○井上吉夫君 それでは、
先ほど地方税収の五十一年度の大ざっぱな見込みなり、それにどう対応するかという基本的なお答えをいただきましたが、ここで希望を申し上げて、この問題を終わりたいと思います。
ことし、国債の五兆五千億という巨願な発行、さらに
地方税収の落ち込み対策として一兆余の
地方債の発行という形でしのぎました。来年度は、
先ほど来申し上げておりますように、もっと厳しい状況になることは大体衆目の見るところだと思います。かてて加えて――これはもう質問の形をやめますけれ
ども、公共
事業に対する
地方の裏
負担の問題というのが加わってくる。各県あるいは
市町村は、私が
財政担当者であるならば、まず各部局に対して、せいぜいこのくらいしかわが県としては財源余力はない、だから、公共
事業については裏
負担の
金額をこの
程度で抑えろという形で
予算の編成を各部局に恐らく指示するであろう。私はそういう
事例のあることを聞いております。となりますと、ついつい補助率の高い
事業だけが浮かび上がって、きわめて必要ではあるけれ
ども補助率の低い方がカットされるという、そういうことにならないとも限らない。こういうことを
考えてみますというと、
地方債の消化能力という面も含めまして、来年度についての
地方公共団体に対する
財政対策というのは、ことしよりもさらにしっかりと私は大蔵当局との交渉に当たらなければ大変な問題になるというぐあいに
考えます。そのことを力説して、強くそういう対応をされることを、希望を申し上げておきたいと思います。
次に、
地方振興の中で、とりわけ離島の
行政に関連をいたしまして、私の鹿児島県の中の長島という島の問題をごく具体的な
事例としてお伺いをしてまいりたいと思います。
実は話が出ましてから二十年近い年月を経て、ようやく長島に橋がかかりました。このことによって長島がいわゆる離島でなくなって交通も非常に便利になった。従来県営のフェリーで通っていた時代に比べますと、確かに交通事情の条件というものはよくなりました。ただ、そのために、御承知のとおり離島振興法から除外をされる。となりますと、もろもろの公共
事業に対する町の
財政負担というものが高まってくる。これが本土並みにいろんな社会施設なり、道路なりもろもろのものが整っておればこれはさしたる問題でないかもしれませんけれ
ども、ついつい離島の悲哀と、さらに、ここでは道路
関係について特に取り上げますけれ
ども、従来から道路の改良なり新設というものは、どちらかというと交通量の多いところから手が打たれたというのが私はかなり長い歴史だったと思います。一方ではおくれた地域の開発というようなふうのことももちろん
一つの眼目になっておるとはいえ、
現実には交通量の少ないところはどうしてもおくれがちであったというようなことなどを
考えてみますと、道路にしてもあるいは港湾、漁港等にいたしましても、立ちおくれが目立っておるわけであります。橋がかかって直ちに離島振興の対象から除外される。――まあ橋がかかってすぐ除外されているわけではなくて、来年三月、五十一年度からだと思いますけれ
ども、なおこのおくれというものは決して解消されていない。こういうことを
考えてみますというと、いわば経過措置として離振の対象であった時期における公共
事業の
負担と、本土並みに変わった場合の差額がかなり大きな
金額に出てくる。私の長島、
二つの町がありますけれ
ども、これを五十年度をベースで見ますというと、二千八百万
程度の差額になるように
考えるわけであります。従来のテンポで
公共事業等を展開してまいりますというと、五十一年度では三千七百億余りの違いになるのではないかと推算されます、差額が。このことについては、どうしても経過的な措置として何年間かはこの差額というものを特交ででも見るという
財政措置というものを
考えていただかないと、離島から本土に変わったという交通事情の便利さは、直ちにこの町についてのもろもろの公共
事業の進展に大きなマイナス要因となって働くというぐあいに
考えられますので、このことについての見解をまず国土庁、とりあえず国土庁からお伺いをし、さらに次には自治省からお伺いをしたいと思います。