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1976-07-13 第77回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十三日(火曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員    委員長 鯨岡 兵輔君    理事 中山 正暉君 理事 水野  清君    理事 毛利 松平君 理事 河上 民雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 津金 佑近君       粕谷  茂君    小坂善太郎君       正示啓次郎君    竹内 黎一君       三池  信君    江田 三郎君       中澤 茂一君    松本 善明君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  委員外出席者         警察庁警備局外         事課長     大高 時男君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         法務省民事局第         三課長     清水  湛君         外務大臣官房領         事移住部長   越智 啓介君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省中近東ア         フリカ局長   加賀美秀夫君         外務省経済局長 本野 盛幸君         外務省条約局長 中島敏次郎君         外務省国際連合         局外務参事官  大塚博比古君         水産庁次長   佐々木輝夫君         外務委員会調査         室長      中島  進君     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   竹内 黎一君     江崎 真澄君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     竹内 黎一君 同月十一日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     粕谷  茂君 七月十三日  辞任         補欠選任   土井たか子君     中澤 茂一君   金子 満広君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     土井たか子君   松本 善明君     金子 満広君     ————————————— 五月二十四日  一、日本国大韓民国との間の両国に隣接する   大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協   定及び日本国大韓民国との間の両国に隣接   する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関す   る協定の締結について承認を求めるの件(第   七十五回国会条約第六号)  二、所得に対する租税に関する二重課税回避   のための日本国ルーマニア社会主義共和国   との間の条約締結について承認を求めるの   件(条約第六号)  三、所得に対する租税に関する二重課税回避   のための日本国ブラジル合衆国との間の条   約を修正補足する議定書締結について承認   を求めるの件(条約第七号)  四、国際情勢に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 休会に入りましてから問題が幾つかございますので、当面の二、三の問題について宮澤外務大臣お尋ねをしたいと思います。  まず初めに、新聞等で報道せられておりますが、宮澤外務大臣アメリカマンスフィールド議員に東京でお会いになりまして、そこで米中国交正常化関連して日本政府見解を問われた、それに対してこのようなことを言ったという、これはいわば記者発表のような形で言われておるのでありますけれども、その内容はきわめて重大であるように思います。そこで、真意をこの機会に伺っておきたいと思うのです。  その中で宮澤外務大臣は、米中国交は当面歓迎しないというような、言葉はどういうふうに言われたのかあれでございますが、そういうような趣旨のことを述べられておりますが、その理由として、米中関係の急激な変化は望ましくない、こういうようなことを言われているようでありまするけれども、一体その意味はどういうことでございますか、お伺いしたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日、アメリカマンスフィールド上院議員と話をいたしましたことにつきまして今朝報道されておりますので、それにつきましてのお尋ねでございます。二、三付言をさせていただきたいと思います。  マンスフィールド議員は、申し上げるまでもなく上院議員として来られたわけで、政府を代表しておられるわけではございませんので、二人の会談はそのような意味で非公式のものでございます。それから、非公式のものではございますけれども、米中関係というものは、申すまでもなく米中両国の決定すべきことであって、第三国であるわが国がとやかく申すべき性格のものでないということは前提としてマンスフィールド議員にも申し上げてございますし、また記者会見記者ブリーフィングにおきましてもそのことは念のためつけ加えておいたところでございまして、私的の会談ではございますけれども、それでもなお、米中関係というものに私の立場としてこうあれ、あああれと言うべきものでないことは明白にいたしておいたつもりでございます。  そこで、どのような会話であったかと申しますと、マンスフィールド議員から、昨年サイゴン失陥後、東南アジア情勢というものは現在どのようになっておるかという話がございました。私からわが国ハノイわが国ASEAN諸国等関係説明いたしましたと同時に、ASEAN諸国サイゴン失陥後かなりショックを受けたと見ておるけれども、しかしその後だんだん時間がたつにつれて、この地域における米中ソという大国の勢力の間で何とかバランスをとって、そうして自分たちの自立の道を進もう、こういうふうにASEAN諸国は同様に考えているようであって、またバリ島において九年間に初めて首脳会談が行われた。そのようなASEAN諸国考え方は、大体今日までのところそういう可能性がある、サイゴン失陥当時のような悲観的な空気からやや楽観的に変じてきているのではないかと思う、こういう観察を私から申しました。それでマンスフィールド議員から、それとの関連もあるが、米中関係というものをどうあるべきだと思うかという質問がありまして、私から、先ほど申しましたように、これは私的な会談であっても日本があれこれ申すべきことではないけれども、そういう前提のもとにお尋ねがあったから申し上げるが、先般ワシントンにおいてフォード大統領から、米中関係については急激な変化というものは考えていないし、タイムテーブルも実はできていないというお話があったように承知をしておるし、また同様なことは私がキッシンジャー国務長官と先月末にパリで話をしたときにもありました。私の思うところでは、恐らくこれは、さきに申しましたような東南アジア情勢等々をお考えの上でフォード大統領なりが決定せられた政策であろうと考えるので、そういう観点から言えば、わが国としてもそのようなフォード大統領あるいはキッシンジャー国務長官政策には基本的には賛成であります。もちろん上海コミュニケに至るまでの経緯、その後の経緯等を見まして、行く行くは完全な正常化ということがアメリカ政策であろう、そういうことは言われておるし、私もしかるべしと考えていますけれども、ただいまの段階フォード大統領なりキッシンジャー国務長官がそういう政策を示しておられるということはわが国としても同意できるところである、こういうことを申しましたのが大体この部分についての会談経緯でございます。
  5. 河上民雄

    河上委員 外務大臣はそういう内容を、非公式なものだ、また第三国が介入すべき事柄でなく、あくまで米中間の問題であるというふうにお考えになりながら、なおかつブリーフィングの形でそうした見解を公表されたのは一体どういうことでございますか。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 特に私に特定目的があってブリーフィングでそれを紹介したというわけではございませんで、まあ、長い間の友人でございますし、アメリカ外交政策の樹立に当たっては、ことに民主党において、場合によっては超党派の場合もございますが、長い間先達としてきておられるマンスフィールド議員が私に意見を求められたので、さような前提のもとに私的に私の考えを申し上げた。しかも、これは公のことでございますが、アメリカ大統領が過般来言っておられることについて、しかあるべきことであろうと申したということでございますので、別段このことを特に秘密にしなければならないというふうには私考えませんで、そういう筋道をブリーフィングをいたしたわけでございます。
  7. 河上民雄

    河上委員 まあ、外交のことでございますから、非常に微妙な段階を経なければならないときでございますので、それが果たして適切な外交的な措置であったかどうかは私ども全く見解を異にするのでありますが、特に内容的にも、先般藤山愛一郎氏が中国華国鋒首相会談されたときにも、中国側は、米中関係は順調に進んでおる。ただ、アメリカ大統領選挙を控えておって、いま明確な態度表明というのは困難であるということも十分承知しておる、すべて選挙後にまたねばならないということも承知しているというような意味発言もされておるわけであります。そういう点から見まして、米中関係が進展することに対し、水を差したというふうに言ってはあるいは外務大臣としては心外かもしれませんけれども、そういうことになるおそれも十分にあるのではないか。私はそういうふうに考えるのであります。特に、米中国交が急速に進むことはアジアの安定を崩すというような意味ブリーフィングをなさっておるわけでありますけれども、それは米台条約がなくなった形での米中関係正常化は望ましくないというような意味でございましょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私のブリーフィングが報道された姿を見ますと、実態において正確に報道されておると思います。私としては米中関係にいわば水を差すというような意図は全く持っておりませんでしたので、もしそのような印象を与えたとすれば、私としては残念なことに存じます。  それで、アジアの安定との関連でのお尋ねであったわけでございますけれども、先ほども申しましたように、サイゴン失陥ショックの後、アジアの国々が米中ソという三つの大きな勢力の間で何とかバランスをとろうと努力をし、ようやくややそういう環境ができつつあるやに見えるいまでございますから、新しい戦争あるいは紛争のおそれというようなものが何かの形で出ることは、ただいまのASEAN諸国のそのような努力の上から言えば避けることが望ましい、こういう気持ちがございますのでそれを申しただけのことでありまして、米中の間でいわゆる台湾の問題がどうあれこうあれということを申すのが私の主たる目的ではなかったわけでございます。それは、マンスフィールド議員との会談アジア現状ということから、東南アジア現状ということから、いまの問題に及びました先ほど申し上げました経緯からも実はそういうことでありましたわけで、ただいま河上委員の言われましたようなことについて、私がそれを主題にして意見を申したということではなかったわけでございます。
  9. 河上民雄

    河上委員 いま東南アジア諸国ASEAN諸国に対する影響ということが主であったというようなお話でございますけれども、しかし、米台条約の問題も当然会談の中で議題になった、そしてそのことは、米台条約の破棄ということが今度米韓条約のあり方にも波及するのではないかというような意味合いも込めてそこで議論をされた、主とした話でないにしても、側面的にそういうお話があったのかどうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 米韓条約との関連について、それが何かあるような一種のコメントに類するものをけさ報道で拝見いたしましたけれども、それは実はそうではございませんで、米韓という話はそのコンテクストでは一切出ておらないわけでございます。どうして米台条約という話が出たかと申しますと、マンスフィールド議員がいわゆる日本方式ということを言われましたので、それでその場合に、アメリカ台湾との間にある条約関係ということを私が一言申しましたのは事実でございますけれども、それはアジアの安定とかあるいは韓国米韓というようなコンテクストで出た話ではなかったわけでございます。
  11. 河上民雄

    河上委員 余り時間もございませんので結論に入るわけですけれども、外務大臣は、外務大臣に就任されましてから一つの任期中の最大の課題として、日中平和友好条約締結ということを肩に担われて今日までこられたと思うのでありますけれども、残念ながら順調な進展を見ておらないわけであります。私どもはそういう点から見ましても今回の発言が非常に憂慮すべき影響を持ちやしないかということを心配するわけでありますけれども、外務大臣は、台湾が中華人民共和国の不可分の一部であるということを重ねて表明した日中共同声明というものはもちろん堅持せられる、そこから一歩も退くことなく日中平和友好条約交渉に当たられておると私は思うのでありますけれども、それは間違いないとここで確認さしていただいてよろしゅうございますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはもうまことにそのとおりでございます。そこがはっきりしておりますからこそ、実は私としても別段の顧慮するところなく、米台関係というものはいまのわが国台湾というものとは全く現状が違うということを言えるわけでありまして、その点はきわめて私ははっきりいたしておるつもりでございます。
  13. 河上民雄

    河上委員 そういうことから言いますると、日本方式は望ましくないということは、いま大臣が言われました基本的な立場から見ていささか逸脱しているのではないか、私はこんなふうに思うのでありますが、むしろ日本方式こそアメリカがこれに後からついてきて見習ってほしい、こういうのが日本外務大臣として当然言われてしかるべきではないかと思うのでありまして、米台関係について暫定的にせよ肯定的な見解を表明せられるということは、私は非常に遺憾なことではないかと思いますが、もしできますならば、そういうようなことはないということをここで明らかにしていただかないと、今回のいわゆるブリーフィング、政治的には非常に非公式なものでありますけれども、その及ぼすところはきわめて重大なことになりかねませんので、私はそのことを宮澤外務大臣に重ねてお伺いいたしたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ごもっともなお尋ねであると思います。私は日本方式が望ましくないと言ったのではございませんで、日本方式はどう考えるかというマンスフィールド議員の話でございましたから、事実の問題として米台間にそのような条約関係があるということを考えた場合に、日本方式がそのままそこに適用されるということはどういうことでありましょうかというふうに申したわけで、そこを米中間努力で解決されるならばそれはもうきわめて望ましいことでございますから、いわゆる日本方式日本方式と世の中で言われますけれども、米と台湾との関係がそういう条約関係にあるという事実は、これはそれを肯定する否定するという立場でなく、認識論の問題としてはそういうふうにいわば見受けておるわけでございますから、そこで、単純に日本方式というものがその際どのような意味合いを持つであろうかということを私としてはむしろ質問をしたということであって、望ましくないというふうに私が申したともし伝えられておれば、その部分は誤りでございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 私はこの二年間近く宮澤外務大臣とともにこの外務委員会に出ておるわけですけれども、私は宮澤外務大臣の手で日中条約締結交渉がさらに一段と前進するチャンスタイミングというものは幾つかあったと思うのでありますけれども、残念ながらいままでそういうタイミングといいますか、チャンスを客観的に言って逃したということが言えるのじゃないかと思うのであります。そういうことから見まして、今回の発言は非常に憂慮すべきものであるというように思いますので、いま私が申しましたように、やはり日中共同声明の線をいささかも後退することなく前進するという態度をさらに堅持せられるように私は希望いたしまして、この点についての真意を、十分ではございませんけれども、その一端をうかがい得たところで次の質問に移りたいと思います。  先般二年ぶりに日米安保協議委員会が開かれたわけでありますけれども、その二項に「日本米国が共に関心を有する極東国際情勢について意見交換した。」とありますけれども、これはどういうことを話し合われたのか。幾つか項目がありますが、その中でこの第二項というのは一番短いのです。しかし、短いけれどもここは一番重要な部分じゃないかと思いますので、大臣にお伺いいたします。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、かねて、安全保障協議委員会がございますと、日本側から私が、米国側から主としてホッドソン大使が、両国関心を有するこの地域国際情勢について判断を述べ合うというのが慣例になっておりまして、今回私が私の見るところをしばらくの時間をかけまして申したわけでございますが、それは、わが国ASEAN諸国との関係わが国ハノイとの関係わが国韓国、朝鮮半島との関係わが国中国との関係わが国ソ連との関係、それからASEAN諸国の動向、大体そのようなことにつきまして説明をいたしまして、米側からも米側の見たそのような問題のほか、米ソ、米中というような関係についての話がございました。いわばわれわれの共通関心を有するこの地域情勢の見方、判断というようなものを話し合ったわけでございまして、ほぼ両国判断が似通ったものであったと申しますか、余りとっぴな判断、見通しというものは、意見交換の結果出なかったというふうに申し上げてよろしいと思います。
  17. 河上民雄

    河上委員 その際、最近わが国周辺の海域で相次いで行動していると伝えられるソ連海軍情報収集艦測量船などについて報告なり意見交換なりが行われておりますか。恐らく、これは日米共通関心事として、特にこの協議委員会のテーマから見まして当然出てきていると思うのでありますけれども、アメリカとしてはどういうような見解をこれに対して持っておったか、お尋ねしたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 米側ガイラー大将からそれらの問題につきまして説明がございました。もっとも、これはわが国防衛庁においても事実の関係としては同様なことを把握をしておるところでございますけれども、それで、ガイラー司令官の基本的な判断は、ソ連として太平洋艦隊というものの増強を図っておるというふうに考える、これはソ連全体がいわゆる海軍国として急速に海軍力増強しつつあることの一環であるということの由でございますけれども、そういう太平洋艦隊増強との関係で、わが国周辺においても情報収集であるとか海の観測であるとか、あるいは演習であるとかいうものが行われておるということ、そうしてガイラー司令官の語るところによれば、米国として、いまや一九五〇年代あるいは六〇年代のように、米国海軍がこの地域で一方的に優位を誇るということは年とともにむずかしくなりつつある、しかしながら、米国としてもそういう情勢に対処しつつ、必要な予算の増額等国会で認められるに至っておるので、ソ連海軍力に一方的優勢を譲り渡すというようなことは自分たちとしてするつもりもないし、またそういうことであってはならないと思う、こういう種類の情勢の分析がございました。
  19. 河上民雄

    河上委員 そのようなお話があったということでありますが、そのことと今回の防衛協力小委員会の発足との間に関係があるのかどうか。日本側は、この小委員会防衛作戦の分担問題に重点を置いているわけでありますけれども、アメリカ側としては、これはもう極東ソ連軍行動重点を直いた日米協力緊密化、さらに表現によれば、兵器弾薬通信システムなどの標準化などに期待を置いているようでありますけれども、こういうような点についていかがでございますか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 後段の詳細な点は政府委員よりお答えをいたすことといたしまして、わが国安保体制は、御承知のように、特定の国を頭に置いて自衛を試みておるものではございませんで、第五条に定めますように、わが国自身がそのような事態にさらされた場合のことを考えておるのであって、何国というような特定の国を頭に置いておるわけではございません。したがって、前段のお尋ねに対しましては、ノーとお答えをいたすべきものと考えます。  しかしながら、他方で、このたびのような防衛小委員会、つまり非常の場合に、わが国の安全を全うするために、わが国米国とがどのような協力体制をつくるべきかということの研究、討議というものは、実はもうつとになされておらなければならなかったのではないか。安保条約がございます限り、だれでもそういうことは研究しておく必要があると考えるはずのところでございますから、それがいままでなされておらなかったということの方が、私はどちらかと言えば正常でなかったとすら思います。坂田防衛庁長官も昨年来そういうことを言っておられました。したがいまして、わが国の発意で今度このような小委員会が設けられるようになったわけでございまして、これはそのような経緯から考えましても、最近特定の国がわが国周辺演習をする、あるいは情報収集をしておるというようなことと直接に結びつけて考えらるべきことではないというふうに存じます。
  21. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁、いわゆる仮想敵国を置くべきでないということは言うまでもないことでありますけれども、しかし後段のこうした協力関係が十分にできていなかったということについて、むしろこれは正常ではなかったという御発言は、大変重大なことで、これまでそういうものができなかったということは、むしろ日本の憲法の制約なり、安保条約に対して国会で長く論議してきたいろいろの解釈というものに制約されておるのではないかと思うのでありまして、きょうは十分な時間がございませんけれども、これは非常に重大な御発言のように私は思うのであります。  政府の従来の御答弁によりますと、この小委員会役割りは、安保条約五条をどう具体化するかにあるというふうになっているように思うのでありますが、これから小委員会協議せられる事項はどういうものですか。また、外務省情報文化局発表内容によりますると、日米協力作戦指揮系統緊密化、対潜哨戒機偵察飛行での分担の明確化日米両国部隊作戦パターン共通化兵器弾薬などの標準化というようなことが挙げられておりますが、この小委員会協議対象にこれらの事項がなるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  22. 山崎敏夫

    山崎説明員 防衛協力小委員会研究協議対象となります具体的な分野とか事項につきましては、現在まだ確定しておりません。また、アメリカ側ともまだ全然話し合っておらない次第でございます。  ただ、この研究協議中心になりますのは、仰せのありましたように、安保条約第五条の事態になるかと思います。すなわち、わが国に対する武力攻撃が行われた場合に、自衛隊と米軍との間で整合のとれた共同対処行動を確保するにはどうすればいいかということを中心に話し合っていくことになるかと思います。それ以外の問題も触れることもあるかとは思いますが、この問題が中心になることは事実でございます。  後半において先生がお挙げになりました問題も対象になるものかとは思いますが、まだそういう具体的なことについてわれわれはアメリカ側と話し合ったことはございません。
  23. 河上民雄

    河上委員 これから話をされるおつもりですか、あるいはそうなることになると思われますか。
  24. 山崎敏夫

    山崎説明員 これから話し合っていく考えでございます。  ただ、先ほど外務省の情文局の発表でこういう項目が挙げられておるというお話でございますが、私たちの発表として、そういう具体的なことを発表いたしたことはございません。
  25. 河上民雄

    河上委員 そこから読み取れるわけですけれども。  それで、昨年の坂田・シュレジンジャー会談ですね、対潜能力の改善を約されております。それからまた、ラムズフェルド長官はその発言の中で、日本の対潜能力の改善にはアメリカ側として協力を惜しまないというようなことを言っておるのでありまするけれども、当然この小委員会で対潜能力といいますか、潜水艦に対する能力ですね、そういうものを高めるためのいわば共同行動というようなことが問題になるというように論理的には理解されるわけですが、その点はいかがでございますか。
  26. 丸山昂

    ○丸山説明員 お答えいたします。  昨年の坂田・シュレジンジャー会談におきまして、坂田長官から、日本の今後の防衛力整備の基本的な考え方の中で対潜能力の強化を考えておるということをおっしゃったのでございまして、それに対してシュレジンジャー前国防長官は、アメリカ立場から見ても全く同感であるという趣旨のことを言われておったように記憶をいたしております。アメリカ日本に対して、日本の防衛ということから当然対潜能力を向上すべきであるというアメリカとしての考え方を持っておる、これは私どもも公の文書あるいは個人的な発言、こういったものを通じて十分承知をいたしておるところでございますけれども、日本わが国防衛力の整備を独自に判断をいたした場合に、現状においてきわめて不十分であるということ、これは私どもの立場から当然出てくる問題でございまして、アメリカから要望されてわれわれがこれに力を注いでおるということではございません。結果的にこれが一致をいたしておるというのが実態であるというふうに考えております。  それから、これからこの小委員会において、対潜能力と申しますか、対潜作戦に対する対応能力の問題がその研究協議対象になるかどうかという問題でございますが、これは当然この小委員会においてなってまいると思います。思いますが、それは先ほどから申し上げておりますように、安保条約第五条に基づいて、有事のときの日米の共同対処のためにとるべき措置に関する指針ということになっておるわけでございますから、これはあくまでも当方の、その時点において持っておる能力、また予想される、これからいつ起こるかわからないわけでございますが、そういう時点において当方の持っておることが予想される能力、こういうことを前提にしていろいろ検討を詰めてまいるということでございますので、具体的にどういう整備の中身に持ってまいるかということは、われわれがみずからの防衛力を整備してまいる仕事でございますから、当然われわれが考えるべきことであって、それに対応して、アメリカと共同の行動をとる場合にどうするかということがこの委員会協議対象になるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  27. 河上民雄

    河上委員 対潜能力の向上改善ということについては、日米でそれぞれ独自な判断に基づく努力にしても、協議をする対象になるというお話でありますけれども、その場合、兵器標準化という一つの目標から見て、対潜哨戒機を同型のものにするというような発想はお持ちでいらっしゃいますか。
  28. 丸山昂

    ○丸山説明員 兵器標準化と申します場合にもいろいろな意味合いがあるわけでございまして、主として兵たん補給の円滑を考えるということで、通常この兵器標準化の場合に使用されますのは、弾薬その他の補充の関係で使用する規格を統一するということがいわゆる兵器標準化ということではないかというふうに考えるわけでございます。そういう面で、わが国の場合には、弾薬等につきましてはNATO規格を採用いたしております。国産の場合にもそういうことでやっておりますので、そういう面から考えます兵器標準化という場合においては、余り大きな問題はないように私ども考えておるわけでございます。  ただいま御指摘の、対潜哨戒機アメリカが使用している同じ機種のものにするのかどうかということでございますが、御案内のように、アメリカは、第一線機はP3C、P3B、P3Aの三種類、それから航空母艦搭載あるいは中距離のものにつきましてはS2F、S3Aというタイプのそれぞれ固定翼対潜機を配備いたしておるわけでございますが、わが国は御案内のように、現在はP2J、S2F、P2V7といったものが固定翼対潜機の主力でございます。次のPXLをどういう形にするかということは、これもたびたび御説明を申し上げておりますように、現在の国内航空機産業の実態というものも踏まえまして、航空機部分について国産にし、搭載電子機器についてはアメリカから導入をする、あるいはその一部について導入をするというような折衷案も現在検討の対象になっておるわけでございまして、これはもう全くわが国の固有の実態から、次のPXLをどういう形で、しかも、現在保有しておりますP2Jが昭和五十七年あたりから逐次減勢に入りますので、それを補完するという意味で、どういう形で導入するのが適当であるかということで、現在、ポスト四次防の全体計画、特に対潜作戦につきましては、兵器系列、武器系列の問題で固定翼の対潜哨戒機の占める役割り、こういったものも総合的に評価しながら検討いたしておるということでございまして、アメリカが持っておるものを必ずわれわれが持たなければならないという必然性はないように考えるわけでございます。
  29. 河上民雄

    河上委員 時間が余りございませんので、防衛局長に引き続きお伺いしますが、先般の参議院の外務委員会で、今回の日米安保協議委員会の第十六回の会合についてすでにいろいろ論議がございました。これ以上深くいろいろ入りませんけれども、その中で丸山局長は、アメリカが五条の問題に関連して増援、支援のために在日米軍を展開する場合、自衛隊基地への再展開が十分考えられる、こういうような御答弁をなすっておられますが、これは間違いないと思いますけれども、今回の沖繩県における米軍施設の返還の別表を拝見いたしますと、いわば無条件に、つまり移設を要せず返還されるものと、代替地を必ず設けなければならないという、しかも合意の成立後返還される地区と、こういうふうにございまして、伊江島補助飛行場を初め幾つか挙げられております。  ところが一方で、先般、六月の二十一日でありますけれども、国有財産中央審議会で、十万平方メートル以上の大規模の基地の返還に関しては、いわば三分割方式を用いるということが決められておるのです。そうなりますと、それは国それから地元それから保留地と一応三分割するということになっておりますが、地元というのはもちろん有償だそうでありますけれども、これはもちろん先ほどの再展開の対象にはならぬと思いますけれども、国、つまり自衛隊などに使われている場合、それから保留地というものに、再びそこでいわゆる第五条の問題に関連して増援、支援のために在日米軍が展開する場合、せっかく返還された土地についても再展開の可能性というものが十分考えられるのではないか。そうなりますと、移転に伴う費用は全部日本が払い、代替地は絶対条件として必要である、しかも返還地についても無条件ではないということになりますと、今回の御発表の趣旨というものの中にはいろんな問題がはらんでいるように思いますが、その点防衛局長はどういうようなお考えを持っておられますか。
  30. 丸山昂

    ○丸山説明員 このたび十六回の安保協議委員会で発表になりましたもののうち、移設、要するに代替を必要とするものも含めまして、返還になりますものについては再使用ということは一応考えておらないということでございまして、先ほど御引用になりました私の参議院の外務委員会におきます御答弁の中身は、わが方の自衛隊が現在管理をいたしております基地について米軍の再展開がございました場合に、そこの一時使用というようなことは考えておかなければなるまい、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、返還財産について再びそれを再使用するということに触れた意味で申し上げたわけではございません。
  31. 河上民雄

    河上委員 もう時間がないので確認だけしますが、国有財産審議会のいわゆる三分割方式のうち、三分の一ないし三分の二の部分についてはそういうことは絶対あり得ないというふうに理解してよろしいのですか。それとも地元に返還される三分の一以外の国の部分などがもし自衛隊に使われる場合は再展開の対象にもなり得る、こういうことですか。そこだけはっきり伺っておきたいと思います。
  32. 銅崎富司

    銅崎説明員 大蔵省の方で国有財産中央審議会に諮問いたしまして答申がありました三分割案についてでございますが、これは国有地につきまして十万平方メートル以上のものが返還になった場合の利用について、原則として、いま先生おっしゃったようなことで有効活用を図っていこうというふうに聞いておるわけでございますが、原則でございますので、三分の一——まあこれは自衛隊もありましょうし、政府の各機関が使用する場合もあると思いますけれども、私ども大蔵省から聞いておりますのは、その原則に基づきましていろいろ地元側の要望その他を勘案して、実際個々の事案に即して処理を図っていくというふうに聞いておりますので、一般的に言いますと、やはり国並びに政府機関で使うのは原則として三分の一というふうに理解しておるわけでございます。
  33. 河上民雄

    河上委員 もう時間がないので結論だけですが、返還された基地が再展開の対象になる可能性があるかどうかということだけ、ノーかイエスだけで結構です。
  34. 銅崎富司

    銅崎説明員 今回の十六回安保協議委員会におきまして決められて返還されるものにつきまして、再使用ということがあるというふうに聞いておりません。
  35. 河上民雄

    河上委員 もう時間がないので、今回のはない、しかし一般論としてはまだ疑問が残るような御答弁であったように思いますが、その点はいかがですか、もうあと時間がないので、ノーかイエスだけで結構です。
  36. 丸山昂

    ○丸山説明員 いま具体的に私、頭に思い浮かびませんのであれでございますが、一般論として申し上げますと、自衛隊の使用しておる基地については、先ほど申し上げたように再展開の可能性があるのではないかということでございます。
  37. 河上民雄

    河上委員 保留地についてはないということですね。
  38. 丸山昂

    ○丸山説明員 いまの三分割の方でございますれば、保留地についてはもちろんないと思います。
  39. 河上民雄

    河上委員 それでは、もう私に与えられた時間がだんだん少なくなりましたので、この問題なお詰めなければならない必要があるように思いますけれども、次回にまた譲りたいと思います。あるいは問題を明らかにすることで置いておきたいと思います。  実は、毎週委員会があればよろしいのでありますけれども、休会中でございますので、少し先のことになりますが、もう近々八月に日米漁業交渉が行われるやに聞いております。そこで、本当にもう一問だけでございますけれども、いままでいわゆる経済水域といいますか、専管水域二百海里の問題について、外務省の態度は非常にはっきりいたしません。あるいは日本政府態度は非常にはっきりいたしません。  そこで確認をしたいと思うのでありますけれども、内村水産庁長官はソ連の漁業相と会談して、二百海里について日ソ共同で反対行動しようというようなことを新聞などによると報道されておるわけです。一方、農林大臣は、二百海里を前提交渉しなければならないと、腹を決めていかなければならぬというようなことを言っておるのであります。外務大臣は、海洋法会議の中で二百海里ということが確定すればわれわれもそれに賛成する。しかし、じゃ一体当面日米漁業交渉においてどういう態度で臨むのか。アメリカは、恐らくもう二百海里ということを譲るつもりはないと思うのであります。そこで私は、外務大臣に二百海里を認めた上で漁業交渉に臨むつもりなのか、そのことだけ一つ伺って、この問題は終わりたいのです。
  40. 佐々木輝夫

    ○佐々木説明員 今回八月の十八日からワシントンで日米の漁業交渉が行われるわけでございますけれども、従来から、政府として一貫いたしまして、海洋法会議等のコンセンサスを待たずして一方的にとった国内措置という立場は認められない。ワンパッケージで、海洋法会議で一括コンセンサスが得られた場合にはわが国もそれに同調する、こういう前提に立ちまして、アメリカの現在とっておりますいわゆる二百海里法案というのはアメリカが四月に単独でとりました措置でございますので、日本としては当然そういう一方的な立場は認められないという前提交渉をする方針でございます。  前回六月に予備交渉を持ちまして、いろいろその点について両国立場を実務者ベースで話し合いましたが、アメリカ態度はかなり硬直的でございまして、非常に交渉が難航するであろうということは一応予想いたしておりますけれども、政府といたしましては、わが国の基本的な立場を害することなく、かつ、この水域が日本の漁業にとって非常に重要な漁場でございまして、年間百六十万トンという生産も上げておるわけでございますから、できる限り従来の実績が確保できますように最善の努力をする、こういう方針で臨むことにいたしておるわけでございます。
  41. 河上民雄

    河上委員 従来の漁獲の実績を確保するというその目標は結構でございますけれども、その前に二百海里ということについて、もうこれを認めた上で臨むのかどうか、その点だけ、これは大臣いかがでございますか。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはごもっともなお尋ねであるだけに、なかなかお答えがしにくいのでございますけれども、わが国は従来からアメリカに対しては、アメリカの来年三月に施行するようないわゆる先取りの方法は認められないということを小式に何度も申しております。したがいまして、それが今後ともわが国立場であることに変わりはありません。  そこで、せんだってフォード大統領が三木総理大臣のこの問題についての発言に対して言われたことは、実はアメリカのそのような先取り措置というものは必ずしも自分の本意ではなかったのだ。それでいろいろ改善を図ったが、こういうことになっておる。ただ、この八月の海洋法会議というものが何とかお互いの努力でまとまるならば、この問題についての扱いも幾らかやさしくなるのではないだろうか。いずれにしても、両国間の事務当局が交渉するときは、お互いに公平な納得のいくような答えを出しましょう。これも実はある意味ではなはだ政治的な答えになるわけでございますね。河上委員の言われますように、きりつと割り切れない立場のやりとりになっておることは、私は否めないと思いますが、先ほど水産庁の政府委員が言われましたように、わが国としては、このアメリカの先取り措置は認められないというのが基本的な立場であります。しかし同時に、その基本的な立場を害することなく、わが国が持っておった実績は確保しなければならない、そういう命題もまた持っておる。割り切れないお答えをいたすようでございますけれども、それが比較的正確なお答えになろうかと思います。
  43. 河上民雄

    河上委員 それでは、最後になりますが、ぜひお伺いしておきたいことがございます。これはある意味では非常に日本政府としても明確な態度を確立しているはずでございますが、実際には非常にあいまいなことになっているという一つの例といたしまして、横浜及び神戸における華僑会館の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  すでに時間がございませんので、経緯その他につきましては私も申しませんし、また御説明をここでいただくつもりもないのでありますけれども、一つといたしまして、神戸市と横浜市にあります華僑会館のいわば内部問題に警察や法務当局が政治的な介入をした。横浜では十九名の方が逮捕されて六名が起訴されるという事態が起きているのでありますが、その中で横浜地方法務局は、横浜華僑総会の建物等に関する確認書の中で、中華民国留日横浜華僑総会なる名称が使用されているのを公式に受理して、それに基づいて所有権の登記を行っておるのであります。しかし、すでに先ほどマンスフィールド議員とのお話の中でも、そのブリーフィングについてお尋ねしたときにも、日中共同声明というものについては日本政府は確固たる態度をとっているはずでありまして、そのような二つの中国あるいは一つの中国、一つの台湾というような立場をとっていないはずであります。ところが法務局では、そんなことを公式の記録の中ではっきりと認めておる。  それから第二に、地方検察庁が起訴をいたしました中に、その公訴事実の中で「自由華人の福利及び救済、財産の管理及び運営等」云々というような文言を用いておるのであります。自由華人というのは一体どういうことなのか。これにつきましては、台湾側の方に一つの解釈がありまして、いろいろここに三個条ばかり述べてあるのですが、もう余り時間がないので引用を控えますけれども、自由華人という解釈につきましては、いわゆる蒋政権を支持する人たちがつくった概念というのがあるわけですが、それをそのまま検察庁は認めた形で起訴をいたしておるのであります。  それから第三番目に、横浜の場合は確かにそのグループの方が登記をいたしておりますが、神戸の華僑総会の場合の登記者は、今度はすでに日本に帰化した人が登記者である。それに基づいて財産の侵害云々というようなことになってきておるわけであります。  こういうような問題について日本政府は基本的に一体どういう態度をとっておるのか。私はこれは明らかに間違いだと思うのでありますけれども、そのあいまいさというものがこういうところにはっきりとあらわれておるという意味でこの問題を提起し、政府態度をここで明確にしていただきたいと思うのであります。
  44. 清水湛

    ○清水説明員 お答えいたします。  お尋ねの横浜の建物の登記の問題でございますけれども、横浜市中区山下町百四十番地二にございます四戸の建物につきまして、昨年の十二月十三日に表示の登記の申請、それから所有権保存の登記の申請がございました。その際に、所有権を証する書面ということで、仰せのとおり中華民国留日華僑総会というものがこの建物の所有者である。そして、しかしながらその団体は、わが国で申します法律上の人格がない。つまり、人格なき社団であるということのために、その名義では登記をすることができない。したがいまして、その団体から委託を受けました鉋金鉅外六名の人たちが個人で所有名義人になるという形の登記の申請があったわけでございます。  登記所の方といたしましては、そういう中華民国留日横浜華僑総会というような人格なき社団の名称が付された書類でございましたけれども、これは不動産登記法の手続面から、申請人が所有者であるかどうかということを確認する書面というもので出されたわけでございまして、そういう文言が記載されていたからといって、その記載自体に格段の法的な意味を認めたわけではない、あくまでも所有者であるということを証する書面としてこれを取り扱ったというわけでございます。
  45. 河上民雄

    河上委員 しかし、そういうことの中に、さらに自由華人というような概念をそのまま認めて、検察庁の方でありますけれども、現実に起訴するというようなことをやっているわけでありまして、いま日中平和友好条約交渉を非常に慎重にしなければ、非常に重大な段階に差しかかっているときに、こういうようなことがいまだに尾てい骨のように残っておる。のみならず亜東協会の職員などにつきましても、当初は三十名を限度としというふうに明確に記されておるのに、現在はもう百名ぐらいにふえておるというようないろんな状況から見まして、いまのようにただ向こうが申請した文言をそのまま使ったんだということでは済まないはずであります。その点はアジア局長、いかがでございますか。もう少し明確に答えていただかなければならないと思います。私、もう時間が少し超過しておりますので、これで質問を終わりますけれども、その点を明確にしていただきたい。
  46. 中江要介

    ○中江説明員 政府が一貫いたしまして一つの中国という立場に基づいて、日中国正常化後は中華人民共和国政府中国を代表する政府であるということに基づいて、すべての事務を処理しているということにはいささかの変更もございませんことは御承知のとおりです。  ただいまの問題につきましては、起訴されたという事件といまの登記の手続との間には、実は私どもの知る限りでは直接の因果関係はないのでございまして、起訴されたという事件は、その人の国籍とか所属する団体のいかんを問わず、日本の法秩序が乱されたものに対して治安当局なり捜査当局が日本の法律に基づいて措置をとっているということでございまして、登記の手続につきましてはいま法務省の方から御説明のあったようなことでございまして、これを混同してといいますか、それを絡ませていろいろ御意見がございますけれども、政府といたしましてはそこのところのけじめは間違いのないようにしているつもりでございます。また、今後ともこの方針には変わりはございません。
  47. 河上民雄

    河上委員 時間がありませんのであれですが、混同しているのはむしろ政府の方で、混同というか使い分けをしているのは政府の方で、やはりそういう点はきちっとしなければならない。これからも日本政府としては、あるいは日本国民としては、非常に重大な仕事を控えているだけにそういう点はきちんとしてほしいと要望しまして、私の質問を終わります。
  48. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 河上民雄君の質疑は終わりました。  次は永末英一君。
  49. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣は昨日アメリカ上院のマンスフィールド議員米中国交回復に関して話をされました。マンスフィールド議員は民主党の上院院内総務でございまして、折しも共和党の上院院内総務であるスコット議員が中国で恐らく似たような主題について中国側の感触を探っていると伝えられております。アメリカはそういう意味合いでは米中国交回復ということに真剣に取り組んでいると私どもは見ております。その場合に、いわゆる日本型国交回復というものが日本に対してどういう影響を持つかということに対する日本側の感触を知りたいと考えていると私は思います。私自身につきましても似たような質問を受けたことがございました。その意味外務大臣も昨日マンスフィールド議員からそういう質問を受けられたのだろうと思います。  この問題のポイントは、ずっと長い間いわゆる米台条約という軍事条約があって、それはある意味では日本の安全保障に重大な関係のある間柄を保持してきた。もし日本型国交回復という名前で米台条約がなくなるならば、日本は一体これに対してその安全保障上どういう感覚を持つかということは聞きたい、知りたい、こういうことだから質問が来たのではないかと思うのであります。もちろん米中国交回復の問題は米中両国間の問題であって、われわれ日本国はこの間の問題に何らくちばしを差しはさむところはございませんが、日本の安全保障についてどう思うかと聞かれれば、それはやはり外務大臣としては、これは日本アメリカとにも関係する問題でございますから、当然意見を言われたはずだと思います。先ほど河上委員の質疑に答えまして、そういう質問があったというところで終わっておりますが、あなたはこの点について何か意見を言われましたか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど河上委員お尋ねお答え申し上げておりましたのを永末委員もお聞きをいただいておったと思いますので、いわば誤解というようなものは私としては解消をさしていただいたつもりでございますが、ただいまのお尋ねでございますが、わが国にとっては中華民国というものは存在しないわけでございます。それから上海コミュニケの線から考えましても、米中両国とも最終的な正常化というものを志していることも恐らく間違いのないところであろうというふうに考えます。その二つのことと、わが国立場わが国自身の安全保障、これは他国のことでなく安全保障、あるいはわが国が見る東南アジアの平和と安定ということから申せば、どのようなことがあれ、戦乱のあるいは紛争の危険というようなものが再度この地域に生じないようなことであってほしい、そういうことに尽きると私は思います。
  51. 永末英一

    ○永末委員 あなたの希望は私の希望とも同じでございますが、問題点は次のところにあると思います。私も同様のことを聞かれた場合にこう申しておきました。すなわち、わが国中国との間の国交を回復しない以前は、いわば敵対関係が存在しておったことになります。そのときにはアメリカ台湾との相互防衛条約というものはわが国の安全保障に意味があったと思う。しかしながらわが国中国との間の国交回復が成立した以後は、わが国中国とは友好関係であって敵対関係ではない。だといたしますと、米国台湾との間の相互防衛条約なるものはわが国の安全保障に無関係であると思う、私はこういう考え方を述べておきました。あなたはどう思いますか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは非常にむずかしいお尋ねで、私がちょっと間違った答えを申しますと、いろいろな意味で誤解を生じますし、また私の意図しないとらえられ方をされる心配もございますので、同じことを繰り返すようでございますけれども、将来ともこの地域に戦争の危険あるいは紛争の危険がないということをわれわれとしては安全保障上の問題として一番関心を持つ、こう申し上げるよりほかはなかろう、その具体的な方途あるいはあり方いかんということになりますと、これはわが国だけの問題にとどまらないことについて言及をするようなことになりかねませんので、わが国から見ればこの地域に紛争の種が残らないようにあってほしい、こう申し上げるしがなかろうと思います。
  53. 永末英一

    ○永末委員 マンスフィールド議員があなたに日本型国交回復をどう思うかという質問をされたときに、あなたの方から米台相互防衛条約なるものを言及された、その意図をやはりこの際明らかにしておかれなくてはならぬのではないか。すなわちこの条約があなたから言及された、あなたここで言われたわけだから、望ましいと思っておるのか、それはもはや以前の日本に対する役割りは終わっておるということをにおわされたのか、この辺ぐらいはひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そうでございましたら、われわれの知る限り、台湾は現在アメリカにとりまして中華民国でございますから、その二つの間にはそのような条約関係があるということ、そういう認識を申したということになります。
  55. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、形式的にはまことにそうだと思うのです。しかしながら、その認識は相手方も知っておって日本型ということを申し述べた。米国台湾との間にいろいろな条約がございましょうが、少なくとも現実に日本に関して政治的な意味合いのあると思われる問題はこの条約ですね。それを相手方が、マンスフィールド議員が知らないで言われることはない。にもかかわらずあなたがわざわざそれに言及されれば、相手方はどう受け取るでしょう。その存続を望んでおるとあなたは思っておると受け取って帰ったとすれば、今後の進め方には重要な影響を及ぼしたことになる。そういう観点でもう一度あなたの真意をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国とかつての中華民国、わが国にとっていまやそういうものは存在いたしませんけれども、わが国とかつての中華民国との間には、現在米国台湾にあるような条約関係、あのような条約関係はなかったわけでございます。したがってそういうものがあるという客観的な認識、これは永末委員も客観的な認識としては御回意いただけると思いますが、条件がしたがって違っておる。違っておるからそれはいけませんと私が言ったんではないのでございます。そうではないのでございます。条件が違っておりますから簡単に日本方式というようなことで——簡単にと言っちゃいけませんが、日本方式というものがその場合何を意味するかということを私が尋ねておるわけでございます。
  57. 永末英一

    ○永末委員 相手方があなたの真意を了解された何らかの意思表示はございましたか。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、十分にマンスフィールド議員は私の質問意味はわかっておられると思います。
  59. 永末英一

    ○永末委員 七月八日に日米安保協議委員会が開かれまして、防衛協力小委員会が設けられることになりました。さて、この防衛協力小委員会で、いわば緊急時における日米双方共同対処をいたす行動の指針を決めていこう、考えていこうということのようでございますが、これは日米協議委員会の下請みたいな仕事をするんだということですが、一体、緊急時に共同対処しようなんというようなことは大変な問題である。すなわち安保協議委員会でオーソライズされればおしまいなのか、それとももっと上のところで決めなくてはならぬ問題なのか、その辺は外務大臣、どうお考えですか。
  60. 山崎敏夫

    山崎説明員 この発表にございますように、この小委員会は「緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するために取るべき措置に関する指針を含め、日米間の協力のあり方に関する研究協議」をやるということになっておりまして、この小委員会で行いますものは、その共同対処行動を確保するためにどういうことをすればいいかということをいろいろな角度から研究協議するわけでございまして、その研究協議いたしました結果は、この本委員会でございます日米安保協議委員会に報告するわけでございます。それはもちろんそれぞれの政府にさらに伝えられまして、その上で両国政府においてこの研究協議の結果をいかに活用していくかということを決めることになると思います。その以後の措置については、今回は何ら定めておらないわけでございます。
  61. 永末英一

    ○永末委員 まことに事務的な答弁でございますが、緊急時に一体何が起こるかということについては、かつてわが国の総理大臣とあちら側の国務長官との間にいわゆる事前協議に関する交換公文が持たれ、アメリカ軍が作戦行動わが国における米軍基地を使う場合についてのいわゆる歯どめ条項として、これは設けられておる。似たような問題が討議されるわけですね。だから報告するまでだとおっしゃったけれども、日本政府としてはやはりある意味においては事前協議事項、すなわち作戦行動に使用する場合のこのケースに対する、やはりあらかじめ許諾を与えたようなことにも足を踏み入れると私は思うわけであります。したがって、最終的にはどこで決めるのだということが当然話し合われているはずではございませんか。その辺をお答え願いたい。
  62. 山崎敏夫

    山崎説明員 これは先ほどから申し上げておりますように、その研究協議の結果をそれぞれの両国政府に報告をいたしまして、政府が責任を持って決めるべき問題だと存じます。
  63. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、重要な問題でございますからあなたから、そこで研究が上がり安保協議委員会まで来た場合には、最終的にはどこでどういう形でアメリカとの決着をつけるか、お答え願いたい。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま政府委員から申し上げたとおり、そのような研究の成果が仮に一致したものができたという場合には、これは日本としてとるべき施策は日本政府が決定をいたさなければならないわけでございます。最終的な責任者は総理大臣ということになろうと思います。あるいは閣議ということであろうと思いますが、事々によりまして、それは恐らくはまた国防会議の議を経るということもあろうと思います。つまりその場合、最終的な決定はおのおのの政府の問題の責任者ということになろうかと存じます。
  65. 永末英一

    ○永末委員 アメリカ側は、この小委員会安保条約第六条の件に関してもひとつ相談をしていきたい、その中でいわゆる基地を再使用するという意図があると伝えられております。先ほど防衛局長は、自衛隊基地の再使用、こういう言葉が出ましたが、わが方の自衛隊の基地というのはもともと全部、一度占領を受けてアメリカ軍の基地になったものであります。全基地についてそういうことがあり得るとお考えなんですか。
  66. 丸山昂

    ○丸山説明員 これはもうまさに、この小委員会が開かれまして先方と研究協議に入りませんと、はっきりしたことはわからないわけでございますが、アメリカがどの段階でどういった事態でどれだけの規模の再展開をするのかという、これによって自衛隊が管理いたしております基地のどういった場所にどれだけの部隊を収容するかというようなことが決まってくるというふうに考えておるわけでございまして、いまのところはそういう細かい問題の詰めが全く行われておりませんので、一般論として申し上げておるわけでございます。
  67. 永末英一

    ○永末委員 そういう話し合いがまとまった場合には、現行の地位協定を改定をされますか。
  68. 山崎敏夫

    山崎説明員 この研究協議はあくまで現行の安保条約及び地位協定の範囲内において行われるものでございまして、地位協定の改定は考えておりません。
  69. 永末英一

    ○永末委員 ソ連海軍が最近艦隊、情報収集艦、航空機等、日本列島周辺にきわめて著しい進出を見せております。この主たる目的アメリカですか、日本ですか。
  70. 丸山昂

    ○丸山説明員 情報収集艦につきましては、これは明らかに当方の——当方と申しますのは自衛隊の基地、装備に関する性能の調査であるというふうに判断をいたしております。五月から以降ございましたいろいろなケースの中で、一つはわが方の自衛艦の対潜訓練について二度、情報収集をいたしておりますし、それから日本海方面に二度あらわれた。また熊野灘に出ております。これは当方のバッジシステムの一環でございますレーダー、ADCC、こういったところの三次元レーダーの切りかえに伴う性能の変化について調査をしておるものというふうに考えます。  それから、あと測量艦、情報収集艦が若干動いておりますが、これは先ごろ米韓の合同演習がミッドウェーを中心といたしまして行われたわけでございますが、この第七艦隊の主としてミッドウェーに対する情報収集に従事したものというふうに考えております。
  71. 永末英一

    ○永末委員 航空機進出の目的は何だと思いますか。
  72. 丸山昂

    ○丸山説明員 航空機はいろいろな種類が飛んでまいっておりまして、最近判明いたしましたのは、IL18を改装いたしましたELINT機、これは新型のものでございますが、これが飛んでまいっております。これはやはりわが航空自衛隊のレーダー基地の性能の調査であるというふうに私どもは判断をいたしております。  それから、最近、七月になりましてからクレスターII型のミサイル搭載巡洋艦、あとカニン、カシン、それぞれミサイル搭載の駆逐艦でございますが、これは現在まだ沖繩の東方において訓練を行っております。このときに、符節を同じくいたしまして、対馬海峡を通りましてIL38、これは新型の対潜哨戒機でございます。それから同じくTU95、御存じのベアでございますが、このTU95Fと申しますのはもともとは長距離爆撃機でございますが、これを対潜哨戒機に改装いたしまして、NATO方面にはつい最近あらわれて、そうして極東方面に十機ぐらい配置になったという情報を得たばかりでございますが、これが六機東を回りまして、日本の東海岸の方から沖繩東の演習地に向かっておりまして、航空機と先ほど申し上げた三隻のミサイル巡洋艦、駆逐艦、これが合同になりまして訓練を実施いたしております。これは恐らく対潜訓練を主とした演習を実施しておるものというふうに判断をいたしております。
  73. 永末英一

    ○永末委員 時間が参りましたので終わります。
  74. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 永末英一君の質疑は終わりました。  津金佑近君。
  75. 津金佑近

    ○津金委員 宮澤外務大臣に御質問いたします。  先ほど来問題になっている昨日の宮澤外相とマンスフィールド米上院議員との会談の問題でございます。  先ほど来、宮澤外務大臣も、日中共同声明に書かれた一つの中国論という立場をこれからも厳守して対中政策を進めていかれるということを言明されておるわけでありますが、報道で伝えられておるところによれば、アジアにおける急激な変化ということの一つの内容として、台湾防衛を約束しているアメリカが、台湾の安全の保証なしに米中正常化を行うならば、台湾に衝撃を与えて、アジアの安定に好ましくない結果を与えるということがその一つの理由になっているのではないかというふうに新聞その他で伝えられている。こういうふうに言われておるわけでありますが、米中正常化の今後の進展の見通しの中で、米台相互防衛条約ですね、これがこのまま存在しながら米中の国交回復ということは果たしてあり得るのかあり得ないのか、米中国交回復の今後の見通しと、その中での米台相互防衛条約との関連ですね。この点についての見通しをお聞かせいただきたい。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 上海コミュニケが出されました経緯、その後の推移を見ておりますと、米中がやがて完全に国交を正常化していくであろう、両国ともそのような意思を持っておるということは明らかであると私は思います。フォード大統領がただ、いま急にどうこうするということはない。またタイムテーブルもないと言っておられることも事実ですけれども、そういうことがいわゆる上海コミュニケの精神であって、それを実現するというふうに両国とも一考えているだろうということは、これは私は想像でございますけれども、誤っていない想像であろうと思います。ただその場合、いま仰せになりました条約との関係でどのようにそれが進むであろうかということになりますと、これは私が、たとえばと申し上げますと、いかにも米中の問の出来事に口を差しはさむかのごとき印象を与えることは免れないと思います。したがいましてそれは申し上げるべきことでなかろうと思います。
  77. 津金佑近

    ○津金委員 いや、私の方がお伺いしたのは、米中の国交樹立という方向に進んでいるときに、これを当面歓迎できないという趣旨の発言をあなたがされたというふうに新聞にずっと報道された。これはむしろ適当でないじゃないかということで、私たちの間にそういう疑問が出たから、その問題について率直にお伺いしたわけであります。したがって、その問題との関連の中で、昨日のマンスフィールド上院議員とのお話の中でも、いわゆる日本方式なる問題も話題に出たというふうに先ほどお話があったと思われますが、この日本方式という方向で、これはもちろんそのまま一〇〇%適用されるということはあり得ないかもしれませんが、基本的に日本方式という方向でこの問題が進んだ場合、米台相互防衛条約はどういう取り扱いになっていくのか、外相としての見通しですね。その点一言お伺いしておきたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 マンスフィールド上院議員から、先ほども申し上げましたような、これは私的な会談ですけれども、アメリカの対中政策についてどう考えるかという質問がありましたから、これはそもそも第三国の口を入れるべきところではないけれども、フォード大統領が過般三木総理に言われたところの意味は、わが国としても賛同し得るところだと私は思っていると申しましただけで、歓迎しないというように私が申したわけではございません。  それから、いわゆる日本方式ということについても質問があったわけでございますけれども、それも先刻申し上げましたように、わが国とかつての中華民国、いまそういうものはないわけですけれども、との間の条約関係と、現在米国と、米国にとっては中華民国であるところの台湾との条約との関係ははなはだしく異なるので、したがって日本方式を適用するというのはどのような意味になるのだろうかという問題を私は提起をいたしましたけれども、しかしそれはそのような試みに私が反対だ、批判的な立場をとったという意味ではないわけでございます。
  79. 津金佑近

    ○津金委員 この問題は、時間の制限がありますので、余りやれないわけでありますが、私どもはやはり中国は一つである、また、台湾もまた中華人民共和国の明確な領土である、こういう認識に立ってわが国は対中政策を進めておるわけでございますが、そういう見地から考えたときに米台相互防衛条約、これをそのままにしておいた米中の国交正常化というのは基本的にそれはあり得ないのではないだろうかという考えを持つわけであります。その点についていま外務大臣の御答弁ではそれらの問題についての言及を避けられたようでありますが、わが国立場から言えばこうあることが望ましいという見地を明らかにされることは、私は一向に差し支えないように考えるわけであります。こればかりやっていられませんが、もう一度その問題について外務大臣真意と今後の政府のこれに対処する基本的な考え方、その点だけひとつお伺いしておきたいと思います。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国の場合には中華民国というものは存在いたしませんから、問題の処理はきわめて明快、解釈も明快でございますけれども、米国にとりましては、中華人民共和国と、われわれが台湾と呼んでおるところの米国にとっては中華民国と、その三つの関係になりますから、その処理はわが国でいま私どもが議論するほど恐らく簡単ではないであろう。どういうことが望ましいかと言えば、この問題について米国と中華人民共和国が十分に議を尽くして満足のいく解決をされることが望ましい、これだけならばまさか干渉ということにはなるまいと思いますけれども、さてそれを具体的にと言えば、やはりわが国が口を出すということに、そのような誤解をなかなか避けにくい問題でございますので、十分その点について米中両国間に討議が行われるであろうし、その結果国交正常化に進むことが望ましいのである、このように申し上げるしか、どうも申し上げようがないように存じます。
  81. 津金佑近

    ○津金委員 それでは、時間の点もありますから、次の問題に進みたいというふうに思います。  七月三日に、外相もよく御存じのように、イスラエルの奇襲部隊によってウガンダのエンテベ空港でいわゆる人質奪還作戦なるものが行われたわけであります。この事件は全世界に大きな衝撃を与えました。わが党は、もう周知のように、こうしたハイジャック、これによるテロ、こうした行動を擁護せず、これに厳しい批判的見地をとっていることは言うまでもないところでありますが、今度のこのエンテベ空港における事件の非常に重要な問題の一つは、いわゆる国家主権のあり方という問題に大きな問題を投げかけたという点だと思うのです。この点につきましては、七月九日の国連安保理事会においてワルトハイム国連事務総長も、これは国連加盟国に対する重大な主権の侵害だということを強調されている、そういうふうに報道されておりますが、この問題は理由のいかんにかかわらず、今回のイスラエルの行動というものは明確な国連加盟国に対する主権の侵害行為である、こういうふうに言わざるを得ないというふうに考えるわけでありますが、この問題に対する政府のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 問題は、ある日突然に前後の関係もなくイスラエルの航空機がエンテベ空港に着陸をして武力行動を行ったというのではなく、先ほど津金委員も言われましたようなハイジャックという事件が前にあり、その何日間かの経過の結果としてそのようなことが起こったのでございますから、最後の部分だけを取り出して判断をすることが、果たして客観的に正鵠を得た判断になり得るかどうかということに一つ私は問題があるのではなかろうかと思います。これがある日突然にそういうことだけが起こったというのでございましたら、事柄はきわめて明白でございますけれども、そうでない経緯がございますから、その部分だけを切り離して判断をすることにどれだけの意味があるであろうかという疑いを一つ私は持っております。  それからもう一つ、ウガンダ政府首脳がこのハイジャックのいわば犯人、ゲリラたちとどのような関係にあったのか、また、人質たちとどのような関係にあったのか、これにもいろいろな報道がございますけれども、軽々にそれらの報道を信ずるわけにもまいりません。したがいまして、わが国としてはそのような正確な情報を欠いておるということから考えましても、ただいまのお尋ねにきちっとお答えすることはなかなか困難なのではなかろうかと存じます。
  83. 津金佑近

    ○津金委員 いまの外務大臣お答えは大変多くの問題を含んでいるのではないかと思います。  今日のこうした事件がいろいろな複雑な経過及び状況のもとで発生する、そればそのとおりだと思います。しかし問題は、時間がありませんから一々当時の状況については繰り返しませんが、ああした形でイスラエルの訓練された特殊部隊が突如として乗り込んで、そうして結果的にはウガンダの軍隊の一部、一説によれば二十名とも言われておりますし、またアミン大統領発言によれば百名とも言われておりますが、そういうウガンダ兵が殺され、そして空港が破壊される、こうした事態の中で起こったあの行為そのものに対してわれわれが一定の正しい判断を持つということは、国家主権のあり方の問題に関する一つの重大な問題ではないかと思う。事情をいろいろ調べられる、これは私結構で、それは当然あるべきだと思うし、恐らく現地からもいろいろな報告を外務省として聴取されておると思いますが、しかし、あのことに関して、これが主権侵害であるということは私はきわめて明白な行為じゃないかと思う。現に国連に対してもアフリカ統一機構首脳会議においてこれに提訴が行われて、国連においてもこれが大きな論議になるということはきわめて明白な問題なんです。いまの外務大臣答弁では、一体日本政府立場はどうなのか、さっぱりわがらないわけなんですね。私はその点において、前後の事情から見て、これが明白な国家主権に対する侵害であることは疑いの余地のない問題だと思うのですが、その点もう一度重ねて外務大臣見解をお伺いしてみたいと思います。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 アフリカ機構等はただいま津金委員の言われましたようなことを主張しておるというふうに私も承知をいたしておりますが、他方で自国の国民が非常に多数生命の危険にさらされた場合の、これは国としてのいわばこれを正当防衛と呼びますか、緊急避難と呼びますか、国際法上の概念としてはいずれにしても余り熟しておらない概念ではあるけれども、しかし何かそこにそういうものがあり得るといったようなふうにとれる主張が片方の側からございます。そこで、それらのことを具体的に正確に判断するだけの事情を私どもがまだいまの段階で知らないということが真実そのとおりではないかと思いますので、したがって、私は、ただいまここで主権侵害でないというふうには決して申し上げておりません。主権侵害であると断定もいたしておりませんけれども、そうでないとも申し上げていないので、もう少しそれを正確に断定するための事実関係が私どもにいまのところつまびらかでないというふうに申し上げておくべきかと思います。
  85. 津金佑近

    ○津金委員 私は今度の問題を判断する重大な基準ともなるべき問題の一つとして、一九七四年十二月十四日の国連総会におきましていわゆる侵略の定義という決議が行われておるということは、すでに御承知だというふうに思います。この決議は、侵略が行われたかどうかという問題は、個々の事件につき、いろいろな状況に照らして考慮されなければならない、そういう問題ではあるが、この問題についての正しい判断を下すための基本的な原則を定めることが必要なんだ、そのために次のような定義を設けることが重大だということをここで述べて、そして御承知のような一連の決議、定義を行っておるわけであります。  その中で、その第三条に、次に掲げる行為は、いずれも宣戦布告の有無にかかわらず、これが侵略行為と解されるというふうに明記して、その第一の(a)項で「国家の軍隊による他の国家の領土に対する侵入若しくは攻撃、」そして「一時的なものであってもかかる侵入若しくは攻撃の結果として生じた軍事占領」、これらは明白な侵略であるということをこの中ではっきり提起をしているわけであります。  私は一々もう細かいことは申しませんが、この規定に照らしても、今度のエンテベ空港におけるイスラエルの行為というものはまさにこの規定に該当をする、こういうふうに考えられるわけでありまして、その点からも、いま外相が言われた、主権侵害でないとも言わない、しかし主権侵害とも言い得ないというのは、余りにも日本政府としての態度としてはやはりあいまいな態度だというふうに言わざるを得ないと思いますが、この国連総会における「侵略の定義」との関連において今度の行動をどう見られるか、この点御意見を承りたい。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような決議がありましたことは記憶をいたしておりますけれども、私の記憶が正しければ、その決議は、このような定義を物差しのように自動的に当てはめるのだという趣旨の決議ではなく、最終的な決定は安保理事会がしなければならない、そういう趣旨であったと存じますので、したがいまして、そのようなことにかんがみましても、今回の問題について最終的な判断はやはり安保理事会がいたさなければならないということになるのではないかと思います。
  87. 津金佑近

    ○津金委員 安保理事会でこの種のものの最終的な判断を下すということは、おっしゃるように第二条に明記されている問題なんです。問題は、わが国がやはり安保非常任理事国の一員としてどう考えるか、日本が安保理事会においてどういう立場を主張するかということが問題なのでありまして、最終的に安保理事会で決定する問題であるということでは、ちょっと私の質問に対する御答弁とは言いがたいように思うのです。私どもはそれをしゃくし定規に当てはめるか当てはめないとかいう問題について、先ほどもこの決議そのものが侵略であるかどうかということについては、いろいろな状況を考慮して決定しなければならぬということを認めつつも、そういうものの共通の認識、判断の基準としてそういう規定をつくっているということをこの決議それ自体が書いているわけですね。そういう点から考えたときに、まさにあのイスラエルの行動は、国家の軍隊による他の国家の領土に対する侵入であることばもう疑いのない事実ではないかというふうに考えるわけで、この事実に関する外相の認識をお伺いしておるわけであります。
  88. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさしくわが国は現在安保理事会の構成員の一国として、この問題についての安保理事会の討議に参画をいたし、関係者の主張に耳を傾けてこれを注意深く聞いておるところでございます。わが国判断はその上でいたさなければなりませんが、恐らくは安保理事会はこの問題に対する判断として決議を行うということになろうと思います。わが国のこの問題についての最終的な判断は、それらの決議案をどのようにつくり、あるいはつくられた決議案にどのような態度をとるかという道を通じまして表示をいたさなければならない、そういうふうに考えております。
  89. 津金佑近

    ○津金委員 いや、私がお伺いした問題はもっといわば単刀直入な問題であって、いま申し上げたこの決議の三項にある国家の軍隊による他の国家の領土に対する侵入そのものではないかという、きわめて単純明快な問題を提起しておるわけで、このことに対する政府判断、私は、いろんな状況があるにしろ、この点に関しては問題は明白だというふうに考えるわけなのでお聞きをしておるわけであります。そう思われるのか思われないのか、その点率直な御意見を承りたいわけであります。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは冒頭に申し上げましたところに話は返ってくるわけであって、これだけの長い時間の経過のある問題を、その部分だけを切り離して判断をするということが適当なものであるかどうかという一つの問題と、なお、事実関係を安保理事会でわが国も構成員として聞いておるわけでありますから、それが明確になりませんと最終的な判断をなし得ない。それらの物差しを自動的に適用するんだという決議ではございませんので、やはり最終的には安保理事会が決めなければならない。わが国は安保理事会の構成員の一国としてその決定に参画をする、恐らくは決議案をわが国がどのように考えるかという形を通じて判断をあらわしていくということになろうと思います。
  91. 津金佑近

    ○津金委員 どうもこの問題については政府として明快な態度が出てこないようでありますが、私は、事は国家主権に対する基本的な認識と態度の問題で、これは非常に重大な問題だというふうに考えるわけであります。言うなれば政府外交の基本姿勢が問われる問題でもある、こう考えるわけであります。しかし、もうこれ以上時間の制約からいっても続けることができませんが、いまの外務大臣答弁からは、残念ながら現在の三木内閣のもとでは、こうした国家主権の尊厳、こういうものがこういう姿勢では真に擁護できないのではないか、こういう疑念を強く持たざるを得ない。このような姿勢をとり続けている限り、わが国アジア、アラブあるいはアフリカの諸国民から真の信頼と友好関係を確立するということにはむしろ非常に大きな障害になるのではないか、この点を率直に申し上げておきたいというふうに思います。  最後に、私はいまは他国における主権侵害の事実に対して日本政府がどういう態度をとるかという問題について質問をしたわけでありますが、今度は逆にわが国が主権侵害を受けている、やはり私は、これは共通の問題だと思う。他国の主権侵害に対して毅然たる態度をとれない、こういう政府態度が、わが国に対する主権侵害の問題に対しても毅然たる態度をとり得ないのではないかという問題の一つの典型として、金大中事件の問題について最後に一つだけ質問をしておきたいというふうに思います。  この点について、七月八日に在韓日本大使館を通じて、金大中夫人から三木首相にあてて親書が送られているということが報道をされておるわけでありますが、これは事実であるか、そしてそれはどういう内容のものであるか、お伺いしたいと思います。
  92. 中江要介

    ○中江説明員 まず第一に、金大中夫人から出されたものは親書と言われるようなものではなくて、嘆願書というふうに私どもは聞いておりまして、そのものは一昨日でしたか東京に届きまして、これは三木総理あてになっておりますので、総理のもとに行っております。まだ内容についてはどういうものかということを発表できる段階ではございません。
  93. 津金佑近

    ○津金委員 形式は親書であるか嘆願書であるか、それは私も知りませんが、いずれにしても金大中夫人から首相に対して直接訴える、そういう書簡が来ているということはあなたも御確認になったことでありますが、その内容の一部がすでに新聞その他を通じて報道されておりますが、いま発表の段階ではないというふうに言われましたが、その内容その他につきまして外務大臣は全然御存じないのですか。
  94. 中江要介

    ○中江説明員 新聞に内容が発表されましたのは、ソウルの報道機関を通じて報道されてきたもので、それば私ども承知しておりますけれども、嘆願書そのものは密封した上で伝達されてまいりましたものでございますので、これはあて先人である総理がごらんになってからでなければ私どもとしても承知できない、これは当然のことではないか、こういうふうに思います。
  95. 津金佑近

    ○津金委員 私たちもこの内容については報道を通じて以外に知るすべはないわけでありますが、伝えられるところによれば、この書簡、手紙の中で金大中夫人は、「国際法的に当然な原状回復措置で人権が根本的に保証されるべきだったにもかかわらず、日本政府の無責任な措置でいままで夫は患者の身でありながら監房で生命の脅威にさらされることになった。」こういう大変重大な問題がここで提起をされておるわけであります。  しかも、この中では六月十日における朴外相と宮澤外相の会談の問題にもこれが触れられておりまして、「宮澤外相が夫の問題に言及したと聞いてこのような配慮に対しては深い感謝の念を示すものであるが、結局は根本的に人権回復が行われない限り、意味がないのではないでしょうか。願わくば夫の人権が回復されるよう心から希望します。」という趣旨のことが述べられていると伝えられておるわけであります。こうした内容の問題、そしてここで言われているこの文書がこのとおりであるかどうかということは別として、この中身の趣旨というのは今日の金大中氏が置かれている現状から見て、われわれ十分あり得る問題だというふうに判断するわけでありますが、こうした内容を外相としては、特に外相の名前も出てきているわけでありますが、この点についてどういうふうに受けとめられるのか、また三木首相あてのものではありますが、当然政府としてこの問題に対する一定の態度というものを示されてしかるべき問題だと思いますが、この点に関する外務大臣の率直な気持ちを、ないしはどう感じられたか、これをお伺いしておきたいと思います。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 書簡の内容がどのようなものであるかにつきましては、総理大臣からまだ提示を受けておりませんので、私ども存じておらないことばアジア局長から申し上げたとおりですが、私どもとしては金大中氏の自由あるいは健康につきましては、従来の経緯もありまして当然のことながら関心を持っております。そして、そのような関心を適当な機会を見つつ韓国側にも伝えてまいりました。今後ともそういたすつもりでございます。  なお、この書簡の内容につきましては先ほど申し上げましたとおり、私どもまだ承知をしておりません。
  97. 津金佑近

    ○津金委員 もうこれで終わりにいたしますが、いずれにしてもこの問題については、三木総理から当然直接の責任閣僚である外務大臣にもいろいろお話があるのではないかというふうに想像されますが、私は今日のこの重大な事態、そしてこの成り行きを国民は大変やはり注目をしておるというふうに思います。  そういう点で、私は、やはり当然三木総理としてこの問題に対して政府として誠意ある態度を返書その他の形において明らかにすべきだ、返事を出すべきじゃないだろうか、そしてその中身を国民の前にも公表すべきじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、これは宮澤さんが直接出す問題ではないということを十分承知の上で、総理に対してやはりそういう立場で返事を出すべきだということを進言されるおつもりはありますかどうか、これだけ最後にお伺いしておきます。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもが関心を持っておりますのは、金大中氏の健康、自由というような問題でございます。現在、韓国内において金大中氏の立場というものは非常にむずかしい、少なくとも軽い言葉を使いましてもむずかしい、あるいは苦しい立場にいるわけでございましょうから、私どもとしては金大中氏の自由なり健康なりというものがいい方に向かいますようにということをやはり頭に置きながら、この書簡についての処置を考える必要があるであろう、かなり微妙な問題でもございますので、そのようなことを考えながら処置を考えてまいりたいと思います。
  99. 津金佑近

    ○津金委員 それではこれで終わります。
  100. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 津金君の質疑は終わりました。  次は渡部一郎君。
  101. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 外務大臣、早速ですが、同僚議員からもお話がございましたから、重ねてでございますが中国の問題につきましてお伺いしたいと思います。  一つは、マンスフィールド氏が七月の十二日の午後、外務省を訪れてお話をなさったと承っておるわけでありまして、その内容が先ほどから議論の対象になっております。私たちが情報等で伺っているところでは、すでに十二月のフォード訪中の際、大統領選の後、フォードさんが当選されるかどうかはわかりませんが、その後に米中国交を樹立する旨の意思表示がキッシンジャー氏を通して日本外務省に対して通達済みであるというような報道がなされております。これはフォード側の意思表示だろうと存じます。十二日おいでになったマンスフィールドさんの後ろにはもう一人の有力米大統領候補であるカーター氏の影が濃く差していることは十分うかがえるところでありますから・いずれにせよ、マンスフィールド上院議員と外務省当局とのお話し合いというものは、ある意味米国のこれからの新しい方向との接触点としてきわめて慎重な態度で応答なすったであろうということは想像にかたくないのであります。  そこで私どもは、その際における外務大臣の日中問題に対する取り扱いの姿勢全般が、アメリカ政府との協議あるいは相談というようなものをかなり必要とする状況にあることもわかっておりますし、日中関係を今後推し進めていく場合に、またこの維持の仕方について御相談が行われたであろうということも十分想像ができるわけであります。  そこで私どもは、日本中国との国交正常化について、日中平和友好条約をつくるべきだという立場から、その一歩前進を希望し、かつ政府側にその意思表示をし続けてまいった立場でありますが、これについて現在どういう覚悟であられるのか、また現在のその問題の進行状況はどこまで来ているのか、まずその辺からお伺いをしたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねの本体は、日中平和友好条約についての交渉に対するわが国態度現状はどういうことであるかというお尋ねであったと思います。  わが国としては、やはり日中平和友好条約というものをできるだけ早く締結をした方がよい、そういう立場でございます。中国側も同様な熱意々持っておるということに変わりはないと思います。  この問題につきましての私のと申しますか、政府考え方は四点にわたりまして、すでにしばらく前に、最初参議院におきまして公明党の矢追委員お尋ねがありましたときにお答えをし、その後しばしば当委員会でも質疑応答が行われておりますので繰り返す必要はなかろうと思いますが、すなわち基本的に、私どもはこの覇権条項というものは平和についての基本的な原則であるというふうに考えておりまして、そしてそのようなものとしてこれが条約に書かれることに異存はない、それを条約のどの部分に置くかということは技術的な問題であるというふうに考えておりまして、そのことは中国側においてもいろいろな方法において熟知をしておられるものと考えております。それから先の進展が実はお互いにいろいろ国内的な事情もございましたけれども、十分にはかばかしくない、ただいまのところそういうところにおりますというふうに申し上げるのが正確かと思います。
  103. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 その事情というものは、主として中国側の国内において政権の指導的立場の変動があったというような事実に大きなウエートをかけて考えておられるのか、日本側が総選挙を控えており、国内的な政治情勢が浮動的であるという点から考えておられるのか、また、この覇権条項に対するお話し合いがうまくおさまらないためだと考えておられるのか、あるいは対ソ関係が非常に問題となっているというふうに考えておられるのか、あるいは対米関係その他諸関係を配慮されておられるのか。まあほとんど全部考えておるんだというのが正解なのかもしれませんけれども、どこにネックとなる部分を認めておられるのか、その辺を明らかにしていただきたい。
  104. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お互いに国内の政治情勢はいろいろ過去においてございましたから、その間交渉が進みにくい状況であったということは事実でございますけれども、それはすでに過去のことでございまして、ただいまそういう問題はお互いに持っているとは私は思いませんので、したがって、いまの状況はお互いに条約交渉を進め得る国内の情勢になっておると私は考えておるのでございます。  そういたしますと、私がはかばかしくないと申し上げましたことは、私どもがこの覇権条項というものは平和の基本原則であるというふうに認識しておるその認識そのものについて、中国側が必ずしも同じ認識でないということであるかもしれない、これは推測でございます。ですから、問題は、私が在来から繰り返し申し上げておりますところの四つの問題、それは一言で言えば、これは平和の基本原則であるとわが国考えておるということに尽きると思いますが、それについてまさにそのとおりである、それでいいのであるということであるのかないのか、あるいはその辺のところに私は何がしかの問題があるのではないかというふうに、実はこれは想像でございますが、考えております。  したがいまして、それは周辺の政治情勢がかつて政変があったとか、不安だったとかということと多少違いまして、中国側考えておる覇権条項の意味というものがぎりぎり詰めていくとどういうものになるのかということについて、中国側見解というものが一つあるのではないだろうかというようにも考えられます。しかしこれは実はもう一つ分明でございませんので、そういうこともあり得るのであろうかという想像をいたしておるという程度でございます。
  105. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、国内的な状況やあるいは両国周辺諸状況というものがある程度許容するものであれば、覇権条項に対する解釈の差はまさに交渉によって埋められるべきものであると思いますし、交渉再開についてのさわりはむしろないものであるといまの御答弁から思うわけであります。先ほどからの問題、マンスフィールド氏に対する外相の御答弁が疑惑をもって見守られるという最大の理由もまたそこにあるのであって、日中関係の平和友好条約に対する交渉の時期が来たというふうに外相が御判断になっておるのが明らかになれば、その問題はむしろ基本的に明快になるのではないか、私はこう思っているわけであります。この覇権条項に関する部分については、私が申し述べた意見をどう思われるか御答弁をいただきたい。つまり覇権条項についての意見の差、一部分明でない部分については、これは両国外交当局において早急に交渉を開始し、話し合う時期が来たというふうに御判断になっているかどうか、そこのところを述べていただきたいと思います。
  106. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ある意味でこの交渉は昨年の九月から続いておるというふうにお考えいただいても私は誤りではないと思います。つまり、私が先ほどあるいはと申し上げました意味は、中国にとりましては何と言いましても対ソ関係というものは非常に微妙な、かつむずかしいものでございますし、中国の責任者がいろいろな機会にソ連の脅威というものについて言及をされ、そして場合によりますと、日本の対ソ関係というものは実は甘い、もう少し厳しいものでなければならないんだというような見方をしておられるということは、ときどき私どもそういうことを知らされるわけでございますけれども、そういたしますと、そういうところに一つ問題があるのではないであろうかということが考えられるわけでございます。平和の諸原則というようないわば一般的な——のんきと言っては不穏当でございますけれども、もっともっと差し迫った問題なんだという考え方があるいは中国にございますかもしれません。その辺のところは大変微妙でありますし、私自身もいわば推測として申し上げるしか方法がないのでありますけれども、そのあたりをめぐりましてお互いがこの問題を考えているというふうに申し上げるのが正確な現段階の状況ではないかと思います。
  107. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 確かに交渉をしながら深く考え込まれているらしい御様子は私もわかるわけでありまして、考え込むのでなくて、お話し合いを積極的にお進めになる方向でひとつこの問題をお取り扱いいただきたいと私は思っているわけであります。日中共同声明を引用するまでもございませんが、「日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は、平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である。」とうたい上げ、「両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。と述べました。私は、こうした方向で、この新しい条約アジアの緊張関係を生むのでなく、減殺する方向において交渉をねばり強くやっていただかなければならぬと思っているわけでありまして、この線を一歩前進して、考え込んでいる段階から一歩前に出て、交渉に当局を督励していただきたいと思うのですが、いかがですか。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  108. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この条約は一日も早くつくり上げますことがわが国のためにもなる、中国のためにもなる、日中両国のためになるというふうに私は考えていますし、中国もその判断においては変わっていないというふうに私は考えます。問題は先ほど申し上げたようなところにあるいはあるのではないかと思われるにつきまして、何分にも両国の将来の関係を永遠に規定するところの基本的な条約でございますから十分にお互いの意のあるところはわかりつつつくらなければならない。そういう意味で十分にお互いの考え方を通じ合いました上でできるだけ早く締結努力をいたしたいと考えます。
  109. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 交渉されている当事者が、お互いの立場が分明でないなどというような状況を一刻も早く脱却していただかなければなりませんし、もう当然そんなことは百も承知でいらっしゃる外相に対して私は申し上げるのは、先ほどからのアメリカ当局と外務大臣との御発言の中で、新聞の報道するところによりますと、米台関係というものについて急激な変化を望まないと言わんばかりのニュアンスが色濃くあらわれているわけであります。これについては先ほど外務大臣は非常に巧みに答弁されて、先方の質問に対して、日台関係米台関係とは条件が違うのであって、日本方式というものを適用するとおっしゃるが、それは何を意味するのかというふうに反問したのである、反問したことが当方の意思表示になっているのであるという意味をおっしゃいました。私はみごとな御答弁だろうと思うのです。ところが日台と米台は違う、日本方式を適用するとおっしゃるけれども、どういう意味ですかというふうに反問されれば、その効果としては、マンスフィールド氏に与えられた効果というものは、日本のとった従来の方式というのは簡単に採用できませんよ、おたくはしっかり考えてくださいよ、少なくとも日台関係というものと米台関係は一緒になりませんよ、米台関係としては日本と違う方式、すなわち軍事面や何かにおいてもある程度のコミットメントを残さなければいけないでしょうし、あるいは台湾においてアメリカ側の軍事勢力が簡単に引き退くことによって、ソビエト側が軍行をもってそこのところを維持するというようなことになれば、かえって多くの緊張を招くということはあなたも十分おわかりでしょうし、というような発言につながる御発言のように見えるわけです。だから外相の御発言になったことは非常に政治的にはある方向を示されて、途中で打ち切りになっておられるようですが、その先の方向を、日中関係交渉は一方で進んでいない、そうしておいて外相はそうおっしゃった。最近また外相は、北方領土問題に対する中国側発言というものはある意味でありがた迷惑である、そうしたことは両国関係であるからちょっと問題は残るのだという御発言をしたということも報じられております。こういうものを並べてみますと、外相は日中関係に余り熱心でなくて、台湾との関係を事実上残そうとされていて、そしてそういう意思表示を明快になさっていて、日中平和条約についてはそろそろこれはブレーキをかけるのだというニュアンスがあたりに漂っているわけです。さてその辺、どういうお気持ちでいらっしゃるのか、どういう論理でこの辺を述べておられたのかを伺いたい。
  110. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どうもそういう御推論になりますと私の真意ではないのでありまして、マンスフィールド氏に私が申しました問答は、なるほどそこだけ申しますと、反論をしたというふうにあるいはお受け取りになったかもしれませんが、私の申しましたことは、実は日中の場合には、事柄はこれはむずかしい問題ではありましたけれども、明快に割り切れる処理ができたわけでありますが、米中の場合にはそういうことがございますから、これはただの日本方式というような簡単なわけにはまいらないのじゃありませんか、マンスフィールド氏も外交の文字どおりベテランでありますから、私の言っております意味もよくわかっておって、まさにそれはなかなか複雑な要素がある。そこでこれは先ほど分けて御答弁いたしましたが、ですから、ひとっこれは米中間において十分によく議を尽くされて、事態が平和的に最終の目標に達するということが望ましいのではないでしょうかというようなやりとりでございますから、それが私の一種の反論のように響いておらないだろう、その点の誤解はないであろうと私は思っています。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕  それからたまたま先般、北方領土につきましてのお尋ねが参議院の外務委員会でございまして、ただいま御引用になりました種類のことを私は申しましたが、接近した時間の中でこの二つのことが起こりましたために、あるいは渡部委員の言われましたような印象を一部に与えたかもしれません。しかしそれは私の本意ではございませんで、やはり日中平和友好条約というものはできるだけ早く締結をした方がいい、わが国のためにも、恐らくは中国のためにも、したがって日中両国関係のためにいいというふうに私はやはり考えておるわけでございます。
  111. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは御答弁されにくいかもしれませんが、米台関係はどうあるべきかということについて、先ほど同僚議員の質問に対して、それは非常に影響が大き過ぎる問題だからとおっしゃって、答弁をされないようになさいました。私はそれは一つの御見識だろうと思います。しかしながら、ここまで問題になりますと、米台条約の扱いについて急激な変化を望まないという意味合い、意思表示が行われたかどうか別にいたしまして、米台関係というものは在台米軍の撤退については、これは急激な変化を望まないのか、米台関係の経済関係、文化関係以外の破棄というようなものは望まないという意味なのであるか、米台関係というものは全く無関係な未承認国同士の関係として行うことは望まないのであるか、その急激な変化を望まないとおっしゃっていた意味合い、それ自体が問題になるように思うわけであります。その辺はどの辺のところで急激な変化を望まないというニュアンスを出されたのか、その点御説明いただければお願いしたいと思います。
  112. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 少し正確に申し上げますと、米台関係に急激な変化を望まないというふうに私は申したわけではありませんで、私の申しましたことは、フォード大統領のこのような三木総理大臣に言われましたような考え方、政策をどう思うかという問いに対して、これは日本の直接関与することではないけれども、フォード大統領のそういう御方針は理解できるように思います、そう申したに実はとどまっておるわけでございます。したがいまして、それは米台関係そのものについて何も私が言おうとしたわけではございませんでした。この点は誤解がないと思います。しかし、フォード大統領のそういう御意見、御方針はわれわれとしてもよく理解はできるものでありますけれども、上海コミュニケの精神というものは最終的にはやはり正常化をするということであることは、私は間違いないと思いますので、日中関係ほど——いわゆる日本方式というものをすぐ採用できるにしては問題は複雑であろうけれども、しかし両国がよく話し合いをされて、そうして平穏裏に、友好裏に問題が最終的に処理されることが望ましいということに尽きるであろうと私は思います。それがどういう問題があり、それにどういう方式をとることがおまえは望ましいと思うかというお尋ねは、ある意味でごもっともなお尋ねでありましょうけれども、それについて何か申しますことは、これはいかにも米中二国のすることについて干渉ととられる、そのような危惧を免れませんので、そこはやはり申し上げないことが本当ではないだろうかというふうに考えております。
  113. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 渡部一郎君の質疑は終わりました。  水野清君。
  114. 水野清

    ○水野委員 先ほど、同僚の永末委員からソビエトの極東海軍あるいは空軍ですか、その日本列島周辺のいろんな軍事行動について、防衛局長からお話がありましたが、それに引き続いて少しお話を承りたいと思います。  まずこれは外務省でしょうか、防衛庁でしょうか、こういう軍事演習が行われているのに対して、日本政府に対して何か事前に通告とかそういったものがあったでしょうか。
  115. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  これは、公海における演習でございまして、この点について特別に外務省その他の日本政府機関に通報があった事実はございません。
  116. 水野清

    ○水野委員 公海で行われていることは承知をしておりますが、この地域というのは、御承知のように日本の商船であるとかあるいは外国の商船であるとかあるいはタンカーとかそういったものが非常に往来の多いところなんでありまして、常識的に言えば通報してきてもいいわけであります。ないということならば、逆にこちら側からその行為について問い合わせをなすったとか——これはちょっと欧亜局長がおられないが、何かこちら側から進んでソビエトの極東軍の軍事行動について問い合わせをなさる必要があろうと私は思うのでありますが、その点についてはいかがでしょうか。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 事務当局がおりませんので詳しい経過があるのかないのか申し上げられませんけれども、いままでのところ、わが国のいわゆる民間航行の障害になるような形で演習が行われているというようなことではないように存じておるのでございますが、万一、将来そのようなことが、その危険性があればそれはわが国としてはやはりそのようなことも考えなければならないと思います。
  118. 水野清

    ○水野委員 大臣お話でよくわかりますが、こういう最近のソビエトの極東軍のいろんな演習行動その他から見ると、航空機の問題でもそうでありますが、いろんな事故その他が今後発生する可能性もあると思うのであります。あるいはソビエト政府に対する日本国民のいろんな疑惑といいますか、不安感といいますか、そういったものも新聞報道によって発生してきていると私は思います。ソビエト政府は、今日日本と善隣友好条約を結ぼうとかいろんな形で話し合いをしている際なんであります。よけいな刺激を向こうは求めているとは私ども思っておりませんから、ぜひともひとつこういう問題については、何も見て見ないふりをする必要はないわけなんでありまして、進んでソビエト側と話し合いをなすって、やるならどの地域でどういう演習をおやりになるのかとかいうようなことをお聞きになることの方がいいと私は思うのであります。どうも、最近の様子を見ていると、ソビエトとの間には別に軍事行動についての条約があるわけじゃありませんし、公海の上ですから自由と言えば自由でありますが、見て見ないふりをするといいますか、そういったようなことがうかがわれるわけでありまして、これはひとつ進んでこの点は政府として行動をとっていただくようにお願いをいたします。何か御答弁があれば御答弁をいただきたいと思います。
  119. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公海で演習をいたす、実弾等を使っておるわけではございませんから、演習をいたすということは一応自由でございますけれども、他国の公海の利用ということについても合理的な考慮を払うというのが一般の原則でございますから、そのような障害になるということでありますと、それはやはり考えてもらわなければならないということが一点。  それから何分にもかなり神経の重い人たちのようでございますから、やはりその点は大きな意味で国交にどうも余りうまくないということになりますと、これは抗議とかなんとかいうことでございませんで、やはり日本国民は余り快いことに思っていないというようなことぐらいは、そういう機会があれば申しますことがあるいは両国のためになるかもしれない。これは抗議という意味じゃございませんから、言い方なり機会なりはやはり慎重にいたしませんと誤解を与えるおそれもあろうと思いますので、そのようなことも頭に置いておきたいと思います。
  120. 水野清

    ○水野委員 重ねて申し上げることもありませんが、たとえば漁業問題にしても、日本側でいろいろ問題が起こってきて新聞紙上で取り上げられるようなことになれば、ソ連側も御承知のように操業協定について向こうから提案をしてきてやってくれる。その後いろいろ事故も起こっていますけれども、向こう側の誠意というのはかなり認められるわけであります。どうもソビエトの政府というのはどういうぐあいになっておるのかようわかりませんが、しかしソビエトの外交を担当している当局と極東軍というものの関係は余り綿密でないというふうに言われております。その辺で確かにいま大臣のおっしゃったように非常に神経のゆっくりした方々でありますから、警告を出されることは賢明ではないかと私は思うわけです。これはもう重ねて御答弁は要りません。  それからもう一つ細かいことでありますが、カンボジア政府との問題をちょっとアジア局長、それから最後に大臣に伺いたいのでありますが、昨年のプノンペンの陥落の後、日本とカンボジアとの国交というのはとぎれておりますけれども、ことしの一月カンボジア側が新憲法を発布しまして、政府もカンボジアの新政府承認はしておられる。承認はしておられますけれども、その後大使の交換であるとか、いろんな具体的な国交に踏み込むための手順というものを一体どういうふうに進めておられるか承りたいわけであります。たとえて申し上げますと、このカンボジア政府外交関係を持っている北京であるとかあるいはハノイであるとか、こういうところに日本の公館もあるわけでありまして、そこでカンボジアの新政府との交渉というのは十分できるように思われます。やっておられるというお話も若干聞いておりますが、少しその辺の事情を具体的に承りたいと思います。
  121. 中江要介

    ○中江説明員 カンボジアとの関係につきまして、昨年の四月十七日にプノンペンが陥落しましてから現在までの大筋を申し上げますと、御承知のように四月十七日にプノンペンが陥落いたしまして、その二日後の四月十九日にわが方は新政権を、ただいま先生おっしゃいましたように承認したわけでございますが、この承認いたしましてから、承認するということを通告しましたその通告を受け取ったということをはっきりカンボジア側から言ってきますまでに五カ月かかっておりまして、昨年の九月十九日にカンボジア政府から北京の大使館を通じて日本の大使館に承認を通知していただいて謝意を表するという返事が、口上書が参りました。これで日本と新しいカンボジア政権との間の承認は終わったわけですが、それに基づきまして昨年の秋、わが方から、北京でそれならひとつ大使を交換する、つまり外交関係を樹立するということを始めましょうということを申し入れましたが、これに対する返事がまた半年近くかかりまして、ことしの五月に、今度は北京で申し入れましたことに対する返事をハノイで、わが方大使館に、じゃ始めましょうという返事が参っております。したがって、非常に波長の長い話し合いでございますが、現在はそういうことで、外交関係樹立のための話し合いが行われている段階ですが、その具体的な話し合いはぽつりぽつりでございまして、まだいまのところ非常に細かい話まで進んでいるという状況ではございません。ただ、方向としてはそういう方向に進んでいる、こういうことでございます。
  122. 水野清

    ○水野委員 これは御承知のことですが、旧政権の当時のものでございますが、日本とカンボジアとの間には友好条約締結をされております。また、御承知のように、対日賠償について放棄をしてくれるとか、あるいは戦争損害の補償金の日本赤十字社への寄付などといった非常に友好的な態度を示してくれた国であります。  その後、政権の交代があったわけでありますけれども、この友好条約というものが、これから交渉される日本側態度にもよると思いますが、これは継続されて動いている条約と思いますが、そういうふうに理解をしてよろしいのかどうか。さらに、経済技術協力協定とか、あるいは電力開発工事の贈与協定というようなものも締結をして、かなり工事も進んでおったように私は記憶をしております。インドシナ半島の安定と平和ということを日本の外務省は望んでおられるようであります。ベトナム共和国とも話をしていろいろ進めておられますが、カンボジアともこういう問題を引き続いておやりになる気があるか、あるいはさらに新しい経済協力、無償になるか有償になるかわかりませんが、そういったものも進めていかれる用意があるかというようなことを承りたいと思います。
  123. 中江要介

    ○中江説明員 第一点の、かつてカンボジアと結んでおりました条約を含む権利義務関係がどういうふうに受け継がれていくかということは、一般の国際法の原則から言いますれば、これは政権の交代で、国家としては継続しているという立場でございますので、そのまま継続されていくというのが普通の考え方ですが、御承知のように、カンボジアの王制廃止からいまの共和制に移りましたときのプノンペン陥落前後の事態から見まして、これはそう簡単に、通常の常識だけで割り切れるものかどうかという点については、必ずしも問題なしといたしませんし、そういったことについてもまず話し合うことが必要だろうということで、外交関係の設定をいたしたいという気持ちでおる、こういうことでございます。  第二点の種々の経済協力その他の姿勢につきましては、これはインドシナ半島全域につきまして共通でございますが、わが国といたしまして長い間の戦乱に苦しんだ地域の復興発展のためには、日本としてできるだけの協力はすべきであろう、ただ、それに際しましては、その新生インドシナ諸国の自由意思といいますか、自主的な政策というものを十分踏まえてこれに対応していきたい、こういう考えであることは、他の諸国と変わりございません。
  124. 水野清

    ○水野委員 時間がありませんので、大臣、ちょっと日中平和友好条約の進展についてお考えを聞きたいと思います。  御承知のように、日中平和友好条約は、これは同僚委員の御質問にもありましたが、いま一つの停滞をしていると見ざるを得ないわけであります。それは御承知のように覇権問題であって、覇権問題も、当初は前文に記入するとか本文に記入するとかという技術的な問題のようでございましたが、大臣が、国連でございましたか、例の覇権問題に対する四条件を中国側に提示をされて、この四条件についての取り扱いのところで進捗がとまっている、こういうふうに記憶をしております。  ところで、これから先の問題でありますけれども、確かにこの四条件という問題は、日本中国だけの問題でなくて、対ソ外交とか、そういったことを考えれば条件をつけるということが当然でもありますけれども、私はこの四条件を、それではどういう形で中国との間に取り交わしをするのか、たとえばいろいろな便法があると思いますが、合意議事録のようなものにして残されるのか、あるいは日本側だけで声明を出せばそれでよろしいのかというような問題になってくれば、私はこの日中平和友好条約の問題というのは案外簡単に解決がつくかもしれない、非常にむずかしいようであるがつくかもしれないというふうに考えております。それはどういうふうに考えておられますか。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどわが国ソ連に対する見方、関係の維持のあり方について、日本は十分にこのソ連というものの実態をやはり見きわめていない、いわば少し考え方が甘過ぎるというような、これは悪意でなく、いい意味であろうと思いますけれども、そういう批評がときどき中国からは聞こえてまいります。それは中国ソ連との間にある関係から言いますと、そういう感じを中国首脳があるいは持っておるのかもしれないと思うのでございます。中国ソ連関係はもっともっと厳しいものであろうと思われますので……。しかし、やはり日本ソ連との関係中国ソ連との関係は、事実問題として一緒というわけにはまいりませんし、また、わが国の憲法、平和外交政策から申せば、おのずからソ連に対する姿勢のとり方も中国のそれとは異ならざるを得ないというようなところが私どもには当然のことと思われますし、恐らく水野委員もその限りではそのようにお考えだろうと思います。ただ、そのことがお互いにわかり合いませんと問題が残るわけではないかと思いますので、そのことがお互いに、それはそういうことであるというふうにわかってまいりますと、ただいま水野委員の御指摘になりましたようないろいろな問題は、恐らく技術的にそんなに解決は困難ではない、どうもそこらあたりに問題があるのではないだろうかということを、私、最近いろいろな機会に実は感じておりますわけで、と申しますことは、結局、問題は覇権条項になるわけでございますけれども、その扱い方、表現と申しますよりは、その前に、たとえばソ連との関係をどのように考えるかというようなことについてのおのおのの国情からくるところのおのずからなる違いというようなものについての理解というものがお互いに得られるであろうかどうであろうか、こういうあたりに私は問題があるのではないかというふうに実は感じております。
  126. 水野清

    ○水野委員 お話はよくわかりましたが、たとえば最近北朝鮮と中国との間に何か、共同声明でしたか、出ましたが、そこに覇権の問題がむしろ遠慮して省略をされておったように、新聞報道で読んでおります。ですから私、やはりある意味では中国側も、かなり幅の広い物の考え方ができる人たちであるというふうにも思えるわけであります。ですから、この覇権問題について大臣のおっしゃったような四条件というものは、これは日本自身が中国以外の国に誤解を受けないために非常に必要なことでありますけれども、それは対中国の問題じゃなくてほかの国に対する問題でありますから、私は何らかそれを理解させることによって——もちろんそれは同時に、中国もそういう勝手なことを言われちゃ困るということがあると思いますけれども、私は何らかの打開の方法があるんじゃないかと思うわけであります。逆な言い方をすれば、中国とソビエトというのは、いま中ソ共同防衛条約というものが厳然としてあるわけであります。これについてはわれわれもよく中国の人たちと話し合うとき、あなた方あれはどうなんですか、あんな紙に書いた、ちゃんと判を押したりっぱなものがあっても、あれはどうなんですかと言うと、いやあれはないに等しいと、こういうことを簡単に中国政府の人たちは言われるわけであります。  そういう西欧型の国家の人たち、外交官の人たちが考えているいわゆる条約論みたいなものとちょっと違う考え方をしている人たちなんでありますから、外務省が、いままで外務省の伝統として持ってこられた条約理論というようなものだけでこれを固執していかれれば、やはり平行線というものはたどらざるを得ないし、逆にどこかで踏み切れば、私は踏み切れる問題だというふうにも思うわけであります。その辺のことを無理に御答弁いただいてはいけないかもしれませんが、御答弁がいただければいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  127. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 条約というものの考え方が、あるいは外務省の西欧的な伝統的な考え方だけでやっていけないような要素があるかもしれないぞとおっしゃいますことは、これは大変に私は貴重なサゼスチョンだと思っております。決していわゆる西欧的なことだけで、いわばこちらの流儀だけでやることがただ一つの道だとも私は思っておりませんので、それは貴重な御意見として十分に私ども考えていかなければならないと存じますが、でき上がりましたものが第三者に対してゆえのない誤解を与え、それによってわが国とそれらの国国との国交を悪くするとか、あるいは後代に災いを残すとかいうことがあってはなりませんので、その点はやはり日本なりにきちんとしておかなければならない。しかし、おっしゃいますように、西欧的な表現あるいは考え方だけで割り切ることは適当でないかもしれないぞとおっしゃることは、十分に考えてまいらなければならないと思います。
  128. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 水野君の質疑は終わりました。  中山正暉君。
  129. 中山正暉

    ○中山(正)委員 時間が五時四十四分までと書いてございますが、時間が短うございますので手っ取り早くお伺いをいたしたいと思います。  同僚議員が聞かれましたいわゆる米中問題、これは読売新聞なんかによりますと朝鮮半島の現状の変更の懸念の問題も書いてございますが、いま実は私、水野先生が御質問になったことをお伺いをしようと思っておったのでございます。  あれだけ台湾中国の領土だとはっきり原則を日本に守らした国が、なぜ中ソ軍事同盟条約を結びながら第三国の覇権と言うか、私はこの問題はうやむやにするべきでない、かように思うのでございます。  特に私は、実はとっぴなことを言うようでございますが、一九四九年中国が建国をいたしましたその明くる年一九五〇年に、三十年の条約を結んでおります。一九八〇年まで。日本安保条約は七〇年で終わりまして、一年ごとの自動延長でございますが、中ソ軍事同盟条約というのは一九八〇年まで、それから五年ごとの自動延長でございます。その中ソ軍事同盟条約というものがありながら第三国の覇権と言うのは、実は条約を結んで世の中がどんどん変わってさましたら、いや第三国と言っておったのは実はアメリカのことなんだ、こう言われる可能性もなきにしもあらずでございます。それに対する御答弁、先ほど水野先生になさいましたので、私は方角を変えてみたいと思いますが、覇権、覇権、覇権ということで、それじゃ一体どうしたらいいんだ。さっきも外務大臣も実は模索しているんだというような感覚のお答えがありましたわけでございますが、それじゃどうでございましょうか、日本アメリカとの安保という単独条約を切ってアジア安保条約、これはヨーロッパでは三十五カ国会議のときにそれの前ぶれみたいなものが行われておりますが、むしろ中国ソ連日本に隣接するものが入ったらどうでございますか、こういう形で日本アジア安保みたいなものを進めてこよう。むしろ中国がおどかしてソ連がそれを提案してくるというような、なかなかうまい役割り中国ソ連でやり合いながら、うまく三枚目と二枚目に分けて日本を追い込んでくるための大変うまいのが中ソの覇権の問題での争いではないか、私はこう思うのでございます。  中国から帰ってきた方に私聞いてみました。中ソの国境へ強制労働にやらされておったとこう言うのですが、そこへ行ってみると大工業地帯ができておるというのです。ディマランドセオリーとかマハン戦略理論というのを見ますと、あの中ソの国境あたりに大工業地帯ができたら世界制覇は夢でない。それはそうでしょう、あの日本の二十六倍ある中国、持った手綱に血が通うなんて言いながら、とうとうどうにもできなかったわけでございます。それが中国ソ連が一つになったあのアジア大陸のど真ん中に大工業地帯が——中ソが争っておるから各国の新聞記者も入るな、旅行者も入るなという形で、中国が三百万、ソ連軍が百五十万という話がありますが、あそこでそういう人たちが一体何をやっているかということも考えておかないと、私は別に外務大臣おだてるわけじゃございませんが、マンスフィールドにはっきり物をおっしゃったというのは非常にいいことだった、こう思っております。  いま私が言いましたようなことに関しまして、これは外務委員会というのは特に長い長いレンジで、恐らく百年ぐらいのレンジで考えておかないと私はぐあいが悪いと思いますので、いろいろな推測とか自分が考えておることとか一緒に、むしろ自分の意見として聞いていただいておるわけです。  特におもしろいのは最近中国はリー・クアンユーというシンガポールの総理大臣を呼んでおります。このシンガポールは中国とも台湾とも関係がありません。ところがシンガポールのわずかの軍隊は全部台湾で訓練をします。どうも台湾にアプローチが始まった。特に十年前のアメリカの戦略理論が二カ二分の一方式——ヨーロッパとアジアと同時に守って小さな戦争一つができると言っておったのが、今度は一カニ分の一方式で、アジアかヨーロッパかどっちかでの戦争を一つやって、小さな戦争一つしかできない。アメリカの戦略理論の中で、スエズ運河に百七十隻ナセルが沈めていた船を、五年がかりで中東紛争のさなかでも米ソが寄って沈船を引き揚げております。もちろんフランスも入っております。英国も入っております。ドイツも入っております。五カ国か六カ国であの沈船引き揚げをやって、スエズ運河があいたらベトナムが渡される。あの感じを見ておりますと、大変大きな、ある意味ではこれは世界が平和共存の方向に向かうために、政治的に非常に程度の低いアジアをむしろ共産主義のような思想に任して、むしろ自分たちの祖国であるヨーロッパを死守するために、アメリカがヨーロッパは渡せないというような体制を組んできておるのではないか、私はこういう見方をしておりますのですが、御批判をいただけたらと思います。
  130. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常にむずかしい問題でありますので、いまのことを真っ正面から私申し上げるほどの十分な材料を持ちませんけれども、現在の世界というのが力の均衡で平和が保たれておる。力という場合は武力ということであろうと考えるよりほかはありませんが、そういう中でわが国はいわゆる武力というものを信じない。みずからは軍備を放棄した形で平和を追求していこう、真実またそれを実践しておる唯一の国でございますので、その道はきわめて用心深く歩かなければならないというように考えておるわけでございます。したがって、どのような形の戦争、紛争というようなものもわが国にとっては好ましくないというふうに考えざるを得ませんので、そういう意味では世界の安定というものが保たれることが望ましい、それが破れるときに武力紛争が起こりやすいということから、どうもそういう道を歩まざるを得ない。これは考えようによっては抵抗を最小限にするような非常に消極的な道というふうに映るかもしれませんけれども、実はそうではなくて、素手で自分の安全を全うしていこうというのはやはり非常な決心の要ることであろうと思います。そういう道をひたすら歩んでいかなければならないというのがやはりわが国外交にしょわされた非常に大きな課題である、そういう見地から、常に周辺の問題を考えていかなければならないと私は思っておるわけでございます。十分にお答えをすることができませんけれども、私はそういうふうに考えております。
  131. 中山正暉

    ○中山(正)委員 私は、日本のような裸の大国と申しますか、これがいいかげんな道をとることは、レーニンが中立というのはかきねの上で座布団を敷いて座るようなものだ、いずれはどっちかに落ちるのだ、こう言っております。ですから、外務大臣おっしゃるように平和共存というならば、いまの自由主義国日本が、これだけ繁栄している国が、このおもしがどっちかへ移動しないように、いま自由主義陣営側でございますから、この大きな日本がどっちかへ移動しないように大きな歯どめをかけることこそが、むしろ外務大臣がおっしゃるような趣旨に合ってくるのではないか、こう思うのです。  実は昨年の六月、これは外務省のアメリカ局北米第一課から、キッシンジャー米国務長官のジャパン・ソサエティ年次晩餐会における演説というのをいただきました。この中にキッシンジャーがこう申しております。「米国民の言語は、その論ずる対象の範疇を明らかにし、論理的区別と価値判断を伴うものである。永年にわたり生活と経験を共にして来た日本人は直感と間接話法により意思を疎通させることが多く、時には言葉を必要としない場合もある。」わかった、わかった、腹と腹というやつですね。「また日本人は内容のみならず形式や気分を重んじるが、われわれ米国人は何よりも内容を重視し、かっこう(スタイル)に重きを置くことについてはしばしばいら立ちを覚える。」と言っています。国会答弁でございますから、国会で本当のことを言う大臣はみんな首を切られますので、大臣はおなかの中では別のことを考えていらっしゃるのかもわかりませんが、いわゆる国会答弁で、きっと非常に高度なことを考えていらっしゃるのだろうと私どもはむしろ期待を申し上げながらこういうことを言うわけでございます。  たとえば、今度皇太子を初めてユーゴスラビアに送られることを決定されたのはどういうわけでございますか。それと、なぜヨルダンというイスラエルを目の前にする死海の上を美智子妃殿下と皇太子殿下がヘリコプターでお飛びになったか。なぜ私はあえてこういうことを申すかといいますと、あのアメリカ建国のいわゆる独立宣言の起草者トーマス・ジェファーソンという人が、国旗をどう決めるかといったときに、それはアブラハムというわれわれのユダヤ人の先祖が、カナンの地イスラエルへ行くときに、神様にウルから案内してもらうときに、どうして行くのですかと神様に聞いたら、それは昼は雲の柱で案内をするであろう、夜は火の柱で案内をするであろう、そしておまえたちユダヤ人の子孫は天に満つる星のごとくに地に満つるであろうと言ったから、赤い筋と白い筋と引いてすみっこに星を散りばめたという話であります。これはジェファーソンの記録にちゃんと載っております。  だから言うならば、建国二百年、わずか二百年、二千六百年の日本の方がアメリカの建国祭を祝っておる、日本というのはどこの国の祭でもあっていいなんて皮肉を言われておるそうでございますが、そのアメリカのいわゆる祖国でございます。  これはアメリカ大使館のホテルオークラ側の門についているアメリカのマークを私、自分で写真を撮ってまいりました。ここについている星はこれは何でございますか。これは言わずと知れたかつて二千年前に最大に栄えていたときの、その直後にキング・ソロモンで滅びていますが、ソロモンの前のダビデの王のマークでございます。これはこうして筋を引っ張ればもっとよくわかります。大きくすればこうなります。これはアメリカという国はダビデの星を守るワシであると言ったって差し支えないのです。それなのにどうして、ヨルダンへ入られたらアレンビープリッジを越えて——私も去年労働政務次官のときにイスラエルへ行かしていただきましたが、私行って驚いたのですが、アレンビーの橋を渡ってほとんど自由自在に行き来しております。オープンブリッジと申しております。特に美智子妃殿下はキリスト教徒でございます。キリスト教の聖地が目の前にあるのになぜ皇太子殿下はヨルダンだけに行かれたか。だれがそういうばかな決定をしたか、ユーゴスラビアという国へ、共産主義国へ初めて——私は皇太子殿下が政治的に利用されたと思っています。むしろ三木総理大臣が共産主義国へは行くべきで、ツァーを認めない国にツァーをやるというのはおかしいのです。ツァーと言えば語弊があります。皇太子殿下をなぜユーゴスラビアに送られたか、そしてなぜヨルダンに寄ることにされたか、これをだれが考えたかです。ずっと突き詰めていってだれが考えたかを教えてください。それはだれが決めたか。
  132. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもが陛下あるいは皇族、いわゆる皇室を、ことに海外に行かれますという場合に政治的に考えてはならないということは、これはもうきわめて大事な鉄則でございます。したがいまして、私もユーゴの場合の深い経緯は存じませんけれども、たまたま当時閣僚をしておりましたので私自身の記憶にございますのは、一九六八年にチトー大統領わが国を訪問され、そこで言ってみればその答礼をするというのがごくごく普通の国際慣例でございますが、先方が大統領であるということから、これは国によって考え方が違うのでございますけれども、大統領というものと首相というものとをやはり一画分けて考え考え方が国によってはかなり強い場合がございます。そういたしますと、これは決して政治的に利用をするという意味合いでなく、いわば大統領が元首であるということであれば、元首またはその元首の名代ということを先方が期待するという場合がしばしばございまして、しかももう一つ申しますと、元首またはその名代というそこにもまたかなりこだわって考える相手もあるわけでございますが、ユーゴの場合には、たまたまユーゴのチトー大統領が六八年に参りまして、何か答礼をしなければならないということがいわば懸案でありましたところ、今年夏前になりまして、六月でございますか、ユーゴ政府の方から皇太子殿下を御名代としてお迎えするのに都合がいいということを言ってこられましたので、御名代として皇太子、同妃殿下においでを願った。これはいわばかつてのユーゴの元首の訪日に対する答礼というふうに考えたわけでございます。  それからジョルダンの場合には、先般御承知のようにフセイン国王が来られまして、そのときにジョルダン側から天皇陛下に対して御訪問方の招待がございましたけれども、それば事実問題としていろいろむずかしいことでございますので、皇太子殿下に御名代としておいでを願ったということで、これもフセイン国王が来日されましたことのいわば答礼ということになっているわけでございます。もちろん、日程からすればイスラエルはすぐ隣りではないかということはごもっともなことでございますけれども、そのような厳格に非政治的な、しかも、元首または元首に準ずる人々の訪日があったときにその答礼をするというような慣例において、このたびの皇太子殿下の両国訪問があったものというふうに考えております。
  133. 中山正暉

    ○中山(正)委員 それでは外務大臣、天皇は元首だと思っていてよろしゅうございますか。
  134. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 憲法の定めるところによって天皇は国の象徴であるということで、元首というふうに私どもの憲法ではなじんでは考えておらないというふうに存じておりますけれども、国外から見ましたときに、非政治的な意味日本を代表せられる象徴というふうに考えられておる、そういうふうに受け取っておると申すべきではないかと思います。
  135. 中山正暉

    ○中山(正)委員 キッシンジャーの演説がまことに適切なことを言っているなという感じがする。日本人でありながら、外務大臣のおっしゃっている意味がなかなか——私などは、特にそういう各国の民族性というものをもっと考え行動しないと日本人は大変な誤りを犯すのではないかという気持ちがしますので、心配をするわけでございます。  特に、この間からキッシンジャーとかそういう方々とアメリカで会っておられるということでございますが、最近非常におかしいのは、これもユダヤ人でございますが、キッシンジャーのお兄さんのウォルター・キシンジャーというのがパリにローエ・カンパニーという会社を持っておりますが、これがソビエトと一億二千五百万ドルの契約を結んでおります。その契約の中に、モスクワ市中心部分の五百カ所のガソリンスタンドが入っております。それから、あの小麦の大買い占め、大略奪というような言葉で世界じゅうで呼ばれております小麦の買い占めでございます。ものすごい過剰生産になって大変だったところを、アメリカ政府の保証でソビエトに最初の年が三千万トン、二・億石でございます。一人大体穀物は一石と言いますから、大体ソビエト人一年間分の小麦を買い占めたことになります。それで大もうけをしたのがこれまたニューヨークのキッシンジャーのお兄さんのウォルター・キッシンジャーの会社でございます。これは、フランク・A・カペルという人が、アメリカでは発刊禁止になりましたが、「ソビエト代理人キッシンジャー」という本を出しておりまして、いろいろ反響を呼んでおるようでございます。  私がどうしてこういうことを言うかというと、実は、アラブの石油以来、ユダヤ人、アラブとイスラエルというものにもっと注目をしないとだめだなと、いろいろなことを考え始めたわけでございます。  たとえば、つまらない話でございますが、ついこの間、何年か前の「天地創造」という映画をやった。「ザ・バイブル」。これは日本人にユダヤ人とは何かということを見せるためにあれしたのではないか、そのユダヤ人に逆らった日本人が三十年前にどんなやられ方をしたかというと、その後今度は「ミッドウェイ」というのをやっております。私は非常におもしろいなと思いながら、いろいろなものをそういうふうに見ておるわけでございます。  たとえば、チャーチがソビエト・ユダヤ人大会に二月十九日に出席しておりますことを御存じでございますか。
  136. 山崎敏夫

    山崎説明員 チャーチ上院議員のことかと思いますが、その事実は残念ながら把握しておりません。
  137. 中山正暉

    ○中山(正)委員 これは外務省からいただいたのでございます。世界ユダヤ人大会が二月十七日から十九日まで。日本の新聞ではジャパン・タイムズだけが載せております。どういうわけか、チャーチの一挙手一投足を報道した新聞、マスコミはない。  チャーチ上院議員が世界ユダヤ人大会に出席をして、不思議なことには、ベトナム援助の打ち切りの動議を出したチャーチ議員が、今度ソビエトに行ってユダヤ人大会に出ましたら、そのソビエトとの対決論をぶっております。それに対して今度は、いつでもソビエトの悪口を言っておるイスラエルのゴルダ・メイアが、チャーチ議員は若い、そういうお粗末なことを言っておったらだめだと、逆にソビエトとの融和論をぶったのです。フランスのル・モンド紙に三日間にわたって演説の内容が掲載をされておりますので、実におもしろいと思って、私、読んでみたわけでございます。ロッキードのコーチャンもユダヤ人でございます。もちろんプロクシマィヤー、クラッター、皆ユダヤ人でございます。  そこへまた、いろいろな国内政治も考えなければなりませんからよけいなことを申しますが、江公民体制というので、松前重義なんという人も出ました。この人は日ソ協会の会長でもございます。どうもその背後には、不思議なことに——もう時間がありませんのでダイジェスト版でいかなければなりませんが、金大中、さっきからいろいろ同僚、党は違いますが、ほかの党の方から金大中の話が出ておりますが、金大中が日本でいなくなったときに、どこのパスポートを持っていたのですか。
  138. 中江要介

    ○中江説明員 私の記憶に間違いがなければ、国際赤十字委員会の出しておりましたレッセ・パッセを持っていた、こういうふうに記憶しております。
  139. 中山正暉

    ○中山(正)委員 そういうことですね。これは渡航文書でございます。あの年、四十八年の八月八日にいなくなりましたが、一月の五日に日本に入ってきまして、二月の二十七日に韓国のパスポートが切れております。それは不思議なことに、これはずばり言ってしまいますが、ライシャワー元大使と宇都宮徳馬代議士が法務省へ行って、いまの赤十字の、大体世界で六十カ国ぐらいが国際条約承認しているそのパスポートを取られて、それからアメリカへ出られて、それでまた日本に帰ってこられていなくなられたわけです。  警察庁の方来られていますでしょうか——何でその前の年から新潟に来ていた帰還船万景峰号、北朝鮮の船ですね、何でこれが大阪湾へ来かけているのですか。どういう理由ですか。
  140. 大高時男

    ○大高説明員 万景峰号については、四十七年の九月に大阪に入港をしておると承知いたしておりますけれども、用務その他につきましては、私どもつまびらかにいたしておりません。
  141. 中山正暉

    ○中山(正)委員 松生丸がやられたら、北朝鮮には関係がありませんので何も言えませんというのが日本政府でございますが、おかしなことに、私の大阪に韓国人、これは日本に六十万人おりますが、そのうちの二十万人は大阪に住んでおります。御承知のとおり、文世光も大阪から出ました。大阪のお巡りさんのピストルがとられて、それで朴大統領が撃たれて、その撃たれた弾が、委員長の机のように角が丸かったものですからそれがはねて陸夫人に当たった。日本の警官のピストルの弾で当たった。その韓国に敵対する北朝鮮の船が、最初四十七年の九月二十一日から二十七日まで来ております。四十八年の四月二十五日から五月四日まで、金大中がいなくなる直前にも来ております。  私、あえて申しますが、その前の年でございましたか、韓国の東急ホテルの前に立っていましたら、私のそでを引く人がおります。そして、金大中に会ってみないかというお誘いを受けましたので、一人で行っては危ないと思いましたから、四国の森下元晴代議士をお誘いして、変なホテルへ連れ込まれました。変なホテルへ連れ込まれて、そして入ってみると金大中が前に座っておりまして、中山さん、朴ではだめだ、何とかひとつわれわれに協力をしてくれないかというお誘いがありましたが、三十分ぐらい話を聞いて、私は実はそれでは金大中さん、一つ伺いたいことがあります、あなたの国はだれかがマイクロホンの前に立って、土地を没収します、集会はするな、すべては国有になりましたという宣言をすれば、それで共産主義国になるが、あなた、祖国統一、祖国統一とおっしゃるが、金日成という人のいるところへ行って北朝鮮を自由主義国に戻す何か方法があるのでございますか、これは百年河晴を待つがごとし、恐らく戻ってきません、あなた、自由民主党の国会議員の私に、あなたのお国でそういうお話しかけをなさるならば、何かその方法がおありでございますかと私が聞きましたら、金大中先生、何のお答えもありませんでした。  そういう人物でございます。そういう人物に、われわれの「よど号」を何日間もソウルにとめておいて、そうしてさんざん頼むだけいろいろなことを頼んで、そうして金大中という仮にも韓国大統領候補が入ってきたときに、韓国政府のパスポートが切れた後、幾ら人道的立場と言えるかもわかりませんが、日韓条約の精神を踏みにじったのはむしろ日本政府だと私は思っています、水際でお帰りくださいと言うのがあたりまえじゃないでしょうか。外務大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
  142. 中江要介

    ○中江説明員 ちょっと、どういうわけでそういうふうになったかということは私からはお答えできにくいことでございますけれども、ただ、手続としては合法的に入国されたということで、その手続の中にどういう配慮があったかということについては、私存じ上げておりません。
  143. 中山正暉

    ○中山(正)委員 私がもし外務大臣をしていましたら、私は政治的亡命だと見ますから、日本は難民の救済に関する条約を批准しておりません。ですから、政治的立場を持った方がそういう。パスポートで日本にいようとしたらお引き揚げを願うのが当然じゃないでしょうか。よく外国の船で密航してきてソビエトへ帰りたくないという人を、いつも日本政府はどこかへわざわざ紹介をして、いやがる人を帰しているのが例でございます。そのときは何も言わずに、今度は金大中という人、私も会った経験があって、私の体験談でございます。そういう方々に対するいまのような配慮は、本当の友好国の立場を踏みにじる大変なものだと私は思うのです。  まだいっぱいお伺いしたいことがございます。たとえばさっきのアミン大統領の話。週刊新潮にいいことが書いてあります。「氾濫する「タテマエ論」」と書いてあり、「ハヘブレ」これは特攻隊でございますが、「「ハヘブレ」の奇跡的な大活躍に欧米の世論はわいている。フォード米大統領とシュミット西独首相は、いちはやく「満足と安堵の意」を示すメッセージをイスラエルに伝え」、これが政治的はっきりした立場です。同じ核防条約を批准した西ドイツが、「「満足と安堵」の意を示すメッセージをイスラエルに伝え、英仏両政府は、同じ趣旨の公式声明を発表した。むろん欧米各国の新聞も最大級の賛辞を送った。「悪いのはアミン、当然のむくい」(デーリー・エクスプレス)「武力というものが、とかく無効だと考えられている時代に、時には武力による解決も効果を表わすということを示した」(ザ・ファイナンシャル・タイムズ)「アフリカのど真ん中で、わずか三十六分の間にアミンとテロリストのギャングが恥をかかされるのを見た。イスラエルに対する非難は見当違い、アミンとギャングの自業自得である」(ザ・ガーディアン)「イスラエルは、祖国から二千五百マイルも離れた非友好国で武装ゲリラに捕まっていた百人もの人質を助けた。こんなことは、普通、小説の中でしか成功しない。しかし、現実にあった以上、人は〃よくやった〃とイスラエルに敬礼すべきだろう」(ザ・タイムズ) それにひきかえ日本の世論はどうか。井出官房長官は七月五日、内閣記者会との会見で、「情報が錯綜していて、まだ判断がつかず、論評はさけますが、ただ、多くの人命を失ったことは遺憾であります」と非公式の見解を述べたに過ぎなかった。また、民社党を除けば、社会党、共産党、公明党の野党はすべてイスラエルを非難する。「イスラエルの、ああいう、武力で攻撃してコトをすまそうというやり方は、私たち承認できんなあ。といってゲリラを認めるといってるんじゃないが……」(川崎寛治・社会党国際局長)」全く矛盾でございます。だから、さっきの共産党の先生の御質問の中にも金大中を擁護するようなお話がありましたが、私は、彼は私たちと同じ自由主義者でないと見ています。  最後に委員長にお願いしてやめますが、岩波の出している「世界」の六月号に「一自民党議員の憂い ロッキード事件と日韓関係」これは塩谷一夫議員でございます。そして、おもしろいことに、さっきのアメリカの大使館のマークと同じマークがここへ入っています。どういうわけでございますか。この中に「「これが知れたら大変なことになる」。宰相の地位にあった人が、日韓関係についてちょっと洩らした歎息まじりの言葉であった。「ロッキード事件の解明は、日韓関係を洗った方が近道だ」」、いまロッキード事件を一生懸命やっておられますが、日韓関係を洗った方が近道だとお書きになっている文章があります。私は国会対策副委員長も塩谷先生と一緒にやりましたし、ふだん大変御指導をいただき、当選以来御指導願って御尊敬を申し上げている塩谷先生のお書きになった文章でございますので、ぜひ御本人の御好意でこの委員会に出ていただいて、ロッキード事件解明の近道なんといういい近道がありますのでしたら教えていただきたい。ここにラストボロフ事件の供述もありますが、四十三万ドルが動いたと書いてあります。アメリカからそれだけ金が入っているならあっちこっちから大分金が入っているのでしょう。トラック部隊事件なんてのもある。私はいまラストボロフ事件を見直しておるわけでございますが、それやこれやで委員長に、塩谷一夫代議士御本人の御好意によってこの委員会に御出席を願い、私から御質問を申し上げたい、かように思いますので、何とぞ新参者を御指導いただく意味をもちまして、この委員会に御出席を賜らんことをお口添えを願います。特に総理大臣の同じグループに属される方でございますし、この御発言は大変重要なものであろうと思われますので、ぜひひとつ御出席を願いたい、かように考えるわけでございます。  実は、最初に言いましたように、台湾韓国のことを外務大臣が御心配なさっていてごりっぱだと申し上げましたのは、ある意味ではフィリピンから西はもうアメリカがめんどくさくなってきた——めんどくさくなってきたと言うと大ざっぱな言葉でございますが、どういうわけか、日本の元領土であった南太平洋の島々を五十四番目の州にする条約にサインをしております。もうこれから防衛は点の防衛でございます。あとは、アメリカの上院でも報告しておりますが、ドイツと日本に核防条約を批准させたからこれで武力の歯どめがきいた、こう言っております。あとは二千四百発のSALT交渉で、むしろ昔の紳士の決闘方式みたいなやつです。だましたら撃つというのが私は世界の現状であると思います。その面で、南太平洋の島々を五十四番目の州にする条約にサインをしたアメリカは一体何を考えているか。その中に大変大きな意味が含まれ、アメリカがいまとっておる行動というのは、私はある意味では日本捨てであると思う。そしてロッキードで内部を撹乱して、安保条約を切る、自衛隊は要らないという人の方へむしろ日本を中から変えていく方式がいまとられている、これがアジアに対する大きな大きなからくりだと私は考えているのであります。  そんなふうな考え方から、核防、そしてロッキードで悪い人があばかれる、これは世界が平和になる道だと思って私は落胆をしておりません。歯落胆をしておりませんが、さっき言いましたように、日本がいいかげんな態度をとって、この自由主義国のすばらしい頭脳を持った人間と大変な工業力を持った国が政治的体制が変わることになったら世界のバランスが崩れます。外務大臣、毎回しきりにバランスを崩さないようにとおっしゃっていますが、日本を守ることが世界を守ることだ、日本の大きな変革を招かないことをひとつ——もう古い人はいいと思います。ナンバーツーに宮澤大臣あたりがぼつぼつ上がってきておりますことに期待をしておりますので、あえてきょうはよけいなことを言わせていただいたわけでございます。大いに期待を申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  144. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会