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1975-12-18 第76回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十八日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     竹田 四郎君  十二月十八日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     対馬 孝且君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 大島 友治君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 佐多 宗二君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 最上  進君                 案納  勝君                 対馬 孝且君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房首        席監察官     永末  浩君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       中市 彩也君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  対馬孝且君委員辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 森勝治

    森勝治君 一昨日は、私の質問に対しまして直ちにお答えをいただけなかったのであります。したがいまして残念ながら委員長の取り計らいで本日に持ち越しとなりました。  そこで、私は、実はこのお答えのない点から、もう二日かかりましたからお答えいただきたいと、こう考えておったわけでありますが、当日すらすらとお答えがなされないものを、きょうまたお答えいただいて、そのことのみに時間をいたずらに費やすことは本意でございませんから、したがって、この前の私の発言、同僚案納君の発言について後日文書の分と合わせて、先夜お答えなき分については後日文書で回答を煩わしたいと思います。  そこで、私は、次の問題に移りたいのでありますが、まず第一点は、郵政職員を転勤させる場合、いわゆる郵便局から郵政局郵政局から本省へ転勤させる場合の措置というのはどういう形をとって、いわゆる任用と申しましょうか転用と申しましょうか、そういう事務処理をされているか、この点からお伺いしておきたい。
  5. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 郵便局職員郵政局あるいは本省等転用いたします場合には、毎年第四・四半期に試験を行います。いわゆる転用試験というのを行います。これは筆記試験面接試験でございますが、この両者の試験をいたしまして、その中から選考いたしまして、郵政局なりあるいは本省等転用していく、こういう次第でございます。
  6. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  竹田四郎君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
  7. 森勝治

    森勝治君 それでは、郵政省は、郵政省職員として最初に、一例を申し上げますと、山田何がしかを〇〇郵便局採用し、郵政省職員として資格、年齢その他いろいろの要件を備えておるならば一定の給与を与えて、そこでいわゆる郵政省職員として位置づけをするわけでありますが、その郵政局職員になったならば、日本全国どこの郵便局でもどこの郵政局でも本省でもこれは転用するのが他省やり方であるし、郵政省のように、いわゆる郵便局から郵政局に−皆さん登用という表現を用いられておる模様でありますが、登用される場合にも試験郵政局から本省登用する場合も試験というのは他省に見られない現象でありますが、これはどうして郵政省がそういうように門を構えておられるのか私は合点がいかないわけであります。  この点については、過去しばしば私は当局のこの点についての御意見をお伺いをしたんでありますが、依然として要領を得ないお答えでありますので、この際でありますから明確にひとつお答えをいただきたい。
  8. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 郵政局あるいは本省転用いたします場合に、いま申しましたように試験は一回限りでございます。郵政局職員をまた再度本省に連れてくる場合に本省転用試験ということはやっていないわけでございますけれども、郵政局本省転用試験、こういうことで毎年やっておる次第でございます。  郵政局あるいは本省仕事、計画的な仕事と申しますか、郵便局作業的な仕事というものと多少内容的にも異なりますし、もちろん郵政局本省職員でありましても郵便局作業内容等は十分これは承知しておく必要がございます。それに加えましてさらに全般的な管理、計画、こういう能力も必要とされるわけでございます。そういう意味合いから、それにふさわしい試験なり面接をやって配転をさせていく、こういう実情にあるわけでございます。
  9. 森勝治

    森勝治君 それはこういうことでありましょうか。たとえば郵便窓口事務に携わっている者が今度は本省の庶務、人事等を掌握する場合には、職種が違うからそこでもう一度試験をし直して採用をする、私はこれは再採用の形であるような気がしてならぬのです。そうすると国家公務員任用基準との関連はどうかという疑問も生まれてまいります。しかし、きょうは、この問題について触れることはやめますけれども、いまも私が聞いたようなことで試験をおやりなのでしょうか。いまそういう意味お答えをくださったような気がしたんでありますので、ちょっとあなたの声が小さいものですから、しかも私の耳が遠いものですから、よく聞き取れなかったんです。どうぞひとつお答えを。
  10. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) いま先生おっしゃいましたように、一度国家公務員試験を受けて郵政職員になるわけでございます。それを郵政局あるいは本省配置転換させる、これを再採用ではないかという先生の御指摘でございますけれども、そういう観念ではございません。もう郵政省に一たん採用された職員は、これは国家公務員としての職員でございますから、郵政局本省配置転換させる場合にはまた郵政職員として再採用する、こういう観念ではないわけでございまして、先ほど来申しておりますように、郵政局、本有の仕事にふさわしい人を選択する、こういう意味合いからの選考などをやっておる、こういう実情でございます。
  11. 森勝治

    森勝治君 局長、お言葉を返すようでありますが、先ほど私が山田何がしかという一個人が郵便局採用されるときはという表現を用いました。そのときをもって郵政職員としてふさわしいから採用したんじゃないでしょうか。したがって、その者が郵便局であろうと郵政局であろうと本省であろうと、試験を課して他に移すということであるとするならば、ちょっと違うんじゃないでしょうか。これは狭義に解釈いたすと、これは採用と少しも変わりないことに私はなるような気がするんです。あなたはいま広義に、物を広い意味でおっしゃいました。それならばもう〇〇郵便局職員として採用されたときに、郵政省のどこへ行ってもりっぱにその職責を全うする人間ということで採用しているんですから、それを本省に行ったときに試験なんかする必要はないのでありまして、他省のそれと同じような扱いがなぜできないのか。  もし局長がおっしゃるようなことであるならば、たとえば逆に今度は本省から全然現場機関経験のない者が郵便局等へ非常におびただしい数で管理者となって赴任されます。そういう諸君もまた試験をやって——本省現場を知らない諸君なんだから、郵便局で何も知らない、切手の売り方すら知らない、郵便物を把束することもできない、赤行のうを締めることもできない、鉛の玉をつぶすこともできない。閥もなく膨大なる年賀区分がもうすでに始まっておりますが、この年賀区分のすべすらも知らない。そういう管理者が背中におって、一分間二百通整理しなさいなんていまやっている現状でしょう。じゃ、おかしいじゃないですか。本省から送り出す人事現場知らないんでも構わない。いわゆる現場から今度は本省登用するときには試験。あなたのおっしゃるようなことならば、やっぱり管理者といえども試験しなきゃおかしいんじゃないですか。区分を全然知らない、配達地図の存在すらも知らない人が本省から出てきたと、それが郵便課長でございとがんばっている。  現場を知らないから現場諸君とトラブルが起こる。労使紛争幾たびかの原因の中には、現場事情をほとんど全然知らない諸君管理者としてあぐらをかいている、しかもあごで部下を使う、ここに労使紛争の種が全国幾たびか繰り返され、まき散らされておるわけです。どうするんですか、そういう方々は。あなたのおっしゃるとおりなら、みんな現場へやるときに試験しておやりなさい。私は逆な面で質問をする。
  12. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 先ほども申しましたように、郵政局あるいは本省職員は、郵便局経験者配置転換——ほとんどもう配置転換させた人たちが大部分でございます。もうほとんど全部といってよかろうかと思います。そういう人たちは、いま先生の御心配のございました把束の仕方あるいは赤行のうの結び方を全然知らぬではないかとおっしゃったわけですけれども、本省転用いたします場合には、郵便局でそれぞれの実際の仕事といいますか、そういうものを経験済み人たちであるわけでございます。まあそういう意味から……
  13. 森勝治

    森勝治君 逆なことを言っているんだ、逆なことを。そんなことはぼくは聞いていない。本省から出す場合のことを言っているんだよ。
  14. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) いま本省から出す場合に、その本省から行く職員現場郵便局作業を知らないではないか、そういう意味から試験現場作業の知りぐあいというものを試す必要があるではないかという先生の御指摘かと思うわけですけれども、現在、本省転用されておる一般職員というものはほとんど現場でそういう意味での経験を積んできた人でございますので、私は、その必要はなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  15. 森勝治

    森勝治君 あなたはそんなことおっしゃるが、それは一部にはそれはいるでしょう。しかし、私が指摘したようなこともあるんですよ。一々私が例を挙げるのは時間がありません。例を示せというなら、ここへ資料を持ってきましたから示せますが、時間がありません。  私は、一つだけあなたにこの問題で問いたいのは、他省に見られない、この郵政局本省へ転勤させるときの試験というのは、郵政官僚の思い上がりもはなはだしい一つの特徴的な現象だと私は指摘をしておきます。したがって、今後、もう転用、いわゆる転勤させる等の場合、本省等登用の場合、これは当然試験などやならないで、ほかの方法をもってしかるべき——じゃ、ほかの方法とは何ぞやと言えば、他の官庁が普遍的に行っているそれと同じような方法をもってされんことを私は勧告いたします。ですから、これはあなたよりむしろ大臣からお伺いしたいんですが、大臣はいまよその話をされていますから、あなたに言うんでありますけれども、ひとつ御検討をしていただきたい。
  16. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) いま先生の御指摘のとおり、検討させていただきたいと思います。
  17. 森勝治

    森勝治君 人事局長検討ということは、私の前向きの姿勢を了とされて、私の設問にいかにこたえるかという検討と私は理解をいたしまして、次の問題に移ります。  郵政省役付職員、まあ役付職員という名前ではないでしょうが、俗に役付職員と申しますが、この役付職員にするためには能力適性、特別の要件となるものなどということは私は何もないものだと考えておるわけですが、したがって、この経験を最も重要な判断基準として、能力、適正についてはその判断基準を日常の職場における業務、それから人間関係、全体の合意が得られるような人物こそ指導力というものを発揮するというところに私は主眼を置くべきではないかと思うのです。さらにまた勤務成績等につきましては、その判断内容等をつぶさにいわゆる公表をして、全体の合意が得られるものとすべきではないか、私はこう思うのです。それがこの役付職員に対する各下僚からのその信頼の度、その他もわかるわけですから、オープンにしておった方が上司部下との後々の業務運営について、私は、むしろその方がよいのではないか、こう考えております。
  18. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 役付になるためには能力だとかあるいは適性等の特別の要件が必要ないんではないかと、こういう御指摘でございますが、それにかわる勤務年数というようなものを重点的に最も重要な要素ということにして役付職員任用をすべきではないか、こういう先生の御指摘かと思うわけでございますけれども、具体的にある人を主任あるいは主事昇任をさせていきます場合に、いま先生おっしゃった勤務年数、こういうものも判断一つの大きな要素であることには間違いはなかろうかと思いますが、ただそれのみで任用していくということにつきましては国家公務員法の成績主義なり、能力主義という原則から申しましていかがなものかと、かように考えるわけでございますし、また先ほどおっしゃいましたその職員業務遂行上の能力といいますか、あるいは職場における人間関係といいますか、そういうものも昇任させる場合の一つ判断基準にすればどうだと、こういう御指摘もあったかと思いますけれども、これもやはり昇任をさせる場合の任命権者が総合的にいろいろ判断するわけでございます。そういう場合の私は一つの重要な要素ではなかろうかと思うわけでございます。  何と申しましても、日本職場風土といいますか、そういうことから申しますと、やはり協調性といいますか、そういうものが非常に特に外国に比べまして重んぜられる職場風土ではなかろうかと考えるわけでございます。そういう意味からいたしましても、この任命権者主任あるいは主事登用していく場合にそういう配慮を十分していく、こういうことがまた職場全体を円滑に運営をしていくということにもつながっていくことではなかろうかと考える次第でございます。
  19. 森勝治

    森勝治君 私はこれを言いたいのですよ。郵政省職員として公開試験をやって一たび職員としたからには、そんなに北海道の職員と九州の職員能力あるいはまた人間性のそれぞれの隔たりは余りないのではないか。ところが、郵政省は人の優劣というものをいやでもおうでも浮き彫りするような考え方で、やれ試験だ、やれ登用だということをやり過ぎるのではないかということを特に私は指摘したいんです。  ですから、勤続二十二年ぐらいになっても主任にもなれない、片や皆さん方覚えがめでたければ十三、四年で主任になって、とんとんとんとん上がっていく人があるんです。郵政省職員として公開試験採用したからにはそんなに違わないし、そう差をつけるはずはないのでありますが、どういうわけだか皆さんは差別をつけたがる。これでは生産の第一線に立たんと意欲を燃やす職員生産意欲というものを減殺するおそれがある。すべからく人事というものは公平にしてやらなきやならぬ。もちろん、それぞれ人によっては口べたな人もあるでしょう、あるいはまたその他のいろいろなこと、上司覚えのめでたくないのもあるでしょう。しかしそういうことではなくして、そんなに隔たりのない職員をいま皆さん登用試験だと称しているものはどうも管理者としての優越感とか感情というものがその中にまじり過ぎておるではないかと私は指摘せざるを得ないのであります。ですから、今後、そういうことのないように、少なくとも人事、特に登用等については特に公平を旨としてやっていただかなきゃなりません。  大臣、いま私と担当局長とのやりとりをお聞きでありましょう。私は登用の問題についても、転勤、いわゆる配置等につきましても郵政省はかりそめにも上司優越感をその中にまぜ込んではならぬと心から念願をしておる一人であります。したがって、どうぞ人事配置等につきましても公平を旨としていただきたい。もちろん大臣の人柄からして、ああ私はあなたの質問と同じだとおっしゃるだろうが、同じ言葉であっても大臣がいわゆる赤誠を披瀝されることと、上面にそうだと、ただ相づちを打たれるのとでは天と地の相違でありますから、この点についてはひとつ公平人事を旨とする、従来ややもすれば感情に陥りがちだった人事というものをこの際一掃をするというお約束をひとついただきたい。
  20. 村上勇

    国務大臣村上勇君) もとより人事の公平を期すということは、その事業として最も大事なことでありまして、人事が不公平であれば絶対にその不公平な部分は働かなくなります。そういうようなことから一丸となって郵政事業に励むことができなくなるおそれがあります。  ただ、私、いま人事局長のあれを聞いておりまして、昔は郵政省には採用した者の中で試験というものがなかったように私の乏しい知識では聞いておりますが、最近、その試験——まあ制度というのでなくて、試験を行っておるということは人事むしろ情実に流れないように、それがいい悪いは別としまして、そういうような観点から試験によってあれをつけているんじゃないかと、こう思います。しかし、そのよしあしということはこれは研究してみなけりゃわかりませんけれども、そういうような意味試験を、試験制度をとっておるというように私は解釈いたしております。
  21. 森勝治

    森勝治君 そこで人事局長にお伺いするわけでありますが、労使関係を改善するという立場から言っても、全逓との間に、当然、この役付任用基準協約を私は結んでしかるべきだと思うのですが、その考え方を示していただきたい。
  22. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 役付職員任用基準につきましては、国家公務員法に定めます能力主義に反しない範囲で労働協約を締結する、こういうことは可能なわけでございますので、私どもといたしましても、その方向で関係労働組合と話をしてまいっているところでございます。現在、全逓信労働組合から私たちの方に、役付職員任用基準協約化、こういうことが提案されているところでございますが、それらを考えに入れ、これから組合と鋭意話し合いを進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  23. 森勝治

    森勝治君 労務連絡官制度について若干伺ってみたいと思うのです。  今日の労使労使あつれき、いわゆる関係悪化原因の主たるものは、どうも労務連絡官の介在が重要な要素を帯びているような気がしてなりません。これは恐らく労務連絡官というのを特に訓練をされておるようなふうに承るわけですが、特殊訓練を施してこれを全国枢要な局に送り出すのですか。どうなんです、これは。
  24. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 労務連絡官に任命いたします場合に、特に特種訓練を施して配置をするということは現在はいたしておりませんが……
  25. 森勝治

    森勝治君 現在はか。
  26. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) はい。まあ従来もしなかったわけでございますが、ただ、労務連絡官会議というようなものを年一回やりまして、そういう点でのお互い意識統一といいますか、あるいは指導の仕方というようなものをお互いに研さんをする、こういうことはやっておる次第でございます。
  27. 森勝治

    森勝治君 いまはやっておらぬというのですから、昔はおやりになったんでしょう。昔というのは、やっぱりこれは昔とはそも何ぞやというので議論をすると、これはまた相当時間がかかりますから、そこは言いません。  私は、この労務連絡官というのが全国の枢要な局に配置されておられますが、どうも聞くところによると、これらの諸君やり方はあたかも秘密探偵のそれのごとく、まさに職員個々スパイ行為をやっておるような気がしてならぬ。特に個人の思想、信条にまで立ち入る、さらにまたプライベートで余り知られたくない個人的ないろいろな事情がそれぞれの人々にありますが、こういうことなどを暴露してみたり、職場の監視というものを非常に強めたり、しかもこの労務連絡官というものが、たとえば丸の内郵便局に仮に配属された場合には、どうもこの労務連絡官仕事というのは、表面はなるほど丸の内郵便局長指揮下におありの模様でありますが、全部これは郵政局指揮のもとでありまして、局長なぞはあたかもくそ食らえという態度が見える。私はこの点厳しく指摘をする。あたかも労務連絡官上司であって、局長がその下で唯々諾々と活動してきた事実も私はある局で目撃をしてきた。こういうことがあってよいものだろうか、まさにこれは下克上の姿であります。  あるときには、局長にまで、当局いわゆる上局の命令と称してそれを伝達する。当局みずからが——当局というのはあなた方のことですよ、いいですか、みずからが役所の職務規律を乱して、職員のわずかの瑕瑾には厳罰をもってする、しかも直ちに摘発主義をとる、これがいまの郵政省の姿ではないかと思うのです。労務連絡官を設けて果たしてどういう効果があったか、労使紛争の極を巻き起こす引き金になっただけではないか、私はこう指摘せざるを得ないんでありますので、この点についてお答えをいただきたい。
  28. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) まず冒頭、労務連絡官任務というところからお話をいたしたいと思うわけでございますが、労務連絡官任務は、受け持ち区域内の労務状況を把握をする、そして郵政局連絡をいたします。それから受け持ち区域内の労務関係事務について早期的確な指導を行うことを原則としておりますが、特別の事態が発生した場合には、郵政局長の命を受けて、受け持ち区域内各局事務応援並びに労務関係事務処理を行うことにしておる次第でございます。  そこで、一方、このような任務遂行に当たりましては慎重な言動をとること、これが必要でございます。それからまた労使紛争を未然に防止する努力をするというようなことも必要でございます。そういう意味留意事項を示しまして、平素からも会議等におきまして、この労務連絡官が出過ぎだとかあるいは行き過ぎがないようにひとつ自律をして、労使関係不信感の除去に努力するように指導してまいっているところでございます。
  29. 森勝治

    森勝治君 私は、いまのような活動のあり方ならば、この事業にとって事業の円滑なる推進力たり得ないと思うのです。町間がありませんから一々言挙げいたしません。  どうも評判が悪いし、さっぱり功績もない、局長の言うことは聞かない。そこで、あなたはいま何か有事の際と言いましたかな、労務関係郵政局長に報告するとなっていますね。官制上では、たとえば丸の内郵便局局長指揮下ということでありましょう。ですから郵政局に報告するのじゃなくて、郵便局長にその自分が調査したことを報告するのでしょう。どうなっているのです、官制は。どっちが本当なんです。
  30. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 労務連絡官は、郵政局人事管理課長補佐ということにいたしておりまして、勤務場所をそれぞれの郵便局を勤務場所といたしまして、それぞれの配置局の、受け持ち区域というものを決めて仕事をさしておる。したがいまして、その受け持ち区域でいろいろな状況がございますと郵政局に報告をする、こういう仕組みにしている次第でございます。
  31. 森勝治

    森勝治君 そうしますと、局長指導下ではないのですね。あなたそうおっしゃるけれども、そうなると、前に、私どもにお答えになったことが違ってまいりますぞ、それでもいいですか。  大船渡郵便局のときに、皆さんは本件について明確にお答えいただいたのです。大臣は小林武治郵政大臣のころでございます。
  32. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 私不明で、大船渡郵便局の場合のことは存じませんが、労務連絡官の身分、これはやはり郵政局人事部課長補佐という身分であるわけでございますので、郵政局に報告すべき事柄を報告する、こういう仕組みにしている次第でございます。
  33. 森勝治

    森勝治君 それはこういうことじゃないでしょうか。郵政局の籍を持ち、たとえば丸の内郵便局に配属された場合には、その当該局の局長指揮下にある。いいですか、よく聞いてくださいよ。  大船渡郵便局のことは知らないとおっしゃるけれども、あなた、その当時直接じゃないからおわかりでないが、そのときにあなたの同僚がお答えになっていることがあるのです。しかし私がここでまた畳みかければ、先夜のように、あなたがお困りでしょうから、別に助け舟を出したつもりはありませんが、私の時間の都合ということで次に譲ります。したがって、どうかそれはひとつ調べていただいて、当時の答えが間違ったら間違ったでよし、あなたこの前間違ってお答えになったんだから、きょうは間違いないかと思うから、あなたの答えが正しいなら正しいで結構ですから、いずれかひとつ統一見解を出していただいて、これもまた文書でお示しを願いたい、いいですね。  そこで、まだ一つあなたお答えになってない。労務連絡官制度というのは芳しくないからおやめになったらどうですかと、勧告的意味合いを込めて私は提言しておるわけですから、このことについてひとつ検討するなら検討、だめならだめ、御意見がおありならばひとつお答えいただきたい。
  34. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 先ほども申しましたように、この労務連絡官任務遂行に当たりましては、労使紛争を未然に防止する、そういたしまして労使間の不信感を除却していくということが一番の仕事の中身でございます。そういう意味合いからいたしまして、この労使関係を安定化していくというためにもやはりこういう労務連絡官という制度は私は存置をしていくべき性格のものではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  35. 森勝治

    森勝治君 一つだけ言っておきますが、あなたの御意見だと、労務連絡官というものは私は検討せいと言っているんですからね。まあこれ以上お答えを強いませんが、一つ言っておきますことは、あなたの先ほどお答えのとおりだと丸の内郵便局とは何ら関係ないということですから、丸の内郵便局の自動車も電話も何も使えなくなりますよ、全然別ですから、いいですか。丸の内郵便局に配賦されたいわゆる年度予算の中で労務連絡官業務をやると大変なことになりますぞ、あわせて言っておきます。したがって次に移ります。  次は、調査官制度でありますが、一体、この調査官というのはどういうのですか、これはさっぱりわからない。  労務連絡官を適当なところへ配置をし、調査官をこれまた適当なところへ配置していく。郵便局というのがあって、その地域の所轄の人がその局で受け持っているのに、それを信用できなくて、また調査官、労務連絡官、一体、郵政省はどういうつもりで次から次へと、それほど人が余っておるのですか、皮肉なことを言いますが。ですから、どうぞひとつお答えをいただきたい。
  36. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 御指摘郵政局調査官のことですが、郵政局調査官の職務内容につきましては、地方郵政局の所掌事務のうち郵政局長の命によりまして、調査、企画及び立案に参画することになっておりますが、具体的に申しますと、郵政相談窓口がございます、それの担当をしております。それから同和対策の問題がございます。それから公平審理、あるいは郵便施策改善計画だとか、郵便局を開局いたします場合に準備がございます。そういう場合にこの調査官を充てますというようなことで、この事業の円滑な運営に資するところが非常に大きいと、その本来の機能発揮につきましても、今後、私たちといたしましても配慮をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 森勝治

    森勝治君 経理局長、あなたの方にお伺いいたします。おはちはそちらへ移します。  私どもから見れば、労務連絡官もそうでありますが、調査官制度もどうも屋上屋を重ねているような気がするのです。いま調査官を設置した目的について二、三点お述べになりました。施設の改善、開局準備、これはいままでは全部郵政局でおやりになったのでしょう、そうですね、郵政局で、従来の業務として。何も事新たに各郵政局に調査官なるものを——全くこれは正体不明だ、私をして言わしむれば。そういう配置をしなくても十分やっていけるはずでしょう。特に国民がびっくりするほど値上げするというのですから、皆さんは、こういうえたいの知れない、何の仕事をするのかわからぬような、こういうのはやめさせて、さらにまたそれらの人材を他に転用した方がより国民の期待にこたえ得るゆえんではないでしょうか。  うわさによれば、調査官というのはベンチだという人がいますね。何々局課長、何々局長というので何年かやる、それで次のポストのあくまで座っている、調査官というのはそうだと酷評する人すらもおるのですよ。調査官を置かなければ、郵政省事業の円滑なる使命を全うすることができないのですか。  もうこの辺で屋上屋はやめなさい、屋上屋はやめなさい。きりっと皆さんが定めた役所の規律、諸規程に従って、こういうわけのわからぬものは置かないように、この際すっきりしなさい。したがって、経理局長、私はこれはむだだと思うのです。そういう面からもおやめなさいと言うのです。おわかりですね、こういうのをほっといて値上げ値上げと言ったって、だれも承知するものじゃありません。
  38. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 調査官の実際に従事している職務内容につきましては、先ほど人事局長が申し上げましたとおりでございますが、郵政局の機構というものはライン・オーガニゼーションの形にすべてなっております。その点、郵政局長のスタッフの部面において若干不足の点があるという点から調査官制度が設けられたものであると私は理解いたしておりますが、先生のおっしゃること、つまり遊休者になるということではもってのほかであるという仰せはまことにごもっともだと存じます。要するに、これの活用の仕方であって、遊休者を単に温存しておくためのベンチであるということがないように、運用上、大いに注意すべき問題であると考えておる次第でございます。
  39. 森勝治

    森勝治君 どうかひとつこういうことについて、むだのないようにしていただきたい。これは減らすか減らさぬかは経理局長の所管ではないですけれども、しかし予算編成上これは重要な問題ですから、どうぞひとつそういうむだを省いていただきたい。  どうも郵政省は民主化の世の中に官という言葉が大変お好きですね。私はこの前も二、三度言いました。郵政局長を長官と呼ばせる、各省は大臣官房にしか官房という言葉はないが、郵政省は担当郵政局官房、しかも官房があるから、長官でなければならぬといって、かつて東京郵政局長は長官と呼ばれなければ返事をしなかったという笑い話もある。しかもこれは太政官布告でございますから、昔は遠くなりにけり、それをなおかつ守っている郵政省のこの旧態依然たる姿。世を挙げて機械化文明の時代でありながら、職務規程というものが依然として古色蒼然たることはこれは本当にいただけない。郵政局官房の問題については検討をするというお答えでございましたが、どう検討されたか、このこと、これも人事局長ですね。  そこで時間がありませんから、あわせて質問いたしますが、官という表現言葉が好きだということの一つの実証といたしまして私は二つだけ挙げる。いま申し上げたこの労務連絡官、調査官、さらにこの次は郵便指導官、保険指導官、全部官という名前をつけなければ郵政省は承知しない。一体、これはどういうことですか。そんなに偉がらなければ郵政事業がやっていけないのですか。世を挙げて民主化の時代ですぞ。ですから、いま申し上げた郵便指導官と保険指導官、これ一体何をさせるのか、ちょっと御説明をいただきたい。
  40. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 長官という呼称あるいは官房という呼称のお尋ねにつきまして御説明申し上げますが、現在、地方の郵政局長あるいは監察局長、また電波局長というようなポストがございますが、いずれもこれは正式には局長というのが呼称でございまして、現在もまた局長と言われているのが通例でございます。  御指摘のように、かつて長官というような言葉が使われたということでございますが、これはやはり俗称ということでございまして、まあ戦前の時代におきまして長官というような言葉が使われていた、そういったことの、何といいますか、惰性と申しますか、そういったことで使われている向きが一部あったかと思うわけでございますが、あくまで正式には局長という名称に統一してございますし、またそのように指導している次第でございます。また、そういった俗称にいたしましても、そういった言葉を使うというようなことにつきましては、これはやはり正式の名称を使うようにということで今後とも指導してまいりたいと思うわけでございます。  それから官房という言葉でございますが、これは現在の国家行政組織法の第七条におきまして「府及び省には、その所掌事務を遂行するため、官房及び局を置く。」と規定されておりますように、現行の用語として使われているわけでございます。御承知のように、官房は組織的には局と並んで各省庁の第一次的な内部組織として構成されているわけでございます。  先生ただいま御指摘になりました地方郵政局に官房を置いているということについてのことでございますが、結局、他省庁におきましても沿革的には地方機関に官房が置かれていた例がございましたけれども、その後、組織の改正等によりましてこれを総務部というような名前に、組織に改正していくというようなことによりまして、結果的には現存地方機関といたしましては北海道開発局と地方郵政局にこの官房という名前が残っているということでございます。したがいまして、こういった官房という名前を解消していくということにつきましては、やはりこれは地方の組織を、そういった他の機関の例によりますように、総務部制というようなものに移すというようなことによることが一つ方法かと思うわけでございますが、現在におきましては、まあさらに部をふやすというようなことも簡単にまいりませんし、また、さりとて他の部と統合するということも、これはまあ現在残っております官房の各課の性格上ちょっと適当でないということで、そのまま官房という形で残っているわけでございますが、官房という名前の課、いわゆる官房文書課であるとかあるいは官房秘書課であるとか、そういったことで官房という名前がついているために何か偉くなったというような意識を持つということがないように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
  41. 森勝治

    森勝治君 後でまた私の後段の質問は答えていただくことにして、いま官房長のお答えに再質問したいんですが、廃止せいということを言っているのに、そのことには少しも触れないで、いまの官制を百も二百も承知だからこういう質問をして、むだなことはおやめなさいと言っているんですよ。  君からそんなこと、いまさら北海道開発局なんていうのは、それは私が数年前に君たちにこの委員会で指摘したのじゃないかい。郵政局と北海道開発局だけですぞと指摘して、君たちに教えてあげたやつを今度ぼくに答えるなんて、そんなぶざまなことはしなさんな。そんなことよりも、惰性で行っている官房制度はやめて、新しい時代に対応する機構にしなさいと私は勧告しているのですから、約五年間これを申し上げているのですから、もうこの辺で結論を出してもいいじゃないかと言っているのですよ。  それを何ですか、いまごろになってそんな、どこそこがどう、そんな説明なんて、説明の段階じゃないのですよ。いいですか、そういうことは新しい時代に対応しなきゃならぬだろうと。長官と呼ばせてふん反り返って喜んでる時代は、はるかなるそれは明治のころの話ですよ、いいですか。しかもこの郵政省が設置したのは太政官布告ですぞ。太政官布告というのはいつだか知っていますか、もう百年近くにもならんとするのですよ、おわかりですか。この辺でどうです、新しい時代に対応する機構にお改めになったらどうです。大臣、ひとつこのことは大臣から——もうらちが明かぬ、局長などに聞いても。もう時代に対応しなきゃなりませんよ、こんな。物笑いですよ、実際に、いま。ですから、ひとつ大臣から、改めるようにここでお答えをいただきたい。
  42. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 時代に即応した名称等も考えながら、前向きで検討してまいりたいと思います。
  43. 森勝治

    森勝治君 まだお答えがないのだ、局長お答えがない。
  44. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 郵便職場訓練指導官につきましては、公達でございます郵政省職員職場訓練規程というのがございまして、これに基づきまして置かれておるものでございまして、郵便局職場訓練指導業務運行の指導等に当たらせるために設けられておる制度でございます。
  45. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 募集技術指導官でございますが、これは公達に基づきまして置かれているものでございまして、職務は、外務員と同行して募集技術の指導を行うこと。それから第二点といたしまして、技術研究会あるいは職場訓練の際におきまして技術の指導行うこと、これが第二。第三が、技術の紹介について、あるいは指導官便りを発行する等して、文書により指導を行うことでございます。
  46. 森勝治

    森勝治君 指導官が職務権限を逸脱したときには、どうされますか。
  47. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいま申し上げましたように、あくまでも外務員の募集技術を実地に即して指導することが本来の職務でございますから、逸脱した場合には、それについてしかるべき矯正を講ずるということでございます。
  48. 森勝治

    森勝治君 指導官の中で特にこの保険の指導官は、すべてではないでしょうが、人事にタッチをしたり、いわゆる指導に名をかりて悪質募集の指導をしている。しかも、ある者は、はなはだしくはその先頭に立っているということが言われるわけです。したがって国民はこのことによって非常に迷惑をこうむるわけでありますから、そういうものは当然改めてしかるべきだと思うのです。この点、明確にお答えいただきたい。明快じゃないですぞ、明確だぞ。
  49. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 最初のお話でございますが、職務柄、人事面にタッチをする余裕はございませんので、そういう事例は聞き及んでおりません。  それから第二点でございますが、残念ながら不正募集がございまして、これは指導官のみならず一般の外務員につきましてもございますが、特に指導官の任にある者がそのようなことを、つまり超過契約の募集をやっていることにつきましては大変遺憾に存じまして、そのような事実があった場合には職務を外すとか、あるいは処分もするというようなこともやっております。
  50. 森勝治

    森勝治君 人事局長にお伺いしたいのでありますが、郵政省はスト対策の——これは指導要綱か何かでありましょうかな、保護願なるものを各郵便局管理者に強制的に提出させるようにしておりますが、もしそうだとするならば、昭和四十五年の十二月十四日に、その当時、郵便省と全逓との間に取り交わされた確認事項に逸脱するんではないかと思うのです。この保護願を出されたことによって、いわゆる職員を旅館やもしくは局長室に軟禁状態に置くということは人権無視につながることでありまして、これは私どもが容認できないところであります。また、これが労使紛争の種をつくる、こういうことになります。したがって、もうこの辺でそういうこそくな手段はおやめになったらどうかと私は考えます。したがって、この点については端的にお答えをいただきたい。
  51. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 郵政省といたしましては、ストライキ等の違法行為をしないよう、あるいはまた参加しないよう、職員の遵法意識の涵養に努めているところでございますが、ストライキ実施の計画が明らかになりました場合に、その防止のためにいろんな措置を講ずるわけでございますけれども、いま先生指摘の保護願につきましては、本人の意に反して強制的に出させるというような指導はいたしません。この保護願につきましては、職員が自主的にあるいは自主性に基づいて提出されたものを郵便局長が受け取っておると、こういう次第でございまして、こういう趣旨からの保護願でございますので、この一二・一四確認には逸脱をしていないと考えているわけでございます。また各種の措置をとるに際しましては、職員の意思を無視した措置をしたり、あるいは正当な組合活動にまで介入したりすることのないように、われわれとしては対処しているところでございます。
  52. 森勝治

    森勝治君 都合のいいことばかり言っちゃなりませんぞ。そんな事実はありませんなんてうそぶいてはだめですよ。幾らでもそのことをやりますよ、これだけ持ってきているんですから。  そういう返事でなくして、もう少しそういうことがあれば遺憾だからそういうことのないように指導しますという、そういう言葉に置きかえられないんですか、あなた。ぶっきらぼうにありません、ありませんと言うと、ありますと言って具体的に出しますぞ、そんなこと言っていると、いいですか。もう少しやわらかい表現をお持ちになったらどうですか、あえてあなたに答弁の趣旨をお伝えしておきます。
  53. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 先生指摘のとおりな事柄が発生いたしますことはよくないことでございますので、そういう事件が起こらないように、われわれといたしましては指導をしてまいる所存でございます。
  54. 森勝治

    森勝治君 郵政省職員に施している訓練の内容について、ひとつ担当局長からお答えをいただきたい。
  55. 浅尾宏

    政府委員浅尾宏君) 現在、郵政省が行っております訓練の全体をお話をいたしますと、まず大きく分けまして研修所における訓練郵便局、つまり職場において行う訓練の二つがございます。  そこで研修所で行っております訓練には、どういうものがあるかということを御説明いたしますと、まず最初に、新たに職員となった者に対する訓練としての新規採用者の訓練でございます。これは名称といたしまして初等部訓練という名称で呼んでおりますが、こういう訓練一つございます。  それから、新しい職務についた直後に行う新任者訓練、こういうものをやっております。これは現在は主任だとかあるいは主事に新しく任名された人、こういう人たちに行っておる訓練でございます。  それから三番目に、特に専門的な業務知識や技能を付与する必要がある者に対し訓練を行っております、つまり現任者訓練というのがございます。これは例示をいたしますと、たとえば外国郵便を担当している職員あるいは外国為替を担当している職員、そういう職員に特に業務知識を付与していく、こういう意味合いからの現任者訓練でございます。  それから四番目に、将来に向かって人材養成のため養成訓練というのをやっておりますが、これは中等部だとかあるいは本科、これが代表的なものだろうと考えます。  次に、大きく分けました職場における訓練でございますが、これは各職場におきましていろいろな業務に従事している職員に対して、その担当する業務遂行に直接必要な知識あるいは技能を付与するために行っている訓練があるわけでございます。  大体、以上が現在郵政省が行っております訓練の大要を申し上げた次第でございます。
  56. 森勝治

    森勝治君 訓練の内容についてもこれからもっと深く掘り下げて質問したいと思うのです。  しかし、先を急ぎますから、この際、大臣一つお伺いしておきたいことがあるのです。  私は、当委員会においてしばしば郵政の労使問題が相互信頼のきずなに結ばれることをこいねがいつつ、幾たびか苦言も呈したし、私は私なりの方策も申し上げました。しかし、依然として、労使の信頼回復には向かっておりますものの、それぞれの職場におきましては、なお幾多のトラブルが後を絶ちません。非常にこれは残念なことであります。しかし、この辺でやはり労使が相互信頼、相互不可侵の立場に立たないと、今日赤字赤字といわれる郵便事業の再建は永久にその機会が失われてしまうのではないかと私は思うのです。したがいまして、この労務政策につきましても、一体、大臣はどう改善されようとするのか、ひとつ改めてお聞かせを願います。
  57. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。  省といたしましては、労使間の不信感を除去いたしまして安定した労使関係を確立するという見地から、不当労働行為にわたる行為は厳に行ってはならない旨、これを従来から管理者に対して機会あるごとに指導しているところであります。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 そのようなことはだんだんとなくなりつつあると考えております。  いずれにいたしましても、省としましては、事業の正常な運営と発展を図るためには労使関係の安定ということが必要不可欠の前提であるという見地から、一二・一四確認の付帯的指導である郵人管第三〇号、第五〇号を労務管理の基本として、今後、なお一層具体化と定着化に努めていく考えであります。  私は、たびたび申し上げておりますが、少なくともそこに労使間の本当の人和のないところに事業の繁栄もなければ発展もないと思います。こういうような点を十分考えながら、今後、労使閥の融和と申しますか、全従業員一丸となって郵政事業のために努力するというような指導をしてまいる所存でございます。
  58. 森勝治

    森勝治君 今回の値上げを契機といたしまして、郵政省が値上げ案を提示されて以来、民間企業等ではダイレクトメールの配送の一つの手段として、いわゆる世俗でいう逓送会社の設立をもくろんでいると、こう聞いているわけですが、この問題を郵政省はどう考えておられますか。
  59. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生ただいま御指摘のような事柄につきまして、正確なところは承知いたしておりませんけれども、この対抗措置としてDM等の配送会社を設立するということは非常に大きな問題でございます。私どもは、今後、そういうような事態が生じないようなサービスを提供することに努力してまいらなければならないと考えておるわけであります。  この原因ということになりますと、郵便に対する信頼が失われた場合、そういう場合において起こりがちな事柄であろうと思いますので、今後、当然のことながら、業務の正常運行を図ってまいりまして、郵便に対する信頼を高めてまいりたい、このように今後とも一周努力してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  60. 森勝治

    森勝治君 現実にそういう設立がなされたら、どう対処します。
  61. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) このDMの配送の場合に、郵便ということで配送されるということは、これはできませんけれども、一般にDMの配り方につきましては、たとえば新聞に折り込み広告として使われる場合もございます、あるいは個別に配付するというような場合も考えられます。こういったことは、必ずしも今後そういったことが郵便において全部吸収されるというふうにはならないと思います。また配送会社等もそういった意味では行われる可能性があると思いますが、そういったことができるだけ少なくなるように、先ほども申し上げましたけれども、郵便に対する信頼を高めて、できるだけ郵便においてこれが出されるような、そういう信頼感を高めてまいりたいと、こういうふうに考える次第でございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  62. 森勝治

    森勝治君 ですから、それはそういう会社ができても防げないという前提にお立ちだと私は考えざるを得ない、そうですね、そうでしょう。  あなたのいまのお答えは、単に広告宣伝のみを内容とするものであるから、いわゆる郵便なる文字を使用しない、郵便なる文字を使用しない限り事業独占に抵触しない、これが従来の郵政省の一貫した解釈でしたね、そうでしたね。ですから、いまのあなたのお答えも、そういう会社が出れば競合をして郵政の信頼度を高めていくと、こうおっしゃるわけです。  そこで、郵便法第五条との関連はどうなのか、この点ひとつお伺いしたい。
  63. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 基本的には先ほど郵務局長が答弁いたしましたように、郵便の信頼をしっかりとしておくことが一番基本だと思いますが、そういったことを別にしまして、ここで取り締まりのことをお答えを申し上げるのはどうかとは思いますけれども、従来から、このような計画があるということを私たち聞き及びましたときには、会社を呼びまして、警告を発したり、必要な取り締まりをやっているわけでございます。また現在でも、ときどき、信書という概念がはっきりしないというようなことで、そういった計画を持っている会社の方々が郵政省にお尋ねに来られる場合もございました。その際は、私たち、たとえダイレクトメールであっても信書に該当する場合もあり得るんだというようなことで、信書送達ということはされないように、十分に注意しているところでございます。
  64. 森勝治

    森勝治君 郵政省が余り大幅値上げという暴挙を提案するものですから、民間等においても自己防衛のたてまえからそういうダイレクトの配送会社等ということも出てくるわけであります。  民間企業ならずとも、あるいはまた一般のそれぞれの家庭におきましても、これではうかうか郵便を出せないということに相なります。特に大企業などはいわゆる自己防衛というそういう観点から事業用の通信は自分の方から配送した方がいいという、こういう自己防衛的な立場に立ちます。さらにまた、今度は、各家庭の場合は、もう郵便じゃ時間もかかって値段も高いから電話で済ませるという、こういう現象もあるいは起こってくるのではないかと考えられます。そうなりますと、一体、値上げはしたけれど、昔「大学は出たけれど」という歌がありましたが、値上げはしたけれどということになりかねないと思うのであります。したがって、そういうことについてはもう篤と御勘考を願ったのか、対策されておるのかいないのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  65. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 郵便料金の改正によりまして郵便の物量が減少するというような事柄につきましては、私どもも考えております。それから、ただいま先生指摘のように、他の通信メディアに移行する、たとえば電話等においてその通信が行われる、そのシェアが大きくなるという場合も考えられることと思います。そのような事態は私どもも予測はいたすわけでございますし、たとえばこの料金改正案によりまして来年度におきます物数の見込みにおきましても、対前年度比約五%の減というようなことも考えておるわけでございます。  なお、基本的に他の通信手段と郵便との関係ということになってまいりますと、これは需要その他の点につきまして詳細に分析調査する必要があろうかと思いまして、ただいま「郵便の将来展望に関する調査会」等におきまして、そういった将来における郵便の他の通信メディアとの関係、あるいは将来の郵便の需要の伸び、そういったものに対して、どのように考えるかということについて調査研究を願っておるところでございまして、この結論につきましても、私ども大いに期待しておるところでございます。  いずれにいたしましても、そういった値上げショックということは過去においてもございました。その点については十分私どもも見込んでおるわけでございますが、長い目で見ますと、郵便というものは変質を遂げながらも安定的な事業というものが今後とも見込まれる、かように考えておる次第でございます。
  66. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣にお伺いをしたいのです。  いまの状況は、いわゆる経済も高度成長を望めない、しかも、いま言ったように各民間等が自己防衛のために自分のところで処理するということになってくる。そうなれば、余りにもおびただしい値上げを画策したことから、当初郵政省が企画した物数の伸び等につきましてはもう余り期待が持てなくなります。しかも、いま申し上げたように郵便法第五条がありますけれども、それらもいわゆる何と申しましょうか、他の配送手段に移行することも防止ができない。とするならば、郵便事業を取り巻く環境というものは必ずしも楽観というようなわけにはまいらない。まさに、それはイバラの道のそれのごとくではないかと、残念ながら指摘せざるを得ないのであります。  したがって従来皆さんがおっしゃっているように、国の独占事業であるから民間企業にはこれはやらせないんだ、独立採算制がたてまえなんだ、赤字になったからすぐ値上げするんだというようなパターンの繰り返しはもはや許されないのではないかと私は思うのです。社会の変化に対応した施策が私はどうしても必要になってくると思うのであります。各郵政局に太政官布告がいまもなお息づいているようなこの旧態依然たる郵政事業が果たしてこの新時代に対応できるかどうか、一抹どころではありません、私は大いなる懸念を持つ一人であります。  郵政大臣は、御承知のように、あなたは二度のお勤めでございます。失敬でございますが、二回郵政大臣をおやりになりました。したがいまして、わが国の通信政策というものの専門家でございまして、現在はその最高の位置におられる方であります。ことに情報化社会と言われる今日、通信のあり方というものがいかに重要になってきておるかということは私がここで申し上げるまでもありません。いわゆる電気通信、電信電話や放送等には何を期待するか、また郵便にはどのような役割りを果たさせようとするのか、メディア別の位置づけを明確にするとともに、それに対応した施策を推進していただかなければならぬと思うのです。これがまさに刻下の急務ではないかと思うのであります。  しかしながら、失敬でありますが、郵政大臣直轄の郵便事業がこの社会情勢の変化にもかかわらず、十年一口というのはまことに失敬な表現でありますが、十年一日のごとく従来の惰性におぼれて、このままでじんぜんと日を暮らすならば一体どうなるか、私は大いなる懸念を持つという表現先ほど用いましたが、全く先は読めないとは言われながらも、だからといってこれをほうっておいてはなりません。したがって、この辺で抜本的対策を講ずる必要がある、どうしてもこれをやらなければならぬ、しかも新事態に対応した施策をもってしなければならぬ、私はそう思うのです。したがいまして当面する問題に対処するのは当然でありますが、この将来の大計に立って、この辺でいわゆる逓信事業のビジョンというものを示していただかなければならぬと思うのです。これが私は郵政大臣に与えられた刻下の急務ではないかと、こう愚考するものです。  遅まきながら民間の有識者の中から調査会等を設けて検討に乗り出しておるようないま現在でありますけれども、そのことについては私は前向きとしてある一つの歓迎する立場に立つものでありますが、いま申し上げたような迫りくる逓信事業の危機を打開するためには、大臣みずからがその先頭に立って、いわゆる古い言葉で恐縮でございますが、陣頭指揮をしていただかなければならぬ、私はそう考えております。したがいまして、この際、私の質問に対してひとつ大臣の隔意のない御意見をお聞かせ願いたい。
  67. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 情報化社会と言われる今日、郵便の果たす役割り、メディアの位置づけを明確にすることは、御指摘のとおり、きわめて重要であると考えられます。  昨年、「郵便の将来展望に関する調査会」を設置いたしまして、現在、研究をしていただいている目的も郵便の役割り、位置づけを長期的視野に立って明らかにすることにあります。このような点につきましては、深く文化とか社会とかのあり方とのかかわり合いがあると考えられます。したがいまして経済学、社会学など、広く各界の学者などの参画を得まして、総合的基礎的立場から研究を行っているところであります。また、これらの調査研究の成果を十分参考にしながら、真に時代の要請にこたえる郵便事業のビジョンを早急に明らかにするとともに、国民の期待に沿った健全な事業運営を確立する方策を見出すべく専心努力いたしてまいっております。今後も、十分にこれらの検討をいたしまして、国民の負託にこたえて、あくまでも郵便事業の育成をしてまいりたい、かように思っております。
  68. 森勝治

    森勝治君 まだ質問がたくさんあるのですが、残念ながら時間が参りました。  したがいまして、午後、ぜひとも総理に来ていただいて、その際、私がこれから質問しようとする問題の諸点につきまして総理大臣から意見をお伺いしたい、このことをお願い申し上げて、私は、一応、質問を中断をいたします。
  69. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 午前の審査は、この程度にとどめます。  午後零時三十分再開することとして、休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      —————・—————    午後零時三十八分開会
  70. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  こより三木内閣総理大臣に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 森勝治

    森勝治君 郵便法に関する総理質問に当たりまして、私の所感を、いわば心境を申し上げて、総理のひとつ所見をいただきたいと思います。  私は、手紙というのは、人々の心と心をあるときは温め合い、あるときには意見の違いというものをただし、ときにはそのことによって、昔流で言いますと、ともに天をいただかずというような誤解を生ずる場合もあります。しかし、なつかしいふるさとを遠く離れて大都会に住まいする少年の立場から申しますと、ふるさとの年老いた母からの激励の手紙は千万人の味方よりもなおありがたく、美しく、あすへの希望に燃えるものでありましよう。  そこで、私は、総理に聞くわけでありますが、手紙は心であるというこの私の考え方に総理は御同意をいただけますかどうか、お伺いをしたい。
  72. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんに全く同感でございます。
  73. 森勝治

    森勝治君 総理は、その職掌柄、多くの国民からあるいは外国の方々からももろもろの手紙に接するだろうと思うのであります。激励を受けたときの総理の胸にあふるるものは何でありましょう。そしてまた、三木さん一年になっても何もしないじゃないかという国民からの御批判がもし届けられたりしたときに、総理でどういう感慨を催されるでありましょうか、この点、ひとつお伺いをしておきたい。
  74. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 総理大臣というものは重い責任を負うておるわけでございますから、激励を受けて励ましにもなりますし、おしかりを受けてもまた励ましにもなるわけでございます。
  75. 森勝治

    森勝治君 郵便は、そういうあらゆる国民にとって人々の心と心をつなぐ大切な事業だと私は思うのであります。しかし、いま三木さん、あなたがとらんとするこの考え方は、赤字に事寄せて、当面これを糊塗して済まされようとするふうにしか私は受け取れないのでありますが、何といってもこの心と心をつなぐ大切な逓信事業というもの、郵便事業というものを守っていかなきゃならぬ義務があなたにはあるわけです。そしてまた国民の負託にこたえなければならない大きな責務もあなたの双肩にあるわけです。  どうも考えてみますと、赤字だからすぐ値上げだ、値上げだというふうに安易な道をたどっているような気がして、私はどうしてもそういうふうに——あなたはそれは邪推だとおっしゃるかもしらぬが、私はそんな気がしてなりません。したがって、あなたの所見をお伺いしたい。
  76. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんの郵便というものの持っておる役割りというもの、私は全く同感ですが、どうしてもこの際値上げをお願いをしたいと思いますことは、郵便のこの事業業務収入をもって人件費すらも補い得ないという状態、こう状態をそのままに置きますことは、郵便事業の健全な発展に寄与する道ではない。したがって利用される方々には郵便料金は低いほど御便宜のあることはわかりますが、これを利用される方々に、この際、値上げ——はがきなども原案は三十円であったわけですが、これを二十円にいたして配慮を加えたわけでございますが、この程度の御負担は願わないと、郵便事業そのものが非常に不健全に陥るということで、利用者の方々にもこの点を御理解を願いたいと考えておる次第でございます。
  77. 森勝治

    森勝治君 失敬でありますが、一年前、あなたが対話と協調をひっ提げてさっそうと登場された昔の面影は、いま、いずこにいかれたのでしょうか。きょうからたばこが値上げされます。そして、こうしていま郵便料金も値上げされようといたしております。国民の生活を守る、物価を安定させる、そうして国民に約束されたあなたが一年後の今日はどうでしょうか。  いま、森羅万象ことごとく地中に、地の底深くもぐり込もうとする冬の季節を迎えております。三木さんという木をなぞらえれば、夏は木の葉で茂っておったが、木枯らしで全部木の葉が枯れて幹離れをしてしまった。まさに三木総理は裸の王様ではないかとやゆする向きもあります。しかし、たとえ三木さんはこの寒い寒中に裸で立たされようとも、議会の申し子として数々の国民への公約は必ず果たしてくださるであろうと、多くの国民はこの一年間じっとこらえてあなたに期待をしておったのでありますが、その期待は残念ながらみごとに裏切られてしまったのであります。このことは私は非常に残念でなりません。  どうして、三木さん、あなたが思うようなことができないのか、御心境のほどをお漏らしいただきたい。
  78. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私が思うようなことができぬわけではございません。しかし、私もこれはやはり国の財政という見地から考えてみて、私自身は無から有を出すようなわけにはいかない。したがって今日の国政を運営していくについては、いろいろ財政面の裏づけも必要であるわけでございます。  公共料金のごときも、できればこれはもう値上げしないにこしたことはないんですけれども、そういうことをいたしますならば、日本の財政というものはこれはバランスがとれなくなるわけでございまして、まあどこの国を見ても、郵便料金なども各国とも、イギリスなどは一年に二回も値上げをして、イギリスなども労働党の政権でありますけれども、そういう国においてもやはりその事業の健全な姿勢を維持していくためにやむを得ない場合があるわけでございますから、われわれとしても、この程度の値上げはごしんぼうを願いたいということで、私の心にないことをいたしておるわけでございません。私自身が国政に対する最高の責任を持っておるんですから、責任を持っておるのは私ですから、私の心にないようなことを私はいたすはずはない。私も必要であると考えて、皆さんの御理解を願っておるわけでございます。
  79. 森勝治

    森勝治君 この程度とおっしゃいますが、どうもこの総理の耳には冷たい師走の風にさらされながら高物価と失業に泣く国民の声が残念ながら届かない模様であります。  総理、そこでひとつお伺いしたいのでありますが、たばこ売り切れ、はがきありますというのが、こういう短冊型にありますが、これは何を意味するか御存じですか。これすなわち、きょうから値上げされましたたばこは売り切れてしまいましたよ——きのうのことでございます——はがきはあります。はがきありますというのは、これは年賀はがきのことなのです。どうして、ことし、こんなに年賀はがきが売れ残ったのでしょうか、私はそこで考えてみました。  従来、年賀はがきは十一月五日にこれは売り出す予定、計画でございまして、この十一月五日発売というのが実は定着しておるのであります。ところが、ことしは、この値上げに狂奔したせいかしりませんが、この十一月五日の発売を一方的に、国民に前宣伝もなく、断りなしに打ち切ってしまったのです。これは政府や郵政省が、年賀というもの、年賀はがきに寄せる、一年に一遍の疎遠を来した友にささげるただ一つ方法として、年頭に当たっての回礼という国民のささやかなる夢を、単に赤字克服というだけで奪ってしまったのではないかと私は思うのです。  なぜ、三木さん、あなたのしている三木内閣で、国民の期待にこたえます、弱者救済をいたしますと、たくさんおっしゃっておられるけれども、こういうささやかなことすらも締め出してしまうというこのやり方は、これはどういうことでしょうかね、お伺いをしておきます。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 公共料金、これは利用者側から見れば、これはできるだけ据え置かれることが好ましいことは言うまでもないわけですが、一方において、郵便事業のごときは人件費というものが非常に大きなウエートを占めるわけで、それはだんだんと毎年上がっていく、料金はそのまま据え置きということでは、これはバランスはとれないわけです。公共料金はやはり利用する人と、しない人があるんですから、利用する人がある程度御負担を願うということは、これは各国のやっぱり一つのルールのようなものであります。  それを利用する人以外に、国民全体が皆それは赤字をかばっていけばいいんではないかという御議論もあるかと思いますが、私どもは、やはり利用する人もあり、しない人もあるんだから、利用する人にある程度の御負担を願うことが合理的である、こういう考え方に立っておるわけですから、何もかも料金の値上げはいけないんだと、据え置かなければいけないんだということになりますと、これは国民の財政というものは、一体、どこでバランスをとってくるのか。実際に責任を持っておる立場としては、これは不人気なことはしたくないですけれども、不人気なこともやらざるを得ない。なぜならば財政に対する責任を持っておるからである、こういう立場も御理解を願いまして、公共料金を上げることはもう一概にけしからぬのだという議論は、なかなか財政運営の責任を持っておる者としてはとれないんだという点も、これは御理解を願いたいのでございます。
  81. 森勝治

    森勝治君 総理、私の設問、若干お聞き取り違いの模様でございますから、改めて端的に申し上げます。  従来、年賀はがきは十一月五日発売が定着をしておったのです。国民の期待にこたえるとおっしゃっているあなたの内閣で、理由なく、この十一月五日の発売日を勝手に延期してしまった理由はいずこにあるのでしょうかと、この点をお伺いしているわけです。
  82. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 恐らく法案が審議中であったから、そういう延ばす結果になったろうと考えております。
  83. 森勝治

    森勝治君 そこで郵政省担当局長に伺います。  法案が国会で審議中のときには発売しないということですね、そうですか、いまの総理のお答えは。
  84. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 十一月五日の時点のことを申し上げますと、当時、私どもは法案の審議をお願いしておるところでございまして、できるだけ早期に法案が成立することを期待していた次第でございます。そこで、法案が十一月に成立いたしました場合には、十円で印刷されました年賀はがきを二十円にして、改めて売るというような手数をかけなければなりませんので、でき得るならば、その法案の推移を見届けた上で、早期成立を期待しながら、その時点まできるだけ売りさばきを延期したいという、かような考え方から延期した次第でございます。
  85. 森勝治

    森勝治君 郵政省考え方よくわかりました。  法案が国会にかかり、審議中のときには、すべてそうするわけですね、政府の方針もそうでしょうか、総理。
  86. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 法案を審議して、あるいはその法案が郵政省としてもあるいは政府としても可決されるであろうことを期待しておったわけでございますから、そうなってくると年賀郵便の料金も違うわけですから、その推移を見守るという、今回の場合は、そういう特殊な時期にちょうど出くわしたために、そういう異例の処置をとったものと考えられます。
  87. 森勝治

    森勝治君 それでは、さらにお伺いをいたします。  国鉄はどうでしょうか。国鉄値上げ料金を国会に提案し、審議中だからといって、切符の発売を停止するでありましょうか。ごく簡単な質問をいたします。
  88. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) それは切符は停止するわけにいかない。年賀郵便という特殊な郵便であったからそうしたので、これは値上げは実施されるもので、郵便にしてもそれまでの郵便に対して販売を停止することはしませんし、鉄道にしてもそれまで待つということは——特殊な年賀郵便の場合であったからこういうことになったわけでございます。
  89. 森勝治

    森勝治君 総理、特殊でも何でもないんですよ。国会で決まらないのに売り惜しみするというのは悪いことなのですよ。ですから、これは国民の間で十一月五日年賀はがきを発売ということになって定着しておるのですから、この口に発売しなければいけなかったのですよ、これは。これは欲をかいた証拠です。  国民の生活をなおざりにし、庶民のささやかな夢などということは皆さんの頭の中には一片のかげりすらもない、形すらもない、私は明快に指摘する。金もうけばかり考えている、利潤追求ばかり考えている。こういう政治というのは、三木さん、あなたの内閣でとったというのですから驚くではありませんか。そうですね、三木さん、いけませんね、そういうやり方はね。  はがきが二十円、三十円と決まったらその日から売り出せばいいじゃないですか。あるいはまたしかるべき法的な手続をとって売り出せることになったら売り出せばいいではないですか。決まらないうちは発売日を変更してずらしてやることは国民に迷惑をかけることです。なぜ迷惑をかけるだろうか。  年賀はがきは買っただけでは役に立ちません。たくさん出す人は印刷するでしょう。どんなにたくさんであっても一年に一回のことだから真心を相手に伝えよう、心を伝えようとされる方は必ずみずからの手でしたためるでありましょう、この時間がなければだめでしょう、そうでしょう。私の方のいまここに座っている竹田逓信委員長がたまりかねて、郵政省に速やかに年賀はがきを発売せよと勧告に行ったこともありますね。どうしてこういうことをやるのです。法案が決まったならば、それはやむを得ませんよ。決まらぬうちに勝手に、国民は十一月五日を待っているのですよ、勝手にそんな売るのはおれの勝手だと言って締め出しくれるのは、総理、いけませんよ、これは。
  90. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) やはりなんでしょう、年賀郵便ですから、一月の一日に郵便料金の改定が実施されればいろいろな迷惑をかけるわけですね、国民に。そういうことですから、ちゃんと国会において料金値上げの決着がついて、少しはそれはいつもより、もっとおくれた場合もあるようでございますが、いつもよりは少し、十何日間おくれたことは、それは森さんの言われるような御迷惑かけた点もありますけれども、考えてみれば、一月一日にいろいろ料金が改定になるということも、これは利用者の人にとっても、どういう方法で売り出しておった場合にやるかというと御迷惑をかけることですから、しばらくはおくれるけれども、ちゃんと、きちんとして、それにまた切手を張りかえたりいろいろお手数をかけるよりかは、しばらく時間を待っていただいた方が御迷惑が少なくて済むんじゃないかということの配慮からそうなったと思います。  普通の例の場合よりおくれたことは、それは御迷惑をある程度かけたことは残念に思いますけれども、何もこれは利潤追求といっても、去年千二百億、五十年度は二千四百億円という赤字、業務の収入で人件費を補い得ないという状態になって料金の改定をお願いしておるわけですから、普通の個人企業における利潤追求というようなそういう考え方で御批判を願うのは少し酷ではないかという感じがいたします。
  91. 森勝治

    森勝治君 総理、酷は酷でも、あなたがそれにこだわることは一こくのこくになりますぞ。まあざれごとはさておきまして、次の問題に移ります。  経済運営の基本問題についてお伺いしてみたいと思うのです。  新聞等によりますと、過ぐる十一月の二十八日の閣議におきましては、副総理が物価はよい線をいっているが、だが景気停滞の傾向が顕著であるとして、強力な第五次不況対策の実行を関係閣僚に要請したと、こう伝えられております。つまり財界の要請によって物価より景気浮揚という政策転換が強く打ち出されている。  まさに来年度予算編成もこれを裏書きをし、インフレ防止よりも景気浮揚対策を重点にする方針の模様のように仄聞をするんであります。  もちろん景気の回復も必要でありましょう。しかし、景気回復を急ぐことによって再びあの恐ろしいインフレを招来するおそれがあると指摘せざるを得ないのであります。再び国民が物価高に泣くようなそういう事態を招いてはならぬと私は考えますが、この際、総理から経済運営の重点というものを、一体、どこに置いておやりになろうとされているのかお伺いをしておきます。
  92. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 三木内閣が成立をいたしましたときには、まあ狂乱物価の後を受けて卸売、消費者物価ともに異常な値上がりで、もしそういう状態が続けば日本経済は破綻をしかねまじき状態にあったわけでございます。国民の声ももう物価、物価という声であったわけでありまして、物価の安定ということを経済政策の重点に置いて、その当時ではだれも信用しなかったのであります、一五%以内に物価を抑えるという約束、内閣が成立しましたときに翌年の三月に一五%以下に物価を抑えるという約束をしたときに、だれも信用しなかったわけです。  しかし、それは約束を下回るような水準において推移して、明年の三月が来たならば一けた台にするというこの約束は、来年の三月を待たずして十月に九・八%ですか、こういうことになったわけでございますから、物価を安定さそうという、まだこれでも水準は高いわけでありますが、しかし、あのインフレの大きな嵐の中から物価を鎮静さそうという政府の政策というものは国民に約束したとおりのことを実行し得たと思うのでありまして、今後とも、やはり景気を直すためにインフレを再びもたらすということは絶対に避けなければいかぬ。やはり経済の基調というものは、インフレというものを抑制しながら景気を浮揚さすということでなければならぬ、インフレぐらい社会的不公正を呼ぶ一つのものはないわけですから。国民の経済生活が健全になるわけじゃない、インフレのもとで。  そういうことで、そういうことを考えながらここまでやってきたわけですが、しかし、その政策は一方において総需要をできるだけ抑えるという政策をとらざるを得なかった。そして非常な景気の後退といいますか、不況というものが相当にやっぱり深刻になってきて、いまになってくると、この不況問題を、物価も鎮静の見通しを立てましたから、ここでやっぱり予算も本格的な予算を組んで、景気の回復というものに乗り出して、これ景気を回復せなければ、森さんは大企業の要望を入れてと言いますが、大企業の要望って、この自民党の政府は一億の国民の生活に対して責任を持っておるわけですから、財界だけを代弁しておるわけではないのです。しかし、企業の状態をこういう状態に置けば当然に雇用問題に響いてくる、雇用問題に。いまは日本は終身雇用制のような特殊な雇用形態のもとで、できるだけ過剰な人員であっても企業がこれを抱えておりますが、これにも限度があるわけです。もう一度皆が過剰人員を整理するようなことになればこれは大変なやっぱり雇用問題を起こすわけですから、この機会に、景気を、昔のような高度経済成長に返そうという考えはない、一つの適正な成長の水準に日本経済を返したいということで、景気回復ということを重点に置くということは、これはもう当然の経済政策であると私は考えておるわけでございます。  そういう見地から、インフレのない経済の適正成長を図る予算を組みたいというのが、来年度の予算編成の基本的方針でございます。
  93. 森勝治

    森勝治君 御承知のように、今日の日本経済というものはインフレと不況が併存するという異常な状況下であります。しかも、それによって国民生活を大きく脅やかしているわけでありますが、三木総理は、過ぐる九月十六日の所信表明におきまして、政府は物値安定策を経済政策の最重点にする、そしてそのために今日まで取り組んできた結果、物価は落ちつきを取り戻し、ただいまもおっしゃったように、鎮静の目標を立てたと、こうおっしゃっておるわけです。  しかも、物価一けたの目標はかなり早い時期に実現する、実現が可能になったと強調されておりましたが、しかし、今月に入ってすでに私鉄運賃が大幅値上げされたほか、全野党の反対を押し切って酒、たばこの値上げが強行され、今日の郵便料金など各種公共料金の値上げがメジロ押しであります。さらに赤字国債を含めた本年度五兆五千億に及ぶ大量の国債の発行は過剰流動性を生む危険をはらんでおるわけです。さらに季節商品の値上がり要因などを考えますと、消費者物価の動向が必ずしも総理が言われるように楽観を許されない状況にあるのじゃないかと私は思います。  そこで、私はお伺いしたいんでありますが、来年三月末における物価一けたの公約は果たして実現できるのかどうか、その見通しを承っておきたい。
  94. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんの言われるように、物価というものの動向については、われわれも十分注意をしなければならぬと考えております。けれども、来年三月、一けた台という政府の一つの目標に対しては、万難を排してこれを実行する決意でございます。
  95. 森勝治

    森勝治君 総理がおっしゃるように、仮に消費者物価を九%台に抑えたといたしましても、なお預貯金の金利水準を大幅に上回ることになります。国民の苦しい生活の中から子弟の教育、または老後に備えてのささやかな国民の貯蓄は残念ながら確実に目減りをしているのが現状であります。  一体、物価はいつになったらこの預貯金金利の水準を下回り、正常な状態にさせ得ることができるのか、その見通しをひとつお聞かせいただきたい。
  96. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは来年の三月が来ましたら一けた台にする、それから次は預貯金の金利水準までは、定期預金の金利水準までは引き下げていかなければならぬというのが次の目標でありますけれども、これは一つの大きな次の物価政策の目標であって、いま、いつまでにということを、このことをお約束することは今日の段階で少し私は無理だと思います。しかし、三月までには一けた台にする、それから向かってこの預貯金のいわゆる定期預金の水準までは下げるための次なる物価政策を強力に実施していくと、いつまでというお約束はこの段階ではいたしかねますが、次の目標はそこに置くということははっきり申し上げておきます。
  97. 森勝治

    森勝治君 それでは少額貯蓄に対する目減り対策について伺ってみたいと思うのです。  政府、白銀は、十一月四日から、景気対策のためだと称して、預貯金金利を引き下げたわけであります。これを聞きました国民はまさに憤激を催したところであります。消費者物価が預貯金金利を上回って上昇を続けているその最中に金利を引き下げるということでありまして、まさに国民福祉不在の悪政と言わなければなりません。ここにまた三木内閣の悪い政治の面が顔を出してきたわけであります。  少額貯蓄者をインフレの被害から守るためには、西ドイツのように、勤労者の少額貯蓄に国が割増金をつけるとか、英国のように特定の少額国債に物価スライド制を持ち込むとか、国の施策がぜひとも必要ではないかと私は考えるものであります。しかし、わが国においては、預貯金の目減り論議の高まりから取り上げられた個人預金の優遇対策も技術的にむずかしいとか、中小金融機関の経営を圧迫するとかの理由でうやむやにされてしまったわけであります。また六月に創設されました福祉貯金制度は老齢福祉年金、母子福祉年金など、無拠出の年金受給者などのきわめて限定されたものを対象として、本年末までにわずか半年間、年一割の利子を内容とするにすぎず、インフレ対策としてはまことにお粗末と言わざるを得ないのであります。  インフレに対し何ら対抗力を持っていないこれら少額貯蓄者対策を本格的に取り上げなければならぬと私は考えるものでありますが、この点、総理の所見をお伺いしたいと思います。
  98. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんの言われるように、預貯金というものがインフレによって目減りをすることは事実でございます。しかし民間の預貯金というものが百兆円ぐらいあるんですね、日本に。これを一々インフレによるこの目減りを何らかの形で補てんをするということはなかなかむずかしい。(「もうちょっと大きな声で言ってください」と呼ぶ者あり)百兆円あるわけですね、預貯金。これをやはりインフレの進行状態によってこの目減りを補償するということは、これはなかなかむずかしい、できることではない。少額の預貯金者に限るといっても、一口では少額であっても全体として少額の、預貯金者であると言えるかどうかということはなかなかむずかしい。  そういう点で、これは各国ともいろんな、森さんの御指摘のように、イギリスで福祉預金のような制度があって、ある年金の受給者というものに対して三十万円ですか、そういうものに対しては何か特典の制度があるようですが、本格的なインフレの目減り補償というものを各国政府が大々的にやっている例はない。実際にむずかしいわけです。そうだから日本の場合においても非課税を三百万円としておるわけですが、一三百万円までの少額の貯蓄に対してはそういう制度を置いておるわけですから、これを活用するということにしていただくよりほかにはないと思っております。  それよりも、やはりインフレという、いろんなそういう不公正を生む原因であるインフレを抑制するということに政策の重点を置く方が政府の政策態度としては正しいのではないかということで、御承知のように、インフレ抑制ということに経済政策の重点を置いて三木内閣の発足以来やってきたわけでございます。
  99. 森勝治

    森勝治君 総理がそうして評論家的なお考えをお述べになっているうちに、不況の風、失業の声が総理の足下から沸き上がってくるわけです。そして国民の期待は総理からはるかに遠ざかってしまうような気がしてなりません。  今回の郵便料金の改定は、先ほど指摘しましたように、まさに前例のない大幅なものであります。しかも、この値上げを強行いたしましても、郵便事業の財政はなおかつ収支のバランスを回復することができないのであります。ですから、値上げによって何ら根本的な解決策とはならないのではないでしょうか。  御承知のように、郵便事業というものは、機械化になじむことができない。その上、電車やバスも通わないという山間僻地まで毎日戸別配達をしなければならないわけであります。したがって膨大な人手を必要とするという宿命をこの郵政事業はしょい込んでおるわけでありますが、これがこの郵便事業の実態なのであります。ですから、郵便事業に独立採算制を強いるということははなはだしく妥当性を欠いておるのではないか、私はこう考えます。いわんやかつて若くして逓信大臣経験されました総理、あなたはこのことをよく御承知のはずでありましょう。  新聞、定期刊行物の第三種料金や、学術刊行物、そして通信教育用の第四種郵便料金は、それぞれの政策目的のためにコストを大きく割っておるわけです。いわゆる政策料金となっておりますが、第三種料金及び第四種料金制度による減収分や非採算地域でのサービス提供に起因する赤字というものは、一般会計から補てんするという措置を講じてしかるべきだと私は考えます。総理は現行制度、慣行の見直しというものを強調されておられるわけでありますが、この際、総理の見解を承っておきます。
  100. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私も昭和二十二年でしたか、森さんの御指摘になった最後の逓信大臣を私はしたわけであります。そのときに一般会計から持ってきたんですよね。それはやはり、終戦の混乱期でもうどうにもならんで、あれが特別なケースで、そのときに私、森さん速記録の中にもあるので御記憶だと思いますが、これは全く異例なことで、やはり独立採算制に返って健全なやはりこれからは郵政の運営をやらなければならぬという演説を私はしたことがあるように覚えておるんです。  あのときは特別な例であって、やはり全体として、これは利用者の方々が郵政事業を健全に運営できるように応分の負担をいただくということでないと、郵政事業というものは私は健全にいかないということを考えるわけでございまして、第三種・第四種だけはこれは一般会計から持ってきたらどうだとかいう御指摘でございますが、これは全体としてやはりそういう精神のもとにこの郵政事業というものは運営すべきもので、これだけを独立採算制という全体の郵政事業運営のプリンシプルから外すということは考えていないわけでございますが、森さん御指摘の第三種・四種というものは特別な役割りもあることは御指摘のとおりでございますから、これは国会の審議なども勘案をいたしまして、これは法定事項ではないわけでございますから、十分、今後、郵政省においてこの料金については検討をいたしたいと考えております。
  101. 森勝治

    森勝治君 郵便法第一条には「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進する」と、こううたわれておりますが、ただいまも申し上げましたように、この社会情勢の変化、宿命的とも言えるハンディをしょった郵便事業に一般的な公企業経営の原則論は全く通用しないのではないかと思います。  前回、昭和四十六年の郵便法改正のときにも料金決定原則の設定、三種・四種料金の省令委任について大きく取り上げられ、国民の批判と全野党が強く反対をいたしましたことは御承知のところであろうと思うのであります。赤字だから値上げ、そしてまた赤字だから値上げというふうに繰り返してごらんなさい、郵便事業は第二の国鉄になりかねないと私は心配するのであります。  郵便事業よりもはるかに経営環境に恵まれていると言われる国鉄でさえも十年間に五兆円になんなんとする国庫からの財政援助を受けております。さらに欧米諸国でも一般会計からの繰り入れによって郵便財政の赤字の穴埋めあるいは補てんによって低料金を設定しているではありませんか。われわれは親方日の丸式な放漫経営を決して奨励はいたしておりません。郵便事業というもののその持つ公共性、構造上から生ずる赤字を国庫から補てんすべきだということを主張しているのであります。郵便事業を守るためにも、重ねてこの点について積極的な御検討を煩わしたいと思うのでありますが、総理の所見を承りたいと思います。
  102. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんの御指摘郵便法第一条のできるだけ低廉なということは、収支を度外視して安くという意味には解釈してないわけです。収支相償うという原則のもとでできるだけ低廉なというふうにこの第一条を解釈するわけであって、収支のことは全然考えないでできるだけ安い方がいいというふうに一条を解釈していないわけでございますので、郵便郵便のこの会計において収支相償うということが事業の健全の基礎である、こう考えておるわけでございます。
  103. 森勝治

    森勝治君 私どもは、郵便事業の持つ公共性の高さから見ても、独立採算制というものを抜本的に再検討の要求をしているところであります。仮にこれを百歩譲りまして、独立採算制による事業運営を認めたといたしましても、現在の郵便事業が抱えている膨大な累積赤字というものは当然国の責任において措置されなければならないと、私はこのように考えております。  この累積赤字は、郵便事業の責任によって生じたものではありません。ましてや将来の郵便利用者に全く関係のないものであります。すなわち、これは自民党政府の失政による経済の破綻から狂乱物価を招来させ、それをおさめるためにとられた公共料金抑制策という政府の政策目的のために生じた赤字でありまして、これを郵便利用者の負担に転嫁させるということは言語道断であり、料金理論上からも許されるべきことではないのであります。したがって、この累積赤字は政府の責任において措置するということを、この際、総理から明確にお示し願いたいのであります。
  104. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんは政府の失策によってと、こう言われますが、私は、そのようには考えないわけです。  郵便の料金が、これはやはりいろいろな人件費の値上がり等もあって勤労者の生活というものを安定さすことは当然のことでございますから、そういうことで経済の情勢ににらみ合わしてベースアップもしなければならない。そういう人件費が普通の業務収入で二百億赤字になっておるのです、業務収入と人件費だけで。こういう状態というのは、これは三木内閣の失政でこうなったんだというふうなおしかりはどうも私は首肯いたしかねるわけでございまして、こういう状態ということになったことは、これはやはり今後の郵便の会計の中でこういう問題は処理していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 森勝治

    森勝治君 今回の郵便料金大幅値上げについては、国民各個から異常なまでに反対の声が高まっております。こうした世論の高まりというものが、過ぐる国会における郵便料金値上げを廃案に追い込んだということは総理も篤と御承知のとおりであります。  ところが、私どもに言わせるならば、また性こりもなく今回の値上げを策してきた。しかも世論がこのように強い反対がなされているときに、こんなに値上げをする。特に第三種郵便物の大幅な値上げということ、われわれのところにも身体障害者団体初め各種団体から陳情が次から次へと来ているわけであります。この第三種郵便物の料金は郵政審議会の議を経て郵政大臣が定めるところとなっておりますが、いかに郵政審議会の答申を得たとはいえ、国民生活優先を標榜される三木総理が一挙に五倍の値上げというようなべらぼうな暴挙をよもやお許しになるはずはないと私も考えておるし、国民もそう考えております。  第三種の点については、三木総理もちょっと触れられたようでありますが、こういうときにこそ国民は三木総理の指導力を大いに期待しておるのであります。国民世論の反撃の最も強いこの第三種郵便物の料金値上げについては、総理自身が強力な指導力を発揮してくださらなければ、このようなことでまた指導力を発揮できないような総理なら、失敬でありまするが、早くおやめになっていただかなければならぬと申し上げたいところであります。
  106. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは先ほども私が森さんにお答えしましたように、国会でいろいろな御意見を承るわけですから、こういう御意見も頭に入れながら、今後、郵政省においてこの問題を十分検討をして決めることにいたします。
  107. 森勝治

    森勝治君 先ほども申し上げましたように、かつて逓信大臣経験されました総理は十分先刻御承知のところだろうと思いまするが、郵便事業は何と言っても人手を煩わさなければなりません。しかも、人手を煩わす度合いというものが他の業種に比べて著しく高いものであります。したがいまして、これはまさに典型的な労働集約型事業、こういう表現をとることができると思うのです。  労使の信頼関係の確立がなければ、この事業の正常な運行はあり得ないと私は常日ごろ考えております。しかしながら、郵政省の労務政策については私どももしばしばこの委員会で指摘をしておりますが、相互不信というものが非常に両者の中に広がっておりましたが、最近は、やや改善の兆しが見えたのでありますが、まだまだ不正常な状態がずっと残念ながら持続されておるわけです。  総理は、郵政における労使の関係の現状というものをどうお考えになっておられるのか。かつて逓信大臣経験された総理から見た郵政の労使関係について、ひとつ御意見を承りたい。
  108. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私が、昭和二十二年、逓信大臣をいたしましたときは、土橋君が全逓の委員長で、これは大変な労使関係の時代であったことは森君御承知のとおりでございます。  私も若かったけれども、これはもう私がそれは精魂を傾けて郵政事業の正常化のために一年ばかりやったわけです。しかも、それは三派連立内閣で首班は片山内閣であった。そういうもとにおいてやっぱりこの問題が内閣全体で一番大きな問題になったぐらいであって、そういうときの労使関係から考えてみますると、いまの労使関係というものはよほど労使間の信頼は回復されつつある。だから、私は、こう長い目で見てみると、よくなっているという感じです、全体として、これはね。  そしてまた、郵政事業というものは、やはり世界の中においても、なるほどやはり名誉ある伝統を持っておると、日本郵政事業は。そういう意味で、もう少し労使関係というものが相互の信頼関係の上に立てば申し分ないと、だんだんとよくなりつつあるという感じです。
  109. 森勝治

    森勝治君 だんだんとよくなりつつあるとおっしゃいますが、労使問題の根本的な解決を図るためには、何といっても憲法で保障されているところの労働基本権を完全に認めることがまず第一義的ではないかと私は考えます。  しかるに、全逓二十万の組合員が二十七年の歳月と怨念を込めて、やむにやまれぬ心情から実力行使に訴えざるを得なかった今回のスト権奪還闘争に対し、三木総理が示したあの時代離れ的な、いわゆる時代感覚を失った反動的な政治姿勢というものは、郵政の労使関係を知る総理としては、余りにも正常化に全く逆行した措置、発言ではないかと私はこの点指摘をせざるを得ないのであります。  政府は、今回の郵便法改正の審議においては、郵便利用者の八割までは企業通信であり、一般国民に与える影響はきわめて少ないということを強調をしておられます。そのように郵便事業の性格がもし変わってきているとするならば、当然、スト権を認めてしかるべきだと私は考えますけれども、それにもかかわらず事スト権の問題になりますと、郵便事業の公共性の高さとか国民に与える影響の大きさのみを強調するだけでありまして、これでは矛盾もはなはだしい、その場だけの言い逃れではないかと指摘せざるを得ないのであります。  したがいまして、政府は、速やかに郵政職員に対する権利付与の方向というものを明らかにすべきだと思うのでありますが、この際、特にこの点につきまして総理の御意見を承っておきたいのであります。
  110. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 森さんは十二月一日の政府の見解を反動的なものだというふうに言われますが、私は、そうは思ってないんです。  総理大臣としての責任は法治国家としての秩序を維持しなければならない。また議会制民主主  憲法の根幹をなしている議会制民主主義というものの原則を維持せなければならない。これはもう総理大臣に課されておる重大な責任だと私は考えておるわけでございます。  ところが、先般のストというものは、この二つの原則に触れるから、私は、これに対して公労協に対して回答をするという性質のものではないという態度を貫いたんでありまして、スト権の問題を含めて、公労法の改正は行うという方針のもとに検討をすると、いろんな角度からこの問題というものを検討をすると言っておるので、政府の十二月一日の回答が反動的な回答であるとは考えていないと、総理大臣として適当な、当然にあの場合として述べるべき見解を述べたにすぎないのであって、これは何ら反動的な回答ではないと。  私は、やはり労使関係というものを正常なものにしたいと心から願っておるわけです。日本の政治全体の安定から言って、労使関係の健全化ということは重要な柱である。これに対して関心を持っておるものでございまして、今後、多少の時間はかかりますが、こういう問題に対して結論を出したいと願っておるわけでございます。
  111. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 総理、これから公明から順次いきますが、質問時間がきわめて少ないですから、答弁の方も簡潔にお願いいたします。
  112. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、わずかの時間しか与えられておりませんので、いま委員長からもお話ございましたように、ひとつ簡潔に御答弁いただきたいと思います。  私も、ここで総理にはっきり訴えておかなきゃならないことは、やはり諸物価高騰の中での公共料金がどうあるべきかということや、またこの独立採算制、受益者負担ということについての当局考え方、これは当委員会におきましてもいろんな角度から論議をしてきたところでありますが、いままでの条文やそのほかのものに固執をして、なかなかガードがかたいといいますか、これはやはり総理からひとつ大きな政治的な立場から御判断をいただかなきゃならぬという、こんな感じを強く持っておったわけであります。それらの二、三点について御質問をいたしたいと思います。  最初、このたびの大幅な赤字ということも、これは一に郵政事業だけにとどまらず、やはり狂乱物価、そしてまた今日とり続けてまいりました政府の高度経済成長政策というものが一つの狂乱物価を招き、また経済の一つの破綻を来し今日に追い込まれたということでありまして、この赤字を全部受益者負担の原則で利用者に負担を強いるという、これは少し行き過ぎではないか。  現在、消費者物価指数が十月末一けた台におさまったということですが、これは酒、たばこや郵便料金も値上げにならなかったということで、まあ見方によっては一けた台におさまることができたんだという、もっと物価安定というものに努力をする三木総理ならば、やはり公共料金のあり方というものについては、ただ赤字だから値上げをするというものじゃなくして、やはり諸般の情勢を勘案しながらこれは考えるべきではないか。  昨日、物価等対策特別委員会におきまして、わが党の田代委員質問に対しまして、福田副総理——経済企画庁長官が答弁しておりましたけれども、公共料金につきましても、一遍にというと大幅になる、二年ぐらいに分けてという話もきのうの答弁の中にあったようでありますが、何といいましても今回の郵便料金の値上げは二倍から二倍半、そうして三種郵便につきましては、これは五倍ということですから、私企業におきましても何十%というのはありますよ、倍率ではからなきゃならぬなんというのは郵便料金が初めてでありまして、だから私は前の委員会におきましても、郵政大臣に、郵政大臣が何倍なんという値上げをしたんでは汚点を残すことになるぞということを申し上げたんでありますけれども、倍率ではからなきゃならぬほどの大幅の値上げ、これがいかに国民生活に大きな影響を及ぼすかということは明明白々じゃありませんか。  物価の持つ意味合い、これは当然メジロ押しにこれから年が明けますと、もう明けなくても私鉄は値上げになった、たばこもきょうからです。一月になりますとお酒、そして麦価。明年も国立大学授業料を初め諸種の公共料金の値上げが予定されておる、こういう突破口になるということであり、また物価というものが心理的に大きな影響力を及ぼすとか、郵便というものについては私は多くの言葉を要しないと思いますけれども、物価の尺度として、ああ一銭五厘だったとか、幾らだったとかということが語られるわけであります。そういう心情的なことだけ私申し上げているのじゃありませんけれども、そういう非常に郵便料金の持つ意味合いというものが大きい、その中でのこのたびの倍率ではからなければならぬというような大幅な値上げ、これはどう考えてみましても、これはもう検討し直して、国民の強い願いの中で廃案にしていただかなければいかぬ、これは御検討いただかなければいかぬ、このように私どもは終始訴え続けてきたところであります。  物価政策上の中でも、郵便料金のこのたびの大幅の値上げということに対しての総理の見解を、まずお聞かせいただきたいと思います。
  113. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は、公共料金というものを一般会計でというお話も前からありましたけれども、何かやはり利用者がそれは負担するという原則の方が合理的ではないのか。一般会計という、一般の国民の税金によって負担さすという、これも一つのお考えでしょうけれども、利用する人としない人とがあるのですから、だから利用する人が負担をするという原則を貫かないと、公共事業というものは健全に運営されないのではないか。それを全部一般会計といったら一般の国民の税でやれということですからね。それは政府は別に何も財源を持っているわけではないのですから、国民の税金による以外にはないわけですから、そういうことでやはり利用者に御負担を願う、こういう原則というものは貫いていかないと公共事業というものの健全な運営はできないと、こう現在思う。  それからまた公共料金でございますが、公共料金というものは国民生活に影響をいたしますから、国会の御審議などもそう思うに任せないと、だから日本の場合でも——たとえば、よその国の例を引いて何でございますけれども、イギリスの例を見ても、郵便の料金改定をことし七五年三月にやって、また九月にやっているんですね、一年に二回もやっているわけです。日本の場合は何年かたってやるものですから、非常にその間人件費の増大もあって、ことに郵政事業は九〇%が人件費ですから、これがどうしても年限がたちますと値上げ幅も大きくなる。だから料金の改定というものに対してもこれはいろいろ考えてみる点があるのではないか。七年とか八年とかにということになれば、非常に大幅になってきて、そしてそのときに受ける一つの印象というものが非常に大幅な値上げということになる。  日本郵便料金、これは外国の例というのは当たらないですけれども、大体、国際的水準から見て高い方ではないのです、国際的水準。いろいろな労働条件というものは世界的に共通のものがありますから、多少の参考にはなると思うのですが、そういう意味で、この程度の御負担はお願いをしたいというのが政府の考え方でございます。
  114. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 総理、しゃべり出すと、どうにもとまらないようですが、まあ言いたいこともたくさんあるかもしれませんが、こっちも言いたいことがあるのですから……。  いま郵便料金は出す人も出さない人もおるなんていう、そういうことで一般財源で補てんするのはどうかと、過日、十六日の委員会におきましても、経理局長が一通も出さない人がおるのだという、そういう例を引いて言っておりました。  しかし、受益者負担という物の考え方からいきますと、これはガスとか水道とかと違って、郵便の場合は、出す人だけが利益を受けるんじゃございませんで、受ける方の方も、当然、これは質的にどうかということになりますといろいろ問題がありますけれども、ほかの公共料金とは違うわけですね。ですから、この日本の社会で郵便に全然無関係の人がおるでしょうか。  総理、月でも年でも結構ですけれども、お手紙何遍お書きになってお出しになるでしょうか。
  115. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまはなかなか私自身が直接書く手紙というのは少なくなりました。前は多かったんですけれども、少なくなりましたが、このごろ、電話は私の場合は多くなりまして、電話といっても世間が私の電話を少し大げさに宣伝されて(笑声)、そんなに電話をかけるのではないですよ。昔なら手紙を出した場合でも、電話で事を済ます場合が非常に多くなってきた。
  116. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いや、何通とだけ言っていただければそれで結構ですから。
  117. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういう習慣というものは一般的にそうなっているんじゃないでしょうか。そうなってくれば、やはり郵便をそのかわりに使用しないというふうな、電話の方の料金と関係があるわけですが、そういうことで、やはり郵便というものはなかなか出す人もあり、出さない人もある。出さない人は、これは電話でやっておる場合が多いかと思います。  こういう、それぞれのやっぱり電話は電話で料金との関連を持ってくるわけでありますけれども、そういう利用する人がその事業というものを支えていくという社会の方が健全で、何もかも公共料金は一般会計で皆めんどうを見ようという行き方というものは、どうなんでしょうかね、私はやはり利用者がその事業を支えていくという方が長い事業経営の態度としては健全なような気がするんですよ、これは。
  118. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 赤字は全部一般会計で埋めろなんという、そういうことを私はまだいま言っておりませんよ。ここは、当然、その負担区分、またその赤字のよってくる原因、こういうものについての問題点については当委員会でいろんなな角度から論議をいたしました。それをどれだけ受けとめていらっしゃるか、これは郵政当局で今後のいろいろな施策の中で生かしてくれるだろうとは思います。  きょうは、わずかな時間ですから、あのこと、このことを述べ立てることはできませんけれども、私がここで指摘しておきたいのは、自分が最近たくさん出した手紙が電話にだんだんかわってきたという、こういうことは一般の方々も手紙というのは余り書かなくなった、こういうことだと公共性が薄れたということでも言いたいのでしょうか。スト権も与えられないほどこの公共性が高いという言い方、また、過日の専門懇の意見書の中にも、公共性——公共的なものと私的な企業との相違ということについて、専門懇の意見書の中の基本的考え方、この中にも三公社五現業の事業の性格というものについて明確におっしゃっているじゃありませんか。最近は、企業が多くなったから公共性が薄らいできたんだという、こういう考え方ですと、これはちょっと私どももいろいろ意見を述べなければなりません。  そのことは後にいたしまして、私どもは、何回も申し上げますとおり、生活費に及ぼす影響、生活に及ぼす影響は非常に少ないのだという総理府の家計調査等々を引用いたしまして、一年間一世帯当たり郵便料は年まあ大体平均いたしますと千六百二十八円であって、これは生活費全体から見ますと〇・一二%だという、こういうことがよく御答弁の中に出るわけでありますが、しかし、総理、ここは考えていただきませんと、福祉を標榜し、弱い人の立場に立って施策をしようという三木さんならば、これは御理解いただけると思うのでありますが、過疎地とか弱い人たちに非常にしわ寄せがいく。電話が普及したといってもいまだ全世帯にあるわけでは決してありません。  私ども、通常国会でありますけれども、札幌で公聴会ございました。中央でも行いましたが、この中でいろいろな立場の方々が意見を述べられましたけれども、郵便料金を値上げするのはやむを得ないだろうという、こういう方々の御意見の中にも、やはりこれは条件つきでありましたし、全面的にそれはいいという方はございません。そうしてその条件というのも、やっぱり社会的に弱い方々のためには十分な配慮をしようという、こういう意見が非常に強かったのであります。  北海道におきましても、このとき取り上げられたのは、新聞の郵送というやつです。配達組織のないずっと過疎地の方、これは今度三種郵便の値上げになりますと、夕刊抜きの二十ページで一ヵ月の郵送料が千二十円になるわけです、月ですよ。一年間で一万二千二百四十円になる。全体的に郵送料というのはどのくらいあるかといいますと、これは新聞、一般の日刊紙を全部合計して何部出ているかというのは、これはおのおのが企業のこともございますので定かではございませんが、およそ四千万部と言われておりますが、その中でおよそ六十五万部、一日、郵送されておる。これはもう六十五万ということは六十五万世帯の人がということに、まあイコールじゃなくても五十万でも結構でありますが、五十万世帯の方が過疎地で郵便!配達網のない方々だということになるわけであります。これは決して少ない数じゃございません。これは新聞協会の調べでありますから間違いないと思うのでありますが、これらの方々が新聞を配達できないから送ってもらうだけで一万二千二百四十円負担しなければならぬ。総理府の統計の平均値からいきますと千六百二十八円、これを足しますと、およそ一万三千円ぐらいの負担をするということになりまして、これは生活費全体の一・〇二%に相当する金額になるわけでありますが、こういう開拓部落とか山村僻地等におきまして、こういう形になるわけですね。  そのほか、専門紙等およそ百二十社、四百万からの方々、こういういろんな方々のことを考え合わせなきゃなりません。先ほどお話ございました重度心身障害者、図書館があっても自分でそこへ行けない、本を読むことが唯一の楽しみだという、こういう方々のために何とか方法を見出してもらいたい、こういう意見がそれぞれ寄せられたわけであります。  総理府の統計はおしなべて日本全体の平均値を出しているわけでありますから、生活にはそんな大きな脅威を与えぬぞということですけれども、しかし、電話もない、そしてまた多くの負担を強いられる。北海道等におきましては、総理、この郵便料とか新聞代とか郵送料、こういうものは大抵収穫のときにまとめて払うのですよ、ですからこれは大変な負担になる。これが五十万、六十万という方々に及ぼす、こういうこともひとつ考え合わせなければなりません。また病院等に入っていらっしゃるお年寄りの方々が俳句をつくっておる、そういう方々がお互いに通信連絡し合う、これは三種にもならない、普通郵便で出しておる、こういう社会的に弱い立場の方々にこのたびのしわ寄せが全部いくわけであります。  総理もはしなくもおっしゃった、最近は企業通信が多いという、こういうことで私の手紙、私の信書というものは非常に少なくなったのだということですが、そういうことならば公共性が最近は薄らいだとでもいうのでしょうか。やはりこの安い料金であまねく公平にということを考え合わせるならば、三木さん、それならば余りにも独立採算とか受益者負担とか、赤字を全部埋めるのかとか、そういう極論みたいなことを言わずに、当委員会でもいろいろな角度から論議あったわけでありますが、それらにひとつ静かに耳を傾けていただいて、これを施策の上にぜひひとつ生かしていただきたい。  そうしてまた、現在、郵便料金がこれも大幅な何倍という倍率でなければはかられないほどの大幅な値上げというものが非常に大きな影響力を持っておる。赤字だからしようがないんだ、赤字だから大変なんだという、そういうことだけでは国民は納得し得ません。われわれもまた対話を強く主張し続けてきたところのものもここにあったわけでありますし、先ほど、総理も、ああ大幅になるから少し考えなきゃならぬということもあるだろうというお話ですが、それならば、もう一度これを撤回なさって御検討いただいてお出しになられたらどうですか。その間のことについて御見解を承りたい。
  119. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これを検討し直して再提出する考えはございません。これははっきり申し上げておきますが、藤原さんからわざわざ札幌の公聴会の模様などいろいろと御披露願いましたが、そういうふうな国会の審議なども頭に入れて、三種郵便あるいは四種郵便などの料金については十分に検討をいたすことにいたします。
  120. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 三種については御検討いただくということは大臣からもいろいろ言われていますから、三種だけに限らない。ですから、これはことしの正月大臣が郷里にお帰りになったときは、福祉はがきとか何かちょっとお漏らしになられた。公式の場ではないということでありますが、やはりお年寄りの方とかそういう福祉に非常に力を入れる三木総理ならば、ひとつ具体的にそういう方々のことについても御配慮をなすべきである、こう思うわけであります。  過日、十六日の委員会で、独立採算云々の問題で企業がもう八割を超しているんだから、だからこれは一般財源から補てんをするということは、これは公平さを欠くんだという経理局長から話があった。じゃ個人の通信というのは、数が少ないからもう高くなっても泣き寝入りをしろと、こういうことかということで、この前、お話ししたら、いろいろ弁解しておったんでありますが、税金というのは、これは応能負担、能力に応じて納めるわけでありますね。ならば、私どもが先ほどから申し上げておりますように、赤字全部じゃなくて、その事務区分あるでしょう、負担区分。また政策料金、三種や四種のように、その三種だけでは収支償うことができないものもある。こういう政策的に安くしているものについては、これはやっぱり国からの財政補てんがあってよろしいのではないか。  つまり、そういう点を洗い直して考え合わせませんと、何もかにも全部一緒にして、そして現在の一種の封書の二十円から五十円というのも、実は、定形外は大きな黒字になっておる。これがすべてを埋め合わせすることになっておるわけですが、実際、一種だけ見ますと、こんな黒字なのになぜまた二倍半も上げなければならないかという論議になります。ですから、三種とか四種とかという政策的なものについては、これは当然一般会計から、まあどういう形にするかは検討をしなきゃならぬと思いますけれども、これは見るのは当然ではないか。むちゃくちゃなことを私どもが言っているわけじゃ決してないわけであります。たとえ私の通信が二割を割ろうといえども、やっぱり郵便の持つ公共性というものは高く見なければならない。ならば、これは当然そういう観点から検討するということが必要ではないでしょうか、三木さん、どうですか。
  121. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 郵便の方の特別会計というものは、全体で考えて、これは一般会計、これは料金でというふうには考えていないわけで、全体を考えて、しかもそれがやっぱり独立採算制の原則に乗っていきたいということで、藤原さんの言われるように、これは一般会計、これは料金でというふうに区別しては考えていないのが政府の方針でございます。
  122. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 関連。  三木総理、いまこの委員会でも長い時間議論が続いておりますのは、公共のためというのは非常に国民が信頼、そういうふうなことでございますから、その財源はどういうふうなところから出すべきであるかということで検討もされているわけです。いま、三木総理は、利用する人が負担、これが原則である、一般財源でやれというけれども国民の税金だからそういうことはやってはいけない、こういうふうなことで、どなたが見られてももっともなような理論になるわけです。  しかし、ここで三木総理に考えていただきたい一つは、一昨日も経企庁から来ていただきましたけれども、世界で一番高い、この五カ年の物価のあれは一七八%でしょう、五年間で。世界で一番なんです。政治が失敗しているんでしょう、経済政策が。そのことの責任は一つもあなたは言われない。  それから二番目には、いまここで言われておりますけれども、きょうの新聞では、自民党借金の百億円についての肩がわり、鉄鋼や銀行や自動車、こういうふうな財界が五十億円は肩がわりするというような予測の記事が出ているわけです。  こういうふうな中で関西電力の会長は、こういうふうなことは当然だというふうな発言がありますけれども、財投の簡保資金の運用範囲の拡大、見てみなさい。昭和三十八年から電力債を運用範囲に加えているじゃないですか。こういう問題については、これは国民の方が郵便局の窓口で預けた貯金や、職場を通じて支払った厚生年金の保険料、市役所や町村役場で納めた国民年金の保険料、そういうすべてのものが集められて運用されているのでしょう。そうしていま公共性の問題が一連の物価値上げの中で、大きな、生活に大変なことになる、そういう中で片一方ではこういう貴重なお金が三木総理を中心とする自民党さんに財界から肩がわりすると、平気なことが言われていたのでは国民は納得しません。こういうふうなお金は資金の運用をいかに使うべきであるか、どういうようにしたらいいかという論議を重ねておるときに、こういう国民の大事なお金があなたのところへ平気でこういうことに使われておったら、国民は、こういう公共性のものをあなた方が負担しなさいと言って一斉に値上げをする政府に対して信用しません。では三木さんが田中さんからかわって登場されたときに、本当に社会的な不公正を直すと言われたことがうそじゃないですか、これは。検討していただけるのかどうか、答えていただきたいと思います。
  123. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は、政治の中から金権的な一つの風潮というものは一掃したいと願っておるわけで、そのために政治資金規正法なども、矢原さんごらんになっても、これは歴代の内閣が手がけてやらなかったのですよね。あれは御研究になったら相当に厳しい政治資金規正法です。非常な理想的な考え方をお持ちの方からは距離があるかもしれませんが、これは大変なやはり法律です。政治資金規正法、現在の時点で、これはやはり評価をしていただきたいと思う。あの中に、やはり金権的なそういう疑惑から日本の政治というものは脱却せなけりゃならぬという私の決意がああいう法律になったわけなのです。  従来の経緯を考えてごらんなさい、戦後で。いつの場合においてもああいう法案は通ったことないでしょう、やろうと言っておっても。これはやはり皆さんの御協力を得て、あの法案が通ったということは、そういう清廉な政治への第一歩として高くその決断というものは評価をしてもらわなければ困ると私は思っているわけです。  企業献金の問題についてですが、これはやはり政党の活動というものは莫大な費用が要るわけですね。だから、たとえば西独などは国費をもって、選挙費でありますけれども、国費でやはり出しておる国もある。各国とも企業献金に対しては、企業献金ノーというのではなくして、限度を設けるというふうなことが各国ともの政治規正の方向であるわけです。そういう点で、自民党としても、現在の時点においては、企業の寄付、政治資金の寄付を受けておりますが、しかし、これは政治資金規正法になってきたならば、これに対して厳重な規制が行われるわけですからね。  しかし、来年の一月一日から政治資金規正法は実施される、それまでの問いにおいても企業からの献金は受けるけれども、それにはやっぱり節度を持たなければならぬと考えておるわけでございまして、企業の政治資金というものは一切受けないということは申せないと、現実の時点において政党の運営が、いまの時点でそういうことをいたしますならば、政党の活動のやはり政治資金というものが、これはもうなかなか容易にそういう資金というものが得られないのが現状でありますからね。そういうことで、しかし、来年が来ると、これは厳重な規制を受ける、それまでの間においてもできるだけ節度を守りたいというのが私の考えでございます。
  124. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理、私が質問しておりますのは、企業全般に対するそういうふうなお金からの献金ではなしに、庶民の汗とあぶらの中の献金、これは財政投融資ということになるわけです。五十年は九兆三千百億円も上程されている。こういうふうな中で、いま片一方では公共性の中のこの郵便法の一部改正の値上げの中で、これだけ余りにも高い値上げをすれば、国民生活は波及効果とか関連値上げで大変なことになる。  だから、けさの新聞を私が読んであなたに質問いたしておりますのは、こういう財政投融資計画のそういう該当の大きな企業というところはやはりある程度の規制を受けながら献金というものを考えてもらわないと、いま審議をやっているこういうふうなさなか、きょうの新聞やテレビの中におたくの方の借金の百億円の肩がわりがこうだ、これでは国民は公共性のものに対する値上げについては理解と協力というものはありません。もっと政府が姿勢を正して、こういうふうなお金の貸せるところの規制をしなさい、行くところの場所をきちっとしなさい、そういうふうに当事者として国民が叫ばれることは当然なんです。  ですから、総理大臣に、こういう財投の融資のいろんなところを受けた企業というものが自民党さんに献金する枠をどうするのか、させないようにするのか、それとも枠を制限するのか、そういうこともきちっとしていただかないと、幾ら三木総理が利用する人が負担をしなさい、公共性であったってこれは一般財源から出すことはできませんと、こういうことはもうどうしようもないんです、説得力ございません。だから、その点だけを私一点質問しているんです。
  125. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は、自民党が借金で苦しんでいるわけですけれども、これに対して気の毒なと、これだけ借金を抱えて自民党の活動にも影響するだろうと、それではひとつ応分の寄付をしてやろうという企業もあるわけですから、こういうものは節度のある範囲内において私は受けたいと思っております。  しかし、それはいま矢原さんの御指摘のように、そのことが国民に非常な疑惑を呼び、そういう企業の政治資金の寄付が政治の方向を変えるのではないかという疑惑を与えるようなことは、これは断じてあってはならぬわけでございますから、私は、そういう寄付は受けるけれども、それによって三木内閣の政治の方針というものは絶対に曲げない。私自身のこれは強い一つ考え方でございます。  そういうことで、そういうふうないろんないま御指摘のような産業の中には、いろいろ開銀とか輸銀とかの融資を受けておるようなところもありましょうが、しかし、それには節度あるやっぱり政治資金の寄付であることが必要である。そのことと、もう一つは、そのことによって三木内閣の政治の方向がゆがめられるというようなことは断じてしない。こういうことで節度と一つの政治姿勢というもので、このことによって弊害が起こることを防ぎたいと私は思っておるわけでございます。
  126. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、郵便法の一部を改正する法律案、つまり郵便料金の値上げに対し、三木総理大臣質問をいたします。大変限られた時間で、これはもうすごく不満です。しかし、やむを得ず二、三の点に限って質問いたしますので、端的に、そして責任を持ってお答えをいただきたい。  具体的な質問に入ります前に、私のここ一年間を通じてこの逓信委員会郵便法の審議を続けてきたその中から痛感していることを申し上げます。これはもうすでに逓信委員会で私は郵政大臣初め、政府、郵政省の方々に本当に繰り返ししつつこく申し上げてきたことですけれども、三木総理と直接質問し合えるのは初めてですので、改めて申し上げます。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  私は、昨年の夏に初めて国会議員としてその仕事につくようになりましたけれども、この閥、政府の国会における答弁だとか、そうしたものを通じて、何という誠意のない、そしてまた事なかれ主義で、自分たちの考えること、それからやりたいことを押し通す、答弁に責任を持たない。で小心翼々として自分の責任に降りかかるのを避ける。保守的でずっと郵政はそうやってきました。百年間そうやってきたからいま変えられない、あるいは都合が悪くなるとすりかえをする、また自分で恣意的に都合のいいように私どもの質問や意見を拡大解釈してみたり、また小さく見たり、そういうことの繰り返しでした。私は一〇〇%そうだとは申し上げません。しかし、本当にそういう内容のある答弁をして、責任を持たれた態度を示されたのは例外です。そういうことを私は本当に痛感をいたしました。もっともっとたくさんの国民の人たちにこの事実を知ってもらいたいというふうに思います。その点について、初めに三木総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
  127. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) ずいぶん手厳しいお話でございますけれども、これは共産党の立場とはいろいろ違う場合が多いと思います。そういうことで、やはり政党政治というものはなかなか立場が違いますと、皆さんがそういう立場の人から見れば誠意がないと、いろんな御批判があると思いますが、しかし、議会政治というものはやはり誠意を持っておる者の立場に立って考えていただかないと、これはやはり政府というのは国民生活に責任を持って日常の国政を運営しておるわけですから、なかなか野党の立場で山中さんがお考えになるような場合のようにもいかぬ場合も多いわけです、政府の立場に立っていえば。日本の場合は与野党の政権交代がありませんから、   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 やはり政府の立場というものに対して御理解願えにくい点が多いと思いますけれども、そういう政府の立場に立って考えてみれば、山中さんの御批判のようなことも少しやっぱり厳し過ぎるという感じがいたします。しかし、御注意の点は注意をいたします。
  128. 山中郁子

    ○山中郁子君 共産党だけではなく、私が先ほど列挙した中のすべてではありませんが、幾つかの点については与党のわずかな質問の中にも間違いなくありました。このことはよく胸にとめておいていただきたいというふうに思います。  で独算制、それから一般会計の繰り入れの問題でございます。要するにこの問題が一つの大きな焦点になって委員会の審議も続けられてまいりました。  先ほど三木総理大臣も申されましたけれども、昭和二十二年に郵便法が成立したとき、三木さんが逓信大臣をされていて、そのときの政府の答弁の中に、これは私は五月の三十日に行われました本会議の代表質問でも申し上げましたけれども、この独立採算制というような問題は、時の政府の財政方針なのであって、郵便事業自体の本質を束縛するものではないと考える、で現にこの政府が独立採算を主張しても、われわれは郵便料金をなるべく低廉にやりたいというところから、今度も一般会計から繰り入れているんだと、こういうことを述べています。  そして、こういう問題をめぐって、審議の中で、大蔵省も郵政省も、一般会計から繰り入れることはあり得ると、こういう御答弁をついにされました。  しかし、それではどういう場合に繰り入れるのか、いまこそこのインフレ、不況のもとで国民生活が苦しく、第三種郵便の問題に関しては、きょうもたくさん婦人団体やあるいは封筒業者の方もお見えになっているように、危機存亡の時だといってたくさんの人々が訴えています。そして郵政大臣も、そうした訴えの中に、反対とか撤回とかの訴えだけであって、賛成という意見は一つもなかったとここで証言をされています。そういう事態のもとでこそ一般会計から繰り入れる、そのことが必要であり、郵便法の審議のときに政府がそういう態度を表明したそれ以外にはないではないかと私は申し上げてきました。しかし、政府、郵政省はそのことについて、どういう場合なら繰り入れるのかということの責任を持った答弁をついにされませんでした。  三木総理大臣から、簡単に、そして中身がはっきりわかるように、この点についての御答弁をいただきたいと思います。三木さんが逓信大臣のときですからね。
  129. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 郵便法の改正というのは、ぼくのときにやったかどうか……
  130. 山中郁子

    ○山中郁子君 改正じゃなく制定です。
  131. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 郵便法そのもの、郵便法の第三条というものは一つ原則を示しておると思うんですね。山中さんもよく御存じのように、いわゆる「郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保」しなければならぬと、こういうことになっておるわけですね、第三条に。これは一つ郵便事業のやっぱり原則的規定だと思うんですね。  そういうことで、私のやったときは、終戦直後、もう波乱期であって、郵便会計を一般会計によって補ったわけでございますが、法律でやったわけです。その後、独立採算制というこの第三条というものが郵便事業経営の一つ原則になって、こういうことでやってきたわけでございまして、いまは郵便会計を一般会計で補おうという考え方のもとに郵政事業を政府はやってないわけで、やはりいまこの三条に規定されたような健全な運営を図るに足りる収入を確保すると、こういうことで、これは独立採算制ということに通じますが、こういう原則で今日の郵政事業運営されておるというふうに御理解を願いたいのでございます。
  132. 山中郁子

    ○山中郁子君 すりかえや言い逃れをしないでいただきたいというのは、そういうことなんです。  時の政府の政策であって、郵便事業自体の本質を束縛するものでないと言っているんです。そして一般会計からの繰り入れがあると。郵便事業の本質というのは、委員会でも明らかにいたしましたけれども、これはもともと変わらないものでしょう。戦争があったからとか、敗戦だからで本質が変わったわけじゃないですね。この本質に基づいて一般会計から繰り入れがあるということを政府が言ったんですね、ちゃんと議事録に載っているんですよ。だから、それをすりかえたり、ごまかしたりしないで、ちゃんと答弁してくださいということを私は最初に申し上げたんです。  だから、どういう場合に繰り入れるんですか、いまがその繰り入れる時期じゃないんですかということに対する御答弁をお願いいたします。
  133. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) どうも私のそのときの記録というものを、いろんな速記録なども、私の言ったことが、そのことばかりでなしにいろいろ載っていると思いますが、あのときは、そういう一般会計から持ってきたわけですね。その後の政府の方針というものは、やはりこの郵便法の第三条というものが郵便事業の経営の一つ原則になってやってきておるわけでございまして、いまもうその一般会計から持ってくる場合はどういう場合に持ってくるのだと言われましても、いまこの第三条にある、健全な運営を確保するに足る収入を確保するという原則のもとに郵便事業運営をされている、いまは一般会計から持ってきて郵便会計を補っていくという考え方の上には政府は立ってないということを御理解願いたいのでございます。
  134. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政大臣や大蔵省の御答弁と違いますね。  私は、だから、そういうことを言っているんです。国会答弁でね、総理大臣と郵政大臣の答弁が違うってどういうことなんですか。一般会計から繰り入れることはあり得るとおっしゃっていたんですよ、何回も。それをいま三木さん否定なさったけれども、どっちなんですか。
  135. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 場合によっては、いわゆる非常事態、緊急非常事態においてはそういうこともあり得るかもしらないが、しかし、それは法律によって決めなければならないということを私は申し上げただけです。
  136. 山中郁子

    ○山中郁子君 あり得るんでしょう、だから。
  137. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 将来あり得るかもしらないが……
  138. 山中郁子

    ○山中郁子君 かもじゃないですよ、またうそをつく。
  139. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それは緊急非常事態であるということを申し上げております。
  140. 山中郁子

    ○山中郁子君 皆さんよくわかっていらっしゃると思います、私はこれはもう何回も繰り返しているんですから。また郵政大臣はいまうそをつかれたんですよ。かもしれないなんて、そんなことおっしゃらなかったですよ、あり得ると言われたんです。それをまたここへきて、そういうふうにすりかえたり、ごまかしたりインチキを言うでしょう。私はそのことを言っている、国会審議がそうであっていいんですかということを言っているんですよ。そこはちゃんとお二人ともよく聞いておいてください。時間がないからしようがない、私、残念なんですけれども、これだけだって一時間ぐらいやらなければならないと思うんですけれども。  次に二つの質問を続けて申し上げます。  一つは、第三種問題です。これは一種、二種の問題と、法律事項ではありませんけれども、これとの関連でもって五倍という案が示され、大変大きな問題になっております。  それで、私は、総理大臣にお伺いいたしますけれども、郵便法の第二十三条三種問題を規定したところに「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」これが認可条件の一つに入っています。中身の規定ですね。こういうことによって認可をされているものが、いま現在、一万数千件を超える認可団体、そして出版物があります。この方たちがいま本当に、もうこの三種を値上げされちゃったらどうしようもないと、私たちの方はつぶれてしまうということで、きょうもたくさんお見えになっているし、いままでも多くの方たちがお見えになりました。郵政省にも陳情がありました。  政府は、こうした三種の郵便法に基づいて認可をしている団体、認可だけじゃありません、されてない団体にももっとたくさんのこうした同じような種類の団体があります、出版物があります、そうしたものがつぶれたり発行不能になったりすることを、手をこまねいて野放しにしておくのか、あるいはそれを擁護して守っていく立場に立つのか、どちらなのか、端的にお答えをいただきたいというふうに思います。  もう一つ、続けて申し上げます。料金法定主義の問題です。これは去る十一日の逓信委員会で私が郵政大臣質問をいたしました。これは新聞記事から取り上げて質問したんですけれども、その際、郵便料金に関して法律事項から外すかのような報道がされているけれども、私はそういうことは言ったことはないし、考えてもいない、それは間違ったことである、このような御答弁がありました。このことを改ためて三木総理大臣から御確認をいただきたい。  この二つのことをまとめて御質問いたします。
  141. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 一つでございますが、いま私が前の質問者の方々にもお答えしておるように、国会の審議、郵政省にもいろいろな陳情もあるわけです。そういうものを頭に入れて、この第三種郵便の料金は決めたいと申しておるわけでございます。  それから法定主義を崩すのかということでございますが、現在は、これは法定主義でありますから、これは尊重をすることは当然でございますが、料金の決め方についていろいろな意見があるわけでございますが、これは大問題であって、これは法案として国会の御審議を得なきゃならぬ問題であって、政府は、いまのところ、この法定主義を外そうという考え方でいろいろ作業をしておるわけではないんですけれども、各方面で当事者能力の強化と結びつけてこの法定料金主義というものに対してはもう少し何か違った決め方があるのではないかという意見があることは事実です、この意見がね。しかし、政府は、そういう方針のもとにこれから作業をするというような考えではございません。したがって、このことは法定主義を外そうとしておるんじゃないかという仮定に立って政府が考えたと申し上げるという、そういうところには至ってないわけであります。
  142. 山中郁子

    ○山中郁子君 擁護する立場に立つのか、あるいはつぶれるに任せるのかということに端的なお答えがありませんでしたけれども、私は、当然、これは政府として擁護するという立場に立たれるんだと理解してよろしいですか、はいとかいいえとか、それだけで結構ですから。
  143. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) やっぱり法定主義を決めたようなその立場というものを尊重しながら、何かやはりほかに国民の皆さんも納得できるような考え方があれば、これはまあいろいろ考えてみますが……
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 三種問題ですよ。
  145. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまのところは、そういう考え方に政府は傾いていないんですけれども
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 三種問題を聞いているんです。
  147. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあ世の中のことは、もう絶対にいま決めてある方法以外に何にも方法がないんだと……
  148. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 総理、三種の問題に答えてください。
  149. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そのことについては絶対のものではございませんが、これはやっぱり法定主義の重大な問題でございますから、政府は、これに対して軽率な結論を出す考えはございません。
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 三種問題を聞いているんです。
  151. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 三種の問題は、いろんな御意見も踏まえて、この問題は善処いたすことにいたします。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 委員長、もう答弁は要りません。  いまの中でも、本当にもうすべてがそうでしたけれども、私が初めに申し上げましたように、国会答弁を本当に誠意を持ってやるという立場に立ってされていらっしゃらないということが明らかになっています。  で、私は、酒、たばこの強行採決その他の経過、この郵便法も衆議院において強行採決が行われました。そのことに対して繰り返し、総理は、限られた審議期間なのだから決めなきゃいけないと、反対反対でやっていられたんじゃ決まらないじゃないかと、こういうふうに言われました。私は、まさにこれは国会審議を無視するものであり、否定するものであって、国会を本当に形骸化して、自民党の自分たちの政府のやりたいことをやり遂げる、そして議会制民主主義を装ってその道具にしているにすぎないではないか、ほんとの短い質問の中にも、それは幾つもいま明らかにされたということを私は強く指摘をせざるを得ません。  以上で終わります。
  153. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便料金の値上げには終始反対の立場をとってまいりました。  反対の第一は、物価に与える好ましからざる影響、不況を克服しようとする政策面との矛盾でございます。そのほか、合理化、近代化の余地がまだまだたくさんにあること、労使の協調が思うように進んでいないなど、反対の理由はたくさんございます。  今回、政府が提案をしているような一挙に数倍という国民生活への影響を考慮しない度外れな大幅値上げには、これは絶対に反対でございます。しかし、私どもの公共料金に対する立場は、何が何でも値上げには反対だとは申してはまいりません。こういう見地から、私どもは、今回、国民生活への影響をできる限り緩和するために、この法案の修正案を逓信委員長のお手元に提案をした次第でございます。  これを簡単に申し上げると、第一種の郵便物の料金を政府案の平均二・五倍から二倍に縮小をしてもらいたい、施行の期日を二月の一日に改める、こういうものであります。  値上げに反対をされる国民の皆さんの声の中にも、やむを得ない場合には修正をひとつしてでも少しでもわれわれの負担を軽くしてほしいという声も多数寄せられていることは事実でございます。料金大幅値上げに終始反対をしてまいりました私どもは、最初から次善の策を標榜しているのではございません。国会の終盤を迎え、このまま推移するならば——よろしいですか、総理、国会の終盤を迎えてこのまま推移するならば、政府案どおりの大幅な値上げが断行されることが必至の情勢の中で、国民生活への影響を最低限に抑えたぎりぎりの線として御提案を申し上げている、いかがでしょうか。こういう提案に対して、総理はどのような感触をお持ちか、賛成とか反対とか、御見解を直ちに求めるのが無理であったならば、なるほど中庸を得た提案だなというお答えぐらいは私はほしい。はっきりとおっしゃっていただきたいと思います。
  154. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあ木島さんのいろいろ御苦心はわかりますけれども、結論を申し上げておいた方がいいと思いますが、にわかに御提案に賛成しがたいということを結論的に申し上げます。
  155. 木島則夫

    ○木島則夫君 それならば私は反問したい。  総理は事あるごとに対話と協調の政治ということを強調なすっておいでですね。過般の大蔵委員会での酒、たばこの値上げの際にとりました与党のあの強硬手段に対して、野党が本会議でも厳しく追及をした。そのときに総理は何というお答えをされたか、覚えておいでだろうと思います。対話と協調の政治というものは与党だけではできないんだということをおっしゃったではありませんか。  私は、そういう意味からするならば、本当に対話と協調の政治というものにわれわれは御協力をしているつもりなんです。そうでしょう。円満議了、採決が行われるであろう、そのことは手段としては正常でございます。正常な手段、手続としても、与党と野党とがその主張をぶっつけ合っている、出てくるものは、結局、与党の多数に押し切られた政府原案、これでは国民のかち得るものは一つも、一歩もないという意味では私はむしろ今回野党が御協力を申し上げている、それを御否定になることは、対話と協調の政治をみずから踏みにじるものではないかという矛盾を私は御指摘申し上げたい。
  156. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 非常に姿勢として木島さんの姿勢は高く評価します。しかし、あなたの修正案に私が賛成をしなければ対話と協調がないというこの断定も少し無理があるんじゃないでしょうか。この修正案に賛成と言わぬ場合は、対話と協調を否定したというふうに断定されるのも無理があるのではないか。  そういうことで、その対話と協調ということは何も私がこれことさら言うのでなくして、議会政治というものは私はそうだと、そんな力の対決で議会政治というものは運営できるものじゃありませんよ。したがって、その姿勢というものは持ち続けるし、木島さんも人一倍対話と協調の政治に対してはそのことを非常に信念としてお持ちになっている、評価いたしますが、御提案のことにいま賛成いたしますと、郵政事業の健全なやっぱり運営をいたしたいと思うわれわれの目的から言って、ちょっと困難も生じますので、賛成はできないということを申し上げておるわけでございます。
  157. 木島則夫

    ○木島則夫君 姿勢としては評価をするけれど、困ると。ですから、三木総理、言われるんですよ、総論賛成、各論反対、ここなんですよ。  この中には、傍聴席に郵便料金値上げに反対をされる方がたくさんおいでになる。封筒業者のお顔もここからわかります。そういう方が何とおっしゃっているか、絶対廃案が好ましいけれど、それがやむを得ない場合には、ある点で妥協をしてもいいからひとつ与野党で話し合ってほしいということを涙を流しながら皆さんおっしゃっている。姿勢として評価できるけれども、内容は崩さないという、こういう政治は私はもう信頼できない。  ですから、三木さんの対話と協調の政治が野党の協力なくしてできないという言葉を私なりに直させていただけるならば、私は、与党の協力なしに対話と協調の政治はあり得ない、いかがですか。もう長々とお答えは要りません、簡単におっしゃっていただきたい。
  158. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) ずいぶん野党の方々の修正に応じている法案というものは非常に多いわけですが、この件につきましては、やはり郵便事業の財政を立て直して郵便のサービスを確保していくということにどうも支障を来すので、残念ながら御提案には賛成をしない。  しかし、総論賛成、各論反対と言いますが、いろんな可決された法案の中で与野党の修正された法案というのは相当にありますからね。だから全部がオール・オア・ナッシングでないという、この審議を聞かれておる人も、もう与党は硬直化して自分の原案以外には修正には賛成しないんだと、そういう態度でもないわけですから、与党としての政府は責任を持っておるわけですから、郵便事業を健全なものにしたいというその原則に反せない限りは、できるだけ野党の方々の御主張も取り入れていこうと、第三種などに対しては、国会の審議も体して、できるだけ政府はこれの決定に対しては国会の審議なども頭に入れて決定をいたしますと言っておるわけですから、そういうことで、何もかも拒否しているんではない。どうも政府が拒否している、そんなんならもう対話と協調はないわけです。のめるものはのむけれども、与党と責任を持つ政府の限界もある。こういう点で、残念ながら木島さんの言うこと全部が全部ということにまいらぬということでございます。
  159. 木島則夫

    ○木島則夫君 今回の値上げ案の中で、特に上げ幅が大きくて国民の反論が集中しているのは第三種、いまちょっと総理もお触れになった第三種の郵便物なんです。これはだれが考えても一挙に五倍の値上げというような暴挙は国営の事業として許されるはずはないんです。したがって、法案審査の過程におきましても、政府も、私どもの主張を理解して、これら省令料金の値上げ案については再検討をするお考えのあることを示唆をされているんですね。  で、この際、総理の先ほどお答えの中の何が何でも拒否するのではないということは、これから私の念を押していきたい問題に該当するであろうことだと思いますけれども、いいですか、この際、総理からこれまでの所管大臣の答弁を裏づける御発言をいただいて、国民の皆さんのいたずらな不満だけはきちっとここで解消なさる、それをすべて拒否することではないという裏づけにしていただきたい。
  160. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御不満を解消するに足るということになってまいりますと、御不満というのはどういう程度であるか、これはなかなか一つ基準もないことですが、ここで言われた皆さんの御審議の状態も体して、慎重にこの問題は検討いたしますと、こう言っておることで政府の立場もある程度御理解を願えると思うわけでございます。
  161. 木島則夫

    ○木島則夫君 これはさらに具体的に申し上げますと、言論の自由の問題にもかかわってまいります。それから文化の向上という点からも大いにこれを拡大をしていかなければならない。また不況の中での中小企業の置かれている窮状ですね。それから、ほかの委員の方からも御指摘があった体の不自由な方々の生きがいですよ、これは。お互いに通信をすることでコミュニケーションを深める生きがいです。そういった問題を含めての非常に重要な問題でございますから、本半に慎重にこれは御検討をいただきたい。いかがですか。
  162. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういたします。
  163. 木島則夫

    ○木島則夫君 三木総理は、新憲法下におきまして、現行の郵便法が制定された当時の逓信大臣であったわけでございます。したがいまして戦後における混沌とした時代に郵便事業のあり方と方向づけについて、その骨組みをつくられたいわば最高責任者と申し上げてよろしいかと思います。しかしながら、あれからもう三十年もたっぷり経過をしている。郵便事業を取り巻く経営環境というものは、当時これはもう夢にも思わなかったわが国の経済社会の発展とともに、まさしく一変をしていると言っても言い過ぎじゃございません。  つまり情報化社会の進展であるとか、あるいは、電気通信などの情報伝達手段の飛躍的な発展によりまして、その当時は情報メディアの主力機種、担い手であった郵便は、いまや、さっき総理もおっしゃった、このごろは郵便を書く数が減って、もっぱら電話だと言う。そういう担い手であった郵便が環境の変化によって、その存立基盤をさえ揺さぶられているという状況にいまあるわけですね。ですから、いまこそこの時代の進歩に取り残されないよう、時代の進歩をむしろ先取りをした郵便の新たな使命と事業の将来展望というものが確立をされて、それが国民の前に明確に示されたそのときこそ私は国民に値上げというものを問う、そのことが本質だろうと思うんです。  もう、総理、明治時代の郵便事業の体質とは全く違う。明治以来モットーとしてまいりました郵便事業に迅速、確実、安全、こういうのがあります。迅速、たしか安全、確実だったと思います。いまやほかのメディアが発達をして必ずしもその優先順位、迅速が一番初めに来る必要はない。そういうことにこだわるから郵便の集配集中方式とか、配達方式とか、いろんな合理化がおくれたり、誤ったことを目標に努力をする、つまらない金がそこで費やされている。もろもろのことを考え合わせますと、私はあるべき郵便の将来展望をきちっとここで据える、その上に立ってこれこれこういう必要経費がかかりますという御提言をなさることが本来だろうと思います。このことが事の本質だと思う。  ですから、まず郵便事業の将来展望というものをきちっと掲げられるということ、そうして現行郵便法を制定された大臣である三木総理は、今日における郵便事業のあるべき姿について三十年前のままで一体いいのかどうか、何からどう脱皮すべきか、どこをどういうふうに改革をしていくか。もう具体的なことは結構です、背と違っているんだから思い切った改革が必要、そのためには経営形態にも取り組まなきゃいけない、法律の問題とも取り組まなければいけない。そうすることが国民の立場に立った郵便事業を施行をしていく、行う、そのことに焦点があるのだという私の論は間違っておりましょうか。そのことも含めて、郵便の値上げの本質問題を最後に論じていただきたいと思う。
  164. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私が逓信大臣をやったときとはもう社会も経済状態も一変している。しかし、私は、やはりこういう情報化時代、大衆時代と言われておるときに郵便事業がもう経営の基盤を失うほどこれが衰退していくとは思ってないんですよ。これはやはり一つの健全な伸びを示すに違いないと、こう思っておるわけです。  依然として、国民に対しての役割りというものはやはり高いものを持ち続ける、したがって時代の変化に即応してやはりサービスの近代化、運営の効率化、こういう問題について郵便事業全体を、木島さんの御指摘のように、見直してみる時期に来ておる、こういう転換期に立っておるということは、私は、あなたと認識を同じくするものでございます。
  165. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう一言。  大幅な値上げを行うことは郵便の独立採算制というものを危殆に瀕させる、危うくするんですね。そうすれば、その中で郵便物の差し出しが減り、ほかの手段に郵便が移行する。郵便事業というものが縮小をして、郵便事業自体の百を締めるということは今回の大幅値上げなんです。そのことの撤回と、できれば私どもの修正に対して謙虚に耳を傾けていただきたい。そのことの決断を総理に求めて、私の質問を終わります。
  166. 青島幸男

    ○青島幸男君 今回のこの法案の改正につきましてさまざまな議論がなされてきたわけですけれども、一番基本的なものは、独立採算制を貫くということと公共性を守るということはもともとこれは矛盾した問題ですね。ですから国鉄なんかの場合と同じように赤字線だから切ってしまえばいいということではなくて、それは公共性のたてまえから赤字線も残さなきゃならないということで赤字がますますふえているというのが実情でしょう。一つ実情意味をあらわしていると思いますけれどもね。ですから公共性をどうしても保持していこうということと独立採算制を貫いていこうということは、どっかに矛盾が出るわけですよ。その矛盾を押しつけてしまうのがいま問題になっております第三種の問題なんかになるわけですね。ですから文化に寄与する面だとか、あるいはそういうものを切って捨てていかなければ、独立採算制は堅持していかれないでしょう。その辺が問題があると思う。  それから、もう一つですけれども、受益者負担の原則ということを総理はずっと貫くんだということをおっしゃいます。それは結構だと思いますけれども、いまの方たちが大変この値上げに不満に思っているのは、受益していないわりあいに負担させられているという認識があるわけですね。受益に見合った応分の負担なら仕方がないかもしれないけれども、そうじゃないじゃないかという認識です。  というのは、たばこが値上げされたり、酒が値上げされたりで重大な社会的な問題を引き起こしておりますけれども、たばこは吸わなきゃいい、酒は飲まなきゃいいという問題と違いまして、郵便は高くなったんだから一切かかわりなく生活できるんだということにはなってないわけですよ。絶対に郵便業務を離れて現代の生活維持できませんね。何らかの形でかかわり合っていくわけです。自分で出さなくとも受ける方に回るわけですね。ましてや、総理、先ほどからお認めになっていらっしゃるように、業務通信が八割を占めているわけでしょう。  いま木島さん言われたように、郵便事業百年前の歴史からさかのぼりますと、この法文の中にもありますけれども、一種に認められるものは表書き筆書したものだと書いてますね、筆書したものだと。つまり、現今のようなその膨大なダイレクトメールだとか業務用通信みたいなものがこんな大きな割合を占めるとは想定していなかったわけですね。しかし、ダイレクトメールや業務通信も利益をもたらすことは確かなんですよ。ですから、それも郵便事業の発展に寄与してきたことは事実です。  しかし、ここで問題になるのは、一般の書信、私事の通信とそれからダイレクトメールその他の業務用の通信とは意味を異にするんではなかろうかと思います。それも適当な割合でふえてまいりまして人件費とつり合っている時点も何年かあったわけです。ところが、現今は、それが違ってきたわけですね。ですから、その大量の郵便物をさばくために、それから人件費が物に比して高くなってきているということは、それだけ一人一人の人格が尊重されていることですから、むしろ誇るべきことかもしれませんね。人件費の占める割合が大きくなるということはその社会が裕福だということかもしれません。そうなってまいりますと、基本的にこれ考えを別にしていかなきゃならないわけですよ。だから田舎の母親との通信のために通信は少ししかしていないのに、業務用が利潤を目的として行った多量の通信のために、そのことをわれわれが負担しなきゃならないという不満が残るわけですね、どうしても。だからといって、これを区別することはできないわけですね、これは憲法の信書の秘密にも触れる部分もございますしね、ですから、一々これは業務用の通信であるか、あるいは私信であるかということを、区別することは判断がむずかしい。しかし、どうしてもその不満が残るわけです。  というのは、確かに情報を入手するということは受益するわけですね。母親の近況と元気ななつかしさに触れるということは確かに受益するわけです。しかし、もともと企業に利益をもたらす目的で商社なり土地会社なり金融会社なりが不特定多数に印刷して出した郵便物とはおのずと違うはずですね。ということは、その企業は宣伝費の中で十分に落ちるだろう、あるいは使った費用に見合うだけの利益を見越して出すわけですね。そうすると、その企業の利潤追求の手だてに郵政省が、郵便事業が一役買っているということになりますね。これある種の業務委託みたいなものですね。しかし、そのために生じた赤字の分を第三種を値上げしたり、あるいはわれわれの分からのはがきの分で補てんするのは耐えられないという認識が国民の中にあるわけですよ。  その辺のことを踏まえまして、三十年前の郵便業務の感覚で事に当たっては大きな誤りに陥るんだということを木島さんがいま言われましたけれどもね、あわせて含めまして総理の御見解を承りたいと思います。
  167. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 青島さんの言うことは私よくわかります。それはやはり何か国民の気持ちの中にも青島さんのような考え方の人が相当いらっしゃる。  ただ、しかし、こういう点がむずかしいんですね、ある短時間の間に処理しなきゃならぬでしょう、郵便というものは。そんなに間が置けるものでもないというときに、業務用と普通の個人の通信とをより分けるということがなかなかむずかしい問題ですから、それは確かにやはりわれわれにも何かそういう気持ちはあるので、この問題はやっぱり少し研究さしてみてください。いまこうやっていたしますというお答えを私は言うだけの、こうやったらできるんじゃないかと言う方法がありませんが、しかし、やはり確かに研究の課題であることは事実です。しかし、困難性もあるということは、これはもう青島さんお考えになってもおわかりのとおりですから、これは十分研究さしていただきたいと答える以外に、現在、こうする、ああするということは申し上げるわけにいかないということです。
  168. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、先ほどの、当委員会を通じまして私申し上げているんですけれどもね、確かに局へ集まった郵便物区分けすることは不可能だと思います。ですから、事前にそういう業務用としてお使いになる方々、業種によっても違うでしょうけれども、資本の高が大きいから業務用通信が多いと言うわけにまいりませんね。ですから、不特定多数を相手にする最終商品を扱う業者で、しかも資本金がどれくらいだったら、当然、これくらいの郵便物を扱うだろうからということで、一律目的税みたいなかっこうで別途取って、一般会計に入れずに、郵政省で取ったらどうだろうかというような話から、郵便はがきに広告を取って増収を図ったらどうだろうかというような具体的な提案までしているわけですよ。  その辺の御検討をいままでいただいてないわけですね、郵政省の中では。百年一口のごとく同じことをやってるわけです。それで赤字になると値上げしてくれと、何の工夫もなく、営業努力をするんだということをおっしゃってるんですけれども、努力なすってんのは実際に従事している諸君であって、経営に当たっている方々は何の努力も認められていないんではないかということを私は申し上げたいわけです。  いま、総理は、検討の余地があるし、十分検討していかなくちゃならないし、今後の問題としては重要な課題になってくるだろうという御発言ですから、それは、そのことも含めまして、今後ともそういう意味で国民の、公共性ということを大きく守っていくという立場で御検討いただきたいと思います。  もう一つ先ほど問題が出ましたんで私あえて申しますけれども、郵便貯金の金利の引き下げの問題ですけれども、これはそれこそ何にも受益してない。そうでなくともインフレで貯金の元金が目減りしているというような状態の中で、一方的な通達によって、政府の行政の処置によりましてね、預金金利が下がるということは多大の損害を国民に与えているわけですよ。ですから、私は、これを行政不服審査法を根拠にいたしまして異議申し立てをしているわけですよ、郵政省に対しまして。ところが、郵政省の見解のいままでの推移を見てますとね、確と把握したわけではございませんが、それは特定の多数に政府のとった処置が損害を及ぼしているというケースではないということが一つの論点ですね。もう一つは、いやだったら解約すればいいじゃないかという、契約自由なんだから、だからあなたの言うような異議申し立てば該当しないんではないか、行政不服審査法になじまないんではないかというような見解で、いま私どもに返事を考慮していただいてるそうですけれども、この二つとも理由は私全く納得しません。  一つは、財政投融資というようなかっこうで、一般予算のかなり大きな割合まで占めるほど膨大なものですね。ですから、解約ができるんだというような認識はもうないわけですよ、事実それにのっとって運営されていることが非常に大きくあるわけですから。それから特定多数ではないわけです。契約を持っている人たちに一方的に損害を与えているわけですから、国民の立場に立ったら腹立だしい極だと思います。  いますぐに御回答を求めようと思いませんけれども、しかるべきチャンスがありましたら、その点につきましても、郵政大臣との御意見をあわせまして御検討いただきまして御回答いただきたいと思いますが、その点、御返事、どうなるかということだけ御返事いただければ結構です。
  169. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 先ほどお答えしたように、民間の預貯金というものは百兆円、郵便貯金は二割です、その中で。郵便貯金ばかりが零細な預金だとは言えない。農協もありますしね、あるいは地方銀行もありますし、信用金庫などもあって、どうしても郵便貯金だけを特別に扱うということが、金利水準全体というものを下げていきたいという場合に、非常にそれがやりにくいわけでございますから、一律な預貯金の利率を引き下げざるを得なかったわけで、いまの預金の分布状態が、いま申したように、非常に分かれておるということも御理解を願いたいと思います。
  170. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですからね、そういう状態だからこそ、一般の預金者の不満がますますつのるんではなかろうかということを申し上げているわけですし、それから、いままでのしきたりにのっとって、赤字が出たから値上げしてくれというような場当たり的な考え方でしか事が推移しなかったということに大変な不満を持っております、私も国民の一人として。  ですから、今回のやり方についてはもっともっと考えるべき点が多くあるんではないか。その点を再考慮してから再提出し直したらいかがでしょうかということを、改めてここで反対の意見を、質問の時間ですけれども、反対の見解をもう胸いっぱいにたたきつけるというような思いを込めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  171. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
  172. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  木島君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。   この際、本修正案を議題といたします。  木島君から修正案の趣旨説明を願います。木島君。
  173. 木島則夫

    ○木島則夫君 わが党が提案する修正案の趣旨は、ただいま審議されております郵便法の一部を改正する法律案郵便事業の能率的な運営とその合理的な改善をなおざりにし、反面、国民負担のみを過大にすることになりますので、この際、政府に強く反省を求めると同時に、国民負担を極力軽減しようというものであります。  修正案の内容を御説明しますと、まず第一は、第一種郵便物の料金を政府案の平均二・五倍から二倍に縮小することであります。第二は、本法の施行期日を昭和五十一年二月一日に改めることであります。  以上、この修正案の提出の理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ、慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  174. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまの木島君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。村上郵政大臣
  175. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの郵便法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
  176. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  177. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、郵便法の一部を改正する法律案の原案並びに修正案に反対の意思を表明するものであります。  まず、政府原案に対する反対の理由の第一は、当面の最大の政治課題である物価問題に対する政府の政治姿勢についてであります。  政府は、消費者物価上昇率一けた台抑制の目標がほぼ達成できるという見通しから、物価問題は解決したかのような錯覚に陥っているようでありますが、これは最近の経済情勢から見れば認識不足もはなはだしいものでありまして、物価問題は解決したどころか、不況下のインフレ激化という国民生活を苦境に陥れるであろう各種の要因が山積しているのであります。すなわち、一次産品の国際市況がじり高になりつつあるという海外物価からの影響、鉄鋼や石油値上げに伴う関連各産業の製品値上げ機運を初め、われわれの反対する未曽有の大量の赤字国債が発行されるなど、それによる財政インフレの危険性等々、いずれを見ましても、まさにインフレ要因はメジロ押しでございます。このような情勢の中で、政府が率先して郵便料金を初め公共料金の値上げを行うことは、製品値上げ機運が充満している民間産業の一斉値上げを誘発することは必至であります。狂乱物価の再来を招くことが強く懸念されるところであります。政府が真に物価の安定を最重要課題と考えているならば、まず政府みずからその姿勢を国民の前に示すべきであり、そのためにはいかなる理由があろうとも、公共料金の値上げは絶対に行わないということを進んで実行する以外にその方途はないのであります。かかる観点から、わが党は本法案に断固反対するものであります。  次に、第二の理由は、今回の値上げは事業の企業性のみを重視し、郵便事業の公共的使命を全く無視しているということであります。  政府は、独立採算制による受益者負担の原則を値上げの理由として強調しているのでありますが、その原則だけに固執している限りにおいては郵便事業の公共的使命を果たし得ないことは、先般来の本委員会における論議において明らかにされているところであります。すなわち、全く採算に合わない山間僻地へのサービス提供のための公共的負担分や、第三種郵便物等の文化的、社会的な政策目的をもって特に低い料金としていることによる赤字分などは、当然、政府の責任において措置しなければならない分野であります。にもかかわらず、政府は、総合原価主義の名のもとに、これを一般利用者の負担に転嫁させ、今回のような大幅な料金値上げを図ろうとしているのでありまして、郵便事業の公共的使命という側面を完全に無視したものと言わざるを得ないのであります。  次に、第三点としては、三木内閣が国民福祉優先、弱者救済を標榜しているにもかかわらず、身体障害者など経済的負担能力の低い人たちに対する配慮がなされていないということであります。  今回の値上げが、情報伝達手段の大半を郵便に依存せざるを得ず、しかも経済的負担能力の低い身体障害者や過疎地住民などに与える影響はきわめて大きいものがあります。特に、省令料金である定期刊行物の郵送料金を一挙に数倍という他に例のない大幅値上げを行おうとすることは、まさに暴政と断ぜざるを得ません。われわれは本法案には反対でありますが、仮に与党の多数をもって本法案が成立した場合においても、省令料金の改定に当たっては、これらの点について十分な配慮がなされるよう、強く要求せざるを得ないのであります。  次に、第四といたしましては、今回の料金値上げには国民の納得を得られるだけの経営努力や事業の将来展望などが何ら明らかにされていない、全く場当たり的な、無責任な提案であるということであります。  郵政事業には、特定郵便局制度を初め、改善すべき問題が多々あるにもかかわらず、何らその改善方策が示されないのみか、郵便事業百年の伝統の上にあぐらをかき、新時代における郵便事業のあり方すら郵政省は持ち合わせておらないのであります。これでは国民の理解と協力など得られようはずはありません。  以上、数点にわたって反対理由を述べてまいりましたが、最後に、特に強調したいことは、郵政省労使関係についてであります。  郵政事業は、作業の大部分を人手に依存しなければならない事業であり、したがって労使の信頼関係の確立なくしては事業の本当の健全なる運営は絶対に不可能であります。しかるに、今回のスト権奪還闘争に対し政府が示したあの時代感覚を失った反動的な政治姿勢では、郵政労使関係の正常化はむしろ遠くに押しやられたと言わざるを得ません。近代的労使関係確立のため、政府は、一日も早く郵政職員に対するスト権回復の方向を明らかにすべきであります。また、いやしくも、今回の闘争に対する処分などは絶対に行うべきではないことを強く訴えるものであります。  以上のとおり、わが党は、郵便料金の値上げそのものに反対するものでありまして、したがって民社党提案にかかる修正案も今日では基本的な解決にはならないということで、賛成いたしかねることを言明いたしまして、私の反対討論を終わります。
  178. 最上進

    ○最上進君 私は、自由民主党を代表いたしまして、郵便法の一部を改正する法律案につきまして、原案に賛成、修正案に対して反対の意を表するものであります。  御承知のとおり、郵便財政は、昭和四十六年度以来据え置かれてまいりました現行郵便料金のもとで、人件費の著しい上界により郵便料金の全収入をもってしても人件費さえ賄い切れないという実情にあります。これは昭和四十八年の石油ショック後の異常な経済情勢のもとで物価安定が政府の最優先課題とされたことに伴いまして、四十九年度中の料金引上げが見送られたことと加えて、同年度にかつてない大幅な給与改定が行われたことに起因するものでございまして、このままいきますと、五十一年度末におきましては総額赤字約七千億円にも上ると予想されております。  料金の改定につきましては、いまなお政党や国民の中に物価費定のために郵便料金など一連の公共料金を引き上げることはこれを見送るべきであるという主張がございます。しかし、これ以上現行料金を据え置きますと、いずれまた改定する場合の上げ幅をさらに大きくすることになります。かえって国民の日常生活や社会経済活動に大きな支障と混乱を与えることは明らかであります。そして最近では、各国とも公共料金は時の経済状勢などに即応いたしまして小刻みに引き上げる傾向が強いようです。わが国におきましても、物価政策上、過度に公共料金を抑制するというような非合理な政策はとられるべきではないと考えるわけであります。  次に、郵便事業は公共性が強いとの観点からいたしまして、その赤字は一般会計すなわち国民の税金をもって補てんすべきであるとの主張がございます。しかし、年間百三十二億通の郵便需要のうち、その八割を超える百億通以上が企業などの出すいわゆる業務用通信であるという利用実態に照らしまして、国民の税金をもって郵便事業の赤字を賄うことは妥当性を欠くものであるということを言わざるを得ないのであります。また、郵便事業の赤字は人件費を中心とする経常経費を賄い得ないことによって生ずるのでありますから、これを一般会計負担といたしますと、必ずやこれが恒常的負担として財政の硬直化に拍車をかける結果になると思います。したがいまして一般会計で行うべき義務教育やあるいは社会保障の充実など国の諸施策を圧迫いたしますし、国民の税負担を重くすることになるのは明白であります。また、安易に一般会計に依存することになりますと事業の自生性は損なわれますし、職員の経営意欲を減退させるおそれもあります。郵便事業の将来のためにも私はとるべき方策ではないと思うのであります。したがいまして郵便法第三条にありますとおり、郵便財政は収支相償の原則を基本といたしまして、郵便事業財政の収入の不足は独立採算制のたてまえのもとに、利用者が利用度に応じて負担することが妥当な方法であると考えます。  次に、郵便の赤字は郵便貯金や簡易生命保険のいわゆる黒字分をもってこれを補てんすべきであるとの主張がございます。しかし、これはご承知のとおり郵便貯金や簡易生命保険というものは独立した特別会計になっておりますし、資金経理も明確に運営されているところでありまして、簡易生命保険事業で生じた利益というものはあくまでも保険契約者に還元されるべきものでございます。また、その利益を郵便事業の赤字補てんに回すということは全く筋違いであると考えます。特に簡易生命保険につきましては、現在、民間生命保険と完全に競合いたしますことを考えますときに、その利益を郵便事業の赤字補てんに回す余裕などないことは理解できるところであります。また、郵便貯金事業につきましても、その収入はいわゆる資金運用部から受け入れる預託利子でありますから、貯金利子や事業運営費の支払い分のほかに余剰を期待することは困難でありまして、現に昨年末の郵便貯金会計は欠損状態にありますし、郵便財政の赤字補てんに活用し得るものではございません。  次に、料金値上げの前に、もっと事業経営の機械化あるいは近代化を図るように努力すべきという御意見があります。まことにごもっともでありますけれども、政府当局も種々努力しておりますし、世界に先駆けてのいわゆる郵便番号自動読取区分機の開発あるいは小包や大型郵便物の大規模集中処理局の建設など、いわゆる機械化、近代化は国際的にもかなりの高水準と認められているところでございます。しかし、本来、郵便仕事はその大部分が人手に頼らなければならないところでありますし、機械化のメリットを早急に期待することも困難であります。  以上、申し述べました理由によりまして、この際、与党といたしまして料金の引上げはやむを得ないところと考えまして原案に賛成するものであります。  また、原案による料金改定を行いましても、なお平年度におきまして郵便収支の均衡を確保するということは困難と認められるわけでありますから、原案をさらに後退させております修正案には反対せざるを得ないのであります。  なお、私は、この際、政府当局に対しまして二、三点要望しておきます。  まず第一点は、第三種、第四極につきましては、その社会的影響を考えて、大幅な引上げは避けていただきたいということであります。  第二点は、国民意識の多様化やあるいは情報通信手段の高度化に伴いまして郵便の果たすべき役割りというものも刻々変わってきているはずでありますので、長期的視野に立ちまして事業の将来展望を明らかにしていただきたいと思います。  次に、国民はひとしく安定した郵便送達を望んでおります。先日の公労協ストにおける郵便物滞貨などはまさに国民の信頼感を失墜させるものでありますから、この際、全職員郵便事業に課せられた社会的責任を自覚して、国民の信頼を回復するよう全力を尽くしていただきたいと思うのであります。  以上をもって私の原案に賛成、修正案に反対の討論といたします。
  179. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、公明党を代表いたしまして、政府提出の郵便法の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、反対の意を表明するものでございます。  第一の理由は、政府がさきの国会で国民世論の強い反対により廃案となったこの法律案に対して、何らの反省や検討を加えることもなく再び今国会に提出してきたということは、国会軽視、国民不在の現内閣の反動的政治姿勢を示す以外の何物でもないということでございます。  三木内閣は、一年前、国民生活優先、弱者救済を表看板に掲げ、国民に大きな期待を抱かせて登場したにもかかわらず、最近の政治姿勢はそれとは全く逆でございまして、国民の期待を完全に裏切ったものであることは世論調査の発表を見ても明らかでございます。われわれは、このような三木内閣の反国民的な政治姿勢を正すという立場から、この値上げ法律案を認めるわけにはいかないのであります。  第二の理由は、公共料金のうちでも最も典型的な郵便料金の値上げは、必ず他の物価に波及し、連鎖反応を引き起こし、諸物価値上がりの引き金となることはきわめて明らかであります。政府は、五十年度末の消費者物価指数を前年度比九・九%の上界に抑えることを公約されておりましたが、仮にこれが実現したとしても、預金金利を上回る物価上昇はまさに異常な状態であり、物価の安定とはほど遠いのであります。このような状況の中で、さらに政府は来年度には国鉄の運賃、電報、電話料金等々の一連の公共料金値上げを策しているのであります。今日の戦後最大の不況、それに伴う雇用不安、いまだに続く物価高の中で、国民の生活不安はますます深刻の度を深めております。これ以上国民生活に不安を与えてはなりません。国民生活に明るい見通しが立つまでは公共料金の値上げを見送るべきが当然のことでございます。  第三の理由は、今回の大幅な値上げは郵便事業の独立採算制に固執したものであり、郵便法の第一条の精神に反するものであるからでございます。郵便事業は非常に公共性が高いからこそ国の独占事業として行われているのであり、その公共機関としての基礎的設備部分等については一般会計からの繰り入れの道を開くべきであります。また、郵政関係三特別会計の総合的な運用による郵便財政再建の方途などについても、当然、検討されるべきであるにもかかわらず、政府は収支相償の料金決定原則を固執し、料金値上げのみによって事業収支の改善を図ろうとしているのでありますが、これは郵便事業に課せられた公共的使命を全く無視するものと言わざるを得ないのであります。  第四の理由は、国会審議を外し、省令事項に移された第三種、第四種の大幅な料金値上げであります。これは過疎地の住民や社会的弱者の立場にあります、たとえば重度心身障害者の人たち、また難病と言われる病人を抱えた家庭、また働きながら学ぶ勤労学生の通信教育等に対する政策料金としての配慮を欠き、過大な経済的負担を強いることであり、ひいては民主主義の基本である言論報道の自由すら奪うおそれがあるのでございます。特に、今回、ミニコミの団体、第二番目には封筒業界、三番目には第三種業界、ともどもにそれぞれ生活危機を訴えられているこれらの方々に対して、私たち公明党は、この方々の真情に対して全く配慮がなされておらない当局に対し、憤りを覚えるものでございます。社会的不公正の是正が叫ばれている今日、それに逆行する料金値上げは断じて認めるわけにはいかないのでございます。  第五の理由は、郵便事業の抜本的な改善と事業の将来展望が明らかでないことでございます。今回、仮に値上げが実施されたとしても、事業財政の健全化にはほど遠く、郵便事業の累積赤字は増大の一途をたどるのみであります。現状の延長線上を歩む限りにおいては、今後、絶え閥ない赤字、大幅値上げの繰り返し以外に道はないのであります。これでは、一つは一連の公共料金値上げ、二番目には波及関連の値上げ、三番目には便乗の値上げ、四番目には家庭生活の赤字に悩む国民の皆さんに対する説得力があり得ようはずもないのでございます。事業に対する経営努力はもちろんのこと、経営形態等についても検討を加え、効率的で健全な事業のあるべき姿を国民の前に披瀝して国民の理解と協力を求めることが先決であります。公共性の高い郵便料金の改正は、このような段階を経て十分国民の納得のいくものでなければなりません。  以上申し述べました理由から、政府提出の郵便法の一部を改正する法律案並びに修正案について反対の態度を明らかにするものでございます。
  180. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、郵便法の一部を改正する法律案並びに修正案に反対する立場から討論を行います。  反対理由の第一は、先国会並びに今国会の審議や多数の国民から寄せられている請願、陳情などによっても、今回の郵便料金値上げ法案が物価安定と生活擁護を求める国民の期待と要求を著しく踏みにじることがますます明らかになってきたという点にあります。私は、去る五月三十日、本会議場における代表質問で、酒、たばこ、郵便料金の引き上げが諸物価高騰の火に油を注ぐものであるということを強く指摘いたしました。すでに鉄、石油など大企業製品の値上がりが続き、さらに景気回復とともに多くの企業が製品価格の引き上げの意向を持っていることにも明らかなように、郵便料金など公共料金の引き上げが物価高騰の引き金になることは現に事実をもって示されています。さらに国鉄運賃あるいは電報、電話料金の引き上げなど、公共料金の一斉大幅引き上げの先頭を切る役割りを果たす、このことも現実に証明されているではありませんか。  第二の反対理由は、郵便料金引き上げが国民の生活と権利に重大な影響を与える点にあります。特に、わが党が多くの具体的事例をもって繰り返し指摘してまいりましたように、過疎地域、農山漁村の住民、母子家庭、生活保護世帯、通信教育学生、身障者、老人、低所得者層、これらの人々に与える影響が大変重大であり、今回の料金引き上げがこういう人々から事実上通信を奪い、文化の享受の基本的諸権利を奪うものである、こういうことも一層明らかになってきました。それにもかかわらず、政府は、郵便物の八割が企業や団体用通信であり、この値上げ案が消費者物価を〇・二%上げるにすぎないなどと、まさに机上の数字だけこれを強調して、国民に与える影響がさもとるに足りないものであるかのようにずっと言い張ってきました。これが全く根拠のない、国民生活の実態を無視した暴論であるということは、この法案が上程されて以降現在に至るまで撤回や反対の声が国会や政府にたくさん集中していることからも疑いようのないところです。現に、郵政大臣も、逓信委員会における私の質問に対して、郵政省に寄せられた陳情はすべて本法案の撤回や反対を表明するもので、賛成するものは一つもなかった、このように認めておられます。そして、より重大なことは、それにもかかわらず、郵政大臣が、反対の声を上げない他の国民は賛成をしているなどと強弁して国民を侮辱する勝手な言辞を弄してまで値上げを強行しようとしているところにあります。  また、周知のように、政府は、この法案による一種、二種の料金引き上げとともに第三種の料金を五倍に引き上げる計画を進めています。第三種は、郵便法にも明記されているとおり、政治、経済、文化その他の公共的事項を報道し、論議することを目的とする出版物に対し、特に低料扱いにし、この目的を補助してきたものです。政府自身、その目的に合致するものとして各種の定期刊行物に認可を与えてきたということはもうすでにはっきりしています。私どもは、郵便の公共的本質を示す第三種料金制度を守る上から、また現に存亡の危機を訴えている多くの認可出版物や、あるいはまだ認可されていないけれども、同様の性格を持つ出版物を守る上からも、本法案と三種料金の大幅引き上げに強く反対するものです。  第三の理由は、政府が郵便の公共性を保障する一切の財政的責任を果たそうとしていない。独算制と称して郵便事業に関する一切の経費を利用者に負担させ、そういう政策を国民に押しつけている、そういう点にあります。私が審議の中で指摘しましたように、それ自身公共施設にほかならない郵便局やあるいはポストあるいは地方郵政局、監察局や郵政省の医療機関、教育機関を初めとする本省の経費、そうしたものは国が負担して当然です。郵政大臣は、私の質問に答えて、郵政部門の人件費が大臣以下四名分しか一般会計支弁になっていないことは確かに矛盾がある、見直しの必要がある、そのように答弁をされたではありませんか。さらに第三種、第四種の公共割引料金も国が支出すべきである、郵便法の精神に照らしてこれも当然のことです。これらの道理ある、そして当然の措置をとれば、現行料金で直接経費は賄え、そして値上げしなくても済むということはわが党が明確にしてきたところです。  現行郵便法の立法のとき、政府が独立採算制は時の政府の財政方針であり、郵便の本質を束縛するものではない、そのように言明したことを私は繰り返し指摘をしてまいりました。しかし、政府は、この指摘に対しても何ら具体的な措置をとろうとしないばかりか、どのような場合に一般会計から繰り入れることがあるのかという条件さえ明らかに示せなかったんです。  わが党は、すでに、料金値上げをしないための郵便事業にかかわるこれらの財政が真に国民の立場に立った政治姿勢を確立することによって十分生み出せるものであることを国会内外に明らかにしてきました。いまこれを繰り返しませんが、わが党が提起し、多くの国民に支持されているこれらの道理ある主張に政府が一切耳をかさず、しゃにむに値上げを押しつけようとすることは、まさに国会審議を形骸化し、国民の声に背を向ける三木内閣の反動的、反国民的体質を露呈したものであると断ぜざるを得ません。  なお、修正案につきましても、以上の観点から、国民の期待にこたえ、問題の解決に達し得ない、そういう立場で反対をいたします。  以上、わが党が本法案に断固として反対するものであることを表明いたしましたが、ここで、私は、郵便料金値上げ法案の審議を通じて、再三再四、政府が国民の声や各党の意見にまじめに耳を傾け、誠意を持って対応するよう要求したにもかかわらず、郵政大臣を初め政府は、本日の三木総理の答弁も含めて、最後まで言い逃れと値上げを強行する姿勢に終わったことを心からの怒りを持って国民の皆さんに訴えるものです。このことはどんな弁明をしようとも政府、自民党が議会制民主主義を否定し、国会を自分たちの意のままに動かす道具にしようとする以外の何物でもないことを厳しく糾弾をいたします。  最後に、私が一貫して主張してまいりました公聴会の開催や、参考人質疑が行われないままに、与党の多数をもって採決、可決するという段取りになることには反対であるという意思を表明いたしまして、反対の討論を終わります。
  181. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、民社党を代表し、ただいま審議されております郵便法の一部を改正する法律案に対して反対、民社党提案の修正案に賛成をするという立場から討論を行うものです。  私どもは、公共料金何でも反対というのではありませんが、現下の不況、物価舟の中での大幅値上げは許されないという立場で、合同の郵便料金値上げに終始反対を続けてまいりました。  私どもが反対をする第一の理由は、いまも触れましたが、不況下のインフレ下にあって国民が二重の重圧に苦しんでいるさなか、さらにインフレという火中に油を注ぐ公料料金値上げ、これを断じて容認できないからであります。  第二の反対理由は、郵政事業の経営が旧態依然として惰性的姿勢に終始し、経営の近代化、合理化、生産性向上の推進、規律ある職場秩序の確立、暴力事件の一掃、近代的労使関係の樹立などに対する積極的かつ意欲的な改革の姿勢が全く欠けているからであります。  第三の理由は、電話などほかのコミュニケーション、情報手段との関係を不明確にし、情報化社会の中における郵便無業のあるべき姿、役割り、使命などの長期ビジョンが確立されていない点であります。こういった長期ビジョンを欠いた財政再建計画は必ず失敗に終わり、さらに国民負担の増大に拍車をかけることは必至であると言わざるを得ないのであります。  私どもは、以上申し上げました理由に基づき、値上げ法案に反対してきたのでありますが、国会の終盤を迎え、このまま推移するならば、政府案どおりの大幅値上げが断行されることが必至となった情勢を踏まえ、ささやかではありますけれど、国民負担を軽減するために、第一種料金の値上げ幅を二・五倍から二倍に縮小するとともに、施行日を五十一年二月一日に改正することを内容とした修正案を国民の前に示したのであります。  しかしながら、政府、自民党は肝心かなめの値上げ幅の縮小を入れようとしませんでした。こういった姿勢こそ国民軽視の政治の最たるものと言わなければなりません。他方、大方の野党は、政府原案のまま成立することが必至となったにもかかわらず、廃案ということに終始し、国民負担の軽減という成果を捨てたのであります。こうしたオール・オア・ナッシング、つまりゼロか一〇〇%かという姿勢もまた国民不在の政治姿勢であると申し上げるべきでしょう。さらに参議院のあるべき姿からもほど遠いものであります。私は、政府、郵政当局に強く反省を求めると同時に、ぎりぎりの段階まで国民負担の軽減に努めるという政党の使命を忘れた大方の野党に対しても反省を求めて、反対討論を終わります。
  182. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 他に御意見もなければ、(「まだあります」と呼ぶ者あり)討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決を行います。  まず、木島君提出の修正案を問題に供します。木島君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  184. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 少数と認めます。よって、木島君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり)   〔賛成者挙手〕
  185. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、村上郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上郵政大臣。(「いいかげんなこと言っちゃだめですよ」と呼ぶ者あり)
  187. 村上勇

    国務大臣村上勇君) このたびは、非常に御慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論されました事項は、ことごとく私どもに対する深い御教訓として拝聴いたしました。これらの点を今後の郵便事業運営面に生かしてまいりまして、当委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。まことにありがとうございました。
  188. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会      —————・—————