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政府委員(増田実君) ただいま大臣が御説明申し上げました
提案理由及び要旨を補足して簡単に御説明申し上げます。
わが国の場合、石油供給のほぼ全量を海外に依存しており、また、輸入石油の供給地域が特定地域に偏在していることなどから、石油供給の削減や途絶による影響を受ける度合いが大きく、かつ、一次エネルギー供給の大部分を石油に依存している事情から、石油の供給不足がエネルギー需給全体に影響を及ぼし、
国民生活と
国民経済の混乱に直結するという脆弱性を持っていることは、先般の石油危機においてわが国が経験し、いまだ記憶に新しいところであります。したがいまして、わが国にとって緊急時における石油の
安定的な供給を確保することはきわめて重要な課題であり、このためには石油の備蓄増強を図ることが強く求められております。
わが国と同様石油供給をほとんど海外からの輸入に依存している西欧主要先進国においては、すでに相当の水準の石油備蓄を確保しているのに対して、わが国においては石油備蓄はまだかなり低い水準にあり、わが国としては早急に備蓄の増強を図っていくことが
国民経済と
国民生活の
安定を確保する上で必要不可欠であります。このため、従来から四十九年度末を目標として国内石油消費量の六十日分に相当する石油の備蓄を達成するよう、所要の指導及び助成を行ってきたところでありますが、最近における国際石油情勢の推移等にかんがみ、今回新たに五十四年度を目標とする九十日石油備蓄増強
計画を発足させることとしております。この九十日備蓄を達成するためには多大の資金及びコスト負担が必要でありますので、
政府としても石油
企業に対して備蓄増強が円滑に推進されるよう所要の
財政、金融上の措置を講ずることとしております。今回の
石油備蓄法案は、こうした助成措置とあわせて、石油備蓄の
計画的な増強と備蓄水準の維持を図ることを
目的とし、このため所要の
法律上の措置を講じようとするものであります。
以下、
法律案の主要な点につきまして若干補足説明を申し上げます。
まず第一に、石油備蓄目標の
策定及び石油備蓄実施
計画の届け出等石油備蓄の
計画的な増強を図るための規定を設けております。
すなわち
通商産業大臣は、石油精製業者等が行う石油備蓄事業の指針として、毎年度、石油
審議会の
意見を聞いて次年度以降の四年間について、石油備蓄の目標数量及びそのために必要な新たに設置すべき石油貯蔵施設の貯蔵能力等の事項を
内容とする石油備蓄目標を
策定し、公表しなければならないものとしております。石油精製業者等は、この石油備蓄目標の
策定を受けて、毎年度、次年度以降の四年間において当該
企業が実施すべき石油備蓄増強についての
計画、すなわち石油備蓄実施
計画を作成し、
通商産業大臣へこれを届け出なければならないものとしております。この場合、
通商産業大臣は、この届け出に係る石油備蓄実施
計画について石油備蓄目標の確実な達成を図る見地から審査を行い、特に必要があると認めるときは、当該届け出に係る石油備蓄実施
計画を変更すべき旨の勧告をすることができることとしております。
第二に、確保された備蓄水準を維持するための措置について規定しております。
すなわち
通商産業大臣は、まず、石油精製業者等の前年の石油製品の生産量または石油の販売量もしくは輸入量を
基礎として、その総量がわが国の前年の石油消費量の七十日分から九十日分に相当する範囲内にあるようそれぞれの基準備蓄量を算定し、毎年、石油精製業者等に対してそれぞれの基準備蓄量を通知することとしております。石油精製業者等は、毎年度この通知を受けた基準備蓄量以上の石油を常時
保有しなければならないものとしておりますが、その実効を期すために、
通商産業大臣は、石油精製業者等の石油の
保有量が基準備蓄量に達していない場合に、その達していないことについて正当な理由がないと認めるときは、基準備蓄量以上の石油を
保有すべきことを勧告し、また、石油の
保有量が基準備蓄量に達していない程度またはその達してない期間が一定の基準に該当すると認めるときは、基準備蓄量以上の石油を
保有すべきことを命令することができることとしております。
以上のほか、本法では災害その他やむを得ない事由による基準備蓄量の減少、石油
保有量等の帳簿記載、石油需給適正化法に基づく
対策実施の告示期間における本法の規定の適用除外等について必要な規定を定めることとしております。
なお、石油備蓄施設の設置に当たっては、安全、防災、環境
対策に万全の配慮を払う必要があることは言うまでもないことであり、この点に関しましては、今
国会に
提案しております石油コンビナート等災害防止
法案を初め関係法令の整備、厳格な運用等により万全を期してまいりたいと考えております。
以上、この
法律案につきまして
提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げました。
何とぞ、よろしく御
審議のほどをお願い申し上げます。