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野口忠夫君 私は、福島県の阿賀野川水系の只見川
電源開発に伴う問題について御質問申し上げたいんですが、一時間の要求をしましたが三十分で終われということでございまして、この問題をめぐっての問題は三十分ではとうていできませんので、しぼって申し上げたいと思うんです。
問題の焦点は、今回只見川の
電源開発、これは現在のところ、
電源開発会社が大体五つ、東北電力が九つ、十四の発電所が
段階的に只見川というところにできているわけでありますが、その中の沼沢沼発電所という、沼沢沼という湖水の水を利用して発電している発電所の一キロほど上流に、沼沢第二発電所というものを揚水式でつくりたいと。大体この所在地の金山町というところに五つばかり発電所があるんですが、大体二、三万キロワットぐらいの水力発電所ですが、今回つくられようとする沼沢第二発電所は三十八万キロワットという大きなものを揚水式でつくろう、こういう計画が東北電力から町当局に対して要請があったと聞いているわけであります。これについては後で御質問申し上げますが、只見川
電源開発というものが国土総合開発法の中に
指定されて始められましてから、国の水資源利用という国策に沿うて、電力
事情の窮迫した中での戦後の情勢の中で、地域の住民は国策に従うて一生懸命やってきたわけでありますが、ここで進められた只見川の
電源開発の地域住民の経験というものは、まことにだまされたと、最初に言うた話とは全く違うような現状に置かれている。つまり経験をしてしまった地域住民の上にまた同じような
電源開発を進めようとするわけでございますから、地域住民から言わせますと、過去の
電源開発に伴う問題の処理もまだ十分終わらないうちに新たな
電源開発をしたいという、こういう要請に対して非常な不安と危惧を持っているわけであります。自然流水の河状を変更してこれに巨大なダムをつくって、水系を変更させながら、河状を変更させながら、国の目的である水の利用というものに協力してきた、そういう地域住民の気持ちから言いますと、これは余りにも地域住民の願いを無視した、あるいは生活を
考えてくれない、そういう
状態の中で国の目的だけが進行する。何か開発
行政というものは、常に国の当然あるべきような目的に向かって進められるもので、地域住民の中からの大きな反対運動の中でこの開発
行政というものが進んでいるわけでありましょう。成田空港における国際空港路線、これをつくり上げることだって交通
行政から言えばある面では当然かもしれません。しかし、あの地域住民の反対運動は一体何だろうか。国がやろうとする仕事が国民から反対されながら、その苦渋の上で国の仕事を進めようとするようなこういうあり方があり、かつての
電源開発行政のその進め方の経験の中で身にしみるほど苦渋を感じている地域住民が、いままた新たな
電源開発を要請されているわけであります。地域住民の口から出てくる声は、
電源開発というのはこんな不況になってもその配当が月四十円、不況の中でも高配当
——これは朝日新聞の記事にあるんですけれ
ども、「電力各社、好調な決算」となって、この一カ月に千件近くも倒産しているような不況のときに。このための
電源開発を
——過去の経験の中で苦しめられてきた上に
——さらにやって配当の利益を増そうとするんじゃないかというような
考え方を持つだろう。何か
電源開発というものは、災害開発みたいなふうに地域住民は受け取っている面もある。その間において地域住民は、一つ一つの問題ごとにこの問題に対しての処理の仕方を、それぞれの
関係のところに申し上げましたけれ
ども、常にその住民の
意見というものは取り上げられないで、国ないしは県あるいは電力
会社というような、そういう営利事業団体の中でのみ物事が進むような方向で、
電源開発とは災害開発であった、そして、それは地域に住むわれわれの意思などは全然
考えないで、一方的に国や県の、あるいは電気事
業者の利益のためにのみ進行してきたと、こういうような経験の中に地域住民の方があるわけであります。
かつて只見川というところは、急流が音を立てて、せせらいで流れておって、その川の中には魚がすんでおって、この魚をとりながら地域住民はふるさとの景観としてやってきたわけですが、ここにおいでの
皆さん方は只見川においでになってごらんになったろうと思うんですけれ
ども、まずまず濁りに濁ったあの水。流れざる川と言われる只見川。十四のダムでせきとめられている。上流から流れてくる、多分粘土質でしょう、これがあの水を黄色く濁らして、その上には流木、ごみ。恐らく只見川の沿線に行かれた方があの国道筋を歩いた場合、何とまあ汚い川だろう。こういうような自然を荒らされながら電源
会社が大きなダムを築いて、そして配当をよけいにしているという中で、ここに住まわっている地域住民の悩みというものは、全く深いものがあるわけであります。こういう地域住民の声の中で只見川に
電源開発がされない以前には、本当の只見川の災害というようなものは、受けた経験がないということが言われているわけであります。この辺の
事情について、あの
電源開発がなされてから今日までの間、どのような地域住民に与えた災害の
状態があったか、それについてそれぞれの担当省がどのような御
指導をなさり、どのような援助を地域住民のために割いてきたか、その災害の経過と、それに対する
対策等についてひとつ
お話を願いたいと思うんです。