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1975-12-11 第76回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 小笠 公韶君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 福岡日出麿君                 矢野  登君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 鈴木  力君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 中尾 辰義君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        通商産業省立地        公害局長     宮本 四郎君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        消防庁予防課長  永瀬  章君        消防庁防災課長  永井 浤輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油備蓄法案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  前回に引き続き石油備蓄法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、石油備蓄法案につきまして、提案理由趣旨に沿いながら若干質問をし、解明をいたしてまいりたいと思う次第であります。  一昨年の石油危機の経験に照らし合わせまして明らかでありますけれども石油供給削減、途絶といった状態がきわめて国民的な影響があったということは、一昨年の石油ショックの教訓であります。そういう意味から判断をいたしまして、この法案の第一条にございます趣旨、特にわが国への石油供給不足事態が生じた場合においては、安定供給確保する、そのことによって国民生活の安定と円滑をはかる、こういうことが目的である、こういう趣旨には私も賛同できます。さらにまた第三条で、石油貯蔵施設保安確保ということを配慮しながら、特に石油備蓄確保必要性については国民コンセンサスを得ることがやっぱり必要であるという、この第一条、第三条の趣旨からまいりまして、趣旨としては私は賛同することができる、冒頭こう申し上げたいと思うのであります。  その中で、しかし問題はやっぱり幾つかの、この法案を検討いたしました場合には、まず一つには、何といってもこの法案実施段階における安全性という問題について、国民の不安がこの法案で見る限りぬぐい去らないのではないかという危惧の念が一つございます。そしてもう一つは、いまの石油業界から判断をした場合に、これが果たしてこの目標どおり達成ができるか。この法案を施行するに当たりまして、私はまず冒頭大臣にお伺いをしたいのでありますが、何といっても国民のこれに対する理解冒頭申し上げました安全性という問題について、基本的にこの法律執行に伴って、国民にどういう安全性、あるいは理解を深めるという基本に立っていられるのか、ひとつ大臣基本姿勢をお伺いしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今回お願いをいたしております石油備蓄を進める問題でございますが、この問題につきまして、政府は相当大幅な資金援助をすることにしております。でありますから、石油業界は経営的には苦境にありますけれども政府が大幅なバックアップをいたしますので、その点については私は若干の困難はあっても大きな支障にはならない、こういうふうに考えておるんですが、やはり最大の問題は地元理解を得るということ、これが私は最大課題でなかろうかと思うのでございます。幸いに、今回コンビナート防災体制強化等につきましても新しい体制ができ上がりつつありますので、こういうことと並行いたしまして、防災対策について私は十分な理解を得ることによって地元との話を調整をいたしまして、そしてこの大きな課題というものが、大きな国民経済上の問題というものがスムーズに進んでいくということを期待をいたしておるわけでございます。
  5. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣基本的な姿勢といたしまして、まず国民理解を得ることが第一である、そのための安全性という問題についてはコンビナート法などの関連において十分に対処をいたしてまいりたい、こういう御理解だと思うんでありますが、私はそこでもう一度明らかにしておきたいんでありますが、なぜこれを強調するかと申しますと、この法案段階では、もちろん衆議院段階でも議論いたしておりますけれども現実北海道では苫小牧東部開発というのがございまして、これが一番いま北海道では大きな話題を実は呼んでいるわけであります。  北海道におきましての苫小牧総合開発というのは、まさに大規模石油コンビナート基地ということに位置づけをされておりまして、この隣に勇払という町があるんでありますが、この勇払地帯でいま住民コンビナート基地に対する反対運動が非常に——、漁業基地農業基地でございまして、実はこの厚真一帯を称して大コンビナート基地とこう言っておるんであります。私はこれに関連いたしまして、住民の声を率直に申し上げるんでありますけれども、この間も出ましたが、水島の事故、あるいは東京湾における油の漏れ、あるいはシンガポールにおける輸送上の欠陥における事故、こういった幾つかの昨年来の事故から判断をいたしまして、住民の一番ポイントというのは何かと言いますと、再びこういうことが繰り返されてはならない、そのためにこの法案あるいはこのコンビナート災害防止法を含めまして言えることなんでありますが、次の基本的な態度としてもっと大臣に確認をしていきたいんであります。  私は、この法案備蓄という問題から判断をいたしまして、何といってもいま強調しましたように、第一番必要なことは安全確保住民コンセンサスという点ではいま大臣も強調されました。しからば、この法案を通しまして住民コンセンサス安全確保という観点について歯どめになるこの法案としての役割りといいますか、あるいは法案の歯どめがどこにかけられるかという具体的な内容が盛られているのか、この点が国民に明らかにされなければならないんじゃないかと私は考えます。この点はどうもやっぱり私は法案を見る限り、この間の説明を聞く限り、またコンビナート法もここに私持って、私なりに調べてみましたが、その歯どめとなる法律条項というものはどうも不明確ではないのか。この点ひとつ大臣、もう一回基本姿勢として、私は何といっても住民安全確保コンセンサスを得るということが基本的な姿勢であると、いま大臣が強調されましたから、それに基づいてこの法案の中にどういうふうに具体化されているのか、この点をひとつ基本的にお伺いしたいと思うんであります。
  6. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まず、この工業の立地を進めていきます上におきましては、基本的には地元住民了解を得るということが、これはもうまず前提条件でなければならぬと考えております。特に石油基地につきましては影響が非常に大きいわけでありますから、この点を特に重視をしていかなければならぬというのが第一の基本姿勢でございます。  それから地元住民了解を得るためには、安全及び環境が十分確保されるということがこれはもう大前提であろう、こう思います。したがいまして、構想段階からこの安全及び環境という点につきまして、住民方々意見を求めながら開発を進めていく、そういう理解の上に立って地方公共団体それから企業等を指導をしていくというのが第二点でございます。  それからさらに、御指摘の苫小牧東部開発に当たっては、北海道開発庁それから北海道庁等におきまして、その開発規模それから業種等につきまして、地元意見を聞いて作成をしたわけでございますが、勇払地区につきましては、安全、環境確保のために、環境アセスメントそれから遮断緑地の設置、そういう点につきまして開発計画におきまして十分な配慮が払われておりまして、今後は実施段階でこれらの計画が十分確保されますように指導していくつもりでございます。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、第二問としまして私が申し上げました、この法案問題点としましての第一番に基本的な姿勢として必要なことは、安全確保住民コンセンサスを得ることが最大条件である、地元住民理解を得ることだと、こういうことについてはわかりました。大臣基本姿勢として全くそういう姿勢については同感であります。  そこで、私は具体的にひとつこれからこの備蓄法提起をするに至りましたまでの通産省考え方につきまして、長官の方に実はお伺いをいたしてまいりたいと思うのであります。  まず、私は経過をずっと調べてみたんでありますが、当初通産省は、この備蓄構想に対しましては共同備蓄構想ということを打ち立てまして、統一、つまり全国的な規模での共同備蓄会社、これによって九十日目標達成するという構想に立ったようでありますが、私が知る限りでは、三十日増強分の十五日分の用地施設確保、それからこれのための必要な資金、あるいは無利子による政府資金援助計画、こういったものが柱になって政府部内で実は提起をされたという経過を聞いておるわけです。これは結果的にはこの法案の中には生きてこなかったという点ですね、つぶされた、私はずばり申し上げましてつぶされた結果に終わっている。これはどういう点で問題点があるのかということ、なぜこれが通らなかったのかということをまず第一点、この点をお伺いいたします。
  8. 増田実

    政府委員増田実君) 一昨年の十月に中東戦争が起こりまして、その後いわゆる石油供給削減ということがありまして、このための石油危機が生じた。備蓄必要性というものが、この石油危機を経験いたしましてさらに痛感されたわけでございます。  そこで、この備蓄につきまして、従来六十日目標で私ども政策をやっておったわけでございますが、六十日の備蓄ではそういう供給削減その他があった場合には足りないという判断に基づきまして九十日備蓄を推進する、つまり、ヨーロッパ各国がやっております大体九十日から百日というものを日本にも置かなければ、供給不足事態が生じた場合の安定供給ができないと、こういう結論に達しまして、いま先生がおっしゃられましたような各種構想をそのときに出したわけでございます。  一つは、国自身がたとえば公団を持ちまして、六十日を超えます九十日までの三十日分を全部国がいわゆる公団方式で持つという方式一つの案として考えましたし、また、いま先生からおっしゃれましたようにいわゆる石油会社にその半分を持たし、残りの半分は全国一本の共同会社という形で持たせると、いろんな構想があったわけでございますが、最終的に私どもが五十年を初年度とする五十四年度末までに九十日備蓄達成する新しい備蓄計画というものを作成いたしました内容は、原則として石油会社備蓄を持ってもらう。しかし、それに対しましては国が相当大幅な援助を行う。これを基本にいたしまして、しかし、それだけでは十分できない場合がございますので、いわゆる官民での共同備蓄会社、具体的に言いますと、複数の石油会社とそれから政府資金、これは石油開発公団が出します政府出資ということで、共同備蓄会社をつくるということを通しまして備蓄を推進する。大体そういう方式結論で、先ほど申し上げました昭和五十年を初年度とし、五年間に九十日に達成する計画を立てたわけでございます。  そういうような経緯でございまして、先生がおっしゃられましたように、当初公団方式とかあるいは全国一本の備蓄会社方式、それぞれ議論をいたしていろんな構想があったわけでございますが、各種の検討をいたしました結果、現在のような形でするのが最も効率的であり、また実際的である、こういう結論に達したわけでございます。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官から当初の構想が結果的にはづぶれて、まあいま提案をされている内容が、言うならば実現性があると。一口に言うならばそういうことでお答えを願っているわけでありますが、私は先ほど冒頭大臣にもお伺いしたのは、そういう意味でお伺いしているのでありますが、どうもいまの構想で進んだ場合には、九十日備蓄達成は困難ではないかということが、これは外部で言うなら別でありますけれども、私は政府部内でもかなりこの意見に対してやっぱり批判があるんじゃないか。これは私は間違いであれば御指摘願っていいんでありますが、七月十九日の日経に、国土庁による考え方がここに出ているんでありますが、この発表を見ますと、これやっぱり民間依存では九十日備蓄達成は困難だということを国土庁が言っているわけです。なぜ困難かという立場で国土庁見解を検討してみますのに、一理あるんでありますが、問題は九十日備蓄に対応するための土地取得が一体民間ベースで一体できるのか、土地保有が一体確保できるか。特に石油業界が赤字の状態が続き、また特に今日の土地問題というのは非常なむずかしい状態になってきまして、単に私的な土地所有という問題よりも、やっぱり地方自治体なりあるいは国土という問題、こういう見地から検討してみなければならぬ、こういうのが出ているわけです。したがって、国土庁自身がこの通産省構想に対しまして一定の批判を持っているわけです。  それは、いま言った第一点は何といっても土地所有、それからこれに対応する施設、こういったものと、先ほど冒頭質問申し上げました、つまり住民安全性という問題が私企業の段階では一体確保できるのか、安全性が保たれるのか、やっぱり国の管理あるいは国の監督というものがなければ、結果的にはそれはできないんではないかという点の国土庁見解が出ているんでありますが、ここらあたり疑問とするところなんですよ、これは。国土庁見解だけではなくて、この法案ができた時点で具体的に展開をする場合に、やっぱり問題点だと私は考えているわけです。この点について、長官のひとつこれに対応する考え方がどうなのかということをきちっと、その違いをはっきりしてもらいたいと思うのです。
  10. 増田実

    政府委員増田実君) 今後九十日備蓄に持っていきますためには、いろいろ問題点があります。決してこれが安易に達成されるというふうには私ども思っておりません。ただいま対馬先生から挙げられましたように、たとえば土地取得、それから住民安全性に対する信頼を得ることの問題、それからまた資金が非常に要る、その調達がどうかというような、各種の非常に困難な問題がこの九十日備蓄達成のための前途に横たわっているということにつきましては、私はそのとおりだと思います。ただ九十日備蓄につきましては、先ほども申し上げましたように、これはわが国のいわゆる安全の確保というためにはどうしても達成しなければならない。ですから、そういう意味でいまの諸問題につきましては、それぞれにあらゆる努力を重ねて、これを解決していかなければならないと思います。  それで、第一の土地の問題でございますが、これは新たに取得が必要であります土地につきましては、大体今後坪数で言いますと——坪換算にいたしまして、大体三百二十万坪新たに取得が必要でございますが、これらにつきましては、私どもの方はこの地域住民方々に十分御説明し、また保安問題環境の保全の問題について十分な対策を行うということによりまして、この土地取得は可能だというふうに考えております。そういう意味で、これにつきましてはあらゆる努力を重ねて土地取得を行い、また、その地域住民安全性に対する各種の措置というものを行って、それによってこれを推進していきたい。  また、資金の問題につきましては、相当大幅な援助というものが、国が行う現在の制度では私はまだ不十分だと思っております。五十一年度予算でさらにそれを拡充強化をするということで、努力を続けていく所存でございますが、確かに前途にはいろいろの問題点がありますが、やはり九十日備蓄はどうしても達成しなければならない。そのためにはあらゆる努力を重ね、また、先ほど先生が言われました安全性確保、それから地域住民のこれに対する協力、国民的コンセンサスというものを背景にして達成していきたい、こういうふうに思っております。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま私は国土庁のこの備蓄構想中心にして話を申し上げたのですが、そこで問題になりますことは、これはやっぱり用地確保対策の中で、いま私も調べてまいりましたけれども、そのとおりなんでありますけれども、問題は昭和五十五年度に大体三千万キロリットルとこうなるわけですね。そうすると、容積にしまして十万トンの容積とこうなっているわけです。これをしさいに検討しますと、タンクが三百七十五基必要である。一基必要坪数が一万三千坪だと、こうなってまいりますと、結果的には、先ほど言った三百七十五基に対して一基が一万三千坪というわけですから約四百九十万坪、五百万坪だと、いま長官が言うような答えになるのですが、その場合問題になることは、コンビナート法でもそうなんでありますけれども、問題は北海道的に物を言いますと、やっぱり苫小牧室蘭という海岸地帯中心にしてつまり石油基地がつくられる、ここなんですよ、問題は。  その場合やっぱり基地海岸地帯ということに限定をされるのか、そこに北海道的に言うと、苫小牧の現在でさえこれは鉄鋼並びに石油コンビナート中心にして、それに石炭火力ということで、これはついに北海道道側でさえ、自民党知事でさえもう一回総合開発を再検討し直そう、もう一回見直しをやるということになったわけですよ。これはもちろん苫小牧市長もそうなっているわけですよ。  したがって、そうなってきますと、そういう用地取得がいま民間サイドでできる、こう言うんですが、私はここでやっぱり疑問だと思っているんですよ、この点について。しかも、さっき言った三百七十五基という、五百万坪といって、現在鹿児島にあるそうですけれども、あの規模のクラスが大体六カ所と、こういうわけでしょう。そうすると、苫小牧一帯のいまの構想が、大体北海道的に言っても、あの規模ぐらいのものがどうしても必要だ、こうなるわけです。そうなると、結果的に、先ほど私が心配をしましたあの苫小牧周辺勇払厚真鵡川という一帯苫小牧東部開発で結果的にあの漁業沿岸地帯が汚染をされる、漁民がいま相当その点がぴんときているわけですよ、北海道では。そういう点について、やっぱり実際問題として、北海道として具体的にそれじゃ展開をされるとしたら、現在の室蘭苫小牧という原油つまりタンク保有石油基地保有というだけで限定されるのかどうか、この点どうですか。その点ひとつお伺いしておきたいんですが、そうならないでしょう、しかし。
  12. 増田実

    政府委員増田実君) 苫小牧東部開発計画につきましては、いろいろの計画が立てられております。あそこに石油精製設備を百万バーレル規模で置くとか、あるいは石油化学を含めましたコンビナートをつくる、さらには鉄鋼あるいは自動車を進出させる、こういうことでいろいろありますが、現在私どもの方で石油備蓄基地として苫小牧東部、あるいは勇払地域というものを現実にはまだ予定をいたしておるわけでございません。  それで、先ほど申し上げました、今後取得すべき土地約三百二十万坪、一千万平米というものにつきましては、これは全国各地候補地を求めておりますし、また、現実にそれぞれの市町村からもいろいろこれらの希望その他をお伺いいたしておるわけでございますが、現実東苫小牧備蓄基地対象にするかどうか——これは対象になってないとは申し上げてはおらないわけですが、基地の有力な候補地ということには現在まだなっておらないわけです。と申しますのは、やはり原油を運びまして、この基地に置きまして、そして後、精製所へ送るわけでございますが、できれば精製工場と非常に近い、あるいは精製工場へ行きますその航路の途中にあるところに備蓄基地を設けた方が、いろいろの輸送費その他を計算いたしましてその方が有利である、いわゆるコスト計算からいたしますと有利なわけでございます。そういう意味で、やっぱり北海道地域におきまして備蓄基地を建設することにつきましては、現在優先度から言いますと、むしろ後になるということが言えるかと思います。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでやっぱり問題は、先ほど大臣にお伺いをして大臣基本姿勢はわかったんですが、問題は何といってもこれは将来計画の中に入っているんですよ、長官はそう言っても。これは北海道の中にちゃんと入っている。率直に私は申し上げますけれども勇払鵡川地域まで入っているんですよ、苫小牧東地域として。これは御案内のとおり、シシャモのとれる有名なアイヌ民族からずっと伝わってきた漁業地帯なんですよ。ところが、もうすでに鵡川とか厚真とか、いま私が申し上げました地帯の人は、これはもうちゃんと道の計画構想の中に入っているんですよ、大臣そんなこと言ったって。それはそこまでの将来的な、昭和六十年度までの総合開発計画の中に、実は東苫小牧地帯という中で鵡川地域まで入ってるんですよ。鵡川というところはさっき言ったシシャモとかそういうのがとれる漁業地帯なんですよ、これ率直に言って。  それで、私はなぜそういうことを言っているかというと、仮にその計画があったとして、その場合に住民がだめだ、漁業基地が破壊されこれは困るのだと、こうなったときに、私は冒頭そこで大臣意見を聞いたのだが、基本姿勢を聞いたのだが、住民がこれはどうしてもだめだ、反対ですと、こうなった場合に、そのまま相変わらずこれを押し切っていくということになるとやっぱり問題が起きてくるわけです。そこなんですよ、いま一番この法案の中で問題になっていることは。ところが、この法案を見る限りその歯どめがないんです、これは。地方自治体に権限を委譲したとか、あるいは具体的に言うなら苫小牧市とか北海道庁ということになるわけです。そうすると、その中でやっぱり歯どめをかけられるものがなければ、現に北海道の場合は伊達パイプラインという問題で機動隊まで出動して、漁民のあれまで反対して、現実に大問題になったわけだ。そういうことがあるだけにやっぱり敏感なわけです、現地住民としては。そういう意味で私は住民を代表して言っているのだが、そういう場合については住民反対を押し切ってまでここに基地を設けるということは、われわれとしては、あくまでも住民理解がない限りこの基地はつくらないのだということで、適地があるのならそこを考えればいいわけですよ。現に西ドイツあたりでは岩塩基地をつくって、そこにパイプラインを通してやるというようなこともあるし、いろいろこう出ておるわけです、山間の利用基地だとかいろいろなことで。そういう点について、私はそこを聞いておるわけです。その点で、あなた方の態度がわかれば、私冒頭に、この趣旨には賛成だとこう言っているのだから、だからその点がやっぱり住民理解が得られない場合について一体どうなるのかと、そのことを聞いているわけです、私は。
  14. 増田実

    政府委員増田実君) これは先ほど大臣からも申し上げましたように、今後備蓄を推進いたしますに当たりましては、安全性確保と、それから地域住民のいわゆるコンセンサスと申しますか、協力というものを背景にして進めていく、これは基本的な考え方でございます。したがいまして、ただいま対馬先生がおっしゃられましたように、地域方々がこれに対して絶対反対という場合には、これは基地の建設は当然できないわけでございます。  それで、これは先生十分御存じのことでございますが、備蓄基地を建設し、タンクをそれぞれ設置するということに当たりましては、これは各種の許可、認可、その他が要りまして、その場合にやはり現地の市町村が賛成しなければ、これはもう実際にはタンクは建設できない、あるいは埋め立てもできない、こういう状況になっておるわけでございます。  それで、この法律に歯どめがないじゃないかというお話でございますが、この法律は、備蓄を推進するに当たりまして、これを計画的にするということで、毎年の計画政府あるいは備蓄施設を建設いたします精製業者等が計画を出すということで計画的にやる。それからまた、備蓄されました油を保有するということを義務づけるということの内容でございまして、それ以外のたとえば防災の問題、保安の問題、環境の問題につきましては、このたび成立いたしましたコンビナート防災法あるいは消防法が今度改正、強化されまして、それで消防法に基づいて各種の基準が新しくできるわけです。これは先般の水島の経験その他を踏まえまして、ああいう不幸な事故が絶対に再び起こらないようにといういろんな歯どめが行われておるわけでございます。そういう意味におきまして、今後の石油備蓄基地の建設に当たりましては、いま御指摘になりましたような住民の協力、賛成がなければこれは進めていかれない、またいくべきではないと私どもは考えております。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでちょっと立地公害局長にひとつお伺いしますが、いま大臣並びに長官から、住民の納得それから安全という問題について基本わかりました。  そこでコンビナート法、きのうの本会議で通ったわけでありますが、これを検討してみても、つまり、高圧ガスそれから石油基地の混合地帯の場合はこのコンビナート法対象になるけれども石油基地に関しては対象になるのかならないのか。ところが、これは私が検討した限りでは対象外だと、こういうことになっているわけです。そういたしますと、コンビナート法でいう石油基地に対する安全性、あるいはそういう問題についてのコンビナート法として石油基地に対するチェック、あるいは安全性に対する問題の、つまり歯どめ的な役割りというのはどういう点でなされるのか、この点立地公害局長にひとつお伺いしたいと思います。それから消防庁に聞きますから。
  16. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 先般成立いたしました石油コンビナート等災害防止法、この法律の趣旨は言うまでもございませんが、産業に対する安全と住民に対する保安確保、こういう立場から現に存在いたしております高圧ガス取締法、あるいは消防法、あるいは労働安全衛生法というふうな各法律の分野の上に、これを面としてコンビナートという形でとらえまして、このコンビナートの上に防災体制確保する、こういう趣旨で立案をされておるわけでございますが、その手法といたしましてコンビナート地域を指定いたしますと、その地域立地をしますところの事業所、これが計画を主務大臣に提出をすることに実は相なっておるわけでございます。この場合に、先生御指摘の石油単独立地石油単独基地が適用対象になるかならないか、これはならないということでございます。したがいまして、それ以外の混在型のコンビナート事業所は全部対象になるということが第一点でございます。  それからもう一つは、そういうふうな状態ではありますけれどもコンビナート防災法がねらいといたしておりますところの特定防災施設、さらに自衛防災組織の設置、こういう義務づけは全部適用されることになっておりますので、いわゆるソフトウェア的なアプローチと申しますか、そういう組織面を通じての防災及び特定の施設を通じての防災、こういったものについての確保はほかの業種と同様に考えております。  しからば、石油単独のレイアウトの問題について保安は大丈夫か、こういうことになるわけでございますが、この点につきましては消防庁におきまして現行消防法、さらにはその消防法の強化ということをお考えのようでございますので、私どもはそれによって十分確保できる、こういうふうに存じております。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、消防庁きょうお見えになってますか。——ちょっとお伺いしますけども計画策定の段階、それから先ほど申しましたように北海道苫小牧東部なら東部に対して、三基なら三基、五基なら五基、備蓄の目的のために計画を策定される。その用地が適切であるかどうかという事前調査、もちろんこれは行う。この段階通産省計画でなされるわけですが、消防庁としてこれが計画実施の段階でチェックをする、あるいは点検をすることになると思うんであります。  その場合問題になりますことは、地方自治体のやっぱり消防署ということになるわけですね、率直に言って。それと現在の地方自治体の消防署という機能は、これは家屋の火災等に対する対応の仕方はあっても、機能はあっても、現実につまりタンク破壊とかタンク火災といった問題に対応する一体機能があるのかどうか、これは現実苫小牧あたりを見ましたって、私が知る限りではそういったような機能までは対応していない。そうすると、いま立地公害局長が答えられたように、特別地域として指定されてそれが地方自治体に権限を移譲されて、タンクの具体的な実施段階における消防庁のつまり権能というか、あるいは安全性を確認をするための消防庁としての行政的な任務は一体どこまでできるのか、この点ひとつはっきりしてもらいたい。
  18. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 最初の計画のお話でございますが、消防法の規定におきましては、そういう危険物施設を設置しようとする者が、市町村長の許可を得ることが規定されております。この設置しようとする場合というのが実はいろいろはっきりしない点がございますが、現実的には計画がコンクリートになり、設計図等がつきませんと許可申請になりませんので、そのほぼ固まった段階から消防法が適用になることに相なると思います。  この消防法の規定で許可申請が出ました場合は、消防法に基づきますところの政令、省令に技術基準を法でゆだねておりますので、この技術基準に適合しているかどうかということのチェックをいたしまして、適用しておれば設置の許可を下すという手順になってまいります。しかしながら、現実の問題といたしますと先生いま御指摘のように、全国のすべての市町村長の配下にありますところの機関が能力を十分に備えているというわけにはなかなかまいっておりません。この点につきまして、現実的にはそういう申請が出ました場合には私どもの方、県あるいは国の方に通知をし、相談をし、技術的な援助を仰いで、内容を固めて安全性確保していくという形を現実にはとっております。  なお、それ以前の問題といたしまして、許可申請以前の段階でいろいろ計画がわかってくる場合がございます。あるいは設置者の方から相談がかかってくる場合がございます。その場合におきましては、安全性確保について法令の規定はこのようではあるけれども現実的なその地形あるいは高低、配置というようなことから、もうちょっとこれはこうやった方がより安全になるということについての指導は、いままでかなり繰り返してやってきているところでございます。そのような方法によりまして、現実的な手法といたしましては安全性確保が図られると考えております。  なお、つけ加えさせていただきますのは、先般の水島の事故にかんがみまして、先ほど申し上げました技術上の基準、これの改定を考えておりますが、政令、省令の規定でございますし、まだなお検討を要する部分がかなりございます関係上、政省令の改正は時日を要すると思われますので、現段階におきましては通達をもって当面の安全の維持を図っていく予定でおりますが、これは近々出し得るものと思っております。この中にタンクの基礎関係、あるいは上物のタンク自体の構造の関係等もかなり厳しく規定をしていく予定でおります。タンクそのもの、タンク自体の安全性確保されるものと私どもは考えております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 なお私はお伺いしますけど、これはわが国の市町村の消防能力ということで、四十九年の消防白書を出されました。これを検討してみましても、いま私が指摘いたしましたように、組合消防等による常備化の急速な増化のために消防職員などの質的向上あるいは機能の近代化の対応策が必要である、こう白書の中にも言われて強調されておるわけですよ。だからそこでいま言ったタンク安全性を守る意味で、実際にほかの県は私は知りませんけれども苫小牧東部といういま対象地域になっている地域の消防能力を見ますと、実際上はタンクの機能をするような対応の消防体制になっていないということなんですよ。この点がやっぱり問題点があるんじゃないか。そこで、私はいまお聞きしようと思ったんですが、つまりいま出ましたタンク設置に対する基準ですね、これは検討中だということでありますから、これを少なくともきちっと基準を明示をされて、それによる消防の対応の点検、あるいは安全の確認ということをきちっとしなければ、私は何ぼ言葉で言ったって、これは再びああいう水島のような事故が起きないという保証はないと思うんです。  私は、その点での考え方から判断をして、これはむしろエネルギー庁にお伺いするんですが、こういうことに対する消防庁の機能強化、あるいは安全性に対応するような——対応というものについては単に消防庁だけではなくて通産省、もちろんいま出ました立地公害関係、コンビナート法の関係、それから工業立地法、こういう兼ね合いでの総合的な検討を再度してみる必要があるんではないか、こう考えているんですが、この点どうですか。長官にちょっとお伺いします。
  20. 増田実

    政府委員増田実君) このたび成立いたしました石油コンビナート等災害防止法の中には、先ほど立地公害局長から御説明いたしましたように、今後の石油備蓄基地建設にはこれはかかってくるわけでございます。かからないのはレイアウトの段階のいわゆる配置規制の規定だけがかからないわけでございまして、それ以外の規定は全部かかるわけでございまして、いわゆる自衛消防組織の設置義務とか、それから防災管理者の設置義務づけ、あるいは防災規定の届け出義務づけ、その他各種の措置というものは今回の石油コンビナート等災害防止法の成立によりまして全部かかってくる。さらに、いま消防庁から御説明がありましたように、従来の消防法に基づくタンクの設置許可に関します基準の強化というものを図っていくわけでございます。そういう意味で、この石油備蓄基地各種の安全の確保ということにつきましては、これは画期的に変わってくるわけでございます。  そこで、いま先生おっしゃいました、確かに備蓄基地のあります場所は非常に海岸地域の辺陬の場所でございまして、そこの町とか村の消防署の組織が弱いということはございますが、ただこれにつきましては、コンビナート地域の中、あるいは石油備蓄地域の中の自衛消防施設というものはこれは格段な強化が行われ、また、各種保安施設、その他も各種の義務づけが行われるわけでございます。そういう意味で、私どもは今後の備蓄基地の建設につきましては、保安体制というものは非常に整備されたというもので今後建設が行われる、こういうふうに考えておるわけでございます。それで、それにつきまして通産省といたしましては、これは石油企業を所管をしております、また、備蓄基地につきましては業種としての所管官庁でございますから、これらの保安施設の整備その他につきましては十分に指導、監督していく、こういうつもりでございます。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官の方からそういうことで対応していきたいという考え方はわかりました。  それでやっぱり問題は、先ほど私も国土庁計画等を中心にちょっと国土庁の試案そのものを受けて質問しましたけれども、いま民間サイドでこのままの状態で九十日備蓄達成する場合に、一つ資金の問題並びに安全性の問題からいって、なかなか困難ではないかという心配が、われわれ一抹の不安があるわけでありますけれども、問題は、そこで私は、いまの段階、この法律だとしても、将来展望としてこれでは完全に民間サイドでこれが守られるかどうかという問題なんです。  これは諸外国の例を見ても、フランスの例でも一定の量はなるほど民間ベースだけれども、国家計画として七五年までの石油備蓄は一千万トンとフランスの場合も出されるし、西ドイツの場合も、七十日分はこれは一定の民間サイドになっているけれども、それを超える場合はやっぱり国が備蓄をする。これはイギリスを見てもしかりです。いずれにしましても、イギリスの場合はもちろんこれは国家管理の体制になっていますから別でありますけれども、そういう点で、もしどうしても備蓄をこれからしていく場合については、先ほど用地の問題を私出しましたけれども、やっぱりこれは民間サイドだけでは現実の問題としてはできないんじゃないか。これを公団化なりあるいはそういう体制に機能の質を高めない限り、結果的にはこの目標安全性確保されていかない、私はいまだにこういう懸念を持っているわけです。  いま質問の答えを聞きましても、これだという決定的な決め手になる法律となっていないのではないか、こういう心配がまだぬぐい去られていません。しかし、いまその点でお伺いするのでありますけれども、そういう方向にやっぱり質的に機能を高めていく、あるいは機能を改善するという考え方をお持ちなのかどうか。ただ、現状を固定でこのままいくという、達成できるという判断にいまなお立っているのか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  22. 増田実

    政府委員増田実君) 現在の昭和五十四年度末を目標といたします九十日の備蓄政策につきましては、私どもは現在の制度でこれを推進していきたい。もちろん先ほど申しましたようにいろいろの問題点ございますが、これを克服、解決しながらやっていきたい、こういうふうに思っております。  それで、現在の制度は、これは民間のつまり精製業者その他がみずから備蓄施設を持つのと、もう一ついわゆる共同備蓄会社によって推進する、これには国が半分出資いたします。また、相当大幅な援助を与えるということでございますので、この両方で進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  またさらに、いま先生から御指摘になりましたように、諸外国では国みずから持つ。ドイツなどでもそういうことで、岩塩層を使いまして政府みずから備蓄を行うということがいろいろ実際に行われておるわけでございますが、これらにつきましてはやはり九十日を超えた分について政府がやるということで、私ども九十日でこれで十分な備蓄とは考えておりませんが、まず九十日政策をやり、さらにそれを超える分につきましては政府みずから持つということが諸外国で行われている例その他から検討いたしまして、今後の一つの検討課題としていきたいと思います。さしあたりは、先ほど申し上げましたように、大体三分の二は民間みずからが持つ、それから三分の一前後は共同備蓄会社でやるということで、これは若干動きますが、そういう構想で推進していきたい、こういうふうに考えております。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間もありませんから次に進みますが、財源対策資金対策等につきまして最後にお伺いしたいんでありますが、長官の九十日備蓄ということで先ほど来説明を承りました。そこで資金については大体一兆二千八百億をこう出されているわけですね。そこで原油代金が六千六百億円、タンク設備が三千七百五十億円、用地代が二千四百五十億と、大体私なりに数字を把握してみますとこう出されているわけでありますが、問題は、OPECですでに一〇%の値上がりをして、この間も出ましたけれども石油業界が赤字という中で大変なこれだけ上げて、一体この備蓄達成できるかと、かなり業界は批判的だという意見も実は出ておる、この構想については。したがって、これらが必要とする資金を、資金量というものを合理的といいますか、五十四年を目安にしての展望として一体どういうふうに算定されているのかということを、簡潔にひとつお答えを願いたいと思います。
  24. 増田実

    政府委員増田実君) いま対馬先生からおっしゃられましたように、この九十日備蓄達成いたしますための今後五年間における総合計の資金というものが、一応私どもの試算も一兆二千八百億あるいは一兆三千億前後、こういうことになっております。ただ、この中の半分は、いま先生からもおっしゃられましたように、原油代金でございます。原油代金が大体六千六百億前後、こういうことになっております。この原油代金六千六百億円というのは膨大な金額でございまして、石油業界といたしましても現在苦境にあって、資金の調達は非常に困難を感じておる、そういう面から石油業界としても、現在の苦況の中ではなかなか備蓄義務を達成することはむずかしいということは、いま先生がおっしゃられましたように、業界の方でもいろいろ意見があるわけでございます。  ただ、いまの原油代金だけをとってちょっと例で申し上げますと、この原油代金の九割を政府保証で石油開発公団を通しまして、そして石油会社へ貸すという制度は、この五十年度から発足しておるわけでございます。ですからその意味では、原油代金の九割は公団が自動的に貸してくれるということになっております。しかも、金利につきまして一応四%利子補給になっております。ですから、たとえば金利が一〇%であれば四%利子補給で、残りの六%の負担である。ただ、そうなりましても、九割の残りの一割の資金は、やはり石油会社がみずから調達しなければなりませんし、また、いま申し上げました四%の利子補給の残りの六%というものはみずから負担しなければならない。そういう意味では相当な負担がかかるわけです。しかし、いまのように九割、それで四%利子補給というのは、私は相当な国の援助措置で、ほかの例に比べても相当踏み切った措置である、こういうふうに思っております。  それからそれ以外、簡単に申し上げますが、いわゆるタンクの設置とかその他につきましても、これは日本開発銀行あるいは石油開発公団からの融資その他で相当の融資割合の高い八割とか七割、または利率につきましてもできるだけの特利というものでやりたいということで、国としても相当大幅な、ほかの制度に比べましては画期的な援助措置を行っておるというのが現状でございます。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 かなり資金計画をいま御説明願ったわけですけれども、検討してみるに、五十五年度までにはそれ相当の資金計画というものをきちっとしなければならないわけでありまして、それには相当なやっぱり心配になることは、結果的にそれが石油製品の値上がりにはね返ってくるような備蓄のあり方であっては消費者が迷惑である。一面、備蓄は必要としても、それを消費者のツケに回すような備蓄資金調達計画ということであってはならないのではないか。この点については、そうあってはならないし、また、そうしてもらっては困るのであって、この点に対する長官考え方をこの機会に御説明願いたいと思います。
  26. 増田実

    政府委員増田実君) 先ほど御説明いたしましたように、この備蓄を行います石油業者が負担するコスト分というのが、これはどうしても相当な金額になるわけでございます。金利の負担とか、あるいはタンクの減価償却費とか、あるいはタンクを動かします人件費その他各種の費用の負担があります。これを大体五年間の分を計算いたしまして、そうしてそのときの販売量に対してどれくらいの負担になるかということで計算いたしますと、大体キロリッター当たり三百五十円前後ということになります。ただ、先ほど申し上げました各種の助成をいたしますので、その結果、二百七十円ないし二百八十円というのがこの負担になるわけです。  それでこの負担につきましては、本来石油企業がみずからの合理化、効率化によって負担できる分は負担すべきだと思いますが、負担し切れない分は、これはやはり製品価格に転嫁せざるを得ないと思います。ただ、その分につきましては、現在の助成措置を前提といたしまして、キロリッター当たり三百円ということですから、大体その製品販売価格の一%前後ということで、これはやはり石油安定供給、いわゆる安全保障のための一つのコストということで、最終的には消費者の負担とならざるを得ないと思っております。ただ、この負担分をできるだけ少なくするということにつきましては、私どももあらゆる努力を重ねていきたい、こういうふうに思っております。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ大臣にひとつ……
  28. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 最後にしてください。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 五十年度の資金の中で、私、石炭及び石油特別会計の考え方についてちょっとお伺いしておきたいんでありますが、この備蓄構想公団資金等によって——私か知り得る範囲では、石炭・石油特別会計の石油勘定は六十八億六千六百万円、財政投融資関係で一千五百八十四億円、うち、政府保証借り入れが一千三百三十四億円、開銀等で二百五十億円というようなことが計上されているんですが、一番問題は、この間も大臣にお会いして申し上げたように、石炭見直しという、いまエネルギー調査会で答申をする段階。この間、幌内炭鉱で、ここでもやりましたけれども、深部開発における異常災害、その他重大災害に伴う復旧費こういった点では、やっぱり保安対策費というものをひとつより強化をしてもらわなければならない、こういうことをお願いいたしました。そういたしまして、この石炭・石油特別会計が結果的に備蓄なりこういうことにおいて、その会計からしわ寄せをされると、そのために新石炭政策の会計にやっぱりしわ寄せになる、こういうことであっては、これは全く私は反対であります。したがって、そういう点について、石炭・石油特別会計の中における備蓄に関する資金、そのためにこの石炭政策にしわ寄せをするということは絶対にあってはならないことですから、この点の考え方大臣にひとつお伺いしたいと思っているんです。
  30. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石油備蓄政策を進めていきますために、予算あるいは資金のしわ寄せが石炭にいくというふうなことは、これはもう絶対避けなければならぬと思いますし、そのようにやっていきたいと考えております。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 よろしゅうございます。
  32. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最初に、本論に入る前に一つ伺いしたいんですが、石油開発に関連をしてですが、例の一九六八年に、国連のエカフェ調査団が、日韓両国に隣接する海域を含めて東シナ海に豊富な石油資源が埋蔵されている、こういうふうに指摘をされておるわけであります。それに基づいてか、最近はいろんな新聞、雑誌等に、九州沖海底油田から石油が噴出した、こういうような記事であちこち出ておるわけですが、これが一体どうなっているのか、その辺まずお伺いしたいのですが。
  33. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 九州西方の東シナ海一帯に大油田が存在をするということは、まずほぼ間違いのない事実だと思います。そういうことを前提といたしまして、昨年の一月に韓国側と共同開発についての条約が調印をされたことは、もうすでに御案内のとおりでございます。先般、日韓会談で私がソウルに参りましたときも、韓国の総理から、昨年の一月に条約が調印されたが、韓国は批准はしたけれども、日本の方が批准を済まないために共同開発が進まないということは大変遺憾である、韓国側はすでにその後も十分な事前調査をして、いつでも開発に着工できるような準備体制にあるわけだから、日本側も速やかにこれを批准をしてもらいたい、こういう強い要請がございました。  御案内のように、これに対する一つ反対の根拠は、距離的に言えば九州西方でございますから、比較的日本に近いではないか、だから日本が単独開発すべきであると、こういう意見があったり、あるいはまた、この問題から北鮮あるいは中国から文句を言われるんではないか、こういうことを言われる人もあるわけでありますけれども、これを共同開発にすることにいたしましたのは、韓国から見ますとこれは大陸だなであると。ずっと浅い海が続きまして大陸だなであるという形になっておるわけですね。日本は九州西方比較的近いわけでありますけれども、九州西方には海溝が存在しておりまして、そこは非常に深くなっておる。その深くなった海の向こう側に大油田が存在する、こういう推定でございますから、大陸だなであるというふうには主張できない。そこで、いつまでも議論しておったのでは進みませんので共同開発と、こういうふうに条約がまとまったわけでございます。  そういうことでありますので、石油資源がない日本として、ごく近くに大油田が埋蔵されておるということが確認されておる現在でありますから、若干の意見はありましても、政府といたしましては一刻も早く開発をしたい、こういうふうに強い期待を持っておるわけでございます。  最近、ナショナリズムが非常に強くなりましたので、開発をいたしましても大油田を掘り当てますと、各国でパーティンペーション——事業参加というふうなことが起こってまいりまして、開発のメリットというものがだんだんなくなるわけですね。特に一〇〇%パーティシペーションというようなことになりまして、石油のバイバックをいたしましても、他の地区から普通に商業ベースで買う石油と全然条件が変わらぬ、こういうことになりますと、何のために大金を投じて開発をしたか、このメリットが全然疑われる、こういう事態にもいまはなっております。やはり日本近海でありましたならば、これはそういうことは絶対起こりませんし、将来安全な日本の権益として経営することができる、こういうことでございますので、私どもは、ぜひとも一刻も早く国会でこの条約並びに法律が批准並びに可決されましてこれに着工できる、そして日本近海からも大油田が発見された、こういうふうな朗報が早く伝わることを強く期待をいたしておるわけでございます。
  34. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、日本近海の東シナ海に大油田があるということは確認をされたといまおっしゃったんですが、それで、これは週刊誌ですけれども、こんな見出しで出ている。「「日本には石油資源がない」というのは〃神話〃になった。驚くなかれ!このほど、埋蔵量百億トン(中東の全油田に匹敵する)と推定されていた東シナ海の海底から、ついに、原油が噴出したのだ。」こういうような見出しです。それで、このことは韓国民はすでに知っておるじゃないか、なぜ日本政府はそれをはっきり言わないのかというふうなことです。  それで、どこに出たんだとこれ見てみますと、これは「東シナ海の、しかも、日本石油開発が採掘権を持っている鉱区(西九州・男女群島沖合。面積約五万九千七百十二平方キロメートル。九州の約一・五倍の広さ)が、その噴出場所である。」、こういうように出ておるんですがね。ところがこれにつきましては、「お隣の韓国では周知の事実である」、ただ、ことしの五月から八月ごろの間に噴出したというふうに伝えられておる、こういうことが出ておるんですが、この点はどうなってんですかね。通産省はこれは確認しているのか、実際噴出したのか、その辺いかがでしょう。
  35. 左近友三郎

    政府委員左近友三郎君) 御指摘のとおり、週刊誌にそのような記事が出ておりましたので、早速いまお話がありました日本石油開発株式会社に調査をいたしましたけれども、会社からはそのような事実はございませんという返答でございます。ことに海洋で掘削をいたしますのには、相当大がかりな掘削装置を使いましてやるわけでございます。しかも相当長期間も要りますので、そういう事実がない以上、このような記事はやはりどうも事実ではないんではないかというふうにわれわれは判断をしております。
  36. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ところが石油業界のある人は、詳しい人と、名前は出ておりませんが、こうおっしゃっている。「「私は、おそらく、〃メジャー〃側からの圧力だと思いますよ。なんとなれば、日韓両国とも、自分だけでは、石油開発はできないんです。つまり、海底油田の開発技術が〃未熟〃で、ガルフだとか、テキサコとかの技術援助が必要な状況にある。ところが、〃メジャー〃としては、中東の石油採掘も手がけているわけですから、日本近海で石油が出ることは、ありがた迷惑以外の何物でもないんです。しかも、新規の開発には膨大な費用がかかるが、中東での石油採掘には、ほとんどカネが必要なくなっている。いわば、もうモトをとり終わっていて、このアト出る石油は、全部利益にまわるとさえいわれているほどなんですから…」」、こういうようなことが書いてある。だから、よけいな石油が日本近海から出てもらったら困るんだ、中東の方は、いま自分のところの方はもう償却して、これからの分はもうけになるんだから、余り声を大きくして言うてくれるなという、こういうようなメジャーの圧力がある、こういうふうな意味だろうと思うがね、いかがです。
  37. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在、中東での石油の産出の操業は大体七割強、こういうふうに想定をしておるわけでありますから、なお七、八億の余力があるわけであります。でありますから、そういうニュースが伝わったのではないかと思いますが、先ほども申し上げましたように、すでに条約が調印されましてから二年近くにもなるわけでありますから、韓国側もおよそ十カ所——最も有望な地点十カ所等におきまして、いつでもスタートの態勢を整えておる、こういう事態でございますから、日本も、先ほど申し上げましたように、遠方で大金を投じて開発をして、しかもそれが成功した場合にパーティシペーションで取り上げられる、こういうことをやる前に、やはり日本近海の有望な油田に着手すべきである、こういうことを強く期待をいたしておるわけでございます。
  38. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この問題はこの程度にいたしまして、少し本論についてお伺いしたいと思います。  この備蓄法案はいろいろ問題もあるようでありまして、九十日分を備蓄をする、この基本的な原則については私も理解できないでもないわけでありますけれども、先ほどから質問がありましたように、備蓄施設立地難の問題、あるいは安全性確保の問題、あるいは備蓄費用の負担の問題等、いろいろこれ問題があるようでありますので、若干お伺いをしたいと思います。  それで質問も重複する点もありますが、まず最初に、今度五十四年までに九十日分の原油備蓄をするということですが、この九十日というのは、どういうような根拠になっているのか。まあ欧州各国はこの表を見ますというといろいろありますが、七十日、八十日あるいは百日とありますが、これだけ、九十日さえあれば、一体緊急時の安定供給というのが確保されるのかとか、この九十日の根拠ですが、この点をまずお伺いをしておきます。
  39. 増田実

    政府委員増田実君) 九十日というもので安定供給確保が図れるかどうか、これはもちろん多いにこしたことはないわけでございますが、今般昭和五十年度を初年度といたしまして、五年間、つまり昭和五十四年度末までに九十日備蓄という目標を立てました理由を申し上げたいと思いますが、一つには、現在ヨーロッパの諸国におきまして大体九十日から百日というものを持っておるわけでございます。日本が六十日前後だということで、著しく備蓄数量が少ないということで、先般の石油危機におきましても、これはもちろん、日本の石油依存度とヨーロッパの石油依存度と若干差がございますが、日本では非常な大きな騒ぎになっておる。ところが、ヨーロッパの方は相当備蓄を持っておるということで、日本と比較いたしますと、この石油危機のときの騒ぎというのはほとんど少なかったわけでございます。  それで、九十日につきましては、一九七一年にOECDで、これはヨーロッパ諸国だけですが、九十日の備蓄確保することを勧告いたしております。それからそれを受けまして、やはり一九七一年の十月でございますが、ヨーロッパ共同体——ECで九十日の備蓄確保を各加盟各国に対しましてやはり勧告いたしております。そういうことで、大体ヨーロッパ諸国では九十日というのは基準になり、また、そういう正式の勧告もOECDとかあるいはECで行われておるということで、私どもも西欧、ヨーロッパ並みの備蓄数字達成するということを目標にいたしたわけでございます。
  40. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから私がお伺いしたいのは、ヨーロッパが大体九十日だから、まあそういうところでというような、ただそれだけの理由では、どうもそれじゃ問題が起こった場合に九十日で全部大丈夫かというと、必ずしも大丈夫じゃない。百日あったらいいのか、百日でもこれは断定はできないわけですね。ですから、その辺のところも少し明確な根拠があるようでないようなものである。OECDでは勧告した、わが国石油は大方輸入に依存している、何となく九十日あれば少し安全だろうと、この程度しか、私どもとしてはそういう理解しかできぬわけですね。  そうしますと、いまあなたは日本は六十日分ぐらい備蓄があるとおっしゃったのですが、これは季節によってまた変動もあるらしいのですが、大体どの程度いま備蓄をされているわけですか。いま相当だぶついておりますね。その辺いかがですか。
  41. 増田実

    政府委員増田実君) 現在の備蓄数量でございますが、九月末を申し上げますと、原油とそれから製品、半製品両方合計いたしまして五千二百八十一万キロリッターということでございまして、これを前年度の内需の一日当たりの数量で割って計算いたしますと七五・一日でございますそれから十月に、ここに速報が来ておりますので十月の数字を申し上げますと、合計いたしまして五千六百九十四万キロリッターでございます。それをいまの計算で日にちで割りますと、八〇・八日ということになります。  先生がいまおっしゃられましたように、最近非常に原油のだぶつきがあるわけでございます。特にこの十月はOPECの値上げが九月二十七日に行われたわけでございますが、その前に契約を若干よけいにいたしましたものが十月に相当到着しているということで、八十・八日という数字になっているわけです。それで、この八十・八日というものになっているなら、九十日目標にもうあと十日じゃないか、こういう形に一応なるわけでございますが、これは毎年同様でございますが、大体十月がピークでございまして、各場に備えまして原油あるいは製品というものが備蓄されるわけでございまして、この十月とそれから翌年の三月との比較は十日前後落ちるというのが、これは毎年の例になっております。それから見ますと、十月に八十・八日というのが、来年の三月に七十日に達する数字ということからいいますと、大体これで来年の三月には七十日という備蓄ができる、こういうことになると思います。
  42. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、やはりこの七十日分というのは、結局タンクの中に入って、全然まるきり使わないというわけじゃないでしょうが、いわゆる石油元売りの何といいますか、ランニングストックといいますが、操業に必要なのは大体何日分ぐらいなんですか。
  43. 増田実

    政府委員増田実君) 石油企業が通常の運営をいたしますに当たりまして必要なランニングストックというものの、日数換算で申しますと、大体四十日か四十五日というのがいわゆる通常の運営をするために必要なランニングストック、こういうふうに言われております。
  44. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと完全な備蓄というのは、大体九十日分仮にたまったとしても、あと半分とそういうことになりますね。それで、いろいろとこれは御意見もあるようでありますが、こういう今日のようなだぶついた状態で、石油業界が赤字の状態で、行政指導というものは通産省のお得意じゃないか。だから別にこれを法制化しなくても、行政指導によってもあと十日や十五日ぐらいの程度のものであればできるのじゃないか、こういう意見もあるようでありますが、いかがでしょうか。
  45. 増田実

    政府委員増田実君) 九十日備蓄政策を推進するに当たりまして、いま中尾先生がおっしゃられましたように、法律でこれを行わせるということでなくて、行政指導というもので行い得るのではないかということでございますが、私どもといたしましては、まず今回この法律の御審議をお願いいたしております。ぜひともこの法律が必要だという理由の第一は、この備蓄をやはり計画的に進めていきたいということでございます。それからまた、計画的に進めるに当たりましては、やはり各企業にとって公平に計画的に進めるということが必要だと思います。  これにつきまして、行政指導でそういう基準をつくってやればいいではないかという反論もあると思いますが、やはり法律の裏づけをして、そして各石油業者に対しましていわゆる義務づけ、保有の基準量ということで毎年出すわけでございますが、法律をもとにしまして、そして公平な義務づけを行うということがやはり必要だと思っております。そういう意味で、いわゆる行政指導でやるのでなくて、法律をバックにし、また、法律による保有義務というものを課しながらやっていかなければならない、こういうふうに思っております。  それからもう一つの点につきましては、相当な大幅な助成措置というものが備蓄のために用意されておるわけでございますが、やはりこういう予算措置あるいは財政措置というものを行いますに当たっては、法律の義務づけというものがあるということを根拠にいたしまして、法的ないろいろの義務があるということでこの予算を用意するということが必要だと思います。いわゆる行政指導ということで先ほど私から御説明もいたしました、たとえば四%の利子補給とか、あるいは九割までの政府保証資金確保するということは、なかなかそれはむずかしいということで、また、現在の予算措置をさらに強化していきたいと思っておりますので、やはりそのためには法律で義務づけられておるということが必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、あと大体三十日分ぐらいの備蓄を増すということになるわけですが、先ほど対馬君からいろいろありましたけれども安全性の問題がこれは一番厄介な問題で、ちょっとお伺いしますけれども、三千万キロリットルをこれから積み増して、それに必要な石油タンク、これはタンクは大きいのもあれば小さいのもあるでしょう。いろいろあるでしょうが、大体十万キロリットルですか、あのごついやつ。あれでどのくらいになるのか。  それから、場所の問題もそうですが、私もこの前鹿児島湾の喜入のタンク基地を見てきましたけれども、あの喜入タンクは一体どのぐらいあるのか、タンクの数は幾つぐらいあるのか、あの程度のものは一体幾つぐらいになるのか。少しずつ聞きましょう。
  47. 増田実

    政府委員増田実君) まず、三千万キロリットルを備蓄いたしますのにタンクがどれくらい必要かということについてお答え申し上げますと、これは貯油率によりまして基数が変わるわけでございますが、今後の三千万キロリッターというものは相当タンクいっぱいまで入れていい、つまりランニングストックの分につきましてはいわゆる五〇とか五十幾つという貯油率がございますが、これにつきましては八〇%で計算いたしております。この八割で貯油率を計算いたしますと、十万キロリッターのタンク三百七十五基が必要になるというふうな計算でございます。  それから、この三百七十五基のための必要な土地でございますが、これは先ほど消防庁の方からも、基準の改正が行われて、近くその強化が発表されるわけでございますが、従来に比べまして相当余地を必要といたしますので、一基につきまして、坪数で換算いたしまして、十万キロリッター一基タンクに必要な土地として一万三千坪ということで計算しております。そうなりますと、三百七十五基を置くために必要な土地が全部で約四百九十万坪、こういう計算になります。  それから次にお尋ねの喜入の基地でございますが、現在喜入の基地は六百六十万キロリッターの容量のタンクになっております。具体的なタンクの基数で申しますと、十万キロリッターのタンクが三十基、それから十五万キロリッターのタンクが二十四基、こういうことになっております。それから喜入地域の面積でございますが、これは百八十八万平米ということになっております。これは全部埋立地でございます。
  48. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体わかりましたが、そうしますと、これは三千万キロリットルのタンク並びに用地を新たにつくらなければいけないのか、もしつくるとした場合ですよ。現在でもすでにいろいろとタンク基地もあるし、コンビナートもあるわけですから、あの辺にもタンクがあるわけですね。ああいう現在既設の分は使われないのか、そういうものを使われるとすると、そういうものを差し引いたらどの程度ぐらい要るのか、その辺はいかがですか。
  49. 増田実

    政府委員増田実君) 先ほど申し上げました三千万キロリッターの備蓄基地を新しい基準で設けるための必要な土地が四百九十万坪、千六百万平米必要なわけでございますが、いまお尋ねのそのうち新しく獲得する土地と、すでにタンク用地として用意されておる土地という内容でございますが、現在石油会社その他がタンク用地といたしまして取得しており、まだタンクを建設してない、いわゆる未使用地は五百六十三万平米、坪数にいたしまして百七十万坪でございます。いたがいまして、今後三千万キロリッターに必要な四百九十万坪から百七十万坪、いまの未使用地を引きますと、新たに造成したりその他取得する必要がある新規の土地は三百二十万坪、こういう計算になります。
  50. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、結局こういうのはいまの日本の技術では海岸べりというようなことになりますね、先ほど対馬君からありましたように。これがいろいろと問題が出てくるわけでして、例の沖縄の金武湾の問題でも、これはまた非常に厄介なことになっておるわけでして、ああいうことを私どもは想定するので、なかなかこの法案に対してすんなりと賛成というようなこともできないわけです。それで水島の事故もありましたし、これからいずれ法案が通りますと推進をされていくわけですが、環境破壊防止の点についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。ただもう住民了解さえ得られりゃそれでいけるのだと、ばんばんやられてもこれは困るわけでして、日本列島みんなタンクだらけになっちゃって、それはもう地震とか火災とか、一朝事あったら大変なことになるわけですからね。飛行機の上から見れば、本当に海岸線はみんなタンクで埋まっておるというような状態です。いかがですか。
  51. 増田実

    政府委員増田実君) 石油備蓄の増強を進めるに当たりましては、これはやはり安全対策が最も重要だというふうに私ども思っております。また安全対策をきちっとやることによりまして地域住民の協力を得ることができる、こういうふうに思っております。このために、従来からの消防法の規制というものが水島の事故を契機といたしまして、さらに強化されることになっております。また、今回成立いたしましたコンビナート等防災法によりまして各種の規制が強化されまして、そういう意味では安全対策上非常な飛躍的な措置ができるようになっております。そういうことで私どもといたしましても、今後備蓄を行います企業に対しまして安全、保安対策につきまして十分な措置をさせるということでやっていきたいと思います。  それから、いま先生からおっしゃられました陸上タンク方式というもの以外に、たとえば欧州諸国でやっておりますように地下方式、岩盤の中に入れるというようないろんな方式あるわけでございます。これらにつきましては現在私どもの方も、そういう方式につきましての技術的な可能性その他につきまして各種な調査を現実にやっております。ただこれらにつきましては、日本では若干欧州諸国といろいろ地質構造が違いますので、一部ドイツで行われております方式、あるいはスカンジナビア諸国で行われております方式、これは実際にもう実用化されている方式もあるわけでございますが、それがそのまま日本に当てはまるかどうかということにつきましての技術的な研究をいたしておるわけでございます。
  52. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは後で聞きますけれども、それで結局基地をつくるにいたしましても、環境庁がこれは反対すればできないわけでしょう、そうでしょう。環境庁の面からも、環境を整備する面において、向上する面においてもこれは非常にやりにくくなってくるわけですからね。ですから、いまあなたがおっしゃったように、これからやっぱり海岸べりしかできないのかということも私は検討していかなきゃならない、こう思うんです。  それでいろいろと新聞等にも出ておりますが、現在のタンク基地のあり方ということについて、一部の新聞報道等にもいろいろこれは出ておりますが、ちょっと参考にお伺いしますが、海岸べりの海底の中に旧海軍が使ったような海の上にタンクというか、枠だけつくって、底は海水を利用する、その海水の上に油が浮いているというような、そういうようなことも検討されておるようですし、それからいまあなたがおっしゃったような岩盤の中にタンクをつくる、こういうようなことも資料としては出ておりますけれども、その辺の最近の備蓄に関するいろんな技術のあり方について少し参考にお伺いしたいと思うんですがね。
  53. 増田実

    政府委員増田実君) いま先生からおっしゃられましたように、備蓄の方法につきましてはいろんな技術的な研究がされておりまして、いわゆる現在日本で行われます陸上のタンク方式だけではなくて、たとえば西独における岩塩層の利用、それからスカンジナビア諸国におきましては、これは現実にすでに数カ所行われておりますが、地下方式ということで、地上にはほんのわずかの施設しか出ておりませんで、それで地下で石油備蓄する、こういう方式がこれは現実にもうすでに行われておるわけでございます。それから、いまおっしゃられました海洋備蓄方式、これはアメリカで相当研究が進んでおるわけでございますが、海洋、つまり海の上にタンクを置く、あるいは海面下にタンクを置きまして、そこに備蓄をする。海の上に置く分につきましてはいわゆるフローティング方式と申しまして、浮いた形でタンクが海上にあるわけでございますが、この方式につきましてもアメリカで相当な研究と実験が行われておるわけでございます。それから、いまの海面下のいわゆる着底方式によります海洋備蓄方式につきましても、これも相当研究が進んでおります。  そういうことで、私どもの方もこの海洋備蓄システムにつきましては社団法人の日本海洋開発産業協会に委託調査を命じまして、委託調査費を国の予算で支出いたしましてその研究を進めておる、こういうことで、陸上タンク方式だけでなくてさらにいろんな方式というものを考えていきたいと思っております。ただ、これらの方式につきましてもやはりいろいろ問題点があるようでございまして、そう簡単に結論を出すのには、今後日本に当てはめていくときの問題点というものを解決いたしませんと結論には達し得ない、こういうふうに思っております。すでにこれらの研究は現実に国の金を支出して始めておるというところでございます。
  54. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、大体検討の段階ですから五十四年度までとうてい間に合うわけはないと。ですから当分いまのタンク式でやるということでしょうが、それで消防の関係等もこれは非常に問題があるようです。先ほど対馬君から質問がありましたので大体は了解いたしましたけれどもコンビナート防災法そのものは通ったけれども、消防庁自体が非常にまだ設備も貧弱である。これなんかも新聞にもでかでかと出ておりますが、私どもは非常に心配しておるわけです。大火災が起こったらお手上げだと出ておるんですからね。これは各消防署の意見を聞いているんですね、これは毎日新聞ですけれども。現在の設備で大丈夫かと、この答えを見ますと、もう皆頼りない答えが出ているんですね。そういう面からも、詳しく言いませんけれども、非常に私どもまだ心配な点もあるわけです。  それで最後に、備蓄増強対策につきまして、あなた方の方で昭和五十一年度に対する方針等もいろいろと出ておりますが、これにつきましてちょっとお伺いしますが、これは二十ページにありますね、「五十一年度においては、次のような施策を講ずる」と。これに基づいてひとつ質問していきたいと思います。  まず一つは、「共同備蓄の推進」ということで、複数の石油企業と石油開発公団と両方で出資をして共同備蓄会社をまずつくろうということですが、これが五十年度は公団対民間が一対一であったのを二対一にする、これは来年度がこういう方針でいくということでしょうがね。仮に三十億の共同備蓄会社ができるとしますと、そのうちの十億はこれは民間の企業が出す、そういうことになろうと思いますが、そういうことですか。
  55. 増田実

    政府委員増田実君) そうです。
  56. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、その十億につきましては融資の道がある、こういうことですか。その辺ちょっと説明してください、この出資のところ。
  57. 増田実

    政府委員増田実君) これは五十年度と五十一年度とありますが……
  58. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 五十一年度をいま聞いている。
  59. 増田実

    政府委員増田実君) 五十一年度で私どもの方が予算要求いたしておりますのは、新たに共同備蓄会社をつくりますときに、出資金につきましては国が二、それから民間が一と。それでいま先生から具体的におっしゃられましたように、三十億の資本金の場合は民間が十億を出し、それから国が、まあこれは石油開発公団を通しましての出資でございますが、二十億を出す。  それから融資の関係は、いまの三十億の会社ができまして、そしてタンク建設その他の事業を行う場合に、これは別途にその会社に対して融資をするということでございます。したがいまして、いまの十億は民間企業がみずから出すということでこれは手金で出資をする、こういうことになるわけでございます。
  60. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、十億を民間が手金で出すと、手金でできるところもあるし、あるいはまたほかの方から融資を受けるということになるんだろうと思いますね。  それから、次の備蓄原油購入資金融資、これは先ほど対馬君から質問がありましたので省略しますが、結局この二対一の一の分は、これは民間が相当負担があるわけですね。その辺のところにもやはり民間会社の批判もあるようだし、いろいろと話を聞きますというと、石油会社そのものが出さなくても、これは一に当たるものを損保会社等が出資をする、そういうこともあり得るのですか。その辺はいかがですか。
  61. 増田実

    政府委員増田実君) いまの二対一の一の民間負担分ですが、これにつきましては民間の石油会社あるいはそれに関連企業が出資するわけでございますが、その金の出どころは先ほど私手金と申しましたが、その分を銀行から借りたりその他で出資する場合も、これは現実には出てくると思います。いずれにいたしましても、出資金のうちの三分の一をこれは民間で出してもらう、その場合にはその二倍の金額を国が出資をする、こういう制度になっているわけでございます。
  62. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いや、私が聞いているのは、いろいろ〇〇共同備蓄会社というのができるわけですね。これは当然株式会社になるわけでしょう。そうするとその株をやはりほかの損保会社あたりが株を保有する、株によって出資をするということもあり得るわけですか。この辺はいかがでしょうか。
  63. 増田実

    政府委員増田実君) この民間分三分の一につきましては、これは原則として私どもは複数の石油会社が出資する、こういうふうに考えておりますが、それ以外のつまり民間が入るということについては、これは別に制限があるわけではございません。ですから、その意味でたとえば銀行とかあるいはほかの会社がこれの出資をして、そして株主になるという場合もこれは現実には出てくると思います。
  64. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、この二対一の一は必ずしも石油会社だけじゃないわけですね。ほかのもの、いまおっしゃったように銀行とか損保会社、そういうものが入ってくる、この一の中に。そういうふうに理解していいんですか。
  65. 増田実

    政府委員増田実君) この三分の一の出資金につきまして先ほど御説明いたしましたように、これは民間分で、これを全部精製会社が持たなきゃならぬということはございません。ただ、私どもの方の一応今後の計画として考えておりますのは、この三分の一の分の半分以上は、つまり六分の一以上はやはり精製会社に持ってもらいたい、こういうふうに思っております。そうでないと、責任体制その他いろんな問題について責任が持てないということが出てくると思いますので、一応その六分の一以上は精製会社が持つ、それからその残りの六分の一につきましては、これは関連会社その他が持つ、場合によれば銀行が持つこともあり得る、こういうふうに考えております。
  66. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはまたあさって参考人も来るそうですから、いろいろと聞いてみますけども、それからもう一つ石油備蓄施設立地促進交付金、これは今度来年からつくるわけですね。これをもっと詳しく説明してくださいよ。これは大体読みましたけども、これを見ますると、石油備蓄施設の貯油能力一キロに四百円の交付金を交付すると、それとさらに周辺の市町村にも交付されるわけですが、これはどういうふうになるんですか。
  67. 増田実

    政府委員増田実君) 来年度の予算で新しく私どもの方から、石油備蓄施設立地促進交付金という制度の新設を出しておるわけでございますが、これにつきましては、石油備蓄施設につきまして、いわゆる貯油能力一キロリットル当たり四百円で計算いたしまして、たとえば例があれですが、一万キロリットルですと四百万円になるわけです。その金額を備蓄施設が建設されますその市町村、それから同額を周辺の隣接します市町村に交付する、こういう制度でございます。そしてこの交付されました金額によりまして、道路とか公園とか環境衛生施設、あるいは福祉施設の公共施設の整備に充ててもらおうということで、備蓄基地になりました市町村、それからそれに隣接する市町村につきましては、そういう公共施設の整備を図るということでございます。それでこの制度は、すでに電源促進のために発電所が建設されました市町村及びその近接市町村につきましてこういう交付金制度があるわけですが、一応これにならいまして、備蓄の推進の円滑化を期するために新しい制度として設けたい、こういうことで現在大蔵省と折衝中でございます。
  68. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 としますと、十万キロのタンク一つで四千万、そういうことですね。十万キロのタンクが十個できる用地住民了解した、そうすると四億ということですが、そこのタンク用地のある市町村に四億、それからその周辺にまた四億と、こういうことになるんですか。
  69. 増田実

    政府委員増田実君) そのとおりでございます。
  70. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いろいろこれは財政負担の費用負担の面からも、また業界の批判もありますし、立地その他問題もあるようでありますので、非常に私どもは今日このようにだぶついておるときに、果たしてこれ以上いろんな角度から検討して強力に推進しなきゃならぬのかというような疑問も多少あるわけであります。しかも、お金が一兆二、三千億ということですが、これはいまの段階であって、こういう五カ年計画というようなものは、一年、二年するともうそれで計画変更になるでしょう、費用の面が。いろんな学者が検討した結果大体倍くらい要るんじゃなかろうか。二兆五、六千億円の金が要るんじゃないかと、こういうことも言われておりますので、なかなかこれは簡単に踏み切れぬわけでありますが、大臣に最後に、いろいろと行政指導等でやってもいいじゃないかという意見もあります。それも先ほど、財政の面で大蔵省がどうしても法律化しなければならぬということもありますけども、なぜこれを今日のインフレの状態に、まして非常にいまむつ港だってああいうふうに住民反対しておりますしね、それから日本列島みんなタンクだらけになるような感じもするわけです。環境の面からでもどうかと思うんですが、総括的に国務大臣からお伺いいたしまして、質問を終わりにします。
  71. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) つい先般、総合エネルギー調査会から今後のエネルギー政策のあり方として中間答申をいただきましたが、それによりますと、今後努力をいたしましてエネルギーの分野において石油の依存率を減すようにいたしましても現在は約七八%を石油に依存しておりますが、それは六三%までぐらいしか減らない。しかも、他のすべての条件が理想的にいった場合がそうである。こういうことで、依然として三分の二見当近いものは石油に依存していかなきゃ日本はやっていけない、こういうことになっております。しかも御案内のように、石油は一日分しか日本近海から賄えない。まあ九州西方の大陸だなの開発が進めば別でありますけれども、現状はそういう状態でございます。そういうことから考えますと、国民経済上どうしても最低やっぱり三カ月、できればもう少したくさん持ちたいというのがいまの私の強い考え方でございます。海外における石油開発ももちろん大切でありますが、むしろそれには若干の不安定性がある。石油備蓄ということは非常に一〇〇%確実な、このエネルギー政策上大きな強みでございまして、そういう意味から国民経済上必要であるということが一つ。  それからもう一つは、やはり世界各国と、特に先進工業国と協調いたしまして、日本はいろいろ話し合いを進めておるわけでありますが、IEAの場等におきましても、お互いに九十日見当はひとつ持とうじゃないか、そうして何か事があって困った国があるとしたらひとつ助け合おうじゃないか、こういう話し合いも進んでおりますしいたしますので、若干の経費もかかりますけれども国民経済全体から見ますとそう大きな金額でもありませんし、それから、このことによりまして若干のコストは高くなりますけれども、全体に平均いたしますとキロ当たり三百円見当でほぼ一%程度である、そういうことでもありますので、経済上の安全保障、こういう意味から、日本の実情を考えましてこの制度をぜひとも実現をしたい、こういうことを考えておりますので、どうぞ御理解を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。
  72. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  73. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き石油備蓄法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  74. 安武洋子

    ○安武洋子君 この法案石油備蓄法案、これは石油の九十日備蓄達成するために、政府備蓄計画、これは石油各社の保有義務によって裏づけていく趣旨で出されているわけです。この九十日備蓄計画というのは、石油安定供給と、こういう名目になっておりますし、御提案理由もそうなんですけれども、この備蓄方針というのはどう見ましても私は、実際にはIEAの備蓄義務、それから緊急融通制度に基づく構想である、こういうふうに思うわけです。この構想に従ってアメリカ、ヨーロッパ諸国並みに備蓄計画を進めるにしても、アメリカとかヨーロッパ諸国のように石油や石炭など、一定の国内のエネルギー自給力、こういう国は持っているわけですけれどもわが国はないわけです。  同時に、その多くの国で、すでに九十日を超える石油備蓄を持っているヨーロッパ諸国の平均は九十八日になっているわけですけれども、こういう国々と違って、わが国ではエネルギーの七七%を石油に依存をしている。しかも、そのほとんどが輸入に頼っている、こういう現状です。だから同じ九十日備蓄と言っても、今後膨大な費用をこれらに急激に投資しなければならない。しかも用地とか施設とか、こういうものも急激に賄っていかなければならない。こういうことで、同じ一口に石油消費国だと言いましても、それぞれ大変国によって実情が違うわけです。  特に日本の場合は、先ほど申し上げたように、ほかのヨーロッパとかアメリカに比べて九十日備蓄をするには非常な困難が横たわっているというふうに思うわけですけれども、私の質問は、どうしてこんな無理をしてまでなぜ諸外国と足並みをそろえなくてはならないのか、こういう疑問を持つわけですので、この点をお伺いいたします。
  75. 増田実

    政府委員増田実君) 備蓄につきましては、一昨年の石油危機の経験から、わが国における石油依存性の非常に高いこと、また、いま先生からお話のありました大部分、九九・三%が輸入であるというようなエネルギー構造から見まして、相当な備蓄がないと、もし石油供給が不円滑になった場合には、これは全産業、ひいては国民生活に非常に大きな影響を及ぼす、こういうことから備蓄をふやすという政策を立てたわけでございます。具体的に申し上げますと、本年度を初年度といたしまして、五カ年間に六十日から九十日、つまり三十日分をふやす、こういう計画でございます。  いま御指摘がありましたように、日本のエネルギー構造から申しますとヨーロッパよりも非常に弱い、そういう意味ではヨーロッパ並みの九十日あるいは百日ではむしろ足りないのではないかという問題もございますが、さしあたり五年間で少なくともまあ三十日ふやして、九十日備蓄という欧州諸国並みの線にまで持っていきたい。そのためには今後新たに土地取得あるいはタンクの建設、しかも石油業界は非常にいま赤字経営でございますので、それの負担が非常に多いということで、いろいろの問題点があるわけでございますが、ただ備蓄の問題につきましては、私はヨーロッパ諸国に比べまして、日本においてもっとこれに対する必要性が高い、こういうふうに思っております。そういうことで、これは何も石油会社だけがやるんではなくて、やはり政府とそれから石油会社、それからこの備蓄基地が建設されます地域住民方々の御協力というものを全部背景にして、そしてこの備蓄政策を進めていきたい、こういうことで考えておるわけでございます。  九十日で足りるかどうかについては、もちろん問題がありますが、五年間で九十日備蓄というものは、あらゆる努力を重ねて達成すべきであると考えております。また、努力によっては達成できるというふうに考えております。そのために今回の法案につきまして、これが御審議の上制定されましたら、これを背景にいたしましてあらゆる努力を重ねていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの御答弁を伺いますと、ではこの九十日備蓄というのはIEA、IEPと全く関係がないと、こういう御答弁でございますか。
  77. 増田実

    政府委員増田実君) 私どもの方で九十日備蓄政策を計画いたしましたのは、このIEAで九十日備蓄についての努力目標というものが決まります前から計画をし、また、すでに五十年度から発足いたしておるわけでございます。IEAの方では、ことしの九月に、一九八〇年までに九十日備蓄にIEA参加諸国が持っていくということを努力目標として一応決定がなされております。ただ、これにつきましては、確かに九十日備蓄ということで数字も合っておりますし、年も合っておりますが、わが国備蓄計画というものは、むしろその前からでき上がっている、こういうことでございます。
  78. 安武洋子

    ○安武洋子君 では現に、いま日本はIEAに参加して、IEPの緊急融通制度の前提としてこの九十日備蓄、こういうものが義務づけられておると思うのですけれども、そうではないのですか。
  79. 増田実

    政府委員増田実君) IEAの中に緊急融通制度というのができ上がっております。それから九十日備蓄という努力目標ですから、これは義務ではございませんが、努力目標ということで、この九月のIEAの理事会でこれは決定になっております。ただ、この九十日の努力目標はIEAで定めまして、まあ今後の融通のときの一応の基準にする、つまり九十日備蓄達成しないところも九十日あるとして、その融通制度が動く、こういうことになっております。ですから、九十日備蓄達成していない国がありますと、融通の方は九十日備蓄あるものとして計算しまして、その分しか融通を受けられないということで、融通制度が施行されましたときには不利になると申しますか、一応九十日あるものとして計算されますから、融通の数字がそれだけ減るというマイナス点はあるわけでございますが、いま先生がおっしゃられましたように、IEAという国際機関で、九十日備蓄というものが義務づけられているということではございません。
  80. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの御答弁では、IEAとIEPに完全にやはり関係があるということを御答弁なさっていると思うわけです。それで四十九年の七月二十三日に総合エネルギー調査会、ここの石油部会の「中間取りまとめ」ですね、この中にも出ているわけです。ここの「石油備蓄の増強」という中ですが、「国際的にもOECDなどの場において緊急時における消費国の負担の均衡のために我が国の備蓄増強が求められている。」こういうふうにも言われているわけなんです。   〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕 ですから、これはいろいろと国内の供給を安定させるというようにおっしゃっていながらも、私はやはりこれはIEA、IEPに基づく備蓄だと言わざるを得ない、こういうように思うわけです。  それで、次にお伺いいたしますけれども政府供給削減、こういうものがあるという前提に立って、国民生活に対してスムーズな安定供給をするために莫大な九十日備蓄というものを打ち出しておられる、こう思うわけですけれども、そのとおりでしょうか。
  81. 増田実

    政府委員増田実君) いまの御質問にお答えする前に、先ほど私が御答弁申し上げたことにちょっと誤りがございましたので、訂正させていただきたいと思いますが、九月のIEAで決まりましたのは、来年の一月一日までに七十日に持っていくという努力目標でございまして、九十日の方は先ほど一九八〇年の努力目標と申し上げましたんですが、一九八〇年にするかどうかにすることについてはまだ先の理事会で決定される、こういうことになっておりますので、答弁の間違いをおわびいたします。  それから、いま御質問のありました供給削減、つまり、日本に到着いたします石油が減るということを想定して、そして九十日備蓄というものを計画しておるかということでございますが、これにつきましてはそのとおりでございます。ただ、供給削減と申しましても、これはいろいろございまして、先般中東戦争を契機といたしまして、その後いわゆるOAPEC諸国の決議で輸出の削減供給削減というのが行われたわけでございますが、それだけではございませんで、たとえば中東諸国におきまして戦乱が起こるとかあるいは天災が起きまして、油田が故障を起こすとかいろんなことがございます。これはそういう意味で、石油は世界各地から日本が輸入しておるわけでございますが、その供給削減ということは、いわゆる意識的に供給をカットすることももちろん含まれておりますが、それ以外のいろんな理由によりまして日本に期待しただけの石油が着かないということは、これは可能性としては非常に起こり得るものである、その際の安定供給確保するために九十日備蓄確保いたしたい、こういうことでございます。
  82. 安武洋子

    ○安武洋子君 いろんな供給削減の理由が考えられるという御答弁でございますけれども、この提案理由説明の中にも、「一昨年の石油危機の経験に照らしても」云々というふうなことで、やはり一番大きなのは、一昨年のような形での削減というものを私は前提に置いていらっしゃると思うんです。それは間違いでございませんでしょう。
  83. 増田実

    政府委員増田実君) 一昨年の経験に照らして備蓄をやらなければならないと申しておりますのは、一昨年供給削減が行われまして、それによりまして日本のエネルギー構造がいかに弱いか、また、石油供給が減りましたときに、物価の高騰とか、あるいは洗剤、トイレットペーパーなどに見られましたような取りつけ騒ぎと申しますか、混乱というものが生ずるということで、一昨年の経験と申しますのは、石油が減ったときにいかに日本経済に大きな影響を与え、社会的な混乱を招くおそれがあるかということで、その経験に基づきましてやはり備蓄はどうしても増強しなければならない、こういうことでございます。
  84. 安武洋子

    ○安武洋子君 一昨年の石油危機のときにも、日本に対して石油削減をやったのはこれはメジャーですね。本当に供給削減をなくして国民生活安定供給を図るということになれば、私は第一の重要な点としては、産油国との友好関係を何としてでも促進しなければならない、こういうふうに思うわけです。これは平等互恵の貿易関係を築き上げる、そしてそれを維持するために努力をする、こういうこと抜きではだめだと思うんですね。それはアラブの民族主権、それから資源の恒久主権、これを認めるというだけではなくて、やはりさらに擁護していくという、こういう立場に立った日本の外交、この姿勢こそが私は何よりの安定供給の道だということ、これはわが党が幾度も指摘もしておりますし、衆議院の論戦の中でも申し上げたとおりでございますけれども、やはり私はこういうふうな姿勢が貫かれておれば、一昨年のような石油危機のときにでもああいう削減は受けなかったというふうに思いますし、それから石油供給についても十分の見通しが持てるというふうに思うわけです。  政府は、いつも産油国との友好は口にはされております。しかし、実際的にはいろんないままでの経過を見てみますと、産油国に対して対決する路線に加わっているというのは、これはもう世界的な常識ではなかろうと思うわけです。さらに一昨年の石油危機で日本への供給削減、これは先ほども申し上げたとおりにやはり国際石油資本なんですね。こういう国際石油資本の支配から脱却するというふうなことも、これは非常に必要ではないかというふうに考えるわけなんです。そのために国際石油資本の事業活動というもの、これは透明にしなければならないというのが先ほど申し述べました総合エネルギー調査会の答申の中でも言われているわけですね。そのためにいままで通産省としてはどういう努力を払われてきたのかということを、大臣にお尋ねいたします。
  85. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いまお話がございましたように、やはりいま世界の最大の産油国は中近東諸国でありまして、中近東諸国との友好関係、外交関係を大切にするということは、これはもう最大の外交方針でなければならぬと思います。そういうことでございますから、ことしの一月の総理大臣の施政方針演説におきましても、外交問題の中では真っ先にこの中近東との外交ということを取り上げまして、最大の時間をこれに費やして、中近東外交に対処するわが国基本方針につきまして三木総理からるる説明をしたわけでございます。たとえば国連二百四十二号決議の尊重であるとか、あるいはまたパレスチナ人の権利の尊重であるとか、それからさらにまた中近東諸国との経済協力の推進であるとか、そういう基本的な外交方針をるる申し述べたわけであります。でありますから、日本が中近東諸国と対決をしておる、あるいは産油国と対決をしておる、アラブ諸国と対決をしておるというふうにもとれるお話でございましたけれども、決してそういうことはございません。あくまで親善関係を、また友好関係を確立していきたいというのが最高の外交方針でございます。  なるほど、去る九月の三木総理の施政方針演説には油の問題について言及したところがありますけれども、それはまず初めに、一月演説の基本的な原則というものを、中近東に対する友好関係を確立するんだというその基本的な原則をまず確認されておるわけですね。その確認の上に立って、中近東外交、油に対する考え方を言っておられるわけです。油に対する考え方もこれは対決姿勢ではございませんで、中近東に対して呼びかけておられるわけですね。それは、近く産油国・消費国の会議も開かれることでもあるし、また、世界経済がようやく回復過程に向かったときでもあるから、しばらくの間は石油の値上げを据え置くように配慮をしてもらいたい、まあこういう趣旨のことを呼びかけをしておられるわけでございます。したがって、対決姿勢で日本政府は貫いておる、そういうことではございませんので、その点はひとつ御理解をしていただきたいと思います。
  86. 安武洋子

    ○安武洋子君 メジャースに対するお答えが抜けておりますけれども、その前に、いま大臣のおっしゃったことについてさらにお伺いしたいと思います。  大臣は、三木内閣がアラブ諸国に対して理解を示していると。国連の二百四十二号決議も繰り返し尊重すると言っているじゃないかというふうなことで、アラブ諸国に決して敵対しているんじゃないといま御答弁をなさいましたですけれども、この二百四十二号というのを見てみますと、国連のこの二百四十二号決議というのは、イスラエルがアラブ諸国に侵略したのに対して撤退を求めて非交戦をうたっている、こういうもので、アラブ諸国人民の自決権についてはこれは何ら触れられていないわけなんです。さらに一九七四年の十一月二十二日の国連総会で、パレスチナ人民の自決権に関する決議、それからPLOを国連にオブザーバー資格で招聘する決議、これが出されておりますけれども、日本はこの両決議案に棄権をしておりますね。それからさらに、日本が棄権をした理由として、このパレスチナ人民の自決権についての決議の場合は、イスラエルのことについて触れていないからだと国会答弁をなさっていらっしゃるわけですけれども、イスラエルの立場を否定したという内容でないわけですから、これは当然私は棄権をなさるのはおかしい、賛成をなさるべきだというふうなことで、決して私はこの二百四十二号を尊重するということがアラブに敵対していないということにはならないというふうに思うわけなんです。  私、先ほどメジャーの点について大臣にお尋ねしたんですけれども、それについてお答えがないんですが、河本大臣衆議院のこの論戦の中で、メジャーの動きというのは大変複雑でわかりにくい、捕捉しがたい面が大変多いというふうなことを御答弁なさっていらっしゃいます。だから、その動きに注目して情報をキャッチしていく、そしてそれに対処していく必要があると。しかし、これでは私は全く受け身だと思うわけなんです。大臣御自身も言っておられるように、ややもすると分析、動きに対する知識が不十分だった、そのために政策も後手に回ったというふうに反省もなさっていらっしゃるわけです。ですから、今後そういうことのないように気をつけるとおっしゃっておりますので、このメジャーの事業活動がどれほどそれ以後透明になったか、そのためにどういう努力をなさったかということを御答弁願いたいわけです。
  87. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) メジャーの石油の流通面に占めます現在の力というものは非常に強いわけです。長年にわたって培われましたこの力というものは、なかなか一朝一夕に軽視できるような状態ではない。しかし、過去数年来の経験に照らしまして、やはりメジャー依存はできるだけ減した方がよろしい。これは当然考えられることでございますので、たとえば自主開発原油をふやすとか、あるいはまた外国から買う場合でも、GG原油あるいはDD原油というものをふやしていく。こういう努力を積み重ねまして、メジャーの依存をできるだけ減していこう、こういう努力をしておるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましてもその善悪は別といたしまして、現在なかなか抜きがたい力を世界の全市場に持っておりますので、そういういろいろ複雑な動き等を勘案しながら、いま申し上げましたような方向に実効を上げていきたい、こういうように考えております。
  88. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの御答弁では、メジャーの事業活動、それを透明に政府としてはどうやっていくんだというふうな、努力をするという御答弁に私は伺えないわけなんです。やっぱりそこは大変大事なところであろうかと思うわけですから、私は、通産省としてもメジャーの事業活動を透明にするという努力を今後積み重ねていただきたい、こういうふうに要望いたします。  それで、次に移りますけれども、IEAでは十日という点では大体の合意がなされているわけですけれども、その計算方式というのは、これは各国共通でないと思うわけです。日本の発表している数字はIEAの言う備蓄日数と算式が違うと思うわけですけれども、IEAの場合は一〇%のデッドストック、これを見込んだ計算になっていると思うわけです。これでいくとIEAの言う九十日備蓄、こういうのは日本のベースに直しますと九十九日ということになるわけなんですけれども、この点、将来九十日備蓄というのはIEAベースでわが国は再検討なさるかどうか、こういうことをお伺いいたしとうございます。
  89. 増田実

    政府委員増田実君) IEAの計算とそれから日本の備蓄計算につきまして若干とり方の違いがあることは、いま先生のおっしゃられたとおりでございまして、IEAの方はデッドストックになっている一〇%の分を引いて計算をする、こういうことになっております。それから、日本の方は一応タンクに入っております全部の数字を出しておりますから、このデッドストックになっているものも含まれて備蓄計算がされておるわけでございます。  ただ、実質的に両方そう大きな差はないと思っておるわけです。と申しますのは、IEAの計算の方は需要家その他のストックをも相当計算に入れる。これは複雑な計算方式でございますので差があるわけですが、需要家の分も含んだ計算で、それをどこまで入れるかということにつきましては、現在IEAの事務局で来年の四月を目途としてどういうものを計算するか、方式をやっておるわけですが、いままでのところの作業結果では、日本が入れていないものもIEAの方は入れているということがございまして、その差し引きで計算いたしますと、たとえば九十日という場合に、片っ方は九十日分で片っ方は九十九日分になるというほどの大きな差はない、こういうふうに考えております。
  90. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃIEAがその算式を決定すると——各国いまは共通じゃありませんね。それを決定するということになりますと、日本はそれに従われるわけですか。
  91. 増田実

    政府委員増田実君) 私どもの方で現在九十日備蓄計画ということで計算をしておりますのは、前年度の内需を計算いたしましてそれで一日分を計算し、それに基づいて備蓄日数を計算する、これでやっております。一応これがOECD方式、こういうことでやっておるわけでございます。  それから、いま私が申し上げた来年の四月に計算ができる、いわゆるIEA方式というものができますと、IEAへの報告と申しますか、統計はそれで計算して日本の備蓄数量の数字を発表するということになりますが、九十日備蓄計画は従来どおりのいま申し上げた方式で、つまり、IEAの計算ができたら直ちにその計算基礎を変えるというつもりはございません。
  92. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃIEAに報告するのは、IEA方式でやるということですね。ですから、IEAで言われているこの九十日備蓄ということになりますとIEAの算式によってやる、だから日本の九十日備蓄とはこれはまた違ってくるというふうなことになるわけですね。では、そういうふうにとって間違いございませんね。
  93. 増田実

    政府委員増田実君) そのとおりでございます。
  94. 安武洋子

    ○安武洋子君 あんまり大きな違いは出ないとおっしゃいますけれども備蓄日数が大きくなればなるほど一〇%と、それは一〇%が直ちにそうだとは、全部とは申しませんけれども、非常に違いが出てくるわけなんです。  これは四十九年七月二十三日の総合エネルギー調査会の石油部会の「中間取りまとめ」ですけれども、またこれを引用いたしますけれども、この中にも、わが国がとるべき石油政策の基本安定供給確保を図ることにある、こういうことがありまして、それから、そうしてわが国としては今後安定供給確保していくためには自主的、主体的に行動し得る基盤を持つことが望ましい、こういうふうに言われているわけなんです。それにもかかわらず、備蓄日数すらやはりIEA方式で、IEAにそういうことで報告しなければ九十日として国際的に通らないといふうなことでは、いかにもやはりIEAのための備蓄でしかないというふうに言わざるを得ないと思うわけですけれども、この点いかがでしょう。
  95. 増田実

    政府委員増田実君) 私が先ほど先生に御答弁申し上げましたように、このIEAで参加国の備蓄日数を取りまとめる数字と、つまり報告数字というのは、これはやはりIEAの方式で、日本は日本独自の計算で報告するわけにいきませんから、もちろんそういう統一した方式で報告をする、こういうことになります。  ただ、先ほども申し上げましたように、日本の政策としての備蓄政策は、これはIEAの計算が決まったら直ちにそれに変えて、そうして備蓄政策その他も皆それで計算する、こういうつもりはございません。先ほど申し上げましたように、前年度の内需数字をはじきまして、それの一日分で計算するということで、これで通していくということでございますので、備蓄政策をIEAの指導などのもとに行うということではございません。IEAに対する報告はIEA方式でするということを申し上げたわけでございます。
  96. 安武洋子

    ○安武洋子君 九十日備蓄政策というのが出されているわけですけれども、そこで盛んに言われているのは、この備蓄国民の生活を守る安定供給の道だというふうなことを言われておりますけれども、私は九十日備蓄というものが安定供給の真の解決ではないというふうなことを申し上げたいわけです。  私は先ほども申し上げましたように、安定供給というのは外交姿勢政府が改めることだというふうなことで、日本を削減されるような立場に置かないということが何よりも必要でなかろうかというふうに思うわけですね。ですから、費用の点についてお伺いしたいわけですけれども、この費用も大変な莫大な費用がかかるわけですね。これには先ほどお答えになっていらっしゃいましたけれども一兆二千八百億円、こういうふうに言われておりますけれども、十月一日にOPECが原油の値上げを行っておりますので、この数字というのはさらに大きくなる。それで、備蓄に付随して企業に対する助成金が約六千億、備蓄関連費用というのが約二兆円前後、こうなるのじゃないかというふうに思うわけです。  いま、不況とインフレで大変国民生活が圧迫されている。こういうときに、国民がいま何を一番望んでいるかというのは、この不況とインフレの克服なんですね。しかもいまの国家財政というのは歳入欠陥だ、こういうことで赤字国債を発行しようとしたり、それから国民のささやかな楽しみのお酒やたばこ、こういうものを上げようとしたりというふうなことまでしようとしているわけですけれども政府の外交路線を転換すればこの解決は可能なのだというふうなところに莫大な資金を投ずるということは、私はやはり政府姿勢を問われる、こういうふうに思います。  そして、そればかりでなく本来備蓄というものは、その企業が自体でやるべきものだというふうに思うわけですけれども、そういうものに莫大な資金を投入するというのは、私はこれは国民生活を無視して大企業本位の姿勢政府がとっていると言わざるを得ないと思うわけです。やはりこういう政策は直ちに中止すべきだと思いますけれども、これに対していかがお考えか、御答弁をお願いいたします。
  97. 増田実

    政府委員増田実君) エネルギーの安定供給確保するための政策といたしましては、備蓄はそのうちの一つでございます。ですからいま先生からおっしゃられましたように、産油国との間の親善関係、協調関係を進める、経済協力を進めて産油国からの安定供給確保する、これも非常に大事な政策だと思っております。またこれ以外にも、現在日本のエネルギー構造が非常に海外石油に依存しておりますので、この石油依存率をできるだけ減らして代替するエネルギーを開発する、あるいは国産のエネルギーを活用する、これも必要だと思います。また、エネルギーについての節約を進める。これらいろんな施策というものが総合されて、そうしてエネルギーの安定供給確保される、こういうふうに思います。したがいまして、もちろん備蓄政策はそのうちの一つの重要な政策でございますが、これだけで安定供給確保できるというふうには考えておりません。  それから、いまおっしゃられました備蓄のために相当な費用がかかるということでございます。これは確かに新しい土地確保し、相当な量の原油を一応備蓄という形で保有するわけでございますから、それだけの負担はあるわけでございますが、ただ、先ほど先生にも申し上げましたように、石油供給不足状態が生じましたときに、それによって生じます国民経済一般に対する影響というのは非常に大きいわけでございますので、この九十日備蓄はいわゆる保険料と申しますか、経済安全保障料ということで、やはり経済全体としても負担せざるを得ない、こういうふうに思っております。確かに一億数千万円ということで、これに対する投資金額、五年間非常に膨大でございますが、先ほども午前に答弁を申し上げましたように、一応コストの計算で申しますと、一キロリットル当たり三百円前後ということで、石油の金額の大体一%、まあ一%ぐらいの保険料を払って、そして石油供給不足状態が生じましたときに、その混乱を防ぐということが必要じゃないかということが、私どものこの九十日備蓄政策の基本的な考え方でございます。
  98. 安武洋子

    ○安武洋子君 九十日備蓄というのは、国民の経済上必要だということを再三御答弁なさいますけれども、九十日備蓄というのは、私は真の安定ではないということを繰り返し申し上げているわけです。先ほど資金の問題も申し上げましたけれども、そういう資金を自国のエネルギー開発、石炭復興に回す方が国民生活にどれほど役に立つかというふうな問題もありますし、自主的エネルギー政策をとることが必要ですから、再び中東紛争を起こさぬような努力、これは私は国際政治の場でも政府としてはやらなければならないというふうに思うわけです。ですから、日本自体を石油削減対象となるような立場に置かないこと、これ以外の本当の真の安定の道はないと思います。  それで、今度は原重油の関税についてお伺いいたします。  通産省としてこの原重油関税について現行一キロリットル当たり六百四十円の従量税方式、これを四%の従価税方式として現行の原油の輸入価格、CIF価格、これで九百四十円に来年の秋から末を目指して引き上げる方向で大蔵省と交渉されている、こういう報道がされておりますけれども、まず第一点は、その目的は何かということをお伺いいたしとうございます。  それからまた第二点は、IEA加盟諸国の中で原重油関税を設けている国がどれくらいあるか、このことをお伺いいたします。
  99. 増田実

    政府委員増田実君) 原重油関税につきまして現在の六百四十円、これは従量税になっておるわけでございますが、これを従価税に変えて四%にするということで、現在大蔵省当局と折衝中でございます。ですから、先生のおっしゃられるとおりでございます。  それで、これの目的は何かということでございますが、石炭及び石油につきましての各種の施策、つまりエネルギー政策の基本的な事項はこの石炭・石油特別会計によって賄われておるわけでございますが、この石炭・石油特別会計の収入は全部関税になっておるわけでございます。ところが他方、石炭、石油に関する政策は、一昨年の石油危機を経ましてエネルギー政策の基本的な見直しということがいろいろ行われて、その結果、石炭対策及び石油政策に対する予算の必要性というものは非常に大幅に増しておるわけでございまして、そのために従来の従量六百四十円じゃ賄い切れないということから、この従価四%に引き上げたいということで折衝しておるわけでございます。  それから第二点は、IEA諸国で原重油について関税をかけておる国がほかにあるかということでございますが、大体ヨーロッパ諸国は製品に各種の消費税あるいは取引高税というものをかけておりまして、原油にはかけておりません。ただ、IEA参加国の中のアメリカがことしの三月及び四月に一ドルずつ課徴金ということでかけております。これが原油段階でかけておりますので、これは関税というのか、課徴金というのか、いろいろ定義があると思いますが、   〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕 原油に対する関税的効果を及ぼすという形で、バーレル当たり二ドルの関税相当額をかけている、これが実情でございます。
  100. 安武洋子

    ○安武洋子君 アメリカの場合と日本の場合は事情が違うわけですね。アメリカの場合は国内の産油が七割、そしてあとはやはり国内の産業を保護する、そして代替エネルギーを開発する、こういう点でこういう課徴金制度を課しているわけで、わが国のいまの関税とは一概に同じというふうにはいかないと思うわけですね。石油開発公団編集の、ここに私持ってきておりますけれども、こういう「石油用語辞典」ですね、この中にすら、石油関税についてこういう項目があるわけです。「重要な必要基礎資材である原油に高率の関税をかけているのは世界でも異例であり、対オペック関係の上からも、あるいは消費地精製主義の再考がいわれている最近の状況からしても、根本的な洗いなおしが必要であるとの声も出てきている。」こういうふうにまで言われているわけです。そして消費国は、税金の名目で産油国以上の収入を石油から得ているというふうな指摘がずうっとつきまとっているわけですね。石油関税が原油価格引き上げの間接的な要因だというふうなことも言われるこういう中で、日本は大変石油関係の税が重たいわけなんです。これらの税金について通産省としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、こういうことをお伺いいたします。
  101. 増田実

    政府委員増田実君) 私どもも、税金というものを余り高くかけるべきじゃないという基本的な考え方でございますが、ただ、現在わが国で行っております石油関税というものは、これは一般会計に投入されるわけでございませんで、全部エネルギー対策費として特別会計ということで運用されている。それで、特別会計の中の非常に大きな項目は石炭対策でございまして、やはり石油の輸入を一これは従来の考え方ですか、石油の輸入がふえるということに伴いまして石炭企業が非常に苦境に立っている。そのために石炭の生産の合理化を促進して、石油と対抗できるようにこれを進めていく。また、どうしても非能率で閉山その他をいたした場合は、そのあとの産炭地域に産業を興すということで、石油に関連いたしまして石炭施策を行うということでこの関税を使用しているのが一つ。  それからもう一つは、石油勘定ということで入っております分は、石油開発を進めて、世界における石油供給量をふやすということ。それから、五十年度から備蓄対策が入っているということで、これらの関税の使い方は、決して一般財源にするということではございませんで、やはり石油勘定の項目に使っているということで、私は、これが産油国に対して説明のできる使い方をしているということで、これに対する非難はないものと思っております。  また、現在の六百四十円を今度従価四%にするということでございますが、石油危機以前では六百四十円でありましたのは、従価で計算いたしますと大体一二、三%でございまして、従価から言いますと、今回私どもの考えている四%は、従来の税率の一二%を三分の一実質的には減らす、こういうことでございます。  それからまた、どうも先ほど答弁いたしました中に、アメリカの課徴金の実施日につきまして間違いがありましたので、訂正さしていただきたいと思います。ことしの二月一日から一ドル、それから六月一日から二ドルということでございまして、三月、四月と申しましたのは誤りでございますので、訂正さしていただきたいと思います。
  102. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま石炭勘定を前面に出していらっしゃいますけれども、五十一年度の予算で、石炭石油特別会計ですね、通産省の要求としては石炭勘定で千二百四十一億円、石油勘定で千三百五十五億円、計二千五百九十六億円、こういうふうなことになると思うのですね。しかも、この原重油関税というのは、石油産業構造改善対策費などの石油企業への助成金の財源確保、こういうことを私は目的にしているというふうに思うわけです。こういう発想自体が反産油国的であり、それから反国民的なものだというふうな批判を免れない、私はこういうふうに思うわけですけれども、これはいかがでしょうか。
  103. 増田実

    政府委員増田実君) 石炭勘定及び石油勘定の現在の予算要求額につきましては、おっしゃられるとおりでございまして、従来大体石炭勘定が七割から八割の間、それから石油勘定が二割から三割の間ということでございましたが、五十一年度の予算要求におきましては、石油勘定について相当ふえております。  いま先生からお話のありました金額で要求いたしておるわけでございますが、この内容につきましては、一つ石油開発公団に対する出資金額その他でございまして、これは石油開発——先生も先ほど言われました、いわゆる日本の手で石油開発する、こういう金でございます。それからもう一つは、現在法案で御審議いただいております石油備蓄増強のための金額。それから最後に石油産業構造改善というもので百億要求しておりますが、これにつきましては、先生がおっしゃられたような性格のものではございませんで、現在御存じのとおり、日本の石油産業というものは大体五割が外資、五割は民族系になっております。ところが、OPECの値上げ以降非常に石油産業が苦しい中にも、特に民族系企業が非常に苦しい状況にある。しかも、石油産業の産業体制が非常に過当競争体質で、そのためにいろいろ流通秩序においても問題があるわけでございまして、石油の国内における安定供給確保し、また、民族系企業の体質の強化というものを主体といたしまして、この石油産業構造改善ということで予算を要求しておるわけでございまして、決して先ほど先生のおっしゃられたような趣旨内容のものではございません。
  104. 安武洋子

    ○安武洋子君 では伺いますけれども通産省が五十一年度の重点施策の中で石油備蓄施設立地促進交付金制度、これは設けることを明らかにされておりますけれども、その予算として八十億五千四百万円ですね、これは概算要求されております。では、この制度の内容と、それから運用についてどのように考えておられるのか、これを明らかにしてください。
  105. 増田実

    政府委員増田実君) いまお尋ねのありました石油備蓄施設立地促進交付金制度でございますが、これは石油備蓄施設が建設されます市町村及び周辺市町村に対しまして交付金を交付する。その交付金によりまして、これらの市町村におきまして道路、公園、環境、衛生施設、あるいは福祉施設などの公共施設の整備に当たってもらうということで、いわゆる電源開発促進の交付金と同様な性格でございまして、発電所を建設する場合に、建設されます市町村及びその周辺市町村に対しまして交付金を交付いたしましていわゆる社会資本の充実を図る、環境の整備を図るということと同一趣旨でございます。  なお、計算の基礎といたしましては、備蓄施設の貯油能力一キロリットル当たり四百円の交付金で、これは建設されます当該市町村に四百円、それから付近の市町村、隣接市町村全部に対して四百円という計算で、合計いたしまして約八十億の交付金を予算化いたしたいということで、現在大蔵省と折衝中のものでございます。
  106. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま石油備蓄基地建設をめぐって沖縄の金武湾とか、それから兵庫県の淡路の津名ですね、そういうところで強い住民反対運動が起こっているわけです。このことは備蓄基地建設が行き詰まっている原因にもなっているわけですけれども、こういう事態に対して地方財政が非常に困難だというふうなことにつけ込んで、交付金を事実上えさにして住民反対を抑えるというふうなことは、私はきわめて危険じゃなかろうかというふうに思うわけです。  住民反対運動というのは、やはり三菱の水島ですね、ああいう重油の流出事故です。ああいう公害が起こらないかというふうなこと、そして、環境が破壊されないかというふうな危惧から起こっているわけですけれども、この点に十分こたえていない、こういうことに対して十分な研究や、それから住民意見を聞き取るというふうなことがなされないというのは、私は非常に遺憾だと思うわけです。安易に交付金を出すよりも、立地促進を円滑にしようとするなら、国民のこういう危険に対する危惧ですね、こういうものを除くためにこそ全力を挙げるべきでないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  107. 増田実

    政府委員増田実君) いま先生からおっしゃられましたように、水島のような不幸な事件がありまして、この備蓄タンクにつきまして国民の危惧があるということで、これに対する対策に最重点を置くべきだと、私ももうそのとおりだと思います。そのために、このたびコンビナート災害防止法というものが新しく制定されまして、また、これに基づきまして消防法の強化ということで、水島の原因調査というものの結果を踏まえまして、新しい石油タンクの設置基準というものが消防庁で現在検討審議されております。これには私どもももちろんいろいろ意見を出しておるわけでございますが、そういうことでまずタンクに関する危惧というものを取り去る、あるいはそういう危険性の原因を取り去るということが最重点だと思います。それなくしては地域住民方々の協力を得て今後の備蓄基地の建設は不可能だと思っておりますので、いま先生のおっしゃられましたこういうような問題にまさに主力を傾けて、地域方々が安心できる、そして協力できるという体制をしいて、これによって九十日備蓄を推進していきたい、こういうふうに考えております。
  108. 安武洋子

    ○安武洋子君 おっしゃることは大変結構でございます。そのようにしていただければいいわけですけれども、しかし、来年度の重点施策、これを見ますと、安全性についての研究とか、それからまた規則の強化、こういうのは大変不十分のまま放置をされているわけです。そうしておきながら石油備蓄推進安全対策広報費、これを一億二千四百万円も計上している。ただ安全である、こういう宣伝だけが強化されるというふうなことでは、私は住民が抱いている危惧、これについてこたえることはできないというふうに思うわけです。それどころか、住民からの大きな反発を招くということは必至であろうと思うわけです。ですから最後に、こういうことをやらないで、本当に住民の声にこたえる施策をとっていただきたいということを申し添えて、私の質問を終わります。
  109. 増田実

    政府委員増田実君) いま先生のおっしゃられましたように、この安全対策、災害予防対策あるいは環境の保全というものに最重点を傾けて、そして備蓄政策を推進していきたい。したがいまして、いまの広報費その他もそういう実際にやっておりますものを宣伝広報するということで、決してただそのPRを行うということでございませんで、私どものやっております努力住民方々に十分知っていただくその手段にする、こういうことで運用していきたいと思います。
  110. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最初に大臣にお伺いいたしますが、現在出ておるこの備蓄法、これ自体も、つまるところは石油安定供給確保の手段として行われる措置でございまして、だとすれば、石油安定供給確保というものは、総合的なエネルギー政策というものの中における一分野として考えなければならない。また、石油ということそれだけのカテゴリーで考えてみても、備蓄するということと同時に供給量を確保するという意味からいくなら、資源外交というものの確立、それから石油供給源、現在は中近東におおむねゆだねておるわけですが、こういった一ところに偏った供給源を持つということを危険分散するという分散化、それからわが国独自の石油の、わが国周辺地域は当然ですが、海外における開発などがあわせ行われなければならないというふうに思うわけです。したがって、そういった総合的な立場に立つ場合にこの石油備蓄政策というものがどのように位置づけられるものであろうか、包括的な点において大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  111. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石油に対する基本的な考え方でありますが、現在日本の全エネルギーのほぼ七割七分ないし七割八分を石油に依存しておるわけでございまして、この比率は余りにも大き過ぎる。何とかしてこの石油依存のシェアを減すということが最大の戦略じゃなかろうかと思います。そこで、総合エネルギー調査会から出ました中間答申等を見ましても、あらゆる努力を傾けるならば今後十年の間に六三%までぐらいは減せるのではないか、こういう数字を示されておりますが、私どももほぼその程度、依存率を現在からほぼ一五%見当は減せる、こういうふうにまず考えておるわけでございます。  それから、それにいたしましても約三分の二近いエネルギーを石油に依存し、しかもそのまずほとんど全部を海外からの輸入ということになりますと、どうしても一カ所からまとめて買うということは不安定でありますので、いま御指摘がございましたように、輸入ソースの多角化を図っていく、これが第二の努力目標でなかろうか、こういうふうに考えております。  それから第三は、これも御指摘がございましたが、備蓄、それから節約、開発、こういう考え方だと思いますが、その中でも私は備蓄政策というものを最大の眼目にすべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、節約と申しましても、日本の場合はアメリカやヨーロッパと違いまして産業に使うものが約七割を占めておる。民間が使うものはほほ三割である。民間といいますか産業以外に使うものは約三割である、こういうことでございまして、節約にもおのずから限度がありまして、無理やりに節約いたしますとどうしても産業上支障が起こる、こういうことにもなりますので、アメリカやヨーロッパとその点が違うわけでございます。  それから開発といいましても、最近は各国で非常にナショナリズムが強くなりまして、そして大きな開発が成功いたしますとそれに対する資本参加、それも六〇%ぐらいでありましたものが最近は一〇〇%の資本参加、こういう事態が非常に多くなっていて、資本参加された後バイバックするという場合も、開発上のメリットはほとんど考慮されない。開発しない普通の商業上買っておる油とほとんど条件は変わらない、こういうことで買わなきゃならぬ。そうしますと、何のために遠方まで出かけて開発したのか、その意味が、意義といいますか、メリットが半減される、こういうことにも最近はなりつつあるわけでございます。  でありますから、日本近海の開発ということでありますと、これはまあ大変いいわけでありますけれども、それ以外の開発については、二、三年前までのメリットということは相当割り引いて考えていかなければならないのではないか、こういう事態も起こっておるわけでございます。そういうことでございますから、石油備蓄ということが非常に大きな課題になってまいりますので、石油政策のこれからの最大課題でなかろうか、私はこういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
  112. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 前回の委員会の一般質問の折に、たまたま大臣が中国に行かれまして、中国の油の長期契約の問題についてお話がございました。まあ中国にはかなり大きな油層があるというふうに報ぜられておりますが、問題は硫黄分が多い、つまるところ、コストの問題が長期契約のポイントになるのじゃないかと思うわけです。一部報道などによると、そういった面をめぐって産業界でも、この中国の油についてあんまり乗り気じゃないというような動きがあるやにも聞くわけでございますが、大臣の感触として、これからの中国の油、これは供給源の確保ということにつながるわけですが、そういったコスト面での話し合いというものが進められ、有効に作用する方向にいくという感触をお持ちであるかどうか、その辺のところをちょっとお知らせいただきたいと思います。
  113. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほど申し上げました石油の戦略の中で、輸入ソースの多角化ということも申し上げましたが、そういう意味におきまして、中国の油は私は非常に意義が大きいと思います。ここ二、三年来、長期契約というふうな話もちらほら出ておったわけでありますが、幾つかの窓口で余りだくさんの人が行っていろんなことを言いますと、日本の真意も誤解されますし、混乱を来しますので、筋道をつけておかなければいかぬというので私が参りまして、先方の責任者といろいろ話し合ったのでございますが、長期契約をする以上は、先方の埋蔵量、それから現在の生産量、将来の生産計画、そういうことを聞いておきませんと長期契約はできませんので、そういう点について十分聞きました。  まず、埋蔵量でありますけれども、これは正確な言葉での表現ではありませんが、先方側のいろいろな説明を聞いておりますと、まず、中東原油に匹敵するぐらいの埋蔵量があるというふうな印象を受けたわけであります。  それから、総合的に判断をいたしますと、大体、昨年度の石油生産量は六千五百万トンである。本年はおよそその二割弱が増加しておる。将来は増加の可能性は非常に大きいけれども、国内の生産が幾らふえるか、国内の需要が幾ら伸びるか、その国内の伸びと、それから外国に対する輸出、こういうものを総合的に考えながら計画的な増産をしたい、増産をやろうと思ったら幾らでもできるんだ、こういうお話でございました。  ただしかし、日本が長期契約をいたします場合に、非常に大きな困難な問題点があるわけでございます。まあ現在の輸入量は八百万トンでございまして、これは千万トン前後の輸入量でありますと大した問題にもならないんですけれども、千万トンを超えて相当大きく伸ばしていこうと思いますと、中国の油の品質から考えまして、現在の設備ではうまく処理できないわけですね。現在の設備は中近東の軽い油を処理するようにできておりますし、中国の油は非常に重い油でございまして、硫黄分は比較的少ないんです。ただ、窒素分は多い。しかし、油が非常に重くて、硫黄分が多い、こういう特殊な油でございますので、設備をそれに合ったようにしなければならぬ。そうすると、そのために非常にたくさんの資金が必要になるわけでございます。石油精製設備を新たにどんどんしておるときでありましたならば、その一部を中国油に適応した設備にすればいいわけでありますけれども、現在は何しろ七割程度の稼働率でございますから、結局、中国油のためだけに新規にそういう改造をしなければならぬ、そうすると大変コストが高くなるわけでございまして、価格の問題を解決しない限り数量を思い切ってふやすことができない、こういう非常に大きな問題が起こっております。ただしこの問題につきましては、先方は、双方が利益になる形で十分話し合って解決できるじゃないか、こういう提案でございます。  それからまた、数量につきましても、こういう経済の混乱期でございますから数量にはこだわらない、日本側の事情によって幾らでもよろしい、また柔軟性のある形でもよろしい、こういうことでございますので、私は根本に横たわっております二、三の問題は大体解決できるのではないか、こういう印象を受けましたので、具体的に問題点を整理いたしまして、明年の三、四月ごろまでに話がまとまるように、いま事務当局に作業をさせておるところでございます。
  114. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 よくわかりました。  じゃ長官にお伺いいたしますが、石油産業の再編成の問題についてお伺いいたしたいと思うのです。  石油安定供給確保するというために、産業体制を確立していかなければならない。このことは昭和三十年代半ば以降、石油政策の基本的な考え方が、安定供給確保のために民族系の企業を育成強化して、国内市場の一定割合を国の影響下に置くということが石油業法の根幹であったと私は思っておるわけです。ところが実態は、精製会社が現在三十二社、元売り会社が十三社にも上っておるわけでございまして、まあこれからの課題というものは、もちろん備蓄体制の整備ということもありましょうが、石油企業再編成の方向をとっていかなければならない、こういったときに弱体な体質に現在なっており、しかも過当な状態にある石油業界をどのように再編していくのか。また、これまでの間、民族系を強くして、一定割合を民族系によって確保していこうといった趣旨にもかかわらず、このような過当な状態に陥ってしまっておる状況に対して、通産省としてはどのようにこの点を反省をしておるのか、この辺のところを聞いておきたいと思います。
  115. 増田実

    政府委員増田実君) 再編成の趣旨につきましては、ただいま藤井先生のおっしゃられましたような問題点から発生いたしておるわけでございます。現在石油がエネルギーの大宗を占め、産業の血液の供給者であるわけでございますが、それにもかかわらず、この石油産業というものが非常に弱体化しておる。中には過当競争で足の引っ張り合いをしておるというような状況でございます。こういうような状況が続けば、これはひいてはわが国の産業というものを弱め、やはり国民生活の向上に対しても悪影響を及ぼす、こういうことで、基礎産業であります石油産業の体質の強化を図るということが必要だという方向で再編成と言われております産業体制の改編、あるいは体質の強化の施策というものを今後打ち出していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで具体的には、現在総合エネルギー調査会の石油部会におきまして、これは八月の下旬に第一回を開いたわけでございますが、ここで私ども通産省の一応試みの案と申しますか、試案を出しまして、いろいろ委員の方々に御討議を願っておるわけでございます。これにつきましては、できれば今年中に何かしら方向というものを出していただきたいということで、現在最後のいろんな審議というものに入りつつあるということでございます。いずれにいたしましても、石油産業というものが非常に弱体化、それから過当競争で足の引っ張り合いになっているということにつきましては、これはいろいろな原因があったと思います。  先生から、従来の石油政策に対する反省がどうなっているかということでございます。確かに従来の石油政策というものにつきまして、現在の環境というものと若干そごを来したという点が出てきていると思います。と申しますのは、石油危機の発生以前におきましては、石油の国内における需要は大体年率で一五、六%ふえております。そういうときにおきましては、やはりふえていきます供給をいかに確保するかということで設備の増強というものが行われ、場合によりましては販売能力に見合わない設備の増強が行われたわけでございます。ただ、その時代におきましては、先ほど申しましたように毎年一五、六%需要が伸びていくことによって、この問題は一、二年すれば解決するという形だったわけでございますが、昭和四十八年から比べて四十九年の石油の需要は減っております。また、五十年になりましてさらに減っておるということによりまして、こういう精製設備と販売能力の製販ギャップというものが非常に問題化し、そこに現在見られるような体質の脆弱性の露呈という問題が出てきておるわけでございます。  そういう新しい時代、新しい環境のもとにおいて石油産業がいかにあるべきか、また、全産業に対しましてのエネルギー供給者である責務を果たすために石油産業がいかにあるべきかということにつきまして、先ほど申しましたように石油部会で検討いたしておるわけでございますが、従来の石油政策に対する一つの転換をせざるを得ない。これは言いわけをすれば環境が変わったということになりますが、私どもとしましても、やはり石油政策というものを、ここで従来の路線というものを変えていかなければならないという反省をいたしておるわけでございます。
  116. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大体、外部的な要因があろうとは思いますが、製販のギャップというのはこれはもう産業界の常でございまして、自動車業界あるいは海運業界、あるいは繊維業界、すべてこれ製販ギャップによる過当競争、足の引っ張り合いということで、結局は政府の多額な金を後追い調整機能として投資して、構造改善事業というものをとり行っておるわけです。私、石油業界においても十数%の年率の伸びがあるから、その伸びが継続されるという前提の中で製販ギャップあるいは脆弱な体質がカバーできるという物の見方が、今日ここに至って全部露呈してしまったということであろうと思うんです。  したがって、石油業界だけをとってみると環境の激変ということが言えるけど、日本の産業のそれぞれの分野というものを考えると、ほぼ同じ傾向をみんなたどっておるわけなんです。そして国際競争力もなくなるというようなこと、あるいは産業基盤が危機に瀕するというときになって多額の金を投じて、そしてそれをグルーピングを図るとか構造改善をやるとかいうようなことになっておるんで、この辺は通産省としても、これはエネルギー庁だけの問題じゃなく大臣が管轄する通産省としても、やっぱり真剣に考えなきゃいけない問題であろうと私は思います。そういう意味で、いずれにしたってこの状態を再編成していかなければならないわけですが、つい先日の新聞によりますと、経済団体の同友会は、政府が再編成のガイドラインを示すべきだと積極的に政府の主導性を求めておるわけですが、片方経団連はこれと真っ向から反対の立場を示して、政府の誘導による再編成は絶対反対だというようなことになっておるわけです。再編成それ自体、先ほど来のお話によると、勢いのおもむくところは構造改善による石油企業の集約化というのが一つ課題になろうというふうに思うわけですが、その辺の現に声の出ておる問題等も考え合わせて、この八月十八日の「石油産業の課題と政策の方向」という内容のものが実際面で機能するのかどうか、また通産省として現在諮問されておることでありますが、考え方としては、海運の集約化とか、あるいは自動車産業の再編成とか、繊維における構造改善というような同じような方向を歩もうとしておるのか、この辺あわせて聞かしてもらいたいと思います。
  117. 増田実

    政府委員増田実君) 石油産業の体制整備、それからいわゆる基盤の強化というものにつきまして、そのやり方がいろいろあると思います。いま藤井先生のおっしゃられましたように、過去には海運の再編成もありましたし、また、電算機あるいは自動車につきましてもいろんなグループ化が行われたわけでございます。私どもの方で現在、これは先ほど申し上げましたように石油部会での審議中でございますので、一応通産省の方のたたき台を基礎にいたしまして考え方を申し上げますと、現在の精製会社三十数社、それから元売り十三社という体制は、やはりいわゆる乱立ということが言えるんではないか。つまりそう申し上げますのは、諸外国で見ますと、たとえばヨーロッパ諸国、イギリスにおきましても、フランス、ドイツにおきましてもこういう体制にはなっておりません。まあそれだけに、たとえば石油危機のような事態が起こったときには、業界の方はこの流通秩序につきましては日本と相当違ったビヘービアを示しているということでも見られますように、わが国の現在の産業体制というのは非常な過当競争体質にあると思います。それでこれを一挙に集約化をするのがいいのか、あるいは段階的にやるのがいいのか、これにつきましても現在御議論いただいているところでございますが、私どもの方の考え方としては、まずグループ化を図る。特に問題になりますのは、いわゆる民族系の企業でございまして、一般的に言われます外資系の企業に比べましていろんな意味で体質が弱い、そのために問題点も出てきておるということで、まず最初に取りかかりたいと考えておりますのは、民族系の企業のグループ化を図って、そしてその体質の強化を図りたいということでございます。グループ化ということで具体的にどういうことをやるかということになりますと、やはり販売につきましても、いわゆるジョイントによってむだな販売をやめる。ことに交錯輸送というのが相当大幅に行われまして、紀伊半島の先に立つと、関西の会社が関東へ品物を送り、関東の会社が関西の方へ送っているということですが、こういうむだ、あるいは保安上もいろんな問題があるわけでございますが、そういうむだを避けて、そうしてそれによって合理化を図るということが必要ではないか。また、今後のいろんな投資、これは先ほど中国原油を処理するための重質分解装置その他を設置するに当たっても、これは多額の金額を要しますので、これにつきましてもグループ化を行って共同投資を行う、それによって中国原油の受け入れ体制をする。また原油の購買力につきましても、これは石油危機以前ですと受け身で原油の購入交渉をいたしておったわけでございまして、むしろメジャーが日本という市場を目がけて売り込み競争をしておったわけでございますが、今後の石油の需給を見ますと、現在は確かに過剰でございますが、将来、石油の情勢というのはいろいろ変わってきております。産油国の直接販売その他もふえてくる傾向にありますので、そういうときに一括してグループで買えるという体制をつくることがまた必要ではないか。また、メジャーから買いますときにも、民族系の企業がグループ化して、そしてそれによってメジャーから買うということも必要だ、こういうふうに思っております。  そういうことで、いろいろ申し上げましたが、共同事業を各種行うことによって数社の民族系企業がグループ化していく、そして将来、時期が熟したらそれは一社になるということも考えられると思いますが、まず最初には、そういう共同事業でやっていくという方向でやっていきたいというのが私ども考え方だと。これをたたき台として八月の第一回の石油部会に提出しておりまして、これに基づいて各種の議論が行われておるわけでございますが、一挙に再編成ということで、海運のときのような合併という形でなくて、むしろグループ化を通じて将来の集約化を行うという方が現実的じゃないか、こういうふうに考えております。  それからまた、もう一つ問題がありますのは、外資系と民族系の問題でございますが、私どもといたしましては、従来とっておりました政策、つまり外資系五割、それから民族系五割というのが現在の世界の情勢にやはり合っているんじゃないかということで、今後外資系の企業シェアを縮めるという政策もとるべきじゃないか。ただ、外資系企業に比べて民族系企業が非常に弱くなっている、この問題をできるだけ早く解決したいというのが考え方でございます。
  118. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 石油危機の折の西欧の外国の対応の仕方とわが国とに違いがある。それが過当競争によって、しかも脆弱な企業体質によるところも多いというようなものの言い方であったわけですが、それは一々のこの西欧諸国それぞれの国と日本と対応することではないが、大づかみに言うなら、やっぱり国がどれだけ石油産業に対してどろをかぶるかということでの対応の仕方が西欧諸国とわが国は違うわけなんだ。これは前回の法案審議の折にも私申し上げたことでございますが、この辺のところはやや私違うんじゃないかというふうに思うわけです。  しかし、それはさておいて、いずれにしても共同事業の方向で企業数を減らすということよりも共同事業による方策を優先さすということについては、私は一つの見識であろうというふうに思います。コストの八〇%以上が原油代だという状態の中で合理化を図っていくということは、もう並み大抵のことじゃないというふうに思うわけですが、結局のところ安定供給と同時に企業経営の合理化、それから原油の調達、備蓄輸送の共同化というようなことが翻って消費者の保護につながらなければ意味がないわけなんで、これまでの海運だとか、あるいは自動車とかいうような形で企業の頭数をとにかく減らして競争を縮めていくということだけに眼目が置かれるなら、本来の目的であるこの消費者保護という立場からの施策を誤ることになる、この辺のところは十分気をつけていただきたい。  それから、いま二つの経済団体が分かれた考え方を大きくアピールしておるわけで、こういったことも、これがどれほどの内容のものか、アドバルーンであるのか、その辺のところは私定かじゃないんですが、こういった点についても的確に、脆弱な現在の石油業界をまとめて、スピードある形で処理しなければいかぬというふうに思うんで、その辺の点についてのお考えを再度お聞きしておきたいと思います。
  119. 増田実

    政府委員増田実君) いま経団連、あるは同友会からいろいろエネルギー政策に関する提言がございまして、その中で一致しておりますのは、石油産業が現状のままではいろいろな問題が生ずるということで、この体制整備の問題につきまして相当なページを割きまして提言が行われておるわけでございます。そういう意味で、この石油産業の体質強化、あるいは体制整備の問題につきましては、これは新聞その他でもいろいろ論じられております。その必要性につきましては一般的に支持を受けているものというふうに考えておるわけでございます。ただ、そのやり方につきまして、この両方の提言に苦干ニュアンスの違いがあるということで、ことに後から出ました経団連の方の提言には、「業界が自発的にこれに取り組むことを基本とし、所要の環境づくりを進める必要がある。」ということで提言しております。これが新聞では、片方は政府主導型で片方は企業主導型ということでございますが、これもどちらかに割り切るということではないと私は思います。  この再編の問題につきましては、業界もみずから考え、そして、いかにするのが石油という重要な物質の安定供給の責任を果たし得る体制であるかということを考えるべきだと思いますし、また、政府もそれを達成するためにいかにしたらいいかということで、それに対する環境づくり、助成を行うということで、両方がともに考えながらやっていくべきだ。そういう意味で、政府主導あるいは企業主導ということでむしろ割り切るべき問題ではないと思いますし、また、これもしさいに読みますとそう割り切って提言しておるわけではないと思います。  ただ、私どもの方から率直に言わしていただきますと、昨年の七月にいわゆる総合エネルギー調査会の石油部会で中間答申が出まして、これは先ほど安武先生からいろいろ御引用があったわけですが、このときに、新しい世界のエネルギー情勢の中にあって石油産業の体制というものは改革すべきだということが書いてありまして、ただそのやり方については二つある、一つ政府主導型である、それからもう一つは民間がみずからの青図を描いて、そしてそれが正しいということであれば政府がそれに対して助成する、両方あるということで出ておったわけでございます。それで私どもの方といたしましては、できるだけやはり石油業界が新しい時代に処していかにあるべきかということをみずから考えて、それに基づいて私どもが考えるべきではないか、こういうふうに考えましたわけですが、その後一年たちまして、いろいろの議論は出ましたが、実際にはこういう体質強化の問題はほとんど進んでおらないというのが実績でございます。そういう意味で、これをこれ以上待つということは今後の国民経済全体に対してもいろいろ問題があるということを考えまして、先ほど申し上げましたように、この八月の石油審議会に、むしろ若干政府主導型になるわけでございますが、試案という形でたたき台を出したという経緯でございます。
  120. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それじゃその次の資金問題に入りますが、九十日の石油備蓄に要する資金というのが、原油で六千六百億、タンクが三千八百億、土地が二千四百億、一兆三千億という膨大な費用がかかる。これにさらに金利あるいは施設の償却、固定資産税などを含めていくと、まさにこの数字は、四期連続赤字で、先ほど来言われておるような脆弱な体質である石油業界で果たしてカバーし得るものであるか否か。本質的な問題になるわけですが、こういった備蓄体制というものは本来的には国家的な事業じゃないか。したがって、民間ベースでの施策あるいはこれを金融ベースで処理していくということにはなじまないんじゃないかという気がするわけです。  先ほど来いろいろな質問の中で、土地の収用それ一つをとってみても、これは気が遠くなるようなほどのものでありますし、資金需要それだけでも莫大なものだという点から見て、これは石連あたりでもいまのような金融ベースではもうとてもじゃない、やれない。恐らく火曜日の公聴会でもそのことを言うであろうと思うわけだけど、業界の出しておる数字それだけを見ても非常に問題がある。また、備蓄コストそれ自体を見ても、三十日の増強日数の場合でもキロリットル当たり五千六百円かかるということになるわけですから、私はせっかくこの法案ができても、これが機動するということになるのだろうかとうだろうかと——理想は非常にいいですよ、業界の再編の問題もグルーピングの問題もいまこの構想も否定するものじゃありませんけど、実際問題としていまの押せばつぶれるかというような状況の中で、しかも、いっときの状況と違ってだぶだぶの状況でしょう。あれもこれも考えると私は非常に先々危惧を持つわけだけど、長官としては絶対の自信を持ってやっておるのかどうか、その辺のところをざっくばらんに聞かしてもらいたい。
  121. 増田実

    政府委員増田実君) 九十日の備蓄計画は、今後あと四年以上かけてやるわけでございます。現在の石油企業の経理状況その他から言いますとこれは非常にむずかしいということで、ただいま藤井先生の御指摘のとおりで、これだけの資金負担というものについては非常に問題点があると思いますし、また、この備蓄計画につきましては安全性確保の問題についてもさらに努力を重ねなければなりません。それでなければなかなか土地取得もできないという状況でございます。また、建設します地域住民方々理解と協力を得るのにも、今後なさねばならない点が非常に多く残っております。  そういう意味で、九十日備蓄達成するためには非常にいろいろの問題点があるということについては、私も藤井先生のおっしゃられるとおりだと思いますが、ただ、石油危機のときの経験その他に照らしまして、石油政策の一つの重要な一環として、やはり九十日の備蓄というものはどうしても達成しなければならない、こういうふうに思っておるわけです。そのために企業には企業の責任として相当な備蓄を保持するということは、やはり石油産業を担当する企業として、もちろん経営上のいろんな問題点ありますが、ヨーロッパ諸国の石油企業が持っていると同じように九十日の備蓄に向かって邁進すべき問題だと思います。  ただ、それにつきまして政府もこれにあらゆる努力を傾けて、そして助成していくという必要があると思います。先ほど、金額で一兆二千八百億円五年間に要するということでございますが、そのうちの半分の六千六百億円はけさほども申し上げましたように原油代金でございまして、原油代金を支払って、そしてその石油を生産には投じないでそのまま備蓄する。つまり、一応利潤の方には回ってこない形で抱くわけでございますが、こういうものにつきましては、その資金手当てにつきまして政府が相当な援助をすべきものだと思っております。  そういう観点から、本年度の予算ではけさほども申し上げましたように、原油代金の九割を政府保証で貸し付ける。それからまた、その金利については四%の利子補給をするということで、相当政府側もこれに対して助力をするという形になっておるわけです。  それからまた、土地取得につきまして、けさほども申し上げましたが、新規に取得すべき用地が、坪で換算いたしまして三百二十万坪という相当膨大な土地になっておりますが、これも三百二十万坪というと非常に多いようですが、たとえば千葉県の君津にあります新日鉄の製鉄工場、あそこは約二百八十万坪ぐらいの敷地になっております。ですから、ああいうものを一カ所——タンク基地として建設することはもちろん考えていますが、それは数カ所に当然分かれるわけでございますが、三百二十万坪という地域が絶対五年間に取得不可能かどうかということになりますと、私は保安の問題、環境の問題についてあらゆる措置をし、また、備蓄の重要性について国民理解を得られればこの土地取得できるもの、こういうふうに思っています。  そういうことで、ただいま先生からお尋ねありました、五年後にこの九十日備蓄達成できるかどうか、私の決意なり気持ちということでございますが、私はこれはどうしても達成しなければならないと思いますし、また、そのためにあらゆる努力を重ねていきたい、こういうことでお答え申し上げる次第でございます。
  122. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これは企業サイドにしてみれば、企業が有効に動いていくためのいわゆるランニングストックを持った状態での備蓄というのは大体四十五日。四十五日あれば企業としては石油供給者としての責任を果たせるわけですね。しかも、企業が有効にそれによって存立する。それ以上倍満にしろというわけでしょう、これは。その倍満にしろ、国家目標としてそのことは十分わかる。しかし、そいつを企業に、しかもいまもうギブアップ寸前の状態の企業に負荷させるということに対して、これは私は当然抵抗があると思うのですよ。だから、たとえば今度できるところの備蓄会社、これに対する金利、いまおっしゃったように、個別企業に対しても原油の購入は九割負担する、その利子補給もやるんだということだけど、これも石油会社の場合、タンク施設の融資率その他が金利が違うわけです。だから、せめてこれはやっぱり同じような形で、国が本当にもろはだ脱いでやっておるのだという形を私は個別企業にも与えるべきじゃないかという気がするんです。その辺についてどういうお考えかということ。  それから、土地の問題三百二十万坪。それは五井の新日鉄にニアイコールだというお話ではあるが、喜入それ自体が十年以上かかっておるわけですからね。それを考えると、そう面積だけを見てどうこうということにはならぬぞと、これは。  それから、欧州が九十日分あるいは百日とも言われるけど、ボリュームという点から考えると、これはもう、けた違いでしょう。わが国の九十日と欧州における九十日はそのボリュームから見ると、もうこれはとてもじゃない、話にならぬ、わが国の方が膨大であるわけです。だから、一概に日にち換算でこれを言うこともきわめて危険なことでもあるというふうに思うんですが、この辺のところはどうですか。
  123. 増田実

    政府委員増田実君) 現在、企業に対しましての融資は日本開発銀行から所要資金の七割、それで八分の特利ということになっております。これにつきましては、やはり石油企業はランニングストックが四十五日であれば普通の操業は行われるんで、それ以上のものは、国家的要請と申しますか、全体のために負担をして行うことからもっと上げるべきだという先生の御意見、私もそのとおりだと思いますが、これは実は昨年、この五十年度の予算折衝のときに、七割、八分ということでようやく——当初はもっと高かったのをここまでで、ほかのプロジェクトその他につきましては、石油備蓄に対しては相当異例の比率あるいは内容になっているということで、ここまでしかできなかったわけでございます。確かにおっしゃられますように、石油企業に負担を負わせ過ぎるということについては、ことにいまのように経営状況が非常に悪いときでございますので、さらにそれを高めなければならないということで、国の姿勢も示さなければならないというふうに思っております。  それから、先ほど先生から御指摘がありましたように、確かにそのとおりでございまして、ヨーロッパが九十日持っておりますのと、日本のように石油一日当たりの量が非常に大きな量になっておりますのとは、これは同日には確かに論じ得られないわけでございます。また、立地の困難さその他におきましても、これは比較にならない点がございます。それからまた、ヨーロッパの石油会社の収支状況と日本の石油会社の収支状況とはこれは非常に違います。そういう意味で、ヨーロッパの石油会社はほとんど政府援助なしで九十日を常に達成いたしておりますから、同日に論じられないということは私もそのとおりだと思います。また、今後その意味で非常に大きな困難がある。ただ、その困難につきましては、先ほど申し上げましたようにそれを克服して、そしてできるだけ早く九十日備蓄達成しまして、石油供給不足状態ができたときに、これは非常な混乱あるいは悪影響を一般国民に与えるということを避けるというために全力を傾けたい、こういうふうに考えております。
  124. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いま長官がお答えになった中の一つに、大蔵省との折衝によって努力した結果、大蔵省を説得をしてこれほどの金利に持ってきたというお話でございましたが、これは五カ年間の問題ですから、これから先の問題として、なお現在の石油業界の体質にかんがみて、大蔵省と折衝していい条件の金利に修正していく努力をするというふうに受け取ってよろしいんですか。
  125. 増田実

    政府委員増田実君) この開銀資金につきましては、昨年、今年度の予算ということで大蔵省と折衝いたしましたときに、いろいろの条件がついておりまして、たとえば貸し出しの条件あるいは貸し出し対象について、こういうものは七割の計算から外す。所要金額の七割を融資対象にするわけでございますが、その所要金額の計算から除く分その他が若干あるわけでございまして、そういう点をまず取り去ろうということで、五十一年度予算の要求につきましては、金利の低下は出しておりませんが、実質的にこの内容がよくなるようにいろいろの点を現在折衝中でございます。
  126. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはやはり長官も先ほどおっしゃったように、備蓄ということは、これは国家的な事業であり、国家的な規模ですから、奢侈品をどうこうするというものとは違うわけなんだから、しかも順風満帆の産業界であればともかくとして、繰り返すようだけど、脆弱な基盤に立っておる産業界であれば、私はやっぱり、思い切って国家が本当に肩入れしておるんだという形を実態面であらわさなければ、これはもう絵にかいたもちになってしまうというふうに私は思えてならないんです。したがって、その辺のことはまた附帯意見なんかでもつけなければいかぬのかとも思いますが、十分ひとつ考えてもらいたいと思います。  それから、時間がありませんから先に進みますが、基地の問題と関連して、前の国会のときにも私申し上げたことですが、国内で基地確保することは非常にむずかしい、また公害の問題も現にあるし、安全性の問題もある。そういった意味において、思い切って国外にこういった基地を設けるということも考えられるのじゃないかということを指摘しておきました。このほど日本とサウジとネシアの三国出資によるロンボク島のCTS建設についての話が進みつつあるというふうに私聞いておるわけですが、この点についてちょっとお聞きしておきたいのです。  その一つは出資の問題ですが、出資については政府・民間共同で出資するのか、その辺の話がどうなっておるか、わが国の出資。  それからもう一つは、何といっても、ロンボク島の位置しておる地域環境を考える場合に、紛争、いわゆる有事ということを考えなければならない。この有事の際の安定供給について海外基地を持った場合に十分考えなければならないのだけど、その辺がどのような見通しになるか。  それから、伝えられるところでは、ロンボク島のCTSの場合には、産油国から直接取引によって原油を買い取って、これを精製して販売供給するということになっておるようですが、販売先は出資国だけに限らないということでございますので、この販売先などについて、いわゆる供給先についての話ができておるのか、あるいは備蓄する場合のリースはどうなるのか。当然これは基地ですから備蓄していくことになろうと思う。  それから、IEAの取り決めの九十日間の原油備蓄の義務づけについて、この種の出資による海外基地の場合、これは免責されるのか否か。西ドイツの石油製品の最小備蓄に関する法律という中では、海外備蓄をしている場合、外国政府との協定により外国にある石油備蓄を自国分として加算しておるというふうに聞くわけでございますが、このロンボクの場合は同じような方法としてわが国は考えておるのか。IEAの場合にもそれはそのようにみなしていくのか。  以上、まとめて海外基地のことについてお聞きしたいと思います。
  127. 増田実

    政府委員増田実君) まず、海外備蓄につきまして、これが今回の九十日備蓄計画の中に入っておるかどうかということでございますが、私どもは今回の九十日備蓄計画につきましては、やはりわが国の主権の及ぶ範囲内で備蓄基地を建設するものというふうに考えておりまして、いわゆる海外備蓄基地、いま先生からお話のありましたたとえばロンボクのCTSは含めないで考えておるわけでございます。  ただ、日本における石油につきましては、これは依存率は、先ほど冒頭大臣からもお話ありました現在七七%を将来六三%ぐらいにするということで考えておりますが、しかし、それにいたしましても絶対量はふえていくわけでございます。そういうことになりますと、昭和五十四年度末に九十日備蓄に達しましても、一日の量というものはやはり毎年ふえていきますから、そうなりますと、その後の備蓄計画の中にはやはり海外備蓄というものも一緒に考えて総合的判断でこれを取り扱わなければならないのではないか、こういうふうに考えております。  そこにいまお話のありましたインドネシアのCTSの問題が浮かび上がってくるわけでございますが、お尋ねのいろいろの諸点がございましたが、現在までのところこのCTS問題につきましては、それほどまだ具体的には進んでおりません。  御存じのように、昨年の一月に田中前首相がインドネシアへ行かれましたときに、スハルト大統領との間にこの話が出まして、検討するということになりまして、それを受けましてその後地域調査、どこに設けるのがいいかということで、日本とインドネシアが現地調査を昨年の八月に行いまして、これは四地点を調査いたしました。その後、ことしのたしか六月ごろだったと思いますが、インドネシア側の希望としてはロンボクを選びたい、こういうことになりました。そこで、このロンボクにつきましてのいわゆるフィージビリティー調査というものについてはこれから行う、こういうことになっております。したがいまして、このロンボク地域にどれくらいのタンクを置く、あるいはそれに要します資金がどれくらいになるかということについてもまだ、試算はいろいろありますが、今後のフィージビリティースタディーの結果をもってできるわけでございます。  ただ、いま先生のお尋ねの諸点につきましてお答えできる範囲内で申し上げますと、出資の問題でございますが、これにつきましては、やはり所要金額というのは十億ドル以上超えるプロジェクトだと私ども考えておりますが、これの必要資金を日本とインドネシアと、それから産油国のどこか、いまサウジとかその他考えておるわけでございますが、それがそれぞれ出すということになりますが、その中の非常に多くの部分をやはりサウジのいわゆるオイルダラーに依存したい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、日本出資分が幾らになるかということについても、まだこれは詰めたものではありません。  それから、お尋ねのその出資について政府がやるのか民間がやるのかということでございますが、私どもは、これは政府が直接出資することではなくて、やはり民間プロジェクトとして出資が行われるものと現在は考えておるわけでございます。  それから、ここに置かれました油が有事の際にどうなるかということでございますが、これにつきましては、日本もこれを援助し、また、出資も日本は企業が出資するわけですが、ということから、有事の際に相当な部分を日本に供給してもらうという約束を、これはできたら政府ベースで取り結びたいというふうに考えております。と申しますのは、これは民間が出資する、その他にいたしましても、輸銀その他で当然援助することになりますので、その石油につきましては、これを必要なときに滞りなく日本に引き渡してもらえるような制度をしきたいということで考えておるわけです。  それから、この油の販売先その他でございますが、これは産油国が入りますと、恐らく東南アジア地域全体にわたっての一つの販売拠点という形になると思いますので、日本あるいはインドネシアだけに限らず、つまり出資した企業の国だけでなくて、ここを東南アジアに対する販売の一つの拠点にするという考えになっていくんではないかと思います。  大体以上の点が、先ほどのお尋ねのありました点に対するお答えでございますが、初めにお断りいたしましたように、まだ計画段階、あるいはもっとその前のフィージビリティースタディーの段階でございますので、いま申し上げたことが今後の進展によっては相当変わってくるんではないか、こういうふうに思いますが、一応そういう前提で御答弁申し上げた次第でございます。
  128. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最後に、時間が参りましたから条文問題について一つだけお聞きしておきたいと思います。  第十条で、第一項の中ほどに「正当な理由がないと認めるときは、その石油精製業者等に対し、期限を定めて、第七条第二項の規定に従って石油保有すべきことを勧告することができる。」という定めがあるわけですが、この場合、たとえば住民のいわゆるタンク設置についての反対運動というようなことが当然予想されるわけですね。それもいろいろのケースがありまして、小さい場合には個人が法廷に持ち込んで係争を続けるということもありましょうし、あるいは地方の自治体段階の決議などによって反対ということもあるわけだけど、非常にこれはケースが多岐にわたる。しかもケースによってはもう五年、六年と時日を要するということもあり得るわけです。こういった点についてどのようになるのか、いま定めがあるなら聞かしておいてもらいたいと思います。
  129. 増田実

    政府委員増田実君) 法案の第十条の勧告につきまして、「正当な理由がないと認めるときは、」という規定がございます。この「正当な理由」というのは具体的に何かというお尋ねでございますが、私どもの方の考えでは、この備蓄をいたします義務を負っている会社が十分な企業努力を行わなかった場合は正当な理由がないという考えでございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃられましたように、地域住民の説得に努めたけれども、まだ十分理解を受けないのでいろいろ反対があってそのためにおくれるという場合は、十分な努力をした上でしかもそれが進まないということであれば、これはやはり私はそれ以上はできないと思います。そういう意味で、これは正当な理由があるという方で判断すべきだと思います。この勧告その他につきましては、これは石油企業としてやはりその備蓄義務を果たすということが、この石油産業を担当している以上の社会的責任であるという前提に立ちまして、そしてそのために十分努力する。しかし、いろんな理由でこれはできない場合がありますので、それにもかかわらず勧告したり命令をするというのは、これはもう実態に合わないと思いますので、やはりこの「正当な理由」につきましては、十分な企業努力が行われておればこれはもう十分な正当な理由がある、こういう判断をいたしていくつもりでございます。
  130. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 終わります。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 私も二、三点質問したいのですが、いまの藤井委員の質問が一番皆各委員とも問題にしているのじゃないかと思いますから、そこのところをもうちょっと解明してもらいたいんですが、実際この用地を購入して、これから五カ年のうちに九十日分の備蓄ができるか、そういうことです。その場合、たとえばさっき対馬君も非常に心配をして苫小牧の問題を質問していました。これには石油基地反対同盟といいましょうか、地域ぐるみでいま反対している。こういうのが今後各地に発生しやせんかと思うのです。その点でもしも——いや、もしもじゃありません、いまたとえば青写真があるとするならばそれをお示し願いたいと思うけれども、そういうところで、いま計画しておるので一体スムーズに用地購入できるのはどのくらいあると判断しておられるか。その用地を購入するときに、地域住民の意思はどういうふうにこれを吸い上げていくか。たとえば後で消防庁にも聞きますけれども、防災計画の中に地域住民の意思を入れるような、計画委員の中にも入れるというようなことも後で質問していきたいと思うけれども用地買収にも地域住民の意思を入れるシステムを持つ意思があるのかどうかを聞いておきたいんです。  実は、この前の通常国会でこの法案衆議院で論議されるころ、この今度の法律は政府備蓄に責任を持つんだから、何というのか、強圧的に土地を購入するから、民間会社が私的に購入するよりも購入しやすいというような風評が流れています。政府もこれで強圧的に土地を買うんだという声がありますけれども、そういうことでは地域問題が発生します、社会問題が発生しますが、これからの青写真の問題と購入に自信があるのかどうか。購入する場合には地域住民の意思をどういうふうにしてくみ上げていくか。この三点を質問いたします。
  132. 増田実

    政府委員増田実君) この九十日備蓄を行いますためのタンクの建設、そのために必要な土地取得ということにつきましては、これは地域住民方々理解と協力がなければ現実にもまた進みませんし、それを前提にして今後の計画を立てておるわけでございます。そのために保安対策とかあるいは環境の保全についても、これはいろんな措置というものが必要だというふうに考えております。  ただ、いま先生からおっしゃられましたように、たとえば共同備蓄会社というものをつくりましたときに、住民の意向を無視して、国策だということでこれを強引に推し進めるというつもりは、これは全くございません。また現実に、これはまあ消防庁その他があるいは御答弁申し上げる筋合いかと思いますが、たとえば土地の埋め立てをする、あるいは港湾を建設する、またそのタンクの建設で消防署の認可を得るという各段階におきまして、これらの反対がありましたときには、これはもう進み得ないわけでございますから、そういう意味で、この備蓄基地の建設につきましては、十分に地域住民方々理解と協力というものを得まして、その上でこの問題を推進するということで図っていくというつもりであります。
  133. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから青写真の問題。
  134. 増田実

    政府委員増田実君) 答弁漏れがございまして、失礼いたしました。  現在、この備蓄基地候補地というのは、これは幾つかあるわけでございますが、そこの市町村長あるいはその周辺の方々は賛成している。ただ、たとえば漁業の補償の問題についてまだ交渉中であるとか、その他のいろんな不確定な要素がございます。そういう意味で、具体的にどこの地域が今後ナンバーワンの備蓄基地になるかということで、ここで申し上げるのにはまだそこまで熟しておりません。そういう意味で、青写真としてどこの地域に何坪、そうしてそれを合計してどういうふうになるということの段階には至っておりません。
  135. 小柳勇

    ○小柳勇君 数字をちょっと合わしておかなきゃなりませんが、さっき長官は、三百二十万坪これから必要だとおっしゃいましたが、ここに小津修二君——おたくの計画課長か講演した論文の中には、約六百万坪ぐらい必要だということが書いてあるわけですが、これは正常の貯油率を五〇%として六千万キロリッター分の用地が必要だと言うんだが、この点の数字の問題と、いずれにしろ今までが約七十日分、それを九十日分にするんだから、五年間のうちに三割ぐらい石油基地がふえるわけだ、坪数は幾らにしたっていいから。その三割の石油基地が五年間のうちに確保できると思っておられるところに、さっき藤井君も心配しておったように、私は大変な問題じゃないかと思うのです。その点についてくどいけれどももう一回、数字の問題も何か間違いがあったら訂正して見解を聞いておきたいんです。
  136. 増田実

    政府委員増田実君) 私どもの方の計画課長が講演で、新しく必要である土地の面積を六百万坪と申し上げたのは、これは昨年四十九年の十二月に私どもの方で一応試算しましたときには六百万坪になっておったわけでございます。ところがその後、五十年の四月に石油供給計画の策定ができまして、これによりまして四年後の石油数量というのが出まして、それに基づきまして、内需数量をはじいて全部計算し直したわけでございます。それで昨年の十二月に計算いたしましたときには、もっと石油の数量が伸びるということを前提にしておったものですから、たとえば今後の五年間の備蓄増量というのが、先ほどから申し上げておりますように、現在では三千万キロリッターでございますが、昨年の十二月には三千六百八十二万キロリッターということで計算いたしまして、それに基づいて六百万坪となっておったわけであります。そういうことで、いまのこの数字の違いは、五十年四月の石油供給計画に基づいて計算をし直したもの、こういうことで御理解いただきたいと思います。  それから、今後三百何万坪という新規の土地が必要なわけでございますが、確かに小柳先生おっしゃられますように、それはそう簡単には入手はできないと私どもも思っております。先ほど藤井先生に千葉の君津の新日鉄の工場の敷地が二百八十万坪で、それより少し多いくらいで大したことはないと申し上げましたが、もちろんタンク用地と製鉄所の用地とは違いますし、またこれは一カ所ではございません。数カ所に分けてやりますから、そう簡単に私どももこれが取得できるというふうには考えておりません。ただ数字で御説明いたしますと、すでにありますタンク用地というものが現在、これは全部坪数で、本来平米で申し上げるべきだと思いますが、坪数で申し上げますと、五百三十万坪でございます。これが現在タンク用地として使われておるところでございます。それからそれに加えまして、石油会社が未使用地として持っております、いわゆるタンク用地が大体百七十万坪ございます。これが全部今後の九十日備蓄に使えるかどうかにつきましては、若干問題の地点がありますが、一応百七十万坪が既取得ということになるわけでございます。  それから、先ほどの三千万キロリッター、今後の三十日分としての必要な土地、これは消防法の基準その他が非常にきつくなりますので、従来のような土地感覚では無理だと思います。十万キロリッターのタンク一基につきまして一万三千坪、まあわりあいに余裕を持った計算をいたしまして、これで全部で四百九十万坪という計算をいたしまして、そこから先ほど申しました既取得の百七十万坪を引きまして、三百二十万坪が今後の取得用地。そうなりますと、これも今後相当な土地を、しかも先ほど申し上げましたように、その地域住民方々理解と協力によって得られるというのには、これは相当な問題点があるということは先生の御指摘のとおりだと思います。
  137. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま長官の言明にもありましたから、大臣もお聞きのとおりですから、この委員会でこれが上がるときには附帯決議で、土地取得については地域住民意見を努めて尊重するということを書いておきますから。それは、今度は政府がやるから強制的に収用するだろうという心配が相当あるようですよ。したがって、それは特に申し上げておきたいと思います。  それから、消防庁も見えておるようですけれども、この前のコンビナート防災法が通りましたので、特別防災区域七カ所が指定されるが、その地域における総量規制はどうされるのか、その地域だったら幾らでもタンクをつくっていいのか。それは絶対的にもう起こりますよ、これから。三百二十万坪買いまして、ある一カ所に、一つの県、市に、幾らでもできるだけやれるのかどうか。いや、この地域にはもう何百リッターで防災上終わりですと、そういう規制があるのかどうか。
  138. 永井浤輔

    説明員(永井浤輔君) お答え申し上げます。  現在のところ、個々の区域について総量が何万キロリッターというふうな、上から——上からというか、そういった初めから規制をするようは考えはございません。しかしながら、個々の施設、たとえばタンクその他の装置、こういったものの規制上当然必要な保安距離といいますか、保有空地といいますか、その他のレイアウト、こういったものがからんでまいりますので、その区域における面積規模からして、こういったいろいろな規制の積み上げの結果、必然的にその総量規制というものは地域ごとに最大限度のものは決まってくるんではないか、かように考えている次第でございます。
  139. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) ただいまのコンビナートにおける総量規制的な考えの運用でございますが、消防庁からお答えになりましたように、石油タンクにつきましては消防法の規定によりまして一走の規準があり、間隔の定めなど決まっております。それから、高圧ガス取締法に基づきましてはコンビナート保安規則というものがございまして、これは各ブロックに分けまして、そのブロックごとに幾らの総量であるべきかということを定めております。そこで、このタンクと高圧ガスの設備を持っておりますところの地域と両方が一体となりましたコンビナートにおきましては、御案内のように新しい法律をもちまして事前にレイアウトの届け出が出てまいるわけでございますが、この段階からそういう考えで運用してまいりたい、かように考えております。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 考えはいいですが、それを省令なり建築基準なりという——省令でも政令でも構いませんが、何か規則で決めるつもりですか。それはこういうことです。ある地域住民反対が少ないようなところに密度、もうある限界限界でちゃんとやって、そこに大量の基地をつくりますと、たとえ優秀な消防隊がおりましても、その全体の総量の面から見ますと不安ですね。基地タンクをつくりやすいところにどんどんつくるようなことでは将来困ると思いますから、だからその地域においてはもう余地はあってもそれだけだというようなものが必要ではないかと思うんだが、もう一回ひとつ公害局長から聞いておきましょうか。政令、省令などでお決めになるつもりがあるのかどうか。時の局長の考えでこれは指導しますと、行政指導だけではお粗末じゃないかと思うが、どうですか。
  141. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 高圧ガス取締法におきましては、先ほど申しましたように、コンビナートの中でそういう施設を持っております区域を一定の区画に割りまして、それぞれの区域で幾らの総量の熱量を保有すべきか定めておりまして、総量規制の運用をいたしておるわけでございます。それからタンクにつきましては、消防庁の方で別途いろいろ施策を講じていらっしゃいます。  そこで、両方が混在いたしましたコンビナートというのがどうなるかということでございますが、これにつきましては新しい法律に基づきまして、コンビナートで事業所を設置する場合にはあらかじめ主務大臣にレイアウトを出してくるようになっております。これには面積とか、製造設備の配置だとかいろいろ細かいことが出てまいりますので、その段階におきまして現実にこれをチェックいたしまして、不適当な場合には変更を命ずる、こういうことになろうかと考えます。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃもう一回、長官、いまの段階でこれから五カ年間の青写真はここにはお出しはできませんけれども、皆さんの頭の中には、日本の国内だけでちゃんと五年したら九十日分の備蓄用地はあるということですか。それだけ聞いておきます。
  143. 増田実

    政府委員増田実君) これは地域住民の協力が前提でございますが、私はあると思っております。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣に聞きますが、この前の委員会で、石油業界の整理統合といいましょうか、そういう方向にいきたい、指導したいということでありました。現在の輸入、精製あるいは元売りなどの石油業界を、たとえば電力業界みたいに——そうまでぴしゃっといかぬでしょうが、整理統合される意思があるかどうか。まあ意思はあったようでありますが、現在の動向はいかがですか。
  145. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 石油業界の体質の強化をいたしまして、今後の経営形態をどういうふうに持っていくことがいいのかということにつきまして、いま総合エネルギー調査会の石油部会で答申をいただいております。その趣旨は、御案内のように、いま非常に乱立状態が続いておりまして、まあ力も非常に弱い。したがって、OPECとも対等の交渉はできませんし、またメジャーとも対等の交渉ができないでいる。国内の需要家とも十分な交渉ができない。何か事がありますと混乱を生じて困ってくる。直ちにしかも困る。こういうことが続きますと、石油安定供給ということにも非常に心配な点が出てくるわけでございます。今回は石油業法等によりまして標準価格等を設定をいたしましたけれども、まあこういうことをたびたびする考えは毛頭ありませんで、今回を特例にしたい。後は石油業界が体質強化せられまして、そして少々のことが起こってももう自分で解決していく、そういうふうにぜひしていただきたい、こう思っておるわけでございます。そういう意味で、石油部会に経営のあり方についていま検討をお願いをしておりまして、近く答申が出ることになっております。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 国の基本的な計画の中でいま九十日備蓄を論議しておるわけですから、業界の方がやはりその計画に賛同しなければ、いよいよになった場合に協力できないと思いますが、この備蓄計画に対しては業界は歓迎しておられるのかどうか、どうですか。
  147. 増田実

    政府委員増田実君) この備蓄計画について業界が歓迎しておるかどうかというお尋ねに対しましては、私は歓迎しているとは言えません。ただ、これは石油業界におきましても、石油備蓄というものが必要である、いまの六十日とか七十日では不足であって、世界のほかの国々から比較いたしましても、やはり日本においては九十日が必要であると、これは十分理解しておるわけです。ただ、いかんせん石油業界の、現在非常に、崩壊寸前というと大げさでございますが、四期連続赤字でございまして、非常に苦しい状況にあります。そういう意味で、この備蓄は相当な負担になるわけでございます。これは国が予算あるいは財投で相当支援をいたしましても、やはりコストとして業界自身が負担しなければならないものが相当あるということでございます。そういう意味で、非常に現在苦しい中にあってこの備蓄を進めなければならないことにつきましては、石油業界は非常に重荷に感じておるということは、これは事実として先生のおっしゃるとおりでございます。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 業界の意見は十六日の日にお聞きしたいと思いまして、いま参考人の手配をしてもらっておりますから、そのときにお聞きしましょう。  そこで、いま立地公害局長と消防庁に聞きますのは、地域住民反対は、この間の水島の事故なり、あるいは石油によって海を汚染するとか、公害、そういう問題であろうと思うわけです。これがないなら基地ができてもそう反対はしないと思うのです、もうたとえば山林を開発して石油基地をつくるんですから。この間の防災法によります石油基地防災計画における住民参加の体制、これもいま問題になっておるようでありますし、それからコンビナート内の企業の消防隊設置に対して政府が補助してくれないかという意見もあるようでありますが、これは消防庁の方から見解を聞き、後のこれから九十日分の備蓄計画をやる石油基地に対する公害排除の計画については、公害局長からお聞きいたします。
  149. 永井浤輔

    説明員(永井浤輔君) お答え申し上げます。  地域の防災計画の作成は、御承知かと思いますが、各石油コンビナートを持っております県を単位といたしますところの石油コンビナート等防災本部というものがございまして、ここでつくるわけでございますが、その本部長はやはり都道府県知事、これは住民の選挙によって選ばれた方々でございます。それを本部長といたしまして、そのほか国の各出先機関、あるいは関係行政機関、それから地元の市町村長、こういった者を本部員といたしまして構成いたしております。こういったところで防災計画というものが作成されるわけでございまして、なお本部員につきましては、その他本部長が必要と認める者も本部員に入れるようになっております。こういったことで、具体的には地元住民の意思が反映されるような防災計画がつくられるというふうに私どもは考えておるわけでございますが、今後の運用につきましても、なおそういったような地域住民の意思が反映されるような計画をつくるように指導していきたいと思います。  なお、防災計画が作成されました場合、あるいは修正されました場合には公表するようになっておりますので、地域住民にも十分その内容がわかるように、そして御理解、御協力をいただくような仕組みになっております。  それから、コンビナート内の企業に対しまして、この法律におきましてはいろいろと自衛消防組織というものを義務づけております。これには必要な要員なり資機材を確保するようになっておりますが、この具体的な基準については現在検討中でございます。しかしながら、設置義務がございますので、これを置いた場合には必要な消防資機材というものを備えなければなりませんので、これに対しましては必要な資金のあっせん、いわゆる開銀融資というものを考えておりまして、現在開発銀行なり大蔵省の方にお願いをいたしておるわけでございまして、企業に対する直接の補助金というものは考えておりません。
  150. 宮本四郎

    政府委員(宮本四郎君) 先生の御指摘のコンビナート、あるいは単独の立地の場合におけるところの公害あるいは災害の問題をどのように防止していくかということだと存じますが、この点につきましては、災害の防止につきましては通産省におきましては高圧ガス取締法を所管いたしておりますし、消防庁におきまして消防法を所管しておられます。労働安全の観点からは労働安全の法律が労働省において施行されておりまして、さらにこのたび石油コンビナート等災害防止法というのが新しく成立いたしまして、それぞれの法律を下に従えまして、上位の構造としての防災の完璧化を期するために立法された次第でございまして、これが運用に当たりましては、それぞれの法律で持っておりますところの分野をさらに超えまして、共通のコンビナートを面としてとらえて、これに必要な防災の施設を講じさせ、あるいは必要な組織をつくる、こういうことになって防災の面を強化してまいりたいと考えております。  公害問題につきましては、御案内のように大気、それから水、それに廃棄物というふうな問題がございます。大気につきましても、水につきましても、それぞれの法律に基づきますところの基準というのが強化されてまいっておりまして、企業はこれに対応いたしまして鋭意公害の減少に努めておるところでございます。廃棄物につきましても、この問題につきましては新たな観点から関係省庁において新しい施策をいま検討中であるわけでございます。  ただ、こういう現実にありますところの大気、水の汚染、公害問題の改善ということも大事ではございますが、私どもの観点からいきますと、新しく工場立地ができる、あるいはコンビナートをつくるというふうな場合に、事前にこれを十分公害が起きないような配慮をしてスタートさせるということが、より根本的に大事だろうと思う次第でございます。このためには何よりも、将来ここにこういう立地があった場合にどのような公害が生ずるであろうかかという、事前調査と申しますか、アセスメントというのが非常に大事だ、こういうふうに考えますので、鋭意この問題についても取り組んでおる次第でございますが、いずれにいたしましても、工業の立地におきましては地元住民理解というのが最も大事でございまして、特にただいま御議論願っております石油基地につきましては、地域環境への影響が非常に大きいということからいたしまして、この点を重視した立地と指導ということをさらに徹底してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、地元住民了解を得るためには安全及び環境が十分確保されることが大前提でございますし、そういう構想段階から、十分これらの意見を反映させまして、地方公共団体及び企業がこれに即応してまいるように指導していきたいと考えております。
  151. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後でございますが、大臣、重ねて見解をお聞きしたいのですが、イギリスやドイツなども備蓄の問題についてはもう相当先へいっていますし、またわれわれ日本の国民としても、三割方の石油がだぶついておれば不時の場合に急激にこの値段が上がるようなこともないでしょうし、また使用についても不安がないので、わが党はこれ賛成なんです。この法律に賛成ですが、ただ、この共同備蓄会社が主体となってこれから三割の油を備蓄していくのでありまして、やはり業者としては歓迎はしないんじゃないかと思うわけです。したがって、政府がもう少し責任ある体制を持って国民にも納得させ、業者にも納得させ、そしてこの不時の国難に対する国の対策を完備すべきであろうと思います。あと用地の問題などはなかなか簡単にいかぬのではないかと思いますし、政府のこれからの取り組みなり決意についての見解をお聞きいたしまして、質問を終わります。
  152. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御趣旨全く賛成でございまして、そういう方向に向かってすべての努力を尽くしていきたいと思っております。
  153. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  154. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  石油備蓄法案の審査のため、来る十六日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会