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1975-09-20 第76回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年九月二十日(土曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   昭和五十年九月二十日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      —————・—————
  2. 河野謙三

    ○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。小平芳平君。    〔小平芳平登壇拍手
  3. 小平芳平

    小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、去る十六日行われた政府演説に対し、若干の質問をいたします。  今回の政府演説は、総理所信表明と外相の外交演説だけという、実に変則的なものでありました。深刻な不況倒産雇用不安の中に召集されたこの国会がこのような変則なスタートを切ることについて総理はどのように責任を感じますか。  しかも、総理所信表明においては、不況からの脱却を前面に押し出したおつもりかもしれません。しかし、その対策が肝心のところは何らの提案もなく、ただ国民に一、二年のしんぼうを求めるというようなことでは、政府をどのように国民が信頼してよいかわからないではありませんか。一年でも二年でも待てる人はまだよいとして、問題は、この月末をどうするか、この年末をどうするかという方がいらっしゃるわけです。政府は野党の反対を押し切って、あくまで酒、たばこ等値上げ法案を提案し、先議しようとなさるのかどうか、はっきりお答えいただきたいのであります。  私は、本論に入る前に、総理の言われる「過去にとらわれない創造的発想」について、総理の基本的な政治姿勢について若干伺っておきたい。三木さんは過去に金権政治批判し、政治資金あり方を改革し、政治と金との関係を明朗かつ節度あるものにするとしばしば発言してきました。ところが、さき通常国会に提案された政治資金規正法の一部改正案は、過去における三木さんの理想的な発言とは全くほど遠いものではありませんでしたか。しかも、本院においては十分な審議を尽くすこともなく、採決の結果は可否同数議長裁決で可決と。三木総理政治資金規正法改正案がこのような成立をしたという事実についてどう考えますか、議会人としての三木さんの御所信を伺いたいのであります。  しかも、この改正案は、政治資金明朗化のためでも何でもなくて、ただ企業献金を正当化させ、再開せんがためのものであった。法改正を待っていたとばかりに財界から自民党への献金が再開されるという報道が次々と伝えられていることによっても明らかではありませんか。東京銀行協会は、九月九日の理事会国民政治協会に対する政治献金を再開すると決定したと報道されている。しかも、この日の前後には、公定歩合の第四次引き下げに連動して、預貯金金利引き下げをするかどうかの議論が出されておりました。そうして、ちょうど九月九日のニュースには、政府自民党預貯金金利引き下げに踏み切ったと報道されております。三木総理、よく国民の立場に立って考えてみてください。国民大衆はわずかの預貯金インフレによる目減りに泣かされてきた。にもかかわらず。今回は預貯金金利引き下げるという。しかも、銀行中小企業倒産をよそに政治献金を再開するという。総理、あなたはどう考えますか。これだけのニュースを聞いてもおかしいとは思いませんか。三木総理が本当に金権政治を打破しようと考えておられるのでしたら、具体的にその方策をお示しいただきたいのであります。  次に私は、当面の不況対策について三木総理見解をお伺いしたい。  まず第一に、今日のような不況に陥った責任はどこにあるのかという点であります。四十九年度は、戦後初めてのマイナス成長に落ち込んだ日本経済に対して、政府は五十年度において実質で四・三%の成長を公約し、年度初めから景気は上昇に向かうと言明してきました。ところが、反対に、日がたつに従って泥沼不況の様相を呈し、企業倒産は五十年度に入っても、興人等大型倒産を別にしても、ほぼ毎月千件、負債総額も一千億円という状況であります。ただし、これも統計にあらわれた数字のみであります。さらに、完全失業者は、政府の甘い統計でも百万人に近く、一時帰休は慢性化し、時間外手当大幅減少、そうして就職難等々、雇用不安は大きな社会問題になっております。こういう国民大衆の不安や苦痛に対して、あなたはどのように責任を感じておられますか、お答えいただきたい。衆参両院でも答弁されていたように、ただ政府経済政策誤りはなかったというだけでは、どうしても納得できないのであります。政府はこれまで三回にわたって景気浮揚策をとってきたと言うでしょうが、その浮揚策が効果を上げていないからこそ深刻な結果を生じているのです。ゆえに、今回政府が決定した第四次不況対策と近く提出すると言われる補正予算案デフレギャップはどれくらい解消し、雇用状況、すなわち失業者減少労働需給改善等はどのように好転するのか、企業倒産はどこまで減少することができるか、総理並びに経企長官から詳細にお答えいただきたいのであります。  福田経企長官は、本年一月二十四日の第七十五回国会経済演説で、「静かで控え目な成長を旨として、」と言っておりますが、これは一体どういうことを意味するのですか。このころから政府は「控え目の成長」という言葉を宣伝し、昭和四十九年の「労働経済の分析」(労働白書)を見ても、まず序文で長谷川労働大臣は、「控え目な経済成長の下」と言い、さらに目次を見ただけでも何カ所も「控え目な経済成長」と出てきております。福田長官としてはどのような想定をしておられるのか。百万人の失業者を出したり、中小企業倒産を見込んでいるのかどうか、はっきりお答えいただきたいのであります。  われわれは、あの列島改造などという考え方ややり方は、最も控え目に、また慎まなければならないと考えます。私たち国土は、先祖から伝えられ子孫に残していくただ一つ国土であって、不可欠の生活基盤であります。簡単に壊したりつくったりするような品物扱いすべきではありません。  そこで、第二の質問は、景気浮揚策を進めるに当たって、産業中心、大企業本位景気対策を根本的に転換し、福祉社会建設を推進すべきであるという点であります。同じ公共土木事業であっても、高度成長期より発想を転換して、中小零細企業に直接に仕事が割り当てられるようにし、雇用が拡大されなくてはなりません。そうして、生活基盤が充実されるように、住宅、学校、上下水道、市町村道社会福祉施設等建設や改修が真っ先に取り上げられなくてはなりません。そのためには、赤字で困窮している地方財政に対し、これらの事業が実施できるような財源措置がなされなければなりません。このような発想の転換について総理見解を伺いたいのであります。あわせて、中低所得層中心として所得減税を実施して景気浮揚を図るお考えはないかどうか、お尋ねいたします。  質問の第三は、今後の物価対策とその見通しについてであります。三木内閣は、物価対策のために国民生活に重大な犠牲を押しつけてきました。戦後初めてと言われる深刻な不況政策、新価格体系という言い方の高物価政策並びに消費者にお金を渡さないための日本的所得政策です。これは三木内閣の三悪とも言えるでしょう。当初の政府の公約は、総需要抑制中小企業に不当なしわ寄せをしないこと、雇用面では失業を増大させないことであったはずです。何より大事なことは、経済成長四・三%のもとで九・九%を実現することを公約していたのではないですか。前提条件を無視したままで、消費者物価が鎮静したなどと宣伝することは許されません。  そこでお尋ねしたいことは、政府目標の九・九%は点か線かということであります。三木総理福田経企長官も、今後景気対策に本腰を入れると言っていますが、自民党政府のもとで、しかも、大型プロジェクト投資偏重ぎみ景気対策は、再び物価騰貴を起こす危険があります。さらに、九月からの米価を初め今後の公共料金引き上げ等を考慮すると、今年度下期の物価の動きは非常に心配されます。果たして、今後も鎮静傾向を維持し、預金金利並み騰貴に抑えていくことが定着できますかどうか。また、五十年度末の騰貴率見通しは九・九%よりさらに引き下げを目指しておられますかどうか。総理並びに経企長官にお尋ねしたいのであります。  質問の第四は、財政問題についてお尋ねしたい。政府経済運営失敗によって国も地方財政は破綻し、大混乱に落ち込んでおります。前国会でも、わが党議員からしばしば歳入欠陥の危機を指摘し、そのための対策の必要なことを主張したのに対し、政府は言を左右しての逃げの答弁に終始いたしました。それからわずか半年後に、総理所信表明にも述べているように、三兆円を相当上回る税収不足が予想され、巨額な国債発行という借金財政になってしまった。三木内閣財政経済運営失敗によってつくり出された財政赤字は、今日及び将来の国民の大きな負担となるのであって、その責任の重大さを自覚すべきであります。歳入欠陥について大蔵大臣は、きのうの参議院本会議では責任を感ずると言われましたが、総理はどうなんですか、お答えいただきたい。そうした政治責任の所在を明らかにすることが、三木さん、あなたの議会主義の年来の主張ではなかったのですか。  次に、百歩譲って国債発行が不可避だとしても、その前に租税特別措置全面見直しと、それに伴う増税法案提出土地ブーム狂乱物価の一因となった大企業が取得した土地の再評価課税、さらに五十年度歳出予算の全面的な洗い直しによる徹底した不急不要経費圧縮等対策がとられなければなりません。さらに、この赤字国債償還について、わが党が提唱したように、大法人保有土地評価益課税を相当年月をかけて納付させ、これを赤字国債償還裏づけ財源に使う等の対策がなければなりません。政府の今日までの態度では、赤字国債は消化されても、インフレだけが後に残るという結果になりはしないか。政府見通し財政インフレ防止の歯どめ策をただしたいのであります。  次に、私は社会福祉の問題について総理に基本的な見解をお聞きしたい。  質問の第一は、現在の年金受給者はどのくらいの金額の支給を受け、果たして年金生活ができるのかどうかであります。政府部内では、すでに厚生年金給付水準が七万三千円になって、西欧諸国水準に達したかのような意見が出ている。としたら、これは大きな誤りであります。すなわち、七万三千円というのは、新規裁定のうち、標準とされる要件を満たす者だけが受け取れる年金額であって、現在は受給権者の一割にしか適用されない金額であります。残る九割の方々は、加入期間が短いといった理由から、その受給額ははるかに低いのであります。老齢年金平均で四万四千八百七十九円、通算老齢年金では平均が一万五千二百十円、遺族年金だと二万三千八百八十三円でしかないのです。とりわけ、公的年金受給者七百八十万人のうち六五%に当たる五百十万人は老齢福祉年金で、その受給額がこの十月からやっと一万二千円でしかないということは、深刻な社会問題であります。しかも、現に低い年金を受けている人は、永久に標準年金額を受け取ることができない仕組みになっているのであります。個人の選択とはかかわりなく、制度の創設がおくれたということから、正規の受給者としての扱いを受けることができないのです。福祉年金大幅引き上げとともに、一日も早く生活のできる年金制度実現のため、総理はどのように努力をされますか、具体的に御見解を承りたいのであります。  質問の第二は、難病対策について総理基本的見解を伺いたい。福祉の先取りとか福祉見直しなどという声すら聞こえる今日において、原因不明、治療法も不明で、しかも国の対策が何もとられていない難病患者の方がたくさんおられるのです。治療法が確立されていないからその療養生活は長期にわたり、極言すれば、死ぬまで療養生活が続き、ほとんどの家庭が貧困への道を歩んでいかなければならないのであります。昭和四十七年からスタートした特定疾患対策が四十の疾病調査研究対象として取り上げ、そのうち十五の疾病だけが治療費公費負担があり、また、小児慢性疾患については九疾病群だけが公費負担対象となっています。ところが、いまだに取り残された多くの難病患者がおられます。たとえば二千人と推定される脊椎破裂症子供たちがいます。下半身が麻痺して歩行が困難であったり、また脳内に髄液がたまる水頭症を併発したりして、本人も親も悩み切っているのです。また五万人と推定されるパーキンソン病患者がいます。歩き出したら何かに突き当たるまでとまらないとか、関節が硬直したり、全身のふるえる症状にさいなまれています。あるいは、患者がすでに一万人に上り、日本にだけ多発している原因不明の略称MCLS——川崎病があります。  これらの難病に対してはまず原因を突きとめること、そうして新たな患者発生を防止すること、さらに現在の患者に対しては治療法を確立し、最小限、医療費負担におびえることなく療養を続けられるくらいの措置は講ずべきではありませんか。伝えられるところによると、従来の難病対策の方式を転換するかのごとき意見もあるようですが、三木総理は、各種のがん研究なども含めて難病対策に十分に取り組むことができるよう各省に指示するとともに、財政的な裏づけをしていただきたい。総理の御所見を伺いたいのであります。  質問の第三は、医薬品被害医療ミスによる被害者、あるいはカネミ油症患者のように食品による健康被害者が多数発生しております。これらの被害者の多くは公的な救済もなく、また加害者からの補償もなく、長年にわたって泣き寝入りさせられたり、あるいは長年月にわたって訴訟で争っております。私は、このような補償もなく救済制度もない被害者方たちのために救済制度を確立すること、治療法を確立して社会復帰を可能にすること、このような被害発生を未然に防止できるような対策を講ずること等を主張してきました。厚生省当局や代々の厚生大臣救済制度の必要を認め、期限まで切って制度の案を国会提出すると約束したこともあります。しかし、いまだに実現はしておりません。厚生省には、医薬品の副作用による被害者救済制度に関する研究班と、食品事故による健康被害者救済制度化研究班のあることは承知しておりますが、作業が進んでいるとは思えません。厚生省に幾ら要求しても実現のできないことなのですから、三木総理、あなたが決断をしていただきたい。しかも、全く不可能なことを言っているのではありません。当局大臣趣旨としては賛成し、国会提出することも約束しているのですから、後は総理決断によって速やかに実現するように誠意ある御答弁を期待いたします。  次に私は、環境公害問題と労働災害等に関し、当面の緊急課題を二、三取り上げて三木総理所信をただしたい。  まず、六価クロムによる環境汚染を契機として問題が提起されている産業廃棄物処理に対して政府はどのように取り組みますか。現行法制行政欠陥は、すでに各方面から指摘されております。地方自治体では、どこの企業からどのような廃棄物が出ているか実態をつかみがたいこと。排出企業処理処理業者に任せてそれで終わり。総合的な規制もなく、企業責任も明確でない。処理業者も一定の要件さえ満たしていればほぼ自動的に許可されるし、さらに不法投棄もぐり業者などが後を絶たない。これに対して政府はどのように取り組みますか。まず、一次処理とか二次処理とかは企業責任施設をつくることができたとしても、最終的にどこへ持っていって処分するか。地方によっては共同処理施設を計画しているが、用地難等のためなかなかうまくいっていない。政府としてはまず法規制の整備と強化が必要であろう。とともに、このような処理施設立地難に対して政府のとるべき対策はないか。また、特に中小企業者共同施設に対しては、財政面の援助が必要であると考えます。さらに、処理技術再生利用開発になぜもっと熱意を持って取り組まないのか。日本列島を公害列島化させないためにも、いままでの廃棄物を新しい技術によって資源化するとか、あるいは有害な廃棄物を無害化する等の技術開発を最重点として推進すべきであると考えますが、いかがですか。  第二の問題として、工場内における労災環境汚染による被害についてであります。すでに工場内では、六価クロムによって多数の鼻中隔せん孔患者肺がん患者発生し、これは労働災害によるものと認定されてきていました。六価クロムが有害であることは学問的にも明らかであった上に、工場内でこうした被害発生していたならば、大量のクロム鉱滓を投棄して、しかも、それが無害だなどと言っていることは、常識では考えられないではありませんか。  そこで私が三木総理に伺いたいことは、政府はこのような労働災害発生を知ったならば、同時に環境汚染についての対策を進めなければならないという点であります。さらにまた、公害による健康被害調査に当たっては、既成の先入観によらず、現在までの医学でわからなかったことは何かということを前提にしなければなりません。熊本県の水俣病にしても、認定患者数は約七百六十人でありますが、認定申請提出して待っている方が三千七百人にも上っております。そうして、私たちがまだ認定されていない患者さんを訪ねてみると、素人考えでは、紛れもない水俣病患者ではないかと思われるような患者さんがたくさん取り残されております。あるいは、砒素による健康被害にしても、皮膚や鼻の症状だけではない。必ず内臓疾患発生しているという被害者の強い訴えにもかかわらず、いまだに問題は解決しておりません。したがって、今回のクロム被害にしても、わが党は全国の関係地域で総点検を実施し、近くその結果を発表する段階になっております。  その結果を発表する前に、ひとつ総理にお聞きしておきたい。長野県にある昭和電工塩尻工場で、現地の被害者同盟方たち中心になって調査した結果があります。それは新聞にも報道されましたが、昭和三十六年から四十五年ころまでの十年間に、周辺地域で死亡された住民のうち、肺がん七人、胃、肝臓子宮がん十二人の計十九人があります。全く同じ時期に昭和電工従業員あるいは元従業員肺がん三人、胃、眼、肝臓がん七人の計十人が死亡しております。工場の内と外とで、このように同じ時期に同じ傾向被害発生している場合に、行政はどのように対応するか、総理の明確な御答弁を伺いたい。  しかも、労災認定になった人はほとんどないことは、労働省の怠慢ではないか。工場内に被害者はいないと言い張ってきた会社の態度にも大きな問題がある。この点については、今後委員会等で徹底的に明らかにしていきたいと考えております。  最後に、外交防衛問題について、これまでの衆議院の質疑との重複をできるだけ避けて、簡単にお伺いいたします。  総理訪米直前日韓関係の不明朗な修復、新韓国条項並びに安保強化を盛り込んだ日米共同新聞発表坂田シュレジンジャー会談など一連の結果は、明らかに日米韓軍事同盟体制強化を示すものであると言わねばなりません。総理は、これを再三にわたって否定しようとしているのでありますが、何らこれまでの質疑で納得できる説明をしておりません。改めて、まず第一にこの点を明確にしていただきたいのであります。  第二に、シュレジンジャー米国防長官は、朝鮮半島において核兵器による先制攻撃もあり得ることを発言しているのでありますが、これは明らかに核兵器による脅迫であり、恫喝であります。核防条約趣旨に反するものと言わねばなりません。総理は、こうした発言をそのまま放置しておいてよいと考えているのでありましょうか。当然、アメリカ政府に対して抗議し、核兵器先制攻撃をやめさせるべきであると考えますが、総理見解を承りたいのであります。  また、同長官は、日本に対し、付潜水艦戦闘能力強化海上交通路の保護、防空面強化を具体的に指摘し、日本防衛力強化防衛分担を要請しておりますが、政府はこうしたアメリカ側の要請に対しどう考えておられるのか。特に防衛力の増強、ポスト四次防に対する見解を明らかにしていただきたい。  第三は、海域分担についてであります。海の防衛分担については、海域分担考えはとらず、機能分担の方針で進めるとしておりますが、防衛庁は、シーレーンについて「重要な船団である場合には自衛艦による護衛もあり得る。シーレーンを設定する場合、京浜、阪神という日本中枢地帯を基点に大体千海里以内のものを考えており、ある程度安全を確保できるような状態をつくりたい」と国会答弁しております。これは、明らかに海域分担であり、海域分担をしないという政府答弁とは自語相違となるが、この点について明確な答弁をお伺いしたい。  第四に、指揮権一元化についてであります。有事の際でも日米間の指揮権一元化はあり得ないという坂田長官見解形式論であります。防衛分担の取り決めを細かく詰めれば、日米双方の戦力に格段の開きがある現状のもとでは、自衛隊米極東戦略の一翼に組み入れられ、米国の傭兵化になり、有事には指揮権一元化せざるを得ないのではないか。それにもかかわらず、一元化はないと主張している根拠をお伺いしたいのであります。  第五に、「わが国の防衛考える会」の報告書によると、平和時の防衛力の限界を明確にすべきであると主張している点のほか、一、防衛費国民総生産の一%以内、二、他国での大災害に際し自衛隊救助活動に出動できるようにする、三、防衛力国際バランスを保ち、平和維持役割りを果たしている、四、朝鮮半島などで局地的な緊張要因が残っているなど強調しています。これは防衛力強化を定着させるための世論形成を図ろうとするものと言わねばなりませんが、総理のこれらの点に対する見解を伺いたいのであります。  次に、今後の日本にとってさらに重要なことは、発展途上国への経済協力の問題であります。総理は、OPEC諸国に石油の値上げを延期するよう訴えてゆくと所信表明で言っておりますが、具体的にどういう方法を考えているのかお伺いしたい。  さきの田中前首相東南アジア訪問時の反日感情や、また、近くはイラン首相日本経済協力あり方批判的発言をしていることが報ぜられている点から考えても、日本海外協力あり方は根本的に改革すべきであります。  また、アラブ諸国に対する経済協力の約束は履行されているのか、この際明らかにしていただきたいのであります。  以上、政府の誠意ある御答弁を期待して、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小平君の御質問にお答えをいたします。  最初に、不況国会と言われておるのに経済財政当局者演説がなかったではないかということで、国会の開会に際して、私と外務大臣との所信表明だけで始まったのは非常にこの国会の性質上ふさわしくないという御批判がありましたけれども、これは補正予算提出を待ちまして、財政当局経済担当大臣からも十分な御説明を申し上げるつもりでございます。  第一は、政治資金規正法について私の感想を求められたわけですが、小平君御承知のように、政治資金規正法というものは、ああいう法律が制定され大改正は一回もない、これを約束しながら実行できなかったという事態の法案であります。これは初めて大改正をやった画期的なやはり改正であると評価をいたしておるわけでございます。この問題がなぜ大改正がいままでできなかったかというと、これは政党活動に非常にこの政治資金というものは重大な関連を持っておるわけでありますから、この問題は非常に各政党にとって重要な課題でありますためにいろいろな意見が分かれてなかなかまとまらないという点だったと思う。今回の改正によって、私は大変に政治資金規正の面において前進をしたという高い評価を与えておるものであります。それはなぜかと言えば、政治資金規正法には二つの問題点があるわけです。一つは政治資金というものを明朗化するということ、国民の目にさらすことが必要である。どういうところから政治資金が入ってきておるかということを国民の前に明らかにすることが第一番に必要である。そういう点で、今回の政治資金規正法政治資金の出どころというものに対してきわめて明確なやっぱり報告を求めておるわけですから、これは非常な進歩である。また政治資金には節度が要るわけです。幾らでも政治資金は多いにこしたことはないということでは、これはやっぱり節度がないわけですから、そこで今回の政治資金にはやはり限度を設けたということ。大変にその限度は、小平君は非常に極端な数社の会社の例をとって言われるんでしょうが、全体として見れば大変に厳しい規制である、これは。私は、そういう点で、国会がこの政治資金規正法を可決されたことに対して、日本国会に対して敬意を表しておるものでございます。そういうことで、私はこの政治資金規正法改正されたことに対して高い評価を与えておるということを申し上げたいのであります。  それから、政治資金の、銀行などの例をとっていろいろお述べになりましたけれども、自民党がいろいろな政策と取引して政治資金を集めるようなことは絶対にない。自民党政治活動には多額な政治資金を要するけれども、その資金というものが、ある政策を実行したりしなかったりすることを約束して資金を集めることは絶対ない。明らかにしておきます。  それから、政府経済政策に対していろいろ御批判がございます。福田副総理からもこれは答弁をいたすことになると思いますが、しかし、経済政策というものは、不況物価という場合に、どちらか二者択一というわけにはいかない。やはり両面政策をとらなきゃならぬが、そのときの状態によってどちらに重点を置くかということは政府が選択をしなければならぬ。三木内閣ができたときの状態というものは、消費者物価、卸売物価ともに非常な急激な上昇を示し、狂乱物価とまで言われた。その状態をそのままにおいておいて、国民生活というものは先はどうなるかわからぬという状態をそのままにおいて健全な国民生活というものは成り立たない。どうしても、やはり物価を安定させなければならぬということで、どちらか、二者択一ではないけれども、重点を物価の安定に置いたというこの政策選択が誤ったとは私は思わない。その間においても、第一次、第二次、第三次と不況対策をやって、景気をある程度維持しようという苦心はしたわけです。しかし、重点が物価の安定にあったことは事実。その結果、物価も鎮静の方向に向かい、政府の公約というものはことごとく果たしてきておるわけですから、そういうことで、まあ物価もだんだん落ちついてきたということはだれの目にも明らかである。そういう点で、個々の点については御批判はあろうと思いますが、大きな政府の基本的な政策が誤ったとは私は思わないのです。これはやはりこのむずかしい不況インフレの谷間、細い線を歩かなければならない、経済政策は。その中で誤りなきを期したいと、責任を感じつつ、経済政策というものをこの内閣はよくやっておると私は考えておるわけでございます。そういう点で、これからはしかし不況というものは大問題である。第一、雇用の問題というものが起こってくるわけです。やはり人間が働く機会を与えられるということは大切でありますから、そういう点で、また、企業が成り立たなければ日本経済というものはやっていけないわけですから、そういう点で、今後は、物価の鎮静したという見通しを踏まえて、相当思い切った景気対策をとった、このことによって景気は順調な——昔のような高度経済成長は再び返らないけれども、順調な回復過程をとり、雇用問題にも、非常に雇用の安定化にも役立つと、こういう確信をもって経済政策を行っておるのだということを御理解願いたいのでございます。  それから雇用問題についていろいろな御懸念がございましたが、われわれも、やはり雇用の確保ということは絶対に必要なことでございますので、経済の順調な回復、そのことが雇用の安定に通ずるわけでありますが、また一方においては、一時帰休とか、失業とか、職業転換等に対する各種の給付金の制度というものを適切に運用して雇用の確保には当たってまいりたいと考えておる次第でございます。  また、今後の景気対策産業中心、大企業本位と断ぜられることには私は承服しない。今度のやっぱり景気対策などについても公共事業の追加をいたすわけでありますが、上下水道とか、公園とか、農業の基盤整備であるとか、道路とか、国民福祉生活環境の整備などに配慮して公共事業費の配分をいたす方針でございますから、この景気対策が大企業本位景気対策であるという批判には承服いたしかねるということを申し上げておきたいのであります。  それから地方財政に対しての御懸念、われわれも、これは地方の公共団体の今日の財政的窮乏ということはよく承知しております。また、今後生活基盤を充実するためには、地方公共団体の役割りというものはさらに私は重要になってくると考えておる。そういう意味で、地方財政対策については、地方財政の運営に支障を生じない適切な処置を講じたいと考えております。  また、中低所得者を中心として所得税減税のお話もございましたが、御承知のように、毎年の自然増収をいままで財源として毎年のように中低所得層中心とした所得税の減税を行ってきたことは小平君御承知のとおりです。その結果、夫婦子供三人の標準世帯で課税の最低限は百八十三万円になったわけです。これは先進工業国の中では相当上回る水準であります。現在の所得税の負担水準や当面の財政事情からして所得税の減税をいま実施できないことは、国民の皆さんの御理解を得られると思うわけでございます。  それから、消費者物価というものの騰貴率、これはやはり預金の金利並みに抑えるのが本当ではないかというお話でありますが、われわれもさように考えて、そういう目標に向かって努力をいたす所存でございます。  税収の不足からくる歳入欠陥、これに対していろいろと責任のお話がございました。われわれも責任を回避するものではないんです。責任を感じつつこの困難な経済政策を行っておるんですが、どうも経済が大きく変動する時期には、税収の見積もりというものは非常に過不足が生じやすいもんです。いままでは、税というものが自然増収という形で、非常なやはり予想よりも大きな税収入があったわけです。今回は大きくやっぱり税収入が減ったわけでございます。これはなかなか不況が深刻であったということでございますから、避けられない面もある。それはアメリカにしても、西独にしても、たとえばアメリカでも今年の第一・四半期は一一%を超える国民総生産のマイナスですからね、一一%を超えるというマイナス。まあ、優等生だと言われた西独でも昨年度の下期のGNPは〇・五%のマイナスですから、GNPがマイナスという事態。これは各国ともこの点については苦心のあるところだと思います。そういう点で、この際、政策転換を行って、不況からの脱出ということに対して相当重点を置いた政策を政府はとろうとしておるわけでございます。そういうためにいろんな——国債発行ということを行って、財政面から景気のてこ入れをすることが必要になってきたわけなんです。そういう点で、この公債の発行もやむを得ない処置だと考えておるわけでございます。しかし、国債発行をいたすについても、特別公債ということになりますが、建設国債と同様な償還計画というものを国会提出したいと考えております。国債の追加発行には、やはり新しいインフレの要因とならないように慎重に行う考えでございます。  それから、年金についていろいろお話がございました。政府は、五十一年度において年金の再計算をすることにしておりますが、いずれも人口が今後急速に老齢化するということなどを考慮すると、長期的には掛金などの負担と給付の水準との関係というものを考えていく必要が起こってきております。やはり年金額を引き上げていくためには負担も高めざるを得ない。やはり給付額は、年金額というものを高めるだけで負担はもう高めないんだということでは、国の財政というものはやっていけないわけですから、それはどうしてもこういう年金制度、社会保障制度の背景の中には社会連帯という考え方がないと、社会保障制度というものは育たない。したがって、年金を今後引き上げていかざるを得ないんでありますから、どうしてもやはりこの負担も高めざるを得ないんだということは、国民の御理解を得たいと思うわけでございます。  難病対策については、これは大変に、そういう病気にかかった人々の立場というものは非常なお気の毒な立場であります。難病対策に私は三つの柱があると思う。一つは調査研究をする。難病でありますから、いままでの医療ではなかなか治療の方法が見つからないということですから、調査研究をするということ。医療費負担という問題があります。また、施設の整備という問題があります。この三つのことを柱として、いま総合的な対策を講じている。この問題は捨ておけない問題でありますから、総合的な対策を早急に立てるべく専門家の意見もこれは聞かなきゃなりませんから、そういうことで難病対策というものを充実していきたいと考えております。  医薬品による被害救済制度などについてもいろいろお話がございましたが、いろんな医薬品というものが、新しい医薬品が出てくる。世界的に見ても新しい分野の問題でありますので、医薬品の副作用や食品事故などもいろいろ最近にも気の毒な事例もございました。まあ、こういう被害者救済制度については、いま一体どういうふうに持っていくかということを学識経験者から成る研究会を設けて研究をしておる最中でございます。  それから産業廃棄物のこの処理法というものについていろいろ御質問ございました。私もこの問題は、六価クロムなどの問題を見るにつけて、産業廃棄物処理法というものは、これはもっとやっぱり厳格にこの法というものを施行するようにせないと、どうもルーズになってはこれが公害発生の原因になるということで、この現行制度のいろいろ問題点というものをいま関係各省の中で検討をいたしておる次第でございまして、できるだけこの問題点の解明を急いで、必要な制度の改善をいたしたいと考えております。  この産業廃棄物共同施設についてもいろいろお話がございました。小平君の御指摘のように、処理するためにはいろいろな共同処理場というようなものも必要だというお話でございましたが、この産業廃棄物は、その排出事業者の責任において処理してもらうということが原則であります。共同処理なども、その円滑な実施を図るためには非常に有効な方法であろうと思うわけでございます。だから、政府としてもいろいろ埋立処分地のあっせん等、適切な指導を講じますとともに、金融とか税制面で所要の措置を講じてきておるわけでございますが、この問題は、これはいま検討を加えておるわけでございますから、今後適切な処置を講じてまいらなければ産業廃棄物の問題は日本の大問題になると、重要な問題であろうと考えておる次第でございます。  それから、六価クロムなどの職業病についていろいろ御指摘がございましたが、この六価クロムなどのような職業病、まずやっぱり工場内における勤労者の健康を保持するということが産業の出発点であることは申すまでもないのであります。やはりこういうふうな職業病というものについては、その工場内部というものの健康管理というものが一番大事である。また、その職業病というものが外部にいろいろな影響を、外部の健康を害するようなことがあってはなりませんので、そういう周辺のいろいろな住民の訴えということなどに対してもこたえていかなければならぬし、こういうことで、職業病は今後とも技術革新が進展するにつれて発生することが心配されますので、発注の原因の究明とか、予防政策、治療補償等、そういう問題をあわせて考えて、この問題に対しては、政府がこれは新たなる大問題として全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。  また最後に、日米軍事同盟体制強化である。まあ、日米首脳会談の共同新聞発表から御指摘だと思うんですが、やはり今度の日米首脳会談というものは、従来韓国だけと、こう考えておったのを、韓国の安全というものは朝鮮半島全体の安定に結びついておるわけですから、だから、今度はもう少し朝鮮半島全体の安定ということに範囲を広げて、そしてそういう見地からやはり朝鮮半島の平和と安全というものを考えていこうと、しかも、日米首脳会談では、そういう有事に備えるということよりかは、この朝鮮半島における緊張を激化さしたり武力の衝突が起こったりするようなことをどうして防ぐかということが話し合の中心の題目であったわけですから、したがって、これを何か、日米首脳会談とか日米共同新聞発表というものが日米の軍事同盟の強化を図ったものだということは私は当たらない。私はお願いをしておきたいことは、日米の首脳が話し合ったら、いつも軍事力の強化の話をするんだと決めてかかる先入観はなくしてもらいたいと思うわけでございます。日米間というものは、それは防衛力、安全保障の問題も重要なんですけれども、もっと広い範囲があるわけでしょう。食糧にしても、エネルギーにしても、貿易にしても、通貨にしても。アメリカと日本とで世界の国民総生産の半分を占めてるんですよ。四六%占めておる。世界全体のGNPの四六%を占めている。日米というものが世界経済に対して負うておる責任というものはきわめて大きいものがある。その日米間が、首脳部が会えばいつも軍事力の強化の話だと断定してかかる先入観は、これはぜひやめてもらいたい。そうでないと、日米関係というものが、将来もっと日米は広範な範囲において協力しなければならないにかかわらず、いつもこう会えば軍事力、軍事力という、何かそういう角度から見ることは、決して日米関係の健全な発展に私は役立つとは思わない。どうか、そういう意味で、話せばいつも軍事力の強化であるという先入観はやめていただきたいと思うわけでございます。  また、そのアメリカの国防長官のいろいろ言をお引きになりまして、そしてそういう米国の政府に抗議すべきではないかというような御発言でございます。シュレジンジャー国防長官発言についてでありますが。シュレジンジャー国防長官も、ああいうようなことの事態は起こらないんだと、そういう核を使用するというような事態は起こらないんだという発言を最近はいたしておるわけで、ずっと後退した発言で、これは私はシュレジンジャー国防長官の真意だと思っています。真意だと思っている。それは、いま核兵器を使うということを言うことが簡単なことではないことは明らかでございますから、そういう点でそういう必要はないだろうということが真意だと思っておりますので、アメリカに抗議などという考え方は持っておりません。  それから、シュレジンジャーと坂田防衛長官との話なども、それは両国のやはり防衛に対する責任者がときどき話しておくということは必要であります。できないこと、できることがあるわけですから、お互いに何か誤解を生じないことをするということが必要なんであって、憲法を超えていろいろこう話し合ったというような、そういうふうな事実は全くないと、憲法の枠内において日米の協力、日米のお互いに一つの誤解のないような話し合いをしたということで、いろいろと御疑念を持つような話し合いではないということを申し上げておく次第でございます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  5. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私に対する御質問は、第四次景気対策の結果、デフレギャップなどにどういう影響があるか。今回の対策の結果につきましては、総合的に言いますと、下半期におきまして年率六%の成長実現が期待できると、こういうことでございます。六%年率成長でございまするから、雇用の面におきましてもあるいは生産の面におきましても顕著な改善を示すわけです。私が重要視しておりますのは、その中で企業の操業度という問題なんです。  いま、まあ三月以降ずっと生産がふえておる、そういう状態の中で経済界に苦悩の色が非常に濃い。こういう原因は一体どこにあるかというと、これは企業の操業度、これが非常に低いんです。それだけに一昨年のあの石油危機、これが深刻であったということでありますが、今日、つまりことしの七月におきまする企業稼働率、これが三月の底、七七%でございましたが、改善されまして八三まで来ておるんです。また、生産もそれをそういうふうに可能にするようにふえておるんです。それにもかかわらず八三%だというところに問題がある。まだ一七%稼働率指数は不足である。その稼働率指数は一体どうなるかと、こういうことを問題にしておるわけでありまするが、これは大体私の見通しによりますると、九〇%台前後程度を実現し得ると、こういうふうに考えております。  それから第二に、私がかねて言っておる、これからの経済の方向というものはどういうふうにあるべきかということにつきまして、静かで控え目な成長と、こういうことを提唱しておりますが、それは一体どういうことであるかということであります。これは、まあ世界の情勢が非常に変わってきておる。これは御承知のとおりであります。そういう中において、成長本位といいますか、進め進めといいますか、そういう体制の高度成長政策ではもういけない。まあ資源有限時代といいますか、世界に資源は限りあるものであるという意識がみなぎってきておる。そういう資源的な制約もあります。それからわが国の経済は世界の中において非常に重大な位置を占める、その国際社会との協調という問題がある。それから国内におきましては、申し上げるまでもございませんけれども、公害の問題、また土地立地条件というような工業制約の問題。それから、さらに考えておかなければならぬことは、経済はこれまで非常に工業力を中心にして発展してきましたが、経済の発展ということは経済の発展自身にその目的があるわけじゃないんです。経済は手段である。それによってわれわれは平和な社会を実現するということにあるわけです。これからの経済運営におきましては、われわれのこの生活周辺を整える、これに重点を置かなければならぬと、そういうようないろいろな意味を包蔵いたしまして、静かな控え目な成長、高度成長政策に相対するものであります。  なおまた、私が、高度成長政策につきましては、これに相対する考え方とすれば安定成長というふうにも言われる。それを「静かで控え目」というような言葉で表現したゆえんのものは、私は、いままでの日本経済政策の中に流れる一つのもの、それは物中心というような背景があったと思うんです。金さえあれば、物さえあれば、自分さえよければというような高度成長政策とうらはらの社会的背景というものがあったと思うのです。われわれはこれを清算しなければならぬと思うのです。やはりこれは人間は社会とともにある、社会連帯ということを強調しなければならぬ。それはやはり静かな控え目な成長政策、それと一体のものである。こういうふうに考えました。外国の評論家が、物で栄えて心で滅びる日本国と言うような、そういうことでない日本建設をいたしてみたい、こういうような考え方でございます。  それから、消費者物価上昇率を預金金利並みに抑えていくことは可能かというお話でございますが、私は可能か不可能かの前にこれはしなければならぬという問題があると思うのです。物価の上昇が預金の金利を超えるという状態、これは正常な状態じゃございません。これはインフレの状態である。これは何としても克服しなければならぬ、そう考えております。その後で、それじゃそれが可能かという問題になってくるわけなのです。私は、いま物の需給の動向、国民経済が均衡を得ている。むしろ供給過多の状態であるという状態、また、これが多少長引きます。それから賃金交渉、この春のあの結果、こういうものをながめてみる。それから、さらに国際物価の動向というものが大局的には落ちつきを示しておる。なおさらに、この金利が下降動向にある。そういうことをながめてみますと、私は物価の前途というものはそう悲観はしておりません。来年一けたの目標、これは万難を排して実現をいたしまするけれども、来年三月、来年度におきましては、なるべく早い時期に消費者物価上昇の傾向というものは預金金利水準までなることを私は目標として経済運営を進めていきたい、こういうふうに考えておるのであります。  それから、なおその先におきましては、どうしたってこれは預金金利、その水準を超えるこういう物価上昇、そういうことは絶対ないようにしなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、いま非常に困難な問題が一つあるのです。それは公共料金の改定という問題です。公共料金は、まあ皆さんからいろいろ御議論を承っておりますが、石油の値段が四倍になった。世界の水準がずっと上がっちゃったんです。わが国の物価水準というものを、個々のものにつきましてそれにならさなければならぬ。民間物資につきましては多くのものがならった。まだ不足しておりますものがあります。しかし政府は、公共料金なるがゆえにそれを抑えていく。そうして、いわゆる新価格への移行というものを物価対策のゆえにおくらしてきている。皆さんが値上げ値上げと言いまするけれども、たばこにいたしましても、郵便料金にいたしましても、あれは値上げというのは適当じゃありません。これは新価格体系への移行なのです。その新価格体系への移行を必要とするものが政府公共料金において幾つかこれはある。そういうものが一回りをするということになりますれば、これは私は日本消費者物価対策というものの運営は非常に楽になる。これも私は、将来におきまして物価上昇水準というものを、これは預金金利水準以下に下げ得るものであるし、また下げなければならぬ、こういうふうに主張しているゆえんでございます。(拍手
  6. 河野謙三

    ○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小平君の御質問は、非常に多岐にわたって、三点ばかり、質問があって答弁をいたさなかった点がありますので、補足をいたします。「防衛考える会」がいろいろと報告書を出しているが、どう思うかということでございましたが、「防衛考える会」は、坂田防衛長官国民的コンセンサスを得たいという意図のもとに、学識経験者によって「防衛考える会」というものを設置されたわけで、それの討議内容というものが報告書として出たわけで、何かこう、提案という形ではないわけでございますが、その中には貴重な意見もございますので、いま防衛庁の中で十分検討をいたしておる段階でございます。  それから経済協力についてのお話でございましたが、ことにアラブ諸国経済協力を問題にされたわけでありますが、政府が約束したものは必ず実行されなければならぬ。約束したものが実行されないということでは信頼関係は生まれない。そういう意味で、政府政府特使などを派遣したわけで、私も行った一員でございますが、各種の案件については着々と実現をいたしておるわけでございますが、まだ協議中のものもございます。たとえばエジプトの商品援助とか、ジョルダンの電話プロジェクトとか、アルジェリアのテレコミ・プロジェクトであるとか、イラクの経済技術協力協定及び円借款であるとか、サウジアラビアとの経済技術協力協定などについてはすでに締結済みであります。いま協議中のものも、できるだけ早くこれは妥結をさしたいと考えております。まあ、今後とも、こういう中東諸国あるいは発展途上国というものは、いずれも新しい国づくりのために経済技術協力というものが必要なわけでございますから、今後とも、政府はそういう国々の国づくりにできるだけの協力をいたしてまいりたいと考えておりますが、それは一つの有効なやはり日本経済技術協力でなければならぬわけでありますから、全般のあり方については、これは検討いたしておる次第でございます。  また、石油問題について御指摘でございましたが、私は、いまOPECで石油の値上げ問題が討議をされておるのですが、もし原油の価格が相当大幅に引き上げられるということならば、これは大変なことになると思うのですね、日本は。ようやく物価が鎮静して景気が上向きかけておるところへ、ここへまた原油の価格というものが再値上げということになれば、これはもう日本経済に対して非常な打撃を与える。また、日本経済ばかりでなしに、油を持たない国々の受ける打撃などというものは大変な打撃である。こういうことで、まあ幸いに産油国と消費国との会議なども十月には開かれるというような情勢にもあるわけですから、そういう会議もあるわけだし、しばらく値上げというものの決定を白紙として延期してもらいたいという訴えは、私はやはり一つの説得力を持っておると思うものでございます。そういうことで、中東の在外公館あるいはまた国連の場においていろんな特別総会にも、木村政府代表にも私は依頼して関係諸国にもいろいろと働きかけてもらったのでありますが、こういうあらゆる外交機関を通じて、この主張、私の願いが誤解されないように、その真意が伝わるよう努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)     —————————————
  8. 河野謙三

    ○議長(河野謙三君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手
  9. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、三木総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を行います。  現在、国民生活は、敗戦直後の混乱期を除くいかなる時期にもなかった深刻な危機に直面しています。政府の宣伝にもかかわらず、じりじりと上がり続ける物価、実質賃金の低下、記録的な倒産失業就職難、六価クロムの公害まで重なって多くの国民は苦しんでいます。しかも、こうした深刻なインフレ不況の陰では、アメリカの新たなる核戦略に国土国民を挙げて巻き込む危険な外交路線が推し進められているのであります。このままでいったら日本はどうなるのか。これがいま国民のたれしもが抱いている不安ではないでしょうか。ところが、三木内閣は何らこれにこたえようとしていません。危機の根源をえぐり出しその対策を明らかにすることこそ国政に携わる者の任務ではありませんか。こうした見地から以下私は質問を行います。  第一に、私は、いまわが国の安全にとって重大な事態となっている三木内閣外交、軍事路線についてただしたいと思います。  総理は、昨日の衆議院本会議でわが党金子議員の質問に対し「日本がベトナム戦争に加担、協力したという表現はとらない」と答え、あたかも日本がベトナム侵略に何の協力もしなかったかのような態度を表明されました。しかし、歴史の経過を変えることはできません。アメリカのベトナム侵略戦争が二十世紀後半における最大の国際的犯罪であったことは世界周知の事実であります。また、このベトナム戦争に歴代自民党政府が協力してきた事実も国際的に指摘されているところであります。  総理、基地使用の容認を初め、日本からの物資の補給、武器、弾薬、兵員の輸送など、ベトナム戦争への日本の協力をあなたはよもやお忘れになったのではありますまい。佐藤内閣当時の椎名外務大臣は、日本はベトナム戦争に中立ではないと言明していたではありませんか。私は、このような歴史的事実であるベトナム侵略への協力について現在三木総理がどのように考えていられるのか、このような協力がいまでも正しかったと思っていられるのかどうか、ベトナム問題でとったわが国の態度について総理がどのような反省をし、教訓を引き出しているかは、今回の日米会談の焦点となった朝鮮問題とも密接に関係し、今後の日本の進路にもかかわる重大な問題でありますから、明確に御答弁いただきたいと思います、(拍手)  次に、先般行われた日米首脳会談はフォード大統領、シュレジンジャー国防長官らの核先制使用発言に代表されるアメリカの干渉と侵略の力の政策に日本を一層深く加担させるもので、きわめて重大な謀議の場となりました。ところが三木総理は、昨日の衆議院本会議でのわが党議員質問に対し、首脳会談で安保条約強化の話はしなかった、共産党が軍事同盟強化であると言うのは先入観に基づく独断であり、先入観をなくせと答え、わが党が何の根拠もなしに政府攻撃をしているかのように述べました。しかし、事実はどうでしょうか。日米会談後発表された共同発表で、日米安保条約はアジアにおける国際政治の基本的構造の不可欠の要素と規定し、新韓国条項によって米韓条約とともに日米安保条約の重要性を確認したこと、さらに日米会談の合意により坂田シュレジンジャー会談が行われ、日米新軍事協議機関が公式に設置され、在日米軍基地の安定的使用が合意されていることなどを見るならば、日米会談が日米軍事同盟の強化、さらに新韓国条項によって安保条約を新たな段階に推し進めたものであることは明らかであります。この事実から見ても、三木総理の衆議院での答弁は明らかに事実に反したものであります。三木総理答弁と現実に進行していることの相違を明らかにするため、国会に両会談のすべての内容を公表すべきだと思いますが、それをされる気がありますかどうか、はっきりお答え願いたいと思います。  さらにお聞きしたいのは、政府の憲法解釈についてであります。  昨日も衆議院でわが党議員がただしましたように、さき日本に参りまして坂田防衛長官と会談したシュレジンジャー米国防長官は、日米共同作戦体制の本格的具体化を決めた会談の後、東京の米大使公邸での外人記者団との会見で、韓国の安全に対する日本政府の貢献について言及し、「日本の直接的軍事参加は、日本の憲法が許容すると現在解釈されている範囲を超えて進むだろう」と述べています。ところが総理は、この記事は間違いであるとして、そのような事実はなかったと否定されました。しかし総理、このシュレジンジャー長官発言を掲載した文書は、米大使館が米政府高官の記者会見等で述べた公式見解をそのまま記録して対外的に知らせるための大使館の責任ある公式な広報文書であります。単なる推測記事や解説記事のような記者の主観の入ったものではありません。これはきわめて重大なことであります。三木総理の昨日の答弁は、この文書を読まれた上で果たして答弁されたのでありますか、それとも読んでいないで答弁されたのでありますか。もし読んでいなくて答弁したのであれば、三木総理態度はその場だけを口先で言い逃がれしようとするきわめて無責任態度と言わざるを得ません。この点についてはっきり答弁されたい。  次に、私は今日の経済危機の打開策について政府所信を伺います。  わが国の経済はいま、克服の見通しもつかない不況インフレの同時進行、国と地方財政の破産状態、六価クロムなどの公害の蔓延、食糧やエネルギーの自給率の異常な低下など、いまだかつてない深刻な危機に襲われています。大企業はまだ莫大な内部留保を抱え、自民党に数十億円、数百億円もの政治献金をするほどに肥え太っている。そういう反面で国民は、物価高に加えて倒産、首切り、失業、収入の減少など、生きる権利と将来に対する希望を奪われているのであります。総理はこの苦しみの原因がどこにあると考えておられるのですか。それは数多くの事実が示すように、国民を犠牲にして大企業本位の高度成長政策を対米従属のもとで進めてきた歴代自民党政府政治にあることはいまやきわめて明らかであります。総理は、わが国の経済危機が、インフレにせよ、生産の低下にせよ、また公害や住宅難、社会保障の立ちおくれにせよ、食糧、エネルギーの自給率の低下にせよ、諸外国に類例のない異常な激しさであることを国民に隠して、インフレ不況も世界共通だなどと述べ、経済政策誤りはなかったと表明しております。無責任もはなはだしいと言わねばなりません。責任回避をやめて政策の誤りを認めるべきではないですか。総理の明確な答弁を求めます。  いま国民が心から求めていることは、大企業本位、アメリカ依存の経済政策国民生活優先の自主的な経済政策に根本的に転換し、この経済民主主義の立場から当面の緊急対策を講ずることであります。また、これこそ社会的不公正是正を約束し、高度成長政策の見直しを唱えてきた総理の当然なすべきことであります。総理にこの政策転換を断行する意思があるかどうか、伺いたいと思うのであります。  ところで、現在政府が行おうとしている景気刺激政策なるものは、本州四国架橋や国鉄新幹線など、相変わらず大企業を潤す公共事業を第一としております。このための財源として酒、たばこ、郵便料金の大幅値上げ、二兆円に及ぶ赤字公債の発行などを強行しようとしております。これはインフレを一層激しくするものであり、大企業金利負担を軽くするために国民預貯金金利まで下げようとしていることと相まって、国民の犠牲をますます大きくするものであります。総理は、このような政策ではなく、次のような国民生活優先の景気対策をとるべきであります。  第一に、物価を安定させる緊急措置であります。政府は、物価は鎮静に向かっているから今度は不況対策が重要だとして、インフレに歯どめのない不況対策を打ち出しています。しかし、この不況下に物価が一〇%も値上がりを続けていることの重大さを軽視することはできません。この異常な物価高と、このために引き起こされた労働者の実質賃金の低下、国民生活難こそ、国民消費を圧迫して不況の克服を困難にしている要因であることは衆目の認めるところであります。物価の安定、引き下げこそ最良の不況対策ではありませんか。酒、たばこ、郵便料金の値上げが、すでに鉄、石油その他基礎資材にあらわれている大企業製品の値上げの動きとも結びついて物価値上がりの新たな口火となり、国民生活を圧迫して不況の克服を困難にすることは火を見るよりも明らかだと言わねばなりません。政府値上げ法案提出をやめるとともに、大企業製品の値上げを抑えるために、少なくとも独禁法改正案をこそ上程すべきであり、値上げ企業に対しては、原価その他詳しい値上げ理由を公表するなど、適当な措置を講ずべきであります。  また、インフレを高進させ、国民の税負担を激しくする赤字公債の発行はやめるべきであります。総理並びに大蔵大臣答弁を求めます。  第二に、公共投資を国民本位の方向に切りかえることであります。  政府は大企業本位の公共投資を重点としながら、これで景気は回復するとして国民に一、二年のしんぼうを要求しています。しかしこれは、大企業経済成長福祉の条件をつくると国民を欺いてきた高度成長時代の論理と同じことではありませんか。わが国の生活基盤投資の立ちおくれと国民の苦しみは深刻です。政府は産業基盤投資と生活基盤投資の比率を逆転させよという衆議院での金子議員の質問に対し、バランスのとれた配分云々と答弁して、相変わらず産業基盤重視を変えようとしていないが、補正予算では住宅や下水道、保育所、小中学校の普通教室、高校、公園など、生活基盤整備の公共投資にはっきり重点を移した景気対策を講ずるべきであります。  第三に、今日、大企業の下請発注の打ち切り、中小企業分野への進出、競合商品の輸入などが不況と重なって中小企業の生存の基盤を掘り崩し、構造的な深刻な危機に陥れています。ところが総理は、さき演説でもこの業者の窮状に一言半句も触れていないというありさまであります。政府はわが党の要求にこたえて、官公需の中小企業への発注をふやすことを約束しております。それならば分割発注、共同受注、代金前払い、金融措置などの援助を具体的に講じて、発注率を緊急に五割以上に引き上げるべきであります。また、親企業の不当な発注削減に対する損害賠償、下請代金支払遅延等防止法の厳正な履行、休業を余儀なくされている業者に対する無担保、無利子の特別融資、中小企業分野への大企業の進出を規制する法的措置、伝統的工芸品などと競合する商品の輸入制限などを緊急に講ずべきであります。  第四に、深刻な地方財政危機を打開するために、地方交付税の減収を臨時特別交付税で補てんし、一兆円に上る地方税減収対策として全額政府資金による減収補てん債を認め、利子補給を行うなど、誠意ある援助措置をとるべきであります。また、失業者生活保障措置福祉の低下を防ぐ措置を緊急にとるべきであります。  第五に、五十万ヘクタールの農地造成と農業基盤整備を進める方向で土地改良、農地開発、漁港整備などの基盤整備を進め、また、石炭産業復興の第一歩として、法案未成立の石油備蓄費を鉱量調査、鉱山開発、保安対策などに振り向けるなど、食糧とエネルギーの自給を目指す対策に踏み出すべきであります。  ところで、政府はいま、歳入欠陥、財源難を口実に国民に耐乏を強要するだけでなく、むしろ公共料金大幅引き上げなど国民負担を一層重くしようとしております。ここには歴代自民党政府の大企業優遇の税、財政、金融の仕組みをあくまでもこのまま維持して、国民の犠牲によって経済危機を乗り切ろうとする三木内閣の方針が最も露骨にあらわれているではありませんか。総理はかつて、今日の税制、財政、金融のすべてを根本的に洗い直すと公言したはずであります。それならば、今日の財政危機打開のために、第一に、防衛関係費の未契約分、電算機振興対策費やYX開発費など大企業への補助金の未執行分、本四架橋や国鉄新幹線などの建設費など不急不要の経費は思い切って削るべきであり、第二に、大企業への法人税還付をやめ、貸し倒れ引当金の繰入率を現行の二分の一以下に引き下げ、大企業の積み立てた非課税の内部留保に対する臨時の課税措置を講ずるなど、税制民主化の措置を実行すべきであります。このようにするならば、赤字公債の発行公共料金引き上げも行わずに当面の財源問題の解決は可能であります。(拍手)この点について政府はかたくなな態度をとり続けていますが、この困難な時期にこそ誠実にこれを検討しこれを実行すべきだと思いますが、総理並びに大蔵大臣答弁を求めます。  最後に、三木内閣政治姿勢、特に金権政治に対する態度の問題について伺います。  前総理田中角榮氏にまつわる金脈政治の問題は、わが国のみならず、国際的にもニクソン前大統領のウォーターゲート事件と並び、まれに見る衝撃的な事件として世論の注目を浴び、その成り行きに重大な関心が寄せられたのであります。この事件の性質がいかに重大であったかは、田中氏自身が首相を辞任した事実を見ても明らかであります。この事件を徹底して糾明せよという声は国民多数の声でありました。ところが、現在この金脈問題は、多くの国民の願いに反して何一つ解明されず、最後に残った信濃川河川敷買い占め事件の行政管理庁の監査も、関係書類の紛失を口実にして打ち切られました。しかも、田中氏自身が国民に公約した釈明も、また総理が言明した、田中氏の出席を求めて国会の場で真相究明を行うべきだとしてきたことも、すべて放置されており、あたかもほとぼりがさめるのを待つかのごとき状態であります。総理は、いずれ田中氏個人が明らかにするだろうと無責任答弁を繰り返してきましたが、現在もなおその態度を続けるつもりかどうか、それとも疑惑解明のため何らかの措置をとられる考えがあるかどうか明確にされたい。  三木内閣のこうした金脈問題に対する消極的姿勢は、最近の財界、大企業からの自民党への政治献金再開と決して無関係ではありません。政府さき国会政治資金規正法改悪案を可否同数を押し切って成立させて以来、自民党に対する財界、大企業からの政治献金は、せきを切ったように続々と再開されています。これはまさにわが党が指摘してきたように、この改悪案が企業献金奨励法であったことを何よりも証明しているではありませんか。しかも、ここで見逃すことのできないのは、かつて政治献金は個人献金に限るべきだと言明された当の三木総理、あなたが、今度はみずから進んで財界に対して自民党への政治献金を要請したということです。そればかりか、最近の銀行協会からの二億四千万円の献金再開が、銀行に莫大な利益を保証する預貯金金利引き下げの実施と引きかえに行われた事実は、いまや公然の秘密であります。また、財界からの強い要請にこたえた政府景気浮揚策も、鉄鋼業界を初めとする大企業献金再開と機を一にしているではありませんか。  総理、あなたは昨日衆議院でわが党議員が、「当面最小限の措置として、政府が料金、価格の許認可権を持っている企業からの政治献金は断るべきだ」と要求したのに対して、「すべての企業、産業から献金を受ける」と公言されました。このような三木内閣態度にこそ、大企業本位国民無視の政策を強行し続ける根源があるのであります。まさに三木内閣成立以来の九カ月は、総理みずからが掲げてきた公約を次々と踏みにじり国民の願いを裏切り続けてきた歩みであります。  以上私は、三木内閣が進めている対米追随大企業奉仕の政治全般を追及してきましたが、このような三木政治は必ずや国民の厳しい審判を受けるであろうことを最後に指摘して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 岩間君の御質問にお答えをいたします。  ベトナム戦争に日本が積極的に加担、協力したという御質問が、昨日の衆議院の本会議において金子君からそういう発言があったので、「加担、協力」というようなそういう表現にはわれわれは賛成しないということを申し上げたので、日米関係からしてモラル・サポートはあったにしても、加担、協力というようなそういう関連を日本はベトナム戦争に持ったものではございません。また、ベトナムの紛争というものが与えた一つの歴史的な大きな教訓というものは今後受けとめていかなきゃならぬ。それは何かと言ったならば、やはり民族の意思というものを大切にせなければならぬ。その重さ、重要さというものは、今後しっかりと頭に入れておかなければならぬ。もう一つは、その民族が自主的に、自助的にやるという、こういう意思がやはりなければだめだということである。こういうことは大きな歴史的教訓だと思っておる次第でございます。  また、日米首脳会談などはアメリカの力の政策、安保条約の強化というふうに評価をされましたが、全くこれは、その考え方は、その解釈は当たらないということでございます。アメリカはアジアの軍事介入というものを、急激ではないにしても徐々に軽減していこうというのがアメリカの方向である。そして政治経済面で協力していこうというのがアメリカの方向でありますし、また朝鮮半島についても、日米首脳会談の主たる関心は、どうして朝鮮半島における武力衝突が起こるような事態を防ぐかということが関心の中心であって、だから、今回の共同新聞発表などにも、単に韓国の安定だけでなく朝鮮半島の全体の安定が必要であると、北の存在というものに意を配った広範な柔軟な考え方を新聞の共同発表にも示しておるわけでございまして、この日米首脳会談をとらえて、アメリカの力の政策、安保強化というふうには——全然その解釈は間違っているということを申し上げておきたいのでございます。  それから、防衛長官に対してのいろいろ質問の要求がございますから、この防衛問題については防衛長官からお答えをいたします。  次に、戦後のこのような最大の不況を招いた経済危機に対しての責任ということを、これをいろいろ追及されましたけれども、ここでしばしば申し上げておりますように、三木内閣が発足いたしましたときは狂乱物価の後で、もうこの状態でいけば日本国民生活は非常に先行き不安で見通しも何も立たないというときであったわけでありまして、やはり物価を安定さすということを経済政策の重点に置いた。しかし、やっぱり景気は維持せなければなりませんから、第一次、第二次、第三次と、景気に対しても配慮をしてきたわけでございますが、まだその当時は物価というものの鎮静というものがそう安心のできるような状態でもなかったわけでございましたから、物価に重点を置きながら景気対策をやってきた。今回は物価も鎮静したという色が濃くなってまいりましたので、思い切った景気対策をとったということで、こういう一つの経済政策、非常にむずかしい時期の経済政策のかじ取りとしては、大局的に言って、個々にいろいろな御批判はあろうと思いますが、大局的に言って誤ってはいないと信じておる次第でございます。  また、不況対策は大企業本位と言われますけれども、政府は大企業本位不況対策をやる考えはございません。大企業の立場も当然に考えますけれども、住宅対策とか中小企業対策は大きな柱にしておるわけでございます。したがって、そういう大企業本位不況対策というものと断定することは当を得ないと思うわけでございます。  物価の安定というものが最良の不況対策であるという岩間氏の御意見に対しては、われわれも物価の安定が国民生活の基礎であるということについては、これは同感であります。そういうことで、景気の振興というものに対して力を入れておりますが、絶えず物価の動向というものに対しては細心の注意をいたしていく次第でございます。  また、財政問題については大蔵大臣からお答えをして、また通産大臣にも中小企業対策などについて御答弁を願いたいと思います。  それから地方財政の問題については、われわれも地方財政の非常に困難な状態もよく承知しておりますので、地方財政というものに対しては十分な配慮をして、地方財政の運用に支障なきを期してまいりたいと思っておる次第でございます。  また、失業対策などについても十分な注意を払ってまいって、そうして雇用の確保はもちろん、失業の防止、失業者生活安定、再就職の促進等十分な配慮をいたしてまいる所存でございます。  最後に、信濃川の河川敷の問題についていろいろお話がございました。この問題は、建設省の文書管理の問題についていま建設省で調査中のようでありますが、それはそれとして、信濃川河川敷の問題というのは、これほど国会でも問題になり、国民の疑惑を残さないような適切な処置をいたすことにする次第でございます。  田中氏の問題は、国会でもしばしば御批判になり、また政府としても法規上の見地から究明すべきものは究明をしたわけでございまして、田中氏自身も、みずから国民の前に疑惑を解きたいと、こう約束をされておるわけでございますから、そういうことでこの問題が国民の疑惑が解消されることを望んでおる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣坂田道太君登壇拍手
  11. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 総理から私に答弁しろということでございますから、岩間君にお答えをいたしたいと思います。  八月二十九日に駐日米大使公邸におきますシュレジンジャーの記者会見、これ、岩間さん、少し誤解があるんじゃないかと思います。と申しますのは、こういう質問があったのであります。韓国の朴大統領は、米国は韓国と条約を結んでおり、また米国は日本と条約を結んでおる。すなわち、米国は日韓両国と安全保障条約を結んでいるのだから、仮に日本と韓国が安全保障の分野で特別の関係を持つならば結構なことであろうと思う旨語りました。これについてどう考えるかと、それは可能だと考えるかというそれに対しましてシュレジンジャーは、それはつまり、日本国憲法は、現行解釈の拡大解釈を必要とするのではなかろうかと考えられる。すなわち、それは日本国民が実際憲法に基づいて制約されておる自衛隊観を拡大することになるのではないかと考えられる。私としては、日本国民が、日本の専守防衛のため以外の防衛能力や海外で介入するに十分な軍事力を保有していると受け取られるような    〔議長退席、副議長着席〕 防衛能力を開発しないことが大事だと考える、こういうふうに言っております。  それから、きのうも共産党の方がおっしゃったわけでございますが、先に——後のところで、予見し得る情勢のもとでは、日本の直接的軍事介入は、日本国民一般が期待しているところ、また日本国憲法の現行解釈上認められているところを大幅に逸脱するところになるだろうと、こういうふうに言っておるわけでございまして、それから、その後で日本記者クラブで発表したときにも、われわれは日本の憲法上の制約を理解しており、またそのような制約を心から支持するものであるというふうに、ちゃんとよくわかっておると思うのでございます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  12. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 物価政策に関連して値上げ三法を撤回する意思がないかということでございますが、そういう意思はありません。これは、きのうも総理から申し上げましたとおり、予算歳入の柱にすでになっておることでございますし、すでに十分御審議をいただいておるわけでございます。さらに、財政がいよいよ困難な局面を迎えておるやさきでございますので、私からお願いでございますが、特別の御理解をもちまして成立に御協力を願いたいと思います。  赤字公債の発行を取りやめるつもりはないかということでございますが、もとより、赤字公債の発行を潔しとするものではございませんが、中央、地方を通じての非常な財政の困窮期でございまして、ここ当面、相当巨額の赤字公債の発行に依存せざるを得ない状況を迎えておるわけでございます。したがって、今日これを取りやめることはできないわけでございますけれども、この発行に当たりましては十分注意をいたしまして、岩間さんの御心配される新たなインフレの種をまくことのないように極力配慮してまいるつもりであります。  第四次不況政策に関連いたしまして、公共投資が産業基盤の整備に偏り過ぎておるではないかという御批判でございます。私どもそういうつもりはないわけでございまして、住宅や上下水道を中心といたしました生活基盤、農業基盤整備、国土の整備、水源政策等にも適正な配分をいたしておることに御留意を願いたいと思います。  それから歳入欠陥政策といたしまして、現行税制を徹底的に洗い直して、その財源を確保すべきでないかということでございます。方向といたしまして、私どもも現行税制の中で極力税源を確保すべく努力をいたしておるところでございまして、ことしも御案内のように、租税特別措置におきまして、利子・配当所得の税率の引き上げでございますとか、法人の土地譲渡益の重課でございますとか、そういうことをお願いいたしたことは御承知のとおりでございます。今後もこの特別措置というものが慢性化することのないように、既得権化することのないように、十分戒めてかかるつもりでございます。  また、岩間さんが仰せになりました貸し倒れ引当金、その他各種準備金について思い切って圧縮すべきでないかという、それを通じて税源を確保すべきでないかという御意見でございます。こういった貸し倒れ引当金、その他準備金につきましては、会計原則上も認められ、企業の健全な維持を図る上におきましても、税源を将来において涵養する上から申しましても認められておるものでございまして、私どもも極力圧縮には努めるわけでございますけれども、そういう意味合いでおのずから限界がございますことは御理解をいただきたいと思うのでございます。総理からもお話がありましたように、私ども、税制の運用、改正に当たりまして大企業に偏重しておるなどということは毛頭考えておりません。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  13. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) エネルギーの海外の依存が非常に大きいと、こういう御指摘がございました。そのとおりでございまして、そのために、まずこの輸入ソースを多角化すると、こういうことを心がけております。  それから第二に、御指摘のございました石油備蓄につきましては、欧米の主要国並みの九十日分を備蓄すると、こういう方向で、五カ年計画で進めていきたいと考えております。  また、石炭につきましては、去る七月に審議会から答申を受けましたので、今後は石炭を重視する新しい政策と取り組んでいきたいと考えております。  それから、中小企業についてのいろいろ御発言がございましたが、まず、この下請問題につきましては、現在の不況状況にかんがみ、かつまた、法律もあることでございますから、下請問題につきましては十分なる配慮を払っていくつもりでございます。  次に、事業分野の問題につきましては、事業分野を法律で決めるということになりますと、これは技術革新あるいはまた消費者の利益、こういう面で問題を生ずると思います。そこで、まあ法定をするよりも、行政指導であるとか、あるいはまた、現行法の運用によりまして十分対処できるものと考えております。  それから、官公需の問題につきましては、中小企業の仕事を確保するために官公需をふやすという方針をずっととっておりますが、昨年は約三〇%でございまして、ことしは三三%を目標にいたしております。仕事の性質上、一挙に五〇%にするということは無理でございますが、今後ともその方向で努力をしてまいりたいと思います。  さらにまた、小規模企業に対して無担保、無保証、無利子の貸し付けと、こういうお話がございましたが、無担保、無保証の貸し付けは拡大をいたしております。無利子は現在の状態では無理だと思います。  それから最後に伝統的工芸品の保護育成のために外国からの輸入について十分配慮するようにと、こういうお話がございましたが、これは韓国からの輸入問題だと思いますが、これにつきましては、現在話をいたしまして、今後韓国側も秩序のある輸出をすると、こういう約束をいたしております。(拍手
  14. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 岩間君の御質問の、シュレジンジャー国防長官のいろんな発言についてそれを承知して答えたのかという御質問でございましたが、むろん承知して答えた。そうして、いま坂田防衛長官から申し上げたことが私と同じ意見でございます。     —————————————
  16. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 中村利次君。    〔中村利次君登壇拍手
  17. 中村利次

    ○中村利次君 私は民社党を代表して、さきに行われました政府所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣質問します。  三木総理は、わが国経済の現状を、いまだかつて経験したことのない難局にあると述べ、インフレ不況の同時解決こそが最大の政治課題だとされています。その認識につきましては、国民もまた私も一致しています。しかし、なぜこのように深刻な不況を招くに至ったのか、その原因を追求することになりますと、総理国民や私の認識には大きな隔たりが出てまいります。  総理は、石油危機を契機に世界的なインフレとなり、それを克服する過程で不況が広がってインフレ不況の併存という異常状態が起きたので物価鎮静のための総需要抑制策をとり、その結果物価は落ちつき、景気浮揚のための思い切った施策を実行し得る条件が整ったとされています。すなわち、政府の施策は成功したという認識に立っておられるのであります。  私も、物価鎮静傾向にある事実は、その原因が那辺にあるかは別としてこれを認めます。また、総需要抑制政策のすべてが間違いであったと言うのでもありませんが、少なくとも、政府の施策がすべて成功で失敗がなかったとはお世辞にも考えることができないわけであります。民社党は、昨年来景気の冷え過ぎのおそれを指摘し、政府に対し政策の慎重な見直しを求めてきましたし、また、さき通常国会における社公民三党による予算の組み替え案もこの対策政府に求める意味を持っているものでございました。  総理は、衆参両院答弁で、何でも反対反対のための反対では困難な時局は乗り切れないと強調しておられます。私もその意見に同調した上で総理にお返しを申し上げたい。何でも固執、固執のための固執もまた困難な時局を乗り切るゆえんではありません。政府が選んだ道は政策の慎重な見直しではなく、みずからの政策に固執することでした。そして、その道を選ぶことによって物価も鎮静し、同時に不況も克服できると見込まれたのではないですか。それは年初における政府景気見通しにあらわれています。すなわち、一月−三月が底で四月−六月から回復に向かい、秋からは上昇に転じ、五十年度の実質成長率は四・三%というのが政府景気見通しでありました。上昇に転ずるはずの九月現在、思い切った対策を必要とするほどの深刻な不況風が吹いています。誤りはなかった、正しかったと強弁される総理のお言葉が国民政治不信を伴っていかにもそらぞらしく、白々しく響くわけであります。そこで、総理の虚心に返った正直な御見解をまずお伺いをしたい。加えて、今日以降に対する御決意を含めてお伺いをしたいと存じます。  次に、四兆に近いという驚くべき税収不足、これはきのうの大蔵大臣のこの壇上での御答弁では三兆六千億を上回るかもしれないという御答弁であります。きょうの新聞報道によりますと三兆九千億という、三千億という巨額な金は、大平大蔵大臣がほんとに固執をされます酒、たばこの値上げの額にも匹敵すべき巨額なんです。こういう税収不足によって巨額の赤字国債発行しようとし、また不況対策を看板にする今国会で、経済財政、金融に対する担当大臣所信表明が行われないのはなぜでしょうか。ベトナム後の情勢その他の外交問題につきましては、野党の要求に応じて外務大臣演説が行われましたが、野党の強い要望のあった副総理大蔵大臣演説を拒否されたのはなぜか。これほどの重大問題をよもや軽視されるはずはないのでありますから、ほかに理由がございましょう。対話と協調を信条とされる総理政治姿勢として納得のいく御答弁を求めます。  続いて私は、不況対策財政経済の運営等について質問します。  第一に、今日の物価鎮静動向に対する見方についてであります。さきに私は、総需要抑制政策の行き過ぎと今日の不況とのかかわり合いについて申し述べましたが、私は、今日の物価の動向は、いわゆる大衆犠牲や過度の生産活動の冷え込み、特に中小企業の犠牲の上に咲いたあだ花的要素があることを見逃してはならないと思うのであります。失業や一時帰休が目立ち、実質賃金は低下しました。このことは、勤労大衆の血の出るような生活防衛となり、消費の半ば以上を占める個人消費の停滞となり、不況に深刻度を加えつつ物価の歯どめ要因ともなっていると思いますし。中小企業倒産や設備投資の低下は、不況のあらしを巻き起こしつつ、一面では物価抑制の要因をつくっていると思うのでありますが、政府の御見解はいかがでございましょうか。この正確な認識は、不況インフレの同時解決の方策にかかわる重大な問題だと思いますので、総理及び副総理の明確な御答弁を求めます。  第二に、不況を克服し、雇用を安定し、国民福祉を達成するいわゆる経済の安定成長のめどを何%に置いておられるのか、裏づけのあるお答えを福田副総理に伺いたいと存じます。  第三に、当面する雇用不安について質問します。深刻な不況は、同時に深刻な雇用不安を伴って勤労大衆を襲っています。企業倒産による賃金不払いも顕著となっています。民社党は、このような異常な雇用不安や賃金不払い等に対し緊急対策を提唱していますが、私は、そのうち二、三の点を提起して政府の御見解を承りたいと思います。  昨年の通常国会、年末の臨時国会で、民社党は雇用保険法の成立に全力を尽くしました。今日の不況の中でこの法律は、働く人たちにも事業主にも高く評価されていますが、私はこの際、政府に格段の前向きの運用を求めたいと思います。まず、雇用調整給付金の支給指定業種を地域別の不況業種まで及ぼすこととし、また、三カ月の再延長期間を六カ月に延ばす措置を講ずべきだと存じますが、いかがでしょう。  次に、現行法では船員に対してこの雇用保険制度の適用がありませんので、この際ぜひとも船員保険法を改正し、船員にも雇用調整給付金に相当する給付を行う道を開くべきだと思いますが、いかがでしょうか。本法の生みの親、長谷川労働大臣答弁に期待いたします。  第三に、企業倒産等に伴う労働債権の確保対策について伺います。  賃金、退職金、社内預金等の保護に関する現行法制は、手続上の理由や抵当権等の関係などもありまして有効に救済の実を上げていません。そこで、不払い労働債権を保証する保険制度をつくり、事業主の強制拠出を取り、客観的な理由によって支払い不能が確定した事業の労働者の不払い労働債権を保証すべきだと考えますが、政府所信を伺います。  第四に、新しく学園を巣立ち、新しく社会人の仲間入りをしようとする新卒者の就職不安に関する問題であります。  ことしから来年に向けて就職戦線は重大な危機の状態にあります。新卒採用の中止や手控えが目立ってまいりました。若者が希望を持って新しく社会人としての門出をしようとするとき、不況のゆえに就職の道が閉ざされたのでは、これは重大な社会問題と言うべきであります。特定の若者たちの内ゲバによる刃傷ざたが横行していますが、純真な若者たちの希望を打ち砕くようなこのような就職戦線の不安に対しては、重大な社会問題としてこれをとらえ、具体的な解決策と指導を必要とすると考えますが、総理及び労働大臣の御見解を伺いたいと思います。  次に、財政危機について伺います。  さきにも触れましたように、五十年度の予算は三兆九千億に及ぶ歳入欠陥があるわけであります。しかも、去る四月二日、本院において五十年度予算が成立した時点で巨額の歳入欠陥が明らかであり、その後数カ月でこの不足額はいよいよ、ますます増大したというのでありますから、政府景気見通し誤りであることはきわめて明白となったのであります。もともと財政当局は、高度成長時代には過小見積もりを繰り返し、また不況に転ずるや、今後は過大見積もりを繰り返すというまことに不思議な体質があるようでありますが、五十年の歳入見積もりの見込み違いに至ってはもはや釈明の余地なく、政府景気見通しの失態をも加えその政治責任がどうなるのか、総理及び大蔵大臣の確たる見解を求めるものであります。民社党は、財政の健全な運用と国民経済の安定的発展を確保するための政策のうち、当初歳入見積もりを上回った増収があった場合にはその一定率を政府景気調整基金に繰り入れ、景気後退時にこれを取り崩すことによって安定した財政運用ができると考えますが、いかがでしょう。大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。  次に、外交防衛問題について質問いたします。  私は総理及び外相の所信表明を聞いて、残念ながら日本外交の進路がいずれにあるのかきわめて不明の点が多いことを痛感しました。外交防衛は、国際情勢の分析や考え方を述べるだけで事足りるものでないことは政府も十二分に御承知のことであります。ベトナム戦争のあのような終結から日本は一体何を学んだのか、そしてその教訓をわが国の安全や世界の和平のためにどのように生かそうとなさるのか、お聞かせいただきたいのであります。  また、近く開かれる国連総会に朝鮮半島の問題について南北両側から二つの決議案が出されております。日本はアメリカ等とともに南側の決議案の共同提案国になっています。両決議案は、国連軍司令部の解体という一致点はあるものの、内容的には対立するものであり、しかも、国連筋の間では、両決議案がともに採択される可能性が強いとされていますし、そこに新たな混迷状態が生まれることが予想されます。南北いずれの側につくにしても混乱が避けられないとすれば、政府はこの新たな混乱を見越し、二つの朝鮮を将来にわたって定着させることが好ましいとお考えの上で共同提案国におなりになったのかどうか。日本が両決議案の調整のために積極的な努力をすることが平和外交に徹するわが国の姿勢として好ましいのではないかと思いますが、いかがでしょう。その努力がいかに困難なものであっても、「恒久の平和を念願し、平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」日本国憲法の精神に照らしてもわが国外交として最もふさわしいものであり、また、そのことがわが国の安全に通ずると考えますが、いかがでしょう。御所見を伺います。  また、これと並行して、いわゆる関係諸国、米、中、ソ及び日本による朝鮮半島の平和保障体制の確立についてわが国の積極的な意欲と行動を求めたいと思います。この道もまたきわめて遠い道程かもしれませんが、わが国の平和外交の真髄を遺憾なく発揮し、世界にその信を問う道だと思いますが、いかがでしょう。  次に、きのうこれはわが党の塚本書記長が三木総理にお尋ねをいたしましたところが、どうもすっきりしたお答えをいただけなかったわけであります。いわゆる去る八月四日、クアラルンプールで起きたゲリラ事件に関する問題であります。私は、政府のとった態度がいけなかったと言っているんではない。やむを得なかったと思う、やっぱり総理のおっしゃるとおり。人命尊重を第一義とする立場に立ちますと、たとえ、それが法治国家として法を犯すことになろうとも、政府のとった態度は決して誤りではなかったと思うのです。国民もこれを理解すると思う。しかし、やっぱり法治国家の政府が、法の番人の政府が法を曲げたという事実は、そうするよりほかに仕方がなかったのだという理解とは別なんです。けじめをつけるべきではないかという質問なんです。たとえば川崎の土砂崩れでは、これは科技庁の長官責任をとっておやめになった。あるいは自衛隊機と全日空機の衝突事故では、やっぱり防衛長官責任をおとりになった。私は、こういう問題でそういう責任問題をきしっととってけじめをおつけになれば、国民はそのことを含めてやっぱり政府の姿勢に信頼をすると思うんです。そういう意味でお伺いをいたします。  最後に、私は本日の新聞を見ましたところが、この代表質問が終わるのを待って酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案提出する意向であると伝えられています。せめて積極的景気対策物価の動向を見きわめた上で政府態度を決めるのが、責任ある政府の姿勢だと思いますのでありますが、このような政府の独善、強行の姿勢では、われわれもまた対決の姿勢をもって臨む以外方法はないと存じますが、不況インフレの同時解決を悲願とする国民にとっては、政府のこの姿勢はとうてい納得できるものではないと存じます。地方公共団体による公共料金値上げ、私鉄の値上げ申請、そして、事もあろうに国鉄の料金値上げも伝えられています。来年運賃値上げを意図している国鉄が、目先、国会の承認を必要とする運賃問題を避けて、政府の認可でできる料金の値上げを行おうとしているわけでありますが、国鉄にはよほどの知恵者がいるようでありまして、国会論議の洗礼は受けない、しかも消費者物価指数の対象品目ではないわけでありますから、政府にとっても消費者物価の上昇でかみつかれる心配もない、実にうまみのあるやり方を考えついたものであります。しかも、これがきわめて大幅であります。国民はまことに救いがたい気持ちでございましょう。総理総理はこのような政治による値上げラッシュをどうなさいますか。不況インフレに四つに取り組むこの国会をしり目に、また、不況対策の効果と物価動向も見定めないで、政府の認可事項だからということでお認めになるおつもりかどうか、総理のしっかりした御答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中村君にお答えをいたします。  最初に、政府経済政策経済見通し、そういうものの誤りではないかという御質問ございましたが、中村君がお考えになられましてもおわかりのように、三木内閣が出発したときは、狂乱物価の後を受けて異常な物価の値上がり、卸売物価が去年一年間に三一・三%ですからね。消費者物価が二四・五%、年度内の値上げ。これでさらにインフレが高進していったら一体どうなるか。それはもう国民は、もう国民生活というようなものは非常な不安に陥れるわけですから、どうしても物価を鎮静させなけりゃいかぬ。しかし、あんまりそればかりに重点が置かれて景気を非常な不況にしても、雇用問題等もございますから、そういうので、まあ一次、二次、三次と、こう不況対策をやってきたわけですが、まあここへ来てみて、物価も、政府国民に公約した物価の目標は達成したし、次の目標も達成される見通しだということで、物価の状態の見通しがついたので、まあ、ここで思い切った景気対策をやったというわけでございまして、この今日における経済政策というものは非常にこう狭い谷間の道を通っていっておるような、そういう注意深い経済政策というものが必要なんです。そういう点から、いままで物価に重点を置いてきたという政策、物価見通しをある程度つけ得たので、これから景気対策に相当重点を置きかえていくというこの経済政策——個々については御批判あろうと思いますよ、しかし、基本的な経済政策というものは、正直にどう思っておるかという中村君の御質問でございますが、正直に考えてみても、基本的な経済政策というもののやり方というものはやはり正しかったと、こう考えておるわけでございます。  また、補正予算など重要な問題を抱えておるのに、この国会財政担当の大臣所信表明を行わなかったのはなぜかということでございます。総理大臣が広い見地から経済財政外交の全般にわたる所信を述べたわけでございますが、その補正予算が編成されたときに、十分財政経済担当大臣から所信を述べることにしたい。いま補正予算をせっかく編成中でありますから、それが編成される前の所信表明ということは内容に乏しいきらいがあるわけになりますから、どうしても補正予算の編成を待って十分な所信を明らかにしたいということでございまして、国会を軽視したという意味ではないわけでございます。  次に、雇用問題については労働大臣からお答えをいたします。  また、税収の問題などに対しては、税の問題については大蔵大臣からお答えをいたします。  朝鮮半島の問題については、これは国連のいま南北両側の決議文が提出されて、明日外務大臣が国連に出発するわけでございますから、この問題は外務大臣が手がけるわけになる、国連で。外務大臣から答弁をいたすことにいたします。  それからクアラルンプールのゲリラ問題について、私もしばしば申し上げますように、真夜中に報告を受けて、まあ考え抜いたわけです。法治国として残念なことをしたわけですから、いまでも自分に問いかけてみることがあるんですが、どう考えてみてもあの処置以外には方法はなかったと、こう考えるわけです。それはしかし、緊急事態の処置として方法はなかったにしても、法治国家として、中村君御指摘のように、まことにこれは残念至極なことでありますから、この問題についてはわれわれも考えてみなきゃならぬ問題をたくさん抱えておると思いますが、法を曲げたとは思ってないんですよ、これは。法を曲げてやったということは考えてない。緊急な処置として法的にも許される、こう考えておるわけでございまして、これは法を曲げてやったというふうには考えてないが、しかし、ほかに方法がなかったといえ、緊急措置としてやむを得なかったにせよ、まことに残念至極であるという感じは今日も持ち続けておるわけでございます。  他の問題については、関係大臣の御要求もございますから、関係大臣からお答えをいたすことにいたします。    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  19. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  まず、物価安定の方向は出てきておるが、それは不況と一体のものであり、不況の結果としてそういうものが出てきておるんじゃないか、その認識が大事だと。したがって、逆に景気対策をこれからとったら今度はインフレになっていくんじゃないかという御懸念でございますが、私はまあインフレ、あれだけのインフレを克服をするという過程で不況現象が出てくる、これはまことにやむを得なかったことだと思うんです。私は、どういう方策をとりましてもそういうことになったと思う。なったとは思います。そしてその点は、私は中村さんのお考えとそう違うところはありません。ありませんが、しかし、物価が安定基調を固めた以上、ここで景気対策をとるということになりましても、それがインフレに、すなわち、つながっていくというようなことにはならぬ。しかし、景気対策をとる以上、これがインフレとどういう関係を持つかということにつきましては、これは十分注意しなきゃならぬ。まあ、第四次景気対策につきましても、その運用上におきましては、物価の上昇の傾向とどういう関係を持つか十分見詰めまして、そして機動的、弾力的に対処してまいる、こういう考えでございます。なお、不況を克服をし、雇用を安定し、国民福祉を達成する経済成長のめどを何%に置くか、こういうお話でございますが、当面私どもは下半期の経済成長率、これを年率にいたしましてまあ五%程度に置くか、六%程度に置くか、七%程度に置くか、大体その三説がありまして、その選択議論をしたわけでありますが、結局六%程度を妥当とするということで、それを基礎にいたしまして第四次景気対策をとると、そういうことにいたしたわけでございますが、その先々をどうするか。これは私は大体におきまして、やっぱり世界の経済の動きということを十分見詰めなきゃならぬ。世界の中における日本経済である。私は、世界先進諸国の水準、しかし、その中でもいろんなグループがありますから、先端を行くところのグループの成長、その辺をまあ大体基準に置きながら長期の成長率というものを決めるべきかと、こういうふうに考えておるのでありますが、最終的な結論につきましては、これはただいま経済審議会にその問題を諮問中でございますので、その答申を待ちまして決定いたしたいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣長谷川峻君登壇拍手
  20. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  この国会で御審議いただきました雇用保険法がお役に立っていると御評価いただきましてありがとうございますが、この雇用調整給付金の支給対象業種の指定については日本標準産業分類によって行うたてまえでございますので、地域的に限定して業種指定を行うことはできないことは御理解されていると思います。しかし、業種指定に当たりましては、できるだけ産業の実情に即するようにきめ細かい配慮を加えることとしておりまして、特定の産地を形成する業種を含めて、特に中小企業性の強い業種あるいは下請関連事業種に対しては配慮して指定しているところであります。  さらに、この延長の問題につきましては、いたずらに延長を重ねることは法の、制度趣旨に照らして適当でないと考えておりますが、業種によっては景気の回復が差が生じますし、あるいはまた一時休業を継続するところも予想されますので、その実情については鋭意調査して、その結果に基づいて措置してまいりたいと、こう思います。  船員の問題につきましても、いろいろ話を聞いておりますので、いまから先の私の勉強課題だと、こう思っております。  さらに、労働債権の問題でございますが、賃金は何といいましても労働者の生活の基本でございます。本年七月に労働基準法研究会からもこの問題について総合的な報告が出されましたし、特に企業倒産によって生じた賃金不払いの問題につきましては、さき国会において社会労働委員会からも附帯決議とされておりました。しかも、今日不況が非常に進行しておりまして、その必要性は一段と私は高まったものと判断しておりますので、明年度から、賃金不払いを受けた労働者に対しては、何らかの具体的な援護措置を講ずることができるように、ただいま役所で鋭意検討を進めているところであります。  大学の新卒、これの就職問題につきましては、いまや社会問題でございます。しかし、今度の第四次景気対策等々もございますので、景気の低迷、こういうことが上向きになりますと、こうしたものが大企業中心にして多少は上向きになるんじゃなかろうか。それと同時に、いまありとあらゆるところに、企業の中にもかなりの求人が出てくるような数字もございますので、これを推進しながら見守ってまいりたい。一方、学生に対する指導というお話がありましたが、やはり大企業、寄らば大樹の陰——新聞、ニュースを見ましても、何かこう試験がむずかしいから非常に悲観しているというふうなことじゃなくして、大企業だけに行かずして、中小企業なども非常に待っているんですから、そういう意味のやっぱり意識の転換なども必要じゃなかろうか。いずれにいたしましても、政府は挙げて来年三月まで全員が就職するように一生懸命努力してまいりたいと、こう思っております。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  21. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 巨額の歳入欠陥を起こしました責任でございますが、きのう申し上げましたとおり、財政当局者といたしまして深くその責任を感じておる次第でございます。  実は、予算が成立した直後、四十九年度の歳入欠陥が確実になってまいったわけでございます。で、その段階で直ちに国会で補正をお願いすべき筋合いであるという議論もありましたけれども、その段階におきましては、まだ減収額が確実に見積もれませんし、また米価、公務員給与等不確定な歳出要素がございますので、そういった点に見当がつきました暁で補正をお願いしようと存じまして、鋭意検討を進めておるところでございまして、来月の上旬になりますならばこういった数字がほぼ固まることができようかと考えておりまして、私といたしましては、この歳入欠陥に伴う財政運営につきましては、厳しい責任を感じながら対応策に腐心をいたしておるところでございます。  第二に、景気調整基金についてどう思うかと、それを採択するつもりはないかという御質問でございました。この着想は、西独等におきましても、経済安定成長促進法におきまして景気調整準備金制度という形で具体化いたしておると聞いておりまして、同じような思想系列に属する御提案でないかと思います。しかし、これは税制、予算、つまり財政制度全体にかかわる問題でございまするばかりか、財政政策全体にとりまして非常に大きな問題だと思いますので、あらゆる角度から検討しなければならぬと思います。ただ、目下のところこういう調整資金を割愛するような財政的な余裕はございませんので、将来の課題といたしまして、あらゆる角度から検討に値する課題として勉強してまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  22. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮半島におきます国連軍の解体をめぐりましての南北の両決議案に関しますわが国の態度につきましてお尋ねがあったわけでございます。  御承知のように、わが国が提案をいたしておりますことは、国連軍の解体は結構である、来年の一月一日からでも結構ではないか。ただし、その国連軍が、現在まで朝鮮半島の平和を支えております一九五三年の休戦協定の一方の当事者になっておるわけでございますから、国連軍の司令がなくなることによってこの休戦協定が法律上消滅してしまうということは、これは朝鮮半島の平和のために望ましくない、何かの形でこの平和を維持する枠組みというものは残しておくべきではないかと、こう言っておるわけでございますから、私どもが提案しております決議案は、それなりに筋の立っておるものであるというふうに考えております。したがいまして、ただいまの段階では、われわれの決議案についての支持と理解を得るために最大限の努力をいたしておるわけでございます。他方で、いわゆる北側の決議案はまた別途のねらいを持っておるわけでございますが、両方の決議案に私は共通の問題点がやはりあるように考えております。と申しますのは、ただ決議案を総会が通しましても、それだけでは、事柄は安保理事会の所掌するところでございますから、国連軍の解体が実現するわけではありませんし、いわんや米韓の関係が直接どうなるわけでもないという点、及び、両方の決議案とも関係者の話し合いということを前提にし、それを決議案の中に含んでいるという点、関係者、当事者というのはだれとだれであるかということについては多少違いがございますけれども、そういう二つの点では共通項のようなものがあるというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、私どもとして、ただいまの段階ではわれわれの決議案への支持と理解を求めて各国に説明をしておるわけでございますが、次の段階になりますと、決議案を通すことが最終的な目的ではございませんから、やはり関係者が何かの形で話し合いをしなければ朝鮮半島の問題というのは平和的な解決、長い長期の解決にはつながらないというふうに私ども考えておるわけでありまして、したがいまして、先ほどお尋ねがありましたように、やはりわが国としては、その間、話し合いによるところの問題解決というものを頭に置きながら国連における活動をすべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  第二段にお尋ねのありましたことは、これはさらにさらに遠い目標ではあろうけれども、いわゆる関係諸国が朝鮮半島の平和保障体制というものをつくるべきではないかという御発想であります。確かにこれは、ただいまとしてはその関係諸国と言われる国々の中に必ずしもこれに積極的でないと思われる国が幾つかありそうであるということ等もございまして、当面の話にはなりかねるかもしれないと思いますけれども、われわれが現在、この決議案をめぐりましてやはり話し合いに持っていかなければ長期的な解決にはならないと考えておりますのは、その遠い延長線上において、先ほど御指摘のような将来への構想をやはり含んでおるといいますか、長期的にはそういうことへの第一歩というふうに頭の中では考えつつそういう努力をいたしておるというふうに御理解を願いまして結構であろうと思います。(拍手
  23. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中村君がいわゆる値上げ法案提出問題について最後にお触れになりました。これは財政難の今日でありますから、政府は酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案はぜひとも成立を願いたいと思っておるわけでございますから、他の緊急を要する生活関連法案とあわせてできるだけ速やかに国会提出して御審議を願いたい考えでございます。  また、国鉄などの公共料金値上げは、値上げラッシュというような状態になりますと、これは消費者物価等にも重大な影響を与えますので、この問題に対しては慎重に取り扱いたいと思います。
  25. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 三木内閣総理大臣。    〔国務大臣三木武夫登壇
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国鉄のいろんな料金値上げの問題については、これは当然に審議会——運輸審議会にもかかるし、またこれは閣僚の協議会にもかかるわけですから、今後慎重にそういう一つの審議会の議も経るわけでございますし、慎重に検討をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  27. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 茜ケ久保重光君。    〔茜ケ久保重光君登壇拍手
  28. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保重光君 私は、日本社会党を代表して、三木総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。答弁は簡潔で結構ですから、国会外でお聞きになっている国民の皆さんに納得のできる答弁をお願いしたいと思います。  まず最初に私は、三木総理にあなたの政治姿勢政治信念についてお尋ねいたします。  あなたは議会生活四十年、そして大臣も何回もされました。さすがに議会のベテランであることは当然です。しかし、私はこの質問をするに当たって、三木総理の四十年の議会生活についていろいろ調べました。そして、大臣在任中の功績も調べました。ところが、残念ながら、三木総理が四十年議員生活なさっているが、あなたは議員として今日までどんな政治的な業績をお持ちになっているか、どんな政治信念をお貫きになったかという点になると、どうにも納得がいきません。何もないのであります。四十年という長い議員生活をなさったけれども、その間、これという日本政治の上に一線を画すものがございません、残念ながら。このことは、三木総理が何遍も自民党内で総裁、総理になりたいという御希望をお持ちになり総裁選に立候補されましたけれども、ついにできなかった。恐らく三木総理は、その間、総理になりたいという気持ちはあったでしょうが、なれるという御自信はなかったんじゃないかと思うのであります。まあ、今回のこの問題で総理になりました。結構であります。しかし、総理になったという以上は、私は四十年間のその何もなかった政治生活に、このとき日本政治史に残るような一つの事柄をやってもらいたいと思うのであります。それは何か、御提案申し上げます。いわゆる前国会において、衆議院においては満場一致、各党一致で通過しましたあの独禁法の一部改正であります。この法案を断固お出しになってこれを通過させることができますならば、三木総理政治的な存在が証明されましょう。もしそれができなければ、あなたは四十年間ただ議会生活を送ったと言うにすぎない一存在にすぎません。あなたが本当に議会政治の子として断固たる御信念があるならば、私はこれをぜひやってもらいたい。  わが党の戸田議員の質問に対して総理は、この国会は他に緊急な案件を持っているからそれは出せないとおっしゃった。何が緊急ですか。値上げ法案ですか。とんでもありません。国民はすべて酒、たばこの値上げ反対をし、郵便料金の値上げ反対をいたしております。当然でしょう。しかも、補正予算は来月の上旬になっている。まさに国会は二十日間の空白があります。そして、この法案は全野党が協力し、全会一致で通った法案、どこに支障がありますか。私は、この法案を出すことによって他の緊急法案に支障を来すということではなくて、との法案を出してお通しになることが、今国会を円満に運営する基盤であると思うのであります。(拍手)あなたと私との政治感覚のずれでありましょうか。三木さん、あなたは議会の子と自称なさるが、四十年という長い間議員をして、それがわからぬはずはありません。もし、これをあえてお出しにならぬというのならば、自民党の中曽根幹事長が豪語しているように、自民党はこの独占禁止法の一部改正をすることによって財界との亀裂を生ずる。すなわち、いまや総選挙を前にして政治献金を多額に必要としている。この政治献金といわゆる引きかえに独禁法をつぶすんだと、こういうことを豪語している。皆さん、私は冒頭に言ったように、約四十年の議会生活をなさった三木さんには敬意を表しています。しかし、そこでその敬意を表した具体的な処理として、財界の反対自民党の中に反対があるだけに、この法案はりっぱな法案であります。その法案を何としてもこの国会に出してもらいたい。私どもは全野党が協力し、どんな困難をも克服して通過させましょう。ひとつ、これが最後の機会であります。三木総理が長い政治生活を標榜されることに対して、私は有終の美をなすところの一つの重大なことだと思います。(拍手三木さん、どうかひとつ、国民の期待と、そういったあなたのいわゆる政治生活に対する一つの有益なものとするために、この問題をぜひ御提案されることを期待します。  次に、経済政策についてその責任をただすものであります。今回の深刻な不況は明らかに政治的、政策的につくられたものであります。経済企画庁が去年の暮れ明らかにした「昭和五十年度の経済見通し経済運営の基本的態度」においては、今年度の実質成長率を約四・三%と見込み、物価は卸売七・七%、消費者物価を九・九%に抑え、雇用においては〇・四%の増加を見込んでいたのであります。しかるに、今日深刻な不況が到来している。その原因は、かかる経済見通しをみずから破壊する措置政府みずから実施したことにあることは明らかであります。言うまでもなく、この見通し国民一般の個人消費が少なくとも一八・四%程度増大すると想定しており、これが極端な不況に走ることを防止する歯どめになっていたことは明らかであります。しかるに政府は、日経連、経団連を初めとする財界の主張のみを受け入れて、みずから策定した見通しを覆し、強引な政策干渉によって賃金上昇率を一五%のガイドラインに抑え、結果としては二二%という大幅規制を強行しました。大多数の勤労国民は、二年続けて実質収入増ゼロかマイナスを強要されております。これでは個人消費減から深刻な不況に至ることは火を見るよりも明らかであります。政府経済政策は、まさに財界の代弁と言われても当然でありましょう。まず、総理及び副総理はこの点において明らかに誤りであったことを率直に認めるべきでありましょう。先般来、政策に間違いなかったとおっしゃるけれども、具体的に国民がこのように困惑している実態は、これは政策の誤り以外の何物でもありません。ひとつ率直にその責任を明らかにしてもらいたいと思います。  さらに、今日の不況は、今日の資本主義経済での構造的なインフレ対策が有効に働かないことにその根本原因があることは多くの識者が認めているところであります。三木内閣経済政策を見れば、まさにこのことを立証しているのであります。インフレを規制しようとすれば、きわめて古典的な総需要抑制に頼らざるを得ず、その結果、勤労者や中小企業者などの弱いところに深刻なしわ寄せが生じております。さらに、雇用不安や倒産が生まれ、一方、景気回復策を進めようとすれば、大企業中心とした値上げを阻止し得ず、結局大幅物価高を阻止し得ないのが現状であります。これではインフレであろうが、不況であろうが、国民の必要とする経済環境とはおよそかけ離れたものであって、もはや自民党政府は有効な経済政策手段を失ったと見るべきでありますが、総理は、この問題についてどのような見解をお持ちでいらっしゃいますか。  また、現在の経済の実態を見れば、不況対策と一体となすべきものが構造的インフレ対策であることは多言を要しないものがあります。しかし、この点につきましても、その有力な一端を担う独禁法の大幅な強化は、当然緊急課題として早急に実施すべきものであろうと思うのであります。  現在、政府は、不況対策として道路や橋を中心にしたいわゆる大型プロジェクトを再開しようとしておりますが、これは、これからの公共投資の方向を決定する重大な問題であります。今日の国民生活を見れば、生活に欠くことのできない衣食住のうち、住及び生活環境公共施設が決定的に不足をしているということは明らかであります。道路がよくなっても住宅や学校や下水が不十分であっては、まさに逆立ちと言わざるを得ません。大手鉄鋼業界が第一に救われる本四架橋などを今後莫大な公的資金をもって建設するのでは、六畳一間に数人の家族が同居する住宅困窮者が救われる道は遠のくばかりです。ここでも自民党の大企業寄りの姿勢が露骨に出されており、まさに国民不在の政治と言わなければなりません。直ちに政策を転換し、抜本的な公的住宅大量供給体制を確立すべきでありますが、いかがでしょう。  イギリスでは五七%、スウェーデンでは六二%の公的供給をいたしております。わが国ではわずかに二〇%。毎年毎年大量公共住宅を建設すると宣伝はされますが、実態はかようなものであります。極端なアンバランスを早急に是正する措置を講じなければなりません。  さらに、大口の遺産相続の八四%が土地であります。長者番付のほとんどすべてが土地成金であります。住宅取得資金のうち土地の割合が諸外国では二〇%ないし三〇%、これに比してわが国は七〇%が土地代であります。いかに日本列島改造計画が一般庶民に重大な悲劇を与えたか証明できます。これを改めるのは、いびつな高度成長経済をもたらし、かつて土地成金内閣を生み出した自民党政治責任であります。いかような御処置をなさる決意でありますか。  土地については、もはや市場メカニズムに任せるのでは明らかに不合理であり、土地利用の社会的計画化、地価鎮静と高騰を未然に防止する制度的歯どめを厳格に行うべきでありますが、総理はこれについて具体的な方針を明らかにしてほしいのであります。  大平大蔵大臣がきのう戸田議員の質問に答えて、歳入欠陥を生じたことにまことに強い責任を感じている旨の答弁をなさいました。このことは、三木総理や福田副総理が、政策に失敗はないと言って反省の色を見せないのと違って、非常な好感の持てる態度であります。しかし問題は、その責任を具体的にどうなさるのか、ここが大事なんです。ひとつこの大事なところを大蔵大臣の率直な御所見を承りたいと、こう思うんであります。(拍手)  次に、農業政策についてお尋ねいたします。  これまでの自民党農政は、わが党が長年にわたって抜本的な転換を要求したにもかかわらず、食糧を外国に頼るという基本的な欠陥をそのまま内包し、日本の農業と日本の農民の生産意欲をはなはだしく破壊してまいりました。ここに至り、世界の食糧需給の逼迫、価格の高騰が長期的に予想される中で、初めて自給率向上を問題としていますが、これまでの政策の誤り、その著しい立ちおくれは覆うべくもないのであります。まず総理は、これまでの農政が基本的な欠陥があったことを率直に認めるべきでありましょう。さらに、その反省の上に立って急速な自給率の向上、供給の安定化を政策の基軸に据え、可能な限り価格の安定を図るとともに、抜本的な農業再建政策を直ちに実施すべきであります。  すなわち、たん白源の大部分を海外に依存する現状を改めるため、第一に、飼料の国家管理を実施したらどうか。いま畜産農民は飼料高で非常な苦難に陥っております。いわゆる豚を飼えば損をする、牛を飼っても損をする。かつて自民党は畜産奨励に大きな力をいたしました。その結果こういった実態、これはまさに飼料資本家の独占的ないわゆる暴利の結果であります。したがって、私はこの際、政府は断固として飼料の国家管理に踏み切ってはどうかと思うんです。総理の私は決断を促したい。  第二に、漁業に関して、経済水域二百海里の国際世論に対応するために、日本沿岸水域の汚染防止、公害対策を徹底して進め、大規模な栽培漁業、いわゆる漁業の栽培化を徹底させ、そのことを国の責任で実施すべきであると思います。  次に、今日の農業生産費の四分の一を占めるという農機具の独占管理価格にメスを入れなければなりません。いま農民は田植え機、稲刈り機、あらゆる農機具を購入しております。しかし、日本の農業構造から、数十万円の田植え機を買っても使うのは一年に四、五日、あとは全部寝かしております。これはまさに日本の農機具生産業者による、いわゆる一つの宣伝による結果であります。これに私は政府として徹底的な対策を立てなければ、日本の農業はますます困窮化してくる、そういうことであります。したがって、このいわゆる農機具の独占管理価格に対してメスを入れ、価格の安定化、さらに使用の集団化あるいは地域化等を進めて、農民のいわゆる農機具購入による経済負担を軽減すべきであると思うが、いかにお考えでありますか。  さらに、裏作がほとんど放棄されている現状であります。この裏作の耕作放棄を改めて、いわゆる引き合う裏作が可能なように、長期的計画に基づいて土地改良を進め、そのための財政措置を講じ、生産費所得補償方式による価格安定のための根本策を講ずべきだと思います。総理及び農林大臣の御見解を伺います。  九月十二日、ある新聞に、新潟からの六十歳の方の投書が掲載されております。そこでは、いわゆる福祉見直し論が論議されております。いわく、ないそでは振れぬ、来年度の緊縮予算は福祉も緊縮の例外としない、福祉も聖域ではないというマイナス見直し論は、福祉対象者にとってはまさに生存問題であります。不況の荒波をまともにかぶる者は母子家庭、身障者、低所得者、老人層であり、高度成長財政的余裕があるから恩恵的に弱者にも小遣い銭を与えるという姿勢では、福祉ではなく票集め姿勢であります。不況下だからこそ荒波を真っ先にかぶる弱者に手厚い福祉が必要であります。現在、幸か不幸か、不況福祉の試金石となるであろうと結んでおられます。  この国民の鋭い指摘を総理大蔵大臣はどのように受けとめるか。財政が苦しいから福祉向上を破壊し、後退させるというのでは、まさに政治の不在であります。総理はいわゆるライフサイクルを発表し、福祉に対して一見積極的な姿勢を打ち出しているが、今日福祉財政問題から切り崩されようとしているとき、福祉に対して政治が行うべきことは、財政について確固たる方針を打ち出し、後退に歯どめをかけ、積極的な打開策を打ち出すことにあるということは言うまでもありません。しかるに、ライフサイクルと名づけられた内容は、肝心の財源についてはほとんど触れていないのが実態であります。これでは本当の福祉を確立することを意図するものではなく、票集めの大ぶろしきにすぎないことは明らかであります。これではライフサイクルなる構想が無責任であるということにとどまらず、国民を惑わす重大なすりかえであり、本来着実に実行、具体的な福祉政策をいま明らかにすべきという政府としての責任さえ放棄するものであります。政府として福祉向上の具体的措置を速やかに講じるべきことをここで約束すべきでありますが、総理の御決意のほどを承ります。  次に、雇用問題についてお尋ねします。  今日、政府の不完全という批判のある統計によってみても、百万人近い完全失業者があります。そのほかにも、統計の不備や、やむを得ず家庭に引きこもった婦人労働者などを加えれば、優に二百万人を超えるというのが現実でありましょう。雇用問題は、単に短期的なものだけでなく、中期的な観点からも深刻な問題となり得ることは各方面から指摘されているところであります。この際、抜本的な検討が必要であります。  言うまでもなく、これまでの労働諸条件の改善は、政府の施策というよりは労働力の需給状況、とりもなおさず人手不足という条件によって支えられてきたことは紛れもない事実であります。したがって、今後急速に労働条件の改善を政策の面から講ぜられなければ、労働者に大幅なしわ寄せが生ずることは明らかであります。政府は抜本的な強化策を講ずべきでありますが、まず政府の基本的姿勢を明らかにしていただきたい。  さらに、今後、中高年、身障者、婦人の雇用機会を積極的にそして意識的につくり出さなければならないが、これについて具体的に進める用意があるか否か。また、労働時間の短縮を持続的に進めることが不可欠であるが、その用意があるか否かを明らかにしていただきたいと思います。  さらに、当面の雇用不安に対する具体的措置として、失業保険給付を大幅に延長すること、解雇予告の延長と大量解雇に対する規制、資金、退職金、社内預金等の未払い労働債権に対する立てかえ払い制度措置に対して政府の具体的方針を明らかにすべきであります。  私は先般フランスに参りまして、ジスカールデスタン大統領が思い切った失業対策を議会に出したことを知りました。それは、失業者に対しては当時の給料の九〇%を一年間保障する。大学、高校卒の就職希望者で就職できない者に対しては初任給の六〇%を一年間保障する、こういうものであります。そのことはいいか悪いかは別として、いまの日本における失業対策は、このような思い切った処置でなければとても追いつきません。ただただ言葉先だけのいわゆる言いわけや言い逃れでは済みません。ひとつ、三木総理も冒頭に言ったように、あなたの政治生命をかけて独禁法を出すと同時に、こういった思い切った処置をする決意を表明してもらいたいと思います。(拍手)  次に、政府がこの秋に結論を出すと約束している三公社五現業のスト権問題であります。これは当事者である労働組合はもちろん国民一般も非常に期待してながめております。何か自民党の一部に問題があるようですが、これはもう当然自民党も腹をくくってやるべきだと思う。ひとつ総理、あなたはこの壇上から国民に向かって、この三公社五現業の組合に対して断固いかなる困難を排除してもこのスト権は認めるという約束をしてほしいと思います。(拍手)  さらに私は、当面の中小企業政策について二、三お尋ねいたすものであります。  今日の中小企業不況のしわ寄せを受け、その存立さえ危機にさらされているものであります。まさに倒産、あるいは倒産の危機に瀕する中小企業は枚挙にいとまありません。そればかりじゃなく、これまで地域の産業として地域生活に密着をし生業を営んできた中小企業が大企業の進出によってさらにその存立を脅かされる。このことは、いわゆる中小企業が地域性を持ち、地域の働く人たちと密着したという問題、さらには大企業の下請的な重要な責任を持っているという観点からゆゆしい問題でございましょう。これに対して、いわゆる政府はいろんな資金その他のことをおっしゃっているけれども、もう少しきめの細かい、本当に中小企業者が働く労働者とともに生きていける処置をする必要が私はあると思うんです。私はここで具体的な例は申しません。どうか政府の行き届いた、血の通った、思いやりのあるひとつ中小企業対策をここに御明示願いたいのであります。  さらに、社会党がすでに提案している「中小企業者事業分野の確保に関する法律」がございます。この実現を見ることが私は当面日本中小企業の大きな発展の基盤と存じますが、三木総理は、社会党の提案したこのいわゆる「中小企業者事業分野の確保に関する法律」を率先通過させる努力をすべきだと思うが、いかがでございましょう。(拍手)  さらに、景気対策がこれまで大企業対象にしてきたことは事実であります。これを洗い直して、官公需の発注、公共投資の過半を中小企業に発注する、こういった体制も私は必要と思う。これもひとつお願いするし、また、中小企業向けの金融については金利が構造的に高いのであります。大資本家に貸す資金は安いが、中小企業に対する資金は高い金利である。これではたまりません。ひとつどうか、この際政府は、大資本家に貸す金利と同じように、中小企業者にも安い金利で貸すことをぜひやってもらいたい。これがまた一つの中小企業に対する大きな力であります。  私は、次に日韓問題についてお伺いいたします。  政府は、さきに金大中事件において主権と人権の尊重、国際間の常識にさえ著しくかけ離れた措置を強行し、さらには、さき日米共同声明等により日米韓一体の軍事的連携を一層強め、過去の自民党政府にまさるとも劣らない朝鮮分断政策、反動政策を強行しております。これは明らかに三木内閣の変質というより、本質が暴露されたものと言わなくちゃなりません。その上、先般、中断されていた日韓定期閣僚会議を再開し、三億ドルという大幅な経済協力を強行しようとし、国内に、あす食うことに困る人がたくさんおり、六畳間に数人が寝るという悲惨な状態の中で、何でこの朴政権にこのような資金を出さなきゃならぬか、何とも国民は納得がまいりません。この際私は、三木総理はこのようなことは断固打ち切って、もっときめ細かい国内政治に温かい思いやりを示したらどうかと思うが、いかがですか。(拍手)  さらに、去る七月二十四日、宮澤外相は、七月二十二日付韓国外務部からの口上書なるものによって、金大中事件はこれで決着したと発表されました。しかし、この口上書によっては、金大中氏の再来日の問題、金東雲元一等書記官の処遇その他真相の究明問題、また、韓国の公権力によるわが国に対する主権侵害の問題等は何ら解決しておりません。日韓両国国民は、依然として金大中事件は未解決であると思っております。事件発生二周年に当たる今年の八月八日、金大中氏が第三の政治決着が必要であると語っておるのと同様に、真の解決を願っておるのであります。  まず、金大中氏の来日の問題ですが、日本政府は、金大中氏が韓国の裁判所で裁判中であるということによって、いわゆるその再来日を拒否している。ところが、実は金大中氏が日本に来ておった昭和四十八年の十月にも、金大中氏は同じ裁判で事件に付されておったのであります。それにもかかわらず、韓国政府は当時パスポートを出しておるのであります。ということは、いわゆる金大中氏の来日が不可能だということは、裁判中だからということではなくて、いわゆる韓国政府の一方的な弾圧行為であります。これに対してひとつこの地盤を暴露し、金大中氏が自由人としていわゆる昭和四十八年当時の状態で日本に来日できるような措置をとることが私は必要だと思う。これの措置をされる意思があるかどうか、お伺いします。
  29. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 茜ケ久保君、時間が参りました。簡単に願います。
  30. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保重光君(続) はい。簡単にいたします。  ここで、私は国連大学についてお伺いいたします。国連大学の誘致は、五年前の日本社会党の政策が発端をなした経過があります。それで私どもは国連大学に重大な関心を持っております。ところが、先般米国では上院でこの国連大学設置の拠出金の支出拒否をいたしました。まことに残念であります。ただし、これに対してきのう内閣は閣議をもって、いわゆる外務大臣を通じてこの拠出に対する要請をするとお決めになりました。結構であります。ぜひひとつアメリカの反省を促し、この拠出に応ずるよう措置をお願いしたい。と同時に、ほかの各国にもひとつ強く要請をして、一日も早く国連大学が発足できる処置をお願いする次第であります。  最後に、総理はわが党議員質問に対して、建設的論議を封ずるつもりはないと答えております。そして対話と協調、それならばひとつ三木総理は、これからお出しになろうという補正予算——毎回予算に対して各党がいわゆる組み替え案を出します。なかなか総理はお聞きにならぬ。こういったことを基盤とする政治でありますならば、今回の重大な関係を持つ補正予算に対して、野党のひとつ言を率直に聞いて、野党の修正に応じて国民全体の納得する補正予算とすべきであると思うが、総理にその御決意があるのかお伺いして質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 茜ケ久保君の御質問にお答えをいたします。答弁漏れがないようにできるだけ詳細にお答えをいたします。  第一番に、独禁法の問題をお取り上げになりました。これは御承知のように衆議院では全会一致可決になったわけですが、参議院では審議を何もされないままに廃案になったわけでありますから、したがって、これは新たなる出直しをしなければならぬわけです。この問題は重要な法案でありますので、今回は緊急を要する案件を非常に抱えておる臨時国会でありますので、この問題がそういう重要案件の処理に障害を来してはいけない。したがって、自民党の内部でいま再調整をいたしておる次第でございます。衆議院で全会一致で可決されたということは、これは尊重されなければならぬことでもございますし、そういうことで、そういうことも踏まえて自民党内で再調整をいたしておるわけでございますから、その再調整の結果を待ってこの問題の処理を決めたいと思うわけでございます。  それから次に、今日の不況についていろいろお話がございましたけれども、とにかく三木内閣が出発した当時の事情というものは、物価を安定さすということがこれは国民の合意でもあったわけでございますし、また、そういう国民の合意であるばかりでなしに、この状態を鎮静しなければ、日本経済というものはもう非常な混乱に陥る危険があったわけですから、物価の安定ということに重点を置いたわけであります。その間、景気の動向にも注意はいたしましたけれども、重点は物価の安定に置いたことは事実であります。幸い物価の安定、まあ政府物価安定に関する目標は達成いたしてまいりましたので、ここらでいままでよりも違った、思い切った景気対策をとろうということで今回の景気対策をとることになったわけで、ここにはいろんな御批判はあると思います。しかし、基本的な政府経済政策が私は誤っておったとは考えていないわけです。  また次に、今回の景気対策に当たっては、大型プロジェクトというものよりも、住宅とか、学校とか、下水とか、生活環境施設の公共投資に力を入れるべきではないかというお話でございましたが、われわれも、公共事業費の追加に当たっても、生活環境施設国土保全事業、農業基盤整備などを含めて適切な配分をいたしたいと思うわけでございます。  土地に対しては、市場メカニズムに任さず、土地利用というものを計画的にやれというお話でございました。最近投機的な土地の取引が鎮静化して物価は安定下に推移しておりますが、これは今後ともこの傾向は持続しなければいかぬ。いままでのように、土地が常に投機の対象になっているというのは不健全な姿であります。国土利用計画法により土地利用計画の整備、土地取引規制の厳重な運用などで総合的な土地政策というものを今後進めてまいりたいと思っております。  農政全般については、農政あるいはまた漁業問題については農林大臣からお答えをいたします。  それから福祉の問題についてお話がございましたが、茜ケ久保君の言われるとおり、金があったときは、福祉をやる、なければ福祉はやめる、こういうのでは、一つの福祉を充実するという大きな政治の方向に背くわけでありますから、やはりこの際に福祉政策というものは全般的に一つの再検討される必要があると私は考えておる。そういう点で政府の方としても、厚生省においても、経済企画庁においても、これは長期の経済の計画とも結びつくわけですから、検討いたしておるわけでございます。私の、生涯の生活設計という一つの構想、これをやはり党とか政府で検討願っておるのもそういう意図が、そういう福祉政策というものはいままでのようなものではいかないのではないかという配慮があったからでございます。まあしかし、茜ケ久保君の御指摘のように、こういう財政の危機、非常に窮屈なときでありますから、特に困っておる人たちに対しては、そういう方面にできるだけ行き渡るような処置を講じていかなければならぬと考えております。  それから失業の問題については、まあ、これは失業者が増加をしておる。茜ケ久保君に言わすれば、潜在失業を入れたら二百万人にもなるのではないかというお話でございますが、政府はそのような失業者があるとは考えておりませんが、いずれにしても、雇用を確保していくということはきわめてこれは国民生活の安定の基礎になるわけでございますから、雇用対策というものは今後特に力を入れていきたい。ことに身体障害者とか、中高年齢者、婦人などの雇用確保については特段の配慮を払ってまいりますし、労働時間の短縮についても、雇用情勢等考慮してこれはいろいろ指導をしていかなけなればらぬ段階だと思います。また、不当な解雇なども、これはやっぱりできるだけそういうことは行われしめないような指導をしなければならぬ。失業の給付金の制度などに対しても適切な運用を図らなければなりませんし、まあ、一番には雇用を確保するということが大事である。また、失業の場合に対処するということに対してできるだけの処置をとらなければならぬことが重要であることは申すまでもございません。  また、政府が、田中内閣のときに、いわゆるスト権問題という労働者の基本権の問題、これは今年秋をめどに結論を出すというようなことを申しておったわけでございますから、われわれはその田中内閣の約束をできるだけ守りたい、三公社五現業のスト権問題というものに対して、この秋にはできるだけ結論を出したいということで努力をいたしておるわけでございます。  さらに、金大中氏の問題についていろいろお話しになりました。同氏は現在選挙違反の裁判に係争中でございますので、この裁判の事件が終われば韓国人と同様な自由を回復さすということを確約しておるわけで、やはり韓国の国内法があるわけでありますから、その国内法に抵触したということでいま裁判中でありますから、これが終わり次第、金大中氏の自由というものは韓国人並みに、外国に行こうという場合は自由に無論行けますし、自由を回復するということを韓国政府が確認をしてきておるわけでございます。まあ、いろいろ国民の中には釈然としない面もあると思いますけれども、政府としてはこれで一応政治的には決着をつけたと、こうせざるを得ないわけでございます。そこで、今後こういういろいろな国民の間に残っておるような気持ちはできるだけこれは両国において解消していく努力は必要だと思うわけでございます。  それから次は、中小企業についていろいろ事業分野の確保に関して法制化をせよという社会党の御意向でございますが、どうも法制化ということはわれわれは考えていない。消費者の利益とか技術の進歩などの関連で問題が非常に多い。だから、中小企業団体法に基づいて、これを活用して行政指導を行っていきたいという考え方でございます、いまは。そういうことで、いろいろな紛争が起こりますから、大企業と商工組合との間などに対していろいろ問題が起こるわけでございますから、これに対していろいろな紛争も解決していきたいと考えておるわけでございます。しかし、中小企業に対する官公需の確保とか、資金枠の拡大とか、金利引き下げなどについては、御承知のように官公需の確保については毎年目標を定めておるわけで、これは私が通産大臣のときにつくった法律であります。できる限り確保をする目標を拡大をしていきたいということでやっておるわけでございます。今後も大いに拡大に努めたいと、資金枠はこれは拡大をいたします。中小企業金融機関の貸付枠四千八百億円を追加したことは、第四次の景気対策で発表したとおりでございます。金利引き下げなどについても今回の総合景気対策で取り上げておるところでございます。  また、茜ケ久保君は韓国の朴政権というものに対していろいろな強い御批判をお持ちになっておられるようでありますが、まあ、いろいろな御批判には私は耳を傾けたいと思っております。しかし、日韓関係を急激に変化さすということが朝鮮半島の安定に役立つとは私は思っていないわけです。したがって、そういういろいろな批判にはこたえながら現在の均衡を維持していくことが、やはりこれ以上の緊張を激化させないことだと思うわけでございます。そういうことが大事で、さらに南北の対話であるとか関係諸国の努力、関係諸国の協力によって、さらにこう朝鮮半島の安定を図っていかなければいけない。一つは現在の均衡状態を破らない、さらに進んで朝鮮半島の安定化に努力するということだと考えておるわけでございまして、いますぐに——三億ドルという話が、いろいろお話でございましたが、三億ドルというようなことは、この間の日韓閣僚会議で何にも決めたわけではございません。そういうことで、今後の経済協力などについても、十分に御批判に耳を傾けながら努力を——できるだけそういう国民の疑惑を受けないような協力関係を築いていきたいと思っておるわけでございます。  国連大学については文部大臣からお答えをいたします。  それから、私は建設的論議を封ずるつもりはないということで、補正予算の修正に応ずるかというお話でございます。まあ、野党の方々の御意見などもわれわれいろいろ承っておるわけでございますから、修正の必要のないようなりっぱな補正予算提出をしたいと考えておる次第でございます。  以上お答えをしまして、あとは御要求の関係大臣からお答えをいたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  32. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいまの不況の原因は多分に政治的、政策的である、その責任をどう考えるかというお話でございますが、これはもう先ほど総理大臣からお答え申し上げたとおりと考えております。  それから、その一つの例として茜ケ久保さんは、経済見通しでは個人消費支出を一八・四%程度増加すると想定しておる。しかし、実際それに反して政府は勤労賃金の抑圧政策をとった。それが今日の不況の原因になっておるというお話でございますが、事実、今回の春闘におきまする賃金は一三・一、これは経済見通しよりはかなり低位に決まってきたのであります。まあ、この一三・一という決まり方が今回の不況とどういうつながりを持つか。これは多少のつながりがないということはないと思います。しかし、とにかく一三・一という経済見通しよりは低いけれども、高さは一三・一なんです。この比例で購買力が、国民消費が伸びるということになるかと、こう言うと、そうなっておらぬというところが問題なんです。で、国民消費は一三・一までいかないんです。いかないのはなぜかと、こう申しますと、これはインフレ経済の先行き不安、そういうことに対して国民が身構えをしておるんだ、こういうふうに考えざるを得ないのであります。したがいまして、この賃金決定が一三・一%だから、これが不況の主力、主因になったという、そういう見方は私は当たらないと思います。同時に、この賃金決定は政府が何もそういうふうにいたしたわけじゃありません。これは、政府は賃金決定には介入せず、そういうたてまえをとっておるととは御承知のとおりであります。何がそういうふうにさしたかと言えば、労使の良識がそうさしたのだと、そういうふうに考えるのでありまして、さあ、この賃金という問題が私は大事な問題だったと思うのです。まあ、インフレというのはどうか、こう言いますれば、賃金と物価の悪循環過程に入って、もう救いがたいところになる。現に私はその玄関先まで来たと思うのです。昨年三二・九%、消費者物価、卸売物価、まあ、そういう程度の上昇をする。まさに私は憂うべき情勢であったと、こういうふうに思うのですが、そういう立場から見まするときに、ことしの春闘の賃金決定がどうなるか、私はここの席でも申し上げたと思うのです。この決定がどうなるかが日本経済がどういうことになるかを決める関ケ原であり天王山であると、こういうふうに申し上げたのですが、まあ、とにかく労使が英知を、良識を発揮されまして、なだらかな春闘という結論になったことは、これは日本経済のためにもう慶賀すべきことであったと、こういうふうに思うのでありまして、(拍手)これがこの不況の最大の原因である、そういうふうな受け取り方はいたしておりません。今後ともこのインフレを克服し、そうして経済を繁栄させる。そういう上にはやはりこの賃金問題が非常に重要な立場にある。ますます労使におかれましては良識を発揮していただきたいということをお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  33. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 財政危機打開のためにどういうことをいたしておるか、またいたそうとしておるかというお尋ねでございます。  歳出面におきましてただいままでやってまいりましたことは、行政事務費の節減をやりまして五百四十億円、これは補正予算で提案いたしまして御承認をいただくことにいたしております。歳出の査定に当たりまして厳しい選択をしてまいらなければなりませんし、定員管理を徹底し、機構の簡素化に努めまして人件費の増高を阻止して、防止していかなければならぬと思っております。  ただいまの財政、大変体質的に硬直化いたしておりますので、一方、財制審に審議を依頼いたしておりますけれども、政府といたしまして硬直化の打開に一層努力をして御期待にこたえなければならぬと心得ております。  歳入面におきましてただいままでやりましたことは、現行税制の範囲内においていかにして増収を図るかということでございまして、政府の手にゆだねられております範囲内でやりましたことは、金融機関の貸し倒れ引当金の圧縮でございます。その他の点につきましては、大部分が国会の御審議を仰がなければできない措置ばかりでございまして、多くを期待することはできないわけでございまして、次の通常国会にどのようなお願いをいたしますか、目下鋭意検討いたしておるところでございます。  福祉政策に対しまして財政当局としてどういう姿勢でおるかというお尋ねでございました。きのうもお答えいたしたと思うわけでございますけれども、福祉政策につきましては、財政が不如意であるからといいましてぞんざいに取り扱うつもりは毛頭ないわけでございまして、すでにお約束いたしました十月から大幅に引き上げを予定いたしておりまする老齢年金、母子福祉年金等につきましては予定どおり実行いたすつもりでございまするし、厚生年金国民年金につきましても八月、九月からそれぞれ引き上げを実行いたしております。  その他の福祉項目につきましても、物価にスライドする措置等につきましては周到な配慮をいたしておりますが、今後もこういう点につきましては十分気をつけてまいるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇拍手
  34. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) 国民食糧の安定的確保につきましては、御指摘のように、安易な国際分業論にとらわれないで、国内の自給力の向上を図ることを基本として農業の生産基盤の整備あるいはまた需要の増加する作物の増産、農業生産の中核的な担い手である農家の育成等、各般にわたりまして総合的な食糧政策を強力に推進してまいりたいと考えております。  次に、畜産飼料対策について種々御意見がございました。飼料の安定的供給を確保するため、自給力の向上、輸入の安定化、備蓄の拡大等の施策につきましてはこれを講じておるわけでございますが、さらにそれを強力に進めることが必要であると考えます。  また、飼料価格の安定につきましては、政府操作飼料の効率的運用とともに、配合飼料価格安定基金制度がございますので、これを強化充実をしてまいりたいと考えております。  また、輸入飼料等の一元的管理、いわゆる国家管理を行えという御意見でございますが、トウモロコシ等の自由化品目につきましてはこれを一元化するということにつきましては、国際的にもいろいろと問題を生ずるおそれが多いわけでありますし、さらに強力な組織機構と多額な経費をやはり必要とするわけでございますから、なかなかこれは困難であるというふうに考えております。  さらに、栽培漁業の拡充強化の点につきましては、現在御存じのように瀬戸内海の栽培漁業を実施してきておるわけでありますが、全国的展開を図っていくためには、県営の栽培漁業センターの設置についても助成を行っておりますが、今後とも栽培漁業は動物性たん白資源の確保という面から非常に大切でございますので、これを拡充強化していきたいと考えております。  農機具のカルテル問題につきましては、農業生産資材の価格の引き上げは極力これを抑制をする方針で対処をいたしております。今後とも独禁法に違反するような行為が行われることのないように関係者に対して十分指導してまいりたいと考えます。  土地改良の点につきましては、裏作導入等によるところの水田の高度利用を図るため、土地改良事業全体としてこの御趣旨に沿うように推進を図っておるところでございますが、特に裏作導入に資する圃場整備事業については重点的に施策を図ってまいりたいと思います。  また、農産物の価格制度につきまして生産費所得補償方式で統一せよという御意見でございますが、農産物につきましては、それぞれやはり農産物ごとの商品の特性や、あるいは生産、流通等につきましても事情がございますので、一律に生産費所得補償方式にこれを改めるということは困難であろうと思いますが、しかし、再生産を確保するという意味から、価格政策全体につきましては見直す時期に来ておると思うわけでございます。そういう立場で今後とも価格政策全体につきまして再検討を進めていく決意でございます。(拍手)    〔国務大臣永井道雄君登壇拍手
  35. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 国連大学に関する御質問に対してお答え申し上げます。  この問題は外務省と文部省が緊密に連絡をとりながら発展のために活動いたしておりますのですが、私から概要を申し上げることにいたします。  第一に、アメリカ合衆国上院におきまして国連大学基金への拠出が否決されましたことにつきましてわが国としてどのようにするかという問題がございます。これにつきましては外務省が主要なチャンネルでございますので、閣議におきます討議に基づいて、宮澤外務大臣を初め外務省から、しかるべき方法でアメリカ合衆国政府への話が進められるものと考えております。なおまた、文部省といたしましては、私は昨日早朝ホッドソン大使にわれわれの要望を伝え、申し上げました。  さらに、この問題に関しましては、この夏の前に、国会に国連大学議員懇話会というものが発足いたしました。これは超党派でございまして二百人を超えるものでありますが、この超党派の議員懇話会からも代表をアメリカに送って、そしてこれはアメリカの議会において否決されたことでありますから、議員相互の協力というたてまえからアメリカに働きかけられるように承っておりますが、私どもといたしましては、こうした超党派の議員の御活動に対して心から感謝の気持ちを持っておりますので、その謝意を表したいと考えております。  なおまた、第二に、アメリカ以外の国々との協力を進めるべきではないかということでございますが、これもまことにごもっともでありまして、今日まで拠出いたしました国はセネガル、ガーナ、スウェーデンでございます。なお、明年早々拠出を予定いたしておりますのがベネズエラ、さらに考慮中のものがカナダということでございまして、これらの国々の大使あるいは来日中の文部大臣などにお目にかかりましてこれまでも話を進めてきておりますが、一層そうした国々の数がふえて、文字どおり国連大学になるようにしなければならないと考えております。  第三に、発足を早くせよということでございますが、これは私どもの御説明が足りなかったかもしれませんが、すでに九月の初めに本部が発足いたしておりますので、これを一層活発にいたしますために、十月末の国連デーにオープニングをいたしますので、いよいよ議員懇話会においてもこれを御支持いただきますことをお願い申し上げまして私の答弁といたしたいと思います。(拍手
  36. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会      —————・—————   出席者は左のとおり。        議     長  河野 謙三君        副  議  長  前田佳都男君     議 員       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       宮田  輝君    内田 善利君       峯山 昭範君    桑名 義治君       三治 重信君    寺下 岩蔵君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       和田 春生君    栗林 卓司君       吉田  実君    中西 一郎君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       木島 則夫君    山本茂一郎君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       山内 一郎君    二宮 文造君       白木義一郎君    小平 芳平君       多田 省吾君    中尾 辰義君       向井 長年君    木内 四郎君       最上  進君    梶木 又三君       藤川 一秋君    鳩山威一郎君       秦野  章君    安孫子藤吉君       青井 政美君    石破 二朗君       松岡 克由君    藤井 丙午君       原 文兵衛君    中村 禎二君       細川 護熙君    宮崎 正雄君       菅野 儀作君    石本  茂君       小林 国司君    寺本 広作君       柳田桃太郎君    内藤誉三郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    郡  祐一君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    塩見 俊二君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       長田 裕二君    鈴木 省吾君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘  直治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    伊藤 五郎君       鹿島 俊雄君    大谷藤之助君       亘  四郎君    福間 知之君       矢田部 理君    佐藤 信二君       亀井 久興君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    岡田  広君       上條 勝久君    大塚  喬君       小山 一平君    矢野  登君       安田 隆明君    片岡 勝治君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    高田 浩運君       増田  盛君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       二木 謙吾君    源田  実君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君      茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    温水 三郎君       福井  勇君    羽生 三七君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    近藤 忠孝君       山中 郁子君   目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    寺田 熊雄君       佐々木静子君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       和田 静夫君    松本 英一君       立木  洋君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       加藤  進君    渡辺  武君       塚田 大願君    安永 英雄君       吉田忠三郎君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       阿具根 登君    野々山一三君       中村 英男君    秋山 長造君       加瀬  完君    河田 賢治君       野坂 参三君    上田耕一郎君       春日 正一君   国務大臣        内閣総理大 臣  三木 武夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 井出一太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (防衛長官)  坂田 道太君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君        国 務 大 臣        (国土長官)  金丸  信君   政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省条約局長  松永 信雄君      —————・—————