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佐々木国務大臣 原子力委員会の性格いかんという問題で、おっしゃるとおり厳密に法的に解釈いたしますと、これは三条機関ではなくて単なる諮問機関だというふうに法律的には解釈すべきだと思いますけれ
ども、しかし、基本法なりあるいは
原子力委員会設置法をよく読みますと、現在の
原子力委員会というものは単なる諮問機関でないことは明瞭でありまして、実質的には非常に行
政府的な色彩を持ったものでございます。そこは実は非常に苦心を要したところで、いまから二十数年前に
原子力委員会法を私
どもはつくったわけですが、私もそのために、第一回の海外
調査団にそういう問題研究のために、
予算の執行とかあるいは行政等は各先進国ではどうしているかという点を見るために海外へ参りました。その結果生まれたのがいまの
原子力委員会でございます。
これはどうしてああいうふうになったかといいますと、まず
一つは、当時もし仮に完全な行政
委員会にいたしますと、まず給与の面で問題にならないですね。財界からとても来る人はいない。当時石川一郎さんなどは経団連の一番のキャップをやっておって、そしておやめになって来たわけですから、給与でいい人を引っ張ろうとしても、学者の
皆さんでもとても来るわけない。それから四六時中全部これに没頭してということになりますと、これまた人によってはとてもそればかりというわけにはいかないという人も出てきましょうし、いろいろな面からして、当時の行
政府というものは、言うなれば戦後独立後間もなくでございますから、まだいまのような時代になっておりませんので、非常にむずかしかった。できれば行政
委員会にしたがったのですけれ
ども、できない。それをやること自体が本来の目的にかなわぬということに実質的にはなるようでございます。しからば単純な諮問
委員会にしたらどうかといいますと、単なる諮問
委員会では各省に対する拘束力というものは
一つもないわけで、あの法案には
委員会は決定までやるということになっておりますが、その決定したものが即各行
政府を縛れるかというと、これは縛れない。諮問
委員会ですから、あくまでも一たん
大臣に
答申をして、それを受けたもので重要な事項は閣議にかけてということになりますと、また各省間でそれぞれ相談をしてというようなことで、言うなれば
原子力委員会の出したものというものは、実際の行政に反映しというところまでには時間的にもいろいろありますし、ああいうふうに問題が山積している際に重要な問題をどんどん片づけるという機関のためには、単なる諮問機関ではこれまた話にならぬ。といって、行政機関にするには大変むずかしい。欠点もある。そこで、大変苦心してできたのがあの
原子力委員会でありまして、その限りにおいては私は非常にいい法案だと実は思っております。ですから単なる諮問
委員会かというと、そうじゃない。それじゃ行政
委員会かというと、そうじゃない。そこに非常に苦心も要し、また妙味があるところでございます。
それじゃ、当時はどうしてああいう法案が通ったのだといいますと、小宮さんも御存じだと思いますけれ
ども、あのときは全く与野党一致でありまして、超党派でやったものです。いつのときからこういうふうになったか知りませんけれ
ども、昔は
原子力開発と言われると、各国全部そうです、いま行ってみますと、
ドイツでも
フランスでもみんな与野党一致して進めているのです。当時は与野党一致で、全部各党一致でつくった法案ですから、いろいろ議論があってもまかり通ったわけですね。ですから、ああいう形式と
内容の使い分けをしたような法案ができたわけですけれ
ども、私はあの行き方というものは大変傾聴すべきじゃないかと思います。
今度の分けた
原子力委員会はそれじゃどうなるかというと、その分けた
原子力委員会の使命は、申すまでもなしに安全の審査分はいじらぬですから、その安全の審査も個別的な炉の安全の審査のみを安全
委員会がやるのか、言うなれば環境の五ミリ
レムがよろしいか、あるいはALAP式にもっとどんどん下げていくといった方がよろしいか、それを下げていったらどうするか、あるいは安全の研究をどうするかといったような基本的な問題まで、そういう一般的な事項まで安全
委員会でやらすかどうか、これも大変問題のあるところでございます。
少し話が長くなりましたけれ
ども、しかし、いずれにしても
原子力委員会は仮に安全
委員会を分離したところで、やはり
原子力委員会は
原子力委員会でありまして、これは大変
日本の
原子力開発の総本山としてまだまだ重要な任務を持っていることは否めないことでございますから、いまの
原子力委員会そのものを変えてまでということは実は懇談会の方でも
考えておらぬのでございまして、その限りにおきまして、私はやはり
原子力委員会の長が国務
大臣であること自体が、
原子力委員会で決めたことが即、形式的には
答申だとかいろいろありますけれ
ども、すぐ実施にも移せるし閣議等にも入れる、こういうことで大変いいんじゃないかと思います。
昔、御
承知かと思いますけれ
ども、余り具体的な名前を挙げるとぐあいが悪いのですが、ある機関が、諮問機関であるにもかかわりませず、各省を縛ろうとしたことがございます。そのためにどういう問題が起きたかというと、いまの憲法上から言いますと、明らかに責任内閣制でありますから、キャビネット、内閣で決める以外に各省に対する拘束力がないたてまえになっておるのにもかかわらず、行
政府でないいわば諮問機関が、自分で決めたからといってどんどん各省を縛るなんということになりますと、憲法上の違反問題になりますので、大変問題になったことがございます。そういう点も
考えてまいりますと、私はやはり権威を持ち、しかもそれがあるいは実行性のあり得るということであれば、
委員長がこれは
科学技術庁長官になっていますけれ
ども、実際は総理なんです。総理が長であるにもかかわらず、総理府の長としての総理
大臣でございますから、それを
科学技術庁長官に依頼して、そして自分のかわりにひとつ見てくれということで見ている、こういうかっこうになっておりますので、私はいまの機構のままの方がいいのではないかと、実は
原子力委員会に関してはそう思っております。