運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-05-14 第77回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十四日(金曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 中川 一郎君   理事 江藤 隆美君 理事 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 西銘 順治君    理事 増岡 博之君 理事 金瀬 俊雄君    理事 斉藤 正男君 理事 三浦  久君       木部 佳昭君    佐藤 文生君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    細田 吉藏君       三原 朝雄君    宮崎 茂一君       渡辺美智雄君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       坂本 恭一君    梅田  勝君       紺野与次郎君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 守良君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         海上保安庁次長 間   孝君         労働大臣官房審         議官      細野  正君  委員外出席者         運輸省港湾局管         理課長     服部 経治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道副         総裁      天坂 昌司君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五七号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出第一六号)      ————◇—————
  2. 中川一郎

    中川委員長 これより会議を開きます。  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松本忠助君。
  3. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣の御出席がございませんので質問の順序等について若干変更いたしたいと思いますが、けさ十時からというお約束でございましたので私も伺ったわけでございます。急遽こうなったとはいいながら、まことに残念なことでございます。  それでは、まずお伺いいたしますが、港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案でございますが、五十一年度より新第五次港湾整備五カ年計画を発足するに当たりまして、基本構想はどのようなことを基本にいたしまして策定を行ったのかをお尋ねいたしたいわけでございます。  この五カ年計画が制度化されました昭和三十年代後半には全国の主要港では滞貨が山をなしておりましたし、滞船も長期にわたり大混乱を来していた時代でございますが、港湾整備して貨物の流れを確保するということは確かに緊急の要請であった。しかし、港湾整備が進んで施設が整えられてまいりますと、港湾整備全般にわたっての緊急性が後退してきたと思うわけでございます。特に、第三次計画でのコンテナ対策、第四次計画でのフェリー化対策あるいは公害防止事業推進など、時代変化に対応して緊急に進めなければならない対策が一応でき上がった。それで、現在は、計画全体としてはむしろ計画的の整備という点に重点が移行したと考えられるわけでございます。  こういう点を考えれば、もはや緊急措置法というような法律ではなくて港湾整備法ともいうべきものにして、安定成長時代に対処した港湾整備のあり方を改めて考え直して、従来の安全確保のための港湾整備も大事ではございますけれども環境問題にウエートを置いたところの港湾整備を考えるべき時代に入ったと思うわけでございます。政府はあえて港湾整備緊急措置法を盾にとって第五次の港湾整備五カ年計画を発足させようとしているわけでございますけれども、私は、緊急という言葉ではなくて、こういう安定成長時代に入ったばかりでございますので、もう環境整備重点に置いた方に入ることが当然ではないか、むしろ「緊急」の二字は要らないのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、政務次官お答えをお願いいたしたいと思います。
  4. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 港湾局の方から先生のいまのお話に対する考え方を大体申し上げたいと思います。  現在、港湾整備について、従来の高度経済成長に対応いたしまして貨物量が非常に上がってまいりまして、それに対する施設整備としての緊急性が非常に強く要請されまして、過去ずっとそれぞれの緊急整備に対応する五カ年計画を実施してきたことは先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、現在におきましても、昨日決定いたしました経済計画等によりましても、今後安定的な成長を、大体六%程度経済成長を仮定いたしましても、ここまで大きくなりました日本経済の今後の六%ずっといいますと、やはり相当量貨物増加が見込まれるわけでございます。  それで一つには、いま言いましたような安定的な成長の中の貨物輸送増加とそれに対応する施設というものは、当然ながらやはり整備していく必要があるわけでございます。ただ、同時に、先生がおっしゃいましたように、量的なものだけでなく、質的な面の大きな変化が確かにございます。国民要望あるいは地域地域における要望から考えまして、港湾自体に安全の問題あるいは環境的な期待というものが強く希望されているわけでございます。特に、環境問題等一つ取り上げてみますと、たとえば都市ごみというものがございますが、一つ東京なら東京大阪なら大阪だけで考えますと、都市生活の中から一般生活に伴いまして非常にごみが出てまいります。そのごみをどこに処理するかということをいろいろ考えておりますが、結果的には海で処理をする。結局港の一部をうまく利用いたしまして処理をしていかないと、今後の都市生活もどうなるか、本当に困ってしまうというようなところまで来ております。そういたしますと、港湾計画というものは、単に貨物輸送するというだけでなく、そちらの方の面からも緊急に計画をつくり、それに対応しなければいけないというような状態でございます。  また、日本生活方向と申しましょうか、社会経済方向は、東京とか大阪というところに過密的な集合が行われていましたのを今後何とかしてある程度バランスのとれた社会にしていかなければいけない。そういたしますと、現在人々がいわゆるUターン現象とかJターン現象とか言っておりますが、そういう地方にバックしてきたような人たちを受けとめるような地域政策が行われなくてはいけないわけでございますが、私ども港湾というものはそういう地域政策を進める上の非常に大事な基本的な施設計画であるというように考えている次第でございまして、そちらの方の面からも港湾に対する計画を緊急的な意味整備する必要があるというように考えている次第でございます。  なるほど、先生のおっしゃいましたように、量的な緊急性から質的なものにある程度変わってきているということはおっしゃるとおりであると思いますが、従来の整備緊急措置法に基づく第四次五カ年計画が終わって、それに引き続き第五次の五カ年計画をこの法律に基づく計画としてやっていきたいというふうに私どもは考えた次第でございます。  それで、この計画目標といたしましては、いま申し上げましたことを踏まえまして、第一番に物流の問題ですが、この物流というのは港湾基本的な性格でございますので物流の問題を大きく取り上げております。  第二番目に、地域住民生活がよりよくなるために産業を誘致し、また、離島であるとか地方生活関連港湾を十分に整備していくということを第二点に取り上げております。  第三点に、先ほど申し上げましたように、船舶航行の安全あるいは港湾で働く人々の安全、また港湾都市の安全ということを考えまして、港湾の安全に対する施設のみならず、港湾外航路等につきましても手を加えていきたいと思います。  第四番目に、港をつくりながら、その都市市民との密接なといいますか、非常に身近に考えられるような港にしていくべきではなかろうかということで、従来までは何となくコンクリートと鉄で囲まれたような港でございましたけれども、これをより身近な快適な環境のある港湾につくり上げていきたい、同時に、港湾区域だけでなく、一般海面に対しても、東京湾、大阪湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海というところの海面の清掃も行っていきたいというように環境面ウエートを置きました。  いま申し上げました四つの点を基本的な方向といたしましてこの五カ年計画をつくっていきたい、このように考えている次第でございます。
  5. 松本忠助

    松本(忠)委員 私の申し述べましたような環境問題はこれからも重要な問題でございますし、こちらの方に重点を置いた施策を展開してもらいたいと思うわけでございます。  そこで、次に、第四次の港湾整備五カ年計画が五十年度で終わったわけでございますが、いただきました資料で見ましても、この進捗率は合計で七九・五%、特に一番できたと思われる港湾整備事業でも八三・二という状態でございます。そこで、全体的に見て二〇・五%というものが結局第四次五カ年計画の中で積み残しになったと思うわけでございます。  したがいまして、これらの二〇・五というものはどのような港湾においてこのような事態が起きたのか、そしてまたどのような理由によってこういう結果が生じたのか、この点について簡単に述べていただきたいと思います。港湾の名前は特にはっきり言ってください。
  6. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 全体的に申し上げますと、毎年毎年の仕事につきましては、そのときそのときの経済情勢あるいは財政情勢に対応いたしまして弾力的な予算つけ方をしているわけでございます。五カ年計画目標を挙げましてそのときそのときの予算に従ってやっていくわけでございますが、御承知のように、昭和四十九年、五十年におきましては、総需要の抑制等計画に従いまして、予算も四十八年度横ばい程度事業を実施してきたことは先生も御承知のとおりでございまして、その結果、トータルといたしまして大体二〇%の計画が残ってきたということになるわけでございます。  個々港湾につきましては、どこの港がまるまるおくれたということはございませんで、一つ一つの港が大体において二〇%程度おくれてきたというように考えていただいて結構であると思っております。
  7. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、都市近郊港湾も大事でございますけれども離島港湾の問題もやはり地域住民の非常な熱望があるわけでございますが、こういう離島関係港湾整備というものがどうしてもないがしろにされるというか、置き去りにされていると思います。この辺についてもまだはっきりしたものが出ていないと思いますけれども、五十年度末現在の状態として、全体の量は出ても個々のものが出ていないことはよく理解できますが、特に離島関係港湾整備というものは地域住民のためにも大いにやるべきではないかと私は思うわけでございます。  そこで、安定成長時代における港湾整備については、事業費そのものについても、第四次計画に比較いたしまして、指標によりますと一・四八倍というふうになっているわけでございますけれども、その内容についてはどうなのか。特に施設の質的な改善促進を図らなければならないと私は思うわけでございますが、こういう質的改善促進をどう進めていくのか。それからまた、特に当初に行われたところの大都市港湾においても古い施設というようなものがもう徐々に老朽化しており、使い物にならなくなってきているのではなかろうかというようなおそれもあるわけでございます。こういうものに対して、これを再開発するといいますか、改善していくという考えは持っているのかいないのか、これをひとつお答えを願いたい。
  8. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 まず、最初離島等港湾に対する考え方でございますが、離島に関しましては、先生のおっしゃるとおり、私ども全力を尽くしていきたいというように考えております。  実は、第四次の計画におきましても、離島等につきましては非常に最初計画どおりに進めてきたと思っております。たとえば奄美群島であるとかあるいは沖繩は第四次の途中から計画に繰り入れてきたわけでございますけれども沖繩におけるそれぞれの港湾あるいは伊豆七島——これは非常に東京に近いわけでございますけれども伊豆七島等にはまだ本船が接岸できないようなところがたくさんございます。このような離島に対しましては、それぞれ、たとえば奄美なら奄美には整備するための法律が別途ございますが、これらの整備目標に従いまして、極力重点を置きまして進めていきたいというふうに考えております。  それから、質的な改善をするということは当然なことでございます。第四次のいままでの計画におきましても、たとえばコンテナにおきましてはコンテナ埠頭をつくってきたし、また、フェリー埠頭等につきましても準備をしてまいりましたけれども、そのような意味におきまして流通合理化に対応する港湾施設整備していき、同時に、このような施設改善というだけでなぐ、港湾なら港湾の使い方ということにつきましてもあるいは企業や産業を誘致してくるというようなことにつきましても管理者努力をしてやっていってもらいたい、と、このように考えている次第でございます。  また、旧来の港湾にもう相当古くなって使いにくくなった施設があるのではないかというお話でございますが、もちろんこういう施設に対しましても極力前向きな姿勢でこれを改善していく、あるいは再開発していくということに心がけていきたいと思います。たとえば名古屋等におきましては古い矢板の岸壁がございまして、それが小さなピアと小さなスリップになっておりますが、そういう埠頭では新しい船舶に対応し切れなくなっているので、こういうところはひっくるめまして新しい船に対応する施設改善していく。あるいは東京港等におきましても、竹芝とかいうような古い汚いような施設がございますが、これを大きな意味環境も含めて、たとえば緑地とかいうふうなものも含めて、同時に新しい船に対応するような施設に全体的に再開発していくというようなことを心がけまして、各管理者で現在計画を練っているという次第でございます。
  9. 松本忠助

    松本(忠)委員 お話はわかりますか、私は先般も地方へ参りましていろいろ検討してみますと、沖繩の石垣なんかも非常に努力をしているようでありますけれども、やはりどうしてもおくれている点があります。こういう点を考えまして、離島の問題については新計画の中で推進を一層強力に進めていただきたいと思うわけです。  それから、従来の大都市中心とした重要港湾整備というものは一応のめどがついたというふうにも考えられるわけでございますが、これからまた特に地方港湾重点的に整備していかなければならぬと思います。そういう点で、いわゆる太平洋ベルト地帯の方は一応成果が上がっているように私にも考えられるわけでございますが、特に裏日本太平洋との格差が生じているように思います。特に裏日本の場合は冬季に風雪の関係等があって作業が進捗しないという面も考えられますので、こういうものは季節的に非常に制限を受けるというところから、裏日本の場合には、これを重点的に季節の中でできる時期に大いに進めておかなければいけないと思うわけでございますが、この地方港湾重点的整備をどう促進していくのか、この点についてお答えを願いたい。
  10. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、今後の方向といたしまして、若い人たちを受けとめるような都市づくりということはやはり非常に大事ではなかろうかと思います。そういう考え方と申しましょうか、地域発展策に対応した港湾をつくっていくということが、現在までの産業の基盤としての港をつくり上げてきたということにまさる非常に大事な政策であると私どもは考えております。したがいまして、地方における港湾整備いたしましてそこに産業を誘致し、あるいは交通一つのジャンクションをつくり上げていくということが非常に大事なことであると思います。特に、この地方港湾をつくるときには、単に港の施設をつくるということだけではなく、その背後地都市としての結びつき一緒になってその港づくりをやっていくということ、そしてその地方人々自分たちの港をつくることによってその地域発展を期するというような心がけでやっていくこと、そういうことでこの地方港湾整備に当たりたいと思います。したがいまして、今回の計画につきましては、地方港湾整備、それぞれの僻地における整備等に従来にも増して重点を置くべきであるということで現在作業を進めている次第でございます。  なお、先生のおっしゃいましたように日本海の方は大変気候が厳しゅうございまして、八月の半ばから次の年の三月、四月の初めぐらいまで季節風が吹きまして実際の工事ができない、あるいは冬になりますとみぞれ、雪等によりまして仕事ができないということでございます。したがいまして、こういうところにつきましてはできるだけ早く計画を打ち立てまして、四月、五月、六月という非常に天候のよいときに重点的に仕事を進め得るような工事体制といいますか、予算体制も組むことが並行的に必要であるというように考えている次第でございます。
  11. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまの局長の答弁でわかりますが、ことしこれから金が大変な状態でございますけれども、これが実施の段階においては、特に裏日本の問題をどうか重点的に考えてやっていただきたいと思うわけでございます。太平洋ベルト地帯と比べて裏日本はどうしても非常に格差ができているというふうに思われますので、この点もひとつ特段の御配慮を願いたいと思うわけでございます。  次の問題でございますが、流通合理化を図って、そしてまた一層物資が円滑に動くようにするためには、いわゆる高度の機械化荷役ということを必要とするわけでございます。特に、最近の船価というものは非常に高くなっておりますし、こういう高い船を何日か停泊させておくというようなことは経済的にも大きなロスでございますので、こういうことを考えてみたときに、高度の機械化荷役を必要とする時代、高能率を発揮する時代には港湾の建設が必要だと思うわけでございます。  特に、船が非常に込み合いまして長期的な停泊時間を余儀なくされた実情が過去にはございました。最近はこういう傾向は余りないようでございますけれども、こういう傾向景気が回復すればやはり発生してくるのではないかと思いますし、また、景気も回復してもらわなければ困るわけでございますが、どうも現内閣施策ではその望みは少ないように思います。しかし、国民とすれば景気の回復ということは大きな希望であり、願いでございます。したがいまして、そういう時代が必ず来てもらわなければ困るし、来ることを願うわけでございますが、そのことを考えてみて、いわゆる高能率港湾荷役をするための施策というものを今回の第五次の計画の中ではどのように進めていくのか、この点をお尋ねいたします。
  12. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 港湾は本質的にはやはり流通的な要素であり、流通一環としての施設でございます。また、特に日本という国は当然のことながら島国でございまして、外国との流通貨物に関してはほとんど港湾中心として行われている。したがいまして、特に外国との貨物輸出入に関しましては高能率船舶ないしは荷役の方式を採用しなければいけない。工業原材料燃料等につきましては、一般施設埠頭におきまして高能率な形でこれを取り扱っておりますが、輸出入等一般の雑貨、製品等輸出入につきましては、主として定期船等を使って公共的な埠頭を利用しておるわけでございますが、これらにつきましては、たとえばコンテナ埠頭等整備することによって全体的な高能率の姿ができつつあるわけでございます。  一方、国内輸送につきましては、この海運を利用するということは日本の地形から見て非常にメリットのあることでございまして、現在総輸送の中で海運が、船と自動車と鉄道というところからトンキロメートルで申し上げまして四〇%以上を占めておりまして、今後五年、十年の後には五〇%を期待したいということが総合交通政策の方からも考えられる次第でございます。したがいまして、国内の内貿輸送につきましても今後は大いに能率のよい輸送体系を考えるべきであると思います。  それに対応いたしまして、今度の五カ年計画におきましては、拠点港湾という一つ政策を展開いたしまして、国内の内貿貨物海運に対応いたしまして拠点的に港湾をつくりまして、それに対応して船が定期的に動く——定期的に動くということは、政策的にはまだそこまで乗っておりませんけれども海運の方と一緒になりまして沿岸を定期的に船を動かすような形で拠点港湾を利用していただくというようなことも政策として進めていきたいというように考えている次第でございます。  これの一環といたしましては、内貿におけるフェリーの活用であるとかあるいは内貿のコンテナ化等の問題も順次出てまいると思います。それぞれの拠点港湾におきましては、これらの流通合理化に対応する高能率港湾をつくっていくべきであるというように考えている次第でございます。  同時に、このような高能率港湾ができますと、労働問題といいますか、港湾荷役の方の港湾労働者の問題がいろいろと出てまいりますけれども、この問題に対しましても、全体的な趨勢の中でこの労働者方々がよりよい生活ができるような方向をいま考慮し、労働の方の方々ともいろいろ話し合っているという次第でございます。  現在滞船問題等もやや下火だといいますか、実は潜在的にまだまだ滞船があるわけでございますが、今後この整備をすることによりまして滞船等も極力少なくするような方向努力していきたいというように考えている次第でございます。
  13. 松本忠助

    松本(忠)委員 次に、外航コンテナ輸送の問題については、各外貿埠頭公団において積極的な施策が進められておりますので一応問題が大分解消してきたというふうに考えますが、内航コンテナ輸送でございますけれども、こちらの方は御承知のように規模もまた取り扱い量も絶対量が少ないというところから、専用の荷役設備を備えたところの埠頭というものはほとんどございません。いわゆる一般公共埠頭において、他の定期船とか貨物船というようなものの積みおろしと一緒共同使用というような状態で便宜的に行われているような状態にあるわけでございます。しかし、この内航コンテナ船輸送というものは、大部分が市民生活に最も密着した貨物を対象として経済的な輸送を行っているということが言えるわけでございますし、埠頭整備と、港湾機能を高めるためにもこの内航コンテナ船の荷おろしが迅速かつスムーズにできるようにする必要があるのではないかと思うわけでございます。そういう点からも、物流拠点としての港湾の充実が大きく推進されなければならないと思うわけでございます。  それと同時に、この背後陸上交通においても支障を来している例が多々あると思います。たとえばコンテナ輸送にいたしましても、大型トラックに乗せてそれが走る道路そのものが非常に制限されている、道幅が狭い、舗装が完全でない、あるいはまた排気ガスの問題等々がある、それから交通渋滞があるというようなことで、そういう面から地域住民に迷惑をかけている点等もあるわけでございます。こういう点を考えてみたときに、いわゆる海陸一体交通体系というか、港湾施設をつくるべきではないかと思うわけでございます。この点に関しましては、私も、昭和四十六年に交通安全対策の面からも内航コンテナの陸上輸送についてただしたことを記憶いたしておりますが、大型トラックか非常に狭い道路を走っている、しかも後方の安全確認がむずかしいという、こういうコンテナ輸送については一考を要することがあると思います。  そこで、この点については、海陸一体交通体系整備という点や交通安全を促進するという点からも十分な配慮がなされなければならないと思うので、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  14. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 まず、内貿コンテナの問題でございますが、この内貿コンテナは、私どもも理論的に考えますともっともっと進んでいかなければいけないのではないかという感じはいたします。現在のところフェリー埠頭中心にしてこの内貿コンテナ的なものが進んでいるようでございますが、今後はもう少し専門的な意味コンテナ船が出てきてもよろしいのではないかという感じでおりますけれども、現実には、ソフトの面といいましょうか、運送業とか何かそちらの方のいろいろな面あるいは集荷の面等につきまして大変むずかしい問題が恐らくあるのではないかと思いますが、現実にはなかなか実際になっていないという感じがいたします。しかしながら、総合交通的に見ましてもこの海運というもののウェートは高くなるし、同時に、生活必需物資等がスムーズに海を利用するためにはこの内貿的なコンテナというものが将来の方向として必ずあるべきであるし、それに対応するいろいろな施設をつくると同時に、中のソフトの面の流通機構にまで恐らく今後は改善が見られることだろうと思いますので、それに対応するような港湾港湾の面からの俗路にならないような意味でつくり上げていきたい、このように考える次第でございます。  それで、この陸上交通港湾との関係でございますが、これは確かにもうおっしゃるとおりの問題でございまして、大きなコンテナが参りましても陸上交通の部分が隘路になる、ようやく動きましても騒音の問題等で住民の皆様方に御迷惑をかけるというふうなことがあってはいけないと思います。そこで、こういうことに対しましては、私どもがそれぞれの港湾計画を進めるに当たりましては、一つには、この港湾計画は御承知のとおり港湾管理者がつくるわけでございまして、港湾管理者がこの計画をつくるときに、単に港湾施設計画だけでなく、背後地の臨港道路とメーン道路との結びつき等について十分配慮してもらいたい、港湾管理者が考えるだけでは足りないところはその道のいろいろな関係機関とも十分話し合っていただきたい、その一つの方策として、港湾計画をつくる際には地方港湾審議会を開いて——これは義務づけているのは十四港湾以上ですが、地方港湾審議会を開いて、その地方港湾審議会の中で関係の方々とも——たとえば建設省の系統の方とか、警察の系統の方とか、その他関係の方々とも十分話し合ってこの計画を練っていただき、その地方港湾審議会等の議を経て計画ができ上がると、その計画の中から今度の国の計画としての五カ年計画の中に取り入れていく、と、そういうような考え方をしているわけでございますが、計画の面からも海陸の結びつきに対しましては十分考えていくという姿勢でございます。  一方たとえばこの面で一番困っておりますのは、簡単に言いますと東京であるとかあるいは横浜であるとかというような大港湾の後ろの道路が港湾貨物に伴わないという面かあることは非常にはっきりしていると思います。したがいまして、東京湾とか大阪湾に入ってくる貨物に、後ろの施設ができない前にどんどん入ってくるわけでございますから、ある程度ゆっくりしてもらって、そしてその間に入れ物の方を整備してもらいたいというような考え方もあるわけでございます。したがいまして、東京湾等に入ってくる貨物にはできれば別なところから入ってもらいまして、東京の急激な伸びを少し抑えまして、その間に港とかあるいは陸上交通の方を十分整備するというような考え方も必要だろうというふうに私どもは考えております。バイパスとなるような流通港湾を、東京湾なら東京湾に入ってくる荷物が別な方向から入ってくるようなことも考える必要があるのではないかと、このように考えている次第でございます。
  15. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまの問題ですが、とにかく陸上の交通の問題に対してはあなたの所管外のことでございますので、これをどうこうしろと言っても無理な話でございますけれども、現に横浜などは港湾背後の道路が非常に整備されていない。こういう面はいまも答弁の中でお認めになっているわけですが、運輸省としては、陸上交通という面も道路の問題等については建設省と話し合っていかなければならない点がありますので、こういう点に対して運輸省自体としてはどうお考えになるのか、政務次官お答え願いたい。
  16. 佐藤守良

    佐藤(守)政府委員 松本委員の質問にお答えします。  いま松本委員がおっしゃるとおりでございまして、総合交通体系の中で陸と海のバランスをどうするかということが一番大きな問題でございます。運輸省としましては、昭和四十六年の七月に「総合交通体系のあり方、及びこれを実現するための基本的方策について」という運輸政策審議会の答申を受けてやっておるわけでございますが、実は、この運輸政策審議会の中に建設省からも加わっていただいておりまして、特にエネルギーと資源の制約とか環境問題等交通環境が非常に変わっておるものですから、この意味におきましては建設省と十分協議、打ち合わせをしながらいま先生の御趣旨に沿うよう努力しておるという姿でございます。
  17. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから、局長にお尋ねしますが、狭水道航路の整備の問題でございます。これは船舶の航行の安全を確保するという意味から当然重要な問題でございますし、今回のものでも継続事業として行うということもわかっております。特に問題になりますのは東京湾の浦賀水道の第三海堡の撤去の問題でございますが、これはどのように進められているのかを伺いたいわけでございます。四十六年以降一体これは手をつけたのかつけないのかということです。  私もこの問題につきましては四十五年五月十二日に当運輸委員会で質問をいたしましたが、現実に浦賀水道を海上保安庁の船で通り、あるいは旅客船「さくら丸」で通ってみて、これは安全確保の上から言ってもどうしても撤去すべきであるという意見なんですが、当時の栗楢港湾局長もこの点については全く私と同意見でございました。最近私もこの問題については余り触れておりませんけれども、この問題について、特に東京湾の問題について御熱心に触れられる議員さんもございます。そういうことから考えまして、どうしても第三海堡の撤去ということに踏み切るべきではないかと思うわけでございます。特に、東京湾に入港する大型原油タンカーで十万総トン以上のものがどれくらいあるかというような資料を私の方でも当局に求めたわけでございますが、この資料がなかなか完全な統計がないということで、全体のトン数、隻数というものはわからないで、いま申し上げた十万総トン以上のものならばわかるということなのでそれだけをちょうだいしました。確かに、四十六年と比べてみますと、現在五十年で一五〇%にもふえているわけでございます。このいただいた資料によれば、四十六年は百四十六隻、四十七年は百七十隻、四十八年は二百二十五隻、四十九年が二百三十二隻、五十年が二百十八隻、と、隻数では余り増減がありませんけれども、単なる隻数だけではこれははかることができません。言うならば大型タンカーというものの実体が非常に大きくなってきている。しかし、どんな大きな船でも十万総トン以上のものは一隻は一隻として計算されたのでは、これははっきりしたものはつかめないと思うわけでございます。  そこで、総積載量は膨大な数字になると思いますけれども、これが万が一にも第三海堡付近で事故を起こしたならば東京湾は全く大変な事態になると思うわけでございます。漁民の方の言い分もわからないではないのでありますけれども、撤去すれば、この周辺を生活の場としている漁民からしてみれば、これまた大問題だと思います。ですけれども、万が一にも油の流出事故などが起きてしまえば元も子もなくなってしまうわけでございますので、漁民の方々との十分な話し合いの上で完全な補償をするとか、あるいはまた第三海星以外のところに人工魚礁をつくるとか、前向きに検討を進めていかなければならないと思うわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、四十六年以降一体何年にどれくらいの費用をかけてどういうことをやったかということは、実際上の動きというものが全くないんじゃないかと私は思うのです。ただやるやると言って話はしているようでありますけれども、少しも進展していないのじゃないかと思います。  そういう点から考えてみても、東京湾には日本全国の油の総輸送量の四〇%というものが入ってくるわけですし、五百トン以上の船の隻数にしてみると、一日当たりで千四十六隻というふうな通航量だとも言われています。海運業者の方々から言わせれば一日も早く撤去を望むし、一方、漁民の方からは撤去反対という声が出ているようでありますけれども、先ほども申し上げたように、万一油流出事故などが起きてしまって、かつて室蘭に起きたような火災がまた発生したりというようなことになったときには一漁民の方々が幾ら補償をもらっても取り返しのつかなくなることだと思うわけでございます。こういうことは水島の事故でもう承知済みでございますので、船舶航行安全確保という点からは、まず何としても第三海堡の撤去に踏み切るべきだと思うわけでございます。  四十六年以降この周辺における大事故は、若干はございますけれども大きなことがなかったわけでございますけれども、この点について一体どう取り組んできたのか、今後どうこれを第五次の計画の中で実施していくのか、この点についてお答えをいただきたいと思うわけです。
  18. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 第三海堡撤去につきましては、確かに四十六年からずっと予算をつけてまいりましたけれども、外にあらわれては全く仕事をしていないわけでございます。  私どももこの進行に関しましてはまことに歯がゆい思いをしているわけでございますけれども、この仕事の進め方といたしまして、まず第三海堡等の航路指定をするのですが、この開発保全航路の指定をするときにいろいろの関係者の方の賛同を得ていかなければいけないわけでございます。この関係者の皆様方の賛同を得る際に、強行的に仕事を進めるということよりは、やはり、いろいろな意味お話し合いをしながら意見を調整していくということが大事であるというように私どもは思っているわけであります。  四十六年以来、特にこの近年におきましては、横浜にある第二港湾建設局の中に責任者とそのグループを置きまして、積極的に相当力を入れまして精力的な折衝等を行いまして、昨年は神奈川のグループの皆様方の御理解を得たわけでございますけれども、関係者が東京あるいは千葉というような非常な多方面にわたっておりまして、特に、現在、千葉の方の方々と折衝をしている最中でございます。  おっしゃるとおり、漁民の皆様方が反対をする理由の中には、たとえば第三海堡自体が魚礁になっているというふうなこと、あるいは第三海堡が魚をとるときの波よけになっているというようなこと、あるいは退避する場所になっているというようなこと等いろいろな理由があるわけでございますが、それぞれに対して一つ一つ話し合いまして、たとえば魚礁になっているならば魚礁のかわりをつくるというふうなこととか、退避する場所がないならば退避する場所をつくろうじゃないかというようなことまでいろいろ話し合いをしながら、いままでは公共事業としてはなかなかそこまでいかなかったのですけれども一つ踏み込んでそういうことまでこちらの方といたしましては持ちまして、関係者の方々と話し合いをしようというような姿勢で現在精力的に取り組んでいる次第でございまして、もう少しというところで私たちは期待をしている次第でございます。
  19. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうすると、四十六年以降全くやっていないわけですね。実際上の仕事は手をつけていないわけですね。
  20. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 現地における実際的な仕事は全くやっておりません。ただ、その仕事をするための船をつくるというふうなことはやっているわけでございます。
  21. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣がお見えになりましたので、大臣にお願いをいたしたいと思います。  いろいろと港湾局長から具体的な問題についてのお答えをいただきました。第四次の港湾整備五カ年計画で積み残しが二〇%ちょっとあったわけですが、こういうものは総需要抑制というようなことになったのでできなかったのだというようなことでお話がございました。しかし、この部分はやはり必要があって策定した問題でございますので、この計画実施に当たっては十分やらなければならない、やることが当然だと思うわけでございます。  そこで、この法案そのものでございますが、きょうは十四日でございますね。会期末まで余すところ十日でございます。この法律案が衆参両院を通過して成立するというには余りにも時間が少な過ぎるように思うわけでございますが、万一これが成立しなかった場合にはどうなさるのか、この点を第一点としてお尋ねをいたします。  また、厳密に言えば、現在の港湾整備緊急措置法という法律は五十一年三月三十一日でなくなってしまっているわけです。そうなると、五十一年四月一日以降はこの法律によらないで事業が執行されているというふうになるわけでございます。成立がいつになるかわかりませんで、しかも成立しないかもわからないということになりますと、これは一体どういうふうになるのでしょうか。これが第二点。  第三点に、暫定予算の審議の際に、いわゆる日切れ法案の採決が駆け込みで、いろいろな問題がありましたけれども行われましたか、あの際に運輸省としては、これはもう日限がないのだ、あしたから困るのだ、四月一日以降困るのだからぜひというふうな話がなかったように思いますが、この点について大臣はどのようにお考えであったのか。  この三点についてお答えをいただきたい。
  22. 木村睦男

    ○木村国務大臣 参議院の本会議のためにおくれまして、まことに申しわけございません。  いまの御質問の点でございますが、港湾の長期計画と単年度ごとの港湾整備計画は、これはもちろん長期計画の中で単年度の計画を進めていくわけでございますが、今回第五次の五カ年計画を御審議いただいておるわけでございますが、その初年度に当たります五十一年度の港湾整備計画一般予算の中ですでに御承認をいただいておるわけでございまして、この五十一年度の計画というものが長期の五カ年計画の中の初年度として実際には実施できるわけでございます。しかし、港湾整備というものはあくまでも長期的な観点に立って整備をすることが必要でございますので、従来とも、五カ年計画を作成しながら、そしてその五カ年計画に対する国会の御承認を得ながら単年度の事業計画を進めてまいっておるという関係になっておるわけでございます。  そういうことでございますので、今回も、ただいま御審議をいただいております五カ年計画につきましては、会期も少のうございますけれども、私といたしましてはぜひ御承認、成立をさせていただきまして、その五カ年計画一つの鳥瞰図ができた中で五十一年度の計画を進めていくようにしていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、日切れ法案との関係におきましては、いま申し上げましたような関係になっておりますので、日切れ法案ということと多少意味合いが違うものでございますから当時そういう措置をとらなかった、こういうことでございます。
  23. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、五十一年の三月十二日の閣議了解の事項の第二に、「本計画は、今後の経済、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るものとする。」と書いてございますが、御承知のように、財政特例法の会期内成立が危惧されている今日の情勢を考えますと、資金的な対策政府が非常にお困りになるのではないかと思うわけでございます。「財政事情等を勘案しつつ、弾力的に」という表現はこういうことを当時からすでに予測していたのではなかろうかというふうにも思うわけでございますが、特に、その五カ年計画の三兆一千億という計画の中で整備資金の約五〇%を受け持つ地方自治体としましても、いわゆる地方財政が逼迫しているという問題から、果たして資金調達ができるかどうか非常に危ぶまれております。いずれにしましても金がなくては何にもできません。計画を立てるだけではどうにもならないわけでございますので、こういうときにこそ有効な予算の使い道が要望されているという情勢の中で投資の妥当性というものを考えたときに、この整備対象の港湾というものは当然厳選されていかなければならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  こういうことを考えまして、この基準をどういうふうにお立てになっていくのかということについて、細かい点は別としまして、大筋として大臣はどうお考えになっているかを承っておきたいわけでございます。もう一、二点お尋ねしたい点がございますので、お答えは努めて簡単で結構でございます。
  24. 木村睦男

    ○木村国務大臣 三兆一千億の五カ年計画の財源調達の方法でございますが、御承知のように港湾の機能が非常に多様化してまいっておりますし、関連の企業等もその地域的な勢力下にあるわけでございますが、今後地方財政も非常に逼迫をしてまいりますので、われわれといたしましては、基本的には利用者負担ということに重点を置きまして今後の港湾整備の費用捻出を図っていきたい、一般的に概括的に申しますと、そういう基本方針でやるつもりでございます。
  25. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから、大臣に伺いますが、より質の高い港湾整備しなければならないということが最近の要望でございます。そのためにも港湾管理及び運営、機構の改善を図る必要があろうかと思います。そこで、港湾管理者にこの権限とか財源を大幅に委譲して、地域住民との接点によって、より近いところでの計画整備が行われた方がより有効ではないか、よろしいのではないかと思うわけでございますが、この港湾管理者に対する権限、財源の大幅委譲という問題について大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  26. 木村睦男

    ○木村国務大臣 港湾の大小あるいは種類によって多少違いがあると思いますが、方針といたしましては、やはり港湾管理者にできるだけの権限を与え、また、財源的な権限も与えるような方向で今後整備を進めていきたい、かように考えております。
  27. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に、港湾整備財源の確保のために港湾の使用料制度というものを考えているようなニュースをちらほら聞くわけでございますが、この問題につきましては、これからも五十一年、五十二年という時はまだまだ海運状況の非常な不況が続くのではないか、むしろ五十二年は最悪な状態になるのではないかなんというニュースもございます。そういうときにこの港湾使用料制度の実現を図るということになりますと、港湾関係業者としても重大な関心を払わなければならないと思うわけでございます。特に、特別とん税あるいは固定資産税等と港湾使用料との関係は一体どうなるのか、あるいはまた流通面から言っても、コストアップによるところの物価に影響が出てくるのではなかろうか、あるいはまた徴収する場合に対象となるのは全船舶かあるいは外航船か内航船かの別、あるいは全港湾に及ぶのか重要港湾だけに限るのか、こういう点について大臣お答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
  28. 木村睦男

    ○木村国務大臣 港湾の、いまお話しのとん税あるいは施設の使用料、それから入港料という、そういういろいろな財源になるものがたくさんあるわけでございますが、これらにつきましては港湾管理者とも今後十分協議をいたしまして——港湾管理者にもそういう方面で権限を強化するという関係からも、そういう問題をできるだけ有利に処理をしていくということが必要であろうかと思いますので、その点は管理者とも十分協議をしながら進めていきたいと考えております。
  29. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間も参りましたのでやめますが、これは答弁は要りません。  第五次港湾整備というものは非常に必要なものであるということは私どももわかります。交通産業住民生活等の諸活動にとって港湾が非常な支えになっているという点を考えれば、確かに港湾整備というものは引き続いてやっていかなければならないと思うわけでございますが、財源の面から非常に窮屈ではないかと思うわけです。地方自治体といたしましても財源の負担面から見て至難なことはもうはっきりわかっているわけでございますし、そういう点を考えてみると、この第五次港湾整備計画というものがまた絵にかいたモチに終わってしまうのではなかろうかというような危惧があるわけでございます。そういう点を考えましたときに、この面については、計画をお立てになった以上はどうしても重点的にこの問題にしっかりと取り組んでいただいて、計画の完全達成をされることを希望するものでございます。  港湾は、五十年代に入っても海上コンテナ輸送というものはますますふえてくるでございましょうし、また、貸物の輸送合理化という面を考えてみればどうしてもコンテナ輸送に頼らざるを得ませんし、そういうことを考えてみたときには港湾整備というものは緊急を要することでございます。また、地域振興のためにもこの港湾設備というものは一層充実させなければならないと思います。さらに、また、先ほど述べました東京湾の大型タンカーの出入ということが航行の安全を確保するために最重要問題として取り上げられなければならないと思うわけでございます。いろいろと困難な事情はあるとは思いますけれども、この港湾整備というものについてしっかりと腹を固めてやっていただきたいと思うわけでございます。  わが党の態度といたしましても、この法案に対しましては、いろいろ問題点はありますけれども、やはり、やりかけの仕事もあるわけでございますし、また、先ほどの質問の中でも述べましたように、特に今後の裏日本太平洋ベルト地帯格差の是正という問題も考えてみたときに、こういうものをはっきりやらなければいけないと思いますので、この法案については賛成を表明しておきます。しかしながら条件がございますので、いろいろと質問の中で申し述べました私の危惧している点を一つ一つ払拭していただいて、この問題に十分取り組んでいただく決意を大臣に述べていただいて私の質問を終わりたいと思います。
  30. 木村睦男

    ○木村国務大臣 港湾整備が今後のわが国の経済発展産業の振興に果たす役割りは非常に重大でございます。われわれといたしましてもその点に十分留意をしながら今後整備促進努力をしてまいるつもりでございます。その際には、こういう席でいろいろと御意見を聞かせていただいておりますので、そういう点も十分頭に入れまして今後整備を図っていきたいと考えておる次第でございます。
  31. 松本忠助

    松本(忠)委員 終わります。
  32. 中川一郎

    中川委員長 河村勝君。
  33. 河村勝

    ○河村委員 新しい港湾整備五カ年計画をつくられるわけでありますが、いまは非常に経済情勢が流動的で見通しのつきにくい時期でありますが、しかし、長期計画をつくられるからには、それなりに今後の港湾貨物取扱数量の推移というものを想定して、それに基づいてつくっておられるはずであります。  つい昨日か一昨日ぐらいに政府の新経済計画の——これは長期ではなくて五年たけてありますが、それの試案のようなものができているが、それとこの計画との関連はどういうふうになっているのか、それをまず聞きます。
  34. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 今回の五カ年計画は、本日閣議で決定いたしました新しい経済計画方向に沿って計画をつくってあります。概要は、経済計画は大体におきまして六%か六・三%という、そのような形で安定的な成長を図っているわけでございますが、昭和五十五年のGNPを五十年価格で二百兆円程度目標を押さえております。それに対応いたしまして港湾の総取扱貨物量も順次増加するわけでございますが、その二百兆円のGNPに対応いたしますと、昭和五十五年におきまして総貨物量三十八億トンを目標といたしまして、それに対応する貨物を取りさばけるような港湾施設整備、それに対応いたしましていろいろ環境の問題であるとか安全の問題等に配慮いたしましてこの計画を取りまとめている次第でございます。
  35. 河村勝

    ○河村委員 運諭省の当初の案は五兆五千億であったというふうに聞いております。それが今回の案で三兆何がしかになっておりますが、この当初の五兆五千億というのは一体どういう根拠でつくられたものですか。
  36. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 当初運諭省が最初に各港湾管理者の希望とタイアップいたしまして作成いたしましたものは五兆五千億円でございました。この計画を策定する際におきましては、流通の規模を考え、同時に、各港湾管理者におきまして、その都市の方の希望からのいろいろな計画をほとんど全部取り入れていって、非常に大きな満足を果たすような計画でございました。その後全体的な日本経済計画が順次できてきたわけでございまして、先ほど申し上げました経済計画が作成されました。  この経済計画の中で、昭和五十一年から五十五年までの計画期間中の社会資本の投資額をトータルで百兆円と決めているわけでございまして、その百兆円の中で港湾計画には二兆九千億円を投入する。そのほか百兆円の中に調整費というのがございまして、弾力的に使う部分がございますが、この中から予備費的に二千億円を投入いたしまして、三兆一千億円をこの経済計画期間の中で港湾に投資するということが決まってきたわけでございます。したがいまして、個々港湾の積み上げで五兆五千億円であったわけでございますが、全体の経済とかあるいはその後の経済の見通しの中でトータルといたしまして三兆一千億円が決まりまして、そしてその中で、それぞれの要求に関しましては、当初五兆五千億円を編成いたしましたときの物流合理化地域の開発、安全対策推進環境対策という、先ほどから何回も申し上げました四つの目標については踏襲することといたしまして、中で緊急を要する事業を優先的に取り上げて、計画の熟度のやや低いものは後回しにする、あるいは計画期間中に決まってくるものは一種の弾力的な調整項目というものを置いてその中で決めていくという、そういうような操作をいたしまして三兆一千億円の程度にまとめ上げていくということで作業を進めていきたいというふうに現在考えている次第でございます。
  37. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、社会資本投資の総枠が決まって、その中で総事業量の圧縮をやったということだから、この新経済計画のGNPの伸びの実質六%に必ずしも見合った伸びではないということですね。
  38. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 その経済計画の実質六%の伸びに対応する計画であるというように考えて結構であると思います。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  39. 河村勝

    ○河村委員 それでは第四次五カ年計画の進捗の実績でありますけれども、先ほど二〇%ぐらいおくれておるというお話であったが、これは事業ベースですね。これは予算的に一体何%ぐらいの進捗率になっておるのか、それから事業ベースではどのくらいになっておるのか、それを分けてちょっと説明してください。
  40. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 先ほど来申し上げました二兆一千億円の約八〇%、あるいは整備費といたしまして八三%と申し上げておりますのは事業費ベースでございます。したがいまして、本当のところは、防波堤の長さ等、実質的なそういうものにつきましてはそれよりもやや少なくなっているというわけでございます。
  41. 河村勝

    ○河村委員 やや少なくなっているなんて、そんな数字はないのだな。一体予算ベースでどのくらい減って、実際の事業ベースではどのくらい減っているのか、その辺の数字というものはあるはずだと思うけれども、それはないのですか。
  42. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 現在手元に持っておりませんけれども、要するにデフレーターといいますか、物価の上がった分だけが少なくなっているのは本当のところでございます。
  43. 河村勝

    ○河村委員 だから幾らだと聞いているのです。
  44. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 いま、実際の手持ちは持っておりません。参考までに申し上げますと、このたびの三兆一千億円の計画は、前二兆一千億円の計画にいたしますと予算ベースで五割程度の増額でございますけれども、実質的な事業の規模は八〇%程度になるわけでございます。これは参考まででございます。
  45. 河村勝

    ○河村委員 どうもそういうところに役所の計画の欠陥があるので、予算の消化ベースないしはこれだけ予算を使いましたというのでは何もならないのだ。実際の計画した事業がどれだけ達成かできるかという数字ですね。いま新しい五カ年計画をつくるときにその数字も何も持ち合わせないというのは心がけが大変悪いと言わざるを得ない。そこで、そういう予算でもって二〇%ぐらい減で、GNPデフレーターの関係でさらにそれより下回っておる。これは恐らくさらに一〇%近く下回っているのでしょう。  それで、そういうものの影響で、主要な港湾などでの滞船状況、具体的な作業の支障というものは一体どういうふうにあらわれておるのですか。最近の五年ぐらいの推移というものはどういうふうになっておるのですか。
  46. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 主要港湾東京、横浜、名古屋、大阪、神戸というようなところは滞船が非常に多かった港湾でございますけれども、この数年はほぼ横ばいに推移しております。ただ、滞船一隻当たりの時間は近年増加傾向にある。ですから、滞船はトータルの隻数といたしましては横ばいでございますが、一隻一隻の時間は昭和四十九年あたり平均五十五時間程度になっているというようにやや多くなってきております。
  47. 河村勝

    ○河村委員 隻数としては横ばいだが滞船時間としてはうんとふえておるといういまの説明であるけれども、実際にその作業に支障があったかなかったかという、その辺は一体どう見ればいいのですか。一体、船込みがひどくなっているというのか、それとも総体として大体横ばいと考えてよろしいのか、どっちなんですか。
  48. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 統計的に見ますと横ばいという形でございますので、特にひどくなっているというふうには考えられないわけでございます。非常にひどいときには私どもの方の耳にもいろいろ障害のニュースが入ってくるわけでございますが、そういう意味の情報は大変少なくなっておるということでございます。  ただ、統計的に見ますと、滞船隻数が、昭和四十五年は六千七百六隻であったのが昭和四十九年には四千二百三十七隻と、四十六年ごろからずっと横ばいぐらいになってまいりました。ただ、一隻一隻の時間が、昭和四十五年には四十時間程度だったのが四十九年には五十五時間という形には一応なっております。ただ、実際のトラブルとしての情報が大変少なくなっているというわけでございます。
  49. 河村勝

    ○河村委員 四十八年ごろから経済的な変動があったので、この期間の推移というものが必ずしも全体の傾向値を示すかどうかわからないけれども、現実には、事業面で言えば三〇%ぐらい計画から見ればおくれているけれども、実態面でそれほど支障がないということであると計画緊急性というものは余りないという結論になりそうだが、現状においては、今度の五カ年計画も緊急にこれだけやらなければならぬということではなしに、とにかく長く時間のかかる仕事であるから長期的な計画をつくってぼちぼちやろうという程度に考えればよろしいというように理解してよろしいのか。
  50. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 第四次の計画でございますけれども、これは確かに八〇%、実質的には七〇%かもわかりませんが、そのような形で計画がダウンされてきたわけでございます。GNPないしは貨物量目標でございますが、これにつきましても大変少なくなっていたわけでございます。これは御承知のとおりでございますが、第四次の経済計画に対応する貨物目標昭和五十年に三十三億八千万トンを前の計画では予定していたのが、昭和四十九年に約二十七億トンでございました。恐らく昭和五十年には二十八、九億トンになると思いますので、目標植の三十四億トンに対しまして四、五億トン日本全体の貨物輸送量は減っていたのだろうということでございます。したがいまして、これが目標どおり貨物量がいった場合にはもっともっと緊急要請があったと思いますけれども輸送量の要望自体がダウンしたということが並行的に行われてきたというわけでございます。  なお、緊急度の問題でございますけれども、この貨物量は今後の六、七%の経済成長に対しまして昭和五十五年に三十八億トンというと、現在との差はそれでも十億トン以上あるというわけでございまして、十億トンと申しますと、実は、昭和四十年とか四十一、二年ごろの日本全体の貨物量に相当するのです。昭和四十年ごろの日本全体の貨物量が向こう五年間にもう一つ乗っかってくるというような輸送要請があるわけでございまして、やはりそれに対応して仕事はしていかなければならない。これは側面でございますが、これだけでなく、国民の期待と申しますか、港湾に対する要望も、都市面であるとか、環境面であるとか、安全面であるとか、いろいろの点におきまして新しい要望が緊急的にあるというように私どもは感じている次第でございます。
  51. 河村勝

    ○河村委員 そこで、いま話の出ました環境面のことですが、これは確かに緊急性があると思います。それで、そのために四十八年の七月に港湾環境整備のために港湾法の改正をやって、これは一つ重点項目になっていたわけですね。これは法が改正になって仕事を始めてから一体具体的にどういうふうに運用されているのか報告を聞いたことがないのだが、特に四十九年の七月以降港湾環境整備負担金制度というものが具体的に動いているはずですね。こういうものは一体どういうふうに運用されているのか、ちょっと説明をしてください。
  52. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 まず、港湾環境整備の実績を簡単に申し上げます。  港湾整備事業の中で行っている環境整備関係事業といたしましては四つございまして、まず第一番に廃油処理施設整備でございます。第二番目に港湾における汚泥しゅんせつ事業、第三番目に港湾における緑地及び廃棄物処理施設等の整備でございます。それから、第四番目に一般海域における浮遊油及び浮遊ごみの回収事業でございます。  第一番の廃油処理施設につきましては、昭和四十二年度からその整備を進めており、大規模な施設整備は完了しておりますが、ビルジ等少量の廃油の発生する港湾において小規模な処理施設、受け入れタンク等の整備を引き続き行うとともに、既存施設の改良を現在行っております。  第二番目の港湾における汚泥しゅんせつ事業でございますけれども昭和四十七年度から公害防止計画等に基づいて計画的にその処理を進めております。代表的な事業例といたしましては田子ノ浦港、北九州港等における工事でございますが、現在、酒田港、大牟田港、水俣港、東京港、大阪港等で事業推進を図っているところでございます。  第三番目に、港湾における緑地及び廃棄物処理施設等の整備でございますが、緑地、廃棄物埋め立て護岸及び海洋性廃棄物処理施設整備昭和四十八年度から、また、港湾区域内の海域清掃に必要な清掃船の建造、持ち主不明の沈廃船の処理を四十九年度から、さらにオイルフェンスの備蓄を五十年度から実施しております。このうち特に緑地につきましては、港湾における環境を積極的に改善し、また、港湾利用者及び一般市民に広く憩いの場を提供する目的で全国的にその整備を進めております。また、廃棄物埋め立て護岸につきましては、一般廃棄物、しゅんせつ土砂等の最終処分地を確保するため、東京港、川崎港、横浜港、大阪港等において整備を進めております。この廃棄物埋め立て護岸は、都市から発生する一般市民の廃棄物等を港湾の方で受け入れていくという政策を展開しているわけでございます。  四番目の一般海域における浮遊油、浮遊ごみにつきましては、運輸省の直轄事業として……(河村委員「時間がないから、そういうことは結構だから後は負担金制度の運用だけ」と呼ぶ)整備事業を進めております。  負担金の制度のことにつきましては、緑地とか環境整備事業に対応する関係者である工場とか、あるいは事業場から負担金をもらうということでございますが、現在、八大港では、本制度の円滑な実施を図るためにいろいろ内容を詰めているわけでございます。結果的にはまだそれぞれの条例の制度ができておりません。大変むずかしくて関係者と詰めているところでございまして、事業は実施しておりますけれども、まだ負担金を取るに至っていないというのが現状でございます。
  53. 河村勝

    ○河村委員 一昨年の七月に基準を決めて、それでまださっぱり動いていないのですか。それはいかに地元との関連の深い問題であるにしても、それでは仕事自体が全然動かないわけでしょう。基準そのものについてまだ問題があるのですか。告示がされた後においてもまだそれについての合意ができていないのですか。
  54. 服部経治

    ○服部説明員 御説明いたします。  基準は明確になっておるわけでございますか、実際に個々港湾工事に関連いたしまして、負担対象事業者の範囲をいかに確定するかについて、あるいは負担の公平を図るために現在設定されております臨港地区の見直しを行う必要がありますとか、あるいはそういう考え方につきましてあらかじめ関係の事業者との間に事前の調整を十分やっておかなければならないとか、あるいはこの制度の見合いの関係になります入港料制度の早期発足を図らなければならないとか、いろいろなことが山積しておりまして、まことに遺憾ではございますけれども、現状はただいま申し上げたようなことに相なっております。
  55. 河村勝

    ○河村委員 時間が来ましたから私はやめますけれども港湾環境整備は四十八年改正のときの一つの大きな目玉であった。この環境整備のための負担金制度というものもいろいろな問題をはらむことであるけれども、事柄の性質上これはよろしかろうということで決まったわけです。それからちょうど三年たっているわけですが、三年たっても何にも動いていないのだ。新しい五カ年計画なり何なりをつくるのは結構だけれども計画をつくるときには大変熱心だけれども、実際にできてしまうと、三年たってもそういう大事な制度が動いておらぬ。これでは新しい制度をつくる資格はありませんね。大臣、その点についての大臣考え方を聞いて私の質問を終わります。
  56. 木村睦男

    ○木村国務大臣 河村委員の御指摘のように、確かに活発に動いていないことを私も非常に遺憾に思っております。(河村委員「活発じゃない、全然だよ」と呼ぶ)いや、全然ではございません。多少の動きはあるわけでございますが、地方の条例等もまだ十分整備できておりません。そういう点は十分反省をいたしまして、あの当時法改正までやっていただいた精神を十分反省いたしまして今後努力したいと思います。
  57. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 梅田勝君。
  58. 梅田勝

    ○梅田委員 後で反対討論をやらなければなりませんし、時間もないようでありますので、答弁の方は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず、大臣にお伺いいたしますが、この改正案の基本的な性格の問題であります。言うまでもありませんが、わが国は周辺が海でありますので港湾経済活動の基盤であり、国民生活にとりまして重要であるということは言うまでもありません。しかしながら、この港湾整備緊急措置法かできましたのは昭和三十六年でありまして、以来の四次にわたる港湾整備五カ年計画がいずれも独占大企業の高度成長に沿ったものであったことは明白であります。非常に急速に成長を遂げましたために計画自体も何回か繰り上げ変更になりまして、法改正もそのたびに行われておりますから、その性格はきわめて明確であろうと思います。  今回第五次五カ年計画が三兆一千億円を閣議了解されておりますが、これらは依然として日本列島改造論の立場を変えていないものだと思います。安全対策にいたしましても、総量規制あるいは大型船規制という立場ではなくて、もっぱら航路しゅんせつとかいうものに優先権を与えるような方向のみに力が入れられておるが、逆にこれは危険を増すものであるというように思うわけでございます。五十一年度予算事業区分を見ましても、地方港湾整備は、総予算二千九百八億円のうち四百八十六億円、一六・七五%でございます。こういう比率を見ましても、結局大企業を中心とした港湾づくり、あるいは外貿埠頭公団等々に集中しておると思うわけでございます。  問題は、それぞれの地域における経済活動の発展のために港湾というものは強めていく必要があるのじゃないかと思いますけれども、この改正を企図している姿勢というものは改める必要があるのじゃないかと私は思いますか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  59. 木村睦男

    ○木村国務大臣 今回は第五次の五カ年計画でございますが、運輸関係の施設整備の中で、たとえば道路等に比べますと港湾整備はスタートが非常におくれておったという背景があるわけでございます。その背景のもとで五カ年計画を今日まで第四次までやってきたわけでございまして、その経過の途中におきましては高度の経済成長もございましたし、そのために計画も十分にそれに追っつかなかったという過程も出てきておるわけでございます。今回の第五次の五カ年計画は、御承知のように新経済五カ年計画の中で港湾整備をやっていくという基本方針でございまして、あくまでもこれは量から質への転換というところに重点があるわけでございます。しかも、港湾の機能が非常に多様化いたしてまいっておりますので、それぞれの機能に対応して、地域発展のためあるいは安全のためにという、そういう問題を重点に置いて今後整備してまいるわけでございますし、また、六%前後の経済発展に対応するだけの港湾施設整備も必要でございます。  そういう観点からの五カ年計画整備でございまして、従来もそうでございますが、大企業のためであるとか、あるいは中小企業のためではないとか、そういうふうな観点から従来も整備をいたしておるわけではございませんし、今後ともわが国の経済発展というところに志向して整備をいたしていくわけでございまして、従来と多少変わってまいりますのは、港湾の機能の多様化に即応するということと、量よりもむしろ質的向上を図ろうという辺に第五次の特色があろうかと考えておるわけでございます。
  60. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣はそのようにおっしゃいますが、特定重要港湾を含めましたいわゆる重要港湾というのは百二十三港でございますが、全体に比べまして一一・四%ということで非常に少ないのでありますが、しかし、予算の面で見ますと、五十一年度予算におきましては一割の港が五七・二%の予算を使っておる。外貿埠頭公団を入れますと六割を超えるわけであります。ですから、予算の配分におきましても、重点がどこにあるかということははっきりしておると思います。  そこで、具体的にお尋ねをしていきますが、鹿島港の場合は昭和三十八年から事業を始めておりますが、今日まで国費は約二百億円投入されているはずでございます。ほぼ同額を地方港湾管理者、自治体が持っておりますから、全体の約六割か国民の負担ということになるわけであります。そこで、前にもお尋ねいたしましたか、今日の時点で、鹿島港につきまして、金額的に見て国と地方自治体の負担並びに企業の負担はどのようになっているかを御答弁願いたいと思います。
  61. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 三十八年からの総事業費が約六百九十四億円でございますが、国費がそのうち一二・八%、管理者が三〇・二%、受益者が三八%でございます。
  62. 梅田勝

    ○梅田委員 ただいまおっしゃいました内容について、後ほどで結構でございますから、各年度ごとの負担金額並びにパーセントを資料としていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  63. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 よろしゅうございます。
  64. 梅田勝

    ○梅田委員 要するに、石油港湾施設におきましても、鉄鋼港湾施設におきましても、予算は毎年鹿島港の場合にはついております。非常に手厚くやられておるということが経過的に見ても明らかだと思います。  そこで、もともと港湾というものは公共の役に立てるということで地方自治体が管理者となってやっておるわけでありますが、この鹿島港は前にも港湾法のときにお尋ねいたしましたが、問題の公共埠頭というものがどうなっているか。南の一部は完成をしたというように聞いておりますが、これもごく一部で実績は上がっていないように思うのでありますけれども、この南北の公共埠頭はいつ完成するのか。すでに昨年十二月にできたというのも、実績はどうなっているのか。北の方はいつできる見通しなのか。買収か非常に困難だということがあるようでありますけれども、その問題点は何かという点につきまして簡潔にお答えを願いたいと思います。
  65. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 鹿島港の建設は港湾管理者がその開発を図るためのものでございまして、この港をつくることによって企業を誘致し、同時に、その企業のそれぞれの埠頭を建設させるとともに一般的な貨物輸送に当たるという計画でございます。したがいまして、大きな船の入ってくる大型の岸壁は入り口の方につくり、順次小型のものは奥の方につくっていくというような計画になっているわけでございます。  また、この必要の効力を発揮する時期でございますが、これはそれぞれの企業、産業活動に対応いたしましてこれができればよろしいわけでございます。全体的に考えますと、たとえば入り口の方の大型岸壁を主要とする住友金属であるとかあるいは鹿島石油等は早期に活動が始まったわけでございますが、その周辺の関連企業はややおくれております。したがいまして、全体的に申し上げましてタイミングといたしますと奥の方の仕事はやはりおくれていく、これは当然なことであるというふうに私どもは考えている次第でございます。  公共岸壁が南埠頭におきまして現在二バース完成しておりますか、全部完成するのは——南の一部をこの五カ年計画では完成していきたい、このように考えております。
  66. 梅田勝

    ○梅田委員 私の質問したことにきちっと答えていただかなければいかぬね。南にできたのは実績があるのかと聞いているのです。これはなかったはずでございますね。そこのところをきちっと答えてくださいよ。  それから、北の方は買収がおくれているという話だが、これは一体どうなっておるのか、いつごろできるのかということを聞いているわけですよ。
  67. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 南の公共バースにおきまして、現在まだ昨年の十一月から稼働しているわけでございまして、この約三月の間に三万五千トンばかり扱っております。北の方につきましては、完成の時期を現在ここで言うことはできないわけであります。
  68. 梅田勝

    ○梅田委員 わずかに稼働を始めたようでありますけれども、北の方は全く手がついていないということなのですね。ですから、もともと公共埠頭をつくるということのために港湾法もあるわけでありますから、一番肝心なものかなかなかできないというのでは何のためにつくったかということが問題にならざるを得ないのです。この入口の住友金属とか鹿島石油とかいうところは結構使っているのですね。一番いいところを使っているわけですよ。前にも問題にしたのですが、住友金属のあの岸壁には「私有岸壁につき無断係留を禁ず」というふらちなことが書いてある。こんなものは早く撤去しなさいと以前にも指摘したことがあるのですけれども、それほど鹿島港というのは大企業のためにつくったという性格が明白でございます。  そこで、鹿島石油のバースでございますが、南防波堤に二つあるようでありますが、二十万トン級のタンカーが入港するのはここでしかやれないことになっています。しかし、防波堤にこんな私企業のバースを設けるということが果たして許されてよいものかどうか、これは問題だと思うのですね。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  全国にこれは例があるのかと言って私は聞いてみたのですけれども、そんな例はない。では、なぜ許可したのか。それから、許可するに当たって負担金か使用料か何か取っておるのかどうか。こんなところへ入口のところにごつい船が来て、方向転換でもやるとなれば出入りが非常に妨げになりますし、激突でもすれば大変な事故になるわけですよ。一体これはどういうことで許可になったのか、お答え願いたいと思います。
  69. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 まず、第一番に、鹿島港は住友金属、鹿島石油のためにつくったのではなく、港湾管理者がその港湾をつくり、それぞれの企業を誘致したものでございます。  それから、現在の大型バースでございますが、これはその港湾計画上最もよろしいところを使わせたわけでございまして、この手続等につきましては適正に手続がとられているわけでございます。  なお、使用料につきましては、茨城県港湾管理者は年間約七百三十四万一千円を水面使用料並びに港湾施設使用料として鹿島石油から徴収している、こういうわけでございます。
  70. 梅田勝

    ○梅田委員 ここの計画というものは御承知のように途中で変更になっているのですよ。二十万トン級のタンカーというのは後から計画されたのであって、当初は計画になかった。五万トン級ぐらいしか考えていなかった。ところが、でっかい船がどんどんできるというので急遽計画がこのように変更されまして、港全体の状況から見ると全く不適当なバースが鹿島石油に対して許可されておる。この一事を見てもこれは非常に重大な問題だと私は思うのですよ。  それから、非常にでっかい船の場合は、たとえば二十万トンの喫水は十九メートルというように言われております。安全率を五メートル見ますとマイナス二十四メートルというのが必要なわけでありますけれども、実際は運輸省は三メートルでもいいんだというようなことでやっているようでありますけれども、それでもマイナス二十二メートルでぎりぎりなんですね。最初ここはマイナス二十一メートルだったのですよ。それを、そういうことが出てきたものですからマイナス二十二メートルにまた変えていくというように計画変更をやる。そうするとしゅんせつをしなければならない。その場合の負担の比率でありますけれども昭和四十六年に従来の受益者負担の比率を変えられておりますが、昭和四十五年まではマイナス十二メートルまでは十分の五、マイナス十四メートルまでは十分の六、マイナス十六メートルまでは十分の七、マイナス十七メートル以上は十分の八ということであったのが、昭和四十六年からマイナス十三メートルまでは十分の五、マイナス十九メートルまでは十分の七、マイナス二十四メートル以上は十分の九というように変えられていっておる。以前はマイナス十七メートル以上のものは十分の八だった。ここの場合はマイナス二十二メートルにするのに十分の七・五ということになりますと、これは大企業の負担が結局少なくなるのではないかと思うのでありますが、これはどういう理由で変えられたのか、御説明願いたいと思うのです。
  71. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 先生のおっしゃいましたのは、当時の受益者負担のための内部的な基準でございます。これを昭和四十六年度以降おっしゃるように変えたわけでございますけれども、これは船舶が大型化するのが一般傾向であった。これに対応してやったわけでございます。したがいまして、現在一番深いところは九割負担金をとるというような制度になっておりまして、これは図面を描いてみるとわかりますけれども、受益者に得をするような形にはなっていないわけで、大型化に対応いたしまして大体適切なところであるというように考えている次第であります。
  72. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく、船か大型化するということでもってそれだけを対策中心にしておる。喫水が深いものですからどんどんまた深くしなければならぬ。ところが、大型が入ってくると危険がより増大するということもあるわけなんですね。小さい船は一番奥までいったらよろしい、その方は一番後でよろしいということで、対策がどんどん後れる。もっぱら力を入れるのは大型船ばかりというやり方が問題であろうと私は思います。もともとこのことで利益を得るのは大手海運業者なりあるいは臨海工業地帯にある大手大企業でありますから、そこから負担金をとればいいのです。もっともっととればいい。そういう点で、こういうやり方は問題であろうと私は思います。環境保全対策の問題につきましてもいろいろ計画がありますが、しかし、これらにつきましても負担金が完全にとれるようになっていない。こういう点を根本的に改めることこそが必要であろうと私は思います。  最後に、舞鶴港の整備問題がありますが、これを一言お尋ねして私の質問を終わりたいと思います。  京都府の舞鶴港は昔は軍港でございましたが、昭和二十五年の六月に、戦争放棄をいたしました憲法第九条の精神に基づいて、旧軍港都市転換法で、住民投票によりまして、八割の圧倒的支持で、再び軍港にはしないという決意で平和貿易港として発展させることになりました。ところが、二十七年には憲法違反の自衛隊を置きまして、これが非常に妨げになっているということは明らかでございます。ことしの二月に京都府は港湾審議会におきまして新しい舞鶴港整備計画というものを決めておりますが、これが第五次整備計画にどのように位置づけられておるのか。新聞報道によりますと、今後十年間に一千億円を投資しなければならない、しかし、国、府とも厳しい財政事情で、これが実現する可能性は薄いというように書いて、実施計画でこれが実際にどうなるのかということが言われておるわけでございます。  御承知のように、地方自治体は今日財政危機でありますから予算の分配も改善しなければなりませんし、本当に地域が必要としている港に補助率をもっと高めてやってりっぱな港をつくるということが必要だろうと思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  73. 竹内良夫

    竹内(良)政府委員 管理者と十分話して、この五ケ年計画において適切に仕事を進めていくようにしたいと思います。
  74. 中川一郎

    中川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  75. 中川一郎

    中川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。梅田勝君。
  76. 梅田勝

    ○梅田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について反対討論を行うものであります。  反対理由の第一は、本法案は、過去四次の計画が示しましたように、建設、整備された港湾整備の大部分が特定の大企業によって占有され、大企業本位の高度成長政策に奉仕してきた性格を何ら変えるものではなく、今後も引き続き国民の負担において大企業奉仕の港湾整備を行うとするものだからであります。  言うまでもなく、港湾は、四方海に囲まれたわが国におきましては、まさに、経済発展国民生活の向上にとって重要な基盤の一つであります。したがって、わが党は、港湾整備や改良そのものに異論を唱えるものではありません。問題は、それがだれのために行われるかという点であります。この法律そのものがどうしてつくられたかを振り返ってみるならば、そのことはおのずから明白であります。まさに、それは、自民党政府が独占資本の高度成長政策をとり始めた昭和三十六年につくられ、以来、三度の法改正と四次にわたる五カ年計画推進によって、新産業都市建設や臨海工業地帯の建設、京浜と阪神における外貿埠頭の強化など、大規模なコンビナート群と工業・貿易港づくりの道具にされたのであります。  その結果大企業はますます便利となり、巨大な利益を得たにもかかわらず、国民は、一昨年の三菱石油水島製油所の大量油流出事故など、海は汚され、大気は汚染され、はかり知れない被害を受けるに至っているのであります。本改正案はこのような反国民的な計画を引き続き進めるものであり、また、核燃料再処理という新たな事態に対して全く危険な原子力港湾建設などで対処しようとするものであり、われわれは断じて認めることはできません。  反対理由の第二は、大規模港湾整備に対して、国の援助を一番求めている離島など地方港湾整備がきわめておろそかにされている点であります。  周知のように、今日の港湾はすべて地方自治体が運営に当たり、地域産業経済発展地域住民の日常生活を豊かにするために役立てるというのが基本であります。自民党の悪政のもとで今日不況とインフレが起こり、また、過密過疎で経済にひずみが発生し、さらに地方自治体には厳しい財政困難が襲っております。こういう情勢であるだけに、国民生活に密着した港湾整備が痛切に求められているのであります。ところが、これら地方港湾に対する国の補助率は大企業のための特定港湾や重要港湾と比べると低く、かつ十分な対策は行われず、その整備は大きく立ちおくれているのであります。まずこの点を改めることこそが必要であります。  第三の理由は、今日の地方財政の危機のもとで地方自治体の負担を強要するものであり、国の統制を強め、逆に自治権を弱めるという重大な影響をもたらすからであります。  第五次五カ年計画は三兆一千億円の大規模なものであり、それは依然として日本列島改造論の基調に立つものであります。その結果は、乏しい苦しい地方自治体の負担が耐え切れないものになろうとすることは火を見るよりも明らかでありまして、押しつけることは許されません。もっと地方自治体の実態に即したものに改めることが必要であります。  第四は、大企業からの費用負担の原則が確立されていない点であります。  整備計画は大企業のための港湾づくりになっているとともに、船舶の航行の安全対策環境保全対策につきましても大企業本位となっているばかりでなく、その費用負担がきわめて大企業には軽いということであります。海運大企業が進めている船舶の大型化にあわせて行う巨大船のための航路の拡幅やしゅんせつなどは、安全どころか逆に危険を増大させるものでありますが、これらが国や地方自治体に大きな犠牲を払わせてやらせるというものであり、ますます承知できないものとなっております。  以上、わが党は、本改正案が大企業のための港湾づくりにほかならず、地域住民の望むものではないということを明らかにいたしまして、最後に、私は、公害や災害のない真に国民のための港湾づくりと、全体として国土のつり合いのとれた豊かな発展を望んでいる圧倒的な国民の声を代表して、大企業本位の本法律案の撤回を強く求めまして、反対討論を終わります。(拍手)
  77. 中川一郎

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  78. 中川一郎

    中川委員長 これより採決いたします。  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 中川一郎

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中川一郎

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  81. 中川一郎

    中川委員長 この際、木村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木村運輸大臣
  82. 木村睦男

    ○木村国務大臣 ただいまは港湾整備緊急措置法の一部改正法案を慎重に御審議いただきまして御可決いただきましたことを心から厚くお礼を申し上げます。  審議の過程におきまして示されました数々の有益な御意見につきましては、今後の整備の参考にいたしまして、お役に立つようにいたしたいと思います。  委員長初め皆さんの御労苦に心からお礼を申し上げて、ごあいさつにかえる次第であります。  ありがとうございました。(拍手)
  83. 中川一郎

    中川委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後四時四十五分開議
  84. 中川一郎

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。木村運輸大臣。     ————————————— 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  85. 木村睦男

    ○木村国務大臣 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済発展に寄与してまいりました。今日全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてきてはおりますが、鉄道としての特性を発揮できる輸送分野もなお多く存在するものと思われます。すなわち、国鉄は、わが国の交通体系の中で、今後とも、都市間旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送について重点的にその役割りを果たすとともに、国鉄の本来の使命から見て、これらの分野以外の分野を含めた全体につきまして独立採算性を指向した自立経営を行っていくことが強く期待されるものであります。  一方、国鉄の財政は、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどってまいりました。このため、政府におきましては、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二度にわたって国鉄の財政再建に関する基本方針を決定し、各種の対策を鋭意推進してまいったところであります。しかしながら、その後、輸送構造の変化、運賃改定のおくれ等による収入の不足と人件費及び物件費の大幅な上昇等による経費の増高のため、国鉄財政は改善の兆しを見せず、昭和五十年度には約八千五百億円の減価償却後損失を生じ、繰越欠損金は約三兆一千億円にも及ぶ見通しとなり、昭和四十八年度を初年度とする現行財政再建計画目標を達成することはきわめて困難な状況に立ち至っております。  このような現況にかんがみ、政府といたしましては、この際現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省を加え、抜本的な再建対策を策定して、これを強力に実施していく必要があると考え、昨年末に日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解いたしました。  今回の国鉄再建に当たりましては、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう厳しい姿勢のもとに国民に対して責任ある経営体制を確立することが再建を達成するための基本であり、このためには、労使関係を速やかに正常化することを初め、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立するとともに、組織、人事制度の抜本的改革を行うことが必要であると考えております。  次に、国鉄の財政問題につきましては、その収支の均衡を速やかに回復し、以後これを維持していくことをもって基本方針といたしております。このため、国鉄の業務運営の合理化その他の経営の改善を図る一方、いわゆる過去債務の処理を初めとする国の助成措置の強化とあわせて平均約五〇%の運賃改定を実施しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法の改正の内容について申し上げます。  第一に、鉄道の普通旅客運賃につきましては、その賃率をおおむね五五%引き上げ、現行賃率では営業一キロメートルごとに、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルを超える部分については二円五十銭となっておりますのを、六百キロメートルまでの部分については七円九十銭、六百キロメートルを超える部分については三円九十銭に改定することといたしております。  第二に、航路の普通旅客運賃につきましては、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行うことといたしております。  第三に、貨物につきましては、車扱い貨物運賃の賃率をおおむね五九%引き上げることといたしております。  なお、これらの改定は、本年六月一日から行うこととし、これによりましておおむね三七%の増収が得られる見込みとなっております。  次に、日本国有鉄道法の改正の内容について申し上げます。  第一に、国鉄は、その事業の収支の均衡の速やかな回復及び維持を図るとともに、その業務の適正な運営を図ることにより、その経営の健全性を確立するよう努めなければならないことを明らかにいたしております。  第二に、国鉄に対して経営の改善に関する計画の作成及び実施を義務づけるとともに、運輸大臣が経営改善計画の変更その他経営の改善に関し必要な事項について指示をすることができることといたしております。  第三に、政府は、昭和五十年度末の国鉄の長期債務のうち、累積赤字相当額の一部について、その償還が完了するまでの毎年度その償還額を無利子で貸し付けるとともに、その利子を補給することができることといたしております。  第四に、前述の貸付金の償還が完了するまでの間、国鉄は、特定債務整理特別勘定を設けて他の勘定と区分計理を行うとともに、収入支出子算についても他の勘定と区分することといたしております。  第五に、国鉄は、前事業年度から繰り越された損失があるときは、運輸大臣の承認を受けて、資本積立金を減額して整理することができることといたしております。  第六に、政府は、国鉄経営の健全性の確立のため必要があると認めるときは、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をすることといたしております。  なお、以上の措置に伴い、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法は廃止することといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。(「反対だ」と呼ぶ者あり)
  86. 中川一郎

    中川委員長 梅田君に申し上げます。奇声は発しないでください。  これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————
  87. 中川一郎

    中川委員長 これより、本案について質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。渡辺美智雄君。
  88. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 自由民主党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。  私の子供のころは、栃木県には海かないものですから、「汽車は出て行く、煙は見えず、見えぬはずだよ無煙炭」というような歌がありました。国鉄はわれわれに多くの夢を持たせておったのであります。ところが、最近の国鉄はどうも夢もなければ詩も余りない。倒産寸前でぎくしゃくして、場合によっては世間じゅうから恨まれるというような状態で、ずいぶん国鉄も変わったものだと私は思っているわけであります。  何と申しましても、国鉄は落ちぶれたと言いながら、いま運輸大臣の説明の中にもちょっとございましたが、旅客にあっては日本輸送量の三一%をまだ持っております。われわれが子供のころは、旅行をするのには国鉄以外には利用するものがなかった。国鉄がほとんど九〇%の輸送機関であった。世の中も変わるのは変わりました。しかし、いまでも三〇%のシェアを持っておるわけですから、これをなくするというわけにもなかなかいかぬだろう。特に、エネルギーの効率という問題を考えると国鉄が一番いい。石油一リットルで一キロメートル運べる人員は、電車は三百三十人、バスは百六十人、乗用車は五十人、航空機が三十人だということを国鉄の資料の中に書いてある。安全性も一番高い。なるほど自動車事故というのはいま非常に社会問題になっておる。交通戦争と言われておるわけでありますが、これは飛行機の場合の二百分の一、自動車の六百五十分の一だというようなことも言われておるから、国鉄が落ちぶれることの方がおかしいのではないかという気も実はするわけでございます。  ところが、現実の問題としては、この世界のマンモス企業、四十三万人の人間を抱える国鉄がいまや倒産寸前にある。これも事実であります。これは一体何が原因なのか。国鉄の何とかという。パンフレットにいろいろもっともらしいことが書いてあります。私も大体八割、七割ぐらいはまあこんなところかなあと思ってこれを読んでみたわけでございますが、やはり、確かに運賃の水準は低い。この資料によると、消費者物価は戦前と比べて千倍になったのに国鉄運賃は三百倍だ、非常に安いということも書いてある。大体それも間違いないかもしらん。私の町は西那須野というところだが、大体百五十キロで七百七十円が料金です。上野の駅から国会までタクシーで来ると大体それぐらいの料金ですから、それを比較してみると、素人考えとしても非常に安いなあという気はするわけであります。  昭和三十八年までは国鉄は黒字であったわけでありますが、三十八年から四十九年ごろまででどういうふうな違いが出たか。三十八年対五十年というものを私は調べてみた。三十八年の国鉄が黒字であったときの物価といまの物価はどれぐらい違ったか。大体卸売物価で一・七六倍、小売物価で二・五倍です。運賃収入の方はどれぐらいの倍数になっておるかというと、三十八年対五十年では大体これが二・八倍になっておるわけであります。そうすると、そう食い違いがなく伸びているんじゃないかと思うのでありますが、実は人件費の方が三十八年から五十年の間に約五倍になりました。三十八年は基準内賃金で一人平均が三十七万一千円が大体国鉄の職員の賃金で、民間の相場も大体そんなようなところだった。ところが、五十年では基準内賃金が百八十七万六千円ということでございますから、これは五倍になった。なるほど運賃の収入の方は二・八倍にしかならなかったが、人件費の方は五倍になった。これは国鉄の経営にやはり大きな重圧としてかかってくるようになったことは間違いないというように私は見ておるのであります。したがって、人件費の問題を避けての国鉄の再建というものはあり得ない。  ところが、このパンフレットを見ると、運賃が安いということ、地方交通線が重荷になっておるということ、貨物輸送が減ってしまったということ、借金が膨大になって利息が大変だということ、そういうことは書いてあるんだけれども、人件費の重圧ということはこれには書いてない。少なくとも大きな見出しではどこにもないのだ。そういう感覚でこれから経営に取り組んでいくんだということはちょっと認識不足なんじゃないのかと私は思うのです。  そこで、高木総裁にお尋ねをいたしたいのですが、人件費の重圧という問題についてどういうふうにお考えであるのか、人件費はそんなに大したことはないんだとお考えになっておるのか、そこのところをお聞きしたい。  今度の運賃法を見ましても、この資料の中でも、一兆七千億円近い収入で、五十年度はやはり一兆七千億円近い人件費になっておる。これは収入イコール人件費というようなことであって、もう異常企業中の異常企業だ。人件費が過半数などという企業は大体世間では倒産ですよ。国鉄ももうとっくに倒産しなければならないのです。この問題が一番大きな問題なのですから、これに対する基本的な物の考え方をお聞きしたいし、なぜ人件費の問題をここに大きく取り上げなかったのかということを聞きたい。それを言うと組合からしかられる、人件費のことは、世間も上がっているのだし、どこも上がっているのだし、余り刺激することはこういうものに書かない方がいいというようなことで書かなかったのか。そこら辺のところがこれから改革に取り組む姿勢として一番大切な問題ではないかという気がするわけであります。したがって、まず人件費の問題について、これはもう異常な問題なのだから、それをなぜここに書かなかったのか、どういう考え方でいるのか、考え方について私は一言お尋ねをしたいと存じます。
  89. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄の場合には、コストの中で人件費の占める割合というのが大体年によって違います。違いますが、平均的には六割くらいであろうかと思います。  わが国の経済におきまして、最近の十年間くらいをとってまいりますと、世界の人件費平均的な人件費といいますか、よその国の人件費と比べまして、御存じのように人件費水準が上がっておるわけでございまして、このことは、わが国経済としては、一方においてはそれだけ国民生活の内容が高まった、あるいは福祉水準が上がったということを意味することで、歓迎すべきことではございますけれども、反面、人件費が上がりますと日本経済全体としての競争力の問題が落ちてくるという関係があるわけでございまして、人件費問題というものは日本経済にとってはなはだ大きな問題であるというふうに考えております。  その場合、特に鉄道のようなサービス産業におきましてはそもそも人件費率が非常に高いわけでございますので、製造業のような場合と比べまして人件費高騰の圧力が大きくなってまいります。そこで、国鉄に限らず、私ども大蔵省におります時分から、たとえば郵政事業等は国鉄の場合よりももっと人件費率が高いということでございまして、公企体のみならず一般的に政府がいろいろ経営に当たっておりますものの中には人件費率が非常に高いというものがいろいろありますので、人件費率がだんだん高くなるということは、極度に進みますと日本の国際経済競争力を落とすという心配と日本の財政状態が悪くなるという心配があるわけでございまして、その点は私ども大蔵省におります時分からかねがね心配をしたり主張をしたりしておったことでございます。  その意味で、国鉄が人件費率が高いだけにいろいろと新しく一般会計等から御援助をいただきましても、今後再建にはなはだ道が遠いということがあるかと思いますが、それに対応する道としては、いかにして人件費率を下げるかということをやはり考えていかなければならないと思います。合理化といいますとすぐ人減らしというふうにつながりますが、そういう意味ももちろんありますけれども、経営体質を改善するためには人件費構造を小さくしていくという努力を続けていかなければならないと思います。  第二に、いま御指摘の運賃改定についての呼びかけパンフレットの中になぜ人件費の問題を触れなかったかということでございますが、これは私もかなり自分で目を通して作成したものでございますから、率直に申しましてこれを入れるか入れないか大変迷ったわけでございます。迷ったわけでございますが、問題は、この人件費率の問題は、私の認識では、必ずしも国鉄だけの問題ではなくて、先ほど来少し長話しで申しましたように、日本経済全体の問題であるように思いますので、国鉄だけの問題としてこれを取り上ぐべきかどうか——確かに郵便会計のように八割近いものか人件費であるものもあるし、それに次いでは国鉄において人件費問題かウェートが高いことは事実でございますから、一つの考えとしては人件費率のことに触れておこうかと思いましたけれども、しかし、ここ数カ年の日本経済の問題といたしましては、製造業も含めましてすべて人件費問題があるわけでございますので、それを訴えることはちょっと——これは考えようでございますか、私は、最終的にはこれは国鉄だけの問題ではないという意味において、この際は取り上げなくてもいいんではないかと思いまして——実は、ページ建ての都合もありまして、もう少し厚いページのものの原案であったわけでございまして、その段階では書いておりましたけれども、最後に整理するときに、どれをアピールするかというときに落としたという経緯でございます。  御指摘のように、人件費問題が国鉄経営にとってきわめて重大であることは、私もそのように考えております。
  90. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 総裁のお話ですと、人件費はほかも上がるのだから国鉄も上がるのだということだが、それは上がるでしょう。それは上がりましょうが、このあなたの資料を見てもわかるように、五十年度運賃収入は一兆六千億円で、人件費が一兆五千億円となっているのですね。そうでしょう。「損益状況等の推移」という資料に書いてあるね。私は別な資料で見たら、両方とも大体一兆六千億円以上七千億円近いという資料もあったが、いずれにしても九割以上が人件費であって、こんなことは異常に決まっているわけですよ。ですから、国鉄は収入をうんと上げれば、それは人件費率は少なくなるでしょう。人数を減らして人件費を少なくすれば人件費率も少なくなるでしょう。方法は幾つもあるでしょう。  大体、目標として、健全な国鉄の経営のためには、売り上げに対しておおよそ何%ぐらいが望ましいと思いますか。再建をするには一応のそういうふうな基本的な考えをお持ちでしょうから、それを一言お聞かせを願いたいと思います。大体売り上げの六割ぐらいまでが限度だとか、五年間ぐらいにそこまで持っていきたいと思うとか、いや八割くらいがいいとか、五割でもできるのじゃないかとか、そういうことはどうなんですか。
  91. 高木文雄

    ○高木説明員 過去におきまして、今日のようにものすごく赤字が出るというような状態でなかった時代の数字を拾ってみますと、大体六割前後ということになっておったと思います。ただ、それでは六割がいいのかどうかということになりますと、今度は、将来人手に頼るのではなしにだんだん機械化を進めていくということになりますと、逆に申しますと資本費負担がだんだんふえてまいりますから、その意味において、将来のあり方としては六割でも必ずしも十分とは言えないわけでございます。コスト構成中の資本費部分といいますか、利子負担部分がだんだんふえて、機械化が進むに従って利子負担部分がふえていって、そして人件費部分が相当減っていかなければ機械化による置きかえがきかないということでございますので、過去において六割であったから将来も六割でいいということは今日の段階ではちょっと申し上げかねるかと思います。  ただ、そう申しましても現状はひどいことになっておりますので、当面の目標としてはまあ六割ぐらいのところを限度に置いてやっていくということでよろしいのではないかというふうに考えます。
  92. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 国鉄総裁は、当面の目標としては人件費は売り上げの大体六割ぐらいにしたいというお考えを発表されましたが、それは確かに昭和三十九年で運賃収入が大体五千七百億で人件費が三千三百億ですが、これは赤字になる年ですね。そこが六割ぐらいなんです。それ以前はこれは黒字なんです。ですから、六割が大体もう最高限ではないか。六割よりも減らす方向というのは、これが常識だろうと私は思うのです。ですから、そういうような大方針があるならば、そういうような大方針もひとつ示していただきたかったということを私は申し上げた次第でございます。  その次に、国鉄のこのパンフレットによると、地方交通線が赤字の元凶になっているのだということが書いてありますが、地方交通線が九千百三十七キロある。幹線系線区というのが一万三千四百二十六キロあって、地方交通線が長さでは約四〇%を占めておる。しかし、輸送量は五%にすぎない。収入は四%である。それで、損失は国鉄の損失の約三十%、二九%が地方交通線のためにあるんだということがここに書いてある。収入が五百四十九億円で、コストが二千三百七十二億円だから、結局一千八百二十三億円が地方交通線のための欠損だということが書いてあるわけであります。この計算の仕方はどうやったんだということをいろいろ聞いてみたんですが、厳格にやったというから、私は一応数字はうのみにいたしますが、この地方交通線というものは国鉄にとって確かに大きな問題であることは間違いないと思います。  しかし、地方交通線というものは昔はかなり意味があった。十キロでも二十キロでも汽車がなければ何とも困るという時代もあった。ところが、この資料によると、これを見ると、「収支係数からみた下位十線の経営成績」というものがあって、一・九キロなんという鉄道があるんですね。七・九キロとか十一・六キロとかいうものもあるし、同じ赤字線でも百二十一キロというのもあろ。これは相当何かの利用価値があって、政策上の必要があるからなかなか外せないということは意味はわかります。しかし、いまこれだけ自動車が発達をして、道路が舗装になって、十キロとかあるいは七キロとかという鉄道があって、たとえば漆生線なんというのは福岡県にあるらしいんだが、年間に収入が一千百万円で経費が一億九千三百万かかるというんだ。だから、その七・九キロの線のために一億八千二百万が欠損になりますということがここに書いてある。  こういうことは代議士も悪いかもしれないんだな。みんなで外すな外すなと騒ぐのだからね。これは確かに代議士も悪いかもしれないが、しかし、だからといって、国鉄の赤字はけしからぬよ、なくせと言われているとすれば、これはどっちか二つに一つをとらなければならぬ。代議士が外すなと言うならこれは代議士に負担してもらうか、あるいは隣接の市町村、県に負担してもらうか、あるいは国が負担をするか、あるいは国鉄が負担をするか、あるいはここのところだけ料金をうんと上げるか、何かしなければならぬが、上げてみたところで七キロぐらいだ。人が乗らないんだからね。幾ら上げたって採算が合うわけないんだ。ということになれば、これは大所高所から見て外すことも検討せざるを得ないんじゃないか。実際問題として、自動車もない道路もないという昔の時代には非常にこれは意義があったでしょう。しかしいまは置くことに意義があるというだけでは困るわけです。  これは法律には関係ないんですね。鉄道を外すのには一々鉄道敷設法別表からでも切っちゃうというんならどうか知りませんけれども、営業をやめるということは法律には関係がないはずなんです。これは大臣の認可ということで、やる気があったらできるんじゃないか。もうにっちもさっちもいかなくなっちゃっているんだから、何かやらないわけにはいかないと思うのだが、これはどういう考えですか。一時は、地方線の整理ということを前の前の総裁のときはかなり言ったけれども日本列島改造論が出ちゃってからは、地方線を外すどころかもっともっとつくっちまえみたいな話になっちゃって、それに便乗しちゃって地方線を外す話は消えちゃったわけだが、これは一体どういうふうにお考えになっておるのか。私の持ち時間がないものだから、ひとつ簡単にお願いします。
  93. 高木文雄

    ○高木説明員 昨年の十二月に閣議で決めていただきました再建対策要綱で明らかにされておりますように、地方交通線については、住民の皆さんの同意を得た上で外せるものは外していくということの方針であるというふうに、政府の方針がそのようになっておりますので、私どももそれに従ってまいりたいと思います。  ただ、その場合に、どこをどういうふうに外したらよろしいのかということについては基準的なものを運輸省を中心にして立てていただく、私どももまたそのもととなる材料を運輸省に提出しなければならない、それを至急いたさねばならぬ、このように考えております。
  94. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 さっきも国鉄の職員の人を呼んでちょっと聞いてみたら、私の方は外したいんだけれども運輸大臣がなかなか認可してくれないと言うんだな。そういうような申請があった場合に、運輸大臣はまず地元から同意をとってこいと言うが、地元は、町村長にしたって、わかっちゃいるけれども、実際は立場があるんだから、はいわかりました、同意しますとはなかなか言えないんだな。だから、表づらから同意をとれと言ってもなかなかとれないと私は思いますよ。代議士だって選挙があるんだから地元で頼まれればそれは外すな外すなぐらいのことはやはり一緒になって言わなければならぬ。腹の中ではともかく外すのは仕方ないなと思っていても、ちょうど、あれは連中悪人だから死んだ方がいいと思っていても、うちのおやじは死にましたと言われれば、それはよかったよかった、おれも本当は待っていたんだとは言えないようなものだからね。やはり、御愁傷でございますぐらい言うのは人間のつき合いなんだからね。だから、そういう点から考えても、同意をとってこいというようなことだけ、ではやはり話は進まない。国会へ来れば、何で外すんだというようなことの質問ぐらい一応は運輸委員会で出ますよ。それで何票かとってくる人だってあるんだからね。  だから、大臣は、そういうような地方線で、これはもう目的を果たした、それを外しても地域住民にそんなに迷惑はかからぬというような問題で国鉄から内申があった場合にはどういう態度でお臨みになりますか、心構えのほどをお聞かせ願います。
  95. 木村睦男

    ○木村国務大臣 地方の赤字線の問題は、長い国鉄の歴史の中で非常に経緯がございまして、現在実際使用の役に立っていないというふうなものは簡単に外し得るものでございますけれども、いまお話の中にもありましたように、地元の民意というものもなかなかございます。  そこで、今回の改正の中での方針は、そういう路線につきましては、地元がどうしても鼻残したいというものにつきましてはやはり地元で責任を持ってもらう——地方公共団体はいま財政上は弱っておりますが、よく相談をいたしまして地方に引き受けてもらうか、あるいは他の交通機関に引き受けてもらうか、あるいは廃止するか、どれを選ぶかというふうなことを地元とよく相談をいたしまして、地元の意見もよく聞きました上で使用目的を果たす。あるいはこれを果たすに近いようなものにつきましてはできる限り整理をしていきたい。しかし、これにはちょっと時間がかかるものですから、今回は一応そういうものも含めまして補助金で赤字の補てんを一部やっておりますが、一年の間にそういう方針に従って処理をしていきたい、そして私が申し上げたような方針に従って国鉄がやっていきますのに運輸省も協力をしてやっていきたい、かように考えております。
  96. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 こういうふうな大改革というものは、いやなことを避けて通ってはだめなんですよ。どうしてもやらなくちゃならない問題を避けて通れば、また次の年に頭をぶつけてしまうということになるのであって、両方いいようなわけにはいかないのです。まして、これは五〇%、貨物は五九%も上げる。独占企業ですから、場所によっては国鉄以外は利用できないというところだってあるわけですね。通勤者その他もいる。大幅に値上げをするということですから、そういう内部のむだというものは切ってもらわなければ困るのです。  そういう意味で、私は安易に値上げに賛成はいたしません。しかし、まあこの程度は仕方がないなということで、そのためには国鉄内部ももっと企業努力をしなければいけません。運輸省も逃げちゃいけません。大蔵省にばかり出させるような話で、今度は大蔵省から総裁を迎えてきたから金の方は持参金つきでうまくいくぞなんて考えたって、大体、嫁にやった方がもう金がないのだから、持参金つきというわけにはいかないのだ。ですから、裸の嫁さんをもらったと思って——実際の話か、持参金がついてきたと思ったら本当は何もなかったという話なんです。だから、そういうようなかたい姿勢で、かたい決意でやっていただきたいということを私はお願い申し上げる。  地元には地元のエゴがあるのですよ。私もかつて地元に盲腸線があって外す外さないで騒いだことがあるが、国鉄の方からはそれでは材木と米だけは必ず積んでくださいということで、私が仲に入って町村長みんなに判こを押させて、材木と米はみんなつけるという約束をしたのだけれども、一年だけつけて後は全部つけないということでもとのもくあみになっちゃった。結局これは利用していない。通勤通学だけだ。それは赤字になるのは決まっているんですよ。ですから、やはりお互いに立場があるのですが、そういう立場があっても納得するところはやはり納得するのですから、あなた方が誠意を持って、自分の責任において、どろをかぶってもやることはやるという姿勢をはっきりさせてもらいたいと私は思います。  第三番目は、貨物輸送の問題でございます。国鉄の貨物輸送量が非常に減ってしまったわけです。一時はかなりの量を持っておったのですが、年々減っていまは一三%くらいのシェアしかないというようなことが書いてあるわけでありますが、これも大きな問題だと私は思います。そこへもってきて、巷間よく聞くことは、国鉄の赤字の原因は貨物なのだ、貨物が一番の元凶であって、言うならば貨物の運賃で財界に奉仕をしているのだ、だから貨物運賃はうんと上げろ、貨物の赤字をわれわれにぶっかけて庶民大衆をいじめているのだということを言う人があるのです。労働組合なんかでもそういうことを言う人がある。  私はいろいろ研究してみたのだが、運賃がそんなに安いのに何で二%にシェアが減ってしまったのか、そこらのところがわからない。運賃が安いならもっとシェアが伸びてもよさそうなものだ。ところが、だんだんシェアが減ってしまった。木材の輸送の問題についても、昭和三十五年ごろは四三%を貨車で送った。ところが、いまは一五%になってしまった。石炭は使わなくなったせいもありましょうが、四二%送っておったものが、いまは九%しか送らぬ。魚類は二〇%が七%に減った。米だけか、これはこの資料にはないけれども、三〇%のシェアがいまは三八%国鉄で送られている。野菜が一四%国鉄を利用しておったものがいまや四%しか利用者がない。こういうふうになってきたわけで、ここで五九%も値上げをするということになったらこのシェアが維持できますか、それともシェアの拡大ができるとお見込みでございますか、どうですか。ここで五九%という六〇%近い値上げをしてシェアは持続できると思いますか。それともシェアはさらに減ると思いますか。
  97. 田口通夫

    ○田口説明員 五八・六%の運賃値上げをいたしますと、トンキロで約一〇・八%の減送を予想いたしております。
  98. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そういうことになると、シェアはまたさらに落ち込むということになってくるだろうと私は思うのであります。貨物なんというものは競争相手があり、独占企業じゃないのだからね。トラック輸送はいま不景気で、国鉄のストライキをやってもらいたいほどだと言うんだね。仕事が多くなっていいというわけでね。ですから、一方的に自分だけ上げれば収入がふえるのだというのではなくて、お客が逃げていくということもある。  貨物のシェアが減った原因というのは、自動車が便利だ、本当に自分の庭先から需要者の庭先までストレートに届けてもらえるということがトラックがふえた一番大きな原因だと私は思います。国鉄に頼めば荷づくりが大変だ、マル通に頼んで運んで駅へ持っていって、今度は駅から向こうの駅へおろして、そこまで自動車でとりにいくというようなことで、国鉄ではこれに対抗してコンテナ制度というものが始まったが、コンテナは非常に結構なことで、ぜひ伸ばしてもらいたいと私は思うけれども、非常に国鉄が遅い、不親切である、物が傷む、ストライキをいつやるかわからない、国鉄に任しておいて着くものが着かなくなってしまったら大変なことになる、したがって多少よけい掛かりがかかってもトラックでいこうということであって、貨物のシェアが減った原因の一つには、民間がぜいたくをして、ともかく横着をしていて、うちの庭先まで持ってきてもらった方がいいということもありましょうが、国鉄のストライキというようなものかやはりお客を追いやっておるということも間違いないと私は思う。  そこで、どうしても対抗できないものは仕方がないとしても、ストライキをやるなと言っても向こうはやるのだから、違法なストライキによって受けた貨物の損害は国鉄が全部見てあげますから、そのストライキの心配だけはしないでくださいと言えばお客さんの方も幾らか安心するのじゃないかと思うのですが、どうですか。ストがあってもし魚が腐ったり野菜が腐ったりしたときには私が補償しますからどうぞ国鉄を利用してくださいという、そういうキャンペーンを積極的に張る気はありませんか。
  99. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの点は私も十分研究してみたいと思っておりますが、ただ、問題は、ストライキのときだけであればそういうこともあれなんですが、実は、もう少し困ったことに、サービス内容がふだんでもよくない場合があるようでございまして、貨物についての客離れ現象の原因をもう少し——ただ、ストライキの場合か原因で起こっておることも確かでございますけれども、そのほかにもどうもあるやに耳にいたしますので、少し勉強させていただきたいと思います。
  100. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 六〇%近い値上げというものはまあ限界ではないかと私は思うのでございますが、人によると貨物運賃が安過ぎるのだと言う。要するに、収入が二千三百八十六億円で、貨物のためにコストが五千五百七十億円と、倍以上経費がかかっている。ですから、この貨物をいまの状態でとんとんにするとすれば、運賃を何ぼ上げたらばとんとんになるのですか。
  101. 田口通夫

    ○田口説明員 五千五百七十億で、収入が二千三百八十六億でございますので、約二倍強ということになります。
  102. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 いまの貨物運賃をこの六月一日から仮に二倍強に値上げをしたとして、あなたが言ったように一〇%ぐらいの目減りというもので済みますか。済むと思いますか。
  103. 田口通夫

    ○田口説明員 二倍値上げいたしますと、かなりの減収になると思います。約二〇〇%の値上げといたしまして、実収は一二六ぐらいになると思います。八〇ぐらいの目減りということになります。
  104. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そうすれば、二倍半上げれば上げただけで、もう半分に荷物が減って、人から悪口を言われただけで収益には何にも関係ないということになるわけだな。
  105. 田口通夫

    ○田口説明員 二倍半上げまして、増収はわずか二六ないし三〇%程度ということになると思います。
  106. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 いまあなたがおっしゃったのは、二〇〇%として一二六という話ですから、二五〇%ということになればもっと減るんじゃないの。
  107. 田口通夫

    ○田口説明員 簡単に三〇と申し上げましたが、計算をいたしますともっと上がるかもわかりません。いま計算しておりませんので……。
  108. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 いずれにしても、二倍半とか三倍とかというものにしたら半分以下に諭送は激減すると私は思いますよ。いま国鉄に乗せるのは、自動車の方と比べてみてどちらが安いか高いかということを見て乗せているわけですから、大体バランスかそんなに崩れているはずはないのです。国鉄の方がうんと有利なら自動車は使いませんよ。みんな不景気で利益が上がらないで困っているんだから、だれだって、経費の節約を考えない業者なんて一人もいないのだから、国鉄がうんと安ければみんな国鉄に来るのですよ。不景気だから国鉄に来ないといっても、国鉄がそんなに安くないから来ないのですよ。それを五九%も上げたらあなたの試算のとおりになるかどうか、本当に疑問なんだ。  それから、もう一つ私が言いたいことは、世の中によく、貨物は大赤字でそのためにみんな旅客にかぶせているんだから、二倍とか三倍に上げて財界の奉仕をやめろという俗論があるのですが、この俗論がいかにでたらめであるかということはいまの話でおわかりでしょう。あなたの方ではそういうことに対するPRも一緒にしてもらわなければ困るのですよ。これは労働組合まで言っているんだからね。要するに、国鉄は貨物で独占資本に奉仕していると言うんだ。労働組合の職員というのは、あれはみんな国鉄の専門家ばかりいるんじゃないのかね。それがパンフレットにちゃんと書いているよ。労働組合発行のパンフレットに国鉄は独占資本に貨物で奉仕していると書いているんだが、これは本当に奉仕しているのかね。奉仕しないように値上げしたならば荷物がなくなっちゃうんだ。荷物がなくなったんならいまの人間は要らないんだ。そういう理屈になってくるんだが、七万五千人貨物だけに人間が要るんだから奉仕を断ち切るために三倍ぐらい上げてみたらどうですか。
  109. 田口通夫

    ○田口説明員 貨物につきましては、国鉄運賃法及び鉄道営業法で運送条件も全部決まっておりまして、同一品目、同一区間、同一距離、全部同じでございまして、特に独占資本に奉仕をしているような条件にはなっておりません。
  110. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 ところが、それがなかなかわからないので、一般の人はそういうふうなPRを聞くと、財界に奉仕した貨物の代金を本当におれらが払っているのかなと思っちゃうのですから、これはやはりPRのパンフレットの中に国鉄はちゃんと書かなければいかぬですよ。  私は、めんどうくさいから貨物は全廃しちゃったらどうかと思っているのです。要するに、手小荷物という旅客収入に入ってくるやつだけは認めて、貨物は競争相手があるからどうしたって赤字から抜けることができないのだから、いっそのこと全廃しちゃったらどうだろう。全廃してしまったら人間は何人減るかね。
  111. 田口通夫

    ○田口説明員 貨物に現在充当しております要員のうち、貨物固有の作業に従事をいたしております人間の作業量を人であらわしますのを充当人員と申しておりますが、七万五千人でございます。
  112. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 七万五千人だが、七万五千人全部消えちまうというわけになかなかいかないので、ざっと六万五千か六万じゃないかというふうに私は思っておる。そうすると、給与その他全部を入れて大体三百万と見ると、これは約二千億円人件費が浮くのだな。貨物をやめちゃえば六万人要らないのだから、人件費が浮いちまう。どうですか、そういうふうに考えませんか。そのかわり、人件費も浮くけれども収入もなくなっちゃうな。差し引き計算すると大体八百億円くらいはそれでも浮く計算になる。これはぼくはやってみたんだが、貨物を全廃する気はありませんか。それとも、貨物を黒字にする方法がありますか。しからば、貨物を黒字にする方法、収支均衡がとれる方法があったらひとつ教えてください。
  113. 高木文雄

    ○高木説明員 貨物が赤字になっております原因についてはいろいろあると思いますが、先ほど来御指摘にありますように、サービスがいろいろな意味で非常に落ちているということは事実であると思います。本来ならば、安ければそちらを選んでいただけるはずなんですが、安いのにもかかわらずほかの輸送手段が使われているという分野がどのくらいあるのか、そしてそのサービスを直すためにどのくらいの処置をとり得るのかという問題が一つあり得ます。  それから、もう一つの問題は、先ほど野菜の例を引かれましたように、鮮度が問題になるような品物がどんどんシェアが落ちていってしまったわけでございますが、これは輸送計画の中で旅客を非常に重視してまいりまして、貨物は余り昼間は走らせないで夜走らせるとか、あるいは急行列車を通すためにたびたびわきで待っているという事態があるとか、そういうことがいろいろ重なってきていると思います。それらを総合勘案しまして、いまおっしゃいましたのは一つの示唆的なお話でございますから、どこを重点にやっていくのかということを考える必要があろうかと思います。  どうしても重いものであるとか量の多いものについては、やはり、国鉄だけの都合でやめてしまうというわけにもなかなかまいらないのではありますまいか。エネルギーの有効利用という角度から考えましても、国鉄の貨物列車を使っていただいた方がより有意義だというものについては残していくべきではないかと思います。  貨物問題は大問題でございますが、おっしゃる点も頭に入れて一遍整理をしてみなければいかぬと思います。
  114. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 貨物を、料金を上げることによって収支のバランスをとらせる方法がありますか。あったら教えてください。
  115. 高木文雄

    ○高木説明員 料金だけではなかなかうまく片づかないというふうに思います。むしろ、御指摘になっておりますようにかえって減る場合が起こり得るので、今後の問題としてはよほど慎重に考えなければならないと思います。  それから、もう一つ、私は国鉄へ参りましてもまだ素人でございますのでよくわかりませんが、料金法定主義という点は、特に貨物の場合には、どうも旅客以上に問題があるように思います。要するに、普通の営業でございますとどうやったら収入が一番上がるかということを考えながら料金を決めることになるのだと思いますが、トラック等においても認可料金はありますけれども、その範囲内においてサービスをよくしたり、割引を多くしたり いろいろしてやっているわけでございまして そういうトラックを相手にして当方は固定的な料金でやっておりますからなかなか商売がやりにくい。もう少し商売的な感じでやる場合にはどうしたらいいのかということも少し大至急研究してみたいと思っております。
  116. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 それが、貨物はバランスをとらせる方法というものが料金ではなかなかできないのですよ。取り扱い数量をどうしてふやすかということ以外にないのです。料金をうんと上げたらだれも乗せないんだ。二倍半にも上げてしまったら、計算の上ではバランスがとれることになるが、実際は自動車や船との競争をやっているのですから、自動車の倍も高い料金で——国鉄か勲章でもくれればどうか知らぬけれども、終身パスでもくれればどうか知らぬが、幾ら高木さんが行って二倍半に上げて、国鉄はエネルギーを使わないので一番いいんですよ、公害が起きませんよと言っても、商売人というのはどっちがもうかるか損するかというふところ勘定でやっているわけだからできない。どうせできないことで労働組合から財界奉仕だの何だのかんだのしょっちゅう言われているのならば、これは国鉄職員が言うんだから本気にするのですよ。国鉄の労働組合は国労だの動労だのがあるでしょうが、これはその連中が動労のパンフレットに書いているんだからうそでも何でもない。ここに書いてある。これは後で見せるけれども そういういいかげんなでたらめなことを言わせてはいけませんよ。従業員なんだからね。これは国鉄を本当に間違わせる。国鉄の制服を着た人がそんなことを言って歩いたら、だれだって値上げをしてもらいたくないんだから、もっともだもっともだと思うんだ。ですから、そういうでたらめなことは言わせないように、まず、大事な話し合いをよく話し合いなさいよ。これを私は強く要求いたしておきます。  その次に進みます。  膨大な赤字の中で、何と言ったって問題はこれに書いているように借金だ。借金の利息は大変だ。これはとても払えないよ。ここに金を貸した人は本当に大変だよ。絶対に取れない。これは年々ふえちゃんだから、雪だるまだからね。国鉄に貸したら元金は返ってこない。本当に驚いたところです。だれが貸しているんだろうかと思って私は調べてみたところが、長期借入金というので四兆四千億円は政府です。資金運用部資金が四兆円。これは主たるものは郵便局です。これを国鉄がパンクして払わなかったらどうするのですか。これは郵便局があしたから取りつけ騒ぎになってしまう。二十何兆円か郵便局は貯金があるそうですか、そのうちの四兆円が焦げついては大変ですよ。零細貯金ですよ。庶民大衆の貯金だ。その次が国鉄債券、これが二兆四千億円あるのですが、その中の政府保証債というものが五千五百億円ばかりあります。銀行その他自己調達というのは、銀行が一兆八千六百四十三億円。調べてみたら農協まで借りているんですね。そうでしょう。国鉄には金借り係という重役がいるという話を聞いているんだけれども、本当ですか。金を借りに専門に歩いているんだけれども、いまだれも相手にしてくれないというんだ。貸したら最後、いつ返すか全然期限がないんだ。大変なことだ。大社会問題ですよ。七兆円の倒産ということになったら大変な社会問題になってしまう。政府がついているからいつか返してくれるだろうと思っているから取りつけ騒ぎにならないが、本当は農協だって決算するときに困るのですよ。  私は大蔵省がいたら聞きたいのだが、郵便貯金を貸すとき、銀行が金を貸すとき、不良会社に貸してはいかぬと言って大蔵省銀行局はやっているんだから、高木さんは大蔵次官もして、不良会社に金を貸せとあなたは言ったかどうか、一言でいいからちょっと言ってください。
  117. 高木文雄

    ○高木説明員 そういうことを大蔵省のサイドで申したことはございません。
  118. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 あなたは主税局だから取る方ばかりやっていたからよくわからないのだけれども、銀行は不良会社に貸してはいかぬ、担保をとらなきゃ貸してはいけないと言うのだから、本当は国鉄に貸してはいけないのだ。政府だってそうだ。実際から言えば、こんないつ返すか見込みのないところへどんどんどんどん貸すわけにはいかないのだ。だから、返す見通しをつけてもらうということを国民の立場から私は強く申し上げる。  そこで、これらの借金をたくさんつぎ込んだ中には新幹線がある。新幹線をつくるともうかると言うのだが、私はそうは思わない。確かに、新幹線をつくったらもうかったということだけここには書いてあるのだ。東京大阪間は一千五百億円ももうかったなんて書いてある。東京大阪間が四十九年は新幹線が一千四百四十九億円もうかったそうだ。そのかわり在来線で九百四十二億円損したというのだ。差し引き計算でまだ五百億円の黒字だ。これはいいが、しかし、新幹線も大阪までということになる。これが岡山までともなるとちょっと問題が出てくるのだ。新幹線で岡山まで行きますと、新大阪−岡山間を特別に調べてみたが、これは四十六年と四十八年の比べですから、ちょっとずれかありますが、統計がそれしかないのですが、要するに在来線の場合は四十六年の大阪−岡山間の収入が五百七十億円で、それから支出、経費の方が四百六十六億円で、百六億円もうかったのですね。それで八一%の営業係数というのですか、要するにもうけの方が多いというわけだ。百円の売り上げで八十円、八割しか経費がかからないということらしい。ところが新幹線ができたらどうなってしまったか。四十八年の在来線は途端に百十一億円赤字になった。いままで百六億円もうかったところが今度は百十一億円損することになった。天と地なんだ。いままではもうかった方に入って在来線様々だったのだが、新幹線ができた途端に百六億円のもうけが百十一億円の損となってきたわけだ。  新大阪と岡山の間で新幹線は一年間に何ぼかせいだか。これは損益計算だけを全部差っ引いてみると六十一億円しかかせいでいない。結局利益が六十一億円しかない。そうすると、新幹線をつくって大阪と岡山の間で在来線が百十一億円損をし、新幹線が六十一億円もうけて、結局差し引き五十億円の損だ。在来線のときだけでは百六億円のもうけですから、ここで百五十億円の純損失が出てくる。これは岡山だからまだいい。これが今度下関、鹿児島となってくるわけだ。これが仙台、青森、北海道ということになったら、この莫大な損害は一体だれが負担するのだ。これは考えていないんだよ。日本国中新幹線を張りめぐらしてしまって万歳万歳で全部やってしまうというのだから、田中総理大臣閣下は二万キロもつくってしまえと言ったのだから、国鉄は七千キロ以上は勘弁してくれと言って泣いたのだから、それで一万七千キロか、一万一千キロか、ただの七千キロか七千キロだって、皆さんは容易なものじゃありませんよ。  新幹線ができた場合の地方の在来線の処置はどうするのですか。それを考えないでつくることはだれでもできますよ。その経営はだれがやるのですか。それは再建計画の中にはまだ新幹線ができ上がらないという見通しだからのっかっていないけれども、新幹線ができ上がるということになったらそのことについて考えなければならぬ。これは答弁はなかなかできないでしょう。まだ研究してないだろうが、先を急ぎますから結論だけ、一言だけ言ってください。
  119. 高木文雄

    ○高木説明員 新幹線をつくることに非常に国鉄が情熱を燃やしてきて、そしてそれが世界一のものだということでありまして、職員の士気その他を高めるのに役立ったという面も非常にあると思いますが、その新幹線の部分をつくるための資金は全部追加で政府から出資していただいたりお借りしたということではないものでございますから、結果的には在来線の方の改良その他が大変おくれているという問題がございます。したがいまして、御指摘のように今後の問題としてはやや長期の問題になりますが、在来線の改良と新幹線の問題を相当バランスを考えていかなければならないのではないかしらという漠たる感じを現在私は持っております。  不勉強でございまして、まだその程度のことしか申し上げられません。
  120. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 これは先の話でございますが、いまからそういうようなことで、実績がもうどんどん出ているわけですから、地方へ行けば行くほど大変な赤字が出てくるのです。これは地方ローカル線どころの話じゃないのです。それは在来線は東海道だけで一年間にもう一千億円近い赤字になっておるのですよ。東海道本線のドル箱路線がいまや九百何十億の赤字、その前は六百五十億の赤字、こういうことですから、これは地方に行けば行くほどもっと大きな話になってくる。そのことを頭に入れて国鉄の長期計画を立てるならば立てなければ、七兆円で倒産するんなら十五兆で倒産したらもっと困るんだから、どうせ倒産するんならいまのうちに国鉄は倒産してもらいたい。国民に余り迷惑をかけないうちに、なるべく早いうちに倒産してもらった方がいい。できないとすればそれしかない。できるかできないか、運賃値上げを見ればこれはわかるんだ。  今回の運賃値上げは最小限度のものでしょう。しかし、これを上げたからといってこれだけの予定の収入が入るかどうか疑問だ、それでもやらなければならぬという状態なんだ。組合が反対だ。一体何を言っているかと私は言いたい。ですから、労使の間でその問題の必要性についてはよく話し合ってもらいたい。われわれはどろをかぶってやりますよ。社会党が反対しても、ほかの党が反対しても、自民党はどろをかぶってやってもいい。そのかわり、これは武力で闘争されるとかなわぬからね。そこのところはさっとしてくれればやってもいいですよ。しかし、それでなければわれわれはやりません。そうではなくて、それはもう会期がないのでできないんですからということになれば、できない結果はどういうことになるか。  予算に組んであるんだからボーナスはもうみんなもらえるんだろうと言う人がある。なに、今度のベアだって一千三億か幾らぐらいしか金がかからないわけだ、一千三億円だということになれば、予算にはもうそれ以上組んである、組んであるんだから何ということはない、ともかく予算は通ったんだから金は政府の方であるんじゃないかという議論がたまにあるが、それは予算は組んでありますよ。予算は百九十億ばかり足らなくなるだけで一応は組んである。組んであるけれども、現金がないということなんだ。資金がないということなんだ。予算はあるが資金がないということになるわけです。そういうことが案外知られていない。ですから、この運賃法が通らないということになったら新幹線の工事もストップだ、やれ、ともかく在来線の工事もストップだ、電化もストップだということにならざるを得ないでしょう。それによって、国鉄の経営者のOBか何か知らぬけれども、その人たちの関連会社もうんと倒産するでしょう。東北の方へ行ったら、出かせぎ人夫がみんな仕事がなくて首を長くして待っているわけですからね。もう東北新幹線しか出かせぎがないんだから、何万人という人が待っているんだから、ここらは社会党や共産党だって、出かせぎは失業したってしょうがないわ、あいつらが悪いんだとは現実問題としてなかなか言えないでしょう。そうじゃないんですか。大変なパニックが起きるんだからね。私はちゃんと通すということでやっているんだから、そうなったっておれの責任じゃないよ、それは反対した人の責任になるんだから、賛成した方は責任はないんだから、ということになってしまう。これは大変なことになる。悪政の結果だとかなんとか言ったって、現実にこの実態はそうなんだ。  そうなってくれば、仮にこの法案が通らないという場合、仲裁裁定の実施はもちろんできない。それができないばかりじゃない。これは月給が二カ月も払えないという話になってしまう。月給を払わないわけにもなかなかいかぬから、ボーナスは五・何カ月分あるんだから、とりあえず六月十五日のボーナスは延期をして月給の方へ回すという、これくらいの腹が必要だと思うのでございますか、総裁、本当にこれはあなたの命かかかっていますよ。これが通らなかったらどうするのか、その所信を一言聞かせてもらいたい。
  121. 高木文雄

    ○高木説明員 今度のベースアップの問題につきましては近く仲裁も出ましょうし、それに対して政府の方でどういうふうに扱うかということの態度を決められて、国会に審議を求められることになろうかと思います。  それから、六月のボーナスの問題については、いま御指摘のような御意見が各方面からも寄せられておるわけでございますが、その点については、私は、いまいずれとも決めておりません。ただ、一つ御理解をいただきたいことは、ボーナスという名前はついておりますが、従来から、公社になりましてから今日まで実質的には一般会計の職員と同じだけのものが支払われているということでございまして、三十九年度以前の黒字の時代にも一般会計と同じだけ支払われてきたという実績でございまして、名前はボーナスということにはなっておりますが、いわゆる民間会社の場合におけるボーナスとも違いますので、その取り扱いについてはなかなか慎重に考えなければいけないと思っております。  もうしばらく時間をいただいて研究いたしますが、いずれにいたしましても、何とかこの法案をいま通していただきたいというのが私の願いでございます。
  122. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 話は簡単明快なんだよ。この法案を通すことができるかどうかというだけで、それ以外にもう知恵はないんだよ。ベースアップも何も予算じゃ組んでいる。そんなものは架空のものなんだからね。赤字国債法さえ反対だと言って騒いでいる時代なんだからね。国鉄の職員に月給を払うために政治が追加の赤字公債を発行するなんて、そんなことはできない。そうでしょう。国鉄自身で赤字公債を発行して二カ月分の穴埋めをするだけのことができますか。できるとあなたは思いますか。大蔵省から金をもらえると思っていますか。どうですか、それは。
  123. 高木文雄

    ○高木説明員 いまの段階で法案が通らない場合にどうするかということについてここでお答え申し上げることははなはだつらいといいますか、当惑をいたすわけでございますが、そもそも、その場合にも、それではいつ後で通していただけるかという見当も全くつかないということでございまして、その見当がつかないということは経営者的立場での私としてはまことに困るわけで、ことし一年間はどうなるのか、幾らの水揚げがあるのかということが全くわからない経営者の立場に置かれるということになりますので、どういう手段、方法をとるかという前に、非常に困ったということでございまして、その事態になりましてから考えるより仕方がないということできようは御勘弁いただきたいと思います。
  124. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 委員長に申し上げますが、これは、やはり、われわれとしてはわれわれの責任において法案を通すということで自分たちの職責を果たすということをしないと大変なことになります。この予算上は確かに給与費として八百十億円、五%分、定昇分として三百十九億円、約二%分ですか、したがって千百二十九億分の予算はありますが、それはベアの額と定昇の額とを加えると千三百二十二億円が必要で、実際は百九十三億円予算上さえも足らない。資金上はまるまる足らない。もう五千億も七千億も足らなくなるという話でありますから、これは本当に重要な問題であります。したがって、国鉄総裁もどうしていいかわからない。本当は首でもつって死にたいという心境だと私は思いますよ。とんでもないところへ飛び込んできちゃった、本当に首をつって死ぬほかはない行ってみたら国鉄の大幹部がみんなぶら下がっていたというくらいの大事件だと、正直な話、私は思う。しかし、私は、この法案を通すことによって国民の協力は得られると思う。公共料金を上げるなと言う人があるけれども、これは大間違いなんだ。たとえばこの間児玉譽士夫が家宅捜索されたが、水道を二十何軒分使っていた。プールをつくったり何かして二十五軒分水道を消費した。しかし、東京は水道は八割が補助金ですから、私のところで一トン四十円の水道を東京ではいままで一トン十円で売っていたのだから、水源地が四十円でなぜ東京まで持ってきて十円になるのだ。みんな東京は都税でやっていたから、ともかく早い話が児玉譽士夫は二十四軒分の都補助金をもらって暮らしていたという話と同じなんだ。だから、利用者負担の原則というものは不公平を是正することに一番役立つ。電報を一万通も打つ代議士がいるというのだが、一通で三百円も赤字になる。そうすると、その代議士に三百万円国が補助金をやって電報を打たしているという話になってしまうわけだ。電報を打たない人が電報を打つ代議士になぜ税金で補助金をやらなければならないのですか。国鉄の場合だって同じことですよ。通勤者は会社から通勤手当としてお金をもらっている。安くしておいて大会社に奉仕するなと言ったら、大会社は一番割安で国の補助金をもらっているという結果になるじゃないですか。  ですから、あなた方は事の真相をよくわきまえて真剣になって、首をつるか、それとも与野党間を寝ずに駆けて回って職員と一緒になって予算を通すようにするか、二つに一つしかない。われわれは賛成しますから、賛成しない人があったら、それこそ座り込みででも職員と一緒に事情を話して賛成してもらうようにやってください。これは本当に運輸大臣一緒ですよ。  そのことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  125. 中川一郎

    中川委員長 きわめて大事な問題でございますから、委員長からも一、二御質問申し上げます。  この法案が通らなければ資金上ボーナスも仲裁裁定も払えないということは明らかでございますので、通らなかった場合の仲裁裁定に対する政府考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  126. 木村睦男

    ○木村国務大臣 いま渡辺委員からるる御質問がございましたとおりでございまして、この五十一年度の国鉄の予算で約五〇%の運賃改定をお願いしております。また、政府も、過去の借金の解消のためにも約二千五、六百億の金を出そうとして、これも法案の中にあるわけでございます。それが予定どおり通りましても、実は、国鉄の収支はなお五千億の赤字の予算をもともと組んでおるわけでございます。その五千億は資本勘定の方から借金をして収支が償うようにしておるわけでございますので、法案が予定どおり通りまして、運賃改定も予定どおりでき、また、政府の補助金も予定どおり出ましても、なお五千億の借金をしてことしは過ごさなければならぬという状況でございますので、この法案が予定どおり通りませんというとさらに毎月五百三十億円の借金、十カ月でございますから五千三百億の赤字になるという状況でございますので、工事費とか、あるいは事業費とか、あるいは修繕費とか、何を削ると言いましてもこれは限界がございます。いわんや人件費までどうしても手をつけなければならぬ、手をつけてもまだやりくりができないというふうな状況でございますので、われわれとしては、この法案は、会期はもう切迫しておりますけれども、皆さんのお力によりまして予定どおり成立して実施できるようなことをこいねがう一心でございます。  今回仲裁裁定の答申が近く出ようとしておりますが、これらのベースアップ等は、この法案が通って予定どおりの運賃改定等ができません場合にはもとより政府としてはそれらを実行するということはきわめて困難、不可能に近い、かように現在は考えておるわけでございます。
  127. 中川一郎

    中川委員長 次に、増岡博之君。
  128. 増岡博之

    ○増岡委員 現在国鉄が破産状態と言われておるわけでございまするけれども、これはもう十年来のことでございまして、したがって、先ほどの大臣からの所信表明の中で、四十四年、四十八年の二度にわたって再建方策を検討したということでございますが、また、先ほど渡辺夫各員から、同じ赤字でぶっ倒れるなら額が少ない方がよろしいということでしたが、これはそのとおりであります。他人様に迷惑をかける、これは国鉄の場合にはもちろん国民でございますけれども、今回三度目の再建案に基づく法案を提出されておるわけでございますから、大臣あるいは総裁におかれましても、これが最後のチャンスであるので、今年度じゅうあるいは明年度内にぜひとも単年度収支の黒字を図らなければならぬというお覚悟でいらっしゃるかどうか、まず、お尋ねいたします。
  129. 木村睦男

    ○木村国務大臣 三十九年以来十年余にわたりまする赤字続きの国鉄の財政の再建でございますが、御承知のように、いままで何回かにわたりまして五年計画あるいは十年計画を立てまして再建に努力をしてまいったのでございますけれども、いずれもこれが中途にして目的どおり行かなかったという過去の事実を踏まえますときに、長期間にわたる再建計画は、経済事情も違いますし、また輸送体系がどんどん変わってくるのに即応して、これに対応していくということもなかなか困難な事情のもとでは、長期計画ではすでに無理である、長期計画による再建は無理であるということが過去の実績が示しておる。これをわれわれは非常に反省いたしまして、この際は約二年というきわめて短期間の間にどうにか収支が償う経営状態に行けるように持っていこうというふうに考えましたのが今日の御審議をいただいております関係法案の中身の趣旨でございます。  二年間で何とか収支とんとんにしようということのためには、政府も力を尽くしますし、また、国鉄の内部におきましても合理化、近代化を一生懸命やってもらわなければなりませんし、また、利用される国民の皆さんにも応分の負担をしていただかなければならないという、こういう考えで短期間で収支相償うようにいたしたいというのが今回の基本的な考え方でございます。
  130. 増岡博之

    ○増岡委員 大臣の趣旨説明の中にもありますように、運賃改定のおくれが一つの原因であることは確かであろうと思うわけでございます。そういうことが過去に行われてきた背景には、国鉄というものを総合交通体系の中でどういうふうに位置づけておるかという確固たるものがなかったように思うわけでございます。  実は、昨年一年間運輸委員会の中で国鉄小委員会を持ちまして各党熱心に御審議をいただきましたが、国鉄をぶっつぶせという方は一人もいらっしゃらないわけでございまするけれども、その小委員会の中で学識経験者あるいは労働組合その他の方々を十八人呼んだわけでありますが、労働組合の方々の一部を含めまして、大部分が今回運賃改定をせざるを得まいという意見であったわけでございますけれども、その過程で、それでは国鉄がどこまで総合交通体系の中で大事なのか、あるいはむしろだんだん滅亡するといいますか、衰弱させてしまった方がいいのかというようなことがいろいろ指摘されておったわけでございますので、その点につきまして運輸大臣からお答えいただきたいと思います。
  131. 木村睦男

    ○木村国務大臣 総合交通体系がいかにあるべきかという問題は本当にむずかしい問題でございます。私もこの問題と長い間取っ組んでまいっておりますけれども、明確なお答えができるような検討かなかなかできないのが実情でございます。これは総合交通体系というものは力で押してできるものでもございませんし、命令してできるものでもございません。やはり、需要の動向を中心にしながら合理的な交通機関による輸送力の配分をするということになると思うわけでございます。  現在の総合交通体系として、昭和四十六年の時点において一応の基本的な考え方ができておりますが、その中では国鉄の持っております使命は、大都市圏内の旅客輸送、それから都市間の旅客輸送、それから中長距離の大量の貨物輸送というものが総合交通体系の中における国鉄の使命であるというふうに定義をつけまして、今日までその基本の上に立って国鉄の輸送形態を充実してまいったわけでございますが、しかし、四十六年以来輸送の形態も経済の動向も変わっておりますので、実は、ただいま運輸政策審議会に諮問をいたしまして、今日の時点においていかなる総合交通体系がよろしかろうかということを研究していただいております。  五月の末ごろには一応の結論が出るというように聞いておりますが、あるいは六月にかかるかもしれませんが、その結論を参考にいたしまして新しい交通体系を研究し、また、交通体系をつくり出したいと考えておるわけでございますが、基本的には四十六年の総合交通体系の姿というものが、多少の変更はございましょうけれども、そう大差なしに今日の現状になっておるんではないかというふうに現在のところは考えるよりほかに、それ以上の確信のあるお答えはできないような状況でございます。
  132. 増岡博之

    ○増岡委員 総合交通体系の問題はいろいろ議論がございましょうし、国民のコンセンサスを得られるようなものはなかなか大変だと思いますけれども、ただ、運諭行政と国鉄の関係の中だけで申しますと、国鉄が赤字だ赤字だと騒ぐようになった背景にはトラックやバスの許認可が相当大幅に行われておったし、あるいは貨物についても海上輸送という運輸行政内部で調整できるものがあったと思いますし、今後もそういうことを考えていかなくてはならないというふうに思いますけれども、運輸大臣の御見解をお尋ねいたします。
  133. 木村睦男

    ○木村国務大臣 特に、貨物につきましては、輸送機関の特性によりましてそれぞれ違うわけでございますが、先ほど来も国鉄の貨物についていろいろな御意見を拝聴したわけでございますが、昨年来この問題でいろいろな方の意見も聞いてまいりました。国鉄の貨物輸送のシェアがいま一四%ぐらいに落ちておりますが、今後どうあるべきかという問題につきましては、大方の人の考えを総合いたしますと、今後とも合理化なりあるいは国鉄の信用、信頼の回復によって努力はいたしましても貨物のシェアはそれほどふえることはないであろうという意見が非常に多いのでございます。中には、貨物輸送をもう廃止すべきではないか、たった一四%のために大変な経費がかかることは国鉄経営上もまずいから廃止すべきではないかという御意見もございますが、やはり、局地的な災害が起こりました場合に物資の輸送を最終的に担保して輸送使命を果たさなければならないというのが最小限度国鉄の使命であろうと私は思いますので、そういうことから考えますと、国鉄の貨物輸送施設なり貨物輸送というものを全廃するということはできない。  しかし、企業として考えます場合に、国鉄の貨物輸送は今後現在のシェアをそう多く取り戻すことはできますまい。恐らく現状のままで推移するというところが大体穏当なところじゃなかろうかというふうなことを前提にいたしまして、今回の再建計画の内容につきましても、国鉄の貨物輸送は現状が推移するものだということで考えておるわけでございます。
  134. 増岡博之

    ○増岡委員 貨物輸送の将来については私も大変困難なものがあると思います。したがって、それをいつどこでどういうふうに決断をするかということが必要でありましょうし、また、この問題についても労働組合との話し合いが必要であろうと思いますけれども、どうも、そういうことを合理化するということを言葉に出すと、やれ人減らしだ、それ反対だというような労働組合側の行動に遠慮をしておるのではないかというふうな目でも見られておるわけでございまするけれども、この問題はまた後ほど触れるといたしまして、そこで、総合交通体系と申しましたけれども、国鉄が本来持っております公共性のゆえに鉄道敷設法にありますようないろいろな予定線を組まざるを得ない、また一不採算路線をやらざるを得ないという、そういう公共性と、それから片一方では鉄道運賃法にも、運賃は「原価を償うものであること。」ということが明記されておるわけでございまして、採算性を要求せられておるわけでございますけれども、これが本当に両立するものであるかどうか、真剣に御検討なさっておられると思いますけれども、ちょっとその点を大臣からお触れいただきたいと思います。
  135. 木村睦男

    ○木村国務大臣 公共性と企業性と将来とも両立し得るかという問題は非常に重要な大きな問題でございますが、国鉄の使命から考えますと、この二つの使命は今後ともやはり持続しなければならないと私は考えておるわけでございます。  そこで、どういうふうな考え方で企業性と公共性とを調整をとりながら調和のできた国有鉄道に持っていくかということでございますが、過去の実情もいろいろ調べてみますと、いわゆる企業性の面で運賃収入で国鉄の経費を賄うシェアと、その他政府の補助金なりあるいは借金なりというもので賄う経費の面と、ずっと過去からの状況をいろいろ見ますというと、大体七割が運賃収入で賄っておりまして、三割がその他の政府の助成を中心にして経費を賄ってきておる。この形でずっと今日まで大体来ておりますので、公共性と企業性とを経費の面から見るとその辺に一応の目安を置いて運賃を考え、政府の助成を考える、そして国鉄の今後の再建も考える、こういうことが大体適当ではないか、かように私は考えておるような次第でございます。
  136. 増岡博之

    ○増岡委員 国鉄は公共性のゆえに非常に厳しい条件といいますか、制約を受けております。ただいま大臣からお話しのとおりでありますし、また、運賃にいたしましてもなかなか改定ができないというような問題もあり、政治的な面から相当な制約を受けておるということは言えるわけでございますけれども、そのもう一つの例といたしまして、地方ローカル赤字線をいまだに運行しなければならないというような現実の問題があるわけでございまして、この問題については、総論賛成、各論反対という人がほとんどであろうと思いますけれども、そういう宿命を持っておる以上は、そういう公共性あるいは政治といいますか、国民世論の主張、要求というものについてこたえる場合には国や地方公共団体が何らかの責任を負うべき部分があると思うわけでございます。  そこで、その区分をできるだけ早く明確にしていただきたいということと、今回交付金が百七十二億円ついておるわけでありますけれども、これはそういう意味での費用支出であるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  137. 木村睦男

    ○木村国務大臣 まさに、地方のローカル線の赤字を抱えながら経営をしなければならないというところに公共性の大きな一面があると私は思います。したがって、そういう面に対しては国が助成の手を差し伸べなければいけない分野であると思うわけでございますが、それらの地方の赤字線につきましても、その地域住民の皆さんの日常生活に十分こたえ得るだけの使命と実績を持つ、つまり、存在理由が十分あるということがやはり前提であろうかと思うわけでございまして、ごくわずかの利用しかないというのに非常な赤字を生みながらそういう路線を維持するということはやはり検討の必要があろうかと思うわけでございます。しかし、いまお話しのように、総論賛成、各論反対というふうな実情もあるわけでございますので、実は、今回この法案を出しますまでにそれらの整理をいかにするかという明確な結論を出すまでに至りませんでした。  この一年間の間に、その方面のいろいろな学識経験者もおられますのでそういう人たちの意見も聞きながら、一年の間に、地方の、ことに閑散赤字路線と言われておる路線についての処理の方法を結論を出していきたい、それまでの間とにかく何がしかの補助金を政府が出して国鉄の赤字の補てんの一助にしようということで、百七十二億という補助金を政府か出すということに予算を組んだわけでございます。
  138. 増岡博之

    ○増岡委員 百七十二億円というのはそういうふうな性格のものであると受け取り、今後ともその増額については強く働きかけをしていただきたいと思うわけでございます。  この次の問題はお答えをいただかなくても結構だと思うのですけれども鉄道敷設法という法律に線区ごとの予定路線というものが決まっておるわけでございますけれども、今日その実施計画に移っておるものの方が残りの方より何倍も多いというわけであります。したがって、残りの方を実際に建設をしようということになりますと、この投下資本あるいはそういう残っているものは恐らくほとんど超赤字予定路線になると思いますけれども、そういうふうな政治的な要求というものが余りにも過大であるというふうな同情もいたしておるわけでございます。したがって、こういう公共性と企業性という両方をやっていかなければならないようなものに何もかも法律でおっかぶせてしまうということについても一つの反省をわれわれも行っておかなければならないというふうに思っておるわけでございます。  これは後ほど運賃法の問題とあわせてお尋ねいたしたいと思いますけれども、そういう予定線を持っておりながらも、なお、法的なある意味での拘束を受けながらも現在開業しているものあるいは着工しているものを運営していかなければならぬということになりますと、大変な合理化対策を考えておかなければ、今回の運賃アップあるいは今回の程度の国の借金のたな上げではとてもやっていけないときがくるのではないかというふうに危惧をいたしますので、今後の合理化対策についての基本的な考え方につきまして運輸大臣並びに国鉄総裁からお答えをいただきたいと思います。
  139. 木村睦男

    ○木村国務大臣 鉄道敷設法は明治時代にできましたもので、いままで五、六十年以上にわたりましてその中から予定線として建設をやってまいったのでございますが、なおまだたくさん残っております。しかし、もう時代も違っておりますし、社会情勢、経済情勢交通の実態も違っておりますので、予定線としていま敷設法に明記してありますものを、しかも残っておりますものを全部敷設しなければならないものであるというふうには私は必ずしも認識をいたしておりません。やはり、その時代、その時代に考えまして、必要があれば適切なものをその中からとって敷設をしなければなりませんし、また、あれにありませんでも、新しい必要が出てくれば法律を改正してあの中に組み入れて建設に着手するというふうに、これは大分柔軟性を持って考えてもいいと私は思うのでありますが、しかし、実際から言いますともう半世紀以上の年数がたっておりますので、むしろこの敷設法は国鉄百年の一つの歴史として大切に保存しておいてもいいではないかというような意見のあるくらいのものでありますので、必ずしも現実にはこれに拘泥することなしに、その時代の必要に応じてやっていきたいと考えております。
  140. 高木文雄

    ○高木説明員 現在の国鉄の経営状態がこういう事態でございますので、私ども経営の立場にあります者からは、いまの御指摘の点は、ぜひ新しい情勢に即応して新しい目で見ていただきたいとお願いをいたしたいと思います。
  141. 増岡博之

    ○増岡委員 たとえば合理化ということをいろいろな面でやらなければならないのですけれども一つ一つの線区についてCTCを採用するとどれだけ人件費が減るか、あるいは投下資本に対する金利がふえてくるか、それによって一挙に黒字に変わることはないにしても、赤字が幾らか減るのではないかというような個別な努力をなさっておられるかどうかということを、これは前にお尋ねしたことがございました。やっとそういうことに手をつけようというふうでございますけれども、そういうことを積み上げてこられたところから——これはむしろそうしてこられなかったと言った方がよろしいのだろうと思いますけれども、そういうところから国鉄の合理化対策というものが何か親方日の丸主義の考え方によって阻害されてきたというふうにも受け取られておりますので、今後もう少し真剣にそういう面で御検討を願いたいと思うわけでございます。  そこで、そういう際に必ず問題になりますのは労働組合との関係でございますけれども労働組合の方々の中にも二通りも三通りもいろいろな考え方があると思いますけれども、一応合理化は人減らしだから労働条件の低下となり、安全問題に阻害を生ずるから反対だというたてまえ論をおっしゃる方もおられますし、逆に、経営者、管理者がもっとしゃんとした指示を下してほしい、毅然たる姿勢を求めておるというふうな声も聞くわけでございます。したがって、私ども外部の者といたしましては、今日いわゆる国鉄内部におきましての労使の関係が本当に不信感に満ちておるものか、あるいは先行き明るい見通しがあるものかということはわかりませんので、総裁からその点について言及をしていただきたいと思います。
  142. 高木文雄

    ○高木説明員 現状は必ずしも好ましい状態とは言えないと思います。それはどっちがどういうふうに悪いということではなくて、現実の問題として好ましい状態とは言えないわけでございまして、改善を要すべき点が多々あるのではないかと思っております。  数日前に初めて国労の幹部の諸君と会って話をしたわけでございますが、その会におきましては、再建問題については労使ともども避けて通れない問題であるということを組合サイドとしても理解をいたしておりますので、今後とも十分話し合いをしていく、それによって、ぎすぎすした関係でなしに、能率化と申しますか、合理化と申しますか、再建につながるような措置を進めてまいりたい、それは十分可能性のある問題である、こういうふうに考えております。
  143. 増岡博之

    ○増岡委員 国鉄は四十三万人という巨大な企業でございますから、たとえば総裁が管理職側に指令を出したといたしましても、末端が本当に総裁が考えておられるとおりの腹づもりになるまでにはいろいろな手順、手続、時間が要ると思います。一方、組合側もそうであろうと思うわけでございます。したがって、私が考えますのは、やはり現場におきまして現場長と現場員との人間関係というものを育てていただかなくては四十三万人というものはとてもうまくかみ合って動いていくはずがないと思うわけでございます。  これはこれだけ巨大な組織でありますから、人と人との間にお互いに仲間だという仲間意識がなければ理論的な闘争をしたところでとてもおさまっていくものでもないと思いますし、特に、同じ職場で働く者同士でありますから、そういう意味ではいい意味での国鉄一家という意識を再び目覚めさせる必要がありはしないかと私は思うのです。これは総裁が先ほどおっしゃったところの、労働組合とできるだけ話し合いをいたしますというお気持ちの中にもそのことか含まれておるのかと思いますけれども、なおその点を重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  144. 高木文雄

    ○高木説明員 まさに御指摘のとおりでございまして、現場におきましてともに明るい気持ちで仕事を毎日進めていくという零囲気がどうもまだ十分維持できていないという点が最も問題な点であろうかと思いますので、トップだけではだめでありまして、現場においてもそういう零囲気を盛り上げていかなければならないと思います。  ただ、いろいろな種類の仕事の内容を持った現場をたくさん抱えておりますし、なかなか一筋にはいかない点があるようでございます。それには現場管理者の心構えといったようなものについてもなお一層奮起を促さなければならない点もありますし、また、現場での話し合いは現場協議ということで行われておりますが、それが大分逸脱になっている面もあるようでございますので、そこらを筋目を通していくということをしなければならないということで、その面の仕事は具体的には大変数多くあるというふうに思っておりますが、時間がいささかかかるかと思いますが、だんだんそれを直していこうという気持ちには、職場全体として、組合の幹部も含めてそういう気持ちになっているというふうに私は判断をいたしております。
  145. 増岡博之

    ○増岡委員 私も時間がかかると思います。今日までの労使関係が荒廃するまでの経過は相当時間がかかっておるわけでありますから、それが直るまでの期間というものはある程度必要であると思います。しかしながら、そういうことであるからといって、甘えて、過去がこうであったからあるいはというようなことで、いたずらにその話し合いがなされないということであれば、もし今日私どもがこの法案を可決し、大蔵省がそれだけの金を出すといたしましても、これは決して国鉄がよくなるものではないというふうに思っておるわけでございます。     〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕  そこで、私どもが心配いたしておりますのは、先ほどから申しておりますように、国鉄当局は公共性のゆえに政治的に非常な手かせ足かせがありますし、過大な要求もあるわけであります。また、労働組合も労働組合としてそれぞれの団体に属しておる関係上からいろいろな立場やたてまえというものがあると思うわけでありますが、そういうものをできるだけ払拭したい。私が先ほどから申し上げておる意味合いは、私どもの方から言えば政治的な過大な要求やあるいは手かせ足かせというものをできるだけ排除しなければならないという考え方を持っておるわけでございますから、組合に対してもそういうような説得をしていただきたいということです。というのは、昨年の夏ごろには、運賃改定ということについて、運賃が現在の社会経済情勢において適当ではない、運賃水準を決める制度についても検討すべきだということを組合が申したことがあるわけでございますけれども、その後運賃値上げ反対ということになりましたり、それから今回はまた変わっておるというようなことを聞いておるわけでございます。これは自分たち国鉄だけの問題ではなくして、ほかのいろいろな団体との関係から、あるいは政治的な意図から出てくるものかもしれないと思いますけれども、これは総裁にそんなことを申し上げるよりも組合にそういうお話を申し上げなければならない筋合いのものかもしれまけんけれども、そういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、先ほどから申しておりますように、過去の債務というものは、詳しい計算をしたことはございませんけれども、ともかく現在六兆八千億円残っておる。赤字が三兆一千億円である。五十年度の売り上げ推計が一兆六千百七十七億円ということになっておるわけでございまして、これはだれが考えましてもこういう状態で経営が立っていくものではない。したがって、過去の債務のたな上げについては相当なことを考えなければ今後の再建も不可能であろうかということを考えておったわけでございますけれども予算として決まりましたのは二兆五千四百億円というふうに聞いておるわけでございます。私も決して六兆八千億円を全部というようなことを申し上げておるわけではございませんけれども、そういうふうになった経緯並びにそれでやっていけるのかどうかということにつきまして、運輸大臣から御見解を承りたいと思います。
  146. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の財政再建の一環といたしまして過去の債務をどうするかということが非常に大きな問題であったわけでございます。御指摘のように、現在五十年度末で六兆八千億の債務があるわけでございますが、これが全部不良の性格を持ったものであるということは言い切れないわけでございます。国鉄の赤字は五十年度末で三兆一千億でございますが、いわゆる赤字運転資金的な債務というのは一兆三千ないし四千億程度でございます。そのほかに償却不足に伴う借りかえの債務を入れますと三兆一千億が赤字に相当するものになるわけでございますが、一方、国鉄には資本金、積立金を持っているわけでございまして、特に再評価積立金といいますのは昭和三十年に資産を再評価して帳簿価格をふくらましておりまして、その償却に伴う赤字もあるわけでございますから、国鉄の過去債務を処理する場合に三兆一千億全部を見るべきであるか、その一部を見るべきであるか、いろいろ議論があるわけでございますが、今回の再建の方策といたしまして再評価積立金の半分だけを赤字の償却に充てる、残った二兆五千四百億の赤字に相当する債務を国の方でめんどうを見るということにいたしたわけでございます。  二兆五千四百億以外の債務といいますのはやはり資産に見合っているわけでございますので、その中にもちろん新幹線のように収益を生んでおります借入金もございますから、そういうものを全部国がこの際肩がわりをするという必要はないのではないか、これは今後の収入で十分返せるという判断ができますので、今回の過去債務処理といたしましては二兆五千四百億をいたしたという経緯でございます。
  147. 増岡博之

    ○増岡委員 まあ、理論的にはわかるような気がいたしますけれども、その際、現在投資計画を持っておる路線、これはその開業に伴って赤字になるのか黒字になるのかわかりませんけれども、そういうものまで御検討があったのかどうか、あるいはこれまで相当大きい投資計画があったわけでございますけれども、それもいろいろ洗い直しをしてはどうか、あるいはまた期間を繰り延べしてはどうか、というような意見もあるわけでございますけれども、その双方について、局長で結構でございますがお答えをいただきたい。
  148. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄は最近三年間でも六千八百億程度の投資をいたしております。その投資の中には採算的に見て非常にいいものもあれば悪いものもあるわけです。国鉄投資の中には、安全性のための投資であるとか、あるいは公害のための投資であるとか、本来採算に乗りにくい投資も相当あるわけでございます。こういう投資がせっかく国鉄の再建ができた後で国鉄の財政の圧迫になっては非常に困るという問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたような二兆五千四百億の過去債務の肩がわりと、それから現在行っております工事補助金九百七十六億と、これを入れますと五十一年度の国鉄の全経費における利子負担は七・六%程度でございまして、現在私鉄ですと一三、四%になっておりますので、こういうような再建策ができますということを考えますと、五十一年度以降利子負担の面から見ればそう大きな負担にはならない。ただ、今後投資をどんどん進めていきますとやはり利子もふえていくわけでございますので、その点に十分注意をする必要があろうかと思いますけれども、今後の投資に当たりましてはできるだけ採算性というものを重点に置きまして実施するということで、国鉄の財政の圧迫にならないように十分注意いたしたいと考えております。
  149. 増岡博之

    ○増岡委員 国鉄あるいは運輸省としてはそういう考え方でおやりになることと思います。しかし、今後の日本経済の問題を考えてみます場合にはある程度の完全雇用ということを維持していかなければ現体制を維持することがむずかしいのではないかというようなことのために、財政主導型の、今回は不況対策と言われておりますけれども、そういう一過性の不況対策ということではなくして、ずっとそういう事業をある程度の年数をやっていかなくてはならないというような考え方があるわけであります。そして、その際国鉄が公共性という名前のもとにその中に巻き込まれてまたいろいろな不採算路線をやらざるを得ないということが起こり得るというふうに考えておるわけでございますけれども、それをどこかで歯どめをしなければならないということに相なるわけでございます。  そこで、先ほどお尋ねいたしましたような公共性の問題と企業採算性の問題とをどういうふうに考えていくかということ、先ほど大臣は七、三というようなお話がございましたけれども、あるいはまた総合交通体系というものをどういうふうに考えていくかということ、その双方が確立をされて国民的な合意ができていなければ、また再び先ほど申しましたような政治的な必要から来る不採算路線の建設ということが行われるおそれがあると思うわけであります。それをしないのが政治家の務めであると言われればそのとおりであるかもしれませんけれども、少なくとも総合交通体系が確立しておるということ、このことがなければ二度、三度と同じようなことになると思います。先ほど大臣からいろいろお話がございましたけれども、世間一般の素朴な疑問は、国鉄が赤字だ赤字だと言いながらどんどん長距離トラックは走らせておるじゃないかというようなこともあるわけでございますので、その点につきましてはぜひ早急に結論を出しておいていただかなければ、せっかく今回これだけの大問題を国会で審議をし、皆さんが苦労をしてその成果ができたといたしましてもまたもとのもくあみになるということを心配しておるわけでございます。  そこで、運賃の問題ずばりに入るわけでございますけれども、運賃は利用者は安ければ安いほどよろしいわけでありますし、国鉄側から言えば高ければ高いほどよろしいわけでございます。そういう利害関係を調整する役目が政治によって行われなければならないわけでございますが、これまでは、私どもが先ほど申し上げた小委員会で聞いております十八人の参考人の方々の多くは、運賃水準をいままで強制的に低水準に抑えてきた、そのことによって資源配分をひずませ、サービスを低下させて、結局は消費者のマイナスとなっておるという意見が多いわけでございます。  そのことについて、これは大変答えにくいことかと思いますけれども、いっときはだれからともなく、どこからともなく、国鉄運賃法を撤廃して法定主義を廃止したらどうかという話も出ておりましたし、また、私どもの聞く範囲内でもそういうことを主張する方々もあるわけでございますが、そのことはどういうふうに考えておられるかということをお差し支えのない範囲内で答えていただきたく、お尋ねいたしておきたいと思います。
  150. 木村睦男

    ○木村国務大臣 国鉄運賃の法定主義をどう考えておるかという問題でございますが、実は、今回の再建関係法案を提出いたしますまでに、運輸大臣の私的な諮問機関ではございましたが、二、三十名のいろいろな各界の方の御意見を聞く懇談会を持ちまして、この問題についてもいろいろ御意見を聞いたわけでございますが、大方の人の御意見が運賃法定主義は廃止すべきであるという意見でございました。  その意見の中では、ただ廃止をして他の私鉄やバスの運賃のように運輸大臣の認可のままにするというものと、それから、別の第三者機関をつくってそこで公正に判断してもらうべきであるという御意見もございましたし、また、現在運輸審議会がございますが、この運輸審議会の構成等も検討しながらここで審議してもらえばよろしいではないかという意見もございましたし、いろいろ意見が出ておりましたが、いずれにいたしましても、法定主義というものは、国鉄の再建のために一番必要な収入源であります運賃改定を適時適切にやるのにはどうしても手続が複雑でございまして、そしてそのときのいろいろな政治情勢等が加わりまして計画どおりいかないということがあるので、これはやはり廃止した方がよくはないかという意見がほとんどを占めておったわけでございます。  われわれといたしましても、国民のための運賃でございますからできる限り公正な判断によって運賃は決めるべきであるという考えでございますが、国鉄の当局に当事者能力等も今後大いに強化していかなければならぬというふうな点から考えましても、できるだけ適時適切に運賃改定が実施できる仕組みを考えてやらなければいけないのではないか、片方において公正な運賃の担保ということも考えなければいけませんが、それらを両者考えますときに、現在の法定制度というものはやはり検討の必要がある、かように考えておるわけでございます。今回は運賃法の改正で法案を出しておりますけれども、将来は研究課題として引き続きこの問題は検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  151. 増岡博之

    ○増岡委員 法定主義を廃止するのか別の方法を考えるのかは別にいたしましても、運賃を決定するための制度というものはやはり考えておかなくてはならないと思いますのは、昨年中は国鉄総裁は一遍に倍にしてもらわなければだめだと言っておったわけでございます。ところが、出てきた案は今回も五〇%である。これは一遍に倍にするということは国民生活に影響を与えるという意味から、五〇%にしたことを私は決して非難しておるわけではございませんけれども、そういうふうに物価の安定というようなことも言われて値上げをダウンさせられるわけでございますが、これまでずっと一般の物価は上がっておるにもかかわらずそういうふうな状況を強いられてきたということを考えてみましても、何かもう少し合理的な運賃決定方式というものをお互いに研究しなくてはならないのではないかというふうに思うわけでございます。  それから、先ほどお話をいたしましたような鉄道敷設法のような、あるいは政策的な要求から不採算路線をやられておるというふうに、非常に手足を縛られて、しかもうんと闘えというようなかっこうになっておるわけでございますけれども、しかし、それは好意的に申し上げておるわけでございまして、現状の制度が現存しております限りは、そのことのゆえに国鉄は赤字であってもよろしいとか、あるいは労使関係が荒廃したままでよろしいという甘えは許されないと思うわけでございます。先ほどもベースアップをどうするのか、ボーナスをどうするのかというような話がございましたけれども、先ごろ国鉄におきまして、労使間で有額回答をやる場合には、この運賃法、日鉄法改正が通らなければだめだというようなことをおっしゃったという新聞記事を読んだわけでありますけれども、その経緯につきまして一言御説明願いたいと思います。
  152. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま御指摘のように窮屈な体制になっておりまして、いわば経営者的立場で申しますと非常にやりにくいという点がいろいろあるわけでございますが、特に、ただいま御指摘の給与の問題につきましては、現在の国鉄の経営状態あるいは資金状態がこういう状態になっておりますので、長年の慣行で国鉄の給与はいわば世間並みということで、他の民間の給与のアップの状況を見ながら決められてきたわけでございますけれども、今回の場合には余りにも経営状態が悪く、そして資金的にも詰まっておりまして、そこでこういう法律をお願いしているわけでございます。  もしそれが通りません場合には、いいとか悪いとかという価値判断といいますか、是非の問題は別にいたしまして、支払うにも全く支払えないという状態にございますので、給与水準の問題としては従来の慣行のとおりやはり世間並みて——水準の問題としては直すことにやぶさかではないけれども、現実問題としては、もし法律が通らなければ払えないという状態になりますということを私としましては率直に申したつもりでございます。  この国鉄の再建は労使の間がスムーズにいきませんとうまくいきませんので、その中でも最も大事な問題であります給与の問題については、職員諸君が世間並みの生活ができますように常に配慮しなければならぬと思いますけれども、同時に、また、払う金がないという厳然たる事実も知ってもらわざるを得ないし、また、いま払いますとかなんとか申しましても、現実に払えない事態が出た場合には、単純な有額回答をいたしましても、それは言ってみれば経営者として職員諸君にかえってうそをついたことになるといいますか、そういう感じになりますので、水準としては上げたいが払えないときもありますよということをそのとおり回答の形式で示したということでございます。
  153. 増岡博之

    ○増岡委員 総裁のそういう態度はまことに率直であり、誠実な態度であろうと思います。ベースアップ分どころか、現行賃金を最終的には払えるかどうかわからないという事態に追い込まれるおそれがあるわけでございますし、さらに、工事費削減の問題につきましても、中小企業その他に及ぼす影響というものを考えますといたずらにこれを大幅に行うべきではないというふうなことを考えますと、やはり今回の運賃法、日鉄法の改正というものを通さざるを得ないというふうに私どもは思うわけでございます。  そこで一言総裁に申し上げておきたいと思いますが、現在の賃金の決定方式が一つの問題点であろうと思うわけでありまして、労組側から見ますと賃上げのときに何がしかのかせぎをしたが、これが見せ場でありましょうし、そういうことか行えないという制度に相なっておるわけでございます。その前には国鉄自身の当事者能力の問題あるいは赤字克服の問題もあるわけでございますが、そういう問題については今後ともそういう面での専門懇が行われるわけでございまして、それについていま予測をするということは非常にむずかしいことであろうと思うわけでございますのでお答えいただく必要もないかと思いますけれども、しかし、われわれの後世代まで将来にわたっての国鉄の再建ということを考える場合に、何としてもこの赤字を解消しなければならぬ。考えようによりましては、われわれがいま安い運賃で乗っているおかげで、われわれの子孫が高い運賃を払わなければならぬということにもなるわけでございますから、少なくとも今回の改正につきましては、私どもはもちろん皆さんの方も日本じゅうの各界の御理解をいただけるように御努力をいただいておるようでございますが、なおその上に先ほど申しましたように、合理化合理化ということを抽象的にいろいろ言いますけれども、具体的に各線区ごとにCTCをやれば何人減るのだとか、あるいは何人減るけれどもどれだけ投資がふえるからだめなんだとか、そういうところまで突っ込んで検討していただきませんことには国民的な合意ということも非常にむずかしかろうと思うわけでございまして、どうかそういう面で国鉄におかれては御努力をいただきたいというふうに思いますし、また、運輸大臣におかれましても、国鉄の総合交通体系の中での位置づけ、あるいは端的に言いますと存在価値を認めてやるかどうかというところを何らかの形でコンセンサスが得られるようなことをお考えいただきたい。  こういうふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  154. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 加藤六月君。
  155. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わが党の渡辺表音貝と増岡委員からそれぞれ質問されましたが、増岡委員は昨年一年かかって当運輸委員会における国鉄問題小委員会で多くの学識経験者をお呼びして、総合的に、あるいはまた地方交通線問題過去債務の問題、個々の問題に触れての御意見をそれぞれ承り、小委員会の間で議論した問題について総括的に御質問されました。したがって、私は、両委員の質問された問題以外の問題について、若干重複するところがあるかもしれませんが質問をしてみたいと思います。  まず、運輸大臣にお伺いしますが、昭和四十四年と四十八年にいわゆる国鉄再建の基本方針をつくりました。これは先ほど趣旨説明のときにも申されました。それは日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に従ってやったわけでございますが、四十四年の案のときにもこれでいけば国鉄が再建できるのだという意気込みでありました。また、四十八年のときも、当委員会はもちろんのこと参議院においても長時間審議に審議を重ねて、これでいけば国鉄は再建できるのだという意気込みでやったわけでありますが、前々回の案は惨めに崩れ去って、そしてまた前回の四十八年の案も無惨にもめちゃくちゃになってしまった。この理由は先ほど趣旨説明の中でちょっと触れられておりましたが、こういう計画が失敗したもとは何と何と何であるかということについて具体的にお答えいただきたいと思います。
  156. 木村睦男

    ○木村国務大臣 過去二回にわたって再建計画をつくりましてやってみたわけでございますが、いま御指摘のようにいずれも中途にして瓦解したわけでございます。その原因が那辺にあるかということをわれわれも今回の再建案をつくります場合に慎重にまた詳細に検討をしてみたわけでございますが、いろいろあります中で、まず輸送増加傾向計画どおりいかなかった。それは、競争交通機関というものがだんだん発達してまいりまして、その方にお客が行ったというのもやはり一つの理由でございます。その中で特に貨物につきましては、ことにトラックに相当予想以上に転移をしたということ。また、国鉄の貨物輸送状態というものは戸口から戸口へというわけにまいりませんので、まだまだ合理化し近代化しなければいけない面がたくさんあったのでございますけれども、それが思うとおりにいかなかったために荷主の方は便利な方へと移ったという原因もございます。それからまた違法スト類似行為がたびたびございまして、その都度貨物が国鉄離れをしたということもございます。それから国鉄の収入の大宗をなします運賃改定がいずれも計画どおりに実施できなかった。あるときには、実施の時期は計画どおりいきましても、値上げ率というものが計画よりずっと低目に仰えられてきた。またあるときには、実施そのものが国会の関係でずっと延びた。これが財政再建の上には一番大きな支障を来しておったというふうに考えざるを得ないのでございます。  今回の再建の案をつくるに際しましても、そういうもろもろの点を反省をし、また検討をしながら今回の再建案をつくったような次第でございます。
  157. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 人件費の見誤りという点も大きな要因であったのじゃないかと思います。言葉をかえて言いますと、四十四年、四十八年の案の旅客、貨物の収入というものを正しい根拠に基づいて計上しておったのかいなかったのか、数字合わせ、ごろ合わせでやっておったのではないかという点等一つ大きく計画が狂った理由ではないかと私は思ったり何かするのでございますが、この問題については触れません。  そこで、いま大臣は反省して今回の再建対策要綱をつくったのだとおっしゃいましたが、しかし、今回の再建対策要綱の中核をなすものは何であるかというと、労使関係の正常化ということを強くうたっておるわけです。そうすると、いままでどんなにいい案をつくり、国の助成をふやしていっても、根本にあるところの労使間の不信感というものが除かれていなかったのじゃないか。国鉄の内部で働いて給料を取っておる者が運賃値上げ反対、運賃値上げ反対と胸に運賃値上げ反対のリボンをぶら下げ、国民のものである貨車や駅の構内に運賃値上げ反対ということを書いて書いて書きまくる。こういう者が国鉄内部におる。職員の中におる。こういったこと等は、いま大臣がおっしゃった問題以外に、労使が一体となって国民の動脈であり、手であり、足である国鉄を再建するのだという気魄に欠けておった、ばらばらであったというところに大きな理由があるのではないか。したがって、今回閣議決定された再建対策要綱というのも、われわれが拝見するとこういうところを中心に相当反省されておるというふうに考えられるのでございます。  もう一度大臣にお伺いしますが、過去の基本計画は失敗した。しからば、今回の再建対策要綱並びに今回出しておられるこの法案で、説明では抜本的な再建対策だと言っておられますが、本当に抜本的な再建対策であるとお考えでしょうかどうでしょうか。大臣の立場から言ったら抜本的再建対策でございますと言わなかったら大変なことになるだろうと思うのですよ。そう思うのですが、大臣、大体今回の案は私らから言いますと五千億の赤字をそのまま残しておるわけでしょう。しかもそれは資本勘定の方でごまかす——ごまかすと言ったら語弊かありますが、やっておるわけですね。しかし、再建対策要綱を見ますと、五十一年と五十二年で収支とんとん、相償うようにするのだという決意は強く表明してある。決意は強く表明してあるけれども、ことしだけの案を見れば、昭和五十三年三月三十一日になったときに、見てください、言ったとおり収支とんとんになっておりますと胸を張って政府や運輸省や国鉄の皆さん方がわれわれに言ってくださるなら、これは本当に感謝感激なんです。しかし、果たしてそうなるかならぬかということ等も、真剣に国鉄を愛する立場から申し上げますと出てくるわけでございますが、今回の再建対策要綱並びに今回出しておるこの法案の裏にある本当の再建の柱というものは何であるのか、過去の反省の上に立ってこう考えるということをちょっと大臣から承りたいと思うのです。
  158. 木村睦男

    ○木村国務大臣 先ほどお答えいたしました中で私は重大なことを落としておりましたので補足いたしますが、長期再建計画を二回とも立てましたが、それが途中で挫折した大きな原因の中に、いま加藤委員が御指摘になりましたように経費の方の予想以上の増加があるわけでございます。特に、その中で、高度成長時代でもございましたから物件費の値上がりもございましたが、同時に人件費の予想以上のアップ、これが非常に大きな原因であったわけでございます。これを落としておりましたことをまことに申しわけなく思っております。それが一つの大きな原因であるということでございます。  そこで、今回の再建は抜本的な再建計画だとわれわれは考えて、出して御審議をいただいておるわけでございますが、いままで過去のことで申し上げましたのは、いわゆる財政面の再建に焦点を合わせてお話を申し上げたわけでございますが、今回の国鉄の再建は、財政面の再建と同時に、四十三万人の職員が一体となってわが家の再建をはかるという精神的な一体感、使命感、これが一面において十分に徹底しないとできない、かように考えております。そこで、私は、前の藤井総裁にも申し上げたのですけれども、財政上の面からの再建の方策は政府も一生懸命に力を入れてやるから、もう一つの柱であるところの精神面の再建は、これは国鉄の総裁が労使一体となってわが家の再建に邁進するという、この気魄を持ってやってもらわなければいけませんよ、この二つの柱がそれぞれ十分に作用し合ってこそ今回の再建ができるのでありますよという話を申し上げたことがございますが、私はさように考えております。  同時に、いままでの反省からどういうことを得たかといいますと、五年なり十年なりという長期の計画はどうしても無理である。そこで今回考えましたのは、できれば一年で財政上は少なくとも収支とんとんになるようにしたいのでございますけれども、一年でこれをやろうとすれば、現在五〇%の運賃改定の案を出しておりますが、これを倍にもしなければできないわけでございます。それはやはり利用者に一時に非常に大きな負担を強いるということになりますので、今回は二年にわたって再建をしよう、財政上の再建の計画を立てていこうということで、それで、初年度でございます五十一年度は運賃の面におきましては五〇%の値上げ、こういうことでございます。この五〇%を上げましても、運賃収入でようやく人件費と物件費の経常経費だけが賄えるという程度でございますので、この程度はやはり利用者に負担をしていただかなければなるまいということから五〇%の運賃改定を考えたわけでございます。  しからば、二年にわたるということでございますので、来年度はどうかということになるわけでございますが、数字の上から言いますと、来年も値上げだけに頼るということになりますと五〇%に近い値上げが必要でございますけれども、これは今回法案を通していただいて五〇%アップを実施させていただく一年間の国鉄の収支の状況をまず見なければなりませんし、また、積立金の取り崩しというふうな方法もいろいろありますし、いろいろな方法がございますから、第二年目はどうするかということはその時点で考えたいと思いますが、第一年目はいま御審議をいただいておるような内容で再建を図り、二年目はそれの結果を見て最終的な再建完成の年にいたしたい、かように考えておるわけでございます。  そして、二年目が終わりましてその結果どうなるかということも一応の推定はいたしておるのでございますが、物価の、あるいは経済の情勢の推移でその後二、三年の間は多少の運賃改定とかその他の施策もあるいは必要かと思いますけれども、まず二年で再建のめどは立つ、こういう考えであの再建案を御審議をいただいておるわけでございます。
  159. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そこで、精神面と経済面、財政面についての反省がなされて今回の再建対策要網になった。同僚の増岡議員も大臣に去年われわれが議論した内容からいろいろ質問いたしておりましたが、再建案が狂った理由には、そういう人件費あるいは予想がつかなかった違法スト、運賃改定のおくれという問題がいろいろあるわけでございますが、真の国鉄再建とは一体何だ、精神面はもちろん、労使一体となってその使命を痛感して出発するところにあるという結論をわれわれは出しておるわけでありますが、財政面においては運賃法定主義の廃止が一番適切にして有効なカンフル剤になってくるのではないだろうかという気持ち等も持っておりまして、先ほど議論もされておりましたように、そして大臣が答弁されておりましたように、それは運審形式がいいのか、それともいろいろな形式がいいのか、あるいはまた財政法上の関係はどうなるのかということから入りまして、具体的に相当突っ込んだところまで勉強いたした過程はあるわけでございます。  ただ、私は先ほどの大臣の答弁を承っておりまして、当事者能力という問題に触れられましたけれども、これは高木総裁からは増岡委員の御質問に対する答弁がなかったわけですが、高木総裁、あなたは国鉄総裁におなりになってちょうど七十日ですね。まだ地方へはどこへも現場に視察に行くことができないほど中央で必死にやっておられるということ等も承っておるわけでございますが、あなたが国鉄総裁におなりになって、国鉄総裁というのは果たして当事者能力があるんだろうかないんだろうかという疑問にぶつかられたかどうか、端的に、当事者能力があると思うか、ないと思うか、いまの総裁としての感想を聞かせていただきたい。
  160. 高木文雄

    ○高木説明員 私が総裁を引き受けろというお話がございましたときに、私も新聞紙上で読んでおったわけでございますが、二、三の民間の方々が、現在の国鉄の制度は手足を縛って海で泳げというような制度であるからとても引き受けられないとおっしゃった方があるというふうに新聞で拝見をしました直後に御下命がございましたけれども、私は必ずしもそうは考えておりません。と申しますのは、私ども一般会計の職員として長年やってまいりました点から見ますと、国鉄の場合は一般会計の場合の仕事と比べますとまだ幾らか自由を許していただいているという点があると思います。  ただ、しかし、一番困りますのは先ほどちょっとお触れになりました点でございまして、やはりこれは一種の商売でございますから、幾らで売ればどのくらい収入が上がるか、安く売って大量に収入を上げた方がよろしいのか、高く売って少しの数量でもいいのか、要するに単位当たり売り上げ掛ける数量はどっちが大きいのかということをしょっちゅう考えながら商売というものはやっていかなければならぬだろうと思いますが、一キロ幾らで売れということをもう初めから決められておりますとそれはなかなか商売にはなりにくいという点があるわけでございまして、お客の多い日も少ない日も同じ値段で売らなければいけないということではなかなか商売になりにくいなという感じがいたしておるのは確かでございます。  ですから、やはり公共企業体というものは、昔の鉄道省から分かれてきた経緯から言いますと、営業的な面をもう少しフルに発揮できるようにという意味もあって、ただ労使問題ということだけでなくて、営業的な面も含めて何か新しい分野を開けという意味もあって、一般会計といいますか、特別会計から外れてきたのだと思うのでございますが、そうだとすればもう少し営業をうまくやれるような道を何か開いていただきたい。ほかにもいろいろ窮屈な点はありますが、何よりも少し商売らしくやれるように何か方法はないものかということを感想としては一番先に持っておるわけでございます。  あといろいろ問題はございますけれども、それは国鉄だけの問題ではなくて、公社制度全体の問題に触れる問題があるわけでございますからなかなかむずかしい問題があると思いますが、ほかの公社と比べましても、鉄道の場合には、地域により、また夏とか冬とかいうことによって幾らで売ったらいいかということを考えなければならぬ点は、たばこの場合や電話の場合とはいささか違う点もあるのではないかというように考えられますので、その点の窮屈さは他の二公社と全く同様ではない面があるのではないかということをちらちら考えているということで感想という意味でお許しいただきたいと思いますが、そういう感じを持っております。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 総裁は言外に大分いろいろのことをおっしゃっていますが、私は端的に申し上げますと総裁は当事者能力はないと思うのですよ。もし総裁が当事者能力がないのにあるような錯覚を起こしておったら、これは大変ですよ。いままでの歴代国鉄総裁がある面ではそういう錯覚をされたことがあったかなかったかということはわれわれは与党ですから余りはっきり言いませんが、ないならないと——いまは商売上の売ることを、すなわち私が運賃法定主義廃止ということから入っていったので、そこを中心に総裁が言われたと思うのですけれども、総裁が言われたような、両手両足を縛られて海にほうり込まれて泳げと言われるのと本当は同じなんですよ。それをあるような錯覚を持ちだしますと大変なことになる。それはわが党の渡辺委員が十六条問題から始まってすべての問題を述べられたので私は繰り返して言いませんが、しかし、逆の言葉で言いますと、国鉄が本当の再建を果たすためには当事者能力を国鉄に与えなくてはいけない。その国鉄に当事者能力を与えるのは何と何と何を与えたらいいのかという問題は、これは国会全体が真剣に考えなくてはならない問題である。ただ、運賃値上げ率が高い低いということから、恐らくこれからいろいろの党がいろいろの質問をしてこられるでしょうが、要は、国鉄を再建してもらって、本当の国民の手となり足となってもらうための国鉄自身の当事者能力をどのように付与していくかということは——この運賃法並びに国有鉄道法の改正案を議論する大前提として私は先ほど心の問題を申し上げましたが、もう一つは、この当事者能力ということが欠かせない問題である。この当事者能力を与えずしての国鉄に対する一方的な非難と攻撃は当たらないとも思うわけでございますが、どうも意見ばかりになって恐縮なので次に移ります。  これも同じく増岡委員から触れられましたが、総合交通体系のことであります。もう一つわれわれがこの国会の場を通じて議論していかなくてはならないのは、国鉄の任務というものと、わが国の陸、海、空における国鉄の占める立場と位置というものを明確に打ち出していかないからこそ国鉄再建論争というものがいろいろな角度から取り上げられる。おたくの中のある職員方はこれを階級的立場で見ようとする。あるグループはマルクス、レーニズムの立場から国鉄再建を見ようとする。いろいろな立場というものが出てくる。しかし、これは私に言わせますと、総合交通体系の中に占める国鉄の位置と立場というものをまず明瞭にしていくというところから始まらなくちゃならない。  きょうの大臣の趣旨説明の中にも、国鉄の任務、なすべき仕事という問題についてはもちろん触れておられましたけれども大臣の答弁を承っておりまして私は一つはっきりしなかった点があるのですが、大臣昭和四十六年につくった政府の総合交通体系は、あれはどんなりっぱな学者やどんな多くの国会議員が読んでみても、何を言うておるかわからぬという総合交通体系なんです。はっきり言いますとそういうものです。もちろん、いま新総合交通体系をやろうとして新経済計画をつくりましたから、これに従って新しい国土利用計画その他を踏まえてやろうとされておりますけれども政府は恐れておるのです。恐れておるのは何かというと、はっきりした総合交通体系の、その中におけるびっしりした国鉄の地位と立場を明らかにする総合交通体系をつくりますといろいろな束縛を受けるのじゃないかということで逃げるのじゃないかと思うのです。  そこで、大臣、新しい総合交通体系をつくる場合の国鉄の位置づけというものですが、四十六年のものは読んだ人は本当にわからぬ。私らも実はつくるのに参画してずいぶん議論をしたんですけれども、後から見たらわからぬのですよ。そこで、新しい総合交通体系をつくる場合における国鉄の位置づけはどういうようにしたらいいんだろうか。それはまず国民が、ああこういう国鉄の位置づけをするんなら安心だ、少々の利用者負担なんかどんどん持ってもいいという気持ちを持つものが出てくるか、あるいは国鉄四十三万の職員が、こういう位置づけをしてもらうんならわれわれは国鉄再建への将来の希望の芽がある、少々苦しくてもがまんしていこうというものが出てくるか。前回審議したときも各党ともこの総合交通体系問題はずいぶん触れられたわけでございますけれども大臣、どうでしょうか、新総合交通体系をつくる場合における国鉄の位置づけはこうあってほしいと思うようなところがあったらお述べいただきたいんです。
  162. 木村睦男

    ○木村国務大臣 非常にむずかしい問題でございまして、四十六年の総合交通体系も何が何だかわからぬというお話でございますが、私もやはり同感のような感じがするんです。ということは、国会でもそうでございますが、その他いろいろな学者の皆さんの御議論の場でも総合交通体系という御議論がよく出るのですけれども、一生懸命私も聞いておりますけれども、本当に自分自身で自信を持ってこうだという考えが出ないわけでございます。ただ、そうも言っておれませんので、今後の国有鉄道のあり方という中で総合交通体系の中の国鉄の位置というものをおぼろげながらでも出さなければいかぬと思っておりまして、運輸省におきましてもそういうワーキンググループをつくっていま検討させておりますが、私も二、三回中間報告を聞いておりますけれども、私もまだ納得できぬ点がたくさんあるわけでございます。同時に、運輸政策審議会にも諮問をいたしていま検討してもらっておりますが、ただ、国有鉄道輸送の実態というものが、他の交通機関、航空機、自動車あるいは海運あるいは私鉄等に比べまして単位輸送力というものがずば抜けて大きくて、そして頻度の高い輸送ができるという特性を持っておりますので、総合交通体系の中で国鉄をどう位置づけるかということについてはこれを中心にしてその位置を十分考えなければいかぬということ。きわめて抽象的で恐縮でございますが、これが一つです。  それから、もう一つは、日本全土の均衡ある発展ということを考えますときに、均衡ある発展に必要なものは交通の利便を均等に与えるということでございますが、山村あるいは閑散地帯における交通の開発というふうなことを考えますと、ここには国の経済力でもって交通施設をつくってやりませんと、民間の純粋な企業ベースではできない面がございますので、そういうところは政府の財政力、経済力でもって交通施設を与えてやらなければいかぬ。しかし、これは、それを代弁しておるものが現在の日本国有鉄道でございますから、そういう面でも日本国有鉄道一つの使命がある。この両面を考えて今後の総合交通体系の中の国鉄の位置づけをいたしたい、かように考えておりますが、きわめて抽象的であることを申しわけなく思っております。
  163. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 大臣、いまの話の中で私はもう一つ追加しておきたいのは、渡辺委員も触れられましたが、貨物問題です。われわれは国鉄問題小委員会で議論したときに、国鉄貨物を廃止した場合にどうなるか、いまの国鉄貨物量をトラックにかえた場合に幾らのトラックと幾らの人間が要るかという議論まで現実にしたのです。大臣がいみじくもおっしゃった日本列島の構造から見た場合に、国鉄の貨物に対する問題というものがややもすると赤字の大きな原因のごとく言われ、一部の政党では、貨物の赤字を旅客の運賃収入で賄わしておるんだ、そしてその貨物は大企業奉仕のための貨物なんだなんて言っておるが、これはとんでもないことだと私は思うのです。国鉄というものの性格から見た場合に、旅客だけを中心とした総合交通を考えてはいけない。これに当然貨物を入れた総合交通体系を考えなくてはいけないと思います。しかし、それは私の意見でございます。  そこで、大臣、新しい総合交通体系をつくるのは非常にむずかしいとおっしゃるが、私はむずかしくないと思う。それは政府が頭の中で物を考えようとするからできぬので、われわれはもう数年前からこれを各県ごとにつくってもらえと言っているのです。まず、北海道は北海道、四国は四国、あるいは九州でもいいですし、それ以外のところでも、ここはバスでいくのか、鉄道でいくのか、トラックでいくのか、船でいくのかという問題を中心にして各県あるいは各ブロックの総合交通問題を議論していただいて、ここのローカル線は廃止してバスとトラックにかえた方がいいんだとか、ここはいろいろな立場上道路をつくるのがむずかしいとか、あるいはなにするのがむずかしいから、係数が三八〇〇出るローカル線であっても残さなければいかぬのだ、百円の収入を上げるために三千八百円かかるところであってもここは残そうとか、これは外そうとか、そういうことを含めて中央、地方の特性があるでしょう。積雪寒冷単作地帯があるでしょう。過疎化地帯があるでしょう。あるいは地方中核都市に対する通勤通学の問題があるでしょう。こういう問題を考えるときには、鉄道、バス、・トラック、これにマイカーを加えるならマイカー、それに船というように、これを考えた総合交通体系というものをつくってもらって中央へ上げる。そして中央でつくった全国的な国土利用と総合交通というものとぜひすり合わせてもらうということでこれからおつくりいただく総合交通体系というものを考えていただきたい。  結局、国鉄の審議をするときには毎回毎回この総合交通体系問題が議論にはなるが、しかし、これは率直に言って大臣が先ほどおっしゃったと同じように、質問する人も批判する人も本当のプランというものを持たずに来る方々が多い。学者でもしかり、いろいろなことがあると思うのです。そういうものを解決していくためには各県各ブロックからの積み上げによるべきだ。たとえば国鉄問題に例をとってみても、ローカル線問題を渡辺委員もずいぶん言われたし、あるいは増岡委員も触れられたのですが、鉄道敷設法の問題一つを取り上げても、現在建設中のものを取り上げてみても、これからやらなければいけないものを取り上げてみても、あるいは現実に走っておる大幅な赤字を出しておるローカル線問題を処置するにしても、そこら辺からいけるのではないかとも思うわけでございますが、大臣、新総合交通体系をつくるときに中央の案をつくるけれども地方から積み上げてくるんだということについて、その方がいいと思うか、もうちょっと検討してみるというのか、そこら辺の感想をお聞かせいただきたいと思います。
  164. 木村睦男

    ○木村国務大臣 非常に貴重な御意見として私は拝聴いたしておったのでございますが、まさしく、各地域ごとの交通計画交通整備というものから総合されて全国的な総合交通体系というものがつくられなければならないと思います。運輸省といたしましても五十年度から実はそういう地域的な交通整備計画を検討しながらその策をつくりつつありますので、それらをもとにいたしまして新しい総合交通体系をつくりたいと思っております。まさに加藤委員の言われましたような方法論の上に立ってやりたいと考えております。
  165. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 もう八時が近づいてまいりましたので私もこの程度で終わりたいと思いますが、最後に大臣と国鉄総裁に承っておきたいと思います。  もし今回法案か通らなかった場合、破局的な状態がわが国内に起こってくる。そこで私たちは極限に置かれた国鉄をどう処置していくかという問題を考えた場合に、まず人件費はどうなるか、その次には工事費はどうなるか、その次は国鉄は七月一日からダイヤ改正をやって国民に対するサービス向上をさらにやろうと努力されておりますが、逆にダイヤはいまの何分の一かに落とさなかったらやっていけなくなるのではないかとさえ真剣に考えておるわけでございますが、この人件費工事費、ダイヤというものに対して運賃法が通らなかった場合はどうなるのだということについて、運輸大臣はその場合はこうせざるを得ないのだという立場を、高木総裁はこうなりますということを、ひとつ両方からお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  166. 木村睦男

    ○木村国務大臣 昨年私が大臣に就任しまして以来国鉄再建の大問題と取り組んで参りましただけに、今回御審議をいただいております再建案の内容につきましては、これが予定どおりに成立し、予定どおりに再建の実施にこぎつけなければどうなるかということを考えるだけでも非常にそら恐ろしいような感じがいたすわけでございます。  もちろん、いまお話しのように、従来、この再建案がうまくいかなかったから若干工事費を削ってつじつまを合わすとか、あるいはそれらの金を政府が出してやるというようなことをやってまいりましたけれども、いまは政府自身、国の財政自身が三分の一は借金でやっておるようなわけでございますから国を頼るわけにいかない。また、この再建案が予定どおり実施できない場合には、その赤字といいますか不足額は、そうでなくても五千億の借金をしての五十一年度の予算でございますから一兆二千億になるわけでございます。いかに工事費がたくさんにあるからといってこれを全部やめるわけにもいきませんし、削るわけにもまいりません。修繕費その他は交通安全面から非常に問題もございます。そうすると、四十三万の職員、一番大きなウェートを占めておる人件費にもどうしても重大な影響を及ぼしてくるというふうな、本当にそら恐ろしい、まさに破局的な状況になる。こういうふうに思っておるわけでございますので、私といたしましては一日も早くこの再建案を成立させていただく以外にはいま考えるものは何物もない、かように考えておるような次第でございます。
  167. 高木文雄

    ○高木説明員 現場を預かります者といたしましては、やはり予想したくない事態が起こるということも考えておかなければならぬわけでございますが、先ほど他の委員のお尋ねにもお答え申し上げましたが、六月一日からは改定することを許さぬということになりました場合に、さてそれではその後どうなるかということの見当がつきませんと何ともならぬわけでございまして、これはどうやって教えていただくのかわかりませんが、皆さんに御相談して、一体いつごろからお許し願えるのかということを、何かある種の見当をつけてやりませんと、余りにもこの八千億という金額が大き過ぎまして、何カ月たったらどうなるか、見通しがなかなか立ちにくいわけでございます。  いずれにしましても、工事費はもうすでに去年から契約をして、あとは実際上その契約に基づいて工事が進行しておりまして、そしてことし完成したら払うという分が相当ございますので、工事費は、機材の発注等を含めて全体で八千億でございますけれども、これもそう簡単には減らし得る部分というものはなかなかないわけで、新規契約はとめなければならぬと思いますけれども、しかし、それにいたしましても、その金額はそう莫大なものではないわけでございます。  それから、ダイヤを縮小するといいますか、車を走らせないようにするということを考えることもしなければならぬかと思っておりますけれども、しかし、その場合には車は走りませんでも毎月の月給はやはり払わなければいけませんし、金利は相変わらず払わなければなりませんし、それから、御存じのように、七月からダイヤ改正をやる予定をしておりましたのですが、その車両はもうすでにできておるわけでございますから、その車両の償却ができないということになってくるわけで、そういう計算をやってみますと、ダイヤを縮小いたしましてもきわめてわずかな金額しか経費的には浮いてまいりません。  それから、何か収入を上げるべくいろいろ努力をするということはどっちにしてもやらなければならぬと思いますが、しかし、これも現在の国鉄の体制から申しますと、だんだん労使関係がよくなっていけばという時間的に余裕がない状態で、あしたから急に収入を上げるように走り回るといっても、なかなかそう簡単にまいりません。  それやこれや考えてまいりますと、さて、そうすると人件費はどうかということでございますが、これはさっきからのお話も承って全く同感なのでございますが、何としても労使間の心の通いをもとにして立ち上がっていくということが一番大事なことでございまして、財政的な面の立ち直りをするにしましても、まずまず心の通いがなければ何ともならぬわけでございまして、私も就任して間もなく、真っ先に——何も人件費というのはそう誤っている給与水準ではないと思いますので、それで四十三万人とその家族が飯を食っているわけでございますから、それは簡単にはなかなか手をつけにくいわけでございまして、−どうもどっちから入っていっても悪循環で、どこへも出口がないというような感じになっております。  それらも心の片すみではあっちこっちいろいろな数字を取り寄せて研究はいたしておりますが、その上におきましてもなおかついまの運輸大臣の御答弁のとおり、何をおいても何とかお助けを願いたいということに尽きるわけでございます。
  168. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 大臣並びに総裁から運賃法が通らなかった場合の事態について簡単に御説明があったのですが、私はいろいろ数字を挙げて抜本的に突っ込んでいかなくてはならぬのじゃないかと思っておりましたが、先ほど申し上げましたように時間が参りました。  私は最後にお願いしておきたいが、これは総裁やきょうここへ来ておられる国鉄の幹部の皆さんだけがそう思ったのではできないのです。私は組合とは言いませんが、四十三万の職員の皆さんもそういう立場をよく考え、一体どうなるのだということを——増岡委員か言われましたいい意味における国鉄一家ということも去年ずいぶん議論したが、いい意味における国鉄一家という思想を職員の皆さん方が持たないとだめじゃないかと思う。あなた方がここへ来て一生懸命に悲痛な叫び声を上げておられても、町へ行くとあなた方の職員が運賃値上げは反対だ反対だと言って歩いておったら、国民も各政党も、ましてやわが自民党も、皆さん方の悲痛な叫びというものが本当に悲痛な叫びと受け取れない。これはあなた方だけの声であって四十三万人の職員の声ではないと判断したときには、大臣や総裁がどんなにこの委員会で頭を下げられても法案は通りっこないです。また、通させない。この点は運輸省や国鉄の管理職の皆さんだけではなく、全職員が一体となって国民に訴えていただく、野党の皆さんに訴えていただくという、こういう空気と姿勢が一日も早く来ることを切望いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  169. 中川一郎

    中川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、来る十八日午前十時三十分から参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 中川一郎

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 中川一郎

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十八日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十六分散会      ————◇—————