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1975-12-12 第76回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十二日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      青井 政美君     園田 清充君      大島 友治君     佐藤  隆君  十二月十二日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     野口 忠夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 上田  稔君                 高田 浩運君                 青木 薪次君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 上條 勝久君                 川野辺 静君                 古賀雷四郎君                 佐藤  隆君                 八木 一郎君                 中村 英男君                 野口 忠夫君                 松本 英一君                 春日 正一君                 柄谷 道一君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        警察庁刑事局長  土金 賢三君        北海道開発庁総        務監理官     黒田  晃君        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        国土庁水資源局        長        宮崎  明君        国土庁地方振興        局長       近藤 隆之君        建設政務次官   中村 弘海君        建設省河川局長  増岡 康治君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     渡辺 重幸君        文部省学術国際        局学術課長    七田 基弘君        農林省農林経済        局保険管理課長  市川 博昭君        農林省構造改善        局建設部防災課        長        棚橋 正治君        工業技術院標準        部材料規格課長  帆足 万里君        資源エネルギー        庁公益事業部水        力課長      和田 万里君        建設省河川局治        水課長      本間 俊朗君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        自治省財政局指        導課長      関根 則之君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   田代 忠博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (建造物耐震対策等に関する件)  (農業共済制度に関する件)  (電源開発に伴うダム災害に関する件)  (豪雪地帯指定基準等に関する件)  (治水に関する件)  (地震予知に関する件)     —————————————   〔理事青木薪次委員長席に着く〕
  2. 青木薪次

    理事青木薪次君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、鈴木力君が委員辞任され、その補欠として野口忠夫君が選任されました。     —————————————
  3. 青木薪次

    理事青木薪次君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 和田静夫

    和田静夫君 直下型地震等災害予想が社会的な問題になっておって、いろいろの対策が協議をされているこの時期に、きょうは高層建築をめぐる一部の関係について若干の問いただしをいたしたいと思うんです。ただ、一時間半予定をしたものが四十五分ということになりましたので、私の方も簡略に申し上げますが、答弁の方も簡略にお願いをしたいと思うんです。  いわゆる欠陥生コンによる建造物強度不足が発覚をして、取り壊したりコンクリートの打ち直しを行うという事件がことしの夏以来相次いでいるわけです。強度不足というのは建物安全性にかかわるだけにきわめて深刻な事態であると受け取っています。地方行政委員会としてたとえば私はコンビナート地帯の視察にも出ましたが、非常な不安を感ずる状態であります。建造物強度を保障する方法として一体どういうことが行われているのか、あるいはどういう体制にあるのか、そういうシステムを建設省の側から、また生コン取り締まりについて通産省の側から説明を願いたいのであります。同時に、これまでに欠陥生コンとして報告があったものあるいは独自調査によって欠陥が判明したもの、そういうものについての件数、そういう状況など、これも簡単にお聞きをしたいのであります。そして特に大きな問題になってきていたのは、東海銀行東京事務センター関東小野田レミコン品川工場横浜総合卸センター昭和コンクリート大和工場、この欠陥住コンを使った事件について調査結果及びその経緯をまず建設省通産省からそれぞれ報告をしてもらいたいと思います。
  5. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) まず、建造物安全性のチェックでございますが、これは建築基準法に基づきまして、設計段階におきまして構造計算の義務づけをしております。そして、それを建築に着手する場合に各都道府県におりまする建築主事に提出しまして、安全上確かであるということをチェックいたして初めて着工できるわけでございます。そうして工事にかかりました段階で、たとえば東京都の例で申しますと工事施工計画書というものを提出させまして、コンクリートでございますれば一定量、百五十立方メーターに一本テストピースをつくって、それを試験した結果を提出しろというふうなことをしておりまして、また要所要所建築主事現場を見回って、必要があれば指示しております。これはまあ法的なことでございますが、そのほか設計をされる建築士あるいは施工なさる施工業者それぞれにまあ自主的ないろいろな基準がございまして、それを遵守して安全性確保するというのが現在のたてまえでございます。  それから小野田レミコンの例で申しますと、ちょうどあの時期に建築関係で納入された件数が約四十五件ございました。それを東京都の建築材料検査所が主となりまして現場に立ち入りまして、目視あるいはシュミット・ハンマー、あるいは必要があればコアピースを引き抜いて試験をした結果、いずれも異常はないという報告を受けております。  以上でございます。
  6. 帆足万里

    説明員帆足万里君) 関東小野田レミコン事件は、本年の七月二十四日新聞紙上報道をされております。私ども直ちに七月二十五日、翌日この事件につきまして工場立ち入り検査をして、この間の事情を聴取いたしたわけでございますが、その結果として、工場から出荷いたします生コンクリート材料配合に問題があるということであります。これは検査後判明いたしました。その後対策を講ずべく処置いたしておりますうちに、このことにつきまして会社の方から、本件については非常に社会的な責任もこれあり、JISも返上いたしたいというようなことがございまして、八月五日付をもちまして許可を取り消しをいたしました。原因は、混合材料に当然ユーザーと話し合って決めるべき配合比率を守っていなかったということが原因でございます。その後、私どもの方に入りました情報といたしましては、いまお話の出ました横浜卸センターの問題、それから浜松医科大学の問題、そういう問題、これもいずれも直ちに調査をいたしまして、浜松の場合には材料配合に問題がある、それから横浜の場合には、これは当時の記録が処分されておりまして、ございませんのではっきりしたことはわかりませんが、その建築物から取りましたサンプルに基づきまして建材試験センターが分析を行いました。その組成を推定いたしております。その推定によりますと、やっぱり材料配合に問題があったのではないか——これはまだはっきりした結論を出すわけにはいきませんが——あったのではなかろうかという疑いが持たれております。この件につきましても横浜の場合、その後調査をいたしておりましたが、やはり会社の方から社会的責任もこれあり廃業いたしたい、廃業のためにJISを返上したいという報告がございまして、この辞退を受理して許可を取り消しております。  それから浜松の場合には、これはその後調査をいたしましたところ、問題は改善されておりますので、約三カ月の許可停止、一時停止の後に許可を続けております。  それからそのほかに、こういう問題が起こりまして直ちに全国の通産局に指示をいたしまして、各管内のレディー・ミクスト・コンクリート工場につきまして立ち入り検査を、これは抜き打ちの立ち入り検査を行っております。その数は約三十七工場でございます。三十七工場につきまして立ち入り検査を行いましたところ、おおむね問題はございませんでした。一部問題があった工場につきましては、直ちに厳重な注意を促しまして、現在ではいずれも改善されております。  以上でございます。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、すでに皆さん方から説明を受けている部分は、私の方で一方的に話をします、時間がなくなってきていますから。  この東海銀行東京事務センターはことしの一月十七日、それから横浜総合卸センターは昨年の暮れ、当事者間では事件が発覚してそしていろいろ折衝があった。ところが、これの報告をといいますか、実情を知り得たのは建設省にしろ通産省にしろ、大体七月の二十四日、後者は九月十三日ごろ。それぞれ約六カ月から九カ月も報告がおくれるという事態ですが、実情皆さん方が知るのが非常におくれる。しかもそれは讀賣新聞などで大きく報道をされた後であります。こういう件については当然速やかな報告があってしかるべきだろうと思うんです。そういうものが速やかにキャッチができる状態に実は置かれていなきゃならぬと思うんですが、建設省はどういうふうにお考えになっていますか。
  8. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) お答えいたします。  建築基準法の施行は、これは原則としまして建築主事を置く特定行政庁がやっております。で、両件の場合ともそれぞれ東京都あるいは横浜市が現地で的確な指示をしておりました。それが私どもの方に届いたのが非常におくれまして、これはまことに遺憾でございますけれども、こういうことの事件の発生、処置等に関しましては、速やかにわが方にも報告をしていただきたいということは常々申しておるわけでございますけれども、その辺が少し詰まっておったようでございまして、まことに遺憾に思っております。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 これは次官、いま答弁があったとおりなんですよ。この辺は少ししっかりしてもらわなければ困ると思いますが、いかがですか。
  10. 中村弘海

    政府委員中村弘海君) ただいま課長説明いたしましたとおり非常に私ども遺憾と思っているわけでございまして、これを契機に今後そういったものに対する密なる連絡がとれるように体制を整えていきたいと考えております。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 そこでこのテストピースのすりかえというのは、どうも業界では公然の事実という報道がされていますね。きわめて異例の事件として片づけるべきではないということを私は痛感するのです。その点でかなりこの報告がおくれたということは、行政監督体制が不備であったというふうに考えますので、いま建設省次官答弁がありましたが、これは通産省関係しても十分な配慮が今後とも必要だと思うのです。  そこでこのテストピースのすりかえは刑事責任が問われないのですか。関東小野田レミコン昭和コンクリートについて警察庁捜査は行われましたか。
  12. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お尋ねの東海銀行東京事務センター新築工事が問題でございますが、私ども新聞報道によりまして本件を認知いたしました。警視庁においては直ちに捜査をいたしまして、欠陥生コンが生じた原因はその製造過程において規格外フライアッシュというものが混入されていたためでありまして、納入検査に当たってはただいまお話しの検体ピースをすりかえていたため、検査当時発見できなかったものであるということが判明いたしました。こういうことになりますと詐欺あるいは建築基準法違反などにならないかというふうな問題が出てきましたので、関係者事情聴取あるいは製造工場実況検分などの捜査を現在も引き続いて行っているところでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 これはテストピースのすりかえに罰則というのはございますか。
  14. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 罰則の問題でございますが、ただいまお答え申し上げましたように、私どもで嫌疑を持っておりますのは、すりかえという問題、詐欺という問題でございますね。この問題について掘り下げて捜査をいたしておるわけでございます。  いま一つは、建築基準法などの問題、これも関係当局といろいろと連絡をとって、さらにその実態あるいは法律の趣旨等についていろいろと連絡をとりながらやっているわけでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 建築基準法などでやっぱり私は取り締まりをもっと強化をされないと、テストピースのすりかえというのは業界常識のようなことが言われておるわけですね、この質問をするに当たっていろいろ調べてみますと。特に横浜総合卸センターのように既設の建築物欠陥が発見された場合のことを考えると、その必要性が非常に高いんじゃないだろうかということを思います。で、必要な法改正に、そういう意味では警察庁の側が指導的な役割りを果たしながらでも着手する必要があるんではなかろうか。もちろんそれは建設省の側が受けて立って、基準法なりのことをどういうふうにするかということになるのでしょうが、そういうようなお考えをお持ちにはなりませんか。
  16. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 捜査過程で判明いたしておる点というか、そういう意見が出ておる点といたしましては、建築基準法のこの関係条文を見ますと、その報告主体でございますね、報告義務者というのがその肝心の施工——生コンなら生コン納入主体であるか、あるいは施工主体であるか、こういうふうな問題につきまして若干問題があるんじゃないかと。まあ直接そうやっておりますと、製品検査報告義務工事管理者あるいは施工者などに限られておって、材料製品納入業者には及ばないのではないかと、こういうふうな問題がどうもあるようでございまして、こういうふうになりますと、問題になっておりますような件についてはどうもちょっとこの規定が適用しにくいというふうな感じがいたしておるわけでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 そういうふうに考えられますので、これは建設省の方でもっと私が述べたような趣旨でのこの法改正研究に着手をされるとでもいいますかね、いまここで皆さん方が、しますということはなかなか言い切らぬでしょうから、そういうような御用意はありませんか。
  18. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) ただいま警察庁の方からお触れになりましたように、そういったテストピース強度を一応東京都に報告する義務者工事管理者施工者でございます。そういう点では生コン業者を信頼して、うその報告をしたということにはなるわけでございます。この点のことは当然起こるわけでございますけれども先ほどお話しいたしましたように、やはりコンクリートというものはちょっと微妙な製品でございまして一半製品現場に持ち込むということでございますので、従来余りにもJIS製品であるということで業者を信頼しておったという態度を変えなきゃいけないのじゃないかと、そういう点でいろいろ通牒を発しまして、直轄事業あるいは補助事業等に関しましては、ちゃんと生コン業者の登録をしろと、あるいは一週強度、四週強度それぞれちゃんと強度をはかれと。どうしても現場でできない場合にはせめて生コン業者試験体採取とか、あるいは試験立ち合い、そういうふうなことでいま対処しておるわけでございます。  なお、先ほど申しましたように、微妙な製品でございますので、これが強度確保につきまして関係方面とも十分連絡をとりながらその辺の安全性確保に前向きに検討してまいりたいと思います。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 大阪府は、完工後のコンクリートのあれを取って、そして強度試験を行うことにしたという報道があります。で、現状のこの竣工検査等担当庁監督管理体制が、人手不足等というようなこともあるでしょう。手が回らない、そのためもあって、特に民間建築物管理が行き届いていないことを考えますと、この大阪方式の採用をすべきだと思うんですが、これは次官、そういうおつもりございませんか。
  20. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) 大阪方式はまことに相当思い切った方式でございまして、できた建物から、事前に調べるだけでなくて、事後もコンクリートコアを引き抜いてそれを報告させているようでございます。そういった各特定行政庁でいろいろなことをやっております実験談を、われわれは全国都道府県等が集まります際にいろいろ開陳し合いまして、勉強会を開いております。それぞれまあ地方によって特殊性はございますけれども、ある程度いい線が出ましたら、なるべくそれを全国的に統一してやるように指導してまいりたいと、こういうように思います。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 これはまあ大阪ばかりでなくて、たとえば直下型地震が問題になり出してから、川崎などでもこういうような方式が取り上げられてきておりますから、これは建設省の側で十分にこれらの教訓をくみ取られるように要望いたしておきたいと思いますが、次官、よろしいですね。
  22. 中村弘海

    政府委員中村弘海君) まあただいま課長説明いたしましたとおりでございますが、この小野田レミコンにいたしましても、私たちの方ではいろんなまあ万全の措置を、打ち直しを命じたりしたわけであります。問題はこういつたものがなぜ発生するかということでございまして、いま先生から言われましたそのテストピースのすりかえというのがもう常識になっているのじゃないかという言葉を聞きまして、私はいま、まあ大げさになりますが、愕然としたような気持ちでございます。問題は、その後始末をどうするかということよりも、こういったことがないようにしなけりゃいけないということでございまして、やはりいまいろんな角度から研究いたしまして、これを体制化していかなきゃいけないのじゃないか、このチェックすることをですね、させないようなことを十分な体制を整えていくような研究をする必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 このJISといわれるものが、通産省、どんなものであるかというようなことを聞きたかったんですが、先ほどまあいろいろもうすでに述べられておりますし、昨日もあなたからお聞きをいたしましたからあれですが、まあJISの返上を関東小野田レミコン品川工場昭和コンクリート大和工場もやっちゃったと、まあ社会的な信用は落ちるだろう、あるいは公共事業JISマークを使うことになっているわけだから、それら等の指定も落ちるだろうと、こういう形にこの両工場はなったのでありますが、テストピースのすりかえというのは、これは立ち入り検査等でも判明できない。この辺の対策というものをどう考えるのかというやつがやっぱり一つあると思うのです。これは通産省どうお考えになっているのですか、簡単にちょっと。
  24. 帆足万里

    説明員帆足万里君) 生コンテストピースは、先ほどからもお話がございましたように、本来購入者が採取し、保管し検査するたてまえになっております。まあやむを得ない場合に一部供給者である生コンメーカーがこれを委託を受けまして保管し検査するということが許されているわけでございます。このことがテストピースの差しかえ、すりかえということを可能にしているわけです。これはまことに商業道徳以前の問題でございまして、少なくとも故意にやらなければできるわけでございませんし、はなはだ遺憾に思っております。これにつきましては私どもといたしましても、今後こういう、これは当然経済活動でございますから、最低限のモラルでございまして、テストピースすりかえなど、商業道徳として許されるべきものではありませんが、こういう事例が起こりました以上、何とかこういうことを未然に防ぎ得るような方法を前向きに検討していきたいと、かように思っております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 私はまあ一連の報道をずっと読んでみまして、どの業者の弁解を見ても、先ほど警察庁答弁がありましたが、詐欺的な感覚、要素というのが非常にあるような気がするんですよ。指示されていなかった混和剤を入れたためだとか、そういうような言い方ですね。専門的にはフライアッシュというのですか、その量を間違えた。どこの事件を読んでみても業者はみんなそれを言ってるんです、量を間違えたというようのはね。ところが、量を間違えたというのは、逆の意味考えてみると、安上がりにするために意識的に量を間違えている。したがって当初打ち合わせをしたときの条件と違ったものが現場作業者の手によってやられたような感覚を与えるような言いわけになっていますが、そんなことは考えられませんよ。やっぱり責任者等が入ってそして総額の、何といいますか、予算の中でどこを省いていこうかというような形からこういうことが起こってきている。私はこういう意味で、たとえば新宿のあの高層ビルが一体あれで安全なんだろうか、あの新宿を中心として直下型が起きた場合に、あれがあのままの状態で残るのだろうかということをこの問題を考えるときにすぐ思ったんですよ。その辺のところはやっぱり今度もっと信頼性があるような形のものにしないといけないと思います。この辺は本当は深く論議をしたいところですが、時間もありませんので。民間工事でそういう欠陥が生じた場合の責任は一体だれがとるのか、それを裁定する専門機関がないのか、そういうものをひとつ考えてつくってみるというようなことも、これは建設省、私は必要なことではなかろうかと思っているのです。これは意見として述べますから後ほど答弁の機会に次官の方からでも御答弁願えれば……。  そこで問題は、国が行う工事についてこれから少し残された時間論議してみたいのですがね。どういう検査とどういう結果になったのだろうか、生コン不良工事はどれくらいあるのか、国の工事一体心配がないのだろうかということを考えます。そこで四十三年の決算書も見てみますと、当時生コン配合量が多くて国費がむだになっているという会計検査院指摘がある。ところが今日配合が少ない、混和剤を入れ過ぎているという、そういうような欠陥生コンが生じている。これは会計検査院、結局は指導に誤りがあったんじゃないですか。
  26. 田代忠博

    説明員田代忠博君) お答え申し上げます。  四十三年当時の指摘は、最近生コンが非常に普及してきたと、したがいまして従来の普通の現場打ちコンクリートに比較しまして質が非常によくなってきているはずだと、したがいまして、同じ程度の質で工事施工するのであれば、生コン現場打ちコンクリートにつきましては基準を少し下げてもいいのではないかという意見を出したわけでございます。現在の、先ほどから先生指摘生コンの不良があるというのとはまた別の問題であろうかと思います。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 私が言いたかったのは、いわゆるそういうような指摘をされた、そこで配合フライアッシュなどをずっと多量に混入をしていくというそういう手法を業者の側が思いつく、そういう契機を与えたんじゃないだろうかと、こういうことを実は思うんですよ。おたくの方は配合量が多過ぎるというような指摘をしたわけですから。そんなふうにはお考えになっていませんか。
  28. 田代忠博

    説明員田代忠博君) お答え申し上げます。  そういうことに相ならないと思いますが。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 建設省先ほど通産省の側から浜松医大の問題が出たんですが、国の工事については心配ありませんか。なぜこれを聞くかといいますと、皆さん方の抜き取り検査、約七%ですね。そうするとその中でも浜松医大で欠陥生コンが判明した、そしてコンクリートの打ち直しをやっている、こういうふうに言われているわけですね。いまのような形でのもので国の工事というのはやっぱり全部心配要らぬと、こう理解をしていいんですか。
  30. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) 小野田レミコン欠陥問題からしまして、たまたまあの時期に出荷しました、昭和四十九年八月らか昭和五十年七月の一年間公共工事にどれだけ使われておったかというのを調べまして、都営住宅その他を含みます七件でございましたけれども、いずれも追跡調査をしたところ、十分安全であるということは確認されております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 ところが、私はなぜそういうことを言うかというと、たとえば京都大学の医学部の附属病院、この新築工事が終わったのは——四十八年二月から四十九年七月まで工事があった。そしてこれは大きな欠陥工事指摘された。検査院、五十年の五月十二日から十七日の検査結果によって。そうすると京都大学のこの附属病院、驚いたことに鉄筋まで抜いてある、こういうような状態であります。そうしてこれは、検査院によれば、京都に地震が来た場合、これはもう突然のショックという状態の中では倒れる可能性を十分に持っておった附属病院であったと、こういう形になってきましたね。そうしてこれはまあ日本でも有数な大成建設が取り扱ったところらしいんですが、きわめて多数の個所にわたって工事ミスが指摘されています。これは驚くことに一つや二つじゃないんですね。この責任は一体どこにあるんですか。これの復旧費は一体幾らかかって、それはだれが払うんですか。
  32. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) ただいまの件、私どもの方で検査をいたしましたのでお答え申し上げます。  これの復旧費は直接工事費で三千六百万円ほどでございますが、これについては施工業者である大成建設の負担において手直しをいたしております。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 私が問題にしたいのは、どっちみちそれはそういうことだろうと思って、そんなことを問題にしたいんじゃないのです。問題は、大成建設というと、まあ工事受注でも日本で一、二を争う、そういう最も大きな大手でしょう。まあゼネコンでしょう。そういう社会的にも信頼されている会社がいまの京都大学に見られるような欠陥工事をやるわけですね。で施工管理はこれまた京都大学の施設部がやっているわけです。日本でこれ以上に私は任しきれると考えられる工事というのは常識的にはないように思うんですね、こんなにスタッフがそろっているわけですから。ところが、日本の最大の大手というのが欠陥工事をやって会計検査院検査までわからなかったんですよ。こういうことになっている。そうすると、建設省、こういうような形のことが除かれるためには、やっぱり先ほど私が申し述べたこと——民間の場合のことを申し述べましたが——含んで何かやっぱり抜本的な対策がなされなきゃならぬじゃないですか。そういうふうに次官考えになりませんか。
  34. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) これは恐らく、大学でございますので文部省の管轄の仕事かと思いますけれどもお話の様子でございますと、京都大学の施設関係の部門が設計工事関係を担当し、大成建設が施工を受け持ったと、このように考えられます。で、当然設計図書は合法的にできておると思われますが、その設計図書どおりに工事がなされていないということは、工事管理面にかなり問題があったのではないか。それとまあ施工業者の方も、当然工期に従い、あるいは設計図書に従ってやるべき責任があるわけでございますので、どうもその辺が少し手抜かりがあったのではないか、このように考えられます。  こうした問題は、建設省としましては、工事設計あるいは工事管理をする建築士法の問題、あるいは施工いたします場合の建築業法の問題、この辺の施行をもっとがっしりとやっていきたいと、このように考えております。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 業者に対する監督が行き届いていないし、またこういう欠陥工事をチェックするシステムがいまの日本にどうもないように思われるのですね、さっきから、けさから論議していて。大成建設でもこういう欠陥工事をするとなると、私は日本の建築物というのは、これは国土庁長官にもお見えになってもらったのですが、地震が云々されている今日の時期において、もう安全性を信頼できる状態にないのじゃないだろうかという、そういうことを非常に危惧いたします。で、この場合、この設計が京大施設部である、施工が大成建設である、それから施工管理が京大施設部という、こういう組み合わせでさえ欠陥工事をやるんですね。この欠陥工事については警察庁どういうふうにお考えになるかということをひとつお聞きをしたいのです。  たまたまこれは会計検査院調査をしたから判明した。民間工事の場合は工事費用を値切る。その無理のいく部分をどこかにしわ寄せがいく。そうして民間の場合は安全性信頼性、そういうもの、欠陥工事のチェックというのは、いままで申し上げてきたように、今度の、いま挙げた京都大学の例よりももっと悪い。するとどんな建物が危険な建物で建っているのかということがさっぱりわからぬ、まあそういうように考えるのですが、そういうようにこれはお思いになりませんでしょうか。警察庁は前者の問題、それから国土庁長官直下型地震などとの関係における日本の建造物の問題という意味で御答弁願いたいのですがね。
  36. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 高層建築物の耐震性というような問題につきまして、また最近手抜かり工事というようなものが新聞で報道されるのを目にいたしまして、国土庁といたしましては災害、防災というような問題から人命の尊重をしなくちゃならぬというような立場から、いま仮に新宿に建っておるようなあの高層建築物が手抜かり工事があって、マグニチュード七あるいは七半というような地震が来たら果たして耐えられるか。もちろん耐えられるということで建設されているとは思うわけでありますが、これはこの指導建設省がやっておるところでありますが、国土庁の立場からすれば、当然それは完全なものでなければならぬという意味で、先生の御指摘の総点検というようなお話もあるわけでありますが、そういう問題につきまして、ひとつ十分建設省と話し合いをしてみたいと、こう考えております。
  37. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 警察庁といたしましても災害対策を担当いたしておるわけでございますが、まあ災害はいつ起こるかわからないわけでございまして、やはり最近の高層建築というものについては十分その安全性というものについて対策を講じていく必要があると、こういうふうに警察庁としても考えます。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 もう時間があと五分しかありませんから、通産省、結局欠陥生コンについてはどういう反省をされたかということ、それから業界のあり方に改善するべき点はないのかということ、どういう指導をしていくかということをはっきりさせてもらいたいんです。  それから建設省は、この欠陥生コン欠陥工事についてけさほどから指摘をしましたが、どういう反省をされて一体どう改善をされていくのか。それから工事費用を低く抑え過ぎる、そういう点に問題があるというふうに大変思うんですが、工事費などについての適正水準を保つ努力をすべきではないだろうかというふうに考えますが、そういうふうなところはどういうふうにお考えになりますか。
  39. 帆足万里

    説明員帆足万里君) このような不良生コンJISの表示許可工場から出荷されましたということにつきましては、私どもはなはだ遺憾に思っております。今後も不良生コンが出荷されるというようなこと、これは社会的にも非常に大きな問題でございますので、それを防ぐということを、心がけております。事故の直後に私どもの方の工業技術院から各通産局に、全国生コンJIS表示許可工場に対しまして文書で、今後こういうことのないようにという通知を出しまして、製品規格あるいは製造の工程の管理等について万全を期するように注意をいたしております。それからこれと同じようなことは、やはり私ども通産省の生活産業局の方からも業界の各メーカー、団体、あるいは問題があった会社、そういうところにも通知をいたしまして、同様のことをいたしております。今後ともとにかくJISの表示許可工場に対しましては、法律でも立入検査というのがございますが、こういうことをできるだけ強化いたしまして、こういう事故の発生を未然に防ぎたいと考えております。さしあたり五十一年度につきましても、このための検査体制の強化を関係の部局、省庁とも相談いたしておりまして、予算、人員等の面においてもできるだけふやしていき、こういう問題が今後二度と起こらないように、そういうつもりでおります。
  40. 中村弘海

    政府委員中村弘海君) この件に関しましては、当該建築物コンクリートなどの強度不足分を取り壊しておりまして、また適正なコンクリートを打ち直させるなどいたしまして、それと同時に小野田レミコンの品川工場の生コンクリートを使用した建築物及び公共事業の総点検を実施いたしまして、聞違いのないことを確認いたしております。  一般的に生コンクリートの品質を確保するための措置としては、関係機関及び関係諸団体に対しまして、コンクリートの品質確保についての特段の配慮を講じるよう指示いたしております。また、先ほどおっしゃいましたような高層建築物に対する点検なども私は点検の方法を確立いたしまして、点検するようにしなければいけないと考えております。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 課長、費用の問題はどうなんですか。
  42. 大田敏彦

    説明員大田敏彦君) 費用の問題は、これは官工事民間工事いろいろあると思いますが、官工事につきましては、それぞれ各省あるいは事業別に適正な単価を組んでまいり、またそのような予算要求をしておると思っております。民間につきましては、やはりそれを設計なさる方、あるいは積算なさる方、主として建築士の方でございますけれども、そういう方々にやはり安全性主体にして十分な価格を見込まれるよう、こういうことは指導してまいりたい、このように思うわけでございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、国土庁長官、災害を、主管される庁の長官とされて、すでに建てられている礎造物で欠陥生コンが使用されている可能性というものは否定し切れません。最近は高層ビルや地下道などがどんどんつくられていますが、欠陥生コンによって強度不足しているものがこれまたないとは言えない。長官もまあ川崎地域など地震との関係で御視察になっていらっしゃいますが、われわれも地方行政委員会から実はコンビナート法の問題で行きました。先ほどもその点を述べたんですがね。そこで、もし地震が起こったりしたときにふだん信頼されている建造物が崩れていく、そういう可能性もこういうところからあり得るわけです。この際積極的に検査をお進めになる、あるいは建設省と十分にその連絡をとる、特に高層建造物の密集地帯については——というような意味先ほど答弁がありました。直下型地震の心配されるところについても私は当然そういう配慮がなされるんだと思うんですが、実施のいろいろの調査を経まして、結果的にはこのようなものも含んで行政の一元化がやっぱり求められていると思うんです。したがって、建設省通産省それぞればらばらというような形では私はいけないと思うので、これはやっぱり今日の時期でありますから、国土庁長官、閣議の中で統一的に、これらに指導性と言ったら怒られるのかもしれませんがね、主役を果たされる、そして総点検をされる、そういうようなおつもりはございませんか。
  44. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 先生の御指摘の面については、これは当然考えなくちゃならぬ問題だと思いますし、とかくなわ張り根性もあって、一元化していないという面もあって連絡の不徹底やその他いろいろ問題点はあると思うわけでありますが、国土庁というものはあくまでも調整役でいかなくちゃならぬという立場から、先生の御提案を十分踏まえまして、閣議なりあるいは関係省庁と連携をとる中で総点検というようなことをやって、ひとつこれで大丈夫だと、あるいはこれはこうしなくちゃならぬというまた結論が出てくると思いますが、そういうような考え方で進めてまいりたい。いま、建設省中村政務次官からも私と同じような考え方が出たわけでありますから、建設省あるいは通産省関係省庁と十分連携のもとに御期待に沿うようにいたしたいとこう考えております。
  45. 上田稔

    ○上田稔君 ことしは梅雨前線であるとかあるいは五号台風、六号台風、あるいは異常な豪雨等によりまして非常な激甚な災害を受けたのでございますが、   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕 公共土木施設につきましても、また農業施設につきましても、また農産物、一般災害、本当に大きな被害を受けたわけでございますが、関係の御当局は非常に御苦労をされたことだと思うんでございます。いろいろおやりをいただいておるのでございますが、農業関係についてちょっと御質問を申し上げたいと存じます。  農業用施設でございますが、たんぼとかあるいは畑がずいぶん土砂崩れあるいは流水によりまして壊されておるのでございますが、その場合に畦畔が非常に壊れておるのが目立つのでございます。それで、その畦畔の復旧でございますけれども、石積みなんかがやってある場合にはどういうふうな査定をされるのでありましょうか。復旧の何と言いますか、復旧に対しての考え方はどういうふうになっておるのか、ひとつお願いをしたいい。
  46. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 御指摘の水田等の畦畔の復旧でございますが、これは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法という法律に基づきまして復旧事業をやるわけでございますが、具体的には畦畔をどうするかということは、原則といたしましてはもとの姿に復旧するということでございますが、ただその場合に、再度災害がありまして壊れるようじゃぐあい悪いということがありまして、再度災害が起こらないようなことで、ケース・バイ・ケースで復旧をするということで査定をしているわけでございます。
  47. 上田稔

    ○上田稔君 聞くところによりますと、何か限度があるように聞いておるんですが、それはいかがでしょうか。
  48. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 農地の災害復旧事業につきましては、いわゆる限度額というのがございまして、これは先ほど申し上げました暫定法に、経済効果小なるものということがございまして、ある限度を超える分については補助の対象にしないということになっておるわけでございますが、この限度につきましては、まあ確かに農地の希少性に応じまして限度額を設けているわけでございますが、特に畦畔等につきましては先ほど申しますように、再度災害が起こらないような状態に復旧するということでいろいろ工法を検討いたしまして、できるだけ限度額の範囲で所期の目的を達するような工法ということで復旧を計画しておるような次第でございます。またその限度額を超えました分につきましては、農林漁業金融公庫の融資の制度がございまして、災害復旧事業につきましては相当優遇された融資ということになっておりまして、その融資を利用して復旧するということになると思います。
  49. 上田稔

    ○上田稔君 その限度をお聞きをしておるので、聞くところによりますと、災害を受けた場合に、農地が十アール当たり百五十万円以内までであると復旧費は百五十万円以内だというようなことをお聞きをしたんですが、それはいかがでありますか。
  50. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) この限度額と申し上げますのは、全国一律でございませんで、各町村の耕作面積に応じまして限度額を設けているわけでございまして、先ほども申し上げましたように、耕地の希少性を考慮しておりまして、大平野のようなところで一戸当たりの所有面積が大きいところでは限度額は低くなっておりますし、それから山間地帯等の耕地面積の少ないところでは相当高くなっております。したがいましてその百五十万とか百万とかいう一律でございませんので、特に山間地帯等につきましては相当高い限度額になっているわけでございます。
  51. 上田稔

    ○上田稔君 それは非常に結構だと思います。そういう限度額の額をお決めになられたのは、最近はいつでございましょうか、改定されたのは。
  52. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) これは毎年それぞれの工事費の上昇率に応じまして改定しております。したがいまして、五十年について申し上げますと、五十年当初に、五十年の限度額はこういうことだということで決めておるわけでございます。
  53. 上田稔

    ○上田稔君 それなら非常に結構だと思うんですが、ひとつ再度災害を起こさないようにその限度をお決めをいただきたいと思うのであります。特に最近は山地の方におきましてそういう畦畔が壊れたために起こるということが非常に起こりがちでございますので、そういう点をお願いをしたいと思うんですが、その場合におきまして、山地災というか、林地である場合、つまり果樹が植えてある場合におきましてはいまの限度額があるわけでありますけれども、杉だとかそういうものが植えてある場合においてはこれはいかがになるんでありましょうか。
  54. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 私の方の担当しております農地につきましては限度額がございますが、御指摘の林地については限度額はないはずでございます。
  55. 上田稔

    ○上田稔君 したがいまして林地になると全額を出してもらえる、杉を植えておれば全額になると、それを今度はミカンに変えると途端に限度額があって十分にもらえない、こういうどうも不合理があるように思うのですが、こういう点を検討していただくようなお考えはありませんか。
  56. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 先ほども申し上げますように、限度額につきましては農地の経済性ということを考慮して設けているわけでございますが、確かに先生指摘のとおり、最近の災害、特に山間地帯の災害につきましては相当被害も大きいわけでございますから、十分工法等を検討いたしまして、再度災害のないように対策を講じたいと存じております。
  57. 上田稔

    ○上田稔君 この点をひとつ十分に御検討をいただきたいと存じます。  次に、共済についてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、農業共済でございますが、対象品目をお選びになる、この選び方といいますか、考え方というか、そういうものについてちょっとお答えを願います。
  58. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 現行の農業災害補償法は昭和二十二年にでき上がりましたが、当時におきましては、水稲と陸稲、麦が中心でございました。出時はこうした水・陸稲は、麦も同じでございますが、全国でやはり栽培され収穫されておったわけでございます。そのほか家畜につきましても、当時におきましては、馬もかなりございまして、牛と馬というようなことで家畜共済が行われてまいりました。しかし、最近いろいろとやはり農業も地域的に分化したり、多様化してまいりました。非常に果樹生産が伸びるととか、また園芸施設がふえてくるというようなことがございまして、私ども四十三年に果樹保険につきまして試験実施を始めまして、四十八年度から果樹共済が本格実施に入っております。それから、北海道の畑作物並びに鹿児島、沖繩のサトウキビでございますが、これも非常に地域的に重要な作物でございます。また、内地におきましては、いわゆる施設園芸でございますが、これも非常に伸びてきております。そういうこともございまして、昨年、四十九年度から畑作物とそれから園芸施設共済の試験実施に入っております。私どもの農業共済、これは災害対策でございますけれども、やはり保険の手法をとっております。保険の手法と申しますと、やはり料率を決めまして掛金を農家から納めてもらう、そして危険分散をいたしまして長期に均衡するというのがたてまえでございます。したがいまして、私ども農業共済の対象品目をできるだけ拡大してまいりたいと思っておりますが、その前提になりますのは、何と申しましても、やはり過去の被害率、過去の被害状況というものを調査いたしまして、適正な料率が算定できるかどうか、それから損害の基準になります基準収穫量というようなものがございますが、こうした基準収穫量というものを耕地ごとに適正に定めることができるか、それから現に損害が起きた場合に、これもまた適正な損害評価ができるかというようなのが保険の適性になるわけでございますが、そうした保険の適正を吟味しながら、できるだけ対象品目を拡大するという方向で調査を現在やっているところでございます。
  59. 上田稔

    ○上田稔君 最近は非常に多様化してまいりまして、畑といいますか、農地というか、農地の利用方法というものが非常に多様化されてきておると思うのです。また、おつくりになっておるものが非常に高価なものも出てきております。たとえ申しますと、八丈島でことし災害を受けた観葉植物が多いのでありますけれども、観葉植物が全部と言った方がいいかもしれませんが、こういうものは非常に高価なものでございまして、したがいまして被害が非常に大きい、そのかわりに復旧ができますとまた非常に収入も大きくなる、こういうことになるわけでございますが、こういうものをつくれということを恐らく農林省は御奨励になられておると思うのでございます。その地に一番適したものだからということで奨励をしておられると思うのですが、そういうようなものも、ひとつ、この共済の対象にお考えをいただくようにしていただきたいと思います。また、千葉県では、花卉といいますか、各地に花をつくっておるというようなものもずいぶん見受けられるわけでありますが、そういったものもひとつ共済にお考えをいただきたいと思うのであります。  それから、これはちょっと御担当が違うかもしれませんが、養魚池に変わっておるところもあるんです。まあ例を挙げますと、静岡でございますか、ウナギを、養鰻をしておるというようなところもあります。北海道ではヤツメウナギを養っておるというところもあります。それから金魚をやっておるところもあります。こういう淡水魚を養魚しておるというようなところに対しまして、これに対しての共済制度がいまないように聞いておりますが、こういうものはおわかりになりますか。
  60. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 最初に、観葉植物とか、花卉いわゆる花類でございますが、確かに、それぞれが個体の価格が非常に高い。それだけにまた多額の投資をしておる作物が、最近、適地通産ということで各地に出てまいっております。大体こうしたものはビニールハウスとかガラス室でやるものが多いわけでございます。八丈島におきましても、やはり、ハウスで観葉植物をやっておるというものが多いわけでございます。基本的には、こうした花卉とか観葉植物は非常に種類が多い。そうして、その中でも単価もいろいろとさまざまでございますし、栽培の時期、出荷の時期もいろいろございます。したがって、これはかなり調査をやらなければならないだろうと思っておりますが、私どももいま園芸施設共済を試験実施しております。この園芸施設共済は、ハウス本体だけではございませんで、中に栽培されますいわゆる季節野菜とか、その施設の中で栽培されます花木類、また観葉植物も対象になるわけでございます。ただ、試験実施でございますので、全国で一割しかやっておりません。これが本格実施の際には、そうした観葉植物とか花卉類がハウス内で栽培される場合には当然に対象になってくるわけでございますが、そうしたことで、私ども施設の中で栽培される作物についていま試験実施をやっておる。他方、露地で栽培されます花木とか観葉植物等につきましても、なかなか、露地の場合には、一つは、何と申しますか、そのいや地現象とか連作障害とかという問題がございまして、土地に固定せずに、いろいろと転々と移るというような問題、それから露地でございますとかなり作柄変動もあるわけでございます。そうして収穫量というものが必ずしも一定しないという問題がございます。保険としてなかなか直ちに、われわれ従来の手法でその中に入っていくというのはむずかしい面が多々ございますが、やはりまず施設ものにつきましてやりまして、それから露地ものにもだんだん接近する、そうした接近の手法を調査研究したいと思っております。  それから、ウナギとかヤツメウナギ、金魚、これら淡水魚につきましては漁業災害補償法というのがございまして、これは水産庁で所管しております。先生がおっしゃいますように、まだウナギはどうも対象になっていないようでございますが、その対象にするかしないかにつきましても、多分いろいろと調査研究をやって、そうした保険になじむようになりましたときにやはり制度の対象にしたいということだろうと思いますが、所管が違いますのではっきりしたことはお答えできない次第でございます。
  61. 上田稔

    ○上田稔君 まあこの観葉植物でございますが、私は奄美大島であるとか、あるいは沖繩であるとか、こういったようなところは、露地ものが非常に今後ふえていくのじゃなかろうか。あの農業を見ておりますと、いままではサトウキビだとかあるいはパイナップルだとかいうものをつくっておりますけれども、なかなかこれは、台湾あるいは諸外国のものと競争をしていくというのは本当に大変だろうと、しかも農家の収入が非常に低いものですから、これじゃ成り立っていかないんじゃなかろうか、そう考えると、観葉植物というものに移っていくんじゃなかろうかと思いますので、そういうことを考えますと、そういうものに対するそういう共済制度というものをひとつぜひともお進めをいただきたいと思うのでございます。  それから次に、主産地形成に対しまして指定をされたところ、これに対しての災害を受けた場合における手当の方法、こういったものについて、ちょっと御説明をお願いいたしたいと思います。
  62. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 現在主産地形成ということで構造改善事業でございますとか、野菜で申しますと指定産地というのが指定されまして、だんだんにふえてまいっております。これに対しまして、私ども農業災害補償制度におきましては、基本的にはそうした主産地の形成にお役に立つように、そうしたところでつくられる作物をやはり対象にしていこうという考えでございますが、ただこれは保険制度でございますので、全国でやはり危険を分散するということがございまして、地とか指定灘地だけを対象にするというわけにはなかなかまいりません。しかし、たとえば先ほど申しましたように果樹共済にいたしましても、これもやはり適地適産ということで主産地の形成が行われております。そういうものが非常に全国的に大々的に行われているという作物は、これは非常に重要な作物でございます。地域にとっても非常に重要な作物がそこで主産地の形成が行われるわけでございますので、そうした作物の重要性というものにかんがみまして、私どもできるだけこうした主産地の形成に対応できるようなことで、作物の共済の対象作物を広げるということに努力してまいりたいと、こう思っております。
  63. 上田稔

    ○上田稔君 この主産地形成というのは、私は非常に重要な問題であって、特に、大都市、都市における消費に応ずるように野菜をつくっていただくということのためにも、この主産地形成というのは非常に大事だと思うんです。ところがこの主産地形成をしていただいても、どうも手当が少ないというようなことの傾向があるんじゃなかろうか。そういうことから、災害を受けた場合にもこれはぜひとも手厚くひとつ考えていただく、ほかのところよりも手厚く考えていただくというようなことが大事なんではなかろうかと思うのであります。こういう点でひとつお願いを申し上げたいと思うんです。時間がありませんので、簡単にお答えをいただきまして私の質問を終らしていただきます。
  64. 市川博昭

    説明員(市川博昭君) 確かに主産地におきましては、かなり大規模な経営が行われるわけでございますので、それだけにやはり投資リスクというものも大きいと思います。したがいまして、そういう地域におきまして、私どもできるだけたくさんの農家が集団的に入るようなことを考えていこうということで、現在たとえば一つの例でございますけれども、協業団地の引き受け、たとえば静岡県の大浜町で、これは町ぐるみで構造改善が行われております。そうした地域におきましては、現在の私どもの制度は農家ごとの引き受けでございますけれども、これをやはり団地ごとの引き受けということが可能にならないかということで現在調査をやっておりますが、こうした調査の結果を待ちまして、そうしたいわば主産地が団地としましてまとまって入るというようなことも考えてまいりたいと思っております。
  65. 野口忠夫

    野口忠夫君 私は、福島県の阿賀野川水系の只見川電源開発に伴う問題について御質問申し上げたいんですが、一時間の要求をしましたが三十分で終われということでございまして、この問題をめぐっての問題は三十分ではとうていできませんので、しぼって申し上げたいと思うんです。  問題の焦点は、今回只見川の電源開発、これは現在のところ、電源開発会社が大体五つ、東北電力が九つ、十四の発電所が段階的に只見川というところにできているわけでありますが、その中の沼沢沼発電所という、沼沢沼という湖水の水を利用して発電している発電所の一キロほど上流に、沼沢第二発電所というものを揚水式でつくりたいと。大体この所在地の金山町というところに五つばかり発電所があるんですが、大体二、三万キロワットぐらいの水力発電所ですが、今回つくられようとする沼沢第二発電所は三十八万キロワットという大きなものを揚水式でつくろう、こういう計画が東北電力から町当局に対して要請があったと聞いているわけであります。これについては後で御質問申し上げますが、只見川電源開発というものが国土総合開発法の中に指定されて始められましてから、国の水資源利用という国策に沿うて、電力事情の窮迫した中での戦後の情勢の中で、地域の住民は国策に従うて一生懸命やってきたわけでありますが、ここで進められた只見川の電源開発の地域住民の経験というものは、まことにだまされたと、最初に言うた話とは全く違うような現状に置かれている。つまり経験をしてしまった地域住民の上にまた同じような電源開発を進めようとするわけでございますから、地域住民から言わせますと、過去の電源開発に伴う問題の処理もまだ十分終わらないうちに新たな電源開発をしたいという、こういう要請に対して非常な不安と危惧を持っているわけであります。自然流水の河状を変更してこれに巨大なダムをつくって、水系を変更させながら、河状を変更させながら、国の目的である水の利用というものに協力してきた、そういう地域住民の気持ちから言いますと、これは余りにも地域住民の願いを無視した、あるいは生活を考えてくれない、そういう状態の中で国の目的だけが進行する。何か開発行政というものは、常に国の当然あるべきような目的に向かって進められるもので、地域住民の中からの大きな反対運動の中でこの開発行政というものが進んでいるわけでありましょう。成田空港における国際空港路線、これをつくり上げることだって交通行政から言えばある面では当然かもしれません。しかし、あの地域住民の反対運動は一体何だろうか。国がやろうとする仕事が国民から反対されながら、その苦渋の上で国の仕事を進めようとするようなこういうあり方があり、かつての電源開発行政のその進め方の経験の中で身にしみるほど苦渋を感じている地域住民が、いままた新たな電源開発を要請されているわけであります。地域住民の口から出てくる声は、電源開発というのはこんな不況になってもその配当が月四十円、不況の中でも高配当——これは朝日新聞の記事にあるんですけれども、「電力各社、好調な決算」となって、この一カ月に千件近くも倒産しているような不況のときに。このための電源開発——過去の経験の中で苦しめられてきた上に——さらにやって配当の利益を増そうとするんじゃないかというような考え方を持つだろう。何か電源開発というものは、災害開発みたいなふうに地域住民は受け取っている面もある。その間において地域住民は、一つ一つの問題ごとにこの問題に対しての処理の仕方を、それぞれの関係のところに申し上げましたけれども、常にその住民の意見というものは取り上げられないで、国ないしは県あるいは電力会社というような、そういう営利事業団体の中でのみ物事が進むような方向で、電源開発とは災害開発であった、そして、それは地域に住むわれわれの意思などは全然考えないで、一方的に国や県の、あるいは電気事業者の利益のためにのみ進行してきたと、こういうような経験の中に地域住民の方があるわけであります。  かつて只見川というところは、急流が音を立てて、せせらいで流れておって、その川の中には魚がすんでおって、この魚をとりながら地域住民はふるさとの景観としてやってきたわけですが、ここにおいでの皆さん方は只見川においでになってごらんになったろうと思うんですけれども、まずまず濁りに濁ったあの水。流れざる川と言われる只見川。十四のダムでせきとめられている。上流から流れてくる、多分粘土質でしょう、これがあの水を黄色く濁らして、その上には流木、ごみ。恐らく只見川の沿線に行かれた方があの国道筋を歩いた場合、何とまあ汚い川だろう。こういうような自然を荒らされながら電源会社が大きなダムを築いて、そして配当をよけいにしているという中で、ここに住まわっている地域住民の悩みというものは、全く深いものがあるわけであります。こういう地域住民の声の中で只見川に電源開発がされない以前には、本当の只見川の災害というようなものは、受けた経験がないということが言われているわけであります。この辺の事情について、あの電源開発がなされてから今日までの間、どのような地域住民に与えた災害の状態があったか、それについてそれぞれの担当省がどのような御指導をなさり、どのような援助を地域住民のために割いてきたか、その災害の経過と、それに対する対策等についてひとつお話を願いたいと思うんです。
  66. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  只見川は過去において非常にしばしば洪水に見舞われておる川でございます。記録に残っておりますのは約四百数十年ほど前に、柳津の虚空蔵の鐘楼に水がついたとか、あるいはその鐘楼が流れたというふうな記録もあるような川でございます。只見川の電源開発が終わりました三十三年以降を見ましても、著名な洪水といたしましては、三十三年の狩野川台風のときであるとか、あるいは三十五年、三十九年の梅雨前線による出水があったわけでございます。また、四十四年には前線の豪雨、未曾有の裏雨によりまして、ダムの計画高水流量を上回るような異常な出水が出ております。このときの被害は死者が十一名、被害総額で百億を超えるような大水害もあったようでございます。
  67. 野口忠夫

    野口忠夫君 それ以前に災害があったというようなことはお聞きでございますか。電源開発以前の災害というようなことは。
  68. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 電源開発以前のものにつきましては、記録についてはいま申し上げましたように、四百年ぐらい前からあったというふうに聞いております。
  69. 野口忠夫

    野口忠夫君 あったと聞いている。本当ですか、災害ですよ、あったと聞いているんですか。
  70. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) そういう水害があったというふうに聞いております。記録にあるようでございます。
  71. 野口忠夫

    野口忠夫君 大正二年に一度洪水があるんですね。いま建設省の方でやるダムの貯水量の六千三百平米というものは、あれはそのときを基準にしていると思うんですけれどもね。これはしかし、災害というものにはなってないですね、水は出ましたけれども。だから地域住民が言うように、電源開発というものは災害開発なんだという言葉はお認めになりますか。
  72. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) こういうふうなダムを建設いたします場合には、その川の計画流量に応じた放流の設備等をなしまして、あるいはその上流では水が上がるようなところにつきましては、そういうところを河川敷としまして買収をいたしたり、あるいは囲繞堤をつくるというふうな治水工事も併用いたしてやっておるわけでございます。
  73. 野口忠夫

    野口忠夫君 私聞いたのは簡単で結構なんです。電源開発以前においては災害というものはなかったと、電源開発をしてから災害が起こってきたと、そう地域の住民は言うているということについてあなたはお認めになりますかと、こう聞いたわけだ。
  74. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) それは私ども聞いておりませんが、大正二年の洪水では、その場所ばかりではなかったわけでございますが、この水系で田畑の流失、埋没が、田の方が百五十町歩、畑は百八十町歩、家屋の被害が一千戸ほど被害があったというふうな記録はございます。
  75. 野口忠夫

    野口忠夫君 いまおっしゃっていることはどういうことだったんですかな。
  76. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) いま申しましたのは、大正二年の洪水では、そういう被害があったという報告を受けております。
  77. 野口忠夫

    野口忠夫君 先ほどおっしゃった電源開発以後の災害は何回くらいあったのですか、三回ですか。
  78. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 電源開発以後の出水でございますが、三十三年の狩野川台風に、三十五年、三十九年、四十四年、大きなもので四つほどあるようでございます。
  79. 野口忠夫

    野口忠夫君 ですから只見川というものをながめますと、やっぱり第一期というような時期は災害は本当にないわけですね。大正二年のいま災害をおっしゃいましたが、ごくわずかなものですね。電源開発ができてから。しかし、それは単災能力もあるし、それからまた土砂の流入などもなくて河床が上がるというようなこともないし、いわば一〇〇%のダムの状態の中で、いままでおっしゃった四十八年災害までの災害があるわけですね。いま、そこに盛んに土砂は流れてくる、ダムはだんだん埋没の傾向の中にある、そういう中で会社は新たな発電所をつくろうと。ですから只見の電源開発というものをながめてきますと、どうしても電源開発をすると災害が起こってくるんだと、こういうことはお認めになりますね。
  80. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 申し上げます。  ダムをつくる場合には、そのダムのないときの状態と放流の状態が変わらないような大きなゲートをつけさせますので、洪水の流れそのものには大きな変化がないというふうな方策を講じさせることにいたしております。
  81. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 委員長からちょっと注意を申し上げます。  いまの質問の要旨を聞いていまして、いわゆる電源開発法におけるところの災害が多発をしている、そのことについてはお認めになりますかという質問なんですから、その質問に答えるようにしてください。
  82. 野口忠夫

    野口忠夫君 委員長は大変いいことを言ってくれたんだ。私は、電源開発は災害をつくると、こう言っているんだが、委員長はそこをうまいことを言っているわい、多発していると、こういうふうに言っているから。その多発も認めないですか。
  83. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えをいたします。  洪水は雨によって起きるわけでございますから、そういう大きな水というのはやはり雨の降ったときでございます。
  84. 野口忠夫

    野口忠夫君 御答弁ちょっと不満ですね。じゃあ、電源開発のできない前もあるはずなんですよ。それは、先ほどおっしゃったように、大正二年に幾つかあった、そのときにはいまの洪水の限度量ですね、それの判定基準となるような水が出たことがあるんです。それの土台となるような水が出たことがあるんですよ。にもかかわらず災害はなかった。これが、私福島県ですが、只見川というものを知っている者の解釈ですよ。ところが最近は、さっき言われたように、四回もこう出ている。それはやっぱり電源開発をしたから、そのことによって災害がね。そうでしょう。  いま、この電源開発という国家的な要請、水資源の利用、電力を日本の国に豊富にしようというこの願いは間違っていないわけです。これはもう国のために結構なことだと思います。問題は、おっしゃるように、自然流水のような状態に、ダムをつくってもそうするんだ、これがいまの接点をつくってくる一つのあなた方のお仕事でしょう。そのお仕事を忠実に守っていれば、もとからない、川が自然のままで流れる状態につくってあれば、災害は起こらないはずでしょう。つくってないんですね。たとえば一例を言いますと、今度できる沼沢第二発電所の、両わきというのは、この導水管の影響で水が漏水してたまっているところもあります。その漏水の原因から亀裂を生じて、横坑があるんですけれども、その横坑の穴のところなんて大きく亀裂ができているんです。その上の方の急坂なところですから、そこからは三ヵ所にわたっていま崩壊——がけ崩れが起こっているんですね。そういう状態になっています。ここに地図がありますから、この地図を見ていただければわかります。あなた方でもわかっているんでしょうが、こういうがけ崩れ、ここは金山町の水沼地区というところですが、そこで、危険だから護岸してくれないかということを頼んだというんだな、岸をこうやってくれないかと。只見川はこれ電源会社も沈んでいるんですからね、発電所も災害を受けて。そこで、この護岸の工事を発電所のところだけやったんだな。ここはセメントで大したりっぱに護岸をしたわけよ。そうしてそのわきの方の部落のあるところ、住民の住んでいるところは石がきでこれを護岸している。だから、自然の川の流れのもとに戻すんだというこの課題を、当局が確実に守っていくという形の中で、本当のダム、国家的要請に応じていくということになれば、地域住民にそういう不安を与えない状態になるんだろうと思うんですけれどもね。大体この土砂の埋没などを見ましたが、まず発電所の周辺だけはりっぱな護岸工事ができるし、大したセメントを打っております。それから築堤もよくできていましょう。しかしそれから一歩出た地域住民の人家のあたりに行きますと、全くそれは捨てられた状態に置かれていて、ことに只見川それ自身は流れていきますが、山から出てくるいわゆる自然流水ですね、川というのは自然のままに流れて自然のままに安定しているわけですから、一番合理的なんですからね、あれは。川の流れというのは高いところから低い方に流れていく。そういうものを、ダムをつくって、そうして電気を起こすということの国家的要請の一つの仕事が行われて、そうしていま言うあなた方のお仕事が実際のところ行ってみると、岸のほうもそうですけれども、ほかの方から入ってくる川ですね、こういう川については全く構わないでおくんですね。ですから、その山の上から、ちょっとした集中豪雨がありますとこんな石ころが音を立てておりてきますよ。そこに住んでいるんですよ、金山町の人たちは。そうしておれの家の岸をちょっと直してくれないかというささやかな願いも、間に合わせの石がきくらいで、守られているのは電源開発の発電所だけだと。発電所を管理する人は何だといったら、この不況の時代にも高配当を受けるような状態に、これは国の仕事だとは言いながらも、こういうものと関連していることは地域住民知っているわけですよ。それが何らそういうものを聞かない方向に国の方も何か御指導なすったり御援助なすったりするような、そういうことになっちまうんじゃなかろうか。ですから、私はいままで地域の人たちのそういう状態やそういうものを見てきたんですが、こんなことについてはどうお考えになりますか。先ほどの河状を原状に復してやるようにダムを建設するのだと、そうさえすれば災害は起こらないであろうと私は思うわけであります。ところが、現実はそうだということを聞いているわけですが、どうですか。
  85. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  いまのお話でございますと、貯水池に流入する川のところに流れてくるというお話でございますが、ダムにたまった水が直接関係のない上流の方でございますと、それはその川の管理者が整備するというふうなことになろうかと思います。ダムでございますと、ダムをつくりますので、そのダムに関係があるところについてはそういう施設をつくる方でやるのではないかというふうなことになろうかと思いますが、その現地の状態をよく見ないと、その辺はよくわからないと思います。
  86. 野口忠夫

    野口忠夫君 私は文句言って苦しめようと思って言っているのではないんですよ。こういうことを接点を求めたいと思って私は言っているのですからね。だから、その地域の実情をいまさら見ないとわからないなんと言ったって、これは昭和四十八年のあるいは三十三年の災害のころのことの話ですからね。それがいま地域住民の中ではそういうものとして残っているということを言っているわけなんです。それに対して、あなた方もこれを完璧にするというのは容易でなかろうと私は思うんだ。少なくともダムを一つつくるという場合は、もとの川の流れと同じようにするということは、只見川水系全部についてやらねばならないということでしょう。その電源の、ダムをつくったところだけやればいいのじゃなくて、その沿線の全部をもとのままで過ごされるような方向に改めていくような、そういう計画を基本計画としては立てなければならなかったのではなかろうか。安易に、電気が足りないからダムをつくりましょうだけの話で、それが高配当につながるような意味での電源開発の発電所の増設をやるということについて、国民との間に国のやっている施策の中で接点がないと私は言っているわけです。それが、いま第二発電所をまたつくると、十四に一つつくるから十五になるわけだ。そこで、住んでいる地域住民との接点を求めない限りこういうことはだめだということを私は言いたいと思うのです。成田空港もまだできないでしょう。昔は地域住民というのは非常におとなしかったので、国のためかからやってくれと言われると、皆はいはいと言ってやったわけですね。しかし、金山町の人々は、そうしてやった結果だまされたと、自分たちの苦労はちっとも考えてもらえなかった。少なくとも私は、電源開発というようなものを進める場合に、地域住民との接点というものはこれから大事にしていかなければいけないのではないかというように思います。ことに第二発電所の設定されるその周辺の状態は、沼沢沼というのはあれは沼沢火山帯のカルデラ層で、ここの水が下がりますとがけががたがたと崩れてきます。そういう変化の中では魚が本当にいなくなったということも言われます。金山町というのは温泉街でございまして、あの辺は川の岸に自噴しているわけですね。きれいな水をながめながら、魚の泳いでいるのを見ながら、観光地として金山は発展していこうと、こういう夢はいまはなくなっちゃった。あんなものをつくれば、——あんなものと言っては失礼ですが、まあつくれば若干地方財政の中にはプラスするなどということを言われて、初めのうちは目の玉のたまげるようなお金が入ってきたわけです。だんだんそれは県の方にも吸い上げられたり、国の方にも吸い上げられたりしまして、一時は不交付団体になりましたが、いまでは交付団体で〇・四、財政指数を割るような状態の中にあるわけです。電力会社は盛んに収益配当をしているところに、只見川という川から受ける恩恵というものは、地域住民は災害だけだったという結果になっているわけよ。そこにまたつくりましょうと言うてきているという今日の状態をまあ本当に考えなけりゃいかぬじゃないかというふうに私は思います。そうでなければ、開発というものと国民というものは常に相克摩擦の材料にしかならない。本当の国策の遂行というのは、そこに住む地域住民の願いというものを十分吸い取って、それにこたえながら国の政策が進んでいくということでなければ、政治不信、政党不信、国民はただ自分の力のみに頼るという、こういう状態をつくっていくであろう。そういうことをやるのは開発行政が一番大きいんです。その中でも電源開発というのが一番非人間的なことをやっておるんではなかろうか。極端な言い分ですが、そういうふうに今日の地域住民の気持ちを代表すると考えられます。  時間がありませんのでもう一つお尋ねいたしますが、その電源開発に当たっての補償の問題ですがね。合併以前は、あの辺は金山町ではなくて沼沢村でございましたが、ここには沼沢沼水利組合というのがありまして、水利権の問題がございました。この水利権の補償について、いわゆる大規模償却資産税と言うんですか、発電所をつくったことによって入ってくるわけですが、この水利権の補償金を、この大規模償却資産税で入ってきた町の収入から沼沢村水利組合に対してその補償金を支払って、これが約三千何百万かの金になって支払われてきているのですけれども、こういうことをしなさいということを、これは国が指導したのですか、お答え願いたいと思います。
  87. 和田万里

    説明員和田万里君) 国は関知しておりません。
  88. 和田静夫

    委員長和田静夫君) もうちょっとはっきり言ってください。
  89. 和田万里

    説明員和田万里君) その件につきましては、国は関知していないわけでございます。
  90. 野口忠夫

    野口忠夫君 一体、その辺がまた各省非常に——先ほど国土庁長官が調整役だとおっしゃったが、まあこの開発行政というような問題についての一元化という問題は非常に大事だと思うのだが、地域の人々は、祖先伝来の土地を放したり、水利権を放したりしてやるわけですよ。そういう地域住民に対しての補償という問題について、それは私は関係ございませんという姿でこの電源開発なんぞ進めていくことになれば、国のやる施策というものはそういう住民、国民のことはもう全然私は関係ございませんと、それで私はこっちの方のダムをつくることだけが仕事ですみたいなことでは、当然これ、がちゃがちゃになるのはあたりまえだな。少なくとも私権であるところの水利権とか、土地のそういう権利に対して、これを国にやってほしいという補償問題について、これを東北電力会社の営業会社と個人との間の交渉にばかりまかせておくようなことでこれで果たして本当の国の仕事ということになりましょうか。そんなところに出て行ったこともないようなあの金山町の素朴な住民が、その補償金をもらうために相手になるのはベテランの電力会社の社員の人を相手にするわけだ。そして何度も何度も行った来た、行った来たやっていって、そしてもらうのはわずかな見舞金。災害があった、それもダムで起こった災害と思われるようなものが、この災害の補償もまた見舞金だと、水利組合という一つの団体がもらうそういう権利が、それがいま補償されようという場合に、当然入ってくるべき自治体の税金でその補償を一部の人に払ったというこんなことを、国は知りませんでした。まあ知らないのなら知らないで結構です。大変ごりっぱな御返答だと思っているのですが、それではまずいですね。やっぱりあすこにこれだけの電源開発ダムをつくってこれから国のためにやろうというときに、そこの沿線におる国民というものを公務員は少なくとも十分検討して、そしてそういう細かい補償問題等についてもやはりこの場所において、実は私はこういう努力をして、このような補償をするようにいたしました、という返事をするのがこれがよき公務員というものだと思うのだよ、おれは。スト権などでばかり本気になっていないで、やっぱりそういうところを考えることの方が本当ではないかというふうにぼくは思うよ。自治省どうですか、いま私の申し上げましたようなことについて。
  91. 関根則之

    説明員(関根則之君) 現地からいろいろ事情を聞いてみますと、その補償金を直接村が支払うという、そういうリンクにはなっていないようでございまして、償却資産税は全額規定どおりの償却資産税を収入にいたしまして、そのうちの一五%相当額を水利組合に町が町の責任において支払っておる、こういう状況のようでございます。したがって、法律上、別に直ちに違法とかという問題は起こらないと思いますけれども、最初の段階におきまして水利組合に対する補償が十分電力会社側から払われておらない。町が実質的に肩がわりをしておるというような状況のようでございますので、やはり財政運営上は問題があるのではなかろうか。当然入ってくる償却資産税というのは一般財源として使用できるわけでございますので、それが十分使用できないという状態になっているというのは一つの財政圧迫要因になっておるというふうに考えております。
  92. 野口忠夫

    野口忠夫君 法律的に養え支えない、適当ではない、それは自由裁量で地方自治体でやってもよろしいと、こういうことなんですか。どうも不満ですね、それは。そういう権限が本当の意味でありましょうかね。災害というのは、あるいは水利権というようなものは買った者があって補償されるわけですからね。買った者が払わないで自治体がそれを払うという、それを許容するという、それまでの自治ですか。私はそういう自治は余り賛成しない。自治とはそういうものじゃなくてもっと責任のあるものだと思う。地域住民に対してやっぱりそれはちょっとまずいと思うのだがな。後で御検討願って、まだこれは問題後になります。まあ時間がきてしまいましたので、非常に、地域住民と電源開発という問題との間の接点、しかも、現実にいまいろいろなそういう地域住民の不満な件数が残り、さらにいま開発されましたその電源開発地帯というものは日ごとに埋没をしているダム、だんだんだんだん水位の上がりつつある状態、さらには護岸が、岸が崩れていく、そういう状態の中でさらに新しい発電所をつくろうというような計画を東北電力会社がつくっているという今日の状態の中で、少なくとも国の施策が国民全体の幸せのためにあの地域の人々の公共への奉仕を求めるとするならば、奉仕をする国民の皆さんに対して最善のやっぱりわれわれは努力を尽くしていかなきゃならぬじゃないか。単にダムさえつくればいい、そして後は雨がよけい降り過ぎたから水が出たんだみたいなお答えだけで過ごそうとすることは、その地域に住んでいる、日本国憲法で保障している主権在民という国民の立場に立った場合、何とも私はそれでは相済まないのではなかろうか、こう思います。  それで私は、いま新たな発電所をつくろうとする曲で、いままでの経験の上に立ってどうにもならない不安と心配等しているこの金山町の今日的状態をひとつこの災害対策委員会で現地調査等のことを御決定をいただきまして、ないしは、地方財政法の問題もあるようですけれども、県あるいは東北電力会社、こういうものに対してやはり参考人喚問等の姿の中で、私言葉が足りませんから、現地の皆さん方実情等を調査した上で、新たな電源開発に持っている地域住民の不安というようなものを政治の場面でひとつ少なくするような御努力を委員長さんお願いしたいと思うのですが、委員長はわが党でございますので、そちら側におられます自民党の理事さん並びに公明党の理事さん、共産党の理事さん、ひとつ理事の皆様方にも御協力願って、長い間電源開発の中で何か救われない気持ちで過ごしてまいりました地域住民のために新しい窓あけをする力沿えをお願いしたいというように思うわけであります。  以上で私の質問を終わりますが、委員長にお願いいたします。
  93. 和田静夫

    委員長和田静夫君) いま要求がありました金山町を中心とする第二発電所の建設問題の現地調査の要求につきましては、理事会にお諮りをいたしまして結論を出したいと思います。
  94. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がございませんので、いつもこの災害対策は時間が少ないのできりもみみたいな質問になってしまうんですが。  本年もいよいよあと残すところ幾らもなくなりましたが、ことし振り返りまして、御多分に漏れず災害が非常に多かった年だったと思います。そしてまた非常に激甚な災害が続いたわけであります。これは役所の仕事としましては会計年度からというと、そういう言葉は当てはまらないのかもしれませんけれども、年の暮れということもございますし、一応これからの問題は豪雪による災害ということで、本年ございました災害について総括的にちょっとお尋ねしたいと思うのでありますが、最初にこのたびの本年の災害で激甚災害法の指定を受けた、また局地激甚の指定を受けたところはどの災害か、それから現在検討中であれば、その検討中のところはどこか、その間のことについて御報告をいただきたいと思います。
  95. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) お答えいたします。  御存じいただいておりますように、激甚災害にはわれわれ通常本激と言っておるんですが、本激とそれから局地激甚、この二つがございまして、本激の方の手続はそのつどつどいたすことにいたしておりまして、鳥取県、福島県等々の五月二十一日から六月九日までの降ひょう関係、これは農林の関係でございます。  それから次に、六月三日から七月十八日、通常梅雨前線豪雨と言うておるものでございます。熊本、島根等々でございます。  それから次に、三番目といたしましては、八月五日から二十五日の通常五号、六号台風と申しておる豪雨暴風災害でございます。高知、徳島、北海道等々でございます。  それから四番目といたしましては七月中旬から九月下旬までの干ばつ、千葉県、長崎県の農業関係でございます。  それから融資関係の局地激甚は急を要するものでございますので、局地激甚といたしましては、七月二十七、二十八日の豪雨、これは青森県でございます。  それから二番目といたしましては、十月五日、暴風雨、東京八丈町関係のものでございます。  それから三番目といたしましては、八月五日から二十五日の豪雨、暴風関係、北海道等々でございます。  これらはすでに激甚指定の手続を終わりまして、政令の手続等を終えたものでございます。  あと残ります問題は、局地激甚関係が残るわけでございますが、これも作業を手につけておりまして、本年一月四日の新潟地すべりの災害から十月二十一日北海道の波浪でございますか、の災害まで百十三災害を確定いたしまして、ただいま指定するための照会を行っておるところでございます。来年一月中旬ごろには——なお、災害は御存じいただいておりますように、暦年で取り上げることにいたしておりますので、十二月末までの災害をまとめまして、先ほどは十月二十一日の北海道までだったのですが、十二月末までをまとめまして追加照会いたしまして、その誤類が参りましたところで検算等の手続をいたしまして、二月中旬をめどに閣議、政令公布、こういう形で事務作業を進めさしていただいておるのがただいま現在の実情でございます。
  96. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 個々の問題については、これはもう一つ一つ質疑をするにはちょっと時間もございませんし、また後日それらの問題についてはさしていただきたいと思います。  やはり今度の災害を見まして非常に激甚な災害が多かった。特に高知県や青森、また北海道の石狩川というような広範にわたり、また局地的に非常に被害の大きいものが集中的に、山形の真室川ですか、のように非常に激甚な災害が多かった。御存じのとおり地方財政も非常に逼迫しているときでもございますので、こういう指定等については、指定だけじゃございませんけれども指定が何といっても前提条件になるだろうと思いますが、早急な対処をいたしませんと、特に北の方ですと非常に寒い寒さがやってまいりますし、それが市町村住民に及ぼす影響というのは非常に大きい、こういうことを痛感いたすわけであります。このたび、いま報告がございました、およそ今年のものにつきましては、大体御検討いただいたようでありますが、ほか残っておる分につきましてもひとつ早急な処置を要望いたしたいと思うんであります。  やはりこのたびのこの激甚を見ましても、治水事業の重要性というものを痛感するわけであります。治水事業につきましては、第四次治水事業五カ年計画でずっとやって、来年五十一年度は最終年になるわけですね。治水事業と言いましても、河川、ダム、砂防、いろんな事業があるわけでありますけれども、明年のこの最終年を迎えまして、特に来年力を入れてこれをしたい、また最終年として五カ年計画の総締めくくりとして、ぜがひでもこのことについてはということで、いろいろ予算折衝等なさっておられると思うんでありますが、それらのことを含めまして現在まだ概算予算をおつくりになった段階だろうと思います。これからの交渉のことになるだろうと思うんですけれども、担当なさっていらっしゃる方々がこれの取り組みに対してどういう姿勢で五十一年度をお考えになっているのかいう、この点についてお伺いしたいと思います。
  97. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) お答え申し上げます。  ただいま先生の言われましたとおり、昭和五十一年度は治水事業五カ年計画の最終年度でございます。来年度の予算要求をするに当たりましてどういうようなことを重点的に要求しておるのかということでございますが、第一番目は、現治水事業五カ年計画の進捗状況がまだまだ不十分でございますので、最終年度を残しまして、本年までに治水事業五カ年計画の中、三兆円の中で、二兆百二十一億円が投資されておるわけでございまして、まだまだ残があるわけでございますから、そういった治水投資の大幅な増額ということをまずお願いしておるところでございます。
  98. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 予算の増額、これはまあ当然のことだと思いますけれども、この施策といいますか、これは計画を立ててやっておるわけですから、新しいものが出てくるわけはないと思うんですけれども、最終年を迎えるに当たりまして、今日までやってきた中での反省なり、そうして最後の締めくくりとして特に重点的にお考えになっているのはどういうことかということです。予算のことは当然のことだと思うんですけれどもね。それから重点項目といいますか、お考えの中に激甚災害対策特別緊急整備事業の新設ですか、こういうことで災害対策には対処していきたい、これは過日、災害復旧促進期成同盟の大会にもございましたけれども先ほど申し上げましたように非常に激甚な災害と言いますか、局地的に非常に被害の大きい真室川とかまたあの青森の岩木山麓、こういうような非常にひどい、しかも冬を迎えて早く処置しなければならない。それには非常に早く着工し、高率の補助でやっていただかなければ、非常に過疎地で財政力もないところでありますから、こういうことが望まれておるわけであります。そういうことも災害対策としてぜひ考えていきたいということも聞いておるわけでありますけれども、そういうことも含めまして、明年度、最終年度をどういうふうに考えているかという観点で、ひとつ簡単で結構です。
  99. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 政策的な面でどういう点を重点的に要求しておるかということになろうかと思いますが、ただいま先生が言われました激甚災害対策特別緊急整備、これが一番大きな柱でございます。従来、激甚な災害がありました河川につきまして、どのように対処してきたかと申しますと、河川事業費の中で重点的に当該災害河川に対しまして、予算を配分してやってきたわけでございますが、現状のような伸び率の中では、そういった激甚な災害河川の竣工が非常に年数がかかるわけでございます。災害を受けられた方々がまた再度災害を受けるというようなこともございまして、そういった河川につきましては、大体五カ年程度で完了させるということを目標にいたしまして、災害助成事業と同じようなスピードのある改修事業をいたしたいということで略称いたしまして激特と申しておりますが、激特事業を要求しておるところでございます。  それからそのほかに二級河川の修繕費補助制度の創設ということがございます。これにつきましては、中小河川の災害が頻発しておるということで、改修の立ちおくれということでございますが、それに対処するために、二級河川の維持修繕費の制度を創設いたしまして、早期に、短期間に治水機能を相当に増加させるということをねらったものでございます。元来、二級河川につきましては、都道府県知事が管理する河川でございますから、その管理に要する費用は、都道府県において負担するのがたてまえになっておったわけでございまして、そういったことで現在までそういう制度がなかったわけでございます。今回そういうたてまえはございますが、特に中小河川のおくれということがいわれておりますので、そういった点での予算要求をしてあるわけでございます。それから多目的遊水池の制度がございます。従来治水緑地と申される制度がございました。従来の治水緑地とどこが変わっておるかと申しますと、多目的というところが変わっておるわけでございまして、治水上遊水地として活用をする傍ら、道路あるいは公園、ときには住宅というような施設を中に設けまして、洪水に対する防災対策を十分講じまして、治水事業とその他の事業とが一緒になってやっていくという事業でございます。これは治水緑地の用地費が非常に膨大なものでございますので、市街地におきましては、特に土地の単価が高いわけでございますので、そういった治水投資の低減を図るというようなこと、片や市街化が進みつつある地区でございますので、そういった都市対策の面からも考え合わせまして、両者を一緒にしたような制度、それが多目的遊水地制度でございます。まあ大体そんなところでございます。
  100. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私も要望といいますか、強く訴えたかったことは、ことしの災害、ことしというよりここ数年のことを見ますと、やはりいまお話がありました二級河川ですね、これを非常に痛感するわけであります。それから先ほど来申し上げておりますように、地域的に非常に激甚な災害が起きておる、気象状況が一ころとは変わったんではないかと、こう思われるようなそういうことから、どっちかと言うと治水事業とか、またわれわれの取り上げるのは災害対策ということですから、ここは災害に対してどう対処するかという委員会かもしれませんけれども、本来、国の事業、災害を起こさないことが大事でもありますし、後始末だけに奔走しているような現況ではならぬと、こう思うわけでありますが、とにかく最近は集中的な、大きな、いままで観測し得ないような雨量という、こういうことがしばしばございます。そういうことを考えますと、現在あるダムにつきましても、また砂防、河川、こういうものについていままでの古いデータだけではなくて、やっぱり最近の様子から見直していかなきゃならない、洗い直していかなきゃならない、こういうことも痛感するわけであります。どうかひとつ同じことを二度、三度繰り返すなんということのないように、先ほどお話ございました各項目につきまして、私ももう実に痛感いたしておるひとりでございますので、強力にひとつお進めいただいて、災害のための委員会がしばしば行われるなんということのないような施策をひとつ強力に、そう簡単にはいかぬだろうけれども、ひとつがんばっていただきたいと、こう思う次第であります。  時間がございませんので、河川関係については以上でございますが、次に、いよいよこう寒さが増してまいりまして、北の方では雪の季節が伝えられておるわけでありますが、雪のために地域住民が大変な不便を感ずる。その住民のために国といたしましても、豪雪地帯指定とか、そのほかまた自治省、各省でいろいろな施策がなされているわけでありますが、特にこれは、まあ雪というやつはその年によって多い少ないがあるものですから、画一的にこれはいかないわけでありますが、そういうことから二十年、三十年の平均をとって考えるということになるのかもしれませんが、長い間には積雪の様相というものも非常に変わるというか、またその年によって非常に多くの被害をこうむる、こういうところもあるわけであります。そういうことを一々その場その場でどうするかということも対処しなきゃならないわけでございますが、恒久的な施策として、豪雪地帯に対する処置があるわけでございまして、この豪雪地帯に対しての問題について二、三質問をいたしたいと思うんであります。  最初に、豪雪地帯対策特別措置法による特別豪雪地帯指定というこの指定は、どういう手続で指定をされるのか、これは議員立法ということで、これはあなた方の方がつくったんだからという、そういうことじゃなくて、ひとつ概略こういうことだということで結構であります。そこから二、三点質問したいと思いますので、お願いいたします。
  101. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 豪雪地帯対策特別措置法の二条という規定がございますが、その二項に特豪地帯の指定の規定がございます。これによりますと「内閣総理大臣は、前項の豪雪地帯のうち、積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域について、豪雪地帯対策審議会の議決を経て内閣総理大臣が定める基準に従つて、豪雪地帯として指定された道府県の区域の一部を特別豪雪地帯として指定する。」ということになっております。そこで具体的な基準といたしましては、この法律の規定を受けまして、まず豪雪地帯で特に積雪の度が高いということでございますから、一定の基準を設けまして、それに該当するものが特豪地帯になるわけでございます。ただし、二つ目の要件といたしまして、「積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域」という条項がございますので、たとえば、積雪による自動車の交通不能の日数がどの程度あるか、あるいは郵便物の集配の確保の困難性がどの程度であるか、そういった要素を勘案いたしまして、具体的なこの基準に従いまして、該当する具体的な市町村につきまして、審議会の議を経て内閣総理大臣が告示する、そういう手続を経ております。
  102. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは大体こういう豪雪で悩んでいる市町村というのは過疎地といいますか、過疎地には限りませんけれどもね、そういうところが多いことはよく御理解いただけると思うのですが、そしてまあ広範な地域、こういうことで、乏しい財政の中で非常に広範にわたっての除雪作業とか、住民のために何とかしなくちゃならぬ、これは交付税やなんかいろいろなこともあるわけでありますけれども、とてもそういうことではでき得ない、そういうことからやはり豪雪地帯につきましては別の施策をしなければならないということでこの法律がつくられたと思うのですが、いまお話がございました「住民の生活に著しい支障」ということですけれども、とにかく法の解釈は具体的な問題になりますといろいろなことを勘案なさって御検討なさると思うのですけれども、これをどう見るかということが実は市町村にとりましては非常に重要な問題になるわけですけれども、これは何か基準といいますか、いままでの先例やいろいろなことでどういうふうにお考えになっているんですか。
  103. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 二番目の要件でございますところの住民生活にとっての著しい支障というのにつきましては、いろいろな項目をつくりまして、それに該当するしないということでやっておるわけでございますが、先生御承知のように、地方団体にとりましてはこの特豪地域に指定になるということは一つの魅力でございまして、追加指定の要望も御承知のように幾つかの町村からは出ておるような状況でございます。そしてこの要件というものはある程度流動性を持っておりますので、四年前に御承知のように、第一次指定を行っているわけでございますけれども、現時点におきまして果たして現状もいまのままであるかどうかというような点についてはわれわれとしてもたえず精査いたしまして、実態に合うようにしていかなければならないというふうに思っております。
  104. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま御答弁ありましたように、確かに豪雪地帯——小中学校の施設のことから、また河川、道路の整備の特例ですか、雪寒道路の事業のことや、医療用の雪上車とか、確かに指定を受ける受けないということは、財政力の乏しいところにとりましては、この際指定いただけばというところがある、現在非常にこういう時期ですから。四年前になさったわけですから、その後のことで市町村からも何カ所かぜひこういう状況なので見ていただきたいということも、陳情等もあるだろうと思います。私のところにも一、二あるわけで、いまいろいろお話をしているわけでありますけれども、この決定に当たりましては積雪ということが年間どれだけあるかということが一つの大きな物差しになるわけですね。その町の積雪は年間、二十年、三十年どれだけであったかという、これを決めるのにその市町村のどこではかった、どこの地点の観測データによるかという、これによってもまた大分差が出てくるわけですね。やっぱり外されたというか、陳情が非常に多いのは、指定にならなかったというころにつきましては、やっぱりこの観測点ということが一つ問題になるだろうと思うのです。観測点につきましては、総理府令ですか、これによりまして豪雪地帯指定基準に関する政令に規定する期間及び施設を定める総理府令というのがございまして、中にありますけどね、この観測点というものはどういうふうに——これは政令があるんですけれども——当初お定めになったのかということ、これは二十年、三十年のデータですから、気象庁のお認めになったところで指定するところということだろうと思うのですけれども、その気象庁の指定されたところがその市にとっては必ずしも適当なところであるかどうかという問題もあるわけなんですけれども、その間のことについて、必ずしも気象庁の指定したところがたまたま観測しておるデータのあるところでなきゃならぬということにもなるわけでありますから、非常に観測点というのは問題といいますか、ある程度きちっとこの点と、こう定めましても、それだけではいかない面が出てくるのじゃないかというふうに考えるわけですけれども、その点はどうですか。
  105. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 御指摘の問題は非常にむずかしい問題でございまして、一つの市町村の中でも、地域によりまして雪の降りぐあいは当然違うわけでございます。ただ、私ども一つの基準をつくりまして、これは特豪市町村、これは普通の豪雪市町村というように線引きをいたします場合には、やはり信用力のあるデータというものを基礎にしてその線引きを行わなけりゃならないということになるわけでございまして、現在、この雪の降り方の問題につきましては、わが国におきましては長い間ずうっと統計があるというものは気象庁のものしかないわけでございますので、気象庁の指定されましたところの観測点におけるところの数値というものを採用さしていただいておるわけでございます。
  106. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは当然原則としてはそうでなきやならぬと思いますが、ほかの点で、建設省なんかでもダムやなんかの建設とかいろんなこと、そのほかの省庁でも、やはり観測をしなきゃならぬという目的のために十年、二十年、まあ十年じゃだめだな、二十年、三十年というこれはさかのぼってのデータということになりますがね。そのデータがやっぱりある市の中で気象庁が指定した観測点がある、しかし、それは本当にそこがその町の積雪をはかるのに適当であるかどうかという、こういう問題がやっぱり考えられる点については、ほかの何点かについては、これは気象庁の観測ではないかもしれませんけれども、ほかの省庁かもしれませんけれども、そういうところにあるものについてはやっぱり参考にするというような、こういうことは、それは絶対的なものじゃないかもしれません、これは気象庁でやることがいままでのデータとしては一番信憑性があるということになるかもしれませんけれども、一応の参考にするということはあってしかるべきじゃないかと、こう思うんですけど、どうでしょうか。
  107. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 一つの考え方だとは思いますけれども、特豪地帯というものを特に豪雪地帯の中から線引きをいたしまして、衆参両院の附帯決議でも一万五千センチメートル・日以上というようにお決め願って、それを基礎といたしまして特豪地帯というものを線引きしたというような経過もございまして、この線引きに恣意が加わる、恣意と申してもだれかが認定するわけでございますから、ある程度の主観というようなものが加わりますと何分特豪地帯に対する市町村の指定の陳情が多い折からでもございますので、非常に基準があいまいになってくるというような大きなデメリットがございますので、現在のところ、私どもといたしましては気象庁が公認されたところの数値ということを守っておるわけでございます。
  108. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そうなると、気象庁の認定ということは非常に重要性を増して、その町村にとりましては非常に死活問題ということになる。この間も担当の方がいらっしゃっていろいろお話したんですけれども、山形の上山、あれは蔵王の山ろくで測定しておる。町の方はこれは広い地域ですからあれですけれども、住民のお住まいになっておるところはさほど多くはない。まあ米沢とか、山形とか、何点かそういうところがあるわけで、われわれが常識的に見ましても、それは気象庁が認定する、そういう信憑性がなければならぬ、それはわかるのですけれども、ちょっとかけ離れ過ぎているんではないか、こういう気のするところがあるわけです。ですから、これは気象庁の方いらっしゃいますか。これは、気象庁が観測点を変えるということはなかなか大変なことだと思うのですけれども、一応の目安として、信憑性としてそうしなければならないということはわかりますけれども、しかしそれだけに固執しているとどうしても差が出てくる、大きなギャップが出てくるということを痛感するわけですけれども、そこにそういうギャップを埋めるために何らかのことを考えなければならないんじゃないか。これは立法府ですからひとつあなた方で考えてくださいというような顔をしているけれども、ほぼ四年ですか経過したわけでありますから、そういういろんな点については先ほど答弁にもありましたが、検討しなければならない、第一次の指定以来考えなければならぬ点も出てきたろうと思うのですけれども、ここの私どもの方に陳情に参りました山形県の長井市というところについては、自動車の通行不能になるというのは、集落によりましては百日以上というのが八つもあるわけですね。それから六十日から九十九日間自動車の通行不能というのが十八。こういう非常に面積が広くて、山間部に偏っておって、観測点がずっとこっちの方寄りだという、こういう非常に極端なところもあるわけで、そういう点の是正というか、こういう問題についてもこれは四年経過した段階でやっぱり検討すべき項目になるのじゃないか、こういうことは審議会でいろいろ討議しなければならないことだろうと思いますけれども、皆さんの代表の方々もそこにも御出席だと思いますし、また委員の方からそういう意見も出るかもしれません。また、私どももそういう意見を反映するように審議会で討議していただくようにしたいと思いますけれども、こういう問題についても四年経過した段階で、検討の項目としてひとつ考えていただきたい、こう思うのです。気象庁さんの方で、こういう気象庁さんの指定したものが絶対的な条件になるわけなんで、これをそうですが、それじゃまた別なふうにやります、というわけにいかぬだろうと思いますけれども、今後の対処の仕方として、やっぱりいろいろな角度から、単に一市だけじゃございませんで、二、三ございますので、ぜひひとつ検討の課題にしていただきたい、こう思うのですがいかがですか。
  109. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) これは、この特豪地域の指定というのは、豪雪地帯対策特別措置法の一つの中心でもございますし、そして審議会におきましても絶えず御論議願っておるところでございまして、私どももこれが実態に合うようにいろいろな資料も現在集めておるところでございますけれども、各方面の方々の御意見も伺いながら、より実態に合うものにしていきたい、そのように思っております。
  110. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もございませんので、以上で終わります。
  111. 春日正一

    ○春日正一君 私は、石狩川の治水対策についていろいろお聞きしたいと思うのですけれども、時間が縮まったという関係もあるので、一番先に非常に簡単明瞭で大事な問題についてひとつ先にお聞きしたいと思うんですけれども、札幌郊外の茨戸川の逆流、それから内水対策ですね。御承知のように、茨戸川というのはもうこれは河川局の方は御承知だから、こっちへ向けて委員長に見てもらった方がいいと思うんですけれどもね。とにかく、これが旧石狩本川なんですけれども、これをショートカットして、これがずうっとこういって、ここはもうだからふさがっているわけですね。そしてここへ、本川へ流れるところはこんなに狭くなっちゃっている。だからここがいつも——しかも大きな支流が三つぐらいある。だから雨が降るとここへ入った水が出られないで浸水する。これは写真で見ると非常にはっきりするんですけれども、こういうことなんですわ、これだけ広い川なんですね。ところがこの木川に合流するところはこういうふうに両方からぐうっと張り出してきて狭い水門みたいになっている。だから、ただでさえ水をとめるところへ、大雨が降れば、これは溢水するのは決まり切っておる。わかり切っておってこういうことをしておる。そのためにことしのあの六号台風のときでも篠路地域を中心にして広い範囲で溢水をして、非常に大きな水害を起こしております。しかも、あの辺は御承知のように、最近は工場とか住宅がどんどんどんどんふえていっているところですね。だから、毎年これが繰り返されたんではやりきれるもんじゃないし、何とか緊急にこれは解決しなきゃならぬ問題だ。そこで建設省としてはどう考えておいでになるのか、まずそこからお聞きしたいと思います。
  112. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) お答えします。  いま先生おっしゃいますように、茨戸川には伏籠川なり創成川なりあるいは発寒川も流れ込んでおります。この抜本的な対策は、茨戸川の水位を下げることにある、このためには、いま計画しております石狩放水路を早く完成する以外にはないと思っております。現在、石狩放水路につきましては、現在用地買収がすでに完了しております。ただ漁業関係者との協議をいま進めておる最中でございまして、これがちょっと実は難航しておる最中でございますが、おそらく今回の水害を背景にいたしまして、この解決も早くいくんではなかろうかと思っておりますが、もしそうしますと、直ちにこの工事に着工いたしたい。約二キロの放水路でございます。五、六十億かかりますけれども、早くこれを解決するのが最もいい根本的な解決策と思いまして、これに全力を挙げるつもりでございます。
  113. 春日正一

    ○春日正一君 その話も聞きましたし、私も放水路の予定地に行って見てもきておりますけれども、しかし、あれはなかなか漁民の方の反対が強くて早急に片がつきそうもないという話だったんですけれども、大体いつごろまでに片がついて、いつごろまでには川があくという見通しはあるんですか。
  114. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 漁業組合との調整はいつごろまでに解決する見通しがあるかという御質問かと思いますが、これにつきましてはただいま鋭意折衝中でございますが、その見通しが現在立っておらない状態でございます。
  115. 春日正一

    ○春日正一君 そこが問題なんですね。その見通しの立たぬままで、とにかく放水路で放水するより仕方がないということであれすれば、これはいつまでかかるか、これもだれも見通しのつかぬことですけれども、その間雨が降れば、あの地域に住んでいる人たちはいつでも水浸しに遭わなきゃならぬということをしのんでいかなきゃならぬわけですね。そうすると、放水路のあくまでの間暫定的にとるべき処置はあるんじゃないのか。  それで、この「石狩川水系工事実施基本計画」というのを見ますと、あそこの初めの計画というのはこうなっているでしょう。「河口付近の支川茨戸川には、水門を設置して、本川の逆流を防ぐとともに、内水のはんらんを防止するため、堤防を築設する。」というふうに四十年の決定にはなっているんですね。だから私はおかしいなあと思ったけど、この本川合流点が、これだけ広い川がこんなに狭いですね、ここへ水門がすぐつけられるみたいになっている。というのは、そういう計画があるから、それを予定してああいうふうに狭くしてしまったんじゃないかというような気もするんですわ。そうすると、もし漁業組合との折衝がめどがつかぬという状態なら、さしあたってこの計画どおりにきちっと水門をつけて、大きなポンプをつけて、それでこの水が出てきたときには本川にかい出すと、それで本川の方が水位が高くなって今度はもう逆流したんですから、そういうことを防ぐために水門を閉めておいてポンプでかい出すというような処置をとって、あそこの溢水というものをなくしていく、あるいは少なくとも少なくするし、内水を早く引かせるということのできるような処置はとりあえずとっておくべきじゃないのか、そうでなければ、話のつくまではまあがまんしてくれというような非常に無責任なことになるんじゃないですか。
  116. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 石狩川の工事実施基本計画には先生が言われましたとおり、石狩川木川の堤防のあたりに水門をつくりまして、提防をつくって締め切るということになっております。それはどこまでも先ほど局長から御答弁ありましたように、石狩放水路の完成が前提になっておるわけでございます。なお、石狩本川への水路が非常に狭いということでございますが、茨戸川は旧石狩川の川敷でございまして、そういった関係で広くなっておるわけでございます。それであれを締め切りましてポンプ場をつくるということを御提案されるわけでございますが、伏籠川、創成川、発寒川の流量が非常に大きいわけでございます。計画流量といたしましては、伏龍川が二百トン、創成川が百トン、発寒川が百六十トン——いずれも毎秒でございます——ということで、これだけ大規模なポンプをつくるということは、いまの時点で日本国じゅうどこにもないということでありますので、どうしてもポンプでもって対応するということができないわけでございます。地形上、茨戸川を通じまして石狩川本川に伏籠川等の流量が流下するわけでございますが、これが流下しやすいように、細い水路ではありますが流れの方向といたしましてはいい形につけたものでございまして、今後のやり方といたしましては、石狩放水路をどうしてもつくるというのが前提ではあるわけでございます。ただ、本川水位をできるだけ下げたいということをいま考えておるわけでございます。それによりまして茨戸川の水位が下がる、伏籠川等の水位も下がるということでございますので、そのためには河口部の狭窄部を開削するとか、あるいは本川下流部のしゅんせつを行うということを考えておるわけでございますが、ただ、そこにもまた漁業組合との関係がございまして、そういったものの解決が前提になるわけでございますので、そういった点を鋭意対策を講じつつあるわけでございます。
  117. 春日正一

    ○春日正一君 どうもわからないんですけど、そうすると、これでは水門をつくれと、こう書いてあるんだけれども、しかし——その分流計画というのはこの計画の中にあるんですか、私はなかったように記憶するんですがね。後から出てきた計画じゃないですか。
  118. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 工事実施基本計画を見た上での答弁にならないわけでございますが、もし書いてないとすれば、それはないといたしましても、石狩放水路があるということを考えての計画であるわけでございます。
  119. 春日正一

    ○春日正一君 それは私は重大な問題だと思う。工事実施基本計画というものは、これはちゃんと建設省として決めたものでしょう、こうやるのだと言って。それの中には、ちゃんと河口を締め切ってあれせよということが書いてある。ところが、それは後から出てきたのは海岸の工業化の問題と、そしてあそこに港をつくるというような問題とのかかわりで放水路という問題が出てきたわけでしょう。明らかに基本計画、これは勝手に変えているのですね、ねじ曲げて。それで基本計画にはないけれどもという言い方があるかって言うのですよ。基本計画を頼りに仕事をするのが基本計画でしょう。そこの点どうですか、これ。大臣がおったら大臣に聞きたいのですけれども次官どうです、その点。基本計画は守るべきものか守らないでもいいものか。
  120. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 基本計画は、やはりこれは河川法に基づく基本計画でございますので、あくまで基本でございます。私も、ちょっとこの石狩放水路というものにつきまして、河川局長になったときはすでにあったものですから当然入っているものと、もう一度基本計画を見るチャンスを失いましたけれども、これはいま先生おっしゃるとおりでございまして、こういう石狩川全体の計画、さらに大きい計画が本川もたくさんありますけれども、この石狩放水路の事務的取り扱いにつきましては、ひとつ研究さしていただきたいと思います。
  121. 春日正一

    ○春日正一君 これは非常に大事な問題ですけれども、あれは水がつくと住民が非常に大きな被害を受けるんですよ。そして、これに対する補償というものはいつも災害対策のときに問題になるんですけれども公共事業とか、そういうものには補助がつくとか復旧がされるとか言うけれども、しかし水のはんらんでついたというようなものについてはほとんど補償がされない、損害の受けっ放しになっているんですね。そうすると国が、とにかくわかり切ったことですね、これだけの大河川の支流を閉じ込めてしまって——当然こう流れているところですから低地ですね。閉じ込めてしまって河口をふさいでしまえば、しかもこの中に支流が入ってくるわけですから、相当大きな側成川とか、ああいった。当然ここは溢水することは予見できるはずですわ。それを予見して、ここを締め切って——当然締め切ると言うからには水を出すことを考えているはずだと思うんですけれども、そういうことが基本計画で決められておって、それをそのとおりやらずに新しい別な分流計画というものを出してきて、それが解決つかないためにたびたび水がつくというようなことになれば、少なくともその結果については国が責任を負わなけりゃならない、国家賠償の対象になると、こういうふうに考えていいですか。
  122. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 国家賠償の対象になるかどうかということにつきましては、私どもよくそこまで検討したことはございません。全国にいろいろと内水排除に困った川がたくさんあるわけでございまして、私どもは予算の許す限り、この内水排除問題につきましてがんばっておるわけでございます。まず堤防ができましても最後に残るのは内水排除でございまして、この石狩放水路も、その後ずいぶんみんな技術者が研究した結果だと思いますし、現在まで、すでにこういう用地も済んでおるということでございますので、早くこの仕事が、一番早く進むことこそわれわれの任務だと、そういうぐあいに考えておるわけでございまして、いま先生がおっしゃるようなことが日本全国にいろいろまだあるわけでございまして、河川局——建設省といたしましても、早くこれを解決することこそわれわれの任務だと、そういう感じでおるわけでございます。
  123. 春日正一

    ○春日正一君 私、重ねて言いますけど、計画を立てて計画どおりにやった、それが見込み違いだったと言うなら、まだそれは技術的に幼稚だったというようなこともできるけれども、ちゃんと基本計画でこういうものを決めておいて、それに基づいて川の上の方と出口を締め切っちゃって、そうして出口を特にこんなにずうっと狭窄した。これ、写真見てごらんなさい。ちょっと、だれか持っていってちょうだい。これだけの川がこういう狭い出口になっちゃっている、基本計画どおりに。そういうことですね。それだけの——こっち側の方が河川木体ですわ。まだもっと広いところがあるんですよ。それがぐうっと来て、こっち側へ来ると狭い水門、いまだに水門をつけるように仕組みができているんですね。そういう計画どおりにやらないで、それで別なことを考えて、それはいつできるかわからぬというような形で災害が起こっているということになれば、これは明らかにだれに対したって申しわけが立たぬでしょう。そういう河川行政がいつも、どこでも進められておるのかどうか。基本計画を変えるのなら、いつ幾日から変えましたということをきちっとさせなけりゃならない。
  124. 本間俊朗

    説明員(本間俊朗君) 基本計画に書いてないわけでございますが、これにつきましては、基本計画に盛られる内容をどこまで盛るかということが問題になるかと思います。逐一書いてないわけでございまして、しかし、この計画の前提にはこれは当然入っておるわけでございます。この水門にしたということ自体が、これだけの流量を水門から出すということは技術的には考えられないことでございまして、でございますから、石狩放水路の用地買収を全部完了した、それだけ力を入れてやってきたわけでございます。
  125. 春日正一

    ○春日正一君 それ以上ここで議論してもしようがないですけれど、とにかくそういうことで、基本計画でそうなっているのがそのとおりなっていない。途中から思いついて、あの高度成長の時代にあそこの海岸に工業地帯をつくって、あれ、港をつくると言うんでしょう。そうしてそこへ放水路を抜こうと言うんでしょう。そういう新しい計画、そういうものとの関連で放水路ということが問題になっているわけですから。しかもいつできるかめどが立たぬ、雨は毎年降る、こういうことになると、仮に放水路が合理的だと認めたとしても、それがめどが立たないんだから、めどが立つまでの間どうしてはんらんを暫定的に防ぐかということは当然考えてみなきやならぬはずだと思うんですけど、その辺どうですか。処置なしということで手をつけないということですか。
  126. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 先ほど水課長も申しましたとおり、この放水路以外に、入ってまいります支川等の仕事がまだまだ残っておるわけでございます。それをやりますとやはり効果が上がるわけでございまして、私どもは、やはり放水路完成までの暫定対策といたしましては、河道改修をどんどんやはりあわせていまのうちにやっておこう、どんどん進めるということと同時に、また、いま先生のおっしゃるようなこの暫定期間中の内水排除問題をどうしようかということで、今回は個々の問題でなしに石狩全体につきましても実はいろんな勉強会をやっております。そういうことで、だんだんこういう調査が煮詰まったときに、ひとついろいろ議論をさしていただきたいと、そういうことで全川について実は検討を、いま細かいものをやっておる最中でございます。もう少し猶予をいただきたいという感じがいたします。
  127. 春日正一

    ○春日正一君 その点はぜひ、毎年水を受けるんですから、だから、ぜひ早いところ対策を立てて、それでとにかく被害を少なくする、あるいはなくしていくということを十分迅速にやってほしいと思います。  そこで、時間がなくなりましたから、石狩川のこの治水対策一般についてはできるところまでお聞きしますけれども、御承知のように最近では大きな河川は大体整備ができて、これから中小河川の整備に主力を注ぐんだというふうに建設省いつも言われておったんですけれども、ところが、去年は多摩川でああいう決壊があって大きな災害を出しましたし、ことしは石狩川で非常に大きなはんらんが起きて、一千億前後と言われるような被害も出しておるというような状況になっているのですね。そうしてこの水害の特徴は、私も行ってみて驚いたのだけれども、日本国じゅうのあらゆる河川災害の特徴が全部そろっているみたいな、そういう状況ですよ。溢水、破堤によるこの外水のはんらんとか農村都市における内水のはんらんですね。それから多様ないろいろな属雲峡のがけ崩れまで含めた水害の形が出て非常に大きな被害を及ぼしているのですけれども、これはやはり石狩川の流域における治水のおくれということに一番原因が帰せられるべきものだと思うのですけれども建設省として石狩川の治水対策について概況どのくらいになっているのか、これからどうしようとしているのか、できるだけ簡略に時間がありませんから筋を聞かしてほしいのですが。
  128. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 石狩川は昭和三十六年、三十七年に大きな水が出まして、三十九年から本格的にピッチを上げてきたわけでございまして、現在計画からいきますと、全国平均が五五%です、直轄河川の、それとイコールまでもこぎつけました。一緒でございます。しかしながら、ことしの補正予算にも見られますように、直ちに石狩本川に二十三億を投入して持っていった。これからどうするかということでございますけれども、今回の災害のことからさらにこれを普通並み以上に持っていくには、やはり何かほかの制度が要るのではなかろうかということで、いわゆる激甚災害に対する特別な整備事業ということで、何かやはり色をつけにゃいけないというようなことから実は石狩川も対象にしておるわけでございます。結論から言いますと、やはり大河川は大河川なりに守らにゃいけないし、小河川は小河川なりに守らにゃいけない、どっちが大切か——皆大切なのでございまして、そこらは北海道の石狩というものは利根川以上の予算をつけてまいっております。こういうことに対しまして今後とも進めていきたい、力を入れていきたいと思っております。
  129. 春日正一

    ○春日正一君 今度のはんらんでも大体資料を調べてみますと、連続雨量が流域平均で百七十九ミリということで、三十分の一程度の雨量、だから雨量としてはそう大したものじゃない、この前の三十六、七年ごろのあの災害とほぼ似たようなものだという状況の中でこれだけの大きな被害が起こっておるわけです。だから実際見ますと、この破堤個所、美唄市の山形、今回の水位十七・二〇メートル、計画高水位は十七・六六。北村豊正右岸十五・九二、計画高水位は十六・五五、左岸が十五・三六、計画商水位は十六・〇五、江別市の豊幌九・七二、計画高水位は十・四〇、こういう破堤した個所はどこを見ても計画高水位より低い水でこれは破れているわけですよ。だからこういうことはひとつそのとおりだということを確認しておいてほしいと思うのです。
  130. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 先生おっしゃいましたように、雨は三十七年八月が最近で一番大きな水でございます。これが約百四十ミリで、今回が流域平均が百七十ミリと、三十ミリ多いわけでございます。流量におきましても、下流の石狩大橋で十年前のやつは八千二百立米、今回が八千七百立米、五百立米多いわけです。それで三十七年の八月では浸水面積が六百六十平方キロであったものが、この十年間におきます治水投資が効きまして、三分の一の二百十平方キロに減ったわけです。三分の一に減ったわけでございます。したがって、やはりやればやるほど防げるということははっきりしておるわけでございますが、残念ながらこの中流部におきましては泥炭地でございますので、盛っても盛っても下がっていくという非常に大変な地域でございますし、また延長におきましても九百二十キロという膨大な連続堤でございます。そういうことで非常に金がかかるわけでございますけれども、私ども先ほどの札幌周辺の下流の問題とこの中流部の問題につきまして、やはり技術を駆使しながら、これをじみに積み上げていく以外に手がなかろうということでございますし、いろいろ上流ダム群のいいものがあれば、またどんどん採用していくと、いろいろな手を使いまして、いままでの効果が非常に出たということを拝見いたしまして、今後ともこの治水事業を進めていきたいということでございます。ただ先ほど、一気に土が盛れないという悲しさがございます。下がっていきます。したがって水位を今後できるだけ上げないためにはしゅんせつも大いに、どんどん掘り下げていこうということを考えておりますが、なかなかまた漁業の問題があります。そういうことで堤防敷もきれいにいたしまして疎通能力をふやすとか、いろいろな維持管理の面におきましても努力してまいりたい、そういうことでございます。
  131. 春日正一

    ○春日正一君 確かに今度の水はその前より多かったというのですけれども先ほど河川局長も言ったように、石狩大橋で八千何百と、ところがあそこは計画高水位は九千でしょう。だから計画高水位までいってないのですね、いってないところで破れたということは、結局堤防が計画高水位よりも低いということだと思うのですよ。それで時間がありませんから私の方でいろいろそちらからもらったり、開発局の方からもらった資料で言いますけれども、築堤の状況について言えば、計画延長が千百六十七・六キロのうち、完成の堤防が三四・四%、暫定堤防三三・六%、その暫定というのは堤防の高さが計画高水位と同じというふうに言われておりますね。それから暫暫定堤防というのが二〇%あって、これは計画高水位より低い堤防だというのですから、これは妙なことだと思うのですけれども、そういうふうな状態で未着手が一二%、しかも完成したのは滝川より上流部が多くて、だからあれから下の方がこの地図を見ましても非常に大きくはんらんしておるし、塗り分けで、遠くて見えませんけれども、大体いつもはんらんするところがはんらんしておる。大体はんらんする場所は決まっているのですね。そういうふうな状態になっておるわけですから、私も行ってみて泥炭地帯で沈下するとか、一度に土が盛れないとか、そういう築堤上の困難とか、そういうことも見てもきたし、聞いてもきたから、非常にむずかしいことはわかるのですけれども、しかしこれの災害というものを考えると、非常に大きいものですからね、聞いてみたんですけれども、北海道の開発局長の言うには、暫定断面らしいものがやっとつながったというところで、完成断面をつなげるには概算で六千億は必要だろう、現在年間百億のペースでは六十年かかると、こういうふうに言っておるのですけれども、しかしその六十年の間には当然周辺の開発なんかによって出水の状況というようなものも変わってくるだろうし、そういうふうにすると六十年で果たしてできるかどうかということも問題になってくると思う。だからそういう意味ではやはり非常に大きな広い面積をカバーする川で一たびはんらんすれば非常に大きな被害が——今度でも一千億というでしょう。これが六回繰り返されれば、その六千億の工事費というものはもう浮いちまうわけですわ、実際言うと。だから、これを長引かせておくということは、国民経済から見れば非常に損になるわけですね。だからそういう意味で、特にはんらん個所というようなものもわかっておるわけだし、もっと治水の費用を増額してこれを促進する必要があるんじゃないか。  そういう意味で、私ずっと調べてみたんですけれども、開発事業費の中での治山治水費の割合というのが、通路に比べると三分の一ぐらいですね。四十五年で道路が四五・七%、治山治水が一五・四%。だんだんこの比率は少なくなっていますけれども、五十年で道路が三九・一、治山治水が一五・七と、まだ半分以下ですね。だからそういう意味で、もっと治水の予算をふやすべきじゃないかというように思うのですわ。特にこういう被害の非常に大きな河川の治水ですね、その点についてはどうですか。政治的な問題ですから大臣に聞きたいんですけれどもね。
  132. 中村弘海

    政府委員中村弘海君) 御質問の内容は、言うなれば、端的に言いますと、治水対策予算をもっと大きく盛れということだと思います。私もこの間から、夏の災害地をずっと回りまして、治水関係がいかに重要なものであるかというのをつくづく感じさせられたわけでございます。御承知のとおり、道路というのは規模が大変大きゅうございますので、ただいま道路予算よりも治水関係の予算が少ないわけでございますが、私が先ほど申しましたように、人命並びに財産を脅かす最大のものが治水関係にあると私は思いますので、この点十分に考えまして、予算をもっと獲得していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  133. 春日正一

    ○春日正一君 ぜひそれはやってほしいと思います。  そこで、次の問題ですけれども、溢水あるいは決壊したところでは、計画高水位まであと三十センチ、五十センチというようなことになっているんですね。だから、記録的な豪雨と言えないような状況のもとで、そこまで来ておるということは、結局流域のいわゆる流出機構自体が、この計画をつくられた昭和四十年から今日までの間に大きく変わってきたということがあるんじゃないか。たとえば、市街化が進行して保水力が低下したとか、あるいは山林、農地が開発されてゴルフ場とか演習場とか、その他のものに変えられた、そのために遊水機能が低下するとか、あるいは上流部で森林が伐採されて、そのために水の流れが早くなってくるとか、あるいは支川の改修によって流量が増大して非常に早く出てくるというような点で、やはりこの四十年間にそういう石狩川の水流の条件というものが計画を立てたときとは大分違ってきているんじゃないか。だから、いまの時点でもう一度その条件を兄直してこの基本計画そのものを改定するということを考える必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はどうですか。
  134. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 今度の災害と昔の災害の要素は確かに違っております。いろんな細かい点におきまして応用動作をしなければならない点もあるかもしれませんが、基本そのものにつきましてはそう変わりはない。しかし、工事のやり方なり、あるいは地域の皆さん方との対話なり、施工順序なり、いろんなまた工法、そういうものを含めましての問題を含めていけば、大体基本計画がいましっかりしておりますので、やはり根本的に変えるような必要は私はないというような気がしております。もちろんその後、支川あたりはダムでカットはできますが、本川がなかなかききませんので、やっぱり上下流一緒に一体と考えまして、バランスのとれたやはり治水事業を持っていかなければならない、そういう感じはしております。私自身も石狩を見まして、やはりどこからやっていくか、今度水が出ればどこが一番危険なのであろうかとか、そういうようなことをお互いが——住民ももちろん知っていただきたいし、そのときにはどういう水防活動をしてほしいとか、いろいろな問題があると思うのです。そういうことで、私も強くそういう印象を持っておりまして、官が仕事さえすればいいということでなしに、住民と一緒に守っていくという体制も今後とも強化をしていきたいし、またそういう水防活動その他の問題についてもやはり強力な指導行政もしたいと、そういうことを考えます。根本的には余り基本計画が変わってくるようにはまだ考えておりませんが、現時点ではまだいろいろいま解析をしておる最中でございますので、はっきり申し上げられませんけれども、勉強はしておりますけれども、まだいまの段階ではすぐ直ちに変える、そういうところまでは作業が進んでおりません。
  135. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、その議論は大分時間のかかる議論ですし、私もいろいろ意見あるんですけれども、ここでは時間がありませんからそれは後に回しますけれども、しかし、少なくとも私見てきたところで——まあ、いま進めておるような堤防主義といいますかね、とにかく堤防を高くして水を囲い込みさえすればいいというやり方では、あそこはおさまらないのじゃないか。御承知のように、三百六十キロあるものを二百六十キロにカットをしたわけでしょう。石狩川というのは、あれはアイヌの言葉で言えば曲がった川なんで、平らなところをそれをカットしたわけですから、流水の勢いは、本流は非常に早くなって早く出水するようになるし、同時にさっきの茨戸川の場合のように、上流の地域でもこういうところで水の出ているところというのは、大体旧河川の堤防が破堤して水が出て、しかもそれが本川に堤防で囲まれるものだからはけないというようなことで、いつまでも滞水して農業にも非常に大きな被害を与えるというようなことになっておるわけですね。大体こう曲がっているものを切るのですから、それで曲がってこう下がってくるところは低いところに決まっているのだから、どうしてもそこに水がたまるというようなことになると、ただ堤防を高くして——私はこの間大垣へ行って見てきたんですけれども、あの輪中ですね、ちょうどあんなようなかっこうのものにしてしまったらどうにもならぬことになる。そういうことになると、まだ北海道には相当自然の状況も残っておるし、だから保安林みたいな形で造林をやって水の流れをとめる問題とか、あるいは適当な遊水地をつくって、いざというときにはそこで水を一時ためるというような——ダム、ダムというけれども、そういう高いところへダムをつくって電気を起こすというようなことと結びつけるのでなくて、もっと遊水地を適当な場所があればつくって、そこで一時水をためるというような形でのもっと広い目で見て——いまはあれでしょう、最近局長も御存じのように、河川関係の学者の中でも、堤防主義ではいかぬ、もっと自然の山もあれも考えろと。大体長良川、木曽三川の治水に来たあのオランダの何がしという技術者が来て、一番先に川のことを言うかと思ったら、そうじゃなくて治山のことを言ったということが伝えられておるのですけれども、いまやはりそのことが学者の間で言われてきて、堤防ばっかりじゃいかぬのだ、やはりそういう治水条件というもの全体を総合的に考えて、それで水をどう治めるかということにしなければならぬのじゃないかということが言われておる。そういう点から考えてみますと、やはりいまの石狩川のこの治水計画というものがそういう面から見直されていき、補われていく必要があるんじゃないか、そういうふうに私考えるんですけれども、その辺のところはどうですか。  それから時間がありませんからもう一つ聞いておきます。それとそれから内水の問題ですね、あの点で非常に内水が出て排除がおくれて問題になったんですけれども、やはり建設省の所管になると思うんですけれども、樋門ダムなんかの管理が委託されておって、それが常時点検されてないために水の来たときにはさびついておって動かなかったとか、あるいは間違って上へ上げてしまっておりなくて被害を与えたとかいうような現象が非常に起こって、地元の農民はその点については非常な不満を持っているわけですわ。だから少なくとも私はこういうことだけはやってほしいと思うんです。御承知のように、泥炭地で堤防が低下する、それはもう当然のことだし、すぐまた盛るというわけにもいかぬというような事情もあるとすれば、少なくともその付近に麻袋とか土砂とかいうようなものを置いておいて、それで水が出たというときにはすぐそれでもってその低いところを土のうでもって補強して高いところとイコールになるようなことができるような資材的な準備をしておくとか、あるいは樋門とか、あるいはポンプ場というようなものの維持管理、これをやっぱり出水期前にはきちんと点検しまして、間違いなく動かせるというようなことを委託した人にもそれに対する操作の技術なんかもきちっと教育して、そういうことで被害が大きくなったということがないようにするということと、もう一つは建設省の大きなポンプはかなり役に立ったといって喜ばれておるけれども、農林省の方のは内水排除の小さいポンプですからこれはだめだったし、水につかってしまったというようなことがある。だから建設省だ、農林だと言わずに、やはり河川サイドとしてそういう溢水の大きいところには大きいポンプをつけて内水を早く排除できるようなことをやるように、それから農林の方では水につかるというようなことはせめてないようなちゃんと防備を排水機場にするというような程度のことは最低限すぐやるべきものだというふうに思うんですけれども、そこらの点をお聞きして、私もう時間あと二分しかありませんからこれでやめますけれども、そこらの辺についてひとつお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  136. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、私は先ほど基本計画はいまのところは動かさないと言いますのは、一つの混乱を防ぐ意味で申し上げたわけでございまして、日本全国もそうでございますが、今度の石狩川におきましても非常に総合的な河川計画論をやらなにゃいけないと、こういうことはやっておるわけでございます。しかしながら、これを発表しますまでには相当なやはり勉強をしないと、責任持ったことをやらにゃいけないわけですから、お考えとしては十分われわれもそういうことを頭に置いております。  それから二番目の維持管理の問題でございます。これは相当徹底してやってきたつもりでございますけれども、今後とも北海道につきましてはそう余り災害がなかったために若干訓練不足があったかもしれませんけれども、内地においてはしょっちゅう来るところは相当点検をしきりに言っておりますし、今後ともこの点検作業、オペレーターの問題、いろいろその管理体制ですね、そういうものを含めましてひとつ今後とも十分やっていきたい。  それから最後の問題の農業排水との関連ということも十分頭に置きまして、一緒に仕事をするんだ、お互いに守っていくんだということでますます進めていきたい。特に北海道は各省が一緒に、建設部がありますのでかえってやりやすいように私思っておるわけでございますが、先生おっしゃるようにひとつがんばっていきたいと思います。
  137. 春日正一

    ○春日正一君 あと一分ありますからね、一言。  そうじゃないんですよ。私開発局へ行ってみてびっくりしたのですがね。あの内水排除の問題で、その四基の建設省のポンプは効果があったと農民は言っておるというと、河川の建設部長の方はこうやるのですよ。私の前でですよ。それから今度は農林水産部長の方は、いや私の方は三十分の一の規格でポンプをつくっておるのだ。じわじわ出てくる内水を本川に入れるためのポンプなんで、本川から入ってくる水の方は河川の責任だと。私の方の責任でないものについて責められちゃやりきれぬ、こう言って局長を中にはさんで両部長が言い争うんですね。そういう状況では住民はたまったものじゃないですわ。やっぱり河川も農林も両方が一緒になって農民を守るというようにしてもらわなきゃ困る。特に河川の方は、そう言われれば確かにあれが破れて内水になっていくのは河川の責任ですからね。その場合、河川局として早く出せるようなポンプを要所にはきちんとつけるということは考えてほしいと思います。どうですか、その点。
  138. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) まず防ぐことが先で、どうしても堤防が先になるのです。まだまだ石狩が残っております。まず堤防がある程度行ったときに内水問題が出ると。堤防をつくらないのに大きな川の内水を持っていってもだめだと、そこの一つのタイミングということがございますので、先生のおっしゃることはよくわかりますが、施行順序の問題を踏まえてひとつ、われわれも決して内水問題から逃げておるわけじゃございません。やる時期があるということでいままで一つずつやってきたわけでございますし、今後とも先生のおっしゃるようなことでどんどん事業を進めていきたい、そういうぐあいに考えております。
  139. 柄谷道一

    柄谷道一君 最初に長官に対して御質問したいと思います。  私はことしの六月十三日、この委員会で地震対策問題について質問をいたしました。地方自治団体でいろいろ推定いたしておりますマグニチュード五ないし六、中心及びその周辺で震度五の直下型地震が発生した場合、各自治体の予測しております被害状況を挙げ、かつその中に含まれている問題点等を挙げまして、大臣に対して早急に中央防災会議を開催をして特別立法を制定する必要性、中期計画の策定とこれに対して中央及び地方の受け持つべき分野、これらについて抜本的な検討が行われるべきでないかと、こう御質問申し上げました。その際長官は、中央防災会議であらゆる角度から十分検討し、その上で法律をつくる必要があるならば法律をつくるというような前向きの方向で進むことが防災対策に対する国民にこたえる姿である、非常に前向きの御答弁をいただいたわけであります。  それ以降、八月に一回中央防災会議が開催されたとも聞いているわけでございますけれども、当時長官のお答えになりました法の改正、長期計画の策定等抜本的な問題についてその防災会議で結論を得ることができたのかどうか、内容とあわせ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  140. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) ただいま先生が仰せられましたように、八月、中央防災会議を開催いたしまして、大都市の震災対策の指進要綱に基づきまして震災対策の推進状況等について報告をいたしたわけであります。大規模な地震の発生に対処するため、特に都市防災化の推進あるいは防災体制の強化及び防災意識の高揚また地震予知の推進の三点に重点を置きまして、震災対策を一層強力に推進するということを当面の基本方針として決定いたしたわけであります。  お尋ねの立法の問題につきましては、お説のように地方公共団体からも非常に要望が出ております。関係地方公共団体との検討会においても問題点を検討することとして、大部市震災対策連絡会議において関係省庁と十分協議し、その必要性を検討してまいる考え方でおるわけですが、地震の問題対策の問題につきましては非常に国民も、いつかは来るということで、ことに都会地においては非常にこの問題が心配されておる。万全の対策を講じなくちゃならぬ、またそれが政治だと私は思うんです。検討は前向きの方向で、立法を必要とする状況であるなら必ずつくっていこう、こんなような考え方で前向きでいま検討をいたしておるところであります。
  141. 柄谷道一

    柄谷道一君 大体の方向は基本方針として打ち出された、しかも長官は立法化について前向きで対処したいということでございますけれども、必ずしもその防災会議で具体的な法の内容とか、また中期計画、長期計画的な政策が策定されたというわけでもない。確かに十一月二十五日の予知連では、当面直下型地震の危険はない、こういう確認をいたしておりますけれども、なお不安要因というものが存在していることもあわせて述べているところであります。地震というのは、これいつ来るかわからない。しかも、五十一年度から新経済社会発展計画がスタートする。当然この計画の中に防災対策というのは織り込んでいかなければならないということになりますと、これはやはり長官の前向きの姿勢は評価するのでございますけれども、やはりその時期を急がなければならない問題だと思うわけでございます。ただいま言われました機関及び中央防災会議をそう余り時間を置いて持つのではなくて、これはひとつ長官の方で早急にそれらの諸策が確立されるような対処をぜひお願いをいたしておきたい、こう思います。  時間がありませんので次に移りますが、同じくその委員会で、私は地震の予知対策について、従来の予知対策が地球物理学的な方法に偏り過ぎている、確かにそういう研究ももっと充実さしていかなければならないが、地球化学的、地震生物学的な方法の開発に努力する必要があるというこを強く指摘いたしました。その際大臣は、予知という問題は人命にかかわる問題であって、国土庁にも気象庁にもひとつどんどんと予算を要求してこい、長官としても一はだを脱いでこの予算獲得に努力したい、これまた非常に力強い御答弁がございました。明年度の予算が大蔵省へ概算要求がされているわけでございますけれども、長官として地震予知に関する予算請求がどの程度きれていると御認識になっておりますか。
  142. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 地震対策として、地震予知ということはいまこの対策の一番かなめだという感じがいたします。そういう意味で、この予知の関係予算概算要求をいたしましておりますのは、ことしの予算は二十億八百万円でありますが、来年度の予算は三十二億九千三百万円、六〇%伸びをいたしておるわけであります。  なお、地震対策の関連予算概算要求は五〇%程度のアップで要求いたしておるわけですが、この確保という問題がこれからあるわけです。最大の努力をしてこれを確保する、こういう考え方でおるわけでございます。
  143. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは、長官時間の関係で退席されるということでございますから、後ほどまた強調しておきたいと思いますけれども、確かに六〇%なり五〇%上がっている。これは努力をこれまた評価いたしますけれども、決して満足な予算でない。しかも、予知対策の重要性というのは長官いま御指摘になったとおりでございます。その意味において、ぜひとも当面まずその確保に長官として全力を注いでいただきたい。  あわせまして、私もいろいろ資料をいただきますと、文部省、科学技術庁、建設省、運輸省、通産省と、この予知対策関係費が各省庁に非常に分散されているわけでございます。確かにトータル的な数字については、国土庁の災害対策室で取りまとめておられますけれども、これらの予知対策というものを有効に機能的に結合して、いかにして実効を上げていくかということになりますと、行政機構にこれはひとつ一工夫しなければならないのではないかと、こう思うわけでございます。いま明年いきなり行政機構の改革等を行うにはなお時間不足でございますから、それらは今後引き続いて御検討願うとして、当面これらの省庁の各予算というものの結合、有機的な関連づけ、こういう問題についてやはり長官としてもぜひ御配慮を賜りたいと思いますが、この点いかがでございますか。
  144. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 国土庁が出る前はいわば先生の御心配するような面が非常に多かったと私は思うんです。国土庁が出て、この問題の一つの窓口になったということは一歩前進だと、その窓口になっておる国土庁の立場からいいますと、一応前進はしているけれどもこれでいいのかという考え方になるとなかなかむずかしい点もありますし、また御案内のように各省庁なわ張りというような面もありまして、すっきり一本になればまことにうまいんですが、この壁を破るということがいままで行管がいろいろの施策をしてもなかなかそれが実行できないというのは、その壁の厚さというものをひしひしと感ずる、私も感じがするんですが、しかし、それもだからといってそのままにしておくわけにいかない。しかし、たまたま窓口ができたのだから、この窓口が今度は潤滑油になって先生のおっしゃられるような方向に最大の努力をしてできるだけ一本に持っていくし、持っていけない場合でも、国土庁はいま各省庁との連絡会議をしながらこの問題をできるだけ国民が安心できるような方向で組織化して進めておるわけですから、おっしゃられる方向につきましては今後とも最大の努力をしたいと、こう考えております。
  145. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、同じく地震予知関係でございますが、地震に関する生物学的アプローチの予算は、文部省予算に科学研究費補助金というものが計上されておりまして、私の調査によりますと約二百一億九千二百万円の概算要求が出されている、こう聞いております。この五十一年度概算要求のいわゆる科学研究費補助金の中には、地震予知に関する生物学的アプローチの研究というものが含まれていると、こう解してよろしゅうございますか。
  146. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) お答え申し上げます。  実はいま先生からお話がございました生物学的アプローチ、これはなかなかむずかしい問題でございまして、中国では十万人の民衆が観察を集中いたしまして、その生物学的な地震予知ということに結びつけておるようでございます。実はこのたび中国から地震の考察団というのが参りましたので、それにつきましていろいろの機会にその話など承っておるわけでございますが、まだ理論的にはいろんな不明確な点があるようでございます。  それでわが国の実情を申し上げますと、地震学者といたしましても、動物の行動を無視しているわけではございません。ただ現在のところ中国のように直接予知に知びつけるという研究はなかなか出てこない現状でございます。私どもといたしましてもそういう動物の行動を地震予知に結びつける非常に優秀な研究があればということで、実は非公式にいろいろと努力いたしておるわけでございますけれども、いまのところまだ実っておりません。したがいまして、研究者からこういうような生物学的なアプローチにつきましての優秀な成果が期待できます研究の要望がございましたら、その段階で科学研究費によりましてその研究費の措置をするという準備は整えておるわけでございます。
  147. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官は衆議院の方へ行かれるということですので、もう一問だけ長官のおられるうちに御質問しておきたいと思います。  いまの文部省の答弁の中にも中国から地震学者や研究員六名の中国地震視察団が来日をいたしまして、わが国の地震学会や日本学術振興会との交流が行われておるということが報道されております。私は、その内容をつまびらかに承知いたしませんけれども、十二月二日付の讀賣、サンケイ等の報道機関の報ずるところによりますと、中国におきましては専門家と民間、これが連帯いたしまして予知・予測網の発展を図って、そしてそれから得られた膨大なデータを積み上げた結果成功したという事例が発表されている。地殻変動、地電流、地磁気、地下水及び温泉中に含まれるラドン量の測定、こういった問題は専門家の分担すべき役割り、井戸の水位の変化、動物の異常行動というのは全国にいまも言われましたように約十万といわれる民間の協力員を配置して、そこからのデータを求める。その専門家によるデータと民間協力によるデータというものを、行政府が組み合わせまして、有効な地震予知を行うと、こういう体制づくりがされているということが発表されているわけでございます。もちろん、中国とは社会体制も違います。これと同じような方法をとることが果たして可能かどうか、これにはいろいろ疑問点がございますけれども、ただ指摘できますことは、わが国のこの地震予知という問題は、少数の専門家に頼って全国民的な協力を得ての予知対策という体制づくりがなおおくれているんではないかという点だけは少なくとも指摘できるわけでございます。そういう意味で、私はたとえば、地方自治体に情報収集の協力要請を行うとか、国民の中に協力を求めるとか、新しい地震予知対策網の整備確立ということが必要ではなかろうかと、こう思うのであります。長官の率直な、これは急場の問題ではございませんけれども、個々の体制づくりに関する長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  148. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 最近私もその報告を聞いたんですが、十何回か的確に予知をしておる、最近では遼東半島の地震も当てておるというような状況でありますから、そういう動物的な動きによって予知をする、これも一つの考え方、私はむしろ日本のこのような体制の中でそういうことが、先生ができるかできないかというお話があったけれども、地震というものに対する国民のすべての人が考え方を、関心を持ってもらう上からもしてもいいことではないかという私は感じがいたします。しかし、こういう問題につきましては各省庁と専門家もおりますし、学者もおりますし、昔ナマズが動けば地震があるとか何とかという話もあります。あるいは最近の新聞を見れば、海の魚の異常な動きというものも地震に関係があるというようなことを聞きますし、東京湾にマグロが飛び込んだとか、あるいは北海道の稚内関係のオホーツク海に面した河川には相当なサケが足へぶつかるくらい入ってきているというようなことはいまだかってない。これは地震を動物が人間様より先に察知して行動をとっているんだという見方をしておる人も聞きます。しかし、まんざらそれは根拠のないことじゃないというふうに私も感じがします。そういう意味で十分ひとつその問題は各省庁の連絡会議がありますから、連絡会議にかけて皆さんの英知をしぼってもらいたい、このように考えております。
  149. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ、一部専門家のみでなくて、全国民がこの地震予知に対してそれぞれ有効に機能すると、こういうふうなやはり体制づくりについて長官の方で前向きにこれまた御検討を願いたいと思います。  それから次に、ただいま文部省の方からの御説明があり、かついま長官も若干お答えになったわけでございますが、古くは寺田寅彦博士のナマズの生態と地震予知という問題もございます。最近では末広恭雄博士の魚類の異常生態と地震予知という論文も発表されております。またソ連のリチネツキー博士の生物たちの超能力という論文も発表されまして、世界の学会で注目を引いているところでございますし、アメリカのスタンフォード大学でもこれらの研究が進められているということを聞いております。そういった生物が地震発生のかなり以前から地震を予知するかのごとき行動をとることがあり得る、その鋭い感覚によって彼らが天変地変をいち早く察知して、適当な退避行動をとるということは最近の学説の中でもようやく認められるようになってきている現状であろうと、こう思うわけでございます。したがいまして、少なくともそうした過去いろいろの方面で行われている研究結果の資料を整備し、さらにその資料の収集を拡大し、必要によっては生物神経電気測定等の科学的な設備をこれからつくっていくということは、地震予知につきましても非常に有効な一つの手法ではないかと思われるわけでございます。これらの問題について、今後十分文部省としても地震予知の重大性にかんがみまして配慮されることを強くこれまた要請をいたしておきたいと思います。  次に時間の関係もございますので、私は社会学的な問題について二つの問題点を提起して質問したいと思うものであります。  十一月二十日の日本テレビ、木曜スペシャルでございますが、架空ドキュメンタリーとして、マグニチュード八・五、東京大地震という番組が放映されたわけでございますが、審議官その内容をごらんになりましたか。
  150. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) 見せていただきました。
  151. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は私の子供からその話を聞いたわけでございますけれども、地震の予知能力というものが高まり、その確度が正確になってくる。で、科学者がその地震を何時間後に起きるのではないかということを予知する、そうしてこれを官房長官に通報する。しかし、政府はこれによって起こる社会的混乱というものを配慮して適当な対策を打ち出し得ない。一新聞記者がその情報を得まして発表する、その結果社会が極限の動乱、混乱状態に陥るというのが、そのテレビの大筋であったと、私は聞いておるわけです。これはテレビの内容というものは確かに架空ではございますけれども、大きな問題点を提起したものとしていま各方面で取り上げられつつございます。私はそういう意味でいまの対策で果たして予知というものがされた場合に、この対応対策としてたとえば鉄道をストップするということも必要でございましょう。事前の交通規制という問題も必要でございましょう。また、退避の指示を出すということも必要でございましょう。いろいろ対応策が用意されなければならないわけでございますけれども、これはどの行政機関がだれの責任においてこの予知と防災対策というものを結びつけて措置しようとするのか。私はテレビであれだけの報道がされ関心を呼んでおりますだけに、これらの行政機構の取り組み方と現在の機構というものが完備されたものであるのかどうか。その点についてお伺いをしたいと思います。
  152. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) あるいは科学技術庁の方からお答えいただいた方が適当かもわかりませんが、テレビを見た関係もございますので、私の方からお答え申し上げます。  まさにそういうふうな社会的感覚でございます。いままでは地震予知連、その関係先ほどのテレビで申し上げますと、学者的感触で行っておられたもの、それではやはり社会的にいろいろの問題があるんじゃなかろうか、そういうふうな御指摘がございました。それ以後科学技術庁の方が中心になっていただきまして、そこで地震予知研究推進連絡会議という新しい会議を持ちまして、科学的な感触、社会的な感触、そういうことも踏んまえて物事を考えていこうじゃないかという形で、政府としてはいまそういうものを用意されておるということに相なっております。
  153. 渡辺重幸

    説明員(渡辺重幸君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ありましたように、突然にあした大きな地震がくるというようなことが流されますと、これはもうパニックが発生するのは当然のことでございます。特に大都市においてはそうであろうと思います。したがいまして、地震の予知そのものは非常に長期的なものから随時精度が上がりまして短期的なもの、さらに正確なものへ移ってまいるべきものだと思います。今回の中国の遼寧省の地震におきましても、数年前から起こりそうだということが指摘されまして観測が強化され情報が流され、その時間的な間に住民の方も地震の予知に対する理解も深まる、あるいはそれに必要な防災体制もとられていくというような順序を踏みましてパニックの防止が可能であろうかと思います。したがいまして、この地震の予知につきましては、技術的にもそういう段階を踏まざるを得ないわけですが、予知の長期から短期に移ってまいります過程並びにその精度の問題を非常に重視しながら地震の情報が出されていくべきだと考えます。  それから、地震の予知の実用化の時期が近くまいるのではないかとわれわれも期待して地震予知研究を推進しておるわけですが、そのような時期におきましてはやはり地震予知連絡会議からの情報もさることながら、やはり行政ベースで的確な情報を正確に一般の方にお伝えできるような体制というものをつくっていかなければならない、このように考えております。
  154. 柄谷道一

    柄谷道一君 その予知の問題とあわせて、たとえば大正十二年の関東大震災の場合、その直後多くのデマが飛ばされた。非常に人心がパニック状態になった。その中でたとえば朝鮮人虐殺事件が起こり、社会主義者殺害事件さらに難民による略奪、物価高騰いろいろの問題を波及的に引き起こしたことはもう事実が物語るとおりであります。  また、この委員会でも昨年の九月十四日と記憶いたしますが、参考人として出席されました都立大学の詑摩武俊教授は、四十三年二月二十一日に起きた宮崎のえびの地震後約一ヵ月ほどたって現地調査を行った結果、地震直後デマに類する話を聞いたという人が七四%もいたということをこの委員会で意見を述べておられます。  私はこういう地震発生後の国民に対する的確な情報の伝達ということは、これはきわめて重要な問題であろうと思うのであります。  地震予知というものに対する行政ベースも連絡会議は確かに設けられておりますけれども、どういう機関が責任を持ってこれに対応すべきかというものが必ずしもいまは確立されているとは言えない。と同時に、地震発生後の的確な情報の国民への伝達というものに対しても、その体制が現在完備されているとは言えない。いわば現状のまま推移いたしますと、予期せざる混乱というものが起こり得る余地も多分に残した行政機構ではないか、こう思うわけでございます。その点に対する対処の仕方についてお伺いをいたしたいと思います。
  155. 渡辺重幸

    説明員(渡辺重幸君) 地震の発生しました後の情報につきましては、現在のところ気象業務法によりまして、地象——地象と申しますのは、地震及び火山現象あるいは気象に密接に関連する地面及び地中の諸現象、こういうことになっておりますが、この地象の現象につきまして観測成果の収集、発表これを気象庁が実施いたすことになっておりますので、現在地震が発生しますとすぐにNHKとダイレクトにつながっておりまして、どこどこの地域では震度どれくらいというのが流れるようになっております。また、津波の予報につきましても気象業務法に規定されておりまして、津波の危険があるない、そういう判断をした上で予報が出されます。ただし、地震につきましては情報は流すようになっておりますが予報はしないと法律ではなっておりますので、いまのところ地震の予報は気象庁では出しておりません。したがいまして、地震発生後から気象庁の方で情報は集まった範囲の正確な情報をなるべく早い時期に流すような体制がとられているところでございます。この点、きょう気象庁が見えておりませんので十分な御説明がいたしかねますが。それで地震が起こってその後それがさらに拡大していくのか、あるいは小さくなって終息するのかというようなことになりますと判断が入ってまいりますので、その点になりますと、非常にいま迅速に対応するという体制になっていないことは事実でございます。
  156. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はだから冒頭あえて社会学的な立場での対応策ということを申し上げたわけでございます。確かに現行法規でこの地震は震度何であった、再発の危険があるとかないとか、そういう学術的な報道はされる体制はあるのでございますけれども関東大震災の場合は、ただそれだけではなくていわゆるそのことによってもたらされた多くの流言、デマ、そのことによって起こった社会混乱というものがあったという事実を見落としてはならぬと、こう思うわけです。  私は、これから、時間の関係もありますのでさらにまた機会を見て質問をいたしたいと思いますけれども、私はいろいろ調べれば調べるほど現在の地震対策というものは大きなまだ解決しなければならない問題点を残している。そういう問題について、あるものはこれは金が要る問題もあります。ある問題は社会的な対応策という面で必要な問題もございます。ある問題は国際的な連帯というものの中から補強しなければならない問題もあります。また地震国日本がトルコその他で、開発途上国で起こっているその地震というものを考えて、われわれが積極的なそういう技術なり知識というものを開発途上国に伝えていくということもまた国際的な任務ではないかと、こう思うわけです。まだまだ率直に言って穴が余りにも多いというのが現在の対策の現状ではないかということを強く指摘いたしておきたいと思うわけでございます。私も日本ではいま大地震や、「タワーリングインフェルノ」、「ジョーズ」といったような、いわゆる災害パニック映画が上映されまして、その観客動員は非常に高いと聞いております。このことは、国民がそれだけ災害というものに対して不安を持ち、強い関心を示していることの証左ではないか、こう思うわけであります。それらに対して行政というものが十分こたえ得る体制にあるのかどうか。足もとを見ますとまさに寒心にたえないというのが実態ではないかと、こう思います。  一時間の予定が三十分に短縮をされましたので、さらに多くの点を質問する予定でございましたけれども、本日の段階はそうした問題の所在を指摘をいたしまして、行政当局が各省庁にまたがっているこれらの問題を国土庁が中心になって速やかに総合した施策というものが確立されるように強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会