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1976-05-20 第77回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 小林 正巳君 理事 中尾  宏君    理事 萩原 幸雄君 理事 森下 元晴君    理事 吉永 治市君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       宇都宮徳馬君    高田 富之君       多田 光雄君    浅井 美幸君       塚本 三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君  出席政府委員         内閣官房長官 海部 俊樹君         青少年対策本部         次長      望月哲太郎君         警察庁長官官房         会計課長    金沢 昭雄君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         行政管理庁長官         官房会計課長  林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         沖繩開発庁総務         局会計課長   隈   健君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         運輸省航空局長 中村 大造君  委員外出席者         北海道開発庁計         画官      野々山伸彦君         法務大臣官房審         議官      鈴木 義男君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     菱村 幸彦君         厚生省社会局生         活課長     末次  彬君         会計検査院事務         総局第一局長  田代 忠博君         会計検査院事務         総局第三局長  小沼 敬八君         会計検査院事務         総局第四局長  東島 駿治君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  岩尾  一君         参  考  人         (日本航空株式         会社代表取締役         副社長)    高木 養根君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   田代 文久君     多田 光雄君 同日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     田代 文久君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管総理本府、行政管理庁沖繩開  発庁沖繩振興開発金融公庫〕      ――――◇―――――
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管総理本府等、沖繩開発庁沖繩振興開発金融公庫及び行政管理庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  総理府所管総理本審査のため、本日、参考人として日本航空株式会社代表取締役社長高木養根君の御出席を願い、その意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  4. 村山達雄

    村山委員長 次に、植木国務大臣から総理本府等について概要説明を求めます。植木国務大臣
  5. 植木光教

    植木国務大臣 昭和四十八年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は、三百五十二億四千八百七十七万円余でありますが、収納済歳入額は、四百七十億六千百六十万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、百十八億一千二百八十二万円余の増加となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、一兆九千六百十三億一千八百八十六万円余でありまして、支出済歳出額は、一兆八千七百七十億四千三百一万円余であります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、八百四十二億七千五百八十五万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、六百十億八千七十五万円余であり、不用額は、二百三十一億九千五百九万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁行政管理庁北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁及び沖繩開発庁については、各担当の大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁関係につき申し述べますと、歳出予算現額は、四千六百六十億六千二十三万円余でありまして、支出済歳出額は、四千五百七億五百八十三万円余であります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、百五十三億五千四百四十万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、四十二億二千五百六万円余であり、不用額は、百十一億二千九百三十三万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費等でありまして、これは旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び軍歴調査確認に不測の日数を要したこと等のため、年度内支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、国土総合開発庁設置法が成立しなかったことにより、国土総合開発公団出資金を要しなかったこと等のため生じたものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 村山達雄

  7. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度総理府所管決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果について申し上げます。  以上につきましては、検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 村山達雄

    村山委員長 次に、植木国務大臣から沖繩開発庁について概要説明を求めます。
  9. 植木光教

    植木国務大臣 昭和四十八年度における沖繩開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖繩開発庁歳出予算現額は、四百十億九千五百三十万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、三百七十一億五千二百六十三万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十七億四千二百五十七万円余、不用となった額は、二億九万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額六百四十五億一千五百二十七万円余、予算補正追加額三十六億八千二百七十万円余、予算補正修正減少額四千六十九万円余、予算移替増加額八百六十七万円余、予算移替減少額二百八十億六千二十六万円余、前年度繰越額九億九千二百三十四万円余、流用減額二百七十三万円余を増減しまして、四百十億九千五百三十万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖繩振興開発のための財源として、道路整備特別会計治水特別会計国有林野事業特別会計港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費三百十六億五千八百四十八万円であります。  次に、翌年度へ繰り越した額三十七億四千二百五十七万円余は、財政の執行の繰り延べ措置として公共投資関係事業について施行時期の調整をしたことにより、年度内支出を完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった二億九万円余は、砂糖価格差補給補助金必要額予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして、昭和四十八年度沖繩開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 村山達雄

  11. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度沖繩開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  12. 村山達雄

  13. 岩尾一

    岩尾説明員 沖繩振興開発金融公庫昭和四十八年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業の開発を促進するため、長期資金を供給して、一般金融機関が行う金融を補完し、または奨励するとともに、沖繩国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖繩における経済振興及び社会開発に資することを目的として、昭和四十七年五月に発足いたしたものであります。  昭和四十八年度事業計画は、当初六百三億円の予定でありましたが、年度中に、中小企業金融対策として、さらに二十五億円を追加しまして、六百二十八億円に改定されました。  これに対しまして、実績は六百二十七億八千万円余であります。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和四十七年度末における貸付残高は、六百六億円余でありましたが、昭和四十八年度における貸付額七百二十一億八千万円余が加わり、一方貸付回収金百九十八億円余がありましたので、差し引き千百二十九億七千万円余の貸付残高となっております。  次に、昭和四十八年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和四十八年度における収入済額は、四十七億八千万円余、支出済額は、四十三億円余でありまして、収入支出を上回ること四億八千万円余となっております。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済額は四十七億八千万円余でありまして、これを収入予算額五十二億三千万円余に比較いたしますと、四億五千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額五十四億四千万円余に対し、支出済額は四十三億円余でありまして、差し引き十一億三千万円余の差額が生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和四十八年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益五十九億七千万円余に対し、総損失は五十二億七千万円余でありまして、差し引き七億円余の償却引当金繰り入れ利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が昭和四十八年度における沖繩振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 村山達雄

  15. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 昭和四十八年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、八十四億三千四百二万円余でありまして、支出済歳出額は、八十四億四百九万円余、不用額は、二千九百九十二万円余であります。  支出済歳出額の内訳は、人件費三十七億一千七百三十九万円余、事務費等六億九千百三十五万円余、統計調査事務地方公共団体委託費三十九億九千五百三十四万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、職員俸給等人件費を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  16. 村山達雄

  17. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  18. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明聴取を終わります。     ―――――――――――――
  19. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。吉永治市君。
  20. 吉永治市

    吉永委員 私は与えられた時間内で、地方財政硬直化と、これが立て直しの問題につきまして、補助金の占める役割り、その問題点との関連について、大蔵省見解をただしたい。また補助金運営及びその検査結果について、さらに会計検査院検査結果を求める所存であります。さらに、この問題に関連をいたしまして、行政管理庁長官に対しまして、補助金行政の反省と検討の上に立った補助金行政のむだの排除、機構の改革、統廃合等の問題について、御見解を承りたいと存じます。  第一の問題ですが、委員長大蔵省はお見えになっておりますか。――それでは恐縮てございますが、大蔵省間に合いませんので、行政管理庁長官に対する質問を先行いたします。  御承知のように地方財政立て直し財政硬直化の問題をよくよく検討してまいりますと、どうも補助金の問題に根本的な原因があるように考えるわけでございます。その理由は後ほど申し上げますが、御承知のように補助金には定められた財の性質の枠があるようであります。制限がある、補助条件がついております。しかも、その補助金件数が二千件にも上り、余りにも複雑多岐にわたり過ぎる。特に各地域の自主性がある程度没却されておる。それだけにせっかくの財政資金の効率的な運用が非常にできにくくなっておる。むだが多い。そういうことで補助金の再検討の問題が、今日どうしても大きくここにクローズアップされると思うわけでございます。  そのような原因一つは、中央集権的体制に基づくことを前提とした補助金制度である。常に一部は政府が出して、あとは地元負担をする。その結果は、各種各様の多方面の部面にわたりまして超過負担の実態がひしひしと追ってくる。総花的になり過ぎて地元緩急順序がなおざりにされがちになるため資金の効率的な運用が鈍くなり、それだけ財政硬直化の因をなす。これに対して将来いかなる処置を考えなければならないかという問題、これは大蔵省、自治省が主体の問題でございますが、このようなことは、私は将来中央権限移譲と申しますか、あるいは税源の大幅な地方移譲と申しますか、そういう方面でこれは大きく検討されなければならないと考えているわけでございます。  そうした意味行管長官に、まず最初にお伺いを申し上げたいが、行財政の仕分けと申しまするか、あるいは部局統廃合と申しまするか、国費むだ遣い機構の洗い直し、不要不急公団公社等統廃合、そうしたことと真剣に取り組まれる時期に今日来ておると思っておりますが、行政管理庁長官の御見解はいかがでございましょう。
  21. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御質問の点に対しまして、よく理解をいたしましたが、実際問題といたしまして、ただいまの要請等に関しましては、詳細のことは事務当局から御答弁申し上げるといたしましても、監察状況という方面から考えますと、確かに御質問のようなことが考えられると、いまはっきり申し上げることができると思います。したがって、何とかしてそのようなことに持っていきたいものである、かように考えておりますが、いま申し上げましたように、詳細の点は事務当局から御説明させていただきます。
  22. 鈴木博

    鈴木(博)政府委員 ただいまの御指摘の中にございました補助金の問題あるいは特殊法人問題等に関しましては、行政監察局におきまして昨年監察調査を実施いたし、それぞれ結果を出したわけでございます。  まず補助金につきましては、財政硬直化のもとになっておると思われます、長期で固定化した補助金の洗い直し、あるいはまた同種同類のもので簡素合理化のできるものの有無、あるいは非常に零細で、手続のみ煩瑣で、しかもその効果が疑問であるというようなものがあるかないかというような見方を通じまして調査を実施いたしました。これは大蔵当局の方につなぎまして、五十一年度予算編成にそれぞれ資料を役立てていただいたわけでございます。  特殊法人につきましては、特別調査を実施いたしまして、昨年の十二月二十九日に、当面、簡素合理化のできます目標といったようなものを閣議了解していただいた次第でございます。
  23. 吉永治市

    吉永委員 小さなことにわたって恐縮ですが、ずいぶんむだを重ねておるなと思われる一つの例を申し上げますと、市町村あたりで小さな橋をつくる、あるいは地方道を補修するというようなことがあっても、三回も四回も上京してきておる。単一個人でなくて、三人も十人も団体陳情においでになる。そして圃場整備等一つやるにも団体陳情合戦が展開される。保育所一つつくるのでもそうでありますし、屎尿処理場、学校の増改築等の小さな問題でも、数え上げれば切りがないくらいに――決してむだとは申しませんが、国費の使い方が非常に疎慢になるような事態が随所に見られております。恐らくこれは会計検査院のある統計に――後ほど申しますか、たとえば一つ道路をつくる等の場合におきましても、そうした途中の費用が大変かさんで、最終的にそれが実働の費用として実現するものが非常に少ないという結果になっております。  この辺は余り触れたがらない議論のようでございますけれども、こういうようないわば繁文縟礼に似たむだの集計というものは大変なことになるだろうと思っております。これは行管あたりでひとつそうしたむだの累積集計ということをやってみられたら、今日の国民心理と申しますか、行政運営の上に警鐘乱打の大きな役割りをすると思いますが、そういう御企図はいかがなものでございましょう。
  24. 鈴木博

    鈴木(博)政府委員 ただいま御質問いただきました点につきましては、昨年の補助金行政監察に当たりまして、ある程度そういう面につきましても理解したつもりでございますけれども、ただいま御指摘のございました点、十分拝聴いたしまして、今後補助金手続の面で、行管の方で監察なりあるいは調査なりをするというときには、御指摘点等をも十分参考にさせていただいて、今後そういう方向に考えてまいりたいと存じます。
  25. 吉永治市

    吉永委員 重ねてお願いを申し上げますが、そのことは比較的ゆるがせにされて容認されがちでございます。ここはもう少し的確な数字を把握をして、こういうむだがあるということをこの際よく究明され、発表されることが必要じゃなかろうかと思うわけでございます。  中央集権制度も、ここまで来ますと、いわゆる親方日の丸のような、無責任であなた任せの、いわばおねだり行政物ごい行政というような弊風に堕しつつあります。自主性のない無気力なものがだんだん強くなっていくように考えるわけでございます。そうした意味において、中央が持っております権限、先ほどもちょっと触れましたが、ある種の権限あるいは財源等を、一括とは申しません、よほど研究を要する問題とは思いますが、一部地方移譲することがどうしても基本の問題になると思っておりますが、いかがでございましょう。
  26. 鈴木博

    鈴木(博)政府委員 当面の財政硬直化あるいは安定成長への経済移行等の背景を考えました場合、御指摘の問題は、行政管理庁において今後行政監察をいたします際にも十分考慮すべき事柄だと存じております。  したがいまして、五十一年度行政監察計画というものは、すでに行政監理委員会の了承を得てセットされてもございますので、当面どうこうするということはできないまでも、今後十分御趣旨を生かすような方向監察計画等も考えてまいりたい、このように存じます。
  27. 吉永治市

    吉永委員 御承知のように、一般会計の中で補助金件数が二千件近くに上っております。しかも、それが六兆八千億に上りますし、この六兆八千億というお金がもう少し有効に、効率的に使われる道は、今日の財政窮迫の中にでも必ずあるはずだと思っております。新規の財源としての六千億円しかないけれども、それさえうまく使えば、私は十分もっと研究の余地があるのではなかろうか。  たとえて申し上げますると、五十年度予算の中で余暇施設あるいはレジャー施設、そういうものをつくるというので各省で争って予算を出しました。農林省で「自然休養村」をつくろうということで予算を請求しました。運輸省では「青少年旅行村」をつくるということで予算を請求する、労働省か「勤労者いこいの村」をつくるということで請求する、厚生省の場合も同じでございます。こういう問題をもう少し広く国民的立場から見まして、もっと大きな視野で解決できぬものだろうか、何で別々に考えて別々にこれを建てるという必要があるだろうか。  この問題は総務長官の御見解も伺いたいわけでございまするが、一説には、これはセクショナリズムだ、なわ張り根性だということも言われております。しかしながら、各省別々に企図、企画をするということも、それなりの理由を考えまするけれども、もっと大きな立場国民的視野から一つの大きな機関を国のものとして、国民のものとしてつくる、そこに老人の憩いの場も、青少年憩いの場も、旅行の場も包含をするような、そういう視野の大きい包括的なもの、そういうお考えというものはいかがなものだろうか。これは行管長官並びに総理府総務長官の御見解を伺いたいと思います。
  28. 鈴木博

    鈴木(博)政府委員 事務的な面、私の方から答えさせていただきたいと存じます。  ただいま余暇関連施設についてのむだ、あるいはむだを排して能率化する、このような点につきましての御提案をいただいたわけでございますが、それに関連いたしまして、私どもの五十一年度監察計画におきまして余暇関連公的施設整備等に関する調査を計画いたしております。これはもちろん御指摘の点のみではございませんけれども、施設の効率的な運用がどうなっているかというような点を十分注意して監察してみたいと存じておりますので、その際に御発言の趣旨、十分勉強させていただいて実施してみたい、このように存じております。
  29. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御質問等は当然の御要望であろうと思います。たとえて厚生省問題等を申し上げますと、厚生省では、ただいまの問題等に関しましても、社会保険業務業務性質上国が経営の責任を持ち、概括的、統一的、能率的に業務を処理する必要がある。そして職員の身分についてはいろいろの議論があるところだが、いずれにしても事務官という中途半端な制度には終止符を打ちたい。しかし、その方向については、強いて言うなら社会保険業務をすべて地方に委任するというふうなことは非常に危惧の念を持っておるんだというふうな、それ自体をどうするというふうなことは回答はしておりませんけれども、現実の問題として、たとえばいまの厚生省の問題にいたしましても、あるいは労働省あるいはまた運輸省におきましても、同様な意見を申し述べております。  そういうふうな点を考慮してみますと、やはりただいまお話しのような点が十分に考えられますので、私たちの方といたしましても、十分検討を加えて、そしてやっていってもらいたいというふうな気持ちで現在おるところでございます。ただいま私の方も、地方事務官の方で申し上げましたが、そのようなことを十分に意に含めまして検討させていただきたい、かように思っております。
  30. 吉永治市

    吉永委員 松澤長官の御意図、よくわかります。  ただ財政上の見地からいたしましても、御承知のように歳出の面では、仮に成長率が五、六%にしましても、当然増という傾向はどうしても日本の財政上の一つの宿命とも言える状態だろうと思います。反面、歳入の上から、これは自然増という状態が繰り返されてまいりましたけれども、もうこれから恐らく相当年月にわたりまして自然減という、そういう立場財政――今日の状態というものが安定成長化への陣痛の大きな苦しみということはわかりますけれども、安定成長に移行する上におきましての行管庁の役割り、この機構のむだ、あるいはそうした国費の使い方のむだ、あるいは公団公社等統廃合補助金行政上のむだの洗い直し、そういうものをいま一度真剣にお取り上げになる時期じゃなかろうか、そのことを行管長官、最後の御見解として承りたいと思っております。
  31. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御意見等はごもっともでございますので、ただいまの御意見を十分に私たちが聞きましたので、それらを中心にするようにして、今後大いに活発な立場で進めていきたい、かように考えております。
  32. 吉永治市

    吉永委員 大蔵省はお見えになりましたね。――先ほどもちょっと触れましたが、地方財政立て直し財政硬直化の問題の基本をなすものが、私はどうしても今日は補助金の問題にその根本の問題がある、このように考えております。  補助金は御承知のように定率でやる場合、あるいは定額でやる場合、直接補助、間接補助、さらには一括支給とか、額を前もって決めてやるというようないろいろの場合があるようでございます。先ほど行管長官にもお伺いしましたが、その補助金には財の性質、条件というものがあって補助条件で縛られておる。しかも、その補助金件数が二千件近くにも上っておる。余りにも複雑多岐にわたり過ぎておって、どうも補助行政が網の目のようになって、がんじがらめにしておる。各地域の自主制とか、その地域の独自の緩急順序を得たような、この地域にはこういうものが必要だ、この地域では、まずこれから先に手がけなければならない、そういう地域独自の事情というものがとかく閑却されがちである。  こういう点につきましての補助金、これは私は非常に改革の余地があると思っております。自分の地域社会で何が一番大事か、まず生かすべきものは何だ、そういうことの良識の自由裁量に任せるというおもんぱかりが現在の補助金行政の上には見られません。  ここでお伺い申し上げたいことは、ひとつある程度の分量は、県なりあるいは市町村なりに一括した補助金交付という制度に改めて、自分の計画に基づいてその特性を生かしながらオリジナルな形にしていく、その地方に、その自主性の良識に任せる、そういう行き方はどんなものであろう。ここはもう一度大蔵省見解として伺いたいと思います。
  33. 藤井裕久

    ○藤井説明員 ただいま地方財政の中で補助金の問題が、非常に地方財政にとって弊害要因になっておるのだというようなお話がございましたが、私は一面非常にそのとおりであろうというふうに考えております。もちろん補助金全体、五十一年度で言いますと、八兆以上のものがあるわけでございますが、その多くは法律的な補助というようなもので、いろいろそれなりの機能を果たしているものも多いわけでございますし、これはたてまえ上でございますけれども、その裏負担については、地方財政計画で一応見ておるという形にはなっております。  しかし、御指摘のようにこの補助金ががんじがらめで地方自主性を阻害し、かつ、地方財政の弾力性を阻害しているという現実は、私はそのとおりずいぶんあると思います。そこで、本当から言うと、地方と国との事務の配分とかいろいろむずかしい問題とも関連するとは思いますが、ただいま端的に御指摘のありました補助金をある程度まとめてメニュー化と申しますか、統合化と申しますか、そういうようなことはどうかという御指摘について、そこにしぼってお答えをいたしますと、私はまさに御指摘のとおり、それが地方自主性にとっても、また国の資金の効率的活用の上にとっても非常にプラスになる面が多いと考えております。したがいまして、今年度もいわゆるそういう補助金の統合化どいうものを相当いたしまして、四十九年度だと二十六件、五十年度で八件でございましたのを百六十四件というようなことで統合化を図っておるわけでございます。  なお、そんなものでは足りないという御指摘はそのとおりだと思いますし、五十二年度以降につきましても、そういう方向に努力しなければならぬと思います。ただ、余りに統合化されてまいりますと、これは交付税との関係をどう考えるかとか、いろいろむずかしい問題にもなってまいりますが、御指摘趣旨はよく理解できるところでございますので、五十二年度以降も、なお一層の努力をいたしたいと考えております。
  34. 吉永治市

    吉永委員 藤井主計官のいまの答弁は、限度がある、結局は明治以来、ずっと続いてきたいまの補助金行政に根本的改革を加えるということは至難であるが、あるいはメニュー式に、あるいは一括包括的に、ある程度の点の権限移譲なり財源移譲なりはでき得る、将来そのような事態を考えておる、このように解釈してよろしいですか。
  35. 藤井裕久

    ○藤井説明員 初めに申し上げましたように、一の国と地方の事務の分担と申しますか、移譲と申しますか、これは非常に長く議論され、かつ少しずつは実現されている面もありますが、非常にむずかしい問題でございます。主としてこれは政府では自治省が中心になって、いまも御論議を重ねておられるところでございますが、まあその問題を別といたしましても、財政という面に一応限ってみても、いまのような御指摘方向を十分考えなければいかぬということで、補助金の統合化と申しますか、ある程度自由に地方で金が使えるような仕組みというものを考えていかなければならないという趣旨でございまして、事務の再配分というような問題について大蔵省だけで、いまこういう方向に持っていきたいというようなことは申し上げかねる段階でございます。
  36. 吉永治市

    吉永委員 藤井さんの言われること、よくわかります。ただ、特に私、注文をしておきたいことは、地方の議会あるいは地方庁の長官や議員さん、そういうものを見ますというと、やはり真剣にまじめに議論をして、地方の特色を生かす、こういう方式が欲しい、こういう方策が欲しいということがどんなに論議され、どんなにそれが積み重ねられましても、結局いまの状態だと砂上の楼閣化しておる。夢に終わっておる。そういう状態では地方自治の精神からいっても、地方の方々の自主的なオリジナリティー、そういうものが、特色が生かされない。そういうような一つの苦悶といいますか、何かしらん割り切れなさの中にある。そういうことも考えられて、補助金行政の将来というものは逐次的に、段階的に地方の良識に期待して、その方向に移行すべきものである、そういう大きな筋道であるということは、これはいかがなものでしょう。
  37. 藤井裕久

    ○藤井説明員 御指摘のように、地方財源というものがどうあるべきかという問題は、地方の自治というたてまえから、もちろん十分考えなければならぬことだと思います。また国の資金の効率的な活用という意味からも、そういう方向というものは十分考えなければならぬと思っております。  その地方財政について、国からの資金をどういうふうに流したらいいのかというような問題は、実はただいま地方財政が非常に危機的な状態にあるということで、地方財政のあり方をどう持っていくかということで、五十一年度以降、いままさに真剣な議論を自治省との間で開始しようとしておるわけでございますが、御指摘のように、まず交付税と補助金のあり方の問題というようなあたりから、実はいまの御指摘のようなことはあるのだと思います。もちろんそういう問題も論議の対象になろうと思いますし、さらにもう一つ補助金に限ってみまして、その補助金をなるたけ地方自主性に合うような運用の仕方ということはできないかというような点、この点も十分今後検討していかなければならぬと思っております。お話しのように、そういう角度から国と地方資金の流れというようなものは十分検討しなければならぬことだと考えております。
  38. 吉永治市

    吉永委員 私は、この財政的な立場からいっても、あるいは精神的な地方自立、地方自主という立場から申し上げても、この補助金問題の根本的な解決がなくしては、中央地方を問わず、いまの財政硬直化とか財政の建て直し等は不可能だ、こういうような見解を持っておるものでございます。なおよく御検討を煩わしたいと思います。  そこで、会計検査院にお尋ねをしますが、国庫補助金問題点として、検査院の検査結果に基づきまして本委員会でかつて指摘をしたことがございます。  「補助金問題点」として、第一、多種多様の補助金が縦割り行政機構をパイプにして流されて、それら相互間に整合性がない。第二、総花的に配分され過ぎている。第三、パイプの途中で事務機構の維持のために用いられる結果、末端の機関に交付される金額は、きわめて零細なものとなって事業効果を上げていない。第四、目的と成果との結びつきが必然的でない。五、政治的配慮によって左右されるものが多過ぎる。六、一度開始されると、その後事情が変化しても、なわ張り的な行政機構の維持のために継続支出されてマンネリズムに陥りやすい。七、手続に手間取り、タイムリーに交付されない。こういうことを実はかつて申したことがございます。  ここで検査院にお伺いしたいことは、第一項の多種多様の補助金が縦割り機構をパイプに流されて、相互間に総合性を欠いておる、第二に、総花的に配分され過ぎはしないかというような問題を取り上げておりますが、今日において、このようなことがどの程度是正をされておるのか、少なくとも補助金の被配分の方法、工事の実態等において反省とか検討とか訂正を加えられたとか、そういう実績の跡について御見解を承りたい。
  39. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 私ども補助事業を検査いたします場合には、補助の所期の目的が達せられているかどうかということは第一に検査しているわけでございますけれども、先ほどから先生御指摘になりましたように、多岐にわたる補助事業の整理統合とか、あるいはそれらの間の整合性が欠けているじゃないかというようなことにつきましても、全く私どもとして同感でございまして、これは大蔵省の主計局と定期的に会合を持っておりますが、その際にも私どもの意見として申し上げ、予算策定の際にも、それらが徐々に改善されているというふうに私ども感じております。  また、先ほどちょっとございましたが、補助金の零細化につきましても、これも整理統合できるものがあれば、効率的な補助事業になるようにということは、常に私ども注意して検査しているところでございます。
  40. 吉永治市

    吉永委員 毎週お出しになっております会計検査院情報の一一六一号、一番新しいものですね、本年五月十三日発行のもの、この五ページで「直轄で団体営以下の施工不良」というのをずっと拝見をしておりますと、昭和四十八年度、四十九年度あるいはその前年、四十七年度等に会計検査院が同じような内容の不正、不当工事の指摘をしております。四十八年度には宮城県の登米郡の登米町の灌漑排水、高知県の室戸市の林道河内線の災害復旧工事、内容が同じことの不当工事が、しかも今度の一番新しい会計検査院情報に、幾つもまた同じような形で載ってきております。さらに四十九年度になりますと、宮城県の原町の酪農共業組合の不当行為、福井県の円山西第一稲作生産組合のコンバインの購入問題等の違反行為、そういうものと先月、今月の会計検査院情報と比較してみますと、どうも旧態依然として、そういうものが後を絶っていない。ちっとも改俊とか、あるいは検討、反省をしたというような跡が非常に見えにくい、こういう事態、どのように見ておられるか、会計検査院の御答弁をいま一回いただきたいと思います。
  41. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 ただいま先生の御指摘になりました不当事項につきましては、四十八年度、四十九年度検査報告に掲記しているものでございまして、このような同じ類型の事案がたびたび提起されるということにつきましては、私どもとしても、私どもの検査がまだ十分徹底していないではないかという心配は常に持っておりますが、これらの原因と考えられますことは、各事業主体の補助事業に対する認識が欠けているところがあるじゃないか、あるいは補助事業の実施体制が各団体等で十分整ってないじゃないか、あるいは県の指導が十分行き届いていない、このように考えておりまして、私どもとしましても、早くそういう原因を払拭して補助事業の適正な効果が上るようにということは常に念頭に置きながら検査をしておりますが、いまだにまだ、農林省につきましても約四十件程度の補助金の不当事項が発見されるということにつきましては、私どもとしても今後十分注意して、だんだん少なくなっていくようにというふうに念じている次第でございます。
  42. 吉永治市

    吉永委員 今日日本が置かれております状態から見まして、財政上の上からも私はこれから高度成長は望めない。もちろん、いい意味でも生産性の向上というような、とにかくこれからうんと上昇するという、そういう過程ではない。本当に財政を引き締め、むだを省き、ロスをなくして緊縮をしながら、本当に堅確な財政という、そういう方向に移行していくための、今日の一番必要なそうした意味においては、新しい転換期の苦しみというものが今日の事態だと思っています。  そうした意味においては、そうしたいわゆる不正とか不当とかむだとかそういうものに対して、政治が、政府がしっかりと心のほどを引き締めてかかっていくということが一番大事な前提でなかろうかと考えるわけでございます。  さらに一番私たちが恐れるのは綱紀のたるみであります。責任の欠如、そういうものがもし蔓延する、助長される風向にあるとするならば、これは一番考えなければならぬ問題だと思っております。国と社会に対する責任感の欠如、そういうものが薄れていくという、世潮これからの動向にあるとするならば、これは大変なことだと思っております。会計検査院を初め、そうしたことには十二分の御留意あって、この弊風刷新のために努力をしていただきたい。このことを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  43. 鈴木博

    鈴木(博)政府委員 私、御質問に対するお答えの中で、特殊法人に関します閣議了解を十二月二十九日というふうに申し上げましたが、これは十二月三十一日の誤りでございましたので、まことに失礼いたしました。訂正させていただきます。
  44. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは実は思ったより時間が行管の分がないものですから、基本的には定員の削減という問題に関連をして、一つは定年制の問題をお伺いをしたいと思うのです。それからもう一つは、天下り人事についての大臣の考え方をお伺いしておきたい。ある意味では行政監察という立場からいっても、現在のような天下り人事の現状をそのままにしていいかどうかも、大きな意味ではやはり定員の削減という関連でお答えをいただきたいと思います。  定年制についてですけれども、人事院の任用制度研究会ですか、それが昨年の五月二日に、いわゆる研究の結果の発表をしておりますから、それはごらんになっていると思いますが、結論的に言うと、六十歳定年というようなことが出されているのです。  現在、肩たたきといいますか勧奨退職制度というようなもので、大体の年齢をこのくらいという見当をつけながら、幅を持ちながら検討をして、実際には退職勧奨をしているわけですけれども、しかし、人事院のこの調査によっても、一般行政職の職員の平均年齢というのは、三十九年には三十五・六歳だったのが、以後毎年〇・三年ずつふえていって、四十九年には三十八・六蔵このままいきますと、恐らく最近四十歳くらいに平均年齢がなるのではないかというようなことが言われておりますのと、もっとも高年齢者の平均を見ますと、五十六歳以上の高年齢者というものも、これがいまだんだんふえてまいりまして、三十七年に八千四百人だったものが四十九年には一万三千四百人、三十七年のときには三・八%でしたが、四十九年になると、これが五・五四%、だんだんいまでも上がってきている傾向にある。  こういうことか結果的には財政硬直化の一因をなしているというので、この研究会が定年制をしくべきではないかと提案をしたわけですが、これをどのように受けとめて、いわゆる定員を削減していくという一助にどう考えているかを、まずお伺いをしたいと思います。
  46. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 これは人事院の非公式の研究会でございますが、まだ最終結論が出たようには私ども承っておりません。中間段階の検討を、いましておる段階であるというふうに聞いております。しかし、公務員の年齢構成の問題は、ただいま原先生御指摘のとおりの非常に重要な問題がございまして、私どもいわゆる中ぶくれ問題と言っておるわけでございますが、これにどういうふうに対処していくか、またこれが高年齢になりまして一時期に退職するということになりますと、その間の熟練者が不足してまいるというような問題もございまして、政府全体として、これに検討を加えていかなければならない問題であろうと考えております。  御指摘の定年制の問題につきましては、これは行政管理庁の所管ではございませんけれども、昨年四月に行政監理委員会委員の御提言の中に、定年制の問題についても検討すべきである、こういう御提言がございまして、政府といたしまして行政改革本部の会合を開催いたしまして、この検討に着手すべきであるということにいたしております。ただいま総理府及び人事院におきまして検討しておられると思いますが、ただ、この定年制の問題にはいろいろな条件がございますので、早急にこれの結論を出すことは、なかなかむずかしいと思いますけれども、私どもとしては、やはりこの導入について検討を進めていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 定年制をもし採用するとすれば、この研究会が言っているような六十歳というものが一応のめどとしては妥当だと大臣はお考えになりますか。現在、肩たたき、勧奨退職制でやめた平均年齢を見ますと、四十九年で五十八・九歳になっておりますね。これは、勧奨でやめている、現在の慣行でやっているやつがです。それを定年制をしいたときに六十歳にする。やはり一応のめどがないと、こういったものは論議をしても、ただ、いい悪いがジグザグに歩くだけになりますから、したがって、国務大臣としても、あるいはいま言った、勧奨されている立場からいって、行管長官としては、この一応も二応も六十歳定年という提案に対しては、どうお考えになりますか。
  48. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御質問等にお答えを申し上げるわけでありますが、実際問題として、いまのお話のように、六十歳というふうなことに対しましても、率直に私たちが申し上げるならば、人事院等において相当な検討を加えた上に立ってやってもらわなければならぬではないか。五十八歳九分とかなんとかというようなこともございますが、実際問題として、できるだけ検討を加えて、そして民間の受ける各位の立場というものも考えていかなければなりませんし、かつまた、本人たちのお立場というものも考えていかなければならない、かように考えまして、人事院等において積極果敢な意味において御検討をしていただきたい、かように考えております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 これはついでに私の見解を言って、大臣からもう一度そんな方向をどうかということを、この問題の最後にお伺いしておきますが、私は、六十歳という人事院のこの種の研究会が一応のめどを出した、これはさんざん協議した結果、やはり現状からいえば六十歳が一番いい、そういう結論を出したわけですが、これから政府部内で論議をされるわけですが、この六十歳というのを単に六十歳一線で引くのではなくて、俗に高級官僚と言われるもの、中級官僚があるなら中級官僚と、下僚と、三段階くらいに分けて、高級官僚という生活のゆとり、あるいは次の、いわゆる中高年齢層でありながら何かの職場につきやすいものという意味では、ここに六十歳のめどを置くなら、下へ行くほど、六十三歳、六十五歳というようにすることが、いまの社会情勢に照らして一番いいんではないかなというのが私の考え方なんです。  そういった段階を設けて、六十歳は高級官僚と言われる諸君である、中、一番下というように、六十三、六十五といったような段階的ないわゆる定年というものが志向されることを望むのですが、大臣どうでしょう、私のこの見解に対して。
  50. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 やや具体的な問題でございますので、私から、とりあえずお答えさせていただきたいと思いますが、ただいま退職勤奨を各省庁で実施しておりますけれども、これも必ずしも一律の年齢ではないようでございます。各省によりまして、いろいろ違いますけれども、行政職(一)あるいは(二)によりまして違いますし、またポストのいかんによりまして、課長は何歳、通常の係員は何歳というような差別を設けておるところもございます。  したがって、そういう職種あるいは地位によりまして、定年の差を設けるということは十分考えられるわけでございますけれども、ただ、定年と申しますのは、強制的に退職をさせる、こういう制度でございますので、果たしていまの勧奨と同じような形の区分をした方がいいのかどうか、その点はやはり人事御当局におきまして十分検討していただきたいというふうに私どもは考えております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 一々人事院当局に依存をしているようですが、行管としても、やはり勧告は受けているわけですから、出されているわけですから、独自の見解というものを検討しておく必要があると思うので、まあ検討はしておいていただいて、最終的なものは、人事院の最終案が出て初めて決められると思いますが、いまのは私の意見に対する御見解として一応お伺いをして、その問題を終わります。  あと、天下り人事の問題なんですが、これも私どもの関係ではございませんと言えば、そのとおりですが、やはり定員を削減するという、特に上部の人間のふえるのと減るのとでは……。自民党内にもこれに対する調査委員会などができて、いまいろいろな案が出ているようですが、その意味でやはり大臣の見解を聞いておきたいのですが、余り多く言わなくても、ロッキード事件などに関連しても、結局は高級官僚の天下り人事等、その人々と企業の癒着というようなものが、はっきりこのロッキード事件のしんをなしているというふうに言われていますし、私もそう思いますが、であればあるほど、この際、天下り人事というものに対しては、ひとつここで徹底的な反省をしていただいて、できる限りこれをやめるということにしないといけないと思います。  余り数のことを言ってもどうかと思いますけれども、大変な数が実は天下っているわけでして、パーセンテージで言うと、いわゆる政府の関係機関というものだけでも八一・二%ぐらいが高級官僚の天下りで占められているというようなことが現にあるわけですが、この傾向に対しては、やはりこれを減らしていくし、できる限り天下りはさせない、公然とこれが行われていることが許されているような、これに歯どめをかけるというようなことを、この機会にしっかりと基本的な考えをまとめながら、ある種の規制が実行できるように措置をしなければいけないのじゃないか、こう考えますが、この点どうですか。
  52. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまのお話に対しましての私の答弁になりますが、実は、申しわけないのですが、これらの問題は行政管理庁長官である私の所管の問題ではないということを申し上げざるを得ない立場になっておりますが、あえて私自体が政治家という立場において感想を申し上げるといたしますと、率直に申し上げまして、適材適所ということがございますが、行政運営に当たりましては、いやしくもお役所が世間一般の批判を招くことのないような意味で慎重に御検討願って、そしていまの御質問等の様な問題等が出ましたならば、実施をしていただきたいというふうに考えておるわけでございまして、事実問題として私自体からもそのように、いまのお話のようなぐあいに進めてもらいたいという気持ちの表現だけはしておるというふうなことも申し上げておきたい、かように思います。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 これは御存じだろうと思うのですが、いまの大臣のそういう立場での答弁で結構ですが、これはいわゆる政労協の調査ですが、六十六の法人の中で四百三十二人の役員がいるのですが、その四百三十二人の役員中の八一%余がいわゆる高級官僚の天下り人事で占められているんですからね。こういう点は、立場は違っても、国務大臣としても、あるいは定員を削減するという方針からいっても、相当の関心を持っていかなければいけないと思いますので、いまのような御答弁の趣旨に私も同感でございますが、しっかりと天下り人事に関する歯どめをつけるようなことを閣僚としても十分に考えていただきたいというふうに思うのであります。  この問題の厳しい実行をする反面、逆に今度は、アメリカなどの状況を見ますと、民間人というのを大胆に政府の要路へ登用しているわけですね。永井さんが一人大臣になっているなんてものじゃない。もう適時適切に民間人をどんどん要路へ登用するわけです。ということから、政治と経済あるいは社会の動きとの非常にうまいコントロール、弾力性といいますか、こういうものが持たれているのを遠くで見たり、あるいは実際を聞いてもよくわかるのです。  いまのような高級官僚の天下り人事に対しては厳しい規制をするのですが、しかし、大胆に、政府機関であろうと何であろうと、もっと逆に民間の有用な人物を採用するという道も、どうも日本は窮屈でいけないのですが、思い切って広げていって、まあアメリカのいいところはまねしていいという意味では、そういう大胆なことも考えてやらないと、ただ高級官僚の天下りはいけないというだけで、どんどんそれが減っていくだけであって、人材の登用を民間から思い切ってやるというようなことを、やはり門戸を広げて、本当に国民のためになればいいのですから、というようなことも同時に考えないと、私は天下り人事に対して、あるいはいま自民党の何々委員会が、どんどん役員の削減を、当面五分の一だ、三分の一だと言っていますが、あれだけやっているんじゃなくて、逆に私は、全体の総和を考えながらも、やはり民間人の大胆な登用というものを考える必要があるだろう、こう思うのですが、この点どうですか。
  54. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御意見等に対しまして、私自体も全く同じように考えておるものでございますが、現実の問題にいたしますと、ただいまもお話があったようですが、率直に申し上げて、仮に給与の問題等を考えてみましても、その給与自体というものを思い切って要望のとおりに出していける、こういうふうになりますと、率直に言って来やすくなるというふうになるだろうと思います。ところがこの給与の問題は、国自体の一つのフォームといいますか、あるいは支給率といいますか、そういうものがございまして、民間人で、それらをもらっても支障がないというふうなことは、仮にないにいたしましても、ほぼそれに近いものの御意見というものがあるのではなかろうかと思います。  そういうふうな点等をも考慮してみますと、私たちは大いに希望をしております。できるだけそういうような方向に持っていきたいものだと、かように考えておりますが、率直に言って思うように御答弁はできにくいというのが現況でございまして、何かいい知恵でもありましたならば、教えていただきたいというふうな気持ちすら持っているわけでございます。どうかよろしく御配慮のほどをお願いいたします。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  56. 村山達雄

    村山委員長 庄司幸助君。
  57. 庄司幸助

    ○庄司委員 十分でありますから、御答弁はひとつ長官から直接お願いします。  第一点は、先ほどもお話ありましたが、綱紀粛正の問題、これは、もちろん下級の職員の問題もあるでしょうが、この綱紀粛正は、やはりトップクラスからえりを正さなければだめだろうと思うのです。  その点で、先ほどの関連で、航空行政の問題で、全日空あるいは日航の問題に絡めて、機種変更、これが天下り官僚によっていろいろ取りざたされているわけですが、あるいは運輸省の相当要路の部分も関連がある、こういうこともあるわけです。その点で、この航空行政についての行政監察をおやりになる決意があるかどうか、この点が第一点です。  それから第二点は、おたくの行政監理委員会が四十六年十月に発行いたしました「行政改革の現状と課題」という冊子がございます。この九十ページに、これは第三章でありますが、その第二節に「行政改革実現の必要性」というのがございます。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕 小見出しで「行政需要の変化に対する対応」というくだりがございますが、その中で九十ページの冒頭に「定員削減は、算定の基礎としては定員が数段階にグループ化されているものの、削減数は省庁別に一本として示され、省庁内部におけるその割当ては各省庁にまかされており、行政管理部局が認めた職種や部署のとおりに減員が行なわれるのではない。したがって、場合によっては、各省庁内部において、国民にとって重要であってもいわゆる日の当たらぬ行政に属する部門や職員が、不当に不利な立場に立たされていることも十分考えられるところである。」と述べてあります。この点、一つ具体的な問題として気象庁の問題があるのです。  運輸省内部で、こういうふうに省庁別に割り当てをするわけですから、それが不当に発言権の弱い官署にしわ寄せされて、不利な立場に立たされる面があるのじゃないか。具体例を申し上げますと、たとえば定員削減をして、それをアメダスなどという機械によって置きかえていく。ところが、これは霧や、雪や、あるいは台風時に機能しないという問題点もあるのです。そういう中から、三陸沖で毎年霧の中の衝突事故やタンカー船の油流出とか、こういうものがやはり起こる、それから霧注意報の警報がおくれる、こういう問題も出ているわけです。その点、私はやはり気象庁がそういう不利な扱いを受けているのじゃないかという疑いを非常に強くしているのですが、この辺行政管理上、これまでどのように取り上げてこられたのか、この点で改善をなさるのかどうか、これが第二点であります。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕  それから第三点。これは行政需要の変化に対する対応の問題になりますけれども、きのう労働省決算があったわけです。その際、私も御指摘申し上げたわけですが、昭和四十年代いろいろな新しい法律が労働省関係で出ているわけです。たとえば港湾労働法、雇用対策法、身体障害者雇用促進法あるいは新職業訓練法、徴収一元化法、中高年措置法、農村地域工業導入促進法の問題や、工業再配置促進法あるいはCO中毒特別措置法、社会保険労務士法あるいは勤労青少年福祉法であるとか、勤労婦人福祉法であるとか、その他もろもろの新しい法律ができて、その都度国会で附帯決議をつけているわけです。  その附帯決議の中に、行政需要に見合った職員の増員を行いなさい、これが四本くらい出ているのです。これは院の決議であります。ところが、これが守られていない。逆に定員が減らされているという状況で、いまの労働行政の需要に対応するものになっていないと思うのです。その辺行管当局でどのように見ておられるのか、どういうふうに改善を実施されるのか、ひとつ伺いたいのです。  それから第四点。これは新聞の記事でありますから、おたくが直接発表したものではありませんが、ことしの五月二日の日経です。「総定員法パンク寸前 行管庁連休明けから見直し 「廃止」「増ワク」など検討」こういう見出しで出ております。これはこれとして、いま言ったような問題もあるわけですね。行政需要に見合わないような定員削減が一律に行われている。その点で、総定員法の問題でやはり見直しをなさるつもりがあるのかどうか、見直しをするとすると、どういう方向でなさるのか、これを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 私からきわめて簡単に御答弁を申し上げたいと思います。  第一番目に御質問があったのは、率直に申し上げまして、いわば導入をめぐる問題であっただろうと思います。この経緯については運輸省調査中でありますので、率直に申し上げまして、監察を実施する考え方は、いまのところはないということを申し上げざるを得ないと思います。  第二番目は、気象庁の問題であったかと思いますが、行政管理庁といたしましては、行政監察を実施するに当たりまして、年間を通じて計画的に実施しておるところでございます。  そしてまた、気象庁に関しましては、昭和三十四年度及び昭和四十一年度の二回にわたって監察を実施して、その結果、運輸省に対し観測、予報精度の向上やら、あるいは観測の施設等の運用改善等について所要の改善措置を講ずるよう指摘したところでもございました。また、気象庁においては気象衛星の打ち上げを昭和五十二年の六月に予定しているなど、予報精度向上を図るための措置をとっておりますので、その事態の推移を見守って、現在のところ、監察する予定としてはないということを申し上げざるを得ません。  また、ただいまのお話の問題でありますが、定員の削減的な問題でありますと、行政事務の合理化、効率化を促進して、国家公務員の定員措置の適正化と総定員の増加の抑制を図るため実施しておるものでございまして、運輸省の定員削減を各部局でどのように行っているか、運輸省自身が決定することになっております。各省とも同じような方法で削減を……
  59. 庄司幸助

    ○庄司委員 労働省のお話をしたのです、私は。
  60. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 それでは、労働省方面のお話は後ほど御答弁するといたしまして、以上のようなことによって現在までやってきておりますので、率直に申し上げまして、いまのお話のような要点的な問題は思うようにいかないというのが現況でございます。しかしながら、せっかくの御要望でございますので、極力要請にこたえるようにさせたい、詳細のことにわたりましては事務当局から答弁させて結構だ、かように思っております。
  61. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間がございませんので、事務当局の方はいいです。  総定員法の見直しの問題を最後に伺ったのですが、その点ひとつ大臣から……。
  62. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 御質問の総定員法の問題については、現段階においては新規増員需要を的確に予測することは、まことに困難でございます。今後は社会経済情勢の推移等を十分に見きわめる必要もありますので、方針を固めるに現在は至っておりませんが、いずれにいたしましても、社会経済情勢の現況、財政事情にかんがみまして、五十二年度においても行政コストの節減を図る見地から、引き続いて行政簡素合理化を推進して、厳正な定員管理というものを行ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  63. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  64. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、非行少年に関係して、同時にいまの暴走族の問題などにも関連して大体次のようなことをお伺いするつもりですから、順次お答えをいただきたいと思うのですが、第一は、総理府の青少年問題審議会と青少年対策について、ひとつお伺いをしたい。  次に、青少年対策行政補助金、委託費などの関係をお伺いいたします。  第三には、補導センターのあり方、これと暴走族と言われる者について。  それから第四には、補導センター中心の補導委員の身分と、彼らに対する災害補償について。  最後に、たとえばこの間神戸事件等では、神戸新聞の西原基之さん四十歳が、お気の毒に亡くなりました。殺害をされたわけですが、こういった人々に対する国家賠償あるいは被害者賠償、刑事事件としての犯罪被害者賠償といった形で、どちらかでお伺いをしてまいりますが、当然補償があってしかるべきではないかということを最後にお伺いをしたいというふうに考えておりますので、順次これからお伺いをしてまいります。  最初に、総理府の青少年問題審議会に関しての運営ですが、運営について、審議委員は二十名で組織されていることになっていますが、現在ふえているんじゃないですか、このことをひとつお伺いする。  それから、いずれも審議会の幹事にしても委員にしても、内閣総理大臣が任命をすることになっているらしいが、そのとおりかどうか。  それから、審議委員は任期二年ということになっていますが、その任期に間違いないか。第一期が四十一年から四十三年、二期、三期、四期、五期に現在なっておりますが、任期二年が守られているかどうか。  それから、そのことをお伺いした後で、審議会というのは委員の二分の一以上が出席しなければ開くことができないということになっていますが、一体それが守られているかどうかをひとつお伺いをする。先にそれだけ。
  66. 植木光教

    植木国務大臣 お答えを申し上げます。  青少年問題審議会はお説のとおり、二十名の学識経験者によって構成されておりまして、現在二十名でございます。また、この任命は総理大臣が行うことになっていることも御指摘のとおりでございます。任期二年でございます。再任をすることがあるということは、御承知のとおりでございます。  なお、この審議委員の方々の各分野のおおよそを申し上げますと、青少年団体関係者が六名、学識経験者九名、文化スポーツ関係者三名、報道関係者二名という数字になっております。  審議会は四十一年に設置をされまして、毎年いろいろ意見の具申でございますとか、最近では「青少年に関する行政施策の基本的な考え方」という答申を出していただいているというような状況でございます。  それから審議会の開催の出席率でございますが、過去三年間におきます開催回数は二十回でございまして、委員出席率は、平均いたしまして六八・五%でございます。ずっと申し上げてもよろしいのでございますが、一番低いので五五%でございまして、高いのでは九〇%というようなところでございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いまの答弁の中で一つお伺いしたいのは、第一期から第五期に至るまでの委員の人数というのは二十名、間違いないですか、そうですか、私が持っている資料が間違いなんですね。
  68. 植木光教

    植木国務大臣 これは間違いございませんで、先ほど各ジャンルによりましてのお話を申し上げましたのも二十名でございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。この委員の顔ぶれをずっと見てみまして、非常に著名人が多いんですね、著名人が悪いという意味ではございませんけれども。茅誠司さんのごときは第一期から今日に至るまで五期連続で会長の職にあるといいますか委員でおられますね。有能な学識経験者がおいでになることは確かに間違いないのですが、余り著名人だけをここへ羅列しているような感じがして、何かもう一工夫ないと、青少年問題審議に関してどこかに欠落、欠陥が出るのではないかという感じがするのですが、この点、いかがですか。
  70. 植木光教

    植木国務大臣 茅誠司会長を初めといたしまして著名な方々もおられますが、しかし若い人たちにも入っていただいております。たとえばボーイスカウトの隊長でありますとか、あるいは農業青年でございますとか、あるいは日本青年海外協力隊のOB会の人でありますとか、そういう方々にも入っていただいておりまして、比較的バランスはとっておるつもりでございます。また学者でも必ずしも――お名前を申し上げますと失礼に当たりますが、広く知られているという方には限っておりませんで、青少年問題に非常に御熱心な方々に就任をしていただいております。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 ずばり一つお伺いしますが、確かに年齢でいうと、おっしゃるとおり最低では二十七歳で任命された人もありますね。小林美智子さんですか、この人なんか若いですね。こういう中に、いわゆる青少年に非行があったときに保護したり、あるいは観察をしたりしている仕事がありますが、そういったところから出ている人が、見たところいないように思うのです。それが一つ。  それから保護観察を受けて、今日相当な社会的な苦労をして、まあまあ一人前になったという、かつては保護観察をされた少年たち、こういう非行の経験を持った少年たちが、この中に入っていた方がいいのではないかという感じがするのですが、いかがですか。
  72. 植木光教

    植木国務大臣 原先生持っておられます名簿は、ちょっと古いものでございます。こちらも大変不手際で、新しいのを御提示申し上げておらないのでありますが、先ほどお話がございました小林美智子さんは前回で御退任をいただいております。  それからいま保護観察関係の、非行関係の者がというお話でございましたが、御承知のとおり日本BBS連盟というのがございまして、これはいろいろその方面のお手伝いをしておる団体でございますが、その理事の方に入っていただいております。  それから勤労青少年団体で若い根っこの会というのがございますが、その会の責任者の方にも入っていただきまして、いろいろな各方面の方々に入っていただいておるのでございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのおっしゃるのもBBS連盟の理事が入っていることは、そのとおりですが、私は現に保護観察業務を下部でやっている人たちを入れたらどうか、著名人でなくというのは、そういう意味なんです。そういう功成り名遂げて連盟の理事をやっている方も、かつてやった方もあるでしょうが、現代の激しく移り変わるいろいろな犯罪の内容、態様が変わってきているこの段階で、現に青少年を保護観察する仕事に携わっている人間、直接実地で携わっている人間が入っていいのじゃないかという意味ですから、それにお答えをいただきたい。  それからもう一つは、勤労青少年の代表としてというお話がありますが、私の言うのは、かつて非行少年で保護観察を受けた、その後社会的な苦労を積みながら現に社会人として仕事をりっぱにやっているという、現役といいますか、こういうような人々が入る方がいいのじゃないか。その二つをお伺いしたいのですが、いかがですか。
  74. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘がございました非行少年であった人が、その後大変社会的に成長をせられて健全な社会生活をやっていただいているという方、及び保護観察業務の第一線で苦労をしていただいている方、こういう方々の中で適切な方がございましたならば、次回選任をいたしますときに、十分参考とさせていただきまして検討させていただきたいと存じます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 ことしの七月二十二日で一応新しい選任が行われるわけですから、ぜひひとつ、そういうときには配慮をしていただいた方がいいのじゃないかと思うのです。  それと、この審議会の開会日数ですが、原則として月一回ということになっていますが、原則として月一回というとおりに開会されてきましたか。
  76. 植木光教

    植木国務大臣 大体月一回やっております。ただ昨年、五十年でございますけれども、これは先ほど申し上げました答申が四十七年にございまして、この答申の見直しをいろいろ検討していただいておりますとともに、社会経済環境の新しい変化に伴いまして、今後の青少年行政の基本的なあり方について研究、協議を行っていただきますとともに、施設部会というのを設けまして、青少年が余暇に利用できる施設のあり方について審議を行っていただくことにいたしまして、これを非常に数多く開いているというような状況でございます。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 この原則として月一回というのは、審議委員委員会、すなわち総会のはずなんです。研究会とか部会を数多く別途に持っているから、それをプールすれば月一回以上になるという答弁では、この解釈は正当でないと思いますが、どうですか。
  78. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま月一回が原則であるというお話がございましたが、これは持別に一回やらなければならないというものではございません。ただお説のとおり、こういう経済社会の変動期でございますから、できるだけ回数を多くやるべきであるという考え方に立っておりますが、五十年度は確かに、ただいま申し上げましたように、総会の回数はちょっと少のうございまして、施設部会の回数を多くし、研究、協議をしていただいているという状況でございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 多分長官も、周りの委員の人もお持ちになっていると思うのですが、なぜこういうことを言うかといいますと、四十八年度、四十九年度、五十年度に至るほど開会回数が激減しているんですよ。社会情勢の非常に大きな激変の中で非行青少年と言われる犯罪に類するものは激増しているのですね、現在は。そういう状況の中で、これはお持ちだったら、四十九年と五十年を比べてごらんなさい。四十九年総会八回、五十年度は総会が四回。そうして四十九年度は企画委員会、施設部会、行政の仕組みに関する研究部会、その他ずっと七つの研究部会、専門委員会などが開かれて、これは相当な数が開かれているのに、五十年度になると、企画委員会一回、施設部会五回、打合会五回。半減じゃないのですよ、もっと減っているのです、五十年度が。  社会の実態は、非行少年に対する問題は複雑多岐にだんだんわたって激増していっているんですよ。そのときに、逆に減っているというところに、国として、この種の非行少年と言われる少年たちの指導に対する熱意がまるでずっと冷えている。おろそかにされているというふうにしか、この数字を見たら言えないんじゃないですか。そうして出席人員もごらんなさい。総会に四十九年は百十三人出席している、八回で。ところが五十年度は四回しか開かないで、延べ五十六人しか、この委員出席していない。これはもう半減以下ですよ。こういうことは、何か青少年問題に対する取り組みの熱意のなさが、やはり端的にこういう数字にあらわれてきているんだ、こう言わざるを得ないので、持ち方や回数や出席人員を問題にしたわけです。  これは改めないと、数字で見て、やはり熱意のほどが疑われると言っても仕方がない、こう思いますが、今後改めてもらいたい。
  80. 植木光教

    植木国務大臣 五十年度の総会の少なかった事情について、次長から答弁をさせることをお認めいただきたいと存じます。  なお、お説のとおりでございます。私どもできるだけ、これから審議会を精力的に開催していただくようにいたしたいと存じます。
  81. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘がございましたように、五十年度におきましては総会の回数が少ないことになっておりますが、これは先ほど長官からもお答え申し上げましたように、青少年の余暇利用のための施設に関する問題につきまして施設部会の方で近く結論を出すということで、しばしば会合を開いていただいておりまして、その結果を取りまとめた上で、総会で御討議をいただくという手順にいたしておりましたために、結果としてこうなったわけでございますが、しかしながら先生ただいま御指摘のように、そのこと自体がやはり青少年問題審議会の運営につきまして、少なくとも誤解を生むおそれもございますので、今後は、ただいま長官からもお答えのございましたように、十分先生の御指摘趣旨などを反映いたしまして、青少年問題審議会の機能につきまして、十分各方面の御理解がいただけるような配慮をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 どうかひとつ、もうちょっと熱意を示してもらわないと、これはもう絶対に熱意がない、なさ過ぎる。  いま言いわけがありましたが、たとえば五十年度に関しては、施設部会等で再三にわたって会議を持ってもらって、それを受けて総会を開こうとしたために年度がかわったんだ、こういう言い方ですが、四十九年度施設部会なんかは十回開いているのですよ。五十年度に至っては五回しか開いていないのですから、そういう言いわけも、まあしなければいけないからしでいるのだろうと思うのですが、そんな言いわけに類する答弁は、きょうは必要としないので、やはり青少年の対策をどうするかという重大な課題に対する真剣な中身のある答弁もお願いしたいし、私もその態度でお伺いをしていきたい。  そこで次に、お伺いしたいのは、審議会の答申の状況ですね。意見具申、答申というのが出されている。これもいま言った傾向に全く合致しているのですね。一体答申と意見具申の回数がどのくらいであるかを、今度はそちらから言ってもらいましょうか。第一期から四期まで。
  83. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  まず四十一年に設置されて以来、第一期におきましては、四十一年の七月二十六日に、総理大臣の諮問にこたえられまして「当面の青少年対策の重点について」答申をいただいております。それから四十二年、第一期でございますが、「青少年の健全育成施設の整備」並びに「青少年の国際交流について」意見具申をいただいております。  それから第二期の四十四年には「青少年の余暇活動に関する指導者の養成確保」につきまして意見具申をいただいております。それから四十五年に、同じく「都市化の進展と青少年対策」につきまして意見具申をいただいております。  それから三期目には、四十六年に「青少年の国際交流の振興方策について」意見具申をいただいております。と同時に、昭和四十七年には、総理大臣から、かなり長期にわたっての「青少年に関する行政施策の基本的な考え方」というものにつきまして、かねて諮問をいたしておりました問題につきまして、非常に各方面にわたりまして将来を展望されました、非常に膨大な、かつ基本的な御答申をいただいております。  そこで、そういうことで、かなり長期にわたりました大きな答申をいただきましたので、第四期、第五期は、少し具体的にいろいろな問題を詰めていこうということで、施設部会等を設けまして、青少年の余暇利用のための施設のあり方について四期、五期にわたって御検討をいただいておる。同時に、先ほど長官からもお話し申し上げましたように、四十七年の答申は非常に総合的なものであり、かなり長期的な展望をしたものではございますけれども、最近のように時代の進展、社会の変化が著しい時期におきましては、そうは言っても、やはりいろいろと常にこの問題についても検討を加え、研究をしていかなければならないという観点から、その問題につきましても総会でいろいろとお話し合いをいただいてまいっておるという状況でございます。
  84. 原茂

    ○原(茂)委員 言いわけも一緒に答弁があったのですが、要するに第一期は答申一回、意見具申二回ですね。それから第二期は意見具申だけが二回。第三期は答申が一回、これは四十七年の期限の末ですよね。それから意見具申が一回。第四期はゼロ、何にもない。第四期、すなわち四十七年から四十九年にかけては一つもない。  この当時、社会的に少年の問題がどのくらい起きたかというと、ずいぶん激増しています。このときには全然ない。この二年間答申ゼロ、意見具申ゼロ。もちろん第五期はいま未定ですね。これも前段に申し上げたと同じように、いろいろと言いわけをおっしゃるけれども、やはり熱意のほどが疑われるというふうに言わざるを得ないのであります。ちょうど先ほどのと同じように符節を合して、こういった反省をしなければいけない傾向というものは、はっきりあらわれているのだ、こうお考えをいただきたいと思います。  第四期の問題は、いまのような答弁で、なるほどゼロでやむを得ない、こういうことにはなりませんが、時間の都合でそれは省きますが、理由はいま聞いたとおりで一応聞き流しておきますが、私は非常に問題だと思いますから、この点も十分に反省の材料にしていただきたい。  それから、審議会の中に専門委員会がありますが、この専門委員会あるいは部会、研究会のテーマは、どんなものがテーマになっていますか。
  85. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答えいたします。  ただいまのところは、施設部会のみ置かれておりまして、施設部会に若干の専門の方々を御委嘱申し上げて、本委員と御一緒にいろいろな角度から御検討、御討議をいただいているという状況でございます。
  86. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの集団の暴走族の問題が起きて社会問題になり始めたのはいつでしょうか。きょう警察庁から来ていると思いますが、それをちょっとお伺いしたい。
  87. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 暴走族の問題につきましては、歴史はかなり古いわけでございます。特にそれが問題になりましたのは、四十六年ぐらいからでございます。それが四十七年ぐらいに富山市において、暴走族が群衆を巻き込みました大規模な集団暴力事件を起こし、これが全国的にも波及してくるというような状況になってまいったわけでございます。
  88. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、いまお聞きのとおりなんですね。研究会ですとか専門部会でございますとか、あるいはまた専門委員会等が設置されてテーマを与えられている中に、四十六年、四十七年、もう相当の問題にしなければいけない時期なのに、暴走族に関して、そのテーマは与えられていない。こういう点どうですか、大臣。これもやはり怠慢だ、反省しなければいけない重大な問題だと思いますが、いかがですか。
  89. 植木光教

    植木国務大臣 暴走族の問題は、きわめて大きな社会問題でございます。したがいまして、昨年から文部省と青少年対策本部との間におきまして、この問題についての対策を協議をしているところでございます。  非行少年につきましては、非行対策連絡会議というのを設けまして、これで非行少年問題を関係省庁の者が集まりまして協議をしているということでございます。  ただ最近、きわめて悪質な凶悪化する、また先ほどもお話しございましたように殺人と申しますか、死者が出るというような事件が起こりましたので、ただ単に青少年対策問題にとどまりません。交通安全対策にもかかわりますし、いろいろな問題にかかわる大問題でございますから、早速暴走族対策会議というのを設置いたしまして、昨日、第一回目の会議を開きまして、専門、有識者の方々から御意見を聞いているところでございます。これはできるだけ早く数回開きまして、その都度具体的な、実施できます御意見につきましては各省庁に連絡をとって実施いたしますとともに、長期的な対策もとっていこうということで、いま努力をいたしております。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 昭和四十一年から特に青少年対策というものを国として重要な課題として取り上げて、審議会はでき、発足をして今日に至るまでに、最近の暴走族の凶悪化されたような、あの状況というものが、できる限り早く未然に防げる時期があったのではないか。ここへ来るまでに、もっと真剣に、国としての、当然所管庁である総理府が中心で、思い切ったやはり先手先手でなすべき手を打っておくようなそういうことがあったら、現在の暴走族の、放任された、気違いじみた、ばかげたと言われる状況が、ある程度指導もできたし、何か緩和されるような手が打てたのではないか。  そういう意味では四十六年、四十七年、あの当時すでにこれが重要なテーマとして論議をされているような、その必要があったと私は思いますから、こういう点は長官としても十分な反省をしていただく。単に今日に至ってこうなってしまったから、これに対する手当てをというので、きのう第一回の専門の対策会議をお持ちになるというようなことで、いつも後手にやるというのでは、少年に関する限りは特に困るというふうに考えますから、ひとつこの点は言いわけでなくて、自今もう少し先手先手を打っておやりになるという決意を、ここでお示しいただきたいと思います。
  91. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のとおり、現在まではいわば警察の取り締まりにだけ頼るというようなことでございまして、これではいけないということを痛感をし、反省をいたしまして、これからちょうど夏季に入りますと、暴走族がはんらんをする時期でございますので、先ほども申し上げましたように、早く対策をとりまして、未然防止をやろうということで、急遽会議の開催をしたわけでございます。御指摘のとおりでございまして、決意を強く持ちまして、これに臨んでまいりたいと存じます。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題で地方青少年問題協議会が同じく設置されているわけですね。この問題で少し先にお伺いしますが、法の第五条で「都道府県及び市町村に、附属機関として、」これは置くことになっていますね。都道府県には設置されていますが、市町村には未設置のものがずいぶんありますね。三千二百九十市町村の中で、条例とか、あるいは任意に設置しているのは八三%なんです。その八三%というのは、二千七百二十六市町村だけにありますね。これが設置されるのは条例あるいは任意に設置されている。したがって、ずいぶん問題がありますから、これからお伺いします。  そこでお伺いしたいのは、この種の青少年対策の重要な問題を条例とか、任意というような中途半端な設置のされ方でいいのでしょうか。  今日、単に神戸に起きた、東京に起きました、湘南に起きました、神奈川に起きましたというだけでなくて、この傾向というのは燎原の火のように、たとえばいまの暴走族のごとき、あるいはこれに類する、少年犯罪に類するものが非常に蔓延していくことは、過去の例から言って間違いない。この種のものは、やはり病のようになっていくのですね。そういう状況の中で、大事な地方における青少年問題協議会が設置されているところも、条例で、あるいは任意で八一%程度のものができている、残りは未設置だということを考えて、何か身の毛のよだつような気がするのです。一体条例とか任意という状態で放置してもいいものかどうか。
  93. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、なお市町村の段階におきましては、地方青少年問題協議会が設置されていないところがあるというのは、御指摘のとおりでございます。  そこで、私どもといたしましても、この組織というものをできるだけ整備するように、かねてから都道府県の関係者ともいろいろと御相談をしておるわけでございますが、今後さらに、御指摘もございましたので、十分努力をしてまいりたいと思っております。  なお、先生御指摘の中で、地方青少年問題協議会につきましては、地方公共団体の議会が制定いたします条例、あるいは条例で設置しないで、恐らく規則その他で置いておるところがあるのだと思いますけれども、これについてどう考えるかという御質問でございますが、先生も最初おっしゃいましたように、青少年問題審議会及び地方青少年問題協議会設置法という法律がございますので、私どもといたしましては、「置くことができる。」という規定でございますけれども、そこで一応法的根拠を置きまして、それからさらに進めまして、それぞれの地方公共団体で議会の議決を経て条例で設置されておるということは、それ自体は制度的には、かなりはっきりした根拠を持っておると思います。  なお、条例でなくて規則でやっておるところもあろうと思いますが、規則でも、はっきりしておるところは、私はそれでもかなりしゃんとしたものだと思いますけれども、なお一遍よく実態を調べまして、先生御指摘のように、やや組織、制度として不備なところがございましたならば、そういうものはなるべく速やかにしっかりしたものにするように指導をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 いまおっしゃったように、私が二度目にお伺いしようと思ったのですが、「置くことができる。」のではなくて、私が言ったのは「置かなければならない。」というふうにする必要が現段階ではあるのじゃないか、そう改めるべきだと思う。大臣が十分程度で帰ってきますから、大臣にも言っていただいて、大臣のその点に対する見解も、来たらすぐ答弁をしていただくようにお願いをしたい。私は「置くことができる。」などというあいまいな、あるいは放任された――予算その他のいろいろな関係があって問題であろうけれども、しかし日本という国の次代を背負う青少年のこの種の問題に関する限りは、こういうあいまいな「置くことができる。」のではなくて「置かなければならない。」、設置義務を与えるというように改めるべきではないかと思いますが、という点を大臣から、ひとつ御相談の上、答弁を帰ってきたらすぐにしていただきたい。  次いでお伺いしますが、この未設置の市町村に対する青少年対策というのは、どうなっているのでしょうか。
  95. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  現在、青少年に関する行政につきましては、市町村の段階におきますと、一つは市町村の段階でいわゆる長の部局にしかるべき課を置き、かつ教育委員会の社会教育課あるいは学校教育課等両方で総合的に相談をしながらやっておるところと、教育委員会の部局でやっておるところと、大体大要しますと、二つに分かれると思います。  そこで、行政的な組織といたしましては、そういうふうな仕組みになっておりますが、御承知のように、青少年の問題というものは、やはり行政だけではすべてが解決できない問題でございまして、広く青少年団体あるいはさらに広げて、社会各層の御理解と御協力がなければできないということでございますので、多くの市町村では、たとえば青少年団体の連絡のための機会を持つとか、そういうふうな組織を持ちまして、民間のそういう盛り上がる力と行政当局のいろいろな施策と相総合して、できるだけ実効を上げていくようにという配慮をなさっておるのが大体の実態だと思います。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう点の答弁だけでは不満だし、もっとこうしなければだめですよということを言いたいのですが、時間がありましたら、後で申し上げます。  そこで、この未設置は別にして、いま設置されておりますところへ、国がいわゆる運営経費の一部を補助するといいますか、そういう制度があるのです。  これは協議会法の第九条によって、国は「地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市」これは人口五十万以上、に対して協議会の運営「経費の一部を補助することができる。」これも「ことができる。」ですが、いずれにしても人口の五十万以上なんですね。私の前段に申し上げたことも、これと関連があるのですが、五十万以下でも、やはり補助をする義務を国が負うということにならないと、設置義務を与えた意味がないわけですが、自今、これはいますぐに回答できないでしょうが、二つの問題を大臣が来たら答えていただきたいが、これは大至急に検討をして、青少年対策という全国的な大きなこの課題に対しては、ここらがやはり盲点であり、欠点なんですから、五十万以上には補助ができる、五十万以下は知らないよ、こういったことで青少年対策が完全にいくわけがないのですから、したがって五十万以上の都市に対して補助ができるというのを、以下でも補助をすることにしないといけないと思いますが、この点はどうかというこの二点。これは大臣に帰ってきたら御答弁をいただきます。  それから次いで委託費、経費の問題を今度はお伺いをしたいのですが、委託費の中で問題になりますのは、諸外国に対する調査をやられているのですね。四十六年にチームを組んで派遣をされているのです。簡単にお伺いをしたいのですが、行って何か参考になりましたですか。この種のものが、その後余り行われていませんから、まあ大して経費の上で問題にすべきではないのですが、この四十六年に派遣をされた結果、青少年対策上どういうメリットがあったのかというのを、これも簡単に答えていただきたい。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕  それから一緒に、今回のような暴走族事件、これは当然大型プロジェクトでも組んで、相当のしっかりした企画のもとに、委員会なり部会なりというので、先ほど大臣の答弁にあった、きのうの第一回というのは、それに当たるかどうか知りませんが、私はそれではないように思いますが、ひとつ青少年問題対策として、この暴走族というものに対しては特別な大型プロジェクトを編成して、恒常的な、しかも緊急の企画として検討をしていく必要があるのだろう。経費は相当かかるかもしれませんが、こういったことをあわせ研究をしていくということは考えるべきではないかと思う。  この二点をひとつ。
  97. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  総理府におきましては、政府がいたしますところの青少年行政の基本的なデータをつくるということで、青少年に関しますところの各種の調査につきましては多年力を入れてきておりますし、またその資料というものは、各方面で御利用をいただいておるわけでございます。  そこで、昭和四十七年度には諸外国の青少年の意識調査というのをいたしました。その前年に予備調査をいたしたわけでございますが、この諸外国の青少年の意識というものを対比することによって日本の青少年の特質を明らかにするとともに、世界共通の青少年に関する問題というものを明らかにするということにおきまして、このデータは非常に広く使われております。しかし私どもといたしましては、調査の結果も年とともに変わるものでございますから、できればまた近い将来にもう一度こういう調査をいたしたい、このように考えておる次第でございます。  そういう意味におきまして、先ほど先生御指摘のように、外国へ行ってどうであったかということにつきましては、私どもは当時はおりませんでしたけれども、しかしやはり大きな成果を上げたものと考えておる次第でございます。  それから……。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょっと済みません。この間に大臣に、いまの二つのことを答弁できるように後ろから話しておいてくださいよ。
  99. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 それから暴走族につきましては、先ほど大臣から御指摘のございましたように、私ども昨年のまず当初に非行対策の各省の連絡協議会を置きまして、そのほかに青少年の関係の部局課長会議というのは毎月開いておりますけれども、そのほかに、特に非行問題について重点を置いていろいろと検討するということで、昨年の一月に、文部省、警察庁あるいは法務省等関係の官庁の担当官に集まっていただいて会議を開いておりますが、それと並行いたしまして昨年の十月から、やはり関係各省の専門官に集まっていただきまして、暴走族の問題を、取り締まりのほかにも、いろいろそのよって来るところ等も含めまして、しかも外国のデータ等もできるだけ集めまして、いろいろ勉強をしようということにいたして、現在検討しておるところでございます。  そこで、それでは外国へみんなで行ってどうかというところまでは、実はいまの段階では、まだ私どもそこまでの考えはまとまっていないというのが現状でございますけれども、逐次いろいろと総合的な立場から、そういう問題について分析をし、かつ的確な施策を講ぜられるように、できるだけ精力的に検討を進めていきたいと現在考えておるところでございます。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、先ほどの地方公共団体青少年問題協議会の補助経費ですね、これが四十四年、四十五年はあったのですが、四十六年以降なくなったのですね。地方公共団体青少年問題協議会に対する補助金が四十六年からはゼロなんですよ。ないのです。時間がないから言いますが、ないのは、地方交付税に入れちゃったのですね。私がさっきから言っている趣旨からいっても、せっかくあったものを地方交付税に入れてプールしちゃって、何に使われるかわかったものじゃない、と言うと怒られますけれども、せっかくあるものを地方交付税の中に入れるという趣旨は何ですか。これも何かこの問題に関して手抜かりがある、考え方、熱意に欠けるものがある、こういうふうに思いますが、どうですか。
  101. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生御指摘の点は、指定都市のみならず、すべての市町村にまで補助金を出すことができるようにするのが適切ではないかという御指摘でございました。現在の仕組みは、先ほど先生からもお話がございましたように、都道府県並びに指定都市について補助することができるという規定でございます。それで、その趣旨に基づきまして四十五年まで補助をしてまいったわけでございますが、その後補助金の整理あるいはその他の状況から、関係各省と相談をした結果、先生御指摘のように、地方交付税に移されて補助金は廃止されてきたというのが今日までの状況でございます。  私どもといたしましては、いわゆる財政の総合的な見地からいろいろ検討された結果、このようになったものと思っておるわけでございまして、その点については総合的な立場から当時そういう結論に達したものであろうかと思いますが、地方交付税につきましては、ひもつきでないという御指摘がございますが、現にそういう組織が設置されれば、当然その経費は出されるわけでございますので、先ほどお答えも申し上げましたように、未設置の地方公共団体につきましても鋭意設置されるように、今後適切な指導をしてまいりたい、現在のところは、そのように考えておるわけでございます。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御答弁で、地方交付税交付金に入れても、ひもつきでないとは言われても、設置されればそれに使われるのだとおっしゃいますが、いずれにしても、せっかくあったものを、四十六年から地方交付税の中に入れちゃうという考え方そのものが過ちなんで、これはもう一度復活して、地方交付税交付金ではなくて、やはりきちっとした補助金として出さなければいけない。今後改むべきだと思うので、さっきの二つと、いまの問題、三つ合わせて大臣から答弁を聞きたい。
  103. 植木光教

    植木国務大臣 中座をいたしまして失礼を申し上げました。  ただいま御指摘地方青少年問題協議会でございますが、これはできるだけ置くようにということで、ただいままで行政指導をしてまいりまして、今後も強くその指導をいたしてまいりたいと存じます。法律の改正につきましては、ただいま申し上げました、それぞれの地方に置くように強力に指導をまずいたしまして、その経過を見ながら検討をさせていただきたいと存じます。  それから補助金の問題でございますけれども、これは私も先生御指摘のように、きちんと地方青少年対策ということで引き続きやった方がよかったのではないかと思っております。ただ、零細補助金というものの整理等がございまして、その中で、いわゆる地方交付税の中に含まれて行われるというようなことになった経過があるのでございまして、この点につきましては、財政当局等とも協議をさしていただきたいと存じます。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 ぜひ再検討をしてもらいたいと思います。これではいけないと思いますから。  それから、以上の問題に絡めてちょっと言いたいのは、青少年非行防止活動推進事業費という経費があるのですが、これは四十九年度の方が四十八年度より減っている。これは気になりますよ。理由はあるのでしょうが、この状況の中で、こういったものが減るというのは、およそおかしい。いままで言ってきたように、熱意のほどが疑われる。やはりこれも検討してもらわないと、いまの状況からいって、自今こういうものが減るなんということがあってはいけないと思います。これは意見として申し上げておくだけにします。  それから、五十年度になりまして青少年育成条例の運用指導に要する経費が二百七十四万円計上されているのですが、これは五十年度になってから、わずかに二百七十四万円計上されたわけです。これもいままで言ったと同じように遅過ぎます。これはとっくに顔を出してこなければいけない。それから金額も少な過ぎる。本当に青少年の育成のための運用指導をやろうというなら、わずか二百七十四万円、ちょっぴり顔を出しただけでもいいですけれども、遅過ぎるし、いまの状況の中で額が少な過ぎて、何に使うんだと思いますから、これも再検討してもらって、自今こういうことのないようにしてもらうようにお願いしておきます。  それから特に暴走族集団の関係で、少年補導センターの経費について、これからお伺いしてみたい。  この補導センターに対する取り組みが四十八年度で、一ヵ所四十八万円の補助金のところが百三十六ヵ所、それから同じく補助金が三十万円のところが二十九ヵ所あるのです。これはなぜこんな差がついているのですか。多分何か理由があると思いますが、私は調べそこなっているのですが、これは簡単に答えてください、もう結論だけでいいですから。
  105. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、青少年補導センターの補助金については二つの段階を設けて実施しております。一つは人口十万以上の地域と、それ以下の地域とを差をつけるということ。それからもう一つは、毎年若干新規がつきますので、新しく始めるところについては、ちょっとその後の努力の状況その他を見るということで、低い方のランクにあれをしていますが、それは二年後から人口に応じて適切な補正をするということで、先生御指摘のように、二つのランクを設けて補助をしているという状況でございます。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおりなんですね。そうして四十八万円出しているところ、三十万円のところ、数も四百五十四カ所、人口十万以上が百七十三カ所というふうに分かれているのですが、ここでお伺いしたいのは非補助センター、これは十万以下の都市のものはほとんどそうなんでしょうが、こういうものに対する救済措置についてです。事件が起きそうだ、そして起きた。小さいけれども、もうその芽が出てきたというときに、十万以下の都市あるいは町村で補導センターが必要だというので設置した。しかし経費は、いまの地方自治体の状況では、なかなかないというときの救済措置はどうなるのか。
  107. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘の点は、私どもも予算の確保との関連において大変頭の痛いところでございます。毎年私どもといたしましても、この関係の予算をできるだけ増額いたしたいと努力をしておるわけでございますが、最近の財政事情等もございまして、たとえば昭和五十年度から五十一年度には、従来百八十一であったのが百八十七カ所になって、六カ所分ふえたということにとどまったわけでございますが、私どもといたしましても、今後財政当局その他とも御相談しながら、できるだけ速やかにこの数をふやせるものならふやしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  なお、先ほど先生から前年度に比べて予算が減っておるではないかという御指摘がございました。これは実は大変事務的な話で恐縮でございますけれども、予算の補正というのがございまして節約がございまして、節約した金に比べますと、ことしもふえておるということでございまして、その点は大変やぼな話でございますけれども、お許しいただきたいと思います。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで神戸の港祭りの事件にちょっと触れていくのですが、これは多く論議をされていますから、ここで改めて申し上げる必要はない。ただ、ああいうものを見たときに、十六歳、十七歳中心の少年だというので少し甘く見ていた傾向があるだろう。これは厳に戒めなければいけないと思いますが、そういうことも、ああいう若い者の集団の暴力性というものが、いきなり暴発するわけですから、余り甘く見てはいけないということが事件の反省としては一つあるだろうなと思います。  それから、ああいうスピードを持った暴走族に対する取り締まり対策は、やはり広域取り締まりというものを考えておかなければいけないんじゃないかなという感じがします。自今、恐らく警察庁あたりでは考えていると思いますから、このことは思い切った広域取り締まりというので網の目を広げて、緊密な連絡をとりながら対策を考えてもらう以外にないと思います。  それから、全国で暴走族集団というのは、ずいぶん数がたくさんあって、千三十五もあると言われているのですが、最近では、この中の三十グループぐらいが無線機を持って敵の様子をお互いに交換しながらやっているというようなところまで、いまきている。大変な悪い発展をしているわけです。地域を見ますと、関東と関西でグループの数も違い、構成員の数も違っているようです。  そこで一つお伺いしておきたいのは、この構成員を実際に把握している中で、成人と少年、男と女、学生と一般人、こういった比率はどのくらいになりますか。
  109. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 サンプル調査でございますので、全体を必ずしも正確にあらわしているかどうかということがございますが、未成年者が大体七〇%ぐらいになるのではなかろうかと思います。都市部では未成年者の数が多うございまして、東京の例によると、八〇%ぐらいになろうかというふうに考えております。  それから高校生でございますが、やはり都市部において高校生グループの比率が高く、東京の例を見ますと四〇%を越えている。女の数は比較的少ないわけでございまして、ちょっといま資料を調べてみますが、ほとんど数えるに足りないパーセントになっているわけでございます。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、この問題などを中心にして、あと二点お伺いしたいのですが、一つは、センターの補導委員がいるわけですが、この補導委員が災害を受けたときの身分保障というのは、ほとんど確立されていないのです。これも恐らく皆さんのところにもおありになるだろうと思いますから、余り細かいことを申し上げませんが、リストをいただきましたが、埼玉県の蕨のごときは全然補償がないのですね。こんな状態で、いわゆる補導委員というのは、あるときには命がけになりますね。そういう人々に対して身分保障、災害に対する補償、これがないのです。  この点は重大問題だと思うので、補導委員に対して身分と、それから災害に対する補償の問題、これを全部やはり確立してあげる必要がある。これは至急に国が指導をして、地方自治体でそれができないときには、国が緊急に助成をしてでもやらなければいけないと思う。自分の問題に関して特に問題なのは、公務員扱いされているところもあり、非公務員扱いされているところもありまして、これも非常に問題なんですね。同じような仕事をしているのに、ただ人口の多い少ないだけで、こういう差がつけられていて、満足に少年の指導をしろと言ってできるか。だからこの補導委員に関しては、これが一番末端で大事な仕事をしてくれるのですから、こういう人々に対しては、その身分の保障、それから災害を受けたときの補償制度が全然確立されていない。あるところでは何かをやっている。みんなまちまちです。ないところもたくさんあります。こういうことではいけないと思う。  この点は至急に改めてあげなければ、この暴走族等の少年の非行を考えたときに、大事な一つの柱として早急に実施してあげる必要があると思うが、いかがです。一々事例を申し上げませんから、細かい事例を言われなくて結構です。これは大臣の方がいいのじゃないですか。
  111. 植木光教

    植木国務大臣 補導センターの補導委員役割りは、大変重要であることは御指摘のとおりでございまして、その災害補償につきましては、ただいま私どもが把握をいたしておりますのでは、百八十一カ所の補導センター中、非常勤公務員の補償条例を適用いたしておりますのが百二十七カ所でございまして、七一%でございます。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕 それから生命保険金等を公費で負担をいたしておりますのが十七カ所、九%でございます。災害補償制度がないのが三十七カ所、二〇%でございます。こういうふうにいろいろな態様に分かれております。  私どもといたしましては、御指摘のように、補償制度が何らないというものにつきましては、適切な措置をとっていかなければならないと存じますし、地方公共団体と十分連絡をいたしまして努力を続けてまいります。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 身分は、公務員と非公務員の問題。
  113. 植木光教

    植木国務大臣 地方公共団体の長が民間人について委嘱をしているものでございます。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 だから所長は、みんな公務員になっているのですよ。所長は一人だけ、あとは補導委員が非公務員扱いされているところがうんとあるのです。こういうことも非常に重要な問題になるのです。  それから、いまの災害補償も、やられているところが半分以上あると言っても、この内容がまちまちなんです。何で災害補償されているかが四種類あるのですよ。これは的確じゃない。したがって、これも統一して、やはり少年の補導をしてもらう限りは、きちっとこの人たちの地位と身分、災害が起きたときの補償制度が確立されていないと、本当の少年対策はできない。一番下部で苦労する人ですから、大至急にこれを改めてもらう。いま大臣が、そういう方向でやるとおっしゃる。結構ですが、ぜひこれはやっていただかなければいけないと思います。早急に対策を立て、どんな対策になったかは、後でいいですから、できたときに、私に委員会以外でもお知らせいただきたい。これは非常に大事なことですから。  それから最後にお伺いしたいのは、冒頭に申し上げた五つ目の問題なんですが、西原基之さんあたりが、今度はああいう事故で亡くなりましたが、これはやはり犯罪被害者と私は考えます。詳細に調べないと、的確なことは言えないかもしれませんが、犯罪被害者補償法による補償を、やはり西原さんにはしてあげるということが国の立場で当然考えられていい。  去年の六月でしたか、かつてこの委員会で予備費の関係で大蔵大臣に質問したときに、沖繩における小禄の爆発事件あるいはちょうど起きておりました三菱重工の爆破事件によって不特定多数の方々が亡くなったというような問題から、このことをずいぶん論議をいたしました。検討するというのは、ずっと前からですが、そのときにも、その方向はわかっているし、小禄のも単なる見舞い金ではないのだ、賠償、補償という精神が十分に入った見舞い金なんだ、しかしこれから検討して、そういうものに対する国の態度をはっきり決めますという答えがあったまま今日に至っているのですが、今度だって、私は職務上のああいう犠牲というだけでなくて、あの種の問題に関しては、やはり西原カメラマンに対して犯罪被害者補償法による補償が行われてしかるべきだ。そういう暴走族との関係におけるこの種の犯罪、あるいは生命を失うという事故に対する国としての考え方を最後にお伺いをいたしたいと思うわけです。
  115. 鈴木義男

    鈴木説明員 ただいまの、犯罪によって死亡あるいは重大な障害を受けた者に対する国家の補償の問題につきましては、現在法務省におきまして、どういう場合に補償をするのが適当であるか、あるいはどういう内容の補償をするのが適当であるか、さらにどういう手続、あるいはどういう機関で補償をするのが適当であるかということについて検討しておるわけでございますが、この問題は、先ほど先生の御指摘もございましたように、そういう補償制度がなければ大変困る方々もあるわけでございますし、世論もこういう制度があった方がいいという要望もかなり強いわけでございまして、いわば前向きの方向検討をしておるわけでございますが、何分にも他の補償制度、これは現在いろいろな方面であるわけでございますが、そういうものとの関係や予算問題等むずかしい問題がございますので、法務省として一応の考え方ができましたならば、それをもって他の省庁との間で十分な協議を遂げた上で最終的な結論を出したい、こういうように考えております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 いままで何百人何千人が殺され、不当に生命を落としている。あなたも私も生きているからいいようなものですが、これはずっと毎日起きているのですよ。そういう人たちに対する補償の問題を、国は検討しますといういまのような答弁、それは前向きで結構ですが、します、しますと言ってずっとたっている。何年たっても出てこない。幸い警察庁が五月十三日に出した「殺人事件等の実態について」という、これを見ただけでも、あと遺族等の悲惨な状況がわかりますよね。  こういうことを考えたら、大至急にそういった結論を前向きで出してもらって、やはり賠償の国の責めというものをはっきり規定づけてもらって、今回のような西原さんの問題でも補償してあげるというようなことにしないと、こんなものに巻き込まれて不慮の死を遂げたような人が、そのまま放置されているような状態をほうっておいたら法治国家ではないし、政治がないというのと同じですから、これはもう大至急に、ひとつこれに対する結論を出していただくようにお願いをして、大臣も聞いていただいた、法務大臣にも閣議等で話をしていただいて、結論を早く出してもらうようにお願いして終わります。
  117. 村山達雄

  118. 多田光雄

    多田委員 きょうは、総理府長官にアイヌ人の問題、つまりアイヌ系住民の問題について若干お伺いしたいと思うのです。  昨日、総理府から若い職員の方が来られて、総理府にアイヌ問題を質問すると言いましたら、どうも場違いのような発言をしておられたのですが、きょう私が特に植木総務長官に、この問題でいろいろお伺いする理由は後で申し上げたい、こう思っております。  ただ、私はきょうアイヌ問題を取り扱う若干の理由については、いま冒頭申し上げておきたいと思うのですが、かなりの数に達する日本のアイヌ人、アイヌ系住民ですね、これがいわゆる高度経済成長の好況といわれる時期には、住みなれた漁村や農村から離れていく、つまり部落の分解作用をするわけですね。そうかと思うと、不況が来ますと、最もまたその不況のあおりを強く受けているという上に、さらに生活上、教育上さまざまな社会的な差別を受けて苦しんでいるわけです。同時にこの数年、このアイヌ人たちの民族的というか、自覚がかなり高まってきておりまして、いろいろな運動も発展してきているわけです。同時に和人といわれる、いわゆる一般人、この中でもアイヌの文化であるとかアイヌ語に対する関心も高まってきている。さらに、この間の三月二日には、例の東アジア反日武装戦線という殺人暴力集団が北海道庁を爆破して百名近い死傷者を出すということも行われておるのですが、いわゆる彼らの理由は、アイヌ民族の解放ということをその暴挙の目的にしているわけですね。  こうした状況の中で、日本で唯一と言っていい少数民族とも言える存在のアイヌ系住民に対して、いまやはり基本的な姿勢をはっきりさせる必要があるんじゃないかということで、きょうお伺いするわけです。  御存じのとおり、民族問題の対処の仕方というのは、いわばその国の民主主義の成熟の度合いのバロメーターとも言われているわけで、一見非常に民主的でありながら、他民族を圧迫する、あるいは大国主義的な立場で軽視するというのもありますし、同時に小国が大国に屈服する、こういう状況もあるわけですね。それだけにアイヌ系住民に対する基本的な点をお伺いしたいということで、きょう総務長官にお伺いするわけです。  そこで、まず冒頭、これは総理府でもよろしいし、厚生省でもよろしいんですが、アイヌ系住民は一体何人ぐらいわが国におるのか、それを伺いたいと思います。
  119. 末次彬

    ○末次説明員 お答えいたします。  昭和四十七年五月に、北海道庁が調査した資料がございます。これによりますと、世帯数四千五百五十八世帯、人口一万八千二百九十八名となっております。
  120. 多田光雄

    多田委員 その中に、札幌市在住のアイヌ人、それから東京都在住のアイヌ人、大阪市在住のアイヌ人、函館市在住のアイヌ人は入っていますか。
  121. 末次彬

    ○末次説明員 地区別の数字を現在資料として持っておりませんので、つまびらかではございませんが、本調査は北海道庁に依頼しました関係上、北海道内のウタリの方々の数字のみに限られている、かように承知しております。
  122. 多田光雄

    多田委員 来るときは、もう少し正確に調べてきてもらいたいと思うのだけれども、十人ないし十一人以上の集落をなしているアイヌ人の調査なんですか、それは。ですから東京にいるアイヌ人、札幌にいるアイヌ人は入ってないのです。それ確認できますか。
  123. 野々山伸彦

    ○野々山説明員 先ほど厚生省の方から御答弁ございました数字は、四十七年の道が行いました結果の数字だと思いますが、その後、道庁が五十年度に改めて調査をしておりますが、その結果によりますと、札幌市は三十六世帯、百二十七名、それから函館在住は調査に上がってないと思います。  なお、申し上げました本調査結果は、大阪、東京等は入っておりません。  なお、東京都に関しましては、東京都が、四十九年だと思いますが、御調査の結果、記憶では約六百七十九名東京にいらっしゃるように承知しております。  以上でございます。
  124. 多田光雄

    多田委員 大臣、お聞きのとおりなんです。つまり、厚生省と北海道で調べたこの四十七年の調査というのは、北海道で集落をなしている、つまり日高沿岸であるとか十勝であるとか釧路であるとか、その集落をなしているアイヌ人の世帯数と人口を調べているのです。ですから、都市にいるように、もう分散してきているアイヌ人、それから東京にも、いま指摘されたように六百七十九人と言われますが、これは東京都が昨年、半年がかりくらいで調べたもので、もっといるのですよ。それは除外されているのです。アイヌ人、つまりアイヌ系住民という中では、集落をなしている以外は、これは入ってないのです。ですから、この間私は北海道の担当に聞きましたら、アイヌ人は恐らくこれの倍以上いるだろう、こういうふうに答弁しているのです。これはいろいろ研究者の意見も聞きますけれども、アイヌ人というのは北海道だけじゃございませんから、アイヌ系住民がいま大体五万人を超えるだろう、これは混血も含めてですが、と言われているのです。ですから、大体三万五、六千から五万人以上と一般に言われているわけです。答弁に、いま非常に時間かかりましたけれども、事ほどさようにアイヌ系住民の問題については、その正確な人数すらもつかまれていないという状況なんです。そして、いかにこの問題が日本の政治の中で忘れられた存在になっているかということを、このことは端的に示していると思います。  次に入ります。長官は北海道にも御縁がございますから御存じだと思いますが、アイヌ系住民の生活水準は、一般の日本の国民――通常アイヌ人から言えばシャモとか和人とか言いますが、これに比べて高いでしょうか低いでしょうか。
  125. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のように、私も北海道に十年近く関係をいたしておりましたので、ウタリ関係問題につきましては、いろいろ勉強もいたしましたし、また施策のための努力もいたしたところでございます。  アイヌの方々の生活水準は、集落をなしていらっしゃる方々につきましては、一般水準よりも低いというふうに私は考えております。
  126. 多田光雄

    多田委員 おっしゃるとおりなんです。  これは道で出している、厚生省と自治省が調べたこの資料を見ても、冒頭に「社会的にも経済的にも低位におかれている。」と述べております。  それから、いま大臣が集落をなしているアイヌとおっしゃいましたけれども、実は集落以外の都市に出ているアイヌがこれまたひどいのです。  たとえば東京は独自で二百二十二万という金をかけて、四十九年の暮れから数カ月にわたって、東京都内のアイヌ人の生活実態や教育、就職、さまざまな点を北海道よりもはるかに詳しく、しかも精神生活の面に至るまで調べているのです。そしてここを見ますと、たとえば東京でも収入については、こういうふうに書いてあります。「一世帯当りの平均収入は十二万五千六百六十円となっており、一人当りの平均収入は九万七千四百七十円となっている。この時点における都民勤労者世帯の平均所得は、約二十万九千円であり、これと単純に比較できないとしても、これからみて、アイヌの生活がかなり低位におかれていることがわかる。」これは後で大臣にこれをお示ししてもよろしいわけです。  ついでに教育状況ですが、これもひどいのです。これは同じ東京です。私は東京へ出ているアイヌ系住民の人、何人かに会いましたけれども、東京に出ていると北海道と違って、比較的に社会的な差別を受けなくて気が楽だ、こう言っているわけですが、その人たちの教育状況はどうかといいますと、最終学歴を見ると、小学校卒業は一七%なんです。それから新制中、昔の高小卒が四六・二%、つまり義務教育のみの学歴者が六〇%以上を占めている。それから義務教育の未修了者が一〇・八%、ですから七〇%以上が義務教育を受けたか、あるいは受けない者ということで、大学・高専卒が三・一%、こういうふうにして一般の東京都民に比べても、はるかに生活水準、それから教育水準が低いということがおわかりになっていただけると思うのです。  ついでに、もう一つ、これも長官にお伺いしたいのですが、アイヌ系住民に対する一般人の差別意識、差別的な態度、これは残っているとお思いになりますか。あるいは残っているとすれば、どの程度のものというふうに御理解なさっておりますか。
  127. 植木光教

    植木国務大臣 私が北海道におりましたのは、昭和三十七年の春まででございます。その間の各地でのいろいろな意識を思い出してみますと、都市生活者に対する差別意識というのは比較的少ないと思いますが、やはり非常に集落が多い地域におきましては差別意識というものがある、これは何とかしなければならないということで努力をしたことを、いま思い出しております。
  128. 多田光雄

    多田委員 長官、北海道を離れていますから、大分現状にそぐわなくなっているのじゃないかと思うのですが、まず差別の最たるものは、明治憲法のもとでつくられた旧土人保護法という法律がいまでもあるということです。これは驚くべきことですね。旧土人という言葉を使っている法律がいまでもあるということ、部分的には生きているということです。  それから、これもいま大臣集落というふうに言われましたが、その差別は、集落も深刻なんですが、都市もそうなんですよ。たとえばアイヌ人が最もいるといわれる旭川市内で二年前に荒井和子という小学校の先生が、市内の十七校の六年生、五年生についてアンケートをとっているのです。それによりますと――あそこにはアイヌの近文という集落がありますから、常時アイヌに接触しているのです。そこでどういうふうに答えているかということなんです。  ずっと数多く出ていますので、時間がありませんから全部申し上げられませんが、いまのアイヌ人はどんな仕事をしているのかというのに対して、子供たちの四五%が「観光の仕事をしている。」と答えている。それから二八%の子供が「魚や動物をとって生活している。」これは原始生活でしょうね。こういうことを半数以上が答えているのです。これは四百名近い子供の回答です。  それから生活が、どういう点で違っているのかという質問に対して「おくれた生活、貧しい生活をしている。」「日本人にきらわれた生活をしている。」「りっぱな家に住まず、わらの家に住んでいる。」「動物の肉を食べている。」「ぼくたちは、お金を使うが、アイヌはお金を使わない。」「冬に熊をとって、その肉を食べる。」それから「原始的生活、アイヌは働かない。」「機械を使わないし、物も買わない。」こういうことを五年、六年の子供たちが数多く答えているのです。しかもアイヌ人が一番多い都市においてですよ。  これは東京の調査によっても、それが出ているのです。東京では特に教育についての調査をしていますが、非アイヌ、つまりアイヌ以外からの一般の差別が非常に多いということを言っておりますし、たとえば教育をやっていると、おまえは能力が低い、あるいは交際をすると「毛深いと仲間はずれにされた」「ジロジロみられるのがつらい」やはりアイヌとわかった場合に、さまざまな差別を受けているということが東京都の報告によっても出ている。これは結婚から就職から教育から……、しかもその差別が一番多いのが小中学校時代だと言わわれている。そういう差別が、いまなお存在しているということです。  私、長官にお伺いしたいのは、いわゆる同和対策の対象になっている未解放部落の人たちの差別と、このアイヌ系住民に対する差別の違い、その原因について、長官どういうふうにお思いになりますか。
  129. 植木光教

    植木国務大臣 同和対策は、私の所管でございますが、憲法に保障されております人権にかかわる重大な問題として、この差別の意識がなくなるように啓蒙、啓発活動をやっておりますし、またいろいろな生活環境、あるいは産業振興、あるいは就学の奨励というような努力をしているわけでございます。  ウタリ対策は、北海道開発庁が窓口になっていることは御承知のとおりでございますが、ウタリに対する差別意識、またその生活環境や経済状況というものは、やはり大きな人権問題であり、社会問題であるというふうに認識をいたしております。
  130. 多田光雄

    多田委員 長官、私のお伺いしておりますのは、差別はだれも否定しないのです、あるということは。その濃淡はいろいろ個人差もあるでしょうけれども、その差別がどこから来ているのかということを私は伺っているのです。何が原因で、そういう差別が起きているのか。その差別が同じ社会的な差別でありながら、部落の住民の場合とアイヌ系の住民の場合でどこが違うかということを私は伺っている。
  131. 植木光教

    植木国務大臣 同和問題につきましては長い歴史がございまして、ここでるる申し上げるまでもなく、かつてのあの士農工商というようないわゆる階級差別がございました。その下に、それにも入ることができないというような差別というものが背景となりまして、その後いろいろな施策が行われておりますが、依然としてそういう意識が受け継がれてきている。お話しのように濃淡がございます。また地域によっても違いますけれども、そういう歴史的な背景があろうかと存じます。  ウタリにつきましては、これは本来北海道あるいは樺太の原住者でございまして、それに対しまして内地と申しますか本州と申しますか、から行きました者たちが、このウタリの生活権を脅かし、そしてまた集落を形成しながら、低い経済的な位置で生活を余儀なくされた、こういう歴史的な要因が大きなものを占めているのではないかと認識をいたしております。
  132. 多田光雄

    多田委員 私も、ほぼおっしゃるとおりだろうと思っているのです。ウタリという言葉を使っておられますが、アイヌ人は全部ウタリという言葉よりは、アイヌ人という言葉を使ってもらいたい。ちょうど朝鮮人が、かつて朝鮮人ということがべっ視であったように感じられたけれども、いまは朝鮮人とはっきり言ってくれと言っているのと同じことなんです。本来であれば、ウタリ対策ではなくアイヌ対策、あるいはアイヌ系住民というのが正しい言葉だと思いますが、それはいまウタリ対策という言葉で話を一応進めるとしても、ともかくいま大臣がおっしゃった、それからその前、大臣の先輩である町村自治大臣も、ほぼそういうことをおっしゃっておられるし、それから齋藤厚生大臣も三年ほど前、アイヌ、ウタリはいわゆる民族的な文化を持つものだという言葉も使っておられるわけです。  そういう意味で、やはり少数民族ともいえる立場の存在だと見ていいのではないかというふうに思いますが、これは大臣どうお考えになりますか。
  133. 植木光教

    植木国務大臣 私がウタリというふうに申しておりますのは、社団法人北海道ウタリ協会というのがございますので、公式な立場で申しますならば、その用語を使った方がいいのではないかというふうに考えて、そう申し上げているところでございます。  なお、いまお話がございました点については、同化と申しますか、日本人としての自覚を持っていただくように、政府としても、あるいはまた地方団体としても努力をしているところでございますので、したがって少数民族という、その民族という言葉が適切であるかどうかということについては、私はちょっと判断をしかねますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、北海道や樺太等に早くから住みついていた、いわゆる先住の住民の方々でございまして、そのウタリの方々は、そうでない人たちを和人だとかシャモというふうにおっしゃるように、やはり少数の別の人種であるというような自覚を持っておられるのではないかと思います。ただ、私どもといたしましては、同じ日本人としての自覚を持っていただきたいと念願をするものでございます。
  134. 多田光雄

    多田委員 大臣、大変警戒しておられますが、あなたの先輩の町村自治大臣は、アイヌ民族という言葉を使っているのですよ。四十九年三月八日、二度も三度もアイヌ民族という言葉を使っている。「アイヌ民族の」というふうな叙述になっているのです。それでおっしゃることはあれですが、同化しつつあるという側面があることは事実なんです。しかし、アイヌの人たちが本当にいま叫んでいることは何なのかということを、大臣もひとつお考えになってください。  これは東京にいるアイヌ人たちが言っていることです。シャモ、つまり和人ですね、シャモの学者が資料館や博物館に私たちの物を飾っても、生きがいは感じないのだ。私たちが人間としての誇りを取り戻して現実に生きていくためには、アイヌ人としての民族的な誇りをまず取り戻すことなんだ。それを日本が保障してくれるならば、大いに尊敬したい。戦争中には忠君愛国を本当に理解できなくても言われて、アイヌ人は鉄砲を持って行って、史実の上では和人よりもたくさんの犠牲者が出たのですよ。その人たちがいま、まず民族としての誇りを日本の国民の一員として日本で取り戻したい。これは矛盾していないのです。多民族国家ではあることでしょう。ソ連でもある。最近独立したベトナムでも四十幾つの多民族国家でありながら、しかもベトナムの国民であり、少数民族の一員で言語も持っているわけです。  だから、アイヌ人は日本の国民の一人であることを否定していないのです。しかし同時に、日本の国内でアイヌ民族として正当な歴史と文化と伝統を持つものとしての誇りを持って生きたいのだ、そう言っているわけです。しかも現状は、アイヌであるがゆえに、社会的にも教育の上でも生活の上でも、われわれのはかり知ることのできないさまざまの圧迫、屈辱を受けているのです。屈辱を受けていて、どうして日本人の誇りを持つことができるのでしょうか。そういう意味で大事なことは、歯に衣を着せないて――民族と断定できないのであれば、やはり民族的な存在である、この側面が部落解放の人と違うところなんですから、風貌も違うし、言語も違っているし、文化も違っているのです。  そういう民族的な側面をしっかりとお認めになるということが、まず皆さんのおっしゃるウタリ、アイヌ人に対するわれわれの尊敬の気持ちであり、本当に平等であるなら、そこにまず立脚するということ。何か漠然と日本人である、同化している。その同化の中で差別を受けているのですから、だから私は、民族的なものであるというこの側面を、大臣が客観的な事実としてお認めになるのかどうなのか、それを伺っているのです。
  135. 植木光教

    植木国務大臣 実は私直接の所管でございませんので、十分なお答えができるかどうかということにつきましては、お許しいただきたいと存ずるのでありますが、私自身にもウタリの友人がございます。また、いろいろな御意見があるということも承知いたしております。ただいまお話がございましたように、アイヌ民族として、またアイヌ民族の文化を尊重するということが、われわれが日本人としての自覚を持つゆえんである、そのことを強く望むという声があることも承知いたしております。
  136. 多田光雄

    多田委員 時間もだんだん切迫してきましたが、アイヌ人がこういう一般人の差別を受けるということは、ただ民族の違いだけじゃないのですね。それは先ほど大臣もおっしゃったように、やはり持っていた土地、文化が、かたい言葉で言えば和人の政府に侵されてきた。つまり被抑圧の民族的な存在なんです。だから、侮べつを受けるのです。これが、もし向こうの方が勝っているのだったら、こうじゃないのです。だから、部落の人たちと違うことは、民族的な違いを特徴としている、本質としている。同時に、その民族とも言える少数のこのアイヌ民族が、日本の徳川以来の圧迫を受けてきて、生活の基盤を奪われ、さまざまな言語まで奪われてしまった、つまり抑圧された者なんです。ここにアイヌ人が、いま社会的に差別を受ける一番の根本があるのだと私どもは考えるのです。また、それが客観的な見方だというふうに思うのです。ただ、大臣はなかなかそれを明快におっしゃらないし、担当が違うからということでございますが、私は為政者として、せめてこれぐらいのことは考えておかなければならないと思う。  そこで大臣、それではもう一つお伺いしたいのですが、私が特にきょう総理府の植木総務長官にお伺いしますのは、理由があるのです。  日本の政府は、このアイヌ人に対して一体どういう基本的な施策をとるのだということを、厚生省にも聞きました。開発庁にも聞きました。各省に聞くのだけれども、それはうちじゃありませんと、こういうことなんですね。厚生省は死文に近いと言われる旧土人法をわが方で持っておりますと、それの解釈をやっておられます。根本的に、このアイヌ人対策の基本施策をどこで練るのだと言うと、いや十一省庁の連絡会議ですか、そこにあるんだ。これには総理府も入っておりますね。で、そこも一人一人に聞くと、うちじゃございませんと逃げてしまうんですね。ともかく何か全部予算を立てて、しかも、その骨子になるのは北海道開発庁が計画を立ててきている。それに予算の裏づけをやって、北海道開発庁が事務的な窓口になっていく、こういう状況なんですね。いまこれは北海道の有識者の中からも、北海道の役所の中からも出ているのは、一体アイヌに対する基本的な政策を立案する中心はどこなんだ、これは東京都でもそれを言っているのです。  そこで私が冒頭申し上げましたように、部落の人口約二百万、三百万と言われますが、それより小さいけれども、それと本質的に異にする、この少数民族とも言い得べきアイヌ人に対する正確な施策というものを、いま持つときに来ているんだ。大きな社会問題になりかかっているんだし、いずれ早晩どなたが政府を担当しようと、これをつくらなくちゃならない。そこでそういうものとして、実はきょう総理府長官が適当ではないかということで、私はあえて大臣にこれを質問したわけなんです。  御存じのとおり、総理府には同和対策の特別事業の立法があります。同和対策には立法があって、アイヌ人に対しては立法が死文化してしまっている。後は行政措置でやっている。ここにもはっきりと差別が出ているのです。  そういう意味で、私は総理府長官に、これはぜひひとつお願いしたいのです。長官も前々から北海道についていろいろ因縁もございますし、また北方領土の担当の大臣でもございますし、早晩アイヌに対する基本的な法律的な施策というものは、やはり立てなくちゃいかぬ。そういう意味で、これは総理府が窓口になっていただきたい。総理府がだめであるならば、これはどこでもよろしいのです。そういうことについて閣議の中でも、やはり一人として御尽力願えないかどうか。それをまずお伺いしたいと思っています。
  137. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま多田委員が御指摘になりましたように、アイヌ対策が各省庁にまたがっておりますことは事実でございまして、この問題に関する政府の窓口を決めて、総合的な調整をやりながら施策を推進してほしいという要望がございまして、御承知のとおり、一昨年五月に、関係省庁間で協議が行われたわけでございます。これは官房長官総務長官北海道開発庁長官等が協議をせられまして、事後北海道開発庁政府の窓口とするということに決定をされました。そして先ほどもお話しございましたように、関係省庁の事務次官会議申し合わせによりまして北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議が設置されまして、その事務も北海道開発庁が行っているところでございます。  したがいまして、この連絡会議が円滑かつ精力的に対策の推進を行ってまいりますことを私は強く期待をいたしているのでございまして、一昨年に、このただいま申し上げましたような窓口一元化が決まったところなのでございますから、北海道開発庁において本対策についての総合調整及び施策の推進に当たっていただきたいというふうに考えます。
  138. 多田光雄

    多田委員 先ほどの私の基本的な、民族とは断定しておりませんけれども、民族的なものと言えないかどうかということについても、これは明確な御答弁を願っていないのです。少なくとも植木長官からは私はもらってないのです。何となく歴史的な違いであるかのような、あいまいな御答弁なんですね。そういうことも含めて、一体問題をどこが提起して、どこが立案をして、十一省庁でお諮りになるのですか。開発庁でございますか、総理府でございますか、それとも厚生省でございますか。どこが一体そういう問題提起をなさるのでしょうか。何となく集まって論議なさるのでしょうか。あるいは、きょう私がこういう問題を提起したように、この問題について賛成されるかどうかは別にして、こういう基本問題を提議なさるのは、一体総理府でしょうか、どこでしょうか。
  139. 植木光教

    植木国務大臣 先ほども申し上げましたように、総合的な施策の調整と推進が必要でございますから、北海道開発庁がその窓口となり、その事務もそこで扱うということに決められているのでございますから、関係省庁は、やはり北海道開発庁というものを中心としながら施策の充実、運営に努めていくのが当然であろうというふうに考えます。
  140. 多田光雄

    多田委員 それじゃ開発庁が、そういう基本問題も含めて、まず論議していただくということになるわけですね。実はこれも何か町村自治大臣のあれを言うのはあれですが、町村自治大臣はそのときの答弁で、開発庁が余りやるのは不適当だ、大体窓口も不適当だという発言をなさっておるのです。しかし実際は、こういうふうになりましたが……。  そこで、私もう少し具体的に、もう時間が来ましたので入りたいのですが、いま大事なことは、このアイヌ人に対する差別、この差別が一番根本の問題なんです。生活が苦しいよりも、差別の問題にアイヌ人は泣いておるわけですから。ですから、一般の日本の国民がアイヌ人に対する正しい歴史や、その認識を持つということ、あるいはまたアイヌ人自身が、みずからアイヌ人であるということに誇りと自覚を持っていくということ、そういう教育をしなくちゃならないということですね。そういう意味で、私は何点かひとつ御提案したいと思うのです。  実は北海道の厚岸というところで町立の上尾幌中学校というのがありまして、そこの校長先生の佐藤保治さんという人が、自分で「厚岸のアイヌ」という、こういう副読本、中学校補助教材をつくっているわけです。これは自費でつくって、どこからも援助を受けていないで、もちろんこれは自主的な教材ですから、これでいまでも子供たちに教えている。中身を後でごらんになってください。これは別にイデオロギーは入ったものじゃありません。どのようにアイヌ人が釧路、厚岸地帯に集落をつくり、生産を営み、徳川以来どういうことをやってきたかということを書いているんです。それなりに郷土史であり、アイヌ人の歴史を知る上に、私自身も参考になっている。  こういう副読本を私は、すべての学校に強制的につくらせるわけにいきませんが、少なくとも北海道だとか、きょう聞きましたら、東京でもそういうものの研究が、いま教育委員会の中で始まっておるということを聞きました。そういう副読本づくりに対して、これは文部省来ておりますか。――妨害はもとよりのこと、そういうものに積極的に、たとえば援助をしていくというような措置をとられるかどうか、ひとつお伺いしたいと思うのです。道の教育委員会でも自主的に始めているのです。
  141. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 学校におきましては御承知のとおり、教科書が主たる教材として使われておりますが、それ以外のものにつきましても、学校教育法二十一条の第二項によりまして、有益適切なものは補助教材として使用することが認められております。
  142. 多田光雄

    多田委員 大変、木で鼻をくくったようなあれですが、事この問題は、教育の本当に大事な中身にかかってきているんだね。北海道で、さっき言ったように、もう小さいうちから差別感が生まれていっているんだから。こういう問題が出た場合に、そういう努力を多として、文部省として一定の激励や奨励や援助をするかということを聞いているのです。
  143. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 教科書につきましては、御承知のように文部省で検定をいたしまして、その採択等につき指導いたしておりますが、補助教材につきましては、これは先生御承知のとおりでございまして、各設置者におきまして、具体的には各学校で判断するわけでございますが、一定の補助教材等につきましては、設置者においてもその適否を考慮するということがございます。したがいまして、個々具体的な補助教材につきまして、私の方で県や市町村につきまして、その使用の可否ないしは使用の推薦方について物を申すということは、従来からやっていないところでございます。
  144. 多田光雄

    多田委員 これは長官にお伺いしますが、かつて東京大学でもアイヌ語の研究をやっておりましたね。金田一先生が亡くなられて、これはもうだめですね。北大でも知里真志保というアイヌ人出身の言語学者がいて、りっぱな業績を残しておる。亡くなって、だめになりました。  つまりこれほど、いまアイヌの文化を尊重するといいながら、アイヌ語を正式にアカデミックに研究しているところもないのですよ。むしろ、いま民間の考古学者や民間の愛好者が細々やっているだけなんですね。しかし、それがいま非常に関心を持って見られてきている。そこで私は、長官は文部大臣じゃありませんが、閣僚の一人としてお願いしておきたいのですが、たとえば北海道大学の文学部なりその他でアイヌの文化なり言語の講座をつくっていきたいというような積極的な御意見が出た場合に、閣僚の一人として、それを積極的に御支援なさいますか、また実現のために御努力いただけるかどうか、それをひとつお伺いしておきたいと思う。
  145. 植木光教

    植木国務大臣 そういう御要請がありましたならば、私も御協力をいたしたいと存じますし、また文部大臣に対しまして、本日のいろいろな文部省関係の問題につきましては、これを伝え、その対策を要請をしてまいりたいと存じます。
  146. 多田光雄

    多田委員 それはひとつよろしくお願いしたいと思います。  なお、私、いま時間があれば、もう少しお話ししたがったのですが、先ほど冒頭に話が出ましたように、都市在住のアイヌはいまアイヌ対策の対象になっていないのです。つまり東京では、先ほど言いましたように七百名からもいるのです。東京都は二百二十万で独自に調査をやられた。しかも東京都の労働局は新宿の職安にアイヌ人の婦人を一人相談員として置いて、これに十万近い給料を払っている。そして東京にいるアイヌ人の就職その他あっせんをさしている。これを労働者が感じているわけであります。東京には高校へ行っている子供がいます。ところが北海道の部落にいる、集落をなしているアイヌ人、これの子供たちには高校進学の補助が出ております。これは札幌にもおります。ところが、東京ではもらっておりません。しかも東京では、アイヌ人が自主的にウタリ会をつくっているのです。自分たちはアイヌ人であるということを名のって東京都に来ている。それが七百人いるのです。  こういう意味で、集落をなしている、つまり属地主義的な集落をなしているアイヌ人だけではなくて、政府の高度経済成長政策のもとで、集落が崩れて、どんどん都市へ流れてきてしまっている、このアイヌ人に対して、たとえば共同作業所をつくる問題であるとか、あるいは就職あっせんの問題であるとか、こういう問題について私は同じような援助をすべきだと思う。またその声が強くなっているのです。ところが、どうかと言うと、部落問題と同じような、むしろそれに準じてアイヌ対策をやっているのですね、異質なこの問題を。ところが同和対策の方は、事業をやれば法律に基づいて補助が三分の二です。アイヌの方は全部三分の一ですよ。ようやくことし和人と一緒にやる農業関係が三分の二初めてできただけですよ。だから道の役人も言っているのです。せめて三分の二並みにしてもらいたい、こういう要望も出ているのです。私は、政府の施策そのものがきわめて差別待遇だと思っている。  ですから、そういう意味で、どうでしょうか、時間がありませんので、都市在住のアイヌ人、これに対しても、やはり政府が同等の援助をすべきである、あるいは同和対策の事業並みにアイヌ人に対する事業については三分の二に引き上げてやる、こういう措置を思い切って御検討あるいは実現のために、ひとつ御奮闘願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  147. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまお話がございました件につきましては、北海道開発庁と協議をさせていただきます。
  148. 多田光雄

    多田委員 それでは、ぜひひとつその補助率の問題、それからいま言った都市のアイヌ人に対するいろいろな政府の事業ですね、これの御検討をお願いしたい、こう思っております。  最後に大臣に重ねてお伺いしますが、アイヌ対策の第一の出発は、われわれ、と言うと非常に誤解を受けますが、和人側のこの蝦夷地と言われた北海道、これに対する進出、その生活基盤を奪う、民族的な、よって立つところのものを奪ってしまった。そうして、旧土人保護法という名の中で同化作用を進めている。そこで屈辱が生まれてくる。そしていま、生活もそういう状況になっているのです。だから私は、出発は日本の政府がはっきりとした反省の上に立って、まず民族的な存在である――民族と断定なさらなくても、それはあなたの御自由ですが、しかし、民族的な存在であるというこの側面をきちんとお認めになるのかどうか、再度私はお伺いしたいと思います。
  149. 植木光教

    植木国務大臣 歴史的な経過から申しまして、民族的に相違があるということは私も認識をいたします。また、差別撤廃のために、あらゆる努力をすべきであるということにつきましても、同じ考えを持っております。
  150. 多田光雄

    多田委員 それじゃ終わります。
  151. 村山達雄

    村山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時休憩      ――――◇―――――     午後二時三十四分開議
  152. 村山達雄

    村山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浅井美幸君。
  153. 浅井美幸

    ○浅井委員 本日は、総理府並びに行管の所管の審議でございますけれども、私、緊急の問題として、内閣官房あるいは参考人の人に対して質疑をさせていただきたいと思います。  そこで、まず官房副長官にお伺いしたいのですけれども、先般、五月の十一日に、特殊法人の役員の縮減についてということで閣議了解をなさいましたけれども、その辺についての、いわゆる今回閣議了解に至った事情、あるいは閣議了解の内容についてお答え願いたいと思います。
  154. 海部俊樹

    ○海部政府委員 御指摘のございましたとおり、五月十一日に、特殊法人の役員の縮減について、閣議了解をいたしました。  それは、現下の国の財政事情等にかんがみ、当分の間、次の要領により特殊法人の役員の縮減を実施するものとすると、現下の厳しい情勢等を自覚いたしまして、対象となる法人は常勤役員十人以上の特殊法人とする、ただし役員の任命に関して主務大臣が権限を有しない特殊法人または国の財政資金が投入されていない特殊法人を除く。  縮減の規模は、常勤役員十人以上十五人までの特殊法人にあっては一人、常勤役員十六人以上の特殊法人にあっては二人の常勤役員を縮減する。  その方法は、特殊法人ごとに原則として昭和五十一年七月一日以降任期を満了し、退任する役員が生じた際に、後任を補充しない方法による。  主管官庁は役員縮減の計画を定め、内閣官房に報告するものとする。  こういう内容の閣議了解をいたしたわけでございます。
  155. 浅井美幸

    ○浅井委員 その中に、幾つか特殊法人がございますけれども、日本航空株式会社は、いま決められた役員縮減の対象の法人になっておりますか。
  156. 海部俊樹

    ○海部政府委員 対象法人になっております。
  157. 浅井美幸

    ○浅井委員 それでは、五月の十四日に、各紙に報道されておりますけれども、日本航空の朝田社長が記者会見をいたしまして、この問題につきまして反発あるいはまた株主総会の権限を侵害しておるというようなことで、この閣議了解事項に対して骨抜きをはかっている、このように報道されております。  私は、参考人として朝田社長をお呼びしたわけでありますけれども、朝田社長外遊中ということで副社長がお見えでございますが、いわゆるこの経過、朝田社長の発言あるいはまた、この問題に対しての日航の考え方、これをお答えいただきたいと思います。
  158. 高木養根

    高木参考人 私、日本航空の副社長高木でございます。  ただいま浅井先生から御指摘のありました点についてお答え申し上げたいと存じます。  社長が記者会見におきまして、大体新聞に報道されておりますような、ほぼその内容の発言をしたということは私、承知しております。しかし、現在私ども日本航空といたしましては、この非常に厳しい経営の環境下におきまして、いわゆる日本のナショナル・フライト・キャリアというその任務の遂行と、それから先生も御承知のように、最近業績においても余り芳しくない成績でありますので、何とかこの経営の改善ということに努力をしている。こういう経過の中におきまして、政府の、ただいま御指摘がありましたような方針の決定がございまして、これに対しまして、社長としては、この経営の衝に当たりましての苦衷を述べたものでありまして、決して政府の方針に反発するというような意思は毛頭なかったというふうに私存じておりますので、この点を明確に申し上げたいと存じます。
  159. 浅井美幸

    ○浅井委員 では、いわゆる政府方針につきまして実施をする方針でしょうか。
  160. 高木養根

    高木参考人 その点につきましては、私どもとしましては現在の業務運営の実態に即しまして、いろいろ御配慮をいただきたいということで、政府にお願いを申し上げたいと存じております。
  161. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は、日本航空が何も憎いわけではございません。しかしながら、日本航空株式会社というのは日本航空株式会社法に基づいて、昭和二十八年の十月に、資本総額二十億円で設立をされました。そして当時から政府の出資額が出ております。今日、昭和五十一年三月三十一日現在で、資本総額は四百八十六億二千五百万円、株が九千七百二十五万株に対し、二百十六億九千六百万円、四四・六%も、いわゆる国が政府出資をしております。すなわち、国策会社という会社であります。しかも、日本航空株式会社は、第十条によりますと、一般持ち株、政府以外の者の所有ですね、一般持ち株、これに対する配当が八%を超えない限り、政府出資分に対する配当は必要はない。これは定款三十三条でも認められております。税法上においても航空機、船舶に対する合理化特別償却制度が認められておりまして、準備金の積み立ては一般企業と比較できない恩典が与えられております。  そういう特殊法人でありなから――御承知のように特殊法人という問題については、従来から天下り官僚の巣である。けさほど同僚議員からも指摘がございました、いわゆる官僚の天下り機関になり、養老院になっておる。こういうことで、今日の経済情勢から見回してみても、役員を減らすことが非常に重要な課題である、こういうようになっております。  今回、いわゆる閣議の了解において減らそうとしておるのは、その役員の中のわずか一割にすぎないということであります。本来ならば、もっと厳しい言い方をするならば、このような社会的な批判、あるいは世間の批判がある特殊法人については、役員の大幅削減をせよ、半減をせよ、このような声まであるこの内容でございます。したがいまして、いまこの閣議了解を行って、その対象となるのは、二十九法人の三十七名の削減案だと私は思います。  これはそれぞれの会社、それぞれの法人、いま言ったように経営の内容、いろいろな事情があって、その苦衷があるからということで、それを政府にいろいろと陳情したいというような意向では、せっかくの縮減案が実施できないように私は思うわけです。この点、せっかく決められた閣議としての決定事項、これを遂行するに当たって、官房副長官はどのようなお考えでおられますか。
  162. 海部俊樹

    ○海部政府委員 いろいろな公社、公団にもそれぞれの理由はあろうかと思いますが、一律に決めました点は、なまぬるいという御指摘もあるかもしれませんけれども、政府としましては、この線だけはきちっとこうしたいという、なるべく実現可能な決定をしませんといけませんので、十人以上のところで一人、それから十六人のところから二人、こう決めたわけでございますが、この方向に従って進めてまいりたいというのは、これは当然でございます。  ただ日本航空につきましては、先生御指摘のように四五%の政府出資でございますが、株式会社の形態をとっており、ほかのものと全く特異な存在であることも、これはまた否定できない事実でありますから、申し入れがありました時点において、この閣議決定の枠内において具体的にどういう方法をとっていってもらうかということは、当該大臣との間において、また検討をしてもらいたい、やはり原則として、この線は守っていただきたい、こういう気持ちでおります。
  163. 浅井美幸

    ○浅井委員 運輸省におきましては、運輸大臣きょうお見えになっておりませんけれども、所管の局長お見えになっておると思いますが、所管の局長はどういう考え方ですか。
  164. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 ただいま副長官から御答弁がございましたように、運輸省といたしましても今回の役員の縮減につきましては、これは閣議で決まったことでございまして、その方針に従っていく所存でございます。したがって、日本航空についても、この原則に決して例外ではないというふうには考えております。ただ、その具体化につきましては今後政府部内で検討をしたい、こういうことでございます。
  165. 浅井美幸

    ○浅井委員 運輸省にお聞きしたいのですけれども、この閣議了解の内容でいけば、日本航空株式会社は、現在役員というのは十八人以内でなければなりません。同法第四条において取締役十八人以内、監査役三人以内と規定されています。現在は取締役十八人、非常勤が二人、監査役三人、非常勤が二名、このようになっていると聞きますけれども、運輸省、間違いございませんか。
  166. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  167. 浅井美幸

    ○浅井委員 そういたしますと、海部副長官にお聞きしたいのですけれども、縮減規模は常勤役員十六人以上の特殊法人にあっては二人の常勤役員を縮減するという、この対象の会社に日本航空株式会社はなりますか。
  168. 海部俊樹

    ○海部政府委員 そういう角度から申し上げますと、そのとおりでございます。
  169. 浅井美幸

    ○浅井委員 日本航空の業績は非常に悪くなっているということを先ほど副社長さんおっしゃいましたけれども、確かに四十九年度に二百六十六億三千三百万円、五十年度に百四億六千九百万円の赤字が出ておりますね。台湾の路線がなくなって九十億円の減収になっています。どうでしょうか。参考人にお伺いしたい。
  170. 高木養根

    高木参考人 先生にお答えいたします。  四十九年度は確かに経常損におきましては約二百六十六億でございますけれども、最終の損益におきましては約百七十七億の赤字でございます。  それから、この三月に終了いたしました五十年度につきましては、まだ最終決算が出ておりませんので、ごく粗っぽい、一応われわれ経営陣におきまして計算をいたしました数字によりますと、経常におきまして百億足らず、最終損益におきまして、おおよそ収支とんとん、こういう状況であると考えております。
  171. 浅井美幸

    ○浅井委員 いわゆる収益も出ていない、あるいはまた損益はとんとん、そういう企業にあって、いろいろの苦衷があるということでありますけれども、台湾路線等のなくなった今日、役員を便々とまだふやしたいというような考え方、これは私は納得いかないと思うのです。ですから、新聞記事等に報道されるように反発やあるいは骨抜きという答えになってくるわけですね。自分の会社のことだけを考えないで、謙虚にもっと全体の意味において考えるという立場に立って物事を見ないと、政府において決められたことを守ろうという姿勢がない、これは私は日本航空の姿勢に非常に問題があると思います。  私は、この場であなた方の苦衷、あなた方の事情、そういうものはわかるとしても、せっかく閣議でこれだけのものが決められながら、日航がそれに従わないということになりますと、ほかの公社、公団にも大きな影響が出てきます。この辺について、この閣議了解というものに対して、もう一回重ねてお伺いしておきますけれども、事情は社内にいろいろあろうとも、この二名削減に対して、素直に日本航空はお従いになりますか、どうですか。
  172. 高木養根

    高木参考人 重ねてお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、この具体的な措置につきましては、会社事業運営の実情に即しまして、特に配慮していただくように政府にお願いしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  173. 浅井美幸

    ○浅井委員 ということは、いまあなたの言うのは、会社の特殊な事情があるから、役員削減には応じられないということですか、もう一遍重ねて伺いますけれども。
  174. 高木養根

    高木参考人 私どもの立場としまして、政府のお決めになりました御方針に従わないというようなことを申し上げられる立場にございません。決してそういうことを申し上げているのではなしに、ひとつ会社の事業運営の実情をぜひ御勘案願いたい、こういうことをお願いしたい、こういう趣旨でございます。
  175. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま政府の当事者はこの場におられます。閣議の了解事項で決定したことに、あなたは従わないとは言わないけれども、事情を説明すると言う。  官房副長官にお伺いしたいのですけれども、こちらで決めたのが向こうで応じないという場合には、どういうふうになるのですか。
  176. 海部俊樹

    ○海部政府委員 これは、従わないと言っておられるわけではないと、私もいま横で聞いておりますので、会社の苦しい事情等を申し述べられたという受け取り方をしておりますから、これは運輸大臣がその認可権を持っておる担当大臣でありますから、政府部内においていかなる方法で具体的にしていくかということについては、閣議了解の線に従った方向でいくようにいろいろと行政指導もし、お話し合いもしていきたい、こういうふうに理解しております。
  177. 浅井美幸

    ○浅井委員 私、意地悪く言うわけではございません。しかし、事情はどうあろうと、閣議で決めたものが実施されない。各社においていろいろな事情はあると思うのですよ。運輸省についてはどうでしょうか。
  178. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先ほど申し上げましたように、閣議了解の原則は、これは日航としても例外ではございません。したがって、その線に沿って、それをどのように具体化するか、こういうことで、その具体化の方法について今後検討をして結論を出したい、こういうことでございます。したがって、閣議了解の線は、原則は、あくまでもこれを守る、こういうことだと存じます。
  179. 浅井美幸

    ○浅井委員 日本航空は、社長の発言、これについて従わないという意見が非常に私は強く感じるわけですけれども、高木参考人に重ねてお伺いしますけれども、どんな会社の事情があったとしても、この役員削減の問題について、あなた方の社内事情というものがいろいろあるということですけれども、もし日航だけが異例な、いわゆる特殊な例として縮減が行われないということになれば、私は、政府の威信というものが問われると、このように思います。ですから、その辺、特殊法人としての立場からこの問題については、きょう社長にかわっておいでになった高木さんの責任において、役員削減の方に努力をすべきであると、私はこう思いますけれども、いかがですか。
  180. 高木養根

    高木参考人 ただいま私から申し上げられますことは、ただいまの先生の御供述、これを十分に私、尊重さしていただきたい、こういうふうに思います。
  181. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、日航もこの閣議の了解事項について、その面で全面的に協力をする、あるいはその方針に沿うと、このように解していいかと私は思いますけれども、これは厳密にやってもらいたいと思います。まして日本航空というこの会社の方針によって――ほかにも公社、公団いろいろなところがございます。日本専売公社、あるいは日本国有鉄道、日本電信電話公社等々赤字が出ておる会社あるいは公社、こういうものの役員削減のものは当然として行われなければならない。いろいろな例外をつくることは、私は、いいことではないと思います。その点はよく御留意いただきたいと思います。  そこで私は、日本航空株式会社が、いわゆる特殊法人という会社のこういう形におきまして、特定の民間個人の持ち株が異例に多いという実例を今回ここで述べてみたいと思います。  おたくの役員の中におられる小佐野賢治氏、この人の持ち株は二百五十三万五千五十六株、三月三十一日現在でお持ちですね。どうでしょうか。参考人にお答え願います。
  182. 高木養根

    高木参考人 ただいま私、正確に記憶しておりませんが、あるいは先生御指摘のとおりかと思います。いずれにしましても、いわゆる民間株主、政府を除きました民間株主としては、第一位の株主であるということは間違いございません。
  183. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまロッキード問題におきまして、全日空の機種決定にまつわるいろいろなことで、小佐野賢治氏につきましてもいろいろな疑問が投げられております。その方がまた日本航空でも個人で最大の持ち株を持っております。従来から航空業界にまつわるいろいろな問題がございます。せっかくお見えになったので、後でもDC10オプション問題について若干お聞きをしたいんですけれども、こういう政府資金が出ておる特殊法人でありながら、全株の二・六%という、個人の中でも最高の持ち株を持っておるこういう姿、この人の株の取得は昭和三十八年三月三十一日から始まっておりますけれども、この膨大な数字に上る持ち株、自由経済のもとですから、個人が株を幾ら買うということについては云々はできませんけれども、こういう筆頭株主とも言える、政府資金に次ぐところの、政府のいわゆる持ち株に次ぐところの株の所有率を持っている人の発言というものは、非常に大きくなる。政府資金が出ていて、政府特殊法人として認められて恩典がある、そういう会社に取締役として、そういう個人持ち株が多い人がいることは、その社内に対する影響力が非常に大きく出てくる。日航として、そういうようにいろいろ航空行政運営、航空の実務に対する発言力を増してくることについて、どのように考えられますか、高木参考人に伺いたいです。
  184. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  先生も御指摘のように、現在政府の持ち株は約五五%ということでございますので、確かに民間株主としては小佐野賢治氏が最大の株主であるということは事実でございますけれども、いま御指摘がありましたように二・数%ということでございまして、そういう意味におきまして、いわゆる会社の経営に対して非常に大きな影響力があるというふうには考えておりません。
  185. 浅井美幸

    ○浅井委員 そういうものが疑惑につながりますし、全日空におきましてのロッキード事件にまつわる発言、小佐野氏とコーチャンとの関係等が今回取りざたされているわけであります。そういうことで、いわゆる特殊法人である日本航空株式会社、こういうところで個人持ち株というものの一人の占有がふえるということは、決して好ましいことではない。私は、このように考えます。  その意味におきまして、特殊法人という立場から、最後に海部官房副長官に私はお聞きしておきたいのです。  そのような特殊法人の中で、株式会社という特殊性はあるにしても、その会社の経営に対する発言が、個人持ち株が非常に膨大にふえることによって増す、こういう意味からも個人の持ち株についてのある程度の制限を、あるいは持ち株を全体の一%あるいは〇・五%、このように制限をする特殊な法律または内規、規約をつくるべきではないかと私は思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
  186. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 特殊法人なるがゆえに個人の持ち株の制限をするということは、私は立法例としても存じませんし、また立法論としてもいろいろ問題があろうかと思います。しかし、ただいまの先生の御意見研究をいたしたいと思いますけれども、直ちにその方向で結論を出すということは、むずかしいと思います。
  187. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は、むずかしいことはわかっております。わかっておりますけれども、いま言うように、いろいろな意味において今回の事件を参考にする場合に、これはよく考えておかなければならぬという点から、問題提起として、私はこの問題を出したわけです。高木参考人は、その考え方にどのような御意見をお持ちでしょうか。
  188. 高木養根

    高木参考人 現在の日航法におきましても、そういう意味での制限的な規定はございませんし、私としては、ただいま航空局長も答えましたけれども、現在の法制下におきましては、そういうことは非常に困難ではないかというふうに考えております。
  189. 浅井美幸

    ○浅井委員 法制下において困難でないと私は思うのです。決めればいいわけですから。いわゆる特殊法人という事情のもとにおける個人の発言の増大あるいは権力の増大、そういうことを考えるならば、その辺のことについては、よく検討をしていただきたい、私はこのようにお願いしておきます。  そこで今度は、ロッキードに関する問題ですけれども、全日空は、大庭前社長の証言によると、四十五年三月に、DC10の製造番号二十九、三十三、四十八、九十八、百二番の五機をオプションされたと言われております。この全日空がオプションした二十九、三十三番のDC10を昭和四十四年の初めごろに、日航自体が前にオプションしていたのではないかということが言われておりますけれども、このような問題はいま国会でも論議をされております。日本航空においても、その辺の調査をなさっていらっしゃると思いますけれども、この件につきましては、どうでしょうか。
  190. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  ただいま浅井先生御指摘のとおりに、こういう問題に関連しまして日航社内におきましても、もちろんいろいろと当時のことにつきまして社内的に調査をいたしておりますけれども、ただいま先生が御指摘になりましたような事実は全然ございません。
  191. 浅井美幸

    ○浅井委員 全然ございませんということになりますと、これはまた私が、次の質問ができなくなってくるわけですけれども、重ねてもう一遍、この点につきましてお聞きしたいのですけれども、全日空の大庭前社長は日航のDC10オプションの肩がわりとして、全日空がダグラス社とオプションしたのではないか、このように言われておりますし、またいままでの国会論議の中でも、日航は昭和四十四年七月に、エアバス機種選定作業を中断する以前にDC10三機をオプションしておった、このように言われておりますけれども、こういうことは全然なかったですか。あるいはまた三井物産が押さえたDC10六機の製造番号のうち、二機は日航用としてオプションされておった、このようにも言われておりますけれども、このような事実もございませんでしたか。
  192. 高木養根

    高木参考人 重ねてお答え申し上げます。  われわれが社内的に調査した限りでは、いずれも全然ございません。
  193. 浅井美幸

    ○浅井委員 結構でございます。  きょうは参考人にわざわざお忙しい中を来ていただきましたけれども、どうかいまの役員縮減問題につきましては、いま朝田社長が海外で、お留守なようでございますけれども、お帰りになったならば、よくお伝えをいただいて、政府了解の方向で日本航空も対処されるようにしていただきたいと思います。本日は御苦労さまでした。
  194. 村山達雄

    村山委員長 どうも御苦労さまでした。
  195. 浅井美幸

    ○浅井委員 沖繩振興開発金融公庫の小企業経営改善資金というのがございます。これについて伺いたいのですが、昭和五十年度の場合、二十八億円の推薦枠がございますけれども、実際の契約実績は二十三億七千五百万円で、未使用分が四億二千五百万円ございました。しかも五十一年度の推薦枠は、さらに四十億円と増枠をされましたけれども、いまこのように残るということは、私は非常に問題があろうと思うのですけれども、この辺についてどうですか。
  196. 岩尾一

    岩尾説明員 沖繩におきます小規模経営改善資金の問題でございますけれども、いま先生のおっしゃいました、五十年度の計画が二十八億で、契約実績が二十三億七千万というのは、私の方のとっております数字では二十四億二千三百万ということになっております。そんなことで多少数字は違いますけれども、いま申し上げましたように、計画どおり執行されてないことは事実でございまして、これはできるだけ配分をしたいと思うわけでございますけれども、御承知のように、この小規模経営改善資金と申しますのは、四十八年に国民金融公庫に導入をされまして、それから沖繩の方にも同じような形で、さらに有利な条件で導入をされたわけでございます。  金額は低うございますけれども、もともと無担保、無保証のお金でございますので、経営改善に役立つように、商工会であるとか、あるいは商工会議所等の経営指導を実際に六カ月以上受けるということを、本土では条件としております。沖繩では、なかなかそこまでまいりませんので、そういうような意図があれば、一カ月間だけ実績があればもうよろしいというふうに、非常に条件を緩和しておるのでございますけれども、それでも現在の沖繩状況では、商工会議所あるいは商工会等の経営指導というものが、まだ本土のように徹底をいたしておりませんので、なかなかそういう条件がそろわないので、需要が出てまいらないという状況でございます。
  197. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは岩尾理事長も御存じだろうと思いますけれども、この二月に、宿泊施設の経営実態調査結果をまとめたデータが中間報告として出ております。これによりますと、金融問題についても、借り入れの状況や、あるいはまた希望というものについてアンケートが出ておりますけれども、沖繩の特殊事情を反映してか、いろいろな問題が出てきております。そして金融を望んでおる声が非常に強いというふうに、このデータは出てきておりますけれども、そういう零細な企業、また今日ポスト海洋博としていろいろな問題、失職、失業、それから経営不振、こういう点から転業しなければならない人等いろいろ出てきます。これが救済のためにも、こういう小規模企業に対しての開発金融公庫の使命は私はあると思うのです。それが、このような形で、商工会あるいはまたそういう組合を通しての指導が不徹底だから、こういうことで、わざわざ枠がありながら残るということは、私は問題があろうかと思います。  いま、あなたも御答弁になったように、貸し付けに際して、組合や商工会議所、または経営指導員の推薦が一つの融資の条件となっておりますけれども、実際は、離島など未組織地区の企業者は、そのような条件が満たされずに、融資を受けられないところがあるわけです。そこで、このような未組織地区などにおいては、資金貸付制度のあることを広報に努め、推薦者がなくても、実情判断の上、公庫側で認定して、申し込みを受けられるような特別措置を講ずべきではないかと私は判断いたしますが、この点について、いかがでしょうか。
  198. 岩尾一

    岩尾説明員 ただいま先生のおっしゃいました、沖繩全体としての資金の対応の仕方については全く同感でございますが、いま申されました小規模経営資金について、離島その他において対応できないような体制にあるものについて、推薦なしで自由に貸したらどうかということは、金融機関としてはちょっとむずかしゅうございまして、現在そういうようなものの対策といたしましては、商工会あるいは商工会議所がございませんでも、本島の連合会あるいは商工会議所の本所の方で、一括そういうものを受け付けて、審査をしていただくということで対処するようにいたしております。
  199. 浅井美幸

    ○浅井委員 そのとおりでしょう。だけれども、そこを何らか緩和しないと、せっかく利用したい人がいながら利用できない現状、この法解釈といいますか、そういうかたい考え方だけで、この問題は解決しないのではないかと私は思いますが、その辺については、もう少し弾力性を持った運営ができるように取り計らっていただきたいことを要求しておきます。  時間があまりございませんので、この点で金融関係については終わりたいと思います。  総務長官どうでしょうか。――大変御気分が悪いのに申しわけないですけれども、もうしばらくですので……。  沖繩の地籍不明の土地問題についてお伺いしたいのですけれども、今日沖繩の地籍不名土地問題が非常に重要な課題になっておりまして、これを解決するということは、沖繩振興開発にとってきわめて重要な問題だと思います。軍用地以外の土地については開発庁に予算を計上し、県を通じて境界設定作業を実施しておりますが、五十年度西原飛行場跡の境界設定の調査が完了するということで、現在五十年度予定がちょっと延びておりますけれども、これの進捗状況、なお、これは五十年度の五十一年三月までに調査を完了すると言いましたけれども、おくれた原因は何でしょうか。
  200. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまの御指摘のとおり、沖繩開発庁では、非軍用地域の境界不明土地の地籍の明確化を図りますために、沖繩県を通じて調査を実施しておるところでございます。  五十年度の御指摘の西原でございますけれども、県及び西原村並びに関係者が大変御協力御努力をくださいまして、年度内に大半の土地所有者の合意を得まして、最終的な測量を実施いたしまして、現在その成果を閲覧中であります。この閲覧が終わりますと、後は国土調査法に定めます手続きによりまして地籍が明確になりますので、西原の調査は最初のケースという点を考慮いたしますと、まずまず順当に進捗しつつあるというふうに考えているのでございます。  何といたしましても、土地所有者の合意による問題解決が最善の方策でございますので、私どもとしては、その点、県を通じまして努力をしてきたところでございます。おくれました原因というのは、最初の五十年度の仕事でございましたものですから、いろいろ御理解を得つつ進めてまいってきたというところにあるのでございます。もう最終的な結論が出るのも近いところでございます。
  201. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまお答えをいただいたわけですけれども、この西原飛行場の跡地の調査は、その原形やその他の物証によって小字規模のブロック単位に区切って境界設定調査を進めており、調査が難渋しておる最大の理由は、現行の登記簿上の面積が現地面積より大きいことにあると私たちは推定いたします。比較的問題の少ないところと言われておる今回の西原飛行場の跡でさえ、大変な時間と労力を要しました。したがって、今後市街地や村落になっているようなところは、調査は非常に困難をきわめると思います。西原における調査が完了しても、残りの非軍用地で、地籍不明の土地は十八平方キロも残っておりますし、予定の五カ年計画、たしか五十二年の五月十五日が期限だと思いますけれども、これにおいて解決はできないと思いますが、これに対する御見解を伺いたいです。
  202. 植木光教

    植木国務大臣 五十一年度は、御承知のように沖繩市と読谷村におきまして境界設定調査を実施することにいたしておりまして、準備を進めております。詳細につきましては、総務局長から答弁をいたします。
  203. 亀谷礼次

    ○亀谷政府委員 お答えいたします。  ただいま長官から御答弁申し上げましたように、西原村につきましては、先生御指摘の具体的な内容としまして、関係の地主の方が八百二十二名おられます。分筆の内容が約千六百筆にわたっておりまして、大臣が御答弁申し上げましたように、この具体的な原形の復元、それから基礎調査及びこれの筆界の確定もほぼ概成をいたしております。先生御指摘のように、一部の方につきまして最終の合意をいま得る段階でございまして、ごく近いうちにこれらが確定をいたしますと、国土調査法に基づきますところの権威のあります調査に準じまして、内閣総理大臣の指定が行われる見込みは間違いないところでございます。  引き続き、大臣が申し上げましたように、沖繩市等に入るわけでございますが、私どもは御案内のように復帰前に返還されました民有地につきましては、当開発庁が現地、県の協力を仰ぎまして、所定の方法でこれの解明をするわけでございますが、その他今後返ってまいります軍用地関係につきましては、御案内のように、これらの関係が当然賃貸借契約の関係を持っております防衛施設庁所管でもございますし、なおかつ内部的に、その施設関係の区域が返還予定地及び残地との関係の入り組みもございますし、なおかつ先生御案内のように、これが返還になるに際しましては復元補償という問題等ございまして、いろいろございます関係上、一応これらの所管につきましては防衛施設当局にお願いしているところでございまして、かたがた関係省庁及び県を含めまして万般協力を密にいたしまして、今後解明を急いでいくという体制であることは御案内のとおりでございます。
  204. 浅井美幸

    ○浅井委員 非常に問題の多い、また重要ないわゆる地籍の不明土地問題なんですけれども、私は、沖繩の早急な振興ということについて考える意味においても、これは重要だと思います。いま防衛施設庁というお話がございましたけれども、軍用地の境界不明地域というのは、まだ百二十一平方キロもあります。昭和四十七年の五月の沖繩復帰とともにつくられました沖繩公用地暫定使用法というのが、これまた明年の五月十四日に期限切れになるわけです。  この法律は、財産権の侵害あるいは沖繩県民だけに不平等を押しつけるなど、問題となった法律でありまして、今日においても、まだ契約を結んでいない地主は九百七十一人にも達しておりますし、来年五月の期限切れまでに契約を結ぶことは非常に不可能な情勢にあります。防衛庁当局としては、新たな立法によって実質的に、半永久的に強制使用を認めさすことを目指しているということを聞いております。こうした措置は私権の不当な制限であり、沖繩県民にのみ不当な特殊立法を押しつけるものであります。私はこうした措置は許すべきではないと考えていますが、総務長官沖繩担当大臣として、これをどう取り扱われるつもりでしょうか。
  205. 植木光教

    植木国務大臣 すでに浅井委員承知のとおり、防衛施設庁におきまして立法の作業が進んでおりましたが、先般、今国会への提出というものはしないということを防衛庁では決定をされたのでございます。素案の素案と申しますか、そういう段階で一度協議といいますか、その案の提示が私どもに参りましたが、最終的な案につきましては、私ども開発庁として拝見をいたしておりませんので、何とも意見を申し述べる機会を得ないままに今日になっているわけでございます。  ただ、開発庁といたしましては基地周辺の閣僚協議会の中で私が発言をいたしましたが、沖繩県というものの持っているいろいろな歴史的な沿革及び現在のきわめて広範な面積を占めている基地の問題、これは沖繩振興開発にとってはきわめて重要な問題でございますので、鋭意整理縮小という方向に持っていくべきであるというのが一つでございます。  第二番目は、地籍の明確化というものがございませんと、ただいま御指摘がございましたように、私権にかかわる問題でございますので、地籍の明確化ということについては関係省庁は挙げて努力をすべきであり、そのことが沖繩振興開発にかかわるものである、この点を強調をしているのでございまして、私どもの姿勢といたしましては、この二つの柱をもちまして、この問題に対処してまいりたいと存じております。
  206. 浅井美幸

    ○浅井委員 暫定使用法といういまの法律でありますけれども、こういう性格からして、これ以上延長すべきものではないと私は思うのです。しかし新しい立法措置をする際に、いまいろいろ伝えられております防衛施設庁の考え方は、これまた何年かかるかわからない地籍画定をやらなければならぬし、それを行って土地収用法という法律によって、この軍用地の確保を図ろうというような考え方を持っていると伝え聞くわけです。  これは防衛庁所管であるからということで、いわゆるわき役サイドで傍観をしておるのではなくて、沖繩開発ということで沖繩県民の立場に立って、いま縮小、地籍の明確化という二つの点でございますけれども、新しい立法措置に際して県民保護の立場に立つ法律がつくられることを私たちは望んでおるわけでございますので、最大限の努力、最大限の働きをしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  207. 植木光教

    植木国務大臣 この問題に対処いたします開発庁としての姿勢は、先ほど申し上げたとおりでございます。沖繩県の振興開発のために何をなすべきであるかということが私どもの使命でございますから、最大限その姿勢をもって臨んでまいりたいと存じます。
  208. 浅井美幸

    ○浅井委員 最後にお伺いしておきたいのは、先ほども振興開発金融公庫にお伺いしたのですけれども、沖繩では四月末現在で失業率七%、これは本土における失業率の約三倍になっています。完全失業者が二万九千人、求職倍率は十・五倍という報道もございますけれども、この異常な実態に対して、どのようにお考えでしょうか。これがもし本土であれば、このようないわゆる失業率七%というような数字が出てきたならば、重大な社会問題になるわけですけれども、この点について、どのようにお考えでしょうか。
  209. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘のとおり、海洋博後というものの沖繩経済社会問題というものを憂慮いたして、いろいろな対策をとってきたのでございますが、失業率は七%、完全失業者は二万九千人という数字が出まして、私どもも大変心を痛めているのでございます。  この原因といたしましては、地場の産業が非常に弱いという点がございまして雇用吸収力と申しますか、その点に欠けるところがある。それから本土自身も不況でございましたので、本土へ来ておりました沖繩の方々がUターンされるというような現象がございました。また基地からの離職者という問題がございます。それから三月は新卒者が出ますので、こういうものも一つの大きな要因になりました。それから海洋博覧会で、あるいはその関連事業で雇用されておられました人々が、いわばパートの人なども含めまして失業者になられる、こういうようなことになったわけでございます。これらの原因というものが、即私どもが何をなすべきかという施策にかかわるのでございまして、当面公共事業の推進や、あるいは政策金融の充実などによりまして、いろいろ対策を講じていかなければならないと存じます。  五十一年度予算におきましても、特に配慮をいたしておりまして、昨年度に比べまして、五十一年度開発庁の所管の公共事業費にいたしましても、あるいはまた沖繩開金融公庫の資金にいたしましても増額いたしました。したがいまして、これらの事業を進めてまいりますと、大分この事業の中に、いまの失業者の方々を吸収できるのではないかというふうに考えております。  また、広域職業紹介の推進は、いろいろやってきたところでございますが、大分本土の景気も回復をしてまいりましたので、この点については徐々に改善を見るであろうと考えております。  いずれにいたしましても、非常に大きな問題でございまして、ただいまただ単に失業率あるいは失業者数というものを指数としてとるだけではございませんで、その失業の状況の実態を総合事務局と県とお互いに協力し合いまして把握に努めている、そして、それに対して対策を立てていこうとしているというような状況でございます。
  210. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま一応お答えいただいたわけですけれども、海洋博というのは、沖繩振興開発の非常に大きな目玉にしたわけです。ところが意外に、結果というのは、かえっていまポスト海洋博に非常に深刻な悩みを抱えている。この事情、これは私は非常に問題だと思います。失業率七%と、口で簡単な数字で挙げておりますけれども、実際にわれわれの想像以上の生活苦、こういうものに沖繩県民はいま見舞われておるということを私たちは身に感じなければならぬと思います。  そこで一般失業、あるいはいまお答えになったように、駐留軍手帳切れというのですか、就職促進手当、この問題も、非常にまだこれから幾つか起こってまいります。それから、いま海洋博の従業員であった人が、その海洋博が終わってしまってなくなったという特殊な事情があり、ただ沖繩の特殊事情は地場産業がない、あるいは産業構造のひずみだということで片づけられない深刻な問題であるわけです。  ただ、いわゆる公共事業の予算が若干ふえた、あるいは金融公庫の枠がふえた――先ほど私は金融公庫のことについて指摘したのですけれども、枠はふえても実際問題、貸し付けは残ってしまうのです。五十年度、五十一年度に残ってくるようでは困るわけです。せっかく困っておる者が金融してもらいたい、お金を借りたいと言っても、それは借りられないような実情にある。推薦枠の中で決められる金額だから、その手続によって推薦人がなければできないというような制限があって、これは貸し付けてもらえないというような実情があるわけです。  したがいまして、ただ単に公共事業費をふやした、あるいはまた、金融公庫の枠をふやしたというだけでは、私は沖繩県民のこの深刻な失業、あるいはまた倒産、失職、そういうことについて、また経営不振については、これは解決はしないと思います。もっときめ細やかな沖繩県に対する失業対策あるいはまた金融対策、沖繩県の真の開発、こういうことを私は強く望みたいと思いますけれども、このお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  211. 植木光教

    植木国務大臣 お説のとおりでございまして、血の通ったきめ細かい施策が必要でございます。  具体的に一、二点申し上げますと、公共事業費につきましては、五十年度六百五十億でありましたのが、五十一年度は八百億になっております。さらに、公庫につきましても増額を見たわけでございますが、公庫の、たとえば住宅融資などにつきましては、当初の予定では年間四千二百戸ということでございましたけれども、これは申し込み者も第一期目非常に多かった状況でございますので、二千五百戸を一期目は三千戸にする、四千二百戸を年間通じまして建てる予定を五千戸にするというように、非常に景気浮揚とまでいきませんでも、雇用吸収力というものに、また経済の浮揚に役立ちますものについて、いろいろ施策を講じているわけでございます。  公共事業がいま申し上げましたように、たとえば六百五十億から八百億になりますと、大体計算をしてみますと、この事業そのものの雇用力の吸収は約三千人から四千人くらいできる予定でございます。ほかに、この公共事業が行われますと、関連事業というものが、当然中小企業等を通じまして振興されるわけでございますから、そういたしますと、この公共事業費の増額分だけでも、私どもとしては一万人ぐらいの方々に新しい職場を獲得していただくことができるのではないか、そういうようなことなども考えているところでございます。  いろいろ具体的な例を申し上げますと限りがございませんが、いずれにいたしましても、御指摘のように県民の立場に立ちまして、層一層私ども血の通った行政を県とともに進めてまいりたいと存じます。
  212. 浅井美幸

    ○浅井委員 終わります。
  213. 村山達雄

    村山委員長 次回は、来る二十四日月曜日午前十時四十五分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十一分散会