○河村
委員 その変仕業の手配のための通常のルールがどうなっているのか、私も最近のことはよく知りませんが、いずれにしてもこれは異常時でしょう。
ストライキによって膨大な人間がたまっておる。しかも、いろいろな仕業変更はあるのがあたりまえです。本当にそういう急場で、とにかく汽車を動かそうというときに、二百何十人も運転士がいて、正規の予備員が一人いないから動くべき汽車が一時間もおくれるということは常識に合わないでしょう。
総裁、
労使関係というのは常識なんです。常識に合わないことはどこかおかしいのです。そういう観念でやってほしいと私は思うのです。汽車を動かすのは使命だから、どうしても何とかして汽車を動かしたいという一心で——その気持ちはぼくもわからぬことはないけれ
ども、しかし、それと本当に
労使関係の規律を秩序正しくやっていくということとは仕分けて
考えないと、一時的に汽車は動いても、結局長期にわたってだんだんそういう癖がついて、組合管理的様相を呈してくるのです。
総裁、この前八日間
違法ストが行われて、それで賃金カットが四億円か、本来なら二百億以上でしょう。汽車は全部とまっていた。これも不思議だと思いませんか。争議行為が正当性を持つためには、両方とも被害を受けるというところに条件が成立しているわけだ。
ストライキの場合には、
ストライキによって
経営者側は得べかりし利益を失う、組合側はその間賃金が払われないという損失がある。そこでバランスがとれて、その兼ね合いでもって、どのくらい
ストライキをやめるかやめないかというバランスが維持されている。
経営者側のロックアウトも同じでしょう。やはり相互に被害を受けるというところでバランスがとれている。(「
経営側はロックアウトはできないことになっているんだよ」と呼ぶ者あり)
ストライキもできないことになっておるんだ。この点を
考えれば、少しぐらい問題があって
もとにかく賃金カットをやる。とにかく違法な
ストライキが行われているわけだ。
経営者側は得べかりし利益を失っている。とにかく一般的な法原則から言えばロックアウトは
国鉄に認められていないことも事実であるけれ
ども、しかし、フェアでなければならぬ。公平の原則から言えば賃金カットをしてもいいはずだ。それが成り立つかどうか一遍裁判に持ち出したらよろしい。そのくらいのことは
総裁として当然やるべきだ。初めから裁判に負けるだろうなどと
考えてやらぬところにかえって間違いがある。
きょうは私が
総裁に何か訓示みたいなことを言っているようでありますけれ
ども、
総裁はいま
就任早々で非常にフリーな立場にある。だから、この
期間に、フリーな立場から、いままであたりまえとして行われてきた最近の悪い慣行をぜひ一遍見直しをして、そこから手をつけていかないといけない。
労使関係を本当に正しいものにするのには、
経営者はやはり強くなければだめなんです。強い
経営者があって初めて強い労働組合もできるのですね。だから、弱くて言いたいことも言えないような
経営者があればまじめな者は損をするというような
職場秩序ができる。そうなれば、そこに生まれる労働組合というものは曲がってくるのがあたりまえである。その辺からもう一遍出直さないといけないのではないか。
スト権問題は、きょうは時間もありませんから私はやめますが、そういうところをまず正して、しかる後に
条件つきスト権付与を——
スト権付与というのは、
ストをうんとやらせるためにやるわけじゃないのですからね。めったなことでは
ストができないような
体制をつくるということなんで、その
一つの
基本にもなるわけです。そういう
意味で、
総裁にそういうことについてぜひもう一遍突っ込んで検討していただきたい。
それを最後にお願いして、私の質問を終わります。
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