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1976-06-15 第77回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十五日(火曜日)     午後零時九分開議  出席委員    委員長 中川 一郎君    理事 江藤 隆美君 理事小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 増岡 博之君    理事 金瀬 俊雄君 理事 斉藤 正男君    理事 三浦  久君       大村 襄治君    木部 佳昭君       佐藤 文生君    關谷 勝利君       丹羽喬四郎君    細田 吉藏君       三原 朝雄君    渡辺美智雄君       久保 三郎君    兒玉 末男君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君  委員外出席者         大蔵政務次官  唐沢俊二郎君         大蔵省理財局次         長       原   徹君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         労働大臣官房審         議官      細野  正君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   三原 朝雄君     赤澤 正道君 同日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     三原 朝雄君 同月十五日  辞任         補欠選任   宮崎 茂一君     大村 襄治君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     宮崎 茂一君     ————————————— 五月二十四日  一、地方陸上交通事業維持整備法案久保三郎   君外二十七名提出、第七十五回国会衆法第七   号)  二、中小民営交通事業者経営基盤の強化に関   する臨時措置法案久保三郎君外二十七名提   出、第七十五回国会衆法第八号)  三、交通事業における公共割引国庫負担に関   する法律案久保三郎君外二十七名提出、第   七十五回国会衆法第九号)  四、中小民営交通事業金融公庫法案久保三郎   君外二十七名提出、第七十五回国会衆法第一   〇号)  五、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部   を改正する法律案内閣提出第一六号)  六、陸運に関する件  七、海運に関する件  八、航空に関する件  九、日本国有鉄道経営に関する件  一〇、港湾に関する件  一一、海上保安に関する件  一二、観光に関する件  一三、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出第一六号)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 中川一郎

    中川委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。(「法案審議反対」「早う委員長やめい」と呼ぶ者あり)  奇声は出さないでください。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎君。
  3. 小此木彦三郎

    小此木委員 まず、運輸大臣に伺いたいのでありますけれども、最近の新聞が伝えるように、臨時国会の召集問題をめぐって、国鉄赤字財政を抱える運輸大臣が、十一日の閣議の席上で、現状では支給日の十五日にボーナスも払えないと発言したというのでありますけれども、ついにその十五日がここに来てしまったのであります。さらに、運輸大臣は、早急に臨時国会を召集して国鉄運賃値上げ法案成立めどをつけるべきであると主張したそうでありますが、三木首相は、財政赤字を放置するわけにはいかないことはもちろんだが、臨時国会の段取りは自民党と協議中であると慎重な態度を示したというのであります。また、その席で、河本通産大臣は、国鉄には四千億円もの短期借り入れの枠があるではないか、それを使ったらどうだと言ったともいうのであります。  われわれは、事ここに至ってなお総理が慎重な態度をとることと、また、短期借り入れによって急場しのぎをすればよいと言う有力な経済閣僚考え方に対してはまことに理解に苦しむのでありますが、このやりとりのさらに詳細な説明を承りたいことと、もしも首相有力経済閣僚などが国鉄の問題をこのように安易に考えているとすれば、大臣はこれにどう対処されるのか、まず伺いたいのであります。
  4. 木村睦男

    木村国務大臣 御承知のように、去る国会で御審議をお願いしておりました国鉄再建関係法案がついに前国会成立を見ず、継続審議の計らいになってまいっておるのでございますが、そもそもこの中に盛られております国鉄再建案は、いままで十年以上にわたりまして再建計画が軌道になかなか乗らなくて、国鉄としては経営上は全く破産状態に陥っておるという、かつて例のない破局の中の国鉄再建を図るための法案でございまして、したがって、われわれとしては、国会の御協力を得まして予定どおり再建法案成立して、あの法案によりますれば六月一日からそのスタートができるということで、すべての枠組みをしておったわけでございますが、それが遺憾ながらいまだに継続審議ということになっておるわけでございます。  そういう状況のもとに六月に入りまして、例年労使の交渉によりまして六月の十五日には一般公務員と同じ程度のボーナス支給するという時期が参ったわけでございます。われわれといたしましては従来そうやってまいってきておりますし、また、ボーナスとはいいますものの事実上は年間の給与の一部のように考えて、それぞれがこれを当てにして生活設計を立てておるわけでございますので、何とかして支給できるように取り計らいたいといろいろ考えてまいったのでございますが、何せ六月一日からの運賃改定もできませんし、また、再建法案の中にありますところの過去の赤字のたな上げに対する政府助成金を交付する措置も、法案成立しないためにいまだにその実現ができていないという状況で、しかも、せんだってベースアップの仲裁裁定も出ましたけれども、これも資金上あるいは財政上この法案が通らない限りはやはり無理であるということで、今後開かれます国会において御相談申し上げるというふうな状況になっております。したがって、国鉄の中を幾ら経費を切り詰めてみましてもボーナスを払い得るだけの金はどうしても出ないという状況であるわけでございます。  しかも、この再建は非常に重要な事柄でございまして、これは国鉄といたしましても四十三万人の職員が一体となって国鉄再建努力してもらわなければならない。これが再建一つの柱でもあるわけでございます。その実を国鉄にも示してもらい、また、政府といたしましても、できる限りの資金繰りの措置を講じて支払えるようにということでいろいろ努力してまいったのでございますが、残されました資金を調達する方法といたしましては、大蔵省から短期資金借り入れをする以外に方法はないわけでございます。鉄道債券その他についても国鉄総裁もいろいろ工夫をいたしておるところでございますけれども、結局は政府からの短期資金借り入れによって必要なボーナス資金国鉄が借りるということしかないわけでございますが、この短期資金借り入れにつきましても、国鉄資金やりくり上、こういう時期になってこうなればこういう収入が入るので、これがいま当面必要な資金として間に合わないので、その資金を借りるのだ、したがって、その返済はこういう理由返済できるのだという返済計画の裏づけがございませんと、短期資金も貸してもらえないというのが実情であるわけでございます。  しからば、その短期借り入れをします場合に、その返還のめどはどうして立つであろうかということでございますが、五十一年度の国鉄の予算は、御承知のように運賃値上げによります増収等を六月一日から実施いたしまして、毎月五百三十億の増収を考えております。また、過去の借金のたな上げによる補助金年間約二千五百億近くを考えておるわけでございますが、これらの再建法案が大体いつごろ成立するであろうかというめどが一応立ちますと、それを中心にして国鉄の今年度の資金やりくりめども一応立つということでございます。同時に、ボーナス問題だけではございませんで、五十一年度の財政再建のためには、予定しております六月一日からの値上げあるいは再建関係法案実施が六月一日からさらにおくれますと、いろいろ考えてみますと、二カ月ぐらいの間のしんぼうなら何とか国民にもそう御迷惑もかけないし、また、国鉄の内部につきましてもそう大きな影響もなしにやりくりができるのでございますが、二カ月を超えるということになりますといろいろなところに支障を起こしてきて大変なことになるということも考えられるものですから、両方含めましてできるだけ早く臨時国会を開いて関係法案審議をしていただき、成立めどを立てるようにいたしたいということで、先般閣議において私はそれを要請いたした次第でございます。  そういうふうな私の要請につきましては大体理解をしていただいたのでございますが、総理としても、国会召集のことでございますからいろいろな方面と十分相談をして努力しようという話があったわけでございます。  なお、通産大臣からは、四千億という短期借り入れの枠があるのでそれを一時借りるわけにはいかないかというお話もございましたが、それに対しましては、いま私が申し上げたような理由で、運輸大臣から大蔵大臣に対して返済計画が十分立たないままにそう簡単に借りるということはできない筋合いのものでございますというお答えをした、こういうことでございます。  これが先般の閣議におきまして私が発言をし、その発言に対しての総理あるいは通産大臣からのお話の概要でございます。
  5. 小此木彦三郎

    小此木委員 運輸大臣は、十一日に行われた決算委員会におきましても、国鉄職員に対するボーナス問題に関する与党議員質問に答えて、法案審議見通しがつけば時期はおくれても支給に全力を挙げたいと答えておられるのでありますが、その法案審議見通しとはどういうことか、いまの答弁の中にも多少入っておりますけれども、もう一度詳しく伺いたい。と同時に、時期はおくれてもと言うけれども、おくれてもという時期は一体どこまでであるのか。  そして、それに関連したことを大蔵大臣にも聞きたいのでございますが、大蔵大臣としては、河本通産大臣の言われたような考え方で金を貸す意思があるのかどうか。また、どうすればこれを貸すのか、その点をお答え願いたいのであります。  まず、運輸大臣から……。
  6. 木村睦男

    木村国務大臣 私は、何とかして大蔵省その他の協力を得ましてボーナスを支払ってやりたい、六月の十五日という日が慣例上毎年そうなっておりますので、おくれましても六月中には何とかそのめどをつけてやらなければいけないであろうというふうなことを頭に描きながら努力を続けておるわけでございまして、今日なおそのつもりで努力をしておるわけでございます。
  7. 大平正芳

    大平国務大臣 御案内のように、国有鉄道法によりますと、国鉄が外部から融資を受けようとする場合は運輸大臣認可が必要と承知いたしております。それで、運輸大臣認可をいたそうとする場合には大蔵大臣協議をしなければならぬということと承知しておりますけれども、いまだにその御協議がございません。したがって、融資問題につきまして私からお答えする立場にいまないわけでございます。  ただ、大蔵省の原則的な立場を申し上げますならば、郵便貯金その他国民資金をお預かりいたして、これを有利かつ確実に管理をしなければならぬ立場におりまする私といたしましては、国鉄から仮に融資の申し込みがあったといたしましても、それの返済につきましてちゃんとした展望が明らかであるということでない限り融資に容易に応じ得られない立場にあることは御承知のとおりでございます。
  8. 小此木彦三郎

    小此木委員 では、通産大臣に伺いますけれども、通産大臣が十一日の閣議発言されたという、先ほど私が申し上げましたような、国鉄には四千億円もの短期借り入れ枠があるではないか、それを使ったらどうかという発言が事実であるとすれば、いま大蔵大臣が答えられたようにそう簡単なことではないようでありますが、通産大臣の真意はそれほど簡単な気持ちでこれを言われたのかどうか、ひとつ説明していただきたいのであります。
  9. 河本敏夫

    河本国務大臣 十一日の閣議木村運輸大臣から、国鉄現状並びに当面するボーナスの支払い問題について詳細な御説明がございまして、なお、それに関連いたしまして二、三の閣僚から発言がありました。そこで、私からも発言をいたしまして、木村運輸大臣質問をしたいが、という前置きのもとに、国鉄では四千億の短期借り入れの枠があるが、これはどういう場合にお使いになる予定なのかという質問をしたわけでございます。それが、その質問の内容がいまのお話とちょっと違っておるようでありますが、私の質問したのはそういうことでございまして、四千億の短期借り入れの枠はどういう場合にお使いになるのかという質問をしたわけでございます。それに対しまして、運輸大臣は、多分当面するボーナスの問題とおとりになったのだと思いますが、ボーナス関連しての、先ほどございましたようなお話がありまして、現状ではそれはできない、むずかしいのだという御説明があったわけでございます。
  10. 小此木彦三郎

    小此木委員 時間が非常に制限されておりますので短絡的になって恐縮でありますけれども、そういうような多少ニュアンスの違った新聞とり方等もございましょうけれども、こういうことがあるということは、要するに、首相及びその周辺が国鉄関係法案よりもロッキードの方が先であるという考え方を持つところにこのような安易な言葉が出てくる根源があると私は思うのです。もちろん、どっちが大切かということは政治的にも社会的にも道義的にも次元や基準が異なりまして、人それぞれ価値判断に異論があると思うのでございますけれども、この国鉄法案が通らなかった場合の中小企業に対する圧迫あるいは国家財政こんぱい等もろもろの要素を全部総合いたしますならば、ロッキードも確かに大切であるけれども、国鉄法案審議を促進し成立させる方が断じて優先してしかるべき問題であると私は考えるのであります。  ここで国鉄運賃法が七月末までに通らぬということになった場合、あるいは八月末までに通らなかった場合、さらに九月末までに通らなかった場合、収入はどういうふうに減っていくか、あるいはその場合の処理方法はどうするかというようなことがあるのでございますけれども、元来、企業というものは、来月これだけもうかるからこうしよう、再来月これだけもうかったらああしようというようなところに働く人の意欲があるのであると私は思うのであります。ところが、今度の場合は、国鉄は来月になったらこれだけ減るから、電気を三つあるところを二つ消してちょうちんにしようとか、あるいはろうそくをつけるかどうか、そこまではわからないにいたしましても、あるいはまた工事費をこれだけ減らそうとか、三回掃除するところを一回にしようとか、そういうようなことを考えてばかりいる。この不景気な世の中に運輸委員会に所属しているだけでわれわれも気分がめいってしまうわけでございますけれども、率直に言って、この法案が通ることが早ければ早いほどいいでしょうけれども、このままでいっていつまで国鉄財政というものはもつのであるか。これを言い方を変えれば、ぎりぎりいつまでに法案を通してもらいたいと運輸大臣は考えるのか、率直にお答え願いたいのであります。
  11. 木村睦男

    木村国務大臣 私といたしましては、最初の計画のとおりに六月一日から実施できるようにということで来たわけでございますが、遺憾ながらその時期はもう経過したわけでございす。したがって、今日の段階では一日も早くこの法案成立させていただきたいということに尽きるわけでございますが、しかし、現実は、すぐにきょうあす成立ということは望めないことは当然のことでございます。  そこで、六月一日から実施ができなくて一体どういうふうになるかということをいろいろと国鉄の意見も聞きながら考えてまいったわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、六月、七月の二カ月ぐらいしんぼうしたらどうか、そうするためにはどうしたらいいであろうか。この二カ月ぐらいなら工事費の一部あるいは物件費の一部等を抑えることによって収入減に対して経費の方を抑え、しかもそれほど社会的にも大きな問題を起こさないで何とかしのげるであろうということは言えるのでございますが、これが六月、七月を過ぎ、八月になるというようにだんだんなってまいりますと、いま申し上げましたように、六月、七月の二ヵ月ですと工事費物件費くらいを何とか抑えることによってやりくりができますが、さらにそれを越しますと、たとえば工事費にいたしましても、新幹線工事はほとんどやめなければいかぬ。そうしますと雇用問題等が出てまいります。あるいは年間に考えております貨車客車等車両老朽車の取りかえも抑えていかなければならぬ。そういたしますと、車両専門会社その他を含めまして十数社ございますが、それらの会社は五十一年度中に生産した客車貨車を一両も国鉄に買ってもらえないということで、これまた大変な問題になります。  同時に、では、そんなにそういうところを抑えていって無理をして社会的な問題を起こすのを避けるためには何が抑えられるかというと、次に出てくるのは人件費でございます。何しろ、経常経費の中で五十年度では八割以上が人件費でございますし、今回でも七割以上は人件費でございますので、どうしてもそこへ手をつけていかざるを得ないというふうな選択に迫られるというような事態でございますので、とにかく二カ月間なら何とかやっていけますが、二カ月を越したらそういう大変な事態になる。これに対してどう対処するかということは、今日の段階では私自身も的確な考えを持つことができないような状況でございますので、この二カ月の間に法案成立をぜひお願いして、五十一年度の再建計画を、二カ月おくれではあるけれども何とか早くやってもらいたいという気持ちを私自身としては持っておるというのが現状でございます。
  12. 小此木彦三郎

    小此木委員 確かに、運輸大臣の言われるとおり、この法案が通らないと、ただ単にボーナスその他の問題だけではなくて、国鉄工事関係の諸企業の倒産となり、新幹線工事に従事する者の失業となり、さらに推し進めてまいりますと、国鉄の駅に出入りする中小企業のほとんどが大きな痛手をしょうことにまでなるのであります。  私の選挙区に有名な駅売りのシュウマイ弁当屋さんがありますけれども、こんなことで一体どういうことになるのかといつも心配をしています。そのシュウマイ屋さんの方はかなりな金持ちだからまだいいとしても、そこに出入りするところの人にはいろいろな人がいます。弁当の中には魚も入っているから魚屋さんもあれば、あるいは八百屋さんもあれば、折り屋さんもあれば……(「材木屋はどうだ」と呼ぶ者あり)さらにまたその折り屋に材木を入れている材木屋もある。私の商売は材木屋でありますけれども、その折りのような上品な材木を扱っていないからいいけれども、しかし、その及ぶところは非常に多いのであります。  細かいことで恐縮でございますけれども、現実にすでに関連業者の中にはそのような意味での財政的な被害が出ているのか、あるいはごく近い将来出ると予想されるのか、簡単に承りたいのであります。これは国鉄関係にお願いします。     〔委員長退席増岡委員長代理着席
  13. 高木文雄

    高木説明員 ごく簡単に申し上げますが、国鉄投資関連があります関係の方でございますが、これはずっと末端までいきますと私どもとても把握はいたしておらないわけでございますが、建設業者関係で大体三千社ぐらいになるかと思います。その下の、その建設業者関係のある製品メーカーとか、さらにその製品メーカー関係があります素材メーカーとなりますとどのくらいの数になるか、ちょっといま把握ができておりません。  次に、電気関係投資でございますが、電気設備業者の数が、国鉄関連がありますところが大体五百社ぐらいございます。この場合にも、その下請といいますか、そこに納品しておられる製品メーカーなり素材メーカーなりというところにやはり関係が参ります。  車両メーカーの数は十一社でございますが、この場合には日本車両メーカー国鉄依存率が七割ぐらいになっておりますので、あとは私鉄関係が二割と輸出ということになりますが、国鉄依存率が七割ぐらいになりますので、会社の数は少ないが影響度は大変大きいということになります。  機械メーカー関係は大体三十社ぐらいでございます。  以上が、投資と、これに関連する業界の関係でございますが、以上のほかに、清掃の関係とか小回りのいろいろな仕事をお願いしている関係等がございますが、これはまたこれ以外にいろいろとあるわけでございます。
  14. 小此木彦三郎

    小此木委員 官房長官が見えたようでございますので、もう一つ最後に伺いたいのであります。  非常に時間に制約がございますので話も飛躍いたしますけれども、たとえば国鉄全線ストライキでとまりますと、その減収は四十億円ないし五十億円と言われているのであります。もちろん、減収そのもの損害になるわけではないでしょうけれども、恐らくその九〇%が損害になるでございましょう。今日五十億円という金は巨額であることには違いないけれども、考えてみれば、組合のしっかりした人が一万人も集まればすぐにできる金でもあるわけであります。その証拠には、国労の何とかさんという書記長が机の中に五十万円置いておいたらどろぼうに取られてしまったとか、あるいは幹部の人たち会員権を持って月にしばしばゴルフに出かけるとか、われわれ庶民には全く気の遠くなるようなうらやましい話であるわけであります。しかし、それはそれとして、問題は、ストライキによるその減収損害国民の税金によって賄われ、補われるということでございます。  ついででございますから、認識を新たにしていただくために私は申し上げたいのでありますが国鉄数十万人のストライキで一日列車がとまると五十億円の減収を来たす、あるいはそれに近い損害を受ける、それではわが国の港がとまったらどういうことになるか、主要港がとまったらどういうことになるかということであります。全国の港湾労働者はいま約十万人強であると言われているのでありまして、資源の少ないわが国は原材料の輸入を行うのですが、四十九年度において金額にして六百五十五億ドル輸入いたしておるのであります。それに見合う製品として七百億ドルの物を輸出いたしておるわけでございますが、外貿貨物の輸出入の額だけでも合計千三百五十億ドル、これは内貿の貨物を抜きにして金額にして千三百五十億ドルであるのであります。したがって、一日わが国の主要港ストライキによってとまったらどういうことになるかというと、三億ドルから四億ドルの貨物がそこに停滞してしまう。もちろん、御承知のように、本船というものは平均して国鉄のダイヤのように入ってくる性格のものではないわけであります。銀行の帳じりを合わせるために月末に港に集中してくる。とすれば、その月末にねらいをつけてストライキをやられた場合にどういうことになるかというと、恐らく十億ドルや二十億ドルの荷物が一日でとまってしまう。すなわち、一日で三千億円から六千億円の荷物がとまってしまうということになるわけであります。これは、わが国経済への打撃は国鉄ストライキどころではない。にもかかわらず、なぜ港においてストライキは行われないのかというと、それは、港がとまったら大変なんだという、港に働く人間の心意気によるものであると思うのです。その民間企業に従事する人たちの熱意、すなわち、ストライキなんかやったらうちの企業がつぶれてしまうんだ、日本が大変なことになってしまうんだという考え方、それがわが国の経済の興隆にどんなに役立っているかわからないと私は思うのです。  鉄労の坂東組合長が中央公論の先月号で、「国労、動労はこの四カ年間で三十回以上違法ストライキを打っている。その結果、国鉄の直接被害額だけでも一二〇〇億円以上に及んでいる。一二〇〇億円、国労が支払ってくれただろうか、動労が支払うといったであろうか。全て国民のみなさんにツケが回ってくるのである。読者のみなさんに強く訴えたい。国労、動労のイヤガラセの中でも、違法ストの中でもみなさんの足を守っている鉄労の組合員が全国に七万名もいることを!」と言っているのであります。この彼らの気持ちにこたえるためにも、大臣、総裁以下みんなでがんばってもらいたい。と同時に、われわれも一生懸命やるから、ひとつ職を賭してやっていただきたい。  早期臨時国会開会、法案成立についてぜひみんなで一緒にやりたいと思うのでありますが、官房長官運輸大臣にお答え願いたいと思います。
  15. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいまの小此木さんのきわめて熱のこもったお話をここで傾聴しておりました。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  きょうは、当運輸委員会におかれましては休会中といえども審査をお続けくださるという次第でございまして、いま最後にお触れになりました臨時国会を一刻も早くということは、私どももそのつもりでおりまして、この国有鉄道運賃法の一部改正案等のほかにも積み残しの重要な法案がございます。  これらを一括してどうしても早目にお通しをいただくというつもりでおるのでございますが、その時期を明示申し上げるのにはもう少し諸般の情勢も検討しなければなりませんが、できるだけ早くという気持ちでおることは先ほど来申し上げておるとおりでございます。
  16. 木村睦男

    木村国務大臣 私といたしましては、一日も早く臨時国会を召集していただいて、継続審議になっております再建関係法案を一日も早く成立させていただきたいということをお願いしておるわけでございまして、閉会中におきましてもこうして法案審議をやっていただくということは大変ありがたいことでございますけれども、終局的にはどうしても国会を開いていただきませんと最終的な成立ということにならぬわけでございます。  先ほど申し上げましたような二カ月という期間とそれ以後等のことを考えましても、一日も早く臨時国会の召集をお願いしたい。この願望に尽きるわけでございます。
  17. 小此木彦三郎

    小此木委員 あとは同僚、先輩にお任せしまして、私の質問はこれで終わります。
  18. 中川一郎

    中川委員長 加藤六月君。
  19. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 官房長官、ただいま運輸大臣が、六、七月の二カ月間は何とかもたすけれども、それ以上はもたない、極限状態になるという話を官房長官がおいでになる前になさったし、また、いま、同僚小此木委員質問に対しても、運輸大臣から、最後に、国鉄現状を見てのそういう御意見があったわけでございます。ところが、官房長官のいまの御答弁は、一刻も早くという気持ちはあるが、しかし、諸般の情勢を見てという形容詞もそこに入ってくるわけであります。  国鉄現状に対する政府の認識は一体どうなのかということを、当運輸委員会も、また自由民主党の交通部会のわれわれも真剣に憂えておるわけですが、先ほど小此木委員質問の中にもいろいろありましたが、これからの政治日程をどうつくり、その中で国鉄法をどう処置していくかというはっきりした見通しがないとこれは大変なことになる。現に、きょうは、国家公務員、地方公務員、二公社五現業の皆さん方は二カ月分のボーナスをもらっておるが、四十三万人の国鉄労働者だけが、三十九年以来六兆八千億円の借入金があり、三兆一千億円の累積赤字があるからボーナスをもらえないのだ。これが四十三万人の皆さん方に及ぼす影響等を考えるときに、法案が八月一日までに処置できなかったらさらにそれに数倍する混乱と極限状態があらわれてくるのじゃないかと真剣に私は心配しておるわけです。  そこできょうは官房長官においでいただいたわけなんですが、まず、官房長官国鉄問題に対する認識を伺いたいわけです。国鉄運賃法をこれから通そう通そうというかけ声は幾らあっても、臨時国会が開かれて、そこで国会の決意をはっきり示さぬ限りは法案の通過ということはあり得ないわけなんですから、そこら辺は国鉄をどう認識されておるかということと、これからの政治日程を政府の大番頭である官房長官としてどのようにお考えになっておるかということをまず承りたいと思います。
  20. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 加藤委員におかれましても前国会でこの法案を通過せしめるために大変な御努力をいただきましたことは私もよく認識をしておるつもりでございますし、国鉄現状につきましては、運輸大臣からも国鉄総裁からもつぶさに承りましたし、これが一カ月、二カ月、三カ月と延びていった場合に一体どうなるのかというと、建設工事は打ち切らなければならない、あるいはダイヤ運行も間引きをしなければならない、人件費ももうすでに支払いに支障を生じておるというようなことどもにつきましては私もよく承っておる次第でございます。  そこで、問題は、これを処理するための法案成立させるための場というのは臨時国会を開かなければならぬのでございますから、その時期はいつと、これを示せとおっしゃるわけでございますが、以上申し上げましたような認識の上に立って、それに支障のないような方途を講じなければならないという考え方であるということを申し上げまして、いつ幾日という時期をいまここで申し上げるのにはもう少し諸般の情勢を見きわめてまいる必要があるのではないかと思っておりますが、なるべく早く開きたいという熱意においては決して変わるものではございません。
  21. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 官房長官臨時国会を召集していただいても、すぐその日に国鉄法案は通るのではないのです。大変な努力と与野党の攻防というものがあるのです。しからばその間国鉄現状をほったらかしにしておいて、無為無策でいていいのかどうかという問題ですけれども、いま支障があるとかというお言葉がちょっと出たのですが、臨時国会を召集した場合にどういう支障があるのか、そこら辺を納得のいくように御説明いただきたいわけです。
  22. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 支障ということではございません。たとえば当面総理がサンファンにおける七カ国首脳会議に出かけるというふうな問題も差し迫っておりますので、そういうことも済ませた上というふうになりますので、そういう諸般の情勢を十分に勘案してまいらなければなるまい、と、こういうことを申し上げておるわけであります。
  23. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 官房長官、先ほど私が申し上げましたように、国家公務員、地方公務員、二公社五現業の皆さん方はきょう二カ月分のボーナスがもらえるのですが、国鉄職員ボーナスがもらえない。これは政府の責任であるか、責任でないか、はっきりお答えいただきたいと思います。
  24. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これにつきましてはいろいろな経緯もあろうかと思いますが、これは政府が大きな責任を感じなければならぬ問題である。このことはもう間違いございません。
  25. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 官房長官、感じただけではいけないのです。実際にもらわないといけないのです。出さないといけないのです。  そこで、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、国鉄総裁は出したい、出してやりたいという気持ちがいっぱいだけれども金がないから出せないということです。  そこで、小此木委員も先ほど質問いたしましたが、ボーナスを出してやる条件ですね。もちろん国鉄運賃法成立ということが唯一無二の条件だろうと思うのですが、それ以外にボーナスを出してやる条件として、大蔵省サイドから考えた場合の条件が何かございますでしょうか。ありましたらお教えいただきたいわけでございます。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、大蔵省の原則的立場は、融資いたしました資金が年度内に返済されるめどがはっきりいたしておるということで必要で十分だと思っております。
  27. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 返してもらうめどというのは運賃法が成立する以外にないわけでしょう。  運輸大臣は、国鉄がこのボーナス政府から借りたときに、運賃法が成立する以外に何か返す方法があるのでしょうか。あれば教えていただきたい。
  28. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の置かれている現状の中のやりくりで、たとえば五カ月あるいは半年先になればこれだけの余剰が出て、それで返せますということがあればその方法がありますが、これは申すまでもなく、御承知のように、順調に法案が通りましても、政府からの借入金等で収支の予算をつくっておる上に、六月からは法案が通るまで毎月五百三十億ずつの収入が入ってこないわけでございますから、そのためには国鉄自体がいろいろと身を削って、経費を削っていかなければならぬということでございますので、もう外部の借金以外に方法がない、それしかないということでございます。しかしながら、外部の借金と言いましても、それはやはり政府からの借金しかない。民間の会社がそういう破産状態企業体に金を貸すわけはございませんし、したがいまして、私としては、大蔵省からの資金借り入れをぜひ何とかやれるようにしていきたいと思っているわけであります。  そこで、いろいろ考えてまいりますと、返済の見込みが国鉄として立ち得るためには、大体いつごろにはこの法案成立が見込まれるという程度の見通しは私自身もあるいは国鉄総裁自身も持ち合わせませんと返済計画のもとがないので、返済計画は立たないということでございます。したがって、いつ幾日にこの法案成立しなければならないという日にちの確定的なことはいま考えるわけにはいかないのでございますが、一日も早く国会が召集されて——この法案成立が見込まれそうだという大前提としては、国会の召集が大体いつごろになるかということがやはりものの始まりでございまして、これがおおむね見当がつきますと、私といたしましても、私なりの責任で、しからばいつごろ法案成立するであろうという前提で返還計画もおのずからできてくる。こういうことでございますので、すべては国会召集見通しがある程度立つということがどうしても私としては前提にならざるを得ないのでございます。
  29. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 時間がございませんので余り深追いはいたしませんが、そうしますと、運輸大臣の決意というものが国鉄運賃法並びにこのボーナスに絡んで重要なるポイントになってくるわけだが、その運輸大臣の決意、決断というものは一体いかなる方法で今後示されていくかということは私たちにとっても非常に重要なる問題でありまして、運輸大臣の決意と決断こそ、逆に法案成立並びに国鉄職員に対するボーナス支給ということにつながってくるのではないかと思います。これに対して私は答弁は求めませんが、運輸大臣の決意と決断こそ最重要なる問題であると、先ほど来の一連の質疑を通じて思っておるのでありまして、その決意と決断を一段と発揮していただく環境づくりはわれわれがいたさなくてはならないと思っておる次第でございます。  最後に、労働大臣にお伺いいたしますが、こういう不祥なる事態を労働大臣から見て、一体どういう方法が一番正しいと思っておられるか。労働大臣も十一日の閣議でいろいろ発言されたようでございますが、労働大臣のお考えを承って私の質問を終わりたいと思うわけです。
  30. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 先日の閣議で、運輸大臣から、ボーナスに対して非常に苦しい立場にある報告がありました。私も数年前まではこの委員会で皆さんと一緒におりましたから、多少国鉄の問題はわかってもおりますが、何せ、三公社五現業のうち国鉄だけがまだボーナスが払えない。そして、労使の間で話し合いを続けている。話し合いを続けるにいたしましても、法案めどが一体どうなるかということが大事な問題じゃなかろうかと思いますし、国鉄再建と労働者諸君の生活の安定が第一で、ボーナスは自分の月給の中に繰り入れられていると私は思いますから、そういう意味からしますというと、臨時国会を召集して国鉄再建を考えて、こういうことが何遍となく起こらないようにしてまいらなければならない。法案が通過しないとこんなことは何遍と起こるだろうと私は思います。  そういうことからしまして、私の立場から発言をし、そして、また、有力閣僚によってこういう問題を検討し、臨時国会をいつ開くかという政治的日程をお決めいただきたいということを発言したわけですが、いまから先もそういう姿勢は崩さないでやってまいりたいと思っております。
  31. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これで終わります。
  32. 中川一郎

    中川委員長 江藤隆美君。
  33. 江藤隆美

    ○江藤委員 二つだけお尋ねします。  まず、大蔵大臣に伺いますが、運輸大臣は、二カ月なら何とかやっていけるが、後はどうにもならないということであります。大蔵大臣の御意見を承っておりますと、運賃値上げの見込みが立たぬ限りは、これは国民のお金でありますから、返すめどの立たないものは貸せないということであります。  そこで、二カ月というと八月一日実施ということでありますが、八月一日になっても運賃値上げの見込みが立たないときには、そのときも依然として、運輸大臣からいかなる協議があろうとも国鉄融資をすることはならないということでありましょうか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 国鉄労使の努力と、それから運輸省を中核とする政府全体の努力と、そしてまた本委員会を中心とする国会全体の御努力と相まちまして、どういう状態が期待できますか。私は、日本国会政府は、いま出てきたこの事態に対して、国民の期待にこたえた答えを必ず出していただけるのではないかと確信いたしますし、国鉄の労使もまたこれにこたえていただけるのではないかと考えております。  したがって、そういう一連の真剣な努力をうかがいまして、大蔵省としてどのように配慮をすべきかということを最終的に判断いたしたいと考えております。
  35. 江藤隆美

    ○江藤委員 そのことは、労使の協力ができる、国会国鉄再建について全面的にバックアップするということがあったならば、運賃の値上げはできなくても、運賃の値上げは先に延びたって金を貸すということですか。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 運賃の値上げばかりでなく、再建法案成立することを前提にいたしまして今日の国鉄の運営がなされておるわけでございますので、この二つのベースを外すわけにはまいりません。この二つのベースを用意することが何日おくれるかということを——すでにもう六月一日から予定されておるものが半カ月おくれておりますことは非常に残念でございますけれども、国鉄の総裁以下関係者は身を切る思いでおられることと思いますけれども、これが何日おくれるかということは、いま申しましたように、関係者全体の努力に支えられまして最小限度にとどめていただけるに違いないと私は思いますので、終局的に期待した結果が得られるものと思います。  お尋ねが二つのベースを外してまでということのお尋ねでございますれば、それは困ります。
  37. 江藤隆美

    ○江藤委員 二つの条件が満たされたならば国鉄に対して融資することはできるが、その二つとも、あるいは片一方でも外れたならば、それは大蔵省としては困るということですが、困るということはだめだというふうに受け取ってよろしいのでございますか。  ということは、高木総裁という大蔵省出身の有力な人が今度国鉄総裁になったわけですから、また何とかなるだろうという考え方が最近になると一部にあることも事実です。この人は大蔵省とツーツーだから、また金を借りてきて何とかつじつまを合わせるだろうという考え方がある。国鉄というのはいままでそういうことでやってきました。短期借り入れをやる、目先借り入れをやる、工事費を食う、そういうことでやってきたわけです。しかし、事今日に至ってみると、いま大蔵大臣がおっしゃるように、二つの要件が欠けるか、もしくは一方がだめになったならば、大蔵省としては貸せるのですか、貸せないのですか。それをお尋ねいたします。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 二つの要件が欠けるであろうなんていうことは私は予想していないのです。日本国会はこの二つの要件を必ず充足していただけるに違いないと思っております。不幸にしてこの要件の成立がすでに半月おくれておるということは非常に残念でございますが、関係者一同の御努力によりましてこのおくれを最小限度にとどめていただきたいと思っておりまして、その努力の充実することをいま私は注目いたしておるわけでございまして、その努力が十分でございますならば、大蔵省としては、自分の持っておる力を国鉄にかすことにやぶさかではないわけでございます。
  39. 江藤隆美

    ○江藤委員 今度のこの国鉄再建案をつくりますときには、六月一日の実施めどだったわけですが、そのときにも、六月一日がおくれると思っては案はつくれないし、国会には出せないわけです。継続審議にしたのも、なるべく早く通るという、八月一日というタイムリミットがありますから、それまでに通そうということでこれは継続審議にしたわけです。ですから、大蔵大臣考え方は、いやしくも政府側としてはそのような御答弁しかできないだろうと私は思うのですが、しかし、もう一回おくれているのに、官房長官お話を承っておると、臨時国会の召集のめどがまだ立っていないのです。そうすると八月一日というのは物理的に見てきわめて困難だということなんです。ですから、一回目が狂い二回目が狂ってきた今日において、八月一日実施の見込みが立たないということになったら、大蔵大臣はどうなさいましょうか。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 いま申し上げましたように、すでに半月おくれておるわけでございますけれども、このおくれを最小限度にとどめたい。そして、関係方面、国鉄労使はもとよりでございますけれども、そのようにみんながいませっかく心を砕いてくださっておるのではないかと思うわけでございます。私はそう確信しておるわけでございますので、江藤さんが心配されるような、本当にもう国鉄が動かなくなるとか、また、国鉄職員が非常に悲運な目に遭うというようなことについていま大変憂いを持たれておるわけでございますが、みんなの努力でまずまずそういうことはないのではないか、これはタイドオーバーしていかなければならないし、そういう努力がいま各方面になされておるのではないか、と思うのでございます。そして、そういうことを私は心から希求いたしております。
  41. 江藤隆美

    ○江藤委員 希求しておりましても、希求が外れたときはどうなさいますか。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、そういうことはいま考えたくないのです。一生懸命に外れないように努力を期待したいと思います。
  43. 江藤隆美

    ○江藤委員 大蔵大臣の御認識はちょっと間違っておると思うのです。まだ国鉄労使は協力していないのです。運賃値上げ反対とやっておるし、国会の中でも国鉄運賃値上げ絶対反対を唱えておる人たちもいるのです。まだ総意がそこまで来ていないのです。あくまで反対という人たちがいるのです。だから、そういう中でこれは過大な希求じゃないでしょうか。事今日に至りますと、希望的観測というものはもう許されないのです。官房長官政府は責任を大いに感ずるとおっしゃっているのですから、大蔵大臣が金を貸せ金を貸せと言われて貸せない立場になってひとり悪者になるというのはお気の毒だと私は思うのですけれども、金を持っておるところは大蔵省しかないわけでありますから、みんな何とかなるだろうと思っておるのです。大蔵大臣の方は、こっちの方が何とかなるだろう、二つの条件を満たすだろうと思っておるのですが、どっちもが何とかなるだろう何とかなるだろうでずるずるいったときにはどうにもならなくなるのです。美濃部さんがやったように、革新都政だって月給をおくらせたりボーナスをおくらせたりしているのだから国鉄もそれをやったらいいじゃないかと言えばそれまでのことかもしれませんが、そういうふうにはいかぬ。これは国鉄百年の歴史の中で初めてです。しかも、日本の近代史の中で、政府もしくは政府機関でボーナスを払えなかったというのは今回が初めてのことです。  ですから、事の重大さというものをよくよく認識しなければいかぬと私は思うから、仮定の問題であるかもしれませんけれども、どうしてもこれが国会の合意も得られなくて通らないときには大蔵大臣はやはり貸せないのですかということをお尋ねしておるわけです。もう一回お答えください。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、冒頭に申し上げましたように、二つの要件は外すわけにはまいりません。
  45. 江藤隆美

    ○江藤委員 最後にそれではお尋ねします。  二つの要件は外すわけにはいかないということを大蔵大臣はおっしゃいましたが、ということは、二つの要件が欠けたら貸せない、貸したくても貸せない、国民の税金だから貸せない、国民の金だから貸せないということだろうと私は思うのです。  そこで官房長官にお尋ねいたしますが、運輸大臣は二カ月おくれたらもうどうにもならないということでありますが、いつ臨時国会の召集を決断してお決めになるのでしょうか。臨時国会召集の時期はいつお決めになるのでしょうか。
  46. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま大蔵大臣の御答弁を私も伺っておりましたが、二つの条件ということをおっしゃっておられますが、この二つの条件が皆様なりあるいは国鉄関係の方々の努力で必ずや満たされるであろうという期待をしておる点は私も大蔵大臣と同感でございます。  そこで、政府といたしましては何とかこれのめどをつけなければならぬという苦心を払っておるわけでございまして、それには臨時国会めどをつけるということに相なるのでございましょうが、きょうこの席でいつ幾日と言うわけにはなかなかまいりかねますけれども、いまの御発言等を踏まえて、できるだけそういう方向へ努力をいたしたいと思います。
  47. 江藤隆美

    ○江藤委員 時間がありませんから、最後に御意見をもう一度聞いておきます。  期待しておってもどうにもならなくなってきておるのが今日の国会の状態であり、そして国鉄であります。そこで、私は思うのでありますが、沖繩かどこかへ行ったときに、総理大臣が、ロッキードが片づかないと臨時国会は召集できないというようなことを発言されたとかされぬとか聞いておりますが、ロッキード問題は政治の姿勢を正す問題でありますから、これは政府国会を通じて最も重要な問題であることには間違いないと私は思っております。しかし、きょう国会議員にも両院を通じて八億五千万円ボーナスが支払われるのです。官房長官以下、各大臣われわれを含めてボーナスをちょうだいする。しかし、国鉄職員はもらえないということです。ボーナスが生活給の一部であるとするならば、このことは国鉄四十三万の職員の生活にかかわることです。ロッキード問題は政治の姿勢にかかわることでありますが、しかし、ボーナスは今日の生活にかかっておることです。これを政府はそのままにしておくことはできないし、国会もこれを放置しておくことはできないというのが今日の姿勢であり、考え方でなければならぬと私は思うのです。ですから、政府が期待をするのであるならば、まずこれらの問題について国会議員が十分にその責めを果たし、政府が自分たち政府考え方国民の前に明らかにするべく臨時国会を一日も早く召集するということがいまの政治に与えられた重要なる使命以外の何ものでもないと私は思っているのです。それをやらないということは三木内閣の怠慢であると言われても仕方がない。  ロッキード問題は、仮に検察庁から要求されたならば、国会の許諾を堂々とやったらいいじゃありませんか。国会中であろうが何であろうが、そういう請求があったならばどんどん許諾をして、国会にいかがわしいものがあるとするならば、それは国会の責任において明らかにしていったらいいのです。あるいはまた、三木内閣がその責任を全うしようとするならば、三木内閣の延命とかいろいろなことを考えずに、少なくともいま与えられておる仕事、いま与えられておる使命を果たすために国会を一日も早く召集すべく官房長官はぜひ御努力を賜りたいと思う。きょうは総理大臣に御出席を願いたいと思っておったのですが、そういうわけにもまいりませんから官房長官に御出席をいただきましたが、同時に運輸大臣も重大なる決意を持ってこの難局に立ち向かっていただきたい。そのことをお願いいたします。  官房長官の決意のほどを承って質問を終わります。
  48. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 江藤さんの御意見はよく承りました。十分それを踏まえて対処いたしたいと思います。
  49. 江藤隆美

    ○江藤委員 官房長官努力をするということでありますから、総理ともよく御相談になり、そしてまた運輸大臣もよく閣内の各大臣の御協力をいただいて、一刻も早く臨時国会が召集されて重要案件を処理し、そして国鉄再建が緒につくように、ひとつ格段の御努力を賜りたいということを希望いたしまして、終わります。
  50. 中川一郎

  51. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官は時間の関係で先に退席されるそうでありますから先に御質問を申し上げたいと思うのですが、きょう私が質問する内容は、国鉄の当面の経営について質問をするわけであります。  いままで与党の三人の方からそれぞれお話がありましたし、お答えもありましたが、要約すると、当面の資金繰りというか、そういう問題と、法案成立の時期というか、臨時国会の召集と密接不可分の議論をされております。これはもちろん与党と閣僚席におられる皆さんの考えはそうかと思いますが、しかし、当面の資金繰りについてわれわれは一番心配しているんです。  いまお話のありました内容を聞いただけでも感ずるのですが、三木内閣は一体今後政権を担当する能力があるんだろうかという疑問が内外にあると思うのですね。そして、閣僚の中でもいろいろな思惑を秘めてそれぞれやっておられる。与党である自民党は、御承知のように責任政党とよく言っておられますが、いまや責任がとれない政党になっているんではないかと思うのです。そういうことからいきますと、三木内閣が今後政権を担当していくについては、これは大変むずかしい状態にあると思うのですが、そのむずかしい状態にある三木内閣が臨時国会をどうするかというようなことは恐らくできないんじゃないかと思う。あるいは臨時国会が召集されても、あなたらが積み残した重要法案と言われる法案がスムーズに通っていけるというふうにはだれも考えている者はないのですね。さっき、加藤委員でありましたか、はしなくも大体そういう見通しをお述べになりましたが、それが真実だと私は思うのです。  ついては、三木内閣としてはいかなる方針でこの政局を処理していくのか、その御所信のほどを内閣の大番頭としての官房長官からお答えをいただければ幸いだと思うのです。
  52. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいまは久保さんから政局問題にも関連した御発言がありましたが、これは私がこの席上でかれこれ申し上げることはむしろ差し控えさせていただきたいと思いますが、三木内閣に関しまして大変御心配をいただきましたけれども、この国鉄運賃法案を初めとして、前国会の積み残しの法案を処理しなければならぬということは、これは三木内閣の責任でございます。そして、また、国会の皆様方の御協力を得まする限りは、これをスムーズに通していただくことも私どもは深く期待をしておるところでございます。  三木内閣は決してそう御心配になるほどのことはない、健在であるということをこの際申し上げておきます。
  53. 久保三郎

    久保(三)委員 健在でないという話を御自分からなさるのはむずかしいことでありますからそうおっしゃるのですが、実際を言って、頼みとする与党の中から、何人か知りませんけれども、脱党していくという最悪の事態もいま起きているわけですね。そして、ここに御列席になっている閣僚の中でもいろいろと思惑を秘めて御発言をしている向きもある。こうなりますと、これから先の三木内閣の将来は、責任を感じておられるということですが、言葉では責任を感じていると言っているが、その責任を果たす能力はないんじゃないかというふうに私は思っているんです。でありますから、当面の責任ぐらいは果たしてもらいたいと思うんです。  そこで、いまそれぞれの皆さんからもお話があったし、私がお尋ねする当面の国鉄財政措置をどうされるかということですが、特に、問題になっています夏期手当の支給の問題ですね。この夏期手当の支給の問題については、大蔵大臣からお話があったように、国鉄大蔵省資金繰りのために借り入れを申し入れたし、あるいは運輸大臣もしたが、大蔵省はこれをまだオーケーしていないということなんですね。それじゃ運賃法が通る当てがあるかというと、これはいまのところ全然ないんですね。そういうものを担保にして引きずり出していくということは少しひきょうじゃないかと思うんですね。できもしないことを条件にしていま金を貸さぬとか貸すとかいう議論をすることは少し見当違いだと私は思うんですよ。  だから、ここは、もしも健在であるという官房長官の言明どおりの三木内閣ならば、当面の国鉄資金繰りぐらいは即刻決めるべきだと私は思うのですが、その用意はあるのですか。先ほどの話ではどうもあいまいでありまして、責任を感ずると言うだけでは困るので、もしもそういうことならば、閣内をコントロールしてきちっと整理してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 具体的な夏期手当の支払いという問題でございますが、これは当面責任を持っていらっしゃる運輸大臣と、それから財政をつかさどる大蔵大臣からそれぞれ御答弁があったわけでありますが、現在いろいろ苦心を払っていらっしゃるわけでございまして、そういう点は両大臣からもすでにお答えがあったはずでございます。  私といたしましても、総理ともども閣内を取りまとめるという責任を持っておるわけでありますから、いまおっしゃるような点は、両大臣とも十分御相談をいたしてまいりたいと存じます。
  55. 久保三郎

    久保(三)委員 両大臣と御相談されるのは結構でありますが、先ほど江藤委員からもお話があったように、夏期手当の支給が十五日にできない、きょうできないという、このいまだかつてない事態は、単に経済的な問題だけではなくて、国鉄の運営全体に関係し、あるいは国民生活に大きな支障が出るかもしらぬという心配があるわけですね。そうだとするなら、これは単に国鉄だけの、あるいは運輸省だけの大蔵省との折衝に任せればいいという問題ではないと私は思うんですね。むしろ、総理なら総理官房長官なら長官が中心となって閣内統一を一刻も早く図って措置すべき時期だと思うんですよ。  両大臣と御相談をいただくと言うが、いつ相談するのですか。国鉄職員はきょうのこの委員会の皆さんの答弁をやはり注目していると思うんですよ。答弁いかんによっては、彼らは彼らなりの考えをせざるを得なくなるかもしらぬという機運があると私は思うんですね。そういうことをわれわれは恐れるから、きょうは十五日でありますが、この委員会を開くことに同意しているんですよ。だから、その辺のことも考えないで、通り一遍の答弁をここですればいいんだということで、法案が通るような見込みがつけばいつでも金は貸しますとか、あるいは協力するという態勢ができればそれで結構ですとか、そういうようなことでこの場を逃れようと思っても、四十三万人の人間はそういうことでは承服しかねると思うのですね。どうでしょうか。いかなる方法でいつ御処理なさるつもりでありますか。御答弁いただきたいと思います。
  56. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま久保さんがおっしゃいましたような点は、まさに四十数万の国鉄職員の生活がかかっておるということも痛いくらいに実は痛感をしておる点でありまして、それゆえに苦心があるわけでございます。  そういう点はすでに両大臣からもお述べがあったことと思いますが、私どもも、これの責任を回避して通れるものではない、できるだけこれに対する努力を払いたい、こういうふうに思っておりますので、ひとつ御了承をちょうだいしたいわけであります。
  57. 久保三郎

    久保(三)委員 十五日というきょうの日は、これは猶予のできない日だと思っているわけなんですよ。きょうすっかりきちんと整理はできなくとも、ある程度のめどをつけなければ運営に支障を来たすであろうというふうに私どもは考えているのです。ただ努力をしますというような抽象的なことでは四十三万の職員は了解できないだろうと私は思うのです。  それから、もう一つは、先ほど来各大臣お話を聞いておりますと、臨時国会を早く開いて法案を早く通してくれればというようなことを条件にしておられるようでありますが、これはひきょうだと思うんですよ。それは、法案が通らなければ絶対にだめだということになりますね。あるいはめどがつかなければだめだということですね。これはボーナスを人質にとって法案を通過させようということでありましょう。しかし、私どもの見る目では、賛成反対は別にして、たとえば臨時国会を開いても、与党の力や政府の力でこの法案を通すことは不可能だろうと思っているのです。いまそこにお並びになっている皆さんも、大臣も、その不可能に近い法案が通ると思っている人は、今日の状況では恐らく一人もいないのじゃないかと思うのですよ。そういう前提で話をされたのでは、きょうというこの日の御発言としてはいただけないのです。  先の話は別として、当面の資金繰りはどうなさるのかということであります。努力されると言うが、どういうふうに努力されるのか、もう一言お答えいただきたいと思います。
  58. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この法案の通過その他、この価値判断といいましょうか、見通しといいましょうか、これは私は久保さんとは大分違いまして、いずれ早急に臨時国会を開きます暁には必ずお通しが願えるものだと考えておるわけであります。  そこで、当面をどうするかという問題でございますが、私は、両大臣とも御相談をいたしまして、何とかしてこれに対処いたし、久保さんのおっしゃるような御期待にもこたえなければならぬ、かように考えております。
  59. 久保三郎

    久保(三)委員 これ以上官房長官にお尋ねしても、大変言葉は悪いのでありますが、当事者能力を失いつつあるように思うのでむずかしいのかしれませんね。これは大変残念だと思う。しかし、長い目での話は別として、当面の問題ぐらいは処理して始末をつけるのが内閣の責任だろうと私は思っているのです。これはお任せできないのではないかと思うのでありますが、当面の問題ぐらいは処理するのが責任であろうということを申し上げておきたいと思うのです。  時間のようでありますから、官房長官は結構です。  そこで、大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵大臣は、いわゆる国鉄ばかりじゃなくて原則的なことをおっしゃったのですが、返済めどが立たない限りは貸しませんと言う。返す当てのないやつに貸すやつはないですから、なるほどこれは原則的には当然だと思うのです。ところが、後で二つの条件というお話がありましたが、改めてお聞きしますが、二つの条件というのは何と何でしょうか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 ことしは、御承知のように、国鉄再建につきまして法律案をしつらえて御審議をいただいております。それから、もう一つは、国鉄の運賃の大幅な改定をお願いいたしておるわけでございまして、この二つをベースといたしまして国鉄再建を図ろうというのが政府の方針でございます。したがって、この二つのベースを外すということになりますと政府国鉄政策の根底が崩れるわけでございますので、これはもう相談にならぬわけでございますので、この二つの要件は外すわけにはまいらないということを先ほどの御質問でお答えしたわけです。
  61. 久保三郎

    久保(三)委員 お言葉のとおり、提案されている二つの法律の改正案を政府としては土台にして再建案をおつくりになっていくのだから、それが土台だから、その土台を無視しては話にならぬということは、これは立場を変えてみれば一応そのとおりだと思うのですね。しかし、われわれは別な再建案を持っておりますから、これは同意するわけじゃありません。しかし、この法案がいつの時期にどういう形で処理されるかという問題はこれからの話であります。  先ほど官房長官にも申し上げたように、われわれの見通しとしてはこれは大変困難なことであろうというふうに思っているのですが、その問題は別として、いま当面の問題について、大蔵大臣としてはそういうベースを条件に当面の問題を処理するということは、あなたのおっしゃるとおりの方向で進むにしても、時間的にもこれはまだ予見されない問題でありますから、これを一緒にして考えられるところが、私が先ほど申し上げたように、この夏期手当を人質にとって法案の処理をしようという魂胆がどうもあるようにもとれるのでありますが、その辺のことはどういうふうにお考えでありますか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 夏期手当を人質にとって云々というような考え方ではなくて、政府としては、再建に関する法律と運賃の改正の法律を早期に仕上げたい、そして国鉄再建を安定したベースに乗せたいということでございます。もしそうでないと国鉄についての政策が進まないわけでございます。これがもとなんでございます。  そして、たまたま仰せのようにボーナス支給問題が起きたわけでございまして、普通でございますならばボーナスの問題なんというものは問題にならないわけでございますけれども、ことしは大変厳しい状況でございまして、国鉄の金繰りから申しましてボーナス支給する金が用意できない。用意ができなくても、従来でございますならば短期融資でもってそういったことは支弁ができたわけでございますが、それは年度内に返済が可能であるということでございましたから従来は難なく処理ができたわけでございますけれども、ことしはこういう二つのベースの据えようとする政府の政策がまだ地についていないということと相絡みまして、この単なる資金繰りの問題も、いま融通申し上げて、このままの姿で果たして返済の展望が持てるかというと、必ずしもそうではないということでございまして、二つの要件が満たされるということがどうしても基本の要請になってまいるということは久保さんも御理解がいただけると思います。  あなたの場合は立場は違うという仰せでございますけれども、政府立場に立っていただけますならばそれは御理解がいただけるのではないかと思うのでございます。したがいまして、政府が御相談申し上げておるこの二つの法律を早期に仕上げていただくという中でたまたま出てまいりましたボーナス支給問題も解決できる状況に持っていきたいものだと思っておるわけでございまして、そのためには臨時国会の問題も出ておるわけでございますけれども、何かそこに展望が持てないものかということで、せっかく関係者の間でいま鋭意検討が行われておるわけでございます。  さればこそ運輸大臣からも私に対して正式の御協議をまだいただいていないわけでございまして、運輸大臣におかれても、国鉄総裁におかれても、こういう状況でいよいよ私の方へ問題を持ち出してまいるにつきましては、そういう状況をよく整理されて持ち出してこられるのではないかと思っておりますが、私の方にはまだお持ち出しがないわけでございます。いま鋭意お考えになられておる最中であろうと思います。
  63. 久保三郎

    久保(三)委員 理屈をこねるわけじゃありませんですが、いま最後に大蔵大臣運輸大臣からまだ正式に問題の提起がありませんという話でしたが、そうだとするならば、これは話はちょっと別ですが、前段の話からいくと、正式な話を持ち込めば、これは当然大蔵大臣としての責任もあるわけですね。予算を調理する際に運輸大臣との間で協議をして調整しているわけですから、そして、閣議の承認を求めて国会に出してきた予算でありますから、この予算の変動についても当然大蔵大臣として責任があるわけですね。  特に、当面の資金繰りについては私も不思議に思うのですが、法案が通らぬから、通らぬうちは正式に大蔵省に何も問題を持っていかぬで、非公式にばかり話をしているのかなという感じをいまのお話で聞いたのですが、国鉄法によりますれば、四半期ごとの資金計画をその四半期に入る前に決めて、大蔵大臣というか、関係の向きにこれは提出することになっていますね。そういうものもやっていないのかなという感じをしているのです。  しかも、もう一つは、この法案はいまだに通っていませんから、通る時期はいつかわかりません。そうなりますというと、先ほどもお話がありましたように、すでに議決されている予算には歳入欠陥が出ているわけですね。これはこれから法案が通っても欠陥は欠陥のままでいるわけですから、取り返しがつくわけじゃありません。取り返しがつかない。そうだとするならば、当然これは補正という手段に出でざるを得ないんじゃないですか。それは補正を組むかどうかはもちろんこれからのことでありますが、当面資金繰りでどうやっていくかということは当然政府の責任でもあろうかと私は思うんですね。  そういう資金繰りについて、これは運輸大臣にお尋ねしましょう。これは先ほどもお話を聞きましたから、余り長い御答弁は要りませんから簡単にお答えいただきたいのでありますが、大蔵大臣お話だと、この資金繰り等を中心にした問題をいまだ正式に大蔵省にあなたは持ち込んでいないそうでありますが、何か思惑があって持ち込まないのですか。
  64. 木村睦男

    木村国務大臣 形式的なお話を申し上げればいま大蔵大臣からのお話のとおりでございますが、私が大蔵大臣に正式に御相談申し上げるときには、その見通しが立つという確信がないと、私も責任上正式にお話をするわけにいかないということでございます。私としては、返す目当てのない借金を申し込むということはたてまえ上できないわけでございます。  そこで、正式に申し込みますまでに何とか返せる見通しの立つ背景はつくれぬものであろうかということで、国鉄とも、また、事実上は大蔵省の事務当局ともいろいろの相談はいたしておるわけでございます。
  65. 久保三郎

    久保(三)委員 先ほどの大蔵大臣お話の結論はいろいろ言われているけれども、まだ運輸大臣から正式に問題を持ってきてもらっておりませんと言う。これは持っていくのが順序のようですね。これはどういうことで見通しが立たないのかというと、事務レベルで見通しが立たないという意味だろうと思うんですね。そうだとすれば、もはや、この問題は、じんぜん日を送れば送るほど問題としてはむずかしくなってくるのだから、政府の責任で、政治レベルで、閣僚間での話で——先ほど私は官房長官にも強く申しましたが、官房長官の手をかりるまでもなく、あなたと大蔵大臣の正式な話に持っていって解決すべき時期だと私は考えていますが、その用意はありますか。
  66. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄も、公共企業体ではありますが、政府と一体でございます。したがって、きょう支給する予定になっておりますボーナスがきょう支給できないということは私としても非常な責任を感じておるわけでございます。  きょう支給できないということは、遺憾ながら事実上できないわけでございますが、せめて今月中には支給できるように何とか方途を講じて正式に大蔵大臣とも折衝をしよう、かように考えて目下努力をいたしておるところでございます。
  67. 久保三郎

    久保(三)委員 大蔵大臣、いまの運輸大臣の話もありますので、これは早急に両大臣の間の話で、あるいはその必要があれば別な閣僚も入れて決められることが一番大事な点だと思っています。そして、その後で長期的な展望に立った再建はどうするかという問題を考える。法案継続審議中でありますから、これはその立場で物事を考えていくのが公平な見方だと私は思うのですよ。法案の行く末を見ながらどうするというようなことを判断するということは、私がいままでくどくどしく申し上げたように、これは詭弁に通ずるのではないかというふうに思うのです。  当面の処置として、いま運輸大臣が話を持っていくそうでありますから、早急に相談に乗ってこれを処理されるようにお願いしたいと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  68. 大平正芳

    大平国務大臣 正式に御協議運輸大臣からございました上で、篤と考慮をしてみたいと思います。
  69. 久保三郎

    久保(三)委員 篤と考慮したいということでありますが、篤と考慮したいというのはどういう程度のものかわかりませんが、これ以上のことはここで弁明はできないかもしれませんね。  ただ、運輸大臣にもう一遍お尋ねしますが、いまの大蔵大臣の篤と考慮していきたいということは早く実現する必要がある。大蔵大臣もどこか旅に出るそうでありますが、旅に出る前に片をつけるのが筋だと私は思うのですが、あなたはどういうめどをつけておりますか。
  70. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど申しましたように、私といたしましては、今月中には支給できるように万全の手配と努力をいたすつもりで現在続けております。
  71. 久保三郎

    久保(三)委員 労働大臣にもお話を承りたかったのですが、時間でありますのでただ一言申し上げておきますが、労働大臣法案のことは余り——閣僚ですからこれは関係ないとは言いませんけれども、当面の問題の処理を閣内でも十分努力していただきたいと私は思っております。  以上です。
  72. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、これは勤労者の月給の中に入っているものでもありますし、またこういうことが冬のボーナスにも起こらないように、非常に御理解のある久保さんでございますから、ひとつ万々国会の方をお願いいたします。
  73. 中川一郎

    中川委員長 河村勝君。
  74. 河村勝

    ○河村委員 大蔵大臣は時間の都合がおありだそうですから、二点だけ伺います。  大蔵大臣、先ほどからあなたは二つの法案の通過のめどがつかなければ金を貸すことができないとおっしゃって、そして、その通過のめどということについては、とにかく臨時国会が開かれるというめどが一応つかなければならないというようなことをおっしゃっておりますが、この夏期手当についてそういう状況がつくられるというのは、それは非常な間違いだと私は思う。  そこで、二つの点についてあなたにお尋ねをしたいが、一つは、先ほどから言われているように、この夏の手当というものは月給の一部であります。三月期の業績手当ということであれば、これは業績がよい場合と悪い場合とで減額されたりふえたりすることがあり得るわけですが、ところがこの夏期手当については、これはもう完全に確定したものですね。完全に給料の一部です。もし、それでも、国鉄財政がここまで落ち込んでしまったのが、まるきり国鉄だけの原因で破産状態になったというのならまだ少しの理屈はあるかもしれないけれども、しかし、国鉄がここまで来てしまったのは国鉄の責任も大きいでしょうが、実際には、それ以上に、ここまで破産状態になるまで国が有効な手を打たなかった。本当に重病にかかっているのに、いままで何回か行われた政府の施策も、結局、肺炎にかかっているのに熱さましを飲ませる程度のことしかやっておらなかったと、いうところに大きな原因があるのですね。だから、それを国鉄の労使の責任に帰して、これを大きな財源問題にひっかけて払わないというのはそもそも間違いだと私は思う。     〔委員長退席増岡委員長代理着席〕  大蔵大臣は、国鉄財政がここまで来てしまったのは国鉄だけの責任だと一体お考えになっているのかどうか、それをまず伺います。
  75. 大平正芳

    大平国務大臣 国鉄財政が今日の状況に立ち至ったことにつきましては、ひとり国鉄だけの責任に帰して、政府が恬然としておられる性質のものとは私は考えておりません。そうは考えておりませんけれども、今度の金繰り問題につきましては、大蔵省大蔵省立場がございますことは河村さんも御承知のとおりであります。
  76. 河村勝

    ○河村委員 しかし、国家公務員については、この夏期手当はきょう支払われているわけですね。それで、財源のめどがつかないということであるならば、財政特例法も同様にめどはついておりませんね。財政特例法による三兆五千億の赤字公債の発行のめどがまだついておらない。そうであれば、公務員の手当も同様にめどがつかなければ払えないというならまだ公平かもしれないが、そっちの方はお払いになっており、こっちは国における重大なる責任をお認めになっているにもかかわらず払わない。それで、これを取引の道具に使おうというのは少しおかしいのじゃありませんか。それは理屈に合わないと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどからも御答弁申し上げておりますように、この問題につきましては、国鉄が外部から債務を負担しようという場合は運輸大臣認可が要る、運輸大臣大蔵大臣協議の必要があるというのが国鉄法のたてまえだと承知いたしておりますが、その問題についての協議がまだないわけなんです。でございますから、あなたの言うことにつきましては、私が大変詰問をされているようでございますけれども、私はまだそれに対してお答えをする立場にいまないわけなんでございまして、先ほどから申し上げておるのは、ただ原則的な大蔵省立場を私は申し上げたわけです。  大蔵省の原則的な立場は、郵便貯金等を管理、運用いたしておる立場から申しますと、返済めどが明らかでない場合におきましては軽々にお金を貸すというようなことはできないという立場にございますということは、これはあなたも否定されないだろうと思います。
  78. 河村勝

    ○河村委員 ああ、そうですか。それでは、正式に協議がないからまだ答弁の限りではないと言うのですが、しかし、財政特例法案というものが通らないにもかかわらず一般公務員には夏期手当を払っておる。その理屈で言えば、まだ国鉄法その他が通るめどがつかなくとも国鉄職員に対して夏期手当を払うのも同じ理屈になる。であれば、運輸大臣からの協議があれば当然支払うことに相なるという理屈になろうかと思いますが、大体そういうことに了解してよろしいのですか。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 もし正式の御協議があったといたしますと、私が先ほど申しました原則的な立場大蔵省が立つわけでございますので、国鉄におかれて年度内に返済めどがどうなりますかということにつきまして、私といたしましては、これを解明した上で許諾を決めたいと考えております。
  80. 河村勝

    ○河村委員 臨時国会が開けるか開けないかということはロッキード問題の絡みもありますけれども、これは主として政府・与党内部の問題ですね。ですから、それを条件に使うというのにはもともと矛盾があるわけでありますけれども、しかし、いずれにせよ、中身は別として、政府としてはとにかく少なくともこれを通さなければならぬ。また、通すという確信をお持ちなのだろうと思うのです。  そうであれば、運輸省と大蔵省との間で、仮に九月まで延びれば千五百億、十二月に延びれば三千億という資金の手当てをどうするかというような相談というものは常識的に見て当然あってしかるべきだ。もし臨時国会がはっきり決まっておればよろしいけれども、現在の政情においてはそうはっきりしためどがつかないということはもう隠れもない事実なのですから、おくれる場合を予定しての資金繰りというものを事前につくらないという、そういう無責任なやり方というものはないはずだと私は思うが、運輸大臣、あなたはそういう相談も大蔵省とはやっていないのですか。
  81. 木村睦男

    木村国務大臣 まず、ボーナスの問題でございますが、これは形式的に言いますといま大蔵大臣お話しのとおりでございまして、運輸大臣へも国鉄からまだ認可の申請がないというのでございますが、これは形式論でございまして、私といたしましては、それは別として、実際に短期借り入れができるようにその背景をつくろうと思って努力をいたしておるところでございます。  さらに、二カ月、三カ月、四カ月と延びた場合の国鉄やりくり資金繰りを考えてはいないのかということでございますが、先ほど来から申し上げておりますように、私としては、各方面への影響なり何なりということは、二カ月の間なら最小限度に切り詰めて何とかしのぎ得ると思っておりますが、二カ月を越しますとそうもいかなくなるということでございますので、今日の段階では、一日も早く関係法案成立することを期待し、また、成立するように政府部内においても臨時国会の早期召集等についてお願いをしておるところでございまして、三カ月になったら、あるいは四カ月になったら、そのときの資金繰りはどうするかということをいまの段階で私はまだ考えておらないのでございます。  もちろん、国鉄当局あたりは先々のことを心配していろいろと案は考えておるようでございますが、いまはただ一日も早く再建関係法案成立のための臨時国会の召集をやってもらいたい、そして、開かれればできるだけ早く成立にこぎつけていただきたい、こういうお願いをしており、努力をいたしておるところでございます。  きょう、閉会中にもこの法案をこうして御審議いただいておることも非常にありがたいと私は思いますし、これがやはり促進の一つの大きなてこになる、と、かように私は考えておるところでございます。
  82. 河村勝

    ○河村委員 先ほどから大蔵大臣はまだ正式に協議を受けていないということを言っているわけですね。それで、同時に、一般公務員には財政特例法案成立めどがつかないのに払っておるのに、国鉄に対して払わぬという理屈は通らぬじゃないかという私の言うことに対しては、そうではないとは言っておられないんだ。肯定もしなかったが、とにかく、それに対する反論は少なくともしていないが、あなたはその点はどう思いますか。  国家公務員は、まだ財政特例法案めどもつかないのにちゃんと払われている。国鉄はこの二法案が通らなければ払ってもらえない。これは不公平でしょう。不公平だと思ったら、堂々と協議をしてしかるべきじゃないですか。
  83. 木村睦男

    木村国務大臣 これは大蔵大臣が答弁なさることで、私はその担当ではありませんからあるいは違っておるかもしれませんが、要するに、大蔵省としても、資金繰りの面で、一般公務員にはこの機会に予定どおりボーナスが払えるということでお払いになっておられることだと思います。同じように、国鉄におきましても、国鉄内部の資金繰りでそれだけの金を何とかかき集めることができますれば、それでもってボーナスを払うという工夫ができるわけでございますが、国鉄の場合にはそれすらできないということでございますので、どうしても政府から金を借りなければいけないというところが違っておるんではないかと思います。  しかし、同じく国と一体であります国鉄職員にきょうボーナスが払えないということは私も非常に残念に考えており、また、責任も十分痛感しておりますので、できるだけ早い機会に支払えるように私も努力をいたしておるところでございます。
  84. 河村勝

    ○河村委員 労働大臣一つだけお伺いします。  これは夏期手当の問題とは離れますが、やがて臨時国会が開かれますとすぐ問題になる仲裁裁定ですが、これもやはり取引条件つきですか。二法案が通らなければ通さないとか、あるいは否認の議決をするというような、そういう条件つきでやろうというお考えを持っておるのですか。
  85. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 仲裁裁定につきましては、御承知のように、出たものは労使ともどもにこれは拘束するわけであります。そこで、政府は、そういう裁定に基づいて実施されるようにできる限りの努力をしなければならぬということをはっきり書いてあるわけであります。しかし、予算上実施不可能な仲裁裁定実施については、公労法十六条の定めるところによって、国会の承認を得なければならぬということになっておりますので、その条件がかれこれという問題よりも、法律上の本質論をここで御答弁申し上げて御理解を得たいと思います。
  86. 河村勝

    ○河村委員 法律の中身をあなたから御説明いただかなくとも、それは百も承知であります。この夏期手当のような当然支払われるべきものまで何か国会の駆け引きの道具にしようというような精神であれば、仲裁裁定になればなおさらそういう懸念がある。だからお伺いしているのです。  法律解釈ではなくて、どういう態度で臨むつもりであるかという、そのことを伺っておるのです。
  87. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 従来ともに完全実施はしておりますから、完全実施をしてもらいたい、その場合に、国会の承認案件である、その場合の国会の方々の御意向というものが重大に反映する、こういうことです。
  88. 河村勝

    ○河村委員 それなら結構ですが、その仲裁裁定というのは、私から申し上げるまでもなく、これをもしじゅうりんするようなことがあれば——それはいま国労、動労が違法ストライキをやっていて、われわれもなすべからざるものだというふうに批判をしていますが、だけれども仲裁裁定というのは、簡単に言えば、公労法でスト権を禁止しておることの見返りですね。だから、いかなる理由があってももしこれをじゅうりんするようなことがあれば、今度こそは違法ストライキを責める資格を政府はみずから失うことになるのですよ。これだけは明確に申し上げておきます。  きょうは時間がありませんから、これでやめます。      ————◇—————
  89. 増岡博之

    増岡委員長代理 日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。紺野与次郎君。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 国鉄ボーナス問題を、やはり国政一般として質問したいと思います。  第一番に、いままでいろいろの発言を聞き、答弁を聞いていても、実際には、どちらかというと、明らかにボーナスを出さないために綱引きをしている。それぞれの理屈がそういうふうに組み立てられていると思います。これはどうしても改めてもらわなければならないと思いますが、第一番に、木村運輸大臣大蔵大臣に対してボーナス資金借り入れを交渉するということをまだ正式にやっておらないということが明らかになりましたけれども、これはやはりあなた自身がこの点については一種のサボタージュをしているのだと思うのです。  やるべきことをなぜやらないかという点については、いままでにも何遍もボーナス支給等について借り入れをしてやってきているという実績があるわけですから、直ちに大蔵大臣に対して率直にこの問題についての話し合いをするということをやるべきだと思うのですね。この点が第一です。それを改めてもらわなければ事態が改善しない。  それから、運賃値上げ法案関係づけをさせてみずから問題をむずかしくしていると思いますけれども、この問題はボーナス問題の独自の問題であって、これはこれとして解決をするというように切り離してやるべきであると思うのです。そして、国鉄財政再建の問題については、これは別の大きな問題でありますから、四十三万の国鉄労働者に対してすぐこれを支給し、当面の緊急問題を解決しておくということがさしあたって第一番に必要だと思うのです。この点について、あなたはやるべき努力をしておらない、問題をむずかしくしている、紛糾させているんじゃないか、このように思うのですが、この点はどうですか。
  91. 木村睦男

    木村国務大臣 ボーナスの支払いと国鉄再建が別の問題だと言われますけれども、私はそう考えていないのでございます。国鉄財政再建は、国鉄収入、支出に直接つながる基本的な問題でございます。ボーナスの支払いも国鉄経費の支出になるわけでございますので、これは最も深い関係にあるわけでございます。したがって、私たちが国鉄再建法案の早期成立ということを一生懸命に訴えておりますのは、ボーナスをその人質にとってやろうという意味では毛頭ございません。この国鉄再建法案成立し、ないしは成立めどがつくということがなければ、いまの毎日の国鉄の台所はすでに赤字でございますので、しぼろうにも金が出ないわけでございますから、したがってボーナス資金も出ないのです。そういう点で一番関係が深いわけでございますので、そういう考えで、法案ができるだけ早い機会に成立いたしますように、そのためには臨時国会を早く召集していただきたいということをお願い申し上げ努力をいたしておるところでございます。  また、大蔵大臣にまだ協議していないではないかということでございますが、いままででも国鉄予算の中には短期借り入れの枠は常にあるわけでございます。そして、いままでもいろいろな資金繰りの必要があるときには借りてまいってきておるわけでございます。しかし、それは常に返還の計画なり返還のめどが立っておるということで大蔵省から短期借り入れをしておるわけでございます。ところが、今回のボーナスの支払いに必要な資金大蔵省から借りなければなりませんが、借りるための返還の見通しが立たない。こうこうこういう時期にこういう事情でこれだけの金は返還できますというめどが立たないので、実は、現在苦慮をいたしておるところでございます。  したがって、これは五十一年度の国鉄財政に最も緊密な関係のある問題でございますので、この再建法案成立めど等につきましても、やはり一応のめどを持ちませんと、めどなしに、返還の計画も何もなしに大蔵省に正式に資金融資をやってくれということが言えないという状況でございますので、この問題と現在取り組んで、できるだけ早くボーナス支給できるところへ持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 国鉄には四十三万人の労働者もいるし、また、いろいろな設備投資によって五兆四千二百四十二億円の資産があるわけですね。でありますから、この労働者の四十三万の方々が本当に働いている限り、そしてこれだけの設備がある限り、返済ができないなんというようなことはあり得ないことなんです。そして、また、それは短期、長期といろんなじぐざぐがあるにしても、基本的にこれだけの資産があり、労働者がいるのであって、この中で働くことを保障しさえすれば、わずか一千三百八十一億円の金を返せないなんというようなことはあり得ないことであって、これに対して口実を設けてこれとひっかけているというところにあなたが事をむずかしくしている大きな原因があると思います。この点については、ボーナスというものが労働者にとって、毎日の労働にとって、国鉄の運営を安全に遂行していく上でどれほど重要であるかということについて、これ自体の独自の重要性をもっと考えるべきだと私は思うのです。  特に、労働者の場合は、ボーナスというものは毎日の労働力をいわば再びよみがえらせるものだ、再生産するものだと言われております。労働力の再生産を毎日毎日やっていく賃金のほかに夏期及び冬期においてボーナスを必要とするというのは、臨時の支出とか、不時の支出とか、あるいは病気とか、その他低賃金から来る借金とか、こういったいろいろのものを定期的に解消することによって生きがいのある生活を取り戻し、労働に対する意欲が高まるということにもなるわけで、家族全体もまたそのことによって大きな安心と活力を持つようになります。このことは、ちょうど新幹線が定期的に検査を受けるために工場に入ると同じです。生身の体でもそうなんです。ですから、そういう点で、四十三万の交通労働者に安全に働いてもらうということにこれはすべての中心があるのでありまして、これに対する保障をするために、どんなことがあっても優先的にこれを支給するということがこれからの再建の最も重要な点であるが、この点をほとんど無視した形で論議が進められているというところに大きな間違いがあると私は思うのです。  そういう点で、これはちょうど労働者の一つの法則的なリズム的なものであって、毎月の賃金とボーナスというものが国鉄の安全な労働の保障としてやはりどうしても必要であるが、どんなことがあっても優先的にこれをやらなければいかぬという点についてはあなたはどう考えますか。そのことの重要性についてまずお聞きしたいと思うのです。
  93. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄には五兆を超える資産があるから、それで金がつくれぬわけはないではないかというお話でございますが、国鉄財政の内容を少しくお調べいただければ、この意味もおわかりと思います。なるほど資産は五兆九千億ぐらいございますが、長期の負債が七兆円あるのです。したがって、担保価値はもう全然ないわけでございますので、これを使って金をつくれとおっしゃっても、これは常識上無理であるということはおわかりであろうと思います。  それから、ボーナスの重要性ということを私は毫も否定をいたしておるわけではございません。いまやボーナスは、そのボーナスという文字とは違いまして、勤める人の給与の一部として生活を支えておるということに変わりはございません。ですからこそ何とか早く支給できるように努力いたしたいということで努力をしてまいっておるところでございます。
  94. 紺野与次郎

    ○紺野委員 五兆数千億の資産があるということは、それでもってすぐどうせよということではないけれども、しかし、それだけの施設があるのだから労働を保障して、働く労働者が賃金を、つまりボーナスを得て当面の生活不安を解消して働くならば、いろいろな解決の方法についてはわれわれもちゃんと方針を持っております。約七兆円の長期債務についても、これをどういうふうにするかということについてはわれわれも明白な方向があります。そういうことは明瞭なことであって、これを土台としてやっていくならば、わずか一千数百億の金を運転資金として短期の金繰りをすることを不可能にすることはない。これは何をおいてもまずボーナスを出すことによって労働者の生活を保障するということがすべての再建の土台だということで、大蔵省と率直に話し合うということがいまの場合には一番実際的でもあり、重要なことだと思うのです。この点については大蔵省の方でも正式にあなたの申し出を待っておるということを言っておるのですね。ですから、直ちにこのことはやるべきことだと思うのです。  そして、特に大蔵省の方としては、あの二つの問題についてこだわり過ぎているわけですね。返せないんじゃないかとか、法案が通過する見通しがなければだめだとか、こういうことを言っておりますけれども、それも絶対の条件というふうにすることは問題だと私は思うのです。特に、この点について大蔵省は意地を張って事を誤ったことが何遍かあると私は思うのです。その一つといたしましては、最近、あの田中金脈の問題のときにも、守秘義務だとか言って結局田中金脈問題というものをあいまいにしてしまった。それから、また、昭和四十七年十月七日の国防会議においても、やはり大蔵省の官僚の方が、決定で、今日のロッキード事件の問題を引き起こすような一つのあやまちを起こしていると思うのです。  こういう点から見て、いまのような重要な国鉄問題の場合に、さしあたって必要な資金郵便貯金その他を管理している資金運用部資金から出して、そして当面の短期資金としてもボーナスをやるだけの措置をとるということがどうしても必要だと私は思うのです。それに対してあくまでも二つの条件ということでこれを言い張ることは、事態をかえって混乱させむずかしくしているということだと思うのです。  大蔵省の方の考え方としては、あくまでもあの二つの条件をがんばってやるつもりか、それとも運輸大臣の方からそういう申し出があれば短期のそういう資金繰りに応ずるというような弾力的な態度をとる余地があるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  95. 原徹

    ○原説明員 理財局の次長の原でございますが、資金運用部を担当しております関係から申しますと、まず、大臣が申されましたように、返す当てがないじゃないかという問題がございます。  ことしの予算は、法案成立を前提に、六月から値上げができるということが前提になってすべての資金計画が出ておるわけでございます。それで、ただいま、一月おくれますと五百三十億円ずつの穴がこれは永久にあいてしまうわけでございます。そうすると、年度を通じての全体の資金収支というものはそれだけ穴があく。穴があいたものについて、いまお金を貸しても、それは年度末に返ってこないと考える方が普通なんで、返ってくると考えるのがおかしいわけでございます。そうすると、返ってこないとどういうことになるかと申しますと、私どもはことし、国鉄ばかりじゃなく、財投計画をいろいろつくっておりますけれども、たとえば住宅金融公庫やその他の方の金を節約して国鉄に回さなければならないというようなことになりかねないわけでございます。そういうことは絶対回避しなければならないということで、私どもはそれじゃその資金収支の計画を合わせるのにどうすればいいかということは、一つは確かにその節約の問題がございます。  国鉄は、二カ月分だったらまあ何とか節約できるのじゃないか、そういうことで収支を合わせたいということを言っておるわけでございますけれども、いまその法案めどがつかないために、一体これが二カ月で済むのかどうかわからないような状態になっているというところに非常に問題があるわけでございますから、私どもとしてもできるだけ早いところ法案成立めどがつくようにということで言っているわけでございます。
  96. 紺野与次郎

    ○紺野委員 運輸大臣に対しては、とにかく、これからの国鉄再建法案については、いろいろの方法によってこれを打開することは可能なわけでありますから、そういうことはまた国会の別の審議の問題として、一応それと切り離して、ボーナス問題は短期資金を何とか大蔵省との間で交渉して至急に支給することを要求いたしておきます。  この点について、六月中にもそういう申し出を大蔵省に正式にやるということについて、先ほども話がありましたけれども、これは確言して実行できますか。その点を最後にお聞きしておきます。
  97. 木村睦男

    木村国務大臣 前々から他の委員の方の御質問にお答え申し上げておりますように、何とか早く支給できるように努力をいたしたい、かように考えております。
  98. 増岡博之

    増岡委員長代理 松本忠助君。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、日本国有鉄道経営に関する件について若干の質疑をいたします。  夏のボーナスは、これはいわゆる給与の一部であるというような認識は私どもも持っておるわけでございます。そういう面から考えましたときに、きょうは夏のボーナス支給日として、国家公務員も地方公務員も、また二公社五現業の人たちも待望の一日でございます。この日を待っている人たちの中において国鉄だけが支給できないという事態が起きてきたわけでございまして、四十三万の国鉄従業員諸君にしてみれば、実に気の毒という以外にないわけでございます。こういう事態が発生したことについては、先ほど加藤委員質問に対して官房長官は責任を感ずるというふうに言われましたが、私もそれは当然のことだと思うわけでございます。  そこで、大蔵省の政務次官、また労働省担当者、そして国鉄総裁という方々はどのようにこの点に対して考えていらっしゃるのか、簡単にお答えを願いたいわけであります。
  100. 唐沢俊二郎

    ○唐沢説明員 運輸行政に詳しい松本先生から、国鉄の基本的な問題についていまお話がありましたが、国鉄職員の皆さんは重要な仕事をしておられ、さらに、非常に危険度もあり、緊張度も高く、時間も非常にまちまちである仕事に鋭意努力されておることは私もよく存じております。また、その国鉄の皆さんに今後も正確かつ安全に運行していただいて、さらに国民に対して十分なサービスをしていただけるよう、政府としてももちろん努力してまいらなければならないと思うわけでございます。  実は、ただいまお話のございました官房長官の御発言のときに私はおりませんでしたので、どういう意味でそういうことを発言されましたか、詳細につきましては事務当局から答弁をいたさせたいと考えております。
  101. 高木文雄

    高木説明員 ボーナス支給しなければならないということについての第一次責任は私にあるわけでございますので、まず、その点についてはきわめて重要なことであると考えております。  ただ、問題は、払わないと言っているわけではないわけでございまして、金がないと言っているわけでございます。そこで、金を借りたいと思いますけれども、返す当てのない金は貸せないということで、これが現実の問題でございます。それもそれなりに理由があることでございますので、官房長官には繰り返し国会を早く開いていただきたいということを私としてはお願いをいたすのが精いっぱいでございまして、官房長官も先ほどもお言葉もございましたが、なるべく早く開きたいということであります。ただ、御答弁にありましたように、諸般の事情があるからいますぐ返事をすることはできないとおっしゃっておるわけでございまして、私もそれで苦慮をいたしているわけでございますが、とにかくこれは支払いをいたしませんといけません。そうでないと健全な運営ができないと思っておりますので、これからも鋭意努力を続けたいと思います。
  102. 細野正

    ○細野説明員 先ほど運輸大臣から早急な解決について御努力中だというお話がございましたが、労働省といたしましてもその線で解決されることを期待しているわけでございます。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、政府国鉄は一体であるというような意味の御答弁が先ほどございましたが、そういう点から、運輸大臣国鉄ボーナス支給できないというこの事態に対しては責任をお感じになっていらっしゃると思うわけでございます。しかし、いろいろといまの話の詰めをやっておりますと、国鉄の二法案が通過しない限り支給できないんだというようなことがどうも出てまいります。  国鉄法案成立しない限り支給ができないというお考えがあるようでございますが、われわれとしても、国民の生活を守るという立場からこの値上げ法案に対しては簡単に賛成するわけにはまいりませんし、したがいまして私どもは反対の意向を強く表明しておりますし、七十七国会の本会議におきましても私どもは法案の撤回を求めております。しかも、臨時国会の召集等の問題が出てまいりました今日、電電を含めて、これらの値上げ法案財政特例法案等の通過を図るための臨時国会の召集については許すことはできないという態度をわが党としては持っているわけでございます。  したがいまして、この法案が通らなければボーナス支給しないということは、この法案を人質にして通過を図ろうとしているような魂胆があるように私どもには思われるわけでございますが、大臣としてはどのようにお考えなのか、その点を明確にお答えを願いたいと思うわけであります。
  104. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄現状を見ました場合に、思い切った再建方法を早急に立てませんともとが壊れてしまうわけでございます。その再建のために必要な運賃値上げと過去債務のたな上げに対する補助金等を含めました再建法案の御審議をいただいておるわけでございまして、これは政府国鉄再建には責任を持っておるわけでございますので、政府がこのような方法再建をいたしたいということで法案の御審議をお願いしておるわけでございます。  いろいろと反対の御意見等もございますけれども、この法案成立にはぜひ御協力をいただきまして、国鉄財政現状についてもいろいろと分析御検討を賜りたいと思っておるわけでございます。これがやはり国鉄財政再建の基本になるわけでございますから、したがって、当面国鉄ボーナス資金の捻出をどうするかという問題もどうしてもこれと関連があることはしばしばいままで御答弁申し上げたとおりでございます。  運輸大臣といたしましては、この再建関係法案が必ず成立するという自信を私なりに持ちませんと、返還のめどのない借金を申し出るというふうな非常識なこともできませんし、そういうことから、この法案を確実に通過、成立させていただけるという確信を持つに至りたいわけでございます。そのためにいろいろと国会の方にもお願いをし、政府としても努力を要請しておるところでございます。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、それでは、この国鉄法案審議の問題につきまして、なぜ通常国会の会期末において延長してまでも通過を図ろうとしなかったのか。また、いま大蔵政務次官がここに御出席でありますけれども、大蔵省としても財政特例法案成立には非常な熱意を示していたわけで、それができないということになれば重大な決意をすると大蔵大臣はしばしば述べられていたけれども、依然としていまそのままの状態でいるわけでございまして、あの国会の閉幕の時点において、今日の事態、要すればボーナス支給ができなくなるであろうということはもうわかっていたわけであります。本当に支給しなければならぬのでその財源を何とかしなければならぬということならば、運輸大臣大蔵大臣も、財政特例法案なりこの値上げ法案なりに対してもう少し熱意を示して審議を進めなければならなかったと私は思うのです。それがどういうわけか、あの国会の会期末におきましてはその動きもなく、いつの間にやら閉会してしまったということでありまして、これは挙げて自民党の内紛の結果だとわれわれは思っておるわけであります。  本当に熱意があるならば運輸大臣はもう少し勉強すべきだったろうし、また、大蔵大臣財政特例法案の問題については一生懸命に成立に対して努力をすべきだったと思うわけでございますが、そういう点をなぜおやりにならなかったか。そして、今日の事態がおわかりになっているのに、手をこまねいて、五月二十四日以降今日に至るまで何の手当てもしなかったということについてどのように運輸大臣はお考えになるか、また、大蔵省当局としてはどうお考えになっているか、これらの点について伺いたい。大蔵大臣については財政特例法についてですよ。これを伺っておきたいわけです。
  106. 木村睦男

    木村国務大臣 私は、前国会の延長をしてまでもではなくて、前国会の会期中にぜひ成立をさせていただきたいということでお願いをしてまいったわけでございます。したがって、前国会中に成立を見なかったわけでございますので、今日の段階ではできるだけ早い機会に成立するように諸般の段取りをやっていただきたいということを切にお願い申し上げておるような次第でございます。
  107. 唐沢俊二郎

    ○唐沢説明員 財政特例法につきましては、御承知のように特例公債は歳入の一五%に当たる大きな、二番目に大きな財源でございます。そういう意味で、われわれが今後の責任ある財政運営をするためには一日も早く成立をすべきであったということで、先生から非常に御激励をいただきまして、その意味では非常に感謝を申し上げております。  ただ、財政特例法はおかげさまで慎重審議の結果衆議院は通過させていただきまして、すでに参議院でも慎重審議を続けていただいております。公聴会も開いております。そういうことでございますので、一日も早くこれが成立して、国民生活、国民経済の安定に資するようわれわれとしても一生懸命努力をいたしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
  108. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、先ほど大臣から六月、七月に法案成立がなければ八月には重大な事態になるというお話がございましたが、しかし、六月中に臨時国会が開かれるなどということは、これはもう全くない。ということは、御承知のように六月の末には先進国首脳会議が行われるし、総理大蔵大臣も出席する。そうなれば六月中の開会などということはもう全く不可能だと私は思うわけです。そういうことから考えましたときに、臨時国会の召集は早いことを希望してみてもなかなか行われないという認識を私たちはしております。  したがいまして、大臣が八月の一日からは重大な事態になるとおっしゃるのならば、六月に開かれないとするならば七月には開会のめどが立っているのかいないのか、まず、国務大臣としてお答えを願いたい。
  109. 木村睦男

    木村国務大臣 私といたしましては、一日も早く臨時国会を召集していただきたいということのみをお願いしておりますので、それが後々へ延びたらどうなるかということまで考える余裕はまだございません。
  110. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のお考えは私はまことに納得できないわけでございます。国鉄四十三万の職員ボーナス支給するためにはどうしても上げなければならない、しかし、臨時国会の開会の見通しについても国務大臣として何らはっきりした問題が出てこない、こういうことでは、とてもじゃないけれども、国鉄職員もさじを投げざるを得ないと思うのですよ。  そこで、もう一遍私は伺いたいのですが、大蔵大臣に対して運輸大臣から資金運用部資金借り入れについて正式にお話をまだしていないということが先ほどの答弁の中にございましたが、これは非常に怠慢ではないかと私は思うのであります。ということは、大臣立場からすれば、返済めどがついていないので正式の話し合いができないのだということだろうと私は推察するわけですが、正式には話はしていないけれども、内々は話をしたのかどうか。大蔵大臣とさしで運輸大臣がこの問題について正式な話はしていない、大蔵大臣も正式な話は受けていないと言っていますが、内々の話はしたのかしなかったのか、この点はどうなのか、伺いたい。
  111. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄職員が毎年六月十五日に公務員と同様にボーナスをもらっておるということはもう従来の事実でございますので、これを何とかしてことしもそうしてやるということは、もちろん責任は私でございますが、政府全体の責任でもあるわけでございます。  したがいまして、形式的な問題はただいま大蔵大臣お話しになっておられるとおりでございますが、事務当局同士、政府部内でいろいろと意見の交換その他をやっておることは事実でございます。
  112. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは伺いますけれども、もしこの支給が——きょうはもう当然できないと思いますが、しかし、実際に資金運用部資金大蔵大臣が貸してくれるというのには、大蔵省としてもいろいろと条件があるということで、その条件が満たされたということになって貸し出しができれば結構なわけでありますけれども、それが大幅におくれた場合にどのような事態が起きるのか。運輸大臣としてはそれを予想していらっしゃいますか。
  113. 木村睦男

    木村国務大臣 そういうふうな場合も非常に憂慮しておりますので、私としては、少なくとも六月中に支給できるように何とか努力をいたしたいということで努力をいたしておるところでございます。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その憂慮すべき事態が起きないように努力をしたいという気持ちはわかります。われわれも、そういう事態を起こさないように、一刻も早く給与の一部であるところの夏期のボーナスについては支給してあげたいというふうに思っております。したがいまして、私どもは、最善の努力運輸大臣がしているとはまだ認められませんけれども、とにかくそういう事態を起こさないために努力していることはわかりますけれども、大蔵省としても条件が満たされない限り貸さないという、こういう状態のままで今月いっぱい経過するようなことになったら、これはもう大変な事態になるのではないかと恐れるわけでございます。  そういうことにならないように配慮する、熱意を持って事に当たるとは言いますけれども、万が一今月月末までにこれが支給できないという事態が起きたときの、その責任は一体どういうことになるでしょうか。
  115. 木村睦男

    木村国務大臣 これは私が責任をとっても国鉄職員ボーナスがもらえないのですから、そのことの前に、今月中に何とかしたいということで努力をいたしておるところでございます。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは、大臣のその御答弁で私も了解するというわけにはいきません。しかし、そういう事態を起こさないための努力を一生懸命やられるということについては理解できますけれども、そういう事態が起きるということの予想はしているわけですか、それも予想していないわけですか。
  117. 木村睦男

    木村国務大臣 とにかく、今月中に何とか渡るようにしたいということで一生懸命努力をいたしておるところでございます。
  118. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もありますから、もうその問題はやめます。  大蔵政務次官に聞きますが、資金運用部資金短期貸し出しを許すのはどういう条件か、この条件が満たされなかった場合にはどうしても貸さないのか、それとも、大蔵省当局としては決断を持って貸す気持ちがあるのか、ないのか、伺いたい。
  119. 原徹

    ○原説明員 私どもは資金運用部の立場でございますが、郵便貯金を主とする国民のお金を預かって運用するにつきましては、資金運用部資金法によりまして確実、有利ということになっております。  いまの、この国鉄の問題でございますが、法案成立しないために毎月五百三十億円ずつ資金収支に穴があくということになっているわけでございまして、穴があきますから、結局その分はいま短期で貸しても年度末には返ってこない。ということになりますと一体どういうことになるかといえば、返ってこない分だけ今度は資金運用部の方に穴があく。そうすると、資金運用部は例の財投計画をいろいろつくって今年度実行しているわけでございますが、そのいろいろな機関に対する貸し出しを減らしてやるかという問題になってくるわけで、それは私どもはとてもたえられない。したがいまして、何とかいまのめどをつけて、資金収支のバランスをとった上で貸すようにならないものかというのが私どもの願望である。そういうことでございます。
  120. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵省大蔵省として、資金運用部資金を貸し出すについては、その条件が整わなければいけないという意見もわかります。大事な大事な国民郵便貯金その他でございますから、それはわかるわけでございますけれども、また、一面、労働者側に今月末支給ができなかった場合には大変な事態が起こるであろうことが予想されるわけです。そこで、それを避けるためには、どうしてもここで大蔵大臣の決断をもって資金運用部資金の貸し出しをしてもらわなければならぬ、そして不測の事態を避けるべきだと私は思うわけでございます。しかし、この面については事務当局ではいまの御答弁でございましょう。  そこで、政務次官、あなたはこれについてどう思うか、大臣にかわってお答えください。
  121. 唐沢俊二郎

    ○唐沢説明員 ただいま松本先生が言われましたところの、国鉄職員に深く思いをいたされてのお気持ちはわれわれもよくわかるわけでございます。また、一方、われわれが国民の皆様からお預かりしている大事な大事な郵便貯金のような資金を運用する際には、経営見通しや運用資金返済見通しについて慎重な検討をしなければいけないということにつきましても十分御理解をいただいて、その点はありがたいと思っているわけでございますが、そのためには、財政当局として申し上げられますことは、一日も早く運用先の収支の見通しが立つということが大事でございまして、一日も早く国鉄運賃法等の一部改正案を成立させていただきますことを心から期待し、また、希望いたす次第でございます。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これで終わりますが、私が冒頭に申し上げましたように、夏のボーナスは、国家公務員あるいは三公社五現業の人たちや地方公務員をおしなべて、これはもう待望のボーナスでございます。したがいまして、このボーナスを決まった日の六月十五日に支給することのために万全の措置をとらなければいけないが、残念なことに国鉄に対するボーナス支給がこの日にことしはできなかったという憂慮すべき事態が起きた。しかも、また、このあとこれの支給が月末にでもあるいはずれ込んでいくようなことになったならば大変な事態が起きるであろう。そういうことが起きることは避けなければならないし、それを避けるための努力大臣がしようとしていることはわかるけれども、大蔵省当局としてもここでしゃくし定規なことばかり言っていてはこの問題はなかなか解決しないと思います。  そこで大蔵大臣が退席しておりますのでやむを得ませんが、私は特に大蔵大臣に伝えていただきたいと思うのですが、この資金運用部資金の貸し出しについては、大蔵大臣の決断をもってぜひともこれをやっていただきたい。そして不測の事態、憂慮すべき事態が起きないようにやっていただきたいことを心から念願しておきます。  以上で終わります。
  123. 増岡博之

    増岡委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会