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1975-11-18 第76回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十八日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  十一月六日     辞任         補欠選任      相沢 武彦君     白木義一郎君  十一月十一日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     橋本 繁蔵君      志苫  裕君     赤桐  操君  十一月十二日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     志苫  裕君  十一月十三日     辞任         補欠選任      橋本 繁蔵君     初村滝一郎君      白木義一郎君     相沢 武彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤  隆君     理 事                 小林 国司君                 高橋雄之助君                 川村 清一君                 神沢  浄君                 原田  立君     委 員                 青井 政美君                 岩上 妙子君                 大島 友治君                久次米健太郎君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 工藤 良平君                 栗原 俊夫君                 志苫  裕君                 鶴園 哲夫君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君        発  議  者  神沢  浄君    国務大臣        農 林 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        行政管理庁行政        監察局長     鈴木  博君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        農林大臣官房長  森  整治君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       今村 宣夫君        食糧庁長官   大河原太一郎君        水産庁長官    内村 良英君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        大蔵省主税局税        制第三課長    水野  勝君        大蔵省関税局企        画課長      松尾 直良君        建設省都市局都        市計画課長    台   健君        自治省税務局固        定資産税課長   川俣 芳郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農産物価格安定法の一部を改正する法律案(神  沢浄君外三名発議) ○砂糖価格安定等に関する法律及び甘味資源特  別措置法の一部を改正する法律案神沢浄君外  三名発議) ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農産物価格安定法の一部を改正する法律案砂糖価格安定等に関する法律及び甘味資源特別措置法の一部を改正する法律案、以上両案を議題とし、発議者神沢浄君から趣旨説明を順次聴取いたします。神沢君。
  3. 神沢浄

    神沢浄君 ただいま議題となりました農産物価格安定法糖価安定法及び甘味資源特別措置法の一部改正案につきまして、提案者代表いたしましてその提案理由及び主な内容について御説明申し上げます。  御承知のように、わが国甘味資源作物であるてん菜サトウキビ、また、ブドウ糖、水あめの原料となる甘蔗バレイショでん粉につきましては、それぞれ農安法糖安法甘味資源特別措置法によって国内産甘味資源作物生産振興をうたっております。ところが、砂糖自給率は他の農畜産物と同様に低生産者価格の押しつけによって昭和三十九年度には三〇%であったものが、四十九年度では一五%を割ってしまっているような状態であります。  特に甘味資源作物の中心でありますてん菜サトウキビ最低生産者価格については、五十年産最低生産者価格の決定に見られますように、他の農畜産物価格に比しても最低で、てん菜は九・三%、サトウキビは一〇・二%で、とても再生産を償える価格とはいえません。こうしたパリティ方式に基づく最低生産者価格のため、甘味資源作物の主産地であります北海道、沖繩では年々耕作放棄が続出し、耕作面積は激減しております。しかも、それに加えて機械化集団化など生産基盤の立ちおくれ、そしてインフレ、物価高のため甘味資源作物生産農民生産意欲を失い、国内産甘味資源作物生産は危機に瀕しているといっても過言ではありません。  こうした状況にもかかわらず、政府は、さきに発表した昭和六十年までの農産物長期需給見通しの中で砂糖自給率を二八%に引き上げることを決定していますが、それがいかに実態と遊離したものであるかは申すまでもありません。  政府・当局は、口では攻めの農政食糖自給向上とうたっておりますが、その裏では新農畜産物価格体系の確立により生産農民には低生産価格を押しつけ、自給向上を放棄し、主要食糧を外国に依存する農政は全く変わっていないといっても過言ではありません。  その一番端的な例が砂糖と穀類ではないでしょうか。特に砂糖国内需要の八〇数%、数量にして昭和四十九年度で二百七十万トン以上を依存しております輸入粗糖は、四十八年十月の第四次中東戦争をきっかけとして暴騰を続け、また、最近になって低落を続けていることは御承知のとおりであります。  このため糖価安定事業団の機能は麻痺し、国内産甘味資源自給率の低下と相まって、輸入粗糖暴騰は直接消費者価格へはね返ったことは御案内のとおりであります。しかも、輸入粗糖昭和三十八年八月の自由化以来、精製糖企業間の激しい競争と大銀行、大商社資本の介入するところとなり、事実上、輸入粗糖シェア率三井系が二〇・三%、三菱系が一五・五%、日商岩井系が一二五%と大商社がほぼ独占するところとなり、食品関連産業系列化はもとより、消費者価格へも直接介入が行われていることは明らかであります。  以上申し上げました甘味資源作物輸入粗糖をめぐる状況の中で甘味資源輸入粗糖について当面次のように主要な三点にしぼり一部改正を急がなければならないところであります。  以下、この農安法糖安法及び甘味資源特別措置法の一部改正の主な内容について一括して御説明申し上げます。  第一は甘味資源作物であります甘蔗バレイショてん菜サトウキビなどは、現行法律ではパリティ方式をもって原料基準価格最低生産者価格が決定されておりますが、この原料基準価格最低生産者価格算定方式生産費所得補償方式に変えることであります。特にこの算定方式の中で強調しますところは、自家労働価格を他産業に働く労働者の同一賃金の額とするものであります。この生産費所得補償方式実施により、現行法律でうたっております再生産確保することを旨とするということが真に生かされ、生産農民生産意欲を起こし甘味資源作物生産振興に役立つものと確信いたします。  第二は、砂糖需給協議会を設け、農林大臣諮問に応じて、輸入に係る砂糖価格調整国内産糖価格支持、その他、この法律の施行に関する重要事項調査審議することであります。この協議会の設置によって現在野放しになっているわが国砂糖需給構造を正確に把握し、輸入粗糖精製国内産糖生産振興消費者価格適正化を図ることといたします。特に、この協議会には政令で定める二十五人の委員を任命しますが、その構成砂糖ブドウ糖生産事業に携わる者、及び生産消費に関する代表、販売、輸入に関する者をもって構成することにしております。  第三は、甘味資源審議会の権限と委員の強化であります。甘味資源審議会農林大臣諮問に応じて、甘味資源作物生産振興地域の指定、甘蔗バレイショ生産振興需要確保砂糖類製造施設の承認など審議、答申するとともに、特に第一に掲げました甘味資源作物最低生産者価格審議、答申しなければならないようにいたしました。また、物価、経済事情に著しい変動が生じた場合には直ちに甘味資源審議会を開き最低生産者価格を改定しなければならないようにいたしました。委員構成につきましては甘味資源生産者代表十人、国内産糖など製造事業に携わる者十人、学識経験者五人をもって充てることにしております。なお、都道府県甘味資源作物振興審議会組織、運営も前項、甘味資源審議会に準じて行うようにいたしました。  以上が、農安法糖安法及び甘味資源特別措置法の一部改正提案理由と主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
  4. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより本件の質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 きょうは青刈り問題、それから超過米の問題、時間があれば少し沖繩農業の問題についてお尋ねしようと思って通告しておきましたが、冒頭に、国土庁が十五日に発表いたしました新全総点検作業中間報告農林水産業の問題とその対策」というのが発表されておりますが、これに対する農林大臣見解伺いたいと思います。  実は、私はこれまだ詳しくは読んでおりませんが、ざっと見ただけでも、何とこうそらぞらしいといいますか、実は新全総そのもの農業を今日に持ってきた犯人じゃないかなあ、というような気持ちに打たれたんでありますが、しかし、見直しの時期に来て、まあ意気地のない農林省よりは言いたいことは言ってるという気持ちもしないわけではない。問題は、これからの問題ともなると思うんでありますが、まずこれについて農林大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  7. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私、あの国土庁中間報告農林水産業に対する中間報告、今後の対策につきまして拝見をしたわけでございますが、相当——まあ役所か違うという立場もあるでしょうが、思い切ったことが書かれておるようにも思うわけでございます。農業というものに対してこれから重点を置かなきゃならない、農林水産業というものに対して重点を置かなければならないという点を厳しく指摘をしておる。さらにまた、農用地確保造成といった面につきまして、あるいはまた中核農家の育成という面につきまして、まあわれわれも六十年計画を持っておるわけでございますが、そうした面を特に強調して、高度成長時代考え方で今後農政を行うとするならば、農業就業人口昭和七十五年には九十万人になるというふうな指摘までいたしておるわけでございまして、まあそういうふうな情勢でわれわれはもちろん、今後対処する考え方は毛頭持っておらないわけでありますし、農林省としては、国土庁もよく理解をしておられるように、六十年目標に向かってこれからの総合食糧政策を推進していく考え方を持っておるわけでありますけれど、まああの考え方十分参考にもし、またこれはある面においては農林省あるいは農政というものに対する非常に激励をも込めておるというふうに私は理解をしておるわけでございまして、そういうふうな指摘も踏まえながら今後とも、やはり国民食糧確保といった面から農林水産業非常に重要でございますので、今後とも全力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 まああらましの話ば聞きましたが、私は、国土庁立場で、あるいは新全総を所管する立場見直しをしているということにはそれなりの意味があると思うんです。が、しかしそれだからといって、いわゆる問題は新全総そのものにもあったわけでありますから、きれいな文句を並べたからといって免罪にはならない、いままでの取り組みの。同時に農林省も、農業の今日そこで指摘されているような事態まで迎えたことについて大いに責任を感じなければならぬ立場だと思うんですね。その点についてまずどのように受けとめておるか、という点と、まあ特に所得補償とか農業組織化とかそういう点でずいぶん大胆な提起があるようですが、その辺について特にまた御見解があればお伺いしておきたいと思います。
  9. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあ私はしばしば申し上げておりますように、やはり高度成長時代における農政というものは、やはり高度成長の圧力の中で行わなければならなかったという面において、農地の壊廃であるとか、労働力の流出であるとか、そういうふうな農業自体脆弱化につながるところの客観情勢が進捗したことば事実であると思います。確かに農家所得という面からいけば、それは高度成長関連をした所得面向上というのはあったわけでございますが、農業自体として見れば、高度成長時代にはやっぱり農業全体が脆弱化してきたと。ですから、この高度成長から安定成長に移っていくという時期こそまさに農政転換期であるというたてまえ、認識のもとに農政を進めていかなきゃならぬということで、私どもも研究、検討を加えまして、総合食糧政策の展開という新しい今後の長期的な視点に立った総合政策を打ち出して、これに向かって今後真剣に取り組んでいきたいという決意に燃えておるわけでございます。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 まあ、これ本題じゃありませんし、当然わが党の委員から総合食糧政策についてお尋ねがありますので、このぐらいにしておきますが、いずれにしても、まあずいぶんたくさんの問題が指摘をされていますが、突き詰めて言えば、農民いや気を起こすような環境農政からは何も生まれてこない。どんなことを書いても——ちょうどあの見直し指摘がありますが、幾ら農地つくったって、やる者いなきゃどうにもならぬじゃないかということでありまして、何を書いてもいや気を起こすような環境じゃだめだ、こう思うんであります、私は、その典型としてひとつ青刈り問題をお伺いをしようと思う。  いわゆる青刈り問題でありますが、ずいぶんと新聞等でも取り上げましたけれども、私も実はこれの一つにかかわり合いを持ったんでありますが、農民農政との乖離といいますか、心の触れ合いのなさといいますかね、こういうものをこれほど感じたことはないんでありますが、農民の心情からすれば、もう農政不在なんというものじゃなくて、農政は不要というとこですな、まさに。こういう気持ちを持ったんでありますが、そこで順次これお伺いをしていきますが、まずあれですか、たとえば新潟の魚野川東部であるとか、秋田の八郎潟を初めとして、いわゆる青刈り問題というのが起きたわけでありますが、この問題のいきさつをあらまし簡潔にただしたい。できれば、その国営あるいは補助事業合わせてどれぐらいの個所か、その面積はどれくらいになり、平均反収等を想定をすると、その収量はどれぐらいになるか、まずそれからお伺いいたします。
  11. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いま御質問のいわゆる青刈りでございますけれども、今年度私ども措置をいたしております開田抑制の方針に反しまして、水稲作付されて問題となった地区八郎潟、それから魚野川東部、それから塩沢、それから横島、津田内湖の大体五地区でございまして……
  12. 志苫裕

    志苫裕君 一番最後何と言いましたか。一番最後地区何と言いました。
  13. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 津田内湖、これは琵琶湖……。の五地区でございますが、それぞれいわゆる青刈り実施されたものでございます。なお、このほかにも二、三そういう青刈り実施されておるようなことも聞いております。  経過でございますけれども、これは米の過剰が問題となりました昭和四十四年、この昭和四十四年から米の生産調整と並行いたしまして開田抑制措置実施いたしておるわけでございまして、本来開田計画として私ども措置をしたわけでございますけれども関係者了解のもとにこれを開畑計画に変更をいたしまして事業を進めているわけでございます。先ほど指摘いたしました問題となっております地区は、いずれも私ども指導しております開田抑制措置に反しまして畑作物をつくるべき農地水稲作付されたわけでございまして、で、これの違反約束違反ですか、そういうような措置を放任をいたしますと、開田抑制措置の実効が確保されないだけでなく、大部分方々開田抑制措置に従っていただいておりますので、それとの公平を欠くようになるというふうに考えて私どもは、違反是正措置指導いたしたわけでございます。その結果、大体関係者の御了解によりまして青刈りというような措置実施されたというふうに私ども理解をいたしております。  なお現在、開田抑制指導をいたしております面積は全体で約七万ヘクタールでございます。これに関係いたします戸数は約十万戸の方々で、開田開畑として実施をするということに御了承をいただいておるわけでございますが、今回、先ほど申し上げました五地区青刈り実施いたしました面積は五百三十ヘクタールでございまして、関係された農家は大体千八百戸ということになります。  御質問でございますが、もしこの青刈りが行われないでそのまま米が収穫された場合はどうかという御質問でございますけれども、これは予想収量大体十アール当たり四百七十九という、まあ平均的な四百七十九キログラムとして計算をいたしますと、全体で約二千五百トンということになろうかと思っております。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 五百三十ヘクタール、二千五百トンということですね。  それで、まあ青刈りというからには、植えたから刈ったわけでありますが、それで事件になるわけですがね、事件になった。ただ単に稲を刈る、刈らないというよりは、農政全般に対する不信というものをいやが上にも増長したということに結果的にはなるわけでありますが、なぜ事件となったんですか。事前にはどういう措置がとられたのか、それがなぜ行われなかったのですか、そこらをお伺いしたい。
  15. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 先ほど申し上げましたように、本来開田という計画であったのを途中で開畑計画変更いたしたものですから、私どもは、それらにつきましては関係者の御了解を得ましてそういう指導をしてきたわけです。ところが、中には——先ほど申し上げましたように関係農家数は相当、十万戸を超えるような農家の大部分方々は、そういうようなお約束によりまして水稲作付しないで、ほかの作物作付するというような営農をいたしておりますけれども、ごく少数農家方々はやはり水稲をつくりたいと。特に開畑として畑になったところも、水があれば水稲作付が可能であるというところもございますから、そこで、どうしても水稲をつくりたいという方々関係者説得にもかかわらず作付をいたしました。その後、そういうことではやはり先ほど申し上げましたように、公平とかそういうことが問題があるので、土地改良区、関係市町村関係県等がいろいろ説得をいたしましたけれども、なかなか——途中で早々と青刈りといいますか、刈った農家もございますけれども、なかなか大きくなりますと刈りにくいというようなことでもって登熟の真近までごたごたをいたしまして、直近になりましてこれを踏みつぶしたり、田にすき込んだりということになりましたので、いわば新聞紙上事件というふうに報道されたというふうに理解いたしております。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 これは私、魚野川東部については後ほど実情も少し申し上げますけれども、いまの答弁ではしっくりしません。で、最初に聞くことだけ聞きますが、たんぼを、いわば開田を四十五年から生産調整趣旨に沿って畑に転換をする、俗に言う水平畑水平畑というのがこのころから出てきたのか、昔からあったのか知りませんが、通称水平畑という名の畑ですね。水平畑という名のたんぼと読みかえる人もいますけれどもね。要するに水平畑、これの発想といいますか、なぜ水平畑という名前になり、そういう工法になり、そういうものに転換をしていったのですか。
  17. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) やはりいわゆる水平畑というようなものをつくりましたのは、その地区の特性といいますか、特殊事情があってそういうような工法をとられ、そういうようなものができ上がったというふうに私ども理解いたしております。  具体的なお答えの方がいいと思いますので、魚野川東部。これはいわゆる水平畑として農地開発されたわけでございますけれども、そういうような工法がとられました理由は、やはり魚野川東部におきます造成整備上そういう工法をとらざるを得なかったということが一つございます。と申しますのは、あそこは既成の水田と新規の農用地開発というのが混在をいたしておりまして、これらを一緒に開発整備いたすためには当然これは水平農用地造成をするということになるというようなことがまずございまして、工法上やむを得ずといいますか、当然にそういう水平畑をつくらざるを得なかったということが一つございます。  それからもう一つは、やはり将来の畑作営農におきます機械作業効率化というものを考えますと、それはやはり水平農用地をつくる方が適当であるということ、これがまあ二番目の理由でございます。  それから三番目は、これはでき得ればということでございますけれども、でき得れば水平畑の方がいいというのは、やはり畑作につきまして連作の障害、これを防止するためにも、できればこれは水平畑方式の方がいいというふうに言われておりますので、水平畑という工法がとられておるわけでございますが、これはしかし、あえて水平にするためには相当なまあ事業費がかかるわけでございます。できればそういうようなことがよろしいということでこの魚野川東部につきましては水平畑工法がとられたというふうに聞いております。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 私は、水平畑という工法は、もっと積極的な意味土地利用効率を高める。たんぼにも使えるし、水を引けば畑にもなるし、一年に何べんも有効に使う。そういう積極的な意味を持っていたんじゃないですか。そういうふうに現地では説明を受けていますが、いまは何かこう受け身受け身で答えていますけれども、これは積極的な工法じゃないのですか。
  19. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 積極的な工法という御質問はどういう意味かよくわかりませんけれども、それは、この地区につきましては水もございますし、したがって、将来、米をつくろうとするならばつくれる状態にあるということは事実でございますし、現に青刈り事態が発生したように、水稲作付されたわけでございますけれども、私どもは、やはり畑として開発をするということの目的で工事を進めたわけですから、将来これが水田にも利用できるようにというような工事まですべてやったわけではございません。しかし、現状としては水稲作付できる状態にあるということは御指摘のとおりでございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 この点は後ほどにも触れますけれども指摘しておきますけれども、当時私はむしろ積極的な意味理解をしたのであって、土地利用効率を高めるために、たんぼにでも、畑にも使える。将来の米の生産措置の問題が、これはどうなるかは別として、そういうふうに考えられていたし、そのようにやっぱり農民には説明がされている。もっと言い方をかえれば、畑という名のたんぼをつくる。むしろぼくはそういう意味で積極郎という言葉を使ったんですがね。そういう説明がなされていたところにいわゆる事件となった発端があると思うんであります。が、そのことはそれといたしまして、そうすると、あれですか、開田抑制措置に反し、作付をしたから云々ということになるわけでありますが、たんぼでも畑でも何でもいいですが、作目を強制する根拠はありますか。
  21. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いわゆる強制という言葉だけでは、法律その他はございません。で、私ども魚野川東部につきまして水稲作付しないようにということをお願いしておりますのは、先ほど申し上げましたように、米の生産過剰という背景のもとに開田開畑として計画をし、御納得のもとに工事をしたわけですから、これを開田と同様な効果を生ずるようにすべての方々水稲作付したんでは、これは話が違うんじゃないか。で、現状もやはり米の過剰の傾向というのは続いているわけです。したがって、私ども法律的にどうの、こうのというわけではございませんけれども開畑計画として実施をし、そういうお約束工事を進めるんだから、特にまた最近も、米の過剰化傾向のもとにもあり、開田抑制措置を続けざるを得ない状態なのだから、これはぜひ御協力をいただきたいというふうにお願いいたしているのが現状でございます。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 土地は良好な状態にあればたんぼにもなれるし畑にも使える。これは望ましい状態だと私は思います。どの土地にどの作目を植えようが、それはいろいろとそのときのさまざまな状況を考えて農家が選択をする、あるいは国が必要があれば指導する、これ結構だと思います。そのために私は、生産調整というもののよしあしは一応こっちにおきますよ。よしあしは別にいたしまして、生産調整措置というものが米について行われていることも承知をしています。しかし、自分が持っておる耕地全体の中で、どこへ米をつくろうか、どこへ麦をつくろうか、どこに豆をつくろうか、というのは農家が一番土地条件を知っています。全体として、国が米の生産について抑制措置をとっておるということを理解をした上でも、それに協力をしようという意思表示をした上でも、選択の自由は農家にあります。この六日町についても、六日町という、これについて言えば、これは去年を例にとりますけれども、去年のいわゆる限度数量と現実に売った数字との差ですね。これを面積に換算をいたしますと二百二十ヘクタール分に相当します。ことに皆さんに青刈りをやれと言われて強制した分は約六十ヘクタールです。町村長もあるいは農家関係者農家も、国の生産調整措置というふうなものに協力をするたてまえであっても、なお、どこに何を植えるかというその選択自由を持った上でやったわけです。それを持った上でやったわけです。それがどうして一体強制をされるんですか。いまの話によると、強制の根拠はないと。強制の根拠はないと言うけれども、実際は、いろんな意味で皆さんはさまざまな力を持っていますからね。まあ言うならば、いままでおどかしつけてブルドーザー入れたんでしょうが、これ警察の方で見て、これは何か刑法に触れるんではないかと思うんでありますが。いずれにしても、私が述べたことに道理がありませんか、どうですか。
  23. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) それは先生のおっしゃること自体はそのとおりだと思います。ただその背景をお考えいただきたいと思うわけです。と申しますのは、米は生産調整といいますか、やはり作付抑制せざるを得ない事態は現在も変わっていないわけです。これは四十四年以来そういう事態が続いているわけです。そこで、そういう事態の中に農用地開発をする。その場合に、国費を投入いたしまして農用地開発した場合に、余っている米をそこでまたつくるという計画農林省が賛同いたしまして工事を進めるというわけにはまいらない。そのことは昭和四十四年以来現在もなお続いているということは御理解をいただきたいわけです。米をつくるなら——どもはやはり別途四十四年以来五年間は休耕も含めて生産調整をしてまいりましたし、来年度以降は水田の総合利用対策を打ち出さざるを得ない。そういう事態にあるわけです。そこで、新しく農用地開発する場合には、米は余っているのだからほかの必要なものをつくるというようなことでもって私ども工事を進める。これはやっぱり御理解をいただけるだろうと思うわけです。魚野川東部におきましてもこれは水稲はつくらない。もちろん一部つくります。これはもうすでに四十四年までに造成が終わったところは、これはもうひっくり返すわけにはまいりませんので、それは水稲をつくりますけれども、それ以外は、イチゴ、スイカとか野菜類その他のものをつくるという約束開畑をしまして、それぞれ配分をいたしたわけです。だから、これはやはり私どもとしまして今日の実情に即した指導をしているわけですから、関係の方々にも御理解をいただきたい、御協力をいただきたいというのが私ども考え方です。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 ぼくは、魚野川問題は私自身も幾らか関与しましたし、終わったことに余り触れないようにして、まあ前向きで話をしたいと思うんです。が、いずれにしても、若干の経緯に触れておけば、私は、事件となった背景を、いま皆おっしゃいましたけれども背景を考える。——背景を考えてくれというのならば、四十五年の開田抑制のときに一体どういう状況にあったか、ということがやっぱり農民の頭にはしみついて離れないわけです。ぼくは、善意な意味で役所も、自治体の関係者も、土地改良関係者も、農業団体も、そして農民も、四十五年当時のあの米のいわば過剰というのは緊急避難と考えて、そのように政治家の端くれまで全部そういうことを言ったわけです、緊急避難と考えて。緊急避難というのは緊急に頭を下げているということですよ。弾が通り過ぎたら頭を上げるということですわな。また将来についての米の確固たる展望を農林省自身が持ったわけじゃないんでありますが、そういう状態で、しかしこの工事を続けていきたい。一方に希望ありますね。未来永劫もう畑ですよと言ったら、あの工事あすこでとまったはずですよ。畑になれる場所じゃなかったんですから。   〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 そういう背景、そういう善意の説明ですね。こういうものが全部加わったから農民たんぼを、やっぱり依然として開田をしているんです。しかし緊急避難ということもあるから頭下げて協力する分は協力をしようということで工事は全体として進んだわけであります。したがって、個々の農家から畑にしますよ、という確認も何もとってない。そういう確認も何もとってない。まあ言うならば約束ごととして、お互いの信義の問題としてそれはずっと続けてきたわけですよ。元の大山構造改善局長が、何かこの朝日新聞によりますと、いや、あのとき畑と言うたんだ、だから、百六十何人おれはいやだと言っておりたというのは、うそばっかり言ってますよ、こりゃ。——これは別の事情でおりている。いなくなることを目の前に見たのか、好きなことを言ってますけれどもね。とにかくそういう事情があって、そして四十六年、七年とやってきた。だけれども、運がよかったのかわからないですが、その土地に、農林省が、まあモチ米ねえからモチならつくっていいだろう、ということになったわけです。水かけりゃぱっと物ができるんですから。で、モチ米つくった。モチ米もウルチも大した違いありませんわな。そりゃあんた、水かけて米植えていいわけですから、そのようなくせがついて、そっちの方に、ウルチの方にいったということになるんでしょうが、そのいきさつの上に農林省責任なしとしないんですよ。出先の指導が今日の事態を生むという責任なしとしない。このことだけは私は指摘をしておきます。が、いずれにしても、先ほどのおたくの答弁に合わせて私なりに意見を言えば、確かに米の問題がいま問題になっている。ぼくらは、食糧政策上それは間違いだと、こう言ってますけれども、一応あなたの方の説明を是としまして、しかし農家が自分の全経営面積の中で、どれにどの作目をつくる、国の指導を受け入れるという範囲の中であっても、これは選択の自由はある。  私自身何かの、昔のおかしな因縁であの土地のいわば土壌調査というのを、私は昭和二十三、四年ごろ、あの原を全部やったんですよ。実は担当者だった。だからよく知ってますよ。だから、もし米を制限をして、どこかに畑作をというのであれば、畑作をつくれるたんぼを逆に畑に回して水を張れば、それでも稲というのはそれ相応に、砂利でも何でも肥培管理がうまけりゃできますからね。そういうところには、たんぼをつくるという、米をつくるという、水稲をつくるという農家の知恵があったっていいじゃないですか。それをマクロの意味——皆さんの方は何で規制を加えるかと言えば、全体の限度数量なり基準買い入れ数量で卑劣にやっている。その範囲内の措置であっても、なお皆さんが拘束を加えるということは、また、そこまでいくと完全に机上のプランで融通がきかない。まさに農民農業政策なり国策を手伝おうなんていう気持ちを抹殺してしまうやり方になると思うんだな。こういう点では、これは次年度に向かって、全体の総枠は総枠でとりきめたためにしても、その内側の措置農民なり地域の状況に応じて、自発性にまかせなさい。その点はどうですか。
  25. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いまちょっとお話よくわからない点があるんですけれども、魚野川地区には当然水田として開発されるところと——これはまあ認めているところ。それからまあ開田抑制措置によって、これは替え畑であるというようなところがございます。で、先生おっしゃるのは、魚野川東部について水田として水稲作付がよろしいという約束のところ。これはある人がやめたら、ほかのところでつくってよろしいという、トータルで水稲の量が同じならばいいんではないか、という御指摘でございましょうか。  私とももそれは——じゃお答えいたしますけれども魚野川東部については確かに水稲作付がよろしいという面積がございます。トータルでそれが維持されるということであるならば、それは望ましい姿であろうと思いますけれども、そのためには関係農民がすべて合意をいたしまして、私は何ヘクタール、私は何ヘクタールと、トータルが、先ほど申し上げましたその限度の開田面積に合うという合意がまずなされまして、それが確実に行われるということでなければならないわけです。と申しますのは、やはり農用地開発早々でございますので、何と申しましても、米をつくった方が所得が大きいということ、これはもう事実でございます。したがって、米をだれでもよけいつくりたいということになりますから、これは完全な合意がなければ、だれが違反したのかわからないということでは、始末がつかないわけでございます。したがって、私どもは、もしそういうような御提案があり、各人が合議の上、それぞれ、一人一人はっきり確定いたしまして、で、トータルが動かないというようなことになれば、それはまあそういうようなことでもって御相談に応ずることはできると思います。もう要は、開発早々の畑というものは、やはり数年間は収量が落ちますし、いろいろ問題があることは十分承知いたしておりますので、そういう背景のもとに、関係の方々が御協力いただいて合意を築き上げたらということを私どもは願っているわけでございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 私が指摘をしているのは、この土地には米をつくっちゃいけない、この土地には豆をつくっちゃいけないという、そこまで農林省が指示すべきあるいは拘束をすべき性格のものじゃない。百歩譲って、拘束があるとすれば、この地区単位なりあるいは県単位なりあるいは日本全体の米の全体量の問題として皆さんおやりになっているわけですからね、   〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 その範囲内というのは、これはもう最大百歩譲っての話ですよ。これはやっぱり地域なり農民なり、そういうものの総意というふうなものに任せるべきであるということを指摘をしているわけです。  で、話は飛びますけれども、私は、この土地について言えば、あなたはもうさっきからとにかく、二百幾らヘクタールというようなものは、とにかくおれのところじゃ畑としてつくったんだから、米を植えてもらっちゃ困るという一点張りですけれどもね。それはたとえば、十一月十五日のこれは地元の新聞ですけれどもね。たとえばここにこういう記事がありますね。「水平畑二百六ヘクタールに今年、稲が作付けられた。農林省としては、このうち半分ほどは現状のままでも畑作物は可能と判断。」残りの半分はちょっと手当をすることにしたというようなことを言っておりますな。この記事が皆さんの方からもし出たものだとすれば、農林省自身が半分はたんぼだめだというところ、畑だめだというところなんですよ。何年か前に、大事な国のおあしをかけて農地をつくって、畑作はつくれず、米はつくるなというからほったらかしておきます。あんなところは一年おいたらもう草ぼうぼうで、どういう方法をするかというと、物は植えないけれども、一遍水を張りましてそれで耕して——草絶やしのためにそれをやるわけですよ。そして土地の管理をしなければどうにもならない。農林省自身が、半分はこれはもう畑作はだめだからしようがない、来年まで何とかしようか、というふうな、そういう状況であったことをもしお認めになるのであれば、これはいかにも、あの何かブルドーザーというようなのはむちゃくちゃな話だと思いませんか。大臣どうですか、これ。
  27. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) ちょっといまの点は、現状から御説明いたさないと御理解いただけないと思いますけれども。この地区につきましては、本来、私ども計画では、イチゴとか、スイカとか、キュウリとか、たばことかいうようなものを作付していただくということで指導してまいりましたけれども、五十年度におきまして、現に農民は何を植えつけたかと申しますと、まず水稲が二百六ヘクタール、これが青刈りの対象になったわけでございます。それ以外で大きいのは野菜とか、ウリ類、それから桑、牧草等を植えつけております。問題は、それ以外に何も値えつけてないのが六十二ヘクタールございます。これはもちろん、農家方々土地条件が非常に悪くて、何も植えつけられなかったんだということを主張になります。そういうような客観情勢があったのかもしれません。しかし、ほかの方々はいろいろな作付をいたしておりますから、必ずしもそのとおりであるかどうかは問題でございますけれども、やはり来年以降円滑な営農ができるようにいたしたいということから、現在、県と地元といろいろ相談をいたしまして、いま先生からお話がありましたとおり、私どもも必要なところにつきましては、耕土の補給とか土壌の改良とか、それから石礫、石の除去、排水改良等の改良工事、最小限の改良工事はいたしたい。そうすることによって来年度以降円滑な畑作営農ができるようにしたいというつもりで、そういうことを現在準備いたしておる。それが基準になったんだというように思っております。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 私、こればっかりやっておるわけにいかぬので、これはいずれこれからずっと論議を重ねていく問題でしょうから執念深く、委員会開かれるごとにやりたいつもりでいますが、ただ私が申し上げておきたいのは、まあ何か少し耕土を入れてよくするというお話のようですが、畑だけでいえば、かえって焼き畑の方がいいんですね。本当に畑だけのことを言うのであれば。まあ御丁寧にブルでも入れて床締めしますわな、事実上の床締めになりますよね。すると、もう畑だめなんですよ、下が盤になっていましてね、雨が降ればたんぼですよ。だから、あそこへ行って畑と称する試験田の、農協が、土地改良かを無理してやっているのをごらんなさい。畑の方は、国がつくった畑の方はばかに一メートルも高いような畝をつくって、豪気な畑になっていますよ。事実上はもう畑にならない場所なんですね。これは魚野川東部に限らず、やっぱり農業というのは土地に立脚をするものでありますからね。ただ、土地条件とか、農民の創意工夫とか、そういうものは最大限生かした上で、国全体の食糧事情なり食糧計画との調和を図るというやり方をしませんと、これは何か大臣、先ほど総合食糧計画で何かこれからあんじょううまいことを考えると言っていますけれども農民のそういうお互いの創意工夫、相互信頼がなくて何ができますか、これは。この点だけは強く指摘をしておきまして、来年に向かって画一的なことは考えないということをこの際は指摘をしておくにとどめたいと思います。  で、次に、そうやって青刈りまでして、お上の言うことを聞いて米作ったら天気が少しよかったんででき過ぎた。今度は買わないんだと言うんだね。その話を少しこれからやろうと思うのであります。  まず五十年産米のちょっとその種の見直しを概略話してくれますか。
  29. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御案内のとおり、統計情報部の公式の米の作況報告が前二回ございまして、八月十五日、十月十五日でございましたが、十月十五日現在の発表では千三百十万という数字になっております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 いやいや千三百十万トンはいいんですが、その他の総需要量、予定とか基準申し込み数量とか一連の差し引き勘定、損益計算書をちょっと私聞いているんです。
  31. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話でございますが、五十年度の全体需給は先生御案内のように千三百三十五万トンという計画を持っておったわけでございますが、需要量は千二百万トン、総消費量が千二百万トンということになっております。したがって単年度需給といたしましては百三十五万トンということに相なっておりますが、これに対する政府の、何と申しますか政府なり自主流通なりその他あるいは農家消費という関係を申し上げますと、需要量は千二百万トンでございまして、千二百三十五万トンの計画生産量に対して百三十万トンございますが、予約限度、政府及び自主流通米と農家消費が三百五十万トン。それから残りの八百五十万トンを自主流通及び政府買い入れ——政府操作及び自主流通といたしますと差し引き三十五万トンの差ができますが、これは最近の食糧需給その他から見まして在庫調整として在庫積み増しをいたしたいと。すなわち五十一米穀年度末でございます明年の十月末には、本年の十月末——五十米穀年度末か百十三万トンの在庫でございますが、さらに三十五万トン積み増しまして百五十万トンにいたしたいということで五十年度の単年度の米穀の全体需給を組んでおるわけでございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、まあ私の方から言いましょう。当初の計画よりも、当初生産予定の千二百三十五万トン、千三百三十五が取れそうだから百万トンを調整にかけて千二百三十五万トン取りたい、こう思っていたら、千三百十万トン取れそうだということのようですね。そうしますと、めんどうな操作もいろいろあるようですが、差し引き余りが出ますね。大臣、これはどうされますか。
  33. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ですから、これは中間的な作況報告ですが、いまのところは、いま食糧庁長官が申し上げましたように千三百十万トンということになりますと、目標の千二百三十五万トン差し引きしますと七十五万トン、その中でいわゆる超過米といったもの、行政ルート、行政べースに乗った過剰米というのを七十五万トンのうちの五十万トン。計算上はそういうふうになるのじゃないかと、こういうふうに判断をしております。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 何だかんだで五十万トンになるというお話、それもよくわからぬですけれども、その五十万トンはどうされるんですか。
  35. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まだ、これは五十万トンは、ただいま計算上のこれを申し上げた、それも計算というのもいまの十月の作況指数に基づいた見通し、このままの状態で推移すれば、ということの見通しの上に立って言ったわけでありますが、まあ毎年毎年十一月のいまごろでも最終的な結果は出ない。去年も大体いまごろは相当余るだろうということを言われておりました。一昨年の四十八年度も大体二、三十万トン余るというふうなことが予想されたわけですが、一昨年はそれは最終的には七万トン、昨年は県間調整でこれを処理したわけでございます。したがって、現在も中間的なそういう見通しとしては五十万トン出るかもしれないということでありますが、今後、収穫が決定をいたしまして県間調整を進めていくわけでございますし、さらに自主流通のルートに乗せてその他を処理をしていくという基本方針で進むわけでございますが、現在のところはまだ、五十万トンというのは確定はしておらないわけであります。ですから、その対策についてはこれはおととしもやってまいりました、去年もやってまいりました行政措置を繰り返して、これの上に立って措置を進めるとしか言いようがないわけであります。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 いまのお話を聞いていると、十月三十一日作況指数一〇六、単純にいくと七十五万トンというはみ出しが出ますが、よく説明わからぬですが、いろいろ何だかんだやっていると五十万トンぐらいだと。何だかんだどこかに二十五万トンいっちゃったんですよ、後で言いますが。それを県間調整というところへ譲っていると、また追っついてきて減るような工作をしていますけれどもね。ちょっともう一遍そこのところを、何で七十五が五十にいってゆすっていると減っていくのか、ちょっとそれを説明してください。
  37. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これは計算上、七十五万トンということを大臣が申し上げているわけです。というのは、毎年十月十五日現在の作況が出ますと、予想収穫高が出る。それと計画生産量が、年度当初に考えた計画生産量の差が七十五万トンであるということで、さてしからば、実際のいわゆる超過米の数量はいかにと申しますと、これは大臣が申し上げましたように、過去の実例で、たとえばお話が出ました四十八年度におきましては、最終の数量、実収量計画生産量の差が四十万トンあったわけでございまして、ただいまのお話のでんで言えば七十五万。実際の計算としてはパラレルな数字ですが、県間調整その他を行ったり、実際の出回りを見ましたら、最終的にはいわゆる超過米として行政で取り扱ったものが七万トンあったということでございまして、その四十ないし五十というようなことも言われておりますが、これはくどくどしく申し上げませんが、昨年の出回り量とことしの予約限度数量ふえております、それとのゆとりと昨年の実収量とことしの推定実収量、千三百十万トンですが、その差を差し引きますと、たしか五十四、五万、五十七ぐらいになりますか。そういうことでまた五十ぐらいではないかということも言われておりますし、また実務家の集荷団体その他、あるいは県庁その他われわれには的確な数字の把握に全力を挙げておるわけでございますが、それらの方々のいわば気配と申しますか、見込みの数字がいろいろある。それで五十という数字、四十ないし五十というような数字もあるということを申し上げまして、大臣が先ほどおっしゃいましたように、現時点ではやはり確定した数字ということについては、これはなかなか申し上げにくい。事実が出ておってそれをという意味じゃなくて、責任持った数字としては申し上げにくいということでございますので、御了承願いたいと思います。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、私、もう時間も迫ってくるからずばりと聞きますけれども、いろいろあっちこねたりこっちこねたりしてたら、おととしみたいに七万トンぐらいにおさまるとか、あるいはもっと揺すっていたら、とんとんになるとかいう状況でないことは確かでしょう。そうしますと、十二月の九日とか十日とか言ってますが、数字を見た上でなければ方針が決められないという根拠は何です。数字は、余ることはわかっているじゃないですか。五十になるのか、四十五になるのか、五十五になるのか、あるいは三十になるのか知りません。しかし、五とか八とか十でないことは確かです。とすれば、数十万トンの米が出てくるということだけはもうこの時点ではっきりしているわけですから、その方針が決まらないためにさまざまな影響が出ているということは、私は一々指摘すればもう切りがないのですが、そのことを考慮に入れれば行き着く先はわかっているわけですから、方針がなぜ一日も早い時期に出ないのか、ここのところを聞いている。
  39. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに一昨年とか昨年の状況とは違うと思います。ことしは五万トンとか七万トンとか十万トンというふうな状況ではないだろうというふうに私も判断をしております。そういう判断の上に立って、いろいろといま検討いたしておるわけですが、基本的には、これは何回も繰り返しておりますが、県間調整をして、なおかつそれによって余るわけでありますから、その余ったお米は、これは自主流通ルートに乗せて処理をしていくというのが従来から変わらない政府の方針でございますし、今回の場合もこの自主流通に乗せて処理をしたいというふうに基本的に考えておるわけであります。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 県間調整をして、そして残った量を自主流通ルートに乗せる。ちょっと聞きますけれどもね、県間調整、県間調整と、県間調整をして自主流通ルートに乗せる、それで方針はぱっと決まっているようなものですね。しかし、いろいろと数字の調査をしていますが、数字が決まらないと予算要求でもできないからですか。ぱっと聞きます。さっと答えてください。
  41. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  数字も非常に大きい問題でございます。自主流通ルートに乗せて処理し得る数量であるかどうかという的確な見通し、それから、先生の方がお詳しいのですが、産地なり銘柄によってこれは自主流通で消化できるような超過米がどのくらいあるかというような、そういうような本来の自主流通ルートで消化し得る条件の問題、これらもまだ最終的確な数字がつかめないということでございますが、それから所要の財政とか、これ、もし自主流通ルートでする場合にこの助成問題もいろいろ御議論があるようでございますが、これも大事な問題ですが、むしろ実態の把握ということを早急にした上で的確な方針を出すべきであるというように思っております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとしつこく聞きますが、自主流通ルートなぜ決まっているのかというと、自主流通ルートで処理できる量であるかどうかがやっぱり問題になるし、余っておる米と称する物が、銘柄米が残っているものやら、わけのわからないような物が残っているものやら、それによって大分変わってくるということのいまお話ありましたか、これはその状況によっては——一番悪い条件で考えましょう。自主流通ルートに乗り得ない量で、自主流通ルートに乗り得ない銘柄の米だったらどうしますか。
  43. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これは、先生からおしかり受けるかと思いますが、仮定の想定した問題ですが、量はもちろん、いま繰り返すようですが、産地とか銘柄、いい銘柄のものと雑銘柄のものといろいろございます。それらについて、またもう一つには、自主流通ルートの消化の難易による従来行ってきた助成でございます。こういうものをどの程度手厚くするかということとも関連するわけでございますし、まあ何と申しますか、やはり自主流通米という正規のお米自体について、生産者メリットに差があるように、産地と銘柄によりまして、それぞれその実力に応じた米の需給条件によって消化されていくというのがわれわれの考えでございまして、まだどの程度のものが消化し切れないからどうだというようなお話については、冒頭大臣も申し上げましたように的確な数量を把握して、いろいろなケースは考えられるだろうが、それぞれに応じた研究をしていかなくてはならないという立場がわれわれの立場でございます。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ助成の内容も量によっても検討されるだろうし、という話ですが、いろいろ言っていますが、何だかんだと言っても、最終的には政府がめんどう見なければならぬので、とにかく細かい数字をつかまぬことには、という意味ですか、気持としては、大臣。
  45. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) なかなか、いつもさっと答えろということですが、非常にむずかしい問題でして、慎重に御答弁申し上げなければならないわけですが、いろいろケースは考えられると思うわけです。それで、いま食糧庁長官が申し上げましたように、完全にはっきりしないと、その対策も的確に進められないという面もあるわけですし、私はいろいろと聞いてみますと、たとえば県間調整を行う場合に、県の報告というものが一つの中心になるわけですがなかなか、県もどれだけ余ったとか、あるいはどれだけ足らないというふうなことを最後最後まで言ってこない。こういう面もあるわけで、そういう面で県間調整も今日に至るまでもちろん進まないわけでございますし、自主流通でどうしてはけるか、はけないかということもその県間調整を見なきゃ出てこない。さらに、銘柄米等の問題もあるわけでありますので、まあここで具体的には明瞭に申し上げるわけにはいきませんけれども、私はやはり基本的には四十八年のとき七万トン出た。したがって、その七万トンに対しては、たとえば金倉等の補助をしておるわけです。あるいは、助成等もやっておる。この線はもちろん大前提としてこれを崩すわけにいきませんし、大前提としなければならぬと思うわけでございますし、さらにいろいろの場合が想像されるわけですが、最終的には農家の皆様に御迷惑のかからないような方向で、最終的にはひとつ処理をしたいものだと、これはなかなか財政当局との問題もあるわけですが、そういうふうな基本的な考え方で取り組んでいきたいとこういうふうに考えております。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 ちっとずつ前に出てきましたですね。そこであれですか、最終的には農家の迷惑のかからない方法を考えたいということですが、ちょっと私もこの辺になると素人なんで、本当に素人っぽい質問ですが、自主流通のルートに乗せるというお話ですね、幾分か。これは自主流通ルートに乗せるというのは自主流通米ではないんですね。自主流通計画を別に変えるわけでもないんですね。そうすると、自主流通のルートに乗せているということは具体的には……。ちょっと買うときから売るときまで、さっと説明してくれませんか。
  47. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御質問のさっということで誤解があるとあれでございますが、要するに、先生御案内のように、予約限度があって、それは農家からの買い入れ基準数量として決まっております。買い入れ基準数量は、政府売りと、自主流通本来の、指定法人の全農等が立てる自主流通計画に従って末端の農協が集める自主流通米でございます。これは、それぞれ配給計画に従って卸売業者に、その農林大臣の承認のもとに動いていくわけですが、この買い入れ基準数量を超えるものが超過米。これが末端で出てきた場合には、この検査はそれなりの検査をやる。で、検査をやりますと、食管法の九条に基づく施行令の五条の五と、あるいは買い受けの方の六条で流通規制がございます。これは流通秩序維持のためにございます。したがって、それはその指定法人のルートを通って売らなければならないという制度になっております。それが卸売業者に売られる。これは、配給計画としてやはり食管法八条ノ二に基づく配給計画に関する、それの運用によりまして配給計画にはっきり入るということでございます。だから政府全体として——これはよけいなことですが、その全体の配給は、政府売りはもちろんですが、本来の自主流通米、それと自主流通ルートに乗った米の超過米、この全体を見て操作をいたすという関係になっております。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、この超過米というのは、いまもお話にありましたように、食管法の第九条ですね。九条を受けた例の五条の五、それを受けたあれは告示ですか、告示の五の二の五ですか、及び六というところに——これを流通規制と読むのか、勝手に売れというふうに読むのかはあれですが、でありますから、一応管理されているわけですね。管理されているから勝手に始末ができないということだけはわかりましたが、そうしますと、配給計画には、従来政府が買った米、それから自主流通のルートに乗っている米がありますね。ある時期に、ある場所ではこれを何トン出せ、これを何キロ出せ、こうしますね。と同時に、もう一つ、第三の米ですね、農林大臣の指定する米。これも何キロ出せというふうに、司令部はこの三つの種類の米にそれぞれ配給のオーダーを切るんですか。
  49. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話しのとおり、毎月配給計画を立てることになっておりますが、その場合に、先生の言われる第三の米、これは、超過米については、集荷の指定法人から何ぼ集荷して卸売業者に対して何ぼ渡した、それから何ぼ渡す予定だ。それから卸売業者の方は、指定法人、そして第三の米を何ぼ受けて、配給に回したいということがあるわけでございます。で、その報告をとりまして、それから本来の自主流通米の計画がありますので、それと見まして、さらに政府の売却米、この三つをあれをして所要の配給量を月々調整していくということに相なっておるわけでございます。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 素人っぽい質問かもしれませんが、政府米を第一としましょう、自主流通米第二、それからこの出てきたやつ第三ですね。一と二と三の総量は決まっているんです、総量全体として。残念ながら日本人は食ってくれないですから残るわけですね。一プラス二プラス三の総量は余る。そうすると、どういうオーダーを切るかもしれません、どういう指令を出すかもしれませんが、一、二、三、全部これは政府が管理されたルートに乗っているわけですから、一が余るか、二が余るか、三が余るかの違いだけですね。帳じりはどっかにいって余りますね。余った分の処理は政府がおやりになるのですね。
  51. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 段々の御質問でございまして、御質問からも明らかなように、全体の配給計画、これは自主流通米なり、あるいは超過米が配給ルート、自主流通ルートに乗り、さらに配給計画に組み入れられる場合にはそれも組み入れられます。したがって、月々の需要量は一定でございますから、政府の売却操作等によってこれを行わざるを得ないということに相なりまして、実は、これは先走った話でございますが、今後、自主流通ルートによる第三の超過米の集荷と、それから最終の販売というような場合におきましても、全体の配給計画の操作ということが一つの課題になるというふうに思っております。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、その三つの種類があっても、最終的には政府の配給計画に乗ってる米ですから、それは政府が処理しなけりゃならぬ。一番最後に残るとどうなるかというと、余ったのは貯蓄しておく。備蓄になるわけでしょうな、きっと。まあ言うなら古米として残るわけです。どっちみちそうなることはわかっているのです。いまあなた、十二月まで待たぬと最終の数字がわからぬと言っていますが、そのときでもいいです。最終的には余る数がわかる。そんならよけいな操作、手数をかけないで、最後政府がめんどう見るのですから、最初から政府がめんどう見たらどうですか。よけいな手数をかけぬでもよろしい。
  53. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それは、まあ最終的にはおっしゃることはわかりますよ。確かに余るわけですから、これは備蓄で在庫積み増しかなんかしなけりゃならぬわけになるわけですね、それは胃袋決まってるわけですから。そういうことが言えるわけですが、しかし、予約限度数量というのを政府が決めまして、これはもう食管法に基づいて予約限度数量によって農家から買い入れておるわけでありますから、そういうたてまえがある以上は、これで超過米が出たというその超過米については、これはやっぱりわれわれとしては、県間調整で処理できなかったら自主流通ルートに乗せて処理していくというのが当然のたてまえであると。私はそういうふうに、たてまえからいけばそうだと思うわけですね。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、細かく聞きますが、ぼくはそれは反対ですけども、一応それに乗って質問しますと、自主流通に乗せる——先ども出ましたけれども、これは銘柄の米でないと自主流通に乗りませんね。自主流通枠に入ろうと、自主流通に乗せようとしても、銘柄米でなければだめですね。これはもうはっきりしているでしょう。あなた、悪い米が政府のものよりもちっとでも高く売れるわけがないのですから。そうしますと、余り米の、これは調べてみぬとわからぬことですが、銘柄米でない、いわゆる自主流通のルートに乗り得ない非銘柄米というようなものも相当あると見ていいと思うのですね、わからぬですけれども。これはそうすると、最初から政府めんどう見ますか。
  55. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 食糧庁長官から具体的にはお答えいたしますけれど、そういう超過米についても、たとえば新潟県のお米みたいな非常ないい銘柄米なんていうようなものは、これは自主流通のルートに乗せやすいことは事実だろうと思うわけですね。そういうふうな米とそうでない米があるわけでございまして、その辺についてはまだ的確にはわかってないのじゃないかというふうに聞いてもおるわけです。長官から……。
  56. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、大臣のお答えに尽きるわけでございまして、現在のいわゆる超過米というものがどんな銘柄になるのか、先生おっしゃるように全く雑銘柄と言われているようなものだけになるのか、地域によっては相当売れる米が、いわゆる自主流通に乗れる米が出るか、その数量はどうかというようなことをむしろ的確に判断して、今後の自主流通ルートに乗せる場合にも、その助成の厚さとかその他を考えなければならないということを申し上げておるわけでございますが、なお、ちなみに、非銘柄米でも早場だとかその他によりましては、正規の自主流通ルート米になっておる米も若干はございます。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 ところで私は、先ほどちょっと大臣が……。長官が触れた例の五条の五、大臣が決める米というものを告示の方ではずいぶん拡大しましたね。大臣が指定さえすればどんな使い方をしてもいいような、法律というのは、一つ法律が、時が変わると、ずいぶんとよけいな尾ひれを役人の世界ではくっつけるものだなと思うのですけれども、これはあれですか、いまの農協——現実の話ですよ。農協がどんな資格を持っているか知りませんが、農協が俗にいう余り米というのを集めまして、それで、全農のベースでいきますと、銘柄で一万二千円、それから非銘柄で、準銘柄というんですな、で一万一千円、それに地域によっては上積みしていますわな、新潟なんかは千三百五十円ぐらい渡しておるようですが、あの行為というのは食管法上のどの行為ですか。
  58. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、超過米につきましては食管法上の、くどいようでございますが、先生のお話にございました五条の五とかあるいは農林大臣の指定とかということで一応ルールができておりますが、農協といたしましては買い入れ基準数量内の米は、くどいようですが、政府売りあるいは自主流通として仕分ける、さらに超過しそうなものについては自主流通ルートという正規の道が残っております、超過米に。いま申し上げた制度上の。したがいまして、全量集荷、やみその他に流れないように全量集荷をいたしまして、まず農協でこれを抱いておく、そして自主流通ルートに乗せたいと。その場合に、売れた後、政府米であれば即刻代金が入るからなかなかあれだが、したがって第三の道を選ぶ場合においても、農家の便宜を考えまして仮渡しを、いま先生お話しのように、銘柄米であれば一般的には一万二千円、非銘柄であれば一万一千円というような仮渡しをしておきまして、食管法上許された自主流通ルートへの販売をいたそうということに相なっておるわけでございます。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 まあ売っちゃならぬ、買っちゃならぬ、売り買いにはこのルートに乗りなさい、ということはいろいろと法なり令なり規則で書いてありますね。売っちゃならぬ、買っちゃならぬというのに、余り米のやつは例の五条の五があって告示にですね、ありますね。それからお金を支払うのはいわゆる予約代金、概算払いそれぞれお金を支払う規定がありますね。そうすると、農協がいま農家から集めているのは買ったんじゃないですね。それからお金をとりあえず払っておるのは、概算払いでもなければ何でもないですね。あれは食管法上どういう行為ですかと聞いているんです。
  60. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生、本来の自主流通米のケースをお考えになっていただければおわかり願えるんじゃないかと思うわけです。本来の自主流通米は食管法上定められた所定の手続に従って指定法人である全農が集荷計画を立てて県段階あるいは末端の指定集荷業者である農協というものが集荷をいたすと。その場合には、やはりこれは政府の直接の管理する米でございませんので、食管法上の所定の手続に従いまして、まあ指定法人から最初は卸売業者に販売されるわけですが、その場合の代金も実は仮渡しとして農家には——本当ならば委託行為でございますから、生産者は指定集荷業者に委託してこれを県連に再委託という段階の委託でいくわけですから、最終売れた結果を見て——自主流通米はこれは政府の買い入れ価格みたいに一本で決まってない。したがって、指定法人が卸売業者に売った結果で代金を払うのがあれでございますから、それでは生産者にとっても不便だろうということから仮渡しを行っておるという意味で、第三の米と先生おっしゃいます超過米についても、そのルートは大体代金決済の処理等はそのような形で行われているということでございます。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 ぼくは意地悪なことを言っているんじゃないですよ。私は法律上やっぱりおかしいと思うですよ。おかしい綱渡りのようなことをしてまで、農協は現実にはその犠牲を背負い込んでやっているということをぼくは言うために言っているわけですけれども、それはあなた、自主流通米でいえば概算払いの請求をして証文みたいなものをおたくの方へ出せば払わぬといかぬでしょう。そうでしょう。
  62. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生のおっしゃるのは政府米でございまして、本来の自主流通米はこれは全農がそれぞれの段階を通じて仮渡しをいたすという考え方でございます。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 私はここでも言いたいのは、例の五条の五、農林大臣の定める場合、この農林大臣の定める米になるわけですが、それは流通規制、そういうものが変なところからやたらと出回って相場を崩すとか、流通の経路をばかに乱すというようなことを考えてつくったんだと。しかし、あれの何か改正の経緯を見ますと、おたくから出ている通達は、そんなことを言わないで、逆のことを言っていますけれどもね。本当にああいう米、いわば第三の米と称するものが市場を乱して、経路を乱して、そして食管制度の根幹までちっと危なくする、そういう心配を絶えず持つわけですけれども、そのために、何かこういうルートに乗せろということをやっているようですが、そんな心配があるんなら、もう最初から政府が枠をふやしてきちっと管理してしまえばその心配は何もないわけです。ですから、これも当初の主張どおりになりますけれども、こんなあやふやな扱いにしない方がいいということを申し上げたいのです。  最後に時間がないので、ちょっと豊凶の問題に触れたいと思うんですが、私はこの食管法はとにかく主要食糧というようなものを統制にかけ、その意味においては生産の自由というものを拘束しているわけですわ、さっきも何かいろいろありましたけれどもね。で、その限りにおいては、ときに生産を制限をするとか、あるいは生産を拡大をするとか、こういう措置というふうなものは容認をされるのだと思います。ただし、このことは生産制限が容認されるといっても、食糧政策上妥当であるかどうかという次元の話じゃありませんけれども、まあ容認される。生産制限なり拡大をやらなければならぬということが容認される。そうである以上、やっぱり生産の全量については政府は責任を負うということが反対給付でなければ自由を拘束をしているという意味を持たない、私はそう思うんですね。都合のいいときには責任を負うて、都合の悪いときには責任を負わぬ、こういう御都合主義というのはだめだ。そこで、とにかく皆さんの方は計画も立てる、調整もする、青刈りまでさせる、そうやって遺憾なきを期するように全体の計画ができるようにおやりになるんでしょうが、農業という仕事は、おてんとうさん次第でありますから、年の初めに、ことしの豊凶を予想して、ものの計画を立てられないというのが農業の宿命なんです。土地と水とおてんとうさん、これは工場でコンピューターに頼んで物をつくるのとわけが違う。そういう意味では、豊凶の問題による出入りというものについては、これはやっぱり食糧を統制をしておる、あるいは計画を立てる、生産の調整もする、管理もしておる者が、これは最終的に責任を負うというルールがなければ、これはもう問題にならないと思うんですよ。  そこで、この豊凶指数というのを、私いろいろと皆さんからデータをもらって、ここ二、三十年見ますと、少ないときで九三、多いときで一一〇、大体一割ですな、一割の出入り、統計でいうとこれは誤差がない。そうしますと、ぼくは、豊凶による変動というものを農業団体なり農民なり、そこへどんな形にせよ持っていくというのは筋が合わない。皆さんの立場は一〇〇%認めても、生産調整、言うことを聞かんかったではないか、ということが仮にあれば別だ。しかし生産調整は一一四%達成したという、で、青刈りをブルまで持っていってやったじゃないか。それは、おてんとうさまでこうなったわけでしょう。これ、何で責任負わなければならぬのですか。そういう点で私はこの一割と言わぬでも、五%でもいいでしょう。それはどこにするかということもあろうが、豊凶の差ですね。他に瑕疵がなくて豊凶の差というのはこれは政府がもう政府米として責任をとる。これが前提でなければ、それはあなた、食糧をこういう形で生産まで調整をしておる意味ないですからね。この点についてもう最終的に答弁を願いたいことと、時間がないからこっちはやめますが、これに関連をして、あれじゃないですか、これははっきりは言うてないんであれだけれども昭和四十六年三月十一日の本委員会における倉石農林大臣の答弁に、まあ前段いろいろとありますけれども、とにかくさっき限度数量というのがあるのでありますので、それと生産調整農家保有米とを合計いたしまして、しかも平年度の作柄であれば万事うまくいくようになっています、と言っている。平年度の作柄であればという前提は、これはやっぱり豊凶というものは入っていないわけですね。そうすればその豊凶のずれというのは、これは政府措置をするという前提でなければ、一切の生産調整生産計画も成り立たない。大臣、豊凶の責任まで、遠いかなたのおてんとうさままで、それ農民の責任になんかしなさんなよ。これはどうです。
  64. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かにいま志苫さんがおっしゃいますように、農業というのは相当やっぱり天候が支配をするわけですから、ただ数字だけであらかじめ規定をする、見通しを立てるということは非常にむずかしいわけです。今回のいまの五十万トン過剰米が出そうだという点についても、われわれとしても、まだ最終的な段階にならないとまだ最終的に決まり得ないというふうな点もやっぱりそういう農業の特性だと私は思うわけですが、米はその中において、特にわが国における米につきましては、これはやっぱり全体的には私は過剰生産が基調にあるということはもう明らかでございまして、これは私が申し上げるまでもないわけです。まあ、先ほどから青刈り質問も出ておりましたが、私は青刈りというようなことで社会的にいろいろと社会を騒がした、これは農民に不信感、農政に対する不信感、これによって起こったということもこれは率直に認めなきゃならぬと思うんです。ですから、こうした青刈りというふうな事態にいくやっぱり指導の問題等については問題があるんじゃないかということを私は率直に反省をしなきゃならぬと思います。青刈りにいかない前にやっぱりこれはそれこそ対話と協調、話し合いで処理できるし、またそれを処理していかなきゃならぬと思いますが、しかし事態青刈りをやっていただかなきゃならぬように、まあとにかく米が過剰基調になり、そうして政府としては開田抑制政策を今日までとってきておるわけでございますし、今後もとらざるを得ない。これは先ほどお話がありましたように緊急避難的なものでありますし、将来はやっぱり需給の均衡がとれて、そして青刈りを行う必要のないようなことになるということが望ましいわけであります。それには私はまず第一にやっぱり消費というものが拡大していかなきゃならぬと。大体百三十キロ、年間百三十キロの国民の一人当たりの消費が、大体平均であったのが、最近では九十キロを切っておるというふうな状態になってきておるわけでありまして、これが果たして日本国民のこれからの主食に対するあり方として正しい方向であるのかどうかというものもこれは大きな問題点だと私は思うわけで、やはり消費を拡大をしていけば、そうした需給の均衡という面ももっとバランスがとれてくるし、あるいは青刈りあるいはまた超過米といったような問題についても、一つの大きな明るさというものがそこに生じてくると思うんです。が、そうした面では消費対策というものを積極的に進めなきゃなりませんが、しかし現実問題としてはとにかく青刈りもしていただかなきゃならないし、あるいはまた超過米というのが発生をして、そしてこれに対して政府としてもこの対策に、いま発生をしそうになって苦慮しておるというのが今日の状況であります。最終的には私が先ほど申し上げましたように、農民の皆さんに御迷惑のかからない方向で何とか処理をしたいものだというふうに基本的に考えておるわけでございます。  そこで、まあ、私はやっぱり米についてはそういう基本的な方向があるわけですが、やっぱり食管法のたてまえからすればやっぱり国民食糧、主食の確保という面からやっぱり予約限度数量を設けて、それによって国民に対する国民食糧の主食を政府確保するということが所管法のたてまえになっておるわけでございますし、そうした見地に立って需要の均衡がとれるというところに政策としてその重点を置かざるを得ないわけですから、それ以上できたものに対して、限度数量を超えてできた米というものと、限来数量の中で生産される米というものとの間においては、やっぱり法律のたてまえからいっても政府の責任といった面からいっても、これはある程度差があることもやむを得ないわけです。最終的には迷惑をかけないような方向にいかなきゃならぬと思います。が、しかし、たてまえとしては、食管法を堅持するというたてまえから見ても、これはもう予約限度数量で政府が買い上げる米というのは、やっぱり再生産確保するという面もやっぱり半面政府の義務としてあるわけでございますして、いろいろとそういう面については考えなきゃならぬので、それは超過米との間にはその差があることもやむを得ないと思うわけでございますが、しかし、それはそれなりにやはり先ほどからお話がありましたように、まあ農民が努力をし、そしてまたさらに豊作というものによって生じた米でございますから、それに対しては、われわれも十分配慮をして対処していくということは、法律のたてまえとは別に考えていかなきゃならぬ問題であると、こういうふうに思います。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 まあ豊凶の差によって生じたものだから十分配慮すると、その一言が一番最後の答弁になっているようですが、どうも、あなたは役人出身の大臣じゃないんで、もっとずばずばうまいこと言うかと思ったらあまりよくないですね。  倉石・宮脇メモというのがありますか。
  66. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは食糧庁長官からお答えをいたしますが、あるということであります。
  67. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 申し上げますが……
  68. 志苫裕

    志苫裕君 簡単に一言、どういう内容ですか。
  69. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これは予約限度制を導入した際に、やむを得ざる事由によって予約限度数量を超える米が発生した場合には、農業団体等の意見を聞き、かつ生産調整を阻害しない範囲において措置するということでございまして、予約限度制を導入した際に、当時の中央会長と倉石農林大臣との間の口頭のお話でございます。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 その豊凶はやむを得ない事情ですね。
  71. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ええ。豊凶は当然もうるる先生からお話がありましたように、やむを得ざる事由でございますので、これは生産調整を阻害しないように配慮しながら措置をいたすというふうにいっておるわけです。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 そのとおりひとつ……。
  73. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、これにて休憩をいたします。  午後は零時五十分から再開いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時開会
  74. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 青井政美

    ○青井政美君 私は農林大臣を初め関係の方々にお尋ねいたしたいと思うのでございます。  基本的には食糧という世界の需給の実態から考えてみますときに、買い手市場から売り手市場へという状況下の中で日本の農業をながめてみますときに、非常に大きい問題がたくさんあると思うのでございます。大臣は、そのような観点からやはり備蓄の問題を御構想になり、国民の食糧安定のもろもろの問題点についての御配慮をも願っておると思うのでございます。私どもも、若干聞き得たお話等を伺います中には、やはり農業全体を通じて考えてみますときに、日本の国内の問題にもたくさんの問題が残されておると思うのでございます。まあ、御承知のように、一部は豊作貧乏という状況であり、一部ではやはり生活ができないという現象が残されております。  とりあえず大きい問題といたしましては、先ほど来、志苫委員の方からお話がございましたように、やはり米の需給に関する問題でございまして、基本的な問題は先ほど来の御答弁で大体計数的にはわかるのでございますが、私は特に豊作というものが農民の犠牲において行われるということであってはならないということでございまして、やはり何と申しましても、第一次産業というものが第二次産業と同じような計算や方程式で最終的な予想ができ得ないことは私が申し上げるまでもなく御承知だと思うのでございます。御承知のように、現状の五十年産米というものを静かに見ましたときに、御承知のように五号台風あるいは六号台風、さらに九月の大雨というようないろいろな現象的な条件がございましても、千三百十万トンという収穫予想というものがあるわけでございまして、この数字が多少の減少がございましょうとも、午前中いろいろ御議論をいただいておりましたが、総需要という千二百万トンというものを考えてみますときには、やはり何らかの形で政府の御配慮を仰がなければ農民が不安であるということは申すまでもないのでございまして、御承知のように、米が余るという形における生産調整という問題点の中で、大部分農民——午前中いろいろ議論がございましたような問題でなく、まじめに国の行政に、団体も指導し、また農民も協力し、そうして生まれてきた数字が千三百十万トンであるということになろうと私は思うのでございまして、やはり千二百万トンという問題の差というものが当初の計画より大きくふえてまいっておるわけでございますけれども、この問題はやはり政府の行政責任において考えていただかなければならないと思うのでございます。作柄がよくなったという状況の問題、あるいは先ほど来いろいろお話がございましたように、県関係における調整をいたそうというお話等も伺ったわけでございますが、私どもが見ておる現状の数字から見ますならば、やはりなかなか県間調整もできるような非常に大きなアンバランスがないのじゃないか。そういたしますならば、多少はございましても、私はやはり早く結論を見出すような御配慮というものを願わなければ農民の不安というものは消えないのじゃないか。また、いま一つは、ことしは異常だということでお考えいただきますならば、この問題に対する配慮で、私は五万トンや十万トン云々という問題は余り考えるということじゃございませんが、その原則をはっきりとこの際、備蓄に回してでも、あるいはもみ貯蔵その他等いろいろな方法に応じて、やはり農民に、あるいはその他の関係者の者に迷惑をかけないという状況の中で御配慮が願いたいと思うのでございます。大臣の御答弁をいただきたいところでございます。
  76. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ことしの米は、現在の状況がそのまま推移すれば豊作に近いわけでございまして、これは最近の経済の不況の中にあって、とにかく米が余る、豊作であるということは暗い中に非常に明かるさがもたらされたということであろうと思うわけでございます。経済が不況であり、なおまた米が不作である、こういうふうになることを考えますと、本当にことしは豊作であってよかったと実は思うわけでございますが、そうした豊作の見通される中で超過米が出たとき、もっと農民立場に立ってこれに対処すべきではないかという御意見であると思うわけでございますが、これは午前中の御論議の際もしばしば申し上げましたように、いまのままで続いていったら五十万トン超過米が出るかもしれない。しかし、これはまだまだ最終的な結論が、結果が集まっていませんので、五十万トン出るであろうということで方向を決めるということはなかなかこれは困難であるわけですが、まあ政府としては、まず第一には、やはり県間調整、これは、いまおっしゃるように、去年おととしと違って県間調整が相当できるという情勢にはないと思います。しかし、県間調整を行うと。そうしてなおかつ余った場合においては、これは一昨年七万トン行ったような自主流通ルートに乗せてこれを処理していくという基本的な方向はこれを進めざるを得ないと思っておるわけでございまして、最終的には、いろんなまだ具体的なデータが集まりませんから、この仮定のもとにおいていろいろなことを言うと間違いが起こってくるわけでございますが、最終的にはやはり農民の皆さんに御迷惑のかからないような方向で何とか処理をしていきたい。こういうふうに私としては基本的に考えておるわけでございまして、まあ豊作であるということは、要するに、農家において予想した以上に収穫がふえたということですから、これは、それだけやっぱり農家というのは、私は、こうした不況の時代において農家経営というものは、それだけ潤ってくるのだということで非常に喜んでおるわけであります。
  77. 青井政美

    ○青井政美君 私ども調査した数字で考えてみますときに、食糧庁長官にお伺いをいたしたいのでございますが、四十九年産の自主流通米もまだ残っておりますね。まあ一部、御承知のように販売はしているけれども、まだ残っているというような問題があるわけでございまして、その上、ことしの自主流通米の数字にさらにまた超過米も上積みもするという状況でうまくまいるかどうかということを考えてみますときには、やはり管理制度を守ろうという前提を考えますときには、特別に御配慮を願わなければならぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。私ども農協のグループといたしましては、国の施策に協力し、そうしてやはり管理制度も守っていき、しかもそういうことがまた農民の幸せにもつながるということでいきたいと思うのでございますが、モチ米のごときものは十万トンに余るものが現状においてまだ残っておるという実態を十分御認識の上でのいままでの御発言なのかどうか。あるいはまた四十九年産の主食の関係の売却の実態もいろいろなトラブルがございます。これはもとより私ども団体全体を通じての問題点もあろうかと思うのでございますが、現状の卸売りその他等からの、要するに申し込みの実態をとってみますときにも、これもやはり百三十三万トンというふうな状況の数字でございますとなかなか、この問題がやはり残されるということになる、すると、かなりのネックが出るのじゃないか。また、午前中いろいろ御議論がございましたように、銘柄米と一般米の仕分けの問題も今後の課題ではございますが、安心して農家がつくれるという状況の中には、何とかしようということでなく、やはりそれに対する諸団体からの要請等も、御承知のように、予約限度の過剰米の買い上げというものにつきまして諸団体からも端的にお願いをいたしておる。このことは御承知のように、自主流通米と同じようなものがやはり財政的な措置の問題といたしましても考えられておるわけでございます。また、いままで通年やってまいって、当初端境期と最盛期と十二月末くらいまでになれば減るという状況の問題は、自然にやみルートに吸収せられるから、当初の数字が減る。その点はやはり特別会計の赤字云々という問題にもつながるのだろうと思うのでございますが、やみルートの実態を考えてみますときには上位等級に該当するものが早く出ていく、下位等級に該当するものが残って政府売りになると、こういうふうな現象というものがやはり全国的に多々あるのでございます。このことがあるということを言うことがいいのか悪いとかという問題点も一つの議論としてあろうかとは思いますが、やはり業者が特別なルートで物を買おうという考え方の中には、お互いに欲と二人連れでの進め方というものがやはりそういうものを現象する。昨年の例を申し上げますならば、四十万トンといっておったが七万トンに減ったという経過というのは、やはりそういうものが、ある意味においては、食糧管理制度を崩し、一生懸命に世話をしておる農協その他が、組合員と組合とをやはり気持ちよくつなぐという上において問題が残るのでございまして、何と言いましても第一次産業という立場でございまして、やはり豊凶に左右せられる、国や国民のために安全圏で持てるという状況は、ことしの豊作がいわゆる早く備蓄に結びつけるという、従来の計画以上の備蓄をするという吸収の仕方をいたしますならば、この問題の解決というものは早くつくのではないか。ただ財政的にいろいろ問題点はございまするが、オール農協を挙げて、やはり少なくても、そのような状況における資金需要なり何なりというものも考え得られると思うのでございまして、昭和四十七年でございましたか、八年でございましたかちょっと忘れましたが、その当時いわゆる自主流通米と限度を越えた超過米の取り扱いの問題点等も、やはり特別の御配慮をいただいて仕事を進めたという経過があると思うのでございますが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  78. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まず私からお答えをいたしますが……ちょっと長官が先に。
  79. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先生の御指摘は、超過米をめぐる万般の問題から系統団体等の現に起きている要請についての諸情勢いかんという話だと思いますので、このうち、政策の方針に当たるものは大臣からお願いいたしまして、先生の超過米をめぐる諸問題についての御指摘についてお答え申し上げます。  第一点は、四十九年産米の自主流通米が、さらに相当流通在庫であるではないかという問題、その上に超過米を乗っけるについての問題をどう思うかと、また本年度の自主流通計画、本来の自主流通計画の数量、これ自体が相当流通業界から見て大きいのではないか、超過については疑問ではないか、というようなお話を踏まえまして、豊作に伴って発生する超過米についての取り扱いということかと思いますので、その点について、われわれのただいまの判断なり、認識を申し上げたいと思います。第一点の自主流通米の数量でございますが、これはもう先生に申し上げるまでもなく、発足当初足踏みしておりましたが、四十八年、九年。この数量は、たとえば四十八年でございますと、これは酒米等も含めた総体の自主流通米が二百三十万トンの計画量に対して二百六十三万トン、それから四十九年は御案内のとおり二百四十万トンに対して二百七十万トンというふうに、制度としてもいろいろ御議論もございますが、制度としては定着いたしましてまいったわけでございます。最近における自主流通米の売れ行きの鈍化から、一部本年の、と申しますか、五十年産米の二百五十万トン、ウルチで申しますと百六十八万トン、これについての、消化についての御指摘がございますが、従来の定着した自主流通米の実態とか、あるいは本年の二百五十万トンと、過去の実績という点から見ますれば、われわれとしては関係者の努力ということによりまして、今日の段階でまだそれが達成云々というような時期ではないというふうに私ども承知しておるわけでございます。で、そういう意味でこれがさらに自主流通ルートに今日私どもの方針としております超過米を乗せた場合には、両者の調整と、さらに午前中もお話が出ましたように、政府全体の配給計画政府売却米等の操作、そういうものを全部含めまして、超過米が自主流通ルートに乗った場合においても、その消化という点については遺憾なきを期したいというのがあれでございますが、私どもの認識等が、それがやや楽観視し過ぎて、非常にむずかしい問題もある。したがって農業団体等の主張というものについての考えはどうだというお話については、午前中から大臣お話し申し上げているとおりでございますので、大臣からお答え申し上げます。
  80. 青井政美

    ○青井政美君 いろいろお話がございましたが、ことしの米も、農林規格から考えますと、やはり災害その他等によって規格外の米ができてくると思うのでございます。多いけん買わぬのじゃが、ということでも、これ百姓も困るかと思うのでございますが、災害米になるということと、農林規格に、規格外の米の取り扱いはどのように考えておりますか。
  81. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 本年も、先生の先ほどの御質問の中にもございましたように、五号台風なり、六号台風、その他それ以前の南九州の長雨というような災害から、等外、規格外米の発生ということはいろいろ言われましたし、現実に発生もいたしましたし、その処理ということについて、いろいろ災害対策委員会なり、当委員会等においても御指摘があったわけでございます。が、本年生産米の、この規格外米等の処理につきましては、まあこれは等外規格外米でございますれば実需者に結びつけてこれを買っていただく、これを処理していくというのがたてまえですが、天災融資法等が発動するような激甚な災害の場合には、やはり農家のお立場もあるというようなことから、政府が規格外米で、規格を本来の買い入れ価格より落として買うよりも自主流通で、販売するものを選別、仕分けして販売していただいた方が有利なものは、まずそれでやっていただく、それでなお処理できないものについては、政府がこれを処理する、買い入れて処理するというような基本的な方針でございまして、高知県とそれから北海道等におきましては、自主流通で大変努力をしていただきましたが、特に北海道米等について相当努力をしていただきましたが、なおやはり残る部分があるというようなことで、われわれとしては、等外規格外米についての買い入れについては、政府の買い入れによって処理したらいかがだろうと思いまして、ざっくばらんに申し上げますと、ただいま財政当局と協議中でございます。
  82. 青井政美

    ○青井政美君 米の消費拡大に関しまする農林省の御見解伺いたいのでございますが、その中には、何と申しましても、やはり外麦の問題とか、あるいは学校給食の問題をより制度化してやるとか、何と申しましてもやはりいま農業の中で一番もろもろの諸制度がうまくまいっておるのがやはり米の生産状況でございますし、やはりみずからの指導も、あるいは生産状況も考えてみますときに、やはり輸入の小麦の規制という問題と少なくとも米の消費拡大というものは非常にうらはらの関係になろうかと思うのでございますが、その辺に対する御見解伺いたいと思うのでございます。
  83. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これから米の消費拡大というのは、わが国農政を進める上におきましても重大な問題でもあるわけでありますが、私は、やはり、どこの国でも主食というのはその国の農産物によってまかなわれておるわけでございますが、日本の場合は、高度成長という過程もあったと思いますけれど、主食である米の需要がどんどん減ってまいりまして、輸入食糧であるところの麦の消費がふえてきたという面が非常に強いわけでございます。こうした食生活のあり方も、今後高度成長から安定成長へと移っていく過程の中にあって、私は今後また修正をされる、そして米の見直しというのが出てくる、国民意識の中に出てくるということは間違いないんじゃないかというふうな判断もいたしておるわけでありまして、そういう中にあって、やはり政府自体も米の消費拡大には積極的にこれは努めるのは当然であります。そこで、まず第一には、消費拡大としてのPRを一般的にやっていくとともに、学校給食等につきましても文部省の御協力等も得まして来年度からはそれをさらに進めたい、こういうふうにも考えておるわけでありますし、同時にまた、いまお話がありましたように、麦と米の価格の対比ということになりますと、結局相対的に米が高くて麦が安いというふうなことにも——相対比価からいけばそういう状況じゃないかと思います。したがって、いま麦の価格を米にバランスを合わせるということが米の消費を拡大する上においての一つのポイントでもあろうと思うのですが、現在それを行おうということになりますと、政府の売り渡し麦価というものの引き上げをせざるを得ないということになるわけでございます。私は、農政立場からいくと、これはやはり政府売り渡し価格について改正をするというのは、農政立場からいけば当然のことであろうと思いますし、まさに米の消費拡大というものとも絡んでその時期が来ておるというふうに判断をするわけでございますが、一方におきましては、やはり物価安定というふうな政策上の配慮も政府としては考えなきゃならぬわけでございます。麦の場合は比較的関連値上げというものが起こりやすいという面もあって、そういう点も政府の物価対策を進める上においては考えなきゃならぬという点もあるわけであります。しかし私としては、先ほどから申し上げましたように、農政立場からいけば、ここでやはり麦価については考え直す時期が来ておるんじゃないかということを考えるわけでございます。
  84. 大島友治

    ○大島友治君 関連。  米の問題についてお伺いいたしたいと思います。時間が短時間ですので端的に二、三お伺いいたします。  ことしの豊作というものは、自然条件の気象条件がよかったということはもとよりのことだと思いますが、それ以外の要素で豊作だというようなものは何か考えられたか、検討されたか。たとえば反収の上がったということはどこに要因があったというようなことありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  85. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 米の本年度の豊作の主要な要因は、ただいま御指摘ございましたように、天候に非常に恵まれたということに尽きると思いますが、その他の要因が全くないかどうかという点は、現在、いま内部で検討しておりまして、まだ最終的な結論にはもちろん至っておりませんけれども、品種等が一部増産型のものに返っておるという面も地域によっては見られますし、また機械田植えが年々非常に普及をしております。これは密植になるというようなこともございまして反収を上げる要因の一つになっておるのではないかとか、あるいはまた、ことし後半の追肥が非常に進んでおるのではないかというようなことが一般に言われております。いままで申し上げましたことのいずれも、まだ計数的にどの程度それが寄与しているかということまで申し上げられるには——感じの話として申し上げておるわけでございますが、それらの要因もある程度寄与しているということは考えられなくはないと思いますが、やはり大きくは、何と申しましても好天に恵まれたということが圧倒的な要因だと思います。
  86. 大島友治

    ○大島友治君 生産調整を打ち出した当時においては、量ということから考えるならば、やはり質に非常に重点を置いての指導はしてきた。しかし、ここ一、二年来食糧の不足だというような前提のもとに、国民の食糧確保と同時に国民生活の安定ということを大きく打ち出した攻めの農政の中で、やはり生産調整はやむを得ずやらざるを得ないんだ、それは稲転という形で、転作奨励という形で一応進めるということになった。やはり豊作になって、結果が先ほど来余り米というか、超過米をどうするかという結論を出されたような——現段階における結論的な、きわめて不確定な御答弁のようではございますが、ことし、いまのような反収上がったということについては、技術的なものも非常にこれはあるであろうし、さらにまた質と量の問題を、こういう時代にどう指導してきたか、また今後どう指導するかということは、こういう時期に大いにやはり行政の事前の指導というものは、これはあってしかるべきであります。その上に立っての、さらに豊作というものに対する措置は、これは農民にかぶらせないようにこれは万全を期していただきたい。こういう意味で、品種の銘柄と非銘柄の取り扱いが作付の面でどう変化してきているかということはいまもまだ十分検討されていません。これはしっかりとつかんでいただきたい、こういうことでございますが。  次に、いわゆる超過米についての具体的な最後措置については、先ほど午前中ももう少し積極的に、農家に負担をかけない、迷惑をかけないように最後はするということでございますが、私どもは率直に申しまして、早い時期に具体的なはっきりした方針を示していただくということが農政を進める趣旨に大きな意味を持つということでお願いしたいんですが。  そこで、まず県間調整をということが一つ言われておりますが、先ほども千三百十万トンと需要との計画格差による七十五万トンということがありますから、これとにらみ合わして、いわゆる予約限度と比較してみれば県間調整の余裕はどれくらい計数的に考えられるか、これ、ひとつ……。
  87. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 県間調整がまず本年度の豊作に基づくまあいわゆる超過米の処理の第一段階でございまして、この数量が幾らになるかということは、お話のとおり大事な問題でございますが、昨年は約三十万トン、おととしは十六万九千——約十七万トンというような県間調整かできたわけでございますが、われわれとしては、その的確な数量を把握いたしたいというふうに努めておるわけでございます。と申しますのは、一つは、それぞれの土地の事情がございまして、昨年度で申し上げますと、比較的作の早い東北地方等において作が固まって予約限度の見通しが早く立ったというような事情がございます。で、去年は、一番大きい問題は、北海道の限度超過米の問題でございましたが、北海道はそう遅い方ではございませんが、国全体の作の進行から言えば中ごろ以降のもの、したがって、早場のところで出てきた限度のゆとりをこれに充てるというような方針も立てられたわけでございますが、本年度は、いわゆる超過米の出るであろう地域というようなものについてはいろいろの判断がございまして、言われているところでは、たとえば北海道だとかあるいは九州の北の方の一部であるとか——とってみたら作が少なかったというようなことで、当初の十月十五日の作況よりも若干作が弱いんじゃないかというようなことも言われております。が、さっき午前中も大臣が申し上げましたように、各県とも現段階では超過米の発生についての報告、これは過大とは申しませんが、相当出るというお話がございますが、限度のゆとりについては、最終その県の御安心のつくまではなかなか数字の御報告も得られないというようなありのままの姿もございまして、そういう事情もございますので、今日どのくらい出るというようなことの数字を申し上げかねるわけでございますが、まああたりまえの話でございますが、できるだけ早く超過米の処理の第一前提でございますその調整枠の見通しを立てたいというように思っております。
  88. 大島友治

    ○大島友治君 県間調整の問題は時期が来なければということではございますけれども、あらかじめ予約限度数量と作況に基づいて計算した場合には、既定の数字から言えばある程度出てくるのではないか。これは大きな数字ではないと思いますけれども、数字はあると思います。しかし、現実には、各県の操作によって実態がどうなるかはまだ今後の問題だということですが、私は次の問題として、ごく最近の実態におきまして検査の実績も——いわゆる自主流通米の中には農協かみずから、午前中もお話ありましたように、超過米に相当するものを前渡し金を敷いて買ってあると思いますが、したがってその仕分けの中では、いわゆる超過米相当の検査実績もあると思いますが、最近の時点でわかりましたらひとつ教えていただきたい。
  89. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 検査実績は、まあいま各地域とも末端の検査官が買い入れのための検査に忙殺されておりまして、本月いっぱいが勝負でございますが、したがいまして、細かい仕分けをした実は報告をとるのが末端の業務にも、実はざっくばらんに申し上げますと、過重な負担をかけますので、ある段階が来ませんとその数字をつかみにくい実態があるわけでございます。で、そういうことでございますが、十月末現在の自主流通米及び政府買い入れ米の検査実績は、それぞれ目標量に対して、検査八百八十五万トンという限度に対しては五八・四%というような実績に相なっております。
  90. 大島友治

    ○大島友治君 集荷団体からしてみれば、いわゆる自主流通米に準ずるということで超過を集めておるものとしても、十万トンぐらいすでに入っているのじゃないかということも聞いておるのですが、したがいまして、相当数の超過というものは、これは出ることだろうということに……。で、やはり農家としては早く換金したいということは十分考えられることで、そういう点で超過米の取り扱いにつきましては、けさほど来より大臣も積極的な考え方を示されておりますが、私どもとしても、ぜひ早い時期に、これは具体的な方針と方法を打ち出していただきたいということを要望しておきます。
  91. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 私、時間をいただけないものですから、関連で一問だけ、大臣の決意を伺っておきたいと思いますけれども、その前に大臣、こういう「油断」という小説読みましたか。
  92. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 読みました。
  93. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 読んだ。それでは、この中の第八章に米騒動のことが出てきますね。それから第九章にいって、いよいよ米が足りなくなって国民の栄養も不足する、餓死者が出るという、こういうくだりがありますが、しかもこの小説は、中央官庁のエリート課長あたり、あるいは専門家何人か集まっていろいろ検討した結果出た数字、それをもとにして、小説という形ではあるが、予測だということが後書きにも書いてあります。こういうことが日本でもあるいは起こり得るか否かということを大臣は考えたことありますか、どうです。
  94. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もその「油断」という本は非常に関心を持って読んだわけです。役所の課長が書いたということですが、ベストセラーになってる。この本の前提になってる中近東戦争が突如として起こる。そして油が、日本に対する輸出がストップされる。そういうことから恐慌状態が起こってくる。あらゆる、金融的な恐慌状態だとか、あるいは生活上の恐慌だとか、いまの米騒動につながっていく恐慌状態だとか、そういうものが書かれてあるわけでありますが、現実の世界の中においては私は全くあり得ないことではないというふうな一つの恐怖感、ある面においては恐怖感を持ってこれを読んだわけでございます。今後ともこうした問題等も考えながら、やっぱり政治というものをやっていかなきゃならぬのじゃないか。特に資源小国である日本は、そういう点を踏まえながらやっぱり政治を行っていく必要があるのじゃないかということも考えさせられたわけであります。
  95. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 ただいま伺って安心をしました。さすがは将来総理をねらう(笑声)農林大臣ですからさもありなんと思いますが、そういうことをお考えであれば、一日も早く日本の食糧自給というものを完全なものにしていかなきゃならない。そこにいくまでに備蓄というものは当然、これは安心の持てるような備蓄を持っていかなければならない。幸い百五十万トンまでやろう、近いうちに二百万トンと、こう言っておりますけれども、ことしの超過米、先ほど来いろいろ御議論のあるところでございますが、単純計算なら七十万トンとか七十五万トン、あるいは五十万トンぐらいになるのじゃないか。農林省がぐずぐずしているうちに大分横流ししますから、三十万トンになるか四十万トンになるか、そのぐらいになるかわかりませんけれども、幸い二、三年の間に二百万トンにするというのでありますから、ことしは天候のせいでこういうふうな超過米ができるとすれば、将来の食糧自給というものを考え、農家の増産意欲というものも考えて、この際はひとつごちゃごちゃ言わないで、全部買ってやると、これだけのひとつ決意の披瀝をするのが、私は、政治家としての農林大臣の職務であろうと思うのです。官僚ならば、いろいろ、いや金が幾らどうだとか、数量が決まらないだとか言いますけど、政治家、しかも安倍大臣は将来総理もねらう有望な政治家でありますから、このぐらいの政治的な決断をして、全部買ってやるぞという、そういうひとつ決意の御披瀝はできませんか。
  96. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、なかなかこれは一言で言えないわけです。(笑声)全量買い上げろということでございますが、この食管法のたてまえ——現在の食管制度の中で限度数量というものを、そういう制度を立てておるわけでありますが、これは明らかに全量買い上げというものを背景としておるわけではないわけでございますし、国民主食の確保という面からは限度数量についてはこれは政府が責任を持たなきゃならぬわけでございますが、たてまえ上からいけば、超過米についてはこれは全量政府が買い上げなければならぬということでもないと私は思っております。同時にまた、この全量買い上げということになると、やっぱりわれわれは米というもののあり方を考えるとき、一つ考えておかなければならないのは、ここで全量買い上げをすると、そうすると、来年度は生産調整も必要ないということになってくる。やはり米というものにどんどんやはり生産が集中をして、来年度はまた非常にこの——それてなくても過剰基調にありますから、大変な過剰になってくる。四十二、三年ごろそういう状態がありまして、結局これがまたああした生産調整に、非常にショッキングな生産調整につながっていったわけですが、そしてまた米価にもつながっていったわけで、結局非常に米が余ればそれだけ米価を抑えなきゃならない。また激しい生産調整を繰り返していかなきゃならぬ。ですから、やっぱり私は、農家の、生産農家というもののあり方の所得というものを考えるときに、ここでとにかく全部の米を、余ったらどんどん政府が全量を買い上げます、ということは、米の今日の過剰な基調にあるという状況から見ると、私はかえって米価を圧迫することにもなりかねないと。そして非常な過剰な状態がまた再び出てきて、それがさらに生産調整を厳しくするという方向にも結びついていきかねないということで、これはやっぱりその辺のことは考えながら長期的な立場に立った米対策というものを進めていかなきゃならぬと私は思うのです。  ですから、そういう面でこの食管制度というものの趣旨に沿って政府も今日までやってきているわけでありますが、しかし最終的にはいろいろと今日想像される状態はあるわけですが、最終的には、しばしばお話を申し上げましたように、政府として全量買い上げの責任はないわけでございますけれど、最終的には農家の皆さんに御迷惑がかからないという方向で何とか対処しなけりゃならない。まず県間調整、そして自主流通に乗せてこれを処理していく、そしてさらにやっぱり余るというふうな事態があれば、これは想像ですが、想定ですが、そういう段階にあっては、やっぱりご迷惑のかからないように、これは政治の責任において処理することがわれわれの責任であると、こういうふうに考えておるわけです。
  97. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 関連ですからこれでやめますが、どうも歯切れの悪い答弁で、期待したあれではございませんが、大体そういう程度の農政であれば政治家の大臣は要らないかもしれません。政治家はもう少しやはり大所、高所から将来を見てひとつ決断をしなければならないと思うのです。特に米の問題について、買ったならばまた過剰になるんじゃないかという考えですが、これ自体は非常に無策の私は結果だと思います。時間がありません。青井さんの時間をとって恐縮ですからやめますけれども、もっと本当にしっかりした農政をやっていれば、農家に米なんか十分つくれと、つくりたいだけつくれと言ってつくらして、しかも全体において、農民が抵抗感を感じない中に全体のバランスがとれる。こういうふうな農政をするんでなければ攻めの農政と言われている私は安倍大臣の農政ではないんではないかと思います。  一例を申し上げます。本当に地域別、地帯別の農業経営というものを確立しておくならば、何も米だけつくっていなくたって米より有利なもの幾らでもあります、やれます。技術者を動員して研究させて、そしてその地帯に最も有利な作物を米と組み合わせる、あるいはいろいろなものと組み合わせる、こういうことによって私やはり得るものと思う。一例を申し上げますと、西南暖地に牧草をつくったっていい、牧草。たんぼに牧草。いまの土地改良水田だけ——米だけつくる土地改良をやっていますけれども、これを田畑を輪作して牧草をつくる。そうすると、いま十トンや十五トンですけれども、これは技術者を動員すれば二十トンはする。二十トン取れれば乾草にして四トン。いま乾草は四十円、五十円していますから、反当十五万、二十万になる。こういうことを少しも考えないで、ただ机の上でばかりやっているから、いま米を買えば今度は過剰になるとか、すぐそういうことで、本当に農民が汗水たらしてやったのは青刈りもさせなければならぬというような、そういうような貧しい農政になると私は考えます。このことは時間ありませんから、いずれ議論もし、また私のところで聞きたければ教えてあげますからどうぞ……。答弁は要りません。どうぞひとつそういった大局に立った農政をやっていただくように安倍大臣にお願いをし、そうして米はそんなごちゃごちゃ言わないで、みんな買ってやる、というぐらいのひとつ決意を出していただくように、改めて要求をいたしまして私の質問を終わります。
  98. 青井政美

    ○青井政美君 いろいろ時間の——もうわずかの時間になりましたので端的にお願いをいたしたいと思います。  いま農林省では野菜の流通の問題についていろいろ御苦心をせられておるようでございますが、私どもも大変喜んでおるわけでございますが、やはり農業全体を通じて考えてみますときに、やはり野菜のそれぞれの問題点が今後の問題の中に大きな意味の改革をお願いをいたしたいと思うのでございます。いわゆるオイルショック以来の野菜をつくる農家というものは、産地間競争等によりまして非常に大きく価格が暴落いたしておるということでございますし、また出荷経費その他非常な増高の中で苦労をいたしておるというのが実態でございますし、また新しく生産農家が自分がつくったものが何ぼになるのかわからぬという状況が現在の野菜の姿だと思うのでございまして、やはり特に、再生産価格というものがはっきりとうたわれるようなものの新しい法律改正というものを特にお願いをいたしたい。具体的に申し上げますならば、米なり、麦なり、大豆なり、なたねなりそれらのものを、食肉に至りますまですべて再生産確保を旨とするということが明文化されておりますが、野菜の項目にはそれが出ておらないという実態でございまして、新しく発足をし、新しく法律改正をしようという状況の中では特にそういったことがはっきりと出てくるように考えていただきたいということでございまして、いま一つの問題は、やはり野菜という問題の需給調整というものが非常にむずかしいと思います。このことはやはり国においても、県においても、またわれわれ団体におきましても非常に苦労をいたしてきておるのでございますが、やはりこの需給調整機能が持てるという方向としては、いかにあるべきかという問題点を今後掘り下げて御検討いただきたいと思うのでございます。このことの魂が入らなければ、どのような法律をつくってみても私は絵にかいたようなもちじゃないか。具体的に申し上げますならば、それぞれの私法人なり国の二つの団体を一つにするという姿だけでは、やはり本当の需給調整なり再生産確保できるという状況ではないと思います。それは自主的に農業団体がやればよいと言えばそれまででございますが、そのとおりでございますが、しかし何と申しましても、北海道から沖繩に至るまでの、この長い区間の距離の中にはそれぞれの特殊事情というものがございまして、行政の面でも非常に御苦労をいただいておりますけれども、この問題がやはり配慮せられた中で新しい法律というものができますように特にお願いをいたしたいと思うのでございます。  もう一つ具体的な問題で考えてみますときに、やはり指定野菜というようなものだけでもそれなら限定して考えるか、というようなものも、やはり御配慮の中でお考えいただくというような形のものにならないか、ということでございますし、また新しい方程式の中ではいろいろ端的にお伺いはいたしておりますが、やはり現在のように価格が非常に変動いたしますときに問題が多いという山と谷というものが、非常に時期的に問題がございますために、やはり算定上の基礎になる数字というものに対する取り上げ方というものが、日ごろ団体の方からもいろいろ御要請を申し上げておると思うのでございます。で、この数字というものがやはり将来の計数を整理し、そうしていままでの実績に照らし、そうして実情に合うような問題点をひとつ特に御配慮いただきたいということでございますし、また算定上のいろいろ問題点の中には指定消費地の拡大の問題がございます。地域的にはやはり関係のない地帯と関係のある地帯というようなものが、そういうファクターの中での出てくる補償基準なり何やかやいろんな問題点に大きな誤差が出てまいるわけでございまして、やはり農家自身が安んじて野菜をつくってやっていけると、国民の負託にこたえられるような野菜団地というものが名目だけでなくて、生活の根拠となるというものに特に御配慮をいただきたいということでございます。  いろいろ、これ一問一答していたら大変なことでございますので、また現状におきましては、いま御検討を伺っておるというようなことでございますので、総括的にお気持ちを伺って、内容といたしましては、将来の問題といたしまして、立案されるまでにそのような問題点を特に御配慮いただきたいと思います。
  99. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 野菜価格の安定につきましては、昭和四十一年に制定をされました野菜生産出荷安定法を中軸として、その後逐次その上の改善を加えながらきておるわけでございますが、やはり最近の情勢、いまいろいろと御指摘がありましたような情勢に対応して、この野菜制度のあり方も見直すべきであるという議論が台頭してまいったわけでございます。そこで、農林省としても七月以来、学識経験者によるところの野菜制度研究会を開催をいたしまして、検討を続けてまいりました。その結果、先般制度の改善の方向についての報告をいただきましたので、これに即して早急に価格補てん制度の改善であるとか、あるいはまた指定消費地の拡大等の制度改正内容を固めたいと考えておるわけでありまして、この改善を進めていくとすれば法律改正等にもつながっていくわけでございますが、そういうことも含めて、来年度予算あるいは来年度の制度のあり方等について抜本的に改善を進めたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
  100. 青井政美

    ○青井政美君 いま一つの問題は、農林大臣がバッツ農務長官にお会いして、日本との国際親善の関係の中で特に大きい問題が二つあると思うのでございます。その一つの問題は、やはり日本の農産物の関係におきましての問題点といたしましては、従来から行政としては厚生省の関係でございますOPPの問題でございます。この問題は、私どもの団体がアメリカの厚生教育局というところに照会をいたしますと、OPPを使ってよいというのは、一九五二年のしか資料がございません。したがいまして、OPPがよろしいという、あるいはFAOがよいという状況に対する現状認識というものは私どもにはできないと思うのでございまして、大臣が、農林大臣という立場で、この問題を公文書によって国民の保健衛生上における問題点として見ると非常に大きいのじゃないか。私ども考えますことは、この食品衛生法第六条の中での「人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が食品衛生調査会の意見をきいて定める場合を除いては、食品の添加物として用いることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」とあるわけでございまして、私どもは、やはりこの問題の関連が日本の果樹産業の上において一つの大きな問題点になり、また国民全体の保健衛生上から見ましても非常に大きな問題点がございまして、今年の春でございましたか、厚生大臣は、そのようなことではないということでございまするが、日本の国内の動きの中にも、やはり流通上におきまする新鮮なものを云々という形の中でこの問題が議論されております。が、しかし、この問題につきましては、特にやはり厚生行政という問題点と、やはりそういうものがもたらす農林行政へのミカン産業農家という、あるいは製造等いろいろな関係がございましょうが、あろうかと思うのでございますが、われわれは、農林省と厚生省との間に見解の若干の違いがあるやのことも伺ってはおるわけでございますが、それは、どのような形であるのか。あるいはわれわれ果樹議員連盟その他等から関係方面への御要請等も申し上げておりますが、また一面、やはりそういう調査会を開いて審議を経て、新しく法律制定への動きにもつながるのじゃないかという問題点等がございますので、私は、やはりそういう法律の根拠というものに対して大臣がどのような見解をお持ちになっておるのか。あるいは県下全体の議員連盟が御要請申し上げておる問題点、これは厚生大臣の問題でございますけれども農林大臣という立場ではこの問題、いわゆる法六条の改正をしようという輸入業者という立場生産者と国民とは対決をするという姿になるかと私は思うのでございますが、その点もひとつあわせてお尋ねいたしたいということ。  いま一つは、いわゆる、ジュースのバーターの問題でございます。で、ジュースのバーターはどのようなお取り決めをせられて帰ったのか、その概要をお聞きし、そうして御質問いたしたいと思います。
  101. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) OPPの使用、これは主としてレモンの問題じゃないかと思うわけですが、この点はもっぱらこれは食品衛生上の問題ですから厚生省の問題でございます。実は、私がアメリカに参りましたこの八月、バッツ農務長官から、レモンについてのOPPの使用についての要請があったわけであります。しかし私は、これは私の管轄でなくて厚生省の管轄に属するものであるので、厚生大臣に御要請があったことはよく伝えておくということをお話をいたしまして、実は厚生大臣に私がお聞きした要請をそのままお伝えをいたしておるわけでございます。ですから、これは農林省としてとやかく言うべき問題ではないんじゃないか。OPPの問題は純粋に食品衛生上の問題として、厚生省において食品衛生上、是であるか、非であるかということで判断をしていただきたいと、私はそういうふうに思っております。  それからジュースの問題も日米間の会議で出たことば事実でございまして、そのバーターにつきまして、要するに等量バーターで、向こうの方もこちらに入れるそれだけの等量をアメリカに買いますと、そういう等量バーターを進めるようにしたいということで、私も、それはやはり等量バーターということなら積極的にこれに取り組んでいきたいということを述べたわけでございます。アメリカ側は日本のそうしたジュースであるとか、オレンジであるとか、そういうものに対する日本側の立場というものをよくわかっております。ですから、ここで自由化を迫るということはなかったわけであります。自由化を迫るということじゃなくて、その中でやはり枠を拡大をしてほしいと。しかしなかなか、枠を拡大といっても日本の農業に対する立場というものがあるから、これはやはり自分たちとしても配慮しておるんで、日本のそういう特殊な立場というものを考えながら枠を拡大する、と言えば、やはり等量バーターというようなこともその枠の拡大の中に考えられることじゃないかというふうな発想でありまして、そういう点で、私は、アメリカ当局は、日本の農業の特殊な事情というものは十分理解をしておるというふうな感じを持ったわけであります。そうしてその後の等量バーターのあり方等につきましては検討をしておるところであります。
  102. 青井政美

    ○青井政美君 もう時間がなくなったんで、一言だけお願いしておきたいと思います。  いまのバーターの関係でございますが、これは特定の業者だけにやらすということでなくて、やはり少なくともこれの事業との関係のある生産者団体の関係あるいは流通業者の関係、そうして御承知のように、アメリカの価格と日本の価格とは、量においてバーターでやるのか、価格においてバーターでやるのかというような問題も、若干私は今後の、詰めとしては大事な問題ではございませんか、担当の関係の方々等においては問題があるのじゃないか。そういう意味における考え方というものがやはり一つ問題が残されますし、アメリカも、アメリカの果樹業者全体が対象になっておるのか、あるいはフロリダだけなのか、あるいはカリフォルニアだけなのか、あるいは双方あわしてなのか、あるいは相手が業者なのかというようなことが、やはり日本の果樹産業関係者を非常に心配をさせておるということでございますし、私どももやはり等量バーターが特定の業者だけとつながってやるということになると、やはり日本のコスト高と、あるいは向こうのフレーバーのよさというか、そういったような問題点等がやはり出てきた場合にやはり問題が残る、日本全体で取り組んでみんなでやろうという考え方でございますならばまた、生産者団体の立場から考えましたときにも、一つの問題が残る。これは如才なく御関係の方々でやっていただけるものだと思うのでございます。そういう御要望を申し上げまして、時間がございませんので、御返事はいただけませんが、よろしくお願いいたしておきます。
  103. 工藤良平

    ○工藤良平君 私はいま問題になっております、またこれからも大変大きな問題として提起されようとしております農地の宅地並み課税の問題について少しお聞きをしていきたいと思います。  この宅地並み課税の問題は、私どもがちょうど四十三年ですか、新都市計画法によりまして利用区分が設定をされまして以来、非常に重要な問題として提起をされてまいりました事項でございますが、具体的に三大都市圏を中心にいたしましてABC農地などについてはそれぞれすでに課税の対象として税の徴収が行われ、これからさらに拡大をされようというようなことが計画をされておるようでございますが、   〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 その点について非常に農業という立場から考えてみましても、私は、この土地税制そのものについても根本的なこの際、問題点を解明をしていく必要があるのではないかという気がいたしますので、これから時間のある限りその問題について詰めてみたいと思っておるのです。  そこで、まずお伺いいたしますが、地方税法の改正によりまして、市街化区域内における特にこの宅地並みに税を課するという問題でございますけれども、当初この税の改正は一体どのような意図のもとに、どのような考え方のもとに行われてきたのか。私もこの都市計画法の審議の際には参画をいたしまして非常に、問題点として提起をしてきた事項でありますけれども、その後、税として徴収をする段階につきましては議論に参加はしなかったのでありますけれども、その点まずお聞かせをいただきたいと思います。
  104. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 御案内のとおり、四十八年度から三大都市圏内の特定の都市、百八十二市につきまして、百八十二市のA農地及びB農地につきまして、段階的に課税適正化措置が講ぜられておるわけでございますが、この措置は市街化区域がおおよそ十年以内に計画的、優先的に市街化を進めていくべきところであるというようなところから宅地化の促進という政策的な目的、さらには周辺の宅地との税負担の均衡の問題、この二つの見地から課税適正化措置が講ぜられておるところでございます。で、市街化区域の中でも特に宅地化の要請の大きい三大都市圏内に限りまして、四十八年度以来この適正化措置が進行しておるというわけでございます。
  105. 工藤良平

    ○工藤良平君 この宅地並み課税の問題は、当初四十八年からもちろん実施されておりますけれども、当初この市街化区域内の農地に税金を課するという発想が起こってきたのは一体いつごろからでございますか。四十八年からは実施されているけれども。新都市計画法が四十三年にできて、その間五年ばかりあるわけですけれども、その間の経緯というものはどうなっておりますか。
  106. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 市街化区域内の農地の固定資産税のあり方につきましては、新都市計画法が制定されます以前から、かねてから税制調査会等でも取り上げられてきた問題でございまして、たとえば昭和四十一年十二月の税制調査会の答申におきまして、「農地については、その税負担を据え置くとされているが、都市周辺の宅地介在農地については、税負担の均衡を確保するよう検討することが適当である。」と答申がされておるわけでございますが、その後、四十三年七月の土地税制のあり方についての答申等々、これらの問題についての論議がなされておったというような次第でございます。
  107. 工藤良平

    ○工藤良平君 まあこの目的としたそもそもの出発というのは、いわゆるこの都市市街化区域内における評価の不均衡といいますか、税の不均衡という立場からのとらえ方が一つと、それからいまお話しのように、もう一つは宅地の確保という意味のその問題点が出ているわけです。で、私は、なぜ非常に長期的に——三十八年の税調の答申あるいはいま言う四十一年の税調の答申、それぞれ土地税制の問題について根本的な問題の提起があり、その際に必ずこの農用地に対する不均衡の問題が確かに出ております。しかしそれは、その問題を提起をされると同時に、また土地税制そのものについても根本的な問題が提起をされてきたのではないかと私は思っているんですが、この点について、それでは一体これを計画した当時、この農用地の宅地並みの課税により一体どの程度の税収を確保しようとしていたのか。それによって一体どういうそれでは均衡のあるものにしようとしていたのか、その点はどのように理解をしたらよろしゅうございますか。
  108. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) この市街化区域内農地の課税適正化措置は、もちろん関係市におきますところの財政収入の面でもこれが役に立つということはもちろんでございますが、やはりそれよりも、先ほどから申し上げておりますように、宅地化促進という土地政策上の要請、それから周辺宅地との税負担の不均衡是正、この両面が主たる目的であったんだろうと思うわけでございます。で、その収入についてでございますけれども、四十八年度におきましては段階的に、先ほども申し上げましたように課税適正化措置を講じておりますので、年を追って増収になるわけでございますが、四十八年度に十二億でございます。四十九年度が三十四億、五十年度はただいまのところ六十四億と見込まれておるわけでございます。
  109. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは税を徴収する方からの、不均衡という点について、それはある一方側の、側面からの問題であって、農業を経営している、農地として使っているという者から見れば、非常に問題が複雑に、しかも農業経営そのものから見ますと非常に重要な問題として今日まで提起されてきた。それが私は、長い年月の間結論を出し得なかったというこの根本的な問題があるのではないかと思うんです。この点については、これは農林省としても、特に宅地並み課税の問題については行政区域等の形式的な範疇でもって評価をし、一定の率で税金を徴収をしていく、ということについては大変問題があるということの指摘が、各省の意見の開陳の中でも問題点として指摘されてきたのではないか、こういうように私は記憶しておるんですけれども、この点については、農林省としては今日もその考え方は変わっていないわけですか。やむを得ないと、こういうような考え方ですか。
  110. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあ市街化区域内の農地につきまして、その税制上の取り扱いは市街化区域外の農地と全く同一に行うということは、これはやはり都市計画制度の精神等から問題あるとは考えておるわけでありますが、しかし現実の問題として担税力その他種々の問題もございます。特に担税力が問題であろうと思いますが、そこで、まあ慎重に取り扱われるものであるというのが農林省の基本的な考え方でございます。まあこういう考え方に立って関係各省庁ともそれぞれ折衝をしてまいってきておりますし、今後とも折衝してまいりたいと考えておるわけであります。
  111. 工藤良平

    ○工藤良平君 これからまあいろいろ基本的な問題に私触れてみたいと思いますけれども、まあ私素人なりに考えるんですけれども、この土地というものは、それぞれの使用目的あるいは経済効果、そういうものによって評価をされるだろうと思います。同じ地域に土地がある。一方ではビルが建っている、一方では農地として使っている。これは一見大変不合理のように見えますが、しかし、現実にそれが農業として維持されているとするならば、あるいはまた宅地と考えてもいいでしょう。私なら私が、わずかな、小さなネコの額ほどの宅地を持って、そこにやっと住まえるだけの住宅をつくっているといたしましょう。そういたしますと、隣にヒルか建っている。——一方、違ったところで私が最小限、これ言いかえますならば、生活に必要な最低限の、最低限の生活を維持するための最小限の住宅、あるいは農業用地というものを持っているとするならば、たとえそれが均衡であったといたしましても、それは土地の利用率において、経済効果において、もっと大きな違いというものがあるのではないか。私は、その宅地を別の用途に使用する目的をもって譲渡するということになりますとこれは変わってまいりましょう。しかし、現実に私が自分が最低限の生活をするために住まいをする、最低限の生活をするために農業をやる。こういう立場からものを考えていく場合に、私はこの評価というものが、隣がビルが建っているからそれと同じような評価をするということが一体合理的なのかどうなのかということについて私は問題が出てくるような気がするんですが、その点については基本的にはどのようにお考えでしょうか。   〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
  112. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 固定資産税の性格でございますけれども、私どもは固定資産税は固定資産の有します財産価値に着目をいたしまして、その所有の事実に担税力を見出して課する物税であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その財産価値は、その財産の大小等に応じて課税をされるということになるわけでございます。  土地を評価いたします場合に、その具体の土地のございます地域の状況によりまして、住居地区でございますとかあるいは工場地区でございますとか、あるいは商業地区でございますとか、そういうぐあいに区分けをいたします。その区分けに応じてその土地価格を評価をいたすという仕組みになっておるわけでございます。ただ、先ほどからお話もございますように、住宅用地につきましては、その他の宅地と比較いたしまして、これが最終的には個人の所得から支払われるというような点に着目をいたしまして、実は四十八年度から課税標準の特例措置を設けておるところでございます。住宅用地につきましては、課税標準を評価額の二分の一、特に小規模住宅用地二百平米以下につきましては評価額の四分の一を課税標準にいたしておるというようなことでございます。  市街化区域内の農地の評価につきましては、先ほどから申し上げておりますような固定資産税の考え方に立ちますならば、評価といたしましては、付近の土地との均衡をとらざるを得ないわけであります。で、ただお説のように担税力を無視するわけにはまいらないわけでございまして、現在、適正化措置が進行中でございますが、最終的にも評価額の二分の一を課税標準にするということになっておるわけでございます。
  113. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこで問題になりますのは、私さっきも問題を提起をいたしましたけれども、この生存的最低限の土地所有という問題、非常にむずかしい問題ですけれども、私どもがこの町で生活をする場合に、いまの——これはまあ話か前後になりますけれども、たとえば住宅政策というものが低家賃公営住宅というものを中心にこの政策が進められてまいりますと、その点については余り心配する必要はないと思います。ところが、いまの日本の住宅政策というものを見ますと、ほとんどが、大半八割と言っていいぐらいのものが持ち家住宅の方向に行っているように私は思います。もちろん公団住宅と、そういうものはたくさんありますけれども、これはかなり高い、三万から五万というような、大変高い家賃になっているわけでありますから、低家賃公営住宅というのはごく少ない。そうすると、いまの建設行政の、いわゆる住宅行政の中心というものは、やはり持ち家住宅制度というものが相当大きなウエートを持っている。そうすると、私たちはいわゆる最低生存権として認められるべき住宅なり土地というものは一体どういうものか、あるいは農業立場からするならば、農業として生計を立てるために、最低限の生存権として認められる土地は一体幾らなのか、こういうことをやはり私は根本的に検討しなければ、いま言う二分の一とかあるいは四分の一とかいうことで単純に割り切れない問題が残っているのではないか。そういう根本的な問題について私はこの際固定資産税の性格なり、あるいはそういうことからいたしまして、もう少し掘り下げてみる必要があるんではないか、こういうように思いますが、その点については……。
  114. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 固定資産税は、御案内のとおり、その市町村内に存しますところのすべての土地家屋償却資産、もちろん非課税のものはございますけれども、そういうものを除きましては、すべての資産が対象になるわけでございます。ただいまお話のように、その担税力を無視をいたしまして、そうして課税をするということは、これはもちろん考え直さなければいけないわけでございますけれども、やはり固定資産税が市長村税といたしまして住民税と並ぶ安定的な税源でございますし、広くその資産の所有に応じまして税を納めてもらうという仕組みのものでございますから、担税力の面につきましては、課税標準の特例措置等を講じながらそれに対応していくということでありまして、一定限度までは課税をしないということはいかがなもんだろうかというふうに考えておるわけでございます。で、市街化区域内の農地の固定資産税につきましては、これはやはり担税力議論だけでまいりますと、先生御指摘のようなことにもなるわけでございますけれども、やはり市街化区域内の宅地化を促進しようという政策税制の面を離れては理解できない制度だろうと思うんでございます。もちろん税の面だけで市街化を促進するということでは困るわけでございまして、そういう意味合いからこの固定資産税の課税適正化措置に呼応いたしまして、いろんな宅地化のための政策がとられておるところでございます。たとえば四十八年度にこの税制が始まりました年にできました宅地化促進法でございますとか、あるいは最近施行されました大都市地域における住宅等の供給促進に関する特例措置法でございますとか、こういったものと相まちまして、特に宅地化の要請の大きな三大都市圏内について、いわば土地税制としてAB、三大都市圏内のAB農地についての課税適正化措置が講じられておる、かように考えておるところでございます。
  115. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまおっしゃることもわからないこともないんですけれども、ただ、宅地の提供あるいは税の不均衡是正という立場から、同じ隣に土地がありながら、農業をやっているがために非常に低いというとらえ方で問題をとらえておると思うんですね。ですから、現在の固定資産税の考え方というものは、土地というものを資産的に見るということですね。だから、同じ面積であれば、農地であろうと、宅地であろうと、それは同じだという見方、土地を資産として見るという考え方で課税をしようとしているのか。そうではなくて、やはりこの土地というものについては、収益性というものを加味して当然考えるべきものではないのかという考え方がありますね。そういたしますと、そこには、いま言う農地なら農地、あるいは住宅として使っていくとするならば、それを売却する、いわゆる譲渡するという以外においては、隣の土地が幾らになろうと、これは全然価値としては変わらないものになるわけですね。そうすると、かえってインフレあるいは現在のような土地制度の欠陥の中で、一年間に三倍も上がる、あるいは三年間に十倍も上がった、極端になると三十倍も上がったということになったときに、私は住宅として持ち、あるいは農地として持っているそれは、依然として今後もそういう形でいくとするならば、そこには私は、税の公平の負担という原則から言っても、逆の立場から見ると、問題が起こってくるのではないか。そうすると、固定資産税というものの土地というものについては、収益性というものをどういうように見ていくのかということですね。その点については、自治省としてはどのような考え方ですか。
  116. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 固定資産税について、収益性を全く無視をいたしまして課税できる税であるかどうかということにつきましては、いろいろ問題があろうかと思いますが、現在の固定資産税は少なくとも、先ほどから申し上げておりますように、適正な時価を課税標準にするところの物税であるというふうに観念をされておるわけでございまして、そういう意味合いから、たとえばその住宅地区と考えられる地域について、仮に工場がございましても、そこの地域における土地の最有効利用というのは住宅用地として使われるべきものだというふうに考えて、そこをそういう評価をやるという仕組みがとられておるわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、事業用地でございますと、いわば経費で損金に算入できる。半面、住宅用地につきましては、これは持ち家であれ、借家でございましても、いずれの場合も最終的には個人の所得から支払われるというような点も考慮いたしまして、課税標準の特例措置が講じられておるということでございます。農地につきましても、評価の方法といたしましては、他の土地と同じように売買実例価額を基礎にいたしまして時価を評価をいたすという仕組みになっておりますが、御説のような農地の場合における収益性というものも考慮に入れなければならないということでございまして、御案内のとおり農地の評価につきましては、限界収益補正ということをやっておるわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、市街化区域内の農地、三大都市圏内に対しまして現在行っております課税適正化措置、これは先ほどから申し上げておりますように、これはいわゆる宅地化を促進するという意味の政策税制であるという面を切り離しては理解ができないというふうに思っておるわけでございます。
  117. 工藤良平

    ○工藤良平君 先ほどもお話がありましたけれども、この宅地化、いわゆる農地なりそれから宅地以外の土地を宅地化を促進をしていくために税制でそれを誘導していくというやり方ですね。このことについては、本来大きな問題が起こってくるのではないですか。これは宅地問題というのは、全然別の角度からのサイドでこの宅地対策土地対策というものは考えるべきものではないのか。それを税制で誘導していくというところに今日のような非常に大きな、農民との摩擦というものが起こっていくのではないでしょうか。その点について先ほどのお話は、税制だけではないということはお話がありましたけれども、しかし今回のこの宅地並み課税というのはいわゆる税制をもって……。もうこんな高い税金を評価されてかけられるよりも、もういっそのこと手離した方が得だ。そうしなければ、年間に大変な税金をかけられる、ということから、たまりかねて手離すという方がふえていっているんじゃないですか。その点、私は非常に問題が起こるような気がするのですが。
  118. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 一定の政策目的を達成する場合の手段といたしましては、いろんな手段が考えられると思うわけでございますけれども、その中の一つとして税制がある。ただ税制だけで、その税制の持ちます誘因的な効果だけで、一つの政策目的を達成するというのは、おっしゃるように問題があろうかというふうに思うんでございますが、ただいま問題になっております市街化区域内の農地に対しますところの課税適正化措置、これは先ほどから申しておりますように、宅地化促進法でございますとか、あるいは大都市圏域におきますところの住宅地等の供給促進に関する特別措置法、こういった他の手段と両々相まちまして宅地化の促進に資そうということでございまして、税制だけでこれが解決するもんだというふうには考えておらないわけでございます
  119. 工藤良平

    ○工藤良平君 しかし、現実にはほとんど税制のみでこの市街化区域内の農地を宅地に引きずり込もう、はき出させようというような、私どもにはそういう意図のようにとれるわけですがね。さっき農林省からもお話がありましたように、画一的にそれをやるということ自身、非常に私は問題がある。農業をここでやろうとしておる者は、高い評価を受けて、高い税金をかけて農業ができるのか。できないから放棄せざるを得ないということになるわけでしょう。ですから、それじゃ、私なら私がここで農業をやりたい、未来永劫に農業やりたい、何ができようとやりたいと、こういう者についてはやはりそれを認めてやるという原則というものは、私は憲法上からいっても問題になってくるのではないかと思うのですが、それをわきまえながら、さてどうするかということに基本的に立たなきゃいかぬと思いますが……。
  120. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) そもそも市街化区域は、都市計画法にも書いてございますように、おおよそ十年以内に優先的計画的に市街化をすべきところであるということでございます。それで、これが四十五年以来各市において線引きが行われたわけでございますけれども、その場合の線引きについては公聴会でございますとか、いろんな民主的な手続が保障されておる。そこで、いわばその住民のコンセンサスとして、この区域については、その市の町づくりにつきまして市街化をすべきところであるというふうに決められたところだろうというふうに思うわけでございます。もしそれが将来、農業を継続していくべきところの土地であるということであるならば、それはやはり本来的には市街化区域の中にそれが存しておるというのは問題であろう。それについては、五年置きに都市計画見直しということもあるようでございますから、そういった意味合いで見直しが行われてしかるべきであろうというふうに思いますし、それから市街化区域に指定された地域の中にございます農地についても、やはりただいまお話のございましたように、農業を継続してやりたいという方もいらっしゃるわけで、しかもそれが都市化の進行にかなり時間がかかるとすれば、やはり無秩序にその地域がスプロール化していくということを防ぐためにも、都市計画上の要請としても農地のまま保存をするということがやはり必要だろうということもあるわけでございます。そこはやはりそういう観点から生産緑地制度というものが生産緑地法の制定に伴ってできたわけでございまして、ただいまお話のような向きにつきましては、生産緑地制度の活用という点でその目的が達せられるのではないかと考えるわけでございます。
  121. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこで、私また疑問が出てくるんですが、たとえばいまのように十年以内に市街化になろうと想定をされる地域については、いま一定の指定をいたしまして税金をかけると。こういうようなことになると思うのですけれども、そういたしますと、私の個人的な職業選択の自由なり、いまのように農業をやろうという意思を持った者に対する一つの規制というものが行われてくるわけですね、公的な規制というものが。それはもちろん公的な土地利用という面について私はそれを全く否定するものではありません。土地というものが固有な財産として私的に所有することが認められております。認められておりますけれども、しかし土地そのものについては農地であれ、空地であれ、国土というものは半面公共性を持つということも私は十分理解をしておる。そういう上に立ちながら議論を進めてまいるんですけれども、しかし、私が農業を、たとえばいまのように農業をあくまでもやりたいという者を、これを網をかぶせて、ここは農業をやろうとやるまいととにかく将来市街化区域になる予定のところだから、これについては税金をこれこれの率でかけますよ、評価はこういうように隣にビルがあればビルと同じような評価をいたしますよ、ということになると、これはおのずから行政的に、しかも税制というものによってそれを誘導して、その土地を、何といいますか、いびり出す、と言うと大変これはきつい言葉でありますけれども、そういうようなことにならざるを得ないわけですよ。私はそこに大変大きな問題がある。  あるいは、まあ後で関連でお話しようと思ったのですが、確かに生産緑地の法律ができました。できましたけれども、これはそれにいたしますと、たとえば十年間とか一定の期間動かすことができないというような点もあるものですから。いまのように非常に経済の不安定な、どういう状況が起こるかわからないというときに、それじゃ安心してそういうものの指定を受けられるかというと、それはなかなか安心してそういうこともできないという農民の抵抗というものがおのずから出てきている。そういうものをつくったとしても法律を利用しないわけです。利用しないということは非常に不安がある。いつどうなるかわからないということが、政治的な不信もありましょうけれども、そういうことがあるもんですから、なかなかうまくいかないですね。そうすると、やっぱりこれは何か一つの大きな枠の中で網をかぶせていわゆるいびり出すということが本来の目的でないのか、ということが私は、この宅地並み課税の根本的な問題がひそんでおるような気がするのですね。  そこで、これは大蔵省来ていらっしゃればお聞きしたいと思うのですけれども、税の負担の公平の原則という立場からいたしまして、そういう者から税金を取るよりももっともっと他の面から、同じ土地という問題あるいは資産という問題を考えてみても私はあるんじゃないか、固定資産税、土地という固定資産に対して一定の率と一定の評価でもって取るという方法も確かに一つの方法ではありましょうけれども、しかし、その資産から所得を得る、その資産所得への一体、税の徴収というものは十分になされているのかどうか。そういう根本的な問題を私はえぐってみる必要があるんじゃないか。それをそのまま放置しておいてこっちの分だけ公平の原則とか、あるいは非常に不均衡であるという立場からそれを評価がえをしていくということは私は問題があるように思うのです。たとえばこれはいつも言われるように、利子の分離課税とか、あるいは配当所得とか、あるいは土地の譲渡所得に対する分離課税、優遇措置あるいは証券売却益に対する非課税と、こういうようなものですね。いわゆるキャピタルゲイン課税の不徹底さというもの、それが一方でありながら、一方では、土地農地とか、あるいは私が最低限の生活の糧として持っている宅地についてこのキャピタルゲイン課税を適用するというようなやり方ですね。こういうことについて私は非常にここに矛盾を感ずるわけで、そういう点について大蔵省としての御見解を聞きたいと思う。
  122. 水野勝

    説明員(水野勝君) 先生の御指摘の資産課税でございますが、確かに戦後昭和二十年代以後から三十年代にかけまして資本蓄積と申しますか、そういった観点から資産課税につきましては何がしかの政策的な配慮がされてきておりましたことは事実でございます。しかし最近になりまして、たとえば利子配当課税につきましては、昭和四十五年の改正におきまして完全な分離課税制度から源泉選択制度に移行いたしまして、来年度からはこれが三〇%に引き上げられるということに改正がなされておりますし、土地譲渡所得の分離課税につきましては、本年までは政策的な配慮から完全な分離課税と、しかも定率の比例課税となっておったわけでございますが、これも本年度の改正によりまして五十一年分からは原則としては四分の三を総合課税するという、かなり重い負担に改正がされておるわけでございます。ただ御指摘のキャピタルゲイン課税につきましては、的確にその所得を把握するという面から大変いろいろ技術的な難点もございまして、いろいろと検討はされておるわけでございますが、利子配当、土地譲渡所得につきましてのように逐次資産課税につきましてもその適正な課税がなされるように私どもとしても努力をいたしてきておりますし、また今後ともそのように配慮いたしたいと考えておるわけでございます。
  123. 工藤良平

    ○工藤良平君 さっきもお話がありましたように、税の額そのものからすれば、たとえば十何億とか、あるいは五十年度で見込んでおりましたものにつきましても六十億とか、そういう程度なんですね。ところが、これは個々の人たちにしてみれば非常に大きな問題になってくるわけですね。ですから、私さっき申し上げましたように、全体的な税の不均衡というものを大幅に改革をしていくという観点からそういうことがなされていくとするならば、私はそれなりに是認をしなければならない点もあるだろうと思います。しかし、農地なら農地としてあくまでも農業経営をしようとする者について、たとえA農地であれ、B農地であれ、それに対して過酷な、極端に言うと本当に過酷な課税標準を決めて一定の率で徴収をしていくということ、私はその点についてはどうしても納得できないわけです。ですから、これは現況はあくまでも農地として、現況の土地そのものとして使う以上は、やはりそれについての評価は評価として私は従来どおりやるべきだ。ただ、それは譲渡、いわゆる権利を移動したり、あるいは目的外に使用する際にそれを税の部門で把握をするということでいいのではないか。そこにどういう問題が起こってまいりますか、ひとつ教えていただきたい。
  124. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 先ほどから申し上げておりますように、市街化区域はそもそも優先的、計画的に宅地化をすべきところであるというところでございます。それで、ただいまお話のございました農業を長期的に継続しておやりになるという方につきましては、先ほどから申し上げておりますように、線引きの見直しの機会に、仮に市街化区域の中に、そういう将来とも農業として適しておる農地があり、しかもそこに農業継続の意思のある方がおられるとすれば、それは調整区域の方に編入をしていただくという手だてもございますし、さらには生産緑地制度の活用ということによって、ただいまお話しのような方につきましての手当てというものはできるというふうに思うわけでございます。
  125. 工藤良平

    ○工藤良平君 そこは非常に大事なところで、画一的な線引きの中でも、そういう農業をやるという者については、調整区域としての指定を受けられるようにする、というように解釈をしてよろしゅうございますか、非常にこれは重要な問題ですけれども
  126. 台健

    説明員(台健君) 線引きにつきましては、当初の線引きの当時から、優良な相当規模のまとまった農地につきましては、市街化区域に編入しないことといたしておりますので、大規模の優良農地につきましては都市計画区域に含めていないわけでございます。また、線引きの見直しに当たりましても、当時大規模なそういう判断でなしに、市街化区域に編入されたところが、社会情勢の変更によりましてそれに該当するに至りました場合には、市街化調整区域に編入することも十分あり得ることだと考えております。
  127. 工藤良平

    ○工藤良平君 その選択は個人の選択に任せられますか。
  128. 台健

    説明員(台健君) 見直しにつきましては、先ほどからたびたびお話が出ておりますように、すべての都市計画区域につきましておおむね五年ごとに、その後の人口の変動ですとか、産業の変動でございますとか、あるいは市街地土地利用の変動、交通量の増加等についての基礎調査をやりまして、その調査結果に基づきまして、いかなる区域を市街化区域にすべきであるか、あるいは市街化調整区域にすべきであるかを決めることになっております。
  129. 工藤良平

    ○工藤良平君 だからね、私が言っているのは、私が市街化区域の中で農業をやりたいという意思を持って、生涯にわたって私は農業をやろうと決意をしたときに、あなたは市街化区域のこのA農地、B農地になりますから税金をいただきますよ、ということで取られるのがいまの制度でしょう。そうじゃなくて、私が農業をやる。農業をやるについて、私さっきからしきりに言うように、最低限の生活を支えるという意味のこの農地でありますから、この地域については調整区域としていただきたい、という申請が出てきたときに、それは認められますかということなんです。いや、それは市街化区域と線を引いてありますからそれはだめですよ、ということにいまのところではなるんじゃないかと私は思うのですけれども。そうじゃなくて、その中でも、個人的に私があくまでも農地としてやりたいということであれば、それは現況、農地が続く限り当然それは調整区域として認めてあげましょう、ということになるのか。当然私はそうならなければおかしいと思うのですけれどもね。
  130. 台健

    説明員(台健君) 都市計画の決定変更につきましては、手順といたしましては、必要に応じて公聴会を開き、あるいは案につきましては告示いたしまして、一般の縦覧に供しまして、御意見を出していただいて、その上で地方の都市計画審議会にかけまして決定することになっておりますが、具体的ないまの問題につきましては、優良な農地として保存すべきものであるというふうに判断できる区域につきましては、農林省等とも事前に十分な打ち合わせをやっておりまして、条件に該当するものについては見直しの際に調整区域に編入するということはあり得ると思っております。
  131. 工藤良平

    ○工藤良平君 それがいま言うように、個人とか、あるいは一定の面積以上とかいうような条件がはまってきて、現実には個人的にはだめだということになってしまって税金を取られる。そのかわり、あなたが転用する場合には転用いたしましたという届けだけでよろしいですよ、という、許可じゃなくて届けだけでよろしいですよ、ということで、こう若干農地法の適用が緩やかになるという、そういう便宜だけでしょう。だから、私が農業をやるという者に対する、それを支えていく何物もないわけなんです。それは当然、法的にも私は土地所有というものが個人に認められている以上、公共性というものはあるけれども、それをどう尊重してあげるかということですね。それについては、これは憲法上の問題からも私は今後議論が起こってくるのではないかと思うんですよ。いま言う画一的にこの地域についてはこうですよ、それにはこういう税金を取りますということになっているわけでしょう。だから、いま言うように、優良農地でこれは必要だという場合には認めましょう、それはいま言う一定面積以上とか、あるいはそういう一つの基準というものによってこう締め出されていくんじゃないですか。私個人がそれじゃ申請をした場合に、建設省としては農林省と相談をして許可になるという保証がありますか。それは保証は当然私はあると、こうならなきゃ憲法上おかしいと思うんですけれども、その点はどうですか。
  132. 台健

    説明員(台健君) 先ほど固定資産税課長の方から説明がありましたように、農業の継続の意思のある——農地に限りませんが、採草地あるいは森林等含めまして、生産緑地法が昨年の八月三十一日から施行されまして、これは市街化区域といえどもその市街化は段階的に行われるものですから経過的に農地は当然存続するわけでございまして、それらを都市計画の面から評価いたしまして、公害とか災害等の避難地として利用するとか、あるいは将来の公共施設のための保留地としての機能を有するとか、そういう点を評価いたしまして都市計画生産緑地地区を定めることができるようにいたしてございます。
  133. 工藤良平

    ○工藤良平君 それじゃ、もう少し具体的に聞きますよ。いいですか。ここに東京都の調査が出ておるんですが、工業地、商業地、住宅地のそれぞれの評価が出ております。もちろん商業地の場合にはこれは立体的に上に積み上げますから、高いたとえば新宿のように四十階建てなんというのをつくりますと、これは延べで計算をしてまいりますと一坪当たりの単価というのは相当落ちるだろうと思いますね。それを計算をしてみますと、一般の住宅地も商業地も余り変わらないような——まあ倍ぐらいになるでしょう。工業地が一番安いということになるわけですが、たとえば一番安いそれじゃ工業地の場合を例にとりまして、工業用地がある、坪当たり三万していると計算をいたします。その隣に私の農地があります。一・五ヘクタール持っている。これで農業やりたい。ところが、いま言うように、工業用地が、隣が坪三万円する。それを一・五ヘクタール私が持ってこれから農業をやると、いう場合に、いや、あなたのところは、それは市街化区域でA農地になります、あるいはB農地になりますからと、こういうことで国からの指定を受けて税金を取られるといたしますと一体幾らになりますか、いまの新しい制度で。坪三万円で一・五ヘクタール私が持っている、工業用地の隣に。幾らの税金を取られることになりますか。ここで農業としてその税金を取られた場合に成り立つかどうか、ひとつ計算をしてみてください、具体的に。三万円じゃ、これ安いですよ。そんなところはないでしょう。ないけれども、しようがないですよ、これ計算をしてみてください、概略でいいです。何万ぐらいになるということ。農業が成り立つかどうか、私が。
  134. 台健

    説明員(台健君) いまの一・五ヘクタール、坪三万円はあれでございますけれども……
  135. 工藤良平

    ○工藤良平君 似たような例があればいいです。
  136. 台健

    説明員(台健君) 三大都市圏内のA農地につきまして五十年度の平均の税額は一反歩当たり約十万円でございます。
  137. 工藤良平

    ○工藤良平君 平均。
  138. 台健

    説明員(台健君) はい。
  139. 工藤良平

    ○工藤良平君 そうすると、私がそういうところで農業をやるとすれば年間に百五十万円の税金を納めながら農業をしなきゃならぬということになるわけですね。そうすると、それじゃ一・五ヘクタールのうちに一ヘクタールを水稲をつくるといたします。こういうところですから反当十俵はできないでしょう。まあ大体八俵から九俵でしょう。それで計算をして、あとそれじゃ五反歩を野菜をつくって売るとした場合に、一体百五十万円の税金を納めて私が最低限の生活を保障されるということが可能であるかどうか。これを普通一般の農地として計算をした場合に、一体幾らの固定資産税になりますか。
  140. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 御案内のとおり、一般農地につきましては昭和三十八年度以来税額の据え置き措置がとられております関係で、全国平均で申し上げまして、一反歩当たりの田の税額は四百九十一万円でございます。
  141. 工藤良平

    ○工藤良平君 いま、じゃ具体的に申し上げますが、いまA農地を例にしてお話がありましたが、それで、たとえば十万円とした場合に、私が一・五ヘクタールつくって、そのうち水稲を、計算しやすくたとえば十俵といたしますか、反当十俵取れるとして百俵ですね、百俵。そうすると、ことしの米価は一万五千四百九十五円だったですね、ですから一万五千五百円として百五十五万円です。あと五反歩は野菜をつくるとして、反当二十万円といたしましても幾らになりますか——百万円。計二百五十五万円。そのうち百五十万円税金に取られて、肥料を出し、農機具代を払い、こんなことで経営成り立つはずはないんですね。成り立たない。成り立たないがゆえに、私が農業をやろうとした場合には、どうしても従来の農地としての課税でしか農業を維持することができない。そういたしますと、さっきお話がありましたように、これはやはり農民土地いびり出しにすぎない。市街化区域の中にあるものはひとつ農地を提供しなさい、これは宅地に使いますよ、ということにならざるを得ないんです。ね、そうでしょう。そこに私は根本的な問題がある。そうすると、私の個人の意思というものがそこには全く通わなくなるわけですよ。そうではなくてやはり本来、先ほどから私再三申し上げておりますように、私が農業で生活をするということになると、それはやはり生存権としての最低限度のそれは認めるべきだという立場から、これを農用地として残させる、そのための税の措置というものが当然あってしかるべきではないか。ね、そういたしますと、さっき冒頭に構造改善局長からお話がありましたように、画一的にすべてのものを同じように評価をして同じような率で税金を取るということについては、特にこの土地税制の問題については、私は問題があるような気がするわけですね。この点についてもう一度、ひとつこれは自治、建設、大蔵それぞれから御回答をいただきたいと思います。
  142. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 先ほど申し上げましたように三大都市圏内のA農地の五十年度税額は十万円、反当たり十万円でございまして、これがお話しのように農業の経営を継続していく場合において非常に困難になるような額であるという点については、これはおっしゃるとおりだろうと思います。  そこで、やはり市街化区域内の土地はどういうところであるかということにやはりなるんだろうと思うわけでございまして、これはやはりそこの市の住民の方のいわば総意として宅地化を促進していくべきところである、ということで成り立っているんだろうというふうに思うわけでございます。そして、ただいまの課税適正化措置もそれを促進していく意味で、他の宅地化促進法、その他の宅地化政策と両々相まちましてその一環として位置づけられるものだろうと思うのでございます。ただ画一的に、それじゃそこから農業を長期的に継続していきたいと言われる農家につきまして、それをすべて拒むことになっておるかといえば、そこはそうじゃないわけでございまして、線引きの見直しでございますとか、生産緑地の活用、生産緑地の場合、第一種生産緑地は面積用途が一ヘクタール以上でございますけれども、第二種生産緑地につきましては、これが〇・二ヘクタール以上ということでございまして、かなり小規模の農業地についてもこれが活用できる仕組みになっておるわけでございまして、農業継続の意思のおありになる方につきましてはそういった制度の活用によりまして生産緑地に指定をされましたところについては、課税適正化措置の対象にしてないわけでございまして、そういう面から御理解をいただきたいと思うのでございます。
  143. 台健

    説明員(台健君) 生産緑地地区につきまして若干補足さしていただきますと、先ほど、いま面積規模について説明がございましたが、法律ではおおむね一種につきましては一ヘクタール以上、それから二種につきましては〇・二ヘクタール以上ということになっておるわけでございますが、私たちは、おおむねでございますので、その最低限といたしましては、一種につきましては約〇・八ヘクタール程度、二種につきましては〇.一五ヘクタール程度で指定して差し支えないというふうに考えております。
  144. 水野勝

    説明員(水野勝君) 私の方といたしましては、適正な税負担という観点、土地政策、土地の有効利用という観点からいたしまして、基本的には宅地並み課税という考え方は適切なものではないかというふうに考えるわけでございますが、それが画一的な適用になったり、あるいは現実の負担能力の点に障害を生じたりということのないように、また他の諸施策との整合性も考え合わせながら現実的に推進されるべきではないかというふうに考えております。
  145. 工藤良平

    ○工藤良平君 そういたしますと、いま大蔵省の御見解のように、これは画一的に網をかぶせるということについては確かに私どもも矛盾があると思っております。これは今後、この実施の段階でなお非常に重要な問題として私は検討すべき課題だと思っているわけです。もちろん現在のABCですね、あの三大都市圏のABCはもちろんのことでありますけれども今後さらに、この問題はまた後ほどお伺いいたしますけれども、他の都市のいわゆる市街化区域までも拡大されるということも聞いておるわけでありますから、そういうことになると当然これは全体的な大きな問題でありますので、いま大蔵省がおっしゃるように画一的なこの網をかぶせる、あるいは一定の率で評価をし、一定の率で取るということについては私は問題があるような気がしますから、これはまた後ほどの問題として私は残しておきたいと思うのです。  そこで、これは自治省にお伺いいたしますが、さっきありましたですね。固定資産税は本来収益力のあることが予想される土地等について、その収益性に担税力を見出して課する税金である、こういうようなお話がありました。そこで、これ私大変、しきりにこだわるようでありますけれども、いまそういうような意味から全体的に市街化区域の農地については、いま言うように区分をして取るのだと。しかし優良農地等につきましては、この緑地法案等もあるし、あるいは調整区域への編入というようなことも、五年ごとに行われる線引きの見直しの際にそういう措置も講ぜられるのではないかと。こういうようなことで、従来のような画一的なという問題が少しゆるんできたような、私は一方的に私なりに解釈しますよ。解釈をしていきたいと思うのですが、ただ、いまも建設省もお話がありましたように、第一種の一を〇・八とか、あるいは二種の面積を若干狭めるというようなお話もございました。その点については確かに前進的だと思います。ただ緑地法の場合に、一定の期限やはりその農地を動かすことができないという規定がございますね。これはもちろん農業としてあくまでもやるということですから、それは途中でそんなに簡単にふらふらしたんじゃ、もちろんこれは困ります。困りますけれども、しかし農民にしてみれば、そこに非常に異常な土地の上昇とか、いろいろな経済的な変化というものに対する、何といいますか、不安というものが常につきまとっているわけですね。ですから、そういう緑地の指定を受けて、果たしてそれがいいのか悪いのかという点の不安もあるし、極端に言いますと、これは余りいい例じゃありませんけれども、十年間規制をされている、その間にたとえば三年たった、三年たったときに、主人が不幸のために、交通事故とかそういうものでなくなってしまったと、農業続けられなくなったという場合に、一体、それは解除されるのかどうかという問題も具体的には起こってまいりましょうね。そういういろいろな事例が私は出てくるだろうと思う。計画途中におきましても、あるいは申請を出して許可された、十年間という一つの期限の中においてもしそういう問題が起こった場合に、それは当然弾力的に運営をされるというように、私はこれは法の理論として当然だと思いますけれども、その点については具体的にどうなりますか。
  146. 台健

    説明員(台健君) 買い取りの制度につきましては二つございまして、第一種生産緑地地区につきましては十年経過後、それから第二種生産緑地地区につきましては五年経過後におきまして、農業継続が著しく困難になった場合におきましては買い取りの申し出ができることになっておりまして、これは市町村に買い取りを義務づけております。で、それに該当しない場合におきましても、農業を継続しがたい特別な事情が存します場合には、買い取り請求の道が開かれております。
  147. 工藤良平

    ○工藤良平君 その点についてはわかりました。そういう運営がなされるということですね。  それでは、さっき私が問題にいたしましたけれども、実際に自治省として、農業というものを、いわゆる都市農業というものを一体どのようにお考えになっていらっしゃるのか。完全になくなってしまっていいものなのかどうか。それともう一つは、私は、都市農業というものと同時に、この都市の再開発の問題ですね。こういう問題については、一体、どのように関連づけて考えていらっしゃるわけでございますか。
  148. 台健

    説明員(台健君) 再開発は所管外でございますけど、再開発とどんな関係でございましたでしょうか。御質問意味がよくわからなかったんでございますけれども
  149. 工藤良平

    ○工藤良平君 まあ、これはもっと詳しく申し上げましょう、私なりの考え方ですよ。いま言うように、税制の面から農地をできるだけ宅地に提供させる、少なくとも市街化区域については。調整区域というものも、将来だんだん市街化区域が狭くなれば、調整区域の方も五年間に一回ずつの見直しがありますから、その際、狭くなれば出ていきますよと、そのための調整区域だということになるわけですね。もちろん、農用地域についてはその後ということになるわけですけれども。そのように市街化区域の中にある農用地までも求めていこうとする、宅地なりそのほかの都市用地としてですね。ところが、都市そのものの再開発見直しというものについては、一体どのような対策なりそういうものをそれに呼応して講じていこうとするのか。これは当然並行的に、私は、全体的な都市計画の中で進められている事項ではないかと思うんですが、農地に対する宅地並み課税で、さっきから私しきりに言うように、農地のいびり出しは始まっているけれども、都市の再開発というものについて一体どういうような考え方を持っているのかと。おわかりになりましたですか。大体そういうことです。
  150. 台健

    説明員(台健君) 都市整備のやり方といたしましては、都心部の機能増進、合理的な土地利用等につきましては、都市再開発法によりまして都市の再開発という手法を使って開発を図っております。なお、郊外地の、周辺部の開発につきましては、既存の制度に加えまして、ことしのこの十一月一日から大都市における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法という法律が施行になりまして、この中で、従来の土地区画整理のあり方を改善いたしましたのと、それから住宅街区整備事業というものを新しく考えて、その施行の準備をいたしております。
  151. 工藤良平

    ○工藤良平君 それでは、私、これは大体農水の方ですから、あんまり、建設省の関係の法律は、勉強しなければいかぬのですが、なかなかそこまでいかないんですけれども、ちょっと具体的にお聞きをいたしますが、さっき私しきりに言っておりますように、農業の場合には、いわゆる農業をやることによって生存権を守ろうといたしますね。それと同じように、都市の中におります者がみずから最低限の生活を支えるために土地と家屋を持っている、住宅を持っている。ところが、同じその住宅でも、いろいろありますわね。田中総理のように一区画全部、町の一区画全部を持っているという人もありますし。ですから、そういうことを私は都市開発の中で、農民に税金でもっていびり出そうとするならば、都市の中にある、市街化区域の中にある、現に宅地として持っている者についても、一定の面積以上のものについては、これを吐き出させるとか、そういうことをやらないと、私は大変手落ちになるんじゃないか。こっちの方からばっかり農地が安い安いということで税金はかけるけれども、一方、都市の中に大変広大な宅地を持っているという者について、一体私たちがそれを公的に利用するという立場が可能であるか不可能であるか、当然考えてしかるべきものではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
  152. 台健

    説明員(台健君) 再開発事業ですとか、あるいはその他の市街地開発事業を行います場合の必要用地に該当いたします場合には、事業用地として場合によりましては収用権まで付与されておりますが、その他の土地につきましては、特別な制度はいまのところございません。
  153. 工藤良平

    ○工藤良平君 だから、たとえばですね、人間が生活する上において、一定面積の宅地についてはたとえば減免措置を講じて、お話がありましたように、たとえば二百平米なら二百平米以内についてはこれは生存権の最低の権利として保障しましょうと、それを超したものについては累進的に課税をしてまいりますよと、したがって大変広大な土地を市街化の中で持っている者については、これはもう税金上からも耐えられないという形で吐き出させるということも当然あっていいんじゃないか。極端な議論になるかもわかりませんけれども、これは税公平の理論ということから考えてみると、これは当然のことじゃないでしょうか。これは、大蔵省なり建設省あるいは自治省の中でも、固定資産税の一つの累進的なそういった方策というものは考えられてしかるべきではないか。私はそういうように矛盾として感ずるんですが、その点はどうでしょうか。
  154. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 固定資産税は、財産の価値に着目をいたしまして、その財産の価値の大小に応じまして課税をする税であるというふうに考えておりますから、いわゆる所得課税のように累進課税にはなじまない税金であるというふうに考えております。ただ、広大な面積をお持ちになっておる方について重課をしたらどうかというお話でございますが、御案内のとおり、四十八年度から市町村税といたしまして特別土地保有税が設けられております。これは、人口段階に応じまして一定規模面積以上の土地を取得もしくは四十四年一月一日以降に所有をされておる方については、その取得価格を課税標準にして課税をするという特別土地保有税が現在あるわけでございます。これが、ただいまおっしゃいましたようないわば大規模な土地を持っておられる方について税を重課することによってこれを吐き出させるといいますか、提供してもらうというような政策意図を持って四十八年度から課税がされておるということでございます。
  155. 工藤良平

    ○工藤良平君 その点私はさっきからしきりに申し上げているんですが、税制として、税制の面から宅地の提供をさせるという、いわゆる都市サイドにおけるですね。そういうことを考えるとするならば——当然宅地でないものに対してそういうものをやるわけですから、いわゆる税の措置によって吐き出させるということを、いわゆる宅地として提供させようとする意図を持って政治的にやられているわけでしょう。だとするならば、当然宅地そのものについて一定面積以上のものについてはそれを出させるという方法があっていいじゃないかと、税金として、それは当然じゃないか。そうしないと、ただいわゆる農用地だけについて地価対策のための土地税制としてこれを行うということについては、全くこれは私は虚構にすぎない。それでは問題があるということを申し上げているわけで、その両面からの一体その土地税制からの宅地対策というものは十分になされているのかどうか。さっき田中前総理のあれを引き合いに出して申しわけないんですけれども、まあ話によりますと一区画全部持っているということですから、私は引き合いに出したのですけれども、そういう点当然両面から考えていくべきものではないのかと、私はそのように考えているわけです。それが具体的にいまこうこうこういうような制度でもって税金を取っておりますと、それはこういうことになっておりますということであれば御説明いただきたいと思います。
  156. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) ただいま申し上げました特別土地保有税は、それは宅地でない土地について課税をしておるというものではありません。すべての土地につきまして、指定都市でございますと二千平米以上、それから都市計画区域を有する市町村につきましては五千平米以上、その他の市町村の区域については一万ヘクタール以上、四十四年一月一日以降取得されたものについては一律に課税がされておるわけでございます。
  157. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまお話がありましたように、たとえば東京都の場合には二千平米以上ですか、ということになるわけですね。しかし、それは、いついっか現在で土地を取得した者について税金を課せるということですね。だから、従来から持っておりました宅地についてそれを最も新しい時価でもって評価をして、いま言う一定以上のものについて、たとえば二千平米以上持っておる者については、さらに累進でもって税金を取って、それが他の宅地として利用できるような措置というものが当然あって初めて、私は、農地に対する宅地並み課税というものが正当性というものを、いわゆる税金を取る方からのですよ。こちらは別にいつまでたっても正当性は出てきませんけれどもね。いわゆる税金を取る方からの正当性として私は主張できるのではないかと、こういうように思っているわけですね。その点については、いわゆる新しい取得じゃなくて従来から持っている者に対する固定資産税の取り方ですね。一定面積以上のものを吐き出させるという意味において当然そういうことがあっていいんじゃないか、そういうものが出てこないと私は税の公平の原則というものは貫かれていかない、納得できないということになるわけですね。
  158. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 特別土地保有税は、御指摘のように四十四年一月一日以降取得の土地について課されるものでございます。これは所得課税におきまして土地譲渡所得の課税の特例が設けられましたその対象になる土地が、四十四年一月一日以降であるということと呼応しておるわけでございますが、それ以前のいわゆる遊休地、未利用雄について訴税を強化すべきであるという御意貝は確かにあるわけでございます。その点につきましては、この特別土地保有税が創設されましたときもなかなか、遊休地、それから未利用地の特定が非常に技術的に困難であるというようなこともありまして、一定期限を切り、一定面積以上の土地について定率の税をもって課税をするということが、当時といたしましては最善の道であるということで特別土地保有税ができたわけでございますけれども、御指摘のように、それ以前に取得された土地について遊休地あるいは未利用地であるようなものについて課税を強化すべきであるという御議論はあるわけでございまして、将来の問題として私どももこれは検討しなければならない、かように考えておるわけであります。
  159. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、この固定資産税の問題、特に土地に対する課税の問題についてはもっともっと問題がたくさんあるわけです。これたしか去年の予算分科会だったと思いますけれども、ゴルフ場の固定資産税を調べてみました。そうしたら、近傍隣地のそれと評価をしてやるということ、田舎の方にありますものは山林原野ですね、そういうものと大体評価を同じにするとかですね。私は、中央沿線の小金井のどっか近くにあるゴルフ場、その会員権が大変高い。一枚のゴルフ会員権が五千万するとか言っていましたので、私買いたいですと、こう電話しましたところ、買う意思はもちろんありませんけれども。そう言って聞きましたところが、いやいまありません。まああるといたしましても、五千万円はしましょう、ということで、大変驚いたのですが、そういうところでも、あそこは山林にも関係しているわけですね、山林、農地あるいは市街化と大変範囲が広いわけで、私調べてみましたら全部二つの市かにまたがっているのですね。それで見てみましたところが、非常に、そういう意味での固定資産税の評価というものに大変なこれは問題があるな、ということを痛切に感じたわけなんですけれども、これは余談ですけれども。そういうようなことを考えてみると、私はもっともっとこの土地税制の問題については根本的な議論を組み込んでいく必要があるのじゃないか。そうしないと、いま言う宅地並み課税ばかりで、こちら側の面からの私は議論だけでは問題が起こるような気がいたします。  そこで、これは最後に、もう時間ですから。きょうは第一部ということで、この次第二部をひとつ設定をしていただいて、具体的に今度法律の条文等から検討してみたいと思うのですけれども。そういう意味から特に私は自治省に申し上げておきたいと思いますのは、農地というものは農民最低の生存権としてのための農地であると同時に、これはまた先ほどお話がありましたように、日本の国民の食糧を確保するという意味でのいわゆる生存権の土地という意味も含まれると私は思っているわけです。ですから、その意味において非常に大事にしなければならぬという立場からいま論議をしてまいりました。先ほど農林省からもお話がありましたように、そういう意味で私は、この宅地並み課税の問題については、慎重に慎重を重ねて、他の税制との関係というものを根本的に組み込んだ上で、ぜひひとつこの問題に対しては慎重な扱いをしていただきたい、こういうことでございます。  それにさらにもう一つは、これは農地のいわゆる固定資産税の評価がえの問題については三十八年度以降据え置かれておりますけれども、一般農地の課税額につきましても、来年度の評価がえの際にこの問題が提起をされるというような話も実は聞いておるのでありますけれども、御承知のように、不況のしわ寄せにいたしましても、農民が一番ひどい影響を受けているし、私は、この評価がえの問題については、この際非常に慎重に扱うべきではないかということを実は考えておるわけでありまして、この点に対する自治省の考え方をお伺いいたしますと同時に、農林大臣の方からもひとつ締めくくりとして、この宅地並み課税の問題あるいは全体的な農地の評価がえの問題についても、農民のさっき申し上げましたように最低の生存権を守るという立場からひとつ自治省なり大蔵省に対して積極的な、積極的なというのは、上げるためじゃなくて農民を守るというためにひとつ積極的に御尽力をいただこうと、こういうように考えておりますので、その点を申し上げてきょうは第一部の分だけは終わりまして、また後日やりたいと思います。
  160. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 地方税法の付則で現在検討事項になっております三大都市圏内の特定の都市のC農地、それからその他の市街化区域農地、これの課税適正化の問題につきましては、国全体の土地政策とも関連するところが非常に大きいというふうに考えておりますので、昭和五十一年度におきますところの評価替えの状況、あるいは市街化の状況生産緑地制度の運用の状況等々を見きわめながら、税制調査会等にもお諮りをいたしまして慎重に検討をしたいと、かように考えております。  それから、一般農地の固定資産税につきましては、先ほども申し上げましたが、三十八年度の税額据え置き措置が現在講じられておるところでございますけれども、この据え置き措置につきましては、宅地とその近郊、あるいは田畑価額でありますとか農業所得生産者米価等の動向、あるいは市町村の財政状況等からいたしまして評価額に基づく適正な負担を求めるべきであるという市町村からの要望もございますもので、この問題についてはいろんな角度から現在慎重に検討いたしておるというところでございます。
  161. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 農地の固定資産税につきましては、農地の食糧供給に果たす役割り、あるいは収益性等にかんがみまして、その評価について、農地の売買価格の収益性を勘案した評価方式を一般的に用いるなどの特別な措置を講じてはきておるわけでありますが、今後とも国民食糧確保、あるいは農業経営の安定を図る等の観点から、その適切、妥当なあり方につきまして検討を進め、自治省に対して要望すべき点は要望してまいりたい、こういうふうに考えております。
  162. 相沢武彦

    相沢武彦君 最初に畜産行政における馬産の問題についてお伺いをいたします。  かつてわが国では農村で軍馬、農耕馬、あるいは運搬用、乗用馬、あるいは競走馬というように用途も広く、かなりの頭数が生産されておりましたが、最近では、農業経営の大型化に伴って機械化が進んでおりまして、農耕馬は非常に減少しているわけでございます。また、運搬用にもほとんど馬は使われておりませんし、軍馬はもちろん必要ない。こういう状況になっているわけでありますが、農林省は、現在わが国の用途別の馬産実態を数字の上でつかんでおられましたら発表していただきたいと思います。  それから、その次に、畜産行政全体をとらまえますと、農林省は畜産振興のための諸施策を講じておりますけれども、馬産については衰退してよいと考えるのか、あるいは成り行きまかせでいこうというのか。また、その用途によっては振興施策を図る必要があると、こういうように考えられているのか、その点の見解をまず示していただきたいと思います。
  163. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) まず、現在の馬の飼養頭数でございますが、まず農用馬でございますが、これは、四十九年の数字で申しますと六万六千頭、それから軽種馬が六万五千頭、それから乗用馬が数千頭ということでございまして、かつて農用馬が戦後は百万頭以上ありましたものが現在ではわずか数万頭、逆に軽種馬の方は戦後一万頭未満でありましたものが六万五千頭というぐあいに、用途別の内部の振りかえというものはありますが、そういった状況になっております。  それから、馬についてどう考えるかという御指摘でございますが、私ども、相対の馬の用途が、戦前と変わりまして、いま御指摘になりました事情、農業の内外を取り巻く事情の変化によりまして、変わってきていることは事実でございますが、地域的には、農用馬といたしましても、たとえば雪寒地帯あるいは急傾斜地帯、そういった特殊な地域におきましては、やはり農用馬としての需要というものもまだかなりあるということがございますし、それに対しては、国としてはそれ相応のお世話をしていくということが必要ではないかと思います。現に、たとえば農用馬につきましては十勝の種畜牧場で農用馬の種畜改良事業をやったり、あるいは優良種馬の貸し付け事業等、こういったことをやりましてその品種の改良を図っておる、こういった状況でございます。
  164. 相沢武彦

    相沢武彦君 いまの中で地理的条件、土地条件によって、いわゆる農耕馬が必要なところについては今後も育成を図っていくということでございましたが、ここ最近急にふえた軽種馬農業に関する振興施策については、基本的にどういう立場で取り組もうとされているわけですか。
  165. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 軽種馬生産はいわば特殊な性格を持っている、御承知のとおり、競走馬ということの生産でございますから、国民に健全な娯楽を提供するという意味で、他の一般の農業のその他の分野における生産とは若干性質は異なるという性格を持っております。しかし、やはり、その地域農業にとりましては非常に重要な生産の対象でございますから、そういう意味におきましては、軽種馬の生産の助長というものにつきましてはやはり力を入れていく必要があるだろうというふうに考えている次第でございます。
  166. 相沢武彦

    相沢武彦君 すでに御承知のように、競馬は、大衆レジャーあるいは健全娯楽として、広く国民の間に愛好され、定着していると思うわけでございます。競馬人口の推移を見ましても、昭和三十年では中央競馬、地方競馬合わせまして入場者数が六百万人程度、こういうことでありましたが、昭和四十年で一千五百万人、四十九年度では四千万人というように著しい増加傾向を見せているのでございます。そして、この競馬を支えている競走馬の供給基地は、全国生産のうち約七割を占める北海道の日高、胆振地方でございますが、特に、この日高管内農業者の三分の一が軽種馬生産に携っている農家でございます。一面、競馬の華やかさを思いますと、大手牧場ばかりを想像しがちでありますが、生産者の大部分は零細農家です。そうして、最近の内外の経済の変動あるいはその他いろいろな状況によりまして、軽種馬生産農家を取り巻く経営環境というものはきわめて悪化をして、非常に経営的に苦しい状態に追い込まれております。  そこで、御質問するわけでありますが、軽種馬生産農家の人たちが一番訴えているのは、われわれも農業者である。ところが、軽種馬生産農業に関する農政における位置づけということははっきりしているのかどうかと、そこのところが一番不安に思い、また確認したがっているところでございます。軽種馬生産も、もともと農業を営んできた方々が、農地を基盤として、馬の育成技術によって畜産物を生産しているということでありますから、その生産実態から見まして、農業そのものであると思います。そうなりますと、その他農業部門同様、総合農政の中に明確な位置づけというものがなされなきやならない。このように思うんでございますが、政府としては、この軽種馬生産農業というものを農政の上でどういうように位置づけられているのか、見解をお伺いいたします。
  167. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは先ほど畜産局長も申し述べましたように、軽種馬生産というのが、競走馬の生産を通じて国民に健全な娯楽を提供するという性格を持っておることから、軽種馬の生産流通は農業の他の分野とは異なっておる特殊な事情があることはあるわけでございます。しかし、その生産流通の動向は、生産地域の農家にとって重要な関心事であるので、これらの農家の経営の安定を図ることはきわめて重要なことであると考えております。いま御指摘のように、やはり軽種馬生産を行っておる農家はやはり農家そのものである、こういうふうに考えるわけでございます。いろいろとこうした軽種馬生産の助長策等については努力も、その施策を通じて努力も行われてきておるわけでありますが、私はいまの申し上げましたように、やはり軽種馬生産も、生産をしておられる農家農家そのものであるわけでございますし、地域農業の非常に特性を持っておるわけであります。したがって、そういう中にあってこれからの農政を進めていく上において一つの、生産対策等の振興対策の一環として、これは地域農業という特色もありますが、やはりとらえて、そしてこれに対していろいろと施策を今後とも強化をしていくという必要があるというふうに考えるわけであります。
  168. 相沢武彦

    相沢武彦君 法律の上で明示されているものがございますか。
  169. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 競馬関係の、軽種馬関係といいますか、競馬関係の法律は、日本中央競馬会法と競馬法がございますが、競馬法そのものには、軽種馬の生産云々というような語句そのものはございません。それは先生御承知でございましょうけれども、競馬法は、競馬というスポーツを公正かつ適正に施行するという観点から決められました競馬の開催施行に関する法律でございまして、そういう意味では、直接に軽種馬の生産そのものにタッチはしていない、こういったことでございます。しかし一方、日本中央競馬会法という法律が片方ございまして、その法律趣旨のところに、一条でございますが、競馬の意味づけといたしまして「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」云々という語句がございますが、それはいわば競馬の意義づけをしているというふうにわれわれは理解しているわけでございます。したがいまして、そういうような形で競馬というものは、軽種馬あるいは馬質の改良、増殖というものに寄与するというようなものとして理解し、われわれは位置づけているというふうに考えておるわけでございます。
  170. 相沢武彦

    相沢武彦君 日本中央競馬会法には、いまおっしゃったように出ているんですが、競馬法の方が親法で、これを受けて日本中央競馬会法ができていると思うわけでありまして、生産農業者は、競馬法の方に明確に位置づけられないと心配だ、こういう意見を言うんですが、現行の競馬法ではいまおっしゃいましたように競馬の開催施行に対する内容だけでありまして、その競馬の資源である競走馬を生産している農業を位置づける生産者の立場を加味した内容はないわけであります。そういった点で軽種馬生産部門や育成トレーニング部門、こういったものも一緒にあって初めて、軽種馬生産というものが位置づけられるのじゃないか、こういうように考えているわけでありますが、その点いかがですか。  それからもう一つ、家畜改良増殖法にも家畜の中の馬ということで法律でいろいろ定められておりますが、この面で軽種馬生産について「家畜の能力、体型、頭数等についての一定期間における向上に関する目標を定める」、こうありますが、そういったものを実際に適用してこの家畜改良増殖に基づいて行われた、こういう実例があったのかどうか、その点ももしおわかりになればあわせてお答えいただきたい。
  171. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ちょっと基本的な考え方について私から先に申し上げますが、先ほどから申し上げますように、やっぱり私は軽種馬生産者のあり方という問題については、これは軽種馬生産はやはり生産農家という立場で、農政の中においてはやはり生産者、生産農家というとらえ方をして、これに対する対策を講ずべきであると思います。同時にまた、競馬の中においてはやはり競馬協会というのがありますが、同時に、これを構成するものはファンであり、あるいは馬主であり、そうして生産者である。そういうふうに考えておりまして、そういうお互いのやっぱり協力といいますか、そういうものがなければ、この競馬というのは成り立たないわけでございますから。そういう意味においては、競馬法において明確な位置づけがないと、法律的な問題は別といたしましても、競馬そのものはそういうお互いの有機的な協力関係といいますか、そういうものがなければ競馬そのものが成り立たないわけでありますから、そういう意味においては、どっか一つが欠けても競馬は成り立たぬわけですから、その競馬における地位といいますか、位置というものは、その生産者というものは、非常に大きいものがあるというふうな認識でこれに対処すべきである。こういうふうに私は基本的に考えておるわけであります。
  172. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 競馬の家畜改良増殖法等における位置づけ、あるいは具体的に軽種馬の改良増殖はどうなっているか、こういうお尋ねでございますが、ただいま御指摘になりました家畜改良増殖法で言っておりまする種畜の確保あるいは家畜の改良増殖、こういったものにつきましては、当然軽種馬も入っているというふうに理解しております。具体的にどのようなことをやっているかということでございますが、これは中央競馬会等を通じまして優良種雄馬を購入いたしまして、これを生産地に配布する、こういった仕事をやっております。これは種馬は具体的に申し上げますれば、内国産馬もありますし、それから一頭一億もするような外国産馬を購入してきて、それを生産地に配布して種畜の、家畜の改良増殖を図っている、軽種馬の改良増殖を図っている、こういうふうなことを歴年やってきております。
  173. 相沢武彦

    相沢武彦君 大臣の答弁ですと、軽種馬生産農家農業の中に位置づけられているんだ、心配ない。こういうお話なんですが、実際生産農家がたとえば、よい競走馬を育成しようというのであれば、そのためには草地改良を行わなければならない、こういうことになってきます。ところが、実際現場では直接食料になる家畜を飼うという立場でありません、特殊な立場でありますから。どうしても制度金融に乗りづらい、後回しにされる、こういうことになるわけです。それで軽種馬しか飼ってない農家が制度金融を受けるためには、牛をわざわざ何頭か買ってきて、そして牛と一体化した形で初めて草地改良のための制度金融を受ける。非常に苦労をする、あるいはむだな経費をかけると言いますか、生産農家では。そういった実例があるわけです。そこで、農林省としても軽種馬生産にかかわる制度資金の融資についてもっと弾力的な運営というものが現場で図られるような指示をもう少し徹底をされる必要があるんじゃないか。そういうふうに思いますが、その点いかがですか。
  174. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) ただいま軽種馬の草地の問題にお触れになられたわけでありますが、これにつきましては国庫からの直接の助成という形では必ずしもございません。ございませんが、地方競馬全国協会等から草地造成事業に対する助成あるいは軽種馬の育成施設あるいは放牧施設、そういったものの設置に対する助成等の事業を歴年やっておるわけであります。御指摘になりました融資の問題は、草地改良を助成を受けてやった場合の後の補助残等の融資についてどうか、こういったことでございますが、現在近代化資金で草地造成事業に対する融資を行っているわけでありますが、これは牛乳、乳製品あるいは牛肉といった安定的な供給を図るための生産基盤の整備を図るという観点から行われてきているということでございまして、そういう意味で軽種馬が、先ほどから申し上げました国民に健全な娯楽を提供するということとは若干まあニュアンスと言いますか、そういったことは変わっておりますので、しかし一方におきましてはやはり先生が御指摘になりましたように、地域農家の経安ということからすれば非常に重要であるというような事情にかんがみまして、軽種馬生産のための草地造成につきましても牛と一体的に行われる場合におきましてはそれを実施している、融資を実施している、こういったところであります。  いま御指摘のありましたように、軽種馬だけという場合に、草地造成について弾力的な取り扱いをするということにつきましては、いまにわかにちょっと結論は出しにくいわけでございますが、今後の検討課題にさしていただきたいと思っているわけであります。
  175. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、軽種馬の生産調整ということがいま非常に業界では重要な問題になっているわけですが、国内生産馬の生産基礎が安定するまで国内の生産者を保護するために、現行の軽種馬輸入関税については一年ごとに変わるわけでありますが、来年の三月以降も継続化をしてほしいと、生産地からは非常に強い要望があるわけでございますが、この関税問題について農林省それから大蔵省それぞれどのような見解に立っているのか、この際伺っておきたいと思います。
  176. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) まず私から農林省考え方を申し上げます。  軽種馬の輸入関税の問題でございますが、昭和四十六年に軽種馬の、生きた馬の自由化というものが施行されまして以来今日に至っているわけでございますが、私どもといたしましては、国内生産者保護という立場から日本の軽種馬生産と競合するような、たとえば具体的に申し上げますれば、軽種馬のうちすぐ競馬の競争用に供し得るものそういったもの、あるいははらみ馬——妊娠している馬、そういったものにつきましては特に一頭につき四百万円という高率関税をかけまして、国内生産者の利益の調整を図っているわけでございますが、これにつきましては、さらに御指摘のありましたように、今後も継続するという立場で折衝してまいりたいと思っているわけでございます。
  177. 松尾直良

    説明員(松尾直良君) 先生御指摘になりました、現在軽種馬にかかっております関税は明年の三月三十一日までという暫定税率でございますが、これは多くの関税につきまして一年ごとの暫定税率という形でやっておりまして、一年ごとに状況を見ながらその存廃を検討する、こういうたてまえになっておるわけでございますが、ただいま農林省の方からお答えございましたように、私どももそういう方向で目下検討を進めておるということでございます。
  178. 相沢武彦

    相沢武彦君 生産地でも積極的に自分たちの手で生産調整を推進しようということでいろいろ検討をし、進めているわけでございますが、しかし一方で、大手の農外資本によって今後も輸入馬が入ってくる。特に空胎馬の場合は関税がかからなかったわけでありますが、それがいわゆる生産過剰の一因になっておりまして、今後も生産者自身も生産調整には力を入れるので、どうかこの空胎馬の輸入についても無制限に行われたんでは非常に困るという立場から、空胎馬についても関税障壁を設けるなど何らかの規制措置を講ずる必要があると、こういうことなんですが、この点については農林省、大蔵省それぞれ御見解はどうでしょう。
  179. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 空胎馬の問題につきましては、競争用馬あるいは妊娠馬と同様に空胎馬につきましても措置をすべきではないかという意見が生産者サイドからいろいろ私どものところにも寄せられております。そういう事情は私ども十分理解はしているつもりでございます。ただ、最近の実情を見ますと、輸入は激増しているかといいますと、必ずしもそうではございませんで、試みに四十七年と昨年とを比べますと、四十七年が四百頭、それで四十九年が二百頭未満でございますから、ここ二、三年の間に半減しているということもございますし、それから目的はやはり現在ややもすれば過剰傾向にある軽種馬の生産を調整する、過剰化を防ぐというところにあるわけでございますから、根っこの問題はやはり先生も御指摘になりましたように、生産サイドにおきます生産の調整ということが先決である。関税の方からそれをプッシュするという意味もあろうかと思いますが、そういった生産調整の問題とからんで、この問題につきましてはよく関係方面といろいろ相談をして検討していきたいと思っておるわけであります。
  180. 松尾直良

    説明員(松尾直良君) 先ほどの現行関税の継続の問題に加えまして、生産者団体から空胎馬についても課税をしてほしいという要望があるということは私ども農林省を通じて承知をいたしております。御承知のように、関税は法律事項ということでございまして、毎年の改正の作業というのが、大体これから十二月にかけて、そういう御要望のあったもの等につきましていろいろ検討をしていくという時期に来ておりまして、私ども、先ほどの継続の問題とは別に、これは新しい問題として認識をいたしておりますが、ただいま畜産局長の方からお答えございましたように、生産の動向とか輸入の動向、それからこの関税政策のあり方等、特に対外的な面、こういったことをいろいろ勘案いたしまして、これからるる検討を進めていきたいということで、ただいま農林省といろいろ実態につきましてお伺いなどをしておる段階でございますので、そういう生産者団体の要望等私どもも伺っておりますので、今後種々の観点から検討を進めてみたいと思っております。
  181. 相沢武彦

    相沢武彦君 生産者の方も本年十月三十日に日本軽種馬協会の総会で、いわゆる生産調整対策推進要綱というものを決定しまして非常に努力をしているようでございます。下級繁殖供用牝馬の淘汰四項目を拳げまして推進をするようでございますし、また、これまでいわゆる種つけ期間が二月八日から六月三十日のものを、三月一日から六月三十日までと、こういうように種つけ期間の短縮等も行っているようであります。こういった生産者の努力に応じて、いわゆる関税障壁の問題も再考をしていただけるようにお願いをしておきたいと思うわけであります。  それからもう一つ生産調整について。これは即効的な役割りを果たすであろうという観点から、ぜひ実現をさせたいと、また、していただきたいと思うわけでございますが、退厩馬の退厩手当の増額支給、繁殖供用牝馬の生産地還元を抑制すると、こういう政策をぜひとるべきであると思うわけです。現行では退厩馬のうち牝の場合は一〇〇%産地へ帰されているわけでございますが、この退厩牝馬の中には繁殖不適格馬も多いわけでして、これが野放しになっている点が非常に生産過剰になる大きな原因になっているわけであります。そこで、今後、中央競馬会が馬主に支給している退厩手当金制度を改善して、繁殖不適格馬については産地へ戻せないように調整対策を講ずる、そのためには現行退厩手当を倍額にすると。こういうことで対策を講じてはどうかと、こう思うわけでございますが、この点いかがですか。
  182. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 生産者の方でも、ただいま先生御指摘のありましたように、自主的な形で、かつ組織的な形で生産調整を試みてみようと、こういう動きが出てきていることは私ども評価いたしたいと思っているわけでございます。それと照応して、在厩している牝馬が皆産地へ帰ってしまったのでは、そこから生産過剰の原因が出てくるということで、それをできるだけ産地に、いいものは別でありますけれども、劣弱なものは産地へ帰さないようにするというような御意見があることも承知しております。その一つの方法として、たとえば退厩手当というものを、帰るものにはごく少なくして、あるいは他用途に転用をする、たとえば乗馬だとかその他の用途に転用をするというものにつきましては、これを増額するというようないろいろな御提案があることも私ども承知しておりますが、具体的に今後それをどうするかというとは、生産者の方々に御相談しながらそういった問題につきましては詰めていきたいと、具体化していきたいと思っております。
  183. 相沢武彦

    相沢武彦君 それに関連しましてもしいま申し上げました施策ができるとしても、現状では、中央競馬の方しかなかなか着手できないだろうと思うんですが、地方競馬の方がいわゆる競走馬としての質は下回るわけでありまして、もし将来地方競馬にもいまのような改善策が適用されますと、生産調整としては非常に効果が上がるし、また競走馬の質の向上も図れると、こういうふうに思うんですが、将来の問題として地方競馬にも適用していくかどうか、見通しをお伺いしたいと思います。
  184. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 競馬の、競走馬の数から申し上げますれば、これは先生御指摘のように、中央競馬よりはるかに地方競馬全体の方が多いわけでありますから、中央競馬だけで問題が解決する事柄ではございません。中央、地方を通じまして、総括して問題を解決していかなければ生産調整の問題は片づかないと、かように思っているわけであります。今後、その点につきましては、御指摘のように検討をいたしたいと思います。
  185. 相沢武彦

    相沢武彦君 厩舎制度についてでございますが、現在の中央競馬においては、厩舎事情が需給関係において非常に逼迫しておるということは周知の事実であります。しかし、半面入厩馬の中でも非常に質の低い馬も多いということはよく聞かされております。少なくとも既得権的な立場の人によって入厩馬が左右されたり、質の悪い馬が吹きだまりの中でぬくぬくと居座っているような状態を放置しておくということになりますと、健全レジャーとして定着しつつある競馬への世論の批判も浴びるようになるのではないかということを私心配するわけであります。もしそうであるならば、これは監督官庁である農林省指導性が弱いということになると思うのですが、低質馬については早期に退厩させて需要拡大を図るべきではないか、こう思いますが、今後どういう改善策を講じようとされるのか。生産者の人たちは、輸入競走馬に劣らない優秀な競走馬を生産、育成することに情熱と夢をかけておるわけでありまして、この点がはっきりしないと、いわゆる生産農業者の納得を得られない、こう思うわけでございますが、この点について明快な御答弁をいただきたい。
  186. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 生産者がせっかく優秀な軽種馬を生産しても、馬房——厩舎か少ないためにこれを収容できなくて、したがって、競走場に出し得ないということはこれは生産者にとっても非常にゆゆしい事柄でございます。まさにその点が現在問題になっているわけでございますけれども、この解消の問題といたしましては低質馬がかなり多い、それが限られた馬房等のキャパシティを占めておる、こういったことが一つの要因になっているということがございますので、中央競馬会等の運営審議会等の懇談会におきましても厩舎制度を、これだけではございません、いろいろ改善すべき点があるわけでありますが、その中の一つとして、こういった低質馬を淘汰する。そこをあけて優良な国内馬、たとえば生産馬も入れるというような方策につきましては検討中でございます。たとえば、レースにおきまして競走タイムをつくって、それを非常にのろい馬があったためにオーバーするというようなことにつきましては、そういった馬につきましては出走停止期間を、現在でもしているわけでありますが、それをさらに延長する方向で検討する。それから馬房にいてもなかなか走らない、   〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 走るチャンスがないというものにつきましては、そういう低質馬につきましては出走登録の抹消だとか、あるいはそれを退厩させるとか、そういったことにつきまして現在いま具体的にその方策につきましても検討を進めている、こういった状況でございます。
  187. 相沢武彦

    相沢武彦君 もう一つ、公正な競争原理が生かされるために建設的な方法を御提案したいのですが、生産者が手塩にかけて育てた馬の能力をテストすることによって適正な、正当な評価を得たいと、こう願うのは当然の心情だと思うわけでございます。そこである一定期間過ぎた軽種馬について、いわゆる競走馬としての素質があるかどうか、どの程度の能力を持っているのか、それを国あるいは道、府県、そして生産者の代表、こういった人たちによってランクづけを行う、そういった機能を持ったトレーニングセンターの設置が必要ではないか、そして本当に競走能力のある、すぐれた競走馬がレースに出場できる制度を今後確立すべきではないか、こう思いますが、この点いかがですか。
  188. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 言うなれば、競馬のレースそのものが軽種馬の能力検定というものに該当するような事柄でございまして、先生のおっしゃっているのは、恐らく競馬場に出走する以前の能力検定ではなかろうかと思うわけであります。それにつきましてはいろいろ私どもも検討をいたしておりますけれども、問題点がないわけではございません。たとえば、産地等の実態からいたしまして、土地基盤の大きい、調教施設を持った大規模の生産者だけが得するような結果にならないかどうか、そういった点、あるいは育成、調教のための調教技術者の確保という問題につきましても準備をしておかなければならぬ、こういう問題もございますし、余り早い、弱齢のときからのそういった能力検定というものが、果たして馬の骨格形成上有意義であるかどうか、プラスであるかどうか、こういった点につきましてもいろいろ検討しなければならない問題があるわけでございます。これは世界的にも余りやっておらないと私ども聞いておりますので、そういった問題につきましては、工夫していかなければならない事柄がまだ残っているというふうに思っています。しかし、当面、やはり優勝劣敗という原則は、これは競馬の世界として立てていかなければならない原則でございますから、当面の方策といたしましては、先ほど申し上げましたように、能力の低い馬につきましてはできるだけ早くこれを淘汰して、競争場から駆逐して、かわりに優秀なエントリーを促進する、そういった形で対応していきたいと思っておるわけでございます。
  189. 相沢武彦

    相沢武彦君 競争馬のトレーニングセンターの基本的な立地条件についての御見解をこの際伺っておきたいと思います。  私は、生産及びトレーニングの環境に適したところ、二つ目には、生産者及び生産団体の人たちの希望するところ、それから三番目には、用地取得に支障のないところ、少なくともこの三点が最低の基本条件になると思っているんですが、基本的なお考えだけを伺っておきたい。
  190. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) いま先生の御指摘になったような要件がトレーニングセンターを設置する場合の重要な要件だろうと私も思います。
  191. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほども申しましたように軽種馬生産を、全国のうち約七割をこの日高、胆振地方が占めているわけでございますが、今後、軽種馬について——また向こうの地域は、農作地も、一戸当たりの耕作面積は非常に少ないところでありまして、かなり農耕馬等もまだ使用しております。そういったものも含めて、いわゆる地域農業というものを高めるためにも、今後日高地方に診療及びリハビリセンター的な機能を備えた軽種馬総合診療所というものを設置してはどうかと、こう思うんですが、この点について御見解伺いたい。
  192. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 先生御承知のとおり、日高地方はかなり広大な地方でございますから、十八カ所の共済の設立による家畜診療所が設立されているわけでございまして、そこで、日高地方の場合には、四十数人の獣医師が診療行為に従事している。こういったことでございまして、かなり施設としては整っている方ではないかと思っているわけであります。いま御指摘になりました総合診療所の設置の問題につきましては、当面、こういった家畜診療所施設の整備あるいは獣医師の資質の向上という形で対応できるんじゃないか、御要望に沿えるのじゃないかと思っているわけであります。なお、施設の整備につきましては、国及び地方競馬全国協会によります助成の道も開かれておりますので、内容の充実につきましては、今後とも努力をしていきたいと思うわけであります。
  193. 相沢武彦

    相沢武彦君 それでは、次に漁業問題でお尋ねをしたいと思います。  十一月十三日の衆院農水委員会で宮澤外務大臣が、わが国の領海十二海里宣言問題で、来春の国連海洋法会議を待たずに結論を出したいと、こういった趣旨の答弁をされておりましたが、大体いつごろまでに結論を出す方向で外務省は検討しているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  194. 伊達宗起

    政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。  この十三日の衆議院における外務大臣の発言にもございますとおり、この問題の緊急性、重要性にかんがみまして、できるだけ早く何とか解決の方法を講じたいということでございまして、私どもは、その大臣の意を体しまして、目下鋭意問題を検討している最中でございます。ただ、領海問題が及ぼします影響というものはかなり広範に及びますので、この問題はあらゆる角度から検討をしなければなりませんので、ただいま現在、いつごろを目途に領海十二海里を実施するのであるかという御質問に対しては、いまから見通しを申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように考えております。
  195. 相沢武彦

    相沢武彦君 なかなかその見通しは出せないようでありますけれども、やむを得ないと思うんですが、ただ、この場合、十二海里を領海にするか、あるいは漁業水域にするのか、また漁業専管水域にするのかといった議論が内部にあるんだということが言われておりますが、外務省としてはどういった方向で検討されているわけなんでしょうか。また、農林大臣としてはこの問題に関してはどのような方向が好ましいと考えておりますか。
  196. 伊達宗起

    政府委員(伊達宗起君) 方法といたしましては、漁業専管水域にいたしますことも領海と並べまして先ほど申し上げました検討の事項として真剣に考えているところでございますけれども、外務省といたしまして、いまどちらの方法でいいかということははっきりと定まってはおりません。
  197. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この領海十二海里設定の問題につきましては、先ほど、いま、外務省からもお答えがありましたように、宮澤外務大臣も十三日の衆議院農水でお答えになったわけでありますが、やはり政府間でこれは調整をせなきゃならぬ点があるわけであります。したがって、いま、官房副長官の手元におきまして各省庁間の調整を急いでいるという段階にあります。ただ、調整の内容については相当むずかしい点があることはよく御承知のとおりであろうと思います。そうした中にあって、これを領海十二海里、領海にするのかあるいは専管水域にするのかといういま御質問がございましたが、これは領海十二海里でなければ私は意味がないと。専管水域十二海里では——わが国の沿岸漁業を守る、利益を守るという意味でかねがね私が申し述べておりましたような領海十二海里という意味は専管十二海里では意味がないわけであります。専管十二海里で沿岸漁業の利益を守れるということなら、これは、いわば農林省の独自の判断でできるわけでございますので、いまのこのままで、いまに至らずしてやれたわけであろうと思うわけでありまして、そういう点では、あくまでも領海十二海里という点で調整を図らなければならないと、こういうふうに考えております。
  198. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほども与党の方から安倍農林大臣は将来総理にもなる方であるのだと、こう言われましたんですが、ひとつ、この領海十二海里宣言も、安倍農林大臣、攻めに攻めに攻めまくって、一日も早く各省間の調整をとって領海十二海里の宣言ができるように一段の御努力を願いたいと思います。  さて、十月二十三日に日ソ漁業操業協定が発効いたしたんですが、相変わらずソ連のトロール船によるわが国沿岸漁民への被害が絶え間ないわけでございます。水産庁長官、この操業協定発効後の被害総額はつかんでおられますか。
  199. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 協定発効後の十月二十三日以降——これは十一月七日までてございますが、七日までに北海道から報告があった被害発生状況によりますと、昨年は同期間に件数六十六件、金額三千六百五十万円の被害があったわけですが、ことしは件数三十三件、金額千二十四万円ということになっておりまして、昨年に比べて被害は減少しておりますが、相当な被害は出ておるわけでございます。
  200. 相沢武彦

    相沢武彦君 昨年に比べて少なくなっていると言われるんじゃちょっと困るんでして、この協定発効後は皆無であるというようにならなければ意味がないわけであります。三十三件、一千二十四万円の被害というと膨大な被害であります。もうすでに長官のところにもその被害の実態は細かく報告されていると思いますけれども、一例としては、北海道の日高支庁において、十月二十四日以降にソ連船から受けた被害はツブ、エビかごあるいはカレイの刺し網など十一件、八百十万円相当。しかもこの被害は、いずれも朝、漁民の方が網を引き揚げに行ってみて初めて切られていた、被害を受けてしまったということが確認されたわけでありますが、だれによって被害を受けたのか被害立証ができないと、こういうことになっておるわけでありますが、そういった場合、賠償請求の証拠がつかめない場合のケースは非常に多いわけですけれども、こういうケースの被害漁民に対して水産庁としてはどういう救済をしていかれようとするんですか。
  201. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ソ連漁船から受ける被害は、夜間に多いという点は、実は私ども非常に困っている問題でございます。これにつきましては、協定ができまして、漁具に灯火をつけるというようなことも協定上決まっておりますので、わが方の漁具に灯火をつけるために必要な補助措置等をとりまして、現在その充実を図っているところでございます。そうやりましても、なお向こうがその灯火をひっかけてしまうというようなことで被害が起こるということでございますので、水産庁といたしましては、特に漁具が密集している地域については監視船を極力配置して、海上保安庁、北海道とも協力いたしまして、そういった場合の事故把握ということに努める方針をとり、現にそうやっておるわけでございます。が、それ以外に私どもといたしましては、これはまあ漁業者に要求してもそれはなかなか無理であるという、あるいは御反論があるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、やはりこういった事態に対処いたしまして、漁業者が自警船を出すというようなこともやってほしいということで、北海道庁とともにいろいろ指導しているところでございます。  そこで、なおこういった被害を一体どうするのかと、向こうに請求しても取れないのではないかという点でございます。その点につきましては、一応私どもといたしましては、事故処理委員会ができましたらそこへ請求するということになりますけれども、実際問題として、加害者がはっきりしないということで、なかなかこれ取りにくいという問題があると思います。このような、いわば加害者がはっきりしない被害というものについて今後どうするかということは、この問題につきましては、実は、すでに漁業者が油濁でいろいろな経験をしております。すなわち、油を流してそれによってノリが被害を受ける、それから、夜中に流された、だれかわからぬというようなことで、かねがね問題になっておりまして、こういった加害者がわからない、しかし加害者がいる被害についてどうするかということで、実は油濁につきましては今年、明年と予算措置をとりまして、若干の損害の救助金を出すと。しかし、この財源も一応いまの私どものやっているところでは、加害者が海運業界か、あるいは石油業界かということで経団連とも話しまして、そういった業界から金をいまもらいまして、それを出している。それも二億五千万ぐらいまででございまして、資金に限度がある。それでこういった被害をどう見るか、これは法律論とかいろんな問題があるわけでございます。そこで現在環境庁に、たしか五十一年五千万円だったと思いますけれども予算措置をとりまして、専門家が集まっていろいろ研究しております。そういった問題とのバランスも考えながら、将来こういった被害については何らかの救済措置を考える必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  202. 相沢武彦

    相沢武彦君 いろいろ研究、御検討されているようでありますけれども、非常に油も高くなった、あるいは漁具等も値上がりした。しかも、従来までもそんなに収穫が多くてゆとりのある生活じゃない沿岸零細漁民の人たちでありますので、早く具体策というものを実行しなければ沿岸漁業で生計が成り立たないということで、非常に大変な事態になるのではないかと思われます。その促進をされるように要求をいたします。  それからもう一点ですが、網を破られた被害と同時に、それに関連する被害等も起きるわけでございまして、たとえば胆振管内の白老町ではスケソウの好漁場でございますけれども、ここには二十二の水産加工場がありますが、毎年十月ごろの漁期には、漁民の家族の人たちもこの工場で残業に次ぐ残業等やって非常に町自体活況を示す。ところが、ソ連船の居座り根こそぎ操業で収穫ががた落ちになってしまう。また、漁民はこれ以上漁具の被害を受けるのはたまらぬということで出漁を見合わせる。こういったことで現在スケソウ漁船は例年の同期の半分しかないと、それ以下であると、こういうような影響が出ているわけでございまして、水産加工場とも極端な原料不足で関係者も生活が成り立たぬと。他に大きな産業もありませんので、いわゆる共働きの御婦人も多いし、そういった人たちの職が奪われる。こういういろんな面での悪影響が出ているわけであります。  こうしたソ連漁船による直接的な被害ばかりでなく、関連して起きてくるような被害に対する補償については水産庁としてどういう検討をいまされておりましょうか。
  203. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ソ連漁船の操業によりましてわが国の漁船の操業が制限される、その結果水産加工場等におきまして原料不足になって操業ができないというようなことが、ことしの二−三月にかけまして噴火湾の周辺の一部の加工工場においてはそのようなことがあったと私ども聞いております。そこで今年に入りまして、今漁期に入ってそういった点がどうなっているのかということで、実は道庁等にもいろいろ照会しているわけでございますが、現在、ソ連漁船が操業しております北海道から東北沿岸にかけた海域ではサバ、サンマの盛漁期でございまして、加工工場ではその処理のための活発な操業が行われているということで、ことしの秋についてはまだそのようなことが起こっていないというような報告を受けているところでございます。
  204. 相沢武彦

    相沢武彦君 内村長官は、十一月五日の衆議院農水委員会で、関連被害のソ連への賠償請求の問題について、協定上は請求できるが計算などの問題点が多くて標準的な基準が必要だ、そこで関係各省と早急に検討すると、こういった意味の答弁をされておりますが、至急にこの基準を設定する必要があると思うんですが、その後この点はどこまで煮詰められているのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  205. 内村良英

    政府委員(内村良英君) いわゆる間接補償につきましては、その実態について現在北海道庁等に依頼しておりまして、実態がどうなっているかということを調査しているわけでございます。  そこで、こういった間接補償の算出の考え方でございますけれども、これには幾通りかございます。そこで、具体的には休漁の補償ということになるわけでございまして、たとえば拿捕漁船、いわゆる北方の拿捕漁船につきましては、補正予算が通りました結果、補償措置をとることになるわけでございますが、その場合の休漁補償につきましては、一々個別の計算を行わずに船の大きさによりまして仕分けするわけです。十トン未満、それから十トンから五十トン、五十トン以上というようなことで仕分けいたしまして、漁家経済調査報告を基礎にいたしまして、年間の漁業所得をそれによって把握する、それからトン当たりの所得を出して休漁日数に掛けるというようなやり方もあるわけでございます。それから、ことしの春のソ連船の操業による被害対策の場合に、こういった間接的な損害も融資でみたわけでございますが、その場合の計算方法といたしましては、ソ連漁船出漁中の期間に相当する期間の漁獲量をとりまして、それからソ連船の操業によってどれだけ漁獲が減ったかという割合を出して、それからさらにその期間中の漁獲を引いて実際の損害を出す。その場合、価格の見方その他いろいろ問題ございます。漁業でございますから豊漁、不漁があるというようなこと、それから価格が非常に違うというようなこともございまして、そういったこともいろいろ考えながら現在、北海道庁ともいろいろ相談して、どういうことで間接的な損害の計算をするかということを検討している段階でございます。
  206. 相沢武彦

    相沢武彦君 時間が来ましたがもうちょっとお願いします。  ソ連側との交渉で特に九月の専門家会議でいろいろと突っ込んだ話し合いをされたと思うんですが、この話し合いのとき、わが国としては当然被害がこれまでも多かった、また今後もほうっておくと影響のある漁区等をある程度設定して話し合いに当たったと思われるんですが、当時日本側としては、ソ連のトロール船等の操業自粛の話し合いについて、主にどのあたりの地区を想定して話し合ったのか、また、現在この被害が続いている状況下で自粛の海域を明らかにして再度交渉する必要があるんじゃないかと思いますが、その点についての御見解伺いたい。  もう一点最後に、自粛をするのかどうか、まあ紳士協定だとよく長官おっしゃるんですが、自粛を守るために話し合いや交渉を今後も積み重ねていくということになると思うんですけれども、結局こういった話し合いの結果、約束が守られないで、何か事故が起きると、結果的に言いますと、政府の交渉の不手際じゃないかという、漁民は怒りをぶつけてくるわけでございますけれども、今後、協定が守られ、またソ連が実質的に操業自粛をしていく、そこまで話し合いを詰めていく。こういう見通しが自信を持っておっしゃることができるかどうか、最後にこの点だけ確かめて私の質問を終わりたいと思います。
  207. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先生御案内のように、九月にモスクワで専門家会議を持ったわけでございます。その場合に、わが方から日本の沿岸における底びき禁止区域——これは沿岸にずっと底びき禁止区域ができております、大体、県の規則でございますけれども。その詳細を向こうに説明いたしまして、わが方も、底びきをこういうところではやらないから、ソ連の方も、それを差し控えてほしいということを強く主張したわけでございます。それに対して、ソ連側は、やはり領海の外はこれは公海だということで、それを差し控える義務はソ連は何もない、という公海自由の原則を盾にとり非常にがんばったわけでございます。そこで、まあいろいろ話し合いました結果、ソ連側としても、日本の沿岸漁民の感情をいたずらに刺激する気はないということで、専門家会議の結果、専門家は、両国の漁民が北海道南部の一部水域において底びき網及びきんちゃく網漁業を差し控えること、及び銭洲及び大室出し周辺のサバの産卵水域においてその産卵期間に上記の漁具によるサバの漁業を差し控えることを自国の権限ある当局に勧告することが必要であると認めた、ということで、専門家会議では、ソ連側は北海道南部の一部水域において底びき及びきんちゃく網を自粛すると、あと銭洲でございますが、周辺の水域において漁業を差し控えるということを言ったわけでございます。しかし、これはあくまでソ連側の措置でございまして、日本政府と海域を同意して決めたわけではございません。したがって、ソ連側がまあ日本の沿岸漁民の感情を考えて沿岸漁民を余り刺激しないようにするということで向こうが一方的にとる措置でございますので、わが方からこの海域、この海域ということを実は申し上げることができない性質のものでございます。   〔理事高橋雄之助君退席、理事小林国司君着   席〕
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に農地問題についてお伺いしたいと思います。  先ほどにも質疑がございましたけれども、十五日国土庁が新全総の点検をやりました。で、金丸国土庁長官は大変傑作だと自画自賛していらっしゃるということですが、それは別といたしまして、私もちょっと拝見させていただいてなかなか警告されている点については今後考えなければならない点を見たわけですけれども、まずその中でも農用地が非常に減少している、欧米先進資本主義諸国に比べて非常に高い水準であるという点、それからまた十年間の農地転用は四十万七千ヘクタール、非農業部門の土地需要の相当部分はこの農地転用によって賄われているという指摘や、また無秩序な農地壊廃を抑え、農用地造成を積極的に進めなければ、日本農業の将来は保障されないというような点については、やはり警告はそれなりに検討すべき問題だというふうに私は見ました。農林省としてこのような指摘、この警告をどう受けとめていらっしゃるかということと、あわせて、これほどまでに、御想像もなすっていらっしゃらなかったかもしれない大きな農用地が壊廃されたということについての原因、この原因というものは一体どこに大きくあっただろうか、この点についてまず簡単にお伺いしたいと思います。
  209. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国土庁わが国農業に対する中間報告につきましては、これはなかなか大胆な指摘がなされておるわけでありますが、農林省としても、この指摘についてはやはり今後の施策を進めていく上におきましても大きな参考になるわけでございます。確かに、高度成長という間においてわが国農業の体質が非常に脆弱化したことも事実であるし、これは農地の壊廃が相当進んだ、あるいはまた農業労働力が減少したということは、これは客観的な事実としてわれわれもこれを厳しく認めた上に今後の農政を進めていかなきゃならぬと思うわけでございますが、そうした過去の高度成長の時代が終わりまして、これからは安定成長といいますか低成長に入っていくわけでございますので、国土庁指摘するような、たとえば農業就業人口昭和七十五年までには九十万人になるというふうなことはわれわれは想像していないわけでございまして、われわれの目標としては六十年の目標があるわけでございますので、昭和六十年目標を達成するための今後の長期的な視点に立った着実な施策を一歩一歩進めてまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この国土庁指摘のようなことになったらこれ大変なことで、私としてもこういうことがないようにということでこれから質問させていただくわけです。こういうような大きな農地壊廃されたという一つの原因としては、大企業が土地を買い占めしちゃって、そして農地がつぶれたというような事実、これは否定することができないと思うわけなんです。農家が好きこのんで農地を売り払っているのだ、などということはかりそめにもお考えにならないだろうと思います。そういうことでは大変な考え方だと思います。   〔理事小林国司君退席、委員長着席〕 最近になりましてちょっと不況になった関係上、いままでのような目に余るような投機買いというものはちょっとおさまったとはいうものの、この間大企業が土地を買い占めた、その買い占めた土地の荒廃や、それから農民の受けた傷跡というものは本当に想像を絶するものがある。この具体的な問題についてやっぱりひとつ考えていただかなければならないと思うんです。  この五月の二十九日に、塚田議員が具体的に埼玉県の騎西町の具体的な実例を取り上げて、そして大企業、大きな会社が仮登記方式によって農地を買い占めしている、それに対する規制、対策の要求をいたしまして、大臣とそれからそのとき大山局長でございましたけれども、事実をよく調べてとか、また農地法に直接抵触していないから、というようなことをお答えになったわけですけれども、その結果、どういうふうな調査をなされたかどうか。そしていま、その騎西町でどんな問題が具体的に起きているのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  211. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 埼玉県の騎西町の農用地の買い占めでございますが、そのとき塚田委員から御質問がございまして、私ども、特に問題の、買い占められたといわれる水田につきまして、水稲作付が行われているかどうかという点が一番問題だったわけでございますが、ことしの五月から六月の二十日ごろにかけまして関東農政局で現地調査をいたしましたんですが、大体この土地の約七割ぐらいは水稲作付が行われ、それから収穫が行われたというふうに私どもは考えております。それから、あのときの御質問の後の新しい事実といたしましては、秀和株式会社から、埼玉県の大規模開発規制指導要綱によりまして、開発行為の事前審査がことしの二月十日付で埼玉県知事に申請があったわけでございますけれども、埼玉県は十一月一日付で当該申請に対しまして開発は好ましくないという通知をしたと聞いております。以上でございます。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 去る十月八日でございましたけれども、埼玉県議会の農林委員会がこうした事態に対処すると……。あそこで、いま起こっている事件というのは、具体的に言いますと、結局その買い占めた会社が売れないと、だから農民に買い戻せということで、いま事件が起こっているわけなんですね。御承知だろうと思いましたからそこのところをお伺いしませんでしたけれども、それで結局、農民買うお金がないということで、会社側がいま告訴に踏み切ろうという事件が起きているということなんです。それは御存じでいらっしゃいますか。
  213. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 私どもとしましては、いまお話の秀和株式会社が農民相手に告訴を準備しているというようなことは知っておりますが、ただ、これは私法上の問題でもございますので、私ども、意見は特別申し上げたくないと思っております。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御存じいただいていればいいわけなんです。で、そういうことで、埼玉県でも県議会に農林委員会から先行取得農地買い戻し推進事業資金利子補給制度と——農民が買いたいけれどもお金がない、そのお金についての利子補給というようなことで、その制度が提案をされた。これは十月八日なんです。ところが、自民党の反対によってこれが否決されてしまいました。これは新聞にも出ているわけなんですけれども、もしこの制度が通れば、この利子補給で農民は助かって、それを、農地をまた買い戻すということもできるという道が開かれたわけですけれども、残念ながらそれが否決されました。その理由とする、反対の一つ理由として、いまの地価水準で買い戻しても採算が合わない、買い戻す人がいないというものになっていました。これは、安く買い戻せるならば買い戻して規模拡大をしたいという地元農民の要求というものを全く無視した反対の理由でございます。で、何よりも問題は、この前の塚田質問指摘しましたように、不動産会社が、契約が実現できないので買い戻してくれ、というように地主——買い上げた農民に迫っているということなんですね。こういう緊急な事態をも無視した反対の理由になっているそのことが、今後、会社側がいま告訴を準備している、そういうことに踏み切らせるその一つの動機にもなったんだというふうに私たちは見られるわけなんです。で、そういう点についてどういうふうに見ていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  215. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) お答えをいたしますが、企業が買い占めました農用地につきまして都市計画法によるところの開発行為の許可や農地転用の許可が得られない場合には、農用地についての売買契約の解除と、これに伴う代金の返還の問題を生ずることは御存じのとおりでありますし、いま御指摘のありました具体的な問題はそれでございますが、しかし、農家が一たん支払いを受けた代金を返還するという事柄の性格上、その返還に要する資金の借り入れについて国庫から利子補給金を支出するということは、これはなかなか困難ではないかというふうに考えております。まあこれは個々のケース——埼玉県の場合もありましょうし、その他こういう事態は全国にあると思うわけですが、それぞれの個々のケースによりまして売買価格、支払い済みの代金額、契約締結と開発計画中止の経緯等には差があると思うわけでございますので、都道府県、市町村、農協、その他地元機関の参加を得て、実態に即した解決が図られるよう努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。やっぱりそれぞれのケース、ケースによりまして、実態に即した解決というものが図られるべきじゃないか。また、売買代金の額等にもよりますが、農業上の土地利用に供することが相当と認められる土地につきましては、農地保有合理化法人によるところの買い入れ等も十分考えられるわけでございます。したがって、いまのケースが農地保有合理化法人による買い入れに適しておるのか、そういう方向で解決ができるかどうか、具体的にはこの問題について私は熟知しておりませんが、今後、農地として農業上の土地利用ということでやろうということならば、このいまの保有合理化法人というものによるところの買い入れも十分考えられるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまの局長の話では、まあ耕作もし収穫もしているというような御報告で、まあそれはそれなりによかったと思いますけれども、その前に、秀和が農家に対しては耕作するなという圧力をかけていたということは事実ですし、口頭で圧力かけただけではなくて覚書を、耕作するなということを取っているわけなんですね。そのことについても大山局長調査をするということをおっしゃっていたわけなんで、そこで、売買契約を結んでそして当該農地に支配権を及ぼすというのは具体的にどのような行為になるのか、これが農地違反であるとかないとかというような問題になって、そのことで塚田議員も伺っていたわけなんですけれども。実際に耕作するなというふうに口頭で言ったり、またここの場合は、覚書を取っていたというようなことならば、これは支配権を及ぼす行為と言えないのかどうか、その辺の御見解はいかがでございますか。
  217. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 御指摘のとおり、農地違反になるかならないかということは、その売買が実質的に完全に行われたかどうかという点でございますし、それはただ、契約が締結されただけじゃなくて、対象農地が相手方に引き渡しされまして、相手方が完全に支配権を持つということが必要だというふうに言われておるわけです。で、御指摘の耕作をするな、と言ったらすでに支配権は相手方に移っているのではないかと、こういう御質問でございますけれども、まあ抽象的にはそういうことも言われるかもしれません。ただ、問題は、具体的な問題でございますので、じゃあ、この土地について果たして完全に売買が行われたのかということになりますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、当初は作付が非常に少なかったわけですね。それで休耕が行われていた。ところが、五十年になりまして七割も水稲作付をされ収穫をされるということを考えますと、果たしてまあ一時農民が耕作をしなかったということが、相手方の耕作を放棄しろというような通知に基づいて行われたのか、いわゆる支配権が相手方に移ったことの反射として耕作が行われなかったのか、必ずしもこの辺は明らかではないというふうに考えます。この辺はなかなか微妙な点でございまして、やはりもしこれが裁判で争われるならば、もう少し具体的な事実に基づきまして裁判所によって判断されなければならないというふうに思っております。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはこの前の続きでの質問でございまして、きょう改めてお伺いしたいのは、新しい事実で、また同じ埼玉県なんですけれども。北葛飾郡の幸手町の中川崎地区の農振地域において、株式会社太平という不動産、この会社は東武鉄道と深いつながりのある不動産会社なんですけれども、この会社が昭和四十七年から四十八年にかけて百六十戸の農家から坪当たり一万四千円で、合計二十五ヘクタールの水田を買った。その当該地のすぐそばを東北新幹線が走り、側溝を隔てた隣町の鷲宮町という土地には、すでに埼玉県営の流通センターの設置が決まっていたという非常にいい場所だったわけですね。つまり不動産会社にとっては非常に将来性があるという場所だったもので、四十六年から八年にかけて買ったわけです。しかし奇妙なことに、会社は農家に対して、これらの開発計画を何にも示していません。で、町当局に対しても、開発の事前の申告を提出するわけでも、それからまた転用許可申請を出すわけでもなかった。まさに思惑買い、値上がり待ちの典型というような形できたわけなんです。ところが、その後、埼玉県で線引き凍結宣言というものが出されまして、市街化区域外の開発がストップになりました。加えて不況等現在の事情の中で、まあ持ちこたえられなくなって、先ほどの騎西町の例と同じように、農家に対して買い戻しを要求してきたという事件が同じ埼玉県の幸手で起きているわけです。で、農家の総反発を食らったわけですね。で、会社側はそれで困っちゃって、ことしの八月、このチラシ——もう一部持ってくれば、そちらに差し上げられたわけなんですけれども、こういうチラシ、八月にチラシを出しまして、市街化区域内に農地を持っている農家と、当該農地を「交換致しませんか」と、ここに大きく書いてあるわけなんですけれども。持ちこたえられなくなって、その交換のため大きく書いて、お金かけてりっぱなチラシを出した。この土地は、売買契約の上で仮登記されているわけですね。太平という会社に仮登記され、さらに譲渡という名目で埼玉銀行に登記が移っているわけなんです。  そこで、そういう事情の中でお伺いしたいんですけれども、このようなまだ所有権が移っていない農地を、交換しませんかと——自分の会社ですね「当社所有」とここに書いてあるわけですわ。それでここに「土地交換についてのご案内」。まあ後からいろいろ伺いますけれども、「当社所有の農地と交換致しませんか」というような広告を出すことは、農地法に触れるものではないのかどうかという点をまずお伺いしたいと思います。
  219. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) まあ先生御指摘の、埼玉県の幸手で、太平不動産が田約二十六ヘクタール、これを買いまして——買いと言っても、売買契約を結びまして、仮登記をしているということ、まあそのとおりでございます。そしてまた、その会社がいま御指摘のようなチラシを配っておるということも私ども承知いたしております。ただ、まあ適当であるかどうかということは別にいたしまして、御質問農地違反であるかどうかという点につきましては、仮登記中の農地について、交換しようというようなことを申し出るということだけで農地違反であるかどうかということは、ちょっとなかなか判断がむずかしいことというように考えております。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、わかりました。まあ非常にりっぱなのが出ているわけです。それで、現地どうなっているかということで、写真も撮って——もう御承知かと思いますけれども、これは非常に優良農地なわけですね、すし米もとれるというような。それがこうやってほうっておかれた結果、草ぼうぼうというようなひどいことになっているわけなんです。私がここで質問している趣旨というのは、決して農地違反かどうかという細かい問題ではなくて、こうやって優良な農地がどんどんどんどんつぶされていく。だから、総点検の中で言われたように、大変な農地壊廃が行われているということから私が心配して、こういうことがないようにという立場でお話をしているわけです。いま申し上げましたように、この土地というのは非常に優良農地でございます。町当局にいろいろ聞いてみましたら、この土地の周囲は農用地区域であり、ここも当然取り組む予定であったが、仮登記されているのでやむなく外したと、こういうふうに言っているわけですね、町としても。そしてまたこれ見ていて私も大変笑い出しちゃうほどおもしろかったんですけれども、ここにいろいろ書いてあるわけなんですね。この物件の位置及び状況というわけですけれども、「団地の概ね中心をこの地域の幹線排水路大中落が西から東に流れ、徳川幕府時代は幕府の天領であった平坦な水田耕作地帯で、昔から寿司米として東京に多く出荷された美味い米の産地です。」と、非常に優秀な米どころだというふうにここに書いてありました。それからこの用地の中には、県営事業によって「三面コンクリート水路が完成し用排水共最高の地域であります。地形は団地中心部の大中落を中心として」こうこうこうの「耕地で土地改良事業により区画整然とした農地です。」と。やっぱり商売だからでしょうか、大変農業も勉強されまして、非常に優秀な土地だと、こういうふうに大宣伝される。つまりこういうようないい土地をどんどん買い占めさせて、しかも草ぼうぼう。ちょっとこれまた戻すというのは大変だというような、こういうことが起きるということ自体、考えなければならない。もちろん具体的にはその企業の大きな責任だと思いますけれども、こういうことがちょっとこの間から見ても、埼玉県だけでも出てくる。こういう問題について、一体どういうふうに考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  221. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 私どもとしましては、やはり優良な農地はこれを確保していくという大方針はもう変えていないわけでございますし、さらに農振法等によりましても、農地区域に編入されたところにつきましては、これはもう転用その他は認めないということも明らかにしているつもりでございます。したがって私どもは、そういう転用が当然認められないような土地につきまして、転用を目的としたような、権利の移転を前提とした売買等が行われることは絶対に阻止しなければならないというふうには考えております。ただ法律的に、そういう仮登記に至るまでの段階で役所が介入をいたしましてそれを阻止するということはほとんど不可能に近いわけでございまして、私どもは、そういうようなことを関係者が一応理解をしていただいて、そういうような事態にならないように未然に防止をする、お互いに気をつけるということ以外にはなかろうというふうに考えるわけでございます。私どもも、農地法上はそういう効果の発生は防止しますけれども、未然段階の予防措置というものはなかなかむずかしいというふうに考えております。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かにそちらの立場ではむずかしいというようなことがあろうかと思いますけれども、むずかしいというようなことで非常に姿勢が弱いから、だから結局むざむざと四十万ヘクタールつぶされていってしまうというようなことがいままでも起きちゃってしまうと言わざるを得ないわけですね。だからいろいろ検討もし、そしてそういうことがないようにということが具体的に実効あるような、こういうことが起きないようなということが実効あるものとして考えていただかなければならないと思うわけなんです。さっき工藤委員との質疑の中で、市街化区域の中の農用地という問題が大分出てましたけれども、ここにも交換しましょう、市街化区域内の農地と交換しましょうという広告になっているわけなんですね。そこで、端的に伺えば、市街化区域内の農地というものは、つぶされてもしょうがない、というふうに農林省としてあきらめて考えていらっしゃるのかどうかという点なんですね。  これはやっぱり静岡県の調査で出てきたわけですけれども、富士市では、市街化の農地がつぶされてもいいかどうかというようなアンケートをとったら、農家があった方がいい、農地があった方がいいというのが六一%という数が出ていると。つまり、市街化の中で避難場所にもなるし、子供の教育にもいいし、新鮮な野菜が取れるということで、市街化の農地というものはやっぱりあった方がいいんだと。これは具体的な調査になっていますけれども、全体としての考え方も、いまそうだろうと思うわけなんですね。それがこういうふうに、市街化区域の中の農地とかえましょうというようなことで、どんどんつぶされる。また一面、税金の方でもああやって、やっていけなくなるというような問題こういうことについて、農林省としては、市街化区域内の農地というものはもうつぶれても仕方ないと見離してらっしゃるのかどうか、それで、交換しようというようなことから見て。その辺の考え方は一体どうなのかお伺いしたいと思います。
  223. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いま現在の都市計画制度の中で市街化区域というのはもう先生十分御承知だと思いますけれども、すでに市街地を形成している土地のほかに、おおむね十年以内には優先的かつ計画的に市街化を図るべきところとして線引きをされているわけでございます。そこで、私どもも、農地法上は転用等の許可についてはこれを外して、届け出だけでこれは転用ができるというふうにいたしておりますので、そういう市街化区域内の農地につきましては、私どもは、農地が転用され減少するということは、これはやむを得ないというふうに考えているわけです。というのは、もしそういう、今後とも農地として確保していくことが必要であるというならば、これはやっぱり市街化区域には編入しないで市街化調整区域に残すべきであったかもしれないし、もしその後、情勢が変われば、見直しによってもとへ、市街化調整区域にもどしてしかるべき土地ではなかろうかと思いますし、まあ先ほども建設省から御説明がありましたけれども、もし市街化区域の中で長期にわたって農業を継続をする、そのことが市街地を形成する上で必要であるならば、生産緑地という制度もあるわけでございます。したがって、私どもは無秩序に農地が転用されることはもう絶対にこれは阻止しなきゃならない。やはりその市街化調整区域、市街化区域以外のところは、これは私どもが守っていきたいという考えでございますので、やはり市街化区域内の農地というものは長期的に見れば、転用して減少してくるのはやむを得ないというふうに考えております。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、さっきの次なんですけれどもね。これで見ますと遠隔地、まあちょっと離れているということで「遠隔地の営農方法について」というように、また細かく農業指導みたいなことをやっています。そうしてまた、その上に税金のことまで大変親切に書いてあるわけですよ。「市街化区域と調整区域の土地交換と税金について」と、まあ「租税特別措置法により5倍までの代換が認められますので譲渡所得税が免ぜられます。」とかね、もう実に、農林省が委託なすったみたいに非常に内容事細かに、営農のことから、それから税金のことまで書いての大宣伝をやっている。まことに厚かましいと言わざるを得ないわけなんですけれども。まあこうやって会社側としては必死に、一生懸命宣伝しているけれども、具体的にはだれもこれで市街化の農地と交換しようという者はあらわれてこないというのが現状でございますね。で、そうすると、これまたさっきの騎西町と同じように結局、買い戻せというようなことで農民は迫られると、解約の土地代金の金額返済ということが要求されてくるということも予想できることでございますね。まあこうなってくると、先ほど埼玉県が融資制度ということを提案したということは、やっぱりこれはこういう事態になって非常にいい処置だったのではないか。そういうふうにしなければ結局、農民土地を買い戻してそこを耕作することができない。で、この土地は草ぼうぼうのまんまで、農民はもうどうしようもないということから考えて、やっぱりこういうときに国としての何らかのこういう問題についての措置というものは考えられなければならないのではないか、事ここに至っては。というふうに考えるわけなんですけれども、先ほどもちょっとおっしゃってましたけれども、もう一度、こういうようなことが具体的に次々に起こっていく中で、農地の問題、農民を守る立場に立ってどういうふうに考えていらっしゃるか伺いたいと思います。——大臣でも結構ですよ。
  225. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) まあ私どもは、そういうようなトラブルが起きるような事態を本当はまあ未然に防止したいわけでございまして、それは私どもはやはり転用は認められる土地、認められない土地、これらをまあなるべく明らかにいたしまして、そういうところにつきましての売買その他が行われるということをないようにいたしたいと思っているわけです。  で、起きた後の後始末につきましては、先ほど大臣からお答えしたとおりでございまして、やはり代金をもらった農民がまた困るから、これに利子補給をつけた安い金を融資をして、もとへ戻すということはいかがかというような気がいたします。やはりこの解決方法は一般的な国の段階でやるべき事柄ではなくて、具体的に問題が起こった場所において具体的な解決方法を探していただくということがいいんじゃなかろうかというふうに考えております。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあそうおっしゃることは当然だと思うのですけども、それじゃ現実にこれどうなっちゃうでしょうね。農民は買えないと、土地もそのまんま、ぼうぼうと草が生えて、そうして農地としての利用ができない。これはしようがないですか。これでこういうことが次々起こってくるというような事態というのはもう予測できるわけだから、そういうことを具体的にどうするという解決方法もいまのところ見当らないまんまで、農地の壊廃ということが進んでいくということについて、まあこれしょうがないですかね。しようがないとお考えになるわけですか。大臣、どうしたらいいですかね。しようがないですか。
  227. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 一般論としては、私どもも、なかなか制度的に打つ手がないと申し上げるしかないと思います。ただ、このケースについて、これは何か方法があるかということになれば、これはやはりまあ県とも相談をいたしまして何かうまく救済する方法があるかどうか、これはまあ相談はいたします。先ほどちょっと大臣申し上げましたとおり、それは国としてはできないけれども、県なり市町村なり農協の段階で何か手を差し伸べる方法はあるかどうか。それから先ほどちょっと申し上げましたけれども農地保有合理化法人が買い戻す。ただこれは、その農地保有合理化法人が買い戻す場合には、農地として買いまして農地として売るわけですから、農民が売ったような価額では買えないかもしれないわけです。その点がうまくいくかどうか、これはやはり具体的な支払われた対価等の問題がございますので、一般的にこういう妙手があるというわけにはまいらないのは当然であると思います。
  228. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあそちら御専門ですから、よりよりまた具体的に御相談に伺いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まあ幸手町のあの農協の組合長なんかに言わせますとね、まあ米を売った利益よりも土地を売った代金を貯蓄しておいた方が、まあその利子で有利だというような状態だと。農地というものはあくまで農作物をつくるものだというようなことは、いまさら言われなくてもわかってんだと、自分は農民だから。問題は売らなければならないような農政にあるんだということを言っているわけですね。まあ首ひねっていらっしゃるから、そちらでいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども。で、私はただ一方的に、この農民をどうしてくれるかと言っているのではなくて、農民も何とかしていただきたいけれども、こうやってもうそれこそ幕府の天領であったと、すし米も出しておったというような農地が、そういうふうな草ぼうぼうの土地に置いとかれて、本当に日本の食糧問題というものを考えていけるのかどうかと、そういうことは真剣に考えていただきたい、という立場でございますので、そういう意味でいろいろ具体的にお考えもいただきたい、また御相談にも乗っていただきたいと思います。  それはそれで済ませまして、今度水産庁の方にお伺いしたいと思います。  ソ連漁船団による漁業被害の問題なんですけれども、第一にお伺いしたいことは、日ソ漁業協定というものに漁民も非常に期待しておりました。私たちもこれができれば何とかなるのではないかというような期待を持っていたわけなんですけれども、十月二十三日の協定発効後も北海道近海で漁具被害が非常に続出しているわけなんです。協定の目的には「両国の漁船の活動及びその漁具の使用に関連する事故を防止する措置をとること。」という、その目的に照らしても、またこういうふうに協定は結ばれたものの、このまままた被害が出るのであれば、まさにその実効性が問われるのではないか、というふうに考えざるを得ないと思うのです。先ほど長官数字をお出しになりました。私もきのう、道の水産部の方に聞いてみましたら、操業協定結ばれた二十三日以来四十六件、千二百六十五万四千円だという数字がきのうの電話では出てきたわけです。そういたしますと、非常に、せっかく結ばれたにもかかわらずこういう被害が出ているということについては、このことについて厳重にソビエトに対してどうなんだというふうに厳重に抗議をしていただけたのかどうか、この問題についてお伺いしたいと思います。
  229. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 日ソ操業協定発効後わが国の沿岸漁民の被害が出ていることはまことに遺憾に思っております。そこで水産庁といたしましては、被害状況を把握して協定違反の事実についてはソ連側に抗議をしなきゃならぬということで現在事実について調査中でございます。ただ、今後ソ連側も、いろいろな情報によりますと、協定の運営につきましては改善を図る意図を示しておりますし、私どもも、大いに協定運営をうまくやっていかなきゃならぬということを考えておりますので、逐次改善されていくのではないかと期待しておりますけれども、現在までに被害があったことはまことに遺憾だというふうに思っております。
  230. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、被害の調査を現在やっているということで、具体的に操業協定以後の問題についての厳重に申し入れ、ということは、まだそこまではいっていないということでございますね。——はいわかりました。それで私も何も、ソビエトとけんかしろ、とけしかけているわけではございませんので、早急にその調査というものも具体的にされて、そして遺憾ないようにやっていただきたいということ。その辺のところは本当に漁民の方たちは、もう死活の問題でございますし、もう期待していただけに、この後で起こった被害というものについては非常に、もうやる方ないという気持ちでおりますので、早急におまとめの上申し入れなり、まあ抗議でも結構だと思いますけれども、なすっていただきたいということをお願いしたいと思います。  十一月の六日の朝のことなんですけれども、釧路沖でソ連船二隻がまたあらわれて、カレイ刺し網を破ったということですが、このときは、朝だったから漁民がソ連船をとり囲んで、一時間近くその回りをデモやった、そしてついにソ連船を追い出すというような事態も生まれているわけです。これについて釧路市それから釧路東部昆布森漁協の三漁協で五百万円の被害が出たと。そして、これは明かりをつけて操業をしていたのにソ連船が割って入ったという事実の報告を受けているわけですね。これでは、明かりもちゃんとつけているし、ということで、まさに協定違反になるのではないかと思うわけなんですけれども、この事実について御調査なすったか、御報告をお受けになっていらっしゃるか伺いたいと思います。
  231. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この事故につきましては私どもも北海道から報告を受けております。申し上げますと、十一月六日の午前六時ごろ釧路の南十七海里付近で日本漁船二十三隻がカレイ刺し網を揚網中、ソ連漁船三隻が日本漁船団中に進入したため漁具に被害が発生した。日本漁船十三隻がソ連漁船を追いかけ、ソ連漁船を停船させ付近に漁具のあることを知らせたところ、ソ連漁船は漁場の外に去っていったというふうな報告を受けております。  そこで、先ほど御指摘がございました協定発効後の協定違反の事実でございますが、これについては調査中でございます。そこでこれはまあ外交ルートを通じて当然抗議することになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現実的処理として、実は御案内のように今度の協定に基づきまして損害賠償請求処理委員会が東京とモスコーにできます。そこで、現在のところ東京のソ連大使館には漁業の専門家がおりません。で、今度向こう側の委員として、年内に来るのではないかと思いますけれども、漁業の専門家が東京に着任いたします。そこでイシコフ漁業大臣がこの前東京に参りましたときにいろいろ言っておりましたのは、今後、協定が発効して問題が起こるおそれがあるとそのつど専門家を出すから、その人とよく相談して、現実的な解決を図ってほしいということを向こうも言っております。そこで私どもといたしましては、なるべく早く損害賠償請求処理委員会を発足させて、向こうからも専門家に来てもらい、こちらも出すわけでございますけれども、そこでいろいろな現実的な話し合いをして解決をしていくというのが一番現実的な処理じゃないかと。従来もこういう問題につきましては、外交ルートを通じてずいぶん抗議しておりますけれども、余り実効が上がっていないというのが実情でございます。そこで、そういう体制ができますので、なるべく早くそれを発足させて現実的な処理を図る必要があるというふうに考えております。
  232. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、もう一つの問題なんですけれども、九日、十日にも今度は胆振海岸でスケソウ刺し網やそれから浮標灯などに被害があった事実、それから登別漁協の場合には、道から被害防止のためにスケソウ刺し網に取りつけるための無償貸与の浮標灯というのがあって、それをつけていたわけですけれども、それまで被害に遭っているという報告を受けているわけですね。これもそちらで調査なすって、それでこれは事実だというふうに見ていらっしゃるのか。早急にこれについての抗議もするという態勢でいらっしゃるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  233. 内村良英

    政府委員(内村良英君) その件につきましても報告を受けております。十一月の九日及び十日に登別沖十四海里から十六海里付近に設置した灯火のついたブイ三個が被害を受けたという連絡を受けております。これはソ連船によるものと思われますけれども、現在、事実関係についてさらに明確に調査中でございます。
  234. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどいろいろ具体的に早く解決する、補償のために。ということがおっしゃられたわけですけれども、日ソ漁業協定の第六条の二項に「臨機の情報の交換のための通信」について「必要に応じ、直ちにかつ効果的に行われるよう必要な措置をとる。」というのがあるわけなんですけれども、この点についてソ連側と交渉なすっていらっしゃるのかどうか。もう相当早いところ、これをやっていただかなければならないと思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  235. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この点につきましても重要な問題でございまして、現在、政府部内において検討中でございます。そこで私どもといたしましては、洋上で日本側の監視船とソ連側の船団の指揮船との間で連絡がとれるようにしなきゃならないということで、いろいろな通信上の問題について検討を加えております。そこでソ連側は、近距離につきましては呼び出しを五百キロヘルツの周波を使う、中距離につきましてはどうこう、遠距離についてはどうこうというようなことがわかっております。そこで日ソ両国の受信担当の船をまず決めなきゃならないということ、これは呼び出し符号の関係があるものでございますから。そういったこと、それからソ連側の中距離用の使用波数が現在のところ必ずしも明らかでございませんので、そういった使用チャンネルを決めなきゃならない。それから通信時間、これは定期連絡の時間の決定をしなきゃならぬというふうなことで、わが方といたしまして関係方面といろいろ、わが方からソ連側に要求することについて現在いろいろ打ち合わせ中でございます。  そこで、こういった技術的な問題が決まりましたら直ちにソ連側に連絡いたしまして必要な通信のルートを開かなければならぬと、こう思っております。ただ、緊急の場合等におきましては、監視船と指揮船との間に連絡がとれない場合にどうするかと。そういう場合には、公衆無線の電報による連絡をとらなければならない、ということになりますと、銚子の無線電話局と交信のできるチャンネルをソ連側に持たせなければならないとか、いろいろな技術的な問題もございますので、鋭意検討中でございまして、これも速やかにソ連側と連絡をとって決めたいと思っております。
  236. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 なるほど、いまおっしゃったように、具体的にいろいろと御検討をなさらなければならないと思いますけれども、いろいろチャンネルを決めたり、時間を決めたりと、大変めんどうなことがたくさんあろうかと思いますけれども、それがなるべく早くということが一番大事なんですけれども、長官としてのお見通しで、大体どれくらいの時間、日にちというようなものを考えていらっしゃるか。まあ相手があることですから、大体いつごろにはそれができて、効果が上がるというふうにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
  237. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ソ連側の監視船と交信することにつきましては現在、北洋の取り締まりにおきまして水産庁としては経験を持っているわけでございます。したがいまして、こういった技術的な点が決まれば、ソ連側と打ち合わせて速やかに発足することができるというふうに考えております。
  238. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 被害補償の問題でも、協定では両国から二名ずつの委員を出して、そして処理委員会を設置して、そして全会一致の原則ということになっているわけですね。だから、具体的にどれだけ補償取れるかということで考えていくと、なかなかそこにいろいろ問題があろうかと思うわけなんですけれども。まあそういうことがもう起きないように、まず根本的に被害が起きないようにということで考えていかなければならないと思うわけですけれども、衆議院で津川委員質問に対して、漁民の側も自警船——先どもおっしゃっていましたけれども、自警船を出して被害の確認に当たってほしいということがあったわけなんですけれども、まあ確かにそれも一つの方法だと思います。けれども政府の監視船また、道やなんかの場合を加えてどれくらいの監視体制というものがとられて、それでどの程度効果的に動けるものかという点についてお伺いしたいと思います。
  239. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 水産庁といたしましては、来年度の予算要求におきまして水産庁の監視船を一隻増加する、さらに水産庁の監視船に現在ロシア語の通訳が乗っていないというような面もございまして、非常に不便な点もございますので、そういった面につきましても充実するような予算要求を行っております。  なお、海上保安庁、たしか四隻、船が出ているはずでございますし、北海道庁等の船も出ております。しかし、いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、一番、頭の痛い問題は夜間の事故でございます。昼間はいろんな点で確認できますし、漁船同士の事故というものは比較的事実は確認できますが、夜間だれもいないときに漁具が切られると、これをどうやって確認するかという問題につきましては、私どもといたしましてもまあ灯火をつけることが第一でございます。今日まで現実問題として全部の日本の漁網にはついておりません。そこでそれをまず充実することが第一でございます。それから非常に密集しているところがございますので、そういう点につきましては常時監視しなければならない。そこで、その監視の一助として自警船を出していただければ一番いいのじゃないかと思いまして、そのような指導を北海道庁とともにいましているところでございます。
  240. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かに自警船出すのも必要だし、漁民にとっても自分たちのことだから出す気はあると思うのですけれども、自警船といっても小ちゃい船で出ていくわけにもいかないということになると、それなりに費用もかかるし、人間の問題もあるし、というような場合に、自警船はあくまで自警船だから漁民でやれというふうに考えていらっしゃるのか、それとも国としてもこの自警船を出してもらえればこういうような援助をするよ、というような点をお考えになっていらっしゃるのかどうか、その辺はいかがでございますか。
  241. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現在のところ、五十一年度予算におきまして、自警船に対する補助は要求しておりません。しかし事態の推移いかんによっては国としても考えなければならぬ。これは漁民の問題でございますから、水産庁としても考えなければならぬ事態になりましたら、そのときに予備費等でまた考えるということもあり得ますけれども、現在のところは要求はしておりません。
  242. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃそれは、いまの段階では自警船というのは話に出た段階だけで、まだ全然具体的には道とか何かの関係というのもないわけですね、いまのところ。
  243. 内村良英

    政府委員(内村良英君) そのようにしてほしいという指導をしております。そこで、道庁から、こういうことをやるについて補助が必要だというようなことが起こってきますれば、将来の問題として考えなきゃならぬかとも思っております。
  244. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ次の問題として、協定の対象となるというのが四十八年十月からというふうに出ておりましたけれども、四十八年十月以降の事故、被害の中で、先ほどからいろいろ出てましたけれども、加害者としてのソビエト船だということはわかっても、どの船だというように確認ができないというようなことが非常に多かろうと思うんですけれども、確認できるのは一体どれくらいあったのかどうか、このところお伺いしたい。
  245. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 昼間の事故につきましては比較的確認されているものが多いわけでございますけれども、夜、固定式漁具について被害を受けたというものについての加害者の確認件数は残念ながら非常に少ない。千件近くございますが、その中で今日まではっきりどの船がやったかという加害者がわかっておるのはまことに残念ながら、二十二件しかないという状況でございます。
  246. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 四十八年十月以降二十二件ですか。
  247. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 固定式漁具について、夜間のものについて加害者が確認できているのが、都道府県からの報告によりますと二十二件でございます。
  248. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、非常にはっきりしているのが少ない、しかし具体的な被害というのは非常に多いというが、前のをさかのぼって、こういうような問題については一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  249. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この被害の請求につきましては、これから損害賠償請求処理委員会でどのような扱いをするかということは、これからの問題でございますけれども、私どもといたしまして、実際問題として加害者が全くわからないというものにつきましては、非常に損害賠償が取りにくいのではないかと思っております。しかし、これにつきましても、大体ソ連漁船であるということがわかっておりますので、一応処理委員会に請求してみたいと思っております。ただ、その結果、いつ、どこで、だれがということがはっきりしないとだめだというようなことになってまいりますと、むずかしい問題がそこで起こるわけでございますが、この点につきましては、先ほど相沢先生の御質問に御答弁申し上げましたように、類似の問題についての扱いとも均衡を十分考えながら将来の問題として考えなければならぬ。しかし、いずれにいたしましても、これは自然災害じゃなくて人災でございますから、何らかの救済措置を他のケースと同様なことで将来考えなければならないのではないかというふうに考えておりますけれども、その点につきましては現在水産庁においてどのような措置をとるか検討中でございます。
  250. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、次に十二海里の問題で、大臣の方にちょっと一言だけ伺いたいんです。外務省の答えというのは大体同じようで何回来ていただいても、ということで、大臣に特別伺いたいわけなんですけれども、二月十四日、私がこの委員会で質問いたしましたときに、大臣は、時期は熟していると、こういうふうな言葉でおっしゃったわけです。熟した問題が九カ月もたっちゃって、もうそろそろ落ちてもいいころなんですけれども、さっぱり落ちない。来年三月のニューヨークでの海洋法会議の結論待ちということになれば、そこで結論が出ないというようなことになった場合、一体これこういうことになるんだろうか。いろいろと各省庁間の問題もあろうかと思いますけれども、お見通しとしては、相当熟し切っている現在なんですけれども、どうなんでしょうか、最後にそれを伺って終わりたいと思います。
  251. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ことしの初めにお答えした時点におきましては、ジュネーブの国際会議が開かれると、そこで領海問題につきましては少なくとも方向ははっきり出てくるんじゃないか、というふうに私は期待もしておりましたし、判断もしておったわけでございます。で、そういうふうになれば、終わったら、この件については、まあ政府部内の調整はあるけれども、漁期を迎えるわけですから、その前に何とか方向だけは出したいというふうな気持ちで申し上げたわけでございますが、残念ながら、領海も含めたワンパッケージというような形でニューヨークの会議の方へ延びていっているというのが現状でございます。その間、私としてはやはり領海十二海里の問題は何としてもソ連との関係がありますし、ソ連との間に漁業のトラブルが起こらなければ、まあ十二海里問題ということについても直接的な問題が起こってこないわけでございますので、私としては、ソ連との間の漁業紛争が起こらないという点について全力を上げてきたわけであります。協定も発効いたしましたし、また私自身もソ連にも参りましてイシコフ漁業相との間にいろいろとこの点については話し合いもしたわけです。イシコフ漁業相も自粛をするんだと、日ソの漁業協力を今後とも行っていかなきゃならぬから、沿岸漁民との間のトラブルを起こさないようにソ連側としても自粛をするんだということを強く述べておりました。そして、ソ連からの日本に南下する船団の団長も集めて自粛措置を講ずるように指令をするというようなことも述べておりまして、そういうこともやっておると思っております。まあ今日いろいろと被害は出ておりますが、全体的にはソ連側としては自粛をしなければならないと、しておるという、全体的にはそういう空気を持っておるんじゃないかと思っておりますが、残念ながら、完全にその被害を防止することができなくて、いまいろいろとお話がございましたように問題が起こっておる。ですから、われわれの期待に十分沿い得なかったという面があるわけですし、今後のことを考えますと、今後とも北海道からずっと南下をしてくるわけでございますので、われわれとしても不安でございますし、そういう点でこれは緊急な問題になってきつつある。ですから、私も外務大臣ともお話をいたし、まあ外務大臣も、衆と、こういうふうなお答えもありまして、いま政府の部内で官房長官を中心にして調整を急いでおるということでございまして、まあいろいろと政府部内における調整の問題はもちろんずっと残っておるわけでございます。で、何とかその辺のところを、話し合いを一日も早く詰めて、方向を打ち出していきたいと、こういうふうに考えておるわけでございまして、まあその辺のところがなかなか、調整問題としてはむずかしい問題があるわけでありますが、相当差し迫った問題になっておるという意識は、これは私のみでなく、政府全体の空気として出つつあるというふうに言ってもいいんじゃないかと思います。
  252. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、お願いします。
  253. 向井長年

    ○向井長年君 きょうは十時からで、まだあとも質問者があるようですが、大臣大分疲れておるようですし、したがって、私はごく簡単に二、三の質問をいたしたいと思うんです。  最初、余剰米の問題、政府買い入れの問題について各党から質問が出ておりますし、それに対して明確な答弁がないということでございますから、この問題については今後の問題に譲りたいと思います。ただ、大臣が農民に迷惑をかけないように最終結論を出したいということでございますが、この問題はもう現に、これから農民が迷惑するような状態が生まれてくるのではないか、このままいけば。たとえばやみ米が正規ルートじゃなくて出てくるという状態、業者が買い付けるという問題、必ずこれはあると思うんですね、過去にもありますし。したがって、そういう問題は今後これは十分詰めたいと思いますから、この問題は答弁要りません。結構でございます。今後に譲ります。  そこで、二、三質問したい問題は、最近、農林省の畜産行政について非常に疑義が二つ三つあると思う。これは特に行政管理庁からの勧告の問題、あるいはまた公取からの勧告の問題、まあこういう問題があるわけであります。一つにはこの動物用ワクチンの問題につきましてやみカルテルをやってきた。これに対して公取から十月の八日、協定破棄しろという勧告を出しましたよね。きょうは公取呼んでおりませんけれども、これに対する農林省が今日までに至る問題と、今後それに対してどう対処していくのか、この問題まずお聞きしたいと思います、畜産局長に。
  254. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 動物用ワクチン協同組合、それからその組合員の北里研究所ほか十社が豚コレラ予防液等を中心といたしまして、販売カルテルあるいは価格カルテルをしておったというようなことで、独禁法違反の疑いがあるということで本年三月に公取から立入検査を受けました。その間いろいろ事情聴取も行われたわけでありますが、去る十月八日に勧告が行われたわけであります。その勧告の内容は、一つは豚コレラ生ワクチン販売先の制限、あるいは生産量の協定をしているけれどもそれを破棄しろということが一点。それから牛の流行熱不活化ワクチンほか二品目について販売カルテルを破棄しろということが二点。それから鶏のニューカッスル病ワクチンほか十二品目について販売カルテルをしておるけれども、それを破棄しろ、こういった三点につきまして勧告が行われたわけであります。続いて先生が御指摘になりましたように、十月八日までに、わが方といたしましては関係者指導いたしまして、公取からの指摘をいろいろ吟味いたしまして説明もいたしたわけでございますけれども、やはりこの際公取の勧告を素直にお受けして、それに従って今後の善後策をとった方が一番素直な対応の仕方であろうということで、これを応諾する旨の通知を公正取引委員会に出しまして、そうして十月の二十七日に勧告と同様の審決がなされた、こういうような経過になっております。  で、今後の方針といたしましては、ただいま申し上げましたように、公取の審決並びに勧告というものを素直に受諾いたしまして、それに沿って従来のカルテル的なことは一切やめるという方向で対処するというぐあいに業界を指導しておりますし、業界もそういう対応の仕方をしつつあります。
  255. 向井長年

    ○向井長年君 これは大体全国のこの勧告を受けた業者は、これはシェアは一〇〇%というか、ほとんどですね。こういう問題について公取から勧告を受けるまでに農林省畜産局では知らぬはずはないと思う、恐らく。したがって、たびたびいろいろな業者からこれに対する意見が畜産局に出ているはずなんです。これをそのまま放置してきたという責任はどういうことなんですか。知らぬとは言えないでしょう、あなたたちは。いままでにいろいろな業者からこれに対する提起をしておるはずなんです。受けたことがないというなら受けたことがないでけっこう。しかし農林省は知っているはずだ。受けるまでそのまま放置しておったのはどういうことなんですか。
  256. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 豚コレラワクチン、これは物によって多少事情が違うかと思うわけでありますが、豚コレラワクチン等につきましては、いわば行政需要的なものの性格が供給面には伴うわけでありまして、各県で予防注射をする、その予防注射計画と供給側の計画が合っていないとまたいけない。それから国家検定を課しております。つまり動物医薬品検査所の検定を課しておりますから、そういった国家検定機関の年間の処理能力というものとマッチしたような形で供給が行われないと非常にそごを来す、そういう形で供給の何といいますか、ある程度秩序化するようなことは、事柄の性質上どうしても必要であるということであったわけでありますが、それが高じて生産カルテルというような指摘を受けたということは、私どもまことに残念で、指導が足りなかったんじゃないかという御指摘につきましては反省している最中でございます。  それから、牛の流行熱不活化ワクチン等の二品目につきましても同様な事情がございまして、業界等の方につきましてもいろいろ釈明すべき事情はあったわけでありますけれども、しかしやはり何といいましても独禁法に違反するということになりますれば、それに対応するような対策をとるということがこれは一番素直な対応の仕方でありますから、そういうような措置をとったわけであります。  鶏のニューカッスルにつきましては、これはちょっと弁明の余地がなかなかないということで、やはりこれにつきましては、カルテル行為をやっておりましたことにつきましては、他の二品目と違って——二品目も決して肯定する意味じゃありませんけれども、そういった事情なので、これにつきましては弁明の余地はない、かように思っております。  畜産局が知っておったじゃないか、こういうような御指摘でございますが、もちろんこういった業界が独禁法違反の、独禁法に抵触するような違反行為をしておったということにつきましては、私ども、そういうような自覚は持っておりません。ただ、そういった、先ほど申し上げましたように、官需的な、行政需要的な性格から、やはり供給というものがある程度計画的に行われなければならないという性格を持っておったということと、それからもう一つは、価格の問題でございます。これは予防注射代でございますか、農家が払う。これは余り振れが多いということになりますと、農家の側におきましてもいろいろ対応において迷惑が出てくる。こういった関係がありますから、ある程度の秩序というものは必要であったという認識をしておりましたのですが、それは残念ながらわれわれの目の届かないような形でカルテルというかっこうに進んでおったということ。これは私ども指摘を受けましても素直にその御批判は甘受しなきゃならない、かように思っておるわけであります。
  257. 向井長年

    ○向井長年君 まあ、局長はそういう答弁せざるを得ないでしょう。ところで大臣ね、これは世間ではもうたびたび、畜産局にこれは提起しておったんですよ。おかしいというので。ところが、どうもそのままに放置されて今日に至り、しかも公取のそういう勧告後においてその問題の処理ということになってきた。だから世間では、これは農林省と業者とが癒着しているという、こういう形に考えておる。この責任はやっぱり大臣に。大臣は、そのものは知らぬと思いますよ、私たちは。しかし、やはり畜産局としてはわかっておったやつをそのまま放置し、そして公取から勧告受けて、まずそういう問題に対して処理をするという形になってきたと思います、事実上。この責任はやっぱり大臣ね、十分考えにゃいかぬと思うのですが、どうですか、その点。
  258. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この動物用ワクチンは、農政の上におきましても非常に重要な資材でございますので、その製品の改良、開発、品質保持または需要に即したところの安定的な供給については、常にこれは畜産局としても指導も行っておるわけでございますが、今回の動物用ワクチンの生産、販売について独禁法違反があるということで公正取引委員会の勧告を受けたことは、これはやはり、まことに残念なことであると同時に遺憾なことであると思うわけであります。まあ畜産局長もいま、畜産局としては非常に大事な仕事で目が届かなかったということについて責任を感ずる発言もあったわけでございますが、今後ともこのワクチンというものが防疫上に果たす役割というものの重要性というものを十分認識をして、二度と誤りを犯さないように畜産局としても指導をしてまいらなきやならぬと、こういうふうに考えております。
  259. 向井長年

    ○向井長年君 それで、これについては先ほども答弁ありましたが、今後の購入問題については、都道府県ですか、都道府県を中心にしてこの畜産衛生指導協会というものをつくったんですか、つくってやるということでしょう。そういう形をとろうとしておるようでございますけれども、この衛生指導協会にどんな方法でワクチンを購入するのか、またそれをどういうように指導していくのか、これを明確にしていただきたい。
  260. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 県の段階で協会を設立してという、まあ御指摘がございましたが、これはまあ、かなり前からございまして、いわば農業者サイドにおける自衛防疫の推進という形で、まあ農業者の自主的な防疫措置というものを進めるというような組織づくりということが確定しているわけでございまして、必ずしもこういった販売の問題だとか、あるいは値段の問題ということと密着させて考えているわけじゃございません。また、その協会でこういったワクチン等全然取り扱っていなかったかと言えばそれは間違いでございまして、若干取り扱っておりますが、まあ一部でございまして、そういうことで協会が今回のカルテルとかそういったことに過去において関与しておった、今後とも関与するということはない。そういうことでなくあくまで自然発生的な形での自衛防疫の組織として今後活用していきたい。  それから、カルテルの今後の販売方法、ワクチン等の販売方法等につきましては、先ほども申し上げましたように、いやしくも独禁法に抵触するような形での仕方は、またそういう疑いを持たれるような仕方は一切慎む。もちろんある程度の秩序とか、それから価格にいたしましてもダンピングをしてそのために研究投資を一切回収がむずかしくなるというような形での混乱は避けなければなりませんけれども、やはり自由競争というものを前提にした価格の形成なり、あるいは販売というものが行われるように指導していきたいと思います。
  261. 向井長年

    ○向井長年君 そこで、この問題についてはワクチン購入に対する必要な負担、これは足立農林大臣、あるいはまた大河原畜産局長時代に、これは畜産農家には迷惑をかけない、負担をかけないということを答弁されております。しかし、実際は獣医師のいわゆる処方せんをもらわなけりゃできないでしょう。買えないでしょう。それに対してやはり手数料を払わなけりゃならぬというのは、農家がこれは持つわけですよ。その点は非常に大河原畜産局長時代に言ったことがこれはそのまま実行されてないということです。この点については、今後どうなんですか。やっぱり獣医師の処方せんをもらって、実はこれ、話聞けばほとんど簡単に発行して手数料を取るだけで何も見てない、何もしてないですよ。獣医師のいわゆる収入をふやすための一つの操作にしかならないわけです。この点についてどう考えられますか。
  262. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 薬事法四十九条であったかと思いますけれども、薬事法の規定に基づきましてやはり獣医師等の処方せんというものが要るということでございますので、その方の規定に従った措置をとっている。ただ、そういった手数料といったものにつきましては、これは、過大な手数料を取るということは不合理でございますし、また、農家の方の立場からしてもおかしいわけでございますから、それは、できるだけ農家のめんどうにならないように、低減するようなかっこうで処置はしていきたいと思います。
  263. 向井長年

    ○向井長年君 していきたいよりも、負担にならないようにしますということをはっきり言い切っておるのですよ、国会で。それがやっぱりそのままになっているということは負担をかけていることじゃないの。これはどうなんですか。
  264. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 農家の負担にならないようにいたします、というふうに私の先任者もお答えしているわけでありますが、私も同様にお答えを申し上げます。獣医師会とそれから需要者、そういった間におきましてこの問題につきましては詰めさせておりますが、農家の負担にならないように、私も強くその点につきましてはプッシュするようにいたします。
  265. 向井長年

    ○向井長年君 その問題は一応そういうかっこうで終わります。  次に、これもう一つ。行管、来ておりますな——行政管理庁が特に勧告をしておる問題は飼料行政についてであります。これについて、特に、政府が財政負担をして購入をしておる、言うならば畜産農家に売り渡しておるところの政府操作飼料のふすまの問題です。これについて、この配分はきわめて不公平な状態になっている、特定の業界に、政府が買い上げたやつを売って、全般にそれが売られておらないということで不公平だということで、行管は、これは公正な形をとれという勧告をしたわけです。これは、行管、どうなんですか、やりましたか。
  266. 鈴木博

    政府委員鈴木博君) 直接のお答えになりますかどうですかわかりませんが、私どもの勧告するに至りました監察の過程におきまして、先生ただいま御指摘になりましたこの農家の負担が非常に不均衡ではないかとか、非常にそこに希望が満たされない農家があるのではないか、ということに関連いたしまして調べました数字をお答え申し上げたいと存じます。  私ども調査いたしました県は十六都道府県でございますが、そのうち飼養農家の乳牛の農家は六十九件見ました。それから、肉牛の場合は五十九戸見たわけでございますが、そのうち割り当てを受けていない、配分を全く受けていないものが八戸ございました。一方、五〇%以上受けておりますものが二戸ほど乳牛の場合見られたわけでございます。また、肉牛の農家の場合におきましては五十九戸のうち全く配給を受けておりませんものが十戸でございました。五〇%以上のもの、これは一〇〇%農家も一戸ございますが、その一〇〇%農家一戸を含めまして五戸ございます。大体以上でございます。
  267. 向井長年

    ○向井長年君 そのことで勧告をされておりますが、これは行管だけじゃなくて会計検査院からも勧告されておりますね。そういう状態農林省はそのまま放置しているということはどういうことなんですか。これはあたりまえだという形なんですか、畜産局長
  268. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) ただいま行管の方から行政監察結果をお述べになりましたが、その中で私どもに対しまして単体用政府操作飼料、それの畜産農家への配分が必ずしも公平にはいっていない、そういうことの結果にかんがみ中央団体を指導しろと、こういった要旨の勧告が中にございました。  これをさらに詳しく申し上げますと、ふすまの例で申し上げますと、実はふすまにつきましては、必ずしも地域的な配分が全国まんべんに行き渡っているというような状態には残念ながらなっていないということでございまして、たとえば東海だとか北陸、近畿、関東といったところに集中しておりまして、北海道あるいは九州といった遠隔地の農家方々が必ずしも行き渡り方が不十分である、こういうようなことがあるわけで、そういった点につきまして御指摘を受けたわけであります。  これにつきましてはいろいろ経緯なり事情があるわけでございまして、一つには、やはり日本の酪農が実は北海道とか九州とかそういった草深い所、草地の多い所から発達したのではなくて、都市近郊の濃厚飼料を中心とした所から発達した。いわばふすまその他の濃厚飼料を中心として発達した。それが外縁的にだんだん広がって九州あるいは北海道に行ったということから、使用慣行といたしましてそういったところにふすまを使う慣行が根強く定着しておる。逆に北海道とか九州は草で飼養し始めておりましたから、ふすまにつきましては比較的なじみが薄い、こういった慣行があったこと。それから、それだけではもちろんございません。他の流通飼料との相対的な価格関係もあったわけでありまして、それから一部の地域につきましては、たとえば鹿児島の例でございますと、従来どうも十分な原料麦の輸入港は港湾施設が十分じゃなかった、こういったこともございますし、あるいは東北につきましてもそういった事情がある。それから、ふすまですから当然製粉をつくる過程の副産物として出てくるわけでありますから、こういった製粉工場との関係がある。詳細なことは省略いたしますが、こういった形から必ずしも地域まんべんとなく行っているわけじゃなくて、一部の地域に偏在しておったというようなことがありまして、それが非常に一部の地域に偏っている傾向がある、それは不公平ではないか、こういう御指摘を受けたわけであります。  それにつきましては、畜産局といたしましては、そういう制約要因があることはあるわけでありますが、いずれにいたしましても政府が財政支出を伴った飼料の供給でございますから、それは一部の地域のみに偏在するのはやはりおかしいという御指摘は率直にやっぱりいただかなくちゃならないということで、逐次その地域的な配分の是正につきましては努力はいたしております。ことに昭和五十年度、今年度におきましては、たとえばふすま増産用小麦につきましては北海道それから九州に振り向けて、そのかわり東海、北陸あるいは近畿と、そういったところからの配分量を対前年度に比べまして減らして、そして九州、北海道に持っていく、そういった地域的な配分調整を現在実施中でございます。  それから、ふすまだけではございません。政府の取り扱っておりまするものは、ほかに大家畜用飼料としての大麦がございますが、そういった大麦につきましても同様に同一的な地域的な片寄りの是正をいたしている最中でございます。
  269. 向井長年

    ○向井長年君 そんなもの答弁になりませんよ。これは専増産ふすまといって、少なくとも小麦をここへ買い入れて、えさのために六割以上それをとっておるんでしょう、そのふすまですよ、これは。それをやはり公正に配分をするというのは地域だけの問題じゃない。畜産農家の種類にもあるでしょう。たびたびそういう問題が、陳情が出ているにもかかわらず、従来の実績はこうなっていますからできませんというようなかっこうで、今日まで放置したんじゃありませんか。だから、畜産局長、そういう言いわけは通らない。どういう基準でこれは配分しているか。政府の多額な費用をかけて買い上げた問題が、それが言うならば公正に行われていないということが現状なんですよ。地域だけの問題じゃないですよ。それで行管からやはり指摘されたんでしょう。会計検査院からも指摘されておるんでしょう。この問題を私は、ここで具体的にどこにどうせいということは言いませんが、これはやはり見直さなければならぬということ、徹底的に。そういう感じ持ちませんか。大臣どうですか。そういう傾向のものを勧告を受けてそのままになって、たびたびいろんな業者から、農家から、あるいはその団体からいろんな陳情なり要請があったにもかかわらず、農林省畜産局は従来これは実績でございますからそれはできません、と言って今日まで来ておるんですよ。そういう問題をやはり勧告を受けて、できるだけ、まあ地域的だとか言っておるが、見直さなければならぬ時期が来ているのじゃないか。見直す必要あると思うんだが、この点どうですか。
  270. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) やはり行政は公平を期さなければならぬわけでありまして、その点について行管庁から指摘を受けたと。そこで、いま局長も答弁いたしたように農林省としてもいろいろと制約の中にあっては努力はしてきておるようでありますけれども、まあしかしこれは率直にやっぱり公平さをさらに進めていくためのいろいろな面での再検討ということは当然これはもう必要であると、こういうふうに考えます。
  271. 向井長年

    ○向井長年君 私は時間がないから——時間はまだあるんだけれども、あんまり大臣気の毒だから早めますよ。ここに資料持っておる、どこがどうしたということね。これはきょうは言いません。言いませんけれども、いま大臣が言われたように一応公正でやるために見直す、再検討やってそれに対する配分を考えるということであるならば、私はきょうはもうこれでいいと思う。それでよろしいですか、そういうことで。
  272. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 当然これはいま局長が答弁いたしましたように、いろいろとやはり歴史的あるいは慣習的ないろいろな制約の面というのがあって、なかなか一挙にはいかない面もあるようでございますが、しかし行管庁のそうした勧告も受けるということになれば、これはやはり行政の公平さということは一番大事なことでございますから、そういう面に立って再検討することは必要であると、こういうふうに思います。
  273. 向井長年

    ○向井長年君 行政管理庁ね、大臣そう言ってますが、あなたたちが勧告したことは、私がいま言うように、不公正な取り扱いである、行政である、したがって、公正にやりなさいということをあなたたち勧告したんでしょう。それで公正にやられているかどうかということをあなたたちも見なきゃいかぬわけですね。そうでしょう。だから今後、再検討し公正な行政を行いますということをいま大臣が答弁したんだから、したがって、あなたたちはそれを監視しなければならぬ義務がある。どうですか。
  274. 鈴木博

    政府委員鈴木博君) 私ども勧告いたしましたこの事項につきましては、今後、農林省の方の指導をしてまいりますその過程に従いまして、十分関心を持って推進してまいりたいと思います。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、大変長いことお疲れでしょうが、私が最後でありますのでひとつがんばってください。  初めに基本的な姿勢についてお尋ねしますが、政府は基本施策として食糧の自給向上をうたっております。このことは裏を返せば、非常に農家を大事にするという、こういうことになるわけであります。しかし、現実には、ここにも七五年の農林省統計情報部から出された「農業センサス」、この統計をひも解いてみましても、一九七五年のこのセンサスによりますと、五年前に比べて全国平均で八・三%の落ち込みであります。農家数が減っている。その原因は、米の減反政策に代表されておるように、政府の、これは失礼な言い方かもしれませんが、場当たり的な農政にあると私は指摘せざるを得ません。つい最近、沖繩のわせのミカン栽培のことについて農林省の方と話し合ったことがあります。日本はいまミカンがあり余って、つくり余って、このミカンの木を切る政策だ、こういうことを聞いたわけでありまするが、こういったその一、二の例からも私はこれまでの政府農政のあり方に根本的なメスを加えなければいけない、こう思うわけなんでございます。  例によって沖繩の場合も、この「農業センサス」によりますと、農家数は五万戸に落ち込んでおる。四万八千戸となっております。七一年のセンサスより二〇・四%減っております。これは全国平均の八・三%よりもまことに異常であります。八・三%に対する二〇・四%、この原因はいろいろ考えられまするが、要するに国の施策が大きな原因であると私は指摘いたします。  現在沖繩では、沖繩国際海洋博だという非常に華やかな浮き彫りもあるわけですが、現実の沖繩はいろいろの問題が多発し特に農業破壊という面から、サトウキビの問題、パイナップルの問題あるいは畜産の問題、枚挙にいとまがありません。ところが、きょうは短い時間でありますので、私はサトウキビの問題は次に回して、特に畜産の牛肉の問題とパイナップルの問題にしぼって時間いっぱい尋ねたいと思いますので、よろしくお願いします。  私の前にこういっぱいスクラップがありますが、これは一部でありますが、海洋博に関するスクラップは一つもありません。みんな農業問題に関するサトウキビの問題、あるいは牛肉の問題、あるいはパイナップルの問題、農業問題に関するスクラップであります。そういう沖繩の厳しい事情の中でお尋ねしたい一つは、大臣は、去る十一月六日の農水委員会において、輸入牛肉が大量に沖繩に割り当てられたために沖繩の畜産農家が非常に困っておると、危機に瀕しておるという私、喜屋武委員質問に対して大臣は、畜産農家に悪影響を与えているとは聞いていない。しかし、大会が開かれておることでもあり、早速実情を調べてみたいと、こう答弁しておられます。調査をなされたか、その結果はどうなのか、まずお聞きしたい。
  276. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) この前、喜屋武先生からの御指摘では、輸入の増大によって牛肉価格沖繩では値下がりしている、あるいは豚、鶏等の生産者価格に悪影響がある。そういう意味で、生産者が非常に心配している、そこへどっと大量の輸入が来たらこれは大変なことである、こういった御指摘だったろうと思うわけであります。そういう実情につきまして、私ども、県庁からいろいろ価格関係の状況をいろいろ聴取いたしましたところでは、たとえば牛肉等につきましては、必ずしも弱いというような状態ではございません。牛肉価格が値下がりするというようなこともありませんし、ただ豚の価格は本年は昨年に比べまして高騰しておりまして、むしろ牛肉よりも高い上昇率を示しておりましたが、現在はやや弱含みに転じているということはございますけれども、総じて申し上げますれば、牛肉等につきましても、沖繩県の値段は対前年同月比で申し上げますれば、八月、九月それぞれ一一一%それから豚の枝肉につきましても、九月対前年比一三一%、十月一一九%、十一月一一三%、これをもって弱含みと申し上げたんですが、しかしそれにしても対前年よりは上回っているという状態でございまして、いま極端に悪影響が出ているというぐあいに県庁から報告は聞いていないというふうに——私とも県庁からの聴取結果はさようでございます。
  277. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの調査につきましては、私も再検討いたしたいと思いまするが、それで、いまの報告によりますと、大したことないというふうに受けとめられますが、この実情はどう解釈されますか。本土と沖繩の実情については、本土は六分の一が外国産輸入肉で、六分の五は国内産によって市場価格は取り引きされているために輸入肉による影響は少ない。ところが、沖繩の場合には十分の一が県内産肉で、十分の九は輸入肉によって価格も誘導される結果になっておる。そのため生産農家にのみしわ寄せが及び、一方的な行政措置であると言わねばならないと生産農家指摘しており、私もそれを指摘したいんです。だからそれは極論かもしれません。あの大会の中で、輸入牛肉撤廃せよと、沖繩の県畜産振興会長が旗を上げて要請をしておるという、これは全面ストップせよということが、これは極論で沖繩の実情であることを私も認めます。しかし、その余りにも安い牛肉が大量に、必要以上に配給されたために、豚肉や鶏肉がそばづえを食らって危機に瀕しておるというこの実情は認めてもらわなければ——私も率直に認めたい。このことについては大臣いかがですか。   〔委員長退席、理事小林国司君着席〕
  278. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 沖繩県への牛肉の特別割り当てにつきましては、これは沖繩の本土復帰に伴うところの輸入制度の変更による県民生活への影響を緩和するために、これが特別措置として実施しておることであることはよく御承知のとおりだと思います。しかし、この特別割り当てをするに当たっては、従来から農林省としては沖繩県の意向も十分聞いた上で、沖繩県内の需給事情にも応じて必要となる量を決定をしてきたわけでございますし、いま畜産局長が申し述べましたように、現在の段階においては、沖繩県の畜産農家にこのやり方でもって悪影響が非常に出ているということは、私も畜産局長から報告を受けた範囲内では、ないと、こういうことでありますけれど、これはやはり農林省としての立場からすれば、沖繩県の畜産農家立場というものも十分考えながら割り当てを実施していかなきゃなりませんので、今後の割り当て数量につきましては、これは慎重に対処してまいりたいというのが基本的な考え方であります。
  279. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 十一月六日の委員会の御答弁の中でも、五十年度下期の輸入牛肉特別割り当てについては生産者の立場を考えて慎重に対処すると、こうおっしゃった。ただいまもそうおっしゃっておられまするが。まだ具体的に下期の割り当てに対して数字的に検討の段階ではないということなんですか。
  280. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) いろいろ先生御心配になっていらっしゃる事情、私もよく理解できます。と申しますのは、前年の下期がずれまして、前年下期の割り当てが二千四百トンであったわけでありますが、これは通常の年の例で申し上げますれば、大体昨年内に、十二月より前に割り当てをするのが通常の例なんでございますけれども、それがずれて、ことしの三月に割り当てが二千四百トン行われた。それから今年度の割り当てが七月におっつけて二千四百トンあったということでございますから、一度に集中して前年の下期の割り当てと、それから今年度の上期の割り当てがきびすを接して割り当てられた、ということで、沖繩方々が御心配なさっていらっしゃる。こういうことで、その点につきましては慎重に、今後の下期の割り当てにつきましては慎重な配慮をしていきたい。現実にわれわれ割り当てをする場合には、これは地元の御意向を無視して割り当てするようなことはございません。地元の需給事情だとかそれから地元の方、ことに県庁の御意向というものをベースにしてそうしてやるわけでございます。   〔理事小林国司君退席、委員長着席〕 一方的に私どもやるような意向は一切ありません。現在までのところ、お尋ねの下期の割り当てについて、まだ県庁のほうから何ら御示唆もございませんので、態度はまだ決めておりません。いずれにいたしましても、大臣がお答え申し上げましたように、御心配の事情はよく理解できまずから、慎重に取り運びたいと思います。
  281. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 地元のとおっしゃいますがね、このことを御検討なるだけでもこれは検討しなければいけないという、こういう判断がつくと思われますがね。四十九年には五千六百五十トン、五十年の上期に二千四百トン割り当てられている。これは人口割りにしますと本土の約二十倍になりますね。本土の約二十倍の割り当てがいっておる。それは消費者の立場からはなるべく安い牛肉をということはよくわかります。ところが、生産奨励ということも、これは国の施策では畜産奨励といっている。ところが本土の場合には先ほど申し上げましたように、法で生産者が守られておる。ところが沖繩の場合には消費者のみを重視して守って、生産者を無視しておるという、このことに問題があるわけなんですよね。そこで、そのバランスをどのように調節していくかということについては、どのように考えておられますか。お聞きします。
  282. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはやっぱり沖繩の持っておる特殊事情というものがあるわけだろうと思うんです。やはり消費者の立場もありますから、一挙に本土並みに持っていくということは、これはまあ問題があるんじゃないかと思います。やはり沖繩の実情というものに沿って進めていかなきゃなりませんし、同時に、やはり畜産振興というのは、沖繩においても今後とも農政一つの方向として振興をしていかなきゃならぬ問題でございますので、そうした畜産振興を図りながら、なおかつ沖繩の現在までのあり方というものに著しい急激な変化を与えないような形で進めていかないと、これはやっぱり沖繩の県民感情というのがあると思うんですから、その辺のところを十分慎重に配慮しながらわれわれとしては割り当て制度を続け、その中でこれを進めていきたいということであります。と同時に、何度も申し上げましたように、沖繩の畜産農家には悪影響を及ぼさないということも、私たちも十分考えながらやっておるわけであります。
  283. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、いまの御配慮の具体化としまして、たとえば本土の場合六分の五が自給で六分の一が輸入と、こういった状態の中で輸入牛肉は事業団が一括購入をして卸売をする方式をとって、そして国内時価とのバランスを考えて売買の差益を徴収をして生産対策に還元しておる、こういう方法をとっておると聞いております。ところが、沖繩については、このような制度が適用されていないために、生産者は全く野放し、片手落ちと、こういう不満が非常に強いわけなんです。そういうところから、消費者は守っておるけれども、われわれに対しては片手落ちだと、こうも言っておりますが、いま本土でとっておられるようなこの仕組みを、沖繩生産者に対しても、生産者と消費者とのバランスを調節していくという面から、考えていかれる意思はないかどうか、お聞きしたい。
  284. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 御承知のとおり、沖繩は特別枠という関係になっておりますから、価格面の調整を特別の機関、たとえば事業団等でやって承るような形にはなっておりません、ただ、国内におきましても、海外の輸入相場が非常に安いときは関税を課しましても、日本の国内相場よりなお安いということがございますから、それをそのまま輸入すれば、ただいたずらに現在の流通機構を前提にすれば、途中で吸収されてしまって、消費者の利益には必ずしもならない。途中の流通業者のマージンとか、ふところに入ってしまう。こういうことになり得るわけでありますから、現実にはたとえば事業団等で調整金を課する、あるいは民間においても調整金を課して、そうしてそれを公的機関にプールしておいて、それを生産対策に還元する、あるいは消費対策として使う、こういった措置を国内でとっているわけであります。で、喜屋武先生のおっしゃったのは、そういった措置沖繩についてもとれないのかどうか、こういう御指摘だろうと思うわけでありますが、それにつきましては、沖繩につきまして、いま沖繩の県庁の方もそういったことを、あるいは検討中であるやに聞いております。私どもの方から押しつけるわけにまいりません。それはよく地元の御趣旨を尊重いたしまして、何らか消費者の利益とそれから生産者の利益の調和ということがうまくできるように、うまい工夫はないものかということで、いまよく地元と相談をいたしたいと思っております。
  285. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 とにかく人口に比例して量が余りにも多過ぎるという問題と、それから、そうならしていく時期の問題ですね。そのことも沖繩の狭い地域に非常に敏感に反映するわけであります。そういった量の問題、それからいま申し上げた消費者と生産者の調節の問題というもの、これを十分ひとつ早目に検討していただいて、この混乱を速やかにひとつ安定さしてもらいたい、こう要求をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。いまの問題については、私の要望にこたえて間違いなくやってくださいますな、そこをお聞きしておきます。
  286. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは先ほどから何度も申し上げましたように、慎重に沖繩の県民の立場あるいは生産者の立場というものを考えながら対処していきたいと思いますし、いままでもこの特別枠にいたしましても、これを発券する場合においては、沖繩県庁に相談なしにやっているわけじゃなくて、十分意向を聞きながら、相談しながら、これをやっておるわけでございますので、今後とも沖繩県庁と緊密な連絡をとりながら、沖繩県民の立場というものも十分配慮し、生産者の立場も考えながら対策を進めていく、こういうことでございます。
  287. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、パインの問題について質問いたします。  さる七月の一日の農水委員会において、また喜屋武委員質問に対して、五十年度産県産パインのさばきについては非常に心配である、生産者も危機感を持っているが政府はどのように考えておられるのか、という喜屋武委員質問に対して、沖繩パインの消化の状況を見ながら輸入の数量、時期などについて今後検討を進めてまいりたいと考えておると、こう答弁されましたが、その態度は現在も変わっていませんかどうか、お聞きしたい。
  288. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 昭和五十年度のパインアップルかん詰めの輸入割り当てにつきましては、沖繩産パインアップルかん詰めに及ぼす影響をできるだけ少なくするために沖繩品の販売の状況を見つつ割当数量及び輸入公表の時期を検討をいたしておるところでございます。
  289. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところで、マスコミの報ずるところによりますと、外国産パインかん詰めの輸入割り当てについて二十万ケースから二十五万ケース程度を今月一ぱいに発券に踏み切る、いわゆる外国産輸入実施する。こういう記事が大々的に報ぜられて、これまた大騒ぎしておるわけです。このことについて事実であるかどうか、このことをまずお尋ねしたい。
  290. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) パイナップルかん詰めの輸入につきましては、ただいま農林大臣からお答えがございましたように、現在、沖繩産のパイナップルかん詰めの取引状況も見ながら検討を進めておるところでございます。輸入のことでございますので、通産省と協議を進めておる段階でございまして、まだ、ただいま申されましたようなことを決定をしたわけではございません。
  291. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、その数量の問題もきまってはいない、それから今月一ぱいに発注することもきまってはいない、こういうことなんですね。
  292. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 現段階ではまだきまっておりません。
  293. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、そのことについてはまあ私もほっとしました。また、その関係者もほっとすると、こう思いますが、政府が責任を持って、心配は要らないと——そのことについては前々から尋ねておりますとおり、五十年度産のパインかんについても心配は要らないんだと、こう政府が責任を持つ。こう受けとめてよろしゅうございますね。
  294. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 先ほどお答えしましたように、現在通産省と協議中でございますので、決定はいたしておりませんが、ただ、今年度の沖繩産のパイナップルかん詰めの販売状況を見てみますと、本年三月末に沖繩の現地に滞貨すると見られました、言葉をかえますれば、本土に引き取りかできなくて滞貨するというようなふうに見られました四十九年産のかん詰め約百二十万ケース、これはすでに全量が本土に引き取りを終わっております。それから五十年産のかん詰めにつきましても年間製造見込みは百三十万ないし百四十万ケースというふうに見ておりますが、そのうちで四十万ないし五十万ケースは年内に、十二月までに大体引き取られる、現に三十万はすでに本土に到着をしておる、さらに残りにつきましても明年六月までには大体本土への引き取りが全部終わるという見通しを持っております。そのように、この春から最近までの傾向は漸次沖繩の滞貨が本土に引き取られ、しかも本年のやつにつきましても、今年産のかん詰めにつきましても、めどがつきつつあるという段階でございます。他方、パイナップルのかん詰めの輸入につきましては、御承知のように東南アジア——台湾、フィリッピン、タイ、マレーシアが主要な対日輸出国であるわけでございますが、これは、御承知のように、パイナップルは輸入作物でございますので、なかなか日本へ輸出できないからというので、すぐ転換がなかなかきかない。あるいは日本向けのかん詰めのかんもすでにつくって用意をしておるというようなことがありまして、これまでもしばしば日本が四十九年度以来最近まで輸入をとめておることに対しまして抗議が参っておりまして、早く輸入できるようにしろと。それからごく最近タイで開かれましたESCAPの第十九回の貿易委員会におきましても、日本に対して、日本がパイナップルの輸入を全面的に禁止しておることについて非難の決議をするというような空気もございまして、われわれとしては、できるだけ今年度の下期には輸入をするつもりである、というようなことで非難にまでは至らなかったという経緯もございますので、それらの近隣の開発途上国の事情も考慮いたしまして、先ほど申しましたような今年産の沖繩産パインかん詰めの引き取り状況、見通し等も勘案いたしまして、現在いつ、どの程度輸入をしたらよいかということを検討中である、こういう状況でございます。
  295. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまお聞きしましても、外国側からの圧力といいますか、強い要求といいますか、そういうこととも関係があるということがうかがわれるわけですが、もし他国との関係で外割りを凍結することが悪影響を与えるということであるならば、それ以前に国内農産品の完全消化、すなわち国内パインの完全消化を図る計画を示すことが前提でなければいけないと、私は国の基本姿勢の面からも強く思うわけなんですが、その配慮を大臣に強く求めたいのですが、いかがですか。
  296. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) ただいま申しましたように、沖繩産のパインかん詰めの本土での引き取りの促進につきまして関係業者を促進をいたしまして、四十九年産につきましてはもうすでに全部終わったということでございますし、今年産につきましても、先ほど申し上げましたような見通しでかなり明るい見通しにはなってきております。したがいまして、われわれの考えといたしましては、原則としては沖繩産のパインかん詰めの優先国内消費という点を念頭に置きつつ、しかし、他方、先ほど申しましたような輸出国側の事情も配慮しながら、沖繩産のパイン生産者に悪影響を及ぼさないというような限度において輸入をしていくという考えで検討しておるわけでございます。
  297. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ最後に、私の要望をかねて質問を、こういった気持ちで申し上げたいと思うんです。  まず第一点は、沖繩のパイナップルを毎年のように、このように混乱といいますか、不安といいますか、これに陥れておる理由は幾つもあるわけですが、その理由一つには、例の冷凍パインアップル、これを使って本土業者がかん詰に製造して、あるいはジュースにつくっておることが指摘されております。このことが混乱をさしておる状況を御存じと思いますが、そのことをまず私、指摘しまして、そこで沖繩産を本土市場で消化させるためには、例の関税を製品の輸人並みに五五%まで引き上げる以外にないと、私は抜本的には考えられますが、このことに対してどのように考えておられるか。と申しますのは、私の知る限りにおいて、工業先進国といえども農業については非常に手厚い保護を加えておる現状であります。であれば、国の積極的な保護措置を当然とってもらうべきである、こう思います。これが一つ。  で、最後に、なぜ私がこのように強くこれを要望申し上げるかといいますと、沖繩の例の振興開発計画の中でも、パイナップルの増産計画を強く打ち出されております。国としても、その計画に沿って安心して増産のできるように、生産奨励資金を支出して、農家の生活の安定を図るべきことは当然だと私は思います。こういう裏づけがあってこそ、政策面で幾ら強調するよりも、その裏づけとしてのこの対策がなされるならば、安心して、安定した、国策に沿う、農民が主体的に、前向きでがんばっていけると、こう思うわけなんです。そうでないと、もう毎年、その都度都度、このような不安、また、要請を繰り返さなければいけないと、私は痛切に感じております。結論は、とにかく農業では食えないというこの社会、これは異常ですよ。農業で安心して生活していける、文化人としての生活を守っていけると、維持していけると、こういう国にならなければ——この基盤は何といっても日本の農政の問題だと私は思います。  以上申し上げまして、いまの私の質問に対する御見解を大臣に承って終わります。
  298. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 沖繩農業についてはいろいろと問題があるわけでございますし、この農業振興につきましては、政府としても特に力を入れております。これは御案内のように補助率の問題にいたしましても、あるいはまた、その他のいろいろの生産対策関係にいたしましても、本土と比較すると相当ウエートを置いてやっておるわけでございます。これは沖繩の基盤整備等がおくれておる、農業がおくれておるという点において、政府の責任においてやっておるわけでございますが、今後ともこうした沖繩農業の振興のためには力を注いでまいらなければならぬことは当然でありますし、いまお話がございましたように、やっぱり沖繩農民の皆さんの農業所得向上をしていく、そして農家経営が安定をしていくということのために、そうした生産対策価格政策も含めて、今後これを進めていかなければならぬという考え方でおるわけでございます。  また、その中において、たとえばパイナップルの問題、あるいはまたサトウキビの問題、あるいは牛肉の問題等がいま議論になっておるわけでございますが、特にパイナップルにつきましては、これは四十九年度は非常なピンチであったわけでございますが、政府としても全力を拳げてこのピンチを解決すべく、製品の引き取り等につきましては、行政指導等も強く行いまして、ようやくこれも解決をいたしましたし、五十年度につきましても、いま局長が申し上げましたように、一つの明るい見通し的なものが出ておるわけでございます。したがって、そういう中で、このパイナップル産業というのも非常に沖繩農民所得につながっているわけですから、今後ともこのパイナップル産業あるいはパイナップル生産が安定をしていくように努力をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、関税等につきましても、冷凍パインあるいはパイナップルかん詰め等については非常に重い関税を課しておるわけで、冷凍パイン等につきましては、三五%に上げたことによって急激に外国からの輸入は減ってまいりました。五分の一程度になってまいりまして、ずいぶんその点は安定する要因になったと思っておりますし、今後ともこれらについては、沖繩のパイナップル生産農家あるいはパイナップル産業というものを見つめながら対処をしていきたい、こういうふうに思うわけであります。
  299. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) ここで、予定された質疑は一応終わりましたけれども、私から簡単に質問してひとつ農林大臣から答えていただきたいと思います。  改正農振法の点が一点、予約限度数量の問題、これが一つ、それから物価対策、これが農機具、農薬、肥料等、それから年末年始の生鮮食料品対策、これだけについて簡潔に質問をいたしますので、大臣もひとつ簡潔に答えていただきたいと思います。  改正農振法、これが施行されてからある程度の日数がたつわけであります。当委員会におきましては、恐らくことし一番関心を持たれた法律改正であったと思うわけであります。それが、私ども実際に回ってまいりますと、農業が曲がり角だと言われた、そして悩みに悩んでおる農家、何とかしなければならないということで、今日の農家は昔と違って考える農家になってきたにもかかわらず、その農家を、この法律をもって考えさせるというところにはまだいっていない、こういうことであります。そこで、これがどの程度徹底をしておるのかお聞きをいたしておきたいと思います。
  300. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 改正農振法が施行をされたわけであるけれども、その効果はどういうふうになっているか、どこまで徹底しているかということでありますが、農用地利用増進事業、特定利用権の制度等を内容とする改正農振法は本年の七月十五日に施行されたわけでございますが、この趣旨の普及を図るために、農林省は七月から八月にかけてブロック別の説明会を開催し、さらに都道府県はこれを受けて管内市町村に対する説明会を行ってきておるわけであります。しかし、いまだ改正法施行後、日も浅く、その効果について云々する段階にはないわけでございますが、改正法の内容趣旨の普及徹底が図られていない面もあるわけでございますので、これについては今後一層の努力をしてまいりたいと考えております。  私は、この改正農振法の意義といいますか、今後の農政における意義を非常に深く重要視しておるわけでございまして、今後これが予算措置等もいろいろと行ってまいりまして、そしてこの農振法の実施によりまして規模拡大であるとか、あるいはまた後継者の育成であるとか、中核農家生産意欲向上であるとか、そういった面において今後の農政が大いに進んでいくことを心から期待をし、これを進めたいと、こういうふうな決意を持っております。
  301. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 市町村だけ督励したってだめなんですよ。これは私、なぜ徹底していないかということを考えたんですがね、この農振法改正案をつくるときは、全国農業会議所、全国農協中央会、それから恐らくそれぞれの委員にも相当な陳情があったんです。しかも農林省では三年、農地制度研究会というものをつくって煮詰めた、所有権と利用権を分離した、そして農地を高度に利用すると。こういうことでりっぱな考え方なんですね。それが通ったんですけれども、終わった後にも農業団体を活用したらどうですか。そして徹底させなければだめですわ。それはよろしいですね。——うなずいてもらえばそれでいいですよ。答弁は要りません。農業団体を活用しなけりゃ。いまのところ市町村だけですよ、県市町村だけ。行政ルートだけではだめです。時間がかかります。農業団体も活用するということでひとつよろしくお願いをいたしておきたいと思います。  それから二番目、予約限度数量についてでありますが、きょうはもう超過米についていろんな議員からいろいろな発言がございました。そこで重複を避けますが、予約限度数量そのものの決め方についての議論は、きょうはなかったわけであります。予約限度数量の決め方等については、実は稲転等の関係、そういうことも含まれていろいろと計算をされておる。そういうものは生産調整とかそういうときに傾斜配分的に地域分担の思想を生かしておるということもある程度承知はいたしております。しかし、地域分担の思想を、もう少し予約限度数量の配分ということについて考え直すべきではないか。もちろん、これには米以外の価格政策について進まなければ地域ごとに不満があることは当然であります。そういう意味で、来年度の予約限度数量の配分については考え直すべきである。ことしこれだけ議論されるのですから、豊凶にかかわらず、豊の場合、凶の場合ということで、これを来年はひとつことしの貴重な経験を生かして考え直すということにしていただきたいと思います。  またもう一つ、米に関連いたしまして、良質米の生産対策というものをやっぱり積極的に考えるべきである。きょうは農林大臣消費拡大ということを言われた。各委員からもそれに関連した質疑があった。そのためには良質米をどう生産していくか、こういうことになると思います。これを積極的にひとつ考えていく。そうすると銘柄格差の問題ももちろん出てまいります。このこと。  もう一つ米に関連して最後に申し上げておきたいことは、きょうは、超過米については最終的に農民に迷惑をかけない措置をとる、こういう答弁をけさほど来出していただきました。で、その前提に、これにつけ加えてちょっと申し上げておきますが、これから行われるであろう県間調整、さらにいまやられつつある自主努力、自主流通、それに加えて来年度繰り越し米、ランニングストック等を含めて検討をいたしながら、最終的に農民に迷惑をかけない措置をとる。こういうことであるべきだと私は思いますが、理解をしますが、それでよろしいかということであります。ちょっと食糧庁とよく相談してください。
  302. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 米の買い入れ制限は、昭和四十六年以来生産調整の公平と実効を確保するとともに、政府買い入れの適正を期するために行ってきたところであります。この間、生産調整、稲作転換は当然のことながら、都道府県及び市町村等の協力を得て適地適産という考え方を踏まえた指導が行われてきたところでもあります。  予約限度数量につきましては、都道府県、市町村、生産者のいずれの段階の数量についても、昭和四十二年から四十四年の平均政府買い入れ数量から、稲作転換目標数量を差し引いた数量を基礎として決めることとされておりますので、予約限度数量の決定にも適地適産の考え方が反映されているものと思っておるわけですが、御指摘の点につきましては、今後なお研究をしてまいりたいと存じます。  また、良質米の生産奨励のための産地銘柄制度につきましては、すでに昭和四十四年から銘柄の指定制度を発足させたところでありまして、昭和五十年産の水稲ウルチ米については指定銘柄米七十五、特別銘柄米三十一が指定をされ、これに対し銘柄米奨励金を、指定銘柄米については四百円、特例銘柄米については二百五十円を交付しておることは御存じのとおりであります。この産地銘柄制度は、良質米の生産奨励と自主流通米の円滑な流通に大きな役割りを果たしているので、今後とも生産面の指導と合わせて、銘柄米奨励の観点からこの制度が活用されるよう考えてまいりたいと思います。  それから過剰超過米の最終的な取り扱いにつきましては、私がしばしば申し上げておりますように、最終的には農民の皆さんに御迷惑がかからないという考え方でこれに対処していきたいという決意でございまして、その御迷惑がかからない方向につきましては、いろいろと今後検討しなければなりませんが、その検討に当たりましては、いまお話がございましたような問題も含めて検討をいたしたい、こういうことでございます。
  303. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) ありがとうございました。それで非常にすっきりいたしまして、県間調整、自主努力、ランニングストック等を含め検討し、最終的に農民に迷惑をかけない措置をとっていただく、こういうことがよくわかりました。  次に、物価問題で二点伺いますが、まず私どもはこの当委員会に所属するメンバー、ほとんど米価問題のときは生産者米価については、積極的に取り組んだメンバーであります。そうして、その結果はどうかというと、生産者米価は所期の期待に反する結果に終わったことも事実であります。しかし、私自身は米価の上がりが、生産者米価の上がりが満足にいかなくても、再生産資材、機材というものが値上がりしなければまあまあだなあ、と思ってもらえるような措置は必要だと、こう考えてまいりました。したがって、農機具、農薬、肥料等について、その値上がり防止対策について独禁法だとか、あるいは公取がどう言ったとか、いろいろあるでしょうけれども、独禁法すれすれのところでひとつ措置をとりつつある、私はそう理解をしておるのです。しかしまだまだ、中身を見ると、いろいろあるようでありますけれども、引き続き来年六月末までは上げないということで措置されておるものもあるようでありますから、引き続き独禁法すれすれの強力な行政指導をメーカー側に対してやっていく、あるいは団体に対しても余裕のつくところに多少のしわが寄っても、弱いところにはしわ寄せをさせないと、こういう考え方を明確にしていただきたいと思います。
  304. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあ、私は、かねがね当委員会でも強調いたしておりましたように、農薬、農機具、肥料といった農業生産資材の農業生産における重要性にかんがみまして、これらの資材の供給の確保価格の安定のためには全力を尽くすということを申し上げておりまして、それが努力を今日に至るまで続けてきておるわけでございます。非常にまあ、強力なある意味においては行政指導等も行ってまいったと思うわけでございます。そうした問題の中で、現在問題になっておるのは農業機械の問題がありますが、この農業機械につきましては、七月が価格改定期であったが、値上げを認めなかったわけであります。そして次の改定期である十二月前までは据え置かしてきたところでございますが、十二月の価格改定につきましては、原材料の値上がり、人件費のアップ等、値上がり要因はあることはこれはあるわけですが、しかし、農林省としては全農に対し、極力値上げを抑制するように指導し、全農としてはこの方針で国内関係メーカーと交渉しておるところであります。  その結果、すでに大部分のメーカーにつきましては、五十一年六月までに据え置くことを了承をしており、残余のメーカーに対してもこの線でなお交渉を進める方針と聞いており、遠からず妥結されるものと思われるわけでございまして、私は、したがって、農機具につきましては来年の六月までは据え置くことができると、こういうふうに確信を持っております。  それから農薬につきましては、昨年十二月に価格決定が行われ、これは対前年比一七・一%増であります。五十一年農薬年度価格適用期間が、五十年十二月から五十一年の十一月までについては、目下全農と農薬メーカーとの間で個別に価格交渉が行われておるわけでございますが、農林省としては、農家の薬剤負担の上昇を極力回避する観点から、全農に対して値上げを極力これまた抑制をするように指導しておるという状況でございます。
  305. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 最後に、年末、年始の生鮮食料品の対策についてでありますが、実は十月は東京都で生鮮食料品が相当上がった。予想以上に上がったという結果が出ていることは御承知のとおりだと思うのです。これは何かというと蔬菜類が非常に上がった、こういうことなんです。年末を控えまして、また年始を控えて、生鮮食料品というのは、従来とももう年末、年始は上がるということが一つの常識になっております。消費者自身もそれを覚悟しておるのですが、この辺に対する対策は、もう十一月の半ばを過ぎておりますから、もう打ち出していいんじゃないですか。私はずっと毎日、新聞を見ながら、そういうことについてまだ農林省が打ち出しておられない、そろそろ打ち出さるべきである。こう私は思うのですが、そのことをお聞きしておきたい。
  306. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 年末、年始対策につきましては、現在検討を進めておるところでありますが、概要は次のとおりに考えております。  価格高騰のおそれが生じた場合は、野菜価格安定基金、畜産振興事業団、全国漁業協同組合連合会等が保有しておる野菜、バレイショ、タマネギでございます。また輸入牛肉、大衆魚の放出を行う。  第二番目として、生産出荷協議会を通ずる指導を強化する考えでありまして、また専用列車、急送列車の運行あるいは中央卸売市場に対する指導等によりまして入出荷及び輸送の円滑化を図っていきたい。  三番目として、価格需給動向の監視、調査を行うとともに、価格需給の動向に応じて輸入制度の活用を行いたい。  そういう骨子で年末年始の生鮮食料品対策につきましては、これが安定できるような形で相当きめ細かく施策を講じたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  307. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 私、余りはしょりましてあれだったですが、農薬、肥料、そのことをもう少し細かく——もう決まってるんでしょう。硫安はどうだ、高度化成はどうだ、そういうものもあるし、そうでないものもある。それ、簡単でいいですから答えてください。局長でいいです。
  308. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 肥料につきまして五十肥料年度の価格は、特に硫安、尿素についての五十肥料年度、これは七月から六月までが年度でございますが——中は値上げを認めないこととして、その方針を明らかにしたところでありますが、この方針で全農を指導するとともに、化学肥料について七、八月の価格、先般七月価格を前年度価格に据え置かせることに当時したわけでございます。しかし、九月以降の価格につきましては、燐酸肥料、カリ肥料、化成肥料等の肥料にあっては、燐鉱石だとかあるいはカリの輸入価格が大幅に上がりましたので、それらの実情にかんがみまして、肥料全体といたしまして現行価格に対して七・四%の値上げを余儀なくされたわけであります。これは九月からでございます。これが来年の六月一ぱいまでその価格でいくということにしたわけでございます。  それから機械につきましては先ほど大臣がお答えしましたようでございますが、ちょっと補足いたしますと、国内産の機械につきましては大臣がお答えしたとおりでございますが、輸入の方がごく一部ございます。大型トラクター。これは輸入価格——イギリスからの輸入でございますか四〇%ぐらい上がっておりますので、これは時期を見てある程度上げるのはやむを得ないのではないかというふうに考えておりますが、国産の機械につきましては六月まで据え置きでいけるのではないかというように、まだ最終というところまではいっておりませんが、そのように考えております。  農薬につきましては、現在、全農と各メーカーがそれぞれ鋭意交渉中でございますが、私どもとしてはできるだけ抑制をするように指導をいたしておりますが、これは農業機械ほどすんなりいかないのではないか、かなり難航するのではないかというように見ております。時期を見まして農林省が具体的な指導をやりたいと思っておりますが、まだ当事者同士での話し合いが進んでおりますので、様子を見ておるというのが現段階でございます。
  309. 佐藤隆

    委員長佐藤隆君) 独禁法すれすれのところで強力な行政指導をすると、さっき大臣もそれに似たような形の答弁がありましたので、それで一応満足をいたしておきます。  本日の質疑はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十八分散会      —————・—————