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植木国務大臣 詳細につきましては
政府委員から
お答えをいたさせますが、御
指摘のように、
沖繩県は三月の
労働力調査によりますと、
完全失業者は二万九千人で七%という数字が出ております。これは
地元産業が脆弱なために
雇用力が乏しいということが第一点でありますし、また第二点は、これは
本土も同じでございますが、長期にわたって不況が続いてきたという点がございます。それから、
米軍基地からの解雇が引き続き行われている。さらに、
本土地域からの
就職者の
Uターン現象があったというのはただいま
お話しのとおりでございます。また、
海洋博覧会が終わりまして、
臨時雇用者が職を失う、こういうような形になっております。それに加えまして、
新卒者がちょうど出る時期でもあるということでございます。
私
どもといたしましては、この非常に大きな
失業者をどういうふうに吸収していくかということについてはいろいろ
努力をしているところでございますが、いま申し上げましたような理由が、そのままいわば私
どものとるべき
対策を示してくれていると思うのでございまして、
地元産業の育成というものが何よりも大切でありますし、また
景気の回復を図ることが大事なことでありますし、また
本土からの
就職者のUターンされた
方々に職を与える、あるいは逆に言いますと、
本土は
大分景気も回復してまいりましたので、
広域職業紹介等によりましてまた
本土でも
就業の機会を得る、こういうようなことがいろいろ
考えられるわけでありまして、そのための
努力をしているところでございます。
当面、
公共事業の推進や
政策金融の充実を図りまして、
特段の
配慮を五十一年度
予算においてはしてきたのでございますが、この二万九千人という人々を吸収しますだけの
施策というのはなかなか大変でございます。昨年度の六百五十億の
公共事業費を御
承知のとおり八百億にしたわけでございますが、この百五十億の
増加額、さらに
金融公庫の融資の
増加額、こういうものによってどれだけ
失業者を吸収できるかということを試算いたしますと、大体
事業そのものについては三千人から四千人は吸収できるのではないか、これにはそれぞれ
関連のいろいろな
事業がございますから、また中小
企業のいろいろな
役割りもあるわけでございますから、大体一万人はこれによって吸収できるのではないかという
見通しを立てているのでございます。
それから、伝統
産業の育成の問題について
お話がございました。これは私が初めて長官に就任をいたしまして
沖繩に参りました際に、一番痛感をしました問題の
一つでございまして、
沖繩の責任者として、今後の
地場産業発展のための
伝統工芸品の育成というものがなければならないということを記者会見でも一番最初に申し上げたというようなものでございます。古くから伝わっております織物、染色、陶器、漆器等のこの
伝統工芸品は、いわば
沖繩のみならず日本の宝とも言うべき特色のあるものでございます。したがって、この
産業の育成を図りますことが、ただいま御
指摘のように、第二次
産業で大きな
企業を
誘致するということが現在なかなかむずかしい
状況の中にありまして、さしあたっての力を入れるべき対象であろうと思うのでございます。
ただ、今日までこの伝統工芸を見ておりますと、業種、業態に応じまして必要な協業化でございますとかあるいは共同化あるいは経営の合理化、市場の開拓あるいは技術指導、デザインの研究開発、後継者の育成確保、こういう点につきましては、
本土にあります伝統工芸
産業を持っております
地域に比べますと、まだ格段の差がございまして、私自身も
伝統工芸品の産地の出身者でございますので、強くそのことを感じるわけでございます。したがいまして、私は、ただいま申し上げましたような、せっかく育成して大きく
発展をする力を持っている
伝統工芸品をめぐる各種のおくれた問題点というものをそれぞれ
指摘をいたしまして、そしてこれについてのそれぞれの業界の御
努力を要請しますとともに、私
どもとしてもできるだけの指導をしてきているところでございます。
すでに御
承知のように、
復帰記念
事業の
一つといたしまして、全額国庫負担で
沖繩県立伝統工芸指導所を国が建設をいたしました。そして、これに引き続きまして、昭和五十年度においては、これは
國場委員も政務次官としていろいろ御
努力いただいたわけでございますが、久米島つむぎの
生産振興を図るために共同作業場、製品検査室、技能養成室及び共同展示室等の機能を有します伝統工芸センターを久米島に建設いたしますとともに、本年度におきましては、宮古島に宮古上布の
生産振興を図るための共同利用
施設を建設するために経費を計上したところでございます。
なお、
金融公庫に対しましては、伝統工芸
産業振興に必要な資金を
本土よりも有利な
条件で融資をするようにお願いをいたしまして、その
措置が図られることになっております。
私
どもとしましては、非常に重要な
産業の
一つとして
振興のための
努力を払ってまいりたいと存じます。