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小笠原貞子君 亡くなられた方の御冥福を祈るとともに、一日も早くこの
幌内鉱が
再開されるというそのために、国としてもいろいろな手を尽くしていただくということで、いままでございました御答弁を
確認させていただいた上で質問に入りたいと思います。
率直に言いまして、私はいままでの御答弁を聞いておりますと、これでもうこんな
事故はないという保証は何にもない。なぜなら、いろいろ検討するとか、いろいろと御
努力をするという言葉はあるけれ
ども、そのために裏づけとして一体何を持ってどういうふうにしようかという点が非常に不足している。非常に私は不満に思います。
特に、夫の
遺体を水の中につけたまま
——本当に考えてみてください。私はあの
調査の後、
炭鉱の奥さんたちとも話をしました。
労働者とも話をしました。そして私は、北海道の
炭鉱にもう二十五年前から各山、そのときは五十二からありましたけれ
ども、各山毎年二回ぐらい炭婦協の
方々と話し合いをし、講師としても入った。その方たちがどんなに自分の夫の職場を気にしているか、もうすでに二十年、三十年たって、そして
事故があるたんびにいろいろときょうのような御答弁をされているわけです。しかし一向にこれが解決されていないじゃありませんか。私はいまその
炭鉱の主婦たちのことを思って、この年末を控えて、夫の
遺体が水についたままで、一体本当にどんな気持ちでいるかということを、心底その気持ちになって真剣な
対策も考えていただきたいし、私に対する答弁も真剣にお答えいただきたいと思うんです。
私は決して無理は言いません。なぜできることをしてくれなかったかというのが非常に不満なんです。こういうことが二度と起きないためには、
保安を十分にしなければなりません。その
保安を十分にするためにも、いろいろ言われたように、だんだん
深部へ入ってきてしまった、そして、そのためのいろいろな技術もまだまだ十分とは言えないし、技術者も不足だというような中で、これを一遍に解決しろということは無理だとすれば、いまできることは何だ。そういう専門的な技術者と、そしてその人間をふやすことと一緒に、一番その
現場にいる
労働者の意見を本当に尊重してもらいたい。同じ山だといっても、
一つの山、
一つの山には性格があるんです。その山の性格を一番知っているのは
現場にいる
労働者じゃないですか。そして、その
労働者は命がけで毎日やっているんです。そういう人たちの意見を尊重して、技術者もそして
労働者も一体になって、こういう
保安をしっかりやって
事故を起こさないという、そのことを本当に私はしっかりやってもらいたい。いろいろ山で聞きましたし、また、きょうの先ほどからの御答弁を
伺いましたけれ
ども、いろいろな
委員会があるとか、聞く機会があるとか、知らせたとかと言われる。確かにシステムはあります。しかし、本当に意見が尊重されてそれで十分な手が加えられていたか、それはもう全く私は不満に思うんです。
たとえば先ほどの御答弁でも、この
事故というものには前兆があった、三月に二回、十月にも二回あったと言います。私も調べて聞いてきました。特に十一月二十日以降
山鳴りが連続して、そして二十六日の前日には五回からの
山鳴りがあった、これは皆さん御承知だと思う。それがもう大変なひどい
山鳴りで、坑外の方がひどくてびっくりして、
坑内へすぐ電話が入ったという。そして十二時三十分、その次のときには、これは六片の布引
坑道だったけれ
ども、岩粉がもう本当に目もあけていられないくらい、頭を抱えて出てきたというような事実もあるわけですね。私が言いたいのは、十一月の二十五日に
監督局としても
監督官が山に来ているわけですね。二十五日からいろいろ書面で
準備をして、そして二十七日に入ろうとしていらしたわけでしょう。それじゃその二十六日、
山鳴りが物すごくあった、これは大変だというようなときに、
監督局として二十六日のその
山鳴りの後、中に入って
調査なすったのか。
調査していません。そして
会社側としては、職制が入って
調査した。しかし、その結果も何ら
報告されていないということ。
事故の前兆があったと言いながら、その前兆に対して適当な
調査はされていなかったのではないかということです。
それからまた、先ほどから、
深部対策としては
会社がそれなりの
対策をとっていたと局長は御答弁になりました。そして、ここは非常に
深部になっているしと、いろいろな点から特別Aランクに指定されていたとおっしゃっていました。しかし、その特別Aランクというのが直前に外されているわけですね。私は山で聞いたんです。この
ガス漏れがある、そして山はねもある、
深部になって危険だというのが、なぜ特Aランクから直前に外されたんですかと聞いたら、破砕帯を通り越したというようなところで外したと言うんですね。しかしそんな簡単なことで外していいものだろうか。こういう点について一体どう考えていらっしゃるのかということです。
それから今度、九月に
自然発火がありましたね。そして十人の
監督官が、大津武雄
炭鉱長あて五十四項目の指示書が出されているわけなんです。この内容というものを、組合と
保安役員のみでなくて、本当にその
現場の
労働者みんなに一体どう知らされたか。知らされていないんです。もしもこの五十四項目について、ああ、おれの
現場はこういうことが指示されている、それじゃこれについてどういうふうに
会社はやってくれているんだろうと。そういうようなことが一般の
現場の人たちに知らせられていないということも
一つの問題だと思う。だからシステムはあっても、本当にその
現場、
現場でやっている者にどう協力してもらうかという点では非常に不十分だと思うんです。また、九月十七日に出された指示の内容について返事をくれということになっているけれ
ども、それに対しての回答がどうだったのか。気をつけろ、改善しろと言うだけではなくて、それについてどうだったかというようにきちっとそれをやっていらっしゃるのかどうかということ。
また、私たちの共産党としても、三笠市
委員会でも申し入れをいたしました。
会社にも申し入れいたしました。そしてまた、その
炭鉱に働いている共産党員、支部が十七項目の緊急の要求というものを十月四日に申し入れしているわけです。こういうふうに具体的に緊急申し入れしているのに、そういうことを一体尊重してくれているだろうかどうか。
会社のそのとぎの答弁というのが、特定政党の申し入れに回答したことはないから回答できないんだと、こういう態度なんです。それはどの政党であれ、どういう組織であれ、いろいろな人が、特に
現場の
労働者として申し入れをしてこのことについて検討してくれ、気をつけてくれといった意見を尊重しないで、どうして
保安や何かが協力できるだろうか、そういう姿勢だということをはっきり認識してもらいたい。
きのうも私は質問をお聞きになった方に言ったんですけれ
ども、その方はそんなことはないとおっしゃる。ないとおっしゃるけれ
ども、
労働者がいま願っていることは、山に入ってきた
監督官に非常に信頼しているんです。もう
監督官に第三者的な立場でいろいろ見てもらいたい。そして自分たちが考えていることを聞いてもらいたいという、それが本当になされているか。なされているときのうはおっしゃったんだけれ
ども、それはなされているはずだということにしかすぎないと思うんです。私が聞いた人たち、一人じゃありません、みんな言っていました。私も無理言ってないんです。たとえば、この
事故が起こったその大変な中に入っていた
監督官をつかまえて
現場の
労働者がああだこうだ聞いてくれなんていうことは、これは時間的にも、また大きな山で全部が全部そういうことをやってくれとは言わない。
しかし、いまの山に
調査に入られるそのときには、大体前日に通告される。そして、その通告されたときには、このときもそうだっんですけれ
ども、前日に通告されて、本当にきれいに掃除をさせられて、そして
監督官がどっちへ行くかわからないから、お前たちは向こうへ待避していろということで、そしてその
現場を通ったときに話ができないような
体制がとられているというようなこと。これは
一つ一つ具体的だから御存じないかもしれないけれ
ども、全体として
監督官に第三者として聞いてほしいということを聞けないような雰囲気がつくられていて、そして、
監督官のお供をしてくるのが
会社の幹部であって、聞けばいいじゃないかと言われたって、
労働者として聞こうと思ったら、やっぱり有形無形の圧力がかかるという中では、言えないという
労働者を私は責めることができないと思うんです。だから、
現場の
労働者の意見を本当に尊重して
調査できるようにという、そういう具体的なことを私はぜひ指示してもらいたいと思うんです。
そうして
労働者が私にこう言ったんです。
監督官が来たときに
ガスボンベの箱が五つあった、しかし、そのうちの四つの箱はから箱なんですよ。これはこの間衆議院で多田さんも言ったと思います。から箱で、
ガスボンベが入っていたのは一箱しかないんですね。もう本当に良心的に自分は苦しくてしょうがないと、
保安主任が飛んできて私らの仲間に言っているんですよ、見たってわかりませんよね、箱が並んでんだから、四つは全然から箱だと言う。こういうことがなされているということをあなたは御存じなのか。役所として現にこういうことが行われているということを知っていらっしゃるのか。だから私が言いたいことは、こういうことはちょっと目で見てもわかりません。その
現場の
労働者が、本当にこんなインチキなことをやっているんだといううつうつとしたものを持っている。これをぜひ聞いてやってもらいたい。
そういうことで、先ほど、
会社は
深部採鉱についてはそれなりに
対策を立てているんだなんていう、そういう立場は全然やめてもらいたい。企業というものがいかにいままで
犠牲をこんなにつくってきたか。もっともっと企業をしっかりさせ、手を縛って、本当に安全を守るというしっかりした立場に立ってもらいたいと思うんです。
この
幌内鉱についても百万人当たりの
事故を見れば、一月から九月の
災害率は札幌
鉱山保安監督局管内の平均が二百二十人なのに、四百六十七人と高いということになっているわけでしょう。こういうことで私が言いたいことは、前兆があったというときにどんな適切な手を打っていただいていたのか。そして、今後もあることです。
労働者の
現場の意見を本当に尊重して聞けるような、そういう雰囲気の中で
労働者が働けるように指導をきちっとしていただきたいということです。
会社に対しての毅然とした立場で、本当に命を守るという立場に立っていただけるかどうか、その辺をしっかりお答えいただきたいと思います。