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1976-04-23 第77回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十三日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 天野 光晴君 理事 梶山 静六君    理事 國場 幸昌君 理事 井上 普方君       大村 襄治君    斉藤滋与史君       塩谷 一夫君    田中  覚君       谷川 和穗君    渡海元三郎君       中村 弘海君    松野 幸泰君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君    柴田 睦夫君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         建設政務次官  村田敬次郎君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省都市局参         事官      森田 松仁君  委員外出席者         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   渡辺 武三君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     渡辺 武三君     ――――――――――――― 四月二十二日  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改  正する法律案内閣提出第五二号) 同月六日  住宅問題の抜本的解決に関する請願新井彬之  君紹介)(第二五〇二号) 同月十二日  河川水利用税創設反対に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第二九四七号)  住宅問題の抜本的解決に関する請願土橋一吉  君紹介)(第二九九五号) 同月十三日  瀬戸大橋の早期着工に関する請願加藤六月君  紹介)(第三一四五号)  山陽自動車道、中国横断自動車道早期建設に  関する請願藤井勝志紹介)(第三一四六  号)  旧三井田川鉱業所炭鉱住宅改良促進に関する  請願三浦久紹介)(第三一四七号) 同月十九日  北関東地域総合開発推進に関する請願赤城  宗徳紹介)(第三四六〇号)  金精道路の冬期開通に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第三四六一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月九日  中国四国横断自動車道建設促進に関する陳  情書(第二〇一  号)  鹿児島市の区画整理事業等促進に関する陳情  書(第二〇二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)      ――――◇―――――
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  昨二十二日、本委員会に付託されました内閣提出下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。竹下建設大臣。     —————————————  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  下水道は、良好な生活環境を確保するとともに公共用水域水質を保全するため必要不可欠の施設でありますが、わが国における下水道整備は諸外国に比べて著しく立ちおくれており、近年一段と強まっている生活環境改善に対する国民要望にこたえるとともに、全国的な急務となっている水質環境基準達成を果たすためには、下水道緊急整備をより一層強力に進めていくことが必要であります。  また、公共用水域水質汚濁防止の見地からは、下水道緊急整備とあわせて、工場等からの悪質下水下水道への流入を厳に規制して、下水道から公共用水域へ放流される水の水質適正化を図ることが重要となっております。  このような諸般情勢にかんがみ、現行の下水道整備五カ年計画に引き続き昭和五十一年度を初年度とする第四次下水道整備五カ年計画を策定するとともに、工場等からの悪質下水に対する規制及び監督を強化することとした次第であります。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず、下水道整備緊急措置法の一部改正についてであります。  第一に、下水道整備五カ年計画対象となる下水道整備事業都市計画事業として実施されるものに限定せず、都市計画区域外における下水道事業をも五カ年計画対象に含めるものといたしております。  第二に、建設大臣は、昭和五十一年度を初年度とする下水道整備五カ年計画の案を作成し、閣議決定を求めなければならないものといたしております。  次に、下水道法の一部改正についてであります。  第一に、政令で定めるものを除き、水質汚濁防止法規定する特定施設を設備する工場または事業場から下水を排除して公共下水道を使用する者は、その水質が一定の基準に適合しない下水を排除してはならないものとし、違反者に対しては罰則を置いております。  第二に、工場または事業場から継続して下水を排除して公共下水道を使用する者は、特定施設設置等をしようとするときは、公共下水道管理者届け出なければならないものといたしております。  第三に、公共下水道管理者は、特定施設設置等届け出があった場合において、当該特定施設を設置する工場または事業場から悪質下水が排除されると認めるときは、届け出の日から六十日以内に限り、計画変更等を命ずることができるものとし、届け出の日から六十日間は、その届け出に係る特定施設設置等を禁止するものといたしております。  第四に、以上の規定は、流域下水道についても準用するものといたしております。  第五に、公共下水道管理者または流域下水道管理者は、特定施設を設置している工場または事業場から悪質下水が排除されるおそれがあると認めるときは、所要の改善措置等を命ずることができるものといたしております。  なお、下水道整備緊急措置法の一部改正昭和五十一年四月一日から、下水道法の一部改正は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 渡辺栄一

    渡辺委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  5. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより審査に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。梶山静六君。
  6. 梶山静六

    梶山委員 ただいま議題になりました下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたします。  まず第一に、第三次下水道整備五カ年計画達成状況と、現在計画をされている第四次五カ年計画概要についてであります。  従来、五カ年計画はとかく完全に実施されていなかった例が多いが、第三次下水道整備五カ年計画では、投資規模については達成率が一〇〇%を上回る見込みであると聞いております。最近公共投資の抑制、さらに国及び地方公共団体を通じての財政逼迫状況にあったことを考えれば、下水道整備についての国及び地方公共団体関係者努力は一応評価されてよいものと考えます。しかし、事業量の面での達成は必ずしも十分でないと聞いておりますが、どうなっておりますか、お伺いをいたします。  また、第四次下水道整備五カ年計画では、さらに一段と事業規模を拡大してこれらのおくれを取り戻すことが必要であると考えますが、第四次下水道整備五カ年計画概要についてお伺いをいたします。
  7. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 第三次下水道整備五カ年計画昭和四十六年度から五十年度をもって計画期間を終えましたが、この達成率は御指摘のように、事業費ベースにおきましては予備費を除く総事業費二兆五千百三十四億円に対しまして一〇四・四%ということになるわけでございます。ただ、この間の物価の非常な高騰あるいは水質基準の強化あるいは管渠埋設のためのシールド工法採用必要等諸般工事単価かさ上げ要因がかさみましたために、当初計画に対しまして実質事業量におきましては管渠整備延長を見ますと約五一%、終末処理場処理能力で見ますと約四四%にとどまっている次第でございます。今回の五カ年計画をお願いしている今後の五年間におきましては、このような要因前回に比べてはるかに軽減するものと思われますので、事業費引き上げ事業量引き上げにつながるものと考えております。  なお、新しい第四次の五カ年計画概要でございますが、これは予備費四千億を含めまして総投資規模七兆五千億円という計画でございまして、その中で重点項目としては、まず公害防止計画あるいは水質環境基準達成のための下水道整備促進。それからこういう水質にかかわりはない項目でございますが、市街地の浸水の防除その他都市環境整備向上のために既成市街地と新市街地をあわせて計画的に整備していく。それから水質環境基準達成維持を図るとともに、湖沼とか内湾等閉鎖性水域水質汚濁を防ぐために、今後は下水道の三次処理施設建設に本格的にかからなければならないと考えております。また、都市計画区域外におきまして、農山漁村あるいは湖沼周辺等におきましても環境保全の必要が出てまいりますので、特定環境保全公共下水道と称しまして、こういった事業整備を進めたい。さらに下水処理とか汚泥の処分等に関するいろいろな新技術を開発し実用化し、こういったことを重点に実施したいと思います。  この計画案によりますと、現在の総人口普及率二二・八%と見込まれておりますが、五年後にはこれを四〇%に引き上げるという計画であります。
  8. 梶山静六

    梶山委員 第三次五カ年計画で一〇四%、しかし事業量では約五〇%と言われておりますが、この原因は、ただいま指摘になりましたように、インフレとか工法施工内容の違いによって低下をしたわけでありますが、その原因率を分類をいたしますとおおよそどのくらいのパーセンテージになるか、おわかりになればひとつお答えをいただきたいと思います。  それに付随いたしまして、この第四次五カ年計画を策定をいたしまして七兆一千億、普及率を四〇%と見込んでいるのは、積算基礎では五十年度を基準にして計算をされたと思いますが、いまからおおむね五カ年間の物価上昇率その他の要因を見込んで、実際に最終年次に四〇%の達成率を見ることができるのかどうか。五十年度をベースにして考えるのでありますから実質は落ち込みがあると思いますが、その辺の推定についてお答えを願いたいと思います。
  9. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 過年の石油ショック等による物価高騰、そのための工事費の増大が一番大きな要因でありまして、次いで処理場の一人当たり処理する基準というものが、これはそこから排出される水質基準の決め方によって左右されるわけでございますが、各地方公共団体条例等による上乗せ基準などが追加されまして、そのために当初予定していた以上に水質をされいにして処理しなければならないというところからくる処理能力アップのための経費増というのがあります。さらに下水道管渠、パイプは大体道路に敷設しますが、地盤その他の関係あるいは道路整備との関係等から見まして、道路を掘り起こして敷設するという方が経費は安いわけでございますが、実際かかってみますとそうはいかないというようなケースが多く、その場合にはシールド工法によって高い単価のものをやらなければなりません。なお、薬液を注入して固まらせながらシールド工法をやりますが、この薬液注入につきましても、二次公害防止のために凝結効果の弱い薬液に頼らざるを得ないというようなことも重なりまして、いま言ったような実質達成率になっておるわけでございます。  なお、今度の五カ年計画についても同様の恐れはないかというわけでありますが、まず現在までの五カ年計画単価アップを来しました要因のうち、処理人口一人当たりの処理基準というものは今後はそう変化はないと思われますし、またシールド工法等採用の必要な場所につきましても、今回は前回経験を生かしましておよそ想定をいたしましたので、この面からのアップもないものと考えます。  結局、物価の問題だけが残りますが、これも前回のような狂乱とも言うような大幅な増加はあってはならないし、めったにないああいうことが今後五カ年にあるとは私ども考えません。しかし、ゆるやかながら若干の物価アップは国の経済計画でも見込んでいるようでありますから、その分のアップは避けられませんが、今回の五カ年計画は五十年度単価実績をもとにそのままはじいておりますから、少なくとも当初においては単価は実勢と合っております。今後五カ年にどの程度の物価アップがあるかはなかなか見通せませんけれども、多少のアップがあるということがありましても、そのあたりは今後の工法研究あるいは設計の研究等により若干カバーできる面もあるかと思いますけれども、厳密に言って物価アップによる名目ダウンというものは多少はあるかもしれません。そういうことのないことを期待して計画を立てておる次第でございます。
  10. 梶山静六

    梶山委員 次に、下水道整備長期ビジョンについてでありますが、わが国における下水道普及現況欧米諸国に比べて著しく立ちおくれていることは、従来からしばしば指摘をされております。建設省の資料によれば、総人口普及率は約二三%弱、首都東京ですら五〇%にとどまっております。もちろんこれは戦前のストックがゼロの状態から戦後スタートして、昭和三十八年度からの第一次下水道整備五カ年計画以来飛躍的に下水道整備を進めてきた政府地方公共団体努力の結果であり、その成果は高く評価をされております。しかし今日、快適な生活環境を確保するにはぜひわが町にも下水道整備してほしいという願いは、全国民的な要望になると言っても過言ではありません。そのような国民的な要望にこたえるためには、今回の第四次五カ年計画目標整備水準である総人口普及率四〇%では、現況から見ますと一大飛躍であると評価されるが、先進国水準国民感情から見ればまだまだ不十分と言わざるを得ません。大都市の住民であっても、地方の市町村の住民であっても、不水道が完備された健康で快適な市街地に住みたいという希望には変わりなく、また河川湖沼等公共用水域水質環境基準達成するにも、将来はイギリス、オランダ並みの総人口普及率九〇%を目標にする必要があると考えております。特に竹下大臣は、普及率最下位と言われる島根——普及率最下位御三家と言われる島根そして佐賀県、これはゼロ%であります。そして私の茨城県も一・五%で御三家に入っているわけでありますが、特に長期ビジョンについての大臣所見をお伺いをいたしたいと思います。
  11. 竹下登

    竹下国務大臣 梶山委員指摘のとおり、私の出身地もまさにゼロ%という、言ってみれば開発途上県であります。この下水道整備に対する国民ニーズというものが大変強いということは御意見のとおりでありますが、大体長期ビジョンというものを考えるときにいろいろなとらまえ方があると思うのであります。一つは、昭和五十一年度を初年度として昭和六十年を最終年度とする十年という一つ長期ビジョンというものが政治課題としてとらえられる一つ目標ではなかろうか。いま一つは、紀元二千年いわゆる二十一世紀というものを達成点として考える長期ビジョンというものがあろうかと思うのであります。  したがって、この総人口の九〇%というビジョンを掲げて、それに到達する目標ということで都市局の諸君が一生懸命で努力して、昭和五十年代前期経済計画概案、いわゆる百兆円投資であります、この中で何とか十五年間にその目標達成したいということを現実的な課題として作業を進めた経験があると私も聞かされております。しかしながら今日、いろいろな経済落ちつき等からして、第三次五カ年計画のようなぱらつきはないにいたしましても、仮に一けた台あるいは定期預金金利以下の物価上昇ということを勘案しても、現実問題として事業量で一〇〇%達成するということはなかなか困難であります。  そこで、従来の慣例からいたしますと、財政当局がそういう長期ビジョンを査定するに際しては、どうしても五カ年計画というのが一つの切れ目になっております。そういう意味で今度の五カ年計画目標を設定したわけでありますが、私は、このなだらかな経済の進行から勘案してみたら、長期ビジョン目標達成というものはやはり十五年というのは少しく性急ではなかろうか、言ってみれば大体二十年というようなところへ目標を置くのがより現実的ではなかろうかというふうにも考えておるわけであります。これをいろいろな図式でやってみますと、一番安心して言える目標達成は二十五年ということになろうかと思うのでありますが、よりニーズの高い生活環境の問題でありますだけに、一応のめどを二十年というところに置くべきではなかろうか。確たる数字的根拠は別として、長期ビジョンとしてそういうものを掲げて進むべきではなかろうか。梶山委員が七十歳におなりになるときに大体大変りっぱな下水道整備ができる、こういうふうに私は考えております。
  12. 梶山静六

    梶山委員 二十年ないし二十五年という大変長い目標を掲げての展望をされたわけでありますが、実はこの下水道整備緊急措置法というものを読んでみまして、ただいま大臣答弁になられましたように、非常に長い期間をかけて計画的に継続的な努力を払わない限りこの目標達成できないという一つの判断がなされたわけであります。ところがこの措置法を読んでみまして、これに関連する法律体系をちょっと考えてみますと、これは大変素人くさい議論なので大臣にそしゃくしていただいて平易にお答えを願いたいのでありますが、この第三条には、「建設大臣は、昭和四十六年度以降の五箇年間に実施すべき下水道整備事業計画(以下「下水道整備五箇年計画」という。)の案を作成し、閣議決定を求めなければならない。」というふうにうたっているわけであります。専門的な法律用語の解釈は私もよくわかりませんが、きわめて常識的な判読をしますと、この法律は、五カ年間で事業完結をする、一つ目標完結をするというふうな限定的な内容ではないかというふうに私は理解をいたします。ですから、これは時限立法的なものであって、延長規定のないものである。ですから、法の一部改正というような形でこの問題が処理をされるべきではなくて、むしろ五カ年後には改めて法の制定を見なければならないというふうに常識的に読んでいいのではないかという気がいたします。  そしてこれを実は幾つかのもので拾ってみますと、この種の五カ年計画にはおおよそ三つの類型がございます。一つ法定主義によるものであります。法定主義の中で住宅建設計画法、それから別個な形のものでいまやられている下水道整備緊急措置法、それから都市公園道路港湾、こういうものがあるわけであります。それからもう一つ法定主義をとらないもので、たとえば防衛庁で出している防衛五カ年計画、これは国防会議の議を経て閣議決定をする、あるいは海岸保全の五カ年計画、こういうのも閣議決定だけで法定主義にのっとらないものであります。  ところが住宅建設計画法というのは、その中でも特に完全な継続法としての形態を整えております。住宅建設計画法では、第四条には「建設大臣は、住宅宅地審議会意見をきいて、国民住生活が適正な水準に安定するまでの間、昭和四十一年度以降の毎五箇年を各一期として、当該期間中の住宅建設に関する計画の案を作成し、閣議決定を求めなければならない。」これは目的達成までの間、完全な継続法としての形態を整えているわけであります。それに比較をいたしまして、下水道とか、都市公園港湾道路等緊急措置法は、多少の表現上の違いはございましても、これは前の住宅建設計画法とは全く内容を異にいたしております。  ただ、私がここで申し上げたいのは、むしろいままでの大臣答弁にもありましたように、下水道整備がきわめて高い行政需要度を持っているものである、しかも相当長期努力すべきものであるということを考えるならば、むしろ完全な継続法としての形態をとるべきであるし、そういうものを洗い直してみますと、下水道問題だけではなくて、法体系一つの形の——それぞれに特色があるのでございましょうけれども素人には理解しがたい実は形態の乱れがあるのではないかと思うわけであります。非常に高い平衡感覚をお持ちの大臣でございますので、わかりやすい所見をひとつお伺いできれば幸いであります。
  13. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの梶山委員の御質問でございますが、御指摘のとおり、各種五カ年計画には、五カ年ごと計画を法定しておるもの、住宅建設計画法のように五カ年ごとに継続して五カ年計画を策定するもの、また第四次防とかあるいは海岸整備とかいうふうに閣議決定のみでやられておるものと、三通りあります。で、これは梶山委員の御質問も非常に内閣官房的発想でありまして、元来私ども内閣官房的発想で考えた場合、法体系を統一するということは確かに必要なことであると思うのであります。なかんずくこの長期ビジョンの中にそれぞれ五カ年計画としてとらえる場合、第二番目の方式であります継続して五カ年計画を立てていくというのが一つの理想的な体系ではないかというふうに私も従来とも考えてみたわけであります。  ただ、経過的にこれをとらまえてみますと、高度経済成長下において予算の伸びというものが、税収の自然増等も含めながら非常にラフに受けとめることができる客観情勢のときには閣議決定だけで済ます、だんだん厳しくなってくると今度はやはり法定主義を貫いて、その中で国会の議決というオーソライズを背景として予算獲得をやっていく。いろいろな経過においてそれぞれの客観情勢の相違の中でこういうばらつきが生じたものではないかというふうに私は理解をいたしております。したがって、この種のものは私は法律体系として整理してしかるべきであるとも思いますが、たとえて申しますと、ちょうど、定かに覚えておりませんけれども、現在本委員会関係のあるものとすれば、地代家賃統制令などというものはまたあれは統制令という法律であります。これも占領が解除された後、政令法律とに振り分けられた形で令という法律現実に存在しておる。あるいは数は必ずしも定かではありませんが、ポツダム勅令が残っておる、これは恐らく私は二百くらいまだ残っておると思うのであります。ましてや太政官布告というものも残っておるわけであります。それらを計画的に整理してしかるべきだ、まあ私も考えたことがありますが、それを整理しますと、第一国会提出法案を一遍に二百本も出すわけにいきませんので、二十本ずつ仮に出して整理するとしましても、これが十年かかるのです。ところがそういう法律を、一つ一つポツダム勅令等を整理していきますと、たとえて言えば、出入国管理令ごときものを法律にするという場合はまた政治的な課題として大きなトラブルも出てくる、そういうようなことから、結局ポツダム勅令が残ったりあるいは予算獲得経過の中で閣議決定で済むものが法定されたり、継続法になったり、いつかの日だれかが法体系として整理した方がいいと私も思います。ただ何百本も一遍に出すことが現実この国会運営の中で可能なものであるかどうかということを考えると、私ども法律体系を一本化していくということに、一つの見識として評価しつつも、具体的にそれを実行に移すということに種々なる困難がある。したがって、少なくとも与野党一致して全会一致で議了していただけるような法律から体系整備というものをやってしかるべきではないか。特にこの建設行政などという、いわば国民長期ビジョンを提示して五カ年間の財政的背景の中でこれを遂行していくというものは、私は継続法体系にした方がいいんではないかという考えを持っておりますが、いまの梶山委員の御指摘というのは、立法府として大変高度な次元の御見識であるというふうに理解をいたします。
  14. 梶山静六

    梶山委員 内容的には一つ継続法的な目標があるというふうに理解をしてこれからもこの法律を読んでいきたいと思います。  次に最後でありますが、下水道の技術開発と処理水の再利用についてであります。  第四次五カ年計画には下水道の三次処理施設整備が含まれておりますが、この三次処理の技術を初めとして下水道の技術の開発の必要性が言われております。特に下水道は最近急速に発展してきたものであるから、水処理技術を初め、開発すべき技術分野はきわめて多いと考えられます。また、公害産業界はそれぞれの新技術の開発に努力をいたしておりますが、なかなか一定の方向づけがなされておりません。しかし、これは将来やはり大きな禍根を残すとも考えられますので、むしろ管理者側としては、ある一定の方向づけをしながらも、そういうものの技術開発の方向づけをしていかなければならない、こういう問題もあるわけであります。こういうものにどういうふうに対処しているのかお尋ねをしたいわけであります。  さらに、三次処理をされ適正に水質管理がされた処理水は、貴重な水資源として再利用を図る必要があると考えられます。今後長期的には水資源が不足をすると予測をされておりますし、また新規のダムの開発も容易でない、このような背景を考えますと、下水道処理水の再利用を三次処理の推進とあわせて進める必要があると考えます。この具体的な利用法を含めて建設省の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  15. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道の技術開発すべき分野は非常に多岐にわたっておるわけでございますが、一つの基礎的な研究を含めまして、それからあるいは直ちに事業化に結びつくような応用研究まで、非常に広い範囲の課題があるわけでございます。その中で特に研究開発が急がれております課題といたしましては、ただいま御指摘のようなものを含めまして多々あるわけでございますが、まず当面私どもとして急いで開発すべき問題としておりますのは、四つほど考えております。  一つは、まず少なくとも二次処理までの各施設、プロセスがございますが、この効率をいかにしたらアップできるか。つまり当初の予想以上に人口がふえてきた、あるいは一人当たりの水量がふえてきた、これに対応して確保している用地等が容易に拡大できないということに対応すれば、二次処理技術そのものの能率のアップがまず急がれると考えております。  それから第二番目には、主として水質環境基準達成あるいは湖沼などのいわゆる富栄養化ということが言われておりますが、これの対応策といたしまして、二次処理されてもなお若干問題が残っておるものをさらに除去していくという技術開発、いわゆる三次処理でございます。これが第二番目でございます。  それから第三番目としましては、水処理と並行いたしまして当然たくさんの汚泥が発生するわけでございまして、その汚泥の問題をどのように解決していくか、つまり、発生する汚泥の処理、処分の技術開発と同時に、処分だけではなくて、さらに有効利用を図るというための技術開発が第三番目にございます。  それから、今度の法改正とも若干関連いたしますけれども、四番目といたしましては、水質等の自動測定装置機器等の開発も、やはりこれは並行してやらなければいけない問題であろうかと思います。  おおむね四つほど当面の問題として考えておりますが、こういうことに対応いたしまして、私どもは第三次五カ年計画の中でもすでに実施しておりますけれども下水道事業調査費等の予算を使いまして、建設省には土木研究所というのがございます。そこに下水道部がございますし、さらに、昨年御審議いただきまして日本下水道事業団ができたわけでございますが、この中の試験、研修部あるいは関係地方公共団体等の協力を得まして、実際の処理場あるいはまたパイロットプラント等をつくりまして、申し上げましたような内容研究促進に努めておるわけでございます。  それからもう一点の下水処理水の再利用の問題でございます。この問題につきましては、すでに一部の都市では、十数年前から非常に部分的ではございますけれども、近くの工場用水等に下水処理水を昭和三十年代の後半から一部使っております。まだ本格的なものではございませんが、いま御指摘のように特に大都市圏におきましては水問題が非常に大きな課題になるわけでございます。御案内のように下水処理水も一つの大きな水資源というふうな考え方をわれわれは持つといたしますと、そのきれいになった水は当然再利用が可能なわけでございますので、下水道サイドだけとりましても、水洗便所の水などは上水道は必要としないわけでございますから、水洗便所の水とかあるいは雑用水等につきましては、できるだけ下水処理水の再利用を図るということを考えていくべきだと思っております。  いずれにしましても、これらも三次処理技術の技術開発と並行して行わるべき問題でございますので、今後ともその技術開発の促進については努力していきたい、かように考える次第でございます。
  16. 梶山静六

    梶山委員 特に処理水についてこの有効利用を完全ならしめるために、その誘導方法ないしは強制させるための立法を含めたいろいろな措置、対策を考えておく必要があると思います。これはひとつ御検討を願います。  以上で質問を終わります。
  17. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十四分散会      ————◇—————