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山崎昇君 大変時間が過ぎてまいりまして、各
委員からそれぞれ発言がございました。私は、少し説明不足になろうかと思いますが、本日の
委員会を総括をしてみまして私どもの見解をまとめておきたい、そういう意味で、あえて私は
総理の
答弁は求めませんが、私どもの見解を述べておきたいと思います。
私は、けさ来のこの質問応答を聞いておりまして大変残念に思いますのは、今日まで政府は積極的にこの問題を解決するという
姿勢がなかった。これは何とあなた方は強弁しようとも否めない事実ではないだろうか。なぜならば、この
公労法の制定当時のいきさつはもう改めて申し上げません。私はここに当時の議事録全部を持ってきております。これを見ましても、
賛成、反対いずれにいたしましても、
憲法に疑いを持っておったことは事実であります。また、
日本の経済を復興させるために一時的に
労働組合の運動を何とか制限したいという
考えがあったことも事実であります。そういう意味で私は、この
公労法がもし制定されたとするなら、あなた方が言われますサンフランシスコ条約で
日本は占領政策から
憲法政策へ転換を図ったわけでありますから、独立をしたわけでありますから、第一に私は、政府はこの昭和二十六年でみずからこの
法律について検討すべき時期ではなかったのか。これを怠った罪は大きいと思われる。
第二は、この制定当時言われましたように、
日本の経済を復興させるという、あなた方の出されました経済白書によりますというと、昭和三十年の経済白書で、「もはや戦後ではない」という、
日本の経済は戦前に復帰したという。ならば、一歩下がったとしても、この制定理由がここでまた私はなくなるのではないだろうか。そういうならば、政府はこの昭和三十年の初頭において、当然この
公労法について検討すべき責務があったのではないか。これもまたあなた方が怠ったと言わざるを得ない。
第三は、昭和三十九年九月二十九日、先ほど
野田委員から種々
議論のありました臨時行政
調査会は、私もこれは昭和四十三年三月十五日、参議院の本
会議で質問いたしました。当時は、
総理大臣が佐藤榮作さんであります。この臨時行政
調査会の答申は改めて言うまでもなし、和製フーバー
委員会と言われて、延べ百三十八名のスタッフ二年七カ月、そして当時の金で二億円かけたと言われる。この
結論についてあなた方は
一つも審議したことがない。
野党は、これについて質問を展開したが、あなた方は的確な
答弁をしたことがない。この中には
労働基本権もありますが、
国鉄の経営形態、どういうサービスをすべきか、あるいは料金をどういう形で検討したらいいか、あるいは政府の統制は余りにもきつ過ぎるから、具体的提言としては監理
委員会を設けてはどうか、あるいは一般公務員の
労使関係についてはイギリスのホイットレー方式を
考えてみてはどうかとか、具体的な
提案ありますが、一体、あなた方はいつ、これ審議したことがありますか。これまたあなた方は、これだけ膨大な金をかけて
法律で設置をしたこの審議会というものを全く無視をしたではないでしょうか。ここにまた私は三つ目の問題点としてあなた方の怠慢を責めておかなきゃならぬと思う。
四つ目は、昭和四十年、御存じのとおり、ドライヤーさんが参りまして、ドライヤー報告という膨大なものが出されました。これもたくさんの問題があります。私は一々申し上げませんが、わけても、
労働組合に
関係する
事項としては、四点
指摘をしています。
第一は、
日本における官公労働者の
ストライキを一律に禁止することは妥当でない。
第二は、懲戒処分は人間的考慮を十分尊重し運用されること。
——言葉をかえて言えば実損回復について
考えよ。
第三点は、
日本の複雑な
法規そのことが
法律主義であり、
労使の相互信頼にとって障害となっている。
——日本の
法律万能主義に対して痛烈な批判をしている。
第四点は、人事官、及び人事
委員任命に当たっては、労働者の発言をもっと入れなさい、と述べておる。
今日、これらを
考えてみるときに、いずれも中途半端であり、何にも解決されていない。こう
考えるときに私は、この国際的なドライヤー勧告というものに対してあなた方は一片の誠意をも示さなかったということを
指摘をしておかなければならぬと思うのです。そういう意味で言うならば、あなた方は今日、
労働組合だけを責める資格はない。政府みずから私は反省をして、その非を
自分に求めるべきではないだろうか、こう私は
考えざるを得ないのです。そういう意味で私は、今日までの経過から言って、この大筋四点について
指摘をしておきます。
第五に、あなたに申し上げておきたいのは、今日、あなた方は
結論を出されました。しかし私は、この
結論を出すに当たって四つの欠陥があるのではないだろうか。
その第一は、公社当局の意思を完全に無視したこと。これは私ども
社会党は、十一月二十四日、十一月二十九日の二日間にわたりまして官房
長官と折衝いたしました。そのときに官房
長官は、先ほど述べられましたように、重要な判断の材料にするとわれわれに約束をした。二十九日には、十分あなた方の意見を尊重して、当局の意見を聞いてみたいとわれわれに言った。しかし、これは完全に無視されて、言うならば、わが
日本社会党に対する背信行為とも言うべき結果ではないでしょうか。こう
考えるときに、なぜ、あなた方はこの当事者の意見というものを十分にあなたみずから聞いて、決断を下さなかったのか。これが第一の欠陥であると思う。
第二の欠陥は、この七四春闘で、五項目の合意の
一つの当事者は労働省であります。この労働省が、すっかり外されちゃって、つんぼさじきになって、
労働大臣の言葉をかりれば、「私は貝になりたい」という、こんなばかな話がありますか。私は、少なくとも労働問題を扱うときに、労働省がなぜ、もっと積極的に、
総理はなぜ
労働大臣の意見をもっと尊重しなかったのか。言うならば、今日までの
労働組合との経過をあなたみずから否定したではないですか。これが第二の欠陥。
第三は、あなた方の声明を見ると、事前に、
労働組合に対する話し合いもない。私ども
社会党の交渉団に対する話し合いもない。言うならば、一方的声明であって、こんなものを今日までの運営の経過として認めることはできない。これが第三の私は欠陥だと思う。
第四の欠陥は、昭和四十九年十月十一日、労働法
関係者——これは学者ばかりでありません。裁判官も、あるいは行政官も含めまして、約五百名と聞いておりますが、万場一致でいまの
公労法十七条はこれは違憲ではないかという
結論を出しています。こう
考えるときに、なぜ
日本のこれら労働
関係の
法律を扱う方々の意見というものをあなたは尊重しないのでしょうか。これは、私が、あなたが
結論を出すに当たってやはり欠陥として
指摘をしておかなければならぬと思うんです。特に
最高裁の
判決があります。だが、盛岡
地方裁の
判決でも、昭和四十九年九月六日、
公労法十七条は明確に違憲だという
判決すらある。たとえ
地方裁の
判決でありましても、違憲という
判決が厳然として存在することをあなたは心に銘記すべきではないだろうか。こう
考えるときに、私は、あなたが
結論を出すに当たって、きわめて欠陥が多かったんではないかという点を第五として
指摘をしておきます。
第六は、
日本のILOに対します態度です。
日本は昭和二十六年にILOに復帰をいたしました。そしてILO憲章に従って、ILOから出されますいかなる責任も負い、いかなる義務をも果たすと固く誓ったはずであります。だが、皆さん、このILOに誓った言葉とはうらはらに、ILOから出されております条約百三十八本、いま
日本で批准されたものわずか三十一本、
国会で審議されているもの一本です。百二号条約もやがて生まれるでしょう。これが
日本の現状です。あなたは先進国六カ
国会議に行きました。経済的に
政治的には
日本は先進国だと言う、ILOで見る限り後進国ではありませんか。こういうことを
考えるときに、特に昭和四十二年、ILO設置五十周年を記念いたしまして、人権に関する十七の条約については早く批准をしてもらいたいとこのILOは述べております。
日本はわずか七本、十本は未批准ではないでしょうか。私はILOに対する政府の態度がきわめて不明確であり、消極的だということをここで
指摘をしておかなければなりません。そういう意味で言うならば、いま申し上げましたように、政府のいまの態度はきわめて消極的であり、この問題解決への熱意なんぞはどこにも見当たらないと
指摘をしておかなければなりません。そしてあなたはこの間の最後の声明の中でこう言っておられます。第五項ですか、「以上につき、できるだけ早急に
結論をまとめ、行政上の改革及び法案の
国会提出を行う。」とある。先ほど来、期限は明示できないと言う。あなたの任期は、自民党
総裁の任期は三年という。もうすでに一年経過いたしました。あと二年しかありません。
三木内閣が、あなたが責任を持ってこの
結論を出すというならば二年以内に出さなければ無責任になりますよ。そういう意味ではあなたは言わぬでもおのずからあなたのとるべき期限というものは、二年以内で、あなたの在任中に出さなきゃならぬというのがおのずからこれから出てくる
結論ではないでしょうか。それが本日の
国会でも依然として明記されない。私はきわめて遺憾だと思います。そういう意味で、私は時間がありませんからもうやめますが、いずれにいたしましても今日の政府の態度は、重ねて申し上げますが、
労働組合だけを責める資格がない、
自分の非を反省をして、今日まで消極的だった態度を放てきいたしまして、一日も早く
公労法十七条廃止等を含む
公労法の検討に責任ある態度をとられますように、心から私は切望して、あなたの
答弁を求めませんが、総括的な意見として
指摘をしておきたいと思います。
以上で私の意見を終わります。