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1976-05-21 第77回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十一日(金曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 上田 茂行君 理事 國場 幸昌君    理事 西銘 順治君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       大村 襄治君    北澤 直吉君       三枝 三郎君    田中 龍夫君       床次 徳二君    葉梨 信行君      三ツ林弥太郎君    渡部 一郎君       小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      田中 金次君         外務省アメリカ         局外務参事官  浅尾新一郎君         厚生省医務局国         立療養所課長  吉崎 正義君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         農林省食品流通         局砂糖類課長  牛尾 藤治君         食糧庁総務部長 二瓶  博君         運輸省海運局定         期船課長    熊木 藤吉君         労働大臣官房参         事官      石井 辰治君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  須田  寛君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   安里積千代君     小平  忠君 同月二十一日  辞任        補欠選任   水野  清君     葉梨 信行君   安田 貴六君    三ツ林弥太郎君   山田 久就君     大村 襄治君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     山田 久就君   葉梨 信行君     水野  清君  三ツ林弥太郎君     安田 貴六君     ――――――――――――― 三月二十三日  沖繩県の戦後処理等に関する陳情書  (第一  四六号)  沖繩県にB52戦略爆撃機飛来阻止等に関す  る陳情書外二件  (第一四七号)  那覇市街地域米軍輸送パイプ即時撤去に関す  る陳情書外二件  (第一四八号)  沖繩県在住原爆被爆者医療費負担に対する救  済措置に関する陳情書外六件  (第一四九号)  沖繩県医学生に対する国費制度継続に関する  陳情書外一件  (第一五〇号)  沖繩県中小企業救済等に関する陳情書  (第一五一号)  沖繩県石垣空港ジェット化実現に関する陳情  書(第一五二号)  沖繩県含蜜糖保護制度化に関する陳情書  (第一五  三号)  北方領土復帰促進に関する陳情書外一件  (第一五四号) 五月十八日  那覇市街地域米軍油送パイプライン早期撤  去に関する陳情書外一件  (第三〇八号)  沖繩県の旧日本軍用地返還等に関する陳情書  (第三〇九号)  米第一海兵航空団沖繩県瑞慶覧基地移駐計画  反対等に関する陳情書  (第三一〇号)  沖繩県在住被爆者医療費負担に対する救済措  置に関する陳情書  (第三一一号)  沖繩返還協定の放棄請求権問題に対する補償措  置推進に関する陳情書  (  第三一二号)  北方領土返還促進に関する陳情書  (第三一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  沖繩及び北方問題に関する件  請 願   一 北方領土復帰実現に関する請願(本名武    君紹介)(第六二号)      ――――◇―――――
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 沖繩復帰しまして五カ年を迎えております。御案内のとおり、アメリカ施政権下における二十七カ年の格差は大きいものがございまして、ここに沖繩格差是正、立ちおくれたところの振興を図るために沖繩振興開発計画策定され、目下実施中でございますが、開発庁長官におきましては、沖繩問題に対しあらゆる困難を克服しまして誠心誠意努力されておるその姿勢に対して感謝申し上げますとともに、五カ年を迎えました沖繩振興開発計画実施状況いかようになっておりますものか、また国土利用計画及び第三次全国総合開発計画策定との関連性はどのようになっておりますか、お伺いを申し上げます。
  4. 植木光教

    植木国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま國場委員より御指摘がございましたように、復帰沖繩県は五年目を迎えたのでございます。沖繩県経済社会現状を見ますと、人口は百四万人余となりまして県民所得も上がってまいりまして、全国水準にまではまだまだ達しておりませんが、それに迫りつつある状況でございます。そして、御承知のとおり道路、空港港湾及び生活環境施設など公共施設も積極的に整備されておりまして、計画基本目標一つでございます各面にわたる本土との格差是正という面につきましては、完全に十分とは申せませんけれども、一応の成果を上げていると考えます。  しかしながら、基本目標のもう一つの重要な柱でございます自立的発展を可能とする産業振興という面におきましては、期待したように進んでいない面があることは事実でございまして、私どもとしても大変心を痛めているところでございます。産業構造の面から見ますと、御承知のように第二次産業が非常に弱い状況でございまして、就業者数においても生産所得におきましても、総体的に第三次産業に片寄った構造は依然として変わっておりません。また、農業を見ましても、耕地面積減少傾向をたどっておりますし、基幹作物でありますサトウキビ生産量も低下している。また、農家経済本土との格差というのは年々縮小に向かってはおりますけれども、やはり格段の厚みの相違があるというのが現状でございます。私どもといたしましては、農業基盤整備サトウキビ価格など農産物の価格上昇等による収益性の向上などから農業をもう一度見直して、これに十分農業者方々も取り組んでいただきたいということを県とともにやっておりまして、農業に対する取り組みの強化というものが見られるというような明るい兆しはございます。私どもといたしましては、層一層努力をいたしまして、畜産野菜、果樹、花卉等振興にも当たってまいりたいと思います。  また、企業誘致は、御承知のとおり立地条件の問題、本土との距離が遠いこと、市場が狭いこと、いろいろデメリットがございます。また、わが国経済情勢変化もございますし、反公害、反工業というムードが加わりまして、なかなかこれはうまく進んでいかないという状態でございまして、私どもとしては、県民方々にできるだけ御理解をいただきたいとこいねがっているところでございます。  さらに、観光産業につきましては、復帰後、増加の一途をたどりまして、観光収入も伸びてまいりましたけれども海洋博の終了に伴いまして、従来のような伸びは期待できないような状況でございます。私どもとしては、施設整備などをいたしまして、観光客誘致に多大の努力を注いでまいりたいと存じます。  こういうふうな概況でございますので、いろいろ前途には厳しいものがございますけれども基本目標が達成できるかどうかということについては、政府努力をいたしますけれども県民方々も英知を結集してこれらに当たっていただきたいというのが偽りのない私どもの心情なのでございます。  それから、ただいま振興計画と三全総等との関係はいかがであるか、こういうお話でございましたが、沖繩振興開発計画につきましては、計画そのものを前提にはもちろんいたしておりますけれども、私どもといたしましては、中期的な展望というものを持つことによりましてこの新しい経済情勢に即応した振興開発というものが行われなければならないということで、ただいま、今後の人口及び経済社会見通し産業振興策二つのテーマをもちまして二つの部会をつくりまして、中期的展望具体的作業を行っているところでございます。そして、これらの展望にいたしましても、沖繩振興開発計画の進め方にいたしましても、私どもはあの四十七年の沖繩開発基本構想を受けまして、十分これと調整を図っていくわけでございますけれども、第三次全国総合開発計画とは十分調整が図られなければならないと存じます。御承知のように、沖繩県わが国一つ経済圏であります以上、わが国総合開発計画と無関係に振興開発が進められることはあり得ないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、このいろいろな経済社会計画や三全総と整合性の保たれたものといたしたいということを考えております。  いずれにいたしましても、本土との格差というものを是正するということが何よりも大切なことでございまして、一層努力をしてまいりたいと存じます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 沖繩海洋博もおかげをもちまして、予定どおりと満足には言えませんが、終了いたしまして、それによる振興に対する効果的なメリットは多々あることは私が言うまでもございません。道路整備問題空港整備問題あるいは港湾、電気、上下水道、他にも関連する観光設備等々、多々あるわけでございますが、海洋博そのものに余りにも大きな期待をしたがために、どちらかと言いますと過当設備ということにもなりましょうが、ホテルその他においての運輸業者あるいはまた建設業者、他においての海洋博関連設備に対する遊休的な設備がずいぶんいま問題を大きくして、大きな借財をしまして投資されたものが遊休設備となり、それに対する借金の返済でずいぶんいま苦しんでいるのが実情なんですが、開発庁としましてそれに対する措置といいましょうか救済措置、あるいはまたそういう設備に対しての使用変更とか、こういうことが考えられておりますものであるかどうか。と言いますのは、このまま放置しておきますと、せっかくの設備も全部死んでしまうばかりか、そこに多額の借財をしてその設備をなした方々は、その借金に悩まされ、ひいては首つりも出るというようなかっこうの行き詰まった状況の中で、何とかその救済策あるいは使用目的に対しての変更とか、いずれにしましても生かすためにはやはり先立つものはそれに対する資金の問題がありますし、開発庁としまして、その見通しも聞かずしてむちゃくちゃにつくったのが悪いんだと言えばそれまでのことかもしれませんが、しかし、と言ってそういうわけにもいかないし、やはり海洋博を成功させましょうというキャッチフレーズのもとでみんなが協力したというその誠意に対しては何とかやはり報いる、救済するような策もやってやらなければいけないのではないか、素人ながらもこういうことも考えるわけでございますが、その点に対しまして何か御配慮された特段措置がありますかどうか、お伺いいたします。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまお話ございましたように、海洋博覧会は一応の成果をおさめまして また関連事業が行われましたために、長期的に見ていただきましたならば、これらの投資せられました事業は今後の沖繩県民生活あるいは経済活動その他に大きな役割りを果たしていくものと信じております。しかし、海洋博覧会後の経済というものがどうなるかということにつきましては、政府としても非常に大きな課題として対処をしつつ今日に至ったわけでございますけれどもお話しのように国全体の経済が低成長でございます。また、県外からの観光客減少をするということによりまして、ただいまお話がございましたように、いろいろ企業倒産をするというような状況も生まれてまいりました。この倒産企業の防止のためには、沖繩振興開発金融公庫に指示をいたしまして、企業実情に応じまして貸付金償還期限延長等を行うとともに、沖繩総合事務局が中心となりまして、沖繩における金融機関に対し適切な措置をとるように努力をしているところでございます。地場産業振興というものがどうしても必要でございまして、したがって私どもとしては公共事業を推進することによって沖繩全体社会資本基盤整備いたしますとともに、また農業基盤整備等も行いまして経済基盤整備を行うとともに、観光客誘致等も先ほど申し上げましたようにできるだけ努力をするというような総合的な施策の中で、経済の落ち込み、企業倒産問題あるいは失業者の吸収というようなことに努力をしていかなければならないのでございまして、いま全力投球をしているという真っ最中でございます。金融公庫にいたしましても、総合事務局にいたしましても、経済的に困難をきわめておられます方々に対します金融面での措置等につきましては、十分配慮しているところでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 振興局長にちょっとお尋ねしたいのですが、いま大臣はあらゆる面から配慮をされて目下考慮中である、また実施もしておるということでございますか、何を申しましても、たとえばホテルならあれだけのホテルが金を返済するのに、たな上げしたからとか、あるいは銀行の方で金利を安くしたからというようなことで解決できるものではないと私は考えます。  そこで、あれの転用について、あの過剰設備と言っては語弊があるかもしれませんが、やはり四万人も収容できるというようなホテルの過剰なる設備、これを転用するためには、やはり改造、模様がえも必要でしょうが、そういうものに対しての考えは何かお持ちでありませんか。たとえばいま本土から派遣されて出向するところの政府公務員とか、あるいはまた自衛隊の宿舎とかいろいろございますが、そういう面においてもどうせ貸し家というものをこれからもつくるということであれば、そういうものに対しての転用、あるいはまた病院とか医療設備とかはずいぶん立ちおくれております。こういうものに対しての改造転用ということも考えられるのじゃないか。これは素人考えですが、これを生かして使うには、やはりそういう方面もお考えになられたらというようなことも考えるわけですが、いかがですか、局長その点。
  8. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 お答えいたします。  ホテル等転用につきましては、私ども一応検討はしたのでございますけれども、まず病院といたす案につきましては、酸素の配管その他の工事が非常に大変でございまして、かえって中途半端なものになってしまうということで、実例としては一例か二例病院転用した建物や施設があるようでございますけれども、これは新設のときから別配管がしてあったようでございまして、そういう用意のないものにつきましては、事実問題としては非常にむずかしい話であろうかと思います。  それからあと、もともとが宿泊施設でございますから、宿泊施設として転用する。非常に端的に申し上げますと、何といいますか、公務員が出張いたしますときの宿泊施設その他、確かに大体どこの地域にもあるのでございますけれども、そういうものに転用する、あるいは国家公務員独身寮として転用するということも一応は検討いたしましたけれども、事実問題としては非常にむずかしいというのがただいまの状況でございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 すぐ特効薬とすべきような施策は直ちには生まれてこないと思うのですが、今後とも引き続きひとつ御協力をよろしくお願いします。  失業者の問題なんですが、異常なる失業者沖繩は判断しまして、海洋博後における影響も受けておる、こういうようなことも考えられるわけなんですが、また労働人口約四十三万くらいと言われておりますが、その中で七%で三万、四十三万のうち七%、本土は二・四%と言いますと約三倍になるわけなんですが、この失業問題、振興開発計画策定の十カ年後における目標というのが百三万から百五万、そうしますと、人口Uターン現象が起きまして、海洋博のためであったんでしょうか、すでに百四万二千五百名とかいうようなことを言っておりますが、失業者がこれだけ出るというのは、いまそれが始まったものじゃない。  これは復帰のときにあの振興開発の十カ年計画というのが策定されたのは、御案内のとおり基地経済から安定した経済に切りかえるために、また基地がいつまでもそこに居座るというようなことは好ましいことでもないし、その必要性もないのだというようなことで、振興開発計画基地経済から脱皮してそれにかわるべきような就労の場をというようなことで十カ年計画ができておるということは、地域的にも沖繩本島においては東海岸臨海工業に恵まれたところの立地条件、これを生かして第二次産業誘致する。処女地でありますので、もちろん公害問題に対しては最小限において、本土におけるところの苦い経験を生かして、それで名実とも工業、第二次産業発展をというようなことで、この条件が恵まれておるという一つの証拠に対しては私が言うまでもなく、沖繩はいわゆる戦略的な基地として軍事的な重要性、異常なる立地的条件経済的条件があるということ、それにシンガポールと沖繩東海岸、これは東洋において最も恵まれておる。沖繩海溝といいましょうか、琉球海溝といいましょうか、五十メートル、百メートル東海岸をちょっと離れると、三十万トン、四十万トンの大型タンカーでも容易に発着できる。それに、東海岸には中城湾という港湾産業重要港湾として張りつける。そこで沖繩の持つところの、また基地経済から脱皮するところの沖繩振興開発計画策定される。西海岸においてはやはり観光主体とするところの、北部においては山林、水産観光、中部はいま言うように観光、それから南に下がりまして商業、水産観光農業、また宮古、八重山は畜産観光農業水産こういうようなぐあいに分類されて沖繩振興開発はできておるということでございますが、しかし三カ年たたないうちに、この振興開発価値観変化があるというようなことで、練り直しだというようなことです。復帰の際に駆け込み外資といいまして、アメリカ重機組み立て工場を持ってこよう、アルミ工場を持ってこよう、造船所を持ってこよう、いろいろな策定をして石油コンビナートも申し入れがあって、それに対して本土の通産省としましては、わが政府は、そういうものが復帰後においても大資本をもってやった場合には、わが国産業に大きく競合するマイナスがあるということで、アルミ産業を手初めに出だしたわけなんですが、それが執行の段階になりまして反対に遭い、復帰して五年を迎えておりますが、とうとう何一つだにその就労の場とするところの策定された企業誘致はできておりません。ゆえに、今日に至ってこの異常なる三万余にわたるところの失業者がはんらんしておる。このことは申すまでもなく、失業者の内容からしましても、大体三分の一以上が軍の離職者であるとかあるいはその他関連するところの基地産業労働者、こういう者が主体をなしておる。こういうことから考えますと、失業が今日こうなってきたのは、振興開発計画そのものが、目標に対して方向がずいぶん挫折されまして今日の混乱があるというようなことを察するわけでございます。今後において、いまさっきもお尋ねいたしましたが、もちろん民芸工芸工業の伸展、奄美大島にありましては、十六万そこそこ人口をもって二百億の奄美大島つむぎ生産されておる。沖繩にありましては、御案内のとおり祖先から受け継がれたところの貴重なる伝統工芸品がずいぶんありますが、それでは昨年民芸工業が幾らぐらい生産されておるかというと、三十億そこそこだと言われております。奄美がたった十五、六万の人口をもって二百億という大島つむぎ生産しておる。沖繩においては百万も人口があって、その約六倍の人口を擁しておるのです。御案内のとおり沖繩には漆器、陶器それから織物、こういうたくさんの貴重な民芸工業がございます。失業者救済、あるいは公害もないような労働集約型の工業ができるということから考えますと、奄美大島のようにそれに思い切った力を入れますと、約一千億から一千二百億ぐらいのそういうものの生産はできるのじゃないか、こういうようなことを考えるわけでございますが、しかし残念ながら予算の中でどうもその点が反映してきていない、こういうようなことを見受けるわけなんです。工業試験所も戦前は県あるいは国の補助によってあったわけなんですが、戦後における工業面に対する力の入れ方が足りないのじゃないか、こういうことも考えるわけですが、その点に対しましていかよう政策をお持ちであるか。  また、振興開発計画の練り直しをしなければいけないのですが、三カ年たった以後においての沖繩振興計画の練り直しというのは、どういうような形でもって練り直して、そして名実とも開発庁の設置された役割りを果たさんとするものであるか、その点をちょっと詳しく御説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  10. 植木光教

    植木国務大臣 詳細につきましては政府委員からお答えをいたさせますが、御指摘のように、沖繩県は三月の労働力調査によりますと、完全失業者は二万九千人で七%という数字が出ております。これは地元産業が脆弱なために雇用力が乏しいということが第一点でありますし、また第二点は、これは本土も同じでございますが、長期にわたって不況が続いてきたという点がございます。それから、米軍基地からの解雇が引き続き行われている。さらに、本土地域からの就職者Uターン現象があったというのはただいまお話しのとおりでございます。また、海洋博覧会が終わりまして、臨時雇用者が職を失う、こういうような形になっております。それに加えまして、新卒者がちょうど出る時期でもあるということでございます。  私どもといたしましては、この非常に大きな失業者をどういうふうに吸収していくかということについてはいろいろ努力をしているところでございますが、いま申し上げましたような理由が、そのままいわば私どものとるべき対策を示してくれていると思うのでございまして、地元産業の育成というものが何よりも大切でありますし、また景気の回復を図ることが大事なことでありますし、また本土からの就職者のUターンされた方々に職を与える、あるいは逆に言いますと、本土大分景気も回復してまいりましたので、広域職業紹介等によりましてまた本土でも就業の機会を得る、こういうようなことがいろいろ考えられるわけでありまして、そのための努力をしているところでございます。  当面、公共事業の推進や政策金融の充実を図りまして、特段配慮を五十一年度予算においてはしてきたのでございますが、この二万九千人という人々を吸収しますだけの施策というのはなかなか大変でございます。昨年度の六百五十億の公共事業費を御承知のとおり八百億にしたわけでございますが、この百五十億の増加額、さらに金融公庫の融資の増加額、こういうものによってどれだけ失業者を吸収できるかということを試算いたしますと、大体事業そのものについては三千人から四千人は吸収できるのではないか、これにはそれぞれ関連のいろいろな事業がございますから、また中小企業のいろいろな役割りもあるわけでございますから、大体一万人はこれによって吸収できるのではないかという見通しを立てているのでございます。  それから、伝統産業の育成の問題についてお話がございました。これは私が初めて長官に就任をいたしまして沖繩に参りました際に、一番痛感をしました問題の一つでございまして、沖繩の責任者として、今後の地場産業発展のための伝統工芸品の育成というものがなければならないということを記者会見でも一番最初に申し上げたというようなものでございます。古くから伝わっております織物、染色、陶器、漆器等のこの伝統工芸品は、いわば沖繩のみならず日本の宝とも言うべき特色のあるものでございます。したがって、この産業の育成を図りますことが、ただいま御指摘のように、第二次産業で大きな企業誘致するということが現在なかなかむずかしい状況の中にありまして、さしあたっての力を入れるべき対象であろうと思うのでございます。  ただ、今日までこの伝統工芸を見ておりますと、業種、業態に応じまして必要な協業化でございますとかあるいは共同化あるいは経営の合理化、市場の開拓あるいは技術指導、デザインの研究開発、後継者の育成確保、こういう点につきましては、本土にあります伝統工芸産業を持っております地域に比べますと、まだ格段の差がございまして、私自身も伝統工芸品の産地の出身者でございますので、強くそのことを感じるわけでございます。したがいまして、私は、ただいま申し上げましたような、せっかく育成して大きく発展をする力を持っている伝統工芸品をめぐる各種のおくれた問題点というものをそれぞれ指摘をいたしまして、そしてこれについてのそれぞれの業界の御努力を要請しますとともに、私どもとしてもできるだけの指導をしてきているところでございます。  すでに御承知のように、復帰記念事業一つといたしまして、全額国庫負担で沖繩県立伝統工芸指導所を国が建設をいたしました。そして、これに引き続きまして、昭和五十年度においては、これは國場委員も政務次官としていろいろ御努力いただいたわけでございますが、久米島つむぎの生産振興を図るために共同作業場、製品検査室、技能養成室及び共同展示室等の機能を有します伝統工芸センターを久米島に建設いたしますとともに、本年度におきましては、宮古島に宮古上布の生産振興を図るための共同利用施設を建設するために経費を計上したところでございます。  なお、金融公庫に対しましては、伝統工芸産業振興に必要な資金を本土よりも有利な条件で融資をするようにお願いをいたしまして、その措置が図られることになっております。  私どもとしましては、非常に重要な産業一つとして振興のための努力を払ってまいりたいと存じます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 時間がございませんので、こちらも簡潔にお尋ねしますので、よろしくお願いします。  特別措置延期についての二十品目に対して、いま沖繩から盛んに来年の五月十四日を期してこれが切れたら大変だ、恩恵を受けている日常生活においての金額からしましても約三百億近くにもなるということで、三百億という金は、もう私が言うまでもなく、沖繩の砂糖、パインを束にしてでも、それよりも下回っている二百二十四、五億から二百三十億、こう言われております。その三百億近くにおいて、日常生活の必需品でそれだけの値段が特別措置がはずれますとぶっかかってきたら、所得面においてでもとても低いような沖繩にずいぶん打撃が来て大変なことになると右往左往しておりますが、もちろんそれじゃ五カ年後、延ばした場合に、また後はどうするのだということもきますが、とりあえずその点に対しては、県民としましてもその五カ年やって、またやってくれ、こういうことはまさかくるものじゃないし、それに対しては厳しくいろいろと改善を加えるべく御指導すると同時に、沖繩県民も努力するであろう、こういうことで考えられますが、この特別措置に対しての問題は、開発庁としましてほかの各省庁との調整予算に関することでありますと、遅くとも八月、九月までには大体めどがつかなければいけないと思うのです。その点いかがになっておりますか、簡単にひとつ……。
  12. 植木光教

    植木国務大臣 この特別措置につきましては、私どもとしては、開発庁が窓口になりまして各省庁に対して精力的に御要望にこたえるべく努力しているところでございます。何と申しましても開発庁が一番実情を知っているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、各省庁に対してただいまのような努力をしていくということでございます。いまお話がございましたように、財政措置を伴うものがございます。八月までには私どもとしての態度を決めるという方向で努力をいたしたいと思います。
  13. 國場幸昌

    國場委員 よろしくお願いいたします。  振興局長沖繩開発予算の中に、未買収道路用地とか公用地、国家財産に帰すべきものが予算の中でパーセンテージに全部あらわれてきまして、他省と対照するときにこれで全部数字が上がってしまって、何%と上がっておる沖繩特別措置だということにされるということは、これは当然国有地に帰すべき道路用地とかそういうものに対しては別枠でもってやらなければ、金目は大きく出ておるけれども、しかしこれは道路用地としての国道あるいは県道とかそういうものに帰すべきものであるので、県道ならいざ知らず、国道に買収される土地の予算までも沖繩予算の中にこれが包含される、こういうようなことになると、ほかとの駆け引き、予算を獲得する場合の数字だけはちょっと大きくして、恩を着て、しかし中身はそうでないということになる。その方面の予算の折衝の仕方なんですが、その点に対していかがな——私はその点は切り離して、これは沖繩振興に対するところのものじゃないんだということをすっきりさせてやった方がいいんじゃないかと思うのです。  それから、もう時間がありませんが、御承知のとおり沖繩の道路用地となっている未買収土地、これは莫大なものでありまして、いまのようにして年間百億ぐらいの予算を立てたのでは、これは何十年、何百年かかるかしれませんが、それに対して、さっきも申し上げましたとおりもっと額をふやすなりしまして、それで何年計画でこの土地を全部買収せんとするものであるか、とりあえず国道、県道だけでも早くめどをつけてもらいたいというのが県民の声なんですが、その点に対しましての計画がありましたらひとつお知らせしていただきたいと思います。
  14. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 数字にかかわることでございますので、私から御説明申し上げます。  五十一年度予算で見まして、道路予算は三百六億円、その中でいわゆるつぶれ地関係の予算が百七億円、御指摘のとおり約三割がつぶれ地問題の処理のために使われておるということでございます。このつぶれ地処理予算は、復帰のときが二十八億でございますから、五十一年は大体その四倍に近い金額になっているわけでございます。このように絶対額がふえ、かつ道路予算の中で占めておりますつぶれ地処理予算がふえておりますのは、やはりつぶれ地問題というのは可能な限り早く解決する、こういう物の考え方で重点的にやってまいったわけでございまして、あとたしか残りのものとしては国道、県道等で約二千億程度のものが未処理のまま残っている。したがいまして、現在程度のスピードでまいりますと二十年かかるという勘定になるわけでございますけれども、これは私どもの方としては、地籍問題が確定しておりますものにつきまして、可能な限り早い段取りでこの問題を解決したい、こういうふうに考えています。  このつぶれ地解消のための努力が一般道路整備を阻害しているのではないかという御質問でございますけれども、私どもの現在の見込みでは、つぶれ地につきまして従来以上に努力をするという前提で、かつその一般道路整備の手持ちの仕事の量、そういうものを絡み合わせまして、決して一般道路整備に支障を来すことのないように両立することが可能である、こういうように私どもは推計をいたしております。ただ、つぶれ地そのものの処理が何年で済むかという話につきましては、先ほど来申し上げておりますように、地籍未確定という要素が絡みますので、端的にいまここであと四年でできる、五年でできるということは、現在のところは申し上げかねる状況でございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 前に進みます。  沖繩返還に際しての放棄請求権、対米請求権、これが遅々として進むことなくして、関係地主あるいはまたその他における請求権を有する、あれは多分十種目であったんでしょうか、アメリカ土地裁判に訴訟をしたのがほとんどだめだということで持ち返って、わが国政府の方に請求権の方向が転換されておったと思うのです。この請求権に対しましては、返還協定のときにも復帰の段階にありましても、日米間においての請求権は放棄したといえども、それは国家間のやりとりであって、沖繩県民に対しては損失を与えない、こういうことは繰り返し繰り返し、正しいものに対しては適正なる補償は絶対するのが当然であるのだ、こういうことでありましたが、いまだにそういう問題が解決していないということに大きな問題があるわけなんですが、その方はどうなっておりますか。  それから、アメリカ施政権下において、そのさなかで返還されたたとえば上本部の飛行場とかあるいは読谷の軍用地とか、その他にも石川にもあるし伊江島にもあり、たくさんあるわけなんですが、これは施政権のさなかにあるときに返還されたもの、アメリカが開設利用した、戦争最中設備して引き続き利用したもの、そういうものは、返還協定の中では、アメリカが補償するというようなことにはなっておるといえども、しかしアメリカはそれに対して、もう八年前にあの上本部なんか返されておるのですが、それは補償されていないのです。  施設庁来ておりますか。部長さん、この点に対してはずいぶん不満ながらもずっと日にちは過ぎていくばかりで、いつしか解決しなければいけない問題なんで、何とか納得のいくような考え方をひとつはっきりと県民には知らせていただきたいと思うのです。
  16. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩のいわゆる対米請求権問題でございますが、当面、沖繩開発庁の協力のもとに防衛施設庁が調査を行うことになりまして、昭和四十八年度以降実態の把握に努めてまいりました。沖繩返還協定放棄請求権等補償推進協議会からの第一次要請分、それから沖繩県漁連要請分につきましては、昨年九月末日に概況調査を終わっております。それから、第二次の要請分がございますが、これも近く概況調査を終わる予定でございます。しかしながら、概況調査の結果、なお検討を要するむずかしい問題点がいろいろとございますので、現在関係省庁と精密調査実施等を含めまして今後の処理方針について協議しておるというところでございます。  それから、旧本部飛行場の復元補償でございますが、これは地元と米軍のDEの方とでいろいろ話し合いが行われておるわけでございますけれども、なかなか難航していて、その話し合いがつかないというふうに聞いておりますが、私どもも御援助できるところがあればそれなりに御援助をいたしたいというふうに考えております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 時間がないので前に進みますが、福地ダムの維持費について、これは建設省と思うのですが、五千万円もこれが年間ダム敷地料として出ておりまして、これは利水費の約五〇%に当たる。国家の管理下にあって、国家財産としてのダムが、利水費の約五〇%にも匹敵するだけの地代というのですか土地の使用料、これが出るということは、勢いコストにそれだけ負担がかかって、利用者そのものの料金にはね返ってくる、こういうことになると、これは必然的に本土と同じようなことにするためには——本土にはそういうケースはないでしょう。これはどういう理屈か知りませんが、もし地主が売らないんだというようなことであって、買い上げじゃなかったら、その土地の使用料に対しては国家がこれを負担するということで沖繩予算の中に企画局というのですか、企業局というのですか、そういうところにでも予算を毎年割り当ててやるとか、そういうことは考えられませんか、それはどうなっていますか。
  18. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  福地ダムは、復帰前の米軍事業というような特異な情勢がございまして、借地のまま仕事を続けてきたというような特殊の事情があるわけでございますが、通常ダムをつくります場合には、本土におきましては、また福地ダムの隣接の新川ダムとか安波ダムというのは建設にかかっておりますが、これは貯水池の敷地は買収するというのがもう一般ルールでございます。  それで、いま御質問の件につきましては、貯水池の敷地については将来買収するという方向で関係省庁と相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 國場幸昌

    國場委員 みんな中途半端になるのですが、時間がございませんので、VOA、これは来年五月十四日を期してVOAはとうとう撤去をする、こういうようなことになっておりますが、その従業員の身分保障とかその撤去した後においての構造物に対しての引き継ぎ問題、こういう問題が後になってまた同じようなことが繰り返され、困る。政府の都合もありますでしょうが、地元としましてはそういう問題がめどがつかぬうちは引っ越してくれるな、こういうようなことが実際の従業員の声でもあるし、またそこを貸しておる地主の声でもあるんです。それは国務省の管轄ですので軍用地というのとは意味が違うでしょうが、しかしいずれにしましても、軍用地扱いとしていままでやってきておるのが実情なんです。だから、これはどこの管轄だとしましても、日米間の国家間にありてなしたことならば国は責任を持ってその解決はやらなければいけない問題であって、どこがああだというのは一般国民としましては、また地域住民としましてはそれには関知するものではない。だから、その問題に対して外務省あるいは労働省も関係あるでしょうが、土地の後利用問題、復元補償問題、この問題に対してどういう計画をお持ちであるか、それから身分保障に対してはどういうようにお考えになっておるのか。話に聞きますと、同じアメリカ国の機関において軍労働者、軍雇用員とそれからそこの雇用員とはずいぶん差があるようですね。退職金にすると半額くらいしかもらえないというようなことを言っております。その点に対しまして、それは外務省でしょうか労働省でしょうか、外務省と労働省両方でしょうね、ひとつ適宜にその点……。
  20. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 まず、御承知のとおり沖繩返還協定の八条によりまして、日本側は沖繩にございますボイス・オブ・アメリカの中継局の運営を五年間に限って認めるということでございます。アメリカ側も、五年の期限が到来いたします。七年の五月十五日までにはこの運営をやめるということですでに予算措置を現在講じつつございます。  ただいま御指摘のございました身分保障の問題でございますが、ボイス・オブ・アメリカに雇われている職員は、アメリカの一般政府機関の職員でございまして、いわゆる駐留軍労務者との間には若干の差異がございます。外務省といたしましても、これらの職員の身分保障の問題につきましては、関係省庁と協議しながらできるだけ不利でないような努力をしているのが現状でございます。  それから、跡地の問題でございますが、これは第一義的に地主とボイス・オブ・アメリカとの交渉になるかと思います。それによって復元補償の問題が出てくるかと思いますが、これは明らかにアメリカ側が復元補償の責任を負うというふうに合意されております。
  21. 石井辰治

    ○石井説明員 VOAの離職者に対しましては、沖繩振興開発特別措置法に基づきますいわゆる沖繩失業者求職手帳を発給いたしまして、三年間にわたりまして就職促進手当を支給しながらきめ細かな職業相談、職業指導あるいは職業訓練というものについて努力をいたしていきたいと思っております。対策の中身としましてはおおむね駐留軍離職者と同様になっております。それから、雇用保険の適用につきましては、保険料の納付など事業主として行うべきいろいろな手続の履行が前提でございますけれども、労働省といたしましては、こういった条件が満たされれば適用するという方針で、目下在日米国大使館の担当者と協議をしているところでございます。
  22. 國場幸昌

    國場委員 この身分保障問題で、とにかく軍雇用員と同等な扱いをしてもらいたい、同じアメリカの国家の機関において働くのに、軍雇用員と国務省の管理下にあるVOAで働くのと、退職手当とかそれから恩給問題とかいろいろあるようですが、そういうものに差がある、差別待遇はいけない、こういうことであるので、これが彼らの切なる声なんです。たとえば退職金であると半分ぐらいしかないというのですよ。その点、最後にもう一点……。
  23. 石井辰治

    ○石井説明員 御指摘の問題は、いわゆる特別給付金の問題ではないかと思います。これは実は所管としましては労働省ではございませんが、現行の法制度からいたしまして特別給付金を支給することは困難ではないかというふうに考えます。
  24. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  25. 松本忠助

    松本委員長 以上で、國場君の質疑を終わります。  次、安井吉典君。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 去る五月十九日、グアム島からB52戦略爆撃機が嘉手納に飛来しております。この問題につきまして、政府アメリカ側からどのような通告を受けていたか、そして現実にいまどういうふうな形になっているか、それをまず伺います。
  27. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 五月十九日午前九時に在京アメリカ大使館から外務省に対して、電話をもちまして、グアム島のB52十三機及びKC135六機が、台風避難のため十九日の午前中に順次グアム島を立って、午後嘉手納飛行場に到着するという連絡がございました。さらに、あわせてその際、B52等は天候が回復し次第直ちにグアム島に戻るという連絡がございました。実際には第一番機が午後三時過ぎに到着いたしております。現在のところまだ台風の状況が回復しておりませんので、全部沖繩にまだおるというように了解しております。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 たしかこれで復帰後七回目の飛来だと思いますが、県民の中では激しい反対運動が起き、屋良知事も直ちに抗議をする等いろいろな運動が起きています。沖繩県におけるこれまでの長い戦争体験や、たとえ復帰が行われても基地そのものか居座っている現状への、そういう意識の中から当然起きている実態だと私は思います。  私どももそういうような中でこの問題を見ていかなければならぬと思うのですが、一体グアム島には米軍の航空機はどんなのがいるのですか。かつてB52は百機以上台風避難のために沖繩に飛んできたこともあったと記憶いたしておりますが、いまはB52なりKCなりそのほかの飛行機はどんな状況になっているか、それは外務省ですか防衛庁ですか、おわかりになりますか。
  29. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御指摘のとおりグアム島には、B52はベトナム戦争のときに非常に多くの数がいたのは事実でございますが、現在グアム島にB52、KC135がそれぞれ何機ぐらいいるかということは、外務省として現実の数を把握しておりません。
  30. 安井吉典

    ○安井委員 何か物すごくたくさんいたはずなんですね。ベトナム戦争が終わったんだから少し減ったのかもしれませんけれども、何かたくさんまだグアム島に残っていて、十三機だけが台風避難という名前で嘉手納に飛んできたのではないかという、これは邪推かもしれませんけれども、そんなような感じもするわけであります。ですから、台風があるということは間違いないんでしょうけれども、そしてまた台風の避難ということになれば、日本政府もこれはしようがないなというふうなことになったんだろうと思うのですが、私も沖繩県民と同じ気持ちで、最近の沖繩基地が米軍の装備が非常に強化されているという実態がある、その一環として再びB52を嘉手納基地に駐とんをさせるための地ならしをまた始めつつあるのではないかとも思うわけでありますが、その点について政府はどうお考えですか。
  31. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 お答えいたします。  この委員会あるいはほかの委員会でもたびたび外務大臣あるいは政府委員からお答えいたしておりますように、アメリカ側としてもB52に対する日本国民の感情、特に沖繩県民の感情は十分承知しておりまして、すでに大平現大蔵大臣が外務大臣のときにこの日本側の立場をアメリカ側に申し入れまして、アメリカ側もその日本側の立場を十分理解するということで、平時におきましては、台風等緊急やむを得ない場合を除きまして、B52をわが国に飛来させることはないという約束をしております。したかいまして、平時において、B52を沖繩に常駐させるというような意図はないというふうに私たちは確信しております。
  32. 安井吉典

    ○安井委員 その政府の方針はわかります。そうだとすれば、グアムに台風が来た場合に、沖繩に飛来する以外に台風避難の方法がアメリカにとってないのか、その検討をアメリカに私は求めていく必要もあるのではないかと思う。その他の避難方法があるのかないのか、そういう検討を求めていくというぐらいの構えが私は必要なのではないかと思う。いずれにしても、早期に退散をするということを政府は強く要求してもらいたい。嘉手納村においても抗議が行われ、たしかきょうは大きな全県的な抗議集会もあるはずです。そういう県民感情を明確にとらえた行動を政府に要求したいと思います。早く退去せよということと、もう来るなということをもう一度この際やはり明確にするべきだと思うが、どうですか。
  33. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 先ほど申し上げましたように、アメリカ側も今回の飛来につきましては、通告をいたしました際に、天候が回復次第グアム島に戻るということを申しております。  それから、沖繩にこのB52は来るなという点でございますが、先ほど申し上げましたように、日本側の意図というものは従来アメリカ側に十分話をしておりますので、この時点で改めて新しい申し入れを行う必要というものはないのではないかというふうにいま私たちは考えております。
  34. 安井吉典

    ○安井委員 いつ帰るかどうかにもよりますが、いずれにしても、そういう以前からの日本政府アメリカヘの態度というものは変わらないし、もっと強まっているということをやはり明確にすべきだと私は思う。そのことをひとつ要求しておきます。  そして、いまもちょっと触れましたけれども、最近沖繩米軍基地の増強状況が私は気になるわけです。たとえばベトナム戦が終わってもう一年もたつにもかかわらず、ファントム戦闘機は約九十機、倍以上の数にふえている心あるいは岩国にあった第一海兵航空団司令部がキャンプ瑞慶覧に移って、海兵隊の指揮命令機能の沖繩集中が果たされていく。特に海兵隊では、第三海兵水陸両用部隊のごときは、海兵隊として海外駐留ただ一つの部隊だという。この岩国から沖繩への移駐の問題については、沖繩県議会は全会一致で第一海兵航空団の国外撤去の決議をしている。屋良知事ももちろん反対声明。どうもベトナム戦争が終わったにかかわらず、こういうふうな方向に進んでいるという状況は、やはり新しい朝鮮戦争の意識の上にこういうような状況が進んでいるのではないか、こう思われるわけでありますか、復帰が果たされて基地そのものが縮小され、土地が返還されるということの期待に逆行するようなこのあり方を私たちは許すわけにはいかぬと思うのでありますが、この事態について政府としてどういう考え方を持っておられるのか、その点を伺います。
  35. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいまの御質問のまず一つの岩国第一海兵航空団の移転でございますが、もともと第一海兵航空団沖繩にございます第三海兵師団、これは非常に密接な関連にございまして、今回二月の初めにアメリカ側が発表いたしまして、第一海兵師団の司令部要員約千名が順次キャンプ瑞慶覧に移る。と申しますのは、キャンプ瑞慶覧、既存の施設でございますが、そこに従来米軍の陸軍がおりましたが、これが移転しましてスペースに余裕が生じたんで、連絡を密にするために移動ということを発表しております。  それから、朝鮮の事態とこの沖繩へのアメリカ軍の移動が関連があるのではないかという御指摘でございますが、外務省としては必ずしも朝鮮の事態とこの沖繩への米軍の移動というものは関連しているというふうには考えておりません。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 岩国の方は司令部が行って千人も兵隊が減ったんですから、戦争のにおいが少し減ったということにあるいはなるのかもしらぬが、それが沖繩に移ってしまったのであっては、戦争のにおいから少しでも逃げ出そうという気持ちを持っている沖繩県民の気持ちを逆なでするものだと私は思う。このような移駐の問題について、政府にはあらかじめ米側から相談があったわけですか。こういう場合はどうなんですか。
  37. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御承知のとおり安保条約上、日本の国内の移動については事前協議の対象でもございません。ただし、随時協議で米側から日本側に連絡はございます。この岩国の場合も、米側から発表に先立ちまして、こういう計画であるという通報は外務省にございました。
  38. 安井吉典

    ○安井委員 それに対して外務省は直ちにオーケー、こうやったわけですか。
  39. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 この問題は外務省がイエス、ノーと言う立場にございませんので、アメリカ側としては別に協議の対象でございません。ただ、慣例に従って通報ということでございますので、外務省としては米側の通報を聞いておいたということでございます。
  40. 安井吉典

    ○安井委員 開発庁長官もおられますが、沖繩の開発振興の問題の担当という立場からも、沖繩県民の気持ちを閣僚の中でも一番御存じなのは、私はあなただと思う。ですから、岩国から沖繩に移るということは別段必ず相談をし、日本側のオーケーを得なければならない事項でないという法律的な根拠はわかりますけれども、しかし沖繩県民の気持ちをくむならば、その開発の責任者としても  一言くらいあってもよかったのではなかったかと私は思います。つまり自民党も含めて県議会が来るなという決議、しかもただ来るなと言うと岩国に置いておけというふうに聞こえるものですから、国外撤去という決議なんですね。そこまでいろいろな配慮をした県民の気持ちというものがある。それを一言くらいアメリカ側に伝えてもよかったんじゃないかと思うのですが、大臣、どうです。
  41. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまアメリカ局参事官お答えをいたしましたように、アメリカ側から通報があったようでございますが、私の方にはございません。ただ、県議会がこの御指摘の決議をせられたということは、当然私ども承知いたしております。基本的な考え方といたしましては、日米安全保障条約があるわけでございますけれども沖繩振興開発計画策定いたしました際に、沖繩県における基地の整理、縮小というものが必要であるということは閣議で決定されたわけでございます。また同時に、沖繩県民の方々が非常に大きな面積を基地に取られている、使用されているということについて、いろいろな御批判があるということは私どもも十分承知いたしておりまして、いろいろな問題が起こりますたびごとに、外務省や防衛施設庁に対しましてアメリカ側との交渉を依頼いたしましたりあるいは閣議の席上で私も発言などいたしておりますが、私どもとしての考え方は、基本的には整理、縮小にあるということで、今後とも努力をしてまいりたいと存じます。
  42. 安井吉典

    ○安井委員 きょうは外務大臣が見えないものですから、開発庁長官にも閣僚の一人として特に申し上げたわけですが、キャンプ瑞慶覧が空き家になっていたからそこへ入れた、こうおっしゃるなら、あいているのなら返してもらえばいいじゃないですか。別に岩国から持ってこなくてもいいのですよ、それは。特に米軍の基地沖繩から縮小するということは至上命題だということをしばしば政府は国会で言明しているわけです。県民にもそうお話しされているわけですね。そういうことからいって私は遺憾だと思う。ですから、これから先の段階でもあくまで基地を縮小し、米軍の兵隊やあるいはいろいろな機材等を沖繩から幾らかでも減らすことが目標なんだ、そういう方向で行くんだということだけは、私はきょうもう一度大臣からも明確にお答えいただきたいし、基地縮小の方向で行くのだということを外務省の立場からもここで言明していただきたいと思う。
  43. 植木光教

    植木国務大臣 基地の整理、縮小というものは非常に大きな命題であるという認識のもとに、今後も努力を続けてまいります。
  44. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 外務省といたしましても、必要のなくなった基地の整理、統合は従来もアメリカ側と話をしてまいりまして、御承知のとおり安全保障協議委員会の第十四回、第十五回におきまして沖繩基地の整理、統合ということが合意されておりまして、今後開かれる次の安全保障協議委員会においてもこの問題は当然取り上げられるものと考えております。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 決意表明は少し弱いようだけれども、とにかくその方向だけはひとつ明確にしてこれからやっていただきたいと思います。  次に、去る三月九日に嘉手納空軍基地報道局が、その嘉手納基地の米空軍が二月下旬からニュージーランドで行われたANZUS加盟国、アメリカ、豪州、ニュージーランドの合同演習の中軸部隊として参加をしたということについての資料を公表したと伝えられていますが、これは外務省御存じなんですね。
  46. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 本件については外務省に対して特段の連絡はございませんでしたけれども、二月十八日に沖繩米軍が発表しておりますので、その発表によって外務省としては合同演習の内容を承知しております。演習期間は二月二十三日から三月六日まで、参加国はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでございまして、演習の目的、内容は三国の陸上及び航空兵力の合同戦術訓練をニュージーランドにおいてするということで、嘉手納の一八戦術航空団からF4D六機及びC130一機及び支援要員が参加するという発表がされました。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 いまのお話によれば、嘉手納にいる米軍がとにかく一万三千キロ近くある豪州まで飛んで、そこでの演習に参加をしたということであります。伝えられるところによると、もっと以前にやはり沖繩にいる米海兵隊が、ANZUS諸国とそれから英国をも含めた合同演習、これにもオーストラリアで参加をしたということであります。安保条約の極東の範囲というものがずいぶん広くなったものだなという感じを実は受けるわけであります。たしか極東の範囲についての政府の見解はフィリピン以北、それがベトナム戦のころはその周辺地域というあいまいな拡大解釈が行われていたと思います。しかし、オセアニアにまでその周辺地域が及ぶとは、これはどうしても考えられないわけであります。  これは幾つか問題があると思うのですが、直接出撃では、これは戦争ではないですからそうとは言えないわけでありますけれども、もしもこれが——演習か行われているということは、戦争の状態になっても同じようなことができるということであり、それをやるための演習だと私は思います。事前協議という側面からこれを考えてみますと、もしこれが戦闘行為の場合は、グアムを経由して行ったということになっているのですか。それからまた、空中給油を七回もして飛んでいっているというようなことでもあるようであります。実際の戦闘だとこれを仮定した場合に、こういうふうなやり方は事前協議の対象になるのか、ならないのか、それからまず伺います。
  48. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 今回の演習に参加しました米軍の航空機が、途中で給油を受けていったかどうかということについては、私、承知しておりませんが、ただいまの御質問、仮にこれが戦争状態であった場合に事前協議の対象になるかどうかという点でございますが、事前協議の対象になるかどうかという点については、安保条約六条及びそれに基づきます交換公文でわが国施設、区域から直接戦闘作戦行動に従事するということでございますので、わが国から飛び立った時点におきまして明らかに戦闘作戦行動に従事する命令が出ていたかどうかということが一つの判断の基準になるかと思います。そういう命令が出ているということであれば、これは当然事前協議の対象になるというふうに考えております。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 それはグアムに着陸をして、それから向こうへ行ったかどうかということにはかかわりないわけですか。
  50. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 非常に仮定の問題でございますが、グアムに着陸しようがしまいが、日本国内の施設あるいは区域を出るときにどういう態様であったか、命令系統、命令を受けていたかということが判断の基準になるのではないかと思います。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 伝えられるところによると、KCが飛び上がって七回給油をして、一万三千キロを飛んだ、こういうことのようです。それはそうでしょうね、ファントムですから、とても一遍に飛べるわけはありませんよ。ですから、七回給油をしながら飛んでいって向こうへ着いた、こういうわけですが、しかしこれは常識で考えても、まあ仮定の論議をしているわけですけれども、給油をどんどん続けながら飛んでいくというのは、最初から戦闘参加の命令を受けていなかったか、いたかなどということ以前に、嘉手納を飛び立たせるというそのことにおいて私はもう明確な判断が下されていいのじゃないかと思う。日米安保条約が当時結ばれたときには、空中で給油をして戦闘機が一万キロ以上も飛ぶなんというようなことは想像してなかったと私は思う。ところが、安保条約の締結後だんだんたつうちに航空機がどんどん発達をして、これならどこまでも飛べるわけですね。そういう事態になっても、相変わらず昔ながらの事前協議についての交換公文やあるいは解釈で問題を処理しようというところに私は間違いがあると思う。外務大臣ならもっと議論するところなんですけれども、私がいまこの例で取り上げているような事態に関して、安保条約そのものを私たちは認めないのだけれども、少なくもこの事前協議制のあり方だけについてでももう少し検討したらどうなんですか、外務省の考えを聞きたい。
  52. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 外務省としては事前協議制度、これは安保条約と同時に交換公文でできまして、その後の解釈についてもアメリカ側と話し合っておる制度でございまして、現在のところ、事前協議制度をいじるという考えはございません。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 これはもう少し後の議論に残しますが、第六条の基地貸与の条項がありますね。日本の基地を米軍に貸与する場合には、何に使ってもいいという貸与の仕方ではないはずであります。第六条で「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」そのために貸すのだというわけで、そのために使うのならお貸しします。こういう貸し主の借り主に対する約束だと私は思います。極東の範囲というのがANZUSにまで及んで、あんな遠いところで戦争をするために使われる米軍を私たちは自分の基地の中に置いておくというつもりはありません。ですから私は、やはり極東の範囲というのは、この第六条の基地提供ということに絡んでこの場合問題があるのではないかと思うのですが、どうですか。
  54. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 六条は、御承知のとおり日本がアメリカ側に対して基地を提供する目的を書いてございますが、ここでいう目的は、米軍が日本の施設、区域を使う一般的な使用目的を明らかにしているものでございまして、その米軍の個々の行動範囲が必ずしも極東の範囲に限られるという趣旨ではございません。しかし、そうはいっても無制限ではございませんで、安保条約の前文あるいは全体を読みましても、米軍の行動は国連の集団自衛に限定されておりますし、それからやはり日本国の安全並びに極東の国際の安全及び平和の維持ということに限定されているので、その範囲からおのずからその中での活動というふうにおさまってきておるというふうに考えております。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 ANZUSの地方は、極東の範囲ではないでしょう。
  56. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 これは長い間国会でも御審議があったと思いますけれども、極東というのは、一般的な字句的な概念で言うとすれば、フィリピン以北というふうに提示されているというふうに了解しております。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 だから私は、いまあなたが言われているのは詭弁だと思いますね。当時、日米安保条約が国会で議論されているときも、ANZUS地方まで日本に駐留するアメリカ軍が飛んでいくなんということはつゆ考えずに審議が行われたのではないかと私は思う。もっとも審議途中で強行採決になっちゃいましたがね。ですから、どこまでも解釈を拡大していくといううふうなやり方で、日本にいる米軍が日本を基地としてもうどこへでも飛んでいって軍事行動をやることを容認するというわけには私どもはいかぬと思う。特に最近はタイもアメリカをシャットアウト、もうどこもここも米軍はきらわれているわけですね。米軍事基地を置いてもいいというのは韓国と日本だけですよ。だから、いまあるものをできるだけ活用して軍事行動をしようというねらいが、いまの豪州、ニュージーランドまで沖繩から飛んでいく作戦行動、これはいま戦争ではないけれども、戦争のために合同演習をやるのじゃないですか。こういうようなばかげたことを許すわけにはいかぬと私は思います。政府としても、こういうふうな計画があったらアメリカに対して何らかの発言をするということがあってもいいのではないかと私は思うのですが、どうですか。
  58. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 外務省といたしましては、米軍の一部がこういうような訓練に参加するということ自身は、安保条約に違反するというふうに考えておりません。むしろあらゆる事態に米軍が対応するために訓練その他を行うのが必要であって、それが安保条約の持っております抑止力を高めるというふうに考えております。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 そんな答えが国民の感情に合うとは私はとうてい考えられません。いずれ外務大臣にも御出席をいただいて、さらに問題を煮詰めたいと思います。きょうは保留しておきます。  次に、これは防衛施設庁の方に伺いたいわけでありますが、沖繩の公用地暫定使用法を実質的に延長するための法律をつくろうということで、今国会提案を目指しておられたようだが、もう間もなく閉会です。今国会には、いま準備されている法案は出さないということをお決めになったと受けとめてよろしいですか。そしてまた、将来はどうするのかということもあわせてお答えください。
  60. 銅崎富司

    銅崎政府委員 今国会に法案を提出するべく準備を進めておったわけでございますが、今国会の会期末等の情勢から、今国会への提出を見合わせるようにという大臣の御指示がございまして、提案することは見合わせております。  それから、今後どうするかということでございますが、まずこの法案の考え方をちょっと御説明させていただきたいわけでございますけれども、現在沖繩に所在する防衛施設は、本年の五月十五日現在で八十五施設ございます。面積は約二億七千百万平方メートル、所有者の件数は約二万九千六百六十件でございます。このうち、公用地暫定使用法によりまして使用しておりますものが三十三施設、面積で約二千二百万平方メートルになっております。所有者の件数は九百五十九件となっております。これらの土地につきましては、公用地暫定使用法の第一条第二項に規定がございますが、所有者と円満に契約するように努力せよという規定がございます。この趣旨に基づきまして、土地所有者との賃貸借契約に切りかえるべく最大限の努力をこれまでもしてまいりましたし、今後もしていきたいと考えております。それから、施設の一部の整理につきましても、これが返還できないかどうか、現在アメリカと折衝を進めているところでございます。  こういうふうなことでいろいろと努力をしてまいってきておりますけれども、どうしても契約に応ずることができないという方もおられるわけでございまして、その場合、わが国の安全保障上かち今後とも引き続き土地を使用する必要があるものがございまして、本来でございますと土地収用法あるいは駐留軍用地特措法によって使用の手続をとらざるを得ないようになるわけですが、先生御承知のように、沖繩におきます防衛施設用地は、一部を除きまして地籍が不明確のまま今日に至っております。したがいまして、現地に即して土地の特定ができない。そのために、現在の土地収用法または駐留軍特措法による使用手続ができないという事情にございます。それから一方、地籍が不明確なために賃貸借の契約をいたします場合も、それから返還施設の跡地利用等にも制約が出てきておりまして、この問題の早期解決ということは関係地主もひとしく要望しておりまして、地籍の明確化を図って本来の手続がとれるまで、収用法なり特措法にのっとった手続ができるまでの間暫定的に使用できるような立法措置を検討しておるということでございまして、事務当局としてはできるだけ早い機会に成案を得まして、国会の審議をお願いいたしたいというふうに考えております。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 この土地暫定使用法は、さきのいわゆる沖繩国会で違憲の疑いがあるということで国会の論争の焦点になったわけです。しかも、現に沖繩においては違憲訴訟が起きて、ちょうど復帰記念日の五月十五日に第一回の公判も行われました。県民のこの法律に対する感情は非常に厳しくて、占領時の土地強奪をそのまま固定化するものだということで、すでに激しい反対運動も起きているわけです。そういうふうな実態を考慮することなく法案を出そうというふうなことは、これはいささか神経が行き届いていないのではないかという感じを受けます。ですから、この問題の処理については、私は政府の方も非常に慎重な態度で臨んでもらわなければいかぬと思います。その点どうですか。
  62. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩反対の声が上がっておるということも十分承知しておりますし、米軍当時土地がどういうふうにして収用されたかという実情も文書等によって承知しているつもりでございます。したがいまして、そういう部面につきまして最大限の配慮をしていくということは当然考えておるわけでございますが、現在の公用地暫定使用法が来年の五月十四日限りで期限切れになりますと、全部の土地所有者の方が契約してくださるのならば必要がないわけでございますけれども、やはり契約努力をいたしましても、若干の地主の方は契約を拒否される。しかし、政府の立場といたしましては、どうしても使用施設を中心にこの契約拒否の方の土地が散在しておりますが、その施設の使用の継続を図る必要がございますので、期限切れのままいきますと、政府みずから法の根拠なくして使用するという事態になりますので、それは政府の立場としてやはり何か別の立法によりまして使用の権利を得なければいかぬということでございますので、そういうような趣旨なり政府の立場を沖繩方々にもよく説明いたしまして、理解と御協力が得られるようにやはり今後とも努力を続けていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 現在、契約が政府としてできないでいる件数、それから面積、関係者数、どれくらいですか。
  64. 銅崎富司

    銅崎政府委員 米軍施設で申し上げますと、施設数が二十七施設、面積は、これは本年の五月十五日現在でございますが、二十七施設で二千百八十四万平方メートル、それから自衛隊施設が六施設で約十九万平方メートル、合計いたしまして三十三施設、面積約二千二百三万平方メートル、それから拒否の件数は、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在は駐留軍関係で九百八件、自衛隊関係五十一件、合計九百五十九件でございます。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 五年間の期限が、いまの法律が切れた場合に、本土並みの法律措置でいけないのですか。いわゆる特措法なり土地収用法なりがあるわけですね、本土と同じような仕組みで。それだけでいくということはできないのですか。
  66. 銅崎富司

    銅崎政府委員 それはいろいろと関係のところとも協議をして、現行の土地収用法、駐留軍特措法でいけないかどうかということをいろいろ協議してまいったわけですが、御承知のように土地収用法の場合、適用する場合には、三十六条で土地調書をつくりまして、三十七条ではそのつくる要件としまして実測平面図を添付するということになっておりますが、その主な内容は、現地に即して土地が特定できなければいけないということでございまして、この現地に即しての土地の特定ということが、沖繩の地籍未定地ではできないものでございますので、土地収用法に基づいての土地の収用ができない。それから、駐留軍特措法の方は、手続はおおむね土地収用法が準用されておりますので、これまた同じことでございます。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 すでに契約された土地も、これは地籍がわからないままに、いわゆる土地を特定しないままに契約をやっているんですよ、現実には。ですから、すでに契約された方はいいかげんだということを逆に裏づけるようなことになっているのではないかと私は思います。問題は、地籍の調査をどんどん進めていけば、これはある程度問題の解決になるのではないかと思うのですが、それじゃ地籍の調査について、開発庁と防衛施設庁と両方でやっているはずでありますが、どれくらいの対象があって、どれくらいが実施されて、さらに実施中のものはどれくらいあるか、その数字をひとつお聞かせいただきたい。
  68. 亀谷礼次

    ○亀谷政府委員 お答えいたします。  復帰の時点におきまして、先生が御指摘の、沖繩の現地におきます地籍不明確な土地の問題が非常に大きな問題として浮かび上がったことは事実でございます。この問題の処理をどういうふうにするかということにつきまして、琉球政府及び政府間においていろいろ協議をしたわけでございますが、何分にもこれらの地籍不明の土地の全体の把握が必ずしも明らかでなかったこともございまして、とりあえず沖繩開発庁におきまして、昭和四十七年度及び四十八年度の両年度にまたがりまして、現地に即しまして、県の協力のもとにこれらの不明確の土地の概査をしたわけでございます。その結果、一応防衛施設庁とも連絡をとりながら調べました結果では、概数でございますが、提供軍用基地を含めまして、おおよそ沖繩本島を中心に百四十平方キロメートルの地域につきまして、これが地籍不明確の土地であるということが判明をいたしました。  なお、この百四十平方キロメートルの面積のうちで、約八割に相当します百二十一平方キロメートルは、現に復帰の時点におきましてもまだ軍用基地として使用中のものである。したがいまして、残り約二十一平方キロメートルがいわゆる復帰前において民地として解放された土地であるということが判明したわけでございます。
  69. 銅崎富司

    銅崎政府委員 防衛施設庁でやっております地籍調査は、まず復帰後返還されました土地と、それから現在提供いたしております施設、区域の両方をやっておりまして、まず現在施設、区域として提供しております防衛施設につきましては、二十八の施設について行っております。四十九年度及び五十年度にこれらの全施設について航空測量を実施いたしまして、その航空測量の結果作成しました航空写真及び現況測量図と戦災前の航空写真を関係土地所有者の方に参考資料としてすでに提供いたしております。これらに基づきまして、昭和五十年度からは、測量でございますが、図根多角測量等を行いまして、その成果品、それからさきに申しました参考資料等によりまして地図編さんの基礎作業を行っております。その結果、現在まで十六の施設につきまして市町村界、大字界及び小字界の割り出しを完了いたしております。残る十二の施設につきましても同様の作業を現在継続してやっております。  それから、いままで申しましたのは、現在施設、区域として提供しているところでございますが、今度は復帰後返還された土地でございますが、これも五十一年五月十五日現在で境界設定を要する施設は、ボロー・ポイント射撃場等二十三施設ございます。面積は約一千百万平方メートルになっておりますか、このうち境界設定費——返還補償の一環として境界設定のための費用をお支払いするわけですが、この支払いを完了しました施設が、コザ通信所等二十一の施設でございます。このうちでコザ通信所等五施設、約五十七万一千平方メートルはすでに境界設定を終わっております。それから、トリイ通信施設等十六の施設、約八百五十万七千平方メートルは、現在境界設定を実施しておるか、または準備中でございます。残る瑞慶覧通信所等三施設につきましては、目下現地を調査中、こういう状況でございます。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 両方の数字が平方キロメートルになってみたり平方メートルになったりして、ちょっとわかりかねるのですが、これは後でひとつわかりやすく一つの表にまとめて資料としてお出しください。  そこで、それぞれの作業が進んでいることはいまの数字でわかりますが、いつごろまでに終わるお見込みをお持ちなのか、開発庁施設庁とどちらからもお聞かせいただきたい。
  71. 亀谷礼次

    ○亀谷政府委員 沖繩開発庁におきまして、現地、県の関係部局協力のもとに行っております対象面積は、先ほど申し上げましたように、いわゆる復帰前に返還されて、民地として現在あります約二十一平方キロが対象でございます。これらの土地につきましては、地籍確定は当然土地所有者の合意が基本的な条件となっておりますので、調査の進展状況等、合意に関する状況いかんによりましてこれが大きく影響されることは当然でございますが、本問題の経緯及び特殊性を考えますと、できる限り速やかに解決をする必要がございます。このために、合意のための諸条件整備並びに合意に要する期間及び作業等につきましても詳細検討の上、おおむね私どもの見込みでは、本年度を含めて五カ年の計画をもって現在進めておるところでございます。したがいまして、開発庁といたしましては、この計画期間に沿って調査が進展するよう努力をしてまいるつもりでございます。  なお、これは付言を申し上げさせていただきますと、現在ほぼ作業が終わる見込みにあります西原村につきましては、県を初め村当局及び地元関係者の多大の御協力と御努力によりまして、これがテストケースではございますけれども、一応計画どおりに進展をしておる、こういうふうに考えておりますので、このテストケースでございます西原村のケースを今後のこれらの他市町村にわたる調査に活用できるもの、こういうふうに期待しておるところでございます。
  72. 銅崎富司

    銅崎政府委員 防衛施設庁でやっております地籍確定作業も、ただいま亀谷局長から御説明がありましたところが実は問題でございまして、一筆ごとの土地の確定につきましては、土地の所有者が皆さんで協議して確定していくということでやりますので、いまいつまでということをはっきり申し上げられないわけでございますけれども、その基礎になる測量なり地図の編さん作業というようなものもできるだけ早くやりたいということで予算措置もしてやっておるわけでございまして、いわゆる集団和解方式でいつ地籍が確定するかというところに実は問題がございまして、ただいまはっきり申し上げられないのは残念でございます。  ただ、現地の状況といたしましては、地主の方々は早く地籍を確定したい、それから土地のことをよく知っておられる古老の方が健在なうちに地籍の確定作業はやった方がいいのだということで、非常な熱意を持って地主の方もこれに取り組んでおられますので、予想としてのいつまでということは申し上げられませんが、そう長い時間はかからないのではないかと予測しておるわけでございます。
  73. 安井吉典

    ○安井委員 沖繩開発庁の方は五カ年計画でと言われるし、防衛施設庁の方はいつまでとは言えない、こういうことなんですけれども、私の見るところではこれは十年かかっても百年かかってもできませんよ、いまの状況から見ますと。そういうふうな厳しい姿の中にあるように思います。甘い考え方で問題に臨んでいるとすれば、私は大きな間違いだと思う。特に私はいまの防衛施設庁側の、地籍が確定するのはいつになるかわからぬと言われながら、今度の新しい法律は、地籍が確定するまでいまのまま国が取り上げておくのだ、こういう言明があることは、永久に固定するのだと言っているのと同じことなんですよ。私は、このことを沖繩県民は敏感に感じ取っているのではないか、だから反対が強まるのではないか、こう思うわけです。ですから、いずれにしてもこの地籍そのものを明確にするということは、基地の問題があろうとなかろうとこれは大切なんですから、この地籍を一日も早く明確にするという努力政府政府の責任において続けるということでなければならぬと思います。地元の市町村はむずかしい問題を預けられて困っているわけですね、そういう悲鳴をよく聞きます。どこに責任があるのかということを明確にするということから、私は、地籍をこうすればうまくいくのだというための特別措置をつくるとかそういうふうなことが、むしろ防衛施設庁が考えているような違憲の疑いのある法律をつくるよりも大切なのではないかと思う。ですから、現在地籍を確定するためにどういうことが隘路になっているのかということをえぐり出して、その問題を——現行のいろいろな法律ではなかなかむずかしい面がありますよ。集団和解で決めるとかそういうような手法はやはり特別な法律で認めていく。もちろん個人の私権は尊重しなければいけません。その尊重をうたい込みながらも処理の迅速な道はないかという探求をしていく必要があるし、さらにその土地を単に復元するのではなしに、もっと発展的に使えるような方向をうたい出す、そういう特別立法も私は必要なのではないかと思います。その点について、きょうは大臣がおいででございますが、大臣としてどうお考えなのか、その点を伺います。
  74. 植木光教

    植木国務大臣 お説のとおり地籍の明確化というものが大変大切な問題であるという認識のもとに、私といたしましては、たとえば基地問題閣僚協議会におきましては、この地籍の明確化を図ることが必要であるという点を特に強調いたしますとともに、沖繩振興開発を進める見地から米軍施設、区域の整理縮小を図る必要もあるということを強調しつつ今日に至っているのでございます。いま、すでに御承知のように、開発庁と防衛施設庁に所管が分かれているわけでございますが、この体制というものは、軍用地域の特殊性を考慮いたしましたならば実情に即したものではないかと私ども考えております。  ただいま特別立法のことについてお話がございましたが、これは御指摘にもありましたように、私権にかかわる問題でございますので、技術的にも大変むずかしい点がございます。関係省庁によりまして連絡会議でありますとか、あるいは現地にも関係機関による現地連絡会議を設置いたしておりまして、それぞれ問題の分析であるとか問題点の検討を行っているところでございます。また、開発庁内では専門家にお集まりをいただきましてこの問題についていろいろ御審議をいただいているのでございますが、諸種の法律問題等に対処するためのいろいろな御協議もいただいております。立法措置につきましては、私権にかかわる重大な問題でありますから慎重に検討させていただきたいと存じますが、ただいまお話がございましたような御趣旨に基づいて私どもはこの問題に取り組んでいかなければならないということは重々承知をいたしているところであります。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 いまお答えがありましたけれども、やはり地籍の問題を一日も早く明確にすることが今日の沖繩のいろいろな部面にとって大事なことだという認識の上に立って、政府の責任でお進めをいただきたい、きょうのところは、その要望だけにしておきます。  四時から本会議だそうですから、それまでに終わらせるために、ポスト海洋博経済問題や失業問題や振興開発計画の問題について少し伺おうと思っておりましたが、それはひとつ省略します。  そこで、復帰特別措置法が明年の五月十四日で期限切れになるわけであります。その問題について先ほど國場委員からも質問がございましたが、県側も項目を決めて要請をされているようであり、この中で県側のさまざまな要請を実現するためには、法律の改正も必要かもしれないし、それから政令の改正だけでいけるものもあるようであります。そういうセレクションを初め、そのための予算がどれくらいかかるのか、あるいは予算のことを余り考えなくてもできる問題も中にはあるような気がする。したがって、この特別措置法をどうするかということについて、早く政府としての態度を決めなければならぬと思います。聞くところによると、これは各省庁にまたがるものですからそれぞれの省のものなので開発庁には関係ないのだ、実際、改正部分は関係ないのですよね。余り要望の中にはないようですよ。だから、開発庁はノータッチで、じゃ大蔵省がつくるのか、農林省がつくるのか、文部省がつくるのか、建設省がつくるのか、責任の所在がさっぱり明確でないという話を聞くものですから、私はまずそのことだけ伺っておきたいわけでありますが、そういうことできょうは法制局までお呼びして見解を聞くつもりでいたわけですよ。おいでいただいているわけです。しかし、先ほど大臣の言明では、開発庁がまとめる窓口になってやるんだ、こういう言明のようですから、私の心配はどうも解消しそうなんですが、それはいいですね、それで。
  76. 植木光教

    植木国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、各措置ごとにそれぞれ担当省庁の所管に属しているということは事実でございます。しかしながら、この延長問題は、沖繩実情を十分に参酌をし、そして適切な措置をとっていかなければならない、総合的にやらなければならないということはもう当然のことでございますので、沖繩開発庁といたしましては窓口になりまして、所管官庁と緊密な連絡をとりながらただいますでにいろいろ折衝をいたしておりますし、できるだけ早く結論を出して県民の期待にこたえていきたいと存じております。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 たくさん問題がありますけれども一つだけ、これは県民全体に係る問題があるので伺っておきたいのですが、食管法に関する特例措置、消費者米価やさらにまた泡盛などの加工原料用の米に対する特例措置を含めた措置であります。この延長は私は当然だと思うのですが、農林省ではどういうふうな作業が進んでいますか、いまの御方針を伺いたい。
  78. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま先生からお話のございます米の売り渡し価格でございますけれども、これにつきましては特別措置法によりまして、復帰後五年間は、復帰時における価格を基準といたしまして、本土価格のアップ率を参酌して定めるということになっております。その後三年間で、本土政府売り渡し価格に漸次近づけていくというふうに現在定められておるわけでございます。  それで、沖繩復帰後の本土沖繩との米の売り渡し価格格差でございますが、これは年々拡大をいたしております。主食用につきましては、その格差は玄米トン当たりにいたしまして十一万二千六百三十六円ということで、沖繩につきましては九万七百八十一円、本土が二十万三千四百十七円というのがいまの売り渡し価格でございます。したがいまして、本土価格に対比いたしますと大体四四・六%程度の売り値になっておりまして、先ほどの格差があるわけでございます。それから、原材料用でございますが、こちらにつきましては、現在トン当たり大体六万八百円の格差がございます。沖繩の売り値が九万一千百円でございます。これは物といたしましては、外国産のウルチ砕米、A1スーパーというものでございますが、外国産砕米の価格でございます。それから、本土の方は外国産の砕米を輸入いたしておりません。本土の国内産を破砕いたしまして砕米にいたしております。この本土の破砕精米が十五万一千九百円ということでございます。したがいまして、本土の売り値に比べまして大体六割方の値段になっておる、こういうかっこうになっておるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、非常にその格差も大きくなっておるという実情でもございますので、先ほど申し上げました特別措置法の趣旨に沿いまして、その格差計画的に縮小していくというのがこれは筋である、かように考えておるわけでございますけれども、ただいまお尋ねもございますとおり、農林省といたしましては、今後沖繩県その他関係方面から十分事情も承りますとともに、復帰後の経済社会情勢の変化及び沖繩の民生安定、経済動向の実態等も考えながらこれは検討をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 沖繩の方の今日の経済状況、生活の実態等から、ぜひとも延長措置を希望しておきます。  それから最後に、サトウキビの問題なのですが、もう時間がなくなりましたから簡単にお答えをいただきたいと思いますのは、五十年産サトウキビ生産者奨励金を早期に解決する必要があるのではないか、そのことについての御方針を伺いたいことが一つと、それから基盤整備事業がどんどん沖繩でも進んでいるのは喜ばしいことですが、それでも統計によると、本土農業基盤整備の投資額に比べると一ヘクタール当たり三四%ぐらいだ。つまり本土の方は復帰前からずっと復帰ということにかかわりなく進めていたのと、占領下という沖繩のハンディキャップがまさに三対一ぐらいの割合になっているという現状があるわけなので、農業基盤整備をさらに極力拡大をしていくということが私は必要ではないかと思う。その中でも特にサトウキビ沖繩では非常に重大な農業の構成要素になっているわけでありますが、これは全国農業新聞で沖繩農業基盤整備についていろいろ説明がされている中に、勝連村のそういう作業をどんどん推進をしている人の苦労話が出ているわけです。それによりますと、ここでは非常に近代的な基盤整備の方向が進んでいる。「しかし、一部のきび作農家を中心に基盤整備工事期間中の生活補償が問題となった。本土は秋から翌春まての半年で対応できるが、沖繩の場合、半年間耕作を中断すると一年中の計画が狂う。結局、この点は工期の短縮で対応せざるを得なかった。」という苦労話があります。ですから、年がら年じゅうサトウキビというのは畑をカバーしているわけですから、したがって休耕に対する補償というのを制度的にきちっと打ち立てることが特に沖繩の場合必要ではないか、多年性作物であるサトウキビの場合特に必要ではないか、そう思うわけでありますが、その二点についてお考えを伺います。
  80. 牛尾藤治

    ○牛尾説明員 五十年産のサトウキビについては、最低生産価格のほかにトン三千七百六十円、これを国内産甘蔗糖企業がただいま負担しておるわけでございます。  この処理につきましては、そのうちトン九百円につきましては、甘蔗糖を事業団が買い入れる価格の中にコストとして織り込んでおりまして、残りがトン当り二千八百六十円になるわけでございます。この処理につきましては、事業団の売買操作によりまして、トン数百円程度でございますが、事業団から見合い原資を支出した結果になっております。なお、それでもトン二千円余がまだ企業負担になっておりますが、これはサトウキビの最低生産価格を決めましたときに、企業が負担できない部分につきましては、製糖終了後速やかに財源措置を検討の上所要の対策を講ずる、こういうことになっております。したがいまして、現在ほぼ製糖も終了し、事業団の売買ももうすぐ終わるわけでございますから、その実績の確定を待ちまして具体的な措置を検討いたしたいと思っております。  それから、早期にというお話がございましたが、奄美沖繩ともに甘蔗糖企業の多くの決算期が六月末でございます。そういうことを念頭に置きながらできるだけ早期に所要の措置を講ずる、こういうことでただいま財政当局と折衝中でございます。
  81. 岡部三郎

    ○岡部説明員 沖繩基盤整備については、いま先生御指摘のように、本土に比べまして非常に立ちおくれております。したがいまして、私どもといたしましては、採択基準あるいは補助率あるいは予算の面におきましても、特段措置を講じておるわけでございます。五十一年度の予算は、前年に比べまして一五四%と、全国平均一二一%に比べますと相当の伸びを示したわけでございますが、今後とも格段の努力を払いまして基盤整備の推進に努力をいたしたいというふうに考えております。  なお、休作補償の問題でございますか、基盤整備事業のうちでこの圃場整備等の面的な工事を行う場合には、植栽されておりますサトウキビを一時的に撤去をいたしまして工事を行わなければならぬわけでございますので、その休耕に対しまして補償を行うべきだという御要求があることは十分承知いたしておるわけでございます。ただ、土地改良事業は、御承知のように、受益者の土地につきまして受益者の申請に基づいて、あるいは同意を得まして行っておる事業でございますので、その作物について公共事業として補償するということには相当問題があるのではないかというふうに考えております。さらに、サトウキビについてそういう休耕補償を行いますと、他の永年作物がいろいろ内地でもあるわけでございまして、こういうものに対する扱いも同じにしないと権衡を欠くというふうな問題もございまして、基盤整備全般に波及する問題を含んでおるという点から、休耕補償は現在考えておらないわけでございます。  したがいまして、基盤整備、特に面的な事業をやる場合に、受益農家の方々のキビ作の経営に悪い影響をなるべく与えないように工事の施行の面でできるだけ努力をいたしたい、こういうことで考えております。たとえば面工事の実施の時期を、サトウキビの場合は四、五年に一回ずつ改植をいたすわけでございますので、そういう時期に一致させて行うように施行の計画を立てる、あるいは面工事をやる時期でございますが、これをできるだけ早期発注、四月早々に工事を発注いたしまして、サトウキビは御承知のように春植えと夏植えがございますが、その年の夏季の植栽時期までに工事を完了させてしまう、こういうふうな処置を行いまして、受益農家の経営にできるだけ影響の少ないように努力をいたしておるところでございます。  なお、これでもなおかつ受益農家が経営上非常に困難だというふうなこともあろうかと思いますので、工事の施行に当たりましてはそういう受益農家をできるだけ労務として使うように施工業者に指導いたしておる次第でございます。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 工事の施行に関して、いまのような問題点を解消することに努力をしているし、したいという点は結構だと思います。そういう点の配慮は必要だが、米については圃場整備等で工事はやるし、休耕のための奨励金的なものをもらっているという現状があって、それは稲作総合対策事業の一環として位置づけられているのですが、どだいそのこと自体がおかしいのであって、本当に土地改良事業を腰を据えてやる、基盤整備事業を腰を据えてやるということになったら、まず、いつでもその工事そのものを工事そのものの方から都合のいいとき、それによって成果が上がるようなときにやる、そのかわり補償はしっかりやる、こういう仕組みをつくり上げることの方が本当ではないかと私は思う。特に沖繩の実態は、零細な農地が入り組んでいるわけですね。したがって、交換分合などをしながら思い切って一斉に施行をするということが効果を上げる道であって、改植の時期を待つと言ったって、あの小さな土地でみんなまちまちなんですから、なかなかそう口で言うようにはうまくいかぬわけですよ。だから、利害関係があって、そのために苦労をするというこの指導者の言明ではないかと私は思うのです。ですから、思い切った、ドラスチックな基盤整備をやるための前提としては、休耕補償というものを制度的なものとしてつくり上げていくということが必要なのではないかと私は思います。  もう時間ですから、この点は今後の宿題として、農林省の方にお預けをしておきたいと思います。  終わります。
  83. 松本忠助

    松本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時休憩      ————◇—————     午後五時十六分開議
  84. 松本忠助

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について質疑を続行いたします。正森成二君。
  85. 正森成二

    ○正森委員 ことしの一月に沖繩海洋博が終了いたしましたが、終了後もあの海洋博地域には水族館を初めとして非常に有用な施設がまだ残っておると思います。そこで、その跡地をどういうようにされ、現在進行しつつあるのか。あの施設のうち、確実に残すことになっているのはどれであって、撤去するようになっているのはどれであるのか、それについてお答えいただきたいと思います。
  86. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 私から御答弁申し上げます。  海洋博開会前の昨年の七月十五日にあの跡地を公園とすることに決まりまして、その後私たちがやってまいりました仕事をかいつまんで申し上げますと、あの一団地の敷地の中から、沖繩県におきまして独自の利用計画のあります地域は、公園区域から除外をいたしました。それでまず、公園といたすべき区域を決めました。その後残します施設といたしまして、関係者間で沖繩県を交えて協議いたしました結果、現在の段階で確実に残るということになっておりますものが水族館、人工ビーチ、沖繩館、それから国際三号館、海洋文化館、ただいまのところ事実上ペンディングになっておりまして、存否を検討しておりますのが国際一号館、こういうことでございます。残り民間出展館につきましては、いわゆる住友館を除きましてすべての施設を撤去するということで、これは現実に撤去は終わっております。海洋博協会で撤去工事をする予定のものにつきましては、暫定予算の計上はできませんでしたので、本予算に撤去費を計上しております関係で、現在撤去工事中ということでございます。
  87. 正森成二

    ○正森委員 その残される施設の作業に従事する人員については、海洋博協会で雇用しておった者をそのまま引き継がれるわけですか、あるいは新たな措置考えられるわけですか。
  88. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 御案内のとおり海洋博の後利用につきましては、公園にいたします部分につきましてはいわゆる国営公園でございますので、制度上は国が直接管理をするということになっております。ただし、実際問題といたしまして国がすべての管理業務をみずから行うということはできませんので、新たに当該公園を管理いたしますために公園管理財団をつくることを予定しておりまして、国及び沖繩県がそれぞれ一億円ずつ出捐行為を行いましてこの財団を設けるということになっております。その管理財団の職員といたしましては約三十名の者を予定しておりまして、これは一部の技術者のほかは、その人員はほとんど沖繩県庁からの出向職員によって構成する、こういうつもりで現在沖繩県と協議をいたしております。  それで、実際の日常的な現実の管理業務につきましては、さらにしかるべき人たちと請負契約ということになってまいるかというふうに考えております。
  89. 正森成二

    ○正森委員 それでは、別のことを聞きますが、同僚議員もお聞きになりましたが、今月の十九日の午後三時過ぎに、グアム島の米空軍基地のB52戦略爆撃機が十三機、KC135空中給油機が六機、沖繩に飛来したことは御承知のとおりであります。  そこで、外務省に伺いたいのですが、この飛来するに当たって、外務省にどういう通知があったかということはもう答弁の中で出てまいりましたから、いままでにB52が嘉手納の基地に飛来したことが何回あるのかということからお答え願います。もし従前のものが無理でしたら復帰後だけでも結構です。
  90. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 お答えいたします。  四十七年の五月二十日、四十七年七月八日、同じく四十七年八月三日、同じく四十七年十月二十六日、五十年十一月八日及び五十年十一月十八日と今回でございます。
  91. 正森成二

    ○正森委員 四十七年の十月までには相当飛来しておりましたが、その後約三年とだえまして、七五年の十一月八日と十八日に飛来した。それからしばらく間を置いて、今度また飛来したということになっておりますが、B52が沖繩の嘉手納基地にやってまいりますことについて、これまで外務省はどういう態度を公式には表明しておりましたか。
  92. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 四十七年の七月でございますか、当時の大平外務大臣からインガソル大使に対しまして申し入れをいたしました。B52についての日本国民の特殊な感情にかんがみて、B52の沖繩飛来と申しますか、日本本土に対する飛来については、台風等緊急やむを得ない場合に限ってほしいという申し入れをいたしまして、その申し入れに対して、インガソル大使初めアメリカ側の当局者は、アメリカ政府も日本国民のB52に対する感情を十分承知している、したがって沖繩へのB52の飛来は悪天候その他緊急事態を避ける場合のみに厳重に限って行いますということを確認しております。
  93. 正森成二

    ○正森委員 ところが、実際には台風で緊急避難がやむを得ないときというだけでなしに、いままでも気象庁が調べたところでは、グアム島上空は非常に快晴であって、グアムに対する民間航空機は飛来しておって別にとまってもおらないというときに飛来し、かつ嘉手納に数日間の長きにわたってとどまっておったことがあるようですが、外務省としてはこれも台風のためである、あるいは緊急避難のものであるというように見ておられるのですか。
  94. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいままでに挙げました例全部について台風があったかどうかということは、私はここに記録を持っておりませんけれども、五十年の十一月の二回については、米側の気象状況の通報のみならず、わが方の気象状況あるいはグアム島の総領事館からの報告で、まさに台風がグアム島を襲っているという確認をその際にはいたしております。
  95. 正森成二

    ○正森委員 しかし、たとえば昭和五十年の十一月八日の飛来の場合について申し上げてみますと、そのときには、沖繩気象台の観測では、問題の台風十九号は八日午前三時の発生時からグアム島への影響が全く予測できない位置にあり、二十四時間後の予測位置でもグアム島は風速十五メートル以上の強風雨圏内に入ることは考えられないということで、台風避難を口実とする何らかの作戦計画によるものではないかという疑いが、当時非常に強かったわけであります。また、時あたかもシュレジンジャー国防長官の時代でございますが、ホリングズワース第一軍団長が九日間戦争ということを言いまして、朝鮮半島で事が起こった場合にはB52がグアムから嘉手納にやってきて、一日三十波以上の猛爆撃を加えて九日間で戦争を終結させるということが報道されましてから、こういうふうに飛来することが定期的と言えるぐらい頻繁になってきた。三年間飛来かとまっておったのが、昨年からこういうぐあいにやってくるようになった。そこで、県民の間でこれは単なる台風のためではなしに、訓練のためではないかという危惧が深まっているわけですね。それについて外務省としては、私は気象台論争をやろうとは思っておりませんけれども、万が一朝鮮で事が起こった場合にB52を出撃させるというようなことですね、いまは台風の避難とか緊急避難の場合だけ来てもいいというようにインガソル・大平間でなっておるようですが、それをさらに進めて、どのような場合でも朝鮮半島で事が起こった場合にB52を出撃させることはない、こういうように言えますかどうかを伺いたいと思います。
  96. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいまの御質問は一つの場合を仮定されているわけでございますけれども、B52か日本の施設、区域を使って韓国の事態に対処するために出撃するということは、安保条約及び交換公文のもとの事前協議の対象になります。その際に、事前協議が行われてわが方がノーと言う場合もありますし、イエスと言う場合もございますので、これはそのときの状況を判断いたしまして、何が一番国益に従っているかという基準で対処していくということになろうかと思います。
  97. 正森成二

    ○正森委員 いま浅尾参事目からそういう答弁がありましたが、私が承知しておりますところでは、第六十八国会で当時の福田外務大臣が、B52の沖繩への駐留、発進はあり得ないかという質問に対しまして、「もしB52が沖繩にまた帰って来て、そこを基地として出撃するような事態があれば政府としては応諾をしないことをはっきり申し上げる。」つまり事前協議においてB52の出撃ははっきりノーと言うというのが答弁の中に明白に残っておるわけであります。ところが、いま伺いますと、事前協議に伴ってイエスと言う場合もあればノーと言う場合もあるというように答弁になりましたが、いつ参事官が外務大臣の答弁を修正し得るようになったのですか。
  98. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 いま御指摘の点は、四十七年の六月二日、この委員会で福田大臣がB52三機が沖繩に飛来したときに答えられていることかと思います。しかし、その後本委員会その他におきまして、アメリカ局長あるいは外務大臣からの答弁がございまして、平時の場合についてはB52の沖繩移駐については台風等緊急やむを得ないものに限る、その移駐には反対であるということを申しておりますが、ただいま正森先生から御質問のございました韓国における状況というものは、従来の答弁の平時というものと違う状況ではないかと思いますので、そうであるとすれば、安保条約の第六条の事前協議の対象になって、論理的にはその場合の答えはイエスでもありノーでもあるというふうに考えております。
  99. 正森成二

    ○正森委員 浅尾参事目から丁寧な説明があったのですが、なお理解できないのですが、六十八国会に本委員会で福田外務大臣が答弁になりましたのは、そこを基地として出撃するような事態があれば政府としては応諾をしないことを申し上げるという意味のことを言うているのですね。これは平時の場合ではなしに、出撃ということになっているわけですから、平時でない状況が起こって、そして出撃するということで事前協議を求められた場合には応諾しない、つまりノーと言うという意味にやはり解すべきではなかろうか。平時のときには台風とか緊急避難だけだけれども、戦時のときにはまた別だというような意味で言われたのではないように私は理解するのですが、そうではございませんでしょうか。
  100. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 いま問題になっております福田外務大臣の答弁は、一つはB52が沖繩なり本土なりに再び移駐するということにつきましては日本政府反対であるということでございまして、いま先生の御指摘の事前協議といいますか、直接出撃の個所、ちょっと見当たらないのでございますけれども……。
  101. 正森成二

    ○正森委員 浅尾参事目が見当たらないということでございますけれども、私の手元では、政府として出撃するような場合に応諾しないということになっておりますが、それは速記録の関係がございましょうから、私も後刻調べてもう一度質問をさしていただきたい。機会を改めさしていただきたい、こう思いますが、そうすると、浅尾参事官の言われるのは、そもそも福田外務大臣はそういうことを言っておらないように思う こういうことなのか、福田外務大臣は一たんそう言ったけれども、その後のアメリカ局長や他の外務大臣の答弁によってそれは修正されておるという意味なのか、そこだけを伺っておきたいと思います。
  102. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 その点につきまして、私アメリカ局へ参りましてからまだ新しゅうございますので、有権的に解釈する立場にございませんが、当時の議事録のコンテクストを読みますと、たまたま緊急避難という形でB52が沖繩に飛来したということでございますので、どういう場合に沖繩への飛来を認めるかということで答弁をされておるのであって、それからさらに進んで、戦時といいますか、有事の場合に沖繩基地にしてB52が出撃する場合にどうなるかという点は触れておられないのではないかというふうに考えますけれども……。
  103. 正森成二

    ○正森委員 それでは、浅尾参事官も日が浅いので、なお調べてみることを含みにしながら、福田外務大臣が平時の場合だけで戦時に触れていないのではないかという見解を言われたわけですが、私も、福田外務大臣がいろんな場合に言うておられると思いますので、その発言を詳細に調べた上で、席を改めて聞かせていただきたい、こう思います。  それでは、次に伺いたいと思いますが、これは他の同僚議員も御質問になりましたが、伝えられるところでは、沖繩県の区域内に所在する位置及び境界が明らかでない防衛施設用地等に関する特別措置法、これは仮の名前でございましょうが、公用地暫定法が来年は効力を失いますので、それにかわる法律を提出するやに伺っております。ただ、たまたま今国会では種々の政治的配慮もございましたのでしょう、提出はなさいませんでしたが、その用意されました法律案のごく大要だけを御説明いただければありがたいと思います。
  104. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在まだ成案を得ておりませんので、考え方の骨子といいますか、そういうことを御説明申し上げたいと思います。  沖繩に所在しております防衛施設は、昭和五十一年五月十五日現在で八十五施設、面積で約二億七千百万平方メートル、所有者件数約二万九千六百六十件でございます。このうち公用地暫定使用法により使用しているものは三十三施設、面積約二千二百万平方メートル、所有者件数九百五十九件でございます。これらの土地につきましては、公用地暫定使用法第一条第二項の趣旨にのっとりまして、土地所有者との賃貸借契約に改めるべく最大の努力を傾けてきましたし、現在も傾けておるわけですが、そのほか施設の一部の整理による土地の返還ができないかどうかということで対米折衝を進めているところでございます。  以上のような措置によりましても解決できない場合、わが国の安全保障上からも今後とも引き続き土地を使用する必要がございますので、土地収用法または駐留軍用地特措法による使用の手続をとらざるを得ないということになるわけでございますが、沖繩におきます防衛施設用地は、一部を除きまして地籍が不明確のまま現在に至ってきております。したがいまして、現地に即して土地の特定ができないために、現在の土地収用法または駐留軍特措法による使用手続ができないという事情にございます。また一方、地籍不明確なため、賃貸借契約、返還施設の処理あるいは跡地利用等に制約が生じてきておりまして、この問題の早期解決は関係地主も等しく要望しているところでございます。したがいまして、地籍の明確化を図りまして、本来の土地収用法なり特措法の手続をとるまでの間、暫定的に使用できるように立法措置を検討してきたわけでございます。
  105. 正森成二

    ○正森委員 いま相当長い間御説明になりましたけれども、立法措置を検討してきたわけでございますというところはわかりましたけれども、私が聞きたかったのは、前段あなたが長々御説明なさったことではなしに、その検討した立法措置の主な内容は何なのですかということを聞きたかったわけです。
  106. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在まだ成案を得ておりませんので、ここでその内容を申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  107. 正森成二

    ○正森委員 あなた方は、その内容を申し上げることをお許し願いたいと言いますけれども、しかし「特別措置法(案)の骨子について」という文書はもう配付しているんじゃないですか。私も手元に入手しておりますよ。それくらいは言えるのじゃないですか。法案の条文まで全部言えというようなことは言うておりませんけれでも、ここにちゃんと私持っていますよ。
  108. 銅崎富司

    銅崎政府委員 法案の骨子につきましては二つあるわけでございますが、一つは、お手持ちの資料に書いてありますように、「境界の明確化のための特別の措置」ということで、「防衛施設用地等の所有者が協議して行う境界の確認に対する国の援助(境界の明確化のための資料の一般への縦覧、所有者団体に対する資料の提供、関係所有者に対する現地立会の通知及び関係所有者による境界の確認がととのわない場合の仲介)、関係所有者により現地で確認された境界の公証、境界が確認された場合の地籍調査に準ずる調査等を定めることとする。」  それから、二としまして「土地の使用」でございますが、「駐留軍又は自衛隊の用に供するため公用地暫定使用法に基づき現在国が暫定使用している土地のうち、暫定使用期間経過の日一昭和五十二年五月十五日一以後においても引き続き駐留軍又は自衛隊の用に供する必要のある土地で賃貸借契約により使用の権原を取得できないものについては、次の措置を講ずることとする。」ということで、(一)、(二)、(三)とございます。  (一)は、「境界が明確でない土地は駐留軍用地特措法又は土地収用法による通常の使用手続がとれないので手続の特例を設けて、境界が明確になるまで国が使用する。この場合、この使用による損失については、原則として国と土地所有者との協議により定まる額を補償する。」  (二)としまして、「(一)により使用している土地について境界が明らかとなったときは直ちに、駐留軍用地特措法又は土地収用法に定める通常の手続をとる。」  (三)としまして、「境界が明らかな土地は、駐留軍用地特措法又は土地収用法に定める通常の手続により使用する。」  以上がいま考えております法案の骨子でございます。
  109. 正森成二

    ○正森委員 植木沖繩開発庁長官に伺いたいのですが、大体いま銅崎さんが言われたような内容で、そして事柄の性質上来年の五月十五日までには何とかしないといけないわけですね。今度はいろいろお考えになってお出しにならなかったわけですが、大体そういう趣旨のものを来年五月十五日までにはやはり国会へ提出なさるおつもりですか。
  110. 植木光教

    植木国務大臣 この立法措置につきましては、いま読み上げられました骨子と申しますか、これはいわば素案の素案のような形でのものを施設庁においてつくられまして、開発庁も提示を受けました。しかし、その後いろいろな関係省庁との意見の調整などを進められて、成案を得られるという段階に至りますまでに、御承知のとおり今国会は提案をしないということになったわけでございます。したがいまして、成案の提示を私ども受けておりませんので、ただいまのところ、私からそれについての論評はできないという立場でございます。  なお、私の基地問題についての見解は、さきに行われました基地問題閣僚協議会においても強調いたしましたとおり、沖繩振興開発を進める見地からできるだけ早期に米軍施設、区域の整理、縮小を図る必要があるということ、二番目には、米軍施設、区域をめぐる諸問題解決の大前提として地籍の明確化を図る必要がある、この二点、これは私の基地問題についてのいわば信条とも申すべきものでございまして、したがって私といたしましては、この二点というものを強く今後も主張してまいりたいと考えております。  なお、いつの機会にどうされるのかということについては、相談を受けておりませんので、この際御答弁はしかねます。
  111. 正森成二

    ○正森委員 公用地暫定使用法の場合にも国会で論議がございまして、非常にわれわれが示唆を得る点が多かったと思いますが、いま銅崎さんの御説明になった骨子を聞いておりますと、二のところで、沖繩は地籍がなかなか確定しないようですが、確定しない場合には確定するまで土地収用法だとかあるいは地位協定に基づく特措法の措置によらないでも使用を続けることができるというような内容になっておるように聞かれるのですね。そうしますと、公用地暫定使用法の場合にも憲法二十九条との関係でいろいろ議論がありましたが、憲法九十五条の地方自治の関係で「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共團體の住民の投票においてその過半數の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない。」という規定があるわけですが、その憲法の九十五条との関係ではどういうようになると考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  112. 味村治

    ○味村政府委員 お答えいたします。  この憲法九十五条の特別法に該当するかどうかということは最終的には裁判所が決定するわけでございますが、手続的に申し上げますと、地方自治法の二百六十一条で、一つの普通地方公共団体のみに適用される特別法が国会または参議院の緊急集会において議決されましたときは、最後に議決した議院の議長がその法律を添えてその旨を内閣総理大臣に通知し、そしてそれによりまして内閣総理大臣はそれをまた自治大臣に通知いたしまして、自治大臣はそれを関係普通地方公共団体の長に通知し、その長が住民投票を行うという手続になっております。したがいまして、手続的に申し上げますと、この特別法に該当するかどうかということは、国会の最終に議決されました議院の議長の御判断になることでございまして、私ども内閣法制局の者としてここで申し上げることは適当かどうか、いささか疑問に思うのでございますが、一応参考意見としていままでの見解を申し上げておきます。  先ほど先生もお読みになりました憲法九十五条は、「一の地方公共團體のみに適用される特別法」ということでございまして、これは地方公共団体という県とか市町村、そういう団体のみに適用される。しかも、それは特定の「一の」と書いてございますが、二つであっても三つであってもよろしいわけでございまして、特定のそういった地方公共団体に適用される特別法である。特別法であるというからには、原則として一般法がございまして、それの例外なり特別規定を設けているということであろうかと存じます。したがいまして、これは地方公共団体の組織でございますとか運営あるいは権能といったようなものについての特別法が、憲法で住民投票を要求しておる法律でございます。特定の地域、区域のみに適用があるというような法律は、この憲法九十五条の予定している特別法ではない、このように私どもは理解いたしております。
  113. 正森成二

    ○正森委員 法律的な立場から御説明があったのですが、なお理解できない点があるのですね。それは、たとえば六十五国会でこの問題が議論になりましたときには、これは自治省の宮澤行政局長お答えになっているのですけれども、そのときに、九十五条の趣旨から住民投票を必要としないという論拠は、こう言っているんですね。憲法第九十五条の趣旨は、一般的、原則的なものに対して例外的なものをつくる場合に住民投票という制度が必要であるということであろうと思う。今回沖繩県復帰に伴い、経過的には多少の措置は必要であろうと思うが、これは本土並みの制度に復帰させる、原則に戻す場合の経過措置である。そういう意味合いで、第九十五条の趣旨から住民投票を必要としないのではないかと考えている、こう言っているのですね。だから、宮澤さんがここで言っているのは、いろいろ問題はあるかもしれないけれども、一般的措置に戻るための措置なんだから、だから九十五条の住民投票は要らないのではなかろうか、こう言うているわけですね。ただ、いま味村第二部長が言われたような意味も他のところで論議をされておりまして、それは内閣法制局の真田第一部長、現在次長だと思いますが、真田第一部長お答えになっているのですね。そのお答えは私も多少調べましたけれども、一般的な学説でも言われていることで、これは地方公共団体の組織なり運営なり、したがってまたその権能に関して例外を設けるというような場合のことを言うのだというのがコンメンタールなんかにも書いてあるわけですね。そういう説に基づいて答弁なさったと思うのですが、そこで私は二、三の疑問を提出するのをお許しいただきたいのですが、たとえば教育委員会とか収用委員会というのがございますね。これはやはり地方自治体がその執行機関として設置する一つの組織体ではなかろうかというように思うのですけれども、いかがですか。
  114. 味村治

    ○味村政府委員 教育委員会等はそのとおりでございます。
  115. 正森成二

    ○正森委員 教育委員会等はそのとおりでございますという非常に含みのある答弁をなさったのですが、たとえば地方自治法の第百八十条の五の二項を見ますと、「前項に掲げるものの外」——「前項」というのは教育委員会が入っているわけですが、「前項に掲げるものの外、執行機関として法律の定めるところにより都道府県に置かなければならない委員会は、左の通りである。」一、二、三、四、五と書いてありまして、三に「収用委員会」と、こういうぐあいになっております。そうだとすると、教育委員会等は、というように言うておられますが、収用委員会も明白に地方自治法で言うところの執行機関として都道府県が置かなければならない委員会に該当するのではありませんか。
  116. 味村治

    ○味村政府委員 そのとおりであるかと思います。
  117. 正森成二

    ○正森委員 そうだといたしますと、一般的に、自衛隊などの使用に供するために、土地を収用する場合には土地収用法の適用がございますね。そして、米軍に土地を提供する場合には、地位協定六条に基づく特措法があると思います。特措法は、特定の例外を除いては土地収用法を適用することになっております。ですから、収用委員会が収用裁決に当たってはその権限を行使することになる、こういうように理解しますが、いかがですか。
  118. 味村治

    ○味村政府委員 土地収用法に基づきます収用の場合はそのとおりでございます。しかし、土地収用法に基づきます収用につきまして収用表音貝会が行いますのは、これは一種の機関委任事務でございまして、本来は国家事務である、このように考えます。
  119. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、土地収用委員会については都道府県が執行機関として設けるのですけれども、それは機関委任事務であって、地方自治体の組織や運営やあるいは権能には一切関係がないと言われるのですか。
  120. 味村治

    ○味村政府委員 そのとおりでございます。
  121. 正森成二

    ○正森委員 だって、おかしいじゃないですか。地方自治法で明白に定まっておる、そうして都道府県の執行機関として都道府県が置くということになっておるのでしょう。そうだとすると、これは私は問題提起ですから一何もあなたをここで詰めようと思っているわけではないのですけれども、前に真田さんが第一部長のときに御答弁になった趣旨あるいはコンメンタールに書いてある趣旨から言いましても、一般的な他の府県の場合には土地収用法で収用する、あるいは地位協定六条に基づく特措法の場合でも土地収用法が適用される、収用委員会が活動する、その収用委員会は執行機関として都道府県がこれを設けるという場合に、その収用委員会の権能を全くなくしてしまって、そして地籍確認を行うのだ、地籍確認ができなければ収容委員会の議は全然経ないで、土地収用法も、それから地位協定六条に基づく特措法も全然要らないで、地籍確認ができるまではいつまでも使用することができるのだということになれば、これはやはり非常に問題があって、それは地方公共団体の組織、運営あるいは権能というものについて、沖繩県についてだけ特例を設けるものではなかろうか。そうだとすれば、沖繩県民にとっては一定の不利益をこうむるわけでございますから、沖繩県民に意思表明の機会を与えるというのが憲法九十五条の本旨に従うゆえんではないかというように私は思うのですけれども、問題提起として、これは間違っておりましょうか。
  122. 味村治

    ○味村政府委員 非常に新しい問題でございまして、私、いまにわかに結論を申し上げかねるのでございますが、土地収用法に基づきます収用はやはり国のする仕事でございます。したがいまして、収用委員会は国の機関といたしまして収用をする、それは地方自治というものと直接の関係はないので、地方自治法に基づきまして収用委員会が設置されておる、それに対します機関委任的な事務でございます。したがいまして、そういった機関委任事務につきまして、沖繩県の土地収用委員会が行っております仕事を、仮に今回の別の立法でもって別の機関にさせるといたしましても、それは憲法九十五条というものが地方自治を保護するためにああいった住民投票を要求しているわけでございますので、このような場合には適用がないのではなかろうか、一応このように考えます。
  123. 正森成二

    ○正森委員 大臣に申し上げたいのですけれども政府の法制局としては一応はそう答えないと、これは大いに憲法九十五条違反でございますとも、私個人としてはそう考えますとも言えないでしょうけれども、いまのやりとりをお聞きになって、これが国の機関委任事務であるかどうか、委任事務なら、都道府県が設置する執行機関についてもこれは一切憲法の九十五条にかからないのかという非常に問題がありますけれども、しかし、それを離れてみましても、沖繩県民は、憲法二十九条で財産権はこれを保障する、もっとも公共の福祉の制限の範囲内ですけれども、そういうようになっているのに、地籍が確定しなければいつまででも自分の意思とは関係なしに土地を使用されておる、こういう状態があるわけですね。そんな法律をつくるのがいいかどうかということについてもみずからの意思表明は許されない。しかも、そういう法律の適用を受けるのは沖繩県民だけなのです。沖繩県民百何万についてそういう不利益を課するのに、事実上、百万以外の一億九百万の日本国民が決めてしまう、そういうことになるのは非常に避けなければならない。少なくとも憲法のそれぞれの人たちの権利というものを重んじるという立場から言えば、これは決して好ましいことではないということは言えると思うのですね。味村さんがにこっと笑っておりますが、恐らく私の論旨に賛成なさったのでしょう。  ですから、大臣に伺いますけれども大臣として私の問題提起に対してどういうぐあいにお考えになるか、そして沖繩県民の権利侵害にならないようにこういう問題を円満に解決するにはどうしたらいいだろうか、政治家としてのお答えを願います。
  124. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、成案を得ていない状況でございますので何とも申し上げられませんし、いま専門的な法律の解釈につきまして法制局におきましてもまだ確定的な答弁ができないような状況でございますので、私としましてもいまここで断定的な答弁をすることはできないということをお許しいただきたいと思います。
  125. 正森成二

    ○正森委員 後の方のお答えは、植木長官のいつもの明朗濶達なお答えにも似ず、こうしなければ聞こえないような声になりましたが、しかし、そのお答えの音声の中に沖繩県民は非常に不利益を課せられることになるんだな、大臣としては大きな声では言えないけれども、なるべくならこういうことはしない方がいいんだけどなというようなお気持ちがあらわれているように思うのですね。私は、政治家としてはそういうことをよくお考えになって、沖繩県民の権利保護ができるようなそういう形をおとりになることがやはり大切ではないかということを申し上げて、まだ正式に法律として出てきたわけではございませんから、この程度で先に進ませていただきたいと思います。  そこで、国鉄と運輸省がお見えになっていると思いますが、私は従前に、沖繩の海運関係で、海上運賃が非常に高い、それに対して国鉄関係の手小荷物といいますか、そういうのが、那覇港については、俗に沖繩県民の間では国鉄指定港と言われておりまして、安い値段で輸送ができる。それを離島である宮古あるいは石垣、先島と申しますが、もしそこへ適用があるように拡張していただくならば非常に幸せだという沖繩県民の声があるということを申し上げたと思います。その後私は、問題の委託契約を受けておりますく琉球海運に、現在の状況ではどれくらい赤字なのか、もし先島にこの手小荷物の運送委託契約を拡張するとすればどれくらい赤字がふえるんだろうかということについて、原価計算というとおこがましいんでございますが、併算制と比べてどれくらい赤字なのかという数字を求めました。それについて回答がございまして、その経過をるる説明すると長うございますので、時間がございませんから一切省略いたしますが、簡単に言いますと、併算制に比べて先島に手小荷物の委託運送契約を拡張いたしましたときには、三千百六十二万七千円の赤字増大になるという計算になっておるのです。これは大体先島にどれくらい手小荷物が年間あるだろうかということを推定してはじき出した数字であります。  そこで、私は、運輸省にも国鉄にも伺いたいのですけれども、これは私がいままでに一、二回質問した持論でございますが、沖繩県には国鉄がない、そうしますと日本国民というのは国鉄があることによって——国鉄は現在赤字たといって困っておるようでございますけれども、それは一般会計でも負担されておるということになりますと、それだけ本土の国民というのは国の恩恵を受けているわけであります。そのほかに、国鉄に乗れる便益という利便を受けておるということは当然のことであります。ところが、沖繩県民の場合には、まず国鉄というものが一切ないわけですから、それに乗るという利便が与えられておらない。でありますから、もちろん国鉄に対して一般会計から一定の支出がされておる、そういう利便を受けておらないということもまた事実であります。  そういう点を考えますと、せめて国鉄指定港と沖繩県民の間で言われております制度を、那覇港だけでなしに先島にも広げる。具体的には平良と石垣の二つをそういう指定港にするということは、県民にとって非常に願っていることなんですね。それは果たしてできないことなのであろうか。それを何らかの形で打開できるような理論的な考え方というものはないものであろうか。私どもは、きょう来ておられますのが大臣ではございませんから、こういたしますというような答弁は必ずしも要求いたしませんが、こういう理論的な考え方というものはあり、政治的に決断がされればそれは従う、事務当局としては、こういう御答弁でもいただければ非常に幸せだと思いますが、答弁を願います。
  126. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のように、国鉄と沖繩へ航路を持っております琉球海運という会社でございますが、連絡運輸契約によりまして手小荷物の運送をいたしておるわけでございますが、現在は御指摘のように那覇港までの運送にとどまっておるわけでございます。問題は連絡運輸の契約でございますので、仮に琉球海運の会社が引き受けていただけるようでございますれば、現在でももちろん先島までの連絡運輸というものは可能なんでございますが、ただその場合に、いまの運賃制度あるいは運賃の割賦の方式からいたしますと、先生御指摘がございましたように、それだけ会社の負担がふえるというかっこうになりますので、これが実現しないというのが先生の御趣旨だろうと思います。  問題点といたしましていろいろあるわけでございますけれども、よく会社から御要望がございますのは、いまの荷物の運賃の割賦制度、これは現在全国一律には七、三の割合で、国鉄七、会社が三の割りでございますけれども沖繩航路だけは航路の距離の関係の特殊性がございますので、実は昨年の七月から六、四にいたしておるわけでございますが、これをさらに会社側の割賦率をふやしてくれというような御要望があるわけでございます。ただ、この割賦率を全国一律に、あるいは沖繩だけ特例で六、四にいたしておりますのですが、こういうふうに調整いたしております趣旨は、なるべく割賦の事務を簡素化しようという趣旨で会社と合意でこういうふうにいたしておりますものですから、個々の会社ごとにこの割賦率を変えるということは非常に技術的にも問題がございますし、それからまた他の会社に与える影響も非常に大きゅうございますので、ちょっと割賦率の変更をいまここでお約束するということはできないわけなのでございますが、いま先生おっしゃいましたように、今後われわれもいろいろ勉強いたさなければいかぬと思うのでございます。また、この割賦率自体はやはり輸送の実態というものを反映して決めておりますので、今後輸送の実態等を勉強いたしまして、割賦率そのものについての検討をすることもそれはあり得るかと思います。  それからまた、沖繩県につきまして、いま荷物運賃の制度が県単位になっておるわけでございますけれども、これほど長い距離を持った県でございますから、北海道のように県を幾つかに分けて運賃制度をつくるというふうなこともあろうかと思うのでございますけれども、そういったことを今後また総合的に勉強させていただきたい、かように思っておるわけでございますが、現時点ではこの先島航路のためだけの割賦率の変更というのは、ちょっと私どもの段階ではお約束いたしかねる、こういうのが実情でございます。
  127. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁の中で、沖繩を北海道のように二地帯あるいはそれ以上にするという解決方法もございますが、そういたしますと、その運賃というのは県民の負担になってくるわけですね。そうではなしに、いま沖繩では六、四で、国鉄が六、海運会社は四ということになっておりますが、これを逆の六、四、海運会社が六、国鉄が四というように変えますと、私の計算では、たとえ先島に延長いたしましても三千百六十二万七千円の赤字ではなしに、逆に約千百四十七万三千円赤字でなくなる。いままでの赤字がその分減るという計算になるのですね。これは私は割賦制度の変更ということで、全然国鉄の恩恵に浴しておらない沖繩県民のために、二十数年間アメリカの支配下にあった沖繩県民に対して日本国民全体がお贈りできるささやかな義務でもあると思うのですね。そういう点についてぜひ検討をしていただきたい、こう考えております。  それから、運輸省に伺いたいと思うのですが、沖繩の場合に本島からいろいろの離島に行く場合には、離島航路に対する補助があると思うのですね。そのことによって、非常に運賃を低く抑えておくということができるようになっております。願わくは、沖繩全体が日本列島全体から見れば離島でございますから、沖繩本島の那覇へ行く航路も含めてそういうような離島についての補助金を拡張するというようなかっこうで、沖繩県民の運賃の割り高負担というものを減少させるということは、これは理論的には可能だと思うのですね。課長が来ておられますから、胸を一つたたいて任しておけ、おれがやるとは、これは恐らくお答えになれないと思いますが、考え方としてそういう考え方が可能なのかどうかということを聞いておきたいと思います。
  128. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 お答えいたします。  現在、沖繩に限らず日本全国の離島航路につきまして、離島航路整備法及びそれに基づく補助金制度がございます。現行制度によりますと、複数航路については一応交付の対象外になっております。現在、沖繩本島及び先島につきましては、それぞれ複数の事業者が運営いたしておりまして、現在対象になってございません。現在のところそういう形で、補助対象に現状からするとできない、こういうのか現在の制度になっております。
  129. 正森成二

    ○正森委員 現状でできないということはわかっております。現状でできるなら何も聞かないので、複数の航路があって現状ではできないのだけれども、しかしそれは考え方を変えることによって、沖繩全体本土から見れば離島なのだから、だから考え方を変えることによって、補助金は出すということは理論上可能ではないかと聞いているのです。
  130. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 現行制度という枠内でのお答えしか私としてはできませんので、これ以上私お答えすることができないと思います。
  131. 正森成二

    ○正森委員 それでは、所管の運輸省ではないかもしれませんが、政治家としての植木さんに伺いたいと思います。  考え方として私がいま申し上げているようなこと、少しでも実現するというのが沖繩県民にとって必要ではないか、こう思われるのですが、国務大臣としていかがお考えになりますか。
  132. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま国鉄及び運輸省に対して御指摘になりました問題は、開発庁といたしましても、何らかの形で問題の解決が図られないものかということで、すでにいろいろ要請をしている問題でございます。したがいまして、今後とも引き続き改善方の要請を続けてまいりたいと思います。
  133. 正森成二

    ○正森委員 それでは、時間でございますので、最後に一点だけ伺いたいと思います。  先ほど、私ども、あるいは関係議員全員に要請があったことだと思いますが、金武村のことです。金武村には国立の金武保養院というのがあったはずでございますが、それが移転して仮称、国立療養所沖繩病院というのができるようであります。それ自体は結構なんですが、そのことによって金武保養院が移転するということになりますと、これは一つの医療センターでもございましたし、現地の金武村民の中でその保養院に就職しておりました者も非常にございますし、それからまた土地を借り上げてもらっておったということで、それが収入にもなっておったわけでありますので、地主も困りますし、住民も困りますし、医療関係でも非常に困るわけです。それならば、仮称、国立療養所沖繩病院の設置の計画ができたときに、なぜいろいろ言わなかったのかということもございましょうけれども、しかし現実に村民の間にこの問題についていろいろ要望があることは事実でございます。私は筋としては、県にそういう要請を出して、県からいろいろな計画が出されて、それに対して国段階で可能ならば補助をするということにはなろうかと思いますけれども、国の関係機関からこの問題について、いつごろ移転が完了するのかということをまず伺い、その移転までに一定の時間がありますならば、その一定の時間内に地元の要請にこたえる何らかの方策はないかということについてお考えになっている点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  134. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 まず、第一点の移転の時期でございますけれども、昭和五十三年度中には移転できるように整備を進めているところでございます。  跡地のことでございますが、御承知のように全部が借り上げ地でございまして、私どもといたしましては、今日のところ、そういう経緯からも具体的な跡地の利用計画というのは持っていないのでございますが、御指摘にもございましたように、沖繩県それから地元の町村等がこの地域の事情を勘案いたしまして、総合的な利用計画をお立てになるのが最も望ましいのじゃないか。私どもといたしましてお手伝いできることがありますならば、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  135. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  136. 松本忠助

    松本委員長 次に、渡部一郎君。
  137. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、少々時間をいだだきまして、まず沖繩県の諸問題につきましてお尋ねをしたいと存じます。  来年の五月十四日で期限が切れます沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律、公用地法にかわるものとして、政府では新たな特別措置法の制定を計画されておるようでございまして、私どもの知るところでは、自民党関係には御説明があったと新聞報道で承知をいたしております。現在どのようなところまで進んでおり、どういう骨子であるか、その辺を伺いたいと思います。
  138. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩における土地問題の重要性にかんがみまして、今国会に法律案を提出できるよう作業を進めておりましたが、この会期末における諸般の情勢を考慮して、今国会の提出を見合わせるようにということで大臣から指示がございまして、法律案の立案作業は取りやめることにいたしております。  事務当局といたしましては、できるだけ早い機会に成案を得まして国会の審議をお願いしたいと考えておるわけでございますが、法案の骨子につきましては、先ほど正森先生にも御説明申し上げたわけでございますが、(渡部(一)委員「簡単で結構です」と呼ぶ)一つは、境界の明確化のための特別な措置ということで、施設用地の所有者が協議して境界の確認を行うわけでございますけれども、その境界確認に現在でございますと側面的に協力するということになっておるわけですが、これを法律に明示いたしまして、明確化のための資料を一般に縦覧するとか資料の提供をするとか、あるいは現地立ち会いの通知、その他境界明確化に要する作業を積極的に御援助申し上げるということが第一点でございます。  それから、第二は土地の使用でございますが、その土地の使用につきましては、まず土地の境界が明確になっておりますものは、現在ございます駐留軍用地特措法あるいは土地収用法による通常の手続で使用の権原を取得する。それから、境界の明確でないものにつきましては、特例を設けまして境界が明らかになるまで国が使用する、明らかになりましたものから逐次、本来の駐留軍用地特措法または土地収用法に定める事務上の手続に持っていくということがその骨子になっております。
  139. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは大臣沖繩の地籍問題の解決というのは重大問題であることはもうとっくに御承知のことだと思うのです。それが、その地籍の確定作業をほっておいて、公用地の暫定使用に関する法律の実質的な延長についてのみ協議が行われるというのは、非常に道理に反しているのではないか、私はこう思うのですね。地籍の確定作業そのものについては防衛施設庁が扱うべきことではなくて、地籍そのものを確定するという作業が行われて、憲法十四条に規定されているように、権原に関して他の都道府県と同じような県民の権原というのが確保されなければならないと思うのですが、その辺はいかがですか。
  140. 植木光教

    植木国務大臣 地籍問題につきましては、沖繩県にとっては大変重要な問題でございまして、御承知のように、いま防衛施設庁と開発庁とがそれぞれ役割りの分担をいたしましてやっているところでございますけれども、私どもからいたしましたならば、仰せのとおり地籍の明確化というものが非常に重要なことであり、また軍用地内の地籍が明確化いたしますことによりまして、私どもが主張している基地の整理、縮小、返還ということになってまいりますと、跡利用についての計画も立て得るわけでございますから、したがって、この点につきましては、機会あるごとに地籍の明確化というものの重要性を主張してきているところでございます。  なお、沖繩開発庁の中におきましては、専門家による境界不明土地問題に関する研究をやっていただいておりますし、また関係省庁によりまして連絡会議持ち、現地にも連絡会議を置くというふうにいたしまして、問題点の検討や状況の分析に当たっているというところでございます。
  141. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと、むしろ先ほど防衛施設庁のおっしゃったもう一つ前の地籍の確定の方は、当分見通しがつかない、こういう意味ですか。
  142. 亀谷礼次

    ○亀谷政府委員 ただいま長官から御説明申し上げましたように、先生も御案内のとおり、沖繩復帰の時点におきまして、土地問題というものの重要性にかんがみ、沖繩現地におきます地籍不明確の所在地及びその概要の概査を行ったわけでございますが、琉球政府及び関係省庁と協議の上で、とりあえず開発庁におきまして四十七年、四十八年の二カ年にわたりまして、所在の概要をつかむための調査を行ったわけでございます。先生も御案内のように、この結果、一応沖繩本島におきます地籍不明の対象地域が、概数でございますが、約百四十平方キロメートルあるということ、及びこの中の大部分と申しますか、八〇%を超える部分が、現にまだ米軍軍用基地等において使用されておる、こういうことも判明いたしたわけでございます。なお、復帰前にすでに返還されて民地としてございます地域が、そのうちの約二十一平方キロであるということも判明をいたしました。  その時点におきまして、これらの処理をどうするかということを沖繩県及び関係省庁で論議をしたわけでございますが、何分、大部分の地籍不明確地が所在しております軍用地につきましては、これらの地域の賃貸借契約の当事者が防衛施設庁であるということ、及びこれらの土地の地籍を明確にするためには、逐次返還をされます解放地となおかつ残る地域との間の入り組みも非常に複雑であるということ、あるいはまた、そのほか関係の手続等におきましても防衛施設庁関係ではいわゆる復元補償の一環の問題もある、こういうこともございまして、いろいろ協議の結果、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、復帰後返還される軍用地及び残余の軍用地につきましては防衛施設庁当局、それからすでに解放されました地域につきましては開発庁及び県という分担で現在進めてきているところでございます。  なお、私どもが県と共同で所管をしておりますいわゆる解放前の解放地につきましては、私どもの予定で申し上げますと、先生も御案内のように、すでに四十九及び五十年度で事業をやっております西原村につきましては、地元関係者の御努力によりましておおむね合意も調いつつありまして、近い将来これが正式の国土調査法に基づくと同様の効果を発揮しますようになる見込みを立てております。そういったことで、残余の地域につきましても、私どものいまの見込みでは、現在行われております西原の方式を極力活用いたしまして、もちろんこれには地元関係者の方々の御努力と御協力が要るわけでございますが、こういった手法を駆使することによりまして、五十一年度を含めておおむね五年程度の期間内に私どもの予定では解決を見るというふうに見通しを立て、なおかつ、その期待を持っておる次第でございます。
  143. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは返還が行われましてから今日に至るまで、いまから申し上げても仕方がないかもしれませんが、一つは時間がかかり過ぎですね。この時間がかかり過ぎることが、一つには相続関係その他を非常に複雑にして、さらに困難化しておる、そのために余計に時間がかかる。いまのお話沖繩状況を一番よく知っておられる方が率直にお話しになったのですから、まさに五年かかるのでしょうけれども、私はここのところでスピードアップする必要がある、少なくとも一年ぐらいのうちに片をつけませんと相続関係はますます物すごいことになるだろうと思うわけでありまして、幾何級数的にこの困難性は増す。しかも御承知のとおり、私の方から見ればきわめて違憲性の濃い——違憲性の濃いというよりも、私は違憲そのものだと言いたいのでありますが、公用地の暫定使用法というものの実質的な継続を図るような法案を出さなければならぬ、そしてその上に、それに伴う反戦地主会を中心とする訴訟に巻き込まれていく、私は、それは決して沖繩県民に対する本土側の取り扱いとして賢明なものではない、こう思うわけですね。話の大筋については決して反対でない、合意されると私も思うのですけれども、どうですか、ここのところでまさに政治判断が必要なんであって、沖繩県の地籍問題については、大臣、いま政変中でちょっとお忙しいとは思いますけれども、それは当委員会の所管でありませんから政変問題は別にして、ひとつ地籍問題については抜本的かつ大型な前進的措置をおとりになって、花を飾られるということでどうでしょうか、その辺の御決意を承りたい。
  144. 植木光教

    植木国務大臣 いろいろな時局問題につきまして、私は一切関知いたしませんで職務に精励をいたしております。  ただいまお話しのように、この地籍問題を早期に解決するということは非常に重要でございます。ただ、非常に私権にかかわる問題でありますのと、戦場になったその後、また米軍の占領区域になったというような諸種の事情がございまして、なかなかこの問題を解決するのは困難でございます。しかし、先ほど申しましたような西原村でやりました方式、これは非常に現地の方々も御協力をくださいましてこの方式を進め、五十一年度は沖繩市と読谷村で行うことにいたしておりますが、極力早期に解決ができますように努力をしてまいります。
  145. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 この暫定使用法によりますと、沖繩米軍基地の場合少なくとも使用期間は五年、こうしたやり方というのは、本土基地に対して約十倍近い長さでありますし、その不平等さというのはもう覆うべくもない。これは訴訟において当然争われる内容でありますけれども、この公用地等暫定使用法などというものは沖繩返還協定の一番問題とされるべき問題点であって、当時、返還協定委員会等において私たち何回も議論したところであります。遺憾ながら採決の際に強行採決という結果で、判定すらわからないうちに終わったという不幸ないきさつがあります。したがって、こうした法律の延長の方式などというものはどうしてもつくるべきでない。先ほどお話がありまして、今国会の提出を見合わせるように大臣の御指示があったという御報告がございまして、私は非常に賢明な御措置だと思うのでありますが、これは出さない方がよい。出さない方じゃなくて、延ばせば延ばすほどよい。悪いものはスピーディーに出さない方がいい、よいことは早くする方がいいと私は申し上げているわけです。地籍問題を解決するというのは早ければ早いほどいい、暫定措置なんというのは、しなければしないほどいい、やめれば最高である、こういうわけです。ところが、現状はちょうどその逆になろうとしておるので、私は申し上げておるわけなんです。したがって、この問題については、この公用地法案のようなものは原則として出さない方針でひとつ御努力をいただかなければいかぬだろうと思います。  また、地籍の問題については、重ねてでありますけれども、多少の努力とかいう程度でなくて、西原村のよい結果が出たということでありますから、その例をさらに拡大して、早急にやっていただきたい。長官、五年は長過ぎますよ。常識でお考えになってもわかるでしょう。いま沖繩におるお年寄りは、五年たったら相当部分が亡くなられます。そうすると、さらに紛糾するじゃありませんか。これはいかに何でも長過ぎると思いませんか。三木さんでさえ寿命がもたれるかどうかわからないじゃないですか。五年という歳月は、人がすっかり変わってしまう。あなた、その辺強力に推し進めていただきたいと思いますが、どうですか。
  146. 植木光教

    植木国務大臣 私は、この問題についての信条といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、米軍の施設、区域の整理、縮小及び地籍の明確化を図ることが絶対に必要であるということで、あらゆる機会にこのことを主張いたしております。五年間では長過ぎるというお話でございますが、当庁所管のものにつきましては、いまのところ事務的には五年間かかるであろう、また五年間に何とか解決をしたいという期待を持っているわけでございます。一層督励をいたしまして、また私自身も積極的にこれに取り組みまして、問題の早期解決のために精励いたしたいと存じます。
  147. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それから、問題を解決するために督励なさる方法について私は一言申し上げておきたいと思うのですが、なるべく偉い人が先頭に立ってやっていただきたい。問題がまとまらないのは、常に末端係官を派遣して事件をあいまいになさる悪いくせが当庁のいままでのやり方にはあるからです。地元沖繩においては、みんながそろって話し合いをしていこうという精神に立って話し合いをする際に、権限のない者が行って長い時間話をしてくる、そうして次から次へ延びていく、しばらくするとその役人は配置転換になる、そういう不満がすでにある。ですから、その意味でなるべく権限を持たれた人を前線に配置する、そして早く裁決していく、なるべく早く合意を求めていく、そういう態度が必要だと思うのです。  それからもう一つは、係官で現地事情のわかっている方とわかってない方と大差があります。沖繩の場合は、その地元の出身者というものの持つ比重はきわめて大きいわけでありまして、係官はなるべく沖繩のことをよくわかった方を出していただきたい。五年間かかるのだったら、担当者は五年間居座ってやるくらい配置のやり方を巧みにやっていただきたい。そうでないと、その都度意見が変わる。初めから、言葉の通じないところから始めるというようなことのないようにひとつぜひしていただきたい。  それから第三点に、第一線の係官たちが交通費にも事欠く、車代に事欠いておる。普通の事情で出張するのと出張旅費その他の点で格差がありますので、そういった点もよく配慮していただいて、高能率でやっていただくようにお願いしたい。これらの諸点、よろしくお願いしたいと思うのです。
  148. 植木光教

    植木国務大臣 この地籍問題については、国と県とが協力し合って、また市町村の協力を得てやっているわけでございますが、沖繩にあります開発庁総合事務局のこれに当たっております職員は、琉球政府から転職をせられた方とこちらから行きました者とお互いに協力し合ってやっております。それから、沖繩県に全額国費で土地調査事務局というのを置いておりまして、これはもちろん沖繩県方々でございますが、問題の処理に当たっていただいているのでございます。いずれにいたしましても、いまの交通費にも事欠いているというお話でございますが、この点につきましては調査をいたしまして善処いたしたいと存じます。
  149. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、当委員会は北方領土も取り扱う委員会でありますので、北方領土の問題について最後に触れておきたいと思います。  日ソ両国間の最大の懸案である北方領土問題につきましては、両者の意見が田中前総理訪ソの際にほとんど出尽くしているわけでありまして、その後の交渉を見ましても、法理論や歴史的事実のやり取りでは前進しないという段階を迎えつつあるように思われます。むしろ政策論、政治論でこれに対する取り組みを決めなければならぬ段階かと存じます。したがって、この日ソ問題の現況について、今国会では御報告が行われておりませんので、現状はどうなっているのか、今後政府としてはどういう取り組みで当たるのか、その辺を明確にひとつお願いしたいと思います。
  150. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のとおり、田中前総理の訪ソ以来懸案事項の一つとして両国間の外交交渉の対象になっているわけでございますが、グロムイコ外相が来日せられましたときにも、わが国の非常に強い主張に対しまして、われわれに対する答えというものはきわめて遺憾なものがあったというような状況であることは御承知のとおりでございます。政府といたしましては、外交ルートを通じましてさらに北方四島一括返還を主張し、それによりまして平和条約締結へ向かいたいという考え方には変わりはございません。  また同時に、わが国の国内的な問題といたしましては、ソ連が一部の者の世論であるというようなことをいろいろ書きましたり言ったりしているという事実がございますが、これは私は国民的な課題であると存じます。最近、各地におきまして北方領土返還のための非常に大きな運動の兆しが出てまいりまして、多くの団体また府県庁が大変御協力をくださっております。より一層啓発活動に努めますとともに、その世論を背景として外交交渉に当たっていくのが私どもの使命であろうと存じております。
  151. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 田中前総理が訪問されたときの共同声明の中において、先方は首脳が日本を訪問するということを明示して協定を結ばれたわけであります。ところが、実際はグロムイコさんが来た程度でありまして、当方が想像していたブレジネフさんのようなソビエト政府の本当の意味の首脳が来訪していない。こういうようなことは、実際やってみて、交渉の当事者から言えばまた別の感想があるのかもしれませんが、実際はあの協定文が誤訳だらけで、約束がいいかげんで、何を決めてきたかわからないというような協定を結ばれたという重大な欠陥があることは前回指摘したとおりであります。日ソ交渉がむずかしいのはわかりますけれども、少なくとも約束したとこっちが思っていることさえ実施させることができない。外交ルートで交渉したとおっしゃるようですけれども、一体外交ルートの交渉とは何だと言わなければならないほど対ソ的には弱腰といいますか、交渉の成果が上がっていない。私は、外交当局はその責任を果たしていないものと理解している一人であります。私は、北方領土返還問題についてはっきりさせると同時に、少なくとも田中訪ソの際に取り決められたいろいろな問題点はもっとはっきりさせていただきたい。たとえばあそこで取り決められてまだ片づいてない問題には、戦前の日本籍を持った人々の故国復帰の問題もあるわけであります。それも全然解決していない、言葉ばっかりであります。それははなはだいかぬことである。ソビエト政府と交渉する場合に、交渉がむずかしいのもそうでありますけれども、決まったことをやらせる実力というか、本気さがなければ、何ら交渉にはなり得ないと私は思うわけであります。その辺深く御反省の上、ここのところで、会期末でありますけれども、早急にしかるべき処置をおとりいただいて、北方領土返還への道を開いていただきたい、こう思うわけであります。
  152. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、私どもは、現実は非常に遺憾な状況であるというふうに考えております。  なお、外交交渉につきましては、外務省の欧亜局長が来ておりますので、欧亜局長から御答弁を……。
  153. 橘正忠

    ○橘政府委員 一九七三年に田中前総理が訪ソされまして、直接ブレジネフ書記長と交渉し、その結果、従来ソ連が北方領土問題につきまして解決済みという言葉をしばしば使っておりましたのが、戦後の未解決の諸問題の一つであるということをはっきり確認いたしました。(渡部(一)委員「そんなことを聞いているんじゃないよ」と呼ぶ)それを去る一月、グロムイコがこちらに参りましたときに改めて確認をいたし、かつ平和条約の交渉を継続するということを確認いたしております。したがいまして、この平和条約の交渉はさらに継続して行うんだということがソ連側においてもはっきり共同声明の上で重ねて確認された次第でございます。  ブレジネフ書記長等、ソ連の首脳の訪日につきましても、田中前総理の訪ソの際に、この点が原則的に合意されております。その具体的な実施につきましては、その後機会をとらえてはソ連側に迫っておりまして、一月にグロムイコが参りました際にも、三木総理、宮澤外務大臣からこの点をさらに念を押しておられますが、現在までのところ、具体的な来日の時期について明確な意思表示は来ておりません。ただ、今後ともこの点は外交的にもさらに詰めていきたいとは考えております。  なお、樺太等ソ連におりますかつて日本国籍であった人の問題につきましても、その後、ことしの一月、グロムイコ外務大臣が訪日しました際を含めて、わが方でソ連の善処方を求めております。
  154. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣、いまの答弁のうそをちゃんと私はお教えしておきますけれどもね。ああいう答弁というのは全然ごまかしなのです。それは協定のときにソビエト側の首脳が来ると書いてあるのですが、向こう側から見ると、大臣と見えるように書いてあるわけです。大臣というのは、向こう側では百人ぐらいおるんですね。そんなのが来ると約束したって何にも成果にはなり得ない。ところが、わが方では、最高首脳とわざわざ誤訳されている。どっちが誤訳かわかりません。その最高首脳と言えばブレジネフ、コスイギン、ポドゴルヌイというような人々だと理解されているわけですね。それで、どうなんだと突っ込みましたら、誤訳は誤訳だけれども、その辺については最高首脳が来るんだと外務省は説明したわけであります。現にそうなのかもしれないと思われる節もあります。それならそれらしく、去年の暮れまでにそういう人々を訪問さすとソビエト側は言っているわけですから、それは行われなければならない。ところが、しない。それでさせることもできない。そんな交渉の仕方はないと私は思うのですね。だから全く、いま遺憾の一声も言わないじゃないですか、局長は。あなたの答弁はごまかしですよ、そんなことを言うなら。交渉になっていないじゃないですか。  樺太から日本国籍の人を引き揚げさす話があるのです。これは当時朝鮮人と言われていて日本国人であるとみなされていた人々で、帰りたいという希望のある方々がたくさんある。ところが、これは何がネックになっているかというと、日本に移動させた場合に、日本に定着してしまっては困るという法務省側の非常な入管側の故障が一つあるわけですね。また、日本から北朝鮮あるいは南朝鮮両方に行こうとする人々がいる。ところが、その受け入れ側においてそれを問題にして、受け入れたくないという国がある、そういう問題点がある。善処方を要求するのはソビエト側だけじゃなくて、日本国内にも善処をさせなければならないし、朝鮮に所在の両政府に対して、それを要求し、交渉しなければいけないわけですね。そんなことは百も承知じゃないですか。それを何にも取り除こうとしない。それを取り除く努力をしない。そうしておいて、善処方を要望しておりますなんと言ったって、それは交渉にはなり得ない。何をごまかすのですか、本当に。欧亜局長の答弁はひど過ぎますよ。事実を正確に伝えてないではないか。自分の方で何にも仕事をしていないじゃないか。それを指摘されたのを謝るぐらいがあたりまえであって、そんなごまかしの答弁をするとは何事ですか。  委員長、御注意をお願いしたい。全く不心得だ。
  155. 松本忠助

    松本委員長 橘外務省欧亜局長、答弁を求めます。
  156. 橘正忠

    ○橘政府委員 ソ連の首脳の訪日の問題につきましては、三首脳ということが明確に話の過程にも出ておりまして、先般グロムイコ外務大臣が日本に参りました際にも、グロムイコ外務大臣がモスコーを出発する直前に、ブレジネフ書記長から伝言を依頼されて、三木さんに伝えてくれというお話がありました。それは、二十五回党大会開催前ではその後の日程も決まらないから、その後で追って検討したい、こういう趣旨のあれでございます。したかいまして、先方の首脳、特にブレジネフ書記長が日本に行くという問題を強く意識していることは事実であると考えます。さらに、その際にも、三木総理からブレジネフ書記長の訪日を強くまた要請された経緯があります。  なお、旧日本国籍の人で樺太等に所在している方の引き揚げの問題については、私ども外務省は主として対ソ折衝の面を担当しておりますが、先生御指摘のとおり国内的にも若干の検討を要すべき点もあると思いますので、関係方面とはこの点については協議を重ねております。ただ、基本的にはソ連側の処理の問題があると考えております。
  157. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 答弁は、あなた、不穏当ですよ。あなたはただの説明員でなくて、政府委員じゃないですか。政府を代表してしゃべっているのですよ。自分の担当分野だけをしゃべればそれでいいというものじゃないでしょうが。しかも、あなたは外務省の役人ですよ。そうしたら、朝鮮の両政府の問題をあなたは答弁しなければいけないじゃないですか。欧亜局長は朝鮮問題をしゃべらないのですか。しかも、三首脳の訪問は、去年の十二月三十一日までに訪問しなければならぬことになっていたじゃないですか。それなのに時間か延びているじゃないですか。それなのにあなたは向こうから伝言がありましたなんというので、へいへいと言っていて、期日も守らないのをぼやっと待っているのですか。外務省はそんな調子で交渉しているのですか。約束を守らない相手の政府に、それしか言えないのですか。要するに、あなたは職務怠慢じゃないですか。当委員会にも何にも説明がないじゃないですか。日ソ両国間の協議について、それを十分実施させることができなかった、その事実一つ委員会に説明してないじゃないか。今後一生懸命やるかどうか、それだけをお答え願います。
  158. 橘正忠

    ○橘政府委員 もし記憶に間違いがなければ、当委員会の当初、外務大臣の方から、北方領土問題についてのその後の交渉について御報告があったと考えます。(渡部(一)委員「総括的、抽象的に述べられたのにすぎない」と呼ぶ)  それから、昨年の十二月までに訪日することになっておりましたのはグロムイコ外務大臣でございます。三首脳の件につきましては、訪日の時期について、具体的に何らの合意もまだございません。昨年じゅうに訪日すべきであったグロムイコ外務大臣が、先方の都合により一月に訪日が延びて、そして一月に実現したという経緯がございます。そうした経緯はございますが、北方領土問題を含めて、対ソ関係の種々の問題については、全力を尽くして今後とも交渉を強力に進めていく考えであります。
  159. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 時間が参りましたから……。
  160. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま外務省の欧亜局長に対しまして、いろいろ御叱責を交えての鞭撻がございましたが、私、北方領土を担当いたしております者といたしまして、橘欧亜局長はこの問題に非常に熱意を持って取り組んでくださっているということを痛感いたしているのでございます。  ただいまこれからも努力するという発言がございましたが、本日のいろいろな問題点の御指摘も含めまして、より一層外務省も努力をしてもらいたいと思いますし、されるということを期待し、また私からも要請をしてまいりますので、どうぞその点について御理解をいただきたいと存じます。
  161. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣がおとりなしになっているのですから、私がこれ以上言うのは大人げないと思いますし、私も言うのはやめたいと思います。  ただ、御承知おきいただきたいのです。外務省は自分の失敗について説明することをしない。北方領土問題については、当委員会の冒頭で説明された以後、当委員会委員に対して一言も説明がない。資料一枚配ったことがないじゃないですか。熱心にお仕事をされる余りにそういうことになったんだろうと私は理解します。しかし、余りにも不穏当です。私は、ふだんは別に御注意を幾つもいたしました。しかし、今日なおかつその態度が改まりませんので、私は厳しく申し上げたのみです。現に、日ソ間の重大な関係を決めた田中訪ソのときの協定文は、四十カ所にわたる誤訳がありました。その誤訳は避けることができない、今日それが問題になって、後に尾を引いているわけであります。その次に、日ソ漁業交渉が行われた際、ポイントを示す数字が狂っておって、そしてそれがまた重大問題になりました。今日なおかつそれは尾を引いております。このような誤訳だとか電報の打ち違いだとか、こういうことが頻発している部局というものは当然譴責されてしかるべきもの、御注意されてしかるべきものと私は思うわけであります。  最近、日ソ間には問題が多うございます。その多い問題点の中にあって、ますます関係当局の努力というのは要請されなければならないし、私はその意味で御注意を申し上げたわけで、個人を申し上げたわけではありません。どうか今後しっかりと交渉の任に当たられますよう、この問題に取り組んでいただきますよう特にお願いいたしまして、終わりにいたします。
  162. 松本忠助

    松本委員長 以上をもって、質疑を終了いたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後六時五十四分休憩      ————◇—————     午後六時五十七分開議
  163. 松本忠助

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  請願の審査に入ります。  今会期中、本天百会に付託されました請願は、北方領土復帰実現に関する請願一件であります。  本請願を議題といたします。  審査の方法についてお諮りいたします。  本請願の内容につきましては、請願文書表等ですでに御承知のことでもありますし、また先ほどの理事会におきましても御検討願いましたので、この際、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する表音貝会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  167. 松本忠助

    松本委員長 なお、本委員会に参考のため送付された陳情書は、沖繩県の戦後処理等に関する陳情書外十四件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  168. 松本忠助

    松本委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。安井吉典君外七名提出の沖繩の住民等が受けた損害の補償に関する特別措置法案及び沖繩及び北方問題に関する件、以上の各件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じた際には、委員長において、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の員数、派遣期間、派遣地、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会