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1975-12-16 第76回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  十二月十三日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     対馬 孝且君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 大島 友治君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 佐多 宗二君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 最上  進君                 案納  勝君                 対馬 孝且君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        経済企画庁長官        官房参事官    朴木  正君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房首        席監察官     永末  浩君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       中市 彩也君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        環境庁大気保全        局企画課長    山崎  圭君        大蔵省理財局資        金第一課長    石川  周君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本消費者連盟        代表委員     竹内 直一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵便法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、日本消費者連盟代表委員竹内直一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 案納勝

    案納勝君 郵便法審議は、すでに御案内のとおり、さきの七十五国会廃案になり、また、この臨時国会でも今日まで慎重に審議が繰り返されてきております。まず冒頭に、私は、大臣お尋ねをしたいと思います。  いまも申し上げましたように、七十五国会では廃案にされ、再度提案をされた法案であります。で七十五国会で、当委員会で慎重に審議をする過程で、私ども日本社会党を初めとして、野党各党は、今日、不況インフレ谷間に苦しむ国民生活を守り安定をさせるために、一つは、インフレを助長し、そしてそればかりでなく不況をも長引かせるような結果をもたらす政府主導型の公共料金引き上げについては行うべきではない。この点をまず第一点として、さらに今日危機的な状況にある郵政事業、この全体を見たときに、単に目の先で料金を上げればいいということでなくして、全体を見直して、長期展望に立って国民合意協力を求めていくということが必要ではないのか。三点目は、その意味で、収入支出にわたって合理的な検討を行うべきであるということを主要な柱にして、大臣事務当局見解をお聞きしてきたところであります。  この過程で、貴重な意見が出され、討論が行われて、大臣初め事務当局検討を約束されたことが幾つかあるのであります。ところが、今日、廃案にされて再度この臨時国会提案をされた法案と、今日までの審議過程を見ますと、国民の負託にこたえて慎重に審議をしてきたその経過は全くどこかに吹っ飛んでしまって、全く同じような答弁繰り返しで今日まで推移をしているのであります。私は、この委員会慎重審議を尽くしていくというのは、今日の国民の置かれている生活実情不況の中で苦しんでいる国民大衆立場に立って、真にこの郵便法の改正問題をめぐって、本来、その立場をくみ上げて、この臨時国会には大臣なり事務当局からそれらについての具体的な提起がなされてしかるべきだろうと思う。  私は、こういう立場に立って、まずお尋ねをしたいのは、大臣は、このさきの七十五国会で慎重に審議をして廃案になった、この事実をどのように理解をされておるのか、その上に立ってどのような考え方でこの臨時国会に再度この法案提案をされているのか、そのお考えをまずお聞きをいたしたいと思います。
  7. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便法改正案は、前国会におきまして慎重に御審議をいただき、衆議院におきましては可決していただいたのでありますが、残念ながら審議未了となったのであります。  その後におきましても、種々検討いたしました結果、窮迫した郵便事業財政の基盤を立て直し、郵便業務の運行を確保するためには、どうしてもこの改正案の成立がぜひとも必要であると考え、再び御審議を願っておるような次第でございます。
  8. 案納勝

    案納勝君 いま大臣のお言葉をお聞きしましたが、そのお言葉は従来法案提案をされたときに趣旨弁明をされた、あるいは七十五国会でのお言葉繰り返しにすぎないと思うのです。  私は、ここでお聞きをしたいのは、七十五国会慎重審議をして廃案になった、それだけ廃案になったということは、審議過程で多くの検討をすべき課題提起をされ、この郵便料金値上げについて国民の多くの意見が、今日の国民生活安定のためにはもっと国民合意を得るべきだと、こういう点で私は廃案になったと思います。そうして、しかも、その審議過程検討された主要な多くの問題の柱や課題があります。これらについて、私は、改めて提案をされるとするならば、大臣から七十五国会に出された問題点についてはこのように対処をしたいと思うということで提起をされて臨時国会提案をされるというのが本当ではないかと、大変実は不満に思うのです。そしてしかも、いままで、先ほど申し上げましたが、多くの同僚委員質疑繰り返してきましたが、全く一つの七十五国会繰り返しにしかすぎない。きわめて不満であり納得できないのであります。  そこで、私は大臣にもう一回お尋ねしますが、いまから私は幾つか問題を指摘をしていきますが、七十五通常国会及びこの臨時国会の今日までの審議過程で、大臣検討を約され、あるいは事務当局検討しなくちゃならない課題として受けとめた問題等について、この委員会を通じて明らかにしつつ、国民合意協力を求めるという立場に立って前向きで誠意を持ってこたえていくという用意があるかどうか、大臣見解をまずお聞きをいたしたいと思います。
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはもう申し上げるまでもなく、国会の御審議につきましては、十分私は誠意を尽くして、また私がいままでいろいろと申し上げました約束等につきましては、これをどこまでも実行してまいりたいと、かように考えております。
  10. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、まず、経済企画庁お見えになっていますね、お伺いいたします。  先ほど大臣にも質問をいたしましたが、私たちが七十五国会等で、公共料金政府主導型の物価引き上げについて多くの危惧を持ち、国民生活安定のために今日まで郵便料金等値上げの問題については審議をしてきた。で今日、私どもが七十五国会でその危惧を大きく主張し、指摘をしたりしてきたのであります。  当時、福田総理あるいは村上郵政大臣は、今日の物価不況、この谷間の中にある国民生活を考え、第三次不況対策等を積極的に進めながら、物価抑制についてはその基調を崩さず、明年の三月の段階では定期金利を下回る物価上昇に抑えていく、そういうことを公約をし、繰り返し答弁をしてきました。ところが、当時七十五国会で論議をした状況と今日の段階では大きくその見通し状況変化をしていると思うのであります。インフレ対策のために政府がとった画一的な総需要抑制政策誤りによって不況はますます深刻化しています。中小企業の倒産は相次いでいます。それで第四次不況対策も効なく、第五次不況対策を打ち出したものの、民間設備投資の冷え込みや国際市況の停滞や、あるいは最大な柱である個人消費落ち込み等も喚起をされず、その実効が危ぶまれている。物価高インフレも、今日、政府がしばしば約束したにかかわらず、六月以降軒並みに公共料金引き上げられています。あるいは主要な産業鉄鋼関係、石炭、石油石油製品、多くの産業製品引き上げが行われています。あまつさえ十月にはOPEC原油一〇%の引き上げなどが絡んでいます。これらが消費者物価にはね返り、ますます狂乱物価に引き続いたこのインフレ国民生活を苦しめているというのが現状であり、不況がさらに深刻化しているというのが今日の実情だと思う。  そこで、当時、私どもが七十五国会審議をしてきた経過を振り返ってみて、それ以後、いま申し上げたような幾つかの条件が大きく変化をしていることについて、経済企画庁は、その動向をどのように把握をしているのか、この点をまず明らかにしてもらうと同時に、七十五国会で明らかにされた見解とどのように違いがあると見ているのか、この辺もひとつ明らかにしていただきたい。
  11. 朴木正

    政府委員朴木正君) 物価問題はわが国の経済の安定のために一番重要な問題であるという認識は、前国会も今国会も変わっておりません。したがいまして明年三月におきましては消費者物価上昇率を一けた台におさめるという大方針のもとに努力をいたしておるわけでございます。  ただ、その間、いま御指摘のありましたように、景気が停滞いたしておりますので、物価安定を前提としながら、その範囲内で景気回復にも力を進めるということで四次対策がとられておるわけでございます。そうした景気回復物価の安定を調和させつつ経済のかじ取りを進めるということでございます。
  12. 案納勝

    案納勝君 もう一回お尋ねしますが、端的に言って、六月の時点で、日本経済全体を見通しをして不況対策インフレ対策というのを考えて、地方公共料金引き上げ等は、福田総理は、できるだけ抑えていきます、政府主導型のそういう公共料金物価引き上げにならぬようにします、その上に立って定期金利以下に物価上昇を抑えていきます、郵便料金はその中に織り込まれたものでございます、こう言っておりました。  ところが、御案内のとおり、それ以後の公共料金値上げというのは米価に始まり、地方公共料金は軒並みであります、水道、公営交通あるいは国鉄料金あるいは大手私鉄料金、あるいはこの間可決されましたたばこ、酒、そして今後予定をされています国鉄運賃値上げ電信電話料金値上げあるいは国立大学授業料値上げ、塩、麦、有料道路等通行料値上げ等メジロ押しである。これらも織り込まれておるというふうに理解をされているのか。きわめてむずかしい。しかもOPEC原油一〇%の引き上げなどの物価へのはね返り、こういうものを織り込まれた上で、私どもの考えておりました六月時点における経済見通し誤りはありません、こういうふうに言われるのかどうか。今後、先行きの問題等についての見解を明らかにしてもらいたい。
  13. 朴木正

    政府委員朴木正君) 本年度消費者物価上昇率を一けた台、九・九%以内におさめるという大前提のもとに、各種の公共料金値上がり等につきましては慎重に検討いたしました結果、受益者負担あるいは各事業体赤字の軽減といったような観点からやむを得ないものと認めまして、値上げに踏み切ったわけでございます。しかし、これが値上げされましても、消費者物価一けた台は一応達成可能と見ておる次第でございます。
  14. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、もう一点お尋ねします。  六月以降に引き上げになった公共料金及び主要な産業製品値上げ実態消費者物価に及ぼす影響について、どのように把握をされているか、説明をしてもらいたい。
  15. 朴木正

    政府委員朴木正君) 五十年の九月一日に政府売り渡し米価が一九%上がっております。これによりますCPIへの影響度は〇・七%でございます。  それから国鉄料金、これは寝台料金であるとか特急料金等が上がっておりますが、平均いたしまして三二・二%の値上げになりますが、これの物価指数への影響は、これは総理府統計局でいろいろ統計とり方等について検討をしておるようでございますが、一応、計算では〇・一%程度と見込まれております。これは十一月二十日でございます。  それから大手私鉄が十二月十三日に平均二四・八%の値上げがございまして、これの影響度は、消費者物価指数では〇・一%でございます。  それから、たばこは十二月十八日、平均四八%ということでCPI影響度は〇・六%でございます。  それから酒税は、これは税金でございますので正確には物価という点は問題ございますが、来年の一月十日で酒税平均一五%から二二%上がりますが、これの影響度は〇・一%ということでございます。  それから地方公共料金の主なものは、東京都の上水道が二・五倍に九月一日から上がっておりますが、これが〇・一%。それから大阪、名古屋、神戸、京都、横浜の五大市公営交通が十月、十一月、十二月とそれぞれ分かれておりますが、バス、地下鉄料金が上がっておりますが、これのCPIへの影響度は〇・〇四%でございます。  なお、今後予定されるものといたしましては、きょうの米価審議会にかかっております麦価引き上げ問題がございます。これは審議会の答申があった後で決定されるものでございますが、仮に試算いたしまして二〇%政府売り渡し麦価が上がりますと、消費者物価指数では〇・〇九%の引き上げになろうかと思います。  なお、現在審議されております郵便料金につきましては、政府原案で試算いたしますと〇・二%の影響度でございます。  それから産業関係物資でございますが、鉄鋼が九月の出荷分からトン当たり六千八百円値上がりをいたしております。これの影響度は、消費者物価指数には直接採用されておりませんので関係ございません。卸売物価指数で〇・六%程度影響が出てまいるかと思います。ただ、市況が現在非常に低迷いたしておりますので、このとおり影響が出るかどうかは疑問がございます。  それから石油につきましては、OPEC値上げがございまして、通産省の石油審議会等でいろいろ標準額設定等がございまして、平均で二千七百円ばかり値上がりをいたしております。一キロリットル二千七百円程度値上がりでございますが、これの消費者物価への影響度は〇・〇五%でございます。それから卸売物価指数につきましては〇・四%程度でございます。これは標準額が告示されましたらこのとおり上がるかどうかは、石油精製側需要家側交渉が今後行われるわけでございまして、その辺のいかんにかかるだろうと思いますが、理論上の計算値としてはいま申し上げたような程度でございます。  そのほか洋紙がございますが、これもキログラム当たり十五円から二十円程度値上げがございますが、直接消費者物価指数には影響はございませんで、卸売物価指数に〇・六%程度影響が出るかというぐあいに考えるわけでございます。  あと、今後、鉄鋼がその残り三千円の値上げ交渉をしたいとかいうような話もございますが、経済全般の動きの中でどこまで値上げが貫徹するか、今後、両者——需要家・メーカーの交渉次第であろうかと考えます。
  16. 案納勝

    案納勝君 今後、予定されている国鉄運賃八割値上げ電報料金二倍値上げ電話料金、さらには国立大学あるいは公営大学東京でいうならば都立大、そういった地方大学あるいは私立大学等授業料値上げ等、どのように判断をされていますか。
  17. 朴木正

    政府委員朴木正君) いま御指摘のありました国鉄運賃電話料金あるいは大学授業料等は、本年度の問題ではございませんで、明年度以降の問題になろうかと思います。したがいまして、これにつきましては来年度予算の編成その他の過程におきまして、今後、十分慎重に検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  18. 案納勝

    案納勝君 公共料金引き上げでいま説明がされました。確かに消費者物価指数等の中では、全部合計をしまして、ことしの九月から、説明されただけで約二・七%、こういう公共料金引き上げ国民生活への大きな影響をもたらしていることは否定することができない。  私は、最後に、経済企画庁にお聞きしますが、こういう物価引き上げというのは、今日、需給ギャップが十五兆から二十兆に上るという、こういう不況の長引いている、深刻化している中で、逆にその不況を長引かせていく結果にしかならない。インフレ物価高をあおるだけでなくして不況を長引かせる結果にしかならないというふうに私は理解をします。これに対する経済企画庁見解はいかがですか。
  19. 朴木正

    政府委員朴木正君) 公共料金値上げにつきましては、一般の物資と違いまして市場価格が成立しにくいものでございますから、過去の石油ショック以来の赤字等累積等もございますので、そうした面を配慮して、政府の認可によりまして価格を決定するという仕組みになっております。当初は、本年度内にも国鉄運賃とか電話料金等値上げの話もございましたわけですが、極力それは抑えまして、最小限やむを得ないものとしていま申し上げたようなものを取り上げたわけでございまして、そうした配慮をいたしまして、消費者物価を安定させることによって経済の安定につながるというような配慮を十分いたしたつもりでございます。
  20. 案納勝

    案納勝君 私は、いま説明を聞いただけでも、また今後予想される公共料金引き上げから見ても、この種の政府主導型の公共料金引き上げ、なかんずく二倍から五倍に上る郵便料金引き上げが、今日の不況を長引かせるだけでなくして国民生活にきわめて重大な影響を与えていくということについて否定することはできません。その立場で、政府主導型の郵便料値上げ法案についてはその面から見ても賛成をすることはできないことだけは明確にしておきたいと思います。  次いで、私は具体的な中身についてお聞きしたいと思います。  まず、私は郵便事業長期展望についてお尋ねをしてみたいと思います。これは私は四十九年度までの、あるいは五十一年度までの収支の見通しについて、さき通常国会審議の場でお聞きをいたしました。ここで改めてお聞きをしていきたいと思います。  まず、政府から提案をされております今日までの赤字は、累積はどのようになっているのか。年度別に申しますと、四十六年に、この前、郵便料金引き上げになりました。したがいまして四十七年、四十八年、四十九年、これらの平年度赤字はどうなったのか、そうして累積赤字は四十九年度末で幾らになっているのか、これをまずお聞きしたい。
  21. 高仲優

    政府委員(高仲優君) お答え申し上げます。  四十九年度末におきます赤字額は千二百四十七億一千四百万円でございます。
  22. 案納勝

    案納勝君 もう一回。
  23. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 四十八年度末におきましては赤字はございません。したがいまして四十九年度において出ました単年度赤字がすなわち四十九年度までの赤字の累計と同額になるわけでございまして、その金額が千二百四十七億一千四百万円と相なっております。
  24. 案納勝

    案納勝君 五十年度段階での見込み幾らになりますか。
  25. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十年度は目下年度進行中でございますが、当初予算におきまして予測いたしました赤字額は六百一億円と相なっておりますが、その後、補正予算を組みました段階におきまして三百六十三億円増加いたしております。すなわち合計額といたしまして五十年度赤字見込み額は九百六十四億円と相なります。したがいまして五十年度末におきます累積赤字は二千二百十一億一千四百万円と相なる次第でございます。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光君着席〕
  26. 案納勝

    案納勝君 もう一回重ねてお尋ねしますが、五十年度の場合は、今日まだ最終計数は出ませんね。ただ見込みの中で郵便料金値上げについては十月から見込んで予算が立てられたと思いますね。そこで郵便料金法案審議が今日までおくれてきています。そうなりますと、先を見通しをした場合に、さらにその赤字累積を含んでいま報告された数字なのか、その点お伺いしたい。
  27. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま私が申し上げました数字補正予算数字でございまして、先生がおっしゃいましたように、その後料金値上げ補正予算で想定いたしましたより延びておるのに従いまして、実は、赤字の額は増加いたしておる次第でございます。  これを少し御説明申し上げますと、五十年度予算で当初見込みました六百一億円という赤字は、十月一日に料金値上げを実施することができるという前提で見た場合でございます。それが三百六十三億円ふえたということは、これが十一月一日実施になったことに伴う減収分と、それからベースアップに伴う経費の所要増というものを合わせました結果、それだけに増加いたしております。  なお、十一月一日はすでに去っておりますが、十一月一カ月分の値上げが延びたことによる減収額と申しますか、収入落ち込みは大体一カ月分二百五十億円程度。それから年賀はがきを十円のままで発売いたしております関係予定がはずれたと申しますか、収入が減った分が約百六十億円程度。なお、さらに十二月に入りましても実は予算に比べまして落ち込んでおるわけでございますが、大体十二月分の収入は、収入といいますか、十二月分として料金値上げを実施いたしました場合増収となる金額は、一カ月、約二百六十億円程度ということになりますから、十二月半ばまで過ぎておりますので約百三十億円さらに減収と相なっておるというのが実態でございます。
  28. 案納勝

    案納勝君 それを入れて、見通しとして五十年度年度末で二千二百十一億という赤になる、こういうふうに理解していいんですか。
  29. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 二千二百十一億は、実は、九百六十四億円の赤、すなわち補正予算ベースで私申し上げたわけでございますから、ただいま申し上げました減収額、すなわち十一月中約二百五十億円、年賀はがき約百六十億円、十二月十五日までといたしまして約百三十億円の減収額、これを合計いたしますと約五百四十億円になりますが、それを足し合わせますと二千七百五十一億円程度赤字に相なるものと推計される次第でございます。
  30. 案納勝

    案納勝君 そうしますと、五十年度についてはわかりましたが、五十一年度、平年度の場合に、仮に郵便料金が、今回の法案が仮に通過をしたとして五十一年度見込みはどのようになりますか、平年度として。
  31. 高仲優

    政府委員(高仲優君) まだ予算政府案がまとまる段階ではございませんので、私ども概計要求という形でまとめた数字に基づく数字を持っておる次第でございますが、概計要求ベースで見まして五十一年度は約百二十億円の赤字に相なるものと推計いたしております。
  32. 案納勝

    案納勝君 その概計要求の中の収入幾らに見込んでありますか。
  33. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十一年度概算要求額の収入について申し上げますと、郵便業務収入につきまして七千百七十二億二千八百万円、その他雑収入のうち郵便業務の取得いたしまする分といたしまして四百二十六億円、合わせまして七千五百九十八億円を予定いたしております。正確に申しますと七千五百九十七億八千二百万円でございます。
  34. 案納勝

    案納勝君 私の方の手元にある資料によりますとね、これは見込み額ですが、五十年十月一日に郵便料金が改正をされたという前提に立って五十一年の見込みについて、これ平年度です、累積を別にして七千五百二十二億と資料にあります。これは若干のそごはあるでしょう。支出については八千二十九億と見込まれている。そうすると、収支の差額は五十一年度年度では五百七億の赤になる、こういう資料が私の手元にあります。この資料は大体若干の数字のでこぼこがあっても、いままで出された数字、資料はほとんど同じような数字を使われておる。としますと、いまあなたは百二十億平年度では赤字だと、こう言われましたが、これはどういうことなんですか。
  35. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 私がただいま御説明申し上げましたのは、概算要求ベースに基づいて御説明申し上げたわけでございまして、実は、言葉が足りませんではなはだ申しわけございませんでした。  平年ベースでというお尋ねでございましたので、当然予測されるベースアップ分を入れてお答え申し上げなければならなかったと存じます。概計ベースでございますと五%の給与改善原資のみを含んでおります。来年度の、しからばベースアップが幾ばくになるかということにつきましては、確たる数字と申しますか、根拠はないのでございますが、仮にベースアップを一二・三%と考えました場合におきましては、先ほど申し上げました百二十億というのが、これはもっとふえまして三百五十五億円ということに相なります。収入の面につきましては変わりませんですが、収支差額三百五十五億円、このように予測しております。
  36. 案納勝

    案納勝君 そうしますとね、要するに通常国会で論議をして、なぜ赤字の原因になるのか、どこが赤字の原因なのかという質疑が行われましたが、それはベースアップ、人件費が八〇%以上を占める企業の特質として人件費の占める役割りが大きい、これは郵便事業の宿命的なものですね。それでしかも、必ずしも職員のベースというのが民間と比較して高いのかというと、逆に低いんですね、大臣御存じのとおり。今日の計算でいっても五千円から低いんです。したがって、この宿命的な郵便事業の置かれている現状を考えて、そして先行きを考えた場合、いま高仲さんは五%の予算概算要求を見た場合でも百二十億の赤字になる。ところが五%なんということで落ちつくはずはありません。今日きわめて低い賃金、民間の水準よりも五千円も、統計のとり方によっては一万円も低くなる、こういう職員の賃金の実情から考えてみても、今日の趨勢からいって、物価高等を考えても五%に落ちつくはずはないんです。そうしますと、いま言われる昨年並みの一四%ないし一五%をとるということになると、これは三百億ないしさらには四百億という具体的な赤字が上積みをされてくることになるのではないか。  ということになりますとね、大臣、このまま郵便料金値上げをしていっても、要するにもう明年度の平年度赤字で、五十二年度赤字で、五十三年度赤字になります。累積の方は五十年度累積が二千三百億、五十一年度でさらには二千八百億ないし三千億、十月一日の実施が延びただけに、またそれに上積みされてきますと、累積赤字というのは実はふくらむだけで、それに対する見通しは全く立たぬということになるわけですね。この辺はどうですか。
  37. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 収支予測の面から見まする限り、先生おっしゃいますように、ただいま御審議いただいております郵便法をそのままお認めいただいたといたしましても赤字は続く次第でございますが、やはり私は現在の郵便法の規定あるいは現在の郵便利用の実態という点から考えまして、なるべく独立採算の線を守るように努めていかなければならないと考えておりますし、また、この郵便法改正案をお認めいただくことによって事業経営の健全化という点につきましては大いにプラスになるものである、このように考えておる次第でございます。
  38. 案納勝

    案納勝君 よくわからないんです、プラスになるものであるということですね。  私は、大臣お尋ねしますが、これは七十五通常国会でも大臣にあるいは大蔵省にお尋ねをしたことなんです。私たちは大臣との通常国会での質疑のやりとりを通じて、郵便法第一条、国民の随一の通信手段である郵便事業というものをあまねく公平に、そして本当に国民がそのサービスを享受できるように、国営企業としてそれを確保していくという使命を私たちは持ってきておる、郵便事業は。そして私がここで言うのは、その立場に立って考える場合に、形は——中身についてはいまから論議するとしても——どうであれ、収支適合ということを私は否定するつもりはないのです。そうしますと今回の郵便料金値上げは大幅に引き上げられます。そういう重大な郵便事業の使命を私たちは持っている——私たちはというのは郵便事業として。料金値上げを二倍から五倍、このように上げました、ところがすでに平年度から赤字でパンクの状態が続きます、五十一年度赤字で五百億あるいはもっとふえるかもしれません、あるいは五十二年度はもっとふえてくる、これはもうはっきりしている、そういう状態で、郵便事業の将来について国民の皆さん理解協力をいただきたいと、こう言ったって、国民の皆さんはそんなこと何言うかということになるのがあたりまえじゃないでしょうか。  ここで大臣に聞きますが、累積赤字はこのようにふくらんでいる、料金値上げしたって、もう平年度、初年度から赤字が五百億を超えてくる、大体どうしようとするつもりなのか。じゃ、また再び郵便料金値上げを来年やるということを考えておられるのか、国民に対して、単に、これは独立採算制でございますからという理屈にならないんです。この郵便事業の展望、先行きについて、ひとつ大臣の決意、意のあるところを明らかにしてもらいたい、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  39. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 今回の料金改正案は、物価の抑制という全く緊急の方針に基づきまして、実は四十九年度の実施を見送ってきたわけであります。五十年度以降につきましても、はがきを二十円に抑えたことなどもありまして、これはもう先生御承知の郵政審議会の答申には、はがきを三十円というような答申がありましたが、これをなるべく安い料金でというような観点から、大衆の利用の多いはがきについてこれを十円下げたというようなことなどもありまして、収支の均衡を図り得ないことはもう案納先生の御指摘のとおりであります。  しかしながら、これを仮に料金改正が行われないとした場合の破局的な収支、いわゆる三年間で七千億以上の赤字が出るというような、全くこの郵政事業の壊滅に近い収支になりました場合のことを考えますと、少なくとも人件費程度収入を、増収を図るということはきわめて私は妥当なお願いであろうと、かように思っております。事業環境の好転と、また従業員、われわれ一同の努力次第ではやがては明るい見通しが得られるところまで回復するのじゃないかと思っております。ことに五十一年度の単年度の収支は概算要求で百二十億円の赤字ということは、収支均衡にもう一歩というところまできておりますので、明日に期待することのできる郵便事業にするためには、この際のこの料金の改定案をぜひひとつ私どもとしては御賛同賜りたいと、かように思っております。
  40. 案納勝

    案納勝君 私は、大臣ね、よくわからないんですよ。  均衡を図らないで——いままでのこの委員会での審議では、収支相償う独立採算制でございますからと言って、各委員の質問に対しては一貫してそのことについて突っ張られてこられた。私はね、いまの答弁を聞いておりますと、今日累積赤字が五十年度で二千三百億、で、さらにこの三年間あたりで七千億に、料金値上げをしなければ、実はきそうだと、事業が破滅をする、そこで実は郵政省としては四十八年の郵政審議会の答申を得て四十九年度から郵便料金値上げをしたかった、ところが物価抑制の問題があってさらにこれが一年見送られて、はがきに至っては半分ほどに削られて、十月一日ということになりました、こういうまあ答弁をされていますね。  仮にここにある郵政調査時報十四巻なんかを見ても、今日の物価の動向やその他を見て、赤字が少なくとも五十一年度以降にはなくなるというような私はそういう甘い内容ではないように思うんです。郵政審議会の答申は、両三年間の収支を見、均衡を図るため、というのが提案をされた趣旨なんですね。郵政審議会は、いま大臣の言われるように、値上げをしても赤字累積をしていきます、平年度赤字になります——この言い方は収支の均衡を図らないでも済んでいくということにつながるんですが、そういうことを是認をして、今回出されている郵便料金値上げについて答申をされたというふうに理解されます。  また、私は、大臣にお聞きしたいのは、いま出されている内容で、いまの説明を聞きますと、郵便事業はどうせ赤は赤で何とかなるんだと、いずれにしても均衡を図らないでもいいんだと、こういう事業なんだというふうで、今後もそのことについてはそのままそういう形で進められるんだと、こういうふうに受け取ってもよろしいですか。この点いかがですか。
  41. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私が申し上げたいのは、その収支のバランスに多少の狂いがありましても、とにかく当時の物価抑制政策と申しますか、非常に物価の高騰、悪性インフレを防止するという大きな題目のもとに——この法案提案された当時のいきさつから見ますと、今日、物価が非常に落ちついて、十数%が一けた台になろうとしている今日では、ああもすればよかったこうもすればよかったということも気がつきますけれども、当時とすれば、やはりこれが国民に対すると申しますか、一般の人たちに対して私どもとしては最善の方策であったんではないか。かように思って、本当にこれは恐る恐る実は値上げ要求をしているというようなことでありますので、この辺ひとつ、理論的には全く先生の言うとおりでありますけれども、そのときの事情はやむを得なかった時代でありますので、御了承賜りたいと思います。
  42. 案納勝

    案納勝君 そこで私はもう一回お尋ねをしますが、この前の六月十七日の通常国会における逓信委員会審議の中で、これらの累積赤字については五十一年度予算編成の際に十分に関係当局とも打ち合わせをして、将来の郵便事業が財政的にも基盤が安定するように折衝し措置をしていきたい、こういうふうに述べているんです。また出席をしていた大蔵省主計官からも同じような趣旨が説明をされています。  五十一年度すでに予算については郵政省の態度は明らかにされ、会計要求は出されています。で予算折衝もある程度行われている。最終的予算はまだ決まってないようです。この段階で、どのような態度を郵政省としては持って大蔵省と折衝をされているのか、これが第一点です。  もう一つは、第二点は、大臣は恐る恐る出されたと言います。私はここで言いたいのは、大臣が従来から言っておられた、要するに受益者負担方式あるいは郵便事業の持つ公共性のその性格からいっても——だから受益者負担方式だけで郵便事業というものについてはやっていけないという事実がこの中で明らかになったのじゃないでしょうか。今日置かれている郵便事業実態からいっても、何らか政府がみずからの政策の中で郵便事業に押しつけてきている福祉政策的なもの、こういう面についての一般会計あるいは政府の何らかのこれらについての具体的な措置が伴わなければ、郵便事業の将来というものも、国民に対するサービスもむずかしくなるという実態を暴露しているのではないでしょうか。  大臣は、物特との連合審査の際に、福田総理及び郵政大臣ともに、同僚議員の質問に答えて、独立採算制である郵政事業であるけれども、絶対に一般会計や国の財政からこれに対する措置を行わないということはあり得ません、絶対にそういうことはないということはありませんというふうに答えています。これは村上さんも福田さんも答えられた。さき委員会で同じようにこの問題について質問がありました、同僚議員から。これについては立法上の問題だというので突っぱねられた。私はあの答弁を聞いていて大変不可思議に思った。ここは立法府なんです。  で、私はこれは余り申し上げませんが、いま言うきわめて重大な破滅的な状態に来ているときに、もはや受益者負担などということで郵政事業の将来展望を持ち得ないという現状をお互いに認識することができるなら、この郵政事業国民の負託にこたえていくためにも、私は六月の逓信委員会では公共事業というものについてのやりとりをやりました、この際きわめて窮屈な財政事情にあることを私たちもわかっているけれども、その筋道を明確にした上で将来の展望を立てるように国民の前に明らかにすべきときではないだろうか、こういうふうに私は考える。でなければ、そこに働いている人も国民も全くお先真っ暗でその希望すら見出すことのできない郵便事業というものについて協力も気力もわいてこないと思います。  その辺について、二点にわたって大臣のお答えをいただきたいのです。いまこそそういう措置をとるべきではないのか。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  43. 高仲優

    政府委員(高仲優君) お尋ねのまず第一点、大蔵当局と具体的にどういう折衝をしておるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、目下、関係当局と折衝中の段階でございまして、まだ結論を申し上げる段階には至っておらない次第でございます。  その次に、繰り入れの関係についてのお尋ねでございますが、一般会計からの繰り入れということは、これは法律上は可能な問題であることは当委員会において以前にもお答えいたした次第でございますが、一般会計からの繰り入れを行うに当たっては、従来の先例を見ますると、単独の法律を立法いたして、その法律に基づいて措置しているということ。それからもう一つが……
  44. 案納勝

    案納勝君 それは言わぬでいいから、大臣答弁してもらって——そう言えば、またこっちも意見があるから。
  45. 高仲優

    政府委員(高仲優君) それから独立採算ができるのか、できないのかというお尋ねでございますが、これは先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、物価対策物価の抑制という意味から値上げをお願いする時期がおくれたということ、また値上げをお願いする値上げ幅を物価抑制の見地から抑えたという点から、来年度におきましても赤字が見込まれるということになっておるものでございまして、郵政審議会の答申におきましては、先生もおっしゃいましたように、三年間の収支の均衡をとるというたてまえでの答申をいただいておる次第でございます。
  46. 案納勝

    案納勝君 大臣に私はお尋ねしたんだけれども、後から答えてください、いまの。  高仲さんね、実施の時期がおくれたこともあり、さらには料金が、はがきがさらに提案をされたものから引き下げられた、そういうことがあって実は独立採算制を守られませんでしたと、こういま言われましたね。それは少しおかしいんじゃないの。  じゃお尋ねしますが、四十八年に審議会が答申をした一種、二種、三種、各種類別の料金値上げというのは、いま出されている料金値上げとこれ同額ですか、違うでしょう。要するに、私がこの間の六月の委員会でも言ったんですが、あなたたちは物価抑制のために一年間値上げをずらしましたと、こう言われました。しかし、ずらしたものは結局その後国民の肩にかぶってきているんじゃないですか。二十円、三十円の当初の料金値上げについての審議会の案がそのまま一年間据え置かれて提案をされてきたというならば、私はそれなりの評価はできますよ。ところが一種は三十円に引き上げ予定だったのが今度は五十円になって提案されてきているじゃないですか。結局、口先では一年間引き延ばしをされましたと、そのことが財政上独立採算制を崩す結果になりましたとあなたは言われるけれども、引き延ばされたこの一年間は、その分そっくり国民の肩にかぶさってきて、五十円の料金値上げになってきているということは、あなたたちの理屈なんというのは全くおかしなものじゃないですか。そういう理屈にならぬでしょう、あなたの言うような。もっと素直になった方がいいと思うんだ、この段階では。  いま、あなたたちも含めて郵政事業郵便事業というのは先行きどうなっていくのか、自信を持っている人があったら手を挙げてくださいよ。きわめて厳しい破滅的な状態の見通し、私自身も持っています。ここで思い切って、私どもは、やっぱり郵政事業の中で郵便事業の置かれている幾つかの問題についてメスを入れていかなくちゃならぬ時代だと思う。  まず最初は、財政の収支について、将来、国民に対して受益者負担というだけじゃなくて、公共性を守れるという筋道を明らかにする展望をどうつくって明らかにしていくのか、国民に対して共感を求め協力を求めていくことができるのかというんです。これが第一ですよ。そのためにどうしたらいいのか、いまの郵便の配達制度をどういうふうに変えたらいいのか、さまざまな問題が、いまから出てくる問題があるはずであります。その根幹であるやつをいいかげんな口先でごまかそうとしたって、ごまかしている本人が先行き展望を持っていないんじゃないですか。  私は大臣にもう一回お聞きしますが、独立採算制が導入をされて、そして今日まで幾つかの変遷を経てきました。しかしながら、福田総理も言われ、あなたも言われるように、提案者の政府として郵便事業のあるべき姿を考えた場合に、国民生活の実感から、この郵便事業の今日の危機を救うには、これ以上手をこまねいていたら破滅に陥るから、政府として何らかの措置をせざるを得ないという時期は実はいまではないだろうか。そういう筋道を立てた上で——具体的な問題についてはいろいろあるでしょう。しかし、そういう筋道を立てなければ、郵便事業の先行きというものは生まれてこないのではないのか。いまではないか、そのことは。このままほっておくと、実は来年また値上げ問題を出さざるを得ないんじゃないですか。来年とまでは言わないけれども、まあ法案出すと、また毎年値上げ法案が出てきたと怒られるから、再来年ぐらい何とかしんぼうしていてということになりかねないと思いますが、再来年ぐらいにはまた郵便法値上げ問題が必ず出てくることはいまははっきりしているでしょう。  その点をひとつ大臣に——ここに与党の先生がおられますが、大臣経験者が多い。その大臣経験者もおられる与党議員の先生方だけでなくて、いまかかっている村上郵政大臣として、最後にこの問題について、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  47. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御意見はよくわかりますが、その長期展望に立って、そういう郵便事業の本当に配達の問題、取り扱いの問題、それから郵便事業として収支のバランスのとれるような方法等についても、これはもう十分調査会等で検討して、何とかしてこの料金でたとえ何年間かでも賄っていくというような私どもとしては一つの考え方も持っております。  ただ、一応、その一環と申しますか、その手始めとして今回の郵便料金の改定をお願いしているわけでありますが、その研究はわれわれとしては十分その論議を尽くし審議を尽くして、郵便事業がどうにか経営難に陥らないような努力を続けてまいりたいと思っております。まあそういう観点からも、どうしても郵便事業の独立採算ということについては、これはもう私どもとしてはこの際利用者負担の原則というようなことを崩していくというわけにはいかないのでありまして、この辺のひとつ御了承を賜りたいと思います。
  48. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、最後にということで言ったんだけれども、またそう言われると意見が出るんですが、あなたが物特との連合審査の際に言われたように、独立採算制というのは堅持すべきだ、たてまえで。それでは絶対に国として独立採算以外に郵便事業を守っていくという立場から手はないのか、一般会計の繰り入れ等、何らかの措置がとれないのか、これはこの間から同僚議員から盛んに指摘をされたところです。この最初の独立採算制導入の由来から始まって論議をされたところなんです。その論議の過程で、あなたも福田さんも、先ほど言うように、絶対ということはあり得ない、こういうように緊急な——とにかく非常に異常な事態に立った場合にはせざるを得ないと、こういう答弁をしているんですよ。それだから、あなたも福田さんも言っているわけです、私はその時期ではないのかと言うのです。  それで崩せと言っているんではないんです、いまのところ。私はそういう時期に今日来ているんではないのか、こういうふうに指摘をしているので、私の言っているのは間違いじゃないと思いますよ。あなたは、いや独立採算制を堅持じゃ。これもいいと言うんだ。いいけれども、いま言うような答弁を物特でもやっておいて、現実的にそういう状態というのはあり得ると見ているんでしょう。そのあり得るという時期はいまではないのかと私は先ほどから言うの。それについて大臣は道筋を引きなさいと。それは毎年そうしなさいということは別にしても、このときに私は道筋を引くべきじゃないのか。これは単年度で今回限りになるかもしれない。緊急異常な事態という郵便事業の先行きの収支の展望というのはままならぬという、全く見通しが立たぬという今日の状態、これを立て直すための措置としてやるべきではないのかと、こういうふうに聞いているわけです。
  49. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先般も申しましたように、緊急非常な事態、いわゆる終戦直後のようなああいう何回値上げしてもバランスがとれないというような場合、そういう場合には立法措置によってこれは一般会計からの繰り入れ等も行われておるようでありますから、これは私は絶対にそういうことはないというようなことを申し上げるわけではございませんが、いまの事態では私はその必要はないと、かように思っております。
  50. 案納勝

    案納勝君 もう余りこれやりたくないんですが、それじゃ最後にもう一回だけ聞きますが、それじゃ平年度、五十年度赤字が出ました、五十一年度赤字出ました、累積赤字がたまっていっています。今後先行きこの赤字ばかりが続きますという状態をどう見ているんです、どうやって解決するんですか、解消するんですか。
  51. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほども申しましたように、これは企業努力とかあるいは今後の基本的な郵便事業のあり方を十分検討いたしまして、これらの問題も何とか処理できるのじゃないかという一つの期待を持っておるような次第であります。
  52. 案納勝

    案納勝君 企業努力、郵便事業のあり方を検討していく、しかし、それまでに第二の国鉄みたいになりませんか、このままでいくと。いつそういうものを出すのですか、それはどうですか。
  53. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 今後の課題として、そういうようなことを考えております。
  54. 案納勝

    案納勝君 それは本年度中にやられるわけですか、年度末までに結論を出すというわけですか。来年度中に結論を出すというわけですか。  幾つかの施策をやっていることはぼくら知ってますよ。しかし、そんな施策で出るものじゃないと私も思います。いまはっきりそこあたりの見通し大臣立ててくださいよ。でないと上がらぬですよ、これは。私たち国民に対して何と言いますか、それはぼくは皆さんそうだと思いますよ、中途はんぱな審議をして数で押し切られました——与党の先生方は押し切ろう押し切ろうと思ってるわけなんでしょうけれども。それで地元へ行かれて、郵便事業についてはかくかくでございます、料金値上げについてはこうでございますという説明つきますか。それから郵政省の皆さんが第一線に働いている人たちに、そして第一線の一般の国民の皆さんと接触を最も持っている人たちが勇気を持ってそのことを国民に訴え協力を求めることができますか。合理化その他内部努力でというようなことは、いまよりますます労働強化やその他の締めつけが強まるというそのことだけじゃないですか。  この資料の中にもありますけれども、物数増と定員増というのはきわめて大きく開きが出てきています。それから計画と実態を見た場合に、定員増の計画と実態というのはまたきわめて計画より下回っています。物数は大きくふえています。そういう中でいまどこで郵便事業の中で内部で企業努力が行われる点があるのか。機械化についても一定の限界が郵便事業にあります。どこにその言われる、これだけの問題の先行きについて独立採算制、収支相償う、そういう会計制度と会計が確立をする財政という見通しが内部の努力でどこにありますか。私はその辺をはっきりまずしていただきたいんです。そしてその展望があるならば展望をひとつお聞かせいただきたい。そうすれば先へ進みたいと思います。
  55. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先ほど来、貴重な御意見をいただいておるわけでございますが、先ほど来これも大臣からお答え申し上げておりますように、郵政事業が非常に逼迫しておる、特に郵便事業につきましては相当大きな赤字を抱えておることは事実でございます。  しかしながら、独立採算制というたてまえは現行法でもとっておるところでございまして、そこでその中で実は現在の段階で社会経済の情勢等を勘案しながら郵便料金体系というものを考えて御提案申し上げておるわけでございますが、これによりますと、さしむき五十一年度につきましてはほぼ採算が合うというところになっておるわけでございます。過去の累積赤字につきましては、これは先ほど来申し上げておりますように、今後、財政当局、大蔵省と十分な折衝をして詰めてまいらなければならないと思いますけれども、現在の段階はさしむき財政基盤を確立するというところまではまいりませんけれども、少なくとも現在とり得る努力としては、その限りにおいてこの料金改正によって収支相償を目指していく、その足がかりをつくるというのが現在の段階であろうと思います。  ところで、その郵便事業につきましてどのようにしていくかということは、確かに先生の御指摘のように、いま一番大きな問題になっておるところであろうと思います。しかも郵便事業創始以来、非常に現在の段階は転換期と申しますか、ターニングポイントと申しますか、非常に重大な時期に差しかかっておることは私どもも十分認識しておるつもりでございます。現に、先ほど先生の御指摘になりましたように、郵政審議会の答申におきましても、郵政事業の今後のあるべき姿について十分検討するように、また利用者に求めるべきものはこれも求めるという体制を明確にするように、というようないろいろな貴重な御意見もいただいております。こういったことを踏まえまして、たとえば配達制度のあり方とか、あるいは窓口開設時間の問題だとか、あるいは郵便物処理の機械化の問題だとか、そういった点について鋭意努力をしておるところでございますし、さらに将来にわたって基本的な調査に基づいて具体的な政策に反映する努力をこれから続けてまいらなければならない、そういうふうに考えておりますし、現在はそういうきわめて重大な時期であることも十分認識いたしております。  ただ、物数と定員の関係でございますけれども、これは先生十分御案内のとおりでございまして、物数が伸びましても、そのまま直ちにそれが比例的に定員増にはつながらないわけでございます。たとえば処理物数にいたしましても、ある一定量の物数の上に加わったから直ちにその分が別に定員にかかってくるわけではございません。確かに労働力の増加を来すものではございますが、正比例して増員すべきものではございません。また配達の面をとってみましても、配達物数がふえましても、一カ所当たりの物数増加ということもございまして、それが全体に定員にすぐそのまま正比例として出てくるというものではございません。ただ、物数増に伴う要員の増加というものにつきましては、そういった点を考慮しながら年々予算の面におきましても要求をいたし、また確保いたして、現実にも増員を実施しておるわけでございます。  このような努力をいろいろ積み重ねて現在まで来ておりますが、なおかつ将来の問題、いま先生御指摘郵便事業はどうあるべきか、また郵便事業はこのままの形で将来いいのかというような基本的な問題になりますと、確かに私ども、先生御指摘のように、非常に重大に考えておるわけでございまして、今後、私どもも全力を挙げてこの問題に取り組み、郵便事業が将来にわたって安定的な伸びを示すような、そういった基盤をつくってまいりたい、このような決意でおる次第でございます。
  56. 案納勝

    案納勝君 そこで、これ以上、この問題はここらあたりで打ち切りますが、いま言われたように、きわめて重大な事態にきていることは明らかです。一歩を誤ると、私は大変なことになると思います。この郵政審議会の答申の中に「社会経済の変動に即応するよう料金体系その他全般的な問題について長期的な視野に立って調査検討すべき重要な時期に来ている」、こう言っています。全くその通りだ。いままで論議をしてきたのもそこのところを実は論議をしてきたわけです。「誤りなき対応策を講ずる準備を早急に進められることを希望する。」私は、六月十七日の逓信委員会で、この法案審議の際に、いまきわめて重大な段階だけに、これらについて将来の展望を早急に郵政事業として国民の前に明らかにできるそういうものをつくる。そのために具体的な措置を、たとえば委員会——郵政審議会ではなくして——そういう措置をとるべきだと、こういうふうに質問をしました。当時の石井郵務局長は、全般的な問題について長期的な視野に立って調査検討するという、そして料金体系その他の問題についても含めて行うという立場で、委員会かいずれかの問題についてつくりたい、人選の配慮も進めたい、こういうふうに御答弁されました。そういう考えを早急に実現をする意思があるのかどうか、これが第一点。  私は、郵政事業の将来問題について、たとえばこの委員会の中に小委員会をつくる、いろんなものがあると思います。あるいはもっと有識者、経験者あるいは一般の市民の代表、こういうのを入れても一つと別な形の委員会をつくって検討するとかあると思いますが、ぜひこの点についての考えをお尋ねしたいのです。  たとえばアメリカでは、郵政審議会的なものがありますね。第三者機関といいますか、アメリカの場合は、経営形態が郵便公社になっています。日本の郵政審議会にかわるべき機関として、第三者機関として総裁を議長にし副総裁を副議長にして、大統領が任命する十一名の委員からなる郵政事業審議会というのがありますね。この十一名の委員というのは——私はこれがいま指摘をしている委員会に当てはまると考えませんよ、考えませんが、私の言わんとするところを少し聞いていただきたいのですが、この十一名の大統領の任命をする委員は、労働組合代表が四名、利用者代表が四名、一般国民代表が三名の構成になっています。要するに、日本で言う郵政審議会にかわるべきアメリカの委員会の構成はそうなっております。  要するに、郵政審議会の問題には後ほどもう少し触れますが、緊急を要するいまのこの問題について、労使が一致して協力をしていけるという体制と、そしてその上で国民協力を求めていくという姿勢、利用者の人たちの協力をいただく意味での利用者の代表、こういうものが網羅されなくちゃならぬと思います。そういう意味での郵便事業の将来展望を明らかにしていくという立場での構想、考え方というものをお持ちですか。あるいはそうなくちゃならぬと思いますが、それについては、あなたはどう考えますか。
  57. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生御案内のように、昨年、四十九年六月に、広く部外の専門家の参画を得まして「郵便の将来展望に関する調査会」というものを設置しております。その中間報告を本年三月に得ておるわけでございます。  これにつきましては、さらに基礎的な郵便事業の分析というものをいたしまして、郵便事業の全体のメディアにおける地位というものについて分析をいたしまして、その結果をいただきたいということで研究をお願いしておるわけでございますが、こういった研究を踏まえまして、さらに将来、それをどのような政策に反映していくかというのが非常に大きな課題であろうと思います。  その辺に関していま先生が御指摘されたことではないかと思いますけれども、これにつきましてはいままだ具体的な構想というところまでは至っておりません。そうしてまた、現在、私ども重大な事項につきましては、各界の代表でございます郵政審議会というものがございますので、ここで重要問題についてはすべて御審議を願うという形になっております。  なお、今後、いろいろな面で郵政事業のあり方について広く皆さんの御意見を得たいということについては私も考えておるところでございますが、まだ具体的にどのような形でそれを求めるかという構想を固める段階には至っておりません。
  58. 案納勝

    案納勝君 いま郵政審議会がございますね。今日まで郵政審議会がそういう機能を持つ、本当の意味での国民大衆の皆さんたちの負託を受けられる、そういう運営に私はなっていないと思うがゆえに、先ほどの問題も指摘をしたんです。  お尋ねしますが、郵政審議会の構成はいまどういう構成になっておりますか。要するに、いろいろあります、学者とか文化人とか、概括的でいいです。
  59. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 郵政審議会の構成でございますが、郵政審議会委員、これは関係行政機関の職員、それから学識経験者、それから……
  60. 案納勝

    案納勝君 何名ぐらいずついるか。
  61. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 人数でございますか——現在四十一名でございます。  これの種類別と申しますか、この点で見ますと、これは各委員の分野を画一的に分類することは困難でございますが、便宜分類いたしますと、行政機関の職員四名、行政経験者八名、経済界七名、学界七名、言論界七名、労働界その他八名、こういう分類が一つの見方としてはできるかと思います。
  62. 案納勝

    案納勝君 まず最初に、大臣にお伺いします。  ことしの十月の七日に、郵便貯金の利率の引き下げ問題で郵政審議会が開かれた。これは多くの論議を呼んだところです。庶民金融といいますか、国民の福祉を向上させていく大衆貯金である郵便貯金、これと一般の金融、市中銀行、金融機関の利率問題、この問題について多くの論議を呼んでまいりました。これをいまここで蒸し返そうとは思いません。  ただ、私は、これは院内でも論議をされたと思いますが、郵政審議会の会長は土光さんですね。この土光さんが、新聞紙上で誤りでなければ、こういう郵便貯金の金利が一々郵政審議会に諮られなければならないというのは困る、郵便貯金法十二条は改正すべきだ、金利政策は政府の責任ある人が一元的に決めるべきだ、そういう体制をつくるべきだというふうに述べられた。私はこれは追跡をしてみたんですが、土光さんはそういうことを言った覚えはないと言われた。ところが、マスコミ各社、新聞各社全部同じような記事が載っている。新聞記者の諸君は、村上大臣案内のとおり、それなりに記者のプライドがありますから、いいかげんな記事を勝手に書くということはまずないと思います。私も多くの友人を持っています。しかも各社が同じような共通した、筆の違いはあっても中身は同じようなことを書かれている。土光さんがいかように否定をしようとも、私はこの事実は消えることはないと思うのです。  私は、こういう土光さんが郵政審議会の会長だと、国民はどう思いますか。本当に郵政審議会が言われるところの国民郵便事業というものを、本当に郵政審議会という機能を果たしていって守っていっているのか、あるいはその立場審議しているのかという、そういう感じには全然とられません。審議会は資本のかいらい、財界のかいらいではないか、その立場でしか審議会は運営されていないのじゃないか、というふうにしかとれないんです。現実またそうなんです。大臣審議会の土光会長をやめさせるべきだとぼくは思います。この点について、審議会の運営が民主的に行われているのか、本当にきわめて言われるところの、私どもから指摘されるようなことはない、こういうふうに言い切ることができるかどうか、大臣ひとつお聞かせいただきたい。
  63. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 土光会長のあの際の発言については、会長自身から釈明がありまして、これを審議会の各委員が了承したようであります。私はただその場に立ち会ってその情景を見ておりましたが、別に各委員さん方からの追及もなかったようです。でありますから、全く正規な記者会見で行われた発言ではないというように了解しております。
  64. 案納勝

    案納勝君 郵政審議会で弁明があったところが各委員から追及がなかった、そのとおりでしょう。しかし、なかったということは、郵政審議会がいかに非民主的であるかということを証明しておる。私はもっと国民各層から郵政審議会というものは選出をされてしかるべきだと思う。  私ちょっとお尋ねをします。先ほどお尋ねをしたところが、官房長から大体の便宜構成について話されましたが、財界、経済界から七名——いまから私はお尋ねをしますが、日本空港ビルディング株式会社相談役秋山さんというのは、これは経済界ですか。
  65. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいまの……
  66. 案納勝

    案納勝君 いや、あるかないかだけでいいです、いまからずうっと言いますから。
  67. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 秋山さんは行政経験者に分類しております。
  68. 案納勝

    案納勝君 それじゃ三井物産社長池田さんは経済界ですか。
  69. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) さようでございます。
  70. 案納勝

    案納勝君 国際倉庫株式会社会長浦島さんはどうですか。
  71. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 行政経験者でございます。
  72. 案納勝

    案納勝君 何で国際倉庫株式会社会長が行政経験省。  それからKK・エフエム東京社長大野さんは、これは何ですか。
  73. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 大野さんも行政経験者でございます。
  74. 案納勝

    案納勝君 それじゃ岩崎通信機株式会社会長大橋さんはどうですか。
  75. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 大橋さんは現在入っておられません。
  76. 案納勝

    案納勝君 これは入ってないんだね。それじゃかわりは後から聞きます。  日本郵船株式会社社長菊地さんはどうですか。
  77. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 菊地さんは経済界でございます。
  78. 案納勝

    案納勝君 住友電気工業株式会社相談役北川さんはどうですか。
  79. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 同様でございます、経済界でございます。
  80. 案納勝

    案納勝君 富士重工業株式会社専務取締役佐方さんはどうですか。
  81. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 行政経験者でございます。
  82. 案納勝

    案納勝君 日清紡績株式会社会長露口さんはどうですか。
  83. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 経済界でございます。
  84. 案納勝

    案納勝君 経済団体連合会会長土光さんはどうですか。
  85. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 経済界でございます。
  86. 案納勝

    案納勝君 四国電力株式会社相談役中川さんはどうですか。
  87. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 経済界でございます。
  88. 案納勝

    案納勝君 長尾産業株式会社社長長尾さんはどうですか。
  89. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 長尾さんは現在委員でございません。
  90. 案納勝

    案納勝君 日本情報処理開発センター顧問難波さんはどうですか。
  91. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 労働界その他の分類でございます。
  92. 案納勝

    案納勝君 労働界その他、この人が。
  93. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 労働界その他ですね、はっきり言ってください。
  94. 案納勝

    案納勝君 三菱総合研究所常務取締役牧野さんはいかがですか。
  95. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 労働界その他の分類でございます。
  96. 案納勝

    案納勝君 これもその他ですか。  湯浅電池株式会社社長湯淺さんはどうですか。
  97. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 経済界でございます。
  98. 案納勝

    案納勝君 日経連常任理事横田さんはどうですか。
  99. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 現在委員になっておりません。
  100. 案納勝

    案納勝君 現在委員じゃないですね。  日本銀行理事吉野さんはどうですか。
  101. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 言論界でございます。
  102. 案納勝

    案納勝君 吉野さんは言論界ですか。  時間ありませんから、これは昼から続行します。
  103. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 官房長、それね、いまのやりとりあれだから、休憩時間中に全部名前を書いて、何の代表であるか、肩書きと名前と分類別——と言っちゃちょっと悪いけれども、それを書いて、再開のときにみんなに配付してください。
  104. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 承知しました。
  105. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 午前の審査は、この程度にとどめます。  午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  106. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  107. 案納勝

    案納勝君 いま、午前中からの続きで、郵政審議会委員の一覧表をいただきました。この中で行政経験者、経済界、学界、言論界、労働界その他、行政機関と、こういうふうになっています。  まずお尋ねしますが、郵政審議会の運営は、いずれにしても、郵政省の大臣を初めとして関係出席をして、その上で審議会が諮問に答える、こういう運営になっているやに聞いておりますが、その点いかがですか。
  108. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 郵政審議会の運営は、審議会で自主的に行うものでございますが、それに対して郵政省から諮問をいたしまして、それによって郵政審議会を開いていただくということでございまして、その際には、それぞれ事案によりまして郵政省側から幹部が出席して御説明申し上げる、こういうことになっております。
  109. 案納勝

    案納勝君 この種の審議会、私も幾つかいままで出たことがありますが、要するに、主管行政官庁である郵政省が問題について提案権を持ち、それを中心にして審議をし、その上で答申を出す、これが大体従来行われている、審議会の運営ですね。  この中で、私は、郵政審議会が本当に国民各層を代表して郵便法に言われる郵便事業全体の民主化と運営を行うに足る構成であるとは実はどうしても考えられないのです。行政経験者というこの行政経験者の日本空港ビルディング相談役、確かにかつての運輸次官であります。あるいは浦島さん、国際倉庫会長。あるいは空港公団総裁大塚さん、あるいはエフエム東京社長大野さん、富士重工業専務取締役佐方さん、いずれもかつての高級官僚の皆さんであることは間違いない。しかしながら、現実的には、これは経済界の中で日常生活をしておられる、経済界の中にどっぷりつかっている人たちじゃないですか。そういう人が行政経験者として、この中で財界、経済界は経済界として構成をされて運営をされる。いま言ったような人たちを財界と経済界と見た場合に、十二名と見ても私は差し支えないと思う。そういう偏った運営というふうに私どもは受け取らざるを得ないのです。民主的に、しかもきわめて重大な国民生活、福祉生活関係がある国営である郵便事業。郵政審議会がこういう構成で運営される。だれも国民知らないんじゃないですか。そういう点について、大臣、ひとつ御見解を聞かせてください。  なおかつ、行政機関の大蔵事務次官、経済企画事務次官、通産事務次官、内閣法制局長官。私は、これは郵政大臣ほか各局長、主管官庁が責任を持って郵政事業についての具体的な運営を行っているわけで、そういう面で二重に郵政審議会に各行政機関が参加する意義も感ぜられないのですが、あわせてそこらあたりの見解をお聞きしたい。
  110. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵政審議会委員は、特に分野を確定してその代表者を任命することはいたしておらないのでありまして、広く学識経験のある者、関係行政機関の職員を任命しておりまして、現在の構成メンバーで一応各界の有識者を網羅しているものと考えております。  なお、委員の任命に当たりましては、審議会の重要性にかんがみまして、今後とも慎重に対処してまいりたいと思っております。
  111. 案納勝

    案納勝君 大臣、そう言われますが、各界を網羅していると言われますが、例の金利の引き下げ問題にしても、あるいは省令事項である三種以下の料金決定の問題にしても、小包料金にしても、きわめて重大な問題について国民生活とかかわりのある問題について、郵政審議会の議を経て実行がされているんですよ。先ほどから申し上げますように、郵便事業というのは先行きの展望もさることながら、私は郵便を利用する人たちのその利用について将来きわめて危惧の念を多く持たざるを得ないというのが現状であると思うんであります。もっとガラス張りで国民の負託にこたえた郵便事業としての運営の場合に、民主的に、そしてたとえば後ほど触れますが、郵便の原価等についても国民の前に明らかにして、郵便事業の今日の危機を訴え、あるいは危機について理解を求め、合意を求めるということがいまほど必要なときはないことは言うまでもありません。しかし、このメンバーについてもきょう私も実はいまの郵政審議会委員の皆さんの名前を全部把握をした。ましてや国民の皆さんは何にも知りませんし、あるいは議員の中でも完全に審議会の運営を知っておるというのは数少ないんです。私はこれは六月十七日、通常国会で郵政審議会の民主化の問題についてきつく大臣に要請をいたしました。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光君着席〕 大臣も今回の指摘について委員の選任等について十分検討をするという答えがなされている。  この中で言う、さらにつけ加えて言いますと「労働界その他」と書いてある。何か労働界がいっぱい出ているかと思いましたら、中地さんといまの労働評論家の原さんだけ。難波さんは、私はよく知っていますが、これはその他なんてところに入る人じゃないんじゃないですか。大きく分けるなら経済界ですよ。そのほかこれを見ますと、全く郵政事業は実体的の運営からも国民の事業からかけ離れて財界の言うままに運営をされている。たとえば割引料金その他後から出しますけれども、いずれにしてもそういう理解しか土光さんのこの間の発言等をめぐってでも、ますますその感を深くせざるを得ないんじゃないですか。  大臣、いかがですか、根本的に郵政審議会について、本当に国民郵便事業について受けとめてやってくれている、国民の自分たちの事業として、国民の事業として本当に真剣に検討してもらっている、こういう意味での協力を惜しまないというようなそういう印象を受ける、あるいはそういう審議会にする、していくという気持ちはありませんか。
  112. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは見方の、見解の相違でありまして、私、就任して余り日も長くありませんので、この審議会の諸先生の任命に当たっては相談を受けたわけでないのでありますが、しかし、結局、各界から出ておられる方々の顔ぶれを見ますと、いずれも郵便事業に対して非常に該博な知識と、これに対しては十分これを審議してまいるに足りる方々ばかりであります。結局、人の問題でありまして、私の考え方では、どの界から出ておりましょうとも、やはり予ての人の持つ民主的な、そうして公平な判断力というようなもの、また非常に深い経験、いろいろなものがりっぱであるならば、私は、あえて、これはいかないとか、これがいいとかいうようなことは申し上げられないと思います。
  113. 案納勝

    案納勝君 大臣、私は決して無理言っているのではないですよ。郵便事業の置かれている位置、さらには郵便を利用する国民立場あるいは行政機関としてのあり方といいますか、郵便事業、郵便を預る機関としてのあり方から申し上げているのです。  たとえば先ほど私が触れましたアメリカの場合は、第三者機関のような審議会として、アメリカの郵便公社総裁を議長にし副総裁を副議長にして、そうして大統領が任命する十一名の委員から郵政審議会が成り立っています。それは委員は労働者代表が四名、利用者代表が四名、一般国民代表三名として任期二年として運営をされているのです。それは郵便の持つ性格、電信電話の持つその性格から、こういう構成の中で国民の代表する審議会の運営というのがなされているのがアメリカの審議会です。西ドイツの場合は、管理委員会というのがあります。この管理委員会は政界代表八名、財界代表八名、職員代表八名の二十四名で構成をされているのです。これは郵政省の出した資料の中に明らかであります。こういう中でこれらの問題、郵政事業郵便事業、電信電話事業というのが運営もされてきている。国民と結びつきを強める、働く立場の人あるいは各層との結びつきを強めて民主的な運営を図ろうとしている。  ところが、わが国の場合は、これで言うと、私に言わせると労働代表二名、その他余りよくわかりませんが、その他が大体十二名、学界が七名、財界代表十二名、行政機関四名、そして行政経験者と言われる三名、本当の委員は。こういうふうにしか私は——財界出身、財界中心の運営——これが民主的でございます、見解の相違と言われましたけれども国民が郵政審議会を見る目というのはあなたの言われたとおりには私はならないと思います。私は郵政審議会の運営自体から民主化をして、郵便事業というものを本当に国民に結びつけることを考えていかなきゃならぬと考えているだけに、この点は大臣に強く再検討してもらいたい。郵便事業の先行きのためにも、将来展望のためにも審議会の民主的な運営というものを改めて検討してもらいたい、強く要望いたします。大臣のそれについての御所見を伺いたい。
  114. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御趣旨の点は、十分考慮に入れて検討してまいりたいと思います。
  115. 案納勝

    案納勝君 それでは私はいままで審議をいたしました幾つかの問題についての総括的な面について言いますが、少しく具体的な面についてお尋ねをしたいと思います。  まず、お尋ねをしたいのは、一種、二種、三種、四種——まあ三種、四種は省令で決めることになっております。これの原価と、それから今回値上げをされる値上げ幅、値上げ料金と対比してひとつ説明してください。
  116. 高仲優

    政府委員(高仲優君) まず各種別の原価について申し上げます。  一通当たり単位原価で申し上げたいと思います。これは昭和四十九年度の種別一通当たり原価でございますが、第一種定形は二十五円九十五銭。定形外が……
  117. 案納勝

    案納勝君 二十五円九十五銭、そして今度の値上げ料金幾らになっておりますか、五十円でしょう。こういうふうにひとつ説明をしてください。
  118. 高仲優

    政府委員(高仲優君) はい。  その次に、定形外でございますが、定形外は原価四十八円九十銭でございます。これは改正料金で量目別に分かれておるのでございますが、五十グラムまでということで百円という値段をお願いいたしております。  第二種の原価が十八円十一銭。これが二十円上いうことでございます。  第三種、低料扱いのものの週三回というものについて申し上げますと、原価が三十一円五十七銭ということに相なっております。週三回以上のものの五十グラムまでのものは、いま三十円ということでお願い申し上げております。これは省令料金でございますが、そういうことを考えておる次第でございます。  以下、あと細かいものも大筋はこの辺でございます。
  119. 案納勝

    案納勝君 月三回のものは。
  120. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 月三回のものの原価は二十五円三十銭。月三回のもの五十グラムまでのもので三十円ということに相なっております。  それから第三種のその他が三十五円八十銭、これが原価でございます。その他のものが五十グラムまで三十五円。  以上でございます。
  121. 案納勝

    案納勝君 四種は。
  122. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 四種について、それでは申し上げます。  通信教育、これは三十二円四十二銭、それに対しまして八円。盲人用点字は百二十二円五十二銭、これはゼロでございます。農産種苗は百二十一円十六銭、これが四十五円。学術刊行物四十七円四十三銭、これが二十円。  大体、主要なところを申し上げますと、以上のとおりでございます。
  123. 案納勝

    案納勝君 いまの個別原価と個別料金、改定のもの。三種以下については省令料金ですが、まだ正式には決めたことになっていない。そのことを前提におきながら、この料金を決める根拠はどこにあるのですか。  たとえば、各種別ごとに、原価はこう出ているけれども、第一種定形は二十五円九十五銭だが、料金は五十円。あるいは三種について週三回が三十一円五十七銭となっているが、料金は三十円にして、五十グラムふえるごとに二円増しと、こういうふうに決めた根拠はどこにありますか。この説明をひとつわかりやすくしてください。
  124. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいまの種別の原価につきましては経理局長が申し上げたとおりでございまして、この原価が相当大きな指標になっておることは事実でございますが、実際に郵便料金を設定いたします場合には、予定されます期間の収支状況等を考えるということ。それから種類別の、ただいま申しました、原価に対する収入見込み——いわゆる損益状況等を勘案すること。それから、全体としてこれは郵便体系のすべてについてでありますけれども、その中における個別料金間の調和と申しますか、そういった点について考慮をすること。それから三種、四種等、これも御案内のとおりいろいろ歴史的な経緯がございます。それと社会的な情勢、そういった点も勘案しながら、利用郵便物の性格あるいは利用者負担の場合の負担力、それから同じようなサービスをする場合のサービス料金——サービスの同じような種類の他のサービスのサービス料金、こういった点も勘案しながら設定するわけでございますが、御承知のように基本的な考え方といたしましては、郵便法第一条に定める考え方あるいは第三条にあらわされております考え方、こういったものを基本にして、ただいまのような諸条件等を考慮に入れて種別の料金を設定していくように考えております。
  125. 案納勝

    案納勝君 六月の十七日に私が質問したときに、このように当時の郵務局長答弁されております。  「第一種の郵便につきましては、その役務の提供に要する費用を考慮しながらも、利用及び収支に占める割合からして事業を支える柱としての料金を設定するという基本的な考え方でございます。」これは間違いありませんね。  「第二種につきましては、事業財政の赤字の主要な原因となっておることにかんがみまして、その役務の提供に要する費用を賄うに足る適正な料金とするという考え方でございます。」要するに、その各役務の提供に要する費用を賄うに足る適正な料金と。間違いありませんね。  三点目は、「第三種につきましては、従来からの過度の料金割引政策を転換し、直接経費を賄うことを目安とするということを言っております。」間違いありませんね。要するに過度の料金割引政策を転換をしてと。間違いありませんね。  「第四種につきましては、農産種苗を除き、その社会的公共性を重視し、なるべく直接経費を賄う料金に近づけるようにしながらも、値上げ幅に配慮を加える」農産種苗については、第四種としての取り扱いが廃止になりますね。第一種または小包郵便物にする、こういうこと。  私はここで幾つかお聞きいたしますが、そうすると、第二種については「その役務の提供に要する費用を賄うに足る適正な料金」、第二種については十八円十一銭を二十円にと、こういうことから二十円を設定されたというふうに理解していますが、さらに第三種については、もはやいままでのように三種のその持つ意義、使命、こういうものの政策を転換して、それを優遇し、あるいは育てていこう、社会政策としてあるいは文化政策として、そういうものを優遇していこうという政策を転換をして、それで原価に見合う、要するに役務提供に見合う料金、これが三十円であり三十五円、こういうふうに理解していいですか。  そうすると、従来の発想を、いままで持ってきた郵便の三種等の持つ性格といいますか、そういうものはもう完全にこの際政策転換をする、収支を適合させる、ここに重点を置いた料金制度をとっていくんだ、こういうふうに完全に方針の変換をこの際行ったというふうに理解していいかどうか、はっきりお答えください。
  126. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま経理局長から申しました原価は四十九年度の原価だと思います。したがいまして、原価につきましては、将来年々人件費の値上がり分、その他を考慮しながら、将来の見通しをつけなきゃなりませんが、ただいま郵政省で原価と申しておりますのは、過去の決算に従って原価をとっておりますので、たとえば昭和五十年度における原価ということになってまいりますとそれは変わった数字が出てまいりますが、現在、そういった意味の原価はとっておりませんので、その辺は御理解願いたいと思いますが、三種、四種につきましては、従来のいわゆる三種、四種の歴史的な意味というものは十分勘案するということは考えておるわけでございます。  ただ、これは郵政審議会の答申にもございましたように、ただいま先生が御指摘になりましたようなそういった諸点、これにつきましても郵政審議会ではそういった意義を認めつつも、三種については直接経費を賄うに足りる料金とすること、それから四極についてはそれに近づけるような努力をすること、これは経営的な観点からできるだけそういう努力もすべきである、いわば歴史的な経緯を踏まえながら、さらに現在郵政事業が置かれておる財政的な危機の現状に立って料金をつくる際には、そういった種別間の問題については、そのようなバランスと申しますか、そういった考えを取り入れながら体系をつくっていくべきであるという答申をいただいたわけでございまして、その意味では基本的に過去の三種、四種の果たした役割りを否定するわけではございませんで、そういった意義を認めつつも、現在の全体の収支というものを考えながら、そのような考え方で料金を見直したらどうか、こういうふうに答申もいただいておりますので、私どもは、その線に沿って、今後、これも省令段階でございますのでいま確たる御返事はいたしかねますけれども、考え方としては、その両者を勘案しながら料金を設定していくという考え方をとってまいりたいと思う次第でございます。
  127. 案納勝

    案納勝君 四十九年の原価であることは間違いないでしょう。それで見る限り、たとえば言われるように二種について、三種についてもほぼ原価に見合う、役務提供に見合うという、この原価が正しければそうなりますね。  ところが、定形外は四十八円九十銭で百円、これはそれぞれグラムによって違いますが、定形は二十五円九十五銭で五十円、他の二種、三種については大体役務提供に見合う料金ですけれども、一種についてはその倍以上の料金をこの際徴収する。これは根拠はどこにあるのですか。要するにいままでは二種、三種、四種等について政策料金的な、政府の政策的な面が多分に取り入れられることによって料金は一定の低価で郵便物の発送が行われてきた、郵送が行われてきた。ところが、今回は、事実上原価と見合う料金を徴収する、発想転換をしました、政策の。ところが一種、二種の一種については従来の発想は変わりません。料金は倍額以上いただきますということは、一般の人が利用する、国民が利用する一種については、定形外の場合はダイレクトメールなんか多いですが、定形の場合、一切そういったものをしわ寄せ、その人たちのひとつ犠牲によってやってもらう。いや、もっと言い方をするなら、ほかのところは収支が合うのだから、それ以上のものを国が負担させるのだ、こういうふうに理解をしても理解できるのじゃないかと思うのですが、どうですか、その点。
  128. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) これは先ほども申しましたように、郵便料金というのは、個別料金のバランスも必要でございますけれども、全体として収支相償うような形というものを目指す必要もあろうかと思います。  そこで、先ほど先生も御指摘になりましたように、三種、四種というのは直接の経費を賄う程度あるいはそれに近い料金ということになりますと、結局、他にその分の負担をかけなければならないという問題も一つございます。それと同時に、御承知のように第一種、第二種というのは郵便の中の利用の大宗を占めるといっても過言でないような割合になっております。したがってここで全体の収支を考えるということになりますと、結局、第一種、第二種の料金というのは非常に大きなウエートになってまいりますので、その面での料金設定を考えていかなければならないかと思います。  それから先ほどダイレクトメールというお話ございましたけれども、これは定形外のみならず、定形にいたしましても、やはりそういった内容を相当持っておるわけでございます。業務通信と一般に言われる場合は、定形並びに定形外を含めて、全体として私ども考えておりますし、最近は、二種につきましても同じような傾向が見られるわけでございます。したがって全体の収支というものを考えます場合に、そういった体系で物事を考えていく必要があるのではないかということが一点でございます。  それから外国の料金等につきましても、やはり一種、二種、こういったものにつきましては相当参考になるわけでございまして、日本料金が先進諸国の料金よりも相当低くなっております。そこでこういったものをその水準に近づけるということも必要でございましょう。いろいろな意味で料金というものを考えていく必要があろうかと思います。ただ原価というものも確かに一つ問題点でございますけれども、これは一つの重要な指標ではありますけれども、それだけで料金設定ができないということもあわせて御理解願いたい、こう思う次第でございます。
  129. 案納勝

    案納勝君 そこで私は郵政大臣お尋ねしますが、このまだ決められていないと表向き言われる三種、四種、いま大臣を含めて三種の今日までの歴史的な沿革、現実に文化あるいは教育とさまざまな面での国民生活の向上、こういう面で役立ってきている三種等について、これだけ大幅に引き上げが行われるということになると、きわめてその面での困難やあるいは苦痛が国民に拡大をされていきます。御案内のとおり多くの陳情が、三種の料金値上げについて反対の陳情が行われてきているのが現実です。また四種についても、いま国の政治自体が大きく社会福祉を充実をさしていくという、その面での転換が迫られているときであります。  六月の十七日の私の質問に、これらの身体障害者やあるいは社会福祉の充実、こういう問題について具体的にこの郵便料金、今回の法案審議過程で前向きの答申を出すと、そのために各省とも検討して審議過程において何らかの政府全体の見解を明らかにするというお約束を大臣から伺いました。私はこの辺について、大臣はどういうふうにその後お考えをまとめられたのか、考えられているのか。審議過程であります、その意味では最終的な審議段階に来つつあります、大臣として明らかにしていただきたいと思います。
  130. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 第三種あるいは四種等の料金につきましては、ただいま御審議中の郵便法が改正されました後におきまして郵政省令によって定める取り運びになっております。もとよりこれが決定には郵政審議会の答申等を尊重することは当然でありますが、特に今国会での審議過程におきまして強く表明されました御意見を参酌して、慎重に決定してまいりたいと、かように思っております。
  131. 案納勝

    案納勝君 これは答弁はこれ以上あれしませんが、要するに、郵政審議会から答申をされている原案にこだわらず、修正もあり得る、こういうことですね、このことは答弁は要らぬです、そういうふうに私は理解をします。したがって、ぜひ、三種、四種、特殊料金問題等について、この委員会の従来からの審議経過を踏まえてこの実現を期してもらいたいことを強く要望しておきます。  それじゃ続けて審議をします。  まず私は先ほどからきわめて基本的な原則について意見を出してきましたが、収支の合理的な検討ということについて私は忘れてはならぬと思う。その意味でお尋ねいたしますが、先ほどから私も指摘していますように、やっぱり郵政省が大蔵省にものを言うということはきちんと言っていかなくちゃならぬと思う。累積赤字の問題も再建の問題も、あるいは三事業の中における郵政事業全体のあり方について私はいまほど大事なときはないだけにそう思います。  そこで私は今日の郵政事業特別会計の中に当然一般会計で支弁をすべきものが入っている、こういうふうに考える分野があるんです。これは先ほど私が論議しましたように赤字の補てんを一般会計からせよという立場ではなくて、現在の特別会計の中に当然一般会計の支弁で行わなくちゃならないものがあるのではないか、こういう立場で実は質問をするんですが、いま建設勘定はどのようになっていますか、御説明をしていただきたい。
  132. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 建設勘定の仕組みでございますが、局舎等資産経理すべきものを購入しあるいは建設するための支出は建設勘定から支出いたします。それは直接費のみならず、それに携わる建設関係の技官に要する人件費・物件費等を含めて、要するに資産価額を形成する部分については建設勘定支弁といたしております。  その財源につきましては、現在の態様を申し上げますと、減価償却費として経理される分の資金を回すこと、これが一つ。それから郵便貯金及び簡易生命保険の事業分野が使用いたします分、たとえば郵便局舎でございましたらそれらの事業の使用する面積に相当するものにつきましては、それぞれ郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計からその相当額を繰り入れる。なお、それに足りない部分、不足する部分につきましては借入金をもって措置しているというのが現在の実情でございます。
  133. 案納勝

    案納勝君 それじゃちょっとお尋ねしますが、昭和四十九年、建設関係ですね、全体経理、全体の計画額が八百八十億、それから郵便分担額はその中で五百五億一千二百万円、そしてその中の自己資金は——これは私よく数字わからぬですが、六十八億一千七百万円、借入金が四億三千六百万円、こういう数字になっていますが、これは間違いないですか。
  134. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、数字を探しますまでの間暫時お待ちいただきたいのでございますが。
  135. 案納勝

    案納勝君 これは郵政審議会に出された施設改善計画事項別内訳、その中の郵便局舎の改善、この中にあります。
  136. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいまおっしゃいました数字は四十九年度の概計要求の段階における数字でございまして、したがいまして、これが成立の段階におきましてはこれと数字が変わっておる次第でございます。
  137. 案納勝

    案納勝君 それじゃ四十九年の成立段階数字、五十年の成立段階数字をちょっと言ってください。
  138. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十年の成立予算数字について申し上げます。  総額で五百八十八億円でございまして、その内訳を申し上げますと、郵便局舎といたしまして四百十九億七千九百万円、郵便局舎以外のその他の庁舎等につきまして百四十二億四千五百万円、俸給及び事務費といたしまして二十五億七千六百万円、以上を合わせましたものが五百八十八億円、これが昭和五十年度予算額でございます。
  139. 案納勝

    案納勝君 そうすると、その中の自己資金というのは、これに匹敵をする自己資金というのは幾らになるんですか、借入金は幾らあるんですか。
  140. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 自己資金と称しまするのは、先ほど申し上げました減価償却費といたしまして百十八億五千二百万円、郵便貯金特別会計から申し受けました設備負担金が百十五億九千四百万円、簡易生命保険及郵便年金特別会計からの設備負担金が八十三億五千四百万円及び、これは自己資金でございますが、借入金二百六十億円、以上をもって支弁いたしております。
  141. 案納勝

    案納勝君 そうすると、この中の郵便負担金というのは二百三十億程度ですね。
  142. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま私ちょっと欄を見間違いまして借入金二百六十億と申し上げましたが、二百七十億の間違いでございます。  この二百七十億というのが郵便が負担すべき額であって、郵便がつまり自己財源がないから借入金をもって賄った額ということに相なります。二百七十億円が郵便の分、このように御理解いただいてよろしいかと思います。
  143. 案納勝

    案納勝君 百十五億九千四百万円というのは償還金でしょう。
  144. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 百十五億九千四百万円というのは郵便貯金特別会計から受け入れた設備負担金の額でございます。
  145. 案納勝

    案納勝君 じゃ百十八億五千万円は。
  146. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 百十八億五千二百万円は減価償却費に相当する額、その資金を建設に投入した金額でございます。
  147. 案納勝

    案納勝君 いま話を聞いてみますと、この郵政審議会に出された施設改善計画事項別内訳、四十九年度から五十三年度までのやつですが、これはでたらめだということになりますな、全く数字は違うですね。これは郵政審議会に出したやつですよね、この資料。これはまるっきり、どういうことになっているんですか、うその報告を郵政省は郵政審議会に出しているんですか。この関係答弁してください。
  148. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど申し上げましたように、八百八十億と申しますのは、四十九年度予算といたしまして概算要求をした数字でございまして、審議会に提出する当時におきましては四十九年度につきましてはまだ概計要求の段階でございまして、概計要求の数字を掲記いたしたものでございます。
  149. 案納勝

    案納勝君 利子の返済はどうなっておるんですか、借入金の。
  150. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十年度予算におきまして、借入金利子は九十億円を積算しております。
  151. 案納勝

    案納勝君 そうしますと、もう一回尋ねますが、特定局局舎の借入金は、また修繕費分担分といいますか、これはどういうふうな仕分けになっていますか、どこから支出されるわけですか。
  152. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 特定郵便局舎の借り入れに要する経費はこれは損費でございますから、建設勘定には計上いたしておりません、損益勘定に計上いたしております。
  153. 案納勝

    案納勝君 特定局舎の借入金はいま幾らになっておりますか、五十年度
  154. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 五十年度予算におきまして、特定郵便局舎の借り入れ予算は百二億円と相なっております。
  155. 案納勝

    案納勝君 私は、大臣、この局舎の建設なんですが、いずれにいたしましても全国あまねく個所に設置をされ、現在の局数は約二万一千局ありますね、これはもちろん簡易郵便局も含んでいます。しかしながら、これをほかの官公庁に比較をしますと、たとえば税務署の場合はこれは五百七カ所に上る、検察庁は八百七十二カ所ある、裁判所は九百二十五カ所ある。それから電報電話局は千五百六十六カ所、国鉄が五千二百五十五カ所、中学校が約一万八百三十六カ所、警察が一万七千、こういう官公庁よりもずっと多いわけです、郵便局の場合。郵便局より多いというところは実はこれは小学校が約二万四千校あります、小学校。  今日、御案内のとおり建設勘定については借り入れを行ってこの建設勘定を回わしておりますけれども、実際それに対する減価償却あるいは借入金というのは、これ切手代から出ているわけだ、切手代。私は、この局舎については国の施設であります、国の施設のこの局舎については少なくとも国で負担をする、切手代からでなくして国の施策としてその局舎を建築をする、それが当然なやっぱり国として行わなくちゃならない義務だと思うんです。そんなことまで切手代の中から出させる、私はこれはまさに大変政策的には間違っていると思いますが、なかんずく郵便局だけが郵便事業から、いま言うように郵便事業の切手代から支払われてくる、こういうことになりますと、的採算が絶対にとれない郵便局でありますから、結果的に収支の相償うということを中心に考えるならば、閉鎖をしなくちゃならぬような局がたくさん出てくる。で私はこのことこそ郵便法の第一条にありますその趣旨を、なるべく安い料金で公平に提供することによって公共の福祉を増進をするという立場から、国の政策でこの局舎を建設する、こういう筋道を明らかにすべきだと思います。  この郵便法の改正を、ことしは間に合わないかもしれない、しかし現実の課題として先ほど午前中から論議をしました問題とあわせて私はこの問題をやっぱり積極的に政府の内部で具体化するという筋道を大臣に求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  156. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まことにごもっともな御意見のようでありますが、結局、郵便局は銀行で申しますならば支店あるいは出張所というような性質に当たる建物であろうと思います。そういうようなことから考えますと、やはりこの建物も一つの営業の中に入っておるというように私どもは解釈いたしております。特に独立採算制によるところの郵便事業は、これから切り離すことのできない、いまの現段階では、ものであろうと、かように思っております。
  157. 案納勝

    案納勝君 納得できないんですがね。やっぱり大臣がなかなかそうはっきり物を言えない立場にあることもようわかるけれども、しかし、郵便局舎の建設関係というのは、総体の中ではたとえば五十年度を見ますと五百八十八億にも上るわけですね。貯金、保険の繰り入れの問題もありますよ、入れてでも。今日、赤字が、けさ来言っているように、膨大になって、先行きの収支についても見通しがきわめて暗いという現状、そういう面から、私は、けさ来論議をした一般会計から赤字補てんをせよという立場はそれはけさ来の主張ですが、この問題はそうでなくして、郵政事業としての中における当然一般会計からこの問題は支弁すべきだという、そういう違った立場、要するに収支の合理性を検討するという立場から申し上げているんです。私、そういう面からとってもらわなけりゃならぬと思います。  私は、そういう面で、大臣、これはもっと要するに郵政審議会もあるでしょうし、あるいは省内でもっと突っ込んでひとつ検討してもらい、また大蔵省との話も突っ込んで一定の検討をしてもらいたいと思います。私は、この論議はきょうだけの論議じゃないですよ、いまからも続く論議ですよ、言いっ放しで終わる論議じゃない。その点を踏まえて、ひとつしっかり検討した結果をまた後日明らかにしてもらいたい、こう思います。  それから、たとえばもう一つ、ここでお尋ねしておきたいのは、被災地、風水害あるいはそういったものの被災地における郵便物を無料取り扱いをしますね。これは私は当然だと思いますね、小包、その他。この場合は、私は当然その分については料金相当分について一般会計からの支弁というものがあってしかるべきじゃないか。まあことしの場合にどのくらいの物数になるか詳細私は把握をしていませんが、第一点はそう思います。  それから第二点目は、四種における盲人用点字等について今回無料取り扱いになりました。これらについても私はその無料扱いにする分については国の施策として相当分を郵政特別会計へ払う、こういうふうにあってしかるべきだと思います。  あわせてもう一つ、これはいまの二点に対してのお答えとあわせてお尋ねします。  郵便局あるいは郵政省の使っている無料郵便物はどのくらい出ているものか、その中で貯金、保険事業が出している無料郵便物はどのくらいになるのか、その点について三点目は質問ですが、お答えいただきたい。
  158. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 被災地におきます郵便はがきの無償交付、それから盲人用点字の無料扱いに関する御質問でございますけれども、盲人用点字、これにつきましては、これは諸外国におきましても同じようにそういう扱いをしておるわけでございまして、それはいわば郵政省の全体の郵便体系の中で物を考えるということになっております。一般会計からの補てんということにつきましての御意見でございますけれども、こういった種別全体を通じていわば収支相償というのは考えるという従来からの考え方をとってきておりまして、被災地につきましても盲人用点字につきましても全体の郵便料金の中でそういったものを考えるというのが法律のたてまえになっておるわけでございまして、現在、そういう収支相償のたてまえからまいりましても、第三条の原則からまいりましても、そのような考え方で処しておるわけでございまして、そういったものを一般会計負担とするということについてはただいまのところ考えていない次第でございます。
  159. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 無料郵便物の関係についてのお尋ねでございますが、昭和五十年度に例をとりますと、貯金、保険、電気通信の各事業で使っておるそれぞれの無料郵便物の通数と金額を申し上げます。  貯金、一億五千八百万通、百五億円。保険、四千万通、二十一億円。電気通信業務、七百万通、三億円ということで、これはそれぞれの会計から郵政特会へ繰り入れる金額の中に含めてそれぞれの金額を繰り入れております。
  160. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
  162. 案納勝

    案納勝君 それでは、もう一回お尋ねしますが、要するに貯金、保険事業、電気通信事業関係で無料郵便物を取り扱っている郵便物については、これは特別会計へその分担金を戻入している、払い込みをしているということですか。
  163. 高仲優

    政府委員(高仲優君) そのとおりでございます。計算してツケを回し、その金を郵政特会に繰り入れて郵便の財源として受け入れておる、こういうことでございます。
  164. 案納勝

    案納勝君 それじゃ次に進みます。  これは人事局長お尋ねをしたいと思います。  公務災害補償について、本年二月の五日に基発五九号、同四月一日に人事院の職補三一六号によって新認定基準が出されましたが、これについてどのように対処されているのか。具体的に対策、措置がとられたのか。
  165. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 基発五九号、職補三十六号通達、これはキーパンチャー等にかかる公務上の疾病の認定についてという通達でございますが、これが発出されました。  認定基準の要素である他覚的所見、それから業務の過重性——これは作業態様、それから作業従事期間、それから業務量、こういうものでございますが、この業務の過重性の判断が具体的に数字等で示され、また頸肩腕症候群の診断に伴う検査等もモデル化されましたので、これらの規定に従って公正、迅速な認定を行ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  166. 案納勝

    案納勝君 現在の認定状況はどういうふうになっていますか。
  167. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 認定状況でございますが、昭和五十年の十月十五日現在の数字でお話をいたしますが、公務上ということで認定いたしましたのが九十四件、それから公務外として認定いたしましたのが三十六件、それから現在検討中のもの、これが七十七件でございます。合計で二百七件、かようになっております。
  168. 案納勝

    案納勝君 九州や四国あるいは東北などでバイク、自転車乗務職員の中でレイノー病罹病者の職員が多く最近出てきています。これが拡大するおそれが現実化されているんだけれども、これに対する具体的な対策というのはどのように進められていますか。
  169. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在、機動車あるいは自転車使用によりますレイノー病は、これまで一般的に例がないというようなことが言われておったわけでございます。したがいまして、現在、罹病者の一部を東京労災病院に入院をさせました。そして検査をする、こういう処置をとっているところでございます。その結果によりまして、この種の疾病の予防策だとか、あるいは罹病者に対します健康管理等の具体的な措置を立ててまいりたい、かように考えております。  そこで、なお、当面の措置でございますけれども、この罹病いたしました職員に対しましては、関係のお医者とも十分連絡を密にいたしまして、この疾病が早く治るように必要な措置をとっていくというようなことで、現地にそのような方向で指導をしていく、かように考えております。
  170. 案納勝

    案納勝君 それじゃいま現実に逓信病院でやっているわけですね。それらの具体的な対策はいつごろに具体化できる見込みですか。
  171. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 実は東京労災病院でございますが、この東京労災病院にある一定数の患者を入れまして検査をいたしました。その事例だけではまだ確信が持てないというようなことでございますので、もうここ近くまた再度開始をしたい、それが約三週間ばかりかかろうかと思うわけですが、入院させてからその検査が済むまでそれくらいかかります。それから、その入院させ検査したデータを集めまして、医者、専門家等の意見も聞き、それの対策なりなんなりを講じていこう、こういうことでございますので、この具体的な措置につきましては、可能な限り早期に私たちとしても対策等を立ててまいりたいと思っておりますけれども、明確にいつごろまでとおっしゃられますとちょっとまだ自信がない、こういう状況でございます。
  172. 案納勝

    案納勝君 健康に関する問題ですから、これは早急に具体措置をとってもらわなければいかぬと思います。特にバイク、自転車の乗務職員に対して基発第四五号に基づいた特別健診というものをやっぱり並行してやってみるということが私は必要だと思いますが、そういう考えはありますか。
  173. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) バイクあるいは自転車乗務作業は、労働省の通達、これは基発第四五号でございますが、これに基づく特殊健康診断の対象業務とは現在のところはなっていないわけでございます。したがいましてこの特殊健康診断に準ずる措置を直ちに全面的に実施するということはいまのところ考えておりませんが、今後、ひとつこの実態を十分調査をいたしまして、必要な措置をとるように検討してまいりたい、かように考えております。
  174. 案納勝

    案納勝君 特に、新しいレイノー病の認定というのは、いまも言われたように、労災病院における診断、調査あるいは実際の健康診断、これは早急に措置をしなくてはならない私は緊急な課題だと思います。それだけに、基発の四五号に基づくことがそのまま当てはまらないとしても、私はこれだけ多くのやっぱり職場で罹病する患者が出てきているし、こういうことについては見逃すことができませんので、いずれにしてもそれに準ずる形で早急に措置をしていただきたい。そのことを強く要請をしておきたいと思います。
  175. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生がおっしゃったように、この種の病気につきましては、平素から各種の健康診断を通しまして早期にやはり発見に努めなければならない。その結果、異状のある者があったり、あるいはまた特段の症状を訴える者に対しましては、専門医の診断を受けるように指導しているところでございますけれども、なお案納先生のおっしゃる趣旨に従って指導してまいりたいと、かように考えます。
  176. 案納勝

    案納勝君 最後に、村上郵政大臣に特に要請しておきたいと思います。  郵便法審議は、冒頭申し上げましたように、七十五国会から審議を続けてきました。それでその審議過程で多くの課題提起をされています。けさ来私の方から申し上げましたように、同僚議員がすべて申し上げておりましたように、今後の郵便事業というものについての厳しい国民の批判、あるいは働いている人たちが本当に希望を持っていける郵便事業、こういうものに本当にこたえていけるという、そういう姿勢というのが私は一番大事だと思う。私は本来ならば大臣にここでスト権問題について明確に指摘をしておきたいことがあるのでありますけれども、これは逓信委員会、場を改めて、連合審査なりきちんとひとつ整理をつけて討議をするようにしていたきいと思っています。  郵便事業の将来展望については、もちろん今日まで論議をしてきた幾つかの課題ありますが、最大の問題は、私は労使の信頼関係をどう立てていくかということにかかっていると思います。その意味では大臣は十分に二回にわたる郵政大臣として御理解があるところだと思います。しかしながら、郵政事業の今日までの労使関係のいびつな、郵政省のよく言われるマル生と言われる関係というのはお互いに不信感を拡大をしてきました。今日でもなおかつ多くの問題が各地で発生をいたしています。私はここで一々それをきょう取り上げようと思いません。しかし、その根底にあるのは信頼感が全く持てないという状態にあるからであります、職場が。私は権力、当局側が、ドライヤー勧告にもありますが、一歩前に出て労使の安定を図るという姿勢がなければ労使の関係の信頼感は回復しません。  いま郵政事業の重大な問題は、先ほどから言う長期展望をどう立てるか、国民合意協力を求めていく施策をどう明らかにしていくか、これが第一であります。第二は労使の安定を図り、労使の信頼感をどう職場の中で打ち立てるかということであります。第三点目は、郵便事業の持つ公共性と福祉の増進に資するために郵便事業のこの法律の第一条にあるそれを事実上実践をしていく施策を立てることであります。三種、四種、いや一種の料金制度の再度の見直し等、大変大事な問題がたくさんあります。  これらの問題について、この郵便法審議経過を通じて出された問題をしっかり実は受けとめて、郵政大臣以下全力を挙げて対処してもらいたいのであります。でなければ今後の郵政事業はますます重大な段階になろうと心配します。私は時間が来ましたので、あと同僚議員に譲りますが、このことだけ最後に大臣にお願いをして要望をしておきまして、大臣から今後の郵便事業等について一言これらについてのお答えをいただいて終わりたいと思います。
  177. 村上勇

    国務大臣村上勇君) いずれの事業にいたしましても、人の和のないところにその企業の繁栄もなければ、成り立つわけがないのであります。特にほとんどが人力による、人手によって賄われておりますこの郵便事業は特にこの感を深うするものであります。  私は、就任以来、この人和をもってとうとしとするという、古い文句かもしれませんが、これをあくまでも尊重してまいってきております。労使という言葉を使うことすら私には何となく面映ゆい気持ちがいたします。そこには労もなければ使もない。私どもはあくまでも郵便事業を通じてこの一億国民に奉仕しておるんだ、この信念だけは私が終生これ堅持してまいる私の気持ちでありまして、もしいろいろな点について行き足らないところがありましたら、遠慮なく御指摘を願いたいと思います。ただいまの御意見のとおり、どこまでも労使相携えて、この事業のために粉骨砕身するということが郵便事業をして一番安全な企業として国民の負託にこたえる唯一の道だ、かように考えておる次第であります。
  178. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  179. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。
  180. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 郵便法の一部を改正する法律案に対しまして、大臣並びに各局長に若干の御質問をしてまいりたいと思います。  まず、その前でございますが、郵政大臣、あなたにちょっと御質問したいわけでございますが、先般の郵便貯金の金利の引き下げの件でございますけれども、四十七年の前回の引き下げでは郵政省の抵抗が半年間も続いた、こういうことで非常に評価をされていたわけでございますが、今回は早くから大平大蔵大臣村上郵政大臣の間によって引き下げの合意が非常に抵抗なくスムーズに動いていった、こういうふうなことで、私も村上郵政大臣の最初の姿勢とそれから後の姿勢、非常に不信を持っているわけでございます。それといいますのも、国民の約六〇%に利用され、しかもその九九・二%が個人性の貯蓄である郵便貯金を預かる郵政大臣として、今回の引き下げ決定に至る一連の動き、ちょっと安易ではなかったか、こういうふうに感じるわけでございますが、冒頭に大臣のその当時の見解も伺いたいと思います。
  181. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便貯金は国民大衆に利用されている少額貯蓄手段でありまして、預金者の利益を十分考慮するとともに、一般の金融機関の預金金利にも配意して決めるものでありますが、当面の深刻な不況を克服するために、金利水準の全面的引き下げが強く要請されたのでありまして、郵便貯金の利率をどうするかということについて、私は郵政審議会に諮問するとともに、多方面の意見を聞いてまいったわけであります。その結果、現下の経済情勢のもとでは郵便貯金の金利の引き下げはやむを得ないとの結論に達したのでありまして、さような経過によって金利の引き下げが行われたのであります。
  182. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は常に郵便貯金の精神というものがいかなるものであるか、こういうことを思考するわけでございますが、郵便貯金法の第一条にも「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こういうふうに高く掲げてあるわけでございます。また貯金法第二条には「郵便貯金は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」とありますけれども、こういうふうなことを考えますと、先ほど私質問しましたように、国民を軽視した内容というものが少々あるなという感覚を持つわけでございます。  その理由と私たちがしておりますのは、国民大衆の犠牲の中において大資本であるとか、そうして銀行の利益というものが図られてはいけない、こういうふうに私は常に一貫をしておるわけでございますが、今回の措置の裏には、やはり銀行とか大資本、そういうふうな非常に大きな利益があるんではないか。ということは、逆に言えば、三木総理を初め、あなたがいつも訴えていらっしゃる社会的不公正の是正というものが色あせてくるんではないか、こういうふうに思うわけです。  そういうふうにわれわれが思いますのは、やはりこの銀行の現在の貸出総額が約八十三兆円といたしますと、短期の貸出資金はその六〇%の約五十兆円、一%貸し出しの金利が下がれば五千億円の金利が負担減になるように私たちは推定をしているわけです。そこへ四月から八月の公定歩合の引き下げ分を加えると一兆二千五百億円もの金利負担というものが減少されるんではないか、こういうふうにわれわれの試算では見ているわけでございます。また銀行にとっても、預金の金利の引き下げによって、そのままそっくり貸し出しの金利に反映することもないのでございますから、銀行というものは高収益を保障されている、こういうふうにわれわれは考えるわけでございます。ですから、銀行も新たな利益は四千億円くらいもあるのではないか、こういうふうなことは綿密な計算をしてみないとどうこう言われませんけれども、こういう粗筋の中からでも、私は郵政大臣国民立場でもう少しがんばっていただきたかった、こういうことを非常に強く感じるわけでございます。  いま私が粗々申し上げましたけれども、それについて大臣のもう一度姿勢について御答弁いただきたいと思います。
  183. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先生の御指摘するまでもなく、私は零細な預金者を守る立場から、どこまでもこの貯金金利の引き下げについては反対し続けてまいりました。しかし、国全体のいわゆるインフレ対策、総需要抑制の物価対策というようなものから、大きな見地からどうしてもこの際金利を引き下げなければ、これがその収支償わないというような政府全体の立場から押し込められましたので、やむを得ず郵政審議会に諮問したわけでございます。  決して銀行がどうとか、いまの御指摘のようなことは私は全然考えていない、また全然私はそういう点については研究もしていない。本当にただ単に預金者の立場だけを考えながら交渉してまいりましたけれども、ああいう結果になりましたことは遺憾でありますが、しかし、最善を尽くしてまいったことだけはここではっきりと申し上げておきたいと思います。
  184. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大臣答弁を伺いましたが、私、要望しておきますけれども、やはり郵政省の立場からいって国民の側に立つ、こういう姿勢を断固として持っていただきたいし、そうして私の方から言わしめれば、政府や日銀の言いなりになってはいけない、こういう私は憤りを気持ちの中に持っております。  どうか、なかなか二度と金利の引き下げ等はやってこないと思いますけれども、次回に言うときには、本当に国民の皆さんから期待のできる郵政省であり、大臣である、こういうふうな一切の疑惑もはさまない、こういうきちっとした姿勢を貫いていただきたいと思います。要望しておきます。  では、本題に入りますけれども、私も本会議で先般三木総理大臣、そうして福田総理、大蔵大臣、郵政大臣にこの郵便法の一部を改正する法律案に対して質問をさしていただきました。また当委員会におきましても、やはり物価高騰の折から郵便法を改正して、このことだけが家計に占めるそういう割合ではなしに、公共性の諸物価のすべてのものに来年まで火をつけて大変なことになるから、やはり公共料金というものは、日本の国の全体の税制というものを抜本的に変えていく中から取り組んでいかなくてはいけない、こういう質問をしたわけでございますけれども、とにかく値を上げていく、こういうふうな答弁しか返ってこなかったわけでございます。で私は何と言いましても物価の高騰で国民生活を苦況に陥れることはこれ以上世界の情勢から見て許してはならない、こういう基本的な考えを持っております。  そこで、きょうは経企庁来ていただいておりますけれども日本消費者物価で昭和四十五年を一〇〇としたときに、きょう現在どういうふうな物価指数であるか、それは世界の先進国と比べてどうであるか、こういうふうな点からまず御答弁をいただきたいと思います。
  185. 朴木正

    政府委員朴木正君) 昭和四十五年の消費者物価指数を一〇〇といたしますと、五十年の十月現在におきましては、指数で申しますと一七八・五という数字になっております。  なお諸外国との比較でございますが、若干統計とり方等の差もございますので必ずしも正確ではございませんが、イギリスが一九四・九、イタリアが一七五・八、フランスが一五六・三、アメリカが一四一・五、西ドイツが一三六・三という数字になっております。
  186. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私がいま御質問いたしましたのは、国民の大半の方々がテレビや新聞を通して、福田総理政府見解というものが常に対前年度比一〇%以内で物価を抑えて物価が安定をした、だから公共料金を新しい体系で値を上げてもいいんだ、受益者がみんな負担をすべきなんだ、これが正当的な話となって出ているわけです。ですから、この五年間の中で一七八・五%も消費者物価値上がりをした、国民の皆さんに申しわけない、そういう立場の中から上り切った高いところからの一年の対前年度比、そういう話は一向に出ないんです。  だから、今回の郵便法の一部改正というものが家計の中に占める、そういう具体的な一つの割合だけで終始してはいけない。常にお金を出すのは一家の中の働いている御主人であり奥さんであり、そういうがまぐちは一つなんです。それを私は常に委員会や本会議で主張をしているんです。総理大臣を初め国民の声を一つも聞こうとしていない。それはいま経企庁からのお話を伺っておりましても、日本と同じような国、戦争中日本よりもさらに被害を受けたドイツ、その西ドイツでも一三六・三%です。ドイツよりも被害の少なかった日本の国が一七八・五%について、なぜ政府はまず国民の皆さんにおわびをしないのか、この数字で明らかになると思うわけでございます。  だから、私は値上げの波及効果というものが非常に国民の皆さんにとって恐ろしいと言うんです。申しわけない。連鎖反応や便乗値上げを加えたら大変なことである。もうお酒も決まりました、たばこも決まりました、国鉄も決まったんです。私鉄、バス、航空等の運賃、電話、電報、消費者米価もまた上がるでしょう、麦も上がるでしょう。塩や中小都市のガス、テレビの受信料、そうして公私の授業料、水道、電気、鋼鉄材、溶接棒、電線とかアルミとか、また石油、灯油、プロパン、みんな上がってくるんです。  そこで経企庁にもう一回お伺いをしたいのですけれども、今度は具体的な話でございますが、国鉄の運賃がまたまた上がってくるでしょう。もちろん郵便料金——いま討議されておりますけれども、この一連の物価値上がりの中で国鉄を考えますと、これは基幹産業の動くものでございますが、国民の皆さんの御生活の中で、たとえばジャガイモ一つが食卓に朝か昼か夜に上ってくる。それがもし北海道からとれて、東京の方に、大阪の方に食ぜんに上るというふうな段階になると、国鉄の運賃が上がるために、まず副食のそういうふうな一つの問題を出しましたけれども、輸送されて食卓に上るまでの値上げの波及効果、そういうふうなものがどういうふうにかってくるかということを簡単に説明していただきたいと思います。
  187. 朴木正

    政府委員朴木正君) 国鉄運賃につきましては、三兆円に上ります大幅な赤字を抱えております国鉄再建問題に絡むわけでございまして、これにつきましては明年度の問題といたしまして、今後の予算等の過程を通じまして検討をされることであろうかと思います。したがいまして国鉄の旅客運賃あるいは貨物運賃の値上げ幅が定まっておりません段階で、これが物価にどのように影響するかということは、現在では計算はちょっといたしかねる状況でございます。  ただ、今回のスト等を通じまして明らかになりましたように、国鉄の貨物のシェアというのはかなり落ちてきておりますので、その辺から生鮮食料品等に及ぼす影響というものはかなり低いのではないかというぐあいに考えられます。もちろん値上げの幅等によるわけでございますが、現在では国鉄のシェアが十数%というような状況でございます。
  188. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま私が食卓に上っていく生鮮食料品の具体的な問題を申し上げましたが、金額は別としまして、たとえば国鉄値上がりをすれば、恐らく輸送機関はすべて値上がりがするでしょう、将来。そうなってくると、生産地でいろんな野菜等がとれても、それを運搬していく、国鉄に載せていく、そこまではやはり値上がりのした輸送機関というものをかりていくでしょう。そうしてまた国鉄から消費地へ行っても、またいろんな輸送機関の中で家庭に行くまで、そういうふうに一つの例をとっても、一つのものが値上がりをすれば、みんなずうっと一連の値上げというものが出てくるわけなんですね。  こういうふうなことで経企庁にもう一度お伺いをしますが、私は、いまたとえばお米が上がればもうこれはずうっとみんな生活関連の、三十以上の品物が恐らく将来上がっていくでしょう。また鉄製品であれば、米と同じように基幹産業の中心とされる鉄関係というものがまたまた値上がりというものが話が出ている。そうしてまた石油という一番大事なそういうふうなものが値上がりされようとしている。こういうふうな中へ私がいま申し上げた公共性の関連的な料金引き上げ、いま具体的なもの何種類か申し上げたでしょう、そういうものをひっくるめて家計がどういうふうになるかということの試算をされているかどうか、お伺いしたいと思います。
  189. 朴木正

    政府委員朴木正君) 五十年度公共料金の主要なものの値上がりいたしましたものは米の売り渡し価格、それから国鉄寝台料金といったような料金関係、それから大手私鉄、それからたばこ酒税、それから地方では東京都の上水道あるいは五大都市の公営交通といったようなものが主なものでございます。本日は麦価の諮問が行われておりますが、答申があれば、またそれに応じた値上げ検討されるかと思いますが、そうしたものを合計いたしますと、消費者物価指数では二%程度影響を及ぼすであろうというぐあいに考えております。
  190. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そういう関連の中で、この郵便法の一部が改正されて値上げをされていくということになりますと、やはり私はこういう値上げ問題については公共性のものについては総合的にいろんな品名にわたって討議をしながら進めていかないと、ただこの問題だけを取り上げて、家計にはそんなに〇・一二ぐらいですよというふうな形で軽く見ていくということは非常に私は誤りがあると思います。その点についてどうですか。
  191. 朴木正

    政府委員朴木正君) 経済の運営といたしましては、物価の安定が一番経済の安定につながるという考え方のもとに、極力、物価の抑制に努めてまいったわけでございます。四十九年の狂乱物価当時におきましては、そういう前提から各種公共料金を抑制いたしまして翌年度、翌々年度と繰り延べてまいったわけでございまして、今年度は必要最小限なものにしぼって値上げを認めるということでございまして、物価抑制前提といたしまして、その範囲で許されるだけのものの値上げに踏み切った、こういう考え方でございます。
  192. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 一度だけこれお伺いしますけれども、いずれにしても物価の高騰というものはこの五年間で一七八・五%、もう本当に世界で一番の非常に異常な物価高であるということはわかったわけでございますから、あなたの方にはこの点だけを御要望しておきたいと思うんです。  ちょっと質問に入りたいと思いますが、消費者物価指数の、これはまた別な委員会で質問したいと思いますが、品目とウェートでございますが、自動車とかそれからテレビ、まあこういうふうな現在の国民の皆さんからいろんなお話を聞くとすれば、ちょっと品目とウエートの件でやはりこういうふうなところには問題点あるのではないかという声がございますので、消費者物価指数の四百以上の品名、件数については再検討を早くやっていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。それについてちょっと答えてください。
  193. 朴木正

    政府委員朴木正君) 消費者物価指数の作成につきましては、総理府の統計局でやっておるわけでございますが、五年ごとに家計調査を実施いたしまして、その家計調査のウエートの高いものを消費者物価の品目に取り上げるということでございます。  五十年度の家計調査に基づきまして、新しい物価指数の編成が行われるようでございます。その辺は総理府でやっておりますが、取り上げられた品目は科学的な調査の結果に基づきましてつくられるものでございまして、現在の四十五年基準のものとは、家計の実態の変遷に応じまして、若干の入れかわりがあろうかと思います。
  194. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いや、だから、総理府がやっていることはわかっていますけれども物価の動向の一番分析の権威はあなたのところなんですから、よそがやっているから、よそが権威を持ってやっているでしょうということでなしに、国民立場に立って、国民生活立場に立ってあなたのところから該当のところへ厳しく指摘をしてもらったり検討してもらう、そういうふうな熱意がないと、いまお話を聞いていると、物価は余り値上がりしてないようなあなたの感覚のように私伺うのですよ。  この五ヵ年間の一七八・五は、どうなんですか、日本の国として。一連の公共料金が新価格体系だといって政府中心のもとに業界を指導しながらいろいろなことがずっと行われておりますけれども、あなたの部署としては、一七八・五%、これは物価値上がりしてないんですか、それとも経済政策に失敗があったのか、まああなたそれは言えないと思いますけれども、そういう点をもう一つはっきり話してください。
  195. 朴木正

    政府委員朴木正君) 現在の一七八ポイントという指数は非常に高い指数でございまして、この間、石油ショック等ございまして、卸売物価値上がり等もあったわけでございますが、国民生活を守る立場からいきますと非常に遺憾なことと思います。  それから先ほど申し落としましたが、総理府で消費者物価指数の再編をやっておりますが、私どもといたしましても、実際に物価行政を預かる立場といたしまして、若干の意見は申し入れて、改善方も申し入れてございます。
  196. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、よろしくお願いしますね、がんばってください、皆大変なんですから。  最初に郵政大臣にお伺いをいたしますが、やはり一番問題になりますのは、一連の公共料金というものが受益者負担であるとかいろいろな形の話が出たとしても、こういう経済生活の中でやはり受益者の方が郵便料金についても全部責任はあります、そういうふうな形がストレートに行われていいのかどうか、この物価の高騰についてはだれが責任があるのか、国民の皆さんに責任があるのか、国民の皆さんに責任があるから値上げについては国民の皆さんが受益者負担として全部責任持ったらいいんだ、こういうふうなやり方になるのか、それともこの高騰を招いた経済政策の失敗は行政を預かる政府国民の皆さんの前にまず謝っていかなくちゃいけない、そうして安定した物価生活の中で国民生活を送ってもらうようにしていただきますから、これが落ちついた後は公共料金についても国民の皆さんも受益者に関係される方方は検討してくださいよという、この段階を一、二と置くのかどうか、その点、郵政大臣、どうでございましょうか。
  197. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 物価の高騰は国民に責任があるのだということは言い得ないと思います。やはり先生も御承知のように一昨年の石油ショックから非常に日本経済というものが全く混乱状態というような、非常に物価はどんどん上がってくるし、物資もある程度不足したとか、いろいろな状態でありましたことは御承知のとおりでありまして、その結果、その物価高によるところの賃金の高騰、こういうようなものがだんだんとそれに端を発しまして、郵便事業におきましても昨年は約三〇%に近い労銀の値上がりをみた。その結果として、やはり人手、人力によって賄っております郵政事業におきましては、とうてい、いままでの郵便料金では破局的な状態になりまして郵便事業の基盤というものは壊滅に瀕するというようなことから、この際、御案内のように独立会計でやっております郵便事業としては、やはり利用者に御負担をしていただく以外その道がございませんので、今回の料金値上げというようなことに相なった次第であります。
  198. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま大臣のお話を聞いておりますと、人件費が九〇%以上もかかる、そこへ物件費もかさむ、こういうことですけれども、これは、いまあなたが言われているように、政府の責任でない、こういうあれで、石油を初め諸外国、そういうふうなところのいろいろな要因であるというふうなあれは、やはりちょっと私おかしいと思うのですね。  人件費が上がるのも、働いておっても生活ができないから、どうしても生活ができるだけの給与というものはもらわなくちゃいけない、こういうふうに働く人すべてがどの部署においてもやはり家族を抱えて問題というものが出てくるのです。ですから、降ってわいたように人件費が高くなった、物件費が、品物が、いろいろなもので材料費が高くなった、そういうことではなしに、やはり経済政策の一つの大きな失敗の要因というものから物件費も上がってくる、人件費も上がってくる、そうしないと生活ができない、こういう状態に追い込まれてきたわけですから、政府経済政策でも全然失敗がない、すべて他の要因であると言うのは、私はまやかしだと思うのです。大臣、その点どうですか。
  199. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 政府経済見通しというものがもしも誤っておるとしますならば、それは一昨年のような石油ショックが来ることを予想できなかったことであろうと思います。
  200. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そこで、郵政大臣、先ほどから同僚議員からも御質問ございましたが、さき国会ではこれ実際廃案になったわけですね。あなたの方では、いや否決ではなかったのだと、時間切れでそのままになったのだというふうな言い分があるかもわかりません。また会期の不継続、こういうふうなことで廃案になったけれども、同じ内容で再提出した、こういうふうに言われてくると思うわけです。しかし、国民の郵便に関係されるいろんな方々の中から、前回廃案になった、そういう中には、国民の大多数の声として、政府の本当に幅の広いそういうふうな、そうして物価というものに本当に兼ね合っておらないそういう中で、廃案されたものがまた同一内容で再提出されたということで、これはわれわれとしても国会軽視ではないか。ちょっと郵政大臣を初め、三木総理大臣もそうですが、政治姿勢というものについて、これはもうやっぱり大きな、いま申し上げているような国会軽視のそういう形のものがあらわれているんじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。郵政大臣は、その点についてどういうふうにお考えか、お尋ねします。
  201. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 本郵便法が、前国会におきましては非常に慎重に御審議をいただいた次第でありますが、幸いに衆議院においては無事成立を見たのでありますが、当院におきまして慎重に御審議いただいたその結果廃案になりましたことは御承知のとおりであります。で、その後におきましても、いろいろとこの法案についての検討を続けましたが、何としても窮迫した郵便事業財政の基盤を立て直して郵便業務の運行を確保するためには、この改正案はどうしても成立をお願いいたしまして、ぜひとも郵便業務の健全な運行のためにはどうしてもこれを成立さしていただきたいので、再度提出いたした次第でございます。
  202. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そこで先ほども質疑が交わされたわけでございますが、事業収支の見通しを私も私なりにお伺いをしておきたいと思うわけです。数字に間違いがあったら、また言ってください。  現行料金では、昭和四十九年赤字が千二百四十七億、単年度で言いますと五十年が二千四百五億、五十一年が三千六百五十億、ですから累計では七千三百二億、現行料金の場合ではこういうふうに累積赤字、どうでしょうか。
  203. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 現行料金のまま推移いたしますと、そのような数字に相なります。
  204. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 で十一月一日、まあもう十二月でございますが、補正後の、値上げとした場合ですね、これは数字的にはいま十二月の半ばですから違いますけれども、五十年が九百六十四億、五十一年が三百五十五億、五十二年が千二百億、累計赤字が二千五百十九億、この点どうですか。
  205. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 将来の収支の計数につきましては、これは予測数値を当てはめての話でございまして、物数の伸びとかあるいは行われるであろうベースアップ率等をそれぞれ想定いたして計算する次第でございますが、大略、そのような数字に相なります。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光君着席〕
  206. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そうなりますと、長期見通しの一環としまして、昭和五十三年、それから五十四年、五十五年、こういう点では大体幾らぐらいになる予定ですか。
  207. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど申し上げましたように、たとえばベースアップ率というものを推定してやっておるわけでございます。具体的に申し上げますれば、ただいま先生のおっしゃいました数字は、五十年度まではすでに行われたるベースアップ率を使用し、五十一年度については仮に一二・三%とし、五十二年度については仮に同じく一二・三%としという予測数値の上に立って考えておるわけでございます。実は、これが幾ばくになるかということにつきまして、目下、確たるよるべき数字がない次第でございます。そうした場合に、五十三年度は大体どのくらいになるかということでございます。これはいわば目の子に近いと申し上げると大変恐縮でございますが、二千百億程度赤字を現出することと相なるのではないかと思っております。  なお、いまベースアップ率について申し上げましたが、収入面につきましても、物数の増加をいかほど見るかということによっても数字は相当揺れ動くものでございます。そうした条件つきの数字でございますが、そうした意味合いで概数を申し上げれば、五十三年度二千百億円程度。五十四年度以降につきましては、まことに恐縮でございますが、ただいま手元に数字を所持しておりませんし、またいま申し上げましたように、予測をいたすのに使う数値等について確たるよりどころがないので、計算はしておりません。
  208. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 前回も申し上げたわけでございますが、どうしても将来値上げによるのか、それとも一般会計から公共性という立場で補てんをしていくのか、また資金運用部の特別会計からやっていくのか、こういうふうな二、三点の問題点が出てまいりますので、私が申し上げた五十三年、五十四年、五十五年度、せめてこの程度までは、予測の数値であっても、資料を出していただきたいと思うわけです。  これを委員長からお願いしていただきたいと思います。
  209. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 資料は大丈夫ですね。
  210. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間かけたらいけるでしょう、質問していても。
  211. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま申し上げました、いわば予測の上に立った数字ということでございますれば、概数は当然つくることができるわけでございます。
  212. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私が心配しますのは、大臣が本会議でも当委員会におきましても、どんなに赤字になっても独立採算制でいく、そうして受益者にみな負担をしてもらう、こういう御表示が非常に厚いので、私この兼ね合いがありますので、いまから審議していく上において大臣にもう一度確認をしてまいりたいと思うわけですが、これだけ国民の公共性に本当に関係したものであっても、独立採算と受益者負担というものは断固貫いて、そのあとは一般会計とか他のところからは一つも補てんはしないと、そういう点もまず明確にしていただきたいと思います。
  213. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便法によりまして独立採算制を貫くようにということになっておると、私解釈いたしております。そのためにあくまでも独立採算制は私どもとしては貫きたいと、こう思っております。
  214. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私たちも、現在二千四百億の赤字があるから受益者負担として国民の皆さん方に値上げをして負担をしていただくということになれば、また値上げしても五十二年度の累計では二千五百億というふうな予測の数値の赤字というものが出る、また値上げをしていく、こういうふうな形になって、非常に公共性というものが貫かれていかない、私こういう懸念をするわけです。  で、この前、私、委員会で御質問をしたわけですけれども、このことについてもう一回確認をとってみたいと思うのですが、この委員会で私が質問をしました、昨年アメリカ合衆国の下院で郵政公共事業委員会・郵政小委員会においてリーダーズ・ダイジェスト・アソシエーション第一副社長のケント・ローズさんの証言でございましたが、私はそれを読みながら、本当にこれはやっぱり当局ももう少し考えていただかなくてはいけないんじゃないかなと思いますのは、アメリカでは、国民の利益のための事業として運用されるべき考え方が第一。二番目には、特定グループのためのものではなしに、政府の財源のためのものであってもならない、こういうふうにして公共性というものを非常に強く出しておる。  参考人としてこの人が証言をしておるわけでございますが、独立採算主義という問題を論じております。これは米国郵便事業公社においても「第一の欠陥は、いわゆる独立採算主義である」と明確に言っている。私はこれは非常に独立採算といま大臣が非常に言われておりますけれども、逆に言えば大きな欠陥というものがわが国においてもあるのだということを感じるわけですね。このケント・ローズが言っておりますのは、「第二の間違った仮定」というものは「それを利用し料金を支払う消費者に利益をもたらしているものであり、それゆえにこれらの唯一の受益者こそがそのサービスの全経費を支払うべきだとしている点」は間違いだと言っております。というのは「実際には、郵便事業とはすべての国民のために行われ、すべての国民に利益を与えている基本的な行政機能」だと、こういうふうに証言をしているわけなんですね。  私は、これを当局が、あああの人は業界の代表ですわ、ですからああいう発言をしているんですというふうなことではなしに、私は本当に郵便事業というのはすべての国民のために行われている、すべての国民に利益を与える基本的な行政機能だと思うわけです。ですから、独立採算制だから利用者だけに赤字を押しつけていくということは私は間違いだと思うのです。受益者というのは国民全体であるという考え方でなければならぬと思うのです。そうして郵便は国家のために有益であって国家財政によってどういう形であっても一部の負担をしなければいけない、こういう考え方が大事ではないかと思います。郵政大臣、この点についてはいかがでございましょうか。
  215. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、やはり利用者負担の原則というものを壊していくことになりますと——郵便事業はとにかく現段階におきましては、先はどうなるか私にも見当はつきませんけれども、しかし、いまの考え方だとすればやはり独立採算、それは利用者負担を原則としなければ、一般会計でこれを賄っていくことになりますと、郵便を一本も出さない人までも、はがきを一枚も買わない人もその負担をしなければならないというような、いわゆる公平の原則を欠くんじゃないか。しかも郵便法第三条では収支相償を原則としておりますので、どうしても現段階におきましては一般会計から補てんするということはとるべきでないと、かように思っております。
  216. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 で何か大臣のお話聞いていると、私の大臣の任期はいつまでも続くわけはないんだからというふうな立場の中で、現時点だけという非常な小さな目で見て発言されておられるように思うわけです。大臣、やはりそれは大臣というのは一年間か二年間、またいろんなかわり目にかわるでしょうけれども、やはり一たび席について、あなたがちょうど該当されていらっしゃる。そういうことになると、やっぱり大きな公共の立場から考えていかないと、民間企業のようなそういうふうなものとどうしてもちょっと違いますからね、性格が。だからそういうふうな性格をやはりしっかりと腹の中に据えていただかなくちゃいけないと思いますね。まあ後また質問いたします。  じゃ次に移りますが、きょうは非常に御多忙のところでございますけれども参考人として日本消費者連盟代表委員竹内さんに来ていただいておりますので、質問をさせていただきたいと思うのです。本当にきょうは御多忙のところ恐れ入ります。よろしくお願いいたします。  先ほど竹内さんもお見えでございませんでしたので、私の質疑を始めておったわけでございますが、今度の郵便法の一部を改正する法律案というものを先ほど物価と比較をしながら私お話を申し上げておったところでございます。で、この五カ年間に、昭和四十五年を一〇〇といたしましたときに、日本消費者物価指数がきょう現在一七八・五でございます。で他の先進国、たとえば西ドイツが一三六・三%。一四一・五%はどこでしたですかね。
  217. 朴木正

    政府委員朴木正君) 一四一・五はアメリカでございます。
  218. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 竹内さん、そういうふうにこの五ヵ年間で世界で一番高い物価になっているんですね、指数から言いますと。私、単純なお金の計算をいたしますと、昭和四十五年のときに一万円札でいろんな品物が相当買えたと思うのです。ところが五年たってこの消費者物価指数を見ておりますと、一万円札がきょう現在では二千二百五十円ぐらいの値打ちしかないような感じがいたしますので、単純計算でございますが、恐らく国民の皆さん方、特に主婦の方々が御家庭の夕食や朝食、お昼の用意で市場に行かれましても、一万円札が羽が生えたように飛んでいく、こういう私は真実のあり方というのがここにやっぱりあるんだなということをこの数字を見て感ずるわけでございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  そこへこの郵便料金だけではなしに、先ほども申し上げたわけでございますが、お酒やたばこ国鉄、私鉄、バス、航空等の運賃、電報電話、それからまた消費者米価、麦、塩、中小都市ガス、テレビの受信料、公私の授業料、水道、電気、鋼鉄なりそういう鉄類一般、石油、灯油、プロパン、こういう値上げの波及効果というものが——このまた郵便法の一部が改正されて値上がりをしていく、こういうことになれば、私は値上げの波及効果を非常に恐れるんです。そうして連鎖反応から便上値上げをまた誘発するのではないか、国民生活はどうなるのか、私はこういうふうに非常に心配をするわけでございます。  ですから、消費者連盟でいつも御苦労されていらっしゃいます竹内さんに私質問したい第一点は、単なる郵便法値上げだけではなしに、こういうことによってすべての公共性の品物がみんな導火線のように値上げブームを呼んでくる、国民生活はこの郵便法値上げとともに大変な状態になるんではないか。そうして生活のためにお金が出ていくのは家庭の財布が一つであるということはいま申し上げたわけでございますが、そうなってまいりますと、物価の高騰というものをまず抑えてから、政府が、そして公共性のもし値上げというものが必要であれば、お願いを国民の皆さんにしていく。だから一番いま大事なことは税体系を見直して経済政策を立て直していく、そうして抜本的な税体系というものを一日も早く変えていく。こういうふうにして大衆負担というものは最後にお願いをしていくべきではないかということで、私はまず物価の高騰というものが国民生活を苦境に陥れている、公共性のものが一連の値上げをすれば非常に恐ろしいことになる、こういう心配をいたしておりますので、その点についてお話を伺いたいと思います。
  219. 竹内直一

    参考人竹内直一君) 日本消費者連盟竹内でございます。消費者運動をやっている立場から御質問にお答えしたいと思います。  第一問の、公共料金値上げ物価に及ぼす影響についてお話をしたいんですが、実は、私かつて役人でありまして、経済企画庁におって物価の行政にタッチしておりました。で、そのときの経験から申しますと、当時、私の経験では、消費者米価値上げの問題がありましたときに、しばらく消費者米価値上げをしていないからこの際、一四%だったと記憶しておりますが、ある年です、値上げをしようではないかと。で、そのときの政府側の言い分として、家計に占める米価のウエートはこれこれだから一四%上げても家計全体ではこれこれの負担増にしかならない、大したことはないということでいこうじゃないかということで米価が上がりました。ところが米価が上がりますと、おしょうゆが上がる、みそが上がる、それから同じ穀類のパンが上がる、めん類が上がる、お酒も上がる、穀類と関係のないような新聞とか牛乳とか、そういったものまでも続いて上がってまいりました。そこで、私どもは、これは政府主導型の物価高だというように考えまして、公共料金値上げというものが家計費に占めるウエートだけでもって判断すべきものでないということを身にしみて感じたわけです。  そういうことがあったかどうか存じませんけれども、佐藤内閣の終わり方には、消費者米価値上げはあれは何年かストップをされました。そのときの国会での答弁では、公共料金を上げるといわゆる政府主導型の物価高になるから、そういうことを考慮して消費者米価は上げないんだということがありました。私はその考えは正しいと思うんでありまして、私たちが心配することは、物価の現象というものはこういうように統計数字でいじるべきものではなくて、あるいはまた計算上自動的に出てくるような天然現象といわれるようなものではなくて、非常に思惑の要素の強い心理現象である。そういうことを考慮に入れないで公共料金の政策を考えるということは間違っているという意味において、今回の郵便料金の大幅な値上げ、これは何%というようなものではございません、何倍、ものすごいインフレ不感症的な値上げ案が提示されておる。こういうことを国民が見て、これで物価が上がらないと幾らおっしゃってもわれわれは絶対に信ずることができない、そういうように感ずるわけです。
  220. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 貴重な御意見、多年の経験の中から本当に心にしみるお話を伺い、ありがとうございました。  で第二点目の質問に移りますけれども、これも先ほどから私申し上げておりましたんですが、公共性の非常に強い郵政事業が果たして今後とも独立採算でやっていけるのかどうか、それが妥当であるのかどうか、こういうふうな点について一言お伺いをしたいと思います。
  221. 竹内直一

    参考人竹内直一君) 私の乏しい知識によりますと、独立採算ということは私経営の経営の大原則だろうと思います、会社経営ですね。そういう政府がやりあるいは地方公共団体がやっておる事業も一つの経営である、企業であるとみなすならば、独立採算という考えをまるっきり無視するということはできないことも私は認めますけれども、しかし考えてみますに、こういうように自由経済体制のもとで民間私企業がいろんな事業をやっている、それが大勢であるという、こういう体制の中で政府が直営でやる、あるいは地方公共団体が直営でいろんな事業をやっておることも事実であります。教育の事業にしろ病院の事業にしろ運輸事業にしろ、民間でやってちっとも差し支えないものをなぜあえて国や地方公共団体が手を出しているのか、それはそれなりの必要性があるからそういうことをやっておるはずであります。これはお役人を前に失礼なんですけれども、お役人というのは大体無愛想な人だちだと、ありがとうございますということを改札口を通るときにも言ってくれない。そういうような無愛想な、また民間会社の人から言わせると能率も悪いと、そういうようなお役人さんになぜこういったいろんな事業をゆだねているか、われわれ主権者としてゆだねているかという点を考えた場合に、ただ民間会社と同じに何か金をかせぐためにやらしているとはとうてい思えません。  言うなれば、少しそもそも論を申せば、憲法に保障している私たちの基本的人権、生存権あるいは言論集会の自由とか、いろんなそういうような基本的人権を守るために、民間企業に任しておいてはそれが実現しないから政府地方公共団体が手を出すのだと、そういう大義名分があるはずです。そうでなければ、お役人がこういうものに手を出す理由は何もないと私は考えるわけです。そういうことになれば、民間私企業の経営原則である独立採算、それから受益者負担、そういった原則をそのままに持ち込むということが間違いであるということは、これはもう言うまでもないことであります。そこで独立採算ということを主張されるいまの政府、いまも郵政大臣が御答弁になりましたけれども、独立採算が必要であると、法律にそう書いてあるからだとおっしゃるだけではわれわれ国民は納得がいかないんです。なぜそうなっているかという、その根拠理由を納得のいくように御説明にならないとわれわれは納得ができないというわけなんです。  そこで、こういったわれわれの憲法に保障されている基本的人権を保障するために国や地方公共団体がやっているとするなれば、その経営原則はもちろんでたらめやっていいと、会計帳簿も何もつけなくてどんぶり勘定でやってもいいということは申しませんけれども、しかし私経営の経営の原則をもろに持ち込むことはこれは間違いである。そういうことを申しますと、いまも郵政大臣のお答えにありましたように、手紙を一本も出さない人が手紙をじゃんじゃん出す人のその経費を負担するというのは公平の原則に反するとおっしゃいますけれども、まさに国や地方公共団体がやっている事業は、言うなれば福祉を実現するための相互扶助の精神に基づいた事業である。そういうことのために、そういう事業は受益者負担、言いかえれば応益負担ですね、利益に応じて負担をするという原則ではなくて、応能負担、負担能力に応じて負担をするという原則が導入されなければならない。  現に社会保障制度は、収入の多い人がたくさん負担をしております。それから税制においても、直接税というのは応能負担です、負担能力のある人がたくさん出す。ですから税制も直接税が近代税制のあるべき姿だと、私たちはそういう主張を持っておりますし、いまの国公営事業についてもそういう考えを導入をして、言うなれば税金でもって応能負担の原則で取って、そしていわゆる所得再配分効果をねらう、それが相互扶助、福祉実現ということにつながるのではないかというように考えるわけです。  ということになりますと、こういう議論もございます。税金で取るのも利用者が料金で負担するのも結局国民の負担だから同じことではないか、よく新聞の社説なんかでそういう議論が出ますけれども、私は、それは国民全体とすれば同じことであっても、だれが負担するか、どういう所得階層の人が負担するかという質の面において大いに違う。そういうところを抜きにしていまのような議論をやって、そして私企業の経営原則を機械的に持ち込むということは大いに間違いで、もしそういうことを強く主張なさるならば、一切国や地方公共団体がこういった事業に手を出さないで、全部民間企業のそれこそ自由経済、自由競争のまにまに、その事業が衰えようと盛んになろうと勝手気ままだということにやるべきではないのかと、私はそういうように思います。それが適当でないからこそ現在のような制度がある。現在のような制度がある以上、独立採算、受益者負担という原則は、これは非常に制約を受けるべきであるということを申し上げたいと思います。
  222. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうもありがとうございました。  第三番目には、ちょうど消費者連盟の方々の傘下に入っていらっしゃいますミニコミの方から、私は郵便料金値上げに対する反対の要望書をいただいたわけでございます。で、その点について御質問をしたいと思います。ミニコミに関係されていらっしゃる方の六十の団体の方々の代表がお見えになりました。その中にはスモンに対する問題点とか洗剤、それからいろいろ文化的な諸団体の本当に党派を超えた社会正義の立場から動いていらっしゃる方々の団体であるというふうに私は思っているわけでございますが、その中でその人たちが非常に要望されていらっしゃいますのは、各地において消費者の問題であるとか、そうして公害の問題であるとか、その他の市民運動を行っているときに、これを継続しながら発展させて、そうして機関紙や広報、出版物を発行しておりますけれども、会員や読者の方に送り届けていくにはどうしても郵送しか手段がない。しかしながらこの仕事が社会の文化向上のために必ず寄与するということを信じている、そういう立場の中で身銭を切ってもぜひこの運動を続けていきたい。そういうところへ郵便料金値上げというものがわれわれの活動に対して本当に致命的なものとなってきた、こういうふうにして御要望をされていらっしゃいます。  その中には、郵政省のこの料金値上げというものが実施された段階の中で利用者、特にミニコミ発行者の影響というものを調査してくれたのか。そういうふうにして発行者の声に耳を傾けてくれないと困る。だから現況のままでは政府値上げ案を撤回してほしい、こういう御要望もございました。また二番目には、郵便事業赤字料金値上げに求めることなく、郵便貯金、簡易保険などの黒字部門で補てんをしていただきたい。また三番目には、昭和四十一年に廃止された第五種郵便制度、開封制度を復活していただきたい。四番目には、第三種の郵便物の認可条件というものを緩和して、ミニコミにも広く門戸を開いていただきたい。五番目には、利用者の負担となる郵便番号の強制記入をやめていただきたい、あるいは記入したときのあて先の簡略化も制度化してほしい。六番目には、先ほども同僚議員からお話がございました郵政審議会委員を利用者本位に改めて、ミニコミの代表者をも加えてほしい。また七番目には、公共性の認識を強めて利用者へのサービスを向上してほしい。こういうふうな七点にわたる御要望を伺いました。  その中でお話がございましたのは、第三種の資格を受けた人がこういうミニコミの方で二〇%、ですから、こういう方々は多大な影響を受けて、もうだめだろう。また第三種の資格を受けられない方が八〇%である。そういうふうな方は封書の料金が二十円から五十円に値上げされるようなことになれば、千部郵送の諸経費というものが二万円から五万円になる。こうなると、営利を目的としていないミニコミにとっては差額三万円の捻出手段は全くない。公害のいろんな被害者の人たちが低収入の中で一生懸命やっておる、もうそういうふうなものも全部めちゃくちゃになってしまう。こういうふうなことでわれわれの言論の自由とか基本的な人権というものがこれ以上圧迫されては、憲法で保障されているわれわれの人権というものはどうなるんだろうかと、こういう御心配をされておられたわけでございます。その点について竹内さんのお答えをいただきたいと思います。
  223. 竹内直一

    参考人竹内直一君) 今回の郵便料金値上げ案を見まして、私は本当に卒倒せんばかりに驚いたわけなんですけれども、これが本当に政府郵便事業をまじめに考えて出してきた案だろうかと思ったんです。まあ私も役人をしておった経験上、たとえば大蔵省に予算の概算要求を出すときにはかなり水増しはいたします。どうせ削られるんだろうからこれぐらいだと、まあそれで復活復活で最後は何分の一かでおりてくるという、そういう習慣がある場合はこういう数字が別段あっても驚きませんけれども、これが法律案として出てきて、見れば、もしこのまま通ってしまえばこれは大変なことになる、そういう意味でびっくりいたしたわけなんです。  第一番目に申したいことは、先ほども話が出ておりましたけれども、はっきりと言論の自由に対するこれは圧迫であるということです。何も、手紙を出したければ自由に出せばいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれど、お金のない人は出せないわけなんです。ですから憲法で保障されている基本的人権というものが、経済的な負担能力のない者にだけしわ寄せをされて、それが制約をされるということが果たして本当の意味での憲法で保障された基本的人権と言えるのかと、手紙を出したければもっと銭もうけをすればいいじゃないかと、収入がふえるようにもっと働けばいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、思うようにいかないのが世の中であります。そういうことを御考慮になってこういう案ができたのかどうかというのは私は非常に疑問に思います。  とにかく郵政特別会計が赤字だからそれを埋めるために計算するとこういう数字が出たと、だから値上げをしろというのであれば、これがもし民間の中小企業であるならばこういった値上げはまかり通るはずがありません。町の相場が幾ら値上げしたいと、中小企業の事業主が値上げをしたいと思っても通らないわけなんです。それが独占事業であるからこういった案が通るというところに問題があるわけです。ですから、先ほど来申しているように、独立採算という私企業の経営原則というのは、自由市場経済において価格というものが事業者の自由にならない場合に初めて当てはまる原則であるはずだと、それを全然市場経済とは無縁なこういう独占事業に持ち込むということが間違いである。その結果が、こういったわれわれがびっくりするような結果として出てきたと言わざるを得ないわけです。  そこで、いまミニコミのお話が出ましたけれども、最近の消費者運動を見ておりますと、まあ各地でいままで運動経験のない主婦の方やあるいは男性の方も参加してまいりましたが、地域における消費者運動がだんだんと盛んになってまいりました。その場合の一番の運動の武器として使われているのがこのミニコミなんです。ということは、まず、いままで意識のない消費者に事実を知らせる、事実を知ることによって問題意識を持つ、問題意識を持つことによって行動に立ち上がる、そういう図式がいわゆる草の根運動の基本的な戦術として使われて、それが成功をしつつあります。九月の初めにNHKのテレビで五日間にわたって放映されたあの番組をごらんになればおわかりのように、いままで全く運動のなかった地域でそういうじみちな運動が芽を吹き出してきつつあるという、それはミニコミの大きな成果であるというように評価をしているわけなんですけれども、そういうものを今回の値上げは一切これを圧殺してしまうんではないか。  事実、われわれ運動をやっている者は企業からひもつきの金をもらうことはもう一切やらない、そういう純粋な気持ちで自腹を切ってやっている運動、それが大半です。地方自治体から助成金をもらってやっている運動もございますけれども、そういったものはいまや傍流になっている。主流をなしているものは自前でこつこつとやる運動だと。そういう観点からいたしますと、そういうせっかく育ちつつある運動の芽をこの際これは一切摘み取ってしまう結果になる。そういうことについて政府側はどれほどの考慮をなさったか、私はそういうことは考えてもみなかったとおっしゃるに違いないだろうと思うんです。  現に、われわれが出しておる機関紙は、私たちのところは幸いにも三種が取れております。しかし、いまもお話がありましたように、三種というものは最近なかなか取れません。認可条件は有料の購読者が千人以上いるということが条件の一つになっているようでありますが、地域で運動をやる場合に千人の有料購読者を取るなんということは不可能に近いんです。だからそういう人たちはいまでも二十円の切手を張って出しております。それが二倍半の値上げになる、これじゃもう出すなというに等しいし、それから、われわれのところ、幸いにも第三種が取れたところにおきましても、これが実現をいたしますと、郵送料の方が本体の機関紙の印刷費その他の諸経費を軽く上回ってしまう、こういうばかげたことがあるだろうかということがわれわれの非常なむしろ怒りを覚える最大の原因です。そういった点についてどれほどの考慮をなさったかと言うんです。  こういう市民運動なり消費者運動なんてものは政府の施策に何だかんだと言って邪魔を入れる、その道具に使われるミニコミというものはこの際一掃してしまえというお考えでこういう案が出たとするならば、まことにわれわれは政府に対する信頼感をゼロにせざるを得ないというように考えるわけです。  いろいろ私たちのミニコミを出している諸団体が一緒になって運動をやっておりますが、その内容についてはいま御紹介がございましたから時間の節約上改めて詳しくは申しませんけれども、もしこういうことになれば、繰り返して申しますが、いま芽を吹き出しつつある消費者運動、それからそれ以外の市民運動、こういったものが一掃されるであろうということはほぼ確実であると申し上げざるを得ません。
  224. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうもありがとうございました。  じゃ最後の一問をお伺いしますけれども、最近の消費者の意識の変化によりまして郵便の利用が大幅に減少を来すのではないかなとも思うわけでございますが、竹内さんから見られまして、多年の消費者運動という非常に重要な立場から見られまして、今後の郵政事業に及ぼす影響等について二、三のお考えございましたらお伺いをしたいと思います。
  225. 竹内直一

    参考人竹内直一君) 日本の消費者は、世界の消費者から比べれば意識が低くて、企業が値上げをしてくればぶつぶつ言いながらやはり依然として同じ消費生活をやるものだということが定説でございました。  ところが、あの石油ショックを境にして、日本の消費者は、いままで物価が上がるのはどうも変だぞ、おかしいぞと言いながら、さて上がってみる、困った困ったというわけで値上げ反対ということをやってきた、まあ言うなれば後追い運動です。そういうことの繰り返しがいかにむなしいかということを長年消費者運動をやっておられるリーダーの方は言っていたわけなんですけれども、あの石油ショックではしなくも業界ぐるみのやみカルテルが続々と摘発された、牛乳からインスタントラーメンに至るまで業界ぐるみのやみカルテルによって大幅な値上げがまかり通った、そういうことを知って消費者はようやくこれは経済の仕組みがおかしいんだということに気がついて、その原因である経済の仕組みにわれわれは運動として挑戦をしようというわけで、独禁法の強化、改正ということを消費者団体一致しての大きな運動として展開してまいったわけなんですが、そういう意識の変わりが日々の個々の消費者の消費行動にずいぶん大きな影響を与えております。  たとえば、あのやみカルテルで値上げをしたインスタントラーメンの業界のあるトップ企業の社長さんは、あの当時、五割も六割も上げたという非難に対して、胸を張って申したことは、われわれの値上げは食糧庁が麦価の払い下げ価格を上げたから上げたんだと、しかしながら売れ行きは全然落ちていませんと言うんですね。それは日本の消費者がわれわれの値上げを是認してくれている何よりの証拠だと言って胸を張りました。ところが、その後、インスタントラーメンは市場にだぶつき始めた。  いままでの消費者でありますと、値上げをされてもぶつぶつ言いながら同じ量を買っていた。ところが、最近は、値上げをしてくるならば、われわれ消費者として意識的に消費の行動を規制しましょう、何もほしいものを無理やり財布が乏しいから節約するというような後ろ向きの消極的な購買行動ではなくて、積極的にわれわれの健康をむしばむような、食品添加物のかたまりのような食品はとらないぞと、あるいは環境を汚すような、たとえば合成洗剤のようなものはもう使うまいぞというような意識的な行動が目立って出てきた。これは統計的にはっきり出ております。  せんだって発表になった砂糖の消費量が前年同期に比べてたしか一四%落ち込んだという発表がお役所からあったと聞いておりますし、もっとひどいのは合成洗剤の消費量ですが、ことしの上半期一月——六月までの実績で申せば、前年同期に比べて、前年同期を一〇〇とした場合に、ことしの上半期は五八というオーダーになっております。四〇%以上合成洗剤の消費が落ち込んでおります。これは何も財布が乏しいから買うのを控えたというものではないと思います。積極的に合成洗剤は使うまいぞと、あの石油ショックのときに洗剤メーカーはわれわれが洗剤がないと言って探し回っている真っ最中に二割も三割も値上げをいたしました。そういうことに対する消費者の反発がそういう消費行動にあらわれてきて、いま申したような、これはいままでの日本経済では考えられないほどの革命的な実績だと思うのですが、これはわれわれが買うな買うなということは申しておりますけれども、何も特別の行動をやったわけではない。一人一人の消費者が自覚をしてそういう意識のある消費行動を実行したから、それが集積されてそういう数字になったものだと思うわけです。そういうことからいたしますと、最近まだそういうことがわからない企業側は、コストが上がるから値を上げる、いままでのパターンで値上げということをやろうとしておりますけれども、どっこいそうはいかないという状況がだんだんと日本の消費市場であらわれつつあるということを私たちは痛切に感じるわけです。  ですから、いかに独占事業であろうとも、米にしろ麦にしろ、こういった郵便にしろ、独占事業だからいままでと同じだけの利用をするであろう、同じだけの消費をするであろうというようなそろばんをはじくとするならば、非常に大きな誤算をするであろうと、私はそう言いたいわけなんです。  したがって郵便についても、大幅に値上げになれば、恐らくそれはその消費を手控えるに違いない。現に、ことしの年賀郵便は出足がよくないと新聞報道に早速あらわれているじゃありませんかと私は言いたいわけです。ですから、二倍半に値を上げた、五倍半に値上げをした、したがって収入はこれこれですと言ってお役人さんがそろばんをはじかれても、恐らくそのとおりには実現しないだろうと思うのです。必ずやものすごいしっぺ返しが数字となってはね返ってくると、私はそう確信をしております。
  226. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうも竹内さん、本当に四点にわたって貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。  そこで大臣並びに関係局長にお伺いをしたいわけでございますが、ただいま竹内参考人から前述の四項目にわたってるるお話を述べていただきましたが、これに対して郵政大臣また該当局長の御所見をお伺いしたいと思います——丁寧にね、してください。
  227. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 一応、参考になる御意見だと思っております。
  228. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 独立採算という点につきましてお話がございましたが、その点につきまして考えておる点を簡単に申し上げたいと存じます。  確かに郵便法の法の上で規定されておるということは、これは独立採算制を主張する私どもの大きな理由の一つでございますが、そのほかに私どもが考えておりますのは、現在の郵便物の利用のあり方というものから考えて、やはり受益者負担と申しますか利用者負担ということが社会的公正の上から見て妥当ではないかと考えておる次第でございます。  たびたび申し上げておるのでございますが、個人の差し出す通信文、これのウエートというものはだんだん低下していく傾向にございまして、現在時点において二割をすでに割っておるという事実がございます。その残りの八割余りという中にはいろいろこれは利用の形態はございましょうけれども、非常に大きい部分が各種の経済活動に関連して使われておる部分でございます。そうした点から、これは郵便というものは公共性が高いものである、これは全く否定の余地のない事実でございますけれども、その公共性の高い事業を維持、運営していくための財源という点から考えますと、単純な形で税金からというふうに結びつけることはかえって社会的公正の意味からいたしまして問題があるのではないかと存ずる次第でございます。  なお、独立採算制の問題につきまして、もう一点、独占的な事業であるからして、これを入れることは間違っておるのではないかという御指摘がございました。私ども経営努力につきましては日常大いに努めておる次第でございます。常に申し上げておりますように郵便事業を運営いたします経費の大部分を占めるものは人件費でございます。先ほど大臣が申しましたように人によって成り立っておる仕事でございます。この人件費単価をしからば郵政経営側の一方的な意思で自由に操作いたしておるかということになりますと、やはりこれはもう先生方皆様がよく御存じのように所定の手続を経て一応社会的に妥当と認められる線を出していただいて、それを実施しておるという実情でございます。私ども、もちろん今後とも大いに効率的な経営には努力いたす所存でございますし、また、しなければならないと考えておる次第でございますが、そうした意味で、あながち一般の私企業が金があるのに任せて浪費をするといったような考えのみでと申し上げましょうか、お考えいただいてしまいますと、ちょっと実態とずれが出てくるのではなかろうかと感じておる次第でございます。独立採算の点につきまして申し上げました。
  229. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、いま竹内参考人のお話を聞いて非常に参考になる御意見だというお話ですけれども、どういう点がこれ参考になったのか、ひとつ具体的にお聞かせいただきたいと思います。  それから、いまの局長の話ですと、個人の差し出す郵便というのはだんだんだんだん少なくなってきたんだという、電話も普及したんだし、企業が多いわけだからもうこれを個人で差し出す手紙についてはまあある程度は泣いてもらわなきゃいかぬという、そういう意味にもとれるようないまの発言だったと思うんです。先ほど具体的なお話ございましたように、消費者の意識の変化というものもあり、また消費者団体の立場からしまして非常に個人の手紙というものは貴重な、また、いままでのただ消息、あいさつ、こういうものではない違った面でまた利用されつつある、こういうものの芽を摘む結果になるぞというさっき参考人からのお話もあったわけでありますが、企業が八割だから、だんだんだんだんその割合が大きくなっているんだから、そういうものは圧殺されていいということにはならぬだろうと思います。それならば個人と企業とのこれは区分けをはっきりしてやっぱり料金体系というものを考えなければならない、そう言うと技術的にそういうことはむずかしいのだという言い方をするんですけれども、いまの局長のそういう言い方ではわれわれは納得し得ないし、独立採算のことについてもいろいろ申し上げたいのですけれども、これはまあ過日の委員会でもいろいろ論議しましたし、時間の重複を避けたいと思いますけれども、いまの二点ですね、ちょっともう一回大臣からひとつ答えていただきたいと思う。  大臣のまず参考になったというのは、どういう点参考になったのか、ひとつ具体的に言ってもらいたい。それから局長に——。
  230. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 現体制におきましては、一つの立法のもとにすべてが行われておるんであります。しかし、私は、そういう考え方もありますかなあということが参考になったんであります。
  231. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 どういう考え方が、なると思ったんですか。
  232. 村上勇

    国務大臣村上勇君) いまの現時点における体制と全く——すべてじゃございませんけれども、非常に違った方向の御議論だということが参考になりました。
  233. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 私ちょっと言葉が足りませんで先生に誤解をおさせ申し上げたことはまことに申しわけない次第でございまして、決して個人差し出しのものに泣けという意味で言ったのではございません。むしろ、そういう角度ではなくて、私は負担の公平という意味からして利用する方々に利用の数量に応じて負担していただくというたてまえをやはり持つべきではなかろうかということを申し上げたのでございます。  なお、それから個人通信が減っていく傾向と申し上げましたが、これは絶対数が減っていくということではございません。郵便物数は長い目で見ますると伸びておりますが、その中に占める占率が減っておるのでございまして、たとえば昭和三十年を一〇〇とした場合、全体の物数でございますが、四十九年は二九〇といったふうに全体が伸びております。しかしながら経済活動に基づくそちらの方の利用の分野が非常に大きくなって、占率といたしましては個人差し出しのものは減っていく傾向にあるのではないかということを申し上げた次第でございます。
  234. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、だんだんしゃべるうちにおっしゃっていることがちょっとわれわれの気にかかるような表現になった。大臣が悪い意味で言ったのではない、表現、言葉が足りないのだろうと善意に解釈したいのですけれどもね。  先ほどのお話はひとつ私どもとしては黙って聞いていられない表現がちょっとありましたのです。それは言葉の足りないためだろうと善意に解釈して、時間もありませんから、どうかこういう意見、こういうといいますか、消費者団体のいろんな活動の中で、その経験の中でお考えになったことであって、きのうきょう突然思い浮かんだという、こういうことじゃないわけでありますので、参考人意見というものはひとつ今後の郵政事業の中にも大いに生かしていただきたい。  これをひとつ要望するとともに、いまのお話、これはああだこうだとやっていますと時間もかかりますので、言われっ放しですと参考人もちょっと一言言いたかったということで何となしに後味が悪い感じだろうと思いますので、いま局長からのお話のあったことについて、もしお考えがございましたら、ひとつお述べいただきたいと思うのです。
  235. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ちょっと私から——私は決して悪い意味で申し上げておるのではないのであります。要するに、非常に御勉強されて、非常ないい意見だと、しかしながら、いまの私どもがこうして独立採算制をあくまでも守っていく、そうして利用者負担の原則というものを守っていくためには、その法律によっていまやっておるのでありまして、それを否定するような意見ではないですけれども、否定するような意見につながりますと、これはもうわれわれとしてはそれはどこまでも守らなければならない。  しかしながら、竹内さんの御意見の中に、本当に耳を澄まして聞かなければならないりっぱな御意見のあったことを私は参考にいたしております。どうぞひとつ誤解のないように、私の性格からしても、そういうことは申しません。
  236. 竹内直一

    参考人竹内直一君) 何か意見がないかということですので、一言だけ言わしていただきたいのですけれども、現時点における体制と非常に違った考えだという御評価がございましたけれども、私たちが持っておる体制と同じ国、たとえばアメリカやフランス、そういった国での国公営事業のあり方を見てみますと、たとえばニューヨーク市、いま赤字で大変困っておりますが、ニューヨーク市の地下鉄は、あの設備費は公費でやって、そして経常の運転するための費用は独立採算、そういうやり方をやっておりますし、フランスにおける教育はこれは無料でございます。ですから、先ほどお話しのあった一本も手紙を出さない人とそうでない人との間に不公平が出るというのは逆ではないのだろうか。  私は、その点において、これは何も体制の問題とはまるっきり関係のない基本的な考え方の問題だと思いますし、だから私の言っていることがえらくいまの日本の体制とまるっきり水と油のようなことだというような御評価に対しては、私は、そうではないということは、もう少し同じ自由主義経済体制をとっている国々の細かいこういった公共料金の制度を御勉強になれば、おわかりいただけるんだろうと思います。
  237. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうも竹内さん、本日は貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。本当に御多忙のところ、申しわけないと思っております。これで参考人の御意見等々につきましては、一応、終わりたいと思います。  大臣に一言、いま参考人のお話を含めて御答弁もいただいたわけですが、あなたが最初に言われた言葉と最後に言われた言葉、最初に言われた言葉で、あれは三秒間でございましたですね、参考になったと。で私は先ほども申し上げたように、本当に国民各階層の中でどなたも大変家庭のために忙しい。そういう中で、自分のためでなしに、消費者並びに国民の人々の幸せや健康のために一生懸命努力をされていらっしゃる竹内さん等を中心とする、そういう方々の声というものを国民の声、天の声だなと、こういうふうに私お伺いをしたわけでございます。  しかし、大臣は一秒か二秒かだけで参考になったというふうにして、立って答弁をしてお座りになった。これが国会における国民の代表としての政治家の、そうして自民党政府の——私、それ言いたくなるのです。国民の声としてわざわざ来ていただいて参考人の声を伺っている、しかしそれが一秒か二秒かで、参考になった、こういうことがわれわれ国会議員以上に大臣の皆さん方が、大変な状態であれば、社会の中で御家庭やいろいろなところを歩いていろいろな御意見を伺う、それが私は本当の政治であろうと思うのですけれども、あなたの最初のお話を聞いていると、参考になった、わずか一、二秒。これでは私は本当に日本の政治はよくならないのではないか。なぜ国民の方々の真剣な声を、あなたは一を聞けば二か三にして丁寧にお返しをしてあげる、たとえ考え方が違っても。それが私は本当の為政者としてのやり方でなくちゃいかぬと思うわけです。これについては答弁要りませんけれども、反省をしていただきたいと思います。  次に移りますが、きょうは、実は、私は消費者連盟の竹内さんだけではなしに、封筒業界とか、その従業員の皆さんの声もお伺いをしたい、それから第三種業界の方々、従業員の声等もお伺いをしたい、こういうことで参考人に来ていただきたいと思ったわけでございますが、時間も限定をされておりますし、まあそういうようなことで消費者連盟の竹内さんに来ていただいたわけでございますけれども日本消費者連盟の代表として竹内さんの声というものは私は本当に貴重なものがあったと思います。  で、その次に、封筒業界の従業員の声というものも、私たち該当の委員会だけではなしに、これは本会議でも委員会でも、そうして政府にも、そうしてあらゆる国会議員の方にも、声なき声として私は陳情があったと思うわけでございます。その点について御質問をしたいと思うわけでございますが、まず封筒業界の陳情というものは全日本紙製品工業組合の方からすでに関係のところには陳情等があってよくおわかりだと思います。この全日本紙製品工業組合の方々が先般も国会にお見えになっておられました。その中には、封筒の業者を助けてください。封書五十円、はがき二十円という大変な格差料金では封筒は売れなくなって、多くの封筒業者はつぶれてしまいます。先生のお力で——まあ本当にわれわれは先生と言われる者ではないんですけれども、この文面のそのとおりを読ましていただきますと、お力で何とか二十五円の十八円とか、三十円の二十円にしていただき、封筒業者に生きる道を与えてください。どうぞ封筒業者を助けてください。こういう御要望が関係のところに行っておると思うわけでございます。  私は、この紙面の一枚だけを見ながら、ほんとに涙が出るような思いであったわけでございます。封筒業者を助けてください——主権者である国民の中小零細企業、これは中小零細企業です、零細企業の方が多いと思うんです。主権者は憲法であれば国民であるのに、こういう業界の方にももし値上げをすればどういうふうな影響があるか、そこまでデータはぴしっと、皆さん方はすばらしい陣容を持っていらっしゃるんですから、調べていらっしゃると思うわけです。消費者の方のあれとは別でございますが、封筒業界のことをいま質問しておりますけれども、またこれと同じように、そこで働いていらっしゃる従業員の方も、もし値上げをされたら、もうこんな大幅な値上げをされたら、封筒買う人少なくなって赤字で倒産すれば、われわれも行く道がなくなる、われわれの家族はどうしたらいいのか、こういう御心配も、従業員の方々からも多くの御要望をいただいているわけです。  こういうことについては、郵政事業立場からは関連企業としてはぴしっと、こういう中小零細企業という方々が営々と営んでいらっしゃる、陰で貢献をされていらっしゃるとわかっているわけですから、これに対しての影響度のデータはきちっとなっているんでしょう。それを克明に報告してください。
  238. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生御指摘のように、封筒業者の方からいろいろ陳情を承っております。その内容は、封書とそれからはがきの間の料金格差ということのもたらす影響という意味で承っておるわけでございますが、これを数字的に把握はいたしておりません。ただ、その格差が大きければ封書からはがきへの移行というのは恐らくあるものと思います。過去におきましても、封書からはがきへの移行というのは徐々に見られておるところでございまして、そういう料金格差の影響が私は決してないとは申しません。  しかしながら、最初、郵政審議会の答申をいただきました際には五十円、三十円というような料金体系でいただいたわけでございますけれども、御案内のように郵便はがきというものが日本の過去の利用のされ方から見てもきわめて基本的な通信手段になっているということから二十円に据え置くべきであるという強い意見がございまして、そういうようなことを勘案しながら原案としては五十円、二十円という体系にしたわけでございまして、その格差が出たことについてはひとつそういう意味で御理解をいただきたいと思います。  それから封筒はもちろん郵便に使われるものでございますけれども、一般的にいろいろ用途がございまして、それだけの影響ですべてを推しはかるということは困難かと思います。ただ、先生御指摘のように、非常に細かいデータを私どもが持っておるかという御質問でございますけれども、それにつきましては残念ながら手元に用意いたしてございません。
  239. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 はがきへ移行することもやはり考えられると思うわけです。で料金格差の影響についてはやはり二十円から五十円ですから、大変なことだと思います。  で、いま手元にないと言われているわけですから、本省へ帰ればあると思うんですけれども、もう私は大臣の先ほどのお話を伺いまして、私も真剣なんです、初めから真剣ですけれども。これは具体的な料金格差の影響度というものがどう出ているのか、それはもう郵政省で当然手を打つべきセオリーでございますから、この具体的な資料要求を委員長から当局へお願いしたいと思います。
  240. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) この影響でございますけれども、果たして私どもがどの程度調査できるか、大変問題があろうかと思います。と申しますのは、これは企業の内部に立ち入って調べなければ、果たしてどれだけの経費の負担になるのか把握しがたい問題でもございます。したがって、私どもがもし把握するといたしますと、業者の方からこのような内容になっておるというお話を承って、それによって理解する以外に道はなかろうかと私存ずる次第でございまして、私どもから積極的に企業の内部に立ち入ることはいかがかと考えておる次第でございます。
  241. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 影響度が公共性という立場の中から非常に大きいわけです。そういう郵政事業から見て、業者からそういうふうな積極的なものが出てくれば対応しようと、これは私いまの社会制度から見てやっぱり間違いだと思いますね、考えなくちゃいけない。  ぼくらはあれですね、いまあなたが先生と言われたのは、ぼくらそういうふうに呼んでいただきたくないのです。先生と言われるほど偉い人間と違うんですから。ただ国民の声を政治の中に生かしていかなくちゃいけない、それで一生懸命走り回ってるんですから。だから言うことがあるんやったら言いなさい、そういう私は見解じゃいかぬと思うのですね。  やはり一つのものが修正されていく、そういうふうな中で、それに関係のものにどういう影響があるのであるか、それはやはり真心の政治、行政体としては当然あなたやっていかなくちゃいけないのじゃないですか。相手が言うてくるまでは、言うてこなかったらわかりませんとか。そのぐらいあなた方は影響度というものは少ないと見ていらっしゃるのですか。これは私はどんな理由があったとしても、われわれの政治的な経験の上から、やはりこういうふうな大きな事態のときにはいろんなところへきちっと手を伸ばして詳細を把握していく、そういうふうなことは当然のことだと思いますから、再度、委員長に当局へ資料の要求をお願いをして、もし出ないというのであれば、私はこの質問は保留さしていただきます。
  242. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  243. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。
  244. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 で、こういう封筒業者の方とか従業員の方も心配されていらっしゃいますけれども、いま私が申し述べた中から、当局のこれに対する対策、そういう見解をひとつお伺いします。
  245. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) これは先ほどもお答えしたところでございまして、繰り返しになって恐縮でございますけれども、郵便体系をつくります場合に、総体の収支というものが基本になるわけでございまして、ことに利用の多い一種、二種というものがやはり料金が決定されませんと、全体の収支の見込みを立てていくということが非常に困難な状態になっております。したがいまして料金体系の上でこれを変更するということは非常に困難なことでございますので、その点につきましては御了承を願いたいと存ずる次第でございます。
  246. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 何とか温かい手を差し伸べていただきたい、まあこのことを要望するものでございます。  で、またこれと同じように「第三種料金改訂に対しての要望」というものもすでに皆さん方のところにもいっていると思います。これは日本専門新聞協会の加盟百二十社の従業員の方々の訴えが、読者四百万人にかわって改定に対しての要望もすでに来ております。  こういう従業員の声を読んでみますと、「私共は、わが国の産業経済、教育、文化のコミュニケーションを専門的に担当する新聞社の従業員であります。今回、参議院で審議されている郵便料金改訂に付随する低料第三種郵便料金に関する値上げ案は、まさしく私共の存亡をかける重大事であります。私共は日ごろから郵政業務に極力協力し、地区別区分、差出郵便物の局内持込みなど、利用者として最大限の負担を引受け実行しております。今回の値上げは絶対に六〇グラム十二円(現行五〇グラム六円)以内にとどめて下さるよう、われわれ社団法人日本専門新聞協会加盟一二〇社の従業員は読者四〇〇万人に代り切に要望するものであります。」こういうふうに従業員の方から、やはり倒産等になれば大変でございますので、要望が出ております。また業界の方からも非常に六円から五倍の三十円はやはり省令にしても大変な値上げ幅ではないかということで切々とした訴えをされておるわけでございます。  こういう第三種の料金改定の要望に対して、当局の本当に真心こもる御答弁を伺いたいと思います。
  247. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 第三種郵便物につきまして先生御指摘のようなお話、それからこの国会を通じまして各委員の方々からいろいろとお話を承っておりまして、十分その面につきましては御要望の趣旨はわかるところでございます。三種につきましては、ただいまも参考人の方からお話がございました。そういった点も私ども利用者の声として十分考慮してまいらなければならない点かと考えております。  ただ、郵政審議会の答申がございましたように、過去において著しく安い料金で据え置いたために全体にひずみを生じているというような観点から、せめて直接経費を償う程度のものは料金に反映すべきであるというような御意見もございます。これは財政的な見地からも私どもそれ相応の理由があるものと考えておりますが、先生の御指摘のように、いろいろ三種につきましての強い御要望、これについては私どもやはり十分耳を傾けて、省令を改正する際に、その御意見をできるだけ考慮して決めていく必要があろうかと、このように考えておる次第でございます。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光君着席〕
  248. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 第三種の料金がいままで比較的割り安に維持をされておりましたことが学術であるとか技術であるとか専門誌の刊行を促したこともありますし、わが国の文化の発展を支えてきたと言っても過言では私ないと思います。そういうふうに第三種の料金制の貢献度というものは実際はかり知れないものがあるわけです。そういう意味で、今後とも、この点については善処をしていただきたいと思います。  次に、先ほども社会党の方から御質問がありました郵政審議会委員のことでございます。重複するかと思いますけれども、大事なことでございますので重ねて質問をしたいと思います。  まず、郵政審議会委員の中に、たとえば消費者の代表であるとか封筒業界の代表であるとか第三種業界の代表の方々も、非常に利用する意味で重要なところを占めていらっしゃるわけですから、郵政審議会委員のメンバーの中に入れていく枠をおつくりになる考えが将来ないか。そうして、それがなければ、まあなければと言ってどうしてもあってほしいわけですが、いろんな部会があるわけですね。三種とか、いろんな部会もあるんでしょう、そういうふうな部会の中に加えていただくか、こういう二段階あるわけですけれども、部会に加えていただくとか、郵政審議会の中に本当に国民代表として入れていただくとか、こういう二点についてお伺いしたいと思います。
  249. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま先生の御意見では、三種の大口差し出し者あるいは封筒業者、それぞれの分野の代表の方々を入れてはどうかという御意見と承ったわけでございますが、現在の、審議会のたてまえというのは、広く学識経験者あるいは関係行政機関の職員等から任命しているわけでございまして、それぞれの方が広い視野からそれぞれ全国民的な立場審議をしていただいていると、かように理解しているわけでございます。  したがって、先ほど差し上げました郵政審議会委員一つの便宜の分類というものも、これはあくまで便宜の分類でございまして、そういった分野別に細かく限定して委員になっていただいているわけではございません。やはりたてまえ、原則といたしまして、それぞれ有識者というものを広く選んでいくということでございますので、そういった方々がそれぞれの業界あるいはそういった一つの利用者のお立場を代表する方々の声、こういったものをよくお聞きになって、そこで御審議をいただくということが現在のたてまえでございますが、それをもって相当実効は上がっているのではないかと思うわけでございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  しかしながら、先生もいま御提案いただきましたように、そういった方々をそれぞれのテーマによりまして、そのときどきに参考人としていろいろと御意見を承る、あるいはそういった部会の中で特別にそういった場合に参加をしていただく道というものも、今後、検討の価値があるのではないかと思うわけでございまして、ただいまの御意見を十分に参考といたしまして検討さしていただきたいと思うわけでございます。
  250. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ審議会関係のことについて締めくくりとして、郵政大臣局長からも答弁ございましたが、審議会に利用者の代表とか、三種とか封筒業界のそういう方を将来やっぱり考えなくちゃいけない私は時代が来ていると思うのですね、そういう点についてどうですか。
  251. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私も官房長がお答えいたしましたように、余り小さく分けることはどうかと思いますけれども、そういう人たちの代表を入れるべきじゃないかと、かように思っております。
  252. 竹田現照

    委員長竹田現照君) これは委員長からも申し上げておきますけれども、四十一年のときから私からも指摘をしておりましたけれども、こういう法律が出るたんびに同じことをもう一回蒸し返さないように、審議会の構成等については本当に考えなくちゃだめですよ。その都度その都度言っていたってだめですからね、十年もたつわけですから、真剣に考えてもらうように私からも強く要望しておきます。
  253. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私も委員長のお考えと全く同じでございます。
  254. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま委員長からも重ねて要望がありましたし、あなたもそういう方向でと、こういうふうに言われているんですから、もう私また次にやめるからというようなことでなしに、きちっとまた局長さんも聞いていらっしゃるわけですから、こういう点しっかり加味して検討していただきたいと思います。  じゃ次に移ります。資金運用部の特別会計関係で、時間もございませんので、簡単にまいりたいと存じます。  いま財政投融資計画というものを資金運用部資金等の郵貯資金を主体として、まあ政府の投資活動を一つのプログラムとして行っておるわけでございます。こういうふうなことについても、国民の福祉の充実であるとか、活力のある福祉社会の建設、そうして高度経済成長から財政政策の重要な柱であるこういう低成長の時代になってきて、いよいよその比重というものが大きくなっているわけでございます。だから財投の果たす役割りというものは非常にいまからも大切になってくると思うわけでございます。そういうことに関連をして質問してみたいと思います。  まず、大蔵省当局にただしておきたいと思うわけでございますが、財政投融資における年金資金等の還元融資制度が今日のような形で決まりました一つは経緯、二番目には沿革について御説明をお願いしたいと思います。
  255. 石川周

    説明員(石川周君) 現在の還元融資制度がいまのような形で始まりましたのは昭和三十六年のときからでございます。国民年金の拠出制が始まりましたときの経緯といたしまして発足いたしましたものでございます。
  256. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 本来、年金の積立金は、年金の給付の対象となる国民の福祉向上の目的に合致しなければならないということは当然だと思います。しかし、この制度も、福祉向上のために、大企業へ向けての資金供給への反省あるいは制約として出てきたものであることは、これは言をまたないわけでございますが、年金資金の拠出者の拠出意欲の向上にもつながるものだと思うわけでございますが、この点については、大蔵省ではどういう計算をなさっていらっしゃいますか、簡単でいいですから。
  257. 石川周

    説明員(石川周君) 年金の還元融資制度につきましては、いろいろな事情がございますが、先生の御指摘されたような事情もあろうかと思います。ただ、直接的には年金の制度が強制的な制度に、強制徴収といいますか、そういう形になっておりまして、まあできるだけ年金者に直接的な形で利益がわかるような姿にしてほしいという要望が強く、いろいろな妥協の結果、そういう形が生まれたものと理解しております。
  258. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 四十八年からその枠が四分の一から三分の一へ拡大をされておるわけですね。その具体的な使途を見ておりますと、必ずしも還元融資と思われない点もあります、これは私が見て。それはきょうは時間がございませんので、また決算委員会とか予算委員会でやってみたいと思いますけれども、その枠をさらに五分の二とか二分の一に拡大する、あるいはもっと明確に、資金運用部資金の中に年金特別勘定を設けて区分管理をするような方式を私は検討していかなくてはならないのではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、大蔵省としては、どういう御見解を持っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  259. 石川周

    説明員(石川周君) 年金資金を区分経理するということは現在のところ考えておりません。  それはやはり政府資金といたしまして、いろいろな特別会計の積立金、余裕金というものが資金運用部というところに集まりまして、統合的に統一的に運用され、それが最も効率的な政策目的に沿うものとして運用されておりますので、区分経理、いわばちょっとたとえば的確かどうかわかりませんけれども、目的税的なものにはっきりと制度化するということにつきましては、その統一運用の基本を害するものと考えますし、そういう御要望にできるだけの配慮は、工夫していかなければならないとは思っておりますが、区分経理というようなことは考えておりません。
  260. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 還元融資の拡充というものが財投計画の福祉的な性格を強化することに寄与するのではないか、こういうことについては率直にお認めになりますか。
  261. 石川周

    説明員(石川周君) 財政投融資全体につきまして、国民生活の密接な分野にあるいは国民生活の基礎を培うような分野にできるだけウエートを置いて、そういったものに運用していかなければならないものと考えております。
  262. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も年金特別勘定等の提案をしたわけですが、実情に即さない、こういう御答弁でございますので、また次の機会に譲りたいと思います。  では次に、資金運用部資金と関連して、簡保資金の運用についてお伺いしたいと思います。  簡保資金については、戦前、戦中、戦後を通じて、その運用方法というものは独立運用、そして資金運用部への統合、あるいは今日のように八五%自主運用するというふうに紆余曲折を経て今日のようになっておると思います。しかし、その理由がどこにあるのか、そのお考えを、こういうふうになった変遷の理由ですね、まずお伺いしたいと思います。
  263. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) お答え申し上げます。  簡保資金の運用につきましてはいろいろ変遷がございまして、昔、郵政省でやっておりましたが、その後、一時、大蔵省に移されて、さらに再開されて今日に至っております。
  264. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 保険年金の募集業務を行っている官庁において調達をされた資金の運用を行うことが、募集業務に従事している従業員の士気の上からも望ましい、こういうこともありました。また資金を加入者の福祉向上に役立てることも容易であり、さらに簡保資金の運用利回りの向上を図るためにも資金運用部への預託は適当でないということではなかったかとも思うわけでございます。  現在、その運用で何か支障なり問題等がこういうところにあるのだというふうなことがございましたら、郵政、大蔵両当局から御答弁を願いたいと思います。
  265. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 問題と申されますと、いま私どもの方で一番大きい問題として大蔵省にお願いしておりますのは、現在、積立金は全部郵政大臣が運用しておりますが、余裕金が大蔵省の預託になっておりまして、非常に利率も低うございますので、これも積立金同様に郵政省に自主運用させてほしいという要望をして折衝しております。
  266. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ大蔵関係、いまの要望に対して。
  267. 石川周

    説明員(石川周君) 五十一年度予算要求の一つといたしまして、郵政省簡易保険局の方からそのようなお話は承っております。来年度予算編成の検討の一環といたしまして、いろいろ議論をさせていただいておるところでございます。
  268. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 その見通しについてはどういう結果を、まあいま議論されているところらしいのであれですが、見通しはどうですか。郵政省が大体言うようなとおりになるかどうかですね、お願いします。
  269. 石川周

    説明員(石川周君) 予算編成の中身にかかる問題でございますので、確定的なことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思っておりますが、私どものいまの感じといたしましては、御要望におこたえすることはかなりむずかしいのではないかと思っております。
  270. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 資金運用部預託の利回りと自主運用の資金の利回りとは大体どういうふうになっておるんでしょうか、数字的に。
  271. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 現在の積立金の運用の利率はいろいろございまして、一般の標準部分と申しておりますけれども、これが七・五%のものとそれから八・三%、さらに社債等に至りましては九%のものもいろいろございますが、余裕金の方は六%を割っているような状況でございます。
  272. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま御報告伺いましたけれども、現在のように制約されたもとでも自主運用された方が有利になるんではないかなと私は思うんですけれども、また保険契約者の利益になっているんではないかと思うんですが、そういう点についてはどうでございましょう。
  273. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) それは先生のおっしゃるとおりでございますけれども、現在、余裕金の預託は資金運用部資金法で大蔵省に預託するということ以外にはできませんので、その道を改正してもらうように、先ほど申し上げたように折衝を続けているということでございます。
  274. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃその方をしっかりがんばっていただきたいと思います。  で、私も、従来の発想を転換して、郵便貯金についても郵政当局の旧主運用あるいは零細預金者に対する還元の方途を考えたらどうかなと思うわけです。そういうような発想については郵政当局でいままでに検討されたかどうかお伺いします。
  275. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵政省といたしましては、貯金の資金につきましても自主運用をするということが望ましいわけでございますし、そういうことで過去においても大蔵当局とも折衝いたしてまいりましたが、何分保険と違いまして郵便貯金の資金につきましては沿革的な経緯がございます。あるいはまた政府資金の統一運用という要請もありまして、現状のようになっております。しかし、この問題は郵政省といたしましては長年の課題でありまして、今後、さらによく検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  276. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 年金の積立金と郵便貯金の性格ですね、これは相違している、こういうふうに私も熟知しているんですが、簡保資金と郵便貯金には実際は本質的な相違はないと思うんですけれども、これはどういう見解でございましょうか。
  277. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 簡保の資金につきましては私お答えいたしかねますけれども、郵便貯金の資金につきましては、明治の初めからずっと自主運用という歴史がございません。明治十七年から大蔵省に全面的に預託するということでやってまいっておりまして、郵便貯金、いまのところ金融というか、金融の面の所掌というものがございませんで、貯蓄の手段を提供するという性格でございます。これをこのままでいいのか、先生おっしゃるように、資金の運用も加えて預金者の利益に還元するという仕事をやっていくべきではないかという御意見に対しては、われわれもそういう長年の希望を持ってまいっておりまして、今後とも努力をいたしたいと存ずる次第でありますが、先生御承知のように、この融資、自主運用という概念に入るかどうかは疑問でありますけれども、昭和四十八年一月から預金者貸し付けという制度を創設いたしまして預金者の利便に供しているということは御承知のとおりでございまして、今後とも、こういった方面に十分検討を加えまして努力をしていきたいと考えております。
  278. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国の管理する資金を一元的に統合して運用する、これは長所も十分あると思います。しかしメリットも必ずしも絶対的なものではないと思いますし、先ほどから簡保資金についてお聞きをしておりますけれども政府部内においての話し合いとか連絡調整さえ十分なされれば、自主運用の道も開いても差し支えないとは私は思っております、それはいろいろ問題点もあるかと思いますが。  資金運用部の新たな財源の大きなやはりウエートを持つ郵便貯金というものについて、これは五十一年度予算編成を直前にしているわけですから直ちにというわけにはいかないと思いますけれども、郵政当局にお願いしたいことは、積極的に検討していただいて、財政当局と今後折衝をなさる用意があるのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  279. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 先ほどお答えいたしましたように、郵政省としての長年の課題でございまして、おっしゃるように十分検討——どういう制度がいいのか、どういうやり方でいくのがいいのか、いろいろ問題があろうかと思いますが、そういう問題について十分検討をしてまいりたいと考えております。
  280. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 現在の資金運用部資金預託の運用利回りを上回る運用が可能となれば、郵政関係三特別会計の総合的な運用の道も開けていくのではないか、こういう観点からいろいろと質疑を重ねておったわけでございますが、この関係について、また一言提案をしてみたいと思うんですけれども、独自運用ということをより徹底させるためには、今日までの郵便貯金を、たとえばイギリスのごとく国営の貯蓄銀行を設けて、そこで運用も行うということも考えられるわけでございますけれども、そういう提案にはどうでございますか。
  281. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 先生の国営の貯蓄銀行ということ、まあ私詳しくお話を承らないと内容をなかなか理解しかねますが、現在の郵便貯金でございますけれども、貯金法の第一条でいっておりますように「簡易で確実な貯蓄の手段」を提供するという郵便貯金の趣旨からいいまして、そういった一種の貯蓄銀行的な性格を持っているのではないか。ただ、融資の点では、先ほど申し上げましたように、預金者の窓口貸し付けということを行っているだけでございまして、そういう点については、今後、どういうふうに持っていくか十分検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  282. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 このことは大きな問題ですので、郵政大臣にもお伺いしたいと思ったんですが、いまちょっと出られましたので、私も今後国債の累積が避けられない事態になっておりますので、市中での消化が大変困難なことは明らかです。そして国民に過去のインフレ赤字国債のイメージ、こういうこともありまして、償還期限が十年と長期であること、また金利が安いこと、こういうふうなことから貯蓄銀行でその運用の方途、こういうことが私必要ではないか、将来構想の中で思うわけです。ですから、現在の資金運用部が購入するのに対してワンクッション少なくできるのではないか、こう思うわけです。これ最後に大臣にこの件についてはお伺いしたいと思うんですが、帰られたらちょっと言ってあげてください。——大臣にお伺いします。先ほど出られるときにお話ししておりましたように、貯蓄銀行のことちょっと言ってください。
  283. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 自主運用のできることが望ましいわけでありますが、過去における歴史的な沿革等もありまして、政府資金の統一運用ということにつきましては現状のようになっております。しかし、この問題は郵政省といたしましても長年の課題でありますので、今後、さらに検討してまいりたいと思っております。
  284. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 郵便貯金というものがささやかな国民の皆さん方からもう膨大な金額になっておるわけでございますから、私は、そういう構想というものは将来本当に必要であろうかと思いますので、また閣僚関係で御検討していただきたいと思います。  次に移りますけれども大臣局長の一連の御答弁をいただいておりますけれども郵政事業の中で、公共性が大であっても受益者負担の原則は貫くと主張されているわけですね。そうなってくると、赤字を一部国民の御使用される方々に転嫁するだけではなしに、大事なことは、企業努力というものも私は大事だと思うのです。それは今後どういうふうに行われようとしているのか、まず基本的に大臣から簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。
  285. 村上勇

    国務大臣村上勇君) なかなかむずかしい問題でありますけれども、結局、郵便あるいは保険、貯金等の機械化を進めていくとか、また、いろいろ職員の意欲を盛んならしめるというような方法を講じて、少しでも採算のとれるように努力いたしたいと思っております。   〔委員長退席理事茜ケ久保重光君着席〕
  286. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 企業努力で一番大事なことは、そういうようなことで人件費九〇%といわれる従業員の方々、職員の方々、非常にこれは人力を使って行われる事業ですから大変なんですね。だから、そこへ締めつけがあっといったら、これは私いかぬと思うのです。  と申し上げますのは、私の知っている人が郵政省へ勤めたわけでございますが、これは夏の暑いときにもやはり郵便を配達していく、とうとうおやめになりましたけれども、大変な仕事なんですね。ですからやはり企業努力ということになると、すぐ働いているところへ締めつけがいく、こういうふうなことはよく考えなくちゃいけないと思います。  そこで時間ございませんので、具体的な一つ一つのあれで企業努力はどういうふうにされているのかというふうなことの質問をしますので、答えていただきたいと思います。  まず一つは、逓信病院のことでございますけれども、この前、逓信病院のことについて私が質問をいたしましたのは、日本で非常に交通事故が多くなって人命というものが非常に危なくなっている。こういうふうな中で救急指定病院のそういう申請をしないのかというふうな問題をただしたわけでございますが、きょうは、別な観点から質問してみたいと思います。  全国に大きい病院では十六カ所設置されている逓信病院がございます。これは沿革的に見ておりますと、郵政省設置法第十四条、十六条、「附属機関」というところで明示されて、郵政職員あるいはその家族の健康の維持、管理に役立ってきた。そうしてまた将来もそういう目的で終始されるわけでございますが、やはり値上げを要求される段階の中では、企業の努力と、もう一点は国民の皆さんに理解をしていただくという点が非常に大事だろうと思うのです。国民理解の上から私この問題を取り上げてまいりたいと思いますが、現在、逓信病院ではすばらしい施設を持ってやっていらっしゃるのですが、門戸を開いていただいて、職員や家族の方々以外に、自由診療で国民の方々も受け付けていらっしゃるわけです。これは非常に私はりっぱな行為だと思っているわけでございます。ところが、現在、日本の国は皆保険の国でございますけれども、自由診療で一般の方を受け付けていらっしゃるわけでございますが、これは保険がきくのかどうかという点を、まずお伺いしたいと思うんです。
  287. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 健康保険では扱っていないと思います。
  288. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 もうちょっと色をつけてあなた答弁してくれないと、ちょっといかぬじゃないですか、これ。大事な問題なんですよ、あなた。  これは一点十円ですね、一般は。普通は一点十円でしょう。で私が申し上げたいのは、赤字になったからということで国民の皆さんに、そのときに受益者負担してくださいといってどんどん値上げするんでなしに、せっかくここまで門戸を開いていらっしゃって一般の方を診ていらっしゃる。そういうあなたのいまのそっけない話からいくと、逓信病院というのは、では税金からすべてできているわけでしょう、はっきりもとをただしていけば。国民の皆さんのお金ですべてできているわけじゃないですか。それでしかもここまで門戸を開いていらっしゃるのに、現金でお金を取って保険は全然使用しない。一般の方から見れば、保険でいかれれば現金出さなくても保険でいくし、病院から見ると赤字になるわけではないし、やはり同じような金額を保険でいただくわけでしょう。一方では足りないから値を上げろ、値を上げろと言って強引にどんどんどんどんやって、せっかくここまで門戸を開放していらっしゃるのに、国民にみんな保険がございますのに保険というものが使われてない。ここは何とか温かい、そういうやり方があるんではないかと思うんですけれども、どうなんですか。
  289. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在、郵政省の部内にございます逓信病院あるいは診療所等は、郵政省の職員とその家族の健康を保持するために設けてある施設であるわけでございます。したがいまして、その制度といたしましてこの郵政の職員あるいは家族以外の人たちの診療をするという、制度としてそういうことをやっておるわけではございませんので、いま先ほど私が申しましたように、逓信病院は郵政職員と家族だけを対象にしてやっておる施設なんであるというぐあいにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  290. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大臣、いま局長から答弁をいただいたわけですが、こういう時代の流れの中で、そうしてすばらしい施設を持っている、しかも付属機関として十四条、十六条の設置上の問題もありますけれども、やはりお病気の方に門戸を開放されていらっしゃる、現金で払っても保険で払っても病院としては何も関係ないんでしょう。そうであれば、国民の皆さんに喜んでいただけるように、保険があるんだから保険を使ってください、そんなことがなぜできないんですか。こんなかたくなな郵政省、一方では赤字だから国民が迷惑し心配しておっても値は一方的に押しつけていく、こんなことができないんですか、大臣、答えてください。
  291. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘の点はよく理解できるのでありますが、御承知のように、現在、三十万を超える職員の健康管理、年間三面九十万延べ人員の診療を行っております。そのために門戸を開放してそうして一般に利用していただくという面が非常に少ないように思っております。  また健康保険の指定医療機関となった場合は、制度として職員、家族に限定することは健康保険法の趣旨に沿わなくなるのではないかと、こう思っておる次第であります。
  292. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま、ぼくは、一般の方に門戸を開放されているでしょう、それはわずかな人ですわ、その人数をふやしなさいと言っているわけじゃないのです、一つはね。いまかかっていらっしゃる方々、そういう方の保険がせっかくあるのだから保険を使わしてあげたらどうなんですかと言っているのです。  いま大臣は保険法のそういうふうないろいろなものがあるからそれもちょっと無理だというふうな答弁されていらっしゃいますけれども、こういうところに私はふやしなさいと言っているのではないのです、郵政省の方多くあるのですから。現状で診ていらっしゃる一部の診療の方の現金で払っていらっしゃって保険がきかない、そういうふうなところを政府、郵政省で努力をされて、話し合いの中で現金を出さなくても保険があるんやから保険を使いなさいと、そういう温かい行政のやり方があなたできないのであれば、私たちはこの郵便料金値上げ国民理解を受けるまでは賛成できません。  一方では主張して、一方では、本当に人間の命が大変なそういうようなときに、人数ふやせと言っているのではないのです、病院の中に。郵政省の職員と家族の方だけ診るのでしょう、だから国民の皆さんをそれ以上ふやせと言っているのじゃないのです。せっかく逓信病院で余力があるからちょっと診ておられる、やはり病院であるから社会的な立場があるから無理をされているでしょう、その出入りをされている一般の方に対して、現金ではなしにせめて保険ぐらいでというふうな温かいことができないのかと言うのです。一方では値上げというのでしょう、やることと主張すること全然違うじゃないですか。もう一回答えてください。
  293. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生がおっしゃる逓信病院に郵政職員あるいはその家族以外の方が診療に見えた、その場合の料金の支払い方法について、そういう人たちは一方健康保険を持っておるのだからその健康保険を使わせたらどうだ、こういう御指摘かと思うわけでございますが、健康保険を使っていただきますためには、健康保険の指定医療機関だというぐあいに指定していただきませんと、そういうことには相ならないわけでございます。  そこで、そうするためには、この逓信病院も制度といたしまして部外の人も皆診る病院だというような制度として病院を設置いたしますと、健康保険の指定医療機関ということに相なろうかと思うわけでございますけれども、先ほど来先生もおっしゃっておりますように、逓信病院は設置法にも書かれておりますように、郵政省の部内職員とその家族を診る機関だ、こう規定されておるもんでございますので、はなはだ残念ではございますけれども、健康保険を使いなさいというわけにはまいっていない、かように考えている次第でございます。
  294. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間がございますから、この点はまた後日に譲りたいと思います。  いま非常にそういう規則であるとか、いろんなことがあるからなかなかできない、こういうふうなことでございますが、そのぐらい皆さん方は法律を非常に守っていらっしゃって、ああこれは考えなくちゃいけないなと思っても、なかなか改正の努力をされようとしない。そういうようなことでございますので、相当法律を守っていらっしゃると思いますので、では法律を守っていらっしゃるか破っていらっしゃるか、そういう一、二の例を申し上げてまた質疑を重ねたいと思います。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  郵政省で、会計法第十一条支出負担行為の原則、第二十九条の八の契約書の作成、予決令第七十九条予定価格の作成、これに違反をしている、そういう具体例を挙げてください。
  295. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ちょっと手元に資料を所持しておりませんので、ちょっと時間の御猶予をいただきたいと思います。
  296. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 先生の御指摘の件につきましては、四十八年度の決算報告におきまして会計検査院から指摘されました小倉郵便局のエレベーター増設工事について不当事項として指摘された件ではないかと思うわけでございます。  小倉郵便局のエレベーター工事につきまして七百二十万円の国損を生ずるという不手際がありまして、四十八年度決算検査報告の中で郵政省の不当事項として報告されました。これは会計法令に定められておりますところの手続を十分守らなかったために生じたものでございまして、工事の進捗状況把握が的確でなかったため設計変更の処理がおくれ、契約変更の処理をすることなく設計変更分の施工を請負業者に指示したこと、及び変更額の積算について時期を失しまして、資材価格が当時高騰した後において業者から徴した見積書に基づいて算定した価格により契約をいたしましたために、このような国損を生じたものでございまして、深く反省しているところでございます。
  297. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 会計検査院の方いらっしゃいますか——ちょっとこれについての御回答をお願いします。
  298. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) ただいま郵政省から御披露がございましたが、確かに昭和四十八年度の決算検査報告におきまして、小倉郵便局のエレベーター増設工事、この工事の施行に当たりまして、当初はエレベーターを一基新設する、そういうことで四十八年の二月に契約をいたしまして工事を始めたわけでございますが、その後、同じ年の十一月に至りまして、さらにエレベーターを一基及びダムウエーター一基の増設が必要である、こういうことで設計変更をいたしたわけでございますが、本来でございますと、この設計変更につきましては、当然、契約の重要な内容にかかわる事項でございますので、契約の変更手続が必要でございますが、そのような会計上の手続をすることなく、先行施行ということで増設工事をあわせて始めたわけでございます。そういたしまして、この工事の竣工期限は翌年四十九年の三月十五日でございますが、その三月十五日間際の同じ三月、これは二日でございますが、に至りまして、この本来設計変更、契約変更をいたしますべき増設分を含めて、契約変更の手続を行った、こういう事態でございます。  この点につきましては、先ほど先生からもお話のありましたとおり、会計法規にのっとらない取り扱いでございますし、そもそも会計法規の上からまいりまして、このような場合に契約変更の手続を必要といたしますのは、こういった単なる手続を経ないで先行施行というようなことをいたしますと、仮に工事の施行中に事故とか不都合なことが起こりました場合の責任の帰趨の問題とかあるいは契約の価格の問題とか、そういうところに往々にして紛争が生ずるというようなこともございまして、まことにまずい手続である、まずい処理であるということで検査報告に掲記いたしたわけでございます。この点が先ほど先生が御指摘になりました会計法違反の手続をとりましたことについての具体例としての検査報告の掲記事項でございます。
  299. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま御報告いただきましたように、こういうふうに二基づけなくてはならないのに一基しか発注をしない、そうして一基目をやってほしいからということで、そういう規則違反でやっている。物はどんどん上がってきた、そういうことで一千万円近くも非常に損害を与えたというふうな形になるわけでございますが、私がいまこの問題を取り上げておりますのは、金額の多少にかかわらず、皆さん方が独立採算、企業努力、そうしてそういうふうなことを非常に強く言われているから、こういうふうな点に目を通しておりますと、こういう問題すらすうっと、どうも常識でもわかるような問題でございますのに、やはり一方からいえば国民に大きな税金で御迷惑をかけている、こういうことになるわけでございます。だから企業努力、口だけではなしにやっぱり損害を与えないようにきちっとやっていただきたい、こういういま具体例の一つを出したわけでございます。  もう一つ、会計検査院の方にお伺いをしたいんですけれども、貯蓄奨励手当の件について御指摘が従来からされておりますけれども、その点について具体的にお伺いをしたいと思います。
  300. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 貯蓄奨励手当につきましては、御案内のとおり、簡易生命保険あるいは郵便貯金、これにつきまして郵便局の募集員、まあ主として外務員でございますが、この方々が募集に当たられまして、その契約が成立いたしました場合に、これは一定のそれぞれの率がございますが、保険の場合でございますれば当初の第一回の払い込み保険料、あるいは貯金の場合でございますれば、定額貯金であれば、その額面に一定の率を掛けました、募集手当と呼んでおりますが、こういった手当を報奨的な意味で給与のほかに支給をいたしておる、こういうわけでございます。  そこで、この募集手当につきまして、私どもその処理の内容を従前から検査をいたしてまいりましたが、簡易生命保険——簡保につきましては、御存じのとおり簡保の保険金額についての制限額が法律で決められております。で、その制限額を超過いたしましたいわゆる超過契約分、この分につきましても、それが当初そのような超過契約があるということが判明いたしませんと、当然のこととして計算上は募集手当がその分についても支給をされる、こういうことに相なっております。  そこで、私ども、まず保険について調査をさしていただきましたところ、超過契約が相当数ある。で、その超過契約分につきましての募集手当の支給という事実もまた相当額に及んでいる、こういうような実態がございましたので、この点について早急に是正の措置をとっていただきたいという旨の改善の意見表示を当局あてに差し上げた次第でございます。  これが保険の貯蓄奨励手当でございますが、次に郵便貯金につきましての手当につきましては、これは私ども調査いたしましたところ、やはり貯金の場合も御案内のとおり貯金額についての制限額がございます。この制限額を超えた分についても、それが判明しない限りにおいてはやはり募集手当が計算上支給をされる、こういうことになっております。で、この点のチェックのために、郵政当局では毎年定期的にこの貯金の制限額調査があるかないかということのチェックを地方貯金局において実施されておられますが、その結果はそれぞれの実施機関である郵便局に通知をされまして、その超過をした分については、まず貯金総額そのものを減額をなさいと、こういうような趣旨の通知が参るわけでございます。  したがいまして、その通知に基づいて、本来でありますればこの募集手当につきましても、超過分にかかわります募集手当は返納させる、こういうたてまえになっているわけでございますが、私ども拝見しましたところ、その貯金が要するに募集員の勧奨による、つまり募集行為によって成立した貯金である、あるいはお客さんが窓口に単に持ってきてそれで貯金をしたものである、こういった区別が本来は貯金原符なるものに記載をされており、それによって区分がされるたてまえになっておるわけでございますが、事務簡素化というような御事情もあったようで、この貯金原符の保存期間を一年という短期間になさっておられました。そういうようなところから、地方貯金局の方からせっかく減額についての通知が参りましても、それにかかわる募集手当、超過分についての募集手当が果たしてどの外務員、どの募集員が募集行為として勧奨して成立さした貯金であるかどうかということの区分ができないために、そのままにされていたというような額が相当数見受けられました。  そこで、これにつきましても、貯金原符等の保存期間について検討を加えるなどして、こういった超過分についての募集手当、これの回収措置に遺漏のないようにしていただきたい、こういった趣旨の意見表示を最近差し上げたところでございます。  以上が募集手当についての私どもの郵政当局に検査の結果として申し上げた内容でございます。
  301. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この件については、現在、郵便貯金の制度というものも四十六年は九兆円、四十七年は十二兆円、四十八年度は十五兆円、四十九年度は十九兆円の累増をたどっておりますし、五十年度は二十一兆円の貯金の残額を見込んでおるわけです。この反面には、働いておられる方にこういうふうな目標があるからどんどんかせいでいきなさいというふうな、そういう暗黙の圧迫が当局にあるから、奨励金といえば、お金をいただいてそれは喜ばれるでしょうけれども、一方では、一つの大きな役割りというものが肩にのしかかってきている。そういうふうなことで働いていらっしゃる方もやはり大変な場面があるわけです。  そういうふうな中で、郵便貯金法の十条については最高制限額三百万円、それが限度になっているのに、郵政当局では働いていらっしゃる方にどんどん役割りを果たすために、関東郵政局管内のあれでも四百八十六件、近畿郵政局管内分でも千三百八十二件——千八百六十八件で五十五億三千六百万円、こういうふうに当局が限度超過郵貯の奨励金というものを、非常に早く言えば法を破っていらっしゃる。  企業努力というのは、こういうふうに法律をあなた方は破って、しかも働いていらっしゃる方に過重の目標を与えて、奨励金を出すからと言ってどんどん暗黙のうちにでも労働を強いていく。これでは組合の人もやはり体がもたない。また目標額が上がるのか、当局は奨励金でわれわれの頭をなぜるんかな、というふうな人たちも出てくるわけです。しかも貯金法の十条に定める最高制限を破って、そうして千八百六十八件、この二管内でも五十五億もあなた方は違反をしているわけです。  いま、私、病院のことで声を大にして本当に申しわけないと思いますけれども、声を大にする理由わかるでしょう、こういうふうなことを。大臣、これどうなるんですか、これは。私は、いま座っていらっしゃる郵政大臣を初め、主要な人々があえてこういう法律を破っている、しかも訂正をしない。片一方では、国民の皆さんに大衆負担として赤字を押しつけている。いま参考人の方からいろんなるる御意見があったけれども大臣は一秒か二秒だけ立って話をしただけで終わる。一体、どういうふうになっているんですか、これは。大臣、法律をこれだけ破ってどうなるんですか、これは。あなた方は法律を破っていいんですか。時間がございませんので、大臣、答えていただきたいと思います。
  302. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便局における不正行為の防止につきましては常に配慮しているところでありますが、御指摘のような不祥事が生じましたことはまことに遺憾であります。  従来から郵便局に対しては、モラルの高揚、防犯意識の徹底、防犯管理の強化等を強調してきておるところでありますが、今後も、さらに業務考査、各種会議等において、これらの徹底強化を図りたいと考えております。
  303. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 きょうは、これで時間だからということでございますので、私もきょうの質疑は終わりたいと思いますけれども、こういう国民生活防衛の立場から国民の方は物価の問題であるとか、そうして郵政省で働いていらっしゃる方々はやっぱり一生懸命働いておられるけれども、いま申し上げたそういう事例の違反を見てまいりましても、働いていらっしゃる方に問題があるんではなしに、当局の主要な皆さん方の中に私は大きな問題点があると思います。  まあ、いろいろの観点からただいま質疑を申し上げてまいりましたが、こういう大変な一連の公共料金値上げの中で全体的な税体系を見直すものではなく、そうしてどんどんと一つ一つをこういう公共料金等の値を上げていく、こういうことについては私はまず税体系の全般的な根本的な見直しをしていかなくちゃいけないし、そうしてそういうことがあってしかる後に国民理解を得ていく、こういう順序が正しいと思うわけでございます。  で、私は、この郵便法の一部改正の法律案に対していろいろと多方面から質疑を重ねてまいりましたけれども、どうしても質疑の中で、この郵便法の一部改正についてはいろんな形の中でいま国民生活に悪影響を与えるという結論を得るわけでございますので、これを差し控えていくか、廃案にするか、そうしてまた凍結をするか、そういうふうにして国民の皆さん方にまず国民生活を守っていく、そういうふうな充実した経済政策というものを政府がとらなくてはならないと思うわけでございます。  きょうは、この程度で質問を終わりたいと思います。
  304. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それでは、五時五十分まで休憩いたします。    午後五時四十二分休憩      —————・—————    午後五時五十分開会
  305. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それじゃ着席をしてください。  再開いたします。
  306. 森勝治

    ○森勝治君 郵便法の一部改正に関する質疑は私が一番終わりであります。時間もすでにもう六時になんなんといたしておりますから、努めて要点についてのみ質問をしたいと考えておるわけです。  御承知のように、今回この提案されております郵便料金引き上げというものは、第一、二極が二倍ないし二・五倍、さらに新聞、雑誌等の第三に至りましては五倍というかつて見ないところの大幅な値上げであります。郵便事業は国家の独占事業として経営されているところでありますけれども、このいわゆる国営事業というものが国民生活に非常に支障を来すような大幅値上げということでありますならば、一昨年来に続く、このインフレ物価高、さらにはまたそれに加えて不況の波をもろにかぶっておる国民生活を逆なでにするような、いわゆる政府みずからがこの値上げを打ち出すということは、国民生活を守るという三木内閣の発足当時の第一のスローガンは物価抑制にあったはずでありますから、そういうことを忘れて、次から次へと、先般同僚諸氏が述べたように、あらゆる物価をつり上げようという一体この神経というものはどこにあるのか、私はこの点が合点がいかないのであります。  一体、郵政省はこうして国民が一番いやがっておることについて率先して値上げの計画をたくらんで今日提案をしているという、この私が無神経という表現を用いましたが、どういうことでそうされるのか、私がこう質問いたしますと、事業が赤字でございますからという答えが返ってくるでありましょう。しかし、今日的段階におきまして、単に赤字だから云々ということだけでは、国民を納得させる資料としては余りにも乏しいのではないかということを私は後段につけ加えて、この点についてひとつ御返事をいただきたいと思います。
  307. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この法案を再び提出いたしましたその理由につきましては、たびたび申しておりますところでありますし、先生もすでに御承知のことと思います。  総理府統計局の調査によりますれば、一般世帯の家計消費支出額に占める郵便料金の割合は〇・一二%ときわめて低いものであります。今回の郵便料金の改定が消費者物価指数に与える影響はおおよそ〇・二%程度と見込まれておりますので、国民生活及び経済社会に与える影響はそのように大きなものでないというように考えて、そこで、この事業の独立採算制をあくまでも保持していくために、この程度値上げをお願いする次第であります。
  308. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、この程度とおっしゃるが、たとえば三種で例をとりますれば五倍、六倍で、この程度というのは少し安易過ぎるのではないでしょうか。  いわゆる一昨年のオイルショックを契機としました、俗にこれは狂乱物価と言われたときでありましても、民間の営利企業の商品値上げというものはわずか数十%であったはずであります。たとえば昭和四十九年の三月から五十年の三月までの一年間の消費者物価値上がり率を見ましても、砂糖で四八・七%、灯油で四七・五%、自動車ガソリンで三三・三%ということであります。しかも、当時、衆参両院の国会におきまして、この点についても厳しく論戦が展開されておられますことは大臣も御記憶のことでありましょう。ですから、そういう生々しい、しかも激しい論戦の中から今日を迎えたわけでありますから、郵便事業が、私は先ほども指摘いたしましたが、赤字であるからといって安易に料金値上げするということは、そうやすやすと許されてもよいのであろうかという疑問が生まれてくるわけであります。  これは大臣には釈迦に説法かもしれませんが、郵便法の目的といたしまして、なるべく安い料金であまねく公平にサービスを提供することによって公共の福祉を増進することと、こううたわれてあります。いま私は郵便法の目的の一つを申し上げましたが、この郵便法の目的を果たさんとして、いわゆるそれを標榜して立つ郵便事業の経営者としては、このようにこの程度でということで他の物価から比べて著しい、いわゆる国民がびっくりするような値上げということは厳に慎まなければならぬのではないか、赤字だからといって他にその責任を嫁するということは、為政者として、国営事業としてあるべき姿ではないと私は考えます。したがって、この点についてもひとつ篤とお考えを聞かせていただきたい。
  309. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この程度と申しましたのは、ちょっと私の考え方が浅かったと思います。ただしかし、といって弁解するわけではございませんけれども郵便事業がその機械力にまつということでありますならば、いろいろな意味でもう少し安い採算で賄われたと思います。しかし、先生御承知のように、ほとんど人手を要しておる事業でありますだけに、この物価高のために賃金も異常に上がってきているというような特殊な事情が、他の事業の賃金も皆増額されておりますけれども郵便事業はほとんどその八、九〇%までが人力によることでありますために、どうしてもこのようなことになっておることを御了承いただきたいと思います。
  310. 森勝治

    ○森勝治君 三木内閣は、物価上昇はいわゆる一〇%以下、一けた台だということを組閣当時も言い、福田総理もあらゆる機会におっしゃっているわけですが、いわゆる一けた台への物価抑制などに対する三木内閣の公約の責任については私は後で触れてみたいと思うのでありますが、郵政大臣、仮にですよ、仮にあなた方がおっしゃるこの料金値上げを改定したと考えた場合に、この料金改定であと何年間ぐらい過ごせると思いますか。
  311. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便料金はなるべく長期間安定させることが望ましいものではございますが、今回の値上げをお認めいただきましても、実は、さしむきの五十一年度概計要求におきましてもすでに若干の赤字を見ておるというのが実情でございます。  昭和四十九年十二月の郵政審議会の答申による当初の計画でございますれば、四十九年度から五十一年までの間を通じておおむね収支相償うという考えでございましたが、はがきの料金値上げ幅を圧縮する等、物価対策上の措置を考えた等の結果、ただいま申し上げましたように、五十一年度においてもその概計要求におきましても赤字を生ずるという事態になっておるのが実情でございます。
  312. 森勝治

    ○森勝治君 経理局長にお伺いいたしますが、あなたは私から質問されたと思って、大臣をさておいて、いまお立ちになってお答えになったのでしょうか、そうでなかったでしょうか、お答えをいただきます。
  313. 高仲優

    政府委員(高仲優君) そこまで深く考えませんで、数字の話ということで反射的に手が挙がった次第で申しわけございません。
  314. 森勝治

    ○森勝治君 そんな粗末な郵政省経理局長ならば、さぞこの提案もずさんであったでありましょう。そんならば五倍、六倍はこれは自己抑制に欠けたやつでございますから、これはさもありなんと申し上げたい。しかし、かりそめにも郵政省の局長になる器ならば、自分の出処進退というものはおのずから分別あってしかるべきだと思いますが、興奮の余り立ち上がったのでしょうか、このこともお伺いしたい。
  315. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、数字が出たと、途端に、何と申しますか、義務感に駆られたと申しますか、反射的に手が挙がったということでございます。
  316. 森勝治

    ○森勝治君 経理局長、私が穏やかに君に聞いているのに、なぜ済まぬという言葉が素直に出ないのですか。当然、釈明あってしかるべきでしょう。  大臣に御質問がありましたけれども、つい熱心の余り私がかわって始めましたと、あしからずという釈明がなされないで、よくずうずうしく座っておられますね。帰ってくださっていいです、そんなこと言うなら。私はあなたに質問しているんじゃないんだから。これが郵政省の私がいつも指摘する上司を上司と思わない下克上の姿だ、どうするんですか、こういう姿。大臣をさておいて、私は大臣に質問しているんですから、大臣が君に指示したり、君が答えなきゃならぬときには、大臣に対する質問でございますが私がかわってやりますとか、これが礼儀じゃないでしょうか。余りにもふざけた答弁じゃ困りますぞ、お帰りください、もう。
  317. 竹田現照

    委員長竹田現照君) いまの件ですね、大臣から。今後の発言のこともありますからね、その点。
  318. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはどうも、むしろ私がうっかりしておったというようにおとりになって結構と思います。私、実は、この数字にわたることでありますので、ちゅうちょしているうちに経理局長が……
  319. 森勝治

    ○森勝治君 しゃしゃり出たんだと、大臣をさておいて。
  320. 村上勇

    国務大臣村上勇君) しゃしゃり出たわけでもないでしょうが、とにかく、大変どうもあれですが、御了解いただきたいと思います。
  321. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 私も指名をしましたからあれですが、これからの発言では、大臣から政府委員答弁をさせるという場合は、そういうふうに言って答弁に移ってください。  じゃ、森君、質問を——。
  322. 森勝治

    ○森勝治君 では、経理局長、改めてお伺いいたします。  再び同種の質問はいたしませんから、あなたが先ほどお立ちになったのは、私の質問に対するお答えになっておりません。改めてお答えをお願いいたします。
  323. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 御質問の御趣旨は、仮にこの料金改定を実施した場合、この料金を何年間維持させ得るかということでございますか——それに対しまして、私、郵便料金はでき得る限りなるべく長期間安定させることが当然望ましいということを申し上げた次第でございますが、しかしながら、実は、現在の状況からいたしますと、五十一年度概計要求の段階においても若干ながら赤字を見ておるという、実情にあるということを御説明申し上げた次第でございます。
  324. 森勝治

    ○森勝治君 よけいなこと言わぬでいいんですよ。見通しはきかないならきかないと言えばいいんですよ、そうでしょう。五年間なら五年間、さっぱりわかりませんと、経理局長ですがそろばんには疎いですと言うなら結構ですよ、たとえばそういう答えがあるでしょう。よけいなこと言わぬでいいですから、そのもの、ずばり答えてください。
  325. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま申し上げましたとおりでございまして、五十一年度に概計要求で赤字が生じておるということ、したがいまして続く年度におきましても、これはまあ予測数値がいろいろ入るわけでございますが、赤字が続くという形になっておるということを御説明申し上げた次第でございます。
  326. 森勝治

    ○森勝治君 赤字の連続ですと平気な顔で言われたんじゃ、経理局長、そう長い間そのポストに座っちゃおられませんぞ、失敬でありますが。  四十一年の場合の値上げ料金は五年間でしょう、四十一年値上げして五年間そのままでしたね。四十六年の値上げでも四年間、今日まで維持されてきたんでしょう。そのときの値上げ幅はどうですか、そのときはどのくらいでした、値上げ幅は。
  327. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいまお願い申し上げております料金改定の値上げ幅に比べまして小幅なものでございました。
  328. 森勝治

    ○森勝治君 よけいなこと言わなくたっていいんだよ。数字で答えろってんだから数字で、何倍なら何倍、何%なら何%、答えりゃいいじゃないか、よけいなこと言うな。
  329. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 四十一年度につきましては増収率を二八・八%といたしておりました。四十五年度につきましては四三%の増収率……
  330. 森勝治

    ○森勝治君 何言ってるんだい、全く。もっとしっかりせい、しっかり。出しゃばってくるなら出しゃばってくるように明確に答えなさい。
  331. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 間違えました。三六%の増収率ということを予定いたしたものでございます。
  332. 森勝治

    ○森勝治君 四十一年のときも三六%、四十六年のときも三六%というお答えですね、それでは。何回でも言わせる気ですか、私に。
  333. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 四十一年のときは増収率二八・八%、四十五年のときは三六%です。
  334. 森勝治

    ○森勝治君 その増収率という意味がわからないんですよ。幾ら上げたかと聞いているのですから、いいですか。
  335. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 幾ら上げたかと言っているんですから、五円を十円にしたとか何円にしたとか言えばいい。
  336. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 四十一年の値上げの場合の値上げ率は四二・四%、それから四十七年二月の場合は値上げ率といたしましては五四・四%でございます。
  337. 森勝治

    ○森勝治君 だからそう初めから答えればいいじゃないですか。そんな増収率なんか聞いちゃいないん、だから。大臣をさておいて出てくるときには歯切れよく答えなければならぬでしょう、責任があるでしょう、おわかりですか。これ以上私はとがめないが、やっぱり自分の出場所というのを心得なければいけませんよ、失敬でありますが。  私は、しばしばこの点で指摘してきた、数年間、このことを申し上げておる。たとえば——速記をちょっととめてください。
  338. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  339. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。
  340. 森勝治

    ○森勝治君 いまお伺いしましたように、四十一年度四二・四%、四十七年の二月で五四・四%、であるにもかかわらず、物価値上げしない、物価が鎮静しつつある、むしろ不景気だといって三木内閣が宣伝これ努めているにもかかわらず、最高五倍、六倍と値上げするのは全くこれはお話にならぬということを私は指摘しておきたい。  しかも郵政審議会でさえも、その答申の中で、大幅な値上げ国民生活や一般経済に与える影響は無視し得ないと、こう指摘して、しかも国民の負担軽減について慎重な配慮を要望しているわけですね。これは御承知のとおりでありましょう。各皆さんの質問の中にも公共負担分の一般会計からの繰り入れ、こういう問題の発言もあるわけですが、郵政省はただ単に独立採算制のみを固執しておられるわけであります。  私は、郵便料金のあり方について、この際、改めて明確にしていただきたいのであります。かつて郵政事業国民郵政事業として国民のものだという観点から、むしろ利潤追求という面よりも社会公共という、こういう面に重点が置かれてきたことは厳たる事実であるにもかかわらず、最近は、ややもすれば郵政省は受益者負担、独立採算だということを隠れみのとして、ちょっと行き詰まると直ちに値上げという安易な姿になり、国民に押しつけようとする傾向が顕著に見受けられる。  過ぐる当委員会におきましても、難視聴解消のときの問題についても私は言及をしたわけです。郵政省の中で、いわゆる原因者負担、テレビ難視聴の場合は原因者負担ということでございましたが、郵政省で一つの案として出しているのは、受益者負担ということで大きく看板を塗りかえて意見を出されている。だから私はつぶさにこの点は指摘をし、反省を求めたのはつい先般のことでした。  ですから、それらのことども等もひとつ思い起こしていただいて、いま私が以上質問いたしました点についてお答えをいただきたい。
  341. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵政事業は公共性の高い事業で、全国あまねくサービスを提供することが要請されております。一方、その利用料金であります郵便料金につきましては、郵便法第三条におきましても「能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」と定められておりまして、いわゆる収支相償の原則を明らかにいたしておるのであります。  郵政省としましては、昭和四十九年度から五十一年度までの事業収支の均衡を図ることができる料金改正を考え、五十年四月から手紙五十円、はがき三十円を骨子とする料金改正を計画したわけであります。しかしながら、公共料金を抑制するという政府の方針にのっとりまして、料金改正の実施時期を延期するとともに、庶民の簡易な通信手段であるはがきにつきましては、その料金を二十円に抑える等の配意をいたしまして、ただいま御審議をお願いしておる次第であります。このため、料金改正を実施してもなお赤字が残ることになりますが、料金改正が実施できますれば事業財政を立て直す足がかりともなるものと考えておりますので、この辺の事情を御理解いただきたいと存じます。
  342. 森勝治

    ○森勝治君 大臣からそういうお答えですが、経理局長郵便料金というものは、郵政省の料金算出に出たって、いわゆる受益者負担を中心とするのか、あるいはまた社会公共性を中心とするのか、端的にお答えをいただきたい。
  343. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便料金につきましては、郵便法第三条に規定されてありますように「郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」ということと、第一条に規定いたします「なるべく安い料金で」という二つの要素を考えて決めなければならないものと考えておりまして、一条及び三条を通じて言えることは、利用者負担を原則とするということに相なるのではないかと考えております。
  344. 森勝治

    ○森勝治君 いわゆる独立採算制を固執されておるわけですね、よろしいですか。  それで郵政事業百年になりますが、百年間あなたのおっしゃったとおりやってきたのでしょうか。一営利会社としておやりですね。あなたがいまそうおっしゃるならば利潤追求をもって旨とする一般営利会社ですね、一般会社と同じですからね。よろしいですか、そういう解釈で。そうじゃないでしょう。
  345. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便事業の歴史という点から見ますれば、三つの段階に分けて考えられると思います。  昭和九年通信事業特別会計が設立されるまでの間は、一般会計で運営いたしておりました。収入と支出の間の直接的な関係はないというよりはむしろ国家の収益的な事業と考えられておったのではなかろうかと思います。昭和九年に通信事業特別会計ができましたときに八千たしか二百万円でございましたか、年々一般会計へ繰り入れという義務的な条件がついたという点から、それを推測いたしておる次第でございます。しかしながら、現行郵便法になるに当たりまして、そうした収益的な事業ではないという点を宣明するために、なるべく安い料金であまねく公平にということが決められた、これは収益事業ではないということでございます。それからその後におきまして、第三条におきまして適正な費用を償う、それから健全な運営を図るに足る収入を確保するものであるということが明定された次第でございまして、収益を上げる、利潤追求ではない、しかしながら独立採算制を本旨とするということがこれによって決まったものと、このように理解いたしておる次第でございます。
  346. 森勝治

    ○森勝治君 いまあなたのお答えの前段の中で、黒字のときは一般会計に入れたと、こういう御説明でございましたね、そのとおりですか。イエスかノーか、ちょっとお答え願いたい、私の聞き違いかもしらぬから。
  347. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 当時は、通信来業特別会計でございまして、実は、郵便……
  348. 森勝治

    ○森勝治君 何であってもいいんですよ、入れたかどうか聞いているんですよ。
  349. 高仲優

    政府委員(高仲優君) これは一般会計納付金という制度がございました。戦時中には臨時軍事費特別会計繰り入れということで、毎年、相当の額を納付いたしておる事実がございます。
  350. 森勝治

    ○森勝治君 ならば、郵便会計が赤字になれば一般会計から繰り入れることも不可能ではありませんね、過去にあるんだから。原則論だけ聞きます。
  351. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 過去において納付の義務があったということでございます。現在は、この現行の郵便法をもって郵便の業務は定められておりまして、郵便法に現在明文で規定されておることは、独立採算を原則とするということであると理解いたしております。
  352. 森勝治

    ○森勝治君 郵政百年の歴史の中で、郵便が黒字のときに一般会計に繰り入れたという歴史があるならば、国民にばかり背を向けるような値上げをしないで、そういう過去の厳たる事実があるならば、逆に今度は赤字の多いのを補てんする。一番素直な、水が高きところから低きに流れるそれのごとく、ごく素朴に自然にできるんじゃないですか。それをなぜ——皆さんはそういうことを言うと独立採算だ独立採算だと言って力んでおられるんです。  あなたの話を聞いていると、たとえば関東なら筑波山の山頂に測候所があります。ここも何町何丁目何番地ということになりますが、そこへも郵便物を配達しなければなりませんね、原則として、一通であっても。あなたの話を聞いていると、山に登るのを特別料金で配達料つきでなければ配達しないぞと、こういうこけおどかしをしかけてきているような気がしてならぬのです。ところが、そうじゃないでしょう、郵便料金日本国じゅう全部同一料金でしょう。ただ遠隔地によっては都内のそれと違ってそれに時間がかかるということでしょう。独立採算、独立採算とおっしゃっておるが、他の事業はおしなべて近代化、文明化、私はこれまでもしばしばこのことを申し上げましたが、機械化、いわゆるオートメーションになりますが、郵便にこれを期待することはなかなか大変でしょう。時の流れについていけないうらみがあるでしょう。どうしても最後は従業員の働く手をかりなければ、足をかりなければ法律に定められた所期の目的を遂げることはできないのでしょう、そうじゃないですか。国家事業、公共事業というものが単に独立採算だ独立採算だということのみにきゅうきゅうとして、赤字が出たからそれを国民に転嫁するというのは為政者として正しいあり方ではないでしょう、私はそう思うですね。  したがって一般会計から逆に繰り入れることも過去の歴史のその裏を返してできるはずです、できないはずはないと私は思う。だから、そういうことをおやりなさい、努力しなさい、私はここで提案をする。
  353. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私どもの考え方としては、いま経理局長が御答弁申し上げた線を出ることができないのですが、いろいろいまの御意見を承りまして、今後、ひとつそういう点についても十分検討してみたいと思います。  ずいぶんこれは私も就任早々ではありましたが、政府部内においてそういうような意見を持って闘ってきましたけれども、どうもこれを貫くことができなかった状態でありますので、そういう点については御好意ある御議論でありますので、この法案についてはこれは私はいかんともいたし方ないことでありますけれども、この法案が成立いたしました暁には、やはりそういう点についても十分御趣旨の点を検討してまいりたいと思っております。
  354. 森勝治

    ○森勝治君 まあ大臣がせっかくそうおっしゃいますから、次の問題に移ります。  この郵便料金の上げ幅が激しいじゃないか、高過ぎやせぬか、多過ぎやせぬか、べらぼうじゃないかという世上の批判がありますと、いや外国に比べてそんなに高くはないということをことさら強調されるきらいがあるわけでありますが、よく郵政省が出される例はアメリカやイギリスのことですね、ですから外国の料金は一体どうなっておるのか、この点ひとつお伺いしたい。これはむしろ、あれじゃないですか、経理局長というよりも郵務局長の範疇になりますね、そうなりますとね。ですから郵務局長からお答えいただきます。
  355. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 外国の郵便料金でございますけれども、イギリスにおきましては、ただいま八・五ペンス、これは封書でございますけれども、これは六十一円ぐらいになろうかと思います。それから、はがきの方がやはり同額の六十一円ということでございます。   〔委員長退席、理事長田裕二君着席〕  それからアメリカが十三セントでございまして三十九円、はがきにつきましては十一セントで三十三円。それから西ドイツでございますが、これが五十五ペニヒでございまして七十一円、はがきにつきましては四十五ペニヒで五十八円。それからフランスにつきましては、八十サンチームでございまして、邦貨にいたしまして五十六円、それは封書でございます。はがきにつきましては同額の八十サンチーム、五十六円ということに相なっております。
  356. 森勝治

    ○森勝治君 一応、そういうお答えでありますが、わが国の所得水準という点から考えてみますと、わが国の郵便料金は世界でも超一流と、こう言わざるを得ませんね、私はそう思うのです。  しかも、今度は、たとえば第三種ではそんなに上がるわけですから、いわゆる利用者にはこれほど大幅な値上げ負担というものを強要しておりながら——強要という言葉を使いますと御不満かもしらぬが、国民に強いておりながら、ではサービスの方もまた超一流に向上がされるであろうかと思うと、必ずしもそうではないですね。料金値上げいたしますからサービスも超一流ですよ、と言い切れない何物かがおありでしょう。  それで前回の値上げ、すなわち昭和四十六年の際に、私どもでは附帯決議をしたことを覚えているわけです。郵便の標準送達速度の向上とその励行についてということで附帯決議で当局に要望しておったわけでありますが、それからちょうど四年たちました。その実施状況等をひとつお聞かせいただきたい。
  357. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 郵便日数表が四十六年に公表されておりまして、それ以後、御指摘のように業務の正常運行確保ということを非常に私ども最も大切な事柄として努力してまいってきておるわけでございますけれども、残念ながら、いろいろな現在の運行状況をながめてみますと問題はございます。そして郵便日数表の関係で申し上げますと、約九〇%程度が日数表どおりに配達されていて、残りの一〇%がそのとおりになっていないというのが現状でございます。この点につきましては、なお今後とも一層努力いたしまして、郵便日数の確保のために力を尽くしてまいりたいと、かように存じておるところでございます。
  358. 森勝治

    ○森勝治君 この郵便ダイヤを見ますと、航空機の深夜便の廃止をすでに二回やりましたね。そうなりますと、当初に比べますと主要都市の速達便で約半日、普通便ではもう一日もスピードダウンしているわけですね。これから見ますと、だんだんサービスの低下ということに相なってまいりますが、一体、その原因というものはどうなのか。これ以上滞貨をふやすこともできないだろうから、すなわち解消のために、また延びるのを防ぐために、一体、どうされようとするのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  359. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生御指摘のとおり、深夜の郵便専用機を廃止いたしましたことによりまして、一部の地域で御指摘どおり半日ないし一日おくれるというような事実が出ております。これは航空機騒音に対処するためにとられた処置でございますが、その後のその他の配達状況でございますけれども、そういう航空便の廃止以外に都市近郊が急激に発展している、そういうこともございますし、また地名、地番とか町名、こういったものの混乱等もございます。また都市内におきましては交通事情の悪化というようなことがありまして、確かに郵便の正常運行につきましては大変困難が多いのが実情でございます。  で、こういった点につきましては、いろいろな点で今後対策を講じていかなければなりませんが、たとえば地名、町名、地番の混乱等につきましては、できるだけこれは整備していただくというような努力もわれわれはしていかなければならないと思いますし、また局内作業の機械化あるいはいろいろ職員の資質向上のための訓練、そういったもの等も含めまして、あらゆる施策を総合してこういったことのないように、今後とも、さらに確実に郵便が送達されますような努力を続けてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  360. 森勝治

    ○森勝治君 現在、福岡——羽田間の航空便を利用している郵便物は、新幹線博多乗り入れに伴って、一体、廃止されるのか、従来どおり続けられるのか、これを聞きたい。
  361. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 福岡——大阪でございましたでしょうか。
  362. 森勝治

    ○森勝治君 羽田でしょう。
  363. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 羽田でございますか、失礼いたしました。福岡——羽田の航空便につきましては、従来どおり輸送を続けてまいりたいと考えております。
  364. 森勝治

    ○森勝治君 新幹線を利用した場合と従来どおり航空便を利用した場合の速度の違いと料金の違い、どちらが低廉につくか、このことをお伺いしたい。
  365. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま両者を比較して検討したことはございませんが、ただ、現在、新幹線につきましてはまだ郵便輸送を行っておりませんために、航空輸送のみに頼っておる現状でございますが、そういった先生御指摘経済比較等につきましては、今後、十分調査いたしまして対応策を考えたいと思っております。
  366. 森勝治

    ○森勝治君 郵務局長郵便料金をこのように大幅に値上げするときには、国民にその赤字を負担させることばかりでなくして、いかにせば速く低廉に国民の手元に届くかという御努力があってしかるべきだと思うのです。したがって、いま私が具体的に指摘した点についても当然これは新料金改定のときに検討されてしかるべきでございました。これからやるなどということはまことに私は困る。  一事を聞いて万事を知る聖徳太子ほど頭はよくありませんが、もうこれで郵政省がおざなりに、ただ赤字だからといって国民にその責任をなすりつけてきたような気がしてなりません。やがてこれが北陸新幹線、東北新幹線といろいろ開通になるでしょう。まあ新幹線はまだ国鉄と話はしていませんというが、そういうことも算定をして、それで事業のむだを省くという御努力を願ったしかる上でなければ、国民にどう節約してもこれだけ足りませんと、だからこの分だけということでなければ皆さん納得しないのではないでしょうか、いかがですか。
  367. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) たとえば新幹線を利用いたします場合には、停車時分の問題も相当大きな問題になろうかと思うのでございます。その間に郵便の受け渡しをいたしますが、そういうことが果たしてできるものかどうかというような問題、それから国鉄側の列車の連結の問題、こういったものも大きな課題かと思いますが、そういった点を含めまして、今後、検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  368. 森勝治

    ○森勝治君 あなた私の質問を若干誤解して聞いておられる。私も誤解を招くような発言をしたのかもしれません。  私は何も新幹線の停車駅ごとにそれぞれ、現在やっているような形で、普通列車でやっているでしょう、ああいう形でおやりなさいと言っているんじゃないんですよ。だから航空便を利用するところと申し上げた。  たとえば羽田——福岡間は一時間二十分でしょう。博多の駅から福岡の飛行場まで約三十分かかるでしょう。朝のラッシュアワーのときは一時間以上かかりますね。小倉へ出るのには三時間もかかるでしょう。逓送車をもって飛行機に積み込む時間、ならばそれを一時間もかかる、あるいは三十分もかかるところを、博多の新幹線の駅であれば、そう時間はかからない。なるほど飛行機に積載をしている時間は、滞留時間は短いでしょう。しかし今度は羽田に着いて、羽田——東京間のあの交通のふくそうした時間等を加えていくならば、新幹線に載せれば、もう博多から載せれば、何時間後には、六時間後ですか、中郵の玄関に着くということになるでしょう。それは新幹線を利用すれば高くなってしまうというならまた別ですけれども、いろいろそういうことを考えられて、この値上げ案というものを策定されなければ、国民はただ取りされるような気がしてならぬのですよ。私はそういう点はぜひとも御検討をわずらわしたい。そういう御検討あったしかる後で、この法案を出してもらいたい、私はそう思う。
  369. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 確かに、先生御指摘のように、輸送方法につきまして、十分な検討が必要であることは御指摘のとおりでございます。たとえば国鉄依存のみではなくて、トラック輸送をどう考えるか、あるいはいまお話のございました飛行機のかわりに新幹線を使う、こういった問題については総合的に郵便輸送体系というものを考えていかなければならないというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、これは国鉄側の事情と申しますか、新幹線の列車編成の問題がございますので、そういった点につきましても、十分その辺を詰めないと結論が得にくい問題でございますので、そういった点にはしばらく時間をかしていただきまして検討さしていただきたい、かように考える次第でございます。
  370. 森勝治

    ○森勝治君 私に言われたから詰めるというのではなくて、各方面——私は東京——福岡の輸送の問題、遠距離輸送の問題について一例を単に挙げただけですよ、一つの例を挙げただけです。一つの例を挙げただけでも全然考えてなかったわけですから、ほかのことを考えれというのは無理かもしれません。だから私はあえてこういう発言をしているんですよ。  細心の注意を怠りなくやってくださった後で、最善の努力をした後で、どうしても足りないから国民の皆さんこの分だけ負担してくださいと言うなら別だが、従来の方法で、いつも全然改善をしないで、料金はぐんぐん上げておいて高く取る、サービスは低下する。だれがこれでは賛成でございますか。お上の御用ですからメーファーズなんということを言う人いますか、だれも言わないでしょう、そんなこと。何言ってんだということになるでしょう。だからそういう各方面の御努力を願って、やはりしかるべき方策を講じてもらわなければなりません。ですから、私はいま出直して法案を出しなさいと言ったが、そう言っても、はあそうですかという顔つきはしていない。しかし、私はこれは私の説ですから取り下げませんけれども、私は次の問題に移ります。   〔理事長田裕二君退席、委員長着席〕  郵便物の扱う数と郵便の事業定員の移りかわりですね、過去十年間どうなっているか、ひとつお伺いをしたい。
  371. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 郵便物数について申し上げますと、昭和四十年度を一〇〇といたしまして、昭和四十九年度の指数は一四七に相なっております。  それから要員でございますが、これは同じく昭和四十年度を一〇〇といたしました場合の昭和四十九年度の指数は一一九でございます。以上でございます。
  372. 森勝治

    ○森勝治君 郵便事業はいわゆる労働集約産業でありまして、機械化にはなじまないということは先ほどもちょっと触れました。それから従来もこの点を申し上げてまいりました。したがってこの機械化、近代化というものによっていわゆる郵政の省力化ということは余り期待できないはずであります。  したがって、この事業の運行というものを正常にするためにも、口を開けば国民郵政事業であると言う当局の皆さんのおっしゃりようというものを具体的に実現するためには、何といっても労働力の確保と適正なる配置、これをなおざりにしてはならぬと思うのです。私はそう思うのですが、私と同じ意見でしょうか、また違った御意見がおありでしょうか、ちょっとこの点をお伺いしたい。
  373. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 適正な人員を確保することが必要であるという御意見につきましては、全くそのとおりでございます。
  374. 森勝治

    ○森勝治君 珍しく御同感をいただきましたから、素直に私も次の質問に移ります。  昭和四十八年の郵政審議会の答申の中の説明を見ますと、むしろ答申を見ますとという表現が正しいんでありましょう。昭和四十六年から四十八年までに、近代化、合理化などにより、約七千人の要員増の抑制が行われたと、こう述べておりますが、そのいわゆる内訳をひとつお聞かせ願いたい。
  375. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 四十六年から四十八年の三カ年におきまして、合理化等に伴いまして人員の節減が行われておりますが、その内訳につきまして申し上げますと、集配運送施設の改善で約四百五十名でございます。これはトラック輸送その他の問題でございます。それから作業の機械化につきまして約四百五十名でございます。それから外部労働力の活用でございまして、これが約三千名でございます。それから年々物数が増加してまいりまして、処理能率が向上いたしておりますが、これに基づくものが約三千百名でございまして、これを合わせまして約七千名ということに相なっております。
  376. 森勝治

    ○森勝治君 私は、このことからいたしましても、この郵便関係職員というものがいかに労働強化を強いられているかと、こう指摘せざるを得ないのであります。  しかも、今日的段階におきましては、一般の国家公務員は御承知のように、まあある面では中途半端なやり方かもしれませんが、週休二日制を目指し、来年一月からこれを実施すると人事院ではその方針を出しておるわけです。これは時代の移り変わり、流れと申しましょうか、要請と申しましょうか、かくあるべき姿でありましょうが、良質な労働力を確保するためにも、当然、郵政省のみが未実施だと、おれのところは知らないと言って顔をそむけるわけにはまいらぬだろうと思うのであります。そうなりますと、ますます労働強化を逆に招くおそれがあるのではないか、私はそう思うのです。言葉をかえますと、ただでさえ労働強化を強いられておるこの現場の諸君の上に、郵便物というものは減らないわけですから、またそこへそういう問題が起こってくるわけでありますが、これに対する対策はどうされるのか、これをひとつお伺いしておきたい。
  377. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 取り扱い業務量に見合う要員につきましては、これを確保するように従来からいろいろと配意いたしておりまして、予算要求をいたしておるわけでございますが、現在、ほぼ郵便物数の増加に見合う要員の確保は毎年予算上認められてきておるところでございます。  なお、ただいま御指摘の週休二日制の実施につきましては、郵政省といたしましては、要員問題とかあるいは財政事情等きわめて困難な情勢下にはありますけれども、これの採用はやはり社会的な趨勢であるという認識のもとに、これから労働組合の協力も得ながら経営の効率化を図っていくということ、あるいはサービス基準の問題についても十分考えていくというような事柄につきまして、諸問題の解決に努めながら将来の実施に向かって努力してまいりたい、かように考えております。
  378. 森勝治

    ○森勝治君 もうちょっと明確にしてほしいんですが、少なくとも人事院が打ち出しておる方針に沿って郵政省も週休二日制というものを実施していく、こういうことですね。そのことだけイエス、ノーを聞かしていただきたい。
  379. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在、人事院が一月から試行に入ろうかとしておるわけでございますが、郵政省の場合も、やはりその一般国家公務員の試行におくれないように、実施方につきましては、これをしていかなきゃならぬ、かように考えておる次第でございます。
  380. 森勝治

    ○森勝治君 人事院が目指しておるまあ指導といいましょうか、打ち出している方針に沿って郵政省も週休二日制を曲がりなりにも実施するという御意向が示されたわけですね。くどいようですが、うなずいてくださいよ。オーケーならオーケー、イエスならイエスと、大事なことですから。
  381. 竹田現照

    委員長竹田現照君) うなずくだけじゃなくて、言葉で言ってください。
  382. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 人事院の方が一月一日から試行ということになっておりますので、郵政省の方はそれを見ながら、組合等とも話をして、実施の方法あるいはこの中身などを決めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  383. 森勝治

    ○森勝治君 それでは各省庁並みに郵政省も実施するという御意向を示されたわけであります。  ならば、そのような割合というか、そのような方向で実施された場合に、郵便事業としてどの程度の増員を必要とするのか。また郵政省は貯金、保険というように三部門に分かれておりますが、他部門も合わせればどうなるのか、この点をひとつお伺いしておきたい。
  384. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 人事院が試行ということで発表はしておりますが、その試行基準そのものがまだ明らかになっていない現状でございます。したがいましてこの試行基準が実施されました段階で、それをもし郵政省で実施するという場合には、どの程度の人員、経費等が必要かということは、この試行基準が明らかにされた段階検討はしてまいりたいと考えております。
  385. 森勝治

    ○森勝治君 重ねてお伺いいたしますが、昭和五十一年一月一日は、本日より数えて幾日に相なるでしょうか。
  386. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 十六日でございます。
  387. 森勝治

    ○森勝治君 そうすると、一月一日を迎えても、まあ正月は休みといたしまして、五日ないし七日を迎えても、郵政省では、このことについてはとそ気分が抜けず職員の増員等もさっぱりわからないということに相なりますね。
  388. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 可能な限り、郵政省におきます実施方法等も考えてまいりたい、かように考えておりますが、来年一月から郵政省自体が実施できるかどうかということにつきましては、いまのところ確定はいたしていないと、かような状況でございます。
  389. 森勝治

    ○森勝治君 それは一体どういうことでありましょうか、頭のいい人でわかりませんか。もっとも頭の悪い私が発言するんだから頭のよい人には理解しがたいでしょう。  もう一遍言います。人事院が出している線に従って郵政省もやりたいとおっしゃるんでしょう。その人事院は来年の一月実施するというのでしょう、ならば今日から数えて両手をもってこうやって簡単に屈することができる日にちでしょう。ならば当然基本的方針やそういうものが策定されなくて、何で郵便料金のみをぽんとはね上げることができますか、あなた。どういうことなんです、それは。やるやると言ってやらぬじゃないですか。もう今日的文明開化の世の中では紺屋のあさってという言葉は通用しないが、紺屋のあさってどころじゃないですよ、それは。そんな無責任な答えがありますか。これはこれから一月一日というのが半年とか一年先だというならいざ知らず、わずか二十日かそこらしかないでしょう。しかも、その間は年末と年始の休みが続く。ならば当然ある程度の方針が策定されてしかるべきではないでしょうか。どういうわけです、これは。
  390. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 人事院におきまして来年一月からと、これは試行でございますが、試行するということは打ち出しておるわけでございますけれども、それの週休二日制の試行をいたします実施方法、つまりわれわれ試行基準と申しておりますけれども、これが明らかにまだされておらない現状でございます。したがって郵政省といたしましては、どう対処していくかということを決めかねておる実情でございます。  そこで御承知のように、郵政事業はその性質上ほとんど人力に依存していることは御承知のとおりでございますが、この週休二日制を早期に実施することは非常に膨大な定員増と経費増を必要といたしますので非常に困難な状況にあるという実情でございますけれども、郵政省といたしましては、この人事院の週休二日制試行の推移を見ながら鋭意検討を進めてまいりまして、一般公務員の実施された段階ではおくれることのないように進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  391. 森勝治

    ○森勝治君 経理局長、今度は間違いなくあなたに質問いたします。郵政省の来年度予算編成はいつまでですか、予算案作成。
  392. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 予算案の政府案作成は、不日、大蔵省との間で、いまのところの見通しといたしましては、年内にも決まるものと私は了解いたしております。
  393. 森勝治

    ○森勝治君 人事局長、重ねてお伺いする。  いま経理局長のお答えのごとく、郵政省の来年度予算は大蔵省と打ち合わせをしているという。人事院が来年一月、週休二日制を不完全ながら始めるというならば、所管の長として責任者として当然定数をどうするか、職員をどうするか話し合ってしかるべきでしょう。それで予算にそれが反映するんでしょう、そうじゃないですか。人事院の実施を待って経過を見てやりますというんだったら、人事院の線に沿ってというのは真っ赤なうそ偽り、そう指摘をせざるを得ないのですが、お答えはいかがですか。
  394. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 先ほども説明申し上げましたとおり、人事院自体がこの試行する場合の試行基準というものを出していない、したがいまして、もし郵政省がそれに従ってやるといたしましても、この試行基準が出ておりませんので、定員あるいは経費等の計算のしようがない、こういう現在実情にあるということをひとつ御承知おきをいただきたいと思うわけでございます。
  395. 森勝治

    ○森勝治君 郵便料金値上げ国民がいやだいやだと言っているのに、さっさと値上げをして、職員のそういうことの問題については知らぬ半兵衛ということではちょっとおかしいじゃないですか。郵便料金値上げもそういう慎重な構えをされたらどうですか、どうなっているのですか、これ郵政省というのは。各局みんなばらばらですね、相変わらず、私が指摘したように。もっとも郵便は各方面に配りますから皆さんも各方面を向いて仕事されているのでしょう、失敬な言い分でありますが。  そこで経理局長に聞きます。週休二日制というものがもし実施になりましたならば、当然、予算の増高を来しますね。そのときにはどう対処をされますか、台所を預かるあなたとしてはどうされます。片一方は、いまさっぱりわからぬが、人事院が実施すれば、うちの方もやるというのです。
  396. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど来、人事局長がお答え申し上げておりますが、いまだどういう形でやるかという方法論が決まっておらないということでございます。実は、週休二日というものを仮に額面どおり実施するにいたしましても、たとえば退庁方式でやるか、あるいはそのほかの方法があり得るか。これは方法論が決まりませんと、実は定員、経費の問題についても結論が出ないのが実情でございます。
  397. 森勝治

    ○森勝治君 郵政省はやる気があるのか、手が回らなかったのか、これは人事局長だ、経理は案を出してもらってからね。
  398. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 人事院の推移、これは一般公務員の実施の段階等を見ながら郵政省も進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  399. 森勝治

    ○森勝治君 この委員会で、そんな逃げ口上でいいんですか。人事院は来年一月に実施するというものを郵政省は全然じゃ検討してこなかったのですね。人事院の案が示されなければだめですということで、ほったらかしておいたのですね、そういう官庁ありますか。  他の官庁は、いずれも、そのときはどうしよう、こうしよう、民間がこうならばうちの方はどうかと、みんな各省やっているでしょう。すでに企業はもう六四%の企業が採用と、こういうことになっているのですよ、おわかりでしょう、所管の長として。それなら郵政省としてこの件についても当然これは手を下しておかなければならぬでしょう。いわゆる検討の域を脱して、実施の段階と私は思うんですよ。  それを知らぬ、存ぜぬ、わかりません、それでよく郵便料金値上げに二倍だ、三倍だ、五倍だ、六倍だという積算根拠というものが成り立ちますね。積算なんかできないはずでしょう、そんなら。そうでしょう。週休二日制を実施すれば、いわゆる官庁用語で言う定員増というものを来すでしょう。何名だ、月給は幾らだ、標準は幾らだ、何人だ、どうする、大まか幾らだ、この金はどこから持ってくる、当然、これがなければ来年度予算編成はできないでしょう、各省庁でやっているんだから。それをなおざりにしている、そんなばかなことありますか、どうなっているんです、これは。そういうことの積み上げがなければ独立採算制というものの算出根拠というものが出てこないでしょう、どうなってんです、これ。
  400. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 週休二日制と申しましても、四週一回だとか、あるいは隔週に一回とか、いろんな方式が考えられるわけでございます。現在、民間が週休二日制ということで、先生いま御指摘の六十何%というお話が出ましたわけですけれども、その中にも完全に毎週二日というのもございますし、あるいは隔週というのもございます、あるいは四週間に一回というのもございまして、いろんな方式がそこにあるわけでございます。したがって人事院あるいは国家公務員をそれではどういうかっこうでの週休二日制をしていくかということにつきましては、まだ、先ほど来申しておりますように、試行基準が決まっておりませんので、したがってどの程度の要員が要るんだという算出もできないわけでございます。したがいまして来年度、五十一年度予算におきましても、それの所要人員などの要求などはしていない、こういうのが実情でございます。
  401. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、いまの言葉は一月に実施しないという裏返しになりますが、そういう解釈でよろしいですか。
  402. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 人事院が現在打ち出しておりますのは、試行をしていく、しかもそれは現在のサービス基準を——サービスといいますか、行政の中身を、行政サービスの質を落とさない、それからさらにもう一点は要員増を伴わない、こういうかっこうで、どういう試行基準ができるかというようなことを現在考えておる、かように私は聞いております。
  403. 森勝治

    ○森勝治君 それならば、それを郵政省に当てはめたらどうなりますか。全然そのことも検討してないんですか。何が何だかさっぱりわからぬと、人事院が出さぬからわからぬと言いながら、その舌の根の乾かぬうちにぬけぬけとそういうことをおっしゃる。それならそれで今度は逆算してごらんなさい、どうするんです、どうすればいいんです、そこまで言ったらみんなその後言いなさい。
  404. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 一般行政機関の場合には、行政サービスを落とさない、あるいは定員増を伴わないような方式での試行基準ということを考えておるようでございますが、郵政省の場合には、さようにまいらないわけでございます。業務量に伴う定員が配置してあることはもう先生御承知のとおりであるわけでございますので、職員が隔週に一度でも休みますと、それが当然「欠」というかっこうで発生してまいります。したがって、それを埋めるためには定員が必要だと、こういうことに相なってこようかと思います。  しかし、隔週かあるいは四週に一回か、あるいはどういうかっこうでやるか、郵政省の場合、サービスをどの程度のことにして実施をしていくかということにつきましては、まだ郵政省自体といたしましても成案を得ていない、こういう段階でございますので、来年度予算につきましてもこの所要人員などは要求をしていない、こういう状況でございます。
  405. 森勝治

    ○森勝治君 ですから聞いているでしょう。人事院が試行の日に、不完全な週休二日制であっても、郵政省はそのとおりできないと言っているんでしょう、それならなぜ早く言わないんです。人事院のとおりやりますと君は言ったじゃないか、言ったんだ、そう明言したんだ。今度はできません、どういうようなことなんだ、これは。いずれがアヤメカキツバタと問いたいが、全然違った意味ですぞ、いいですか。目玉白黒するばかりが能じゃないぞ、どちらだ。
  406. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 私の答弁が舌足らずで申しわけなかった次第でございますが、後で私が説明したことが現在の実情でございます。
  407. 森勝治

    ○森勝治君 これはあきれた。前のは間違いか、間違いなら間違いと取り消せ、何言ってるんだ。
  408. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 取り消させていただきます。
  409. 森勝治

    ○森勝治君 畳みかけますぞ、ここはもっともじゅうたんの上だ。  人事院が、来年の一月、不完全ながらも週休二日制の実施を試行しても、郵政省はかいもく見当つきませんという答えです、こういうように私は残念ながら推量いたしますが、それでよろしいですね。
  410. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) さようでございます。
  411. 森勝治

    ○森勝治君 郵政大臣、郵政省を預かる所管の長としてあなたに聞きます。  きょうは、わが逓信委員会でございまして、しかもいま郵便の値上げ問題についてけさから白熱的な質疑が続けられておりますが、いまのような答弁でよろしいのでしょうか。人事院の試行、考えるとおりにやりますと言っておきながら、次から次へと質問を続けていくと、人事院のようにはできません、人事院が試行しても郵政省はできません。きょうは公式な席上でありますぞ。あっさり取り消しちゃう、あっさりしゃべってあっさり取り消す、八百屋のたたき売りと同じだ、これは。これではわれわれは審議できませんぞ。大臣、何を信用していいかわからぬ。どうなっているのですか、一体、郵政省は。
  412. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 基本的なものはいま人事局長がお答えしたとおりであろうと思いますが、しかし、人事院がはっきりとこうだということになりまして各省がそういうような体制になりますれば、郵政省としても、十分そのことについては責任を持って処理しなければならない問題だと思っております。
  413. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、失敬でありますが、私が大臣にお伺いした趣旨とちょっとお答えが違うのですよ。  来年一月に人事院がこうするならば郵政省は右へならえしますと明確にお答え願ったんですよ。それで問い詰めてまいりますと、人事院がそうやったってうちの方はできません、したがって先ほどのお答えは取り消しますとぬけぬけとおっしゃるのですよ。何時間かかりますか、何時間。わずか十分前ですよ、いや五、六分前でしょう。そういうふうに簡単に省の見解を示しておりながら、問い詰められていくと、なぜひっくり返るんですかと、この発言の責任の重大さを私は指摘しているんですよ。  信用できませんよ、これでは、そうでしょう。それで郵政省はよいかと聞いているんだよ。よいと言うなら、ぼくはもうこれで質問やめる。何を聞いたってしょうがない、責任を持ってくれないんだから。それを聞いているんですよ。こんなべらぼうなことありますか、そうでしょう、こんなべらぼうなことありますか。かりそめにも郵政省人事局長でしょう、それが人事院のとおり試行いたしますと言っておきながら、話の途中で、そんなことはできません、取り消します、後で言った私の意見が正しいです、どうなんですか、これでああそうですかとわれわれが聞いておったら、一体、当委員会の権威というものはどうなるんです。私はそれを大臣に問いただしたいのです。
  414. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  415. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。  暫時休憩します。    午後七時十七分休憩      —————・—————    午後七時二十八分開会
  416. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それじゃ再開します。
  417. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 先ほどは週休二日制の問題につきまして、私の言葉が不適切で申しわけなかったことをおわびいたします。  いまこの週休二日制の問題につきましては、郵政省といたしまして検討中でございますので、いま御答弁できませんが、ひとつよろしく御了解いただきたいと思う次第でございます。
  418. 森勝治

    ○森勝治君 それは時間をかせということでしょう。それならそう時間をかしてくれと言えばいいじゃないですか。検討中でございます、よろしくなんというそんな回りくどいことを言わなくていいじゃないですか。銭は貸せない、貧乏人だから。時間はかしてあげる。  じゃ次に移ります。  私はこの点についてはしばしば触れておりますが、いわゆる郵便は、電気通信や放送というものがどんなに発達しようとも、国民の基本的な情報伝達手段として欠かすことのできないものであるわけですから、その果たすべき役割りというのは、ダイレクトメールが扱い数の中で数は多く占めてまいりましょうとも、その果たすべき役割りというものはいささかも後退をしていない、私はこう考えております。しかるに、郵政省は公共性を無視して企業性至上主義に走り、そのしわ寄せを労働者に転嫁させている実情ではないか、私はこう指摘せざるを得ないのであります。郵便の取り扱い物数の増加に対応した要員の配置を十分にすることなく、それを労務政策の強化によって補おうというところに労使紛争の一つの穴があるわけであります。私はこうした点をどうしても見過ごして過ぎ去るわけにはまいりません。したがいまして以下数点にわたって郵政の労務政策の基本的な諸問題についてただしてみたいと考えます。  私は、当委員会におきまして、従来、しばしば郵政省内における労使間における相互信頼を取り戻せという問題について発言を試みてまいりました。何と申しましても郵政事業の円滑なる運営を図るためには労使の信頼回復がその第一義であります。このことは私がいまさらここで言挙げするまでもなく皆さん先刻御承知のとおりだと思うのでありますが、伝え聞くところによりますと、依然としてそのわだかまりを解くに至らない、そういうふうに聞き、いまもまことに残念だと思う次第でございますが、この点についてひとつ大臣の所見をお伺いしてみたいと思います。
  419. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵政事業は人力に依存する度合い、その度合いの最も高い事業でありますので、労使の信頼関係を樹立して労使関係の安定化を図ることが事業の円滑な運営を図る基盤をなすものであるということは言うまでもありません。したがいまして、省といたしましても、労使関係の正常化を基本課題と認識し、労使間の話し合いの結果を踏まえて努力してきたところでありますが、このようなうちから労使関係安定の基盤となる信頼関係が培われてきていると確信いたしているところであります。  もとより労使関係は生き物でありますから、従来の措置に安住することなく、今後とも、引き続き最善の努力を尽くしていく所存であります。
  420. 森勝治

    ○森勝治君 そこで重ねてお伺いいたします。  今回のように、このように大幅な値上げを断行するとしたならば、当然、今度は国民側、すなわち利用者側にとりましては郵便業務のサービスの増加、増進ということに目を向けるのはあたりまえでありましょう。この点につきましては、先ほど私が若干指摘したわけでありますが、国民のそうした期待にこたえるためには労働組合の協力が不可欠なものと私は考えます。しかし、先ほども私がちょっと指摘したように、だから口では協調を叫びながら、片やでむちをもってする政策を捨て切れない。したがいまして改めてもう一度対策はいかようにしておるかお伺いをしたい。これはむしろ人事局長の方がよかろうと思いますから、担当局長からお聞かせを願いたい。
  421. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 正常な業務運行を確保いたしまして国民の期待にこたえていくためには、労働組合との間の相互信頼、これがやはり一番重要なことは申すまでもないわけでございます。  郵政省といたしましては、平素から労使関係の正常化をまず重要課題といたしまして、昭和四十五年の十二月十四日に、労使間で御承知の確認をいたしております。それから四十八年末も省と組合との間におきましてもやはり一二・一四確認を再確認する、こういうような意味合いからのメモ交換もいたしまして、労使双法がより一層正常化に向かうべく努力をしよう、こういう点で努力をいたしておる状況でございます。今後とも、省といたしましては、さらにこの労使関係の正常化ということを労務管理の基本にいたしまして、その具体化と定着化に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  422. 森勝治

    ○森勝治君 なるほど、いまお答えのように、ここ数年はやや改善をしてきたような気がいたしますが、依然としてまだその根底には相互不信の兆しというものを払拭するわけにはまいらぬ。これは私の印象でございますから、あなた方と多少立場が違いますから見解を異にするかもしれません。  なぜ、こうした労使のそごを来すかというと、何といっても、私は、かつて「新しい管理者」の手引ということで労働組合を敵視したその考え方がまだ郵政省の労務政策の根底を流れておるのではないかと邪推をいたします。私があえてここで邪推という表現を用いましたのは、せっかく関係者の皆さんが御努力をされている姿が私の目に少し映るからであります。しかし、なかなかどうも末端の職場へ参りますと、そのような姿にほど遠い様相が展開されておりますし、ですから私はいまあえてここで十何年か前に郵政が組合敵視政策をとった「新しい管理者」の手引というものを引用して申し上げましたのは、これはもう何年となく、何度となく、このことについてはこの席上でもあるいは他の場におきましても指摘し、その改善方を要求してきた一人として、いまなお先ほど申し上げたように残っておるこの相互不信というものをやはり早く解決していかなければならぬと考えておるわけですから、当然、いろいろな場面における公的発言でも郵政は労働組合敵視政策をとらないということをしばしば繰り返してきておるわけでございますが、この席上でも、もう一度、従来の労務政策を転換して新しい労使の芽を培っておる、こういう前向きのお答えがいただければと思って、私は以上の質問を申し上げたところです。
  423. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 先ほども触れましたように、四十五年十二月十四日、全逓を、組合を敵視しないということを基本にいたしましたこの労務関係の指針というものをつくったわけでございます。その後、もう五年になりますけれども、それの定着化ということにつきまして、関係者一同いまも変わらず努力をしておる、こういう現状にあることをひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  424. 森勝治

    ○森勝治君 それでは具体的な問題二、三についてお伺いいたします。  役付者の任用に当たって、どのような基準を用いておられるか、これをひとつお伺いしておきたい。
  425. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) すべて役付と申しますと、主として平、一般の職員から主任、その上の主事にする、これが一番の問題であろうかと思いますが、この主事、主任に昇任をさせていきます場合には、実情といたしましては、能力主義あるいは適材適所主義ということで任用を行ってきております。そこで経験年数は——昇任に当たって、任用に当たりましては、職務について責任感を有するすぐれた人材を登用していくということを基本的に考えまして職員の登用を行っておる、かような実情でございます。
  426. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、さらに進んで聞きますが、公労法上、あるいは先進国の常識として、また民主主義の原理として、権利として位置づけられております先任権ということをどう理解しておられるか、お伺いしたい。
  427. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 公労法八条には「先任権」という言葉がございますが、昇任に当たりまして勤続年数を考慮の対象にしていく、こういう任用の仕方と、かように理解をしております。
  428. 案納勝

    案納勝君 関連。  いま質問をされた「昇職」、公労法上八条、それから「降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」、これはお尋ねしますが、労働協約、団体交渉の事項ですね、その点をお尋ねします。
  429. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 公労法の八条二号では、団体交渉事項といたしまして「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」ということを掲げておりますが、他方、国家公務員の任免に関する各条項は、一部を除いて、公共企業体等労働関係法適用職員にもすべて適用されております。したがいまして、郵政省は、国家公務員法に定める成績主義に反しない範囲内であれば、労働組合と団体交渉を行いまして労働協約を締結することは可能と考えておりますけれども、役付職員への任用そのものが裁量行為であることから、仮に協約化するといたしましても、きわめて限られた範囲のものではなかろうか。その意味におきまして、役付職員の任用基準を協約化していくということにつきましては意義が薄いのではなかろうか、かように考えております。
  430. 案納勝

    案納勝君 もう一回。  この協約事項や団体交渉事項について、公労委から調停が出されておりますね、この内容はどうなっておりますか。——
  431. 竹田現照

    委員長竹田現照君) どうしたんだい、それ。一々あんた下の者から聞かなければ局長答弁できないんじゃだめじゃないか。先任権なんという問題については公労法上見解というのははっきりしているわけなんだから、そんなものが答弁できないでどうするんだ。——
  432. 森勝治

    ○森勝治君 私がここで明確なお答えがないと言ってがんばると、ここでまた休憩となりかねません。そうなりますと、また時間がおくれます。残念ながら、その私が質問した先任権の問題についてもお答えがありませんし、同僚の案納先生の質問についてもお答えが明確に得られませんから、このことはまた時間をかしてあげます。したがって、いま私と案納さんが質問した点は、後日、文書でひとつ御回答を煩わしたいと思います。  それで次に移ります。  郵政省の役付職員となるためには、いわゆる郵政省のとっておられる能力主義ですね、いわゆる私どもは郵政省は簡抜人事ばかりをやっているんじゃないかと言っておりますが、この郵政省内における今日の多くの労使紛争の根源というものは、あなたが先ほど若干説明しかかりました能力主義による簡抜人事というものがその原因であると残念ながら指摘せざるを得ないのであります。  能力認定基準には職務能力、勤務成績、適性、経験等がありますが、いずれもこれらは科学的判断によりがたいものが多く、公平な人事の障害となり、管理者の恣意的な判断が間々入りやすいところであります。特に職務能力、適性については、その基準から当然これは外されてしかるべきだと考えますが、この点は明確にお答えできますでしょうな、これもまただめか。
  433. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 職員の昇任につきましては、職員の能力、適性、勤務成績等を総合的に勘案をいたしまして、公正に行うことを基本方針としております。したがいまして、この方針のもとに任免権者が職員の能力あるいは勤務実績等を的確に把握をして実施をする、このように指導をしておる次第でございます。
  434. 森勝治

    ○森勝治君 私の質問をよく聞いていませんね。それは任用するときこうだということでしょう、私は具体的に言っているんですよ。そういうのは基準から外すべきではないかと言っているんだから、それに答えなければだめでしょう。勝手なことをべらべらしゃべられたんじゃ時間何時間あったって、幾らかしたって時間を返してもらえ切れませんよ、そんなに。
  435. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 国家公務員法が郵政職員にも適用されております。その国家公務員法の中にはやはり能力主義ということが適用されることになりますので、それを基準から排除するということには無理があるのではなかろうかと思う次第でございます。
  436. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 郵政省の答弁聞いていると、どうも、大臣、大変まごつきがありまして、これはいたずらに質問者の時間を食うだけです、これはいかぬですよ。それで下の者がそばにいて一々聞いているなんて、そんなぶかっこうな答弁ないですよ。朝から皆さん疲れているんだから、私、ここできょうの審議やめますからね。もう少しぴりっとした答弁のできるようにしてください。これ以上進めるわけにはいかぬ。
  437. 森勝治

    ○森勝治君 委員長からのお取り計らいで私もやっと心の落ちつきを取り戻しました。実はいらいらしていました。  で、実は、この席に環境庁の方をお呼びしてありますので、またあしたというのは失敬でありますから、一点だけひとつ環境庁からお答えをいただきたいと思います。  全国的に広がっております光化学スモッグですね、あるいはまた酸性雨といいますか、雨ですね、の注意報、警報の発令状況というのは、一体、どうなっておるか、これをお伺いいたします。
  438. 山崎圭

    説明員(山崎圭君) 先生御指摘の点につきまして、まず光化学スモッグにつきましては、私ども、注意報というものを発令するように各都道府県を指導しておるわけでありますが、それはいわゆる光化学スモッグの主要な物質でありますオキシダント、これの濃度が〇・一五PPmを超えます場合に、各県において発令をするわけであります。  その発令回数の推移をもって光化学スモッグが多いとか少ないとかいう一応の判断基準にしておりますけれども、本年はそれが全国的に二百六十五回という数が出ております。昨年は長梅雨が続いて、比較的少ないといわれましたが、それでも二百八十八回出ております。一昨年はさらに多くて三百二十八回でございました。そういう意味におきましては、一昨年四十八年をピークにいたしまして、やや減少傾向にあるということは言えると思います。しかしながら、本年におきましても、なお二十一都府県という広域的な県において出ており、こういう傾向がなおやんでおりません。  なお、被害の届け出人数につきましては、ことしは特に多うございまして、四万二千人台という報告を受けているところでございます。これは昭和四十六年が一番高うございまして、これが四万八千人台を数えておりますが、そういう意味では、昨年の一万四千人台と比較いたしますと、大幅に残念ながら上回っている、こういう状況にあるわけであります。  なお今年の特徴といたしましては、そういう注意報の発令回数なりあるいは被害の届け出人数という両面につきまして、ことしは関東に多かったというのが特徴であろうと、こういうふうに私ども見ておるわけでございます。  それから先生御指摘の第二の点でございます、いわゆる酸性降雨といいますか、酸性の雨ということでの被害が起きております。これにつきましては、まだその原因物質が何であるかという点はよくわかっておりません。まあいずれにしましても霧雨状態で雨の降り始めのときに、いろいろと目がちかちかする、あるいはひりひりする、こういう点がございました。それを、私ども、湿度の非常に高い状態における大気汚染問題として、いま真剣に取り組んでおりまするけれども、湿性大気汚染問題という形でとらえておるわけであります。  それも昨年の状況と今年の状況をかいつまんで申しますと、昨年は七月三日と四日と五日に出ておりまして、特に七月三日はそういう意味での訴えの報告のありました数が非常に高うございまして、関東一円にわたりまして三万一千人台の被害の届け出を受けておるところであります。本年におきましては、六月の二十五日一日でございましたが、百三十五名の数の届け出がございました。特に栃木県、埼玉県に多うございました。  以上、簡単でございますが、そういう状況に相なっております。
  439. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  440. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。  本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十四分散会      —————・—————