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参考人(野村忠夫君) 現在まで八回の
審議を行いまして、第一回から第三回までは、
NHKの過去における業績並びに現状についての資料を配付いたしました。その中には、当然のことながら、この参議院の私
どもの予算、決算の
審議の概要を含めまして、現在
国会方面でどのようなことが問題点になっているかということを御
説明いたしたわけでございます。大ざっぱに申しまして、過去における
NHKの業績ということに関連いたしましては、各
委員から、これは
NHKだけの問題じゃなくて民放の問題が絡んでいる。民放と
NHKのこの二本立ての現行
放送法というものは、一体、日本においてはうまく成功したのであろうかというような
質疑がございまして、これは大方の皆様が現在の
放送法は非常にうまくいっているという御判断でございます。
で、その間、
NHKの仕事として最も評価していただいたのは
全国普及の義務でございます。ラジオ及びテレビにおいて
NHKが現在余すところテレビにおいては九十万世帯まで
全国の普及義務を果たしたという仕事については高く評価していただきました。それから番組につきましても、現在
NHKがやっております番組の大方においては評価をいたしてくださいました。ただ、番組の中で、
NHKが報道、教養、娯楽等各分野の仕事をしておりますが、その個々の番組につきましては非常にたくさんの御意見が出ました。
一番私
どもの過去の業績において不評判だったのは、
経営のPRでございます。
NHKは
国民の
NHKという観点から仕事をしているけれ
ども、どうも一般
国民は
NHKの性格なり本質を余り理解していない。そういう
意味で、もっと
国民に対するPRをすべきではないか。それは
放送を使ってもいいじゃないか、あるいは印刷物、パンフレット、各種の集会等において
NHKの
経営についてもっと
国民に明らかにすべきではないかという点では、多少私
どもには手痛い御批判が下されたわけでございます。
で、九月に入りましてから、これからの
経営ということで、先ほど来
森先生がお示しになった資料を含めまして御論議をいただきました。この御論議の中心の中で、まず中山
会長としては、
NHKが
国民にどのような
放送を要求されているかという点を諮問した際に、ほとんど全員の方は現在のラジオ三波、テレビ二波、国際
放送、それからそれに付帯する
NHKの仕事は大体においてそのまま存続すべきである。ただ、問題は、
NHKは確かに過去においては非常な高度成長をした。しかし、これからの
経営においてはこの高度成長の惰性は許されない。そういう
意味で、ここは
NHKの大きな反省点である。したがって今後の
経営が志向すべき方向というものは効率的かつ合理的な
経営に徹すべきであって、
NHKはこれ以上膨張すべきではない。仕事としてはこれ以上当面はふやすべきではないというような御意見が出ております。方向としてはそのような方向でございます。
で、しからば、この
NHKが今後仕事をする上において、どういう
財政的基盤が考えられるか。この
財政的基盤の検討については当
委員会においても附帯決議におきまして、幅広く検討せいという
趣旨の決議をいただいたと思いますが、
調査会におきましても
受信料以外に
NHKは広告を取ったらどうであろうか、あるいは現在の
受信料制度というものにはいろいろ問題があるから、この際、多少税金的な性格に変えたらどうか、いろいろ御意見が出ました。しかし、最終的には、この
受信料制度は守っていくべきであるというのが結論でございます。
ただ、この
受信料を守っていく際にも、たとえば
NHKがホールをいま
運営しておりますが、このホールでいろいろ催し物がございます。ある種の公開番組につきましては聴視者をそこへ無料で入れまして番組をつくっておりますが、その場合でも、たとえ百円でも二百円でも公団番組の場合でも収入を図ったらどうか、そういう御意見もございました。また、
NHKは非常に資料をたくさん持っているはずだ、これは技術的な資料あるいは番組的な資料、いろいろな資料がある、その資料を
国民に公開して実費を取ったらどうだ。あるいは番組の二次使用について収入を図ったらどうだ、このような御意見が出ております。しかし、最終的な段階になりまして、このような収入を図り将来の
経営を展望した場合、
受信料を精力的に取っても、現行の
受信料額では
赤字は解消できないという認識に到達いたしまして、この認識については
皆さん一致しております。
しからば、この
赤字をどういう形で処理すべきであるかという点について御議論がございました。一つは、国が当然持つべきであろうと思われるようなもの、たとえば国際
放送のようなもの、あるいは場合によったらば、ただいま免除しております
受信料免除の問題についての国庫負担の問題、そういった種類のものはできるだけ国によって補てんしてもらったらどうだ。
それからもう一つは、現在の私
どもの
経営において最大の問題は、難視解消が僻地に及んでいて、しかもこれが相当膨大な
経費がかかるという事実でございます。国鉄でいいますといわゆる
赤字路線でございます。この問題については、
調査会としては、現在のような非常に山間僻地の末端に行った場合の
NHKの難視対策というものは、技術的にできるだけ
経費の少ない開発をすべきである。それからもう一つは、
放送衛星によってできるだけ救済すべきである。しかし、現在のところ、やはり国とか地方行政機関の補助を受けてもいいではないか、そういう面について検討したらどうだという御意見をいただきました。
そのようないろいろな問題点を抱えてなお
赤字の処理につきまして、借金でいったらどうだという議論は、要望としては出ませんでしたけれ
ども、逆の立場で、
NHKはそのような
赤字の場合借金でいくべきではない、国鉄の二の舞を演ずべきではない。国からも金をもらうべきではない。そうしてやはり
受信料ということで
国民から直接
——NHKの本来の立場から
受信料問題に取り組むべきである。そういうたてまえから、一部新聞にも出ましたように、最終的なこの
財政基盤の確立につきましては、
受信料の値上げも大体やむを得ない。いろいろな表現はございますけれ
ども、基本的にはそれ以外には道はないというぐあいに
調査会の方向は固まったようでございます。
そのような発表を中山
会長はいたしましたので、一部新聞はそういう報道をいたしました。また、その際、中山
会長は、その基本的な方向は固ったけれ
ども、表現においてまだ多少問題があるので、これは二十六日に譲りたいという発言がありましたので、それに重点を置いた新聞は、二紙ほど、結論が出ずという形で持ち越しという新聞記事になってあらわれております。
大体、以上がいままでの大ざっぱな概要でございます。