○河田賢治君 このようなトップの地位を占めておる近鉄が、保安
対策、
事故防止対策についてもやはりその位置にふさわしい
対策、またそのような営業に基づくいろいろな
施設がなされていなきゃならぬと
考えるわけです。
〔
委員長退席、理事
目黒今
朝次郎君着席〕
ことしの四月十七日ですか、近鉄の京都線、京都府相楽郡精華町の新祝園五号踏切で脱輪して立往生していた乗用車に急行電車が衝突、六十七名の乗客が重軽傷を負うという大きな
事故が起こりました。転覆した車両が並行して走っている
国鉄の片町線線路に横転して、あわやダブル
事故の危険性があったわけですが、これがありますと非常なまた大きな大惨事になったことと私たちは思うわけです。
この種の
事故は、踏切
事故としては、これまで何回となく繰り返されてきたものですが、近鉄当局の保安
対策、
事故防止対策に重大な欠陥があることを示しているわけですが、これらのことは、踏切の装備率が他の会社に比較しましても非常に欠陥がある。たとえば、近鉄は装備率が六九・三%に対して、阪急は九〇%ですね。京阪が九〇%ですから、京阪神の中でも近鉄は非常におくれているわけです。それから、いわゆる四種の踏切の割合を見ましても、近鉄は約三〇%が四種になっているわけです。西武では一一%、阪急は七%、阪神は八%。これらを見ましても、踏切の四種というものが非常にまだ残されておる。こういうことがあります。
ですから、こういう点から見ましても、特に近鉄でも、大阪から出る方は比較的いろんなところでは注意もしておるようですし、設備もまた多少は改善されておるようですが、京都線になりますと、これはもうだんだんと観光客なんかで多少乗客もふえ、沿線も最近はずんずんふえておりますけれども、そういういわゆる支線のような
考えを持っていますから、この方の
対策が非常に私たちはおくれておると思うわけです。
つい先日、共産党の
調査団ができまして、それで近鉄のいろんな個所を調べました。これを見ますと、こういう結果が出ているんですね。たとえば踏切の
関係では、六十八ヵ所のうち幅二・三メートル以下の狭いところが四十ヵ所、警報機なしが二十三ヵ所、古いまくら木の使用が四十一ヵ所、危除個所四十三ヵ所。田辺町の興戸と三山木というごく狭い、百五十メートルですが、ここを調べましたら、腐ったまくら木が二百五十二本のうち四十三本、手で抜ける犬くぎが六本に一本の割合である。これがその写真なんです。ちょっと見といてください。まるっきりこのまくら木なんかへ幾ら打ちましても何にも効いてないんですよ、それじゃね。こういう
状態が現に近鉄の京都線ではあるわけですね。ですから、保安要員にしましても、奈良電鉄当時は、三十八年以前は、八ヵ所に作業所があって、それで五十名、六十名の保線の要員があったわけです。ところが、四十五年に近鉄は作業所を五ヵ所にして切り詰めた。現在一ヵ所、八名だけなんですね、まあ外注作業員が十五名ぐらいおりますけれども。このようにして保線の要員というものは非常に減ってきている。ですから、おたくの方から出されましたこの保線工事費を見ましても、余り伸びてないんですね。ここのところ、ほとんど同じなんです、物価も上がったりしていますが。ですから、ほかの線から比べますと、ほかの会社から比べますと、こういうところは非常になおざりにされているということが言えるわけです。彼らの方では、会社では、機械化してだんだん、マルチプルタイタンパーですか、で仕事をやるから間に合っているというようなことを言っておりますけれども、とにかくこういう
事情があるわけなんですね。全くこれがレールの真ん中辺だったら、少々抜けてても大したことはないと思いますけれども、これが接続する近くでこんなことになって、ちょっと振動でレールが横へ曲がったら大
事故になってしまうのですね。こういうふうなことが現に近鉄で行われておる。
共産党の
調査団も、こういう問題に対して会社当局に会ってはいますけれども、少なくともあなたの方も、民鉄をいろいろな問題について
指導をされておるわけですから、やはりこの実情をもう少し
——書面だけじゃないかと思うのですが、これは大変なことになると思うのですね。こういう点があるわけなんです。
ですから、この民鉄を行政
指導される方は、やはりそこの
事情というものを本当に、毎月毎月やらぬでもいいわけですけれども、少なくとも年に何回かは調べてみる。特にこの人口が稠密になり、あるいは踏切が非常に
——周囲に家が建って大きくなるとか、それから家が建ちますと、従来は野原を走っているのが左右を見ればわかったわけですけれども、このごろは線路わきまで家が建ちますね。そうすると線路に乗りかからなければ上から上り下りの電車も見えない、そういう危険があるわけなんです。ですから、そういう点の実情なんかを通じて、そうしてその会社の
計画もあるでしょうけれども、しかし
計画のないところもあります。だから、こういう問題について
事故を少しでも防ぎ、また健全な
安全対策を講ずる上からも、実際特別の行政
指導、これを私はおたくの方で早くやっていただくことが、必要じゃないかと思うわけです。沿線の住民からも、かなり要求を出しておりますけれども、会社というものはなかなかそうはい、はいと言って聞かぬわけですね。こういう点で、ひとつあなたの方のまず
一般的なお答えを願いたいと思うのです。