○渡辺(武)委員 おやりになっておる状態を見ておりますと、いわば一割
規制などというのがぽんと出てきまして、そこには経済の成長なり国民生活のレベルアップなりとどう
関係があるものかというのがおよそどうも理解できない。むしろ
交通事故というものを重視して、そのものだけを減らすために当面一割
規制、
総量規制ということが打ち出されてきておるのではないかと思えるようですね。全体として、よりスムーズな、ひずみのない社会を発展させていくために必要な
施策としてそれが取り上げられてきたのかどうかというふうに見ていきますと、必ずしもそうではなくて、
交通事故死者が非常に多い、これを
半減するということがまず決まりまして、そのためには、まず
総量規制、一〇%ばっとカットしてやることによって、ある
程度これが好影響を及ぼすのではないか、こういう発想ではないかと思うわけですよ。私は、そういう発想もときには必要だと思いますが、それだけで推移をしていきますと、ほかの問題でいろいろな問題が出てまいりますから、特にそういう原点をひとつ忘れないようにしていただきたい。あくまでも
交通規制は全体の中の一段階である、これによって全体を動かすなんてことはおよそできないことでありますから、そういう理解を私はしていただきたい、こう思うわけでございます。
次に、
安全教育の面に入りたいと思いますけれ
ども、この
基本計画の中には、前の
計画にはございませんでした例のシートベルトの
着用推進ということが織り込まれておりまして、その面では大変前進をしておりますし、意義深いというふうに
考えるわけです。つまり、昨年の状態別
死者数を見ていきますと、
自動車乗用中の
死者が四千十三名、
歩行者の
死者が三千七百三十二名ということになっておりまして、いわば初めて
自動車乗用中の
死者が
歩行者死者を上回っておるわけでございます。こういうふうに
死者の傾向に大きな転換があらわれたことから、いわば凶器型から棺おけ型への移行がなされて、そして車に乗っておる方の生命を保全するために、いろいろな問題が出てきておるわけでございますが、特に昨年度もシートベルトの普及のためにいろいろなPRを
総理府自身がおやりになったことは十分私も知っております。しかし、現実にはシートベルトのいわば装置義務というものは課せられておりますけれ
ども、
着用義務はいまだにまだ法制化をされておりません。特に
高速道路だけは
着用義務が課せられておりますけれ
ども、ペナルティーは実は賦課されていないわけでございまして、その実際の使用普及率といいますか、
着用率はまだまだ相当水準が低いというふうに見なければならないわけでございます。
そういう意味から、どうしてもある一つの物事を着実にやっていただこうとするためには、余り好ましい方向ではございませんけれ
ども、やはりペナルティーを課さなければならぬという問題があるわけでございまして、諸外国の例を見てまいりましても、おいおいに
着用を法制化、強制化しておる国が実はふえてまいってきております。わが国においても、
高速道路だけは一応
着用の義務づけがなされたわけでございますが、ぼつぼつ全般的に及ぼすような方向、それに至る段階として、もう少し前進をした方向が
考えられなければならないのではなかろうか。いわば普及を促進するために、一挙に
着用義務づけになりますと、
自動車の構造で装置義務が課せられていない車まで走っているわけですから、いろいろな問題もあろうかと思いますが、特に
事故発生時等における実際にベルトを
着用しておった場合と
着用していなかった場合の
事故処理に当たっての勘案等もできるのではないだろうか、
着用しておった人に対するいわばペナルティー——ほかのペナルティーになりますけれ
ども、そういう場合の勘案がなされていくのではないだろうか、そういうことを通じて、いわば
着用率を高めていくという
努力が必要ではないか。最終的にはやはり法制化によって
着用を義務づけるということが必要だと思いますけれ
ども、その辺を一体今後どういうふうにしていかれるという御方針でしょうか、お聞かせを願いたいと思います。