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1975-12-16 第76回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午前十時三十六分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 金井 元彦君                 安田 隆明君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 夏目 忠雄君                 橋本 繁蔵君                 赤桐  操君                 小山 一平君                 福間 知之君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 市川 房枝君    政府委員        警察庁刑事局長  土金 賢三君        警察庁交通局長  勝田 俊男君        自治政務次官   左藤  恵君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       横手  正君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  林  忠雄君        消防庁長官   佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        環境庁水質保全        局土壌農薬課長  荒木 昭一君        国土庁長官官房        審議官      青木 良文君        法務省矯正局総        務課長      米田  昭君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        西崎 清久君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    山村 勝美君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道財務        課長       中村  徹君        海上保安庁警備        救難監      船谷 近夫君        建設省道路局次        長        中村  清君        自治大臣官房地        域政策課長    久世 公堯君        自治省財政局財        政課長      石原 信雄君        自治省財政局交        付税課長     豊住 章三君    参考人        日本道路公団理        事        平出 三郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政及び消防に関する件)     ―――――――――――――
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  参老人出席要求についてお諮りいたします。  地方行政改革に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団理事平出三郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 十一月十一日の地方行政委員会で、私は滋賀県の土地開発公社問題を取り上げ、質問をいたしました。きょうはその問題については深く触れませんが、幸いにして新聞報道等で見る限りでは捜査が進みつつあり、事件の核心に迫りつつあるようであります。しばらくその推移を待って、しかる後にまた解決策が不本意なものであるならば、引き続いて論議をいたしたいと思いますが、ただきょうは、あのときにも触れましたが、土地転がし等の違法性のある手段を伴ったとはいえ、なぜ滋賀県民が一人当たり五万円という巨額な借金を抱え込むことになってしまったのかということであります。このことを少し考えてみたいと思うのであります。  まず滋賀土地開発公社について尋ねますが、同公社が契約した土地面積及び金額、これまでに支払い済み面積及び金額未払い土地面積及び金額、そうして滋賀県が債務負担した金額、それはそれぞれ幾らになりますか。
  6. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 滋賀県が昭和五十年五月三十日に出しました答申によりますれば、ことしの三月末日現在におきまして借入金は二百六億円、未払い金は二百七十二億円でございます。また、滋賀県が債務負担行為によりまして債務負担をしております額は五百億円でございます。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 面積はわかりませんか。-時間があれですから、あとで出してください。  公有地拡大推進に関する法律の二十五条に、土地開発公社に対する地方公共団体債務保証についての規定があります。この規定趣旨についてちょっと尋ねておきたいのですが、この法律は、土地開発公社に中心的な役割りを持たせて、そして地方公共団体の二分の一以上の出資をもって設立することなどを規定しているわけですね。すなわち、土地先行取得等を行うために自治体の分身としての土地開発公社設立させた。そして全国的に土地政策推進しようとしたということであるわけでしょうけれども、そしてその資金として民間資金を導入するというところがもう一つ大きなかぎであった。土地開発公社設立推進するためにこの法律をつくったねらいの一つもここにあったのではないかと思うんですが、この二十五条は、地方公共団体保証人になることによって物的担保なしに土地開発公社民間資金を導入をする、すなわち地方公共団体債務保証をする、そういう趣旨と理解をしてよいわけですか。
  8. 久世公堯

    説明員久世公堯君) いま先生がおっしゃった大体そのとおりでございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、地方公共団体法人に対して一般には債務保証ができないわけですね。すなわち法人に対する政府財政援助制限に関する法律によって、自治大臣の指定する会社等以外は制限されているわけです。この制限土地開発公社について外した趣旨ですね。また、これに対する規制、つまりどの程度までの債務保証ならばいいのかという点はどういうふうにお考えになりますか。
  10. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 土地開発公社は、御承知のごとく、公有地拡大法という特別法に基づいて設置されております法人でございますし、地方公共団体にかわって公共用地取得をする公的な使命を持っている法人だからであると考えております。  また、債務保証の額につきましてはこれは地方自治法の分野でございますが、議会議決によってこの債務保証をするということになっておりますので、議会が判断すべき事項かと存ずる次第でございます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 土地開発公社等に対する地方公共団体等監督ですが、現実にはどういうことが行われているんでしょうか。
  12. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 公有地拡大法の十九条に、土地開発公社に対する監督規定があるわけでございますが、この規定にもあらわれておりますように、第一次的には設立団体の長である知事または市町村長土地開発公社監督いたしますし、第二次的には、市町村の場合は都道府県知事都道府県公社の場合は自治大臣及び建設大臣監督するという仕組みになっております。また、現実監督といたしましては、通達をもってその運営指導いたし、また調査その他報告を聴取いたしまして指導監督に当たっている次第でございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、二分の一以上の出資でありますから、当然人事上のつながりが非常に強いものだろうと思うんですね。早く言えば、事業的にも密接な関係のある地方公共団体の子会社的な、そういう性格の法人になってますね、現実には。そうだとしますと、場合によっては債務保証等に対するチェックが働きにくいこともあり得る。いや、滋賀県なんかの事例で言えば現にあった、あったからこういう事件になっている。事件そのものを私はきょうは取り扱いませんが、そういう点はこれは政務次官、どういうふうにお考えになりますか。
  14. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) まあ現実の問題としてそういったことになりがちだというような、そういうおそれは確かに御指摘のようにあると思います。そういう点について、やはりその衝に当たる者は、そういった危険、そういうふうなおそれというものが生じないような日ごろからのやっぱり配慮というものが私はどうしても必要じゃないか。そうしなければ本当に公正な運営というものは担保できないんじゃないかというような気がいたします。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、それをどういうふうに配慮されますか。
  16. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 現実の問題といたしましては、やはりたとえば定期的な検査といいますか、監査といいますか、そういった問題につきましてもできるだけ多くの人がそういった問題について見て、そしてまたそういった問題についての実情を県の議会なら議会報告するとか、そして資料にするとかいうふうな配慮というものも私は必要じゃなかろうか、この実情の問題につきましてはいろいろ方法はあろうかと思いますが、一部の人だけの配慮というものであれば、いま御指摘のような問題も生じかねないんじゃないかと思いますので、できるだけ広い範囲の監査を実施する。そして県民全体が納得できるような形で運営されるべきものであろうと、このように思います。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 これ、久世さん、たとえば今度の場合は、亡くなられた方でありますが前知事もどうも相談に乗っておったようだと、滋賀の場合で言えば。こういう形となってくると、いま次官のお話がありましたが、何か多数の監査機関的なものも構成をされると。いわゆる議会議決という形のものだけ、議会への報告義務だけでは、知事がかんでしまったらもうどうにもならぬという形になりますね、ここは滋賀事例から考えてみますと。何かいい知恵はお持ちじゃないんですか。
  18. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 現在の公有地拡大法によりまして、一定の事項につきましては議会もこの土地開発公社運営についてかむことになっておりますし、また長がこれはチェックをすることになっておりますほか、特に債務保証出資関係から、地方自治法に基づいても、地方団体議会があるいは監査委員がこれを監査する仕組みになっております。また内部的な問題といたしましても、理事会を開きまして理事会あるいは監事がこれをチェックするようになっておりまして、一応、法制度あるいはそれに基づく運営一般といたしましては、土地開発公社運営については大体万全を期しているつもりでいるわけでございます。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 いや、ぼくは制度的なことはわかって言っているつもりなんですがね。しかし現実には起きている。そしてある意味では、そこで知事が交代をしなかった場合にはなお継続をしたかもしれない。いまの機構ではわからなかったかもわからない。これはまさに仮説であります。そうすると、今度のような事件でどういう教訓をくみ取らなきゃならぬわけですか。
  20. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 土地開発公社運営につきましては、先ほども申し上げましたように、私ども指導通達その他行政指導をもちまして監督し、また運営指導してまいったわけでございますが、この滋賀県の土地開発公社事件によりまして、私どもも非常に土地開発公社運営について反省をしている次第でございます。したがいまして、ことしの二月十四日に滋賀土地開発公社問題が起きました直後、私ども建設省の両名で通達を出しまして、こういう公有地取得処分を行うことを主たる任務とする土地開発公社等の本来的な使命にかんがみまして、そのような適正な業務執行に当たって、いやしくも住民の疑惑を招くことがないよう十分監督指導を行ってもらいたいということを設立団体の長に対して通達をした次第でございますが、これからも絶対にこのような不正不当な事件が起こらないように、私どもといたしましても十分監督し、また指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 地方公共団体債務負担についてですが、自治法の二百十四条、十五条に規定されて、これは予算に掲げなきゃならぬと、こうなっていますが、そしてこれに基づいて地方自治法施行規則の十四条及び十五条の二によって、予算に掲げる様式が定められています。ところが様式がきわめて簡単ですね、これ。記載者が簡単に書いてしまえば、恐らく担当者以外は何にもわからないんじゃないか、こういう大変簡単なものですね、これ。すなわち、事項については必ずしも一つずつの事業名について記入をしなくてもよい、限度額も文言で済んでしまう。まあ実務に携わっているわけじゃありませんから、その辺のところは、私もこれを読む限りにおいての判断でありますが、これは、たとえば継続費等が、報告書を作成しなければならず、それによってチェックを受けるのと比べてもきわめて緩やかな規定で、恐らく議会審議に供するに十分な資料とはなり得ないのじゃないだろうか。逆に言えば、議会審議をうまくすり抜け、チェックを受けないということになりかねないんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですが、そうはお思いになりませんか。
  22. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 御指摘のとおり、様式はきわめて簡単でございます。ただこれは、債務負担行為内容――恐らく非常に多岐ないろんなケースがあると思いますので、それらのすべてのケースについて細かい様式を定めるということも一つ方法かも存じませんけれども、予想される土地取得であるとか、建設事業継続であるとか、いろんな事業ごと様式を定めるというのも、それは一の考え方であるかもしれませんけれども、実際には、これが議会に提案をされて、議会の議員の方が御疑問を持てば、質疑その他で明らかにしていくという方法もある。そこで、様式だけをいたずらに複雑多岐にすることをもってチェックできるかといったら、必ずしも私はそうではないと思います。そこで様式については、やはり常々いろいろな起こったケースをもって反省を加えてこれを見直すことは必要でございますし、私たちも日常そういう努力はしておりますけれども、要は運営をする人の問題ではないか。議会の方でも、十分な説明がなかったんでさっと見過ごすということもあるかもしれませんけれども、問題があれば十分に説明を求め、具体的なこの債務負担行為の目的たるものについて、できるだけ明らかにしてもらうという審議上の配慮も必要でございましょうし、逆の意味では、現在は土地価格は大分安定しておりますけれども、この地方開発公社ができましたころは、先行取得するということがある程度土地価格が上がるのに対する防衛の措置でもあった。逆にその場合は、どこの土地を買う予定だということまで明らかにしてしまうと、一遍にそこが上がってしまうというような配慮もしなければならない。そういうことから見ますれば、結局これを運用する執行部側の態度と申しますか、人の問題、そうしてそれを審議する議会の人の問題、そういった運用でもってそういうことがないように気をつけていく以外にない。  その意味では、先ほど先生ちょっとおっしゃいましたように、知事がかんでしまったらしようがない、こうおっしゃいましたが、知事というのは非常に重要な職務でもございますし、確かにそこがかんでしまえばしようがないという経緯もあるのかもしれませんけれども現実にこの知事自身選挙洗礼を浴びて責任を持って出てきておりますし、将来とも住民から批判を受けるということを考え運用を慎重にすべきでありましょうし、滋賀では確かに非常にむずかしい事件が起きましたけれども、現在、そのほかのところであるいはあらわれてないことがあるかどうかは存じませんけれども、決して運用をそう誤った不祥事件がもう続発しているということはないと思います。私は、やはり運用する人の問題であろうと思います。ただ、規則なり様式なりというものの反省は今後もずっと加えてまいりたいと存じております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 ちなみに、ことし地方自治法施行規則の一部を改正されて、わざわざきわめて詳細な給与明細書を、おたくの方は予算に関する説明書として提出することにされたわけです。これはきわめて細かいんですね。もうこれに至ってこれだけのページを使っていることになっているわけですから、これについてはきわめて細かい。特に一般職については非常に事細かに規定された。他の歳出項目について全く細かい規定はないわけです。どう考えても、給与だけを取り出して事細かに明細書をつくらせる理由にないんじゃないだろうか。それはきょうは論議する時間がありませんから、あえてそれ以上は至りませんが、ともかく給与の詳細にわたる規定と比べてみて、債務負行為について全く大ざっぱな規定になっている。記載方法によってほとんどこれは私議会審議の材料にならないと、こう思うのですよ、これ。いま行政局長言われましたけれども、われわれこれさっと見せられたってとってもわからぬですよ、それは。それは別に問題がなければないで過ごされてきましたけれども、やっぱり滋賀県がこの債務負担行為によって破産寸前に追い込まれている。あるいは、債務負担行為によって、他にも行政上いろいろそごが来ている県があるわけですから、それはいまぼくは一々名を挙げませんが、それでそういう現実をこの機会に考えてみますと、やっぱり全く黙って過ごすわけにはいかない。改めるべきところはやっぱり率直な改め方をされるべきじゃないだろうかと思うですが、御意見いかがですか。
  24. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 実は給与に関しても、本当に昨年まではこの債務負担行為程度の、あるいはもっと簡単な、総額幾ら人数幾らというだけのものであったわけでございます。たまたま給与について細かい規定を書きましたのは、一般的に給与内容について、まあ特定の団体だけはめちゃくちゃということでなくて、一般的に相当いわゆる国家公務員に対しても高騰を示しておる。それに対して議会十分審議していただきたいという趣旨もあって、給与は相当細かいものを決めましたが、一つには、給与というのはもう決まっておりまして、本俸と何々手当というふうに、給与の体系というのは各地方団体統一でございますので、わりあいに詳細な決め方もできる。ところが債務負担行為の方は、先ほど申しましたように、土地を買う場合、何を買う場合、事業ごとに決めていくとすれば無限にたくさんの表をつくらなければならないということ。それからもう一つは、この債務負担行為運用によって、それでも各地方団体を通じて相当な運営上好ましくないようなことが出てくる場合は、さらにもう一歩突っ込んで考える必要がございましょけれども、どんな規定を決めましても、やはりその運用する人の問題というのは、これは給与でも同じでございますけれどもやっぱり出てまいりますのと、現在債務負担行為運用によって非常にまずいのが一般的になったという事態でもまだございませんので、現在まで改めないで来ている、それはそのとおりでございますが、先ほども申し上げましたように、こういう様式というようなものについては、将来起こるべきことも考えながら常に反省を加える必要は私はあると思いますので、御指摘いただいたところ、全然問題にならぬとか、そんなつもりはないということを申し上げるつもりではございません。給与のように、もっといろいろ複雑多岐なものにまで適合する様式が編み出せて、しかもそれが一般的に十分審議にたえるということであれは、これを改正するにはもちろんやぶさかでないつもりでございます。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、なぜ滋賀県の土地開発公社のような問題が生じたのかを考えてみますと、その根本にはやはり土地政策に対する私は誤りがあったのではないかと思うのです。というのは、土地開発公社によって土地を先行取得するなどの事業によって公有地拡大する。そうしていこうとするには一つ前提があったように思うのです。それは日本土地問題の歴史を少しばかりでもさかのぼって考えれば判明するのでありますが、一言で言えば、地価が上がり続けてきたしこれからもそうであろう、そういう考え方前提にある。したがって、地価鎮静公共事業等推進のために公有地を確保し拡大していかなければならないという政策という形に具現したのではないかと思うのです。実際、この横手審議官官房企画室長時代に編著されました「公有地拡大推進法詳解」の百三十一ページでも、「ただ土地開発公社業務は、予算事業計画等設立団体の長による承認、主務大臣都道府県知事及び設立団体の長による業務監督等規定により厳しく監督されることとなるほか、土地開発公社業務土地取得、管理するわけであるから現在の地価上昇傾向からみて、その財産価値取得時点よりも下落することは考えられず、事業上、設立団体財政負担をかける事態は生じないものと考えられる」、こうなっているわけです。ここには、現実的にみて私は二つのやっぱり誤謬があると思うのです。一つは、地価現実には下落をしている。なおその傾向がうかがえると言っていいでしょう。二つには、滋賀県を初め枚方市であるとか吹田市などで、現実地方公共団体財政負担を生じさせている事態が生じている。これも間違いないわけです。これは次官、大阪の御出身ですからよく御存じなはずです。そこで、こういう現実から見ての反省点次官に承りたいと思うのですが。
  26. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) こういった問題について、土地取得によりましての価格の問題ということで、これが最近の上昇ムードといいますか、上昇するときだけの問題であればいいわけでありますが、最近のような鎮静化してきたということ、そういったときに対しますいままでの配慮といいますか、そういうものに対する歯どめといいますか、というものに配慮が足りなかったという意味のことだろうと思いますが、そういった意味政治的責任というものは、私は、やはりすべてこれを全部その当該団体だけの責任ということにできるかどうかということについては問題があろうと思います。  具体的に、それでは国がそれに対してどういうふうなことをするかということで、すべてまた国に頼られた場合には、これはまた、国は全国の地方団体との関係においてとうていそういったことについても応じ得られないと思います。その辺のところの関係をどういうふうに考えるかという先生の御指摘だろうと思いますが、非常に私はむずかしい問題であると思います。政治的な責任というものは確かにいろいろありましても、それを、すべてその当該団体財政に及ぼす影響というものを、まあ個々の場合に皆違うとは思いますけれども、私は、やはり一つ指導的な責任という関連において、府県なりあるいは国が責任をその部分について考えるべき問題はあろうと思いますが、やはり根本的には、その地方自治体自体一つ責任を持っていただかなければなりませんし、住民は、またそういった形でそういった市長に対する――選挙洗礼を受けて出てきた市長でありますので、そういった問題については当然批判をし、責任をとってもらうという形の選挙というものがあるわけでありますから、その辺のところの絡みというものをいますぐどうするのがいいかということは、いろいろむずかしい問題があろうと思いますし、一概に言えないと思いますが、われわれといたしましても、十分そういった問題について検討して、配慮して、その結果を具体的な一つの、国あるいは地方公共団体に対します指導としての県の立場、これをどういうふうにしていくべきかということについて検討していきたい、このように思います。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 なお、つけ加えて考えてみますると、土地の先行取得による金利も巨額に上っているわけですね。今後も土地が上がらないとすれば損害を拡大していくことになってしまう、下落をまたするとすれば。そうなると、土地開発公社を中心とする公有地拡大推進法そのものが現実の意義を失ってしまう。この際、滋賀県で生じた土地転がしによる不正事件を私は謙虚に反省してみるべきではないかと思いますが、同時に、端的に言って、この公有地拡大推進法は行き詰まったんじゃないだろうかということを思うんですよ。ここのところはもっと突っ込んだ論議を必要とすると思うんですが、いまの段階ではこれはどういうふうに自治省お考えですか。
  28. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) その設立された当時の問題としてはそれ相応の意義が私はあったと思いますが、今日、そういう意味で行き詰まっておるといいますか、一つの大きな壁にぶつかっているということは事実だと思います。そういった問題について今後どういうふうにしていくか、いま考えなければならない問題である、このように思います。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 最後にここで、この項についてですが、公社土地保有状況、それから財政状況の資料、これ、この前建設省に要求してありますし、建設省の側はおたくの方へ何か相談に行ってるようでありますが、、両方で出してもらいたいということ、同じものが出てくるのか、それはあれであるかは知りませんけれども取得年月であるとか、用途、面積取得価格など、あるいはこの資産、人事、負債、地方公共団体債務負担、こういう形に分けて出ますか。
  30. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 私ども直接に指導しております都道府県土地開発公社及び指定都市の土地開発公社につきましては、従来とも、いま先生指摘になりましたような資料につきまして大略は調査をしているわけでございますが、全市町村にわたる土地開発公社につきましては必ずしも十分な資料を持ち得ないわけでございますので、これからは充実してまいりたいと考えておりますが、いまのところはちょっと私どもの手元にも十分な資料がないような状況でございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 あなたから十分な資料がないことは前にもお聞きをしましたのですが、新年度の予算の論議の中でわれわれがやっぱり資料として使えるぐらいの時期までには、おおよそいま言ったような形のものをおまとめになって提出していただけますか。
  32. 久世公堯

    説明員久世公堯君) 私どもも、土地開発公社に関する資料については充実をしてまいりたいと日ごろ考えておりまして努めておりますが、また少しずつはその成果も上がっているわけでございますが、いまのところはっきりはお約束しかねますけれども、できるだけこの資料の調製には努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、おおよそ年度末ぐらいまでには大丈夫と、その辺で……。
  34. 久世公堯

    説明員久世公堯君) できるだけ努力してまいりたいと思っております。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 次に、地方財政再建促進特別措置法の二十三条に関してですが、ここで歳入欠陥を生じた団体地方債の制限規定しているのですけれども、そこで伺いたいのですが、こういう規定を設けた趣旨は一体何なのですか。この法律昭和三十年の十二月二十九日に施行されておりますが、当時は言うまでもなく地方財政が危機に瀕しておりました。したがって社会党も厳しく反対したわけですが、成立したわけです。そしてこの法律を一読して気づくことですが、昭和二十九年度の赤字団体を念頭に置いてこの法律がつくられたわけです。そうすると、この背景を考えながら二十三条を考えると、一体どういうことにこれはなるのでしょう。
  36. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  二十三条の規定は、当該団体におきまして赤字の額が標準財政規模に比しまして一定の限度以上になりました場合には、やはり当該団体につきまして今後起債を認めていきます場合には、その元利償還といいますものが、当該団体財政の立て直しのために大きな負担になることも事実でございます。したがいまして、そういう状況も考えまして、一定の限度以上になりました団体つきましてはある程度起債を制限し、そしてできるだけ早く財政の立て直しをやっていただきたいというのがこの規定趣旨であろうというふうに理解をいたしております。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 二十三条をどういう団体に適用するかについては、これは施行令の十一条の二に規定がありますね。正確な表現ではありませんが、これを要約をしてみると、都道府県について五%、それから市町村について二〇%以上の歳入欠陥があれば起債を認めないということになっていますね。この数字の根拠は一体何なのですか。
  38. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) いまお示しにございましたように、特別措置法の二十三条の規定を受けまして、赤字の額が標準財政規模と対比をいたしまして、府県につきましては五%、市町村につきましては二〇%を超えます場合には、この二十三条の規定の適用をいたすことにいたしておるわけでございますが、この五%あるいは二〇%という根拠と申しますか、につきましては、赤字の解消におおむね三年以上の期間を必要と認められるという団体に対しまして地方債の制限を行うことをめどとして定められたものでございます。このように、それぞれ、単年度で処理し得る能力と申しますか、赤字解消能力といいますものを、当時、この立法がなされますときにある程度団体ごとに調査をいたしまして、いま申しましたように、おおむね三年をめどにして考え、そしてそれから割り返すと申しますか、逆算をいたしまして、おおむね五%あるいは二〇%という率を定められたものでございます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 私は、この都道府県の五%、市町村の二〇%という数字が、当時はともかくとしても、現在において意味を持つとはどうも思われないんですよ。ちなみに考えてみまして、地方財政補正措置で出されましたあの歳入不足見込み額は優に五%を超えるものでした。そして五十一年度以降も恐らくこの地方債依存率はかなり高率に上るわけでしょう、まあ、これは推測でありますが。来年度も赤字公債が余儀なくされるのかどうかは別として、その論議はまた別にするとして、いずれにしろ相当な地方債依存になるであろうことは疑いない。また、現在の地方財政はそれにとにもかくにもたえられる――もちろん、何といいますか、地方債依存の議論と直接関係するわけじゃないんですが、今日、都道府県について五%、市町村について二〇%の歳入欠陥で、その団体財政運用が一体たえられないのかどうか。言うまでもなく、この十一条の二は歳入欠陥債の禁止ではありませんね、一般地方債発行を制限しようとしているんですから。これはどうです。
  40. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) いまお示しはございましたように、特別措置法が制定されまして以来かなり長い年月を経ておるわけでございまして、その後の財政状況等を考えました場合、果たして当時考えられました五%あるいは二〇%という率がいまの財政の実態から見て適当かどうかという御趣旨の御質問であったかと存ずるのであります。この点につきましては、先ほど私御答弁申し上げましたように、府県、市町村に分けまして、それぞれの単年度で赤字を解消し得る一般経験的な能力というものを考えました場合には、やはり冒頭申し上げましたように三年程度で解消していただくとするならば、いま申しましたように、と同時に単年度の赤字解消能力等をあわせ考えました場合、やはり当時と現在でも率で見ればさほど大きな差はないんではなかろうかというふうに存じておるわけでございまして、いま直ちにこの五%あるいは二〇%を改正するかどうかということにつきましては、私ども、やはり今後の財政運営の実態も見まして、絶えず検討すべき問題ではあろうと存じておりますけれども、いま直ちにこれを改正するという考え方にはまだ至っておらないわけでございます。  なお、お示しにございましたように、昭和五十年度におきましては、税の落ち込みを埋めますために一兆六百三十二億円の地方債をお認めいただいたわけでございますが、これにつきましては、やはりこの一兆六百三十二億の地方債が税の落ち込みを埋めるためのものでございますので、この二十三条の適用に際しての中にはカウントしないという方向で処理をしてまいりたいというふうに存じておるところでございます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 いま、意見述べられましたが、私もちょっと意見述べておきますが、先ほど来申し上げたような考え方に基づいて、今日の時点に立って私は再検討をこの規定はすべきだろう、こう思います。私はそもそもこの地方財政再建促進特別措置法そのものを廃止すべきだと考えでいますけれども、それはすでに立法当時と社会的背景を全く異にすると考えるからです。少なくともとにかく法二十三条、施行令十一条の二は廃止をされてしかるべきではないだろうか、現況から言って。こういうふうに考えていますので、これはもう私の方の見解ですから、意見として申し述べておきます。  それから、次に移りますが、時間がもう非常に制約されていますので急ぎますが、さきの七十五通常国会で、いわゆる代用監獄問題を取り上げました。そのときは、法務大臣、自治大臣――いや、国家公安委員長としてですか、お並びになって、回答ははっきりしているわけです。したがって、二、三お尋ねしたいんですが、本格的な議論というのはもう別に譲ります、時間がもう三十分削られましたので。  そこで、まず法務省に伺いたいんですけれども、六月二十四日の答弁で長島矯正局長は、監獄法の改正を早急に秋までに法制審議会にかけたいと、明確に御答弁になったんです。これは、やられましたか。
  42. 米田昭

    説明員(米田昭君) 矯正局長と、御答弁申し上げましたとおり本年の秋をめどに詰めを行っておったのでございますが、まことに申しわけないことながら、いささかその予定がおくれております。しかし、いま最後の詰めの段階になっておりますので、もし時期をとお尋ねでございますれば、年が明けて遅くない時期に法制審議会に諮問することができると考え、またそれを目的として鋭意作業を進めておる次第でございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 これはまた大変むずかしいあれで、年が明けて遅くない時期と。この間は、早急に秋までにと。まあ矯正局長またおかわりになりましたが、かわれば済むというものじゃありませんから、年が明けて遅くない時期というのは、どういうふうに理解したらいいんですか、これは。
  44. 米田昭

    説明員(米田昭君) 申し上げるまでもなく、関係するところの調整あるいは検討ということで、まあある意味では相手のあることでもございますので、何月ということはまことにむずかしいものでこのようなお答えをさしていただいたわけでございますが、まあ私どもその衝に当たっております者といたしましては、来年二、三月ごろには何とか諮問することができるように作業を進めたいと、さように考えております。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 これは自治省ですか、警察庁ですか。看守の人件費、この留置場の使用料について、福田自治大臣は、どれだけ国が持ち、どれだけ地方が持つかというのは、事務当局でもう少し詰めさせていただきたいということを述べられたわけです。で、予算折衝はずっともう最近急ピッチに進んでいるわけですから、大蔵省と最後の詰めに入っていらっしゃるのでしょうが、これはどう予算要求に具現をいたしましたか。
  46. 米田昭

    説明員(米田昭君) 現行法令のもとにおきまして、いわゆる留置人実費と申しますか、弁償金でございますか、これの大幅な増額を要求するという形になっております。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 稻葉法務大臣は、こういうふうに明確にあのときお答えになったんですよね。「警察が警察本来の事務のためにも留置場は使うのですから、その点までも法務省の方の負担になるわけじゃない」、これは全くそのとおりです。私もその点は異論はありません。法務省が使用する分について払えばいいわけですね。この点について、「事務当局ですっかり計算させて、大蔵省が入って、そうして不公平のないように国として負担すべきものはきちんと負担する」、こう答えられたわけです。いま大幅とこうあったんですが、警察庁の側はどういうことになりますか、これ。
  48. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) ただいま御指摘のとおり、本年の六月二十四日の当委員会における審議の結果に基づきまして、その後当庁といたしましても検討を、先ほどの法務省からのお話しのとおり、監獄法の改正という問題と並行してそういうふうな点について検討を重ねてきておるところでございます。ただ地方公共団体の超過負担という観点からしますと、その改正の暁はともかくとして、現在のところでは、現行の法体系のもとにおきましては、当面食糧費それから管理費の大幅アップが先決であると、こういうふうに考えられますので、来年度予算要求においても、この点に主眼を置いて関係省庁と折衝中と。したがって、法務省もこれを受けて大幅にその点について考慮していただく、こういうことになっておるわけでございます。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 なお一問自治省に伺いますが、今年度で交付税の単位費用に三百八十余万円、全体で大体四十億円ぐらいの看守の人件費が考慮されているようですね。これは警察関係分、法務省関係分、どちらなんですか。これは法務省関係分も含まれているわけですか。
  50. 豊住章三

    説明員(豊住章三君) この人件費につきましては、一応警察法施行令に基づきますところの人件費を措置しておるわけでございまして、これはすべて込みになった勘定でございます。一応交付税で見ております代用監獄につきましては、食糧費だけは一人一日三百五十三円という積算のもとに、一日五十人、これから三百六十五日分を見ておりますが、これは歳入につきまして同額を国から入れると、そういう組み方をしております。一応交付税の事業で見ますけれども、見ましたものにつきましては、県が国に請求いたしましてその辺をまた国からもらうと、そういう仕組みで、いずれも六百五十万ずつ見ております。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 別途。
  52. 豊住章三

    説明員(豊住章三君) はい。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 と言われることは、いわゆる地方交付税の単位費用の中では込みで見ているという意味ではないわけですね、さっきの答弁ちょっとわからなかったんですが。法務省関係分が入るわけではないでしょう。
  54. 豊住章三

    説明員(豊住章三君) 人件費としましては、法務省関係を特別に見ておりません。ただいま申し上げましたのは、いわゆる食糧費につきまして交付税で六百五十万円見ておりまして、それは歳入として国から六百五十万入ると、そういう仕組みで見ております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 最後に、それじゃ地方事務官問題で伺いますが、去る四日の事務次官会議で、鎌田事務次官の発言と伝えられているわけですがね、いわゆる国費職員の身分移管に関して三百三十五人の増員改正政令案を決めるに当たって、来年度中に廃止のめどをつけるため各省に協力方の要請をした、こういうふうに報ぜられているわけです。これは両院の五十一年三月三十一日までという決議、あるいはそれを受けての私と三木総理の本委員会における約束、あるいはわが党の野口理事と三木総理との本年度予算委員会における約束、これを全く担当事務次官が無視をする発言をされたということになりますね。これは大変大きな問題だと思うんですが、自治省自身はかかる姿勢にいつから変わったんですか。
  56. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これは先生全く誤報でございます。新聞が誤って書いたという以外に考えようがない。というのは、もう恐らくその誤った理由と申しますか、それはことし増員するについて、もうこれは廃止の方向にあるんだから、もう来年は増員をすべきでないというのを行政管理庁長官も言っておられますけれども、その増員の問題でも、来年はやらぬぞという問題と、それからこの地方事務官本来を片づけるという――片づけるというか、この問題を解決するというのは、附帯決議にもありましたとおり、私の方の省としても、附帯決議どおりに本年度中にという目標でやっておりますので、ことに鎌田事務次官、その件について大変積極的でございます。それが漫然と来年度中になんて言うはずがないのです。私もこの記事を見てびっくりをいたしまして、直ちに事務次官に聞きましたら、これはもう全く自分はそういうことを言っていない、なお本年度中に解決する方向で努力するということはあたりまえじゃないかと逆に言われましたのでございまして、何か拝見しますと、朝日と毎日だけ、何か地方事務官問題そのものを来年度中にというふうに書いてございますけれども、これはその増員問題と混淆したのだと思います。ですから、自治省が現在とっております態度は従前と全く変わりございません。  ただ、まあ各省との折衝がはかばかしくいっているかというと、その辺は必ずしも私の方の思うとおりにはなお進んでいない。で、こちらに政務次官おられますけれども、目下関係省の政務次官の間でもこの問題について鋭意御協議をいただいておりまして、本来の附帯決議の示す時期までに片づけたいという従前の姿勢は全く変わっておりませんので、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 いま局長が答弁されましたように、松澤行政管理庁長官は、五日の閣議後の記者会見で、地方事務官の増員について遺憾の意をあらわして、そうして五十一年度以降は地方事務官の増員を一切認めない意向である、こういうふうにわざわざ記者会見されているのです。自治省としてはこれに対してどういう御見解をお持ちになりますか。
  58. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この問題、本来の制度を廃止するという問題、これはもうまさにきわめて限られた時間に解決しなければならないということで、強い態度で努力しているつもりでございます。しかし、まあ増員問題というのは、制度が変わらないときに実際に事務量が現実にふえていけばある程度それに対応せざるを得ないということもあり、地方事務官問題本来とは違って、毎年毎年予算査定で一応事務量その他を計算してやっておられること、それが本年度分についてここにあった三百三十五人という問題であったわけでございますけれども、まあ本来の問題を解決せずにこちらの方ばかりというわけにはいかぬということで、実は私の方で改正も非常に遅くなったわけでございます。  で、来年度の問題としても、筋から言えば、もし制度改正が解決しない場合は、事務量が仮にふえればそれに対応する策が必要であろうということはやはり言えると思いますけれども、しかしまあそういつまでもやっておったんでは本来の問題の解決にならぬものですから、私の方としても、本来の問題を解決しなければならないのだから、できるだけ現状をこれ以上ふくらませるべきでないという点では、行管長官が言われたこととほぼ同じ方向に物を考えておりますけれども、本質的には、もし本来のものが解決できない場合の事務量等でもって決まるべき問題であろうと、こう考えております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 ちょうど政務次官お見えでありますので、少し内容についてお聞きをしたいのですが、政務次官会議で、事情を知り合うためにそれぞれ関係者をお呼びになっていろいろ聴聞されていらっしゃるようでありますが、それを受けて、何かこう担当政務次官会議では突っ込んだお話し合いになっているのですか。一部、報道されるところや、仄聞してみますと、国家公務員地方公務員かは国民に関係のない問題などというような、まあ自治の本旨からは外れたような論議が行われているような形の報道もなきにしもあらずです。たとえば五十年十一月七日の読売などにそういう報道もあるんですがね。これはどういう論議になっているのですか。
  60. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) この問題につきましては、定例の政務次官会議を毎週木曜日の朝やっております。それが終わりましてから後、まあ大体四十分から一時間ぐらい意見の交換をするという形で、官房副長官それから行政管理庁の政務次官、あと私と、それから関係の各省ということで厚生省、運輸省、労働省、それぞれの政務次官が集まりまして、この問題についての解決策と申しますか、何とか合意に達していく方向はないのかということでお互いの意見を交換しておる。その段階におきまして、過般は自治労の委員長初め皆さんのお考えをお伺いした。なおまだもう少しお伺いすべきであるというので、たとえば全労働とかというふうな組合の方々に、この今週の木曜日にまたお伺いするというようなスケジュールになっておりまして、これはまあいまお話ししておる段階では、そういったお互い同士の、何と言いますか、理解が違っては話にならないということで、話し合って、大体その点についてはそれぞれ各省はここまでいままで主張してきて、こういう形の考え方の違いがあるということが話し合われただけであって、それほどの、いまおっしゃったようなところまで、これは一つの推測記事であって、そういった話は行われておりません。もちろん、いまの段階でいろいろ論議しておる点で、厚生省は厚生省で、たとえば保険年金制度の抜本的改正というものを待って考えるべきだと。それはとてもそういう一つの方向で待っておったんではいつのことかわからないとか、まあそういうような一つの政治的な判断というものに対する理解をもう少し詰めていって、そして結論を急がなければならないというような方向でいま協議をしておるということでございます。もちろん、政務次官が今度交代するというふうないろいろなことがございますけれども、そういった問題も含めまして、これは必ず引き続いてこの問題は理解をして進めていかなければならないという、お互いの話し合いで続けてやっておる、こういうことでございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 地方自治法改正のため各省との調整を急いでいるという局長の御答弁、またそういう報道もずっとあるわけですが、どういう調整が行われているんですか、いま。
  62. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 改正のための調整が行われていると、事実それには相違ございませんけれども、改正する内容の方向が決まって条文を調整しているということであれば、これは大変進んでおるわけでございますけれども内容の方向の調整がまだ十分ついておりません。もっとも内容の方向さえつけば、法改正はもう本当に一条落とすかあるいは一条ちょっと書きかえるかだけでございますから、法案の調整というのは実体的にはまだ十分そこに合った表現ではないと思います。その内容、解決する内容の方向についてなお関係各省の間に相当な隔たりがあり、まあ見方によっては百八十度全く逆の方向を考えているという面もまだございまして、この間の調整を目下急いでおる次第でございますけれども先ほど申し上げましたように、時期は迫っておりますが、なおはかばかしくということはまだ残念ながら申し上げられない、これが現状でございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 最後に一点ですが、これはいま言われましたように、次官、方向が決まれば一条とにかくいじるだけで済むことなんで、三木内閣総理大臣どうもその辺は少し誤解がずっとあったようでありますが、いまはもうなくなっていると思うんです。それから海部さんもそれを取り扱う一定の責任者としてそういう誤解はなくなっているはずでありますから、したがって、これは大変長年の懸案でありますので、両院の地方行政委員会の決議が生きる、そういう方向での措置を急いでいただきたいと、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  64. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) いまも申しましたとおり、そういうことで、とにかく三月三十一日という一つのタイムリミットもございますので、速急にまとめるということでやっております。なおしかし、いま申しました政務次官会議で協議するというのをあと二、三回はやはりやらなければ、方向というものをひとつまとめていくことにはむずかしいんではないかというふうに私は考えておるし、精力的にこれはやるということで、海部副長官が座長になっておられますので、そういった形で協議が続けられるものと、このように思っております。
  65. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 まず第一に、一昨十四日の読売新聞に掲載されました、昨年度六千三百六十億円の地方の超過負担の記事が載っておったわけでありますが、このことについて自治省の見解をお伺いしたいと思います。
  66. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  先生いまお示しにございましたように、地方団体では四十九年度の超過負担というものを取りまとめられまして、その額が約六千三百億円ということが新聞紙上で報道されたわけでございます。私どもといたしましては、六団体のおまとめになりました資料なりあるいはまたその基礎になっております基礎資料といいますものを、まだ詳細精読いたしておりませんしあるいはまた十分な角度からの調査もいたしておりませんので、いま直ちにその数値の是非についてお答え申し上げるのは御遠慮いたしたいと思うわけでございますが、ざっと拝見いたしました限りでは、この調査は六団体の実際の決算額と国庫補助基本額との差額を超過負担という形で計上されておるものと理解いたしておるわけでございます。したがいまして、地方団体がそういうような国庫補助負担金を受けて実施いたします事業と、それとの関連において実施されます単独事業というふうなものもすべて含まれておるものではないかというふうに理解をいたしておるところでございます。今後私どもといたしましては、資料なりその基礎データをちょうだいいたしまして、十分内容を検討さしていただきたいと存じておりますけれども、六団体が申しておられます額が直ちにいわゆる狭い意味での超過負担ばかりかどうかということにつきましては、いま申しましたような観点から私どもなお若干疑問を持っておるところでございます。  御案内のとおり、超過負担につきましては、私どもやはりこれが国、地方財政秩序を乱し、あるいはまた地方に過重な負担を強いるものでございますので、従来からこれの解消について努力をしてまいっておるところでございまして、関係各省庁に対しましても、数次にわたりまして文書あるいは口頭あるいはあらゆる機会を通じてこの超過負担の解消をお願いしておるところでございますが、今後とも超過負担の解消につきましては、私どもといたしましては各省庁に対しまして精いっぱいの働きかけ、努力をしてまいりたいというふうに存じておるところでございます。
  67. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 まだ地方団体調査内容を細かく精読してないので、一つ一つについては十分答弁ができないということでありましたけれどもも、この超過負担議論というのはもう当委員会でも何遍も議論されたところでありまして、数量差なりあるいは対象差、こういうことについてにわかに実態に合わせるということは容易ではないと、大まかに言いますとそういう形で答えられていたと思います。しかし単価差については、いまやまさに全面解消したというような意味の御答弁をしばしばお伺いをいたしました。ところが、この記事を見ますと、必ずしも数量差や対象差だけでなくて、単価差にも問題があるというようなふうの意味の記事も内容に入っておるようであります。たとえば保育所にとって言いますと、食費など経費積算単価が低過ぎる分(単価差)、かれこれの合計金額が一万一千百四十四円見積もっていない分があるというようなことなどの内容を含めて書いてありますので、どうもいままで自治省がしばしば答えてまいったような単価差の面についても、全面解消がされていないのではないかということがうかがえるわけであります。なおまたその記事の中に、たとえば警察署建設の一平方メートル当たりの単価は、現実には平均で十万七千九百四十一円。国はこれを六万六千八百十三円しか認めていない。その差額四万一千百二十八円は自治体の超過負担になっているというようなことを問題として指摘してあるようであります。で、調査結果の特徴として、「国ですでに解消措置をとった公営住宅と義務教育施設などと、まだ措置がとられていない保健所、警察費、廃棄物処理施設などとの格差が判明し、改めて超過負担の存在を実証した。」というようなぐあいに調査結果の特徴をまとめてあります。なお、すでに前回等にも説明のありました、「すでに解消措置がとられたもののうち、農業委員会と保育所の経費はその措置がきわめて不十分で、超過負担が大きいことが明らかになった」。さらに、「本来、国で全額負担すべき委託費すら、多額の超過負担があり、」というぐあいにあります。  いま要約いたしまして三点ほど、調査結果の中の特徴としてまとめられた分について申し上げましたが、細かい内容を精読していないということは一応さきのお答えでわかりましたけれども、この具体的な三点についての自治省としての御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  68. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 保育所関係につきましては、御案内のとおり、保育所の措置費につきまして、本年度当初、さらには今回の補正におきまして、四十九年調査に係りますものにつきまして解消措置をお願いし、解消措置をとっていただいたわけでございます。  なお、現在昭和五十年におきまして、保育所の運営費の補助金につきましては、現在、私どもあるいは国庫当局、関係各省庁との共同調査を実施いたしておりまして、この調査結果を待ちまして、予算に反映をしていただきたいということでいま進めておる段階でございます。と同時に、御指摘ございました警察の施設の整備費の補助金につきましても、いま申しました保健所の運営費の補助金と合わせまして、現在、五十年でございますが、関係各省庁共同調査を実施いたしております。これにつきましても、その結果を待ちまして、できるだけ早い機会での国の予算編成でこれを十分反映していただけるようにということで、いま作業を進めている状況でございます。  私どもといたしましては、いま御指摘ございましたように、国庫補助負担金につきましては、少なくとも、その単価の差にかかわります分につきましては、これはあってはならないものであるというふうに理解をいたしておりまして、先ほども申しましたように、五十年度には農業委員会等の経費を中心にしての六事業、さらには今回、いま申しました三事業につきまして調査をいたしておるところでありまして、その結果を待って措置をとっていただきたいということを各省に強く要求し、あるいはしていただけるものというふうに理解をいたしておるところでございます。  なお、今後超過負担の問題につきましては、一回限りの問題ではございません。私ども今後、各省庁に対しまして、絶えず六団体のお示しのこの数字等も十分精査をし、分析もいたしまして、必要な都度しかるべき措置もとっていただきますことを、強く訴えてまいりたいというふうに存じておるところでございます。   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
  69. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 先ほども申し上げましたように、しばしばこの議論はされてきたところでありますけれども、総まとめといたしまして、地方団体は根拠なしにこういう違いがあることを発表し、あるいは調査結果がこういう違いとして出てきたものとは考えられないわけであります。絶えず超過負担考え方について、本省と地方公共団体との間に意見の違いなり乖離がある。このことについて十分に地方団体の側の立場なり資料なり、その中身なり、そういうものを自治省を中心としてこの詰めを十分にして、その間に見方の違い、そういうことがないように、先ほども申し上げましたように、実態から見て、数量差なり対象差なりも改善を求めている点が数多くあるわけでありますけれども、少なくとも基本的に、いままで述べられてまいりました単価差というのはこれは絶対にないようにということを、早急に実施ができる体制に持っていっていただきたいということを強く要請をいたしまして、次の問題に入ります。  次は、五十一年度予算編成に関連してでありますけれども、まだ、最終的な詰めの段階には至っていないかもしれませんけれども、おおむね五十一年度の予算については、公債総額七兆程度を発行しなければやっていけないであろうということは、すでにもう定説になっている、そういう判断を持っておられると思うわけでありますが、そうなればなるだけに、七兆もの国債発行をしなければならないということは、税収がそれだけ少ないということでありますから、したがって、国税三税の三二%であります地方交付税の額というのは大幅に少なくなるというようなことが考えられるわけであります。このことについて地方交付税対策、落ち込み対策を自治省としてはどういうぐあいに基本的に考えておられるか、このことについてお伺いをしたいと思う。
  70. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 明年度の地方交付税がどういう形になりますか、御案内のとおり、まだ現在の段階では明年度の経済見通しが確定をいたしておりませんし、あるいはまた、交付税の基礎になります国税三税につきましての税制改正の取り扱いがどうなるかということも確定をいたしておらない現段階でございますので、明年度地方交付税がどの程度になるかということの的確な見通しを申し上げることは、非常にまだ現在の段階では困難な状況でございます。しかし、私ども何分にも来年度も引き続き厳しい経済情勢を想定いたしました場合、地方交付税につきましては、本年当初に地方財政計画に計上いたしました四兆四千億円を確保することはまず困難であろうというふうに存じておるところでございます。このような状況は地方税につきましても同様でございまして、いずれにいたしましても歳入全般にわたりまして、特に地方税、地方交付税、いずれも五十年当初に地方財政計画に計上いたしました額は確保ができないのではないかというふうに存ずるわけでございます。  一方、歳出の面におきましては、給与関係経費を中心にいたしまして、義務的経費の増加が予想されるところでございます。あるいはまた国の公共事業がどういう形で組まれますかということによりましての地方負担がどうなるかという問題につきましても、まだ的確な数値を申し上げる段階ではないわけでございます。いずれにいたしましても、規模全体としては五十年当初の地方財政計画の規模を上回るものになるだろうということは予想されるところでございます。  そう見てまいりました場合、歳入、歳出全般を通じまして考えました場合には当初にかなりの財源不足を生ずるというふうなことに相なろうかと見通しておるところでございます。まだその額がどの程度になるかということにつきましては、いま御答弁申し上げましたように、的確な数値を申し上げる段階には至っておりませんが、かなりの財源不足を生ずるだろうということは確かだろうと思っているんであります。私どもといたしましては、この歳入不足をどういう形で処理をしていくかということにつきまして、いま国庫当局と連日折衝を続けておりますが、いずれにいたしましても私どもといたしましては、前国会でも大臣がお答え申し上げましたように、地方財政計画を通じまして、地方財政運営に支障がないように措置をとってまいりたいということを基本の態度といたしまして、いま政府部内で調整をいたしておるというのが現状でございます。
  71. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 ただいま説明をお伺いいたしましたが、この問題についてはもちろん細かい数字が発表できる段階にないことはよくわかります。説明の中にもありましたように、地方行政経費というのは決してことしよりも少なくなるということは考えられない。ところが、地方交付税を生のまま国税三税に三十二を掛けて計算すると、これは伸びは恐らくほとんど期待できない。どころか、ことしよりも少なくなることが懸念される。当然その差額というのが大幅に出てくるということは明らかでありますので、この機会に私は基本姿勢だけをお伺いしたわけでありますが、少なくとも本年度の補正措置で手当てをしたのに劣らないだけの地方公共団体に対する交付税落ち込み見合いの財源付与というものは確保することに全力を傾注していただきたい。本度度分の据え置きを含む償還十ヵ年というようなことになっておるわけでありますますけれども、これが新しい五十一年度にもまた同じ状況が出てくる。それがダブってきた事態の場合に一体どういうふうになるのかということを含めますと、将来きわめて大きな問題になることは明らかでありますので、これが地方公共団体財政需要なり行政を圧迫しないための万全の措置としての強力な一つの態度というものを自治省で固めてほしいということを要請をしておきます。  次は、五十一年度の地方税収についても若干触れられましたけれども、これを一体どういうぐあいに見ておられるのか。税法改正による平年度化による落ち込み、いろいろな因子が出てまいると思いますが、これも細かい数字は聞きません。ただ、大づかみに一体どういうぐあいに見ておられるか。本年度と比べた場合におおよそどういう傾向になるであろうかということをお伺いし、さらにその対策を一体どういうぐあいに考えておられるか。これも基本的な物の考え方で結構ですから、お答えを願いたいと思います。
  72. 福島深

    政府委員(福島深君) 五十一年度の地方税の税収の見通しでございますが、一応そのめどといたしまして、五十年の当初の地方財政計画におきます地方税収入が、御案内のように八兆八千八百五十億計上しておったわけでございます。ところが、このような景気の沈滞を反映をいたしまして、地方税収入が大幅に落ち込んだ。総額で一兆六百三十二億の減を予想しておるわけでございますが、そのうち大半の九千五百億余が法人関係でございます。それから個人の所得関係が残りの一千億程度でございまして、そのような五十年度の落ち込み予想によりまして、   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕 五十年度の地方税収入そのものは約七兆八千二百億程度ではないか、これは当初計上額に対しまして約八八%ということで、かなり落ち込みがひどいのではないかという見通しをしておるわけでございます。  五十一年度の地方税収入は、そういった五十年度の実績ベースを基礎にいたしましていろいろ計算をしてみる必要があると思っておるわけでございますが、まだ国の五十一年度の経済見通しも出ておりません。経済諸指数も出ておりませんので、確たることは申し上げられる段階ではございませんけれども、仮に一般に言われておりますように、一二%とかあるいは一三%の名目成長率があると仮定をいたしましても、いま一番落ち込みのひどい法人関係税で申しますと、仮に多少の生産指数が上がったにいたしましても、それが決算に反映をし、税収に反映をするというのは半年ないし一年先になるというようなこともございまして、私どものごく大ざっぱな見通しによりましても、五十年の当初計画の八兆八千億に近い数字で見込むということは大変困難ではないかという感じがいたしておるわけでございます。加えまして、先ほど先生ちょっと御指摘のございましたように、住民税では所得税の減税に伴いますいわゆる平年度化減税が行われまして、これが二千億程度あるのではないかと言われておりまして、そのような要素を考えてまいりますと、大変厳しい地方税収入の見込みになるのではないか、このような考え方を持っておるわけでございます。  したがいまして、地方税全体としてはかなり渋い額になりますので、通常考えられますような経費の増に見合う自然増というものは期待できない。その分をどうするかということは、先ほど財政審議官からお話がありましたように、地方財政全般の問題としてその対策をぜひとも講じていただかなければならないということで財政当局にも御協議を申し上げておる次第でごいます。
  73. 岩男頴一

    ○岩男頴一君 これは大蔵省の方が所管をしておるわけでございますけれども地方財政、特に困窮をしております地方財政関係があることでもございますから、自治省にお伺いしたいと思います。  先般、三百有余日かかりましてそして強行採決のような形をとり、あるいはまた廃案、また強行採決というようなかっこうをとりまして、大変その意味からも重要法案というふうな取り扱いをしたわけでございますが、酒、たばこの値上げ法案の問題でございますが、十三日にこれは議会で通過をいたしましたわけでございます。そこで私はこの際はっきりした方がいいのではないかと思いますことは、わが方の鳩山議員もちょっと触れましたが、このたばこ消費税の市町村の配分、交付の問題でございますけれども、その前に、一体どういう方法で、あるいは本数制かあるいは売り上げ価格の総額に%をかけるということか、たしか本数制ということではないかと思いますけれども、この点をどのような配分方法で見られておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  74. 福島深

    政府委員(福島深君) 現行制度を御説明申し上げますと、これはたばこの売り上げに対しまして課税をするという形になっておりますが、実際の課税の仕方といたしましては、先ほど先生ちょっとお触れになりましたように、たばこのいわゆる全国平均的な単価にその地方団体の中で販売をされましたたばこの本数を乗じまして税額を算定をすることになっております。ただその場合に、そのたばこの単価は前年度の単価を使うということになっておりまして、本数は当該年度の本数を使って、それを乗じまして税額を算定をして専売公社の方から納付していただく、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  75. 岩男頴一

    ○岩男頴一君 たばこ消費税は、地方公共団体は、はっきり申し上げますと、手を汚さずにちゃんと国の方で算定をして見ていただける、いわば徴税費等一円も要らないというたてまえのもので、非常に助かる。これは地方公共団体の財源でございますが、昭和四十九年度のたばこ消費税の全額、それから地方公共団体へ交付しておる金額等、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  76. 福島深

    政府委員(福島深君) たばこ消費税はこれは四十九年度の決算見込みで申し上げます。市町村がまだ若干動くと思いますので決算見込みで申し上げますと、県が千二百八十五億円、それから市町村が二千二百六十億円、合わせまして三千五百四十五億円程度の収入であったかと思います。
  77. 岩男頴一

    ○岩男頴一君 そうしますと、これは国の予算の方では、昭和五十年度はたしか五月一日から歳入を見込んであったようでございますが、これはさておきまして、一年間の地方公共団体都道府県市町村分が合計で三千五百四十五億円、四十九年度の決算見込みということでございますが、まあこれが五割上がっておったといたしますと、一応千七百億円ばかりの地方の増収ということになるわけでございます。こういう点がわりあいに論争の中心になっていなかったようでありますので、もうすでに、十三日に決定をいたしましたけれども、改めてこの点をお聞きしたわけでございます。  なお。酒税ですね。酒税が、これは交付税の対象の国税三税のうちの一つでございますが、これがもし、というよりも、これも四十九年度で結構ですが、四十九年度にどの程度金額であったかわかりますか。わかりにくいですか。
  78. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 国税三税の一つである酒税の四十九年度の最終見込みが八千八百五十億でございます。なお本年度当初におきましては一兆三十一億円が見込まれております。これについては先般の補正予算において若干減額を見ている次第でございます。
  79. 福島深

    政府委員(福島深君) ただいまの御質問の中で、ちょっと補足をして私の答弁をさしていただきたいと思いますが、たばこ消費税は、先ほども申し上げましたように、前年度の単価に当該年度の本数を使うということでございまして、実はたばこの値上げがありますと、当該年度については、地方税の場合は前年度の単価になりますから直ちに地方税の収入にならないという点がございまして、一方、その本数は逆に落ちてくる、それでは非常に問題ではないかということで、本年度の地方税法の改正で本数の割り増しをできるような法案にいたしまして御審議をいただいたわけでございます。  そういう点で本数としては落ち込むと思っておりましたものが、地方団体の側からいたしますと、たばこの値上げがおくれたために税収が実は落ち込まなかったのでございますが、私ども予想しておった以上にたばこが売れまして、地方税の面から見ますと、たばこ消費税はかなり思ったより増収になっておるということでございますが、ことしの暮れから仮にたばこが上がるということなりますと、それが来年度のたばこの売上本数にどのように影響してくるか、その影響の仕方によっては、ことしお願いしたと同じようにやはり本数調整をする必要が出てくると思いますが、十二月の末のたばこ改定でございますから、三月ごろまでにそれが平年化してしまって、来年度の自然増収分くらいを期待できるということであればその必要がない。そこら辺の本数の売り上の状況がちょっと私どもの方でわからぬものですから、ただいま専売公社の方といろいろ検討いたしておりまして、もしたとえば一月、二月にたばこの本数が非常に落ち込むということであれば、それを補正をいたしまして本数の調整をするような措置は講ずることができることになっておりますので、そのような状況も考えながら対策を立ててまいりたいと考えております。
  80. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 それでは、先ほど地方税収の五十一年度の大ざっぱな見込みなり、それにどう対応するかという基本的なお答えをいただきましたが、ここで希望を申し上げて、この問題を終わりたいと思います。  ことし、国債の五兆五千億という巨願な発行、さらに地方税収の落ち込み対策として一兆余の地方債の発行という形でしのぎました。来年度は、先ほど来申し上げておりますように、もっと厳しい状況になることは大体衆目の見るところだと思います。かてて加えて――これはもう質問の形をやめますけれども、公共事業に対する地方の裏負担の問題というのが加わってくる。各県あるいは市町村は、私が財政担当者であるならば、まず各部局に対して、せいぜいこのくらいしかわが県としては財源余力はない、だから、公共事業については裏負担金額をこの程度で抑えろという形で予算の編成を各部局に恐らく指示するであろう。私はそういう事例のあることを聞いております。となりますと、ついつい補助率の高い事業だけが浮かび上がって、きわめて必要ではあるけれども補助率の低い方がカットされるという、そういうことにならないとも限らない。こういうことを考えてみますというと、地方債の消化能力という面も含めまして、来年度についての地方公共団体に対する財政対策というのは、ことしよりもさらにしっかりと私は大蔵当局との交渉に当たらなければ大変な問題になるというぐあいに考えます。そのことを力説して、強くそういう対応をされることを、希望を申し上げておきたいと思います。  次に、地方振興の中で、とりわけ離島の行政に関連をいたしまして、私の鹿児島県の中の長島という島の問題をごく具体的な事例としてお伺いをしてまいりたいと思います。  実は話が出ましてから二十年近い年月を経て、ようやく長島に橋がかかりました。このことによって長島がいわゆる離島でなくなって交通も非常に便利になった。従来県営のフェリーで通っていた時代に比べますと、確かに交通事情の条件というものはよくなりました。ただ、そのために、御承知のとおり離島振興法から除外をされる。となりますと、もろもろの公共事業に対する町の財政負担というものが高まってくる。これが本土並みにいろんな社会施設なり、道路なりもろもろのものが整っておればこれはさしたる問題でないかもしれませんけれども、ついつい離島の悲哀と、さらに、ここでは道路関係について特に取り上げますけれども、従来から道路の改良なり新設というものは、どちらかというと交通量の多いところから手が打たれたというのが私はかなり長い歴史だったと思います。一方ではおくれた地域の開発というようなふうのことももちろん一つの眼目になっておるとはいえ、現実には交通量の少ないところはどうしてもおくれがちであったというようなことなどを考えてみますと、道路にしてもあるいは港湾、漁港等にいたしましても、立ちおくれが目立っておるわけであります。橋がかかって直ちに離島振興の対象から除外される。――まあ橋がかかってすぐ除外されているわけではなくて、来年三月、五十一年度からだと思いますけれども、なおこのおくれというものは決して解消されていない。こういうことを考えてみますというと、いわば経過措置として離振の対象であった時期における公共事業負担と、本土並みに変わった場合の差額がかなり大きな金額に出てくる。私の長島、二つの町がありますけれども、これを五十年度をベースで見ますというと、二千八百万程度の差額になるように考えるわけであります。従来のテンポで公共事業等を展開してまいりますというと、五十一年度では三千七百億余りの違いになるのではないかと推算されます、差額が。このことについては、どうしても経過的な措置として何年間かはこの差額というものを特交ででも見るという財政措置というものを考えていただかないと、離島から本土に変わったという交通事情の便利さは、直ちにこの町についてのもろもろの公共事業の進展に大きなマイナス要因となって働くというぐあいに考えられますので、このことについての見解をまず国土庁、とりあえず国土庁からお伺いをし、さらに次には自治省からお伺いをしたいと思います。
  81. 青木良文

    説明員(青木良文君) 従来離島振興法の第二条の規定に基づきまして指定をされました地域に架橋事業とかあるいは埋め立てあるいは干拓事業等が行われまして、これによって指定地域と本土との間に常時陸上交通が確保されることになった場合には、離島振興法で言うところの隔絶性というものが解消されるということから、当該地域につきましては指定を解除する措置をとってまいりました。いまお話しの鹿児島県出水郡長島並びに諸浦島につきましては、昭和二十八年の十月の二十六日に、離島振興法の第二条に基づきまして離島振興対策実施地域として指定をいたしました。以来、その置かれているところの特殊事情というものを十分考慮いたしまして、その後進性を除去しあるいは島の経済力を培養し、島民生活の安定及び福祉の向上を図るために、道路とか港湾、漁港、土地改良、林道あるいは水道事業等公共事業を初め、文教関係とか厚生また離島の総合開発センターというような事業を実施してまいりました。また一方、この長島には、いまお話がございましたように、昭和四十五年から日本道路公団の有料道路としまして架橋事業が行われまして、四十九年の四月にその完成を見まして使用が開始されて今日に至っておるようなわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、この長島及び諸浦島の指定解除につきまして、去る九月、離島振興対策審議会を開催いたしまして、そこにお諮りをいたしまして十分いろいろと御審議を願いまして、その結果、昭和四十一年の十二月の十二日に開催されました第三十一回の離島振興対策審議会で決定を見ておりますところの離島の地域の指定解除基準というものにのっとりまして、昭和五十一年三月三十一日付で指定解除の措置を講ずるということを決定しているものでございます。  そこで、今後これからの地域の振興についてでございますが、県当局はもちろん、関係各省庁に対しましても、当該地域における関係事業が円滑に推進されるように協力をお願いをいたしておる次第でございます。また、指定解除後は、これら地域において実施されます各種事業の国庫補助率、特に港湾とか漁港等の補助率が下がりますので、その激変緩和を図るために、自治省とも協議しまして特別の財政措置を講ずるように要請をしておるところでございます。  なお、先生先ほどお話しございましたが、五十年度の当初予算で国費の補助率が下がった場合と、それから現状の場合、どのくらいの差があるか……。
  82. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 もういいです、それは。自治省。
  83. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 御質問にございました鹿児島県の長島の架橋に伴いまして、いま答弁がございましたように、特例法によりますかさ上げがなくなってまいります。したがいまして、私の方といたしましては、このかさ上げのなくなりますことに伴います財政負担の増加という点につきましては、それぞれの団体財政事情というようなものも十分考慮いたしまして、いま先生お示しにございましたような、必要に応じまして激変緩和の措置というものを特別交付税等において検討してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。いずれにいたしましても、今後当該団体でどのような事業計画をお持ちになっておるか。あるいはまたどういう財政状況になっておるのかということも十分見せていただきまして、その上で検討さしていただきたいというふうに存じておるところでございます。
  84. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 前向きで対応するということでありますので、これ以上細かい質問はいたしませんけれども、たしか天草五橋がかかった、それから天草の場合、昭和四十三年から四十五年までの三年間、差額についての八割程度の、八割分を特交で見るという措置が実施されたと聞くわけであります。全国的にも、従来もあったでありましょうし、将来もこういう事例は出てくることは必至でありますので、一定の方針を立てながら、経過措置としてこういう地域に対する財政負担の急激な増高に対応する十分の措置をとっていただくことを要請をしておきます。  それから、先ほど申し上げましたように、ずいぶんと公共事業のおくれが目立つわけでありますが、港湾等についてもそうでありますけれども、きょうは時間の関係でそういう面には触れませんが、とりわけきわめて具体的な路線の一つを申し上げますと、実は長島の場合は、向こう岸に渡る瀬戸という場所でありますが、その瀬戸から、東町の役場の所在地鷹巣、それから宮ノ浦という港がその鷹巣のごく近くにあります。その瀬戸-宮ノ浦港線という、いわば東町にとっては一番主要な骨組みの路線、この路線がいわば骨格路線で、この路線にすべての島の経済の本土との結びつきがかかっていると言ってもいい、そういう種類の路線です。ところが、いま全国的な一般地方道の改良率はたしかおおよそ五七%程度になっていると聞くわけでありますけれども、いま申し上げましたこの瀬戸-宮ノ浦線というのは、現在の改良率が三五・七%になっておる。全国ベースに比べますと非常におくれが目立っているということであります。で、先ほど、当面この離島扱いから外されたことによる負担増については財政上も考慮するということでありましたので、できるだけこの期間にこれらの公共事業の立ちおくれの進度を取り返すという特別な配慮をひとつ建設省考えていただきたいと思うわけでありますが、このことについての建設省の御見解をお伺いをいたします。
  85. 中村清

    説明員中村清君) ただいまお話がございました一般県道の瀬戸-宮ノ浦線の整備率がございますが、改良率、これは資料のとり方にもあるいは若干の差があるのかもしませんが、ただいま御指摘では三五・七%という御指摘でございましたが、私ども調査では五十年度末の数字は、実は改良率が六五・七%ということになっております。ちなみに全国の一般県道の整備水準を申し上げますと、改良率で約五一%ということに相なっております  なお、ただいま最後に御指摘がございました激変緩和措置がとられる間にできるだけ整備を進めろという御指摘でございますが、私どもといたしましてはできるだけ積極的に整備を図りたいというふうに考えております。
  86. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 大変私の資料建設省資料とに数字的に大きな食い違いがあるようでありますが、私はしばしばこの道路を通っておりますので、舗装は簡易舗装等を含めてかなり伸びておりますけれども、私は改良率が六〇もあるというぐあいにはどうしても考えられません。個々の数字の細かい議論はいたしませんけれども、最後におっしゃいましたように、一般地方道の中でもとりわけもうこの一線に頼っているということでありますので、その数字いかんにかかわらず、早急に全線が改良されていくというようなことにさらに積極的な御配慮をお願いを申し上げておきたいと思います。  最後に、道路公団についてお伺いをいたしたいわけでありますが、有料橋になりまして、フェリーで通っておりました時代よりも大変便利にはなりました。しかしながら、たとえば小型四輪を例にとってみましても、フェリーで運んでいた時代よりも料金が百円ほど高くなっております。そこで、この長島架橋についての償還計画というのは一体何年に見ておられたのか、そして計画と対応して料金収入というのは大体どういう程度になっているのか、まず簡潔にひとつお伺いをしたい。お答えを願います。
  87. 平出三郎

    参考人平出三郎君) 償還計画は三十年で償還すると、こういうことに相なっております。  それから収入でございますが、四十九年四月からでございますが、この収入は、四十九年度の予想は――予想というんですか、私どもが立てました計画は、大体四十九年度の収入は、実績が二億四千二百万円と、こう相なっております。それで計画ではどのぐらいであったかと申しますと、一億七千二百万円でございますので、相当上回っております。
  88. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 もうほとんど時間がなくなりましたので、この際見解をお伺いしておきたいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、大変便利にはなったけれども、料金負担というのはやっぱりかなりなものになっている。本土から出かけて、そうしていろんな販売物あたりを長島に持ち込むという面もありますけれども、長島の両町の町民の場合は、本土に出かけてくる、便利になりましたのでその度数は非常に多くなりました。しかし出てきたら必ず帰らなきゃならぬ。一日に往復料金がかかるわけです。その負担というのはかなりな町民負担になっております。そして長島町民の経済力というのは本土よりもかなり低い、そういう状況にありますので、ただいまお伺いいたしましたように、償還計画よりも、いま四十九年度のことについて御説明ありましたけれども、私がとっております資料でも、若干月による変化はありますけれども、大体平均して月に五万五千台程度ですか、ということになっておりまして、大体償還計画よりもかなりよけいな通行量、料金収入が上がってきているという状態にあります。で、このことの対応として、償還が済んだら、十八億五千万の建設費を投じたこの建設分の償還が済んだら、三十年という年限をできるだけ短縮するという方向で考えるか、若干現実の料金を引き下げて、そして計画年限三十年に見合うような償還の計画でいくか、いずれかを考えていただきたいと思うわけですけれども現実の島民の要望としては、いま直ちにの問題で、これだけの実績が大体平均的に上がるとするならば、料金を若干でも引き下げてもらうということをぜひ考慮願いたいという要望がきわめて強いわけです。そのことについての御見解をお伺いをしたいと思う。
  89. 平出三郎

    参考人平出三郎君) 先ほど申し上げましたように、四十九年度、それから五十年度の十月までの数字もございますけれども、いずれも予想を上回ってはおります、収入は。一方逆に支出のほうも、実は、これは最終的にこの計画が確定いたしましたのは四十七年三月ごろでございますけれども、当時の見込みと支出のほうもまた違ってきておる、これも確かでございます。ただいずれにしましても、一般有料道路というのは三十年償還というのが大体の見当でございますので、非常に長期でございますので、これは私ども当初見込みを立てましたのから上回るものもあれば下回るものもございますけれども、長い目で見たときにどう変わっていくか、いろいろ変わり方がございますので、短期の傾向によって直ちに着手するというようなことはいたしておりません。大体最近値上げなんかも着手しておりますけれども、これはいずれも相当長期間の傾向を見まして、それからそいつが定着したことを確かめましてその上でやっていくものでございますので、まだこの黒之瀬戸大橋につきましては開始後一年、二年足らずでございますので、とにかくもうしばらく相当長期間の傾向を見て確定した上でなければ、何ともいま手をつけるということはできぬと思います。
  90. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 公団としての対応の原則はわかりました。言われるとおりに四十九年四月からの開設ですから、まだ実績はきわめて短い期間であります。しかしながら、さっき申し上げましたように有料道路でありますために、本土並みとの違いというのは、先ほど申し上げましたいろんな公共施設のおくれによるそれが十分にはまだ解消されていないという、それが本土並みの扱いに変わることによって町の財政負担というのがにわかに大きくなるという面と、もう一つは、直接個々の町民が、それこそ橋一つ渡ってくるために、毎回、たとえば普通乗用車でありますと片道六百円ですから、往復しますと千二百円というのが毎日たとえば出かけてくるたびにかかっていく。自転車にもあり、あるいは自動二輪にも経費がかかるわけですから、そういう現実の支出の大きさというものを十分御配慮いただいて、そしてできるだけ見通しが立った段階では、料金必ずしも固定でなくて、三十年間の年限の中で償還可能であるという、そういう数字等のにらみの中でできるだけ住民負担を軽減するという、そういう措置をとっていただくことを強く要請をいたしまして質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  91. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十八分開会   〔理事安田隆明君委員長席に着く〕
  92. 安田隆明

    ○理事(安田隆明君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査について質疑を行います。
  93. 赤桐操

    赤桐操君 昭和三十九年の六月の十六日にマグニチュード七・七の新潟地震が発生をいたしまして、多くの被害が出たことはまだ記憶に新しいところでありますが、この被害状況を見ますると、死着実に二十九、負傷者五百十、住宅の全壊が三千五百五十七、半壊一万二千二百三十七戸、被害総額にいたしまして約二千九百億円、わが国の災害史上、地震史上において特記されるべき大きな被害だったと思います。消防庁では、この地震直後にいち早く調査班を編成されまして、現地にこれを派遣いたし、調査研究を行った結果を、「新潟地震火災に関する研究」ということで大変りっぱな報告書をまとめておられます。  消防庁がなぜこのような調査研究を行ったかと言えば、事故の規模がきわめて大きかったということ、それだけではないのでありまして、当時の松村消防庁長官の序文に明らかになっておりますが、「社会情勢の変化に伴い災害の形態も変化しているが、まさに新潟地震においては、かつての地震では経験しなかった多くの新しい体験と教訓を残したのである。流砂現象による建物の被害、石油タンク施設の火災等がそれである。」と述べておられるわけであります。私が問題にいたしたいと思いますのはまさにこの指摘でございまして、災害に新しい事態が生じ、それに対する対策の指標としてこの一冊の本がまとめられたわけであります。ちょうどいまから十年前のことになりますが、それから今日までこの教訓がどれだけ生かされてきているか、せっかくの調査研究がなおざりにされてきておるのではないかと、そう思えるわけでございます。石油コンビナート等防災法が先日成立をいたしたことでもありまするし、防災体制をより強固にして石油コンビナート地帯での災害を防ぐ現実の施策を推進していくためにも、もう一度考え直していかなければならない基本的な問題であろうと考えます。  そこで第一に、昭和四十年、この研究がまとめられて以来建設された石油タンクの数、特に石油コンビナート地帯における過密化傾向についての報告をお願いしたいと思います。  第二番目に、特に石油コンビナート地帯に対しまして、この新潟地震の経験を生かしてどういう対策がとられてきたか、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  94. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 昭和四十年度以降に建設されたタンクの数というのは、いま手元に資料がございませんので、すぐ取り調べて御報告さしていただきたいと思います。  それから新潟地震の経験にかんがみまして、その後危険物施設につきまして消防庁としてとりました内容は、一つはタンクの構造の関係でございますが、そのタンクの構造につきましては、特にフローティングルーフ、浮き屋根の構造についてやや問題がございました。これは地震の震動によりまして油が外へ漏れるというような事態が見られましたわけでございますが、それにつきましては、浮き屋根構造についてまず液面の高さを下げるという問題と、それから液が外へあふれ出ないような構造をこれに付加をしていく。さらにまたシール部分につきましての構造を強化をしていくというような措置をとったわけであります。これはいわゆるコンルーフのタンクにつきましても、その液面高の制限というものをやるようにいたしております。  それから二番目の点でございますが、特に配管類が破損をいたしまして、その配管の破損によって油が外へ漏れたというのが非常に多かったわけでありまして、特にこの配管につきましてはいわゆる遊びと申しましょうか、可撓部分というものをとらせて、地震の震動によりましても配管類が切断あるいは亀裂を生ずるというようなことのないように措置をさせるということをいたしております。また、いわゆるドレーンパイプにつきましては、底板の部分からの配管をしないで、外側の方にこれを取りつけるというような措置をとらしたわけであります。  それから、次の問題が防油堤の問題でございますが、この防油堤につきましては、地震に対しましてそれまで認めておりましたコンクリートブロック構造の防油堤につきましては、これを全面的に鉄筋コンクリート製の防油堤に切りかえさせるというような措置をとったわけでございます。  それから特に新潟地震の場合には、タンク類の消火設備が、、ポンプ室の基礎構造が非常に弱かったために消火設備が破損をいたしまして、いわゆる自動消火装置というものが動かなかった、こういうような経験から、消火設備、特にそのポンプ室等についての構造の強化ということを指示をしたわけでございます。  そのほかの問題は指摘をされておりますが、これらの点につきましてはまだ十分な対策が講ぜられないまま現在に至っておりまして、今回のいわゆるコンビナート防災法との関連におきまして、こうした新潟地震の際に得られました教訓でなお残されている問題につきましては、その基準の改定を行いたい、こういうことで措置をいたしております。  こうした新潟地震の経験によりまして、防油堤その他につきましての措置を講じましたことによりまして、その後に発生いたしました十勝沖地震に際しましては、こうした配管類あるいは防油堤の関係あるいはまたタンク本体からの油の溢流というようなことが全然見受けられなかったということで、この措置はその後の地震関係におきましては一応成功したということが言えるというふうに考えております。
  95. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、浮き屋根式のタンクが地震に対して危険度が高いと、こういうことで一つの教訓としてここに述べられておるわけでありますが、その後の指導によって地震に対する危険度は大体万全の体制になったと、こういうように考えてよろしいのですか。
  96. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 浮き屋根構造につきましては、この際いろいろ問題点ということを掲げてございますが、現在の時点におきまして考えられる改善措置というものは講じておるわけであります。ただ、浮き屋根の特徴といたしまして、どうしても浮き屋根自身と、それからタンク本体との摩擦という問題は避けられない問題でございます。この辺がまだ問題としては残っておるような感じがいたしております。ただこのシール部分というものを、いま合成ゴム等を使用することによりまして、摩擦による火花が出るというような危険性というものは大分これは解消してきているというふうに考えております。  なお、今後タンクの技術基準の作成に当たりましては、浮き屋根構造のタンクも含めまして、タンク本体の高さと、それから最高液面というものの間にはある程度幅を持たしておきまして、地震の震動によって上の方から油が漏れないような措置を講ずるという基準をつくってまいりたいというふうに考えております。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 それから防油堤の容量は大きい方がよいし、共同防油堤では間仕切りが必要だと言われておるのですね。これについてはどういうようにお考えになっていますか。
  98. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 防油堤の容量につきましては、先般の水島の重油流出事故の際にも問題がございましたので、まず構造につきましてさらに強化を図る、ある程度の動水圧というようなものも考えまして構造の強化を図るということと同時に、防油堤の容量につきましては、防油堤内における最大タンクの容量の一一〇%容量というものを最低限にして、防油堤の容量を考えていきたいというふうに思っております。
  99. 赤桐操

    赤桐操君 この新潟地震の研究報告書によりまするというと、特に石油火災の恐ろしさが大変よく出ておるわけであります。これに対する対策として何点か挙げられておりますが、その第一には、施設の危険度に応じまして、民家などとの間に十分な距離を保つよう再検討することが必要だと指摘をいたしております。当時からこの指摘が生かされておりますればと思われることがたくさんあるわけでありますが、その指摘が生かされていなかっただけではなくて、新しい法律である石油コンビナート等防災法においても、なおこの問題についてはきわめて不十分なものが感ぜられまするし、危険が大きい、こういうように思うわけであります。ぜひ今後改善してもらいたい最も大きな基本問題であろうと考えておるのであります。  それから、火のついた原油が数百メートルも隔った民家にまで走って、民間倉庫などを焼失さしているということが詳細に出ておりますが、そこで、防災法三十三条の緩衝地帯の設置に当たってこの点が生かされる用意があるのかどうか、その点についての考えを伺っておきたいと思います。
  100. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) いわゆる保安距離の問題が第一点の問題でございますが、この保安距離につきましては、特にコンビナート地域におきましては、施設が非常に巨大なものになってきておるというような現状から、保安距離の改定は行いたいというふうに思っております。  その考え方といたしましては、周辺の民家等と最も近いタンクの、そのタンクに収容されます油の種類に応じまして、最大は、引火点が二十一度未満の油を収容するタンクにつきましてはそのタンク直径の一・八倍、それから二十一度から七十度未満という油のものにつきましてはそのタンクの直径の一・六倍、それから七十度以上のタンクにつきましては直径相当というような保安距離の基準を設けまして、しかも最低限境界線内にとるべき保安距離といたしましては五十メートルを確保するということにいたしたいと考えております。  ただ、こうした保安距離につきましては、タンクのいわば独立火災というものにつきまして十分な保安距離であるということは言えると思うのでありますけれども、これが新潟地震のような事業所全体の全面火災というものになりました場合には、やはりその輻射熱等の関係から申しまして、また十分な体制にあるというふうには考えられませんので、さらに防災緑地というものについてこの設置を積極的に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  101. 赤桐操

    赤桐操君 緩衝地帯の問題については、特に川崎等においてもいま大きな問題になっていますけれども、この地震の災害の報告書の中でももうすでに明らかにされておるわけでありまして、原油が数百メートルも隔たった民家にまで至って倉庫などを焼失さしておる、こう言っているわけでありますから、こういう実態に基づく配慮がこの中になされていくべきだと、こういうことを重ねて指摘をしておきたいと思います。  それから、タンク火災に対する消火の可能性の限界については、消火技術の内容がその限界を決定するものであるので、この点を検討してタンクの規模を決定する必要があると、こういうようにも述べております。この問題についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  102. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンクの火災につきましては、タンク全体が燃え上がってくるという場合には、その消火能力というものはタンクの液面の面積に比例して消火方法がむずかしくなってまいります。ただ、現在のタンクの構造から見ますと、タンクの大きさが非常に大きくなってまいりますというと、屋根が浮き屋根方式になってまいりまして、この浮き屋根方式になりますと、タンクの火災というものは大体浮き屋根と本体との間のいわば油が出やすい部分、この部分のリング状火災になってまいります。このリング状火災ということになりますと、消火技術というものはそれほどむずかしいものではないということになってまいりますので、そういうようなタンクの構造、特に屋根の構造の差によりまして、消火設備等の、あるいは消防設備等の基準はつくっていきたいというふうに思っておるところであります。ただこのタンクの災害というものは火災ばかりではございませんで、先般ございましたような油流出というような問題も考えますと、やはりいろいろな災害の態様に応じた対策を講じなければならない、こういう意味から、タンクの容量につきましては、ある程度制限というものは考えていきたい。大体今後の防油堤の構造、面積というものから見まして、最大限十万キロリッターぐらいのものを考えて、それ以上のものは実質上制限するような措置をとっていきたいというふうに思っております。
  103. 赤桐操

    赤桐操君 問題は、やっぱりいま長官言われたように、いろいろの場合が想定されると思うんですが、それに対する何といっても基本的なものは、タンク本体の強度であろうと思うんですね。この前の地方行政委員会でもこの問題が提起されたように思いますが、きょうは最後の一応締めくくりでありますので、特にこの点伺っておきたいと思うんですが、いろいろの事象というものが考えられるわけでありますが、したがって、予期しない場合というものはこれは当然いつでも起きてくる場合もありますが、やはりこれだけの大きなものをつくるんですから、いま長官が言われたように、だんだん大きくなってきて、十万キロリットルというものが標準になってくるということになると、これは私はちょっと簡単な問題ではないと思うんです。そういう意味で、少なくとも地盤の問題からあるいはまたタンク本体の強度の問題、構築物としての科学的に立証できる安全性の問題、こういうようなものがやはり明らかにされなければならぬと思うんですが、そういう点については、もう一歩突っ込んだ対策が必要だろうと思うんです。こういうことについて御検討の状況はいかがですか。
  104. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンクの構造をどういうふうに強化をしていくかということにつきまして、現在、水島の事故調査委員会先生方の審議の過程を通じていろいろ御議論をお願いをしているところでありますが、まだこれらにつきまして学問的にどうも明確な線が打ち出せないというような感じがいたしている面がございます。といいますのは、日本の地盤というものが、特にコンビナート地域というものが埋立地あるいは海岸に近いところに多い、そのために地盤が軟弱である、この軟弱地盤に対してはタンクはむしろやわらかい構造の方がいいのではないかというような御意見の方もあるようでありますが、私どもとしましては、むしろこの際は軟弱地盤をできるだけ引き締めていって、それによって本体の方もむしろかたい構造、硬構造の方に強化をした方がいいのではないかというようなことでいま検討いたしております。特にタンクにつきまして、これからも問題になるかと思うのでありますけれども、いわゆる底板の関係がいま一番弱いのではないか、この辺が溶接技術との関係において非常に問題があったわけでありますけれども、これまでとっておりました鋼板を重ね合わせて溶接をするというものを禁止をいたしまして、突き合わせ溶接をしていくという方式をとりますと、タンクの底板は大体倍以上の厚さを確保することができる、こういうことでいま強度の実験等もやっておりますけれども、突き合わせ溶接の方がむしろ強度もまさっておるというような実験値も出てまいりましたので、大体方向といたしましては剛構造の方向で、そして特に底板部分を従来の倍ぐらいの厚さまで持っていく、そういうタンクの大きさに対応する基準をつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  105. 赤桐操

    赤桐操君 地盤の問題、タンク本体の構造上の問題、いずれにいたしましてもひとつチェック体制を強化していただくように、この点を重ねて要望しておきたいと思います。  それからコンビナート防災法につきましては、特定地域についての規定がありまして、予定されているのは約七十であります。この指定区域以外にも数多くの石油タンク、高圧ガス等があるわけでありまして、今年初めには消防庁の一斉点検が行われております。それに対する措置もこれはもう当然なされなければならぬはずでありますが、こういうものに対する消防庁のその後の方針ですね、いわゆる既設のものに対してのこれからの方針を伺っておきたいと思います。
  106. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 今年初めに緊急点検を行いまして私どもの方に報告を求めましたのは、一万キロリットル以上のタンク並びに高張力鋼を使用して建造されましたタンクについての報告を求めておるわけであります。特にこの一万キロリットル以上というものにつきましては、不等沈下量が非常に大きいタンクというものが百九基報告があったわけでありますが、これらにつきましては修正の措置をとらせる、そして修正が終わるまでは使用禁止をさせるというような措置をとってきたわけでありますが、その後消防機関におきましては、引き続き一万キロリットル未満のタンクにつきましても同様な点検を行っております。そして点検結果に基づきまして必要な改善措置というものをとらせることにつきましては、すでに五月に通達を出しまして指導をいたしているところでありますが、やはり今後こうした問題に対処いたしましては、当然に定期点検制度というものをはっきりさせていかなければならない、そういうことで、この定期点検の基準というものの作成をいま作業中でございます。恐らく来年度から、こうした定期点検の制度というものはそうした一定の基準に基づいて制度化していくという方向で処理をしていきたいと考えております。
  107. 赤桐操

    赤桐操君 その定期点検の対象ですけれども、それは一定の規模以上のものにするんですか、全部を対象にするんですか。
  108. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) これは危険物施設、特にタンク全体についての定期点検の制度でございます。
  109. 赤桐操

    赤桐操君 大体以上、コンビナート等の防災法の成立につきまして、私たちが当初期待していたものとは若干距離があるんでありますが、しかし、事実これもでき上がったわけでありまして、一歩前進であると考えております。そういう立場に立ちまして私ども日本社会党の方も協力をいたしたわけでありますが、なお多くの問題が残っていることは事実でございます。きょうは特に新潟地震の経験から、今日の状況と防災法施行後のことを考えたわけでありますが、私はやはりこうした地震等の場合における、あるいは不慮の事態を想定した一層の改善策をこの際考える必要があるであろうと思っております。三十九年六月に起きました地震の教訓が生かされないだけではなくて、日本列島全体が一層危険な状態に向かっている、こういう状況を許しておくということはこれはできないわけでありまして、防災法、なおそういう点からするならば改善を加えながら十分なものにしていきたい、こう考えるわけでございます。また、政令等にゆだねられた部分が大変多いわけでありまして、この点は、率直に申し上げまして、当初から指摘をいたしましたが不満であります。そういう事実もございまするし、政令を定めるに当たりましては、以上私どもがいろいろと多くの角度から質問をいたし提起をした諸点を十分にひとつ考慮をしていただきまして、法改正等々をも含めて今後のひとつ課題にしていっていただきたいと思います。防災関係の問題につきましてはひとまずこれで終わりにいたします。
  110. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 先ほど保留しておきました答弁でございますが、屋外タンクの基数でございます。本年の三月三十一日現在で九万七千八百四十六基ございまして、このうち昭和四十年の四月一日以降に設置した数が六万一千七百四十七基、こういうことになっております。
  111. 赤桐操

    赤桐操君 今回成立した防災法関係についてはそれで終わりますが、私は特にこの際、海上における問題がこの防災法からは抜けているわけであります。この点について、若干御質問なり考え方を申し上げておきたいと思います。  まずこれは伺いたいと思いますのは、東京湾における貨物船の出入が最近非常に多くなってきておる、年々増加の一途をたどっておるのでありますが、航行船舶の数、取り扱い貨物量、こうしたものについてのここ十年間の推移を伺いたいと思います。
  112. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 申しわけございませんが、その数、いま資料を持っておりませんので、後から御報告さしていただきます。
  113. 赤桐操

    赤桐操君 これは後でお伺いをして結構でありますが、私のところにはちょっと古い資料しかないものですから、それで大体考えてみましても、東京湾というのは大変な火薬庫みたいなものでありまして、危険いっぱいの湾である、こういうふうに実は考えるわけであります。取り扱いの貨物量なんかにいたしましても、ここ十年間で大体四倍くらいに増大をしているように思います。航行船舶の数も大体同様であろうと思うのでありまして、非常にこれは大きな急速な増加であろうと思います。  それで、特にこの中で防災法の成立と関連して考えなければならないのはタンカーの問題でありまして、このタンカーは貨物船の中でどのくらいの比率を占めるものであるか、おわかりになりましたら御答弁を願いたい。――おわかりにならない。それじゃ後でけっこうです。ただ私の資料が少し古いので、それでいま一々伺っておるのですが、大体貨物全体の割合は、全国を一〇〇とすると、東京湾に集中しているのは三九%ないし四〇%近いというように私の方では認識しておるのです。それほど全国の四割にも及ぶものがここに集中してしまっておるのがこの十年間の経過であると、こういうように認識するわけですね。  そこで問題は、タンカーにしても、この中で一番問題になるのは、各それぞれのコンビナート地帯における石油精製工場等の基地の数でありますけれども、この割合から見ていっても東京湾岸に一番多いわけでありまして、油にいたしましてもほとんどがここに集中しているように思います。  そこで、こういう状況の中で、一体、言うなれば陸上では、こういう石油コンビナート地帯ということで大変厳しいチェックの体制が一応でき上がりつつあるわけでありますけれども、海上におけるところのタンカーについては、これはどういう形で管理をしていくのか、言うなれば常態として東京湾には年間を通じて相当の積載した石油が存在しておるわけなんです。これは一種のやっぱり備蓄として考えているでしょうし、東京湾上に存在していることは間違いないわけです。だから、石油の貯蔵されているのは周辺のコンビナート地帯だけではなくて、常態としてながめるときには東京湾上にもあるんだという認識にならなければならないと思うんです。そういう点で、海上保安庁としては、特にこのタンカー等原油を積んでいる、危険物を積んでいるこういうものに対する取り締まりといいますか、考え方というものについてどういうように考えておられるか、伺いたいと思います。
  114. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 東京湾に限りませず、伊勢湾とか、瀬戸内海、非常にこのごろ危険物を積載した船舶の航行が多くなっております。これの危険防止につきまして海上交通安全法という新しい法律ができましたが、それによりまして、一定量以上の原油等の危険物を積載したタンカー等が航路を航行するときには海上保安庁へ事前に通報するように義務づけまして、それで海上保安庁といたしましては、これらの船舶の大きさや積み荷の種類に応じまして、化学消防能力を持った進路警戒船等を配備させるなどいたしまして、必要な指導といいますか、指示を行っております、  それからまた、港則法によりまして、この法律は大変に古い以前からの法律でございますが、港長が置かれていまして、港内におきましては、危険物積載船が港に入港する際には港域外で事故防止についてのいろいろの指揮をとれるようにしております。それから、停泊場所の指定や、あるいは危険物の荷役の許可を行っております。その際に必要な危険防止の指示もあわせてやっておるところでございます。さらに、港長は航行の安全を図るために必要があるときには、荷役場所付近でのほかの船の航行の制限あるいは禁止等をやっているところでございます。それから、法規制にあわせまして、港内または港域付近でタンククリーニングの作業を行うことがございます。大分前になりますけれども横浜沖で大爆発を起こした事例がございまして、こういったことにつきましても、危険な作業については実施の場所や実施方法等について事故防止上必要な指導を行っているところでございます。
  115. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  そこで問題は、陸と海の接点になる岸壁の関係とか、港の関係が非常に問題になるのでありますが、私どもが聞くところによりますると、千葉港というのは、石油の荷役からいろんなものを含めまして大変大きな港に最近なってきておるわけです。ところが、聞いてみると、この岸壁付近の水路が非常に浅くて座礁の危険にさらされている。それから、岸壁とLPG・石油タンク間の距離などは安全距離としてはきわめて不十分な状態に置かれている。あるいはまた千葉港では緊急出港などはとうてい不可能だと言われているんですが、こういう事実なんでしょうか、その点ひとつ伺っておきたいと思います。
  116. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 最初の喫水と水深の関係でございますが、船が入港する場合には当然に水深よりも浅い喫水でないと入れぬわけでございまして、そうしてまた、いろいろの航行による船の沈み等の関係がございまして、余裕水深を持つように指導しておるところでございます。それで、荷役する岸壁あるいはシーバースにつきまして、それが座礁の危険な状態になるということは、いまの現状、われわれが認識しておるところでは聞いておりませんです。そういうことはまずないと考えております。  それから保、安距離でございますが、これも港則法に基づきまして、港長が一定の全国的な基準として、危険物が荷役中の船からほかの船舶がどれくらい離れて係留しなくてはいかぬという基準をもって実施しておるところでございます。  それから、緊急の際に緊急出港ができないという問題につきましては、これは港の構造なんかの関係が大いにあるわけでございますけれども、ふだんの措置としまして、そういった船は荷役中は緊急に引き出せるようにワイヤを船首からたらしておきなさいというような指導をし、それの徹底を図っているところでございます
  117. 赤桐操

    赤桐操君 私どもが実は全日本海員組合の調査に基づいていろいろ聞いているところでは、いまの御答弁とは大分食い違いがあるんです。それでこれはやはり組合側が問題にしていろいろといまやっているような状態でありますので、特にひとつ保安庁の方でも御検討おき願いたいと思います。  それでさらにまた、法の定めでは緊急出港等においてもいろいろとできるような対策になっているようにいま伺いましたけれども、実際にはそれとは違うような状態があるのでありまして、五つの岸壁の中で非常用の措置がとられている、とってできるというのは恐らく二つぐらいしかないだろうと言われているわけでありまして、その辺も大分違いがありますから、御検討おき願いたいと思います。  いずれにいたしましても、巨大タンカーがどんどんでき上がってきている。それが東京湾の中へ入ってくる。そうすると航路自体も非常に狭いわけでありまして、これも拡幅の計画があるようでありますが、そういう問題あるいは深さの問題、岸壁の問題、いろいろあるようでありますが、全体的に見まして、これはやはり東京湾岸に集中する工業地帯を中心とした船の出入りということになってきておりまして、いわゆる安全度から見た規制の上に立っての航行の規制というものが行われている状態ではないように思うのです。そういう意味で、非常に東京湾全体が危険な状態に置かれているということはもう余りちょうちょう申し上げる必要はないのでありますが、ぜひひとつ、陸上のいわゆる石油コンビナート等の災害対策法ができ上がったこの機会に、やはり海上における総合的な対策をいまこそ確立すべき時期に来ている、こういうふうに私は考えます。これについての政府側の御答弁を願いたいと思うんです。
  118. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 海上保安庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、船舶の安全に関しまして海上交通安全法とか、港則法とかあるいは汚染関係では海洋汚染防止法等によりまして、従来から交通の安全と海洋汚染の防止のための所要の措置を講じてきておるところでございますが、先生指摘のいまのコンビナート防災法に並ぶ海上の防災関係法律の立案につきまして、そのコンビナート法の審議の過程でもいろいろ御質問がございまして申し上げたところでございますが、目下、その法案の立案作業中でございます。で、ぜひ次の通常国会に提案をし、御審議をいただきたいと考えておるところでございます。
  119. 赤桐操

    赤桐操君 それでは続いて、昨年の十月、七十三回国会で、私は自治体のごみ処理の問題とカドミウムによる汚染米との関係についての質問をいたしております。これからこの問題に入りたいと思います。  前回の国会で御質問をした要点を申し上げると三つになると思います。その一つは、たまたま千葉県下の市町村ごみ処理場の周辺地の問題として、いわゆるカドミウムの汚染米の問題を一つの例として申し上げたわけでありますが、事柄の性質上、これは千葉県だけの問題ではない。今回の問題については、ぜひひとつ全国的問題としてごみ処理場の周辺地域に対する国の助成による総合的な細密調査を全国的規模で実施すべきではないか、こういうことを私は第一点として申し上げたわけであります。これに対しましては、環境庁の方からは、実施をするということで御答弁をいただいたと思います。したがって、その後の経過はどうなっているか、この点についてひとつ伺いたいと思います。
  120. 荒木昭一

    説明員(荒木昭一君) 昨年十月に先生から御指摘を受けまして、環境庁といたしましては、昭和五十年度の土壌汚染対策細密調査で、土壌汚染のおそれのあるごみ処理場の周辺地域につきましては細密調査をやってもらうように都道府県指導いたしました。その結果、この指導によりまして、本年度二十六県七十ヵ所につきましてごみ焼却場周辺の土壌、農作物の分析調査を行っております。
  121. 赤桐操

    赤桐操君 結局、その調査を行った結果、環境庁としてはどういう方針でこれから指導していくということになったんですか。
  122. 荒木昭一

    説明員(荒木昭一君) この調査は現在実施中でございまして、分析結果がまだ全部出そろっておりませんので、分析結果が出た段階で、関係各省庁、関係県とも十分連絡の上に所要の対策を講ずるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  123. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、これはいつごろ調査が終わって方針が出ることになりますか。
  124. 荒木昭一

    説明員(荒木昭一君) 調査は五十年度の調査でございますので、調査結果が出てまいりますのは、早いところではもう一県ぐらい出ておるわけでございますけれども、全体が出そろいますのは来年度早々ぐらいになるのではないかと思っております。
  125. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、その調査を急いでいただきまして、来年度に対する対策をひとつ急速に確立していただきたいと思います。  それから、質問の第二点は、ごみ処理場周辺の地域のカドミの汚染を防止するために、いろいろと市町村段階で仕事をやるわけです。たとえば、専門の調査機関に依頼してみたり、いろいろとやるんでありますが、どだい、やはり自治体の中でそれをするということは無理だと思うのですね。したがって、これは、法律第四条第三項の規定にもございまするけれども、この趣旨にのっとって、少なくとも国として必要な技術的な指導なり、財政的な援助等を行ってすべきだと思うのですけれども、そのことについて私は要請をしておいたわけでありますが、この問題については、その後、どういうように指導しておられますか。
  126. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 周辺の環境汚染を防止するためには、ごみ焼却場からの排水中のカドミウム等の重金属を除去するということが直接的な対策であろうかと存じます。私ども、ごみ処理場を担当しておりまする者といたしましては、御指摘のございました後において通達を出しまして、今後新しくつくる分については、そういった重金属対策も含めた排水処理施設を設けるように指導をいたしておりますし、国庫補助の対象にしていくということで取り扱ってきております。また、既設につきましても、当然検討を始めるというような指示をいたしまして、来年度以降の予算措置において措置してまいりたいというふうに考えております。
  127. 赤桐操

    赤桐操君 時間がありませんから具体的に申し上げたいと思うんだけれども、自治体の方で、たとえばその中にカドミウムがどのくらいあるとか、あるいはシアンが含まれているとか、銅がどのくらいあるとか、鉛がどのくらいあるとかというようなことを検出していくということは事実上困難なんですね。しかし、仕方がないので自治体でやったり、あるいは県の試験所などにこれを出してやるのですが、なかなからちが明かないというのが、これは各自治体が言っている言葉なんです、率直に申し上げて。そこで私は去年、ちょうど一年前にそのことを指摘したのでありますが、その後の状態を見るというと、依然として私は指導的な改善がなされていないように思うのですけれども、環境庁の方ではそうではないとおっしゃいますか。
  128. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 一つは、統一的な調査をやろうということで、ごみ処理場から出てまいります排水の水質検査を都道府県を通じて指示をいたしました。その結果、たとえばカドミについて見ますと、百四十八検体中十検体がいわゆる水質汚濁防止法の排出基準を超えております。結果的に言いますと、六・八%が排水基準違反であるという事実が明らかになっております。  それからまた、そのごみ処理施設の排水処理施設がどの程度設けられているかという調査もいたしまして、その結果、千八百八十一の処理施設のうち、完全に重金属対策がとられておるものは約二百でございまして、その他につきましては必ずしも十分でない、何らかの施設はつけておりますが、必ずしも十分でないという結果を得ております。これに対しまして、計画的に今後既設のものについても改善をさせようということで現在計画をいたしておるところでございます。
  129. 赤桐操

    赤桐操君 問題は私は水だけの問題じゃないと思うんですよ。ごみ処理の結果出てくるのは、水の題も一つありますね。それからもう一つは、排煙の問題もあるのですよ。排水や排煙、それから残渣といいますか、灰のくずになったやつ、こういう三つの問題になってくると思うんですね、分かれてくると思うんですね。そういうものに対する指導、措置というものをなされていかないと、これは片手落ちなものが出てくるということです。たとえば千葉県における野田の地域で、その一定の煙が、季節風で年じゅう煙がおりてくる。その排煙の中に相当なカドミウムが含有されているのではないだろうか、こういう疑いまで持たれるようになったということは、その煙がなびく地域が一番米のカドミウムの含有量から見てひどいというのですね。そういうような実は出てくるわけでありました、水だけの問題ではなく、煙もあるだろうし、あるいはまた残った残滓の後始末の問題、こういうようになってくるわけです。  大体、じんかいの処理というのは大別して三つの段階に分けられると思うのですが、まず収集、それから運搬、焼却、これが中間に入ります。最終的にはそれをどう終末処置して行うかということになると思うんですけれども、一番大きな問題になるのは最終的な終末処置の問題だろうと思うのです。中間処置までは国も補助金等を出しながらやっておりますけれども、終末の処置になりますというと、そこには技術的な指導も行わなければ行政上の指導も顕著なものがない。そして後はそれぞれの市町村段階が適当に埋めてしまったり流してしまったりしたのがいままであったのです。その結果がたまたまカドミウム汚染米として出てきたので、そういうものがあらわれたところにはわかっている。しかし、そうでなく、埋めて現在そのままにしている地域もあるわけでありまして、こういうところはやがて何かの形で出てくるということは間違いないことだろうと思うのですね。そういう意味で、要するに、根本的な問題になりますけれども、それは最終的には土壌の汚染になるわけでありますから、その土壌の汚染にならないような方法をとるのにはどうしたらいいか、こういうことが図られなければならないと思うのですね。そういう点について何か考えておられますか。
  130. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 農用地を直接的に汚染するのは排水であるという観点から、排水についてだけ御報告いたしたわけでございますが、御指摘のとおり、その燃えた残灰、燃えたかす、あるいは煙を大気に排出する前に、電気集じん機等の除じん装置という、ほこりを落とような装置で取った結果、ダストのようなものが出てまいります。そういったものの始末が、先生指摘のとおりきわめて重要でございまして、私ども調査結果からも、その一部にやはり有害物質をある程度以上含んでおるという結果を得ておりますので、そのダスト及び焼却残灰の埋め立て処分についても慎重に配慮しなければいかぬというふうに考えておりまして、御指摘のとおり、従来必ずしも適切に一〇〇%処理されていたということは言えないと存じますが、ここ数年環境問題が大きく取り上げられるに至りまして、かなりかっちりした擁壁をつくって、かつその擁壁から出てくる水は処理をするというような施設もあちこちにつくられ始めております。今後、われわれといたしましても、そういった埋立地の囲いに相当いたします擁壁でありますとか、そこから出てくる排水の処理につきまして、今後助成をしていきたいということで現在予算要求をいたしておる段階でございます。
  131. 赤桐操

    赤桐操君 最終的な終末処置等は相当実は金がかかると思うんですね。いま予算要求をされておると言われましたが、どのくらいの予算要求をされておりますか。
  132. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) いわゆる補助金の対象としていこうと考えておりますのは、その埋立地の形をつくる擁壁でありますとか、その排水を処理するための施設と、この二つにしぼっておりまして、土地の買収等につきましては縁故債等で手当てをいたしておるところでございます。
  133. 赤桐操

    赤桐操君 費用はわかりませんか、予算要求の額は。
  134. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 約五億でございます。
  135. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろあるのですが、このメガロポリス地域の各市は比較的私はいろいろの処置のしやすい場所に置かれていると思うのです。ところが、十万ないし十五万都市ぐらいで、メガロポリスから離れた地域で独立している町がありますね。こういうところは、産業廃棄物の処理まで市がめんどうを見なければならないのです、もちろん費用や何かは取るといたしましても。そうすると、問題は金で解決できない問題が最近出てきている。それを処理する場所を、土地を必要としますので、この問題の最終処理は、そういうところでは土地問題になってきちゃっているんですね。たとえば、銚子の例で申し上げるというと、その土地を選定して、そしてそうしたもの一切を処理していくのには何と六億から七億の金がかかると言っているんですね。これは手を上げておるんです。それぞれの共通した問題が各市にもあるようなんで、それぞれ市長会がいま要請をしておるようでありますが、こういう問題についても本格的にひとつ取り組んでいただくようにお願いをしておきたいと思います。  それから最後に、財政負担の問題でありますが、私は、この中間的な処理にいたしましても、最終終末の処理にいたしましても、もはや今日の段階では、それぞれの自治体の力を超えた問題だろうと思うんですね。したがって、こうしたものに対する財政措置等については本格的に考えるべき時期が来ていると思うんですが、この点についていかがですか。
  136. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お示しにございました、ごみ処理施設の整備事業に伴います地方負担の問題でございますが、私どもといたしましては、先生のただいまの御指摘にもございましたように、現在のごみ処理施設の整備事業に対しまする国庫補助金につきましては、現在の情勢を踏まえまして、かなり大幅な改善を主管省にお願いしておるところでございます。もちろん、その内容といたしましては、超過負担というふうな問題もございます。あるいはまた補助対象の問題、あるいはまた補助率の問題非常に多岐にわたっておりますが、私ども、いまお示しのような情勢を踏まえまして、かなり大幅な改善方をこの十一月にも文書をもって関係省にはお願いしたところでございます。  私どもといたしましては、やはりごみ処理施設の整備につきましては、基本的には国のそういう財政援助の措置を一方でやっていただかなければならないと存じております。同時に、それに伴います地方負担につきましては、私どもといたしましては現在地方債あるいは地方交付税をもって措置をいたしておるところでございます。御案内のとおり、地方債につきましては、実施事業費から国庫補助金等の特定財源を差し引きました残りの七五%、公害防止事業につきましては八〇%の起債を充当いたしております。用地につきましては、必要量の一〇〇%充当いたしておるところであります。  なお、いま申しました片方、地方債によります措置とあわせまして、地方交付税の基準財政需要額におきましても、地方負担の二五%程度を見ておるところでございまして、私ども現時点では、地方負担につきましてはいま申しましたような措置をとっておりまして、今後国庫補助金の増額と見合いまして、地方負担につきましてもしかるべき措置を十分とってまいりたいというふうに存じておるところでございます。
  137. 赤桐操

    赤桐操君 それでは最後に、ひとつ私の方から考え方を申し上げておきたいと思いますが、いまいろいろ私から申し上げた内容で検討いただいているようでありますけれども、これはひとつぜひ、それぞれの市町村段階では切実な問題になっておりますので、これを機会に本格的に実現をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  それからさらに、いま環境庁等においても新しく調査の段階にあるものもありますので、そうしたものが明らかになりましたならば、いずれまたもう一度この問題を本格的に取り組んでいたしたいと思いますので、きょうは一応これでとどめておきたいと思います。終わります。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 来年度予算をめぐっていよいよ最終的な段階に入っているのですが、きょうは特に超過負担の問題を最初にお伺いしたいと思います。  自治省としては、五十一年度の超過負担の解消措置、これは何をいまお考えになって準備を進めておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  139. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 五十一年度に私ども予定をいたしておりますのは、現在、関係各省庁によりまして共同調査をいたしております保健所の運営費の補助金、それから統計調査地方公共団体委託費、三番目は県警察の施設整備費の補助金、この三点を現在共同調査をいたしておりますが、この調査結果を待って、五十一年度にはこの解消方をお願いしたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 御承知のように、きょうは六団体地方公共団体団体地方財政の危機打開のための大会も開いておるわけですが、先般この六団体の方で、超過負担の実態について四十九年度を調査をして発表されました。その中で、御承知のように、この超過負担問題について国会でも論議になり、そして政府の方でもそれに従って逐次改善の措置はされてはきているけれども、今日の厳しい地方財政の実態から言うと、もはや一刻も放置できない段階に来ている。したがって、給与、例のラスパイレス指数に基づいて国会ベースに引き直してみても六千三百億からの超過負担が出ている、これ一体どうしてくれるのだという強い要求が出ていると思うのです。逐年調査をし、そして徐々に一定の解消措置、改善措置というものがやられてきているけれども、もうそれでも間尺に合わぬというのが今日の地方団体財政実態だと思います。そういう状況の中で、共同調査に基づく保健所の措置費あるいは統計事務の委託費の問題あるいは警察の施設の問題、この三つの項目ぐらいの超過負担の解消ということでは、これはとうてい自治体側の期待にこたえることもできないというように思うのですが、こういう六団体の方の、何か超過負担の解消をどうしてもいままでのようなぺースじゃなしにもっと抜本的にひとつ解決をしてもらいたいという、そういう要請に対して自治省のひとつ見解を伺いたいと思います。
  141. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 超過負担につきましては、国、地方を通じまする財政秩序を乱すものであると私ども考えております。同時にまた、それは地方に大きな負担を負わせるものであるということだと思っておるのであります。したがいまして、私どもといたしましては、超過負担、とりわけ、よく言われます単価差につきましては、これを可及的速やかに改善していただくということが急務であろうと思っておりまして、御案内のとおり、本年度は六事業につきましての手直しをしていただき、あるいはまた来年度は、先ほど説明申し上げましたように、現在実施しております調査に基づきまして、三事業を中心にしてこの単価差の超過負担の解消を徹底してやっていただきたいということで、いま関係各省なり大蔵省に強く訴えておるところでございます。私どもといたしましては、いま申しましたように単価差につきましては、あるいは先生もいまお話もございましたように、逐年かなりの手直しをしてきておるとは存じております。しかし、なお国庫補助負担金の中におきまして、やはり対象差の問題、あるいは数量差の問題というものがあろうかと存じております。私どもはこの点につきましては、単価差につきましては、極端な言い方を申しますればあってはならないと存じておりますけれども、数量差あるいは対象差につきましても、やはり社会あるいは経済の実態に見合いまして、必要に応じて改善しあるいは合理化されていくのが当然だろうと思っております。私どもは単に単価差だけではなくして、数量差あるいは対象差につきましても、それが、社会の実態にもはや合わないというふうなものにつきましては、関係団体にその是正方をお願いをしておるところでございます。で、現在五十一年度の予算編成作業が行われておるわけでございますが、私どもたびたび申しておりますように、数次にわたりまして、文書をもちましてあるいは口頭をもちまして、関係各省なり大蔵省にはその点強く訴えておるところでございまして、私ども五十一年度の関係各省の予算編成をそういう意味で非常に強く関心を持って見守り、あるいはお願いをしておるのが実態でございます。なお、今回六団体が取りまとめられました超過負担額約六千億強のものにつきましては、私どもまだこの報告書を詳細承知をいたしておりませんし、あるいはまたその基礎資料等も十分分析もいたしておりませんので、ここでこの是非についてお答えを申し上げるのはいかがかと存じますが、私ども報告書につきましては六団体関係者とも十分お話し合いを申し上げ、あるいはまた内容も聞かしていただき、検討すべき点は積極的に検討していきたいというふうに存じておる次第でございます。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま、国と地方公共団体の間で超過負担が存在をするということは、その相互間の財政の秩序を乱すものだというようにお答えになっているわけです。私もそうだと思うのです。単価差にしてもあるいは対象差あるいは数量差にしても、いまお答えになっているように、社会の発展の状態に応じて合理的に実態に合わせて検討改善をされなければならぬということだと。ところが、これがなかなかできないわけですね。それは国の方の予算的措置が十分にできない。ある意味で言いますと国の方の財政事情、そういうところから実際はそういう不合理が存在をしておってもなかなか改善ができない。そういうものが超過負担となって現われてきているわけです。これはいま国と府県、市町村との関係でそういう状態が起こっているのですが、今度はそれと同じようなことが、したがって府県と市町村との間に私はいま起こってきていると思うのです。府県と市町村との財政負担区分というのは決められてあるわけですけれども、結局それをそのとおりにはできない、そういう県の財政事情から、市町村地方財政に違反をするようなそういう負担を強制をする、あるいはお願いをしなければならぬという、そういう実態は私は相当広がってきているように思います。  そこで、お伺いするんですけれども、御承知のように、府県立高校の場合は自治法の二条で府県の仕事ということになっています。それからさらに地財法の四条なり、それから二十七条、二十八条、こういう条項では、この高等学校の建設に対して市町村あるいは住民負担をかけてはならぬ、こういうことが厳密に規定をされていると思うのですね。ところが実際には、いま言いましたような県の財政事情の中から、いろんな形で市町村に誘致運動を組織をする、あるいはその誘致運動を起こさせる、期成同盟をつくらせる、そういうような、形態はいろいろありますが、いずれにしても、市町村財政負担を行わせるというような実例が、大分、特に人口急増地域を中心にしてふえてきているんですが、この辺の実態については自治省の方で把握をされておりますか。把握されておったら報告をしてもらいたというように思うんです。
  143. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) いまお示しにございましたように、県立高等学校の建設に際しまして、市町村に何らかの負担を求めておるということは事実として私はあるであろうというふうに考えております。ただしかし、全国的にこれをただいま調査をいたしましたものがございませんし、あるいはまたそういう資料を手元に持っておりませんが、問題は、どういう形で県と市町村、あるいは県と住民の間でそういう負担関係というものが生じたのかということにも一つは問題があろうかと思っております。私どもは、少なくとも県に対しましては、とりわけ県立高等学校の新設費の一部の負担を求めるということは、いまお示しにございました地方財政法の規定趣旨にかんがみまして、十分慎重に取り扱うべきであり、あるいはまた地方財政法違反の事実があってはならないということを強く指導いたしておるところでございます。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一度ちょっと念のためにお聞きをするんですが、いま言いました地方財政法の四条、それから二十七条、二十八条、これらの規定考えてみますと、高校建設に当たって市町村負担をかける場合には地財法違反にならぬように慎重にしなきゃいかぬという意味の御発言ですが、そうしますと、慎重にということは、地財法違反にならない市町村負担方法があるということですか。私はこの地方財政法のいま言った条項をずっと調べて検討し、考えてみますと、高等学校の建設に要する用地費にしろ建築費にしろ、これは自治体なりあるいは住民に対して直接、間接を問わず厳密に禁止をしているんではないか、こう思うんですが、その辺の、慎重にというお言葉がありましたから、慎重にやればそういう違反にならないような負担方法があるのか、もしあるとすればそれはどういうことなのか。私は、法律のたてまえから言えば、厳密に、厳しくこれは禁止をしているんではないかというように思うんですが、その辺いかがですか。
  145. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 答弁が若干舌足らずでございまして、あるいは先生に誤解を与えましたといたしますればおわび申し上げなければならぬと思うわけでございます。私の申し上げておりますのは、地財法の、とりわけ二十七条の規定趣旨にかんがみまして、高等学校の建築費を一部の市村町に負担をさせるということは禁止してあるわけでございますので、そこは法律をうまく抜け道を考えて何とか取ってよろしいというふうな意味で慎重と申し上げたわけではさらさらございません。  この規定は、もう御案内のとおり、全く個人、あるいは地方公共団体の自発的な発意によりまして善意で寄付をされるということまで禁止しておるものでないというふうに私ども解釈をいたしておりますので、そういうケースまでこれを禁止してしまう、取ってはならないというものではないという意味で申し上げたかったわけでございます。たとえば、ある特定の県あるいは市町村等におきまして、地元のいわば有力な方が、篤志家が全く自発的に御寄付をなさるというようなことは間々あり得る例でありまして、そこまで禁止しておるものではございません。そういう場合にはそれはちょうだいしてもいいんではないかという意味で申し上げたつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、確かに、四十年十月の千葉県の総務部長の照会に対する行政実例では、市町村が自己財源をもって自主的に寄付するものは本条に抵触しないものと解すると、それに対しては、お見込みのとおりというように回答されておりますね。そうすると、いまの話ですと、特定の個人というようにおっしゃったんですが、市町村も自発的、自主的であれば寄付をしてもそれは抵触しないということになるわけですか。この辺の関係はどうですか。
  147. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 特定の個人でございましても、あるいは法人でございましても、あるいは市町村でございましても、自発的に自分のお金を寄付なさるということまで禁止しておるものではないというふうに理解をいたしております。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 四条の五で、「地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」という規定がありますね。割り当て、強制でなければいいという、その自主的な寄付であるという、これの違いは一体どういうことを基準になさってやられるわけですか。
  149. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 地方財政法の四条の五では、「割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」という規定になっております。私どもとしましては、この規定はやはりしかるべき額を割り当ててそれをまさに強制的に徴収するという一体的な概念としてとらえておるわけであります。したがいまして、具体のケースに即しまして、それがこの四条の五に当たるのか、あるいは割り当てあるいは強制徴収でない自発的な御意図に基づいて寄付されたものかというのは、個々のケース・バイ・ケースによって判断いたす以外に方法がないんではないかというふうに考えておる次第でございます。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところで、二十八条の二項について、このときの「地方財政法の一部を改正する法律の施行についての依命通知」昭和三十八年七月の通達がありますね。それによりますと、法二十八条の二の規定により、地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すようなことをしてはならないものとされていることにもかんがみ、市町村都道府県との間においては、原則として自発的な任意寄付はないものと考えられることとされているというように思うんですが、この点はいかがですか。
  151. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) ただいま石見審議官がお答えいたしましたように、法律の字句の解釈としては、真に自発的な意思に基づく寄付までを禁止する趣旨でないということでございますが、ただ、事公共団体相互間においてはおのずから事務処理について責任分担が定められ、それに対応して財源配分がなされております。したがって、二十八条一項で述べておりますように、都道府県あるいは市町村それぞれについて、二十八条の二にありますように、法令の規定に基づいて負担区分が定められておるものについて、通常は自発的に他の団体責任に属する経費を負担する、寄付をするということはないであろう。ということは、通達でそのことをあえて断ったのは、自発的という形をとって、実質的には何らかの力関係で不本意な形で負担転嫁が行われることをチェックしたいと、こういう意味でこの通達は述べたものと解しております。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはとにかく石原さんの逐条解説を読んだんですから間違いないと思いますがね。だから、これは負担区分が府県が六割、市町村が四割とかいような負担区分のあり方もあれば、府県が十割、市町村はゼロという負担区分もあるわけです。で、高等学校の建設というのは、これは都道府県の事務として明らかに自治法で決まっている。それについては市町村負担をさしてはならない。それは直接的であろうとそういうことは禁じられている。わざわざ、他の土木事業その他の一般公共事業とは違って、特に二十七条でしたか、高等学校の建設は別だという除外まで明記をして、特別の措置を決めておるわけですね。だから、それほどはっきりしているものに対して、まあ形態はいろいろな形態をとるんですけれども、実質上は市町村負担をするというのは、そういう形というのは、地方財政法のこういう法律のたてまえから言っても、あるいは特に二十七条、二十八条のあの改正を一部やった趣旨から言っても相当これは無理があるんじゃないかというように思うんですが、事情は事情としてわかりますがね。いまの財政実態なり何なりの事情は事情としてわかりますが、法律的にはきわめて違反の疑いの濃い内容ではないかというふうに思いますが、その辺はいかがですか。
  153. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) おっしゃいましたように、二十七条あるいは二十八条で高等学校の建築についてのことさらの規定を設けられておるわけでございます。で、私どもといたしましては、少なくとも、財政課長が申しましたように、そういう市町村から負担金を取るというのは、通常のケースでは、市町村が自発的に寄付を持ってくるというようなことは例としては非常にまず少ないんではないかと、あるいはないんではないかというふうに思っておるわけであります。しかし、現実にまた反面ないということを断定するわけにもまいらぬと思うんであります。あるいはそういう場合もあり得るかとも思うんであります。しかし、いずれにしましても、先生お示しにございましたように、私どもそういう意味でトラブルの起こることは好ましくないというふうに存じておりまして、一般的に、そういうようなトラブルが起こるような問題について府県がそういう措置をおとりになるというのは好ましくないとは一般的には存じております。しかし、直ちにそれなるがゆえにすべてそういうものが違法であるという断定をいたすわけにもまいらぬと思うんでありまして、やはり繰り返すようで恐縮でございますが、そこはケース・バイ・ケース考えてまいらなければならないとは存じておりますが、いま申しましたように、一般的にはそのような方法は好ましいものではないというふうに私どもは理解をいたしております。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 一般的には好ましいものとは思わぬと。しかしまあ絶対にそれはしちゃならぬというようにも言い切れぬという、その後者の方ですね、絶対にそうしちゃいかぬというように言い切れないというのは、私はそんなことを言っても、それじゃいまの県の財政実情から言うならば、県立の高等学校なんか必要があってもなかなか建てることができない、そういう実態を御存じだからそういうことになるわけですね。法律的にはもうはっきりしてるんだけれども、しかしそこまで言ってしまって、違反と言って断定をして抑えつけてしまっては、これはもうあっちこっちの府県で、急増地域での高等学校の建設はもうにっちもさっちもいかぬようになってしまう、こういう実態が裏にはあるということ、そこから私は生まれているだろうというように思うんです。  具体的にちょっと申し上げますが、これは茨城県の場合です。ずっと以前から、全市町村に対して用地とか建築物の建築費、これを負担をさせてきておりました。四十六年からは建築費についての負担は廃止をしたんですけれども、用地については依然として負担をさせてきております。その負担のさせ方ですが、市町村が直接負担をするというやり方をとると、いま議論したようにいろんなやっぱり疑義が生ずるということで、ですから県立高校誘致期成会というのをつくって、その期成会を通じて市町村負担をする。いわゆるトンネル組織をつくって、直接市町村負担をするという、そういう形跡は残らないようにと、これがやられてきているわけです。たとえば大洗町に四十九年度に大洗高校が完成をしてことしから開校されましたが、この高校建設のために、大洗地区県立高校誘致期成会というのがつくられた。その会長には加藤さんという町長さんが就任する。そしてこの期成会が銀行から金を借りて、そして大洗高校の用地費として県に納入をする、寄付金として出す、こういうわけですね。この期成会は、常陽銀行からの借入計画は三億一千万円予定をしているそうですが、今日まで、四十七年の六月から五十年の三月十日までに合計二億八千九十万九千円の融資を受けて県のほうに納めているわけです。そうしておいて今度は大洗町のほうは、その期成会に補助金という形でその元利償還金を年々出すと。四十七度度は百四十五万円、四十八年度は三千四百十四万七千円、四十九年度が四千百六十万四千円、五十年度が四千三百五十六万五千円ですね。合計いままでに一億二千七十六万六千円、こういう形で、町のほうに期成会が借りた借金の元利償還をずっと毎年やっている。ですから、期成会はトンネル組織、こういう形になっているんですね。茨城県は大体年間に二つずつ学校を建てるというわけですよね。そして市町村のほうからしますと、中学校を出て高等学校へ行く子供たち、そういう進学を希望する子供はどんどんふえるわけですから、ですから自分のところの市に何とか早く高等学校をつくってもらいたい。ところが県のほうは、用地費あるいは建設費、これは莫大な金が要るわけですからそう簡単にはいかぬ。ですから用地費を地元のほうが負担をするところに年に二つずつつくると、こうなるんですね。そうすると、どうしても早いことつくってもらいたいと、父兄の突き上げもあります。住民の要求もある。そうすると、まあいやでもおうでも市町村はこういう形をとってでも用地費の工面をせんならぬ。だから、形式的には自発的に寄付をする形になるわけですよ、おれのところの町に高校つくってくれというんですから。そのためにお金は出しましょう、寄付はしますと。しかし、これを認めておったら、そういうことで市町村が用地費を負担をしない限り、自分のところの町にはいつまでたっても高等学校ができないということになるでしょう。こういうやり方は、やっぱり何ですか、あなたがおっしゃるように自発的な寄付行為というようになるわけでしょうか。先ほどちょっと使った石原さんの逐条解説を見ましても、「権力関係又は公権力を利用して強圧的に寄附させる」、これが強制的徴収という意味だというように定義をされています。そして、もし「応じない場合に不利益をもたらすべきことを暗示する等社会的心理的に圧迫を加える場合をも含むものである」、こういうことですね。ですから、そういう寄付をしなかったなら、自分の村に、町に高等学校が建たない、そういう社会的、心理的圧迫を加えられるわけです、現実には。形式的には自発的寄付行為になっている。しかも、それも実際は市が金を出しているんだけれども、期成会というようなトンネル機関をつくって形式はつくろう。私はこれはやはり一種の地財法の脱法行為だと思うんです。先ほど、はしなくも石見さんおっしゃったように、慎重なやり方、負担方法やあるいはその負担関係ですね、なぜそういう負担関係が生じたかということを十分考えて、慎重なやり方でやりなさいという、やれば地財法の違反のそしりを免れて脱法行為ができるという、内容はそういうことじゃないかというように思うのですが、こういう点はどうなんでしょうかね、問題はないんですか。
  155. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 繰り返しの御答弁になりましてまことに恐縮に存じますが、私先ほど申し上げました趣旨は、地方団体地方財政法の脱法をやれと、あるいは脱法をやるために慎重に物事を考えなさいという趣旨で御答弁申し上げたものでないことは御了解賜りたいと思うのであります。ただ、その趣旨といたしますところは、先ほども申し上げましたように、地元の特定の方があるいは何らかの形で自発的に御寄付をなさるということまで禁止したものではないという意味で申し上げたわけでございますので、その点重ねてでございますが御了承を賜りたいと思うのであります。  いまお示しのありました問題につきましては、私どもまだ詳細、事実関係を十分承知しておるわけではございませんが、お示しの点から察しまするに、いまのお話は、やはり県が特定の団体を通じて市町村負担において寄付を仰いだということは事実だろうと思うのであります。問題は、それが市町村のいわば自発的と申しますか、市町村の自分自身の責任と判断において自発的におやりになったことなのか、あるいは四条の五で申しておりますように、割り当てて強制的な何らか圧力を加えてそれを出さしたのかというところに問題があるんだろうと思うのであります。私、いま申しましたように、具体の事実を詳細承知をいたしておりませんので、的確なその件に関してのお答えは申し上げかねるわけでございますが、私どもといたしましては、もしそういうような四条なり四条の五なりあるいは二十七条に違反をしておるような行為があるとするならば、それは私どもは違法であるというふうに存じておりますけれども、それがいま申しましたように、市町村の自主的な判断と責任においておやりになったというものであるならば、直ちにこれを違法ときめつけるには若干問題があるんではないかと存ずるわけであります。  ただ、繰り返すようでございますが、そういうことは往々にして後々トラブルが起こり、あるいは地方財政法違反ではないかというふうな問題を提起する問題であるだけに、そういうことは一般的には好ましくない、おやりにならない方がいいというふうに私ども考え、しかるべく地方団体には指導いたしておるところでございます。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大分やっぱり問題があると思うのですね。二十七条の三の問題は、負担の転嫁をしてはならないということであって、自主的な寄付はそれとは別の問題だというように石原さんの解説には書いてますね。ところが実際問題として、たとえば奇特な人がおって、そして個人で寄付をなさるというようなものとは全然これ性質が違うわけですよね。町長が会長になっているような期成同盟をつくって、しかも、町費からその元利償還分を年々補助金として出す、そういう言うなればトンネル組織です。これは表面的には寄付のような形式をとっているけれども負担の転嫁を実際上は行っておるということになりませんか。私は、御承知のように地方財政が窮迫をしていることですから、だから、なかなかそう思うように必要なだけの高等学校を建てることはできぬと、建ててほしかったら受け入れ側の方で用地はちゃんと工面しなさい、あるいは用地費を出しなさい。大体一校二億円程度。今年度も三校つくるわけですが、二億円程度負担をやっぱり要求していますね。それでその期成同盟をつくられたのと同じような形でやられる。これは自主的な寄付だと言えば、負担の転嫁と何というのですか、こうすりかえてしまう。負担の転嫁を幾ら禁止をしたって、そういう擬制措置で自主的な寄付的形態をとるということを許しておったら、負担の転嫁を許さない、府県と市町村との財政秩序を乱してはならぬというこの法改正の趣旨から言っても、明らかにこれは矛盾するんじゃないか、こう思うのです。だから次官、これは違反だからもうやめなさいと言ってもこれ問題解決しないんですよ、それじゃ高等学校できませんからね。だから、こういうものは違反であることは違反だと言って、同時に、高等学校もちゃんと必要に応じて建てられるような措置を同時に考えないと、この問題は根本的に解決しない、こう思うのですよ。今日人口急増地帯どこでもそうですが、知事会やなんかの要求を見ても、この数年間で四百何十校建てなければいかぬという問題も起こっていますね。千葉県だけでも百校余り高等学校の建設が必要だというように、人口急増府県のところでは軒並みそういう状況になってきている。しかし、その必要な高等学校を建てることができない。ことし開校した千葉県の松戸高校は小学校に同居しているでしょう。小学校に同居ですよ。だから、小学校教育がうまくいかぬような状況が起こっています。そういう財政実情が一方にあって、それがそのままになっているわけですから、自分のところの市の中学卒業生に中学浪人を出さないためにも高等学校を建ててもらいたい、そうしたら、とにかくそれなら用地費はうちの方でつくりましょうと、こういうことで、形式はいま言ったようにトンネルの組織をつくって負担をする。それは自主的な寄付でございますと、まさにこの負担区分を乱してはならぬという法律趣旨を踏みにじるようなそういう事実行為というのが次々と起こってくる。これは一体どうすればいいのかという点について、ひとつ次官にお伺いしたいと思います。
  157. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) この問題は、一つは私は文教政策といいますか、高等学校の建築というものを、高等学校は義務教育ではありませんけれども、そういった一つの国民の高等学校教育というものに対しての期待というものが非常に大きなものがあるわけです。それは人口急増地域という、一つの社会的な特別に人口が集まった地域においては特に大きな要望として出てきておるわけですけれども、基本的に日本のといいますか、今日の現行の法令というふうな形から見ますと、それは都道府県知事の判断においてそういったものを建設するというたてまえをとっておるというところに一つの大きな問題があるわけでありまして、そういう意味において、一方で、この問題については国庫が高等学校の建設費を助成してほしい、こういう御要望もあり、まあ文部省も、そういったことで予算要求を本年度はひとつ踏み切ってやろうじゃないかというような一つのいま考え方があるわけでございます。そういった問題というものが一方にありますけれども、問題はやはり何とかして高等学校の建設を地域の方々にとってみたらやってほしい、こういう大きなそれぞれの地域におきます御要望というものが非常に強いために、一つの、先ほどからいろいろ御指摘がありましたけれども、非常にまあ手段としては苦しといいますか、こういったことまでして、何かこう法に触れない範囲のぎりぎりの線みたいなものまで考えてでもそういった要望を実現してほしい、こういう非常に強い御期待がある。そういう御期待の点をわれわれは受けとめなければいかぬのじゃないかと、このように思います。そういう意味で、現行法を改正するとかいうふうな形でやるということについては、根本問題として、たとえば高等学校を義務教育にするかどうかというような基本問題はひとつ別にあると思いますが、これはまた別の政治的な考え方で判断すべきであって、現実の問題としては、非常にこういった苦しい立場で苦しい方法をとらなければならないということについて、たとえば先ほど申しましたような意味で国庫が高等学校建築に助成するとかいうふうなことで、何とかそういったことをしないでも済むような努力というものを別に考えなければならない、このように思います。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 かつて、大分前になりますが、この当地方行政委員会でわが党の河田賢治さんが地行の委員をやったときに、静岡県で、高校建設で父兄負担を強制しよったという問題を取り上げて、自治省の方から厳重にそういうことを控えるような通牒が出たわけですね。だからそういう問題は、個人のそういう強制的寄付という一それはもちろん形式は自発的な寄付の形態をとるんですね。しかし、実際上は割り当て的な、強制的徴収の実態を備えておったということで、改善をすることになったというように思うんですが、私はいまの茨城の例も、これは茨城県だけじゃないのです。私はあちこちで聞いておるのです。しかも、結局そういうことがやれる理屈が、例の四十年の十月の行政実例、これが武器になって、よりどころになって、そして例の負担区分を乱しちゃならぬという、そういう趣旨の法改正が実際にはもう骨抜きにされてしまっている。だから、本当にやっぱり法律のたてまえを貫くとすれば、一つはこの四十年十月の行政実例、これを改正をする新たな解釈通達といいますか、これで明確にするということが一つは必要でないか。もう一つは、実際になかなかそういう要求にこたえることはできないような財政実態を踏まえて、いま次官もおっしゃったような高校建設に対する補助制度ですね、これはやっぱり何としても早く確立をして、そういう脱法的な無理なことをしなくて済むように措置をするということが何よりも必要だと思うのです。そういう立場から、最初の、この四十年十月の行政実例に、そういう点で非常に負担の転嫁を図ってはならぬという趣旨を、いま言った形で自主的寄付という形態を整えて法網をくぐるといいますか、そういうことを許さないためにもひとつははっきりさせるという、この点についての自治省の見解と、それからもう一つは、当面、そういう財政実態を考慮して高校の建設についての補助制度、これは本当に来年度は確立することができるのかどうか、その辺の見通し、これは文部省の方からそれぞれ回答していただきたいと思います。
  159. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 地方財政法二十七条の三の解釈をめぐりまして、   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕 いまお示しにございましたように、昭和四十年に千葉県から照会がまいっているわけであります。その際私どもといたしましては、自主的に寄付をなさる分まではこれには抵触しないという解釈をとったわけでございまして、私どもといたしましては、やはりいま申しましたように、高等学校につきましては市町村から寄付を取ることはいろんな疑義を招き、あるいはまた、後々の問題を起こすという意味一般的に好ましくない、したがってその取り扱いについてはそういう疑義の起こるようなことはしないようにという強い指導をいたしておるわけでございますけれども、少なくとも個人であれ法人であれ、自発的に自分の責任と判断と負担において寄付をなさるものまで一切とめるということは、これまた反面いかがなものであろうかというふうに考えておるわけであります。私ども、問題は自発的に寄付をなさるものをとめる、そこまでとめるんではなくして、むしろ各地方団体におかれては、やはり地方財政法の趣旨というものを十分理解をして疑いの起こるようなことをしないように、あるいはまた不適正な措置をとらないようにという指導を強めてまいりたいという方向で措置をしてまいりたいというふうに存じておるところでございます。  なお、高等学校の新設につきましては、先生御案内のとおり、現在でもその新設あるいは用地の取得につきましては地方債を認めております。昭和五十年も三百億の地方債を計上いたしておるわけでございます。なお、来年度もこの増額をいま大蔵省には要求をいたしております。私どもは、地方資金の確保を通じて、ある意味ではいま申されましたような疑義の起こるようなことを、そういう面からでも減らしていきたいという努力もいたしたいと思っておるわけであります。  あわせまして、先ほど政務次官の方からもちょっと触れられましたように、最近の情勢を踏まえまして、高等学校の新設について国庫補助金をつくっていただきたいという非常に強い気持ちを持っておりまして、地方団体、とりわけ知事会でもそのことは非常に強く望んでおります。私たちは、そういう情勢を踏まえまして、文部省に対しましては、補助金の創設ということを強く文部省並びに大蔵省に訴えております。来年度何ほどかの要求をしていただいておるようでございますので、私どもその補助金を確保していただきたいということに大きな期待もかけておるというのが現状でございます
  160. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生からお話しございました高等学校の新増設補助の問題でございますが、ただいま自治省からお話しございましたように、やはりこの際補助制度をもって対応いたしたいということが私ども文部省の考え方で、来年度の予算要求といたしましては百二億の要求をいたしております。その積算は夏の時点の私ども調査でございまして、五ヵ年間の推計並びに来年度、再来年度の新増設計画をとったわけでございますが、夏以来今日まで若干の動きはございますが、鋭意財政当局と折衝をいたしたいということでやっておるわけでございます。まあ最終的には年度末になりましょうか、予算の折衝の時期に最終的に決まることでございますので、文部省といたしましては積極的に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの石見さんのお答えで、もう一つちょっとお尋ねしたいと思うんですが、個人または法人の自主的な寄付まで制限するということはできないじゃないかという趣旨ですね。その場合、その法人というのは市町村を含めておられるわけですか。それとも市町村以外のことをおっしゃっているんですか。
  162. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 地方団体も含めて私ども考えております
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうなりますと、府県と市町村との費用負担の区分を厳密にするというのがもう骨抜きになってしまうのです。市町村の方が、どうしてもここへ高等学校をつくってもらいたいということになれば、無理をしてでも、自主的寄付でございますと、だから高等学校ここへつくってくださいと、だから寄付のし合い競争が起こるわけですよ、県に対して。ぼくは、教育環境を整備するのにそういう状態をつくり出すというのが本当に正しいことなのか、ふさわしいことなのかと思うのですね。中学校卒業して高校を修業しなきゃならぬ、そういう必要な生徒数が二年後にはどれだけふえるか、そういったいろんな状況に応じて県は必要な高等学校を建設していくべきであって、必要なんだけれども市町村が金持たぬからそこにはつくってやらぬというような学校建設の方法は正しいのか、どうか。茨城県の場合は、今日まで御承知のように鹿島の臨海工業地帯つくるためにそちらに県費をどんどんつぎ込んだのですからね。だからずっと昔から、最初のころは用地費だけじゃなしに建設費まで含めて市町村負担をさす。四十六年からでしたか、以降は、建設費の方は省いて用地代だけを市町村負担をさせる。事実、それ以降毎年二校ずつつくってきていますけれども、それはそういう受けざらができたところに対して順番にやってきているわけです。そうやって市町村がみずからの自己財源を持ち出して、そうして用地費を県に自主的に寄付をするという、しかもそれを各市競争させるということが好ましいことなんだろうか。確かに奇特な人がおられて、そうしてこのお金はひとつ学校建設あるいは教育に使ってくださいということで寄付をなされるということはあるでしょう。しかし、市町村という公共団体がそういうことをやるというのは一体どういうときなのか。それを出さなきゃつくってもらえない。出さなくてもつくってもらえるんだったら寄付せぬですよ、大洗市でも。出さなきゃつくってもらえないから出すんでしょう。それは決して県から押しつけられたものではございません、私どもどうしてもつくってもらいたいんですから自主的にお願いしているんです、そう言わなきゃ高等学校は建たないからそう言っているんでしょうが。何ぼ形式的には自主的な自発的な意思に基づく寄付だと言っても、これはまさに県と市町村との費用区分を厳密にせにゃいかぬというのを崩すことです。これをはっきりしないというのが、私は今日の超過負担が解消しない根本の問題だと思います。  国と地方公共団体の費用負担、この分担も常にあいまいなんです。しかもそれは予算の範囲内ということで、幾らでも自由に自由裁量が入る余地が残っている。ですから、委託費のような、当然超過負担が出てはならないようなものにまで超過負担があるじゃないかとまあ六団体も言っているように、そういう実態が出てくるわけです。だから、そういう財政現実からあるべき法律の姿というやつを変えられるような、そういう規定あるいは解釈、通牒、この辺に私は問題があると思うんですが、もう一度ひとつ見解を聞きたいと思います。
  164. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 県がどこへ高等学校を設置するのが適当であるかということにつきましては、もういまさら申し上げるまでもないわけでございますが、県全体の進学希望者の数というようなものを考えまして、適切な配置計画を定めて逐次これを整備を図っていくというのが最も好ましいものであろうというふうに私理解いたしております。したがいまして、寄付を出したところのみつくってあげる、いわゆる競争入札のように、寄付金つきのところは建設するというふうなことではならないものであろうというふうに理解しております。したがいまして、県はそういうことを勘案しながら、どこの県でも計画的に高等学校の整備を図っていっておられると思うわけでございます。  と同時に、片方、市町村の側では、やはり自分の村に高等学校をつくってほしいという御希望が多々あろうこともまた事実だと思うんであります。私どもはその辺がやはり県と市町村との関係があるんだろうと思うんでありまして、いま申しましたように、市町村が、まあ市町村長さんあるいは市町村議会の中におまして、そういう自主的な判断と責任において自己の負担をなさるということと、あるいは県がそれならそこへ寄付を受けて高等学校をつくろうという意思が一致しますれば、私どもはそれはまた一つ方法ではないかというふうに思うわけでありまして、おっしゃいます問題は、それがまさにそういうことをやらなければ建ててやれないとか、建ててやらない、あるいは石原君の点にもございますように、そういう意味での何らか強制的なものを含み、あるいはまたそういうことをしなければ建てないというふうなことであるとするならば、これはもう私どもきわめて不適切であり、あるいは状況によりますれば財政法違反という問題が当然起こり得ようかと思っております。  私どもはその辺は、県に対しましても、十分そういうことも考えて、やはりそういう意味での自発的な寄付というものを全面的に否定するわけではないわけでございますけれども、いま申されましたような疑義を残し、あるいはまた問題点を生ずるような扱いというものはあってはならない。直ちにそれが違法でなければ何をやってもいいというふうにも私ども考えていません。やはりそういったような問題点があるとするなら、そういうものは可及的速やかになくすべきでありましょうし、あるいはまたそういうことを今後ともやってはならないということを強く指導いたしておるのが現状でございます。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまここで四十年の例の行政実例を改めなさいと言っても、それは結論はすぐ出ないでしょうが、いずれにしても市町村が、そういう形で寄付という形式をとろうとも、県にお金を納入することによって高等学校は建つというそういう結果が連動的作用で起こってくるということは、これは形式はどうであろうと、そういう強制的要素を含んだ内容になりがちですから、少なくとも。そういう疑義を持たれるわけですから、この辺はひとつ指導の面でも十分きちっとしてもらいたいと思います。  同時に、私は茨城の場合は、先ほどもちょっと言いましたが、今日まで鹿島の臨海工業地帯をつくるために県費をどんどんつぎ込んでいっている。だから、教育とか民生関係の方には予算が実際問題としてうんと圧縮されてくるわけです。そういう状態の中から、今日の地方財政危機と重なってそういう無理が起こっているんだと思うんですがね。しかし同時に、全国的に、ここだけじゃなしに、各府県でこういう実態が起こっているわけですから、特にひとつ文部省の方で――これはまあ自治省の政務次官の方もがんばってもらいたいんですが、この高等学校の補助制度は何としても来年度は実現をする。いま文部省の方のお話を聞くと、百二億要求されているようですが、先般報道によりますと、自民党の文教部会ではこれは五十億か六十億かに減らされたようなんで、これはちょっと大変だというように思うんです。だから、とにかくこれはそういう意味では、次官の方に特にお願いしておきたいのですが、文部省の要求している百二億で果たして十分かどうか。私は今日の実態から言えばきわめて不十分だというように思いますが、しかしとりあえず、ないよりはましで、早いこともらいたい、ちゃんとつけてもらいたいというのがいまの自治体の偽らない気持ちではないかと思います。ひとつこの実現のためにぜひとも奮闘していただきたいと思います。  特に人口急増神域ですと、三多摩あたり、三鷹高校なんかの通学時間のなににしますと、片道一時間以上かかって学校へ通わなければいかぬという状況が起こっています。ですから、これは教育効果を上げるためにもきわめて重大な問題だと思いますから、ひとつ全力を挙げて奮闘していただくようにお顧いしたいと思うのです。  超過負担問題、あと少し質問したい点があったのですが、一応予定の時間が来ましたから、これで私の質問を終わります。
  166. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 百工億を七十何億にというふうに削ったのかとか、いろいろのお尋ねがございますが、私はこういった問題、まあ新しく予算項目として新設しようということですから、そういった問題は非常に厳しい財政事情の中でむずかしい問題であろうと思いますが、御趣旨の点もございます。そしてまた特に人口急増地域の高校建設というものが焦眉の急であるというような立場から、この問題について努力いたしたい、このように考えております。
  167. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私は公営企業の赤字問題について若干当局にお伺いしようと思っています。  まず、自治省がまとめられました交通、水道、病院などの地方公営企業の四十九年度の決算状況によりますると、これらの企業の経営内容が非常に大幅に悪化しておりまして、全体の約六〇%が赤字となり、累積赤字は約六千四百億円に上っているが、この赤字の原因についてはどのように考えておられますか。  それからまたこれの対策としまして、結局安易な料金値上げというようなことを奨励するような指導をしてはならないと私ども思いますけれども、自治省としてはどのようなお考えで、またどのような対策を考えておられますか、お伺いします。
  168. 横手正

    政府委員横手正君) 四十九年度の決算状況を見ますと、地方の公営企業の経営はかなり悪化してまいってきております。その経営が苦しくなりました原因としましては、四十八年末の石油ショック以来の狂乱物価の上昇、この影響を受けまして、人件費なり原材料費なり、こうした費用が高騰してまいっておること、これが一つの大きな原因でございます。また、この時期の経済の異常な変動期に当たりまして、費用の増高に対応すべき料金の適正化がおくれておりますこと、これがまたもう一つの大きな原因かと思います。さらには、企業自体の経営の合理化、これがなお十分でない面も見られるというようなことがございますが、ただいま申し上げましたような三点が経営悪化の大きな要因だろうというふうに見ております。  また、料金の引き上げにつきまして、安易な値上げはやるべきではないと、こういう御指摘のようでございますが、公営企業等の料金の改定につきましては、もちろん安易な値上げに堕することなく、まず経営の合理化によりましてできる限り経費を吸収し、吸収できない部分についてはこれはやむを得ず利用者の負担の原則、これの原則に基づきまして適時適切な料金の改定が行われるべきであろう、かように考えております。
  169. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それでは、いまお尋ねしようと思ってますのは、交通、水道、病院などの企業について、各部分的にちょっと御質問してみたいと思います。  まず公営交通ですけれども、これは四十八年に健全化法が成立しまして、四十七年度末における不良債務をたな上げにするための交通事業再建債を発行して健全化の措置がとられてきたわけでございますが、そこで一応仕切ったわけでしょうけれども、その後の経営状態はどうなっておりますか。簡単に説明願いたいと思います。
  170. 横手正

    政府委員横手正君) 公営交通事業の経営状況だと思います。四十七年度以降の公営交通事業関係の状況を見ますと、四十七年度におきましては総収益千六百六十五億、総費用二千百九十億でございまして、純損失は六十三事業で五百五十二億円でございます。四十八年度はこれが六十六事業で四百五十億円、四十九年度は七十三事業で八百三十八億円、こういう推移をたどっております。  また、累積欠損金を見ますと、四十七年度は六十九事業で二千四百十億円、四十八年度は六十八事業で二千四百億円、四十九年度は七十一事業で三千六十六億円と、こういう状況でございます。  また、不良債務の状況を見ますと、四十七年度が千八百四十億円、四十八年度は九百九十八億円、四十九年度は千三百九十三億円、こういうような状況でございます。  したがいまして、この三年度間を見ますと、四十八年度は幾分か好転といいますか、幾らか純損失なり累積欠損金なり、減少傾向が見られたわけでございますが、四十九年度は、先ほど申し上げましたような要因によりましてかなり経営状況は苦しくなっておるというような状況でございます。
  171. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 結局は経営状態は四十九年度において著しく悪化し、したがってまた赤字もふえてきた、こういうことでございますが、この対策として、再びこの不良債務をたな上げするような措置を考えておられますか。
  172. 横手正

    政府委員横手正君) 公営交通事業のみにとどまりませず、病院事業も、水道事業もかなり経営状況苦しくなってきておるわけでございます。これらの公営企業の悪化の原因としましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、四十九年度における異常な経済変動、これが公営企業の経営に反映してこうした悪化を招いたということだと存じます。したがいまして、まず何よりも経済の回復なり、物価の鎮静化、こうした前提条件といいますか、そうした基本的な面についての見通しが立ちませんと、なかなか公営企業の経営基盤の強化は困難であろうかと存じます。したがいまして、現段階では、一昨年あたりから講じられております交通事業対策あるいは病院事業対策、こうした対策と同様の措置を現在すぐ講ずるというふうにはまだ考えていないところでございます。
  173. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、結局しばらく形勢観望、また対策としても自力よりもむしろ他力を期待しているというようなことでございますね。この健全化法の附帯決議に、「政府は、本法施行にあたり、都市交通における大量公共交通機関の優先性の確保、乗用車等自動車交通の規制を中心とする都市交通環境の抜本的な改善整備をはかるための諸施策を強力に推進する」と、こういうふうにうたっていますが、これについてどのような改善を図ってこられましたか。
  174. 横手正

    政府委員横手正君) 都市交通環境の整備を促進する必要があるという附帯決議があった次第でございますが、この点につきましては、交通環境の整備は各地方団体とも最も力を入れております対策の一つでありまして、すでに各団体とも、警察を初め道路あるいは都市計画関係者、こうした方たちとの協議の場所を設けておりまして、強力に必要な対策の推進を図っておるわけでございます。自治省としましても、警察庁その他各関係省庁に対しまして地方団体の段階で積極的な協力をしていただくよう要請しておるところでございます。特にバスの専用レーンあるいは優先レーンの拡大あるいは都心部における駐車の規制、こうした面につきましては、警察当局の協力を得まして各都市ですでにかなりの成果が上がりつつあるところでございまして、引き続き努力を注いでまいりたい、かように考えております。
  175. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 同じくこの附帯決議に、「料金決定方式の届出制をすみやかに検討し、許認可制度の整理簡素化及び地方公共団体への権限委譲の措置を講ずるごと。」と、こうなっていますが、どのように検討されてきましたか。
  176. 横手正

    政府委員横手正君) 料金の決定方式なり、あるいは国の許認可事務の権限の委譲等の点でございますが、公営交通事業の料金の決定方式を許可制から届け出制に改めるという点につきましては、目下検討を進めてまいっておるところでございますが、当面、認可事務のおくれの問題が生ずることのないように迅速な処理を関係省庁にも要請してきておりますし、最近ではかなりこの面は改善されてきておるのではないかというふうに見ております。  また、公営交通事業に係る許認可につきましては、たとえば停留所の設置や、あるいは工事期間中の路線の変更のような軽易な事項地方への委任がしかるべきものと考えられるようなものを含めまして、整理、簡素化を図ってまいる必要があろうかと存じますが、こうした面につきましては関係省と協議を進めたいというふうに考えております。
  177. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、許認可制度からさらに届け出制に切りかえるというのはまだ当分先ということでございますか。
  178. 横手正

    政府委員横手正君) 関係省庁との話もまだ十分煮詰まってまいってきておりませんので、先ほど申し上げましたように、当面、迅速な処理によって、従来ややもすると相当期間要しておったわけでございますが、その面の改善を図ってまいってきておる次第でございます。
  179. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 なお、この同じ附帯決議の中で、「交通事業再建債の元金償還については、地方公共団体一般会計の財政運営に支障を生ずることのないよう適切な財源対策を講ずること」、こうなっていますが、これはどのような対策を講じてこられましたか。
  180. 横手正

    政府委員横手正君) 再建債の元金償還に対する財源措置についてでございますが、この点につきましては、地方公共団体一般会計の負担分の二五%を普通交付税で措置するということをしてまいっております。この結果、再建債の元利償還金については、国の利子補給金と普通交付税と合わせまして、おおむね二分の一近くが措置されるというような状況になっております。
  181. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの二分の一というのは何か特別な根拠があるのですか。あるいはもっとそれを引き上げようとするようなお考えはないですか。
  182. 横手正

    政府委員横手正君) 二分の一程度と申し上げましたのは、現在の国の利子補給金と、それから普通交付税での措置額、これを合計しまして元利償還金の額、この比率を見ますと四七%近くということでございますので、おおむね二分の一近くと、こう申し上げたわけでございます。私どもは一応この程度の措置で今後も考えてまいりたいというふうに思っております。
  183. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 「行政路線については、その認定基準を明確にし、その公共的性格を考慮して必要な行財政上の措置を講ずること」と、こういうふうに同じく附帯決議にありますけれども、これについてもどのように検討されてきましたか。自治省の掌握されている範囲はどうなっていますか。
  184. 横手正

    政府委員横手正君) 行政路線対策の点でございますが、この問題につきましては、住民の足を確保いたします生活路線という観点から、公営だけでなく民営も含めた問題として考えてまいる必要があろうかと存じます。したがいまして、この問題につきましては、私どもよりも、むしろ運輸省において、現在設けられております過疎バスの路線補助あるいは新住宅地のバス路線の補助、こうしたものの充実、拡大によって対処していくことが望ましいんではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、五十年度の予算におきましても、過疎バス路線の補助あるいは新住宅地のバス路線の補助についてはかなりの増額が図られてまいってきております。私ども、今後もこの方向に沿いまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  185. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この非常な重要な交通機関でありますバスについては、ひとつ思い切った拡充をしていただきたいと思います。  次に、同じように地下鉄のことですけれども、この地下鉄事業について同じくこの附帯決議で、「資本費負担の増高する現状にかんがみ、国庫補助制度の拡充、低利資金の確保、起債条件の緩和等所要の措置」、それから「間接受益者に対する負担制度の確立についても考慮すること」、こういうふうになっていますが、これはどういうふうになっていますか。
  186. 横手正

    政府委員横手正君) 地下鉄事業に対する財政措置等についてでございますが、まず、国庫補助につきましては四十八年度からかなり改善されております。しかし、その後の建設費もかなり高騰してまいってきておろうかと存じますが、経費の内容の見通し、こうしたものを十分分析しました上で、必要があれば運輸省の方に十分な措置がされるように要請してまいりたいというふうに考えております。  次に、地方債の関係でございますが、これは五十年度から、公営企業金融公庫資金の償還年限につきまして延長の措置も講じまして努力をしてまいってきているところでございます。  また、間接受益者に対して適切な受益者負担を課するということにつきましては、この問題は具体的に負担を求める範囲なり、あるいは負担方法負担額の算定方法をどうするかといったような非常にむずかしい問題があるわけでございまして、慎重に検討する必要があろうと、こう考えております。関係省庁とも十分連絡しながらこの面を検討してまいりたい、かように考えております。
  187. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの国庫補助の拡充というのは六六%の補助方式になっておるわけですけれども、これは実質は六〇%にしかならない。これは事実でございますか。
  188. 横手正

    政府委員横手正君) お尋ねの趣旨は、恐らく補助率自体は六六%でございますが、工事費といいますか、補助対象の事業費のとらえ方に当たりまして、建設費総額のうち一割は出資に求めまして、その残りの建設費のうち間接費を差っ引く方式がとられておる、こういう点で実質率が六〇%に落ちる、それ以下になると、こういう御指摘だろうと存じますが、現在とられておりますのは、建設費総額から出資の一割を除きまして、それからなお補助対象に見合いません間接経費を差っ引くと、こういう方式がとられておるわけでございます。
  189. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その方式ですけれども現実にもう少し上げるようなお考えを、たとえば来年度の予算からでも実行しようと、そういうようなことは考えられませんか。
  190. 横手正

    政府委員横手正君) 地下鉄に対します国庫補助は運輸省の方で行われておるわけでございます。明年度の予算要求に当たりましても、大体同様の方法予算要求をされておるというふうに了解いたしておるわけでございます。
  191. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 じゃ次に、病院のことについてお尋ねしますけれども、同じこの附帯決議の中に、「病院事業、水道事業地方公営企業についても経営の現状にかんがみ、経営健全化のための対策をすみやかに確立する」、これは大切だと思いますけれども、これについてもどのようなお考えですか。
  192. 横手正

    政府委員横手正君) 病院事業等の地方公営企業の経営健全化対策の点でございますが、このうち公立病院につきましては、四十八年度末の不良債務を計画的に解消するために特例債を五百六十九億円、三百三団体についてその発行を認めたわけでございます。そして、その元利償還につきましては所要の財源措置を講ずる、こういうことにいたしております。  水道事業につきましては、これは水源開発あるいは広域化のための所要経費に対します国庫助成が厚生省によって行われておりまするが、そうした国庫補助の拡充に努力をしてまいっておるという状況でございます。
  193. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 公立病院につきましては、四十八年度末の不良債務をたな上げするための当面の措置として、五百六十九億円ですか、の公立病院特例債を発行してその健全化が図られてきたのは御承知のとおりでございますけれども、四十九年度の決算によりますと、自治体病院の三分の二が単年度欠損金を生じ、その額は五百八十五億円と前年度よりも百四十九億円も増加している。また累積欠損金も、三百八十二億円も増加して一千四百三十二億円にも達しております。特にこの不良債務は、特例債の発行によるたな上げ措置にもかかわらず五百九十九億円にも達している。このように自治体病院の財政は危機的な状態になっておりますが、これに対して自治省ではどのようにお考えになっているか。また新たにこの不良債務のたな上げ措置を講ずるというようなお考えがありますかどうか。これはまあ先ほどお尋ねしました交通関係のものと同じ問題でございますけれども、それについてのお考えをお伺いします。
  194. 横手正

    政府委員横手正君) 公立病院の財政状況が非常に悪化しております状況は御指摘のとおりでございます。その原因といたしましては、まあ診療報酬の適正化がおくれておるというようなこと、あるいは自治体病院の経営改善の合理化がなお徹底していないというような点があろうかと存じます。ただ公立病院につきましては、やはり医療機関の配置なり、あるいは規模の適正化の問題でありますとか、あるいは医師、看護婦の確保の問題でありますとか、あるいは診療報酬の適時、適切な適正化の措置の問題でありますとか、あるいは公共性の高い公立病院の行っております救急医療なり高度の医療なりあるいは特殊医療、こうしたもの、さらには不採算地区における病院に対する国庫助成の拡充強化、こうした問題の解決が必要だというふうに考えております。したがいまして、さきに病院の不良債務につきましては、四十九年度におきまして特例債の発行を認めてまいったわけでございまするが、やはりさしあたっての問題といたしましては、国庫補助の拡充強化、こうした面を図ってもらいますとともに、診療報酬の適正化、これも進めてもらう必要があろうかというふうに考えております。こうした状況の推移を見ながら今後の対策を考えてまいりたいというふうに考えております。
  195. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 運輸省からお見えになりましたから、御苦労さんですがちょっとお伺いしたいんですけれども、さっきからいろいろと交通関係についての資金関係の問題についてお尋ねしたわけですけれども、ちょっと一言で一つ二つお伺いしますが、突然なんで申しわけないからちょっと申し上げ直しますが、先ほどから実はいろいろと自治省の当局にお願いしている問題については、おととし決まった健全化法ですね、これについての附帯決議があります。その附帯決議の内容、その後この決議がどのように実行されているかということについてお伺いしてきたわけですが、その中で地下鉄の事業について、附帯決議ではこうなっているんです。資本費負担の増高する現状にかんがみ、国庫補助制度の拡充、低利資金の確保、起債条件の緩和等の措置と、間接受益者に対する負担制度の確立についての考慮、こういうことがうたわれてきたのですけれども現実に実施官庁である運輸省の方としては、これがどのように生かされているか、考慮されているかというようなことについてお考えをお聞きしたいと思います。
  196. 中村徹

    説明員中村徹君) 地下鉄の補助金につきましては、私ども現在六六%の補助ということで地下鉄の建設費に対する補助をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、年々補助金の額の点におきましては補助額の増額ということで要求をいたし、増加を果たしてまいりました。で、昭和四十八年が百七十三億の補助金でございましたのが、四十九年度には二百二十四億、五十年度予算におきましては二百九十二億ということで、五十一年度の要求では三百八十三億ということで、補助金の額は年々ふやしてまいりました。  補助金の率という点につきますと、やはりこういう事業費の増大ということで実際補助金の額がふえているという事情もございまして、率の引き上げというのはこの五十一年度の要求においてもいたしておりません。ただ、そういう実体的な額あるいはその規模だけの議論ではございませんで、問題はやはり経営の面の問題を検討しなければいけないということだと思いますが、この点につきまして私どもがただいまの時点において検討いたしております限りにおきましては、いま補助率の引き上げをしなければ経営が成り立っていかないというような状態ではないというふうに考えております。ただ今後、もちろん経営状態につきましては大いに検討をさしていかなければならないというふうに考えております。
  197. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、大体このいまの地下鉄の事業そのものに対しては、運輸省の方で考えておられる程度の経営状態であるというふうにみなしてもいいわけですね、そうですね。
  198. 中村徹

    説明員中村徹君) そのとおりでございます。
  199. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしましたら、最後に一つ次官にまとめてお伺いしますけれども、いま審議官にお尋ねしましたように、公立病院の問題ですが、非常に危機的な財政状況になっておるわけでございますが、これをやっぱり放置するということになると非常に大きな問題になります。現在すでに大きな問題になっております。そこで、医療の確保ということが非常ににむずかしい問題でありまするけれども、これは次官考えとして、まあこれは自治省の全体のお考えでしょうけれども、どのように対処されたらいいか、御見解をお伺いしたいと思います
  200. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) この問題は、根本的に、医療制度というもので診療報酬の引き上げとか、いろんなそういった一般医療の問題に関連いたしまして、それが大きな一つの病院の財政収入というものに直接はね返る問題でありますので、基本的にはそういった問題の対策といいますか、そういったものが意を用いて正常化されない限り、正常化と申しますか、現段階においては少なくとも大きな落ち込みというようなものを生じておるわけでございますので、そういった問題についての改正というものが進まない限りは、なかなかこの公営企業である病院事業というものの健全な運営運用というものが至難であるということではございますけれども、当面それを待っておりましては、なかなかいろんな問題は解決いたしません。しかし、その間にもどんどん累積赤字がふえていくという問題もございますので、そういった点を十分推移を見ながら、やはり私は医療全体の対策が根本的にできるまでの段階におきまして、たとえば、この間とりましたああいった債権のたな上げの方式だとかいうふうなこと、これは一つの緊急避難的にも考えなければならないんじゃないか、このようと思います。
  201. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 自治省では、決算のまとめでは、先ほど審議官から御返事ありましたように、地方公営企業の赤字の原因としては、原材料が騰貴したとかあるいはまた人件費が増大するというようなことをいろいろ挙げておられますが、こういった表面的なものだけではなくて、最も大きな要因は、きわめて高い公共性の機関でありながら、公共性を持ちながら、独立採算制というものを強く強いられている。これは地方公営企業そのものの構造に起因しているわけでございますが、この非常に深刻化しております地方公営企業を財政的にも再建するには、独立採算制を見直すということが非常に肝心じゃないかと思いますけれども、これについて次官、お考えいかがですか。
  202. 横手正

    政府委員横手正君) 最近各方面から、地方公営企業のとっております独立採算制のたてまえについて検討する必要があるのではないかというような御意見が多いわけでございますけれども、私どもは、やはり公営企業につきましては当然一般会計との負担区分というのが前提でございまして、この負担区分に基づきまして、一般会計の方から繰り入れすべきものはしてもらう、それ以上のものにつきましては、やはり引き続き独立採算制のたてまえを維持していくべきものというふうに考えておる次第でございます。
  203. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 基本的には、やはりそういった利用者にといいますか、それに負担をお願いするという、そういう原則というものを私はやっぱりこれは崩すことはいけないと思いますし、その範囲でまず最大の企業努力というものをやっていただくということは前提だと思います。  ただ、御指摘のようなそういう公益性、公共性というもので、経費の負担というものが非常にほかの企業以上に出すことが明らかであるというふうな問題については、いま審議官からお話しございましたような、一般会計からの補てんとかいうふうなことも当然それは予想されるわけでありますけれども、基本的には、利用者負担の原則というものを、私はやはりこの公営企業においても堅持すべきものではないかと、このように考えます。
  204. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 本日はこれにて散会いたします。   午後四時十四分散会      ―――――・―――――