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1975-12-11 第76回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)   午前十時八分開会     —————————————   委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     迫水 久常君  十二月十一日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     佐多 宗二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 大島 友治君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 佐多 宗二君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 最上  進君                 案納  勝君                 竹田 四郎君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房首        席監察官     永末  浩君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       中市 彩也君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        文部省大学局大        学課長      大崎  仁君        郵政大臣官房建        築部長      森  俶朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  宮田輝君が委員辞任され、その補欠として迫水久常君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 藤原房雄

    藤原房雄君 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を申し上げたいと思います。  最初に、前通常国会におきまして廃案になった法案が再び提出されたわけでありますが、通常国会で、およそ公聴会を入れますと三十七時間審議をした、このように計算されるわけでありますが、当局皆さん方にいたしますと、三十七時間も慎重審議したんだと、こういうお考えの上に立つかもしれませんが、問題の多い、そしてまたこういう時節柄でございますので、いろんな意見が寄せられたわけであります。三十七時間、郵政にかかわります諸問題についての討議が行われ、最終的にはこれが廃案という形になったわけであります。  これは手続上どうとか国会の運営上どうとかということではなくして、やはり国民の声が現時点郵便料値上げというのは不当であるという国民の声の反映であると、こう受け取るべきだと思うんでありますが、これは当然そう大臣もお考えになっていらっしゃるだろうと思うんですけれども、まず、御所見をお伺いしたいと思います。
  5. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便法を御審議をいただきまして、すでに三十数時間の時間を費やしましたことは、この法案重要性にかんがみまして、私は、きわめて妥当だと思います。ただいま、しかし、先生が御指摘になりました国民の声が云々ということについては、私は、さようには受け取っておりません。
  6. 藤原房雄

    藤原房雄君 私ども野党はもちろん、与党の方にいたしましても、決してこれはすんなりこのまま郵便法改正はなされていいとはどなたも明言なさっている方はいらっしゃいませんし、公聴会におきましても、いわゆる条件つきといいますか、いろんな諸般を勘案して、こういう条件ならばという意見が非常に多かった。そういう中で非常に各方面のいろんな問題点がこの委員会を通じて、また公聴会等を通じまして、浮き彫りにされたわけであります。  そういうことを考えますと、いま大臣がおっしゃるように、じゃ私どもがいろんな角度から論議をしたのは、これは単に私どもが思いついて云々したんじゃなくして、きのうもミニコミ新聞方方消費者連盟方々、婦人の民主団体方々各党代表の方と御懇談いたしまして、その前に、私も質疑させていただきましたが、あらゆる諸団体、あらゆる立場方々、また封筒業者方々も、本当にきのうは、もうきのうというよりこの数日、目の色を変えて本当にひとつ私ども立場考えていただきたい、こういう幅広いいろんな方々郵便料金値上げに伴う影響というものがもたらすそういう各方面方々の声というものが私どもに寄せられ、私どももまた、今日まで、各地を回り、いろんな方々にお会いする、その中からいろんな声をまとめて、そしてその問題点大臣を初めといたしまして訴えているわけでありまして、これは藤原個人とか公明党一政党というのではない。少なくとも多くの国民代表として私どもは発言させていただいておる。  そういうことを深く考えて、通常国会はちょっとした国会法上の問題、こういう大臣にお考えがみじんもあるようでは、これはもう前国会廃案になったことに対する反省といいますか、いろんなこの三十何時間も質疑をしたことというものに対して、一体、どういう取り組みというか、お考えになっていらっしゃるのかという、こういう疑問を持たざるを得ない。  再度、お伺いいたしますけれども、私どもは、そういう国民の世論を背に受けて、その国民代表としてこの審議の場で発言をしておる。そういうことで慎重審議ということで多くの時間を費やしてもなおかつ解明し得ないいろいろな問題点がある、こういうことで通常国会では廃案になったのだということを基本に踏まえなければならぬ、こう思うのですけれども、どうですか、大臣の御見解をお伺いしたい。
  7. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この郵便法に関連する諸問題につきまして、個々のものを取り上げて見ますと、先生指摘のような点がいろいろあると思います。しかし、その基本的な問題としては、私どもの方にまいっておりますその大宗としては、まあやむを得ないのではないかというように受け取られるように考えております。  せっかく御審議をいただいておりますので、私どもといたしましては、一応、この法案については長い間の御審議をひとつぜひ生かしていただいて、そうして個々の問題につきましては国会が決めることでありますので、決めることにつきましては、何も意図はないわけでございます。
  8. 藤原房雄

    藤原房雄君 最初申し上げましたように、国民の声を謙虚に聞く大臣に耳がなければいかぬし、さきの国会におきましていろいろな問題が出たということは、非常にこの法案については、このたびの値上げにつきましてはいろいろな立場方方、いろいろなひずみといいますか、問題が多い。どうも大臣立場というのは、行政府立場といたしますと、赤字だから赤字を埋めなければならぬ、火急にこの赤字を埋めるためにというお考え、しかし、それがもたらす社会的な影響という、こういうことについての論議が非常に多かったわけでありますし、私どももその多くの方々の声を代表していろいろな角度からそれらの問題提起をしたわけであります。  ですから、最初大臣、それはもう国民の声がそうさせたとは思わぬなんという、そういう言い方をするから、それはもう国民の強い反対のあることば、これはもう円民の何割とか数字的な問題について私は云々はいたしませんけれども、非常に反対の強い、いろいろなところにいろいろな問題が起きるということで、非常に即生活に脅威を来すような方々の強い意見があるのだという、こういうことはお認めになるだろうと思いますけれども、どうですか。
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) もとより、御指摘のように、国民は、相当これに対しては、その事情のいかんを問わず、これはやはり値上げということにつながることでありますので、決して御満足はいっていないと思うのです。その点は先生と同様な考えでありますが、しかし、一応、これを御理解いただかにゃならない郵便事業の苦衷はひとつ御賢察願いたいと思います。
  10. 藤原房雄

    藤原房雄君 郵便法の一部改正は、これは先日趣旨説明がございましたけれども、この今回の改正法案中身をかいつまんで言うと、どういうことになりますか、詳しい御説明はいいですから、項目的にこういうこととこういうことだというひとつ御説明を願いたい。
  11. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 郵便法改正の主たる内容というふうにお伺いいたしたわけでございますけれども、一番大きな問題点は、料金の問題でございます。  これは第一種郵便物及び第二種郵便物料金を変えるということでございまして、従来、定形第一種二十五グラムまでのもの二十円を五十円にする、こういうことでありまして、それから第二種のはがきにつきましては、従来、十円であったものを二十円にするというのが主な料金改正内容でございます。  それから、そのほかに「料金未納等の場合に、差出人又は受取人が納付する料金を、不納金額等省令で定める額の手数料を加算した額に改める」ということでございます。  それから第二点は、「引受け及び配達についての記録を行う書留郵便物を亡失し、又はき損した場合に賠償する額の最高額を五千円に引き上げる」ということであります。  それから、これは実施期日でございますけれども、第七十五通常国会におきましては、十月一日からということでございましたけれども、今回、御審議を願っております法律案の中では「公布の日から起算して五日を経過した日から施行する。」ということにいたしておるわけでございます。  以上が主な改正点でございます。
  12. 藤原房雄

    藤原房雄君 要するに、今度の提出されました法律案は、一種、二種の値上げと、それからいまお話しありました不納金額と、それから補償の問題だと思いますが、省令で定める額の手数料を加算してと、省令というこの省令中身は、現在は検討の後になると思いますが、決まっておるのか、その事情をひとつちょっと御説明いただきたいと思います。
  13. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいまの問題は、省令の中には現在のところございませんが、今度改めて不納金額等につきまして省令手数料を定める、こういう形にするわけでございます。
  14. 藤原房雄

    藤原房雄君 それはわかるのですけれども、いままで二倍というはっきりした相当額があったわけですけれども、これを省令にするという、なぜ省令に改めなけりゃならないのかという、改めることにした理由ということと、それからその省令中身、今度は、二倍とか一倍半とか、はっきりした法律事項できちっと記載されないわけですね。現在、局長さん、省令で定めるに当たって大体どのくらいのものを考えていらっしゃるのか。二倍以上になるなんということはないだろうと思いますけれども、こういうふうに改正した趣旨と、その金額、およそのお考えになっていらっしゃるこの省令中身というものを御説明いただきたい。
  15. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) こういった料金につきましては、現在省令で定めることとされております料金受取人払い手数料転送料、こういったものの手数料一種でございますけれども、従来、差出人または受取人から不納金額等の二倍の料金をいただくと、いわばこれはペナルティのような考え方でやってまいったわけでございます。今回、こういったことにつきましては、そういう考えでいくことが果たして妥当かどうかということについていろいろと検討いたした次第でございまして、そういう率でそういう料金を徴収する、いただく、こういうことではなくて、不納金額にいわゆる手数料というような、必要な手数にかかる経費を加えてその額をいただくと、こういう形にしておるわけでございまして、いま先生御心配のように非常に大きな率でこれをいただくということではございませんで、逆に二倍というような大きな率になるということを改めて、必要なものにとどめる、逆に低く抑えるという考え方が基調になっております。  ただ、これも先生指摘のように、これは省令の問題でございますので、いまの段階で、これを幾らにするかということはまだ申し上げられない段階でございます。そういった趣旨で、法律が御審議をいただきまして成立いたしました際に、省令段階で十分そういう気持ちで決定いたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  16. 藤原房雄

    藤原房雄君 これからの時代の推移に伴いまして、郵便料金値上げが下がるなんということは、恐らくこれは考えられません。人件費が相当大きなパーセントを占めるということでありますから、機械化にも限度がある。こういうことを考え合わせますと、頭から二倍というのは、これからだんだん負担の非常に大きいものになる。そういうことからいたしますと、省令でこの「手数料を加算した額」ということは一歩前進のように見えますけれども、この手数料というものが、かかる経費というものがどのように見られるかという、ここの問題になってくるだろうと思うのですね。  まあ、いま局長お話で二倍以上になることはないだろう、少なくとも、いままでの法律で二倍に相当するなどというよりも低いんではないかという、具体的なことはまだ省令だから決めてはいないけどということですけれども、そのように受け取ってよろしいですか。
  17. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) そのとおりでございます。
  18. 藤原房雄

    藤原房雄君 今度の法律というのは、要するに中身はいまの二つの項目ということですが、通常国会で提出された法案臨時国会に提出された法案相違点はどこですか。
  19. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先ほども申し上げましたけれども内容的には基本的に変わっていないわけでございまして、施行期日につきまして、従来、十月一日から施行するということで提案いたしておったわけでございますが、今回の法律案では「公布の日から起算して五日を経過した日から施行する。」と、こういう施行期日の変更をいたしております。
  20. 藤原房雄

    藤原房雄君 一たび通常国会に提出した法案中身を変えるということは、これはいろんな試算をなさって出されたわけでありますから、非常に重大な問題だろうと思います。しかしながら、冒頭に申し上げましたように、非常に多方面にわたって影響力の多い、国民生活に及ぼす影響、また消費者物価指数、さらにまたお年寄り方々——きのうのミニコミ方々お話ですと、お年寄りの方や病人の方々が俳句をつくる、それを出し合う、そういうものも今度の値上げによりまして非常な負担になる、いろんな意見がございました。そしてまた、この一種、二種が決まりますと、三種もそれに準ずるということになっておる。答申も出ておることでありますから、これはもう法律事項ではないといっても三種については三倍、そういうお考えはそう変わってはいないだろうと思うんですけれども、この三十何時間も通常国会論議をした、そのことがどれだけ皆さん方検討材料になって、そしてこのたび臨時国会に再び提出されたのか。  施行期日のことだけで、あとは全部同じでございます、これでは、これは料金値上げのことだけで、あとこの料金に変えるということは非常に重大な問題でありますから、いとも簡単にというわけにはいかないでしょう。しかしながら、あれだけの審議をしたものがどれだけの検討材料になり、そしてまた衆議院、参議院合わせますと相当な時間になるわけです、七十時間からになるでしょう。そういうものが何ら今度の法案の中に、臨時国会法案の中に反映されないという、こういうことを考えますと、通常国会で三十何時間質疑をしたんだなんという、こういうことは言わないでもらいたいし、臨時国会で改めて新しい観点に立って十分な質疑をしなけりゃならぬ。いやもう通常国会で三十七時間もやったんですよなんという、そういう顔をなさらずに、本当に初めてこの法案が出た通常国会とはもうはっきり縁を切られまして、新たな気持ちで三十時間になるか四十時間になるかしれませんが、慎重な審議をなすべきである、このように思うんです。  そしてまた、ちらほらいろんなことが、雑音が入っておる。郵便法値上げにつきまして国会もいよいよ最終段階に来たということでいろんなことが云々されておるわけでありますけれども、あれほど審議されたものが、三十何時間の審議というのは一体何であったのかというわれわれは本当にそういう疑問を抱かずにおられませんし、当然、これは十分な時間をかけて審議をなすべきである。そしてまた会期がもうわずかだという、こういうお気持ち皆さんの中にあるかもしれませんが、これは逓信委員会がサボタージュをしたというんなら問題でしょうけれども国会全体の運営の中での問題であって、私ども審議を拒んだわけでもなんでもございません。そういうことでひとつ私どもも十分に時間をかけていろんな各方面からの問題を提起し、そういうことについてはひとつ謙虚に御検討いただき、そして国民負託にこたえる、こういう姿でありたい、こう思うんですが、大臣どうですか。
  21. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 通常国会を通じていろいろと御審議を願い、またその後いろいろ陳情等もいただいておりますので、私どもがこの通常国会の三十七時間というものが決してむだでなかったと、大事なことであったと思いますが、私どもいわゆる当局者に対しましても多少の反省すべきものは反省しなけりゃいかぬ。  基本的なものにつきましては、これはもう御要望申し上げておることをお認め願わなければなりませんが、その後、三種等について私ども少なくとも五倍はいただかなければ採算が取れないというのを、果たして五倍でいいか、あるいは四倍半でいいかというような点については、やはり御審議の過程においての衆参両院のいろんな御意見を拝聴しておる中で、これは私どもが主張しておる省令で決めるものについても多少の考慮を要するんじゃないかというような反省と申しますか、いろいろな御要望を強く心に銘記いたしておるのでありまして、しかしながら、この法案が成立した暁におきまして、私ども十分国会審議のあり方を検討しつつすべてを決めていきたいと、かように思っております。
  22. 藤原房雄

    藤原房雄君 私ども公明党といたしましては、物価問題の上からも、また公共料金メジロ押し値上げが後ろに控えておることや、二倍半、それから諮問いたしまして答申がありましたけれども三種においては五倍という、五倍ですよ、こういうことを突きつけられたんでは、これはもう私どもが今日まで提起いたしましたいろんな観点からして、どうしてもこういう法律が通ったら国民に大変な問題が起きるということで、廃案、撤回、こういうことを終始訴えてきたわけであります。きょう、これからまた個々の問題について論議を重ねるわけでありますが、どこから見ましても、現時点におきますこの郵便法改正というものは不当のものであるというふうに言わざるを得ない、このように私ども考えておることを表明いたしまして、次の質問に入ります。  まず、これはもう前にもお聞きしたことかもしれませんが、このたびの郵便料金値上げ、これはもう二度までも同じ形で提出しなければならないその理由は一体那辺にあるのか、これをまずひとつ、大臣、篤と御説明ください。
  23. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御承知のように、郵便事業は、その費用の大宗を占めておりますものは人件費でありまして、この毎年毎年の物価高による賃金の高騰はとうていこのまま推移いたしますならば、すでに四十九年度に千二百五十億、そうしてまあ今年、来年度三カ年を検討してみますと、七千億以上の赤字が出るということであります。  この事業独立採算制から申しましても、どうしてもこの際この料金改定を、まことに遺憾ではありますけれども、御要望申し上げなければ、いわゆる郵便事業というものの基盤を確立することができなくなる。それではせっかく多くの従業員が封書やはがきを配達する上においても、これを一本配達すれば幾らの損だと、同じことでもやはりそこに非常に働く意欲というものがわいてこない。そういうこともないと思いますけれども、やはり働くことに力強い確信とそしてまたそれによって生ずる効果というようなものを——これは私は目に見えない一つの大事なことだと思っております。そういう点から、国民の皆様にはまことに申しわけないことでありますけれども、この際、適正な価格に改定を願いたいというのが趣旨であります。  これをあらゆる物価と比較いたしましても、決して弁解するわけではございませんが、また諸外国と比べてみましても、決して日本のこの郵便事業というものが、われわれ当局者及び従業員がずるけたためにこれが諸外国よりも高いあるいは他の物価との比較、また国民生活に及ぼす影響等が非常に国民に糾弾されるような不都合なものでは絶対ないという確信を持って、どうしてもこの際ここで改定しておきませんと、どっかのように一つの非常な基盤が崩れてしまいますと、ますます収拾のつかないものになってくるおそれがある、こういうようなことで、これをあえて再度御審議をいただいておるような次第でございます。
  24. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ大臣立場に立てば、そういうことだろうと思います。  しかし、だからといいまして、衆議院におきましては、これもう逓信委員会で一方的に強行採決大臣の所属していらっしゃる政府・自民党が。大臣がなさったんじゃないかもしれませんけれども、対話と協調を主張する三木内閣閣僚としまして、そういうことは好ましいことではないだろうと思いますし、先ほど来申し上げているような観点からいたしましても、国民の声というものからいたしましても、臨時国会でもう衆議院では一つ審議もなく強行強行で押しまくる、こういう——それはもう火急な実態がかくあるという、それは事実は事実ですから、私どもはお認めいたしますけれども、しかし、そういう態度は、これはあるべきじゃないし、またそれに対するやっぱり閣僚としての責任、反省といいますか、こういうものはやっぱり深くなきゃならぬ、こう思うんですよね。まあ参議院は竹田委員長非常に円満、公平に審議を進めて、これからも十分に時間をとって審議をするということですから、私どもは本当に国民負託にこたえる姿であろうかと思うんですけれども大臣、こういう衆議院の姿というのは、それは大臣のおっしゃることはわかるんですけれども、ああいう姿は好ましくないことであり、そういうことに対する強い反省というものがなければならないと、このように思うんです。それはまあ大臣も深くお考えもあるだろうと思います。  が、さて、いまこの独立採算制の中での赤字だということで、企業の収支のことやいろんなことでお話ありました。この前の国会のときも、私いろいろ申し上げましたが、受益者負担とか利用者負担という、こういう考え方は、ほかの企業とは違って、郵便の場合は、郵便を出した人に全部利益が還元されるわけじゃない。出す人、受ける人、こういうお互いこれ相対的にこの利益を受ける。ですから、ほかの料金決定の際の受益者負担、またほかの受益者利用者負担というものと同一視すべきではないということをこの前るる申し上げたはずです。しかしながらそれは私の言い方が十分でなかったか、またその大臣の受け取り方がどうであったかわかりませんけれども、公営企業のあり方、そしてまたその中での郵便事業のあり方というものは、これはほかの企業と同じように受益者負担という原則の上に立って独立採算で全部これを賄うということには非常に無理がある。  これは過日もいろいろ申し上げましたし、また、こういう受益者負担という考え方が取り入れられるようになった経過にかんがみましても、経済学者じゃないから詳しいことをぐだぐだ私は申し上げませんけれども、この歴史的な経過を見ましても、ほかのものと同一視していつまでもこの独立採算ということに固執するというこういうことですと、これは必ず行き詰まるときが来るし、いままでのような高度成長の時代とは違うわけでありますので、まあいますぐこれを投げ捨てろと、こう私は申し上げませんけれども、これは当然今後の検討の課題にしなきゃならぬ。財政制度審議会等におきましても、財政負担の対象として適正な範囲、程度のものであるかどうかという問題点の中で、やはり公共料金のあり方等につきましては全部独立採算という形で運営することがいいのかどうか、当然、独立採算という財政構造の中では企業性というものとそれから公共性というものがぶつかるわけですけれども、そこをどう見るかということになるわけです。  これはこの前もいろいろ申し上げましたから私は詳しいことは申し上げませんけれども、独立採算、独立採算、だから赤字だからどうしても上げなきゃならぬという現時点とこれからの物の考え方という意味においては、当然、いままでの、いまおっしゃるような姿でこのままいきますと、この公営事業というのは、もう郵便行政というのはどうしようもなくなる、このように私は思うんですけれどもね。これは第三条が四十六年に充実され、三十年の後半から四十年代、受益者負担のような思想、考え方が入ってきて条文化された。その歯どめとして審議会では十分に審議をせよということになっているわけですけれども、この企業形態そのものに対しても、財政構造そのものについてもそういう独立採算一辺倒ということだけで値上げを主張するという、こういうことはもう今後——今後って、現在もそうなんですけれども、少なくともこれから先においては、これはもう見直さなければならないときが来るんではないか、このように私は思うんですけれども、そこらあたりの見解をちょっとお伺いしたい。局長さんでもどなたでも結構です。
  25. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 将来の問題につきましては、これはいま私は明確な御回答は申し上げられませんが、しかし現時点におきましては、やはり何としても独立採算制というものを無視するわけにはいかないのでありまして、また、この点については非常に力の強い郵政大臣が出たときに十分検討してもらうことにしまして、私の微力ではいまのこの現状を変えていくということは不可能だと思いますし、郵便法第一条による、なるべく安いものを公平にということは、精神はわかりますけれども、しかしさらばといって現在独立採算制になっておりますものを変えていくということは、これは私は現時点においては不可能だと思っております。  しかし、先生の意のあるところにつきましては、十分私どももこれから研究もしてまいりたいと思っておりますが、そういうようなわけで、いまの時点ではひとつまあ御了承賜りたいと思います。
  26. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣が微力だと言ったら、どういう人が強力な大臣なんですか。二十年前もなさって返り咲いて、いまこそ郵政省の方々はこの村上大臣のもとで新しいこれからの、また、いまのこの時点を見ますと大きな転機を迎えておるという——大臣のそういうお話を聞きますと、郵政事業が非常にこれからいろいろ伸びるわけですけれども、時代に即応した転換というものは非常にできにくい、そういうことの一つ大臣のようなそういう無責任発言みたいなそういう思想がやっぱりあるんじゃないか。  また、大臣におなりの方もまあ一年そこそこでおかわりになる、局長さんも二年ほどなさるとかわられる。会社のように責任者が責任を持ってその企業経営に当たるという責任体制と役所の姿は、大臣を初めとする現在の日本のこの中ではどうしても余り責任が明確でない、こういうところから、まあ私のときはできないけれども、今度は強力な方が出たらなんという、そういうことで、もうなる大臣なる大臣みんなそういうことを言って、ずるずる改革すべきところもできずにずっとおくれてしまう。そして時代にもう立ち行かなくなってあわてて改革しなきゃならぬ。それが郵便料金値上げとなり、そして国民に大きな負担をかけることになる、こういうことの繰り返しのように私には思えてならないんですよね。だから、そんな弱音を吐かないで、ひとつ先ほど確信を持って毅然たるというお話だったけれども、まず大臣からその気持ちになっていただきませんと、みんなになれなれ、おれはならないぞなんというものじゃないだろうと思いますけれどもね。  で、財政的なことを考えましても、財政政策そのものが資源の適正配分ということから福祉の理念に転換しつつある、こういう中でのこの独立採算とか、また受益者負担とか、またこの郵政事業のあり方とかということを考えますと、この独立採算だからということだけ伝家の宝刀のごとく云云する、そういう時代ではない、もうこれは柔軟にこれからの考え方というものをなさねばならない。まあ四十六年にこの収支相償の一項目が入った、それはまあそれなりの時代的な背景があったろうと思うのですけれども、四十六年からは大きく転換したという、また大きく変わったということも言えるわけであります。この間のことについて統括的にひとつ郵政当局としてどういうお考えでいらっしゃるのか、局長さんでも結構ですから、お考えを承りたいと思います。
  27. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先生おっしゃいますように、郵便というものは、差し出す者、差し出す側にとってこれは当然効用があるから差し出すという意味で差出人受益者であるということはこれ間違いございませんが、確かに受け取る側におきましても、その郵便物に効用なり喜びを見出すということは当然あり得るわけでございます。広い意味で受益者と解するならば、受け取る側も確かに受益者ではございます。しかしながら、郵便というものは世界各国におきましても差し出し側から料金を取るということでいままでやってまいったものでございます。まあそれだけで今後対処できるかどうかという問題につきましては、今後の問題として十分検討しなければならないと考えておる次第ではございますが、現在までのところは、差出人から料金を徴収するというたてまえでまいっております。  さて、差出人の状況はどうかということに相なりますと、これもいままでいろいろな機会に御説明申し上げておるのでございますが、現在の差出状況を見ますると、大部分の郵便物、八割というものがいわゆる業務用通信と称されるものでございます。業務用通信あるいはDMと称されるものでございます。一般家庭からと申しますか、個人から差し出されるものは二割程度以下という実情にございます。そうした点から考えまして、差出人から料金をいただくということにいたしましても、これを何と申しますか、原価を広い意味で償わない料金をいただいて、その差額は税金の方から申し受けるというふうに考えるといたしますと、企業等が利用する郵便、大体これが八割ぐらいになるわけでございますが、それに対して一般納税荷に負担を強いるという形に相なるわけでございます。  こうした点にかんがみまして、現在の郵便法におきましては、片やなるべく安い料金ということをうたっておりますが、これは安ければ安いほどいいという謂ではなくて、能率的な経営のもとにおける適正な費用を償い、かつその健全な運営を図るだけの料金はいただくというたてまえになっておるものでございます。そうした点からいたしまして、今回の料金改正につきましても、その趣旨に沿いまして料金改定方をお願い申し上げている次第でございます。
  28. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ量的にはかるとか、それをどういう形にするかということは非常にむずかしいことだという論議はこの前してあるわけでありますが、ですから、そういう考え方の上に立ちますと、まあ企業として張り合いのある確信に満ちた姿でなければならぬ、そしてまた努力する姿でなければならぬ、それはまあ当然のことですけれども、しかし非常に公共性の高いものであって、そういう利用者の出す方も受け取る方も関係があるという、また多くの国民の中にそれが利用されておるということを勘案しますと、全部赤字を埋めろという、赤字は一般財源から全部出すべきだという、こういう極論を私は申し上げておるわけではないのですけれども、一般会計から支出する意義というものも、全然これは無関係といいますか、一般財源から出す法的理由理由というか、こういうものがないとは言い切れない。ポストや局舎とか共通的なものもあり、そういうものに限ってはやはりこの一般財源からの補てんということも考えられるのではないか。  これは前の国会のときにもいろいろ申し上げたのですけれども、特に今度のスト権ストにおきまして、郵政というのは非常に公共性が高い、こういうことでスト権は認めてはならぬと、郵政が真っ先に挙がったわけですね。こういうスト権を付与するかどうかというときには非常に公共性が高いからこれは与えるわけにはいかぬぞ、こういうことを習いまして、そしてこの郵便料金値上げのようなときには、公共性がないとは言いませんけれども、おたくの独立採算とか収支相償という、こういう問題になりますと、そういう公共性というものがこの次になって企業性というものが頭に首をもたげる。第一条と第三条の関係性になるのかもしれませんけれどもね。  非常にスト権も与えられないほど公共性が強いという、そういうお考えならば、これはもう当然この料金決定におきましても、企業性と公共性という観点からいたしましても、優位と見るならば、この法案は根本から考え直さなければならぬ、料金決定の原則というものを改めなければならぬ、考え直さなければならぬ、極論すればいま私どもはそう感ぜざるを得ないのです。  こういう財政補てんということも、いま郵政当局がまあそうしたいですなんて言ってすぐできるわけでもありませんし、本当ならばこれは大蔵省の方に言うべきことかもしれませんけれども、しかし、郵政皆さん方がそういう強い意思なり、また考え方というものがあってこそ大蔵当局との折衝というものもできるのでありまして、施設費や共通部門につきまして、また三極のような料金につきましては福祉的なものが非常に多いわけでありますが、こういうものについて一般財源から補てんをするということは、決してこれは筋の通らない話ではない。一種の黒字で全部埋め合わせするんだ、われわれ独立採算でいくんだ、こういうかたくなな独立採算に固執した考え方は、それはとるべきじゃないんじゃないか、こう思うのですけれども、どうですか。
  29. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便事業が大変公共性の高い事業であるという点につきましては、先生のおっしゃいますとおりでございます。私どももさよう考えておる次第でございます。  しかしながら、この財源の調達という点になりますと、これは先ほど私御説明申し上げましたように、その利用の実態というものが国民ひとしく、あまねく公平に使われているという形ではなくて、やはり使われ方の実態を調べますと企業面の方に大きく偏っておるという点からいたしまして、利用者が負担をするという利用者負担の原則に立つことがいわゆる社会的公正に即するものではないかと考えておる次第でございます。もちろん、こうした郵便物の利用動向というものも年々にして変わっていくものでございまして、私どもといたしましては、常にその動向というものを把握しながら料金の問題についても考えていかなければならないということは考えておる次第でございます。
  30. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあこれは使われ方の実態が、企業が八割だから公平の原則に反するんだという、そういう主張をさっきから言っているんですけれども、それは公共性を損なうという、そういうことの反論には、これはなりませんよ。  公共性というか、その公平の原則に、個人と個人の間の郵便のやりとり、そしてまた個人と企業との間、こういうものを加味し、またそれが企業企業の間のことであったといたしましても、やっぱり諸物価や何かのいろんな波及効果やいろんなこともあるわけでありますし、そういうことだけで企業通信が非常に多くなったんだから、だから公平を欠くんだ、だから第一条にいう「あまねく、公平」ということからいって独立採算という、または受益者負担という、そういうおっしゃり方のようですけれども、確かにこの利用状況というのは、実態は大きく変化しつつあることば事実ですけれども、しかし、それが日本経済や、大きくマクロ的に見ますと、決してこれは個人に無関係なものじゃありませんし、それならば企業と私とのこの相違を、差を考えるような方途、これはまあ技術的には非常にむずかしい、この前の国会でも答弁がございましたけれども、私はやはりこの公共性というそういう大きな、公共性の非常に強いという観点の上から立って全部が全部ではない、やはり共通部門というか、出す人も受け取る人もともに共通なものについて、これは何々が入るかという厳格的なことはここで私は申し上げるあれもありませんけれども、これは皆さんの方がそういうことは詳しいでしょうが、共通部門について一般財源から、そしてまた先ほど申し上げた三種郵便のように、ミニコミ新聞のような立場方々、いまや福祉的な方向にすべてを展開していかなきゃならぬという、こういう段階を踏んまえて、かたくなに公平さを欠くからという説明では、これは納得いかぬ。私はやみくもに一般財源から全部つぎ込んでしまえ、理由もないのにということは申し上げているつもりはないですけれども、この間のことについて、ちょっと説明が足りないようなんで御見解を伺いたいと思います。
  31. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 事業所等が差し出します郵便物でございましても個人と全く関係がないことはない、個人と無関係ではないということは、全く先生のおっしゃるとおりでございます。  しかしながら、どうもお言葉を返すようで大変恐縮でございますが、以前、この委員会においてもお話がたしかあったと私記憶しておるのでございますが、企業等が使う郵便物に対して一般財源の方からこれを補てんするということは、たとえば所得の分配政策という意味から見て、一体、これは妥当なのであろうかなかろうか、こうした問題も十分検討しなければならない問題ではなかろうかと考えておる次第でございます。  また郵便物につきまして、企業等から差し出すもの、たとえばDMのような招かれざる郵便物については料金を高くしたらどうかという御議論もございました。この点につきましては、すでに以前から郵務局において検討したことがあるように私記憶いたしておりますけれども郵便法の第一条にございますように、郵便というものは、これは役務を「あまねく、公平に提供する」ということが一つのこれは決まりということになっております。それと、また郵便物内容について私どもはそんたくすることができないという、これは信書の秘密からくるものでございますが、という制約もございまして、利用者によって料金を区別するということも、実は、はなはだむずかしいという事情にあることは先生御了察いただけるのではなかろうかと思います。  私、決して、その利用者負担というものを金科玉条として固執しているという意味ではないのでございまして、現在の段階におきましては、これ以外よるべき基準が私どもとしては考えられないという点からいろいろ申し上げておる次第でございます。何とぞ御了察いただきたいと存じます。
  32. 藤原房雄

    藤原房雄君 ですから、最初に、私、これを郵便全体で、郵便行政という上に立ってということを前提にしていろいろお話ししたんですけれども郵便そのものが企業が八割占めるような状態になった、そういうことから、これはまあうっかり一般財源で補てんするなんというわけにはいかぬ、企業擁護のような形になる、分配の原則から外れるじゃないか、そういう議論のようですけれどもね。  これから一つずつ中身に入っていきますけれども、実際、その経費の中に大きなウエートを占める局舎の問題や、それからこれは人件費はもちろん八割、九割占めると言われておりますけれども、こういう局舎の借り上げ料とか、そのほかの問題につきましても、これは非常に大きな経費郵政当局は払っておる。こういうことを考えますと、郵便全体の八割を企業が使っておるから、どうもその、あまねくというわけにはいかぬのだと、企業の利用度が高いんだということなんで、あまねくということについて、これはもう非常に慎重に考えなきゃならぬ、こういう言い方のようですけれども、やはりこの郵便行政全体の運用面という、私、何も企業のを安くしたり、企業なんかもうかったっていいじゃないかということを言っているわけじゃないんですけれども、共通部門、負担区分等、なかなかむずかしい面もあるかもしれませんけれども、公共的負担といいますかね、負担分といいますか、そういうもの等については、特に三種のような政策料金、こういうものについては、これは考慮する余地があるのではないか、こう申し述べておる。  局長から、そういう点も、いまの段階では、また局長立場として、そうでございますなんて言えるわけもないでしょう。第一条、第三条という法律をもとにして、皆さんはそれを運用する立場にあるわけでありますから、これは立法府としてそれをどうするかということになるのかもしれません。先ほど大臣お話の中にも、将来そういうことも含めて考えなければならない時代が来るかもしれない、そういう意味の御発言もあったようですけれども、いずれにしましても独立採算ということに固執している限りは、もう必ず行き詰まってくることも、もう先進諸国の例を見なくてもおわかりのとおりであります。アメリカにおいてもイギリスにおいても、非常に一般財源から多額の財政負担をしているという、こういうことが明白に物語っている。日本もまだ伸び率等におきましてはアメリカやイギリスよりも高いということであれですけれども、やがてはだんだん鈍化も著しい方向にくることははっきりこれから先として言えるだろうと思います。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  そこで、さっきからいろんなお話の中で、現時点はもちろんのこと、これから一体郵政事業というのはどういう方向に向かうのかという、これは将来展望というものに対しての考え方というものをやっぱり明確にいたしませんと、それが赤字だから値上げするぞという、これではもう国民としては、そうですが、今度値上げになるんですか、というわけにいきません、これは。やはり説得力あるというか、納得のいく現状というものがなければならぬ。  これはいろんな部門におきましてそれぞれ審議会等で将来に対する考え方、位置づけというものについてはいろいろ検討をしておるわけですけれども郵政当局、これを見ますと、値上げやなんかのときには審議会で答申はしていますけれども、その経営そのものに対しての厳しい将来に対する展望というのは、非常にほかの省から見て、ないんですよね。去年ようやく、何ですか「郵便の将来展望に関する調査会」ですか、これができたということですけれども、まあ去年できた。これも学者を集めてやっておるということですから、本当に独立採算という上に立って、これを維持する、堅持する、そしてまた二倍半から五倍というこういう値上がりをするという、こういうことですと、これは行き当たりばったりに、こうでございますなんというんじゃ、やはりいままでこういう展望のもとでこうしてきたけれども、こういう現状でございますというのがなけりゃいかぬと思うんですね。ようやくそれにお気づきになったのか、社会の大きな変動の中で先のことも考えなければならぬぞということで、この調査会ができたんだろうと思いますけれども、調査会のことについては、過日、質疑があったようでございますけれども、ここで今日までの検討内容とか経過とか、こういうことをちょっとひとつ御説明いただきたいと思います。
  33. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のように、昨年、「郵便の将来展望に関する調査会」というのをつくったわけでございます。これにつきましては、林雄二郎教授を座長といたしまして、鋭意、検討をいただいておる最中でございます。実は、これにつきましては、前年度末にその中間報告をいただいたわけでございます。なお、それ以後も鋭意検討を続けていただいております。  で、その内容につきまして二、三申し上げたいと思うのでございますが、まず、その前にお断りいたしておきますけれども、これは一昨日も申し上げましたように、郵便のいわば基礎的な需要の調査というようなことを主題に取り上げておるわけでございまして、この将来展望、いわば分析の上に立った政策、それはその結果を踏まえて考えていくという私ども立場にあるわけでございます。  そこで、現在、中間段階ではございますけれども、いま問題になっております諸点につきまして若干申し上げておきたいと思いますが、まず第一に、郵便コミュニケーションの理論的な考察ということを取り上げておりまして、現代におきますコミュニケーションの状況の中で郵便のメディアとしての位置、それからその特性というようなこと、それから同時に他のコミュニケーションのメディアとの関係、こういったことを明らかにする、それから郵便の将来のあり方というものを考えていくという問題点でございます。四十九年度におきましては、主としてコミュニケーション論の視点から郵便の本質論あるいは郵便主体論、それから郵便の機能論、それから比較メディア論の立場からの郵便分析、こういったことが取り上げられております。  それから第二といたしましては、郵便の需要動向に関する調査研究であります。これは先ほど来申し上げておりますように、郵便の現在における利用の大宗は業務用通信であるというような観点から、企業を中心といたしまして、その企業の通信活動につきまして、現在、企業の中においてどのような通信手段が利用されておるか、その実態。それから特に郵便が電話あるいは電報、データ通信など、いわば郵便以外の他の通信メディアとどのような代替性——あるいは補完と言っていいかもしれませんが、そういった関係、これについて考えていくということ。また郵便の需要動向を左右する要因というのは、一体、どの辺にあるのかというような問題というようなことにつきまして、いろいろなデータを集めて、これを分析するということをやっておるわけでございます。  それから第三点でございますが、これは郵便の社会的機能に関する意識調査という問題を取り上げておりまして、郵便が他のコミュニケーション・メディアとの関係におきまして国民生活上にどういう役割りを果たしているのかということを把握する。で今後の社会環境の変化に伴う個人と郵便利用との関係を明らかにするためのいわば基礎的な資料を収集するというようなこと、こういったことを現在やっておるわけでございまして、それをもとにいたしまして郵便に関する意識と、それから実態の構造分析及び郵便に対する諸類型の弁別、そういうものについて新しい解析手法を用いまして分析していくというようなこと、こういった事柄が主な現在調査事項ということになっております。  そういうことでございまして、これはいろいろなワーキング・グループに分けまして、毎月、三回程度の集まりを持っていただきまして、真剣に検討をしていただいておるという段階でございます。
  34. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまお話ありました各項目は、非常に重大な問題であれですが、関係の方々の御努力には心から敬意を表しますが、それほど、いま挙げなきゃならないほど各種各様何か各方面に変化を来しておるということですね。現在、私が長長申し上げるまでもなく、郵便事業というものの存立基盤といいますか、まあ量的にも質的にも非常に大きな変化を来しておるという、こういう観点の上に立って、これはどういうふうに変化をするのかということから、いまお挙げになったいろいろな項目で御検討なさることだと思うんです。  そこで郵政皆さん方といたしまして、この通信の中で郵政というものはどういう役割りを担うのかという、この位置づけといいますか、それをどう考えていらっしゃるのか。  いまや電話がどんどん普及率が高まりまして、今日におきましては、郵便というのはその補完的な役割り、個人についてはですね、いま大きく変わりつつありますので、今度のストなんかを見ましても、国鉄が動かないということに対しての大変な不便を感じられた方々、これは内閣で迷惑度なんていう調査をしたようですけれども郵便のことについて、そうですね、これは同一視するわけにはいかないでしょうけれども、それはもう電話がありますから、いま一ころとは様子が変わってきたと思う。こういうことを考えますと、郵政事業の存立基盤というものはいま大きく質的に変化を来しておる。こういう中にありまして、これからいろいろ将来展望を検討することは検討するといたしまして、現在、皆さん方がどういうふうにこれをお考えになっていらっしゃるのか、まず基本的なことをちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 郵便というメディアは国民の基本的な通信手段であるということにつきましては、現在もそうでございますし、また将来も引き続いてそのようなふうに利用されるものと私ども考えておる次第でございます。  ただ、広くあらゆる通信メディアということになりますと、御指摘のように電気通信メディアというような領域がだんだん発展しておる現在でございますので、それとの代替性と申しますか、そういったことば当然考えられてくると思います。しかし、電気通信の発展がありましても、やはり先進諸国に見られますように、郵便というのは着実に毎年伸びを示しているというようなことから考えまして、今後とも、やはり経済社会の発展とともに、基本的な通信手段である性質を失わないで、引き続いて着実に伸びを見ていくものと、わが国においてもそのような伸びを見ていくものというふうに考えておるわけでございます。  また同時に、電気通信の代替の部分もございますけれども、逆に電気通信が郵便の利用を促進すると申しますか、刺激する面もあろうかと思います。そういうようないろいろな観点から見て、今後——私はそのように考えるわけでございますが、全体的に見て、それを分析するということが非常に重要な課題でありますので、先ほど申しましたような調査会におきましていろいろと御検討を願っておるところでございます。  なお、電気通信と郵便の接点というような問題もこれから新しいメディアとして考えていかなければならないのではないかということでありまして、すでにアメリカなどに見られますように、電子郵便というような領域が開発されておるわけでございます。これにつきましても、私ども今後こういった課題にも真剣に取り組んでいくということで、ただいま電子郵便研究会を省内に設置いたしまして調査研究に着手いたしておる段階でございます。  このように、電気通信と郵便の間では、相関関係あるいは補完関係、その他いろいろなことが予想されますけれども、やはり郵便というものは国民の基本的な通信手段であるという性質、それから今後ともそのような性質を失わないで着実に伸びていくという推移をたどるのではなかろうかと私ども推測いたしておる次第でございます。
  36. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ非常に見方によっては楽観的といいますか、それは郵政当局ですから、これからだんだんなくなって消えていってしまいますなんという言い方はないでしょうけれども、大きな質的な変化を遂げておる、また利用構造そのものにも変化がある、そういうことはお認めになるだろうと思うのですが、通信サービス全体の伸び率、年率ですね、それに対する郵便の伸び率というのは最近鈍化しておることは事実でしょう。これは社会のいろいろな不況とか高度成長から大きな転換をしたという時代背景はもちろんあると思いますけれども、それだけではない。それから企業通信が非常に多くなって全体に占める割合が八割、こういう状態になっておる。  いずれにしましても、郵便の伸び率の鈍化というものは、決してこれは一時的なものではない。いま局長さんのおっしゃるような、確かにほかの通信との補完関係、また基本的な通信手段であるというその位置づけ、そういうものは確かに言えるかもしれませんが、先進諸国に見られるように、やはり鈍化というのは続くであろうし、もっと伸び率は低くなるのではないか、このように一般的には言われておるようですけれども、ここらの伸び率とか、また諸外国の現状とか、そういうこととあわせてひとつお示しをいただきたいと思います。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  37. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のように、最近の郵便の伸びにつきましては鈍化というようなふうに見られる係数は出ております。たとえば四十八年度対前年比五・一%伸びております。それから四十九年度につきましては六・五%の増ということで、この辺ではまだ鈍化というような数字ではございませんけれども、五十年度に入りまして四月から九月までの対前年同期比を見てみますと、約三%強の増ということでありますので、その意味では鈍化というふうに言えるかと思います。これはたとえば電話などを見てみますと、四十年から四十九年度の間に年平均二七%程度伸びておるように伺っております。これに比べますと、確かに郵便の伸び率はそれほど大きくないわけでございます。  また、先生指摘の諸外国の例でございますけれども、これも過去におきますよりも若干伸びが鈍化しておる傾向が見られるかと思います。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 これはいろいろな国によって事情は違いますけれども、大体二%程度が先進国における平常の伸びではないかというふうに私ども考えております。  これは確かに、過去、経済情勢の非常に急激な発展をしておる時期における郵便の伸びと、それから安定した経済条件の中での伸びとの差というものがあらわれつつあるのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、いずれにいたしましても過去におけるような年率六%ないし七%というような大きな伸びは今後期待できないということは、先生指摘のように、言えるかもしれません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、その安定した経済条件のもとでその二%、三%というような、いわば安定した伸びというものは今後とも期待できるのではなかろうかというふうに私どもただいま推測いたしておる次第でございます。
  38. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあほかの通信手段がまだ全国的に普及していない、また一つの過渡期にあるということ等ともあわせまして、やはり郵便に頼らなければならない、こういうウエートがやっぱり大きい、そういうことも大きな要因の一つだろうと思います。だから、決して楽観祝していないんでしょうけれども、これからも、不況の中でもこれだけの伸び率を示しているんだから、安定的にこの伸び率はという仰せのようでありますが、これもアメリカやイギリス、先進諸国の姿を見ましても、決してそんな楽観することのできない、郵政事業というのはこの基本的な通信手段としての位置はあったといたしましても、これは大きく変わってくることは間違いないだろうと思います。  そういう中で、個人から出される郵便物がすでに二割、二〇%という現状になっているわけですけれども、さきの国会におきましても郵便料金値上げ、これは先ほど経理局長が声を大にして——余り大きくなかったかもしれないけれども、公共性や、それから企業が非常に多くなったんだという、こういうデータが事実出ておるわけですけれども、私どもは、値上げ反対する一つの大きな理由として、やはり国民生活を圧迫するという、公共料金という性格の上から、これを一つ理由にしておるわけですけれども、それに対して皆さんのお考え方は通信関係支出の中で郵便支出の比重というのはだんだん低下しておるんだと、総理府の調査によりましても物価への寄与度というものや、それから家計に占める支出というものも年年減っておるんだという、家庭における個人的な郵便というものが減る一方では、企業としてはいろんな需要構造の変化といいますか、そういうものが起きているのかもしれません。  総体的に二%、三%の安定的な成長があるのかもしれませんが、しかし皆さん方の例をかりるならば、家計に占める支出がだんだん最近は非常に少なくなっておるんです。電話はどんどん普及しまして電話の方のウエートは大きくなっているんですが、こういう言い方だと、それだけこの郵便の利用というものは減少方向にあるということです、個人については。そういうことになりますね。だから少なくともこの電話の普及によりますと、さらに個人の通信手段としての郵便というものはさらに低下をするであろう。過日、問題になっております大企業におきます領収証等につきましても、値上げになるようでしたら、これはうちの会社で配ります。東京電力のことがこの前新聞に出ておりましたですね、それで何億だか何十億だか浮くんだという。ですからこれは個人についてはどんどん減少の方向にある。企業についても、やはり値上げになるということにつきましてはそれ相応の自衛策を講ずる。こういうことを考えますと、確かにこの郵便全体の利用構造というものが変わりつつあり、それは決して郵政皆さん方の伸び率が高くなるという方向ではない、このように考えざるを得ないんですね。  ですから、いま皆さん方の、局長さんのお話ですと、今回の値上げになったといたしましても、これは赤字幅が減少するということですから、基本的な基盤そのものについていま大きな変化をしておる、そういうことですから、これは申し上げておりますように、独立採算ということや受益者負担ということを中心にいたしましての考え方とか、それから通信全体の中での郵政というものの位置づけということやあるいはまた企業努力ということや、こういうことを真剣に御検討にならなければ、この数年もう非常に早いテンポで変化をいたしましたけれども、これからも決して安穏に日が進むわけじゃない。で増加傾向にあるとは決して——鈍化が急上昇に転換する要素というのはないということを考えますと、今日のようなこの値上げ法案というのは、毎年、毎国会出なければならないことになる。  こういうことから、体制の整備といいますか、本当に一つの時代の流れの中で大きな転機を迎える、ここでいろいろな企業努力はもちろんのこと、郵政が今後担うべき役割り等について、そしてまたいままでの形態、いまこういう法律のもとでこうなっているからということじゃなくて、これをきちっと洗い直し整備をいたしませんと、これはもう村上大臣はいつまで大臣なさっているか知りませんけれども、まあそう長くないだろうと思います。次の方がまた大臣になって値上げ、こういうことの繰り返しでは、大臣はまあいいかもしれませんけれども国民はこれはもうたまったものじゃないです。現時点におきましても、二倍から二倍半、五倍という、こういう値上げの中で各方面から厳しい反対の声が上がっておるわけでありますから、それを説得し、現状というものを訴えるには、それ相当の説得力のある体制なりまた体制の整備なり将来に対する考え方なり、そして企業努力なり、こういうものが真剣になされなければならぬ、こう思うのです。  先ほど調査会のことについてはお聞きしましたけれども、これは学者の立場云々するのでありまして、そういう論理的なまた社会構造の中でこういう変化を遂げるという方向性は見出せるかもしれませんが、現場でそれをどう取り上げて、どう対処するかということはやはり皆さん方がなさるわけでありますから、これは出てから検討しますなんということじゃなくして、鋭意これは努力をなさって、現在、この値上げ法案の中でもこういう問題についてはこのように体制を考えておる、また改革すべき点については、いまの郵政が万全であって指一本指されるところはないのだなんということではないだろうと思います。そういう点については謙虚に反省すべきところは反省をし、改革をするところは改革をし、こうした上に立って、どうしてもこれだけのことについてはお願いをしなければならぬという、こういうものもあわせて国民の前に明らかにしなければ、これはもうこのたびのこんな大幅な値上げはどう見ても納得できるわけはないだろうと思うのです。どうですか、大臣
  39. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大変、郵便事業の基本に関する問題につきまして、貴重な御意見をいただきましたことを感謝します。  先生指摘のとおり、明日のこの郵政事業というものは、ただ現在がどうにか立ち行けばいいというようなものではなくて、あすはどうするかというその点についても私どもは大いにその思いをいたしていかなければならないと思います。  ただいま、いろいろ御意見を拝聴いたしましたが、   〔理事重光君退席、委員長着席〕 私どもも十分先生の御意見を体しまして、今後の研さんをしてまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。
  40. 藤原房雄

    藤原房雄君 ありがとうございましたじゃ困るので、また感謝されても困るので、そういうものを踏まえた上で、このたびの国民に対して値上げしなければならないということがなければだめだって言うんですよ。  冒頭にも申し上げましたのでくどくなりますけれども郵政当局とほかの、私もあっちこっち省を回っていますけれども郵政というのはどっちかというと、そのときのお仕事には非常に御熱心なのかもしれませんけれども、やっぱり時代の、大きい企業体ですからね、官庁ですからあれですが、しかし国民の非常に重要な部門を担っているだけに大きいからなかなか対応できないなんということで甘んじちゃなりませんで、常日ごろやっぱりその時代に即応した改革、こういうものにひとつ努力していただきたいということが一つと、いま申し上げたようなことを常日ごろ具体策というものを絶えず検討し、そうした上に立ってそれとともに値上げ法案をこういうことでございますのでということで国民の前に提示して、そして理解をいただく、こういうのでございませんと、半年たっても同じものがまたやっぱり同じ率で上がるんだぞということで、いまもう赤字で大変だからすぐ埋め合わせしなければならぬ、改革したり何かするところはあるのかと言うと、とにかく赤字なんだと言う、これではだれが見てもだれが聞いても、このままで値上げを容認するなんというわけにはこれはいかぬ、こういうことをひとつ強く訴えておきたいと思うんです。  現在、いろんな審議会もございまして、国民生活審議会なんというものはこれから十年先どうなるかということをいろいろ、これは十年先のことですからいろんな変化があろうかと思います。しかし、それぞれの省庁ではそれぞれの立場でやっぱり世界の中の日本あるいはまたどういう変化をするかということについて考えていらっしゃる。いまさっきもいろいろ申し上げましたけれども三種のような政策料金、後からまた触れますけれども、こういう高度成長から安定成長へ、そして福祉型へという、こう言われている中にありまして、それに対する努力、今度の値上げにつきましてやはりそこに対するいままでのいろいろな研さんの中からそれがにじみ出て何らかの改革の方向というものが出ておる。郵政は常日ごろからそういうことについての検討がなされておるんだなという、こういうものが出てこなければならぬと思うんです。値上げだけで、そして後は期日を変えるだけという、こういうことでは国民が納得し得ない。  特に、現在、クリーム・スキミングの問題が、さっきもちょっと東電のことを中心にしてお話ししましたけれども、浮かび上がっておりますね。これは諸外国、先進国においては重大な問題で、郵政当局は余り重大な関心を抱いてないのかもしれませんけれども、やがてはこれは、命取りにまではいかないかもしれませんけれども企業構造の大きな変化の中で大きな問題になるだろうと思います。現在、こういう問題について郵政当局としてはどうお考えになっていらっしゃるのか、現在の認識、そしてまた今後に対する対処の仕方という、こういうものがありましたらお伺いしたいと思います。
  41. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のように、郵便の配達につきまして特に効率の高い地域だけを対象といたしまして配達を民間業者が行うといういわゆるクリーム・スキミングというような現象があることを私ども聞いておりますけれども、ただ、わが国の現状ではそのような事実について承知いたしていないというのが私のただいまの知識でございます。  しかしながら、先般のイギリスの郵便ストライキの際に見られるように、郵便に対する信頼が失われるような時期になりますと、先生指摘のようなクリーム・スキミングのような現象が出てくるということは十分考えておかなければならないと思うのでございます。このような意味で、こういう事態を防ぐということは、平素郵便業務が安定的に運行されるということが非常に大切なことであり、それによって国民の信頼を高めていくということが大切であろうかと思います。私どもといたしましては、いやしくも郵便が民間業者によって行われるというような考えが生ずる余地のないような郵便業務運行の正常化、そういうことに全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えておりますし、また、それによって国民の信頼も高まってくるものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 藤原房雄

    藤原房雄君 確かに局長のおっしゃるように、日本ではその動向ばまだはっきり出てないとは言いますけれども、過日来の報道を見ますと、今度の値上げを契機にしてそういうものがだんだん顕著にあらわれるだろう。いま局長さんのおっしゃるのは、安定的にするとか国民の信頼を得るということを中心にしてのお話ですけれども、信頼を得ても、安定的に郵便が配達されましても、高いのでは、これやはり資本主義社会ですからね、企業のベースで考えますと、再度、再度大幅な値上げになりますと、企業としましては自衛手段をとらざるを得ない、こういうことで、当然、これはこの問題がクローズアップされますでしょう。  現在、皆さんからいただいた資料によりますと、日本の郵便料金は世界一安いんだという、そういう安い安いという、上げてもいいんだ、いいんだというデータしか持ってこないものですから、そういうデータになっておるのかもしれません。しかし、今度は二倍から二倍半、そして五倍、こういう値上げになりますと、やはり自衛手段をとら、ざるを得ない。そして先ほど来お話ししておりますように、郵政の置かれている立場というのは非常に厳しい、利用状況も鈍化の方向にある、人件費が大きなウエートを占めておる、こういう中で独立採算というものに固執している限りにおきましては、当然、値上げというものはもう、毎年じゃ極論かもしれませんけれども、行わざるを得ないような羽目になるのではないかということを私どもは心配するわけです。  こういうことが続きますと、当然、いまはさして心配もしていないクリーム・スキミングという問題、こういう事態に立ち至りまして、郵政事業というものがさらに窮地に追いやられることになるんじゃないか。そのときになって、そのときは私が局長でないからという、こういうんだったら別ですけれども、本当に郵政を愛し、郵政の将来を憂える者であるならば、それはいまのような楽観的な答弁では済まされないんじゃないか。国民の信頼を得ればちゃんとこれは確保できるんだ、余りそういう危機には直面しないぞという言い方ですけれども、そういう国民の信頼だけでつなぎ得られるものだろうか。過日の委員会で、大臣も、昔は郵便というのは確実に速く届いたものだ、昔といまはもう大きく変わっておりますし、ここたびたびの値上げというものが打ち続くようになりますと、これはいま氷山の一角という感じでありますけれども、本当に氷山そのものがあらわれ出る時代がもう目の前にあると言わざるを得ない。  ここで私が言いたいのは、こういうこと等も考え合わせますと、いつまでも独立採算という考えに固執するようなことでは、当然、立ち行かなくなる。独立採算値上げをしなけりゃならない、こういうことの繰り返し。それは郵政事業を衰微させるといいますか、窮地に追いやるもとになる。それと先ほど申し上げましたようなことを考えあわせまして、やはりこれを弾力的な財政的な運用、特に福祉料金体系等につきましての考えというものをいまこそ転換をする。一遍に独立採算の枠を外すなんという、こんなことは法律があるからできない云々じゃなくて、これは立法府であるわれわれの立場の問題になるのかもしれませんけれども、この郵政事業というものに対しての財政のあり方というものを根本的に考えなければならない一つの警鐘であろうかと思うんです。これに対しては、どうお考えですか。
  43. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 基本的な御質問でありますので、なかなかいまの段階で御満足のいくようなお答えができないと思いますが、とにかく頂門の一針としてよく勉強さしてもらいたいと思っております。とにかく現時点におきましては、いまの時点のあり方でひとつ万事をはかっていただきたいということをお願いをするわけであります。
  44. 藤原房雄

    藤原房雄君 局長国民の信頼を得ればといいますが、会社の方といたしましては、これは郵便局にお願いして領収証を配達してもらうよりも、社員が配ればお客さんとのコミュニケーションができる。だから単に経費の節減だけでなくて、そういうメリットもあるということですと、これはもう単に国民の信頼を得れば、安定的な郵政事業を営めばということでは、企業には企業の論理があって、企業立場からやはりいろいろ検討をした上でのやっぱり踏み切りだろうと思います。ですから、これはどうしても私ども値上げ法案廃案という立場でありますから、そのための理屈づけみたいなことでいろんなことを言っている、そんなことでとらないで、私どもはそういうことで声を大にして言っておるわけですけれども、こういう問題もやがては大きくクローズアップされる時代がくる。そういうことのための対処の仕方としても、この独立採算というふうな枠の中で閉じこもらない考え方を持たなければいかぬと、こう思うんです。  いまここでいろいろ考えてみますと、郵政事業の姿勢といいますか、こういうものにかかわってくるんですけれども郵政百年という、百年たったわけですけれども、長い歴史を誇っているわけです。長いだけに伝統がある。伝統というのは重じなければならないんですけれども、しかし、これは破らなければならないものもある。どうしても明治の初めからやっておりますので、お上根性というふうなものはなかなか取れない。もう戦後三十年とこう言われているんですけれども、三十年たってもやはりさきの七十年の方が長いですから。  この前、同僚の案納先生からもいろいろお話ございましたけれども、博多におきます小包の破損の問題がありましたね。これはこの前いろいろ私もあの論議聞いておりましたからわかるんですけれども、小包の事故の問題、これは詳しいことは大体わかっているんですが、大筋といいますか、あらましのいきさつだけちょっとお聞かせください。
  45. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生すでに御承知のように、博多の郵便局におきます小包の事故でございますけれども、破損した小包は全部で百六十九個ございました。このうちで内容品の損傷がごく軽い百二十七個につきましては、包装を補修の上、受取人に送達をいたしております。そうして残りの四十二個は差出人に還付いたして処理をしておるわけでございますが、この事故は、本年五月二十三日に発生いたしておりまして、博多局のベルトコンベヤーの故障から発生したものでございます。  この事故の発生後、直ちに破損小包の差出人及び受取人に対しまして博多郵便局長が文書でおわびを申し上げるとともに、その現品につきましては、関係郵便局の幹部が直接お宅に持参いたしまして、事情説明いたしまして丁重なおわびを申し上げたという次第でございます。  なお、破損した小包につきましては、これはいずれも普通扱いの小包でございますので、郵便法上損害賠償に該当しないというものでございました。そこで、差出人方々には、お支払いいただきました郵便料金をお返しするという措置をとり、できる限りのことを講じたところでございます。  いずれにいたしましても、利用者の皆様に大変御迷惑をおかけいたしましたことはまことに申しわけなく存じておる次第でございますし、また、今後、このような事故を再び演じないように、十分努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  46. 藤原房雄

    藤原房雄君 このことを通しまして、現在の郵便法では、五十八条ですか、書留についてはそれ相応の補償をすることになっていますけれども、しかし郵送料——切手代取って切手を張らしておいて、それで損傷しても切手代は返るわけでもない。本人の過失じゃないんですよね、それで壊され損。やっぱりこういうことは普通一般の商取引の中では考えられないことですね。法律でそうあるので私ども法律上やっておるんですよと局長はそう言いたいのかもしれません。しかし、これは内部でもいろいろと民主的な法律に改革したわけでありますし、こういう考え方というのは、やっぱりお上が仕事をしてあげているみたいな、こういうものは当然変えなきゃなりませんし、もうその精神というか、そういうものはこれは明確にしなければならぬ。  私も、まあこれは実際現場へ行っていろいろ見たという人のお話を聞いて唖然としたんですけれどもね。この前、同僚議員からも話がありましたけれども、これは立法府の仕事でもある一面、また郵政当局としましても、こういう問題についての洗い直しといいますか、根本精神というものを本当に変えてかかりませんと、値上げのときだけお願いしますお願いしますでは、そうして一方一向に明治百年の精神は変わっておらぬ、これじゃもう本当に国民は踏まれたりけられたり。  速達がおくれても、これは普通郵便よりもおくれても、おくれたとき届け出れば速達料払うんですか、それどうなっていました。
  47. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 通常の郵便物よりも速度がおくれた場合につきましては、速達料金につきましては請求があれば、これをお返しするというたてまえをとっております。
  48. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあこれも申し出ればというただし書きがあるわけですよね。一般の人はそういうこと知りませんからね。急ぐ用事だから速達で出すわけですね。そのことのために大変な手違いを起こした方もいらっしゃるでしょう。最近はまあ遅配も総体的には解決されるようになったかもしれませんが、今度のこういう速達を利用する人の立場から見ますと、届け出る人がどれだけあるか、これは恐らく郵政省でもそういうのはおとりになっていらっしゃらないだろうと思いますけれども、よっぽど腹に据えかねるというか、大きな問題でもあってこのやろうというのでもなかったら申し出る人がいないだろうと思います。申し出ても速達料だけですからね。だからこういうことについても本来ならばちゃんと到達日に到達いたしませんでお返しいたしますというような、こういう周知徹底するとか、また郵政省の方でこれをちゃんと速達料に値しないあれだったわけですからお返しするとか、まあ言えば切りのないことですけれども、その底に流れるものはやっぱり明治百年の伝統的なもの、お上の精神があると言わざるを得ない。  この七十七条の罰則なんか見ますと、「郵便物を正当な事由なく開き、き損し、」云々とこうありますけれども、これは「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」というのですから、これは大変な罪になるんですね。それで郵政省のいま合理化で機械化になった。昔はみんな一つ一つ手でやったんでしょうけれども、いまは機械で何段にも分けて、それで私どもも何ヵ所か見ましたけれども、すごい勢いで落差を落ちてきますから、これはたまらぬわという気持ちで帰ってきたこと何度かありますけれども郵政省の中で壊れたときにはこれはもう何も見ようとはしない、まことにお気の毒さまでした、取り扱い上壊れましてと。これはもうこういうことを考えますと、本当に郵政の取り組みというものを、もう長くは申しませんけれども、こういうこと等もぜひひとつ将来御検討いただいて、そして民主的な郵政事業のあり方というものについて本当に時代に即応したものに、こういうことで指摘なんて受けることのないようなひとつ業務の洗い直しや事業のあり方というものを強く要望しておきたいと思います。どうですか。
  49. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘の点を十分考慮いたしまして、今後、大小を問わず過ちのないように十分留意してまいりたいと、かように思っております。
  50. 藤原房雄

    藤原房雄君 さて、私ども郵便料金のこのたびの値上げに強く反対する第一の理由は、先ほど来長々と申し上げましたように、郵政の中の基本的な考え方、そしてまた財政の独立採算に固執する現在の姿がいつまでも続く限りは、赤字の解消というか、もう毎年値上げをしなきゃならなくなる。こういうことではもう立ち行かなくなるし、また諸般を勘案するところ、やはりこの一般財源の補てんということも決してこれは無理なことではない。時代の推移とともにこれはもうぜひ考えなきゃならぬことであり、このたびの値上げというものもこういう点を十分に勘案して、この時点での値上げはなすべきでない、こういうことを、先ほど来、要約すると申し上げたわけであります。  やはり物価に対する影響、これはもう過日は企画庁の方においでいただいていろいろ論議をいたしました。多くを語ろうとはいたしませんが、いま消費者物価指数が一けた台になったということで胸をなでおろしていらっしゃるのでありますけれども、しかし、これは十月一時的なことでありまして、これはもう安定的にそうなったというわけじゃございませんし、今度、酒、たばこがどういう推移を示すか、いまやもう上がらんとしておる。そして一つさらに来年は電報電話、またNHKの受信料とか自治体の公共料金とか大学等における授業料とか、こういう来年もう、年内はもちろんですけれども、年を越しましてもメジロ押し公共料金値上げが待っておる。こういう中でようやく物価上昇は一けた台におさまりつつあるという中で、このたびこの郵便料金値上げが先頭を切って、しかも、まあほかの値上げですと何十何%という台なんですけれども、二五〇%とか五〇〇%という、五倍とか二・五倍とかいう大幅な値上げということで、これが諸物価に大きな影響を及ぼすことは火を見るよりも明らかである。こういうことで、私どもは、強くこの法案の撤回を要求をいたしてまいりました。  特に、値上げ幅の大きい三種郵便につきましては、これはまあいろんな経過があって皆さんのおっしゃることもわかるわけでありますが——わかるというより、その理由づけをいろいろ言っておるわけですけれども、しかし、これは五倍という大幅な値上げはほかのものにはちょっとないんじゃないでしょうか。どんな理由がありましても、公共性の高い、スト権も与えられないような郵政事業の中で、五倍という、もうほかの物価にはない、ほかの公共料金にはない非常な高値を要求するという、しかも三種の占める収入構成比とか、あれの結論を見ますと、いま一時にこれだけのことをしなくてもいいんではないか。アメリカ等におきましては、やはりいろんな経過をたどりまして五年から十年の経過措置を設ける、こういうことになっているわけでありますが、わが郵政当局はもう血も涙もない、五倍という値上げを押し通そうと、まあ過日の委員会におきましては、この三種郵便の問題については検討さしていただきたいという意味の、検討さしてというか、検討の余地のある、含みのある答弁がこの前ありましたですが、先ほど冒頭にもややそれに似たお話大臣からございましたけれども三種郵便というのはその特殊性からいたしまして、余りにも利用者の立場からいたしますと大幅な値上げである。  で今度の答申におきましては、はがきが三十円であったわけでありますが、これを物価閣僚会議等でいろいろ検討いたしましてこれは二十円にするということになったわけであります。まあ一瞬の間にというほどじゃない、いろんなことから御検討なさったのだろうと思いますが、だから物価対策については検討しているんだというその材料にこの三十円を二十円に下げたことをよく使われるんですけれども一種と二種との格差というものはどうあらねばならないかというのは、これは大臣もよく御存じだと思います。その郵政事業のことをおわかりになって三十円を二十円にしたのか。まあ下げることはいいことかもしれませんけれども、そういう感覚で物価対策に処置したんだというような、そういう感覚で物事を考えられたのでは、郵政全体の中で今後の問題として処理するということは非常に至難であろうと思います。  今日までの物価閣僚会議では村上大臣がいらっしゃったかどうか知りませんけれども、これはもう一種と二種とのバランスというものもありますし、そういう料金体系の中でそういうものは是か非かということもいま論じなければならぬ。大体、もう値上げすることそのこと自体が問題なんでありまして、そういうことから当該業者等の方々は、これは生活にも非常に脅威を来すということで本当に涙ながらに訴えていらっしゃる。この前の委員会質問でもいろいろ質問いたしまして、その業者の方々に対しては何らかの対処をしたいという御答弁もあったようですけれども、対処や何かでは済まされない、非常に深刻なことだと私は受けとめております。こういう国民生活に及ぼす影響、こういうことを考え合わせると、私どもはどうしてもこれは認めるわけにはいかない、このように判断をいたしているわけであります。  物価閣僚会議のことや、最近のこの物価動向等を勘案しまして、もうあれから半年たちましたから、大臣、どういう御所見でいらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  51. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 今回の値上げによる物価指数、あるいは家計に及ぼす影響はどうかということにつきましては、先般、総理府統計局の調査によりましても、一般世帯の家計消費支出額に占める郵便料金の割合は〇・一二%である、きわめて低いものであります。また、今回の郵便料金改定消費者物価指数に与える影響はどうかという点につきましても、この点については〇・二%であるという程度だということであります。  ただいま第三種についてのいろいろ御意見がありましたが、たとえば百二十グラムの一般新聞紙がわずか八円で送れる。八円の料金になっております。たった三グラムのはがきが十円であることと比べましても、その料金が現在大幅に割り安となっておりまして、そのために生ずる赤字郵便事業の財政を圧迫しておる一つの原因であるということは先生御了承のとおりであります。このようなことから、過般の郵政審議会の答申におきましても、少なくとも取り扱いに要する直接経費を償うことを目安に料金改正するのが適当である旨の答申をいただいております。  第三種料金につきましては、いろいろ御意見のあることは承知いたしておりますが、省といたしましては、現在御審議いただいております郵便法改正されました後で、省令料金を決定いたす際に、郵政審議会の答申趣旨を尊重いたしますとともに、国会での御審議の過程におきまして表明されました御意見等を参酌さしていただいて、適正なものに改めたいと思っております。  それから、今回の封書とはがき料金比に、現下の経済事情を考慮して、特にはがき値上げを低く抑えた、この比率の違っておりますのはそのためであります。郵政審議会の答申は封書五十円、はがき三十円という答申でありましたが、非常に大衆に利用されておるはがきを、この際、何とか企業努力をして二十円に下げて御審議を願ったらということを経済閣僚懇談会におきましてそういうようなことに決まったのでありまして、現在のところ、これが本当の私どもの最大の努力をしたところでありまして、これをどうすることも、郵便事業としてはこれを少しでも動かすということは不可能だと、かように思っております。
  52. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ちょっと関連。  いま第三種お話しがちょっとございましたので、それを含めて関連して質問を簡単にしたいと思います。  ちょうど、きのうもミニコミ代表が参りまして実情を訴えておられましたが、そこで具体例が、月に三回、五千部の消費者レポートを出しているときに、年間百八万円の郵送料が五百四十万円にはね上がってしまう。ささやかなわれわれの声というものがなかなか今後は、いわゆる文化運動、そうして生活向上、そういうふうなことができない、こういうふうなお話もあったわけでございますが、いずれにしても、公共性を加味したこの値上げでございますので、そういうふうな人たちのささやかな状態についてのいわゆる調査というのか影響度というのか、そういうのをどの程度まで調査をされていらっしゃるのか。  データによりますと、当局の方では、差し出しの場合、個人が一九%、企業とか団体が八一%である。ですから個人と企業団体の比率というものは二〇対八〇である、こういうふうな簡単なあれで、受取人や目的のそういう具体的な数を出されていらっしゃいますが、昨日も六十団体代表の方から御意見を伺いながら、恐らく郵政当局もやはり国民のこういう声というものも分析調査をして、あなた方の家計に占めるそういう割合、そういうものはこの程度なんですよと、これはあなた方が平均度を〇・一二%と出していらっしゃいますけれども、以上に使われるこれらの人たちに対してはこういう影響があります、それにはこういう救済があるんですと、そういう面も私は恐らく出されているのではないかと思うわけです。ただ機会がないから公表されていないのではないかと、こういうふうに思っているのですけれども、どの程度までこういうふうな人たちの調査というものをやっていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  53. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいま調査というお話でございましたけれども、実は、私ども、そういったミニコミの関係の方々あるいはその他諸団体からいろいろと郵政省の方で陳情を受けております。そういう形で各方面意見は承知いたしておりますけれども郵政省が直接出向きましてどのような実態であるかというような調査まではやっておりません。ただ、いろいろな報道もございますし、また直接団体からの陳情、あるいはこれは文書以外に電話等による陳情等もございます。そういった面を十分私ども伺っております。  しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、第三種郵便物というのは経営的に非常に大きな負担郵政事業としてはなっておりますので、ある程度の値上げはやむを得ない、こういうことでございますが、そういった意味での御意見もまた一方にはございます。これは公聴会等でそういうお話も伺っておるわけでございます。いろいろな御意見ございますけれども、そういった御意見を十分勘案いたしまして、将来、省令段階でこの三種をどのような料金に設定するかということにつきましては、慎重に配意してまいりたいということでございます。これは大臣答弁の繰り返しになるかもしれませんけれども、そのような気持ちで私どもは対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  54. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これらの人たちの言うには、第三種郵便物の認可条件というのは非常に厳しいから、実際は二〇%しか該当していないわけです。あとの八〇%の方は封書の定形二十五グラムまで、こういうようなところを使用するわけですが、これが五十円に値上げされますと、千部郵送されておっても二万円から五万円という、三万円の大きな差額、そういうものが出てくる。だったらあんたたち運動はもうやめなさい、家庭で負担したって大変だろうから、こういうふうな形になるわけですね。  ですから、ここで問題になりますのは、第三種郵便物の認可条件というものがこういうような人たちに対して将来緩和されていく、そうしていま申し上げたような、そういうふうな影響調査というものを真剣に当局がやらなくてはいけない、これはやはり公共性という国民立場から。  この二点について、いろいろお話を承ったということだけではなしに、いつどういうふうな形でやっていくか、こういうことは私大事だと思うんですね。この二点の答弁をお願いしたいと思います。
  55. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) この第三種郵便物の性格でございますけれども、これはもう先生すでに御承知のとおり、文化の普及、向上というようなことが大きな目的でございます。そういうような意味合いで、できるだけ多くの郵便物があまねく頒布されるというような条件でございます。そして、そういう意味からまいりますと、やはりある一定部数の発行があるというようなもので限定せざるを得ないというふうに考えるものでございます。特にある一定のサークルとかそういったものが特別にその利益を受けるというようなことではなくて、あまねく公共的に貢献する、そういった印刷物について第三種という制度を現在設けておるというふうに私ども考えておる次第でございますので、そういったものにつきましては私ども現在の三種考え方をとってまいりたいと考えておりますが、ただ中には身障者団体というような問題もございます、こういう方々に対する認可条件の緩和ということは過去においてもやってきておるわけでございますが、今後とも、こういったことなどにつきましては引き続き第三種郵便物料金を決定いたす際に十分な配意をしてまいらなければならないのではないかと、こう考えておるわけでございます。  それから時期でございますけれども、これは郵便法が成立いたしまして法定料金が決定されました際に、三種料金というものをその以後におきまして省令で定めていくというたてまえでございますので、その時点で第三種郵便物料金をどのように設定するかということを考えてまいりたいと思っておるわけでございますが、先ほど申しましたように、従来からの第三種郵便物考え方というものは、それを変えるということは現在のところ考えてございません。そういうような次第でございますので、そういう全体の先生方の御議論、そういったものを十分考慮しながら、三種料金のあり方というものはやはり慎重に考えていくということにつきましては、先ほど大臣が答弁をいたしましたとおりでございます。
  56. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ時間もありませんから長いお話はできませんが、要するに、考えますと、どんどん利用構造が変化をしておるということから、先ほどの話に戻るんですけれども、そうして考えますと、やはりこういう値上げのしわ寄せというか大きな負担を強いられる。これは企業一つ企業べースでやるわけでありますから、個人的に負担を強いられるのは、やはり過疎地または社会的に弱い立場方々、こういう方々にしわ寄せが来るという、そこが高度成長から安定成長、そして福祉型へと、こう言われている時代に逆行する面がどうしてもこの値上げの中で出てくる。そこに対する配慮がどうあるのか、ここはこの前の委員会におきましてもるる論議をしたところであります。それに対する配慮が非常に足りないのではないか——足りないというか全然ない。一画一的な独立採算ということで値上げをするといろいろなひずみが出てくる。いま矢原議員のおっしゃるのも、そういう一つのあらわれである。こういう点、ひとつ、陳情が来ました、こういう話を聞いております、というのじゃなくて、やはり時代の流れの中にあるわけでありますから、そういう点に対する十分の配慮をぜひひとつやっていただきたい。  身障者のことにつきましても、この前いろいろ申し上げましたので、またこの前申し上げたときには、その席でも検討という——これは国会においての検討というのは何もしないことだとだれか言っておりましたけれども村上大臣はそういうことはないだろうと思いますが、この身障者のことについても、アメリカでは盲人とか身障者のものについては開封にしてやっているわけです。日本の国でやるということになると技術的に非常にむずかしいということをこの前いろいろ言っておりましたけれども、それで何でも外国のまねをしろというわけじゃありませんが、可能性があるということは少なくとも示していただきたいと思うのです。そういう点について、これは検討しますと言ったんです。あれから半年たちましたから、どういう検討をなさったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  57. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 身障者に対して、特に盲人等につきましては、現在でも盲人の利用する点字等は、これはみな無料になっております。なお、いろいろと引き続き他の点についても考え方をいま調整いたしておるところであります。
  58. 藤原房雄

    藤原房雄君 最後の方聞き取れなかったけれども。  公聴会でもこれ強い批評がございましたし、事情はよく御存じだと思いますから多言をしませんけれども、そういう身障者の図書、これは郵政省でやるのか、また文部省、厚生省いろいろな兼ね合いもあるだろうと思います。この前のときには、各省と話し合いをしまして検討するという話だったのですけれども、本当に検討したのかどうか、時間もありませんからそこまでは追及しませんけれども、これも降ってわいたようにこういう話が出たんじゃ決してありませんから、ひとつまた外国の例等もありますし、可能性があるということでございますので御検討いただきたいと思います。  時間もありませんので次に移りますが、独立採算というからには、まず体内の整備をしっかりして、そうして企業努力やいろいろな中で郵政立場の上から言いまして現状を分析し、将来を展望し、そうしてかくかくしかじかだということが国民の納得のできる資料なり、また説得力のある説明がなければならぬという、先ほど来数項目にわたってお話をしたわけでありますが、独立採算というものに非常に固執しておる。さっきちょっと時代の推移とともに考えなければならない時代が来るかもしれないなあというつぶやきみたいなものがちょっと聞こえましたけれども、これは独立採算に余りにも固執するならば、非常な郵政事業としましては立ち行かなくなる時代が来るだろうと、私のいろいろなことをお聞きいただいたと思うのですが、また、そのためには一般会計からの補てん、これも政策料金等、また公共負担分といいますか共通性のあるものについての、そういうものに限っての考え方というものも先ほど来申し上げたわけであります。  郵政事業の中には、保険と貯金と郵便と三つの会計があるわけであります。これもまあいろいろ論議のあるところでございまして、毎委員会この問題がいろいろ問題になるわけでございますが、保険は性質柄別にいたしましても、貯金会計のあり方と運用というものについては、過日来もいろいろな論議もありましたし、私も触れさしていただいたわけであります。あれから半年経過いたしておりますので、その後、また新しい資料もあるだろうと思いますが、貯金特別会計も最近は赤字だということ、単年度で見ますと。そんなほかの方までめんどうを見る余裕はございませんというそういう顔をしていらっしゃるんですけれども、それは現状を見れば、それはそう赤字になるということは運用面に一つは問題があるだろうと思います。  国民はいませっせと貯金をいたしておりますし、国民生活審議会で十年先のことを見ますと、国民はより貯蓄型に移行するのじゃないかということのようであります。でありますから、決して希望のない話じゃございませんし、この運用ということについて今日までもいろいろ議論されたところでありますが、過日、物価との連合審査がありました。そのとき福田副総理から、この資金運用部に預託された金を有効にどういうふうに使うかについては、今後とも、鋭意検討したいというような意味のお話がありました。この検討するということはどういうふうに検討するのか問題ですけれども、確かに資金運用審議会というところで運用については審議をなさる、このように理解をいたしているわけでありますが、いずれにしましても汗水流して一生懸命お働きになった郵政省の職員の方が集めたお金、二十兆——二十二兆とも言われておりますけれども、それが資金運用部で運用される。  そこで、どういう運用の仕方をするか、その中には当然郵政省の皆さん方もメンバーの中に入っていらっしゃると思うんですけれども、資金運用審議会の郵政からのメンバーの方と、その審議会というのはどれほど大きな働きをしているのかどうかということについては、ぼくらよくわからないのですけれども、今年なら今年、どの年度でも結構、最近の年度でいつ開かれて、どういうことが審議なされたかということ、審議会の内容のことについてちょっとお話をいただきたいと思うんですけれども、メンバーと内容ですね。
  59. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 資金運用審議会でございますが、御承知のように資金運用部資金の運用を適正にするために、総理府の付属機関として設置されておりまして、現在、学識経験のある者七名以内の委員と、学識経験のある者あるいは関係行政官庁の職員若干名の専門委員をもって構成されまして、大蔵大臣の諮問に応じて資金運用部資金の運用方針及びその条件、その他の資金運用部資金の運用に関する重要事項を調査、審議するということになっております。このメンバーといたしまして、郵政省の貯金局長とそれから簡易保険局長がこの審議会の専門委員として調査、審議に参画することとなっております。  そのほかに、これは制度上の問題ではありませんけれども、運用上といたしまして郵政審議会のメンバーと資金運用審議会のメンバーとを同一人が兼ねているという運用の実態がございます。  それから、どういう審議の状況であるかということは、これは大蔵省のあれでございますが、最近には十一月の七日に開かれておりまして、貸出利率の改定とそれから預託利率の改定等を審議いたしております。
  60. 藤原房雄

    藤原房雄君 貯金局長と保険局長が専門委員になっているということですから、これはもう総理府の方にお聞きになると、十分に郵政の声は反映されておるというか、運用面については反映されておるという言い方をするんでしょうけれども、とにかく資金運用、財投の大きなウエートを占める立場にあるわけでありますから、それこそ毅然として郵政立場から主張していただかなければならぬと思うんです。  この審議会のことについては、また後日いろいろ審査していただきたいと思いますが、ここで問題になることは、やはり財投についての使途別分類についての検討、やはりより関連性を持たせるという、庶民一人一人のとうとい貯金でありますから、それを十分に関連性を持たせるということが大事なことだと思います。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  それから、コストと利回りの面のことについても十分に考えなければならぬことだと思いますけれども一つは、貯金特別会計が赤字だということは運用面のことについて、コストはもうほかの銀行なんか比べものにならない、経費率ですか、低いわけですね。信用金庫なんて二・四九ですか、郵便貯金が一・四六というのですから、非常にもう経費をかけずにやっておる。それで赤字になっておるということですから、利回りの面について資金運用でがっぽりひとつ貯金会計でもうけたらどうかと、もうけたやつで赤字を埋めろと、こういうことを主張しているんじゃないんですけれどもね、適正な運用という、当然これはルールがあるだろうと思いますけれども、これらのことにつきまして十分な努力をしてもらいたいと思うのです。やはりこれは各委員の主張の中にもありますけれども、とうとい郵政職員の血と汗で集められたものであるということを念頭から離してはならぬ。  で、現在、郵便貯金特別会計の赤字というのはいつから、ここちょっと二、三年の推移と、そのよって来る要因ですね、それをちょっと御説明いただきたいと思います。
  61. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵貯特別会計の収支状況でございますが、昭和四十八年度末におきましては千七百三十五億円の積立金を保有しているという状態であったわけでありますが、その後、四十八年度以降五回にわたりまして貯金利率の引き上げを行いました。しかし、それに見合うだけの預託利率の引き上げというものが行われておりません。五回貯金の利率の引き上げを行いましたが、四度しか預託利率の引き上げが行われなかったというようなことで、四十九年度決算では六百二十一億円の当年度の損失を生じました。それから昭和五十年度予算におきまして、これは補正後の予算で申し上げますが、当年度千八億円の損失を計上しております。したがって、先ほど四十八年度末で千七百三十五億円の積立金を保有しておると申し上げましたが、その積立金も五十年度末にはほとんど取り崩される予定となっております。  で、今回、貯金利率の引き下げが定期、定額貯金等については一%行われたわけでありますが、その際、預託利率の引き下げは、八%のものを七・五%に、〇・五%の引き下げにとどめるということについて大蔵当局と一応話がつきまして、定額貯金の最高の利率とそれから預託利率との間に〇・五%の差を設けるということができたわけであります。しかし、五十一年度以降も、当分の間は、赤字が続くという見通しでございます。まあその後においてはその赤字幅も漸次縮小していくということでありますが、現在、そういう状態でございます。  それから、この運用につきまして、郵政省みずから運用してもっと利率を高めるようにしたらどうかという御意見でございますが、この郵便貯金資金の自主運用につきましては、かねてから私どももそういうことが望ましいというふうに考えておりまして、いろいろ折衝もいたしてまいっております。ただ、郵便貯金の資金につきましては、明治十一年からずっと大蔵省の資金運用部に預託するという、そういう歴史的な沿革というものもございますし、また政府資金の統一運用という要請もありまして、現在、資金運用部の資金の五六%程度が貯金の資金になっているという実態から、私どもの希望もまだなかなか実現しにくいということに現在はなっております。しかし、この問題は郵政省といたしましては長年の課題でもありますので、今後、さらに十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  62. 藤原房雄

    藤原房雄君 明治以来こういうしきたりになっているとか、政府の統一運用上からという、そういう泣き言言ってませんで、現状を打破していく、こういう意気込みでひとつ取り組んでいただきたいと思いますし、それから安い経費で集められた、しかも全国に二万からの窓口があって、ほかの金融機関に比べますと、こんなのはないでしょう。積極的な施策というものをこれは考慮いたしませんと、郵便貯金も同じように、ほかの金融機関がいろんなサービスをいまやっておるわけですけれども、どんどんどんどん食われてしまって、いつまでもお上の仕事としてあぐらをかいておりますと、これは思わぬことになるのではないでしょうか。  われわれは、子供のころ、お金を送るといったら必ず郵便局から送るということになっておったんです。いまもうお金を送るのに郵便局なんかへ行く人は——まあそれは郵便局しかないというところもあるかもしれませんけれども、大体、普通の方はもうほかの金融機関を使ってるんじゃないでしょうか。まあそういうように競合する面は多多あり、そこらの調整というのはなかなかむずかしいところですけれども、この郵便貯金のあり方、これはまた後日、この関係の法案審議のときにいろいろさしていただきたいと思いますけれども、いずれにしましてもこの努力というものが、またいままでのこういうからを打ち破るという強い姿勢がなければならぬということを申し添えて、ひとつしっかり御努力いただきたいと思います。  次に、前回の委員会でいろんなことを申し上げて、それに対して検討する検討するということが何点かあったんで、それを半年たちましたので御確認をいたしたいと思います。もう時間もありませんから端的にいまお尋ねいたしますが、——その前に、郵便貯金会館ですね、この設立の資金というのはこれはどうなってましたですかね、権利消滅した貯金を中心にというふうに聞いておるんですけれども
  63. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵便貯金会館の建設の資金でございますが、これは郵貯特会から郵政事業特別会計に繰り入れて、いまそれに充ててるということになっております。  その資金の性格でございますが、先生の御質問のような、何といいますか、権利消滅した貯金の金を充ててるという、特にそういうことはございません。
  64. 藤原房雄

    藤原房雄君 特になくとも、あれでしょう、これはないんですか。
  65. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 失礼いたしました。結びつきはございません。
  66. 藤原房雄

    藤原房雄君 この権利消滅した貯金の金額、現在、つかんでる金額、どのぐらいになりますか。
  67. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 四十九年度でございますが、件数百四十五万件、金額にして八億九千八百万円ということになっております。
  68. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは主にどういう使途に使われてるんですか、どういうことになっていますか、八億。
  69. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 質問の御趣旨がちょっと理解いたしかねたんですが。
  70. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは八億九千万という大変な金額があるわけですけどね、これは年々積み重なっていくんだろうと思いますけれども、これはどういう形で置かれておるのか。
  71. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵便貯金法第二十九条の規定に基づきまして、権利消滅した郵便貯金は、雑収入として貯金特別会計に組み込まれるということになっておりまして、そのように処理いたしております。
  72. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは大臣には申しわけないけれども三木内閣は法を守れということを非常に厳しく言っていらっしゃるんですけれども郵便貯金会館のことについてはいまいろいろ検討中だということなんで、それは後日に譲りますけれども、いま特定局、特に無集配特定局ですね、こういうところはどちらかというと貯金のような業務が大半だろうと思うんですね。  権利消滅する貯金については、もちろん御通知申し上げて、そしてどうしても渡すことのできなかったやつが八億九千万というんだろうと思いますけれども、これは雑収入になるというんですが、主に収入源というのは、これは特定局に限らないんですけれども、無集配特定局に限らないかもしれませんけれども、こういうところはどちらかというと、いろんな大小もございますし条件も異なりますけれども、特定局が主に貯金なんかを中心にしての運用をしておるということを考え合わせますと、こういう特定局の窓口を改善というか改築というか、こういうことに、本来そういうことの業務に携ったところから、これは雑収入という形ですけれども、出されたものだということであれば、やっぱり意を注ぐという、こういうことも考え方一つではないでしょうか。  現在、人口密集地等におきましては、特定同等については非常に困難——土地が高いということやなんかございまして、ビルを借りたりいろんな対策を講じておるわけですけれども、これは何に使わなきゃならないという、雑収入とするということでありますから、特にいままでこの雑収入をどういう目的を定めてお使いになるということはあったのかどうかわかりませんけれども、そのお金の性質上、これはそういう考え方一つ考え方じゃないかと思うんですけれども、この借り上げ局舎の金額とか、また、その金額が非常に多額に上るということが赤字要因の一つの大きな問題としていろいろ云々されているわけですけれども、そのよって来るお金の生み出されるもとということを考え合わせると、そういう考え方は成り立たないかどうか、無理な話なのかどうか、そういう考えどうでしょう。
  73. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま貯金局長から申し上げましたその雑収入として入りますお金の由来ということになりますれば、これは相手がわかっておればちゃんと払うんでございますから、相手を特定することができなかった、貯金をしていただいた預金者のものでございますから、還元という言葉がよろしいかどうかいささか疑問はございますものの、還元をするということになるならば、これは不特定多数の預金者に還元ということになるのが論理上の帰結ではなかろうかと考えておる次第でございます。  しかしながら、貯金局長が申し上げましたように、これは法の定めるところにより郵便貯金特別会計の歳入として経理いたしておりまして、その中から郵便貯金事業運営に必要な経費を支出いたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、郵便貯金会館というものの設置の財源と没入金と申しますか、雑収入とは直接の関係はございませんが、考えようによりますと、郵便貯金会館というのは一般の預金者に対するサービスとして置かれているという性格の非常に強いものでございますから、結果論といたしましては、そちらの方に間接的な形ではございますが還元されていると申すこともできようかと存じておる次第でございます。
  74. 藤原房雄

    藤原房雄君 貯金会館の趣旨から言いまして、それはPRということで何ほどかの役割りを、何というのか、これははかるなんということははかり切れるものではございませんけれども、この時代にあれほどの豪勢なものをいま百十億ですか、かけて、これからまた計画がございますね。利用者に還元するといってそういうことが本当に利用者として好ましいことであるか、これは衆議院委員会で附帯決議があったということで、そういうことをおっしゃるのだろうと思うのですけれども、あの時代からいままあ考えますと、こういう大幅な値上げをしなければならない時代を迎えているわけでありますし、局舎の借り上げ料とかいろんなものがかさみまして、赤字のまた一つの要因にもなっているということを考え合わせますと、それは広い意味で、局部的に建てたところの、また借り上げたところの特定局を利用する人だけという狭い考えじゃなくて、郵政事業全体ということから考えますと、それはやはり利用者に還元したという考え方にはなるのではないでしょうか。  ですから、いまもう計画しているやつも本当は全部やめて、そっちの方に回せとも言いたいのですけれども、せっかくいろんな関係の方々が集まって計画をなさって進められていらっしゃるのでしょう。しかし、それはこれだけ大幅の値上げをするにはするらしい努力、五つ建てるものだったら三つにする。しかし、それは利用者に——郵政事業として借り上げ料も大幅な金額になっておる、年に特定局も相当数建設されるわけでしょう。その中で、国のものとして赤字解消のための施策としてそれはその方向に使う努力をすべきだ。またそうすべきで、進むのが当然ではないか。  貯金会館、そのもとの法的根拠はいま言われたわけですけれどもね、それは私云々しませんけれども、高度成長時代とまた附帯決議をつけた時代と現在とでは、そしていまこれだけの大幅な値上げをしなければならない、その値上げの要因の中の一つとして、少しでもここは企業として努力をする、こういう姿勢があってもよろしいのじゃないか。もし大臣が公社か何かの総裁で、これは何年間かやらなければならないということになったら、もう必ずこういうこと等をいろいろお考えになるだろうと思うのですけれども、まあ間もなくかいつか知りませんけれども、責任はなくなる——そんなことじゃないだろうと思いますけれども、どうしても、これはいじけた考えと言えばそれまでですけれども、そう考えざるを得ない。そういうところにも企業努力の姿勢というものはあるのじゃないかということで申し上げているのですけれどもね。  法的には別に、雑収入とするということですから、どこにどう使わなければならない——まあ貯金局長もおっしゃるように、より利用者に還元したい、還元の仕方はいろいろある。そんなことを言うのだったら、貯金会館にお泊まりになる、利用なさる方は、じゃあまねく利用者かという、こういう反論になるわけでしてね、やはり現在赤字解消、こういう経営の非常に大変なときですから、そのための方向に指向するというなら当然じゃないかと思うのですがね、どうですか。
  75. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 郵便貯金会館の今後のどういうふうに持っていくかという持っていき方でございますが、私どもとして、この貯金会館を設けてきた趣旨、それからこれの経営状態というものも非常に重要な要素になると考えておりますが、そういうことも総合的によく検討いたしまして、今後の持っていき方というものについて十分慎重に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  76. 藤原房雄

    藤原房雄君 いままでの経緯がありますから、全部ぶっつぶせとは言いませんけれどもね、十のものを七つにするか八つにするか、やはりそういう努力があってしかるべきだということで申し上げておるのです。  それから、この前お話し申し上げましたが、福島県の小名浜に郵便局を設置するということで、その土地の買収に絡みまして、まあ私の試算では、この郵便局の土地を、いまの郵便局は狭いので大きなところに移りたいということで土地交換をしたり買収したりということで、おおよそ計算しますと五千万からの高い物を買わされた、本当に親方日の丸だからこんなことができるんで私企業じゃこんなことはできぬぞということを申し上げたら、まあそんなことはございません、いろいろ大臣からも調査をしたいというお話がございました。  私も地元に何度も行っていますしよく知っているところですから、まず土地柄そこがどういう土地であるか、これは公害指定地域になっているんですが、今度移るところはその撤去しなきゃならないところに近くなるという、現在のところは手狭だと言うけれども建物が非常に古いんでして、そして一軒おいて隣に電電公社があったり商工会議所もあったり町の中心をなす建物がずっと並んでおって、郵便局については非常にふさわしいところで、あの建物を高層化するとかできなかったものかという、そういう素朴な疑問があるんです。  場所としては、いまのところは非常によろしいのに、何でだんだん人家がなくなる端の方に移っていったのか、こういう土地の選定のことについての考え方一つはある。それから間口、これは現在も今度移るところもそう変わらない、奥行きはちょっと新しい方は広いようですけれどもね。それから手続上は確かにちゃんと手続は踏んでいるようでありますが、やはりこれはまあ地元の方方に聞きますと、とにかく郵便局さんお金があるから高い物を買わされたんだという、この前の質疑でその点も明らかになっておるんですけれども、何かお調べになるということなものですから、お調べになられたその結果をちょっとひとつお聞かせいただきたい。
  77. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先生からの御指摘がありましたので、私は調査の方向として、その地元の郵政局をまあ無視したというわけでもありませんが、むしろ本省から直接行ってそして調査した方がいいと、こう思いまして本省の係官を派遣して詳細に調査してくるようにということを命令いたした次第であります。  その結果、御指摘のありました公害関係あるいは地価公示価格と買収価格の関係、また用地取得のその交渉模様について報告を受けましたが、特に問題となるような点はないというような報告であります。しかしながら、今後とも、かかる問題の取り扱いに当たりましては、先生指摘の点を十分考慮いたしまして慎重に取り運ぶようにしたい、かように存じておる次第であります。
  78. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ対処するということですから、本省から直接行って、こういうことがあるのかということで調査をなさったというその真剣さは私ども敬意を表しますけれども、やっぱり役所の皆さん方がお調べになるとお聞きになるところは決まっておりましてね。それでなるべくそういうことに煩わされないようにといろいろ御配慮されたようでありますけれども、地元の住民の方方、そして取引なんかに関係のある方はみんな高い物を買わされたと言う。  それは何も根拠のないことで言っているのじゃ決してございませんで、手続、書類上のことや何かこの前いろいろやりましたんで、それは大きな問題が出てきたというより、まあ契約——登記に載っていなかったのもそれは売買契約しておったんでまだ記載してなかったということや、そのほかのことについてのことはこれはわかるんですけれども、とにかく最初こう買いますぞと言うて当たりまして、そして何点か探しているうちに結局あそこしかないということで行きましたら、もうすでに人の手に渡っておって、そしてそれが非常に高いものになっておった。国土庁の公示価格というのはちょっと離れたところが公示価格の地点になっておりまして、現在のこの取得なさった土地、そこをどういうふうに見るかというこういうことになるのですけれども、とにかく地元の方々の言っている——これは公示価格ですから実際売買の価格とは違うわけですけれども、役所としては公示価格でお買いになる、そうすればさほど大きな高い物を買ったという意識はないかもしれませんが、実際の前の地主の方とそれからその後の地主の方と、まあ個人的なことになるので私も余り触れたくないんですけれども、非常にそこらあたりのやりとりが不明確だということに対して、そしてまた土地も不便なところに、まあ百メートル、二百メートルほどしか離れていないのですけれども、立ち退きになってだんだんなくなる方に移っていったわけですから、いま電電公社があったり商工会議所があったり市役所が近いという、こういう中から外れて、立ち退きになるようなところに近くなっていったわけであります。  しかも、いまの今度移るところの面している道路というのは非常に狭い道路で混雑しているわけですが、いまのところは鹿島街道に面しているところですから、そういうことでどうしても地元の方が疑問を抱かざるを得ない、こういう、そして何かがあったのではないか、そこを紹介してくれた特定郵便局長さんもどういうお取り計らいをしたのか、あるいはこれは個人的な問題になるので私も差し控えますけれども、そういういろんな地元にとってはすっきりしないものが残っておるということであります。どうかひとつ、こんな郵便料金値上げという、二倍も五倍もという、こういう大幅な値上げの中にありましてこういう不明朗なことがあったりいたしますと、少なくとも五千万は高く買わされたんじゃないかという、こういうようなことも言われておるのですけれども、そういうことをしてはやっぱりこの不信感というものをどうしてもぬぐい切れない。ひとつ厳しい上にも厳しく、そしてまた現在のこのシステムというものについてもひとつ御検討をぜひしていただきたい、こう思うんです。  それから、この前のお話の中で、未利用地財産についてのことについてお伺いしたわけでありますが、半年前ですから大分これは経過しただろうと思うのですけれども、資料を前のやつと最近いただいたのを見ましても余り変わってないので、これはどうしたのかなと、こういう財政危機の中ですから右から左というわけにはいかないと思いますけれども、地方公共団体に売却予定になっているのが十五件ほどあるのですが、古いのは昭和三十七年から未利用地になって、そしてそういう話があるというふうになっているんですけれども、実際、地方自治体にいろいろ問い合わせましたら、二、三点聞いたんですけれども郵政省から話は確かにあったけれども、その後立ち消えみたいになっているんですね。  それは価格が折り合わないとか何かいろんな理由があったろうと思うんですけれども、それは郵政省も商売じゃありませんから積極的に売ることに専心するということもどうかと思いますけれども、相手が地方公共団体ということであれば、そしてまた郵政、直接大蔵省もそこに入ってくるわけですから、むずかしい面もあるだろうと思いますけれども、十五件にもわたって古いもの——一番古いのは三十七年から未利用地でそのままになっているというんですからね。これもこの前の質問の中で検討するということになっているのですけれども、これは現状どうなっているのか、また今後の対処の仕方をひとつお伺いしたいと思います。
  79. 森俶朗

    説明員(森俶朗君) 御指摘のように、前からの土地が大分残っているのは事実でございますけれども、やはり最近の、何といいますか、自治体などの金融の状況、そういったことで、途中でいろいろ話があったんでございますけれども、それが途中で立ち消えになったり、あるいは途中から出てきたりということも間々ありまして、御指摘のようなことになっているかと思います。われわれとしましては、公共事業、自治体、そういったものを優先的に考えておりますので、御指摘のような点がどうしても出てくるのでございますけれども、なお一層努力して解決していきたいと存じております。
  80. 藤原房雄

    藤原房雄君 この点については、申し上げたように、いまは詳しい御説明聞いてもあれですけれども、時間もありませんからお聞きしませんけれども、私が指摘したから云々じゃなくて、郵政省として三十七年から話があって未利用地になっておって、それが一向に解決しない。だから売り込むというのはちょっとあれですけれども、地方自治体としましても、この前ちょっと何年か前に話があったけれども、その後とんとごぶさたというか話がございませんという感じですね。ですから、折り合わないなら折り合わない、金額の面で。ならばどうするかということや、あるいは財産をどんどん——どんどん処分してしまえなんという、そういう積極的なことを私は言っているわけじゃありませんけれども、やっぱり話があって進んでおるものにつきましては、地元としても何らかの計画があってなさるでしょうし、これほどの赤字だといいながら、未利用地がそのまま放置されておるということもこれは問題だろうと思いますし、いまの答弁ではちょっと納得いきませんけれども、積極的な対処の仕方をひとつ御検討いただきたいと思います。  それから時間もありませんので最後になりますが、郵便料金値上げということについて、この赤字の原因はどこにあるのか、そうなりますと、これは一種、二種、三種、四種それぞれにつきましての総収入とか原価とか、こういうことがいろいろ論議になるわけであります。  これ非常に不思議に思うんですけれどもね、一通当たりの原価というのは、内国郵便種類別一通当たり原価収入損益というのは資料をいただいているんですけれどもね、この原価の出し方といいますか、定形の第一種の二十円三十一銭という細かいことになりますと算出根拠といいますか、なかなかちゃんとした御説明がないんですけれども、これ、過日、本会議の席上で、同僚の矢原議員から原価のことについて質問ございまして、委員会等において原価については説明しますとか何とか大臣から答弁あったのですがね、国民の智さんの御理解がいただけるような算出の根拠というものを御説明いただけないでしょうか。
  81. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便の種別の原価の算出方法ということでございますが、これは大変技術的な細かい話になるのでございます。決してごまかすということではないんでございますけれども、なかなか御理解いただきにくい性質のものではなかろうかと思います。概念的にこういうことで考えておる、こういう基本で考えておるという点をお話し申し上げようと思います。  郵便の仕事というものは、年間、百四十億通もの郵便物を扱っているわけでございます。これの一々についてしさいに記録をとって一通ごとに厳にどうかかったかというようなことはこれは言うべくしてとうてい行われないわけでございます。要するに、原価計算というのは、郵便を取り扱うのに幾ばくの金がかかって幾ばくの郵便を処理したかということの対比ということになるわけであります。  で、まず幾ばくかかったかという問題、これは毎年の決算におきまして郵便の仕事に幾ばくの金がかかったかということは、これは把握できるわけでございます。物数につきましては、これは一一記録しているものもございますけれども、たとえば書留であるとか別後納のようにわかるものもございますが、ポストに投げ込まれてどんどん流れていくという性質のものが相当多うございます。これにつきましてはプリンシプルを申し上げますが、毎月、三日間調査ということで、これは全局調査にはなりませんが、普通局は全局、特定局については抽出した局について調べまして、その三日間調査を増幅して各月の数字を推計し、それを集計して年間の物数を推計するわけでございます。これで総体のかかりが幾らであって、物数は大体このくらい——大体というのは推計値として約これこれの物数を処理した、これはわかるわけであります。しかし、これを直ちに割りつけて一通当たり幾らというわけには当然まいらないわけでございます。これははがきもあれば手紙もあれば書留もあれば送達もあればと、こういうことに相なるわけでございます。これをそれぞれに分けなければならないわけでございます。  これの方法がこれは非常にむずかしいのでございます。手紙とはがきと一体どういうふうに違うのだ、こういうことになりますと、今度は直ちに手紙とはがきという比較というのはできないのでございまして、たとえば窓口における引き受けの業務というものをとらえる、この引き受けの業務について、第二種郵便物はがきはこれだけかかる、これはストップウォッチではかって調べるわけであります、サンプリングでございます。それで直接比較できないものを比較するためには、何か共通項を求めなければならないわけでございまして、私どもで採用いたしておる数字、やり方というものはこれは等価係数の使い方でございますが、はがき一通を処理する手間を一として、手紙であれば、定形の第一種であれば、それが幾ばくである、非定形のものであれば幾ばくである、こういういわゆる能率調査をやって調べるわけです。  その能率調査のやり方というのが、たとえば窓口の引き受け部門について定形の例を申し上げますと、引き受けで、これはいま申し上げましたように、はがきを一とこうした場合には、書留——書留というのはお言様から受け取って、これは要償額幾らですかとお尋ねして、要償額によって料金を計算してその料金を申し受ける、手間がえらくかかります。これは能率の調査の結果によると、はがき一通を受け取るのを一といたしますれば、書留の引き受けは三一・一五八というのが実は出ております。これがたとえば引き受けの場合でございます。  配達の場合に、これもラフなたとえ話でまことに恐縮でございますが……
  82. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
  84. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 原理は、そういう原理で調べておりまして、それを集積いたしまして結果を出す、こういうことに相なるわけでございますが、なお詳細な点につきましては、先生のところにお伺いいたしまして御説明申し上げることといたしたいと存じます。
  85. 藤原房雄

    藤原房雄君 非常に詳しい計算方法といいますか、確かにいろんなファクターがあるでしょうから確実にはいかないことはわかりますけれども、しかし、いろんな要素があるとしても、それは郵政省でいろいろ検討した上に立って、原価の計算というのはこういうことにしようという一つの方式なりルールなりをおつくりになったんだろうと思うんですけれども、そうしますと、これはほかのものと違って厳密にはかるということはなかなかむずかしいことでありますから、それからまた統計上も普通局では毎月三日ということですが、全国的にはこれはもう数が少ないようで、統計としましては、これは信頼性がないとは言いませんけれども、非常に動きの激しい中にあってむずかしい、そしてまた出てくる数値というものもいろんな条件によって非常に違い得るという、こういうことは言えると思うんです。  それから第二種については、これは年賀は除かれているはずですね。年賀も入ってますか、この原価計算の中に。
  86. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 年賀は原価計算の中に入っております。
  87. 藤原房雄

    藤原房雄君 そのデータのとり方、これは毎日数えるわけにはいかないことはわかりますし、ですけれども、普通局の月三日——これは月三日というと、その月によっても、月初めと月中、月末、これは動きの変動もあるでしょうけれども、しかし、そのほかの普通局以外の全体の統計ということになりますと、そう日を多くとれないでしょう。  ですから、私の言いたいのは、ここに出されておるこの原価というものは非常に条件によって変わり得る要素があるということであって、確かに大体の一つの目安にはなるかもしれませんが、そんな厳密なふうに見ることは——厳密というのは、どういうのが厳密というか定義がむずかしいところでしょうけれども、なかなかこのまま受け取るわけにはいかぬ。大体の方向性というものはこれはつかむことができる、こういう認識でよろしいですか。
  88. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 大体、そのように理解していただいてよろしいものではないかと存じます。
  89. 藤原房雄

    藤原房雄君 また、いろいろ見ますと、郵政には確かにこれだけの物数を扱うわけですから、全部掌握するというのはむずかしいことだと思いますが、今日の統計の上から言いましてもやっぱり基礎データというものがあって、より正確なものが出てくるわけでありますから、統計の上から言いましても、それからこれだけの値上げの根拠として国民に周知いただくという、御理解をいただくということになりますと、常日ごろからやっぱり相当な資料というものについては意を注がなければならぬのではないか。  これは普通局の月三回は別といたしまして、全国的にはそう数多くとってないはずです。そういうことで、より信憑性のあるというか、よりデータというものにつきましても、これはもうほかの省庁や何かと違って非常に物数の多い、むずかしい作業の中での、いろいろな複雑さの中での作業のことですからあれですけれども、しかし、いままでのようにラフなことだけでこの数値をはじき出すという時代ではない。やはりより機械化された中でのことでもございますから、こういう基礎資料というものについても正確を期すというか、現状に即したものに順次ひとつ近づけていく努力はしなければならない、こういうことを考えるのですけれども、どうですか。
  90. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 正確なる基礎データの収集につきましては、今後とも一、十分の努力を払うつもりでおります。
  91. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから赤字の大きな原因いろいろあるわけで、もう時間もございませんからはしょって、これが最後です。  過日、お聞きしましたが、特定局のことはこの前もいろいろ問題になっているのですけれども、特定局と言っても千差万別ございまして、いろいろな形があるわけでありますが、特定局の収支はどうなっているのかということをちょっと調べたいと思ってお聞きしたのでありますが、なかなか特定局だけのことはまとめていらっしゃらないようなお話であったんですけれども、物数について非常な困難の中一種、二種の状況はどうかというようなことについて統計をなさっていらっしゃる。そうすると経営形態として普通局や特定局やそれぞれの立場でどうなのかということも、これはぜひ検討してみなければならない一つの要素であろうかと思うのです。  特定局のことにつきましては、一、二人のところについても、数の少ないところについても局長というものを置かなければならないのかどうか、支局や出張所のような形にはできないのかと、いろいろな論議があるのですけれども、それはそれといたしまして、特定局としての収支とか、また、そのトータルの給与を初めといたしましての収支のバランスというのは一体どうなっているのかという、これは過日お聞きしましたら、おわかりにならないというようなお話なんですけれども、これはどうなんですか。
  92. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま先生のおっしゃる資料は、私ども調べておらないので、わからないのでございます。何分二万に近い局所でございます。理論的には一々積み上げればできるのでございますが、いままでそうした形で資料を調べたことがございません。
  93. 藤原房雄

    藤原房雄君 調べたことがございませんなんて、そんなむずかしい顔をしないでください。私は何も郵政省に仕事を押しつける、ふやすなんという気持ちはないんですけれども、これだけの大幅な値上げということになりますと、やっぱり国民方々郵政の運営ということに対しては非常に関心をお持ちになる。それで特定局ということについていろいろ論議がある。特定局というのは管理職手当がどうこうということもよく言われるわけですけれども、じゃ一体、特定局としてのバランスはどうなのかという、こういうことについて関心をお持ちになるのもこれは当然のことだと思うんです。ですから、これは非常に困難なことでとても永遠にそういうことはでき得ない、こういうことは別ですけれども、そんなことではないだろうと思います。ぜひひとつ御検討をいただいて、それでやはりそういうお考え方々に対してもちゃんと説得力のあるような資料として出すべきじゃないでしょうか。  これは今日これだけの機械化の中で、二万あると言いましても、それが一向に暗中模索でございます、これではそうですかと言うわけにはいかぬと思う。もう少し事務的なことについての事業内容、その収支のバランスや、またその取り組みという、こういうことに対しましても強くひとつ要望いたしまして、これはいつまでにこういうことができるのか、大体、指標、そしてまた具体的な資料、これはひとつ早くにまとめられるものからまとめていただいて、ぜひひとつ検討材料にさしていただきたいと思いますが、どうですか。
  94. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 郵政大臣、最後にひとつ——
  95. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 統計は最も大事なことであります。できる限り、可能な限り、ひとつ御趣旨に沿うように努力してみたいと思います。  ただ、いますぐというようなわけにはいきませんが、先生の御意見を十分参考にいたしまして、できる限りの努力をしてみたいと思います。
  96. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 午前の審査は、この程度にとどめます。  午後二時三十分再開することにし、暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会
  97. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  98. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに大臣にお尋ねいたしますけれども、去る七十五国会におきまして郵便法審議が行われた際に、私が質疑をいたしました冒頭に、ぜひとも大臣にはこのことを申し上げたいし、またそのことについてよくお考えいただきたいと申し上げたことがあるんですけれども、覚えていてくださるでしょうか。
  99. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは幾つかあったようでございますけれども、どうも私少し物忘れの方でしてよくお答えできませんが、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  100. 山中郁子

    ○山中郁子君 大変残念なんですけれども、私は、別に、それは大臣お忙しいですから長い時間の審議で多くの委員が申し上げることが全部いつも頭に入っているというふうには必ずしも思いません。それでいま覚えていらっしゃらないということを何もここでなじるつもりもありません。  ただ、私が申し上げたいことは、先回の国会におきましても長時間の審議が行われ、今国会に入りましてからも現在までかなりの審議が行われております。で、そういうときに私ども委員が申し上げること、そして政府がお答えになること、そういうことが本当に中身のあるものでなければいけない。本当に中身のあるものとして政府がそれを受けとめ、常にそのことについての努力をなさる、考えていかれる、こういう姿勢がなければならないというふうに思いますので、あえて再び申し上げるわけなんですけれども、私が先国会質疑の冒頭に申し上げましたことはこういうことでした。  つまり、それまでの審議の中でも痛感をしたんだけれども、この郵便法郵便料金引き上げという重大な問題、国民の関心が大きく集中している問題に対して、政府の答弁というのは、本当にその国民の声を聞いて、そしてその国民の声をかわってここで私たちが申し上げている、そういうことをまじめに聞いて苦労をするというのではなくて、郵政当局皆さんがいろいろ苦労をしていらっしゃるのは拝察はいたしますけれども、その苦労の仕方の方角が違うのではないかということを申し上げたんです。どういう苦労をしていらっしゃるかと言えば、いかに私どもが提起をし、質問をする、そうしたことをどのようにうまく言い逃れて、そしてどのようにここの難関を乗り切って、そして郵便法の成立、つまり郵便料金の引き上げを何とかなさしめるかと、そういうところの苦労に重心が置かれている、こういうことについて私は申し上げたはずでございます。思い出していただけたでしょうか。  それで、私はあえてまたそのことをもう一度繰り返して申し上げるということは、現在までの臨時国会に入ってからの審議を伺っておりましても、依然としてそういう態度が変わっていないということなんです。  私は、昨年の七月に国会議員として初めてこの仕事に当たりました。一年半が過ぎました。その中で痛感したことは、国会というところは、そこで答弁される政府というところの姿勢というのは、何という本来の政治とかけ離れた態度だろうかということでした。つまり一生懸命国民の声を反映させ、そうして私ども委員が申し上げていることをどういうふうにして言い逃れるか、どういうふうにして政府考えていままでやってきたこと、あるいは政府がこれからやろうとしていることを押し切ろうか、そういう努力しかされていないということを痛感いたしました。これは私の国会議員としての感想でございます。そしてしかもこの国会での重要な法案である郵便法改正の問題に関して、相も変わらずそういう姿勢でもって貫かれているということについて大変残念に思います。私は口先だけの御答弁をいただくつもりはありませんけれども、一昨日の社会党の竹田委員質問に対しましても、郵政省は、依然として、自分たちが考えていること、いままでやってきたこと、これからやろうとしていること、そこから一歩も踏み越えて物を見ようとしない姿勢を堅持されてきた、こういうことを指摘せざるを得ないというふうに思いますけれども、その点についての大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  101. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大変ごもっともらしい御意見でありますけれども、しかし、私どもは、郵便事業の健全な運営によりまして、少なくとも国民大衆にサービスと申しますとこれは語弊がありますが、サービスでなく、奉仕しなければならないということをまず重点に置いております。  そういう関係から、御承知のような郵便事業の非常な三年間七千億というような赤字が予想される今日、このまま放置して、果たして国民のためになるかどうかということも私ども為政者として考えなければならない大事なところだと思います。そういう点を踏まえながら、再び、この法案を提案いたしまして御審議をいただいておるのでありまして、決して郵政省が何らかの形で健全な運営ができるのに国民に御負担をかけるようなことをあえてしておるということではないのでありますから、どうかひとつその辺は賢明なる御判断をお願いいたしたいと思います。
  102. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのようには私は判断できないでおります。  私が申し上げているのは、必ずしも郵便法改正の問題について政府がその方針を貫こうとしているという、そういうかたくなな姿勢だけを申し上げているわけではないんです。これは、ですから、逓信委員会における村上郵政大臣の姿勢ということに限って申し上げているわけではなくて、そのことも含めて、政府は何らかの積極的な姿勢ですね、私どもは口を通じて政府にいまいろいろ申し上げている国民の声に対して、誠意を持って積極的な考えを展開していく、そういう政策を実行していく、そういう政治家としての姿勢がないではないかということを申し上げているんです。その点についてはどうお考えになりますか。
  103. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それはないと言えば、それはあなたの主観でありまして、私は国民に対して誠意を持って奉仕する気持ちでおりますので、それはお考え方の相違じゃないかと、かように思います。
  104. 山中郁子

    ○山中郁子君 私の主観で申し上げているのではなくて、いままでの経過の中からそのようなことが随所に大臣の口からも発言されているということを申し上げているんです。  具体的に、それでは、きょうの大臣の答弁をちょっと考えてみたいと思うのですけれども、午前中の藤原委員質問に対して、大臣は、自分は力のない大臣だからなかなかそういうことはやれそうもないけれども、だれかほかの人が出てきてやるということ以外にないでしょうと、こういう意味のことを発言されましたけれども、私は、担当大臣として、郵政業務に本当に責任を持って積極的にしかるべき自分の確固とした見識を持って取り組むという姿勢が余りにもない。それは人間ですから、たまには冗談もおっしゃるだろうというふうに思いますけれども、そのことについてたびたびそうした姿勢が出てくる。これは私は大変遺憾に思いますけれども、そういうことはどうなんですか。
  105. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは全く言葉じりをつかまえられればそうでありましょう。しかし、私自身、直ちにという意味でもなかったんですが、現体制を私の力でこれを切りかえていくという力はない。しかし、少なくとも貯金にしてもあるいは簡保資金にしても、それを藤原先生のお考えのようにしたいという気持ちはありますけれども、現体制を切りかえていくということは、いま簡単にそれはそのように私が検討しますとか何とか言って、一時逃れても、それは私はせんないことだとこう思いまして、いまの私の、いわゆるいまの時点ではという意味でありまして、それをすぐ御要望どおりに実行できるということは考えられないというような意味でありますので、ひとつ御了解願います。
  106. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は言葉じりをとらえて申し上げているんじゃないんです。それは大臣も御自分でおわかりになっていらっしゃると思いますけれども、それがやはり現在の三木内閣の、自民党の政府閣僚の姿勢の一つの反映だというふうに思います。それらのことがいままで委員会を通じて何回となく露呈されるというところに本質があるということを申し上げております。  それで重ねて私は大臣にお約束を願いたいのですけれども、私は、そういう意味で、本当に責任を持って、誠意を持ってこの問題についての国民の声、われわれ議員の声を受けとめて、そして考えていただく、このことについての本当のお約束をいただきたいと思います。
  107. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、議会主義というものをあくまでも尊重いたしております。国会の皆様方の声を国民の声として、これを尊重し、これに私は耳を傾けて、その態度あるいは私の今後の活動にも、そのことをどこまでも遵奉していくということはお誓いできます。
  108. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、これはいつまでたっても繰り返しますので、そのように御承知おきいただきたいというふうに思います。これが原点だというふうに思います。  それで、いま大臣は議会制民主主義を尊重し、というふうに言われました。そのことに関して、郵便法が現在参議院の逓信委員会論議になっている経過、それはとりもなおさず衆議院を通ってきたと、こういうことになるわけなんですけれども、私たちは衆議院における郵便法審議に非常に大きな意見を持っております。で、これについては大臣もある程度御承知のことだというふうに思いますので端的にお尋ねしたいんですけれども、十月一日の衆議院逓信委員会における強行採決、これが妥当なものであるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、そのことについてお尋ねいたします。とりわけ議会制民主主義に照らして妥当である、適切であるとお思いになっていらっしゃるか。
  109. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 立法府である国会審議に関しまして、郵政大臣としては、とかくの見解を差しはさむことは差し控えさしていただきたいと思います。
  110. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政大臣として、国務大臣としてですね、十月一日の衆議院逓信委員会で行われた採決が妥当なものであったかどうかということについて見解を伺っているんです。差し支えなければならない何事もないと思っておりますが、いかがでしょう。
  111. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま申し上げましたように、立法府の御審議に対して、行政府郵政大臣としては、その審議がどうということについてのお答えは無理かと思います。
  112. 山中郁子

    ○山中郁子君 多分よく御存じだというふうに思いますけれども衆議院逓信委員会が行われて、強行採決が行われた。そのときには、郵便法委員会付託の問題をめぐって大きな論争がありまして、そして議長とそれから各党の国対委員長がその扱いをめぐって協議をしているさなかでした。そのさなかにですね、逓信委員会強行されたんです。野党の議員は出ておりませんでした。  そして、覚えていらっしゃると思いますが、村上郵政大臣もちゃんと委員会の表口から入るんじゃなくて、別な部屋から入って、ほかの部屋を通り抜けて、そして出られたというふうにも聞いております。いずれにしましても、そういうふうにして衆議院強行可決をした、そういう審議のあり方が、村上郵政大臣としてでなくてもそれでは結構です、村上さん個人としてどのようにお考えになるか、ぜひそれは伺わせていただきたいと思います。国民はそのように疑問を感じております。
  113. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 村上個人として申しますならば、いま先生の御指摘になられましたような事実はございません。私は別な部屋からも入らなければ——いろいろと委員長あるいは与党委員と野党の委員先生方のいろいろなやりとりを静かにそこへ座って聞いておりました。そういうことでありまして、決して野党の先生が一人もいなかったというようなことば、これは個人として、そこで実際その光景を耳にし目にしておりました私としては申し上げて差し支えないんじゃないかと思います。
  114. 山中郁子

    ○山中郁子君 では、ちょっと重ねて伺いますけれども村上個人としては、十月一日の衆議院逓信委員会における郵便法の可決は、これは適切であったというふうにお考えになっていらっしゃるということですか。
  115. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この法案に関連していることでありますから、その点に関しましては、個人としてでも、私はそれをお答えしない方がいいんじゃないか。それが適正であるかないかにつきましては、こうして参議院のこの正規な委員会にこれが御審議を願っておる、この事実がすべてを物語っておるのではないかとも思います。  しかし、私は、これは郵政大臣として申し上げることではないので、そういうような私の見解は取り消します。
  116. 山中郁子

    ○山中郁子君 念のために申し上げておきますけれども、野党の議員は大ぜいそこにいろいろ委員長に抗議を申し入れたりしておりました。しかし、逓信委員会には出席をしていなかったんです。それはなぜならば、国対委員長会談が行われていたからです。委員会を開くという条件が整っていなかったからです。そのことについては、この議事録の出席委員というところを見ましても、自民党の議員さんだけの出席になっておるということでもはっきりいたします。そのことはちょっと申し上げておきたいというふうに思います。  私が申し上げたいのは、いずれにいたしましても、本当に政府・自民党が国民の声にちゃんと耳を傾けて、そして慎重な審議を行って、そしてしかるべく手続をとった上で、議会制民主主義にのっとって法を改正するものは改正する、こういうふうな態度を本当に堅持しなければならないにもかかわらず、そういうことが余りにもたくさん踏みにじられて、そして議会制民主主義を破壊する方法で強行採決や一方的な単独採決、そうしたものを行ってきた、こういうことについて、初めに申し上げましたことと同じ意味において、郵政大臣の、そしてあるいは郵政当局の、この郵便法をめぐる審議においての注意を喚起したい、このように考えております。  それで七十五国会委員会審議の時期までも、郵便法料金引き上げの問題が問題になってきてから、国民は大きな反対の声を上げてきたというふうに私たちは認識をしております。そして七十五国会で、その国民の声の集約として、結果的に廃案になった、この法案がさらに再び出されてきた。で、どうしても政府としてはやはりこれを通してもらわなければならない、こういう立場を堅持していらっしゃる。この間の国民の声——郵政省が出されている、政府が出されている郵便料金の引き上げの提案に対して国民がどのように考えて、どのような反応を示してきたのか、そのことについての大臣の受けとめ方を伺わせていただきたいと思います。どういうところが国民皆さんのこの問題に対する反応の、意見の柱であるというふうに考えていらっしゃるのかということです。
  117. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私も選挙区を持っておりますが、私のところにはそれこそ一本のはがきも来ません。ですから、これを私のことでお答えすることははばかりますが、しかし郵務局の方には反対の御陳情も相当来ているようでございますから、詳細にわたっては郵務局長からお答えをさせます。
  118. 山中郁子

    ○山中郁子君 その詳細は後ほど伺いますから、いまは結構です。  もう一度確かめたいんですけれども、そうしますと、郵政大臣は、この問題についての国民皆さんの反応や意見というものはやはり反対という意見が主要な柱であるというふうには認識していらっしゃるわけですか。
  119. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 反対、賛成の賛否を問うているわけじゃございませんので、ただ反対の芦だけが私どもの方に来ております。賛成の声は何も来ておりません。
  120. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこが大事なところなんです。賛否を問うているわけじゃないというふうにおっしゃいますけれども、だけども郵政省が、そして政府郵便料金値上げをしたい、こういうふうに提起される、そして議会制民主主義を尊重するということならば、国民の賛否でもって決めるわけでしょう。そのために国会審議しているわけですね。そういう意味で、賛成という意見は来ない、反対という意見だけ来ているということは、この問題についての国民の意向が反対が柱であるということについて認識せざるを得ない、こういうことになると思いますが、その点は明確にちょっとお答えいただきたいと思います。
  121. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 賛成という声はないにいたしましても、しかし声なき声の中には、これは事情やむを得ないんじゃないかという声が相当多数あるということを私は察知いたしております。
  122. 山中郁子

    ○山中郁子君 それはまたどういう方法で察知なすってるのか伺いたいところですけれども、主観じゃないですか。  それと、私が申し上げているのは、やむを得ないと思っていらっしゃる方も、それはたくさんありましょう。だけれども、賛成だという方はないでしょう、ほとんど。結局は、やはり何とかして上げないでほしい。この苦しい生活の状況の中で物価がどんどん上がる、インフレ、不況の事態のもとで何とかして上げないでもらいたいというのが国民の声であるということについては、郵政大臣もお認めにならざるを得ないと存じますけれども、いかがですか。     —————————————
  123. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  迫水久常君が委員辞任され、その補欠として佐多宗二君が選任されました。     —————————————
  124. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは私ごとにわたって恐縮ですけれども、大体、御同様に選挙によってその所を得ている者は、一瞬心配してくれる者は、それは選挙区の人たちである、支持者である、こう思います。その支持者から私に対して一本の反対の声がないというところ、これだけを私はとって先生にお答えするわけではございませんが、もしも本当に国民の声が値上げに対して起こっておるならば、私は、相当私を心配してくれている者からいろんな意味のはがきなり何なり好意ある反対陳情が来ると思います。しかし、それが来ないからと言って私はいまこの郵便法をどうするこうするんじゃございませんが、要するに、御理解さえいただければ、なるほど郵政事業基盤を崩さないようにという観点からすれば、あえてこれを反対するということもどうかというような国民の声なき声があるということを私は察知しております。
  125. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに私が申し上げたことと大いに関係するんですけれども、言い逃れをされたり、それから何とかこじつけたりということをなさらないでいただきたい。本当に国民が何を要望しているか、それに誠意を持って耳を傾けて対処をしていただきたいということを申し上げました。  そして来ている陳情は反対ばっかりでしょう、中にはもちろんもっと上げ方を少なくしてくれとか、そういうこともあります。だけれども、いずれにしても国民の大方の意見は何とかして上げないでもらいたい、こういう意向であるということについて、私は郵政省が当然のこととして受けとめていらっしゃると思いましたけれども、いまのお話を伺うと、そういうことを口に出しておっしゃることを一生懸命避けようとしていらっしゃる、それが政府の姿勢ですか。
  126. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そういうわけじゃございません。直接に役所へおいでになられた多数の陳情の方々の中には、とにかく上げ幅を少しこうしてもらいたいとかいうような陳情は受けましたけれども、やはり現下の物価の情勢、経済情勢というものを十分御認識していただいているせいか、全然根本的にこの法案廃案にしてくれというような厳しい私は陳情は受けておりません。
  127. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣、それはよく考えていただきたいんです。私も婦人団体の方たちと伺いました、御一緒しました。そしてそこの婦人団体の人たちは上げないでもらいたい、この郵便法改正を撤回してほしいと陳情いたしました。だから、そんないいかげんなこと言わないでください。一つは、厳しい陳情がなかったなんていうのはうそです、そうでしょう、私が伺いましたでしょう、一緒に。で要請書もあるはずですよ。だからそれはうそを言わないでください。  私が行っただけでなくて、たくさんの方たちが行っています。何も大臣に直接お目にかからなくたって、いろんな方たちとお会いしています。そうして郵便法改正を撤回してくれということを陳情しています。後ほど詳しく私は申し上げますけれども、私ども議員のところにもたくさんの団体からの陳情が来ております。こういう事実を本当にありのままに認めて、そして受けとめるという姿勢がなければ、結局は政府が自分の考えたとおりとにかく押し切るだけだ、その間幾ら委員会国会でいろいろ意見が出ようとも、それは何とかやり過ごして、そして終盤にこぎつければいいんだ、こういう姿勢以外の何物でもないことになりませんか。私が婦人団体の方たちと大臣のところへ行って、そうしてその婦人団体の方たちが郵便法のこの改正を撤回してくれ、値上げを撤回してくれというふうに陳情したことをお忘れですか。
  128. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、全然やめてくれというのは、それは言葉の何ですか走りというのか何か知りませんが、そういうことでしょうけれども、全然撤廃、廃案にしてくれというようなことは余り——私がそう受け取っておりません。  それよりも身障者に対してはどうとか、あるいは何とかいうようなことはたびたび聞いたように記憶しておりますけれども、そういうことで、私ははっきり——それは先生とおいでになられた方方はそういう意図であったとも考えられますが、大体、私は料金問題等についてのいろいろなあれは受けましたけれども、大方の陳情は、廃案にしろというような厳しいのは余りなかったように記憶いたしております。
  129. 山中郁子

    ○山中郁子君 二つの問題があります。  一つは、私は、廃案にしろということないしは値上げ幅を抑えてほしいということ、なるべく値上げしないでほしいということ、そういうことの中身の違いを問わず、国民の意向はとにかくなるべく上げないでほしいと、上げることに積極的に賛成するという声が柱ではないでしょうと、上げないでほしいということの方が柱でしょうということを申し上げているんです。そのことをひとつはっきりしていただきたいと思います。  それから、大臣が先ほど自分のところへ陳情に来たその要求の中には、廃案にしてほしいとか、とにかく郵便法の今度の改正の全部を撤回してくれということはなかったと、こういうふうにおっしゃいますけれども、そのことについて、委員長、私はそれでは改めて大臣のところへ来た要請書を資料として提出していただくことを求めます、これは事実と違いますから。
  130. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 非常にたくさんの御陳情でありますので、それで私があるいは記憶違いの面もあろうかと思いますので、それは私自身も調査して、そしてその点ははっきりして山中先生にお答えしたいと思います。私は、先ほど申しましたように、比較的記憶力がないものですから。
  131. 山中郁子

    ○山中郁子君 記憶力がないのにどうして断言するのですか、それじゃ。
  132. 村上勇

    国務大臣村上勇君) いや、断言でなくて、そういうふうに記憶しているんです。
  133. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから無責任だって言うんですよ、大臣。  国民の陳情でしょう、あなたは国民の声に誠意を持って耳を傾けてきたと、それはいまさら言われるまでもないという意味のことをさっきおっしゃいましたでしょう。それなのにその陳情がたくさんあったと、たくさんあったから一々覚えていないと。それはそうでしょう、たくさんあったうちの何通がどういう内容でなんていうのは覚えていらっしゃらないでしょう。だけど、その中に廃案にしてほしいとか、郵便法のこの改正の提案をやめてほしいというのはなかったってさっき断言なすったんですよ。  私は、そのことについて、そうおっしゃるなら、あなたのところへ来ている陳情書を全部、この次、資料として——私個人じゃないです、委員会に出してください。私は、その点について資料を見せていただいてから、この問題について後ほどまた質問をさせていただきたいと思いますので、保留の扱いについて委員長のお取り計らいを願います。
  134. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 廃案というようなことについては、これは私は記憶はないんですよ。まあ郵便料金値上げについてはできる限りひとつ見送ってほしいとか、あるいはまたそのほかの、さっき申しましたような意味のことはあったと思います。さっきから廃案というような意味に私は解釈してお答えしたわけでありますから、その点は訂正しておきます。
  135. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が申し上げているのは、廃案というのは、この郵便法が成立しないということなんですよね。それは廃案であろうと、審議未了の廃案であろうと何であろうと、成立しないということですよ。そしてみんなの陳情の主要の柱の一つとして、それをとにかく成立させないでほしい、反対だと、この改正には反対だと。改悪です。そういう主張がたくさん行っているはずです。私も団体の人たちと一緒に、具体的に自分の口から大臣にもそのことを申し上げました。それなのにもかかわらず、大臣がそういうものは来ていないというふうにおっしゃったんですよ、さっき。おっしゃいましたでしょう、議事録見ればわかります。そういうことについて、それでも国民の声をちゃんと誠実に受けとめて、そしてここに大臣としてお座りになって、この国会審議を受けとめていらっしゃる姿勢か、まるで違うじゃないかということです。  ですから、あくまでも、委員長、私は大臣のところへ行った資料を要求いたします。
  136. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 反対というようなことについては、それはそういう声は、話をしている間に、また文書の中にもあったでしょう。私は、この法案廃案というような意味に解釈しておりましたので、その点はあなたとの考え方の行き違いではないかと思っております。
  137. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから言い逃れだと私は言うんです。この前も言いました、きょうの冒頭にも申し上げました。政府国会の答弁を言い逃れすることばっかり考えている、そうでしょう。廃案というのはどういうことですか、成立しないことでしょう。みんなの意見を聞けというのは、反対だという意見は当然それが廃案ということに結果としてなりますよ。そんな言い逃れをするのが郵政大臣の答弁ですか。はっきりしてください。  つまり郵政大臣のもとには、国民からこの法案については反対だ、取り下げてほしい、あるいは廃案にしてほしい——どういう言い回しでも結構です。いずれにしても、この郵便料金値上げは認められない、困る、やめてくれと、こういう声がたくさん行っている。そういうことをお認めになるなら、ちゃんとそういうふうに発言してください。
  138. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そのことは、先ほど申しましたように、この法案に対して反対の陳情は、数は後で申しますが、これこれに来ているということは、先ほどから私もはっきりお答えしているとおりであります。
  139. 山中郁子

    ○山中郁子君 ごまかさないでいただきたいと思います。先ほど大臣は、値上げ幅を少なくしてくれとか、そういうのはあったけれども、自分のところに来た中にまるごと反対だということはなかったっで、こうおっしゃったんですよ。じゃそれは取り消されるわけですね。
  140. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それは私の選挙区から私個人に来たことを申し上げたのです。
  141. 山中郁子

    ○山中郁子君 違う、陳情よ。
  142. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 陳情については、反対の陳情もたくさん来ておりますということは、私は先ほど申し上げました。ですから、それはひとつそういうふうに御了承願います。もし私が誤っておれば、委員長よろしくお取り計らいのほどをお願いします。
  143. 竹田現照

    委員長竹田現照君) その点、整理して、もう一遍はっきりした、いまの山中質問に対して歯切れよくもう一回答弁してください。
  144. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私の選挙区から、私個人には、何にも反対とかいうようなことは来ておりません。しかし、郵政省には反対のものが、数は私が申し上げるよりも郵務局長にお答えさしますが、反対の陳情が来ておりますということを申し上げました。それをただ廃案とかいうようなことについては、何もそこまで強い要望のあったことは私の記憶にありません。
  145. 山中郁子

    ○山中郁子君 国民の声の主要な柱が、何とかしてこれをやめてほしい、願わくば値上げ幅を少なくしてほしい、そういうものが柱であったということについてお認めになるわけですね。私は、大事なところだからはっきり伺っておきたいと思います。
  146. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 国民の声がと申しますと、やっぱり私はこだわる。国民の声すべてがそうであるとは私には考えられない。
  147. 山中郁子

    ○山中郁子君 主要な柱だと言っているでしょう。
  148. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それは私は、私のところへあるいは郵政省に来た陳情は、そういう陳情があるが、これは限りある数であります。しかし、物を言わない国民の声なき声というものは、果たして全部が反対だというようにこれを受けとめることはどうかと思います。そういうことを申し上げたわけであります。
  149. 山中郁子

    ○山中郁子君 何回も申し上げましたけれども、そういう言い逃れや何かでなくて、本当に国民の声をきちんと誠意を持って受けとめてくださいということを私は申し上げているんです。  つまり積極的な声だからこそ、そうした陳情が出てくるわけでしょう。それが国民の声の動向をあらわしているんですよ。そんなことはもうあたりまえなことじゃありませんか。世論というのはそういうものですよ。そういうことを否定なさるとすれば、政府が何かにつけても全部そうした陳情だとか意見書だとか、そういうことによって決めることができなくなるんですよ。一億一千万人の人のみんなの意見を聞かなければ判断ができないということになるんですよ。そこのところは私はこれ以上申し上げませんけれども、とにかくそこに何回も申し上げます政府の姿勢というものが如実にあらわれているということを申し上げたいと思います。  それで郵便法の問題に入るわけですけれども、その前に、いま重要な問題として議論をされておりますストライキ権の問題について若干郵政大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。  この問題については、当然、逓信委員会におきましてもしかるべき集中審議などが行われるはずだというふうに私も期待をしておりますけれども、まず三公社五現業の、主要な五現業の柱である郵政事業を抱えておられる郵政大臣として、そしてまた三木内閣国務大臣として、このスト権問題、労働者が要求するスト権の奪還、回復、それらの問題について基本的な考え方をお伺いしたいというふうに思います。
  150. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 労働基本権の問題でありますが、まず争議権の問題につきましては、十二月一日の政府の基本方針に基づいて、専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重して、経営のあり方及び料金法定制度等の改正を含む当事者能力の強化の方途を検討いたしまして、公労法を初めとする関係法規の全般的な検討を行う中で、今後、検討されるべきものだと考えております。
  151. 山中郁子

    ○山中郁子君 ストライキ権を、三公社五現業、いま逓信委員会という場所で限って、郵政労働者に認めないという根拠は何ですか。いま現在認めないわけですけれども、そのことの根拠は何ですか、理由は何でしょう。
  152. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ストライキ権を認めないとか認めるとかいうようなその前に、いわゆる専門委員懇談会のその意見書というものが出まして、それを政府検討して、そうしていかにあるべきかということの態度をお示ししたことは御承知のとおりであります。それに従って郵政省としても一応現時点におきましてはその方針に従う。ただし、労働基本権というものは十分にこれを認めて、そして尊重していくというようなことで、政府全体の考え方として言っておる今日でありますので、私がいまここでスト権を云々ということについては少し行き過ぎではないかと思っております。
  153. 山中郁子

    ○山中郁子君 労働基本権を認め、尊重するというのが基本的な立場であるというふうに言われましたけれども、それではストライキ権をいま現在認めないという態度をとっていらっしゃる理由が何ですかということをお尋ねしているんです。郵政事業を抱えていらっしゃる郵政大臣としての見解を承りたいと思います。
  154. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便事業のサービスは、国民生活や経済活動にとって欠くことのできない公共性の商いものでありますが、その事業運営に当たりましては、受益者負担の原則に立って独立採算制を維持することが社会的な公平にもかない、妥当なことであると考えております。
  155. 山中郁子

    ○山中郁子君 ストライキ権を認めないことの理由を伺っているんです、郵政事業に働く労働者に対して。
  156. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在、三公社五現業の職員に対しましては争議権が禁止されておることは先生御承知のとおりでございます。その理由でございますが、三公社五現業、それぞれ抱えております仕事の公共性の立場、そういう点からいたしまして、憲法二十八条の労働基本権も制限し得るんだと、こういう憲法上の規定もございます。そういう意味から現在公共企業体等労働関係法ができておりまして、その十七条によって争議権が禁止されておる、かように承知をしておる次第でございます。
  157. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣にお伺いしたいんですけれども、そうすると、いまの人事局長お話郵政省の御見解だとすると、憲法問題やあるいは公労法問題の議論は、いま私はこの問題について時間をかける予定ではありませんので深入りはいたしませんけれども郵政事業は公共的な仕事であるからストライキ権を認めないのだと、こういうことになりますか。
  158. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは私も余りこの問題については精通いたしておりませんが、そのとおりだと思います。
  159. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政大臣が精通していらっしゃらないということは、またこれ大変困った問題だというふうに思います。五現業の柱である郵政事業を抱えていらっしゃる郵政大臣がいまここで重要な問題になっているストライキ権について精通していないというふうにおっしゃるのは本当に困りますけれども、どうして何にもストライキ権問題について精通していらっしゃらない結果になっているんですか。一生懸命考えなくちゃいけなかったはずじゃないですか、少なくとも。
  160. 村上勇

    国務大臣村上勇君) やはりこれは各省にも関係のあることでありますし、政府全体の見解が出てくるので、いろいろ私自身としても意見は申しましたけれども、しかしまあ政府見解というものが一番重要でないかと、かように思いますし、私も勉強していないというわけではありませんが、お答えするほどのいま考えがわいてきません、あの政府の見解以上に出ていくということはまだ考えておりません。
  161. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、先ほど大臣は公共性のある仕事だからということだというふうにおっしゃったわけですけれども、私は簡単に一言で言いまして、旧憲法の二十九条に「日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作」「集会及結社ノ自由ヲ有ス」と、こうなっているんですね、昔の憲法です。そしてそのもとにおいて国民の言論、集会、結社の自由が大きく弾圧をされた、これはもう日本の歴史にはっきり記されているところです。で戦後の、いまの現憲法でその「法律ノ範囲内ニ於テ」というものは取り除かれているんです。これはもう憲法学者も含めて一般の常識として「法律ノ範囲内ニ於テ」ということによってその制限を乱用する、そうしたことをなくすために新しい憲法ができたわけです、現行憲法がつくられているわけです。そこのところをひとつはっきり踏まえていただかなくちゃいけない。  それから諸外国においても労働者の労働基本権としてのストライキ権が法律でもちゃんと認められている、これは世論の動向からいってもはっきりしています。そしてこのスト権の問題に関するいろいろな議論がありましたけれども、労働者の基本的な権利としてこれを認めるべきであるということについては新聞その他の報道もそうした方向に行っておりました。当然のものとしてかつて認められていたものを占領下の権利の剥奪としていま現在の公労法があり、そしてスト権を認めていないという、これは憲法違反の法律であるというふうに私ども考えておりますけれども、そうしたものが存在しているわけです。  そういう意味で、私は、しかるべき場所でこの問題についてはもっと時間をかけて十分な質疑を進めたいというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、もし郵政当局が、郵政大臣が、郵政事業が公共的な仕事である、だからしたがってスト権を認めないというんだとすれば、それは大変間違った考え方だと言わざるを得ないというふうに思います。つまり公共的な仕事ならば、なぜストライキ権を認めないのか、ガスや電気、私鉄の労働者、そうした人たちは公共的な仕事ではないのか、どういう違いがあるのか、その辺のことについて端的に御意見を伺いたいというふうに思います。考え方の問題としてで結構です、法律の問題じゃありませんから。
  162. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま外国の例がお話しございましたけれども外国におきましても、日本と同じように、郵便労働者の争議権が禁止されておるところもございます。  それからかつて認められておったのがいま認められていないというお話がございましたけれども、戦後、すぐに労働組合法が施行されました。その中で公務員の一部つまり警察官等につきましては団結権、争議権等は禁止をされておりましたけれども、一般の国家公務員、これにつきましては命令で禁止することができると、こういうような規定になっておりまして、その命令ができないままであったと、こういうようなかっこうでの争議権が認められておった、こういうことになっておろうかと思います。  そこで、その後、経過を経まして公労法ができ現在まで至っておるわけでございますが、その労働者の労働基本権の問題につきましてどうすべきかという問題がその後発生いたしまして、公務員制度審議会だとか、あるいはつい最近この争議権の問題を考えるための専門委員懇談会ができた、それの結論が出たわけでございます。十二月一日に、それを受けまして政府がある基本方針というものを出した、その線に沿いまして現業公務員あるいは三公社職員の争議権についていかにあるべきかということを十二月一日の政府の基本方針に基づいてこれから審議をしていこう、こういうことであろうかと考えております。
  163. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣にお伺いしたわけですので、もう一度お伺いしますが、電気やガスあるいは私鉄などで働く労働者にはあって、そして郵政労働者にはない、これはまあ端的に言って不公平じゃないかというふうに思うんですけれどもね。公共性ということだと思うと言われるならば、このことについてはどういうふうにお考えになりますか。つまり、いま現在、先ほどからおっしゃっているように、政府としては検討するんだという意味のこともおっしゃっていますけれども郵政大臣として、多くの郵政労働者を抱えているその担当の大臣としての考え方をお伺いしたいというふうに思います。
  164. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この争議権につきましては、十二月一日の専門委員懇談会の趣旨にのっとって、その意見書を尊重して政府が一応決定した線が出ておりますのに、いま一閣僚である私の意見を申し上げて、それが果たしてどうなっていくのかということも見通しもつかないうちに、私がいろんなことをここでお答えすることは、これは三木内閣閣僚の一人としてお答えすることはできません。それ以上に、また先ほど申しましたようなお答え以外に、これを出ることができないことを御容赦願いたいと思います。
  165. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ一つだけ、このことについてのあれを教えていただきたいと思うんですけれども、先ほどから申し上げておりますように、電気とかガスとか私鉄とか、そういう仕事をしている方たちと郵政の仕事をしていらっしゃる方たちと、公共性という面から言うならば同じ性格のものである。で片方はちゃんとそれが認められていて、郵政労働者には認められていないということについては矛盾があると私はどうしても思います。で、そのことについてはやはり矛盾として受けとめていらっしゃいますか、そのことだけをお伺いしたいと思います。もし片方にあって、郵政労働者になくていいんだということでしたら、その理由をお伺いしたいというふうに思います。
  166. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 経営形態もやはり公共性を含めて、そうして検討していくべきものであろうと思います。
  167. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、公共性のある仕事だから労働者が労働基本権がなくてもいいということ自体が間違いだ、ここに大きな問題点があるというふうに思います。そしていま私がお尋ねしているのは、大臣が自分のお考え、見解まで述べなくてもいいから、矛盾であるというふうに受けとめておられるのかどうか、そのことを伺っているにもかかわらず、ちゃんとした端的なお答えが返ってこない、これは一体どういうことなんでしょう。それは矛盾でしょう、矛盾だからこういう問題にいまなっているんでしょう。  郵政大臣として、郵政事業と同時に、あなたが何回も口で言っているように郵政の職場で働く人々は大事な自分の仲間である、その人たちのことを本当に考えていかなければいけないんだと、本当にそれが心の底から出てきているものであるならば、その郵政労働者がいま労働基本権の問題で闘っていて、そしてその闘っている要求が、ほかの労働者にはあって、郵政労働者には認められていないというこの問題を矛盾として受けとめられないということは大変大きな問題だというふうに思いますけれども、いかがお考えですか。
  168. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私なりに考えておりますけれども、いまここで郵政大臣として先生にお答えすることはひとつ差し控えさしていただきたいと思います。  私も、いま先生お話しになったように、この問題については十分幅広くいろいろ考えておりますけれども、この点についてはひとつ、この際、私のお答えを猶予していただきたいとお願いします。
  169. 山中郁子

    ○山中郁子君 当然のことながら、郵政省で働く、郵政事業に従事する労働者に労働基本権であるストライキ権を認めるべきである、それが公共的な仕事であるという観点からいっても重要な国民の基本的権利に結びついていくものだということを私は強く主張をして、この問題についてはしかるべき機会の審議に譲りたいというふうに思います。  それで、初めに申し上げましたように、国民がこの問題について、郵便料金の引き上げの問題です、についてたくさんの意見を出している。それはなぜかと言えば、郵便料金が引き上げられると生活にあるいは活動に大きな支障を来たすからです。  そして私ども共産党の、これは衆議院の予算委員会での質問で資料要求をしたわけですけれども三種問題が非常に大きくクローズアップをされているという観点から、三種郵政審の答申による五倍の引き上げというものがもし実施されるならば、国民生活にどのような影響がもたらされるかということについて、郵政省は把握をしているのかという観点からの資料を要求いたしました。そして一応それに対して郵政省の方で出してきた資料がございます。これがその荒木議員の予算委員会での要求に対する回答の資料であるかどうかということを一つは確認をしたいと思います。衆議院予算委員会、十月二十一日、荒木宏委員要求資料「第三種料金値上げによる影響について」、この文書が、二枚の文書です、これがその資料であるかどうかということですね、そのことをまず最初にそれじゃ確認をさせていただきたいと思います。
  170. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のとおりでございます。
  171. 山中郁子

    ○山中郁子君 予算委員会で、郵政大臣も出ておられたわけですけれども、このように答弁していらっしゃいますね、質問は実際にどういう影響を受けるのだろうかということに対して「これはもう各種各様にわたって非常に影響するところが大きい」というふうに答弁をしておられます。そして三木総理大臣は「これがどういう影響国民生活に与えるかということは、政府として実情をつかまなければならぬことは、御承知のとおりでございます。」と、こういうふうに答弁をしていらっしゃいます。  それで、この資料要求に対して出されてきた資料を見ますと、たったこれ二枚です、一枚半ですね、一枚半で「一般紙 日本新聞協会」「専門紙醸界協力新聞社」「団体紙 婦人民主新聞」「機関紙 家庭と学校新聞紙」これしか書いてないんですね。各層にわたって大きな影響がある、そして三木総理大臣がそのことは十分承知しておかなければならないと、こう答弁もされ、村上郵政大臣も約束をなすって、郵政省が把握して出してきた資料がたったこれだけのものである。これしか影響がないということはあり得ないわけで、これはもうさんざん議論になっているわけですね。なぜこういう資料の出し方をされるんですか。私は郵政省の誠意を疑わざるを得ないんです。
  172. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) このときの資料の提出でございますが、私ども、いろいろな影響と申しましても計数的に把握することがきわめて困難でございますために、各種のそれぞれの分野における代表的事例を挙げまして、こういった種類の影響があるということを陳情等で承知しておるという意味で提出いたした次第でございます。
  173. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほども大臣は、まあたくさん来ている、でその中についていろいろあるけれども、積極的に賛成だということはないということについてはお認めになったわけですけれども、いずれにいたしましても第三種郵便料値上げによる団体やその他の被害、影響というのが大変甚大なものであると、これは何とかしてほしいと、この切実な声というのはもうはっきりわかって、連日の新聞でもそれは報道されておりますし、私ども議員のところにも連日陳情が来るということは先ほど藤原先生の方からもお話がありました。そしてそういう事態のもとにあって、郵政省が、予算委員会で三木総理大臣自身も約束をしたにもかかわらず、どうしてもっと積極的にどういうところがどういう影響を受けるということで事態がなっているのかということをお調べにならなかったんですか。  そういうことを真剣にやっぱり、国会審議だからということだけではありません、本当にこの料金の引き上げがどんなに国民影響を与えるかということについて心配をしないから、こんな形式的な資料しか出さないし、またそういう資料しかつくろうとなさらないんじゃないかというふうにしか理解できないんですけれども、いまからもっと本当に真剣にこの与える影響について資料をきちんと、実態をつかむということについてのお考えがあるかどうか、そのことについてお伺いしたい。
  174. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 繰り返しになりますけれども、全体的な量的な把握というのは非常に困難でございます。これは物価に及ぼす影響を〇・二%という把握をいたしておりますが、ここの中にこの三種料金値上げに関するものが含まれておるわけでございます。それだけを取り出して計数的にどのような影響があるかということを把握することは大変困難でございますので、先般の予算委員会における要求資料につきましては、いわばいろいろ陳情はございますけれども、その中で典型的と申しますか代表的と申しますか、そういったものに関する具体的内容、これを差し上げまして、これで全体の状況を御理解願えるものという意味で差し上げた次第でございますが、実はそれ以外にももちろんたくさんございます。  しかし、計数的にどのような陳情があるかということになりますと、文書によるものもございますし、またはがきによるものもございます、また電話とか口頭による陳情、そういったものも数多くあるわけでございます。しかしながら、こういったのを一つ一つ全部収録いたしまして差し上げましても非常に大きな資料になりますし、そこの中で先ほどから申し上げますように、非常に代表的なものだけを抽出して資料といたしたというわけでございますので、その点あしからず御了承を願いたいと思います。
  175. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは午前中の質疑ともちょっと関係しますけれども郵政省としては、これ以上について資料をまとめる気はないということですか。何か午前中の質疑ではさらにその影響について調べるというふうな御答弁があったと私は思いましたけれども、そのこととは別でも結構ですから、これ以上まとめて、いま国民の声が起こっている三種問題についての被害なりその影響ですね、の及ぼすものを把握するというつもりはないということですか。
  176. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) この三種問題についての影響につきましては、私どもは、いろんな陳情によって把握いたしておるつもりでございます。ただ、その全文を御紹介いたしましても、これは非常に大きな膨大な資料になりますので、それをまとめるだけでも相当なものでございますけれども、それは別といたしまして、ここに荒木先生に対するお答えの中に、ほぼ私どもはその事情は尽くされておるものというふうな理解をしておるわけでございます。  ただ、それ以外にないという意味では決してございませんので、それ以外にもこういった種類の陳情というのはたくさんございます。それを一々ここで申し上げましても相当な時間を要しますし、なかなか提出するにいたしましても技術的にも問題があろうかと考えておるわけでございます。
  177. 山中郁子

    ○山中郁子君 一々ここで言えということじゃないからこそ資料要求をしたんですよね。  それですから、私はいま問題にしているのは、こういうふうに代表的なものを出したとおっしゃるけれども、それじゃこういうふうなケースが何件あると、いま三種を認可している団体の中でこういうふうな苦情を訴えている、そしてまたこれに該当すると思われるものがどのくらいあるかとか、そういうことも何にも書かないで、結局、これ四つだけですよ。要するにこれがなぜ代表的なものであるのかどうかもわからないですよ。そういう意味で本当に誠意のある資料というべきものじゃないと、このことは私は郵政省が三種問題についてこれだけたくさんの意見が上がってきていることをやっぱり形式的にしかとらえていないと言わざるを得ないと思うということなんですよ。その点についてはいかがですか。
  178. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) それでは、私の手元に集計いたしております数字を申し上げたいと思います。  まず、文書によりまして三種に関する陳情を受けておりますものが六十五件ございます。それから署名簿兼用によります——これは農業共済新聞等でございますけれども、この三種に関するものが約二千七百件ばかりございます。それから、はがきによる三種に関する陳情は四千百件ございます。それから電報につきましては五十件ございます。その他電話、口頭等は、これは計数を把握いたしかねます。以上でございます。
  179. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、一つは、郵政省に陳情に来ているという問題があると思います。それから私ども議員のところにもたくさん来ています。いま私のところで四十団体、まあこれも全部読み上げるには時間がありませんから一々読み上げませんけれども、四十団体です、きょう現在まで私のところへ来ているだけでも四十団体の方たちからの陳情が来ております。それからそのほかにもたくさん来ている。ほかの議員さんのところにも来ておりますでしょうし、共産党のほかの議員のところにも来ております。つまり、そういうふうに郵政省に来ている分だけでなくても、たくさんのこの問題についての声が上がっているということについてもっと積極的にその事態を把握する、そういう姿勢が必要だというふうに私は考えざるを得ません。  で、なぜかという点で、ちょっとその三種問題の基本的な点を明らかにしたいというふうに思うんですけれども、私は、政府のこの郵便料金値上げについて三種問題が非常に大きな焦点になってきて、たくさんの陳情も上がっているし、意見も上がっていると、もうこれ五倍に上がったら私ども団体はつぶれてしまいますということは本当に掛け値なしの言葉として上がっているんですね。これは交通協力会というところからの陳情ですけれども、「今回、参議院で審議されている郵便料金改訂に付随する低料第三種郵便料金に関する値上げ案は、まさしく私共の存亡をかける重大事であります。」と、こういうふうに書いてきておられます。  で、そういうふうな事態になっているんだと、たくさんの陳情をしたりあるいは声を上げている団体がまさにその団体の存続、存亡の事態に立ち至るんだというふうな状態として深刻に受けとめていらっしゃるのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。郵政大臣いかがですか、本当にそういうふうな深刻な状態になっているというふうに考えていらっしゃるのかどうか。
  180. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 陳情の御趣旨を十分検討してまいりたいと思います。  まあ陳情の要旨は、いま相当深刻な訴えだというように把握いたしております。
  181. 山中郁子

    ○山中郁子君 もしそのように把握をしていらっしゃるとすれば、私は端的にお尋ねしたいんですけれども郵政省はこうした三種の認可の団体ですね、定期刊行物、この定期刊行物に対してどういう基本的な姿勢で対処をなさるのかということを明らかにしていただきたいというふうに思うんです。つまり三種の認可、これの条件というものがどのように決められているか、それを承りたいというふうに思います。事務的なことはいいです、つまり基本的な理念の問題としてです、姿勢の問題ですね。
  182. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは過去いろいろ長い経緯から三種というものが認められてきておるわけでございますけれども、これは文化の普及あるいは公共的な使命、そういったものを帯びた印刷物について、他の郵便物よりも違った料金でこれを一般に普及させるというような目的でその種別が設定されたものと考えております。
  183. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵便法によりますと、いま局長が言われたことはこのように書かれているんです。「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」と、こういうことで三種の認可の条件一つになっているわけですね。これがやはり理念的な意味では柱になっている条項だというふうに考えます。  そうすると、郵政省としては、この三種というのはそういう積極的な役割り、つまり国家的な施策によって三種の扱いを決めている、その定期刊行物、三種の扱いの対象になっているものを守ろうとしているのか、そんなものはつぶれても構わないと思っているのか、それは擁護していくべきだと考えているのか、そこのところの基本的な見解をお伺いしたいと思います。
  184. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 私ども、そういった使命について否定するわけでは決してございません。  ただ、長い歴史の過程をたどってみますと、その文書の果たす役割りというものが徐々に変化していることは認めざるを得ないと思います。たとえば文書以外に放送の分野だとか、あるいはその他電気通信による分野だとか、そういった意味で公共的な意味での文化の普及とかあるいはその他の問題、そういうものはいろんなメディアによって代替されてきていることもこれはまた事実だと思います。そういう意味で、この第三種が制定された当時と現在の状態とは社会的環境の変化があることもまた私ども否定できないことではないかと考えております。したがいまして、そういった事実等を勘案しながら郵便の種別というものも考えていく必要がある。また、御承知のように、三種につきましてはほかの手段というのもございます。たとえば直接販売するとか、あるいは直接配布するとか、いろいろな手段も講じられるわけでございます。そういった諸点等を勘案いたしまして、重要性は認めますけれども、長い歴史的な過程の中でその役割りは徐々に変化しつつあるものということも認めざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとはっきりしていただきたいんですけれども、この郵便法で言う、先ほど読み上げました趣旨に基づいて三種は認可していないと、変質していると、三種自体はこの郵便法の規定から変質をしているんだという意味ですか、ちょっと極端に言ってしまえば。
  186. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 変質しているということは私申し上げた記憶はございませんが、制定当時よりも、ほかのメディアがいろいろ出てまいりまして、その重要性の度合いが変化しているということでありますが、この法律に規定されております趣旨そのものはいまも生きているというふうに考えております。
  187. 山中郁子

    ○山中郁子君 何らこの法律で決められた理念、これに基づいて三種が存在し、そしてそれの対象となる定期刊行物が出版されていて、それが三種の適用を受けている、この点については変わってないと、こういうふうなことだと思います。  そこでお伺いしたいんですけれども、現在、三種についての認可件数は幾らになっているかということをお尋ねいたします。
  188. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは四十九年末現在の数字でございますが、一万四千五十六件でございます。
  189. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、この現在一万四千五十六件の認可は、郵政省がこの郵便法の精神に基づいて「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、」云々というものに該当するという立場から認可をされているということになると思いますけれども、そうすると、これらの団体が、先ほど大臣もお認めになりましたように、今度の三種料金が引き上げられるという事態のもとではもう存続していけないんだと、こういう切実な叫びを上げ、それも単に根拠のない主張ではなくて全く根拠のある問題として提起をしている、こういう事態のもとにあって、一体、郵政省はこうした政治、経済、文化、公共的な事項を報道するという、そういう積極的な内容を持つ団体の刊行物が刊行できなくなってしまうという事態をどう守ろうとしておるのか、守ろうとはしないで放置をしているのか、そこのところはどういう方に姿勢が向いているのか、そこを明らかにしていただきたいというふうに思うんです。このままでいってしまったらたくさんの団体がみんなつぶれますと、もう定期刊行物発行できませんと、こういうことを言っているわけですよね。その事態をよく踏まえた上での見解を伺いたいと思います。
  190. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに料金改定でございますので、その影響が諸団体に及ぼすものは当然考えられるわけでございます。しかしながら、この団体に及ぼす影響そのものが全部団体そのものにのみ限られるものではなくて、購読者等にも影響が分かれていくものだと思います。そういう意味でいろんなところに波及はあると思いますけれども、この三種郵便料金につきましては、従来、非常に低料に抑えられてきたということについては郵政審議会の中でも議論がございまして、直接経費を賄う程度のものについては料金改定すべきであるというような答申もいただいておるわけでありまして、そういう意味での適正な水準を求めて第三種料金にすべきであるという考え方がございます。  また同時に、これは経営的に見まして、第三種郵便物赤字というのは相当大きくなっておりまして、これが郵政事業郵便事業全体に及ぼす影響もきわめて大きなものがあるわけでございますので、そういった点を十分、また先生指摘の第三種の使命というものも考えながら、また同時に、経営的な基盤というものも考えながら、適正な料金水準を求めていくということが必要ではなかろうかと思うのでございます。もとよりこれは省令事項でございますので、今後、法律の推移に従って第三種料金の設定については後ほど規則で改める、こういうことになると思いますけれども考え方としてはそのような考え方で臨んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  191. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が申し上げているのは、第三種が特別に安くなっているから原価に引き合わないのでというふうな範疇のことを申し上げているんじゃないんです。  いまのこの問題のアプローチの仕方は、先ほどから何回も申し上げているように、第三種というのは何でできているのか、これはもう繰り返しません、判明いたしました。そして現在その第三種の問題に関して、その認可を受けている、つまり政府がそういうものとして認めている定期刊行物、その団体、それは当然受ける人にも波及いたします。そのところから、こういうことをされたら、もうつぶれてしまいます、もう私たちの団体は成り行かなくなってくる、機関紙が発行できなくなってきている、こういう事態になってきているんですけれども、その観点からどういう方策をお持ちですかということを伺っているんです。  だから、いまの局長の御答弁をいただくと、まあそれは大変でわかるけれども、わかるけれども赤字なんだからしようがないから上げさせていただきますと、そして上がってつぶれるものも、これは出てきてもやむを得ないと思っていますと、こういうことになりかねないと思うんですけれども、そこのところはもう少しはっきり伺いたいところでございます。
  192. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 料金を上げて、その影響がないということは決して申しません。しかしながら、それだからといってその低料のものは絶対に動かしてはいけないというようなものでもないと思います。したがいまして全体の料金体系の中で社会的に見て、どの程度の水準に置くべきかと、それは第三種の本来の持つ意味、それを考えながら、また同時に先ほどから繰り返しますけれども郵便料金全体の体系の中の位置づけ、そういったことも考えながら適正なものを求めていくというやり方でやっていくということでございまして、その団体がつぶれるとか、そういうことは構わない、そういうような意味で申し上げておるわけではございませんで、そういったいろいろ団体への影響等も十分考えながら料金の設定をする必要がある、こういう意味で申し上げた次第でございます。
  193. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、この点について最後に大臣にお伺いしますけれども、いまの局長の御答弁も踏まえた上で、私は、こういうふうに理解をしてよろしいのかどうかただしたいと思います。  それは三種の問題については省令事項であるから、郵便法が決まった以降、検討するということを繰り返し言っていらっしゃいました。そうしますと、その検討なさる中身というのは、いまずっと大臣も先ほどお認めになりましたこうした団体、出版物がこの料金値上げがされたならもう本当に存続できなくなるんだというふうな切実な状態になってきている、そういう状態を生み出さないように検討する、こういうふうに理解をしてよろしいかと思いますけれども、そういう方向で、大臣は、いまの実情を、三種を中心とする陳情の実情をそのように把握し、そのように対処をなさるというふうに理解をしてよろしいのか、重ねてお伺いしたいと思います。
  194. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 法案審議の過程でありまして、いま私からどういうふうに理解していただきたいということを申し上げるということはちょっとできません。そこで、ただいま郵務局長がお答えになりましたのが私の気持ちであるというように御解釈願いたいと思います。
  195. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、実際には大臣もお認めになりましたけれども、こうした人々の切実な要求というものはよくわかっていると、もう発行が不能になるというふうな状態さえたくさん出てきている、そういう事態を招来せしめてはならないというふうに郵政省は考えている、そのためにもいろいろ検討する、このように受け取ってよろしいですか。もう一度重ねてお伺いいたします。はっきりわかるように、つまり私がわかるという意味じゃなくて、たくさんのそうした陳情している関係者の人たちや国民がわかるように答えてください。
  196. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この法案が成立した上、私としては省令で決定する際に考えることでありまして、いまの段階でこう考えますとか、どう考えますとかいうことば申し上げることははばかりたいと思っております。
  197. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほどの局長お話にありましたけれども、じゃ、このことだけはもう一度明らかにしていただきたいと思います。  関係出版物などが発行不能になるという状態は郵政省としてはまずいと、これはやっぱり守っていかなきゃいけないんだと、こういう立場ははっきりしていますか。
  198. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは大変むずかしい問題だと思います。その団体それぞれに経理状況等がございまして……
  199. 山中郁子

    ○山中郁子君 基本的な考え方で結構です。
  200. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 基本的に見ましても、これはなかなか一つ一つそれぞれ事情が違っておりまして、このことによって、たとえば発行できなくなるかどうかということは、本当に実態的によく考えてみないとわからないことでもございますし、私ども自身は陳情によってそのような御趣旨はいただいておりますけれども、その発行不能になるかどうかという観点で調査する権限もございませんし、その辺につきましては、明確にお答えすることは非常に困難かと思います。  ただ、いろいろ陳情の御趣旨もございますので、三種料金については、全般的なその使命と、同時に経営の状態、そういったものをあわせ考えて適正なものを探り求めていくということを申し上げておる次第でございます。
  201. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど、認可した件数についての御報告がありましたけれども、そしていま局長は認可した三種のものについてすべて調査する権能もないと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私は、郵政省が法律に基づいて責任を持って認可している以上、しかもその認可というのは、そういう社会的な国家的な政策に基づいて、その積極的な役割りを評価するからこそそのような扱いで認可しているわけですね、法律の精神はそこにあるわけですね。  それだったら、そのようにして認可したものが今度の郵便料金の引き上げで一体どういうことになってしまうだろうか、そういうことについてもっと責任を持った調査、そうしたものがされなければいけないというふうに思いますけれども、一体、郵政省は、先ほど一万四千何がしかの認可件数を報告なすったけれども、その中で、三種料金が今度の状況で上がっても大丈夫だ、びくともしないと、こういうふうに安心して考えていらっしゃる団体が幾つぐらいあるのか御存じですか、そういうことも全然御存じないわけですか、そうだとしたら余りに無責任じゃないですか。
  202. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) お言葉ではございますけれども、その各団体の経理状況の内容にまで立ち入って、この影響が全体の経営に非常に大きな影響を及ぼして、それが発行できなくなるかどうかというところまで計数的に立ち入って調べるということは困難かと思います。したがいまして、私どもは、繰り返しになりますけれども、御陳情の趣旨等を十分勘案して、将来、料金の設定については配意してまいりたいということしか申し上げられないかと思います。
  203. 山中郁子

    ○山中郁子君 その点については、私は余りにもやっぱり事務的な扱いに過ぎるというふうに思いますので、郵政省が責任を持って認可した、そしてしかもその認可した条件というものは、そうした基本的な国の政策として社会的な貢献という、そういう立場もあって認可をしているそういう機関紙ですから、定期出版物ですから、ですから、そうしたことについては、それらが郵便法で上げるという、こういう政策でどのような方向になっていく、つぶれていっちゃうのか、あるいはそれでも立ち行けるのか、そういうことについては、もう少し責任を持った把握と対処の仕方が必要だということを強く指摘しておきたいというふうに思います。  それで、この三種問題は非常にたくさんの方たちが切実な声を持って陳情に見えられているということはいま申し上げたわけですけれども、もう一つ、私のところに通信教育の学生さんが、やはりこの郵便料金の引き上げで大変大きな影響が生まれてくるのでということで、切実な声を上げて陳情に見えられました。私は、そういう意味で、この通信教育の観点から、この問題について若干明らかにしていただきたいというふうに思います。  初めに、文部省の方お見えになっていらっしゃいますね。——通信教育というものがなぜあるのかということについてお伺いしたいと思います。
  204. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) お答え申し上げます。  戦後、大学教育に通信教育の方法が認められたわけでございますが、その趣旨は、大学教育と申しますものを広く国民に開放するという趣旨で認められたというふうに理解をいたしております。
  205. 山中郁子

    ○山中郁子君 法律的な問題は、どこを論拠として練られておりますか。
  206. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 学校制度を定めました学校教育法という法律がございますが、学校教育法の第五十四条の二に「大学は、通信による教育を行なうことができる。」という条文がございまして、この条文を根拠に実施をしておるということでございます。
  207. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つなんですけれども、それを根拠として、先ほど課長が言われたような中身がどういうふうに、どこに表現されておりますか、そこをお伺いしたいと思います。
  208. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 通信教育の趣旨等につきましては、その立法の趣旨、経緯等から明らかでございますが、現在、形の上で明らかにされておるものといたしましては、大学基準協会で通信教育基準というものを制定をいたしておりまして、その通信教育基準の中で若干表現——ただいま申し上げました表現どおりではございませんが、通信教育の趣旨、目的等につきまして明らかにしておるところでございます。
  209. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、いま全国でどのくらいの通信教育を受けている学生さんがいらっしゃるか、それからどういう大学で、幾つの大学で行われているか、その概況を簡単で結構ですけど、お知らせいただきたいと思います。
  210. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 現在、通信教育を実施しておりますのは、私立の大学、短期大学でございますが、いわゆる四年制大学が十一、これは慶応義塾大学あるいは玉川大学等でございます。それから短期大学が七つでございまして、合わせまして十八校で実施をいたしております。で、現在、在学いたしておりますのが、大学で、昭和四十九年度の数字でございますが、八万二千二十六人、それから短期大学で二万三千二百八十七人、合わせまして十万五千三百十三人が大学に在学しております。
  211. 山中郁子

    ○山中郁子君 これらの大学生、学生の方々が、通信教育でありますから郵便に負うところが大きいということは常識的に考えて自明の理であると思いますが、郵政省は、その観点からどのようにこれを見ておられるか。つまり学生の負担が増大するということははっきりしていると思いますけれども、その通信教育というものがつくられてきた国としての考え方、これはいま文部省の見解で明らかにされましたけれども、そういう精神にのっとって、それとの関係でこの通信教育に非常に大きく影響を与えるという、この観点についての郵政省としての把握の仕方、それから見解を承りたいと思います。
  212. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 第四種の通信教育郵便物料金につきましては、ただいま先生指摘のような趣旨で特に第四種という別種の料金をつくっておるわけでございまして、その必要性は私どもも十分認めるものでございます。  ただ、料金改正ということになりますと、これも先ほどの三種とよく似たことでございますけれども、特に第四種については、郵政審議会の答申の中におきましても、その社会的意義を配慮しながら、なるべく直接経費を賄うに足りる料金に近づけること、こういうような表現をされて答申となっておるわけでございます。したがいまして、現在の第四種は、そういった考え方で、他の料金改正になりましても、四種についてはできるだけそういった趣旨を十分尊重しながら、大幅な改定をしないということで考えてまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  213. 山中郁子

    ○山中郁子君 四種問題——四種も上がることは上がるわけでしょう。だけど、四種だけじゃなくて、通信教育を受けている方たちというのは、通信にすべてを頼るわけですね。だから必ずしも四種の利用は全部保障されているわけじゃないんですよね。事務的ないろんな通信だとか、学生相互間の自治会活動ないしはその交流だとか、すべてやっぱり通信に頼ることになるわけですね。そういう意味では、必ずしも四種でもって配慮しているからということが配慮の中心的な部分をなさないんですね。細かく私実情を伺いましたら、自治会活動なんかがすごく大きく制約されてくる。これは三種の場合の出版物の発行が存続できなくなるというふうなこととあわせて、共通した要素を持っているんですけれども、そういうことが大きく制約されて大変切実な状態に追い込まれるということを陳情に見えました。  その辺のことについて文部省にお伺いしたいんですけれども、今回、こういう形で値上げが行われる、それが各大学の、第一点は、授業料などにはね返るということが十分考えられるけれども、それについてはどうなのか。つまり文部省としての何らかの指導があるのかどうかということですね。  それからもう一つは、実際に学生がこうした——私は学生の方たちから一定のデータは伺いましたけれども、文部省として、学生が、この郵便料金が上がることについて、つまり四種だけの問題じゃなくて、どの程度の出費の増を強いられることになるのかというふうなことについて、もし取りまとめられているものがありましたら、お伺いしたい。
  214. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 最初の授業料の関係でございますが、これはまだ明年度の方針を必ずしも確定してない大学もあろうかと存じますが、とりあえず在京の八大学について現況を申し上げますと、明年度改正をする予定の大学が、若干不確定のものも含めまして、二大学、それからあとの六大学は改正の予定はないというふうに承っております。授業料の問題といたしましては、御指摘のように通信関係の経費につきましても関連があるわけでございますが、私ども伺っております限りでは、主としてやはり人件費の問題が授業料問題に及ぼす影響が非常に多いというふうに承知をいたしております。  それから学生負担分につきましてでございますが、これはやはり大学あるいは個々の学生の受講の仕方等によりましてまちまちかと存じますけれども、私どもの方で、一応、直接通信教育受講に必要な通信費というものを試算をいたしますと、現在で年間約八百円程度ではなかろうかというふうに推計をいたしております。
  215. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど私は自治会活動や何かがかなり大きな支出になるというふうに学生が訴えているということを申し上げましたけれども、私は文部省としても自治会活動が重要な活動の分野だというふうに認識していらっしゃるはずだと思いますけれども、そういう全般的な把握はどうですか。
  216. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 自治会活動等に要する経費につきましては、現段階でデータがございませんので、ちょっと申し上げることができないわけです。
  217. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは文部省と郵政省に両方にお尋ねしたいんですけれども、先ほどの私のところに来た陳情だけをもとになさらなくても結構ですけれども、積極的な姿勢で学生の声を聞いて、そして通信教育というものがあるゆえんですね、そこの精神にのっとって何らかの学生負担を軽減する、通信教育が続けられなくなるようなところ、あるいは自治会活動や学生の交流その他の活動が制限されるような結果を招かないような積極的な努力をしていただける、こういうことをお約束願いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。具体的な点まで至らなくて結構です、基本的な姿勢としてで結構です。
  218. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 学生の自治会の活動とか、そういった意味では私も十分よくわからないのでございますけれども、私どもが扱っております通信教育用郵便物ということになりますと、これは四種の問題でございますので、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、その社会的意義というものを十分尊重していかなければならないという答申をいただいている、そういうことを十分踏まえながら、その経費を賄うに足りる料金に近づける、こういった努力でこれからの省令改正に臨んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  219. 大崎仁

    説明員(大崎仁君) 先生指摘のように、大学通信教育というのは非常に重要な事業だと存じておりまして、文部省といたしましても、いわゆる私学助成の一環といたしまして経常費補助というようなことも現在進めており、また通信教育固有の問題といたしましては、教科書、その他教材の改訂あるいは改善のための経費の補助も始めておるわけでございますが、これらの助成措置というようなことも含めまして努力をしていきたいというふうに考えております。
  220. 山中郁子

    ○山中郁子君 局長にお尋ねしたいんですけれども、四種ということでおっしゃったんですが、私もさっきも申し上げましたけれども、そこをちょっと正確に教えてもいただきたいんですが、学生さんの言われるには、四種扱いにされないこともたくさんあるというんです。  つまり一定の決められたレポートの提出だとか、教材が送付されてくる、そういうことについては四種の扱いになるけれども、それ以外に、別に質問をしたいとか、あるいは事務的な手続ですね、大学との関係だけであってもですよ、そういうものについては四種の扱いにならないんだそうです。そういうことだとするならば、すべてのものについて四種の扱いをするというふうに考えることができるのかどうか、いまのお答えによればですね。つまり四種扱いにしているから守れるんだという、こういういま御趣旨でしょう。そうしたら、それだけじゃなくて四種の扱いの枠を広げるとか、ないしは料金についての勘案をするとか、そういうふうなお考えが生まれてくるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
  221. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 第四種の範囲につきましては、非常にそういうグループ活動のものまで入れてまいりますと、果たしてそれが本来の意味の通信教育というものになるかどうか、非常に問題があろうかと思います。したがいまして、こういった特に安い料金で扱っております趣旨というのを本来のやはり厳格な意味での通信教育というものに限定していく方が正しいのではないかというふうに考えております。
  222. 山中郁子

    ○山中郁子君 自治会活動も含めてという私の主張は主張としてありますけれども、もう一つ進めまして、そうではなくて、先ほど申し上げましたように規定のレポートを出すとか教材を送るとかいうことの扱いでない、それだけで済まない質問事項だとか、学校当局との連絡だとかあるわけですね。学生活動を除いていいですよ。そういうものについては、当然、やはりいまおっしゃった趣旨によるならば、四種の扱いをしていくということを検討されてしかるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  223. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) なかなか具体的な事例を見ませんと、はっきりお答えいたしかねますけれども、先ほど申しましたように、特に他の郵便物と違った低料で扱うというやり方でございますので、本来の通信教育の趣旨に合ったものを限定して、これを低料にするというふうな考え方に立たざるを得ないのではないか。これは繰り返しになりますけれども、私ども、そのように解する方がいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  224. 山中郁子

    ○山中郁子君 この問題の最後に、もう一度御意見を伺っておきたいと思いますけれども、いま局長が言われた趣旨で、実態をよく明らかにして、そして本来の通信教育の四種の扱いの根拠ですね、そういうものに該当する部分について、積極的に適用を広げていくということについては考えていくと、ないしは研究なすっていくと、そういう姿勢はお持ちなのかどうか、そこだけ確認をさせていただきたいと思います。
  225. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これはやはり通信教育をどのように考えるかという問題かと思います。したがいまして通信教育の範疇に入るか入らないかということになりますと、これはいまここで一般論として直ちにお答えすることは非常に困難かと思います。具体的な問題を取り上げて、これが果たして通信教育の範疇に入るものかどうか、そういった意味での検討をするということをしなければ、ここで一般論として、それはもっと広げるんだというようなお答えにはなかなかならないかと思う次第でございます。
  226. 山中郁子

    ○山中郁子君 どうもちゃんと聞いていただいているにもかかわらず、無難な返事をしようとなすっている、それが私は気に入らないんです。  いまの問題だってそうでしょう。私はそういうことを何回も言っているんですよね、質問の中で。何回も言って、検討なすってもいいから——検討なすってもいい、つまりそれは通信教育の範疇に入るのか入らないのか、そういうことも検討なすっていいから、いま通信教育の学生からこういうふうな陳情が来ているんだと、少しでも枠を広げる方がそのもし趣旨にのっとるならば、四種の精神にのっとるならば、そういうふうに拡大することを研究する気があるかということを聞いているんです。  そこのところを何で回避して答弁なさるの。つまり、いまあなたがおっしゃったようなことは、私はそれを前提としてなおかつ郵政省としてこういう国民的な重要な問題について積極的な姿勢でもって取り組む気持ちがあるんですかということを伺っているんです。私何回も言わなければいけないのは残念なんですけれども、冒頭に申し上げたのはそういうことなんです。大臣どうですか。気がないなら気がないと言ってくだすっていいんですよ。言い逃れをしないでほしいということなんです。
  227. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 私、決して言い逃れで申し上げておるわけではございません。こういう四種のように他の郵便物と異なって特別な扱いをするというものについては、やはり厳格な解釈を必要とするということを申し上げておるわけでございまして、そういう範疇の中に入るか入らないかということを、ここで一般論として議論するわけにはまいらないと申し上げておるのでありまして、具体的な事例については慎重に検討さしていただきたいと思います。
  228. 山中郁子

    ○山中郁子君 積極的に、そういう趣旨にこたえるように検討するというお約束をなさるんですか。  何回も言っていますけれども、私は具体的な事例として挙げたのは、決められたレポートの提出だとか教材を送付するということは四種の扱いになっていると。だけど、そのほかにも質問したいことが出てきて、日常的に質問をするんですよ。そういうことがやっぱり郵便料金の引き上げで大きな影響になってくる。それは、私の考えでは、当然、最低の譲歩をしても、通信教育の中身の問題だと思います。だけど、そのことについていまそれを四種に拡大しますと言ってくださいと言っているんじゃないんです。つまり、そういうことは十分慎重に検討なさるとしても、当然、それに該当すべきものということについて、あるならば、それは積極的にそのような施策をとるのか、このことを伺っているんです。それをちゃんと答えてください。慎重にじゃなくて、私は積極的にということを言っているんです。
  229. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これはどうも抽象論でお答えすると大変むずかしい問題でございますけれども、それが通信教育に欠くべからざるものであるというような判定ができるものにつきましては、積極的に検討するということで構わないと思います。
  230. 山中郁子

    ○山中郁子君 何回も言わなければ、ちゃんと答えていただけないということが一番困るんです。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  同じく利用者の被害という状況で、これは簡単にお尋ねをしたいと思いますけれども、御存じだと思いますが、いま封筒業者の方たちがたくさん陳情に見えているんです。これはほかの委員の方たちからも御発言がありましたけれども、私のところにも毎日こんなにいっぱい郵送されてきます。それで何百通というふうに来ているわけですけれども、これはこういう趣旨です。  端的に言っちゃいまして、今度はがきが二十円になる、そして封書が五十円になる。そうすると、どうしてもいままで封書で書いていた人たちもはがきになっちゃうと、で封筒業者はつぶれてしまうではないか、こういうことです、うんと端的に言いましてね。そして私は封筒というのは、単に民間の営利事業ということだけでなくて、日本の郵政事業の中で大きな役割りを果たしてきている。つまり官製封筒じゃなくて、民間の封筒が一般的に使われているわけですから。そういう意味から、こうした封筒業者の切実な声、これについてどのように受けとめていらっしゃるかお尋ねをしたいと思います。
  231. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 郵便料金改正によりまして封書からはがきへの移行は、過去においても若干そういった傾向は見られるものと思います。これは計数的に把握することは非常に困難でございますけれども、そういった傾向は見られるものと私ども考えております。  今回の改正案におきましても、そういった格差があることは先生指摘のとおりでございます。これはその格差が出てまいった原因と申しますか理由と申しますか、それは実は最初郵政審議会の答申をいただきましたときは、封書五十円、はがき三十円という格差であったわけでございますけれども国民の最も基本的な通信手段であるはがきについてはできるだけ低く抑えるというような判断もありまして、二十円ということでお願いしておるわけでございます。したがってそのような格差が出てきたわけでございますけれども、封書からはがきへの移行による影響はないとは私決して申しません。しかしながら、これもどの程度の影響なのか、その把握も非常に困難でございます。それからもう一つは、封筒は必ずしも手紙だけに使われるものではございませんで、いろいろな分野で使用されるものであろうと思います。そういった点も考え合わせまして、私ども、封書は五十円、はがき二十円という格差をとらざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  もう一つ、諸外国料金と比較いたしましても、第一種は五十円というのは決して高いものではございません。そういうような国際的な封書の通信費、料率、こういったものを見ましても、そういった体系にせざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  232. 山中郁子

    ○山中郁子君 封筒業者の方たちがもうこれでは倒産してしまうというふうに言われてきている、そういう実態ですね、これは先ほどから申し上げておりますように、日本の郵政事業一つの役割りをそういう意味からは担ってきているわけです、封筒業者の仕事というのは。そういう観点から、郵政省として、いまの封筒業者の実情を知っていらっしゃると思うんですけれども、それをどういうふうに考えていらっしゃるかということが一つなんですよね。  それからもう一つ、これは新たにお伺いしたいのですけれども、大体、いままでの経験からいっても、料金値上げをされると、封書の利用から——つまり一種と二種の関係ですね、この移動が起こってきているというふうな経過はあるのではないかと思いますけれども、何かその辺で数字を把握していらっしったら教えていただきたい。つまり、それによって封書が減ってはがきがふえる、どのくらいの率で動くのかというふうなことのいままでの経過の経験です。
  233. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 封筒業者への影響というのは、なかなか私ども具体的にどの程度の大きな影響があるかということは、私ども陳情を受けている限りにおいて承知しているだけでございまして、これが計数的にどの程度の打撃であるかというようなことにつきましては、十分把握いたしておりません。  それから過去におきます料金改定によって、先ほど申しましたように、封書からはがきへ移行したということでございますけれども、これも非常に正確に把握する、たとえば値上げショックのみによって封書が減り、はがきがふえたということか、あるいはその他の理由によって封書からはがきへ移行したか、その辺の分析が非常に困難でございますので、はっきりした数字で申し上げることばなかなか困難かと思いますけれども、たとえば前回の料金改定の場合について考えてみますと、対前年度増加率が、第一種に対しまして、第二種が約二%程度を上回ってきております。これは値上げによるものと、その他の理由すべてを含めたものによって、そういった変化が見られておるのではないかと思います。したがって今回の改定案で考えましても、そのような差異というものは出てくるかと思います。以上でございます。
  234. 山中郁子

    ○山中郁子君 お考えいただきたいことは、封筒業者の方たちもそのことを言っていらっしゃるんですけれども、封筒の業界は日本の郵政事業のやっぱり一環を担ってきたんだというこのこと、これは私はやっぱり郵政省として見過ごしてはいけないと思います。  はがき郵政省でおつくりになりますよね、官製はがき以外は別として。だけれども、一般的に封筒は民間の封筒が使われているんですよね、それで郵政事業が成り立っているわけですよね。そういう観点からの封筒業者の陳情というものを郵政省は温かい立場で受けとめて、そしてその被害を少しでも少なくする、こういう観点考えていっていただかなきゃならない、これが封筒業者の方の切実な要望だと思うんですよ。その点について御異存はないというふうに思いますけれども、御見解を伺っておきたいと思います。
  235. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに先生指摘のように、封筒というものと郵便とは非常に密接な関係がございまして、私ども、そういう業界の御意見に対しては真剣に耳を傾けるという態度で接しておるわけでございます。
  236. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、身障者の皆さんの要望の問題なんですけれども、これは私は時間の関係で、この前の委員会質疑質問をし、そして検討をいただくというお約束になっていることに限って申し上げたいと思います。  六月二十六日の逓信委員会質問いたしましたけれども、いろいろあるけれども、最低この問題だけはやっぱり郵政省は考えていただかなければいけないということで提起をいたしました。これは私ばかりではありません。北海道の公聴会での参考人の方の切実な要望を受けて、多くの委員の方が発言されました。  重症身障者の方たちが図書を読むについての郵送は少なくとも無料にしてほしいという問題と、それからもう一つは、点字出版物の問題について、これは私が指摘をいたしましたのは、多くが点字出版物は折り畳んだりしますと用をなさなくなるんですね、そういう意味で規格外の扱いにどうしてもなると、また場合によったら小包や何かで送らなくちゃいけない、こういうことになるので、これを何らかの措置をとっていただきたいという切実な要求が来ていると、この点については、いずれも、郵政省の方から、多分当時の石井郵務局長だったと思いますが、検討してなるべく前進的に解決をしたいという趣旨の御答弁をいただいているんで、六カ月もたちましたし、今後の問題もありますので、御見解を承りたいと思います。そろそろ結論がもう出ていらっしゃるところじゃないかと思いますけれども
  237. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 重度の心身障害のために在宅で図書館を利用できない方が手軽に本を借りて返すことができるようにしてほしいと、こういう御要望につきましては、私ども十分承知いたしております。これにつきましては、先回も申し上げておると思いますけれども、関係の方面と十分連絡をとって考えてまいりたいということでございます。その後も、文部省とも連絡をとって、現在、いろいろと相談をしているところでございます。まだ最終的な結論にまでは至っておりませんけれども、ただいま打ち合わせを続けておる段階でございます。  それから大型の点字出版物でございますが、これにつきましては、現在、法律のたてまえは制限がございますので、この形で改善するというのは非常に困難でございまして、そのために通常郵便物の規格を改善するということよりもほかの形、たとえば小包の料金の決め方によってそういう大型のものについては点字について特別な考え方を取り入れる、こういうような方向で考えてまいりたいと考えておりますが、これも、先生御承知のように、省令の問題でございますので、その際、十分配慮してまいりたいと考えております。
  238. 山中郁子

    ○山中郁子君 この前の質問のときに、よその省と連絡をとりながら対処していきたいと、こういう御答弁でした。いまもそういうことで実際に進められている——前者の問題です、これは。図書の問題ですね。これは、そうすると、進められている中身というのは、もちろんのことながら、こうした要望にこたえる立場で各省庁との関係で連絡を進めている、こういうふうに理解してよろしいと思いますが、そのことについての確認と、それからいつごろをめどに、先ほどおっしゃったこの郵便法改正の後の省令改定ですね、その時期のことを言っていらっしゃるのかどうか、そのことを二つお尋ねいたします。
  239. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは郵政省だけで決定できないことは先生御承知のとおりでございますので、文部省の方とも十分連絡をとり、あるいは場合によっては厚生省とも十分話し合って結論を出したいと考えておりますので、まだ私いまここでいつの時点ということは申し上げられませんけれども、私どもとしては、そういう意味で十分先生の御趣旨を体して、この問題に当たってまいりたいと考えておるわけでございます。
  240. 山中郁子

    ○山中郁子君 これについては積極的な姿勢で取り組んでいらっしゃるということは私は理解いたします。  だけど、もう一つだけ、とにかくもうちょっと進めておいていただきたいんです。ということは、これはもう大分前から議論になっているんですね。私がこちらでこの問題提起する以前から、多くの委員の方たちが提起もされていらしたという経過も伺いました。それなので、まあいつごろ本当にめどでやってくださるのかということは、もう一つ進めた形でお聞きしておきたい、これが関係者の切実な要望だと思います。また二年も三年も先までいつまでも慎重に審議をして検討されているということでないと思いますけれども、そこはもうちょっと具体的な期待の持てる御答弁をいただきたいところなんですけど。
  241. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これはやはり文部省におきましても、こういった種類の図書館のあり方というものについては一般行政的に考えるべき分野も非常に大きいと思います。むしろそれが本筋ではなかろうかと思います。そういった点等がございますので、それとの関連において郵政省としても十分打ち合わせながらやってまいりたいということでありまして、それを特に何年も先という意味で申し上げておるわけではございません。
  242. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、いま、郵便料金値上げの問題がどのように国民に大きな影響を与えるか、そういうことで切実な、これを何とかやめてほしいという声が起こっているということを具体的な幾つかの事例を挙げて申し上げました。  で、もう一つ郵政事業との関係、しかもこの郵便料金値上げという問題と常に関係して起こってくる問題にサービス問題がございます。で、このことについて一つだけただしておきたいんですけれども、具体的な事例で申し上げますと、これも私どものところに陳情がありました。それで新潟市の内野郵便局の例なんですけれども、この管内で遅配が非常に問題になってきたということで住民の方たちから切実な声が上がってまいりました。で私ども共産党議員団として早速現地調査をいたしました。そして、その結果、市内郵便で四、五日から一週間かかっているという現状があるし、ひどいのになると十日から二週間、これは市外の場合ですけれども、かかって来る。で住民の方たちの幾つかのものだけを挙げましても、就職試験の通知が期日に間に合わなくてパアになったとか、それから仕入れ先から言われたけれどもその請求書が着かないのでだめだと、そして経営上の大きな影響をもたらされたという中小企業の方の御意見だとか、そういう本当にもう日常的な大変むずかしい問題が遅配の問題と絡んで生活を脅かしていると、こういう事態がありました。  それで私ども事実をデータも調べまして、そしてたしか郵務局の次長さんだと思います、これは衆議院の平田議員が交渉もし、要求もしたんですけれども、しかるべく善処をするという、こういうお約束であったと思いますが、どのように把握をされて、そしてどのような措置をとられたのか、そのことについてお尋ねをいたします。
  243. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 内野局につきましては、その業務運行に問題があることにつきまして先生指摘のとおりであると思います。  これは御承知のように新潟市の近郊でございますので、まあ一般に近郊発展地に見られるような町名あるいは地番、そういったものが非常に混乱をいたしておりまして、あるいは段丘地帯のために坂道が多くて舗装道路が少ないというような非常に道路状況が悪いためにバイクの走行が困難であるというようなことが見られるわけでありますし、また内部的な要因といたしましては、そういう発展地でございますので急速な増員の結果勤続の短い職員が多いわけでございまして、配達区数に精通している職員が少ないというような、いろいろな問題が重なりまして、そういった遅配というような現象が起こっておると承知いたしておるわけであります。  で、これに対する対策といたしまして、最近は、要員の増加等をいたしまして配達区数をふやして、そういった困難区の救済をいたしておりますし、また一面、管理体制だとか、あるいは本来配達に必要な諸資料がございます、こういった資料の整備にも欠けるところがございますので、こういった点についての整備あるいは訓練の強化等、いろいろ手を尽くしておるわけでございます。で最近に至りまして、過去の遅配状況よりも大分改善されてまいりました。まだ私どもも十分だというところまでは申し上げられませんけれども、比較的業務運行は徐々によくなってきているというふうに申し上げていいかと思います。  ことに、この地番の問題につきましては、市当局におきましても協力体制ができまして、来年三月ごろから二年にわたってその地番の整理をするというようなこともございますので、そういったいわば配達に適するような条件が整備されてまいりますと、いままで困難をしていた配達作業もさらに容易になる、こういったことも考えられます。今後とも、いろいろそういったあらゆる手を尽くして内野局の業務運行の正常化には努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  244. 山中郁子

    ○山中郁子君 何人増員されたのか、ちょっとお伺いをしたい。
  245. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 四十九年度におきまして五人、それから五十年度におきまして三人でございます。それ以前ももちろん徐々に増員はいたしておりますけれども、最近におきましては、そういった増員をいたしております。
  246. 山中郁子

    ○山中郁子君 今回は、そうすると三人増員なすったわけですね。  先ほど、いろいろな事情が重なりましてというふうなお話があったんですけれども、私はこれは明らかに要員の不足だと言う以外にないというふうに思います。それはその結果としてどのくらい改善されているかということはまたいろいろ問題がありましょうけれども、その改善されたということの背景にはやはり三名の増員、私どもがこのことを提起して以降の問題としてですね、増員があったということです。ですから、私は、その地番の問題だとか坂がどうだとかというようなこともいいですけれども、やっぱり要員がいま不足しているというそのことは郵政省はやっぱりちゃんと見ていただきたい、見なければいけないというふうに思います。これももういろいろと政治的な言い回しは要りませんから、定員の問題とかそういうことはもういま言いませんから、要するに要員を配置するということによってサービスは改善できるんだと、このことは一つもうはっきりしていることですね。  そして念のために申し上げますけれども郵政省の方も御承知だと思いますが、この内野郵便局の場合、九月二十五日から九日間の経過をとってみますと、市内と市外で合わせて二十六の郵便区があるんですが、この郵便区が二十五日の場合は十一区欠区しているんですね、欠区というか、つまり配達の人がいなくてそこにつけられないということになっていて、その後も毎日四つとか五つとかそのぐらいずつ欠区をしているという、こういうデータがございます。ですから日常的に慢性的に人が足りないという状態が明らかなわけですね。ここで特別に理由があって、そしてこういう欠区の状況が起きているということではありませんから、ですから、そういう意味では、ほかからもいろいろ来ておりますが、いずれにしても標準送達日数を郵政省が責任を持って、誠意を持って守る、それに近づけるということの努力のためには、要員問題とは切り離せないということを指摘をせざるを得ないんですが、その点についての御見解を伺います。
  247. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは、先ほども申し上げましたように、配達というのは非常にむずかしい条件がございます。たとえば内野の場合ですと、東西に延びる道路につきましては舗装ができておりますけれども、その南北の道が非常に悪くなっておりますので、そういった面で、ことに地番が混乱いたしますとなかなかなれない人には十分な配達作業ができないというような、そういう状況が見られるわけでございまして、そのためにはやはり一人で何区かの通区をするという必要がございますので、そういった訓練が必要かと思いますし、また同時に、ただいま欠区というお話ございましたけれども、私ども十一区の欠区というのは余り承知いたしておりません。実は、そういう本務者が欠務した場合にはアルバイト等によりましてそれを補うという形でやっておりますので、いわゆる欠区という形には余りなっていないのではないかというふうに理解しております。  いずれにいたしましても、先生指摘のように、要員の必要な面については今後とも考えてまいりますけれども、それ以外の条件についても整備することがやはり非常に必要かと思いますので、いろいろと勘案しながら内野局の改善について一層の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  248. 山中郁子

    ○山中郁子君 それではいまのところはどうぞお調べになってください、私の方も調べてそうしたデータが出ておりますので。  そして非常勤職員というふうに言われますけれども、結局、この内野の場合の非常勤職員の配置状況も私の方でデータいただきました。そして見ましたら、やっぱりもう非常勤といっても固定しているんですね。固定してる方たちがもうちゃんといるわけです。そしてその人たちがほとんど毎日入っているということは恒常的な要員不足なんですね。いま局長もお認めになりましたけれども、そういう事態なんだと、だから決してその非常勤を入れているからということで問題は解決しないということもひとつ指摘をしておきたいというふうに思います。  それで、こうした問題が起きてくるのは、たまたま私どもは内野へ調査に行きましたけれども、内野だけじゃなくて、このぐらいひどい状況で問題が提起されている。私どもがいま聞いているだけでも、埼玉の狭山とか、福島の会津若松、札幌の豊平なんかでも同じようなことが起きていますし、それから国会請願、私どもの方へも岩手県議会からもその請願がありますし、それから島根県議会からも請願が来ているという、こういう状態です。  ですから、先回のたしか郵便料金値上げに際して、郵政省が、サービス面の充実という、こういうことでもって標準送達日数ということで発表なすったと思いますが、標準送達日数からまるっきりかけ離れているようなこういう事態については本当に責任を持って対処していく。要員問題が一つの大きな問題であるということを認識した上で——そのほかの要素がないと私は申しません。それは局長が言われた要素も大いにありましょう。だけれども要員問題が一つの重要な要素であると、そうした認識をされた上で誠意を持って解決していく、緊急な問題として解決していく、こういう点についての決意のほどをお伺いしなければならないと思いますので、これはひとつ大臣から伺いたいところでございます。
  249. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの御指摘のようなことのないように、すべての要員について十分これから考慮してまいりたいと思っております。
  250. 山中郁子

    ○山中郁子君 内野とか札幌とか、そういうところだけじゃなくて、この東京のど真ん中でもそういうことがあるんですよね。これは多分郵政省の方に直接行っていると思いますけれども、これは日本フィルハーモニーの事務局の方から私どもの方に陳情があったんですけれども、会員の方に券を郵送する、そうするともうそれが何日もかかっていて、結局、期日までに届かなくて二千円も三千円もする会員券がパアになる、こういう事態が起きている。これは郵政省のほうに申告をしているので多分御承知だと思いますが、その申告に対しての回答もまだ受けていない、こういう陳情でございましたので、この問題について一言説明もいただきたいし、解決の方向についてのお考えも伺いたいと思います。
  251. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいまの問題については、直接、私どもの方の担当者の方から事情について御説明申し上げておるようでございます。今後、そういうことのないように極力努力してまいりたいと思っております。
  252. 山中郁子

    ○山中郁子君 ごく一部の事例です。しかし、それだけやはりいまの郵政事業中身に問題があると、そしていま行おうとしている、政府が主張している郵便料値上げがそれほど大きな影響を与えるのだということを私は指摘をし、そして政府の見解も伺ってきたわけですけれども、あとの課題として、どうしても、それではこの問題をどうしたらいいのかということについて、料金値上げをしないでやっていくにはどうしたらいいかという問題について、独立採算制受益者負担の原則という政府のその姿勢に至らざるを得ないわけです、この問題について論議をしないわけにはいかないわけです。  私は、先回の参議院における質疑の中でも、この問題についてかなり進めました。しかし時間の関係でそれ以上進められなかった部分があります。そういう意味で、この問題について最後に触れていきたいわけですけれども、問題は、ちょっと端的に明らかに大臣にしていただきたいんですけれども、午前中の質疑の中でも経理局長が言われたんですが、赤字になるのを一般会計から入れると、八割は私信ではなくて業務用などの通信だと、したがって国民の税金でそれらのものを賄うのは不公平になる、公平を欠くと、こういう主張をなさっているんですね。で、これはかなり一貫して郵政省がされている主張なんです。今度、なぜその一般会計から入れないのかということの柱として、いままで一貫して主張されてきたことなんですね。  で一方、そういうことを言っているかと思うと、さっきのスト権問題なんかの中でも言うんだけれども、公共的なものだからということを言ったり、公共性を非常に主張される。そして片方いまの議論になると、公共性は否定はしないけれども、八割方が企業の通信なんだから公共的な面が薄いという意味合いのことを主張されるわけですね。一体、郵政省は、そういう意味では、どういうところに本当の分析と見解を持っていらっしゃるのか、そこを初めに端的にお伺いしたいと思います。
  253. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便が非常に公共性の強い事業でありますことは先生おっしゃるとおりでございます。それと、私、午前中に独立採算ということについて申し上げましたけれども、私別に独立採算ということをやると公共性を阻害するというふうには考えておりませんので、非常に公共性の強い事業ではございますが、その利用の態様を見ますと、国民に平均的に利用されているというものではなくて、やはり広い意味で言う事業所から差し出す郵便物というのが八割方を占めているという実態がございます。そうした点から考えまして、公共性は公共性といたしまして、その公共的な事業を営んでいくための原資というのは、やはり利用者負担という形で独立採算制を貫いていくことがいわゆる負担の公平という面から見て妥当であると考えておりますので、そのように申し上げた次第でございます。
  254. 山中郁子

    ○山中郁子君 この議論は、私は、いろいろ整理をして郵政省としてもきちんとした見解を答弁していただきたいというふうに思っている向きがあるんです。  それはなぜかといいますと、これも経理局長の御答弁の中にあったんですけれども、たとえば一昨日の委員会竹田委員質問されて、そして受益者と利用者の問題に関連して、企業からそれに見合う料金を取るという趣旨のことについて提起をしたら、そういうことを仮にしたとしても、それでは企業の方から国民にそのしわ寄せがいくであろうという意味のことを回答されたんです。つまりこれはコストにはね返るという意味だというふうに思いますけれども、そういうことで言うならば、実際問題として、もし均一の料金でいまのまま据え置くとしたら、国民に対して不公平になると。つまり事業所の人たちが八割を使う、で一般の私信は二割だと。八割のいわゆる営業用通信を含むそうした通信が国民の税金からそこに持ち込むのは不公平になるという、こういうふうに言われる。これが公共性との関係で阻害されてきているということははっきりしていると思いますけれども、そういうことの議論は成り立たなくなるんですね。  つまり、もしそういうことでコストにはね返るという論法を持ち出すならば、依然として、もしはがきが営業用であっても、あるいは団体のものであっても十円だということならば、それはコストにはね返らないから同じ理屈になるわけですよ。そういう意味では、同じ理屈になるというふうに思うんですけれども、だから、そこのところで、まず私ははっきりさせていただきたいというふうに思うのは、ちょっとややこしい議論になって恐縮なんですけれども独立採算制というものをとると、そして一般会計からは繰り入れないんだということの主張が、そのどこにあるのか、今度のこの郵便料金値上げに絡んで、どこにあるのかということをもう一度正確にこれだということをはっきりしてほしい。法律的な問題じゃないですよ。
  255. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 独立採算制をとることが妥当であるということを主張いたしておりますのは、これは独立採算をとらなければこれは収入が足りません。この業務を運行していく上に財源に穴があく。その財源ということになりますと、これは借入金ということであれば、これは利子をつけて返さなきゃならないのですから、事態を拡大して穴を大きくしていくという方向になるので、どこからか金を取得しなければならないわけでございます。それは、端的に言えば、一般会計から財源を繰り入れてもらう、こういうことに相なるわけでございます。ところが一般会計の財源というものは、これまた別段、これはいささか言い過ぎかもしれませんが、天与のものではなくて国民の税金から招来したものでございます。  そうした点から考えますと、たとえば先ほど申し上げましたように、郵便の利用の実態というのが企業あるいは事業所というものに非常に偏っているという場合において、税金から金をそちらの方に回すということは、これは慎重に考えなければならないのではないだろうか。先ほども申し上げましたけれども、また、以前、この当委員会においても御議論があったと記憶いたしておりますけれども、たとえば所得分配政策という点から見ましても、税金を取ったといたしまして、株式会社〇〇の郵便料の補助という形になるように使うということが果たして妥当なのであろうか、こういう点を考えまして、私、独立採算制をとることがこの事業の実態から見て妥当ではないかと、このように申し上げておる次第でございます。
  256. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこなんです、問題はね。  結局、もう一度確認しますけれども、一般会計から出さざるを得ないと、その場合に、一般会計というのは国民の税金なんだから、国民の税金を使う道として郵便料に使うのは不適当だという、こういう考え方なんでしょう。そうしてなぜ不適当かというと、八割方が個人の私信ではないからだということになりますね。  私が、そうだとすると、矛盾が出てくるでしょうと言うのはね、仮にもしね、企業や何かからお金をよけいに取るということができたとしますでしょう、そうすると、それはあなたは国民にはね返ると、コストとしてはね返るから同じだと、こういうことを郵政省はいままで言われてきたんです。そうしたら同じことだって言うんです。一般会計からいま出して、国民の税金によって出して郵便料金を低く抑えるということができるならばね、それは結構なことじゃないか。それは国民負担がそれだけ少なくて済むということになるんですよ、そうでしょう。企業郵便料が上がるということでもし郵便料を出しますでしょう、そうするとそれはコストにはね返ると、こういう論法でいくならばね、同じことじゃないか。だから、一般会計から支出をするという理由にはならないということが私の明らかにしていただきたいところなんです。
  257. 高仲優

    政府委員(高仲優君) まず第一の問題でございますが、企業から差し出す郵便物に対しては、何らかの形でよけい料金を取るということができるかできないかという問題があろうかと思います。  たとえばDMのように余り歓迎されない——まあ歓迎する向きもあるかもしれませんが、おおむね歓迎されない郵便物といったものを頭に置きます。これは採算割れでございますから、それをたくさん出されると穴があく、それを税金で埋める、こういうことにならないようにするためには、DMは一般の各個人が差し出す郵便物と違ってお金をよけいいただく、こういうことができるならば、これは私はそれに越したことはないだろうと思いますし、そうしたことができるとなれば、私といたしましても何らこれを否定する理由はないのでございます。  けれども、私ども郵便を扱うのは、これは郵便法にございますように「あまねく、公平に」ということをモットーとしておりますし、またこの封筒の中に入っているものがDMであるのか別のものであるのかという内容についてそんたくいたすことは、これはできない立場にあるわけでございます。もちろん企業側の善意に信頼いたしましてDMだというので、これは高い分ですよと、こう出していただけるということに相なるならば別でございますけれども、この点につきましても関係の部局において十分いままで検討したことも聞いておりますが、結論を得るに至ってはおらないのでございます。そうした点から、目下の現状といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、独立採算制ということをお願い申し上げる以外にないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  258. 山中郁子

    ○山中郁子君 一般会計から出せない理由は、八割方がそういう通信だから不公平になると、国民のすべての税金から投入するのは不適当であると、これが理由なんですよね。そうであるならば、私は、同じではないかということを言っているんです。  それを国民の税金で一般会計から出してですよ、はがきを十円に抑える、封書を二十円に抑えるということをします。そうすると企業は十円でそれを賄っているわけでしょう。そうしたら、それはその分コストにはね返らないという理屈が成り立つんじゃないですか、同じじゃないですか、そのことを私言っている。だから一般会計から出すことがですね、いまの郵便の実態が企業ないしそうした私信でないものが八割を占めるからなんだということについては、矛盾が生まれてきますでしょうということを言っているんです、そういう理由であるならば。
  259. 高仲優

    政府委員(高仲優君) どうもお言葉を返すようで……
  260. 山中郁子

    ○山中郁子君 どうぞ返してください。
  261. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 大変恐縮でございますが、じゃ端的な例をとって申し上げます。  DMというものをここに考えます。これは大変ありがたくないDMだと、皆さん喜ばないDM。これがまあいま仮に二十円で封書に入れてどんどん出される。実際のかかりはもっとかかっておる。ですが、まあこれは安いまま幾らでも引き受けて、足らないならば、たとえて言えば税金で埋めましょうという行き方。そういたしますと、これはDMというのは広告の一つの媒体でございますから、テレビのスポットあるいは新聞折り込みその他いろいろなメディアがございますけれども、割り安感が出れば出るほど使うということになるならば、DMの料金を低きに抑えることによって他の媒体を使っておるものまで呼び込んでしまっていく。これはいいとか悪いとかいう価値判断を私は申し上げておるのではございません。結果、ますます、たとえば一つの例といたしまして、税金から埋めなければならないという事態を招来するかもしれません。  また仮に、今度からDMを五十円ということにいたしたと、こうなりますと、これが全部、いままでのものがそのまま全部消費者の方の価格へ転嫁されるかどうか。これも実は確たる証拠とか積算の根拠があるんではございませんが、私は広告業界の実態を見ますと、DMが非常に高いと割り高感を持てば、ほかの広告のメディアの方に移っていく。そうした場合においては、それを上げたことが即物価あるいはその会社の売る商品の価格に転嫁されるということにはならないのではないか。  私が独立採算制ということをるる申し上げておる中には、たとえばDMについて申し上げれば、こういった点もあるのではなかろうかということを考えて、申し上げておる次第でございます。
  262. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、ずいぶんいろいろな点で矛盾が出てくるんです。  ということは、ダイレクトメールはいままでの経過の中で郵政省の説明によると、むしろダイレクトメールは原価をあがなっています、償っています、黒字がむしろそこに出ています、それで一種、二種の赤字を賄ってきているんですというようなことも言われたことがありました。ですから、私は、そういう論法では理屈に破綻が生まれてくるということを申し上げているんです。ですから、ただ唯一の理由として、独算制で一般会計から繰り入れないという理由が、業務用の通信その他が八割を占めているということでは、公共性の問題から郵便法の第一条の問題との間で理論的な矛盾が生まれてくるということを私はいま指摘をしているわけです。  そしてこの問題について、先回の質疑の中で提起をいたしましたけれども郵便法の成立の当初の政府の見解というものを私は繰り返し主張いたしました。その言葉について改めていままた蒸し返しはしませんけれども、そこでもって解明されなかった問題があります。  それは、郵便事業に対して、独立採算だということを理由にして、一切一般会計からの繰り入れをしないんだということではない、一般会計からの繰り入れもあり得るんだということは郵政省も大蔵省も認められたところです。そうした場合に、それでは、どういう場合に一般会計からの繰り入れがあるのか。きょう私がるる申し上げました。ほかの委員の方からもお話がありましたけれども国民がこれだけこの郵便料金の問題について大きな影響を受ける、何とかしてもらいたい、こういう事態にあって一般会計からの繰り入れをしないで、いついかなるような事態のもとにおいて一般会計からの繰り入れが考えられるのか、どこにその考え方の基本を置くのか、そこのところをお伺いいたします。
  263. 高仲優

    政府委員(高仲優君) またまた前回の議論を蒸し返すようではなはだ恐縮でございますけれども、私、記憶いたしておりますところでは、前回の議論といたしましては、郵便法第一条と第三条、一条は「なるべく安い」ということでございます。三条は「能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保する」、いわば原価主義というものを法定いたしております。私どもといたしましては、業務を処理していく場合に、法律の定めるところによってこれを行わなければならないのでございます。  それともう一つは、郵政事業特別会計法でございまして、この特別会計法の考え方というのは、いろいろ私口が足りなかったかもしれませんが、申し上げたつもりでありますが、損益の最終帰属はこの特別会計にあるという前提で書かれておるものでございます。  また、一般会計から繰り入れを行った例があるかないかというお尋ねでございますが、これは……
  264. 山中郁子

    ○山中郁子君 いや、そんなこと尋ねていません。
  265. 高仲優

    政府委員(高仲優君) やったことはございますが、これは法律によってやっておるのでございます。たとえば「郵政事業特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律」という、この法律に基づいてやっておるわけでございまして、そうしたことがなく、ただ単に現在の郵便法あるいは郵政事業特別会計法から直ちに一般会計から繰り入れということができることには相なっておらないということを申し上げたいと存じます。
  266. 山中郁子

    ○山中郁子君 質問をよく聞いてほしいんです、違うんですよ。  私が言ったのは、この前の委員会で一般会計から繰り入れることはあり得るということを郵政省も認めたし大蔵省も認めたんです。そして、いまその法律問題もやっているんです。だからまさに蒸し返しをしないでほしいんですけれども、そういうことを繰り入れようとすればそういう法律でもって手続を踏んで繰り入れればいいんですよ。だから繰り入れる場合があるというのは、どういう場合に繰り入れるんですかということを聞いているんです。
  267. 高仲優

    政府委員(高仲優君) どういう場合というのは、はっきり明定した明文があることを私存じませんが、ただいま例を申し上げましたように、繰入金に関する法律といった形で繰り入れをやりましたのは昭和二十年代の特に早い方でございまして、いろいろな観点から料金凍結ということが行われ、しかも非常にインフレ傾向が強かったときの措置であると考えております。したがいまして、これは終戦後の特殊な時期の問題ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  268. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは一番大事な問題ですから、本当にいいかげんに答えないでくださいよ、大臣ね。  インフレだって言うんなら、いまインフレですよ。不況インフレのもとで国民は苦しんでいるからこそこういうたくさんの郵便料金値上げに対する意見が出ているわけでしょう。  それで、もう仕方ないから、私はもう一度、いやだけれども言います。郵便法制定のときに三木逓信大臣のもとで政府がどういうことを言ったかということをよく聞いておいてくださいね、もう一度だけ言いますから。「獨立採算制というような問題は時の政府の財政方針なのでありまして、郵便事業自体の本質を束縛するものではないと考えます。」こう言っているんです。そうして、だから一般会計からの繰り入れもあるんだということを言っています。そして、この前の委員会では、郵政省も大蔵省も一般会計からの繰り入れはあるんだということを言っています。そして先回の委員会で同じく私はこのときの政府の答弁、趣旨が間違っているのか、間違っているなら間違っていると言ってくださいと何回も言いました。しかし間違ってはいないというのが郵政省の見解でした。大蔵省もそういう見解でした。それならば、どういう場合に一般会計から繰り入れるのですか。  私は言ってしまいますけれども、まさに国民生活が大変不況にあって、そしてこれほどたくさんの問題、いろいろな観点から郵便料金値上げをしないでほしいと切実な声が上がって郵政大臣もそれを受けとめている、そういう事態のもとでこそ一般会計からの繰り入れがあり得る、そういうふうに考えて当然だと思うんです。それ以外のどういう場合に一般会計からの繰り入れがあるんですか。  終戦後の混乱なんて言わないでください。それは歴史上一回しかないことじゃないですか。一回しかないことのためにそんなことをやっているんじゃないんですよ。郵便事業の本質を束縛するものではないから繰り入れがあるということを言っているんです。郵便事業の本質というのは、それじゃ何なのか、ここで言っている、明らかにしていただきたいと思います。大臣に明らかにしていただきたい。
  269. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどの経理局長の御答弁の中にありましたように、郵便法の第三条ではこれはもう独立採算制ということがはっきりうたわれておるというふうに解釈いたしております。そこで終戦後の昭和二十四年に一つの緊急な法律をもって一応その一般会計から負担したということは、私の承知している範囲では、当時占領下にあってと、先生言うちゃならぬと言いますけれども、本当に何遍値上げしてもとにかく赤字でどうにも始末に負えないというようなときでありましたので、これを一応一般会計から補てんしたということを聞いております。その後、今日に至るまで、一般会計から郵便事業に対しての補てんとか繰り入れというようなものは絶対にないということでありまして、あれは終戦直後の特殊事情であったんじゃないかと私どもは解釈いたしております。  そこで独立採算ということをもし御承認、御了承いただけますならば、それが料金によって賄わなければならないという第三条の趣旨をどこまでも尊重する。その場合に、いま企業というものとその他の利用者のことが問題になりましたが、私は企業とか一般とかいうことをここに区別して考えるからいろいろな問題がわいてきて、企業なんかに云々というようなこともできてくると思いますが、要するに郵便を利用してくださる人たちはみんなこの郵便事業については大事な支持者であるというか、民間の言葉で申しますならばお客さんだと、こういうふうに解釈していいんじゃないかと思いますが、そこに企業とか一般とかいう区別をつけることは不可能でもありますが、郵便事業に関する限りは、そういう別にほかの意味での社会保障的な意味の応援あるいは援助とかいうようなことは別でありますが、一般的には企業もなければ、そこには一般大衆の利用も、利用する人たちには区別をすべきじゃない、こういうように考えておりまして、要するに利用者負担の原則というものと独立採算制ということを、はっきり私どもが法に示されておることを遵法するならば、そこには余り大きな食い違いの疑問も生じないんじゃないか、私はこう解釈いたしております。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  270. 山中郁子

    ○山中郁子君 一般会計から繰り入れることはあり得ると、それがどういう場合であるかということは、占領下のそういう事態であったから、今後は、そういうことはあり得ない、こうおっしゃるわけですか。この前の御答弁と、そうなると、違うんですけれどもね。
  271. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど申し上げましたように、法律で決めるということになれば、これは日本は法治国でございますから、法律の定めるところによりできるわけでございますが、これは立法府の問題でございます。  先ほど来申し上げておりますように、私に対する御質問でございましたらば、現在の法律に即して、それに従って仕事を処理していく以外はないのでございます。郵便法第三条は、独立採算制を原則とすることをうたっておるのでございますから……
  272. 山中郁子

    ○山中郁子君 そんなことを聞いてないです、いいです。  私にと言うけれども、私は郵政省に伺っているんですよ、だから大臣に答えていただけば一番いいんですけれども、だからいま私は大臣に伺ったんです、そうでしょう。  一般会計からの繰り入れがあり得るということを言っていらして、それじゃどういう場合に繰り入れるのか、考え方ですよ、郵政省の。もう私繰り返しませんけれども法律がどうとかそんな問題じゃないんです。繰り入れようと思えば法律をそうすればいいんでしょう。そういうことをどういうふうに考えているのかと、どういう場合に繰り入れるのかと、そのことを聞いているんです。私は、いままさに、いまのこういう事態のもとで郵便がどうしても赤字だと、立ち行かないと、こう言うならば、いまこそ一般会計から繰り入れるという姿勢を郵政省がとるべきではないかと、このことを言っているんです。
  273. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先生の御意見もよくわかります。よくわかりますが、私は絶対に今後いかなる場合があっても一般会計から繰り入れるということはできないんだということは申し上げたくありません。  ただ、その場合は、これはもう立法府で決めることでありまして、法律がなければ一般会計から繰り入れることはできない。そうしますと、今後、そういうことがあっちゃならぬ、そういう非常な大きな、いわゆる緊急というか、非常な事態にならなければ、一般会計から繰り入れるべきでない。戦後のあの混乱状態のときに何遍値上げしてもどうも追っつかないというので、やむを得ずあの法律を出して一般会計から繰り入れたんだろうと思いますが、今日では、利用者に適正な御負担を願って、適正な負担によって、一般会計からの繰り入れがなくても、郵便事業がどうにか健全なサービスのできるような経営のできるようにということを念願いたしまして、この法案を提出しておる事態でありますので、いまの段階で一般会計から繰り入れるというようなことは毛頭考えていないのであります。
  274. 山中郁子

    ○山中郁子君 それではちょっとお伺いしますけれども、いま読み上げました郵便法成立当時の政府の見解の中の、これは郵政省もいまも認めていらっしゃるんですが、「郵便事業自体の本質を束縛するものではない」こう言っているんですけれども、「郵便事業自体の本質」というのは、それじゃ何でしょうか。政府がここで「郵便事業自体の本質を束縛するものではない」と言っているのは何でしょう、「本質」というのは何ですか。
  275. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 当時の社会経済情勢というものは全く異常な状態であったと記憶いたしております。郵便事業のみならず、国鉄等他の事業におきましても、全くいまと——いまも必ずしも先生おっしゃいますように万全とは言えないかもしれませんけれども、一年間に賃金と言わず物価と言わず倍を超えるというような特殊な事態でございますし、占領下という特殊情勢にあったところでございますから、いま、そのときと比較して、だからということには私はならないのじゃないかと考えております。
  276. 山中郁子

    ○山中郁子君 ここで言う「本質」というのは何ですか、どのように理解されていますかということを伺っているんです。大臣はどのように考えられますか。私はこんなのは自明の理だと思っているんです。いままでここで何回も議論になっていることなんだから、郵便事業の本質というのは。
  277. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは第一条に示されている、要するに、あまねく公平にその役務を行うということが私は郵便事業の本質だと思っております。
  278. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのことについて私は別に意地の悪い聞き方をいましているわけじゃないんです。というのは、ここで言っているのは、独立採算制というようなものは時の政府の方針として言えるけれども、これは郵便事業の本質を束縛するものでなくて一般会計から入れるんだということを言っているんです。何回も私言いましたし、見ていただけばわかるんです。  この場合に、郵便事業の本質と言っているその本質というのは何かということは、郵政省自身も何回も何回も繰り返して言われたように、郵便というのは、どんな遠くへ行っても、山間僻地であっても、一人の人に一枚のはがきを届けるんであっても、それを保証しなければいけない、そのために一人の人が長い時間かけてそれを届けに行く、人手がかかる、お金がかかる、そういうものなんだということなんですね。これが郵便事業の本質なんだと言っているんです。だからこそ、独立採算とは言うけれども一般会計から入れなければならないんだということを政府郵便法の成立のときに言っているんです。これは郵政省いまだに否定されていないんです。この政府の見解は正しいと、こういうことを繰り返し言われているんです。  だからこそ、いまの時期のこの問題の時期に当たって、郵政省が一般会計から繰り入れるという問題を頭から考えないで、毛頭ないということは、何の理論的根拠もないでしょう。政府の見解から言って理論的根拠はないでしょう。入れたいけれどもお金がないというならば、またそれは別の話です。だけれども、毛頭繰り入れる気持ちはない、そういうことを大蔵省に要求する気持ちもないということでは違うと、私はそれを言っているんです。  で、いま経理局長がそんなことおっしゃったから、私はあえて、こんな問題を言うつもりはなかったんですけれども、あえて言いますけれども、占領下の一時期の問題とかそういうことじゃなくて、郵便という事業は本来的にそういうものなんだということが、一つのこれはちょっとクラシックな資料なんですけれども、前島密が初めて郵便規則をつくったときの序文の中にそれを明確に書いているんです。こういうふうに書いていますね。  政府の力をかりなくて——これはいま風に私は文筆を直しますけど、政府の力をかりないで何で山間僻地まで二つや三つの信書を達することができるだろうかと、で、これを達しようとすれば大いに価を増さざるべからず。価というのは価値の価ですね。だから、これを達しようとすれば大いに経費がかかるんだと、何で同じ値段で、そして安い料金であまねくいろんなところにこういうものを送達することができるだろうかと、当然、政府のお金が出るんだということを言っているんです。これが一貫して流れてきている郵便事業の本質なんですよ、そうでしょう。  で、その本質にのっとって、政府は、郵便法のときに、独算制ということは時の政府の財政方針だけれども、その本質を何ら束縛するものではないと、こういうことを言っているんです。だから、占領下の一時期の特殊的な、今後、絶対、ほとんどあり得ないと害われるような特別な状況のもとでやるということではないんです、そのことを私は申し上げているんです。どうですか。
  279. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵政事業の本質は、私が申し上げました第一条を尊重していくということと、先生の御意見と全く同じだと思います。  どんな山間僻地といえども、あまねく公平にこの役務を行わなければならないということでありますから、これはもう当然過ぎるほど当然ですが、第三条には今度……
  280. 山中郁子

    ○山中郁子君 独立採算であっても、だからこうだと言っているんです。
  281. 村上勇

    国務大臣村上勇君) とにかく独立採算制をしかざるを得ないような規定に第三条はなっておりますので、やはり私どもはそれを守っていくと、しかし、絶対にあり得ないと、どんな震天動地の時代が来ても一般会計からはあれしないんだということは、これはあり得ない。それは要するに終戦直後のようなああいう状態では、これは一般会計から法律によって繰り入れたときもある。しかし、それから後、約何十年ですか、二十五、六年もうそういうことをしたことがない。でありますから、いま、私どもは、やはり、今後も絶対ないとは私申しませんけれども、なるべくそういうことのないように処理して健全な経営をしていきたいということが私どもの熱願でありまして、大体、そんなに意見はあなたとも食い違っちゃいないと思います。
  282. 山中郁子

    ○山中郁子君 大いに食い違ってます。私の意見はまさにいまこそ一般会計から繰り入れる、そういう時期ではないかということを言っているんですよ。で大臣は繰り入れないと、こう言っているんでしょう、これは全面的に意見は食い違っているんですよ。余りいいかげんなことをおっしゃらないでほしい。  私は、そういう意味で、郵政省の言う根拠は明らかでないというふうにそれは言わざるを得ないと思います。つまり郵便事業の本質を束縛するものでないということは、郵便法第三条のいかんにかかわらずあるんです、政府の見解としてあるの。で郵便事業が発足して初めて郵便規則をつくったときから一貫してその本質があるんです。だからこそ、そういう事態のもとで当然赤字になる部分が生まれてくると、これはだれが考えてもわかることですよね、遠いところまではがき一枚届けに行くんですから。だから、それを国民の受けるべき当然の権利、あるいは政府が果たすべき義務として施行するならば、行うならば、必ずそれが国のお金をつぎ込まなきゃならぬということをちゃんとこう前島密は書いていますけど、一貫してそれが本質だということなんですね。  だから私が聞いているのは、それではどういう場合に繰り入れるんですかということを聞いているんですけれども、終戦直後、第二次世界大戦の終わった直後の状態が再び来ない限りは繰り入れないという結果になるのかどうかわかりませんけれども、そういうことではなくて、まさに国民生活との関係、要求との関係、そういうことから政府がそのことを考えなければいけないということだと思います。こういうことが一方にあります。  それからもう一つ、その独立採算ということについて、やみくもに何が何でも足りないものは全部入れるということでいいではないかというふうに言っているんじゃないんです。これも前に申し上げたことは繰り返しませんけれども、たとえば共通経費だとか管理部門の経費だとか、そういうものは当然一般会計で見るべきであるというふうに考えておりますけれども、いま現在、郵政省が一般会計から見ている人件費、これは郵政大臣と両次官ですか、それから秘書官ですか、この四人は見ているということはもう前に明らかになっていますけれども、そのほかにどういう部分を見ていますか。
  283. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政省の職員のうち、ただいま先生の申された職員以外には、電波監理関係の職員、電気通信監理関係の職員は一般会計支弁でございますが、その他の部門はすべて特別会計支弁と相なっております。
  284. 山中郁子

    ○山中郁子君 これの区別は何によっていますか、根拠です。
  285. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 根拠と申されますが、直接的な根拠は、一般会計予算及び特別会計予算のそれぞれの積算に従ってやっておることでございますし、当然のことながら国会の御承認を得ておるものであると考えております。
  286. 山中郁子

    ○山中郁子君 いえ、区別というのは、たとえばなぜそこの部分の人たちを一般会計で見て、その他を特別会計で見ているのかという意味の区別の根拠です。これは行政担当だからということでしょう、私言ってしまいますけれども、それ以外の何か根拠がありますか。
  287. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 法律的な意味における根拠ということになりますと、これはたとえば郵政事業特別会計法におきまして「(郵政事業の範囲)」というものが決めてございます。  もう一つ、「国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法」という法律がございますが、この特例法第二条二項におきまして「国の経営する企業に勤務する一般職の国家公務員」を二つに分類しておりまして、「管理又は監督の地位にある者のうち政令で定める官職にある者」と、その他の職員に分けておるのでございますが、この政令で定める職員というのにつきまして、これは特例法の施行令で具体的に定めておるのでございますが、官房長、局長、以下課長等の官職が明示されております。この点が、法律上の根拠というお尋ねでございましたらば、これがそれに当たるのではないかと考えておる次第でございます。
  288. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっと御理解が違うんですけれども、私が聞いているのは、なぜ大臣ないしはそのほかの、いまお話があった方たちの給与、人件費は一般会計で見て、ほかは全部特別会計なのかと、これは何で分けるのか。つまり法律の根拠ということだけじゃなくて、私は、行政職、行政的な面とそれから郵便事業事業分野と、こういう考え方で分けて、それぞれ支弁の根拠をつくっているというふうに理解をいたしますけれども、そうではないんですか。
  289. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 基本的にはそういった考えがあろうと思いますが、截然と、こちらは行政、こちらは事業というふうにはっきり区別することはなかなかむずかしいわけでございます。  たとえばこの私の仕事を考えてみました場合、行政的な部分が全くないかと言えばそういうことはないわけでございますが、日常、郵政事業特別会計の仕事そのものに携わっておる部分が非常に大きいわけでございます。そうした点から、先ほど法令名を挙げましたが、その規定によりまして特別会計支弁ということに分けられている、このように理解しておる次第でございます。
  290. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、やっぱり洗い直しをする必要があるんじゃないですか、私は本当にそういうように思うんです。  つまり官房長を初め大臣官房の仕事というのは一体どういう仕事なのか、大臣の補佐でしょう。そして行政ですよね、まさに。大臣ないし両次官、秘書官、そうした人たちが一般会計から人件費が賄われているということは行政の部分であるからです。で郵便の部門については特別会計からだと、事業会計からだと、こう言われてきているわけです、ずうっとね。そして赤字だと、こう言っているんですね。このこと自体が非常に問題があるということは再三指摘をされてきました。それで少なくとも、それじゃ管理部門、大臣官房のことを考えてください。大臣官房は郵便事業ですか、事業会計で賄わなければならない、そういう性格を持っていますか、行政面と事業面と分けるならば。  で、いままさに経理局長自身もおっしゃったように、私自身についてもいろいろな要素があると、こうおっしゃったわけでしょう。だけれども、経理局長人件費郵便事業会計で賄われているわけでしょう。そういう不分明なことがいっぱいあって、つまりかなり郵便会計は食われているわけですよ。本来郵政の行政面で支弁すべき一般会計のたてまえを認めるとしても、そのたてまえから言っても郵便会計は大変食われていると、この問題一つだけとってみても言えると思います。  この問題について、洗い直しをすることが必要なんじゃないですか、いかがですか、大臣
  291. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど申し上げましたとおり、私個人をとりましても行政的な部面が全くないかどうかということになると、これは全くないということは申し上げられませんが、先ほども申し上げましたとおり、非常に大きい大部分が特別会計の仕事に携わっておるという点からして、特別会計支弁ということになっておると思いますし、これは実は郵政省設置以来ずっとこうなってきておったというのが実情でございます。
  292. 山中郁子

    ○山中郁子君 また私が怒らなければならないようなことをおっしゃるんですけれども郵政省設置以来そうなっているから何にも改めて見直しをしたり解決をしようとしないという姿勢が問題だということを最初から言っているんです。  そこはもうはっきりしていただきたいと思いますけれども、私の申し上げたのは、そういう意味で経理局長の仕事自体とってみても、御自分でここで認めざるを得ないように、郵便事業の面で支弁すべき内容でないものがいっぱい含まれているわけです。で少なくとも大臣官房一つとってみても、かなりな人数がいらっしゃると思いますけれども、そこの人件費まで郵便事業会計から支弁されるということ自体矛盾です。私がこの問題についてなぜ申し上げるかと言いますと、赤字が出れば一般会計から何でも入れればいいんだという、そういう単純な議論をしているんじゃないということなんです。つまりそういうふうに管理面だとかあるいは共通経費だとか、いわゆる郵便事業が賄わなくてもいいもの、理屈から言っても賄わなくてもしかるべきもの、そういうものを取り除いていけば、いま郵政省が赤字赤字だと言っていて、そして値上げをしなければ賄い切れないのだと言っている金額の部分は、しかるべき理屈、理由、根拠をもって一般会計から支出することができるということを一つの例としていまの問題で申し上げているんです。  そういう点から、見直しをなさる気持ちがないですか。
  293. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先ほど来申し上げておりますように、大部分の仕事が特別会計ということでございますれば、特別会計支弁にしても差し支えないものと考えております。
  294. 山中郁子

    ○山中郁子君 かなりな程度にあるという話から大部分がという話になって、大分量的に動いてきているんですけれども、いずれにいたしましても、たくさんの方がいらっしゃる中で、仮に一部分であったとしても、それはそれだったらちゃんと特定局の案分比例をおたくが細かい数字でもってするようになさったらいいじゃないですか、それでなきゃ理屈は通らない、そうでしょう。片方ではそういうことで数字で分けて、そして郵便事業だというふうに押しつけておいて、そして郵便行政部門の仕事をたくさんの人たちがしていることをおたくは認めながら、その一割なら一割でもって計算なすって、それを一般会計から出すようなことを考えたらどうですか、それでなきゃ理屈は合わないじゃないですか。  大臣官房の仕事なんというのは、郵便事業と行政の面とどっちが多いですか。
  295. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 大臣官房のことについてのお尋ねでございますが、大臣官房もいろいろと仕事は持っておりますけれども大臣官房全体としての仕事を申しますと、官房に課があり、また資材部、建築部とそれぞれございますが、その仕事の内容について、特別会計、一般会計というふうな分類をすべて細密にすることはまあ計量的にむずかしいかと思いますけれども、たとえば建築部、これはほとんど特別会計の仕事をやっております。また資材部につきましても、同様のことが言えるかと思います。また、官房の中にあります各課につきましても、それぞれ見ますと、特別会計の関係の仕事をやっておるところが多いわけでございます。  また、もう一つ申し落としましたが、官房の中にも首席監察官以下監察の部門がございますが、この関係も、監察の対象となります大部分が特別会計に属しているということでございます。  なお、この特別会計というのは郵便と限りませんで、いわゆる郵政特別会計、つまり郵便、貯金、保険を内容とするものでございますので、この点はひとつ御了解願いたいと思います。
  296. 山中郁子

    ○山中郁子君 計量することがむずかしいから特別会計だと、こうおっしゃっているんですね。片方でそれじゃ実際の特定郵便局なり何なり現場でどういうふうに分けるのかということを私たちは何回も追及しました。計量することがむずかしいからこういうふうにせざるを得ないんだと、こう言っているんです。片方では郵便会計に持ち込むものは、計量することがむずかしいけれども郵便会計に何らかの計量の仕方をおたくはして持ち込むわけよ。片方では計量することがむずかしいからと言って一般会計の方へ持ち込まないのよ。それは矛盾しているじゃないですか。そこが、だから根拠なんです。  私がいまここで言うのは、つまりそういう矛盾がいっぱいあるんです。これはもっともっとありますよ。そういう矛盾がいっぱいあって、なおかつ郵便会計として分けざるを得ない、事業会計として分けざるを得ない、そういう事態のもとで生み出される赤字は、だから当然のことながら一般会計から支弁してしかるべき内容を持っているんだと、つまりそういうものが本質的にあるんだということを認めざるを得ないでしょう。そうしなければ、どうして郵便の現場における切り分け方は、計算することが大変むずかしいと言いながらあなた方は計算しているんですよ、いろんな数字を持ち合わせてね、案分して、正確にそのものずばりで出せないんだということは認めているの、それでも計算しているんですよ。だけれども、いまのお答えのように、一般会計のいわゆる行政部面の仕事をしているけれども、それは計算することがむずかしいから特別会計に全部依存してますと、片方ではそういうことをやっているじゃないですか、これは矛盾しているじゃないですか。
  297. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 現場における経費につきまして、これは確かに分計していることは間違いございません。これははっきりと業務によって分けられる部面もございますし、共通的に分けてやる部分もございます。  しかし、本省の職員、特にたとえば郵務局ということであれば、これは郵便業務の管理に携わっておる、貯金局、これは同様為替貯金事業というふうにこれははっきりいたしますが、官房等については、本当にこれは事実むずかしいのが実情でございまして、そうした点から、主たる部分に分けているというのが現実の姿でございます。
  298. 山中郁子

    ○山中郁子君 時間も余りないので、私は端的に言いますけれども、いまの御答弁で明らかになったように、郵政省自身が郵便会計が赤字だからということのその理由づけが明らかにされないんですよ。片方では切り分けられないと言いながら切り分けているんです、そして片方の部分については切り分けられないと言いながら全部郵便会計におぶせているんですよ、この矛盾はもう認めざるを得ないでしょう。私はいまこの矛盾を申し上げているんです。  そうしたら、それについて見直してみる、検討する価値がありますねとなぜ言わないんですか。最初のことと、それがそこにまた返ってきますけれどもね、なぜそういうふうに一生懸命言い逃れしようとしているんですか。そういう矛盾について、それじゃ見直してみよう、検討してみようということがなぜ言えないんですか。
  299. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大変参考になる御意見でありまして、いままで何十年という一つの慣習になっておりますが、いまの御指摘の点については、一遍、私も検討してみたいと思います。
  300. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、その本質の問題に絡めてそのことを具体的な例として申し上げました。つまりそれほどに矛盾の多いものです。ですから、どうしたって必要なものは国の経費、一般会計から賄わなくちゃいけない。これは先ほど申し上げました郵便事業の本質と照らしても、それからいま申し上げました実情の矛盾と照らしても、紙の裏表のように一致するものなんです。結論的にどうしてもそうならざるを得ないんです。そのことを強く主張いたします。  最後に、私は、スト権問題の論議の中で若干出てきた問題とも関連はいたしますけれども政府声明とは別に、郵政大臣が、新聞によって報道されているものによりますけれども郵便料金を法定事項から外すということを考えていきたいと、政府の認可制にするなど料金制度のあり方を今後十分考えていきたいと、こういうふうに述べたという報道がありました。で、そのことについて私はどういう考えをお持ちなのか、その報道が真実であるのかどうか、そのことについて大臣考え方をお伺いいたします。
  301. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、記憶にないことでございます。いわんや、いまこの郵便法の御審議を願っているこの国会中に、私がそういう発言をしたり、そういう考えを持つということは、これは間違っていると思います。私としては、そういうようなことを、どういうところで申し上げたか知りませんが、私にはそういう記憶はありません。
  302. 山中郁子

    ○山中郁子君 報道は、八月二十七日の自民党通信部会で村上郵政大臣云々という、そういう形になっております。それで郵政大臣がそういうことを述べたこともないし、そういう考え方も持っていない、そういうことは間違いであると、このように言明されるならば、それは結構でございます。  で私はそのことを確認いたしますと同時に、郵便料金が現在ここで国会審議をされている。もう繰り返し申し上げましたように、これが国民生活に多大な影響を与える、それに対して政府郵政省は十分に掌握をなさっているはずです。国会審議を尊重されるならば、ここで多くの委員が、私も含めて、申し上げたことは十分おわかりになって、そしてそれについての責任ある対応の仕方をされるはずだというふうに思います。そういうことでなければお約束も違うし、また議会制民主主義に基づく政治を進めるという、そういう立場に反することにならざるを得ないというふうに考えます。  私は、何としても、この国民に大きな影響を与える郵便料金の引き上げを政府が撤回をする、国民の声をちゃんと素直に聞いて、実態を正しくつかんで撤回をする、そうした姿勢を固められるはずであるということを強く主張いたしまして、質問を終わります。
  303. 木島則夫

    ○木島則夫君 先国会廃案となりました郵便料金の大幅値上げ案が、同じ内容で再び提案をされております。前の国会から引き続いて、国民の声としては料金値上げ案を撤回してほしいという、これが圧倒的でございます。そして反対を表明する中で、もし廃案がむずかしいというのならば修正でもいいという声もあることも事実でございます。また郵便に関連をする業者、そこに働いておいでになる方々から、直接陳情という形であるいはまた手紙、文書という形で毎日私のもとに訴えがたくさん寄せられているという、こういう事実の中でこれから私が御質問を申し上げようとしている、そのことを踏まえていただいて、お答えは簡潔に密度の濃いものを私は要求をしたい、そのことをまず冒頭で申し上げてから具体的な質問に入りたいと思います。  値上げをした場合、郵便物数は例外なく減っているわけであります。で過去値上げをした年にどのくらい郵便物数が減っているのか、四十年以降について値上げの年度と幅ですね、そしてそれに伴う郵便物数の減りぐあいを教えていただきたい。
  304. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) まず昭和四十一年度の料金改定の際でございますが、値上げ率が四二%ということであります。物数の増加率は、改定前の四十年度が対前年度比五・七%の増加であったわけでありますが、この四十一年度それから四十二年度、それぞれ対前年比二・七%の増加ということでございますので、相当落ち込んでおるわけでございます。  それから四十六年度の料金改定の際は、値上げ率は五四%でございます。で四十五年度の物数の増加率は対前年度比五・九%の増加でありましたのが、料金改定は通常郵便物が四十七年二月であり、その関係もございまして、四十六年度は対前年比四・一%の増加となりましたけれども、その値上げの非常に大きな影響を受けます四十七年度につきましては対前年度比二・二%ということになっております。
  305. 木島則夫

    ○木島則夫君 今回の値上げは、実に、はがきが二倍、封書が二倍半という大幅な値上げを目指したものでございます。で、しかもそういう中で不況は深刻です。年賀はがきの売れ行き不振などにも見られるように、不要不急の郵便を控えるという抑制ムードが広がっていることも事実ですね。で郵便のほかに通信手段が格段に多様化しつつある現状、つまり郵便の地位の転換など、こういったものを考えますと、値上げに伴う過去の郵便物数の減少などに比較をしてもっともっと厳しい状況があらわれてくるのではないだろうかと、その辺の見通しは私は郵政省甘いと思う。  実は、こういうことを私が申し上げるのは、だから厳しい環境の中で郵便料金値上げしてほしいというふうにとられたら、これは大変です。そうじゃない。郵便事業は危殆に瀕するような要素をこの値上げは持っているということを私は御指摘申し上げたい。どうですか。
  306. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに先生のおっしゃるように、この環境の中で料金改正をいたしましたときの物数の増加の見通しというのは非常にむずかしい面があろうかと思います。  ただ、私どもは、過去における郵便料金改定後の郵便物数の動き等も勘案しながら見込むわけでございますが、過去の料金改正前に比べる物数の増加率の低下、それよりも相当今回の料金改正案による物数の減少という点につきましては相当厳しく見ておるつもりでございます。と申しますのは、五十一年度におきましては、対前年度比約五%程度の落ち込みがあるというふうに考えておる次第でございます。なお、先生指摘のように、この環境が大変厳しいということにつきましては私どももよく理解できるところでございまして、この見通しにつきましては、なお変動があるかどうかということについては今後問題があろうかと存じております。
  307. 木島則夫

    ○木島則夫君 なお今後変動があるかどうかについてはそこに問題があるという、その辺をやはりきちっと踏まえませんとね、私は大変なことになると思いますよ。そしてその郵便事業を維持するためには、郵便事業の独占が保たれる範囲で料金が維持されないと事業自体が危なくなってくるということも事実だと思うんですね。そこら辺が非常にむずかしい。  で先ほどからのお話を伺っておりますと、独立採算制というものは続けていくんだということですね。まあ一般会計からの援助とかいろいろお話がありますけれど、どうもその辺は平行線です。で現状をとらえると、要するに独立採算制という現在の形は貫いていくんだというお話ですね。そうすると、いま私が言ったように、郵便事業の独占が保たれる範囲で料金が維持されないと事業自体が危なくなってくる。今回の大幅な値上げ案というものはこの郵便の独占を危なくする要素を多分に持っていると考えられないか。そういう認識がないと、とんでもないことになるということを私はいまは申し上げているんですけれど、この辺の認識を聞かしていただきたい。
  308. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便事業は、近年における異常な物価高騰などの影響を受けまして、大幅な赤字を生じましたので、今回、料金改正をお願いしているわけでありますが、最近、物価も安定してまいりましたので、経営努力をなお一層重ねながら独立採算制を貫いてまいりたいと思っております。
  309. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ私の質問に即した生き生きとしたお答えを要求したんですから、生き生きとしたお答えがはね返ってくることを私は希望したい。  独立採算でやっていきますと赤字を繰り返す、政府の原案どおりの値上げが行われましても五十年度末で二千三百五十億の赤字が出るんですね。で大勢としては、さっきから私が申し上げておりますように、不必要な郵便物はできるだけ出さないようにするでしょうね。必要なものであっても、郵便局に依頼をしないで、ほかの手段に移行をすることも考えられる。そのほかに、余り料金が高くなると、欧米ではすでに台頭をしております民間業者が必ず日本でも私は出てくること、必定だと思います。そうしますと、必然的に郵便事業自体というものが縮小をするわけです。で郵便事業が縮小をすればどうしても値上げの加速という状況が出てこざるを得ない。そしてこれを補てんするために一般会計からの財政援助が必要だ、必要だということを言っても、なかなか平行線でかみ合わない。そうこうしているうちにじゃないけれど、世の中はどんどんどんどん変わっていって、こういう議論を置きざりにして世の中の変革が先に行っちまっているというのが私は現状認識ではないかと思いますが、郵政大臣、いかがですか、私の認識間違っていますか。
  310. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 間違っているとは申せませんが、しかし、そうこの情勢を悲観的に見る必要はないと私は思っております。
  311. 木島則夫

    ○木島則夫君 あるいは失礼な御質問かもしれませんけれど、大臣には序列というものがあるんでございましょうか。総理大臣は何といっても一番私は重い責任がおありになると思いますけれど、どうなんでしょうか、大臣には序列というものがあるんでございましょうか。
  312. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 国務大臣は、皆、同じことと思います。
  313. 木島則夫

    ○木島則夫君 私もそうだろうと思います。もしも郵政大臣にはだれでもなれるんだという認識で郵政大臣というポストが与えられ、あるいは見られているとしたならば、私は大変な問題だと思うんですね。どうも政府自体にそういう見方がないだろうか。  もちろん、村上郵政大臣は、大臣というものは、国務大臣、どれが低くてどれが重いということはあり得ない、みんなが重要だと言う。そのことに間違いはないと思いますけれど、思いますけれど、私は、これだけ複雑化した現在の情報化社会の中で、その手段も多岐にわたっている。郵便からそうして通信など、全体を掌握してコントロールしていく郵政大臣というもののポストというものは、私はもっともっと重要視されていいんだろうと思うけれど、まあ具体的にどうこうというのではないけれど、感覚的に見ると、どうもそういう扱われ方をしていないということは、政府自体の現在の情報化社会に対する認識が不足しているというふうに私は端的にとってしまう。間違いでしょうか。
  314. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まあ人それぞれの考え方です。私は、あなたのお考えも間違っているとは申しません。
  315. 木島則夫

    ○木島則夫君 過般の委員会でも、大臣は渾身の努力を払うとお約束をされておりますね。何に対して渾身の努力をお向けになりお払いになるのか、確認をさせていただきたい。
  316. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵政事業の健全な運営についてであります。
  317. 木島則夫

    ○木島則夫君 そこで、どうしても伺わなければならない問題としまして、郵便のあるべき姿をきちっと把握しておかないとどうにもならないという現状でございます。もうこれもほかの委員からいろいろ御議論があったところでありますけれど、「郵便の将来展望に関する調査会」が設けられまして、ここで広く部外の専門家の知識を集めて研究がようやく行われているのもこのためだろうと思うのですね。で従来から余り触れられなかった郵便の本質に触れようとする、つまり郵便の本質論あるいは社会的な機能論というのですか、郵便メディアの変化などを深く掘り下げる必要が出てきたからだと思うのですね。私は遅過ぎると思う。もっととうからこういうことは私は研究されていなきゃならないし、しかるべき機関でもってきちっとこういう問題の把握、将来展望というものが行われていなければならないと思うのですね。私ははっきり申し上げて怠慢だと思う。  なぜ遅いのか、お考えになったことございますか、なぜ遅くなっているのかということ、いかがですか。
  318. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私の考えでは、他の通信機関が非常に完備してきているということで、郵便の利用度が他に相当転化していくということを警戒しなきゃならぬと思っております。
  319. 木島則夫

    ○木島則夫君 警戒しなければならないならばなおのこと、こういった私は将来展望に関する調査会がもっと早くできて、そして郵便事業の本来あるべき姿というものを模索、思索、方向づけ、そしてそれに伴う具体策というものが出てこなければならなかったと思いますね。そのこと自体、それこそ時々刻々に変わっていく変化の中ですでに取り残されているのじゃないか。もっと言葉をかえて悪く申し上げるならば、郵便事業の過去の亡霊に取りつかれているから、なかなか体質改善なり前進ができないのだというふうに私は申し上げるのですけれど、言い過ぎでしょうか、大臣。この辺は非常に大事なんです、具体論を私がこれから伺う前提としましてね。この辺がはっきりしてないと料金の問題なんか検討できない、本当は。ちょっとその辺を、郵政事業の将来展望も込めて、大臣からひとつ確たるお話を聞いておきたいのです。
  320. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘のとおりです。非常に将来の展望についてはもう少し早く相当研究を要するものであろうと、そう思っております。
  321. 木島則夫

    ○木島則夫君 そこで少し具体的にお伺いしたい。  で具体論をお伺いをする前提としまして、私は郵政事業についてはいわば素人でございます。郵政事業の中でお育ちになったり、あるいは深くこれと関連をお持ちになっている方の御議論を伺いますと、なるほどなあという現実の上に立っての大きな示唆なり教えられる点がたくさんございます。しかし、そういう方の御意見も大変貴重でございますけれど、私は、一歩距離を置いて、うんと客観的にマクロ的な見方をするというのも、この際、国会のあるべき討論ではないだろうか、あるべき議論ではないかという意味で、多少飛躍したお話になるかもしれませんが、その辺はお許しをいただきたいと思うのであります。具体的な問題でございますから、もちろん大臣でなくても結構でございます。  最初に、現在の郵便のシステムはこのままでいいんだろうかという問題でございますけれど、どうでしょうか。
  322. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘郵便のシステムという意味が私よく把握できません、時代の趨勢に従って郵便の処理の仕方あるいは郵便サービスのあり方というものは絶えず考えていかなければならないきわめて重大な事柄であろうと思います。  先ほど先生の御指摘のございましたような「郵便の将来展望に関する調査会」にいろいろ研究をお願いいたしておりますのも、一つは、そういった需要の実態を踏まえながら郵便の処理のシステムあるいは配達のあり方、郵便全体の流れをどのようにしていくかという将来のあり方、そういったものの全体を把握するためにそういう基本的なデータの研究をお願いしているわけでございまして、先生指摘のように、このシステムについては非常に大きなわれわれに課せられた課題であろうというふうに考えております。
  323. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便論議する上で、これも非常に具体的な例なんですけれど、明治以来のモットーとなっておりますのは迅速、安全、確実というのがございますね、これは間違いありませんね——迅速、安全、確実というのがあります。この三点は、私も当然だと思いますけれど、どうも私は現在の郵便のほかにいろんな通信手段が多様化してきた、そして非常に発達をしてきた現在、こういう明治以来の郵便のモットーというか、あるべき理想という迅速、安全、確実という、こういう順序、並べ方というものでいいんだろうか。これを郵政当局皆さんは全く疑問というか、全く疑問視すらなさらずにこの順序をそのままぱっと目の中に入れて通り過ぎていらっしゃるのではないだろうか。私は大変ひっかかる、この辺に。いかがですか。  この三点を否定しているんじゃない。迅速ということを取っちまえなんていうことを私は言っているんじゃない、大変大事なんです。いずれも大事ですね、これは。いずれも大事なんだけれど、明治以来の郵便のモットーが今日までこういう順序で並べられているそのこと自体に問題はないだろうかということです、いかがですか。
  324. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに先生の御指摘のように、従来、迅速、安全、確実ということにつきましては郵政事業のモットーになってきておるわけでございますが、ただ、迅速という面につきまして、私どもは、今後とも必要だとは思っております。これは先生の御指摘のとおりでございます。  ただ、時代の大きな流れの中で、郵便以外のメディアの迅速性、たとえば電気通信の迅速性と比べてこれに対抗するということにつきましては、とても郵便事業は及ばないわけでございます。また同時に、郵便事業の中の問題をとってみましても、果たして現在の処理状況、処理方法あるいは配達方法がそのまま現代的に見ていいか悪いかということになりますと、私はそのままで必ずしもいいとは思っておりません。たとえば送達の回数の問題あるいは郵便の配達の場合の受け箱設置の問題、あるいは局内作業にいたしますと、ある程度大量処理のメリットを生かすための機械化の機械の導入、こういったような事柄がそのままやはりいまのモットーと関連していろいろとその時代的な意味は変わってくると思います。そういう意味では、私は先生の御指摘はごもっともな御指摘ではないかと考えます。また、われわれは、将来、そういう郵便事業が置かれておるこの現状、時代の流れというもの等を十分勘案しながら、その時代の流れに即応するようなサービスというものに改善していくよう努力を続けなければならない、このように考えております。
  325. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は郵政事業なり郵便事業についての素人でございますから、現在の多様化した通信手段、しかも非常に技術的に発達をした通信手段、情報化社会の中にありまして、こういう迅速、安全、確実というものを目に見た途端にやはり非常に疑問に思うのですよ、こういうものが。で、それをあなた方は素通りされているところにすでに、何と言ったらいいのでしょうか、なれっこになっているというか、私は世の中の移り変わりに対する反応というものを本当に身をもってそれをお受け取りになっていないのではないかというふうに思わざるを得ないのですよ。  私のこれはこうせいということではないのですよ。この順序を私だったら入れかえますね、入れかえていいと思う。どうでしょうか、そういう必要がもう起こっているんじゃないでしょうか、入れかえる、入れかえ作業、どうですか。
  326. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは言葉の問題でございまして、国民に対するサービスをするということにつきましては、できるだけ早く処理し、早く届けるという意味での迅速というものは守っていかなければならない。私どもは、その意味で理解しておるのでございまして、先生の御指摘のように、確かに現在郵便が一番何が大事かということになりますと、送達速度の安定ということがやはり一番大きな事柄ではないかと思います。ただ、これは過去からのいわゆるモットーのようなものでございますので、そのままそういう並べ方をしておるわけでございますが、そういったどれもすべてが大切でございますけれども、何が一番大切かということでございますならば、私は、現在の時点における郵便は確実な送達というのが一番大切な事柄ではないか、こういうふうに考えております。
  327. 木島則夫

    ○木島則夫君 別に字面から私はこだわっているのじゃない。しかし、内容的に社会が置かれている現在の状況を踏まえると、私はやっぱり実質的な並べ方の変更があってしかるべきではないかと、そういうふうに言っている。  で、いまおっしゃったように、確実というのが一番大事ですね、確実。どうですか、そういう意味で、このいまは迅速、安全、確実というふうになっているけれども、あなただったらどういうふうに並べますか。
  328. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 実は、その一つの例を申し上げますけれども、たとえば私ども内部でも規程の上では正確、安全、迅速な送達を期するという言葉を現に使っておる場所もございます。私ならば、やはりそのように並べたいと考えます。
  329. 木島則夫

    ○木島則夫君 非常に素直に御認識をいただいてありがたい。世の中というのはそういうふうに変わっているのですね、変わってきている。  ところが、迅速が頭にあるものだから、やたらに迅速、迅速、迅速というのがもうこびりついちゃって、そういうものに、悪いけれど、振り回される余り、これも言い過ぎだったらお許しをいただきたいんですけれど、しないでもいいサービスをしちゃうわけですよ。それは郵便の迅速ということだけに埋没をしちまって、いわゆる水平思考ができない。その結果の、私は、少し何というか、振り回され方がはなはだしい現実ではないかと思うんですね。  大変いま素直にお認めになりましたので、これからちょっと書く順をかえてくださいね、これから、本当に。確かにこのとおりです、いま私が申し上げたし、お答えがあったとおりだというふうに私も認識をしている。そうすると、いま言ったように、これが迅速が頭にきていると不必要な機械化をしたりということで錯誤が生まれるのですね。それがあたかも国民に対する本当のサービスであるかのごとく認識をしながら虚構の上に郵政事業が成り立っていく、そのことが現実との格差を余りにも大きくし過ぎているというのが私の現在郵政事業に対するとらえ方なんです。間違いでしょうか。
  330. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のように、郵便事業がその時代の流れに応じてあるべきサービスを提供するということは必要であろうと思います。現代における郵便のサービスはどのようにあるべきかということをわれわれ真剣にいま取り組んでおるわけでございますが、たとえば先生の御指摘のようなサービスが行き過ぎておるというような面につきましては、これも将来改めるというような方向について検討を続けておるところでございます。
  331. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便の時間別の差し出し状況というのでしょうか、こういう言葉が正確に当たっているかどうかわかりませんけれど、一日の朝、昼、夜、時間別の差し出し状況を教えていただきたい。
  332. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは過去からずっと同じような傾向をたどっておるわけでございますけれども、現在、郵便の利用実態を見てみますと、一日のうちに大きな波動がございます。たとえば夕方に郵便物が集中するという傾向は、現在も変わっておりません。  一例を挙げますと、都内の大局でございます日本橋局について見てみますと、午前八時から十二時まで——お昼でございます、間に、一四%程度の郵便物が出てまいります。それから零時から午後四時までの間が三六%、それから午後四時以降が五〇%、こういう割合でございますので、午後四時以降の郵便物が約半分を占める、こういう流れ、これは都内の大局でございますので非常にはっきり出ておるわけでございますが、その他の地域についてもこれに近いものが出ておるものであろうというふうに考えております。
  333. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便の差し出される状況というものが時間別によってよくわかりました。圧倒的に夕方が多いのですね。四時以降、全体の五〇%、半分を占めているということですね。  そうすると、これも素人考えで大変恐縮でございますけれど、その出された郵便を迅速を旨とすると、即刻集めて処理をしなければならないというと、夜遅くでも仕事をしなきゃならないわけですか。
  334. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 郵便の流れがただいま申しましたような状況でございますので、どうしても郵便作業というのは夜間勤務が多くなるということは事実でございます。
  335. 木島則夫

    ○木島則夫君 日本橋局の例をおとりになったようですけれど、日本橋あたりでいいますと、これは全般の問題に通じるとは言いません、日本橋という一地域でございますから。やはり私はダイレクトメールのようなものが圧倒的に多いと思う。これは要するに受ける方からいうと招かれざる郵便です。招かれざる客というか、もしそういうものだとしたならば、迅速にこだわり過ぎて、出されたから夜でも一生懸命になってこれを処理をしなければならないということになると、何か私はちょっと空回りしているのじゃないだろうかというふうに思うんです。こういう疑問というのは間違っているでしょうか。
  336. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) これは特に迅速ということのためにそういう処理が必要であるということよりも、郵便の流れがそのような実態でございますので、これは局内作業をやります場合に、順次やはり郵便物の処理をしてまいりませんと、非常に大きな夕刻の引き受けで、そのまま放置いたしておきますと、スペースの上でも問題がございます。いろいろな点がございまして、それを順次に処理していくという形を現在とっておるわけでございます。したがって順次に処理をいたしていくというやり方をとりますと、どうしても夜間作業というのが多くなってくる、こういう傾向にございます。
  337. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便物を処理する処理場所、スペースとか、いろいろ条件はございますけれど、やはり私はその中で迅速というものも相当大きなウエートを占めているからこそ、出てくるものについて川の流れの中で処理をするような流れ作業というんでしょうか、そういう作業をしていかなければならない、これが現状ですね。  だけど、私がさっきから言っているように、郵便だけが迅速を必要としなくなっている現状、これは電報なんかを例にとってみても、緊急を要するものが全体の電報の中でも二、三%ということ、あとは全部慶弔ですか、こういう状況というものを踏まえますと、私は必ずしも、さっき郵政当局がおっしゃったように、迅速だけの問題で処理をしているのではないと、そのほか勤務状況、勤務体制とか、いろいろなことがあるというふうにおっしゃってはおりましたけれど、その川の流れ方式というのじゃなくて、その集まってくる郵便物を一時プールしておいて、これをまあダム方式と呼んでいいかどうか別にいたしまして、そして一定量がたまったときに、たとえば優秀な選別機なり自動判別機なりでどんどん処理をしていくというようにした方が、機械も効率的に使われるし、夜、勤務をなさるというようなことも必要ではないんじゃないだろうか。その前提が、やはり私は郵便のあるべき姿に照らしてみた上での私の素人論なんでございますけれど、そういう論は無謀なんでしょうかね。
  338. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに先生の御指摘のようなことも考えられます。私ども郵便物ができるだけ平準化された形で流れる、これが最もいい形でございます。したがって郵便局で引き受けます郵便物が平準化された形で出てくるということができれば、これも一つの方法かと思います。たとえば昼間帯に多くの郵便物が引き受けられるような何らかの方策はないものかというようなことも、今後は、考えていかなければならないかもしれません。  いろいろ郵便物の平準化の問題も絡んでまいりますし、それから夜間の作業集中をどれだけ緩和するかというようなことについて、いま先生がおっしゃいましたダム方式、これが果たしてスペースの上でそうスムーズにいくものかどうか、その面の検討も必要かと思います。  いずれにいたしましても、郵便物が一日を通じて平準化されていくということは非常に好ましい状況でございます。こういう状況の中で処理されるような形というものを、私ども、これからも求めていかなければいけないのではないかというような感じはしております。
  339. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは私が伝え聞いているところによりますと、せっかく優秀な自動選別機というようなものも四、五時間ぐらいしか稼働できないような状況であるとかいうことを考えますと、機械の効率的な使用からいっても、それからいわゆる勤務体制というんでしょうか、そういった面からいきましても、一概にこれがいいとは言えませんけれど、私はやっぱり十分な検討課題だということだけは御認識いただけたと思うんですね。  それでどうでしょうか、さっきから言っているように、一つ迅速だけをとってみても、この迅速というものが頭の中に余りにもこびりついているために、現在のシステムがそれを中心として動いているような感じであるということからしましても、一回、その郵政事業の体質をも含めて、郵便システムの根本的な見直しと改善をなさるつもりはございませんか。  これはもう十分におやりになっていると思う。で、問題点も摘出をされているようでございます。そして四十八年の十二月の十三日に郵政審議会から出されました「郵便事業の健全な経営を維持する方策に関する答申」の中でも、私が言っているようなことはもう先刻御指摘をなすっているわけですよね。だけど、それがなかなか実現に至らないという、その辺が私は問題だと思う。  どんなふうに考えたらいいんでしょうかね。いいことを言っていますよね、これも。なかなかいいことを言っている。しかし、なかなかそういう実現というものができない。それは、私がさっきからくどいように言っているように、過去の郵便事業にとらわれ過ぎて現在への対応を怠っているからではないだろうか、その辺に原因がありはしないだろうか。重複した質問になるかもしれませんけれど、そういうことも含めて、いわゆる郵政省自体が郵便システムの根本的な見直しと改善をして、それを実現をしていただかなければ困るんだという、こういう私の提言に対しては、どういうふうにお答えになりますか。
  340. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに先生指摘のように、過去のままの形で郵便の合理化をするというのは非常に限界があると思うんです。たとえば新しい機械を導入するにいたしましても、いわゆる機械の区分の適正規模をどのぐらいにすべきかというような大きな問題もございます。それから、先ほど機械の稼働状況が四時間ないし五時間というお話ございましたけれども、現在の動かし方は、御承知のように、取り集め便が到着、入ってまいりますと、それに従って稼働するために、どうしてもそういう郵便物が集中的に多い時間に自動区分機にかけられるという傾向がございますために、そうなっておりますが、そういうものを将来どのような形で集中効果を上げるかという問題は確かに大きな問題だと思います。  現在、すでに御承知のように、小包等につきましては集中局をつくりまして、ここで機械化をしております。また大型郵便物等につきましては、やはり大型郵便物の集中局をつくりまして、ここで機械化をする、こういった形もやっております。しかしながら、それ以下の規模の郵便局のそういう合理的なやり方の問題、これについてはなお大きな問題でございまして、これから考えていかなければならないと思います。  それから、先ほど御指摘のございました配達面の一度化の問題とか、あるいは集合受け箱の問題とか、そういった配達面の合理化、これにつきましても、今後は真剣に取り組んでまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、過去のあり方をそのまま踏襲するのではなくて、新しい時代にふさわしい郵便サービスというものについて今後十分な研究をし、また、それを実行に移していきたい、このように考えておる次第でございます。
  341. 木島則夫

    ○木島則夫君 私が申し上げていることは、郵政事業自体を軽視をしたり、縮小して細ってしまえばいいというような観点から申し上げているんじゃない。非常にその重要性というものを認識をすればこそ、やはり世の中の変化に対応していかなければ生きていかれないのだということを根本に据えてのお話を申し上げているわけですね。  で、この答申の中にもきちっと盛られております。「今後とるべき措置」という十一ページにございます。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 それから「当面措置すべき事項」の中にも「少なくとも、当面、実情に即しないサービス、利用者に協力を求めるべき事項などについては、積極的に改善を進め」なければいけないということがちゃんとこの答申にはっきり打ち出されているわけですね。  私は、こういうものがなかなか具体化しないということは、郵政の内部で思い切った改善なり合理化なり、新しい方向指向というものが国民の前に勇気を持って迫力を持って出されていないから、こういうことができないと思う。すねに傷を持つという言い方は当たらないかもしれませんけれど、自分の中のことをまずきちっとしないで、ここに書いてあるような国民の協力というものができるはずはございませんね。何か国民が協力をするということは、何というんですか、受益者負担を増したり、受益者に損害をかけるというような言い方をする人がいますけれど、私は違うと思う。全体の通信体系の中で協力をすることが国の財政負担なり独立採算制というものを維持することに役立つならば、やっぱり国民の方もある程度私は協力すべきだと思う。それを、全部べたべたなサービスをすることが本当のサービスだなんという印象を与え、また思い切った改善を内部でできない体質こそがやっぱり問題なんだ、それが一番国民に対する、何というか、マイナスのサービスだということなんですね。  私の議論は多少抽象的で申しわけございませんので、国民に対して求めるべきサービスを積極的におやりなさいという一つの事例としまして、いま団地なんかでやっている集合受け箱というのがございますね。郵便配達の方の御苦労を考えれば私は当然だろうと思うんですけれど、これも、あまねく公平にというような郵便の本質から言うと、ほかの方は不公平じゃないかという議論も出てくる。ですから、こういう問題は専門家の方々が寄り寄り御協議をいただいて、すばらしい方策を生み出されることと私は期待をしておりますけれど、こういうことをもう少し、ほかの地域というか、それこそ常時住んでいない別荘地帯とか、それから過疎地帯なんかにも、うまい方法で、受益者なり国民の方に御迷惑がかからない範囲で、ほかの地域にも少し実験的にそういうものをふやしていくおつもりがありませんか。
  342. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生指摘のとおりだと思います。私どもこれから配達面の合理化を考える場合には、やはりいま御指摘のような別荘地における集合受け箱、あるいは八十五条地と称しておりますが、過疎地域の集合受け箱、こういったものについても十分に考えて、何とか試行の段階まででもまいりたいと、こういうふうに考えておりまして、先生の御趣旨に従って努力してまいりたいと、こう考えております。
  343. 木島則夫

    ○木島則夫君 そのことは郵政内部の当然節約をし、合理化をしなければならないことをしないでやっていいと言っているんじゃないんですよ。そのことが大前提になって、初めて国民皆さんへのこういう御協力を求めることができるということをひとつ間違えないでいただきたい。そこのところを間違われると私自身も誤解を受けます。ですから、そこのところはきちっと申し上げておきたい。  いま、一日、二回配達をしている地域というのはどんなところで、この二回配達の意味というのはどういうことなんでしょうか。
  344. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 郵便局の受け持ち区域の中で、主に市街地でございますが、市街密集地域、市街で家屋密集地域のようなところでございます。これを市内区と私ども呼んでおります。こういったところが大体二度配達で、中には市内一度地というのもございますけれども、それから郊外地域は主に一度配達という形で、現在、過去以来ずっとそういう形でやっております。この意味は、やはり通信量が大変多くて利用も高い、そういった地域については、そのサービス基準を二度にして、その地域の皆様に配達物数をふやしてサービスする、こういうのが本来の考え方ではなかったかと思います。
  345. 木島則夫

    ○木島則夫君 私はまた、サービスをモットー、いわゆる迅速をモットーにし過ぎたためのそういう結果だと思いましたら、むしろ量の方にウエートがあるというお話ですから、それはそれとしていいでしょう。  しかし、私は一日二回の配達というのはちょっと不経済なように思いますね。郵便の置かれているその役割りとか現状からしますと、私は一回でいいんじゃないだろうか、一回にしてそこへ配達をする方がもっと区域を拡大をしてそこにお配りをすることができるとか、いろいろ何というか、ほかにメリットが出るのではないかということも考えるわけでございます。  さっきから申し上げているように、郵便事業を維持するためには国民皆さんの協力を仰がなければならない、これはもうそのとおりですね。だから、私は、郵政省が過去の亡霊にとらわれている一つの例としまして、お年玉つきの年賀はがき、これも悪いことはありませんが、そこに出てくる景品というものもどうも余り喜ばれてないようですね。あれはどうですか。郵便事業に携わる方々が戦争にいらしたり海外に行って、そして帰ってくる、そしてずいぶん人員が膨張をする。そういう方々を収容したり、そういう方々生活を安きにおくために郵便の売り上げを多くしなければいけない、そのためにああいう措置をとったということも一つの原因と聞いておりますし、衣料がなかったときに衣料が当たるということで射幸心をいわゆるそそったというようなことも事実だろうと思うんでございます。ずいぶん昔の話じゃないですか、これも。私はもういいかげんにそういうものをおやめになって、もっとすっきりしたコマーシャルを刷り込むとか、山口百恵さんじゃないけれど、そういうすばらしい、若者にアピールするような何かをくっつけられないものか、たとえばそういう人のカレンダーとかね。  私ね、こういうことを言うと、ずいぶんおまえとっぴなことを言う、実際郵政省に入ってそんなことをやってみろ、できっこないんだと言われるかもしれないけれど、発想だけは買ってくれませんか、大臣。どうですか、ちょっといまのお年玉つき景品というのは、私は、どう見てもあんまり歓迎しないんじゃないでしょうかね。私なんかいただいても、あんまり当たってもめんどうくさいなという気持ちが先に立ってしまう。どうですか、この辺。
  346. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先ほど二度地の問題で、その機能的な意味というのも御指摘ございましたが、確かにその面もございますので、つけ加えておきます。これは商業地域とか、量も多いかわりに、そういう意味で二度配達が過去も考えられてきたものと考えます。  それから、いまのお年玉の賞品のことでございますけれども、これは郵政審議会などを開きました際にも、いろいろな意見がございます。で先生のようにもうやめるべきであるというような御意見もありますし、また年に一回のことだから、そういうことはこれからも継続すべきであるというようなことで、ただいまのところ賛否両論あるように思います。これにつきましては、なおよく今後皆さん方の御意見を聞きながら考えてまいりたい、こういうふうに考えます。
  347. 木島則夫

    ○木島則夫君 それは賛否両論があるのは私はあたりまえだと思いますよ。そこでとどまっているから困るんでね。両論併記じゃないですけれど、そこでとどまっていちゃ困るんですよ。世の中変わっているんですから、国民の嗜好、要望というものが那辺にあるかということをやっぱりあなた方が察知されれば、おのずと落ちつくところは私は出てくると思う。積極的に私はそういう問題を検討してもらいたいと思うんですね。  ですから、結論的にこの問題をまとめるならば、要するに郵政省内部でも徹底的に新しい時代に即応した体質改善というものをやっていただきたい。それはある程度抵抗があるかもしれない。いろんないきさつがあって抵抗があることも私はよく知ってます。しかし、国民立場にお立ちになるならば、それはおできになるし、また、そういう抵抗を通して郵政事業が置かれている現状なり苦しさというものを理解をしていただくすべにもなろうと思うんですね。それからそういう中で国民に訴えるべきことはきちっとする。そして国民に御協力を求めるべきことはこれこれこうなんですぞと、そういうことをやってもどうしても赤字が出るのだからと言うならば、国民皆さんも御納得いくんだろうと思うんですね。  それをさらに敷衍をしてまいりますと、いわゆる経営形態の問題であるとか、情報化社会における郵便の使命を踏んまえていかないと、迫力がないということはさっきから申し上げているとおりでございます。これからの世の中はもうどんどんどんどんさま変わりをしていく。それも時々刻々でございます。そこで大変具体的な将来につながる問題を伺います。  電子郵便の登場が日本でもそろそろ話題になりつつございます。郵便処理作業の中で最も時間を必要とする輸送、この部分を電子的な送達方法に変え、名あて人への配達についてだけ一般の郵便配達網を利用するのが電子郵便だというふうに私は理解をしております。これは一九七〇年一月に、アメリカ郵便事業公社とウエスタン・ユニオン電信会社とが共同して開発、試行したメールグラム・サービスがその始まりだということも聞いております。アメリカでは電報料金が非常に高いそうです。そういうこともありまして、取り扱い業務量は一九七一年度の百二十五万通が一九七四年度には千五百五十万通と、大変な増加をしている。そして、これは今後とも増加発展、大いに利用される傾向は顕著だということもいろんな情報から私の手元に入っております。そして、現在、一部の地域間でのメールグラムの送信には通信衛星も利用されているという、もうここまできているわけですね。  そこで先ほど触れました「郵便の将来展望に関する調査会」の調査研究が行われている一方で、何か郵政省内に電子郵便研究会が設けられて、本格的な検討が始まっているそうでございます。これはもう私は大変いいことだと思いますけれど、そこでお伺いをしたい。  この「郵便の将来展望に関する調査会」と、この郵政省内の電子郵便研究会との相関関係というのは、どういうところにあるのか。実は、将来展望の中で、将来電子郵便というものも非常に有望視されるから、即刻、あなたのところで研究会かなんかをつくっておやりなさいという御指示があってのことなのか、全くそれとは別々の形で、こういうものが郵政省の中で検討されているのか、その辺のお互いの相関関係を聞かせてください。
  348. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいまのところでは、先ほど来申し上げておりますように、郵便の将来展望に関する調査研究でございますけれども、これにつきましては、基礎的な需要の分析調査というところが主になっておりまして、それに関する限りは、他の通信メディアということでそういったものも関連して入ってくるかと思います。  しかしながら、いま組織的に申しますと、これは部外に委託する研究項目、その中には具体的に電子郵便をどのようにするかというようなことは含まれておりません。そこで、まず、郵政省内におきまして、官房に研究会を置きまして、全省挙げてこの問題に取り組むという体制にしておるわけでございます。
  349. 木島則夫

    ○木島則夫君 いまのお答えと多少重複するかもしれませんけれど、研究課題と予算措置はどうなっていますか。これは質問要項として出しませんでしたから、もし具体的なお答えがいただけないんなら、結構です。
  350. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) これはもうすでに御案内かと思いますが、本年の八月に官房に一応この電子郵便研究会を設けまして、その構成メンバーといたしましては、一応、省内の各関係者ということで構成しております。  いま先生からもお話がございましたように、非常に昨今電子郵便というものにつきましてアメリカでの非常に急激な発達というようなこともございます。また一方におきまして、わが国におきましても電電公社の方におきましても電報が御承知のように不振でございます。それの救済策としてこれに積極的な姿勢を明らかにしているというような状況もございます。また一方、郵政省といたしましても通信行政を所管する立場一つございます。また一方におきまして郵便事業というものを経営する立場から、やはりこういった新しいものにつきまして、そのあり方について早急に検討すべきであるというふうに考えられまして、このような研究会をとりあえず発足させたわけでございます。
  351. 木島則夫

    ○木島則夫君 予算措置、簡単で結構です。
  352. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) この研究会の目的といたしますところは、やはりそのあり方をいかにすべきかということを検討するために、その可能性、またサービスの内容、対象地域、またシステムの構成、運営体制、また法制上の問題点、こういった点について調査研究を行っていくことにしておりますが、来年度におきまして約七百万円の要求を予算上いたしております。今年度は、とりあえず、それの準備段階ということでいろいろと方法論等についてまず着手していきたいと思っております。
  353. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま郵政自体が赤字を出して値上げできゅうきゅうとしていらっしゃるから、そこまで手は回らないと思いますけれど、やっぱり将来展望も必要ですよ、その辺は。大事ですよ、この辺。外国じゃアメリカでどんどんどんどん利用されているんです。電報の不振を補うというお話があったけれど、実際そうですよ、向こうではね。  さて、そういう段階でちょっと具体的に伺うのは気がひけるんですけれど、やはりこういう国会審議の場ですから伺っておきたいと思います。  今後の需要というものをどのように予測をしておいでですか。わからなかったらわからないで結構です、いかがですか。
  354. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 現在、まだ今後の予測という問題につきましては、さまざまな角度から調査研究を進めていく必要がございますので、とりあえず、その需要の見通し、採算性、これがまた非常に一つの重要な要素になるかと思いますが、そういった事項につきまして十分に検討を行ってまいりたいという段階でございまして、現在、その予測につきましては、明確なものはまだ把握していないのでございます。
  355. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは私の個人的見解では、日本でもやはりこれだけ通信システムが完備をし、多様化して、情報量としては世界で有数でしょう、そういう中では私はやっぱり非常に需要度というものは高いと思うですよ。だからそういう認識のもとにもっと予算措置をとって、研究するんなら研究する、アメリカへ行くのなら行く、フランス、イギリスあるいはデンマーク、そういうところでやっているようですから、現実に。そういうところへどんどん行って、むだ遣いをしていいというんじゃないんです、きちんと目的を持って行って調べてきていただきたいですね、こういう問題。  次に、技術的な開発面での問題点というのは私はそうないと思いますけれど、どうですか。
  356. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 現在の技術水準をもっていたしますと、電子郵便のための電気通信システムを構成することは可能であると考えておりますが、実際の運営上の経済的な設計あるいはまた情報処理システム、また漢字の取り扱い、その他いろいろとわが国はわが国としての問題点がございますので、そういった点について現在検討を行っているところでございます。
  357. 木島則夫

    ○木島則夫君 そこで一番問題になるのは、電子郵便というものは郵便なのか電気通信なのかという問題を含めた法制上の位置づけをどう考えるかということですね。  これも、現在検討中です、というお答えを予想しますけれど、もう目の前に来ているわけでしょう。従来の法体系ですと——私がこんなことを申し上げる必要はないと思いますけれど、無線は電波法ですね、そうですね。それから有線は有線電気通信法、そうですね、これは間違いありませんね、大臣、間違いありませんね。
  358. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) はい。
  359. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵便郵便法という法律にのっとって処理をされているということですね。  ところが、もう現代では、CATV一つとってみましても、電波で送られてきたものを有線で流すということで、ここでも二つが一緒になっているわけですね。それから昔は電話は有線で送られるというのが私どもの常識でございましたけれど、現在では、送達の途中でマイクロウェーブを使って電波を送るというぐあいで、一つ一つを個個独立に切り離して考えることができなくなった現状だということですね。これはもう専門家の皆さんを前にしてこんなことを言うのは釈迦に説法でしょう。しかし、そういう事態が、私は、非常に有効需要を含んだ可能性を持ったこの電子郵便の中にもきちっとあらわれているということですね。これはもううかうかしているとバスにも乗りおくれるし、もっともっと私はそういう研究課題は早く郵政省の中なり将来展望の中で検討すべき事項ですよ、これも。  ですから、いわゆる電子郵便というものが電気通信と郵便の結合と考えますと、現在の法体系ではとてもじゃないけれど律し切れないと思うわけです。ずばり申し上げると、現代の法体系が時々刻々技術革新される急激な変化にもうついていけない、いわば非常に古いものであるということね。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 とすれば、当然、法体系の再検討もなされなければならないと思いますけれど、これは大変重要な問題でございますから、大臣、いかがでございますか。
  360. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便と無線、有線の電気通信とは、いずれも通信という点で共通の機能を持っておりますが、伝送手段として質的に異なっておりますので、それぞれの特性に対応して個々法律によって規律することは実態に即しているかと思います。  しかしながら、今後、情報化の進展に伴って通信手段は一層多様にわたりまして高度化していくものと考えられますが、これらの新しい通信方式につきましては、従来の有線、無線、郵便という区分により個々法律により規律することが必ずしも適当でないと考えられる場合もあろうかと思われます。これらにつきましては、総合的見地に立つことが必要であると考えられますので、おのおのの場合に即して施策の検討が行われるべきものと考えております。
  361. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう目の前に来ているわけですね、本当にもう足元に火がついたと言ってもいいと思いますよ、これは、本当に。  さらに、こういうものができた暁に、だれが運用の主体になるのか、あるいは電報との関係で、電電公社との密接な関係というものも、利害関係もあるかもしれない、この辺で。そういうことも現実の課題なんですよ。いかがですか、だれが運用の主体になっていくのか、あるいは電報との関係をどんなふうに見ていくのか、これも検討課題ですか、どうですか。
  362. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま先生から問題点をいろいろ御指摘いただきましたが、おっしゃるとおりでございます。  この電子郵便というものは、郵便にも、また電気通信にも、双方の法体系にかかわりがあるわけでございます。またサービスのあり方いかんによりましても左右されると考えられるわけでございまして、その法制上の位置づけにつきましても十分検討してまいりたいと思っております。また、それに伴いまして、電子郵便サービスのあり方について十分検討いたしまして、運用主体としての適性を十分考え合わせた上で、高い視野に立って、ひとつこの運用の主体についても判断をしていかなければならないと思っております。
  363. 木島則夫

    ○木島則夫君 現在の段階では、そう具体的にいろいろおっしゃりにくい点もあろうと思いますよ。ましてや現実に赤字を補てんする値上げをしているときに、あんまり先のことを言ったら肩身が狭いなんという気持ちがもしあったとしたら私は間違いだと思いますよ。それは両方きちっと真剣にやっぱり検討しなきゃうそだと思いますよ、本当に。  私は、さっきからほかの委員の方もおっしゃっているように、郵便法郵便事業の本質、あまねく安い料金で公平に郵便が送られなければいけないということと同時に、だからこそ赤字であってもいいんだというようなことであってはいけないですね。それはやはり現代の非常に変化の厳しい、激しい、急激に行われているその変化に対応をしながら、ある程度、もうけという言葉はよくないかもしれない、やっぱり採算を合わせるような体質に持っていかなきゃだめですよ、本当に。そのどちらにバランスをとるか、その辺に問題点はあろうかと思いますけれど、この辺、非常に今後の重要な問題ですから、私は、予算措置も十分にとって、あまねく外国の資料なり、いいところはいいとして、どんどんどんどんフランクに研究してもらいたいと思いますね。  これから検討します、大事です、これじゃ遅いんだ、もう。それでいつもそういう状況に追い越されて、しりをたたかれて、世の中の方が先に行っちゃって郵政事業は後ろにいつもくっついてマラソンをしていくんじゃ、これはもうだめですよ。そういう中で値上げの議論をしても私は意味がないということを申し上げたかった。だから、その辺もよく、誤解をしないで、ひとつフランクにお受け取りをいただきたいと思います。  私は、要約をいたしますと、法体系を改めるためには、どうしても通信の総合政策をきちんと整理し統合をしなければならないということですね。その中での郵便の役割りと位置づけが必要だろうということ、そうしてその辺がはっきりしないと、料金値上げも確定されてこないはずだということを強調をしたい。あるべき姿をはっきりさせることが先決でございます。したがって今回の値上げ案というものは、郵便の将来展望にのっとることもなく、郵便の置かれている厳しい環境に対応するすべも至って貧弱、そういう中で独立採算にのみこだわっての値上げは、私は、場当たり的と言わざるを得ません。  したがって結論を申し上げると、今回の値上げ案については検討をし直して、将来展望の策定をできるだけ早く行うべく私の先ほどからの提言を速やかに実行してもらいたいと思う。そうして確たる郵便のあるべき姿が策定されるまで、現状での郵便事業赤字を補てんする意味での値上げであるならば、物価に及ぼす影響、そうしてこの不況の中にあえぐ国民負担をできるだけ軽減をするものでなければならないことを強調いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  364. 青島幸男

    ○青島幸男君 私は、郵便事業に対しましては素人でございまして、当委員会は、大臣御経験者を初めといたしまして専門家がかなり大ぜいおいでになりますし、私ごときが何をか言わんやということからみずから恥じている次第でございますけれども、まあ素人の見解がおおむね——いや、たまたま専門家の思考を触発いたしまして大発見のもとになったというような事例も間々ありますし、そのことも期待いたしまして私も発言をさしていただくわけでございます。  いままでの御議論を承っておりますと、郵政省が独立採算の形をこれをよしとして絶対に動かさないものだとする。しかも一方では、それに従事している労働者の生活の保障も考えなければならないということになりますと、これは当然どうしても値上げをしなければならないんじゃないかということが安易に考えられるのは当然のように思うんですけれども、しかし、これが一般の普通の民間の企業だったらこれはどういうことなんでしょうね。  独占形態をとっているわけでありますからして、これで安穏と——安穏としては皆さんおいでにならないかもしれませんけれども、これが普通の民間の企業でありますと、責任者として運営に当たっている皆さん方立場は株主総会などで大変な問題になってまいりますし、また、これだけの赤字をしょい込むというようなことが想定されておりますと、これは会社更生法の適用までいかないまでも、当然、メーンバンクから確かな人物が来まして運営の面で相当口を差しはさんできたりすることになるかもしれませんし、大臣も最高の責任者として、民間の企業で言えば社長ですけれども立場も危ないというような状況になりますし、皆さん方も安穏としていられないと思います。  私は、いままで国民立場に立って質問してまいりましたけれども、しかし実際に皆さん方がいままでおっしゃっている説をお曲げにならない、独立採算制をとるんだ、それから受益者負担の鉄則を守るんだ、しかも給料も世間並みに保障をしていくんだということになりますと、これは収益を増大させる以外にないですね。一般の企業だったら収益増大の方に多大な労力を費やしていかなければならないですし、企業努力をする企業努力をすると皆さん方おっしゃいますけれども皆さん方は、私この委員会を通じての質疑を伺ってましても、企業努力を余りなさってないように見受けられるわけですよ。企業努力は実際に従事している勤労者の諸君に、従事者の諸君に押しつけておいて、皆さん方は金が足りないのだからお願いすれば料金値上げはできるのだ、これで万事オーケーだというふうにお考えになっているようにしか受けとめられないというふうに思う国民がいても、これはいたし方ない事実だと思いますね。  これが民間企業だったらどうなるかという立場をもう一つ考えますし、私、素人ですから、あるいは大変失礼な発言にわたるかもしれませんけれども、あらかじめお断りしておきますけれども、その事業収益を上げるために、民間の会社だったら、まず、はがきにコマーシャルを入れるぐらいのことは考えるだろうと思うのですけれどもね。そういう面で、しかし、官製のはがきで下の方に私企業の広告が入っているということは、これはいたく権威を傷つけるのではなかろうかという認識もあるかもしれませんね。しかし現状でお年玉つき郵便葉書というのが現にありますね。あれはどっちを表というか裏というか、それの認識はありませんけれども、下の方に同じインクで刷ってありますけれども、あれを見なれている人たちにとっては、あそこに何らか広告があっても、さして差しさわり、あるいは痛痒を感じなくなっているのではなかろうかという気がするんですけれどもね。  で民間企業の広告のあり方なんかを比較検討いたしてみますと、広告業界での常識から判断いたしまして、サービス用のマッチ一箱三円ぐらいですね。ですから、はがきの表面に刷ってあるお年玉つき郵便葉書の程度の印刷が広告媒体として存在しても、まず常識的な業界の考え方でも、三円未満なら広告主が出るのじゃないかというふうな見解を持っている人もいました。そうしますと六十億枚からはがきが出ているわけですね、一枚三円で広告料を取りますと約二百億になりますね。これだけの増収があるということがもし私企業であれば当然とられてしかるべきだと思いますけれども、いままでそういうことが検討されなかったんですか、あるいは検討したんだけれども実行不可能だったのか、その辺のいきさつをもしありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  365. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 貴重なアイデアをいただいたわけでございますけれども、過去におきましては、私ども、そういった問題について検討したことは率直に申し上げましてございません。  官製はがきは、たばこなどとは違いまして、それ自体に通信文を記載しますし、またあて名も書かれるというような考え方から、そこに広告を入れることはいかがかというような観点で、いままではそういったことについては広告を入れるというようなことについてむしろ消極的に考えておる次第でございます。  また、郵便はがきの利用状況を見ましても、事業所などの大口利用者は私製はがきが多いわけであります。官製はがきはむしろ小口の利用者ということが多いというような傾向も見られるわけでございまして、一般の方が慶弔とかあるいは安否通信をされる場合に、広告入りのものを使った場合、受取人の方でどのような印象を受けるか、まあそういったことについても配慮しなければならないのではないか。また事業所が使う場合にいたしましても、他の事業所の広告を入れたはがきを受け取るということについて抵抗がありはしないか、いろいろなことを私ども考えるわけでございます。それからもう一つは、技術的にはがきの非常に小さな部分ですといいわけでございますけれども、表面の二分の一以下でなければ記載事項は認められないというようなことでございます。  そういうようないろいろな点から考えまして、現在の段階では、そういう官製はがきに広告を入れるということについては考えていないのでございますけれども、私、ただいま承りまして、大変貴重な御意見だというふうに考えております。
  366. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは確かに慶弔のはがきなどに煩わしいものがついているということはいたく信憑性を欠きますしね、また禁酒同盟の集まりの連絡をするのに、清酒何とか桜なんて書いてあったりするのもこれはなにかと思いますよ。  それはそうですけれどもね、私もその表面の半分以上まで広告を取れと申しているわけじゃございませんしね、お年玉つきはがきでもう見なれていると。ですから、さして抵抗はないんではなかろうかということを申し上げているわけです。  もう一つ、お上でやっていることだという認識が一般にありますからね。全く安心だと思っていた自動車も、欠陥車問題などでたまたま国会で取り上げられたりすることがありますね。そういうときに、郵政省で出しているはがきが欠陥車の片棒を担いでいたじゃないかというような印象を与えることは、大変やっぱり郵政省に対する信頼の上でもゆゆしき問題だとは思います。  しかし、国鉄なんか見ましても、電車の宙づりがあるわけですね。あれは別途会計で宣伝費を取っているわけでしょう。ああいうかっこうで、少なくともそのはがきの広告を取ったから値上げをしなくて済むんだということであれば、即そうなってもいいですけれども、そこまではなりませんね。しかし、何も印刷してないはがきも当然売ると。しかし広告を取ったものがあってもいいんじゃないか。しかも一業者に限るわけじゃありませんよ。適当な広告媒体を扱う業者を間に入れるなり、そういう部門を設けるなりしてそういう扱いをすれば、少なくとも増収になることは事実でしょうし、一流新聞社なんかにも広告規程というものが設けられておりまして、余りいかがわしい、あるいは新聞の信憑性を損なうような広告は載せないようにしておりますね。そういう基準をみずから設ければ、それは防げるんではなかろうかという気もするわけですよ。  一般の方々が受け取るお上の官製のはがきというものに対する権威ですけれども、これをそんなに損なわないようなところにいま私は来ているという気がするんですよ。現に、たばこなんかでも企業の広告が入っているのがありますね。だからといってそのたばこを拒否するという方は余りおいでになりませんしね。これだけ情報社会になりますと、どこにいましても広告が見える。広告が見えること自体がいやなんだという方もおいでになりますけれども、そんなこと言っていられないでしょう、いま郵政省の問題としては。ですから、もしそのことで少しでも増収を図れるし、それは国民の皆様がどう受けとめるかはこれは別の問題です。しかし、そういうことを志向していくような融通性ぐらいなものがなければ、それは親方日の丸だから赤字になりゃ値上げをお願いすればいいんだというような——国民の声にこたえるためにも、そのくらいの手だてはしてもいいんではなかろうかという気がするんですけれどね。大臣、いかがなものでございましょうね。
  367. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 大変、いま、郵便料金値上げ法案でわらをもつかむというようなところでありまして、その増収についての非常な貴重な御意見をいただきましたことをお礼を申し上げます。  いまの先生の御指摘に対しましては、十分検討して、大いに研究してまいりたいと思っております。
  368. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは大いに研究していただきたいんですけれどもね。私は経営陣の方に回りまして増収を図ることばかり考えましてね、少しでもお役に立ちたいと思っているんですよ。  専売公社でもかなりの数まとまりますと、別途違った印刷物のものをつくってくれますね。それと同じように、たとえば一定の企業企業用通信あるいは不特定多数に出す通信状に特別の切手を張ると、その企業の。ですから何十万あるいは何万単位注文があった場合には、特別の切手をつくって割り高の料金を取るというようなことを御検討になったことありますか。
  369. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいま先生指摘のような事柄につきましても、過去においては、検討したことはございません。  実は、郵便切手は、かたい言葉で申しますと、郵政大臣が発行する郵便料金納付の証票である、こういうことになっておりまして、記念切手を発行する、まあ特殊切手でございますけれども、そういったものは国家的なあるいは国民的な記念事項を記念して発行する、こういうようなことでやってきておるわけでございまして、それが広く国民一般に利用されておるというのが現状でございます。したがって、ただいままでそういう特定の企業の商業的な宣伝のために発行するというような考えはいたしてこなかったわけでございます。  なお、国際的な点で若干問題がございます。これはUPUの事務局におきまして、政治的なまたは商業的な宣伝もしくは公序良俗を害する題材を郵便切手に採用することは適当でないという見解が表明されておるわけでございまして、これは現在のところ世界各国がこの制約を受けて、そのとおり実行しておるわけでございます。これは過去において一、二外国の例があったようでございますが、これはすぐ取りやめたというような経緯もございます。  で、こういうようなことがございまして、現在のところ、私どもは、そういう特定企業の切手ということについては若干問題があろうかと考えております。
  370. 青島幸男

    ○青島幸男君 それはそうかもしれませんね。確かにその企業ともっと、はがきの広告の場合と違いましてね、もう少し深いかかわり合いを持つようになるかもしれません。  しかし、実情を考えますと、ダイレクトメールは二〇%でしょう。ダイレクトメールというのは企業からの業務委託を受けているような感すらあるわけですね。ですから、その辺を勘案しますとね、不特定多数の企業だからいいということの立場になればですね、それは不特定多数の企業の特別の切手の注文に応じるのだということになれば、特定の企業の商業的な利潤促進のためにやるということでないという立場がとれれば、記念切手の扱いもできるんではないかなということを私ふと考えたんです。  その特別な記念切手を発売するときの法制上の基準ですね、それはいま言われたように、その基準から照らすと、そういうようなことを志向してもやっぱりこれは不可能に近い問題ですか。
  371. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先ほど申しましたように、国際的な、一般的なそういう考え方、これが世界各国共通で守られてきておるということ。それから日本国内で記念切手を出す場合は、やはり公の行事だとか、あるいは公共的なもの、そういったものについて記念切手の対象とするという考え方をとっておるわけでございます。
  372. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、はがきの方に広告をとるようなことになった場合、法制上、問題点が残りますか。
  373. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) ただいまちょっと私十分研究をいたしておりませんけれども、先ほど申しましたように、官製はがきにそういう広告をつける場合、非常に広告主の選択の問題、それからそういう場合の使われ方等の問題、それを考えますと、なかなか困難な状況ではないかと思いますが、私、ただいまちょっと法制的にはどうかということにつきましては、はっきりお答えする用意はございません。
  374. 青島幸男

    ○青島幸男君 法制上問題がなかったら、おつくりになったらどうですかね。  たとえば相当大きな企業になりますと、毎年出すはがきもかなりの数になりますし、それが特定の自分のところの広告が載せられているというようなことであれば、かなりの注文があるんじゃなかろうかという気がするんですけれどもね。そうなりますと、かなりの利潤を郵政省にもたらすことになるんじゃないかという気がしますけれどもね。その辺は、ひとつ積極的に御検討になったらどうですか。  それはやってみて、国民感情との間に大きなギャップを生じて、ここで不評を買うというようなことであっては、これは信頼関係の問題ですから、どうかと思いますけれども、しかし、そのために、皆さん御不快でしょうけれども、広告が載っているために皆さん方の御負担が少なくなりますということで御理解いただけるんだったら、だれの広告が載っていたって安く届きゃいいんだよと、確実に、迅速に、安全にやってくれる分に問題がなければ、それでいいんだという認識をお持ちになるかもしれませんね。それを早速御検討になったらどうかと思うんですが。  もう一つですね、第三種郵便の問題が当委員会でも大変問題になっていますけれども、第三種郵便の問題は後ほど触れます。一種郵便物にしましても、ダイレクトメールが二〇%、あるいは企業通信が八〇%ということですね。私は、郵政百年の歴史を迎えられるわけですけれども最初に飛脚というような制度から郵便事業に移られたころには、そんなことは想定していなかったと思うんですね、業務通信が八〇%にわたると。  いまちょっと調べて大変興味深く私見てきたんですけれども郵便法第二十一条に「筆書した書状(特定の人にあてた通信文を筆書(印章又はタイプライターによる場合を含む。)したもので、郵便葉書でないもの)を内容とするもの」が第一種なわけですね。ということは、「筆書した書状」ということは、つまりあて名書きを手で書いたということですね。ですから、この条文がまだ生きているということは、私の書簡を一種郵便として法制上規定したんですね。そのころは、コンピューターと連動していく簡易印刷機みたいなものでデパートが何十万通も一挙に出して、不特定多数にばっとばらまくなんていうことは考えられなかったわけですね。  ですから、信書と業務通信とのバランスの問題なんかを考えますと、現今の実情と、この法規ができたころとは全く違うわけです。しかし違うんですけれども、収支相償ってきましたから、二、三年前までは、独立採算のたてまえも崩さずにきたわけですね。これで可もなく不可もなく是認しておられたわけですよ。しかし、今後は、そうでない状態になるかもしれない。  で、いま郵便料金値上げしなきゃならないというのは、この八〇%の重みが私信の二〇%の人に強いられているわけですね。だから企業は、確かに大臣が仰せられましたけれども受益者負担の法則というのを貫きたい、受益者というのは、田舎の母親から来た手紙でも、それからダイレクトメールでも、受益することは同じなんだから、利用者はすべて受益者だというお考えのようでしたけれども、確かに田舎の母親からその近況情報となつかしさを得るわけですから、形而上的なサービスを受けることは確かですね、ですから受益者なことでもあるし利用者であることは確かなんですよ。しかし、ダイレクトメールの場合は、その何がしかのものを発送することによって購買力を喚起して、あるいはその顧客を呼んで、デパートならデパートに、そこで販売することによって売り上げを増進させるわけですね。そうすると形而下の実際に物理的な利益があるわけですね。その利益者とそれから形而上的なサービスを受ける者と一緒くたに考えることに問題があるわけですね。ですから、一般の通信を楽しみにしている人たちは、おれたちのはほんの二〇%の通信なのに、あとの八〇%の企業が金もうけにやる通信の支払いをおれの方へ回されるのはいやだというような考え方が、この郵便料金値上げに非常に大きな要因になっていると私は思うんです。  ですから、これを区別することは郵政当局としては延々お考えになられたことだと思うんです。しかし喜びをもたらす手紙か不幸を知らせる手紙か、手紙の内容について料金の格差をつける、そんなことできませんね。あるいは企業の通信だから、私信だからということを一々チェックして料金の別体系を設けるということは不可能です。それは信書の秘密をも侵害することにもなりますしね。ですから、できないんだからしなかったというのが実情だと思います。できればしてもいいはずですね。  その二十一条に戻りますと、「筆書した書状」なんですよ、第一種は。ですから、コンピューターと連動した簡易印刷機で何万通も刷って、しかも営業上利益を目的として出すダイレクトメールとは基本的に違うのです。筆書したのでない、印刷です、あれは。ですから、これは第一種と認めなくともいいわけですね。ですからダイレクトメールだけは別の料金体系を設けて、そこから別途高額の料金をお支払いいただいても、これはいいという勘定になりますけれども、その点はどういうように——区別できませんか、やっぱり。
  375. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 確かに御指摘のような考え方があることを存じております。  ただ、DMと申しましても、一体、何がDMなのか、それから大量に出すものがすべてそういうDM的性格なのかどうかという認定自体も非常に困難です。それから封筒の中に入っております手紙が、これが本当に形而上的な意味のある内容の手紙であるのか、あるいはこれは企業利益のための手紙であるか、これを一々価値判断をするとか、あるいはそれを認識するというのは非常にむずかしいことになりますし、大変大量に郵便局で処理します場合に、郵便局員が一々その判定をするということは、非常に言うべくしてできないことではないかというような感じがいたします。そこで、そういう内容による差というものは、一応、いろいろな場で議論にはなっておりますけれども、それを実行するには大変障害が多いということで、なかなかそういう体系はとり得ないというのが実情でございます。
  376. 青島幸男

    ○青島幸男君 私も、そう思います。事実、その場に居合わせたら私も判別不可能だと思います。これを判別して突き詰めていくということは、あるいは憲法上の問題にまでさかのぼることになるかもしれませんね。  ですからね、こういうことにしたらどうかと思うのですよ。判別不可能だから、その郵便業務——しかし郵便業務の基本的なあり方は、あまねく日本じゅうの方々に平等に公平に迅速に安くサービスするということですね。その郵便料金が諸外国に比べて安かった、しかも確実性が日本の場合高いということは、これは大変誇るべきことだと思います。だから何も外国が高いから、うちも高くしなければいけないということはないと思うのですよ。それは人々の通信に対する信頼性と通信に対する欲求を安い料金で満たしているということは、私は、文化国家の象徴だと思います。それは大変すてきなことだと思います。しかし、郵便法のたてまえから言って、あまねくそういう人たちの通信の業務にサービスするようにできているわけですけれども、だからこそ料金の問題についても委員会を通じて、あるいは国会を通じて改定しなきゃならないわけですね。ところが、そういう宿命を利用して、逆に企業郵政事業に業務委託をして、みずからの販売促進をやったりしているわけですね。  ですから、郵便事業に委託をする分の郵便使用税とでも言いますかね、そういうものを別途設けるわけです。これは一般会計に入れませんで、これは大蔵省との兼ね合いもありましょうし、大変繁雑な問題になるかもしれませんけれども、一々の、一部一部の、個々郵便物について判別ができないから、おおむね利用するであろうというところから事業税とか法人税みたいに一括取っちゃうんです、前もって。それを一般会計に入れずに、もらうわけです。そうしますと、はっきり一般の方々の私信と区別がつくわけですね。これは私素人ですから、法制上どういうことになるか、あるいはどんな大変な問題が山積しているのかわかりませんけれども、そういうことにでもしなければ判別できません。で一般民衆利用者の不満を解消することはできませんね、そういうこと以外にないと思うんですよ。  それも、たとえば資本金の高とか年収支の利益率によって取るということになりますと、それは業種によって資本が大きいからいっぱい出すとは限りませんですね。ですから、一種、二種、三種とあるように、業種を別個に考えなきゃならないでしょうね。たとえば一番いまダイレクトメールの多いのは、デパートのような一般消費者を相手に直接小売商品を扱う業者ですね、これが一番多いですね。その次には不動産あるいは金融関係ですね。保険の勧誘だとかあるいは土地の売買というもの。その次に考えられるのはピアノ、自動車その他の耐久消費財でしょうね。そういうことを業務とする、これをそれぞれランクづけするわけですね。しかも、その資本の限度を設けまして、資本幾ら幾らで営業成績どのくらいあって、それはもう当然わかるわけですから、そしたら郵便を使用することによってあなた方は利益を得られるわけですから、その分は応分の支払いをしていただこうということにしていかなければならないでしょうね。八〇%のうちの企業通信ですけれども、生産会社だとかあるいはローマテリアルをやっているところは余り多く出さないかもしれませんけれども、しかし株主総会の通知だとか、その他業務通信たくさんあるわけですね。ですから全く出さないという企業はないわけですから、それらを適当にランクづけすれば、そんなに不公平なく応分の使用度に応じた支払いを請求することはあるいは可能なんではなかろうか、そういう気がしますけれども、そんなことをお考えになったことありますか、いままでに。
  377. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 大変むずかしい御質問でございまして、考えたことがあるかというお尋ねでございますが、この問題につきましては余り考えたことはございません。  郵便の利用を課税の対象にするかどうかということは、これは一つには国の課税政策の問題であろうと思いまして、簡単に申し上げられる問題ではないと思いますが、仮に課税の対象といたすといたしましても、これは課税対象がはっきりしてなければならないし、それから負担者がはっきりしてなければならないし、その負担すべき率、割合等がはっきりしなければならないといったような点、これらの点から考えて大変むずかしい問題ではなかろうかと考えます。  また目的税というお考えでございますが、目的税ということになりますと、また、その税金の使途と租税負担者との間の関係というものが相当密接な関係がなければならないといったような、いろいろなむずかしい問題があるのではないかと思います。  それから課税ということになりますと、受益の程度と必ずしも絶対一致するということでもなくなるのではないかと思うんです。そうした点から、いま料金で申し受けているということは、ある意味では受益の程度と負担を一致させている一つの方法ではないかと考えておりまして、私どもといたしましては、やはり郵便法第一条及び第三条の定めるところによりまして、利用者の方々に必要なる経費負担していただくということが妥当なのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  378. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、それは明治以来の考え方でありまして、それを踏襲していたんでは、そのたんびに値上げ皆さんにお願いするという安易なかっこうでしか事が処せないということが先ほどの木島さんの質問にもありましたけれども、それは世の中違ってきているんだから思考も転換しなきゃならないだろうということを各委員から再三お話があったと思うんですけれども、そういうことすら検討しない。じゃ、そのほかにそういう一般の方々の不満を解消するための手だてをお考えになったことがあるんですか。  ダイレクトメールと私信との違いということ、どう区別するかという問題、何回お尋ねしても、これは不可能だからできないことなんだと。できない、できないで済まされているから、料金体系の問題にも不満が残るし、それで、もうなりふり構わずの時点に来ているんじゃないかと思うんですよ。  たとえば先ほどの第三種の問題にしても、これがどんなに地方文化育成に役立っているか、ミニコミというようなかっこうで、そんなものが発展してきているのは何のせいですか。マスコミュニケーションというものに飽き足らない、そういうきわめて素朴な考え方の人たちが小さな結びつきをつくって、その中で思考を発展さしたり、考え方を見詰め合ったりしてきている。そういうことが実は真の文化を築いていくと私は思うんですよ、そういう人たちが。でも三種を受けられている人はまだいいと思いますよ、私は。三種は定期刊行物でしょう。月に一回出して、千部以上で、しかも報酬を取ってやらなけりゃいけないわけでしょう。ですから、ある意味の企業ですよ。営利目的でやっている人も中にはいるわけでしょう。営利目的でやるんだったら、六円じゃ安いということだって言えるわけですよね。しかし、実際に、そういうミニコミの通信をしている人たちのグループの八〇%近くは普通郵便を使っているわけですね、一種、二種。高い料金を払っていままでもやっているわけです。  それで、その上、料金が上がって、そういう文化的な交流や地方文化の育成というのはどうするんだと先ほどの質問にもあった。それは大変に慎重にお答えになっていらっしゃいましたけれども、そういうことに構ってたんでは郵便業務はやっていけない、独立採算が貫けないから、多少御不満をかけるかもしれない、そういう幾つかのクラブやそういうものはつぶれるかもしれないけれども、危急存亡のときだから緊急避難みたいなもので仕方がないという見解をお示しになっていましたよね、いままで。そういうことではやっぱり郵便の一半の使命に大変もとることになる。そういうところまでせっぱ詰まっているのに、そういう人たちの欲求を切り捨てて、もともとあったの趣旨に背いてまで料金値上げをしなきゃならないという実情に来ているのに、その国民の不満に答える方法を何一つ御研究にならなかったというのは私は大変不満なんですよ。  で、いままでも申し上げましたように、そういうかっこうでしか考えられないと、私の貧弱な頭でそこまでやっと考えたわけですよ。でも、はがきの広告問題にしても、これ大変とっぴな問題かもしれませんけれども、いま受け取る側の人たちは、そのことで少なくともミニコミが守れるということだったら、別に広告入れたから届かないわけじゃないですね、そのくらいの痛痒を苦にしないかもしれませんね。あるいはその企業が自分のところの広告が入っているのを何十万部とまとめて買う可能性もありますね。そのことは、もうなりふり構わずの状況にあるんですから、郵便業務の権威だの面目だのと言っている場合じゃないというような気がするんですけどね。その辺まで腹を決めてかかるんでなければ、独立採算の堅持も認めないし、受益者負担も納得できませんよ。そこまで考えて、いろいろやってきましたけれどもついに料金値上げにおすがりするよりしようがありませんということになれば、それはまた話は別ですけどね。勝手なことをるる申し上げましたけれども大臣いかがですかね。
  379. 村上勇

    国務大臣村上勇君) なかなか傾聴に値する御議論でありますが、しかし、こういうことをどうでしょうか。いまガソリン税というのは目的税であります。したがって、こういう目的税が非常に問題があることはもう御承知のとおりであります。いま私の幼稚な頭でいろいろ考えてみましたが、もしここでDMの人たちだけに、それをある税金と同じような意味でそこからより以上の収入を得るとすれば、それらの諸会社は、結局、その会社の採算上、その会社の製品なりあるいは品物なりにそれだけのものをかけて、その会社が生きるために必ずそこへ案分されると。そうなりますと、受益者負担の原則というのが、何にも知らない一般のこの製品を使用する人たちにも、関係のない人にまで及ぼすようなことになりゃせぬかというようなことを私は私なりに考えてみたんですが、その点は、経済問題には明るい青島先生にひとつ御意見ありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  380. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは大臣同じことですよ。料金が上がれば、目的税を設けないでいまのように上がれば、いま御提出になっている法案のように上がれば、現行二十円が五十円になるわけですね。定形外になりますと六十円以上になりますね。そうすると、ダイレクトメールを出しているたとえばデパートですね、いままで四十円ぐらいでダイレクトメールを一通出せたのに六十円以上かかっちゃうわけですよ。そうしますと、その発送分が製品の単価に戻るということになりますね。同じことなわけですよ。  ですから、むしろ一般の企業から応分の、それこそ受益者負担だと私は思うんですよね、受益者としての納税をしていただければ値上げしなくて済むという事態ができれば、ダイレクトメールを払うデパートにしても助かるわけでしょう。ですから、もっと安くなるかもしれないじゃないですか、そうはお考えになれませんか。
  381. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そういうふうにも考えられますが、それでは、その製品を、郵便物を全然出さない人ですね、その人もやはりその値上がりした製品を求めるということになりますので、結局、関係のない人にまでも高いものを求めさすというようなことにはならないかと思って心配しておるわけです。
  382. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから郵便料金が上がれば同じことだと言うんですよ。それはデパートはどうするかわかりませんね、今後。いままでそれを何万通か出していたわけでしょう。それでそれをそれぞれ企業で計算をしているわけですから、何万通出せば何人が買いにくる、何点売れるからどうなるかという計算をしているわけですよ。広告費の中でそれはデパートの場合は落としていますからいいですけどね、ただ一般の人々はそれは税金の申告でも控除できない部分だから怒っているわけですよ、デパートの場合は控除しますからいいでしょう。いずれにしても採算考えますからね。だから、当然、値上げになればダイレクトメールの数も減ることは想定されていますね。ダイレクトメールの料金も上がるわけですから、今度の料金改定で。そうなりますと、ダイレクトメールのための費用が一般の商品に返ってくるわけですから、全然関係のない人が高い物を買わされることになるわけですよ、大臣、そうでしょう。それだったらその目的税みたいなものを設けた方が八方丸くおさまるんではなかろうかということを申し上げているわけですよ。  それで、しかも一般の方々の認識としては、企業の通信はいずれにしてもつまり利益をもたらすために行われているんだし、われわれの私信は形而上的な利益はあるけれども、実際にはないんだと、それをごったに考え料金体系の値上がりの中に巻き込まれるから迷惑だという基本的な考え方でいるわけですから、その辺、御理解いただけませんですかね。
  383. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは私は同じことになるような気がしてしようがないんですがね、私も勉強していきますから。
  384. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、再三申し上げますように、一般の方々の不満の根源というのはそこだと思うんです。  それで、これからも私信というのはうんと減るでしょうね。情報収集の問題、情報を取得するために郵便物をお使いになるというケースはますます減るでしょう。先ほどの木島さんのお話にもありましたけれども、電波あるいは電報にかわるものとしてできるものはできても、それは情報伝達の手段としてではなくて、決済のための書類とか、その証拠品として残るような書類ぐらいのものだけになってしまうんじゃなかろうかという気がしますね。あるいは私信として本当にふるさとの母親からの手紙というようなものはうんと少ない割合になっていくでしょうし、そうしますと、ますます一般の方の不満というのはつのっていくような気がします。というのは、郵政省は何だ、郵政省は企業の片棒を担いでいて、そのために赤字になったからといってわれわれに負担をかぶせてくるんじゃないかという考え方になってきますね。それで、とにかく独立採算をやる、企業利益あるいは収支相償うようにということだけ考えていたら、一般の文化の高揚とかそういうものをどんどん切り捨てていかなきゃならなくなるわけですよ。そういうことになっていったら一般の不満はつのってくるし、郵政省に対する信頼も損なわれてくるに違いない。  ですから、全く利潤追求を考えるんだったら、どうしてはがきに広告を載せるぐらい徹底的なことをしないんだ。それから企業と私信等の扱いをどうして区別するようなかっこうにできないのか、少なくとも法にあるんですからね、「筆書した書状」ですから、第一種通信というのは。ですから、本当にコンピューターと連動した簡易印刷機であて名を刷って何十万も出すというのは、あれはどんなに定形であろうと第一種郵便物とは法上認められないわけですよ。ですから、そんなことまでも怠っていて一般の国民の不満を助長させる、あるいはそういう情報を入手しよう、あるいは連絡を取り合おうという基本的な権利までも抑えつけてしまうという結果になれば、元も子もないという気がするんですけれどもね。その辺を篤とお考えになっていただきたいという気がするんですけれども、どうでしょう。
  385. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 十分ひとつ考えて研究をしてみたいと思います。
  386. 青島幸男

    ○青島幸男君 何ですか、蟷螂のおのと申しますか、ぬかにくぎと申しますか、大変じくじたる思いでございますけれども、そういうことですから、ただ単に上げてくれ、お願いしますということで、収支相償うんですというようなかっこうでなされる今度の法改正には、どうしても賛成するわけにはまいりません。どうぞひとつ深く御検討になって、できれば撤回していただきたいというような気持ちがあります。  最後になりますけれども、これは事前に通告してなかったものですから、ここではっきり御回答をいただくということにはならないかもしれませんけれども、十一月の四日に、行政不服審査法にのっとりまして、郵便貯金の金利引き下げの問題につきまして、一般の貯金者に一片のあいさつもなく勝手に金利を下げてしまわれたということに対する不満で、異議申し立てを大臣あてに出しているわけです。これの取り扱いにつきまして、どういうことになっておりますか、私の方に返事が全く来てないんです。  先ほど申し上げましたような事情ですから、ここでしかと御回答いただくということは御遠慮申し上げます。しかし、異議申立書がそういう趣旨大臣のところに行っているということだけは明確に申し上げておきますので、次の機会に、明確に御回答をお願いできるように、確と、しかとお願い申し上げておきますが、いかがでございましょう。
  387. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 次の機会に、御回答いたします。
  388. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 本日の審査は(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)この程度にとどめます。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  389. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こしてください。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十七分散会