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1975-11-20 第76回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

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  1. 産業貿易及び経済計画等に関する調査 (会議録情報)

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  十一月十二日     辞任         補欠選任      森下 昭司君     和田 静夫君  十一月十三日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     森下 昭司君  十一月十八日     辞任         補欠選任      森下 昭司君     加瀬  完君      鈴木  力君     戸田 菊雄君      対馬 孝且君     森中 守義君  十一月十九日     辞任         補欠選任     加瀬  完君      森下 昭司君     森中 守義君      対馬 孝且君  十一月二十日    辞任          補欠選任     安武 洋子君      沓脱タケ子君     対馬 孝且君      粕谷 照美君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 吉武 恵市君                 戸田 菊雄君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 中尾 辰義君                 藤井 恒男君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        科学技術庁振興        局長       木下  亨君        通商産業大臣官        房審議官     伊藤 和夫君        通商産業省基礎        産業局長     矢野俊比古君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        特許庁長官    齋藤 英雄君        中小企業庁長官  齋藤 太一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      吉田 淳一君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    山村 勝美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (石油価格行政指導に関する件)  (外国資本企業国内進出等に関する件)  (特許管理士制度等に関する件)     —————————————
  2. 委員長(林田悠紀夫君)(林田悠紀夫)

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  3. 委員長(林田悠紀夫君)(林田悠紀夫)

    委員長林田悠紀夫君) 速記を起こして。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、鈴木力君が委員辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。     —————————————
  4. 委員長(林田悠紀夫君)(林田悠紀夫)

    委員長林田悠紀夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 商工委員会がしばらく開催をしていないもんですから、特にいま冬場の需要期段階に入りまして、灯油価格の問題が、特に北海道においてはいまもう住民の最大課題になっております。きのうも全国生協連灯油全国会議がございまして、その場に出ましたが、私も強く要望されてまいっておりますから、そういう観点からぜひ積極的な立場でひとつお答えを願いたい、こう前提を置きたいと思うんであります。大臣も中国へ行かれたそうでありまして、新しい視点でひとつ灯油問題に取り組んでいただきたい、特に要望申し上げて、質疑に入ります。  まず最初に私は、石油価格体系という名のもとにいま通産省として新価格体系に対してどういう方針を持っていられるのか。つまり、石油審議会開催をされているんでありますが、これに臨む一つ考え方というのは、一体どういう考え方をお持ちになって石油価格体系に対処されようとしているのか、まずこれをお伺いします。
  6. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) 石油産業は、御案内のように、現在非常な経営危機に陥っております。年間数千億の赤字が出ておるのでございますが、しかし、借入金等を引き続いてしなければなりませんので、そのまま赤字を大幅に計上いたしますと大変なことになりますので、資産を処分をいたしまして、表面の赤字は比較的少額にとどめておりますけれども、それでもやはりことしの三月期、それから九月の中間決算は相当大幅な赤字でございまして、まさに危機的状態である、こう申しても過言ではないと思います。そこで、事態は一刻も揺るがせにできませんので、とりあえずナフサとそれからC重油につきまして参考価格を設定をいたしまして、そして、石油業界需要家と交渉しやすいような環境をつくったわけでございます。  しかしながら、あと引き続きまして御案内のように、OPECの今回の値上げ等もありますので、こういうOPEC値上げ等を含めまして、今後石油価格体系というものはどうしたらよいかということにつきまして、いま石油審議会にいろいろ検討をしていただいておるわけでございます。もうすでに数回会議を開いていただいておりますが、できるだけ早く結論を出していただく、こういうことでいまお願いをしておるわけでございます。ただしかし、そういう場合におきましても、灯油国民生活と非常に密接な関係がありますので、灯油価格はできるだけ低く抑えたい、こういう方針で検討していただいておるところでございます。
  7. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 そこで私は、六月一日の元売指導価格撤廃をした後における、これは長官の方にお伺いしたいんでありますが、通産当局として、つまり行政指導という名のもとに、いま大臣からもありましたが、赤字逆ざやを解消するというような事由のもとに、実は行政指導をされてきている。結果的には、当初長官も私らに再三申し上げておったんでありますけれども、つまり、石油類似種の大体平均ないし下限指導していきたい、こういう答えを再三われわれいただいてまいりました。ところが現実には、今日の灯油価格は、私の調べだけでなくて、これは通産省の、十月十日の日経並び毎日等にも明らかにされております、私のところにも資料が参っておりますが、これからいきますと、すでに灯油元売指導価格が三万五百円台に実は上がっているという状態であります。三万三百円から三万五百円となっておりますね。それで逆にC重油段階では二万七千八百円、こういう価格に実は大体なっておる。  こういう現在の状況から判断をして、私は、全体の油の生産率が、大体C重油というのは、これはもちろん鉄鋼電力で使う関係が一番大きくウエートを占めておるわけですから、四〇%を占めておるわけであります。これが灯油価格よりも値上げ幅が低く抑えられて、灯油の方に結果的には、うまいこと言ったけれども、第一次、第二次値上げで、結局六月一日現在は二万五千三百円ですから、五千円の値上がりをしたということです。ところが逆に、C重油関係値上げ幅というのは、二千円前後で抑えられているということですよ。こういう結果では、これはやっぱりもうどんなうまいこと言ったって、いま大臣赤字と言ったけれども赤字ツケを結果的にはわれわれ庶民が灯油値上がりでもって、私の調べによると、大体千二百億程度の赤字を、灯油値上がり分で七百億円の赤字を解消した。つまり国民ツケでもって、灯油値上がりで七百億円の赤字解消をした、こういうやり方というのは、これは行政指導としてはやっぱり問題があるんじゃないか。  特に過去に問題になりました独禁法行政指導との兼ね合いという関係で、私は行政指導について、まず長官に対して、この行政指導が一体正しいと考えているのかどうか、それは現実にわれわれ国民に訴えられた、つまり類似種平均ないし下限指導するといった通産省が、結果的には灯油価格が一番犠牲を強いられて、そして大企業である鉄鋼、あるいは電力重油関係についてはきわめて低い価格で抑えられている、こういうことでは、これは国民灯油を納得せいと言ったって納得できないじゃありませんか。  それからもう一つの問題は、原価を赤字だ、赤字だと、こうおっしゃるんですが、それじゃ一体どういう今日の状況になっているのか。この状態だって、私なりに資料を持っておりますけれども、これはやっぱり実態は各社同一じゃないわけです、私の調べ調べによると。ここらあたりもポイントをしぼってお答えを願いたいと思うんです。
  8. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) ただいま対馬先生からおっしゃられました行政指導の問題でございますが、まずここでお断りいたしておかなければなりませんのは、私どもは、灯油価格につきまして引き上げ行政指導は絶対にやっておりません。これは対馬先生にもこの委員会で何回も御答弁申し上げておりますように、灯油価格につきましては、これが国民生活に直結するということの重要性からも、私どものやっている行政指導灯油価格が上がらないように、できるだけその上げ幅を低めるようにという行政指導を行っておるわけでございます。具体的に申しますと、これは先ほど対馬先生からおっしゃられましたように、類似品種、これは工業灯油軽油A重油とのバランスを見ながら家庭用灯油がこれを上回らないということで常に監視指導をいたしておるわけでございます。  それから、もう一つおっしゃられましたC重油関係でございますが、確かに御指摘のように、C重油価格は非常に低いです。現在原油価格よりも低いC重油というものは、これは私は非常におかしいと思っております。そういうことで、先ほど大臣からも申し上げましたように、先般C重油ナフサだけを取り上げまして、一応参考価格ということで引き上げのむしろ一種の行政指導と申しますか、参考価格の提示というものを行っておるわけでございます。  この灯油につきましては、これはたびたび申し上げておりますように、私どもが行っておりますのは、六月一日にこの価格を一応はずしました。はずしましたのは、この灯油価格だけが従来非常に低く抑えられた。この低く抑えられているのは、価格において非常に好結果を生むわけですが、他面その供給が不足するという事態の生じないために、私どもが先ほど申し上げましたように、他の類似品種とのバランスを見ながら、一応それより上がらない範囲内で、しかも増産させるという指導を行ってきたわけでございます。この結果、これも先生御存じのように、九月末には、昨年の九月末よりも上回る灯油の増産、備蓄を行わしておるわけでございます。この灯油の量がふえれば、これは価格に必ず好影響を及ぼすということで、また、消費者方々品不足では御迷惑を及ぼさないということでやったわけでございます。ただ量だけの問題ではございませんで、先ほど申し上げましたように灯油だけの価格が上がることのないように、これは十分むしろ先生のおっしゃいましたとの逆にこの価格を監視して、そして消費者方々に迷惑のかからないような指導を行っておる、これが現状でございます。
  9. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 いま長官からお答え願った問題で、C重油灯油に対照して安いという現実はお認めになりましたね、よろしゅうございますね、この点は。そこが大事なところですから。
  10. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) C重油と申しますのは、これは先生よく御存じのように、石油を精製いたしまして、各品種が出るわけですが、いわゆる残滓と申しますか、一番最後に残るものでございます。それで、従来はC重油原油価格と比較いたしまして、三割前後のアップになっておったわけでございますが、これがOPEC原油価格の大幅な値上がりに追いつきませんで、現在三%のC重油というものは、原油価格に比べて低いという状況でございます。これは上げなければならないということで、参考価格を指示したわけでございます。  ただ、灯油について言いますと、灯油はガソリン、ナフサ、その次に位するものでございます。また、日本灯油は、これは家庭でたきまして、しかも煙突がないのが原則でございますので、非常に精製費がかかるわけでございます。これは先生御存じのように、灯油価格というものは、原油価格と比較しまして、先ほどC重油原油価格を比較いたしましたが、かつて、石油危機以前は大体二・五倍前後であったわけでございますが、現在の三万円の価格は一・四倍ないし一・五倍でございます。その意味におきまして、C重油原油価格と比較いたしまして値上がりしていない。同様な状況灯油にはあるわけでございますが、しかしながら、そういう事情にもかかわらず、私どもとしては灯油国民生活に直結する重要物資であるという観点から、できるだけ灯油は上げないように各種の行政指導を行っておるというのが現状でございます。
  11. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 いま長官からそういう現状認識という考え方で、C重油価格が安いという現状について、それはそのとおり理解して結構です。  そこで問題は、私は、行政指導のあり方が、いま灯油には上げた覚えがないと長官は言っているのですが、現実に六月一日以来二万五千三百円が三万五百円になっているわけですから、これが事実でなければ否定されて結構ですけれども現実に上がっているわけです、四千八百円から五千円前後上がったわけでしょう。そうすると、これは結果的に行政指導という名のもとに上がったことは事実なんですよ。  そこで、この点もっと明確にしておきたいのですが、昨年の三月十二日、内閣法制局長官統一見解として、行政指導独禁法関係についてお答えを願っているわけです。この見解を見ますと、これははっきりしているのでありますが、当時の見解では三つの見解を出しておりますけれども、明らかにこの中で明確にうたっているのは、特に第二項目です。統一見解の二項目の中に、「最近のように、物価抑制最大国民的な課題となっておりますことを考慮いたしまするならば、物資所管管庁価格抑制観点から、価格に関する行政指導を行なうことは必要やむを得ないものと考えられまして、その根拠各省設置法に求めることができます。たとえば通商産業省設置法第三条第二号、石油につきましては第三十六条の七第一号でございます。」という回答が統一見解に相なっておるわけです。  私はここで聞きたいことは、その行政指導で、あるいは参考価格でも結構なんでありますが、やはり通産省が後ろでコントロールしたということは、これは事実でしょう。現に業界が言っているのですから、北海道で。北海道の十三社の支店、メーカーの会合が北海道灯油反対連絡会議道庁があっせんしたときの場面でこれは言っているわけですから。長官がどう言おうと、そういうふうに言っておるんですよ。通産省連絡をとりながら、通産省の意向も聞きながらわれわれはこの価格を決めていく、動向を決めています、こう灯油消費者団体との会議で言っているのです、業界が。この事実は明らかなんですから。  そうだとすれば、私は値上げを阻止するために通産省行政指導を  政府統一見解が仮にそのとおりだとしたならば、百歩譲って値上げ抑制のために行政指導するというなら、われわれ国民がわかるわけですよ。ところが値上げのために、つまり業界値上げに手をかすために、通産省一つの動きを示すということは、これは過去にないんだ、いままで。私はずいぶん調べてみました。しかし、アメリカでも西ドイツでもずっと調べてみましたけれどもアメリカの場合は、一九六二年のケネディ大統領時代に、鉄鋼価格値上げについて大統領権限を発動して停止したことが、これが一つあります。それからジョンソン大統領のときに、やっぱり石油価格の問題で大統領勧告を出して停止させたことがあります。それから西ドイツの例、これも調べましたけれども、これはシュミット蔵相がやっぱり石油問題で停止勧告を出しています。諸外国を見たって、どこの国を見たって、官庁が値上げのために手をかして行政指導したという歴史は、私が知っている限りでは、ここに資料ありますけれども、これはないということですよ。  ところが、日本通産省だけは、今回の灯油の問題では、長官はしていないと言うけれども、結果的に二万五千三百円が三万五百円に上がってしまったということは、どう言ったってこれは上がっているし、北海道——地方のこと、ほかのことは知りませんよ——北海道の先ほど言った通産省道庁のあっせんによる北海道灯油反対連絡会議消費者団体と値下げのメーカー北海道の石連というのがあるのですけれども石油連盟会議の場で、通産省と十分な連絡をとりながらわれわれもこの価格皆さん方に了解を願いたい、こう言っているわけです。これが値上げ行政指導でなくて一体何だ、この点はやっぱりはっきりしてもらわぬと、国民は納得しないですよ、これは国民としては。
  12. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 先ほど対馬先生に御答弁申し上げましたことの繰り返しになりますが、私どもは、灯油値上げ行政指導はこれは絶対にいたしておりません。それで、ただ灯油につきましては、ことしの六月に従来の二万五千三百円という一年間とめておりました価格を一応はずしたということで、つまり自由化いたしたわけでございます。しかし、本来自由化すればこれは需給で決まる、あるいは需要家生産者側あるいは元売側勢力関係で決まるわけでございますが、それに対しまして、灯油は一般の方々が受けるわけですから、そういう意味では、そこに価格値上がりのしわ寄せになるおそれがあるということで、私どもはほかの類似品種との間のバランスをとるということで、むしろ抑える行政指導をやったということでございます。ですからこの点につきましては、私ども灯油値上げ行政指導を行ったという、北海道方々がそういうことを言われたといたしましたら、これは全く間違いでございますし、むしろ抑える方の行政指導を行っているということで、そういう意味通産省連絡をとったということなら、それは事実だと思っております。
  13. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 いや、長官、抑えるために行政指導したということの効果が出てこなきやならないでしょう。その点どうなんですか。  私は、具体的にそれじゃお聞きしたいんですけれども北海道消費者モニターの最近の一番新しい価格ですよ、十月分。十月価格によりますと、これは六百九十四円という答えが出てますよ、六百九十四円。北海道消費者モニター、これは道庁も入って、通産省御存じのとおりですが、これは地域別に見てみますと、大臣にちょっと先ほど雑談で申し上げましたけれども北海道の東端に羅臼というところがあります。知床旅情で名の高いところですけれども、ここでは灯油十八リッターが八百円しているんですよ。  ここへ行ったときに——私この間、十一月四日に行っているんです、釧路管内に。そこへ行って、率直に役場の助役さんが訴えていることは、とにかく、もう灯油が八百円にもなってしまったので、自分の子供らが全部出稼ぎに行ってしまっている、あるいは漁業に行っている、それで灯油がたきたいんだけれども、年いった七十のおばあちゃんが、灯油が高くて、もう嫁さんにたいてはならぬということを言われて、布団をかぶって一日じゅう寝てると言うんですよ。そういう涙の出るような悲痛な訴えが羅臼でされているわけです。これははっきり個所を挙げますけれども長官北海道では羅臼と、天塩と雄武という北見のところにありますが、これは八百二十円です。これはうそだと言うなら、うちのを差し上げますよ。これは消費者モニター北海道の十月分の調べですから。  こういう状態になっているということは、どんなことを言ったって、元売価格が上がらなければこういう価格にならないわけですよ。そうすると、ずいぶん長官がおっしゃっていますけれども、三万五百円という一つの元売価格によって今日小売がこういうふうに上げざるを得ない状態が出てきておるわけでしょう。どうもそこらあたり私らはわからない。抑えた、抑えたと言うけれども、どこを抑えたのか。抑えたのであれば少なくとも類似種C重油価格まで抑えましたというのならこれはまだわかる。あるいは軽油の線まで抑えたとか、A重油の線まで抑えましたというのならこれはわかる。私は努力を多とするのだけれども北海道に関する限り、ほかの県は別にしても、きのう全国灯油反対連絡会議に行ったら、やっぱり三万五百円ですよ。高いところで三万一千円、一千二百円、これ全部出てまいりました。私、全部県別にきょう調べましたけれども、十二、三県でありますけれども。こういう点をまずきちっとしてもらわぬと、長官は抑えましたと言うけれども、どこを抑えたのですか、もっと国民にわかるように言ってもらわぬと困るわけだよ。
  14. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) まず、数字について申し上げます。  私どもの方は元売り十三社、これは、日本石油の販売はこの十三社によって行われておるわけでございますから、その十三社から石油業法に基づきまして届け出の仕切り価格というものを持っておるわけでございますが、この九月の数字を申し上げますと、これは全国でございますが、家庭用灯油につきましての元売仕切り価格が二万九千五百円になっております。それからいわゆる工業用灯油、これは本来、品質は家庭用灯油に劣るわけでございますが、これが三万四百円、それから軽油が二万九千七百円、それからA重油が二万八千八百五十円、こういう数字になっております。これをいま申し上げました数字から、現在の家庭用灯油につきましては、工業用灯油それから軽油に比較いたしまして安いところで抑えられておるということでございます。  また、北海道につきましては、私ども北海道だけを抜き出しましてやりましたのは二万九千六百円になっております。これが二万九千五百円といま百円の差がありますが、これはちょっと原因をきわめないとこの内容はわからないわけでございますが、現在私ども行政指導として行っておりますのは、内地と申しますか、本州とそれから北海道の元売価格に差が出ないように、従来は差があったわけでございますが、これにつきましては行政指導元売を抑えておるわけでございます。北海道価格全国価格は、原則としては差がないということになっております。  それから、いま御指摘になりました北海道羅臼でございますか、十八リッター八百円を超えるものが出たということにつきましては、これは私どもの方は直ちに調査をいたしまして、こういう八百円というものが出ておりましたら、これの是正に努めたいと思っております。
  15. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 これは、いまここで通産省から出しているのはどこの、通産省、どういう根拠でこれ調べたのですか。  そこでちょっとお聞きしたいのだが、私は日石、出光、共同石油、それから昭石の四社の実はデータを持っておりますけれども、これでは三万五百円から三万三百円、これはどうしてそうなるんですか。これは私、ちょっと腑に落ちないんだ。現実電源研究所で出した資料がございますけれども、これによると、先ほど言った四社が三万三百円から三万五百円という数字が出ております。これは通産省も知らないはずがないんだ。これがどうして二万九千五百円ということになるんですか。その点ちょっとはっきりしてもらいたい。
  16. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 私が申し上げた先ほどの数字は、元売り十三社から毎月届け出されております仕切り価格でございますが、先生の各社からとられましたのは、これは運賃込みになっておるかどうかちょっとわかりませんが、私どもの方は一応仕切り価格でやっております。それからよく会社の方では、その中間問屋までの運賃込みの価格を出荷伝票で切っておりますので、あるいはその差が出ておるのではないかと思いますが、一応先生から資料をいただきまして、本来この差があるはずはないわけでございますから、十分調査いたすようにいたします。
  17. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 仮に二万九千五百円にしたって、二万五千三百円から見ますと何ぼ上がったことになりますか。元売は二万五千三百円でしょう、六月一日。私は一番問題があるのはここだと思うんです。なぜ六月一日時点で元売指導価格を撤廃したかということが問題なんですよ。その需要期に入ったときに撤廃するならまだわかる。ところが、全然需要期でないときに、六月一日に元売指導価格を撤廃したということは、先ほど来国民がぴんとくることは、どうも通産省がやっぱり業界との癒着の関係で、大体石油需要期でないときに元売価格を撤廃をして、まず高値価格をつくってしまう。高値価格をつくっちゃったらこれは下がらないから、現実の問題として。それで、期に入っても現実に下がってない、上がる一方です、北海道の例を見ても。大体六月一日に元売価格を撤廃をするという通産省の感覚自体が、やっぱり業界と癒着をしておるんじゃないかという疑惑が出るんですよ、どう言ったって。  本来なら需要期に入ったときに撤廃をして、安く抑えるという目的で撤廃したならわかりますよ。それが一番灯油をたかないときに、不需要期に、六月一日に撤廃したということは、特に一番灯油値上げしやすい条件をつくっておいて、高値をつくっておいて、それを需要期にずっと右ならえをして、高値、高値でこう持っていく。こういう誤解が仮に二万九千五百円であったとしたって、私は問題があると思うんです。どうしてこれが抑えたということになりますか。先ほどあなたが言ったように、一番最低が二万八千五百円というのがあるんだから。そこらあたりが、しかも赤字だとこうおっしゃるんでしょう。赤字だとおっしゃるなら、私は決算表を持ってますよ、四十九年の最終決算を。  これでいくと、これは出光、日石は黒字じゃないですか。日石が黒字、はっきり申し上げますけれども、ゼネラル石油が黒字、それからモービルが黒字、それからエッソは黒字じゃないですか。だから、これは十三社と言ったって各社ばらばらなんだ。それを何かどんなことを言ったって、いま二万九千五百円というのは、六月一日時点で二万五千三百円であったものが、結果的にこの価格が四千円何がし上がっているということは、これは現実に否定できないでしょう。その四千円何がしが小売に転嫁した場合に、先ほど言ったように六百八十円とか六百九十円という価格に転嫁されていると。ここが問題だということで、だからその点をどういうふうに言ったらいいか、六月一日で元売価格を撤廃しなければならなかった条件というのは一体どこにあったのか、その点をひとつはっきりしてもらいたいんですよ。
  18. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 六月に価格を外しました理由を申し上げたいと思います。  決して私ども先生のおっしゃられるようなことでやったわけではございませんので、従来の二万五千三百円と申しますのは、昨年の六月からこれを維持してきた価格でございますが、需要期の間にこれを外しますと需要家に迷惑をかけるということで、その間一方、市場が逆ざやであるにもかかわらず、六月までこの二万五千三百円で凍結しておったわけでございます。  それから、なぜ六月に外したかというお尋ねでございますが、これにつきましては九月、つまり需要期に入ります前に、できるだけ備蓄をさせるというために、この二万五千三百円では備蓄ができないということで外したわけです。そのことにつきましてはこの委員会でも何回も御説明いたしましたのですが、前年度も相当な備蓄が九月にできまして、その結果これはわりあいに落ちついた価格で、昨年の冬は需要家灯油が供給できたと思っております。ただ、ことしの九月におきまして、この備蓄数量が足りませんと冬に消費者に迷惑をかけるということで、このときに価格を外したわけでございます。そういうことで九月の備蓄数量を達成するということでございます。  それからもう一つ家庭用灯油価格だけが類似品種の中で低いということになりますと、この灯油がほかの方へ流れるのがもう自然として出てくるわけです。そうなりますとこれは幾ら備蓄いたしましても、家庭用灯油A重油とか、あるいは軽油とか工業用灯油のかわりに安い価格で買って使うわけでございますので、やはりほかの類似品種との間のバランスを合わせませんと、結果的には数量が減って、そのために一般消費者に迷惑をおかけする、こういうことでございます。決して、先生が誤解が生ずるというふうにおっしゃられましたように、石油業界通産省とが結託をして値上げをやったわけでございません。私ども灯油のできるだけ安定的な、しかも、できるだけ安い価格での供給を確保するということにつきまして、日夜努力いたしておるつもりでございます。
  19. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 そこで、備蓄のためにそういう措置をとらざるを得なかったということを再三言われるんですが、それなら私は、そこで二つの考え方をお伺いするんですが、石油業法第十条に、主管大臣がやっぱり生産計画に対して変更をすることを勧告することができるという、生産計画に対する法制定があるわけです。もしどうしても業界がそういう灯油が利益、マージンが少なくて、とにかくつくらないというのであれば、これは石油業法第十条を発動して、つまり生産計画で灯油をたくさんつくれと、こういう意味のやっぱり石油業法第十条、これは何のためにうたったかということですよ。そういう必要性があってこれは法律をつくられているんでしょう。それを何で発動しないのかということが第一点です。  それから第二点目は、私は次の点がわからないんですよ。どんなことを言っても長官、あなた方はそれは個別にやっていると言ったって、北海道の石連と先ほど言った消費者との間の席上で、石連の会長がはっきり言っているんだから。通産省との間の行政指導という言葉を使っているんですよ。そういう中で実はこういう価格になっておりますと、こう言っているんだから、そうだとすれば、石油業法第十五条があるわけだ。石油業法第十五条は、標準価格を定めなければならないと書いているわけです。これはもちろん高騰した場合あるいは低落した場合と二つありますけれども、それは先ほど言った百歩譲ってこれは異論ありますよ、私はこの考え方は。この政府見解には一つの反対がありますけれども、仮に百歩譲ったとしても、値上げのための行政指導はいたしませんということを、昭和四十九年三月十二日の予算委員会で、時の田中総理大臣がはっきりお答えになっている。それは値上げのための行政指導はできないということを、総理大臣が言っているんですよ、当時。それは値下げのための行政指導は、これは通産省設置法第三条二号によって行えますけども、それ以外のことは、つまり独禁法第三条による不当取引制限、仮に個別に話したって談合して話し合って、横の系列がとれれば結果的にはこれは不当取引の項になるじゃないかと、これは認めていますね。  しかもこの間、この点はっきりしておかなきゃならぬことは、わが党の堀委員が、これは予算委員会でこの問題で行政指導独禁法の兼ね合いについての統一見解という立場で、三木総理にお尋ねしておりますし、河本通産大臣にも関連して質問しているんですが、この中で高橋公取委員長は明確に言っておりますね。やっぱり密室の中で行政指導するというやり方は、これは独禁法の精神からいって好ましくない。ガラス張りの中できちっと国民の前に明らかにした行政指導というものをやるべきである。それは法律に定められているんだから、石油業法第十五条というものもあるんだから、これを発動してきちっとすべきじゃないか、こういう見解を明らかにされているわけですよ。  ところが、どうも通産省はそういうことをやりたがらないで、行政指導はやっていませんとか言うけれども、陰ではやっぱりコントロールして、そんなことを言ったっていま言ったように、北海道の例で言っているんだから、これは間違いであれば訂正してもらって結構だけれども、私が聞いている限りでは、もう明らかにそう言っているんだから。そうするとこの点が通産省の基本的な姿勢として問題がある。こういう行政指導のやり方、あなたはやっていないと言うけれども現実には行政指導あるいはこれをコントロールしたという事実は、やっぱり残っているじゃないか。それは少なくとも百歩譲って、昨年の三月十二日の予算委員会における田中総理大臣並びに吉國法制局政府委員統一見解によっても、そういう値上げのための行政指導というものはやっぱりやってはならない、これをはっきりお答え願っているわけです。この点からいって私はもう一回お聞きしたいんですが、その点ひとつはっきり長官、その考え方について正しいのか正しくないのか、そういう考え方を守ろうとするのか、その考え方を正しいと考えるか、正しくないと考えるか、一点目。  二点目は、この考え方を守って通産省はこれからの石油価格について対処しようというのかどうか、この二つをきちっとお答えいただきたい。
  20. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) まず灯油について申し上げますと、これは先ほどから申し上げておりますように、私どもの方は灯油価格が不当に値上がりしないように、これは中間留分と申しますか、つまり、類似品種バランスを合わせて、そして灯油が不当に値上がりをしないような行政指導は行っております。ただ、灯油値上げをさせるという行政指導は、これは絶対に行っておらないわけでございます。  それから、価格に関します行政指導につきましていろいろの考え方があるわけでございますが、現在石油業界は、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、非常な赤字状況になっております。先ほど先生からは、数社黒字になっている特殊な会社についてお話がございましたのですが、これにつきましては、全石油企業の経理状況、これは合計いたしますと、四十八年下期から毎回赤字でございます。それから、一部には黒字計上の会社がございます。その理由といたしましては、たとえばガソリンの販売量が非常に多いとか、その他の特殊な理由によりまして赤字でない会社もありますが、いわゆる民族系の企業は、これは全部赤字になっております。そういうような状況のときに、石油という基礎エネルギーを供給いたします産業が崩壊に瀕するというものを、そのままにこれは国としては放置できない。  つまり、石油産業が崩壊いたしますと、これは全産業に影響を受けます基礎エネルギーの供給会社でございます。産業に影響を受けるということであれば国民生活にも影響があるということでございますので、この価格をあるべき姿に是正するということで、現在いわゆる行政指導——標準価格あるいは参考価格でやっておるということでございまして、私どもはこの行政指導は、先ほど先生も挙げられました通産省の設置法に基づいて私どもの方の権限である、こういうふうに解釈いたしております。  ただ、公取委員長の御発言で、いろいろの行政指導価格について御指摘がありましたのは、役所が行政指導を行ったときに、それに基づいて業界の間でカルテル行為が行われた場合は、これは独禁法違反になるということで、これについて独禁法違反がないようにということの御指摘でございまして、行政指導価格を出すというそのものにつきましては、これは私は法的には認められるものだというふうに解釈しております。繰り返しになりますが、通産省行政指導価格を出しまして、それを受けてもし業界でカルテル行為が行われた場合は、これは独禁法の違反になります。そういうことがないように、厳重に業界に対しては指導いたしておる、これが行政指導とカルテルとの関係でございます。
  21. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 そこで長官、もう一回念を押しておきたいんですが、いま言った行政指導独禁法との兼ね合いで、私はだから統一見解を、百歩譲ったとしても、そういう値上がりのための行政指導というものは統一見解の中には示されていないと言っているんですよ。ただ、その点の考え方についてはどうかと聞いているんだから、それがそうでございます、そういう考え方には変わりはございませんと言うんなら、それでいいんですよ。
  22. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 統一見解に書いてありますのは、先ほど先生からも読み上げられましたように、物価抑制観点からの価格指導でございますから、私ども価格の是正いたします行政指導はこの対衆にはなってないということは、先生のおっしゃられるとおりでございます。
  23. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 そういうふうにお答えをはっきりしていただけばいいんだけれども、どうもそれを否定するような印象になるから、やっぱり業界に癒着しているのかということを考えざるを得なくなるわけです。  それから、次の問題として私は大臣にお伺いしますけれども、いま長官お答え願ったように、いずれにしても行政指導というのは、つまり、国民の生活に直結をするために行政指導をするわけですから、極力やっぱり値上げを抑えるという方向だと思うんです。そういうふうに時の内閣総理大臣にもお答えを願っているわけですから、したがって私は、ここではっきり確認をしたいのは、先ほど、現実石油審議会が行われているという話が大臣からございまして、極力低く抑えたいということを言っています。  そこで私は、大臣は、これは考え方については変わっているわけじゃありませんから、それは結構なんですが、北海道で記者会見を大臣がされて、夕張炭鉱まで入っていただいて御苦労願ったわけですけれども、そのときに新聞記者会見をして、とにかく国民の生活に直結する課題であるので、特に北海道については極力ひとつ安くしていきたいと、こういうお答えも願っておるし、それから金沢で大臣が記者会見をされまして、これも私は記者会見の内容をとっておるんでありますが、これによりますと、これは間違いであれば別でありますが、今度のOPEC一〇%の値上がりに対して大臣はどう考えるか、こういう質問に対してお答えなさったのかどうか私は知りませんけれどもOPECの一〇%の値上がりに伴って石油価格体系をいま検討中である、したがって、石油審議会等を通して今月末に大体結論を出したい、その際、特に国民の生活に関連する灯油の問題については十分配意をしていきたい、こういうふうに記者会見をされているわけです。  これは間違いであれば別ですけれども、先ほど来そういう考え方を申し上げていますから、そこで第一点としてお伺いしたいのは、私は、先ほど長官もお認めになったように、現実にすでに三万三百円から三万五百円になってしまった、これにプラスOPECの一〇%が積み重なることになったらこれは大変なことです。先ほど言ったように、いまでさえ八百円灯油が出てきているというこんな状態なんですから、したがって私は、今回のOPEC一〇%の値上がりに伴い、これ以上やっぱり国民の生活に響くということになるわけですから、その点大臣、ひとつ石油審議会はもちろん意見を徴することは大事だと思いますけれども、まず大臣の基本姿勢として記者会見でお答えを願っておるような姿勢があるとするならば、OPECの一〇%の値上がりについては、灯油については値上げをさせない、こういう考え方についてひとつどう考えているかということが一点であります。この点ひとつまず基本的にお伺いしたい。
  24. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) 灯油価格をできるだけ低く抑えたいということはたびたび私も言明しておりまして、その考え方はいささかも変わっておりません。ただしかし、長官が先ほど来繰り返し申し上げておりますように、類似性質の他の品目、たとえばA重油それから軽油、こういうものとの価格バランスがある程度とれておりませんと、どうしてもその方へ灯油が流れていってしまう、品不足になる。こういう問題が起こってきまして、ひいては結局、消費者方々に迷惑をかけるということになりますので、極力低く抑えてはいくようにいたしますけれども、しかし一方、ある程度のバランスということを考えませんと、かえって迷惑をかけるということになりますので、両方の立場から総合的に検討していきたいと考えております。
  25. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 極力低く抑えるということはいいですが、石油審議会はまだ結論は出ておりませんから、前に恐らく結論を出すというわけにいきませんから、それはそれなりにいいんだが、私は基本的な姿勢として、いま言ったように、OPECの一〇%の値上がりについていま審議会は諮問を受けているわけですけれども、その考え方について一体どうなのか。極力低く抑えるということはよくわかります。しかし、抑えるという考え方について石油審議会に臨む、あるいは意見を徴した場合に、通産省としては仮にその答申は受けたとしても、灯油価格について国民の生活に直結をする問題であるから、ひとつ通産省としてはいま言ったように一〇%のOPEC値上がりについては国民に迷惑をかけない、こういう考え方についてどうなのかということを長官お答え願いたい。
  26. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 基本姿勢といたしましては、国民に迷惑をかけないようにできるだけ値上げ幅を抑えるように調整するということは、先ほど来申し上げましたとおりでございますが、原料価格が上がりました分を一切製品価格に反映させないということは、これは私はできないと思っているんです。ただ、その反映の仕方につきましてはできるだけ、先ほど大臣から申し上げておりますような考え方でこれをやっていきたいというように考えております。
  27. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 仮に極力そういう類似種関係で負担がかからないようにするということはいいんだけれども、私が聞いているのは、何も他のC重油とかそういう関係について、あなたにも先ほどお答え願っておるのだが、これは安過ぎてやっぱり問題があると言っているのだから。大事な点はここなんですよ。灯油がすでに三万五百円台に上がってしまって、そのために赤字解消が、主たる犠牲は灯油によって犠牲を払ったのではないか、こういう国民的な感情がありますと、私が言っているのは、ここで求めているのは、あなたに先ほどお答え願ったように、C重油について問題があるとこう言っているのだから、そういうナフサとかC重油にある程度の負担をかけて、灯油価格については極力、とにかく国民の犠牲にならないように押えていきたい、こういう考え方についてどうなのかということを聞いているのです。私は、ほかの類似種を上げてならぬと言っているのじゃないのだよ。それは私に言わせたらC重油なんか問題だ、これは。しかも、電力鉄鋼に千二百円、千五百円そこそこで犠牲を負わして、片方に四千円も五千円も犠牲を負わせるなんというのは、これは逆立ちしているよ、私に言わせれば。そういう点を聞いているのであって、類似種を上げてならぬと私は言っておるのではないのだよ。類似種製品のそういったきわめて不平等な、不均衡な問題については値上げしてもらって結構です。しかし問題は、国民に直結する灯油価格についてのOPEC一〇%値上がりに伴って、その値上げはやっぱり抑えていく、そういう方針についてはどうですかと、こう聞いておるのです。この点をひとつはっきりしてもらわないと本当に……。
  28. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 灯油につきましては、先ほど来申し上げているように、できるだけ値上げ幅が高くならないように、いま先生のおっしゃられましたように、これが国民生活に直結するということを十分配慮しながら、今後の価格の審議にそれを反映さしていきたいというふうに思います。
  29. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 いまの長官お答え願った考え方大臣どうですか。
  30. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) いま通産省でとっております方法は、OPEC値上げは一応一〇%ということになっておりますけれども、これには支払い条件とか、たくさんの品種がございまして、品種ごとのこまかい点がまだ決まっていないようです。そういうことがありますので、各石油会社に言いなりにならないように、できるだけ有利に価格交渉するように、こういうふうな指示をしておりますので、平均から見ますと一〇%以下になる、こういうふうに思っておりますが、とにかく、極力輸入価格を低く押えていくということが第一。  それから第二は、いま長官が言ったとおりでございますが、灯油価格を低く押えるという基本方針には変わりませんけれども、ただしかし、原油の輸入価格がある程度上がりますと、結局、今度軽油とかA重油なんかもある程度値上がりすると思うのです。そこでバランスが崩れてしまいますと、また灯油がそちらの方へ流れてしまうということになりますから、やはり、この場合でもある程度のバランスをとるということが必要だと思うのです。バランスをある程度とらなければなりませんが、しかし、できるだけそれを努力して低く押えていく、こういうことではないかと思います。
  31. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 それじゃ、灯油価格についてはいま言ったように、類似種以下に極力ひとつOPECの一〇%値上げについて抑えていく、こういう考え方でいいですね、よろしゅうございますね。——まあ大臣からよろしゅうございますというお答えですから、それをひとつ見守っていきたいというふうに考えます。  それから次の問題は、北海道に関する特別行政指導をいたしますということで、長官から再三お答え願っているんですが、つまり、ボリュームディスカウント方式が現実にはなされていないということです、これは長官、はっきり申し上げますけれども。これは現地に聞いてもらっても結構ですし、出先の通産局長あるいは道庁に聞いてもらって結構です。  これは最近の例ですから私はっきり申し上げますが、十月十日現在で、これは北海道消費者協会からずっと上がってきているんですが、それからきのうの生協連の会議でも出ましたけれども、つまり、いままでは十分の十一ということですよね、北海道の場合は十八リッターでたいてるんじゃないんだから。大臣、ここが大事ですよ、二百リッターでたいてるんですからね。二百リッターということは、十八リッターが一本の価格でいま出ていますから、つまり十一本分になると価格が安くなるということですよ。それについては一割なら一割、割り引き価格をしようと、それはつまり共同価格、共同購入、ホームタンク購入、あるいは集団購入、これを称してボリュームディスカウント方式ということでいままで採用してきたんだが、結果的にはそれが崩れていってる。分子と分母が変わっちゃって、逆に十一分の十になってしまっているということですよ。言うならば、ドラムかん一本がいままで十一本の価格であったものが、十一本分で価格構成をされておったものが、結果的には逆に十本に変わってしまっているということでしょう、その分だけ値上がりになっているということでしょう。  この点は私は、この前委員会が開かれておりませんでしたから、長官名でもって出先の北海道の通産局長あてに文書で通達しますと、道に対して——こういうお約束を願って、文書を出していただいたことは認めます。ところが、そのとおりになっていないということです。やっぱり逆に分子と分母が変わっちゃって、十一本分の値段がとられているということですよ、われわれ庶民は。これでは何も共同購入した、集団購入した、あるいはホームタンクに入れたと言ったって、何にもならないんじゃないですか。この点はそういう意味で、大臣が言う、大量に使う北海道について特別にとか、特に東北六県とか、こういった大量に扱うところには配意しなければならぬと、こう言っていながら、逆に高く買わされているという状態になっているわけです。この点長官、文書通達どおり守られない場合一体どうするのか、これをひとつはっきりお答え願いたいと思うんです。
  32. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 先般、北海道の特殊事情から、特に灯油価格が生活に非常に大きな影響を及ぼすということで、私の名前で通牒を出しまして、いわゆる大量取引のディスカウントというものを実施するようにということで、全部指示をいたしております。ただいま先生がおっしゃられましたような、かえって高くなるということは、私は報告を受けてないわけでございますが、これにつきましては早速調べまして、いまの大量取引のディスカウントの実態をまた後刻申し上げたいと思います。
  33. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 そこで、調べるというだけじゃなくて、長官、担当係官を北海道へ派遣してもらえぬですか。なぜ私はこういうことを言うかというと、通達がいっているにかかわらず行われてないんですよ。だから、私が行ってもらいたいという意味はどういうことかと言うと、現地を実際に見てもらって、それからいままでやってもらっておりますように、通産省に音頭をとってもらって、出先の札幌通産局に音頭をとっていただいて、これを消費者団体とそれから北海道の石連十三社との共同的な話し合いの場で、そういう長官通達というものを理解を深めてもらう意味でも、ひとつ私は現地に係官を派遣をしてもらいたい、こう思うんです。もう十一月ですから、行ってみればわかるけれども、私もあなた、一晩じゅうたいているんだからね、現実にもう。一晩じゅうたいていくと、値上げ反対しないものだから、中小企業の連中はどうなっているかといったら、いまだに燃料手当が支給されてないんですよ、灯油価格が安定しないもんだから。これは企業も困っているし、われわれ働く者はもちろん困っているわけだ。この点はひとつそういう体制をとってもらいたいと思うんですが、これはどうですか、この点は。
  34. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) これは通産局でやっておりますから、直ちに通産局に調査をさせまして、もしそのディスカウントが行われてないような状況があれば、必要があれば私どもの方から担当官派遣その他いたしますが、まず、実態を調査さしていただきたいと思います。
  35. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 それは実態に件って調査官を派遣すること、いいですね、実態調査をして……
  36. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) ディスカウントが行われてないと、つまり、この前の通達が実施されてないというふうな事態があれば、これは本省の責任でもございますから、必要があれば担当官派遣も考えたいと思います。
  37. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 されてないんだよ、長官、されてないから言っているんです。現実にされていないと道消費者協も言っているし、道庁も言っている。だから派遣をしてもらいたいと、こう言っているわけですよ、どうですか、その点。それは必要があればなんということでなく、間髪を入れずにあなた——一日じゅう寒いんだよ。一日じゅう寒くて、雪が降ってくるんだよ。必要があればなんて言ってられない。これはすぐやってくださいよ。
  38. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 私、この委員会が終わりましたら直ちに礼幌通産局と連絡をいたしまして、先生のおっしゃいました線でやっていきたいと思います。
  39. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 わかりました。  大臣、それじゃいまの共同購入、集団方式についての北海道の特別行政指導という点については、長官方針どおりでよろしゅうございますか。
  40. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) そのとおりいたさせます。
  41. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 それでは、今日の段階灯油問題についてはそういうことで、大臣並びに長官お答えがありましたから、一応その結果をひとつ見守っていきたいと私は考えます。期待をしております。  そこで、一つだけ申し上げておきたいのでありますが、石油審議会、このメンバーを見ましたら全く、先ほどずいぶん長官が、いや、絶対企業とは癒着していませんとかいろんなことをおっしゃっていますけれども、この顔ぶれを見たですか。東京瓦斯の社長だとか、石炭協会の会長だとか、経団連の専務理事だとかいって、挙がっている者は全部、値上げをしてくれという出光の会社の幹部だとか専務理事だとか、値上げをしてくれという方々が集まって石油審議会をやったって、これは下がるわけないでしょう。はっきりしているじゃないですか。これは少なくとも審議会構成の中に消費者の団体を入れるとか、働く者の代表を入れると。最近、専門委員で田中里子さんと日本生協連の勝部専務を入れたという話をきのう聞きましたけれども、そんな専門委員といったって、これは調査員なんだから、そんなごまかしのやり方じゃなくて——この審議会の顔ぶれ見たら財界の大立て者がそろって、業界の上げてもらいたいというメンバーを全部そろえて審議したら、こんなものは上がるに決まっているじゃないか、下がる話じゃないよ。  これが何で民主的だ、消費者の意見だということになりますか。私は少なくともこれを機会に本当に変えるなら、専門委員なんてちゃちなことをやらぬで、正々堂々と審議会の中に日本生協連の代表を入れるとか、日本消費者協会の代表を入れるとか、あるいは労働組合の代表を入れるとか、こういうことで民主的な石油価格が決定されれば、なるほど通産省はやっぱり国民の方に目を向いて石油行政を考えておる、灯油価格を考えていただいていると、こうなると思うんですよ、長官。ところが遺憾ながら、私も期待しておったんだけれども、メンバーを見たらびっくりしちゃった、今度は私も。この顔ぶれじゃ、とても国民が、灯油が安くなると期待する方が無理だというような感じするんだよ。ただ、あえてここで言いませんけれども、これのメンバーを私は全部知ってます。名前は一々挙げません、いま二、三挙げましたけれども。とにかくこの点についてはひとつ今後の検討課題としていただきたいということ、どうですか。
  42. 政府委員(増田実君)(増田実)

    政府委員増田実君) 石油業法に基づきまして、石油に関する学識経験者ということで、現在石油を供給している側あるいは石油を需要している側というもの、あるいはいわゆる中立委員ということで、石油に関しまして非常に造詣の深い学者その他の方々を入れて構成しておるわけでございますが、ただいま先生からもお話ございましたように、今回田中里子先生と勝部欣一さんと両名を専門委員という形でございますが、追加いたしたわけでございます。ただ専門委員と正式委員というものにつきましては、これは何ら差別をつけておりません。人数の制限が二十人で現在いっぱいになっておりますので、さしあたり専門委員という肩書きで発令いたしましたが、会の運営その他につきましては、御両人にもそういうことで御了承を得て参加していただいて、活発な御発言をお願いしている次第でございます。
  43. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 その点は、今後もひとつそういう民主的な審議会のあり方に変えてもらうということを強く申し上げておきます。  時間が来たようでございますので、石炭問題、実はこれをやる予定にしておりましたけれども、時間的な問題もありますので、三点だけ簡単に大臣にひとつずばり——石炭部長が大臣にかわってお答え願って結構ですから。  新石炭政策について、石炭鉱業審議会の答申に基づいて今月末にエネルギーの関係閣僚会議で決定をされる、こういうふうに私らの方では聞いているんでありますが、この点がそのとおりでございますか、ちょっとお伺いします。
  44. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) いま政府の方でエネルギー対策閣僚会議というのがございまして、この春以降すでに八回にわたりましてエネルギー対策をずっと審議してまいりましたが、あと二回ばかりで大体結論を出す予定でございます。十二月の中旬ぐらいまでには大体結論が出ると思いますが、そのときにあわせまして石炭に対する先般の答申を織り込んでいきたい、こう考えています。
  45. 対馬孝且君(対馬孝且)

    対馬孝且君 それでは、いま十二月中旬ころに大体出したい、こういうことですね。  その前に私は、やっぱり少なくとも石炭鉱業審議会の結論が絶対なものではありませんからね。したがって、いままでも関係団体の意見を徴しておりますけれども、最終的な関係閣僚会議の結論の段階以前に、一応の関係団体の意見をひとつ徴してもらいたい、こういうように私は考えておるんですが、この点ひとつ石炭部長どうですか。
  46. 政府委員(高木俊介君)(高木俊介)

    政府委員(高木俊介君) 石炭鉱業審議会の答申を受けまして、その後審議会のメンバーも改組いたしまして、実は今月の十三日に新しい審議会のメンバーでいろいろ御検討いただいておるわけでございまして、いま先生指摘のとおり、審議会の中には組合の方もおいででございますし、消費者あるいは生産者、いろいろな中間学識経験者もおいでになりますので、そういう方々の意見も聞きながら新しい政策を立てていくという考えでございます。  なお、法案関係につきましても、そういう形で今後一つの成案が出ましたら、審議会の御意見も聞いて、十分反映させていきたいというふうに考えております。
  47. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 この機会に私は、最近進出を許可されましたダウ・ケミカル日本株式会社に関しまして二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。  まず最初に、私のお尋ねをいたしておきたいと思いますことは、いわゆる最近出されましたダウ・ケミカル日本のニュースによりますと、本年の十月の二十七日に、塩素と苛性ソーダを除く広範囲の化学製品の日本国内生産について、日本政府の正式許可をとったと言われておりますが、これは事実であるかどうか、最初にお尋ねしておきます。
  48. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 御指摘のとおり、事実でございます。
  49. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 そこで、実はなぜこの塩素及び苛性ソーダを除く製品の許可を与えたのか、その理由についてお尋ねいたします。
  50. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 御承知のように、外資の進出に対しまして、まず根本的には、塩素、苛性を含めまして、化学製品について一〇〇%が自由化業種になっているわけでございます。そういう意味では、一応進出の希望があれば、それに対して認可をせざるを得ない立場でございますけれども、同時に、私どもとしては、やはり日本の国内産業への影響ということを十分に調査した上で処理しなければならぬ、そういうふうなことから、七月に申請がございましたが、三カ月の間をかけまして、関係業界の意見も聴取し、その結果、苛性、塩素製品に対しては、なおいまソーダの転換、こういった問題もございますので、慎重に配慮してほしいという要請が非常に強いということで、これは認可を保留いたしました。しかし、それ以外のところはそれほど大きな影響はないという御返事は各業界関係者から伺っておりますので、これを認可したと、こういうことでございます。
  51. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 私どもが知り得ました範囲内でまいりますと、いま若干一部触れられましたが、国内産業への影響の中で、具体的には水銀追放の苛性ソーダの製法転換というものを、いま行政指導として、第一期、第二期にお分けになってお進めになっている。いわゆる従来のこの水銀の関係からまいりますと、隔膜法はコストが非常に高くつくとか、できた製品の純度が悪いとか、いろんなことがございまして、言うならば、公害防止の対策が計画どおり行われていないために、ダウ・ケミカルのいわゆる塩素及び苛性ソーダの許可を与えなかったというのが一番大きな問題点ではないかと言われておりますが、その点についてはどうですか。
  52. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 確かに御指摘のとおり、現在アスベスト隔膜法の転換というのは、品質にも非常に問題がございますし、また、アスベストというものに対する安全あるいは公害問題というのもまた別にあるわけでございますが、現実的には、今後イオン交換膜というような技術開発ということも行われておりまして、細かい御指摘のとおり、この三分の二の目標はことしの九月でございましたが、これがほとんど半分をやや上回る程度しかできなかったというのは大変残念に思っております。しかし、来年の三月には大体六割程度の転換が可能でございますし、それからさらに五十三年三月末の期限は、これは全面的な転換可能ということを私どもも見ておりますし、かつまた、その強力な指導もいたすつもりでございます。  そういう過度的な中で、やはり相当大きな世界企業が進出するということによって、公害対策がおくれてくるというふうなことになってはいかぬということで、いわば苛性ソーダ、塩素系製品の認可を保留したと、こういう実態でございます。
  53. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 問題は、まず第一期の製法転換というものが、ことしの九月までに全生産量の六四・何がしというものを対象にしておったわけでありますが、局長がいま御答弁になりましたように、やや完全に転換が行われていないというお話であります。私は、なぜこういうような製法転換というものが思わしくないのか、その点についていろいろ企業側にも言い分があろうかと思うんでありますが、通産御当局からごらんになった場合には、何が原因で計画が達成できなかったとお考えですか。
  54. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 私ども調査をした結果で御報告をいたしますと、一つには、非常に転換の時期の間に何と申しますか、隔膜転換設備の発注というのが集中いたしまして、これは何しろそれ相当な大きな規模でございますので、まあこれを受注できる機械メーカーというのが限られておる。そこへ非常に集中する結果、どうしても納期がおくれるということが一つ大きな理由でございました。これについては昨年、実は私ども秋に調査もいたしまして、その結果個々の企業、機械メーカー、あるいは産業機械工業会に対しては、遅延をできるだけ避けるように促進してもらいたいという正式な要請もしたわけでございますけれども現実にはそういう納期おくれということで納入ができなかったということが一つでございます。  それから第二の問題は、いわば地元の了解の問題でございますが、隔膜転換をいたしますと、どうしてもいわゆる濃度が低いもんですから、ボイラーで煮詰めなきゃいけません。そのためにはボイラーの設置が要るわけでございますが、これは御承知のようにSOx、NOxの問題、まあ重油を使うということで出てまいります。したがって、大気汚染の公害防止対策というものを十分やらなきゃいかぬ、このためには地元の市町村というようなところの、あるいは県の了解がとれない、いわゆる協定ができないと着工できません。こういったものがやはりおくれてきた一つの原因でございます。  それから第三点は、これは非常に特殊な例でございますが、いわば資金の調達難でございまして、たまたまその企業の株主と執行部の間でトラブルがありまして、株主側のいろんな連帯保証とか、こういう程度でもとれないということで、その企業がいわば系列を変わったというような事態があります。そのために特殊な企業としては、そういうところがおくれたわけでございます。  それからもう一つの問題といたしましては、いわば新しい技術、イオン交換膜法が開発をされるもんですから、これを積極的に取り入れようという企業がございました。途中の設計変更みたいなことでございますが、そういうことでややおくれるということもございます。  大体以上のような理由で、特に最初挙げました二つの理由が非常に大きく影響したと考えております。
  55. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 先ほど、一応ことしの九月までの計画は完全にできなかったけれども、五十三年三月までには必ずできるんだというお話がありましたが、いまお挙げになりました主な理由でありますと、私は五十三年三月末もまた完了の時期がずれるのではないだろうかということを心配するんでありますが、その点について、五十三年三月までに製法転換を必ず行い得ると断言できるかどうかということが一つ。それから若干それに関連いたしまして、ダウ・ケミカル・ジャパンが日本に進出するに際しまして、対抗できないというソーダ工業界からは、もう製法転換をやめて水銀法で対抗せざるを得ないじゃないか、同じ隔膜法でも対象の規模が違いますから、問題にならないんだということを非常に強調しておることも、私はいま局長がお述べになりましたいわゆる完了のできなかった理由の以外に、今後大きな一つの障害点になるのではないかと心配するんでありまして、その点も含めて断言できるかどうかお尋ねいたします。
  56. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) まず最初の第一点の御質問に対してでございますが、御承知のように、現在旭化成がイオン交換膜法を六万トン能力で操業しております。この技術を早く言えば適用して、それでイオン交換膜で進もうという会社が数社出てきております。それからさらに、これはまだ十一月いっぱいかかると思いますが、旭硝子が同じようにイオン交換膜法の開発に、会社の立場から言えば成功したということで、いずれこれは私どもの方で十分設備その他をインスペクション、チェックをいたしまして、それからできた製品の苛性ソーダの質というものもよくにらみまして、それらの上で各当否を決めますけれども、しかしながら、これらの二社がいま予定されておりますけれども、そのほかにも徳山曹達といったところでも、新しい開発をいま進めております。少なくともこういった非常に確実な二社についての生産能力も調査いたしまして、その結果で少なくとも今後五十三年までに転換すべき第二期計画、これに対する生産能力が十分あるということを申し上げてはばかるところがないと思います。そういうことで、私は現在で考える限りにおいて、五十三年の三月のお約束は果たせる、こういうふうに考えております。  それから、そのときダウの問題ということで、いわゆるソーダ業界の中でやはり水銀を残して、経済的合理性の上で競争力を高めなければいけないじゃないかという声があることは、まさに御指摘のとおりでございまして、今回、最後の五十三年末は絶対に実現すると私が言明するに当たっての過程としましては、一年ないし二年水銀法を延ばしてくれという要請もあったことも事実でございます。また、これを使う化繊業界のところからもそういう声もございました。しかしながら、いま申し上げたような事情から、少なくともイオン交換膜法が過去の隔膜法に比べれば非常に質のいいものができますし、そういう点と能力の問題がありますので、私どもはあくまでも五十三年の三月は絶対譲らぬということで、ソーダ工業会のいわば責任者に対しても、強く私ども指導をしておりますので、この点で現在はそういう気持ちをソーダ工業会もなく、前向きに取り組むという姿勢を持っていると思います。
  57. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 前向きに持っているというお話でありますが、もう一つの背景といたしまして、ソーダ工業会は四十九年度の年間需要が約三百万トンだと、それに対しまして、五十三年までに製法転換等を行って、会社のいわゆるいろいろな増設等もあるわけでありますが、その場合の生産能力というものの見通しが、年間約五百五十万トンに達するであろうというようなことを述べて、国内の業者における生産だけでも過剰供給になるおそれがあるということも一つの理由に挙げているのでありますが、この供給と需要との関係はどうお見通しになっておるのでありますか。
  58. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) おっしゃるとおり、現在三百万トンの設備能力、あるいは生産という状況でございます。実は先生お述べになりました五百−五百五十万トンというような数字は、私はまあ、今後の減速経済ではもう少し下がるのじゃないかということでございます。ということは、逆に言えば、ソーダ業界は需給の上で非常に心配をしているわけです。これは私どもは、これから来年度の経済見通し、あるいは経済審議会における長期計画というものが出てまいりますので、それに合わせて改めて需給の見直しをしたい、長期的に見たい。それの合わせ方としてこのダウの計画をどういうふうに処理するか、将来七十二万トンと言っておりますが、当面は三十六万トンでやりたいという申し出でございます。その三十六万トンというベースをこの中にうまく、何と申しますか、需給の上にバランスがとれるような進め万というものも一つの道としてあるのではないか。これを認可をするに当たってのいろいろな指導、あるいは条件という問題になると思うのですが、そういうことで日本のこれから増設していく計画、それからダウのそういう新設のあり方というものを何とか調整した形で、混乱のないように処理をしたい。また、一部今後の見通しとしては、輸出ということも当然考えられるわけでございます。そういうことを含めて需給上の調整を可能にして、できるならばそういうことでこれが可能になれば、前向きな処理をする、こういうつもりでございます。
  59. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 これは非常に大切なことでありまして、私は、一応業界の見通しというものと局の見通しというものとがやはり若干相違をいたしておりますので、実態を見てひとつ判断をいたしたいと思うのでありますが、新聞の報道によりますと、ダウ・ケミカルのソーダ生産に待ったがかかっていると、それは局長お答えになりましたように、製法転換も一つの理由だろうし、あるいは私がいま述べましたような供給と需要との関係もあるだろうし、いろいろのこともあると思いますが、とにかく認可は当面保留になったという一部の報道がございます。ところが、私が先ほど引用いたしましたダウ・ケミカル日本株式会社のニュースによりますと、いわゆるダウ・ケミカルは塩素と苛性ソーダの製造許可申請は、十月三十一日再び別途に政府及び通産省に対して提出をしたと述べておるのでありますが、この別途申請というものは出ているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
  60. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 御指摘のとおり出ております。
  61. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 そこで大臣にお尋ねいたしますが、いまお話がありましたように、十月二十七日には苛性ソーダ業界の、いわゆる業界に影響があるということで保留をしました。ところが、三日たって再びダウ・ケミカル日本株式会社は塩素、苛性ソーダの生産の年記をいたしているわけであります。これは私から申し上げるまでもありませんが、政府の内規に、申請後三カ月以内に諾否を決めなければいけない、もしも諾否が決まらないときには、外資審議会にこの問題を出して、そしていわゆる諮ることになっているというような内規があるというふうに聞いております。そうだといたしますと、短期間のうちに通産省側が態度表明を迫られるおそれがあるのではないだろうかと私は思うのでありますが、新しい別途申請に対する通産当局のお考え方をお尋ねしたい。
  62. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) 苛性ソーダは、御案内のように、資本の自由化になっておりますから、原則としては認めるということになるのですけれども、ただ、資本の自由化になっておりましても、日本の産業にそれが致命的な影響があるという場合には別途にこれを処理することができる、こういうことでございまして、いまのソーダ業界の能力は三百万トン前後でございますが、それに対してとにかく膨大な計画が出てきておるわけでございます。しかも日本業界は製法転換の途中である。来年の三月に六割が終わりまして、そして残り四割については五十三年の三月まで、つまり残る二年でやり上げなければならぬという非常にむずかしい大事なときにあるわけでございまして、そのときに需給関係を根本的に揺るがすような大規模な計画が出てくるということになりますと、これは果たして産業全体にはどういう影響があるのか、こういう角度からやはり検討しなきゃならぬと思っております。来春には新しい経済社会発展五カ年計画等もまとまると思いますので、そういう関連において一体この問題をどう処理するか、こういう角度から検討してみたいと思っております。
  63. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 これ具体的にダウ・ケミカル日本KKから行政不服審査法で申請が出された場合は、どう処置されますか。
  64. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) ただいま森下先生から、三カ月に云々というお話がございました。これは内規と申しますか、ルールといたしまして、保留になっている段階で三月たてば、外資審議会に報告をして、それの説明あるいはそこでの御意見を伺うというたてまえでございます。しかし、そこの御意見——今回もそうでございましたが、三カ月の結果を私どもは保留をいたしたい、それに対して、資本自由化のたてまえから遺憾だというおしかりはありましたけれども、せめてできるだけ可及的に速やかな解決をやってほしいということで保留を了解されております。したがいまして、三月後にということは、十月に出ておりますから一月の末でございますが、そこで一応また審議会という問題も出てまいりますけれども、そのときにもそのときの事情、ただいま大臣も申し述べておりましたような全体の調整、そういうものがどういうふうに進むかということをよく見定めまして、仮にそこでもし十分出てきてないとなれば、さらに保留を延期さしてもらうというような形でこういうことにに諮るということも可能だと思っております。そういうようなことで手続を進めてまいりたいと思います。
  65. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 いや、行政不服審査法が出た場合に、そのことを言っているんです。私は、いまの質問はそれの問題と、今度は逆に、行政不服審査法で申し立てが出た場合どうします。
  66. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 行政不服審査法では、不作為につきましても不服の異議の申し立て、不服審査ができるわけでございます。したがいまして、仮にそういう場合になりますと、ダウ・ケミカル・ジャパンが行政不服審査法によりましてその申し立てをやるということの道が開かれております。その場合には、相当な期間ということが一つの議論になりますが、これは裁判所の御判断になります。私どもの内規の三カ月が相当かどうかというのは、改めて議論がそこでされると思います。私どももそういう点で、実は今回の保留に対しまして、申請した社長ベーカー氏に対しましてはそういう道もあるということもよく説明をいたしまして、ただ向こうの方がそういうような措置をとらないで、もう少し行政上のいろいろな審査というものも進めてもらいたいということで、保留についても同意をした、こういう結果になっております。
  67. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 大臣は、国内産業に致命的な打撃を与えるような状況であれば保留、つまり延期をすることも可能だということでありますが、私は、先ほどから局長にお尋ねをいたしておりまするように、国内産業に致命的な影響を与える原因は、製法転換の問題が一番大きいのではないかということを指摘しているわけなんです。そういたしますと、製法転換は五十年九月までの第一期分ですら完了しておりません。これはいまお話がありましたが、全体の六割程度です。そのうちの半分程度しかできていないと言われております。そういたしますと、五十三年三月末局長はやるとおっしゃるけれども、私は非常にむずかしいという判断をしておるのであります。結局製法転換が完全に終わって、しかも企業が公害防止にかけた、つまり製法転換にかけた資金のある程度返金ができ、そして言うならば一本立ちして、さあ来いと言っちゃ語弊がありますけれども、対抗でき得るような素地をつくるまでは、私は許可ができないという現実の問題になってくるのではないかと思うのであります。  そういたしますと、大臣お答えになりましたように、来春には何らかのめどをつけたいということと、実際の国内産業における打撃的、つまり致命的ダメージを与えるという点からまいりますと、非常に言うはやすく行うはがたいような印象を与えるのでありますが、この点について、来春同月ごろまでに大臣としては解決策の一応のめどをおつけになる自信がおありになるのか、この際はっきりお答え願いたいと思うんです。
  68. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) 日本業界には、製法の転換途中であるという大きな課題もありますが、すでに先ほど来申し上げておりますように、六割はもう来年の三月に完了する、残りの四割につきましてもいろんな準備が進んでおるということでございます。  それから、業界はいま一番の底だと思います。どん底にあると思います。しかし、景気もだんだんと上向いてきておりますし、来年の春以降には相当景気の動向も変わるのではないか、こう思います。さらに、先ほども申し上げましたように、来年の春には新しい経済社会発展五カ年計画もできまして、今後の日本産業の見通し、日本経済の見通し等もある程度明らかになろうかと思います。そういういろんな客観情勢の展開等を総合的に判断をいたしまして、この問題を処理したいと思っております。でありますから、二年後に全部製法の転換が終わって、そしてその借金を返しちゃって、何もかも借金がなくなってからということを条件にしなくても、さっき申し上げましたように、産業界の動向であるとか、将来の需給関係の見通し、これも非常に重大な要素にもなりますので、総合的に判断をしたい、こういうふうに考えております。
  69. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 そこで、先ほど引用いたしましたニュースの一文に、先ほど別途提出をされたと御確認になっておるのでありますが、その次に重大なことが書いてあるのであります。「この別途申請は、通商産業省の要求にそって行なったものであり、政府は速やかに対処することを約束している。」と書いてあります。どうしてこういうものを出せといって要求されたのですか。
  70. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) いわば苛性ソーダ、塩素系製品の保留を一応いたしまして、先ほど申しましたように、相手のベーカー社長にその旨を申し、内意として伝えたわけであります。その場合に、それじゃそれ以外のところはいいのかといういきさつがございまして、それ以外については先ほど申し上げましたように認可が可能でございました。その点でこれはシステムの問題、手続の問題でございますが、いわば全部出し直すかとかいろいろ議論があったわけであります。  その結果、とりあえず、いま出している申請書のうちで苛性、塩素系製品という定款変更申請のその部分を修正する。修正するし、同時に、それが自分たちとしてはまだ保留というための意思表示であって、これを改めて出したいと、こういうことでございました。したがって私どもの要請は、むしろこれを保留するということでの要請をしたわけでございます。その文書自身が的確には私は表現されてないと思います。その結果、手続としては結局分離をするということしかないということを私の方としては申し上げたわけでございまして、それが要請ということかと思います。  それから、それに対して速やかに私どもは、向こうとしてはもちろん早く認可をしてくれということを言ったことは事実でございます。しかし、私どもはそういう実情もございますので、そういう申請があれば、再申請になったらそれに対処する対応というものを速やかに考えましょうということを申し上げたというのが実態でございます。
  71. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 要請というお話をしたというわけでありますが、この文書は、その会社のコンサルタント香西幸枝さんという人の署名で通産省に出されたものが、私はその辺に英語と日本語の訳語の問題が出るかもしれませんが、通商産業省の要求に沿って行ったものであるという明確な表現が実はあるわけなんです。  先ほどから申し上げているように、大臣は、国内の産業に致命的なダメージを与えるようなことがあれば保留できるんだということを、再三繰り返しておみえになったわけでありますから、十月二十七日のあの苛性ソーダと塩素を除いた部分の製造許可を認めたときに、これは一応保留してあるわけですから、私は、要請とかいうお言葉をお使いになっておりまするけれども、改めてそのような文書を別途提出をしろということを通産省側は言う必要はなかったのではないだろうか。それがやっぱり要請をするということになりますれば、向こうは要求されたという理解の上に立つし、また、出されれば政府側も、この文書のように速やかに対処することを約束しているということに発展せざるを得なくなってくると思うんです。  この辺私は、通産省方針が一面において業界に対しては日本の国内産業を守るんだという立場をとりつつ、一〇〇%いわゆる自由化されているんだからという対外的な考え方を考慮に入れてその姿勢をとらざるを得ない。言うならば、両面的な対応をするためにこのような表現になったのではないだろうかという背景は、私は理解することができるのでありますが、今後、先ほど私が行政不服審査法等を盾にとって、局長は裁判問題になって争わざるを得ないというお話でありますが、そういうような場合に、こういう通産当局とのやりとりというものが一つの大きな問題になり、それが証拠になり、そして国内産業が、大臣が心配されるような、国内的に致命的打撃を受けるというような結果を招くおそれが私はあるのじゃないだろうかというような感じがいたしまして、この十月三十一日に別途申請書を出さしたことは、非常な私は軽率な行為ではなかったかというふうに思うんであります。この点について、重ねて大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  72. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) いろいろいきさつにつきましてはいま局長が話をしたとおりでございますが、私は、資本自由化にはなってはおりますけども日本の産業に致命的な影響があるものに対しては慎重に対処しなけりゃならぬ、こういう考え方には変わりありません。ただ、先ほど申し上げましたのは、いまはとにかく業界が非常に悪い。かってなかったような悪い状態でございますから、いまの時点でいろんなことを判断すると、これはどうしても間違うわけでございますので、来春以降景気もよくなると思いますし、新しい五カ年計画もできると思いますから、そういうものと製法の転換による負担等を何もかも総合的に判断をいたしまして、ダウの進出問題を最終的に判断をしたい、こう思っております。  しかし、その場合といえども日本の産業に致命的にならないような方法を考えていかなければならぬと思いますが、同時に私が強く期待をいたしますことは、業界ももうすでに資本の自由化ということになっておるわけでありますから、だから常に受けて立つという構えが必要でございますので、製法転換というむつかしい問題はありますけれども業界自身がやはり世界の企業とも競争できるという形に一刻も早く立ち直るように、政府の方もいろいろ指導もし援助もしたい、こう思っております。
  73. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 時間がありませんので、これ以上私はこの問題についてはちょっと触れたくないのでありますが、ただ問題は、私どもの愛知県の衣浦、これは今度の石油コンビナート等災害防止法の中で特別防災区域に実は指定されるところでございます。その衣浦に実は工場立地を求めてきておるわけであります。この点について通産局はダウ・ケミカル日本株式会社から、その工場の概要について事情聴取を行っておみえになるのかどうか、最初にお尋ねします。
  74. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 定款変更の申請でございますが、産業影響ということは現実的な実態をやはりよく聞かなきゃいかぬということでございまして、その点でこの衣浦につきまして話を聞いております。  この会社側の計画によりますと、いわばビニールエステル樹脂、デラケーンという商標ですが、それから発泡ウレタンの原料であるボラノール、それから農業用化学品、いわば殺虫剤を中心にする農薬、これを五十三年までの第一期工事にこの衣浦でやりたい、こういうことで、敷地二十五万平方メートルでございますか、これの半田市に対して使用法と申しまするか転用と申しまするか存じませんが、要請をする、こういうように聞いております。
  75. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 工場のレイアウト等についての概要はお聞きになっていませんか。
  76. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) レイアウトまでは、実はまだ私どもは能力調査という形で聞いておりまして、具体的ないわば設計でございます、これについてはまだ私ども聞いておりません。
  77. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 私が入手いたしました資料によりますと、一応この衣浦工場の概略配置図等がございますが、二十五万坪の中でいま問題になりまする市街住宅区域との遮断の問題、緑地帯の問題等を見てみますると、余り新しい、いわゆる今度成立をいたします石油コンビナート等災害防止法の趣旨にのっとっていないような部面が多々あるわけでありまして、そのことは別にいたしまして、その中で約三万六千平米について、将来この計画用地というものは残されているわけであります。この三万六千平米が、たとえばいま苫小牧を一つの予定といたしまして、塩素、苛性ソーダの生産をするというふうに予定をされておりますが、この衣浦工場でもそれはなきにしもあらずだというふうに思うんでありますが、そうい、う点については事情を全然御存じございませんか。
  78. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) 私どもがダウ・ケミカル・ジャパンから聞いておる限りにおきまして、この衣浦で苛性ソーダの生産は行わないということを社長は明言しております。  それから、いま先生おっしゃいました二十五万坪でございますと可能性があるわけでございますが、二十五万平米でございまして、七、八万坪でございますと、三十六万トンのレイアウトはまず不可能だと考えております。
  79. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 いやいや、三万六千坪の将来計画用地があるでしょう。つまり、全然工場も何もつくらない……
  80. 政府委員(矢野俊比古君)(矢野俊比古)

    政府委員矢野俊比古君) ただ、おそらく私どもとしては、いまの三万入れましても十万坪程度だろうと思います。そういたしますと、少なくともダウの三十六万トン計画は二十万坪以上の敷地が必要でございますので、この衣浦ではまずやれないというふうに私ども判断しております。
  81. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 そういたしますと、これは会社側の社長の誓約と、それから事実上あなた方の技術判断から言っても不可能であるということになるわけですね。  それから、立地公害局関係者にお尋ねをいたしますが、立地公害局もこのダウ・ケミカルの衣浦場の立地条件については御存じございませんか。
  82. 政府委員(伊藤和夫君)(伊藤和夫)

    政府委員(伊藤和夫君) 立地公害局として仕事をする上でダウから聞いたということはございません。一般的に存じてはおります。
  83. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 そこで大臣に最後に、時間がありませんで聞いておきますが、私、先ほど申し上げたコンビナート防止法、略称ですが、成立をすることは間違いないと思います。これにつきましては当然特別防災区域でありますから、この会社の規模によりましては一種になるか二種になるかは別にいたしまして、このコンビナート防災法の対象工場になることは間違いないと思います。これは新設につきましてはあなたの許認可が必要になってくるわけでありますが、いま申し上げましたように、工場敷地と市街地住宅との間における遮断の問題、あるいは三万六千平米残されました空地の問題等がございまして、工場のレイウトについて防災的な見地、保安的な見地等から、あるいは公害的な見地から、具体的な計画が出ましたときに、私は相当強力な御指導と御指示をいただかなければならぬのではないだろうかというふうに考えておりますが、そういった点についての決意はむしろおありになりますれば、お尋ねいたしたいと思います。
  84. 国務大臣(河本敏夫君)(河本敏夫)

    国務大臣河本敏夫君) 公害問題等につきましては、申請が出ました段階におきまして、法律に照らして厳重に対処するつもりでおります。
  85. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 それから、この問題で最後にちょっとお尋ねいたしておきますが、この会社は酸化エチレンというものを相当お使いになる予定になっておるんです。で、会社側の説明によりますと、この酸化エチレンの安全な輸送方法について目下研究中である、したがって、まだ具体的にこういう方法で酸化エチレンを輸送するとい決め手を持っていないようでありますが、この問題等について、酸化エチレンはいま現在どういう方法が一番安全な輸送方法ですか、お尋ねしておきます。
  86. 政府委員(伊藤和夫君)(伊藤和夫)

    政府委員(伊藤和夫君) ダウが酸化エチレンを生産をするというようなことについては伺っておりませんけれども、現在の高圧ガスの取り締まり法上では、安全な輸送方法について通産局長に届け出るということで処理をしておるわけでございます。
  87. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 私の言うのは、安全な輸送方法として考えられるものはどんなことがあるかと言うんです。どんな方法がとられれば一番安全な輸送になるか。たとえばタンクローリーだけなのか、あるいはそうでなくて別な方法があるのかということです。
  88. 政府委員(伊藤和夫君)(伊藤和夫)

    政府委員(伊藤和夫君) たとえばタンクローリーを使って輸送する場合にはどういう経路を通っていくか、そういうようなことについて通産局の方に届け出をする、そういうことになっております。
  89. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 時間がないので、それ以上聞きません。  そこで、せっかく厚生省の方からお出になっていると思いますのでお尋ねいたしますが、このいわゆるデラケーン製造過程、それからもう一つの製造過程の中におきまして、産業廃棄物が相当出るようであります。年間それぞれ約二十九トンあるいは三十トン程度出るようでありますが、これを本当ならば、計画によりますと、第二期計画で焼却処理施設をつくるという計画のようでありまして、第二期計画の焼却処理施設ができるまでは、第一期計画でそういった産業廃棄物が出た場合は、コンクリートの防火水槽のようなものをつくって、その中に産業廃棄物を貯蔵しておく、そして、二期で焼却施設ができれば焼却するんだというような産業廃棄物対策が考えられておるようであります。これは規模、それから内容等によって相当違ってくるのではないかと思いますが、一応いまの中では珪藻土の要するに廃土が主体であるというふうに聞いておりますが、そういう廃棄処理対策で、人体あるいは他のいわゆる付近の人々、または海中、あるいは土地の中に影響を来さないかどうか、その点お尋ねしておきます。
  90. 説明員(山村勝美君)(山村勝美)

    説明員(山村勝美君) 産業廃棄物の処理につきましては、御案内のとおり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令の中に処分の基準を設けておりまして、それによって規制いたしておるわけでございますが、先ほど御指摘のような珪藻土を中心とした汚泥状のものにつきましても、この処分基準に従って判断をしていく必要があろうかと思います。  本件につきましては、先ほど来御議論がございましたように、進出が決まったばかりの段階でございまして、廃棄物の処理計画等につきましても、愛知県当局も詳細な調査、ヒヤリング等を行っていないという段階でございますので、いまのところ具体的に、それが適正であるかどうかという判断はできないような状態でございます。仮に有害な汚泥であるといたしますと、飛散とか流出を防止するとか、あるいは公共用水域と遮断をして埋め立てるとか、また、無害な汚泥であるという判断がされた場合でも、公共用水域、あるいは地下水を汚染しないようにするとかというような処分の基準が定められておりますので、それに適合するように処分されるべきであろうというふうに考えております。   〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕 今後県を通じて十分指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 次に私は、特許庁長官がお見えになりますのでお尋ねしておきますが、最近、特許管理士制度というものが非常に普及をしていると言っては語弊がありますが、会員数三千何名に達したそうであります。これは社団法人の発明学会というものが昭和三十八年にそういう制度をおつくりになりまして、三年前に特許管理士会というものが引き継ぎまして、四十九年度までに会員数は約三千八百人あると言われております。ところが最近、この特許管理士が弁理士法に抵触をするような行為があったために告発をされまして、先般、略式起訴を受けたという経緯があるわけであります。  この特許管理士制度は法的裏づけがございませんし、国家試験もないわけでありまして、単なる任意団体である特許管理士協会がいわゆるそういった制度をみずから設けているにすぎないわけであります。したがって、この性格とかいろんな問題についても、論議は時間がありませんのでいたしませんが、こういうような特許管理士制度というものが、国家試験が行われたいわゆる身分の問題と混同されがちである。かつ、弁理士まがいの行為があったということになりますと、特許行政の上におきましては若干のトラブルが起きる可能性が出てくるのではないかと心配するので、特許庁の側から見た場合に、こういう制度についてどういうお考えを持っているのか、その一点だけお尋ねしておきます。
  92. 政府委員(齋藤英雄君)(齋藤英雄)

    政府委員齋藤英雄君) いまお話がございましたように、特許管理士が四十八年でございますか、略式起訴されたという事実がございます。すでに判決は簡易裁判所で確定をいたしております。  それで、本件につきましていまお話がございましたように発明学会、これは科学技術庁の方の御関係の団体でございますが、それとの関連で特許管理士というものが従来は登録されておりましたようですが、最近話を聞きますと、この登録自身はすでにやっていないように聞いております。  それから、裁判所の判断でございますけれども、裁判所の判断は、やや法律的にわたりまして恐縮でございますが、弁理士法の二十二条ノ二と二十二条ノ三と両方でもって告発をいたしました。  二十二条ノ二と申しますのは、「弁理士ニ非サル者ハ報酬ヲ得ル目的ヲ以テ特許、」その他云々云々ということを業としてやっちゃいけません、こういうのが二十二条ノ二でございます。  二十二条ノ三は、「弁理士ニ非サル者ハ利益ヲ得ル目的ヲ以テ弁理士、特許事務所其ノ他之ニ類似スル名称ヲ使用スルコトヲ得ス」これが二十二条ノ三でございます。  それで裁判所の判断は、二十二条ノ二につきましては判断をいたしまして、これは罰金刑に処すべきであるということでそういう判決を下しましたが、二十二条ノ三に関しては判断を下しておりません。そういう状況でございますので、私どもの方としましては、もちろんこういう特許管理士制度につきましての運用その他、これは正式に申し上げますれば科学技術庁の方になると思いますけれども、弁理士法に違反することがないようにかねてからいろいろお話を申し上げておりますと同時に、科学技術庁の方でも、それは非常に注意をしておやりになっておられるように私ども聞いております。したがいまして、本件につきましては、ややそういうものの中に行き過ぎのものがあったというふうに考えるのが私どもの認識でございます。
  93. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 それと最近似通った制度といたしまして、公害防止関係で非常にいかがわしいような団体が巧妙な宣伝をいたしまして、無辜の大衆に被害を与えるような行為が多数出てくるということを私は心配をいたしておるわけでありますが、ここに一つ例といたしまして、いわゆる日本企業管理協会というパンフレットがございます。このパンフレットを見てみますると非常に巧妙なことが書いてございます。  たとえば最初に、「通産大臣登録 公害防止管理者 特別講座」、いかにもこの特別講座が通産大臣の登録であるかのごとく錯覚を与える。趣旨は、公害防止管理者が通産大臣に登録をされるというふうに考えるのでありますが、法律的に関係のない人から見れば、この講座が通産大臣に登録されたものであるという印象を与える。かつ、下段にまいりますと、「環境公害士資格認定」という言葉が使われまして、「登録出願受理済(登録出願番号五三二一三五号)昭和五十三年認可予定」と書いてある。私も事前に名古屋通産局で、名古屋でこういった特別講座が行われるという宣伝でありますから、この「登録出願受理済」というものは果してあるのかどうかと聞きましたら、そんな制度はございません、つまり、あたかも上部の「通産大臣登録」というのと下の「登録出願受理済」というのとは、これは相対的に見てまいりますと、この日本企業管理協会というものが公害防止管理者の特別講座を行うに当たって、通産大臣に、つまり通産省に登録をされている、それが届け出として終わっているのだというような錯覚を与えることになるわけであります。お聞きをいたしますと、登録番号の五三という最初の番号は年数をあらわすそうでありまするから、いまの出願が受理されておりますれば五〇が妥当だということになりますが、五十三年認可予定ということが書いてありますこの点から見ますと、それと符合を合わすのではないかというようなことになります。  しかも、中を見ますと、これは全くむちゃくちゃな話でありまして、中央公害審議会会長なんて書いてある。公害対策基本法を読みますと、公害対策審議会であります。この宣伝の中身は中央公害審議会会長であります。しかも、東大の鎌田教授さんを会長と書いてあります。名古屋ではこういうパンフレットでありますが、名古屋以外のところでは、鎌田さんは単に委員と書いてありますし、会長はほかの方の名前になっているようでありまして、とにかく著名な各大学の教授の名前と写真で、いかにもこの会が権威あるものだというような印象づけが行われているわけであります。  しかも、いわゆるこの中身を読んでみますると、国家試験の難易度という解説の中で、出題形式がやさしいとか、受験資格の制限がない、合格率が高い、公害防止管理者はまだ足りない、そして、表に書いてありまする環境公害士資格認定というものがある。環境公害士の資格なんというものは、今日法的に一つもございません。先ほど私が申し上げましたような、勝手に特許管理士制度のようにつくり上げたものであります。しかも、このパンフレットの中で広告をいたします。そして、電話で聞いた方がございます。そうしましたら、この協会から外務員が二人来て、二日とあげず勧誘をいたしまして、ついに一講座、騒音関係でありますが、この方は金六万円なりの受講料を払わざるを得なかったわけであります。  そして、そのときに持ってきた「環境公害士とは」という中で、これは昭和五十二年度より試験が実施される、いかにも国家試験が実施されるようなことが書いてあるわけです。そして、例といたしまして、中小企業診断士昭和三十八年度国家試験となる、それ以前のものは認定者として無試験にて取得、あるいは例に、社会保険労務士、昭和四十四年度国家資格として試験制度となる、昭和四十三年度第一回の認定者として無試験にて認定と、いかにもいまこの講座で、この協会の行う講座へ来て環境公害士という認定を受ければ、無試験で公害防止管理者になれるという錯覚を与えるような内容になっております。私はこういつた点について、まず、時間がありませんから、通産当局はこういった事実を御存じかどうかということが一つ。  第二点、こういうような問題について、私はむしろ通産局の名称が詐称されていることは事実でありまするから、こういった点について責任者に対し、警告なり勧告なりあるいは注意なり、そういったことを行ったことがあるかどうか。ないとすれば、今後こういったものに対しましてどのような処置をなさる考え方があるか、お尋ねします。  そして、法務省からお見えになっていると思いますが、こういった問題については、必ず被害が出る可能性があります。この講座は来年の一月から行われますのですから、いまのところ講座が行われれないとは断定できないのでありまして、直ちに被害が出るとは申しません。しかし、このパンフレットの内容からすれば、事実と相違した内容であることだけはこれはもう明らかだと思います。こういったものに対して、いわゆる無事の大衆の被害を事前にチェックできる、事前に取り締まるような方法というものがないものかどうか、また、法律的にないとするならば、今後こういった点についてどう対処なさるのかその点を一括してお尋ねいたします。
  94. 政府委員(伊藤和夫君)(伊藤和夫)

    政府委員(伊藤和夫君) 先生指摘の件につきましては、当省の方に、最近になりまして、ときどき電話で照会がきておったということでございました。私どもも、こういった協会というものが一体あるのかどうかと、いろいろな実態を調査しているわけですけれども先生指摘のように、いまのところそういうものはございません。しかも、環境公害士等、非常に一般の人を錯誤させるような表現を使っております。したがいまして、これが犯罪になるかどうかという点につきましては、法務省の方からお答えいただけると思いますけれども、私どもといたしましては、仮に犯罪でないとしても、非常に好ましくないことでございますので、当事者を呼びましたり、あるいは関係省庁とも連絡して、こういうことのないように指導してまいりたいと思っております。
  95. 説明員(吉田淳一君)(吉田淳一)

    説明員(吉田淳一君) ただいまの点の、犯罪の関係でございますけれども、まず一番考えられますのは、詐欺罪が成立するかどうか、それから第二といたしましては、軽犯罪法に、誇大広告、虚偽広告を罰する規定がございます。恐らくその二点が一番問題になると思います。  詐欺罪から申しますと、御指摘のような事実関係、詳しいことがわかりませんので、事柄が犯罪の成否に関することでございますから、軽率なことは申し上げられないのでございますが、詐欺罪は、いわゆる人を欺罔して財物もしくは財物を騙取し、財産上の利益を得るというのが詐欺罪の構成要件でございます。  いろいろ人をだます、人の名称に類似するような名称、まぎらわしい名称を用いてそういう講習を行うという場合に、いわゆる受講料、手数料が、詐欺罪として「財物ヲ騙取シタ」ことになるかどうかということでございますが、そういう事実関係をすべて、真相、真実を知っていれば、だれも受講しなかったであろうというようなことでもあれば、あるいは詐欺罪ということも考えられるのございますけれども、普通そういうようなことですと、受講はこれからのことですから、実際わからないわけです。講習はそれなりの、一応曲がりなりにもやるというようなことで、全く金銭だけを取ってしまってどっかへ逃げてしまうというような形、そうなればもう問題はまず非常に明白になると思いますけれども、曲がりなりにも講習を行うというようなことになりますと、直ちに詐欺罪になるかどうかというのは、刑法上の詐欺罪というのはいま申しましたようなことでございますので、直ちに詐欺罪になるということは言えないのでございます。  ただ問題は、そういう人をだますようないろんな宣伝をするということにつきましては、軽犯罪法の規定がありまして、これは公衆に物を販売したり頒布したり、役務を提供するに当たって「人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告を」するということが軽犯罪法の対象になっております。しばしば、御指摘のいろいろな資格、あまりそれは国の資格でも何でもないのに、あたかも非常に有利な資格であるというかのごときことでやった場合におきまして、この軽犯罪法が適用されている事例はあるようでございます。  お尋ねの点につきましては、事実関係が、具体的にもう少し明らかにいたしませんとわかりませんが、むしろ軽犯罪法に当たるかどうかという問題かと思います。
  96. 森下昭司君(森下昭司)

    森下昭司君 私が聞き及んでおるところによりますと、相当通産省の方にも、環境公害士という制度があるのかどうかとか、あるいはこの団体はどうかというお問い合わせがあるようでありまして、全国的には相当被害の出るおそれがあるというふうに思います。したがって、別の機会に私はこの問題については譲りたいと思います。  さらに、社団法人日本工業技術振興協会も、同じように全国的に公害防止管理者の受講のための講座をお開きになっておみえになります。私が調べましたところによりますと、この社団法人日本工業技術振興協会は、昭和四十一年の二月三日に認可をされた民法上の公益法人でありますが、問題は一つ、二つ、三つございます。  その一つは、まず第一に、この定款の中に目的、それから事業内容というものが非常に明確に書いてございますが、実際の予算、決算の内容を見てみますると、この事業内容というものが的確に行われていたかどうかは非常に疑わしい点がございます。たとえば「技術委員会を各部門別に設置し、工業技術の研究、開発および指導を行なう」というようなことなどが書いてございますが、こういった点についても、私は若干事業の内容を見てみますると、そういった点には触れていない。むしろ、率直に申し上げますと見学会だとか、あるいはまた公害防止管理者の受講のための講習会等が主な事業内容になっているのではないかと思うわけであります。しかも定款の中に、第三条「主たる事務所を東京都港区に置く。」とありますが、実際には千代田区内神田に置かれている。しかもこれは変更届け出が出されておりませんから、民法上の規定に違反をしておるわけであります。そういう点で問題が一つ残されております。  第二点の問題点は、この講習会に直接参加した人に対しまして、公害防止管者試験のいわゆる予想問題集というものを実費で頒布してお見えになります。聞くところによると、通産省は、当該年度の国家試験が終わりますと、試験の出題を公表いたしておるようでありますが、いわゆる通産省と一体とも見られるような社団法人の工業技術振興協会がそういった予想問題集をみずから参加した人々に実費頒布をするということは、第三者の立場から見れば、一つの疑惑を呼ぶところではないだろうかと思います。  第三の問題は、パンフレットの主催団体といたしまして、この協会のほかに日本企業発展研究所というものが書いてございます。これは私の調べによりますと、この日本工業技術振興協会の専務理事である中野氏の自宅に併置をされておりまする、言うならば中野氏個人の会であるというふうに聞いております。このように、いわゆる社団法人として認可をされたものが、個人との関係において混同されるようなことが平然として行われておるという問題が第三に起こっております。  それから第四番目の問題は、そういうような問題のある講習会に、これは通産省の公害資源研究所の研究員でありまするとか、あるいはまた国立公衆衛生院の研究員でありまするとか、あるいは通産省の東京工業試験所の研究員でありますとかという人々が講師陣として名前を記載しておることも、先ほど私が指摘をいたしましたこの団体の行ういわゆる受験準備というものが、あたかも権威あるがごとき錯覚を与えているところに大きな問題があるのではないかと思います。  さて、これは原文ではありませんけれども、中野氏が地方公共団体にこういったパンフを配布いたしましたときの要請書であります。そして、地方財政の危機だとか、人件費が高いと言われておりまするときに、こういうようなことが平然として下部地方公共団体に押しつけられているということも一つの問題点として指摘をせざるを得ないのであります。  いろいろ問題がたくさんございます。決算書をながめてみましても、事務所が二つあるようなことが書いてある。本部の事務所費が十二万円、事業部の事務所費が二十二万八千二百十九円であります。これは率直に申し上げますが、総務部長にお尋ねいたしましてもおわかりにならないのではないかと思います。したがって、私はきょうは時間がありませんのでこれで質問を終わりますが、責任をもって工業技術院が、私が指摘をいたしました疑問点について、委員会に正式にひとつ御報告をいただきたいということを希望いたしまして、質問を終わっておきます。
  97. 理事(熊谷太三郎君)(熊谷太三郎)

    ○理事(熊谷太三郎君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————