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1976-03-03 第77回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月三日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 鯨岡 兵輔君    理事 坂本三十次君 理事 中山 正暉君    理事 水野  清君 理事 毛利 松平君    理事 河上 民雄君 理事 堂森 芳夫君    理事 正森 成二君       粕谷  茂君    木村 俊夫君       竹内 黎一君    原 健三郎君       福田 篤泰君    福永 一臣君       江田 三郎君    川崎 寛治君       土井たか子君    三宅 正一君       渡部 一郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         外務政務次官  塩崎  潤君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省経済局長 本野 盛幸君         外務省条約局長 中島敏次郎君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         国税庁次長   横井 正美君  委員外出席者         警察庁刑事局参         事官      三島  孟君         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         外務大臣官房領         事移住部長   越智 啓介君         外務委員会調査         室長      中川  進君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   坪川 信三君     粕谷  茂君   金子 満広君     松本 善明君 同月十三日  辞任         補欠選任   松本 善明君     不破 哲三君   永末 英一君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     永末 英一君 同月十四日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     渡部 一郎君 同月十六日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     石野 久男君 同日  辞任         補欠選任   石野 久男君     川崎 寛治君 同月十七日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     阿部 昭吾君   大久保直彦君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     川崎 寛治君   近江巳記夫君     大久保直彦君 同月二十日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     松本 善明君 同月二十一日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     野田 卯一君   正示啓次郎君     小澤 太郎君   竹内 黎一君     江崎 真澄君 同日 辞任          補欠選任   江崎 真澄君     竹内 黎一君   小澤 太郎君     正示啓次郎君   野田 卯一君     粕谷  茂君 同月二十三日  辞任         補欠選任   松本 善明君     金子 満広君 同月二十六日  辞任         補欠選任   竹内 黎一君     野田 卯一君 三月一日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     竹内 黎一君   大久保直彦君     正木 良明君   永末 英一君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     大久保直彦君   小平  忠君     永末 英一君 同月二日  辞任         補欠選任   竹内 黎一君     櫻内 義雄君 同日  辞任         補欠選任   櫻内 義雄君     竹内 黎一君     ――――――――――――― 二月十二日  日本国ハンガリー人民共和国との間の通商航  海条約締結について承認を求めるの件(条約  第一号) 同月十七日  国際特許分類に関する千九百七十一年三月二十  四日のストラスブール協定締結について承認  を求めるの件(条約第三号)(予) 同月二十七日  経済協力開発機構金融支援基金を設立する協  定の締結について承認を求めるの件(条約第二  号) 同月十二日  日中平和友好条約即時締結等に関する請願(  楢崎弥之助紹介)(第一七七号)  同(村山富市紹介)(第三〇六号)  同(渡辺三郎紹介)(第三〇七号)  ソ連漁船団の日ソ漁業操業協定遵守等に関する  請願水野清紹介)(第二二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十九日  日中平和友好条約早期締結に関する陳情書外  一件(第一  四号)  日朝国交正常化促進に関する陳情書  (第一五号)  朝鮮の自主的平和統一促進に関する陳情書外一  件(第一六  号)  ILO条約第百十一号、第百三号及び第八十九  号の批准等に関する陳情書  (第一七号)  ILO条約第百五号の即時批准等に関する陳情  書  (第一九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。水野清君。
  3. 水野清

    水野委員 大臣おいででいらっしゃいますのでひとつ伺いたいのですが、最初ロッキード事件について外務省の担当しておられる部分について伺いたいと思います。  実は昨日の夕刊にいろいろな記事が出ておりますので、この記事について伺いたいと思います。  まず第一には、三木総理大臣からアメリカ政府に、政府高官名を含むロッキード事件に関するアメリカ議会資料その他を日本側提供してほしいという親書をお出しになりましたが、それに対するフォード大統領返書が今週中に来るだろう、これは新聞に書いてあるわけです。そしてこの返書の草案の作成をやっている国家安全保障会議NSC筋が、筋と書いてありますが、返書は今週中に外交ルートを通じて日本側に手渡されるだろう、早ければ先週いっぱいということもあったが云々。ただこの同じNSC筋は、関係各省、これはアメリカ関係各省間での協議が続いていることをおくれの理由にしている。送付がおくれているわけではないとか、いろいろこういうことを言っております。  向こう側でおくれている理由でありますが、何かおくれている理由が、こういうことでおくれているとか、あるいはいつごろ日本側大統領返書が来るとか、こういうようなことについて何らか外務省当局ワシントン大使館を通じて感触があるのかどうか、承りたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三木首相親書に対するフォード大統領返書でございますが、非常に詳細具体的には、私どもこれについていつどのような形でどのようなものがということはもちろん存じておりません。が、一般的に申しまして私どもの受けております印象は、基本的に三木総理大臣考え方とまさしく同意見である、したがってできるだけの協力をしたいということが米国大統領の基本的なお考えのようであります。そうして、それについて関係各省と申しますか関係者の間でいろいろ協議が行われていることも事実のようでございます。恐らくこのことは三木首相の書簡に対して、まあ一般論として賛成であるということにとどまらず、もう少し真剣に、具体的にどのような方法をもって協力すべきかということをあらかじめ部内で協議をしておる証査ではなかろうかというふうに想像をいたしております。
  5. 水野清

    水野委員 そうするとそれは想像の域でおられるわけでございますね。たとえばフォード大統領考え方はこうであろうというようなお話をいまなさったけれども、これは何か口頭ではあったけれども文書として来ているのではない、こういうことなんですか。それとも、全く想像なんだがそういう感触だという、感触ということは何か接触があったということにとられますが、何かあるのでございますか。というのは、私が伺いたいのは、いま日米間のやりとりの中で、裏で何か政府間で話し合いをしていて故意に返事をおくらしているんだろうとか、そういう憶測が非常に出ているわけでございます。ですから、その点をひとつ大臣正確にお話をいただきたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の印象を申し上げただけでありまして、日米間に具体的に——もとよりこのいわゆる返書でございますが、それをめぐって何ら接触があるわけではございません。  ただ、三木親書を出されるに至ります前の段階で、何度か私ども資料提供等々について米国政府に申し入れをいたしております。それに対する先方の回答、対応は、常に基本的に協力したいということでございました。これは事実関係として私どもは存じております。そのことに変化はないというふうに判断をしておるわけでございます。
  7. 水野清

    水野委員 次にこの資料提供で一番いま問題になっているのは、いわゆる日本政府高官名が入っているといわれる、アメリカ議会でなくて、大統領直属SEC証券取引委員会であります。この資料取り扱いの問題が一番問題になっているわけでありますが、これも新聞の伝えるところでありますが、これは朝日新聞のきのうの夕刊に載っておりました。アメリカ総局発、こうなっておりますが、ヒルズ委員長が「今週中に日本政府資料提供要請司法省を通じて正式に伝えられると思う」、というのは、まだ伝えられていないということですね、この記事のとおりであれば。「思うが、その要請に応ずる」というふうに記者に話をしておられます。そして同時にヒルズ委員長は、「この資料をめぐる日本政府のあつかいについて“ある保証”が」とこれは括弧がついております、「が得られなければ、司法省証取委日本要請を伝達しないだろう」こういうことを言っておられます。さらに、このヒルズ委員長のある保証について、これはこの新聞記事でありますが、資料が不公正に用いられない、第二はSEC自体捜査に支障を来さないという条件が必要だということを言っております。SEC自体捜査ということについて、私はどういうことかわかりませんが、こういう記事を伝えられると、これはフォード返書の中に、いわゆるいま注目の高官名が入っているかどうかということについてもかなり疑問だなという気がするのでありますが、大臣もこの記事をお読みになりましたか。率直な見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来、わが国が国務省を通じて資料提供方要請をいたしております問題について、国会の御質問の中で、それがいわゆる証券取引委員会に通じていないではないかというような御批判がときどきあるわけでございますが、これは通じていないのではありませんで、ただいま水野委員がまさしく言われましたように、正式のものとしては受け取っていないというのがSECの従来の言い方、と申しますのは、話は知っておるということを裏から言っておるということだと私ども考えておりまして、日本政府の意思が伝わっていないわけではない。  そこで、ただいま水野委員の御紹介になりました記事は私も読んでおるわけでございますけれども、ここで委員各位は誤解をなさいませんことは明らかでございますけれども一般に世の中でこの問題についてのわが国立場考え方というものと、アメリカ国内におけるいろいろな手続、アメリカ自身としての、対外問題でなくアメリカ自身の行政、司法といったような問題とがおのずから別々にあるということ、したがって、そのアメリカの内情はどうであるかということは、われわれにとっては実は第二義的な意味しか有しないのであろうと思います。私どもにとって大事なことは、できるだけ関係のあるすべての資料提供してほしい、それは基本的に日本側としてはすべて公表すべきものである。この点について総理大臣は、アメリカ側条件があればそれは云々と言っておられますが、これは恐らく、アメリカ側のそのような事情というものがあるならあるで、それは他国のことであるからそれとして考えなければならぬ場合もあるかもしれないがと言っておられるのだろうと思いますので、わが国としてはもらったものはすべて公表する、いわゆる政治的な配慮というものを加えてもらう必要はない、わが国にもそのつもりはないというのが政府立場でございます。
  9. 水野清

    水野委員 いまのお話で大まかなことはわかりましたが、ヒルズ委員長二つの点、公表するに際しての保証について、資料が不公正に用いられない、これは報道の記事もとにした議論でありますから非常にお答えにくいと思うのでありますが、不公正に用いられないということと、アメリカ証券取引委員会SEC自体捜査に障害がないというこの二つ条件はつけるのだ、こう言っておりますね。これについて日本政府としてはどういう扱いをなさるおつもりですか、あるいはそういう御検討をなさったことがございますか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日本政府としてそのようなことを聞かされたこともございませんし、検討もいたしておりません。それはアメリカ側事情であろうと思うのでございます。
  11. 水野清

    水野委員 私の与えられた時間が余りありませんので、次の問題に移ります。  今回このロッキードの問題で、多国籍企業というものについて、多国籍企業という言葉であったり、ワールドエンタープライズだとかいろいろなことを言われておりましたが、こういう企業取り扱いについて、いままでも当委員会で二重課税防止協定というような諸外国との協定の審議の際に、公明党の渡部委員その他から非常にいろいろな御質問がありましたし、検討を要するいろいろな御意見が発表されたわけでありますが、この多国籍企業について、これは種々多様であることは御承知のとおりであります。石油関係のいわゆるメジャーもそのうちでありましょうし、今度のような飛行機会社もそうでありますし、あるいは日本大型商社自身がすでに多国籍企業になっているということも御承知のとおりであります。こういうものに対して、日本側として国際的に話し合いをすでに国連その他の場でしていらっしゃいますが、いままでの場所でやっているからいいというだけでなくて、もっと積極的な呼びかけをして、アメリカ国内でも今度のロッキード事件で、外国へ行って政治献金や工作の金をばらまくようなことについて、これはアメリカの国外だから、いままで法律の対象にならないから処罰も何もなかったけれども、こういうものに対しても処罰しなければいかぬのではないかということをアメリカ議会議論をしておりますが、日本の方でも、外国から来たそういうものに対してどういうような取り扱いをするか、あるいは日本商社が、たとえば当委員会で二重課税防止協定議論をされましたが、アメリカ法人を持っている、さらにカリブ海のバハマ諸島あたり本社所在地を置いて、いわゆる法人税の非常に安い国に会社の籍を置いて、税金逃れということはいまの段階で言えるかどうかわかりませんが、とにかく事実上の税金逃れをしている、こういうようなことが伝えられております。現に、御承知のように、アメリカのガルフでしたかと出光興産との間の問題が新聞で伝えられております。現在違法じゃないですが、こういうものに対して政府自体が国際的にも積極的に話をなさる、あるいは国内的にもこういうものに対する規制に取りかかっていく必要があろうと思うのであります。これについて、これは外務大臣の御所管ではありませんが、国務大臣としてひとつお考えを承りたいわけであります。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現在、多国籍企業のいわゆるビヘービアについてわが国民が持っております大きな関心の点は、昨今の事態から一点に集中しておるわけでございますけれども、それはまたそれでもっともなことでありますけれども、本来、多国籍企業についての国際的なコードというようなものが考えられましたいきさつは、御承知のようにもう少し古くございまして、OECD最初にこの問題にかなり長い期間取り組んでおります。それは、OEDがいわゆる国際資本長短期資本自由化ということをコードに掲げて推進してまいりますに従って多国籍企業というものは広くなる。その場合、最初関心が持たれましたのは、その多国籍企業経済活動をどうやって主権国の恣意的な行為から保護するかというようなところから始まったわけでございます、沿革的には。しかしその後に、多国籍企業の方針によってその国の経済が自由に左右されるということは、また主権国としては困るという問題が出てまいって、それでOECDではそのような問題を取り上げつつあり、国連でも取り上げつつあるところへ今回こういう問題が起こってきました。でございますから、OECDは恐らく今回のような問題を含めまして、ガイドラインというものをここで考え直さなければならないと思っておるようでありまして、従来の予定では、今年中には何かガイドラインを出せるのではないかというふうになってきております。  国連の多国籍企業小委員会は、恐らくただいまの時点で第二回会議を開いておるということでございまして、当然、従来の問題に加えて、いわゆる道徳的と申しますか、腐敗につながるような行動をどうやって規制するかということになってまいりますと思います。  そういたしますと、従来から蓄積いたしております多国籍企業そのものに伴います経済的な問題、それはいま水野委員が御指摘になりましたたくさんの問題、それからやはり多国籍企業から見ました受け入れ国側の、たとえば国有化であるとかいうような問題も本来あるわけでございますし、あるいは多国籍企業の都合で、ある特定の国の工場を閉鎖することによって、その国の雇用に与える影響というような問題もあるわけでございます。それから、いまのような腐敗の問題もございます。そのようなものを全部ひっくるめまして、多国籍企業についてのコード・オブ・コンダクトのようなものが企業自身にも受け入れ国にも、あるいは各国の相互間の関係においても、どういうふうにすべきかということが集大成されることがやはり望ましいのではないか、こう考えておるわけでございます。
  13. 水野清

    水野委員 次の問題に移りますが、ロッキードの問題で少しわきに追いやられた感じでありますが、ソビエト共産党大会で、御承知のように日本北方領土の問題がいろいろな形で出ております。外務省ブレジネフ書記長演説に対してソビエト大使館抗議をなすったようでございますが、ブレジネフ書記長演説の中における北方領土問題に対する発言について、外務大臣の御見解を少し聞かしていただきたい。また、それについてとった外務省の態度についてもお話を承れればありがたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般の共産党大会におけるブレジネフ書記長報告演説の中に、日本との関連につきまして、日本他国の教唆によって不法な要求を出して、両国間の平和条約でございますか、平和の増進でございますか、これに害になるような、何かそういったような表現のことがありまして、その表現自身ははなはだ漠としておりますけれども、読みようによっては、われわれが国民的な運動として考えておるところの北方領土について言及をしておるのではないかともとれるような節がありました。  それで外務省としまして、ちょうど東京駐在ソ連大使会議出席のため不在でございましたから、責任局長代理大使を呼びまして、もしそのようなことであれば、これは日ソ会談外相会談でもしばしば述べておるとおり、わが国立場はかくのごときものであることは御承知のとおりである。もしこれかそのようなことを意味しているものであるとすれば、わが国としてはまことに理解しがたい、強くそれに抗議をするということを申しましたにつきまして、ソ連側は、今年一月の日ソ外相会談においてもこの領土問題についてのソ連立場というものは述べたはずである、その述べられたソ連立場から、ブレジネフ演説というものは特に逸脱をしているとは自分らは考えないというふうなことを申しておったようであります。それでわが方としては、もしそのような見解であれば、わが国としては北方領土についてのわが国立場をここで改めて確認することが必要であると考える、その旨を本国政府に伝達されたいということを申しまして、伝達をいたしますということで会見を行ったというように報告を受けております。
  15. 水野清

    水野委員 御承知のようにブレジネフ演説の中に、日本が何か中ソ対立の中にはさみ込まれてこの領土問題が出てきたような、いわゆる中国から使嗾されて日本の一部勢力が領土問題を云々するというような発言がございましたが、こんなことは私が申し上げることもないのですが、日本の領土問題というのは、戦後三十年、一貫した日本民族の悲願なわけでありまして、別に中国に使嗾されたわけでもない、たまたま中国がそういうことを拾い上げて言っているにすぎないと私どもは思うのですが、その点についても大臣外務省を通じてきちっとお話をなさいましたか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点はもとよりはっきり申しております。のみならず、この席をかりて申しますならば、もしブレジネフ書記長が、そのようなわが国国民考え方が第三国から示唆を受けたごく小数の者の意見であるというふうに本当に考えておられるのならば、まことに驚くべきことであると申さざるを得ない。先般グロムイコ外務大臣が来日されましたときに、総理大臣から、ブレジネフ書記長の訪日というものをわが国としてはかねて御招待もしておるし、お待ちをしておるということを伝えましたときに、グロムイコ外務大臣は、いずれにしても二月の末の大会というものがございますので、それが済みましていろいろ考えたいというような趣旨のことを言っておられました。といたしますと、ブレジネフ書記長は、大会も済んだことでありますから、この際日本に来られて実情をごらんになるのがよろしい。果たしてそれがどこかに示唆されたところの一部の国民の声であるのか、全般的なわれわれ日本民族の真正な叫びであるのか、おいでになればわかるであろうとすら私は思うのであります。
  17. 水野清

    水野委員 時間がありませんので、以上で私の質問を終わります。
  18. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 水野清君の質疑は終わりました。  中山正暉君。
  19. 中山正暉

    中山(正)委員 時間がございませんので、ロッキード問題に関しまして、外務大臣の御認識を含めて若干の御質問を申し上げたいと思います。  実は、ワシントンに七十数名の日本大使館員がいるということを私は聞いておりますが、かつての米中の接近、日本の頭越えと言われたときもそうでございましたが、三分前にアメリカ大統領から電話がかかってきての通告であったということを聞いております。今度も、米国上院で多国籍企業会議最初に持たれておりますのは昨年の八月二十五日でございます。こういう問題に関しましての米国との連絡——まあ同盟国日本でございますから、安保条約という関係もございますし、日本政治的混乱アジアの軍事的な混乱にもつながると私は思いますが、そういう意味で、アメリカとのこういう問題に関する連絡というのは一体どうなっておりますのでしょうか、その点を伺わせていただきたいと思います。こういう事件に関して、米国事前連絡があったのかどうか、それとももう新聞でいきなりこういうロッキード問題というのは突発的な問題としてお受け取りになったのか、それともワシントン大使館あたりを通じて、米国議会資料を常時取っていらして、この問題、事前に知っていらしたかどうかですね。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年、いわゆるプロキシマイヤー委員会がヒヤリングをやりましたことはもとより知っておりましたし、これは御承知のように会議録が出ますのが非常におくれますわけでございますが、出まして、それも検討をいたしておりました。そのときは、これがこのような事件に発展をするというようなことは、プロキシマイヤー委員会のヒヤリングそのものからは十分にはむしろ想像ができなかったと申し上げるべきだと思います。しかしながら、今回二月四日にいわゆるチャーチ委員会が開かれる、そのときにこのような議論が行われるかもしれないということにつきましては、大使館は何がしか事前にそのようなことを存じておりまして、したがいまして、二月四日のヒヤリングにはその結果をできるだけ早く知り、そうして私どもに通報するようにというような努力をいたしまして、また現実に、比較的早く二月四日の会議の結果は私どもワシントン大使館から通報を受けております。
  21. 中山正暉

    中山(正)委員 それで内閣でどんな対策といいますか、どういうふうなことを御相談をあそばしておられましたでしょうか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 特段にどうということはございませんが、二月四日のヒヤリングは、実はこれは公開で行われたのでございますから、何人でも聞き得たわけでございますけれども、たまたま現在ほど世の中の注目を浴びておりませんで、政府が比較的早くその内容を知るに至りまして、そうして続いてヒヤリングもあることであるので、次のヒヤリングを、間違いなく内容を聞くこと、そうして、それからさらに進んだ段階になりまして資料提供を求める、あるいは公開された資料は直ちに送るといったような、そうなりますと、今度はわが国大使館と国務省との間で資料提供要請するというようなところに移っていったわけでございます。
  23. 中山正暉

    中山(正)委員 実は一番これから問題になりますことは、来週の月曜日にはニューズウイークが四十三名とかにわたる高官の名前を発表するというようなうわさもあります。しかし向こうの発言を聞いてみますと、コーチャンも、自分の知り得る限りでは政府関係者に渡ったようだというような、必ず渡っているとは言っておりません。確信するということは言っておりませんで、渡ったようだとか、それから児玉氏が受け取った金をどうしたか自分は知らない、これはフィンドレー氏が答えておりますが、そのくらい、言えば不安定な事情にかかることで高官名の発表というようなこともあるわけでございますが、承りますと、自治大臣とそれから総理大臣は、米側から何か条件がついていない限りは公開をするとおっしゃっています。それから外務大臣は、日本捜査の都合上留保をする場合もあるかもわからないとおっしゃっていまして、自治大臣もそのような御発言をきのうの地方行政委員会でなさっているようでございますが、これが一般国民から見ましたら、資料の公開というものをおろそかにいたしましたりしまして、日本高官名をこの際に隠すと、私なんかの考えでは、たとえばアメリカ政府日本政府高官の生殺与奪の権をその手の中に握らして、そして日本の政治が左右されるような場合も極端な場合考えられるわけです。ですから、そういうことがないように、その資料の公開というのはよほど——悪い者は切らなければいけない。一握りの悪い者は何の中にでもいる。裁判官の中にも悪い者はいますし、一握りの悪い人のために政治全体が誤解されるようなことがないように、よほどの御決意を持って米国政府との緊密な御連絡、特に外務大臣は、吉田総理大臣のころからもう横文字の陰武者と言われた、アメリカ人より英語がうまいというお話でございますから、この際ひとつよほどの緊密な御連絡をとって、高官名は、やむを得ません、切るべき者は切るべきだと私は思います。新しい日本の政治、これからの世界の動きも大きく変化しておりますし、そういう意味でどういうふうなことをいま考えておられますか。総理大臣外務大臣、自治大臣のお考えが少しニュアンスが違うようでございます、資料公開の高官名発表の問題に関しまして。その問題をどういうふうにお考えでございましょうか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題につきましては、総理大臣の国会に対する御答弁で政府見解は統一されております。すなわち、政府としては、これに関係するあらゆる資料提供米国政府に求めたい。しかも、それは日本政府としては公表をするのが原則である。万一アメリカ側条件があればそれは別であるけれどもという趣旨の総理大臣の答弁が政府の一貫した立場でございます。先ほど私が水野委員に申し上げましたように、いわゆる政治的な御配慮は御無用である。わが国はこの事件を徹底的に解明をするということが、わが国の民主政治のためにもよく、また日米間の関係にとってもそれが最も好ましいことであるというのが総理書簡の趣旨でございます。そういう立場わが国立場でございます。  それで、日米間には常に緊密な連絡がなければなりません。そのことは中山委員の言われるとおりでございます。ただこの問題につきまして、もし政府が表向きのたてまえと裏のいわゆる本音と申しますか、といったようなことは別であるというようなことを国民から誤解されるようなことは、私はいたすべきでないと考えておりまして、日米間の連絡は常に緊密でなければなりませんが、本件に関する限り、日本政府立場は、たてまえも本音も総理大臣の書簡において尽くされておるというふうに考えております。
  25. 中山正暉

    中山(正)委員 私は最近のアメリカの変化というものを非常に感じるわけでございます。といいますのは、昨年赤旗の記者が初めて招待をアメリカにされておりますし、それからその次の大きな変化は、十八年ぶりに江田さんを団長とする社会党議員団がアメリカに招待をされた。それから引き続いてこういう事態。とにかく招待されたかどうか、アメリカに行っていらしゃるわけで、上院、それから下院の議場でも紹介をされていらっしゃるというような大変大きな変化が見えるわけでございます。  そこで、このロッキード問題というものが起こってくる。これで中ソを取り巻くナンバーツーの国といいますか、ドイツ、それから、フィンランド、それからオランダは女王様のベルンハルト公が三億円とったというような疑いを受けて、それからイタリアもやられております。特にイタリアなんかは直ちに捜査をして、日本のやり方と少し変わったやり方をしておるようでございますが、そういう中ソを取り巻くナンバーツー、アメリカの同盟国と思われた国が大混乱するような事態が起こっておるわけでございます。このロッキード問題全体をこれからの世界情勢の中で特に日米間の問題を踏んまえて、特に児玉譽士夫氏のことに関して、戦犯である、それから右翼の頭目である、こういう者をロッキードが雇うことは、非常に大きなアメリカの外交政策に反するものであるというような言葉がこの中に入っておりますが、ロッキード問題で自由主義国全体が、アメリカのいわば同盟国のような国々が大混乱をしております。悪い人は徹底的に究明してもらわなければなりませんが、いままでの世界ならばこういうことが起こらなかったのではないだろうかと思われるような、もろに同盟国が混乱に陥るようなことをアメリカがやっております。そのロッキード事件全体の背景というものは、どういうふうにお考えでございましょうか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常にむずかしいお尋ねでございますし、あるいは中山委員におかれて、もっと深い考えをお持ちの上での御設問ではないかとも想像いたしますけれども、私の考えでは、いわゆる多国籍企業というものが誕生するに至りましたのは、戦後、われわれ先進自由経済の国々がOECDを中心に資本の取引の自由というものを推進してまいりました。そのことから発生したと申しますか、そのことによって勢いづけられたことでございます。当時、私どもとしては、これによっていわゆる発展途上国にも新しい雇用を与えることができる、また、世界全体を通じていわゆるよい品物、よい情報がより廉価に国際的に流通をするというようなことは本質的に望ましいことである、自由主義経済体制がさらに進んでインターナショナルなものになるということを私どもは望ましいと考えておりました。そのことに関する限り私ども考えは変わったわけではございません。しかし、先ほど水野委員に申し上げましたように、今度はその多国籍企業のビヘービアによって、受け入れ国の政治、経済にかなりの影響を与えるというケースがある。最初は雇用の問題としてとらえられましたけれども、いまとなりましては、その相手国の政府にいろいろな形で政治の問題としての影響を与えるに至っていることが明らかでございます。  さようでございますから、その多国籍企業というもののコード・オブ・コンダクトはやはり国際的に合意をしなければならないではないかというのが、ただいま起こってまいっております議論でございます。そのことはまた必要であろう。しかしながら、そもそも私ども考えてまいりました自由主義経済、市場経済というものが、できるだけ国際的な規模で発展することが世界にとって望ましいことであるという基本の考え方そのもの、過去二十年間の基本の考え方そのものは間違ってはいないであろうと私ども考える。しかしながら、体制を異にする国々から言えば、これは市場経済が結局行き着く姿であった、このようなスキャンダルに発展したというような批判は、これはありそうなことだと思います。それについて私どもは、そうであるがゆえに、市場経済についてのわれわれの信念というものは揺るぐべきものではないと考えますが、そのためにはしかし、そこから生ずる悪というものはやはり防遏しておかなければならないという私ども自身の問題があるわけでございます。ですから、その問題解決に私どもはやはり全力を挙げることによって、市場経済、自由経済というものは、やはり本質的にはわれわれのそれについての信念は間違っていないということを世界に示さなければならない責任を持っている、そういうふうに私はこの問題は見ておるわけでございます。
  27. 中山正暉

    中山(正)委員 外務大臣中山にも考えがあるのだろうということをおっしゃっていただきましたので、私、実は、自分の考え方をどんなふうに持っているかと申しますと、私は大きな意味で、これはデタントの裏づけではないだろうかというふうに思っております。なぜかといいますと、最初共産圏で起こりましたのが中ソ論争という、フルシチョフの、リーベルマン教授の利潤論が出まして、中ソの対立が起こりました。その次には、ユーゴスラビアがコミンフォルムから脱退をして、そして日本の共産党も独立路線というものを歩み出す。最近では、フランスの共産党との離反、それからイタリアのトリアッチ理論という独立路線、今度の共産党大会でも、英国の共産党の党首は多数政党論を持ち出しましたり、個人の自由というものを持ち出しまして、共産党大会会議場が大変混乱をしております。その上に、ソルジェニッインというような、いままでのソビエトならば、外へ出すべきでない人物を堂々とソビエト自体の手で送り出して、そしてアメリカソビエト批判をやる。私は、ソビエト側の世界に見せている大変大きな弱みの見せ方ではないか、かなり何か仕組まれているようなものすら感じます。  そして逆に今度はアメリカはどうしたかというと、アメリカは、キューバ事件ソビエトと対決をしようとしたケネディを、半ば公然とCIAが消したというような話まで出ております。そしてその次には、ニクソン大統領が、ソビエトならば毎日やっているような盗聴事件を一日やっただけで大統領をやめさせられた。その後が今度はこのロッキード問題で、先ほど言いましたようなアメリカの同盟国をけ落としにかかり、そして今度は、核防条約の問題のときにもまた質問さしていただきますが、核はソビエトアメリカだけが保持をして、ほかの国々は核拡散を防止したい。そしてSALT交渉で、お互いにだまされたときには最後のあいくちは握っていて、米ソがもし相手が信用できないようなときには、その核爆弾のボタンを押すことも辞さないというようなSALTでの裏づけをしながら、お互いに弱みを見せて、デタントの裏づけをしながら歩んでいる姿ではないだろうかと私は思うのです。その意味で、大きな世界戦争を避けるという意味では非常に結構でございますが、私は、日本の外交方針の中でよほど慎重に考えてみなければならないことが多々あると思う。  たとえば、イスラエルという、二十七年前にアメリカのユダヤ人大統領でありますトルーマンという人によって、二千年前に滅びた国が再びこの地球上に出てきた。そのイスラエルで、日本の岡本公三以下三名のゲリラがアラブ側に入って、イスラエルを敵視した。御承知のように、アメリカ大統領のワシのマークのここには、二千年前に滅びたイスラエルのダビデ王のマークが入っております。建国二百年を迎えた歴史の浅い国、これは実はキッシンジャーもロックフェラーもユダヤ人でございますし、それから財界、官界、言論界、AP、UP、AFPマスコミその他の中で、指導層が七十数%に至ると言われる、ユダヤ人であることを誇りにする方々が指導層に大変いられるわけでございまして、その中で、シルクロード以来、ユダヤ人の商売であった繊維問題でも、日本政府協定を結ばずに民間協定で逃げた。それから今度は石油で、イスラエルを母体にする資本、セブンシスターズと言われておりますテキサコとかガルフとかブリティッシュ・ペトロリアムとかいろいろなユダヤ資本系の石油会社がありますが、そういうものを敵視するような関係に入ってき、そうしてその岡本公三がイスラエルでゲリラをやったところあたりから、日米離間といいますか、そういうものの大きな背景が進行しておる。こういうときの日本の外交方針というのは、よほど慎重に立てていただきたいというような、実は個人的な見解を私は持っておるわけでございます。  特に今度、マクナマラ国防長官の立てておりました二カ二分の一方式、アジアとヨーロッパで戦争が起こり、あと一つ小さな戦争はアメリカが解決するだけの実力があると言っておりましたものが、レアードの一九七〇年の国防報告では、一カ二分の一方式という、そのヨーロッパかアジアかということになりますと、アジアを捨てるのではないかという実は私は懸念を持っております。沖繩の返還も、さっきのお話がありましたが、ソビエト北方領土の返還がない限りなぜ沖繩を返したか。それから、韓国の防衛がアメリカにとって非常に重要な問題であるというならば、なぜ佐世保の基地が撤去されたか。私は、戦略体系の中で非常に大きな米ソ間のやりとりが裏にあるのではないかという感覚を持っております。というのは、スエズ運河でも、ナセルが沈めておりましたたくさんの船を米ソが五年前から引き揚げて、そのスエズ運河があいた。今度は逆に、ベトナムが中ソの側に、共産主義国に転換をしていっているというような、背後に事情があるわけでございますが、そういうことから考えてみますと、これからの世界の中で日本のとるべき立場が非常に重要な位置を占めてくるのではないかと考えておりますときのこのロッキード事件でございますので、私の私見を申し述べまして、時間がございませんので、これからの日米関係、特に核拡散防止条約、特に非核三原則の中で持ち込まずというようなものをわれわれが決めたといたしますと、これはアメリカとの日米安保で、いざとなったときにアメリカが果たして核を、日本が三原則を堅持する限りはアメリカは逆に、あなた方の国には三原則があるから私たちは守る必要がありませんというようなことで、私は日本の防衛問題にも大きな影響を及ぼしてくるのではないかと思っております。  そんなことで、これからの日本の外交方針を確立するためにも、このロッキード問題の扱い方は国の内外で大変大きな政治問題としてよほど注目をしておかないといけない問題だと思っておりますので、外務大臣のこれからの御努力に大きく期待をいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 中山正暉君の質疑は終わりました。  次に、堂森芳夫君。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 私は、ただいまわが国の全国民に大きな関心と憤りと申しますか、大きなセンセーションを起こしておりますロッキード問題に関連しまして、外務大臣その他に、与えられました時間か三、四十分しかございませんが、質問をいたしたいと思うのであります。  まず、去る二月の十六、十七日に第一回目の証人喚問が行われました。去る三月一日、二回目の証人喚問が行われました。依然としてその真相は国民の皆さん——私たちのように国会におってこれを最初から終わりまで傍聴しておった者にもますますその真相がわからなくなるような証言の状況でありました。  そこで外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、このロッキードの賄賂商法というものが世界的に行われるようになっておるという事情を、外務大臣は外交の責任者としていつごろこれをお知りになったのでありましょうか、まず伺っておきたいと思うのであります。その実相がどういうものであるか、ロッキードの商法というものの実情をいつごろから感じておられたのでありましょうか、まず伺っておきたいと思います。——わからぬでしょうか、私の質問が。  言いますと、アメリカの国会では昨年の八月ごろにもうすでに問題になっておるのであります。そして御承知のようにロッキードの、会社の代表者たちは、それをやらなければロッキード会社は成り立たないんだ、当然であるというような証言もしておることがアメリカ側の記録を読むと明らかなんであります。しかもロッキードという会社は、御承知のようにアメリカにおける産軍一体のシンボルのような大会社でありまして、ペンタゴンからの注文というのが、アメリカにおける巨大産業の中でも飛び抜けて発注額が大きい会社であります。しかも昨年の八月でありますか国会で問題になって、そしてその賄賂商法について大きな注意が喚起されておるのでありますが、そういうことの事情はおわかりではなかったのでありましょうかと、こういう意味であります。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の夏にアメリカのいわゆるプロキシマイヤー委員会においてこの問題が取り上げられ、そしてその詳細な速記録、会議録を後に私どもは読むことができるようになったわけでございますけれども、そのプロキシマイヤー委員会で取り上げられました段階で、ロッキードがいわゆる機種の売り込みについて幾つかの国に機種を売り込んでおるということ、そしてそのうちでどこかの国との間では不正事件があると思われるというようなことまでは、昨年の夏に確かに私どもプロキシマイヤー委員会の公聴会によって知ったわけでございます。その際に、どの国との関連において不正と思われる事件があると議論されましたかについては、国名が明らかにされておりません。それからどの国に売り込まれておったかということにつきましては、国名が幾つか出ておりまして、その中にわが国の国名がありましたことは、そのとおりでございました。その段階におきましては、したがって、わが国ロッキードから飛行機を買っておるということは証言に出ておりますけれどもわが国自身について不正なことがロッキードとの関連で起こっておるというようなことは、この証言には、プロキシマイヤー委員会のヒアリングには出ておらなかったというのが事実であったと思います。しかし堂森委員が言われますように、ロッキードが国際的に好ましくない、あるいは不正な商法をやっておるという一般的な知識について、おまえはいつ知ったかとおっしゃいますれば、これはやはり昨年夏のプロキシマイヤー委員会のヒアリングにおいて知ったというふうに申し上げることができると思います。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣は、すでにたびたび閣僚の席にもついておられる方であります。いわばわが国の政界あるいは自民党では有力なメンバーのお一人であります。そこで、PXLの採用等についても長い間国会においていろんな意味議論があったことも、私きょうこの外務委員会の席で重複して申し上げることは控えますが、いろんな議論がありました。わが党の代表の諸君も予算委員会その他で盛んに取り上げておった問題でありますが、しからば外務大臣として、当時、去年の八月ごろからアメリカの国会において問題になっておったのであるが、当時のわが国の駐米大使、今度はかわりましたが——に、その間の事情等詳しく調査し、そしてあらゆる努力をせよというような訓令は全然発しておられないのでございましょうか。その間について御答弁を願いたいと思います。
  32. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  このアメリカの多国籍企業の海外における活動についてのいろいろな問題があるということにつきましては、アメリカの上院の二つ委員会において取り上げておったわけであります。その一つは銀行委員会でございまして、もう一つは外交委員会の多国籍企業小委員会でございます。そしてわれわれがその具体的なことを知りましたのは、いまお話もありましたように昨年の八月二十五日の銀行委員会の公聴会の際でございます。ただ、これは大臣からもお話がございましたように、日本会社ロッキードのトライスターを売り込んだということはございましたが、具体的な政府関係者に金が流れたとかというふうな話はございませんでした。ただ、その後九月十二日に多国籍企業小委員会の方でロッキードの問題を取り上げました。ただ、そのときは新聞報道だけでございまして、われわれもチェックしてみたわけでありますが、そのときには日本の問題についての言及はなかったようであります。ただその後、われわれも調べましたところ、この多国籍企業小委員会は、昨年の五月から九月にかけて七回にわたりましていろいろ公聴会をやっていたようであります。そして、ガルフ石油とか、ノースロップとか、エクソンとかモービル石油とか、あるいは最後の九月十二日においては、ロッキード問題を取り上げたようでありました。したがいまして、われわれとしてもその両方の動きから見て、チャーチ委員会のその後の調査活動を注目いたしておりまして、その動きをフォローするようにということを訓令いたしておったわけであります。ただ、何分にも議事録その他がなかなか入りませんで、わからなかったわけでありますが、そのうちに二月四日に至りまして公聴会が開かれるということを知りましたので、どういう問題が取り上げられるかということはわかりませんでしたが、プロキシマイヤー委員会の方で日本の問題が取り上げられた次第もこれあり、二月四日の公聴会については、わが方の大使館をして議事をフォローせしめたわけでございます。そこでこの問題が出てきたことを知った次第でございます。そういうわけで、外務省としても、このチャーチ委員会の活動につきましては、一貫して従来から注目してまいった次第でございます。
  33. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと局長、チャーチ委員会の議事録等の発表は、初めてあったのはいつでございますか。
  34. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 ただいま申し上げましたように、昨年の五月から九月にかけて七回にわたって公聴会が開かれたわけでありますが、その議事録の入手に非常に努めましたけれども、なかなか発表されないので、われわれとしても何回も催促しまして、最近それが発表されました。それはページ数にいたしまして千百七十五ページにわたる膨大なものでございます。この議事録は、非常に膨大なものでございますので若干部数でございますが、衆議院予算委員会に提出してございます。その意味で、詳しい議事録を手に入れましたのは、ごく最近でございます。ただ、二月四日及び六日の公聴会に関しましては、日本関係が取り上げられておりますので、とりあえず町で売っております市販の非公式な議事録を入手いたしまして、これまた国会に御提出申し上げた次第でございます。二月四日及び六日の公式議事録はまだ作成、発表されておりません。
  35. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、大使館は、日本の駐米大使館ですね、ワシントン大使館には、人は何人行っておられるのですか。総数で何人の人が行って働いておるのですか。
  36. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 正確な数は覚えておりませんが、六十四、五名、東京から派遣しております。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 派遣しておるのは六十数名かもしらぬが、現地採用もあるでしょう。百名ぐらいの人が働いておるのでしょう。百名ぐらいの人が大使館におって、向こうにおけるチャーチ委員会等の、あるいは銀行委員会ですか証券取引委員会ですか等の情報が全然発表されるまでわからぬというふうな、そんなものでございますか。そうでございますか。発表ない限りわからぬのですか。能力がないのですか、あなた。いかがですか。
  38. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 先ほども申し上げましたように、チャーチ委員会の場合は、昨年の五月から九月にかけまして七回にわたって公聴会が開かれております。しかし、それはいずれも日本に関する問題は全然取り上げられておりません。公聴会でございますから、アメリカ新聞の方も傍聴しておるわけで、そのときどきのニュースが概要として報道されます。その中にもし日本関係が出てまいりましたならば、もちろんわれわれとしてはそれを詳細に情報を集めるわけでございますが、そういう動きは、チャーチ委員会に関する限りは、なかったわけでございます。ただし、その間において一つだけあったのは、昨年の八月二十五日の銀行委員会における公聴会でございまして、これはわれわれも早速議事録を取り寄せてその詳細を検討し、国会の関係委員会にも御報告申し上げた次第でございます。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、駐米大使館の諸君が知る情報というのは、傍聴した新聞記者諸君から得た情報であるとか、そういうふうな、何といいますか、大使館における諸君のいろいろな意味での総力を挙げたような努力というものは一般にはないのでございますか。私はよく外務省のことはわかりませんが、その点も答弁願いたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 つまり、ただいま政府委員から申し上げましたように、いやしくもわが国に関します事項につきましては、駐米大使館はきわめて注意をし、情報を集めることに、当然のことながら努力をいたしております。  そこで、先ほどお話のございました昨年八月のプロキシマイヤー委員会において、ロッキードの機種か日本にも買われておるというような  実はそれにとどまったわけですが、そういうことがございましたので、それについては、それが何であるかということは、当然に注意を払いました。しかし、日本との関連で不正があるということは、そこからは何ら出てこなかった。何も言及されておりませんでした。  他方で、チャーチ委員会がそれらの問題について議論をするということはまた別途わかっておりましたから、何回かの会議の模様は注意を払っておりましたが、日本関係のものは一つもなかった。そして、ことしに入りまして、二月四日に公聴会が行われるということが事前にわかり、それは日本関係するものがあるのではないかという情報を得ましたので、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、あらかじめ人を入れまして、それが何であるかということを傍聴をさせ、そして東京に報告をさせたということでございます。  どこにどのような形で日本関係の話が、アメリカ議会なりあるいは政府部内なり経済界なりにあるかということは、あらかじめわかる場合も無論ございますけれども、多くの場合には、相手も大きな社会でございますから、いろいろな情報等によってあらかじめ知る、あるいは起こりましてから知ってそれをさらに掘り下げていくというような活動の仕方をいたしておるわけでございます。
  41. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは、この日本に関するロッキード事件が公式に向こうのチャーチ委員会で取り上げられるようになったのは二月四日である。そうしますと、きょうまで西田公使あるいは有田審議官が向こうに行っておられます。私もワシントンで会いました。そしてそのときにいろいろと私の得た感触では、もっと日本に関して詳細な実情を、たとえば金が贈られたと言われておるような政府高官名、そういう実情等を詳細に調べるような指令は私は大臣は出しておられぬように——これは私の感触かもしれませんが、そういう感じもしました。  それから、その後東郷大使が行きました。ちょうど私がワシントンを出る日に東郷大使が赴任されました。もちろんお目にはかかっておりません。有田さんや西田公使にはたびたびお目にかかります。私はそういう感触を受けたのですが、大臣から二月四日以来どういう調査をしろという指令をお出しになっておるのでありますか。これを国民はみんな詳細に知りたがっているのです。あなたはいろいろな発言をしておられるのでありますよ。全部は公表できぬかもしれぬと、言ったか言わないか知らないが、あなたがそう言ったと新聞は報道しておるのでありますから、どういう指令をお出しになって、どういう調査をしろとおっしゃっておられるのか、私は承りたいと思います。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず最初に、二月四日に公聴会が行われ、その際わが国関係のあることが議論される徴候があるということは、実はわが国大使館として事前にそれを予測をし得たものでございますから、二月四日の議事というものは私ども人を入れましてすぐに知ることができたわけでございます。これは、実は一般には報道されなかった時点でございます。これは大使館としても、確かにかなり動向に注意を払っておったということを申し上げたいために御紹介いたすのでございますが……。したがいまして、公聴会が終わりまして、二月四日、その日にまず大使館の方から日本関係についての言及が行われたので資料、情報の提供をしてほしいということを国務省の方に申しております。最初は二月四日でございます。  それから、続きまして、ずっと日を追いまして接触の経緯がございますので、政府委員から御報告を申し上げます。
  43. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 二月四日の公聴会が行われまして日本関係についても若干の資料が公開されたわけでございまして、われわれとしてはまずその公開された資料、正確な資料を入手したいということを訓令し、そしてそれにあわせて日本関係資料があれば欲しいということは言っておったわけでございます。これは大使館の書記官から国務省に伝えております。ただ、その当時といたしましては、わが方としてはまず公表された資料とそしてそのときの非公式の議事録を入手することに全力を挙げまして、さらにその後、新聞報道等でも児玉譽士夫の領収証の日本語のものがあるということがわかりましたので、そういうものも欲しい、あるいは児玉譽士夫とロッキードの契約書があるようだ、これはまだ発表されていないということも知りましたので、これも欲しい。非常に特定のものについてまず要求しまして、それは随時手に入れまして国会にも御提出申し上げました。さらに、十三日には全部の資料が公表されましたので、それも急遽手に入れて御提出申し上げた次第でございます。  さらに、具体的な申し入れといたしましては、二月十日にこちらからの訓令に基づきまして大使館の羽澄参事官がランバートソン日本部長代理、日本部長は当時東京におりましたので、日本部長代理に対してチャーチ委員会等が保有する日本関係資料をすべてもらいたい、もらったものは日本で公開されることになるということを申しております。さらに、二月十一日に、その前日に着任されました東郷大使がインガソル副長官に会われましたときに、同じ要請を繰り返しておられます。  さらに、二月十四日に西田公使がハビブ次官補に会いまして、当時チャーチ委員会が保有しております以外に、証券取引委員会にも資料があるということをわれわれは知りましたので、この資料についても日本関係のものがあればすべてもらいたい、もらったものは日本で公開されるということを申しております。その際にハビブ次官補から、その場合に何が出てくるかわからないがそれでいいのかということを念を押されて、それでもちろん結構であるということまで申しておるわけでございます。  さらに、二月十八日に東郷大使からインガソル副長官に対して、これは総理の指示であるとして、重ねて保有する日本関係資料をすべてもらいたい、もしその中に高官の氏名が含まれておればそれも含めてもらいたいということを申しておられます。  その後、御承知のとおり、国会の決議がございまして、総理親書の発出もございましたので、この国会の決議及び総理親書を伝達するために、二月二十四日に東郷大使はインガソル副長官に会見してその伝達をして、日本政府資料要求をあわせて申し述べた次第でございます。
  44. 堂森芳夫

    堂森委員 そうじますと、ハビブ次官補から西田公使に、またインガソル副長官から大使等にまだ何らの連絡もないということでございますか。  それから、これは相手のあることですからわからぬと言えばそれまでですが、いつごろそうした返答があるという見通しでございますか。局長いかがですか、大臣でも。
  45. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 国務省は資料を自分では持っておらないわけでございますから、わが方からのたび重なる申し入れに対しまして、それぞれ関係方面に伝達するということは申しております。そうして、最初にチャーチ委員会に対してわが方の要請は確かに伝達されたようでありまして、また国会議員の方々もワシントンに行かれて、米国議会の方々とも直接接触されたということもございまして、御承知のとおり、二月十三日には二百ページ以上にわたる日本関係資料が公開されたわけでございます。  それからさらに証券取引委員会関係資料につきましても、二月十四日に西田公使から向こうに申し入れておりまして、これも証券取引委員会に確かに伝達されております。ただ、この証券取引委員会関係につきましては、先ほど大臣からも御説明ございましたように、向こう側にもいろいろな法律上の問題がございますから、国務省と証券取引委員会の間でいろいろ協議はしておるようでございます。
  46. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がありませんからさらに進んで外務大臣にお尋ねいたしますが、あなたが直接おっしゃったことかどうかわかりませんが、政府高官名が、仮に政府にそうした詳細の連絡があったとしても、全部を公表するということは考えなければならぬというような意味の、これは報道ですよ、それがありましたが、あなたはそのようなお考えでございますか。まず承っておきたいと思います。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当時報道されましたのは、私が米国にはこのようなことで資料を、オフィシャルズの名前を含めて要求しておるけれども、それがそのまますぐに公表されることがあるとは限らないと思うということを、私は確かに申しました。私はその際、率直に申しますと、すでに捜査につながる段階であるので、捜査上のことを考えるとそのようなことはあり得ることであろうと考えて申したのでありますが、この私の発言はその表現、時期から見て適当でないということがロッキード関係閣僚協議会で決められまして、したがいまして、私が申しましたことは事実でございましたが、そのことは政府の方針ではないということに閣僚協議会を経て改められたわけでございます。したがいまして、ただいまのと申しますか、従来から一貫した政府の方針といたしましては、先般来総理大臣が言われておりますとおり、米国から提供を受けた関係資料は公開を原則とする、もし米国側に何かの条件があればそれは別であるけれどもわが国としては公開を原則とする、いわゆる政治的な考慮というものは米国に払ってもらう必要はないし、わが国も払わないというのが政府の方針でございます。
  48. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、重ねてお尋ねしておきますが、アメリカ側から政府連絡があった、いわゆる伝えられておる政府高官の名前を含んだものをもこれは必ず原則として発表していくというお立場でございますね。
  49. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総理大臣のたびたび言われておりますとおり、米国側の条件云々ということは、ただいま私どもからどのようなことであるかないかということは予測ができないことでございますが、そのようなことがあれば別でございますけれども、そうでなければ、わが国立場は、ただいま堂森委員が言われましたとおりでございます。
  50. 堂森芳夫

    堂森委員 警察庁の説明員は来ておりますか。——ただいま外務大臣の御説明の中に、政府高官名等を発表すると捜査上何か都合の悪いようなこともあるかと考えてというような御発言がございました。高官名か発表されると捜査できないのですか、支障が起きますか、御答弁願いたいと思います。私はそんなことないと思うのです。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 誤解をしておられないと思いますけれども、私がかつてそのようなことを申しましたことは、不適当な発言であるとして正式に撤回をされておりますので、つけ加えさせていただきます。
  52. 堂森芳夫

    堂森委員 警察庁来ておるでしょう。ちょっと答弁を聞いておきます、国民はやはり疑問を持っていますから。
  53. 三島孟

    ○三島説明員 お答え申し上げます。  アメリカから外交ルートを通じて提供を受けた資料取り扱いにつきましては、政府がお決めになることでございまして、私ども捜査機関としてとやかく申し上げる筋合いのものではないわけでございます。  ただ、私ども捜査機関が直接入手することが今後あるかもしれませんけれども、そういう直接入手した資料につきまして、捜査の秘密に関する事項が内容に盛られておった場合に、それが公表されることによって捜査上支障があるかないか。場合によっては支障があることがあるかもしれないということはあり得るかもしれません。  ただ、いまお話がございました、政府高官名がどうかということにつきましては、あくまで仮定の問題でございますので、いま私ども明確にお答えするわけにはまいらぬわけでございます。その段階で判断されることに相なろうというふうに考えております。
  54. 堂森芳夫

    堂森委員 あなた、そんな子供みたいな答弁しなさんな。政府高官名が発表されたら捜査に支障があるかないかということを聞いておるのですよ。そんな一般論は聞いていないんです。もう一遍答弁してください。国会を何だと思っているんですか。そんな答弁はだめですよ。
  55. 三島孟

    ○三島説明員 どういう形でどういう内容で提供されるかがはっきりしておりませんので、現段階ではあくまで仮定の問題でございますので、明確にはお答えできかねるわけでございます。
  56. 堂森芳夫

    堂森委員 高官名を含んで発表すると向こうは言っておるのでしょう。高官名を含んだ実相がわが国に伝えられたとき、外務大臣は、捜査上支障があるかもしらぬから、かつてはそう言ったと言っておられるわけでしょう。あなたはそれに対して、高官名が公表されたら捜査に支障がくると思うか思わぬか、仮定論だから答弁できぬというのはどういう意味ですか。高官名が出ると、捜査できないのですか、支障があるのですか、もう一遍答弁してください。
  57. 三島孟

    ○三島説明員 お答え申し上げます。  米国から正式に外交ルートを通じて提供された資料取り扱いにつきましては、あくまで政府が方針をお決めになることでございます。捜査機関としてはとやかく申し上げるわけにはまいりません。ただ、捜査資料として提供された場合、それが公表されることが支障があるかないかにつきましては、実際に提供された段階で具体的に検討して判断されることだろうというふうに考える次第でございます。
  58. 堂森芳夫

    堂森委員 そんなことを幾らやりとりしてもあなたとではらちがあきませんから、次の機会にまた聞くとします。  たとえば、きのう委員会で福田一国家公安委員長は、仮に政府高官名が向こうから連絡があったとしても発表しない場合もあり得るというような答弁をしておるのですよ。そうですよ。外務大臣は、原則としてと言ってぼやかしておられますけれども、どうもその辺について私は納得ができないのであります。  そこできょうは時間もありませんから、——幸い法務省、来ておられますね。だれが来ておるのですか。
  59. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 吉田刑事課長が来ております。
  60. 堂森芳夫

    堂森委員 それではあなたは第一線の担当だ。今度の事件について警察庁と法務省、検察陣は、新聞等によりますと、汚職関係の疑いについては警察庁である、それから脱税に関しては法務省、検察陣が当たっておる、こういうふうに言われておりますが、そういう実情でございますか、それを承っておきたいと思います。お二人から御答弁願っても結構です。
  61. 吉田淳一

    ○吉田説明員 御説明いたします。  去る二月二十四日、東京地方検察庁は児玉譽士夫に対する所得税法違反の容疑で捜索、差し押さえを行ったわけであります。その際、警察当局は、大久保らに対する外為法違反容疑で同日捜索、差し押さえを行っております。さらに同日、国税当局は、同じく児玉譽士夫に対する所得税法違反容疑で国税犯則取締法に基づく捜索、差し押さえを行っております。検察庁と警察は、それぞれ刑事訴訟法に基づいて鋭意それぞれの容疑について捜査中の段階であります。  それで、御指摘の贈収賄の問題につきましては、ただいまは所得税法違反ということについて目下その事実を解明すべく全力を挙げて捜査中であります。その過程において新しい容疑が出れば、当然検察当局といたしましても、警察といたしましても、それらの新しい犯罪容疑についてその職責とする捜査権を発動するということは当然かと思います。  それで、分担の点でございますけれども、これが分担、これが分担ということでは別にないのでありまして、ただいま申しましたように、警察当局は外為法違反を中心にして、外為法違反の容疑でお調べになっている。国税当局はその所管事項である脱税の容疑について国犯法に基づいて取り調べている。検察庁はそのいずれについても取り調べを続けております。ただ、検察庁が捜索、差し押さえをいたしましたのは、先ほどの児玉譽士夫に対する所得税法違反でございます。それで、現在外為法違反については警察当局が中心になって調べをしている。それから児玉譽士夫に対する所得税法違反については、検察庁と国税庁がそれぞれの立場で、相互に調整をしながら目下真相を究明すべく努力をしている、そういう段階でございます。
  62. 堂森芳夫

    堂森委員 警察庁の答弁を願います。
  63. 三島孟

    ○三島説明員 お答え申し上げます。  ただいま法務省の刑事課長から御答弁されたとおりでございますけれども、私どもとしましては、現在外為法につきまして捜査を進めておるわけでございます。その過程で新しい容疑が出てきた場合は、その事案の真相の解明に努めることは当然でございます。
  64. 堂森芳夫

    堂森委員 アメリカ局長にお尋ねしますが、ピーナツ、ピーシズの受取ですね、これが公表されました。そして大体金額等も合うわけですね。この間から私、証人喚問を二回とも初めから最後まで聞いておりました。合うわけです。ところがユニットと称されておる二枚の受取、領収証については、まあここでそういうことを申し上げてもあれでありますが一大久保証言というものが非常にあいまいなんですね。そしてID社の受取と、それから大久保氏が領収証にサインしたという日付等と全く違うのですね。非常に違うのです。最初のピーナツとピーシズの方は金額も日付等も大体合うのですね。これが非常におかしい。しかも、このユニットの二枚はアメリカ側から公表されないのですが、あなたもそういうユニットの領収証についての情報は何にも得ておられぬのでございますか、承っておきたいと思うのです。
  65. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 このユニットの領収証の問題は、二月六日のチャーチ小委員会におけるコーチャン副会長の証言の中で出てまいったわけでございますが、これは、パーシー上院議員がこの点について尋ねましてその点に触れておるわけですが、非常にあいまいな形で触れられております。その後、公表されました証拠書類の中に、大久保氏の二つのユニットの領収証が含まれていないのは事実でございます。われわれも実は不思議に思いまして、多国籍企業小委員会の事務局に対して、どうしてそれが公表されていないのか、どうしてそれが含まれていないのか、実は二回にわたって尋ねたわけでございますが、結局先方は、このユニットに関する領収証は持っていない、多国籍企業小委員会は持っていないということを言っておるわけでございます。そうすると、どうしてパーシー議員の質問及びコーチャンの証言の中にそれが出てきたかということでございますが、何か「何ページ」というようなことが言及されておりますので、何かの報告書をもとにでもして質問が行われ、答えが行われているようでございますが、われわれの承知する限りでは、小委員会はその領収証を持っていないということが判明いたしております。
  66. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、アメリカ局長の認識では、ユニットという領収証はなかったという判断ですか。架空のものである、あるいは何か間違ったというか、なかったというようなものと考えられているというような判断でありますか。もう一遍承っておきたいと思います。
  67. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 外務省といたしましては、そのユニットという領収証があったかなかったかということを申し上げる立場にはございません。ただ、申し上げ得ることは、われわれがたび重なる照会に対する回答として、多国籍企業小委員会から聞いた範囲では、同小委員会はこのユニットに関する領収証を持っていないということでございます。
  68. 堂森芳夫

    堂森委員 まあ、あなたにあったかなかったかを答弁してもらうことは、それは不可能でありましょう。これが非常に問題があるということはもう明らかであります。今後の特別委員会でいろいろと究明されるでありましょう。しかしこれは、この事件わが国の高官等に贈られた金の中に含まれる疑いのある大きな意味を持っておるように私は思うのです。でありますから、外務省としては厳重な態度で、今後もそうした情報が得られるような努力を当然すべきだと私は思うのであります。  時間がありません。そこで大臣、有田審議官をおやりになったのはどういう意味ですか。さっき答弁の中になかったのです。局長からもなかった。一体何をしに行かれたのですか、あの人は。私も会いましたが、何をしに行ったのですか。その答弁をひとつ……。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 失礼いたしました。有田審議官を出しましたのは、当時駐米大使更迭の時期でございまして、安川大使は帰っておりました。で、東郷大使は赴任をいたしていない、間もなく赴任をするところであったのでございますけれども、正式に信任状を提出しなければ正式の活動ができないということも慣例でございますから、ともかくここで、大使館の大使にかわって全体の大使館の指揮を責任のある者がとった方がよかろう、こう考えまして、次官に次ぎます審議官をとりあえず派遣をいたしました。  それで、このことは、この事件が起こりまして大使館自身も全力を挙げておりますものの、初めてのことでございますから、やはり少し責任の地位にある者が指揮をとった方が適当だと考えましたし、また、たまたま各党におかれても調査団を出されるということで、そういたしますと、恐らくは、これこれの人に会う必要がある、あるいはここへ行って話を聞く必要があるというようなことのお求めが当然にあるであろうと予想をいたしましたので、そういうことについても粗漏があってはいけないと考えまして審議官を派遣いたしました。東郷大使が赴任をいたしまして、現地で指摘をとることができるようになりましたので、その段階で審議官に帰ってくるように訓令をいたしたわけでございます。
  70. 堂森芳夫

    堂森委員 もう時間がありませんから終わりますが、私は有田審議官としゃべっておって、一緒に御飯もいただきました。私の受けた印象では、何ら真相を本当に究明するような真摯な態度であの人は、非常に失礼になるかもしれませんが、そういうような厳重な命令を外務大臣が与えて派遣されたような感じを受けませんでした。そういう私の感じであります。  時間がありませんから、これをもって終わります。
  71. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 堂森芳夫君の質疑は終わりました。  午後一時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  72. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河上民雄君。
  73. 河上民雄

    ○河上委員 午前中にすでに同僚議員から、ロッキード問題について、政府が、特に外務省がこれまでとられた措置についていろいろ御質問がありました。私、重ねてそれを申し上げるのもいかがかと思いますが、いままでお話がありましたのは、日本側からアメリカ側にどのような要請をしたかということが大体主であったように思います。そこで私は、今度アメリカ側から日本へ戻ってくる経路につきましてお尋ねをしたいと思うのであります。  いま日本から行っておりますのは、一つは三木総理の親書であります。これが戻ってきた場合に、まずどこが受けるのか。これまでの経緯から見ますると、外務省はただこれを忠実に伝える役割りに徹したいというようなことも言っておられるのですけれども、まあ外務省じゃないかと思いますが、受けた場合、それをどういう経路でその後動かしていくのか、その点を伺いたいと思います。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 親書に対する返書は、外交ルートを通りまして外務省に送られてくるものと存じます。私どもといたしましては、三木総理の親書が、先方とも了解の上、その要旨を公表いたしておりますので、これに対するフォード大統領返書も、先方と了解の上、要旨は公表をいたすべきものだろうというふうに考えております。
  75. 河上民雄

    ○河上委員 それは、こちらが要求している資料も一緒について戻ってくる、日本政府に手交されるものでございますか。つまり、アメリカに要求しております高官名、あるいはそれを含んでおるいままで発表されていない資料、それも同時にフォード大統領返書と、三木親書に対する返事と同時に来るものでございますか。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は何とも予測いたしかねております。
  77. 河上民雄

    ○河上委員 三木総理の親書に対するフォード大統領返書は、それは完全に公表する。その中にもしアメリカに要求している高官名について、もとの原資料ではなくて一つそういうものが入っているとか入っていないとか、そういうような返事があった場合、これも含めて公表されますか。それとも先ほど来いろいろございましたように、捜査の必要上すぐには出せないかもしれないという当初外務大臣の御発言がありました。その後、閣僚連絡会議で取り消されたような御説明でございましたけれども、そういう捜査の必要上があっても、それは高官名を含めて、名前だけ出ているというような場合ですね、それも含めて発表されますか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 返書の内容、態様等の予測ができませんので、一般論として申し上げるしかないと思いますけれども、いやしくも総理大臣大統領との間のやりとりの書信というものは公の性格を持つものでございます。したがいまして、三木総理の親書が先方の了解を得て要旨を公にいたしましたと同様に、フォード大統領返書も同様の手続を経て要旨を公にすべきものであると思います。で、態様を予測できませんので、たとえば書簡と、そのエンクロージャーとかいろいろなことがあろうと思いますけれども一般論といたしまして、私は返書そのものは両国の首脳の間の正式のやりとりでございますので、要旨は公にすべきものだというように思います。
  79. 河上民雄

    ○河上委員 大臣も、こちら側の資料要求に対して答えが二つの部分に分かれる、つまり大統領返書と、それから日本政府が要求しておりますこの問題に関する資料ですね、その資料の方があるいはおくれるかもしれない、こういうようなお話でありましたが、その資料の方につきまして、もしそこに高官名などが含まれている場合も含めて、これは全部公開するのがたてまえであると先ほど言われました。いまもその考え方にはお変わりありませんか。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは総理大臣がしばしば言明をしておられますとおり、もし米側に条件がつけばそれは考えねばならないという点はそれといたしまして、日本政府立場は、すべて公にするという立場であります。
  81. 河上民雄

    ○河上委員 じゃ、そういう閣僚連絡協議会の決定というものは、自治大臣、公安委員長もそれに服するわけですか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのように考えております。
  83. 河上民雄

    ○河上委員 そうすると、大臣、昨日の他の委員会における、つまり地方行政委員会におけるわが党の岩垂議員の質問に対して、福田国家公安委員長は、アメリカに要求している高官名などについて、捜査の必要上だろうと思いますけれども、一定期間秘匿する場合もあり得る、こう言っておりますけれども、この福田さんの態度というものは、閣僚連絡協議会の決定に反しておる、少なくともはみ出しておるというふうに考えざるを得ないと思うのですけれども外務大臣の御所見を承りたい。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どのような前提のもとにどのような質疑の中でどのような答弁がなされましたか、十分に承知をいたしておりませんので、私からそれについてはコメントを申し上げるべきでなかろうと思います。
  85. 河上民雄

    ○河上委員 大臣大臣もおられる午前中の質疑の中で、検察庁の代表の方は、一般論でしか言えない、しかし、資料がどういう形でなされておるかというのを見ないと、捜査立場から見て全部公表していいかどうかわからない、こういうふうに言われましたけれども、こういう検察庁の考え方というものは、いまの大臣というか、閣僚連絡協議会の決定に影響を与えるのですか。それとも、それは、所管の人はそう考えるかもしれないけれども、それを越えて、つまり、いまの日本の民主主義の一つの危機を克服するために、もっと高い政治的な次元から閣僚連絡協議会の決定が下されたというふうに判断していいのか、その辺明らかにしていただきたいと思います。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど関係当局の政府委員あるいは説明員の答弁を私も伺っておりました。それで政府の基本方針といたしまして、この問題について、あるいはこの問題に関しての公表にいわゆる政治的な考慮というものは加えないということが私は政府の基本方針であるというふうに了解をしておるわけでございます。
  87. 河上民雄

    ○河上委員 政治的な考慮を加えないということはわかりますが、じゃ、技術的な考慮はしなければならないのか、つまり、捜査の必要上という技術的な考慮はやはりしなければならないのかどうかですね。もしそうだとしますと、高官名が公表できるかどうかは一にかかって検察庁に聞かなければならないということになってしまいますけれども、その点はいかがですか。
  88. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 仮定の場合のお尋ねでありますけれども、もし捜査当局が事態の解明のためにそのようなことが必要であると考えられる段階がございましたら、主管せられる国務大臣から、関係閣僚会議にそのようなお話があるであろう、それは閣僚会議において決定すべきであろうと思いますが、ただいまのところそういうお話はございません。
  89. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、理論的にはそういう可能性も十分あり得るけれども、すべては閣僚連絡協議会で最終的な決定をなすと、こういうふうに外務大臣はお考えでいらっしゃるわけでございますか。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 厳格に申せば、閣議を主宰せられる総理大臣と申し上げるのがより厳密には正確であるかもしれません。しかし、ただいまのところそのような要請がなされたことはございませんので、先ほど三木総理大臣の言葉として紹介いたしましたものが政府の方針であると申し上げることができると思います。
  91. 河上民雄

    ○河上委員 先ほど堂森委員が取り上げられました一つの問題でありますけれどもアメリカの方から非常に詳細な膨大な資料が出ております。しかし、その中で一番肝心と思われるユニットの領収証、それがないという先ほどアメリカ局長の御答弁でありましたが、今後アメリカ側から来る、恐らく高官名を含む資料の中でも同じようなことが起こり得る可能性は、理論上考えられると思うのですね。そういう場合は一つございますが、日本政府の側でこれはどうも都合が悪いということで、たとえば先ほど来お話がありました捜査の必要上どうしてもこれは発表はやめてほしいという要請が閣僚連絡協議会に出された場合に、そうしてそれはどうもやむを得ざるものであるというような判定が下された場合は、その部分は外すというようなことになるわけでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど関係省の政府委員あるいは説明員の話されましたとおり、具体的に問題が起こってみないと、そういうことを捜査当局が考えられるかどうかということも不明であります。もしそれを主管大臣がしかるべしとお考えになれば、恐らく閣僚協議会に諮られるであろうと思います。その際、閣僚協議会あるいは閣議を主宰せられる総理がどのように判断せられるかは私から申し上げることができませんが、ただいまの段階ではそういうことは起こっておりません。
  93. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、外務省が一つのアメリカからの返事を手に入れた場合、直ちに発表するのではなくて、関係閣僚連絡協議会にかけるまでは公表できない、理論上そういうことになりますけれども、手はずとしてはそうなるわけでございますか。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど捜査当局からの答弁を伺っておりますと、捜査当局において入手をした資料というような表現を使っておられまして、これから先のことでございますからどのようなことになりますか予想ができませんが、外務省として正式のルートを通じて受けましたコミュニケーションというものは、やはり総理の言っておられますように公にすべきものであって、その一番端的な例は、たとえば大統領親書というようなものがそうであろうと存じますが、これは総理の言っておられる原則がそのまま適用されるべきものではないか、私はそう思っております。
  95. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、いまアメリカ側から得られる資料というものには、外務省のルートで要求して向こう側が出してくるものと、それから捜査当局が、いま捜査当局として米国捜査員を派遣するかどうか、要するに協議中であり、向こう側捜査当局の協力要請しているということでございますけれども、そういうルートで得られる資料と、あるいは先般国会の決議に基づいて衆議院議長からアメリカの上院議長、これは事実上副大統領でありますからどういうことになるのか非常にむずかしい問題があろうと思いますけれども、このルートで資料の公開を要請しておるのとありますけれども外務省としては、捜査当局が得る資料については責任が持てないといいますか、所管が違うという御判断でいらっしゃいますか。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどの捜査当局の御説明によりますと、仮定の問題として、捜査当局が受けた資料と、こう言っておられまして、現在までのところ、そのような仮定に当たる資料というものは私はないと思っておりますので、将来あった場合に、その態様に応じて考えるという答弁をされたように私は承知しておるわけです。そういうものがあるかないか、したがいまして、捜査当局も言っておられませんし、私もそれについては予測をいたしておりません。どのような予測もいたしておりません。少なくとも外務省政府としてアメリカ政府から受けましたものは、政府は総理の原則に従いまして公表いたしますし、また仮に院が受けられたというものであれば、政府はそのまま院にお渡しをいたしまして院の御判断に従う、こういうことであろうかと存じます。
  97. 河上民雄

    ○河上委員 そこでちょっと実務的なことになりますけれども、よく言われますことは、アメリカ議会での証言は日本での捜査の上での証拠にならないという意見があるのですけれども、これは、捜査員を派遣して日本捜査当局が入手したときに初めて証拠になるのかどうかですね。その点はいかがでございますか。これは外務大臣ではなく……。
  98. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 捜査員をアメリカに派遣するかどうかという問題は、これは捜査当局の問題でございまして、われわれとして何ら申し上げる立場ではございません。  さらに、そのときの収集された資料なり証言なりが、日本の裁判所においてどういうふうに用いられ、あるいは証拠能力があるかという問題については、まことに申しわけございませんが、外務省としてはお答え申し上げる立場にはございません。
  99. 河上民雄

    ○河上委員 いま捜査当局の方おられないので十分なお答えをいただけなかったのですが、先ほどのあれから申しますると、たとえば高官名捜査当局の方の資料にも入っておる、また外務省で得た資料にも入っておる。こういうようなときにどうするかというような問題も出てくると思うのですけれども外務省としては、捜査当局が得た資料のいかんにかかわらず、外務省として独自で判断される、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、それが原則であろうと思います。
  101. 河上民雄

    ○河上委員 今回チャーチ委員会において発表されました資料につきまして、外務省でも非常に御努力をいただいて、かなり膨大な資料を早速コピーして国会の関係委員の方にも配っていただいたわけでありまして、審議の資料にさしていただいているわけでありますか、われわれの方にそういう形で見せていただきました資料の中に、これはどうも抹消というか、あたかも墨で塗ったような感じになっているのが一、二あるわけでございます。もしお持ちであれば、百七ページです。大臣もごらんになるとおわかりと思うのですけれども、上の部分がかなり真っ黒になっております。そして一番右の端ですけれども、明らかにこれは何か字が書いてあった、最後のしりに当たるようなところが、ちょっと頭だけ出しておるのです。これは何が非常に重要なものが書き込んであったものを消したんではないかと思われる、そういう疑いがございます。百七ページですからおわかりと思いますけれども、これは肝心の伊藤宏さんのサインのある領収証の部分です。これ以外にも——これはわが党が特別にスクープしたわけでも何でもないのでありまして、外務省の方から回していただいた資料でありますけれども、何か〇〇七五七〇八〇五九三という番号がついておる資料でございますけれども、これはお持ちになっているかどうか知りませんが、この場合もいろいろなお金が書いてあります。大体日本円にしますと九億円、六億円に当たる部分でありますが、そういうのにも、こういう黒く抹消してある。これは今回の事件の金の流れに非常に関係がある。ことに一番重要な伊藤宏氏の領収証の部分が、先ほど言いましたように百七ページでありますが、真っ黒になっております。それ以外にもこうなっておるところがありまして、これはコピーのときのミスか何かと思われる節もなきにしもあらずでありますけれども、一番肝心な伊藤宏氏の領収証のサインの部分がそうなっておる。しかも、隠された、黒い雲がかかったようなしまいの方に明らかに字の痕跡が見られる。これ一体外務省でお気づきになっておられたかどうか。これはまさか外務省が、これは大変だというので消したんじゃないと私は思うんでありますけれども、もしそうだとすれば大変なことでありますけれども、これは外務省がそうてないということを証明するためにも——いま私が示しました百七ページというのは、二月十三日に後からチャーチ委員会が発表した資料の中の百七ぺ−ジであります。私は何げなくずっと見ておりましてそういうことを非常に強く感じました。これはチャーチ委員会が発表したときにすでに消されていたのか、それともチャーチ委員会がこの資料を入手するとき、つまり、ロッキード社が提出するときにすでに消されていたのか、これは伊藤宏氏のいわゆる問題の領収証の部分であるだけに明らかにしていただきたいと思うのです。そうしないと、せっかく大変な御努力でコピーしていただきまして、われわれも大変ありがたいんでありますけれども、その点はきょうは無理かもしれませんが、至急明らかにしていただきますようにお願いをしたいと思います。いかがでございましょうか。
  102. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 この資料は、二月十三日にチャーチ委員会が発表いたしまして、われわれとしても特別のアレンジメントをいたしまして、ファックスという方法によりまして取り寄せたものを国会に御提出申し上げた次第でございます。その後、パウチで取り寄せましたコピーを見ましたところ、やはり同じように黒い部分が上の方にございます。これと全く同じでございます。御指摘のとおり、すみっこの方に何か字があるような感じもわれわれもいたしております。ただ申し上げたいのは、チャーチ委員会自身が持っている物も一種のコピーでございまして、そのコピーのコピーをやっておる関係でこういうことになったのかと思います。ただ、その後ろに黒くなっております部分に何か字があるのかどうかということは、われわれとしてももう一回照合してみたいと思います。ただ、外務省としてこれについて何か手を加えたということは一切ございません。
  103. 河上民雄

    ○河上委員 外務省か手を加えた——ミスにしてもそういうことのないようにぜひお願いをしたいと思いますが、これは一番肝心な部分ですね、この前の十六日、十七日、そして三月一日の二回にわたる証人喚問の中でも一番ポイントになる部分でございますだけに、事態の解明にとってはやはりここは絶対必要なところだと思うのです。黒い霧を晴らすためには、まずこの資料の黒い部分を明らかにしないといかぬと私は思うんでございますが、ひとつぜひそれはよろしくお願いをいたしたいと思います。私は、来るべき高官名を含んだ資料においてこのようなことのないように、この際特に要望いたしておきたいと思います。  外務大臣が当初二月の十九日発言をされまして、捜査の必要上すぐには出せないものもあるかもしれないというような御発言をされまして、私は非常に危惧の念を持ったのでありますが、昨年ここにおられる江田委員を団長にいたしまして、私ども社会党が十八年ぶりの訪米使節団を送りまして、私もその一員でございましたが、アメリカ上院のスコット共和党院内総務の部屋で外交委員会のメンバーと討論をいたしました。そのときに江田委員が、ウオーターゲート事件に際してアメリカの上院議員が示された民主主義を守るための努力と勇気に対して敬意を表するというふうにあいさつをされましたときに、それを受けてスコット上院議員が、顔かたちを改めて非常に峻厳な表情になって、あの数日間は私たちも命がけで当たりました、われわれの行為、行動をそのように高く評価していただくことは感激にたえないというふうに言われたその瞬間を、私は今回の事件が起きまして改めて非常に強く思い起こすのであります。今回の事件は、ある意味においては、同じように昭和四十七年、アメリカではウオーターゲート事件が起きたときが一つのピークになっている事件であります。そして日本の民主主義が根本から問われている事件であるだけに、何か小手先でやろうというのではなくて、名前が出ていると言われているような高官名を何とか隠すというようなことではなくて、ときには同僚を切り捨てても日本の民主主義を守るという、そういう決意を持って当たっていただきたいと私はお願いをしたいと思うのであります。  今回の事件でよく比較せられますのは、大正三年のシーメンス事件でございますが、私、先般その古い議事録をずっと見まして、ある意味において非常に感動を覚えたのであります。それは一月の二十三日に新聞で第一報が出まして、二月の十日にはもう議会で内閣糾弾の決議が出され、それが否決されるや、日比谷に集まっておった国民大会が歴史上有名なように暴動化するわけであります。その後国会は何をしたかと言いますると、海軍の汚職から始まったことであるから大正四年度の海軍の予算をそのまま認めることはできない、そういうことで、国会はもうもめにもめるわけです。当時の金で言いますと三千万円削減あるいは四千万円削減というような議論が交錯をして、衆議院、貴族院の意見が合わず両院協議会が開かれたりあるいは政府の修正案が最終的に否決されて、三月二十四日に山本權兵衛内閣は責任をとって総辞職する、こういうふうになっているのです。  そういう点から見ますると、先般来よくありますように、予算が先かロッキードが先かというような問題ではなくて、むしろ今年度の予算そのものをそういう角度からもう一度見直す、追及するということが私は非常に必要であろうと思うのでございます。  そういう点から見ますと、これは外務大臣というより一国務大臣として伺いたいのでございますけれども、昭和五十一年度の防衛庁の予算の中にも対潜哨戒機の予算が入っております。これはP2Jでございまして、いま問題になっておるP3Cではない、その前の旧式のものではありまするけれども、それが百六十二億ですか、云々の総額が出ておるのですね。こういうものをまるで——今度は防衛庁の方に伺いたいのですけれども、これもやはりロッキード社から買うのじゃないかと思うのです。こういうことがあるにもかかわらず、何事もなかったかのごとくいまの予算をそのまままず通さなきゃいかぬ、ロッキードは後だという議論が果たして正しいかどうか。大正三年当時の日本議会がとった行動と比べて、果たしてそれでいいかどうかということが私は非常に問題になると思うのですが、一国務大臣として外務大臣の御意見を承りたいと思います。
  104. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの出来事はわが国の政治にとりましてきわめて重大な出来事でありますが、わが国の民主政治はこの徹底的解明に十分耐え得る、またそうすることによって強くなるということを三木首相フォード大統領あての書簡に言っておられます。私もそのとおりであると思います。ただいま当委員会においてこの問題について御質疑があり、また私どもがお答えしておるというのも、そのようなわが国民主主義を守るための解明の一つのプロセスであるというふうに認識をしてお答えを申し上げておるわけでございます。  政府が御審議を願っております昭和五十一年度予算でございますが、この事件は重大な事件でございますけれども、しかし国政の歩みというものは一日もそれがゆえに停滞することは許されない。経済情勢にいたしましてもあるいは国の防衛の問題にいたしましても、その点は同様であろうと存ぜられます。したがいまして、政府におきましてこの予算案を撤回し、あるいは組み直して再び御審議を願うということは、そのような方針は政府は持っていないものというふうに私は承知をいたしております。すべて政府の所信に従いまして提出いたしましたものを国会で御審議を願う、こういうことであろうと存じます。
  105. 河上民雄

    ○河上委員 いまの大臣の答弁は非常に残念でありますが、こういうような問題は何かスケジュールどおりに動くべき問題ではないと思うのです。当初、予算を提出されたときとはまた政治状況が変わってきておる。投げかけられておる問題は新たな問題であります。  これ以上大臣の所信を伺ってもいかがかと思いますので、防衛庁の方にちょっと伺いますけれども、対潜哨戒機P2Jは五十一年度防衛庁予算の中に含まれているもので幾らになって何機になっておりますか。
  106. 玉木清司

    ○玉木政府委員 P2Jの五十一年度で御審議をお願いしておりますものは機数六機、予算額といたしまして百六十五億三千四百万でございます。
  107. 河上民雄

    ○河上委員 それはやはりロッキード社から買うものですか。
  108. 玉木清司

    ○玉木政府委員 P2Jの生産は御案内のように昭和四十二年から始めておりますが、これはロッキード社から川崎航空機が技術援助をいただきながら、われわれの契約そのものは、国内の川崎航空機に対しましてライセンス生産されるものを購入するという国内発注でございます。
  109. 河上民雄

    ○河上委員 最初ロッキード社からの話というのはやはり丸紅がエージェントになって持ってきたものですか。
  110. 玉木清司

    ○玉木政府委員 申しわけございませんが、官房長でございますので、その契約のやり方がエージェントとしてどこが入って始まったのか、四十二年のことでございますので、しばらく調べさせていただきたいと思います。
  111. 河上民雄

    ○河上委員 今度は、いまロッキード問題で日本の国内が非常に大きく揺れているときに、アメリカの統合参謀本部のブラウン氏が日本へやってきまして、日本の防衛庁の白川氏と会談をしたと新聞に伝えられておるのであります。それによりますと、P3Cの輸入が非常に困難になった、そこで中身だけ受け入れてボデーは国産でやる、こういうようなことが決まったというのでありますけれども、あるいはそういうことが話し合われた、大体そういう方針でいくということでありますが、そのとおりでございますか。
  112. 玉木清司

    ○玉木政府委員 お答えいたします。  ブラウン統合参謀本部議長は、日曜日の夕刻東京にお着きになりまして、翌日、白川統合幕僚会議議長と通訳を交えまして約二時間余りの会談をしたわけでございますが、御案内のように、今回の統参議長の訪問そのものが、白川議長の二回にわたる訪米に対します答礼という形で、儀礼の趣旨でこちらへ来ておられますので、お話の内容も両者がある政策問題を話し合うという性格の問題ではございませんで、親善に参りました者同士がゆくりなく対話をした、こういう性質のものでございます。したがいまして、そこで話されました、新聞に伝えますP3Cの問題も、白川議長が一制服の職員といたしまして、P3Cを輸入するのは大変むずかしくなったという自分の感じを申しただけでございまして、これによって防衛庁が次期対潜機の問題をどうこうするという意思表示をしたものではございません。
  113. 河上民雄

    ○河上委員 それじゃ防衛庁の方に伺います。  それは輸入機でやる。結果的にはP3Cしかないわけですけれども、輸入機でやるという方針は防衛庁としてはもう覆す考え方であるということですか。それを前提にしてそういう談話が行われたわけですか。
  114. 玉木清司

    ○玉木政府委員 この問題を論議いたします際に、通常行われていますのは、輸入か国産かという非常にはっきりした立場で論議されておりますけれども、先生御案内のように、防衛庁が過去から採用してまいりましたいろいろな外国機の場合も、完全輸入されましたものは最近ではRF4ファントムのような非常に特殊な用途のもの、それ以外は若干の練習機を完全輸入した例がございますが、主力の航空機になりますと、輸入と申しましても、輸入の仕方には、ライセンス生産まで輸入という概念でいたしますと、非常に幅があるものでございます。また国産と申しましても、少なくともエンジン、プロペラというようなものはすべて外国品を使っておりますので、輸入、国産という概念は、どちらかと申しますと、純輸入と純国産の間で度合いの問題であるというふうに御了解いただきたいのでございますが、そういう点におきまして、はらわた云々という話が出ておりますけれども、これも機体とはらわた、と申しますのは電子機器でございますが、これを真二つに分けて話題にできるものではございませんで、その中にいろいろな度合いがあり、組み合わせがあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  115. 河上民雄

    ○河上委員 そうしますと、中身といってもなかなかそう簡単ではない、それはわかりますが、ロッキード社に負う部分は中身ほとんど占めておるのじゃないですか。
  116. 玉木清司

    ○玉木政府委員 対潜機について申し上げますと、現在使っておりますP2J、これの例で申し上げますと、いわゆる機体というのは値段の割合にいたしまして大体半分でございます。それからエンジンが残りの二分の一、すなわち全体の四分の一、そして中に搭載いたします対潜捜索用の電子機器、こういうものが全体の四分の一、こういうふうな構成になっておるわけでございます。
  117. 河上民雄

    ○河上委員 そうしますと、ロッキードに負う部分は電子機器の部分ですか。国産というのは要するにボディ、機体の部分。それでエンジン部分はやはり国産でいくつもりですか。
  118. 玉木清司

    ○玉木政府委員 これも常識的なお答えしかできませんが、ロッキードが製造いたしますと申しますか、その部分は、機体はロッキードでございまして、搭載いたします電子機器は、ロッキードがその機体に積み込むためにほかの会社でつくったものを積み込んでおるという状態でございます。
  119. 河上民雄

    ○河上委員 いま防衛庁では国産か輸入かというのはそう単純に割り切れないのだ、こういうお話でございました。そうなりますと、昭和四十七年二月八日佐藤内閣では、閣議決定で国産化でいきたいということであったのが、その年の十月九日国防会議で国産化方針が白紙還元であると決まったということで、いわゆる児玉譽士夫資金の流れとその工作の効果という問題と、その辺が非常に論議になっているわけですね。おたくの方の久保次官の発言どもその中で問題になったわけですけれども、最近になりますと、大体国産化の方針も決まっていないのだ、決まってないものを白紙還元するというのもおかしな話ですけれども、実は決まっていなかったのだというようなことを言いますが、あなたの解釈によれば、そもそも国産か輸入かというのもそれほどはっきりしたものでなくて、パーセンテージの問題であるということなんですか。その辺は一体どういうことでございますか。技術的な解釈は、いまのあいまいな昭和四十七年のプロセスの解釈につきまして一つのヒントになるかと思うのです、言い逃れの一つの材料になると思うのですけれども、どういうことなんですか。
  120. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほどお答えの中で輸入、国産という言葉で言われておりますのには大変幅がありまして、いろいろな組み合わせがあると申し上げましたが、そういう幅の中でわれわれが通常国産と呼んでおりますのは二種類ございまして、一種類は技術資料をもらいましてライセンス生産と呼んでおる生産の仕方でございます。これはプロダクションそのものは国内で実施いたしますので、そういう意味における国産でございます。もう一つ、国産の概念の中で純粋の国産というものに近い形と申しますと、たとえば飛行機の例をとりますと、少なくてもエンジンのようなものはわが国では生産しておりませんので、外国に依存いたすわけでございますが、特定の輸入エンジンを前提にしながら、われわれ自身が必要な要求性能に応ずる研究開発を行いまして、航空機の設計そのものを自力で確認しながら開発し、創造していくという過程を経たものがございます。そういう意味におきまして、後者の方は国産のにおいが純粋に近いという形に相なります。  それで、いまお話しの昭和四十七年二月の決定でございますけれども、この際の決定は、研究開発をいかに進めるかという部分につきましての第四次防衛力整備計画の大綱の問題でございまして、国産をするかしないかというのは実際のマスプロダクションをするかどうかという意味になりますけれども、その時点で問題になりましたのは、将来もし研究開発が成功するならば、その成功した状態を見ながら、国産機をもって装備するということを念頭に置きながら行う研究開発を進めるかどうかという点につきましての四次防方針の決定の問題でございました。
  121. 河上民雄

    ○河上委員 私も時間がなくなりましたのでちょっと最後に一つだけ伺いますけれども川崎重工業では、昭和四十五年の防衛庁予算ですでに国産化のための調査費が出、また四十六年度には川崎調査研究契約が結ばれて、岐阜工場においてはすでに百二十名のスタッフを用意しておって、少なからざる投資をしておる。それがひっくり返ったために、スタッフを七十名に減らし五十名に減らしということでやらなければいけなかったという経緯があるわけですね。だからどう考えましても、国産化の方針がなかったとすれば、どうも川崎重工業は一杯食わされたことになるので、これは大変な問題だと私は思いますけれども、もうすでに時間が参りましてあれですが、そのことだけを強くもう一つ言いまして、私は最後に一言だけで結構です、あとの質問者の時間がありますから。その点はどうであったかということだけ、川崎重工業にちゃんと調査を依頼したのかどうかだけお願いいたします。
  122. 玉木清司

    ○玉木政府委員 川崎重工に依頼いたしましたのは研究開発のためのものでございまして、いま御指摘の川崎重工業の中でそのような体制をとったということだといたしますと、その体制をとるということは、研究開発の受注をされました会社として、将来これを最終的には国内で大量に生産をするまでこぎつけたいという希望があるので、その希望に沿って行った社内の措置であろうかと思います。  ただ、先日来、次期対潜機の問題につきます経緯をわれわれ調査いたしましたのを各方面に御説明いたしておりますが、その際に国産の方針がなかった、こう申し上げておりますのは、政府レベルとして国産方針を決定したことはなかったのだということを申し上げておる次第でございます。
  123. 河上民雄

    ○河上委員 じゃ終わります。
  124. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これにて河上民雄君の質疑は終わりました。  続いて土井たか子君。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 国税庁にまずお尋ねします。  わが国企業の海外進出に伴っていろいろな不正所得というのがあると思うのですが、四十五年あたりからこちらに、この不正所得の金額と、どれくらいの件数があるかというのを年次別にずっとおっしゃっていただき、その節、一番大口の金額はどれくらいかということもひとつはっきりここでお示しいただけませんか。
  126. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  四十五年度でございますが、十二法人、五億九千四百万円の海外取引関係の不正所得でございます。四十六年度、十七法人、三十二億九千八百万円の海外取引関係の不正所得でございます。四十七年度、四十九法人、八十八億九千七百万円の不正所得でございます。四十八年度、四十七法人八十二億円の不正所得でございます。四十九年度以降につきましては、実は資料を国税局からとっておりませんので、現在のところわかりません。  それから一番大口の企業名及び額でございますが、これは私ども調査の上でわかりましたことでございまして、申し上げるわけにまいりませんので、御容赦をお願いしたいと思います。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 社名まで言えとは言っていないのですが、一番大口の額は一体どれくらいかというのも守秘義務なんですか。それはおかしいと思うのです。それくらいは公表なすってもしかるべきだと思うのですが、一番大口の額だけを私はお尋ねしている。いかがですか。
  128. 横井正美

    ○横井政府委員 ただいま御説明いたしましたところで、四十六年度、七年度、八年度を通じまして、大体一企業の平均が二億円弱であるということはおわかりいただけたかと思うのでございますが、一番大きい額がどうかということ、これはやはり先ほど申し上げましたようなことでお許しをいただきたいと思います。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 守秘義務が大変かたいようでありますが、ただ国税庁、年を追ってこれは激増しているという事実はお認めになりますか。いかがです。
  130. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  最近の国際化の現象と申しますか、あるいはわが国企業の活動が広がっているということから、御指摘のような傾向だと思います。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 激増しているという事実はお認めになっていらっしゃるのですね。そこで、わが国企業の対外活動の最大の拠点はどの国ですか。アメリカでしょう。いかがです。
  132. 横井正美

    ○横井政府委員 最も多額に不正が発見されておりますのは、アメリカでございます。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、アメリカに対して、激増している事実を掌握しながら、そのことに対してどのような調査をいままで展開されてまいりましたか。
  134. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  日本企業の海外活動に関しまして、当該法人の記帳記録の分析はもちろんでございますが、租税条約の定めによります情報提供の依頼、あるいはわが国の国税調査官の海外派遣による調査等によりまして、できるだけ海外からの資料の入手に努めまして、それらの取引による所得の課税の充実を期しておるところでございます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことをおやりになっても、現にいまのような、ロッキード事件のようなことが出てくるわけであります。  そこで、昨年度初めて海外での監視体制をしいて、とりあえずアタッシェ一人を外務省出向職員の形でアメリカに送ることを決められたはずでありますけれども、このことは現に実施されていますか。いかがですか。
  136. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま研修を受けておりまして、本年四月シカゴに参る予定になっております。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 当初の予定から少しずれたんじゃありませんか。これは昨年度中に行かれるという当初の予定だったんじゃありませんか。いかがです。
  138. 横井正美

    ○横井政府委員 当初の予定どおりでございます。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 それを皮切りにこれからやはり数を増していくというふうなことをお考えになっていらっしゃるのか。いかがです。そういうことを一つの制度化していくというふうなことをお考えになっていらっしゃるのかどうか。いかがですか。
  140. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  そのように考えております。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、五十一年度はどのように予算を組まれ、どのような体制をお考えになってこの問題にお臨みになりましたか。
  142. 横井正美

    ○横井政府委員 本年度におきましても、五十一年度予算につきましても、私どもといたしましては、海外要員の増員及び海外への調査旅費の増額、これを努力をいたしたわけでございますが、非常に厳しい予算の環境のもとにおきまして、特別非常に増額したというふうな案にはなっておらないわけでございます。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、依然として五十年度にそういうことを構想としてお考えになりながら、足踏み状態だというふうに理解をさせておいていただいていいと思います。  さて、これはアメリカのみならず海外進出というふうな点からいたしますと、東南アジアという方向についてもやはり問題があろうかと思うのですが、東南アジアの諸国に対してはどういうふうな監視体制をしこうとなすっていらっしゃるのか。  それからやはり調査官派遣については、それぞれの国との話し合いが必要であろうかと思いますけれども、すでに東南アジアの方からはもう四十九年度中に特定の国からの了解は得ていらっしゃるはずであります。ヨーロッパ諸国については、こういうことについての話し合いが一体具体的にどういうふうに進められ、どこまで事は進展しているのかという点もここでお聞かせいただきます。
  144. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  ヨーロッパの諸国につきましても、アメリカと同様に情報交換ができるとか、あるいはまた私ども調査官がヨーロッパ諸国へ参りまして調査ができるようにということで折衝を開始いたしております。  なお、御承知OECDにおきましても、国際的な租税の逋脱に関しまして検討が行われておるという状況でございます。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣に最後にお尋ねをしたいのですが、先ほど来国税庁の方にお尋ねを申し上げているとおりで、年々やはり不正所得額というのが激増していっているわけですね。件数もふえていっているわけです。そしてそのおおよその拠点というのは、おっしゃるとおりアメリカなんですね。アメリカとの間では、米国の内国歳入庁、IRSと連絡をとりながら調査官を派遣するというシステムがほかの国よりもやりやすいという状況にあるんですね。しかも、その中でなおかつ、いまお聞かせいただいたとおりで、五十年度くらいからやっとのことで、アタッシェ一人を向こうに常駐させることに踏み切るということになったありさまなんです。五十年になってからこっちですから、去年になってからの話なんですね。それ以前から、ずっと激増していっているという状況は掌握なすっているんです。しかもなおかつ、五十一年度というのを聞いてみると、やはり予算折衝の点で非常に難儀をなすったような話もお伺いするわけですね。やはりこういうことを今後制度化していくということは、私は一つのあり方としては大切な問題だろうと思うわけであります。情報交換とか、事情を聴取するとか、調査活動を円滑にやるとかいうふうなことからしても、こういう点についてはこれを制度化していく。もっと具体的に中身を充実させていくということが必要であろうと思われますけれども外務大臣のお考えをひとつお聞かせいただきたい。いかがですか。
  146. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 租税条約等によりまして基本的な協力関係を結び、そうしてその後に調査官等の派遣をして情報の交換をし合うということはきわめて大事なことであると思います。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 いまの外務大臣のお答えは少しずれているのです。アタッシェを常駐させるというようなことを制度化していくということについてお尋ねを申し上げているわけでありまして、それについてのお考えをひとつ聞かせていただきたいという話なんですよ。いかがです。
  148. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それも大切なことであると思います。たまたまわが国の現在の国税の制度のかなりの部分がシャウプ勧告以来の経緯がありまして、米国と制度的に似通った点が多いということが、先ほど御指摘のように協力関係をやりやすくしておると思いますが、先ほど国税庁次長が言われましたように、ヨーロッパ各国ともそのような協力関係を実際に了解してなし得るということになりますと、今度はその拠点としてのアタッシェというものが役に立つ、また必要になるということであろうと思いますので、必要に従いましてやはりふやしてまいる必要はあると考えています。
  149. 土井たか子

    ○土井委員 このアタッシェ制度というのを、アメリカについては昨年度出発させられて、現にそれが進行途上にあるわけですが、これを具体的にもう制度化して、これからさらに五十二年、五十三年に向けて非常にふやしていくという必要性をお感じになっていらっしゃいませんか、いかがです。
  150. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  この四月にシカゴへ参るわけでございますが、その実績等を踏まえましてだんだんに制度化をしてまいりたいというふうに考えております。
  151. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  152. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これにて土井たか子君の質疑は終わりました。  続いて正森成二君。
  153. 正森成二

    ○正森委員 私は、まず外務大臣に伺いたいと思いますが、先ほど外務大臣は同僚議員の質問に、総理と外相と福田国家公安委員長の間に若干食い違いがあるのではないか、こういう質問に対して、総理の統一見解で一致しております、それは政府提供された資料は政治的判断を加えることなく公表する、しかし相手側から条件がつけられればその条件は考慮する、こういう意味のことであったと思いますが、そう承ってよろしゅうございますか。
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さようでございます。
  155. 正森成二

    ○正森委員 そこで、捜査当局に伺いたいと思いますが、先ほど警察庁の三島刑事局参事目は、同僚議員の質問に対して、こういう意味の答弁をされておられます。それは、政府提供された資料については政府がお決めになることで、捜査当局がとやかく言うことではない、これが第一。第二番目には、みずから入手した資料については、捜査の秘密に関係のないことは公表してもよい。三番目に、捜査資料として提供されたときに支障があるかどうかは、これがどういう内容のものか明らかになった段階で判断したい、こういうように三つに分けて答弁をされました。  そこで、みずから入手した資料というのは、あるいは皆さん方がアメリカに行かれてコーチャン氏に対して供述調書を求められた場合とか、あるいは領収証についてSECあるいは多国籍企業小委員会の認証をとって正確なコピーを入手された場合というように私どもは了解いたします。そうだとすれば、それはあなた方がみずから入手した資料ですから、われわれが捜査との関係でとやかく言おうとは思いませんが、残る二つ捜査資料として提供されたときとか、あるいは政府提供された資料というのは何によって区別されるのですか。日本政府アメリカ側から提供された資料であっても、それか同時に捜査当局に渡された場合は、それは捜査資料として提供された資料ということになるわけですか。
  156. 三島孟

    ○三島説明員 お答え申し上げます。  正確を期すために再び申し上げることになると思いますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、正式に外交ルートを通じて提供された資料取り扱いにつきましては、政府の方針に従ってその取り扱いがお決めになられることだと思います。それについて、捜査当局としましては、とやかく申し上げる筋合いのものじゃないと思います。私ども申し上げておりますのは、これはあくまで一般論でございますけれども、直接捜査当局が入手した資料取り扱いにつきまして申し上げたわけでございます。その場合には、捜査上の支障がある場合には、捜査上の支障があるというふうに判断されることもあり得るのじゃなかろうかということを申し上げたわけでございます。
  157. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私が三種類に分けましたが、あなたのいまの答弁では、あなた方は二つの種類に分けておられるというように了解してよろしゅうございますね。時間の関係で、うなずかれましたから、そういうぐあいに了解してよろしいですね。  それでは、大臣、いまロビーに行っておられて聞いておられなかったかもわかりませんけれども捜査当局は、資料としては二つだ。一つは、みずからいろいろ、コーチャン氏の供述調書をとったりというようなもので、これは捜査関係で公表できない場合はある。しかし、政府に対して正式に提供された資料については、それを公開するかどうかは政府がお決めになることであって、捜査当局がとやかく言うべきことではない、こう明言されました。そうだとすると、大臣が技術的な理由によって政府に正式に提供された資料を公開しないということは少なくともあり得ないはずであります。捜査当局は、とやかく言うべきことではない、政府が政治的にお決めになることである。そして宮澤外務大臣は、政治的考慮によっては公表するかどうかというようなことを左右することはない。こうなりますと、残るところはただ一つ、米側からいかなる条件をつけられるかということだけである、こう論理的になりますが、そういうぐあいに伺ってよろしゅうございましょうか。
  158. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それで結構だと思います。
  159. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますが、われわれが承知しているところでは、先ほど同僚議員も一部をお聞きになりましたが、ヒルズ委員長は、われわれは日本政府が何を望み、また情報の使用に関してどんな保証を与えるかを見なければならないと述べて、保証の主なものは、情報データが不公平な使われ方をしないこと、及びSEC自体の今後の調査の妨げにならないことである、こう述べているという報道が伝わっております。日本国内におけるいろいろなことがSECの今後の調査の支障になるということはほとんど考えられません。したがって、問題になるのは、その情報データが不公平な使われ方をしないことということに帰着するだろう、こういうぐあいに私は思うのですね。先ほど大臣は、まだそういう条件が付せられておらないからいま云々できないととれるような仰せでございましたが、しかし、こういうように、米証券取引委員長の表明がございました以上は、これについて情報の不公平な取り扱われ方というのが一体何を意味するものであるかということについて、政府考え方を伺っておきたいと思います。
  160. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 アメリカ側からそのような申し入れを受けたことがございませんので、お答えをする限りでなかろうと思います。
  161. 正森成二

    ○正森委員 ところが一方では、これは内部不統一かもしれませんが、捜査当局が、政府が直接入手した資料についてどうするかについては捜査当局がとやかく言うべきことではない、こう言っておるにもかかわらず、福田国家公安委員長は、高官の氏名が明らかになったといっても、それをいきなり明らかにすることはできない、金の流れ、そういうものがある程度明らかにならなければ、これは一種のリンチであるというような意味のことを言っておられるようであります。具体的には、ロッキード社から丸紅、児玉譽士夫への金の渡り方、さらにその先がどうなったか、この二点が明らかになる前に高官名が出ることは一種のリンチになってしまう、こういうふうに言っておられます。もしこの報道が正しいとすれば、これは一体政治的な考慮によるものであるのか、あるいは捜査の技術的な考慮によるものであるのか。捜査の第一線当局は、それはとやかく申すべきことではない、こう言っております。それではどちらに該当するのか、所見を承りたい。
  162. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 福田国務大臣がどのようなコンテクストでどのようなことを言われましたか私は存じませんので、コメントを申し上げることはできません。
  163. 正森成二

    ○正森委員 予算委員会の総括質問ではございませんから、福田国家公安委員長の内容についてとやかく言えないという仰せであろうと思いますけれども資料がどの範囲内で公表されるかということは全国民が注視しておるところであります。そして、もちろん総理大臣の指揮監督下にあるとはいえ、外務大臣がその重要な職掌を担っているということも疑いのないところであります。それについて、いま言われたような程度のことについても答弁ができないということでは、国民の間に起こっている、アメリカ政府から資料提供されても政府はその公表について非常に消極的であるという疑惑を一掃することはできない、私はそういうふうに思います。しかし、外務大臣がいまのような御答弁であれば、私どもは席を変えて聞くより仕方がないというように思いますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。  そこで、私は捜査当局に伺いたいと思いますが、丸紅に対して二十四日に押収捜索を行われました。私自身二月十七日の証人尋問で、契約書に基づいて、丸紅レポートと言われている、丸紅側から業務一切についてロッキード報告をした報告書があるはずである、これには政治的、経済的及び競争的条件についても詳細に述べられておるということを指摘して、提出を求めましたが、残念ながらその文書については十分な提出が得られておりません。ようやく三月一日の午後遅くなってから提出されましたが、それは七五年度の若干の報告資料であります。これは非常に奇異に感じておるわけでありますか、七四年以前のものについてあるのかないのか、あなた方はどういうように考えておられますか、お答え願いたいと思います。
  164. 柳館栄

    柳館説明員 お答えいたします。  私どもが把握しておりますのは、予算委員会に三月一日付で丸紅を通じまして提出いたしました十通だけでございます。なお、現在資料の整理中でございますので、その間においてあるいは発見されることがあるかとも思います。その際におきましては、前回、三月一日付の手続と同じような手続で提出をしたい、こう考えております。御了承願いたいと思います。
  165. 正森成二

    ○正森委員 そこで私は申し上げたいのですが、三月一日に私が質問する直前にいま言われました資料が若干出てまいりました。それには、七五年分だけでございまして、一番影響がある七二年、七三年及び七四年のものは一通も含まれていないのですね。そして、衆議院の委員部から、丸紅の返事であるということで、以下に述べますような添え書きが添付されておるのです。それを読みますと、「七五年以前は、ロッキードにセールス担当としてミングロン、ブラックウェル両氏が東京に駐在していたが、その当時はレポートを出しておらず、ブラックウェルがエリオットに替ったときにレポートを出すようになった。従ってありません。」こういうぐあいに書いてきておるわけであります。  しかし、私は申し上げたい。この丸紅レポートというのは昭和三十三年以来の契約上の義務になっております。そして、私に対する答弁でも明らかなように、檜山会長、前の社長は、契約条項を誠実に履行しておりますと言っております。大久保専務もまた、契約は誠実に履行しており、丸紅レポートは提出しておる、大体四半期ごとに提出しておると述べ、それについて、七五年だけであって、七四年以前の十数年間は一通も出しておらないなどとは一言も述べておりません。また、わが党の橋本議員がコーチャン氏に会ったときでも、英文のものを読んでおる、こういうように言いまして、七四年以前は一通も読んでおらないというようなことは一言も言っておりません。  また、ここに提出された英語のものがございます。日本語に翻訳して読んでみましたけれども、その都度その都度、たとえば丸紅の機械第一本部その他役員が交代して大久保氏が専務になったから、これから売り込みがもっとしやすくなるだろうとか、あるいは日本航空の時間割りが変わったというようなことから、あるいは航空ショーに派遣される政府委員の名前とか、およそ細大漏らさず、売り込みに関係のあるようなことが逐一文書で報告されております。こういうことが報告されており、しかもそれが契約上の義務であり、これをやるからこそ手数料がもらえるという契約関係にある場合に、七五年には相当詳しいものが出ておるのに、七四年以前には十数年間一通もなかったなどということは絶対にあり得ないと私は思います。したがって、これは丸紅側において大がかりな組織的な証拠隠滅が行われておる可能性がある。もしあなた方が押収したものの中に七四年以前のものがないとするならば、大がかりな全社を挙げての証拠隠滅が行われておるというようにまず断定してもいいと思います。あなた方はそれについてどういうようにお考えになっておりますか。
  166. 柳館栄

    柳館説明員 ただいまのような事実を含めまして警視庁の方では捜査を続けることだと思います。
  167. 正森成二

    ○正森委員 あなた方は、押収品目の中で、丸紅の使用している暗号コードを押収しておりますか。
  168. 柳館栄

    柳館説明員 膨大な資料でございますので、ただいま資料の整理中でございまして、私どもは現在把握いたしておりません。
  169. 正森成二

    ○正森委員 暗号コードが使用されているということは、三月一日の私の質問に対して大久保前専務が明白に認めました。暗号コードが存在していることは明らかであります。そして暗号コードというのは、暗号帳の中に書かれているだけではなしに、まさに使うために存在するわけであります。したがって、その暗号コードを使用した文書が一通も見つからないなどということは常識上考えられないはずであります。  私はここに暗号コードの一部を持っております。そこにはこう記載されております。「361」——三百六十一ですね。それを「サンロクイチ」と読みます。「361」は工作を意味します。「362」は工作中を意味します。「363」は工作費を意味します。工作費というのは交際費ではないかというように思われるかもしれませんが、そうではありません。「373」が交際費だということになっております。そして工作というのは交渉とは明らかに区別され、交渉というのは「374」という暗号コードになっております。したがって、交渉でもなく、交際費でもない、工作と工作中と工作費がある、それがこの暗号コードから明白であります。  そして私どもが入手している資料では、十六、十七日の集中的な証人尋問の後、十七日夜か十八日に、暗号コード一切を廃棄すべし、こういう丸紅の指令が出ております。また、二月二十三日、すなわち、あなた方が押収捜索をされる前日には、全社的に、あす手入れが行われるから、各員は重要な書類は全部自宅その他に持ち帰れ、こういう指令が出ております。そのときに部長クラスはほとんど手ぶらでありました。それは、部長クラスは事前にそれらの資料を分散させあるいは処分したからだ、こういうように丸紅内ではもっぱらのうわさであります。あなた方はそういうことを知っておりますか。そういうことについて重大な関心を持って捜査をされておりますか。
  170. 柳館栄

    柳館説明員 そういう事実があったということの把握はいたしておりません。しかしながら、そういうただいまの御発言はやはり重大な関心を持つべきものだと思います。
  171. 正森成二

    ○正森委員 刑法百四条にはどのような規定がありますか。
  172. 柳館栄

    柳館説明員 証拠隠滅に関する規定がございます。
  173. 正森成二

    ○正森委員 読んでください。
  174. 柳館栄

    柳館説明員 「他人ノ刑事被告事件二関スル証憑ヲ湮滅シ又ハ偽造、変造シ若クハ偽造、変造ノ証憑ヲ使用シタル者八二年以下ノ懲役又八二百円以下ノ罰金二処ス」とございます。
  175. 正森成二

    ○正森委員 いまお読みになったことからも明らかなように、丸紅の私が申し上げました行為は、外為法違反などのようにある意味では不作為の犯罪ではなしに、明白に作為による新たな犯罪を構成しているものである、こう思わざるを得ません。同時にまた、このことは、丸紅が潔白であるならばこういうことをする必要は何らないわけであります。私は、三月一日に私が行った大久保証人や伊藤証人のうそであるという評価をここでしょうとは思いません。けれども、こういうことを広く行っておるということがもし事実であるなら、それはより大きな犯罪事実を隠すために、より大きなうそをつくためにこういうことをやっているのであるというように考えるのが、釈迦に説法ですが、捜査官であるあなた方の常識であろうというように思うのですね。国民は、現在警察や検察当局を非常な注目をもって見ております。それは十分にこの疑惑を解いてほしいという希望と、もう一つは、やっぱりいいかげんなところでもみつぶすに違いない、政府高官に息のかかっている人が警察関係出身者にもいるのではないか、こういう声がちまたに起こっております。そういうことをなくすためにも、あなた方はこういうことについて、丸紅の社員は東京だけでも数千人おります。それらの人に広く情報収集を行うなら、こういうことを全くやっていないか、証拠隠滅を若干やっておるかということは直ちに明らかになるはずであります。こういう点を調べなければ、事件の真相は明らかになりません。あなた方がこういう私の問題提起に対してどのように受けとめ、どういうように考えておられるか、具体的な捜査の行動までは要求いたしませんが、あなた方のお考えやお立場を聞いておきたいと思います。それは、警察庁と法務省の双方に聞いておきたいと思います。
  176. 吉田淳一

    ○吉田説明員 お答えいたします。  御指摘のような証拠隠滅の行為があれば、当然その点についても含めてその事実をはっきり究明して、その事実の責任の所在を突きとめるということはもちろん捜査の本来の常道でございます。真相を解明するためにはそういうことも含めてやらなければ、本当の真相が解明できないことは、われわれ百も承知をしておるつもりでおります。そういう点も含めて、それらの疑惑がもしあれば、そういうものについて十分それらの事実を確かめながら、捜査をいま全力を挙げてやっているというふうに御信頼いただきたいと思います。
  177. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま御指摘の点は、全く法務省の刑事課長のおっしゃったとおりだと私ども考えております。全力を挙げて捜査をやりたいと思っております。
  178. 正森成二

    ○正森委員 私は本当のことを言いますと、こういうことを私が申し上げて初めて、そういうことがあるかなあというのでなしに、あなた方はこれほどの大事件なら、丸紅の社員などから一斉に聞き込みをするのがあたりまえであります。聞き込みをすればこれぐらいのことはすぐわかるはずであります。私か警察当局——特に丸紅を担当しているのは警察当局だとうかがっておりますけれども、警察当局がこういう点についてもっと熱心に第一線に立たなければ、国民は結局警察に対する信頼を失うに至るであろうということを御注意申し上げておきたいと思います。  外務大臣、私がいま申し上げたことをお聞きになったと思います。これがちまたで言われることであります。そして私どもが相当確実な情報に基づいて承知していることであります。そうだといたしますと、政府に対してアメリカ側から資料提供されたときに、何か政府資料を公表したがらない、そういう傾向があるというような疑いを万が一にも持たれることがあれば、これは国民に対して政府がついに信を失うことにならないとは決して言うことはできません。いま宮澤外務大臣は、条件についてまだ承知しておらないから、あるいは福田国家公安委員長のお考えの内については、自分自身は承知しておらないからということで御答弁をお避けになりました。それはある意味では、慎重を期する上では当然のことかもしれませんけれども、しかし、新聞紙上にも広く報道されており、福田国家公安委員長の御答弁に至っては、これは私の承知しておるところでは、地行の正式の委員会発言であるというように承知しております。そうだとするならば、それに関連して、その発言を当然の前提として、外務大臣外務大臣の所掌について所見をお述べになるということがあってもよろしいのではないでしょうか。もしそういうことがないのなら、国会は各委員会がばらばらであって、たとえば予算委員会でこう言われたから、これに基づいてあなたはどう思うかというような質問がこれからできなくなってしまいます。私は、外務大臣国民の非常な関心にこたえて、もっと率直に御答弁なさることを心から希望したいと思います。答弁をお願いします。
  179. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 アメリカから提供されることあるべき資料につきましては、この公表についていわゆる政治的な考慮は加えないというのが政府の方針であります。
  180. 正森成二

    ○正森委員 そういう答弁は前から同僚議員の答弁でも伺っておりますし、私も伺いました。私がいま聞いておることはそういうことだけではありません。ほかにいろいろ疑問が出てまいりました。福田国家公安委員長の答弁の要旨もございます。それは、必ずしも外務大臣の御見解とも一致しないようであります。ですから私があえて聞いているわけであります。それとも、何ら政治的な考慮を加えないでそのまま公表するという御答弁は、いまここで捜査事務当局が言いましたように、捜査の技術的な問題については、これはとやかく言うべきでないということを前提にして、それは関係しない、政治上の考慮も加えない、こうなると、一切公表するというように承ってよろしいのですか。ところが、私がそうかというように伺うと、残るところは米側がどういうような保証を求めるかだけにかかっておる、こういうように言われたではありませんか。そうなると、結局、外務大臣、私は真心込めて申し上げたいと思いますが、日本のいろんな大スキャンダルに関与したかもしれない人々が、結局、米側のつける条件によって公表されたりしなかったり、そういうことになってしまいます。  同僚の中山議員が言われました。中山議員の御見解には私は必ずしも賛成できないところがあります。しかし、アメリカ側に生殺与奪の権を握られている人が政府高官に残る可能性があり、それでは日本の外交は自主性を損なうであろうという意味のことを言われた点については私は賛意を表したいと思います。それは日本国にとって本当に関心のあることだからであります。外務大臣の御所見を重ねて承りたいと思います。
  181. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 条件云々ということは、三木総理が幾たびも公にしておられる政府の基本方針でございますから、私どもはそれを体してまいりたいと思います。ただ、現在その条件といったようなものが提示されておるわけではない、あればということを総理大臣は言っておられるのでありまして、そのような基本方針をもって政府としてはこの問題に当たるということでございます。
  182. 正森成二

    ○正森委員 私は必ずしも率直な御答弁が得られないのを非常に残念に思いますが、すでに国会では、コーチャン氏を証人として喚問するということが従前決定されましたし、また今回も再度その点が予算委員会で決定されております。ただ問題は、いつお呼びするかという点が残っておるというように承知しております。そして、アメリカ政府は、コーチャン氏が証人として出頭されることに異議がない、あとは本人の意見である、その意思は日本政府において確かめられたいというように私も承知しております。  そうだといたしますと、衆議院の予算委員会では、できれば一週間以内ぐらいに、この前のときは二日足らずしか余裕がございませんでしたから、それぐらいの余裕を置いて早急に予算委員会おいで願いたいというように思っているようでありますが、外務省としては、もしそうなった場合に、どういうようにコーチャン氏に接触し、またコーチャン氏が衆議院の予算委員会に出られるように御努力をなさるおつもりであるか、その手順を御説明願いたいと思います。
  183. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 予算委員長から、予算委員会の御決定につきまして、恐らく私に対しまして御伝達があるものと存じますので、御伝達を受け取りましたら、予算委員会の御希望が達成せられますように、政府といたしまして最大の努力をいたさなければならないと存じます。  どのような方法をとるかということでございますが、たとえば、コーチャン氏でございますが、つい最近まで勤めておられた会社の所在はきわめて明らかでございますし、したがって恐らくは御本人の所在も明らかであろうと考えますので、予算委員長の御要望を最も確実な方法によりまして御本人に伝達をいたすべきものと考えております。恐らくは、所在に最も近接しているところの、あるいは所在を地域的には管轄をしておりますところの総領事が、伝達方について最大限の努力をいたすということになろうかと存じますが、私どもとしては、最も有効な方法をとりますように、しかるべき責任者に訓令をいたすつもりであります。
  184. 正森成二

    ○正森委員 それでは、別の問題を若干質問さしていただきたいと思います。  これは時期が少し古いのでございますけれども、領事移住関係について伺いたいと思います。  昭和三十三年から三十六年までドミニカ共和国に移住をされた方でありますが、高知県が提示をしたドミニカ共和国の移民募集条件は、住居と家具と一家族百タレアの土地を提供する、第一回のコーヒーの種子は無料にする、生活が安定するまで家族単位に月平均六十ペソ、二万一千円の補助金を出すということで、農林省と外務省が当時の新聞に、この募集条件は好条件である、こういうように報じて、各県が移民の募集を委託されて行ったというところでありましたのに、実際に行ってまいりますと、非常にへんぴなところで、三時間ぐらい砂漠を走り続けてやっと到達することのできる石ばかりの石灰石の山地である、水もその近くではほとんど出ないというようなところであるということで、農耕地は住家から徒歩で三時間もかかるようなへんぴなところである、ついにその土地の近くに小屋を建てて耕さなければならない、そして水もないし、ついに引き揚げざるを得なかったというようなことで、非常に苦しかったことが歎願書にもつづられておるのですね。これは、当時昭和三十七年に国会で質問されましたが、いままた改めて国会議員に対して陳情が行われております。  そこで、時間がございませんので、この移民については、外務省や農林省は、たとえば広告を簡単に載せたというように、全く責任なく、ドミニカ共和国のそういうものを受け継がれただけなのか、それとも日本政府でも一定の調査を行った上で、責任を持ってなさったものかどうか。実情はどういうものであったのか。それに対して人生の非常な失敗といいますか、あるいは悪い運命に遭われた方に対して、政府としてどういうような補償をなさるおつもりなのか。時間がございませんので、それらの点についてまとめてお答えを願いたいと思います。
  185. 越智啓介

    ○越智説明員 お答えいたします。  ドミニカに対しては、昭和三十一年から二百九十二家族、千四百四十一名移住いたしました。これは先生御指摘のとおり、当時のドミニカの元首であるトルヒーヨ元帥が、日本に対して働きかけを行ったわけです。当時吉田公使と往復書簡がございまして、確かに当時のほかの南米諸国から見ると好条件でございました。たとえば、入植地、住宅、家具の提供、入植初期の生活補助金、いろいろございました。そこで、政府は二度にわたる調査団、これは外務省、農林省連合でございますが、これを派遣いたしまして、向こうの提供するという地域を多少訂正させたりいろいろやりまして、一応送り込むことになったわけです。  ところが、平たく言って、当時の南米地域で二つの大きい事件がございました。一つは、ベネズエラ大統領の暗殺未遂事件、これにドミニカの政府高官が入っているということで、南米諸国が全部経済断交をドミニカに与えました。そこいらからドミニカの経済が非常に苦しくなりまして、そこで当初約束していたいろいろな条件を、ドミニカ政府がだんだんできなくなってきた。  そこにまた、不幸なことなんですが、三十六年の五月にトルヒーヨ元帥が暗殺されまして、途端に政情が非常に不安になりまして、ますます苦しくなった。  そこで、先生御指摘のように、帰国したいあるいは転住したいという陳情がなされまして、政府は再び調査団を出し、直ちに帰国希望者には帰国、転住には転住先のあっせん、それから残留者には援護、この三段階に分けまして鋭意努めまして、その結果、六百七十二名が帰国、三百七十二名が転住、現在百四十六家族、五百十二名が残っております。現在残っておられる方は、ドミニカの政情、経済の回復、安定がございまして、徐々に定着、安住しておる次第でございます。  ただ、先生御指摘の、どういう措置をとったかということでございますが、帰国希望者に対しては、国援法によって帰国旅費を貸し付け、帰国後は、各省と協議の上、横浜入港後の世話、宿泊賃、帰郷までの汽車賃、雑費これは全部外務省がやりました。職業のあっせんは労働省、住宅あっせんは建設省、国内開拓地への入植は農林省、これに伴う各種の援助、生活保護法の活用、世帯更正資金の活用は厚生省、それから各県は見舞い金を五万円から十万円支給しております。いわば、政府、国を挙げて手厚く迎えたわけです。  同時に、南米各国への転住希望者には旅費の貸し付け、転住先での農業融資の実施、これはすべて外務省がやっております。残留者に対しては、ドミニカ国内の他の移住地の再あっせん、営農指導、融資の強化、これも外務省がその当時としては可能な限りやった次第でございます。ただ、その後の事情につきましては、それぞれお帰りになった方、それから転住された方、残られる方、それぞれ事情が違っておると思います。  以上でございます。
  186. 正森成二

    ○正森委員 いま伺いますと、相手国の政情不安のためにこういうようになったととれるような答弁でございましたが、実はそうではないので、そもそも行ったときの入植地域がそういうとんでもないところだったから、だから十分に移住を完了することができなかったというのが訴えなんです。だから、その点が非常に重大だと私は思うのです。  お約束の時間が参りましたので、もう少し伺いたいと思うのですけれども、別の機会にしていただいて、多少時間がたっておりますけれども、当時の記録も残っていると思うのです。その記録に基づいて御報告をいただきたいと思います。それを承って、それに対して、国家としてどういうぐあいにするかというような点は改めて私の方から申し上げたいと思います。  では終わらせていただきます。
  187. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これにて正森成二君の質疑は終わりました。  続いて渡部一郎君。
  188. 渡部一郎

    渡部(一)委員 当外務委員会ロッキードの問題につきまして、その後の状況その他についてお承りをしたいと存じます。  当初外務省資料提供に当たって努力をされ、またアメリカとの関係の調整に当たっては担当局でありますし、また租税条約との関連におきまして、これらの捜査進行状況とも関連がございますので、まず、関連なく見えますが、国税庁、検察庁、警察庁等におかれましては、現在の調査はどのようになっておられるか御説明をいただきたいと存じます。
  189. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。     〔委員長退席、水野委員長代理着席〕  国税庁といたしましては、去る二月二十四日、東京国税局の査察官二百名を動員いたしまして、東京地方検察庁と合同いたしまして児玉譽士夫宅外所要の場所を臨検捜索、差し押さえをいたしました。差し押さえの点数は二千六百点、差し押さえ個所は合計二十四カ所でございます。同時に、この関連銀行につきまして所要の銀行調査を行っております。  その後、差し押さえました物件の解明、参考人等の事情聴取、銀行調査、これを鋭意続けて今日に至っておる状況でございます。
  190. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  警察におきましては、疑惑が公開された直後からずっと各種の幅広い調査活動をやっておったのでございますけれども、その結果、外為法二十七条違反の容疑で捜索できる疎明資料ができたという段階におきまして、二十四日に捜索を実施したわけでございます。  関係者は、児玉譽士夫関係で、同人の居宅外三カ所、丸紅関係で丸紅株式会社東京支社外八カ所、合計十三カ所の捜索を実施いたしました。押収点数は約五千点でございます。  また、同日付をもって、警視庁にロッキード事件特別捜査本部を設置いたしまして、押収資料の分析、検討を現在進めておるというところでございます。
  191. 水野清

    水野委員長代理 法務省……。ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  192. 水野清

    水野委員長代理 速記を始めて。
  193. 渡部一郎

    渡部(一)委員 じゃ、来られてないようですから次の質問に移りまして、それでは今度は、現在、児玉譽士夫を初め、脱税あるいはその他の容疑で捜査をされている旨承知をしておるわけでありますが、あくまでも新聞報道によりますものですから、現在児玉関係捜査はどういう容疑でどの辺まで捜査は進んでおるか、この際明らかにできる点をお示しいただきたい。
  194. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  児玉譽士夫の所得税法違反容疑ということで強制調査をいたしまして、現在解明に最善の努力を尽くしておる状況でございます。  現在どの程度の段階に達しておるかということでございますが、捜査中のことでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  195. 渡部一郎

    渡部(一)委員 丸紅関係についてはどのような程度の捜査が行われ、どの辺まで容疑を確定されておられるのですか。
  196. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  捜査の経過につきましては先ほどと少しダブリますので、その点を省略いたしまして、丸紅関係の被疑事実でございますけれども、これは、同社の専務取締役大久保利春並びに伊藤宏は、共謀の上、昭和四十八年八月ごろから同四十九年二月ごろまでの間、前後四回にわたり、いずれも丸紅株式会社東京支社において、米国ロッキード・エアクラフト・コーポレーションが丸紅に支払うべき現金五億円を、ロッキード・エアクラフト・リミテッドの社員から受け取った疑いによるものということで、先ほど申し上げましたように捜索を実施いたしまして、現在その資料の分類整理と、その矛盾点のつき合わせといったようなことを鋭意捜査中でございます。
  197. 渡部一郎

    渡部(一)委員 個々に伺って恐縮でありますが、ロッキード社の日本代理店あるいはコンサルタントというのは、コーチャン氏の証言によれば、一つが児玉譽士夫、一つが丸紅、もう一つがID社となっておりますが、その伝えられるID社の存在は、特殊活動を隠すための領収証を発行するためのものであったとすでに証言が述べられております。このID社関係捜査についてはどうなっておりますか。これは租税条約と直接絡んでまいりますし、会社登記原本それ自体からして怪しいし、税法上のこれまでの公式な活動も行われてないように見えるし、社長の個人所得の申告その他もどうやら怪しいようでありますし、     〔水野委員長代理退席、委員長着席〕 この辺はいかがなっておりますか。
  198. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  新聞報道等によりますと、ID社はケイマン島に所在する法人となっておるようでございます。実質的な活動は恐らくないのではないかというふうに存じます。その場合におきまして、片方におきましてシグ・片山氏、これは日本の居住者でございます。したがいまして、日本の居住者としてのシグ・片山氏が、ペ−パーカンパニーでございますID社の名前によりまして税の逋脱をしておったということになりますと、実質的な課税をいたすという原則に立ちまして、シグ・片山氏に課税をいたすということも考えられるわけでございまして、そういう点で検討を進めておるということでございます。
  199. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ケイマン島といまおっしゃいましたが、この地域に対する租税条約はもちろん結ばれてないと思いますが、その辺の関係外務省の方でどういうふうに把握されておられますか。
  200. 横井正美

    ○横井政府委員 日英租税条約がございますので、これとの関係でございますが、適用があるかどうか、なお私、実は不勉強でございまして検討いたしておりませんので、勉強いたした上でお答え申し上げたいと思います。
  201. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうすると、はなはだ遺憾ですけれども、もし日英租税条約の適用地域であるとするならば、捜査はその辺穴があいてたことになりますし、情報交換も恐らく行われてないのでしょうから、これは本気で捜査が行われているとは思えない。私は大変穴が大き過ぎる捜査だろうと思います。  シグ・片山の居住するところ並びにその会社等に対しては、強制捜査は行われたのですか。
  202. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  シグ・片山氏の自宅、シグ・片山氏が社長をいたしておりますユナイテッド・スチール社の北青山にございます本社及びパレスビル内にございます同社の分室、いずれも臨検捜索、差し押さえをいたしてございます。
  203. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ID社の少なくとも代表が日本にいるということになりますと、日本の代表、何というかわかりませんけれども会社登記原本その他に記載がなければならないと思います。そういったものについては所在を確かめられましたか。
  204. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  ユナイテッド・スチール社の調査を続けておる状況の中におきまして、同社の社員を通じまして、その所在を明らかにされたい旨、及び早急に帰国してほしい旨申し伝えるようにお願いをいたしてございます。
  205. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうすると、明らかにこのID社というのはわが国において、いまおっしゃいませんでしたけれども、私の方で調べたときでも会社登記原本にはありませんし、どうやらそういう名前で納税している気配もありませんし、ユナイテッド・スチール社というのは表へ出てきておりますけれども、全くない、幽霊法人であるというふうに言えるんじゃないかと私は思っているわけです。  そうすると、こうした幽霊企業体あるいは幽霊法人というものが、このようなものが東京の中に非常にほかにもたくさんある、東京はそういう意味では無法地帯であるというふうに言われておりますが、そういうものに対してどういう対策をとり、どういうふうに今後対処しようとされているか、多国籍企業という——巨大多国籍企業ではなくてマイナー多国籍企業とでも言いましょうか、脱法、脱税その他のために東京で営業しているこれらに対して、どういう対策をとられているか伺いたい。
  206. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、会社の登記等を絶えずしさいに検討いたしておるわけでございまして、会社の存在について把握いたしますと、それの事業活動はどうであるか等につきまして常時検討をいたしておる。また、それの申告書が出てまいるあるいは出てまいらないということを通じまして、適正な課税の実現に努めておるというようにいたしております。
  207. 渡部一郎

    渡部(一)委員 例を挙げてみますと、航空機会社のエージェントと称するものあるいは航空機会社に関連するものは、特に各国の、ヨーロッパ関係アメリカ関係の小さな航空機会社のエージェントが東京で店開きをしています。そしていずれも税金を一銭も納めていないで活動している実態について、調査をなすったことがありますか。
  208. 横井正美

    ○横井政府委員 お尋ねの点でございますが、なお検討いたしたいと思いますけれども一般論といたしましては、先ほどお話がございましたいわゆる日本法人でございましても、あるいはまた外国法人の日本支社というふうなものでございましても、いずれも私どもといたしましてはできるだけ把握に努めまして、課税の適正を期しておるところでございます。したがいまして、お話しの外国航空会社のエージェント等につきましても、当然その存在を確かめ、課税をいたすべきところはいたしておると、かように考えております。
  209. 渡部一郎

    渡部(一)委員 その点は十分御努力を願っておかなければならないと私は思いまして、これは御注意申し上げます。非常にたくさんございます。非常にたくさんございまして、ほとんど抜けております。こういうことは、税務の公平の上からいっても非常に不穏当である。ともかく横文字のついた会社、横文字の看板のついたところには税務署は行かない、したがって横文字を立てておけば税務署はみんな帰っちゃうなどという話さえ町の中に流れていることをひとつ銘記していただきたいと思うのです。
  210. 横井正美

    ○横井政府委員 お答え申し上げます。  国税庁といたしましては、先ほど土井委員からもお話がございましたが、こういう時代でございますので、外国関係調査につきましては特に配意をし、さらに充実をしたいと思っておるところでございまして、いま御指摘の点については、各国税局に外国担当の部門を置きまして、これが把握並びに適正課税に努めておるという状況でございます。
  211. 渡部一郎

    渡部(一)委員 今度は法務省の方に伺うのですが、T・才二さんという人がこの間国会に出てきて証言をされて、ほとんどノー、知らないと百回ぐらい言われて帰られた。二時間のうちに百回言ったというので、ちょっとばかり——まだ来られてない。じゃあこの御質問は後にしておきますが、警察の方にまずお答えを逆にしておいていただきましょう。あの方は、国籍はアメリカであります。これは外務省も絡むだろうと思うのですが、もと日本人であった。ところが国籍上は中間がある。中間があるということは、無国籍の状況があるように思われます。これについて法務省、警察庁あるいは外務省等で調査なさいましたか。
  212. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の経緯につきましては、詳細把握いたしておりません。
  213. 渡部一郎

    渡部(一)委員 まことに奇妙なことでありますが、御当人は中国において軍隊に行ったというところまで国会で証言されました。その後、死亡されたことになっております。現地の部隊においては死亡となっておる。そうして、その後、突如として昭和二十一年GHQの入り口において、GHQのGIの服装をしてあらわれてきておる。そうして国籍の状況は、まことにおかしいんですけれども、その辺が不明確です。その後、昭和三十数年のときにアメリカ国籍になっておる。まさか日本政府はそういう怪しげな者をアメリカ人にすることにおいて何か特殊なルートを持たれているのか。また、アメリカ政府はそういうふうに特殊な人を採用するくせがおありなのか。これは重大な問題であります。十分お調べを願いたい。そうでなければ、一体この間の証人の人定尋問は何であったかということになってしまう。その辺も明快にしないで、捜査の基礎が始まっているとすれば、私は捜査は心配だと思うのです。その辺はいかがですか。
  214. 吉田淳一

    ○吉田説明員 私は遺憾ながら、その詳細について、具体的なことについては承知しておりません。鬼氏がアメリカの国籍を有しておるということは、出入国管理等との関係で法務省としては把握しておりますし、それからなお御指摘の国籍の関係につきましては、当省の民事局の所管にかかることでもございますし、その点については後刻また十分調査いたします。  しかし、その国籍の関係の取得状況について、私は現在承知しておりませんけれども捜査当局において捜査に必要な事項については、あらゆる角度から調べをしておるはずでございますので、捜査当局においても、そのようなことについて現在すでにどういう形で確認されているかどうか、確認されていないとは私はいま申し上げられないのでございます。そういう状況でございます。
  215. 渡部一郎

    渡部(一)委員 したがいまして、この問題は私の方も確定的な最後の段階まで証拠をとったわけではありません。しかしながら、非常に疑わしい点があることを当人の周りの人々が証言をいたしております。したがって、職業あるいは当人の国籍等につき、特に国籍の入れかわり等の必要な書類につき、調査の上御提出を願いたい、こう思いますが、よろしゅうございますね。委員長、よろしゅうございますか。
  216. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 それは後で理事会でもって諮って、ぼくが言いましょう。
  217. 渡部一郎

    渡部(一)委員 P3Cオライオンの輸入に関してロッキード側は、オランダ、イタリアにおいてフランスのアトランティック社に負けたということを述べております。その負けた際に、要するに飛行機の上によけいなお金を乗せたから成功したのだと公然と述べておるわけであります。したがって、日本においてもこのやり方というものはやらなければ大変になるということを言外に述べておりまして、そのために児玉氏との契約もまたそういう形になっておりまして、五十機以上売れた場合に一機当たり幾らというふうに契約ができ上がっております。この間から政府は、どうやらP3Cにまだ執着がおありのようでありますが、今後P3Cに対して防衛庁が購入を意図され、それを実施されるとすれば、その契約に基づいてこのような不快な金が児玉氏のところへ自動的に入ることを当局はそのまま黙認されるおつもりか。そして、そのような高い飛行機というものを、結局ロッキードから児玉氏のところに渡されるような賄賂の費用を含んだ飛行機をあえて強行して買おうとされるのか。まあこれはされる結論になってしまうと思うのですが、そういう場合はどういうふうに考えておられるのか、その辺をどなたでも結構ですからお答えを願いたい。
  218. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  219. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 それでは速記を始めて。  渡部委員に申し上げますが、いま防衛庁を特に御要望じゃなかったので、さっきいたのですが帰しましたから。これは委員長の責任において渡部委員のいまの御質問に対してお答えをこの次までに用意させますから、よろしく。
  220. 渡部一郎

    渡部(一)委員 御配慮を感謝します。  じゃ今度は外務省に申し上げますが、大臣にお答えいただかなければなりません。外務省資料提出要求に対する考え方というのは二転、三転四転したように私は見えます。正森議員がいろいろお聞きになりましたのでまたかと思われるでしょうけれども、お聞きいただきたい。  一つは、まだ日本政府の方針が余り明快でない時点において、外務大臣は非常に素早くわれわれはパイプのような役をするんだ、日本政府の要求をアメリカがするっとやればいいんだというような意味合いのことを述べられました。非常にいい御判断だろうと私も感心しておったわけであります。ところが現地におきまして、二月六日、七日のあたり、ワシントン公使の西田氏は、公開を前提として資料を提出せよとアメリカ側に伝えておったようであります。別の言葉で言いますと、公開のできる資料をよこせ。ということは、逆に言うと、変な資料を持ってくるとこっちは全部公開してしまうぞ、騒動が起こったらあなたの責任だよと言わんばかりの印象を与えられておるわけであります。そうして、それがこちらで問題になったわけであります。その問題になったのは、今度はワシントンに行かれたいろいろな人々がその話を聞いてまいりまいりました。野党の使節団の方々は皆一様にそれを述べておるわけでありまして、わが党の近江議員も、公開を前提にした全資料という言い方は、ここにいらっしゃる共産党の正森議員も、また社会党の議員も述べられました。民社党の永末議員も述べられました。ですから、そういう言い方はまさにされたんだろうと私は思います。これは大臣の非常にいろいろなことを配慮されたお気持ちからほど遠い意見ではなかったかなと私は思うわけです。相手に威嚇を与えて、日本政府で騒動が起こったら責任ですよと言わんばかりの言い方をなすった。ところが二月十日になると、果たせるかな、こういう報道が流れてきた。それは、アメリカ政府として、日本政府は本当にすべての資料を出せと言うのですかという問い合わせが来たということを西田公使は新聞記者に対してしゃべっております。本当にそう思っております、ただし、公開のできる資料をお願いしたいと言うておるのです、こういう言い方です。向こうは念を押したと言う。私は、その念を押した中に、すべての資料を本当に欲しておるのかどうかアメリカ側が聞き直しているところがあらわれておるんじゃないかと思います。まず第一段階で、そこのところまでお答えをいただきたいと存じます。
  221. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま言われましたとおり、私は、本件が問題になりましたときに、外務省としては純粋に非政治的な立場から、国内から要求のある資料アメリカ要請をし、与えられたものはそのままそれを伝える、こういうことを基本の方針としてやってまいりました。  で、公開を前提にしてというのは、当初私が申したことでございますが、それはさきに申しましたことと少しも矛盾をいたすものでなく、通例特に外交上の顧慮から、各国との交渉あるいは資料等についても一部非公開にすることはございますけれども、本件についてはそのような考慮がある性格のものでございませんから、要求するものは要求し、提供されたものはそのまま公開をする、これは私が当初から申しておった方針でございます。そのことは当初から米国側に伝えてございます。その次が、ロッキード関係閣僚協議会において否認された立場になりまして、私が、したがって、その立場はないものと申し上げておるのでありますが、ちょうどそのころの段階になりまして、ちょうどいま渡部委員の言われましたように、訪米された議員の方々等から、公開を原則とするということはむしろ資料提供を困難にするのではないかという御批判があるということ、私もそれを承りました。なるほどそれはそれで一つの考え方でございますので、それが私の本意ではない、そのことによって資料提供が阻害されるということは好ましからざることでございますので、それで伝えられるようなことを私は申したんでございます。申しましたが、しかし、その私の申しよう、申した時期というものが少なくとも不適当であるということで、ロッキード関係閣僚協議会におきまして、その立場は否定をされまして、したがいまして、公開をするという立場アメリカからの資料提供を受けるということが、今日まで政府立場としてそのまま総理大臣によって確認をされておることが経緯でございます。
  222. 渡部一郎

    渡部(一)委員 非常に妙なことになっているわけですけれども、全部の資料を出しなさいというところについて、国民はだれもノーと言っている者はないだろうと思いますし、議員一同の気持ちも本質的にはそこにあらねばならぬと私は思っているわけです。ただ、公開を前提としてという言い方が、妙な言い方として、特に強調されたみたいな言い方として、ブレーキのための口実に使われるということはあり得たことだということを私は指摘したわけですけれども大臣も一部はそれをお認めになりましたが、今度はロッキードの閣僚協議会でございますね、私が思いますのは、今度はいろんな全部の資料を要求しますと、ただしの大きなのがつきました。ただし捜査を妨害しないとか、いろいろとそういうのがつきました。そうしますと、最近に至りましてアメリカ側の意向として、私の感触として聞いたところでは、アメリカ側はかたい証拠のあるものについては出す、特に人名についてもかたい証拠については出すが、やわらかい証拠のものについては出さない、そういうように配慮をしたいと思っておるという旨、すでに述べておるようであります。そうしますと、ここで日本政府は判断をアメリカ側に押しつけたみたいな形になってしまう。それは決してうまいことではないのではないか。捜査わが国捜査当局が自主的に捜査するもので、政治判断というものはわが国当局が自主的になすべきものであり、そしてその判断にこそ主権国家としての日本の姿と、そして苦しいかもしれないけれども議会民主主義を確立するためのわが国外交の本質というものがあるべきではないか、こう思うわけです。そうすると考えるのは、アメリカさんやってください、うちの方はもめておりますから、もう何かもらうと大変なんです、もらうと全部言わなければなりません、だからどうかお許しください、めんどうくさいことは向こうへ持っていてください、そしてほとぼりがさめたころちょっと見せてくださいというような言い方というか、感じというものがそこらじゅうに散らばり始めている。それが国民の大きな不満の対象ではないかと私は思っているのです。私は、この際、資料という資料は全部いただいてわが方は検討する、わが方が検討してそれについてはできる限り公開する、どうしてもできないものについては、議会には秘密会の制度もこれあるし、各党の党首会談という手だってないではないのですから、そういうところで判断を求める、それこそ堂々たる議会民主主義を利用する立場ではないかと思うのですね。だから私は、行政的配慮だけで議会はあるということをこの際理解して、すべての資料を完全に受け取られるよう、もう一回交渉をなすべきではないかと思いますが、私は議論意見を交えて申しましたが、いかがでしょうか。
  223. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題につきましてわが国立場は、三木首相の書簡、その概要は公表されておるわけでございますが、これに明らかになっておると私は考えております。すなわち、わが国はこの問題究明のために、関係のある資料はすべて提供を受け、そしてこれを公表しつつ問題の究明を国民的な課題として行っていく、それによって日本の民主主義はより強くなるのであるし、日米関係はよりよくなるのであるというのが総理大臣の表明された立場で、それがまた現在の政府立場でもあるわけで、私は、それでまず国民に誤解もないし、アメリカ側もこの趣旨を大統領の書簡において恐らくは賛同してこられて、要請にこたえられるであろう、こう考えておるのでありまして、過去において渡部委員の言われましたような若干の経緯があったのであります。あったのでありますが、それはすべて政府が、いわゆる政治的な考慮で事態を国民から覆い隠すというふうに誤解をされてはならない、こういう趣旨から、しかもできるだけの資料提供を受けたい、そういうことから出た経緯でありまして、わが国の現在の立場総理大臣の書簡にも明らかにされ、また米国もこれを了解をし、またそのような総理大臣の述べられました所信についても同意をしてこられるものと考えております。
  224. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員長 これにて渡部一郎君の質疑は終わりました。  次回は明後五日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十七分散会