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1975-11-18 第76回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十八日(火曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     鍋島 直紹君      望月 邦夫君     橋本 繁蔵君      片山 甚市君     加瀬  完君      森下 昭司君     和田 静夫君  十一月十八日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     森下 昭司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 金井 元彦君                 安田 隆明君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 大谷藤之助君                 夏目 忠雄君                 橋本 繁蔵君                 赤桐  操君                 小山 一平君                 福間 知之君                 森下 昭司君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  福田  一君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        通商産業省立地        公害局長     宮本 四郎君        消防庁長官   佐々木喜久治君        消防庁次長    森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        防衛庁防衛局運        用課長      長谷川 宏君        大蔵大臣官房審        議官       米山 武政君        資源エネルギー        庁石油部精製課        長        山中 正美君        海上保安庁警備        救難監      船谷 近夫君        建設省都市局参        事官       森田 松仁君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○石油コンビナート等災害防止法案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、加瀬完君が委員辞任され、その補欠として森下昭司君が選任されました。     —————————————
  3. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  石油コンビナート等災害防止法案審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員派遣地派遣日等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 石油コンビナート等災害防止法案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田自治大臣
  7. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま議題となりました石油コンビナート等災害防止法案提案理由とその趣旨について御説明申し上げます。  石油コンビナート等における災害がその周辺地域に重大な影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、石油コンビナート等区域内において石油または高圧ガスを貯蔵し、取り扱い、または処理する事業所に対して防災上の見地からの規制強化するとともに、その区域における一体的な防災体制を確立する等石油コンビナート等における災害の発生及び拡大防止するための総合的な施策の推進を図る必要があります。  これが、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、石油コンビナート等特別防災区域を指定し、その区域内における一定事業所新設または変更について災害拡大防止見地から規制強化を図ろうとするものであります。  すなわち、大量の石油もしくは高圧ガスを貯蔵し、取り扱い、もしくは処理する区域または貯蔵し、取り扱い、もしくは処理することとなると認められる区域石油コンビナート等特別防災区域として政令で指定するとともに、この区域内において多量の石油高圧ガスをともに貯蔵し、または取り扱い、及び処理する事業所新設または変更をしようとする事業者は、主務大臣にその計画を届け出なければならないものとし、主務大臣は、事業所内の各施設地区の面積及び配置が災害拡大防止見地から適切でないと認められるときは、必要な指示を行うことができることとしております。  第二は、事業所における防災施設及び防災組織等強化であります。  このため、各種の防災施設及び自衛防災組織設置防災管理者選任防災規程作成等事業者に義務づけることにより、事業所防災体制強化を図り、また、人員、資機材を備えた共同防災組織、及び石油コンビナート等特別防災区域協議会設置することにより、事業者による地域共同防災体制の整備を促進することといたしております。  第三は、石油コンビナート等特別防災区域における防災体制の一元化であります。  このため、都道府県都道府県知事本部長とし、関係市町村長関係機関の長、事業者等本部員とする防災本部を常置し、総合的かつ一体的な防災対策の実施を確保していくこととしております。  第四は、石油コンビナートにおける災害が、その周辺地域に及ぶことを防止するための緩衝地帯設置推進であります。  すなわち、地方公共団体緩衝地帯としての緑地等設置する場合に、その費用について一部を事業者に負担させることができることとするとともに、国においても特別の財政措置を講ずることとしております。  その他罰則規定を設けるとともに、消防法地方交付税法消防施設強化促進法の一部改正等を行うものであります。  以上が石油コンビナート等災害防止法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 赤桐操

    赤桐操君 石油備蓄対策について御説明を願いたいと思います。
  10. 山中正美

    説明員山中正美君) いわゆるオイルショックによりまして非常な混乱を生じましたので、私どもといたしましては、四十七年を初年度といたしまして、六十日備蓄計画というのを四十九年度末に一応完成しております。その後、五十年度を初年度といたしまして五十四年の末に九十日備蓄ということを一応考えております。
  11. 赤桐操

    赤桐操君 五十四年度末に九十日分ということになると、現在の六十日分と比較すると、大体五割増というようになると思うんですね。貯油量全体はどのくらいになりますか。また、現在の貯油量はどのくらいですか。
  12. 山中正美

    説明員山中正美君) 六十日分と九十日分ということになるわけでございますけれども、この場合、一日分というのがその前年度の消費量の一日分ということになっておりまして、そういう意味で、六十日分と九十日分というのは現在の五〇%増しじゃございませんでして、大体六五%増しぐらいになる考えでおります。  六十日分の備蓄量でございますが、これが大体四千二百万キロリッターぐらいでございます。石油消費量によりまして九十日分がどれぐらいになるかというのは非常にむずかしいわけでございますけれども、一応われわれが考えておりますのは、七千万キロリッター強、こういうふうに考えております。
  13. 赤桐操

    赤桐操君 この場合の備蓄に要するタンク基地の設定が必要になってくると思うのです。そのスケールとタンクの一個の大きさについて説明してください。
  14. 山中正美

    説明員山中正美君) 一応、現在一番大きいタンクが十五万キロリッターくらいのタンクでございますけれども、私どもは大体適正十万キロリッターぐらいのタンクを想定しております。そういたしますと、先ほど御紹介申し上げましたように、六十日分から九十日分、約三千万キロリッター分タンクが必要なわけでございますけれども、貯油率が大体八〇%でございますから、必要なタンクが大体貯油能力といたしまして約三千七百万キロリッターくらいの能力のタンクが必要でございますから、約十万キロリッタータンク三百七十個必要だ、こういうことになると思います。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 そうなってまいりますると、三百七十の十万キロリットル、これは大変なものになると思うんです。それで、備蓄のための基地をつくる場合においてはまず台地選定をしていかなきゃならぬでしょうし、この場合に、その土地をどのような場所にいま選定をしたらいいか、そういうことについて通産省考えておりますか。
  16. 山中正美

    説明員山中正美君) この石油備蓄推進につきましては、石油産業がその担い手としましていろいろ推進をしているわけでございまして、各企業によりまして建設予定地等いろいろ折衝しているわけでございますけれども、一応私ども考えておりますのは、原油の備蓄でございますから、できるだけ海岸線に近く、ある程度の船が着くところ、そういうふうな土地考えております。
  17. 赤桐操

    赤桐操君 海岸線に近くて、船が、タンカーが着きやすいところ、これは採算ベース等々から考えると当然そういうことになると思うんですね。しかし問題は、その十万キロリットルのタンク設置していくわけですから、これはかなりしっかりした地盤でなきゃならないと思うんです。したがって、一番問題になるのは、私はその土地選定が一番問題になると思うのです。要するに、言うなればタンクを設定するにふさわしい地盤になるような土地、そういうものの選定を必要とするのですが、日本のようなこういう海に接した国においては、大体これはもう海岸地帯埋め立てでほとんど今日まで行われていると思いますが、国によっては埋め立てをできない国もあるわけであって、そういうところは、いわゆる大陸の真ん中につくっておるところもあると思うんです。そういう点について、これから先、台地を造成してつくっていく方がいいのか、それとも海岸地帯埋め立てをこれからもやっていく方がいいのか、こういうことについて検討しておられますか。
  18. 山中正美

    説明員山中正美君) 現在のところ、私ども考えておりますのは、いわゆる海岸タンク設置いたしまして備蓄推進していくと考えておりますけれども、諸外国では、一応地下備蓄だとか、あるいは岩塩坑等石油をためるというふうな方法もとっております。そういう意味で、私どもは現在、そのタンク備蓄以外の備蓄方法等につきまして研究会をつくっておりまして、その研究会でいろいろ検討しております。来年度予算で、そういうふうな別途の新しい備蓄技術ということにつきまして予算要求をしている段階でございます。  以上でございます。
  19. 赤桐操

    赤桐操君 これは通産省許可をしてやっていくことになる、あるいはまた、いろいろの業者からのレイアウトやなんか出てくると思うんですが、消防庁の方はその段階タッチをしていくことになるんですか、どうなんですかこの点。
  20. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンク備蓄計画をどのようにするか、あるいはまた、どの地域にどういう備蓄基地をつくるのかというような段階におきましては、まだ消防機関がそれにタッチをするということにはならないのでありまして、具体的な備蓄基地構想がまとまりまして、具体的にタンクがどの部分にどれだけの大きさのものが設置をされるか、こういう計画具体化段階消防機関としましてはこれにタッチをするということになるわけであります。ただ、これは法制上のたてまえでございますけれども、現実にはそういう備蓄計画構想という段階から、恐らく地方公共団体としましては、県段階市町村段階において、それぞれそうした備蓄計画内容等につきましては、事実上の問題として十分な打ち合わせが行われ、合意が得られたところで計画が進んでいくだろうというふうに考えております。
  21. 赤桐操

    赤桐操君 危険物規制に関する規則の二十一条にはこのように明文が出ているんですね。「地震又は風圧に耐えることができる構造は、地震動による慣性力又は風荷重による応力が屋外貯蔵タンクの側板又は支柱の限られた点に集中しないように当該タンクを堅固な地盤又は基礎の上に固定したものとする。」こうなっております。これは、私は非常に大事な問題だと思うんです。それで、「堅固な地盤又は基礎の上に固定」させると書いてあるのです。支柱にもたれかけさしたんじゃならないんだと、こう出ておるのですね。だから、あくまでもこれは堅固な地盤というものが大前提になるはずなんです。そういう状況の中で、いままでの状態考えてみるというと、一体、堅固な地盤というのはどういうものになってくるのかと、こういうことになるわけですが、この点ひとつ、長官考え方を明らかにしてもらいたいと思うのですがね。
  22. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 御指摘のように、現在の危険物規制に関する規則におきましては、タンクは「堅固な地盤又は基礎の上に固定」をするというような規定の仕方になっておりまして、具体的にどれだけのものが堅固な地盤であるか、あるいは基礎であるかということにつきまして、その明確な規定がないわけでございます。その辺が、これまでのタンクにつきましていろいろ問題が出ました場合に、その明確な基準を打ち立てるべきではないかというような御意見もあるわけでありまして、私どもも、こうした堅固な地盤というものについて、どういう地盤改良工事等を行った場合にこの条件に合うかどうか、こういう点につきましていま具体的な基準を設定すべく作業中でございます。
  23. 赤桐操

    赤桐操君 地盤沈下の発生するようなそういう地盤というのは、私は堅固な地盤には入らないと思うんですが、その点はどうお考えになりますか。
  24. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンク重量は、その大きさによりまして相当なものになってまいりますので、現在の立地条件からいたしますと、至るところで地盤沈下というものが起きているわけであります。この地盤沈下につきましては、やはり、タンク本体にいろいろな影響が出てまいりますので、やはり、タンク基礎あるいは地盤につきましては、そうした地盤沈下の起きるような地域は好ましくないし、また地盤沈下の起きないような状態においてタンク建設をさせるということが必要であるというふうに考えております。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 大体、海岸地帯埋め立てしたところには共通して私は言えるものがあると思うのです。それは地盤沈下であり、不等沈下だと思うのですよ。これ以外のところにはこういうものがほとんど発生してないわけですよ。海岸地帯埋め立てしたところでは、私はどこでもこれはあると思うのです。海岸地帯埋め立てには地盤沈下なり不等沈下というものはつきものだと、こういうようにいま共通して言えると思うのですが、この点どういうふうに考えられますか。
  26. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) これまでのタンク建設に当たりましては、特に埋立地等において、地盤沈下の量が相当多く見込まれるような場所におきましても、その地域地盤沈下が十分に沈下し終わらない状態のままに建設をされておるというようなことから、タンク建設後におきまして相当地盤沈下が起こる、あるいは不等沈下が起こるというような状況にあったわけでありまして、これらにつきましては、やはりタンクの安全上から見て地盤沈下の生じないような状態においてタンク建設させる必要があるというふうに考えております。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 私は、海岸埋め立てには、当初から指摘をいたしてきておりますけれども、だんだん浅瀬から深いところに入っていくわけであるし、またみおなどというものもあるわけでありまして、海底というものは一定したものではないわけです。そこに、土砂で埋めていくわけですから、当然これが固まってきましても、同じパーセンテージ沈下が行われていく場合においては、浅いところと深いところでは、必ずこれは実際に出てくる現象というものは差が出てくるわけですね。パーセンテージで同じであっても、沈降のぐあいというものは大きな差が出てくる。そういうふうになってくると、どだい海岸地帯埋め立てというものは、これはもう不等沈下というものはつきものだと、地盤沈下というものはあり得ると、こういうことになると思うんです。特にまた埋め立てした跡が固まってくるまでには、潮が引いて完全なものになってくるまでにはこれは相当の年月を必要とすると思うんですよ。そういう点から見てみたときに、果たしてこの海岸地帯というものが、これからの十万キロリットル、大体これを適正なものだと考えておるわけですから、こういう大きなものをつくっていくその対象地域にこれからしていいかどうかということ、こういうものが非常に問題があると思うんですが、どうですか、その点について。
  28. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この問題につきましては私どももいろいろ検討を進めておるわけでありますけれども平野部から海岸につながっておるというような地域におきましては比較的そうした地盤傾斜度というものが少ないわけでありますから、埋め立ての場合におきましても、その後の沈下の問題というものはそれほど大きい問題にならないのではないだろうか。山地から急速に海になっていくというような傾斜度の大きい地域におきましては御指摘のような問題というものがあるわけでありまして、これらの問題につきましては、十分その地域埋め立てにつきましては検討が必要であるというふうに考えております。  また、埋め立て後におきます地盤沈下が一応おさまってくるというような段階におきましてタンク設置をしていくということになります場合には、その後の地盤沈下というものはほとんど見込まれないと、こういう段階になりました場合にはタンク建設は可能であるというふうに考えております。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 千葉海岸は、御承知だと思いますけれども、大変なだらかな、そして粒子が細かいと言われて、埋め立てには非常にいいところだと、こう評価されてきたんですね。しかし、この千葉海岸全体を見ましても、いま曲がっておるタンクがたくさんあるんですよ。私どもが肉眼で見てそういうように見えるわけですね。これは調査の結果出ておると思いますけれども、ああいう千葉のような、粒子が細かくて非常に埋め立てに適する、そして遠浅なところ、こういうところであっても地盤沈下不等沈下というものが非常に行われている。まして私は、これ以外の地域というところになりますというと、土砂関係その他についても千葉ほど条件のいいところというのはそうたくさんないと思うんですね。だから、これから先はだんだんと沖合いを埋めていくようになるわけでありますし、深いところに埋め立てをしてつくっていくということになるわけなんです。このいわゆる不等沈下可能性というものはますます増大するだろうと、こう思うんですね、海岸地帯につくるとすれば。私どもは実際に見てそういうように思うんですが、長官はどうですか、この点について。
  30. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 御指摘のように、現在石油タンクにつきまして不等沈下というものが各地域において発見をされておりまして、私どももこの点につきましては、今後のタンク建設に当たってどういう措置をとるべきかということを検討してまいったところであります。これまでのタンク建設に当たりましては、その地盤が十分に沈下をしないその条件のままでタンク建設が行われてきた。したがって、沈下がその後進行をいたしまして、基礎地盤の若干の高低差というものがタンク不等沈下を引き起こしておるというような事実から見まして、やはりタンク設置地盤につきましては十分な圧密を行って、沈下相当程度までおさまった段階において建設をさせる、こういうふうな方法によりましてタンク基礎につきましての問題を解決していきたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、それは一体圧密がおさまって一定段階にまで到達して許可ができるような時点、それまでには埋め立てしてどのぐらいの日数を見ておりますか。
  32. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) これは場所により、そしてまたその地盤土質によって相当な差があるというふうに考えております。したがいまして、今後タンク建設するに当たりましては十分に事前の土質調査を行わせまして、その土質調査の結果得られました今後の沈下量というものを測定をし、さらにその場所プレロードによる圧密を行わせまして、そうした圧密の結果、地盤沈下というものがその計算上の沈下量に対して九〇%以上の沈下が完了したという段階において、具体的な基礎工事を行わせ、タンク設置をするというようなことにいたしたいというふうに考えております。したがいまして、こうしたプレロード期間というものは、場所によりますけれども、恐らく最小限三カ月、長ければ一年というような期間が必要になってくるであろうというふうに考えております。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 これは大体海岸埋め立てをやって、跡にこういうかなり重量のある構造物建設するのには数年かかると思うのです、実際問題として。これは短期間に一年や二年でできるようなものではないと思うのです。したがって、企業の側からすれば、これは大変な土地を買ったもので金利もつくわけだし、しょせん私は一日も早く建設許可を要求してくると思うのですね。そういうものに対してきちっとした姿勢で抑えるかどうかということ、こういうことはやはり非常に大きな問題があると思うのです。要するに私は海岸線埋め立てしたところではこれは必ず将来もつきまとっていく、三年か四年たって、大体圧密のぐあいから見てよろしいと思ったということで許可してみたって、いよいよ構造物が建てられてその後傾斜が出てくる、こういうことはあり得ることであって、たとえば住宅建設などのような民間の小さな住宅建設であっても、埋め立てしたところについては必ずこれは狂いが出てくるものです。ましてや、こういう海岸線で、非常に海底自体が大きくいろいろ、ヘドロもあるし、あるいはまたみおもあるし、そういういろいろの条件の中でつくられていく地盤というものは、私は必ずしもこれはいま頭の中で想定しているような状態ではないと思うのです。言うなら、こういうのは欠陥地盤だと私は考えるのです。四十九年に改正されておりますが、危険物規制に関する規則で出ておりまするこの「堅固な地盤」というのは、結局は私は台地であるとか、あるいは切り土にこれを求める以外、しょせん事実上は存在しないと思うのですがね。こういう点についてどういうふうに考えられますか。
  34. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 確かに埋め立てをした跡が、その埋め立てのまま放置しておきました場合には、やはり地盤沈下がおさまるまでには数年の日月を必要とするというような場所もあるかと思います。そういう意味におきましては、やはりプレロードの方式によりまして相当重量をかけて圧密を行う、こういうことによりまして、期間的には、その場所によりますけれども相当短縮はできるというふうに考えておるわけであります。いずれにしましても、その地域沈下量というものが圧密の結果想定されております沈下量の九〇%以上を完了したという場合にタンク建設を行わせるというようなことをいま考えておるわけであります。確かに御指摘のように、現在、昔から陸地になっている部分について、切り土をしながら建設をするということは、ある程度地盤沈下問題という点につきまして解決になるわけでありまして、その場合にはある程度の盛り土という場所もあるわけでございますので、そういう地域につきましては、相当期間圧密地盤の問題は解決をしていくのではないかというふうに考えられますが、そうした方法がとれることは望ましいことでありますけれども、現在の日本の置かれておる地勢等から見て考えられるいろいろな工法をとることによりまして、安全の確保を図っていきたいというふうに考えております。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 私はしつこく伺うわけなんだけれども、結局、この規則で言っているところの「堅固な地盤」というのは、やはり切り土のような、陸地に求めるそういう台地、こういう地盤、これをやはり言うんじゃないかと思うんですよ。少なくとも、日本語の解釈になりますけれども、堅固な地盤というのは、不等沈下やその他の地盤沈下が将来行われる可能性のあるところ、発生する可能性のあるようなものは、これは堅固な地盤とは言えないんじゃないですか、どう考えてみても。私は、やっぱり切り土であるとか、こういういわゆる陸地のようなところが堅固な地盤だと思うんです。この規則が示しているものはそういう具体的なものは出しておりませんが、この解釈というのは、どう考えてみてもその程度の強度を持った地盤をやはり指すものだと、こういうふうに考えるべきじゃないかと思うんですがね。
  36. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンク地盤につきましてこういう規定を設けておりますのは、いわばこうした地盤条件によってタンク自体の安全が阻害をされるということのないようにしたいというのが立法の趣旨でありますから、その場所条件によりまして、十分な地盤改良の工事が行われ、それによってタンクの安全というものが地盤並びに基礎段階において確保をされるということになります場合には、タンク建設許可をしていいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 水面の埋め立て段階で、私は本来こういうものはチェックされるべきだと思うんです。いま通産の方の話を聞き、それからまたいま消防庁の方のお話を聞いてみると、双方で、こういう問題は本来は最初の段階から話し合いがなされて、総合的にまず地盤選定から入っていくということが私は常識だと思うんです。そういう意味で、一番最初のレイアウトなりあるいは地域選定なりの段階からこうした形をとるべきだと思うんです。そして、なるべくなれば、言うところの正しい意味の堅固な地盤、そうしたものを求めていくべきであって、堅固でない地盤というものを無理に堅固であるとしてそれを許可していくということは、これはあり得ないわけなんです。本来堅固であるべき地盤基準でなければならぬと思うんですね。そういう点で、地盤選定地域選定というものを、通産の方と自治省の方、両方が一つになってこれは最初から当たっていくという、そういう体制が必要だと思うが、この点についてどう考えますか。
  38. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 私どもも、ただいまタンクの技術基準につきましての改定を準備をし、近くその内容について各地方公共団体にも通知をするつもりでおりますけれども、これからのタンク建設に当たりましては、やはり御指摘のような地盤調査という点が非常に重要な問題になってまいりますので、設計の前に事前に地盤調査を十分行いまして、それによる土質調査の結果から必要な工事方法等を検討していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。そういう意味におきましては、事前にそうした土質調査の結果について市町村当局とも十分その辺は打ち合わせをお願いをするし、また事実上の取り扱いとして、府県なりあるいは私どもなりのところで、相談がありました場合には十分にそれに対応いたしましてその答えを出していきたいというふうに考えております。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 堅固な地盤がなくても、私はこれを補強して使うことはできると思いますよ、今日の建築方法をもってするならば。しかし、基本はやはりこの規則で示しているように堅固な地盤ということになっているのですから、支柱にもたれかからしてはならないと、こうなっているのですから、これはやはりこの規則に従った形のもの、しかもこれは四十九年に改正になったばかりのものですね、現行のやつですから。そういうところからするならば、私は堅固な地盤というものについての定義というものを明確にしていかなければならぬと思うのですね。それで、今日では新しい建築方法でいろいろこれを補っていくことはできると思うのですけれども、したがって、海岸地帯選定することもこれは可能でありましょうが、しかし、このたてまえはあくまでもそういうたてまえになっているということを確認しておくべきだと思うのです。  それから、いまタンクの大きさを伺うというと、いまのものは大体十五万キロリットルのものが最大のもうですね。これからは大体十万キロリットル程度のもので今後のものはやっていくのが一番適当だと思うと、こういうように明らかにされておるわけでありますが、この十万キロリットルというと、大体どのくらいの大きさのものになりますか、直径、高さ。
  40. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在、タンク基準につきましての改定を準備いたしておりますが、私どもタンクの大きさは、現実的には十万キロリッターのものが大体最大のタンクというふうに考えております。この場合のタンクは、高さの最高は二十二メーター程度に限定をしていきたい。それから地震対策等のために、最高液面高が二十メーター程度。そういたしますと、タンクの直径は八十二メーターぐらい、こういうふうに考えております。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 これは大変大きなものになると思うのですね。直径八十二メーター、高さ二十二メーターですね。これは大変なものだと思うのです。ビルディングにこれ直すと大変なビルディングになると思うのですが、こういうビルディングを建築——まあ一般のビルディングですね、こういうものをつくるときには、どだい設計施工の段階から少なくとも監督官庁はこれに介入をして、相当深い検討の上でなければ認可を与えない、こういうことになっておるようですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  42. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在の消防法関係の政省令の規定におきましては、タンクの大きさに伴ういわば使用鋼材の基準というものは必ずしも明確に示されておらないというところに問題がございますので、今回私ども検討しております技術基準におきましては、タンクの容量、高さ等に応じまして使用鋼材の具体的な厚さの問題等につきまして、その基準を明らかにしていくつもりでございます。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 一般のビルディングでさえも相当厳しい設計段階からのチェックがあるわけでありまして、ましてこういう危険物を貯蔵していくタンクなどにおいては、まず最初の段階から、これはもうチェックをすべきだと思うのですね。そうすると、設計の段階からチェックをする、こういうように理解してよろしいのでしょうか。
  44. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 御指摘のように、設計審査というものは必要であるというふうに考えております。したがいまして、地質調査の結果を付して、その設計についての申請、これに対応する審査というものは行う必要がある、こういうふうに考えております。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 重ねてひとつ伺いたいと思うのですが、その設計審査の中には、地盤から、受け皿である底盤基盤、そういうものも全部含まれることになると思うのですけれども、この点はどうなんですか。
  46. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 当然にいま御指摘になりましたとおりの審査でございます。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、いろいろ政省令が出されると思いますけれども、それはどこが主体で、どの省でやることになりますか。
  48. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在の消防法規定によりまして、その必要な関係政令、関係省令の改正という形で消防庁が行うことになります。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、一定基準をつくるわけですね。その基準消防庁がつくられるわけですか。
  50. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) そうなります。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 宅地関係などの大団地を造成していく場合においては、これは県によってそれぞれ条例をつくってやっているようでありますが、新都市計画法などの定めによりまするというと、それぞれの地域の中で大規模宅地開発に伴う事前審査部会というものがある。ここには、たとえば千葉県などの例で申し上げるというと、農林、企画、水産、衛生、環境、土木、都市、教育、こういう関係のものが全部入っているわけなんですね。そして、一つの統制の中でこれは審議をされていきます。さらにまた宅地問題協議会などというものが次にあって、その機関に、宅地審査部会で事前に審査が行われて正式に要求が出てくるというと、その案件は宅地問題協議会にかけられていく。この宅地問題協議会というものがまた四十名近い関係部課長によって構成されている。そこで十分な審議を経た上でそれに対する認可を与えていく、こういう順序を経ておるのですね。住宅の団地というのはこれは人間が住むところでありまして、そしていわゆる住宅建設するという、そういうものにすぎないわけですね。こういうところでも実はこういう総合的な機関を設けてやっておるわけなんですけれども、この新しいコンビナート法ができ上がってくるというと、私は各省にまたがったいろんな問題がここに出てくると思うのです。さっきから指摘を申し上げているとおり、通産の関係と消防関係、自治省関係というものが、あるいはまた運輸省、港湾関係も全部入ってくると思いますけれども、そういうものが一つになって論議をし、責任ある形で結論を出していく、そしてその出した結論にそれぞれが責任を負っていく、こういう一つの機関なり、そういうものが常設されなければならぬと思うんですけれども、こういうようなものについてはどういうように考えられますか。
  52. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいま御指摘のように、たとえば石油の貯蔵基地というような大規模な危険物施設の集団がつくられるという場合におきましては、恐らく各府県あるいは関係の市町村におきましては、それに対応する、その内容検討をする機関というものについて、場合によっては議会の内部に設置されるものもございましょうし、それから知事部局あるいは市町村長部局の中に、学識経験者を集めて、そうした基地の問題について審議をする機関を設けていくというようなことは当然考えられるところであります。ただタンク設置という問題になりますと、これは一個のタンク建設する場合もございますし、いま申しましたような大きな備蓄基地的なものをつくるという場合もあるわけであります。それぞれの態様に応じまして、総合官庁としての府県あるいは市町村というものが、それぞれの判断に基づいて必要な検討を行うための機関は設置されるであろうというふうに考えております。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、これはまだその構想はできてないわけですか。この新しいコンビナート法というものの制定の意義というものは、縦割り行政というものに一つ大きくかぶせようじゃないか、そしてこれに対するところの行政の一元化なり総合化をしていこうじゃないか、こういうことで水島事件の例にかんがみて始まったと思うんですが、その問題が一番私は重要な問題になると思うんですけれども、そういう点について、なると思うがという程度を出てはいないんですか。
  54. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この法律で予定をしておりますのは、そうした備蓄基地ができ上がった後の防災組織というものにつきまして、防災本部を置いて防災計画をつくるというような内容規定がございますけれども、大きい備蓄基地等ができます場合に、それを総合的に検討をしていくという機関につきましては特にこの法律については考えておりません。むしろこの問題の扱い方につきましては、それぞれの府県、市町村の問題として、それぞれの地方公共団体が判断をしていく問題であろうというふうに考えております。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 そういうものは必要と思いませんか。総合的に関係各省がきちっと事前に企業から出てきたものに対する審査を行っていく、そしてそれに対する一通りの審査を終わった後で正式にレイアウトなり何なりが出てくる、そういうもので、きちっとそれに対するところのあとは認可を与えていく手順を追っていく、こういう総合的な機関というものが必要だと思いませんか。
  56. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この法律で予定をしておりますのは、高圧ガス施設、それから危険物施設の混在しております石油精製等の事業所新設されます場合には、この法律の五条にございますような届け出を待って、通産大臣、自治大臣がそれぞれ協議をして必要なレイアウト等についての規制を行うという規定がございますが、石油オンリーのいわゆる備蓄基地というようなものにつきましては、その適用される法律が消防庁関係でございますので、特にそうした中央におきますレイアウト等についての規制を行うという考え方はございませんで、むしろこの点は、その必要に応じた審議機関等につきましては、それぞれの地方公共団体の判断にゆだねていくということでいいのではないかと思っております。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 どうなんですかね。大変大型の基地をつくるんでしょう、いまの通産の方の説明によりますと。まあ十万キロリットルはともかくといたしまして、かなり大きな、巨大なタンク設置しながら、しかもその基地相当の大がかりなものになってくると判断しなければならない。十万キロリットルのものであっても三百七十ぐらい必要だと、こうなってくると、一カ所でそれはできるわけじゃないわけなんです。全国の海岸地帯なり、あるいは適当な台地なりにそういうものをつくっていくことになると思うんです。市町村だけでそういうものがいろいろ計らい切れますか、実際問題として。私はやっぱりこれは地域段階の審査も必要と思いますけれども、また、地域段階における住民の皆さんや多くの市民の協力なくしてはこれはできないと思うけれども、問題はやはり最終的な、そういうものをつくっていいのか悪いのかという判断をやる能力を持つ機関というものは中央でなきゃできないんじゃないですか、これだけの大きなものは。しかも、国の備蓄政策のもとに行っていくという、そういう政策的なものは、中央機関でもって考えられないということは私はちょっとあり得ないと思うんですが、この点どうですか。
  58. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) こうした大規模な備蓄基地等がつくられます場合には、当然にその基地立地段階におきまして、各府県なりあるいは市町村なりが、その必要な対策、あるいは内容等についての検討を行う機関等は設置されることであろうというふうに考えます。その場合に、恐らくその府県なり市町村なりが判断に非常に困るというような問題につきましては、適当な学識経験者を集めて、そうした学識経験者の意見をもとにして必要な対策を講ずるというようなことになるであろうというふうに考えますし、また必要があれば、私どもなり通産省の方にも必要な協議が行われるであろうということが考えられるわけであります。そうした基地の具体的な立地計画段階におきまして、それぞれの地方団体の判断に基づきまして、私ども相談に応じてまいりたいというふうに考えております。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 この高圧ガスなんかのいろいろ保安関係審議会とか、いろいろあるようでありますけれども、私がいま言っているのはそういう内容ではないんです。もっと事前にこれをチェックする、そういう能力を持つものでなきゃならない、こういう意味のことを言っているわけであります。  なお、この問題については、私は若干これから少し問題点があると思いますので、保留をさしておいてもらいたいと思います。そして同時に、これはいま申し上げたことは、これからの備蓄政策を中心として想定されるいろいろな問題を中心としてまいりました。言いかえてみれば、これから設置されるタンクを中心にして考えたことでありますけれども、今日までの実は大変大きな全国の石油基地があるわけでありまして、こういうところに対する管理、保安というものについては、これから非常に問題がたくさんあると思うんです。これから将来のものに対する規制は厳しくできるでありましょうけれども、いまのものについてどうするか、こういう問題が一つ出てくるわけでありまして、これらにつきましては、明日川崎地区の視察等も決定されておりますので、これらを視察した後でいろいろと意見も申し上げ、あるいはお伺いいたしたい、こう考えますので、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  60. 森下昭司

    森下昭司君 この機会に、提案をされました石油コンビナート等災害防止法案についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  いま赤桐委員からも御指摘になりましたように、この法案が提出をされました大きな背景は、水島の事故を契機にいたしまして急速に高まってまいりましたコンビナート防災災害防止という国民の世論の期待にこたえるために提案をされたのでありますが、出されました内容を見てみますると、いま赤桐委員指摘をされましたように、既存のそれぞれの法律を、言うならばつないで補完的な役割りを果たしているにすぎないというように私ども判断せざるを得ないのでありまして、やはり行政の一元化というたてまえからまいりますれば、言うならば抜本的な総合的な災害防止法等が立案をされるべきが当然ではなかったかと思うのでありますが、最初に、この法案の立案に当たっての基本的な態度についてお尋ねいたします。
  61. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいま御指摘になりましたような、大きなコンビナート地域についての防災体制を完全に一元化をしていくというようなことになります場合に、その総合立法を行うということになれば、確かに、行政の一元化という観点から見ますならば、そうした立法関係も一元化をし、そしてまたそれを取り扱う官庁も一本にしてしまうということが望ましい姿であるというふうに考えられるわけでありますけれども、現在石油コンビナート地域におきまして、そこで取り扱われておりますいろいろな物質の関係を見ますと、現在は通産省、厚生省、労働省あるいは自治省というふうにそれぞれ所管が分かれております。さらにまた、それに対応する規制立法も、高圧ガス取締法なり、あるいは毒物劇物取締法、あるいは労働安全衛生法、あるいは消防法、こういう形に分かれておるわけであります。こういうように、所管をする官庁が分かれ、さらにそれを規制する法律が分かれております場合に、これを完全に一本化をしていくということは、現在の状況から見ますならば、数カ月の短時日をもってこれを一元化するということはとうてい不可能であるというふうに考えられるわけであります。  そしてまた、これらの法律がそれぞれ規制しておりますのは、石油コンビナート地域におきますいろいろな施設のいわば単体的な規制という面がいまの法律による規制でございます。したがいまして、私ども考えましたのは、これらの個別的な規制というものを、全体をひっくるめたいわば面的な規制というものをこの法律で行う、個別規制の足らざる部分を補完をしていく、こういう形で立法をいたしますれば、その立法も比較的短い時間にでき上がるし、そしてまた防災上から見ましても、一元化した行政よりはやや複雑な手続になりますけれども防災体制としては何とかまとめることができるのではないかというような観点からこの法律の立案に当たったわけであります。  もちろん、この法律を扱う役所が違ってまいります点は企業側から見ればいろいろ不便な点もあるわけでありますけれども、できる限りその実際の扱う行政段階におきまして体制を一元化していくようにいたしたい、こういう観点から、できるものからそうした防災体制の一元化を図っていくという方式で立案をいたしたということになるわけであります。
  62. 森下昭司

    森下昭司君 いまのお話を聞いておりますと、要するに、総合立法する場合には相当の時間が必要なんだということを前提といたしまして、とりあえず補完的な役割りを果たす本法律案を提出をしたということになるわけでありまして、いわば衆議院の予算委員会における総理大臣の答弁を実現をいたしますために、言うならば拙速主義で、いわば私どもの言葉で言えば間に合わせ的な要素というものが多分にあるような実は感じがしてならないのであります。時間をかければ、一体、いまお話がありましたこの単独の各立法を一元化して、そして言うならばコンビナート災害防止の総合立法をすることができるのではないかと逆に考えざるを得ないのでありまして、いま、将来に向かってそういう単独立法の補完的な本法案のようなものではなくって、総合的な立場に立った総合立法をなさるお考え方があるのかどうか、これを重ねてお尋ねいたします。
  63. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 相当に長い期間をかけるならばあるいは可能であるというようなことも言えるかと思いますけれども、現在のように役所が分かれており法律が分かれておるというようなものを一本化していくということのためには、その人的な問題等も含めまして、一体どこに一元化をしていくのかというような問題もあるわけでありまして、これは相当期間必要であろうというふうに考えます。むしろ、コンビナート地域の所在する末端においてこの行政が一元化をしていくような体制にまず持っていくということが望ましいのではないだろうかというような考え方を私どもはとっておるわけであります。ただ、末端における行政を一元化をするということになりましても、コンビナート地域が所在しております場所が、非常に大きい都市から非常に小さい田舎の町まであるわけでありますので、これらを末端の行政において一元化するにいたしましても、人的な面、技術の面等から見まして、非常に問題がまだ残されておるというような感じを持っております。
  64. 森下昭司

    森下昭司君 考え方としては一応うなずくことができるのでありますが、特にまた今回の法律案にいたしましても、通産大臣並びに自治大臣の共管事項というものが非常に多いわけであります。具体的には四十六条で「主務大臣」の規定というものがございますが、三十一条三項の防災計画の提出だとか、三十九条の「報告の徴収」だとか、四十条の「立入検査」、その他もろもろのものがございますが、この一つの法律案、提案をされましたこの法律案を見ましても、行政一元化とはほど遠いような実は内容になっているわけでありまして、長官の言葉じりをとらえて恐縮でございますが、地方末端組織の云々という御説明がございましたが、まあ防災本部を設けてやっていくということが一つの一元化への改善の跡というものと見受けることができるのであります。しかし、きょう配られました石油コンビナート地帯防災対策要綱、これは昭和四十五年の十二月に消防庁がお出しになったものでありますが、むしろこの法案の中の防災本部は、この対策要綱の防災会議を、言うならば拡大と申しますか、そして法的な裏づけをしていくというふうにとどまっているのではないだろうかという感じを私は実は持つわけであります。  そこで、森岡消防庁次長にお伺いいたしますが、あなたは最近の雑誌「地方自治」八月号だったと私記憶をいたしておりますが、その中で、いまの長官と同じような趣旨を述べておみえになるわけであります。たとえば「各法規を根本的に整理統合して各省庁の権限と責任を一元化したコンビナートの保安防災の総合立法を行うということになると半年や一年では到底不可能であり、」と、この「半年や一年」というのは長官は抜かしておみえになりますが、あなたが半年や一年でないと言うならば、一体いつまで待ったら総合立法が行えるのか、具体的にお答えをひとついただきたい。「当面急を要するコンビナートの災害防止には間に合わない。」とも言っておる。これは、先ほど私が申した、予算委員会における総理大臣の答弁を裏づけするために、間に合わせ的に補完的な役割りをする立法を行ったということを裏づけしておるのではないかと思います。このあなたの雑誌に載った論文について所感をまず最初にお伺いすると同時に、いつまで待ったら総合立法をあなたはできるとお考えになってお書きになっているのか、お尋ねいたします。
  65. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 個人的な雑誌の寄稿でございますので……。
  66. 森下昭司

    森下昭司君 いや、あなたはちゃんと消防庁次長という名前書いてあったぞ、個人じゃないぞ。
  67. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 「半年や一年」と書きましたのは、別に深い意味で書いておるわけではございません。
  68. 森下昭司

    森下昭司君 そんな無責任なことではだめだ。
  69. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 短期間では困難だという趣旨で書いたつもりでございます。  それと、私そこで特に言いたかったのは、何を一番最初に取り上げる必要があるかということを強調したかったわけでございまして、やはり、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、個別法規により個別官庁あるいは都道府県、市町村がそれぞれやっておる、それはそれなりに大変効果を上げる面もあるわけでございますけれども、その連携プレーが十分できてない、そこのところをやはり緊急を要する課題として取り上げる、そこのところをこの法律の立法の主眼として考えるというつもりでございますので、お言葉を返すようでございますが、間に合わせ的という気持ちでは毛頭ないということを御了承願いたいと思います。
  70. 森下昭司

    森下昭司君 その前段で、あなたはちゃんと、法案の提案の基本的態度の問題についてもお述べになっておるんです。たとえば、「既存の保安法規や防災法規のすべてを統合したコンビナート防災の総合立法とすべきであるという考え方と、既存の各法規に欠けている点だけをとり出して特別の規制を行う立法にとどめるべしとする考え方とがあろう。」と言っているのです。これは私は、消防庁が主体になりまして、通産省等も御協力願う、あるいは運輸省だ、あるいは国土庁だ、あるいは労働省だ、すべての関係した省庁が協力いたしましたときの一つの消防庁の基本的な考え方が述べられていると思います。消防庁考え方の中には、できれば行政一元化というたてまえに立って、既存の保安法規や防災法規のすべてを統合したコンビナート防災立法をすべきであるという考え方があったことも否定できない事実だと思う。現に長官も、年月をかければそういった総合立法はでき得る可能性もあるというようなことのお話がいまあったわけでありまして、だから私は、それを総体的に物を見れば、国会における総理大臣の答弁等から、間に合わせ的、駆け込み的な要素があったんじゃないかという点を実は指摘をいたしたわけでありまして、将来問題としての構想というものが私はやはりなければならぬと思います。このままで結構です、万全ですとは言えないわけです。そういう点で私は申し上げたのでありまして、できれば次長からも、これお書きになったのですから、総合立法的なものを出す用意を考えておったんだということも基本的にあったんだと、しかし結果においてはこうならざるを得なかったんだということであるならば、正直に私はお答えいただいていいのではないかと思います。
  71. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 基本的な方向といたしましては、そこでも書いておりますように、総合的な防災対策を確立するための立法あるいは行政体制というものを確立することが望ましいということは私も考えております。ただしかし、先ほど来申し上げておりますように、いろんな問題を抱えておりますので、この際やはり緊急を要する部面について措置をするというところに重点を置いておる、こういう趣旨でございます。
  72. 森下昭司

    森下昭司君 これはもう大臣に重ねてお尋ねしますが、緊急を要する問題にとどめて当面立法したという趣旨なんですね。緊急なんです。将来恒久的なものはどうなるのかということなんです。その点について所見をお伺いします。
  73. 福田一

    国務大臣福田一君) 行政の問題でございますからして、どこの省があるいはどこの局がどういうようにしてやっていくのが一番いいかということになると、全体としていろいろ考えなければならぬ面が出てまいります。全部を一カ所で統轄できればもう一番いいわけなんですが、事実問題としてはなかなかそうはいかない、またかえってそれが能率を落とす場合もありますから、ある程度分けるということも私は意味があると思います。しかし、防災という面から今度はあれを当ててみますと、いろんなところにこう散っておるものを、それを全部集めてやれればこれまた一番いいんですが、しかしそれは、政府委員がいままで答弁しておりましたように、いまここで急にそれを言ってもなかなかむずかしい。そこで一応さしあたりの、すぐにこれやらにゃならぬわけですから、これは私が衆議院の予算委員会で江田さんから御発言があったときに、確かに、何といいますか、石油化学に関するような問題については、余りにも模倣をしてやってそしてこちらの研究が足りない面がありましたから、まあ先見性がなかったことは残念だということを申し上げたわけなんですが、とにかくいずれにしても、そういうことをいまここで急に全部をまとめるということはやろうとしてもなかなか困難であると私は思います。  そこでさしあたりという言葉を使うわけなんですが、ここでやりますが、しかしやっている途中でも、本当を言うと、法律もさることながら、現実にたとえば一つのタンクをつくる場合でも、埋立地でつくる場合と、先ほど森下さんからも御指摘がありましたけれども、陸地でつくる場合、いろいろの場合によってずいぶん違うと思うんですね。法律の条文の適用自体についても、やはり生かして使わなきゃいけないんじゃないかという感じが私はいたしておるのであります。いずれにしても、これはこれでやりまして、そうしてやったといっても、これが全部、通産省が言っているこの九十日の備蓄をやるのに、全部一年か二年でやれると私は思わないんです。また日本のようなこの狭いところで、そう簡単にもうそういういい場所があるかどうかということも非常に問題です。しかし、まあ一部には海の中でやったらいいじゃないかという説もあるが、これも魚族に与える被害とか、そういう問題を考えたら、なかなかそう簡単じゃないということもありますが、まあさしあたりこれだけのことはどうしてもやらにゃいかぬということを決めて、そうしてまたあと場合によっては追加する場合もあり得るというような考え方でありまして、あなたのおっしゃるように、本当は総合的に全部いろんなことをまとめてやるのがたてまえとしては私も賛成でありますが、まあこの場合はひとつこの程度のことでやらしていただいて、また問題があれば、そのときに改めて考えると、こういうことよりほかに、防災というものでありますだけに、われわれとしてはやり方がなかったと、こう御理解を願いたいと思うわけであります。
  74. 森下昭司

    森下昭司君 一応そういう考え方というものは理解するにやぶさかでありませんが、特にこの一元化の問題につきましては、地方公共団体の側から非常な希望と要望が強いところであります。衆議院の地方行政委員会における参考人の意見聴取におきましても、出席をいたしました地方公共団体の代表すべて、千葉県の副知事、堺の市長、川崎市の消防局長などから強く意見が出されているところでありまして、特に横浜の国立大学の井上教授は、関係いたしておりまする通産、自治、運輸、労働、厚生などの各省庁関係者が出向して安全庁をつくってみたらどうだという実は提言も述べているわけでありまして、将来の一つの私は参考にしていただいて御検討をいただきたいと、かように希望をまず最初に申し上げておきます。  いろいろ長官や次長からお話がありましたが、今回のこの提案の中におきましては、陸上において発生いたしました事故及び災害による被害を海上に波及させないという立場に立って立案が行われているようであります。しかし現実には、先ほど赤桐委員指摘いたしましたように、コンビナート地帯というものは、主として海を埋め立てました臨海工業地帯といいますか、臨海部につくられておるのが大半でありまして、陸上及び海上、特に港湾と一体となって事故発生防止のための規制及び災害防除体制というものを総合的に確立する必要があるというのが一般の定説になりつつあると思います。特に最近は非常に港湾との関係が深く言われでおりまして、大型タンカーが喫水、水深ぎりぎりで入ってくるというようなことで、言うならば、大型タンカーの埠頭と石油タンクや製油工場との距離が近過ぎるというような工場立地等の条件から問題が多いということが言われておるわけであります。にもかかわらず、最初申し上げているとおりに、今回はそういった点についても触れられていない。しかもそれはすべて運輸省に任せる。運輸省は海上交通安全法ですか、あるいは何か今度新しい立法をお出しになるようでありますが、そういうようなやり方は、私は行政の一元化というたてまえから見ましても問題が残りますし、また水島事故のような事故が発生をいたしました場合にも問題が残るような感なきにしもあらずでありまして、片手落ちの防災対策ではないかというような感じがいたしますが、なぜ海上面における防災体制というものについて考慮を払われなかったのか、この点について理由を明らかにしていただきたい。   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
  75. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 確かに御指摘のとおり、コンビナート地域における災害というものは、陸から出てくる場合もありますし、海から出てくる場合もあるということはそのとおりだと思うのです。したがいまして、この法律の立案の段階におきまして、海上の問題についてどういうふうな考え方をとるべきかということにつきましても検討を進めていったわけでございますけれども、現在の地方公共団体の組織、権限というものは、海域の問題につきましては非常に不得意な面が多いわけでありまして、大体海上の問題は運輸省の方が所管をしているというような形になっておるわけでありまして、地方公共団体の権限が及んでおりますのは、いわば港湾区域というところにある程度の行政権限が行使されているというような形になっております。したがいまして、運輸省の方ともこの点につきましての相談をしたわけでありますけれども、運輸省の方としましては、このコンビナート防災法の立法の前国会におきましてのいわば会期等の関係からいって、期間的にも海上問題を検討するには時間的余裕もない、したがって運輸省としましては、次の通常国会を目標にして、海上防災法といったような海の防災関係の立法を準備をする、こういうことにして、とりあえずこの陸上の問題を中心にしたところの防災立法を行ってもらいたい、こういうような相談にいたしました。  そういうことで、運輸省が現在海上防災法につきましてのいわばワーキンググループをつくりながら、いま作業を進めてもらっておるわけでございます。この作業が進みました段階におきまして、どうしても陸と海との接点についてどういう扱い方をしていくかという問題は当然問題になるわけでございますし、特にこの港湾区域におきまして、消防と海上保安庁とのいろいろなその協力関係というものは、当然にこれは考えていかなきゃならない問題でございます。その段階におきまして海の問題は十分検討していきたいというふうに考えておるわけであります。  ただ、この法律におきましても、先般の水島災害のように、陸から海に被害が大きく及んでいくというような事例から見まして、できるだけ陸の災害は海へ及ぼさないというような体制をとらせる、こういうつもりである程度海上の面につきましての規定もこれに設けておるわけであります。
  76. 森下昭司

    森下昭司君 いまお話があったわけでありますが、たとえば港湾区域内における管理というものは港湾管理者の責務でありまして、それから港湾管理者もまたみずから、消防艇でありますとかいろんな消防に関係いたしまする対策というものは準備をいたしているわけであります。私は、全国的にはわかりませんけれども、大体現在のコンビナート基地は、ほとんどがいずれかの港湾区域内に所属するものが大部分である。港湾区域外に存在をいたしますものはほとんどないと言っても過言ではないだろう。たとえば鹿児島の日石の喜入なんか等は、これは港湾区域と若干の相違があるかもしれませんけれども、ほとんど主要な大都市に接近をいたしまするコンビナートというものは港湾区域内にあるのではないだろうかというふうに考えておるわけでありまして、いま御説明がありましたように、海上保安庁の問題があるかとも存じますが、   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕 やはり少なくともそういう港湾区域内においては港湾管理者の責務というものは明示されているわけでありますから、やはり港湾管理者との関係において、この法律案において何らかの規定というものが必要ではなかっただろうかというふうに私は考えているわけであります。この問題につきましても、先ほどの当面緊急という前提のもとで考えるならば、将来のひとつ検討事項として御検討いただいておきたいと思うわけであります。  それから、ただいまも赤桐委員から相当いろんな点につきまして、タンク構造だとか、保安点検の問題だとか、保安距離を初めといたしましていろんな問題について御質問がありました。これは非常に私重要だと思うのでありますが、こういったいわゆる点検だとか検査だとかあるいは構造規制だとかいろんな問題が、本法律案の中で、たとえば高圧ガスタンク高圧ガス取締法、石油タンク消防法でありますが、言うならば法律の規定から除外をされまして、政令、省令に委任をされる、ゆだねられているという点が非常に多い点について、私ども非常に不満の意を表せざるを得ないのであります。  先ほど長官から御説明のありました保安距離の問題にいたしましても、あるいは構造チェックの問題にいたしましても、私はやはり政令、省令に任せるということはいささか問題が残るのではないだろうかというような感じがいたしますが、こういった問題についての基本的な考え方、たとえば、タンクの鋼材についてはどういう材質でどれ以上のものはというふうに本法で規定して、あと具体的なそれに基づいたものを政令なら政令、省令に任せるというようなことにいたしませんと、一つの基準、標準というものをただ単に政令に任せることによって果たして万全を期することが可能かどうか、非常に私ども率直に言って疑問を持たざるを得ないのでありまして、政令、省令にすべてを任していくという考え方が妥当かどうか、その点についてまたこの機会にお伺いをいたしておきます。
  77. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) タンク構造基準というような問題になりますと、非常に内容的には技術的な問題になってまいります。それにまた、私どもの政省令自体の改正が、非常に現在のコンビナート地域の巨大化に追いついていかなかったという点にも問題がございますけれども、そうした企業の設備内容というようなものが非常に速いテンポで進んでまいっております。そういう意味におきましては、政省令の規定においてそれぞれの時代に即応した規制がとれるような形にしておきたいというような観点であるわけでございます。ただ、これが政省令であるからといいまして、別に規制について弱い強いというような問題はないわけでありまして、あくまで法律の規定に基づく政令、省令になるわけでありますから、当然の規制についての強さという点におきましては同じでございます。非常に技術的な問題であるというような観点で政省令の規定にゆだねておるということだと思います。
  78. 森下昭司

    森下昭司君 そこで、また再び申しわけありませんが、森岡次長の文をちょっと引用さしていただきますが、先ほど長官赤桐委員に対しまして、タンク地盤構造上の問題あるいはタンクのその構造、それから保安点検、すべてのチェックの検査機関が必要だ、検査が必要だ、その検査はどこがやるんだというような御質問がありました。そのときに、所管官庁は消防庁だと、それからその法的根拠については消防法規定でやる、そして、その規定に基づいて政令、省令の改定を行えばいいじゃないか、いわばそういう趣旨だったと思います。  そこで最初にお尋ねいたします。消防法規定でやる場合には第何条をお使いになりますか。
  79. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 消防法の十条四項におきまして、「製造所、貯蔵所及び取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、政令でこれを定める。」とこうなっております。この政令におきましてタンク構造に関する各種の保安規制規定を定めておるわけでございます。
  80. 森下昭司

    森下昭司君 私の聞いておるのはそういうことではございません。私の聞いておるのは、そういう政令で定めたものをチェックするための検査機関というものなんです。検査機関。それは先ほど監督官庁は消防庁だと言うから、検査を何条でやるか。もう一遍言いますよ。先ほど法律はと言ったら消防法規定だと言う。省令、政令を改定してやらせますと言う。だからぼくが、検査機関としてのチェック機能を発揮できる法的権限として消防法をお使いになるなら、第何条をお使いになりますかと聞いている。これは構造上とか、いろいろな規定なんですよ。これは検査する検査機関の法的規定はどこにあるかと聞いている。
  81. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 現在、消防法に基づきまして、タンク設置につきましての許可権限が市町村長に機関委任されております。この規定消防法の十一条に定めておるところでございます。  問題は、先ほど来種々お話がございましたように、現在の政省令をかなり強化をいたしまして、技術的な細目を定めてまいりたいと、かように考えておるわけでございますが、現行法のままでありますと、当然市町村長がこの許可権限に基づきまして検査をするわけでございます。ただ、細かい細目を定めてまいりました場合に、市町村の職員が技術的にこれに対応できるかという問題が実はございます。それにつきましては、私どもまず第一義的には市町村の職員のレベルアップをぜひ考えていきたい、かように考えますが、大都市あたりになりますと相当数の技術職員も持っておりますので、かなりなことを検査ができると思いますが、町村部にまいりますと実は若干心もとないと言わざるを得ないと思います。それにつきまして、やはり検査を十全に行いますためのいろんなシステムを考えていかなきゃならぬだろう。それにつきましては消防法の改正を含めまして検討してまいりたい、できれば次の通常国会において考えたい、ということでいま検討を進めておるところであります。
  82. 森下昭司

    森下昭司君 消防法の改正でやるのが妥当か、単独立法でおやりになるのが妥当か、それはまた問題がありますが、これは長官の答弁が間違っているんですよ。最初赤桐委員消防法規定でおやりになると言ったんでしょう。省令、政令の改正を行うと。いま次長は消防法は改正しなくちゃいかぬと言っているんですよ。必要だと言っているんです。議事録を後で調べて間違いなら間違いで後でやってください。これはいまあなた次長が書いたとおりですよ。「点検及び検査を適確に行うには高度の技術的な知識と経験を要求される。大都市の消防機関は別として、中小市町村ではこのような技術をマスターした職員を十分に確保することは現実には相当の困難をともなうこととなろう。したがって、この際、石油タンク等の基礎及び本体の設計、施工段階における審査及び検査と使用開始後の定期的な保安点検を適確に行い得る技術的な機能を完備した保安検査機構を設定し、この機関に法的な権限を付与する」、だから消防法の改正をせざるを得ないということになる。  私は最初に意地悪い質問をしました。消防法のどこの規定をお使いになりますかとお聞きしました。すると、消防法の改正をしなくちゃならぬ。消防法の改正をしなければ、今度は逆に単独立法をつくって、そういう検査機関の裏づけをする法律をつくらなくちゃならぬ。どっちをおやりになるかとぼくは聞こうと思った。次長は、消防法の改正でいくつもりだと。ちょうど高圧ガス保安協会と一緒ですね。高圧ガス取締法の中に高圧ガス保安協会の規定がある。特殊法人ですよ。高圧ガス取締法の保安協会と同じような性格の特殊法人になさるんですか、重ねてお伺いします。
  83. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 先ほど赤桐委員にお答えいたしましたのは、現行法の規定に基づいて、そうした設計、審査等を行うというのは消防法規定に基づいて市町村長が行うということになるわけであります。ただ、こうした検査を行います場合に、市町村長がその検査を行うという現在の規定からしまして、技術基準が非常にむずかしくなってくるということになりますと、現実問題としてなかなか処理し切れないという場合が出てくる。その場合に、市町村長にかわってそうした検査を行うという方式を考えるということになりますと、消防法の改正が必要である、こういうことでございます。
  84. 森下昭司

    森下昭司君 大臣にちょっと念のためにお伺いしておきます。いま長官及び次長は、消防法の改正でいきたいというお考え方を示されておりますが、そういうふうに理解しておいていいですか。
  85. 福田一

    国務大臣福田一君) ごもっともな御質問なんですが、実を言うと、その場合国がやるのがいいのか、何か特別の機関をつくってやるのがいいかということをいま実はわれわれ検討をいたしている段階なので、この席ではちょっとお答えできませんけれども、しかし、急を要しますので、通常国会には必ずそれは出す意図でいま研究をいたしておる、こう御理解をいただきたいと思います。
  86. 森下昭司

    森下昭司君 いま大臣の御答弁でもちょっとはっきりいたしたわけでありますが、私は先ほど高圧ガス保安協会の特殊法人でいくかという御質問に対しましてのお答えがなかったんでありまして、大臣がいまどちらにするか、国が直接やるか、あるいは何らかの機関を設けるか——機関と言いますか、何らかの機関に委任するか、どちらかにしたいというお話でありますから、これは検討事項としてやっていただきたいという希望だけにしておきます。  この際でありますから、もう一点。先ほどの長官の答弁で、また言葉じりをとらえて申しわけありませんが、赤桐委員の質問で、許認可の問題についてその判断は市町村ででき得ないじゃないか、地方で何らかの診断委員会的なものを設けたらどうだというようなお話があったわけですね。最後は学識経験者を集めまして、市町村が判断に困る場合は相談に応じるというような御答弁があったわけでありますが、森岡次長ははっきりとこれ言っているんですよ。実際問題として防災診断委員会というものを設けろと言っている、学識経験者でですね。そして、防災診断機関を置いて、「一定の診断基準にしたがって事業所全体の防災診断を実施し、これに基づいて企業に対し安全確保のための措置を講ずるよう指導をすすめるシステムを確立する」、こう言っておみえになるんですね。その裏づけとしてさらに、従来、消防庁におきましては、過去に防災診断委員会というものを設けて、事実そういう問題についての御検討が進められておるんだということも書いておみえになるんですよ。とすれば、私は赤桐委員の御質問に対しまして、率直に過去の防災診断委員会をさらに発展をさせて防災診断機関——これはもう法的裏づけはどうのこうのと私は申しません。それほどむずかしくは申しませんが、少なくとも赤桐委員が御指摘されましたように、市町村において限界を越えるような問題については、長官が判断をひとつ示される場合に諮問的なものを設けてもいいのではないかと思うのでありますが、この点について重ねて質問をいたします。
  87. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在、既設の石油コンビナート地帯について、特に一般住民の居住地域との関係考えながら、そのコンビナートの事業所防災体制というものが適当であるかどうかというような、その防災診断をするための診断基準というものの作成をいま急いでおるのでございます。これは、昭和四十九年度から設置をいたしまして、本年の八月ごろに一応の試案を取りまとめ、さらに、その試案に基づきまして、具体的なコンビナート地域についてその試案が適当であるかどうかということのいわば最終段階検討をいま行っております。この防災診断基準というものを大体今年度中に策定を完了いたしまして、これを市町村の方に示していきたい、こういうことでいまやっておりますのがその内容防災診断委員会というものでございます。
  88. 森下昭司

    森下昭司君 そこで、今後改正をされると予想されまする政令の中で、危険物の屋外タンクに対する保安基準強化の概要の中で、特別防災区域に存する屋外貯蔵タンクは、敷地境界線までの間に原則として最低五十メートルの距離を確保するということが実は書いてあるわけであります。しかし私は、この五十メートルで果たして大丈夫かどうかという問題が一つ問題になるのではないかと思います。これは過去に四日市における大協石油の火災におきまして付近の民家に延焼いたしました実例がございます。それから、高圧ガス関係におきましては、これは、私から申し上げるまでもなく、出光の徳山工場の火災を初めといたしまして、全国各地に火災が多発いたしておりますが、出光の徳山の場合は、三百メートル離れておりましたところに住民が立ちましてもいわば顔がほてったというぐらいなんです。  このいわゆる距離というものは、森岡次長の論文をまた引用して申しわけございませんが、輻射熱云々という一つの規定がございますが、やはり私は、非常に火災の問題についてのいわゆる熱、火の粉、煙というようなものを考えてまいりますと、石油タンクで五十メートルというのは、いささかこれは保安距離としては短いような感じがなきにしもあらずと思います。したがって、最低五十メートルという表現でありますが、やはり行政指導をいたします場合に、五十メートルという規定がありますれば、それ以上のものを期待することは非常に困難な状況にある。特に、日本の工場立地条件、つまり土地が狭くて密集しておるというようなことからまいりますと問題が残る感じなきにしもあらず。という点について、五十メートルをさらにもう少し距離をとっていく必要があるのではないだろうか。私は、防災遮断緑地帯設定の提案は非常にいい提案だと思うのでありますが、これは義務設置ではなくして、言うならば任意設置の形になっているわけであります。というようなことを考えてまいりますと、やはり市街地とコンビナートとを遮断する、言うならば基本的には離していくということが必要なわけでありますから、五十メートルの保安距離では非常な不安を感ぜざるを得ないのでありますが、この点について所感をまず最初にお伺いいたします。
  89. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) これは、お手元に差し上げております屋外タンクの保安基準の政省令の改正概要というところに記載してございますが、この保安距離と申しますものは、事業所の敷地内にとります安全距離でございます。これを最低五十メートルということでございますが、大きいタンクの場合につきましては、そのタンクに収容されております危険物内容に従いまして、たとえばガソリンを収容しておりますタンクの場合には直径の一・八倍、それから灯油、軽油という場合には直径の一・六倍、それから重油等の場合には直径の一・〇倍、こういうような基準が具体的につくられておるわけであります。さらに、こうした一・八倍の距離が五十メートル未満のものであっても五十メートルを確保させる、こういう規定でございまして、石油コンビナート地帯のような大きいタンク設置されております場合には、タンク直径による保安距離というものが先に働いてくるであろうというふうに考えております。これはその論文にもありますような輻射熱からの計算で、これによって木造家屋というものが十分に安全な距離というものを算定したものでございます。
  90. 森下昭司

    森下昭司君 これは、お互いにすれ違いの議論になるような形になると思います。一つ一つ、ケース・バイ・ケースで、実地に現地を見てみませんと、タンク周辺における住宅市街地の構成要件等も判断をする基礎に入ってまいります。  それから、私は、防油堤に関する政令の改正が行われておりますが、タンクが一つの場合は、一一〇%以上の容量ということで、非常に改正の前進が見られると思うのです。ところが、二以上の場合は、タンク周辺に設けてあるものについては、当該タンクのうち、その容量が最大であるタンクの容量の一一〇%以上とするということになりますと、たとえば十万、十五万、十万というふうに三つあるといたします。十五万一つの場合には、一一〇%ですから、少なくとも十六万五千トン以上の容量ということになる。ところが、これが三つになりますと、十万トンの一一〇という計算になりますと、これは一一〇で十一万トンになりますね。そうしますと、実際、ここには三十五万トン入っておりますが、実際には二十七、八万トンしか入れ得ないというような想像が成り立つわけであります。全体といたしまして、単独のタンクの場合には規制強化されたことは非常に歓迎をすべきだと思うのでありますが、二以上の複数タンクの容量になりますと、従来のように、防油堤全体で油を防ぐことはでき得ない。防止堤があるじゃないかというようなお話になるかとも存じますが、私は、やはり基本的には防油堤で阻止をしていくというような考え方に立って問題を考える必要があると思うんでありますが、この点について、二以上タンクの場合の規制緩和はどうして行っていくのか。むしろ三十五万トンの容量があれば、少なくとも三十六万トンのいわゆる防油堤の容量を持つべきではないかというふうに思うんでありまして、この点に対する考え方をお尋ねいたします。
  91. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 二以上のタンクを収容した場合の基準が、これでは必ずしも緩和されたわけではございません。後の方もごらんいただければわかりますけれども、防油堤の面積制限もいたすようにしたいと思っております。したがいまして、一つの防油堤の中に三十万キロリッターとか四十万キロリッターを入れるということはやはり安全上非常に問題がございますので、一つの防油堤の中に入れるタンクにつきましても同時に制限を加えていきたい、こういうふうに考えております。  また、防油堤の中に設置されておりますタンクが、同時に全部油が漏れるということはまず考えられないというような観点から、最大タンクの容量というものを基準にいたしまして、その一一〇%ということにいたしたものでございます。
  92. 森下昭司

    森下昭司君 そういうことでありますれば、この政令の防油堤に関する三項の事項の四号に、「収納するタンク基数、収納量等についても制限を設ける。」と書いてありますが、具体的に私は数字を明示する必要があると思うんです。そこに政令、省令に任しておれない一つの基本的な問題が出てくるわけなんです。これは私の希望意見として申し上げておきます。  それから、いまお話がありましたように、二以上のタンクが同時に亀裂を生じたり、あるいは破裂をしたり、あるいは爆発を起こすということは想像できないというお話でありますが、それは全く私は暴言だと思うんですよ。少なくとも、いま盛んに巷間言われておりますことは、単なる火災だとか事故ではなくて、地震対策ということが非常に叫ばれているんですよ。これは、地震が起きれば同時に二つ以上のタンクが油が漏れないと保証できますか。
  93. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在のタンクあるいは防油堤その他配管等の設備内容につきましては、昭和三十九年の新潟地震というものにおきます地震災害の場合の経験を生かしまして、それに対応する構造内容というものにいたしておるのでございます。そうした構造の改善に伴いまして、その後におきます十勝沖地震というようなものに遭遇いたしました場合におきましても、改造したものにつきましては十分耐えられておるというような状況にございます。  ただ、それ以上の大きい地震が来たらどうなるかということになりますと、これはまだ具体的なそうした地震の経験がないわけでございますので、これでもう大丈夫だというようなことは言い得ないわけでありますけれども、大体いままでの大きい地震の経験から見て、まず通常考えられる構造は持っておるというふうに言えると思います。  なお、また防油堤というもののほかに、流出油防止堤という外郭の防油堤をつくらせるということにいたしております。まず、地震の場合におきましてもこの措置によって十分ではないだろうかというふうに考えております。
  94. 森下昭司

    森下昭司君 これは十分に予防対策を講じることもいいことには間違いございません。したがって、私はやはり慎重に問題を考えていった方がいいのではないだろうかというふうに考えております。  時間がありませんので次の問題に進みますが、私はこの政令の中で、「特定事業者に係る災害予防」に対する対策の項がございまして、そこの自衛防災組織防災要員の点についても、明確な人間の数というものは明示されていないわけなんですよ、「必要な人員」という表現でありまして。あるいはこのいただきました「石油コンビナート等特別防災区域の概況」等を見てみますると、この規模、つまりコンビナートの油とかガスとかの貯蔵量あるいは面積規模、それから種類など、コンビナート自体は全部それぞれ違っておるわけであります。ところが、その自衛のいわゆる防災資材に至りますともう千差万別ですね。あるところは油回収船がある。それはもう本当に数えるほどしかございませんが、何百万トンというような大規模な石油タンクを中心としたコンビナートで全然油回収船がないというところもあるわけです。あるいは、火災に対しまするあわの原液だとか、あるいは粉末消火剤にいたしましても、量がとてつもなくたくさんあるところがあるかと思えば、非常にたくさん貯蔵しておるのに量が少ないとか、貯蔵量が少ないのに量がものすごく多いとか、これは企業の社会的責任という考え方からいきますれば、私は万全の準備をした会社もあるだろうと思うわけでありますが、しかし、今回のこの政令や省令の中に、そういうものに対する基準が示されていないわけですね。たとえばタンク容量が何万トンのタンクが何基あり、敷地が何坪のところは少なくとも化学消防車は何台必要だとか、油回収船はどれだけか、敷地の規模からいけばオイルフェンスは何メートル用意をしなければいけないとか、あるいは消化剤なりそういうものはどれだけ原液で保持しようとかいうようなものが一切明示されていないわけなんであります。私はこういった点については、先ほどのお話ではございませんが、本法で規定できない以上、政令、省令で明確に規定していく、これはできるはずなんです。それがどうして今回の省令や政令で規定されないか。先ほどもおっしゃられた自衛防災組織防災要員ですら人数が規定されていない。全く私はこれはしり抜けだと思うのですよ。こういう点についてどうして明確に規定することができ得ないのですか。技術的にできないのか、それはもう企業の社会的責任として任してしまったのか、明らかにしていただきたい。
  95. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在のコンビナート地域におきます自衛消防組織というものは、消防法関係の政省令の規定によりまして、現在は化学消防車を中心にした設置の義務規定がございます。これは石油精製をやっております事業所についての規定でございますので、この資料からごらんいただきますと、非常に自衛消防組織の資機材面につきましてアンバランスがあるように見受けられるわけでございます。またオイルフェンスでありますとか、油回収船というものは、現在義務規定がございませんので、そういう意味におきまして、非常にこの防災資機材の整備の面におきましても問題がございます。この法律が制定されました場合におきましては、自衛防災組織設置いたしますその資機材あるいは要員というものは、具体的に政令で規定するつもりでございまして、現在その内容につきましては、私どもの方と各コンビナートを持っております市町村の消防機関あるいは府県というところから経験者を集めまして、この自衛防災組織基準の策定作業をいま行っておる段階でございます。
  96. 森下昭司

    森下昭司君 私はひとつこの点問題にいたしておきたいと思うのでありますが、昭和四十五年の先ほど指摘いたしました「石油コンビナート地帯防災対策要綱」、この中で、このいわゆる化学消防車及び消防艇の整備あるいは何と申しますか、都道府県市町村の化学消火剤の備蓄、こういったものについては実は実施時期が明示されていないのですね。報告時期についても、「別途調査時」ということで非常に抽象的なんですね。ですから、いまお話がありましたように、消防法で化学消防車を規定してあると言いますが、このいわゆる特別防災区域(指定見込)の概況等からいきますと、化学消防車何台かと実は言わざるを得ないのですよ、一つ一つ数えてまいりますと。私ちょっと数えてみましても、やめましたけれどもね、ないところが多いですから。  そこで、この法律と政令との関係を一つだけ私お尋ねいたしておきますが、この本法の二十条の「経過措置」の中で、第十六条の規定については一年間適用しない。「政令で定める防災資機材等の備付けに係る部分については、三年を超えない範囲内で政令で定める期間」と実は規定してありますね、本法に。ところがこの政令を見てみますると、屋外消火栓設備、油回収船は、いわゆる三年以内という、いま申し上げた期間の範囲内において政令で定めることになっておりますにもかかわらず、この政令では、経過期間の延長を認めることとするというような内容になっておりますね。これはどういうことですか。
  97. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 防災資機材の設置義務につきましては、原則的に一年以内に設置をしてもらう、こういうつもりでおるわけであります。ただ資機材の中で、たとえば高所放水車でありますとか、油回収船とかいうようなものにつきましては、いろんな生産能力等の関係からいたしまして、一年内にできないものがございます。そういうものにつきましては、三年までの範囲内において延長すると。その延長すべき資機材を政令で定め、その延長すべき期間をその政令で同時に定めるということにいたしたいと思っております。
  98. 森下昭司

    森下昭司君 それじゃ、この特別防災区域内のすべて必要なコンビナートに、油回収船と屋外消火栓設備が完全に法律の規定どおり終了するのはいつですか。
  99. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この法律が施行後三年以内ということになります。
  100. 森下昭司

    森下昭司君 この二十条の中にも、「三年を超えない範囲内で政令で定める期間」と書いてあるんですよ、これ。二十条の経過措置の中で書いてあります。そして十六条の規定は一年間で、「三年を超えない範囲内で政令で定める期間」とあるわけです。私の理解は、いま長官の御説明では三年以内だというお答えでありましたが、私の重ねてお尋ねする理由は、このいただきました政令骨子案の中で、「経過期間の延長を認めることとする。」とありますから、二十条の括弧内のただし書きで、「三年を超えない範囲内で政令で定める期間」とありますから、それは長官お答えになったように、三年以内ですよということになる。ところが、政令の骨子案でまた「経過期間の延長を認めることとする。」という文句が入っておりますから、三年以上にわたるのかと聞いているんです。
  101. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この経過期間は、原則は一年でございます。それで、括弧の中は、一年を延長を認める場合でも三年を超えないというのが法律の規定でございますから、この法律の規定を超えて政令で延長するということは認められないわけでございます。
  102. 森下昭司

    森下昭司君 それでは、私はこれはもう一遍三年たって実態を見てみないと、いまのお答えが正しかったか正しくないのかわかりませんから、この程度でやめておきます。  そこで、ひとつ私お尋ねいたしておきたいのは、特別防災区域に指定された地帯の中で、地方公共団体で、常設消防のないのは三重県の楠町、鹿児島県の喜入町、沖繩県の与那城村、西原村、中城・村の五カ所というふうに聞いておりますが、これ間違いありませんか。
  103. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在の段階で常備消防のない市町村は、ただいま仰せられた町村でございます。
  104. 森下昭司

    森下昭司君 これは私が見ますと、喜入町なんかは五十年度に常設消防を持つというように実は付記がしてありました。ところが喜入町というのは、御存じのようにあなたの方の資料を読みましても日石の六百七十万トンです。タンク数にいたしますと十万トンが三十基、十五万トンが二十四基、日本最大の基地だと、これはここにパンフレットがありますが、自分のところは日本最大の基地だと自慢しています。しかし、今度はまた六百六十万トンの同規模の拡張を喜入町といま交渉中なんですね。これは少なくとも一千三百万トン以上の大備蓄基地になるんです。タンク数はいまの五十四基からさらに倍にふえるわけです、単純計算で。ここに常設消防がないんです。幾ら消防施設強化促進法を適用なさって、三分の一の補助を二分の一やりますよと言ったところで、自治大臣おっしゃるように、地方財政のこの危機で、喜入町にはそんな能力ありませんよ。そこで一体、この常設消防なり、コンビナート防災法ができて、この喜入町の拡張——たとえば喜入町と日石との間において土地買収、漁業補償とかいろいろなものがありますが、協定ができたといたしましても、いわゆる防災という見地に立って、許可認可の申請がありましたら、その許可認可をお断りになる自信がありますか。最初にお伺いします。
  105. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 喜入の貯油基地が拡張をされるということになります場合に、現在の段階でその許認可事務をやっておりますのは鹿児島県でございます。これは県と日石側との話し合いの問題であろうというふうに考えております。
  106. 森下昭司

    森下昭司君 いやいや、できた場合に、レイアウトとかいろいろな備蓄の申請が出てくるでしょう。コンビナート防災法に基づいて、タンクとかいろいろなものの申請が出てくるでしょう。それをどうなさるんですか。
  107. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この喜入のような石油だけの備蓄基地というものにつきましては、この法律によるところのレイアウトの届け出はございません。これは消防法規定に基づきまして設置をするということになります。
  108. 森下昭司

    森下昭司君 それでは私重ねてお尋ねしますが、消防法見地から、たとえ先ほど御説明のありました十条ですか、ああいうものの規定に合っておったといたしましても、消防法趣旨、法律の趣旨からいけばこれは問題が残ると思うのです。たとえ構造上のものは合ったとしても、消火能力全然ないんですから。これは自衛防災組織をたとえば指摘したようにつくれば話は別かもしれませんよ。だからその点について、たとえば消防法見地からどういうようなお取り扱いをなさるお考えなのか。
  109. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 喜入の貯油基地が拡張されるということになります場合には、現在考えております新しい技術基準のもとにそのタンク設置をされるということになるだろうと思います。  それから、またさらにこの法律が成立いたしまして適用されますと、企業自身が相当自衛防災組織というものを設置しなければならないということになるわけでありますので、まず防災上の見地から、この喜入の場合にそれほど問題になるというふうには考えられないわけであります。
  110. 森下昭司

    森下昭司君 それは困りますな。たとえばこの間、四日市の大協石油のあのタンク一つですよ、あのタンク一つで出動した消防車は四十数台ですよ。いま自衛消防として日本石油の喜入基地がお持ちになっている消防ポンプは三台です。そして、日本最大の備蓄基地タンク五十四基。それで長官あなたがおっしゃるように消防法の観点から言って問題ありませんか。
  111. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 大協石油タンク火災というものは、こうした自衛防災組織に設備いたします消防資機材について、非常に大きい教訓が与えられたのであります。確かに、現在出動いたしました消防車の台数というものは非常に膨大な数に上ったわけでありますけれども、あの消防力の中で、あのタンクの火災について、有効なあわ放射を行い得た消防車というものはごくわずかでございました。そういう意味におきまして、今後の自衛防災組織におきましては、タンクの大きさに応じました、それに的確に対応し得る高性能化学車あるいは高所放水車といったようなものの設備を義務づけるつもりでございます。さらにまた、タンク自体についての消防用設備自身につきましても、相当内容強化するつもりでございます。
  112. 森下昭司

    森下昭司君 あなたの方の資料にも、高所放水車、これはゼロです。消防艇もゼロです。これは喜入の問題ですよ。これは時間がありませんから、私これ以上論争いたしませんが、そういう消防という立場で問題を考えましたときに、消火能力のないような市町村に、幾ら消防法規定して規格に合っているからといって、これは結構でございますというようなことは、私はもう全く片手落ちな行政判断だと言わざるを得ません。しかし、時間がありませんので、これ以上は追及いたしません。  そこで、ひとつこの喜入基地へ私ども八月の上旬に視察に行きました場合に、十万トンタンクでナンバー二七〇号というタンクがございました。二七〇号。これは消防庁調査で一%以上の不等沈下タンクです。ところが、改善命令が出されておりません。そして今日十万トンの容量を入れないで、半分以下の五万トン以下の油を入れて、そうして現在なお使用しておる。なぜ、会社側にこれは改善をしないんだと聞きましたら、七千万円修復費にかかるから仕方がないという返事でありました。私はそれ以上追及しないで帰ってまいりましたが、この点について、消防庁の確認をひとつお尋ねいたします。
  113. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 喜入の基地につきまして私どもの方に報告のありましたのは、はっきりした数字ではありませんが、最大の沈下量が八十八ミリというものでございまして、その沈下割合が千分の一というようなものでございましたので、これにつきましては異常がないというふうに取り扱っております。一%以上の沈下があるというものについては報告がございません。
  114. 森下昭司

    森下昭司君 これは後ほどまた一遍精査して御報告いただきたいと思います。  最後に、せっかく防衛庁の方に来ていただいておりますので、質問だけさしていただきます。  私は、本法案の中に防災本部が設けられておるのは一面において改善の跡が見られるというふうに考えておりますが、「自衛隊の長」という言葉で、昭和四十五年のこの防災対策要綱はなっている。この法案は、「都道府県を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監又は」云々というふうになっているんです。まず私は、防災本部に、自衛隊でなくて「陸上自衛隊」といういわゆる限定したものを構成員にした理由は何か。時間がありませんから、質問だけ一つ、それは消防庁に伺います。  それから防衛庁の方にお尋ねいたします。私は、一般災害地に対しまする出動というものは、当然に自衛隊法の、これは言うならば八十三条だったと思いますが、この八十三条の第一項で、都道府県知事が要請をした場合に一般災害出動をするという規定があります。二項に、そのいとまがないときは自衛隊の自主的判断で出動できる、こういう規定があるわけであります。そこで私は、従来の災害出動はすべて八十三条一項によっておったと思うんでありますが、その点についての確認が一つ。  そして防災本部にこれが入りますと、常時自衛隊が出動するものだという前提で考えますと、これは二項によらざるを得ないというような考え方に立つのでありますが、この点についての防衛庁の見解。  それから三つ目の問題は、指揮命令系統はいかなるものか。たとえば自衛隊は自衛隊としての組織があります。防災本部の決定事項を推進するつまり役割りの一端を果たすという立場で自衛隊が行動するのかどうか。中には、いわゆる自衛隊は防災本部の指揮命令を受けないという、言うならば自衛隊法を盾にとった意見もございます。しかし、一般災害に出動いたしました場合に、自衛隊法の第九十四条で、警察官職務執行法の四条並びに六条の一項、三項、四項の準用規定がございます。四条は簡単に言えば避難等の処置、六条の一項、三項、四項は立ち入りですね、勝手に他人のうちや建物に入ってもよろしいという立ち入り調査権といいますか、捜査権といいますか、というものを自衛隊員が持つという規定があるんです。したがって、私どもは自衛隊の出動というものは非常に限定された条件下で行われなければいけないというふうに考えておりますが、このいわゆる防災本部の一員に、構成員になった以上は、いま申し上げたように、八十三条の二項で常時出動する体制になることを意味するのか、この点についてひとつ。  それから最後に、私は自治大臣にお尋ねいたしておきますが、この法律案の中にも、国との、関係機関との協力は条文の中にうたわれているんです。海上保安庁とか地方航空局とか、どこどこへ通報しなくちゃいかぬとか何とか書いてあるでしょう。なぜ国の機関の一つである陸上自衛隊だけを防災本部の構成員にするか。私は最初に指摘をいたしました。言うならば海上面における防災対策の不備がある、一貫性がないということを追及いたしておりますが、そうだとするならば、海上保安本部が防災本部の構成員になる必要があったのではないかと思うのでありまして、この点について自治大臣の見解を伺っておきます。  以上です。時間がないので、一括してやりました。
  115. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この陸上自衛隊の方面総監を防災本部に入れておりますのは、現在の災害対策基本法の構成と同じ考え方をとったものでございます。そしてまた、この法律は特に陸上の災害というものがどちらかというと重点になってまいりますが、現在の災害対策基本法の都道府県防災会議の構成メンバーというものと合わせておいていいのではないかというふうに考えております。なおまた、この防災本部の要員には、当然に海上保安庁のいわば地方部局でありますところの海上保安官署がこれに構成メンバーとしては入る、こういう……
  116. 森下昭司

    森下昭司君 法律に書いてないでしょう、法律に。海上保安本部の地方部局が入ると法律に書いてあったですか。
  117. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この規定に、第二十八条の第五項第一号のところで……
  118. 森下昭司

    森下昭司君 特定地方行政機関の長ですよ、第一号は。海上保安本部は特定地方行政機関になりますか。
  119. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この規定は、第二十六条に特定地方行政機関というものの規定がございます。これによりまして、海上保安官署の長は政令で指定する予定でございます。
  120. 長谷川宏

    説明員(長谷川宏君) 御説明申し上げます。  いま御答弁がありました点にちょっと関連いたしますが、まず陸上自衛隊の関係者が参加しておりますということは御説明のとおりでありますが、その場合に、必要に応じまして海上自衛隊等に対しましても十分の連絡がとれるようになりますので、防災対策上支障は全くないというふうに防衛庁としては考えておるわけでございますので、ひとつ補足させていただきます。  それから御質問の点でございますが、今回の、方面総監等が本部員として防災本部のいわば窓口となりますることは、自衛隊法の規定の解釈運用に何ら変更をもたらすものじゃないわけであります。したがいまして、災害派遣は、自衛隊法の第八十三条の規定に従いまして、原則として都道府県知事の要請により行うことになります。いま先生が御指摘になりました第八十三条の一項派遣というふうなこと、あるいは二項派遣ということでありますが、この条文を私どもの方で申し上げまするのはいかがかと思いますが、まず第一項ではその要請ということが書いてあるわけでございます。二項の本文におきまして、要請を受けて長官またはその指定する者が派遣を命ずることができるというふうに書いてありまして、二項のただし書きにおきまして自主的な派遣ということが規定されておるわけでございます。ですから、いずれもこの意味では二項によって派遣が行われるわけでありますが、この本文の方の派遣は、これまた今回の防災本部に方面総監等が本部員になりましたことによって全く影響を受けないわけでございまして、必ず原則的には知事の要請を受けた派遣、これが第二項によって行われるという関係でございまして、この点は変わりがございません。  それから指揮命令系統のことを御質問でございましたけれども、指揮系統の方も全くその影響を受けないわけでありまして、自衛隊、ほかの行政機関もそうでございますが、命令が二途に出ることが非常にぐあいが悪い特性がございまして、それで今回のような防災本部が設けられましても、ここで行われます連絡調整等は、現行の法令によりまして自衛隊等の関係機関が持っております任務とか権限とか指揮系統等を変更することを意味するものではないというふうに私ども了解しております。  以上でございます。
  121. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの御質問でございますが、災害の場合に陸上と海上を分離するということはいかがかと思いますけれども、今度のたてまえは陸上を中心にしてやったわけでありまして、海上の場合は運輸省の関係でもって新しい法律をつくるということになろうかと存じております。  そこで、しかし実際問題として海上関係が必要であるという場合は、陸上自衛隊を通じてわれわれとしては直ちに連絡をとってもらう、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  122. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  123. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、石油コンビナート等災害防止法案質疑を行います。
  124. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この法案が施行されましてコンビナート災害に対する防災行政が一歩前進するということは、非常に喜ばしいことだと思いますが、これに関連しまして、いままでの問題、要するにまだ残された問題というものについて、ちょっと消防庁長官にお伺いしてみたいと思います。  既存のコンビナートの防災対策をどういうふうに強化していくか、いわゆる積み残された課題、これに対しましてどのような取り組み方をなさるかということを伺いたいと思います。昨年の水島での事故からどのような規制強化の処置をとってこられたのか、また、さらに今後どのような規制強化をしていくかということについて御検討なさっているかどうか、その辺について御説明願いたいと思います。
  125. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 昨年の水島事故の対策といたしまして、消防庁に事故調査委員会を設置いたしますとともに、タンクの緊急点検というものを行わしたわけでございます。それと同時に、この法案についての立法作業を開始したわけでありますけれども、こうしたコンビナート地域全体の防災体制をとるその以前の問題として、個別の規制の問題というものについて十分対策を検討する必要がある。こういうような観点から、消防法関係の政令、省令の改正というものを考えて、その検討も行ってきておるところでございます。ただ、タンクの非常に技術的な構造基準、あるいは基礎の工事基準というようなものにつきましては、いまそれぞれの分野における専門の先生方にお集まり願いまして、その検討を進めていただいておるわけでありますけれども、こうした検討がなお一年以上かかるのじゃないかというような見通しもございますので、とりあえず現在の政省令関係規制強化いたしまして、これはいわば暫定的な基準といたしまして地方団体を指導していきたい、こういうことを考えております。  その内容といたしましては、保安距離の問題、保有空地の問題、それから防油堤の容量あるいは構造、あるいはタンク構造及び基礎についての暫定的な基準、こういうようなことについて検討を進めておりまして、大体内部的な案はでき上がってまいりましたので、別途資料でもその概要について差し上げておりますけれども、この法案の成立とあわせて、この規制強化を地方の方に指導していきたいというふうに考えております。
  126. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、特にあの例の昨年の事件以来、現実にこの規制を、つまり検討はなさっているけれども、具体的に強化なさったということはないわけでございますね。どうですか。
  127. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) すでに強化をしたということにはなっておりませんけれども、昨年の事故以来、タンクの緊急点検を行いますとともに、今後の危険物施設の点検方針というものを示しまして、定期的な点検を行わせるようにいたしておるわけであります。それと同時に、こうしたタンク建設につきましての基準強化ということの検討を進めてまいりまして、これは近く出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  128. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 既設コンビナートの強化につきましては、各事業所自衛防災組織の機能を強化していく、これは特に大切なことだと思いますが、一体現在の機構で十分であるのかどうかということ、それから今後強化していくとすれば、これは一定基準を決めることができるかどうか、また、これに対して強制的に義務づける必要があるかどうかということについて、もう一度御説明願いたいと思います。
  129. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 防災体制につきましては、当然に水島の事故、さらにそれに続く本年二月の大協石油タンクの火災事故がございました。その教訓を生かしまして、この防災体制につきましては必要な措置を講ずるつもりでございます。ただ現在、法令の規定に基づきまして自衛消防組織というものを置いておりますけれども、これは石油精製施設を持つ事業所について、現在は化学消防車を主体にした資機材の設置を義務づけておるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、水島の事故なりあるいは大協石油の火災事故なりから見ますというと、非常に現在の資機材の設置義務の内容が弱い、こういう観点から、この法案の規定にございます自衛防災組織というものにつきましては、これまでの基準から見ますと数段強力なものにした基準設置いたしましてこれを義務づけていく、こういうことにいたしたいと考えております。
  130. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 引き続き消防庁の方に、長官でなくても結構でございますけれども、この「立入検査」についてちょっとお尋ねしたいと思いまするが、前国会で長官が、点検項目と基準についてはこの八月——というのはもうすでに過ぎたわけですけれども、八月までには一応の案をつくるとお話しになっておられましたが、どのようになっておられますか、経過をひとつお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
  131. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 点検基準につきましては、本年の五月二十日付で点検基準内容を全国の消防機関に指示をいたしました。  その内容は、タンク沈下に関する点検は原則として年一回行う。そして、点検の結果一定量以上の沈下が認められたものにつきましては、タンクの内部をあけて、その内部についての点検を、磁粉探傷試験でありますとか超音波探傷試験でありますとか、いろいろな方法による非破壊検査を実施をする。これによって修正を行うあるいは修理を行うという必要なものについては、その点検の結果に基づいて必要な補修あるいは基礎修正を行う。そしてこの基礎修正あるいは内部補修を行ったものにつきましては、原則一年の点検にかかわらず、もっと短い期間で、一定期間内はさらに沈下状況の測定を行うというようなことを指示して、いまそういうことでやらしておるわけであります。  なお、全体的な点検の問題につきましては、さらにいまこの法案の成立を待ちまして、企業が自主的に行う定期点検というものの全体についての点検基準をはっきりさしていきたいというふうに考えております。
  132. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、随時点検をなさるというようなお話ですが、この立入検査を実施するときですけれどもね、これはどういうふうにお考えになっておりますか。ということは、住民から不安の声が出たときに初めて行うようにするのか。あるいはまた、昨年十二月二十八日に大型タンク不等沈下の一斉点検が指示されまして、いろいろな重大な問題が明らかになりましたが、やはり今後定期的に点検を強化していくことが大事であると思いますが、この実施の時期等についての御方針を承りたいと思います。
  133. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この法案の附則におきまして消防法規定の一部改正を行っておりまして、企業は法令の定めるところによって一定の定期点検を行うという規定を設けることにいたしました。この内容は、たとえば沈下の測定というようなものにつきましては、そのタンク設置の時期等に応じまして、原則的には年一回というものを中心にいたしまして、必要なものについては年二回というような基準を設けるとか、あるいは沈下の量にかかわらず内部開放検査というものを、たとえば五年ぐらいの期間を置いて一回行わせるとかいうような、そういう定期点検の義務を消防法規定によって負わせるつもりでございます。そして、その定期点検の結果については、常にその点検結果の関係書類を企業に保存をさしておく。それと同時に、この定期点検の機会をとらえ、あるいはまた随時に、消防機関は立ち合いの調査をする。あるいはそれ以外の時期において、企業が行っている定期点検というものが的確に行われているかどうかということについての立入検査を行うということにいたしております。
  134. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 共同防災組織あるいは協議会の設置につきまして、これは任意になっていますけれども、現状はどのようになっておりますか。それからまた、今後の設置を指導をしていくとすれば、どのようなお考えをお持ちですか。
  135. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在この共同防災組織あるいは協議会というものにつきましては、特に法律の規定がございませんので、全く任意設置ということになっておりまして、共同防災組織を持っておりますのは四日市の石油コンビナート地域に一部ございます。また、協議会につきましては、昭和四十五年の石油コンビナート地帯防災対策要綱というものに基づきまして、都道府県、市町村等の指導によりまして連絡協議会を設置をする。そして、あわ消火剤の共同備蓄でありますとか、あるいは資機材の共同備蓄、あわ消火剤以外の資機材についての共同備蓄、あるいは相互応援協定を結ぶとかいうようなことをやらしているわけでありますけれども、この法律の規定によりまして、今度この共同防災組織並びに特別防災区域協議会というものにつきましては、法律にその内容を明確にいたしたわけでございます。一応法律は形式上任意設置の形になってはおりますけれども、その地域の実態によりまして、この共同防災組織あるいは協議会というものは、各府県がつくります防災計画の中において明確に位置づけをしてもらって、その共同防災組織が持ついろいろな消防力とかその他の資機材というようなものを具体的に決めていただきますと同時に、この共同防災組織自体の資機材の基準というものは、政令で明確にこれは規定していくというつもりでおります。
  136. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それでは終わりにお伺いしたいんですが、通産省お見えになっていますね。  通産省、またただいまの消防庁、それから最後に自治大臣にそれぞれお伺いしたいと思いますが、この法案が実施されまして、防災行政が、コンビナート災害に対する措置が一歩前進する。これは大いに期待できるとは思いますが、これからの課題としては、消防法それから高圧ガス取締法等の関連法案の規制強化するとともに、さらに総合的、一元的な防災対策が講じられなければならないであろうと思いますが、この点について今後どのように取り組んでいかれますか、それぞれのお立場に立ってお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  137. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) ただいま先生御指摘の点は最も大事なところでもございますし、私どもがこの法案を提出させていただいたゆえんも、その辺にあるかと思う次第でございます。  通産省といたしましては、消防法と並びまして、コンビナートの防災、各災害防止のために、保安確保のために高圧ガス取締法というのを設けている次第でございます。この高圧ガス取締法につきましては、今年五月に大改正が行われまして、従来の製造設備の検査を一歩さかのぼりまして、いわゆる特定設備検査という制度を導入いたしました。これはメーカーが設備をつくる段階からいろんな面からチェックをしていこうということでございます。さらにそのほか、コンビナート等の大規模事業者の保安の組織でございますとか、それから保安の教育計画、さらには個々の事業者が自分の事業所の中で、管理に当たる者は言うまでもございませんけれども、職員、工員の末端まで守るべき危害予防規程というものがございますが、それにつきましてもいろいろと新しい観点からの規制を加えることといたした次第でございます。  さらに本年の四月に、高圧ガス取締法に基づきまして新しくコンビナート保安規則というものを設定いたしました。これの内容は、コンビナート等の大規模事業所におきまして、保安距離、それから設備間の距離、こういったものを拡大いたしますとともに、保安設備の強化というものをいろいろ図っておる次第でございます。  したがいまして、こういった高圧ガス取締法の規制に基づきますところの監督指導というものを十分やらせていただきますが、同時に一番大事なのは、従来からのコンビナートの安全対策につきまして、こういった措置強化だけではございませんで、消防法あるいは労働安全の問題もございますかと存じますけれども、こういった各般の観点からいたしまして、石油コンビナート等におけるところの防災対策を総合的に、かつまた一元的に実施し得るようないろんな仕組みが今度のこの法案に盛られておるわけでございますが、その中で関係省庁と一体となりまして、いま一層この関係を密接に保ちまして、総合的な保安対策の実が上がるように努力してまいりたいと存じております。
  138. 福田一

    国務大臣福田一君) この法律を制定していただきまして、政令、省令等々やります場合に、これはもう当然各関係方面とはよく連絡をとって、非常にわれわれ心配をいたしておりますので、今後災害が再発しないように、また再発した場合には最小限に被害を食いとめるようにという処置をいたさねばなりません。それからまた消防法自体における政令、省令等についても、これとにらみ合わせて今後改善をするといいますか、改正をいたしまして、御趣旨のような防災の完璧を期するという立場から万全の努力を期してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  139. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後に大臣にもう一言お伺いしますが、今後このコンビナート災害防止のため専門の技術職員を養成しなきゃならぬと思いまするし、また消防力の充実等の措置を強力に講じていく必要があると存じますが、来年度の予算にどのように反映されていかれるおつもりか、御所信を承りたいと思います。
  140. 福田一

    国務大臣福田一君) ごもっともな御意見でございまして、われわれ実は少なくとも専門的な技術を持った者を、完璧を期するには、われわれとして責任を持ってやっていこうというには五十名は必要だろうと、こう思っておりまして、一応実は予算は出しておるのでありますが、何しろこのような来年度の予算は非常に厳しい環境にございますので、これについてはわれわれ政府側としても、政府というか、自治省としても大いに努力をするし、また通産その他の関係も骨折ってくれると思うんですけれども、その意味では、ひとつこれはもう国会全体の問題として考えるべきことでもあると思うので、相なるべくはひとつ皆さん方の御協力もぜひ得て目的達成をいたしたいと、こういう、少し虫がいいかもしれませんが、特にお願いをいたしたいと思っています。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 コンビナート防災法案ができますと、既設の設備の方については後でまたいろいろ問題を提起をしたいと思うのですが、まあ新設の部分なり、それから自衛消防組織なり、一定企業に対するいろんな義務を課して、そしてコンビナートによる災害拡大防止をしようという面での私は一定の積極性があると思うのです。したがって、これを厳正にやっていこうとすると、企業に対してしっかりした姿勢といいますか、立場に立たないとぐあいが悪いというように思うのですが、そういうことで、企業とそれから官庁の癒着の問題ですね、少なくともそういう疑いを国民に持たしては行政当局として国民に信頼をされる行政はできない、こういうことになると思います。  したがって、最初に私は、先般川崎の税関支署に起こりました石油業界とのドンチャン騒ぎの問題について尋ねたいと思います。税関関係、来ていますか。  それじゃまず、石油、ガス輸入に関する川崎支署の位置についてお尋ねしたいと思います。四十九年度でいいですから、川崎支署の扱い量、それから扱い額、それから関税額あるいは減免税額、これらの数字について報告をしてもらいたい。
  142. 米山武政

    説明員(米山武政君) 横浜税関川崎税関支署の石油の輸入実績と関税額について申し上げます。  四十九年、暦年で申しまして、輸入数量は二千七百八十八万七千キロリッター、価格にいたしまして五千三百四十四億三千二百万円、関税額は約百三十億でございます。なお、五十年度の一月−九月までの実績は、輸入数量が二千百二万四千キロリッター、価格にいたしまして四千五百三十二億五百万円、関税額は約百億でございます。
  143. 神谷信之助

    神谷信之助君 これらの数字は、石油、ガス輸入に関して四日市とか水島あるいは千葉なんかと比較をして、それに肩を並べるような全国屈指の石油、ガスを扱う税関事務所と思うんですが、そういう理解でいいですか。
  144. 米山武政

    説明員(米山武政君) 大体日本の現輸入量が二億五千から七千万キロリッターでございますので、大体川崎税関だけでその一割弱、約一割を占めておりますので、屈指の税関と言って差し支えないと思います。
  145. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、その輸入業務における税関当局の権限についてお伺いしたいと思います。
  146. 米山武政

    説明員(米山武政君) およそ物を輸入いたしますときには、税関に輸入の許可と、それから関税の納付と、この二つがあります。それからもう一つは、輸入をする前に保税のままで、と申しますのは、税金を納めないで一定地域に物を置いておくということはできます。それから石油の場合にはいろいろの、たとえば非常に硫黄分の多いものを入れるときに、中に入れまして重油をつくるときに脱硫いたしますと、それに対して減税の恩典があります。こうしたことがございますので、一言で申しますと、輸入の許可、納税の額の確定、あるいは保税の許可、それから減税の決定と、こういったような業務を税関は行っております。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 さらにそのほかに、減免後もその条件どおり使用されたかどうか、事後調査をして目的に合っていない場合には追徴をする、あるいは罰するという権限を持っておりますね。ですから、いずれにしても非常に大きな強力な権限を持っているところですから、当然この税関の仕事をやっている職員、この服務の厳正性というのは要求されているというように思いますが、この点はどういうことになっておりますか。
  148. 米山武政

    説明員(米山武政君) 先生のおっしゃいますとおり、服務は厳正で、特に課税の決定あるいは許可業務等も行いますので、服務はきわめて厳正に維持する必要があると思っております。
  149. 神谷信之助

    神谷信之助君 特に仕事の上で利害関係にある関係業者との接触、これについてはやっぱり公私の別をちゃんと区別をして、いやしくも国民に疑惑を持たれるようなそういう行為をしてはならぬというように思うんですが、この点はいかがですか。
  150. 米山武政

    説明員(米山武政君) おっしゃるとおりだと思います。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 十一月の八日ですね、川崎地区石油懇談会ということで東海村の見学に行って、大洗ホテルでその夜、関係業者の課長連中と川崎支署の課長クラスがすべて参加をしてドンチャン騒ぎをしたという事実、御存じですか。
  152. 米山武政

    説明員(米山武政君) 川崎支署の幹部がある目的のために研修旅行を行って、その夜一緒にホテルに泊って懇談会をしたという事実はございます。
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 どういう研修の内容であるか、御存じですか。
  154. 米山武政

    説明員(米山武政君) 横浜税関の川崎支署には、石油業者が非常に多いわけでございまして、その石油業者が石油懇話会というのをつくっておりますが、この懇話会の目的は、非常に日常税関の業務に関係のあるものですから、その会員の税関業務に関する知識の向上と円滑な業務の執行を期する、あわせて会員の親睦を図るという目的のために設立されておるわけでございます。そういう懇話会の目的上、税関支署の幹部がこの顧問となっております。それで、この懇話会は年に数回、税関の会議室におきまして、法令の改正とかあるいは制度の改正、あるいは通関手続等が変わった場合に説明会等を行っているわけでございますが、それが年に一度税関の会議室でなくて外で研修を行う、こういうことを行っているわけでございまして、今回の研修は、東海村の原子力発電の状況を見学し、原子力発電の現状と将来どのようにこれが発展していくものであるかということを研究するために現地視察を行っているわけでございます。そういう研修の目的でございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 職務の円滑な遂行のために持たれている懇話会というもので、まあいわば当然のことじゃないかと言わんばかりの回答ですが、しかし、実際にここに旅程表をいま持っていますが、   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕 東海村の原子力発電所の見学は一時間だけですよね。土曜日の午後の一時に川崎の駅前を出発して、五時には大洗ホテルに着いて懇親会をやって、明くる日九時から原子力発電所を一時間見学をして、あとは鹿島神宮で昼飯を食い、潮来に行って、土浦に行って、そして帰ってきているんです。しかも懇親会では、われわれが調査をしたところでは、ホテルでも、ホテルの関係者に聞きましてもドンチャン騒ぎをやられたという話もちゃんとしています。  それからこの費用ですが、わが党の赤旗の記者が調べに行きました。そうしたら、五千円を内金で渡して、あとは清算をして実額を払うという説明をしております。それで業者の方は一人二万円、二万五千円ですか、というように払う。その後河合課長の話によりますと、十七日の午後五時ごろに支払ったというようにまた変わってきまして、業者は二万円相当と言うし、初めは五千円と言っていましたが、一万円前後というようにまた赤旗の記者には言い直して、そして今度はいま二万五千円というように河合課長が私どもには言っています。費用の負担も非常に不明確で、大体本来は全額業者負担であったという疑いさえ持たれるわけですね。それで赤旗やその他の新聞に報道された時点からあわてて徴収をする、そして業者の方に渡し、処理をするというようになったというような経過に受け取れるわけです。  これ、大臣ね、石油業界とそして関係当局、利害のあるそういう税関ですね、川崎の支署が、懇話会を持って業務を円滑にやっていくというこのことは必要でしょうね。しかし、土曜日から日曜日にかけて一泊で、見学だと称して実際は一時間、そうしてわれわれの追及によって、費用はお互い割り勘で分担するんだと言い出して、だんだんそれも金額がふえてくるというようなことは、これは大変なことだと思う。李下に冠を直さずということわざがありますが、こういうことでは、今度こういうコンビナート防災法をつくりましても、今度は取り締まりの方の官庁とやっている業界の方で同じようなまた癒着ができたんでは、これは何ぼりっぱな法律をつくっても意味がない、こういうふうにも思うのですが、この辺、ひとつ大臣いかがですか。
  156. 米山武政

    説明員(米山武政君) ちょっと事実について。いまの、本当に申しわけありませんが、先生のおっしゃった点、ちょっと事実が私どもと違いますので、そこだけ釈明させていただきたいと思います。  いまの経費の分担の話ですが、一応旅館代というのは非常にはっきりしておりますので、素泊まり料というのは先に払っておきまして、あとは幹事が一括して明細が着き次第払い込むというのが従来の慣例になっておりまして、それで、その当時はまだ明細がわからなかったので幾らになるかわからなかったということで、明細が来ましたのできちっと支払っているわけでございます。したがって、その点、一緒に寝泊まりしたというような点についてはいろいろ問題があるかもしれませんが、経費の点につきましてはそういうことで、初めからそういう約束できちっとしておりますので、それだけちょっと釈明させていただきます。
  157. 福田一

    国務大臣福田一君) 仕事を役所でする場合に、関係の業界とも連絡を密にしていくということは、これは決して不当なことでもなければ不正でもございませんが、しかし、そういう研修その他のことをやる場合にも、いま説明員が答弁をしたような内容でございますれば、私はある意味で行き過ぎが、たとえばドンチャン騒ぎをして、そこら辺に大変な迷惑をかけたとか何とかいって文句を言われるようなことにでもなれば別ですが、まあ一応常識の範囲で飲み食いをしておるということならば、やむを得ないと考えます。しかし、やはり李下に冠を正さずという言葉がありますからして、いやしくも国家公務員あるいは地方公務員にいたしましても、世間から疑惑の目で見られるような行為は極力慎むべきものであると思うわけでございます。  したがって、この法律ができまして、そうしていろいろな意味関係者、国の関係あるいは地方の関係の者が業界とつき合いをするような場合にも、きちっとけじめをつけてやらなければいけないということはもう御指摘のとおりだと思うのでありまして、われわれとしては、この法律ができた後において、そのような疑惑が起きないように、ただいまの御注意を十分生かして、法の精神を徹底するようにいたしたいと思います。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 屈指の石油、それからガスを扱う税関の支署、そうして税関の権限は、査定もして、あるいは減免をすることもできるし、あるいは保税の許可を与える権限も持っているし、そういう意味では非常に関係の深い業者、業界ですね。これは、初めの予定では支署長も参加をする——課長以上ですからね、支署長も参加をする予定だったが、相手が工場長クラスがおらなかったものですから、支署長が行かぬで、相手も課長連中こっちも課長連中ということで行った。後で金はそういうわけで返すようになった。これは後で幾らでも取りつくろうことはできるわけです。そういう利害関係の非常に深い仲で、ちゃんと公務上必要であれば、懇話会ですか、懇談を庁舎の中でやればいい。それをわざわざそういう疑惑を持たれるようなことをやるというのが、私はきわめて重大だというふうに思います。  しかも、これだけじゃなしに、最近は多くのそういう不正事故が起こっていますね。名古屋の税関で密輸入品の公売に関して、二百万円を着服をして歳入係長が、ことしの十月ごろですか、懲戒免職になった。あるいは名古屋の税関長がことしの夏、税関の監視艇に業者を招待をして、桑名海岸を遊覧をして問題になるとか、そういう状況があります。  一方では、税関では十月の四日ですか、全税関の六月十一日、七月七日の行動を理由にして戒告三名、訓告二十四名、厳重注意四十名に及ぶ、そういう処分が出た。これはビラ張りあるいは座り込みをしたという、当然の正当な組合活動をやった。それに対して、他の国家公務員の職場に比べても最も厳しい処分をしながら、業者と飲み食いをして、そして研修だと、一時間ぐらいのことで研修だと言って、こういうドンチャン騒ぎをやっているようなことをそのまま見逃すことができるのかどうかですね。これに対して厳重な処分をされる用意があるのかどうか。大臣は、国民に疑惑を持たれるようなことをいやしくも、かりそめにもしちゃならないと。私もそうだと思います。これについて、こういう国家公務員としてあるまじき行為、疑惑の温床になるようなそういう行為、これに対する当局の認識の甘さ、こういった点を十分痛感をして、全税関に対する処分と比較をしてみても、労働者には厳しい処分をして、課長のようなそういう権限を持った者に対しては、いままでやっていてあたりまえのことだと言わんばかりのようなことを言っている。これは許せないと思うんですが、こういう点につい反省をし、厳正な処分をやる意思があるかどうか、お答え願いたいと思います。
  159. 米山武政

    説明員(米山武政君) 去る十月に行いました全税関の処分は、これは正常な組合活動を逸脱する行為、たとえば勤務時間中に席を離れ大声で抗議するとか、メインポールに掲げた日の丸を勝手に引きおろして組合旗を掲げるとか、あるいは庁舎、税関庁前に座り込んで執務を妨害するとか、きわめて遺憾な行為が行われ、それに対しまして、非常に公務員としてふさわしくない者に対しては公務員法八十二条による戒告、その他の者についても今後を戒める意味で訓告等の行政措置をとっておるわけでございます。  今回の場合も、私どもも十分調査いたしましたわけですが、先ほど申しましたように、目的自体はこれはまじめな研究会の研究活動でございますし、それから経費の割り振り等も、当初の約束どおりきちっと支払っているというふうなことになっております。したがって、内容の事実は、そういう意味で決して非難されるようなものではございませんが、いま大臣お答えになったように、李下に冠を正さずというふうなこともございますので、今後広くそういうことのないように全税関職員を十分指導していくつもりでございます。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは何ですか、そうしたら参加した人は処分はしないんですか。
  161. 米山武政

    説明員(米山武政君) 私どもが現在調査した段階でございますと、処分に値するというところまではいってないという認識でございまして、現在のところ処分するつもりはございません。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 いろいろ査定をして減免をする、そういう権限を持っている、そういう、しかも課長がですよ、その相手側の業界の課長の連中と一緒に酒食をともにして、そしてやっておる。これいいんですか。疑惑を事実持たれているんですよ。そういう疑惑を持たれる行為をすること自体について、何らあなた方はそれに対して注意をすることもなければ何もしない、それはりっぱな当然のことだと、これは認めるわけですか。さっきの大臣の話と大分違いますよ。まあ所管は違いますから何ですけれども、私は自治大臣のおっしゃった、国務大臣、閣僚の一員としておっしゃったのはこれは当然のことだと思うんだけれども、あなたの方はそういう業界と一杯飲んでもよろしいということですか。
  163. 米山武政

    説明員(米山武政君) 私ども、今後ともそのままそういうことを奨励するとかなんとかということでございませんで、その内容自体が不正とかあるいは非難するに当たるようなことがなかったので、今回この問題について当該職員を処分するというようなことは考えておりませんが、やはり李下に冠を正さずということは、公務員として十分今後も注意していかなきゃいけないことでございますので、同じ目的を達するためにも、やり方とか、世間から非難を受けることのないように十分注意するというふうな方途については、これから十分指導してまいるつもりでございます。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 なかなかがんこですね。昨年、同じようにやっていますね。四十九年十一月の三日から四日にかけて、これは東燃のプラント見学を名目に清水で一泊をして、芸者を上げてドンチャン騒ぎをした後、東燃のプラントを見学をしています。参加したのは石油業界十六社、幹事は日石化学、税関側は川崎税関支署長——いまもう退職をされているらしいですが、それ以下ことしと同じ規模の課長さんが集まっている。参加費用は一社三万八千円負担で、十六社六十万八千円を各社は銀行に振り込んでいます。毎年、だからこういう業界と、しかも費用は一社三万八千円負担ということで業界に割り当てをして、そしてやっているわけですよ。ところが、税関事務運営方針によりますと、職場規律と綱紀の維持のところで、特に管理者は、部下職員の範としてみずからの行動を律するとともに、部下の心情を常に把握し、職場規律の確立を図り、いやしくも世間から指弾を受けることのないよう綱紀の厳正な維持に努めるというように規定している。毎年恒例のように業界から金を出させてドンチャン騒ぎをする、これが管理者として部下職員に範としてみずからの行動を律することになりますか。世間から指弾を受けることのないような、そういう行為だと言えますか。
  165. 米山武政

    説明員(米山武政君) いまのその芸者を上げてドンチャン騒ぎというような事実はございませんので、そこは私どもの認識と違いますのでその点だけは納得できませんが、先生のおっしゃったように、やはり世間からの疑惑を招くようなことがありますと問題でありますので、今後そういう研究が必要なら、その研究の目的を達するその方法としては、十分やり方等についてこれから注意してまいるつもりでございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの答弁では納得することはできませんよ。そういう何といいますか、権限を持った課長さん、職制の人が、管理者が、業界に金を出させて、そして一緒に酒食をともにして懇親を深めなきゃならぬ、そうしなきゃ仕事がうまいこといかぬという話は、どう考えてもないです。そうでしょう、懇話会というのは職務の円滑のためにつくられているんでしょう。それは公務としてやられるならば、庁舎でしっかりやりなさい。それを公私混淆し、混同して、そして一緒にお酒を飲んで、世間から見れば、何ぼ割り勘で出しているとかどうとか言われても、わかりませんよ、そんなものは。業者に一杯飲まされていると言われてもしようがないような行為をやっているんじゃありませんか。しかも、それを例年やられてあたりまえという、そういう状況になっている。一方、職場では労働組合、全税関に参加をしている労働者には、他省と比べても最も厳しい処分を今度の場合でもやっております。これが部下に範をたれ、しかも部下の心情について十分注意をして、厳正に職務をやっていく態度というように私は受けとれない。しかも、それに対して、これだけ追及をしても何のまだ反省もしない。  私は、またいずれこの問題は別の機会にやりたいと思いますが、大臣、このようにきわめて、最近も自治大臣が、全国のいろんな汚職問題で自治省としても注意の文書をお出しになった、粛正通達ですか、これをお出しになったということも新聞報道で見ましたが、さらにこういう事態がそのまま許されておるような状態では、私はコンビナート防災法で企業防災の義務を幾ら法律で決めてみても、なかなか厳正に執行するというのはきわめて困難だろうというように思うので、特に注意を喚起する意味でまずこの問題を取り上げたわけなんです。  それでは次に移ります。  最初に、前の国会に出されたときには危険物高圧ガスが対象にされておって、毒物、劇物の方が外されていたと思うんですが、なぜそうなったのか、そして今回はこれを対象にする意思があるのかないのか、まずこの点からお伺いをします。
  167. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 毒物、劇物につきましても、それがコンビナート地域における周辺住民に対するいろいろな被害を生じ得るという内容のものもあるわけでございますので、私どもとしましては、そうした毒物、劇物のうち、どういうものについて危険物に準じた取り扱いをするかということについては、厚生省の方ともいろいろ打合わせをしておったところでございます。前国会の段階ではまだ明確になっておらなかったのでありますけれども、いま話がだんだん詰まってまいりまして、一定のものについては危険物に準ずる扱いをするということにしたいというふうに考えております。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 通産省にお尋ねしますが、コンビナート等の保安規則をおつくりになったと思うんですが、その内容説明をしていただきたいと思います。
  169. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 通産省におきましては、高圧ガス取締法に基づきまして、コンビナート等保安規則というのを制定いたしました。主な点だけを列挙いたしますと、まず第一に、保安距離の拡大を図っております。二番目には設備間の距離、これを規定いたしまして、同時に、高圧ガスを貯蔵いたしておりますタンク間の距離も広げた次第でございます。三番目に、保安設備につきまして、たとえば防消火設備、緊急遮断装置、防液堤などの義務づけを強化いたしました。それからあと防消火設備の内容だとか、細かい規定を設けておる次第でございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 製造施設についての保安距離については、これは新設のじゃない、既設の部分についても適用をするというように聞いておるんですが、それでいいですか。
  171. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 新設と既設と両方ともに規制の対象になっております。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 設備の距離の方は、これは既設にも適用されるんですか。
  173. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 若干、距離の数字について差はございますけれども、適用することになっております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 この保安距離ですが、保安距離は何を基準にして設定をされたんですか。
  175. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 先ほどの私の答弁の中で、設備群間距離の適用については異なっております。  それからただいまの御質問でございますが、保安距離をどのようにして定めたかということでございますが、これは高圧ガス危険物自身の持っております性質、それからそれの爆発する力というものを科学的に判定いたしまして、保安距離を定めておる次第でございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 事故が起こっても保安物件まで被害が及ばないということは、これは科学的にもちゃんと立証をされるわけですか。
  177. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 本件につきましては、高圧ガス及び火薬類保安審議会におきまして、わが国の最高の権威の方々が集まられまして、いろいろ前提を考究されまして、もちろん現実の事実の想定を前提としていたします場合におきましては、コンビナートの中におきまして事業所の中にいろいろな施設がございますが、その中にいろいろな種類の危険物があるわけでございますが、私どもの対象といたしております高圧ガスに限って申しましても、それらがどのような状態において爆発し火災を起こすか、それに対しまして保安物件との関係を十分考えて公式を、算式を出しまして算定をいたしておるわけでございますから、私は現在の状況におきましては、最も適当な保安距離だと存じております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで今度の保安距離の改正によって、既設の設備、既存の設備ですね、製造施設においても既存の設備、これについてこの新しい基準に適合しないものというのは具体的にあるのかどうか、どの地域のどういう企業か。現在その保安距離はいま幾らになっておって、それを今度の基準によってどれだけ広げなければならないのか、こういう点の具体例、おつかみになっておれば知らしていただきたい。
  179. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) コンビナート等保安規則の保安距離の拡大でございますが、現在法令にございますところの二十メーターないし三十メーターというのを、先ほど来の結果検討をいたしまして、最低でも五十メーター、最高では二百メーターないし三百メーター、こういうことに延びるわけでございます。適用に当たりましては、経過期間というのを設けておりますので、その間に基準に適合するようにしなければならぬわけでございますが、現状からいたしまして、この比率を一律に当てはめた場合に適合していないものもあろうかと思いますが、現在調査中でございます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、この新しい基準に適合しないものは、どの地域のあるいはどの企業にあるかというのは、まだわかっておらぬわけですか。
  181. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 現在時点におきましては、完全な把握はできておりません。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで調査をして把握して、新しい保安距離を持たせるためにはどういう措置をおとりになるわけですか。
  183. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 私どもは、規則で制定いたしました保安距離でございますので、原則としてこれを守らせるという方針でございます。ただし、この保安距離をとりましたベースになっておりますいろいろな危害予防の科学的な算式がございます。それと同等の措置、こういうものを代替してとることは、これはあり得るかと存じます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的に言うとどういうことなんですか。保安距離がいままでの倍になりますわね、最低のところでも二十メートルが五十メートル、倍以上になります。それからエチレン系の大型のやつですと、二百から三百メートルぐらいになる。それで、足らぬところはどうするわけですか。移転させるとか、どうとかせいということになるんですか。どういう措置をとるんですか。
  185. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 原則といたしましては保安距離そのものをつくらなければならぬわけでございますが、この保安距離をとったと同等の措置、たとえば、これは例示でございますが、防御壁を非常にがんじょうにつくる。したがって、それから外へ出る影響がきわめて減殺される。あるいは構造物をいままで地上に上げておりましたが、これを地下の中に設備するというふうなことにすれば、そういうふうな代替の方法はあり得ると存じます。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう代替施設をつくる場合、私は、これは当然その地域防災会議とかあるいは消防署などの意見を徴さなければならぬと思うんですが、その辺はお考えになっていますか。
  187. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) ただいまの点につきましては、これは非常に大事な判定ということになりますので、通産大臣が自分で判断をすることになっておりますが、その際には専門家の意見を十分徴してやるという方針になっております。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、専門家の意見じゃなしに、このコンビナート防災法にいう防災会議がありますね、防災本部か、ここらの意見あるいは消防署の意見なんかは聞かぬわけですか。通産省通産省の握っておられる専門家の意見だけを聞いてやるということですか。
  189. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 通産省審議会の中には各般の専門家がおられるわけでございますし、それから、もしそのコンビナートが本法の適用ということでございますればいろいろな条文が動いてまいるわけでございますので、そういう段階を通じまして十分審議をしてまいりたいと思います。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 コンビナート防災法の適用の地域で、そしてそういう代替施設にかえるというような場合は、この法案では相談をしなくていいということになりますか。通産省独自の措置でよろしいということになりますか。
  191. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 私ども高圧ガス取締法の対象といたしております事業所、工場の対象の分野と、それからただいま御審議中の石油コンビナート等災害防止法、これの対象といたしております分野とがほとんど重なり合っております。したがいまして、私どもはもちろん高圧ガス取締法に基づきまして諸般の行政措置をとるわけでございますけれども、同時に、たとえばレイアウトの変更、そういったことがございますれば、当然いろいろな段階で新法のチェックがかかることになっております。そういうことを申し上げておる次第でございます。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 その点、消防庁長官の方からもうちょっとはっきりしてください。
  193. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) コンビナート保安規則に基づきます規制は、この規制内容がどちらかというと個別立法によるところの規制ということになるわけでありまして、第一次的には高圧ガス取締法の系統の法令の規定が適用になるということになるわけでございます。ただ、全体的なコンビナートの安全という問題につきましては、やはり地元消防機関あるいは府県の防災本部というものにつきましても十分意見を徴されることになるであろうというふうに私ども考えております。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 なるであろうというところに私は問題があると思うんですよ。今度のコンビナート防災法案をおつくりになった根本の問題は、それぞれ消防法なら消防法、あるいは高圧ガスの取締法なり規制はある。しかし、それはそれぞれの単体ごとにいろいろな規制をしているわけですわね。それを今度はコンビナート地域として総合的に規制をして、大きな災害を起こさないようにしようというところにねらいがあるわけでしょう。ですから、設けられる防災本部に、その通産省関係のいわゆる高圧ガスの問題もあるでしょう、あるいは消防法に基づくやつもあるでしょう、あるいは劇毒物関係の取り締まりの関係もある。これらを含めて、そのコンビナート地域それぞれと同時に、全体としての災害予防の観点からの協議なりあるいはチェックなり、これがやれるというところにこの法案の値打ちがあるというんじゃないんですか。
  195. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいまの件につきまして、この法律が直接適用になりますのが、第四十一条の規定によりまして、「市町村長は、特別防災区域に係る災害の発生又は拡大防止するため必要があると認めるときは」「必要な措置を講ずべきことを要請することができる。」と、こういう規定を設けております。したがいまして、消防機関の判断によりまして、そうした代替措置等が必ずしも災害の発生予防、拡大というような観点から見て不十分であるというような場合には必要な措置の要請をすることができる、こういう規定になっておるわけでございます。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうももう一つわかりませんがね。保安距離が今度広がった。それに対して、それだけの距離がとれない場合には代替施設でかえることができる、その場合は通産大臣が許可をする、こうなるわけですね。それは、こっちの防災本部とは関係なしに通産大臣の方は許可をするのかという問題です。そうしたら長官は、恐らく相談をされるでしょう、やられるだろうと。やられるだろうというのじゃ、やらなくてもいいということになりますか。そうしたら、いままでと同じように、それぞれの法律ごとに、それぞれの各省ごとに規制はばらばらであって、今度コンビナート地域全体と総合的な防災計画なり防災措置をするという点では、そこがぽっと抜けてしまうということになってしまうんじゃないか。この辺はどうなんですか。
  197. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) ただいまの御指摘の点でございますが、いま御審議願っております法律が成立いたしました暁におきましては、防災本部ができます。その防災本部のメンバーに、各機関の長なりあるいは都道府県知事なり皆集まってまいるわけでございます。その中で連絡を十分密にしていかなければならぬことは当然でございます。したがいまして、これはケース・バイ・ケースによろうかと思いますけれども、地元の安全性、災害防止の観点から、非常に大事な事項につきましては当然相談をいたすことになると思います。
  198. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても、そういう代替施設をつくるということになると、そのコンビナート地域の「変更」になるわけでしょう、そういう施設をつくるわけですから。あるいは地上にあったやつを地下に入れるとか、「変更」になるわけですから。そうすると、レイアウトの変更になりますから、これはこの法案に基づいて届け出をしなきゃならぬということになるわけじゃないんですか。これは消防庁の方でいいと思います。
  199. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) ただいま御指摘の、たとえば施設を地下に入れるとか、そういうふうな事態でありますると、これは当然この新法に基づきます届け出の対象になってまいるものと考えます。
  200. 神谷信之助

    神谷信之助君 その場合は主務大臣の方に届け出になって、主務大臣の方から関係各省に写しを回してやるということになるわけですね。そしてその意見を聞かなければならないということになるわけでしょう。ですから、当然このコンビナート防災法案では、いま言ったような保安距離を広げたことによって代替措置をとるという場合は「変更」になるんで、変更という——コンビナート地域ですよ、これは大体ほとんどは。届け出をしなくてもいいんですか。
  201. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 私がただいま申し上げましたのは製造施設そのものを変更する場合でございますので、保安距離にかわる代替措置と申しますか、これと同等の効果を有します防災壁でありますとか、そういうものをつくること自身は、この法律に基づく変更の届け出事項に相なりません。これはやはり、高圧ガス取締法に基づきます個々の保安規制内容の問題として十分に安全確保をしていただく、こういうことに相なるわけでございます。
  202. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、それはコンビナートの中に防護壁をつくる、あるいは地下に埋めるとかいう、地域の中の変更があるわけです。可燃性ガスの製造施設あるいは毒ガスの製造施設ですね、こういう施設を地下にしたり、あるいは防護壁をつくったりする、こういうことが行われるわけですね。これは「変更の届出等」の第七条のところには該当しないということになるわけですか。
  203. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 法律の条文に即して若干御説明申し上げたいと思いますが、第七条の「変更の届出」の条文をごらんいただきますと、「第一種事業所に係る第五条第一項第一号から第三号までに掲げる事項の一部の変更をしようとする者」と、こう書いてあります。第五条に返っていただきまして一号から三号をごらんいただきますと、まず第一号は「事業所の敷地をその用途に応じ、製造施設地区、貯蔵施設地区、用役施設地区」云々というふうに、各地区、また言いかえますれば群ですね、施設群のそれぞれの面積なり配置の問題、それから第二号は事業所間の連絡導管なり連絡道路の問題、あるいは敷地面積の問題、こういうものにつきましてのレイアウトを変更いたします場合の問題でございます。したがいまして、保安距離に関する規制と申しますのは、これは個々の製造施設なりあるいは貯蔵施設に関する保安規制でございますから、施設群の問題でありますとかそういうものには相ならないわけでございます。それにつきましては、それぞれ消防法なり高圧ガス取締法に基づきます個別規制強化によって安全を確保する。それの上に網をかぶせまして、いまごらんいただきましたような施設群ごとのレイアウトの規制をこの法律によって的確にやっていこう、こういう考え方になっておるわけでございます。
  204. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもその辺が、せっかくこの法案をつくっても、全体として一元化をされない一つの問題点ではないかというふうに思うんです。  そこで、いまこれは保安距離について既存設備に対するものも規制をするというのが、可燃性ガスあるいは毒性ガスについての措置として出てきたわけですが、このコンビナート防災法案の方ですがね、これは既設に対してのそういう変更を、改善をやらせるということ、これがない。もうすでにできているものはそのままでしょうがないということになっているんですが、なぜ既設のものに対して災害予防の措置をとらせるということをやらなかったのか、この点についての理由を聞かしてもらいたい。
  205. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) レイアウトにつきましての規制を行いますのは、高圧ガス危険物の両者が混在をしている第一種事業所について行われるわけであります。これを既設の事業所についてレイアウトの規制を行うということになりますと、実質的にはその第一種事業所の全面的なつくり直しということに等しい状態になるわけでありまして、これは事実上そうしたレイアウトをやり直させるということは不可能であろう、こういう観点から、レイアウト規制新設事業所について、あるいはまた増設をする場合について行うということにいたしたわけであります。ただ、別途それぞれの個別法における規制強化ということでそれに対処していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  206. 神谷信之助

    神谷信之助君 それぞれ個別の法を強化をして、それで既設の方はやっていける、災害の予防ができるということになるわけですか。
  207. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 個別規制強化によりまして対策をとらしていきたいというふうに考えておるわけであります。まあ、この措置によりまして完全に災害防止することができるかどうかということになりますと、これはやはりこの法案によるレイアウト規制自体にも、災害の完全防止という点になりますとやはり私どものまだわからないいろいろな要因があるかと思いますが、現在の段階において私ども考えられる限りの規制措置というものは十分とらしていきたいというふうに考えております。
  208. 神谷信之助

    神谷信之助君 水島あたりでも住宅が接近をしていますし、そういう点で京大の堀内教授の調査を見ましても、調査報告によって、非常に大きな住民に不安も起こっているわけですが、そういう既設の市街地に接近をしているところの防災措置がちゃんとやれるのかどうかというのが、やっぱ一番みんなの心配をしているところだと思うんです。確かにコンビナートは富の生産地であり、その意味では必要であるわけですけれども、同時にまた危険の集積地でもあるわけですね。ですから、もし事故が起こると大変なことになる。日本科学者会議の調査では、京浜地帯の持つエネルギーは、もし事故が起これば核爆弾数個に相当するだろうというような推測もされております。したがって、一度これは災害が起こると大変なことになるわけですね。それだけに既設の施設を含めてもう一度再点検をし、いわゆる企業の財産権とか既得権とかいうようなことでなしに、実際に国民の生命財産を守るという、そういう観点から点検をして、再許可制といいますかね、許可をやり直すというか、そういうことまでひとつ考えるべきじゃないか。これは日本弁護士連合会なんかも、日弁連の方もそういう意見を出しておられますが、そういう御意思はありませんか。
  209. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この法律の規定は、既設の事業所につきましては第二章の規定が適用にならないというだけでありまして、その他の規定はすべて適用になっていくわけであります。さらにまた別途、消防法関係の政省令における規制強化を図りますとともに、さらに昨年以来私ども石油コンビナート地域につきましての防災診断基準というものの作成を急いでおるわけでありますが、こうした防災診断を行いながら、必要最小限のいわば防災施設設置、あるいは場合によっては一部の施設の変更ということも行わなければならないというふうに考えているところでございます。そういう意味におきまして、いま既設のコンビナートを全面的に許可をし直して、つくり直させるというところまでは考えておらないのであります。
  210. 神谷信之助

    神谷信之助君 やっぱりいま住民が一番心配しているのは、あるいは消防の側からも求められているのは、このコンビナート全体の配置をどうすればよいのかという問題ではないかと思うんです。たとえば市街地域との距離を一体どれくらい置いたらいいか、あるいは緑地帯はどのようにしたらいいか、あるいはパイプラインをどう敷いたらいいのか、あるいは港湾施設をどうするのか、こういうのをそれぞれの企業ごとの考えで勝手にやらすのじゃなしに、いかにしてそれを市街地を危険から守るかという、そういう全体としてのレイアウトですね、これが必要になるんじゃないかと思うんです。実はいままで日本ではほとんどこれが、いわゆる防災の観点というのが忘れ去られて、そして住宅地に接近をして港がどんどんつくられてきてしまっているという、この不安がいま非常に大きいのではないかと思うんです。ですから、こういう意味ではコンビナート全体のレイアウトをどうするか、企業任せではなしに、企業立地自身についてもそういう観点からちゃんと規制をするという、こういうものも必要じゃないかと思うんですが、今後、そういうコンビナート全体のレイアウトというのを検討していくという意思はおありですか。まずこの点をお聞きしたいと思います。
  211. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 既設のコンビナートの地域について、一般住民の居住地域等からできるだけこれを遮断をしていくということは必要な措置であるというふうに考えております。そういう意味におきまして、この法案の中におきましても防災緑地の規定も設けているところでありますけれども地域によりましてはこうした防災緑地の設置をする事業自体が非常にむずかしい、あるいは経費的にも相当多額な経費を必要とするというような地域もございますので、できるだけ私どもとしましても関係省とも連絡をしながら、そうした事業の促進に努めていきたいというふうに考えております。  なおまた、消防法関係の保安距離の問題につきましても、最近の石油タンク等の巨大化に対応する保安距離の改正ということも考えておるところでございますし、また、新設の新しい立地をいたしますコンビナートにつきましては、その立地の当初から防災緑地を持った計画的なコンビナートの形成ということを十分に指導してまいりたいというふうに考えております。
  212. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま、巨大な経費、財政が必要なんでなかなかそれができないというふうにおっしゃっているんですが、しかし、たとえば京浜工業地帯で直下型地震が起こったら、あるいは前回の関東大地震程度のものが起これば、その被害は五十兆あるいは数十兆ぐらいの被害が起こるだろう、それほどの大きな被害を受けるだろうという、そういう調査も出ていますね。ですから、私はそこのところがひとつ考え方を変える、発想を変える上でも非常に大事ではないかというふうに思うんです。  外国の例で言いますと、オランダのユーロポートなんかがいま一番コンビナートと住宅の近いところらしいですが、そこでも市街地から二十キロ離れている、あるいは、ないし五十キロ離れていますね。ですから、そういう状況も外国の例として言われておりますし、そして危険物を市街地に置かさないために、またそういう危険物を扱う工場を市街地に持ち込まないために、イギリスでは部市計画法あるいは事業所及び産業開発規制法ですか、こういった法律で規制をしていますね。資本主義社会であるイギリスなんかでも、そういう国民全体の生命財産の保全という見地から一定のそういう制限を加えるということがやられているんですが、こういった点、日本では一体どうしてできないのかという点は、一体どうなんでしょうか。
  213. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) やはり日本の現在のコンビナート地域というものが非常な計画性を持たないままに、いろいろな経済的な立地条件というものを考えながら立地をされていったという、その立地の過程という問題もあるかと思いますし、また、わが国の場合には平地が非常に少ない。新しい土地を求めるにいたしましても、やはり人口が集中している地域にそういうものができやすいというような、そうしたコンビナート地域の形成過程というものがあるかと思います。また一面におきましては、日本のコンビナートの形成の巨大化というものが非常に早い進行速度がありましたために、いろいろなそれに対応する行政措置というものが非常におくれてきたという点は、やはり指摘をされてやむを得ない問題であろうというふうに考えております。
  214. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと大臣、わが国にも工場立地法という法律があるんですね。これの第九条、十条を見ますと、「特定工場の周辺地域における生活環境の保持に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」には、「勧告」なりあるいは「変更の命令」をすることができるというやつがあります。これは公害との関係なんかも含めてあると思うんですけれども、これを改正をして、市街地におけるそういう危険物あるいは危険物をつくる工場、こういうものをなくして災害から都市を守る、こういうことをひとつ検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、この辺、大臣の御見解を伺いたい。
  215. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) ちょっと事実について。  工場立地法は通産省で実は所管しておるわけでございますが、この法律は、工場の立地が環境の保全を図りつつ適正に行われるというところにねらいがございまして、本来工場はどこにつくろうと実は自由なんだけれども、ところが、それがいろいろな問題を生ずるから、そういう問題の起きそうなところについては事前に十分調査をさせる。したがいまして、私どもの方はこの勧告の規定あるいは変更命令の規定につきましては、この前段になりますところの、非常にそういう問題が起きそうな地域を指定いたしまして、アセスメントと申しておりますけれども、事前調査を十分やりまして、新しく立地されるものがそういう弊害から住民が守られるように、こういう観点でやっておる次第でございます。
  216. 福田一

    国務大臣福田一君) 工場立地法をどうするとかということについてまだ私考えていないんですが、御趣旨は、新設の場合には、事は今度のこの規定でもってやれますからいいんですが、既設の場合にどうするかということがやっぱりどうしても問題になってくる。ただ、既設のものになりますと、実際にたとえば住宅を移すとかというようなことを言っても、住民が納得するかどうか。移ることについての今度は賠償の金額をどういうふうにするとかというようなことになりますというと、その事業自体がもうそれで破産するというような、またあるいはやっていけなくなるというような事態が起きることがあるという、そこまでやるべきかどうかということは私なかなか問題があると思うんです。もしそういうことになれば失業者もずいぶん続出することになるでしょうし、まあ極力災害防止する代替施設をつくることによって仕事を継続していくというところぐらい以上に、それ以上にやることがいいか悪いかということについてはしばらく研究をしなければならない問題だと思っております。
  217. 神谷信之助

    神谷信之助君 公害の問題というのは大分やかましくなってきて、環境を破壊をするようなそういう企業については、一定企業立地、工場立地規制もする、変更もしてもらうということができる方向になってきているんですが、問題は、日本の場合は今度は防災の観点での都市づくりというやつが非常に欠けてきているというところに私は問題があるというふうに思うので、それはひとつさらに消防庁なりあるいは自治省の方で検討してもらう必要があるだろう。できてしまいますと、先ほど大臣もおっしゃるように、なかなか大変なことになってくるわけです。しかし、いまは本当はつくる前に、つくるところの段階でそれはちゃんとしてなきゃならぬ。ところが、早いことどんどん石油工業を拡大をして、そして生産を上げなきゃならぬ、高度成長を続けるというところから、防災抜きでどんどんとつくられてきたというところにいま深刻な問題が起こっておると思うんです。これはひとつさらに研究をしてもらうというようにしておきたいと思うんです。  次は、運輸省の方にお願いしますが、海上防災法ですね、これをつくるということで、先ほども運輸省でチームをつくって次の国会には出すという状況になってきているようにお聞きをしましたが、ひとつこの法案の大体見通しと、その概要についてどういう点をお考えになっているのか、報告をしてもらいたいと思います。
  218. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 海上における災害防止に関する法制につきましては、前国会でこの法案が審議される途次にも申し上げましたけれども、海上の予防の防災のうち、事前の防止面につきましては、主としてはわれわれの災害考えますのは船舶が対象になるわけでございますが、それの予防につきましては、海上衡突予防法だとか、海洋汚染防止法とか、港則法とか、海上交通安全法とかというような、そしてまた船自体の安全につきましては船舶安全法だとかというような法制がございます。それの改めての見直しも続けておるところでございますが、なお事件が起こった場合にできるだけその災害拡大防止するということ、そして早く被害をなくするというような問題につきまして、いま新しい法案を考えておるところでございまして、次の通常国会に出すのを目途として作業を進めております。  その内容まだ十分に固まっておりませんし、関係省庁との話し合いもまだ済んでおりません段階でございますので、余り具体的なことはちょっと申し上げかねますけれども、例示的に申し上げますと、災害が発生したときに、海上における危険物の火災や流出等を対象といたしまして、その発生時の通報義務とか応急措置義務等災害の鎮圧に関する事項を規定しようと考えております。また、効果的な防災活動を行うための海上保安機関の権限を、必要な部分について考えたいと考えております。それからまた、国や地方公共団体それから関係事業者等関係者の防災協力体制等につきましても法定して、効果のある活動をいたしたい、そのようなことを目下考えているところでございます。
  219. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどからも話がありましたが、陸上からの火災と、それから海上からの火災とあるわけですね。接岸をしているときには、これは消防庁の方の管轄、担当になるわけですね。ところが、実際にあちこちの消防署へ行って話を聞いてみますと、船舶に対する防火施設についての責任というのは消防署は持ってないわけですね。ところが、船がたまたま接岸をしておるときは消防署が責任を持って先にやらないかぬ。到着するのが早いか遅いかは別にしても、責任は消防庁だと、こうなる。だから、この辺に矛盾を感ずるという意見もたまに聞くんですが、船舶についての監督責任というのは海上保安庁が持っているんだから、接岸をしておるときでも——それは消防署が近いときは消防署が先に消したらいいんですが、しかし責任としてはやっぱり海上保安庁が持つという方が合理的ではないのかというように思ったりするんですが、この辺はどういう見解ですか。
  220. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 船舶の安全の問題につきましては、これは船舶安全法の規定によりまして、船舶自体についていろいろな火災その他の災害発生の予防措置というものは、運輸省の方でいろいろな規制が行われておるわけであります。消防法規定によりまして消防機関が受け持ちますのは、いわば消防対象物としての船舶になるわけでありまして、これは接岸している船舶について火災等の災害が発生した場合には、消防機関がその鎮圧に当たる。これは陸上からの消防活動によって十分可能であるというような観点から、陸のいわば延長的な考え方で接岸中の船舶については消防対象物に入れる、こういうことになっておるわけでありまして、安全の問題につきましては、これはあくまでも運輸省の方の所管ということになるわけでございます。
  221. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところで、船舶には危険物の取扱責任者というのがおるわけですか。決めてあるんですか。
  222. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) この問題は船舶局が主管でございまして、そうして船員局にも若干の関連がございますが、目下の考え方では、船舶安全法によります危険物船舶運送及び貯蔵規則という省令がございますが、そこで船長に一括して権限をといいますか、義務等を与えてございます。それからちょっとこれは若干参考になりますけれども、船員法に基づく船員労働安全衛生規則というのがございますが、これは船長の指揮のもとに船内の各部、甲板部とか機関部とか、その各部ごとに安全担当者というのを置いてございます。それで船内の作業等についての安全を図るようにしてございます。
  223. 神谷信之助

    神谷信之助君 船員のライセンスの中には危険物取り扱いについての知識も含まれているという話を聞きましたけれども、しかし実際には、いま責任者は船長ということで一括して持っているようにおっしゃっているんですが、これも現場、消防署でいろいろ聞いてみますと、船にもやっぱり危険物の取扱責任者というのをちゃんと置いて、教育をするというような必要があるんじゃないかという意見も聞いておるわけです。ですから、これも運輸省の方で今後の研究課題でひとつ検討してもらいたいと思うんです、そういう批判が出ていますから。  それから沈船処理の問題ですが、この沈船の処理は一体どこが処理責任を持つのか。特に東京湾でいま問題になっているわけですが、この東京湾での沈船処理、これについて一体どういう計画をお持ちなのか、お伺いしたい。
  224. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 沈船に関します一般的な問題ですが、港内におきましては、港則法によりまして従来から、船舶を沈没したものでもそのまま放置してはいけない、所有者は引き揚げなさいという規定がございますし、海上交通安全法におきまして、何人も放置してはならないということになりました。そういった法規制の適用水域外、あるいは以前から放置されております沈船の処理でございますが、特に最近問題になりましたのは、中ノ瀬航路に機帆船が沈んでおりまして、それがその航路の水深を浅くしておることがございます。これの撤去につきましては、運輸省の港湾局で所掌をいたしまして、来年度、中ノ瀬航路をできるだけ深くしたいというわれわれの方の希望がございまして、船舶の流れをよくするという観点からでございますが、それで、その浅いところ若干と沈船を引き揚げるということで来年度予算要求をしておるところでございます。
  225. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に国土庁と建設関係。  八月の十五日ですか、中央防災会議を久しぶりにお開きになって、当面の防災対策推進についてというのを決定をされたというように聞いておりますが、これの具体化をどのように進めようとなさっているか、この点まず国土庁の方から説明をしてもらいたいと思います。
  226. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) 御指摘いただきましたとおり、本年八月十五日に、当面の防災対策推進につきまして、三項目にわたって中央防災会議の御決定をいただいております。申し上げますと、一、台風来襲期に備えての対策が一つ、それから第二といたしまして、震災対策の強化推進についてというのが一つであります。それからいま話題に上っております石油コンビナート防災対策強化ということの三項目について御決定をいただいております。
  227. 神谷信之助

    神谷信之助君 これを進めるために関係の深い建設省にお伺いしますが、これを受けて、どのように具体化を図っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  228. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) 建設省におきましては、中央防災会議の決定を受けまして、学識経験者、関係各省庁、関係地方公共団体の参加を得まして検討を行ってまいりましたが、これをもとにいたしまして、本年八月でございましたが、大都市震災対策施設整備計画作成要領、この案をまず策定いたしました。これに基づきまして、大都市震災対策施設整備計画、これは試案でございますが、それとなお防災対策緊急事業計画、これも試案でございますが、これを早急に策定するよう関係地方公共団体に対しまして通達いたしております。したがいまして、本年中を目途に各関係地方公共団体から検討が行われまして、各都市ごとの防災対策緊急事業計画、こういうものが提出されることになると思います。これが提出されました場合には、これにつきまして関係各省庁と協議いたしまして、各地方公共団体が具体的なものとしてつくります地域防災計画の中に定めたいと、かように考えております。
  229. 神谷信之助

    神谷信之助君 関係公共団体というのは、具体的にはどこを対象にしていま進めておられるのですか。
  230. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) 対象としましては、三大都市圏の中の各都市でございます。
  231. 神谷信之助

    神谷信之助君 三大都市圏の都市ですか。で、どれぐらいの期間計画整備をするということになるのですか。
  232. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) これにつきましては、まず先ほど申し上げました大都市震災対策施設整備計画というのがございまして、これにつきましても策定をお願いしておりますから、これはまず各都市の震災対策のマスタープランでございまして、三大都市圏の都市のうち、震災の危険性の高い市街地における広域避難地あるいは避難道、緩衝地帯、さらには浸水対策施設、こういった施設のあるべき姿を示すマスタープランでございます。これを受けまして作成されます先ほど申し上げました防災対策緊急事業計画、これはそのマスタープランを効果的に、さらに現実的に実現いたしますために、この中から事業の緊急性などを勘案いたしましてその計画に盛り込みますが、大体いまのところ、おおむねこれらのものは十カ年ぐらいの計画にしたいと考えております。
  233. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、マスタープランができてから、その中で一カ所なり二カ所なり選定をして緊急事業計画を進めていくということになるわけですか。これはもう相当膨大な事業になりますからね、一遍にたくさんというわけにもいかぬのでしょう。その辺の見込みはどういうことになっていますか。
  234. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) これらの計画が固まりました場合には、建設省といたしましては、その各事業につきまして緊急度の高い、しかも実現可能なものから順次予算を優先的に配分いたしまして、関係地方公共団体と協力しながら事業を積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  235. 神谷信之助

    神谷信之助君 その場合、もしコンビナート地域が地震に襲われ被害を受けるということになりますと、これは大変なことになりますから、その辺をいわゆる緊急性といいますか、重要性という内容の概念としてはお考えになっているわけですか。
  236. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) さように考えております。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、先ほどもちょっと言っていましたが、建設省の方では、都市防災の観点から現在の都市計画法とかあるいは都市再開発法、これを改正し強化をするという、そういう考えはありませんか。
  238. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) 本来都市計画と申しますのは、御承知のように、都市の防災化というのがその目的の重要な柱になっておるわけでございます。したがいまして、現行の都市計画法におきましても、都市防災という観点から、たとえば工場等の事業所立地規制につきましても、住居専用地域、工業専用地域あるいは特別工業地区等の用途地域・地区を適切に指定いたしまして、住宅や危険工場の立地規制を行うことができる仕組みになっております。また、防火地域の指定によりましても、燃えやすい建築物の規制ということも可能でございます。さらには、こういった地域地区以外に、都市計画の現実の事業を行います都市計画事業、これも二つございまして、一つは、避難路に当たります街路、あるいは避難地になります公園緑地、こういった事業を都市計画で実施します。さらには面開発でございますが、再開発事業あるいは都市区画整理事業といったような事業手法をもちまして市街地を整備いたしまして、オープンスペースや避難路の確保、あるいは市街地の不燃化というものを推進いたしておりますので、現行の都市計画法のたてまえで十分その推進が図られるものと考えております。  それから、さらに現在の都市再開発法でございますが、都市再開発のねらいといたしましては、第一には良好な市街地環境の創造、第二には都市の安全の確保、第三には既成市街地におきます計画的な住宅の供給、こういったものを複合目的として都市再開発法は持っております。さらに、こういった面から、都市防災という面から再開発を見ます場合に、これを受けました市街地再開発事業は、低層木造家屋が密集いたしております地域防災上も問題がある、こういった地域において実施いたしまして、従前の狭い道路の整備、あるいは災害防止上有効なオープンスペースの確保、あるいは建築物の耐火構造によります不燃化、こういったことが都市防災の、都市災害防止に寄与することをその目的といたしておりますので、こういった趣旨を十分生かしまして、再開発を実施することによりまして都市防災推進を図ってまいりたいと、かように考えております。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 都市の再開発はもともとアメリカで始まったわけですよね。スラムと荒廃地を一掃して不良住宅をなくすということ、それから住宅不足を解消するためには、住宅生産を促進をしてコミュニティーの発展を図る、それからすべてのアメリカ人に恵まれた家庭とよい生活環境を与える、そういう目的で都市開発が進められておる。しかし、そのアメリカでも、この再開発で利益を受けたのは、結局は不動産業者と大企業だったと言われているわけですが、日本でも大体そういう状況になってきていると思うんですよね。私は、だからそういう意味で本当に防災の観点からそれを進める、それから防災の観点が常に生かされなきゃならぬというようにお考えだったら、都市計画中央審議会、これに消防庁の代表をも加えたらどうかと思うんですが、たとえば自治省の方からは行政局長が入っておるわけですね。ところが、地方の方で見ますと、たとえば横浜の都計審には消防の代表も入れて、そういう防火の観点、防災の観点なんかも一緒に検討する、こういう状況になっていますが、この辺をひとつどうでしょうか。
  240. 森田松仁

    説明員(森田松仁君) ただいま御指摘の都市計画中央審議会の現在の組織は、都市計画関係のある分野におかれまして学識経験者及び関係行政機関の職員のうちから建設大臣が任命いたしております。現在のメンバーを見てみますと、学識経験者の委員としましては、都市防災問題についても広く識見を持っておられる先生方を任命いたしております。また、関係行政機関の職員としましては、ただいま御指摘のように、自治省、国土庁、通産省といった関係省の職員の方を、防災問題も含めまして所管行政の専門家として任命いたしております。  そういったのが現在の現況でございますが、この審議会は諮問事項によっていろいろと議論してまいりますので、都市計画審議会の中央審におきましては、特別の事項を調査審議するために臨時委員というものを任命することができるという規定を持っております。したがいまして、都市防災関係事項を審議いたします際には、そういった観点から適切な学識経験者あるいは行政機関の方を追加しまして審議してまいりたいと、かように考えております。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 私、都市建設あるいは都市改造というのは、防災都市の建設であるべきだと思います。したがって、すべての面で防災の観点を貫くということが必要だというように思うんですね。ですから、地震のときだけじゃなしに、常時消防の代表も入れて、そして避難地あるいは避難路をどこにつくるか、あるいは貯溜池をどこにつくるかとか、こういったものも一緒に研究をしていくというようにしていかないとだめじゃないかと思うんです。消防庁の方も、だから火消しだけじゃなしに、そういう防火、さらに防災の観点からの機能というのもこれから発揮していかなきゃならぬというように思うんですが、この辺長官どのようにお考えですか。
  242. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 確かに御指摘のとおり、震災対策を初めといたしまして、都市の安全を確保するというためには、そうした防災の面を十分考慮した都市計画、都市づくりというものが必要であるというふうに私ども考えております。特に関東地域の地震対策というものにつきましては、私どもの方からも建設省にお願いをいたしまして、こうした避難路であるとかあるいは避難空地であるとかというものについての確保対策というものを、十分都市計画事業の中に含めて考えていただきたいというお話を申し上げておりますし、建設省の方におきましても、十分それらについて検討を加えていただいておるというふうに考えております。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 以上、大体概括的な点を質問いたしましたが、あと残った時間は、あすの現地調査に基づいて、具体的法案の適用その他の問題については次回にひとつ保留をしてやらしてもらいます。以上できょうは終わります。
  244. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会      —————・—————