよ。中公審というのは、そう  いう国民のいろいろな要求を受けとめながら、環境行政をどうするかということを議論していくことが大事なんです。私たちが開かれた委員会にしていけと言う意味もそれなんです。圧力をかけて、そこでやってわいわい騒ぐ、そのことだけを言っ  ているのじゃないのですよ。しかし、そこにある世論というものは正確に受けとめられて運営されていくということは筋道でしょう。それは認める  でしょう。それならば、いまみたいに一部の委員だとか、ある一方の勢力だとか、そういう物の言い方で事をかぶせている行き方というのは正しくない。それよりも、そういうふうに、まあ金子さんの発言を含めて言えば、国民の目から誤解されるような、そういう結果に陥っている事態について、長官はどう思いますか。
  70. 小沢辰男

    小沢国務大臣 まあ、若干でも会議運営の手順について、審議会の事務局というのは、担当事務局というのは、わが方、役所の中にあるわけでございますから、その担当の事務局が手順についての話をしたりメモを書いてあげたりするようなことはいかぬというのは、少し行き過ぎだと私は思うのですね。しかし、先生の言うように、和達さんを会長にするために根回しを徹底的にやったというなら、これは行き過ぎだ、こっちの方が今度は行き過ぎだと思うのです。しかし、私が聞いている範囲では、そうじゃなくて、発言の手順なり、仮議長をやって選任までの手続をやる、その手順についての若干のことはやった、こういうのですから、それはしょうがないのじゃないか。  それから私は、いま一部の人が反対と言いますけれども、少なくとも中公審については自主的な判断で全部やっているわけでしょう。この前、委員からも話が出て今度、公開の問題についても、あるいはどういうふうにやるかをずっと総合部会でやって、中公審にかけて、私らはそれを聞いた、そのやり方について。自主的に、民主的にやっていってもらいたいということで、やったわけです。何も私のところへ、私らの事務局のところへ来て、あれをやめさせろ、やめさせろと言う必要はないじゃないですか。やるなら堂々と委員会でおやりになればいいので、私はそれだけを言っているのですよ。何も来ることは、いろいろな国民がどんなことを私のところへ言うてきたっていいと思うのです。国民の一人、中公審の委員の一人、委員の何人かが私のところへ来て、おまえの考えはどうだ、これはいいと私は思うのですよ。ただ、会の中の構成については、少なくとも院の構成について、衆議院側で議長を決める、委員長を決めるときに、それはあなた、決める側の人が、どこか内閣総理大臣のところへ行って、あれにやれ、あれにやれ、あれをやめさせようと言ったって、内閣側がそんなことに関与して私らはやりません。あなた方が決めることじゃないですかと言うのはあたりまえじゃないですか。私はそれだけを言っているにすぎないのですよ。何もけしからぬとかイデオロギーがどうとかと言っているわけじゃない。  要するに中公審なら中公審の場で、大いに皆さんが討論してやればいいじゃないか。ところが、いままでのしきたりと違ったものだから、いままでは少し、そういう面はルーズだったかもしれません。ルーズだったかもしらぬけれども、とにかくそういう慣例できたものだから、会長に和達さんなってくださいよ、引き続きやってください、よろしゅうございますと言ったのがけしからぬと言って、こっちに来られたのはわかるのですよ。わかるのですけれども、そういうようなことが出るのは、この前、私は中公審に出たのです。何のときだったか、年末でしたか出た、あのときに御注意があっておけば、また、そこの中公審で議事になって、中公審でなるほど、そういえば規則どおりやった方がいいなということになれば、そのとおりいったかもしらぬと思うのですけれども、ごく最近ですね、そういうことでけしからぬから、やめさせるということになったのは。それは恐らく、いままでの慣例でやったことが間違いだということで来られたのだろうと思うのですけれども、そういうことで、いろいろなことが出ましたから、そうすると中公審で会長を決めなければいかぬ、互選をするんだ、突然そう言われても、いままでの委員の先生は大体そういうことだろうと思っておられたから、不思議に思ったり、また変なあれになってもいかぬから、互選が円滑に行われるような意味での手順だけはメモを書いてお願いをしたということなんで、他意はないのです。
  71. 吉田法晴

    吉田委員長 簡単にお願いします。
  72. 小沢辰男

    小沢国務大臣 今後もそういうことは考えておりません。自主的に考えていただきたい。また一たん、けりがついても、恐らくそんなに長く続くものじゃないと私は思いますが、そのときには、いろいろ御趣旨を承っておりますので、十分、私どもとして気をつけて、自主的な運営にお願いをしていきます。こう申し上げておるのです。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間ですから最後に申し上げますけれども、言いっ放しじゃ、これ大変ですからね。根回しをやったと同じようになっているという、手続だけやったんじゃないのです。シナリオはできているのですよ。そこのところの認識が少し違うのです。だけれども長官はそうおっしゃっている。しかし、事実はどう見たって、国民の側から見れば、主観的意図がそこにあったとしても、そうは見えないという立場の人がいる。四年間の会長としての仕事を通しても、それは単に、その委員だけでなしに国民の中から、そういう意見もある。この現実も認めなければならぬですよ。そのことを長官のところへ、あるいは環境庁へ言っていくということだって自由ですよ。そうでしょう。だから、それを一部の諸君と一緒になってというような議論で言ったのじゃ、これは感情的議論です。そうではなくて、中公審が本当に国民的な権威を持つためには、長い懸案として公開の問題や、あるいは、いま言っている加害者の代表企業といわれる人たちの参加の課題や、そういうことを含めた基本的な見直しを求められている。ですから、むしろこれは謙虚に一つの反省の重要な材料として環境行政の中に生かしていくという答弁があってしかるべきですよ。それを何か、ちっとも悪いことはしてないぞ、そういうことを言う方がおかしいじゃないか。これでは少なくとも今日の環境行政が開かれたものであり、そして国民のニード、要求にこたえていくソフトな環境行政という機能が、その基本においてオーソリティーというか権威が損われていくおそれがあると思うのです。だから、そういう問題というのは今後やらない、いままでもやってなかったというなら、それもいいですよ。誤解されるようなことをやらないということを含めて、もっと謙虚な答弁があっていいじゃないですか。そのことを私は求めて、私の質問を終わります。
  74. 小沢辰男

    小沢国務大臣 結論はおっしゃるとおりでございますから、本当に公正に運営をし、かつ、われわれもそういうつもりでやっていかなければいかぬ。ただ手続上の問題だけで、いろいろ話があったものだから私の考えを申し上げたので、まことにどうも、そういう点ではあるいは少し議論があれだと思います。謙虚に反省をして十分、国民の納得を得るような運営をし、かつ結論も得たいと思います。
  75. 吉田法晴

    吉田委員長 木下元二君。
  76. 木下元二

    ○木下委員 私は公害健康被害補償法運用上の問題につきましては、改めてお尋ねをすることにいたしまして、きょうは、本改正に当たりまして、公害被害者の救済の費用を何をもって賄っていくかという問題について聞きたいと思います。すなわち公害健康被害補償法に基づく大気汚染の影響による健康被害に対する補償給付の支給や公害保健福祉事業に要する費用を、公害健康被害補償協会が徴収をする汚染負荷量賦課金をもって充当をするほかに、何をもって賄っていくかという問題であります。  公害健康被害補償法のたてまえと申しますのは、第四十九条というのがありまして「別に法律で定めるところにより徴収される金員をもつて」充当する旨を明記いたしております。したがって、この汚染負荷量賦課金のほかに何かをもって充当しなければならないという仕組みであります。これに対しまして四十九年度、五十年度どおり、五十一年度、五十二年度も自動車重量税の税収の一部を充当するというのが、この改正案の趣旨であります。しかし、これは自動車重量税そのものを充当するものではないのでありますから、一種の公費負担になるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  77. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 公害健康被害補償の経費をどういう費用で賄うかということにつきましては、やはり民事責任を踏まえまして、被害を与えた原因者がこれを負担するという考え方の基礎に立って、この制度ができておるわけでございまして、それが先生おっしゃられるように、いわゆる固定発生源賦課金、これは当然、原因者となっておるわけでございますが、もう一方におきまして、やはり自動車も寄与していることは無視できない。一台一台の自動車は非常に少ない寄与でございますが、全国で三千万台にも上るということになりますと、その集団としての寄与は無視できないものがありますので、その自動車のグループというところから負担をさせようということから、それは成っているわけでございまして、これが四十九年、五十年、その方式としましていろいろな方法考えられるのでございますが、さしあたって自動車重量税からの引き当てで、これを賄ってきた、こういうわけでございます。     〔委員長退席田中(覚)委員長代理着席
  78. 木下元二

    ○木下委員 質問にお答えいただきたいのですが、私が伺っているのは、そのような自動車重量税をもって充てるという、このやり方は、公費負担にならないかということを伺っているのです。
  79. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 先生のおっしゃいますのは、恐らく一般会計から支出されるから、それは公費でないかという御趣旨だと思うのでございますが、自動車に賦課するという場合に、自動車重量税自動車の使用者から徴収するわけでございまして、その負担自動車の使用者ということになるわけでございます。ただ、重量税が形式的に一般会計に入れられるということで、したがいまして、自動車重量税負担をさせようという場合には、形式的に一般会計に入り、一般会計から出ていくという形をとっておるわけでございますが、これは結果的には、自動車の使用者から徴収した経費がそれに充てられておるわけでございますので、これは公費負担というよりも、いわゆる自動車に、あるいは自動車を使用している人から負担をしてもらっているということになるものと思います。
  80. 木下元二

    ○木下委員 いま、あなたがお認めになりましたように、これは重量税で賄うといいましても、その徴収された重量税一般会計に入ってしまう。そして一般会計に入ったその一部が、これは特に別枠にされて補償協会に交付をされるというわけではなくて扱われておる。もう一般会計に入ってしまって、特に自動車重量税のお金であるというふうな色がつかない、もう、ごっちゃになってしまった一般会計の、そのお金として補償協会に交付をされるということなんですね。そうしますと、いま、あなたが結果的にはということを言われましたけれども、そういう形態から見ますならば、これは一般会計からお金が出るということなんですから、当然、公費負担ということになるんじゃありませんか。
  81. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 自動車重量税の使い方につきまして、これは八割を道路財源に充てるということになっておりまして、その八割以外の二割について、自動車が社会的にもたらしているいろいろな負担、あるいはいまのような健康被害補償というようなもの、あるいは交通対策というようなものに使おう、こういうことになっておるわけでございます。これがたとえば道路に全部、使っちゃっているというのなら、そんな余地がないので、一般の税金から使っているじゃないかということになりますけれども、八割を道路に充て、あとの二割の中で被害補償の経費にも充てているということになりますので、やはり結果的には、これは自動車の使用者に負担をしていただいているということになると思います。
  82. 木下元二

    ○木下委員 どうも、その考えはおかしいと思いますがね。たとえば航空通行税であるとか航空機燃料税といったものは、その一部を特別会計に入れて騒音対策などを行うということになっております。したがって、その仕組みにも問題はありますけれども、この場合は徴収をしたお金に色がついて、そのお金でもって、そうした騒音対策がやられるということになるのですね。ところが、重量税の場合は一般会計にほうり込まれて、その一般会計の中から補償協会に交付をされる。やはりその仕組みが問題になると思うのですよ。公費負担であるかどうかというのは、その仕組みによって見るんじゃありませんか。自動車重量税のうちの八割は道路、あとの二割のうちからと言われますけれども一体その徴収した重量税の二割から実際に出ておりますか。そうではないでしょう、一般会計から出ておるんだから。そのことを言っておるのですよ。だから少なくとも公費負担であるかどうかということは、そうした仕組みによって見ていかなくては、これはあなたの言われるように、単にそういう精神から見て、あるいは結果論だけから見て、そういう判断をされて公費負担でないと言われるのはおかしいと思うのですよ。いかがですか。
  83. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 きちんと目的税的に収入がされ、支出がされていくという制度もございますけれども、揮発油税なんかでも一度、一般会計に入りまして、それから道路財源に回っていっている、こういうことになっております。したがって、はっきり目的財源ということでないかもしれませんけれども、特定財源といいますか、収入されたものの使途が、そこへ回っているという問題を考えてみますと、(木下委員「回っていないじゃないですか」と呼ぶ)それは自動車重量税で収入された範囲の中から充てているということになっておるわけでございますから、そういうやり方もあると思うのです。
  84. 木下元二

    ○木下委員 どうもよくわかりませんが、結局この改正案を見ましても「自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額を交付する。」ということになっていますね。つまり重量税として入ってくる一部の相当額である、そういう枠づけをしておるわけなんですが、これは一種の枠づけを設けておるだけのことであって、しかも、その枠づけそのものが、実際上は余り意味のないことなんですね。  たとえば参考資料がありますが、現行法による昭和五十一年度の自動車重量税の収入見込み額は三千十三億円、そして今次税制改正による増収見込み額が六百六十七億円ということになって、本年度収入見込み額は三千六百八十億円となっております。そして、このうち一般会計分収入というのは二千七百六十億円ですね。これが一般会計にほうり込まれる自動車重量税であります。じゃ、その自動車重量税のうちの一部に相当する額というのは幾らなのかということを見ますと、これは八十七億九千三百万円の予定だということです。これはごく一部ですね。だから、そういう収入見込み額の一部に相当するという、その一部というふうな枠づけをする意味というのは、実際上は余りないのではないかと私は思うのです。これは何千億のうちの何十億というごく一部なのであります。結局これは重量税そのものを充当すそというものではなくて、徴収する重量税の額の一部という枠づけはありますけれども補償協会に交付するのは一般会計からである。どの税金からということではなくて、もうすでに、ごっちゃになった税金一般から出す、こういうことなんですから、公費負担かどうかというのは、やはりその点で見なければ、単に重量税の一部相当というふうな枠づけがあるから、重量税から出ておるんだというのは、全く観念的な擬制であります。公費負担かどうかというのは、そういうことではなくて、現実にそのお金がどこから出ておるかという、その仕組みでもって判断するより仕方がないじゃありませんか。違うでしょうか。
  85. 金子太郎

    ○金子政府委員 予算と税制に関することでございますし、それからもう一つ自動車重量税が創設されましたときに、たまたま私が担当いたしておったいきさつもございますので、私から答弁させていただきたいと思います。  自動車重量税を創設いたしました目的は、自動車の走行が道路を損傷する、そのほかに社会的なさまざまな費用をもたらすといいますか、発生させる、そういう点に着目いたしまして、したがって自動車の重量の重いものほど高い税金をかける、こういう仕組みに、まずいたしました。それから道路の損傷以外にも自動車走行というものは社会的なもろもろのコストをもたらすということがありますので、それは自動車のユーザーに負担させるべきである、こういうことで、あの自動車重量税というものが創設された次第でございまして、そのときに、税収総額の二割は地方に譲与して、地方が道路財源に充てる。したがって、目的税的に税法には書かなかったのでありますが、創設のときから、その二割がひもつきで地方の道路財源に支出されていることは明らかなところでございます。  それから、自動車走行のもたらす道路の損傷だけではなくて、そのもろもろの社会的な影響についても配慮する、こういうことでございますから、大蔵省、建設省及び与党との間で申し合わせがございまして、税収の八割相当額を道路整備費に使う、残りの二割は、たとえば道路安全対策等の道路及び自動車に関連する諸経費に充てる、こういうことに決められまして、創設以来、毎年国税として入ってくる金の二割相当額は、そういう方面に使われてきたわけでございます。今回、私ども公害健康補償の財源をいただきます場合も、その二割のワクの中であれば異議はないということで、関係方面の了承をいただいたといういきさつでございます。そういういきさつを、この機会に申し上げておきたいと思います。
  86. 木下元二

    ○木下委員 そういういきさつは、それは結構です。私どもの方は、そういうふうな重量税自体に問題もあるし、そういう制度の創設には反対でありましたけれども、そのことはともかくとしまして、いま、いろいろな割合で、その使途が決められておるかのように言われますが、これは別に法律で決められておるわけじゃないでしょう。何で決められているのですか。拘束力はあるのですか。
  87. 金子太郎

    ○金子政府委員 揮発油税の場合は法律で決めたわけでございますが、自動車重量税の場合には法律で特定することはしない、こういうことでございました。しかしながら、自動車重量税を仮に創設しなければ、自動車ユーザーには、そのような負担はこなかった。そして自動車重量税を創設することによって、国及び地方の財源がそれだけ厚くなって、その結果、道路及び道路関連あるいは自動車関連の予算が計上されてきた、こういういきさつでございます。
  88. 木下元二

    ○木下委員 結局、重量税をもって道路の整備であるとか、あるいは社会的な費用の負担の充当をするという、その点は、そういった趣旨であるということはわかります。それはしかし、あくまでも立法の趣旨じゃございませんか。法律を制定されたときの立法の趣旨なり、あるいは提案理由がそうであったということなんですよ。
  89. 金子太郎

    ○金子政府委員 お言葉を返すようで大変、恐縮でございますが、趣旨でもありますが、立法の目的が、自動車走行のもたらすものをユーザーに負担させよう、こういうことでございまして、したがって自動車のユーザーは、自動車重量税の創設の結果、明らかに新しい負担を強いられた、また現に強いられているということは言えるのじゃないかと思います。
  90. 木下元二

    ○木下委員 いろいろと、あなた方は言われますが、そういう立法の目的なり趣旨であるということはわかります。わかりますけれども、何ら、それも法的拘束力があるわけでもないわけです。そういう趣旨があるからといって、そういうふうにして徴収した重量税がある、けれども、その重量税から、それをもって補償協会に交付するという仕組みがつくられていないということを私は言っているのですよ。つくられておりますか、つくられていないでしょう。つくられておるということが言えるためには、さっきも言いましたように、たとえば特別会計をつくるとか、何らかの具体的なコースがつくられておって、初めて自動車重量税をもって充てるということが言えると思うのです。だから、あなた方の法案の説明や、あるいは法案そのものも、そういうふうになっているじゃないですか。「自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額」と、特に「相当」ということを言っているのじゃないですか。もし重量税でもってこれに充てておると言うならば、「収入見込額の一部の金額を」とすればいいのですよ。それが、あなた方できないから、特に「相当する」ということを入れているのですよ。そうでしょう。そのことを私は言っているのですよ。  だから、これは制度の仕組みとしては一般会計から交付しておる、こういうことじゃありませんか。それをあなた方は何か非常にこだわって、それをお認めになろうとしない。それは結局、一般会計から公害費用を出すということは問題がある。それを認めれば、PPPの原則というのがあって、それに抵触をする、だからそれは認めない。これは全く黒を白と言いくるめるような、そういう考えじゃありませんか。やっぱり私は、はっきりこれは物事を直視して、認めるべきものは認めてもらいたいと思う。それは、あなた方の方も、いろいろこの制度をつくるのに苦心をされた形跡はあると思うのです。いろいろ理由がある。これも知っております。こういう理由があるから、こういうふうにしたのだと、なぜ率直にお述べにならないのですか。はっきりしてください。大臣、どうですか。
  91. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 先生がおっしゃいますように、それは直接この目的のために課徴金で徴収してやるというやり方もあるでしょう。しかし、それはそれで、また、いろいろ難点があるわけでございます。そこで、自動車重量税一般会計に入りますけれども、ただ、一般会計に入って、その中で特定して特別会計に入れるということで使途を明確にするというやり方もありますけれども、この公害被害補償制度の場合には、法律の附則の十九条の二で「排出する自動車に係る分として」「自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額を交付する。」ということで、法律重量税の使途をはっきり、ここに充てるよということを決めておるわけですね。だから何にもなければ、どこへ使われるかわからぬわけでございますが、これを法律で、これこれの経費は自動車重量税をほかへ回さないでここへ充てなさいよ、法律で言っておるわけなんですね。だから、やっぱり特別会計に入れるという方法もあるでしょうし、法律で使途を明確にするということもあると思うのですね。この場合には、そういうやり方をとっているということなんでございますが。
  92. 木下元二

    ○木下委員 ごまかさないで、はっきりしてもらいたいのですが、私が言っておる、これは国がお金を出して公害対策に充てておるということはお認めにならないのですか。これは企業の側だって、自分たちの方で費用を出すけれども一部、国が費用を負担しておる、国の費用の負担をもっと増額してくれというふうな要求もしておるわけですね。これは企業だけでなく、だれが見ても、国が一般会計でお金を出しているのだから国が負担しておる、こう見ておるのですよ。違いますか。
  93. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 国が一般会計からお金を出しているという点は認めます。だけれども、その出しているお金は、特定の自動車を使っているユーザーから徴収した額から納められたものの中から出している、こういうことになるわけなんですね。
  94. 木下元二

    ○木下委員 どうも、これは物事をはっきりしたいので繰り返して議論しますが、そう言われますけれども、それは何も、ひものついたお金でないでしょう。じゃ実際に、その補償協会に出すお金が、その重量税として徴収したお金だと言えますか。どのお金かわからぬじゃないですか。特定していないじゃないですか。そのことはお認めになりますか。
  95. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 法律で、これこれのお金は自動車重量税をもって充てると言っているわけですから、自動車重量税をほかに……(木下委員「そんなこと法律に言ってないですよ、「相当する」と言っている」と呼ぶ)相当する額を充てると言っているわけですから、ほかに使途がいろいろあるんで、この公害補償費に自動車重量税を充てられないということは言わせませんよ、こういうことで、やはり特定財源としてこれを認めているということになるというふうに私ども理解しております。
  96. 木下元二

    ○木下委員 それは「自動車重量税の収入見込額の一部に相当する金額」ということで、繰り返しますが、そう言っておるのであって、重量税そのものが引き当てられていないということを言っておるのですよ。しかも、あなた方は盛んに、ユーザーの方から重量税を徴収して、それで充てるんだ、そういう趣旨だということを強調されますが、その重量税が創設をされたときには、この公害対策費用というものは具体的には見込まれていなかったはずなんですね、これはずっと後になってつくられたから。また、二年前にこれがつくられた際も、確かに、そのほぼ同じ時期に重量税の大幅引き上げが行われました。けれども、そのときだって、公害対策費に幾ら幾らを充てるということを特に理由にして重量税が引き上がったわけではないと思うのです。そうでしょう。その点はいかがですか。
  97. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 引き上げをどの程度するかということは、もちろん、どれが幾ら、これが幾らということで積み上げたわけではありませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、附則十九条の二で「協会の納付金のうち大気汚染の原因である物質を排出する自動車に係る分として当該年度において必要であると見込まれる金額」と、はっきり、これこれの金額という金額を明示しているわけですね。この金額については、そこから充てますよと、はっきりと金額を明示しておるわけですから、それは自動車重量税の中から充てる。だから、ほかに使われるので、この経費が自動車重量税の中から充てられないということは言わせない、こういう仕掛けになっておるわけですね。
  98. 木下元二

    ○木下委員 いや、私が言っているのは、重量税から出すということになっておる、その重量税の上げ幅が決められた際、これは二年前ですけれども、そのときにも特に重量税をもって公害対策に充てるという、そのことを考慮して決められたんではないじゃないかということを言っているのですよ。考慮されておりますか。  これは上げ幅は、二年前のときは当初、一台について三十数円と聞いているのです。重量税というのは二年前にアップになりましたのは、車種によって幾らか違いはありますが、おおよそ五千円見当のものが一万円になっておりますね。特に三十数円の上げ幅というものを考慮して、これを公害対策に充てるんだということを考慮して一万円になったということではないと思うのですね。そうでしょう。  もう一つ、ついでに聞いておきますが、これは当初は一台について三十数円でありますが、五十年度は一台当たり若干、増額になっておると思いますが、幾らでありますか。
  99. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 今度、自動車重量税を上げたのは、乗用車の場合には〇・五トン当たり五千円を一万円に上げた、こういうことになるわけでございますが、その引き上げの理由としては、環境保全の経費にも充てるためということが入っておるわけでございます。だから私どもは、当然、私どもの方の経費が引き上がるものも、その引き上げも含めて重量税の中で賄っていただくというふうに考えておるわけでございます。
  100. 木下元二

    ○木下委員 質問に答えてください。五十年度は幾らになったかと聞いているのです。  それから、いま、あなたそう言われますが、そんなことを私、言っているんじゃないですよ。あなた方は、この公害対策費用というのが重量税に織り込まれているんだと言われるから、じゃ、この制度がつくられた際に、重量税は大幅引き上げになったけれども、その際に、この公害対策費用に一台について三十数円が割り当てられる。そのことについて、その上げ幅を考慮する際に、その三十数円があるということは考慮のうちに入ったのかどうか、聞いているのです。そういうことは入っていないでしょう。あなたが言われるように、そういうごく大ざっぱな話しかないわけなんですよ。
  101. 金子太郎

    ○金子政府委員 先ほども申し上げましたように、自動車重量税収の八割が国庫に帰属して、その中の二割を、道路以外の自動車走行関係の社会的な諸経費等に充当する。すなわち、全体の税収の一六%というものが、道路整備以外の交通安全施策とか、あるいは公害健康補償協会の交付金とか、こういうものに使われるということでございまして、三十数円が前回、改正のときに、たしか五十年度百四十円に上がるわけでございますが、そういうものが上がっていくということは、一六%分も上げなければいけないという計算の中に入っていたに違いないというふうに考えております。
  102. 木下元二

    ○木下委員 五十一年度の見通しはどうなりますか。これはさっきも言いましたように、八十七億九千三百万という予定のようですが、一台当たり幾らの負担ということになるわけでしょう。
  103. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 一台当たり約三百円でございます。
  104. 木下元二

    ○木下委員 結局、こういうふうな公費負担というのは、経団連などの企業側の要請によってつくられたのではありませんか。
  105. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 そういう経団連の御意見によってやったということではございません。
  106. 木下元二

    ○木下委員 最近でも企業の側から要望が出ておりますね。これは、もうすでにこういう公費負担の仕組みがつくられておるわけでありますが、その国の負担分を大幅に増額してくれという要求が出ておりませんか。
  107. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 企業側が最近、いろいろな不況の状況などから、従来、好況期には相当の負担企業内収益の中で相当、楽に払えた。しかし、こういう状況になってきますと、その負担がなかなかシビアに響いてきますので、やはり公費で負担をしてくれないかという御要望は伺っております。
  108. 木下元二

    ○木下委員 公費負担について企業の方から要望があった、現に、その増額について要望があるということのようですが、これに対して環境庁は、これから、どのように対応していかれるか、伺っておきたいと思います。
  109. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 公費負担要望というのも、いろいろと理由もあるようでございますが、私ども現在のところ公費負担をしていこうという考え方はございません。
  110. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと聞こえにくかったのですが、公費負担をどう言われたのですか。
  111. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 現在、公費負担をするという考えはございません。
  112. 木下元二

    ○木下委員 いま国が負担しているわけでしょう。後で議論いたしますけれども、国が負担しておる。これをもっと増額するという考えがあるのかどうかということを、私は聞いているのですよ。
  113. 金子太郎

    ○金子政府委員 まず経団連の主張は、公害健康補償の財源を固定発生源自動車ユーザーだけが負担して、国が一銭も出していないのは、はなはだけしからぬ。ついては一般財源から国が出すべきである、こういうことでございますが、私どもの方は、そういうことをするつもりは毛頭ございません。
  114. 木下元二

    ○木下委員 あなた、そんなことを言われますが、ここに要望書のコピーがあります。日本鉱業協会というところから来ておりますが、たとえば「補償給付の財源中の国の負担分を、大巾に増額して頂きたい。」というのがあるのですよ。国が負担しておる、これをもっと増額してくれというのですよ。こういう要望がないというのですか。
  115. 金子太郎

    ○金子政府委員 鉱業協会については存じませんが、経団連から正式に話を聞いたところでは、経団連に関しては、そういうことはございませんし、この制度は、経団連の意向も十分に勘案して、創設のときにつくったということでございまして、企業側の相手は経団連であるというふうに私ども考えております。
  116. 木下元二

    ○木下委員 これが公費負担であるのに、公費負担でないというふうに、あなた方がこだわって言われておる、ここに非常に問題があると私は思うのです。いまも言いましたように、PPPの原則があるので、どうも公費負担は認めにくいというお考えのようですけれども、しかし、やはりこれは現実は公費負担になっているから、私は問題にしているわけであります。結局、あなた方のお考えというのは、金額は非常に少ない。個々の車から徴収するのが本来だけれども、それはもう手数が大変だ、だから自動車重量税に乗っかるんだ、こういう考えじゃないのですか。
  117. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 先ほどからの先生の御意見で、企業公費負担をふやしてくれと言っているのは、自動車重量税の持ち分をふやしてくれ、こういう意味でございますか。別に公費で負担をしろということでしょうか。自動車で経費を負担するという、いわゆる自動車重量税の方からの負担をふやすという問題は、企業要望しているから、ふやすとか、そういう性質のものではなくて、自動車の寄与分と固定発生源の寄与分とを、全国的なプールした計算で見まして、それが八対二になっているから二は持っていただきますよということで、これは五十一年度も、そういう計算がやはり八対二に、ほぼ、なっておりますので、その負担区分を変えるつもりはございません。
  118. 木下元二

    ○木下委員 企業の方がどういう要望をしておるのか、あなたの方から私に質問されておりますけれども、それは、あなた方が判断したらいいことなんですよ。とぼけなさんな。これは企業の方から環境庁に対して要望があるのですよ。そして、それは私がいま読んだように、国の負担分を増額してくれという要望なんですよ。それを、あなた方がどう判断されようと、それは重量税を増額せよということなのか、あるいは、それ以外のものでやってくれということなのか、それは私は知りません。けれども、現にある仕組み、これは、あなた方が言われるように重量税をもって充てる、そういうことになっておりましても、企業の方だって、これは国が負担しておると見ておるのですよ。だから国の負担分を大幅に増額をしてくれ、こう言っているのですよ。何も新たな制度をつくってくれとは書いていないのですよ。これは、あなた方が一番よく御存じじゃないですか。あくまで、あなた方はそういうふうにごまかし切ろうとしておる。これはごまかせませんよ。国の一般会計で色のつかないお金で負担しておるという、この現実は、だれが見ても、これは国が負担しておるということですよ。そして、それは自動車重量税について言うならば、法律の上では、その一部に相当する額の範囲内という前提がついておるというだけの話なんですよ。  そこで、結局そういうふうに自動車重量税に乗っかって、これを処理していくということでありますが、この考えというのは結局、私は行政の便宜に走り過ぎた考えではないかと思うのです。本来、加害者が負担すべき公害の費用というものを国が公費で賄っていく、これはいかに費用や便宜の問題があるとしましても、私は間違いだと思うのです。あなた方は、いや、これは公費ではないと言われるかもしれないけれども、少なくとも形の上で公費であることは、これは間違いないのですよ。そうでしょう。だから私は、この点についてはPPPの原則を、筋を通すべきだと思うのです。公害制度の基本的な理念であるPPPの原則、これに抵触するような仕組みというものは私は賛成できない、こう思うわけであります。長官いかがですか。
  119. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私ども重量税の一部からこれに充てる、それは移動発生源負担である。ですから、形が一般会計がどうしてもおかしければ、これを分離して基金の方へ直接もらってもいいのです。ところが、そういうことは技術的に非常にめんどうですから、したがって、形は一般会計であるが、それはそういう面から見れば、あなたの言うとおり公費角担かもしれませんよ、形が一般会計から出ているのですから。ところが実体は重量税ですから、その意味において移動発生源からの負担である、こういうことにとっているわけですね。あなたは一般会計から絶対出してはいかぬという説、私は将来の問題として、これは少し見解が違うのですね。というのは、固定発生源移動発生源というものははっきりしていますね。ところが、そのほかにも大気を汚す原因というのはいっぱいあるのですよ。そうじゃないでしょうか。われわれ自身だって汚しているのですよ。たばこをのんだり、いろいろなことをあれしているのですね。そうすると一体、公費というものは何だ、そういう不特定多数で、つかまえられないような大気汚染の原因があるとすれば、それにかわって、一般の皆さんが税金持っているところから、公共団体なり国なりが負担をしていってなぜ悪いのだろう。それを、なぜ原因者負担と反する、こう言うのでしょう。原因者があるけれども、それを代弁して、そこから取っている金の一部を、たまたま個々の人がやらぬでも出しているんだということになって、これは私はPPPの原則に反するとは思わないのですね。煙突から煙が出て、いま計算して取っているわけです。それ以外だって空気を汚染している原因いっぱいあるのですよ。われわれが何か灯油をたいても、そうでしょう。室内のやつが外へ出ていって空気を汚すかもしれません。いま考えてませんけれども、将来は私はやはりこれは移動発生源固定発生源だけをいろいろ考えていくことがいいのかどうかという点も、一つ検討の材料じゃないかと思うのです。そういう意味で申し上げているのですが、この金は、今度の制度一般会計から出すという形はとってますが、特定財源としての移動発生源重量税であるということだけは、明確にひとつ御理解をいただいて、将来はまた、いろいろ御議論していただくのは、われわれ大いにひとつ検討しなければいかぬ。御理解いただきたいと思います。
  120. 田中覚

    田中(覚)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ————◇—————     午後二時五十八分開議
  121. 吉田法晴

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。木下元二君。
  122. 木下元二

    ○木下委員 長官が午前の最後に言われましたのは、将来の問題としては公害対策の費用を公害負担で見てもよいではないかということを言われたんであります。個々の民家でも煙突があって煙を出すではないか、たばこも吸うではないかというようなことも言われたわけでありますが、そういうふうな国民が大気汚染に何らかの寄与をしておる。だから公費負担もよいではないかという論理なんですが、しかし、これは少なくとも現行の公害健康被害補償法のたてまえなり趣旨というものを見た場合には、いま言われたことはそぐわないわけであります。この健康被害補償法の制度といいますのは、申すまでもなく、公害加害者の民事責任を踏まえた被害補償救済を図ろうという趣旨であります。この民事責任というのは、民事上の不法行為に基づく損害賠償責任という意味であります。その点からしますと、公費負担補償をするというのは間違っておるわけであります。また、その点からしますと、個々の車、ユーザーから費用を取るということ自体にも大きな問題があるわけであります。ユーザーに対して、この民事上の損害賠償責任を踏まえたものとして費用を取るということは、これは当を得たものとは言えません。結局、この公害健康被害補償法というのは、もともと公害の発生源である企業責任を踏まえて被害者の救済を図るという仕組みなんです。これに加えて個々の車からの費用負担制度を設けるということは、そういう制度をつくるということは、いわば木に竹を継ぐような、そぐわない異質なものを組み合わせることになるのであります。それは公害健康被害補償法制度の趣旨そのものをあいまいにしてしまう、こういうことで私は問題を提起しておるわけでありますが、この点はどのように理解をされておるのでありますか。
  123. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 公害の原因者がだれであるか、特に自動車の場合には、だれであるかというのは、一体自動車に乗って排ガスを排出しているユーザーなのか、あるいはそれをつくった自動車会社なのか、あるいはその排ガスを出すもとになっている燃料を供給しているところなのか、これはいろいろ解釈があると思うのですね。現在は直接ガスを排出している行為をしているユーザーに賦課しておるわけですけれども、それは製造者なり、あるいは油にかけて、結果的には、それがやはり自動車の価格に上乗せされ、あるいは油が高くなってユーザーが負担をするということになるのかもしれませんが、そういうことも、もちろん考えられないわけではないわけでございますが、現在、原因者に負担するのに現実的に一番、適当なのは重量税から引き当てる以外にはないのではないかということで、そういう制度をとっておるわけでございます。
  124. 木下元二

    ○木下委員 どうも私の質問に直接お答えになっていないように思うのですが、法律の趣旨からすれば、これはいま言うように民事責任を踏まえた制度なんだから、個々のユーザーを対象に取るということになれば、それは個々の民事責任を踏まえて、そうしたところから取るということは問題があるんじゃないかということを言っておるわけであります。  メーカーから取るという問題ですね、これも、いろいろと案としてはあるように聞いておりますが、結局これからは、なぜ取れないわけですか。
  125. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 その問題については私ども検討いたしましたし、それから、この費用負担の問題で公害健康被害の費用負担の専門委員会も昨年、設けまして、いろいろと何回も検討していただきまして、その中でやはりメーカーから取るということについての是非についても検討がなされたわけなんでございますが、一番の問題は、やはりメーカーから取るということになりますと、その会社がこれからつくる車について課徴金を取るというような形になりますので、そうしますと、新しくできる車は、すでに市中に出回っておる中古車よりも、公害という点から言うと低公害である。低公害の車にだけ、かけるということになりますと、公害をうんと出している中古車にはかけないで低公害車にかけるということは非常に矛盾が多いということが、そのほか、いろいろあると思いますが、一番、大きな難点になっておるわけでございます。
  126. 木下元二

    ○木下委員 新車と使用過程車といいますか古い車がある。新車にのみかけるということが、何が、ぐあい悪いでしょうか。これがユーザーから取るという前提ならば、新車から取って中古車にかけないということは不公平ではないかという理屈はわかるのです。しかし、これはいまメーカーから取るという前提で議論しているわけですね。その場合に、なぜ新車から取るということが、ぐあいが悪いのか。     〔委員長退席、土井委員長代理着席〕 これは私はどうも理屈がわからないのであります。たとえば前年度の一年間に生産をされ登録をされた車の台数を基準にしてメーカーに費用負担をさせる、こういったことをどうしてやれないのか。どうもいま、あなたが言われた理屈は私はよくわかりません。もう一遍、言ってくれませんか。
  127. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 公害責任者が、いわゆるメーカーである、メーカーが悪であるという前提で、それから取るにはどうしたらいいかという発想でやりますれば、それは、いろいろな取り方があると思いますが、やはり現に大気を汚している状況がどうなっているのかということから考えますと、現状ではやはり中古車がよけい汚染物質を出している。新車になればなるほど四十八年度車から五十年、五十一年、五十二年と、だんだんきれいになってくるわけでありまして、きれいになってくる車からだけ取るというのは非常に現実から乖離しているようなやり方というふうに判断されるというふうなことが、先ほどの専門委員会なんかの意見なんかでも、そういう御意見が多かったわけでございます。
  128. 木下元二

    ○木下委員 結局、移動発生源による汚染というものを見た場合に、新車の寄与度というのは非常に少ない、約五分の一、あるいは低公害車が出てくるわけでありますから、それ以下になる。にもかかわらず、その移動発生源による全体の汚染の費用負担を新車にかけるというのはおかしいではないか、こういうことだと思うのですね。けれども私は、そういう論理を使うならば、ほかに、たくさん矛盾はあると思うのですよ。たとえば現在の公害患者というのは、これはそもそも、もうずっと以前の汚染の影響による患者であります。ことに、これは固定発生源の硫黄酸化物の汚染によるものであります。現在は、もう、これが厳しくなりまして相当に改善をされておるところが多いわけですね。ところが、それを現在の汚染でもって費用を割り当てるという仕組みですね。そこに、もうすでに、それ自体矛盾があるし、問題があるわけなんですよ、あなたのような言われ方をしますと。だから、それはいま、あなたが言われたような問題があるにいたしましても、その問題というのは、これは初めだけの問題なんですよ。そういつまでも、ずっと続く問題ではないわけなんです。みんな、どんどん新車にかわってくるわけですから。だから数年うちに古い車はなくなって全部、新車になっていくわけでありまして、初めの間は確かに、いま言われるような問題がありましても、それは暫定的な取り扱いということでいいんではありませんか。それこそ、あなた方がよく言われる制度的な割り切りでもって処理をするということで解決ができる問題ではないかと思うのですよ。  それからまた、メーカーから取っても価格に転嫁をする、だから結局同じことじゃないかという理屈もあるようでありますが、しかし、これも決してストレートに価格に反映するものではありません。価格に反映する場合もあるでしょうし、あるいは反映しない場合もあるし、反映の仕方にも、いろいろある。これは競争原理というものが働くわけでありますから、決して言われるようなことにならないと思うのですね。  いま、あなたが言われましたが、決してメーカーはすべて悪の根源であるというふうな、そういう予断でもって私はメーカーにということを言っておるのではありません。けれどもメーカーというのは、確かに直接の汚染発生源ではありませんが、汚染発生源である車をつくっておるわけですね。公害防除という点では一〇〇%完全とは言えない、したがって、一種のいわば社会的欠陥品とも言うべき車を大量につくって、これを社会に送り出しておるわけですね。そして、これによって道路公害をまき散らしておる。しかも莫大な利益をこれによって生み出しておる。そういう点から言いますと、こうした実態を踏まえて考えるならば、メーカーから取ることは少しもおかしくないと私は思うのです。かえって社会的公正という観点から見れば、これに合致するんではないか、こういうことも言える。これが私ども考えですけれども、いかがですか。
  129. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 メーカーから徴収するというのがおかしいというわけではないのでございますが、検討はしたわけでございます。検討の結果は、やはり一番、現実的に現段階で適切なのは、自動車のユーザーから重量税引き当て方式が一番、現実的に適当な方法であろうというふうに判断したわけなんでございます。  それから先ほどの順送り順送りで、いまの新車から取っていって、ずっと先へ行けば出回っておる車みんなに賦課されるので、いまの中古車というのも、かけなくても別におかしくないんじゃないかという御意見でございますけれども、これはずっと先になって、どんどん低公害車が進歩発達していけば、この汚染状況も相当変わってまいりますでしょうし、今度は、いわゆる公害被害者の状況もだんだん相当、変わってまいりますし、やはりこれは、そう先に行った段階では、もう少し別な対処の仕方というものがあるんじゃないか、明るい見通しになってくるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  130. 木下元二

    ○木下委員 まあ、その先のことは先で考えるということでいいと思うのです。もう私はこれで終えたいと思いますけれども、前回の改正のときに、きょうと同じように私は問題を提起したわけでありますが、そのときに三木長官も、これはよく研究をするとお答えになったのです。決して、この重量税方式というものが一番よいとは考えていない、将来もこれでという結論ではないんだ、こう言われたのですよ。そして二年間のうちに、もっと研究をする、こういうふうに言われたのであります。私は、それを期待しておったわけでありますが、前と同じようなことを言われるので、何ら研究の跡がない、前進がないわけであります。そこで私は前と同じ議論を繰り返したわけでありますが、これは研究をすると言われながら、一体その研究はどうなっておるのか、いかがですか。
  131. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 自動車重量税引き当て方式が唯一最良の方法であるというふうには私どもも思っておりませんし、三木長官も、そういうふうに申し上げたわけでございますが、私どももそういう点から、この法律が成立した後、環境庁におきましても鋭意、検討を進めてきておりますし、その後、五十年の八月には関係の各方面の専門家から成ります公害健康被害補償法費用負担制度検討委員会というものを設置いたしまして、この問題について専門的な検討をお願いしたわけでございます。この委員会委員長林雄二郎未来工学研究所長の先生以下、相当多数の先生で、いろいろな基本的な考え方を、あるいは先ほどおっしゃられました自動車メーカーに対する賦課方式あるいは燃料賦課方式等も含めまして具体的な負担方法等を検討したわけでございますが、昨年の十一月に当面、自動車重量税収の引き当て措置を、次善の策でございますが、一、二がなくて三、四、五というような策しかないわけでございまして、その三、四、五の中でも三番目ぐらいなのが引き当て方式として、やむを得なかろう、こういうような報告書をいただいたわけでございまして、私どもも、この報告書を受けまして、環境庁で事務的な検討を行いまして、関係の各省庁とも意見の交換を行いまして、その結果、中央公害対策審議会の審議をお願いをいたしまして、その了承を得まして、この国会提出をさせていただいたという経緯になっている次第でございます。
  132. 木下元二

    ○木下委員 結局、十分な研究の成果が見られなかったということだと思います。その結果、今度も再び暫定的に二年間だけ従前どおりやるんだということで大変、残念であります。今度はひとつ、そういうことがあっては私は困ると思います。長期を展望した本格的な制度の樹立を真剣に探究していくというお気持ちが環境庁におありかどうか、長官に伺いたいと思うのです。そして、あるとすれば、どのようにして、これを進めていくのか、伺っておきたいと思います。
  133. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私も実は費用負担のあり方については、着任以来、相当いろんな意見を出してみたのです。ところが自動車というのは、燃料と自動車が一緒になって初めて公害を出すわけですね。燃料だけでは出ない。自動車というエンジンがあって初めて出る。ところが自動車だけでは、これは公害にはならない。どの程度、発生するか、どれぐらいの距離を走るのか、そういう点は、やはり汚染原因者負担ということを考えてみますと、ただ単にメーカーがつくって蔵出ししたら、一台に幾らといってかければいいんだという観念は、余りにも何か合理的でないような気がするわけですね。ユーザーの方で乗り回したキロ数を全部、計算してというのも、たまの日曜日に家族で使う人もありましょうし、しょっちゅう通勤で通い、日曜日はまた家族で遠出をするという人もありましょう。その距離数を計算して一々おまえ一カ月分幾らだというのも、これは二年に一回の検査のときぐらいですが、あの距離のメーターというのは何か簡単に操作できるんですね。なかなか、そう合理的なとらえ方がない。  やはり一番いいのは、私が事務当局検討を命じて、これはなかなか容易でないですけれども、それはそうかもしれませんねというので検討を始めたのは、やはり原油関税のときです。関税を取りますね。いま大部分法律上、石炭対策の方へ回っているわけですよ。だけれども大体、油が自動車乗る人にも行ったり、あちこち、みんな行くんで、要するに原因は油ですからね。自動車で石炭をたく人はいないんです。だから、そういうところを考えてみると、どうも、そこで何か方法がないか。ところが、石炭特会の法律があり、これは産炭地の振興なり、その他、考えてみますと、いま、けんかをして、あれを持ってくるというのは、これは相当、石炭の地域のいろんな方々とのトラブルも考えなければいかぬ。あと二年間で何とかひとつ、いい方法考えなければいかぬ。理論的にも実際的にも妥当するような、私は開かれた環境庁として、皆さま方の御意見があれば十分、承って、いろんな角度から検討して結論をつけたい。検討いたしておることは事実でございます。
  134. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、これで終わりますが、メーカーから取るということを、いまのお話では何かきらっていられるような感じがしたのでありますが、そうではなくて、これも一つの有力な提案として、お受けとめになって、よく検討していただきたいと思います。よろしいですか。
  135. 小沢辰男

    小沢国務大臣 決してきらっておりません。それも一つ方法として検討いたします。
  136. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  137. 土井たか子

    ○土井委員長代理 岡本富夫君。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 ただいま議題となっておりますところの公害健康被害補償法につきまして若干、質問いたします。  この法案の審議を、もう何遍かやっているわけでありますが、政府の答弁は、この補償費につきまして慰謝料が入っているんだということを絶えず、おっしゃるわけです。それは確かに昭和四十八年四月五日の中公審の費用負担特別部会ですか、ここの答申にもありますように「民事責任をふまえた損害賠償保障制度」というように、この法律は決めるべきだというようになっておりますから、損害賠償保障ということになりますと、やはり慰謝料が一番、大きなウエートを占めておるのではないかと思うのです。ところが実際の給付になりますと、非常にそういった慰謝料が抜けておる。これが私どもの一番の反対理由なんですけれども、これについて、ひとつお答えを願いたい。
  139. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 この補償給付は、先生おっしゃいましたように民法上の不法行為責任に対する損害賠償ということを、個々のいわゆる加害者責任というものがなかなかとりにくい。特に第一種地域における公害被害者については、個々の原因者と被害者の事実関係を突きとめて、それを明らかにして補償をするということがしにくいために、こういうグループとしてとらえた制度で、これを補償しておるわけでございますから、当然その考え方の中には、そういう慰謝料的なものも考慮されて入っておるわけでございます。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、あなたは御承知だと思うのですが、かつて昭和四十八年の十二月二十五日、水俣病の裁判のときの慰謝料あるいは四日市ぜんそくの慰謝料、これは幾らぐらいになっておりますか、わかりますか。局長、そのくらいのことは、ちゃんと調べて想定問答をつくっておかなければ。
  141. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 水俣病の裁判における慰謝料は、被害者の逸失利益プラス精神的あるいは、いろいろな損害に対する慰謝料というようなものを含めまして千六百万円から千八百万円というものが、裁判の結果として出ているわけでございます。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 まず一つの例をとりましたら、いま、あなたのおっしゃったとおりですね。それから、あと終身特別手当があるわけです。この当時はAランクが一カ月当たり六万円、Bランクが三万円、Cランクが二万円、こうなっておりますけれども、そのあとに注釈として、この手当の額の決定は物価の変動によってさらに改定していくんだ、こういう判決が出ているわけですね。そうしますと慰謝料的な、要するに民事責任を踏まえた保障制度でありますから、この裁判の慰謝料、ここから考えますと非常にこの額が少ない。慰謝料的なものを加味しているというようなことでは、私は非常に問題があろうと思うのです。しかも各年齢階層の平均賃金の八〇%相当になっておる。こういうことになりますと、平均賃金の一〇〇%でも、まだ慰謝料から見れば足りないのではないか。この裁判あるいは交通事故訴訟、こういうものから見まして、逸失利益が非常に少ないというときは慰謝料でもって、こういうふうに大きなカバーをして救済をしておる。これが当然だ、これは私ども考え方なんですが、平均賃金の八〇%相当というのは、ちょっと余りにも低過ぎる。こういうふうに考えるし、また、実際の慰謝料というものが、ここに加味されておるというだけであって、はっきりしない。もう一遍この点について、はっきりと御答弁をいただきたい。
  143. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 賃金水準の八〇%というのが低いんじゃないかという御意見でございますが、日本の一般の社会保障、生活保障的な制度では、休業している場合に賃金の六〇%を大体、給付しているわけでございますが、それよりは多くなければいかぬということで、どの程度にすべきであろうかということで、いろいろ中央公害対策審議会なんかでも御意見、御議論がございまして、一〇〇%との間の八〇%ぐらい、そういう給付をしたらいいんじゃないかということで決められたわけでございます。一般の生活保障よりは、やはりそういう相当の考慮がされておるというふうに考えておるわけでございます。
  144. 岡本富夫

    岡本委員 あなた、一般の生活保障というのは社会保障なんですよ。社会保障と損害賠償とは違う。だから損害賠償に対しては、それは所得制限もないわけですよ。それに生活保障の話をしたんじゃ、この趣旨が違うでしょう。もう一遍ひとつ、その点について、いかがですか。生活保障とは違うのです。少なくとも損害賠償なんですから。民事責任を踏まえた損害賠償なんですからね。この点もう一つ明確な御答弁をいただきたい。
  145. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 生活保障と違いますから、六割というのじゃなくて、それにさらに上積みをして八割というふうに考慮しておるわけなんでございます。だから私は、そういう趣旨は不十分かもしれませんけれども、やはり盛り込まれているというふうに考えておるわけでございます。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 まあここで、こればかり議論しても仕方がないが、だから次の改定のときには、やはり慰謝料は慰謝料として、はっきり示していく、そういう裁判の判決にのっとった給付内容にも変えていく、こういうことをひとつ検討するというようにお約束を願いたいと思うのです。
  147. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 給付内容については今後の改善を十分、考えて、ひとつ検討していきたいと思っております。
  148. 岡本富夫

    岡本委員 次に特異的疾患、水俣病それからイタイイタイ病及び慢性砒素中毒症ですか、これは発生源がはっきりしておるわけです。ですから非特異的疾患、これは発生源がはっきりしているところと発生源のはっきりしていないところ、はっきりしているのだけれども、うちは違う、うちは違うというわけで、お互いに譲り合っているというところですからね。そうしますと、非特異的疾患でない特異的疾患の方ですね、こちらの方は一緒にまとめてしまっておるから、これも給付内容を上げ、同時にこれはPPPの原則から考えても全部その企業から取る、賠償させるというのが、これはあたりまえじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  149. 野津聖

    野津政府委員 御指摘ございましたように、現在の健康被害補償法の対象になっておりますのは第一種地域でございまして、それと第二種地域がございまして、第一種地域におきましては、もう御案内のとおり、いわゆる大気汚染という形で特定した原因者がいないという場合でございます。また、第二種地域におきましては、これは因果関係が明確になっておりまして、特定した原因者があるということになっております。第二種地域の取り扱いにつきましては、これは原因者が明らかになっておるという前提からまいりますと、いわゆる認定審査という業務につきましては、給付の問題は直接、原因者から健康被害を受けられた方に支給されるという形をとっているのが主になっているわけでございまして、一種地域と第二種地域につきましては、その間に若干差があるということは、もう御指摘のとおりでございます。
  150. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、特異的疾患の方は、給付内容が本当から言えば、私、先ほど言いましたところの四十八年の裁判の結果と同じような、あるいはまた公害等調整委員会で調停しておりますね、これと同じぐらいの額を、やはり支給してあげる、私はこれでしかるべきじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  151. 野津聖

    野津政府委員 現在の第一種地域、それから第二種地域を込みにしましての一つの定型化しました形での、いわゆる補償給付が行われていることは、もう御案内のとおりでございます。しかし、個々の企業被害を受けられた方々との間での問題につきましては、御案内のとおり、この法律におきましては、民事責任を改めて提起する部分につきましては、これをもって外しておらないわけでございますので、その問題は個々の企業と、それから被害を受けられた方との間での処理という形になってくるわけでございますが、いわゆる、この法律に基づきましての補償給付を行います中身といたしましては、一つの定型化した形でのものを前提としておるわけでございまして、当然、原因者が、明らかになり、また一部におきましては和解あるいは民事訴訟等の結論によりましての給付を受けておられます方々は、それぞれの裁判で決められた形での給付を受けられるということにつきましては、この法律としては妨げていないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  152. 岡本富夫

    岡本委員 いま、この法律の根本的な考え方としては、そういった個々の人たちが裁判で争ったり、あるいは公害等調整委員会に出したり、いろいろと手間がかかる。そういうようなことのないように救済しようということですし、そうすると、すでにこういった裁判あるいは公害等調整委員会事例があれば、それをやらなければ、そういうようなものを出さないというようなことをしなくて、やはり、これは一緒にやってしまっておりますから、こういう給付内容になっておりますけれども、特異的疾患については、もう一遍、再検討する必要があるのではないか、こういうように私は思うのですよ。この点ひとつ、いかがですか。
  153. 野津聖

    野津政府委員 御指摘のとおり、この法律の一番、大事な点は、民事訴訟等まで持ってまいりますと、相当な期間あるいは労力等が要るということがあるわけでございまして、そのようにならないために迅速な補償や損害のてん補を行うということを前提としているわけでございます。したがって、それなるがゆえに一つの定型化しました形での給付というものが前提となってこざるを得ないということにつきましては、もう御理解いただけるのではないかと思っております。  したがいまして、個々の事例の問題と、それから、このような形で法によりまして一つの定型化した形での給付というものの間には、若干の相違があるかと思いますけれども、少なくとも、この給付内容を決める際には当然、四日市等におきます判決の中身等も参考にさせていただきながら、この給付を決め、また、これが一つの定型化した形で全国一律に行われるというふうな制度もとにおきましての、その直接訴訟の問題との関連の差というものは、やむを得ないものではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、御指摘のとおり損害を受けられた方々が、これを訴訟に持ち込むという場合には、非常に時間と労力というものを必要とするということを、できるだけ早く救済すべきではないかというのが、この法律の趣旨であることにつきましては、私ども十分、認識しているところではございますけれども、やはり、いわゆる一つの定型化した形での給付という中におきましては、一種地域も二種地域も、もし、この法律の適用を受けるのでございますと、同じ給付内容になってくるということにつきましては、御理解をお願いいたしたいと思います。
  154. 岡本富夫

    岡本委員 これは次の機会に、慰謝料ということを考えて、たとえば公害等調整委員会でも、死亡者が千八百万あるいは重症者が千八百万、中症者は千七百万、軽症者が千六百万、また、その死亡者の奥さんには三百五十万、また子供さんには百五十万というような調停の結果が出ておるわけですね。ですから、これは慰謝料ですから、慰謝料を検討するときに、ひとつ、この点も加味をしてもらいたい、私は、これを要求しておきます。  同時に、この四条の五項ですか、支給時期が認定の申請時からとされておりますけれども、これはまた細かいことになりますけれども、申請は病気になってから何カ月とか何年とか、いろいろ出ているわけですが、損害賠償の観点からいけば、いままでにその公害病にかかったということでありますから、いつからかかったということによって、やはりさかのぼって一時金の支給というのが必要であると思うのですよ。裁判でも、やはり、そういった一時金の支給ということが出ているわけですね。これは一時金の補償だ。したがって、認定の申請をした、そのときからでなくして、発病したときから、こう考えて、先ほど申しましたように一時金の支給、こういうものが正しいのではないか、私はこういうように思うのですが、この点について、いかがですか。
  155. 野津聖

    野津政府委員 特に、この第一種地域に係ります疾病等にまいりますと、主として、いわゆる閉塞性の呼吸器疾患ということになってまいります。そうしますと、これはいわゆる急性期から、あるいは急性期の繰り返しに基づきまして慢性の状態に立ち至るというふうなことになるわけでございまして、したがいまして一体、発病の時期がいつであるかということにつきましては非常にむずかしい判断になってくるというふうにも考えられるわけでございます。したがいまして、指定地域になりまして、いわゆる、そういう疾病を持っておられる方が、これは公害病であるという形での認定の申請をされました時期までさかのぼるという形で、この給付を行っているところでございますので、この発病の時期がいつであったかということなど、非常にむずかしい判断を要する点もございまして、できるだけ、これらの方々に不利益をかぶせない、御迷惑をかけないという形で、申請時までさかのぼって給付をするというふうな制度になっているわけでございます。
  156. 岡本富夫

    岡本委員 大体こういった病気になった人は、近所の医者とか、あるいはまた主治医とか、いろいろ医者にかかっているわけですね。しかも、指定地域になって初めて、この認定申請ができるわけですね。ですから、これからも、まだ次々と指定してもらわなければならぬところがあると思うのですが、大体、私は、この指定というのは必要ないということを、最初にこの法案をつくるときに、ずいぶん言ったわけですね。ですから、いまは指定地域指定しなければ認定申請ができないわけですから、その間ずっと、やはり苦しんでいるわけですね。その間は大概、医者にかかっていますよね。公害病になって困っているような人が医者にもかからないというようなことは絶対ありませんかちね。そうすると、そのカルテあるいはまた、その経過、そういうものがはっきりしてくると私は思うのですね。そういうことによって一時金の支払いが裁判でも出ているわけです。  いま、あなたは特に大気汚染によるところの疾病の話をしましたけれども、水俣病、こういった病気の場合は、いつからなったということがはっきりするわけですね、だから、こうした一時金の支給が出ているわけですから。本当に一人一人の申請を認定するときに、その人をよく調査をすれば、いつから病気になったか、お医者さんのカルテあるいはまた、そこの診断書を見れば大体わかるわけですよ。損害賠償ということであれば、やはりそういった一時金の支給もしていくべきではないか。いますぐといっても、あれですから、これもひとつ検討をしていただきたい。いかがですか。
  157. 野津聖

    野津政府委員 一時金の問題というのは、先ほど来、申し上げておりますように逸失利益なり、あるいは慰謝料的な形での補償給付が行われているという場合には、考えられる一つ方法ではないかと思うわけでございますけれども、いずれにしましても、この疾病そのもの、特に水俣病でも当初の非常に気の毒な状態方々から、最近になりまして症状が出てくるような方々もおられるわけでございます。そういうふうな点から見まして、発病の時点を確定するということは、特に慢性疾患の場合は非常にむずかしい面があるわけでございまして、一時金も当然、一つ考え方としてあるかもしれませんけれども、むしろ私どもとしましては、その後のいわゆる補償給付内容改善していくということの方に力を注いでいくべきではなかろうかというふうに考えております。
  158. 岡本富夫

    岡本委員 その後の給付内容に、あるいはまた慰謝料こういうものに対して改善考えていくのも一つ、これはもう先ほど申しましたけれども。それと同時に、やはりいままで苦しんだ、そういう者に対しての賠償ということも必要だ。だから、これもひとつ検討事項にしていただきたい。  次に、給付基準額につきまして、被害者が一家の働き手である場合は、ひとつ考慮して、やはり定額加算というものを配慮すべきではないか、こういうように思うのです。それからもう一つは、男女の賃金格差がちょっと大き過ぎる。この点も一遍、検討をしていただきたい。いま、これを皆と言いましても、すぐやるとは言わないだろうから、検討事項にしていただきたい、いかがですか。
  159. 野津聖

    野津政府委員 現在の給付内容につきましては、いわゆる賃金構造統計調査によります平均的な年齢階層別の給与をもとにしまして計算をしておるわけでございまして、いわゆる逸失利益分を、さらには若干の慰謝料分を積みまして金額を定めておるところでございまして、これが、この方がいわゆる働き手であるということを前提とした形での給付が行われているというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、どういう形で、それを持っていくかということよりも、やはり賃金構造の中身の向上ということが先行するのではないかとも思いますし、また男女の格差ということがございましたけれども、いわゆる現在のわが国におきます賃金構造そのものの大きな問題ではないかと、私どもは問題意識としては持っておるわけでございます。出てまいりました結果につきまして、私どもは、その調査を基礎としまして支給額を決めておるわけでございまして、次第に、そのようなわが国におきます格差がなくなってきた結果かと思いますけれども、明年度から実施いたそうとしておりまして、ただいま予算の御審議をお願いしております給付内容につきましては、次第に、その格差が縮まってきつつあるということを、私ども感じておるところでございます。
  160. 岡本富夫

    岡本委員 それで賠償ですから、大体、賃金の八〇%とか、あるいはまた賃金を一番、基本にしておる、こういう考え方を私はやめてもらいたいと思うのです。たとえば交通事故で御婦人がなくなった、あるいは主人がなくなった。これは婦人の方だから、奥さんの方だから、安くしておこうということはないわけですよね。やはり自賠法ではきちんと同じ額が出るわけですね。したがって、民事責任を踏まえた賠償ということですから、やはり母子家庭もありますし、そういうことを考えますと、これはもう一度、二年後の改定のときに、いや二年後というような、そんなのろいことをしておったら困る。来年くらいには改定してしまうというくらいの勢いでやってもらいたい。財源の確保のために二年後になるわけだ、そのときまではまあいいだろう、そういう考え方では相ならぬと私は思うのです。それだったら、環境庁の方の都合ということになってしまうのです。やはり救済する方の都合になってもらわぬと、患者の方のためにある法律ですからね、環境庁のためにある法律じゃないのですから。この点もひとつ、もう少し早く考えていただきたいと思います。  それから遺族の補償費、これが一時金を出すときは三十六カ月しか支払わない。これはどういう根拠なんですか。
  161. 野津聖

    野津政府委員 不幸にしまして、認定を受けられた方が、その疾病が原因になりまして亡くなられた場合に、遺族の方が、その方によって生計を維持されていたというふうな実態があります場合には、遺族の方にいわゆる遺族補償費という形で十年間、支給する形になっているわけでございます。ただ、遺族補償費をもらえる方がおられないという場合に、一時金という形で支給するということになっているわけでございまして、それに関するいろいろな一時金の状況を見ますと、たとえば労働者災害保険制度におきましては千日分というふうな形になっておりまして、現在、基礎月額の三十六カ月という形で三年になるわけでございますが、そういう考え方で一時金を支給しているわけでございます。
  162. 岡本富夫

    岡本委員 労働災害は賠償じゃないのですよ。そこの点を何か、いままでの生活保障のような、社会保障的な考え方を、いつも持っていらっしゃる。これは御承知のように損害賠償の方の考え方が根本になっておるわけですからね。この人たちは、そこで仕事をしておったのでもなく、あるいはまた保険を掛けてやっておったのじゃないわけですからね。そこに住んでおったために、何の悪いこともしていないのに、こういう病気になった、公害に遭ったということですから、やはり賠償が  一番、根本にならなければならぬと思うのです。そういうことになりますと、裁判でも一時補償金千五百万、死亡者あるいは重傷者ですね、こういうような結果がはっきり出ているわけですよ。そういうことをひとつ考えて、これも、まず善処をしていただきたい。  次に賦課料すなわち、この財源の問題ですが、先ほど長官の話を聞いておりますと、なかなかいい御答弁がありました。この財源の問題については石油から取る、これをひとつ、ぜひ次は実現をするように。大体この財源を確保するためには、そういったところから、石油から取ろうと環境庁でも計算をしておったと思うのですよ。私の計算でも、これは一リットルで十四円取れば四百二十億あるわけでしょう。一リットルに十四円くらいであれば、余り物価に関係しない。しかも油があるから、これをどうしてもたきますから、そういった公害が出てくる。あるいはこれを農薬に使うと農薬被害が出てくる。そういうことですから、これがなければ、こういう公害は出ないわけです。長官は先ほど、この点については相当、力説をされておったので、私は意を強くしておるのですが、通産省や、あるいはまた石油会社から圧力がかかってつぶれないように、ひとつ、しっかり検討して、やれるようにしてもらいたい。この決意をもう一遍、承っておきたいと思うのです。これは長官の方です。
  163. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、この費用負担のあり方について、どこで負担していくか、それをいろいろ検討した一つの例として申し上げたので、私は関税から取るのがいいと思って、やってみたが間に合わなかった、今後ひとつやります。こういうようにはお答えしてなかったのです。ただ、やはり根っこで取るのが一番いいんじゃないか、すべての原因は、やはり油からくるわけですから。自動車でも乗り方の少ない人と多い人と、いろいろありますし、それから外国へ輸出する車もあるんですから、蔵出しで、ぽんとかけてみても、いや、日本のあれと関係ありませんよという車が何十万台かあるのに、どうもそういうわけにもいかない。後で輸出承認のときに、それを返せばいいじゃないかという理屈もありましょうけれども、要は、やはりどこかで使われて、どこかで汚染をしているもとを、ずっとたどっていくと油なんですから、やはり関税の中からもらっていった方が——いま、あれはどのくらいですか、相当の関税を一年間で取っているわけです。(岡本委員「一リットル十四円かければいいのです」と呼ぶ)十四円という計算になりますかどうか、それはあれですが、とにかく検討させてください、どういうようになりますかわかりませんが。
  164. 岡本富夫

    岡本委員 これは大変な仕事だと思います。一夜のうちに変わったりする場合もありますから、ひとつよく気をつけて、長官は、三木内閣がやめたら私はかわるんだから、そんな軽やかなことを考えずに、ひとつ真剣になってやっておきませんと、重量税から、ちょっと、いただきに行ったり、環境庁だってこれは大変なんですよ。  それと、もう一つはイタイイタイ病なんかの鉱山ですか、その原因者、ここからも、きちんと取らなければいかぬ。それじゃないと片手落ちになりますから、その分は若干、取らなければいかぬと思いますが、その点はひとつ、よく検討し、英断を持ってやっていこうという考えでないと、だめだと思うのです。次には、当時、中公審は、目、耳、鼻、喉頭炎、こういった疾病については若干、見送るんだというような答申を出しております。しかし、その後も、もっと研究する必要があるというような答申になっておりますが、私が何国会でしたか、この法案の前の法案だったと思うのですが、それを審議しましたときに、尼崎の鼻炎、これが非常に学校の生徒に多い、こういうデータを出して、まず鼻炎もこの疾病の中に入れてもらいたい、これは検討いたしますということになっておるのです。これは局長も、いま初めて聞いたような顔をせずに、こういう審議をやるときは前の議事録を全部ひっくり返して見てくるように。実は環境庁ができてから、善処します。あるいは、やりますとかなんとか言うて勇ましく答えた分で、できてないのがずいぶんあるというわけで、当委員会で全部、出したことがあったわけです。委員長のあれで。それを今度、一遍みんなで寄って詰めなきゃいかぬな、こう思っているのです。これももうずいぶんになりますよね。五年以上になるのです。五年どころか、もっとになるもわかりませんな。余りにも検討が長過ぎる。その間に病人は死んでいく、こういうことになっています。あるいはまた、ますます病気が重くなるということでありますから、これはぜひ、ひとつ今度の指定疾病の中に入れてもらいたい、こういうように私は要求いたしたいのですが、いかがですか。
  165. 野津聖

    野津政府委員 御指摘ございましたように慢性鼻炎等を指定疾病にするかどうかということにつきましては、この法律が施行されます際に中央公害対策審議会でもいろいろと議論がされたところでございますが、どうも現在までの、いわゆる疫学調査調査方法等にいろいろ問題があるというふうな点があったわけでございまして、今後とも資料を収集して継続的に検討すべきであるというふうにされておるわけでございます。このため、私どもといたしましても現在、御審議いただいております五十一年度の予算におきまして、この調査研究費の中に約八百三十万円ほど予算を計上いたしまして、これに必要な調査を実施いたしたいというふうに考えているところでございまして、中公審におきましても問題になりましたし、また先般、先生にも大きな問題とされました件につきましては、このような形で対処さしていただきたいというふうに考えております。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 岡本富夫

    岡本委員 次に、これは損害賠償すなわち補償費なんですからね。厚生省通達によるところの、補償費のうち生活保護を受けている方々が、この補償費をもらったら打ち切られる、こういうことで患者人たちは非常に困っておるわけです。こういう生活保護を受けている人の補償費は、これは生活保護の上の収入ですからね。これはひとつ打ち切らないように何とかなりませんか。
  167. 野津聖

    野津政府委員 生活保護法は法律そのもののたてまえで、私どもの直接の所管でないわけでございますけれども、生活保護法につきます保護というのは、他の法律によります扶助というものが、すべて優先して行われるという、いわゆる補足性の原則というのを持っておるわけでございまして、補償法による給付につきましても生活保護法に優先して行われるということで、本来、生活保護法上の収入として認定されるというのは、いま御指摘あったところでございます。  しかし、御指摘ございましたように、この公害健康被害補償というものの特殊性、特に先ほど来、御議論いただいております慰謝料的な要素というものを含めて補償給付が決められておるわけでございまして、厚生省に特段の配慮を要望してまいっているところでございますが、制度発足に当たりまして、収入として認定されない額の限度が定められたわけでございまして、先生、御案内のとおり障害補償費、児童補償手当につきましては、特級、一級については七千五百円というふうな形での限度額が決められたわけでございますが、五十一年度におきましては、ただいま予算審議していただいておりますように給付内容も上げるわけでございます。その給付内容を上げるという時期に当たりまして、さらにこの限度額を上げてもらいたいということで、現在、厚生省にも申し入れをしているところでございます。
  168. 岡本富夫

    岡本委員 これは長官、あなたも厚生省にいらっしゃったのですから、ひとつ後ろから応援してやってくださいよね。  次は、振動、騒音によるところの健康被害が、この中に入ってないのですよね。現実に私たち回ってみますと、余りにひどい交通騒音によってノイローゼになった人が各所にいるんですね。もう車をつぶしてやろうかなんて、そんなような人もずいぶんいるわけですよね。この機会に、この騒音、振動によるところの健康被害指定疾病の中に入れられるように、まず検討をしてもらいたい。これはお願いしておきます。
  169. 野津聖

    野津政府委員 振動、騒音等によりまして、いろいろと体の失調等を訴える方が多いことは、私どもも聞いておるわけでございますが、この場合、振動、騒音というものが一体、健康にどういう形で影響するものであるかということにつきましての十分な調査が必要ではないかというふうにも考えているところでございまして、その辺を詰めながら検討していかなければならない課題であるというふうに考えております。
  170. 岡本富夫

    岡本委員 次に、地域指定の要件ですが、答申によれば、大気汚染に関する要件としてはSOx、NOx、オキシダント等々の物質の汚染度を考慮する必要があるが、当面はSOxあるいはNOx、浮遊粒子状物質、この三種類の汚染から判断する、こういうようになっておりますけれども、このオキシダントも私はないがしろにできないと思うのですね。このオキシダントの方の状態地域指定の要件の中に入れていく必要があるのではないか。答申では「当面は」と書いてありますけれども、オキシダントの原因あるいはまた人体影響、こういうものの調査は、もう環境庁の方で終わっておりますか。
  171. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生から御質問のございましたオキシダントの問題でございますが、四十七年以来、光化学スモッグの健康被害調査研究といたしまして体系的に、いろいろな研究をいたしておりまして、その中で、このオキシダントと健康被害との関係という点では、刺激症状というものと一部の肺機能の動きに若干、関係があるというところまでは、ある程度の相関がつかまえられるものもあるわけですが、病気としての形でつかまえられるかどうかというところには、いままでの研究成果では、まだ非常にはっきりしないところが残っておる。確かにオキシダントの出たときに起こっていることは事実ですけれども、それでは高いところに、もっと起こっていいはずだが、高いところには、ほとんど起こっていないという問題もございまして、引き金的な要素はあることは否定できませんが、病気との関係ということになりますと、非常に個体の関係があるというような状況がございます。  それからもう一つは、被害者の届け出というのはふえておりますが、重篤なケースが非常に減って、もうほとんどないと言っていい形でございまして、昨年も、どれだけ重い人があったかということで、一回、新聞に出たものをフォローして調べてみましたら、一日、病院に入っては、すぐ後から出てくるというような形で、その跡を追っている調査、研究もありますけれども、どうもあの形ですと、公害健康被害補償法という形でつかまえることはきわめてむずかしい。それから、医療の給付を出すという制度を持っているところが、川崎とか、そういうところにあるのですが、そういう金がありますけれども、その金が実態的に使われる場面が実際上、起こってこないというようなことで、私どもは今後も研究を続けなければならないと思ってやっておりますが、現在の段階では、そのようなところでございます。
  172. 岡本富夫

    岡本委員 次に、この認定につきまして、一つの例を申し上げますと、昭和五十年一月二十八日現在で、三級と等級外認定数が総患者数の八〇%であり、十五歳未満の場合は実に九六%に達しておる。これは等級外の認定者ですね。これは尼崎の例でございますが、尼崎の例でも等級外認定は全体の約二〇%、こういう人たちは、公害によって健康被害を受けた患者と認定されながら、補償をもらっていない。こういうことがあるのですが、この等級外認定が圧倒的多数を占めてきておるわけです。これはどういうように考えておりますか。また、今後どういうふうに、これをフォローして救済しますか。
  173. 野津聖

    野津政府委員 現在、御案内のとおり障害補償費あるいは先ほど御指摘ございましたように、児童の場合には児童補償手当というものが支給されているわけでございますけれども、その場合に、いわゆる労働能力の喪失だとか、あるいは日常生活が困難であるというふうな度合いに応じまして、ただいま御指摘ございましたように、特級、一級、二級、三級というふうに分けられているわけでございます。したがいまして、一定の定型化の上に立って損害のてん補を行うという、この制度でございますので、このようなランクを設けまして、労働能力あるいは日常生活、特に子供の場合には日常生活にいろいろな制限を受けるということを前提としましての給付制度をとっているわけでございます。したがいまして、いま御指摘がありました等級外というふうな形での認定の患者になりました場合には、障害補償費あるいは児童補償手当というものは支給されない形になるわけでございますが、ただ、公害医療のいわゆる療養の給付ということは行われるわけでございます。特に、この療養の給付につきましては、公害医療というものの特殊性に基づきまして、非常に細かい指導とか、あるいは健康管理とかいうふうなことが行われるようなたてまえの医療になっているわけでございまして、こういうことによりまして、これらの患者さんが十分な管理のもとに、むしろ逆に言えば、幸せにも、病気がありましても日常生活に障害を受けていないというふうなことでございますので、そういう方々が、この公害医療の給付を十分受けることによりまして、さらに級が進まないで済む、あるいは健康の方に向かっていくというふうなことが、私どもとしましては一番、望ましい姿ではないかというふうにも考えているところでございます。
  174. 岡本富夫

    岡本委員 こういった等級外の人たちも、もう一度、検討してもらいたい。  次に、介護手当です。これはたびたび、やかましく言うたのですが、やはり余り実態に即していない。大体、介護、身の回りを世話する人、一日三千円ぐらいかかりますよ。それが今度は一カ月二万六千円ですか。しかも特級、一級の人たちだけしか受けられないわけですけれども、その介護手当も、もう一遍、実態に応じた検討をお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  次に、尼崎市あるいは川崎市、各市から環境庁の方にも陳情が来ておると思いますけれども補償給付支給の事務費、これが相当、地方財政を圧迫をしておるわけです。これは各市によって違いますから、きょうはここでは申し上げませんが、この事務費の地方負担の軽減をしないと、どうしても認定作業ができません。ということは結局、こういう制度がありながら、こういう人たち救済できないということになりますから、この事務費の引き上げについて、今後どういうふうにやっていくか、この点をお聞きしておきたいと思うのです。
  175. 野津聖

    野津政府委員 現在の事務費、特に定員を含めました人件費につきまして、実施しております各地方自治体におきまして超過負担があるというふうな問題につきましては、実際の配置人員それから交付金の対象人員の差というものを私どもは知っているわけでございます。ただ、この配置人員につきましては、その適正な基準というふうなものがなかなかむずかしい問題もあるわけでございます。さらには、この制度発足以来、現在、約一年半という経験しかないというふうな実態もあるわけでございまして、御指摘のございましたように、地方の超過負担というものの解消につきましては私ども十分、関心を持って対処してまいりたいと考えておるわけでございまして、十分、検討を加えまして、実情に即した必要な人員を措置できるように努力してまいりたいと考えております。
  176. 岡本富夫

    岡本委員 一時間の約束の時間が来ましたから、あとは残しますが、横浜市と川崎市が共同で公害保健センター、こういうものをつくろうとしていますね。各地方自治体でも、そういう要望があったら補助金を出すということを考えておるのか。また、それはこういう公害保健福祉事業の規則に、どういうふうに定めておるのか、これを最後に聞いて、それと同時に、もう一つは、三木総理が長官のときに、水俣の方のこういったセンターをつくるというような約束もされたわけですが、これは国営でやるんだというようなことを発言されたことがありますが、これもまだ、できていないのではないか、こういうように思うのですが、その経過だけをお聞きして、きょうは時間ですから、やめておきます。
  177. 野津聖

    野津政府委員 第一点の検査センターの問題でございますが、いわゆる検査センターという形なのか、あるいは一般的な医療機関で特に公害病の患者さんを中心として収容するのかという点等に、いろいろ問題があるかと思いますけれども、現在、いわゆる効果判定のために、いろいろな機器を置きまして、特に大気系の場合に、その機器によりまして判定をする際の医療機械につきましての補助制度は持っているわけでございますが、一般的な医療機関という形になってまいりました場合には、中身によりましては厚生省等の問題もあるわけでございます。ただ、こういうふうなセンターができまして、より適正な公害患者の検診というものが行われるということにつきましては、私ども非常にいい制度ではないかというふうに考えております。  それから、水俣病センターの件でございますが、これにつきましては五十年度におきまして土地を確保します予算がつきまして、現在、土地につきまして確保すべく地元の水俣市にお願いしまして、土地を確保するような形で走っておりまして、五十一年度から建築いたしますことにつきまして現在、予算の御審議をお願いしているわけでございまして、五十三年度に運行できるような形で進んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  178. 岡本富夫

    岡本委員 ちょっと一つだけ答弁漏れがあったですから。先ほど申しました各地方自治体、たとえば先ほど言ったように横浜とか川崎で共同の公害保健センターを建設しようとしている。そういうものはまことに結構だと考えておるだけじゃ話にならぬので、それに対する補助金をちゃんと出すのかどうか、この点だけをひとつ、はっきり答えてください。
  179. 野津聖

    野津政府委員 いわゆる公害センターというものの中身によってくるだろうと私は思っているわけでございます。したがいまして、それがもし医療機関であった場合には、逆に公害認定患者さんしか入れないというわけにはいかないというふうな問題もあるだろうと思います。それからまた、いわゆる検査を中心としまして、より高度の機械の設備を持ちまして、これらの公害、特に大気系の患者さん方の治療の効果とか、あるいは各種リハビリテーション、転地療養の効果とかいうものを判定するための検査センターという形でございました場合には、現在、効果判定のための医療機械についての若干の補助金は持っておるわけでございますけれども、ただ、それが医療機関という形でまいりました場合には、どうも私どもの方の体制としてはなじまないというふうに感じております。
  180. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、きょうは、これで一応ストップしておきます。あと、かわります。
  181. 吉田法晴

    吉田委員長 岡本富夫君の質問は終わりました。  次は、島本虎三君。
  182. 島本虎三

    ○島本委員 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案が、いま提案されているわけでありますが、これは何回目の改正になりましたか。
  183. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 二回目の改正になるわけでございます。
  184. 島本虎三

    ○島本委員 この原案、真っ先に出された公害健康被害補償法ですね、二回改正される前のもの。これを出すための基礎、諮問機関か、または委員会というようなものは、どの委員会でございました。
  185. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 中央公害対策審議会の費用負担部会と損害賠償負担制度専門委員会ですか、この両方に御審議をいただいておるわけでございます。
  186. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、中央公害対策審議会がいろいろ審議した結果、皆さんが立法化した、そして提案された、こういうようなことになるわけです。この中央公害対策審議会、これはまともに行われているのですか。
  187. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 中公審の費用負担部会は法律制定までに、もうたびたび検討の会合を開きまして、その結果、その内容を固めていただいたわけでございます。
  188. 島本虎三

    ○島本委員 その問題の中央公害対策審議自身がまともに運営されているのですか、このことを聞いているのです。実はこれに対していろいろあるのであります。長官、排ガス規制に対する中公審の論議過程、まあいろいろな問題がありまして、長官も苦労されたようでありますが、いわば部会から関係企業の代表を排除すべきであるというようなことが決まって、徐々に、これがいま行われているのじゃないかと思うのであります。いま私があえて言うのは、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案、このもとになるいわば原法です。中央公害対策審議会の運営がまずければ、どうにもならない。その中で特に企業代表が入っていたということ、これに対して長官は、これには善処する、確かに、こういうような発言があったと思うのでありますが、依然として加害企業代表が入っており、そして被害者代表が入っておらない。こういうようなことでありますけれども、この問題については長官いかがでありますか。
  189. 小沢辰男

    小沢国務大臣 中公審で例の自動車排ガスの問題が起こりましたときに、専門委員としては、企業代表を直接利害関係人として入れることはいたしませんと申し上げておりますが、審議会の委員について部会に全然、入れませんということを申し上げたわけではないわけであります。やはり中公審の委員には各界各層から来ておいていただきませんと、実際問題として、いろいろ、われわれが規制値を決めて、これを取り入れて実行させていく場合でも非常に困りますので、やはり受け入れ体制側の方々も入っていただいて、そして、みんな納得の上でやってもらわなければいけない、また納得させたいというような意味もあって入れているわけでございますから、中公審の委員から全部、排除しますというふうには、私どもはいまだかつて申し上げないし、また、いまも、そのつもりはないわけであります。
  190. 島本虎三

    ○島本委員 この問題については、長官の考えがそうだとすると、これまた大きい禍根を残すことになるのじゃないかと思う。やはり加害企業代表の川又日産自動車会長も依然として任命されている。それに対して恬と恥じない。それで、被害者側の人はだれも入っていない。一体これでいいとするならば、まず、やむを得ないのでありますが、これがいいとすると重大な問題でありますことだけは、よく覚えておいてもらいたいと思うのです。  そうして、きのう午前十一時から、ちょうど公害対策全国連絡会議代表委員の人が、事務局関係の人を入れて、四つの問題についての申し入れを環境庁長官にやりました。環境庁長官は、それを受けたと思うのであります。その際に私どもとしては、社会党という立場で私が立ち会いました。共産党では米原昶議員も立ち会いました。二人、立ち会っている中で、堂々と環境庁はうそを言ってもいいのですか。これは公党に対する侮辱ですよ。あなたは、その際に一切、根回しはしておきません、そうして、この会議の中で私どもは根回しをしたり、こういうようなことはいたしておりませんと、はっきり言明いたしました。しかし、きょうの日経によると、これは中公審の審議に関しては一切、根回しをしていないとはっきり言明しながらも、一部の委員に対して総会で和達会長を推薦する発言をするように依頼しておったことが委員指摘でわかり、同庁もこの事実を認めた。「城戸次官らも、総会の座長の推薦と和達委員を会長に推薦する発言を二人の委員に対し総会前に依頼していたことを認めた。」こういうようなことであります。一切、根回しをしていないというのに、それはきのうの午前十一時、そうして私も米原議員も立ち会っていた。それが完全に、こういうような新聞に出る。これは新聞の方がうそですか、それともあなたたちは私どもを前に堂々とうそをついたのですか。この責任ある答弁を求めます。
  191. 金子太郎

    ○金子政府委員 事実関係につきまして私から御説明申し上げたいと思います。(島本委員「事実関係を聞いてるんじゃない」と呼ぶ)きのうの新聞報道を引用されましたので、それに関係のある事実関係について説明をさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  今回の中公審の総会は、非常にかたい辞意を表明されました和達会長の後、どういうふうにして会長を選んでいただくかというのが大きな問題でございました。また従来、慣行として互選の手続をやらなかったのですが、一部の御指摘もありましたので、この際、互選の手続を総会を開いてやろうということでございました。  そこで、開会と同時に和達会長が辞意を表明されるわけでございますので、仮座長が必要となるわけであります。そこで、いろいろな審議会、委員会等で広く行われておりますように、年長の方に仮座長になっていただいて、会長の選出を進めていただくということをやらざるを得ないわけであります。そこで年長の方にお願いに参りまして、仮座長をお引き受けいただきたい、こういうことを申し上げた次第であります。  そこで、このような大型の審議会では、やはり広く行われておりますように、その場合の議事運営のあらまし、粗筋について、どういうふうに進めていったらいいか相談に乗ってくれということでございましたので、私どもが仮座長と御相談いたしたのは事実でございます。  その結果、たとえば仮座長にだれがいいという御発言は、どなたかに頼んでおいてもらいたいという話がありまして、発言のきっかけをつくるという意味合いで、仮座長を予定された方の御指示といいますか御依頼といいますか、ありまして、頼んだのは事実でございます。  それから、仮座長をお務めになる方が、後任についてだれがいいということを、ある人、自分のよく知っている人で信望の厚い方に、何か御発言いただこうと思っている、それは君たちはやっちゃいけない、自分がよく知っているから、自分が電話をして頼もうというふうに言われました。  それから、もう一つは、和達会長がわざわざ私どものところにおいでになりまして、自分としては、し残した勉強があって、それをなるべく早急にしたいということ、その他いろいろな事情から、今度は辞意は非常にかたいんだ。したがって自分をもう一回、会長にするような根回しは一切しないでほしいと、かたく、くぎを刺されたわけでございまして、それで私どもは、そのような和達会長再選工作的なことは一切いたしませんでした。  また、参考までに申し上げますと、議事の過程では、座長と考えておりましたような筋書きといいますか、半けいにして五、六枚のものが一応の筋書きであります。しかも一行おきに書いてありますから一ページ十行ぐらいのものでございますが、それで一時間半の議事を進められたわけでありまして、よく、いろいろな審議会で広く行われております議事運営の概要的なものでありますが、そのとおりに行われないで、いろいろなハプニングなどがございまして、仮座長が御みずから発言を依頼された方は、とうとう、きのうは発言をされませんでした。  また、そのほかに仮座長から頼まれましたのは、自分は、こういうことは初めてなんだけれども、いままで手続をしていなかったことの法律論というのは、やっぱりあるんじゃないか、その点はよく詰めておいてもらいたいし、そういう質問が出たときには自分はできないから、それは役所側でやってくれ、こう言われまして、それは官房長たる私がいたします。じゃ、その概要を聞かしてもらいたいということで、その概要をメモしたものを仮座長の方にお渡ししたというような事実などもございます。  そういうことでございまして、私ども初めから結論を想定して根回しをするというようなことは、きのうの総会についてもやっておらない、こういう次第でございます。
  192. 島本虎三

    ○島本委員 では、これは根回しはしないということですか、したということですか。
  193. 金子太郎

    ○金子政府委員 発言のきっかけをお願いするというものまで根回しであると解釈されますと……(島本委員「イエスかノーかでいいです」と呼ぶ)根回しになってしまいます。私どもが根回しと考えておりますものは、会議の結論を初めから決めて、それに向けて全部を持っていく、そのためにしかるべく反対意見の方を抑えたり、あるいは、ある方向に誘導するような議事運営を……(島本委員「結論だけ言いなさい」と呼ぶ)各委員方にお願いして歩くというのが根回しであるということでございまして、中公審は、そういうことは一切いたしておりませんし、また、そういうことはきくような審議会ではないと、私どもはかたく信じております。
  194. 島本虎三

    ○島本委員 あなたは、私と米原和議員がおって、根回しはしない、はっきり、しておりませんと重ね重ね言っている。いまの言葉は、したことになるじゃありませんか。そうして、その文書もちゃんと出して、言われた人が、そのとおり発言しておるじゃありませんか。この和達さんはりっぱな人なんです。今後も、こういうような人に残ってもらわなければならないのです。礼を十分、尽くして、そうしてやるべきなのに、あなたがそういうような行動をするために、本人は傷つくじゃありませんか。恥じなさい。まして、われわれの前で根回しをしないと明確に言って、根回しをしていた。この事実がはっきりした場合には、あなたはどういう責任をとりますか。これだけじゃ済みませんよ。私だけならまだしも、二人もいる。その前ではっきり言明している。それも一回じゃないでしょう。現に、このやり方のルーズなこと、いままでは、もう委員でもない人をはいれないのに入れてあったり、そういう運営もさしていた、大気部会、専門部会。何ですか、これは。そうして、それが指摘された。それでもなおかつ委員の交代、こういうようなことはやると言ったり、やらないと言ってみたり。まして「中央公害対策審議会に会長を置き、委員の互選によってこれを定める。」と、はっきりこれは審議会令で決まっている。昭和四十二年十一月二十五日。これは慣例によって互選していないと言うが、ちゃんと決まっているのを、どういう慣例を、いつ、つくったのですか。じゃあ言いなさい、それを。りっぱな人を傷つけるんじゃないよ。
  195. 金子太郎

    ○金子政府委員 中公審の会長は、昭和四十六年に環境庁が発足いたしましたときに一度、互選の手続をとって和達会長に引き受けていただきましたが、その後は委員長の任期が満了になって再任されるときに、改めて総会を開いて互選の手続をいたしませんでした。その点は御指摘があれば、私どもの怠慢ということで、おわびを申し上げるほかないと思っております。ただ、私どもも少し考え方が甘かったのでございますが、ほかの審議会でも、そういう場合にきちんと互選をされるところもございますが、互選をされていないところもあるようなことでございまして、中公審のメンバーの方々は、それぞれ各界で重要な地位を占められ、お忙しい方も非常に多いというようなことも考えまして、また、委員の数が九十名という大型の審議会でございまして、定足数をそれだけのために確保することも、なかなか容易ではないというようなこともございましたので、つい慣行として、そういう互選の手続を省略し今日に至ったという事情でございます。  なお、その有効性につきましては、政令に定める手続規定というものの効力に係る解釈の問題でございますが、私どもは、その場合も有効であるというふうに解釈いたしております。
  196. 島本虎三

    ○島本委員 自分勝手に何でも解釈して有効であると決めている。四十六年に一回互選されただけで、二年ごとにこれは変わるのですね。二年ごとに変わったら、互選されるまでの間は出てきたら委員でしょう。すぐもう委員長が互選されないうちに委員長なんですか。これはもう慣例によると言うが、いつ慣例ができたのですか。一回やったまま怠慢じゃないですか、それは。そういうのは慣例とは言わないんだ、事務当局の怠慢と言うんだ、それは。環境庁に言わせると怠慢まで慣例と言うのか。このために、りっぱな人を傷つけるということを知っているのか。だから、あなたは結局は、私も米原議員もおったのですが、これは確かに言明してありますけれども、根回しはしたのですか、しないんですか。そこだけはっきり言ってください。
  197. 金子太郎

    ○金子政府委員 私どもは、発言のきっかけをお願いするようなことは根回しとは思いませんから、私どもは根回しをいたしておりません。
  198. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、根回しをしたという事実がはっきりした場合には、あなたは、私どもを無視するか侮辱するか、そういうようなことになりますね。一切これはもう根回しはしないとわれわれの前で言明していて、それで入っていったはずです。それが、あなたが書いたのか、だれが書いたのか、環境庁が書いた、そのとおりに発言されている。山添委員、金沢委員、いつもこの総会では発言しない人だそうですね。そういうような人たちが、こういうメモを見ながら次々と発言しておる。約十人くらいの人数が次々と発言する。すべてこれは根回しによるものだ。特に山本という委員、新居委員、山添委員、金沢委員、平田委員、それらの各氏には環境庁から、もうちゃんと文書が事前に配られている。これをもって根回しと言わぬのですか。
  199. 金子太郎

    ○金子政府委員 いま先生が言われたことの中には、私ども承知しております事実と違う点がございます。  まず、環境庁から文書を配ったというようなことはございませんし、それを、その文書を読みながら、そういう方が発言されたということはございません。そのことは、昨日、出席されました六十六名の委員一人一人にお聞きいただけばはっきりすることだと思います。  それから、山本先生は確かに、仮座長は年長者であらせられる新居先生が適当かと思いますという発言をされました。しかしながら金沢先生は、これはたしか仮座長が発言を依頼されていた方かと思いますが、最後まで一言も発言がございませんでした。したがいまして、半けい一ページ十行、五、六枚のト書きでございますが、おおむね、そのとおりに行われたというような審議会ではございませんで、仮座長は予想もしないような、たとえば会長の互選は投票しようというような動議が出まして、では投票するがどうかについて、また採決をしょう、その数を数えるというようなことから始まりまして、その他、仮座長としては全然、予期されていなかったような議論が幾つかされまして、相当な時間を必要としたというのが事実でございます。
  200. 島本虎三

    ○島本委員 この委員を選ぶ際の手続、こういうようなものも不十分、そして自分らの怠慢を慣例だと言い含める、正規の手続もないままに会長に留任する、これはおかしいという疑義が出た場合には一体どうなりますかね。正規の手続じゃないんだ。こういうようなことは、まあ、りっぱな人を傷つけるだけじゃない、会の運営自身の問題にもかかわるじゃありませんか。そういうような運営のもとに、この公害健康被害補償法、こういうようなものもつくられてくる。とんでもないことじゃありませんか。いま、あなたははっきり言いましたけれども、根回しはしない、しておらないと。いずれ、この問題については黒白が明らかになります。なった場合には、あなたはどうします。
  201. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私が環境庁の最高責任者でございます。三木長官のときに、ちょうど和達さんの第一回目の任期が切れておるわけでございますが、かつて御承知のように、この八十七人、全体で九十名の委員が一遍に任期が切れてないわけですね。それは先生、御存じだろうと思うのです。今度もまだ三月一ぱい、五月に切れて改選をしなければいかぬ人もあるわけであります。ですから、したがって、そういうような構成なものですから、まあ一回目に互選をされた和達会長を引き続き会長としてお願いしましょうや。まあ皆さんも、それで異議ないというようなことで、きておったんだと思うのですよ。私、その当時いなかったから知りませんが、それで皆さんも、そう規則どおり、どうだこうだという議論もしなかったということだろうと思うのです。私、今回のときに官房長から相談がありまして、そういうようなことなら、また会長をぜひお願いをしたい、本人はいやがっておられたけれども、ぜひ頼みますよと言っておったわけです。ここは不用意だったと思います。いま、あなたが規則上おかしいじゃないか、規則では互選になっておるのに何だと言われれば、そのとおりなんでございまして、その議論が出たのが、例の全国公害会議の代表者の中に入っておる中公審の委員の福田君の方から、いろいろ、あれが出たということから、おおそうか、それじゃ、これは中公審を開いて互選をしてもらったらいいじゃないか。そういう決まりになっておるのに、しなかったのは確かに悪いことだから互選をしたらいいだろうということで、したがって、いま先生は和達さんに傷がつくと言われますが、私は、ちょっとこれはうかつだったか、あるいはそれが正確でなかったのかどうかわかりませんが、和達さんをやめさせろという強い申し入れのように聞いておったわけであります。和達さんをやめさせろ、そういうように聞いておったものですから、それはしかし互選をやるというのは、これは法律上やらなければいかぬ。これは私の方の手落ちだから互選をやるために中公審を開かなければいかぬ。しかし和達さんのようなりっぱな人をやめさせろと言われても、いまの互選の問題等、考えれば、とにかく民主的に中公審で選んでもらわなければいかぬ。互選をしてもらわなければいかぬので、こっちがやめろとか、やめないとか言うようなことは、それはおかしいということで、一部の人にそういう意見があっても、それはひとつ中公審を聞いて互選をしてもらう。その場合に、この中公審の総会には議題というものはあるのですから、それは座長になる人に、議題のあれはこうでございます。進め方はこういうふうにしましょう。実は経過としてだれも知らぬわけですから、われわれの方には、こういう抗議も来ておりますということを申し上げたり、九十名近い委員会ですから、少なくとも仮座長選任に、まああんた、ひとつ発言をしてくださいということは、各省が持っている審議会の通常のやり方として、まあ国会委員会みたいに理事というのが決まっておって、理事が集まって相談をして運営の手順を決め、こうするというようなことが決まるようなところなら別ですけれども、そうでないところで、それぐらいのことはお許しを願うのはあたりまえじゃないだろうか。何も和達さんにもう一遍、会長をやらすために、やってもらうために、あらゆるところへわれわれの方でお願いをして、そしてみんな同じ発言をするようにというような、そういうことは絶対にいたしておりませんし、もし、そういうことであるとすれば、それは中公審の責任は何も事務当局責任じゃないので、私の責任でございますから、そういうことがありましたら私におっしゃっていただきたいと思うわけであります。
  202. 島本虎三

    ○島本委員 まあ、いろいろありますよ。開会後の「会長ただいまから」云々から、ずっと言ったように書いてありますよ。写真までありますよ、これは。それから会長あいさつの後からずっと、こういったのを筋書きどおり書いていますよ。それを根回しでないと言うなら、いずれ、はっきりするでしょう。というのは、この本人のことじゃないのです。事務当局の行っている、いわば中央公害対策審議会令の扱い方に、これにはっきり載っておるのに、それによらないでやっておって、これは慣行によるものだ。一回も改選しないで、そのままだ。これは委員として再任するのであって委員長に再任するのではないはずです。どこの委員会へ行っても、みんなそれです。委員長に選ばれるまでの間は委員として、その席にいるのです。なぜ環境庁だけ初めから、もう委員となったら即委員長になる慣行があるのですか。これが善良なる慣行だとすると、ほかの委員会はみんな善良でない慣行ですか。どうもこの点は怠慢だということだ。問題は、こういうようなことのために、あたら和達さんのような人が、恐らく本人は辞意はかたかったであろうと思うのでありますけれども、しかし、そのためにこそ、こういう変なことをしないで、もっと中で話し合って、お願いします。あなた以外にありません。決まった上で、それをやったっていいのだ、何も根回しをしないで。まして、われわれの前でも根回しは全然しておりません、一切、根回しをしていない、こう言いながらも、紙を回して、きちっとやっている。その中には事務次官までも、その点については二人の委員に対して総会前に依頼していたことを認めた。何事ですか、これは。事務次官も官房長も一緒にいたのですよ。そういうようなことで私どももいて、本当に根回ししていない、これは大変だと思っておった。きちっとやっていながら根回ししていないと言う。私は社会党の島本虎三ですよ。共産党の米原昶議員もおったのですよ。二人立ち会いの前で堂々と前言を翻す。これは私としてはどうしても理解できない。  まして、こういうようなりっぱな人を傷つけるような事務局、その怠慢をもって慣行だという、このしきたり。りっぱに運営されてこそ国民の健康が守れるのです。りっぱに運営されてこそ、そこから出してくるところの答申なり、それに基づいて、りっぱな法律として、これは成立することになるのです。もちろん審議します。大もとがぐらつき、大もとがめちゃくちゃで、どこからいいものができますか。その責任環境庁ではないですか。もうこれは自動車の排ガスの問題でこりているはずじゃありませんか。にもかかわらず、まだ、これが徹底していない。私は、これは本当に遺憾に思います。それに全国民のいわば生命と健康と生活にかかわる環境問題を審議するのが中公審の任務ですから、その重いことはだれでも知っているわけです。それと同時に、その運営や手続や、あり方は、すべて民主的なもの、これでなければならないことは知っているのです。いろいろな状態を見る場合には、余りにも、これでは運営の点で環境庁自体おかしいと残念に思います。そういうようなところから出てきたこの改正法案、一体どう思いますか、大臣、これは。もっと大もとをきちっとして、それで運営してこそ、りっぱなものだ。大もとぐらぐら、そうしてなお、それに拍車をかけるような発言も聞こえましたけれども、いまの自動車業界の状態、依然としてあの参考意見を出して、この中で恬として恥じないトヨタ、日産、恐らくそういうような人たちに対して、あくまでも皆さんの考え方は徹底してないじゃありませんか。何ですか、これは。こんなことで、まともにこれが審議される、こう思っているのですか。私はどうしても、これは理解できない。
  203. 小沢辰男

    小沢国務大臣 島本先生が、どうも中公審はなっておらぬ、そのまた運営の環境庁がなっておらぬ、こう言う。したがって、そこから出た答申の内容も、どうも審議できない、こうおっしゃるのですが、中公審そのものは一体どういう点が悪いのか。あの自動車問題が起きてから、専門委員会には利害関係人は入れない。それから中公審が自主的に、いろいろな議事手続等もちゃんと決めました。それで和達さんも、いま先生もおっしゃるように、りっぱな人であります。われわれが、会長互選の手続を事務的ないままでの二年前のやり方になれて、そのまま、やろうとしたことは、これは確かに悪かったわけでございますから、中公審で改選をやってもらったわけであります。ですから、この前、二年前のときに、恐らく三つの時期に分かれて委員がかわっていくものですから、任期が一緒でもなかったので、そのまま会長にということが今日まで慣例だというふうに、こちらも人もかわっていますから、そういうふうに思い込んで、そうしたんだろうと思うのですが、それについて御意見があったから、それは堂々と民主的にひとつ選挙で互選をやってもらいたいということになったわけでございますし、これだけ大きな委員会ですから、議事運営その他について、これはどうしても若干の事務の根回しをやらなければいかぬという、事務局を担当している者の責任上、それはやっぱりやったんじゃないかと思います。恐らく、まだ依然として業界代表が審議会の委員に入っているということについての御不満だろうと思うのですが、その他は私、怒られる理由は何もないような気がするんですね。確かに、いまの事務局は二年前にもそういうことをやって、そのままに来たものだから、それは確かに、うっかりしたんだろうと思うのですね。二年前にもそうだったから、今度は何か十月から十一月から四回にわたって委員の任期が来るわけですから、そこで会長そのままにということだったんです。それをしかし、いろいろな意見がありましたから、ちゃんと互選の手続をやってもらったわけでございますから。  審議会の委員の中に、日産の会長だとか、そういう人が依然として入っている。私ども実は個々の会社の人の資格で委員をお願いしているんじゃないんです。産業界代表が何人かいるわけですから、それについては経団連の推薦をもらう、こういうことでやっております。それから都道府県の地方自治体は、それぞれの団体から推薦をもらう、そういうことでやっておりますので、それが大気部会に入るか、部会の加入については委員の希望により会長これを決める、こうなっておりますので、そのことだろうと思いますが、誤解を生まないように、ことしの秋に、五十一年の秋に、この検討委員会の結果が出ますから、出たら今度は、それを受けて、どういうような手順でやっていくかということになって、その後、大気部会の問題が、自動車にそれぞれ関係がある問題が深刻に出た場合には、当然、私は中公審の委員は、そのままでいいと思いますが、誤解を与えるようなことのないように私ども何か工夫を考えて、ちゃんとそういう点の、また後で変な言いがかりをつけられては困りますので、その点の善処はしたいと考えております。ですから、いまのところは産業界代表十一名だったと思いますが、まだ、そのうち若干、一人か欠員があったと思いますけれども、まあ、はっきり、いま覚えておりませんが、産業界としての御推薦で決めるわけでございますので、また、それがないと、実際に今度、私どもが効果ある行政をやる場合の支障を来してもいけませんので、この点を全部やめろと言われるのは、私どもとしては困るのでございます。この点は御了承をいただきたいと思います。
  204. 島本虎三

    ○島本委員 どうも私自身としては、ほんの、きのうの話でありますから、まだ、いままでのあり方から釈然としません。したがって私は、この問題は後に尾を引く問題である。また果たして根回しした、しない、まさに、これ私一人だけの問題じゃありませんから、いずれ、はっきりするまで、この問題は留保しておきます。  それが、いろいろな点であらわれてくるのじゃないか、こういうように思われる。まず第一番に、この本案、いいですか、この中でも昭和四十九年の第七十二回国会、この改正法案の審議の際に、二年の間に移動発生源の費用負担については恒久策を検討するということなんです。これは二年、ぜひということで通ったはずです。その結果また、もう一回。それで特に、この附帯決議でも公害防除努力、これが十分、反映されるような方法の確立が要望されているわけです。今回の法案では、その趣旨に沿っていると思えと言っても思えないじゃありませんか。こういうようなことが、やはり私はすべてに影響してくるような気がして、ちょっと心配なんです。一体、いま言ったこの二つの問題、毅然と答弁してください。
  205. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 第七十二国会で法案が成立いたしまして以後、私どもも、のんべんだらりんと、きょうまでやってきたわけじゃないわけでございまして、やはり真剣に御趣旨のような考え方で、いろいろと検討環境庁としても進めてまいったわけでございまして、それからまた私どもだけの考えでもいけませんので、中公審の方の部会にも御検討をお願いし、また特別に公害健康被害補償法の費用負担制度検討委員会という、それ専門の委員会を設けまして、たくさんの関係者、学者の方々に御参加をいただきまして、いろいろこの制度の基本的な考え方あるいは、いろいろな費用の徴収方式、自動車メーカーの賦課方式とか、あるいは燃料の賦課方式とか、あるいは課徴金の方式とか、いろいろなものを具体的な負担の方式等につきまして検討検討を重ねまして、もう何回も何回も検討したわけでございますが、いろいろ検討の結果、昨年の十一月に、いまの検討の専門委員会も、この自動車重量税方式が、これは唯一の一番いい制度だというわけではないのでございまして、いろいろと問題がある、あるいはいろいろの欠点もあるわけでございますが、いろいろの案を比較、検討、考量してみました結果、現段階においては、どうしてもこの自動車重量税収の引き当て措置を継続せざるを得ないという報告書をいただいたわけでございます。これはせざるを得ないのでありまして、した方がいいのじゃないのでありまして、やむことを得ず、この現段階ではしなければならぬ、せざるを得ない、こういうことでございまして、この報告書を受けまして、私ども検討いたしましたのですが、やはり事務的にいろいろ検討いたしましても、やむを得ないということで関係省庁とも意見の交換を行いまして、そういう意見を踏まえた上で昨年の十二月に中央公害審議会の環境保健部会に御審議をお願いいたしまして、保健部会の方でもやむを得ないということで御了承を得まして、本国会提案をさせていただいたわけでございます。  公害防除努力が反映されてないじゃないかということで、確かにそういう面もございます。しかし、たとえばほかの、メーカーに負担をさせるとか、あるいは燃料にかけるというようなこと、これは、いまの公害防除努力という面からいくと、いかがなものであろうかという点も非常にあるわけでございまして、たとえば燃料に賦課をするということになりますと、やはり燃料をよけい食う自動車によけい賦課をするということになりますが、低公害車の開発がされておるわけでございますが、低公害車の方が燃料をよけい食う。したがって、その燃料にかけるということは、低公害車によけい賦課金を課することになってくるというような致命的な問題がございまして、いま、この低公害車をこれからも開発していこうという時期に、そういう面での後ろ向きのあれは、やはりむずかしいというようなことから言いますと、自動車重量税の場合には全く重量が汚染物質の排出に正比例するというわけではございませんが、やはり若干でも重量と排出ガスの関係には相関関係があるわけでございまして、そういう点では、たとえばメーカーにかける場合でも、これは新車にかけるということになって、中古車にかけないということでありますと、公害防除という観点からすると、汚染物質を多量に出しているものにかけないということになりますので、やはり、その面から言いますと自動車重量税からの引き当てということが、公害防除という点からだけ言いますと、まあまあ、ましだというようなことで、再三、申し上げますが最善の策ではございませんが、やむことを得ずということでございますので、御了承願いたいと思います。     〔委員長退席、木下委員長代理着席
  206. 島本虎三

    ○島本委員 努力した、これ以上できない、勘弁してくれ、そう言うなら、自動車以外の移動発生源について費用負担を求めなかった理由、その他の移動発生源のうち前回も十分、指摘されている問題もあるはずだ。特に、いま問題になっている航空機、ロッキードあるいはボーイング747、トライスターなど、この一機のNOxは自動車の約二千八百台に相当するものでしょう。そして羽田空港も指定地域の中にあるでしょう、大阪空港もその周辺にある。そうすると全国的な汚染物質排出量の比によってだけ、すそ切りするというのではなくて、もう少し住民感情を勘案して、社会的費用負担、こういうような点からも、政治的費用負担、こういうような点からも、もっと考えられる要素があるじゃありませんか。そういうような点について考えなくてもいいという、はっきりした根処を示してもらいたい。
  207. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 航空機等あるいは船舶等もあるわけでございますが、そういう移動発生源につきましても確かに汚染物質の排出というのはされておるわけでございまして、先生のおっしゃられるように航空機なんかは一機だけ取り上げてみますと相当の汚染量だ、自動車一台とは比較にならぬような汚染量なんでございますが、一つにはその全体に占める比重というのが非常に少のうございまして、SOx、NOxを含めまして、やはり自動車が圧倒的に多いわけでございまして、航空機で言いますと全体の〇・一%というような非常に少ない割合になっておるわけでございまして、そういう点、それから各指定地域における航空機そのものが大気汚染に占めます寄与度というのも、これもはっきりとつかめないというような点、それからさらに、そういうものからの費用の徴収方式ということが、やはり現時点においては少ない汚染量についてコスト的にうんとかかるというふうなことも、技術的にもいろいろと困難であるというようなことを考えまして、検討はしてみたわけでございますが、いまの段階では、それらの諸般の点を考えまして、今回は自動車重量税引き当てだけで、ひとつやらしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  208. 島本虎三

    ○島本委員 その場合には、自動車重量税の場合に営業用の車と自家用、こういうふうな一つの区分によって大気汚染に寄与しているのは同じじゃないか。営業車とそれ以外の車の比率はどういうふうになっていますか。
  209. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 乗用車の自家用が千二百九十六万八千六百四十七台、営業車の乗用車が二十三万三千六百五十台で一・七八%になるわけでございます。
  210. 島本虎三

    ○島本委員 自動車重量税は営業車以外の車の方が著しく高額じゃないのか。したがって本法案の方式では、営業車と、それ以外の車では、汚染物質排出量と費用負担の関係、これが逆になるのじゃないのか。PPPの原則からするとおかしいのじゃないのか。一般的に都市部なんかでは営業車の方が平均して走行距離が長い、大気汚染に対する寄与度も大きいはずでありますが、しかし、自動車重量税の方は逆に営業車以外の車の方が著しく高額であるというのは、PPPの原則に反するのじゃないですか。
  211. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 確かに、営業車の方が自家用車の平均の走行距離から見ますと五倍ぐらい多くなっておりまして、それは汚染物質の排出の一台当たりのあれからいきますと、営業車の方が大変、多いわけでございますが、この制度によります費用の徴収方法が、やはり走行距離というものを反映させられれば、これは一番いいのでございますが、そういたしますと、三千万台の自動車が毎日どのくらい走ったかということを全部、調べて、それに応じて負担を課するということは、これはちょっと事務的にも現実的に非常にむずかしい問題でございまして、営業車は全体の車の一・八%ぐらいでございますので、やはりその辺は、この制度をスムーズにやっていく上にやむを得ないネセサリーイーブルというんですか、必要悪といいますか、そういう事務的な面でも非常にむずかしいので、御勘弁をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  212. 島本虎三

    ○島本委員 これは将来は、やはり検討対象になる問題じゃありませんか。私は、こういうふうなやり方をそのまま持続して、やむを得ないとする考え方は怠慢だと思います。この問題に対しては、やはりはっきりさせないと、負担の公平の原則をちょっと破壊する。したがって、これは考えなければならない問題じゃないかと思いますが、どうですかね。
  213. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 走行距離問題も含めまして、この制度にはいろいろと、あちらこちら非常に問題点があるわけでございまして、したがいまして、先ほども申し上げておりますように、これが最善の策じゃないというふうに私どもも思っておりますので、そういういろいろな問題点につきまして、今後また引き続いて十分、検討を加えていきたいというふうに考えております。
  214. 島本虎三

    ○島本委員 固定発生源に対する賦課金、これは指定地域と、その他の地域との割合はどういうふうになっていますか。
  215. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 指定地域九対非指定地域一になっております。
  216. 島本虎三

    ○島本委員 九対一の比率で単価が決められているということ、ここから見て、移動発生源についても、指定地域と、NOx、SOxそれから粉じん、こういうようなものの環境基準が維持されている地域とでは格差が設けられることが、本来のあり方としては当然じゃないのか。こういう疑問も当然、生ずるのでありますが、この点に対する解明は全然なかったんですか。
  217. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 今回の自動車重量税引き当て方式の継続措置につきましては、汚染原因者負担考え方に即すると同時に、現実に実行可能な方策がほかにないということで、現段階においては妥当な方法として継続するということにしたものでございますが、この方法によりますと、賦課金額に格差を設けるというのが技術的に非常に困難なことでございまして、また、この制度自動車負担分の費用を個々の自動車に割り振って考えれば微細な額にすぎないわけでございますが、現実の負担の程度として地域性導入という意味はきわめて薄いというふうに考えられますので、また、自動車の場合、移動性が非常に大きいという技術的な問題もあるわけでございまして、したがって、非常に割り切りになるわけでございますが、まあ、いまのようなことで格差を設けておらないわけでございます。
  218. 島本虎三

    ○島本委員 格差を設けておらない、おらない方がいいのですか。
  219. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 いま、指定地域指定地域でないところで、自動車については格差を設けてないわけでございます。
  220. 島本虎三

    ○島本委員 多分、この問題に対しては、重大な問題ですから皆さんが聞いたのじゃないかと思うのでありますけれども、今後、NOx、これについては健康影響の調査研究も進んでいると思うのですけれども、なお一層これを促進して、地域指定要件にその結果を取り入れていくべきじゃないだろうか、こういうように思うわけです。同時に、この場合にはNOxの排出量に応じてSOxと同様に賦課徴収を行うべきである、こう考えますけれども、これは検討の素材に上がっておりますか。
  221. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 NOxにつきましても、公害健康被害補償法地域指定の行われました昭和四十九年十一月の中央公害対策審議会の答申にも、SOx、NOx及び浮遊粒子状物質の三種類の汚染物質を指標としてやるように総合的に考慮するべきだというふうにされておるわけでございますが、ただ、NOxの場合につきましては、健康被害に対する寄与度をきちんと定量的に把握をするというようなことが、なかなかむずかしい状況にあるわけでございますので、その答申におきましても具体的に数値的には示されておらなかったわけでございます。地域指定の要件についてのNOxの具体的な取り扱いにつきましては、四十五年度から五年計画で実施しておりました複合大気汚染調査と、それから五十年度から実施しております川崎と兵庫県の二地域における沿道住民の健康影響についての調査をやっておるわけでございますが、その成果を踏まえまして、また、先生おっしゃるような問題について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  222. 野津聖

    野津政府委員 先生、御指摘ございましたように、今度は汚染負荷量賦課金をどうするかという問題が、もう一つあるわけでございます。この排出係数の問題は非常にむずかしい面がございまして、各種の燃料あるいはその燃焼の量、状況によりまして、排出係数を、いわゆる硫黄酸化物のような形だけで決めるということには非常にむずかしい面がございまして、現在その方面につきましても、実際の排出のデータと、それから排出係数というものにつきまして鋭意、検討を進めているところでございます。
  223. 島本虎三

    ○島本委員 約束の時間になったそうであります。あとは、この次に残して、きょうは、これで質問を打ち切ります。
  224. 木下元二

    ○木下委員長代理 次回は、来る三月九日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会