運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-11-11 第76回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十一日(火曜日)    午後三時三十四分開会     —————————————    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      鍋島 直紹君     山崎 竜男君      橋本 繁蔵君     初村滝一郎君      加瀬  完君     野田  哲君      赤桐  操君     志苫  裕君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 金井 元彦君                 安田 隆明君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 大谷藤之助君                 夏目 忠雄君                 初村滝一郎君                 山崎 竜男君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 福間 知之君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 市川 房枝君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        自 治 大 臣  福田  一君    政府委員        公正取引委員会        事務局審査部長  吉野 秀雄君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        大蔵大臣官房審        議官       戸田 嘉徳君        大蔵省主計局次        長        田中  敬君        大蔵省理財局次        長        原   徹君        文部省管理局長  清水 成之君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        自治大臣官房長  山本  悟君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       横手  正君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省財政局長  松浦  功君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   吉村 友佑君        国土庁計画・調        整局次長     国塚 武平君        国土庁土地局次        長        松本 作衛君        法務省民事局参        事官       吉野  衛君        厚生省社会局更        生課長      金瀬 忠夫君        農林大臣官房文        書課長      小野 重和君        建設省住宅局住        宅総務課長    吉田 公二君        自治大臣官房審        議官       田中 和夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十年度における地方交付税及び地方債の  特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田自治大臣
  3. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま議題となりました昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  最近における経済の停滞は、地方財政の上にもきわめて深刻な影響を及ぼすに至っており、本年度における地方税の当初見込みに対する減収額は一兆六百億円余りに上るものと推定されますが、これに加えて、今回国税三税が減額補正されることに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して一兆一千億円余の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。  しかし、地方財政の現況は、このような事態にとうてい耐えることができないと考えられますので、本年度においては、この地方交付税落ち込み分一兆一千四億八千万円については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借り入れ措置を行うことによって、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保することといたしたいのであります。さらに、先ほど政府においては、人事院の勧告に基づき、本年四月一日から国家公務員給与改定を実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定を実施するための一般財源を付与する必要があります。また、国の補正措置に伴う地方負担増等に対処するための財源措置のほか、本年度における経済環境の著しい変動にかんがみ、地方財政の健全な運営に資するための財源措置を講ずる必要があります。そのための措置として臨時地方特例交付金二百二十億円を国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとするほか、交付税及び譲与税配付金特別会計において百九十五億円を借り入れることといたしたいのであります。  以上の結果、今回の地方交付税借入金は、国税三税の減額補正に伴うものと給与改定等財源措置に伴うものとを合計して、一兆一千百九十九億八千万円となりますが、この借入金については、昭和五十三年度から昭和六十年度までの各年度に分割して償還することとしております。  次に、地方税の当初見込みに対する減収に対処する措置としては、地方債一兆六百三十二億円を増額発行することとするほか、景気刺激のための公共事業費等の増額に関連する地方費の増加については地方債三千百八十億円を措置することといたしておりますが、この場合において、地方団体は、地方税減収に対処するために発行する地方債については、まず普通建設事業等のいわゆる適債事業に充当し、なお充当し切れない部分がある場合においては、適正な財政運営を行うにつき必要とされる経費の財源に充当することができる旨の特例を設けることといたしたいのであります。  以上が、昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣お急ぎのようでありますので、まず大蔵大臣に二、三お聞きをいたしますが、財政危機原因をどう考えているのか。これは予算委員会等で述べられておりますが、一番聞きたいのは、歳入欠陥予測は一体いつごろ出てきたのか、そうした事態責任は一体どこにあるのか。  と申しますのは、かなり大幅な歳入欠陥が生ずるであろうということは当初予算審議において、私も予算委員でありましたから、すでに予測をした論議大蔵大臣とさせていただきました。そうして、当初予算が成立してわずかな期間に歳入欠陥が云々される。たとえば、四月二日に参議院会議を通れば、四月七日ごろにもう大蔵大臣大蔵の当時高木事務次官以下をお集めになってそういうようなことを示唆される、こういうようなことがあったように記憶をしますし、私たちは、また一方、六月の二十六日にここで地方交付税法を上げるに当たって、参議院地方行政委員会は十三項目独自決議を上げました。その第一項目で、すでに大幅な歳入欠陥が生ずるであろうということを予測をして、三つに分けたところの決議を一項目で上げたのであります。したがって、私は、正確にこれらのことが大蔵省並びに大蔵大臣におわかりになっていなかったはずはない、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  6. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 歳入見積もりというのは二つの大きな素材から作業をいたしておるわけでございます。一つは、過去の各税目収納実績をフォローして将来の展望を予測するということが一つでございます。もう一つは、経済の成長をどう見るかということで、たとえば雇用所得が一番太い財源でございますけれども、そういったものがどのような推移をたどるであろうかというようなこと等、つまり、経済の将来の見通しをベースにして、それに税の弾性値を当てはめまして収入を見積もるというやり方をやってまいっておるわけでございます。去年の場合は前者の方、すなわち昭和四十九年度の各税目収入実績は、各毎月毎月の実績は比較的順調に推移してきたわけでございます。ことしの一月の収納実績をごらんいただきましても、特に大きな異変をそこに発見することができないように順調に進んできたわけでございます。もっとも、私どもは去年の下半期は相当景気は冷え込むであろう、収入は相当減るであろうということで見積もりを立てたわけでございます。すでに見積もり自体が低かったわけでございますけれども、それに対しまして大きな異変が起こりましたのは三月の確定申告、そしてその三月の決算、法人の決算等から顕著な落ち込みがあらわになってまいったわけでございます。  そういった全国の収税官庁のものが私の手元に集まってまいりますのは一カ月以上たたなければ正確な数字が来ないわけでございます。しかし、何となく相当な落ち込みになるのではないかという予感は確かにあったんです。参議院予算の最終の御審議段階においてあったわけでございます。しかし、いいかげんな推定で参議院予算委員会に御報告するなどということは非常に私は不謹慎だと思いまして、そのことはそういう予感は現実にありましたけれども、はっきりと数字的につかめるまでは国会で申し上げるべきでないと、これは私の信念ですから、そういうことであったわけでございますが、四月二日に予算が成立しまして、それからしばらくたちまして方々の抜き調査をやりました結果が出てまいりまして、これじゃえらいことになるというので、若干の、財政が非常に大事なえらい局面を迎えたということに対して大蔵省としても一段と緊張した姿勢でやらにゃいかぬということで、四月十五日に閣議で初めて事の実際を御報告するというようなことにいたしたわけでございます。  そういう事実の経過が一つありましたことを御了解いただきたいことと、もう一つ御了解いただきたいのは、そういう相当な落ち込みになってきたと思いましたけれども、しかし、私は歳出はここで調整しちゃいかぬと思ったんです。つまり、中央地方を通じましてここでわれわれはえらい歳入落ち込みがあるから歳出を調整していく、節約を思い切って進めるというようなことをやりますと、これはさなきだに景気が落ち込んでおる状態でございますのに、それに拍車をかけることになって経済不安、雇用不安を招くおそれがありますので、これは絶対そういうことをしちゃいかぬということでございますので、この予算は何としてもこのまま成立させてもらわなければいかぬ、そして成立予算はそのまま実行させてもらおうと、私はそういうかたい決意をしたわけでございます。  したがって、そういう状態があるのに、いかにも白々しく振る舞ったのはけしからん言うて、ずいぶん参議院からでも先般来おしかりを受けたわけでございますけれども、私はそういうことであの時期対処させていただいたわけでございまして、別に他意はないのであります。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣はそう言われますけれども、私は四月三日ごろからちょっと遊説に出てましてね。そして七日の夕刊でありましたか、読んだら、もうすでに大蔵大臣主催のもとにおける歳入欠陥が生ずるのではなかろうか、それに対する新税の手当てであるとか、あるいは不要不急予算の削減であるとか、何か手法はなかろうかなどというような協議が行われ出すと、こういうような形の報道になっていたものですから、せっかく予算委員会でいろいろの論議をしたけれども、当時大蔵大臣はもう頭の中で、たとえば私なら私が指摘をしているような形での欠陥は起こると。しかし、いま述べられましたように、予算としてはどうしても一遍通しておかなきゃならぬ、そう決意をしたから通してもらった、こういうような形になったのではなかろうかということを非常に危惧をするのであります。今度の場合、時間もありませんから、いろいろの数字を挙げて申し述べたいところですが申し述べませんが、公債を追加発行して穴埋めをする、あるいは地方財政についても、交付税にしろあるいは地方税落ち込みにしろ、借入金地方債などで埋め合わせる。これは結局後年度による負担ですね。送られるだけであります、後に。その意味では、いまはいいが、こういうことがたび重なると将来大変な問題を残すことになるのではなかろうか。そういう意味でこれは一時的措置であって、将来の見通しというのが十分ではないというふうに考えられるんですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっているわけですか。
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いまわれわれ財政当局がやっておりますことは、異例な措置ばっかりやっておるわけです、御指摘のとおり。歳入が上がらないわけでございますが、歳入景気対策までやらにゃいかぬなんというときでございますので、仰せのとおり、無理に無理を重ねておるわけでございます。これによりまして、しかしながら経済に活力をつけて、経済が正常な姿になり、力がついてまいりまして、中央地方を通じまして税収が適正に期待できるという状態を早く招来せにゃならぬわけでございまして、それまでの間は相当無理をして、あなたの仰せのとおり、無理を重ねていかざるを得ないと思うのでありまして、財政の本筋から申しますと、こういうことをやることは非常にいけないことばかりいまやっておることは、私も十分自覚をした上でやらせていただいておるということでございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 「昭和五十年度地方財政対策を講ずるに当たり、次のとおり申し合わせる」という覚書大平大蔵大臣福田自治大臣との間で行われています。この大蔵自治大臣との間で交わされた、そのことについては私は何も異議を申し立てようなどとは思っていませんが、何を意味するのかというのがさっぱりわからない文章になっているのであります。  まず、なぜこういう覚書をおつくりになったのか、大蔵大臣の方から。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大蔵省にとりましても、そして言い得べくんば自治省にとりましても、非常に異例な事態だと思うんです。それでこういうことをやって、あなたが、和田さんがいみじくもおっしゃるように、後年度どういうことになるのか、どういうことをしなければならなくなるのか、大蔵当局自治当局も非常に不安を隠せない現状であることは御同情いただけると思うんです。そういうことでございますので、先々どういう事態が起きても、大蔵自治当局は十分協力せにゃならぬじゃないかと、依然どんな場合にでも協力していかなければならぬことでございますけれども、特に覚書を交わしてまでここで確認しておかにゃいかないほど、何となく両方が不安に駆られておったわけでございまして、第一の場合は、一兆一千五億円の処理交付税交付金の系統で年度を越えてこれを処理していこうとするのだけれども、果たして計画どおり返還が可能かどうかという点、自治省の方でも地方団体を背後に控えて心配であるということでございますので、そういう場合には、ひとつ負担緩和についてよく話し合おうじゃないかということを大蔵省から取っておかないといけないというお気持ちだったと思うんでございますし、それは十分私ども理解できることでございますので、第一はそういうことでございます。  第二の方は起債消化につきましてでございまして、例年そうでございますけれども、ことにことしのような状況地方債を多くお願いせにゃならぬ段階におきましては、特に、よほど大蔵当局がバックアップしないとその消化がおぼつかないのじゃないかという懸念が表明されたわけでございますので、そういうことのないようにしようじゃないかということでございました。これはいわば大蔵自治当局として当然なすべきことでございます。なすべきことでございますけれども事態事態だけに、異常な事態でございますので、特に覚書を交換しておこうじゃないかということになったまでと私は思っております。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣いないのでちょっと困るんですがね。実は、「昭和五十年度地方財政対策を講ずるに当たり、次のとおり申し合わせる」、私はこの覚書の表題こそが、先ほど私が申し述べましたように、今回の地方財政対策が一時的な措置にすぎない、問題を後年に引き延ばしただけであるということをどうも告白しているように思われるわけですね。そこで、いま本心を語られたように思われるが、お互い腹の中が不安である、よって覚書の交換と。つまり、今回の補正措置は、結局は多額の借金で埋め合わせるということであって、控え目な言い方をしても、多分に将来において財政的困難を引き起こす原因をつくった、そういうことを大蔵自治大臣間で確認をされた、こういうことの告白でないかというふうに感ずるんですが、そう理解しておいてよろしいですか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今日の景気は、大蔵省自治省中央とか地方とか言うてこれ分けて論じられるような事態でないと思うんです。大変な、いわば中央地方ものみ込んだ大きな危機でございますので、かつてない事態でございますし、したがって、かつてない措置をもって対応しなけりゃならぬような事態でございます。そして、これはことしとか来年とかいうようなのはまことに異常な事態、年でございまして、ノーマルな年じゃないということもあなたの御理解のとおりだと思うのであります。したがって、昭和五十年度地方財政対策危機を、後年度の問題をつくり出したというのではなくて、事態そのものが問題をはらんでおるわけでございますので、五十年度地方財政対策を講ずる際に、われわれといたしましては、これは両者当然の責任でございますけれども、念のためにこうしておこうじゃないかということにいたしたわけでございます。すなわち危機は、後年度の問題は、五十年度地方財政対策から生まれたのではなくて、事態そのものから出てきたというように御理解を賜れば幸せだと思います。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと大蔵大臣、恐縮なんですが、細かい問題ですがね。「毎年度の国、地方おのおの財政状況を勘案しつつ」とありますね。あるのですよ。これは一体、両大臣、どういう意味で、いつの時点で勘案をされるということで覚書を交換されたのですか。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 毎年度、これは単年度ごと予算編成のときに、国、地方おのおの財政状況を勘案しながらということでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 これは本来自治大臣答弁させるべきなんでしょうがね。「必要があると認めるとき」というのは、これは一体だれがどういう状況の場合認めるのですか。
  16. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいま大蔵大臣から御説明がございましたように、予算編成時に、当該編成にかかわる年度における緩和措置を行うか行わないかということは、国、地方財政をおのおの勘案しながら両大臣が折衝をして、必要があると認めた場合には、負担緩和について必要な措置をとる、こういうふうに理解をいたしております。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、「負担緩和につき」というのはどんなことですか。
  18. 松浦功

    政府委員松浦功君) 衆議院予算委員会でもいろいろ問題になった、地方行政委員会でもいろいろ問題になったことは先生も御承知と思いますが、具体的にどういう方法でやるかということについて考えているわけじゃございませんが、「負担緩和」というのは、たとえばこの法律に書いてございますように、五十三年には八百五十億の返済をすることになっておりますが、それだけの返済能力地方にない。こういう場合には何らかの方策で八百五十億返さないでも済むような方策をとるという意味理解をいたしております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣よろしいですか、いまの答弁で。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そのとおりでございますが、逆に地方の方が楽になる場合が論理的にはないとは言えない。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 「負担緩和」でありますから、これ大蔵大臣償還の繰り延べというのは含んでいませんよね。
  22. 松浦功

    政府委員松浦功君) その当時いろいろと大蔵省の幹部の方ともお話をいたしておりますが、当該年度のバランスをとるという意味では償還延期ということもあり得ると思います。償還延期をいたしますとまたあとの年度で問題が起こってくるということは、先生指摘のとおりでございます。その場合にまた償還延期ということができるかどうかということになると疑問だと思いますが、償還延期もやっぱり当該年度にとっては一つ緩和措置であろうかというふうに私ども理解をいたしております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 これ、ちょっと自治大臣中座したままでとてももうやれぬです。
  24. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 速記をとめて。   〔速記中止
  25. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 速記起こして。
  26. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣御不在中に、大蔵大臣自治大臣覚書問題で、少し細かい話に入っているんですよ。それで、どうしても自治大臣からも聞いておかないと安心ができないものですから。両大臣、大変将来に向かって不安だったからこの覚書ができ上がったようでありますので、われわれも非常に不安だから、そこのところをちゃんと確認をしておかないと困ると思っているんですが、「配慮を行う」というやつがあるんですね、あの文言の中に。この「配慮を行う」というのは、これはまあ日本語の文章としては大変変な文章だと思うんですよ。少なくとも、大変有能な新聞記者上がり自治大臣文章などとはとても考えられない文章だと思うんですがね。恐らく原案では、検討するとか、あるいは考慮するというようになっていたのではないかと推測をするんですが、そういうことありませんか。もしなければ、どんな意味なんです、ここのところは。
  27. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、考慮するというよりは配慮の方が、私の考えではまあ……
  28. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、「配慮を行う」です。
  29. 福田一

    国務大臣福田一君) いや、行うんですから、「配慮を行う」ということは、そういうことが起きたときには両省で相談をして、そうして起債ができないようなことが起きて地方自治体が財政運営に困るということがないように処置する、措置すると、こういう意味、私はむしろ強い意味に解釈する。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 処理する。
  31. 福田一

    国務大臣福田一君) はい、処理する。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、これはむしろ大蔵大臣にお聞きした方がいいと思うんですが、結局この「配慮を行う」という意味の中には、いま処理すると、こう明確に自治大臣答弁があったんですが、交付税率の変更が含まれている、将来にわたって。交付税率引き上げしかないように思われますが、そう理解をしておいてよろしいですか。
  33. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) この覚書を交わしたことに関連して、私は交付税率引き上げということを念頭に置いてはおりません。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、もしいま大蔵大臣答弁されたような形でもって念頭にないとすれば、どういう形の処理の仕方がございますか。
  35. 松浦功

    政府委員松浦功君) いろいろあると思うのでございますが、八百五十億、五十三年度償還するわけでございますから、何らかの形で地方に来る金がよけいになれば、それだけ八百五十億実質的に返さなくなる、こういう形もありましょうし、ずばり臨時特別交付金というような形で補給をしていただくという方法もありましょうし、先ほど申し上げました一部を繰り延べる、こういう方法もあろうかと思います。各種の方法があると思いますので、それはそのときのそれぞれの状況によって、ケース・バイ・ケースで大蔵省と相談をして決める、こういうことであろうかと存じております。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、臨時特例交付金と明記をしなかったということは、その他の措置を含んで、地方団体に対していわゆるプラスになる方向での処理をする。さっきの自治大臣答弁をこうずっとかみ合わせると、そういうふうに理解しておいていいわけですか。
  37. 福田一

    国務大臣福田一君) そのように考えております。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、この不交付団体に対する財政措置が余り明らかになっていないんですがね。これは自治大臣、どういうふうにお考えになりましょう。
  39. 松浦功

    政府委員松浦功君) 今回の法案に関連して不交付団体に関連のあります部分は、いわゆる地方税減収補てん債。これは交付であろうと不交付であろうと、標準財政収入からの落ち込みについて、所定の税目については地方債を許可する、こういうことになろうかと思います。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 補正予算上では、租税収入が三兆八千七百九十億円に対して、公債金が三兆四千八百億円ですね。一応、減収の範囲内で国債を発行している体裁になっているわけです。しかし、地方交付税の減額一兆一千五億円が借入金によって措置されたという形を考えますと、実質的な起債というのは四兆五千億円を上回る。減収の範囲をはるかに上回っているというふうに考えられるんですがね。これは明らかに大蔵大臣、実質的な赤字国債の発行ということに、ここの部分はなりませんか。
  41. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政全体として、将来、国庫との関係において、一兆一千億返還すべきだという議論は私どもわかりますが、地方公共団体にとっては、これが借入金であるか、あるいは税率に基づくものであるかは、これは区別はないわけでございます。現ナマで間違いなく地方団体に届くわけでございます。その意味で、地方団体に対する財政的な効果というものは何ら変わりない、こういうふうにまず第一に御理解をいただきたいと思いますし、また、将来の返還の一兆一千億については、先ほどの覚書がございますように、状況によっては負担緩和ということも考えておりますし、また、私ども自治省といたしましては、当然のことながら返還部分については当然財政計画の中できちんと処理をいたすつもりでございますので、各年度、後年度にわたって地方財政運営に支障を来すことのないようにしていくというつもりでおります。その意味では、自分で返すというよりは、国と大蔵省との間でこの補てん策をどうするかということを将来に向かって決めるべき問題であって、地方債とは、その問題は別にお考えをいただくべき問題ではなかろうかというふうに考えます。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、国が当初予算に計上した建設事業費の財源を、今回全額国債に景気浮揚のために振りかえたというふうに考えれば間違いになりますかね。
  43. 原徹

    政府委員(原徹君) 今回、公債を増発したもののうち、一兆一千九百億円はこれはいわゆる財政法四条の国債、いわゆる建設国債と申しておりますものでございますが、二兆二千九百億円、それは特例公債でございまして、財源減収を補うための国債でございます。そういうわけでございますから、二兆二千九百億円が財源を補てんするための国債でございます。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 今回のこの一連の地方財政対策というのは、交付税交付団体の財源措置が主なんですね。で、東京やら大阪やらの不交付ですね、不交付団体に対するところの財源措置としては減収対策債にとどまっているわけです。たとえば東京都は、減収対策債のみの措置ではこれは極度の財源難に陥ることはもう明確であります。で、景気浮揚策としての公共事業の追加にも応じ切れない、そういう状況に不交付団体はあると思うんです。東京や大阪のこういうような状況を放置しておいて、景気浮揚等の効果が十分に上がるとお考えでしょうか。
  45. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それより前に、本来中央地方も大きな歳入欠陥でございまして、こういう場合は、財政の常道から申しますと歳出を節減するということでなければならぬはずなんでございますが、ことしは、中央では予算ベースで当初予算を忠実に実行しましょう、地方では、地方財政計画というものを、計画ベースで計上いたしましたもろもろのプロジェクト、もくろみはそのまま実行するということでございますから、私はそれ自体が不況対策だと思うんです、そうやらなきゃ大変なことでございますので。  ところが、それではいけないじゃないかという、それではなかなか景気の回復の足取りが思わしくないということになってまいりまして、そこで若干それの枠から出たのが、今度の補正予算なんでございます。したがって、補正に絡んで地方の方にも、財政的ないろんな細工をしていただいたわけでございますが、それについて全的にそれが動く、機能するだけの財源は用意しようということでございますので、全体として、根っこも、今度追加したものも、私は景気対策として十分機能をしておる。それが十分であるかないかはという評価は別にいたしまして、そういうたてまえになっておると判断しております。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 国の建設事業には、今回のこの補正予算で全額国債が充当されたわけですが、景気対策を実効あらしめるためには、地方団体の建設事業にも、減収補てん債としてではなくて、起債の許可の方針をもっと弾力的に運用する、全額起債充当を認めるべきじゃないかという感じがいたしますが、自治大臣はいかがです、これ。
  47. 松浦功

    政府委員松浦功君) 今回国の方でお決めになられました不況対策、これに伴う公共事業の裏負担については、全額地方債を、交付団体、不交付団体を問わず、許可する、この方針は当然のことと考えております。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 今回、この地方債特例法を制定せざるを得ない事情というのは、自治大臣何でしょうか。
  49. 松浦功

    政府委員松浦功君) 減収の額が一兆六百三十二億に及びまして、そのうちの多くの部分は法人系統の地方税でございます。いろいろと私どもの方でこれだけの起債の受けざらがあるかどうか。受けざらというのは私どもの使っている言葉でございますが、五条に規定をされておる適債事業、そして地方債の当たっていない部分がどれだけあるかということを調べてみたのでございますが、大部分の都道府県、市町村は何とか受けざらがあるようでございますが、非常に小さな町村で公共事業、単独事業も少ないというところで、たまたま大きな法人があって、その法人税割りが落ち込むというようなところについては、全く受けざらがないという事実がわかってきたわけでございます。そこで、これらの団体についても落ち込んだ額全額を地方債で認めるためには、五条の規定の特例を設けないと当該団体に財源措置が非常に不公平になる、こういうことから特例考えたわけでございます。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 何か大蔵大臣時間のようですから、二、三問ちょっと大蔵大臣にお聞きして、あと主税局長、銀行局長、皆さん、お残りになってもらいますから。  覚書の第二項で、これは第一項より大分意味が明瞭なんですが、地方税減収補てんと第四次不況対策のため発行された地方債のうち政府引き受け以外について、両大臣はその円滑な消化に努めるものとすると書かれているわけです。それでもなお地方の銀行が引き受けない場合には、大蔵大臣、どういう手をお打ちになりますか。
  51. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま地方の公募債にせよ、縁故債にいたしましても、地方としてはそれの御都合によりましていろいろな債券の発行の計画が出てくると思うのでございます。そこで、私どもはその消化につきまして自治大臣と御協議いたしまして、円滑な消化に努力をするということでございます。しかし、自治大臣も私も、地方の発行する債券全体について消化を保証してまいるという力はないわけでございまして、できるだけその円滑な消化に努めるということをここでお約束をいたしておるわけでございまして、もし万一できなかった場合にどうするんだと聞かれた場合は、できるだけそういうことのないように努めますけれども、全然それがないというようなことをいまここで和田さんにお約束するわけには私はまいらぬと思います。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 それはやっぱりその辺が非常に不安だったもんだからお聞きをして、またお二人も不安だったもんだから覚書を交換をされた、こうなっているんでしょう。それが約束できないというんじゃ困るんじゃないですか。
  53. 原徹

    政府委員(原徹君) ただいまの覚書大臣から御答弁がありましたように、今回のケースは非常に異常な事態でございますから、地方債が円滑に消化がいけるよう、自治省だけじゃなくて、大蔵省も一緒になってやろう、できるだけの努力をする、そういうことでございまして、各金融機関には、地方債消化するようにしてほしいという要望を出す予定にしております。また、それで大体は私ども消化ができないという事態は回避できるのではないかと思っておりますけれども、万一そういう事態が発生いたしました場合には、その個別の問題としてまた考えさせていただくということで、これまた自治省と相談を、あるいはその引き受け側とも十分相談をしたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 個別の問題として考える、そしてその個別の問題として考えるのは消化不良を起こさないように考える。確認しておいてよろしいですか、自治大臣
  55. 福田一

    国務大臣福田一君) 消化不良を起こさないように努めるということでございます。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ大蔵大臣、最後に。予算の年内編成できますか。
  57. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大蔵省といたしましては、八月末に各省庁から概算要求を受けまして、いま鋭意査定をいたしておるわけでございます。歳入につきましては税制調査会と御相談に入っておるわけでございまして、年内編成になりますか、年明けてになりますか、それはわかりませんけれども、いずれにせよ、あらゆる事態に即応して準備ができていないという状態責任を全うするゆえんでないと思いますので、来年度予算編成の用意は進めておるわけでございます。しかし、お尋ねの年内編成か年を越しての編成かというのは、もっぱら政治的スケジュールに係ることでございますので、もっと偉い人に聞いてもらいたいのです。(笑声)
  58. 和田静夫

    和田静夫君 これはまいったな。——そしたら三木総理にやりましょうか。やっぱり三木総理を呼ばなきゃだめだ。やっぱり、いまの大蔵大臣答弁によれば、政治的日程にかかわる問題である、したがって近い将来年内における解散もあり得る、内閣改造もあり得る、そういうことをおれは思っているけれども、おれは言えぬから偉い人に聞けと、こう理解しておいてよろしいですかね。
  59. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は頭が悪くてそんなに込み入ったことは考えていないんです。毎年、年内編成か年を越しての編成かということが問題ではなくて、和田さんも重々御承知のように、国会の明年になりましての再開に予算案の提出が間に合う状態になるかならぬかということが問題だと思うんでございます。したがって、大蔵省としては、いまのような非常に経済界が微妙なときでございますので、予算の編成なんてもたもたしないで、それから御審議もできるだけスムーズにやっていただいてということがわれわれの願いでございますので、年内編成になるか年を越してのことになるか、いずれにせよ、来年に入って国会が再開されるに当たりまして予算案が即座に御審議いただけるような状態に何としてもしてもらいたい、またわれわれもそれに即応した準備を急がにゃいかぬじゃないかと考えております。ところがそれが、国会の御都合なんかがありまして、年内越して四日からやろうじゃないかとかやってみたり、まあ、編成を終えておとそにしようじゃないかとやってみたり、それは年によりましてそういう政治的スケジュールは決まってまいるわけです。解散とか改造とかいうことは、私は、先ほどの交付税率引き上げみたいなもので、念頭にないわけでございます。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 そこで局長、さっきの答弁で、いま大蔵大臣急がれるからちょっと順序をあれしましたが、いま言われたことは、交付団体に対して行っていると同様、不交付団体に対して差別はいたしませんという形で理解をしていいわけですね。
  61. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先生よく御承知のとおりと思いますが、現行制度のもとにおいて違うべきものが違うのはこれはいたしかたございません。それ以外の問題について、今年度の何か財政措置をする場合において、交付団体であるか不交付団体であるかのゆえをもって差別をするようなことは考えておりません。具体的に申しますならば、交付税、今度の法案の中で三百九十億普通交付税として再配分することになっています。これを不交付団体に配れとおっしゃられても、これはできない。しかし、たとえば減収補てん債等について、不交付団体であるから一定部分を割り引くというふうなことは毛頭考えていない、こういう趣旨で御理解をいただければ結構だと思います。     —————————————
  62. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、加瀬完君及び赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として志苫裕君及び野田哲君が選任されました。     —————————————
  63. 和田静夫

    和田静夫君 減収補てん債は一般財源である地方税減収を補てんする地方債であるにもかかわらず、原則として地財法五条の建設事業に充当させるというのは一体なぜなんですか。使途の制約のない一般財源として補てんをすべきでないかと考えるのですがね、よろしいですか。
  64. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、財政計画において地財法五条に基づく事業を地方公共団体が行われる場合、そこに地方債の問題が起こってくるわけでございます。したがって、適債事業でございます部分にそれらの事業を行われるについては、公共事業でございますれば国庫補助とこれまで認めておる地方債、一般単独事業でございますれば単独事業債を認めておる部分、これらを引きました部分は税または交付税で充当されなければ運営できないという形に財政上なっているはずでございます。したがって、その部分に地方債をお認めすれば、それだけの一般財源がはみ出されるといいますか、追い出されるといいますか、そういう形になるはずでございます。したがって、一般財源と同じ形のものを差し上げたことになるという理解でございます。  それから不足分について、五条の以外の経費に地方債を充てれば、これは目的ございませんから、これも一般財源的に使える。言いかえますならば、一兆六百三十二億はどこへお使いになろうと御自由である、こういう形に形式的には私どもは相なると考えております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 その減収補てん債である以上、何といいますか、起債の許可というのは枠配分で行って、そうして充当経費の選択というのは各自治体に任せておくという形の理解でいいわけですね、いまの御答弁は。
  66. 松浦功

    政府委員松浦功君) 基本的な方向としては、これは法律五条に基づきますので、ここではっきりお断りを申し上げておきたいと思いますが、五条に該当いたしましても非常に細々したものがたくさんあるわけでございます。実際には起債の許可方針でお認めしてないというものもあります。そういうものを全部拾ってきてそれに充当して、残りは特別規定によるものだということになりますと、きわめて事務が煩瑣になって、実益がない御迷惑を地方公共団体にかけるということに相なると思いますので、公共事業の一般財源充当額あるいは大きな単独事業等についてだけそれに充当していただいて、残りは無目的という形で特例法に合致するものというような形でやってほしいという一般論を御指導申し上げて、あとは地方公共団体にどういうふうに充当したかの結果報告をしていただける程度の手続で済ませることが一番地方団体のためにベターではないか、こういう気持ちでおります。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 地方財政計画と実際の決算との約二割の乖理、今回のこの減収対策債が標準税収入の確保だけを考えるということは、これはこの二割の乖理を一気に圧縮することを意味すると思うんですがね、現実の地方財政運営で混乱は起こりませんか。
  68. 松浦功

    政府委員松浦功君) 決算と計画の乖理は四十八年度が一番最近の時点のものとしてあるわけでございますが、先生指摘のようにほとんど二割に近いものが開いておるようでございますが、ただ、その中には、理由があって歳入歳出のバランスがとれている部分もございますので、この辺のところをさておきますと、やはり地方税の自然増収及びこれに見合う歳出という形が一番問題になろうかと思うのでございます。これらについては、基本的に財政計画の考え方、国の財源保障の考え方というものが財政計画を通じて財源保障をしておる、こういうたてまえからいたしまして、これを見合いの歳出なくして新たな歳入を計上するということはとても理論的に私は不可能であると考えております。したがって、はみ出た部分の措置の問題については、経費の効率的な使用あるいは根本的な歳出の見直し、こういうもの、さらにははかり得る歳入の増というようなことで地方公共団体の御努力で解消をしていただきたいというのが基本的な考え方でございます。混乱が起こるか起こらないか、この辺のところは私どもつまびらかにいたしませんが、財政運営がそういった観点から現在非常に苦しいということについては、私どもも十分わかっております。予算委員会でも大臣から御答弁になりましたように、一般的な財源措置としては国の責任としてこの措置で私どもは足りると思っておりますが、個別の団体で非常に問題が起こりました場合には、私どもいずれにいたしましても御相談に応ずるというだけの気持ちを持って接していきたい、こういう気持ちでおります。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 大臣答弁の再確認で恐縮ですが、いま財政局長最後に述べられた、個別の団体で問題が起こった場合には個々の相談に応じながら善処していく、こういう形のものを大臣として御確認願っておけますか。
  70. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま財政局長が答弁をいたしたとおり、その場合においていろいろわれわれとして相談に乗れる面があればできるだけしてあげたいと、こういう考え方でございます。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 特例法を時限立法とする理由ですね。五十一年度以降の財源対策債を必要としない、したがって、地方財政は円滑に運営をしていく見通しがある、したがって、時限立法であるということですか、大臣
  72. 松浦功

    政府委員松浦功君) この法律は本年度限りの特例ということを考えておりまして、将来にわたってこの種の法律を出すか出さないかという問題は、その年度状況によって判断すべき問題であろうと考えておりますが、いずれにいたしましても、借り入れました交付税あるいは起こした地方債、これの償還については、地方財政計画の策定を通じて地方公共団体の財政運営が支障のないように配慮していくというのが地方自治に携わる当省の役目であるというふうに考えておりますので、その辺のところは長い目でごらんをいただきたい、こういうふうに思います。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 大変端的な質問なんですが、この地方公務員の十一月の賃金に遅配や欠配が起こるおそれがあるように思われるんですが、この点、財源措置等そんなことは起こり得ない、大丈夫だと、遅欠配起こらないように指導する、こう理解してよろしいですか。
  74. 松浦功

    政府委員松浦功君) 資金繰りの問題になりますが、私どもといたしましては、本法律案を本院で御可決をいただきますれば速やかに現金交付をいたしたいということで、事務的な手続の準備も進めております。また、三百九十億の再算定によりまする交付税も、例年は年を越すわけでございますが、そこいらも配慮をいたしまして、できるだけ事務的に急いで、できれば年内に再算定の交付をいたしたいというつもりでもおります。なおかつ、それによっても資金繰りが苦しいという団体がございますれば、私どもにお申し出をいただけば、地元で解決のつかない状況であれば、大蔵省、日銀にも実情を私どもから訴えて御協力を申し上げるような配慮をするにやぶさかではございません。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣の関係でじぐざぐいたしましたが、ちょっと確認しておきたいのは、地方交付税法の六条の三の二項なんです。「引き続き」、「著しく」の意味ですね。これは、いままでは大体「引き続き」とは二年間を意味し、「著しく」とは歳入歳出との差が一割、これは従来からの国会の論議の経過であるというふうに、まあ古い記録を読みながらそう思うんですが、自治大臣そう理解してよろしいですか。
  76. 松浦功

    政府委員松浦功君) 「著しく」というのは、大体通説として一割というのか、相当の額というふうに考えますが、本年度のような事態はまさにこれに該当すると、そのように私思っております、率直に言いまして。  「引き続き」というのは、昭和二十九年に塚田大臣答弁されているように、そのまま大臣のお言葉を読みますが、二年以上ずっと赤字だと、それからまた見通される三年以降も赤字だという状況理解される、こういうことでございまして、この点については、先般の衆議院の地行委員会におきまして、細谷委員と現在の鎌田自治次官、当時の財政局長との間にやりとりがございまして、その趣旨が確認されておるところでございます。したがって、私どももそのように解釈をいたしております。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、二年以上、一割というのが有権的な解釈となっていると。まあきょうはここだけ確認をしておけばいいわけですが——いまの答弁そうじゃないの。その三年の方にひっかけるつもりですが。
  78. 松浦功

    政府委員松浦功君) 二年引き続いて不足が出る、三年目も不足の見通しだという状況のときを言うんだということでございますので、一年、二年目に不足であっても条件は満足しない。三年目に不足が出るときには制度の改正または交付税率引き上げを考慮しろというのが法律の趣旨であるというふうに理解をいたしております。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 これ局長、二年以上——あなた、以上の部分を抜かしているんじゃないですか、二年以上。二年以上と言えば二年を含む、二年目を含む。
  80. 松浦功

    政府委員松浦功君) 四十八年五月三十一日の細谷委員と鎌田財政局長の問い答えでございますが、これは細谷委員の発言でございますが、「これは昭和二十九年五月四日の、当時の自治庁長官である塚田さんが答えている。参議院での議事録ですが、「「引き続き」というのは二年以上ずっとやはり赤字だと、それから又見通される三年以降も赤字だというときに大体「引き続き」、」と言っているのです。いま鎌田局長が言われることと大体同じですね。大体まあ二年続いた、そして三年も見通される、こういうことです。」というふうに細谷委員が御自分で御確認をなさいました。私どももこの線で理解しております。
  81. 小山一平

    ○小山一平君 関連。いまのことに関連してお尋ねしたいのですが、私はいまの問題で、「引き続き」とは一体何年であるとか、「著しく」とは一体どのぐらいであるとか、こういう議論というものは、非常に何か事務的といいますか、役人的といいますか、そういう議論で意味がないと思うんですよ。「引き続き」と言えば三年だと言えば、三年赤字が続いたということを確認しなければ、これは交付税の税率の引き上げということは考えないんだというような取り組みは、私は間違っていると思うんです。そうでなしに、いまの状況から見通していくならば、基準財政需要額は増加することはあっても減る気遣いはないと思いますし、収入額においてはこれは必ず減って、地方財政運営が非常な困難が続くということはこれは見通しができているんでしょう。そこで私は、地方交付税法の第一条に、この目的が明らかに書いてあります。私が読まぬでも明らかですけれども、この第一条に明らかにその目的を示していることを皆さんが大切に考えるならば、そんな字句の解釈のいろいろな議論でなしに、来年度予算編成あるいは地方財政計画の策定に当っては、交付税率の問題も当然考えなければならないだろうし、あるいは特例交付金などということも考えなくちゃいけないだろうし、私は、そういう政治姿勢といいますか、自治省地方団体の——ここに「地方自治の本旨の実現に資するとともに」と、こう書いてあるでしょう。そういうことを皆さんが責任を持って配慮をしていくということになれば、いや、何年となっているのはまだ何年にならないからいいんだとか、「著しく」というのがパーセントがどうだからいいんだとかいうのでなしに、当然その問題に手をつけるという姿勢で取り組むべきものじゃないか、私はそう思いますが、いかがですか。
  82. 松浦功

    政府委員松浦功君) 仰せの御趣旨はわからないでもございませんが、やはり、地方交付税法という現実の実定法があるわけでございますから、和田先生からお尋ねがございました六条の三の第二項というものの政府の解釈を申し上げたのでございます。私どもとしては、地方公共団体の側に立ちました場合、先ほど和田先生にも申し上げましたように、交付税が、借り入れでございましても現実に現ナマで来るわけで、税率の引き上げによる交付税であるか、借り入れによる交付税であるか、これは金に印はないわけでございます。そういう意味で、地方公共団体に当該年度財政に支障がこないような措置自治省として必ずとる、これは自治省責任である。ただ、そのやり方については、交付税率引き上げれば国がもっと赤字国債を発行しなければならない、国だけがたくさん赤字をしょい込んでしまって、地方は赤字が少なくて済む、借り入れが少なくて済む、こういう形がいいかどうかという政府全体の判断の問題だろうかと思います。少なくとも、自治省としては地方財政計画をいままでのようなやり方できちんと組んで、そして地方団体が現実の財政にお困りにならないように何らかの手だてをとるというつもりでおりますので、交付率の引き上げという問題は、やはり交付税法の趣旨にのっとって、適時適切にやはり条文の精神に従ったところで解決をさしていただきたい、こう思う次第でございます。
  83. 小山一平

    ○小山一平君 もう一つだけお聞きしておきますが、ことしは四兆四千何がしを見込んだけれども見込みが狂って、欠陥が出た。当然これを埋めるということで私はやむを得ないと思います。ですけれども、今度は、五十一年度予算考えたときには、今度は見込み違いでなくて、当てにしたのが外れたのでなくて、初めから明らかになっているわけです。ですから私は、その明らかになっている部分については、やっぱり初めから借り入れだとかなんとかというようなことでなしに、交付税の精神を生かすような取り組み、こういうものがいまから必要ではないか、こう思いますが、どうですか。
  84. 松浦功

    政府委員松浦功君) 交付税の精神とおっしゃられますが、交付税法の中に規定があるわけでございますから、私どもとしては交付税法の中の規定に従って処置をしていく。だから現実の問題として、なるほど見込みが最初から足りないじゃないかということであれば、借りるという方法もありましょうし、いろいろ方法があると思います。それらをどうするかについては予算編成段階で十分大蔵省と協議をしてまいりたい、こう考えております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 この問題、どっちみち論議を長くしなければなりませんから、これで時間をとるときょう困るんですが、これの立法の精神はどこにありましたか。
  86. 松浦功

    政府委員松浦功君) 基本的には三つ問題があるかと思うのでございますが、財政計画上の歳入落ち込みというものを補てんする方策として交付税借り入れ措置をとったことと、税収入落ち込みに対する減収補てん債という考え方を出したこと。それに関連をいたしまして、二つ目の減収補てん債に関連をして、受けざらの問題に絡んで特例法の二条というものを設けたこと、それが二点。第三点目としては、当初、財政計画に盛り込まれておらない新規財政需要というものを見込んでいく、これが第三点。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 いや、さっきの六条の、いわゆる「著しく」、「引き続き」というのの立法の精神はどこにありましたかという質問をしたわけです。
  88. 松浦功

    政府委員松浦功君) 交付税率というものは国、地方を通ずる財源の配分でございますので、一年間の短期間の間における臨時的な異動というものでは変えるべきでない、だから、ある程度継続的に制度が不合理になったということを見通し交付税率引き上げまたは制度の改正を行えと、こういう趣旨だと私は理解をいたしております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 いまの答弁をもとにしながら、別の機会に少し掘り下げた論議をいたしたいと思います。  そこで、予算の年内編成ができるかどうかということをさっきお聞きをして、大蔵大臣、ああいう答弁をされたのはお聞きのとおりなんですが、概算要求が終わって、いまは一体どういうことをやっていらっしゃるのですか。
  90. 田中敬

    政府委員田中敬君) 来年の経済見通し作業というものを企画庁と順次詰める作業を行います一方、その経済フレームに合致する予算機構はいかにあるべきかという点を一つの問題点として検討中でございます。  それと同時に、各省からいただきました概算要求の説明を、おおむね事務的、技術的でございますが、主計官単位でヒヤリングを終わりまして、現在それの計数査定作業を進めておるという段階でございます。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、特に歳入面、国税三税、地方税予測というのはもう立っているでしょう。
  92. 田中敬

    政府委員田中敬君) 歳入当局の関係者でございませんので、はっきり申し上げられませんですが、来年の経済成長率がどれくらいであろうかということがやはり非常に大きく税収に作用するものでございますので、その点につきましてはまだ確とした見通しは立っておらないものと、かように存じております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 すでに予算の概算要求が終わって地方交付税としては四兆九千六百三十八億円、今年度比では一二・六%アップ、こういう数字が出ているわけですが、これはこの線でいくと、こう考えていいわけですか。
  94. 田中敬

    政府委員田中敬君) そのとおりでございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 地方税は、昨日の衆議院答弁ではほぼ本年度並みということであったですね。すると八兆八千八百五十億円、これと何千億円も違わない。税務局長、いいですか。
  96. 松浦功

    政府委員松浦功君) 明年度地方税につきましては、現行制度を前提にして見込みを立てました場合に、ほとんど当初の税額まで達するか達しないかという程度の見込みだというふうに税務局長から聞いております。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、そうすると地方債の額というのはどれぐらいになるんですか。
  98. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方債計画として要求をいたしておりますのは、交付税地方税がいままでの常識程度に伸びるということを前提に要求をいたしております。したがって、地方債計画はいま少しく推移を見て差しかえるという形に当然相なろうかと思っております。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 歳入歳出について、来年度地方財政運営は、自治大臣、成り立つとお考えになっていますか。あるいは歳入欠陥債、赤字補てん債を発行しなくて済む、こう理解しておいてよろしいですか。
  100. 松浦功

    政府委員松浦功君) 非常に技術的な問題でございますので、お許しいただいて私からお答え申し上げますが、昨日の衆議院地方行政委員会でもお答えを申し上げたとおり、歳入欠陥債あるいは赤字補てん債というものの制度を新たに設けないで、その中で現実に地方財政がやりくりできるような対策をとりたいと考えております。もう一度裏を返して申し上げますれば、国の建設公債並みの地方債ということは考えますが、それをはみ出たような地方債措置をするという形はとらずに、税または交付税財源措置をその余の部分はするということを基本方針にして臨みたいと考えております。  いずれにいたしましても、こう申し上げますことは、来年度の国の財政規模がどのくらい伸びるかということとも関係あるわけでございます。べらぼうに伸びるということになりますと、いま申し上げたことがあるいはお約束したとおりにはならないかもしれませんが、常識的な伸びでございますれば、何とかその方向で切り抜けるように努力をしてまいりたいということを基本に考えております。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、べらぼうに伸びますか。
  102. 田中敬

    政府委員田中敬君) 来年の経済見通しにつきましてはまだ確たる見通しを持っておりませんので、それに対応して予算規模がどれくらいになるかは現有申し上げられる段階でございませんけれども、べらぼうに伸びるということは財源上絶対にあり得ないというふうに考えます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 これ、財政課長なんですが、「都道府県展望」十一月号で、五十一年約二兆円、それから五十二年約一兆五千億円の歳入不足を予想している。これに対して、当面、交付税特別会計の借り入れと地方債枠の増額によって必要な財源を確保するとお書きになっていますね。自治大臣、そうすると自治大臣として、こういう見通しはやっぱりお持ちになっているということで理解しておいてよろしいですか。
  104. 松浦功

    政府委員松浦功君) 非常に計数的な問題でございますが、石原君が書かれた文章はこれは石原個人が書いたもので、私も検閲をいたしたわけではございませんが、ただ、石原君が考えてお書きになっておることは私が個人的に考えておることと余り食い違いはないんじゃないかというふうにいまの話から受け取っております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、自治大臣も個人的にお考えになっていることと余り変わりませんか。
  106. 福田一

    国務大臣福田一君) どうも数字の問題でいま私としてここで予測をして申し上げるということは、大蔵省見込みあるいは推定がまだできておらない段階でございますから、政府としての予算編成の問題にも絡んでまいりますので、ちょっとこれは差し控えさしていただきたいと存じます。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 自治体に働く労働者に対する既得権は侵害されるべきではないというのは、これは憲法あるいは労働基本権の上から言っても当然のことなんですが、労使の自主的な交渉を尊重するということが何といっても重要だと思うのです。この点、行政局長、確認できますね。
  108. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) もちろん、労使の自主的な交渉は正常な状態で十分になされるべきものだと存じます。ただ問題が、職員の身分、勤務条件、給与という方面が主体になると思いますけれども、この地方団体の職員の給与がどうであるべきだという、あるべき姿に向かって労使ともども努力をしていただきたいと思います。そのあるべき姿を逸脱しておれば、やはりこれはともども直していただくということをこちらは期待し、御相談にも乗っている次第でございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、国の給与法が成立をいたしました。で、十一月中にはさかのぼって全部精算がされる、国家公務員の場合。地方公務員の賃金改定がやっぱり速やかに実施をされて、そして遅くとも十二月議会ではその条例化や精算というものが軌道に乗るということでなけりゃならぬと思うのですが、それはそういうふうに理解していてよろしいですか。
  110. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 当省の従来の指導といたしましても、国にできるだけ足並みを合わせるということをモットーとしておりますので、国の方がいま御指摘のとおり片づきましたので、各地方団体としてはそれぞれの団体の財源の問題もあり、交渉もこれから持たれると思いますが、可及的速やかにその妥結をいたすといいますか、決着がついて早く支給ができるということは私の方からも望んでおります。ただ、地方団体財政事情は御承知のとおりでございますので、ことしは団体によっていろいろ時期とか内容によって差別ができるかもしれないと思っております。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 しかし、一般的には、そういういま御答弁にあった前段の趣旨を尊重しながらきょうこの法律案の慎重審議を急いでいるわけでありまして、したがって、十二月議会でやはり処理をされていくという、そういう方途について別に問題はないわけでしょう。異論はないわけでしょう。
  112. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 私どももそれは望んでおる次第であります。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、賃金、労働条件に関する何といいますか、理事者と職員組合、労働団体との交渉、これは従前のとおりやっぱり労使の自主的な交渉というものが尊重されるべきだ。で、言葉の使い方によりますが、不当な介入をしたことがないと言われればそれまででしょうが、不当介入などということはあり得ない、これは非常に一般的な質問で恐縮ですが、それはそういうことで理解してよろしいですね。
  114. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 不当介入ということはしたつもりは毛頭ございませんし、今後もするつもりもございません。ただ、労使の自主的な交渉を尊重すべきことは当然でございますけれども、御承知のとおり、地方団体の給与体系というものは労使の相談だけで決まるものではございませんで、それが条例という形で議会にかかり、それによって決定されていくべきものでございますから、労使の自主的な交渉を基礎にして、議会でも十分審議していただいてあるべき姿を達成していただきたいと思います。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 賃金の改定の所要の財源について、財政局長、従前のとおり国が補てんをする。で、減収補てん債の配分に当たって人件費の削減などというものが条件にはならない、これはそう考えておいていいわけでしょう。
  116. 松浦功

    政府委員松浦功君) 昨日の衆議院地方行政委員会で附帯決議をいただきました中にもそういう趣旨があったように記憶いたしておりますが、減収補てん債の配分に当たって、交付団体、不交付団体の別、あるいは給与運営の適否の別、給与水準の高下の別、そういったものを原因にして差別をするなどということは毛頭考えておりません。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと済みません。文部大臣の時間の約束があるものですから、文部大臣にちょっと飛びますが、すでに予算委員会で問題にしたことではあるんです、わが党としては。文部省の管理局長が、従来超過負担があったのは事実だ、で、実態調査をやった結果、四十九年補正、五十年当初予算で解消措置をとったので現在は超過負担はないと考えている、こう答えられたものですから、その後わが党の小野委員の方から大臣に対して質問をして、大臣からの釈明がなされたといいますか、御答弁があったわけですね。  で、確認をしておきたいのは、実態調査に基づくものは埋め合わせたということであるということ。しかし、私たちには実態調査は明らかにされていないわけです。それどころか、ごく一部、さきの国会で大蔵省からもらったいろいろな資料を検討してみますと、全く私たちが問題にしている超過負担の実態と実はかけ離れているわけですね。そのことを指摘をしなければなりません。で、文部省はこの国会の議論を御承知の上でなおかつあのように答えられたのか。それとも、数量差であるとか対象差であるとかいうような、超過負担の持つ単価差以外の部分等についてはお知りにならずにああいう答えをされたのか。いずれにしても、地方団体側の主張が入れられない形の超過負担解消の措置では、結局問題は残らざるを得ないんですよ。この辺、大臣の御見解を承りたいわけです。
  118. 清水成之

    政府委員(清水成之君) 大臣がお答えいたします前に、事務当局からまずもってお答えいたしたいと思います。  せんだって野口先生の御質問に対しまして、実はちょっととっさのことで数字等も持っておりませんで、説明不十分の点を深くまずもっておわびしたいと存じます。  ただいま御指摘になりました点でございますが、私お答えいたしましたのは、いま御指摘のとおり、単価差とか数量差あるいは対象差ということが従来から問題になっておるわけでございますが、私どもの方としまして、この対象差、数量差につきまして超過負担という考え方ではなしに、単価差だけの観点からお答えをしたつもりでございます。  なお、いま御指摘がございましたように、単価差の点で四十九年度の実態調査に基づく超過負担率がございました。それでその超過負担率と、それからそれ以後の四十九年度中におきます物価上騰分を含めまして二一・六%の補正を組ましていただいたわけでございます。これが四十九年度でございます。五十年度におきまして、なおそれらを踏まえて、物価上騰分として八・四%の単価アップをさせていただいたわけでございます。四十九年度の当初単価に比しまして三一・九%と、こういう単価の上昇をさせていただいた。そこで、ただいま五十年度の執行中でございますが、先般大臣予算委員会でお答えしましたように、地域差等を四十九年度よりはもう一段階細かく設けまして、できるだけ実態に合わせたいということで、なおまた、今後の単価調整の点を考えまして、五十年度では超過負担がないものと考えておりますと、こういうお答えをした次第でございます。  事務当局からおわびと補足をさせていただきたいと存じます。
  119. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) ただいま管理局長が申し上げたとおりでございますが、管理局長が野口委員に一番初めにお答えしましたときに、超過負担はないものと考えるという言葉を使いまして、考えるというのは、何か頭の中で超過負担がなくなっていると思っているんじゃないかというような御印象を与えたかもしれないと思いまして、私はその後で、言い足りなかったところを申し上げるということで小野先生に申し上げた。ただ、管理局長が考えておりましたことと私が考えておりましたことは同様でございますが、両方とも別に観念の中だけで考えていたわけではなくて、いま申し上げましたように、単価差につきましての三つの観点ですね。要するに、四十九年度につきましては実態調査に基づいて補正予算でふやした。そして五十年度につきましては、その調査に基づきながら、しかも物価上昇分を織り込みまして三一%強の、要するに超過負担分を織り込み算出いたしました。しかし、第三番目には、そうしましても全国的に地域差がございますから、予算の執行に当たりましてその地域差を十分考慮しながら執行してまいりますから、そういう方法で超過負担というものを解消できると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、あくまでも現実的には超過負担部分というものは残っていると、その地域差はあるにしても、今後どっちみち大蔵、文部なり、関係各省とも実態調査なり協議の上に積み重ねられるものでしょうけれども、それらの解消のための努力はさらに続けられる、こういうふうに大臣答弁をとっておいてよろしいわけですね。
  121. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 単価差につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、今後とも解消するように努力していくということでございます。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 これはあともう時間もあれですから——他の大臣と違った大臣ですからね、文部大臣は。したがって、やっぱりそういう角度から、実態的には対象差の問題だとかあるいは数量差の問題であるとかというのは明確に残っていく問題です。どうぞこれは大蔵省の圧力に屈せられることのないように、大蔵大臣もう時間でちょっと先に立たれてしまったんですが、その辺のことは頭に置かれながら今後処理していただきたいということを、私はきょうは意見だけ述べておきたいと思います。  行政監理委員会がことし四月に提言として、「今後における行政改革の課題と方針」を出されました。補助金等の整理の指摘についてですね。これを受けて行政管理庁はどのような検討を行っていらっしゃいますか。
  123. 吉村友佑

    説明員(吉村友佑君) ただいまお話のありました行政監理委員委員の意見でございますが、行政管理庁といたしましては、実は意見が出される前から、財政硬直化ということで補助金について調査する必要があるんじゃないかということで、実は事務段階で検討はしておったわけでございます。したがいまして、行政監理委員委員の方からそういった意見も出されましたので、行政管理庁といたしましては、その趣旨に沿いまして本年度の四月から、補助金について行政監察を実施するということにいたしまして調査を実施したわけでございます。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 もうきょうは時間ありませんからあれですが、行政管理庁のこの実態調査ですね、その調査結果、調査対象補助金名及びその五十年度の評価金額、それから補助率、これを資料として提出してもらいたいと思うんです。よろしいですか。
  125. 吉村友佑

    説明員(吉村友佑君) 補助金の調査結果につきましては、現在検討中でございまして、まだその最終の処理方針も政府部内としては決定しておりません。したがいまして、現在すぐ資料として提出いたしますと私の段階でお答えするということはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 いや、それだから責任持って答えのできる人を入れてくれと、こう言ってあったんだから、あなたは責任持って答えができるという人としてきょうここへ登場しているんで、したがって、いつごろできますか、いまの結果は。
  127. 吉村友佑

    説明員(吉村友佑君) ただいまの御質問でございますが、現在、いつできるというお答えをすることはちょっとできないかと思います。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 というのはどういうことですか。作業はやっていないということですか。延々とかかるということですか。
  129. 吉村友佑

    説明員(吉村友佑君) 補助金につきましては、個々の補助金についても調査いたしておりますので、個々の補助金等の結果の内容を個々に公表するということについては、いろいろ諸般の影響もございます。したがいまして、政府部内として、行政改革本部でも補助金の整理については本部決定をいたしているわけでございますし、そういった政府部内で関係機関との協議等もいたさないと公表というようなことも決定できないということでございます。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと、それじゃもうあなたに対する質問やめますから、私まだ二時間ぐらい残っておりますから、その間に協議して、そしてここへもう一遍持ってきて答弁ください、いまのやつ。協議してきてください。そんなことにはならない、責任持って答弁ができる人を入れてくれと言ってあった、責任を持って答弁ができる人を入れた、こうなっているわけですから。行政管理庁長官とちょっと協議してきてください。  そこで、大蔵省は来年度の補助金整理についてどうお考えですか。
  131. 田中敬

    政府委員田中敬君) 補助金の問題につきましては、先ほど財政制度審議会におきましても、将来の財政運営のあり方、財政資金の一図の効率的使用の観点から、これの見直しを行うべきであるという報告がなされております。それに基づきまして、私どもといたしましても、明年度編成に当たりましては新規の補助金というものはこれを厳しく抑制してまいりたい。特に、最近のような地方財政事情でもございますので、国の一方的都合によって補助金を交付して事務を押しつけるというようなことは厳に慎みたいと存じますし、また、既存の補助金につきましても、すでに補助金の目的を達したもの、あるいは非常に零細で余り補助金の効果のないもの、あるいは補助金を創設した当時と現在の経済情勢の変化に伴いましてその補助金の意義というものが失われたと思われるようなものにつきまして、ただいま予算編成作業とあわしましてこれを洗い直し中でございますので、補助金の整理合理化につきましては、従来にない厳しい線で明年度は取り組みたいと、かように考えております。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、整理によって浮いた——浮いたという表現がいいのかどうか、浮いた財源は当然地方に還元をすべきだと考えているんですが、これは自治大臣、そうじゃないですか。
  133. 松浦功

    政府委員松浦功君) 一般論としてはそういうお説も成り立とうかと思いますが、その仕事をやめるということになればそれを回す理由はないわけでございます。むしろ私どもは、仕事が減らされて、それだけ金がかからなくなって補助金の分だけ整理できたというのであれば、せめて思い切って超過負担の解消に回してもらったらどうだろうか、こういう提案も実は大蔵省に申し上げているところでございます。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、逆の意味では、自治省のいまの提案は大蔵省よくおわかりになっておりますね。
  135. 田中敬

    政府委員田中敬君) お気持ちはわかりますが、補助金の整理ということで浮きました財源というものは、より行政的にも財政資金的にも効率的な方向で使用すべきであると考えますので、これの使途が地方財政対策にまいりますか、あるいは別途の対策にまいりますか、それは予算編成上の政策判断であろうと思います。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 私は、自治省答弁もあり、大蔵省答弁もありましたが、先ほど述べたように、やはり地方に還元すべきである、そういうことを強い意見として申し述べておきます。きょうは、ここの部分はそれだけにしておきます。  建設大臣お入りになりましたので、もう時間の約束がありますから、ちょっとこれから後、地方債の問題に入りますが、それを除きまして、まず自治省にお尋ねをいたしますが、日本レースという会社が滋賀県土地開発公社を訴えていますね。で、裁判になっています。これはどういう事情ですか。
  137. 田中和夫

    説明員田中和夫君) いまお尋ねの訴訟の対象になっておりますものは、大津市の瀬田にございます土地につきまして、昭和四十九年の五月に日本レース株式会社と滋賀県の土地開発公社との間に締結されました不動産売買契約及び同じく十月に締結されました上記契約に基づく売買代金の支払い方法に関する不動産売買変更契約であると承知いたしております。  また、訴訟に至りますまでの経緯につきましては、五十年の二月、ことしの二月に滋賀県土地開発公社の実態を調査し、その健全な運営を図るために設置されました滋賀県土地開発公社対策委員会、これは知事が設置したものでございますが、滋賀県土地開発公社対策委員会におきまして、特にびわこニュータウン問題等について検討されました結果、同委員会からは五十年五月三十日に答申がなされました。その中で、びわこニュータウン計画に伴います土地の売買契約、及び交換契約について、一部用地を除いて合意により解除するか、あるいは適正価格に基づく契約の全面的な改訂を実現するように措置すべきであるということが答申されたわけでございます。  こういう答申が行われますまでの過程で、支払い期日が到来いたしました先ほど申しました契約に基づきます売買代金の内金四億円の支払いを滋賀県土地開発公社が延期いたしたのでありますが、延期いたしましたところ、ことしの五月十四日に、日本レース株式会社から支払い命令の申し立てがなされました。五月の十九日の大津簡易裁判所の支払い命令に対しまして、滋賀県の土地開発公社が異議の申し立てをいたしました。で、現在、訴訟に移行いたしまして係属中であると承知いたしております。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 建設大臣、この辺の事実関係御存じでしょうか。
  139. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) いま自治省から御報告したような経緯があるようでありますが、ちょうどいま見えておりましたがちょっと席を外しておりますから、計画局長が来ますから、詳細御報告申し上げるようにいたします。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 日本レースが代金不払いで公社を訴えている瀬田西という土地がある。この登記簿の謄本によると、この土地の所有権は日本信和になっている。それにもかかわらず日本レースという会社が代金不払いで公社を訴えている。この間の事情というのは法務省どういうことなんです、これ。
  141. 吉野衛

    説明員吉野衛君) 実は対象になっている土地が非常に広範囲にわたりますし、急なことでございますので、該当の土地の地番がわかりません。したがいまして、お尋ねの土地のことは、目下の段階では調査できないでおりますが、私ここに来る前にちょっと調べました土地の登記簿の関係だけを申し上げさしていただきたいと思います。  所在は大津市瀬田南大萱町字石捨、地番は千七百五十二番、保安林の土地でございまして、地籍は二千七百九十六平方メートルでございます。  所有権の移転関係を申し上げますと、一私人の松田斉一という者が昭和四十五年七月二十三日、三十九年二月二日の相続を原因といたしまして移転登記を行っております。それからその松田斉一から、昭和四十五年七月十五日売買で京都レース株式会社に売り渡しておりますが、登記はその月の二十三日に行っております。さらにその京都レースから同じ年の八月二十九日に京都労働者住宅生活協同組合に売買しておりまして、その年の十月十六日に移転登記を行っております。それからさらにこの協同組合から大和不動産株式会社に、四十八年三月二十七日付の売買で同じ年の四月九日で移転登記を行っております。それからさらに、この大和不動産株式会社から滋賀県土地開発公社に、四十八年の六月十三日付の交換で同じ月の十六日に所有権移転登記を行っております。ただいまのところではその関係だけしか調査しておりませんで、先生お尋ねの土地につきましては、まだ登記簿謄本を入手しておりませんのでお答えできない段階でございます。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 この土地は、先ほども答弁がありましたように、私はいわゆる滋賀県の地方財政の非常に困窮した状態との関係で取り上げているのでありまして、昭和四十七年一月に、京都レースが西武鉄道から買った。そうしてその京都レースは、同じ年の三月に、戸田建設と、そうして一部を伊吹建設に売った。そうしてそれが同年九月に日本信和のものになっている。この日本信和——日本信和というのは、日本信託銀行の子会社です。そうしてそれがこの土地を買うに当たって上田茂男氏が、一年以内に開発ができない場合は買い戻しをするという念書を入れているということなんですね。しかるに、一年たっても保安林の解除等開発が進まない。そこで四十九年三月三十日付でこの伊吹建設に坪三万七千六百円で買ってもらった。そうして日本レースの手に渡って、日本レースが四十九年の五月二十三日付で公社に今度は坪六万九千九百円で売り渡したという経緯になっているわけです、売ったという経緯になっているわけです。  そこで、四十九年三月三十日にこの伊吹建設がこの土地を日本信和から買い戻した。その直前の二月に公社は日本信和にこの土地を売ってくれと言っている。しかるに日本信和は、公社に面接この土地を売ることなく、幾つかの、俗に言う、この間から問題になっている上田グループという中の土地転がしか何かはよくわかりませんが、そういうような形のものをどうも経由したように思われる形を経ながら、その結果、三月三十日から五月二十三日という二月もたたないうちに、坪三万七千六百円のものを、坪六万九千九百円につり上げて滋賀県民に多大の損害を与えるという結果になっている。  私がいま問題にするのは、実は大蔵省の銀行局長に問いたいのですが、この日本信和という会社が、日本信託銀行というれっきとした信託銀行の子会社だということなんですよ。そのことによって信用があるということでしょう。そうすると、そのことは日本信託みずからがこれははっきり認めていますから。それどころじゃない、逆に考えてみると、日本信託銀行という権威あるところの銀行が、こういう形の、県民に大きな、多大の損害を与えるための土地転がしに一枚かんだということならぬだろうか。大蔵省は、この裁判ざたにさえなっている土地転がし、この滋賀県民に多大の損害を与え、滋賀県財政にもゆゆしい一つ危機的な原因を与えた、こういう問題が何ゆえにスムーズに行われたのか。それは私はこの日本レースと滋賀県土地開発公社との売買契約書、この写しは私持っていますが、この売買契約書が物を言ったと思うのですよ。ということは、この立会人に、れっきとした銀行である日本信託銀行株式会社京都支店不動産郡部長森茂生さんという立会人がちゃんと判を押しているわけです。こういう状態でありますから、公共性を誇示する銀行が立会人になれば、その土地売買価格に客観性が出てくるのは当然じゃないでしょうか。四十九年三月三十日に坪三万七千六百円で買った土地を、五月の二十三日に六万九千九百円で公社に売りつけた。売りつけたということが語弊があれば、とにかく公社に売った。この暴利を日本信託銀行が保証したということにこれはなりませんか。事実関係として大蔵省どうです、これは。
  143. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ただいまの御質問でございますが、私どもきわめて詳細にこの内容をよく存じておりませんが、われわれが存じ上げておりますところでは、いま先生のおっしゃいました立ち会いといいますのが、恐らく仲介ではなかったかというふうに考えております。したがいまして、信託銀行というものは土地売買の媒介、仲介は、これは信託業法並びに宅地建物取引業法でできることになっております。さようなことで、その業務としましてこの仲介をいたしたのであろう、かように思っております。したがって、それは別に保証という法的な意味は何らないと、かように考えております。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 銀行局長お見えですか。
  145. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) はい。銀行局長のかわりに参っております。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 銀行局長を呼んでいるのに、あなた、かわりで間に合うの。
  147. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) 全権を委任されております。政府委員でございます。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 いや、大蔵大臣をお帰しするに当たって、三局長が残っておってもらいたいという約束になっておるのですよ。そんな勝手にかえて、私は一つも知らないよ、あなた。大蔵大臣を四十分間でお帰しするという前提に立って、ちゃんと局長をという約束になっているじゃないですか。  そして、あなたがいま言っているような形のことが通用すると思いますか。日本信託銀行というものが、明確に立会人として契約書、不動産売買・交換契約書に署名捺印をしているがゆえに、この価格について客観性なり、あるいは安定性なりというものを信じたわけですよ。ところが、全貌をいま私が申し上げたようなことのからくりがちゃんとあった。あなたの述べられていることは一向に答弁にならないでしょう。とにかく銀行局長とかわってください。
  149. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) いえ、私ひとつ知っている限りの答弁をさせていただきたいと思います。  信託銀行でもその他でもよいわけでございますが、その土地の仲介をいたしますということは、これは売り手と買い手の中間に立ちまして、そしてそれぞれの意思を次第に合致させまして、かような売り物がございます、かような買い手がございます、値段は、売り手はかような値段を希望しております、買い手の方はかような値段を希望されております、したがって、これはこういうところじゃないと無理だと思います、こういうようなさや寄せといいますか、いろいろ両方の御意見を寄せてきて成立させる、これが先生御承知の仲介でございますが、その場合には、もう何といいますか、最後の意思決定は一〇〇%当事者、売り手と買い手でございます。したがって、そこにおいて売買契約が成立するわけでございます。まあ立ち会うということを仮にいたしましても、保証というふうにはこれは解せないのではないか。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 何に解せない。
  151. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) 保証でございますね。そういうふうに考えます。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 通常の土地売買の場合に、高い安いはあったにしろ、不動産鑑定士による評価なり地価公示価格なりを参考にしておのずから常識の範囲というものがあるわけでしょう。公共性を帯びる銀行の不動産部に立会人を依頼する裏には、銀行だからこそ、いま言われたように銀行だからこそ、その常識の範囲を守ってくれるという信頼感が前提に立っているでしょう。銀行に立会人を依頼するということは、そういう信頼感が前提に立っているでしょう。で、この信頼関係をある意味では逆手に使って、不当な価格、私が不当な価格と言うのは裁判ざたになっているから、これは非常識だから払わない、そういう意味で裁判ざたになっているわけですから、非常識な価格をつり上げた日本信託銀行の態度というのは、こんなものが常識的に許せますか。あなたは持ち寄って云々なんて言われましたけれども、日本信託銀行というようなものが介在をしたがゆえに巧みにずっと値段が上がってきているんですよ。これはさっきからも説明したとおりで、時間もありませんからなお多くのことを言いませんがね。この売買契約書によれば、立会人は日本信託銀行不動産部の部長森茂生さんとなっているわけです。そうすると、この森茂生さんはこの土地のどのような不動産鑑定を行って、そしてその売買価格、坪六万九千九百円をはじき出されたのか。それはいまあなた、調査をされた上での御答弁でしょうね。
  153. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ただいま申されました、その金額の算定根拠までは確かめておりませんが、しかしこれは、売買といいますものは一応そういう公示価格とかそういうものはございます。そういうことはもちろん当事者には申し上げ、あるいはお知らせいたしておると思いますが、しかし、当事者の方でそれを、その価格ではだめだ、いや、その価格を超えても差し支えないということで、取引というのは次第にでき上がるわけでございます。それもこの当事者はりっぱな滋賀県土地開発公社、これは地方公共団体がおつくりになったりっぱな公社でございます。それにその理事者というのも、それぞれりっぱな良識のある方がなっておられるわけでございます。そういう方々と売り手とがこうやっていろいろお話をしていくうちに、そこで買おう、売ろうという話がつきますと、それはその評価が、たとえばいわゆる税法上の、税務上のよくあります相続の基準になるような評価であるとか、そういうものとはちょっと事が違いまして、やっぱり売り買いのその当事者の意思というのが、これは何といっても優先せざるを得ないじゃないかと思うのです。これは、銀行というのはもちろん公共性を帯びておる、これは当然でございますけれども、しかしその仕事としまして、その仲介という仕事は私はそういうものじゃないか、かように考えております。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 私はこの森茂生さんなる人が、単なる立会人であるか、だれの代理人であるかということはわかって物を言っているのです。そんなことをいま私はここで、委員会が違いますから、述べようとは思わないんです。  あなたがそういう答弁をされましたから警察庁にお聞きしますが、それじゃ、滋賀県開発公社の前副理事長井上良平氏が日本クリスターという会社から贈賄容疑で逮捕された、こういうことになりましたね。これは事件はどういうことですか。
  155. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 現在、警察が逮捕して取り調べ中の事件でございますが、滋賀県警察において、滋賀県土地開発公社の同県甲賀郡水口町大字水口の山林約四万五千平方メートルの用地買収に絡みまして、同社に買い上げを依頼した不動産業者から数百万円の賄賂が供与なされている事実を把握しましたので、十月三十一日、収賄者として元滋賀県土地開発公社副理事長井上良平を、また贈賄者として日本クリスター株式会社社長中野文敏を逮捕して現在取り調べ中でございます。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 公社の幹部の背任容疑というのはあるんですか。
  157. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) それは、このただいま申し上げました二人の被疑者、井上良平を含めた逮捕事件を逮捕する前に背任事件というのがありまして、それがその前提になっております。
  158. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ大蔵省、お聞きのとおり、りっぱなとにかく地方公社の幹部である人がいまそういう状態なんです。そういう状態にある人たちとの間で、対県民の中に日本信託銀行というものが介在をするということで、いわゆる客観性といいますか、そういうものを持たせながらこの作業が進んだ、こういう形のことについては、やっぱり銀行側というのは謙虚に反省をすべきことでしょう。それまで否定になりますか。
  159. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) 司直の手が入っておりますようなので、いずれ事案がはっきりいたしてくると思いますが、一般的に申しまして、疑惑を世間に持たれるようなそういう行為は、これは銀行としては極力慎み、自戒し、さようなことのないようにいたすべきであろう、かように思います。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 日本信和という会社は、日本信託銀行との関係はどんな関係です。
  161. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) この会社は、建物、宅地取引を業といたし、あるいは生損保の代理業をいたしておりますが、もとは日本信託のいわゆる関係会社でございまして、ただいまは、先生御承知の金融機関の関連会社の整理等の通達を出しまして、あの基準で整理を終わっております。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。そうだから、明確に過去においては八〇%の株を日本信託銀行が持ち、役員も日本信託銀行からみんな出ていた、こういう形なんですよ。そういう意味で、この銀行の社会的な責任は問われなければならない。それは否定はなされないわけでしょう、今度の事件に関してですよ。
  163. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ただいま申しましたように、まだ司直の手で解明されております。その点がはっきりしますと、いま先生のおっしゃいました点が非常に明快になると思います。一般的に申しまして、世間の疑惑を招くようなことは金融機関としてぜひ慎んでもらいたい、かように思っております。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 日本信託銀行京都支店の不動産部長森茂生氏に背任、共犯の嫌疑がかかっているということが仄聞されているのですが、そういうことはあるんですか。
  165. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) まだ捜査中でございますので、その点については申し上げられません。
  166. 和田静夫

    和田静夫君 建設大臣、いま係争中のこの土地を、実は住宅公団が買い取るという話があるんだそうですが、おわかりになっていますか。
  167. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 住宅公団が買い取るというふうに決めている段階ではございません。
  168. 和田静夫

    和田静夫君 住宅公団の関西支社の平田用地部長が中心になりながらそういうような——それじゃ、まだ決めてはいないけれども、一応、下見であるとかあるいは折衝を始めているとか、何か検討を始めているとか、そういう状態になっているわけですか。
  169. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 滋賀県のこの公社の対策委員会でも指摘されておりますように、住宅公団がかつてお手伝いしたいという申し出があったというようないきさつもありまして、それからまた、いま御指摘のような非常に困っている事情にありますので、住宅公団におきましてもそういう相談に乗っている、事実上の相談に乗っているという段階でございます。で、県におきましてはいまその設計の見直し等をやっておりますから、そういう相談はやっていると思います。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 建設省、滋賀県に土曜会——正式名称はデベロッパー技術研究会というんですが、土曜会という大手建設業者の会合が過去にあって——いまの知事のもとではありませんよ、前知事のもとで過去にあったということは御存じですか。
  171. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私は土曜会の存在を存じ上げておりません。
  172. 和田静夫

    和田静夫君 建設省にお渡ししたと思うんですが、「市民」という雑誌の十月号の百十四ページによりますと、そういうグループが存在をすると。そこで、独禁法の違反の疑いがどうもこのグループはあると思うんですよ。いかがですか。
  173. 吉野秀雄

    政府委員吉野秀雄君) お答えいたします。  もし現に土曜会が存在いたしまして、その土曜会のグループが相談をして、入札に当たって落札予定者を決めたり、あるいは入札金額を決めたり、あるいは土曜会以外の者に対して落札を認めない、そういった行為をもししておるとすれば、これは独禁法に抵触する疑いがきわめて濃いものと思います。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 この土曜会は、いま改組して栄会というふうになっているようであります。実は現在の武村知事は、この土曜会のグループを入札から外して、そして土曜会以外の大手業者と地元業者とのジョイントで仕事をさせるということに——まあ係争中のことでもありますから、非常に心配をしたこともあるんでしょう、そういうことをやった。ところが、旧土曜会、現栄会は、これに参加した業者に圧力をかけているという訴えがあります。建設省、事実御存じでしょうか。
  175. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) その事実は存じておりません。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 これはぜひ建設大臣、一遍事実関係というのを調査をしていただけませんか。地方自治体の今日的な財政問題とある意味では深くかかわる事態があちこちにある。あると言い切ってしまえば語弊がありますけれども、そういう意味で私は、ここを調査してもらって少し事実関係を明らかにすべきだと思うんですが、調査をされる御用意はありますか。
  177. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) ちょっと経緯を話しますと、過去にいろんないきさつがあって、土地を転がしちゃ高いものを売りつけた。あるいは買ったかもしれませんけれども、経緯のあったことも、私ども一応承知をいたしております。ただ、それかといって、県自体も、県財政上も大変重要な問題でありますから——この前、知事と県会が超党派で全部来られたのですよ、私のところへ。全部おそろいで各党が来られまして、そして、このままにはほうっておけないから、県の財政計画の問題もあるし、どうしてもこの問題を処置しなければならぬから、ぜひ建設省の方でもひとつ力をかしてくださいと、こういう率直なお話があったのです。私は率直に申し上げました。過去においていろいろな経緯があろうと思うけれども、そんなことはわれわれの関知しないことです、そういうものがあれば、びっしりとあなた方は整理をしてください、たまたま公社の方で対策委員会ができて、それが十分に調査をされて答申も出ておるらしい、その答申もきわめて厳しいものと聞いております、その答申の線に沿って、知事を中心にしてぜひひとつ各党が本当に一致して、この際は思い切ったひとつ再建計画を立ててみてください、もしそういうふうなことに計画が立つなれば私どもも全力を挙げてお手伝いをいたしましょうと、こういう御返事をいたしました。新しい計画ができたら私の方へも御通知をしてください、その計画に基づいてわれわれも直ちに検討に入りますからと、こういう御返事をしてありますが、いまだにその計画は立たぬようでありますが、聞きますと、近いうちに、今月末にはそういう計画が立って、私の方へも御報告があるように承知をいたしております。  経緯はそういうことになっておるわけでありまして、その間に、いまおっしゃったような、たとえば前にいろんな問題のあった業者をのけて、そして問題のない業者とジョイントでやるということは、これは知事としては当然なことなんであって、それに何も文句をよそから言う性質のものではないと思う。また、そんなものに圧力かけられて、それでひょろひょろするような業界であってはならぬと思う。知事は、そういうときは毅然たる態度で私は臨むべきだと。実権は知事が持っておるのですからね、そういうふうに考えております。だから、そういうことがあって今後の再建に支障を来すということになれば、十分調査いたしましてこれは指導せなきゃならぬと思っております。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 本当にあやふやな答弁でなくて結構でした。ありがとうございました。土地開発公社をめぐる一般論は、私は通常国会の際にでもやりたいと思っているのです、地方財政の面から考えて大変大きな問題をたくさん包蔵していますから。  一点だけ建設省にお尋ねをしておきますが、いま国の直轄事業のために土地開発公社、公団が抱えている土地は金額にしてどれぐらいありますか。
  179. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま、後で補足いたしますが、直轄事業それから補助事業、合計いたしまして約七千百億を先行取得として各自治体が持っているわけであります。直轄で約二千五百九十億円、補助事業で四千五百五十三億円、合わせまして七千百四十三億円。面積にしまして合わせて五千八百ヘクタール。これが建設省の所管事業における四十九年度末の先行取得の保有額とそれから面積でございます。  公社が所有しております面積につきましては、ちょっと後で調べてひとつ。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、各公社別で、建設省の管轄の公有地の先行取得の取得額、面積、これを直轄、補助事業で目的別にでも出していただけますか、資料として。
  181. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 公社の取得しましたものの中身は、いわゆる公有地拡大法に基づくものもございます。だから、直轄事業か補助事業かという区別、内容はわからないと思いますけれども、面積は明らかになります。
  182. 和田静夫

    和田静夫君 それは後でいただけますね。
  183. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 提出いたします。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃここで最後にしますが、言ってみればいま言われた七千百四十三億という、この直轄、補助事業を含んで五千八百ヘクタールのこの利子負担その他が、実は現下の県財政にとって、あるいはもっと言えば地方財政にとって大変な負担になってきているわけですよ。で、国による再取得という方向が、先般の委員会では自治大臣からも述べられているんですが、建設大臣にもそのおつもりはございますか。
  185. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) この問題についてはすでに自治大臣とも私どもいろいろ打ち合わせをいたしております。七千百億くらいの先行投資をしておりまして、まず第一点はできるだけ早期に再取得をする。しかしこれはやっぱり公共事業が枠が決められておりますですから、なかなか一挙にはいけない。だから、これからの新しい取得はもちろん抑制をしていきます。ただ、再取得をするにしましても、いまの公共事業の伸びでいきますとやっぱり三年ぐらいはかかるかもしれないと思っています。そうしますと、その間にその取得をしたことによって借金をし利子負担をしておる地方財政等には、これはきわめて大きな圧迫がいくことは当然だと思います。それをどういう形にして考えていくかという問題ですね。地方財政にその大きな圧迫がいかないような何らかの対策がないかということで、これらを自治大臣とよく相談をいたしておりまして、明年度は何らかの対策を立てていきたい、かように思って関係省庁とも相談をいたしておるわけでございます。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、いま建設大臣が述べられましたように、明年度は何か具体的な施策を行いたいと、こう言われておるわけです。まあ自治省側といいますか、自治体側としますれば大変急いでもらわなければならぬ仕事だと思うのですがね。これは自治大臣として、どういうふうに建設大臣側に向かって意見を述べられて、そして方針を出されるつもりですか。
  187. 福田一

    国務大臣福田一君) できるだけ早く買い上げてもらうように建設省にもお願いをいたす。どうしても買い上げられない分があったときはどうするかということは、また建設省とも相談をしたい、こう考えております。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 建設大臣、ちょっと恐縮ですが、前の私の予算委員会のときの約束事で、きょう各省に実は来ていただいておるのですが、地財法の十一条関係の問題で、建設省でいわゆる法政令の整備を行うことを次期通常国会までに、たとえば厚生大臣や農林大臣、建設大臣、国土庁長官、全部予算委員会でお認めになってお約束になったわけです、私に。それだけ答えていただいて建設大臣は終わりにしますがね。
  189. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 担当官からひとつ話させますが、一つ砂防工事の問題ですが、これは現実には国庫負担は大体規定どおりやっておるはずですけれども、ただ、手続上、法の改正がおくれておったわけです。これは七月十四日付で砂防法の政令の改正をいたしております。約束どおりやっておりますが、もう一つ住宅関係の問題があるようでありますから、担当官から答えさせます。
  190. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) 補助金等の臨時特例等に関する法律の十八条の規定というのがございまして、これが公営住宅法との関係で御指摘の点でございますが、これは先生御承知のとおり、いわば後法で特則として出ているものでございますので、直ちに法の問題はないということでございますが、またこの特例は現在まで実際に適用した実例もございません。そういう意味で実害はないわけでございますが、地方財政法の立法趣旨等にかんがみまして、この扱いにつきましては検討いたしたいと現在思っておる次第でございます。
  191. 和田静夫

    和田静夫君 これは次国会までに結論出されるということですね、前の約束どおり。
  192. 吉田公二

    説明員(吉田公二君) 関係省と相談してまいりたいと思います。
  193. 和田静夫

    和田静夫君 いまの問題で、厚生省、農林省、国土庁ちょっと同時に答えていただけませんか。
  194. 小野重和

    説明員(小野重和君) お尋ねの件につきましては、次期通常国会に法律案を提出することを目途にいたしまして、現在関係諸当局と調整を図りながら鋭意検討を進めておるところでございます。
  195. 松本作衛

    説明員(松本作衛君) 国土調査法につきましては、今後政令で定めるべく現在自治省と折衝中でございまして、できるだけ早く制定をしたいというふうに考えております。
  196. 国塚武平

    説明員国塚武平君) 私どもの関係は、国土総合開発法の特定地域開発計画の策定に関する経費の問題でございますが、御案内のとおりに、この特定地域の制度は昭和二十八年から三十三年にかけまして策定されまして、すでに二十一地域につきまして事業を終わっている経費でございます。  なお、この特定地域制度それ自体につきましては、国土総合開発法の全般の再検討という課題の中で検討すべきものと考えております。
  197. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 厚生省には、身体障害者福祉法、らい予防法、それから予防接種法、それと寄生虫病予防法の四本ございます。これらにつきましては、政令の改正を鋭意努力いたしておりまして、現在最終の詰めの段階に入っております。したがいまして、近く改正が行われる予定にいたしております。
  198. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、特に三省、もうそれであれですが、たとえば児童福祉法施行令の改正、このように、法律が精算方式のたてまえをとってるのに、政令で、算定基準は厚生大臣の定める基準によるというように後退した規定にしたんでは困るわけです。そうでなかったら、予算委員会であれだけの時間をかけて地財法九条から十一条にわたる多くの論議をした意味がなくなるわけですからね。さきの国会でその点を懸念をしたから実は問題として指摘をしてきたので、これは各省共通する問題ですが、そういう懸念というものをなくするように了解を各大臣されているわけですから、その立場に立った作業で完了してもらう。そしてできるだけ早くと言われていますが、それはすべての大臣は次国会と約束をしているわけですから、次通常国会。したがって、次通常国会までにはこれは全部解決する、こういうふうに理解をしておかなければなりませんが、これは自治大臣、各省の関係ですが、よろしいですか。
  199. 松浦功

    政府委員松浦功君) 政令につきましては次国会開催前に、法律については次国会に提案する、こういう形で現在各省と詰めを行っております。
  200. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、地方債について伺いますが、これまで手続が非常に複雑で、二重三重の申請をしなければならない。で、行政管理庁の許認可の整理項目にも入っているわけですが、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  201. 原徹

    政府委員(原徹君) 地方債の許可をいたしますのは自治省でございますが、私どもはその許可をする際に御協議にあずかるという立場でございます。これは結局大蔵大臣財政金融の総括責任者であるということと、政府資金を貸します資金運用部の貸し出しの責任者、そういう意味で御協議を受けているわけでございます。で、行政管理庁その他の問題確かにございまして、したがいまして手続を簡素化にするという見地で、中央でまずやるものと地方でやるものと、いわゆる枠の配分というものを多くすることによって一つは手続が簡素化するということと、それから従来資金運用部に許可申請をするものと、それからいまの地方債の許可と、別々に申請が出ておったというようなものにつきましては同一の申請で間に合わせる、そういうようなことでやっている次第でございます。
  202. 和田静夫

    和田静夫君 申すまでもなく自治法二百五十条では「当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。」となっているわけですね。ここでは自治大臣というふうに書かれているわけでしてね、実質的にはこの地方債計画の策定を含めて、一件審査に至るまで大蔵省自治省が許可権限をふるっている。大蔵省が許可権を行使する理由と根拠というのは一体どこにあるのですか。
  203. 原徹

    政府委員(原徹君) 私どもが許可権を持っているというのではございませんで、自治省が許可をいたします際に私どもに御協議にあずかるということでございまして、いまの地方自治法の規定もございますが、大蔵省の設置法で理財局の所掌に「地方債に関すること」というのがございますし、それを受けましてまた地方資金課では、その協議に関することというのが規定されておる。そういう根拠で私どもは——私どもが許可をするのではなくて、許可の際に御協議にあずかる。  で、手続が非常に複雑ではないかというような御指摘がございますので、それはなるべく簡素化を図ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  204. 和田静夫

    和田静夫君 地方自治法の施行令の百七十四条には、「自治大臣及び大蔵大臣の定めるところにより、当分の間、自治大臣の許可を受けなければならない。」と規定されているわけです。これはしかし、大蔵大臣の実質的な許可権を認めたものと解することはできませんよね、これは幾ら何でも。ところが、「地方自治法施行令第百七十四条の規定による地方債の許可に関する件」という昭和二十二年の内務省大蔵省令第五号、通称これ内蔵令と言うのですか、内蔵令というのがあるわけですね。その第一条で、許可の協議について規定されていると、まあこういうことですね。それ、いま見せてもらえますか。
  205. 原徹

    政府委員(原徹君) 私の手元に、「地方自治法施行令第百七十四条の規定による地方債の許可に関する件」というのがここにございまして、第一条は「地方自治法第二百二十七条の借入金を除く外、地方債を起し又は起債の方法、利息の定率若しくは償還の方法を変更しようとするときは、第二条に定めるものを除く外、都道府県、地方自治法第百五十五条第二項の市及び特別区にあつては内務大臣、市町村にあつては都道府県知事の許可を受けなければならない。」と、こう定めてあります。また第二項は、「内務大臣は、前項の規定により、許可をしようとするときは、予め大蔵大臣と協議するものとする。但し、起債目的一件の金額が五百万円未満のものについては、この限りでない」、こうなっております。
  206. 和田静夫

    和田静夫君 現在この内務省というのはないわけですがね。これは私は単に内務省という名称がなくなったことではないんだと思うんです。いわゆるその制度が変わったわけでしょう。それに基づいて内務省と大蔵省が協議して許可するというのはこれは非常におかしなことじゃないかと思うんですがね、自治大臣、どうですか。
  207. 松浦功

    政府委員松浦功君) 法律的には昭和二十二年五月三日に自治法ができ、その施行令の運用として内務省と大蔵省が共同して定めたものでございますので、この名前が変わっておりましても、これは当然法令の一種として生きておるということにはならざるを得ないと思います。
  208. 和田静夫

    和田静夫君 しかし、とにかく賢明な財政局長の答弁にしちゃ、少し声が小さいから余り自信がないんだと思うんだけども、内務省イコール自治省じゃないでしょう、これは。ここのところは大臣、やっぱり何か整理するとか何か考えなければいかぬのじゃないですか。
  209. 松浦功

    政府委員松浦功君) この規定自身が、当時政府資金しか起債の資金がなかった段階でつくられた規定でございます。いまは縁故債というようなものもあるわけでございます。そういうことから言うと、二条等に書いてありますのは、現実の問題として余り現在働かないようなものもございます。そういう点からは、もう一度つくり直すということがより明確にするゆえんであるとは私ども理解をいたしております。
  210. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ自治大臣。いいですか、いまの答弁、これはやっぱり大臣責任において。
  211. 松浦功

    政府委員松浦功君) 大臣もお聞きになっておられますし、中身はこれちょっと大臣御承知のないことでございますので、かわってお答えをしているわけでございますが、いずれにいたしましても、政府資金の問題でございますれば大蔵省の問題として十分大蔵省が関与をしないと、これはやはり資金運用の問題から問題があると思います。縁故債につきましても、多額の金になりますれば、これは大蔵省が日本の全体の金融を預かっておられるという立場からもある程度の関与は必要であろうと思います。私どもはまあ非常に事務屋でございますからこの規定でともかく読んできておるし、また支障がなかったわけでございます。なるべく世間に向かってわかりやすいものにするということは決して悪いことではないと思います。そういうことも踏まえながら、関係省と協議をしてまいるということにさしていただきたいと思います。いつ、どうこうするということは、なかなかこの場ではお約束しにくい問題であるということは申し上げておきたいと思います。
  212. 和田静夫

    和田静夫君 そんな、自治大臣をないがしろにするような答弁しちゃだめですよ。それはレクチャーをしなかったおたくの責任なんであって、御存じないことでありますからなんというんじゃ困るのです。  大蔵省地方債について恒久的に関与をしなければならないということになると、「当分の間」ということではなくなってきて、いわゆる法の要請を完全に無視して権限が拡大していくばかりになるのじゃないかと、こう思うのですが、これは大蔵省、そんなことをしませんとおっしゃいますか。
  213. 原徹

    政府委員(原徹君) 大蔵省が協議を——許可をするのではなくて協議を受けるわけでございますが、これはやはり一つは資金運用部の立場で運用する、それからもう一つは、縁故債でございましても、いろいろ大量発行になりますとやはり消化の問題等もございますわけですから、そういう意味で、やはり自治省と一緒になっていろいろやらなければならないことが多いと思いますので、いつまでということになりますとちょっとあれでございますけれども、やはり一緒にやるという姿勢といたしましては、私は協議を受ける方がベターではないかというふうに考えます。
  214. 和田静夫

    和田静夫君 私はやっぱりこの内蔵令と呼ばれるものについて、財政局長の答弁がありましたから理解をしておきますが、本当のことを言うと、廃止をして自治大臣の方に許可権限の一切を集めるという、そういう地方自治法の趣旨にのっとった形に私はすべきだと。実態的にあまり不便を感じなかったし、これでよかったから来たんだというだけではやっぱり済まされない性格のものを包蔵をしていると私は思うのです。ここはやはり内務省という言葉にあまり不感症であっちゃいかぬと思うのです。その辺もひとつ絡みますので、自治大臣、ぜひそういう形で善処を要望しておきますが、よろしいですか。
  215. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ私が実はあまり事情をつまびらかにいたしておりませんので、いろいろ両省の間で答弁があり、また、あなたから御説明をいただいてようやく問題を理解をしたようなことでありますけれども、私はやはり地方債というものについて、今度のような多額な発行をするような場合には、やはり大蔵省に協力を求めないわけには現実の問題としていかないと思います。そういうことから考えますと、自治省が全部もう権限を持ってしまうということがいいのか、あるいは金額の程度で、この辺五百万円まではいいんだというような案もありましたが、そういうようなところで考えるのがいいのか、これはひとつ研究をさしていただきたいと思います。さしあたりは、まあいまの制度でやらしていただくということよりほか方法がないのじゃないか、こう考えておるわけであります。
  216. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 午後七時まで休憩いたします。    午後六時十五分休憩      —————・—————    午後十時三十三分開会
  217. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案について質疑を行います。
  218. 和田静夫

    和田静夫君 再確認意味にもなりますけれども自治体職員の賃金改定が非常におくれています。これについては、円滑な労使関係というものが維持されるように配慮をされなければならぬことはこれはまあ当然なことですが、そう理解をしてよろしいですか。
  219. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 労使関係は常に円滑でスムーズであることが望ましいと思っております。
  220. 和田静夫

    和田静夫君 表現の問題は別といたしまして、自治体労働者が長い間かけて労使のいろいろの折衝を通じながら積み上げてきた幾つかの既得権、たくさんの既得権があると思うんですね。それに対してはどこからも不当な介入はあり得ない、こういう形の理解をしておいてよろしいですか。
  221. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) まあ現在地方公共団体の給与体系が完全無欠で正しいものであるかどうかということ、それぞれの団体でいろいろ事情がございます。したがって、給与が適正であるべき努力は、これは労使双方ともしていただきたいということを期待しております。私の方から不当な介入をするというつもりは毛頭ございません。
  222. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、労使間の自主性というものはあくまでも尊重されるべきものである、こう理解をしておいてよろしいわけですね。
  223. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 労使間の自主的ないろいろな折衝ということ、このこと自体は当然尊重されるべきものであると思いますが、先ほども答弁申し上げましたとおり、地方団体の給与体系というのは、労使間の交渉を土台としつつ、結局議会における条例という形の審議で決まることになると思います。それらのすべての過程を通じて、給与が適正なあるべき姿にあるよう、関係者全部で努力をしていただきたいと思いますし、私たちもできるだけ援助したいと思っております。
  224. 和田静夫

    和田静夫君 これはさっきの質問で確認をしたことですが、十二月議会で条例化及び精算が行われるという努力が払われていくと思います。その場合に、言われる給与の適正化という意味のことが、十分に内容的にいま具体的にいろいろ煮詰めているわけでありませんから、抽象的な文言では誤解を生みやすいと思うんですが、言われるところの給与の適正化というものが条件になりながら、先ほど確認をし合ったことが阻害をされるということのない、そういう配慮というものは当然あってしかるべきだろうと、こう思うんですね。国家公務員一般は十一月中に差額まで支給は終わってしまう。しかし地方公務員はそうはならないということでは、これはやはり今日の社会的な条件の中において好ましい姿ではないわけですから、その辺はそういうふうに理解をしておいてよろしいですか。
  225. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) できるだけ労使の自主的な交渉がスムーズに進み、そして議会における給与改定もすでに御指摘のとおり国家公務員についてはもう早々行われるわけでございますから、できるだけ早くまとまることが望ましいわけでございます。ただ御承知のような財政事情のもとに、それから従来の給与のあり方その他についても非常に問題の多いところもございますので、地方団体によってはある程度それが長引かなければまた円満な解決にも到達しないところもあるかと存じますが、各団体とも、労使とも努力をしていただきたい、こう考えております。
  226. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、一般的に統一的に同一時期でもってこう解決するということを言っておるわけではないことは、これはおわかりのとおりであります。したがって、いま私が申し上げたような形の、まあ不当介入というような言葉を使うと、不当に介入したことがあるのかというようなことになって、また論戦が長くなりますが、そういう意味ではなくて、そういうような介入というのはあり得ない、こう理解をしておいてよろしいですね。
  227. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) ちょっとおっしゃる意味が的確につかみかねますが、それぞれの地方団体で現在の給与体系いろいろ違いますので、問題点の所在も違うと思います。それについてこちらが一々不当に介入するというつもりは毛頭ございませんが、御相談を受ける場合もありますし、意見を求められる場合もある。そういうときには誠心誠意こちらの考えも述べ、よく御相談をしていきたい、こう思っております。
  228. 和田静夫

    和田静夫君 来年度措置について、局長、地方財政計画の策定を通じて地方団体財政運営に支障がない、こういう形のことは来年度に向かっても確認ができますですね。
  229. 松浦功

    政府委員松浦功君) 手段、方法、いろいろやり方があろうかと思いますが、最終的に先生がおっしゃられたように、地方財政計画というものをいままでのような形で積み上げて、それに対する歳入は一切欠けないように確保する、そういう意味で、地方公共団体の財政運営に支障がないようにということは先ほどもお答え申し上げたとおりで、その決意大蔵省と折衝いたしたい、こう思います。
  230. 和田静夫

    和田静夫君 これは大臣から最後に、さっきの確認みたいな形になりますがね。地財計画と決算の乖離が出たような場合に、地財計画の策定に当たってやはりその乖離というものが十分に縮められる努力というものはされなければなりません。これはよろしいですね。
  231. 福田一

    国務大臣福田一君) 地財計画と決算との乖離ができるだけ少なくなるように努力することは当然だと思います。
  232. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ちょっと速記とめて。   〔午後十時四十一分速記中止〕   〔午後十一時七分速記開始〕
  233. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 速記を起こして。     —————————————
  234. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、鍋島直紹君及び橋本繁蔵君が委員を辞任され、その補欠として山崎竜男君及び初村滝一郎君が選任されました。  本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時八分散会      —————・—————