○
中山(正)
委員 私、実はその当時、ちょうど
アメリカのスポーケンで万国博覧会がありましたものですから、大阪で万国博に
アメリカ人にたくさん来てもらいましたので、お礼の意味も兼ねて
アメリカのスポーケンにも行かなければいけないと思って行って知ったことは、三ドルなら
開発ができないが五ドルならば
開発ができる、中東紛争のおかげで
石油の
開発が可能になった、OPECの
石油が十一ドル六十五セントになったということで民間六社に競売をしている姿を見て、ははあ、これは何か中東紛争との間には仕掛けがあるなと私は実は思ったのです。それ以来、実は去年私、ちょうど労働
政務次官をしておりましたときに、ILOの総会に出た帰りにイスラエルに行きまして、毎回言うことでございますが、イスラエルとヨルダンの国境のヨルダン川にかかっているアレンビーブリッジというところへ行ってみたのですが、ここはオープンブリッジということになっておりますが、見てみて、イスラエルの野菜や果物を載せた自動車がどんどんアラブへ出ていく、アラブの方からは機械や人を載せた車が入ってくる、川の手前でナンバープレートをつけかえて入ってくる姿を見て、これは不思議な姿だなと実は思ったわけでございます。
日本でテレビやマスコミを見ておりますと、必ずアラブとイスラエルの激しい戦いの話しか出てきておりません。ところが、どうもあの現場へ行って見ております限りでは、イスラエル側の将校がヨルダン側の将校に、あの軍服を脱いでこっち側へ来たらジェルサレムの町でコーヒーが飲めるのだ、こう言う。それを見ておりますと、キッシンジャーが中東紛争が
経過した段階ですっと出ていって、OPECの
石油が十一ドル六十五セントに上がるとぴたっと戦争をとめて、そして
アメリカの山の中の
石油が
開発をされる、その採掘権が競売をされる。五年すると、七三年でございますから七七年ごろになると、そのオイルシェールが
世界じゅうに出回る。OPECの
石油がやたらに値段を上げられなくなってきたわけであります。その段階が来るとアラムコみたいな会社が、実はこれは背景はユダヤ資本でございますが、国有化されてもこれは採掘権を持っている、特許権を持っている連中は皆ユダヤ人でございます。確かにサウジアラビアの下には百五十億バレル、といいましても
アメリカの山の中で
開発の競売がなされましたところにはサウジアラビアの百五十億バレルの百七十倍、二兆バレルという
石油があるというのですから、これは
アメリカ石油資本が去っていったらOPECの国はどうにもならなくなりますし、逆にアラブダラー、オイルダラーというものは全部
ニューヨークの金融機関でちゃんと操作をしているといいますから、私はその状態を見ておって、これは
石油には大変大きな仕掛けがあるなと思った。
実はここに私は「セブン・シスターズ」という本を持っておりますが、これにいわゆるユダヤ・セブン・シスターズ、
日本の新聞には七人きょうだいは泣いているなんという見出しは出ませんが、
アメリカの新聞には大見出しで「七人姉妹は泣いている」、これはエッソとモービルとシェルとテキサコとそれからソーカルと、ガルフとブリティッシュ・ペドロリアム——BP、この七つの姉妹でございます。この七つの
石油資本の中で、この本の中に書いてありますことでは中東の国の一国の財政すらも立てかえているところがある。大変
石油資本を背景にした裏側にはいろいろな問題があると思うのでございますが、その裏側で最近アラブ寄りに
日本の外交姿勢が大変急激に
石油問題以来変わっている、こういうことが一体配慮されているんであろうか。イスラエルというものを背景にしたいわゆるユダヤ資本に対抗をして単純にアラブ側に寝返っていくことが、実はあのイスラエルが大変いじめられておったときですら、
アメリカの百人の上院
議員の中の七十六人がイスラエル支持のサインをしております。
特に、今度ロッキード事件でもおもしろいのは、チャーチという
委員長、これはもちろんユダヤ人でございますが、彼が二月十九日にソビエトユダヤ人大会に
アメリカ人代表で自家用飛行機に乗って飛んでいっております。ベトナムに対する軍事援助を打ち切れという動議を上院で出した男がチャーチでございますが、そのいわゆるデタント派、ソ連派の協調の一番激しいチャーチ
議員が、そのソビエトユダヤ人大会での
演説は、ソビエトとの強硬な対決論をぶっております。それに対しまして、その直後に出たゴルダ・メイア、イスラエルの前の女の総理大臣が、逆にソビエトとの対決論をぶたなければならない
立場であるのにもかかわらず、チャーチ
議員は若くて——若くてといったって五十一でございますが、若くてこの男はどうにもならない、ソビエトと対決をしようというような時代ではない、ソビエトとの協調が大切であるというような話を実はしておるわけでございます。
私、実はアラブの
石油以来ユダヤ問題というのがどうも
日本で余りにもわからなさ過ぎるのではないかと思いましたので、実はユダヤ問題、一生懸命に勉強を始めたわけでございますが、特にもう速記録にも載せていただくために一応読んでみます。
ユダヤ国際資本の一例−国際
石油メジャー八社の資本構成
国際資本主義におけるユダヤ人の活動状況の一例として、最近注目されている国際
石油資本(メジャー)についてみよう。
ふつう
世界の
石油市場でメジャーと呼ばれているのは次の八社である。エクソン、モービル・オイル、テキサコ、ガルフ・オイル、スクンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(以上五社は米国籍)、ロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭合弁)、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP・英国籍)、以上の七社がいわゆる「セブン・シスターズ」といわれ、これらよりはるかに
規模の小さいフランス
石油(CFP・仏国籍)がある。
これら八社が取扱っている
石油の量は、一九五七年で原油生産では
アメリカを除く自由
世界の九一%、中東
地域では九五%に達した。その後、各国の独立系
石油会社(いわゆるインデペンデント)が進出してきたので、
世界の
石油市場における占有率は次第に低下した。それでも一九七〇年で、
世界の原油生産の五六・五%、
石油精製の四七・七%、
石油製品の六〇・二%を支配している。「そのため、いずれも巨大多国籍企業として
発展し、ちょっとした中小国よりは、はるかに大きな
経済力を持っている」といわれている。
これは週刊文春とかそういうものに載っているものを注に書いてございますが、それは省きまして、
これらのメジャー八社のうち、ユダヤ人問題との
関連の深い「セブン・シスターズ」について、その
石油問題についてでなくユダヤ
関係を主に検討しょう。
エクソン=資産総額二一五億五、八〇〇万ドル(
世界第一位)。
まずこれを読んでいると時間がかかりますので、その次に、
モービル・オイル=七二年の総売上げ額九一億六、六〇〇万ドル。
スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(ソーカル)=七二年の総売上げ額五八億二、九〇〇万ドル。
テキサコ=資産総額一二〇億三、二〇〇万ドル(
世界第三位)。
ガルフ・オイル=七二年の総売上げ額六二億四、三〇〇万ドル。
ロイヤル・ダッチ・シェル=七二年の総売上げ額一四〇億六、〇〇〇万ドル(
世界第四位)。
ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)=七二年の総売上げ額五七億一、一〇〇万ドル(米国企業を除いて
世界第四位)。
と書いてございますが、
このようにメジャー八社の資本は国際的にもしごく入り組んでいて、どの会社がユダヤ系で、どれが非ユダヤ系だなどと単純に割り切ることなどとうてい不可能な状態である。少なくともユダヤ国際資本を基礎としているのがはっきりしている「エクソン」「ロイヤル・ダッチ・シェル」「ガルフ・オイル」「スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア」は当然であるが、その他の「モービル・オイル」「テキサコ」「ブリティッシュ・ペトロリアム」「フランス
石油(CFP)」にも、ユダヤ系国際資本が重要な比重をもって参加していることは否定できないのである。
とくに国際金融問題に重要な撹乱的作用をもたらそうとしているのは、“オイル・マネー”とか“シェイク・ダラー”などと呼ばれている中東産油国の膨大な外貨である。これらの外貨はふつう余剰ドルとなってヨーロッパの金融市場に流出することが多く、またすでに
アメリカのユダヤ金融資本の総元締めともいうべきモルガン系の
銀行やその他のユダヤ系
銀行には数十億ドルのオイル・ダラーが積まれているといわれている。
石油公示価格の値上げによってアラブ産油国が受け取る
石油収入はどんどんふえている。たとえば、
世界最大の
石油王国サウジアラビアでは、七三年の
石油収入約四七億ドル、同年末の金外貨準備約五〇億ドルと推定されている。もし今後、
石油の公示価格が七一年のテヘラン
協定の水準まで上り、原油生産量が「七〇年代末までに日産二、〇〇〇万バーレル(現在八〇〇万バーレル)まで引き上げる」とするならば、同国の金外貨は八〇年代の初めにはゆうに五〇〇億ドルを超えるだろう。「アラブ産油国が八五年までに受け取る
石油収入は、しめて二、四〇〇億ドル。このうち半分を使ったとしても、なお一、二〇〇億ドル残り、全
世界の
石油会社の株式全部を買収できる額で……現在の全
世界の金外貨準備を合わせた額と同じである」といわれている。
これらのオイル・マネーが取扱われるのは、主として英国の国際金融センターであるロンドンのシチー、チューリヒやジュネーブなどのスイスの
銀行街および米国のウォール街を中心とする
ニューヨークの金融センターである。これらの機関のいずれにおいても実権を握っているのはユダヤ人である。中東でアラブとイスラエルがどんなに戦争をくりかえしていようが、ユダヤ金融機関を通さなければならない。そのため「
世界の三大金融センターをユダヤ系資本が握り、そこにアラブ・ダラーが結び付いている以上、アラブ・ダラーがそれほど無軌道な動きをすることはあるまい」といわれている。
実際にアブダビ
政府、クウェート
政府、サウジアラビア
政府などアラブ諸国
政府の資金を運用したり、その債券投資のアドバイザーになっているのは、ロスチャイルド、S・Gウォーバーグ、ヒルサミュエルなどのユダヤ系の英国の大手マーチャントバンクやスイスユニオン
銀行などである。英国の「多くのマーチャントバンクがアラブ産油国に財務顧問を送り込んだり、産油国
政府の資金を預って運用していることは公然の秘密」で、また「チューリヒのスイス・ユニオン
銀行はアブダビ
政府のアドバイザーになっていると言われている」し、米国
最大の投資
銀行モルガンスタンレー、モルガン・ギャランティ・トラストなどの「
ニューヨークの大
銀行もアラブ産油国の“金融指南役”」になっているのである。
だから「ユダヤ資本がなければシチーは骨抜きになるとも言われ、ウォール街やチューリヒもその点では変わりはない」のだから、アラブとイスラエルが戦っているからといって「ユダヤ資本の強力な存在を忘れてアラブ政策を打ち出すと、とんでもない落し穴にはまる恐れがある」といわれている。
これらの膨大なオイル・マネーが
世界の金融市場に流れ込んだ場合どうなるか。すでに先年のヨーロッパ金融市場の混乱のときも「産油国の余剰ドルが為替市場でのドル危機や自由金市場でのゴールドラッシュに大きな役割を果たしている」から、これらの膨大なオイル・マネーをいかに吸収していくかということに今後の国際金融の大きな課題があることになろう。そして、ユダヤ国際金融資本の問題としてみるならば、これらのオイル・マネーの吸収とその利用をめぐって、
アメリカ系のユダヤ資本とヨーロッパ系のユダヤ資本との激しい競争が展開されるものと予想するむきもある。
こう書いてある。
私が
外務省当局にお
伺いをしたいのは、一体こういう背景を配慮に入れて中東政策を考えておられるのかどうか。
PLOの招待を社会党
議員と争って
自民党がPLOを
自民党本部に呼んだ。これなどは、そういうことの問題を大変よくわかっている外国には大きな悪影響を及ぼしているのではないか。中東政策に対してこの配慮をどんなふうに考えていらっしゃるか、ひとつここでお
伺いしてみたいと思う。