○井前
説明員
下水道の技術開発すべき分野は非常に多岐にわたっておるわけでございますが、
一つの基礎的な
研究を含めまして、それからあるいは直ちに
事業化に結びつくような応用
研究まで、非常に広い範囲の
課題があるわけでございます。その中で特に
研究開発が急がれております
課題といたしましては、ただいま御
指摘のようなものを含めまして多々あるわけでございますが、まず当面私
どもとして急いで開発すべき問題としておりますのは、四つほど考えております。
一つは、まず少なくとも二次
処理までの各
施設、プロセスがございますが、この効率をいかにしたら
アップできるか。つまり当初の予想以上に
人口がふえてきた、あるいは一人当たりの水量がふえてきた、これに対応して確保している用地等が容易に拡大できないということに対応すれば、二次
処理技術そのものの能率の
アップがまず急がれると考えております。
それから第二番目には、主として
水質環境基準の
達成あるいは
湖沼などのいわゆる富栄養化ということが言われておりますが、これの対応策といたしまして、二次
処理されてもなお若干問題が残っておるものをさらに除去していくという技術開発、いわゆる三次
処理でございます。これが第二番目でございます。
それから第三番目としましては、水
処理と並行いたしまして当然たくさんの汚泥が発生するわけでございまして、その汚泥の問題をどのように解決していくか、つまり、発生する汚泥の
処理、処分の技術開発と同時に、処分だけではなくて、さらに有効利用を図るというための技術開発が第三番目にございます。
それから、今度の法
改正とも若干関連いたしますけれ
ども、四番目といたしましては、
水質等の自動測定装置機器等の開発も、やはりこれは並行してやらなければいけない問題であろうかと思います。
おおむね四つほど当面の問題として考えておりますが、こういうことに対応いたしまして、私
どもは第三次五カ年
計画の中でもすでに実施しておりますけれ
ども、
下水道事業調査費等の
予算を使いまして、
建設省には土木
研究所というのがございます。そこに
下水道部がございますし、さらに、昨年御
審議いただきまして日本
下水道事業団ができたわけでございますが、この中の試験、研修部あるいは
関係地方公共団体等の協力を得まして、実際の
処理場あるいはまたパイロットプラント等をつくりまして、申し上げましたような
内容の
研究の
促進に努めておるわけでございます。
それからもう一点の
下水処理水の再利用の問題でございます。この問題につきましては、すでに一部の都市では、十数年前から非常に部分的ではございますけれ
ども、近くの
工場用水等に
下水の
処理水を
昭和三十年代の後半から一部使っております。まだ本格的なものではございませんが、いま御
指摘のように特に大都市圏におきましては水問題が非常に大きな
課題になるわけでございます。御案内のように
下水の
処理水も
一つの大きな水資源というふうな考え方をわれわれは持つといたしますと、そのきれいになった水は当然再利用が可能なわけでございますので、
下水道サイドだけとりましても、水洗便所の水などは上
水道は必要としないわけでございますから、水洗便所の水とかあるいは雑用水等につきましては、できるだけ
下水の
処理水の再利用を図るということを考えていくべきだと思っております。
いずれにしましても、これらも三次
処理技術の技術開発と並行して行わるべき問題でございますので、今後ともその技術開発の
促進については
努力していきたい、かように考える次第でございます。