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1975-11-20 第76回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     松岡 克由君  十一月二十日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     青井 政美君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 青井 政美君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 松岡 克由君                 最上  進君                 案納  勝君                 竹田 四郎君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        郵政政務次官   稲村 利幸君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        郵政省電波監理        局審議官     市川 澄夫君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本放送協会副        会長       藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本放送協会理        事        山本  博君        日本放送協会理        事        川原 正人君        日本放送協会理        事        中塚 昌胤君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、斎藤十朗君が委員辞任され、その補欠として松岡克由君が選任されました。  また、本日、迫水久常君が委員辞任され、その補欠として青井政美君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 山中郁子

    山中郁子君 私は、NHKの決算の審議に当たりまして、まず初めに、一昨日も多くの委員の方からお話がありましたように、現在、NHK受信料引き上げ問題が社会的に取りざたもされておりますし、国民の関心も呼んでおります。それでNHKは四十七年度から赤字が発生して、そして経営が大変厳しい状況に陥っていると、こういうふうに御報告されておりますけれども、四十七年度以降の赤字状況、それから見通し並びに対応策について、初めに一通り御説明をお伺いしたいと思います。
  5. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) おっしゃるごとく四十七年から赤字という状態を続けておりますが、事業収支赤字の原因につきましては二つの面がございまして、一つ受信料収入の面、それからもう一つ支出の面でございます。  収入の面につきましては、昭和四十三年度以降、カラー契約数につきましては、わが国の経済高度成長ということと相まちまして非常に順調に伸びてまいったわけでございますが、その後、全体の世帯数伸びの鈍化とか、あるいはテレビの普及がだんだん限界に近づいてきているというような状況のもとに、四十六年度をピークとしまして増加逓減状況になってまいったわけでございます。これに伴いまして、受信料収入伸びは非常に近年著しく鈍化してまいりまして、増加率で申しますと四十七年度は前年度に対して九・〇%、四十八年が七・五、四十九年が五・六、五十年は予算でございますが四・一%というふうに、増加率が非常に逓減してまいったわけでございます。  こういった状況の中で、一方、事業支出増加につきましては、放送番組の充実とかあるいは難視聴地域解消など、公共放送として基本的にやらなければならない使命を遂行するということで支出増加を来してまいりました中で、私どもとしましては、事業の全分野にわたりまして効率的な運営に努めて、要員増加の抑制とか、あるいは経費削減に努めてまいりましたが、やはり四十八年度の石油危機以来の物価賃金等の上昇が一層加速されまして、そういった経済状況影響を大きく受けることになりまして、四十八年度以降、経常収支は実質的に赤字となってまいったわけでございます。  計画から申しますと、四十七年度は五億六千万円の赤字でございますが、これは沖縄の放送協会を合併したことによる赤字でございますが、その後、四十八年から実質的な赤字になりまして、四十八年度が九・六億円、四十九年度が四十億余り、それから五十年度は予算でございますが御承知のように二百十六億という赤字に転じたわけであります。こういった状況に対して、私どもとしましては、もちろんいま申し上げましたように業務効率的運用ということに努力いたしまして、そのほか設備投資の縮小とか、あるいは業務削減、繰り延べといったようなものを行う一方、東京放送会館売却益事業資金に活用してバランスをとってまいったわけでございますが、五十年度におきましては、こういった状況のもとでも、やはり全体のバランスが非常に厳しくなりまして、今年度の予算におきましては、事業資金の実質的な借り入れといったような緊急措置業務を遂行するという事態に至ったわけでございます。  今後におきましては、もちろん受信契約者数のさらに増加を含めまして、事業収入確保というものに格段の努力をいたしますと同時に、経営全般にわたって業務の見直しを行いまして、合理的効率的経営最大努力を尽くしたいというふうに考えておりますが、やはり現在の状況で推移しますと、事業収支の不均衡といったようなことはどうしても将来にわたって避けられないという見通しでございます。大体、経過とそれから現状、それに対する対応というものは以上のようなものでございますが、このままではやはり何としても受信料改定といったものについても考慮せざるを得ないというような状況にあるものと私ども思っております。
  6. 山中郁子

    山中郁子君 幾つかの対応策をおっしゃったんですけれどもNHKとして、その中心的な柱として考えていらっしゃるのは何なのかということをもう少し明確に御答弁をお願いしたいんです。
  7. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) この収支赤字に対する対応ということで言いますと、中心的にはやはり二つございまして、一つは、やはり収入確保ということでございます。これは先ほど申しましたように、受信契約者数が、普及限界に達してきているというのは事実でございますが、しかし、まだわれわれとして努力する余地は当然あるわけでございますし、また契約した中から実際の収入確保するということについて最大努力を払わなきゃならぬ、これが一つの大きな柱でございます。  それからもう一つは、やはり支出の面を抑えていくということでございます。これにつきましては、もう端的に申し上げますれば、業務の効率的な運営経営として引き締まった経営をやっていきたいということでございまして、その面ではいままでも、御説明申し上げましたように、部内に経営改善委員会というものをつくりまして、そこで業務全般的な洗い直しといったものを行うと同時に、やはり何と言っても私どもはなさなければならない使命があるわけでございまして、その使命を遂行するのに、経費の上でもあるいは要員の上でもできるだけとにかくむだをなくしてそれに対応していきたいということで、全部に対して洗い直しをやっているというのが現状でございます。
  8. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、もう一度確認をさせていただきたいと思いますが、対応の柱は二つあって、収入確保並びに増加そして支出削減ということですね。  そうしますと、対応の柱として料金改定考えていらっしゃらないと、このように理解をしてよろしいと思いますけれども、その点、もう一度はっきり御答弁いただきたいと思います。
  9. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) いま申し上げた二つの柱は、これに対応するわれわれの最大の眼目でございますが、しかし、それをやりましても、やはりいまの経済情勢の非常に大きな変化といったものはNHK経営に対して当然いろいろな意味影響を与えてきておるわけでございまして、そういう努力をいたしましても、先ほど申しあげましたように、収支バランスを将来にわたって保つことはむずかしいというのがいまの状況でございます。したがいまして料金改定については検討せざるを得ないんじゃないかというのが私ども考えでございます。
  10. 山中郁子

    山中郁子君 柱ではないけれども、検討をする必要があるというふうにお考えのようですけれども、柱でないということは確認をしていただけたものと存じますが、それは副会長よろしいですね。
  11. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) そういう意味では、柱でないと言ってよろしいかと思います。  ただ……
  12. 山中郁子

    山中郁子君 それだけでいいです。  私は、きょう現在も大蔵委員会で酒、たばこの値上げ法案をめぐって大変緊迫した状況が起こっているという事態、この逓信委員会でも郵便料金引き上げの問題について毎回さまざまな議論が理事会などでも行われているという、こういう状況があります。で、これは一にかかって国民がいまこの不況、インフレの大変困難な時代に、困難な生活の中で公共料金引き上げは何としても抑えてもらいたい、引き上げてもらっては困るという、こういう切なる願い国会に反映して、そしてこれを何としてでも押し切ろうという自民党、政府のその強硬な姿勢、それに対する国民批判が高まってきていることによって起こっている事態だというふうに考えます。  で、こういう事態のもとで、またさらにNHK受信料引き上げられる、それから一般的に言われておりますように国鉄運賃、また逓信委員会にも大きな影響があります電信電話料金の問題、その他軒並みに公共料金引き上げが取りざたされている事態のもとで、NHKの安易な引き上げへの姿勢ということは私は厳に戒められなければならないというふうに考えております。それでいま副会長から柱としてはあくまでも収入増を図り、そして支出を抑えるということの経営努力であるというお話がありました。そのことはゆめゆめお忘れにならないで取り組んでいただきたいというふうに考えております。  そういう事態のもとで、いまNHK国民との関係で果たす役割りは非常に大きいものがあるというふうに考えます。それで、まずいま現在日本が陥っている、そして日本国民が当面している経済的政治的そして文化的危機的な状況ですね、この状況から何とかして脱出したいというのが国民の切なる願いだというふうに思います。で経済的にも政治的にもそして文化的にもマスコミの一つの柱として成立しているNHKの果たす役割りは大変大きいというふうに考えておりますけれども、その点について、もう少し高い見地から、経営努力が低い見地だということで申し上げておるわけではありませんけれども、そういう高い見地からのNHKとしての決意を初めにお伺いしたいというふうに思います。
  13. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) いままで申し上げた中でも若干触れてございますが、やはりNHK国民の政治、経済、文化に果たす役割り重要性というものは、いままでも私どもそういう自覚のもとに運営をしてまいったわけでございますが、特に、いま現在、日本が非常に大きな転換期にございまして、高度成長から安定した成長へ、また国民生活内容につきましても本当の実質的な安定というものに向かっていく中で、私ども国民に対して的確な情報を提供し、また問題解決のための種々の提起を行い、また、そういった国民生活に対して本当に心の温まるような慰安を与えるというような方向で努力しなきゃならない役割りは、こういう時代であればこそ、さらに大きくなっていくというふうに私ども認識しております。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、私ども国民皆様方気持ち、実際の生活なりお気持ちなりを考えて、決して安易な値上げというものを考えておるわけでございませんが、やはり私どもはどうしても経営的な面だけで物事を考えるわけにいかないわけで、私どもの果たすべき役割りというものをまず第一に置いて、それをどういうふうに効率的に運営していくかというふうな気持ちで今後の経営に当たっていきたいというのが実質的な気持ちでございます。
  14. 山中郁子

    山中郁子君 私は、安易な引き上げを行うべきでないということは当然です。それで国民がいま切実に物価の安定を求めている、公共料金引き上げに反対しているということも、これもほとんど例外のない一致した意見であり、希望であるということを前提にいたしまして、さらにお伺いをいたします。  二つの柱というふうに申されましたその一つ収入確保し、またふやしていく、これは契約の拡大その他の問題になると思いますけれども、それについての基本的な態度ですね、どういうことの内容をもって契約をふやすというふうにNHK考えていらっしゃるのですか、このことをまずお聞きしたいと思います。
  15. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども契約をふやし、あるいは契約というよりも端的に申し上げまして収入をふやすというのには、契約をふやすと同時に、また一度契約しておられる方の中でお払いが滞っている方もあるわけでございます。そういう方からきちんと収入をいただくということになろうかと思います。  そのためには、まず、基本のところにおきましては、NHKが果たしております役割りをよく知っていただく。単に放送法の規定とかどうとかいうことでなくて、NHK日本放送事業の中で果たしている役割り、それを十分に御理解していただければ、聴視者の方からもなお一層のその契約、あるいは滞っておる方からのお支払いも進むのではないか、まず、そのことを第一に考えて、負担の公平と申しますか、そういうことを図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  16. 山中郁子

    山中郁子君 同じ質問を副会長からも御答弁いただきたいと思います。——同じなら同じで結構です。
  17. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) いま川原理事から申し上げましたとおりでございます。
  18. 山中郁子

    山中郁子君 私は、そこにNHK姿勢問題点があると思います。  いま川原参考人が言われたことは、NHK役割り国民に知っていただいて、そして契約もしてもらうし、お金も払ってもらうと、こういうふうにおっしゃるわけですね。違うんじゃないですか、いいんですか、それで。ちょっともう一度そのことを確かめます。いいんですか、それで。
  19. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども基本的に、特に私がいま担当しております営業の部門、これは契約をちょうだいし、かつその上料金をきちんといただくということが結論的な仕事でございます。  そのためには、何と申しましてもやはりNHK存在そのものが法律的な文言ということではなくて、実態として、これは放送番組を含め、それからいろいろな技術的な難視解消とか、そういうことも含め、全体としてのNHKが果たしている役割りをまず基本としてよくわかっていただく、このことが徹底しなければ、私ども、私がいま担当しております営業仕事は完全には進まないと、そういう私は信念のもとに仕事をしてまいっております。
  20. 山中郁子

    山中郁子君 そういうことではないはずだと私は思います。それはいままでの審議の中でNHK国会でおっしゃっていたことから見ても、それでは違っていると思います。  なぜならば、たとえば三月、これはたしか二十五日の逓信委員会だと思います、私が予算の問題について質問をいたしました。その中で小野会長は、このように答弁されていらっしゃるんですね、「国民の声を十分にお伺いをして、それに沿い得るような運営をし、これに対して十分な理解と御協力を得ながら契約の締結を進めて」いかなければならないと思うと。いまのお答えは「国民の声を十分にお伺いをして、それに沿い得るような運営をし、」そして「理解と御協力」をいただくということが、後半しかお答えがないんですよ。私が何回も繰り返ししつこくお伺いしているにもかかわらず、国民期待に沿い得るような運営努力をするということを一言もおっしゃらないんです。その点はどうなんですか、やっぱり国会答弁と本音と違うということですか。
  21. 川原正人

    参考人川原正人君) 私が言葉が足りなかった点があるとすればおわびいたしますけれども、私は全くそのことを含めて申し上げたつもりで、私どもが本当にNHKのことを理解していただくためには、もちろん一方的にNHKはこういうことをしているんだ、こういうことをしているんだと、それだけではとても理解はいただけない。それに対しまして聴視者の方からもちろんいろんなまた反応もあるし、御要望もあるし、御批判もあろうと思います。それに対しましては私どもまた謙虚にその意見を伺って、それをかくかくしかじか私ども経営の中にまた反映をさしていっていると、そのことをまた聴視者の方にフィードバックと申しますか、御説明をしていく、そういう中で私ども仕事理解していただかなければとても理解は進むものではないと、そのとおりに思っております。
  22. 山中郁子

    山中郁子君 私がこういうふうに指摘すれば、それは言葉が足りないと、そういうふうにおっしゃいますけどね、何回も繰り返して、それでよろしいんですかとお伺いしているにもかかわらず、そのことは出てこなかったんです。あなたからも副会長からも出てこなかったんです。  それは国会の場で会長はこういうふうにおっしゃいます。で何かというとそういうふうにNHKは言うけれども、いつもいつもそのことが念頭にあって、それが一番大事だといつも思っているならば、必ずそれがまず出るはずですよ。そして言葉が足りないところは、あるいは理解をしていただくということについて言葉が足りなかったということはあり得るかもしれませんけれども、私はどう考えてもやはりNHKがこういうふうにしておっしゃることと、実際にいつも考えていらっしゃることと違うから、こういう場で、一回だけ私がひっかけるような質問したんじゃないんですよ。何回も基本的なことで、それでよろしいのかとお尋ねしたにもかかわらず、そういうお答えが出てこなかったということは、やはり経営姿勢基本にもかかわる問題だというふうに考えますけれども、副会長の御所見伺います。
  23. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 言葉が足らなかったことについてはおわびいたします。  ただ、私は先ほどから何回もわれわれの公共的使命を遂行するということを申し上げておるわけでありまして、公共的使命は何かといいますと、やはりいろんなNHKの守るべき準則その他がございますが、国民のニーズにこたえて果たすのが公共的使命の最たるものでございます。そういったことを含めて先ほどから何回も公共的使命というのを申し上げたつもりでございます。
  24. 山中郁子

    山中郁子君 何回もおっしゃっていません。そのことは後で議事録をお調べになればわかります。そんなことをおっしゃってないですよ、さっきから、そうでしょう。ただ要するに理解をしていただくと、こういうことを言われているだけであります。  ですから、私は、それをただ言葉じりをとらえていま申し上げているんじゃないんです。後でまたいろいろとお尋ねしますけれどもNHKが実際に内部考えたり、相談したりしていることと、実際こういうところへ来ておっしゃることが違うということ、それでは困る。国会答弁はそういうことで表向ききれいごとを言っておきます、国民に対してもそういうふうに言っておきますと、だけど、実際は、考えていることはこういうことだということでは、逆に、いつまでたっても国民理解協力を得られるということにはならない、そこが私は根本的に間違っているというふうに思います。  たとえば、具体的にそれではお聞きしたいんですけれども、ここに「〜聴視者と語ろう〜NHKキャンペイン運動の展開」という文書がございます。で「昭和五十年度営業広報活動重点とそのすすめ方」と、こうなって、「取扱注意」となっている文書です。五十年四月に営業総局がお出しになりました。この中にたくさんありますけれども、時間も制限があることですから、幾つかいまの問題と絡んで指摘をしたいというふうに思います。お伺いをしたいとも思います。  これは五十年度の営業重点、いまNHKもおっしゃいましたように、そして私も指摘しましたように、こういう困難な状況の中で営業活動重点をどこに置くのかということをNHKがいろいろと微に入り細にわたってお書きになっていらっしゃるわけですね。そしてその中に「活動のねらいと活動内容重点は何か」というふうになっております。つまり五十年度の営業活動ですよ、重点とねらいは何かと、こうなっていますね。  その中にこう書かれています、「前項で述べたように、五十年度の大きな目的を、受信料改定に際し、」これは柱じゃないと言っているにもかかわらず、内部資料ではこういうふうに書いてある、これは柱以外の何物でもありません。「現状支持率——これは括弧して(普及率収納率)となっておりますけれども、「を最低限維持していくことにおくのであれば、このことにマイナスに作用しそうな諸問題の発生をできるだけ事前にくいとめていく、そして万一問題が発生しても、その影響を最低限にとどめるようにしていくことが、当面の活動のねらいであり、内容とならなければなりません。」たった三行の文章ですよ。このほかにいっぱいこういうふうに書いてありますよ。  私は、いまたった三行の文章を取り上げました。その中に一体幾つ問題点があると思いますか。「五十年度の大きな目的を、受信料改定に際し、」となっている。受信料改定先ほど会長がおっしゃったことと違うではないですかということが一つです。それから「現状支持率を最低限維持していくことにおく」と、この中に何ら国民期待にこたえて運営努力をし、いい番組をつくり、そして契約も拡大し経営の安定も図るという趣旨のことが一つも書かれていません。これが「活動のねらいと活動内容重点」です。この点についての御所見を承りたいと思います。
  25. 川原正人

    参考人川原正人君) いまの御指摘文書は私もここに持っております。御指摘のとおり、これは「取扱注意」と書いて流しましたのは、実は、この冒頭にも書いてありますように、これは私ども現場においていろいろな活動を行っております。その活動全般ではなくて、その中の広報活動とその進め方について現場において討議をするときの参考資料として、これを中心に議論を深めなさいと、こういう意味のいわば参考資料として配りましたもので、その意味でも「取扱注意」ということで部内資料として配ったものでございます。  その点一点お断りしておきますが、それからいま御指摘の進め方の重点と申しますと、これは私どもとしてはかなりこの文書のあり方については率直に言っていろいろ反省もございますが、私ども営業活動基本としましては、実は、この文書のほかにきちっとした営業活動基本方針というのはこれはもう部内に徹底しております。そこの中では、先ほど来申し上げますように、あくまでも契約の徹底ということ、それからいろんな意味難視解消あるいは受信障害の解消、技術的な解消、それから理解促進の積極的な展開、この三つの柱を大きな実は営業基本方針として展開いたしまして、その中の一つ聴視者との交流の場における参考資料として、こういうものを配ったわけでございます。  もちろん、その重点が、いかにもいま御指摘文章だけですと、何か現在ある普及率支持率、それを維持すればいいというふうにまあとられるような表現になってて、これは大変残念なんでございますけれども、私どもとしては、全体としてこのはしがきにも書きましたように、一人一人の聴視者との交流ということを大事に考えなければいけないと、一ページ目の真ん中に書いてございますが、そういうことを基本といたしまして、その中で一つの当然契約もふやさなければなりませんが、最低少なくともいま契約していただいている方、この方の中に、実を言いますと、この後いろいろ出てまいりますけれども、支払いの滞っている方あるいは逆に払わないという運動を展開しておられる方、ここに実は非常に問題がございますので、その点を重点としてこの文章を書きましたものですから、多少そういうふうな偏った表現が出ているところがありますけれども、私どもとしては、いま申しましたはしがきにもありますとおり、あくまで一人一人の受信者との交流ということが重点でなければならぬ、そういうつもりで指導いたしております。
  26. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、いまの御答弁に基づきまして三つの点を改めて御質問いたします。  一つは、NHKは部内の文書と部外の文書は違うんですか。中の顔と外の顔と違うんですかということが一つです。  それから第二点は、先ほど質問いたしましたけれども、「受信料改定に際し、」と、あたかも受信料改定が既定の事実であるかのようにこの中に書かれてありますけれども、その点については、先ほどの副会長の御答弁と大きく食い違うというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。  それから第三点目は、私は、いま川原参考人がいろいろ言われたけれども、そうではないんですね。これは不払い扇動者に対する重点目標というものじゃないんです、営業活動重点目標です。ですから、その点に関して言うならば、先ほどから私が指摘をして、いやそれはそのとおりで何回も繰り返しているというふうに副会長は言われるけれども、本当に番組をよくして、そして経営を改善して、そして誠意を持って国民にそのことの理解を深めて契約を拡大し、経営の安定を図っていくという努力がここに一片も書かれてないということは、姿勢が結局違うんじゃないかと、このことを指摘しているわけです。  以上、三点について、ぜひとも私は必要な問題は副会長から御答弁をいただかなければならないということでお願いいたします。
  27. 川原正人

    参考人川原正人君) この文書の責任は私のところにございますので、一応、私からお答えさせていただきます。  まず第一の御質問の、外の向けと中の向けと違うのかという御質問でございますが、これは基本的にはもちろん同じでございます、違うことはございません。ただ、企業の運営といたしまして、部内でもって一応非公式の、何と申しますか、企業の中での検討資料というものはこれは各種ございますので、その中の文書の表現等に多少部内限りということでの問題の取り扱いがあることはこれはひとつ御了解いただきたいと。私どもとしましては、実は、これはいろんな現場活動をしております際に、何か検討資料がありませんと口頭では非常に末端にまいりましたときに物事が曲がっていくことがありますので、いわばそのメモ、検討資料というつもりでこれはつくっているものでございます。基本の方針は、先ほど申しましたように五十年度の営業活動基本方針として、これはもういわば業務の指針として徹底したものがこれを包んで外側にあるわけです。その業務営業活動基本方針では、先ほど申しますように三つの柱のことを掲げて、このことをもって本年度は営業活動を推進せよと、これは一つの方針、指針として明示したものがございます。  それからもう一つ料金改定をいわば既定の事実のようにして書いておるではないか。この点について申し上げますと、これはあくまで、冒頭から申し上げてますように、部内でのいろいろな職場での議論の検討の参考資料としてということで書きましたもので、率直に申し上げまして、私どもは別に料金改定というものを五十年度の一つ経営の方針として決定はいたしておりません、そうではございません。それは先ほど会長も言ったような柱でございますけれども、現実の部内におけるいろんな議論の場においてはわれわれはもちろん収入確保支出の効率的な運営、これを大きな柱として全部業務運営さしておりますけれども、私ども営業という観点で特に聴視者との交流あるいはPR、それからいろいろな各種の運動との対応考えました場合に、どうしても来年度に予想されます場合、どうしても私どもとしては経営をこれ以上続けていくにはそういう料金改定も検討せざるを得ないと、そういう状況にすでに置かれてきております。そのことを当然予想——ある程度の将来の経営の問題として予想して今年度の仕事をいたしませんと、それは非常にやはり職員に対する業務の指針として不徹底なものになりがちでございますので、ある程度そういうものを検討せざるを得ないであろうということを踏まえまして、いろいろな今年度の事業活動を指導しておりますので、そういう点がこういうことになってあらわれたと、確かに部内検討資料とはいえ、その辺の表現等につきまして至らない点があったことは重々現在反省をいたしております。
  28. 山中郁子

    山中郁子君 三つ御質問しまして、三つ目の点がまだお答えいただいておりませんので、その点についてぜひお答えをいただきたいと思います。  もう一度申しましょうか。要するに内容をよくして契約を図っていくというのが基本だと、三月のときの会長も言われたし、いま副会長もそうですと、何回も繰り返したと、ちっとも繰り返していらっしゃらないのにそういうふうにおっしゃったけれども、そういうこともちっとも書いてないんじゃないかということを私は指摘しているわけです。結局は、本当の本音は、そのことをいつもいつも大事に考えているのではない、   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 NHKの内情がここにはしなくも暴露されているんではないかということを私は指摘しております。
  29. 川原正人

    参考人川原正人君) いまの第三点につきまして、申しわけありません、答弁を落としまして。  これは多少繰り返しになりますけれども、私が現在担当しておりますNHK営業活動におきましては、実は、この文書ではなくて、もっと基本の、営業基本方針というものを策定いたしまして、それは部内末端に至るまで徹底するように、小冊子でございますが、配りまして、その中でははっきりと聴視者との要望にこたえる諸活動NHKは全協会的に積極的に展開しなければならないんだ、その中で営業は特に聴視者との理解促進運動に大きな重点を置きなさい、もちろんそれに先立って契約の徹底あるいは受信向上、そういうことは当然あるわけです。三つの柱を掲げて、これは部内に徹底いたしております。その中の一つとして、広報活動の中ではいろんなことが予想されるけれども、それについてこういう資料があるから、これに基づいていろいろ検討していけと、こういうことを言ったわけでございます。  これでも、その八ページ以下の——お手持ちかと思いますけれども、本文では、まず「聴視者と語ろう」と、そういうふうな運動——全協会的、総合的な理解促進運動をしなければならないんだと、そういうことを冒頭掲げておりまして、ただし、先ほど来申し上げますように、現実にいま各営業部、営業所におきまして当面している問題の中には、何と申しましても、受信料を順調にいただいている分はある意味では問題ないわけでございますが、順調にいっていない部分がどうしても問題になりますので、その部分に重点を置いて、これは比較的いろんな資料をまとめてございますので、あるいはごらんになった感じとしては、そういうことは少し目につき過ぎているという御指摘があるかもしれませんが、私どもとしては、これだけではございませんで、もっといろんな書類、指針、方針等を示しまして営業活動を指導しているつもりでございます。
  30. 山中郁子

    山中郁子君 私が問題にしているのは、どこへ向けたのであろうと、これは営業広報活動重点ですね。部内であろうと部外であろうと、どういうセクションを通ったんであろうと、先ほどからNHKの皆さんが繰り返されているように、本当に国民期待にこたえて、国民の要望を担って、そしてそのことを基礎として契約を拡大していくということが柱ならば、どのような部内であろうが部外であろうが、どのセクションを取り上げてもそれが根底になければならないはずだということを私は申し上げています。このことについてはまた別の問題でも触れます。  それでもなおかつ、どうしてもNHKは断固としてそうなんだという、ただたまたまはしなくもと、私は申し上げたいわけですけれども、たまたま言葉が足りなかったとか、表現がまずかったとか、そういう枝葉末節の問題でない基本的な考え方の問題であろうということを指摘しているわけです。これは後ほどの質問とも関連しますので、引き続きいたしますけれども、初めのお話で大臣が中座されるということでしたので、大臣がいらっしゃる時間に——またお戻りにはなりますんでしょう。じゃまたそのときにもあれですけれども、とりあえず初めにお伺いしておきたいことがあります。  それは一昨日の委員会で、社会党の森委員の御質問がありましたけれども、いわゆる高層建築問題についての都市難視の問題で報告書が出されて、そして大臣、何かよくわからない、私たちにはちょっと理解しがたい御答弁をなすって、それがちょっとはっきりしないままになっておりますので、改めて私はその点を確認をしたいわけですけれども、これも同じく三月の逓信委員会で私も質問いたしまして御答弁もいただき、ほかの委員の皆さん方も御質問なさっていらっしゃいましたけれども、あくまでもやはり高層建物による電波障害の難視は当然のことながら原因者負担であると、原因者責任でもって解決すべきだと、これはもう繰り返し確認をされてきたところだというふうに思いますけれども、一昨日のちょっとあいまいな御答弁にかかわらず、そのことについては郵政省の態度は変わらないということだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  31. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) テレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書におきましては、大都市地域では近年複数の建築物が複合して受信障害を生ぜしめるなど、こういう事例が増加しておりまして、そのような場合におきましては原因者の特定が非常にむずかしくなりつつありますために、高層建築物が林立し、現在及び将来受信障害が広範囲に発生する地域におきましては、受信障害関係者である建築主と住民——住民は受信者になりますが、放送事業者、国及び地方公共団体からそれぞれの責任と受益に応じて金員——金の拠出を求めまして、この金を基金として受信障害の解消に責任を負う公的主体、たとえば受信障害解消基金というようなものを設立することなどが提言されております。  この場合、費用の分担につきましては、建築主が受信障害発生の直接の原因者でありますことから、受信障害解消費用の大半、少なくとも直接費の大部分はこれが負担することが適当であると明確に述べられております。  郵政省といたしましては、今後とも、原因者責任のたてまえに基づきまして、関係者を指導してまいりたいと考えております。
  32. 山中郁子

    山中郁子君 もう少しはっきりしていただきたいと思いますが、たとえば三月二十五日の逓信委員会におきます私の質問に対して、大臣並びに政府委員の方から、結論的に原因者負担ということは変わりはない、そのように対処するというお約束がありました。いま大臣がたてまえとしてというふうにおっしゃいましたね。たてまえと本音ということがよく使われる場合には、たてまえはたてまえだけれども、実際は違うというふうに日本語ではよく使われるわけです。よもやそういうことではないんでしょう。
  33. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 決してそういうたてまえをそういうように使っているわけじゃないんでありまして、何もかも全部費用はその、原因者にかぶせてしまうということ、大部分がそうでありますが、しかし、受益者も、たとえばこういう障害がなくてもアンテナは常識上立てなければ、設けなければならないという場合があったとしますと、そういうアンテナを設ける費用、そういうようなものぐらいはやはり受益者といえども出していいんじゃなかろうかと、それらの点を研究しております。で、しかし、たてまえの問題は、大部分が、もうほとんど大部分は原因者にということがたてまえだということであります。
  34. 山中郁子

    山中郁子君 一般的なアンテナなんというのは別問題の話です。  つまり高層建築ができて、そしてそれまでちゃんとテレビが見えたのに見えなくなったということについて、受信者については何ら責任はないと私は思いますけれども、その点はどうですか、はっきりさせていただきたいと思います。
  35. 市川澄夫

    説明員(市川澄夫君) 高層建築物が建ちましたことに由来をいたしまして、それまで平穏、良好に受信が可能でありました状態が、その建築物に起因をいたしまして受信障害を起こしましてテレビが見えなくなるという事態が起こりましたことは、建築主の建物が原因であると申せると思います。
  36. 山中郁子

    山中郁子君 私が御質問したのは、ですから受信者には責任はないんですねと、そのことを確認なさるんですねということです。
  37. 市川澄夫

    説明員(市川澄夫君) 建築物が新たに建ちましたことによりまして、起こりました障害につきましては、受信者は責任はございません。
  38. 山中郁子

    山中郁子君 問題は、もともと高層建築ができてそれで電波障害が起こったことを問題にしているんですから、受信者に責任があるということはあり得ないはずなんですね。それを何だかたてまえはとか何とか言うと、例外的には何かあるみたいな、そういう大臣の御答弁ですから、そこをはっきりさせていただかなくちゃいけないと思います。  で、もう一度私は再確認をいたしますけれども、これは三月の逓信委員会での私の質問に対して、主要な原因——これは例のビルがたくさん建っていて原因者が重なるからというふうなことでいろいろ議論になったときのお話ですけれども、そのことも含めてですが、ビルが原因者であることについてはっきりしていると、こういう見解に郵政省が立たれているということは間違いないですねということに対して、間違いありませんと——石川政府委員というのはあなたですか。
  39. 市川澄夫

    説明員(市川澄夫君) いや、私は市川でございます。
  40. 山中郁子

    山中郁子君 失礼いたしました。  そのときは政府委員の石川さんという方がお答えになっています。そのことを改めて確認をしておきたいと思います。  高層建築その他の建築物の障害によって電波障害が起こって受信が不可能になった場合の受信者の責任はないのだということについての大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
  41. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) それはもうこの前もそう答えたのですが、全くそのとおりです。
  42. 山中郁子

    山中郁子君 たてまえじゃなくて。
  43. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) たてまえじゃなくて、その場合は。
  44. 山中郁子

    山中郁子君 正真正銘そういうことですね。
  45. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) そのとおり、そういうことです。
  46. 山中郁子

    山中郁子君 では、もう一つ大臣にお尋ねをしなければいけない問題がございますので、それは若干問題が飛びますが御了解をいただきたいと思います。  NHK経営委員の問題についてですね、どのような形で決まるのかということを簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。その手順です。
  47. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) NHK経営委員でございますが、これは放送法に定めてありますとおり、NHK使命というものを十分に果たすために、広い視野とそれからまた経験と知識を有する者の中から、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することになっております。  その場合におきまして、その選任につきましては、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公.平に代表されることを考慮しなければならないということになっておりまして、そういった観点から広く候補者を選考いたしまして、政府部内で検討の結果、経営委員に任命するということになっております。
  48. 山中郁子

    山中郁子君 事務的な手順をお尋ねしておりますので。  もう少し申し上げましょうか。つまりNHK経営委員が決まりましたね、何人か名前が挙がってますでしょう。あれはどこでああいう名前を挙げて、そしてどこでそれを国会へ持ってきて、そしてその後で内閣が任命するわけですか。つまり最初のリストアップはどこでなさるのですか。そういうところからの事務的な経過、手続、それをお伺いします。
  49. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) これは郵政省あるいは内閣におきまして、それぞれ協議をして決定する、検討して決定する、こういうことでございます。
  50. 山中郁子

    山中郁子君 もうちょっとはっきり教えてほしいのですよ。協議をしてといったって、何にもないところへ郵政省と内閣が来て、じゃだれにしましょうかって大ぜいの人の中からリストアップするわけじゃないでしょう、郵政省が案をおつくりになるのでしょう、そのことをお伺いしています。
  51. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 具体的にどういう手続でという、そういった内部的な事務の手続は特に決まってはおりません。
  52. 山中郁子

    山中郁子君 特に何ですか。
  53. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 特に決まってはおりません。
  54. 山中郁子

    山中郁子君 どういうふうにおやりになっているのですかと言うのです。
  55. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) したがいまして、それぞれその都度検討いただきまして、御協議の上決定をしていただく、こういうことでございます。
  56. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ今回の場合はどのようにリストアップをなさいましたか、どこで。
  57. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私、郵政省としては、古垣何がし君が任期が来た、そこで……
  58. 山中郁子

    山中郁子君 大臣、もうちょっと大きな声でおっしゃってください。
  59. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 古垣君という経営委員の任期が来た、その後任をだれにするかというので、いろんな大ぜいの人の中からこういう人たちが委員にいいんじゃなかろうかというようなことで、これはやはり内閣の方へ出しますので、内閣へそれを進言して、そこで政府が相談してこれを決めていくということであります。
  60. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、リストアップの段階では、郵政省の段階でそれを提言する、こういうことだということが明らかになりましたけれども、このことを明らかにするだけだって何分かかっていますか、もうちょっとちゃんとはっきり答えていただきたいと思います。  それで、私がここで郵政省の政治姿勢としてお伺いしたいことは、今回の選任された経営委員の大来佐武郎氏の件についてです。わが党はこの選任について反対をいたしました。先ほど政府委員の方からも若干読み上げられましたけれども放送法第十六条に、経営委員の任命について「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」云々、こうなっていますね。そういう意味で三木内閣のイデオローグとして、あるいは三木首相のブレーンとして有名な大来佐武郎氏を公正な判断をすることができる人材として推薦をなすった、あるいはリストアップをなすったという郵政省の政治姿勢、これは大いに問題があるところだというふうに考えますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。——大臣から答えてくださって結構です。
  61. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 情報化社会における日本放送協会の果たす役割りは広範なものであります。国際的視野に立った運営が要請されております。この点については、私は、さきの前委員であった日本ユニセフ協会会長の古垣鐵郎氏の後任として、同じく国際的知識が豊富であり、また経済関係にも造詣が深く、対外経済協力審議委員として活躍されておる大来佐武郎氏は経営委員委員として適任であると認められましたので、推薦した次第であります。
  62. 山中郁子

    山中郁子君 毎回の審議の中で必ず出てくる言葉があります。NHKの不偏不党、公正中立、自主自営という、こういうようなことですね、NHKはそうでなければならないと思う。  しかも、その経営委員です、最も大事なところですね。そこに不偏不党じゃないでしょう、三木首相のブレーンじゃないですか、自民党総裁のブレーンじゃないですか。国民がみんな知っているこの大来さんをなぜ推薦したんですか、不偏不党じゃないと言わざるを得ないと思う。
  63. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) それは考え方で、私はこの人は不偏不党だと、かように私は解釈しております。
  64. 山中郁子

    山中郁子君 郵政大臣の個人の主観でこの重要な人事を行うわけですか。あなたが不偏不党だと思うと、それだけで経営委員の任命の推薦をなすったんですか、そんな無責任な態度でやっていらっしゃるんですか。
  65. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私には、その任命権はないのであります。
  66. 山中郁子

    山中郁子君 推薦というふうに私申し上げております。
  67. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 推薦しても、それは単なる推薦でありまして、正式な意味の推薦ではありません。何人かの人を挙げて、その中から——それを決定するのは政府でありますから、政府、内閣がこれを決めたのでありまして、私の任命ではありません。
  68. 山中郁子

    山中郁子君 土台がなければ——その中から選任するんでしょう。土台ということは、前提として経営委員として推薦なすったんじゃないですか、非公式であろうと公式であろうと。そのリスト基づいて内閣が選任したんでしょう。それだったらそれは郵政省の責任じゃないですか。  それをあなたは大来さんについては三木首相のブレーンではないと思っていらっしゃるわけでしょうね、不偏不党だと言うんですからね。あなたの主観じゃないですかと私は申し上げているんです。あなたの主観で、それでもってこの重大な人事を提起するんですか、このことをまず申し上げている。
  69. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) これはもう見解の相違でありまして、私とあなたのこれは平行した、その考え方の違いじゃないか。私は、大来佐武郎という人はそういう一方的に偏した人ではない、不偏不党な人であると、こういうように解釈して何人かの中に入れて推薦したのであります。推薦といっても、これは公式なものじゃありませんけれども、一応原局の立場から内閣に提出したということであります。
  70. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、もう一つ伺います。  三木首相のブレーンだとかということではなくて、一党に偏していない人だというふうにあなたは理解をしていらっしゃると、こういうことですか。
  71. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) そのとおりであります。
  72. 山中郁子

    山中郁子君 「東洋経済」の八月三十日号ですけれども、「三木さんとブレーン」という表題で内閣官房副長官の海部さんが書いていらっしゃいます。ここには、海部さんは「三木さんの長年のブレーンといえば、平沢(和重)さんや大来(佐武郎)さんだが、」と、こうちゃんと書いていらっしゃいますね。何もこんなこと言うまでもなく、どこだってみんなそういうふうに書いてありますし、そういうふうに言われている。しかも海部副長官がちゃんと書いているんですよね。だから、私はそれはあなたの主観だというふうに申し上げているんです。つまり見解の相違という問題じゃないんですよ。大方の客観的な判断がどうなっているか。  私は、村上郵政大臣が大来さんは三木さんのブレーンだとは思っていないという、こんなくだらない答弁国会でなさったということ自体驚いていますけれども、実際問題はそうでないということは明らかでしょう、そこを私は問題にしているんです。見解の相違という問題じゃないんですよ、事実の問題なんです。もう一度その点についてはいかがお考えなんですか。
  73. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私はこれは先生と全く反対なようでありますけれども、私はそう、三木さんの別にブレーンで三木さんの政治姿勢というものを変えていく人であるとかいうようなことに、それほど私は評価しておりません。
  74. 山中郁子

    山中郁子君 大臣が戻られました時点で、また引き続きこの問題については継続をいたしますので、これはこのまま凍結をいたします、留保をさせていただきます。  先ほどNHKの問題に戻ります。  私が先ほどの問題と関連して、その次にNHKにお尋ねをしたいことは、先ほどから副会長は盛んに、私が基本問題としてNHK営業姿勢運営姿勢国民の要望や期待に沿った運営努力をして契約を拡大していくことであるということについては、そのとおりだというふうに言われています。だけど、実際問題として、こういう資料を見ると、少しもそういうことがうかがわれないということを私は何回も指摘をいたしました。  で、具体的な例として一つお尋ねしたいんですが、いま障害者の方たちが、テロップもそうですけれども、手話通話のあれを画面に入れてくださいという大変切実な要望をしていらっしゃいます。で、これは国民のやっぱりNHKに対する切実な要望ですね。そしてNHKが本当にそういう国民の声を聞いて、そしてそれにこたえる、そのことによって協力理解も支持も得て契約もふやして経営の安定を図るというふうにおっしゃるならば、この手話通訳の採用について、当然、NHKは具体的な研究やそれから具体化をおやりになっていなければならないはずだというふうに思いますけれども、いま現にそれはやられていません。そして御承知のように、たしか日本テレビがこれをNHKに先行して実施をする、民放でそれが行われるということになっております。私はこれは大変残念でもあるし、NHKのその姿勢の一環として問題になる——現にいまなっています、国民の皆さんの中でも、障害者の皆さんの中でも。NHKこそがそうしたことをやってくれる使命があるのではないかという声が大きく上がっておりますけれども、この点についてのNHKのお考えなり、また具体的な計画などがあるならば、それもお示しいただきたいと思います。
  75. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 先生の御指摘のように、手話通話につきましてはNTVが先ごろ十六日からニュースの一部に採用されまして、そのことについてははなはだ私も敬意をもって見守っておる一人でございます。  ただ、この際、一言釈明させていただきたいと思いますのは、NHKといたしましては、耳の御不自由な方に対するサービスとしては、教育テレビにおいて「テレビろう学校」であるとか、あるいは「福祉の時代」等を中心に長年にわたって実施いたしております。その点は耳の御不自由な方々にも評価していただいているわけでございますが、手話通話ということにつきましては、実は、多少、われわれもう少し検討する必要があるんではないかという判断に立っておるわけでございます。  と申しますのは、手話というのは非常にボキャブラリーが少のうございまして、思い違いをしたり、誤解をしたりするようなことの多い手段——ただし、生活の場でははなはだ便利でございますから、耳の御不自由な方がそれをお望みになることはよくわかるのでございますけれども、ニュース等のようなシリアスな場にこれを使いますことは、少し、もうちょっと検討する必要があるんではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。そして、むしろそういうものについては字幕の挿入ということを重点考えた方が誤りも少ないんではないかというふうに思いまして、ニュース等につきましては、絵のほかにそのニュース全体がわかるように字幕の挿入をできるだけ心がけているというのが現状でございます。
  76. 山中郁子

    山中郁子君 私は、NHKがいま坂本参考人が言われたような努力をしているということについては承知しております。されているということについては。それはそれで何にも努力をしてないじゃないかというふうにこの問題について申し上げているわけではありません。  しかし、手話通話の問題については、やはりいま障害者の皆さんの中であれが大変切実に要求されているわけです。で現に日本テレビがもうそれを始めているわけですね。で敬意をもって見守っているというふうにおっしゃってもいますし、それでしたら手話通話の問題についての具体化についての検討をされるべきではないかというふうにも申し上げているわけなんですけれども、その点についてはいかがなんでしょうか。
  77. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 確かに先生のおっしゃるとおりだと思いますが、私も、いま申し上げましたように、手話通話そのものを否定する気はさらさらございませんけれども、手話通話を取り上げるよりか字幕、スーパーを充実させるという方が本来的には耳の御不自由な方のためにもなるのではないだろうかというふうに現状では考えておるということが一点と、それから耳の御不自由な方々のグループの中でも必ずしも手話通話をやれということだけではございませんで、むしろ手話通話を余りエスカレートしますと、その耳の御不自由な方の思想形成等については、何といっても文字による理解ということがいろいろと思想形成の上に大事なので、余り手話通訳の方にエスカレートすることは必ずしも賛成でないというグループの陳情もございまして、そういうところを見合いながら検討しているというのが現状でございます。
  78. 山中郁子

    山中郁子君 で、今後、いまの坂本参考人お話ですと、いろいろ理論的にないしは実践的に障害者の皆さんについての措置としては、字幕、スーパーの方がよろしいと。そして、だからNHKとしては、手話通話については考えないで、字幕、スーパーの充実ということにこの問題についての方針を決めているのだということですか。どうもそういうニュアンスが強いのですけれども、方針としてそういうふうになっているということですか。  もう一つ、重ねて伺います。つまり手話通話についてはやらない方針だと、いわば、そういうことになっているのですか。
  79. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 手話通話をやらないというふうに決めているわけではございませんけれども、まあニュースその他、シリアスな番組に手話通話という方法を取り上げることについてはやはり踏み切れないでいるというのが正直言った現状でございます。  ただ、その生活の場で役に立っているということと、耳の御不自由な方の本当の意味のお幸せということとの兼ね合いの中で、手話通話というものがどういうような番組で利用できるのかということは、またこれは検討の余地があるのだろうというふうに思っておりますし、現に、いま手話通話の風景等を御紹介したり、あるいは「福祉の時代」等の中で手話通話の問題を取り上げたりしておりますので、手話通話という現実にあるそういう手段を否定するというような気はさらさらございません。
  80. 山中郁子

    山中郁子君 私も、手話通話だけがよろしくてそれだけをしなさい、ないしはそれだけが一番はっきりしている障害者の方々の要求なんだということで申し上げているわけではないのです。  NHKとして、手話通話の何らかの実施についての具体的な検討なり方策なりを持っていらっしゃるのかどうか、そこがどうもいまの御答弁だと微妙で、否定はしないけれども、まあやってみようということでいろいろ努力をしているというところまでもいってないという感じもするのですけれども、実際のところ、どうなんですか、もう少し端的に教えていただきたいのですが。
  81. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 先生のおっしゃるとおり、私自身も非常にその点は悩んでおるわけでございます。で、手話通話というのが本当に生活の場では役に立っているということは、これは否定できないのでございますけれども、いまのような形での手話の中身では、実際の番組に採用いたします場合にいろんな問題があるのじゃないか。  ニュースなどで出てきますたとえば地名、人名なんていうようなことはとても手話ではできませんので、フィンガー・スペリングというようなことも併用すべきではないかというような御意見もございますし、手話の方法も、東京の手話がそのまま全国に通用いたしません。大体手話にも方言がございまして、東京の手話で大体八〇%ぐらいはわかるけれども二〇%ぐらいは何かわからぬというようなこと。これは現実に耳の御不自由な方々がおっしゃっているのでございますので、そういうような手話の方法論というようなものももう少し検討いたしませんと、採用するとしても、どういうところに採用していったらいいのかということも、正直のところ非常に悩んでおるわけでございます。したがって全く否定はしておりませんけれども、もう少しかすに時間をいただきたいというのが偽らざる心境でございます。
  82. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ最後に、この点についてもう一つだけお伺いいたします。  日本テレビで実際にもう実施を始めておりますね。それの反響だとか、そうしたことについての御研究はされていらっしゃると思いますけれども、その点についてのお考え伺います。
  83. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 実は、私も十六日の日曜日の朝六時四十五分の最初の日本テレビの手話通訳のついたニュースを拝見いたしました。そして演出はなかなか御苦労なさっているなというふうに、そういう意味でも敬意を表したわけでございますが、手話というのは、手だけを映せば通訳になるんでございませんで、表情から、場合によりますと足も使うというような全身の通訳方法でございますので、なかなかテレビのあの狭い画面の中に特に重要なニュースなどを取り上げる場合にあの方法はむずかしいのじゃないかなというのが見た印象でございますけれども、われわれもあれをVTR等に撮らせていただいて少しく検討したいということで部内に勉強会を持つようにいたしました。したがいましてもう少し時間がたちますと、実際的な反響とか、そういうようなものも、また聾唖の方からのいろいろな御注文も出てくるだろう、そういうものも参考にさせていただいて勉強したいというふうに考えております。
  84. 山中郁子

    山中郁子君 次の問題に移ります。  同じくNHK営業運営基本姿勢の問題に絡んで、国民期待に沿う、国民の要望にこたえるという観点なんですけれども、これも委員会において再々問題になっております「総理にきく」の番組です。まあ昔は「総理と語る」ということでしたけれども、で、いままでの経過などについてここで繰り返して申し上げませんけれども、実は、ごく最近ですね、十一月十一日にやはり「総理にきく」という番組が放映されました。で、これは先進国首脳会議を前にしてと、こういうタイトルではありましたけれども、かなりな時間を費やして国会問題についての質問をされ、そして三木首相が大分好きなような答弁をしてたんですね。つまり値上げ三法案は何としても通してもらわなきゃならぬ、財特法も通してもらわなきゃならぬ、野党の態度に対する意見がましいことも含めて、かなり時間もとって放映されていました。  私は、このことがいままでもずっと問題にしていた不偏不党ということに関しての「総理と語る」の番組についての国民批判でもあるし、私どもは一貫して問題にしてきた内容でもあるわけです。そうして多分この翌日じゃなかったですか、大蔵委員会で趣旨説明の強行開会をするという、こういうまさに緊迫した国会状況の中でNHKがその時間を総理に十分な時間を与えて値上げ三法の宣伝をして、いかにもこの値上げ三法が成立しなければ国の財政がどうかなってしまうと、そういうようなことで国民におどかしをかけるみたいなそういう番組を放映する。しかも、これは首脳会議について三木首相に聞くという、こういうテーマだったんですよ。私は、このことはまさにNHKの不偏不党という問題についての国民期待にこたえて、そしてその番組をよくして、そのことによって契約を高めて経営の安定を図るということを全くうらはらな内容であったと言わざるを得ないというふうに思いますけれども、この点についてのお考え伺いたいと思います。
  85. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 総理の出席する番組につきましては、当委員会でもいろいろ御指摘いただいておりますけれども、これはそのたびに御答弁申し上げておりますように、行政の最高責任者である総理のお人柄を初めとして考え方等をただすというのは、当然、公共放送であるNHKとしてむしろやるべき仕事ではないかという、そういう積極的な考え方で従来も実施してまいりまして、そして三木総理になりましてもそういう形でお願いしているということでございますので、いまその内容等についての御批判はさることながら、総理に御出演いただくという場をわれわれが考えるということは、山中先生にもぜひ御理解いただきたいという次第でございます。
  86. 山中郁子

    山中郁子君 これは問題になっているのは、総理だといったって自民党の総裁だということで、もう前から何回も問題になって、私はお互いに承知した上で、そんなことを改めて繰り返して言うつもりはありませんけれども、いずれにしてもいま国会審議にかかって、そして賛否両論、対決法案というふうに言われて、野党がこぞって反対をして、強行採決をするとか強行開会をするとかというそういう暴挙を自民党、政府が働いて、国民の大きな怒りを買っているそのさなかに、総理大臣だからということで、値上げ三法の推進、財特法の推進、そういう問題を宣伝するということが不偏不党のNHKのたてまえにそれこそ反するんじゃないですか、こういうことを申し上げているわけです。  それと同時に、いままでの議論の中にもありましたけれども、三月の予算審議のときにもたしか社会党の森委員が問題にされましたが、そのときに坂本参考人も答えられていますけれども、まあNHKとしても総理大臣ということで自民党の総裁が出てくるわけですから、それでしゃべらせるわけですから、だから野党の党首の皆さんにも御登場をいただくということは考えてもおるし、そのようにもやってきたと、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、実際問題としては、それでは十一月十一日に総理大臣が、自民党総裁が総理大臣ということで、そういうことでお話をなすったと、そうしたら野党の党首の登場を御計画なすっていらっしゃるのかどうか、そのことも含めてお尋ねしたいと思います。
  87. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 総理大臣として三木さんがいろいろとお話しになるということ、それは政治的な問題で野党にも御意見があるということでございましょうが、そういう野党の御意見というのは当然国会討論会であるとか政治討論会であるとか、NHK全体の番組の中で公正にそして中立を保ってお願いしておるわけでございますので、まあ三木総理の御出演だけをつかまえられて偏っているんではないかという御批判については、いささか私も何と申しますか承服しかねる点もあるわけでございますけれども、しかし、かたがた野党の委員長の方々にも、このこととは別に御出演願うということは当然われわれとしても考えるべきだというふうに考えておりまして、ことしの四月以降、六月にやはり野党の委員長に出ていただきましたし、それから九月にも野党の委員長に出ていただきました。そして来る十一月の二十八日に、来週の金曜日でございますが、各野党の委員長に御出席いただいて、御意見を伺うという時間を編成する予定でございます。これはやはり当然のNHKとしての責務の一つとして考えておるわけでございますので、ひとつ御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  88. 山中郁子

    山中郁子君 内容問題について先ほど指摘したことを繰り返しませんけれども、政治的に公正であるべきNHKの放送の中身が、現に国会で大きな対立を呼んで政局の焦点になっている、このことについて一方的な発言を保障する形での「総理にきく」という番組のあり方について、私は強い批判を申し上げておきたいというふうに思います。  十一月の二十八日に、野党の党首の番組を編成予定されていらっしゃるわけですか。
  89. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) さようでございます。
  90. 山中郁子

    山中郁子君 それから、いま私は具体的に二、三の問題についてNHK姿勢の問題に触れて御質問をいたしました。  一番最初から申し上げていますように、NHKがおなかの中で考えていることと表へ出て言うことと、国会のこういう答弁も含めてですよ、またあるいは番組で流すことも含めてですね、まるきり違うとは私は申し上げませんよ、だけれども、かなり大事なところでずいぶん違うなということは、さっきの営業方針の重点の問題について申し上げましたけれども、そのことについて国民の声を民主的に反映する、民主的に反映して、そして民主的に運営をする、そういうことがNHK一つの重要な使命であるというふうに私は考えておりますけれども、その点については御異見はないというふうに考えますが、副会長いかがですか。
  91. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) そのとおりでございます。
  92. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、やはり先ほどあれしましたけれども重点項目の中身ですね、こういうことがNHKとして書かれているんです。部外であるとか部内であるとかいうことは論外なことなんですよね。  二十六ページです、お持ちでしたよね。「経営制度の民主化要求(値上げを契機に、より住民団体側の立場に立った制度への変革——経営委員の公選など——」と、こう注釈がついています。「を要求)」ですね。これは括弧して閉じてありますけれども、「これに対しては、問題の発生・波及をできるだけ少範囲にとどめるよう全局的な即応体制を日常的に確立しておく必要がある。」と、こう述べているんですね。  経営制度の民主化要求、これを波及を封じ込めろと、これを日常的に確立しておけと、こういうのがあなたが部内用としておつくりになった資料の中にこう書いてあるわけですね。これは一体どういう意味ですか。
  93. 川原正人

    参考人川原正人君) この文章は前のページのところに見出しがございまして、そこから続いているわけでございますけれども、「問題発生時の対応」ということで、大きく。  私ども、いままだ別に値上げを決定してはおりませんけれども、これから先予想される段階において、そこに「1、2」と書いてありますように、組織的な不払い運動もあるいは展開されるかもしれないし、それから経営姿勢に対する御批判も出るかもしれない、その中にこのようなお話も出てくるかもしれないということで、実を言いますと、現にいまごく一部ではございますけれどもNHK受信料を払わないということを提唱しておられる方の中に、実は、表面、NHKが非常に非民主的である、民主化を要求する——どもとしては民主化ということは大変結構でございますし、いま副会長からも申しましたが、われわれ自身が現在も民主的に運営しているつもりではございますけれども、より民主的な経営姿勢をとらなければいけないということは考えておりますけれども、実は現実にその種の運動をしておられる方の中には、そのことを旗印として、だから聴視料を払わないんだと、あるいはNHKを解体するんだということを現実に展開しておられる方がおりますので、そういうことが将来さらにこれから先の経営の展開の中で出るかもしれない、その場合のことを実はこれは考えまして、そういう場合には、やはり本質が違う問題を一緒に議論されては私ども対応のしようもございませんので、それは局地的に対応いたしなさいと、こういう趣旨でこれは書いてあるわけでございます。決して民主化の要求を抑えろというつもりは全くございません。
  94. 山中郁子

    山中郁子君 だから書いてあることとおっしゃることと全然違うわけでしょう。抑えるつもりは全くございませんと言ったって抑えろと書いてあるんですよ。だから言っていることと考えていることと違うってさっきから私言っている。口で幾らどんなこと言ったって、実際にこうやって書いているの。  何もこれ受信料不払いの人の運動——そのことだって問題ですよ。国民の要求でしょう、経営委員の公選など、これを封じ込めろと言ってんのよ。だから全然違うじゃないですか、言っていることとそれから書いてる本音と。このことを私は問題にしている。きれいごとばかり言ってたってだめだと言うの。副会長、どうですか。
  95. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 実は、私、その資料を全然知りませんし、中身も読んでおりませんが、それはいま川原理事よりお話し申し上げましたように、NHKとして現場の方で運動を展開していくための検討資料として何かつくったようなふうに聞いております。私どもはそれを協会の理事会なり役員会なり正式の場所で決定したり、あるいはまた経営委員会などでそれを論議したりということは全然やっておりませんし、内容につきましても、私ども——私は読んでおりません。
  96. 山中郁子

    山中郁子君 大変重大な発言をなすっていると思います。私は、この文書について昨日NHKの係の方に、これに基づいてこういう質問をしますよということをちゃんと御連絡してあるんですよ。副会長は主としてここで会長代理で責任持って答弁なさるわけでしょう、それなのに、NHKはそういうふうに国会質問に対して事前に説明を聞きに来ながら、そして私はこれを質問するよと言っているのに、責任持った答弁者である副会長が目を通さないんですか。そういう無責任な、誠意のない姿勢でここに臨んでいらっしゃるんですか。
  97. 川原正人

    参考人川原正人君) 昨日来、私は十分承知いたしまして——これはあくまで営業の中で、私が現在NHKの理事者といたしまして営業の全分野に責任を持っております、これは私の責任で御答弁申し上げようということで、先生の御質問はもちろんわかっておりますけれども内容につきましては私が全責任を持ってこの場に出て御答弁申し上げるつもりで来ております。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  98. 山中郁子

    山中郁子君 私は了承できません。きょうは会長の代理として副会長が責任を持って答弁をするということでいらしているんでしょう。そして私はここへ来ていきなりこれを出したんじゃないんですよ。事前にこれちゃんとNHKの人に見せて、おたくの方にもあるでしょうと、そういうことで申し上げているんですよ。それを責任ある副会長が目を通していませんという、そういう答弁は何ですか。私、承服できませんよ。
  99. 川原正人

  100. 山中郁子

    山中郁子君 副会長に聞いています。
  101. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 私としましては、大体の内容については聞いております。ただ、それは……
  102. 山中郁子

    山中郁子君 知らないってさっき言ったじゃないですか。
  103. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) NHKとしてオーソライズしたものでもないし、また単に検討の資料でございますから、聞くところによりますと。ですから、私がそのことについて責任をとるとかそういうことじゃなくて、私自身としてはその中身について云々するというような筋合いのものではなく、川原理事営業の中で何か検討の資料としてつくったものだというふうに理解しております。
  104. 山中郁子

    山中郁子君 私は、それじゃ、これからNHKへの質問に対して事前に申し上げません、よろしいですね。
  105. 川原正人

    参考人川原正人君) いろいろ私どもの中の処理につきまして、あるいは私がいささか出過ぎたといいますか、一人で処理をし過ぎたきらいがあったかもしれませんけれども、いろいろな国会での御質問の慣行につきましては、引き続き従来どおりお願いいたしたいと思いますけれども、今回の資料につきましては、これは私どもの中の営業の一分野における一つの検討資料でございますので、これにつきましては理事者である、当面の担当の責任者である私が全部処理をいたそうと、こういうつもりできよう出てまいっておりますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  106. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記を始めて。  その点で、藤根井副会長、ちょっと発言してください。   〔理事重光君退席、委員長着席〕
  108. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 私の言葉の足らなかったこと、それから私の態度についてのいろいろな御批判につきましては、おわび申し上げます。  この問題については私も内々には承っておりますが、これは担当の理事の方からいろいろ御説明をさしていただきたいと思います。御了承いただきたいと思います。
  109. 山中郁子

    山中郁子君 副会長お話ですと、大して重要なことでもないし、オーソライズされていることでもないというお話です。でも、これ各局に渡っているんでしょう、一部だけつくったわけじゃないでしょう。私もちゃんとこうやって手に入っているんですからね。そして実際問題として、参考資料というけれども、こうしなさい、ああしなさいということが書いてあるんですよ。やっているわけでしょう、これを、NHKがこれに基づいて。内部資料としてやっているわけでしょう。それがいま副会長の言われるようなことならば、これを撤回するということをお約束いただきたいと思います、内部資料であろうがなかろうが。
  110. 川原正人

    参考人川原正人君) これはあくまで協会の副会長等々の関知しない範囲で、これは私の所管の範囲の中で実はつくられ、行われている業務でございます。いろいろな意味で誤解も生じかねない問題もあると思いますけれども、これは私の責任において撤回をいたします。
  111. 山中郁子

    山中郁子君 いま申し上げましたのは、一番最初から申し上げてますように、NHKが本当に心からこういう国会答弁だとか表向き言っていることを実際に実行することが、本当にいまの危機的状況にあってNHK経営を安定させ、そして国民のものとして発展させるその逆なんだということを私はもう繰り返ししつこく強調しているんです。だけど、それが口先ではそう言うけれども、実際にはそうなってないじゃないかということを私は申し上げている。  この中にもたくさんそうした事例があります。しかし、いま撤回なさるということなので、これ以上この問題についての質問はいたしませんけれども、それはくれぐれも、現にいまこの問題あったんですから、くれぐれも反省をして確認をしていただきたいと思います。副会長の御決意を伺いたいと思います。——会長に。
  112. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) おっしゃるとおり、私どもは、まず第一義的には国民の皆さんとともに国民的な立場に立って業務を進めていかなければならないことでございまして、その意味では、それについて最大限の今後とも努力をいたしていく所存でございますが、また、それについて誤解のあるようなことにつきましては厳にみずから慎んでいきたいというふうに思っております。
  113. 山中郁子

    山中郁子君 次の問題に移ります。  これは三月の予算審議の際にも私が質問をいたしまして、会長から答弁をいただいたことですけれども、時間がなかったので、それは途中で終わっていた問題です。引き続き、この点についてもう一つ明らかにしていただきたいと思います。  これは予算審議の経過に絡みまして、会長がこういう答弁をされているんです。思い出していただけるかもしれませんが、私が自民党の通信部会の方たちが予算の問題に関連して事前にNHKと相談をいろいろしている、その中でいろいろなこういう話が出ている、これは問題ではないかということを質問いたしました。そうしましたら、会長が「この予算国会へ提出いたします前には、自民党通信部会、政調の審議会、総務会、これを経過しなければ出せないことになっております。」と、こういう答弁をされていらっしゃるんです。それで私は若干のやりとりはいたしましたが、時間の関係で詰めておりませんので、改めて簡単に、もう時間がありませんから、こういう手続の必要はないはずです。あるとするならば、どういう根拠があるのかということもお示しいただきたいし、ないということが明らかならば、この発言の訂正をお願いしたい、このように考えます。
  114. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 先般の国会内容については承知しておりますが、さらに会長からその後また補足的に説明もいたしておりますので、それをあわせて簡単に申し上げますと、放送法三十七条の規定では、NHKの年度収支予算NHKが自主的に編成する、そして郵政大臣に提出して、郵政大臣は意見書をつけて内閣を経て国会に提出という手順になっておりまして、この予算国会に提出する事前に、私どもとしましては、自民党だけでなく、各党にこの内容について説明するということが一応慣例になっております。したがって、その慣例に基づきまして各党に御説明申し上げておるわけでございますが、特に自民党関係につきましては郵政大臣の意見書が提出されるというような経過もございまして、そのことを中心として事前に説明をしているというのがいままでの慣例でございまして、それを会長が前段ちょっと言葉が足りない点があったかと思いますが、後段あわせて先般の国会説明申し上げたということでございます。
  115. 山中郁子

    山中郁子君 郵政大臣が御意見をおつけになるわけで、まあ自民党さんじゃないわけですよね、郵政大臣ですよね。で、まあ各党が説明もいただくということもわかっております。  そうしますと、確認しますけれども、自民党通信部会、政調の審議会、総務会、これを経過しなければ出せないことになってはいないわけですね。
  116. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) そういう手続をとらなければできないということではございません。ただ、意見書……
  117. 山中郁子

    山中郁子君 できないわけじゃないんですね。
  118. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) ええ。  ただ、意見書の関係で、これは郵政大臣がもちろん意見書を付せられるわけでございますが、これは与党である自民党との関連もございます。ですから、そういう意味意見書の関連で御説明を申し上げているということで、そうしなきゃならないということではございません。
  119. 山中郁子

    山中郁子君 時間が参りましたので、いまの問題も含めてですけれども先ほど大臣が中座なすったときに質問が途中になっていたことも含めて、最後に、私は大来経営委員の任命の問題、それからいまの自民党の経過を経なければならないというふうな姿勢だとか、あるいは一貫して申し上げました「総理にきく」というそうした番組内容だとか、それから、いま問題になりましたこの姿勢、こうしたことを通じまして、本当にいまNHKが心して、そして国民の要望に沿って経営の安定を図るということを基本に置くならば、口で言うとおりのことを本当に基本に置くならば、いまの不偏不党あるいは中立公正、自主自営、このことは何としても経営陣が、幹部がどうしても毎日毎日頭の中に置いて、そしていつだれが質問してもすぐそれが第一に出てくる、こういうふうな実態にならなければ、本当にこの困難を解決していくことができないということを私は強く主張し指摘いたしまして、質問を終ります。
  120. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 暫時休憩いたします。    午後二時三十九分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕