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1976-05-19 第77回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十九日(水曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 太田 一夫君    理事 瓦   力君 理事 三枝 三郎君    理事 羽田野忠文君 理事 林  大幹君    理事 野坂 浩賢君 理事 紺野与次郎君      小此木彦三郎君    片岡 清一君       左藤  恵君    井上  泉君       久保 三郎君    佐野  進君       土橋 一吉君    小濱 新次君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸政務次官  佐藤 守良君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         建設省道路局次         長       中村  清君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     五十嵐 康君         文部省初等中等         教育局高等学校         教育課長    倉地 克次君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     中沢 忠義君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     紫藤 良知君         気象庁予報部長 窪田 正八君         労働省婦人少年         局年少労働課長 本多去来彌君         建設省河川局水         政課長     佐藤 毅三君         建設省道路局地         方道課長    三野栄三郎君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         日本国有鉄道環         境保全部次長  渡辺 和美君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     中村 弘海君 同月十七日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     足立 篤郎君     ————————————— 五月十四日  駅構内踏切立体化促進に関する請願小沢貞  孝君紹介)(第四三七七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四三七八号)  同(吉川久衛紹介)(第四三七九号)  同(倉石忠雄紹介)(第四三八〇号)  同(羽田孜紹介)(第四三八一号)  同(中澤茂一紹介)(第四五〇八号) 同月十五日  駅構内踏切立体化促進に関する請願小坂善  太郎君紹介)(第四八〇七号) 同月十七日  駅構内踏切立体化促進に関する請願(林百郎  君紹介)(第五〇四七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 太田一夫

    太田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 交通安全対策の仕事といいますか、この指導というものは、ほとんど警察中心のような感がするわけですが、過般兵庫県に起きました、神戸市にあった暴走族事件等、まことに住民の心胆を寒からしめるような出来事であるわけですが、この暴走族が出だしてからもう三年、四年という年月が経過しておる中で一向衰えそうにもない。しかもまたそれが集団化し組織化し凶暴化しておる。こういう状態に対しまして、警察庁としてはどう対処されようとされておるのか、この機会にまず承っておきたいと思います。
  4. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族に対しましては、かなりそういった歴史は古いわけでございまして、雷族くらいから始まってくるわけでございますが、集団を巻き込んでの事件というのは四十六年の福井が初めでございます。それから四十七年に富山でかなり大規模事件発生をしている。そのころから各地で群集を巻き込むような事件が、主として関西方面発生をしておるわけでございます。その後グループ化も進んでまいりまして、対立抗争事件もいろいろと起こってくるというようなことがございまして、四十九年には警察庁の方でも各関係の局、これは交通だけの問題ではなく、交通なり少年の問題、あるいは事案発生によっては刑事の問題にもなってくるし、警備の問題にもなってくるというようなことから、四局長合同通達を出して対処していく。さらに、昨年には、次長中心として暴走族総合対策委員会を設置しまして、警察立場における総合的対策を推進してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  総合対策、まず暴走族実態をよくつかんでいくということでございますが、われわれが昨年六月現在で調査しましたところでは、暴走族を約二万三千ぐらい警察把握をいたしておるわけでございますが、そのうち三千ぐらいが特定のグループには属していない。グループは五百七十グループぐらいあるわけでありますが、暴走族組織というのはかなりルーズなものでありまして、組織離合集散が激しい。それから構成員の新陳代謝が非常に激しい。過半数暴走族になってグループに入ってから一年未満というような構成でございまして、その構成を常時的確に把握するということは大変むずかしいわけでございますが、これもできるだけ引き続き把握に努めていく。  そこで、暴走族の起こす事案と申しますと、路上スピード違反とか信号無視とかあるいはサーキット行為、こういったいわゆる道交法違反行為、あるいはそれに伴って起こる交通事故、こういったもののほかに、先ほどもちょっと申し上げましたように、暴走族群集を巻き込みまして群集の前でサーキット行為をして見せたり、群集と一緒になって騒ぎ出すというような騒動事案、それからグループができてきますと、グループ間の対立抗争事案、さらに一般の車なり一般の人に対する暴行事案を起こしていく、それから取り締まりの警察官に対してさらに公務執行妨害というような事案を起こすというような、単なる道交法違反事案以上の悪質な事案も起こすようになってきているわけでございます。  そういった観点から、暴走族の動きにつきまして常時十分な把握に努めまして、このような不法事案を起こさせないようにする。暴走族が出ますのは大体土曜日から日曜日の夜にかけて多いわけでございますが、その際には事前にできるだけ情報もとりますが、検問も強化していく。事前に説得できるものは説得してやめさせる。また、現場検問において把握したものについては、その検問の際に説得をして暴走をやめさせるというような措置をとってまいっておるわけでございます。  昨年も、六月ごろから十月ごろ、このころが暴走族の一番のシーズンになるわけでございますが、土曜日の夜から日曜日にかけましては、全国で一万人余りの警察官を動員いたしまして、このような措置をとってまいったわけでございます。そうしたことによりまして、昨年は最盛期において暴走族の大規模事案というものを抑圧することができたわけであります。  こういうようにして、事案が起こりました場合には、やはりこうした悪質な事案については、今後その禍根を絶っていくという捜査も徹底してやるようにいたしております。  また、暴走族構成員は、過半数未成年者である。特に大都市におきましては未成年者の比率が高いわけでありまして、東京の例をとりますと八〇%は未成年者である。また、高校生が四割を超えるというような状況でございます。そういったことで、現象面では交通問題でありますが、同時にこれは少年問題でもあるといったことから、少年関係補導というものも強化をしていく。そうして悪質なグループについてはできるだけ解体、補導に努めていく。また、各方面の協力を得ましてこうした空気をなくしていく。そういった面で家庭なり職場にも連絡をして、こうした空気をなくしていく。このような諸般の対策を講じて暴走族を抑えていく。特に悪質な行為を抑えていくように努力をしているところでございます。  そこで、その数が減っているかどうかということでございますが、ことしに入りましてからの状況を見ますと、かなりの警察力も投入をいたしておりますので、先ほど申し上げましたような悪質な事案の件数というものは、必ずしも昨年より多くはない。しかし、街頭に出ている暴走族の数、これは昨年に比べまして四割ばかりふえているというような状況でありまして、全体の状況として見ますと、必ずしもその効果を上げているというわけにはいかぬということであります。  こういった面から、今後とも従来やってまいりました方策をさらに強化いたしますとともに、さらに広い立場からこの問題についての検討を進めていきたい。幸い総理府の方においてもこういった問題についての検討機会も設けていただいておりますので、われわれの意見もその際には申し上げて、さらに効果的な対策を講ずるように努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 いろいろ御苦労なさっていると思うわけですけれども、大体暴走族は親の言うことをそう聞くような若い者はやってないわけです。そういう点から考えて、私の意見ですけれども集団で車を走らせておるときはもちろん、集団でなしに一人で信号無視で突っ走ったり、あるいは横合いから蛇行してそのまま突っ切るとかして、運転をしておる者にはっとした恐怖感を与えるような、それでいつ接触の事故を起こすかわからないような、そういう不始末な暴走族に車を運転しておる者は随時遭遇するわけですね。  たとえば交差点に警察官がおっても、警察官が制止することもできないスピードでさあっと通るわけですから、これはもうどうにもならぬわけなので、そういう無軌道な暴走族に対しては、それを認めた者が、車のナンバーなり何なりチェックしておって警察等に通報する、それで警察はそれを追跡調査すれば、その者がどういう者であるかわかると思う。一々追跡調査することもそれは大変だと思うわけですけれども、ある程度そういうふうなことをすれば、暴走族衆人環視の中におる、いつそういう摘発を受けるかわからぬ、そういうことで一つブレーキにもなるし、また暴走族を抑える一つの手段にもなりやしないかと思うわけです。そういう危険な運転をしておる者は通報してください、これはもう各層が協力する中でやらなければ交通事故というものをなくすことはできないから、そういうことをしてくださいというような呼びかけを、警察庁なりあるいはまた総理府なりでできないものかどうか。その点についての御見解を伺いたい。
  6. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族一般のドライバーの目の前で非常に悪質な行為をやっている、したがって、先生のおっしゃるように、その暴走族を現認している方、特に悪質な交通違反に該当する行為を現認している方がかなり多いと思います。そういった方から通報していただければ大変ありがたいと思うわけでございますが、これを交通違反として処理をする場合の証拠ということになりますと、かなり具体的な事実を教えていただかなければ事件としてなかなか処理できないという問題があるわけでございます。警察官の現認でも交通違反というのはほとんど現行でやっておりまして、状況を目認して、それを後で書類で報告して、事後捜査事件に立てるというのはなかなかむずかしいという問題が一つございます。そういった面については、技術的にさらに、暴走族のようなものについて、警察自体としても、集団の場合にとめられないという場合もあるわけでございますし、今後、現場の採証方法により有効な採証方法等検討しなければいかぬと思います。一般の方に通報をしていただいた場合に、それが有効に処理できるような形で通報していただく方法がうまくできれば、そういったことについても、ひとつ関係方面とも相談をしてみたいというふうに考えます。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう点、たとえば警察のよくやる説諭とか訓戒とかいうことで、交通違反としての立証はできなくとも、そういうことをやった者は警察に呼び出されるということだけでもぴりっとするものですから、そういうふうなことを検討もしていただきたい、こういうように思うわけです。  たとえば、きょうの新聞なんか見ても、コカ・コーラを送っておった車が、坂道エンジンブレーキもサイドブレーキも引いてなくて、そのまま坂道を走って、若いお母さんを殺し子供を傷めたというようなことも起こっておるし、ほんのちょっとしたことで交通事故を至るところで起こし、後を絶たないわけです。  先般、高知県の大川村というところで、過疎バスが、いわゆるスクールバスですが、道路工事現場に差しかかり、流失した橋梁のかわりに仮橋をかけておったのですが、その仮橋に乗った途端に仮橋がこけて二十数人の者が一度に重軽傷を負ったわけで、幸いにして死亡事故は一件もなかったわけです。私も先般現地を調査したときに、これで死亡事故がなかったのが不思議だと思われるような状態のところであるわけです。  そこで、この原因等については、警察なりあるいは運輸省陸運局等捜査をしておるわけですけれども、現に自動車がこけたことだけは事実である。そういう点における道路工事をしているものの交通安全に対する配慮がないではないか。建設省工事をする場合にも、いわゆる工事現場管理責任者とか管理者とかいうものはなるほど置いてあるけれども、その中で交通安全の専門の係とかを、車の通ってないところの道路、つまり改良とかあるいは新設とかいうような場合ならいざ知らず、絶えず車が往来をする、そして人が往来をする中における道路工事に、交通安全管理者というようなものを建設省としては配置する、そういう考え方はないものかどうか、ないとするならば、どういう理由でないのか、その点を承りたい。
  8. 三野栄三郎

    三野説明員 お答えいたします。  道路工事中の、特に現在自動車交通があるところで工事をやる場合に、その交通の安全についてどういう処置をとっているかという御質問かと思います。私どもといたしましては、最近道路交通も非常に多くなっております。そういうことから十年ほど前に道路局長通達を出しております。それは道路工事現場における標示施設等設置基準というものもございますし、さらに土木工事安全施工技術指針というのを全建というところで出しておりまして、私どももそういうものの監視をいたしております。具体的に申しますと、道路工事現場におきましては、必要な防護さくとかあるいは標識さらに交通の安全を確保するための誘導員、そういうようなものについて具体的な指示をいたして指導しているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう通達だけではなくて、常日ごろ工事の安全を確保するために、実際に工事現場におきましては発注者はもちろんのこと、工事を請け負いました受注者、そういうものに十分注意を喚起しておるわけでございまして、実際の工事に当たりましては警察あるいはバス会社等道路を利用いたします主要な機関施工方法などについて打ち合わせを行うように指導いたしまして、常日ごろ安全な交通の確保に努力をいたしておるところでございます。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうふうにしておるのかもしらぬけれども、現実に、これは具体的な事例高知県の大川村におけるバス転落事故ですが、七メーター道路に対して三メーター五十の仮橋をかけて、その仮橋を通っておって仮橋がこけた、その下では七メーターのもとの道路にするための本工事をしておる。つまり一方では仮橋をかけて通り、すぐその下ではそういう復旧工事をやっておる。こういうところで果たして交通安全の配慮がなされておったかどうか、そういう点はお調べになったのでしょうか。
  10. 三野栄三郎

    三野説明員 この事故につきましては、事故発生後すぐ施行者でございます高知県の方から報告を受けております。それによりますと、仮橋をかけております地点には防護さく、さらに加重の制限の標識そういった施設をやって交通の安全を確保するという措置をとっていたように聞いております。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 いままで七メーターの橋が今度三メーター五十になるから、削り取られておる三メーター五十のところは、向こうに行けませんといってさくをするのはあたりまえです。そういうことじゃなしに、道路工事をする場合には、いわゆる工事施工管理者とは別に、道路交通安全の管理者というものを配置するだけのものを持たなければいかぬじゃないかと思うのですが、そういう反省は考えられないですか。施設をすれば事が足りるのじゃないですから、施設ができ、そこが安全に通行できるような状態にするために交通安全の管理者というようなものを道路工事の場合には特に置く必要がありはしないかと思うのですが、そのことはどうですか。
  12. 三野栄三郎

    三野説明員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、交通誘導員、そういったふうな人を極力配置するように私ども指導いたしておるわけでございます。実際の現場におきましては、道路管理者なりあるいは施工者の中で必要な人をそういうところに配置するというのが一般的なたてまえでございまして、私どももそういうふうに常日ごろ指導いたしておるわけでございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 一般的なたてまえで常日ごろ指導しておると言っても、私は、そういう道路工事をするのに道路交通安全の管理者がだれそれだとか、どういうように配置してあるとか、そういうような標識を見たこともないのですけれども、そういうふうに交通安全管理者というふうなものを置いておるところもあるのですか。
  14. 三野栄三郎

    三野説明員 お答えいたします。  都内等で、先生自動車で走られる場合に、工事をやっておりますときに誘導員等を置いている事例はたくさん散見されていることと思います。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう者を置いておれば、つまり交通安全——たとえばこの間山形県でトンネルの中で事故があった。これは一般道路交通のためのトンネルではないけれども、あそこで八人か九人かガス爆発で亡くなった不幸な出来事もあるわけですが、この大川村の場合なんかでも、下で工事をしておるし、そこに安全管理者でもおれば、その橋がどういう状態であるかということは絶えず注意ができると思うのです。そこに誘導員なり何なりおれば、いま下でこういう作業をしておってこうなっておるから、これを通ると危険ですよというような指導がなされると思うわけです。建設省としてはいろいろ一生懸命にやっておられると思うけれども、そういう不十分な点があるわけですから、いま一たび道路交通工事に伴う安全対策について特に指示をするとかいうような考えはないですか、こういう反省の上に立って。
  16. 三野栄三郎

    三野説明員 この工事は県の事業でございまして……。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 それはそうであるが、道路工事についての安全については、なお注意をして留意してやるとかいうような指示をするあれはないのですか。
  18. 三野栄三郎

    三野説明員 本件につきましては実態をさらに調べ、ほかのこともよく調べまして、十分今後対処してまいりたいというふうに考えます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことだけが事例でなしに、そういう事例にあるがごとく一般的に私は申し上げておるのですから、いまあなたの言われるように、これは恐らく道路工事というものをやる中では、そういう交通安全の管理者工事施工管理者と同じぐらいのウエートを置いて配置をするようなことが望ましいことだと思うわけなので、なおひとつ、これは地方道に限らず国道でもそのことは言えると思いますので、よろしく指導をお願いしたいと思います。  そこで、こういう過疎地域、この事故の起こったところは主要県道でありますが、数年来、いわゆる一般交通バス運行をやめて、その地域でそれぞれ過疎バスを走らすとかあるいは通学バスを走らすとかあるいは民間タクシー業者に委託してやるとかいうようなことで、人の輸送体系というものが山村地域においては従前とはかなり変わってきておるわけなので、そういう過疎地域バス運行についての安全対策というようなものについて、これは道路交通を担当するのは運輸省になるでありましょうか、運輸政務次官の方から、そういう過疎地域における過疎バス、そしてまたバス代行輸送機関安全対策指導方法について御意見を承りたいと思います。
  20. 犬丸令門

    犬丸政府委員 バス等運送事業用自動車運行の安全につきましては、全面的にその対策重点化、推進を図ってきておりますわけでございますが、特にバスにおきましてはその徹底を図っておりますところでございます。制度といたしましては、運送事業者につきまして、運行管理者制度によりまして、運行の安全、気象条件道路状況等、そういったものを調査把握させまして、運転者の点呼時にそういったことを伝達する、もしくは運転者健康管理、そういったような業務を担当させております。それから整備管理者制度がございまして、整備管理者を選任いたさせておりますが、これによりまして、車両点検整備の充実、整備不良によりますところの事故防止、こういったことを図ってきておりますが、過疎地域等につきましては、一層そういった点、道路状況もしくは気象条件、そういったものについての調査を十分にして、安全運行を図るようにしてまいりたいと考えております。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 これはたとえば道路における交通事故というようなことについて、その発生原因というものが、道路管理者の不注意とかあるいはまた運行管理者の不注意であるとかいうような原因によって、それぞれ運輸省なりあるいは建設省あたりがその責任を負わねばならないと思うわけなので、そういう点からも、過疎地域における交通安全というものは、人口が少ないからといって軽視をするのでなしに、やはり最近における交通事故者というものは、都市から地方へ、地方から過疎地域へと、こういうふうに変わってきておる様子であるので、自動車運行管理の面においても、運輸省においては十分な指導監督をしていただきたいと思うし、建設省にしても、やはり道路管理者であって、地方道が県の所管である、あるいは市道が市の所管であるといっても、道路交通の安全を期するための点においては、やはり建設省としての指導というものが必要だと思うので、その点十分留意していただきたいと思います。  次に、私は車検の問題について若干お伺いしたいと思います。  最近、民間車検で、わかっただけでも、高知県と三重不正事件が起こっておるわけでありますが、この内容について詳細に報告していただくと大変な時間を経過いたしますので、不正事件高知三重にもあったということは厳然たる事実なので、そういう不正が起こる原因というものがどこにあるのか、このことについて、監督官庁である運輸省の御見解を承りたいと思います。
  22. 犬丸令門

    犬丸政府委員 いわゆる民間車検工場、これは道路運送車両法によりますところの指定自動車整備事業者制度を指すものでございますが、これは自動車認証工場のうち、設備、技術規模等につきまして陸運局長指定を受けました工場であって、検査員を選任しております工場、ここにおいて一定の省令で定めておりますところの整備をしたもの、これについて検査員が検査した上で保安基準適合証を発行するということになっております。その保安基準適合証は、継続検査の際に陸運事務所に提出いたしますれば、継続検査においての現車呈示が省略される、こういう仕組みになっておりますわけでございます。  その指定民間車検工場におけるところの不正防止、これについては、監査等厳重にやっておりますが、現時点において不正の実態と申しますのは、最も極端な場合には、整備をしないで保安基準適合証を発行するというものでございまして、さらには整備が不十分である、もしくは軽いものになりますと、設備、機器、もしくは帳票類の整備等、事務処理手続が十分でないもの等がございます。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうものであるから、だからそういう不正防止のための決め手というものは、大体検査せぬのに検査した証書を出すということは、これはそれをチェックする者がないから、またそれをしなかったから、そういうことがまかり通ったことではないかと思うわけです。それと同時に、そういう車検も受けない——車検制度というものがなぜあるのかというのは、やはり車の安全管理運行上の安全ということから車検というものの制度があるわけだから、それを検査もせずに検査したというようなやり方、あるいは検査をいいかげんなことにして見逃す、そういうことが現実に起こっておるのですから、これを起こらないようにするためにはどうするのか、そういうものはないのですか。これは人のやることですから絶対ということはないと思うけれども、少なくとも車の車検をしてないのを整備をしたというような形で処理するということは、これはあり得べからざることだと思うのですが、その辺についてこれを防止する決め手というものは、いまのところ人間革命をやる以外には道はないですか。
  24. 犬丸令門

    犬丸政府委員 民間車検工場不正防止につきましては、私どもこの制度の発足以来努力してまいっておるところでございますけれども、具体的な方法といたしましては、監査によってその不正を防止することにいたしております。  その監査でございますが、これは毎年平均二回を目標にいたして実施しておるわけでございまして、指定整備担当の専門官が現在陸運事務所に百四十五名配置されておるわけでございまして、この指定整備専門官を中心にいたしまして監査の立入検査を行うことによりまして、その不正の防止を図っておるわけでございます。  指定整備工場の監査実績でございますが、これは昭和四十九年度におきましては、全体といたしまして二万一千件余りを実施いたしておりまして、指定の取り消しが二件、保安基準適合証の交付停止等が三十二件、文書警告が四千十九件等実施いたしてまいったわけでございます。  しかしながら、その時点におきましても、必ずしも不正がまだ後を絶たない現状でございますので、御指摘のように、今後一層その監査の内容の充実、監査員の質の向上を図りまして監査の強化を図り、また、指定整備事業者自身の、国の権限を持っておるという立場を十分認識をいただいて、そういったような不正防止を図るようにしてまいりたいと考えております。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことにつきましては、また大臣が来られたときに大臣の見解を承りたいと思うのですが、最近駐車違反というのが後を絶たないわけですが、これは車庫証明を出しておるのだから、車にはそれぞれ自動車の保管場所があるはずだから、路上へ駐車するなんということはあり得ないと思うのですけれども、これは非常に多いわけです。この違法駐車の取り締まりというものをやる場合に、その車がどこの車庫へ入れてある車であるのかどうか、そういうふうな車庫の存在を確認するような取り締まりをやっておるのかどうか。  あるいはまた、保管場所を確保せなければならぬというし、また、車庫証明の発行、車を買うときには車庫証明がなければ買えないわけですが、そういう場合にも、あるところであったように、車庫証明を偽造して、そこで車をどんどん売るというようなやり方をしておる例もあるわけです。これはどうもざる法ではないか、こういうふうに言われておるわけですが、この違法駐車をなくするためにはもっと車庫証明のあり方というものを厳重に規制づける必要がありはしないか、かように考えるわけですが、この駐車違反について、車庫証明との関係等についての御見解を承りたいと思います。
  26. 勝田俊男

    勝田政府委員 一つは駐車違反と車庫証明との関係でございますが、駐車違反は駐車禁止をされている場所あるいは法定の駐車禁止場所における駐車でございまして、車庫証明と直接の関係はないわけでございます。いかに車庫証明を持っておっても、駐車禁止の場所に駐車すれば駐車違反で取り締まる。こういうことにつきましては、われわれも大変駐車違反が多いという状況に頭を痛めているわけでございまして、年間百七、八十万件の駐車違反を検挙しておりますが、後を絶たない。車庫証明をやれば必ず駐車違反がなくなるという性質のものではないのじゃなかろうかというふうに思います。  一方、車庫証明につきましては、駐車違反とは別に、駐車違反がかかっていない場所も、道路を車庫のかわりに使うというようなことを禁止する趣旨の法律でございまして、長時間駐車その他罰則の時間にかかるものについては、車庫法による取り締まりも行っているところでございます。  ただ、車庫法によりますと、継続的に車庫を保有するということは、必ずしも明確に罰則をもって、あるいは登録その他のことでもって担保されていないというようなところが、問題があるように考えているわけでございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 車庫証明の関係で続いてお尋ねしたいと思うわけですが、最近、軽自動車が五百五十ccで枠の拡大をした。そのときに、めんどうな車庫証明は要りませんといって、全く車庫証明の制度を無視するような形でメーカーが広告をして、そして販売をしておるわけですが、こういうことについてどうお考えになるのですか。
  28. 中沢忠義

    ○中沢説明員 軽自動車の発売に当たりまして、一部のメーカーに穏当でない表現を用いましたパンフレット類を用意した面がございまして、私ども事前にそれを検閲等はしておりませんけれども、事後的にそのようなことがわかりましたので、そのメーカーはもちろんのこと、工業会の方にも注意いたしまして、そのパンフレットにつきましては回収あるいはその当該部分につきまして訂正するようにしております。なお、業界といたしましても、軽自動車の販売に当たりまして、保管場所証明が不要であるということを販売宣伝に使わないようにという申し合わせを自主的にしておりまして、今後もそのような趣旨で業界といたしましては措置をとることになっております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 軽自動車といっても、今度発売されたものは五百五十cc、これは全部普通免許証でなければ乗れないわけでしょう。普通免許証でなければ乗れないのに、その軽自動車は車庫一証明が要らぬということは、これは不合理じゃないですか。やはり軽自動車にも車庫証明は必要じゃないでしょうか。どうでしょう。
  30. 勝田俊男

    勝田政府委員 車庫法につきましては、運輸、警察総理府交通安全対策室が共同して立案をしてできたものというふうに考えております。車庫証明自体は警察で出すという制度になっておるわけでございます。  ところで、現在の車庫証明の制度でございますが、自動車の登録に際して保管場所の確保を証する書面を提出するということになっておるわけでございます。ところで、軽自動車について登録ということが、これは運輸省所管になるわけでございますが、行われていない。そういうことで、現在車庫証明というものが軽自動車について行われていないわけでございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 軽自動車では行われていないのは、これはわかっています。ところが、今度発売された自動車は全部五百五十ccになったのだから、今度は普通免許でなければ乗れないわけでしょう。つまり、いわば軽自動車としての資格が一級も二級も上がったわけですから。そうなると、やはり車も大きくなったし、そういう中で軽という名前があるがために車庫証明が必要でないというのは、これはおかしいことじゃないか。だから、軽自動車も車庫証明が必要だという解釈が私は当然成り立ちはせぬか、こう思うわけですが、これはどうでしょう。
  32. 勝田俊男

    勝田政府委員 いま御答弁申し上げましたように、現在普通の乗用車につきましては、登録に際して保管場所ということで、車庫証明を出さなければ登録は受けられない、それによって運転ができない。ところが、軽自動車では登録という制度がない。そこで、車庫証明を取ることによって、それが自動車の使用と何らかの関連を持つという制度がないわけでございます。そういったことについて何らかの制度が考えられれば、車庫証明ということも可能じゃなかろうかというふうに考えております。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 これは通産省にお尋ねするわけですけれども、これは軽免許で乗れぬ軽自動車であるにもかかわらず、メーカーの宣伝のパンフレットには普通のように、いわゆる軽免許で乗れるような印象を与える、そういう広告になっておるわけです。もっとメーカーの方でも責任を持って、この車はこういうふうに改善したけれども、これは普通免許でなければ乗れないというようなことぐらいは、やはりメーカーとしては消費者に周知さす必要がありはしないかと思うのです。何かインチキなやり方のような感じがするわけですが、そういう指導——通産省の方は、軽免許で乗れないにもかかわらず、軽免許で乗れるような印象を与える宣伝に手を貸したというようなことをしておるのではないか、そしてまた、メーカーにしても、これは軽免許だから普通免許は要らぬのだ、こう思って製造したのが、軽免許では乗れない、これは残念だ、こういう気持ちを内心持っておるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、通産省はどういう指導をされておるのですか。
  34. 中沢忠義

    ○中沢説明員 御説明申し上げます。  今回軽自動車の排気量の拡大に伴いまして、先生御指摘のような、限定軽免許を持ったユーザーが、その車に乗った場合に無免許になるというような事実を知らず、あるいは誤認して買ったような場合には、非常に大きな問題になることは当然でございますので、かねてから、発売前から業界にはその周知方を十分指導しておりましたけれども、一部のメーカーに、特に最初に発表時期がありましたメーカーのパンフレットにその旨が記載してなかったことがございます。  ただ、これは発売前に私どもわかりましたので、そのメーカーに対しましては、自販から販売店に対する説明時に、そのパンフレットの中に、限定軽免許保有者が誤ってそのような車を買う場合が起きないように、十分販売店に徹底するようにということで、そのような趣旨の注意書きを入れさせまして、また、そのほか新聞広告及びパンフレットへの追加記載というものを指導いたしました。  したがいまして、大部分のメーカーにつきましては、パンフレットの上にそれを書いておる、あるいは新聞広告にそれを入れておる、また、最初のメーカーにつきましても、発売までにはそのような措置をとったという状況でございますし、今後とも工業会等に対しましてその措置が徹底するように指導してまいりたい、かように考えております。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 これはどうですか、そういうふうに普通免許でなければ乗れないという状態を改めて、同じ軽自動車なら従前の免許で乗れるような、そういう方法に改めてやったら、これは五十万人以上の軽免許の免許者が助かるわけですが、その点について警察庁なり運輸省なりはそういう考えはないですか。
  36. 勝田俊男

    勝田政府委員 運転制度で軽免許という制度が廃止されましたのは、四十年の法律の改正の際でございます。従来の軽自動車の性能は三百六十cc以下でございましたが、大変よくなってきた。そこで、軽自動車についても免許制度上は特別な扱いをすることは交通安全上問題であろう、普通免許と同じ程度の技術水準を持っていただく必要があろうということで、この法律が四十三年に施行になっているわけです。三年間の猶予期間を置いているわけでございます。そこで、軽免許というのは制度上はその際になくなって、すべて普通免許になっているわけでございます。ただ、現に軽自動車を軽免許で運転しておった人の既得権についても配慮すべきであろうということで、軽免許を従来持っておった人は、普通免許でありますが、軽の車に限って運転できるという経過規定を置いたわけでございます。  そこで、できる限りはこれを普通免許に切りかえていただきたいというのが当時のわれわれの法律の趣旨でもあったかと思います。そういった面で軽の限定を解除するという制度を設けまして、試験場へ来て試験を受けていただければ、限定を解除して全くの普通免許になりますという制度にしてまいったわけでございます。それで限定解除を受けて普通免許に切りかえた方もかなりおるわけでございます。当時から軽免許を持っておって、限定のままで現在いる人が、推定では大体五十万ぐらい、全部の方が運転されているかどうかわかりませんが、五十万人ぐらいいるだろう。今回五百五十ccという従来の車よりも大型の、排気量も大きな車が出た、しかし、われわれの考え方からしますと、すでに軽免許という制度はないわけでございますから、この方がこの車を運転するについては、ぜひとも普通免許で運転をしていただきたい。それから従来限定を受けていた方は、この車に乗るためには限定解除の手続をとっていただきたい。そのことはやはり交通安全の面からも必要であろうということで、これは全く新規に訓練をしなければその免状は取れないわけではございません。学科試験もございませんし、技能についても一応の技能水準はあるわけでございますから、若干の訓練をしていただければ受かるのじゃなかろうかというふうに考えておりますので、ぜひともそういう手続をとっていただきたいということで、この制度ができましたときに、われわれも免許制度上どうすべきかということについていろいろ検討しました結果、このような措置でやりたいというふうに考えているわけでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 それは私もその考えに賛成ですから、それを貫いてもらいたい、こういうふうに思うわけです。それと同時に、やはりこれは普通自動車と余り変わらないのですから、やはりこれは車庫証明も要る、交通安全上からも軽自動車の場合も車庫証明が要るという制度にやはり切りかえるべきである、そういうふうに思うわけですが、この点についてもう一回御見解を承っておきたいと思います。
  38. 室城庸之

    室城政府委員 先ほど交通局長から申し上げましたように、保管場所に関する法律というのは、各省共同でつくっておるような形になっておりますので、私どもの方でも全体を調整する立場にもございますので、ただいま御指摘になりましたような点について検討をいたしまして、努めて実態に合うように改正その他の措置を進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 交通安全対策室長に重ねてお尋ねしますが、日本交通福祉協会というのはどういう団体であるかということと、それが最近埼玉県下で会員を募集しておるということであり、しかもその社団法人日本交通福祉協会の解説書を見ると、「私共の協会は総理府交通安全対策室の監督下にあり、よってしかるべき権限も与えられておりますので困難な事件であっても処理できる体制にあります。」こういう解説書で寄付を集めておるようですが、監督下にあってしかるべき権限とは一体何であるのか、この際御答弁願いたいと思います。
  40. 室城庸之

    室城政府委員 ただいま御質問ございました日本交通福祉協会というものは、昭和四十二年十二月二十二日に総理府で認可いたしました社団法人でございまして、事業目的といたしましては、「自動車等による交通事故の絶滅、交通事故における加害者、被害者を含むすべての交通事故者の福利厚生に寄与する」というような目的を持って事業を行っておる団体でございます。  ただいまお尋ねのございました件につきましては、社団法人でございますので有力な会員を募るということのために努力をしておることは当然でございますが、その勧誘の仕方の中に一部不穏当な表現があるということでございまして、御指摘のように、総理府としては、この団体を認可し、監督下に置いてはおりますものの、この団体に権限というようなものを与える何ものもございません。したがって、権限を与えられておるというような表現は全く不穏当な表現でございまして、この点につきましては、私どもも事実を知りました段階で協会の方に強く指導いたしまして、協会としてもまことに不穏当だったということを申しております。したがって、権限が与えられておるという点につきましては、全くの表現上の誤りでございます。  ただ、この協会が交通事故の当事者のためにいろいろな面で努力をしたいという熱意を持って会員を募っておる、またその会員を募りまして、いま御指摘のような交通事故が早期解決するというようなことを申しております点は、いわゆる交通事故の無料相談というようなものを図りまして、努めて加害者側にもあるいは被害者側にも、交通事故の当事者に便宜を図りたいという会の趣旨から出たものと思いますので、今後、監督下にあります団体のこういった動き等につきましては、なお一層強力な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣がお見えになったのですが、私自身ももう時間がないのでそう長い時間質問できないのですけれども、大臣にお尋ねしたいと思います。  これはまあロッキードの問題等から見るとケシ粒にも当たらぬささいなことで、あるいは大臣の頭の中にはないかもしれぬわけですけれども車検関係三重県と高知県で、これは残念なことに私の県の高知県にもあったのですが、民間車検不正事件があったわけです。この不正事件があったということは、これはもう承知をしておると思うわけですが、そういう不正事件のよって来る原因等、それは整備部長からいろいろ説明されたわけですけれども、こういう不正事件が起こってくるし、またいまのままの体制ならばこれはまた起こり得る要素というものはあると思うわけです。そういう点から、こういう不正防止をするために、そしてまたこういう不正事件が起こったことに対して、大臣としてどういうお考えを持ち、そしてそれを今後どういうふうにして改めていかれようとお考えになっておるのか、見解を承りたいと思います。
  42. 木村睦男

    ○木村国務大臣 高知県と三重県下で民間車検に関連して不正事件がありましたこと、私といたしましてはまことに申しわけないことと深くおわびを申し上げたいと思うわけでございます。  私は、約一年半前に運輸大臣に就任しましたときに、一番先に職員の諸君に申し上げたのは、国家公務員であるので、行政遂行に当たってはいやしくも不正であるとかあるいは正常でない行為があってはいけない、国民に迷惑をかけると同時に職場を陰うつにしますし、また自分のちょっとした不心得が他の人にも迷惑をかける、これだけは役所の仕事の能率を上げる上においても絶対守ってくれ、もし過って本人がそういう不心得の行為をやったという事実がはっきりすれば容赦なく措置をするから、ということを話したわけでございます。まあそれほどに私はこのことを非常に強く、職務の遂行の公正ということについては省内に私の意思を徹底したつもりでございましたのですけれども、こういう事件地方に起きたことは非常に残念に思っております。  原因はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり職に当たる者の心構えが何よりも大切でございまして、国民にかわって国の仕事をしておるのだ、それはいやしくも不正であるとかあるいは不公平であるとかそういったことは許されないという、やはり職務遂行の使命に徹するということが一番であろうと思います。  しかし、多くの職員を抱えておるわけですから、中にはそういう不心得で非常に申しわけない事態を招来するということも間々あるわけでございますが、そういうときには起こした行為に対して私は厳正に処置をいたしたい、かように思っておりますし、また将来にわたってそのことの原因を究明いたしまして、再びそういうことのないように、その不正行為のあった職場あるいは不正行為のあった業務のみならず、全体にわたって注意を喚起して、さらに職員の綱記の粛正に当たりたい、かように考えております。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 それはまあ大臣の言はまことにりっぱでありますけれども、そのりっぱな言が具体的に地域で実行されるということがこれは一番大事なことであるわけですが、たとえば高知県で民間車検工場不正事件があった、それを起訴する場合に、いわゆる準公務員とみなして収賄罪を適用するということが報道されておったわけです。この車検工場のいわゆる検査、整備のそういう監査のできる人は、やはり運輸省の許可を受け、認可を受けてやる有資格者であり、そのことはつまり公務員に準ずる立場をとっておると思うわけですが、そういう点からも、車検の検査の機構としても、私は日本車検整備振興会というようなものとこの車検との関係をもっと検討して活用を図るとかいうようなことを考えるべきではないか。せっかくそういう車検整備組織があって、その組織の中に入っておるものがいわゆる不正をする温床になっては、これは親の心子知らずの組織になるわけですから、そういう点でも日本車検整備振興会というようなものも準公的団体として位置づけて、もっと検査体制の合理化を図るようなことを考えたらどうか、そういうことを提言して、大臣の見解を承り、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 木村睦男

    ○木村国務大臣 実は、民間車検制度は、私が十数年前に当時自動車局長として始めた仕事でございまして、自来私もこれには非常に関心を持ってきたわけでございます。いまお話しのような車両検査協会、こういった団体が中心になりまして、この仕事を円滑に、しかも間違いなく進めるということは、私は非常に必要なことであると当時から考えておるわけでございまして、多分車検協会のそういう担当の者も公務員に準ずる地位を与えて処理をしておると、たしか私は当時からそういうふうにしたと思っておりますが、間違っていたら訂正いたしますけれども、おそらくそうだろうと思います。したがいまして、公務員と同じ公僕精神を持ってやってもらうということが必要でございますし、またそうあるべきであると思っております。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  46. 太田一夫

    太田委員長 次に、左藤恵君。
  47. 左藤恵

    左藤委員 私は、過般総務長官から趣旨の御説明がありました交通安全基本計画に関連いたしまして、特に道路交通安全対策という問題を中心にして、若干質問をさしていただきたいと思います。  最近の地方財政は非常に厳しい状態にあることは御承知のとおりでありまして、国もまた赤字国債を大量に発行せざるを得ないところに追い込まれているということで、安定成長というか、低成長時代における施策を進めていかなければならないわけでありますが、交通安全施設整備についても、当然いままでのような考え方でなしに、そらした低成長時代に即応すると申しますか、そういうことで少ない金を一層効率的に使わなければならないと思うわけであります。  そこで、まず警察庁にお伺いいたしたいと思いますが、交通安全施設整備費の中で、補助事業で行われている施設にはどういうようなものがあるのか、また単独事業で行っておられるもののうちで、都道府県の公安委員会の所掌になるものと、それから道路管理者が行うものというものがあろうと思いますが、それはどういうふうになっておるか、この辺について御説明をいただきたいと思います。
  48. 勝田俊男

    勝田政府委員 公安委員会の行います補助事業のうち主なものは、信号機、交通管制センター、この二つが非常に大きな比率を占めておるわけでございます。それから従来可変標識、これを補助事業の対象にしておったわけです。今回はそれ以外にオーバーハング、オーバーヘッドの大型標識を補助対象に広げる考えでおるわけでございます。  単独事業につきましては、公安委員会所管標識、標示、交通規制に伴う標識、標示が大部分でございますけれども、これが単独事業関係でございます。  道路管理者で行われる安全事業につきましては、建設省の方からお話があると思います。
  49. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  道路管理者のやっております事業としましては、たとえば歩道とか、自転車道、横断歩道橋、それから地下の横断歩道、中央帯、交差点改良、視距改良、車両停車帯、路肩の改良といったようなことをやっております。それから道路照明とか防護さく道路標識あるいは区画線の設置、それから道路の反射鏡、自転車の駐車場整備、こういった事業をやっております。
  50. 左藤恵

    左藤委員 補助事業の中で、府県の警察としては設備することを希望しておるけれども、府県の財政が非常に厳しい状態にあって、そしてまた超過負担というようなものも出てくるというふうなことで、補助事業は返上せざるを得ないというような事態が出ていないかどうか、この辺についてはいかがでしょうか。
  51. 勝田俊男

    勝田政府委員 本年度の補助事業事業枠としますと約二百二十億でございますが、各府県と相談をしまして、各府県のほうでぜひ使いたいということで、若干残っておりますけれども、ほぼ消化できる見通しでございます。
  52. 左藤恵

    左藤委員 じゃ、自治省にお伺いいたしますが、こういったことで超過負担ということが実際出ているのかどうか、そしてまた地方六団体と、もしそういうものがあればたとえば共同して調査する、ほかの学校の建設とかあるいは保育所とかそういった問題に対する超過負担と同じような扱いでそういったものを解消するというような努力をされる、そういう計画があるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  53. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  交通安全施設につきましては、いわゆる超過負担というものが大きいのではないかということで、五十年度に関係省庁による共同調査を行いました。その調査結果によりますと、補助基本額に対して二四%を超える超過負担があるということが確認されました。そこで、この超過負担につきましては、五十年度、五十一年度、二カ年度にわたりまして所要の解消措置を講じたところでございます。  なお、超過負担の範囲、程度等につきましては、政府側の調査結果と地方自治体側とでは若干見方に差があるように思います。全国知事会を中心地方六団体で調査した結果が明らかにされておりますが、その自治体側の調査結果がすべていわゆる超過負担として該当するかどうか、これについてはいろいろ議論もあるようであります。そこで、私どもといたしましては、政府側としても常にこの実態把握に努め、問題があればその解消に努める、それから地方自治体側の調査結果等につきましても、その内容をよく調べ、また地方自治体の皆様方の意見もよく聞きながら内容の改善に努めてまいりたい、このように考えております。
  54. 左藤恵

    左藤委員 そういった二四%というような一つの数字も出ておるわけでありますので、そうでなくても、いま申しましたような形で、非常に交通安全施設整備費というものについての実質のこういったものが十分整備されることによって交通事故は必ず減っていくという方向にあるわけでありますので、今後ともこの点について、そういう費用の面で十分配慮できるような対策を考えていただきたいと思います。  単独事業について、ちょっと調べてみたのですが、たとえば大阪府で、交通安全施設、特に道路標識とかそういったものが昭和五十年度二十七億円の予算がある。これは府としての予算がつけられた。府議会に昭和五十一年度予算として提案されたのはその半分の十三億五千万円であって、これはいろいろ府議会で論議を呼びまして、その後修正されて、結果的には二億円上積みされた、こういうふうに聞いております。税収不足のためにどうにもならないというようなことで予算が切られたわけでありますけれども、こうした人命にかかわるものに大きなしわ寄せが行われるということは、私は確かに問題だと思います。  もとより地方議会が判断することではありますけれども、基準財政需要額の算定というようなこともありまして、ひとつそういう意味で、決算がどういうふうに出てくるかということもあわせて、ひとつ行政指導というような立場から、国の意思を十分地方団体に伝えていただくことができないか。交通安全施設整備五カ年計画そのものが閣議決定をされておるという立場もありますので、これは警察庁にお伺いするのか、自治省にお伺いするのか、それとも総理府でお考えいただく問題かと思いますけれども、こういった点でそういう五カ年計画そのものの趣旨を十分周知徹底するということについて遺憾なきを期していただきたいと思いますが、この辺のお考えはいかがですか。
  55. 室城庸之

    室城政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、国の施策を貫徹するという意味合いから、また緊急に交通事故防止していこうというきわめて重要な問題でありますだけに、私どもといたしましては、御趣旨を体しまして地方自治体等について十分理解をしていただき、協力をしてもらえるように指導に努めたいというふうに考えております。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕
  56. 左藤恵

    左藤委員 警察庁、よろしゅうございますか。
  57. 勝田俊男

    勝田政府委員 単独事業につきましては、五カ年計画の所要財源につきまして地方財政計画上計上いただいているわけでございますが、残念ながら計画されている額に全国平均しまして満ちていないという状況でございます。交通問題の重要性につきまして、さらに一般の御理解を含めて重点を置いていただくようにわれわれも努力をしてまいりたいと考えております。
  58. 左藤恵

    左藤委員 道路管理者としての地方団体がやらなければならないことの中にもいろいろ立ちおくれている面があろうと思います。その中の一つとして道路照明があるわけであります。  この間、私、少し調べてみましたら、東京都は道路照明は道路延長一キロメートル当たりについて十一・八基あるのですが、大阪は二・三基、愛知県は〇・八基というようなことですから、大阪を一〇〇とすれば東京は五一三だし、愛知は三五、こういう大変な格差があるように思います。これは恐らくいろいろと理由はあろうと思いますが、大阪市や名古屋市の市内というよりも、むしろ周辺部の衛星都市とかそういったところの財政事情が大きく影響しておるのじゃないか、こう思います。大阪府の衛星都市は人口急増地域で、いま小中学校の建設とか上水道、その他いろいろ生活関連施設に大きな金を出さなければいかぬ。そしてそのほかにもまた、全国的にも有名な、市の職員の給与がラスパイレス指数が高いというようなこともあります。いろいろ理由はあろうと思いますが、そういうことで赤字財政に悩んでいて、道路照明にまでなかなか手が回らないのじゃないかというようなことが想像されるのですが、実は大阪府下の交通事故原因の特徴は、調べてみますと、夜間の事故がほかの県に比べて非常に多い。特に半分以上夜間の事故である。歩行者や自転車通行者のようないわゆる交通弱者の事故がこれまた他府県に比べて非常に多いわけであります。そういうことから見て、これは道路照明が不十分だということに原因するのじゃないかと私は思うわけですが、こういった点で、地方団体の財政状況というものとの関連におきまして、警察庁も自治省も行政指導という形ででも、何かこういった団体に対しまして要請をしていただくことができないか。先ほど言われた交通安全施設整備五カ年計画の趣旨というものを十分徹底していただく意味において、そういった指導ができないかどうかということが一つ。  それからもう一つ、補助事業と単独事業の区分のことについても再検討していただく必要があるのじゃないかと思うわけですが、これについての警察庁と自治省の御意見を伺いたいと思います。
  59. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  御指摘のように、最近の地方財政難からもろもろの単独事業が大きなしわ寄せを受けておるということは否定できないと思います。交通安全対策関係事業につきましても、単独事業系統の事業費の伸びが非常に悪いということを私ども心配いたしております。結局、これらの原因を詰めてまいりますと、財政需要に比べて財政収入の伸びが最近鈍りつつあるということでありますが、政府としては地方財政計画を通じまして必要な財源措置は講じているわけであります。交通安全対策関係の経費につきましても、補助事業、単独事業を通じてその必要な地方負担額はすべて財政計画に盛り込み、またその具体的な財源手当てとしては、地方交付税の計算あるいは交付金の配分その他を通じて必要な財源措置をしているわけであります。にもかかわらずそれらの単独事業が確保できないということは、結局のところそれ以外の経費、特にただいま先生が御指摘になりましたように管理的な経費において地方財政計画が想定しておるよりも高い支出が行われているというところに原因があるように思います。  そこで、自治省といたしましては、毎年度の地方財政の運営に当たりましては管理的な経費、特に経費のウエートの高い人件費につきまして、その給与水準の適正化を図るあるいは人員の適正化を図るということによりまして、管理的な経費をできるだけ節減、合理化し、直接住民サービスに関係のある部門の支出財源を確保するように指導いたしております。五十一年度につきましても、近々財政運営通達を出しまして、財政運営の具体的な指導を行いたいと思っておりますが、その中でも、ただいま御指摘がありましたような実態を念頭に置いて、直接住民の安全、福祉に関係のあるサービス財源をできるだけ確保するように指導を強めてまいりたい、このように考えております。
  60. 勝田俊男

    勝田政府委員 補助事業と単独事業との配分の問題でございますが、従来地方単独事業として行われておりました大型標識を本年から補助事業に取り入れたわけでございます。なお、今回も指定道路を大幅に拡大することにいたしたいと思っておりますが、指定道路以外の地域で信号機をつけたいという場合は補助対象にならなかったのが、今後はそういうことはまずなくなるのじゃなかろうかというふうに考えております。それから単価是正の問題も考えまして、全般的に地方財政の負担の軽減にもできるだけ努力をしてまいりたい。ただ現段階におきましては、やはり信号機等の整備についての要望というのが非常に強いわけでございまして、補助対象事業をこれ以上標識、標示にまで広げるということについてはなお問題があるのじゃないかという気がするわけでございます。これらの標識、標示等の事業につきましても、できるだけ県の方を指導しまして、県当局の御理解も得て安全を保つに足る十分な予算が獲得できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 左藤恵

    左藤委員 ひとつ十分御検討いただきたいと思います。  それから、最近、御承知のように車が非常にふえてきたので、特に大都市の中へ入ってくる自動車の流れを規制してはどうか、たとえばマイカーで通勤の車を規制してはどうかというような考え方もあるわけであります。外国ではそういったことをやっておるところもあるというふうに聞いておりますが、道路面積とか駐車の施設とか、いろいろな関連もあって、早晩そういったときが来るのではないかというようなことになりましたときのための準備といいますか、そういうものの検討をいまからしておく必要があるのじゃないか。警察庁として何か検討されておられるかどうか。いろいろ問題点があろうと思います。いまのうちにそういうものをひとつ整理をしておく、そしてその上で、もしそういうことをやらなければならないときの対策というものをいまから考えておかなければならないと思います。代替交通機関との関係とか、あるいは市内におきます駐車施設の関連とか、いろいろ条件が出てくると思います。そういったものをひとつファクターとして、シミュレーションというのですか、そういうものをつくって、交通安全対策という見地から検討しておく必要があると思いますが、何かこれについての御意見を伺いたいと思います。
  62. 勝田俊男

    勝田政府委員 都心における交通問題は大変大問題になっておりますし、特に自動車交通量が多過ぎるじゃないかということが大変問題になっておりますが、やはり基本的にいろいろと問題を検討していただく必要があるのじゃないかと思います。  根本的には、やはり都市構造の問題から、都市の機能を保持しながら、できるだけ自動車交通需要が少なくて済むような都市構造に改善していただく、その結果として総量が減らせるというようなことが一番基本的な問題になるのじゃないか。そういった面で、広い角度からの検討ということが必要であろうかと思います。  しかし、なかなかすぐにそういうことができないということになりますと、当面の対策として考えられる策としましては、交通規制によって交通量を減らすことができないか、そこで交通規制のやり方も、都市に入ってくる車を都市の入り口で直接とめてしまうというような直接規制のやり方ということも考えられるわけでございますが、これについては実は大変に問題が多いわけでありまして、車の選別をどうするか、たくさんある流入口でどのようにチェックをするかというようなことから見ますと、これは恐らく実現は不可能であろう。シンガポール等におきまして、都市の入り口でとめてバスに切りかえさせるというような制度をとっておりますが、都市の条件が非常に違うというような点もありまして、日本の大都市でそのような制度をとることは大変にむずかしいのではないかというふうに思います。  そういった面で、現在やっておりますのは、駐車禁止をできるだけ拡大をしていく、それによって都市に入ってくる車の流入を間接的に抑制をしていく。一方、それに代替する交通機関整備、これは急に間に合いませんので、大量輸送機関としてのバスにできるだけ移ることができるように、バスについての優先対策を積極的に進めていきたい。それから自転車等の活用も図っていきたい。  実は、自動車の中で旅客用の自動車一般の貨物ということになってきますと、これはほぼ半々くらいの数があるわけでございます。そこで車の量から言いますと、ただマイカーだけの規制ということではなかなか効果が上がらない。大阪市の例によって見ますと、大阪市内に入ってくる乗用自動車というのは、大阪市内に走っている全体の車の七%くらいにしかならないということでございます。それから物を運ぶ場合にも、空車で走っている車もかなりある。必ずしも効率的に貨物輸送が行われているわけでもない。そういった面では、貨物輸送については、集配の合理化というようなことについてももう少し進めていくというような合理化の道がいろいろあるのじゃないか。  交通活動というのは、やはり社会活動の源でありますから、必要な交通需要をとめるわけにはいきません。そこで、必要な交通需要を満たしながら、しかも交通総量を減らしていくということで、輸送の効率化をどのようにして図っていくか、それに対して交通規制の面からどうアプローチしていくかというようなことで現在やっておりますのが、先ほど申し上げましたような駐車禁止とか、バス優先レーンとか、ゾーン規制あるいは自転車専用レーンといった規制でございまして、当面はこういった施策を推進していくほかはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  63. 左藤恵

    左藤委員 ひとつ十分御検討いただきたいと思います。  それからあと、道路交通法に関します個々の問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず、高速道路におきまして、トラックを初め乗用車を含めまして、車両整備点検不良というのですか、たとえばガソリンが途中でなくなってしまうガス欠だとかあるいは荷崩れを起こす、そういうようなことをしたために事故となりまして大きな渋滞を生ずるということがしばしば見られるわけであります。これは多数の国民に迷惑をかけるわけでありますが、道路交通法上、たとえばこの整備点検不良ということで責任を追及することができるのかどうか、法的にはできるのじゃないかと思いますが、実際問題としてそういう取り締まりをしておられるかどうか。そしてこれを刑事責任として追及するということだけでなくて、むしろ高速道路という、ほかに迂回することもできない、途中でおりるわけにもいかないというような、そういう特別のところをそういった車が走ることによって多数の国民に迷惑をかけるという、まあ言ってみれば、市町村でよく迷惑条例というふうなものをつくっておられますが、そういったようなものが考えられないかどうか。何か守られなければならない法益がそのままに置いておかれておるよう気がするわけでありますが、こういう点についての警察庁のお考えを伺いたいと思います。
  64. 勝田俊男

    勝田政府委員 自動車の保安基準の問題でございますが、運輸省の方で保安基準を制定されておるわけでございます。これには直罰の規定はないわけでございまして、保安基準に違反することによって、それが非常に道路上危険である、あるいは迷惑を及ぼすという状態の場合に、道交法違反ということで対象になるわけでございます。そういったことで、保安基準違反で検挙している例は年間かなりの数に及んでいるわけでございます。  それからもう一件、迷惑条例の話、ちょっとわかりかねたのですが……。
  65. 左藤恵

    左藤委員 それとはまた別に、それは一般の何か立法を検討していただく必要があると思いますが、とにかく高速道路という特別の地域に入って、そしてある特定の人の不注意によって長い渋滞が生じて迷惑を及ぼすというようなことに対しての守られなければならない法益というものが何か別にあるのじゃないか。     〔三枝委員長代理退席、瓦委員長代理着席〕 したがって、何か別の立法というものが考えられないかどうかということをちょっとお伺いしておるわけです。
  66. 勝田俊男

    勝田政府委員 高速道路の場合には、他の道路と条件が異なるわけでありまして、道路法でも若干違う規定を設けておる。鉄道でも一般の鉄道と新幹線とは違う規定を設けておる。そういう観点からしますと、高速道路上におけるいま申されたような問題について特別の扱いをすべきじゃないかという御意見につきましては、われわれもやはり考えるべき問題はあろうかと思いますが、全体の法体系の中でそれがどのように適合できるかどうかというような点についてはまだ十分に詰めてもおりません。今後の研究の課題にさせていただきたいと思います。
  67. 左藤恵

    左藤委員 十分検討していただきたいと思います。  最近こういう事例があるのですが、車の流れをよくするために、コンピューターで信号機をコントロールして、四十キロなら四十キロで走ればずっと停滞なしに走れるということが、メインストリートなんかに進行式という形ですか、ということでやっておられるわけですが、私、この間も日曜日に走ってみましたら、故意に四十キロで走っていくと、もう信号機ごとにストップするように、進行式のものが逆に赤信号で必ず停止するような仕組みにしてある。確かに取り締まりの要員の問題があって、スピード違反をしないようにということに対する一つのアイデアかもしれませんけれども、また逆にそういうことになりますと、赤や黄の信号で強行突破するというような者が出てきたりして運転者のいらいらを引き起こすような問題もありますので、こういった点については、私はやはり何かもう少し心理的なものも含めて十分テストしていただいた上で検討していただいたらいいと思いますが、この辺の御意見ございましたらお答えいただきたい。
  68. 勝田俊男

    勝田政府委員 こういった実情については十分に承知をいたしておりませんので、よく実情を調べました上で検討いたしたいと思います。
  69. 左藤恵

    左藤委員 それから、先ほど紹介しました総務長官の安全施設整備の説明の中にもショッピングモールという考え方がございますが、最近自転車の専用道路が大都市内にも設けられて、それと買い物をする人の安全というようなもので、そこは自動車を締め出しているということは、私は非常に交通安全対策上大きな期待がかけられる施策だと思います。ところが、これも相当広い範囲を対象にして計画していただかないと、自転車専用道路にしたところはいいのですが、今度は大通りの方へぶつかりますと、そこに横断歩道がない、そうすると歩道橋を渡らなければならない、自転車を引き上げて行くわけにはいかぬ、そうすると大通りの横断というものを強行して事故に遭うというような心配もあるわけであります。そういった計画を立てるときに迂回路を明示するとか、何かきめの細かい指導が必要だと思います。  そういった点で、そこに今度は歩道橋とかいうものを設置するにつきましては、大変なお金もかかるわけでありますので、非常にむずかしい問題があろうと思いますが、これはひとつ今後単に警察庁で計画されるとかいうことでなくて、非常に広い範囲で十分御相談になって、きめの細かい指導というものが必要だと思いますが、この辺について総理府の方の交通安全対策室長からお伺いしてみたいと思います。
  70. 室城庸之

    室城政府委員 御指摘の点について今後検討してみたいと思います。
  71. 左藤恵

    左藤委員 建設省から何か御意見ありますか。
  72. 中村清

    中村(清)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、自転車道が一般道路とぶつかるといった場合に、その安全をどういうふうに確保するか、これは非常に大きい問題でございまして、御承知のように現在全国で約六十余のモデル都市につきまして自転車の安全利用計画といったものを推進しております。その中で、自転車道が一般道路と交差する場合の安全確保をどうするかといったことを調査研究をいたしております。  なお、自転車道が都市部の非常に交通量の多い幹線道路とぶつかるといった場合には、これはスロープ式の昇降路を持っております立体横断施設をつくるということで今後進めていきたいと思っておりますが、何せ一般的にはどうしても信号処理で平面交差をするといった場合が多いと思います。これは事は公安委員会所管事項とも関係をしてまいりますので、よく連携をとりまして、自転車専用の横断道路を設けるといいますか、そういった安全確保といった面につきまして今後とも進めてまいりたいと考えております。
  73. 左藤恵

    左藤委員 先ほども少し井上先生からお話がございましたが、駐車違反のことにつきまして少しお伺いしたいと思います。  最近、交通巡視員、女性の巡視員なども動員されて非常に取り締まりを強化していただいているということは私も高く評価するものでありますが、商店が連檐するというのですか、軒を連ねております大通りの一部に荷の積みおろしのために停車しているならばともかくといたしまして、終日駐車しているという車に対しても駐車違反の取り締まりを行っていないという例があるわけであります。確かに仕事の面といいますか、商売の点から見ましても、いろいろ問題があるところはあると思いますが、地元との話し合いをして、そうして駐車禁止が全く適当でなければ、あるいは時間的に解除するとかいろいろなことをして、私は、いろいろな面でこういう法律を国民が守らなければならないという一つの遵法精神に反するような違法のしっ放しを許すべきじゃないのじゃないかというふうに思います。  さらにまた、道路やそれから歩道の上ばかりでなくて——歩道の上に商品をいっぱい並べまして、そのために車や歩行者の流れを悪くしている事例もあるわけであります。生活がかかっておるということだけである特定の業者にだけこういう公共のものを専有させるということは、私は問題があるように思います。そういった点で十分の指導配慮をしていただきたいと思います。  停車というのは、法的に何か五分以内でいつでも戻ってくることができるようなところであれば停車というふうな一つの観念もあるわけですけれども、そういうことを連続しておってそのまま放置しておけば、駐車あるいは終日駐車というようなことにもつながりかねません。したがって、取り締まりの点についても、停車時分をチェックするという意味で、道路とそれから車のタイヤとを白墨で線をつなげておいて、移動したかどうかということを確認した上で取り締まりをするとか、そういった工夫もぜひやっていただきたい。実際またやっておられるところもあるわけでありますが、そういう点についてなおひとつ公正な指導というものを特に希望しておきたいと思いますが、この辺についての御意見を……。
  74. 勝田俊男

    勝田政府委員 駐車違反につきましては、大変多くの件数の取り締まりをやっておるわけですが、なかなか後を絶たない。特に先生御指摘のように、商店街における駐車違反の状況が目立ってなかなかその事態が解決しないという事情があるわけであります。こういった商店街につきましても、駐車禁止をかけた以上は、それをしっかり守らせるということは当然のことで、こういった点については、今後も十分指導してまいりたいというふうに思うわけでございます。  また、貨物の積みおろしの問題につきましても、その辺の商店街全部が一定の時間に積みおろしをするというようなことであれば、一定の時間に駐車禁止を解除するというようなことで、決められた駐車禁止を守らせるということも可能なわけであります。  さらには、将来の問題としては、共同の積みおろし場とかいったもの、そういった商店街の改造というようなことも都市計画の面で考えていただくということも必要かと思いますが、当面そういった行政指導と取り締まりというものを並行しながら駐車秩序が保たれるように努力をしてまいりたいと思います。
  75. 左藤恵

    左藤委員 私は、駐車違反の点数がいま一点ですか、そういうのは少し低いのじゃないかという気もしますし、それから反則金が五千円というのも少し安いのじゃないかと思いますが、さらにレッカー車が大阪では三十七台しかないとかいうことを聞いておりますが、もう少しこれを増加して、こういったものをやっていく、あるいはその料金が五年間も据え置かれて五千円のままであるということ、これは法律なんだそうでありますが、こういった点について少し安いのじゃないかと私は思うのですが、この辺御意見はいかがでしょう。
  76. 勝田俊男

    勝田政府委員 レッカー車の問題につきましては、現実にはレッカー車を出動させて、車を動かそうとした場合に、これは自分の車ですから動かしますということで動いてしまう。そうすると、そのまま料金が取れないというような問題も現実にあるようでございます。そういったことにどう対処していくかというようなことについては、大阪あたりでは、またそれに対処する方法も考えておられるようでございますが、全般的にその料金がどうかというような問題については、一部の県からそういう要望もございます。全般的にやはり検討してみる必要があろうかと思います。
  77. 左藤恵

    左藤委員 ひとつ御検討いただきたいと思います。  それから、いまもお話があったと思いますが、この十五日の深夜から十六日の未明にかけまして、暴走族が全国各地で荒れ回って、特に神戸市で起きた群衆をも巻き込んだ騒動に死者一名まで出して、また多数の負傷者と逮捕者を出したというふうに伺っておりますが、この事件の内容について新聞でもいろいろ報道されておるわけでありますが、交通安全の見地から見て、この事件はどういうふうにお考えになっておられるのか、それから今後この暴走族に対して対策をどうすればいいか、このことについての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  78. 室城庸之

    室城政府委員 暴走族の問題につきましては、交通の場における問題であります。また、交通の手段としての車を用いての問題であるというようなことで、交通と非常に深いかかわりのある問題でございますが、同時に、通常の交通問題の解決手法だけでは解決できないいろいろないわゆるやじ馬の問題でございますとか、あるいは警察的に見ますと警備の問題あるいは青少年の問題、いろいろな角度からの問題としてとらえることができようかと思います。そういった意味で、ちょうど本日午後二時から総理府では総務長官がそれぞれの専門の方々にお集まりをいただきまして、そういった問題を総合的な角度でとらえて、今後どのような対策を進めていくべきかということについて、ただいま会議をやっておる最中でございまして、私どももそういった面で多角的にこの問題をとらえ、かつこれが先ほど申し上げましたように、交通の場で行われておる、多大の影響を交通全般に及ぼすことでもございますので、そういった面からできるだけ総力を挙げてこのような問題が起きないような対策を講じていく、それがまた交通安全にそのまま影響をしてくるであろうというふうに考えております。
  79. 左藤恵

    左藤委員 いろいろ青少年の心理的な問題、たとえば自己顕示欲というようなものがあったりすること、いろいろストレス解消とかいうふうなことで、青少年をもっとスポーツとか、そういった健全な方向へ向けていくとか、いろいろな対策が考えられると思いますが、この車の問題で、二輪車とそれから四輪自動車と両方の問題だと思いますが、これでたとえば一定以上のスピードを出すことができないような車というものができれば、これは私は非常にいいわけでありますけれども、現在の自動車のシステムというものが思い切って発想の転換をした新しいものを考えるという工夫というものがない現状においては非常にむずかしいんだそうです。しかし、何かたとえばいま百キロ以上出ればブーブーとブザーが鳴るというような装置があるということを伺っておるのですけれども、もっとそれ以上の、たとえば百四十キロ出たとかいうふうな場合には自動車全体のところに大きなランプがつくとか、何か外から見てこういったものでそれを取り締まることができる一つの大きな根拠になるような対策というものをもう少し積極的に考えるべきじゃないかと思いますが、この点について、自動車局の方からお伺いしたいと思います。
  80. 犬丸令門

    犬丸政府委員 ただいまの御指摘のように、自動車が一定速度までは出るけれども、ある一定速度を超えるとそういったスピードが出ないというふうな装置についての提案はしばしばあるわけでございますけれども、現状について見ますと、道路の種類によりまして、制限速度がいろいろ区々に変わっておりますこと、それから自動車の速度そのものにつきましては交通の円滑化、トラックにおきましては荷物の大小等によりますところの負荷変動の点から、そういった面に対する加速性能、それから坂を登るときの登坂性能、こういったものを持たせることによりまして、全体としての道路交通の円滑化の必要が別の要求としてはあるわけでございます。そういったことで、御指摘のように非常にむずかしい問題でございます。運輸省といたしましては、そういったことでいろいろ検討してまいっておりますが、過去の実績を申し上げますと、特に速度制限が重要でありますところの大型車、これに対しましてはすでに運行記録計、速度表示装置、これはトラックの前面に三つのライトがついておりますもので、スピードによってそのライトがついたり消えたりする、こういった装置を義務づけてまいってきたところでございます。また乗用車につきましても、昨年の四月から保安基準を改正いたしまして、速度警報装置の装着を義務づけたところでございます。これによって速度が遵法状態運転するということを期待いたしておるわけでございます。     〔瓦委員長代理退席、野坂委員長代理着席〕 この辺の問題につきましては今後とも十分検討してまいりたいと考えておりますけれども、いろいろむずかしい問題があるということもわれわれは承知をいたしまして、前向きに進めてまいりたいと考えております。
  81. 左藤恵

    左藤委員 最近の自動車で何か満艦飾というんですか、いろいろトラックの車体なんかに絵を書いたり電光板をつけたりして原色のランプで飾った花電車みたいなもの、これは映画の「トラック野郎」とかなんとかいうのがあって、それから非常に流行したんだそうですか、こういったようなものがありまして、そういうような車を、車体の一部改造というんですか、そこまでいくと判断していいのかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても保安基準の点から見まして、そういったランプをつけて赤とか黄色とか緑とか、交通信号とまぎらわしいような色は、明らかに保安基準違反としておられますけれども、水色のようなものとか、いろいろのそういった飾りつけのものが、これはやはり交通安全の見地から見てじゃまになるというか、かえってまた非常に危ない要素がありはしないか、こういう点について、現在の保安基準でいいのかどうか、この辺についての御意見を伺いたいと思います。
  82. 犬丸令門

    犬丸政府委員 御指摘のようないろいろと飾り灯火をつけましたもの、もしくはいろいろな塗色によりますところの絵を書いたもの等が最近ときどき目立つわけでございますけれども、灯火そのものにつきましては、保安基準の四十二条によって規制をいたしておるところでございます。またその改造その他につきましては、改造は保安基準に適合しない状態にあることについて規制いたしておりまして、重要なものについては検査をいたしてこれをチェックするということにいたしておりますし、改造そのものにつきましては、車体事業者等に違法な改造をすることのないよう通達で十分指導をいたしてきておるわけでございます。  また、飾り灯火でございますけれども、これは車検時におきましてはそういったものについての不正な物、適合しない物につきましては取り締まって、そういった物を外しますように、もしくはそういった物がないように検査においてきちっといたしておるわけでございますが、その後の状態においては、いろいろな機会をつかまえて指導することは、街路上においては私ども保安基準をその都度確認するということは非常にむずかしいという状態でございます。保安基準において飾り灯火そのものを今後どう考えていくかという点につきましては、十分検討してまいりたいと考えております。
  83. 左藤恵

    左藤委員 保安基準で、そういう意味で交通安全上どういうふうに考えるかということについては、警察庁の方の一つの判断といいますか、現在の事故の実際とかいろいろなものについて、そういう実態をもとにして十分連絡をとられて、改正というものも含めて検討していただきたいことを要望申し上げておきます。  それから、保安基準で定められた以外のもので、たとえば変形ハンドルとかあるいは太いタイヤとかそういったものを、これは確かにつけては違反だということには現在なっておるわけでありますけれども、何か自動車用品の専門店がこういったものを売っておるというような実態というものがあるわけであります。これはそういった違反のようなものは、ひとつ法的に違反なものは通産省の方でやはりそういう業者に対する指導という面ででもそういうものは売らせないようなことを考えていただかなければいかぬのじゃないかと私は思いますが、この辺、通産省おいでいただいておりましたらひとつお答えいただきたいと思います。
  84. 中沢忠義

    ○中沢説明員 先生御質問の問題につきましては、御指摘のとおりメーカーの製造あるいは販売段階というよりは、ユーザーに一たん渡りましたものがその後ユーザーの注文等によりまして改造あるいは添付が行われるという実態かと思います。用品メーカーあるいは用品商というものは非常に広範あるいは多数に分布しておりますので、なかなかそれに対するコントロールというものをいわゆる業界指導という形で行いますのには困難が伴うわけでございますけれども、私どもといたしましてもさらに実態調査し、かつできる限りの指導をしてまいりたい、かように考えます。
  85. 左藤恵

    左藤委員 こういった違反のものでなくても、たとえばアクセサリーという言い方でよく外国のナンバープレート、ああいうものを売っておって、それをつけてかっこいいというのですか、そういうことでいろいろつけておる車があるわけでありますが、たとえば事故のときに肝心のナンバープレートというようなものが見にくいとかいうふうなことがあってはならないわけでありますし、よけいなものを取りつけておることによって交通安全の見地から完全なものにしていただくために、ひとつ総理府中心になってそういった車の保安基準という問題も含めて、こういったものはあっては困るというものはそれを排除するということでいく、あるいはこの程度のものは認めてよろしいというならばそれは認めていくというようなことでひとつ整理をしていただいてやっていただかないと、非常に最近そういったものが混乱しておると思いますが、この辺について対策室長から……。
  86. 室城庸之

    室城政府委員 ただいまお話がございましたように、最近は一昔前には予想もつかなかったような新しいものがいろいろ出てまいるというようなことで、従来の法律制度等がそういった実態にまだ十分対応できるような体制になっておらないというような面がかなり出てまいっております。これらの点につきましては、十分最近の実態に対応するような体制に持っていきますよう努力をしてまいりたいと思います。
  87. 左藤恵

    左藤委員 ぜひお願い申し上げたいと思います。  それからもう一点だけお伺いしたいと思いますが、先ほど夜間の事故が非常に多いということを申しましたが、自動車のナンバープレートで暗いところでも見えるようにたとえば反射式にするとかあるいは夜光塗料を塗るとかいうような、そういうふうなことをして何か事故防止の観点からそういうことが効果があるのではないかと思いますが、たとえば事故が起きましてもそういうことについての確認というものが、最近のナンバープレートは非常に字が小さくなってきているということもありますので、こういうことについて、何か夜間ナンバープレートを確認する上において、いまの単なる灯火だけでなしにそういったものを積極的に取り入れるお考えがないかどうか、外国では実施している例がアメリカとかイギリスで四十四カ国もあるというふうに伺っておりますが、この辺のお考えを伺いたいと思います。
  88. 犬丸令門

    犬丸政府委員 先生の御指摘の夜間の事故、特に追突事故防止、こういった面につきまして、その対策といたしまして昭和四十八年に車両法保安基準を改正いたしまして、主として側方もしくは後方の視認性の向上を図るという意味で、尾灯、後部反射器、車幅灯、制動灯、こういったものの灯火類の性能の向上を図ったわけでございます。このことによりまして、夜間の追突防止もしくは側面からの衝突といった点についての防止対策を講じたところでございます。  一方においてナンバープレート、御指摘の反射式のものでございますが、これは反射シートをナンバープレートに張りまして、その上から文字の塗色をするということでございまして、現在各国等にございますものはそういう方式でございまして、地色が光る、そして文字の部分が黒かもしくはその色に抜けるというものでございます。しかしながら、このプレート自身は後続者があって初めて反射するということになっておりますので、私どもといたしましては、その効果はもちろんあると思いますが、その効果それから耐久性、わが国の場合におきましては文字の画数が非常に多うございますので、そういった意味においてのナンバープレートそのものの耐久性、加工性、そういったものについて現在研究中でございます。またこれを採用する場合におきましては、交付制度上たとえばこれは強制にするかもしくは任意制にするとかいったような問題などを含めまして研究をいたしております。諸外国御指摘の例も十分参考にいたしまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  89. 左藤恵

    左藤委員 終わります。
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 次に、土橋一吉君。
  91. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、直接の交通災害あるいは交通問題についての問題を論ずる前に、そういう問題についての支えとなっているまず海上交通や航空交通における気象体制の問題と海上交通及び航空輸送などの安全性の問題を関連して質問したいと思うわけであります。  そこで、まずお尋ねしたいのですが、気象庁は現在、気象といえば山岳気象もありましょうし、海上気象もありましょうし、あるいは海洋気象のようないろいろなものがあろうと思いますが、こういう気象災害によって船舶あるいは航空機などの輸送上に全体の——たとえば海上輸送あるいは漁船なども含めまして気象災害によって転覆をしたとかあるいは人が死んだとか、あるいは航空機がそういう現象によってはからずしもニアミスというような状態を招いたとか、こういうようなことがあろうと存じますが、まず海上輸送関係あるいは漁業関係などにおいてそういう災害は全体の災害のいわゆる海難上全体から見てどの程度の災害であるのか、あるいは航空機などについての輸送においても全体の航空機事故の大体何%ぐらいに当たっておるのが気象災害と言われるものの結果生じたものであるか、簡単にお答え願いたいと思います。
  92. 窪田正八

    ○窪田説明員 ただいま正確な数は存じておりませんが、大体一〇%程度かと存じます。
  93. 土橋一吉

    ○土橋委員 何と申しましても、主に海上輸送及び漁船の出港その他に関する問題が多いと思います。  最近、聞くところによりますと、気象庁は職員をどんどん減らしておるらしいのですが、海上輸送あるいは航空輸送がますます熾烈になってきて、決して減ることはないというような状況下におきまして、どういう理由で職員の淘汰あるいは合理化を進めておるのか、簡単に理由だけ伺います。
  94. 窪田正八

    ○窪田説明員 気象庁全体として業務の改善をやっておりまして、いままで人間が中心になっておりましたようなところがかなり仕事が変わったというところでございます。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 人間が多いと言ったところで、気象庁はもともと遊んでおる者を雇っておるわけではございませんので、それぞれの職責で仕事をしておるわけなんですが、どういう人をふやして、どういう人を減らしたのですか。
  96. 窪田正八

    ○窪田説明員 レーダー情報というのがございますが、レーダーの運用といったような部面はふやしております。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここに全気象労働組合の東北地方本部執行委員長の牛来充さんの陳情書が来ておるわけですが、これを見ますと、宮古測候所においてもどんどん縮小を計画して、従来はかなりの人数、すなわち二十一名いたのが、ことしの四月に予定される縮小で十三名に減ってしまう。うち技術職員は十一名になります。「これは毎時気象観測(一日二十四回)を三時間おきの八回観測にするということですが、これによって事実上常時監視体制はくずれることになります。常時監視体制のくずれは、私どもにとってきわめて残念なことであり、気象庁当局としても命とりになる大問題ですから、表沙汰にすることを避けてまいりましたが、全国すべての測候所で毎時気象観測をやめ常時監視ができなくなることからあえて真相を訴えるものです。」こういう非常に切々たる訴えが来ておるわけですが、これでは海上輸送におきましても、あるいは三陸方面は特に漁船が多いと思いますけれども、そういうものの安全を保障しないではないか、むしろ逆にいわゆる気象災害なるものを激増させるのではないかというような懸念があるわけですが、それに対して気象庁はどう考えていますか。
  98. 窪田正八

    ○窪田説明員 いま先生がおっしゃいました二十四回が八回と申しますのは、人間が観測通報をしますのが二十四回が八回ということでございます。しかし、実際は観測は機械で二十四回続けております。それから人間がおりますので、非常に異常な事態がございます場合には直ちにそれを通報し、あるいは適当な措置をとるということになっております。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 ことしの一月二十八日の河北新報の中にこういう個所があるわけです。この記事の三段目のところを読みますと、「大半は一、二人乗りで単独出漁中の事故。通報の遅れも死亡・行方不明につながっている。」河北新報はこういうふうな記事で断言をしておるのです。こういう点から見ると、気象通報及びその気象通報を受ける関係の団体といいましょうか、そういうものは、厳粛に気象通報の内容を出漁中の漁船、航行中の船舶あるいは飛行中の飛行機などに通報する体制と一体をなしていなければ、この交通関係の安全は保てないのではなかろうかという気がするのですが、どうですか。
  100. 窪田正八

    ○窪田説明員 そのような問題につきましては、これからも遺漏のないように続けたいと思います。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、そういうことは一日二十四時間、あらゆる方法において、漁協とか日本短波放送協会とか、あるいはそういうところの報道機関、言論機関がキャッチできるような体制を常にあなたの方では万全を期して行っていらっしゃるのでしょうか。
  102. 窪田正八

    ○窪田説明員 情報の伝達については遺漏のないようにしたいと思っております。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの言葉を返して申しわけないのですが、したいと思うということと現実にやっておるということとは違うわけです。現実にあなた方は運輸省管轄下における政府の一つ機関として当然そういう——まあ気象学は大変むずかしいものでしょうから、科学的に検討しなければならぬという分野もあるでしょう。また世界的な通報をしていろいろやるという分野も気象通報関係にはあるでしょう。あるが、一番大きな目的は何かと言えば、そういう科学的なものは、世界の気象学とお互いに交流するということも大事ですけれども、いかに出漁あるいは輸送を安全にするかということを中心に置いて仕事をしなければならぬのではないかと思うのですが、その安全性を保持するため、できれば四六時中、つまり一日二十四時間そういうことができるかできないか。できないとなれば、どういう体制でそれをやるかという問題でございましょう。いかがでしょうか。
  104. 窪田正八

    ○窪田説明員 ただいま申し上げましたのを具体的なことでお話をいたしますと、漁船の場合には漁連関係で無線の海岸局というのがございますが、そこと大体連絡をとって、たとえば非常に遠くに行く場合には、その辺の天気はどうなるとか、情報はどうなるとか、そういうような情報をとるようにしております。気象庁はそこと、場所によって少し違いますが、こういう情報はいつも流すというような協約を結んで進めております。それについては、いまの観測の問題、協約のことで変わったことはございません。それで十分相談を申し上げてできるようにしております。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 航空機はどうですか。
  106. 窪田正八

    ○窪田説明員 航空機につきましてはやはり変更があったことはないと思います。たとえば、私の前任地は福岡でございましたけれども、福岡測候所の場合にはことしから毎時の観測、これは航空の場合必要なのは昼間だけでありますが、観測は一日じゅうやっておりまして、その情報は必ず流すようになっております。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここで私は大変なあれでお尋ねをしたいのですが、航空機とか漁船とか、あるいは海洋を航行中の船舶とかいうものはよくわかるのですけれども、最近、御承知のように山登りというのが非常にはやってまいりまして、山の上を行くということが交通関係から見て果たして交通の問題になるのか、あるいはスポーツとしてそういうことをやるという範疇に属するのか、私はよくわからないわけです。わからないけれども、実は私の方へ日本山岳会からこういう手紙が寄せられておるのです。これは「気象通報の放送復活要請について」ということで来ておるわけです。こういうことから見ると、気象庁としては山登りをされる方々に対して現在山岳気象をどういうふうに取り扱っているのか、つまり、それがスポーツの分野ならば文部省関係の問題でしょうけれども、やはり登っていくのですから、山登りというスポーツを兼ねた一つ交通関係にもなるのじゃなかろうか。  私はきわめて初歩的な未熟な態度で質問するわけですが、そういうものから見ますと、山岳気象ということについて、御承知のように今日いろいろな資料によりますと、八百万から九百万が山に登っていくというわけですね。そうして大変事故も多いし、たとえばことしは、あの休みが続いたときに四十六件も遭難が出た。新聞でも大体御承知と思うのですよ。  この問題については、御承知かと思いますが、有名な、たとえばいまの日本山岳協会あるいは日本山岳会、あるいは日本勤労者山岳連盟というような方々が、山の気象通報についてのキャッチあるいはそういうことを知ることについて非常に切望をしておるというような問題もありますので、そういう点についてどういう配慮をされているのか、どういうふうな方法で、八百万というのは膨大な数ですから、こういう人々の、いわゆる山歩きといいましょうか、あるいは山の交通といいましょうか、あるいはスポーツといいましょうか、そういう方々の安全を保持するということは、特に高い山の気象はきわめて重要な立場に立っておると思うのですが、こういうことについてどういう措置をしておられるか。
  108. 窪田正八

    ○窪田説明員 全般的に申し上げますと、気象庁に持っております通信網でいろいろな情報を流すということもございますが、報道関係の方の協力をいただいて府県の予報、その中に山岳の問題を含めてやりましたり、あるいは漁業無線通報といったような形でやっていただいたりというようなことをしております。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちょっとこの文書を読んでみますと、  日本短波放送株式会社社長    中島光矢殿              日本山岳会               会長 今西 錦司    気象通報の放送復活要請について   今般、貴社に於ては気象通報(早朝時と午後十一時)を中止された。天気判断の誤りが直接間接的に山岳の遭難につながることを考える時、突然の放送中止は誠に遺憾である。この気象通報は多くの登山者に利用され、特に上層の風と気温の資料は遭難防止に大いに貢献し、役立って来ているのである。何故中止されたのか理解に苦しむところである。日本山岳会員を代表し、放送再開を要請する。 という形になっておるのですが、こういう問題について、総理府あたりは一体どういう処置をしようとしておるのか。  これは単に気象庁の問題だけではおさまらない問題が一つ入っていると思うのですよ。あるいは文部省関係もそうだと思う。あるいは未然にそういう危険を防止してやるという、警察立場から見ても放置できない問題である。それが一人とか二人じゃなくて、何百万という人がそういう山を交通するわけですね。あるいはスポーツと言っていいのか、とにかく行くわけですよ。それをどうする考えでおるのか聞かしてください。
  110. 室城庸之

    室城政府委員 私の経験からお答え申し上げますが、各都道府県にそれぞれ出岳遭難対策協議会というようなものがつくられておりまして、知事あるいは副知事が会長になり、警察本部長、その他関係の方々がメンバーになりまして、冬山、夏山、山の遭難について、民間の方も交えまして、いろいろ対策を講じてまいっておると思います。この重立った指導は、従来文部省の系統にお願いしておったのじゃなかろうかと私、記憶しておりますが、ただいま総理府としましては、その問題は正面から取り上げておりません。したがいまして、先生おっしゃるように大変大きな問題でもございますので、現在どのような体制になっておるか検討いたしまして、必要であればまた対策を考えてまいりたいと思いますが、ただいま直接お答え申し上げるような資料等も持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまお話し申し上げるように、この間のいわゆる連休の続いたときにも大変な遭難が出ておることは御承知のとおり。しかも私どもの資料によれば、山登りをするという人は大体八百万から九百万ぐらいいる。それで先ほど申し上げたように、こういう団体がそれぞれ活動しておる。あるいは勤労者の山岳連盟のような人もやっておる。こうなってまいりますと、これは教育、スポーツの面だけで問題をあれするのじゃなくて、やはり総理府が山岳気象の問題やあるいは都道府県との関係におけるそういう問題の基調ですか、あるいはその安全を保障するためにこういうような状態だというようなことについてやはり一応の関心を持って検討してみなければならない時期じゃないかと思うのです。単にこれは気象庁だけの問題というわけにはいかない点が出てくるのじゃないか。その関連性が出てくるわけですね。体だけを鍛えるという面から見たらそれはスポーツでしょうけれども、それに関連して山を行くということは、これは登るのか、行くのか知りませんけれども、いずれにしても山の上を交通するという問題に関係しているし、気象に関係している、もちろん本人の服装とかあるいは装備とかいろいろなものに関係もあるのでしょうけれども、こういう観点から十分検討してみるというふうにひとつお願いしたい。  それで、気象庁にお尋ねをするのですが、後で答えていただけば結構ですけれども、いわゆる山岳気象については、富士山は余りにも有名だ、測候所は余りにも有名なんですが、そのほか幾つぐらい全国に、これからだんだんそういうことがはやってくると思うのです、山岳測候所はどれぐらいあるのですか。
  112. 窪田正八

    ○窪田説明員 いますぐ申し上げられませんが、あと少し時間を置いてからお答えいたします。多分九州で二十前後かと存じますが、ちょっとお待ちいただきます。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 全国に九カ所ぐらいあるのじゃないですか。鹿児島、潮岬、米子あるいは輪島、秋田、これは読売新聞です。いま申し上げたの、間違いないですか。
  114. 窪田正八

    ○窪田説明員 いま先生が言われましたことは、高層の観測がそういうところということでございまして、私が先ほど御返事申し上げようとしましたのは、山岳そのもの、たとえば九重山というのが九州にございます。それとか桜島とかそういうような問題のお話として申し上げようとした。対象はいま山のことだと思いますので、富士山とかそういうことでございます。いま先生が言われましたのは気球を揚げまして、たとえば米子では気球を揚げて高層の観測をする、そういう地点が九カ所という意味でございます。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 いわゆる山岳気象とまた違うわけだ。
  116. 窪田正八

    ○窪田説明員 はい、大変違います。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 その内容はちょっと違うわけだ。これはもう宇宙開発の内容の一つだ。むしろ山岳気象といえば、立山にあるとか、富士山にあるとか、南アルプスにあるとか、あるいは北アルプスにあるとか、そういうことですね。
  118. 窪田正八

    ○窪田説明員 はい。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうものを整備してください。いいですか。
  120. 窪田正八

    ○窪田説明員 はい。
  121. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうですか、先ほど総理府で乗り出してやる気はありますか、気はないですか。
  122. 室城庸之

    室城政府委員 私、いま承知しておりませんので、職員に調べさせております。総理府の中で、もしやっておるところがございましたならば、そのように御報告いたしますし、もしやっておらないとすれば、御指摘のような問題を今後検討しなければならないのじゃないかと私存じております。
  123. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたには大変御迷惑でしょうが、ぜひいま申し上げたような内容が日々新聞にも出ておりますので、これは総理府としてもよく検討していただきまして、そうして海洋気象の問題だとか、先ほどお話のあった上空気流の問題だとかというもの並みに、そういう山岳気象についてやはり多くの人の期待にこたえるという体制をぜひとってもらうよう心から要請をしたいと思うのであります。それはよろしいですね。
  124. 室城庸之

    室城政府委員 検討させていただきたいと思います。
  125. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうかやる気になって、ひとつお願いをしたいと思います。いいですね。  今度は列車問題、軌道の上を走っていくところのいわゆる交通安全と絡んでおるこの黄害問題、この問題を少しく聞いてみたいと思う。気象庁の方は大変御苦労さまです。もう余り黄害問題に関係ないようですからどうぞ。  じゃ、運輸当局にひとつお尋ねしたいのですがね、よろしいですか。運輸省の方お見えになっておりますか。これはすでに五十八国会からただいまの国会まで相当長い間、御承知のように衆参両院それぞれの社労とかあるいは運輸委員会とかあるいは合同部会とかいうところでいろいろ論じられておるわけですね。私の見たところでは三十二回、これを質問した衆参両院の議員は三十数名いるわけですね。それにもかかわらず、この黄害問題は遅々として余り進捗していない。これは一体どういう理由によるのか、明確に答弁をしていただきたいと思いますね。
  126. 紫藤良知

    紫藤説明員 ただいま先生の御指摘でございますけれども一つのものを始めますにはいろいろ準備期間もございまして、ある程度時間を要するのは考えられるわけでございますが、それにしてもいま先生のおっしゃいますとおり、御指摘の点もいろいろ考えられます。問題としてはいろいろあると思いますが、私どもが聞いております一番大きな問題は、やはり黄害対策の方式といたしましては、車両でまずタンクへ受ける、それを地上へあける、そういう方式をとっていま進めておるわけでございまして、特に、地上にあける施設、地上施設でございますね、これをつくるのにやはり地元といろいろ折衝をする必要がある、その辺に相当時間がかかっておるというのが一番大きな問題じゃないか。もちろんほかにもいろいろございますけれども、そういったことを聞いております。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの御説明は語尾の方はさっぱり聞こえませんで、私、耳が悪いのかどうか知りませんが、これはやはり私は声を大にして問題を論ずる必要があると考えています。つまり、明治五年、御承知のように汽車ぽっぽが始まって以来百年以上経過した今日になっていても、依然としてこの問題が何ら、具体的にはぽつぽついろいろ努力はされておることは認めますけれども、依然としてこの問題が放置をされておると言っても過言じゃないわけです。これは総理府もよく聞いていただきたい。また厚生省関係も、なぜ国有鉄道だからというので、あるいは大きい私鉄業者であるからというので遠慮しておるのか、その理由を聞きたいと思うのです。  ああいう汚らしいものをどんどんまき散らして、そしてこれが近代日本と言い、しかも人の着た着物とかシャツとかワイシャツ、そういうものに対するクリーニング業法という法律をつくって、このクリーニングの問題についてはとかく政府は言っておるわけだ。あるいは国民も。クリーニング業法の一部改正、きょうの本会議でもやったんですよ。しかも、汚水の問題の処理あるいは黄害問題の処理という問題、非常にやかましくなってきた。もちろんこれは直接人間の体、大きな、生命に関する問題もありましょうけれども、この黄害の問題だって、もしばい菌なんか持っておるのをまき散らされたら、それはえらいことであるし、また国民的な感情から言っても、この問題を今日までどっちかと言うと——先ほど申し上げたように三十数回国会議員が衆参両院においてこのとおり質問をしているわけだ。それでも依然として国有鉄道はこの問題について抜本的な対策をとろうとしていない、率直に言いまして。  私は一つ例をお見せしましょう。この問題について、もし国有鉄道が関心を持っているなら——運輸省もそうですか総理府も厚生省も関心を持っているなら、上野の駅の十六番線ホームと十七番線ホームを上がってごらんなさい。あれが一体東京の北口の玄関だなんて言えるしろものじゃないですよ。列車の下をのぞいて見たら、それはもうとてもじゃないが鼻持ちならない。私も写真を撮ってきた。これは主に三鷹の電車区ですよ。三鷹の電車区というのは、御承知のようにそうたくさんの電車区じゃございませんけれども、中央線の一部分を走っておるところです。それでも、これをごらんになってわかりますが、大変汚いのです。上野の駅へ参りますと、それはもうお話にならない。私も撮っておりますけれども、これはひとつ運輸省の人も見てください。こういうたれ流しをずっとやっているわけです。色が変わっておる、臭くて、とてもじゃないが話にならぬ。なぜこういう状態を放置しているのか。それは幕張の清掃工場など非常に近代的なものも一部分つくってあるわけです。それは総武線関係は結構かもわからない。しかし東海道線あるいは奥羽本線あるいは東北本線あるいは常盤線にしても北陸本線にしてもひどいものだろうと思うのだ。その処置を一体具体的にどうしようとしているのか。  最近あなたの方の資料をちょうだいしたところによりますと、かなり改善の方向に向かっていることはよくわかります。わかりますが、特にこれは高架にするようになってきてからますますそれが四方へ吹っ飛んでくるわけですね。私も外国生活をして、そういう現状を知らないわけじゃない。外国のプラットホームでもそういうことが間々あることをよく承知しているけれども、いわゆるクリーニング業法までつくってちょっとした汚れで衛生上どうだこうだというようなことになっている社会において、上野の駅の常盤線でもそうですし、それから東北本線ももちろんそうです。信越関係、上越関係の列車もそうだと思いますが、話にならないのですよ。たとえば私はいま八王子、立川方面におりますけれども、ここだってもう列車がとまるところ、普通列車なんですが、とまるところは色が変わっておるのです。そしてそこはそういうものがたれ流しのままですよ。列車の方をこうやって見ると、ほとんど列車はトイレの下の方、全部白い紙で、もうどうにもならぬですね。三鷹の電車区に入ってみましても、職員も困り果てておるのですね。車両検査する人だってそうですし、あるいは保安関係の人だってそうですし、一体どうする考えなんですか。
  128. 紫藤良知

    紫藤説明員 いわゆる黄害と申しますか、その問題につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、沿線住民の方々はもちろん沿線で保線等の作業をされる人々にとっても環境衛生上大変大事なことだと考えております。運輸省といたしましても、そういった観点からできるだけ早急にその体制を整備するように国鉄を十分指導しているところでございますけれども、現在国鉄といたしましては、当面五十三年度を目途といたしまして、東京、大阪、名古屋、その他地方の各主要都市に発着します長距離列車あるいは地下鉄に乗り入れる列車、そういったものを対象といたしまして、まず重点的に黄害対策を進めているわけでございます。しかしながら、対策もいろいろ問題がございまして、なかなか御満足いくようになっておりませんけれども、最近は大分軌道に乗りまして、安全体制の経費もかなり増額してまいっております。そういうことで私どもとしましても、この体制を進める上で、先ほど申しましたように地方と十分折衝を進めるという問題は残っておりますが、そういうのを国鉄に対して十分折衝を進めるとともに、早急に体制を整えるように指導してまいりたいというように考えております。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方は、昭和四十五年の十二月二十五日の法律百三十七号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律ができていることを御存じですか。
  130. 紫藤良知

    紫藤説明員 存じております。
  131. 土橋一吉

    ○土橋委員 この法律によれば、第二条の規定によって、「ふん尿」とはっきり書いて、これが「廃棄物」という中に入っておるわけですね。その処理については御承知のように三条以下の規定によって、つまり三条の第一項には、事業者は「廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」とちゃんと書いてあるわけです。その廃棄物は、いわゆる化学工場から出る廃棄物であろうとも、コンクリート工場のポールみたいな大きな廃棄物であろうとも、あるいはかわら工場におけるかわらであろうと、薬品工場におけるそういう近代的なものであろうともです。同時にあなたの方はお客さんにちゃんとそういう始末もするだけの計算をして料金を取っておるはずだ。そうでしょう。明治五年以来そういうことの処理や一切の経費を見て運賃を決めておるでしょう。違いますか。
  132. 紫藤良知

    紫藤説明員 そのとおりでございます。
  133. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうでしょう。そうしますと、当然そういうものは、明治五年以来ちゃんとそれだけの廃棄物なんということについては、近代的な汽車ぽっぽなんですから、文明開化が叫ばれ、しかも鹿鳴館時代などと言われて、ああいうことをやっていた時代を経過しておるわけでしょう。なぜ今日までそれをやらなかったのだ。つまり、国家の事業であるということにかまけて、そういうことに甘えて、国民大衆全体からそれだけの料金をちょうだいして運行しておるものが、やらなかったということについては重大な責任があるわけだ。歴代の鉄道大臣もそうであったでしょうし、国鉄総裁もそうですよ。この法律の規定から見れば、当然全責任を持って処理をしなければいかぬということが書いてあるわけですね。  特に、第五条第六項には、御承知でしょうけれどもこういう規定もありますよ。「便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を環境衛生上支障が生じないように処理することに努めなければならない。」これは余り感心した法文じゃございませんけれども、「努めなければならない。」という程度のことしか書いていませんけれども、しかし第三条の規定においては責任を問われておるわけですね。  そうしますと、あなたにこれを申し上げてあれですが、結局全責任を持って近代的な処理をするという体制をいつごろ一体完成する考えなんですか。
  134. 紫藤良知

    紫藤説明員 ただいま明治のお話が出ましたけれども、当時は技術的にもああいった非常に野蛮なやり方でございますけれども、そういうことが一応常識みたいなことで通っておりましたけれども、最近はそういったふうにまいりませんので、ひとつ全力を挙げて対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  135. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方の計画では五十三年までに大体七千車両のタンクをつけるということを言っておられるし、また新幹線は大体つけておるということが言われておるようです。現状で七年間でトイレつき車両一万六千五百車両のうちタンクは大体二千九十両、つまり一二・六%つけたいという願望のようです。しかし、年平均約三百車両、こういう状態だといいますと、大体一万六千五百車両というと五十年かかるのだな、私が試算をすると。もうその時代にはまた様子も変わってくるでしょうが、とにかくこの問題については、運賃を取っておられて、しかもクリーニング法等ができたり、あるいはこういう清掃に関する法律できちっとやっておるのですから、仮にも罰則がないからと言って責任逃れをするようなことは近代輸送の責任者としては非常に不十分じゃないかというふうに私は思うのですよ。これは航空会社だってそうでしょう。あるいは車両の方だって当然責任を持ってやる。それで各市町村との間はいろいろむずかしい問題もありましょう、協定しなければいかぬですからね。また終末処理についてもいろいろ御配慮願わなければならぬ点もありましょうが、とにかく近代的な輸送業者としてこれは当然責任を果たすべきでしょう。  飛行機あるいは東海道新幹線なんかは薬を中に入れてばあっとやると青い色の薬になってもう害がないとかいろんなことを言っておるようですけれども、いずれにしてもこの黄害問題について三十数回も衆参両院議員がしゃべって、しかもこれだけの回数をやってもまだまだ前途遼遠なる状態は、国有鉄道の恥ずべき状態じゃないかというふうに私は思うのです。ですから、速やかにこの問題についての善処を全面的にひとつ国鉄総裁にも、いまおられませんけれども、話していただいて、努力をしていただきたいと思うわけです。  次に、これがたれ流しになっておる関係で、御承知のように、高架になってまいりますと、これがだあっと四方へ散っていくわけですね。その散っていく状況について、ある人は論文を書いております。この方は古川元という方で、国労黄害対策委員で、元尼崎衛生局長、豊中保健所所長さんです。「黄色い霧の降る国土」という題で、私もいろいろ読ましていただきまして、法治国政府の違法だということも中に書いておられます。また、黄害調査方法調査の結果についても、きわめてあいまいなことをやっておるということを図解式で書いておられます。  そこの中で一つ注目しなければならない問題は、高架線を通過するときその高さによって黄害が飛んでいく状況をみなずっと書いております。大体いまの高架の関係では二十五メートルか三十五メートルくらい黄害が霧のような状態になって飛んでいくというわけです。だから、車掌さんが、お暑いでしょうから窓をあけてくださいというようなことをおっしゃるけれども、とてもじゃないが窓をあけて弁当なんか食えるものじゃないということをこの人はいろいろと設例を挙げて説明をしておるわけです。こういうことはいままでおたくの方はわからなかったのですか。
  136. 紫藤良知

    紫藤説明員 黄害対策の基本的な進め方につきましては、運輸省の方で極力国鉄に対し推進するといたしまして、ただいま先生の御質問につきましては、少し具体的になりますし、国鉄の方からお答えさしていただきますけれども、よろしゅうございましょうか。
  137. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちょっとあなたの御説明、よくわかりませんが、新幹線は冷暖房その他がついておるようですから別といたしましても、これから特に地方の長距離列車になりますと、これをまともにかぶってしまうわけですね。そして御承知のように、停車をする駅あるいは上野駅とかの最終駅のプラットホームは依然としてこういう状態が続いておるわけですね。ですから、これは国鉄の名誉のためにどうしても速急に国鉄の力量を発揮していただいて、それでまず上野駅あるいは大きい終着駅、これらについて速急な対策方法をとらなかったら、これは大きな問題を呼び起こすというふうに私は思うのです。一度そういうところをごらんになったことはありますか、上野の駅あたり。
  138. 紫藤良知

    紫藤説明員 個人的には見たことはございます。
  139. 土橋一吉

    ○土橋委員 ごらんになりましたか。常磐線やあるいは上越線なんかの、いつも列車がとまるところは、もうふん尿でコンクリートに穴があいておりまして、そして紙とか、言うに言われないものがいろいろそこにあるわけですね。また、それをきれいにしようとする人もいなければ、だれも手をつけられない。たとえば立川あたり、そうですよ。もう列車がとまるところが決まっていますから、ちゃんととまる地点がはっきりしていますから、そこのところだけは、トイレで使った紙なんかびっしょりしている、中には乾燥しちゃっている、こういう状態ですよ。  ですから、この問題はあなた一人の力だけではなかなか困難でしょうが、つまり国有鉄道の名誉のために、この問題について最大の努力をしていただくように今後ひとつ、土橋という議員がやかましくこの問題を言った、どうしても解決しよう、そういう——幕張のようなあんな高価な、金をかけたものを一カ所サンプルにつくってみせるだけでは大衆は納得しないですよ。やはり品川のようなところでも結構だし、あるいは終着駅では市町村とよく話し合って、とりあえず、どういう形でそれをやるかはそれはもう知恵の出しどころでしょうけれども、とにかくひとまず下水道に落とすような方法を考える必要があるというふうに思うのですよ。
  140. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 どなたに質問ですか。
  141. 土橋一吉

    ○土橋委員 総理府の方どうですか。いま国有鉄道さんがそういうことをやっていらっしゃるのですが、これは一つの国家事業としてやっているのです。運輸大臣はおられないのですけれども、これはもちろん私鉄の、たとえば近鉄さんとか、長距離を走るのはみんなそういうことがあると思うのですよ。だから、名鉄さんとか近鉄さん、その他もありましょうけれども、何といっても一番大きいのは国有鉄道ですよ。しかも長距離の列車ですから、こういう点については、ひとつどうですか、総理府あたりでも行政管理庁などとも話し合って、単に人員の問題だけじゃなくて、そういう官庁の基本であるところの問題を処理する体制をお互いに検討してもらう必要があるのじゃないかと思うのです。場合によっては一般会計から補てんをしてやるというような問題も、よくわかりませんけれども、考えなければならないし、そのために財投の金をどういうふうに融資をするかというような問題もあるでしょう。そうでなかったら、クリーニング屋さんの洗たくをする問題まで一々やっておる日本の国会が、国有鉄道のそのことについては一指も触れなかったということでは、七十七国会は何をしておったかということになるわけだ。いかがですか、総理府責任者。
  142. 室城庸之

    室城政府委員 ただいまの先生のお話には、私、個人的には大変同感いたします。ただ、役所の仕事の仕方といたしまして、総理府でこれをどういうふうに扱い得るかにつきましては、私、ちょっとこの場でお答え申し上げるわけにもまいらないと思いますので、御趣旨を十分承りまして、私なりに努力をしてみたいと思います。
  143. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に、国有鉄道の方にお願いをしたいのですが、全国的に各車両にタンクをつけるということも非常に大切なことでありますから、それはそれとして計画どおりにおやりくださることを願いたいと思います。もう一つは、路線ごとに、たとえば上越線なら上越線あるいは常磐線なら常磐線というように、線別、本線別に、この線はもう絶対そういうものはない、そういうことも考えなければならない問題として一つあろうと思うのですよ。それから支線の、たとえば芸備線であるとか伯備線であるとか、あるいは仙台から出て山形の方に行く列車であるとか、こういうものも逐次、どこかサンプルのようにして一点突破の方法で、黄害問題をできるだけいいケースで、しかも地方自治団体との折衝を進めながら、まあ最後的にはやはり終末処理をしなければならぬと思うのですけれども、とりあえず他のいわゆる廃棄物、そういうものと同じように、差し支えのない下水道に消毒して流すとか、こういうような方法もやらなければいけません。それから、紙のような固形的なものは、そればそれでやはり適当に乾燥して燃焼してしまうとか、いろいろ考えなければならぬと思いますけれども、いずれにしても、幕張のようなものをつくって莫大な経費をかけるだけが能ではない。とりあえず黄害問題について、各線別に、たとえば私の住んでおる中央線、これは新宿発で松本が終点ですから当然松本の終点で処理をする体制をとれば中央線はきれいになってしまうわけですね。ですから、そういう点もひとつ工夫していただきまして、いま計画のほかにそういう線別ごとに、まあたくさんの線路がございますからなかなか大変とは思いますが、逐次そういう努力をぜひやってもらいたい、こういうことです。  時間がちょっと余りましたけれども、きょうはこの程度で終えたいと思いますが、最後に、その点についてあなたの明確なお答えをちょうだいして終わりたいと思います。
  144. 渡辺和美

    渡辺説明員 いま先生の御指摘になりました線区別に処理したらどうかという御意見でございますが、まことにごもっともと思います。  まあ、一つの例で挙げられました中央線でございますけれども、中央線の場合には、確かに新宿から松本までございますが、そこを通ります列車は、基地で申し上げますと幕張、それから三鷹、松本、長野という基地から発する列車が通ってございます。それで、列車の清掃につきましては、どうしても運用の間合いと申しまして、列車が休んでいる時間に清掃しなければ非常に車両効率が悪いわけでございます。それで、いま申し上げました四つの基地全部が整備されませんと、中央線の通過する列車については歯抜け現象になるということでございまして、果たしてこの四つを整備することがいいのかどうか。現在、国鉄が整備しておりますのは五基地しかございませんけれども、そのような現状の中で全体的な効果、特に遠距離を走ります特急、急行のような優等列車とか、あるいは地下スルーの車両とか、そういったものを先に整備した方がより効果的であろうということで、いま施策を打っているところでございます。そういうことも考慮に入れながら、最大効果を発揮するように考えてみたいと思っております。  それから、先ほど運輸省の方にも御質問がございましたけれども、確かに百年の歴史を持つ国鉄が何もしなかったかということでございますけれども、現在の貯留タンク方式といいますか、新幹線で使っております方式というのはごく最近開発されたものでございまして、それ以前はいろいろなことを講じまして、最初は直の管でございましたものをいろいろと改良しましたり、あるいはその先の方に覆いをつけましたり、あるいはその後に粉砕式で消毒をするようなものもこしらえました。そういう試行錯誤を経ながら新幹線の車両についている現在のものになったわけでございますが、初期の新幹線の約七百両近くはまだタンク式そのものでございまして、別の水タンクからそれを補う、つまり最終的には満タンになってしまって使えなくなるという現象もございましたが、新たにいまのような循環方式ができまして、非常に長距離でも耐え得るということになったわけでございます。これを在来線に応用するとしますと、すでに車両ができておりますために、あの狭い床下にそういうものをつけなければいかぬという問題で設計上の問題もこれあり、開発を進めました結果、現在のものになったわけでございます。この貯留タンク方式が唯一の処理方式でございませんで、燃焼式ですとか、いろいろな方式がございますが、日本国有鉄道の場合には諸外国のものに比べて最高のレベルだろうというふうに思っております。そういったことから、これを逐次やっていく、逐次と申しましても、できる限りの努力はしてやっていくつもりでございます。  先ほど先生もおっしゃいますように、処理設備をどんどんつくるのではなくて下水道に流せばよいではないかという御意見もございました。私どもとしましては、下水道に直接放流できるものは極力そういうふうにするという手段をとっておりますが、残念ながら、自治体の方の下水道整備がちょうど時期的にまだ整備されておりませんので、できればこれに合わせてそういうところは進めていきたいし、それができませんところについては、処理設備を地元とよく協議いたしまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。運輸省からのいろいろな御指導がありまして、現今のような状態になりましたので、この方式を速やかに進めるように考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  145. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのお話の中で、幕張から三鷹までの間はトイレやなんかつかない列車なんですよ。だから、幕張−三鷹間とおっしゃるけれども、これは全然らち外であって問題にならないと思うのです。そこで問題になるのは、御承知のように新宿発あるいは高尾発の、いわゆる中央本線といわれるところを通過する、トイレのある長距離の問題なんです。短距離は、高尾から東京まで行くものだって何だって、東京は御承知のように中央線じゃないのです。新宿から向こうは今度は別の線に入るわけですけれども、そんなものまで全部入れて計算するとおかしなことになるのじゃないか。  だから、問題は要するに新宿発あるいは高尾発の、終点が甲府であろうと松本であろうと、あるいは途中であろうと、長距離列車についてのトイレは、終末の駅である松本なりあるいはどこかの駅できちっと処理をすればいいのじゃないか。幕張を出されると私は抵抗がある。幕張の間は普通の電車でトイレはついていないのですよ。ですから、たとえば山陰本線なら山陰本線、京都発もあるし名古屋発の出雲号もあるし、あるいは大阪発もあるわけです。しかし、通るところは播但線を通るかもわからぬし、山陽本線を通るかもわからぬけれども、結局要するに福知山から向こうへ行けば全部山陰本線になるわけだ。そうすると、その山陰本線がどこへとまるか、たとえば益田にとまるかあるいは出雲にとまるか知りませんけれども、要するにそこへきちっとつくっておけばいいのじゃないか。ほかの線から入ってくるものまで一々計算に入れたのじゃいかぬので、山陰本線なら山陰本線を通過する列車の終点のところで処理したらいいのじゃないかということなんです。
  146. 渡辺和美

    渡辺説明員 幕張が関係ないというように一見見えますけれども、実は「あずさ」という特急は幕張の基地の所属でございまして、それから回送しまして新宿から発車さしておるということでございます。現在中央線を通行する便所つきの列車が六十八本ございまして、幕張所属の「あずさ」が十本ございます。それは新宿発でございます。
  147. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。  終わります。
  148. 野坂浩賢

    ○野坂委員長代理 次に、小濱新次君。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 暴走族問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今回、新聞紙上で「無法列島」とか「夜の大暴走」というような見出しで、全国各地で暴走族が暴れまくり、神奈川県下では関東一円から千六百台、約三千人が横浜及び湘南海岸地方に集結をいたしました。第三京浜国道では力づくで警備網を突破いたしましたし、暴走族同士の抗争を繰り広げていった、こういう事件もございました。藤沢市では停車中の乗用車を角材で壊し、傷害、引き逃げ、乱闘を展開した、そういう事件でございます。  一方神戸では、暴走族と一部群衆が放火、投石、暴動を起こし、地元新聞社のカメラマンがこのトラブルに巻き込まれ死亡した事件発生いたしております。  さらに山梨県山中湖周辺、長野県軽井沢、岩手県下など、あちこちで暴れ回った暴走族事件の内容が報道されました。  この二、三年の間に全国的な問題としてこれが広まってきたような感を深くするわけでありますが、このような背景をどのようにお考えになっておられましょうか。
  150. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  暴走族の問題につきましては、ただいま先生御指摘のような事象があらわれておるわけでございますが、この背景をどのようにとらえるか、これは将来の対策にも影響するわけでございますが、いろいろ私どもも新聞その他も読んでおりますし、また学者の意見ども伺っておりますが、その背景のとらえ方という点につきましては、必ずしも単純にこれだということでもない、非常に複雑な様相があるように承っております。そういったことでございまして、実は本日総務長官が各界の専門家にお集まりいただきまして、いま申し上げましたような背景、さらには対策、こういった問題について専門家の御意見を承ろうというような会議を開いておる最中でございます。いろいろ普通に言われておるような原因なり背景なりというものは私も承知いたしておりますが、さらに将来の対策に関連あるものとしてこの背景というものをどういうふうにとらえていくかというようなことにつきましては、ただいま申し上げましたようなことで、実は本日の会議である程度集約された御意見が承れるのじゃなかろうかというような期待を持っておる次第でございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 この問題はすでに大分前から起こってきた問題として、いろいろと警察庁にもそのような連絡会議がいまから三、四年前に開かれたり、それから昨年委員会が設置をされましたり、いろいろと各省庁間で連絡をとりながら努力をしておられることはよく認めておりますが、何か年々広まっていくような感じを受けまして、真剣に取り組んでもらわなければならない、そういう立場から御見解をただしているわけでございまして、順次御質問をしていきたい、こういうふうに考えております。  そこで、交通局長にひとつお尋ねをしていきたいのですが、昨年六月でございましたか、私が当委員会でやはり暴走族問題を取り上げたその折に、局長は「地域的な規制といいますか抑制、社会的な規制というものが必要であろう」、このように御答弁になっておられまして、さらに暴走族のいる家族や職場、学校にも呼びかけて御協力を求める、こういうことを考えているということの御答弁がございました。このときのことが朝日新聞だとか各紙に誠意ある局長の御答弁ということで大きな見出しでこれが取り上げられておるわけですが、その折に、私は、神奈川方式ということをよく前提にして御質問いたしましたので、新聞紙上では神奈川方式を広く推進していく考えを述べたとこのように報道しておるわけですが、その後どのような成果を上げておられるのか、ひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  152. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族についてこれを抑えていくためには、取り締まりばかりでなしに、社会的に規制の必要性があるということは、いまもそう考えているわけでございます。当時申し上げたことにつきましては、各府県にも暴走族に対する警察の対処の仕方の一つとして示しているところでございまして、各府県がそれぞれ実態把握した状況において、あるいは取り締まりをした状況においてそれぞれ連絡をし、暴走族の解体ということに努力をしていると考えております。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 神奈川方式だと、刑法や道交法に触れなくとも十八歳未満の少年少女の走行は十一時以後直ちに補導できるほか、放任している親や誘い出したグループのリーダーの責任も追及できる。これは大変手のかかることですけれども、何とかしてこういう少年の非行を改めさせようというそういう案を神奈川県警が取り上げられて努力をしておられた。五十年の六月に暴走族総合対策委員会が正式に警察庁に発足をしたわけですね。したがって、この神奈川方式なるものが全国的に採用されているのかどうか、また私どもはそうあるべきではないのかとも考えているわけですが、具体的な実態はどうでしょう。お答えをいただきたいと思います。
  154. 勝田俊男

    勝田政府委員 各府県、特に暴走族の対象のある府県につきましては、暴走族総合対策本部をそれぞれの各府県の段階で設置をして対処する。その中には、交通それから少年問題ということで保安、これが中心でありまして、そのほかに警備、刑事の両部門を含めた総合対策本部を設置しているような状態でございます。その面で街頭における交通の問題と、補導の面からの少年の問題、これは並行してやっていくということが基本的な方針でございまして、そうした少年補導の面から暴走族にタッチしていくということは、各府県ともに当然やっていると考えております。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 警察の任務の重大なことをわれわれはよく認識をいたしておりますし、また労苦を多としているわけでございますが、総理府警察というのはこの問題については真剣に取り組んでいただかなければならない、そういう内容でございますから、私はあえてちょっとお気持ちにさわるような問題も触れるかと思いますがお聞きをいただきたい、こういうふうに思います。  局長にお尋ねいたしますが、今回の神戸事件に限ってみても、従来の単純な暴走族事件としては片づけられないものがあるように考えられるわけですね。いわゆる関東型と関西型と違いがあることをよく認めておりますが、昨年の神戸まつりでも同様な騒動があったようにわれわれは記憶いたしております。そこで、警察当局はことしもそういう事件が起こるという前提に立った対策が必要であったのではないか、十分な態勢でなかったのではないかという懸念を私どもはちょっと持っております。警官の配置とか群衆対策などいろいろございましょうけれども、そういう点御答弁をいただきたいと思います。
  156. 勝田俊男

    勝田政府委員 神戸事件でございますが、神戸まつりに際して暴走族が群衆とともに暴れる、こういう事案は四十九年から起こっております。四十九年はそれほど大きくはなかった。昨年は四千人ばかりの群衆が集まっている。そういうことで、本年も神戸まつりにはかなりの人が集まってくるわけでございますから、その後で暴走族暴走をする、それとともに群衆が騒ぎ出すという事態があってはならない、黙っておるとそういう事態が出る可能性があるということで、兵庫県警ではそれに対応する対策を十分に検討し、われわれにも大体こういう態勢で臨みたいという報告もあったわけでございます。昨年の事案につきましては、当初四百人ぐらいの態勢で臨んで、事案が起こりましてさらに応援部隊を投入しまして、八百から九百ぐらいの警察官で事態の収拾を図っているわけでございます。本年は当初から機動隊も含めまして千二百の警察官を動員をしてこれに対処をしよう、当初の部隊から言うと昨年の二倍半の態勢をもっていこう、これだけの態勢を考え、さらに周辺における検問態勢も十カ所、暴走族が集まってくるというのを検問によって阻止しようということで、検問態勢についてもかなりの態勢をしいておったということでありまして、昨年の事例、そのときの警察力、今年についての予測という点から見ますと、相当な態勢をしいておる。結果的にああいう事件が起きましたので批判を受けると思いますけれども、兵庫県警がとった態勢というものについて、それが最初からどうも事態を余り甘く見過ぎておったのではないかということはないわけで、事態に対してはこれで対応できるのではないかということで、県警としてはかなりの態勢をもってこれに対処をしたということだと考えるわけでございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 今回の事件で死亡した方に対しましては心から哀悼の意を表するものでございますが、ただいま局長からの御答弁で、兵庫県警では十分な対策を講じた、こうお答えですが、私もそう信じていきたいと思いますが、一説には、この事件現場において死亡した人は仮死状態で車にひかれたとも言われているわけですね。警官は警備車から離れる際は、道交法でも、キーを持ち、ブレーキをかけ、ドアをロックするということは当然の常識と言われているわけですが、今回の場合、火を投げ込まれたという非常事態であっても、警察という職業に携わっている者の措置としては判断を誤ったのではないか、このように私どもは思わざるを得ないわけでございますが、この点について御答弁をいただきたい、こう思います。
  158. 勝田俊男

    勝田政府委員 輸送車の状況でございますが、現在その辺の状況についても詳しく捜査中でございます。運転者がおって、それから交通係員が十数名輸送途上ということでございますが、フロントガラス全面を割られる、それから火を投げ込まれる、棒を投げ出されるという状況で、運転者が危ないということで、輸送車の後方におった者が運転者を後部の方に引きずり上げて退避をさせたような状況であったというふうに聞いているわけでございます。原則的には、もちろん先生のおっしゃるとおりでございまして、今後ともにそういう点について十分配慮しなければならないと思います。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 火炎びんが投げ込まれたという、また暴走族警察官などに対立、対抗する傾向は昨年あたりから顕著になっているわけですね。北海道でも火炎びんを投げ込んだ事例がございます。最近では、暴走族が投石、火炎びんを使用することが多くなってきたようにも見受けられます。今回も、神宮参道で暴走行為を阻止しようとした警察官に二人乗りのオートバイがぶつかり双方がけがをしたという報道がございますように、警察に敵対する傾向が非常に身についてきているわけですね。また、最近では、大集団化し、この辺が問題ですが、この集団が短時間に一挙に行動を起こしているという。特に神奈川の湘南地方では、東京、千葉、埼玉のかっこうの遠征場になっているという傾向がございます。短時間に大集団が機動的に行動するわけであるから、情報交換などの充実を敏速に処理をする対策が必要になってきたわけですが、警察庁といたしましてはどう対処されますか。
  160. 勝田俊男

    勝田政府委員 暴走族の動きを見ておりますと、土曜から日曜にかけて非常に動くわけでございます。そこで、土曜から日曜にかけて、その動きについて各県それぞれにできる限りの情報をとります。それから、警察庁も連絡室発足ということで、連絡の中枢体制をとることにいたしておりまして、それぞれの情報につきましては関係府県には必ず連絡をして所要の体制をとる。暴走族は非常に機動力を持っているわけでございまして、県間の管轄区域にこだわらずに動くわけでございますので、そうした情報交換と府県間の協力体制というものを、それぞれ警察庁なりあるいは管区が中心になりまして連絡調整をしながらこれに対応していくという体制を考えているわけでございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 庁内の暴走族総合対策委員会が設置されまして、いまの、土曜、日曜に担当官がそこで情報を収集をし、そして各部に必要な情報はどんどん流しているという、そういう御苦労もわれわれは承知いたしております。ただ、これから、私も神奈川三区ですから、江の島海岸を、マイアミ海岸と言われる海岸を持っておりますので、状況は非常によくわかる立場から、これから夏場を迎えるわけですから、お祭りとか海水浴場及び海浜地帯を持つ自治体の悩みがよくわかるわけです。これから夏を迎えるに当たって、当面の警察の対案をどうお考えになりましょうか、お答えいただきたいと思います。
  162. 勝田俊男

    勝田政府委員 当面の暴走族対策、即効的な対策ということになりますと、警察の体制を整備して、これに対する指導、取り締まり体制でもって違法行為を抑圧していくということ以外には即効的な方法はないわけだと思います。そういった面で、さらに情報の収集を努めながら効果的な取り締まり方策を構じていくということにしたいと考えます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 局長、そうしますと、道交法の取り締まりの検討の必要が当然出てくるのではないかというふうにも考えられますが、その点はどのようにお考えになりましょうか。
  164. 勝田俊男

    勝田政府委員 道交法違反ということになりますと、従来、普通の道交法違反というのは大体警察官の現認でもって処置をしている、一件一件に証拠を固めてその措置をしているわけでございます。ただ、暴走族の場合は集団で動いてくる。そうすると、その集団全部に同時に対処して一々違反を立証するということは大変にむずかしい。それから大人数のグループであると、やはり少数の警察官では取り締まりができない。そこで事前に部隊を動員すると、機動力があるのでそれを避けて通るというようなことで、大変に取り締まり上のむずかしい問題がございます。また、一件一件の取り締まりということになるものですから、グループの取り締まりを道交法違反でやろうということになると、大挙して検挙するということはなかなかむずかしいという問題がございます。そういった面では、証拠をうまく保全をして事後捜査によって検挙するということが何かできないかということでございますが、暴走族は大変夜間が多い。夜間の採証についてむずかしい問題がある。そういったことで、器材の面などについてもいろいろ検討する必要があろうかと思います。道交法による取り締まりの面で、なお効果的な方法について検討の必要があると思います。  ただ、やはり検問できるような適当な場所でできるだけ検問の回数をふやしていって、説得なり何なりによってその行動に対する抑制をしていく。暴走族は、反抗的なグループもありますが、全部が全部警察に対して全く反抗的であるというわけではないわけでありまして、説得を聞くグループもあるわけでございます。そういった面の指導も当然今後ともに続けていかなければならないと思います。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 道交法の取り締まりの検討の必要性については、局長もただいまお認めになっておられるようでありますが、神奈川県には御存じのように主要道路が非常に多いおけで、今回も二百五十台、三百台という集団検問にひっかかってくるわけですね。そこで何かあるとすぐに座り込んで、したがって交通渋滞を起こしている。仕方なくなく県警は、やむを得ない、県内に入れさしてしまう。こういうことが、堂々と暴力がまかり通っているような形が今回あらわれてきているわけです。この方式でどんどんやられますと、どこでも検問突破容易ということで、これからなおこういうことが大きく広がっていく危検性があるわけでして、どうかこの問題の対策のためのいろいろな御研究、御努力をよろしくお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  そこで、総理府にお尋ねをしていきたいと思いますが、この取り締まりや規制など、警察の行える対策は限界があるわけですね。私は、暴走族になるのは、教育制度からはみ出した者とか家庭の断絶による者といった、単に言葉だけで容認するつもりはございませんが、こういったものが暴走族を形成する遠因になっていることも事実であると、このようにわれわれは見ておるわけでございますが、端的に言えば、わが国の青少年対策そのものに大きな欠陥があるのではないか、こう考えられます。そこで、青少年対策本部では、これまで暴走族問題をどのように考え、どう取り組んできたのか、実態の解明、原因調査などをやったことがあるのか、お伺いしておきたい、こう思うわけです。  実は昨年の十二月発行の青少年白書、この現状と対策というのを拝見いたしてみました。いろいろな施設については三十一施設が載っておりまして、その有効性を私も認めておりますが、これには暴走族の目次がないわけですね。したがって、この問題に対する御努力の跡が何ら出てないようにも見受けられるわけです。大人はゴルフ場だとかその他のいろいろな、健康管理と言いますけれども、そういう施設ができておるようですけれども暴走族に対する施設というのは何一つ見当たりませんし、その他の方向に走ってくれればいいのですが、そういうスポーツを求めていくことのできない、そういう人たちが単車を買い、一つの気分転換という意味で乗り回しているのだと思います。これに対する対策がないということについて、これは総理府の問題になろうか、このようにわれわれは考えておるわけでございますが、この点についてはどうでしょうか。
  166. 室城庸之

    室城政府委員 総理府におきましては、従来、暴走族の問題を青少年対策本部の方で取り上げてまいっておりまして、この暴走族の問題についての構成員にいろいろ関係の省庁等も入っておりますので、そことの情報交換等がこの対策本部の場においてなされておったわけでございます。昨年夏ごろ、暴走族の事態がかなり活発になってまいりまして、この段階で総理府としても各都道府県に総合的な青少年問題からの取り組みということを呼びかけてはどうかということで、関係者との意見も整いましたもので、昭和五十年六月九日付で「暴走族による非行の防止について」ということで総理府青少年対策本部次長名で各都道府県及び指定都市の青少年対策主管部局長あてに通達を出しまして、相次いで起こっております暴走族に対して、家庭、学校、職場等のあらゆる生活の場において青少年に対して適切な指導を行うことが肝要である、したがって、関係機関との連携を密にして対策を講ずるほか、広報紙の発行、青少年問題に関する研修会、講演会、座談会等の機会を通じて、保護者、青少年指導者、その他地域住民の暴走族に対する問題意識を高めるように特段の努力をするようにというような通達を発しまして、指導に努めておったわけでございます。  さらに、青少年問題対策だけでこれを取り上げるのはいかがなものかということから、一カ月おくれまして昭和五十年の七月七日付で、今度は交通安全対策室長青少年対策本部長の連名の通達で同じ都道府県、政令指定都市の主管部局長あてに、交通問題の角度からと青少年問題の角度から両方相連携して対策を進めろという意味の通達をし、指導をしてまいっております。  今回の事件につきましては、総務長官も非常に御心配になりまして、当面取り締まりの面は警察が正面から積極的に取り組んでおられるわけであるけれども警察力だけでは十分達成し得ないいろいろな問題があろう、したがって政府の立場で総合的に問題を取り上げる、これについては今後の対策として当面の対策をいかに進めるべきか、あるいは長期の対策としてどういうような問題を取り上げていくべきであるか、従来いろいろな提言がなされており、意見があるわけでございますけれども、この機会にこれらの意見中心に専門家の御意見を十分に承って、その背景になっております問題点、その問題を解決する手段、手法等につきまして、いろいろ御意見を承り、政府としての幅広い対策の方向を決めていこうということで、実は先ほど申し上げましたように、きょう総務長官が関係者の御意見を聞いておられるというようなことでございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと御努力をなさっておられることについては、これは敬意を表しているわけです。あんまり効果があらわれないものですからね、したがって、こうやってせっかくいただいた青少年白書を見ましても、あんまり効果が出てこないから、御努力はわかるのですけれども、真剣さが欠けるのじゃなかろうかという、もう一歩前進してもらうために私どもは申し上げておるわけですから、なお一層の御努力を心から御要望申し上げたい、このように思います。また後で御質問いたします。  文部省にお伺いをしておきたいと思います。  暴走族発生原因一つに、現代の受験制度の欠陥、これはいまいろいろと問題になっておりますが、また現在の受験制度についていけない、たとえば幼稚園から塾に入らなければ高校に入れないというような落ちこぼれの問題があるわけでございます。これら実際に落ちこぼれた人たちの対策が必要と私どもは考えておるわけですが、農村地域地域の統合性が強く、青年団による公民館活動などが行われておりますが、都市部は結合が薄い上、地域少年活動が皆無であり、またあったとしても体育会に所属するようなエリートだけの集まりにすぎないわけでございます。このような現象が暴走族に追いやるという一面を持っているのではないか、こう私どもは考えますが、主に都市部における社会教育に対する見解、倉地課長でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  168. 倉地克次

    ○倉地説明員 いま先生の御質問でございますと、主として都市部における社会教育という面でございますけれども、私ども直接担当しておりますのは高校教育の面でございますので、その点から少し申し上げたいと思う次第でございます。  私どもの認識といたしましては、暴走族の中に比較的多く高校生が含まれておりますので、その辺につきまして非常に関心を抱いておるわけでございますけれども、文部省といたしましては、従来から高校生の健全育成という観点から見まして、学校教育の面で生徒指導体制の確立、それから教科の指導の改善、ホームルームやクラブ活動の充実などに努めてきているわけでございます。ただ、先生も御存じのことかと思いますけれども、最近高校の進学率が非常に上昇いたしまして、もうすでに九二%の生徒になっているわけでございます。そういう点から、現在の生徒の能力、適性、進路などが非常に多様になっておりまして、ややもすると生徒の中には教育内容が十分理解できずに、いわゆる学校の不適応現象を起こしている者も見られるわけでございます。それで現在こういう点もございまして、教育課程審議会でこうした高等学校の教育課程、それから小中学校との関連も図りまして、小中学校全体も見まして、そうした教育課程の改善に取り組んでおるわけでございます。こうした教育課程の改善によって高等学校教育を魅力あるものにすることが高等学校の生徒がそうした暴走族の方へ流れないということの基本的な問題ではないかと私ども見ているわけでございまして、そうした教育課程の改善の問題にも今後十分取り組んでいきたいというふうに思っているわけでございます。  それは基本的に長期的な観点でございますけれども、そのほか高校の問題といたしましては、交通安全指導の問題があるわけでございまして、そうしたものには保健とかホームルームなどで自他の生命尊重などの観点からいろいろ指導することになっているわけでございますが、特に、二輪車の問題につきましては、高校生の死亡事故数も非常に多いことでございますので、非常に重視しておりまして、各種の講習会などでもこうしたことは重点的に取り上げて指導をしておるわけでございます。こうした方向で私どもも十分に指導してまいりたいと思っている次第でございますが、先ほど先生から御質問ありました社会教育との面も抜きにしてこの問題に取り組むことはできないわけでございますので、今後におきましても関係機関、それから社会教育団体とも十分連絡をとりまして、この問題に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 学校教育の現場では、暴走族に対する指導というのか、対策というのか、いろいろあると思うのですが、これが欠けているのではないか。通学にバイクを使用している生徒数、これも相当いるわけですね。交通安全教育、いまお話ありましたように、マナー教育、いろいろとありましょうけれども、やはりこの文部省の教育の場での指導というものは私は非常に必要になってきたように思います。いろいろとそれは問題もありましょうけれども、それは別にして、これは関係省庁が一体となって対策を講ずるという立場から、文部省に課せられたその使命というもの、役目というものは非常に大きいように感ずるわけでございまして、ひとつ一層の御努力をお願い申し上げておきたい、こう思います。その点については結構であります。  労働省本多年少労働課長さんおいでになりましょうか。——一点だけお伺いしておきたいのですが、暴走族構成する過半数は中小企業に所属する職業を持った青少年と言われておりますが、これら青少年暴走族に入る原因は、中小企業の若者のエネルギーを発散させる場所、方法を持たないということで、いわばほったらかしにされていることが原因一つではないか、このように言われております。したがって、労働省としてこの種の問題について中小企業関係者に働きかけていくか、またどのような対策を講じようとしているのか、将来の有職青少年対策について御意見を承っておきたい、こう思います。
  170. 本多去来彌

    ○本多説明員 御指摘のように中小企業の勤労青少年につきましては、余暇活動のための施設あるいは余暇を一緒に過ごす仲間、こういうものに恵まれていない場合が多いわけであります。したがいまして、労働省といたしましてはこのようなことに対しましては、企業にかわって地方公共団体が余暇の施設を提供していくということで、昭和三十二年以来勤労青少年の余暇の総合的施設として、勤労青少年ホームというものを地方公共団体に補助金を交付して建設を進めてまいっておるわけでございます。特に昭和四十五年に勤労青少年福祉法という法律をつくりまして、その十五条におきまして、地方公共団体における勤労青少年ホームの設置努力義務を規定したわけでありまして、これを契機といたしまして、ホームが飛躍的に増加いたしまして、現在三百三十一所を数えるに至っておるわけでございます。これらの施設は今後とも精力的に整備拡充に努める方針でございまして、そういう施設に恵まれない中小企業の勤労青少年はこういうところで余暇を過ごしていただくように誘導するといいますか、そういう方向で対策を講じておるわけでございます。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 この青少年の福利厚生施設整備というものは、やはり欠くことのできない一つ対策であろうとわれわれはこう考えております。一つの例として、工員同士が野球チームをつくった、つくったけれども自由にプレーできる広場がなかった、したがって集まったメンバーがそのまま暴走族になったという、こういう事例もあるように聞いているわけです。したがって、健全なレジャー、レクリエーション施設整備、この交流の場を設けるなどの対策を進める必要があると私どもは考えているわけですが、何かこれからそういう厚生施設整備ということの具体的な内容お持ちになりませんか。こういうものをこれからつくっていきたい、こう考えるというようなそういう例がありましたらお答えいただきたい、こう思います。
  172. 本多去来彌

    ○本多説明員 ただいま勤労青少年ホームについて御説明申し上げました。ホームにつきましては大体屋内のスポーツ施設を持っておるのが普通でございまして、御指摘の野球をやるというような野球場を持っておるというものはほとんどないわけでありますけれども、この勤労青少年ホームだけではなく、労働省におきましては中小企業レクリエーションセンターとかその他いろいろ勤労者のための福祉施設を全国各地に建設しておりまして、そのような中には野球場、テニスコートその他野外的なスポーツをやる施設を持ったものもあるわけでございます。そういうような施設について引き続き増設を進めていきたいと思っておるわけでございます。  なお、チームを構成したけれども広場がなくてできないというようなことでございますけれども、各地方公共団体におきましてもいろいろな運動場、野球場等を持っておりまして市民に貸しておるわけでございます。実はチームを構成できるぐらいの人たちはまだいい方で、まだチームを構成するに至らないほどばらばらになっているというような人たちが勤労青少年ホームに集まりまして、一人一人ずつ集まったところで、集まってチームをつくるということになりますと、少なくとも申し込む資格はできるわけでございます。そういうようなことでこのホームというものは活用されていく余地があるのじゃないか、こういうように思いますので、つけ加えて説明させていただきます。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 スポーツをやる若者は悪人がいないと言われます。運動は、やろうと思えば本当はどこでもできるわけです。私なども運動を機会あるごとにやっておるわけですが、ぜひひとつ、日本の将来を担う青少年の育成という立場から、一層の御努力をお願い申し上げたい、こう思います。  そこで、これは交通局長にお尋ねをしておきたいのですが、暴走族をなくす一つ方法として、取り締まりもさることながら、これは必要と認めます、しかし、犯行意識を高めるような結果になってはなりません。そういう点で、エネルギーの発散場所が必要であるということはお認めになるかと思います。警察庁交通安全センター、五十一年の一月に発足いたしましたが、このセンターが将来安全運転コースなどを設けて正しい運転指導をしていくということでございますし、またセンター法の中には青少年の育成という項目も入っているので、十分な体制が整うと思いますが、この暴走族の訓練施設ということで諸外国の問題をいろいろ私も調べてみました。それから国内で日本モーターサイクル協会というのがありまして、民間グループ団体がいろいろと努力しておられまして、その訓練施設として、モトクロス、トライアル、ロードレース、ジムカーナ、スノースクランブル、まあ日本語にしてもらえばいいのですが、こういう名前の自由に集まる場所について、どのようなお考えをお持ちになっておられましょうか。この細かい名称を示しても御存じの方は少ないようです。そのくらい、日本の国内ですでに利用されておりながら、関係者に聞いても御認識がない、そういう施設がすでに使われているという経過からして、やはりこれは一考の価値があるだろう、こういうように考えておるわけですが、御意見を聞かせていただきたいと思います。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕
  174. 勝田俊男

    勝田政府委員 自動車安全運転センターにつきましては、先生御質問のとおり、青少年の研修をやることを目標にも掲げているわけでございまして、できるだけ早い機会に研修施設の建設を行って、そういう研修ができるような体制に持ち込んでいきたいということでございます。現在は準備段階で、土地の物色なり研修のやり方なりを検討している段階でございます。  それからもう一点、現在あるモータースポーツクラブ、日本モーターサイクル協会あるいは全日本モーターサイクル連盟というようなものがありまして、会員数は個人で約八千人、そのほかにクラブとして千クラブぐらいがある。末端の府県ごとの組織まで持っているものもあり、それぞれクラブ員には級を与えまして、特定の資格を与えてやるというようなことをやっているようでございます。競技等もやるというようなことでございますが、こういったクラブは、先生もおっしゃるように、一般には必ずしも周知されていない。そこで、暴走族がこういったクラブにうまく入ってくるかどうかということになりますと、これは若干問題があるのじゃなかろうか、かなりクラブとしての統制もあるものですから、うまく受け入れられるかどうかというような問題もあるのじゃないかという気がいたします。だから、そういう暴走族に入る前の段階で、二輪車の好きなグループが何かそういったことでやりたいということであれば、こういうクラブもあるということで、その趣味を生かしていく道はこういうところにも開けているということは言えると思います。  また、二輪車安全運転推進委員会あるいは警察、共同いたしまして、二輪車について免許を取った者についての安全講習をやっておりますが、昨年も二輪車だけについても全国で八十七万人ばかりの講習をやっているわけでございまして、こういう講習を通じまして健全な運転技能と同時に健全な運転についての意識、心構えというものもたたき込んでいく。ただ、暴走族になるようなグループはなかなかそういった講習会を呼びかけても出てこないというようなところは、これはやはり問題でございまして、どうしてそういうものの中に入れ込んでいくかということが大変むずかしい問題じゃないかということだと思います。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ、施設をつくっても暴走族は来ないであろうという御意見は、私どもも間々耳にいたしております。来ないと言いますが、いままでどこにどういう施設をつくったかというと、それもないわけですから、したがって、やはり一度はつくってみるべきではないのか、どういう効果があらわれるか、こういうふうにわれわれは見ているわけであります。そういう点で、より御努力をお願いしたいという立場で御質問をしているわけですが、車を持つ者の訓練施設として、文部省、労働省、いろいろいま項目を五つばかり挙げましたけれども、こういう施設については御認識がございましょうか。また、御認識があるならば、どのようにお考えになっておられましょうか、わかりませんか。これは文部省と労働省の御認識を確認しておきたいという立場で私はお伺いしているわけですから、両方から率直な御意見を聞かしておいてください。——それでは、モトクロス、トライアル、ロードレース、ジムカーナ、スノー スクランブル、まあ車を持つ者が自由に集まる場所、訓練施設というものをつくるべきではないのか、この問題についてやはりこれから御努力願いますけれども、いや私の方はそれは関係ないのだといえばないのですけれども、青少年の育成という立場から当然関係省庁が出てくるわけですから、そういう立場で御意見を承っておきたいと思ったのです。これは御認識を確認する意味で私はお伺いしましたので答弁は要りません。答弁要りませんが、このことはひとつ上司にもお伝え願って、そして今後の御努力を心から要請をしておきたい、こう思います。  建設省にお尋ねをしておきたいと思いますが、佐藤政課長、いまの問題ですが、エネルギーの発散場所というと何かきちっと整備されたものをつくればよいと思いがちでございますが、いまの若者の価値感は非常に多様化していて、与えられたものでは満足しないという。相模原に米軍基地の解除になった国有地がございます。一万数千坪大蔵省から借りまして、そこにいろいろな子供広場の施設ができているわけです。行って見ると驚くのですね。材木渡りなんか、いろいろ階段があったりして、その下にわざと大きな石ころがずっと並べてある。いまの子供はそういう刺激性がないとそこへ集まらぬ。下へ砂でも敷いて危なくないようにすれば子供は行かない。したがって、下に無造作にいろいろなものが置いてあるわけです。その上をスリルを味わいながら——子供が一日に、多いときには五千人ぐらい来ているわけです。こういうことがあって、その若者の心理というものがよくわかるのです。  いろいろとスポーツを志す人の意見の違うこともよくわかりますけれども、河川敷とか荒れ地で、特別に金をかけて整備をしなくてもいい、そういう野原で開放できるような土地を建設省はたくさんお持ちになっておられるわけです。私の申し上げたいのは河川敷の問題ですが、警察庁建設省と、センターが管理をしていくという方向でこういう問題を話し合う必要があるんじゃなかろうか、こう考えておるわけですが、これは建設省の御意見が決まらないとなかなか話し合ってもらちが明きませんので、御見解を承っておきたい、こう思います。
  176. 佐藤毅三

    佐藤説明員 河川敷地の利用の問題につきましてお答え申し上げます。  河川敷地は、先生御承知であると思いますが、公共用物といたしまして、一般公衆の自由な使用に供すべきものであるというふうに考えております。それから、もちろんのことでございますが、まず、河川の流路を形成いたしておりますので、洪水を安全に流せるというようになっていなければならないわけでございます。また、最近におきましては、特に河川の環境というものが非常に重視されておりまして、河川の果たす環境に対する役割りというものを良好に保っていかなければならないということが要求されておるわけでございます。そういうことから、河川敷地の占用、河川敷地を利用させる場合につきましては、占用準則というものを定めまして、厳しくその利用を限定いたしておるわけでございます。  そういうことで、河川やその付近の環境に支障を与えないような場合、治水上、利水上支障を与えない場合、また、一般公衆の自由な使用を妨げないような場合に限りまして使用させるということでございますので、そういう見地から言いますと、恐らく先生が直接に御提案になっておりますのは、いまのモトクロスのようなものを河川敷地に占用させられないかということだと思いますが、適当ではないというふうに考えておる次第でございます。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 河川敷の借用申請は、いろいろと公園があり、あるいはまた運動場があり、そしてまたたこ揚げのための広場なんかがあったりして、相当自治体から申請が出て、お許しをいただいて使わせていただいているという例がたくさんあるわけです。大きな一級河川の河川敷なんというのは、もう大変な面積のところがあいているわけです。  そこで、いろいろ心配になるようなそういう問題については、これはやはり管理者が十分に配慮していかなくちゃならない問題ですけれども、公共目的に反しないような内容ならば許可になるというお話ですから、公共的な目的ということになると、こういう青少年の育成ということから取り上げているこの暴走族問題ですから、これが建設省の協力によって一つの道が開けていく、そういう見通しに立って私どもは御質問しているわけです。公共施設の場合は減免措置も講ずるように指導されておられるようですね。こういうことですから、私もいろいろと調べてみました。都道府県で土地の占用料を取る場合も条例で決まっておるようですから、したがって、認可をするにしても、一級河川のうちで大臣管理区間は建設大臣に提出をするとか、あるいはまた同じ一級河川でも指定区間は県知事に申請をするとか、二級河川は県知事に申請をするとか、いろいろと申請をする方法も内容も一応調べてみたわけです。そういう立場から、どうしてもいまのモトクロスとかトライアルだとかこういうものも公共的使用目的に入れるべきであるという見解を私ども持っておるわけです。  非常に警戒されますが、多摩川べりに行ってみれば、本当に楽しくそういうスリルを味わいながら遊び、また訓練をしている場所もできているわけです。あるいはまた、私、行ったことありませんが、鈴鹿峠の付近にも民間のそういう施設ができて、大いに活用されているという話も聞いているわけです。九州から北海道に至るまで大変な河川敷がありながら、建設省の御理解が浅いために、なかなか見通しがむずかしいので申請をしないのではないかとわれわれは見ているわけですが、建設省の御意見がそういう方向にあるということになれば、われわれもぜひとも青少年対策のためにそういう方向に努力していきたい、こう考えておるわけです。そういう立場からきょうはその方面で大変な御努力を願っておられる専門屋としての佐藤政課長さんにおいで願ったわけですから、ひとつ意のあるところをよく伝えておいていただきたい。もう一遍お答えいただきたい。
  178. 佐藤毅三

    佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、河川敷地というものの占用の原則といたしましては、一般公衆の自由な使用を妨げないものであること、河川及びその付近の環境を阻害しないものであること、治水上、利水上支障を与えないものであること、こういうものに限って占用をさせるということにいたしておるわけでございます。したがいまして、原則的には公園でございますとか緑地、運動場あるいは採草放牧地といったようなものに限って占用を認めるということにしておるわけでございます。  それから、ちょっと申し上げますと、治水上支障を与えないということの一つの例でございますけれども、河川敷地の中へ施設をつくるというようなことは原則として認めておりませんで、高低差につきましても、五十センチ以上の高低差をつくってはならないという基準にいたしております。そういたしますと、いまのモトクロスのようなもの、いろいろなつくり方があるのかもしれませんけれども、五十センチ以上高低差を設けてはいけないということになると、余りおもしろいものはできないのじゃないかというような感じもいたしますので、どうも先生のせっかくの御提案でございますけれども、私ども、どうもモトクロス等に占用させることは適当でないというような考え方でございます。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 私の説明がまだ足りないようですね。課長さん、河川敷に施設をつくるということは、これは私も重々わかっております。そういうことは申し上げません。ただ、モトクロスなるものの内容が課長さん御存じなのかどうか。見たことあるんですか。五十センチ高低云々というようなことはないのですよ。そのままでいいです。高低があってもそのままで使える。その五十センチみたいに高低をならしてしまってはだめなんですよ。それじゃモトクロスの価値はない。そういう点で、もう水勢にも影響もありませんし、施設もつくらないわけですし、他に影響を及ぼすこともないし、ただ、暴走族がそこへ来るということについて民間の感情はどうかという懸念はありますよ、しかし、それはそれでまた自治体で検討いたしますけれども、内容をよく御認識をいただいた上でこの問題に対する御協力を当然するべきだとわれわれは考えているわけです。  いろいろな施設があるけれども、モトクロスの問題についてはどうか。いまの課長さんの御答弁のような内容ではなくして、もっと自然のありのままの姿、そこで利用できるのだ。ただ指定さえしてくれれば金なんか幾らもかけないで——ただ、あんまり深いみぞでもあればそこば少しならしますし、ササも立っておりましょう、そういうものは除去しなければなりませんけれども、そういう程度で、非常にスリル満点のようなそういう環境の場所が望ましいわけですから御心配ないと思うのですが、もう一遍お答えいただきたい。
  180. 佐藤毅三

    佐藤説明員 先ほど治水上の例として、ちょっと私、よけいなことを申したかもしれませんが、それよりも一般公衆の自由な使用を妨げないように、健全な使用を妨げないようにという問題と、河川及びその付近の環境を阻害しないようにという面から言いまして適当でないというふうにまず判断いたしておるわけでございます。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 残念ながら私の意図するところが伝わらないようでありますから、これはひとつ研究課題にしていただいて、課長さんもひとつより御勉強をお願いしたい、こう思っております。  最後に、総理府に一点だけお伺いして終わりたいと思いますが、この暴走族の問題は多岐にわたっております。警察の取り締まり、指導だけでは限界があるわけです。そこで、先ほどから述べてまいりましたように、総理府中心となって労働省、建設省、文部省あるいはその他の関係省庁が入って総合的に対策を立てなければならない、このようにわれわれは考えておるわけですが、今後の対策についての御方針あるいは御決意なりをお伺いいたしましてこの問題に対する質問を終わり、あとは次に譲りたいと思いますから、御答弁をいただきたいと思います。
  182. 室城庸之

    室城政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の神戸の事件で総務長官、非常に御心配になりまして、早速閣議で、総理府がこの問題で政府の立場対策の糸口をつかむという意味で早速会議を招集したいというふうに閣議の御了解も得られたわけでございまして、本日もその第一回の会合をやっておりますが、二回、三回、早急に専門家の御意見も伺いました上で、政府としての総合的な対策をどうするかということを結論つけていかれることと思いますが、その線に沿いまして今後の各行政機関にわたる総合的な調整を総理府で音頭取りをしながら強力に対策を進めていくというつもりで総務長官も決意をいたしておりますし、それを閣議でも御了解いただいておるということでございますので、私どももこの線に沿って総務長官をお助けしながら進めてまいりたいと思っております。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 大変遅くまでありがとうございました。以上で私の質問を終わります。
  184. 太田一夫

    太田委員長 次回は明二十日午前十時理事会、十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会