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1976-07-09 第77回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月九日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 楢橋  進君 理事 西銘 順治君    理事 美濃 政市君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       大村 襄治君    三枝 三郎君       塩川正十郎君    床次 徳二君       上原 康助君    河上 民雄君       日野 吉夫君    渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  委員外出席者         警察庁警備局長 三井  脩君         防衛施設庁長官 齋藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         沖繩開発政務次         官       中村 禎二君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 七月九日  辞任         補欠選任   北澤 直吉君     大村 襄治君   田中 龍夫君     塩川正十郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     北澤 直吉君   塩川正十郎君     田中 龍夫君     ————————————— 五月二十四日  一、沖繩住民等が受けた損害の補償に関する   特別措置法案安井吉典君外七名提出、第七   十一回国会衆法第四七号)  二、沖繩及び北方問題に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  まず、去る七月一日沖繩駐留米軍実弾射撃演習について、政府当局から発言を求められておりますので、これを許します。坂田防衛庁長官
  3. 坂田道太

    坂田国務大臣 今回の県道一〇四号線越え射撃演習実施につきまして御報告を申し上げます。  県道一〇四号線越え射撃演習は、昭和四十八年三月から昭和四十九年十月までの間に九回実施され、その後、昭和五十年二月及び三月に演習実施すべく計画されましたが、県道一〇四号線の交通規制反対する人たち着弾地帯に入り込んだため、演習は中止されました。  このような状況にかんがみまして、かねて金武村からも要望のございました砲座の背後を迂回する産業開発道路の建設を行い、交通規制が行われても一般の通行には支障のないよう措置することといたしまして、それまでの間は演習は見合わせるよう米側に申し入れ、米側もこれを了承して演習実施を見合わせてまいりましたが、本道路の完成に伴いまして、米側は、一年八カ月にわたって演習を差し控えてきたこともございまして、演習再開を強く希望し、今回の演習実施となったものでございます。  今回演習実施に当たりましては、演習に先立って那覇防衛施設局県警及び米軍は、周辺住民に対する安全確保に万全を期するため、フェンスの補強、場内の探査、演習通報徹底等を図り、着弾地帯に人が入っていることが確認された場合には射撃は行わない方針のもとに、七月一日午前七時第一弾、白煙弾を発射し、以後白煙弾及び百五ミリりゅう弾砲百三十三発を発射し、十二時四十分予定どおり完了いたしました。  なお、那覇防衛施設局警察当局及び県立中部病院からいままで知り得たところによりますと、この演習に際し、爆風によって負傷したと称し、中部病院で治療を受けた者がおると聞いておりますが、詳細については警察当局等関係機関協力を得て、事実関係調査確認中でございます。  以上でございます。
  4. 松本忠助

    松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 後で上原委員から詳しく問題点について質問があるはずですが、それに先立ちまして、二、三の問題点について伺っておきたいと思います。  いま防衛庁長官から状況について簡単な説明がございましたが、その中で、人がいれば発射をしないという前提で当たったということのお話があって、そして最後には、中部病院けがをしている人があるやに聞いているということで、終わりがぼけているわけです。しかし、現地の種々の報道を私もずっと調べてみましたが、まさに着弾地点付近にいて、そのことで爆風を受けてけがをしたなどということがほとんど明らかなように報道がなされています。それにもかかわらず、問題点を何かぼかしてしまって、大した問題でなかったというふうな印象を与えるような報告をなさることは私は問題だと思います。  時間が短いので大事な点だけを伺っておきますが、本当に人がいたのかいないのか、そのことの確認はどういうふうにしてなさったのですか。
  6. 齋藤一郎

    齋藤説明員 演習場の作業を行うに当たっては、演習という性質上当然人命の安全ということを図るべきでございまして、したがって、先ほど大臣からの報告の中にございましたように、事前に米軍及び施設庁それから県警等関係のところでよく調整をしまして、人間がおることが確認されれば撃たないということで臨んだわけでございます。  それで、先生指摘のように何かぼかしておるのではないかということでございますが、演習を始める前に当たって、早くから警察としては演習場内に人が立ち入ることのないように警告をし、あるいは周知徹底し、あるいは具体的に現場において出入りの状況をチェックするという措置をとっておりまして、当日また演習を開始するに当たっては、開始前に米軍ヘリも人がいるかいないかということを確認しております。  演習の途中において、いろいろと人がおるのではないかという話がございましたので、その点についても演習場着弾地周辺を、それでなくても当然弾着状況などを米軍が見ておりますし、そういう危険があるかないかということを絶えず最大の関心を持って見ておったわけでございます。  それから、さらにまた重ねて人が入っておるはずだというお話がございまして、米軍ヘリが第二回目の場内状況視察をやって、やはり人がおるということが認められないということで、先ほど話があったように十二時四十分まで演習が行われて終わった。  一方、十一時過ぎごろになって、先ほど話がございました病院の方に場内におってけがをしたという人がおるということで、それを関係機関あるいは病院について聞きますと、御本人のおっしゃるところでは演習場内におって負傷したのだというお話でございまして、決して事柄をぼかしておるわけじゃなくて、一方、演習場内において人がおるということは認められなかったし、負傷された方は、本人演習場けがをしたとおっしゃっている事実の経過をそのまま大臣から御報告申し上げた次第でございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 そうすると、前半の部分と後半の部分とのつなぎは一体どうなるのですか。つまり、けがをしたというのは着弾地点にいた人じゃない、こう言うのですか。それからまた、人が入っているか入っていないかということをいろいろ調査する手はずはとったということはわかります。しかし、そのことと、どんなことがあってもだれ一人いなかったという確言とはつながらないと私は思うのですよ。やはりもう少し努力をすべきではなかったかということが一つと、それからもう一つは、抗議団の方から七十人ぐらいの人が中へ入っているから危険だからやめなさいということをしばしば主張したというふうに私は聞いている。つまり七十人も入っているのじゃないかという情報が伝えられていながら、それを十分に確認をしないで、だれもいないからもう大丈夫だ、撃て、こういう進め方の軽率さということを私は指摘せざるを得ないわけです。どうですか。
  8. 齋藤一郎

    齋藤説明員 先ほどもお答えしたのでございますが、広大な演習場内に人が立ち入って危険の状態にならないように、演習が行われることがわかってから地元にもよくその旨を周知徹底いたしますし、それから反対運動をなさる方々にも、場内に入ることは非常に危険だから場内に入ることのないようにということを警告を申し上げる。同時にまた、単なる口や文書じゃなくて事実上早くから、特に前夜は県警がかなりの実員を割きまして場内に立ち入る者が具体的にあり得ないようにチェックをしておった。それから、当日また朝早くから米軍も、米軍は前夜からもやっておりますが、この演習に参加する兵員を動員して場内をよく見ております。かつまた、先ほどお話がございましたように、抗議団からのお話がある都度現実確認をして、人がおるにかかわらず撃つということがないようにという努力をしてまいったつもりでございます。同時に、演習場内に入ること自体が大変危険であると同時に、法律にも触れる行為でありますので、演習場の周囲をずっとさくをして、これが演習場であるということを明示し、かつまた要所要所には演習場の中に立ち入ることのないようにということを書いた印を掲げておるというふうに、措置としては私どもはできるだけのことをやって、しかも演習を行うに当たっては、人がいるのだということが認められない状況演習をやったというふうに承知しております。
  9. 安井吉典

    安井委員 私は、人がいないのだというその判断をした沖繩県警本部態度に非常な疑問を持ちます。いないのだと言ったって、現にいたじゃないですか。その爆風けがをした人じゃないというふうに警察の方は言い張るのですかね、そのことを。だから、あらゆる手段を講じたとは言ったって、いたということが事実なんだとすれば、あの広い演習場ですから、それはよく調べたってそんなにわかるわけはないと私は思うのですよ。しかも、一方で七十人も入っているのだという情報をどんどん提供しているのですよ。それにもかかわらず問題を短絡させて、これだけ手はずを講じているのだから入っているはずはない、そういう態度で結論を下したということに私は大きな問題があると思う。施設庁長官の御答弁でも、と聞いておりますというふうなあいまいな言い方で、私は納得できないわけです。やはり現地の指揮の責任者であった沖繩県警加藤本部長の口から私は直接聞きたいと思う。  そういうような意味で、ぜひともこの委員会に、どのような形でするかは別として県警本部長に来ていただいて、その責任の所在を明確にしていただく必要があると思います。委員長において、その点お運びをいただきたいと思います。
  10. 松本忠助

    松本委員長 安井君にお答え申し上げます。  後刻理事会に諮りまして決定をして、御通知申し上げます。
  11. 安井吉典

    安井委員 現地から人が入っていてそういうふうな危険な状況にある、そういうトラブルについて防衛施設庁から、あるいは警察庁の方から外務省の方にも連絡があったはずだし、それから私どもの党の方も外務省にいろいろな申し入れをしておりますが、アメリカ側に対して外務省はどのような手はずをとられましたか。
  12. 山崎敏夫

    山崎説明員 その七月一日の当日私は在京いたしておらなかったのでございますが、当日の午後二時半ごろ外務省はこの問題について連絡を受けまして、山下安全保障課長から在京米大使館マッケロイ書記官に対して直ちに事実の調査方を依頼いたしたわけでございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 そして、その事実の調査の結果に基づいてどうでしたか。
  14. 山崎敏夫

    山崎説明員 その後につきましては、私たちの方は警察庁及び防衛施設庁から随時報告をちょうだいいたしまして、その問題をアメリカ側に伝えてまいったわけでございます。
  15. 安井吉典

    安井委員 何か人の仕事を頼まれて、いやいやながらやっているような御答弁に聞こえるんだな、いまのお話は。これは、東京の新聞はそう大きくは報道しませんでしたけれども現地沖繩では大問題なんです。連日新聞も大きな扱いで書いているという、そういう重大な問題なんです。もう少しそういうふうな事態をとらえての対応が欲しいと思います。時間が短いから、その点だけひとつ申し上げておきたいと思うのです。  防衛庁長官に次に伺います。  戦後の沖繩というのは、とにかく米軍が占領した後がそのまま基地として固定をされてしまう。その土地の取り上げを復帰後も土地暫定使用法という形で固定化して、依然として基地として残っている今日の状況、それへの不満が高まっている。ですから、戦争から戦後にかけての沖繩基地の問題で揺れ動いているというのが現状ではないかと思います。それが新しい形で爆発しているのがこのキャンプ・ハンセンではないかと思います。この前この事件について米軍ヘリコプターに日本警察が乗っていったということで大きな問題を起こして、私もほかの委員会で取り上げたこともあるわけですが、そういうふうな事態があるのにかかわらず、相変わらずこの問題の一番多い基地をそのまま米軍への提供基地として残しているということ、そこに根本的な原因があると思います。日米安保条約があるのだからしようがないじゃないか、そう言うかもしれませんけれども、そんな言葉で済まされない今日的な重大な問題がある、私はそう思います。もう少しこういうふうな問題のある基地から返還をしてもらう、こういう態度で臨むべきではないかと思うのでありますが、その点大臣どうですか。
  16. 坂田道太

    坂田国務大臣 基地の問題は非常に深刻な問題でございまして、私就任いたしましてから、確かに日本の安全にとって、自衛隊の基地も同じでございますが、米軍基地がやはり必要である。しかし、基地のあるところとないところでは、たとえば騒音の問題あるいはいろいろの公害ということで、基地のある市町村また市町村住民との間にいろいろの摩擦がある。特に沖繩におきましては、いま安井先生が御指摘になりましたように基地の占める割合が非常に大きい。したがって、住民とのトラブルというものもなかなか解消できない。そういうわけでございますが、何とかしてこのトラブル摩擦、そういうものをないように、あるいは少なくするために、私としては努力をしなければならないというふうに考えてきておるわけでございます。いま御指摘になりましたように安保条約がございますし、基地提供はこれに対する日本側義務でもありますから、そういう現実はありますけれども、しかしその地域社会における住民との摩擦というものはできるだけ避けなければならない、あるいは安全性というものはやはり確保してもらわなければならない、そういうふうに私はかねがね思っておるわけでございまして、もし不必要なところがあるならば、それはひとつ返還をしてもらいたいということで安保協議委員会でも十四回、十五回、そして実は昨日、防衛協力に関する新たな委員会を設けるというようなことも議題には出ましたけれども、もう一つの問題といたしましては、やはり基地の総合的な縮小計画に基づいて、どうしても米軍が必要なものはやむを得ないけれども、しかし必要でないものは順次ひとつ返還をしてもらいたい。こういうことの結果としてきのうも十二カ所についての返還が認められる。もちろんその前提といたしましては、たとえば伊江島の問題なんかもございまして、これはやはり代替地がなければ米軍としても困るわけでございますけれども、一応そういう意思表示があったということなんで、アメリカ側も全然必要でないものをただがんばっておるというわけでもないし、また私たち努力もある程度認めてもらったというふうに私は考えるわけでございます。  そうでございますけれども、しかし必要最小限度基地というのは日本国民生存と自由にかかわる問題でもございますし、この安定的使用ということについては、義務を負っておる日本国民としましては、やはりできるだけこれに協力していかなければならないというふうに思っております。しかし、事は人命に関する問題でございますから、この問題についてはいま施設庁長官からも申し上げましたように、また私からも申し上げましたように、安全性を無視して強行させるというようなことはやってはならないことでありますが、でき得る限りのことをやってなおかつ安全だ、大丈夫だということで、実は今度の演習も始められたと思うのであります。私はお昼ごろまで無事にこれが終了したという最初の報告を受けて安心したわけでございます。ところが、何かけが人がおる。それは大変なことだということでいろいろ調べてまいりますと、けが人が出ておるようだということです。しかし、ここの区域というのはもう再三再四、危険な場所で危ないことはわかっておるわけです。それは反対意思の表明をされるということは、私は日本国民として当然の権利であろうと思います。しかし、あそこの中へ行くのは危険なんだということはだれでもわかっており、そういうところに入ってまでなぜ反対しなければならないかということについては、私はどうしても納得ができないわけでございます。しかし、けがをされた方に対して、私はやはりお気の毒だと申し上げなければならないというふうに思います。こういうようなことが再び起こらないようにというふうに思います。しかし、それにはわれわれの方もあらゆる努力をいたしますけれども義務を負っている日本国民としては、やはりそういう危険ということが本当にわかっておるところには立ち入らないで、そうして別な形で意思表示を堂々とやればいいのではないかというふうに私は思うので、それらの団体等について御関係のある方々があるとするならば、やはりそういう方々からその意のあるところを御説得いただきたい。危ないんだよ、そういうところに入ったらいけないよと、それでないと困るよというふうにも、私からは実は言うべきことではないかもしれませんけれども、私はお願いしたいところでございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 私の予定時間になりましたからこれで終わりますけれども、いまの大臣の御答弁では私は納得できないわけですね。私どもは、沖繩基地があるのは日米安保条約なんで、本当戦争のない沖繩にするためには安保条約そのものをなくさなければいかぬと思います。それよりほかに方法はないと思う。しかし、その問題は、いまのキャンプ・ハンセンの問題の解決が来月できるという問題でないということもわかりますよ。だから、そういう段階において再三再四沖繩県知事は、あの県道越しに、百八十人もの住民の住宅があって小中学校もある、その頭越し大砲を撃つような、こういう危険なところはやめてくれというような警告を発しているし、沖繩県議会関係市町村もそういう決議をして、これは安保条約反対と言わない自民党の人も入れて全会一致決議なんですよ。そういう重大な世論の動きがあるのにもかかわらず、アメリカとの軍事関係の方が県民生活よりも大切なんだ、生活よりも軍事優先という仕組みで相変わらず政府アメリカ協力して、あの基地大砲を撃たせているのだ、そういう世論の盛り上がりが沖繩に現にある。私はそういう国民の声というものを忘れてはいかぬと思うのですよ。ですから、さっき大臣が言われましたように、アメリカで要らなくなった基地はできるだけ返してください、そういう言い方が大体私はおかしいと思うのです。ここは危険で日本国民生活に非常にかかわりがある、命にもかかわりがある、こういうところからまず返してください、そういう態度こそが私は本当国民のための政府態度ではないかと思います。アメリカ側にしてみたって、住民協力されないような基地なんて、持っていたって意味ないじゃないですか。世界のどこでだって、歴史の上でだってそうですよ。そこに住んでいる人から全く協力を受けないような基地なんて意味ないじゃないですか。そういうことをもう少しアメリカの方に言ってやりなさいよ。私はそういう態度をこそ政府に望みたい。そのことをひとつ大臣から御答弁いただきます。
  18. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は安保条約が絶対に日本の安全にとっていま必要であるというふうに思っておるのです。安井さんの方は、これは日本国民にとって害がある、不必要であるというふうに思っておられるわけです。そこにはまた一つ問題点が実はあるわけなんでございますが、これは不可欠なものである、国民一人一人の生存と自由にかかわる問題、だからその意味において、いずれにいたしましても安保条約というものが結ばれておるわけです。われわれとしてはやはり法のもとにおいてそれを遵守する義務があると思うのです。これは安井さんもお認めいただかなければならない。  そうすると、そのもとにおいてこういうような危険な状態というものがわかっておるところに、なぜそこまで行って反対意思を表示しなくちゃならないか。私は法律を曲げてまでやるべきじゃない、やはり法律範囲内において、あるいは憲法の範囲内において堂々とやるというのが民主主義的やり方だと思うのですよ。危険なことはわかっておる。それはもう再三再四言っておる。そこにあえて飛び込もうとする、そういう者に対して、沖繩の知事さんとしてもあるいは県会の人としても、それはひとつやめてくれ、しかし君たちの言う沖繩のこの状況というのはやはり問題があるから意思表示をしようじゃないか、あるいは基地反対をやろうじゃないか、それだったら言える、しかしいやしくもここまで来た以上は、これは危なくない、つまり人命尊重というからにはそういうことを君たちやるべきじゃないんじゃないか、こういうようなことが必要じゃないかというふうに思う。デモクラシーというのは私はそういうものだと思うのでして、これはお互いのことです。こういう現実をどう処理するかということです。私たちは私たち立場、あるいはこの基地反対する人たち立場からはまた別な立場がありましょう。立場は違いましても、少なくとも人命尊重ということについては、これは安井さんも私たちも同じ考えを持っておるわけですから、そういう立場から言うならば、反対はあくまでも反対ということを言う。しかし、ひとつそういうやり方だけはやめようじゃないかというようなことをあなた方の口から言っていただけば、トラブルトラブルでなくなるんじゃないかというふうに思います。しかし、私どもとしましては、こういうようなことが二度と起こってはならないというふうに思いますし、また確認して本当に人がおって撃つなんというようなことは絶対に避けなければならないというふうに思っております。
  19. 松本忠助

    松本委員長 それでは、上原康助君。
  20. 上原康助

    上原委員 いま安井先生の御質問に対して防衛庁長官政府の方から答弁があったのですが、聞いておって、全く沖繩県民のこの一〇四号線をはさんでの実弾射撃演習に対する反対の背景なり歴史的な経緯というものを理解しない、ぬけぬけと大臣であろうともそういうことをおっしゃるところに、私は改めて強い憤りを禁じ得ません。冗談じゃないですよ、あなたがおっしゃっていることは。  そこで、時間の範囲でお尋ねをしていきますが、先ほどの今回の実弾演習をめぐっての報告も実に形式的な、だれが書いたか知りませんが、職員の書いたものを棒読みなさる。これまた全くけしからぬことなんですね。政治家であり、日本の防衛問題なり基地問題を預かる最高責任者なら、いま少し政治家らしく人間らしい答弁があるかということを私は期待をしましたが、それさえもない。  そこで、一点だけ冒頭に確かめておきたいのですが、演習場内あるいは着弾地付近に人が入っておれば実弾射撃訓練はしないんだということをこれまで繰り返して強調してまいりました。きょうの大臣報告にも、その前提で今回も実弾射撃訓練をやった。この姿勢は今後も変わりませんね。演習場内着弾地地域に人が入っておるということが確認されれば、実弾射撃訓練はさせませんね。まずその点から明確にしてください。
  21. 齋藤一郎

    齋藤説明員 演習場施設として提供されたものは米軍が管理しておりまして、米軍がもっぱら責任を持っておるのでございます。それから、同時にまた米軍義務を負っておる。公共の安全というものについて妥当な配慮をすべきであるという義務を持っておりまして、米軍自身が非常に演習場内人命の安全の問題については注意しておりますが、同時に私ども施設関係の者としても、演習場内でいやしくも人命の軽視ということがあってはならない。また、警察も同じく人命の尊重という立場から共通の考え方を持っておると思いますので、それぞれの立場は全く同じでございますから、いまお尋ねのように演習場内に人が現におるということが明確に確認できるにかかわらず射撃をするということはやってはならないという考えでおります。
  22. 上原康助

    上原委員 キャンプ・ハンセン演習場の面積はどのくらいありますか。
  23. 齋藤一郎

    齋藤説明員 全面積は五千二百四十一万平米余でございます。
  24. 上原康助

    上原委員 五千二百四十一万平米もあるということはひとつ聞いている方々もよく理解していただきたいと思うのです。  演習揚を取り巻く周囲の距離はほぼどれくらいですか。
  25. 齋藤一郎

    齋藤説明員 約三十キロと承知しております。
  26. 上原康助

    上原委員 約三十キロもあるわけですね。  それは砲弾を発射する地域も含まれていますか、いまの面積は。
  27. 齋藤一郎

    齋藤説明員 全演習場の地域でございます。
  28. 上原康助

    上原委員 砲弾の発射地点から着弾地点までの距離はどのくらいですか。
  29. 齋藤一郎

    齋藤説明員 砲弾の距離で違うことがございますが、大体五千メートル前後だと思っております。
  30. 上原康助

    上原委員 そこで、今回万全の措置をとって演習開始をした、どういう措置を具体的に事前にあるいは当日おとりになったのか、明らかにしてください。
  31. 齋藤一郎

    齋藤説明員 この点については、広い演習場内でございますので、先ほど申し上げました全面積についてつぶさに確認することは大変むずかしゅうございますから、いろんな手段、方法でもって一般の方々に御理解いただくと同時に、現実には現地において立ち入る者を阻止するという二つの考え方でやってまいったわけでございまして、先ほども申し述べたところでございますが、演習が行われるということがわかった場合に、判明した時点で県にもあるいは地元関係自治体にも演習が行われることを通告いたしまして、同時にまた物理的に従前周囲のさくが十分でないところがあって、そのために危険な状態になるということを恐れて、さくの補強をする。それからまた、従前演習場であるということを明示したものが必ずしも数がたくさんあるというわけじゃないのでございますが、これをさらに数を増してたくさんつけるという措置を講ずる。それから、同時にまた反対運動をなさる方々にも演習場内に立ち入ることのないようにということを警告申し上げるというような一般に対する周知、それから予防方策、そういうものをとってまいったわけでございます。  それから、現地措置としては、先ほども申し述べましたが、県警ではかなり無理をした大人数の警察官を動員しまして、早くから、特に前夜の夜中からは周辺を見張って、入る者がないようにということ、あるいはまた演習が行われておる経過においても出入りのないようにということを措置してまいっております。  それからまた、米軍はこの演習に参加する軍人を着弾地付近において——先生御承知のように、着弾地付近に立ち入ることは大変危険な状態が発生する場合があり得るのですが、その方面に詳しい軍人たちでございますから、着弾地周辺をつぶさに当日演習開始前にもあるいはその前にも検索をしたというふうに聞いております。  それから、さらにまた途中において人がおる気配がある、白煙が上がっておるのではないかとかいろいろ情報が入る都度、そのことを現地連絡して現地確認をしてもらう。同時にまた、先ほども申し上げましたが……(上原委員「簡単にやってくださいよ、そんなに長々と言わぬでいいよ」と呼ぶ)要するに万全の措置を、私どもとしてはとり得る限りの措置をとってやってまいったつもりでおります。
  32. 上原康助

    上原委員 しかし、万全の措置じゃなかったわけでしょう、結果的には。  警察はどういう措置をとったのですか、簡単に説明してください。
  33. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま施設庁長官からもお話がありましたが、警察におきましても、通告があってから、射撃開始の数日前から警戒体制に入り、特にその前日の三十日からは、午後からでございますけれども警察官を現地に配置をするというような方法で安全確認、違法行為の防止に努めてまいったわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 きわめて抽象的なんですね、皆さんが万全の措置をとったということば。面積が五千二百四十一万平米もある。演習場の周囲は三十キロもある。その周囲に全部警備体制をとったのですか。とってない。どこどこにどういうふうに警備をしたのかということが一つは問題、私は警備を強化しなさいとは言っていない。そもそもあの地域で実弾射撃訓練をやること自体が不適格な基地提供なんだということが私のこの問題を議論しておる大前提なんです。  それともう一つ、当日はどういうふうに人がいるかいないかを皆さんは確認したのですか、それが一つ米軍に、人が入っていないから実弾射撃をしてもいいというオーケーのゴーのサインはだれが出したのか。アメリカが勝手にいないということで判断してやったのか、防衛施設庁が判断してさせたのか、警察が判断してさせたのか、これも明確にしてください。
  35. 齋藤一郎

    齋藤説明員 当日具体的にとりました措置については、先ほど長いとおっしゃったのではしょりましたが、特に演習開始前に当たっては着弾地付近を十分にヘリで上空から確認をしまして、そしてまた着弾地付近演習の成果を見るためにも千分観察しておりますから、その辺に人がいるかいないかという確認をして、人影がないということを十分確認した上でやっております。  それから、だれが確認したか、これは先ほど来申し上げたように、米軍提供しておる演習場そのものの主たる責任米軍でございますが、しかしながら施設庁もあるいは警察もそれぞれの立場から人命の尊重、確認ということが必要でございますので、関係者がいずれも同じ結論で、人影がない、人がおらないということでやったわけでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 そうしますと、施設庁確認をして、実弾を撃ち込んでいいというサインを出したのですか、三者で合同でやったのですか。これは重要な点なので、警察も答えてくださいよ、警備局長。だれがその命令を米軍に出したのか。あなたはヘリで捜査したと言うが、どういうふうにヘリで捜査したのですか。ヘリ何機で何時間ぐらい、時間帯。事実を知らない方は十分やったように思っている。何が十分ですか。具体的にどういうふうに捜索したの。
  37. 齋藤一郎

    齋藤説明員 米軍射撃開始に先立ちまして、六時二十分から六時四十分までの間ヘリコプターを飛ばしてやったわけでございます。それから……(上原委員「何機飛ばしたの」と呼ぶ)一機だと承知しておりますが。  それから同時に、十一時二十分から十一時四十分までの間、再度ヘリでやはりやったわけでございます。そうして、当日はこれはヘリを飛ばせること自体が大変無理な天候状況でございましたが、特にヘリを飛行させて探索をしたということでございます。
  38. 上原康助

    上原委員 あんた、よけいなことまで言わぬでもいい。ヘリが飛ぶことさえ非常に無理な気象状況だ。台風の余波を受けて大変な悪天候の状況。私は、だから、そういう気象状況のもとで実弾射撃訓練をやるのはまかりならぬということを防衛施設局長にも言ったのです。警察の警務部長にも会って言ったのです。何と言ったと思う。覚えていらっしゃい。そういう報告は来ていますか。警察はその当日はどういうふうな確認をしたのですか。人が入っていないということを皆さんは万全の措置をとって確認をしたと言うのですか。どう確認しておったのですか。
  39. 三井脩

    ○三井説明員 まず、この演習におきまして、ただいま施設庁長官からお話もありましたように、演習場内において安全確認をするというのは主として米側の任務、われわれは、警察演習場外から中に立ち入るということのないように、その周囲において警戒体制に入ったということでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように数百人の警察官を動員いたしまして、前日から演習場、特に着弾地付近、侵入しようと思えば通常あるいは侵入しやすいというようなところを重点といたしまして、警察官をそういうところには重点的に配置をし、警戒に当たったわけでございます。警察においては、その警戒体制の結果、その中に人が立ち入ったという状況はありませんでした。米軍もまた、ただいまお話しのようなヘリによる確認あるいは着弾地付近における監視所及び監視班の活用というようなことで、発射に際し問題がないということを判断をして発射したものというように理解をいたしております。
  40. 上原康助

    上原委員 実に形式的な御答弁だけでお茶を濁そうとしているわけですが、あれだけの広範の演習場においてわずか二十分間ヘリコプターを六時二十分から六時四十分までですか飛ばして、旋回もしていませんよ、演習場内を。ただ飛んで素通りしただけですよ。当日はヘリが飛ぶのさえも無理な気象状況であったということをあなたたち自身が認めながら、そういう状況で中に人が入っているかどうかという確認が十分できたと皆さん判断したのですか。ここに重大な過失があるということ、過失ですよ、これは明らかに。そうお認めになりませんか。  それと、警察に聞きますが、施設庁も同じなんだが、では、昨年の三月の実射訓練の段階においては、何と米軍ヘリを三機も、最高七機まで出したのだ、捜査をするために。午前中いっぱいかかっている。今度は明らかに二十分間、わずかに二十分間。これも食い違いがあるのだ。六時二十分から四十分までなのか、六時半から五十分までなのか、これも不明確。県警本部長が言うのと那覇の防衛施設局、あなたが言うのと違っている。食い違いがある。二十分だけは両方当たっているのだ。それだけの捜索で、捜査で、ヘリが一機ただ飛んで素通りをしただけで、では、七十名入ったということは、皆さんどの時点で情報を受けたのですか。はっきりしてくださいよ、それはそれだけの状況下で人が入っている、入っていないを、あの山の中を十分確認できたのかどうかということ。
  41. 齋藤一郎

    齋藤説明員 七十名入っておるという情報については発射後に承知して、そうしてその確認の必要を現地に直ちに伝えて確認をしておりますが、そういう人影は見受けなかったという状況でございます。
  42. 上原康助

    上原委員 警察答弁してください。ああいう捜索なり捜査のやり方本当に十分ですか。
  43. 三井脩

    ○三井説明員 私たちが承知しておるところでは、ヘリは旋回をしてよく捜査をした、捜索したというように承知いたしております。  また、ただいまの、中に人が入っておるという申し入れば演習が始まった後に二度ほど聞いておりますが、その都度米軍にも連絡をし、わが方で警戒に入っておる、ついておる警察官についてもこういう点について確かめましたけれども、入ったということは警察官においては把握しておらない。また、米軍においても監視所その他の活動によってそういう事実を認めないということで演習をまた再開をしたというように承知をいたしております。
  44. 上原康助

    上原委員 私がいろいろ調査をした範囲では、米側は、これは現地報道官も言っておりますが、防衛施設庁日本政府、いわゆる日本政府ですね、特に那覇防衛施設局警察から人が入っていないという確認報告を受けたので実弾射撃訓練は実行いたしました、こういう言明をしております。それは間違いありませんか。
  45. 齋藤一郎

    齋藤説明員 先ほども申し上げたように、警察警察立場施設庁施設庁立場で、現地に人がおるということがいやしくもあってはならないという関心で見ておって、人がいないとそれぞれの立場で思ったので米軍にそういう連絡をしたと存じます。
  46. 上原康助

    上原委員 ですから、警察施設局がそういう報告をしたから米軍は実射訓練をやったのだというこの事実は間違いありませんねと聞いているのです。
  47. 齋藤一郎

    齋藤説明員 米軍は、先ほどもお答えしたように施設の中では米軍責任においてこれを管理し、そして公共の安全を米軍が妥当な配慮で守る責任がある、義務があるということになっておりますから、最終に発射をするかしないかは米軍でございます。ただし、先ほど来何度も申し述べたように、われわれはわれわれとして危ないのに米軍が撃つということがあってはならないということで、われわれの立場でできる限りの措置を講ずる、警察警察の限りで、立場で、できるだけの措置を講じて、そしてわれわれが危険であるにかかわらず撃たせるようなことはしないようにという申し合わせをしておったという状況でございます。
  48. 上原康助

    上原委員 そうしますと、皆さんは、発射後、人が入ったという報告を受けたと言うのだが、これも冗談じゃないですよ。悪事にかけてはあなた、人後に落ちない皆さんが、そんな情報を持たぬはずがないのだ。前の晩の三十日の十時のニュースから、どんどんどんどん県原水協の抗議団が何名入ったということは報道していますよ、それは。それを知らないはずがないのだ、警察情報にしたって。これまでの経緯からしても、阻止団が着弾地付近に入ったであろうという予測も、そういう疑問も皆さんお持ちにならなかったのですか。どうなんですか、そこは。
  49. 齋藤一郎

    齋藤説明員 着弾地に人が入って演習をいわゆる実力で阻止をするという動きがありそうであるということは、かねがね事前にそういう情報がございましたから、それこそ私どもは、いやしくもそういうことで危ない状況下で砲弾が発射されることのないようにということで、われわれとしては万全の措置をとって、そして人影がいないという確認のもとでやったつもりでございます。
  50. 上原康助

    上原委員 警察はそういう危険性があるということは予測しなかったのですか。そこを明確にしておいてください。
  51. 三井脩

    ○三井説明員 前回の例にかんがみまして、そういうおそれもあるという立場で警備に当たったわけでございます。したがいまして、事前に原水協を初め反対をし、かつ言論にとどまらず現場において違法に反対行動をされるというおそれのある団体につきましては、その幹部に対して直接に厳重に警告を発しております。その警告については、相手方幹部も了承されておるということでありますが、そういうような手だてを講じ、かつ、それでもなおかつ現実に立ち入るということもあり得るわけでありますから、そういう立場で厳重な警戒を行ったということでございます。
  52. 上原康助

    上原委員 じゃ、現時点で、人が入っておったという確認は皆さんはどうなさるのですか。先ほどは、詳細については警察調査を待つというふうな長官の報告でしたね。この時点においても、負傷者が現に出たというこの時点においても、着弾地付近あるいは演習場内に人が入っておったということを皆さんはお認めになるのか、認めないのか。詳細については警察調査に待つというのだが、じゃ警察は現段階ではどういうふうな調査をしたのですか。これも明確にしてください。
  53. 三井脩

    ○三井説明員 演習が安全に行われる、そのためには中に人が入ってはならない。通常は、法を守るという人が大部分でありますから違法な行為をやらないわけでありますけれども、入るかもしれないということで、演習場の安全といいますか、演習の安全、つまり提供施設、区域の安全を確保するために、法的な措置として、ここに入ることは法律違反であるという特別の立法も行われておる、こういうことでありますから、警察といたしましては、演習をするために立ち入りを禁じておる、通常の場合も同様でありましょうけれども、特に演習をやるために禁じておる、この段階で立ち入る……
  54. 上原康助

    上原委員 私の質問に答えてくださいよ。入っておったことを現時点で認めるのか、認めないのかということを聞いておるんだ。
  55. 三井脩

    ○三井説明員 そのためにお答えしておるのです。  そこで、警察といたしましては、警察があそこに配置につく趣旨は、違法行為を防止するということによって安全を確保するということになるわけであります。したがいまして、いま申し上げたように、警察官が現地に入っておったにかかわらず、配置についておったわけでありますけれども現実病院けがをしたという人があらわれたということでありますので、警察としてはこれはどういうことかということで、いまお尋ねの調査に入ったわけであります。本人は、病院に行ったときには演習場の中におったという趣旨のことを病院の医師に申し述べておるようでありますけれども警察官が本人に会ってそのことを聞こうといたしましたところ、警察に用はない、言う必要はないということで、本人はもちろん、本人と一緒におった人も言わない。(上原委員質問に答えてください」と呼ぶ)つまり調査の過程を御質問でございますので、お答えしておるわけでございます。結論は追って申し上げます。  そこで、警察としてこの事態の真相を究明するということは、ただいまの安全の点も、また法律違反の点、犯罪捜査という点もあるわけでございますけれども、ただいまは本人から直接聞けない。したがって、間接に聞こうといたしますけれども、その関係者も言わない。わずかに入院のときに申し述べた若干のことしかないわけでありますので、そしてまた負傷の程度等いろいろ状況を勘案いたしますけれども、どうもはっきりしないということで、鋭意捜査並びに調査を続けておるところでありますけれども、現段階においてはいかんともわかりにくいというのが結論でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 そんな特高みたいなことを言ったって、その状況判断をやれば、環境判断をやれば、人が入っておったかどうかぐらいわかるのじゃないですか、あなた。当日もみんな阻止団が山からおりてくるのは確認をされているのじゃないか。そういう手を使うから、ますます県民の不信を買うのだ。  そうしますと、結論だけ言って、現段階でも警察政府は、阻止団が当日演習場地域に入っておったということは認めていないという態度をとっておるということですね、それは明確にしてください。
  57. 三井脩

    ○三井説明員 演習場内に立ち入っておったということの確認は、まだ現段階ではできません。
  58. 上原康助

    上原委員 それと、盛んに法律を犯したということを言っておるのですが、演習場に入って実弾射撃訓練に抵抗するということがなぜ法律を犯しているのか、ここも明確にしてください。どういう法律を具体的に犯しているのか。
  59. 三井脩

    ○三井説明員 刑事特別法第二条に規定がございます。
  60. 上原康助

    上原委員 それだけですか。
  61. 三井脩

    ○三井説明員 ただいまの段階で考えればそういうことでございますが、あるいは具体的な事実を把握しませんと、それと競合するとかいろんなことがあるかどうかはただいまのところわかりかねます。いま演習場の中に入ったということが罪になるかと言われれば、刑特法二条、こういうことでございます。
  62. 上原康助

    上原委員 そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、先ほどいろいろ実弾演習反対をする人のことについて言及をなさっておったのですが、安井先生も言われたように、私は大臣の御答弁に納得しません。  そこで問題は、なぜここまで、皆さんの側から言うと、あえて危険を冒してまで着弾地域あるいは演習場に入り込むかということに納得いかぬということですが、一体危険を冒している元凶は何ですか。あなた何だと思うのです。われわれは、実弾射撃訓練をそこでぽかぽかやるから危険であるのだと言っている。それを取り除くのが政治であり、政府の仕事なんですよというのが私たちの要求なんだ。百五ミリ、百五十五ミリの実弾をああいう狭っこいところで、しかも先ほど来言うように、もう何回も言ったように、学校もある、民家もある、そういう地域で実弾射撃訓練をするのは危険であるからやめなさいというのが県民の要求なんだよ。それをあなた、体を張って阻止する、反対をする、法を犯して入っているのが悪いというようなことをおっしゃるんですが、具体的にどういうふうに法を犯しているのか。なぜそこまでやって、体を張って抵抗しなければいかぬと思っているのか、これについてあなた、政治家として答えてみてください。
  63. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、政治家としてはそういうことをやるべきじゃないと思うのです。明らかに危険で、そしてやられるかもしれない。そういうところへ、何で反対運動をしなければならないのか。別に意思の表示はありますよ。それがデモクラシーの行き方じゃないですか。法律を守れとか憲法を守れとか言うような人たちが、そういうようなことを言うこと自体がおかしいと私は思う。これはデモクラシーの何たるかを知らぬことじゃないかと私は思います。少なくとも現行法があり、そういうことは危険である、再三これだけの努力をしておる。それに対して(上原委員「大変な発言をなさるね」と呼ぶ)大変なことじゃないですよ。デモクラシーというものはそういうものですよ。ちゃんと法律を守ることでしょう。われわれが協賛して、そしてできました法律については守る。そういうことを、危険を冒すことを使嗾したり何かすべきことではないと私は思っていますよ。ただし、そういうようなことについて、安保条約についてはいろいろ議論がある。これに反対なさることについては私はとやかく申すものではありません。そういう議論もある。それはありますよ。その自由は、私はとやかく言っているんじゃない。しかし、そのやり方というものは、あなたのお話を聞いていれば、法を犯してもそういうような抵抗をすることはいいんだと言わんばかりのお話です。私は少なくとも、政治家としてとお聞きになるから、私は政治家としてはそういう政治家であってはならないと自分に言い聞かせております。(上原委員「そうしますと……」と呼ぶ)まだ私、話しているのです。本当に私はこう思うのですよ。やはり摩擦を避けなければならない、こういうようなことで県民感情を悪くするようなことがあっちゃならない。したがって、われわれ政治家は、先生政治家でいらっしゃる。そうならば、どうやってこういうようなものをトラブルを少なくするかということに努力をするのがわれわれ政治家責任であるというふうに思います。体を張ってとかいうような人があるかもしれない。しかし、そういう人たちに対しては、それはどうですかと言うのが政治家じゃないですか。私はそう思うのですよ。それは沖繩県の人たちにこれだけ基地が多くていろいろな御迷惑をかけておる、これもよくわかるわけです。しかし、安保条約があるし、そしてやはりこの演習をしたいというのも向こうのアメリカ軍としては当然なことだと私は思うのです。  そこで、どうやってトラブルが起こらないようにやるかというのは、やはり日本政府あるいは日本政府警察としても危なくないような万全の措置を講ずる、われわれ施設庁もする、そういうようなことがあって初めてうまく行くんじゃないですか、危険がないという、けががないというようなことが達成できるんじゃないですか、私はそう思うのですよ。それ以外にないと思うのですよ。ですから、法律安保条約をなくする、それはいろいろな政権交代がありまして、そうなればそうですよ。しかしながら、それまでの方法として、各種の団体が安保条約がいけないんだということを住民に訴えることも、これは自由でございます。しかし、それがある以上は、法律がある以上はやはり守って、できるだけひとつトラブルがないように望むというのが政治家態度じゃないだろうかというふうに私は思うのです。  あえて政治家態度をお聞きになりましたから、私は政治家としてそういうふうに考えております。
  64. 上原康助

    上原委員 私はいまの御答弁は、それは坂田道太という政治家はそういうお考えを持っているということはきょう承りましょう。しかし、それに私は納得できません、そういうことには。安保条約があるから法律を守るのはあたりまえじゃないですかということですが、刑特法にしても安保条約にしても自衛隊の問題にしても、あなた、憲法違反だという判例も一審では出たんじゃないですか。そういう国民の受けとめ方もあるということを政治家は理解して物事をやらにゃいかぬじゃないですか。  私がお尋ねしているのは、皆さんはすべて安保の枠内で物事を処理なさろうとするから、そこには無理があるんだ。聞いてください、私の言うのも。短絡せぬで、そんなに怒らぬで。無理があるんだ。安保条約安保条約というけれども、ああいう狭っこいところに実弾射撃訓練をする基地として提供したところに問題があるから、その元凶を改めない限りこういうトラブル住民との摩擦はなくなりませんよ。それをなくしていく努力をするのが政府として、政治家としてもっと前向きにやるべきことじゃないのかというのが私の質問の趣旨なんですよ。それを開き直って、あたかも憲法をあなた一人で解釈なさって、安保も絶対視する。そこに問題があるんじゃないですか。だから、元凶をなくしていきなさい。皆さんは、今後このような県民とのトラブル県民との摩擦なりあるいは阻止行動というのは起こらないようにと思っているんですが、私はやはりかねがね言うように百五ミリも百五十五ミリも、百歩譲ったとして皆さんが言う安保の枠という議論をするならば、そういう実弾射撃訓練をする基地としては不適格だから改めなさい、県道をはさんで封鎖をした、日本全国にも例のないようなことを沖繩でやるというのは、差別と犠牲じゃないかということが私の言っていることなんだよ。それを開き直った形で、そんな答弁沖繩県民もっと怒るのじゃないですか。見解の相違と言えば、私に言わせればそういう見解しかあなたの御答弁に対しては申し上げませんよ。なぜそこまではアメリカと話し合いをすることができないのかというのが私の質問なんですよ。お答えください。われわれは憲法を、安保を認めぬ。
  65. 坂田道太

    坂田国務大臣 だから、憲法を認めないなんて、そんなことはいけませんと思います。(上原委員「憲法じゃなくて安保だ」と呼ぶ)憲法を認めないなんということはいけないと思います。私は憲法を守りたいと思っております。法律も守りたいと思っております。それが民主主義下における政治家の行き方であるというふうに私は考えます。私は、先ほど安井さんの御質問にお答えしましたように、できるだけ基地を必要でないものはなくしていく、そうしてトラブルを少なくしていくということについては同感だということを言っているわけです。現にきのう安保協議委員会において十二カ所も一応決まったわけです。(上原委員「それは後で議論しましょうや」と呼ぶ)これも全然お考えいただかないで、ただ自分の御意見を述べておられるわけですけれども、それでは私は納得できないのです。  それで、私は安保条約についてあなた方が反対ということも知っておりますし、また反対国民があることも知っているわけです。しかし、反対意思の表明はいいけれども、体を張ってまでとか危険を冒してまでやれというようなことを是認するようなことなら、このトラブルというのはなかなかそれは本当にわれわれの期待どおりにはいきません。安全を守るということをわれわれは最大に考えてあらゆる努力を払っておる。しかしもし、あなたと私と話が違うかもしれぬけれども、あなたが一緒になって、それは将来はおっしゃるように危いからこれはやめよう。しかし、とにかくこの法律がある以上、また責任日本にある以上、その間はむしろ危険のないようにしましょう、そうして安定的にこれが使用されるようにお互い協力しましょうということだってできる。あなたはできないとおっしゃるけれども、やろうと思えばできないことはないんですよ。そうすることによって安全性は保てるわけですよ。一つ残るのは、そういうような行き方をしなければ、安保条約というものをなくすることはできないとあなた方が考えておられる。しかし、そういうことはよくないのであって、体を張ってまで、危険を冒してまで抵抗の論理、これはすべてに優先するんだ、基本的人権も何もないんだ、こういうようなことならば危険は伴っていくわけですよ。ですから、あるいはそういうようなことを考えておる人もいるかもしれない。しかし、そういう人に対しては先生も国会議員だから、ひとつそういうことはやめてくれよ、おれがかわりに国会で堂々とやるよ、またやっていただいておるわけですけれども、そういうことが民主主義では非常に大事だと私は思うんですよ。ただ民衆が言うからとか国民が言うから、だけど、そういう体を張ってまでとか命を賭してまでこれは反対する、そういうようなことを是認するようなことはわれわれは考えてはいけない、われわれ政治家は考えてはいけないというふうに思うので、これは先生に私からもお願いいたしたいと思うんです。何とかひとつそういうトラブルがないようにひとつお願いできませんですかな。本当に私はそう思うんですよ。だから、もし上原さんがそういうようなお気持ちになってやられると、こういうような問題もトラブルはなくて済むんじゃないだろうかというふうに私は本当に思うので、そのかわりわれわれで注意すべきことは注意しますよ、また米軍にも言いますよ。ですから、ここはひとつお考えをいただきたいものだ。この不幸を転じて福となすという形でひとつやっていただきたい。そのかわり反対反対で大いにわれわれ議論をいたしましょう。
  66. 上原康助

    上原委員 人には、物事には聞ける相談と聞けない相談があるんです。私はそんなことでは絶対に納得もできません。  時間が参りましたので、そうしますと何回も念を押すように、向こうで実弾射撃訓練をする基地としては不適格であるから返還要求しなさい、あるいはそういう県道封鎖をしての実弾射撃はやめさせなさいというのが私の要求なんですね。最後に、それをやる意思はないということなのか。  もう一つ、これも大臣に確かめておきたいのですが、そうしますと体を張ってまで阻止行動をやる方は、法を犯しているから自損行為だというふうにあなたは見ているわけですか。
  67. 坂田道太

    坂田国務大臣 いや、そんなことを言っているのではないので、あなた方の方でもできるだけ人命尊重ということを考えるならば、そういう明らかに危険なところに入らないようにお願いしますということです。  それからもう一つは、このことがあって、一〇四号線で、あそこは確かにおっしゃるように間にあってそれを越えて撃つということは、やはり私は先生と同じように考えております。したがいまして、それを通らぬでもいい道を早くつくりなさいということで、それも二年、三年というふうに最初は計画しておったのですけれども、そんなことじゃいかぬ、とにかく一年ででも完成するようにがんばれと言ってあれをつくらせたわけです。ですから、そういうことでこちらに迂回して、村民の方々には御迷惑のかからないようにするから、そうすればここを通らぬでも、ここは撃てるようになるんじゃないだろうか、そしてそれはお互いの良識で協力し合えば米軍は実弾が撃てるし、それから住民にも危険はない。だから、ここはやはりお互いの歩み寄りじゃないかということなんですけれども、そういうっもりです。
  68. 上原康助

    上原委員 もう大臣の時間がありませんので、次の方に失礼になってはいけませんから一応終わりますが、私はいまの御答弁では納得しません。  それと、先ほど安井先生も要望がありましたが、特に現地の警備の問題については、いまの警備局長答弁では納得できません。全くくつの裏から足をかくような間接的な逃げの答弁しかやっておりませんので、現地の防衛施設局長警察部長の国会への出向といいますか、参考人あるいは喚問を私は強く要求しておきます。
  69. 松本忠助

    松本委員長 上原君の申し出については、後刻理事会でお諮りして決定をいたします。  次に、正森成二君。
  70. 正森成二

    ○正森委員 私は、今回七月一日に、報道によりますと着弾地点内に阻止行動に入って負傷したという事件について、それが正しい行為であったかどうかということを坂田防衛庁長官と議論しようとは思いません。私は別の角度から、以下若干の質問をさせていただきたいというように考えております。  まず最初にお伺いいたしますが、沖繩県当局ではいままで米軍との間に演習は絶対に安全に行う、たとえそれが米軍から見て好ましくないものであっても、阻止団が着弾地点付近におるというような場合には演習をしないということが繰り返し言明されてきた、こういうふうに承っておりますが、それは事実でしょうか。また、将来もそれをお守りになる意思がございますか。
  71. 齋藤一郎

    齋藤説明員 ただいまお尋ねの点については、米軍演習を行うに当たって十分安全を考慮しなければならないことになっておりますし、また米軍自体そのことを十分に認識しております。それから、私ども施設提供の業務に携わっておる者も、演習場内の行動の結果、いやしくも人命の尊重を怠るようなことがあってはならないということを十分認識しておりますし、警察も別な警察立場からそういう同じ認識を持っておられるので、今回演習を行うに当たっては、この三者が、いやしくも着弾地に人がおるにかかわらず撃つということのないようにということを厳に基本方針として確認し合ってやっておるわけでございまして、今後もまたそういう事態があるのにかかわらず、人がおることがわかっておるにかかわらず撃つということがないようにやってまいりたいと思っております。
  72. 正森成二

    ○正森委員 現に本土の東富士演習場などでも阻止団が着弾地付近に入ったということがございましたが、そういう場合にも、米軍は必ず演習を中止してこういう伝えられる人身事故のないようにしたというように承知しております。そう伺ってよろしいか。
  73. 齋藤一郎

    齋藤説明員 過去においても、ただいま申し上げたような観点でやってまいっております。
  74. 正森成二

    ○正森委員 警察庁に伺いたいのですが、あなたはいま犯罪行為として該当するとすれば刑事特別法の二条である、こうおっしゃいました。その刑事特別法二条の罰則はどの程度のものですか。
  75. 三井脩

    ○三井説明員 一年以下の懲役というように承知しております。罰金もあったと思います。
  76. 正森成二

    ○正森委員 坂田防衛庁長官、いまお聞きになりましたように、犯罪行為であるというように言われておりますが、私はそれの評価をしようとは思いませんが、仮に犯罪であるとして最高一年以下の懲役もしくは二千円以下の罰金ということになっておるのですね。そうだといたしますと、犯罪であるということで逮捕されて一番重い刑に科せられても、それだけである。ところが、着弾地点におるということを確認しないで射撃をされて、今回はまだ、ただいま同僚議員の質問を聞いておりますと、演習場内米軍射撃によって負傷したということは警察庁としては確認されておらないようですけれども、仮にそうだとすると、犯罪として一番重い場合でも一年以下の懲役にしかならないのに、米軍射撃実施することによって場合によったら人命を失うということになるわけですね。これは法益との比較考量からいいますと、こういう場合に射撃実施するということは絶対に許されないと思うのですね。別の例を挙げてみますと、警察にはピストル射撃の訓練場がいろいろありますね。これの中に侵入するということは住居侵入罪であります。刑特法よりもずっと重い犯罪だ。しかし、この射的の置いてある付近に何人かが侵入したという情報が入っておるにもかかわらず警察が通常のようにピストルの演習をどんどんやった、そのために負傷をしたということになれば、そういう警告があるのにあえてやったということになれば、犯罪の用語で言えば認識ある過失にとどまらずに未必の故意もしくは明白な殺意を持っての射撃であるということになってくるわけですね。  ですから、私は坂田防衛庁長官、阻止地点に侵入したということが言論だけにとどまらない行為でいいか悪いかという視点を少し離れて、たとえ犯罪に触れることであるとせよ、その着弾地点に入っておる可能性があるということになれば、安全を尽くすということがやはりアメリカ軍にとっても警察にとっても防衛施設庁にとっても何よりも優先すべきことではなかろうかというように思うのですが、それについてはいかがです。
  77. 坂田道太

    坂田国務大臣 私はやっぱり安全を尽くすということが大事だと思います。そして、それはわれわれの方もそうだけれども住民の方もやはりそれに御協力を願いたいものだというふうに思います。
  78. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私は出張から帰ってまいりまして安井議員の質問を聞いておりませんので、あるいは重複いたしましたら非常に申しわけがないということでお断りしておきますが、報道によりますと、米側警察防衛施設庁が大丈夫だということを言ったので射撃したということが報道されておるわけですね。いま上原議員の質問を聞いておりますと、齋藤防衛施設庁長官は、内部においては米側が管理、警備の権能を持っておる、これは地位協定でも当然のことでありますが、それで安全を確認して射撃をしたのであろうという趣旨の答弁でございました。しかし、私はれっきとしたアメリカ大使館がこういうように新聞報道されておるということになりますと、アメリカ側ヘリコプターをわずか一台だけ出して約二十分間なでるように視察をしただけであるということは、恐らく警察の方に、これだけ警備しているんだからネコ一匹通るはずがない——前の六月三十日の夜の十時にとにかく阻止団が七十三名侵入したということが報道されておるわけですね。ところが、それに対する現地警察の反応は、これは現地新聞が二種類ありますが、いずれもこれだけ警備しているんだからネコの子一匹通るはずがないということで笑って問題にもせずに、デマだ、こう言ったと書いておるのですね。もし、そういうことであるとすれば、三井さんに伺いたいのですが、そういう警察の万全の警備をして侵入させない体制になっておるのだからネコの子一匹通るはずがないということもまた、米軍がわずか一台しかヘリコプターは出さず、きわめて短時間上空を飛んだだけで射撃を開始したということにつながるのではなかろうかという感じを私は人命尊重の観点から見て持たざるを得ないのですね。また、私は沖繩県当局に正式に問い合わせましたが、沖繩県当局は、そういう情報も入ったので、七月一日の午前十一時二十分には正式に防衛施設庁に、中に入っておる人間がおるから演習を中止してもらうようにということを申し入れたそうであります。  そうだとすると、こういうように一般的に広く報道をされておる、県もこういうことを言っておるという場合には、直ちに演習を中止して、そして現地付近にヘリコプターを飛ばすなり、あるいはヘリコプターで着地して捜索をするということがぜひとも必要ではないでしょうか。現に私どもは、昨年の三月に警察官がヘリコプターに乗りまして現場において捜索を行い、逮捕を行うというようなことがありましたときにも質問をいたしましたが、そういうぐあいにやったことがあるのですね。ヘリコプターに乗ることがいいかどうかは別ですよ。  今回の場合には、結果論になりますけれども、もし内部で実際に負傷しておる、四カ所から異物が摘出されておるようでありますから、調べてみればわかるでしょう、そういうことになれば、著しく警備の点について手抜かりがあった、あるいは大丈夫だろうという、ある意味では八百人を動員したということによる思い上がりがあったというように考えざるを得ない、こう思うのですが、警察施設庁のお考えはいかがですか。
  79. 齋藤一郎

    齋藤説明員 先ほどもお答えいたしましたように、演習場内に人がおることが現に認められるのにかかわらず射撃訓練をするということはいたさないという考え方で臨んでおりまして、それは、先ほどお尋ねがあったように、過去のほかのところの演習場でも同じで、人がおった場合には、これは犯罪で入っているのだから撃ってもいいというような考え方はいけない。人命尊重の基本的な立場から言えば、これは排除して、出てもらって、危険がないような状態にして撃つんだということで、中止をして、そういう状況が出現するまで待っておるという例はたくさんございます。  今回の一〇四号線越えの演習の場合も、過去におけるほかの演習場、あるいはさらにキャンプ・ハンセンにおける過去の実例からいって、人がおるにかかわらず撃つということは絶対にしないというかたい方針でもって臨んでおりまして、その経過においていまお話しのように県の渉外部長からもそういう情報連絡がございましたから、私どもその都度現場に連絡をして確認をさせて、十一時に飛んだヘリはそういう情報の結果飛んだのでございまして、私どもとしては人がおったのを承知で撃ったということは絶対ございません。人がいないという認識のもとに射撃を行ったというふうに理解しております。
  80. 正森成二

    ○正森委員 人がおらないということを確認して撃ったと言いますが、これは言い方にもよるのですが、人がいるということを確認できなかったと言う方が正しいのではないですか。人がいないということを確認したと言いますが、これは何事でもそうですけれども、いないということを確認するということはなかなかむずかしいのです。人がいることを確認できなかったということなら、これは人間でもできるのですね。これは化学の実験でもそうなのです。何もないということを証明することはむずかしいけれども、あるということを確認できなかったと言うこと、これはできる。  そこで、三井さんに伺いたいけれども、そういうぐあいに情報提供があったときに、あなた方は米軍当局と密接な連絡をされておったに違いないと思います。現地の阻止団から侵入したという発表があったとき、あるいは県からも発表があったときに、あなた方は米軍にいかなる連絡をいたしましたか。
  81. 三井脩

    ○三井説明員 申し出のあった情報を伝え、米側において確認をするように、警察警察として外部においてできることをやっておる、こういう連絡をいたしました。
  82. 正森成二

    ○正森委員 警察警察として外部においてできることをやっておるといういまの御答弁ですが、そのときに警察の外部での警備状況から言えば、だれ一人侵入しているとは思われないということをつけ加えなかったですか。
  83. 三井脩

    ○三井説明員 現実にその点を警察としては中に入ったことは確認しておらないという趣旨は申し述べたようでございます。
  84. 正森成二

    ○正森委員 だから、そこらが非常に微妙になってくるわけであります。そのときに、私が用語の違いを明白に言いましたように、入ったということは確認しておらないと言うのと、入っておらないというように言うのとは、天と地ほどの違いがあるのです。あなた方は、入っていることを確認していない。犯罪でも、よく殴ったとか殴らぬとか言いますが、殴っていることを現認していないと言うのと、殴らなかったと言うのとは全然違うことなんです。それはあなた方専門家だから、よく知っているでしょう。一体どちらの報告をしたのですか。
  85. 三井脩

    ○三井説明員 どういう言葉を使ったか、その具体的なことはただいま持っておりませんけれども意味するところは、警察が警備しておるその中で、中に入ったということを確認しておらないという意味のことを申し伝えたというように了解しております。
  86. 正森成二

    ○正森委員 いま私がこういうように、その二つの意味が全く違うということを指摘して質問をいたしましても、一体どういう言葉を使ったかということは、三井さん自身必ずしも確信を待ってお答えになれないわけです。そうして、現地警察官がこれだけ警備しているんだ、ネコの子一匹通らぬ、こう言って相当自信を持っておったということは広く報道されておるのですね。そうしますと、私は初めに指摘したところに戻りますが、米軍の応対の仕方というのは、日本警察のそういう外部での警備というのを過信したところに今回の事件は、もし射撃によって負傷したということが確認されるならば、重大な問題点があったというように思わざるを得ないのです。  そこで、坂田防衛庁長官にお聞きしたいと思いますが、今後こういう阻止団が入ったという確実な情報があるという場合には、ヘリコプターが上をすうっと通っただけで現認しないから撃つというんではなしに、関係者に十分事情を聞き、あるいは場合によっては現地に何人かの人間をヘリコプターで着陸させるということをやって、一定時間、恐らく数時間もあれば十分であろうと思いますが、そういうことをやってから射撃を開始するようにということを申し入れるお気持ちはありませんか。
  87. 坂田道太

    坂田国務大臣 やはりこの機会にいろいろ万全の措置をして、そうして人命の尊重を考えてもらいたいということは申したいと思っております。
  88. 正森成二

    ○正森委員 アメリカ局長に伺いたいと思いますが、報道によりますと、もし基地内においてアメリカ軍の射撃によって負傷をしたということが判明するならば、外務省としても何らかの措置アメリカ側に対してとる、こういうことを報道している新聞があります。  そこで、坂田防衛庁長官のいまのような答弁もありましたが、外務省としては、わが国民の生命の保護、安全のためにどういうような態度をとるつもりですか。
  89. 山崎敏夫

    山崎説明員 御承知のとおり、安保条約に基づきます地位協定の第三条の第三項におきましても、合衆国軍隊は、その使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならないということになっておりまして、米軍はその施設、区域内において管理権は持っておりますけれども、その施設、区域内における作業は、安全に対しては十分な考慮を払わなければならないと思います。したがいまして、そういう人命に危険を及ぼすような事態がありました場合には、われわれとしては、アメリカ側に対して注意する必要があると思っております。  ただ、今回の事件は、まだその事実について調査中でございますので、その事実の調査の結果を関係方面からお聞きした上でわれわれとしての措置を考えたいと考えております。
  90. 正森成二

    ○正森委員 もう一度確認したいと思いますが、もし着弾地もしくはその付近でアメリカ側射撃によって負傷したということが明らかになれば、刑特法の問題は刑特法として、アメリカ側に対して注意を喚起し、もしくは抗議をする用意がある、こう伺ってよろしいか。
  91. 山崎敏夫

    山崎説明員 現在まだ事実を確認するに至っておりません。また、それが果たして事実であるかどうかもわれわれとしては承知いたしておりませんので、その後の措置についてはっきりしたことは申し上げられません。ただ、現実にそういうことがございましたならば、その段階において外務省としては適切な措置をとりたいと考えております。
  92. 正森成二

    ○正森委員 適切な措置をとるということが、私は注意の喚起もしくはその調査状況によっては抗議であるべきであるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、坂田防衛庁長官にもう一言伺いたいと思いますが、同僚議員との論戦の中で、ともかくある以上は法律というのは守らなければならないということをおっしゃいました。それは人民の側に対してだけ法律を守れというのではなしに、当局の方も同様に法律を守らなければならないということであろうと思いますが、いかがですか。
  93. 坂田道太

    坂田国務大臣 仰せのとおりに考えております。
  94. 正森成二

    ○正森委員 そして、特にこういうように基地反対であるとか射撃反対であるというように、当事者間で非常に問題が先鋭である場合には、当局者というのは、いやしくも法律がある以上はその法律をできるだけ人民の側の権利の立場を考えて、そして解釈して対応をするということがやはり国民の感情を穏やかにするというか、トラブルを少なくする上で非常に大切なことである、こう考えますが、いかがですか。
  95. 坂田道太

    坂田国務大臣 全く私もそう思うので、それであるだけに今度は住民の側においても本当に危険だということを、この前もこういうことがあったじゃないかということについては、体を張ってまでやるということはひとつやめようじゃないかというようなことも出てきてしかるべきじゃないだろうか、またそういうふうにわれわれは指導すべきじゃないだろうか。指導というとおこがましいかもしれませんけれども、そこはお互い考えるべきじゃないかというふうに私は思います。全く先生のおっしゃるとおりに考えます。
  96. 正森成二

    ○正森委員 ところが、警察は、法律について私が言ったような意味で余り守っておらないようであります。昭和五十年の三月十八日に、前に警察官がヘリコプターに乗って、基地内に入りました人を捜索し、あるいは逮捕するということがありましたときに、県道の一〇四号線を封鎖するということを行ったので、それに対する抗議行動その他としてこういうことが起こった。で、いやしくも道路をそういうぐあいに閉鎖するという場合には、道路法による場合と道交法による場合があるけれども、この場合は道路法ではやる意思道路管理者になかった。そこで、道交法以外にない。道交法であるとすれば、道路交通法の百十条の二で事前に警察署長は道路管理者の意見を聞くということになっており、そして緊急の場合でやむを得ない場合でも事後にこういうことで閉鎖したということを通知しなければならないというようになっているわけであります。この問題については道路の管理者は当然県であり、そしてその当事者は平良知事でありますが、私がこの問題を一年前に指摘して、こういう点については警察は最大限に住民立場に立って法を運用しなければならぬ、こういうことを指摘したとおりであります。  そこで、三井さんに伺いますが、あなた方は今度の件について事前に県の意見を聞きましたか。恐らく聞いていないでしょう。そして、事後に通知しましたか。事後にも通知していないでしょう。私が県の土木部道路課長に伺ったところでは、これまで一切警察はそういうことをやったことがない、事前にも事後にも通知したことがない、復帰後のすべての射撃についてそうである、こういうことを言っております。そのとおりでしょう。確認いたします。
  97. 三井脩

    ○三井説明員 通報いたしました。(正森委員「通報しましたか」と呼ぶ)ええ。所轄の、担当しておる土木事務所長のところへ、所轄警察署の交通課長が署長代理として出向いて口頭で十分に話をいたしました。
  98. 正森成二

    ○正森委員 私ども道路課長に問い合わせたところでは、そういうことはやっていないということですが、あなた方はそれをやったときに、事務所長にどういうように言ったんですか。県の方に通知をしてくれと言ったんですか。
  99. 三井脩

    ○三井説明員 もちろんそういう趣旨を申し述べ、法にあるように意見も聞くということでありました。現地の事務所長は、大体こういう道路の問題は、この場合は量はわかりませんけれども、日常茶飯事で大変たくさんあるわけで、一番現場の状況を知っておる出先である署長と土木事務所長というところでやるということになっておるわけですけれども、この場合について土木事務所長は、これは私の一存でいかないので本部に上げたい、県庁に上げたいということを言って、その後返事はよこしませんでした。
  100. 正森成二

    ○正森委員 それはいつ話し合いあるいは通知を持ちましたか。
  101. 三井脩

    ○三井説明員 正式には六月三十日、前日でございます。
  102. 正森成二

    ○正森委員 あなた方はそういう場合に、上の方に上げたいということでありますから、土木部の道路課長がその担当でありますが、そこへ連絡をするということはしませんでしたか。
  103. 三井脩

    ○三井説明員 実際に担当しておる窓口であります署長と現地の土木事務所長というこのやりとりで事を処理しております。
  104. 正森成二

    ○正森委員 私どもが昨年の三月にこの問題を初めて指摘して、そのときまではそういう措置がとられておらないということを指摘しましたが、今回はその前日にやっと措置がとられた。もっとも県の方には私が確かめたところでは届いておらないように伺いましたが、現地の所長のところへ行ったということでありますから、その点は私の方で調査をいたしまして、そして再度、それが本当であるかどうかということを調べた上で議論をしたいというように考えております。  そこで、私は時間が参りましたので質問を終わらしていただきたいと思いますけれども、どういう考えを持っており、そしてそれが外形的に犯罪に触れる場合であろうとも、そういう事態が起こるのはできるだけ避けなければなりませんから、私たちは安全を守るための最大限のことはしなければならないというように思っております。きょう坂田防衛庁長官から、そういう情報が入ったというような場合には、米側においてはできるだけ、ヘリコプターで上から見るというだけでなしに、安全の確認を十分にやってから射撃を始めるということでなければならないという私の意見に同意されるような御発言があったと思います。私ども沖繩県民の生命、安全が守られて、そして根本的にはこういうトラブルが全くなくなるように、県民生活環境にきわめて密着したところで演習場が設置され、演習が強行されていくということがないようになることを今後とも希望して、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 坂田道太

    坂田国務大臣 米軍側にも安全を一層確かめた上で今後演習をやってもらうということを申し上げますと同時に、住民の側におきましてもやはり事安全の問題については、十分お考えをいただくというようなことも申し上げておきたいというふうに思います。
  106. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  107. 松本忠助

    松本委員長 次に、渡部一郎君。
  108. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ただいま委員会で問題になっております米軍実弾射撃訓練とそれに伴う犠牲者の発生の疑いのある問題について、先ほどからの政府側の御見解を承ったわけでありますが、まことに問題が多いと思うわけであります。  私はいま、まずこの問題の本質は、もう米軍基地沖繩県に置くことに耐えられないものになりつつあるのではないかということをもう一回御認識いただかなければいかぬのじゃないかと思います。といいますのは、戦後三十年にわたる屈辱的な米軍支配の思い出とその前の大戦中の沖繩県民の多くの被害は、沖繩県民にこれら基地に対するとりわけ強い感情をもたらしているものであり、同僚議員の御発言もそういう意味で理解をしなければならぬものと私には思われるのであります。したがって、米軍基地の縮小というようなものは沖繩において特に強く行われなければならない。昨日七月八日、安保協議委員会においてその問題が議論されたそうでございますが、当委員会に対してはまだ正式にお話が行われておりませんから、その沖繩基地返還の問題について正式にここで御報告をいただきたい。  それから、それにつけ加えて、いままでも沖繩基地、大分返す、返すというお話があったのですけれども、代替施設ができないからという理由で存続している基地がたくさんある。それが県民に対してはきわめて不愉快な感情を抱かせておるということは、御理解いただかなければならない。いままで返還すると称してまだ返還されていない基地はどこどこであって、何がガンになってまだ返還されておらないのか、その問題もあわせて御説明をいただきたい。御答弁ができるようでしたら、直ちにお願いいたします。
  109. 齋藤一郎

    齋藤説明員 ただいまお尋ねの沖繩米軍基地返還問題でございますが、これは御質問にございましたように、沖繩においては米軍施設のあり方が特によそより割合が大きいということは私どもも十分に認識しておりまして、それを何とか少しでも緩和したいということで、過去において第十四回の日米安保協議委員会において、あるいはまた第十五回の日米安保協議委員会において返還をするという方針を日米間で確認して、それを実行してまいったわけでございます。  昨日、第十六回の日米安保協議委員会において施設返還がさらに相互に話が出たわけでございます。これは大きく分けまして、施設の中にあるいろいろなものを移設をしないで返せるものと、それから中にある建物その他を移設して返すものと大きく二つに分かれまして、そして、しないで返せるものの中には四つ項目がございます。それから、移設をして返すというものについては八つ項目がございます。合わせて十二のものについて返還をしようということになりました。そして、施設の数で言いますと、ダブっておるところがございますので十施設になっております。  いろいろかねてから問題になっておるところばかりでございますが、それを取り上げるについては、特に地元の要望の多いところ、あるいはまた最近の経過から見て公共の安全に問題があるといったようなところ、そういうものを主に選んだわけでございまして、特に眼目と考えられるのは、一つは陸軍貯油施設に関連する問題でございまして、これは御承知のように、最近油漏れの事故が非常にたくさん発生しておりまして、本年に入ってからも二件だったかと思いますが、出ております。ことに人口の多い地域に送油管が通っておる、こういうものを撤去してよそに持っていくという努力をしよう、これは事柄の性質上撤去してそのままで済むというものではないので、移設ができたときに撤去をするという方針で米側と調整ができたわけでございます。  それからもう一つは、かねがね伊江島、御承知のように海洋博の行われた少し西の洋上にございます伊江島に、補助飛行場と俗称しておる施設がございます。これも周辺住民の大変強い返還要望がございますので、対象に取り上げた。ただ、この区域は、安保条約に基づく米軍の任務遂行上必要不可欠な機能をまだ持っておるということでございますので、これをやはりどこか適当なところに移設するという方針でもって今後技術的にも必要な検討を行って、そういうことが遂げられたときに返還しよう。そのほか一つ一つ申し述べると長くなりますが、北部訓練場の一部をやはり地元の強い御要望で返還をするといったことなど、全部で十二項目ございます。  それから、過去における十四、十五回の安保協議委員会で取り上げられてまだ返還されておらないものについては、これは大体において即時返還されるもの、いま申し上げたように二つの範疇がございまして、移設を要せず返還できるところについてはかなり進んでおりますが、そのほか移設を伴って返還するというものはかなり莫大な経費がかかりますので、そういうものについては移設が実現を見た上で進行するということになっております。特に第十五回関係施設については、現在その一部を除いて移設計画がまだ実行できておりませんので、これは米側ともっぱら移転先その他を調整して今後進めたいと思っております。第十五回関係施設についてはそのような次第で、かなり今後米側との調整は時間がかかるかと思っておりますが、方針は出ておりますので、今後努力してまいりたいと思っております。
  110. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ただいまの御答弁を聞いておりまして、これは長官にもお聞きをいただきたいのですが、きわめてけしからぬですな。というのは、米軍基地の縮小に対して当局が熱意を持っておったら、当委員会に資料ぐらいあらかじめ提出するものであります。十二の基地がどこかわからないじゃないですか、いまの説明で。地図もわからなければ、場所もわからない、面積もわからない、移設計画もわからない。そして、ふらりと出てきて、いきなりめくってここでぺらぺらとしゃべって、それで一体国民への説明になるのですか。前もそうだった。不熱心なんですよ。公共の福祉に問題があるところは返しましたとあなたいま言いましたよ。言葉じりをつかまえるようですけれども、強い返還要求のあった伊江島については返しましたと言いましたね。すると、あなたはそういう大騒動が起こらなければそういう問題を取り扱わないのかと私は言いたい。そうでしょう。今度も人死にが起こったか起こらないかわからない状態で問題になっておる。しかし、あなたの言い方を聞いておれば、要するに問題がいままで起こったところだけは何とかする、委員会にはなるべく資料を出さない、報告しない、そういう態度じゃないですか。何で報告しないのですか。何にも言わない。こんなことで、委員会の審議なんかできやせぬじゃないですか。そうして、米軍基地の縮小の要望だって、縮小じゃないじゃないですか、これは。移設してもっときれいにしろという要求に唯々諾々としてこたえただけみたいな、そういうものがぞろぞろそろっておるじゃありませんか。そうして、そういうことを言われたくないものだから、ひたすら移設、また移設、また移設。移設してどこへ持っていくのですか。沖繩県のますます立地条件のわれわれにとって好ましくないところに変えようというのですか。間違っておる。本質的にやり方が間違っておる。当委員会を軽べつしておる。何で資料を出さぬ。きょう、この委員会に資料を配付されましたか。安保協議委員会というのは重大問題じゃないか。安保協議委員会が行われた次の日に、担当大臣が出席されておる会合で安保協議委員会のサマライズも何のデータもないじゃないか。どうして説明しないのですか。国会軽視ですよ、こんなことをやるのは。私は、国政審議というものは重大なものと理解していただかなければどうしようもない。何も材料がないじゃないですか。何をやっているのですか、一体。そうして、沖繩には不満が増しつつある。沖繩基地は、要するにこうした形で国民の大きな反感の中にたたき出されるだけのことになるでしょう。そして、そのときになってあなた方はアメリカ側との板ばさみになるだけでしょう。そうして、国会議員は何一つ知らないでしょう、材料も一つも持たないで。国民の前にすべてをわかってもらう、いいことでも悪いことでも議論しようという姿勢がなさ過ぎる。ロッキードで追っかけられているからといったって、そんな職務怠慢があるか。  長官、お忙しいようですが、この辺に対する基本的なお立場を言っていただいた方が、むしろ細かい問題についてお答えいただくよりいいのではないか。長官からひとつその辺をきちっと述べていただきたい。特にこの場合は、米国との相互協力及び安全保障条約第六条に基づく地位協定の第三条の第三項には明らかに「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」という明々白々たる一条がある。これにもう全く違反するものである。日本警察の警備が厳重であったとかないとか、あるいはもぐり込んだ人がいいとか悪いとか、それはそのおのおのの法的な制裁も政府側の立場から見てあり得ることであろう。しかし、この米国軍隊がわが国民に対して公共の安全に妥当な考慮を払って行動しなければならないという義務づけに明らかに大きな違反を犯しているのですから、政府としてこれに対して明快な意思表示を私はなすべきものだと思います。この点ひとつはっきりさせていただきたい。問題はまだ真相が明らかになっていないので、適当な考慮を払うとまでしか先ほど外務省局長はお答えになりませんでしたけれども、それだけでは問題は済まない。われわれが屈辱的な思いをしてこれだけの安保条約とかあるいはその他地位協定を結んでいるのに、その条項まで踏みつぶすことは許されないと私は思うのです。その点は遵法精神の旺盛な長官にひとつ明快な意思表示をしていただかなければならぬと私は思うのですよ。その二点、よろしくお願いいたします。
  111. 松本忠助

    松本委員長 渡部委員に申し上げますが、長官とのお約束の時間も三時三十分でございますので、御協力願って、これで質問を終了してください。
  112. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいま御提起になりました資料等につきましては十分先生方に御配付を申し上げまして、十分な御審議を煩わしたいというふうに考えております。  今度起きました事件につきましては、ただいま申し上げましたような状況でございまして、まだ十分事実確認をいたしておりません。その時点での措置はその時点でひとつお考えをいただきたい。しかし、こういうようなことは二度とあってはならないというふうに思います。特にやはり人命の尊重ということについては、米軍に対しましても私はよく理解をさせるようにいたしたいと思っております。また、住民の側におかれましても、十分生命の尊重というようなことでひとつ御協力を賜りたいというふうに思う次第でございます。
  113. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 どうして資料を出さなかったか言ってください。きょうは勘弁まかりならぬ。何で出さないのだ。それを言ってください。
  114. 齋藤一郎

    齋藤説明員 まことにおしかりを受けまして私ども顧みてじくじたるものがございますが、私どもの思い違いもございまして、事務的に私が至らなかったのでございますが、きょうはもっぱら演習場そのものの七月一日の事案に関連しての御質疑があるものというふうに私のひとり合点でのみ込んでおりまして、先ほど来の御質問からどうしてもやはり返還施設関係があるのだということを早く私が考えて資料をお出しすべきだったと思うのですが、おくればせながら後日資料を提出させていただきます。
  115. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そんなことをおっしゃるなら言いますけれども、今度の七月一日の事件についての資料配付がないじゃないですか。こま切れの質問に応じて時間切れをねらって何も資料を出さなかったのでしょう。警察側の状況認識、アメリカ側状況認識、事故の起こった内容、予想される今後の捜査の状況等は、当然もうきちっと組み上げられていてしかるべきじゃないですか。どうしてそれを用意してこないのですか。さっきから見ていれば、そこいらじゅうの資料を皆でめくって怪しげな打ち合わせを後ろでしながらやっているじゃないですか。どうしてちゃんとまとめて出さないのですか。前に爆弾の爆発事故がありましたよ。そのときも私は大声叱咤して怒ったことがあるけれども、そのときでさえも資料はある程度まとめてここへお出しになったじゃないですか。どうしてちゃんとしないのですか。(「あれは開発庁だ」と呼ぶ者あり)開発庁はできるけれどもあなたはできないのですか。役人がかわるとこういうように能力が下がるのか、それとも特殊な無能な人が中間にいたのか、何なんですか、一体。説明を求めます。どうしてこんなきょうみたいにヨタ話みたいな答弁をするのか、私は理解ができないのです。言ってください。どうしてこんなになったのか。何でこんなお粗末な答弁をするのか。これで沖特が通ると思っているのかどうか。もう一回答弁してください。
  116. 齋藤一郎

    齋藤説明員 資料については御要望を待って出すことが多いので、いまの先生の御指摘のようなことを十分私どもは事前に配慮して出すべきであったかと思うのですが、その点についてはおわびいたします。
  117. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そういう言い方をすれば、あなた方はもう要求されるまでは資料を出さないというなら、毎回委員会が始まる前に沖繩県全問題の資料をこちらは要求しますが、それでいいですか。沖繩、北方領土問題に関する全資料を委員会ごとに提出せよと言いますよ。それでいいのですか。
  118. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私の方の役所に関して、御要望に応じて整えて出すようにいたします。
  119. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そして、県警本部長から今度の捜査に当たった警察官から全員ここに呼べと言っていいんですか、そういう言い方をするなら。何もまとめてこない。こんなインチキなばらばらな報告しか来ない。本庁と現地警察との間に交わされたさまざまな電報一切、電話の交信内容一切、外務省現地施設局との間に交わされたさまざまな応答、外務省アメリカ側とで打ち合わせられた応答全部一切出しなさい、それなら。そういうやり方をして行政能率が上がるかどうか考えてごらんなさいよ、しゃあしゃあとしてそんなことを言うなら。やりましょうか、それなら。それでいいというならそうしますから、打ち合わせしなさい。だれかまとめて答弁しなさい、そんなことを言うなら。
  120. 松本忠助

    松本委員長 だれが答弁しますか。——だれが答弁するのですか。
  121. 齋藤一郎

    齋藤説明員 委員会で御審議いただく事柄について、私ども行政官庁で十分連絡をいたしまして、そして御要望にこたえるようにやってまいりたいと思っております。
  122. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 じゃ、今後は気をつけてください。もう話のほかです。きょうの答弁は。最低でした。あらゆる言い逃れ、遁辞とごまかしと調査不足がもういっぱいです。これじゃ調べようがないじゃないですか。  警察当局の方に伺うのでありますが、まず、この基地に対してだれかが侵入したという立場でこれから調査を続行されるのか、だれも侵入していない、したがって侵入者を処罰するというような姿勢は示さないという立場で行うのか、侵入者があったという立場アメリカ側に対して抗議をするという立場で行うのか、あるいは侵入者を抑止できないという点でアメリカ側に対して釈明、謝罪を行うという立場で行うのか、その辺はどうお考えですか。関係各局の御答弁を求めます。
  123. 三井脩

    ○三井説明員 警察が承知しておる限りでは、治療を受けた負傷者が、演習場内で負傷した、こう医師に申し立てておるという事実がただいまのところ一番正確なものでございますので、それが事実であるかどうかということを明らかにしたいという意味で、調査かつ捜査を始めておるということでございます。
  124. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、まだ真相がわからないからそうした態度については、いずれも現在のところ立ち得ないというのが警察立場ですか。
  125. 三井脩

    ○三井説明員 警察としては事実を明らかにするということで、先入観とか予断というものを持ってはならない、しかしながら本人が間接にではありますけれども他の人に中に入ったととれることを言っておるという事実を踏まえて、調査それから捜査、捜査という点は立ち入った疑いがある、こういうことになるわけでございますが、現段階ではそういう立場で真相を明らかにしたいということでございます。
  126. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと、いまから申し上げることは仮定の質問になってくるわけでありますが、もし基地に入った人があったとすれば、基地に入るよう説得した人や相談した人やそれを鼓舞激励した人々は、その共謀罪あるいは侵入の教唆等の罪に問われることになるのですか。
  127. 三井脩

    ○三井説明員 事実の調査前提としてという前提を置いての話でございますが、本人が入ることを決意し、実行に移すまでにどういう働きかけがあったかということによってその辺が決まるわけで、いまお話しのようなことでありますと共犯ということになるわけでありまして、その共犯が共謀による共同正犯という強い立場の場合と、すでに本人がそういう侵入の意思を持っておるのを激励したという程度の扇動といいますか、その程度の場合と程度が違いますが、ひっくるめて法的に言えば共犯になるというふうに考えます。
  128. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、侵入した当人に対する処罰の関係法規とその刑罰の内容でございますね、あるいはまたただいまお話しのあった教唆扇動あるいは共同謀議等をしたと思われる人々あるいはグループに対する法令上の刑罰の内容、予想される適用法令、そうしたものはどういうふうになりますか。
  129. 三井脩

    ○三井説明員 刑事特別法、略称でございますけれども、いわゆる刑事特別法第二条、施設、区域を侵す罪というものでございまして、一年の懲役、二千円以下の罰金、科料という罪でございますので、共犯についてはこれを超えない範囲での罰ということになるわけでございます。
  130. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 こうした刑特法二条で処罰された実例というものは、今日までに相当多数の頻度をもってあらわれていたのか、それから実際にこれが適用されたケースについて説明していただきたい。
  131. 三井脩

    ○三井説明員 現実にそれによって検挙し、処罰されたという事例は比較的少のうございます。この法律ができた当初は、たとえば基地反対ではなくて、禁止されておる基地の中に、他の用件で入ることを禁じられておるのですが、立ち入ったということで罰金に処迂られたというような事例もございますけれども、全体としては大変少ないと記憶いたしております。
  132. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 基地に人が入ったかどうかということに対して認定を最終的にするのは当然米軍であろうと思われますが、この演習開始をよいと判断をするに至るまでの日本側意思はどこが責任を持って通報したのであるか、またその人の責任はどうなるのか、その辺を伺いたいと思います。
  133. 三井脩

    ○三井説明員 施設、区域は客観的なものでございますので、立ち入ったかどうかという点については米軍意思ではなくて客観的な事実によって判断をするということでございます。具体的の場合に、たとえば米軍意思がかかわってまいりますのは、その部分米軍が禁じておったかどうか、こういうことでかかわりが出てくる場合もありますけれども、通常はフェンスがあるとかあるいは立ち入りを見た人があるとかその他物的な証拠もあり得ると思いますけれども、客観的に判断すべきもの、証拠によって判断すべきものというふうに考えております。  それから、射撃の開始の問題については施設庁長官から先ほど答弁ございましたし、私の方が申し上げるのが適当かどうか問題でございますけれども米軍米軍立場演習場を使うという権限と責任を持っておりますので、安全に安全を確認して射撃をすべきものだと考えます。警察はまたそれに侵入者があるとか、そういうことで危険が及ばないように努める、その間において米軍との連絡において警察の見たところ、警察からの通報というものも米軍が判断の材料に加えるということは大いにあり得るわけでございますけれども、最終的に判断をするのは米軍であるというように考えます。
  134. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、人がいたのに射撃した、そして人がけがをした、あるいは死んだというような場合、その責任米軍演習指揮官が負うべきものである、そしてその損害賠償その他にも米側が応ずべきであるこういう御見解ですか。
  135. 三井脩

    ○三井説明員 全体の問題については他の方からのお答えが適当だと思いますが、刑事罰、犯罪という観点から申しますと、米軍射撃指揮官が責任立場にあるというように考えます。
  136. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、警察のお答えはきわめて明快ですが、外務省はそういう事態になれば米軍指揮官あるいは米国大使館等に対し損害賠償の要求あるいは抗議等の処置を適当な処置としておとりになる用意がありますか。
  137. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほども申し上げましたように、地位協定の三条の三項におきまして、米軍はその施設、区域内における作業について、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないということになっております。これはいわば日本政府との約束でございます。この約束が十分守られておるかどうかということをわれわれとしては第一に確認いたしたいと思います。しかしながら、現在のところ、先ほどから警察及び施設庁の方からの御答弁もありますように、まだ事実関係が明らかになっておりませんので、この規定に従って米軍が正しく行動したかどうかということは、われわれとしては確認できません。その点が確認できました上で、先ほども申し上げたようにわれわれとしては適切な措置を講じたいと思う次第でございます。
  138. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 警察の方へもう一回伺いますが、施設の中へ入ってしまった日本人に対して、それを捕らえることは警察の業務ですか、米軍の業務ですか、特にこの演習場の場合。
  139. 三井脩

    ○三井説明員 本件の場合は、米軍警察といずれもその任務を持っておると考えます。なぜならば、普通は米軍は自分が管理しておりますから、それに伴う安全及び秩序維持の警察権限を米軍自体が持っておるわけでありますけれども、今回の演習に関しましては、米軍から要請がございまして、この内部についてもそういう事態の場合には警察において処理をするように要請をするということでありますので、具体的には米軍もやり、警察もやるという、その具体的な行為の発生した地点に近い立場にある、処理しやすい立場にある米軍ないし警察官がやるというように考えます。
  140. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 いままで米軍基地内で発生したさまざまな犯罪に対して、日本側の捜査権が及ばなかったりあるいは裁判権にいろいろなブレーキがかかったりしたことは何回もあったことです。今回の場合ばかりアメリカ軍はわが方に対してその警察権の行使を要請し、それに対して警察がほいほいと非常に気楽にお応じになるというのは私はどんなものかと思う。この場合、最終的な安全の確認アメリカ側責任があると先ほど局長が言われました。それは私は間違いないと思う。それに対して、要請があったからすぐ出かけたというようなことは、これははなはだ不見識であると思うけれども、その話はちょっと横へ置いておいて、最終的な判断の責任のあった米側人命の尊重に対して非常に不用意に、少なくとも大騒ぎになるような事態を引き起こしたというのは、一義に責められなければならないのはアメリカ側だと思うのですね。ところが、日本外務省は依然として、真相究明とかなんとか言いながら、その事実を、抗議の時間を一寸延ばし、五分延ばしに延ばしておられる。これは一体どちら側の官憲であるかを国民感情から見れば疑われてしまうと私は思うのです。なぜその辺を早く明確になさらないのか。ヘリコプターを一機ぐらい飛ばして安全だなんと言っておられたら困るぐらいはなぜ早くおっしゃらないのか。その辺のところ、なぜもうちょっと早く適切にかつ日本国民立場から要求なさらないのか。その辺はいかがですか。
  141. 山崎敏夫

    山崎説明員 外務省といたしましては、その事実を究明する現実の手段を持っておりませんので、関係官庁、具体的には今回の場合には防衛施設庁及び警察庁から種々の情報提供を得ておる次第でございます。他方、先ほども申し上げましたように、アメリカ側に対しても、その施設に入ってけがをしたという人がいるという事実を通報しまして、先方でも、つまりアメリカ側の方でもその事実を調べるように依頼してございます。まだ先方からその点については返事を得ておりませんが、日本側の得た情報も先方に随時提供して、先方としても調べるように要請しておる次第でございます。したがいまして、日本側調査結果を待ち、アメリカ側としてもそれを確認した段階において、われわれとしては、先ほどから申し上げているように、その段階においてその事実を踏まえて適切な措置を講じたいと考える次第でございます。
  142. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 もし人が死んだりけがしたりしたことが明確な事実となって裏づけられたら、アメリカ側の指揮官は殺人罪あるいは傷害罪等で日本法律で処罰されるべきものと私は思いますが、その点の処罰あるいは裁断されるべき日本側のあるいは日米間の根拠法あるいはその処罰の内容はどのようになると理解しておられるか伺いたい。
  143. 山崎敏夫

    山崎説明員 問題はまだそういう殺人とか重大な傷害という段階にもなっていないようでございますし、仮定の問題でございますので、大変お答え申し上げにくいわけでございますが、いずれにしましても、この射撃訓練は米軍としては公務遂行としてやったものであろうと思います。そこに過失なり故意があったかどうかという問題になってくる問題かと思いますが、この点に関しましては、地位協定の十七条でお互いの裁判管轄権その他の規定がございますので、その関係規定に従って話し合いをしてまいるということになると思います。ただ、何分にも現在のところ事実が全くわかっておりませんので、われわれとしてはその辺についての検討はまだ十分いたしてはおりません。
  144. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 事実の真相を究明されれば、こうした訓練、こうした演習が、一〇四号線のような県道の上を越えて射撃されるという事実がきわめて不本意なものであるということはもう御理解いただけると思います。かつてこの委員会において防衛施設庁長官が御出席になって討議をした際、一〇四号線の迂回路をつくれば問題は終わるかのごとき発言をなさいまして、私は深い憂慮を表明した上、注意を喚起したことがございますが、今後この問題が落着した後、また一〇四号線越しの射撃米側に対して許容なさるおつもりであるかどうか伺いたいと思います。
  145. 齋藤一郎

    齋藤説明員 キャンプ・ハンセンが一〇四号という県道の上を越えて射撃をする状況が非常に多いということでかねがね問題になっており、先ほど指摘があったように迂回路を設けてその一般交通に対する障害を少しでも回避しようということで今回の演習になったわけでございますが、今回の事件に顧みて、今後この真相が明らかになった場合、その状況を踏まえて十分こういうことを考慮して今後危険のないように演習が行われるということをやってまいりたいと思っております。
  146. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 長官、それはお答えにならぬようですな。一〇四号線でこれだけ事故が起こりますと、事件が終わりましても、この次もう演習をやれば沖繩県民はみんな殺到してきます。それが沖繩県民の連帯感情であり、国民というものの愛国心の発生するところであり、それはむしろわが国の国政をあずかる上で一番大事にしなければならない国民感情だろうと思うのです。そうすると、もう迂回路をつくって一〇四号線沿いにという方針では、次に射撃をしょうなんて考えたら、それこそ沖繩県の人は七十人ではなくて、今度は七百人、七千人出動するでしょう。中には公職にある議員たちも行くかもしれません。そうなりましたときに、あなたどうなさいます。これはもう迂回路作戦はだめなんだということを思い知った方がいいんじゃないですか。ですから、私は根本的にこれは考え直された方が勝ちだ、見切りをつけられるのが、国民の感情を持つ、感情を憶測するところの行政官のあり方じゃないかと思う。そうしないと、一〇四号線に齋藤道路なんてあだ名がつけられますよ。まして長くこの上を飛ばして射撃することを決めたのはあの人だなんて銅像でも建てられたらどうなさいますか。私はそういう事態を望みませんし、沖繩県政というのはいままで本当県民の素朴な感情を生かし、その要求を育てることによって成立してきたすばらしい県政だったと評価していますが、これに衝突してできるものではないと私は思う。しかも、三十年前の苦しみ、そして三十年間のこの中間の苦しみというものを考慮する姿勢が行政の方にあってしかるべきではないかと思う。  ですから、長官、いま事件を顧み、状況を踏んまえて危険のないように演習を再開したいとおっしゃったけれども、少し一部変えていただいて、事件を顧み、状況を踏んまえて、射撃あるいは演習場の使用をすることがその地域で可能かどうかという原点から再考慮するように意思表示をしていただかなければならないと私は思うのですが、どうでしょうか。
  147. 齋藤一郎

    齋藤説明員 このキャンプ・ハンセンをめぐっての米軍演習並びに周辺住民方々生活の問題というのは大変むずかしゅうございまして、ほかの基地でもあり得るのですが、特に今回の事件の発生を見るまでもなく、むずかしい問題があって、かねがね私どもも非常に頭を悩ましておるところでございますが、この基地がこうして設けられておるということと、それから周辺の方々の安全とどうして調和していくかということについては、先ほどうちの大臣もこの委員会でお答えになったのですが、その調和をどうして保っていくかということが大変むずかしい問題だ。このキャンプ・ハンセン演習場を存続して基地として提供しておる限り、われわれ行政官としては、基地としての効用と、存続を続ける以上安全との調和が大変むずかしいと思いますので、先生の御指摘の、今後の大きな問題に対してどういうぐあいな態度で臨んでいくかということは十分私どもも検討して、慎重に臨んでまいりたいと思っております。
  148. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 もうちょっとはっきり言っていただくと名答弁になるのですけれども、つまりここで演習するかどうかということを含めて全部再検討する、こういう意味に解釈してよろしいですね。
  149. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私ども防衛施設という行政を担当しておる者の立場では、そこまで明確に申し上げることは、むしろ私の職務権限を越えるのではないかという感じがするのでありますが、われわれ行政官としては、こうした施設提供されておることに関連してのお仕事と、それから一方において、申すまでもないことながら基地周辺の安全ということを考慮しなければならないので、その行政の現状に対して、これをトラブルのないようにどうしたらいいかというのが、非常に相矛盾する事柄ではございますが、それを解決するのが私どもの課せられた重大な任務だとかねがね思っておって、そういう観点から処置をしたいと思っておりまして、安保条約をなくすとか、この基地を使わないとか撤去するとかというと、もう少し次元の高い配慮になるのではないかと思っておりますが、私個人としては、大変むずかしい問題でございますから、真剣に私の力の及ぶ限りこのトラブルの解除に努力をいたしたいというふうに思っております。
  150. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、あなたのお立場を理解して言いますと、自分の権限を越えたテーマがここで議論されているけれども、あなたは、大臣がここにいらっしゃらないのですから、大臣の分も引き受けて御答弁にならなければいけないのです。あなたは説明員じゃないのです。課長ではないのです。あなたはここでは政府委員なんです。政府委員というのは偉いのですよ。総理大臣のかわりにしゃべっていいのですよ。だから、職務権限を越えるのではなくて、職務権限を越える問題については大臣とも御相談をしまして私たち努力をしてまいりたいと思います。こう言わなければいけないのじゃないでしょうか。ちょっともう一回言ってください。
  151. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私どもの及ばないことについては、十分御質問の趣旨を踏まえて大臣ともよく——いまおいでになられませんから、いまの状況その他をお話しして措置するように臨んでまいりたいと思います。
  152. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大分答弁がよくなりましたから、もう一つ。  そうすると、あなたはこの問題は、ここのところしばらくは一〇四号線の射撃再開はしないと言うしかないだろうと思うのです。こうごたごたしておる真っ最中では。一〇四号線を越えた射撃はだめだと思うのです。だから、当分おやりになりませんね。これは答えられるでしょう。あなたの職務内ですね。どうですか。
  153. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私は、いまの状況で、あすにも演習を始めるというようなことにでもなれば好ましいことだと思いませんが、現に施設提供しておる以上、これについて条約あるいは地位協定に基づいて米軍演習をするということを言い出した場合に、これに対してどう対処するかということについては十分考えてまいりたいと思っております。
  154. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 一々あいまいだから、もう一回聞きますよ。そうすると、あなたはいま、あしたあたりはだめだけれどもとおっしゃいましたから、あしただけはやらぬことはよくわかりました。少なくとも警察の捜査が終わり、今回の問題についての外交的決着がつくまでは、演習場再開は好ましいことでないとあなたは思ったとしてもおかしくないですね。それは地位協定を別に疎外しているわけではないから、そこまでは言えるでしょう。さあ言ってください。
  155. 齋藤一郎

    齋藤説明員 地位協定上は、いますぐにでも演習をすると言えば、われわれとしては演習するなと言えない状況であると思います。これは先ほど大臣が答えましたとおり、施設として提供しておるのですから、施設として提供をやめるまでは、本来の目的に従ってこれを使用することを拒否できないと思います。ただ、事実この問題があって、明らかにならない状況下において、無理に、直ちにでもやるということが適当かどうかということは、十分判断してわれわれの態度を決めたいということであります。
  156. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 不適当だと言えばいいんだ。もう一回……。
  157. 齋藤一郎

    齋藤説明員 不適当であるかということも含めて十分考えてまいりたいと思います。
  158. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたは言葉を選び過ぎているのですね。お答えを聞いていると、何が何だかわからなくなります。  アメリカ局長にお尋ねしますが、現時点において、この施設を続行使用することを可能だと思われるかどうか、また米側意思表示があった際にどうお答えになるか、その辺についての外務省の御見解を聞きたいと思います。
  159. 山崎敏夫

    山崎説明員 ただいま防衛施設庁長官から詳しく御説明なさいましたと同じような考えを持っております。この問題についてはまだ確かに調査続行中でございます。そういう時点で演習が行われることについては、いろいろ検討すべき点があろうかと思います。ただ、われわれといたしましては、米軍に必要な施設としてこのキャンプ・ハンセンの地域を提供しております以上、向こうが演習をしたいということを言ってくれば、一般的に言えば、拒否する立場ではないと存じます。ただ、現在のこの状況下においては、いろいろと検討すべき点がわれわれとしてもあると思いますので、その点はよく検討した上でアメリカと話し合ってまいりたいと思います。
  160. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 今後、七十名もの人たちがその射撃場の着弾点に侵入したというような情報があった場合、それを確認せずしてオーケーを出すようなことはもうこりられて、しないと思いますけれども政府側の御答弁をもう一回念を押していただいておきたいと思います。
  161. 齋藤一郎

    齋藤説明員 その点につきましては先ほど来申し述べたとおりでございまして、着弾地点に人がおるというのをあえて発砲するということはあってはならない、これは理屈を超えて常識的にそういうことをやるべきじゃないということでございますし、人命軽視もはなはだしいというふうに思っております。
  162. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 先ほど警備局長は、着弾点に人がいるかどうか最終的に確認するのはアメリカ側であるということを明瞭に発言されましたし、いま防衛施設庁長官は、着弾点に人がいるのに発砲するなんということはとんでもないことであり、人命尊重はいかなる場合も守らなければならぬということを明快に意思表示され、当委員会の質疑はようやく実りあるものになったと私は感じておるわけでありますが、そういう立場で、この複雑な問題ではありますけれども、二度とこうした苦しい葛藤で現地県民をますます苦悩に追いやることのないように十分御配慮をいただきたい。また、米軍施設の縮小、廃棄についても、多数の困難はあるにもかかわらず、これは強硬に推し進めていただきたい。これを最後に要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。
  163. 松本忠助

    松本委員長 それでは、上原君。
  164. 上原康助

    上原委員 先ほど大臣の時間の都合で少し中途で質問を切らざるを得ませんでしたので、改めてお尋ねをさしていただきたいと思います。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕  そこで、昨日の第十六回日米安全保障協議会における了解事項についてもいろいろ問題があるわけですが、きょうはそのことに触れる時間がありませんので、きのうの安保協議会では、このキャンプ・ハンセン実弾射撃演習をめぐる県民米側あるいは政府との関係において、いろいろこれまで問題が出てきている、特に七月一日の実弾射撃強行によって負傷者まで出したという不祥事件が出た、恐らくアメリカ側もそれを知らぬはずはない、このことについて何らかの話し合いがあったのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  165. 山崎敏夫

    山崎説明員 昨日行われました第十六回安保協議委員会におきまして、この七月一日のキャンプ・ハンセンにおける実弾演習の問題について、正式にその席上で話し合われたことはございません。ただ、その議場外におきましてこの問題は関係者の間においていろいろと話題となったことは事実でございます。
  166. 上原康助

    上原委員 もちろん、まあもちろんというよりも、正式な議題にならなかった、しかし議場外においては関係者で話し合いがあった。どういう話し合いがあったのですか、明らかにしてください。
  167. 山崎敏夫

    山崎説明員 議場外の話でございますので、その内容を申し上げるわけにはまいりませんが、私の方からこの問題に関するわが方の調査状況その他についてアメリカ側とも話し、今後の連絡を密にするということを話し合ったわけでございます。
  168. 上原康助

    上原委員 議場外のことなんで明らかにすることができない、ここがまた問題なんですよね。政府アメリカ側県民生活に密接にかかわりある問題を話し合うのに、話し合っておるのに、非公式であろうが公式であろうが、それはあなた、日本政府代表として出たことには間違いない。そういうことを明らかにしないところに、この種の問題をより深刻化せしめてきている事実関係があるわけでしょう。負傷者が出たことについて話し合いがあったのか、あるいはキャンプ・ハンセン演習場の使用を、よく言われている安定的に使用するという今後の強化策について話し合いがあったのか、あるいはもうこれだけ県民反対行動も高くなっているし深刻化しているから、この演習場の使用のあり方についてはもっと現地側の意向も入れた形で話し合いをしてみようじゃないかという話し合いがあったのか、ここをわれわれが知りたいのはあたりまえじゃないですか。もう少し誠意ある、まじめな答弁をやってみたらどうですか、たまには。
  169. 山崎敏夫

    山崎説明員 今回の安保協議委員会におきましては、特に沖繩におきます基地の整理統合計画について討議をいたしまして、計十二カ所の基地返還について合意いたしたわけでございます。その意味において、沖繩基地については一般的な問題として話し合われたことは事実でございます。ことに沖繩におきましては基地の密度が高いということについては日米ともに十分認識しておりまして、これをできるだけ減らすようにしたいということについては日米ともに認識が一致しておったわけでございます。ただ、今回のこの事件に関しまして具体的に議場におきまして話し合われたことはないということを申し上げた次第でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、この事件につきましては政府としても大変重視いたしておりますので、われわれといたしましては米側に本件の進捗状況について通報し、意見を交換したということは事実でございます。
  170. 上原康助

    上原委員 それじゃ、角度を変えてお尋ねしますが、米側からは、現地海兵隊司令官でもよろしいし、大使館でもよろしいし、あるいはもっと上級機関でもよろしいが、この事件に関して何らかのコメントが公式にでも非公式にでもありましたか。
  171. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほども申し上げましたように、このキャンプ・ハンセン演習場に入って負傷したと言っておられる方があるということはアメリカ側に通報して、先方としても調査するように依頼はしてございます。ただ、やはりこの問題に関しましては、その現実に傷を受けられた方の申し立てをさらに聞き、そしてそれについて調べるということが先決でございますので、この点につきましては警察庁及び防衛施設庁に調べを御依頼申し上げておるわけでございまして、その調査の結果を待ちまして、さらに先方の方での調査も聞きまして、その上でわれわれとしてはこの問題の解決を図りたいというふうに考えております。したがいまして、現段階において先方から最終的な見解を聴取するには至っておりません。
  172. 上原康助

    上原委員 私が聞いているのは——いまあなたがおっしゃっているのは外務省の見解をあなたは述べておられるのですよ。そこまではぼくはわかる、さっきも聞いたから。アメリカ側からこの事件に関して、遺憾であったとかあるいは演習場内での事件でないとか、そういうコメントはあったんですか、なかったんですかと聞いているんですよ。頭のいいあなたがそういう私の質問がわからぬはずないじゃないですか。これに答えてくださいよ、なかったならなかった、あったならあったと。
  173. 山崎敏夫

    山崎説明員 現在のところアメリカ側としては、わが方が事実を調査中であると申しておりますので、コメントはいたしておりません。
  174. 上原康助

    上原委員 そうしますと、言葉をかえて言うと、事実関係についてアメリカ側は独自の調査も何もやらない、こういうことですか。
  175. 山崎敏夫

    山崎説明員 アメリカ側に対しては、わが方が承知しておる事実は随時通報しております。それに基づいてアメリカ側独自としても何らかの調査をしておるかどうかということは、いまだ承知しておりません。
  176. 上原康助

    上原委員 そういうことを少し聞くと、日米間がどの程度この種の問題に対しての姿勢を持っているか、ある程度わかるのですよね。  そこで、先ほど質問と関連して警察庁にお尋ねしますが、事実関係については目下調査あるいは捜査をしているということでした。その見通しはどうなのですか。
  177. 三井脩

    ○三井説明員 いまのところ全く立ちません。御本人の名前は一応わかっておりますけれども病院から聞いておりますが、本人現地にいない、東京に来ておる、居所もわからないという段階でありますので、捜査がいつまでに終わるということは全く見当はつきません。
  178. 上原康助

    上原委員 私は専門でないのでわかりませんが、この種の事実調査、捜査という場合には、もちろん該当者なり関係者から意見調書をとるということもあるでしょう、面接の上で調書をとるということは。しかし、先ほどの御答弁にもありましたように、客観的に調査をすることもできるわけですよ。いまは本人と面接ができないので見通しが立たないということなのです。しかし、私たちが非常に疑問を感じているのは、今回は明らかに事実を知っておって、入っておったという十分な疑いを持ちながら、アメリカ警察外務省も防衛庁も、いわゆる政府全体、人が入っておるであろう、入っているかもしれないという相当の疑問、疑惑を持ちながらも、あえてそれをしなかった、ここに一つのポイントがあるのだ、この問題は、皆さんがどう逃げようとしたって。これがあるものだから、積極的に捜査を開始しようとしていないのじゃなかろうか。いろいろ法律論の是非論は別として、われわれはその疑いを十分持っている。  しからば、本人の居所もわからず面接できないということですが、現場検証をやるとか調査をやるとか、そういった客観的な調査の上で、当日の演習場内に前日から人が入っておったのかどうか、これは現場まで行けば明らかにわかることなのですよ。人が入った形跡があるかどうか、それは政府はおやりになりましたか、答えてください。
  179. 三井脩

    ○三井説明員 捜査はやっております。
  180. 上原康助

    上原委員 それは捜査はやっているでしょう。現場まで行って、その着弾地付近けがをしたとか、あるいは着弾地周辺に人が入っておったかどうかということを含めて捜査をしているのですか。そのことを私はお尋ねしている。
  181. 三井脩

    ○三井説明員 捜査進行中の中身でございますから、どういうふうにやっておるということをいまお答えするわけにはまいりません。つまり証拠隠滅その他のこともあり得ますので、慎重にやっておるわけでございます。
  182. 上原康助

    上原委員 あなた、そんなロッキードまがいのことを言ってはいけませんよ、幾ら警備局長だからと言って。私が法律に弱いからといってそんな頭ごなしに言っては通りませんよ、本庁の警備局長ともあろうものが。  私が先ほどもお尋ねしたように、あなたは本人から調書がとれない。本人も黙秘権を使っているとは言わなかったけれども、恐らくそういう態度をとっているでしょう。そういうことなんで見通しも立たないということなんだ。しかし、やろうと思えばできなかったはずはないんだよ、正直に申し上げて。これをやろうとしない裏には、人が入っておった事実関係についてはもう否定できない、それを知らないはずがないんだよ。だから、もし本当に入っておったかどうかを調べようという意思があるならば、当日にしてもあるいはその翌日にしても現場まで警察が行って事実を調べればわかるんだ。足跡を見るとか、一晩以上たっているわけですから、かん詰めかんの跡があるとか、いろいろ人が入った形跡についてはわからぬはずはない。それをあえてしなかったことに対して、私たちは非常に疑問を持っている。この疑問に対して警察はどう答えるのですか。このことを私は言っているのであって、そんなロッキードみたいな証拠隠滅——何も証拠は、爆弾で投げ飛ばされたあれを見れば十分。
  183. 三井脩

    ○三井説明員 まず前提の、警察が捜査に不熱心であるというその前提が間違っております。警察は事実の真相を明らかにするという立場で鋭意捜査をしておる。したがって、どういう方法をとればこの真相は明らかになるかという点はわれわれ専門家にお任せいただきたいと思います。
  184. 上原康助

    上原委員 あなた方は、当日人が入っておったかどうかということがいま一番問題でしょう。入っておって撃ったという場合に、先ほどもちょっと出たのですが、入っておったことがわかりながら射撃演習をさせたという場合の責任というのは、これは重大ですよ。専門家にお任せいただきたいということですが、しからば、捜査を進めている、刑特法二条に基づいて捜査を進めているとおっしゃいましたね。  これも参考のために聞いておきたいのですが、刑特法違反といってもいろいろその環境、状況によっても違うと思うのですよ。物理的に金網を切って侵入したとか、あるいは警官が防備をしているのにそれを物理的に突破して侵入したとか、そういう状況判断もあると思うのですね。今回の場合は決してそうじゃない。あなたはさっきいろいろ万全な措置をとったと言う。私はその前日、大体警察がどこどこに配備をされているということを調査をしましたよ。警備どころかみんな寝そべって、中にはゴルフの練習のようなことをやっている。そういうすき間に阻止団というものはどんどん入っているのですよ。こういう事実も警察はわからぬはずがない。みずからの過失をあくまでも隠蔽するために、今回は米軍には全然入っていないのだ、撃ちなさいというサインを皆さんは出している。これは意図的な殺人だと私たちは見ている。まさに人間を標的にして実弾射撃訓練をさした。本当にわからなかったのかどうか、この問題と、しからば前日の十時のニュースから盛んにそれは流している。そのことは恐らくラジオも持っていろいろやっている警察の装備でそこまで知らぬはずがない。私は七時前にも防衛施設局に電話をして、すでにその前日に七十余名が入ったという情報があるんで確かめてやるべきだということを強く那覇の防衛施設局にうちから電話をいたしました。返ってきた答えは、県警の言い分では、人の入った形跡は全くない。先ほどの御答弁にもあったのだが、米軍ヘリも飛ばしたけれども見つからなかった、したがって実射訓練はやりますという答え。直ちに那覇に行って県警の警務部長に会ってみた。何とにたにたにたにたして、人は一人も入っていない、全く入った形跡はありません。全然取り合っていないのですよ。なぜ私たちがここまで入っているということを情報提供したにもかかわらず、これに対して疑問を持ち、捜査をする行動をとらなかったかということが一つ。これは先ほどは十一時と言いましたが、県は十一時ではない。その前、前日から入っているであろうということは予告をしておる。さらに、現場においては原水協の代表なり県会議員の代表諸君も、入っているから、それが確認できるまでは実弾射撃はやるなということを詰め寄った。そのときに、現場のある警察の幹部は何と言った。リストを出しなさい、氏名を出してくれ。責任者がもういても立ってもおれない。万一のことが起こったら大変だということでリストを出そう、氏名を発表しようとしたら、現場の担当官はこれを受け付けようとはせずに、すぐ排除と言って実力で県会議員を含めてけ散らしたのです。この事実について、あなた、知っていますか。ここまで私たち情報提供しておきながらしらを切って、人は一人も入っていないということでどんどん撃ち込ませた。この事実についてはあなた方は否定できないんだ。いま私が述べたことに対して報告を受けたのか。これだけの事実関係を言っても、なお人が入っているというこの事実の提供に対して、警察が直ちに実弾射撃訓練を中止をさせ、入っているかどうかを確認しなかったのは、一体どういう理由なのか、この際明らかにしておいていただきたいと思うのです。     〔安井委員長代理退席、委員長着席〕
  185. 三井脩

    ○三井説明員 先ほども申し上げましたように、警察としては十分な体制で、中に入っておるということのないように警戒をいたしましたし、また入っておらないと判断をしておったわけでございます。また、この射撃演習の七月一日にさかのぼりまして、違法にそういうところに立ち入ることのないように関係の諸団体にも十分に警告を発し、また関係諸団体においてもそういうことのないように措置をするというような状況もあり、何よりも現場において立ち入っておるという事実はないというように判断をしたわけでございます。
  186. 上原康助

    上原委員 ですから、その判断は誤っておったわけでしょう、あなた。私たちが入っているということを言っても、あなたは入っていないんだと、もう何も聞く耳持たない態度ですよ。そこが問題だと言うのですよ。あえてそういう態度をとったというところに、私たちもこの問題に対しては一歩も引くわけにはまいらない、人命尊重とかきれいごとを皆さん言っておきながら、入っている事実を知っていながらそれを強行させたということ、水かけ論にしかならないじゃないですか。しかも、現にけがをした人に対しても、当日の病院で皆さん事情を聞いたというのですから、その方々が山からおりて、けがをしてタクシーを探そうとしておったことに対して、県警の私服の皆さんやあるいは機動隊がどういう態度をとったか、そういう報告まで受けましたか。
  187. 三井脩

    ○三井説明員 革マル派の学生を含む四名を演習場付近で警戒の警察官が認めた、どうしたのかと聞いたところ、警察に物を言う必要はないと言って、タクシーを拾って立ち去ったということは聞いております。
  188. 上原康助

    上原委員 あなた、こういう公式の場で何マル派とかそういうことをおっしゃるのでは、どういうふうにしてそういうことまで確認したのですか、その事実があるのですか、ちょっと軽率じゃないですか。事実関係はまだわからないと言いながら、あなたはさっきはあくまで先入観とか、予測、予見とかせずにその捜査に当たりたいということを同僚議員におっしゃっておきながら、先入観もはなはだしいのじゃないですか。冗談じゃないですよ、そういう答弁。私が聞いているのは、けがをして山からおりてきているにもかかわらず、それを阻もうとしたのでしょう、タクシーを探そうとすることに対しても。人命第一だと言いながら、けがをしている人々をあわよくば食いとめて行かそうとしなかった、そういう事実まであるのですよ。いまの御答弁は訂正してください。あなたは明らかに先入観を持っている。
  189. 三井脩

    ○三井説明員 当日警戒についておりました警察官がおるわけでございますが、そのときに四名——私が聞いておるのは、記憶は四名でございますけれども、やってまいりました。これは演習場の外でございます。そのうちの一名が若干の擦過傷といったような形でありましたので、どういうことでそうなったのかということを問いましたところ、警察官に答える必要はないと言って、それからタクシーを拾って立ち去った。その四名のうちのいま言ったけがをしておる人でない人、この人はただいま申しましたように革マルの活動家であるということをわれわれとしては確認をしておるということでございます。後から考えればこの人が、けがをした人が大城さんであったのかどうかという点については、目下捜査をしておるということでございます。
  190. 上原康助

    上原委員 いまの御答弁には納得しませんね。明らかに偏見を持ってこの問題に対処していこうというあなたの姿勢だけは見えた。したがって、当日でもそういう状況であるならば、本当に入っておってけがをしたのかどうかは、その環境を一応追って考えるならば十分できたはずなのだ。  そこで、では捜査をしている、うやむやにしないと言いましたね、との事件については明確にしていくと。その場合は、先ほども言いましたように刑特法の適用しかないのだということもおっしゃっていましたが、刑特法の適用という場合に、たとえ提供施設、区域に入ったとしても一応退去を命ずるとか、警告をするとか、いろいろなことが事前にあってしかるべきなんですね。あなたは各団体に十分事前に警告をした、警告をしたと言うのですが、各団体に事前にどういう警告をしたのか。われわれは警告も何も聞いてない。現場でただ警察は実力でもって抗議団に対して防備といいますか、あるいはその警察の機動性というものを発揮しようという行動はとったけれども、事前の警告というのはないですよ。具体的にどういう警告をやったのかということです。  もう一つは、刑特法違反と言ってみたって、それは状況によってもいろいろ違いましょうが、退去も何もさせないで、その確認も何もしないで、けがをしたといってすぐに逮捕はできないわけでしょう。そこにあなた方の法的なジレンマもぼくはあると思うのですよ、裏を返して言えば。この点はどうお考えなのですか。事実を捜査しているということなんで、では逮捕をするのですか。
  191. 三井脩

    ○三井説明員 事前に団体の幹部に警告をいたしました。それからまた、現場におきましては、昨年の場合と違いまして、三十キロにわたる周囲に有刺鉄線等による一目瞭然の物理的な境界線を引き、これは施設庁がやられたと思いますけれども、かつまた、ポイント、ポイントにここに立ち入ってはならないという旨の表示も明確になされておるところでありまして、この点私たち写真でも確認をしておるところでございます。  また、刑特法二条という点につきましては、目下捜査をしておるわけでございますから、捜査の方法として、これを現実に逮捕ということになるのかどうかというのは捜査の結果によるわけでございまして、捜査には任意と強制とあるわけでございますから、それぞれの事案の性質、状況等に応じて措置されるものというふうに考えております。
  192. 上原康助

    上原委員 いま三十キロにわたって明々白々の表示をしたと、本当にそういうことになっておりますか、施設庁
  193. 齋藤一郎

    齋藤説明員 この施設の区域の中に人が立ち入ることがないようにするということが、まず物理的な観点からの安全のために必要でございまして、実は昨年も問題があった後そういう御指摘を受けたので、三十キロにわたって要所、要所はさくを明確にするという努力をしてまいっております。その点についてはさくの程度が十分かどうかというような問題もございますが、何分延々と長いものですから、必ずしもある観点からは十分ではないかもしれませんが、施設であるということを明らかにする何らかの表示をする。さらにまた、施設区域であることを表示するものについても、いまちょっと数字がすぐ出てまいりませんが、五百何十のものを要所、要所に表示して、そうしてそれが施設であるということが御認識いただけるというふうに措置をしてまいっておるわけであります。高いへいをめぐらすとか、あるいは十分な金網を張るとかということをすればなお完全でございましょうが、われわれとしてはできる限りの努力をして、施設区域であるということを明確にするようにやってまいったつもりでございます。
  194. 上原康助

    上原委員 私は何も金網を張りなさいとか、もっとむだな税金を使いなさいと言っているのではないんだ。警備局長がうそをつくからそういう質問をするんだ。あなた、わかったふりをして何もわかっていないじゃないか。本当に三十キロやってあるか、皆さん。やっていないという事実だけ私は明らかにしておきたい。それをやれと言っているんじゃない。そこはやる必要はないのです。  そこで、もう一点お尋ねしておきたいことは、この一〇四号線の施設提供やり方についてもこれまで何回か議論したし、私たちは、日米合同委員会、いわゆる復帰時の、五月十五日の復帰時点の合同委員会で取り決めたということにも非常に疑惑を持っている。それも明らかにしなさいと言っても、一切明らかにしない。何が安保を守れ、協定を守れだ、本当に。県民本当にためになるようなものについては一切明らかにしないでおって、言葉は悪いかもしらぬが、本当にもう何をかいわんやですよ、皆さん。  そこで、今後のこともあるのでお尋ねしておきたいのですが、施設として提供されている道路部分の面積はどのくらいあるのか。軍用地道路面積ですね。それから、県道部分はどのくらいあるのか。個人有地などつぶれ地はどのくらいあるのか。地主は何名なのか。筆数にして幾らなのか。それから、この賃貸料はどうなっているのか、この際明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  195. 銅崎富司

    銅崎説明員 お答え申し上げます。  県道の長さ、恩納村から金武村に至ります総延長は約八千三百メートルです。このうち約三千五百メートルが施設、区域内に所在しております。  それから、この三千五百の中の民有地ですが、約五千六百平米、件数にしまして三十八件。  それから、借料は、ちょっと古いかもしれませんが、約十二万六千円となっております。  それから、旧道路敷と思われる非細分土地が約一万二千四百平米となっております。
  196. 上原康助

    上原委員 借地料の十二万六千円というのは、軍用地部分全部でですか。
  197. 銅崎富司

    銅崎説明員 これは一〇四号線の中の民有地部分の借料でございます。
  198. 上原康助

    上原委員 ですから、一〇四号線部分のいわゆる県道部分と個人有地部分を含めて、年間でしょう、十二万六千円というのは。
  199. 銅崎富司

    銅崎説明員 県道部分と言われますが、この一〇四号線の現状は、民有地とそれから旧道路敷と思われる非細分土地、これから成っておりまして、ここにはっきりした県有地があるというふうには聞いておりません。
  200. 上原康助

    上原委員 国有地はあるのですか。
  201. 銅崎富司

    銅崎説明員 国有地もございません。そういう県道、いわゆる県道敷であったのか、旧国道であったのか、とにかく道路敷であろうと思われるのは現在はっきりしませんので、非細分土地ということで約一万二千四百平米ある、こういうことでございます。
  202. 上原康助

    上原委員 金武村に払っている土地代もありますか。
  203. 銅崎富司

    銅崎説明員 先生御承知かと思いますが、非細分土地につきましては、村の方に払いますので、金武村にこの一万二千四百平米に相当する分は支払われているということでございます。
  204. 上原康助

    上原委員 金額は幾らですか。
  205. 銅崎富司

    銅崎説明員 時点が四十八年度になりますが、四万八千円となっております。
  206. 上原康助

    上原委員 そこで、施設庁が一応土地代を払っているわけですね、いま言ったような部分は。これは道路の管理維持という面と関係ありますか。
  207. 銅崎富司

    銅崎説明員 ちょっと御質問意味がよくわかりかねるのですが、直接、道路管理とその下の土地とがどういう関係かと言われますと、どういうことであるか、ちょっとお答えしにくいのでございますが……。
  208. 上原康助

    上原委員 一〇四号線は県道でしょう。道路行政上の管理権は県にあるわけですね。しかし、漏れ聞くところによると、賃貸料は政府が払っているから、政府が使う権利があるから演習も自由なんだということを言っている人もいるわけだ、ある意味においては、皆さんがいろいろ悪知恵を入れて。それと関係がありますかと聞いている。道路管理権というのはあくまで県の権限でしょう、それは。そこを明確にしておいていただきたいということ。
  209. 銅崎富司

    銅崎説明員 確かに県道でございますので、管理権は県にございますし、その下の土地先ほど説明しましたように民有地と非細分土地ということで別のところに支払われているからといって、県道の管理権が県にあるということは疑いはございません。
  210. 上原康助

    上原委員 そこだけはっきりしておけばいいです。  そこで、時間もいろいろありますので急ぎたいのですが、きょう坂田長官がずっとおれば、もっと話は発展していったと思うのですがね。私はどうしても合点がいかないわけですよ、正直申し上げて。それは本人がいらっしゃらないので、いずれまたいろいろな機会があると思いますから議論をしてまいりますがね。  要するに、この県道一〇四号線をはさんだ、いわゆる一〇四号線越えの実弾射撃演習に対して、県民がある意味じゃ命をかけていますよ、皆さんが言わないでも。だから、やまと感覚ではそこまで理解できないかもしれない、失礼な言い方かもしれませんが、正直申し上げて。危険を冒してまであなた方は入るのか、入る方が悪いのじゃないかという言い分なんですよ、皆さん、政府の言い分は、特に坂田さんのおっしゃることは。おまえが説得すればいい、全く冗談じゃないと言いたい。しかし、体を張って、場合によっては命が吹っ飛ぶかもしらぬというところまで思い詰めさせて抵抗せざるを得ない状況に追い込んだ今日の沖繩状態はだれがつくったのだ、そのことをあなた方が理解をしない限り、この問題の前進もなければ、解決もできないということです。ここについて皆さん本当にどう思っているのかということなんですよ。これはまた役人の立場での答弁ということになるかもしれないが、坂田さんにしても宮澤さんにしてもあるいは植木長官にしても、国務大臣としてそこまで理解をしなければ問題は解決しないということを、皆さん、事務段階でその状況をつくり上げていかなければいけない。ロッキード問題とは事は別ですが、今日のロッキード汚職、これは構造的汚職だと私たちは見ている。それはだれがつくったのか、中間官僚、中間職員が絡んでいるということは、もうすでにほぼ明確になってきているんじゃないですか。政治をゆがめ、事を汚してきている、その中間の立場にいる、あるいは高級官僚と言われている立場にある皆さんが、安保の運用の問題なり地位協定なり地元の環境ということを十分認識をして、政治家にそのような方向の仕事をさせてこないところに私は問題があると言うんだ。その責任は皆さんも同じなんですよ。ここらに、残念ながら私が言っていることとあなた方が受けとめていることとの根本的な違いがある、これは生まれも違うし育ちも違うからやむを得ないと言えばやむを得ないかもしれないんだが。このことをよく理解をしていただいて、今日の安保の問題なり地位協定あるいは基地返還ということ——じゃ、特に実弾射撃訓練そのものは、皆さん危険と思わないのですか。弾を撃ち込んでいるところに入る方がどうもおかしいというような、これは聞いていると本当にこっちの方がもうおかしくなる。  三名にお答えいただきたいのですが、実弾射撃訓練そのものは危険でないと思っているのか、一言ずつまずそれに答えてください。
  211. 齋藤一郎

    齋藤説明員 訓練の中にいろいろございますが、実弾射撃をするということは、各種の訓練の中でも危険を伴うものであるというふうに思っております。
  212. 上原康助

    上原委員 アメリカ局長も警備局長も答えてください。
  213. 山崎敏夫

    山崎説明員 実弾射撃訓練そのものは、もちろん危険な作業でございます。したがって、そういう危険な作業については、米側としては十分公共の安全に考慮を払うべきものと考えます。
  214. 三井脩

    ○三井説明員 危険が伴いますので、そういう点も考慮をし、県道一〇四は通行禁止にしたということでございます。
  215. 上原康助

    上原委員 よけいなことが多いよ、あなたのは。三名のやつを点数をつけると、三、二、一ぐらいなものですね。  危険であるということはわかるわけでしょう。危険をつくり出しているのはだれですか。実弾射撃という危険なことをやるから、やるなと言っているわけでしょう。皆さんの話は本末転倒なんだよ。危険を冒して入るなと言って、危険なことをどんどんやっている。しかも、きのう、きょうじゃない、戦後三十年間やりっ放し、やりたいほうだい。それに対して、対米従属姿勢で一言もやるなと言い切れない。この基地実弾射撃訓練をするには不適格な地域だから——もう基地としての提供というなら話はまた別、ほかの訓練もどんどんやっているじゃないですか、夜も。だから、これを根元を取ってのけなさい、やるなと言っている。ここを改めないでおいて、私たちだけに法を守りなさいとか入ることがおかしいんだと言うことは——じゃ、あなた方がおっしゃっている人命尊重ということは、阻止団の方々も含めての人命尊重でしょうね。着弾地点に人が入っているということが確認されればということは、ほかの民間人が入っているということが確認されればですか、その実弾射撃演習反対をして入っている人々も含めての意味でしょうね。これはもう言わずもがなのことでしょうが、それも確認しておきましょう。お答えください。
  216. 齋藤一郎

    齋藤説明員 人命尊重と申しますのは、いやしくもたっとい人の命を尊重するということでございますから、どなたであるにしろ、着弾地に人がおるというのを現認して撃つということはあってならないことだと思っております。
  217. 上原康助

    上原委員 この点はアメリカ局長も警備局長も同感だと思うので、そこまでは念を押しませんが、そうであるなら、さっき長官もいろいろ言っておられたんですが、確かに、こういう摩擦なりトラブルというものを避けたいという気持ちは、それは私たちだってありますよ。しかし、できる相談とできない相談があるのです。だから、私は迂回道路をつくるときも、迂回道路をつくったってこれは問題解決になりませんよということを言ったんです。  それと、ここでもう一遍はっきり申し上げておきますが、扇動教唆、何やかんやいろいろ悪法を使えば、それは皆さんは権力でできるかもしれない。しかし、どんな法律を使おうが、どんな権力を使おうが、抵抗権というものまで皆さんが奪い取ることはできませんよ。私はそのことをこの公式の場ではっきり断定しておきますよ。そこまで追い詰められた県民の、この軍事訓練なり基地のあり方、戦後三十年近いアメリカの軍事支配、日本政府のやってきた沖繩政策、これはわかりますか。ペテンにペテンを重ねてきた返還協定の中身、基地のあり方、これに対して皆さんがもっと憲法の精神というものを本当にまともに解釈するならば、少なくともその範疇に立っての方針変更というのがあり得ない限り、この問題の解決はあり得ない。もっとシリアスにはなっても後退はあり得ない。そうすると、どう解決をするかということはやはり一〇四号線越えの実弾射撃訓練をやめさせる以外に道はないのですよ。この方向で、きょう、あすにとは言いませんが、政府部内で、防衛施設庁外務省、皆さんがやるのだ、その段階でもう一遍この基地提供のあり方についてよく御検討をして、しかるべきチャンネルを通して、しかるべき時期に話し合いをするというところまで持っていかなければいけないと思うのです。少なくともそういう努力はなさるでしょうね。
  218. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私ども日常関係しておる基地の問題については、基地の態様によっていろいろな問題がございますが、周辺の住民方々との関連においていろいろな問題が出てまいります。それで、ただいまお話がございました沖繩基地、特にキャンプ・ハンセンなどについては、今回の事件にもかんがみ、大変むずかしい問題がございますし、いま御指摘の御意見を十分承って私ども真剣に対処したいと思っております。
  219. 上原康助

    上原委員 これは外務省、皆さんも慎重にならざるを得ない面もあると思うのですが、本当にいまのこの相対する県民反対運動なり、あるいは皆さんはあらゆる権力機構を行使してやろうとしている、これは実力の衝突しかないですよ。これはある意味では本当に避けたいこと、しかし、それを根本的に解決するには、いまのように八百名持っていこうが、皇太子が行ったときにいろいろ本土から警察官を連れていったそういう警備をしょうが、あれだけの演習地を皆さんが言うようなことでできない。それはできません。エスカレートはしても、どんなことをしたって、一遍くらいできても、次から次に起きる。そうであるならば、やはりいま申し上げましたように、一応検討しようという、従来の姿勢を少しは変えてくるかもしれないという暗に示唆がありましたが、どうですかアメリカ局長、そこまで申し上げたら、現場の事情もよく相談をしてみて、アメリカとも話し合ってみて、この基地のあり方について考え直す時期じゃありませんか。その作業を一応部内でやっていただけますね。
  220. 山崎敏夫

    山崎説明員 私たちといたしましても、ただいま施設庁長官の言われたと同じ考えでございます。ただいまの上原先生からの御意見は十分承りまして、大臣に御報告申し上げたいと思います。
  221. 上原康助

    上原委員 すっきりしないですが、伊江島の射爆場の移転問題も、やはり人身事故が発生をしたから日米間の話し合いにきたいきさつもあるわけですね、それは不幸なことなんですが。そこまでいろいろやらないと皆さんも腰を上げないからますます抵抗運動も深刻化するし、激化していくのですよ。  そこで、時間の通告もありますので、あと一問。  昨日の日米安保協のことで私はいろいろお尋ねしたいことがありますが、一点だけ確かめておきますが、伊江島の補助飛行場の移設について、いわゆるこれも条件つき移設ですよね。「移設措置とその実施に係る合意の成立後返還される施設・区域(一)伊江島補助飛行場(全部)」と書いてある。ほかにもあるけれども、これだけ取り上げておきますが、この移設先は一体どこなのか。それと、条件つきだから代替施設をわが方が提供しないとまた解放できないわけでしょう。これも問題なんですよね。いつまでにめどを立てるのか、予算が幾らかかるのか、こういうことまではっきりしないと、新聞だけにぽかぽか沖繩基地返還なんといってやって、十四、十五安保協でやったことが喜ばしい結果を生んでいるなんてきのうのこの了解事項にはありますが、現実はそうじゃない。そのことはいずれ議論するとしまして、伊江島飛行場の移転先はどこなのか、いつまでに移転をやろうとしているのか、今後どのような作業を進めるのか、予算は幾らぐらいかかるのか、アメリカはどういう条件を出しているのか、ここでこの点だけ明らかにしてください。
  222. 齋藤一郎

    齋藤説明員 伊江島のいわゆる補助飛行場の移転については、その移転先について、具体的にどこへ移していいかということはいま決まっておりません。伊江島の補助飛行場が沖繩に駐留する米軍にとってまだ必要なものであるということを前提にしまして、これにかわるべき適当なものを物色したい、そして適当なところがあればこれに移設をする。かつまた、これに伴ってその場所の具体的な態様によっては技術的な問題が伴うというようなこともございまして、したがって、これに要する経費についても明確ではございません。
  223. 上原康助

    上原委員 私はもう終えたいのだが、あなたがそういう御答弁をすると、また一言言わなければいけない。  これまでの情報では、渡名喜村の出砂島に射撃場が現にあるわけなんだが、そこを候補地として日米間の折衝を進めていることは、これは県民が広く、あるいは国民も知っている、基地問題に関係している方々は。全然そういう候補地も何も挙げないで合意したのですか。また、きょうの新聞の解説なんかを見てみますと、少なくとも数年はかかるだろう、そのくらい要すると見ているのか。皆さん、どうも日米安保協というのはそんないいかげんなところなのか。あのこぼれるような笑いを両方がして、本当にあんなものかと思うのですが、それは別として、ただ大臣や大使などが握手をしていいかげんな話をするところではないと思うのだ。少なくとも日米間の交渉の合意ということであれば、どういう条件で、どういうところに大体どのくらいのめどを立てて、これこれは返還しましょうというぐらいの話があると思うのだね。いま私が言った出砂というところも候補地に挙がらぬのか、全くの白紙でこれを合意したのか、もう少し明確な答弁をしてください。これは両方から、外務省もお答えください。
  224. 齋藤一郎

    齋藤説明員 私どもが承知しておる交渉の経過におきましては、適地がどこかないかということで、一つの話としてただいま御指摘の出砂が話の下準備の段階で出たということは聞いておりますが、それが果たして適当であるかどうかということについては何ら決定しておりませんし、それから昨日合意のされた段階において、そういう具体的な場所を考えての話し合いにはなっておりません。
  225. 山崎敏夫

    山崎説明員 いまお話しのありました出砂の射爆場も有力な移転先の一つとして考えられておるのは事実でございます。ただ、先ほど齋藤長官も話されましたように、米軍としてはこの種の射爆場は必要であるというふうに言っておりますし、われわれもその必要性は認めなければなりませんので、そのために必要な施設がございます。その点につきましては技術的な検討をいろいろな面から加えなければなりませんが、その技術的検討を始めるに当たっても、まず伊江島の射爆場を移すという決定をいたしまして、その上でこの技術的検討を進めたいということで今回の合意を見た次第でございます。したがいまして、これから各方面にわたって技術的検討を加えた上で移転先を決めるわけでございます。その際に、いま申し上げましたように出砂が有力な候補であるということは申し上げられます。
  226. 上原康助

    上原委員 これは関連がありますので、後ほど内閣委員会なりでもまた取り上げてまいります。  きょういろいろ申し上げましたが、私も強いて事を荒立ててただわいわいやるのがいいという立場はとっておりません、見解の相違、いろいろ納得できない面もありますが。しかし、先ほど言いましたように、この一〇四号線の問題の根本解決はそれしかないぞということは篤と御認識の上で今後やっていただきたいと思うのです。  それと、警察庁の方に一言申し上げておきますが、出先の県本部長なりあるいは本土から行っている県警幹部の態度は実に横柄、あらゆる面で県民無視もはなはだしい。開発庁にも聞いておきたいのですが、復帰前二、三年はみんな非常に遠慮がちな面があった、本土から行く役人さんも。私は何も本土との違和感をあおろうとは思いません。りっぱな方もたくさんいらっしゃいます。本当沖繩のために御熱心に日夜やっていただいている。それは顔色を見ればわかる、態度、言動を見ればわかる。しかし、最近、だんだん機構にもなれて法律にもなれて、沖繩を力ぐるみで支配すれば事足りるという官僚が多過ぎる、特に警察畑には。それでやろうとしたら、皆さん大きな過ちを犯すであろう。現にきょうも私は議論しようと思って、いろいろ沖繩県警の捜査例の問題なんか資料も持ってまいりましたが、検挙率なんかは全国一ビリなんです。九州管区にしても、全国にしても。多額盗難事件とか暴力事件とか、そういう県民生活かかわり合いのある問題についてはみんな未解決のままほっておきながら、やれ基地演習とかなんとかいうときは、県民弾圧の方向に機動力を発揮しようとするからそういう結果を招く。しかも、言動に至ってはもってのほかの面がありますので、そういうことは篤と警察庁としても現地の方に指導、助言をしていただきたい。これに対して、もし発言がありましたら賜りたい。
  227. 松本忠助

    松本委員長 ありませんか。
  228. 上原康助

    上原委員 全然ないということはどういうことですか。では、そういうことに対してあなたはどうお考えですか。見解を聞いておきましょう。
  229. 三井脩

    ○三井説明員 私はいま先生が御指摘になったような認識を持っておりません。しかし、現地におられる先生の御意見でございますので、われわれのこれからの仕事の参考にいたしたいと考えます。
  230. 上原康助

    上原委員 これで終わります。
  231. 松本忠助

    松本委員長 以上をもって、質疑は終わります。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会