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渡部(一)
委員 ちょっと言い回しがおかしいなと私は思いますのは、金の市場価格というのがもう百三十
ドルとか百四十
ドル段階でございましょう。そうすると、
公定価格で四十二
ドルでございますか、そういう金額のものを払い込むということは実質的にもうナンセンスの域に達しておる。そうすればこういう規定が出てくるのは当然である。
政策の厳かな変更なんかあったんじゃなくて、金相場が上がり過ぎたためのやむなき処置である、こう言った方が非常に素直に聞こえるのですけれ
ども、あなた外務
委員会なので少しずつはで目にはで目に、
大蔵省がさもこうやっているぞというふうにお話しになっているように聞こえて仕方がないですね。そのくらいは私でも知っておるということをちょっと申し上げておきまして、余り言うつもりはありませんが……。
もう
一つ申し上げておきたいのは、ここのところで藤岡眞佐夫さんとおっしゃるのは、これは
国際金融局長ですね、御自身がお書きになったものの中にあるわけでありますが、ヨーロッパの立場、つまり
ニクソン・
ショックで
ブレトン・ウッズ体制の二つの柱であった
固定相場制と交換性が崩れた後の作業についての立場を述べておられまして、「ヨーロッパの立場は、交換性について、より厳しい仕組みを設け、いわゆる
ドルのたれ流しからくる国際収支の無節度、および流動性増大の及ぼすインフレの排除に主眼点があった。」こういうふうに書かれております。私はそれは
わが国の立場とも似た立場であろうかと思うわけですね。ところが、そのねらいがうまく果たせられたのかどうか、非常にヨーロッパ側から見ても問題ですし、
わが国は
わが国なりの問題性をはらんでいるのではないかと思います。
ですから、特に
一つ言うと、チューリヒの小鬼たちと言われる数百億
ドルの預金を持っていて、何かと
国際通貨に売り浴びせを行って、さきにリラを暴落せしめ、今度はポンドを売り崩し、そして今度はまたフランをねらいというような膨大な流動資金がヨーロッパでうろうろしておるわけですね。そういうものを売り浴びせられたときに、イタリア
政府も敗北し、イギリス
政府もまた敗北を喫し、そして
フランス政府も大きな蹉跌を演じなければならなかったのが、今回の
体制というものが不十分なことを示す厳たる証拠ではないかと私は思っておるわけですね。
私が先ほどの
過剰流動性に対する
わが国政府の
対応というのが非常にまずかった、それを
反省しておるかとわざわざ申し上げた理由はそこにある。今後はその数百億
ドルの資金、チューリヒの小鬼たちと言われる人たちはいまもう大鬼たちに成長しておる、そこへもってきて、油代金による膨大なプラスアルファがある、それらの資金が
日本市場において投機に投じられてきた場合に、円の売買に投入されてきた場合に、
わが国はどういう
対応でそれをやるか、もうとてもじゃないけれ
ども対応のできない事態というのを迎えるのではないかと私は思っておるわけなんです。それに
対応できるのですかと率直に伺いたい、将来のために。いまのやり方では恐らく古い古い
大蔵省の体質からいえば、ここの投機には対抗できなくなって、たちまちひどい目に遭うのではなかろうかと思っております。どういう歯どめがあるのか、本
協定においてはその辺は全く無防備に放置されたままになっていたということは、幾ら何でもこの
協定の交渉はいま次長がおっしゃったような甘いものではなかったのではないかと私は思うわけであります。私はいまゆっくりお話ししましたから、まだ御相談することがあったらゆっくりやってください。これは将来にかかわる重大問題ですよ、この発言は長く記録されるでしょうから、ちゃんと御相談なさって、どうぞ。