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神沢浄君 私が調べてみました点といまの御
説明と、大体まあ符合をしているわけなんですが、私ももちろん、
新聞報道などでもって知り得たものを
もとにしまして、直接捜査に当たっておる
警察等からの情報な
ども求めました。したがって、ある程度のものは
把握をいたしておるわけでありまして、その上に立って申し上げているわけなんですが、冒頭触れましたように、
事件はいま御
説明があったようなことに相違ないと思います。しかし、たとえば
環境庁の方からまいりますと、
環境行政の中でもって、この辺が私は一番お互いに考えなきゃならない大切なところだと、こう思うのですが、それこそ、何といいますか、この種の
不祥事件がきわめて
発生しやすいような危険な
要因というものが
存在しておることが事実だというふうに考えられます。たとえば、
公害行政というようなものが、新しい
日本の、特に重要な
行政課題としていま出てきておる。それにつれて、いわばこういう言い方が適当かどうか存じませんけれ
ども、それにかかわるところの、いわゆる
公害産業というのが、いままあ非常に大きくなってきているわけであります。これは
新聞報道等に基づいてのことでありまして、大変いまのところ
一般の
経済面は不況になって、どんな
仕事も伸び悩んでいるわけなんですが、この中にあって、この
公害産業といいますか、この
部面の
仕事というのは相当の、これは伸びを示しておるということのようでありますが、しかし、その中へ入ってみますと、まあ
公害という限られた
分野ですから、したがって、その
業者の間の
競争というのは非常に激しいものがありまして、そういう激しい
競争というのは、これは
業者は
利潤追求の
立場で行いますから、もちろんときに手段、方法を選ばぬようなことに展開をしていくおそれは多分にあるわけなんですよ。それと同時に、中にはまだまだ、この新しい市場を
業者の側でもって開拓するために、この
研究員というか、
技術者というか、
公害の
行政部門の
関係のそういう
立場の
人たちまで巻き込んで、たとえば何か
一つの新しい規制が行われるとすれば、それにとって必要な
測定のための機械もつくって売り込むこともできる、こういうようなことなんです。だから
分析をしてみますと、まず、本庁の、その
環境庁あたりで
業者と
研究員の癒着が行われて、何か
一つの新たな方針なり計画というようなものがきまる、そうするとそれに基づいて
自治体の
環境行政というのは左右される、そうするとそこへ入り込んで
——今度の
事件というやつは、やっぱりそういう
一つのパターンになっていると思うのですよ。これはもう大変恐ろしいことだと考えられるわけです。だから、ただ単に、ほかの
行政の
分野におけるような
監視、
監督という程度のものでは、これは防ぎ切れぬのではないかというようなことをひとつこれは考えざるを得ないところだと思うわけなんですが、大体、これも
新聞報道を
もとにして私もそれぞれの
関係などに照会をしてみたんですけれ
ども、
環境庁では御存じかどうかしりませんが、いまもう
業者仲間の中では
一つの新しい
言葉が生まれてきておる。
えさまきとか
塩まきとかいうことを言うんだそうであります。これはどういうことかというと、
研究者とか、あるいは
技術者とかいう
立場の
人たちは、これは、われわれなどとは違いまして、やっぱり
技術面、あるいは
研究面というものに非常に大きな興味を持ち、そういうことを
自分の生き方の中でもって人生の本意みたいに考えておられる方が多いというわけでありますから、何か、しょせんは
研究の
部面の国の金が足らないというようなことも
一つのこれは
要因になっているわけですが、やっぱり
業者の方からちょっと誘いがかかって、こういうことの
研究のために金を出してもいいからやってみてくれないかというようなことになると、乗るんですね、これは。容易に乗りやすい
条件というものが、
事情というものがあるようですね。それを
えさまきとか
塩まきとかいうような
言葉で言っているらしいですが、まずいわばまきえのようなことをしまして、そうすると
研究者が乗ってくる。これは、
最初は善意なものであって、決して
研究員の
人たちであっても犯意などがあってやっているわけじゃないだろうと思います。しかし、それへ乗り込んできますと、そこにはやっぱりひとつの
関係が生まれてくる。やがてはそういうものが発展をしてまいりますと、抜き差しならないようないわゆる
業者側に抱え込まれてしまう
研究員の
立場というものができてくるわけです。今度の
事件の中身を見ますとみんなそういうものが
一つの
事情になっているようであります。そういう
状況を放置していたんでは、これは、私は将来末恐ろしいことになってしまうと思うんですよ。これはもう
環境庁としても、このような
状況については何かひとつ今後防止するための
対策というものをこれは考えてもらわなければならないことだと思うんです。
それからもう
一つは、いわばこれも国の金が足らないからというふうなところに原因もあるわけでしょうけれ
ども、
下請け——国自体が、
環境庁自体ができませんから、それぞれ、
研究所とか、その種のところへ
委託研究をするわけですね。
分析の
委託などをするわけです。そういうようなことは、これはいやおうなしに、やっぱりその
業者といいますか、
仕事をやっておるところと、それから
環境庁におけるところの
研究者との間にもうかなり密着した
関係というものがこれは生じやすいわけであります。そういうような点があると思います。
それからもう
一つ、
環境庁の今度の
事件の中では、何かやっぱり
人事管理上の問題というものが
一つはあるんじゃないかという感じがいたします。
一般の
事務職と違って、
技術部面ですから、なかなか新陳代謝もむずかしいだろうとは思いますけれ
ども、しかも、
技術職というような
仕事の
内容というものは
一般の
事務職なんかからはわかりませんから、なかなか口を差しはさむこともむずかしい。というようなことになりますと、一人の
技術者が相当長期にわたって同じ
ポストにおる。はたからは、特別な
専門のことだけにわからないし、口もはさめない。というようなことになりますと、これはいやおうなしに、何といいますか、
実力者的存在を自然につくり上げてしまう。
監視も
監督もできないような
存在というものをつくり上げてしまう。こういうようなことが私は
調査をしながらわかってきたわけなんですが、こんな
状態がこのままさらに続いていくというようなことになりますと、これはとても、この種の
事件を今後防止していこうといったって、私は無理じゃないかと思うんですよ。そうすると、
国民の側からするとどういうことになるかというと、
自分の大切な命、健康の問題をゆだねておる
環境行政というものがとんでもないところでもってどうも信頼できないような姿にむしばまれていってしまうなんというようなことではこれは大変なことでございまして、そういうような点について、今度の
事件を契機として
環境庁としてはかなりしさいに検討されているのかどうなのか。同時に、今後の
対策をどういうようにしていこうというようなことに真剣に取り組まれておられるのかどうなのか。その辺を私はしっかりとお聞きをしておきたいと、こう思うわけなんです。それぞれ、
局長さん
たちからで結構ですけれ
ども、後からひとつ大臣からも、これは、ただ単に、そういう
行政技術面だけの問題ではなくて、私は、
国民に本当に安心してもらうためにも、その辺をしっかりとこれはひとつお聞きをしなきゃならぬと、こう思うわけなんです。