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1975-12-17 第76回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 鳩山威一郎君                 安田 隆明君                 森下 昭司君     委 員                 小笠 公韶君                 大鷹 淑子君                 神田  博君                 斎藤栄三郎君                 藤川 一秋君                 増田  盛君                 赤桐  操君                 粕谷 照美君                 対馬 孝且君                 田代富士男君                 山中 郁子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長       官)        福田 赳夫君    政府委員        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君    説明員        食糧庁総務部長  二瓶  博君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部監        理課長      松村 義弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (当面の物価問題に関する件)  (不況対策に関する件)  (灯油価格問題に関する件)  (消費者米価、麦価問題に関する件)  (昭和五十一年度経済の動向に関する件)  (公債発行問題に関する件)  (私鉄運賃値上げ問題に関する件)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 対馬孝且

    対馬孝且君 限られた時間でございますので、ポイントにひとつ重点をしぼって質問いたしたいと思います。  まず最初に、副総理にひとつお伺いをいたしたいのでありますが、経済見通し基本姿勢につきまして、これを機会にお伺いをしておきたいと、こう思うわけであります。それは何といっても景気早期回復が急務であるということは国民の願いであります。したがいまして、数次にわたりまして不況対策実施政府も立ててまいりました。しかし、きょうの朝日新聞にも出ておりますが、失業者の数は相変わらず百万を超え、明年春には百三十万台という労働省、労働大臣のお答えにも出ておるわけでありますが、そこで私は、大体経済企画庁としましてはほぼ景気回復方向に転換をしたと、上昇局面に入ったと、こういうふうに新聞等にも出ているわけであります。そこで問題は、私は商工委員会に所属いたしておるものですから、通商産業大臣にこの間からも私ずいぶん石油備蓄法などを中心石油問題等で質問いたしてまいりましたが、景気等見通しも聞いてまいりましたが、どうも通産大臣はまだ景気回復の段階に入ったと考えていない、やっぱりむしろこれからが一——三月に向かってなお倒産が続くであろう、あるいは操業度も必ずしも順調に回復はしていないと、むしろそういう意味では不況対策必要性強化対策必要性考えざるを得ないと、こう言っているわけですよ。そこで経済かじ取り専門家である、ベテランである副総理が、これからどういうふうに——政府部内でも若干通産省——もちろんこれは産業政策を担当する立場にあると思いますからそう言うのかもしれませんけれども、しかし、政策部内としてこういう景気回復見通しに違いがあるということでは国民が不安でございますので、まずこの点一点、冒頭、基本姿勢をお伺いしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 確かに通産省それから経企庁、これは置かれておる立場、主管しておる仕事、その関係上若干の違いはあるんです。まあ通産省は直接業界にタッチしておる、そこでどうしても景気を早く早くと、こういう気持ちになりがちであります。企画庁といたしましては、また世界の中における日本経済ということを踏まえまして、そしてインフレのない成長ということを旨として行動すると、こういうことで多少若干ニュアンスの違いがあることは事実なんです。事実であるけれども、政府として一体どういうふうな見解だということになれば、これはその違いを乗り越えて方針なり対策なりを決めていかなければならぬ。  そこで、いまの景気局面は一体どういうふうに見ておるかというと、確かにことしの三月を底といたしまして、日本経済は傾向的には上昇カーブになっております。ことしはもう世界じゅうが大混乱、総落ち込みの年でありまして、これはプラス成長になる国はどこにもないんです。ひとりわが国のみが二%を若干上回る実質成長をなし遂げようとしておる、そういう中で日本企業におきましては大変な不況感を持っておるわけです。事実業績の悪化という現象が出ておりますが、これは、外国におきましては不況がずっとひどいわけでありますが、それにもかかわらずわが国において外国よりもさらに深刻な不況という状態になっておるのは何かというと、終身雇用体制をとっておりますので、原則として解雇ということがない。そこで、人件費——遊びになる人手に対する人件費ですね、それに対する負担企業を圧迫する。それから、遊びになるのは人手ばかりじゃなくて設備遊びが出るわけでありますが、諸外国におきましてはその設備に対しまして、これは自己資本が大方使われておるのに反しまして、わが国におきましては大方借入資本でやっておる。それで金利負担というものが企業を圧迫する。そこで、生産は全体としてはふえる傾向の中で一つ一つ企業業績が悪化する、そこに問題があるんです。  そこで、それがための対策はどういうふうにしなければならぬかといいますと、まあ仕事をつくるほかない。人手遊び、それから設備遊びをなくする方向政策をとるほかはない。そこで、逐次仕事をつくるための施策を進めておるわけでございますが、まあ第四次不況対策は、これはかなりの規模のものでありましたが、かなりその実施が立ちおくれてきておるということを率直にこれは認めざるを得ないのであります。しかし、そだけに一——三にそれらの効果が集中して起こってくる、こういうふうに考えますので、まあ十——十二月期、第三・四半期の成長というものはそう期待はできませんけれども、一——三の方はかなりのものは期待できようかと、こういうふうに考えます。その勢いを五十一年度につなげていこう、こういう考え方をいたしておるわけで、まあ私は調整には三年かかると申し上げましたが、その五十一年度は三年度目に当たるわけであります。この年に大体景気上昇軌道に乗っける、同時にインフレにつきましてもさらに鎮静化を進めるというあらかたの安定工作を終えたい、こういうふうに考えております。
  5. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま政府部内の食い違いということよりも、政府部内として意思決定をされた副総理のいまの経済見通しあるいは景気回復見通しと、こう理解をしていいと思うのでありますが、十二月二日の朝日新聞でも、食い違い景気の判断という意味で出ているわけですが、やっぱり問題はいま仕事をふやすこと、てこ入れすることが問題だと言っているわけでありますけれども、現実に北海道あたりでもこの一年間の倒産が戦後最高、実は千百十六件を数えたのは昭和二十七年以来初めてのことなんですね。したがって、こういう結果が出ている限りは国民立場から見ると、景気回復方向に向かったと言いながら、まだそこまではいってないと。特に北海道の場合は、副総理御存じのとおり北海道は、これは景気本州と比較して、不況になっても好況になっても半年経済のおくれと、こうなるわけでしょう。仮にいま第四次不況対策が行われましたけれども、これもう冬場でしょう。雪が降っているわけですから、事実上建設工事その他の発注をやったとしてももう仕事ができない。結果的に雪解けまで待たなきゃならぬというのが北海道後進性と言いますか、仮に好況不況にかかわらず半年経済が実は立ちおくれるというのが北海道現状なわけであります。私はそういう点からお伺いしているわけでありますが、河本通産大臣中曽根自民党幹事長などは、新しい景気対策がやっぱり必要なんだという意味では、第五次ということもちらちら言われておりますけれども、その点第四次プラス第五次不況対策ということでいくのか。一面にはそういうことがマスコミに出てきておりますけれども、しかし来年度予算が、もうすでに大蔵省原案が遅くても二十四、五日には内示をされると、こういう状況にあるわけですが、けさほどの朝日新聞を見ますと、「来年度税制経済閣僚会議で一致」というようなことで出ているわけですけれども、この点について第五次というほど不況対策を行う必要性を感じているのか、あるいはそういう政策はとらないと、新年度予算の中でこれは回復できると、そういうものを補強していくと。補強する場合のそういう対策の柱となるものは、一体どういう点が重点なのか。これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 第五次不況対策を必要とするかというお話でありまするが、これから年度内、来年の三月までの経済運営につきましては、先ほど申し上げましたが、第四次対策実施が一——三月に集中してくる。それでありますのでこれはかなり効果を発揮する、景気は一——三月においてはかなり活況を呈すると、こういうふうに見ております。したがいまして、銘打って第五次対策というようなことをいま考えておりませんけれども、しかし経済は生き物でございますから、それは経済かじ取りとして、財政政策金融政策ですね、いろいろありますが、それはそのときの状況に応じまして、適時適切な対策をとります。とりますが、国民または経済関係の人が一番関心を持っておるのは、五十一年度予算はどうなるだろうと、こういうことだろうと思います。五十一年度予算は、ことし、本年度におきましてすでに五兆五千億円の公債発行しなけりゃならぬ、こういうことになっておるのです。その公債発行額が来年はかなりまたふえるんじゃないか、ふやさざるを得ないというような状態です。その公債発行によってインフレを起こさないように最大の注意をしなきゃなりませんけれども、なぜ公債発行するかというと、大きな財政上の支出の柱になるのは公共事業になる。つまり国家財政窮迫の折でありますので、一般経費につきましてはできる限り切り詰めたいと思います。もちろんその中において福祉、そういうものにつきましてこれをおろそかにするという考えはありませんけれども、一般の諸経費については切り詰める。しかし、景気政策に直接的な影響のある公共投資につきましては、これを、大幅と言っていいと思います、拡大いたしまして、景気浮揚の推進の主役というふうに仕立てたいと、そういう考えですね。近く予算の編成をいたそうと、こういうふうに考えております。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 いまこれからの経済対策重点として、公共事業ウエートを置くという副総理の御見解を出されましたが、私は何と言ってもわが国の戦後の混乱期、耐乏の中で経済発展をしてきたわけでありますが、日本の将来の希望というものがあったからこそ国民は相当な勤労意欲を燃やして今日まできたと思うんです。これはむしろ国民がそういう意欲を持っておった、日本の今日の経済発展をもたらした基盤は勤労者にあると、こう言っても私は過言でないと思うのであります。しかし、最近の三木内閣の不人気というのは、内閣支持率が二六・六%という、讀賣新聞では歴代内閣の中で最低の人気、支持が下回っているという現状でありますが、そこで問題は、やっぱり国民希望と勇気を与えるということが副総理、いま一番必要なことではないか。それには何かと言えば、やっぱり不況インフレを同時に解決することが一体できるのか、その政策は一体何なんだということをいま国民が求めているわけでしょう。率直に言ってお先真っ暗という、いま国民感情があるわけですね。全くまあ鶴田浩二の歌の文句じゃないけれども、右を向いても左を向いても真っ暗やみじゃござんせんか、というような気持ちがいま国民感情にあることは、これは率直に言って事実であります。そこで私は率直に副総理にお伺いしたいことは、次のことなんでありますが、副総理通称コンピューターよりも、福田カンピューターということがむしろ明快であると言う人もいるんでありますが、そういう立場から考えまして、いま赤字国債の問題も出ましたけれども、これはわれわれとしてはやっぱり税制の洗い直しその他をやって、赤字国債はひいてはやっぱりインフレにつながると、こういう見方をしているわけです。私はそういう見方をしているんでありますが、そこでアメリカあたり景気回復のやり方を見ましても、まず個人消費の増加をすることが最大の先決であると。そこで個人消費回復を求めるためには、実はアメリカでは総額二百二十八億ドルの減税フォード大統領が断行した。これがやっぱり今日のアメリカ経済を浮揚したと、こうまあある経済学者も認めているわけであります。そこで私はいま何と言っても国民のいまの考え方は、財布ひもが固くならざるを得ないというのは、どうもこれが景気浮揚ということは、言葉では言っているけれどもなかなかそうならないだろうと、みずから国民財布ひもを締めるという結果になっているんでありますが、そこで私はやっぱりこの際思い切って個人消費を伸ばすという——政府財政でもって景気を浮揚していくんだ、財政政策景気を浮揚すると、こう副総理も強調されているんでありますが、私はやっぱり個人消費を伸ばす道というのは減税以外にないのではないか。そういう意味では政府として思い切って今日の物価調整減税約三千億程度をひとつ思い切ってやってはどうか。この点について、ひとつ三千億です。これを最低限でも——本来ならば国民経済成長率、ことしの春闘の妥結を見ると、二兆円という答えが出るのでありますが、当面して物価調整減税ぐらいは考えるべきことではないかと、こう考えておるんですが、この点どうですか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政治家といたしまして減税所得税減税をする、これはできればしたいという気持ちはこれはもう対馬さんに劣らず持っておるんですが、さて、現在の財政経済状態を見ると、それができるかということになると、なかなかこれはむずかしゅうございます。いまアメリカだとかヨーロッパお話がありましたが、私はヨーロッパの人と話し合いませんが、この間陛下のお供をしてアメリカへ参り、そしてこれからお互いに景気浮揚政策をとろうじゃないかと、意見の交換をしますと、アメリカの方では、私の方では公共事業もやるが、減税も大幅にやる、これで景気回復を実現するんだということを申しておりました。それに対して私は、私の方では減税はむずかしいんだが、公共事業中心でやるんだという話をいたしますと、実は公共事業に適当なものがあれば当方でもそれをやりたいと、アメリカでは言うんです。しかしそれをやる種がないんだと、もう道路にしても港湾にしても治山治水にしても、もう整備されておりましてね、そういう種がない。日本とすれば公共事業中、心にやるということがこれは賢明でしょう、こういうようなことを申しておりましたが、それはそれといたしまして、減税をやるということになると財源が要るんです。何のために一体減税をするんだということになると、景気を刺激するためにやるんだということでありますが、その同じ財源を使いまして、いま三千億という話ですが、三千億の金があって減税をする。そうすると、まあ課税最低限は、これは幾らか上がりまして、何がしかの人がそれに均てんをするわけでございますが、その効果というものはその均てんをいたしました人に限られるわけであります。またその均てんをした人に購買力を与えるというだけにとどまるわけです。ところが、その同じ財源を、いま大事なのは何であるといえば景気だと、その景気対策のためにやるんだ、その三千億円の同じ財源をさあ住宅でありますとか下水道でありますとか、そういうことに使いますれば、これはその個人消費の場合と違って、何倍かの力となって大衆需要を引き起こすと、こういうことになるんです。同時に雇用対策の面からいいまして、これは相当大きな効果があるわけであります。そういうことを考えますと、同じ財源でしかも問題は景気対策だということになればこれはどうしても公共投資、そちらの方に目を向けざるを得ない。財源があり余ればまあ所得税減税ということも考えられるかもしれませんけれども、とにかく特例公債を出してまでやっていこうという財政です。その特例公債財源とする貴重な三千億の財源ということがありますれば、これはまず住宅だとか、上下水道でありますとか、治山治水でありますとか、農山村の整備でありますとか、そういう方に使う。この方がよほど効率的である、こういうふうな見解でございます。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 大衆減税物価調整減税ぐらいはやるべきだというその考え方でありますが、いま公共事業を浮揚して景気対策考えるという大臣考え方ですから、これは結果的には本州——四国とか高速道路とかという、これは政府のいまの中に出てきているわけですけれども、一部大企業はなるほど潤う。それはもちろん住宅上下水道、学校、そういう意味では大衆次元にも、恐らく中小企業にも潤いも出てくると思いますけれども、しかし何といってもいまこの落ち込んだ不況にすぐやっぱり直接的な効果を与える、あるいはカンフル的な役割りを果たすという意味では、私はやっぱり大衆物価調整減税を断行することがすぐ国民消費回復することにつながると、こういう考え方を持っているわけです。これは時期的なことは別ですよ。長期的に見るなら中期的に見るならこれは別ですけれども、いまさしあたってカンフルが必要だとするならば、物価調整減税をやることがかえって国民消費が高まって景気が浮揚してくる、こういう見方をしているわけですが、時間がありませんからこれはひとつ検討していただきたいと思います。  そこで、次の問題に入りますが、物価鎮静したということを盛んに副総理は言われておるわけでありますが、私が調べた中では昭和四十五年を一〇〇として物価上昇率を見ますと、日本の場合は、一七八・五%ですよ。これは間違いであれば御指摘願っていいんでありますが。それから西ドイツの場合は、一三六・三%であります。アメリカの場合で一四一・五%であります。これは結果的に見ますと、物価は下がったといったって、日本の場合は、この四十五年を一〇〇として考えた場合に、結果的には一万円札の価値が二千二百五十円に今日なってしまっている、インフレの結果によって。しかし、西ドイツアメリカの場合は、これはそれほど日本のように高くなっていないわけですね。これは経済企画庁で出した数字ですよ。これ何も私が出した数字じゃありませんから。そうしますと、鎮静はしたとこう言っているけれども、なるほど鎮静はしておることはそれは認めますけれども、諸外国に比較して日本物価はこれはやっぱりある程度正常だという状態ではないんじゃないか。  そこで私お伺いしたいことは、九月、十月対前月比を見ても一・九%、一・七%の高騰を続けているわけでありますが、今度石油製品の新価格体系ということで、これの値上がりが、実は後から申し上げますけれども、出てまいりました。そういうところからいきまして、私は、先ほどの景気対策公共事業に、けさ新聞を見ると、いまも大臣が強調されましたが、そこらにウエートを占めることにおいて、結果的にはまた物価インフレ方向に出てくるのではないかと、こういう点でやっぱり心配をするんでありますが、ずばりお聞きしますけれども、副総理は、かなり昨年来、明年三月は一けた九・九と、こう強調してまいりました。しかし遺憾ながら、ことしは、今年度九・九はわかるんですよ、五十年度九・九、一けたはわかりますけれども、五十一年度の展望として物価目標指数というのは出されていない。これ一体どういうことかということをちょっと——国民は九・九だけはかなりはっきりしましたよ。しかし五十一年度はそれじゃ物価目標というのは一体どこなんだということは、まだ私が知る限りこれは明らかにされていませんね。通常言われていることは、預金金利水準水準まで何とかしたいという、こういう副総理言葉をちらっと聞いたことがありますが、目標としてこうだというふうにいま国民にやっぱり明らかにする必要があるんじゃないか。五十年度はわかりました、三月には九・九、それじゃ五十一年度は一体物価指数目標としてはどこに水準を置くのか、どこに政策的な目標を置くのかという点がことしはどうして出てこないんだろう。ここらあたりかなり、これはやっぱり国民——下がったと言ったって、けさもテレビでやっておったけれども、ゆうべもやっておったけれども、副総理、下がったという感じがなかなかしてないですよ、率直に言って。下がったというのは特定の人だけであって、国民は、奥さん方に聞くと、物価が下がったなんて本当に感じていないというのが率直な声ですよ。その点で年末を控えてもデパートの売り上げがなかなかそう簡単には上がらないということも出てきていますけれども、この点ひとつ、物価目標を五十一年度どう考えているかということと、低いというけれども諸外国から見ると必ずしも日本物価というのは、四十五年がノーマルであったとするならば、一〇〇と考えた場合についてはやっぱり異常な値上がりになっている、こういうふうに感じるんですけれども、この点どうですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 確かにわが国物価は、狂乱の前後ですね、これは大幅に上がっちゃったんです。ですから昭和四十五年を一〇〇としてというようなことになると、諸外国よりはかなり上がるということになったんですが、今日の時点におきましては、大体先進諸国水準になってきておるわけです。ただ、物価が下がるんじゃないんです、これは。その上がる率が下がってきたと、こういうことでございます。私は消費者物価が上がる要素といたしましては、一つは賃金という問題があります。これはすぐ消費者物価影響をしてくる。それからもう一つ海外の要因。資源有限時代なものですから、どうしてもわが国の必要とする資源、これは高くつくような状態になってきておる。それからもう一つ公共料金なんです。公共料金もずっと抑えてきた。しかしこれを抑えっぱなしにしておくわけにいかぬ。そこで逐次その手直しをしなきゃならぬ。これもかなりのおもしになるわけであります。そういう要素が重なり合いまして、これからの物価というものはそう容易なものじゃない、かなりの努力をしなければ国民に安心していただけるような状態にならぬと、こういうふうに考えておりますが、五十年度、つまり来年の三月末の時点ではとにかく一けた台に持っていきたいと思っております。いま十一月の時点では八・八と、こういうふうになってきたんですが、ところが酒やたばこの値上げの問題、これがあります。それからまだ麦の問題というのもある。そういうのが物価にすぐ響いてくる。こういうようなことでありますので、なかなか楽観は許しませんけれども、まあとにかく一けた台を本年度は実現したい。それから来年度につきましては、ただいま申し上げましたようないろんな要素があるわけです。海外物価がどうなるか、春闘がどうなるか、またさらには公共料金をこれから方針を決めなきゃなりませんが、どの程度になるか。その中で、私どもが直接的に影響力を持ちますものは公共料金なんです。公共料金物価政策とにらみ合わせながら決めなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、まあいろいろ努力をいたしまして、来年は、まだ閣議で政府の意見として決めておるわけじゃありませんけれども、まあことし九・九だということになれば、それはその辺からさらに二%ぐらいは下げられるようにしたいものだなあと、こういうふうに考えているんですが、これは数日中に政府間の意見を統一をいたしまして、そしてこれを国民に明らかにしたい、こういうふうに考えております。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 これはやっぱり五十一年度目標をはっきりしないと、かなり——そこで大臣からいみじくも次の公共料金の問題だということで、私もきのう逓信委員会に出ましたが、非常にこの公共料金が、国鉄運賃八〇%値上がり、電信電話料金、麦価、いまも出ましたけれども、また来年度米価の問題が出るだろう。塩、それから社会医療費の問題、国立大学の授業料の問題、それから電力料金、ガス料金、NHKの受信料、そこへもってきてこの郵便という問題になってくるわけです。そのほかに、各地方公共団体、この前大臣に私はお伺いして、大臣は、自治省と話して極力とにかく経営努力を払って地方自治体を抑えるようにしようと言っていますが、結果的にはどこを見ても、私はいま資料を持っておりますが、時間がありませんから、四十七都道府県の中で水道料金、それから高校の授業料、それから清掃料の値上げ、それから給食費の値上がり、こういった問題がほとんど出てきていますよ。こういう一連のものをずっと数えていったら、この九・九なんということにならないんじゃないかというような心配を国民がするのは、私は当然だと思うのですよ。私はずばりお伺いをしますけれども、この中で特に私は問題なのは、この五十年度中に電力料金が、特に北海道電力が上がるといううわさがずいぶん出ておるのでありますが、この点はひとつ北海道の問題でありますから、公共料金のこれだけの値上がりに対して、まず第一点にどう考えておるかということが一つ。それから、公共料金の上げ方について政府基本姿勢をひとつお伺いしたいと思います。特に、北海道にまつわる、北海道電力は五十年度年度内に値上げを認めるのかどうか、こういう政府の姿勢があるかどうか、これをちょっとお伺いしたい。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十一年度中の公共料金につきましては、政府関係は、五十一年度予算の編成に関連する概算要求として各省からいま御指摘のいろんな案件が提起されておるわけであります。まあ概算の要求でありますので、これはまあ非常に幅広い引き上げというようなことを要求しておりますが、今月中に決める予算、その中におきましては、これはやっぱり物価政策等のことも考えなきゃならない。あの要求どおりに決まるというふうには考えておりません。私ども、十分物価政策と整合性が保てるようなそういう形において最終的な処理をいたしたいと、こういうふうに考えております。それから、民間の料金ですね。そして政府の認可なんかにかかる公共料金、たとえば電力、そういうようなものにつきましては、いま何も話を聞いておりません。まあ話がありますれば、その際の諸般の状況、特に物価状況なんかも考え国民生活に与える影響、そういうことも十分に精査いたしまして、妥当な結論を得ると、こういうふうに申し上げるよりほかないのであります。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間もありませんから、いま公共料金については、十分に整合性を行いながら配慮していきたいということですが、率直に申し上げて、これはいま私が挙げただけでも十数項目ありますからね。政府公共料金をまず凍結をしてその見本を示さなければ、民間を抑えると言ったって、これは副総理、抑え切れませんよ。現に電力会社なんか言っておるんだ、北海道電力だって、あなた。政府がどんどん値上げしておいて、酒、たばこだ、やれ郵便料金だ、やれ何だと上げておいて、わが方だけ抑えにゃいかん、がまんせいと言ったって、そんなことよく言うこと聞けるかいというのが、これが率直なあれですよ。だから、まず政府が見本を示していただいて、公共料金をまず抑えると、その上に立って民間のこの値上げを抑えていくというひとつ行政指導をとってもらいたいという意見を実は申し上げておきます。  最後に、灯油の問題、けさから新聞をにぎわしておりますし、前から何回も商工委員会で申し上げておりますのでくどくど申し上げません。端的に言うと、今回の石油審議会における灯油の値上げ、一律二千五百円、こういうものが出されました。これはナフサ、それからC重油、こういうものであります。これは実際に政策料金として灯油を考慮したと通産省は言っているのでありますが、これは全く当たっていないですよ、私に言わせれば。六月一日、元売り指導価格を撤廃して以来でしょうね。それじゃC重油、ナフサが上がっておるかというと、上がっていないんですよ、ほとんど。つまり大企業向けの油は上がっていなかったんですよ。十月からのOPECの値上がりによって、今回、石油審議会の答申に従って初めて二千五百円というレベルに上げたわけであります。すると、その前に灯油は、第一次値上げ、第二次値上げときて、すでにこのOPEC一〇%値上げ前に四千五、六百円の実は値上がりを、局長には何回もぼくは伺っていますけれども、御存じのとおり値上げをしてしまっておるわけですよ。だから私は、今回の値上がりというのは、OPECによる値上がりは、少なくともこれは政策料金として灯油を考えるならば、灯油料金は上げるべきではない。なぜならば、大企業向けのC重油、ナフサは全然上げてないんですから。赤字逆ざやを解消するという意味で、むしろ灯油に四千五、六百円しわ寄せをしたというのが事実なんです。  ところが、最近審議会に従って結論を出したということで、この間も私は商工委員会で申し上げましたが、とにかく千二百五十円、これは北海道ではすでに日石、出光、共同石油が、正式に十二月一日から千二百五十円を上げなさいと。リッター当たりでもって三十円から五十円すでに上がっているんですよ。しかも共同購入を契約して、これは市民生協あるいは勤労者団地と契約した分までも十二月一日から値上げをいたしますということで通告されました。しかも業界の北石が言っていることは、こういうことを言っているんですよ。これは通産省の行政指導を受けてわれわれは千二百五十円、十八リッター三十円から五十円というものを出しました、決して業界の判断だけではございません、通産省のアドバイスを得て出したものでございますと、こう何回も言っているんです。私は、この段階ではこれは明らかに、きょうも出ましたけれども、これは独禁法に対する行政やみカルテル協定ですよ、これは。完全にこれはぐるになっている。だから、そうでないとするならば、私は何回も指摘しているのでありますが、この間、商工委員会でも確認いたしました。そういうことは絶対に指示を、示達をいたしておりませんという、石油部長あるいは長官、大臣の答弁でありますから、そのとおり了解します。そうだとするならば、なぜ北海道において、需要期に一番使う北海道が一番高いのか。副総理、これ、ここが問題なんですよ。一番星を使う、ドラムかん十五本もたく北海道が一番高いのですよ、いま全国で。一番使う北海道が全国的に高いということは問題があるわけであります。そこで私が言いたいのは、通産省は、本当にそういう公取が言うように、行政やみカルテルに加わったような態度がないとするならば——これは信頼したいと思うんですがね——ないというんであれは、私はそれは実証をもって示してもらいたい。立証してもらいたいと思う。現実に、公取委が行って、疑いがあるといま市民が訴えている内容になってしまっているんですよ。全部千二百五十円、三十円から五十円値上げになってしまっている。  そこで、私はずばりこれは副総理にお伺いします。経済問題を預かる副総理としては私はこういうことがあってはならないと思うんですよ。特に、北海道については特別な配慮をいたしますという河本通産大臣の言質なんですから、そこで副総理にお伺いしたいことは、こういった元売りの一方的な小売に対する通告というものはひとつやめてもらいたい。しかも通産省はそうしてないと、こう言うんですから。できる限り実勢価格をもって極力行政指導をしていきたいと、こう言っているわけですから、これが一点。この点ひとつお伺いしたい。  それから二点目は、そうでないとするなら結構だから——私は信頼しているんですよ——そうでないとするならば、現実に北海道では、そういうふうに集団購入で契約したものでさえ十二月一日から上げてくれ、それがいやなら、共同購入に応じませんと、こう言うんです。もう販売拒否をやっているわけですよ。こういうことは困るんで、私は率直に申し上げるのだが、この段階で経済企画庁からと通産省から、一名で結構ですからひとつ北海道の現地に調査員を派遣していただいて、ひとつ北海道の道庁なり出先の通産局長なりを通じて消費者団体と会っていただいて、ひとつ現地の状態をぜひ処置をしてもらいたい。  この二点を申し上げます。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回通産省で、石油の安定的供給というためにはどうしても石油価格の改定の必要があるというので、まあそういう方向の指導に乗り出した、これは御承知のとおりであります。その間におきまして、灯油につきましてはこれは家庭に直接関係がある、また需要期にも向かう、こういうので特別の配慮をしてきておるのです。一番かなめはそういう際に需給が安定しておる、まあ供給力というか、それがたっぷりしておる、こういう状態が一番のかなめでありまして、それが前々から準備して今日に至っておるわけでありますが、まあ全体の石油の価格水準がありますので何がしかの灯油に対する影響ということは私はもう避けられないんじゃないかと、こう思いまするけれども、それが家計に重圧を加えるというようなことであってはならぬというのでそういう特別な配慮をしているんです。  そこで、その実情については、この時点における諸問題について石油部長の方からお答え申し上げますが、何か御疑問があると、こういう点につきましてはこれは通産省とも相談いたしますが、御趣旨に沿う方向でひとつ調査官の派遣ということを考えます。
  15. 左近友三郎

    政府委員左近友三郎君) 十二月一日に石油審議会の決定に従いましてガソリンとナフサ、C重油につきまして標準価格を設定いたしたわけでございますが、その審議会の席上でも、あるいはこの国会の御質問に対しても通産大臣以下われわれが答えておりますことは、一般石油製品について、ことに大企業向けの石油製品についてはなかなか位が上げられない、したがいまして、標準価格をつくりまして、むしろそれは必要な値上がり分は価格として取るということを出したわけでございます。したがいまして、現時点ではそういう三品目はいわばそういう値を上げる必要があるという意思表示をいたしたわけでございますが、残りの油については何ら行政手段をとる必要がないという形になっております。しかしながら、その残りの油種の中でも灯油につきましては実はこれはほうっておきますと上がる性質を持っております。したがいまして、この灯油だけは従来の通産省がとっておりました抑制の方針を貫いていくということになっておるわけでございます。抑制のやり方は、これも累次御説明を申し上げましたが、類似の油種、たとえば軽油とかA重油というものとの価格バランスが余り失しないような形で抑えていくということでございます。したがいまして、今後もその方針を貫いてまいります。  しかしながら、またちょうど需要期でございますので、仮にこの軽油、A重油が大きく上がりましても、それにつられてまた灯油が上がるということはいけないので、いま申しました類似の油種のバランスを失しないようにいたしますが、今需要期だけはさらにもう少し抑制的な指導をいたしていきたいということで現在やっております。  まあそういうふうな形でやっておりますが、ことに北海道につきましては、御指摘のとおり大量消費地でございますので、たとえば二百リットルのドラムかんで買う場合とか、あるいはホームタンクで買う場合というときには、これは当然大量に買えば安くなるわけでございますので、その割引率を十分発揮できるように北海道あるいは私の方の札幌通産局と連絡をいたしましてそういう措置をやっておるわけでございますが、それについてわれわれも調査いたしておりますと、地域によって必ずしもそれが十分実効を上げてないというところも残念ながらございます。したがいまして、実は先週末に各地の通産局の担当部長を呼びまして、これについての一層の指導を要請いたしました。北海道につきましても札幌通産局から担当部長が参りまして、その趣旨を十分了解して帰りましたので、それについて指導をまた継続していくと思いますけれども、その結果も見守りながらいま先生おっしゃったように、必要があればわれわれも担当官の派遣というものを考慮してみたいと思います。
  16. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間がきましたから、部長ね、簡単に申し上げますけどね、現実にその後通産省会議をやった後で、率直に言うけど、札幌勤労者団地協議会の十六協議会が二百リッターのドラムかん一本を六千八百五十円で契約したんです。ところが日石から七千百五十円にしてもらいたいということで全部に正式に通告してきたわけですよ。それがだめなら、これはもう供給いたしませんと、こういう事実が出ているんですからね、これはどう言ったって。消費者協会ですよ、これは道庁の。知事が管理をしている道消費者協会でこのことが出ているんですよ。ただ、いま副総理から答弁していただきましたから結構であります。したがって、緊急にひとつ経企庁と通産省からそれぞれ調査員を派遣していただいて、そういう実情にマッチをしたいま指導をしないと、このままではお正月も越せないという、本当におばあちゃんなんか灯油が上がって布団かぶって寝ているというような状態なんですよ、寒さにふるえて、灯油をたかないで。こういうことが出ているんですからね。したがって、副総理調査員をひとつ派遣するということでよろしゅうございますね。——それじゃそういうことでひとつぜひお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  17. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私が長官に質問したいと思ったことは対馬委員が触れましたので、ただ一点だけお伺いしたいと思います。  それはきのう米審に諮問されました二〇%の消費者麦価引き上げという問題点ですけれども、政府諮問どおりに答申がされたということになっています。あれが二〇%引き上げられるということになりましたけれども、その諮問に先立って農林省と大蔵省は三〇%引き上げを強力に主張をした。それに対して経済企画庁消費者物価の安定という立場から一九%を強く主張されたと、こういうことが新聞紙上に載っております。この一九%を企画庁が強く主張されたという根拠をそれはやっぱり教えていただきたいというふうに思いますし、二〇%に引き上げられるということが決定された場合に本当に農林省が言うようなああいう形の消費者物価の値上げで落ちつくのかどうかという、その見通しをちょっとお伺いしたいと思います。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いきさつは粕谷さんのいまお話のとおりなんです。この問題はもう古い問題でありましてね、昨年のいまごろも激論をしておったんです。農林省、大蔵省は五十年度予算でもう引き上げを決定したいと、こういうのを私は物価の推移を見ないでこの段階で決めるのはいかぬと、こういうので、予算の中にはこれは組み入れないできたわけなんです。ところが、その後また米価の決定の審議会が開かれまして、そのとき農林省、大蔵省は麦についても引き上げを諮問をいたしたい、こういう考えを強く出してくる。それからそのときも物価の推移は非常にいまデリケートなときだから、この際はこらえてくれというので見送ってきたわけなんです。  引き上げをいたしたいという理由は二つありましてね、一つ財政上の理由です。これは大幅な逆ざやでございますので赤字要因になる、これが一つ。それからもう一つは農政上の理由であります。つまり、いま米は完全に自給をしておる。しかるに麦の方は四%しか自給をしていない。海外から九六%を求める、その麦を米に比べて割り安で売っていると、こういう状態では米作農家を非常にディスカリッジするじゃないか、この際米の需要を喚起するという農政上の配慮、その配慮のためからは小麦の売り渡し価格を引き上げるべきであるというので、諸物価鎮静傾向が出てきたこの際引き上げたいというので、今回三〇%引き上げという提案があったんですが、しかし、一挙に三〇%というのはいかがであろうかと、こういうふうに考えまして、二〇%。二〇%程度の引き上げでありますれば、これは理論的には〇・〇八の消費者物価への影響でございます。これはそう大したことはないわけなんですが、これが何と言うか波及をいたしまして、うどんもラーメンもパンも値上げだということになっちゃ困る。そこでその波及につきましては、厳重な備えをすると、ことにそういう便乗値上げというようなことになっては困るというふうに考えまして、その方法の手当てを十分にいたした上で二〇%の引き上げに踏み切ろうという決断をいたしたわけなんですが、そうした以上、その前提条件につきまして便乗を防ぐという点につきましては最善の配慮をしていきたいと、かように考えております。
  19. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最善の配慮をしていただくということはもう当然のことだというふうに思うんですけれどもね。前回の消費者米価の値上げで、一体それでは経済企画庁がいうように茶わん一杯五円ぐらいの値上げなんだから大したことはないやと、こういうふうにおっしゃっているけれども、本当にちまたの食堂なんかで具体的に一杯五円の値上げで終わったかといえばそういうふうに終わってないということは国民が一番よく知っているわけです。今回もパン一斤について大したことはないと、こういうふうに農林省の試算では言われるけれども、それは五円の値上げなんかではとてもおさまらないじゃないかというふうなことを庶民は感覚で知っているわけですよね。その辺の見通しをやっぱり企画庁はどのように考えていらっしゃるのかということが一つありますし、新聞紙上によれば農林大臣は十円以上値上げしたら便乗値上げだと、こうおっしゃいますけれども、十円以上値上げをするという、九円まではいいと言われても、九円値上げで売るというようなことはないわけですから、買わされる消費者にとってみれば十円値上げということになるわけですね。そういうようなものを厳重に調査をする、抑えるなんというようなことが本当にできるものだろうか、どうだろうか。この辺のところの御決意のほどをお伺いしたいと思いますし、特にパンの値上がりに伴って一番大きな打撃を与えられるのは学校給食がパンにほとんど決まっていますから、この問題だというふうに考えているんです。いま余り米の問題が大きくなってきたことととも絡まりあわせて、お米を給食に使うという運動が出ております。それはそれなりにまた別の場所でやりたいというふうに思うんですけれども、パンについてはやっぱりこれずっと定着をしていますから、そう簡単に変更するわけにもいかないというふうに思いますので、これ以上給食費が値上がりしてもらっちゃ困るという、こういう父母の願いに答えて、一体予算上はどのような保障措置というものがなされていくのかなんというようなことも国民にとっては非常に不安のもとになりますので、本当に消費者物価に対してこれは〇・〇八%ぐらいの影響しかないのだということを確信を持っておっしゃれるかどうかをお伺いしておきたいと思います。
  20. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) 確かに先生の御心配の点は私どもも心配している点でございます。ただ四十八年に麦を上げましたときに、私どもが考えていた以上に相当大幅な値上がりがあったということは確かでございますが、これはちょうど四十八年の十二月でございましたために、ちょうど狂乱物価のさなかでございました。したがって物皆上がる中で上がりましたために、この分が小麦を上げた分であるという分類がなかなかしづらかったというのがございますが、いずれにしてもそれを契機にして上がった事実は否定いたしません。しかし、今回になりまして、その値上がり率がどうかということを私たちもずいぶんと精査しております。まず麦を申し上げます前にお米につきましてでございますが、この前一九%値上げをお許しいただきましたが、九月以降私たちは米を一九%上げると〇・七ぐらいに出るだろうというようなことを申し上げておりました。それが十一月の東京の物価指数にちょうど〇・六八ぐらい出ております。まだこれはこれからも出るかもしれませんけれども、少なくともお米に関しましては、私どもが予想いたしました程度で推移しているということでございます。それは現在の段階が、先ほど大臣からは現在の物価の事情を御説明申し上げましたときにお話ありましたように、比較的鎮静しておりますので、需要の方が鎮静しておりますので価格を上げづらい環境にあるということが一点ございます。したがって、昭和四十八年の十二月のようなことはないのではないかということが一つございます。そのほかに、実は私どもは売り惜しみ、買い占め防止法でありますとか、あるいは生産必需物資の価格調査等を、あれを契機にいろいろやっております。たとえば食パンでありますとか、小麦粉でありますとか、干しうどん、即席ラーメン、しょうゆというようなものにつきましては、すでに県段階あるいは食糧事務所段階でいろいろ調査もいたしておりますし、ある意味では監視もしております。それで一番困りますのが、やはりそういう監視の場から逃れておりますかけうどんでありますとか、中華そばでありますとか、外食食堂の関係でございます。これは確かに麦を上げますと、なぜ、何といいますか、麦を使わないものまで上がるのかというような疑問もありますんですが、かけうどん、中華そばを契機といたしまして、親子どんぶりも上がってしまうというような感じがございます。そこのところは私たちは非常に残念に思いますけれども、今度はひとつその業界の方に協力の要請をいたしますと同時に、今度は食糧事務所を通じまして、この点についても終始監視をしていきたいというように考えております。したがいまして、外食食堂を除きますれば現在のところ大体平静に需要が推移しておりますので、それほど大きな便乗というようなことはないのではないか、もしありますればとがめ立てをしたい、こういうふうに思っております。
  21. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) ただいま物価局長からお答えがございましたが、やや補足的に私からも御説明申し上げたいと思います。  今度の麦価の改定によりまして、パン一斤これに影響をいたします価格は、これは原麦のみの影響ということで考えますと四円でございます。ただ昨日大胆が記者会見をいたしました際に、便乗値上げを厳に抑制をすると言いました際に、原麦コストの方は四円上がるわけでございますが、大体これは全体のコストの面から、パンの製造コストの面から見ると二割でございます。その二割の部分について、小麦粉、原麦が上がるものですから、それが一斤あたり四円、こういうことでございます。ところがそれ以外の八割部分につきましては、先ほど物価局長がお答え申し上げましたように、四十八年の十二月に麦の値段を上げ、それから年を越しまして一月からパンなどが、いわゆる九十円パンとかいうようなことで価格指導もやったわけでございます。したがいましてそれ以来この二年間、人件費のアップあるいは副資材の上昇、そういういわゆる原価構成の八割部分につきましては、むしろ据え置かしてきた、こういう現況でございます。したがいまして、今度四円の影響が原麦のみであるわけでございますけれども、その際にパン尾さんが値上げをしようというときに、どの程度の線で指導をするかということでございますが、大臣はそのときに、まあいろいろなそういう人件費、副資材等の値上がり等の関係もあるし、いろいろな標準的なものをはじいてみても、まあまあ十円以上というのはこれは便乗じゃないか、こういうことをおっしゃったわけでございます。私たちが今後指導いたします際は、改めてパンの大企業につきましては、事前にこちらに相談をさせまして、その上で十円以内におきまして個別に指導していきたい。大分、従来九十円パンがあるので、今度は百円パンとか、いろんなことで価格を明示して指導してもらった方がいいという御主張もあるわけでございますが、そういたしますとそれに張りつくというような問題もございますので、個別に私ども指導して適正な線の水準にいたしたい、こういうことを考えておるわけでございます。  それから、第二点の学校給食のパンの方の関係でございますが、この学校給食用のパンの原料になります小麦粉、これが今度の価格改定によってすぐ上がるのではないかという問題があるわけでございますが、農林省といたしましては、一月の二十日から麦価の方、麦の方の価格改定をやりたいと思っておりますが、これに伴います小麦粉なり、その他の麦製品、これにつきましては一カ月間は少なくとも値上げをしないようにということで指導をしたいと思っております。そういたしますと、学校給食用の小麦粉につきましても二月二十日以降ということになるわけでございますけれども、この学校給食会に対しまして供給いたします際には、今年度分を二月二十日以前に前の価格でもって売却をする、製粉会社に売却をして、それを通じて学校給食会のルートを通じて流れるようにいたしたいということで、少なくとも今年度内は学校給食用のパンにつきましては父兄負担が増高しないようにということで措置をいたしてまいりたい、かように考えております。  それからもう一つは、米の給食との関係で何か父兄負担がふえるのではないか、その面の——それはございませんですか、じゃ、以上でございます。
  22. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 時間がもうありませんから、私はこれで終わりたいというふうに思いますけれども、いま厳重に指導をする、監視をするとおっしゃっておりますけれども、それがいままで実効がなかったではないかということを私が言って、さらに強力にお願いをするというその決意のほどをお伺いしたかったわけです。たとえば、東京都の調査を見てみたら、われわれの計算したとおり、〇・六八で、まあ〇・七に近かった、こうおっしゃっておりますけれども、同じ東京都の報告によれば、親子どんぶりはもう四十一円上がっているし、カレーは三十四円上がっているという、こういう報告書もあるわけで、食べさせられる人たちは〇・何%という数字じゃないわけで、幾ら上がって自分の給料の中からどれだけ減っていったかという、こういうやっぱり問題の受け取り方をいたしますから、本当に庶民の感覚になった経済企画庁の、やっぱり政治をやっていただきたいというお願いをして終わりたいというふうに思います。
  23. 田代富士男

    田代富士男君 私は限られた時間でありますし、三十分で物価の質問ということは、往復考えたら何もできないと言っても過言じゃないと思いますが、これも経済企画庁長官が十二時四十分に帰してもらいたいということでございますが、やはりこういうときには一日がかりでもやるというくらいの気概が欲しいんです。だから、今国会が始まって始めてですよ、きょう。こういう初めての、ましていま物価の問題で中心になっているときに、私は十二時四十分までしか出席できませんから、それでお願いします、これはこの姿勢から改めなくちゃなりませんが、これだけしゃべっていたら三十分たってしまいます。(笑声)だから、そのつもりでひとつ……
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 簡潔にやります。
  25. 田代富士男

    田代富士男君 簡潔よりも、副総理物価に対する、いまも同僚の委員から言われましたとおりに、物価に対する影響というのは〇.何%だとおっしゃいますけれども、事実庶民の立場から言いますとそういう感覚じゃありません。そういう意味からきょう私は物価問題と景気の問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、物価の問題からお尋ねをいたしますけれども、経企庁長官は副総理を兼ねていらっしゃいますし、事実上三木内閣経済の総元締めでありますし、そういう意味から来年度物価上昇率をどのぐらい見ていらっしゃるのか。特に来年度物価というものは、いまもお話が出ておりますとおりに、公共料金の値上げ、輸入価格の高騰、あるいは公債発行等通貨の増発によりますこういうインフレというものが懸念されるわけなんです。これは楽観視できないと思うわけなんです。そういう意味から、まず物価の問題としてどのくらいぐらいを見ていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま田代さんから御指摘の、物価押し上げの諸要因がなければいま日本物価の前途というのは非常に明るいのです。明るいんですが、そういう因難を抱えておるものですから容易なことじゃない。しかし、とにかく物価は早く平常状態に戻さなければならぬ。そういうことを五十一年度においても最善の努力を尽してやってみたいと、こういうように考えます。五十一年三月、すなわち五十年度末一けたということを言っておりますが、まあ二%ぐらいは来年は下げたいものだなあということを考えておるところです。ただ、まだ正式の閣議においてその目標の設定ということは決められておりませんから、政府の統一見解ではございませんけれども、私としてはそのくらいは上昇率を下げたいという気持ちでおります。
  27. 田代富士男

    田代富士男君 いま話が出ておりますとおりに、物価が前年の同月比で上昇率が一けた台に落ちついているということでございますが、その一けた台に落ちついているという数字だけを見ますと、そういう数字が出てくるかわかりませんが、その背景には、経済成長率が落ちたという背景があります。それから、不況に突入したというこういう背景があるわけなんです。そういう背景の上に、まあ五十年の十一月が八・八だと、いま数字も話が出ておりますけれども、こういう立場から、来年度実質成長率が大体五%ないし六%と、こういうような見込みが立てられておりますし、三全総のいま計画の段階におきましても、大体六%前後ということが基準において三全総等もいま計画をされておる中におきまして、この来年度物価安定というものが、果たしていま副総理が言われましたとおりに見込まれるかどうか、これは来年度のことでございます。その点ひとつお願いいたします。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、田代さんから八・八という数字をお述べになりましたが、八・八ということは申し上げておらないのです。五十一年三月、つまり五十年度末ですね。これが九・九と言っておりますが、それを実現したい。それから、さらに五十一年度におきましては、それよりも二%ぐらいは下げたいものだと、いま私は考えておるということなんでありますが、まあ海外要因、それから春闘、それからさらには公共料金、こういう問題が物価政策の前に立ちふさがっておるわけであります。その中で公共料金政府政策のかじのとり方次第で決まるわけですから、これの決め方に特に注意していきたいと思っているのです。そこで、とにかく九・九%、それより大体二%ぐらい下げるには公共料金をどういうふうに扱ったらいいだろうと、こういうことであります。その他経済全体につきましては、景気上昇のための施策をとりまするけれども、いま需給が非常に緩んでおる時期でありますので、来年度いろんな施策を講じましても、企業がフル操業、つまり需給が非常に緊迫するという状況にはなりませんので、景気政策物価政策がそう相矛盾する、そういう状態には私はならぬと、こういうふうに判断しております。いずれにいたしましても、景気政策ばかりじゃないんです。インフレのない成長、こういうことなんで、物価の側面も十分にらみながら景気政策をやっていきたい、かような考え方でございます。
  29. 田代富士男

    田代富士男君 来年度のことでございますし、これはいろいろ海外の要因だとか、国内では春闘だとか、いろんな問題も絡んでくると思いますから何でございますが、今年度を例にとりますと、御承知のとおりに当初実質経済成長率を四・三と、このように目標を立てられておりまして、物価安定目標も、いまもお話が出ておりますとおりに、前年同月比で一けた台に目標を置きまして現在一けた台に落ちついている、こういうような状況でございますけれども、こういう立場から、いまいろいろ質疑がされ、本会議等でも質疑がされましたけれども、三木内閣経済政策には誤りがなかったと、こういうふうに主張されておるわけなんですが、いまも私は質問しましたが、来年度ある程度の成長率を維持した場合です。今年度は、いまは経済成長率が落ちているから保てる。それで経済政策は間違いなかったとおっしゃるけれども、来年度ある程度成長率が維持できた場合、物価が落ちつかなかった場合、これを実現しなくても、物価が安定できなかった場合に責任逃れをされるのじゃないかと思うのですけれども、ことしの場合と来年の場合は、成長率が違ってきた場合、果たして物価が安定するか。今年度は安定したと言うけれども、経済成長率が落ち、不況等に突入した、そういうために一けた台に落ちついているわけです。これまでの経済政策は失敗でなかったとおっしゃるけれども、そこらあたりは、ひとつ明確にしておいていただきたいのです。これは後々に、ことしの委員会はこれで終わりでございますが、来年の委員会にもこれは関係あることでございますから、そこらあたりをまず……。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気の側面と物価はどういう関係になるか。景気が沈滞をいたしますと卸売物価に直接つながってくると思います。この卸売物価は、ことしは不況影響を受けまして、もうほとんど横ばいという状態で推移しているのです。先月の時点で一年前に比べますと〇・八%の上昇だ、ほとんど横ばいである。これに反して消費者物価の方は八・八%の上昇、こういうことになっておりますが、これから先を考えますと、来年の一月から三月までのこの本年度の第四・四半期、この期間におきましてはかなり経済活動は活発になってくる。それにつれて若干卸売物価の上昇は私はあると思います。来年はどうかと言いますと、景気かなり上昇局面になってくる。その影響を受けまして、卸売物価、これはもうやっぱり四、五%ですか、その程度の上昇ということは、これはやむを得ないんじゃないかというふうに考えますけれども、それらを背景とし、それらを前提といたしまして消費者物価はどうなるかということも考えなきゃいけない。しかし卸売物価の上昇というのは、消費者物価にはそう大きな影響を直ちに持ってきませんが、消費者物価につきましては、そういう中でとにかく五十年度の一けた、それよりはさらに二%ぐらいは減らしていきたいなと、そういうふうに考えております。
  31. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま長官がお話しになっておりますとおりに、来年度物価安定のためには公共料金の扱い方等に対して注意を払っていきたいということがございますから、公共料金の値上げの問題についてちょっとお尋ねいたしますけれども、副総理は、新価格体系への移行が一番おくれているのは公共料金であると、こういうことをいろいろな席において御発言をなさっておりますし、そういう意味から公共料金を逐次値上げをしていく必要がある、このように御発言されておりますけれども、どのような公共料金の値上げを考え、またそれが物価へどのように影響するとお考えであるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま各省から予算の要求として出ておりますのは、国鉄、電電、それから国立大学の授業料、それから、またいすれは米麦の問題が起こってくる可能性があろうと思いますが、そういう中で一番私どもが重要視いたしておりますのは国鉄と電電でございます。これは、要求自体はかなり大幅なものである。あの要求自体をそのまま実施するというようなことになりますると、これはなかなか、先ほど申し上げましたような物価の安定ということはできませんから、そういうので物価の問題もある。それから企業は、いま不採算で非常に民間の企業が苦しんでおる。そういうようなことへの配慮、そういうものも考えなけりゃなりません。そういうようなことで、私は、主要公共料金につきまして一挙に五十一年度において抜本的な調整をするんだという考え方では、経済政策の運営としては妥当でないと思っております。少なくとも二年ぐらいにはならして、そうして、この問題を処理し、よって公共料金物価体系へそう致命的な影響がないようにというふうにいたしたい。その二年の割り方、そういうことにつきましては、これから具体的にまただんだんと詰めていきたいと、かように考えております。
  33. 田代富士男

    田代富士男君 いま、この主要な公共料金については五十一年度に全部調整するということは経済政策の運営上から好ましくない、そういう意味で二年ぐらいにならしていきたい、そういう御発言は、公共料金の値上げというものは物価への影響が大きいので五十一年あるいは五十二年に分けて値上げしたいという、こういう御意見だと私思いますが、これ、具体的に今後検討していきたいとおっしゃるけれども、もうちょっと、二年にどうし分けるのかということ——わからないわけはありませんけれども、真意と、どのように具体的にやっていくのか、そこらあたり、もうちょっと聞かしていただきたい。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国鉄にいたしましても電電公社にいたしましても、いろいろ要望としては相当大幅なものを期待をいたしておるわけなんです。その御期待に沿ってそのままということになりますと、これは非常に急激に、一挙に料金の引き上げということになる。これは物価の面からいいましても、あるいは利用者の立場からいいましても余りにも急激に過ぎるじゃないか。そういうような配慮から何とか工夫はないものか。さらばといって、国鉄当局や、あるいは電電当局の立場ということはわからないわけじゃない。これも、電電公社のごときは、あれは昭和二十八年でありましたか、そのとき以来ずうっと料金改定を行わないと、こういうことで来ておりますので、(「上がっているわよ」と呼ぶ者あり)そういうことで、料金問題もこの際、もうぽつぽつ考えなけりゃならぬと、こういう関係にあるわけです。しかし、ただいま申し上げました急激な変化、これは妥当でない、こういうふうにいま考えまして、少なくとも二年ぐらいに割って考えるということはできないかというのを私は考えているんですが、具体的にどういうふうにするかということにつきましては、これは関係各省と十分相談をします。まだ相談の段階にも入っていないんです。これからいよいよ相談だと、こういうことでありますので、私の基本的な考え方はこうだということだけを申し上げさしていただきます。
  35. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、いまの関係各省との打ち合わせば大体、副総理、いつごろのめどで、その結論が出るんですか、具体的に。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 年内には結論を出したいと、こういうふうに考えております。
  37. 田代富士男

    田代富士男君 それで公共料金の問題というものは、やはり非常に国民生活に一番身近な問題であるわけなんです。そういう意味から、この委員会では数字で問答をしておりますけれども、数字のとおりにいかないというのが実情じゃないかと思うんですね。そういう意味で、消費者物価に占める公共料金の割合というものが約二〇%ぐらい占めているんじゃないかと思うんです。きわめて大きい立場だし、その公共料金値上がりしたという、この心理的影響というものも予想以上に大きいんじゃないかと思うんですね。そういう意味から、公共料金というもの、赤字を何とかしなくちゃならぬという政府立場からとられる措置というのはわからないわけはありませんが、赤字だから受益者負担の原則がいいと、そういう立場からすべての公共料金国民負担に全面的に押しつけられるような経過をたどってきているのが事実でございます。このままいきますと際限のない値上げに通じてしまうのじゃないかと思うわけなんですが、こういう意味で毎回議論されることになりますけれども、こういう受益者負担の原則というものもわからないわけありませんけれども、これはちょっと非常に不公平な面もあるんじゃないかと思うわけなんです。これに対する副総理のお考え、それと応能負担を導入すべきだと私は主張したいのですけれども、これに対する副総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共料金の決定に当たりましては、やっぱり基本はあくまでも受益者負担ということでなければならぬと、こういうふうに考えておるんですが、しかし、公共料金でありますので国家の意思というもの、それが反映されてしかるべきである、そういうふうに思うわけであります。そういうことで、応能というか、いろいろな立場から政策的配慮ということが考えられますが、応能負担というような考え方も技術的に取り入れ得るものにつきましてはこれは取り入れてしかるべきであると、こういうふうに考えます。これから年末にかけまして逐次相談が進みまして、そして年末には最終的な決定をいたしますが、基本はどこまでも受益者負担ということでいきたいと、かように考えております。
  39. 田代富士男

    田代富士男君 次に景気の問題に移ります。時間がもうほとんど来てしまいましたけれども、まとめてちょっとお尋ねしたいのですが、副総理のお立場から年度内及び来年度経済見通し、まずこれをお願いをし、明らかにしていただきたいということございます。  それから、去る十六日に経済対策閣僚会議におきまして来年度税制問題を検討された席で、来年度税制では物価調整減税はしないと、いまも御質疑がありましたけれども、こういうようなことが決められました。現在の状態というものは個人消費の停滞にあることは間違いないわけなんです。ところが、副総理個人消費というものは停滞してないというようなことをあちらこちらの席で御発言なさっているのを私は聞いておりますけれども、このような低所得者層の消費というものは極端に落ち込んでいることは事実なんです。そういう意味で、こういうような低所得者層に対する所得税の減税実施することが景気回復の決め手になるんじゃないかと言いたいわけなんです。アメリカに先日陛下のお供をしてお行きになられたときの話をされましたけれども、アメリカにはアメリカ立場があります。アメリカには公共事業がなくなったというような御発言がありましたが、アメリカにも私の友人がおりますが、完全になくなっておりません。この論議はここではいたしませんけれども、それだから日本公共事業を先にすべきだということに対して私は異議があります。これはまた時間がありませんから省略しますけれども、私は所得税減税実施して、これが景気の決め手になるんじゃないかと、このように思う点が第二点でございます。  次に、副総理は盛んに企業の稼働率の引き上げを言っていらっしゃいますけれども、稼働率の引き上げは、公共投資も必要でありますが、この公共投資ということに対しましてはちょっと検討すべき点があると思います。まして、十二月十六日の経済対策閣僚会議の席上で、来年度予算編成のときに、来年の性格というものは公共事業重点を置いていこうというようなお話がされております。そして、景気浮揚型の予算を組もうということで検討されたそうでございますが、この公共投資というものは地域的にまた業種別に格差が出てきている、こういうような公共投資よりも所得税減税の方が効果があるんじゃないかと思うんです。公共投資でいろいろ雇用の問題等も解決できるという、いまさっきの副総理お話もありますけれども、それもそういう現象はありますけれども、格差が出てきていると思います。それよりも、全般的に低所得者層に対しまして、こういう消費を促すようなためには所得税減税実施した方が効果があるんじゃないかと思うんですが、この三点についてお伺いします。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、経済成長というか、その見通しでございますが、今年度は、これは今国会でも本会議の議場で申し上げております、二・二%成長と。これは上期が実績で若干改善、その当時より改善された影響もありまして、それを上回る結果になるだろう、こういうふうに見ております。それから来年度成長につきましてはいま議論をしている最中でございますが、五%を下るということはまあないんじゃないかと思います。それをどのくらい超えるかという線で決まっていくんじゃないか。これは私のまだ私見でございますが、そういう傾向にあるということだけをお答え申し上げます。  また、税制につきまして、個人消費が落ち込んでおるということの御指摘ですが、確かに、ことしの春ごろ見ておりました個人消費に比べますと個人消費は若干の減退です。まあ停滞と言っていいでしょう。しかし、これが非常な落ち込みであるという状態ではないんです。すでに上半期の実績が大体出てきておりますけれども、これは一四、五%ふえる。ことし二・二%成長、それを若干上回るという際の名目成長、これは九%ちょっと超える程度になろうと思うんですが、その中でとにかく国民消費が一四、五%ふえますと、そういう状態なんです。設備投資がマイナスだ、あるいは輸出が停滞だという、そういう中でプラス成長が実現されるというゆえんのものは、消費がそういうふうにかなり伸びておることと、政府のいろいろな施策のために政府需要がふえておると、この二つが支えになっておる。そう陥没的な沈滞という状態ではないんです。しかし、それはそれといたしまして、減税するということになると財源が要るんです。財源特例公債法による赤字公債発行しなきゃならぬ。特例公債発行してまで減税をするかということになると、同じ特例債を発行して仕事をするならば、これはどうしたって直接的な景気浮揚効果のある公共投資——住宅でありますとか下水道でありますとか、あるいは農山村の整備でありますとか、そういう方向に使った方が、これは本当にどなたがごらんになったって、私は、より大きい効果があるだろうこういうふうに見ておられると思いますが、所得税減税はこの際としてはちょっと考えられぬと、こういうふうに思います。  それから公共投資が地域差が出てくるじゃないかという御指摘ですが、これはそうなってはならぬと思うんです。そこで、住宅だとかそういうところの下水道だとかいう事業もやりまするけれども、同時に地方の公共事業——道路でありますとか、農山村の施設でありますとか、治山治水でありますとか、そういうものもこれは地域的均衡ということをにらみながらやっていくんでありまして、公共事業だから地域差が出てどうもぐあいが悪い、こういうふうには考えておりません。  それから稼働率の問題でありまするが、これは稼働率に着目することは、これは非常に大事なことだ、こういうふうに考えておるわけであります。稼働率は、ことしの製造業稼働率はことしの春が底でありまして、だんだん、だんだんと改善をされてきております。どうも十月、十一月とちょっと停滞を示しておりまするけれども、これも一——三月、経済活動が活況を呈するに従いまして向上いたしてまいる、五十一年度におきましては相当のところまでこれを持っていきたい、こういうふうに考えて諸施策を進めておる、こういう現状でございます。
  41. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんからまとめてお尋ねをしますが、景気回復がおくれている理由のもう一つの理由は地方財政が非常に厳しい実情にあるということが言えるんじゃないかと思うわけなんです。そこで私は、長官は副総理でもあります関係から、これは自治省の関係にもなるかと思いますが、これは地方財政という問題を解決するには大変な問題だし、副総理というお立場でございますからこの問題をどうするかというものに対しまして現在の地方財政、地方自治体の自治の確立という問題に対していろいろな意見があるわけなんです。また、それに対して端的に指摘されていることは中央集権的な行財政制度によって地方自治というものはきわめて限られた権限と、それと財政のもとで軒並みに財政難にあえいでいると、これで財政特例法等の問題もいま審議されている途中でございますけれども、これはもう実情はこういう実情じゃないかと思うんです。そういう意味でこの地方財政の危機と、それから地方自治を確立するにはどうすればよいかということでございますが、これは私の意見でございますが、中央集権的な行財政制度を改革いたしまして地方分権を強化し、そして国の出先機関の整理統合などの行政事務の再配分と超過負担の完全解消、負担事業単価の物価スライド制、実額精算制度などを採用すべきではないかと思うんです。これは自治省に関係のあることでございますが、副総理というお立場からお願いをしたいと思います。それと窮迫する地方財政に対処するためには国税の地方移譲などによりまして自主財源の拡大、地方債の発行条件の緩和、それから地方交付税率の引き上げ、これはいつも言われているとおりでございますが、それと大企業や有資産者優遇の租税特別措置の廃止と大企業の事業税強化などを図るべきじゃないかと思うわけなんです。こういうことに対しまして地方財政危機打開のために副総理の御所見をお聞きしたいと思います。  それとあわせて、時間がありませんから、アメリカの話が副総理からされましたけれども、アメリカ景気が少しずつ回復しているということもいろいろな関係方面から聞いております、読んでおりますけれども、こういう意味から輸出についての見通しはどういう見通しを持っていらっしゃるのか。  それといまさつきも話が出ましたけれども、労働省の発表では来年三月には失業者が百三十万人ぐらい出るのじゃないかと予想されている。そういう意味で十二月十六日の経済関係の閣僚会議のときにも雇用問題等も出されたということを聞いておりますけれども、企業等がこういうような失業者の推移をどのように見ていらっしゃるのか。それから企業例産というものが十一月には千三百十七件、戦後最悪の状態をつくっておりますけれども、企業倒産見通しに対してどのように思っていらっしゃるのか、これに対する対策、あわせてお願いしたいと思います。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず地方行財政の問題でありますが、これは地方問題を考える場合に中央のことを考えずに地方を考えることはできませんし、また地方のことを考えないで中央のことを考えるということもできないと思うんです。これは両々相にらんで妥当な調整をすると、こういうことであろうと思うんです。いま田代さんのお話を聞いておりますと、これはもう地方に非常に厚い考え方になるわけでございますが、あれ全部あのとおりというわけにはいかないのです。今日でも国の方じゃ二十一兆円予算でしょう。その中で地方に対する補助金が五兆五千億あるんですよ。それから交付税が四兆五千億円、それを合わせますと十兆円は地方へ行っちゃうんです。ですから差し引き中央の方は二十一兆円の予算だなんというけれども、これは十一兆なんです。地方の方はそれを受け取って二十一兆円の中身の充実した予算でございますが、そういう大局的な立場もありますので、そういう地方地方、地方ばかり偏重するわけにいきませんけれども、超過負担の問題でありますとか、いろいろ是正しなければならぬ問題が多々あると思います。こういう問題は今度の予算編成の中におきましても十分配慮してまいりたい、かように考えます。  それから、これからの輸出見通しは一体どうだと、こういうと、私は来年度の輸出というのはかなり明るい様相を呈してくるだろう、こういうふうに見ておるのです。世界の専門家が集まって来年の輸出は一体どのくらいになるだろう、こういうふうなことをいろいろ勉強しておりますが、大体世界の輸出は明るくなる、こういうので、実質四・五%くらいふえそうだというのがいま通説になってきております。そういうさなかでありますので、わが国におきましても輸出努力、これはどうしてもしなければならぬ。その努力を加えますると、かなり明るい展望が持てるのではあるまいか、そういうふうに考えております。  それから、これから本年度末に至る雇用情勢はどうかというお話でございまするが、これはいろんな見方がありますが、まあ季節的な関係もありまして、この完全失業者数字はいま百万ちょっと出ましたが、これは少しふえるのじゃないかという感じがするのです。百三十万という見解があるそうですが、そこまでは私は暗くは見ておりませんけれども、若干はふえはしないか、ちょうどそういう悪い季節に当たるわけであります。しかし全体といたしますると、だんだんと雇用状態というものは景気の上昇とともに改善をされていく、そういうことで五十一年度においては雇用の関係というものはかなりの改善をされるであろうという見解を持っております。
  43. 渡辺武

    ○渡辺武君 質問に先立ちまして委員長に一言伺いたいことがあるのです。  きょうは十二月十七日です。この国会が召集されてから九十八日目です。初めてこの物価特別委員会が開かれる。その間一回も開かれない。まさに私は異常事態だと思うのですね。私どもは山中委員も私も委員長に対して直接再三この委員会を開くように申し入れました。それがいままで達成されなかった、この事情はどういうわけなのか、これをまず御説明いただきたいと思います。
  44. 岡本悟

    委員長岡本悟君) お答えいたしますが、御承知のような国会情勢で、委員会はそれぞれ開くにいたしましてもなかなか合意が得られなかったということもございまして、もちろん私自身の怠慢もあったかと思うのでございますが、御期待に沿えませんで大変残念に思っております。今後十分注意いたします。
  45. 渡辺武

    ○渡辺武君 この間、国鉄の寝台料金等々が上がりました。私鉄運賃も上がったんです。酒、たばこも上がりましたよ。それから麦がきのう値上げが決められた、答申が出たということですね。そのほか鉄鋼、セメントその他ですね。大企業の製品がかなり上げられた。灯油も上がりました。ただの一回もこの特別委員会でこの問題について審議も行われなかった。何のために一体物価特別委員会というのは開かれるのか、私は疑問に思いますよ。この国会で物価安定を求める国民の請願が五百二十八件、これは前の通常国会よりもはるかに多いはずです。国民がどれほど特別委員会の審議に期待をかけているか明らかだと思うんですね。きょう九十八日目に開かれてみると、長官はわずかに二時間しか出られない。そしてどうですか、この席で与党の委員さんは、委員長と理事さんを除いて二人の方が出席されているだけじゃないですか。いま、御承知のような国会情勢と言われた。合意を得られなかったと言われた。どういうふうに委員長努力されて、どなたの合意を得られなかったのか、これをおっしゃっていただきたいと思う。
  46. 岡本悟

    委員長岡本悟君) その点は、ここで明らかにすることは適当でないと考えますが、いろいろ私なりに努力してみましたが、御承知のような国会情勢でありましたのでなかなか困難であったということでございます。
  47. 渡辺武

    ○渡辺武君 今後の努力に期待しまして質問に移ります。  福田長官に伺いたいんですが、この間の本会議で、私が昭和四十年に長官が戦後最初の赤字公債発行を、当時大蔵大臣をしておられて、やられましたが、その後の事態に照らしてみますと、これは非常に重大なことをやられたと、その点で長官の責任を伺ったわけです。ところが、長官から御答弁があった中で、ここに私速記録を持っております。「皆さんから、そのくらいならもう公債発行をやめたらどうかと、こういう議論さえあったんです。私はそれに対して、公債発行することはやめない、これは一度やめちゃうとまた発行することがある場合に、またうるさい議論が出てくると、」速記録にはこの下に括弧がありまして、(「うるさいとは何だ」と呼ぶ者あり)、こういうふうに括弧が入っておりました。「そこで、火種としてこれを残しておくんだということまで私は言ったんです。そういうような状態でありまして、」云々と、こう御答弁をされた。これは恐らく国会での審議のことをうるさい論議と、うるさい議論というふうに表現されたものではないかということで、私ども議院運営委員会の理事会でこのことを問題にしまして、このうるさいというところを長官の方からのお申し出でいろいろのというふうに——「さまざまの」ですか、というふうに訂正したというふうに伺いました。訂正されることは私結構だと思いますけれども、やはり私は、この長官の御答弁の第一の問題は、国会の軽視というどころか国会議員の審議に対する誹謗だとさえ思っているわけです。長官からこの点についての釈明あるいは陳謝されるなら陳謝の言葉伺いたいというふうに思います。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そもそも私は公債悪説をとらないんです。公債というものは財政運営上非常に有効な手段である。しかし、これは使い方を間違えますととんだことになりますが、これを有効に使っていく、つまり経済を安定的に成長発展させる、そういう際に財政以外の需要がどうも不足するとか過剰であるという際の調整公債手段によらなければ増税するとか減税するとか、そういうことをしなければならない。これはそう機動的にはいきません。そこで、せっかく建設公債というような制度もあるのですから、そこで公債をもって経済調整を行うと、これは非常に節度をもってやれば有効な手段じゃないか。そこで、私はいまお話しのように、そういう考え方公債発行に踏み切ったわけです。そして四十一年、四十二年には多額の公債発行した。そのとき一体どういう議論があったかというと、これは大変なことになるという議論だったんですが、私は、大変なことにならない、これは有効な効力、効果を発揮すると、こういうふうに申し上げたのですが、そのとおり、私どもが期待したまず景気、これは非常に即効的効果を発揮しまして回復をし、これはちょっと調子が高過ぎるくらいな程度まで成長軌道に乗ったわけです。しかし、その成長の中で一体経済の全体の姿はどうであるかというと、国際収支はますます健全になっていく。それから物価は、卸売物価についてはこれは横ばいである。消費者物価はどうかというと、五、六%の上昇にとどまるというこういう状態であります。それから公債自体はどうかというと、これは発行は漸減です。そしていま渡辺さんの問題とされる四十六年度に至ったわけです。四十六年度予算を、私は大蔵大臣としてこれを編成したのですが、国債の依存率はこれはもう四・何%です、五%をたしか切ったはずです。そこで、そのくらいならば来年は公債発行をやめるかという議論が出たわけです。それに対して私は、これはやめたくないんだ、公債を一度発行取りやめますと、今度はまたそのうちに公債を使わなければならぬ、そういう事態が起こる、そういう際にさまざまな議論が起こってくる。そして国民公債発行に対して不安を持つだろう。それからもう一つは、公債というものに国民がなれておりませんと何か異常な感触を与えるというようなことにもなりかねない。そこで、さまざまと言うか、むずかしいいろいろな議論が起こってきて財政運営自体にも支障を生ずるというようなことになりかねない。そこで、その火種としての公債は、これは少しばかりでもいいから残しておきたいということを申し上げたので、国会の議論がこれは何かうるさいからどうのこうのというのじゃないのです。これは国会の議論から言えば建設公債、これは発行し得るのですから、これは予算案で御審議願えばそれでいいだけの問題で、何も特例公債がそうというわけではないのです。国会軽視でないというような趣旨で言ったんでなくて、いろいろなむずかしい議論が起きてきて国民に不安を与えはしないか、そういう私の見解から、これはその公債は、発行はやめないと、こういうことを申し上げたわけでありまして、私の真意はそういうところであるということを御理解願いたいのです。
  49. 渡辺武

    ○渡辺武君 国会の審議に対してうるさい議論という表現をしたというのはどうですか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国会の審議でうるさいというのじゃないんですよ、これは。評論家だとか、一般国民とか、さあ公債が出た、それは大変だというような心配を与えちゃならぬと、こういう御趣旨で申し上げたわけであります。うるさいという言葉が国会の議論がうるさいのだという意味じゃございませんが、もしそういう受けとめ方であってはどうも遺憾であると、こういうふうに存じまして、あれはそうでないように、「さまざま」な議論というふうに訂正してあります。
  51. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうすると、国会の審議はうるさい議論だとは考えていないということですか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりに考えております。
  53. 渡辺武

    ○渡辺武君 歯切れの悪い釈明だったと思います。しかし、私は問題はこれだけにとどまらないというふうに思います。と申しますのは、いまの御答弁にもありましたけれども、公債発行をやめたらどうだと、そういう議論が出たけれども、しかしこれは火種として残しておくのだというふうに自分は主張したのだと、こういうことを言っておられる。私はこの御見解伺いまして、長官は経済閣僚の中でも特に物価問題を担当しておられて、国民の生活にとって非常に重大な職にあられるわけですが、一体、財政法第四条、これが定めているいわゆる健全財政主義、これについてどういうことを考えておられるのか。長官が公債賛美論者だということはかねがね私も知っております。知っておりますけれども、しかし財政法第四条、五条、これは守っていただかなきゃならぬと思うんです。この点について長官の御見解はどうですか。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政法第四条、第五条は、これは厳格に守っていかなきゃならぬと、そういうふうに考えております。私の公債火種論というのは、その上に立っての火極論でありまして、そのらちを越えて火種というような意味じゃございません。
  55. 渡辺武

    ○渡辺武君 四十年に長官の手で赤字公債が戦後最初に発行された。私はこれが戦後の公債発行の口火になったと思うんですね。恐らく長官もそのつもりで赤字公債発行に踏み切ったと思うんですよ。その証拠には、その翌年からこれまた戦後最初の建設公債大量発行が行われた。そうしてその後の事態はどうなったか。もう長官も御存じのように、毎年毎年建設公債の大量発行が、好景気であろうと不況であろうとお構いなしにずうっと続けられた。現在、五十年度公債が全部発行されたと仮に仮定してみると、今年度末の公債残高はすでに十五兆円になるだろうという状況です。いままでの出し方を見ておりますと、公債発行対象経費、これに対する建設公債発行の割合ですけれども、四十一年は九四・九%、ほとんど目いっぱいですよ。その後多少下がりまして四十五年には三一・四%になりましたけれども、その後はまた四十六年が七二・五%、四十七年が八七・五%、四十八、九年が若干下がって五九・二%、六八・五%になりましたが、五十年度はこれまた補正後含めて目いっぱい、こういう状況です。  まさに、こうして公債を目いっぱいに発行しながら、大企業の高度成長、これを促進するための膨張財政をずうっと組んできた。これが今日の深刻な財政破綻の一つの大きな原因になっているという点ははっきり見ていただかなきゃならぬと思うんです。特に、この財政インフレーションを一つの大きな原因として、二、三年前のあの物価狂乱と今日の不況下のインフレという、昔は経験したことのなかったような異常事態が出ている。私は、こういう事態を引き起こした原因はいろいろあると思いますけれども、しかし、四十年に長官が赤字公債発行に踏み切ってそうして戦後の大量公債発行の口火を切ったというところに一つの大きな原因があるんじゃないか。その点についての長官の責任を伺いたいと思うんです。いま、四条、五条は当然これは守っていくんだとおっしゃったけれども、四条、五条の健全財政主義が、まさに四十年の長官の赤字公債発行によってとめ金を外された。その後は全くこれはもう不健全財政ですよ。どう思われますか。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が大蔵大臣をやめましたのがあれは四十六年でしたがね、それまで、途中で幹事長もしました。幹事長として大体財政の方もその立場で関与はしておりますが、私は公債政策はうまくいったと思っているのですよ。国際収支も物価も大体安定だと、国際収支のごときは改善される、しかも私が公債発行する際に宣言したように、公債は漸減するんだ、五年後にはこれを現金償還をするんだと、そう言ったらそのとおりになっているんですよ。四十六年度時点で言うと、これは次の年度あたりはやめようとすればやめられるかと、そこまで来た。私はだから、節度ある態度をもって財政運営すれば公債というものは非常に有効な働きをすると、そういうふうに思っているんです。その間において節度は守らなけりゃならぬということにつきましては、私はもう厳格に節度を守ってきた。四十年度に最初にあの特例公債が出たわけです。あのときに、まあこれは建設費、資本支出が相当あるんだから何も特例法を出す必要はない、こういう議論が非常に有力だった。私はしかし、それはそれで一つの議論だと。しかしこれは公債を初めて戦後発行するということなんだから、これは国会の承認を得る必要があるというので、わざわざ特例法まで出したんですよ。それくらい国会を尊重し公債の扱いについては慎重に考えてきておるわけでありまして、私は、公債発行をあのとき手をつけたから私に非常な大きな責任がある、何かそういうお話でございますが、そうは考えておらぬ。責任があるとすれば、今後、公債政策を運用していく、それにもう節度を持って臨まなければならぬということにつきましては、内閣の一員といたしましてこれは重大な責任を持っている、そのことははっきり申し上げておきます。
  57. 渡辺武

    ○渡辺武君 きのう、大平大蔵大臣に大蔵委員会で同じ質問をしました。ただし、福田長官の責任という形では伺ったわけじゃない。しかし、四十年に赤字公債発行されてこれが口火となって大量の公債発行になった、そうして健全財政主義のとめ金が外された、そのことによって財政の健全性、節度、これが失われてきたんじゃないかという趣旨の質問をしました。大蔵大臣はそれを認められたですよ。まああなたは当人ですからね、そうやってがんばるんでしょうけれども、(笑声)しかし今日のこの深刻な財政破綻と不況下のインフレ、そうしてどうですか、この間私予算委員会で質問してみましたけれども、幾つかの仮定を設けてのことでありますが、このままの状態でいったら五年先、昭和五十五年度には公債残高七十兆円を超えると。そうしてその年の公債依存度は三三・七%、公債発行高は十四兆何千億円、こういう答弁がありました。とめどない財政破綻、そうして国民に対するインフレと重税、これが予想されるような事態になっているじゃないですか。この点について、やはり長官として責任のある見解を示してもらわなければいかぬ。どうですか、私どもも公債が何もかも悪いと言っているんじゃない。それは建設公債、長官のおっしゃるように、十分な節度を持ってやっていくならば多少の発行もやむを得ないと思っています。しかし赤字公債、これは絶対にやるべきでないと思っている。その点について長官が戦後その口火を切ったという点の責任は私は重大だと思う。どうでしょうか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あれは、四十年度のときは、国会に何も法律案をお顧いする必要はなかったんです。これは、補正予算をお願いしてその御承認を願いますれば建設公債発行ができたんです。しかし私は、公債発行というのは戦後初めてですからね、それは軽々にしちやいかぬと。これは当時、だから力説したんです。これは赤字公債じゃありません、歳入補てん公債です、こういうことを力説しております。しかし、手続としてはとにかく、建設公債、建設費がたくさんあるんだ、その引き当てがあるのだからこれは国会に法律案として御審議願う必要はないんだ、補正予算が通ればそれで建設公債と銘打って発行できるんだという、その有力なる説を退けまして、わざわざ私は特例公債、歳入補てん公債、その発行の手績をいたしたわけであります。それは私のとった措置というのは、これは公債発行というものは、これは厳粛に考えなければならぬ、慎重にしなければならぬ、そういう考え方のもとでやっているので、公債発行というものをそう軽々にしておるわけじゃないです。逆に、非常に重く考えておる。さらばこそ、その後の公債政策、私は節度を持って財政の運営に当たってきたと思うんです。だんだんだんだん減ってきたじゃありませんか。あれは四十一年度でありましたか、あのころは十何%の依存度ですよ。それがとにかく四・何%という依存度までなってくるという状態まで来、もう来年はやめるかということを聞かれるまでになってきたんです。そういう節度を持ってやってまいりますれば、公債というのは私は景気調整の手段として非常に有効な働きをなす、こういうふうに思うんですが、しかし、公債は両刃の効用を持っておりますから、これは、その運営に当たりましてはよほど気をつけていかなきゃならぬ。公債発行政策に慎重でなければならぬというのは、私は最もこれを真剣に考えておる、こういうふうに御理解願います。
  59. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないので次の質問に移りますが、一言だけいまの御答弁に申し上げておきますと、私はやはり、大企業本位の政治をいままでずっと続けてきた、今後も続けるだろうと思われる自民党の閣僚が、公債について節度ある態度をとらなきゃならぬと幾ら言われても、客観的な事実はそうでなかった、また今後もそうでないだろうということをはっきり申し上げておきたいと思う。  次に私は、不況対策について若干伺いたいと思うんです。この補正予算それから来年度予算がどういうものになるか、まだ確定したところはないでしょうけれども、しかし見てみますと、不況対策ということを重点にして、そして大型プロジェクトなど、公共事業費をかなり拡大するということを中心にやっておられると思うんですね。もう物価の問題については、物価鎮静化の傾向をたどっているのでもういいんだということで、いまやまさに不況対策重点というところになっているんじゃないか。この点どうでしょうか。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもの立場は両刀遣いでありまして、それで、物価が非常にむずかしい段階だというときには右のきき腕を物価の方に向けるわけでありますから、いま今日の時点物価はやや鎮静化の傾向にある、不況の方が深刻だというので、今度はきき腕の右の方でこの不況を切る。しかし、左手の方ではインフレが再燃しないような備えをする、こういう姿勢でありまして、どっちかと言えば、雇用の問題とかあるいは景気の沈滞の問題でありますとか、そういう問題を非常に心配をしておる、こういうことであります。
  61. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、それは逆だと思うですね。不況対策、これをこのきき腕で切って切り捨てると、しかし、物価の方はどうかと、もう鎮静しつつあるという口実で、先ほどもちょっと申しましたけれども、公共料金の一斉引き上げの方向でしょう。大企業の製品もどんどん上げさしている、こういう状況である。これでは不況の解決自身が非常に困難になる、こう思います。長官自身もこの国会の最初の経済演説で、いま最終需要が冷えているので、景気回復が非常に困難だと言っておる。しかし、その最終需要なるものの半分は個人消費でしょう。物価高でその個人消費が冷えている、これが景気回復を非常に困難にしている、これは長官自身もおそらく認められるだろうと思うんですね。だから、政府がすでに四次にわたって不況対策をやったのにもかかわらず、まだ効果が出ない。いま財界からは第五次不況対策をやってほしいというような声が出ているという状況じゃないですか。いま物価対策重点を置いて物価を安定させ、これをさらにできれば引き下げるということをやっていけば、個人の消費もそれだけ実質的にふえていくわけで、在庫もそれで解消していくでしょう。景気も上昇していくでしょう。まさに物価重点を置いて、その安定と引き下げのために最大の努力を払うことが、インフレ不況同時解決の道じゃないですか。最も健全な不況対策になると思いますが、その点どうですか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあこの際物価を下げると、これはまあそうすれば需要が起こってきてこれが最大景気対策だというのは、これは珍しい議論だと私は思います。これはもう私も国会でずいぶんいろんな議論を聞いておりますが、まあ渡辺さん以外の政党の人もみんな景気対策、雇用をどうするんだ、仕事をどうするんだと、こういうことを迫ってくるというような状態です。国民全体も、私は、物価のことは気をつけなければいかぬ、いかぬが、当面の火急の問題は、仕事をつくれ、雇用を充実せいと、こういうことじゃないかと思うんです。やっぱりそれはもう幾ら経済が冷え込んでも構わない、物価を安定させるんだ、そういう議論は私はいまだ国会の中で聞きません。まあ聞かないのみならず、私はいま物価の方は大体打つべき手は打ったと、これからしかし手を緩めちゃいかぬ、まだいろいろむつかしい要因もある、目は離せないが、しかしこの雇用の問題、仕事をつくる問題、これにいまウエートを移さなければならぬ、これは私は国会内の大多数の者の総意じゃないか、そういうふうに思うんです。その総意を背景とし、経済政策に取り組んでいくという考えでありまして、さあそのいま渡辺さんのおっしゃるような方向をとったら一体どうなんだろうと、景気はほっといていいんだろうか、さあ物価さえ安定すれば景気は立ち直っていくんだろうかということにつきましては、これは多大の疑問を持たざるを得ないんです。
  63. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記を起こして。
  65. 渡辺武

    ○渡辺武君 長官ね、人の言葉を極端に表現して、そしてそういう形で反論するというのはよくないことですよ。公正を欠きますわ。私は、何も景気の方はどうでもいいと言っているんじゃない。物価の安定、できればこれを引き下げるということが、これが不況克服の道になるんだと、同時解決の道になるんだということを申し上げた。  国民生活白書というのが出ておりましてね、長官も読まれたと思いますけれども、それにこういうことが書かれているんです。石油ショック以後、物価が一%上がったら消費がどのくらい下がるのかという計算をしておりますよ。時間がないから読みませんけれどもね。たとえば物価が一%上がると、肉類の場合だと二・四八八%消費が下がると。あるいは衣料の場合だと三・九二%下がる等々の計算をしている。いまこの不況下のインフレで、昔だったら物価が下がるはずのところが下がらないで上がっている。これで、国民消費が冷えている。だから、売れ行きが悪い。在庫がいっぱいだまって、そうして不況になっているでしょう。不況の克服が困難になっている。そこを解決することが不況克服の道じゃないかということ私は申し上げた。  長官自身も、ことしの経済白書の初めに、こういうことを言っているんじゃないですか。「今回の不況インフレが招いたものであり、したがって物価安定がなければ回復することができない点に留意しなければなりません。」ちょっと飛びまして「ここで安易な値上げに走っては不況からの回復はかえって遅れることになります。」と、こう言っておられる。なお、この経済白書の中には、幾つかの統計とそれに沿った議論が展開されておりますよ。あなたは、御自身が表明されたことと全く逆なことをいまやっておられる。公共料金は上げなければならぬ、大企業の製品もこれも新価格体系で上げていくんだと、これでは不況の克服をおくらせることになる。結局のところ、大企業のためにいろいろなこの施策を講じて、国民物価値上げで苦しむということになるんじゃないですか。この政策を転換することが必要だと思うが、どうですか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の方は物価景気もと、こう言うんですよ。インフレのない成長だと、こういうことであります。しかし、賃金が上がります、海外からの輸入の物資が上がりますと、そういう際でありますので、公共料金を仮に据え置きましても、物価を下げるなんというわけにはこれはとてもいかぬです。下げることができるという名案でもあればぜひ聞きたいんですが……。
  67. 渡辺武

    ○渡辺武君 ありますよ。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういう賃金は上がる、海外物価は上がる、そういう中でありまするけれども、物価の上昇をなるべく低位に押さえたいと、そして国民に不安を与えないような状態にしておきたいと。同時に景気回復して、ふところぐあいも皆さんの状態がよくなるというようにしたい、こういうふうに考えておるので、どっちか一方にもう偏って、そしてそれに全力を挙げて、他は顧みないと、こういうような考え方じゃ、これは政府経済政策の運営として正しいものとは言えない。もう景気のことは何でもいい、物価さえ下げればいいんだというんならこれはやりますよ。やりますが、それは妥当じゃないことなんです。それはできることなんですが、そんなことは妥当じゃないことなんです。妥当でないことはやらぬ、こういう考え方です。
  69. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 福田長官に対する質疑はこれで終わります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記を起こして。
  71. 渡辺武

    ○渡辺武君 運輸省の方に、私鉄運賃の問題について伺いたいと思うんですが、この間、二四・六%の値上げを認可されたわけですけれども、その後に私鉄各社の九月期決算が発表された。これを見てみますと、大体営業利益は前年同期に比べて平均で二六%上がっている、こういう状況ですね。認可の前にこれが発表されているなら、おそらくこういう認可はこれは客観的にもできなかったろうと思うんですね。ところが、認可した後でこういうことが発表された。私は時間がないから、この辺の詳しい追及はしませんけれども、一体こういう事態をごらんになって、今後の対策としてどうなさるおつもりなのか、これを伺いたい。
  72. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 運輸省は十二月五日に、私鉄運賃の認可をいたしました。私鉄各社は十一月の末に、五十年上期の決算予想を発表しております。その間、数日の余裕がございましたので、運輸省は即刻各社の決算予想を取り寄せましてチェックをいたしました。その結果、われわれの五十年度に収入、支出を予想しましたのとほぼ合致した結果を得ておりますので、われわれは厳重にチェックしております。  なお、五十年度の収支につきましは、われわれは五十一年度を平年度としまして運賃改定の計算をしておりますので、直接的な影響は運賃改定の結果にはございません。
  73. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうするとあれですか、二六%もの増益になっていると前年同期に比べて。それ承知の上で値上げを認可したんですか。赤字だ、赤字だという宣伝をやってですよ、それを一つの理由として値上げの認可をやったわけでしょう。承知の上でやったんですか、黒字だということを。どうなんですか。
  74. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 運輸省の基本的な立場といいますのは、鉄道、軌道その両部門を独立して見ておりまして、それでその鉄道、軌道の部門において収入を計算しております。そして収入、支出をその部門においてバランスをさせるということを基本原則としております。五十年上期の各社の決算予想を見てみますと、やはりその部門、鉄道、軌道の部門においての収入、支出はやはりバランスはとれておりません。ちなみにうちの方で各社から取り寄せました数字で御説明しますと、十四社合計で鉄道、軌道、その部門における収入、支出、そのアンバランスの結果は二百三十五億七千五百万円の収入不足という結果になっております。
  75. 渡辺武

    ○渡辺武君 それはおかしいよ。ぼくは鉄道部門のことを言っているんですよ。鉄道部門の営業利益が前年同期に比べて平均して二六%もふえている。それ承知の上で認可したということは大変なことですね、これは。とんでもないことですよ。これから先どうしますか。  時間がないんで、伺いますけれども、今度の値上げは、これは暫定的なものでしょう。暫定基準額だと思うけれども、これ、暫定基準額であるならば、なお引き続いて値上げを予定するということも考えられるわけですけれども、その後の値上げ、これはこうした黒字という状態に照らしてやらないと、ここが言明できますか。
  76. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 私が先ほど申し上げました数字は、収入、支出の総計のバランスでございます。支出の中には法人税、それから支払い利息、そういうものを鉄・軌道部門に割り振ったものを含めた数字でございます。繰り返すようでございますが、収入と支出のバランスがとれておりません。収入不足は十四社合計で二百三十五億七千五百万に達しております。  なお、今回の運賃改定が特定であるかどうかということに関しましては、われわれの方は暫定であるとは考えておりません。なお、今後の運賃改定につきましても、適時適切な運賃改定は行いたいと思っております。
  77. 渡辺武

    ○渡辺武君 それはまた次の機会にその点問題にしましよう。そんなばかな話ないですよ。黒字なのにもかかわらず赤字だと称して値上げを認める。とんでもない話ですわ。  それからもう一つ、私鉄が不動産その他兼業をたくさんやっていると、これが非常に問題になりました。わが党の議員が衆議院で質問しましたときに運輸大臣は、電力事業が兼業をやる場合にはこれは政府の許可を得なければならぬことになっていますが、それと同じような制度をこれを地方鉄道法の改正と関連して規制の方向考えたいということを言っておられます。これ、いつやりますか、まずそいつを伺いたい。
  78. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 兼業部門の規制に関しましては現在検討中でございます。しかし、われわれとしましては、いきなり兼業部門の規制を法的根拠に基づいて行うということは現段階では考えておりません。やはり各社の自主性を重んじて、まず自主的な努力を最初に期待したいと思っております。
  79. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうすると、法の改正は考えていないということですか。
  80. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 必要があれば考えたいと思っております。
  81. 渡辺武

    ○渡辺武君 必要があるから大臣は地方鉄道法の改正と関連して考えたいということを言っているんでしょう。
  82. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 大臣は、場合によれば地方鉄道法の改正も検討したいという発言をしていると承知しております。
  83. 渡辺武

    ○渡辺武君 それはやるんですか、やらぬのですか。
  84. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 必要があれば大臣のお言葉どおり改正を検討いたします。
  85. 渡辺武

    ○渡辺武君 必要があればって、必要があるからこそこんな大きな論議になったんでしょう。あなた方が必要があればというのはどういう条件ですか。どういう条件の場合を言うんですか。
  86. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) われわれは鉄道、軌道両部門の健全な運営を兼業部門の収益悪化によって支障を来さないようにしたいと思っております。現段階では、そのような悪影響は及んでないと判断しております。
  87. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、いつやるかわからぬということですか、それとも、法の改正を待たずして内部的な指導によってやるという意味ですか、どっちですか。
  88. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 必要があれば改正を検討いたします。
  89. 渡辺武

    ○渡辺武君 まるっきり、国民の意見も国会での議論もまるっきり考えてないじゃないですか、その答弁は。必要があるからこそ問題になるでしょう。同じ公益企業で電力会社の場合には兼業は自由にできない、私鉄の場合は野放しにされている。ここからいろんな問題が起こっている。まさに規制をすべき時に来ているじゃないですか。少なくとも法の改正を待たずに、私はすぐにでもやるべきだと思いますけれども、行政指導でこのことをやることだってできるんじゃないでしょうか。その点どうでしょう。
  90. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 私鉄各社の兼業部門につきましては、運輸省は厳重なチェックを今後も続けてまいりたいと思っております。しかし、それが直ちに法的規制を必要とするということは考えておりません。まず兼業部門のあり方につきまして十分検討を加えまして、その上、必要が生じましたと判断した場合には、地方鉄道法の改正を検討いたします。
  91. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまごろになって兼業の検討をやるなんて、ばかな話ですよ。値上げのたびにいままでだって大きな問題になっているじゃないですか。怠慢もはなはだしいですよ。  なお、この間も金利負担の割り掛けの問題などを中心にして、経理がまるっきりどんぶり勘定になっているということも大きな問題になりました。この点、少なくとも鉄道部門とこの兼業部門、これの経理の区分、この点くらいは行政指導でやるべきじゃないですか、どうですか。
  92. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 先生の御指摘どおり、運輸省としましては、鉄道、軌道両部門と兼業部門の経理明確化につきましては、即刻検討を開始しております。現在検討中なので、何とも申し上げられませんが、検討の結果はなるべく早く得たいと考えております。
  93. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問します。  利用者のサービスの問題です。身障者に対する施設だとか、あるいは車の中の冷暖房その他等々と非常に強い要請が出ておる、いわばこれを改善するということが今度の値上げの認可の一つの条件になっているというふうに考えられると思うのですけれども、これを確実に実行させるためにどういう措置を講じなさるのか、これを伺いたい。
  94. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 六カ月ごとに工事の進捗状況を各社から報告させる予定にしております。で、進捗状況は運輸省でチェックの上、必要な指導を加えていきたいと思います。  なお、報告の結果は、鉄道利用者また報道関係者には公開してまいりたいと思っております。
  95. 渡辺武

    ○渡辺武君 それをやはり乗客の要望に沿った方向でやらせるために、乗客からサービス改善についての意見を聞く恒常的な窓口のようなものを私鉄各社に設けさせるということが私は必要じゃないかと思う。同時にまた、サービス改善のための計画ですね、六カ月ごとに報告を求めるとするなら、六カ月ごとの計画、これを立てさせて、そして乗客にもこれを公表する、それについての乗客の意見も十分に反映させて、そしてその計画を実行させるという方向を検討すべきだと思いますけれども、この点どうですか。
  96. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 検討してまいりたいと思っております。
  97. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会      —————・—————