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1975-11-18 第76回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十八日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      青木 一男君     寺下 岩蔵君      柳田桃太郎君     遠藤  要君      野田  哲君     対馬 孝且君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         桧垣徳太郎君     理 事                 山崎 五郎君                 吉田  実君                 辻  一彦君                 鈴木 一弘君                 栗林 卓司君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 河本嘉久蔵君                 嶋崎  均君                 寺下 岩蔵君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 鳩山威一郎君                 藤川 一秋君                 宮田  輝君                 大塚  喬君                 対馬 孝且君                 寺田 熊雄君                 野田  哲君                 野々山一三君                 吉田忠三郎君                 矢追 秀彦君                 近藤 忠孝君                 渡辺  武君                 野末 陳平君        発  議  者  近藤 忠孝君    委員以外の議員        発  議  者  竹田 四郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君    政府委員        大蔵政務次官   梶木 又三君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        西沢 公慶君        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省国際金融        局次長      旦  弘昌君        国税庁次長    横井 正美君        国税庁間税部長  大槻 章雄君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        警察庁刑事局保        安部少年調査官  山下  力君        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      白井  實君        文部省体育局学        校保健課長    倉地 克次君        厚生省公衆衛生        局結核成人病課        長        本田  正君        厚生省公衆衛生        局精神衛生課長  山本 二郎君        日本専売公社総        裁        泉 美之松君        日本専売公社副        総裁       斎藤 欣一君        日本専売公社企        画開発本部長   玉置英之助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十年分の所得税臨時特例に関する法律  案(竹田四郎君外三名発議) ○銀行法の一部を改正する法律案竹田四郎君外  三名発議) ○有価証券取引税法の一部を改正する法律案(近  藤忠孝発議) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案近藤  忠孝発議) ○酒税法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  議案審査に入る前に、委員長から一言申し上げます。  去る七月一日並びに十一月十三日の委員会事態委員会運営の本旨にかんがみ、まことに遺憾でありました。委員長としましては委員会において円滑かつ充実した審議を行うため、委員各位の御理解と御協力を得て公正な運営を行うこととします。     —————————————
  3. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) まず、委員異動について報告いたします。  本日、青木一男君、柳田桃太郎君が委員を辞任され、その補欠として寺下岩蔵君、遠藤要君が選任されました。     —————————————
  4. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、昭和五十年分の所得税臨時特例に関する法律案及び銀行法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  発議者から趣旨説明を聴取いたします。竹田四郎君。
  5. 竹田四郎

    委員以外の議員竹田四郎君) 私は、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブの提案者を代表いたしまして、ただいま提出されました昭和五十年分の所得税臨時特例に関する法律案につき、提案理由及びその概要を御説明いたします。  今日の不況原因は、民間設備投資の縮小、輸出の減退などありますが、それを一層深化さしたものは、過去の不況期の例とは異なって、国民個人消費支出景気を下支えする機能を失い、インフレと先行き不安によって極端に消費支出を締めたことによるものであり、政府物価にのみ目を奪われ、勤労国民所得を抑えたことにあります。中でも低い所得階層消費が特に減少した結果、国民消費支出景気下支え要因にならなかったからであります。かかる観点から見ても現在の不況はまさに政策不況であります。  したがって、最も最終需要を喚起する勤労者階層消費を促進する減税措置によって景気を早期に、また一分野に偏ることなく全体的に回復せしめることが可能であります。アメリカ経済景気回復フォード大統領の七億、八億に及ぶところの所得減税にありましたし、最近の政府自民党の内部からもこの所得減税の考え方が強まっているのであります。勤労者層減税によって不況克服心理的効果は大きく、在庫投資民間設備投資を刺激する効果を高めるものであり、一方、このことによって減税総額に相当する税収効果をも期待しようとするものであります。  しかも、最近における国民生活実情租税負担の現状にかんがみ、中小所得者、低所得層中心減税実施するものであります。従来の課税最低限底上げ方式では、高額所得者優遇減税となり、税負担の不公平を拡大し、税の所得配分機能を弱める結果となり、かつインフレ刺激的効果をもたらすことになるので、この点を配慮して、世帯構成に応じた税額控除方式による減税を行うものであります。  同時に、高額所得者に対しましては税額引き上げ給与所得控除最高限度額を設定して税負担の強化を図るものであります。  まず第一に、昭和五十年分の所得税については、現行税法で算出された所得税額から、居住者につき三万円、居住者控除対象配偶者または扶養親族を有する場合には、その控除対象配偶者または扶養親族一人につき一万五千円を加算した金額控除するものとしております。したがって、四人世帯給与所得者の場合、税額控除額は七万五千円となり、年収にして二百九十万円までは無税となります。  なお、この税額控除課税所得一千万円以上に対しては適用しないことにしております。  第二に、給与所得控除控除限度額の設定であります。現行制度におきましては、給与所得控除額は、いわゆる青天井で、高額所得者優遇制度となっておりますので、この不合理を正すため控除限度額を百九十万円として、いわゆる控除頭打ち制度を設けることとしております。この結果、年収八百五十万円以上の給与所得控除額は百九十万円の一定額となります。  第三に、課税所得一千万円以上の部分に対しましては一〇%の付加税を課すことにしております。最近の所得格差拡大を抑制し、高額所得者税負担が相対的に軽減されている不公平を是正することをねらいとし、あわせて物価対策の上からも求められていると考えるからであります。  第四に、内職収入について、その実態を考慮し、配偶者控除適用要件である配偶者所得限度を五十万円に引き上げるとともに、勤労学生控除についてもその所得要件を七十六万円に引き上げることにし、さらに、寡婦控除所得要件も六百万円に引き上げることにしております。  以上が、本特例法案内容であります。何とぞ、御審議の上、同僚議員の御賛同をいただきたくお願いを申し上げます。     —————————————  次に、銀行法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を申し上げます。  私は、前と同じように提案者を代表いたしまして、ただいま提案されております銀行法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  本法律案は、労働時間の短縮週休二日制の実施について、社会的条件を整える目的をもって提案したものであることをまず申し上げたいと思います。現在の日本経済は、不況インフレの共存という困難な状況に直面しておりますが、このことは他面から言えば、いままでの高度成長経済から福祉社会国民生活優先経済への転換期におけるいわば産みの苦しみとも言ったとらえ方もされているのはあまねく知られているところであります。したがって、これを労働条件の点から言えば、低賃金長時間労働から高賃金短時間労働への転換を要求されていることでもあるわけであります。  わが国労働時間が欧米諸国に比べて長いという実態については言うまでもありません。従来から、労働者は時間短縮実現を望んできたところであり、政府あるいは産業界におきましても労働時間短縮週休二日制の実施について、近年遅々とした歩みながら次第に前進的姿勢をとるに至ってきております。しかしながら、現在行われつつある週休二日制については多くの問題点があります。総括的に言うならばその実施について企業単位に任せて行われているために、生産性の向上に見合う限度でという労務管理機能を伴っており、あるいは企業業種技術的差異収益動向によって不統一に行われているということであります。したがって、たとえば、週休二日制にはなかったが一日の労働時間が長くなったとか、あるいは労働時間、休日の企業別業種別格差拡大をするという現象も生まれてきております。  欧米諸国においては、すでにほとんどの国が週休二日制となっておりますが、わが国事情と異なるのは、一つ社会労働時間について格差があってはならないという理念が生かされているということです。この、いわば社会的公平の原則は、諸法例による規則で担保されているのでありまして、西ドイツの例で言えば、労働時間法、商店閉店法があるのであります。  わが国におきましても、これから労働時間の短縮完全週休二日制の実現を推進するに当たっては、この社会的な公平を忘れてはならないと思います。  また、週休二日制については、労働基準法による規則改正基本になることは言うまでもありませんが、それに至るまでの社会的条件を整えることが現在の段階で重要な課題であります。政府指導等と相まって、民間企業がこれを推進する場合、企業活動実情から見て、銀行との関係は大きな比重を占めております。  すなわち、銀行週休二日制をとれば、民間企業もこれにならっていけるわけであり、その意味で全銀協の週休二日制実施時期は五十一年度上期が望ましいとの見解は時宜にかなったものと言えるのであります。しかも国際的に見ても六十五カ国が銀行は土曜、日曜休業しており、外国為替部門では実質的に週休二日制となっているのであります。  以上のとおり、週休二日制実施条件は熟しており、これをさらに促進する必要があり、しかも制度として確立しなければなりません。  かかる観点のもとに、本法案は、銀行法第十八条に規定されている銀行の休日の中に土曜日を新たに加えることにしております。なお、施行に当たっては公布の日より六カ月以内の余裕期間を置き、全金融機関が同一歩調をとれるように、また、その他の関連法案もこの間に整備することを配慮することにしております。  どうか御審議の上、御賛同くださるようにお願いいたします。  以上で終わります。(拍手)     —————————————
  6. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  発議者より趣旨説明を聴取いたします。近藤忠孝君。
  7. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 では、提案理由説明いたします。  有価証券取引税法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました、わが党提案有価証券取引税法の一部を改正する法律案について、提案理由及びその内容を御説明いたします。  申し上げるまでもなく、現在の、わが国税制ほど不公正で矛盾に満ちたものはございません。特に所得税は、総合課税をたてまえとしておりますが、その所得のすべてについて総合課税累進課税適用を受けるのは、ただ給与所得事業所得など勤労性所得だけでありまして、利子配当所得及び土地有価証券等譲渡所得など資産所得、つまり不労所得に対しては分離課税比例税率幾多非課税減免税措置がとられているのであります。たとえば、一億円の利子所得に対して、総合課税適用されるならば六千七十六万円の税額となるのでありますが、現行法では、源泉分離選択課税により二千五百万円の税額に軽減されるのであります、また、東京都新財源構想研究会が、今年一月に発表した大都市税制不公平是正という報告によっても、都民の所得階層別所得税個人住民税負担率は、年所得百十万円超二百五十万円以下の場合、現行課税方式でも、総合課税方式でも同じく一〇・九%であるのに、所得六百万円超から二つの課税方式によって負担率の乖離が大きくなり、所得一億円超の場合は、総合課税方式なら八七・六%の負担率であるのに、現行課税方式では二一・八%に軽減されるのであります。このような不公正と矛盾に満ちた税制にしたのは、歴代自民党政府の大企業、大資産家本位政治姿勢とその租税政策にあることは衆目の認めるところであります。   このような不公正税制の中でも、近年とりわけ世論の糾弾を受けておりますのは土地及び有価証券譲渡課税であります。昭和四十四年創設の土地税制が、幾多土地成金を続出させ、大法人土地買い占め助長させたかは、いまなお、われわれの記憶に新しいところであります。  有価証券土地と同じであります。有価証券取引税税率はきわめて低く、また所得税法第九条一項第十一号では五十回、二十万株未満の譲渡所得に対しては非課税とされているのであります。さらに五十回、二十万株以上の譲渡所得も事実上捕捉されず、課税されておりません。したがって、たとえば、五百万円で取得した株式を一千万円で売却し、五百万円の譲渡所得があっても、年一回の取引であれば、一万二千円の有価証券取引税課税されるだけで、あとは一円も課税されないのであります。  有価証券に対するこのような税制があったからこそ、他の経済要因と相まって、証券投機助長させられ証券成金を続出させ、金融保険業、大商社、その他の大事業法人の株の買い占め、大法人による企業系列支配が促進させられたのであります。  こういう事態に対処して、政府土地税制改正とともに、有価証券については、昭和四十八年度税調改正において、有価証券取引税税率を二倍に引き上げたのでありますが、その程度の税率引き上げでは、有価証券取引背後にある担税力増加に照応しなかったばかりか、証券投機抑制効果にもならなかったことは明らかであります。  いま、有価証券取引状況を振り返ってみますと、第一種甲と第二種甲の取引金額合計額は、昭和二十八年には五千七百三十六億円であったのが、四十八年には十五兆八千三百四十五億円で、実に三十倍となっているのであります。このように有価証券取引金額が急上昇したことは、取引を行った大法人及び資産家所得が、いかに激増したかを示すものであります。また、このような有価証券取引増加が、さらに彼らの所得増加させるというふうに累進的な効果を生じてきたことを示しているのであります。  このような実態にかんがみ、課税適正化を図るためには、有価証券譲渡所得課税こそ基本であると考えるものでありますが、年度途中における税制改正という事情を考慮して、とりあえず、有価証券取引税税率現行の八倍に引き上げ、あわせて、最近の歳入欠陥是正財源一つにする必要があると考え、提案した次第であります。  次に本法案内容について御説明いたします。  改正点は四点でありまして、有価証券の種類に応じて、いずれも税率引き上げるものであります。すなわち有価証券取引税法第十条に規定する有価証券譲渡価額に対する税率を、第一種甲については、現行万分の十二を万分の百に第一種乙については、現行、万分の一を万分の八に改め、また第二種甲については、現行万分の三十を万分の二百五十に、第二種乙については、現行万分の三を万分の二十五に改めるものであります。  この改正案に対して、一部には、証券市場に対する影響を過大評価し、特に個人に対する影響を心配する向きもあるようであります。しかし、最近の株価等の著しい回復上昇傾向取引金額増加傾向、さらに背後にある膨大な担税力等を考えますと証券市場への影響は、一時的で、かつ小幅であるとわれわれは考えております。また、個人に対する影響でありますが、現在の株式保有状況法人七、個人三の比率でも示されているように、個人比重は、決して大きいものではありません。また、個人といっても、総理府統計局の「年間収入五分位階級別貯蓄の一世帯当り現在高」でも示されているように、有価証券保有比率の高いのは、高所得者でありまして、国民大衆の圧倒的多数は、有価証券にほとんど縁がないといっても言い過ぎではありません。したがって、言われるほど心配する必要はないと考えるのであります。  なお、本法案改正による税収見込み額は、昭和五十年十一月から、五十一年三月末日までの期間で、約一千四百億円でありまして、政府昭和五十年度全体の有価証券取引税収見込み額六百五十億円を大幅に上回るのであります。  以上、本法案提案理由を御説明いたしましたが、慎重に御審議の上、御賛同くださることを期待いたします。     —————————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案提案理由説明。  私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  言うまでもなく、税制負担が公平でなければなりません。ところがわが国税制を顧みますと、数々の不公平な税制が施行されているのであります。
  8. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  9. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 速記起こして。
  10. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ、もう一度最初からやります。  私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一計を改正する性行案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  言うまでもなく、税制負担が公平でなければなりません。ところが、わが国税制を顧みますと、数々の不公平な税制が施行されているのであります。特に、所得税は、勤労性所得に対する課税最低限が余りにも低く、とりわけ低所得者に対して相対的に重課となっており、主として高額所得者、大資産家にかかる土地有価証券譲渡所得、あるいは、利子配当所得等いわゆる不労資産性所得に対しては、軽課となっております。これは、担税力に応じた課税方式を否定し、富の偏在を助長、促進するところとなっていると思うのであります。また、法人税についていえば、基本税率比例税率になっている上に、数々の軽減免措置が大企業に手厚いものとなっていることによって、その実効税率は、大蔵省調査でも、資本金一億円以下の中小企業が三三・四%になっているのに対して、百億円以上の大企業は三二・五%と低くなるほどの明白な不公平を生み出し、大企業のみの資本蓄積高度成長を一層促進させるところとなっているのであります。  このような不公平な税制は、大企業本位財政支出と相まって、今日の日本経済国民生活の深刻な危機の重要な原因一つにもなっております。  わが日本共産党は、国民生活と経営を守り、日本経済の民主的な立て直しを図る立場から、税制については、負担の公平を確立することを主張し、ごく少数の大企業、大資産家に対する特権的減免税制度の改廃を繰り返し提案してまいりました。  今回提案しております本法案もその一環であり、もって、今日問題になっております国と地方財政歳入欠陥克服にも寄与しようとするものであります。本法案は、当面の措置として次の二点を改正しようとするものであります。  第一の改正点は、利子配当所得源泉分離選択課税制度についてでありますが、この制度昭和五十一年三月末日限り廃止することとし、それまでの間、昭和五十年十二月三十一日までの間に支払いを受けるべきものについての税率百分の二十五、その後の税率百分の三十を、それぞれ百分の五十に引き上げることとするものであります。これを提案する理由は、主として大資産家にとって有利なこの軽課措置を是正して、国の税収増加させ、もって当面の国と地方財政歳入欠陥を補おうとするところにあります。  利子配当所得に対する税制上の優遇措置は、貯蓄の奨励、投資意欲助長等口実にして、多年にわたって継続されてまいりました。しかし、この制度が不公平な税制であることは、政府税制調査会でもすでに十分認めているところであります。たとえば、昭和三十九年十二月の長期答申でも、利子配当課税租税特別措置は、一部の高額資産所得者を著しく優遇するものであって、廃止すべきものと考える。と述べておりますし、昭和四十三年七月の長期答申でも、すべての所得を総合して累進課税を行なうべき所得税制のたてまえから、現行利子配当に対する特別措置基本的にはこれを廃止する方向で対処すべきものと考えられると述べているのであります。しかるに政府は、その後十年を経た今日もなお利子配当の把握困難などを口実として、総合課税への移行を回避し、さらに、昨年十二月の「昭和五十年度税制改正に関する答申」で、税制調査会利子配当を完全に把握する体制の整備されないままに一挙に総合課税に移行すると新しい不公平を招く恐れがある。としていることを利用し、さらに五年間も引き延ばそうとしております。しかし、主として金融機関、大企業にかかわる利子配当の把握は、政府実施する意図さえあるならば不可能であるはずはなく、長期間この対策を放置してきた政府の怠慢こそ、自民党政府の大企業、大資産家優遇立場を明白に物語るものと言わなければなりません。  本法案は、年度途中であることを考慮して、前に述べましたように、昭和五十一年三月三十一日までは税率を百分の五十にするという経過措置を設けたのでありますが、この経過措置を実行に移すだけでも、利子配当所得者で従来源泉分離選択課税を利用してきた人の相当部分総合課税に移行することになり、その結果、所得税課税公正化は大きく進み、所得税住民税相当増収になり、国と地方歳入不足を補うことになると考えているのであります。  また、本法案は、昭和五十一年度からこの源泉分離選択課税制度を廃止し、総合課税にすることにしておりますが、昭和五十年度の当初予算での源泉分離選択課税による所得税の減収見込み額が六百十億円になっていることから見ても、この措置をとることにより、相当の歳入増が期待できるのであります。  地方税へのはね返りについて見ますと、昭和五十年度住民税へのはね返り歳入減は六百六十二億円、地方交付税への歳入減約百九十五億円になっていますので、これまた相当の歳入増が期待できるわけであります。  第二の改正点は、法人税法第八十一条に規定されている欠損金の繰り戻しによる還付請求権を、資本金もしくは出資金十億円以上の内国法人のうち普通法人等及び資本金の額に関係なく、保険業法に規定するすべての相互会社と、すべての外国法人については、当分の間停止しようとするものであります。  これを提案する理由は、国と地方の今日の深刻な財政欠陥を補うために、現実には大企業に対する優遇税制となっているこの制度を一時停止しようとするものであります。  このような税制は、西ドイツ、フランス、イタリアなど主要資本主義国などでは実施されていないのでありますが、わが国法人税法に限っては、事業年度ごとに区切って課税の決まりをつけていくのがたてまえである法人税年度別区切り計算の例外として認められているのであります。この例外規定が認められていることによって、今日の財政危機にもかかわらず、国は欠損法人に対し、前年の事業年度において納付させた法人税の多くの部分を還付せねばならず、その額は莫大な金額に上っております。大蔵省の発表によりますと、昭和五十年四月から七月までの四カ月に還付された法人税は、すでに一千三百十六億七千五百万円にも上っておりますから、年度末には当初予算での還付見込み額一千三百三十億円を大幅に上回り、不況による法人税収の減退に加えて歳入欠陥の重大な原因となることは確実であります。そして、問題なのは、東レ、帝人、クラレ、東邦レーヨンの合繊四社だけでも、本年三月期決算で六十九億七千万円もの膨大な金額の還付を受けている例に見られるように、大企業の還付金の占める割合がとりわけ高いと考えられることであります。すでに、今九月期決算では、大企業のうち三社に一社の割りで経常欠損になろうという予想も出ておりますので、十一月にも大企業が膨大な法人税の還付請求をすることも考えられるのであります。  同じ法人でも、中小企業の場合とは異なり、大企業の場合は、さまざまな特権的減免措置を利用することによって、内部留保を厚くしながら決算上の赤字をつくり出すことが可能であり、また、それが現実となっておりますので、担税力のある大企業には法人税法第八十一条に規定する法人税の還付請求権を停止すべきだと考えるわけであります。  なお、わが党のこの提案に対しては、来年度税収がそれだけ落ちるので賛成できないなどの意見がありますが、歳入欠陥の異常に激しい折に、担税力のある大企業の還付請求権を一時停止して財源確保を図るのは、当然の措置だと考えるのであります。  また、この提案は、大企業に対する差別待遇だとか法律無視の暴論だとする意見もありますが、今日大企業がなお大きな担税力を持っていること、大企業に対して、政府税制上の優遇措置を停止している例として、海外市場開拓準備金などの例があること、法人税そのものも資本金所得区分に従って基本税率を四〇%と二八%に分けている等に照らしても、右の意見が的外れであることは明らかだと言わなければなりません。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同下さるようお願い申し上げます。
  11. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 四案の趣旨説明を終了いたします。  以上、四案の取り扱いについては後刻理事会において協議いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  12. 桧垣徳太郎

  13. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 大塚喬

    ○大塚喬君 酒、たばこ値上げ両法案について質問をいたしたいわけでありますが、ひとつ十分に、いまから申し上げますことについて、関係者の納得できるような答弁をいただきますように、初めにお願いを申し上げます。  前国会でも酒、たばこの値上げについて、ともに国民生活に潤いを与え、一日の疲れをいやす、こういう効果のあるものであり、生活必需品として切り離すことのできないものであろうと考えるわけであります。ところが政府は、これに対する考え方として、財源という立場だけから考えておられるような気がしてなりません。酒にしてもたばこにしても、健康とのかかわり合い、あるいは社会生活に広範なかかわり合いを持つわけであります。  で、現に五十年度当初予算によれば、酒が一兆三百十億円、それからたばこが四千七百七十四億円、それから県や市町村のたばこ消費税ということで三千六百九十二億円、それぞれ膨大な税金を課しておるわけでありますが、率直な感想を述べさせていただきますと、政府の態度は売らんかな、もうけんかなと、こういう態度で、それだけの多くの税金を取っておりながら、一体喫煙で人間の健康生活の中にどういう影響が出ておるのか、飲酒によってどういう健康生活影響が出ておるのか、対社会的な影響、たとえば犯罪というような問題に関してどういう影響が出ておるのかということについては、予算をこれに十分取ってこれらの対策を進めておるという感じにはどうしても受け取ることができないわけであります。私は、こういう立場に立って今後これからこの二法案内容と、政府のこれらに対する考え方をひとつただしていきたいと願っておるところでございます。  それで初めに、いわゆる飲酒、喫煙の実態についてお尋ねをいたしたいと思いますが、昭和四十九年度の決算もすでにまとまりがついておるものと考えるわけでございます。それで初めにお尋ねをいたしますが、酒の総消費量は一体どのくらいの数量で、売り上げの総額がどのくらいで、そして四十九年度の決算において酒税はどれだけであったのか。同じくたばこについて数量——これは本数で結構でありますが、本数と売り上げの総額、そしていわゆる専売益金、国庫納付金、幾らであって、県のたばこ消費税——都道府県のたばこ消費税、それから市町村のたばこ消費税、決算としてどれだけの額が上がっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 御質問の第一段にお答えいたしますが、四十九年度課税数量で申し上げますると、清酒が百五十九万八千キロリッター、ビールが三百六十五万四千キロリッター、ウイスキーが二十一万一千キロリッター、その他の酒類が三十四万キロリッターとなっておりまして、総合計五百八十万五千三百十一キロリッターでございます。  これによりますいわゆる酒の消費総資金というのは、この課税数量にそれぞれの標準的な価格を乗じまして推計いたしてみますと、四十九年度で二兆五千五百七十三億という推計ができます。なお、四十九年度の酒税の決算額は八千四十九億円と相なっております。
  16. 西沢公慶

    政府委員(西沢公慶君) たばこについてお答え申し上げます。  四十九年度の決算におきまして、たばこの総定価代金、これは輸出をも含んでおりますけれども、一兆二千八百四十七億円でございます。それで、それに伴いまする専売納付金の額は、三千四百二十五億でございます。それから地方たばこ消費税でございますけれども、これは三千五百四十三億円になっております。普通品の販売数量でございますけれども、二千八百四十五億本に相なっております。
  17. 大塚喬

    ○大塚喬君 で、この酒の消費について重ねてお尋ねをいたしますが、日本の成人人口が七千四百万と普通言われております。で、これらの成人人口に対して一体清酒は一人当たりどのくらい消費をし、どのくらいの金額を支出をいたしておりますか。ビールも同じく、それからウイスキーも同じくどのくらいになっておりますか。そして、その税の総額——いまお話あったんですが、それぞれどのくらいになっておりますか。お尋ねをいたしたいと思います。
  18. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申しました区分に即しましてお答えいたします。  なお、成人人口は四十九年十月現在の推計では七千五百万人だそうでございます。七千五百十二万四千人という推計で割ってみますと、まず清酒でございますが、成人の一人当たりは一年間で二十一・二八リッター飲んだことになる。この支出金額は、推計いたしますと、年間一万二千六百二十三円ということになります。この中での税額を推計いたしますと、年間三千八十二円でございます。同じようにビールについて申し上げます。数量は、四十八・六五リッター。支出金額は、一万二千七百二十八円。税額は、五千百四十一円。ウイスキー類は、二・八一リッター。金額で、五千六百五十円。税額で、二千五十六円。その他の酒類で、数量が、四・五四リッター。金額が、三千四十円。税額が、四百二十五円。以上、全部を合わせますと、数量は、七十七・二八リッター。金額は、三万四千四十一円。税額は、一万七百十四円ということになります。
  19. 大塚喬

    ○大塚喬君 その飲酒の実態ということを重ねて突っ込んでお尋ねをいたすわけでありますが、一年間に酒類を飲んだことのある人、これは成人男子では何%ぐらいになりますか。それから同じく成人女子では何%になりますか。
  20. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) お答え申し上げます。日本酒造組合中央会が酒類の利用の動向調査ということでサンプル調査したものがございます。男子につきましては、五十年の二月から中旬にかけて、女子につきましては、四十八年の八月から九月にかけて調査したものでございます。それによりますと、男子の場合には、調査対象が五千人でございますが、そのうちの七二%、女子につきましては、調査対象が千人でございまして、その三三・一%と、こういうことに相なっております。
  21. 大塚喬

    ○大塚喬君 で、この酒を飲み始めた年齢についてお尋ねをしたいわけですが、お酒というものは何歳ぐらいから飲み始めたものか。男子は。女子は。いつごろから。
  22. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 同一の資料に基づきまして御説明申し上げますと、男子の場合には酒類を飲み始めた年齢が平均二十・三歳、女子につきましては平均二十四歳、こういうことに相なっております。
  23. 大塚喬

    ○大塚喬君 そこで、文部省の方、おいでになっていますか。——男子がお酒を飲み始めた年齢が平均して二十・三歳ということになりますと、いわゆる高校あるいは大学、この学生生徒諸君の中にも未成年者、平均して二十・三歳ですから、そういう該当の方も相当おるのではないか、こう思うわけですが、中学校、高校、大学のいわゆる未成年者の飲酒の実態というのは何か調査をされて、資料をお持ちでしょうか。それらの実態について聞かせていただきたいと思います。
  24. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 大変恐縮でございますが、私ども所管しておりますのは学校でやっております健康関係の教育内容の方でございまして、ただいま御質問のようなことにつきましては、生徒指導ということで、私どもいろんな指導はしているわけでございます。
  25. 大塚喬

    ○大塚喬君 ちょっとメモするのに……。
  26. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 政府委員に申し上げます。もう少し大きな声で、明瞭に説明ないし答弁をしてください。
  27. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 私ども、学校保健という観点から、学校におきます保健の問題として飲酒、喫煙の問題をやっておるわけでございますけれども、いま御質問にありましたような実態をとらえまして、個々の児童、生徒にいろいろ指導するというのは、生徒指導という観点からやっておるわけでございます。それで、まだその所管の関係の課長が来ておりませんで、間もなく参るかと思いますけれども、大変恐縮でございますが、そちらの課長にひとつ御質問をいただきたいと思う次第でございますが、間もなく参りますけれども。
  28. 大塚喬

    ○大塚喬君 これに関連して警察関係の方、お見えになっていますか。−それでは、後ほどひとついまの問題で質問を重ねてさせていただきます。  先ほど初めて酒を飲んだ年齢について二十・三歳という平均した数字のお答えをいただいたわけですが、酒を飲み始めたときの、一番最初に飲んだ酒というものの種類はおわかりですか。
  29. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) その点につきましては、五十年の三月調査しました男子の場合でございますと、飲み始めた酒について申しますと、清酒が最も多くて六三%、それからビールが三七%、ウイスキーが二二%、さようなことになっておるわけでございます。
  30. 大塚喬

    ○大塚喬君 いま答弁を聞きますと、日本酒がやっぱり一番多いということであります。それで一体これは年齢には関係ありませんか。たとえば私がちょっと心配をしてお尋ねをこれから先しようとしております学生生徒諸君、それから年齢が多くなって二十五歳、三十歳というような方が初めてお酒を飲むと、こういう場合に一体何を飲むのかですね。年齢によって飲酒の種類等も、初めて飲む酒が相違があるかと思いますが、いかがでしょう。
  31. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 初めて飲む場合には、種類別に見ますと、やはりビールが一番多くて、その次が清酒というような順番になっておるわけです。若い人についてでございます。
  32. 大塚喬

    ○大塚喬君 ちょっといまの答弁はっきりしないんですが、ちょっと内容が。
  33. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) いまの点、もう少し補足させていただきます。  調査した人に対しまして、その年齢によって違うわけでございますが、たとえば二十歳から二十四歳の人につきましては、ビールが一番多く、次いで清酒でございます。それからたとえば六十歳以上の人にとってみますと、清酒が多くて、その次がしょうちゅう、ビールというような順序になっているわけでございます。
  34. 大塚喬

    ○大塚喬君 お酒を飲む人が飲む場所についてお尋ねをいたします。  自宅で飲む方、あるいは大衆酒場などで飲む方、あるいは知人宅に行って飲む方、あるいはバーとかキャバレーとか特殊なそういうところに行って飲む方、一体お酒を日本人で飲む実態ですね。その飲む場所は一体どういうことになっておりますか。
  35. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 先ほど御説明いたしました資料に基づいて申し上げますと、五十年の男子の調査によりますと、調査日前の一カ月間ということでとってみました場合に、酒を飲んだ人が九五%、それから酒を飲まなかった人が四%ということでございまして、酒を飲んだ人の中では、自宅が八七%、知人宅が二四%、それから大衆酒場、バー、ビヤホールが三〇%、料亭が一一%と、主なものを申し上げるとこういう結果に相なっております。それから女子の場合で、これも先ほど申し上げましたデータによりますと、同じ一カ月間をとりまして酒を飲んだ人が八七%、飲まなかった人が一三%ということで、飲んだ人の中では、自宅が八〇%、知人宅が一〇%、大衆酒場、バー、ビヤホールが八%というようなところが主なところでございます。
  36. 大塚喬

    ○大塚喬君 警察の方はまだ見えませんか。ちょっと委員長、これ連絡をとって……。
  37. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  38. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 速記を起こして。  十二時五十五分まで休憩をいたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  39. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、野田哲君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————
  40. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  41. 大塚喬

    ○大塚喬君 先ほどの質問に続けて、関連して質問をいたしたいと思います。  飲酒、お酒を飲むことと、体の機能の中に大きな関連があることはどなたも御承知のことと思いますが、飲酒と心臓、脳卒中、こういう関係について少しくお尋ねをしたいと思いますが、厚生省関係の方お見えになっておりますか——じゃ、その飲酒と健康に関連して若干の質問をいたしたいと思います。  お酒を上がりますと、血圧が上がるとか、あるいは脈搏がふえるとか言われておるわけでありますが、残念なことに、大変脳卒中がわが国の死亡統計の中でも第一位という、そういう状態を示しておることは事実でございます。この飲酒と脳卒中の関係、これはお酒を飲まない人、中程度の飲酒家、それから大酒家、こういうふうに分けて、これらに対する影響はどういうものかお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) お答え申し上げます。  最初に、脳卒中それから高血圧症とアルコール中毒の関係でございますが、その前に一般的なアルコール中毒による症状を簡単に御説明申し上げたいと思います。  御存じのとおりアルコール中毒には、急性アルコール中毒と慢性のアルコール中毒と両方がございまして、急性のアルコール中毒の場合でございますと、酩酊から意識喪失というふうな状態に立ち至るのは御案内のとおりでございます。またもう一方におきまして、慢性のアルコール中毒の場合でございますと、ただいま御指摘のようないろいろな身体的な、あるいは場合によりますと精神的な徴候があらわれてまいりまして、たとえば胃炎でございますとか胃潰瘍あるいは肝炎、肝硬変あるいはその他膵臓の炎症等々もございますし、いま御指摘のような血圧の高い方に対しましては、飲酒によりまして一時的に血圧がさらに上がりまして、そのために脳卒中等々の影響があると考えられますが、ただ、ただいま御質問のございましたように、アルコールの飲酒の量と、その人の状況とは個々に非常に違いがございますので、どのぐらいの量と脳卒中の発生の状況との関連があるかということにつきましては、まことに申しわけございませんが、お答えできる資料を持っておりませんです。
  43. 大塚喬

    ○大塚喬君 大蔵大臣にお尋ねをいたします。  私が大変残念に思っておることは、当初にも申し上げたように、ことしは一兆三百億円もお酒の税金を取る、政府は税金を取りっぱなしだと、それだけのお金を取ったら、国民に対して、国民の健康問題に重大な影響を及ぼすこの飲酒の影響、これらに対する具体的な調査なり、これらに対する、対応する国民の健康管理の問題なりというところにもっと金を使わなければ、政府というのは全くあこぎな、こういうものになってしまうんじゃないか、こういう私なりの感じを持っておるものですから、そういう健康対策に、これだけの税金を取って、何らかの今後の対策、処置というものをお考えになっておりませんか。全然いま厚生省から聞いてもそういうことはわからないと、こういうことで残念なんです。
  44. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) アルコール中毒対策の予算についてのお尋ねでございますので、私からお答えを申し上げます。  アルコール中毒対策につきましては、その重要性にかんがみまして、従来から所要の予算額を計上いたしまして、アルコール中毒対策思想の啓蒙普及、それからアルコール中毒の治療、診断等に関します医学的な研究の助成というものをいたしてまいったところでございます。  なお、五十年度予算におきましては、新たにアルコール中毒専門の臨床医が不足しておりますことの対策といたしまして、アルコール中毒専門医の研修経費を計上いたしまして、専門医の養成を行うことといたしております。  さらに国立療養所の久里浜病院をアルコール中毒対策の基幹病院とすることにいたしまして、この病院に特殊診療棟、それから研究検査棟というものを整備いたすために所要の予算額を計上いたしております。  以上が、アルコール中毒対策に対する予算措置の概要でございます。
  45. 大塚喬

    ○大塚喬君 答弁の趣旨とこちらの質問の趣旨がかみ合わないんです。アルコール中毒対策ということだけで私はお尋ねしているのではなくて、普通、アルコール中毒対策というと、その禁断症状が出ておる者、あるいは心神喪失の者、こういう者、いろいろあると思うわけですが、いま私がお尋ねしている問題は、飲酒とその健康の問題についてお尋ねをしておるわけなんです。で、お酒が心臓疾患、こういうものに対する現状、どういう影響を与えておるのか、これだけの税金を取っておるんですから、国でもそういう問題について当然具体的な調査なり、対応策なり、当然当たらなければならないのじゃないかなと、こういう観点からのお尋ねをしておるので、久里浜病院の、アルコール中毒になった人を収容したり、あるいはそれらに対するお医者さんなり看護人なりを養成する、こういう問題のお尋ねをしておるのではないんです。  ですから、一体、お酒飲むと、脳卒中が日本人の死亡統計で一番多い、こういう問題に対して、お酒を売っておる元締めの大蔵大臣、どうするんですかと、私はこういうお尋ねをしておる。
  46. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 飲酒と健康の問題でございますが、この問題は、国民の健康管理の立場から、大塚委員が御指摘のように政府として種々考慮もし施策もしなければならぬ問題でございますが、これはいわば厚生行政の課題であろうと思います。  問題は、大蔵省立場での御質問でございますので、私がどのようにこの問題について考えておるかということを率直にお答えいたしますと、まずお酒を、禁酒すべきか、飲酒を許すかどうかという問題があろうと思いますが、わが国では、未成年者を除きまして飲酒は認めておるわけでございます。で、その場合、今度は酒に税金を取るか取らぬかということになりますと、諸外国と同様にわが国も高率の課税を従来ともやってまいったわけでございます。で、その課税をやるにつきましては、製造から販売の過程はずっと行政が監視いたしまして、非常な強い干渉を政府が試みておるわけでございます。  それで、もし課税を行わない、そしてそれに伴う財務官庁の製造、販売の規制が行われないとしたならば、これは飲酒はもっと多くなりまして、国民の健康を損なうことになるのではないかと思うんでありまするし、また製造管理を行うに当たりましては、健康上の観点も、醸造専門の技術者諸君の手によって行われておるわけでございますので、いま課税とそれに伴う行政上の監視は、あなたの言われる健康管理の上からは私はプラスに働いておるんじゃないかと思います。  そのように評価いたしますけれども、一兆円に余る歳入を確保しておりながら、しかも、飲酒と健康との因果関係というのは、ひとり脳卒中ばかりでなくいろいろな病気との関連が云々されておるときに、これに投入しておる対策費は必ずしも十分でないじゃないかという御指摘でございますならば、私もその点につきましては大塚委員の言われることをよく理解できるわけでございまして、今日の、いま主計当局において割り当てておられまする歳出が必ずしも十分とは考えないわけでございまして、なお検討いたしまして、充実すべきものは充実してまいりますように努力をしなければならぬと思います。
  47. 大塚喬

    ○大塚喬君 いま大臣の答弁いただいたことは、私もぜひひとつ今後この問題について、飲酒と脳卒中の関係が、お酒を売っている元締めが全然その資料もない、わかりません、こういうことで済まされる問題ではないと思うんです。  ですから、私のまあ個人的な立場から言えば、一兆円税金取ったならば、せめて一割ぐらいはやっぱりこの健康管理のために、国民から巻き上げた税金を還元すべきだと。脳卒中とお酒とどういう関係があるんだからどういう場合には危険だというようなことが国民にも十分理解できるだけの、それだけの、この近代医学が発達した世の中で、国としての施策を講ずべきであると、私はこういう考えであることを明らかにして、これらの問題に関するあと若干の質問を続けます。  飲酒と消化器との関係ですが、一つは、先ほどもちょっと答弁の中に出ました肝臓との関係。肝臓というのは大変消化器からは離れたところにあって、消化器の中に入るかどうかということは、私ども素人にははっきりしなかったわけでありますが、書物によりますと、解剖学的にも生理学的にもともかく消化器の中に分類される、こう明らかにされておるわけであります。お酒飲みの中に大変肝硬変が多い。しかも、この人は大変死亡率が高いということを聞かされておるわけであります。この飲酒と肝硬変との関係、これが一点。  それからもう一つは、お酒とがんの関係、消化器の中に大変重大な影響があるものと思われます。外国の資料を見ますというと、外国ではそのお酒を飲む方には大変舌がんが多い。日本人は食道がんが多い、こういうことを聞かされておるわけであります。その理由は、日本酒に含まれるフルフラールという有機化合物が、のどや口やそれから胃や腸に、腸の粘膜に刺激を与えるということがその原因だと言われておるわけでありますが、日本人のこの食道がんが多い、こういう理由とこの飲酒の関係、それから特にお酒飲みに食道がんが九〇%以上、食道がんの九〇%以上の方が飲酒家だ、こういうことを聞いて、これは大変な大きな関連があるなということを感ずるわけでございますが、禁酒家とそれから中程度の飲酒家と、それから大酒家と、こういうことで消化器関係に与える影響がどういうことになっておるのか。  それからもう一つは、第三番目は、たばこを一緒にのむと非常にがんが、お酒を飲みながらたばこを吸うとがんの危険がきわめて高い、こう言われておるわけでありますが、これらの関係について医学上の調査研究の結果をひとつお聞かせいただきたいと思います。  それから、日本人に大変胃がんが多い、米どころ、日本酒のたくさんあるところに胃がんが多いということですが、これらとの、飲酒との関係についてお聞かせをいただきたいと思います。
  48. 本田正

    説明員(本田正君) 肝硬変とか、それからがん、あるいはがんの中でも食道がん、胃がん、その他御指摘になりましたけれども、がんの原因というものは、肝硬変もそうでございますが、なかなか単一な原因ではないらしゅうございまして、がんそのものの発生原因というのがまだ解明されておりません。したがって、いろんながんの要因となるべき、あるいは肝硬変も含めてでございますが、そういった研究につきましてがん研究助成金等によりまして研究がずっと以前から継続実施されている段階でございます。特に、飲酒と、お酒とこういった肝硬変、それから食道がん、舌がん等の関係については全く関係がないとは言えないと存じます。しかしながら、いろんな原因の中で、恐らく複合された原因でこういった疾病が発生する可能性もございますが、どの程度これが関与しているのかということにつきましては、いろいろ研究やっていただいているのでございますけれども、まだ酒とがんというものについての因果関係については統一された報告というものはございません。残念ながらないのが現状でございます。ただ、そういうふうに関係がなきにしもあらずでございますので、研究はうんとこれからも継続を実施していかなければならないと存じております。  それから、特に先ほども高血圧との関係も御指摘になりましたけれども、全くこれも同様でございまして、酒との相当強い因果関係によって高血圧が起こるということもある程度認められております。しかし、それが数字の上で一体何%それによってなるのかということは残念ながらわかっておりません。高血圧の場合にはお酒そのものよりも、酒のさかなになるたとえば塩辛とか、そういった食塩がむしろ成人病等の原因に強く働いているんじゃなかろうか、こういうふうなことが言われておるのでございます。  それからしたがって、また米と、米どころと胃がんの関係、確かに胃がんの発生を見てみますと、地域的にずいぶんと差がございます。北の方、それから西の方、差がございますけれども、こういった米あるいは米どころ、そういった地域的ないわゆる米どころといったようなところに胃がんが多いということについても、ただ、これだけじゃなしに、ほかにいろいろまたがんの因子というものも考えられますのて、これだけに特定するということは非常にむずかしい。残念ながらいまの科学の水準において特定できないのが現状でございます。よろしくまたお含みおきいただきたいと存じます。
  49. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまの答弁ではっきりしなかったんですが、飲酒とそういうがんですね、あるいは脳卒中、こういうものの関連はあるのですか、ないのですか、もう一度ひとつそこのところをはっきりしてください。
  50. 本田正

    説明員(本田正君) いまのところあるという明確な研究報告はございません。  なお、あるのじゃないかという観点からの研究は進められております。
  51. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまの答弁で大変慎重な答弁のように聞きましたが、一般的にがんや脳卒中の犯人とまで言わなくても、ともかく容疑のあることだけは間違いない事実であろうと思います。ところが、さっきも申し上げましたように、いまお話聞くというと、何にもわからないというのが現状なんです。国民の死亡統計の中で第一位のこういう脳卒中、それから第二位に多分がんが入っておるかと思うのですが、こういうものが酒と重大関連があるとするならば、大蔵大臣、いまお聞きのように何もわからないと言うのですから、これこそやっぱり本気になって国家的な事業としてこういう問題を追跡をし、これらに対する対策を、そうして予防措置を、こういうことを考えるのが当然じゃないですか。大蔵大臣、ひとつ重ねていまのことについて見解をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 政治の問題といたしまして、国民の健康管理の充実を図るということは大きな責任でございます。したがって、政府がそれに重大な関心を持つばかりでなく、それ相当の財源を充当いたしまして、健康管理上の責任を果たしてまいるということにつきましては、大塚委員の仰せのとおり私も考えます。  しかし、それをどのようにして実行してまいるかということでございますが、今日の医学の水準から、こうすれば確実に飲酒の弊害は除去されるという結論がまだ残念ながら出ていないというのが今日の状況のようでございます。したがって、今日われわれがなすべき任務は、日本の医学の水準全体、学問的水準の向上ということが当面の課題であろうかと思います。これにつきましてはわが国は他の先進諸国に劣らないだけの努力はいたしておるつもりでございますけれども、なお、そういう研究開発の推進あるいは研究施設の充実、それから研究費の充当、そういった点については財政当局として一層の配慮をしていかにゃいかぬと思います。そういうところから施設の面で財政当局になおこういう点についての御要請がございますならば、それに対しまして十分検討してまいらにゃいかぬことであることは当然と心得ております。
  53. 大塚喬

    ○大塚喬君 大臣、先ほど私は、一兆円取ったんだから、それの一割の一千億程度は、これらの対策のために国としてのせめてもの罪滅ぼしに出すべきだと、こういう私見を申し上げたわけですが、これに対して大臣はどんなお考えでございましょうか。その程度の額は当然国民の健康を保持すると、国家的な大事業というためにこういう程度のあれは必要じゃないかと個人的な私見を申し上げたわけですが、大臣の見解はいかがでございます。
  54. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) せっかくのお言葉でございますけれども、先ほど私が御答弁申し上げたように、今日相当な大きな財源をアルコールに求めておると。そして、そのためにこの製造、流通各段階にわたって相当周到な監視、管理を政府がやっておるということは、それ自体が健康管理の上から申しまして私はプラスに働いておるということを申し上げたわけでございます。税金をたくさんちょうだいしておるから、飲酒と関連のある病気の対策にアルコールによって得た財源のあるパーセンテージをこれに充当せにゃならぬというように短絡してすぐ同意するわけには私まいりませんけれども、しかしまず医学水準の向上、健康管理の充実、施設の充実というような点につきましては、大塚委員が御指摘のように、財政当局としても積極的な配慮を怠らないようにしなけりゃならぬと。飲酒と関係のある病気の開発だけに特定の財源を特にプラスして充当すべきであるという御意見にはにわかに賛成いたしかねるわけでございますけれども、一般的に医学の問題あるいは健康管理の問題についての予算上の配慮につきましては、周到な配慮を財政当局としてもその立場でやらなきゃいかぬということにつきましては賛成でございます。(「了解」と呼ぶ者あり)
  55. 大塚喬

    ○大塚喬君 了解という先に言葉をいただいたわけですが、これはやっぱり民族の繁栄の基礎につながるものだと思うのです。何といっても日本人の死亡率が脳卒中やがんでいまどんどん亡くなっていっておるわけですから、それに大きな関連のある飲酒ということについて、この健康との関連、それの対策ということにやっぱり私は国家的な事業として力を最大に注いでほしいと、こういう願望を大臣にもお伝えしながら先に質問を続けたいと思います。  アルコールといわゆる精神活動、それからアルコールと神経、こういうものについてお尋ねをいたします。  アルコールをとった場合にタイプのミスとか、スポーツの記録が低下するということはよく言われておる言葉であります。それからお酒を飲むと記憶力、思考力、注意力、集中力、こういうものが大変低下をする、こういうふうに言われておりますが、こういう問題は比較的実験や何かがやりやすい問題だと考えるわけですが、これらについて飲酒と精神活動あるいは神経、こういうものについての関連をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  56. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) ただいま先生御指摘になりましたように、アルコールの飲酒が精神活動及び身体活動の両方の機能を低下することは御指摘のとおりでございまして、たとえば記憶力が非常に悪くなるとか、あるいは動作が鈍くなるとか、あるいは手がふるえることであるとか、これを私ども振顫譫妄と言っておりますが、そういうような症状、あるいは場合によりますと、中毒がさらにひどくなりますと、アルコール幻覚症のようなものが起こりましたり、あるいはコルサコフ症候群のようなものも起こります。これは程度が非常に進んだ場合でございますけれども、一般的に申しまして、先生御指摘のとおり、身体的な動作がきわめて緩慢になる、それから感受性が鈍くなるということは御指摘のとおりでございます。
  57. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまの質問で具体的なものはわかりませんか。たとえばお酒の飲み方に単位がありますね、そういうものの摂取したこういう割合によってどういう程度の影響があらわれていくのか。
  58. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) たとえばここに一つの表がございまして、これが御参考になるか否かは存じませんが申し上げますと、血中のアルコール濃度が二十ないし五十ミリグラムデシリットル程度になりますと全身の熱汗、それから味覚、嗅覚の機能が低下してまいります。さらに五十一から百ミリグラムデシリットルの程度になりますと軽度の何か多幸感と申しますが、非常に幸せであるというふうな感じを持ってくる、時間が非常に早く過ぎ去る感じがする、多弁で声が大きくなる、あるいは呼吸が促進してくる、あるいは脈搏が増加してくる、あるいは視覚機能が低下してまいりまして、目で見るものの弁別能力が弱まってくる、あるいは痛覚閾値が上昇します。ということは、普通でさわれば痛いものが、酩酊の状態がこの程度になりますと痛みを感ずることが薄くなってくる。あるいは、直立のときに体が動揺すると、こういうふうな状態になりますし、さらに血中のアルコール濃度が百一から二百ミリグラムデシリッターの程度になりますと歩行の障害、記憶障害、あるいは人によって怒ったり、叫んだり、泣いたり、さまざまな症状を呈して感情が不安定になります。余り詳しく申し上げるとあれでございますけれども、さらに二百一から三百ミリグラムデシリッター程度になりますと吐き気を催し、あるいは嘔吐をし、あるいは著しい運動失調を起こして体がふらついて倒れたりするということになります。その上にさらに三百一から四百、ミリグラムデシリッター程度になりますと、全くの昏睡状態になるということが一般的に言われております。
  59. 大塚喬

    ○大塚喬君 アルコール中毒という問題でちょっとお尋ねをいたしますが、アルコール中毒というのはどういうことでアルコール中毒という、いわゆるアル中というものができるわけですか。それの症状、そしてアルコール中毒を起こさないためにお酒を飲むときの注意というのはどういうことをすればいいわけですか。
  60. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) 先ほど申し上げましたように、またいささか繰り返しになって恐縮でございますが、アルコール中毒が、ただいま御説明申し上げましたように、非常にアルコールが短時間に多量に入ってまいります場合には、酩酊状態から極度の意識障害に陥りまして脱水症状を呈し、非常に極端な場合には呼吸中枢の麻痺を起こすというふうな症状を呈することが、きわめてまれでございますがございます。  それから、一般的にアルコールの慢性中毒と申しておりますが、ある量がずっと一定して入っておりますと、その際に二つに大きく分かれまして、先ほど申しましたような身体的な症状と、それから精神的な症状と大きく分かれまして、二つの症状を呈してまいります。一般に身体的症候であらわれますのは胃炎、胃潰瘍、それから肝臓に対しましては肝炎、それから肝硬変、それから膵臓に対しましてもまた膵臓炎を起こしまして、これが糖尿病の原因になるということも一般的に言われております。さらに精神症状を示しますれば、これは中枢神経にアルコールが作用するわけでございますが、振顫譫妄症を示しましたり、アルコール幻覚症あるいはコルサコフ症候群といったような症状を示すことがわかっております。
  61. 大塚喬

    ○大塚喬君 慢性アル中にならないようにするのにはどういう心がけが必要でしょうか。
  62. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) これは非常にむずかしいことでございまして、アルコールを全然飲まないのが一番いいことには間違いございませんけれども、しかし、実際問題としてアルコールに全然触れないということはなかなかむつかしい問題もございましょうが、またその人、人の体質によりましてわりあいやはりアルコール中毒になりやすいような場合と、そうでない場合とがございますので、大変むつかしく、お答えがしかねるのでございますが、やはりアルコールをできるだけ控え目にしていただくということ以外にはなかろうかと存じます。
  63. 大塚喬

    ○大塚喬君 慢性アルコール中毒者に対する施設として久里浜病院というのがありますね、これの現況は、日本のアルコール中毒患者の現況とあわせてこれの活動の現況をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  64. 山本二郎

    説明員(山本二郎君) 国立療養所久里浜病院の現状につきましての御質問でございますが、ここは先生御指摘のとおり、わが国におきましても最もアルコール中毒の医療に熱心な医療が行われている場所でございまして、ことしの十月の一日あたりの平均の入院患者数は三十四名でございます。外来は十六名でございます。入院患者が外来と比べて比較的少ないような御印象をあるいはお持ちになられるかもしれませんが、ここはできるだけ早く入院患者を退院させて、断酒会等の活動に参加させて社会復帰をさせるという目的で入院患者をできるだけ少なくするという方針、必要な限度に限定するという方針でもってやっております。この国立療養所の久里浜病院は、昭和三十八年にわが国で初めての専門病棟として設置されたわけでございまして、その後鋭意治療研究を実施してきたところでございまして、今年度の予算におきまして特殊の研究棟を整備いたしまして、今後のアルコール中毒の最もすぐれた医療の技術について、あるいは社会復帰の技術について研究を進める、この研究棟の整備を今年度進めつつございます。以上でございます。
  65. 大塚喬

    ○大塚喬君 このアルコールと犯罪、アルコールと事故、こういう関係について、これは国でアルコール専売というか、大蔵省酒税法で一切を取り仕切っておるわけですから、そのことについてお尋ねをいたしますが、アルコールの社会に及ぼす影響というのでアメリカ連邦司法省が報告書を出しておられますね。大臣、これをごらんいただいたでしょうか。
  66. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私まだ見たことございません。
  67. 大塚喬

    ○大塚喬君 だれか大蔵省関係でこの資料をお持ちですか。
  68. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ただいま御指摘のございました資料、不勉強で申しわけございませんが、私ども持ち合わせておりません。
  69. 大塚喬

    ○大塚喬君 アルコールと犯罪との関係、特に重罪との関係についてアメリカ連邦司法省で報告書を出しております。実は、私はこのアメリカの資料と、それから日本のアルコールと犯罪との関係についてお尋ねをしたいと思っておるわけですが、警察庁の方はお見えになっていますか。警察庁でこの資料をお持ちになっておりますか。
  70. 山下力

    説明員(山下力君) 不勉強でまだ勉強いたしておりません。
  71. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 関連。  いま警察庁が飲酒と犯罪の関係について、まだ不勉強で研究しておられないという御答弁がありましたけれども、私もやはり若干司法の分野に携わったことがあります。飲酒と犯罪との関係というものはきわめて密接な関係があります。犯罪の陰に酒と女があるというようなことは、これは非常に俗説でありますからして、これは問題外としましても、飲酒ゆえの犯罪、これもあなた方専門の方は交通事件についていやというほどこれを体験しておられると思います。まして交通事犯のような行政犯でなくして、普通の刑事犯でも飲酒というものはきわめて犯罪の原因になっておるわけですね。ですから、犯罪を取り締まりその予防をするという重責を担っていらっしゃるあなた方が、これについての統計がないということは未来あってはならないことなんです。ここにいらっしゃる大蔵大臣も恐らくその方面の御理解には決して不十分なことはないと思いますからして、やはり堂々と予算を請求なさってその関係を十分検討し、詳細な統計をしっかりとお取りになって、そして飲酒ゆえの犯罪というようなことが起きないように十分に努力していただきたい。それがあなた方のやはり治安を維持していくという職責を全うするゆえんなわけですね。そういうお覚悟があるかどうか、どうですか。
  72. 山下力

    説明員(山下力君) 先ほどお答え申し上げましたのは、合衆国連邦の報告書を勉強していないということを申し上げたのでございまして、わが国実態につきましては、やや古くなりますが、昭和三十二年から酩酊原因による少年犯罪との関連並びに初犯少年者による飲酒との触れ合いなどについて調査した資料がございますので、簡単に御報告させていただきます。  犯罪におきましては、やはり最も高い関連を持っておりますのは暴行、傷害、脅迫等のいわゆる粗暴犯でございます。暴行におきましては、暴行事件のうちの六・五二%を占め、傷害事件におきましては八・二八%を占め、脅迫罪におきましては三・六%を占めております。  また、科学警察研究所におきまして調査したところによりますと、昭和四十五年に三千五百五十人の初犯少年につきまして、酒と同時にたばこをどの程度、警察が補導する前、一年間に経験しておったかという調査をいたしました結果では、一年間に飲酒経験をいたした者は三七・三%ございます。やはり重罪との関連、粗暴犯との関連、さらに初犯につながっていく、非行化しやすい影響力を飲酒が持っているということがこの調査の結果わかっております。  以上でございます。
  73. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 あなた、三十一年とおっしゃらずに、できれば三十一年とか二年とかいう古い統計でなくして、少なくとも前年度ぐらいの統計はこれから御用意くださるように要望しておきますから、よろしいか。
  74. 山下力

    説明員(山下力君) はい。
  75. 大塚喬

    ○大塚喬君 それを読んでおられないというので、大変残念です。それば日本の犯罪と飲酒との関係——アメリカにおける飲酒と犯罪との関係について少し突っ込んで質問したいと思ったわけですが、それでは日本の飲酒と犯罪との関係についてお尋ねをいたします。  その報告書によれば、冒頭に、公衆の面前で酔っぱらうこと自体もちろん軽犯罪であると、こういうことをはっきりさしております。犯罪については、アルコールの過度の飲量に起因する行動がかかわりあいがあり、そしてアルコールの酩酊者による犯罪は最も悲哀に満ちておると、こういう前文がございます。その後で特に暴力事犯の問題、これが飲酒にきわめて重大な関連があるということを指摘しておるわけでありますが、五百八十八件の殺人犯に関する調査で、アルコールの酩酊者による犯罪の六四%が殺人犯である、こういうあれが出ておるわけであります。日本における殺人犯とアルコール、飲酒との関係は、実績、新しい資料でどういうことになっておりましょう。
  76. 山下力

    説明員(山下力君) 先ほど来申し上げましたとおり、三十二年の特別調査の統計しか手持ちがございませんので、まことに恐縮でございますが、殺人につきましては三百七人の殺人被疑少年のうち五人でございます。パーセンテージにいたしまして少年の場合は一・六%。さらに刑法犯総数についてみますると、殺人六十一件のうち〇・二%になっております。
  77. 大塚喬

    ○大塚喬君 質問と答弁が合いませんね。私は、アルコールといわゆる殺人犯との関連をお聞きしておるので、少年の分もそれは確かにその中に含まれると思いますが、殺人犯といういわゆる重罪とアルコールの関係、これがどうなっておるのか、全然資料ありませんか。
  78. 山下力

    説明員(山下力君) ただいま申し上げましたとおり、三十二年の調査によりますと、三百七件の殺人のうち、アルコールの酩酊により殺人行為を犯したものが五件ございました。
  79. 大塚喬

    ○大塚喬君 それでは、今度は逆にアルコール酩酊者による犯罪のうちの殺人犯というのはどのくらいのパーセンテージになっていますか。
  80. 山下力

    説明員(山下力君) 申しわけございませんが、そうした調査資料はございませんので……。
  81. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうすると、国で一兆円、繰り返して言いますが、税金取っておるのですが、それを元締めの大蔵大臣が売っている。そしてそれの影響国民がそういう大変重大な事件を引き起こしておる。こういうことについては大蔵省も警察庁も国税庁も何らお構いなしですか、ほおかぶりですか。
  82. 山下力

    説明員(山下力君) 犯罪との関連につきまして、いまの御趣旨に沿うように、特別調査実施して実態を明らかにするように努めたいと考えます。
  83. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまのその報告は、これはどの程度の期間を要する問題でしょうか、ちょっとひとつそこのところをはっきり……。
  84. 山下力

    説明員(山下力君) 三カ月程度いただきますれば調査は終了すると思います。(「あるはずじゃないか」「こういう複雑な物価問題だって一カ月で出てくるじゃないか」「おかしいよ、統計がないということは」と呼ぶ者あり)全犯罪についてでなく、抽出調査であれば一カ月程度で終了いたすと思います。
  85. 大塚喬

    ○大塚喬君 まあ私のあれは、殺人犯ということに限定をして、それとアルコールとの関係、できれば殺人、傷害まで入れてほしいのですが。それから交通事犯ですね、これの飲酒との関係を知りたいのですが。
  86. 山下力

    説明員(山下力君) 御趣旨に沿うように調査をして報告いたします。
  87. 大塚喬

    ○大塚喬君 早急にその資料を作成をして、この委員会に資料として配付いただくようにお願いをいたします。
  88. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 後刻理事会においてこの点は協議いたします。
  89. 大塚喬

    ○大塚喬君 そのアルコール酩酊者による犯罪の、一週間におけるどの曜日に起きたかということの問題で、いわゆるウィークエンドの金曜日、土曜日、日曜日が酩酊者による犯罪が非常に多いという報告が出ておるわけであります。特に金曜、土曜、日曜、アメリカが週休二日制ということで休日になっておる関係もあろうと思うわけですが、殺人犯についてはその七〇%占めておると、殺人犯のうちで。こういうのは明らかに飲酒との関係があるのではないか。休みでお酒を飲んで、そうして、そういう重犯罪を犯したと、こういうことを述べておるわけでありますが、これらの犯罪の曜日については、これはわかりませんか。
  90. 山下力

    説明員(山下力君) ただいま手持ちがございませんが、資料はございます。
  91. 大塚喬

    ○大塚喬君 この報告書の中には、アルコール酩酊者による犯罪というのは、鈍器による殴打、こういう事件が大変多いと、こういうことの報告が載っております。そして、その次に銃撃による——アメリカですからピストルが自由に所持できるというようなこともあって、次に銃撃による殺人、傷害事件が多いと、こういうことであります。で、アルコール酩酊者による犯罪で、窃盗、こういうものは比較的少ないということですが、日本の場合はいかがになっておりましょうか。
  92. 山下力

    説明員(山下力君) 手持ちの資料によりますと、窃盗は五万九千八百七十七件のうちわずかに五十七件にすぎない数字になっております。きわめて少ない数になっております。
  93. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうすると、アメリカではアルコール酩酊者による犯罪というのは、財産に対する犯罪よりも人身に対する犯罪が多いと、金のことに関連する犯罪というのは比較的少ないということが述べられておるわけでありますが、日本の場合もそれと同じような傾向を示しておるわけですね。
  94. 山下力

    説明員(山下力君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、暴行、傷害、脅迫あるいは強姦といったような人身に対する粗暴犯に多くなっております。
  95. 大塚喬

    ○大塚喬君 重ねて資料をひとつお願いしたいわけですが、小切手の偽造とか、それから軽微な窃盗、こういうものと飲酒との関係ですね、これについてひとつ、日本の場合にどうなっておるのか。私が特に心配しておることは、アルコールということの犯罪とのかかわり合いが、人身傷害、殺人につながると。こういう重罪につながっておる、そういうことだけに、今後のアルコール対策、これはアルコール中毒対策でなくて、今後のアルコール対策という問題が、やっぱり国としても、特に警察関係としても、私は大きな問題になるのではないかと、こういう心配をしておるものですから、これらの事実関係を明らかにして、その上に立って今後のいろいろの問題について意見を述べていきたいと考えておるわけでございます。今後最も新しい資料を出していただいて、国民にも警鐘が鳴らされるようにひとつお願いをいたします。  次に、アルコールと交通事故の問題で、アメリカ合衆国運輸省の提出による議会報告資料というのがあって、ハイウエーにおける交通安全の問題が報告をされております。これによりますと、アルコールと運転についての、まあ飲酒運転、それの対策等が出ておるわけでございますが、ハイウエーにおける交通安全、これに関する事故の現状は日本でどんなふうになっておりますか、それにアルコールの絡む問題が現状どのようになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 山下力

    説明員(山下力君) 昭和四十九年中に酒気帯び運転で検挙された者が二十万八千余に及んでおります。その中で少年は五千六人。さらに酒酔い運転によって検挙された者が八万人に及んでおります。そのうち少年は千六百五十二人となっております。
  97. 大塚喬

    ○大塚喬君 どうも質問と答弁が食い違うものですからやりにくいのですが、じゃ、いま少年の問題が出ておりますので、先ほど文部省関係、内閣の関係の方への質問が答弁いただけないでおりますので、初め文部省の方にお聞きいたしますが、いわゆる未成年者、学生生徒、こういう者の飲酒、喫煙の現況はどのようになって、そして、それの対策は、文部省として教育内容の中にどういうふうな方針で進められておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  98. 白井實

    説明員(白井實君) 生徒指導の立場から御説明申し上げますが、学校を通じてのこういった関係の調査と申しますのは、なかなかむずかしい点がございます。そういった関係で、数字については必要に応じて警察の方からいただいたり、そういった方法でフォローしております。  なお、指導につきましては、生徒指導の観点からいろいろやっておりまして、毎年生徒指導の資料を出しておるわけでございますが、その中でも喫煙の事実を早く確認して、そして早目に指導するようにといったようなことについて、関係者に都道府県を通じて指導しております。
  99. 大塚喬

    ○大塚喬君 警察の方に関連をしてお尋ねをいたしますが、青少年の飲酒、喫煙ということでいわゆる事件ということの件数、それから補導された人数、中学校、高等学校という、一応、大学ということになればちょっとわかりかねるかと思いますが、どのような現況でございますか、実情は。
  100. 山下力

    説明員(山下力君) 昭和四十九年中に飲酒禁止法によりまして補導いたしました少年の数は二万七千九百九十一名になっておりまして、その少年に対しまして保護者がこれを制止しなかったということで悪質なものを送致いたしました数が五十三名。さらに少年たちに酒を飲ませていた悪質な営業者で検挙、送致いたしました数は百五十九名となっております。また、二万七千九百九十一名の内訳につきまして、簡単に中学、高校、大学等の実情を見ますると、中学生は千七百九十五名、高校生が九千九百九十五名、大学生が二百九十七名となっております。
  101. 大塚喬

    ○大塚喬君 それは傾向として、ここ数年の動きはどういう現状でしょう。
  102. 山下力

    説明員(山下力君) 過去五年間の数字を申し上げますと、昭和四十五年は三万一千三百七十一名でございまして、四十六年は二万二千六百四十四名、四十七年は二万三千七百七十六名、四十八年が二万五千八百四十六名でございまして、四十九年は前年に比べまして若干増加をいたしております。
  103. 大塚喬

    ○大塚喬君 酒、たばこの健康との関連で、特に青少年に大きな——発育が不完全だという中で、心配をいたしておるわけでありますが、ひとつ今後青少年の飲酒、喫煙という問題については、民族の将来を考えて適切な指導をいただくようにお願いをいたします。  それで酒に関してもう一つ質問をいたしますが、躍起になって酒税引き上げを考えておられると、大変私ども残念であります。それと一緒に、いわゆる酒の便乗値上げという問題が当然考えられなければならないと思います。大蔵大臣、この酒の値上げということに絡んで、業者が、たとえば酒税が値上げをする、もうすでに昨年値上げという動きがあった際に先取りをした、そういうところもたくさんあります。これにまた引き続いて、ビール、ウイスキー、日本酒、こういうものが上がったのではたまりません。これらについて、大蔵大臣としてはどのように考えて対策を講じられておりますか。ひとつ、いまやっておる、こういう考えだ、この具体的なひとつ報告を聞かしていただきたいと思います。何もやりませんか。
  104. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 酒類は自由価格がたてまえでございまして、その価格は個々の企業が自主的に判断をいたしまして決定できるたてまえでございますが、従来から便乗値上げのないように業界を指導しているところでございまして、いまお話がございましたように、今回の酒税の値上げというようなことに相なりましても、便乗値上げのないように指導していきたいという考え方でおります。
  105. 大塚喬

    ○大塚喬君 そのないようにということで、あんたが一人頭の中で考えておられたのでは話になりませんね。具体的に大蔵省としてそれらの関係業者に対してどういう指導措置をとるのか、そこのところをお聞かせいただかなければ、頭の中で間税部長だけがお考えになっておるだけでは話になりませんから、どういうことをされるお考えですか、聞かせていただきたいと思います。
  106. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 増税のことに関係してのお話のように意味をとりましたのでございますが、そういうことでございますといたしますれば、酒税というのは転嫁されるというのが一応たてまえになっておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、先ほども申し上げましたように、酒類の価格というのは自由価格ということに相なっておるわけでございますから、転嫁される、転嫁のために引き上げられる方も、あるいは引き上げられない方もあろうかと思うわけでございますが、私どもといたしましては、業界に対して便乗値上げのないように、先ほど申し上げました線に沿って指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 大塚喬

    ○大塚喬君 何をするのかさっぱりわかりませんね、そういうふうに考えておるというだけで。  それでこれに関連して、前回、私は日本酒のいわゆる価格形成、これは生産段階における実態を二つの酒造会社の資料を出していただいて検討をいたしました。で、あのときに、時間の関係でウイスキーとビールの価格形成については御報告をいただかなかったわけです。で、このようなインフレの激しいときに、このような不況の激しいときに酒の便乗値上げ、税金の上がる分にそれにまた乗っけて上げられるということはたまったものではありませんので、ウイスキーとかビール、このいわゆる生産段階における価格をひとつお聞かせいただきたいと思うんですが、ビールとウイスキー、原料の購入価格は一体どの程度になっておるのか、それからそれの製造費用は一本についてどのくらいになっておるのか、それからその一本の企業利益の額はどのくらいになっておるのか、そして各決算期ごとにおけるその企業の利益、引当金、広告費、交際費、これをひとつそれぞれ報告書が出ておると思うものですから、最近のものをひとつお聞かせいただきたいと思います。そして生産段階におけるウイスキーとビールの価格構成をひとつはっきりさしていただきたいと思います。
  108. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ビールとウイスキーの製造原価についてという御質問の趣旨のように承ったわけでございますが、ビールの製造原価につきましては、まず御案内のように、企業にとって最高の秘密でございまして、当庁が企業有価証券報告書等で公表されていない事項を公表するということは差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。ただ、有価証券報告書に基づいて各企業の原価を推計したものはあるわけでございます。有価証券報告書に基づきましてビール大びん一本当たり換算ということで、四十九年下期のものにつきまして原価を推計したものがございますが、これによりますと、キリンビール、製造原価の詰め口までが四十円八十八銭、販売費・一般管理費七円六十一銭、合計四十八円四十九銭、金利等その他一円一銭で総原価四十九円五十銭。それから後三社ということで申し上げますと、サッポロビール、製造原価詰め口までが三十八円八十八銭、販売費・一般管理費十二円七十七銭、合計五十一円六十五銭、金利等その他二十九銭、総原価五十一円九十四銭。アサヒビール、製造原価詰め口まで四十二円二十三銭、販売費・一般管理費十五円五十六銭合計五十七円七十九銭、金利等その他一円九十九銭、総原価で五十九円七十八銭ということに相なっております。  それから、ウイスキーの製造原価ということでございますが、ウイスキーにつきましても原価というのはビールの場合に申し上げましたと同じでございまして、企業にとって最高の秘密でございますので、国税庁が企業有価証券報告書等で公表されていないことを公表するということについては差し控えさしていただきたいというふうに思うわけでございます。同じように、有価証券報告書に基づいて各企業の原価等を推定計算ということでやってみますと、ニッカウイスキーにつきましては有価証券報告書で、これは四十九年十月から五十年三月までの期でございますが、ウイスキー部門ということで出ておりますので、七百六十ミリびん換算ということで原価の推計をいたしますと、製造原価、これは税込み、詰め口まででございますが、五百二十三円六十三銭、販売費・一般管理費二百九円三十五銭、計七百三十二円九十八銭、金利等その他二十五円六十銭、総原価七百五十八円五十八銭ということに相なっております。  サントリーについて見ますと、サントリーの有価証券報告書では洋酒部門全体ということしか出ておりませんので、同じような単位でウイスキー部門だけということの推計をすることは不可能でございます。
  109. 大塚喬

    ○大塚喬君 一つは、国税庁はその実態を把握しておられるわけですか。ただ企業の秘密ということで、この公開の席では公表できないと、こういうことですか。あるいは国税庁自身もその内容については一切わかりませんと、こういうことなんですか。
  110. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 私どもといたしましては、値上げの場合等いろいろ行政上の必要もございまして、それぞれの実態については把握しておりますが、先ほども申し上げましたように、原価というのは企業にとって最高の秘密でございますので、その一般的に公表されてない内容のことについて公表することについては差し控えさしていただきたいということでございます。
  111. 大塚喬

    ○大塚喬君 それでは、最も新しい決算期における麒麟麦酒とサントリーの利益、これは上半期になりますか下半期になりますか、一番新しいのはいつからいつまでの時期になりますか、それの利益と、それから引当金それから広告費、交際費、その二つの会社について明細にひとつ実情をお聞かせいただきたいと思います。
  112. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ちょっといま資料を点検しておりますので、時間をいただきたいと思います。——麒麟麦酒の直近といたしまして、四十九年下期でございます。税引前の利益四十七億五千三百万円、それから売上高・広告宣伝費率が〇・三でございます。それから麒麟麦酒の同じく四十九年期末の引当金残高の合計が二百十一億一千一百万、積立金の合計が四百二十三億一百万、これら両者の合計が六百三十四億一千二百万円でございます。  サントリーでございますが、直近の四十九年でございますが、税引前の利益が百六十三億五千八百万円、広告宣伝費は九十三億六千六百万円、交際接待費が五億一千一百万円でございます。それから同じくサントリーの引当金の合計が百八十六億七千四百万円。それから積立金が二百三十七億八千万円でございまして、この全体の合計が四百二十四億五千四百万円でございます。  以上でございます。
  113. 大塚喬

    ○大塚喬君 いま報告いただいた、まあ相当の引当金、利益金があるわけでありますが、そのほかに販売促進対策費というのが出ておりますか、そのいまの二社について。
  114. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 御質問の販売促進費は出ております。いまちょっと計数をチェックいたしております。——麒麟麦酒の四十九年下期の販売奨励金は十九億五千四百万円でございます。それからサントリーの販売促進費及び手数料は同じく五十年三月期で百三十五億二百万円ということでございます。
  115. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうしますと、広告費があり、交際費があり、いろいろの引当金があるわけですが、そこにこのような膨大な販売促進対策費というのは、一体この中身は何ですか。どういうことでこのように膨大なお金が使われるんですか。
  116. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 麒麟麦酒につきましては、いわゆる販売促進のための手数料でございまして、それからサントリーにつきましては、これは卸の手数料も含めたところの販売促進費でございます。
  117. 大塚喬

    ○大塚喬君 私がなぜこのような質問をするかということは、便乗値上げを抑えると、こういうことの意図で、企業がそれ相応の大きな各部門に利益の証拠が数字として残っておること。  そして、その次にお尋ねするわけですが、この酒の流通段階における価格形成をお尋ねしたいわけです。そうしますと、たとえばウイスキーの角びんなら角びん、サントリーの角びんについてお尋ねをいたします。メーカーから卸売業者に出す販売価格というのは幾らですか。そのキリンの大びん一びん幾らですか。それから、その次に卸売業者から小売店へ卸す販売価格はサントリーの角びんで幾らですか。それからキリンビール一本大びんで幾らですか。
  118. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) お尋ねのサントリー角びんでございますが、製造者価格が税込みで千二百六十五円でございます。それから卸の価格が千三百六十五円、小売の価格が千六百五十円と相なっております。それからビールでございますが、大びん一本当たりでございますが、製造者の税込み販売価格が百三十一円八十銭、それから卸売業者の販売価格が百四十六円三十銭。それから小売業者の販売価格、これは末端で若干区々でございますが、大方のものは百八十円ということでございます。
  119. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうすると、それぞれの段階におけるそのマージンの割合は何%になっておるのか。それからその先ほどの販売促進対策費ということで膨大な費用が出されておりますね。これといまの卸価格、小売価格、そういうものとの関連、業者間のリベートが一体それらの中でどういうことに販売促進対策費というものがかかわっておるのか。そこのところをひとつ国民の前に明らかにしてほしいと思うわけです。
  120. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ビール大びんの販売価格対マージン率ということで申し上げますと、卸が九・九%、小売が一八・七%でございます。先ほどのウイスキーの角びんの場合でございますと、マージン率は卸が七・三%、小売が一七・三%ということでございます。
  121. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連。  ちょっと価格問題に関連いたしますが、ビールの大びんでございますが、製造原価は六十七円、キリンビールで例をとってみますと、大びん一びんの中身というのは原価は二十五円八十一銭と私どもは調査している。まあこれは金利等々も含められておりませんから、金利等を含めました総合原価は四十九円十銭、こうなっているんですが、これ間違いございませんか。
  122. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ビールの製造原価の内容につきましてはいま御質問がございましたのでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもとして申し上げられるのは有価証券報告書に基づいて推計した数値でございます。それで御勘弁いただきたいと思います。
  123. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連ですから、ぼくは余り長く聞くわけにいきませんが、やはりこの課税との関係がございますね。それと政府物価を抑えていくと。私どもはこれは公共料金として見ていますからね。ですから、この公共料金は物価指数に対して何%ということは後々質問いたしますし、私の質問時間でいたしますが、そういうことが非常に大きなウエートを占めているだけにやはりこの製造原価というものははっきりしなければならない。そうでなければ大蔵省がいま言っている、たとえば酒類に対して三五・八%なら三五・八%の課税になっていません。こういうことが明確にならないわけですよ。ですから、やっぱりこの際製造原価というのは、私どもの調査では重ねて申し上げますけれども六十七円、ビールの大びんはですね。原価は二十五円八十一銭ですよ、キリンビールの場合は。これは金利含めますと四十九円十銭なんです。そうしますと大変な高い税金がビールにかかっているということになる。大蔵省課税率を私どもに言っていることとおよそ違うデータが出ることになるんですが、これを明らかにしてもらいたいと思います。ぼくもでたらめ言っているんじゃなくて、かなり調査をした結果、こういうものが出てきておるわけなんで、ですから、この数字に対して間違いはないと、簡単ですよ、間違いがあるか、ないか、これを答えてもらいたい。
  124. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ビール大びんの製造原価につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、直近の資料ということで、四十九年下期の有価証券報告書に基づいて、三社の総原価ということで、キリンビールは四十九円五十銭、サッポロビール五十一円九十四銭、アサヒビール五十九円七十八銭というふうに申し上げたわけでございます。まあ、四十九年下期ということで時期的に若干古いかと思いますけれども、これ以上に直近の資料はまだございませんので、公開されておりませんので、これで御勘弁いただきたいと思います。
  125. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、なぜ公開されていないのですか。衆議院のわが党の同僚議員に対して皆さんの方は、管理費含めまして大びんで六十四円七十一銭、中びんで五十八円、小びんで四十三円二十四銭、こう答えているんですよ。そうすると、管理費を含めますとこういう価格が出るということになれば、当然製造原価というものは皆さんの方で調査されておられるはずです。それがなぜこの委員会で答弁できないのですか。
  126. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ただいま先生の方から御質問のございました価格は、製造社の税抜きの販売価格ということでございまして、これが大びん六百三十三ミリが六十四円七十一銭、中びんが五十八円、それから小びんが四十三円二十四銭、こういうふうに相なっております。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 製造販売価格じゃないんだ、ぼくが聞いているのは。製造原価ですよ。原価がなければ販売価格だって、あなた方、許認可事項ですから許可するわけにいかぬでしょう。その製造原価が明らかじゃないと、課税率が何%、何%ということにならない。ですから、酒の税金は大平さんも本会議で言っておりましたが、外国から比較して日本の場合は安いと、こう言っている。大蔵省が大々的にこれは新聞で宣伝しておるわけでしょう。これは大蔵省で新聞に出したのですがね。こういうふうになっているんです。これで見ますると、やはりアメリカであるとか、あるいは西ドイツであるとか、イギリス、あるいはフランスから見ると日本の場合に税率が低いと、こうなっている。実際はそうなっていない。ですから、製造原価をこの際明らかにしなければ、私どもこの酒税法の問題を本当に真剣にここで議論することにならぬのです。そういう意味で、私は原価を明らかにしてもらいたい、こう言っているんです。
  128. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) ビール大びんの換算の製造原価、これは詰め口までのものでございますが、有価証券報告書に基づいて推計いたしましたのは、先ほども御説明いたしたわけでございますが、キリンビールは四十円八十八銭、サッポロビールは三十八円八十八銭、それからアサヒビールが四十二円二十三銭と、こういうことでございます。これは四十九年下期の有価証券報告書に基づくものでございます。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、私がいま質問いたしました私どもの調査ですが、キリンビールの場合は原価二十円八十一銭になっているんですがね。これは間違いだということになりますか、この数字は。
  130. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 詰め口までの製造原価ということで、有価証券報告書に基づいて大びん一本当たりということで御説明した価格が先ほどのキリンビールで申しますと四十円八十八銭と、こういう数字に相なっているわけでございます。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連ですからこれで終わりますが、そうしますと明らかに参議院段階であなたの答えと、私の製造原価については若干狂いがあると、差異があるということになりますね。これはお認めになるでしょう。  そこで重ねて申し上げますが、これだけで終わりますが、去る十月の二十三日、わが党の衆議院段階で阿部助哉君が質問したことについて、これは間違いないと答えていますね、大蔵大臣が答えていますね。これは新聞に出ていますね。これはどうですか。この新聞に書いてあることが間違いだったら間違いだということで結構ですよ、大蔵大臣。
  132. 横井正美

    政府委員(横井正美君) ただいま御指摘の点は、私予算委員会でお答えいたしたものでございます。ただいま間税部長から御説明しましたように、私実は帰りましてから間税部長ともども十分念査いたしましたところが、ただいま間税部長が申し上げました数字が正確な数字でございます。その点御了承お願い申し上げたいと、かように考えます。  それから第二に、御指摘の二十五円という数字でございますが、あの際の阿部助哉議員の御質問の趣旨は麦芽糖、いわゆる原材料だけと、こういうふうな御質問の趣旨であったようでございます。私ども実は先ほど大塚議員の御質問にお答えいたしましたように、行政指導の上からいたしまして企業の原価につきましていろいろ勉強はいたしております。しかしながら、外部に公表できますものといたしましては、間税部長からお答えいたしておりますとおり、有価証券報告書によるものでございまして、これによりますと麦芽が幾らであるとかいうことは出てまいらないわけでございます。そういうことでございますので、御了承をいただきたいと思います。  なお、二十五円云々は私実は若干古い数字じゃなかろうかというふうに思っておることを申し添えておきたいと思います。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 了承してくれと言っても私は了承できないわけです。それから私の使った計数が古い、こういうことであるならば、新しいものがあるはずですからね。ですから、これは明らかにあなたはここで、確かに有価証券報告書による計算では管理費を含めて原価は大びんが六十四円七十一銭、中びんが五十八円、小びん四十三円二十四銭だと、さらに中身については調べます、こう答えています、衆議院段階ではね。ですから、私は関連質問ですからこれ以上多く申し上げませんが、私の使った計数が古いものだと、こうあなたがいまおっしゃっている限りにおいては、あるいは新しいものがあるはずです。ですから、具体的に各メーカーの大中小それぞれの原価を資料として私はこの委員会へ提出していただきますことを委員長に要求いたします。
  134. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 国税庁側の見解を示してください。
  135. 横井正美

    政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。最初に間税部長からお答え申し上げましたように、原価は企業の最高の秘密でございます。したがいまして、資料の提出につきましては御容赦をお願い申し上げたいと考えます。
  136. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大蔵省というのはいつも守秘主義とか秘密主義と言いますがね、原価が秘密主義だということで、秘密であるから公表できませんと言って、一般この酒税の値上げをした場合、国民はそのまま税負担をしなければならぬ、間接税であるけれどもね。そのとき原価が全くわからぬで、大蔵省が今度われわれのところに提示いたしておりまする率が、これで正しいなんということは、国民理解できますか。納得できますか。なぜ原価を公表できないんですか。
  137. 横井正美

    政府委員(横井正美君) 先ほど申し上げたような事情がございますので、私どもといたしましては企業の秘密ということとの関連、それからまた国政に協力する、あるいはまた法案についての内容を御説明するというふうなこととの兼ね合いにおきまして、有価証券報告書等からできるだけ詳しく検討いたしまして御報告を申し上げておるわけでございまして、その辺の事情を御了承いただきたいと考えるわけでございます。
  138. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それでは納得できません。あなた方ここに二十五円八十一銭の原価を明らかにしておる。いいですか、これに対してあなたは、その計数は前の古い計数じゃないかと、こういうふうに答えられた。だとすれば、新しいものがある。しかも加えて、私は金利含めましてこの総合原価は四十九円十銭だと、こう明らかにしている。これも古い計数ということになりますね。これに対してあなたは、有価証券の統計によって明らかにいたしているのは、その上に管理経費がかかるから管理経費も含めて大びんは六十四円七十一銭だと、中びんは五十八円だと、小びんが四十三円だと、こう答えておる。だとすれば、私が最初に使った原価の価格計数というものが古いのかもわかりませんけれども、新しいものに立って管理経費というものは、あなた方はこれは計算して国会で答えておるんですよ。だとすれば、その基礎になる原価というものは当然大蔵省では把握しておるはずです。それを出さなければいけませんよ。そう要求しますよ。
  139. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 吉田委員が仰せになったとおり、私どもは原価につきまして大蔵省として承知すべきものは承知いたしておるわけでございます。しかし、これを公表するということにつきましては自由解放社会を維持していく上におきまして、権力で知り得たことを公開するということはいたさないということをかたく誓っておるわけでございます。もし、私どもの方でそういうことを軽率にやるということになりますと、国会から逆に御注意をちょうだいしなければならぬことになるのではないかと思うのでございます。しかしながら、吉田委員が仰せのとおり税率引き上げという問題、そしてこれは当然消費者に転嫁される性質のものでございまするので、それを御審議いただく国会において原価的な見当が全然わからないということでは審議のしょうがないという御指摘は私どもそのとおりだと思うのでございます。したがって、先ほどからもるる御説明申し上げておりますように、企業がその責任において公表いたしました有価証券報告書というものを克明に解明いたしまして、そこから出てくる原価的な解明はこのとおりでございますということを申し上げておるわけでございまして、その材料をもって御判断をちょうだいしたいというのが政府のお願いでございます。私ども知っておって、国会にわざと知らさないなんというふらちなことを考えておるわけでは決してないのでございまして、こういう社会の秩序を守っていく上におきましてやってはならぬことはいたさないことをかたく——そういう秩序を守っていかなならぬと誓っておることは御了解をちょうだいしたいと思います。
  140. 野々山一三

    野々山一三君 ちょっと委員長、関連質問で。  ちょっと伺いますけれども、いま国税庁側の言われるのは、公務員法上にいう守秘義務を発動してここで公開することはできないと言われるのか、それが一つ。  間税部長がおっしゃられるのは、企業秘密であるから有価証券報告書に基づくものしか言えない、じゃ企業秘密というものは国政調査権に対抗して公開することはできないのか、これが第二の本質論であります。  それから第三に、大臣に伺いますけれども、この守秘義務問題は、三木総理になられてから予算委員会で新しい政府側の統一見解を出されたことは御承知のとおりでございます。その立場から言うならば、守秘義務というものは国政調査権との兼ね合いにおいて国民の合意するものでなければいけないというわけなんです。  そこで第四に、それならば一体国政調査権を発動する立場からどうして公正、客観的にこれを監督するかという意味で吉田君の質問というものがあるものと解するんであります。それならば一体、いまの吉田君の質問というものに回答を与える道は、公開の席か非公開の席かという観点から、各法規のたてまえから言って二つの方法がある、運用上から言うならばこの種の事件については私も経験がございますが、明らかに企業秘密というあなたの判こが押した秘密という文書も、公然の事実として何らの争いもなく私の手元に公開されて委員会で、審議したことがございます。これは歴然たる企業秘密でもあり、公にあなたの名前も——当時の通産大臣の名前の判こも押してある秘密というものでありました。正規の要求に基づいて委員会に提出された事実がございます。それとの兼ね合いにおいて、いま税という問題を議論する立場からいくならば、この原価というものが正しく客観的に捕捉された上で税はどうあるべきかという審議をするのは、国政に関与するわれわれの立場として当然のことじゃないでしょうか。  その四点について改めて意見を伺いながら、その回答次第によっては私は改めて一つの問題を提起いたしたいと思います。
  141. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっとその前に。大臣一緒に答えてください。  大臣、酒類は大体一五%から二二%のアップ率ですね、増税率は。たばこはきょうは議論しておりませんけれども、たばこの場合は四八%でしょう、平均してね。そして値上げをされるわけでありますけれども、これに対して外国との対比ですと、日本の酒やたばこの税金は高くないと、これは大蔵省でしょう。十一月の十七日の、これだけのでかいスペースで各統計上の値段を書いて出しているわけですね。国民はこれを見ているわけです。ところが、実際酒類に課税されている税金がこれであるかどうかということは、やっぱり製造原価から出発しなければ出ないんじゃないですか。ですから私たちは、国民にかわってここで酒税の値上げ、あるいはたばこの値上げ、これを審議しているわけですから、やはりその根本の製造原価にさかのぼって明らかにして、その上に立って税負担国民の担税能力がありや否やという問題にもこれはかかわってくる問題ですがね。そういう意味で私は製造原価のことをお伺いしたい、こう言っておるんです。
  142. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 野々山委員からお話がございました件、あなたと私とで法律論争をやるつもりは私もないんです。あなたと私とは国政調査権の問題でずいぶんやり合ったことがあるわけでございますが、私はきわめて常識的に申し上げておるつもりでございます。問題は二つに分けて考えなきゃいかぬと思うんです。  役所と、それからいま言っている酒の会社との関係です。会社は国税庁が言っているように、最高の業務上の秘密でございますと、したがって、会社が責任を持って天下に公表している有価証券報告書というものが会社が責任を持てるものでございますので、それから原価的要素を解明して、それを取り出して、そこから御審議をいただくということで御了承願えますまいかと、それじゃいけないというならば、会社の方へ一ぺん私どもの方で、あなたの方の原価を国会で公表して御承諾願えませんかと、会社の方が承諾してくれればできない相談では私は決してないと。民主主義の社会というのは、私は、民間にそういうお立場があると思うんです。それを尊重しないと成り立たぬと思うのでございます。ところが、国政調査権となると国会と政府との関係に、立法府と行政府との関係になるわけでございまして、これはいよいよとなった場合に、立法府と行政府がどういうことで折り合いをつけるかということはちゃんと規定があるようでございますが、そういうことになる前に、実際は各所管の委員会におきまして、一体どこまで資料が出せるか出せないか、どこまでおまえの方は答弁ができるかできないかという実際のやりとりで了解してやるとか、了解しないとか、もっと出せとかということで実際やるわけですね、これ。国政調査権、調査権というけれども、その背後に国政調査権が後光のように光っておることはわかっているんですよ。しかし、そこまで問題を持っていかずに、お互いに立法府と行政府のことですから、関係委員会で、理事会で御相談いただいて、それで政府はどこまで出せるか出せないかというようなことをいまやっておるのが、いまの話だと思うんです。だから、国政調査権の問題となると、お控えなすっての議論になって、内閣と国会でやらなきゃいかぬので、ぼくもそういう法律論には自信がないので、その点はまあ御勘弁いただきたいんですが、私は、実際問題としてそういうことはいま吉田さんが提起されておる問題も、理事会で、政府立場はこうじゃないかと、国会の方は、原価は実際は吉田さんがおっしゃるように欲しいんだということで、どこまで出せるか出せないかという御相談いただいて、それでお互いに行政府立場、立法府の立場というものを相互に尊重しながら、私は、日本の政治というのはいくものだと思っておりますから、別にここでしかめっつい議論をしようとは思いません。したがって、その問題は大蔵委員会でいろいろ御審議いただいたらいいと思うんでございますが、私どもそういう立場でおるということでございます。  それから、吉田さんがいま後で言われた問題は、主税局長からちょっと補足して御説明させたいと思います。もし、二十五円だ何円だというようなことを、原価的な問題として言ったとする、そういうふらちな役人がおるとすれば、私が処理せないかぬと思います。そういうことは私は許さぬつもりなんですよ。それは恐らくそういうことでないと思うんですが、そのあたりはどのようなつもりでそんな数字が出たのかちょっと主税局長から解明させます。
  143. 野々山一三

    野々山一三君 大臣が言われる国政調査権をたてまえにして、それを背景にしてどうのこうの言う以前にというお話ですね、私は二つあると、一つは、公開の席で公開的に提示を求める、これは証言法でしょう。証言法を発動する以外にないと思います。それでなければ秘密会などもと私は申し上げております。これは秘密会も、委員会で秘密会にするか、理事会を秘密会にするか、そこはぼくは委員長に強く求めたいが、今日の段階では、委員会を秘密会にしてどうこうということまでは申し上げないで、理事会でこれをまず合意が得られるのかどうかを探究する意味で、理事会でいま問題の点を明らかにしてもらいたい。それは要求をするわけです。それで、それには一体どういう理由があるのかということについて、補足的に申し上げておくんですけれども、吉田委員の指摘をされるものと、国税庁側が言われるものとの間に、古いとか新しいとかという問題がある。こんな古い新しいの議論を幾らしておっても、これは話しになりません。したがって、どちらが新しいのかどれが本当なのかを提示されて、秘密会でこれを協議していただくことが常識ではないか。これが合意の道ではないか、そういうふうに思います。それから事例的には、私もちょっと申し上げましたけれども、私の要求に基づいて提示された、先ほど申し上げた秘密の、公の国家の秘密の文書も要求に基づいて提示されたんでございます。ただしそれは提示されたということだけしか私は申し上げません。あえてそれは理事会で提示されて、それを審査してそれでいいとか悪いとかという結論を出した事例がございます。そういう事例を踏まえてひとつ先ほど申し上げた理事会で速やかにこの問題について合意が得られるように、古い新しいの問題についても、新しいは新しい、古いは古いということになりまして、どういうものであったかということが認知できるような手段を講じるようにしてほしい、これが私の要求でございます。大臣の言われる意味もそういう意味だと、こういうように私は解釈します。それがそうでないというならば、これは改めて別に私どもも協議いたしまして、証言法というものを土台にすればいいのではないかという理屈は知っておりますけれども、いまこの理屈を発動するつもりはないということを申し上げます。
  144. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいま要求の資料の関係につきましては、その取り扱いについて、理事会において後刻協議をいたします。
  145. 野々山一三

    野々山一三君 扱いでなくて資料を含めて。
  146. 辻一彦

    ○辻一彦君 理事会で資料を含めて協議をするという確認をされましたのでいいんですが、問題は簡単で、古い資料、数字であるというならば、新しい計数のものは何であるか、それを示していただければ私はいいと思います。含めて理事会で資料扱いについて協議をする、確認をしておきます。
  147. 対馬孝且

    対馬孝且君 関連質問で一点だけ明らかにしておきます。  酒税問題に関連をいたしまして、宮内庁が御用達をする銘柄につきまして、私が調べた範囲では、宮内庁が用達をしている銘柄は、月桂冠、惣花、菊正宗、櫻正宗と、こうまあ指名をされているわけであります。これはしかし少なくとも政府は、ただ酒の税金を上げればいいという問題ではなくて、特定業者に対してやっぱり力を借していることになるわけであります。こういった問題について、当局は一体どういう行政指導なり、考え方でこの問題を処理してきているのか、この点をひとつまず第一点を明らかにしておきたい。
  148. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 本件につきましては、宮内庁の調達の仕方の問題であろうかと思いますので、その辺私どもが云々するよりも、宮内庁の方に確めてみたい、さように考えます。
  149. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは確めてみたいなんていう態度がぼくはけしからぬので、なぜかというと、少なくとも酒税を取っているわけでしょう、税金を。酒税を取っているとすれば、当然税金を取り立てる中で平等の姿勢を欠いているわけだ。しかも、月桂冠、惣花、菊正宗、櫻正宗というものは、特定の業者に対して、先ほど言ったように、実際的にただ銘柄を、宮内庁御用達のレッテルを張って特別に売り出されておるでしょう。しかも、それに対して特別の配慮がなされているわけでしょう。単に私は、この銘柄だけの問題を言っているのじゃなくて、これが高く売られているという事実が最近あらわれている。こうであるとすれば、少なくとも大蔵省として、こういった銘柄に対して、値上げの、そういう便乗値上げがあるとするならば、これは当然大蔵省がチェックし、行政指導するのが当然じゃないですか。そういう点で何でいま、酒の問題が明らかになっているときに、こういう問題すら明確でないということ自体不明朗な値上げだということになるわけですよ、やっぱり。どうですか、この点。
  150. 横井正美

    政府委員(横井正美君) 先生の御指摘、ごもっともなようにも存ずるのでございますが、私どもは製造から販売に至ります過程につきまして、いろいろ業界を指導いたしておるわけでございますが、個々の需要家の方が、どういうお酒を飲んだらよいのか、そういう点につきましてどのような指導をいたすべきか、むしろその点については指導する権限というのがないのではないかというふうにも実は存ずるわけでございまして、御了察を賜りたいと思います。
  151. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは関連質問ですから、私は長く時間をとるつもりはありませんけれども、いまの個々の事業が宮内庁との間にあたかも行われているように言っておりますけれども、われわれの国民の税金で宮内庁の予算が計上されておるわけでしょう。そうだとすれば当然国民とわれわれの税金がどう使われているかということは、国民ひとしく全部これは明らかにならなきゃならないですよ。そういう問題に関して、ただ、個々の事業者との間に宮内庁がただ売買を取り仕切っている.という問題じゃないと思う、私は。少なくともこういう問題、私は、大蔵省として、宮内庁の予算はこれは税金でもって組み立てられているんですから、大蔵省自身がこういった問題について当然チェックして、行政指導的にきちっとすると、こういう態度があってしかるべきだと思うんですが、大蔵大臣、はっきりしてください。宮内庁がと言ったって宮内庁はわれわれの税金を使っているんだから。
  152. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 対馬さん御指摘の問題各役所がどういうところから物を調達すべきであるかということについて、一般的な規制として、政府は、中小企業の品物になるべくよるような指導はいたして、三〇%は三十何%に引き上げるべきでないかというようなことで、そういう努力はいたしておりますけれども、個々の特定のメーカー、あるいは商社、そういうものを指定いたしまして、これでなけりゃいけない、そういうものを指定しておるのはよくないというようなところまで、いままでは政府として介入していないんですよ、それは。ですから、それは政府一つの、いまの民主的な政府というのはどうビヘーブすべきかということに関連した問題でございまして、いまのような、私どもがとっておるような態度が正しいのか、あなたが言われるようなところまで入っていくべきなのかということは、われわれ、ちょっと問題が相当深刻な問題になるんじゃないかということを、私はちょっととっさに御質問を受けて明快な答弁できませんけれども、いまそういう御指摘があったことは記録にとどまっておるわけでございますので検討はいたしますけれども、いままで政府はそういうことには介入しないというたてまえをとってきておると、それが民主的な政府としての行動原理としてはそれが正しいのではないかというように考えておると、それに対して、いろいろな評価はあろうかと思いますけれども、そういうことだけをきょうのところは御答弁申し上げておきます。
  153. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣、私は率直に国民にはっきりしなければならぬということは、宮内庁という、そういうものを利用して、高く一つのものを、銘柄を便乗的に売られているという実態があると、こういう指摘をしているわけですよ。私は何も個個の会社に対してどうせえと言っておるのじゃなくて、少なくとも大蔵省として、そのために税金を吸い上げておるわけですから、そうだとすれば、当然酒造業界なら酒造業界に対して一定のチェックをして、そういった、言うならば差別的な、平等性を欠くような、しかも、そういうことによって特定な銘柄だけをそういう方向に国民に与えられるということについては、やはり正常ではないんじゃないか、そういうものに対して政府が検討するといういまお答えがありましたけれども、もう一歩突っ込んで行政指導的な立場でやはり積極的に検討していくと、こういう点での答弁なら私、理解しますよ。
  154. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御趣旨は承りましたので、よく政府でも検討してみます。
  155. 大塚喬

    ○大塚喬君 私のいわゆる酒の生産段階における価格形成、それから流通段階における価格形成という問題からいろいろ関連の質問をいただいたわけであります。   〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕  その中で、やっぱりこの問題の論議という中で、大蔵省の答弁があいまい、そして何かこう隠し立てをしておるというところに、これらの論議が本当に国民立場に立った論議というものが展開されないで、場合によっては便乗値上げということも起こり得る、先ほどの答弁の中でそれぞれの流通過程の中でのマージンあるいは生産段階の中でのマージンがあったことも明らかになったわけでありますが、あるいはそれ以上あるかもしれない。それからその課税の問題にしても二二%上げる、一五%上げる、こういうような問題についても依然として疑惑が残る、こういうことですので、ひとついまの生産原価の問題あるいは卸、小売それから販売の価格の問題、こういう問題をひとつぜひできるだけ早く理事会を開いていただいて、そしてこの問題に対して私どもの疑問を明快にひとつ解明していただくようにお願いをするものであります。  それから、私の持ち時間も一大分少なくなったものですから、たばこの方でひとつお尋ねをいたします。  覚書というのがありますね。専売と大蔵省の官房長それから大蔵省主計局長、大蔵省理財局長そして専売公社副総裁という関係の方で、四十六年五月二十八日、の間に取り交わされたものであります。これは現に四十九年度そしてこの五十年度、この内容がそのまま適用されるものですか、どうですか。さらにこれの法的な根拠について私は若干の疑問を持っておるものでありますが、それらについて、ひとつ大臣からお聞かせをいただきたいと思います。大臣からひとつこれ、大臣の名前載っていないで、官房長なり主計局長なり理財局長なりが名前連ねておるわけですが……。
  156. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 専売公社が政府に対して納付金をいたす場合の計算の基準について、専売公社と主計局の方で覚書を交換、大蔵省、専売公社で事務当局でやった覚書であると承和、いたしております。私自身は日本専売公社法によりまして問題は処理すべきものであって、これを事務的にどのように受けとめてどう経理するのが妥当かという事務的な打ち合わせにすぎないと考えておるわけでございます。立法事項であるわけではございませんので、事務当局から御説明をいたさせたいと思います。
  157. 大塚喬

    ○大塚喬君 一つは、単純な疑問ですが、その責任者である大蔵大臣、専売公社総裁、これはなぜ名前を出さないで、その補佐をする副総裁あるいは官房長、主計局長、理財局長、こういう方がこのような取り決めをしておるのでしょうか。実は、三千億ないし四千億の金のやりとり、取引があるわけですね。専売公社法第四十三条の十三の規定によってとこういうことでありますが、そこのところをひとつ初めにはっきりさせてください。
  158. 西沢公慶

    政府委員(西沢公慶君) ただいま先生御指摘のとおり、法律的に申し上げますると日本専売公社法第四十三条の十三という規定に基づいて専売納付金を計算いたしておるわけでございます。しかしながら、他方におきましてわれわれと専売公社との間におきまして財政収入の確保あるいは公社の経営責任の明確化を図りますためには、国内販売総定価代金の額の一定割合を税相当分としてあらかじめ定めておくことが望ましいのではないかと、それでこのような考え方に立って現在納付金率を、覚書方式がとられておるわけでございまして、これは審議会などにおきましてもこういうやり方が税制調査会でございますけれども、あたりにおきましてもそういう方式をとるのはいいことであるというふうに言われておる制度でございます。
  159. 大塚喬

    ○大塚喬君 よその方がいいことだということなんですが、法的な根拠は。大臣それから総裁これだけの多額の金額のやりとりになぜ名前を出さないで、補佐をする方の間の取り決め、しかも覚書ということなんですが、そういうことがこれが最も妥当な方法なんです小。
  160. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) いま監理官からお答え申し上げましたように、本来納付金というのは公社法の四十三条の十三の規定によって行うべきものであり、行っております。それを行う場合にどういう目安でこの規定を運用していくかというその運用の指針と申しますか、そういうものをこの覚書でもって取り決めをしたわけでございます。指針でございますのでこのとおりぴしゃっといくということはございません。御案内のとおり、ここには第一種納付金はたとえば五六%とか、第二種納付金は三五・七%と書いてございますが、それで計算したようにぴたりとはまいりません。基本は四十三条の十三で行いますので、それのおおよその検討はどの程度でやっていこうかというのがこの覚書の趣旨でございます。そういった事務的なと申しますか、運用の指針でございますので、法律的なものでございませんので、大臣とか総裁とかいうのは一々名前は出しておりません。私どもそれぞれ委任を受けまして覚書の当事者限りということでございます。
  161. 大塚喬

    ○大塚喬君 その委任状出ているんですか。
  162. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) 紙に書いた委任状はございませんけれども、私どもといたしましては総裁の指示に従ってそれぞれやっているということでございます。
  163. 西沢公慶

    政府委員(西沢公慶君) 大蔵省におきましても大臣の御了承を得てやっておるわけでございます。
  164. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうしますと、これの有効期限、これはどういうものか、しかも覚書ですからそれらの内容が、大体の目安ということにそういう内容のものですか、どうなんですか、これは。このようなことで一体専売益金の納付について国の重要な大きな、これは夢中になって値上げをしようという、している人もいるほどなんですが、そういうものでいいんですか、これは。
  165. 西沢公慶

    政府委員(西沢公慶君) この覚書につきましては、四十六年の五月に最初に取り交わされまして、そのときにはおおむね三年程度を目途にしておったわけでございますが、その後さらに四十九年度におきましても引き続いて行われておるわけでございます。
  166. 大塚喬

    ○大塚喬君 その注のところには、「昭和四十六年度以降三年間は、塩事業会計における経常損失および塩業整理のための交付金の支出を勘案し、第二種納付金の率を三七・五%とする。」こういうことがあって、さらにまたこれの有効期間や何かというのも明示をされておらない、こういうことで、私は不審に思うわけでありますが、昭和四十九年度の決算、これは一応この覚書に基づいてなされておるものでございますか。  それと一緒に、これの、なされておるとすればこの問題を審議する国会に、専売公社の四十九年度決算報告書をひとつ至急に提出をしてほしい。この大蔵委員会に。私はぜひひとつそのことを要求をするものであります。
  167. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) 四十九年度の決算、これはすでに結了をいたしております。ただいま先生おっしゃいましたようにその覚書は四十六、七、八と三年間、こういうことでやってみようということで始めたわけでございます。四十九年度をどうするかということにつきましては、実は四十八年度以降非常にいろんな御承知のような見通しが立たないということもございまして、四十九年度の決算は必ずしもこの運用方針によりませんでして、法律そのままでやっております。ただ結果的に見ますと、この法律を、この運用方針を、覚書を運用した場合にどうなるかという数字が出てまいりますけれども、四十六年度から四十八年度までやっておりました、たとえば第一種納付金五六%というものは当然納められませんので、そこは非常に落ち込んでおるという結果になっております。
  168. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうしますと、これはもう破棄されたもので、現状はこのとおり適用しておらない、こういうことになるわけですね。
  169. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) いま申し上げましたように第一種納付金を幾ら、第二種納付金を幾ら、そういった意味では四十九年度の決算はそのとおりにはなっておりません。ただ私たちとして、大蔵省の間でできるだけ納付金をどういうふうに考えていくか、大蔵省の側といたしましては財政収入ができるだけ安定的な収入が図れるように、公社の方といたしましても、公社の責任限界というものをどの程度にセットするかといったようなことは大変大事なことでございますので、この四十九年度は当初定められた覚書のとおりには実行はされておりませんけれども、こういった精神と申しますか、そういうものは今後納付金をどう決めていくかという上においてそういう気持ちでお互いに協議しながらやっていく、そういう意味ではこの覚書の精神は生きているというふうに私どもは承知しております。
  170. 大塚喬

    ○大塚喬君 どうもはっきり答えていただかないと、これから先の論議にならないわけですが、ここに書いてあることは、第一種納付金の率、第二種納付金の率、こういうものが基礎になっておる覚書でしょう。その精神を生かすということで、この数字自体が変わっておるとすれば、この覚書自身はもう破棄されたもので、現在は大蔵省−専売公社の間の取り決めにはなっておらないものでしょう。それを新しく覚書をつくるでもなし、その精神でやりますなんということで、これだけの膨大な歳入減になっておるものの審議が、これ予算全体にもかかわりが出てくるわけですが、そういうことで審議をしてくれなどというのはちょっとむちゃじゃないですか。
  171. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) 多少敷衍をして申し上げますと、五六%という第一種納付金は四十九年度の予算を編成する段階ですでにもう納められないという実態になっております。
  172. 大塚喬

    ○大塚喬君 これ破棄したらどうですか。
  173. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) そこで四十九年度の予算はその五六%というのを五四・五%ということにしようではないかということで予算を組みました。それで年度が終わりまして決算をいたしましたのは、さっき申し上げましたように公社法四十三条の十三に基づいてやったわけでございますが、それを結果的に見ますとその五四・五%と言っておりましたのが約一%ぐらい下がったような第一種納付金になっておるということを申し上げた次第でございます。
  174. 大塚喬

    ○大塚喬君 いまの問題はこれも財源が足りないからたばこ値上げをしたいという、こういうことに大きなかかわり合いがあるんですよね。それでそこのところの覚書が、これ今後の運営政府とそれから専売公社の間でどうするおつもりなのか疑問が依然として残ります。そういうことを覚書ということで一応こういうのでやっていますよと言うから、私どもこれを信用してことしもこのとおりで、これに基づいて一体第一種納付金はどのぐらい、それから第二種納付金はどのぐらい、それから注にあるこの分に該当するものはどのぐらい、こういうことをお尋ねしようと思ったわけですが、そういうものが変わっておるということになるとちょっと審議ができないのですね。  それから、ちょっと私持ち時間が、私が割り当てられた時間がきておるものですから心配をしておるんですが、世界保健機構、WHOから再三再四の各国政府に対する勧告がなされておりますね。これについて大蔵大臣、これはなぜこう国民には明らかにしないで大蔵省だけで握って、明らかに何というか、この勧告のあれを日本政府が違反をし、じゅうりんしておるんでしょう。大蔵大臣にひとつ再三再四の「喫煙と健康」ということで世界保健機構から各国政府に勧告が出されておりますね。大臣自身が何かそのお顔ではちょっと余り知らないようなそういう感じをしておるんですが、これだけのもう何回となく勧告が出ておるわけですね。各国政府はこうすべきだと、こういう喫煙と健康との関係で世界保健機構から各国政府に勧告が出されておるわけです。それが国民の前には全然そういうあれが出ておらないんですが、大蔵大臣自身も御存じないということになると、これはとんでもないことだと思うんですが……。
  175. 西沢公慶

    政府委員(西沢公慶君) 先ほどのまず最初の覚書の方でございますけれども、四十九年度の予算をつくりました当初においては、先ほどの覚書はあったわけでございます。で、五十年度に、本年度につきましては、われわれとしましては御案内のとおり五月一日から定価改定をお願いしておりまして、それが実現した暁に引き続いて五十年度も覚書を結ぼうということで、それが今日まできておるために、本年度についてはまだできていないということが経緯でございます。  それからWHOのただいま報告書でございますけれども、私も非常に詳しいわけではございませんけれども、後ほど公社の方からあれしていただきますけれども、本年七月に出た報告書のことだろうと思いますけれども、この報告書は一九七〇年のWHO総会で採択されました顧問報告書の「喫煙と健康」の医学的観察面に、その後のデータを補足したものであるというふうに考えております。その大綱は一九七〇年の報告書と同様であると考えておりまして、この一九七〇年の顧問報告書とは異なりまして、各国に対してWHO自身がその内容を考慮するように示唆したものではないというふうに考えております。
  176. 大塚喬

    ○大塚喬君 その後の方の問題から入りますが、大臣自身がそのことの報告を受けておらないというのは、これは国民に対する重大なやっぱり背徳行為に私はなるだろうと思います。その専売公社からもそういうものが、これだけ世界じゅうで騒がれておる問題について大臣の手元まで報告書が届いておらないというのは、これは日本政府がやっぱり各国の政府に対して顔向けできないような、私はそういう問題に当たると思っております。  それから、一回限りの報告じゃありませんね、これは。これをなぜ政府が、少なくともこの大蔵委員会なりに、こういう報告が出ておりますということを出さないんですか、これは。これだけのことがわかれば、これはもうたばこの売れ行きががた落ちになると、こういうことでそれらのことをひた隠しに隠して資料も何も出さないんですか。それから一体それらに基づいて専売公社あるいは大蔵省として、具体的に国民の健康を保持するためにどういう行政的な措置をとってこられたのか、そこのところをひとつはっきり聞かしていただきたいと思います。一切これはわれ関せずでほおかぶりをして現状までお過ごしになったのかどうか、そこのところを聞かしてください。
  177. 玉置英之助

    説明員玉置英之助君) お答えいたします。一九七〇年のは正式に厚生省に参りまして、それを受けましてこちらには四十六年から喫煙と健康に関する諮問委員会を専売公社にこしらえまして、その結果四十七年三月ですか、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という警告文を出しました。先生のおっしゃっておられますことしのやつは、ニューヨークでアメリカ国立がんセンターその他の方々が集まられまして、喫煙と健康の問題のシンポジウムを開いたわけでございます。そこにWHOの専門家委員の方たちも出ておられまして、そういう資料を配られたわけでございまして、WHO事務局自身の正式なものでございませんから、したがって厚生省に参っておりません。ただ出席されたメンバーの方がその資料をもらってまいりまして、私たちもそれはいただいております。   〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕
  178. 大塚喬

    ○大塚喬君 勧告文の内容はそんな消極的なものではなくて、各国政府に対する正式な勧告書でしょう、これは。勧告書の形としてそのあれが出ておるわけでしょう。それがいままでに何度もそういう勧告が出ておるのに、残念ながら日本国民だけはつんぼさじきに置かれておって、たばこと健康という問題についての各国のそのような熱心な努力というものが何ら耳にすることができないでほうっておかれておる、こういうことについて一体政府なり専売公社なり具体的に国民の啓蒙宣伝ということにどういう努力を重ねてきたのか、その努力の跡を聞かせてほしいと、こういうことなんです。
  179. 玉置英之助

    説明員玉置英之助君) ただいまお答え申しましたとおり、この六月にニューヨークでありましたのはWHOの正式の機関の決定でございませんで、そこに出ておられました専門家委員の討議でございます。したがって、WHO正式の意見としてこちらには参っておりません。
  180. 大塚喬

    ○大塚喬君 ずいぶん無責任な答弁をされておると思うんですよ。私も、その報告書の内容が専門委員会的なそういう内容のものであり、その以前にもこういうことはもう何度も何度も繰り返されて出されておるわけです。で、私がここでもう言いたいことは、なかなかいま国民生活の中からたばこを切り離す、こういうことは大変むずかしいことは、私自身もヘビースモーカーの部類に属するわけですから、困難であることは私自身も率直に認めます。しかしながら、事実関係だけは、英国の王室医師協会、それからそれに後引き続いて、毎年のように世界保健機構でこれらの問題を専門家を集めて検討を加え、そして報告書を出し、各国政府に勧告をしておるという問題について、専売公社なり大蔵省なりは全くほおかぶりをして、これを毎年毎年そのままで過ごそうと。具体的にその内容についていまから質問したいと思っておったわけですが、時間がないので大変残念ですが、その一番新しい報告書の写しを専売公社は届いておるわけでしょう、持っておるわけでしょう。これをひとつ資料として提出をいただきますように委員長お願いをいたします。
  181. 斎藤欣一

    説明員(斎藤欣一君) ただいま大塚先生の御要求の資料は提出いたします。私たちが事実上入手した資料でございますけれども提出いたします。  それから、確かにそういったWHOも正式のもの、あるいは公式のもの、非公式のもの、いろんな会議があり、それについていろんな報告がございます。私たちはできるだけそれを入手しようという努力はいたしておるわけでございます。それで、先ほど私どもの企画開発本部長が申し上げましたように、たとえばたばこの包装に吸い過ぎの警告をするといったようなこと、これはその前のWHOの勧告に基づいてやったわけでございます。その後私たちは国民の健康と喫煙との問題、これは世界的な問題でもあり、また日本でも非常に関心のある問題でございますので、その点は非常に注意をしていろいろのことをやってまいっております。たばこのニコチンやタールを減らすこととか、それからあるいは肺がんその他の研究につきまして予算をふやして外部のいろいろなところに委託するとか、その他いろんなことをやっておるわけでございまして、決してそういった世界の動きというふうなものに故意に耳をふさいでやっておるというわけではございませんので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  182. 大塚喬

    ○大塚喬君 これ資料を早急に出していただけるのかどうか、この委員会でですね。できるだけ早い機会に、国民のやっぱり健康に関する重大な問題をはらんでおる、こういうことでございますので、この問題についても早急にひとつ理事会を開いて全面的な資料の提出を計らっていただくようにお願いをいたします。
  183. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 先ほど来、四十九年度専売公社の決算の関係、酒類の原価に関係する資料要求、ただいまのWHOのたばこと健康との関係における資料等、審議を進めますに当たりまして、場合によりましては秘密理事会において検討を要する事態が起こってまいりました。  つきましては、この際、暫時休憩をいたし理事会を開催いたしたいと思います。    午後四時二十五分休憩      —————・—————    午後八時三十五分開会
  184. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。(「議事進行」「議事進行について発言を求めます」「議事進行を取り上げなければならぬ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  ただいままで、大変お待たせをいたしましたが、秘密理事会において資料の取り扱いについて結論を得ましたので、御報告を申し上げます。  まず、大塚委員から御要求のございました飲酒と重犯罪との関係に関する資料につきましては、警察当局におきましてできる限り速やかに調製の上、提出をすべきこと。  第二に、専売公社の四十九年度決算についての資料要求がございましたが、損益計算書、貸借対照表及び財産目録はすでに調製済みでございますので直ちに提出をすること。決算報告書についてはすでに大蔵大臣へ提出済みであるが、さらに内閣へ送付の上、会計検査院に提出する義務を負っておりますから、その手続を終え次第、直ちにこれまた提出をすること。  なお、たばこの原価については、十本単位の原価及び価格群別に対する原価について可能な限り資料を整備するようにするが、その点については質問者の意図との関係もあり、専売公社において十分連絡の上で、その結果について秘密理事会に報告をすること。  WHOのたばこの健康に関する資料につきましては、原文のコピーは現在調製ができるので、直ちに提出をする。これの翻訳については若干の日時を要するものでありますが、なるべく速やかに翻訳の上、提出をすること。  次に、吉田委員、なおこれに関連しまして大塚委員、野々山委員も御発言がございましたビールの原価についての資料については、吉田委員から提示された資料もございますので、国税当局において検討の上、国税当局において用い得る資料と照合した上、その結果を秘密理事会に報告すること。  ウイスキーについての資料要求についても同様に処理する。  以上でございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  次回は二十日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十八分散会      —————・—————