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国務大臣(
福田赳夫君) 最終需要
要因とすると、申し上げるまでもありませんけれども、個人
消費ですね。次いで
設備投資需要、それから次いで
政府、地方公共団体を含めての財貨サービスの需要、さらに
輸出需要と、大きく言うとその四つであります。住宅なんかいろいろやりますけれども、大きく言うとその四つに分かれると思う。
ところが、個人
消費は落ち込み落ち込みと言われまするけれども、これはそういう
状態じゃないんです。伸びは鈍化しておる。しかし、今日この時点でとにかく昨年に比べて一五%ふえているんですよ。ことし第四次対策をとったその後における名目
成長率はどのくらいになるかというと一〇%です。平均が一〇%という中で個人
消費はとにかく一五、六%ふえる、こういうような
状態であります。決してそう引っ込んでいるわけじゃない。そういう
状態の中で、さらに個人
消費を刺激してこれを増大するかというと、私は本会議でも申し上げたわけでありますが、これはいま節約というムードが出てきておる。これは、
資源有限
時代という
時代において、
資源小国たる
わが国とすると、どうしても国も企業も、また家庭もそういう方向をたどらなきゃならぬ。そういういい
傾向が出てきておるその中で、これをまたひっくり返すというようなことをしたら、これはとんでもないことになるという
考え方が一つあるんです。
それからもう一つは、多額の国債が発行される。この国債の管理ということについては大変心配をしておるわけですが、その国債管理
政策上一番大事な問題は何かと言えば、国債が完全に消化されるということです。消化ということは
国民がそれを買うということなんですよ。直接買うか、あるいは銀行に預金をして、そして銀行がその国債を買うか、その以外にないんです。そういうことを考えますと、金はお使いください、その方がいいんですというような
政策は、これはとれない。
それからもう一つある。もう一つありますのは、減税をするということになりますれば、これはどうしたって減税の財源が要るんですよ。同じ財源を使ってほかに道がないかというとほかに道があるんです。減税によって個人
消費をと言えば、仮に一兆円の金を使って一兆円の減税をする、そうしますれば一兆円ぐらいの購買力効果しか出てこない、あるいはそれより引っ込むかもしれません。貯蓄という方に回るかもしらぬ。ところが、公共事業に同じ財源を使うということになれば何倍かの効果を生ずるわけなんです。いま第四次対策で、公共事業を中心として一兆六千億円の
財政措置を講じます。その
財政波及効果をいわゆる三兆円と見るのですが、減税でそれをやろう、それだけの効果を生ぜしめようとすると、これはまあ三兆円以上の財源が要る。これはいまの
財政事情ではとても許されない。こういう問題もありますので、個人
消費に最終需要の喚起を求めるというのは、これは私は、いまわが
日本の立場とすると非常に邪道ではないか、そういうふうに考えておるわけなんです。しかし、個人
消費の力は、そういう刺激的な特別の工夫をせぬでも、
経済が安定するということになれば、先々
経済に
国民は不安を持たぬという
状態になりますれば、これはだんだんとまた正常化してくるに違いない、その自然の推移にまつ。こういう
考え方が妥当であろうと、こういうふうに考えておるんです。
設備投資を刺激する
方法があるかというと、これは公害だとか安全投資でありますとか、あるいはボトルネック産業でありますとか、そういう投資はこれは起こってくる。また起こす必要がある。ところが、一般的に設備過剰の
状態で、従来の
景気循環時のように
設備投資で
景気を起こす力にするというのはこれは期待はそうは持てない。
輸出はどうかと、これは
アメリカの
景気の見通しの問題がありますが、
アメリカが、言われるとおりよくなれば改善するいい機会になりまするけれども、
世界全体としましてそう即効薬的に
わが国の
景気を刺激するというわけにもいかぬ。そうすると、残された道はどうしても
財政になっちゃうんです。
財政は非常にいま苦しい
状態ですけれども、しかし、
経済あっての
財政じゃないかと考えるんです。
経済の
景気浮揚のきっかけをつくるための
役割り、これはどうしても
財政にまつほかはないというふうに考えまして
補正予算の御
審議をお願いすると、こういうことになっておる次第でございます。