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1975-12-17 第76回国会 参議院 商工委員会資源エネルギー対策小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)    午後一時十一分開会     ————————————— 昭和五十年九月十六日商工委員長において本小委 員を左のとおり指名した。                 岩動 道行君                 楠  正俊君                 剱木 享弘君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 小柳  勇君                 対馬 孝且君                 桑名 義治君                 須藤 五郎君                 藤井 恒男君 同日商工委員長は左の者を小委員長に指名した。                 阿具根 登君     —————————————    小委員異動  十一月二十日     辞任          対馬 孝且君  十二月四日     辞任          桑名 義治君     辞任          藤井 恒男君  十二月十七日     辞任        補欠選任                 対馬 孝且君                 相沢 武彦君      須藤 五郎君     小笠原貞子君                 藤井 恒男君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        阿具根 登君     小委員                 楠  正俊君                 剱木 享弘君                 小柳  勇君                 対馬 孝且君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君                 藤井 恒男君    政府委員        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        通商産業省立地        公害局長     宮本 四郎君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        中小企業庁計画        部長       織田 季明君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        資源エネルギー        庁石炭部炭業課        長        高瀬 郁弥君        労働省労政局労        働法規課長    松井 達郎君        労働省職業安定        局雇用政策課長  小粥 義朗君        自治大臣官房参        事官       今井  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○資源エネルギー対策に関する件  (北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱における災  害に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) ただいまから資源エネルギー対策小委員会を開会いたします。  小委員異動について御報告いたします。  本日、欠員中の小委員補欠として、対馬孝且君相沢武彦君及び藤井恒男君が選任されました。  また、須藤五郎君が小委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱における災害に関する件を議題といたします。  まず、本件に関し、政府側から報告を聴取いたします。宮本局長
  4. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 前回、商工委員会におきまして、幌内炭鉱事故のその時点における御報告を申し上げましたが、それの一番最後のところは、十二月三日二十三時三十分から、六片レベルまでの注水を開始しましたということを申し上げた次第でございます。  その後の状況について、追加報告を申し上げます。  十二月の十日五時三十五分、六片レベルまでの注水を完了いたしましたが、その後、探検に入りましたところ、坑内の火災は鎮火せず、また、小さな爆発現象も続いているような状況と、推察されておったわけでございます。  次いで、十二月の十一日、救護隊を常盤の斜坑から入れまして探検を行いました。その探検の結果によりますと、坑道の途中が崩落を生じておる。途中の段階で奥への進入が不可能な状態となりましたので、昇坑いたしておるわけでございます。  さらに、このような状態のもとで、排気口から排出されますところのガスの分析を引き続きやっておりましたところが、中においては相当燃焼度が強い、こういうふうな推測がされておりましたので、一体どうするかということをるる検討したわけでございます。  消火方法といたしましては、密閉をする方法も検討をしたわけでございますが、何せ非常に坑道延長が長うございまして、鎮火までには相当の長期間を要するであろうということでございました。そこで万やむを得ず、四片レベルまでの水封を行うことになりまして、十二月の十二日二十二時五十五分から四片レベルまでの注水を開始した次第でございます。現在、その注水につきまして、順調に作業が進行しておるというところを把握しておるという次第でございます。  以上でございます。
  5. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) これより質疑に入ります。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 この間、商工委員会の議を経まして、現地調査団で行ってまいりました。まず、冒頭に、今回幌内鉱災害に際しまして、犠牲になられました方々に対しまして、心から哀悼の意を表したいと思います。  そこで、いま立地公害局長から現況の報告がございました。第一点、率直にお伺いをしますが、その後の復旧めどを、いま現地住民、働く者は一番心配をしているわけです。現地でのめどは大体どのような復旧状態になるか。つまり、四片までいま水を入れた、こう言っておりますから、大体、私の炭鉱マンの長い経験から判断をいたしまして、十二日段階注水が始まった。そういたしますと、大体一月八日までに、一月上旬をめど注水がほぼ完了できるのではないか。それから探検ポンプ設置排水の取り明け作業を行いますから、取り明けが完了して遺体が上がる収拾のめどというのは、大体四月の中旬ごろになるのではなかろうか、こう私なりに現地判断をいたしまして考えるわけであります。  第二の問題は、生産再開めどが大体いつごろになるのか、これはかなり住民心配しておりますし、働く者も心配なんでありますが、大体完全に揚水が完了したといたしますね。完全取り明け、あるいは坑道整備などを行って、これから払い展開をしていくということになって、生産体制に着手できる段階は大体八月ごろだろう、ノーマルな体制になるのは八月以降ではなかろうか、現地判断から見まして、大体こう私は想定するわけでありますが、この点についてどういうふうに考えておられるか。  いま一番不安は、いつごろ大体遺体が上がるかという遺族願い一つあります。それから二つ目は、つまり生産再開めどというのが一体どうなるか、これは何といっても働く者と住民心配であります。その二つの点、ひとつ今後の復旧作業めどについてお伺いをしたいと思います。
  7. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 幌内が、その後どのような推移で再開に向っていくであろうかというスケジュールでございます。私どもも、会社から非常に大ざっぱな考え方説明を聴取いたしておるわけでございまして、それに従って御説明いたしますと、現在四片レベルまで注水を開始いたしまして、これは約一月ぐらいで四片レベルまで水が満水して、水封が終わるであろう。したがいまして、先ほどの先生のお考え方からいきますと、一月の八日−十日、それが一応のめどになろうかと思います。  その次の段階は、これから中にポンプ座を設定いたしまして排水準備をする、取り明け作業をやるというふうなことで、相当日数がかかるわけでございまして、排水を完了するのに大体三月かかるであろうというふうなことを聞いております。したがいまして、その後の坑内の取り明け作業の困難さの程度にもよりますけれども、大体四月ごろには遺体収容へのめどがつくんではなかろうか、こういうふうに考えられます。  その後、各坑道整備払い展開、いろいろ補修をしなければなりません。これにつきましては、相当大規模な手入れをしなければならぬと思うわけでございまして、いまのところ、これが何月であるかということは、その大きさによりますので、何とも申し上げられないわけでございますが、私どもは、大体十月ごろには再開へのめどが立つんではないだろうか、一応それまでに必要な作業は全部完了してと、こういうふうな段取りを承っております。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 復旧作業ですから、坑内のばれ方がどうなろうかということもありますから、これは大体私が想定したような日程のようですけれども、そのぐらいは最悪の事態かかるだろう、こう思います。  そこで私は、これを機会にひとつ今災害に対する災害原因、問題の明確化をしてもらいたいということをこの前申し上げました。これをあいまいにせず、明確にはっきりしてかかる災害を繰り返してはならない、こういうことを申し上げてまいりました。そこできょうは、やっぱり問題点として提起をしておきたいことが三つあります。これはこの体験を通して私も申し上げるのでありますが、立地公害局としてこの点をひとつ今後問題点として検討してもらいたい。これは原因明確化軽々に申し上げることはできませんが、やっぱり徹底的な調査を行って、坑内技術調査団も入れていただいて、最終的な原因明確化をしてもらいたいということを前提に申し上げます。  第一の問題は、私は今回の七片の現場発生というのは、率直に申し上げまして、この前申し上げましたように、生産第一主義、保安軽視という作業体系が今日の災害をもたらした、こういう前提に立って申し上げますならば、七片の岩石掘進に対する先行掘進ボーリングガス抜き排除が完全でなかった、ガス抜き排除が完全に徹底されていなかったということを指摘しなければなりません。なぜならばと申しますと、ここには二つ原因があります。  一つは、本年八月二日に、西部六片の三番層ロングにおきまして、山鳴りと同時に崩落をいたしております。そのために実は犠牲者を一人出しているわけであります。この山鳴り現象に対する会社側保安措置というものが、全く原因を明確にせずに、措置が出されていなかったという点が一つ、これを問題点として指摘します。  第二の問題は、九月の四日の西部五片連絡坑道自然発火が起きております。このときに幸い人災がなかったわけでありますが、この原因としては、主要坑道沿層坑道に対する消火設備等に対する不十分等もございましたけれども、私は何といっても、この自然発火に伴う災害の決着という問題について会社側が明確に措置をされてなかったのではないか。具体的に申し上げますけれども、このときも同様に山はね等が起きているわけであります。あるいはこれに対するガス抜き排除ということで、結果的には排気口を二本あったものを一本に実は縮小している。こういう問題等もございますので、したがって私は、この自然発火に伴う会社側の最終的な保安措置、今後のあり方、特に深部採炭深部採掘という現状に対応しての保安対策が不十分であったのではないかということが第二の問題であります。  第三の問題として指摘をしなければならぬことは、深部開発に対します掘進作業に対しまして請負組夫を使用するという是非について、私は今後の問題もありますから指摘をしておきたいんでありますが、保安及び技術管理上は、本来ならば直轄作業員保安監督員をもって現場に対応すべきであります。しかし、現実になぜこの深部開発に掘進組夫請負夫を入れてはならないかということを私は申し上げますと、つまり、保安監督なり保安監督の立場にある者が非常に実は少ない人員で行われているという問題と、それから実際問題として、請負の場合は契約単価の問題が一つあります。どうしても契約単価が安いもんですから、一定の契約でもってつまり岩石坑道なり沿層掘進を完了するためには、相当の無理をした坑道掘進、整備等が行われている。ここに一つ問題が出てくるわけであります。  どういう問題が起きるかといいますと、深部に対する掘進でありますから、率直に申し上げまして、請負組夫の場合は保安教育の徹底が行われていないということ。これは私も現実に調べてまいりましたが、保安教育がなされていない点があります。それから、ガス抜きボーリングに対する専門家の養成が遺憾ながら組、請負関係ではないということであります。これはやはり私は、今回の災害のこれからの教訓として、深部にわたる掘進作業については、組あるいは下請をこの作業につかせるということは率直に改めるべきである、こういう点について問題点として指摘をしなければなりません。  もう一つは、この災害発生をする直前におきましても、実は通常、ガス検定器によって、〇・三PPMという基準があるわけでありますが、それを超える場合については警報器が鳴るという、ベル警報器警戒体制というものが装備をされているわけであります。ところが、遺憾ながら警報器が当時は鳴っていなかったという問題点も出されております。  こういう点を考えますと、これは末梢的な問題だと言えばそれまででありますが、私はこういう点を見ましても、先ほど私は、なぜ掘進に組、請負を使ってはならないということを指摘したかと申しますと、そういう面での保安管理体制上の欠陥が今日までやっぱり災害につながっている。結論を言えば、これは火源があったわけですから——火源がないところに災害が起きるわけはないのでありますから、その火源によって、発破をかけてどういう引火をしたか、点火をしたかという、これはこれからの解明の問題になりますから、軽々原因のことを私は申しません、炭鉱マンとして。申しませんが、しかし、火源があって災害につながることは当然なことなんでありますから、そういう点を含めてこれからの問題点として提起をしておきたいと思います。この点についてどう考えるかということをひとつお伺いしておきます。
  9. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 今回の事故原因がどこにあるか、これにつきましては、現在の段階ではまだ七片にも入れないような状況でございまして、全く把握の状況にはなっておりませんが、将来可能な時期になりましたならば、学術調査団を編成いたしまして、徹底的に調査をいたしまして明らかにしたいと考えております。  そのような前提ではございますが、ただいま御指摘のように、生産第一、保安第二であったのではなかろうかということでるる御指摘がございました。さらにそれの延長といたしまして、深部移行に伴うところの諸措置が不十分であったのではないか。第三番の問題といたしまして、組の使用の問題について問題がある、こういう三点の御指摘があったわけでございます。  この七片は、先生案内のように、五十一年の秋から五十二年に切り羽に到達いたしましてメーンの出炭場になる、こういうことで、準備のために岩石坑道を掘進をしておったというふうに聞いておりまして、確かにこの幌内鉱山の山の状況から見ますと、現在の切り羽だけではなしに将来の切り羽も考えていろいろ計画を立てて、それを進めておったということはあろうかと思いますが、直接その日の出炭につながるということでもございませんので、私はこの点につきましては、むしろ第二の深部対策との関連において論ずるべきではないか、かように思う次第でございます。  ところで第二の、深部対策としていかなることをやっておったか。御指摘のように、八月の二日とか——まあ九月の四日は、これは自然発火の問題でございますのでちょっと類型は違うわけでございますが、いろいろ事故を生じておる。こういうふうな情勢のときに、七片深部においてどういうふうなことをやっておったかという問題があろうかと思いますので、その点について若干触れたいのでございます。  この七片におきまして、従来若干前兆らしいものが出ておったわけでございます。それはたとえば三月の十九日、それから三月の二十二日、十月の二十日、十月の二十七日、大体四回小さな突出が見られております。こういうふうな状況監督局は把握いたしておりましたので、それに相応するような各種の措置を指示をいたしております。具体的に申しますと、たとえば発破でございますが、発破のやり方につきまして、直線坑道で二百メートル、屈曲坑道で百メートル以上離れたビニールハウスの中で点火をせよとか、坑内遮断幕風管断管装置を設けろとか、三番目に、発破の前後の連絡体制を十分確立せよとか、四番目に、噴霧発破を実施せよとか、その他幾つかの項目を指示しておったわけでございます。  また、これを受けまして会社の方では、この七片をAの地域ということに指定をいたしております。もちろん、その重点的な保安対策をここに指向しておったわけでございます。Aランキングの場合におきましては、御案内のように、この会社におきましては、探査ボーリングにおきまして左右一本ずつ打つ、残孔を十メートル以上置く。それからガス抜きボーリングにつきましては、これは断層に接近した場合には特に注意をいたしまして、六本以上のガス抜きボーリングをやるというふうなことがございますし、その他の条項といたしましては、ガス自動警報器、これと電気工作物とのインターロックをやるとか、保安の施設を拡充してそこに増強するとか、こういうふうなことをやっておったわけでございまして、これは結果論でございますので、どこまでやれば完全であったかということにつきましては、私は問題は残っておると思いますが、会社として従来考えておりました、言うならば、深部対策としては相当手厚い対策を打っておったつもりであったと存ずる次第でございます。  三番目に請負の問題でございます。  この問題につきましては、それぞれの組の特色というものはもちろんあろうかと思いますし、それぞれの職種におけるところの専門分野というものもあろうかと思いますが、幌内におきましては、七片区域の掘進作業岩石坑道だから請負にやらしておったというふうなことを承っております。ただ御指摘のように、この場合におけるところの保安指揮監督、さらには保安教育というものについていろいろと努力をさせるようにいたしておりますけれども直轄との関係においてどのようにそのバランスが保たれておるかどうかという点については、今後とも事態の改善のために努力をしたいと考えております。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 問題点について、立地公害局の方も私が提起をしたような認識をされておりますから、このことはこれ以上申し上げても何ですから、これからまず技術調査団を入れていただいて、徹底的にこの原因をあいまいにしないでひとつやってもらいたい、この点をはっきりしておきます。  ただ、いま立地局長最後ガス抜きがされておったという点を挙げましたが、遺憾ながら七片の場合でも、二十メートル置きにガス抜きが点検をされておったかどうかとなると、これはなされてないんですよ。はっきり私は指摘をしなければなりません。これは軽傷でいま病院に入院している方からはっきりと証明されております。これ生き証人です。これは事実なんですから、その点はやっぱりこれからの問題としてはっきりしておかなくちゃならぬ問題だ、こう思います。  そこで私は、現地へ行きまして、この間も、またその後も行ってますが、いま一番心配しているのはやっぱり、幌内鉱は一体どうなるのかというのが一番心配であります。したがって、この間十二月十二日、山元から幌内の炭労を中心にしまして五十人上がって参りました。そして十二日の日に河本通産大臣に会見を申し入れをいたしまして、その席上でも明らかにいたしましたけれども、政務次官が来ておりますから確認いたしますが、まず、この幌内鉱についていかなることがあっても、これは閉山をしないで再建をするということについて大臣からもお答えがございました。したがって、この点をもう一回公式な小委員会でございますから、この場で組合員の不安あるいは住民の不安を除去する意味においても、ひとつ態度を明らかにしてもらいたいということを質問いたします。
  11. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) 先ほど立地公害局長から報告申し上げたような現在の段階でございますので、なかなか将来を予測することはむずかしい状況であるということは、私もそう思っておるわけでございます。しかし、何しろ二千数百名の従業員を抱えた重要な炭鉱であるわけでございます。したがって、こういう事態になったことはまことに残念でございますけれども、一刻も早く十三人のとうとい犠牲になられた方々救出救出というか、その遺体収容に万全の努力を払うとともに、たくさんの従業員の方の職場を一日も早く再建、回復を図っていくというのが基本的に望ましいことであるし、そういう意味で、通産省としましてもできるだけの配慮を、努力はしていかなきゃならないというふうに思っておるわけでございます。ただ、いまの段階がそういうことでございますので、とりあえずのところは、もう早く坑内探索ができるような状態にすることに、われわれはそういう基本的な方向努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  12. 対馬孝且

    対馬孝且君 そういう再建をするということで、いかなることがあっても確認をしていただきたいと思うんでありますが、いま言ったように、もちろん十三名の遺体を揚げることが当面の遺族願いでありますから、先ほど申しましたように全力を挙げていただいて、大臣が言っておりますように再建をするということについて、確認してよろしゅうございますね。
  13. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) そういう方向で今後努めてまいりたいと思っております。
  14. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは次に、今後の問題というよりも、私はここで基本的な課題だけをひとつ確認をしておきたいんでありますが、まず一つは、何といっても、鉱山保安法規をこの間抜本的に改正をいたしましてということを確認をいたしました。したがって、この抜本的な鉱山保安法改正するに際しまして、私も何回も、この間も大臣に申し上げましたし、立地公害局長にも二日並びに十二日の日にも申し上げておりますが、保安法規規定改正するという考え方ではありませんから、そんなみみっちい規定改正するのではなくて、保安法そのものの抜本的な改正をしてもらいたい、こうわれわれ言っているわけであります。したがいまして、この中で、保安員作業権停止権限をまず与えるという問題、それから保安監督員は大幅に増員をいたしまして、企業から切り離して国が直接の指導下に置くという問題、それから労働者に対する保安教育は、一日保安デーを定めて、終日保安デーを定めて、保安教育を徹底的にする、それから常設救護隊設置をするという問題、それから特に安全基準の問題を大幅に引き上げまして、先ほど申しましたように、今回の災害も明らかにガスであります。山はね・高温対策、こういった問題に対する抜本的な安全基準というものを定めるべきである、こういう点を中心にした保安法改正をしてもらいたい、これが第一点であります。  それから第二点の問題は、私も諸外国の炭鉱にずいぶん入ってまいりましたが、やっぱり国が、国立として現在岩見沢にあるような技研だとか防爆だとかいうような、ああいうちゃちなものではなくて、国が独立をした炭鉱保安技術センターというものを設置する。その中で徹底的に、これはイギリスの例でも約七百名くらいいますね。フランスの例でも大体六百名ぐらい常時保安技術センターに配置をされて、これは国が独立をして試験現場までつくって実はやる。これが私は、深部開発にこれから対応する保安対策の根本の第二の問題だと思うんであります。むしろこれが中心でなければならないと私は思うんです。そういう意味では、やっぱりこの炭鉱保安技術開発センターというものをこの際設置をすべきである。  第三の問題としましては、災害原因の徹底化をはっきりすべきである。交通事故を起こしたって、人を殺したらいま体刑を食らって入るんだから。ところが、炭鉱は人を殺しても、いままでの長い炭鉱の歴史の中で、北炭夕張鉱における四十年の災害の六十二名のときだけです、北炭社長以下刑事事件として起訴されたのは。これ以外にはございません。これだって、結果的にはあいまいに実は終わっているわけであります。何も罰をするという意味じゃなくて、私はそういう意味でやっぱり保安法規改正に当たって、経営者側に対する信賞必罰の体制というのはきちっとする必要がある、この点を明確に申し上げなければなりません。  保安確保につきましては、これは大臣にも申し上げておりますが、大臣も同感だということになりましたが、通常の保安予算ではだめです、今回の災害は。特に深部開発は、私が言った国立保安センターあるいは救護隊の常設、保安監督員の強化などを申し上げたわけでありますが、こういう点をやるためには別枠の予算でやってもらいたい、これも申し上げました。この点は、十二月十二日に河本通産大臣も、別枠の予算でもって大蔵省にひとつ折衝してまいりたいと、もっと具体的に言うならば、三割、四割増ぐらいの保安の増額ではだめだろうという考え方が出されておりますので、そういう基本的な考え方でひとつ保安の強化をしてもらいたいということを申し上げます。  次の問題としまして、私は率直に申し上げるんでありますが、遺族に対する、この前も申し上げて、原則を確認をしておりますからいいんでありますが、組夫と直轄組合員との、たとえば弔慰、見舞金にいたしましても、あるいは待遇の取り扱いにしましても、雇用対策にいたしましても、いかなる場合があっても組夫と直轄との差別があってはならない、これは現地で強く要請をされました。これは団長からも、当時行かれた代表団が一致して言ったことであります。したがって、これはひとつそういう所轄の会社側に対しまして、通産省として特にこういうふうな行政指導をしてもらいたい、こう考えます。  それから、きょう自治省に来てもらっておりますが、この間実は大臣に非公式にお願いをして、措置をするということになっておるんでありますが、実はこの三笠市が、先ほど申しましたように、仮に立地公害局の局長が言うような情勢でいきますと、十月ということになれば三笠市の財政はまさに破綻であります。この間も申し上げております。大臣も、すでに自治大臣措置をとっていただいておるんでありますが、特に御案内のとおり、市財政は十月まで事実上固定資産税や鉱産税という問題が出てきますので、これに対してやっぱり三笠市に対して特別交付をぜひしてもらいたい、この考え方についてひとつ、きょう自治省に来てもらっておりますから、お答えを願いたいと思います。  それから次の問題は、この間も申し上げましたように、商店街の皆さん方が、現実に財布のひもが固くなっちゃって、もちろんこれは期末手当は炭労協定によって、通産省の高木石炭部長などの配慮によりまして支払われることになりましたけれども、結果的には商店街が相当なしわ寄せになることは事実であります。したがって、これは通産省の所轄でありますから、担当の中小企業庁として、この商店街に対する融資あるいは無担保・無保証の拡大特別対策等、復旧対策までの間の措置をぜひ講じていただきたい、このことを特に申し上げておきます。この点についてひとつ考え方をお聞かせ願います。
  15. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) まず第一に、法規の改正でございます。  先生指摘のように、幾つかの問題点が出ておるわけでございますが、現在、鉱山保安法規改正につきまして業界、それから関係労働組合、学識経験者、この三つのグループから成りますところの中央鉱山保安協議会というところでいろいろ意見を聞いております。私ども最初の段階におきましては、先ほど仰せられました深部移行に伴う諸般の技術上の問題、もっと災害原因を徹底的に究明して、それに必要な対策としての基準を新しく考えたい、こういうふうな御思想からの勉強をまとめまして、それをお諮りをしておった段階でありますが、さらにその上にただいま先生からいろいろお話の出ております、たとえば監督員補佐員に作業停止命令の権限を付与すべきではないかとか、保安監督員補佐員を国家行政組織の一部として機能させたらどうかとか、国設のセンターの話は後で述べますが、こういうふうないろんな議論が出ております。  これに対しましては、もちろんそれと非常に違った意見もあり得るわけでございまして、それぞれの立場から、問題は一つでございましても、見方、立場というのはいろいろございますし、それをずっと詰めてまいりますと、現在の石炭鉱業の経営のあり方の基本いかんというふうな大きな問題にもつながりかねないような問題をはらんでおりますので、これはそれぞれ専門の、もちろん、労使及び中立の学者の方々を代表といたしました三者グループにおきまして逐次これらの大きな問題を討議していただく、審議していただく。そこで基本的なコンセンサスというものを導き出しまして、それに基づいて鉱山保安法規改正に取り組みたい、かように考えておる次第でございます。  それからその次に、国立の技術センターをつくるべきであると外国の例を引いてお話がございました。  私どもも外国のそういう技術センターの実態につきましては若干の調査はしておるわけでございますが、日本と石炭をめぐる産業の事情、歴史というものが大分違っておるということは非常に問題がありはせぬかと思っておりますが、現在私どもといたしましては、基礎研究につきましては工業技術院傘下の公害資源研究所、応用研究につきましては財団法人でございます石炭技術研究所、これを中心に国からも国費の調査委託費などをここに投入いたしまして、技術研究をやっておるわけでございますが、さらにこれらの機関の一層の強化拡充ということを考え、また、そこで研究いたしますところのテーマの選択に当たりましても、深部移行に伴いまして現場の意向をくみ上げて、どういうふうなテーマをどういう角度から取り上げて勉強していったらいいかということまでについていままでと違った取り組み方をしてみたい、かように考えておる次第でございます。  三番目に、災害原因の究明とそれに対する対応というお話がございました。  この問題につきましては、−現在の鉱山保安法規が鉱業権者にも一定の義務を課し、義務違反に対しては制裁規定がございますし、鉱山労働者につきましても同様のシステムと実は相なっておるわけでございますが、それ以上の問題につきましては、これは刑事責任に関する非常に基本的な問題になりますので、私どもの方としては意見を差し控えさしていただきたいと思います。  予算の点でございますが、現在もう大蔵省と連日折衝を続けておりまして、私どもはすでに要求いたしております。その要求がどういう項目でどのような査定を受けるかは存じませんが、私どもといたしましてはできる限りの努力をする、こういうつもりでおるわけでございます。  最後に、組夫の点に御指摘がございました。  私どもは、当然直轄工員と組夫との関係につきましては、特に遺族の補償をめぐりまして差があることは認識いたしております。特に問題があろうかと思いますのは、労使協定があるなしにかかわるところの弔慰金だろうと思うわけでございますけれども、この点につきましては、極力手厚い措置をとるように指導してまいりたいと存じます。
  16. 今井実

    説明員(今井実君) 自治省でございますが、今回の事故に伴います地元地方団体の鉱産税の減収を中心といたしました財源不足対策につきましては、道庁から十分事情を聴取いたしまして、所要の財源措置について検討をしてまいるつもりでございます。
  17. 織田季明

    政府委員(織田季明君) 御承知のように、現在長い不況に伴いまして中小企業は全般的に経営基盤が弱化しておるわけでございますが、これに対しまして、政府関係の中小企業金融三機関からきめの細かい配慮をした融資をしてきているわけでございますが、今回の幌内炭鉱事故につきましては、その上にさらに相当の中小企業が被害を受けることになるかと考えられる次第でございまして、これらの中小企業者に対しまして三機関が特段の配慮を、たとえば事務の迅速化、あるいは担保の問題についての弾力化、あるいは既往債務の返済等につきまして特段の配慮を払うよう指導していきたいと思います。
  18. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間があとありませんので、簡単に申し上げます。  いま立地公害局長から大筋につきましての答えがありましたから、保安法改正の問題を炭労とひとつ十分に、まず労働者の意見をやっぱり聞くことが先決なんですから、労働者の意見を聞かないで保安法改正したって、働く者が命を守る的にしているのですから、そういう意味ではひとつ炭労側の意見というものを十分に、何か小委員会を持たれているそうでありますから、そういうことでひとつ促進方をしてやるということについてよろしゅうございますか、これひとつ確認しておきたいのですが。
  19. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 十分意見を組み込んで直接いろいろ議論を賜りたい、かように考えています。
  20. 対馬孝且

    対馬孝且君 国立保安技術センターの問題については、在来ある機能強化をしながらそれを展望していきたいというふうにいまお答え願っているのですがね。これは基本はやるということでわれわれも検討してもらいたいと思うのですよ。まず基本的にはやる、やるという立場に立ってこの問題はやっぱり検討してみてもらうということでよろしゅうございますね。
  21. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) この点につきましては、いろいろとむずかしい問題も周辺にあることは先生案内のとおりでございますので、先ほど申しました三者構成によるところの適当な懇談会の場におきまして十分議論を尽くす、こういうつもりでおります。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ時間が来たようでありますから、最後委員長の方にひとつお願いを申し上げたいんでありますが、現地へ参りまして、かなり労働組合、職員組合並びに三笠市、道などを通じまして要請を賜りました。これは行った小委員は等しくこれ全く同感であるということになりました。高橋さんも一緒に現地に行っておりますが、高橋さんも全く同感だということになっておりますので、ひとつきょうそれぞれこれから御意見も出ると思いますけども、本委員会で取りまとめをしていただいて、本日の委員会としての決議を採択をして本問題に対応してまいりたい、このことをひとつ委員長最後にお取り計らいを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 私に対する要望は了解いたしました。皆さんの質問が終わりました後に決議文をお願いしたいと思っております。御了解願いたいと思います。
  24. 相沢武彦

    相沢武彦君 北炭幌内炭鉱事故にかかわる問題につきましては、十二月四日の商工委員会で、事故原因にかかわる問題点については論議を交わしましたので、きょうは、先日調査団の一員として現地に赴いた際に、関係者の方たちから数々の要請を受けておりますので、それに基づいて政府の対策並びに見解を明らかにしていきたいと思います。  先ほど御答弁の中にありましたが、行方不明者の収容めどは、水封後水揚げをして四月ごろであろう、こういう予想でございます。労使ともに、いまだ姿をあらわしていない十三名の方の収容に全力を挙げているわけでございますので、国としても労使以上に助力できる点があれば、一層力を入れてあげていただきたいと思いますが、まずこの点について、国としてこの救出についてあと援助できる面があるのかどうか、お考えになっているかどうか、その点を伺いたいと思います。
  25. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 先ほど御報告いたしました四片までの水封の申し出に対しまして、監督局を通じて私どもにもちろん連絡があったわけでございますが、そのときの最大の私どもが問題にいたしましたのは、遺体救出の問題でございます。どのぐらいの日程で、どのようになるのかということについて、十分会社その他と相談をしたわけでございますが、先ほど申しましたように、相当大量の水を投入しなければならない。したがいまして、これをポンプアップいたしまして、その後坑内崩落を修理しながら中に入るわけでございますので、まあ春ごろにならざるを得ないというふうな情勢でございました。したがいまして、こういうスケジュールを何とか完成してまいるということで、現在進めておるわけでございまして、それは先ほど御質問にも出ておりましたが、私どもはこの山を何とかして再開させるというつもりで最大の努力をさしていただくつもりでおりますので、そういうことにつきましては、全く同じような気持ちで臨んでおるということを申し上げたいと思います。
  26. 相沢武彦

    相沢武彦君 水揚げが終わって、行方不明者の収容、あるいは傷んだ坑道の修理、それから水につかった機材等の点検、こういう作業を終えて採炭再開めどは大体来年十月ごろになるんじゃないか、こういう見通しであります。最初より非常に坑内の火災の鎮火というものがおくれている、あるいはいろんなところへ燃え広がっているということで、最初予想したよりも非常に大きな災害になっているわけであります。地元として一番心配していることは、このような大きな災害を受けた幌内鉱は、あるいは閉山に追い込まれるんではないかという心配があるわけですが、それについてさきの委員会でも閉山をさせない、こういう方針で臨みたい、また本日も、政務次官からそのような御答弁がありましたが、いま一度ここで明快な御答弁をお聞きいたしたいと思います。
  27. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) 先ほど対馬委員の御質問にお答えしたとおり、幌内炭鉱につきましては、二千数百名の方々の大事な職場であるわけでございます。ぜひともその職場の再建がかなえられるように最善の努力を傾けていきたいというふうに思っております。しかし、何しろ現在注水をして、それから後の段取りをいろいろ固めていかなきゃならぬというような、非常にまあ日時がかかるわけでございまして、本当に前途はなかなか多難だというふうには思います。思いますけれども、この職場の重要性ということをわれわれは十分認識をして、前向きに対処をしていきたいというふうに思っております。
  28. 相沢武彦

    相沢武彦君 前向きに対処をしていただくのは当然のことなんでありますが、この委員会でそういう言葉だけの御発言であっては、決して現地関係者の人たちは安心できないわけでありまして、現状考えてもいま申し上げましたように、坑道の修理あるいは機材の整備点検、いろんな作業をやりますと、相当復旧作業に登用を要するわけでありますし、また、採炭が再開されるまでの間、いわゆる労働者の賃金等も負担をすることになりますと、相当経費がかさむということは、いまの時点でもう判断つくわけです。じゃ山をつぶさないということになりますと、そういう方針で臨むんだ、積極的に取り組むんだというと、再開できるための後押し、いわゆる資金的な援助ということを抜きにしては再建めどは立たないわけでありまして、この点に対して、もうすでに取り組んでいかなきゃならない、その見通しを立てなきゃならない、こういう段階に来ていると思うんです。現地の新聞によりますと、札幌通産局の某課長さんの見通しでは、一年間という幅を見て再開めどを立てておりますが、ざっと大ざっぱに見積もっても、百三十億円から百六十億円ぐらいは復旧資金というものはかかるではないか、こういうようなことも述べているようでございます。  御承知のように、幌内鉱は、北炭にとっては夕張の新鉱と並んで非常にドル箱とされている山ですし、また、今後採炭する場合に、水封した七片を捨てたとしても、現在の人気立て坑、あるいは常磐斜坑、布引立て坑からの通気を利用して、旧新幌内鉱の下部とかあるいは幾春別の下部、あるいは奔別寄りなど、こういうところを合わせるとまだまだ約三千万トンの採炭は可能だ、このように見られている。また現在、この幌内鉱の石炭が道内の暖房炭あるいは火力発電の使用量から見まして、約四〇%を占めていて非常に影響が大きい。こういうことから非常に多額な復旧資金はかかるし、それを国から援助してもらって、何としてもやはりこれは再開をせねばならない、こういう情勢になっているわけですが、結局閉山に追い込まれるか、あるいはそれを避けて再開されるかのかぎは、政府がどれぐらい資金を出すかにかかっている、こういう結論になってくるわけです。この点について、まず事務当局の方、いまの行政レベルから言って事務的な処理として可能なんですか、こういうものは。
  29. 高瀬郁弥

    説明員(高瀬郁弥君) この災害につきましては、かなりの復旧資金がいると思いますが、現在の段階ではまだ詳細に検討しておりませんので、金額が幾らになるかということはわかっておりません。しかし、当面のつなぎの資金をどうするかという問題につきましては、現在話を詰めておりまして、一月ないし二月の月におきましては金の手当てがついております。今後水没して、それから直接水を揚げるわけでございますが、その段階で財源の資金調達について検討を加えたいというふうに考えておりまして、いま考えておりますのは、合理化事業団からの経営改善資金の強化とかこれから若干都合したい。それから排水口の設備を整備するわけでございますので、それに見合います近代化資金制度を活用いたしまして、資金のめんどうを見ていきたいというふうに考えております。
  30. 相沢武彦

    相沢武彦君 本日、地元の北海道議会の方からも陳情が参っておるわけでありますが、この際、炭鉱災害対策特別融資制度をつくっていただいて、炭鉱に対する災害復旧対策資金の融資というものを考えてほしい、融資の限度は、災害復旧及び採炭再開に必要な資金量の全量、また、期間は十年ぐらい設けて、うち二年間は据え置きにして、利率は無利息、こういう融資制度を災害対策に対して立てない限りは、なかなか災害のあった山の復旧はおぼつかないのではないか、こういう要望が参っておりますが、これに対する見解。  それから、先ほども対馬委員からございましたが、地元の中小零細小規模事業者というのは、非常に年末を控えて大変でございまして、道でもこういった中小商工業者に対する長期、低利の融資制度、あるいは緊急つなぎ資金等を考えておるようでございます。国としてもやはり何らかの援助を考えなくてはならない段階に来ているのではないかと思いますが、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  31. 高瀬郁弥

    説明員(高瀬郁弥君) 災害復旧基金のことについて御説明いたします。  現在金額は固まっておりませんので、検討はしているわけでございますが、何分にも金額が大きく、財源のめどがまだついていない段階で、具体的な検討に入っておりませんが、今後検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  32. 相沢武彦

    相沢武彦君 災害復旧のために必要な基金措置と、それから炭鉱災害のための特別融資制度、これの兼ね合いですね、もう少し研究をして対処していただきたいと思います。
  33. 高瀬郁弥

    説明員(高瀬郁弥君) その点につきましては、事務局として検討さしていただきます。
  34. 相沢武彦

    相沢武彦君 保安のことで若干お尋ねをいたしますが、災害が起きるたびに労働組合関係者の人たちから、現在の保安監督員制度というものを根本的に見直してほしい、保安員作業停止権を与えなくちゃ、現場において事故を未然に防ぐ、あるいは生産が優先がちなのを保安優先に切りかえていくということは、事実上なかなかむずかしいんだということをたびたび訴えられているわけでございますが、先日も私、この保安係員、保安員というのは、保安監督局の必要要員という立場でその身分の保障、あるいは給与の支給体制、こういったものを具体的に考えて、会社の事情に拘束されてといいますか、もっと厳しくしたいんだけれども、この程度ならまあまあというような、そういう懸念なく、やはり自分の保安という職務に厳しい立場で臨んでいける体制を整えなきゃならないんではないか、こう思いますが、この点について明快な御答弁をいただきたい。
  35. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 保安員に対するいろんなあり方を考え直せということでございまして、その前提に現在、御案内のように山の保安につきましては、まずラインといたしまして保安統括者、保安技術管理者、それからそれの副保安技術管理者、さらに保安係員というのがピラミッド型に配置されておる、これがまあ実働部隊。それからこれに対する諮問委員会といたしましての保安委員会、これは労使双方から出ております。こういうことになっておりまして、さらにこのラインの保安の実務をチェックする機関といたしまして保安監督員というのがあるわけでございます。しかも、この保安監督員に補佐員がついておるということでございまして、この保安監督員は、係員のラインに対しまして、随時施設の使用の停止を勧告することができるという状態になっておりまして、ここは非常に危険だから問題だ、こういうふうにやれという、まあ勧告ができるような体制に一応あるわけでございます。  私どもの方も普通、監督局が山に検査に入った場合におきましては、常に労使の双方と一緒に歩いておりまして、後の講評、意見を述べる場合にも、労使の双方に意見を提出しておるというふうなことでございまして、常にその問題意識というものは、山の中におきますところの先ほどのラインの構成と、それからこれをチェックするところの機関、さらにこれを担保するところの国のシステムというのが三者の体制で動いておって、これがやはり一番合理的な姿ではないかと思っておるわけでございますが、それに対しまして、さらにこの保安員に対して作業監督権限を与えたらどうかという御意見が出ておるわけでございます。これにつきましていろいろ考慮、検討すべき問題もございますが、御意見が出ておりますので、先ほど申しましたような特別の場を設けまして、十分討議を尽くして、一体どういうふうにこの問題を考えるべきかということについての結論を出したいと考えております。
  36. 相沢武彦

    相沢武彦君 これまでまあ勧告権はあって実施はされているんでしょうけれども、それだけではもう防げないというところに来ているわけですよ。ですからやはり作業停止権まで踏み込んで与えていかなきゃならないんではないかということを申し上げているわけです。  それから、今年度内に中央鉱山保安協議会で中核的な部分の結論を取りまとめることになっておるそうでありますが、現在の鉱山保安法規のときには、働く労働者の人たちの意見というものは十分組み入れられての法律としてつくられたものなんですか、現在の法は。
  37. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 鉱山保安法協議会ができておりまして、この協議会には、労使、中立委員からの三者構成の規定が入っておるわけでございまして、それで鉱山保安法規の重要な事項につきましては、この協議会に諮ることになっておりますので、従来から労働者の意見というものは十分反映されておるものと思っております。
  38. 相沢武彦

    相沢武彦君 一応形式の上では従来からそういった労使、それに学識経験者という方たちが入って協議の上できたものだとされているんでありますが、災害のたびに山元に行きますと、この保安行政に対して、保安法規改正点に当たっては、労働者の意見というものを十分入れてほしいという声が強く出されるわけであります。現在の保安法規は、形式の上ではやはりそういうふうにとり得ることになっていても、実際には入っていなかったということで、そうなりますと、いままでと同じような考え方であっては、本年度中に改正が予想されております鉱山保安法規の中にも、一応労働者からの委員は出されていても、その意見というものは余り組み入れられないのじゃないかという懸念を持たざるを得ないわけでありまして、先ほど対馬委員からも要求がございましたが、こういった委員会での発言、これはまあ制限もされるし、数も少ないんでありましょうから、どうか直接労働組合の関係者の方たちと十分な時間をとって、そして十分に意見を吸い上げ、それも参考にして最後にこの法案改正をまとめていただきたい、このように要求をいたしておきます。  それからもう一つの問題は、これも毎回言われているのですが、鉱山保安行政は、労働者の立場に立って労働省に移管して、一元的な保安監督体制を確立すべきである、こういう声が強いわけでございます、先日の委員会でも申し上げましたけれども、なかなか石炭産業の国家管理まで踏み込めないわけでありますが、せめて保安だけでも国家管理という立場に持っていくべきではないかと思っているんですが、保安の国家管理に移行するための一ステップとして、現在の鉱山保安行政、通産省の中にあるものを労働省に移管して行う、こういうことについての取り組み方、考え方というものは少しは改善されてきているんですか、考え方は改まっているんですか。それとも従来のを固執されようとしているんですか、その点もう一回明快にしていただきたい。
  39. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 確かに石炭鉱山の保安というのは一般の工場の場合とは状況が違うと思いますが、特に保安生産が一体になっておる、これは不可分だというのが私どもの根底にある認識でございます。先ほど対馬先生相沢先生からもお話ございますように、深部に移行する、坑道を一本掘進をしていくという場合に、それは生産の問題であり、かつ同町に保安の問題でございまして、この二つを別々の観点から分けて議論はできない。いかなる坑道を掘るか、それをどのように掘るか、どのように安全な措置を講じながら前へ進んでいくか、一体の問題ではないか、かように考えておる次第でございます。したがいまして、通産省におきましては、生産保安は一元的に扱わざるを得ないのが原則であって、かつ保安の方を優先して考える、こういう立場に立っておる次第でございまして、この点は従来から変わっておりません。さらに、そういう場合におきますところの労働省との連携、関係、これにつきましては非常に密接なものがございますので、この点につきましてはさらに従来以上にいろんな面におきましてよく相談をしながら、保安につきまして万全の措置を講じながら進めてまいりたいと思っております。
  40. 相沢武彦

    相沢武彦君 生産保安は一体だ、こういうことでおっしゃっているわけでありますが、炭鉱事故を防止するためには自主保安というものは非常にきわめて大事だと思うんです。自主保安というのは会社がとっているわけですね。その中には、組夫の方たちの保安教育というものも入っていますか。
  41. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 組夫も現在使う場合がもちろんございます。監督局におきましては、これは届け出制度ということでチェックをいたしておるわけでございます。私どもも適切な運営を図りたいとかねがね考えておりますが、その前提といたしまして、十分会社側保安教育を徹底しろというふうな指導はいたしております。
  42. 相沢武彦

    相沢武彦君 鉱山保安法規の中で、組夫の方に対する保安教育というものは明示されているんですか。
  43. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) その点は明示されておりません。
  44. 相沢武彦

    相沢武彦君 こういった点もやはり対馬委員から心配されて、いろんな角度から御質疑あったわけであります。この点、やはり自主保安の面に対しての手抜かりというものがあるんじゃないかと思うんですが、まだまだ細かい点を取り上げると、いろいろ現在の保安行政、保安法規の中に不備なものがあろうと思いますので、この際全部洗い直して、徹底した保安法規につくり変えるように強く要求をいたしたいと思います。  そこで、五十一年度の政府予算に保安対策費を大幅に組み入れろという要求があるんですが、現在概算要求している中で、全予算のうちの保安対策費は何%ぐらいになっていますか。
  45. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) その数字はいま手元にございませんので、あとで出させていただきますが、五十年度の数字が三十八億、これは当局の方で予算決定の通告を受けておる数字でございますが、五十一年度の要求は五十数%増しの五十八億を要求いたしております。
  46. 相沢武彦

    相沢武彦君 保安最優先を考えるならば、率あるいは額ももっと大幅に組ませるように努力が必要ではないかと感じます。  それから、保安確保事業費の補助金が出されておるわけでありますが、現行の補助率七五%、これをもう少し高めるという検討はいまのところされているでしょうか。
  47. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 御指摘の石炭鉱保安確保事業費補助金につきましては、五十年度の三十億に対しまして五十一年度は四十七億要求いたしております。この点につきましては、私ども単価の是正とかあるいは量の確保とか、そういうことを重点に折衝いたしております。
  48. 相沢武彦

    相沢武彦君 相当いま各炭鉱企業とも経常が苦しいわけでありまして、二五%の会社の負担率というものは実質的にきわめて負担が重たい。そういう点から、これは一部の声でありますけれども、真実かどうかはこれは別としまして、その企業が負担する二五%もなかなか出せないのではないのか、そういうことで、どうも政府の方はトータルでは保安確保事業費の数字を明らかにするけれども、各社別のはなかなか資料を出したがらない。そういう点で実際にどう行われているのか非常に疑問だし、不安だという声もあるのでありますが、どうか補助率もアップし、また中身の点検も厳しくして、本当に保安確保の事業というものが万全を期されるように強く要求をいたしておきます。  それから、今回の幌内炭鉱事故原因調査というものは、水揚げが終わった後、時期を見計らって行われると思いますが、その辺の計画はどうなっておりますか。
  49. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 事故原因につきましては、災害直後におきまして、中央におきまして学識経験者の代表の方々を組織いたしまして当たっていただこうと考えておって、その準備を進めておったわけでございますが、このような情勢になっておりますので、先ほど申しましたように、一応それが可能の状態——予定によりますと来年の四月ごろかと思いますけれども、入坑の上徹底的に調べるつもりでおります。
  50. 相沢武彦

    相沢武彦君 いままでも重大災害の後、政府の技術調査団というものが派遣されて調査を行われておるんですが、ほとんど大きな事故の場合に、原因不明ということで終わる例が多いように思っておりますが、ぜひ今回の場合の調査団は、がっちりとした日程とそれから人員をそろえて、徹底的にやっていただきたいと思うわけでございます。  そして、先日も申し上げましたが、各炭鉱とも従来まで経験せざる深さのところへ採炭がいっているわけでありまして、そういったいわゆる深部採炭に伴うところのいろんな対策というもののシステム化というものがまだまだおくれている。本当に確信を持って行われる保安行政というものはまだまだ立ちおくれている、そういうものができないうちに採炭だけ進んでいる、こういうのが現状ではないかと思うわけでございます。ですから、今回も調査に参りまして、われわれ労働者は、深部採炭のモルモットにされているのではないかという気さえするという声もあるわけです。  しかもまた、機械化も進み、また能率も上がってきたということで、年間における深部移行への速度というものは非常に早いペースになっている。このままいきますと、やはりいまだ予想せざるいろんな条件というものがありますし、予期しない災害等も起こり得る、こういうことから、重大災害をこれ以上数多くしないために、また絶滅するためにも、深部採炭への速度というものをゆるめることが必要ではないのか。そして、先ほどからも要請のありますように、国立の鉱山保安技術開発センター、こういうものを常設して、各専門家の人たちを置いて、常時研究を進めていく、そして、万全な深部採炭保安対策というものを立てた上で深部への移行が図られていく。その辺のバランスをよく考えてやらないと、事故というものは繰り返し起きるんではないかという気がします。  そういうことで、今後深部採炭の進行速度をゆるめると同時に、やはり企業ですから、採炭しなければ成り立たないわけでありますので、その同じ鉱区内にあるところの浅い部分の採掘を促進させたい、いわゆる水平移行を進めていきたい、また、その鉱区に隣接する遊休鉱区の開発促進、こういうものも考えたいということでありますが、これについては法律の改正その他が必要だと思いますが、この点の準備等はされておるのでしょうか、その点について承りたい。
  51. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 深部移行に伴いまして各種の予測せざるところの事態発生する。ガス突出、山はね、高温化の現象といろいろございますが、これについて技術の開発をもっと進めなければならないというのは当然でございますが、この問題自身につきまして、なかなか世界的に見ましてもまだ完全に究明されておるような状態にもございません。  他方、先ほどのお話のように、生産の方が進行していく。そこによくバランスをとらなければならないということは私ども非常に反省をいたしておる次第でございまして、現在の状況におきまして深部をどのように理解をするか、これは各山におきましてそれぞれの状況が違うと思いますけれども、ある一定の範囲を超えたものにつきまして、保安の観点から生産の方の進行ぐあいにつきましていままでとは変わった慎重な配慮と申しますか、そういうことが必要なんではないかと私どもいま考えておる次第でございます。  それに伴いまして、新しい浅部への移行、その問題になりますが、この問題につきましては炭業課長の方から御答弁さしていただきます。
  52. 高瀬郁弥

    説明員(高瀬郁弥君) いまの深部移行の逓減を図るためと石炭の供給の安定を図るという見地から事業団の保有鉱区、それから、交付金を交付して消滅した鉱区の活用につきましては、従来はかなり制限的な運用でございましたが、今度の法の改正ではかなり弾力的に考えていきたいというふうに考えております。その点につきまして、現在法案の段階で事務的に話を詰めている段階ということでございます。
  53. 相沢武彦

    相沢武彦君 私に与えられた時間は制限もありましたので、以上で終わります。
  54. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 亡くなられた方の御冥福を祈るとともに、一日も早くこの幌内鉱再開されるというそのために、国としてもいろいろな手を尽くしていただくということで、いままでございました御答弁を確認させていただいた上で質問に入りたいと思います。  率直に言いまして、私はいままでの御答弁を聞いておりますと、これでもうこんな事故はないという保証は何にもない。なぜなら、いろいろ検討するとか、いろいろと御努力をするという言葉はあるけれども、そのために裏づけとして一体何を持ってどういうふうにしようかという点が非常に不足している。非常に私は不満に思います。  特に、夫の遺体を水の中につけたまま——本当に考えてみてください。私はあの調査の後、炭鉱の奥さんたちとも話をしました。労働者とも話をしました。そして私は、北海道の炭鉱にもう二十五年前から各山、そのときは五十二からありましたけれども、各山毎年二回ぐらい炭婦協の方々と話し合いをし、講師としても入った。その方たちがどんなに自分の夫の職場を気にしているか、もうすでに二十年、三十年たって、そして事故があるたんびにいろいろときょうのような御答弁をされているわけです。しかし一向にこれが解決されていないじゃありませんか。私はいまその炭鉱の主婦たちのことを思って、この年末を控えて、夫の遺体が水についたままで、一体本当にどんな気持ちでいるかということを、心底その気持ちになって真剣な対策も考えていただきたいし、私に対する答弁も真剣にお答えいただきたいと思うんです。  私は決して無理は言いません。なぜできることをしてくれなかったかというのが非常に不満なんです。こういうことが二度と起きないためには、保安を十分にしなければなりません。その保安を十分にするためにも、いろいろ言われたように、だんだん深部へ入ってきてしまった、そして、そのためのいろいろな技術もまだまだ十分とは言えないし、技術者も不足だというような中で、これを一遍に解決しろということは無理だとすれば、いまできることは何だ。そういう専門的な技術者と、そしてその人間をふやすことと一緒に、一番その現場にいる労働者の意見を本当に尊重してもらいたい。同じ山だといっても、一つの山、一つの山には性格があるんです。その山の性格を一番知っているのは現場にいる労働者じゃないですか。そして、その労働者は命がけで毎日やっているんです。そういう人たちの意見を尊重して、技術者もそして労働者も一体になって、こういう保安をしっかりやって事故を起こさないという、そのことを本当に私はしっかりやってもらいたい。いろいろ山で聞きましたし、また、きょうの先ほどからの御答弁を伺いましたけれども、いろいろな委員会があるとか、聞く機会があるとか、知らせたとかと言われる。確かにシステムはあります。しかし、本当に意見が尊重されてそれで十分な手が加えられていたか、それはもう全く私は不満に思うんです。  たとえば先ほどの御答弁でも、この事故というものには前兆があった、三月に二回、十月にも二回あったと言います。私も調べて聞いてきました。特に十一月二十日以降山鳴りが連続して、そして二十六日の前日には五回からの山鳴りがあった、これは皆さん御承知だと思う。それがもう大変なひどい山鳴りで、坑外の方がひどくてびっくりして、坑内へすぐ電話が入ったという。そして十二時三十分、その次のときには、これは六片の布引坑道だったけれども、岩粉がもう本当に目もあけていられないくらい、頭を抱えて出てきたというような事実もあるわけですね。私が言いたいのは、十一月の二十五日に監督局としても監督官が山に来ているわけですね。二十五日からいろいろ書面で準備をして、そして二十七日に入ろうとしていらしたわけでしょう。それじゃその二十六日、山鳴りが物すごくあった、これは大変だというようなときに、監督局として二十六日のその山鳴りの後、中に入って調査なすったのか。調査していません。そして会社側としては、職制が入って調査した。しかし、その結果も何ら報告されていないということ。事故の前兆があったと言いながら、その前兆に対して適当な調査はされていなかったのではないかということです。  それからまた、先ほどから、深部対策としては会社がそれなりの対策をとっていたと局長は御答弁になりました。そして、ここは非常に深部になっているしと、いろいろな点から特別Aランクに指定されていたとおっしゃっていました。しかし、その特別Aランクというのが直前に外されているわけですね。私は山で聞いたんです。このガス漏れがある、そして山はねもある、深部になって危険だというのが、なぜ特Aランクから直前に外されたんですかと聞いたら、破砕帯を通り越したというようなところで外したと言うんですね。しかしそんな簡単なことで外していいものだろうか。こういう点について一体どう考えていらっしゃるのかということです。  それから今度、九月に自然発火がありましたね。そして十人の監督官が、大津武雄炭鉱長あて五十四項目の指示書が出されているわけなんです。この内容というものを、組合と保安役員のみでなくて、本当にその現場労働者みんなに一体どう知らされたか。知らされていないんです。もしもこの五十四項目について、ああ、おれの現場はこういうことが指示されている、それじゃこれについてどういうふうに会社はやってくれているんだろうと。そういうようなことが一般の現場の人たちに知らせられていないということも一つの問題だと思う。だからシステムはあっても、本当にその現場現場でやっている者にどう協力してもらうかという点では非常に不十分だと思うんです。また、九月十七日に出された指示の内容について返事をくれということになっているけれども、それに対しての回答がどうだったのか。気をつけろ、改善しろと言うだけではなくて、それについてどうだったかというようにきちっとそれをやっていらっしゃるのかどうかということ。  また、私たちの共産党としても、三笠市委員会でも申し入れをいたしました。会社にも申し入れいたしました。そしてまた、その炭鉱に働いている共産党員、支部が十七項目の緊急の要求というものを十月四日に申し入れしているわけです。こういうふうに具体的に緊急申し入れしているのに、そういうことを一体尊重してくれているだろうかどうか。会社のそのとぎの答弁というのが、特定政党の申し入れに回答したことはないから回答できないんだと、こういう態度なんです。それはどの政党であれ、どういう組織であれ、いろいろな人が、特に現場労働者として申し入れをしてこのことについて検討してくれ、気をつけてくれといった意見を尊重しないで、どうして保安や何かが協力できるだろうか、そういう姿勢だということをはっきり認識してもらいたい。  きのうも私は質問をお聞きになった方に言ったんですけれども、その方はそんなことはないとおっしゃる。ないとおっしゃるけれども労働者がいま願っていることは、山に入ってきた監督官に非常に信頼しているんです。もう監督官に第三者的な立場でいろいろ見てもらいたい。そして自分たちが考えていることを聞いてもらいたいという、それが本当になされているか。なされているときのうはおっしゃったんだけれども、それはなされているはずだということにしかすぎないと思うんです。私が聞いた人たち、一人じゃありません、みんな言っていました。私も無理言ってないんです。たとえば、この事故が起こったその大変な中に入っていた監督官をつかまえて現場労働者がああだこうだ聞いてくれなんていうことは、これは時間的にも、また大きな山で全部が全部そういうことをやってくれとは言わない。  しかし、いまの山に調査に入られるそのときには、大体前日に通告される。そして、その通告されたときには、このときもそうだっんですけれども、前日に通告されて、本当にきれいに掃除をさせられて、そして監督官がどっちへ行くかわからないから、お前たちは向こうへ待避していろということで、そしてその現場を通ったときに話ができないような体制がとられているというようなこと。これは一つ一つ具体的だから御存じないかもしれないけれども、全体として監督官に第三者として聞いてほしいということを聞けないような雰囲気がつくられていて、そして、監督官のお供をしてくるのが会社の幹部であって、聞けばいいじゃないかと言われたって、労働者として聞こうと思ったら、やっぱり有形無形の圧力がかかるという中では、言えないという労働者を私は責めることができないと思うんです。だから、現場労働者の意見を本当に尊重して調査できるようにという、そういう具体的なことを私はぜひ指示してもらいたいと思うんです。  そうして労働者が私にこう言ったんです。監督官が来たときにガスボンベの箱が五つあった、しかし、そのうちの四つの箱はから箱なんですよ。これはこの間衆議院で多田さんも言ったと思います。から箱で、ガスボンベが入っていたのは一箱しかないんですね。もう本当に良心的に自分は苦しくてしょうがないと、保安主任が飛んできて私らの仲間に言っているんですよ、見たってわかりませんよね、箱が並んでんだから、四つは全然から箱だと言う。こういうことがなされているということをあなたは御存じなのか。役所として現にこういうことが行われているということを知っていらっしゃるのか。だから私が言いたいことは、こういうことはちょっと目で見てもわかりません。その現場労働者が、本当にこんなインチキなことをやっているんだといううつうつとしたものを持っている。これをぜひ聞いてやってもらいたい。  そういうことで、先ほど、会社深部採鉱についてはそれなりに対策を立てているんだなんていう、そういう立場は全然やめてもらいたい。企業というものがいかにいままで犠牲をこんなにつくってきたか。もっともっと企業をしっかりさせ、手を縛って、本当に安全を守るというしっかりした立場に立ってもらいたいと思うんです。  この幌内鉱についても百万人当たりの事故を見れば、一月から九月の災害率は札幌鉱山保安監督局管内の平均が二百二十人なのに、四百六十七人と高いということになっているわけでしょう。こういうことで私が言いたいことは、前兆があったというときにどんな適切な手を打っていただいていたのか。そして、今後もあることです。労働者現場の意見を本当に尊重して聞けるような、そういう雰囲気の中で労働者が働けるように指導をきちっとしていただきたいということです。会社に対しての毅然とした立場で、本当に命を守るという立場に立っていただけるかどうか、その辺をしっかりお答えいただきたいと思います。
  55. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 御質問の第一点といたしまして、前兆があった、その前兆に対応する対応策が十分とれていたかどうかということでございます。  確かにこの幌内鉱の七片につきましては、前からそういうふうな突出がありまして、これは監督局も掌握をいたしておりました。したがいまして、七片というところの作業につきまして、普通の場所以上の措置を講ずるようにいろいろ指示をしておりました。それに対応いたしまして、会社の方も中の内規の定めに従いまして、これをAとして分類をいたしまして、いろいろ措置を講じております。  特Aの話がございました。特Aの話は会社におきましては特定の炭層に突入する、そういう場合に事前にその措置を講じまして、それが貫通いたしますとそれを解除するというふうな、言うなれば定めになっておりますので、たまたまその事態が過ぎたんで、自動的に解除されたんだというのが説明でございますが、そういうことになれば結果論でございますが、Aというものと特Aというものの扱いを、さらに具体的に検討し直せというような問題も出るかもしれませんが、これは別にいたしまして、そういうふうなことでやってまいっておったわけでございます。  二十六日の日に山鳴りがあった、これも報告を受けております。監督官がちょうど臨検に立ち会っておりましたので、その様子を聞いたので、直ちに異常の有無を調査させました。異常がないという報告を受けたので、従来から七片におきますところのいろんな深部に伴う必要な事項を指示しておりましたので、それをさらに確認しておったというふうな状態であったわけでございます。  第二点といたしまして、九月の自然発火がございまして、この後幌内鉱を検査いたしまして、五十四項目の詳細な点検の結果を会社に伝えております。この点検の結果につきましては、その次の検査におきまして改善されたことを確認しておるわけでございます。そういうふうな状況においてやっておるわけでございますが、先生指摘のように、いろいろ問題点指摘する、指摘するけれども、その指摘が十分下部に徹底していないではないかということでございます。監督局を指導する立場から申し上げますと、検査に入る場合には必ず労使双方から代表者を随行させまして山の中をずっと回っておるわけでございまして、労働組合の側からいきますと、調査員とかあるいは協議会のメンバーだとか、保安委員会のメンバーとかいうものを随行させておりますし、それから、検査が終わりましてこれを公表する場合においても必ず労使を立ち会わせまして、その具体的な問題を全部両方に徹底するように申し上げておる次第でございます。項目が多岐にわたりますと、それを文書にしたものをそれぞれに渡すということでやっておりまして、現場の数も相当多うございますので、そういうふうなやり方によりまして、何とかもっと徹底するような方法はないか、これは今後検討してまいるつもりでございますけれども、私どもといたしましては十分組合、労働者側の意向も組み入れるようにという指示をしておる次第でございます。先般もこの件につきましてお話し合いがございまして、非常にその点に意を使ってもらっておるようであるけれども、なお十分とは言えないというふうな話がございましたんで、私どもの方はいまさらに、積極的にそういう場を検査のたびに何か持ったらどうだろうかということも検討しておる次第でございます。そのような状況でございますので、確かに検査をやり、坑内を巡回いたしましても、わからない点はこれは回数の中にはあろうかと思いますけども、そういうときに組合の方から責任者を通じて、あるいは直接に意見具申をする道も開かれておるわけでございますので、私どもの方はそれを受けるような指導もいたしておりますので、ぜひ意思の疎通が十分に行われるようにということを願っておる次第でございます。
  56. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 監督局としては人数の少ない中で、私が言ったようなことをおたくで全部やれというような無理は言っていないんです。私がお願いしたいことは、そういうことを会社にきちっと指導してやらせてほしいということなんです。会社が組合と話し合いをしましたと——意見具申の道はあります。さっき言ったようにシステムはあるんです。しかし、それが徹底していない。それを監督官が一々行って全部やれなんてむちゃ言っていないんです。だから会社に、組合とこうやったという形だけではなくて、五十四項目こういうふうな指導しなさいというようなことを言われたんだということを、みんな徹底できるようなことを、おたくが直接やらなくてもいいから、会社側にそういうふうにしてもらうように指導してくださいと私は言っているんです。会社に言ったら、それはもうちゃんとやっているんですと言う。いつやっているんです、保安委員会やっていますという、やっぱり形だけをやっていると言うんですね。  だから私が言いたいことは、その形があっても、これが現場へ行ったら開かれていないよという声が聞こえるんだから、それを知らせるような道をきちっと、形だけつくるんじゃなくて、会社にもっと徹底的に知らせて、そして現場労働者の意見も聞いて、組合の意見、これは確かに集約されているかもしれない。しかし、現場の意見が本当に反映できるような、そういう民主的な雰囲気の中に置いてやるということも、会社にきちっとしてもらわなきゃならない。なぜあなたたちは言わないのと私が言ったら、言えないような有形無形の圧力があるというところにも問題があると……。首を振っていらっしゃるけれども、それが企業なんですよ。そういう企業だということをしっかりあなたは認識なすって、そういうふうに会社をきちっと指導して事故がなくなるようにしてもらわなかったら、会社はやっていますなんて、会社側の立場に立って返答していただく必要はないんです。そういうことをぜひやってください。指導してくださいますか、会社に対して。
  57. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 本件の問題につきましては、会社にも指導をいたしますし、組合の方にも話をいたします。
  58. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 きちっとお願いします。  それから、今度下請の問題なんですけれども、この下請も先ほどから同僚議員が言われていたとおりなんです。みんな言っていたことです。人数は直轄の半分か三分の一程度だ、その下請の一人一人の労働者は熱心に仕事はしている。しかしやっぱり、その半分か三分の一で採炭がどんどん追っついてくると、早く掘進しなければいけないというような、どうしてもここのところに手抜きが必然的に出てくるということは、私は否めないと思うんです。こういう組夫というものをずっといまやっているというところに一つの問題があると思うんです。だから、この組夫制度についてどういうふうに考えていらっしゃるかというその見解を伺いたいこと。  それから次には具体的に、犠牲になりました、そしてその弔慰金の問題です。  さっき弔慰金の問題についても、組夫と直轄の問題がありました。補償、弔慰金については、極力手厚い指導をすると局長はおっしゃいました。しかし、その手厚い指導というのはいつでも事故があるとき言われていたんです。私はそのことを言うのです。必ずそういうことがないように一生懸命やりますと言われながら、どれだけその差が縮まっていますか。この間山へ行って聞いたら、もうすでに直轄は千百万とか千二百万、そして三建ですか、あそこは七百万程度、石山組は二百万ぐらいだという数字が出ているんですね。幾ら手厚く指導してそういう差がなくなるようにしますと言われるけれども、そんな熱意だけじゃこれはできないんですね。  同じ現場で、同じ山で、同じ会社のその山の中で、雇用形態は違っても、そこで働く人の命は同じなんです。同じ事故で死んだときに、死んでまでも差別されてはいけないと思う。だから私は、親会社である北炭に、直轄と同じような、それくらいのお金を当然弔慰金として出すように指導してもらいたい、それだけのお金が北炭にないと言うならば、そしたら北炭に融資するというような、そういう具体的な問題を提起されなければ、手厚くやりたいなんという言葉だけじゃ済まない。これはいままでずっと問題になってきたことです。だから北炭に対して具体的に、弔慰金はせめて炭労の要求で差別するようにするなということと、それができないなら、問題はなぜできないのか、資金がなくてできないのか、それではその資金は融資するという、こういう道があるということを私は検討していただかなければ、熱意だけで、やりたいという指導だけでは差別はなくなりません。具体的に北炭にそういう指導をしてくださるか。そして、北炭が金がないと言った場合に、具体的に融資するという、そういう検討の課題として考えていただけるかどうか、お答えいただきたい。
  59. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 下請組夫の使用についてどう考えるかということをお答えいたします。  炭鉱における下請労働者につきましては、専門的で、かつ臨時的な作業の場合に限定いたしましてある程度使用することはやむを得ないんではないか、こういう感じでございます。御指摘のように、私どもといたしましては、保安の確保のために下請労働者保安に関する指揮命令系統、監督、それから保安教育の徹底の問題について努力はいたしておりますが、そのようないろんな問題のあることも別途耳にいたしておりますので、この点をあわせまして、今後さらにこの教育の問題などにつきまして努力をするつもりでおるわけでございます。  弔慰金の問題につきましては、先生ただいまのお話で数字を並べていただきましたが、私ども調査にいたしましても、直轄の労使協定と請負の例によりましては差が出ております。この差がどういうふうな理由で、どうするのかということでございまして、私ども現地に真っ先に参りましたときにも、当時の状況で、会社に対しまして差別をするな、それから帰ってまいりましてからも、会社に対しましてできるだけ手厚い措置をとるようにといろいろ指示はいたしております。ただ、正直に申しまして、具体的に幾らということは申し上げておるわけではございませんし、会社側も、現在の段階では数字が決まったわけではないというふうに言うておるわけでございます。これらの問題につきましては、制度をめぐるいろんな問題、財政の問題は私は別といたしまして、いろいろあろうかと思います。したがいまして、私どもの立場を超えた問題もあろうかと思いますので、労働省とも相談をせざるを得ない問題をはらんでおりますが、私どもといたしましては、従来からできるだけ手厚い手当を出すようにということで申し上げて、その方向努力をさしていただきたいと思います。
  60. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、会社にできるだけ差をなくせということはおっしゃったわけですよね。これからもそうおっしゃるわけですね。それだけでは、会社は、いろいろ努力したけれどもこれしか出せない、雇用形態も違う、いろいろな問題がありましてという答えが返ってくるわけです。だから、手厚い、差別をなくすようにしろとおっしゃったら、その問題について北炭はどういうふうに考えているのか、どの程度なら出せるのだというようなことも、追ってそれを具体化するためにもう一言私は声を出していただきたいと思うんです。そこで何が問題なのか、雇用形態が問題とかお金が足りなくて出せないという問題が出てきたら、それではそれについてどうしたら差別をなくするようにできるかというように次の段階に進むわけですね。差別をなくせと言いっ放しではいままでと同じなんです。その差別をなくすために会社はいま何を考えてどうしようと思っているか、問題点は何だということをもう一度聞いて、手厚い措置ができるような具体的な道を考えていただきたい、やっていただけますか。
  61. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 労働省の方とも相談をさして調べてみます。
  62. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ会社側ともそれを聞いてくださることと、労働省にも御相談いただいて、もう今度は本当にその差をなくしてください。命にまで差をつけられたらたまらないですよ一家族にしてみたら。ぜひ御検討を早急にお願いいたします。それを確認させていただきます。  それから、さっきも相沢議員から出ていたけれども、下請の保安教育だとかそういうものが義務づけされていませんね。現在の場合。それを今度義務づけることを入れるということで改正の検討をしていただけるかどうか、具体的にそのことを考えていらっしゃるかどうか。
  63. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 現在のところは届け出という制度を設けておりまして、その窓口におきまして、たとえば監督はどうするか、監督直轄の係員とそれから組の係員と二重にダブルでチェックをするとか、あるいは保安教育はどうするか、保安教育はこのようにやっておりますということでやるようにというふうなチェックをいたしております。これを制度化するかしないかの問題でございますが、この点につきましては、先ほど来申し上げておりますいろんな問題点を総ざらいに勉強いたしますので、その際に報告さしていただきたいと思います。
  64. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、本当に組夫の人たちもきちっと保安教育ができるというような義務づけをするということも、私は希望として言ったわけですが、それも含めて御検討いただけるということで認識してよろしゅうございますか。
  65. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) いろいろ問題がたくさんございますので、それらの中の一環といたしまして検討をいたします。
  66. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、わかりました。  それから、今度保安法規改正の問題なんですけれども、これは衆議院で多田議員が質問をいたしましたときに、大臣がお答えになりました、五十一年度内に改正する方向で進めていると、大変私は結構だと思いました。ところが、十二月九日に衆議院の石特でのやりとりを見ますと、大臣の御答弁というのが非常に後退しているんです。ということは、まだ議事録ができてきませんけれども大臣が後退した答弁をなさったというのは、政府としては規則改正ということは検討している。鉱山保安法、この法の改正そのものについて、改正するかどうかということも含めて、中央鉱山保安協議会での御答申を待ちたいということに、非常に後退しているんですね。この前の七月でしたか、七月のときには、法も規則も年度内に改正するとおっしゃっていた。今度はその法改正も含めて協議会で検討する、非常に後退された答弁だったんです。私は、こんな事故が起こって、より一生懸命やりますと言うのがあたりまえなのに、この事故が起こった十二月九日の段階で、法改正も含めて諮問されたものをというふうなことでは大分後退じゃないかと心配したんですけれども、これは私の方の聞き間違いでしょうか。初めに七月にお答えになったように、法改正、規則改正を含めて年度内に改正するという政府の方針というものには変わりありませんかどうか。
  67. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 七月の段階では、法規の改正という認識で通産大臣はおられたんだと私は存じます。十二月の段階におきましては、この事故が起こった後の段階になっておりますから、局面は変わってきております。  どういうふうにこの問題に反映するかと申しますと、たとえば先般来御議論賜っておりますように、保安監督員の制度のあり方だとか、あるいは技術開発の組織のあり方だとか、いろいろ問題が出ております。これらの問題につきましては、それぞれの立場からいろいろ意見があるところだと私は存じます。一方的な意見だけということではなしに、非常に本質にかかわるような問題をはらんでいると思われますので、これらの問題を含みまして、それぞれの大きな柱ごとに適当な場を設けまして検討を加える、審議をするということになっております。したがいまして、その検討の結果を待ちまして措置をするということを大臣が表明されたものだと思いますので、それは法令、法規、法律と規則両方含んでいるんだと思います。したがいまして、それは協議会の議論の結論に従って措置をするという意向を表明されたものだと存じております。
  68. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 つまり、鉱山保安法という法そのものをきちんと検討するということと、それから、石炭鉱保安規則というのは非常に技術的なものがたくさん入っておりますね。これはこれで私はする必要があると思うんですよ。しかし、こういう企業がこういう事故をまた起こさないためにということでは、企業に対しての責任や罰則とか、そういう問題を考えれば、どうしても鉱山保安法そのもの改正するということがいま問われている問題だということで、大臣の答弁が後退したのかと非常に心配したわけですけれども、そういうことは心配ないということで、法についても規則についても中央鉱山保安協議会の検討を待つということですね、この両方について。
  69. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) 私、実は大臣の答弁をきちんと聞いておるわけじゃありませんが、七月の段階ですか、いろいろ議論があって、こういう事故を踏まえて後の大臣の答弁があるならば、私は、大臣がそういう事故を十分前提に置いて御答弁になっておるはずだというふうに思っております。したがって、中身はどちらが正しいのかと言ったら、終わりの方にこういう事態を踏まえて答弁をされたのが正しいはずだということをお答えせざるを得ないと思うんです。しかし、それじゃいかにも形式論でございまして、内容がどうかということになれば、こういう事故が出た後に皆さん方のこうした熱心な御審議、御議論を踏まえて、保安法規も含めて十分な検討を進めていく必要が私はあると思うんです。そういう意味でせっかくあります中央鉱山保安協議会の議によって、十分これを検討して改正をやっていきたい。  そうした場合に、いろいろ事故原因自体も、非常にむずかしい段階でなければわからないということでございますから、年度内どうなるかということにすべてかけられるということになりますと、なかなかこれは私は技術的にはむずかしいところじゃないか、しかし、できる限りこういう事態も踏まえて御指摘問題点も含め、また、この委員会でももういろいろと出ました問題点について十分検討を加えて改正、改善に努めたいというふうに考えておる次第でございます。
  70. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、その法改正の中の具体的な問題として御検討いただきたいのです。たとえば保安日誌を公開させる、一つの山に保安監督官一人置くとか、保安係員に停止権が与えられるというためには、やっぱり企業の身分ではだめだからということで、多田議員もいろいろ具体的な案を出しているわけですけれども、それに加えて私は、ひとつここを検討していただきたいと思うのです。  つまり、これからの事故というのは、やはり深部の採掘に入ってくるというところから非常に危険状態が出てくると思うのです。そこで私も、鉱山保安法というのをちょっと勉強させていただきました。二十三条に、海底とか川の下とか沼底、湖の底というようなところで採掘する場合に採掘計画書というものを出しなさいということがあるわけですね。深部採鉱というのはやっぱりそれにまさる非常に危険度を加えている採掘だと思うのですね。そうすると、この二十三条の趣旨から言っても、従来の施業案というものと同時に、深部採掘計画というものも出させるということが必要じゃないかということなんですね。私は素人が考えたことだから、これは一体どうなんだということで聞きました。磯辺教授なんかもそれは必要ではないかという御意見で、私は専門家もやっぱりそこを見ていらっしゃるなと思ったわけなんで、法改正の中に、二十三条の趣旨から深部採掘計画を義務づけるということも、具体的な課題として御検討いただきたいということについてお願いしたいのですね。  それから、中央鉱山保安協議会から答申をいただいてと言うけれども、それじゃ、この協議会に自然発生的に御諮問くださいというんじゃなくて、こういう事故がどんどんできている中でこういう点が大事だ、こういうことが大事だというような積極的な諮問、協議会に政府として、通産省としての立場からも意見を積極的に出して御検討いただきたいということ、このことをお答えいただきたいと思います。
  71. 宮本四郎

    政府委員宮本四郎君) 深部の採掘に当たりまして、新しい特採計画の制度を設けたらどうかという御意見ございます。こういうふうな問題を含めまして全部討議をするという前提に立っております。  それから私どもの方のたてまえは、こういうふうな問題があるが、これに対してどういうふうな態度で臨むべきかという諮問をしたいと考えております。
  72. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これで最後にいたしますけれども、先ほど局長の御答弁の中で、協議会の中には見方や立場はいろいろあるということをおっしゃったわけですけれども、この辺がいろいろあって、そしてどこで妥協していくか、つまり、生産保安とこの調和をどこでとるかというところが非常に大事な問題だとは思うわけなんですね。だからこの辺で、もちろん生産も、いま石炭見直しが叫ばれてやっと新政策も出た中でこれを本当に遂行していくためにも、保安というものの裏づけがきちっとなければだめなんだということで、同じ立場で調和をさせていくなんというんじゃなくて、保安を絶対優先させるという基本的な立場で考えていただきたいということを再度お願いしたいと思います。  最後にもう一つの問題は、たとえば先ほどから出ました三笠市は、本当に幌内で持っている市でございます。人数はだんだん減りました。各産炭市町村では非常にいま苦労していらっしゃるわけだけれども、そこで市長の陳情を受けて私はなるほどなと思ったのですけれども直轄の方は何らかの形でその山に残って生活もできている。だけど、やっぱり下請の方は、仕事がなくなれば次の仕事を求めて外に出てしまうということになりますね。そうすると、今度必要なときにその人たちをどうやって集めるか、これも大きな問題だと思います。そして、具体的に来年の十月ごろということになれば、その間一体この人たちはどうやって生活していけばいいのか、これをほっておいていいのかという問題です。  たとえば、いま不況業種に対しては、雇用調整給付金というようなものでこういう人たちへのいろいろな援助というものが考えられているという、そういうことから考えても、一時帰休制度の雇用保険法によるそういう手当てというようなものがこういうものに適用できるかできないかということ。何にも方法がないのか。下請はそのまま散ってもよろしい、再開したときに人間が集まらなくてもこれは仕方ないのだという立場でいらっしゃるのか、何らかのそういう措置を考えられるのかどうかということをお伺いしたいこと。  それから、先ほども出たように、商店とか小さい工場とかというのが数は幾らくらいといったら、約零細七百あるということですね、幌内で。そうすると、この人たちというのがずっとまた来年の十月まで非常に苦労するというようなことになります。こういうことについての金融というものを、通産省としても零細企業を守るという立場からこの問題について真剣に考えていただきたい。具体的にどういう手を考えていただけるのかどうかということについて最後にお伺いして終わりたいと思います。  それから、最後に労働省に済みません、お願いしたのですけれども、下請の問題で一番問題なのは個人契約なわけですね。そこで労働組合もつくられていない。だから労働者として、働く権利というものもそこで組織的に守るというようなものもできていないということからすれば、こういう下請に対して、前近代的な労使関係を改善する上で組合はつくるべきだと私は思うんだけれども、労働省としての見解を最後にお答えをいただきたいと思います。
  73. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 雇用調整給付金で下請の人たちの問題を解決できないかというお尋ねがございましたが、雇用調整給付金はことしの一月から実施しておりますが、その対象となります休業は、実は雇用保険法にも明記されておるのでございますけれども、景気の変動とか、あるいは国際経済事情の急激な変化という経済上の理由によって事業活動を縮小せざるを得ない場合ということになりますので、一般的に経営不振あるいは事業活動を縮めるという場合でも、たとえば放漫経営によるものとか、あるいは事故によるものというのはこの対象から除かれることになっておりまして、これは雇用保険法上明記されております関係上、お尋ねのようなケースについて、直ちにこれを雇用調整給付金で措置するというわけにはまいらない実情にあると思います。
  74. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何かいい方法ないですか。
  75. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 雇用保険法の制度としましては、雇用関係が切れて一たん離職をし、失業の状態になりますと、これは失業給付という形になります。これは制度の趣旨から、直ちにそれが妥当かどうかという問題でいろいろのことはあるかと思いますが、たとえば外国で見られますような先任権制度というような形で、一たんの離職はしても、回復の時点で優先的に復職できるというような形はとり得るわけでございますけれども、その場合に離職の形、したがって失業という状態になれば、失業給付という形で給付はできることになります。それ以外では、現行の雇用保険の制度の中ではなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
  76. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。  先生最後の御質問でございますが、この被災者の方のうちには組夫と呼ばれる方が、私ども調査しましたところでは十人ばかりおられるわけでございますが、その組夫の方々が属しておられます会社二つございます。ここにはいずれも組合がございません。それで、私どもとしましては、賃金の問題とかあるいは安全の問題とか、こういうものを使用者と集団的に交渉する、話し合うということで労働組合があるというのが労使関係の姿だと思っております。  ただ、労働組合を結成するかどうかというのは、関係労働者が自主的にお決めになることでございまして、私どもとしましては政府の方からとやかく申すことはいたさないというような方針でございます、といいますか、あるいはそれが労働組合法の立場であろうかと思います。  ただ、その結成の問題に、御存じのように法律は全くノータッチというわけではございませんので、労働組合の結成を妨害しようとしたり、あるいは結成をしようとした労働者を首を切ったりということになりますれば、不当労働行為の制度があるということは先生御存じのとおりでございまして、この労働組合結成の自由というのは、こういう不当労働行為の制度の上に成り立っておるわけでございます。それで私どもとしましては、そういう制度の趣旨を踏んまえまして、それで労働組合の結成そのものについては労働者の自主的判断によってやっていただく、こういうような方針でやっております。
  77. 嶋崎均

    政府委員嶋崎均君) 最後に小笠原先生から御質問になりました点で、たびたび通産大臣委員会等で明らかにしておりますように、炭鉱の問題、特に今後の石炭政策の遂行に当たって、生産第一主義で物を考えるということではなしに、もちろん、国内のエネルギーとしての石炭の生産増強ということは大切なことではありますけれども、その遂行に当たってはどこまでも保安第一主義、それを優先をして考えるという考え方で対処をしていきたいというふうに思っております。
  78. 織田季明

    政府委員(織田季明君) 当面、地元の中小企業者に対しましては金融で手当てをすることが一番重要なことではないかと存じます。したがいまして、私の方といたしましては政府系金融機関、三機関でございますが、これらに対しまして格段の配慮をするように指導してまいりたいと存じます。
  79. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  この際、お諮りいたします。  対馬君より要請もあり、ただいままでの御質疑の趣旨に基づき、お手元に配付いたしました案文のとおりの決議を行うよう商工委員会に提案することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会