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国務大臣(河本敏夫君) 鋼材の値上げの背景について簡単に申し上げますと、昨年からことしの初めにかけまして、原料である鉄鉱石、石炭は大変値上がりをしたわけでありますけれ
ども、輸出が好調で、大体国内価格の二倍ないし三倍という非常に高い価格で数量が激増したわけでございます。そういうことのために、国内価格は低い水準で推移いたしましたけれ
ども、鉄鋼会社の経営は比較的よかった、こういうことでございますけれ
ども、ことしの初めになりまして、
世界的な不況の影響を受けまして輸出が非常に減りました。価格もいっときに比べまして暴落をしたわけでございます。そういう
関係で急速に鉄鋼会社の経営が悪くなりまして、ことしの初め以降どうしても相当幅の値上げをしたい、値上げをしないと経営がもたないと、こういう強い
要請がございましたけれ
ども、鉄鋼の国民経済全体に与える影響が非常に大きいということを考慮いたしまして、できるだけ延ばすようにと、こういうふうに
要請をいたしまして延ばさしておったわけでございますが、去る七月一日からいよいよ販売先と交渉を開始いたしまして、御案内のようなところに落ちついたわけでございます。
この鋼材の価格は、御案内と思いますけれ
ども、ある程度
長期的にユーザーと決めるものと、それから店頭で売っておるものと二つございます。
長期的に決めるものは、これはコスト計算を参考といたしまして、そして一定期間価格を据え置く、こういう契約でございます。それから店頭の場合は、メーカーといたしましては希望的な価格は出しますけれ
ども、需給で決まりますから、なかなかそう思うようにはいかない。こういう二種類になっております。現在、店頭の価格は非常に安い水準にあると言ってもいいと思います。それからなお、ユーザーと比較的
長期の契約をしております価格は、これは若干上がりましたけれ
ども、なお国際水準から見ますと、アメリカ、
イギリス、ドイツ、フランス、イタリーの各国と比較いたしますと、非常に安い水準にあります。各品種とも全部おしなべて各国に比べまして非常に安い水準にある、こういうことが言えると思います。そういうことで、なお現在、鉄鋼業者の経営状態は相当大幅な赤字が続いておる。そういうことから、なお引き続いて三千円の値上げを年末ごろまでに達成をしたいと、こういうことで交渉しておるようでございます。
なお、この問題につきまして、公取
委員会が独自の権限で調査をしておられるということを聞いておりますけれ
ども、これは公取
委員会の権限でおやりになることでございますから、通達者としては、それに対して意見を申し上げる筋合いではございません。