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1975-12-11 第76回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員の異動  十二月九日     辞任         補欠選任      坂野 重信君     鹿島 俊雄君  十二月十日     辞任         補欠選任      鹿島 俊雄君     坂野 重信君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 波男君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 増田  盛君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 小野  明君                 小谷  守君                 松本 英一君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁自然保護        局保護管理課長  土屋徳之助君        国土庁長官官房        審議官      海原 公輝君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        大蔵省主税局税        制第二課長    島崎 晴夫君        農林省農蚕園芸        局果樹花き課長  北野 茂夫君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        運輸省港湾局技        術参事官     鮫島 泰佑君        自治省財政局交        付税課長     豊住 章三君        自治省税務局固        定資産税課長   川俣 芳郎君    参考人        日本道路公団理        事        三野  定君        首都高速道路公        団理事長     鈴木 俊一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十年度における道路整備費財源特例  等に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 中村波男

    委員長中村波男君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案の審査のため、本日、日本道路公団及び首都高速道路公団の役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 中村波男

    委員長中村波男君) 昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 沢田政治

    沢田政治君 まず最初にお聞きしたいことは直轄事業ですね。たとえばバイパスとか直轄事業建設省が行うことがあるわけですが、直轄事業といっても国が全部持つわけじゃないんですね。四分の一は地方負担だと、こういうことに相なっておるわけであります。ところが、最近地方財政が非常に窮迫しておる関係上、直轄事業の四分の一地方負担、これももう納められないというまことに窮屈な地方財政になっておると思うんです、具体的な数字はあえて挙げませんが。したがって、この直轄事業地方負担分を納められないという都道府県ですね、しかも額、将来の見通し、これ一体どうなるのか、この点をお聞きしたいと思うんです。
  6. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 本年度直轄負担金につきまして、現在の納入状況を申し上げますと、第一回分六百六十九億、告知をいたしております。これは九月十日までの納入です。これの納入状況は、十二月八日現在、日銀から通知があったものにつきまして八七・八%、約八割でございます。全額納入できなかった未納付の県が大体五県ばかりございます。が、この県の二県は十二月、三県は大体一月に納付するという予定にございます。第二回分につきましては、まだ納付はございません。これは十二月納付のものでございますが、これは納付はございません。地方負担金につきましては、いろんな都道府県財政状況から、この納入状況につきましてはいろいろむずかしい状況があるとわれわれも聞いております。しかし、現在のところまずまず納入は順調に一応いっていると思います。第二回、第三回は今後の見通しでございますけれども、今回の補正予算におきましてもこの地方財政のための財源措置その他いろいろすでに講ぜられました。したがいまして、逐次納入が可能になってくると私どもも考えておるわけでございます。これは各県によって相当いろいろな事情が違うと思いますけれども、十分各県とも連絡をとりながら、納入していただくように私ども連絡をとってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  7. 沢田政治

    沢田政治君 いま現在これは大概納入したようですが、一時はこれはどうなるのかと、歳入欠陥になるんじゃないか、ふところ、財源の、憂慮されたわけですが、最近は納付をし始めておる。大体見通しがついておると、こういうことですが、問題は今後なんですよ。私はやはり地方財政窮迫というのは今後にかかってくると思うんですね。でありますから、恐らくいま現在は残っているのは二県だけだと言うんですが、これは毎年毎年直轄事業をやるわけですから、直轄事業というのは先行して国が立てかえてやりますから、後で四分の一を支払わせるようになっているわけですから、いま現在が納付状況が非常にスムーズにいっているとしても、将来やはり問題を残していると思いますよ。したがって、将来やはり再び地方公共団体地方負担金納入できぬと、こういうようになった場合、どういうように対応するのか。これはいろいろ言われていますね。新聞なんかにも報じられておりますが、これはもう建設省としてはどういう対応をしますか。こういう状況が再び現出された場合どういう対応をするのか、これはきわめて重要なことだと思うのですね、いかがですか。
  8. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 今後、地方財政措置が相当とられておりますから、そういうことはないと私ども考えております。その点につきましては自治省とも十分連絡をとってまいりたいと思いますが、仮に仮定としてそういうことになりましたときには、先生おっしゃったように直轄事業はまず全額国費で立てかえてこれをやっているわけです。後で納入していただく。もちろん事前に連絡はいたしておりますけれども、そういう場合には直轄事業そのものにつきましてもいろいろ検討するということも考えられるわけでございますが、そういうような影響のないように私ども十分ひとつ財政措置なり、また県とも十分連絡をとりながらやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 官房長からいまお答えを申し上げたので大体尽きておると思うのですが、この負担金の問題は全国知事会からも要請があっております。延納または分割といったようなことも言っておりますが、ただ九月期の場合は、いま官房長から御説明申し上げましたように八七%余り納入になっておりまして、これは期限ぎりぎりよく守ってまじめに納入してもらった県も大部分あるわけであります。そうすると、そういう非常に無理をしてでも支払いをしてもらった県と、まあこれは財政上やむを得ないかもしれませんけれども、ずるずる延納しておるものと考えてみますと、これは公平の面からいっても私どもはぜひ納めてもらいたいと思っておりますが、一応九月期のものは大体いけると思っております。十二月、三月の分も、これも官房長からお話し申し上げましたように、それぞれ補正財政措置ができておりますから、本年度は一応負担金は納まるのではないかという見通しを持っております。  問題は将来の問題。たとえば来年度以降の問題になってきますが、これをどうするかという問題になりますと、これは単なる直轄負担金のみではありません。補助事業の問題にいたしましても、裏負担の問題にいたしましても、建設省以外のいろいろな裏負担の問題にいたしましても、地方財政確立という一つの大きな問題があるわけでありまして、この問題については、単に公共事業だけでなくして、根本的にこれは考えなければならぬ大きな今後の課題であろうかと私は思っておりますから、そういう問題の中にあって、われわれ公共関係負担をどうするかという問題は、これは根本的に検討せなければいかぬ時期が来るかもしれません。できることなれば、地方財政確立等を図ってそういう事態が行われないようにするのがこれは私どもの役目だと思っておりますけれども、そういう意味で、今後そういう場合になってはどうするかという問題は、単に直轄負担金のみでなしに、これは大きな問題として検討せなければいかぬ時期が来るのではないかと、かように感じておるわけであります。
  10. 沢田政治

    沢田政治君 大臣のおっしゃられるように、根本的には地方財政をどうするかということにかかってくるのですよ。これはわかりますよ。地方分担金財源の裏づけはあるわけですよね、一応は。たとえば地方道路譲与税とか、軽油引取税とか、石油ガス譲与税自動車取得税自動車重量譲与税、こういうのがあるわけだ。あるとしても、やはり地方自治体財源が非常に窮屈なものだから、これを即負担金に充てればいいわけだけれども、金に色はついておらぬわけだから。これは流用できないんだけれども、金に色がついていないものだから——結局はこれはもう納められない。理屈上納められなくならないはずなんだけれども、事実はそうなるわけですね。この点について、自治省からせっかく来ていただいておるんで、自治省はどう考えていますか。将来起こり得ないとはぼくは断言できないと思いますよ。これは起こり得る可能性が多分にあると思うんですよ。いかがですか。
  11. 豊住章三

    説明員豊住章三君) 現在の直轄事業負担金につきましては、一応全部地方財政計画に計上いたしまして、その中で起債がありますものは充当いたし、その残額の一般財源につきましては地方交付税措置しているわけでございまして、ほとんど一〇〇%近い措置をしております。ただ、補正につきましては、道路には通常は起債がございませんが、今回の補正分につきましては、道路も含めまして全額地方債ということでございますが、この点につきましては、将来元利償還をするわけでございますが、その時点で元利償還金に対して——現在でも起債につきましては三割の事業費補正交付税で見ております。したがいまして、一応地方財政財源措置としては現在も十分やっているわけでございますし、今後とも少なくとも財源措置地方団体財源不足にならないようにし、少なくともこれは公共事業も含めまして地方財政計画に計上し、さらに地方交付税で見ていくと、そういうつもりでおります。
  12. 沢田政治

    沢田政治君 ところが、一時相当の県が、納付することを渋ったわけじゃないけれども、これは納め得ないと、こういう事情が明らかになった場合、当時いろいろ新聞に出ておりますが、支払いを渋る自治体続出建設省異例事情聴取、納めねば補助事業も中止など、こうたくさん出ておりますね、当時。ぼくはこの対応の仕方がいかぬと思うのですよね。つまり、納め得る富裕県工事をどんどんやっていくんだけれども、納めなければ報復行為にもうこれは直轄事業はやめるし、補助事業さえも手かげんを加えるということは、まさに地方自治体財源をも窮屈にさせておきながらそれに報復する——まあ報復という言葉は悪いわけですが、こういったような弱肉強食の行政というのはあり得ないと思うのですよね。将来これは起こり得ないと断言できないから、こういう新聞に出ているような建設省対応の仕方というものは、これはやっぱり建設省の正規の機関でこういう方向を打ち出したのかどうか、まあ新聞が故意に書いているのかどうか、これは考えようによっては重大だからぼくはこれを聞いておきたいと思うのですよ。いかがですか。
  13. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先ほど申し上げましたように、地方財政措置を十分講じてもらうことが根本でございますけれども、仮にそういう状態になったとき、私どもそういう補助金交付ストップするというようなことは、これは行政姿勢からしてもあり得ないことでございます。  ただ、先生、申し上げますと、道路特会なら道路特会資金の中で直轄負担金は、さっき先生からも御説明があったように、まず国で立てかえてやっているかっこうだもんですから、ある程度事業を契約した後はやっぱり負担金が入らないと支払いもできないということになるわけです。したがって、その分は補助金ストップというようなこと、これはいま申し上げましたように、そういう考えは行政上の姿勢としてはあり得ないと思いますけれども、現在補助事業につきましては概算払い制度を全面的にとっております。そういうものが、概算払いがおくれたり、また一部精算払いに切りかえするというような措置は、資金面でやむを得ずそういうことになるということも非常に窮迫した場合には考えられるということでございます。
  14. 沢田政治

    沢田政治君 補助事業の場合は、国の補助金地方財源とで財源がそろって工事にかかるわけだから、これは歳入欠陥とかそういうものは——工事自体できませんからね、地方で金出さなければね。これは先払いと違って、これは補助事業については同じようなケースが出てこないと思うのですよね。ところが、国の直轄事業の場合は、先払いして国が払ってしまうもんだから、後で負担金を取るもんだからこれは出てくる。出てきてもし未納になった場合でも——これは納め得るようにいろいろな政策は講じるだろうけれども自治省でもね。その場合、どうしてもこれは納められないという場合は、報復という言葉はいいかどうかわからぬけれどもみせしめのために補助事業にも手心を加えると、こういうことがあってはいかぬと思うのですよね。それは別の次元で解決すべきであって、事業を中止するとか、そういう県には、そういう市町村には事業をやってやらぬというような、こういうことはすべきじゃないと思うのですよね。この点はいいんですか、確認しておいて。
  15. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) ただいまも申し上げましたように、報復的に補助金交付ストップするというようなことは行政姿勢としてあり得ない。ただ、さっき申し上げたような資金関係概算払いがおくれるとか、また精算払いになるというようなことは考えられるということだけ申し上げられると思います。
  16. 沢田政治

    沢田政治君 といっても、私は決して滞納、延納を奨励する意味で言っているわけじゃないですよ。これはやっぱり地方自治体も苦しいだろう。そういう場合が一時的にあった場合でも、やっぱり工事をやらぬとか、やってやらぬとか、そういう報復的なみせしめの何というか行政態度はとるべきじゃない、こういうように申し上げておるわけですよ。  そこで、問題はやはり国の直轄事業で、国が金を払って先にやるわけですからこういう問題が起こるんで、これをやっぱり地方財源を豊かにする、地方財政という面で問題を対処して解決するという大臣考え方、これは当然正しいと思うのですよね。まあしかし、これは口では言ってもなかなかいまの何といいますか、国自体財源状況からいって一〇〇%これは解決するとは言えないと思うのですね。そこで、これはある場合は、何というか、道路会計歳入欠陥になるかもわからぬわけだな、これは。こういうことだから、これを解消する方法としては、地方財源という根本の問題を解決することも一つ方法でしょう。と同時に、四分の一の分担金制度をなくして、少なくとも国が直轄事業というレッテルを張っている以上は国が全額この工事を行うという方法も、これは単純な方法ですが、あると思うんですが、いろいろな功罪はあると思うんですが、そういう考え方ありませんか。もしそれをやるとするならばどういう功罪が出てくるのか。方法論としてあると思うんですよね。直轄事業を国が全部やるという方法もあると思うんです。これは大臣、どうですか。
  17. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) さっきの補助事業ストップ問題等も出ておりましたですけれども、私どもたてまえとしては歳入欠陥を生ずるということを言っておるのでありますが、やはりこんなことを、私どもはすぐストップするといったようなことを行政上考えるべきじゃないと思っております。ただ、大部分の県が納めておる、それが必ずしも富裕県かというと、そうでもない場合もあります。非常にまじめにぴしっと納めてくれる、無理をして納入しておる県もあるし、中にはいささか現在のような状態の中で少し先回りをして、まあ国の方は後回しといったような気分的なものも見受けられる面もあるわけですよ。正直者がばかをみるようなことはしたくないから、やるとすれば行政の筋を通したい、こういう考え方を持っておるわけです。  それで、負担金はもう廃止してはどうかという御意見もいろいろあることも承知をいたしております。ただ、じゃ直轄事業とは一体どういうものかという問題。なるほど国家的な見地から国がやるということで、そういうたてまえは持っておりますけれども、これは地元にも非常に受益がある。逆に言えば、地元の方からできる限り直轄にしてくださいという陳情が非常に多いわけであります。それは直轄にすることによって負担金も少なく済むわけでありますから、そういう面から考えますと、全国の各県を見ますと、直轄の多い県、少ない県といったような面もあるわけでありまして、そういう意味から、一律にじゃ直轄負担を廃止するということになりますと、これまた行政上非常に不公平が出てくるわけなんであります。そんな面をいろいろ考えてみますと、いま直ちにそれじゃ負担金を廃止するといったようなところまでとてもわれわれの現段階では踏み切れる段階ではないと思っておりますが、根本的にはやはり地方財政確立という問題の大きな問題と見合いながら、あるいは直轄負担金をどうするか、補助率をどうするかという問題は、これは再検討しなきゃいかぬ時期は必ず来ると思うんでありますが、いまのところやはり公平の原則から考えてみましても、直ちに負担金を廃止するというところまでなかなか踏み切れる段階ではないという実態でありますことを御理解いただきたいと思います。
  18. 沢田政治

    沢田政治君 今度の補正予算建設省関係予算配分は、これはどうなっていますか。特に道路との関係も出てくるわけですからね、どういう配分になっていますか。上田委員も若干聞いたと思いますが、余り正確に聞いていなかったのでもう一回、どういう配分状況になっているか。
  19. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 補正予算の中身を申し上げればよいと思いますが、今度の補正予算建設省関係国費で申し上げますと、二千八百六十三億でございます。その中で道路整備国費が八百十億、それから治水とかダム、海岸、そういう治山治水が七百四十一億、それから公園、下水道という都市計画面で二百八十九億、住宅関係で百七十一億、その他災害で七百八十二億、それからその他研究学園都市関係で約七十億という内訳でございます。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 私聞くのは、第七次の道路五カ年計画はもう終わりを告げようとしているわけですね、半ばを過ぎておるわけですね。十九兆五千億円ですか、七次まで、今日までこの事業計画を決めてやってきたわけですが、一体この計画というのは何だかということですよね。計画なんて要らぬのじゃないかとさえ思うわけだね。それで達成できなければ次のまた計画でそれを調整して、国の財政そのものも大きな歳入欠陥をもたらしたわけですが、こういうような計画というものはもう守られない計画ですね。実現性のないような計画というのは、計画自体の何というか無意味さを証明しておると思うのですね。したがって、第七次の五カ年計画達成率で、金額的な達成率で四〇幾らですか、まあ五〇%までいきませんね。今度はやがて八次を計画するわけですが、やっぱりこういう状況になるのですか、これは。おかしいと思うのですよね。
  21. 井上孝

    政府委員井上孝君) 第七次の五カ年計画は、御承知のように昭和四十八年に策定されまして五十二年までの五カ年計画、おっしゃるように十九兆五千億で策定いたしました。この計画は、その直後の四十九年、五十年、総需要抑制の特殊な条件下におきまして道路予算が厳しく圧縮を受けた、こういう事情で、三年目の今年度終わりましても、補正予算を加えましても四五%弱というような達成でございまして、非常にこの五カ年計画は御指摘のようにおくれておるのでございます。しかし、過去六回の五カ年計画はいずれも計画達成をしておる状況でございまして、この第七次の五カ年計画だけがオイルショック以降の経済変動によって見通しが狂ったという結果になっております。したがいまして、現在私どもとしてはこの第七次五カ年計画を来年度改定する予定はございませんけれども、御承知のような国の経済計画見直し、それから国土庁でやっておられます第三次全国総合開発計画見直しというようなことの結果を受けまして、この道路計画見直し作業をやりたいというふうに考えております。しかし、計画期間がまだ二カ年残っております。いま申しましたような国の全体計画と整合を十分図って、第七次で経験しましたような見通しの狂いが生じないように慎重に検討する必要がありますので、来年度改定を見送りまして、五十二年度以降に改定をしたいというふうに考えております。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 質問を整理しておりませんので飛び飛びになるわけで恐縮ですが、特に先ほどの国の直轄事業地方財政窮迫から一時は未納が出た、こういう問題を先ほど議論したわけですが、特に地方自治体財政窮迫はいろいろな要因があるわけですが、もう一つ要因としては土地先行取得ですね。かなり建設省なり国指導によって土地先行取得させたわけですね。先行取得したものを国がすぐ買ってくれればいいのだけれども、これがなかなか買わぬと。しかもこの総需要抑制によって事業のペースが非常におくれておる。しかも、ある金で買ったわけじゃないから、ほとんど金融機関からの借金でこれは先行取得しているわけですから、これは大変地方財政の重い足かせになっておることは事実ですわね。具体的な数字を持っていますけれども、長ったらしくなるから私言いませんが、これどうなるんですか。どれだけの量を、金額にして地方公共団体がどれだけの量の——まあ河川もあるだろうし、道路もあるだろうし、いろいろな公園もあるでしょう、どれだけの金額面で持って苦しんでおるのか、そうして国がどういう計画でこれをもう何というか再取得してやるのかですね。これはかなりな、いまのペースでいくと、はるかかなたの遠いもう何というか将来でなければ解消しないわけだよね。これ、これでいいのかどうか。これを残しておっただけでも相当地方財政の重い足かせになるわけですからね。どうですか、これは。
  23. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のように、現在先行取得の保有量は、直轄、補助合わせまして、特に四十八、九年と保有量が増大してまいりました。これがその後の四十八、九年の事業量の圧縮等と、あるいは伸び悩みということと相まって、地方財源の圧迫になっておることは承知しております。その量は大体、合計いたしまして、金額で七千百四十三億円、これは現在もう一度資料を徴収し、これを補正しております。これは四十九年度末における保有量の合計でございます。直轄が二千五百九十億、補助四千五百五十三億、合計して七千百四十三億という数字になっておりますが、これは大体平年度ペースで二千億程度でありましたものが、四十八、九年、両年に激増したような事情もございます。これは当時の地価騰貴等の事情を踏まえまして、事業の円滑化を図りますためには、事業の円滑を図るためのまず何よりも用地を先に取得しておくということが当時の情勢としては妥当と考えられまして、この先行取得につきまして多くつぎ込んだという事情が現実にあるわけでございます。  さて、そのような事情になりまして、今後の対策でございますけれども、この先行取得しておる土地は、できるだけ再取得と申しますか、これを直轄につきましては国が、あるいは補助事業につきましては、その事業化を早めるというような措置によりまして、できるだけ再取得の時期を早めるということに努めたいと思っておりますし、当面新規の取得は極力必要なものに限りまして、極力圧縮してまいりたいというふうに考えておりまして、まあ現在各局を通じまして所管の事業ごとにその再取得計画を調整中でございます。その再取得計画は、おおむねまあ三年を目途といたしまして、これを再取得できるように努力してまいりました。この負担をできるだけ早く軽減いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 口ではそう言っても、できますか。いままでの建設省事業ペースでは、この道路ですね、道路でも十三・六年、直轄河川ダム、河川路ダム、砂防事業、これでも十二・七年、補助事業河川など、これでも四年もかかるわけですね、いまのペースでいくと。それを三年で再取得、本当にやりますか。これはあんた、願望を言っているのじゃ困りますよ、これは。やるならやると、ここで約束してもらわなくちゃ。相当の足かせになっているんだから、これは。利子がかかってんだから、この利子の補給を——もし三年で買わぬ場合は利子の補給をどうするかという問題も、これは当然新しい問題として問題が出てくると思うんですね。あんた、三年で、もう事業を早めて、三年で何というか取得するなんて言ってんですけれども、もう十三年分ぐらいの事業量の土地を買っちゃったんだから。しかもこれは国の指導によって買ったんだから、これをこのまま何というか三年ぐらいで何とかしたいというような気まぐれな答弁じゃ——まあ気まぐれな答弁だとは思わぬけれども、そういうことじゃもう大変ですよ、これは。どうするんですか、これは。これは大臣の問題だな。
  25. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のように、現在の保有量は昭和五十年当初におきます取得計画に照らしてみますと、いま御指摘のように事業によって違いますけれども、十年かかるというような計画のものに相なります。そこで、いま申し上げましたように再取得計画を、これは事業によって違いますし、あるいは地域によって、府県によって多く抱えておるところ、そうでないところによって違いますけれども、いまは総計として申し上げたその七千百数十億という数字をめどにトータルで申し上げますと、おおむね三年ぐらいをめどとして努力したいということを申し上げておるのでございます。  そこで、大体その取得計画を現在検討いたしておりますけれども、まあ試算によれば、三年間そのように努力することによりまして、河川については額は少のうございますけれども道路あるいは補助事業等につきましては、大体三カ年たちますれば一応八二%程度の消化を見込めるというような目途でいま作業を計算している、このような状況でございます。で、先ほど申しましたように、先行取得の保有の量というのは多少持っておることが必要でございますから、現在保有しているものにつきましてその進捗を図ると、そういう計画でいきまして大体八二%程度消化いたしたいと、このような考え方で、数字の上では、事業によっては違いますけれども、そういう目標を置いていま作業しておる最中でございます。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 先行取得をさしたことが悪かったと思っていません。しかし、これは逆に裏目に出ました。タイミングが合わなかった。後追い行政ですね。なるほど地価がどんどんどんどん上昇しているときはメリットがあったわけですね、先に買っておくのだからね。ただ逆に、これは国民としてはうれしい傾向だけれども、地価が鎮静化するということはね。まあいずれにしても非常にタイミングが悪くて、これは逆な現象になって出てきているわけですね。そこで、先行取得する場合、これは早く先行取得しなくちゃ——これは地方財政の重い足かせになるから、これが解消のために政府、建設省が努力することは、これはいいんです。すべきなんですね。ところが、それを現に再取得する場合、時価でしょう。時価に利子を計算して買うということですから、逆ざや現象が出てくるわけですね。これまた地方財政にとっては大変なことだと思うのですよね。損するわけだ、買っておいて。これは国の方針として、やっぱり土地がどんどん上昇するのだから、早く買っておけと、押さえろと、保有量をふやしていけと、こういう行政指導によってやったのだから、こういう逆ざやをどういう手段で、いつこれを解決するのか、これも一つの問題点として問題があると思うのですね。これはどうなりますか。
  27. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のように、再取得する場合の価格は、建設省におきまして、次官通牒で再取得時の時価の範囲内でというふうに決めておりまして、取得原価に半年複利、年九分の利子を加えた額で取得する。ただし、それは時価の範囲内というふうに決めておるわけでございます。ここで問題になりますのは、長くこれを保有しておりますと、その利子がかさんできましていわゆる逆ざやになるということだと思います。現在のところ地価が値下がりによってむしろ原価よりも安くなってしまうというような状況ではないので、一番問題なのは、長期持っていることによる利子の高増による、これが取得時の時価を割ると、合計してみると。という場合が生じ得ることが考えられるということだと思います。この場合につきましては、目下のところこういう現象は生じておりません。しかし、四十八、九年ごろの高騰時に、地価が上がり切ったときに取得したものが、これが数年このまま続きますれば、その利子がかさみまして、いわゆる逆ざや現象というものが生ずるおそれがあるというふうに考えております。これにつきましては、どうするかということにつきましては、できるだけ地方財政負担に、迷惑にならないようにいたしますためにも、いま現在関係当局とも協議しておりますが、その方法、やり方等につきましてはまだ結論を得ておりませんけれども考え方としましては、直轄とか補助とか事業によって多少のもう少し検討すべき余地は残っておりますけれども、いずれにしましても地方財政の過大な負担にならないようにすることが必要だと、こういう方向で検討いたしておる次第でございます。
  28. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 局長からいま大体御答弁申し上げたとおりでありますが、いま地方公共団体から非常に強い要望がありますのは、先行投資で非常に困っておると、早く買い上げてくれと、こういうのであります。これはそのとおりでありまして、私どもはいままで先行投資はそれなりに意義はあったと思うんですが、裏目に出たことも確かでありますが、七千百億余りの物を抱えておりますが、問題は再取得を一日も早くすることが先決問題だ。しかし、公共事業は抑制されておりますものですから思う存分取れない。その取れた公共事業の範囲内においての再取得でありますから、おのずから限界があることは申し上げるまでもありません。できれば全部再取得をすればいいんですけれども、それなら工事ストップしてしまいますし、問題の景気浮揚策にもならないわけでありますから、それをどの程度にやるかということが今後の課題でありますが、できるだけ早く、いま局長が話したように三年以内には大方のめどをつけるという見当で、今後の先行投資はできるだけ抑制していくという方針で進みたいと思っております。ただ、自治大臣ともいろいろこれは相談をいたしております問題は、せっかくこちらに協力してもらって先行投資をしてもらった、しかも利子を払って逆ざやが出てきて地方団体に大きな損をかけるといったようなことはさすべきでないということは私ども基本的にそういう考え方を持っております。だから、逆ざやができて地方公共団体に大きなしわ寄せをさせないということを原則として、今後どう対策を考えるかという問題は検討いたしております。いま直接まだそういう時点に当たっておりませんから、これは大きな問題として今後の検討の課題であると思っております。
  29. 沢田政治

    沢田政治君 この問題は、逆ざや現象が起こった場合どうするかということは、もちろん私も質問しながら建設大臣建設省の方々から即答を求めたって、これは建設省サイドだけではできないから、大蔵省もあるいは自治省もこれは真剣に考えるべきことだと思うんですよ。将来の課題だと思うんです。しかしながら、国が行政的に指導してやっぱり先行取得をせよと、また地方自治体土地さえ先行取得しておったならば事業を早くやってもらえるという一つの期待もあったわけですね。両者の呼吸が合ってこれは先行投資したわけですから、それを国の行政指導によって買い込んでその結果損したというのは、個人対個人であるならば利潤行為だからこれはあきらめなければならぬでしょう、もうかることもあるし、損することもあるしね。しかし、国の行政地方行政という関係からいったならば、やはり国が行政的に指導して買わして、損さしたということになると、やっぱり国の行政指導というものの一つの威信にかかってくると思うんですよ。そういう意味で、やはり国の行政に対する地方の不信感を抱かせないためにも、と同時に、また地方財政の足かせにならぬために、やはり大胆に構想を練って、大蔵あるいは自治省も協力して、やはりこの問題を自治体の負担にならぬような方向で解決するようにこれは希望しておきます。  次に、道路財源の問題、ガソリン税の見通しの誤りについて上田委員も質問したわけですが、来年は減税はもちろんしないなんて非常に厳しいことを言っているようですが、今度はガソリン税を値上げする、自動車関連税を値上げすると、こういうことがちらほら新聞に出ていますが、大蔵省どうですか、これはどれだけ何を上げるんですか。どういう構想を持っていますか。これはやっぱり道路財源関係があるんで聞いておきたいと思うんです。
  30. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 先生承知のように、ガソリン税につきましては四十九年度から暫定措置としまして来年の三月まで基本税率を上げております。その期限が来年三月に到来いたしますので、その後の取り扱いをどうするかということをただいま税制調査会で検討していただいております。この時節でございますので、もとの基本税率に戻すということはなかなかむずかしかろうと思いますが、延長後に増税をするのか、また仮に増税するとした場合に、どの程度の負担をお願いするのかといったことにつきましては、まだ政府部内におきましても結論が出ておりませんし、今後税制調査会において御審議いただきたいと考えております。
  31. 沢田政治

    沢田政治君 いずれにしても、これは増税するということははっきり言っているから、どういう率で上げるのかこれはまあ定かじゃないわけですが、審議会等で論議し、また政府もいつか決断しなくちゃならぬと思いますが、まあどういう率になるかということをここで聞こうたってこれは無理だと思うんですが、上がることはこれは間違いない、いまの状況からいって、見通しからいってですね。そうなると、その増税した分をどう使うのかと。たとえばガソリン税はほとんど道路財源にしておったわけですね。また、他の自動車税でも、大きく何というかもう明文化されたわけじゃありませんが、大体道路に充てておったわけですね。これは上田委員が聞いたようにですね。ところが、今度は国の財政が非常に窮迫しておるから、もう他の、これは道路とかそういう特定のものじゃなく別の方にもこれを流用したいと、こういうことですから、これは大変なことだと思うんですね。一体ガソリン税というのは何のために取るのかと、このガソリン税このものに対する、自動車関連税というものは何のために取るのかというこの税金の性質まで私はやっぱり問題が及んでくると思うんですね。でありますから、まあ大蔵省は余り的確に答えないと思うんですが、建設省側はこれに対してどういう見解持っていますか。たとえばガソリン税そもそもの出発は、ともかくガソリンをたいて内燃機関を走らせると。道路が必要だと。一種の国鉄運賃のように受益者負担なんですよね、これは性質としては。であるから、農民道路がありますね。別に農機具が道路を走るわけじゃないから、たんぼを走るんだから、受益者負担ということで道路を走らない農機具から農業用ガソリンとして取るのはおかしいと、こういう議論になって、これはまあ払い戻すと、こういうことになってこの農民道路というものができてきたわけですね。そうなると、これは農民道路もできなくなるんですよ、もう理屈っぽく言って、何というかその性質をさかのぼっていくとですね。だから、この付近どう考えているのか。他に流用していいとか悪いとかという私も見解は持っていません、目下のところは。しかし、これを他の財源に充てるということになると、自動車税そのものの性格までさかのぼって議論しなけりゃならぬ大きな問題があると思うんで、建設省どう考えていますか。
  32. 井上孝

    政府委員井上孝君) ガソリン税及び石油ガス税につきましては、これはもう先生承知のように道路整備緊急措置法、法律によりまして収入相当額を道路整備に充てるということに、まあ純粋の意味ではございませんが、目的税的に使われておるわけでございます。したがいまして、当然このガソリン税は道路に充てられるべきであるというふうに私は考えております。それから関連して、自動車関係税の中に国税として自動車重量税が昭和四十六年に設定されております。これは実はガソリン税とは違いまして道路の整備に大部分が充てられてはおりますが、法律上の規定はございません。まあそういった状況でございます。  私どもこの道路整備事業は、先ほどの先生の御質問にお答え申しましたように、ここ二、三年総需要抑制事業全体が圧縮を受けております。従来道路整備事業費は、こういった自動車関係税、ガソリン税を含めました自動車関係税とそれから一般財源と両方で構成されておったわけでございますが、いま申しましたように二カ年の圧縮によりまして、事業費のほとんど全部が特定財源といいますか、こういった自動車関係税で占められる、一般財源が非常に少なくなっているという特殊な状況に現在あるわけでございます。したがいまして、いま来年度におきましてガソリン税あるいは自動車重量税を税率を上げるということになりますと、その上げ幅にもよるわけでございまして、ここでどうこう言うわけにはまいりませんが、そういう場合には、短期的にそういった自動車関係税が道路の予算を上回るというような時期が、そういう現象があるいは考えられるわけでございます。それにいたしましても、私どもは長期的には道路整備の拡充のためにはこういった自動車関係税をさらに増強する必要があるというふうに考えておりますので、私どもとしては法律で規定されましたガソリン税はもちろんでありますが、自動車重量税につきましても、まだまだわが国の道路整備がおくれておるという段階でございますので、現段階でこういった税金を一般財源的に使うということは、現段階では適切ではないという考えを持っております。
  33. 沢田政治

    沢田政治君 次に、高速自動車道ですね。これは昭和五十八年度までに七千六百キロメートルですかを建設する一つの目標を立てて、三千百キロメートルですね、これを第七次の道路整備五カ年計画で完成される予定になっているわけですね、予定。しかし、現実には昭和五十年三月、今年の三月末の供用延長は千五百十九キロメートルですか、という状況になっているんですね。したがって、その後総需要抑制が二年もあったわけなんで、これが果たして予定どおりいくのかどうかですね。この付近の見通し道路局長どうですか。
  34. 井上孝

    政府委員井上孝君) 先ほども申し上げましたように、ただいまの第七次五カ年計画では、昭和四十八年に策定したものでございますが、昭和五十二年には現在の千五百キロばかりの高速道路を三千百キロにふやすと、完成させるという予定でやっておりましたが、三カ年にわたる高速道路建設費の圧縮といいますか、三カ年、三千五百億という建設費を三年間続けたわけでございます。当初の計画より大幅にいまおくれております。今年度は過去の蓄積によりまして三千八百キロばかりを完成させまして、年度末には千九百キロになる予定でございます。それは計画的にやっておりますが、この過去二カ年の抑制が来年、再来年に影響してまいりまして、恐らくいまの見通しでは五十二年度末には、いまの予算状況では二千二、三百キロ程度の完成に——三千百キロとお約束したものが二千二、三百キロになるであろうという見込みでおります。  ただいま答弁申し上げた中で、ことしの供用、新期供用三千八百と申し上げましたようですが、三百八十キロの誤りでございます。
  35. 沢田政治

    沢田政治君 大蔵省と自治省、結構ですよ、帰っていいです。  この道路に対する価値観といいますか、評価というものは非常に変わってきていますね。もとは道路をつくりゃ何でもいいんだと、開発につながるんだと、こういうことできたわけですが、非常に環境を害すると、沿道では非常に迷惑をするわけですね。しかもそれが生活道路であるならばみずからも享受するわけですから、利益を。ところが、縦貫高速道路ということになると、これは産業基盤ともう結びつく問題で、産業を助けるためになぜおれがこんなに環境を害されなくちゃならぬのかと。こういうことで新しいこの価値観の問い直しが道路について出てきておると思うんですね。そういうことで非常にむずかしい問題が出てくるんじゃないかと思います。これは大阪空港の例をとるばかりじゃなく、やっぱり環境優先は、生活環境をこれは優先させるということはもうすでに何というか国民の価値観として定着してきておるわけですね。そういう場合、道路というものを、この高速道路というものをもう一回見直してみる必要があるんじゃないかと思うんですね。田中さんの場合は、あっちにも高速道路だ、こっちにも高速道路だと非常に大盤振る舞いしたわけですが、果たして日本のような列島に日本海と太平洋の方に同時に二本の縦貫道路、高速道路が必要かどうかということが私は疑問に感ずるんですよね。むしろ二本の高速道路をつくるんであるならば、これは農業との関係もあるわけですが、生活環境との問題もあるわけですが、一本にして、その二本分のものを横断道路、これはもう生活道路に供用できるような、その方が国民としては横断道路を、何というか鎖骨道路を、助骨道路を数多くつくることによって国民の利便というものは一層得られるんじゃないかと、こういう疑問を持っておるわけですが、いかがですか、これは。いままで決定したものを全部やっぱり裏表均衡上二本やる、その方がいいんだというように大臣考えていますか。
  36. 井上孝

    政府委員井上孝君) 高速道路予定路線は、先生承知のように国土開発幹線自動車道建設法によりまして七千六百キロのネットワークがすでに決まっておるわけでございます。これを逐次建設審議会にかけまして、基本計画、整備計画を立てて道路公団の手で実施しておるわけでございまして、七千六百キロのうちいままで道路公団に施行命令を出しましたものが四千八百キロございます。私どもこのネットワークは縦貫五道、縦に北から南まで縦貫五道をまず通すということを重点に実施いたしておりまして、現在のところ縦貫五道が逐次完成を見ておるわけでございまして、しかし、これだけでは先生御指摘のように足りませんので、横断道をこれからは逐次整備計画を立て施行していくということを考えておるわけでございまして、昭和四十六年の施行命令までは縦貫道に重点を置いてまいりましたが、四十七、四十八年の施行命令におきまして横断道の一部に着手することができるようになったわけでございまして、私どもはこの横断道をこれから重点的に実施し、その役割りも大きいと考えておりますので、最善の努力は払ってまいりたいと考えております。
  37. 沢田政治

    沢田政治君 総需要抑制によって非常にこの予定が延びていることはこれは事実です。そのよしあしはここで議論しませんが、これで迷惑しておるのは、地方道路が貫通する、通る、地域住民が非常に困っているわけですよ。たとえば新しく市になったところなんかは都市計画をしなくちゃならぬと、一体この付近を通るんだけど、どこに道路が通るのか、その路線がいつこれは発表になるのかですね。もう全く開発とか都市計画計画さえ立たぬわけですね。そういうことで地域の方々、その自治体が非常に困っておると、そういう事実を知っていますか。これは特定の個所だけじゃない、たくさんあると思いますが、どうですか、これは。迷惑かけているわけです。
  38. 井上孝

    政府委員井上孝君) そういうところが確かに全国に相当あることを承知いたしております。私どもとしてはそういった都市計画に先行して幹線道路計画を明らかにしてお示しするように努力をしておる次第でございます。
  39. 沢田政治

    沢田政治君 道路公団来ていますか。——施行命令が出て、これは測量しますね。これは施行命令が出る前でも測量はしますけれども、予備的に。そういうことになって、農地ですね、特に水田なんかに普通道路が通るというところだけは、単純の道路だけでは、路面だけではそう細かいくいは打たぬわけだが、インターチェンジなんかになりますと相当細かいくいを打つわけですね。かつてのように日本の農業が馬か人力でやった場合はこれはさしたる支障はないんですよ。ところが、最近はほとんど整備されておるでしょう、たんぼが。そうしてもう農機具で、機械でやるでしょう。これを細かいくいを打たれた場合は、これは生産性が非常に何というか悪くなるわけですね、能率が上がらぬわけだから。そういうことについて——まだしかもこれは買収はしておらぬわけですね。これを投げるわけにはいかぬし、抜くわけにはいかぬし、これはじっとがまんの子ということで、どうなっているんですか、その付近は。至るところでそういう苦情を聞くわけですね。それは金を払っていますか、その生産性が下がる分だけね。どうなっているの、これ。   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  40. 三野定

    参考人(三野定君) 御承知のとおり、測量をいたしましてくいを打つわけでございますが、そのくいを打ちましてから、用地交渉から買収まで、この期間が最近の総需要抑制のあおりを食いまして大変長くなりまして、そのためにいろいろ御不便をかけ、さらに御迷惑をかけて非常に恐縮いたしておるわけでございます。本年度補正によりまして追加もいただきまして、この辺の問題、いままで滞っておりましたもの、まあ問題のところはあらかた解消するかというふうに考えておりますが、現実にそういう場合にはどうするかということでございますけれども、最近は非常に測量の器械等も発達してまいりましたので、一たん測量をしますと、全部のくいをそこへ置いておくという必要もないというような状態にまでなってまいりまして、その辺を私どもも積極的に取り入れまして、できるだけ差し支えのないものについては撤去するなり、あるいは地中深くくいを入れるというような方法もできてきております。そういうことでできるだけ御迷惑をかけないようにいたしたいと考えております。  なお、打ちましたくいにつきましては補償を払っております。これは私どもだけじゃございませんで、   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 建設者あるいは各種の公団、電電公社等の補償基準とも相参照いたしまして、くい打ち補償ということをやっておるわけでございます。そういうことで根本はくい打ち後早く買うということだと思います。本年度補正によりましてあらかた問題のところは解消するのではなかろうかというふうに考えております。
  41. 沢田政治

    沢田政治君 損害補償といいますか、そういうものをくいを打った場合は払っておると、こう言っておりますが、これは一年契約ですか。もう非常に事業が延びておるので、しかもまだこれは買収をしてはおらぬわけですね。何となく金は払ったかもわかりませんが、当事者にしてみれば一年ぐらいでこれは買ってもらえるじゃないか、一年ぐらいはがまんしようと、こういうことで何といいますか迷惑料かなんか受け取ったわけですが、二年たっても三年たっても一向に買収しない。それは条件が整わないから買わないかもわかりませんが、しかも農耕を続ける、しかも迷惑だと、こういうことですから、どういう契約になっていますか、ぼくは具体的に知っているのだけれども。一年契約ですか。
  42. 三野定

    参考人(三野定君) 一年契約という期限を切った契約ではございませんで、一応各公団それから建設省等と同じだと私は思いますが、大体三年ぐらいの期間を念頭に置いて積算をいたしておるというふうに聞いております。根本は、不必要なくいにつきましては、測量の必要がなくなればわきに控えぐいを打つというような補助の方法もございますし、不必要なくいについてはできるだけ撤去をいたしまして、御迷惑のかからぬように進めたいと思います。
  43. 沢田政治

    沢田政治君 できるだけ早く買収しちゃえば、くいを打とうが何やろうが、これは建設省道路公団のものだからだれも文句ないわけだが、おくれているところに問題があるので、たとえば具体的に聞きますが、東北縦貫道路の十和田インターチェンジ、これはまだ解決しないわけですね。これはいつをめどにして買収するのですか。今年を越えたならこれはもう収用令かかっても売らぬと言っていますよ。余りにものんびりだらりとして、怒っているわけだ、関係住民が。これは見通しはどうですか。今年いっぱいに買えますか。早くやるべきだと思うんですよ。
  44. 三野定

    参考人(三野定君) 十和田インターにつきましては、大変先生にも御心配をかけましてまことに相済みません。おかげさまで昨日妥結をいたしましたので御報告申し上げます。
  45. 沢田政治

    沢田政治君 それは結構なことです。  それで、あそこに鹿角市というところがあるわけですが、これは最近、四、五年前に市になったところで、都市計画をしようとしておるわけですが、計画が立たぬですよ。どこを道路が通るのか。市内を通るということはわかっているわけだ。だけれども、どこを通るのかということがわからぬわけなので、早目にやっぱり路線だけは発表してもらいたいと。そうなると、市としても都市計画もできる、こういうことなんですよ。ただ、いままではぼくはわかりますよ。いままでは路線を何というか早目にちらほらさせると投機買い、こういうものが出てくる可能性があったわけですよ。そういうことだから極秘に付しておいて、当事者だけでいろいろ論議して、ぽっと発表する。こういうことですが、いま地価が鎮静、しかもある場合は下落になるだろうというときに、思惑買いをだれもやりませんよ。そういうことと、それは別としても新しい市なんかは非常に困るわけだ、都市計画上。どういうようにもう都市計画をしたらいいのか手がつかぬわけですね。そういうことだから、十和田インターチェンジ以北、これは岩手県へも入るわけですが、いつ発表するんですか。早目にやるべきだと思うんですよね、部分的でもいいから、都市計画をしようとするところは。その方がやっぱり行政としても親切だと思いますよ。これはいつやるのか、特に聞いてほしいということだから、はっきりしてくださいよ。
  46. 三野定

    参考人(三野定君) ただいま御指摘の鹿角と、それから岩手県の安代でございますが、この間につきまして路線発表に必要な調査は完了いたしました。で、実は本月中にもということでいろいろ内部的な手続を急いでおったのでございますけれども、ちょっと本月中にはむずかしゅうございますが、年明けましてから、できるだけ急ぎまして、まあ本年度末までには発表いたしたい、こういうふうに考えております。  なお、この路線の決定につきましては、かねて先生からもいろいろ御指導をいただいておりますところを明快にいたしまして、地元市町村との十分な意思疎通を行っておるつもりでございます。なお、そういう点で、公式の発表はそういうことで年度内とは考えておりますが、それに先立ちまして、必要な御計画等があるものにつきましてはそれぞれ御相談をいたしておるつもりでございまして、その辺の市町村等の御計画に大きなそごがないようにということは十分必得ておるつもりでございます。できるだけ急ぎたいと思います。
  47. 沢田政治

    沢田政治君 次に、本四架橋の問題ですね。これは関係者がたくさんおるようで、私はいいとか悪いとかいう議論はしませんが、しかし、一部といいますか、四国道の付近の人は別としても、よその方からはそれぞれいろいろな何というか話題になっていることは事実ですね。あそこの瀬戸内海に橋を三本かけてこれはどうなるのか。ある県では、これは新幹線もない、高速道路もない、全く交通のチベットのところがある、しかも環境アセスメントもはっきりしない。三本というのは本当にやるのかどうかと、気が狂っているんじゃないか、どういうメリットがあるんだと。数々の——私はここでよしあしは論じませんが、そういう問い直しが来ておることはこれは事実です。  そこで、八月十五日ですか、福田副総理と仮谷建設大臣と金丸国土庁長官と三者会談をして、四十八年の十一月ですか、凍結になっておったところの本四の問題を話し合ってメモにしておるわけですが、非常にそういう意味ではクローズアップされてきたわけですね。  そこで、このメモを大体要約してみますと、本四連絡橋は当面一ルートにつきその早期完成を図る、右ルートは鉄道併用橋とし、第三次全国総合開発計画において決定するというのが第一点。第二点は、他の二ルートについては、各橋の地域開発効果、工事の難易度等を勘案し、当面着工すべき橋梁は関係各省庁間で協議の上決定する。こうなっておるわけですが、これはどういう話し合いが行われていますか。当面一ルートを具体化すると、こういうことを言っておるわけですが、三全総の概案も十二月中に、今年中に出されると、こういう状況になっておるんで、これは恐らく話し合いをしておると思うんですね。したがって、他のルートについてもこれはやるのか。当面一ルートというのはどこだか。何もこれは伏せる必要はないと思うんですね。どうですか、これは。これは建設大臣国土庁長官でもいい、どっちでもいい。
  48. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 沢田先生から当面という——私は当面というところに非常に意味深長な言葉が含まれていると思うんですが、しかし、この低成長下、また四国に、低成長であるとかないとかは別にして、三本かけるということについてはいろいろの御意見のあることも承知をいたしております。しかし、あの三本という話になるについてはそれ相応の積み重ねがありまして、あるいは超党派でというようなことで三本というような話に相なったという経過もある。しかし、実際問題としては、石油ショック等を含めまして低成長のこの経済状況の中では、三本つくることはでき得ないじゃないかというような考え方。しかし、少なくも一本だけはまず通してやることは、これは政治だと、こういう考え方。その中で、各地方自治団体がこの架橋の問題につきまして出資等もいたしておりますし、また将来経済情勢が——日本すべての国民があそこへ三本かけてもいいという一つの希望もあるだろう、その希望までつぶす必要はないじゃないか、それは次の時代の人が考えるべきだ、われわれの時代の十年なり十五年の時代にはこれはとうてい考えられないという考え方。そういう中で、新しくつくる新全総については一本と、こう決めて、それは鉄道併用橋である。しかし、ほかの点につきましては離島対策等もあるだろうし、あるいはつくることによって経済効率が上がるという面もあるだろうというような考え方で、まあこの時期においては三本つくるというようなことは考えない。しかし、将来のわれわれの子孫の代まで、ここまで盛り上げたものを芽をつぶす必要はないじゃないかと、こういう考え方。私も山梨県人ですから全然関係ないんですが、沢田先生と同じような考え方もないばっかりじゃないんですが、しかし、これもいろいろ積み重ねてきたいきさつ、経緯というものもこれも考えておかなくちゃならぬ。こういう意味で、将来希望を持たせたっていいんじゃないかと、こんなような考え方でございます。
  49. 沢田政治

    沢田政治君 三本がいいか、一本がいいか。常識的に言えば、いままで鳴り物入りで来たんだから、一本ぐらいやっぱりやってやらなくちゃこれは約束不履行になって期待感を裏切るということにもなると思うんだが、いずれにしても、ナショナルプロジェクトで来ているのだから、どうも不可解なんですよね。この地域開発のために部分橋をつくるとかね、何を一体ねらっているのか。これは政治的な効果をねらっているのか、政治家に対するみやげなのか、媚態なのか、これはわからねわけだ。だから、やっぱりこれは早くすっきりした方がいいと思うのですね。まあ当面——当面じゃない。当面じゃなく、一本だと。これは大臣が歯切れよく言ったわけですが、将来子孫に夢を持たせるなんて、そんなことまで政治がやる必要ないですよ。将来のことは将来の人が考えるのだよ。実現不可能な期待を持たしておくことにおいて私は大きな問題が起こると思うのですね。だから、一本なら一本だと、こういうようにやっぱりいつかの日にこれは明確にする必要があるじゃないかと思うのですよね。お互いに何というか期待感を持たせるようなことはこれはいかぬと思うのだよ。しかも実現しないようなことをですね。まあそんなことは議論しておいてもこれは始まりませんがね。  どこですか、何と読むのですか、大三島橋ですか、そう読むのですか。これは十一月四日に環境庁が同意したようですが、この起工式はいつ行うわけですか、いつ着工するのですか。
  50. 井上孝

    政府委員井上孝君) 大三島橋につきましては、自然環境保全審議会の自然公園部会でいろいろ御審議を願っておりまして、十一月の十一日に環境庁の同意が得られまして、その後各方面との折衝を続けまして御了解を得ましたので、今月の二十一日に起工式を現地で行いたいと考えております。
  51. 沢田政治

    沢田政治君 最後に、私お聞きしますが、橋をつくることが必要だ、こういうことを建設省計画するわけですね。まあ国土庁とも相談するだろうと思いますが、一番最後の関門は、ゴーを出すのは環境庁なわけですね。これは逆だと思うのですよね、私は。まず第一に瀬戸内海に及ぼす影響、環境アセスメント、ここにつくってもいいんだ、必要であれば。これからぼくは出発すべきだと思うのですよ。何といいますか、建設省計画をして、そうして国土庁がまあいいだろう、そうして最後に環境庁に持っていくなんというのは、もう環境庁に持っていったときは政治的な思惑とか力がついているものだから、環境庁はゴーを出さざるを得ない。こういうやり方はそもそも——このことばかりじゃないが、おかしいと思うのですよね。まず計画に先立って——環境庁はきょう来ておらぬわけですが、環境庁が環境アセスメントを明確にして、これは環境上よろしいと、こういうことになって初めてやっぱり計画を軌道に乗せるべきだと思うのですね。全く逆なんですよね。その問い直しが来ているわけですが、いまこれを改めるといったって、これはちょっと改まらぬと思うが、将来やっぱりそういう順序を経てやるべきじゃないかと思うのですね。で、特にこういうように本四架橋のようなものは国土をどう利用しようかということで、もっと高い次元の問題ですね。そういうことだから、まず国土庁が構想をもって、建設省は、これはやっぱり実施官庁ですから、実施する。こういうようにやっぱり行政分野というものを明確にしてやった方がいいじゃないかと私は考えるが、いかがですか、両大臣。  終わります。
  52. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 本四架橋の問題はいろいろ議論のあることも私ども十分承知をいたしておりますが、何十年来のあの地域住民の悲願でもありますし、超党派の運動の結果、二年前にああいう決定が行われて、そしてその答えを現在で出さなければならぬ事態になって、金丸長官が申し上げましたような答えを実は出したわけであります。いろいろ議論の余地はあると思いますけれども、これはひとつ現実的な解決としてそうするよりほかに私どもはいまのところ最善の方法はないと考えて進めておるわけでありまして、しかし、それは決して筋の通らない問題ではないとも思っておりますので、ぜひ御理解ある御協力を賜りたいと思います。  環境庁の環境アセスメントの問題でありますが、確かにおっしゃる面もあります。ただしかし、それ逆に考えてみますと、どんな計画を立てても環境庁がうんと言わぬ限り何もできないということになりますと、これまた大きな問題であります。それかといって環境庁の環境関係を無視してどんどん開発だけ進めておるということは、今日のような問題を生ずるおそれもありますからこれも考えなきゃならぬ。といたしますと、こうした大きな計画を立てる場合においては環境庁とも事前に十分相談をしながら、並行して問題の処理に当たっていくということにもう少し配慮すべきであると、そういう配慮が双方とも足らなかったことは事実であります。だから、こういう問題を進めていくためには事前に環境庁に十分相談をしながら、そういう方面の意見も聞き、検討をしながら、両方が合意の上で問題解決に当たっていくと、こういう政治姿勢が必要であると、かように考えて今後努力をいたしてまいりたいと思っております。
  53. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 沢田先生から再度質問があったんですが、今度の四国架橋の問題につきましては、私先ほど当面という問題の中で将来の希望というお話を申し上げましたが、新しくできます第三次新全総の中には一本ということではっきり打ち出していきたい、こういうように考えております。  環境アセスメントの問題につきましては、前後の問題等いろいろあるとは思いますが、いままでの連携というものがうまくいっていなかったということだけは確かだ。今後十分その辺は検討してまいりたい、こう考えております。
  54. 中村波男

    委員長中村波男君) 午前の質疑はこの程度にし、午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時三十二分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  55. 中村波男

    委員長中村波男君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 午前中に引き続いて、港湾ないしそれに関連をしまして、道路行政にかかわる問題について若干質疑をさしていただきたいと思います。  午前中も若干触れておられましたけれども、現在道路整備は、四十八年に決定されました総事業費十九兆五千億円の第七次道路整備五カ年計画に基づいて実施されているわけでありまして、この第七次計画は、いわばわが国の経済が高度成長期にあったその時代に策定をされたものですが、内容としては高速自動車道を期間中に三千百キロ供用開始する、こういう内容のものでございまして、しかし、御承知のように一昨年の石油危機以来わが国の社会経済を取り巻く環境が一変をいたしまして、低成長時代に移行をしているような状況になってきまして、道路整備道路投資のあり方も当然全面的に見直されなければならないような状況になってまいりました。  そこで、このような低成長下における新たなこういう環境のもとでは、新しい総合交通体系、あるいはまたそれに関連して、道路交通の占める役割りなどについて再検討をされなければならぬ時期であると考えるわけですが、まず、こういう問題について大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  57. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 大体お説の方向でいくべきだと思っております。四十九年、五十年が総需要抑制でかなり圧縮されております、したがいまして、第七次計画も本年三年目ですが、三年目終了して四五%程度しか延びないわけでありますから、そういう意味においては、私ども今後道路をさらに予算を獲得して延ばしていくことに全力を挙げなきゃならぬのですけれども、おっしゃるような低成長時代に入りましたら、それに即応した道路計画が進められなければならぬことは当然であります。だから、従来の計画をやはり新しい時代に即応するものを考えるということになると、環境問題、交通安全問題、あるいは生活関連問題、そういったものが重点的に考えられた総合的な交通対策が必要であろうかと思いまして、今後はそういう方向で進めていくべきだと、かように思っております。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、その第七次計画の反省ですけれども、いまは、先ほどちょっと触れましたように、二年間続いた公共事業抑制策によりまして大幅におくれ、三年目を迎えておおむねその五十年度末の達成率は四四・七%、こういうふうに伺っておりますが、当然このまま推移をしますと計画達成は不可能。そこで、今後の道路整備に当たって、いま、予算も獲得をしなきゃならぬというふうなお話もありましたけれども、やはりここで忘れてならぬことは、地域住民の生活の重視とか、あるいはその高速自動車国道の整備について、それが地域社会に果たす役割り、あるいは地域開発に対する経済効果、さらには環境保全と、こういうむずかしい問題   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕 が重なってまいりまして、当然ここで従来の整備計画を全面的に見直して、たとえば整備すべき路線の優先順位と、こういうものも考えながら進めていくべきではないかと思うんですが、大臣どうでしょう。
  59. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 私どもは、実は第七次が今年で三年目です、三全総等が五十一年度から発足するわけでありますから、考え方によれば、計画の半ばでありますけれども、新しい時代に即応した計画を再検討する必要があるといったようなこともいろいろ考えてみたわけでありますが、やはりまだ残る二年間あるわけでありますから、現在の計画の中で、これは全面的にいけないにしても、新しい時代に即応した施行法を考えていこうと、こういうことで、従来の計画をやはり進度調整というものの方向で新しい時代に即応する方法を考えていかなきゃならぬと思っております。ただ、それにいたしましても、限られた経済の中での今後の事業でありますから、おっしゃるとおり重点的な路線決定等を行って、おのずから時代に即応した重点施策を進めなきゃならぬということは当然のことだと思っております。  なお、具体的な問題は局長の方からお答えさすようにいたします。
  60. 井上孝

    政府委員井上孝君) いま御質問にございました、まず高速自動車国道でございますが、従来から、また第七次道路整備五カ年計画が始まって以来も、一応縦貫道五道を重点に実施いたしております。ただいま大臣が申し上げましたように、総需要抑制策などによって進度が大幅に調整をされておりますが、新しい経済計画あるいは三全総の一環として最終的には見直されるべきものと思いますが、すでに私どもといたしましては、こういう予算の窮屈な時代でございますので、特に重点的に、なるべくおくらすものはおくらす、早めるものは早めるということでいろいろと検討して実施いたしておりますが、その際に、やはり先生のおっしゃいましたように、全国的な視野から高速道路をつくるというそういう考え方に加えまして、地域開発効果とかあるいは沿線の環境保全とかいうようなこと、地域的な面に一層配慮を払って事業の適切な進捗を図ってまいりたいというふうに考えております。その他の一般国道、市町村道につきましても大幅に進度がおくれておりますが、そういった窮屈な予算の中でございますのでますます重点的に、特に市町村道等の日常生活に関連するものはおくらせるわけにはいかないというようなことで、予算の中の配分をそういった観点から十分検討して行っておるつもりでございます。
  61. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま局長から後段に説明がありました市町村道の整備の問題につきましては、最近の地方財政の危機、これを反映してなかなか進展をしていない。しかし、この市町村道の整備促進については、同僚の田代議員が後でまた質問いたしますのでこれは割愛いたします。  さて、先ほど来御説明のあったようなそういうふうな事情のもとで、現在建設省では、社会経済情勢の変動に合わせて現行の五カ年計画、これを改定をしまして、五十一年度を初年度にする第八次五カ年計画の策定作業を進めていると伺っておりますが、その計画のあらましといいますか考え方、そういうものを御説明願いたいと思います。
  62. 井上孝

    政府委員井上孝君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、第七次の五カ年計画は三年目を終わりましても四五%弱というような進捗でございまして、これを完全に一〇〇%達成するためには、あと二カ年ではきわめて困難な状態になっております。したがいまして先ほど申しましたように、国全体の新しい経済計画あるいは第三次全国総合開発計画というのが現在いろいろ検討され、策定作業が進捗をいたしております。私どもは第七次五カ年計画をこの新しい全国的な計画に即応して見直し作業をやっております。しかし、先生がいまおっしゃいましたような、来年から第八次道路整備五カ年計画という新しい五カ年計画を法律に基づいて改定をするということは考えておらないわけでございます。ただ、五十二年まで現在の五カ年計画の期間が残っておりますので、来年は改定しないで、五十二年度以降必要に応じて改定をするという構えでおります。  なお、ただいま申しました新しい経済計画あるいは第三次全国総合開発計画というものと道路投資とが整合を保つという意味で、五十一年度から五十五年度までの期間に、一体道路投資はこの経済情勢のもとでどのぐらいやり、またどういうものに重点を置いてやるかというような用意がやはり必要でございますので、現在私どもとしては、法律に基づく五カ年計画ではございませんが、五十一年から五十五年までの総投資はいかにあるべきかというようなものを計画的に検討いたしておるわけでございまして、その内容は、実は投資総額といたしまして、この五カ年間に約二十四兆円ぐらい必要ではないかという試算をいたしております。この二十四兆円というのは、いまの第七次五カ年計画は十九兆五千億でございますが、これを現在の価格で換算いたしますと約三十一兆円を超える規模になりますので、二十四兆円というのはその七七%程度でございます。大幅な縮小、低成長下時代の事業量として大幅な圧縮を基調として考えております。ただし、中身につきましては、先ほど申し上げましたような生活関連道路とか、そういうものに重点を置いて整備を進めたい、こういう中身について検討中でございます。
  63. 二宮文造

    ○二宮文造君 第八次ではない、第七次がまだ残っているので、五十二年度からそういうことも考えてみたいと思っている。当初のお話とちょっと違っておりますが、いまの財政事情の中でそういうような頭の出し方の違いにはなった。ただし、五十一年から五十五年にかけてやっぱりその五カ年の間の道路投資額というものも検討している。そうすると、それが大体需要を満たすとすれば二十四兆円程度、これはその第七次に比べて大体七七%と、こう言われましたが、その御説明で、どうでしょうか、経済企画庁で検討中の新経済計画、こういうものでも今後のわが国の経済成長率は大体六%、こういうふうなところに焦点を当てて作業が進められるようですが、その中で二十四兆円という、まあ抑えて七七%だとは言うけれども、二十四兆円という投資額がちょっと過大ではないだろうか。こういうような考え方数字を比較してみると出てくるわけですが、適正な道路の投資規模、それと経済成長率、これを大体その辺に見合ったものとお考えなんでしょうか。
  64. 井上孝

    政府委員井上孝君) 私どもは、いま申しましたように、二十四兆円はいまの段階では必要最小限度のものと考えておりますが、これは私ども道路だけを見ておる立場からの考えでございまして、やはり国全体の経済の中でどの程度が道路に割かれるべきかというような別の観点からの調整があると思います。これは経済企画庁初め関係各省で打ち合わせつつこれから決まっていくものと思います。ただ、道路を整備する立場からの私ども考え方では、二十四兆円というのは必要最小限度のものであるというふうに思っております。  なお、経済成長率六%とか七%とか言われておりますが、その経済成長率に合わせて道路投資も毎年ふやしていくというような前提に立ちますと、もちろんこの二十四兆円というのは過大でございます。と言いますのは、昨年、本年度と二年にわたって道路予算が前年を下回るというふうに圧縮を受けております。本年度予算をベースにいたしますと、六、七%ではとても国民の道路に対する需要を満たすことができませんので、もう少し高い予算の伸び率が平均的には必要であるというふうに考えております。
  65. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、局長からの御説明になかったのですが、二十四兆円の算出の根拠をちょっと骨になるようなことでもあらまし御説明いただけませんか。
  66. 井上孝

    政府委員井上孝君) 中身の組み立てばいろいろと高速道路とか国道別にございますが、建設省といたしましては、国の公共事業に対する総投資を今後五カ年百二十兆と考えまして、そのうちで道路投資が二十四兆必要になる。これは約二〇%に当たるわけでございます。ちなみに、昭和四十八年に作成しました十九兆五千億の五カ年計画というのは、当時国の総投資が、公共事業総投資が九十兆という中で十九兆五千億でございまして、これは約二一%に当たります。全体の枠、この百二十兆という枠はこれからいろいろ検討されるわけであります。建設省としては道路投資を若干ではございますが、過去の傾向よりも縮小ぎみに立てている次第でございます。
  67. 二宮文造

    ○二宮文造君 今回のこの特例法の問題でございますが、昭和四十九年度の揮発油税、石油ガス税の決算剰余金を本年度に限って特例として本年度道路整備財源に使用する。五百三十三億八千五百万円が新たに特定財源として繰り入れられることになったわけですが、ここでお伺いしたいのは、道路財源に占める特定財源一般財源の割合と、今回の繰り入れ後の両者の関係、これを若干御説明をいただきたい。
  68. 井上孝

    政府委員井上孝君) 五十年度当初予算の国費は九千五百六十八億円でございます。そのうち揮発油税等のいわゆる特定財源は七千九百五十一億円で、その比率は八三・一%となっております。なお、自動車重量税につきましては、ただいまの数字では一般財源の方に入っております。仮に自動車重量税の国費分の八割を特定財源に含めると仮定いたしますと、特定財源が九千四百五十五億円となりまして、特定財源の比率は全体の九八・八%ということになります。今回の特例法によりまして補正後の予算は総額で一兆三百八十四億円になり、その財源構成といたしまして特定財源は八千四百五十五億円でございます。これは五百三十四億を特定財源として、この特例法をお認め願いました後の数字でございますが、特定財源が八千四百五十五億円。したがいまして、この特定財源比率は八一・七%ということになります。仮に補正後の予算につきまして、自動車重量税の国費分の八割を特定財源の方に含めるといたしますと、この比率は九六・二%ということに相なります。
  69. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、若干問題が出てくるわけですが、まず大蔵省にお伺いしたい。大蔵省では、午前中も若干触れたわけですが、来年度の税制改正で自動車関係諸税の大幅な増税を大体検討し始めたという話なんですが、けさほどの沢田委員の御質問には、抽象的なことで余り御説明がなかったわけですね。ですが、私、新聞等によりますと、十一月の十三日、自民党の税制調査会の正副会長会議、ここへ大蔵省から御出席をされたと思うんですが、されましたか。
  70. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) いたしております。
  71. 二宮文造

    ○二宮文造君 その自民党の税制調査会の正副会長会議に御出席された、そして説明された内容は何ですか。
  72. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 午前中も申し上げましたように、明年の三月に揮発油税法の、それから四月に自動車重量税法の特例措置が切れますので、その後の取り扱いをどうするかということが問題になるわけでございまして、それにつきまして私どもの考えているところを申し上げたわけでございます。
  73. 二宮文造

    ○二宮文造君 その要点を御説明願いたい、自動車関係について。
  74. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 簡単に申し上げますと、期限が到来するので、この際財政危機の折でもございますので、これをもとに戻すというわけにはなかなかいかないだろうけれども、しからば延長するといたしました場合に、現行税率のままで延長するのか、もしくはもう少し負担増を求めるのかということが問題になりますと。ただし、二年前に増税いたしましたときに比べましていろいろと環境が変わっております。たとえば石油企業というものを一つとってみましても相当な赤字を抱えておりまして、果たして増税した場合にその転嫁ができるかどうかというような点もございますので、そういったこともあわせて考えなければいけませんので、今後検討をしていきたいということを申し上げたわけでございます。
  75. 二宮文造

    ○二宮文造君 その自民党の税制調査会の正副会長会議でそういうふうな御説明しかなさらぬわけですか、そうじやないでしょう。新聞等に伝えられることには、もっと数字を挙げて大蔵省の考え方を御説明になっているわけでしょう、その点を。ですから、細かいことはいいですから、ポイントになる問題だけをここで御説明願いたい。
  76. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 数字につきまして、私どもの方からこれこれしかじかにしたいということでお願いしたことはございません。
  77. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、新聞には、こういうふうに説明するのだと、したんじゃないんです。するのだということが出ておりますが、それを私ひとつ大事な問題ですから確認しておきます。  まず、自動車重量税は税率を一律に五〇%引き上げ、たとえば千五百、千六百ccクラスの乗用車で年額一万五千円——現行は一万円——にすると。二番目に、ガソリンにかかる税金、揮発油税、地方道路税については税率を三〇%引き上げる、一キロリットル当たり四万四千八百五十円——現行は同じく一キロリットル当たり三万四千五百円——とすると、こういうふうな数字を挙げて御説明になったかどうか。これはこのまま確定するとかしないとかということじゃなくて、自民党の税制調査会のその会議で、大蔵省の検討した考えはこういうことでございますと、数字で挙げて御説明されたようですが、この数字にはどうでしょうか。
  78. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 私どもの方からは、財政状況から見まして増税をしたいという考え方は持っているということは申し上げましたけれども、しかし、その新聞に伝えられておりますように、大蔵省案として数字を出して、これでお願いするというようなことは申しておりません。
  79. 二宮文造

    ○二宮文造君 何だか数字を言うと、それで責任が出るみたいで極力避けていらっしゃいますが、こういうふうに伝えられていることは、報道されていることは、おおむね大蔵省が御検討している数字とはさほどの違いはないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  80. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) ただいまのところ増税するかどうかということにつきましても、政府の税制調査会で御検討をいただいておる段階でございまして、それに対応いたしまして、私どもでたとえば一〇%上げた場合、二〇%上げた場合、また三〇、四〇といろいろなケースを数字としてはじいておることははじいておりますけれども、しかし、それにつきまして、私もその新聞記事は見ておりますけれども、そういうかっこうで大蔵省からこういうふうにお願いするということで申し述べたことはないと申し上げておきます。
  81. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。要するに私の心証は、こういう線にほぼ間違いはないと、こういう心証しか受けられないわけです。でなければ、第一、与党の税制調査会の正副会長会議で、あなたがいまおっしゃったような説明をして会議が進むわけがありません。——いや、もう答弁結構。そらもうあなたとしては言えないわけで、ですが、そういうことを踏まえて私は次の質問をいたしたいわけですけれども、まず増税をしないということはあり得ない。増税しない、いわゆるこういう事情だから、もうあなたは冒頭に言われた、なしにするというわけにもいかない、あるいはまた増税しないわけにもいかない。もし仮に、いま私が新聞報道として読んだ数字を、仮におたくの場合は一〇%、二〇%、三〇%、五〇%と、こういうふうにはじいているわけですね。そうしますと、仮にいま私が読んだような数字によりますと、物価へのはねっ返りというものは一体どういうことになるだろうか、そういう試算も当然なすっていると思うんですが、この点どうですか。
  82. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) まずお断わりしておきますが、私が冒頭に申し上げましたことは、期限が到来いたしましたときに、現在二年間の期限を区切りまして上げております。その上げているものをもとに戻すわけにはいかないだろうということを申し上げたわけでございまして、さらにこの上がったところのレベルから、もう一歩上げるかどうかということについては御検討いただくということでございますから、増税をどうしてもしなければということを申し上げたわけではございません。  それから、本題に入りまして……
  83. 二宮文造

    ○二宮文造君 もっと後のニュアンスを強く出しておいた方がいいんじゃないですか。
  84. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) ありがとうございます。  物価の問題に入りまして、実は四十九年に揮発油税につきましては約二割、それから自動車重量税については二倍に上げております。そのときの物価に対する影響を試算いたしますと、卸売物価に対しまして〇・〇七%程度、それから消費者物価につきましては〇・〇八%ということでございました。この数字をもとにしまして考えますと、今回仮に増税するとしまして、それが一〇になるか二〇になるかということはまた別問題でございますが、おおむね前回の増税のときの物価に対する影響と同じ程度ではないだろうかと考えております。
  85. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと私、前段聞き漏らしましたので、恐れ入ります、もう一遍前段の説明を繰り返していただけませんか。
  86. 島崎晴夫

    説明員(島崎晴夫君) 前回の増税のときには、揮発油税は約二〇%上げまして、自動車重量税は倍でございますから一〇〇%上げたわけでございます。そのときの消費者物価に対する影響が〇・〇八、それから卸売物価に対する影響が〇・〇七というふうに計算いたしましたということでございます。
  87. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、次に、これも若干問題になっているわけですけれども、自動車関係諸税を一般財源対策にも使用できるように目的税制度の一部を改めなきゃならぬという考え方を大蔵省等では持っていらっしゃるようですが、大臣、これは道路整備財源のもう非常に大事な部分ですね。財源を確保するということではきわめて重要な論議の対象になろうかと思いますが、こういう目的税制度の一部を改めるという考え方について、大臣の所見はどうですか。
  88. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 揮発油税あるいは電気ガス税等についてはこれはもうはっきりしておりますから、ただ重量税ですね。これは法律ではかっちり決まっていませんし、私どももその重量税の中の大部分は道路財源に使っているという状態でありますから、そういう面を、使い方の率の問題ですか、これをいろいろ大蔵省としては考えれば考えられることになるのじゃないかと思っておりますが、ただ率直に言って、増税は大蔵省としてはこれは財源が少ないときですからいろいろ考えることは無理はないと思うんですよ。しかし、自民党も税調ですから、での正副会長会といいましても、これは一般の税もありますが、増税の面もあるし、逆にこの際減税すべきじゃないかという意見もありまして、これは税調としての意見が仮にまとまったとしても、それは与党として、党としての決定じゃないわけなんでございます。それを受けて今度は政審へかけて、政調、総務会ですから、これはなかなか紆余曲折があって、私ども大変大きな問題だと実は思っておりますから、そういう意味では私ども必ずしも増税とは考えていまのところいないわけです。ただわれわれは、少なくとも道路財源に充てるための税金とし、しかも自動車から取る税金はむしろ道路整備充実のために充当してもらうことは当然であって、それをほかの財源に流用するといったようなことは決して適切なその処置ではないという考え方を私どもは持っておるわけであります。
  89. 二宮文造

    ○二宮文造君 おっしゃるとおりなんです。先ほど局長から、道路整備財源のことで特定財源一般財源の割合はどうですかと、こういう質問をしたら、重量税の八割を加えますというようなきわめて、特定財源なのか一般財源なのか、特定財源とは言えない、しかし、一般財源ではありませんぞと、その八割を加えると九六・何%でございますという、ひとつ財源説明をするにしても奇妙な注釈のつくような重量税の扱い方ですね。現在もそういうようにいわば不明確といいますか、その性格がだんだんこうあいまいにされてくる。そしてそれが今度の増税なら増税というのを機にして、一般財源というふうな考え方を取り入れてこようということになりますと、大臣のおっしゃるとおり、やはり道路整備財源というのは非常に窮屈になってくる。しかも自動車関係から上がってくるものですから、これはひとつ道路整備という非常に重要な問題を頭に入れて、この点についてひとつ明確にいまおっしゃったような方向に進めていただきたい、この点申し上げておきます。  この際、道路行政に触れて若干問題になるようなことを断片的でございますが、項目別に申し上げて所信をお伺いしたいと思うんですが、まず安全施設投資、警察庁が昨年の十二月に発表した分析の結果によりますと、交通安全施設に対する投資額と交通事故件数の相関関係が明らかになっている。いわば投資額の少ない府県ほど事故率が高い。新聞等では交通事故も金次第とかなんとかというふうな、こういうふうな見出しがつけられているようですが、そこで政府は来年度から、名前はどうか知りませんが、新特定交通安全施設等整備事業五カ年計画、こういうものをお考えのようであると聞いておりますが、そのあらまし、また整備の目標とか事業の重点、こういうものについて御説明をいただきたい。
  90. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御質問のとおり、来年から新しい交通安全施設等整備事業五カ年計画を考えております。御承知のように昭和四十六年度から現行の交通安全施設等整備事業五カ年計画を実施いたしてまいりました。本年度で五年目を迎えまして、おおむね所期の目標を達成して終了をいたします。先生もおっしゃいましたように、こういった緊急投資によりまして今年の交通事故は相当減少傾向にございます。この減少傾向を定着させて一層事故の減少を図るために、昭和五十一年度を初年度とする新しい五カ年計画をさらに拡大して策定しようという方針で準備を進めております。この五カ年計画の策定に当たりましては、大きな目標を、過去最高の交通事故死者を出しました昭和四十五年の死者が年間一万六千七百六十五人でございますが、この死者を今後五カ年間に半減させようということを大きな目標の一つにいたしております。  なお、私どもの方の道路関係の交通安全施設の五カ年計画におきましては、交通事故の死者の半数を占めておりますのが歩行者及び自転車の通行者でございます。この安全対策を最重点に考えるということで、五カ年計画の期間中に歩道、自転車道を一般の道路の改築事業とあわせまして整備を最も重点的に進めよう、そうして五カ年後には現在歩道のある道路の延長を倍にしようという計画を、目標を立てております。  それから、なお若干細かくなりますが、本年正月に長野県の青木湖で起きました市道におきますスキーバスの転落事故、こういうように山地部でバス等が転落いたしますと非常に大きな事故になりますので、あれは未改良道路でございましたが、そういうところの交通安全もやはり図るべきであろうということで、山地部等の転落事故の防止を目的といたしまして、ガードレール等効果的に設置して路肩を改良する、全体の改良を待たないで路肩だけでも改良して転落を防止するということを中の一つに取り上げております。  また、交通安全施設等の整備につきましては身体障害者等の利用しやすいものにしようという配慮をする。それから地方公共団体等の行います道路標識とか道路情報管理施設等、これは従来補助対象になっておりませんでしたが、この緊急整備を図るためにこういった道路付属物の整備にも国の金を積極的につぎ込んでいきたいと、こういうようなことで現在新しい五カ年計画の策定を関係省庁と協議中でございます。
  91. 二宮文造

    ○二宮文造君 これはもうもとより御承知のごとくで、私どもこういう数字を挙げる必要はないと思うんですけれども、やはりいわば財政事情の悪い府県におきましては、どうしてもよほど国の方で進め方を検討しませんと、この格差は広がる一方だと思うんです。御承知のように東京ですね、東京は道路延長一キロ当たりの投資額が大体二百十万円、それからその場合は人口十万人当たりの事故率が、まず死者の数ですが三・八人と、こういう数字になってますね。ところが、一番大きな茨城県を見ますと、同じく道路延長一キロ当たりの投資額が五十万円、四分の一ですね。そうして反対に今度は人口十万人当たりの事故率、死者の数というのは二十一と、こういう数字になっているわけです。ですから、これは何も死者が人口に比例するわけじゃありませんで、やはり東京の人が茨城で事故を起こすということになるわけですから、東京における、あるいは大都市における安全施設の整備、同時にそれ以上に、たとえば安全施設の整備されたところで運転をしなれている人、そういう人たちが安全施設の整備されていないところで運転するとそういう事故が起こってくるわけですね。だから、これはやはりせっかく出てきたデータを中心にして整備の投資額といいますか、それを勘案するというやり方をしていきませんと、こういうでこぼこは是正できないと思うんです。ですから、弱小と言っては大変失礼なんですが、財政の非常に窮迫したそういう地域に対する施設整備をどうするかということも、やはりここで特に取り上げて御検討をいただきたい、こうお願いしておきたいと思うんです。  それから次、また問題が変わるわけですが、高速道路の料金値上げの問題、これが本年の四月の一日から東名、名神などの高速道路の料金値上げがありまして、それが引き金になりまして、以後各地方自治体が経営する一般有料道路の料金値上げが続出をしております。時間の関係で、四月以降の料金値上げの実態というものの御報告は、ちょっとここでデータをいただいておりますから割愛をいたしますけれども、中には大変な大幅な値上げが実施されているわけですね。必要に応じてまたそれ申し上げたいと思いますけども、そこで道路整備特別措置法施行令の第五条には、料金の変更について、経済事情の変動によって料金算定の基礎になった事項に著しい変動を生じたため云々と、こう規定されているわけですが、どうも地域によってでこぼこのある料金の値上げ、そういうものから見ますと、建設省が安易に料金値上げを認めているんじゃないだろうか、こういう感じがしてならないわけですが、この点どうです。
  92. 井上孝

    政府委員井上孝君) 一般有料道路の料金は、先生承知のように建設費、維持管理費を償還するいわゆる償還主義、それから通行者がその道路を利用することによって受けます便益主義、この二つの原則のもとで定められております。御質問にございましたように、この料金の額が経済事情の変動等によりまして料金の額算定の基礎となった事項に著しい変動を生じた場合には、遅滞なく料金の額あるいは料金徴収期間を変更する、こういう必要な措置をとるようになっております。特に近年の著しい物価上昇等によりまして維持管理費が非常に人件費を中心として高騰いたしましたために、有料道路の採算性があちらこちらできわめて悪化してまいっております。事業者から料金改定の許可申請が次々と建設省に出てまいっておる実態でございます。しかしながら、建設省としては安易にこれを認可するということでは、ただいまおっしゃいましたようないろんな支障が出てまいります。なるべくその有料道路の経営の合理化を図る、あるいは料金の額を上げないで料金の徴収期間を延伸することによって採算性をよくする、こういったまず指導をいたしております。厳密な審査を行っておる次第でございますが、厳密な審査を行った上でも、なお現行料金では償還不能であるというものに限りまして、便益の範囲内で適正な料金に改定することを認可いたしておる次第でございます。   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  93. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、基盤になったもとの料金が高いせいもあるんですけれども、ばらつきがあります。それは維持管理費ということで、頻度の割合ですね、使用の頻度の割合と、こういう維持管理費の問題が出てくるんだろうと思いますけれども、たとえば乗鞍のスカイラインがことしの七月の二十日に料金が改定になりましたけれども、それまでの六百円から千百円とか、あるいは霧ヶ峰の道路が千百円が二千二百円とか、こういうふうに東名、名神、こういうものと比べて値上げの率がほとんど倍になっている、こういう状況はやはりどうにも維持管理費ということだけで納得ができない。あるいは、やはり地元財政事情もあるんでしょうけれども、安易な決定になっているんではないだろうか。今後もこういう問題出てきますので、ひとつ有料道路の料金の値上げということについては、何か結局これはまた利用者に対する負担にもなってくるわけですから、この点はひとつ御検討いただきたい。ばらつきが非常に目につくということを私ここで御注意申し上げておきたいと思うんです。  もう一つ別な問題で、地方財政の危機が深刻になっておる中で、国の直轄事業に対する地方の分担金の未納政治問題化してまいりました。建設省関係では国道の整備に伴う地方分担金がその大半を占めておりますが、本年度の国道整備に伴う地方分担金総額千百八十億円に対して、九月納入の第一期分の四百五十三億円余の大部分がまだ未納状況と、このように言われておりますけれども、これは納入状況をお聞きしたいんですが、これは時間の関係で、資料いただいておりますからそれで理解するとして、納入の遅延に対してまずお伺いしたいのは、建設省の態度、もう一つは深刻な財政危機に陥っている地方公共団体にどういうふうな、いわば督促を非常に強硬な姿勢建設省が臨んでおりますから、むしろそれが過酷に過ぎるんではないか、こういうふうな話もございまして、ひとつその延期を認めるというような実情に即した措置を講ずべきではないだろうか。また、場合によりましたら、地方分担金の軽減を図る特例法の制定も用意すべきではないだろうか。これはちょっと事務当局では御答弁がいただけないと思うんですが、まず状況をお伺いして、さらにまた大臣からも伺いたい。
  94. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) いま先生の御質問が、直轄分担金の中で道路特会の話でございましたが、道路特会について申し上げますと、先ほど沢田先生にも申し上げましたが、十二月八日に日銀から通知のあったその現状で言いますと、八七・四%の納入でございます。これは先生のおっしゃった第一回の四百五十三億でございます。御承知のように一時非常にそういう納入について従来よりも遅かったのでございますけれども、この前の補正予算の際にいろいろな地方財政措置がとれましたので、逐次納入できまして、現在納入しない県が非常に少なくなっております。これも十二月、一月に大体納入するということになっておる次第でございます。今後も地方財政措置を十分に講ずるように私ども自治省、政府部内、いろいろ話をいたしまして、これによっていざこざのないように十分に注意をいたしたいと思うわけでございます。が、仮にまた第二回、第三回でそういうような財政に困ったところが出てきたときにどうするかというお話でございますけれども、これはいまの話のように財政措置を講ずれば大体順調だと思いますけれども、仮にそうなった場合にも、年度を越してということは、これはいまの特会のたてまえ上非常にむずかしいのでございます。  県によって財政状況の非常にいいところ、比較的いいところ、非常に悪いところ、差があろうかと思います。しかし、悪いところでも相当努力をして納入してくださっているところもありますので、一概にはそれじゃ結構ですというわけになかなかいかない点が多いわけでございます。したがって、私どもといたしましては極力そういうことのないことを望みますけれども道路特会の中の資金繰りの問題で、直轄事業というのは御承知全額立てかえてやっておるわけですから、これはお金が入ってこないと支払いができないかっこうにもなりますので、一応補助金について、特会の中で補助金直轄も一緒になっておりますから、その資金繰りの関係補助事業についての補助金概算払いを便宜的にやっておりますけれども、これをやらない、延ばすとか、また精算にするというようなことになろうかと思うわけでございます。  最後の御質問の軽減の特例ですね。御承知のように道路につきましては三分の一地方負担するのが、いま特例で四分の一になっているわけでございます。午前中にも大臣からも沢田先生に御答弁申し上げましたけれども、これは総合的な全般の問題もありますので、一概にこれをそれじゃどれくらい軽減するかというようなことは言えないわけでございますが、現在もそういうふうに特例措置がとられている現状でございますから、私どもとしましては最初に申し上げましたように、まず地方財政措置を十分とって、そうしてこういうことのないようにいたしたいというふうに考える次第でございます。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 しかし、地方財政もこれから余り好転しないわけですよ、御承知のように。ですから、当然後段に私が申し上げたような措置を御検討願わなけりゃならぬ。いまもうやり繰りしてつないでいますから、だから御検討願わなけりゃならぬ。そうでなければ今度規模を縮小するよりほかない。じゃあ道路事業に対して即応できないというようなイタチごっこになる。ですから、やはりそういう面については幅を持って御検討いただかなくちゃならぬ時期が必ず出てくると、こう私は考えるわけです。その点、そういうことを予想していまの質問をしているわけです。これは今後の財政事情の好転の問題、あるいは好転しますとこういう問題も消えてくるかもわかりませんが、にらみ合いですから、にらみ合いの状況でひとつ御検討願いたいということを申し上げておきます。  次に、地域的な細かい問題になって大変恐縮なんですが、国道のバイパス、これが特に私は自分がよく知っております十一号線と、それから五十六号線、ともに愛媛県に関係する国道のバイパスの問題ですが、これが非常に問題をはらんでおります。建設省も御承知のとおりだと思うのですが、まずそういう意味で五十六号線のあの宇和島地区のバイパス、それから十一号線の伊予三島地区、川之江地区ですね、この辺のバイパス、これは現在までどのような作業が進んでおりますか、これをお伺いしたい。時間の関係で簡略に……。
  96. 井上孝

    政府委員井上孝君) 国道五十六号の宇和島の区域でございますが、御承知のように五キロメートルにわたって市街地の真ん中を、しかも七カ所も交差点があり、直角曲がりをしているというようなきわめて悪い状況にございまして、地元でも早くからバイパスの建設の要望が強く出されております。で、私どもといたしましては、この調査を四十八年度から開始いたしておりまして、四十九年度までに山側のルートとかあるいは海側のルートとか数本の比較線をもちましてただいまいろいろと検討中でございます。特に今年度はこういった各案に含まれますトンネルとか橋梁とかいう重要な構造物に関していろいろ調査をやっておりまして、この比較案につきまして現在検討中で、まだ結論を得ておりません。  十一号の川之江——三島バイパスにつきましては、混雑緩和のために計画されたものでございまして、昭和四十四年から四十六年にかけて調査をいたしました。四十七年度から事業に着手をしたものでございます。このルートの決定に当たりましては、この辺の土地利用とかあるいは近くに埋蔵文化財がございます。その他関連する道路との調整とか支障物件の多い少ない、こういったことを考慮して決めたものでございますが、これをやはり市街地の近くでございますので審議会にかけて都市計画決定をして事業を進めたいと思いまして、現在地元説明を行っておる状況でございますが、一部の方々からルートの変更あるいは環境対策等の要望が出ております現状でございます。
  97. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、複雑になりますから問題を二つに分けて、五十六号と十一号に分けて、まず五十六号の方から細かい点でお伺いをしたいわけですけれども、これは五十六号線の宇和島地区のバイパスということは、御承知の愛媛県がいま考えております宇和海国立公園ですね、あの一帯に南予レクリエーション都市を開発しよう、こういう考え方と密接な関連がある。すでに南予レクリエーション都市開発株式会社というのが発足をしまして、こんな経済情勢ですから事業は進んでいないと思いますけれども、それに重要な関係を持っている。  そこで、運輸省の方もその事業計画に合わせて宇和島港のいわゆる埋め立てですか、大浦湾一帯の埋め立て、これを港湾整備事業としてお考えになっている、こういう話でありますけれども、しかもこの港湾計画、宇和島港の港湾計画は港湾審議会ですでに承認をされた、こういういきさつも承知をしておりますが、特に宇和島港の港湾計画と南予レクリエーション都市の関係、これをどういうふうに運輸省は理解をされておりますか。
  98. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) ただいま先生承知のとおりでございますけれども、この宇和島港の港湾計画昭和四十八年に審議をされておりますけれども、その一つの柱といたしまして、南予のレクリエーション地区に対する船輸送の拠点ということを考えているわけでございます。
  99. 二宮文造

    ○二宮文造君 現地の関係者の話を、港湾関係者の話を総合しますと、宇和島港は三十五年六月に国の重要港湾に指定をされ、また台風時には大小の船舶の重要な避難港——避難港として指定はされてないようでありますが、事実問題として重要な避難港、私も現地を知っておりますが、まことにかっこうな地域です。そういう面を考えますと、埋め立てによって港湾を狭めるよりも、むしろしゅんせつによって港湾整備の促進を図る方が関係者としては好ましいのだと、あと農業とかなんとかいう埋め立てに反対する人の理解は、あるいは港湾、重要避難港としての港湾の使命、そういうものを考えると、埋め立てよりもしゅんせつの方が先ではないか、その方がより重要ではないか、こういうふうに考えているわけですが、この点はどうですか。
  100. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) ちょっと別の方から申し上げることになると思いますけれども、この宇和島港の港湾計画、先ほど申しましたように南予のレクリエーションというものを意識しております点がございます。それからこの地方全体の流通の拠点としたいという面があります。それともう一つ、非常に山が海に迫っているところでございますので、土地の純化をするために土地の利用の機能を区分していこう。大体三つの柱からこの港湾計画が立てられております。そういうような意味で、たとえば都市再開発というような言葉で申し上げますとおわかりになりやすいかと思いますけれども、そういうことを実施いたしますのには、新しい土地をつくるというのが一番やりやすい方法ではないかと思います。  それから本論に戻りますけれども、御指摘のとおり、この湾は非常に良好な、台風時にも安全な湾を形成しているわけでございますけれども、非常に広い地域でございまして、ただいまこの港湾計画で考えられております土地造成というようなものが、その湾の面積に対しましては非常に微々たるものではないかと思います。しかしながら、この港湾計画におきましては、特に小型船等に対しまして、減少する部分に対応いたしまして防波堤をつくりまして、新しい船だまりを準備しようということもあわせてこの中に入っているわけでございます。そういう意味で、全体から申し上げまして、避難ということに対しましては問題はなかろうかと考えております。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、ここで建設省との関連が出てくるわけですが、局長、四十八年の二月に愛媛県が宇和島港港湾計画を作成したんですね。その四十八年の二月に作成したその計画——それは私の聞き間違いかもわかりませんけれども、すでにバイパス建設が決まったように、その港湾計画の中に吉田、知永、大浦、それから宇和島港湾、保田と、こういう海側ルートがその中にもう線が入っているわけですね、これは一体どういうことでしょうか。
  102. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘のように、私先ほど御説明いたしました数本の案の中に、いま先生の御指摘の吉田、知永、それから大浦、宇和島港湾、保田というルートが一案として入っております。しかし、これに決定したわけではございません、先ほど申し上げましたように。一つの案として現在検討中でございます。まだ結論は得ておりません。
  103. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、こういうふうな反対する住民は、もう何もかも決まっちゃって、われわれは何にもつんぼさじきに置かれたまま一切のことがもう進んでしまって、それでお仕着せでぐんぐんぐんぐん詰められてしまうのじゃないかと、こういうことを、こういう行政のやり方にきわめて反発をしております。それから運輸省の方は、たとえばその流通の事情を考えるとか、それからまた建設省としては五十六号線が宇和島市の繁華街を通るからとかいうふうな理由を挙げておりますが、それでもろに影響を受けるのが農家なんですね。これは理屈のための理屈ではない。あの辺一帯のミカン、これは特にその付近のミカンがおいしいというような名声を博しているのには、それなりのやっぱり地形の特殊性というものが加味されているようです。たとえば潮風をはらんだものとか、それからあの温度とか、そういうものがきわめてあの周辺のミカンに好影響を与えている。それが埋め立てをしますと、細かいようですけれども、温度が一度下がってくるのだそうです。温度が一度変わってきますと、それがもうミカンに与える影響というのは、きわめて微妙に影響を与えるということは、これは論文として書かれているぐらいでしてね。ですから、南予レクリエーション都市開発、この問題とか、あるいは流通の問題とかということ、さらには一方では市街の交通が繁雑だということ、まことしやかな理由ですけれども、その中にわれわれ農家の考え方というものは全く入れられてないじゃないかと、こういうふうなことがその反対の理由なんですね。  ですから、これは私はこう細かく書かれておりますと、これを読む時間もありませんけれども、たとえば三崎と大浦のナツカンはうまいという、その理由として、いま言ったような海洋の関係、潮風の関係、温度の関係、それからいわゆる排気ガス等の影響を受けないという関係、そういうものが列挙されているわけです。これを無視して作業を進めるわけにはいかない。この点、五十六号線の路線の決定、工事の着工ということについては、十分にいままで無視された面をもう一遍御検討いただきたい。これは港湾の埋め立てについても同じようなことが言われます。ですから、この点をもう一つこれからの御検討の材料にしていただきたい。これはお願いしておきます。  それからもう一つは南予レクリエーション都市開発。こういうレクリエーション都市開発ということも結構でしょう。結構でしょうけれども地元民の利益を最優先するという、こういう姿勢はやっぱり無視してならぬと思うんです。いま伝えられるところによりますと、この南予レクリエーション都市開発は、大手商社などと愛媛県あるいは付近町村、第三セクターをつくって事業を進めていこうということなんですが、このあり方にも非常に問題がある。これも建設省の担当なように聞いておりますが、これらを含めてひとつ当面は五十六号線のバイパスの問題ですし、それから埋め立ての問題ですね。これが農家に与える影響と、しかし、その背後には冒頭から埋め立てに重要な柱としてお考えになっている南予レクリエーション都市開発の存在と、こういうものがあるわけですから、この辺をかみ合わせて五十六号線の問題あるいは埋め立ての問題、これについてはもう一遍再検討していただきたい。そういう面をかみ合わせるように検討いただきたいと思うんですが、それぞれお伺いしたい。
  104. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 南予レクリエーション都市の構想は、中核になる部分を都市公園ないし緑地として県が事業主体になり、これに国庫補助をつけていく、用地買収をし、公園としての整備をする。そのまわりの地域、必ずしも公的に事業を進めなきゃならないものでもない。むしろ民間の手でいろいろなサービスあるいはレストハウスのようなものをつくっていく方が望ましいというものにつきまして、確かに大企業も入っておりますが、県、関係市町村、それから地元の漁協、農協等も参画していただきまして第三セクターをつくってやっております。まだ全体規模から見れば、ここ数年事業をやっておりますが、進度はこう思うに任せておりませんけれども、もともとこの目的が地元のそういった意向に即しながら地元の振興及び広域的なレクリエーションの場を提供しようと、それに宇和海というリアス式の自然の景観を最大限生かして、開発とともに自然の保全も図っていこうということでございますので、これに伴いまして関連する港湾、道路等の足の問題が先決でありますから御協力いただいておるわけでございますが、決してその本来の目的から外れるような、そういう開発の仕方のないように今後とも心がけたいと思います。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっといまのことで。いかにも周辺の町村が、あるいは漁協、いろいろなものが入った官民合作のものであって、大手商社云々の問題は御心配ないかのような局長の答弁ですが、株式の引き受けのこの一覧を見ますと、この南予レクリエーション都市開発の性格というのはよくわかるんです。百万株です。全体が百万株でしてね、愛媛県が四十万一千株、よろしいですか、その次に住友商事が十三万株、三菱商事が十三万株、三井物産が十三万株。で、あなたのおっしゃった周辺の町村というのは吉田町がわりあい大きいんですが、これが九千株、あるいは城辺町が一万一千株。こういう百万株の中で愛媛県が四十万株、それから三大商社で同じく四十万株。こういうふうな性格を考えますと一この南予レクリエーション都市開発の実権というもの、指向する方向というのがいわゆる地方公共団体、愛媛県ですね、愛媛県が何を、どういう資金予定し、どういう経済的な背景を予想して南予レクリエーション都市開発をやろうとしているかという輪郭は、この株式の引き受けでもはっきり指向できるわけです。なるがゆえに、たとえば津島のそういう関係の業者だとか、あるいは宇和島の城辺、御荘のそういう町々の商工業の関係の方々が、南予レクリエーション都市開発事業が進むと、われわれの生活圏はどうなるんだろうかというふうな心配もしているわけです。  決しておっしゃるような周辺のいわゆる住民が一致してその事業の進捗を望んでいるという状況ではないし、また株式の引き受けの状況から見ても、ほぼその方向が指向されるという私の心配を局長もひとつ頭の中に置いといていただきたい。今後いろいろな問題が出てまいりますと、私もまたお願いもしたいと思うし、それからまた役員の構成の問題についても、私は若干昨日苦情を申し上げたようなこともあるんです。いや、建設省には申し上げておりませんが、関係機関に私申し上げた。こんな役員の出し方おかしいじゃありませんかというふうにも私申し上げたことがあるんです、昨日。ですから、この性格は今後事業が進捗する、あるいは事業が動き出す、そういう状況で十分に見届けていただきたいと思うわけです。  これで、運輸省と、それからバイパスの関係、ちょっと簡単で結構ですから……。
  106. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 埋め立ての影響につきましては、もう宇和島港の港湾管理者でございます愛媛県におきまして、学識経験者の意見を聞きまして、それに基づきまして調査を今後やっていきたいというふうに考えているところでございます。
  107. 井上孝

    政府委員井上孝君) 国道五十六号線宇和島バイパスのルート決定に当たりましては、いろんな観点から現在検討中でありますが、その中に御指摘の自動車公害の影響、あるいは周辺の柑橘農業への影響も加えまして、十分慎重に考慮して計画を立てたいと存じます。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 続いて十一号線の問題ですが、これはもう五十六号線よりも進捗しているわけです。非常に住民が心配しておるのは、なぜバイパスをつくるのにS字型でつくらなきゃなんないのか、S字型のバイパス。そして御承知のように伊予三島というのは後ろの山が迫っているわけです。平地部分というのはきわめて少ない。ウナギの寝床のような状況の中で、しかも優良な農地がある、住宅地がある。いわゆるその生活基盤といいますか、そういうものを侵されるような、そういうS字型のバイパス、これは伊予三島市当局は推進している。ここにも、これ私それが事実かどうかは知りませんけれども、伊予三島と言えば、一番は——一番というか、その市を牛耳っているのは大王製紙という巨大な製紙会社ですがね。今回のバイパスも大王製紙の中之庄という工場から、同じく国鉄の駅にある大王製紙の貨物の集積所、それにつなぐS字型のバイパスと。これはまるで、まさに大企業に奉仕するためのバイパスではないか。そのために自分の家と農地とを分断されてしまって、耕運機等も十分に持ち運びができないような設計になっている。なぜわれわれがこういう被害に遭わなきゃならぬのかというのがこの住民の意向です。  それからもう一つは、四国の高速道路が間もなく路線決定する。こんな狭いところで、十一号線、海岸沿いですね、それから後ろにもうすぐ自動車道路が来る。その中にまたバイパスでS字型に切ってしまう、こういうふうな路線の決定にきわめて問題がある。あの伊予三島の付近で交通が錯綜していることは住民もよく承知なんです。なぜS字型に切らなきゃなんないか。これは一部のいわゆる政治的な圧力が、こういうふうに直線にすべきもの、あるいはまたよけて路線がとれるべきものをS字型に変えたんではないか、そういう政治不信も出ているわけです。  ですから、これは時間もありませんし、るるその間御説明もしてきたわけですから、これは決定に当たっては——決定といいますか、着工といいますか、用地買収といいますか、いよいよその事業に着手するということには、現状ではとても住民の納得は得られそうにありませんし、それを進めること自体が私は無理なように思います。この辺をひとつ頭に置いていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 井上孝

    政府委員井上孝君) この十一号の川之江——三島バイパスについて私も調べましたが、いろいろとルート選定には苦労をしたようでございます。地元の方でいろんな変更の要望があるようでございます。たとえば山側、いまのルートよりも山沿いに持っていきますと、また埋蔵文化財の問題だとか、あるいは三島市の中心部との接続が悪いとか、あるいは住居専用地区を通るとかという支障があるようでございます。海側に持っていきますと、また非常にこれはひっかかる家屋がたくさんあるというようなことがございまして、ああいう形になったように伺っておりますが、御指摘のような地元の一部に反対もございますし、先ほどお答え申しましたように、このルートはやはり都市計画決定をして、住民の意思を、地元説明を十分して、地域住民の意見のうちで尊重すべきものはもう尊重するという形で、意見調整をやって事業を進めるように指導をしたいと思います。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 引き続いて質問をしたいと思います。  道路というものは、鉄道と同じく日本の経済の発展に、また地域の発展になくてはならないものであることは申すまでもないと思います。まあ大事な社会資本のストックであると思うわけなんですが、そういう意味からこの道路の整備ということにつきまして、午前中からただいまの質問を通じまして一貫して質疑がされておりますが、この十分に整備されるかされないかということが交通輸送の財政支出にも非常な影響を与えますし、また地域の振興にも非常な影響を与えることは論をまたないものであります。そういう意味から、いいかげんなこういう道路の維持管理がされておるならば、それが積もり積もって大きな事故となり、反対に日ごろから道路の維持管理というものが、補修がなされているならば、これはそういうような大きな事故を未然に防ぐことになるんじゃないかと思うわけなんです。そうした場合に、道路に国道、あるいは都道府県道、市町村道という、こういう一応の区別がされておりますけれども道路と見た場合に、これは同じ立場のものではないかと思うわけなんです。そういう面から道路の維持管理につきまして、まあこういうガソリン税の、あるいは自動車重量税等をもって整備に当たるという方針のもとにされておりますけれども、不公平な面が出てきているんじゃないか、このように見られるわけなんです。  そういうわけで、その不公平な面を一つ一つ取り上げて質疑をしたいと思いますが、まずこういう意味から道路、国道、都道府県道、市町村道に対しましては維持管理に対して力を入れるべきではないかと、このように思うわけなんですが、建設省といたしましても、その方針では進んでいらっしゃるかと思いますが、その道路の維持管理はどのぐらい予算化されているのか、まず最初に大臣から道路の維持管理に対する基本的な考え方とあわしてお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  111. 井上孝

    政府委員井上孝君) 道路の維持管理の重要性につきましては、御質問のとおりでございまして、私ども安全で円滑な自動車と、また人の通行を確保するという面から、道路をつくるということばかりではなくて、既設道路の維持管理を十分強化いたしまして、道路のサービス水準を確保するということに常々努力をいたしております。特に道路はいろいろな状況道路、一本一本すべて状況が違っておりますので、それぞれ国道、地方道を問わず、道路沿道の状況あるいは交通の質と量といったようなものに対応して適正な維持管理を行うように体制も合わせて強化していく所存でございます。道路投資のうち維持管理がどのぐらいということでございますが、たとえば今年度道路投資、これが改築も維持管理も合わせまして、しかも国も地方公共団体も全部合わせまして二兆六千六百億ばかりの総投資が一年間になされておるわけでありますが、そのうち五千四百億ばかり、約二割強が維持管理に充てられておりまして、これは道路の整備が進み、しかも自動車交通、あるいは人の交通があらゆる道路に普及するといいますか及んでいくにつれまして、維持管理の費用はますますシェアを広げていくというふうに思っております。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 いま維持管理がどのくらいの予算でされているかという御説明に対しまして、道路投資の総額が、国、地方を入れて二兆六千六百億円である、そのうち五千四百億、二割強の維持管理費をもって当たっているということでございますが、いま局長おっしゃるとおりに、道路にはいろいろの性格の道路がありますけれども、国民生活に最も密接な関係のあるものは地方道ではないかと思うわけなんです。その地方道の維持管理につきましてはどのくらい出されているのか、御説明願いたい。
  113. 井上孝

    政府委員井上孝君) これは決算ベースでございますので、昭和四十八年度の決算で見ますと、地方道の維持修繕といたしまして千九百九十億が投入されておるのでございます。
  114. 田代富士男

    田代富士男君 それは維持管理費ですか、それともどういう性格のものですか、千九百九十億円というのは。
  115. 井上孝

    政府委員井上孝君) 維持修繕費でございまして、地方単独の地方道につぎ込まれたものでございます。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 いま千九百九十億円、地方道につぎ込まれたものであるということですが、地方道の補修の場合のみ国は二分の一の国庫補助をされているということを私の調査ではわかっておりますけれども、純然たる維持管理費に対しましては国庫補助というものは出されていないと思うのですが、その点はどうなんですか。
  117. 井上孝

    政府委員井上孝君) いま私が申し上げました千九百九十億というのは、申し上げましたように地方単独費でございまして補助事業ではございません。これ以外に修繕費として御指摘のように国庫補助事業でつぎ込むものがございまして、これは二分の一国庫負担ということになっております。それから維持費につきましては、いまのところ国庫補助制度はとっておりません。むしろ特定財源の付与ということで対処しております。また、自治省の方で地方交付税の算定におきまして、道路の面積とか延長とかというものが交付税算定の基礎になっておりますので、そういう財源地方道の維持費は賄われるという仕組みになっております。   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
  118. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されるとおりに、純然光る地方道の維持管理費に対しましては、こういうものはなされていないということでございますけれども地方道の中でも市町村道でございますが、これはほとんどが単独事業であるために、その財源負担というものは私が言うまでもなく地方自治体に耐えられないものであります。そういう意味から、当面少なくともこの維持管理費につきましては国庫補助の制度確立してあげて、この地方自治体負担といいますか、この苦しみというものにこたえていくべきではないかと思うのですが、この点はどうでございますか。
  119. 井上孝

    政府委員井上孝君) 道路の整備につきましては、国道、都道府県道、市町村道を通じて、均衡ある整備という観点から、その促進に努めてきているところでございますが、特に御指摘のように地域住民の日常生活基盤である市町村道の整備は、国道、都道府県道に比して従来非常に立ちおくれておりました。したがいまして、建設省といたしましては市町村道の果たす役割りの重要性にかんがみまして、昭和四十八年から始まりました五カ年計画の中におきまして、新たに市町村道の改築——市町村道に要する費用のうちでも最も多額の費用を要するのは改築事業でございます。まずもってこの改築事業の国庫補助事業、従来余り採択いたしておりませんでしたものをなるべく多く採択して市町村の財政負担を軽くしようということで、改築事業補助事業採択を広げるということが急務と考えておりました。現段階では、市町村道の維持費に対し補助または特別の財源措置ということは現在では考えておりません。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 建設省のそれぞれの方針があるかと思いますけれども、いま審議されておりますこういうガソリン税あるいは自動車関係税等はそういう整備に充てていくという趣旨でありますから、そういうことも勘案して、これは私はぜひとも考えていただきたいと思います。  それと同じように、都道府県道におきましても、その維持管理費に対しまして国庫補助というものは全くされてない、これはただいま申し上げました市町村道と同じです。ただ、わずかばかり、路面の清掃車あるいはパトロール車に四分の一の国庫補助しかされてない。こういうことを考えますと、やはりこれとても地方自治体がいま財政的に逼迫しておりますし、一方的に考えてないというのじゃなくして、こういう趣旨にもこたえていく姿勢というものがなくてはならない。建設省はもっとほかの改築事業にやってるんだから、これはよいというものではないと思うんです。大臣、ここらあたりの考え方いかがでございましょうか。
  121. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 本当は市町村道も府県道も、改築費も出したいし、維持費も出したいということは気持ちは一緒なんですよ。ただしかし、限られた財源の中で一体それをどうして有効適切に使っていくかということを考えますと、おのずから限界があるわけでありまして、府県道にしても地方の市町村道にしましても、やはり一番希望の多い、陳情等の多いのは改築分でありまして、まず希望の多い、要望の多いものにできるだけ予算を配分しようということで、いままで市町村道は比較的配分率も少なかったわけでありますけれども、国道あたり本年度の予算はむしろ前年度に比較してマイナスでありますけれども、市町村道は二〇%近くも伸ばしている。もとが小さいんですからパーセンテージを伸ばしましても額としては大きいものじゃありませんけれども、重点的な問題として私どもは取り上げておるわけであります。  府県道は御承知のように最近非常に舗装ができてきまして、狭ければ狭いなりに舗装が行き渡ってきておりますから、そういう意味においては特別な維持費というものもかなり軽減されておるのではないかと思うし、舗装に対しても私どもはかなり積極的に国の方も努力をいたしておるわけでありまして、そういう意味で、お説のとおりでありますけれども、実はそこまで手が回りかねておるというのが現実のありのままの姿でありまして、今後はやはりそういう方向で努力するのは当然でありまして、私ども努めてまいりたいと思っております。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 地方道路は、いま大臣のお話で今後取り組んでいくとおっしゃるけれども、これはなかなか、ここだけのことじゃないかと思うんですよ、大臣。本当に取り組んでもらえるかどうかわかりませんけれども、いま大臣言葉を素直に私は受けとめていきたいと思いますが、国道に関しましても、これは現在維持管理の二分の一は都道府県負担にされておるわけです。地方道のことはいま聞きましたけれども、国道においてさえも負担率というものがこういう都道府県に過重になっているがけなんです。道路といいますと、道路の環境の整備、また交通事故の防止などの観点からも、こういう点に対して事故とか環境を守っていくという、そういう立場からも国の負担率を拡大していく方向で私はやるべきじゃないかと思いますし、財源が足らないから、やりたいことはやりたいけれども、まだ足りないという、そういうわからないわけではありませんが、将来これを考えるといたしまして、こういう維持管理基準というものを策定いたしまして、場合によってはこれを法律化していくというような検討をされるお気持ちがあるかないか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  123. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘の国道の維持管理費、直轄管理の場合でも地元に二分の一の負担をさせております。これはいろいろと従来の地元の受益がある、あるいは国及び地方財政状態等を考慮して定められたものでございまして、地方負担につきましては補助の強化ということもございますが、特定財源を強化していくと、こういう方向で従来検討してまいったわけでございます。  なお、御指摘のように二分の一の負担で非常に過重であるということは、特に最近長大なトンネルが国道で多くなってまいりました。トンネルになりますと、換気装置あるいは照明等に非常に普通の道路よりも何十倍というような金がかかりまして、これもまた二分の一を地元に引き受けさせるということは、非常に過重の上にも過重であるということで、来年度予算におきまして当面多額の維持修繕費を要します長大トンネルにつきまして、国の負担を二分の一から三分の二に引き上げるように財政当局に要望をして現在折衝中でございます。  また、維持管理の水準の法定化の問題でございますが、実はこれは道路法四十二条の第二項で「道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、政令で定める。」ということになっております。ところが、実はこの政令がいまだ成案を得ておりませんで定められておりませんが、実は道路の利用の態様というものが戦後現在まで非常に年々変わってくるというような目まぐるしい変わり方でございまして、また道路の維持管理に関する国民の要望と申しますか、期待と申しますか、そういったものも年々変わってまいりまして、したがいまして、私どもとしては画一的な政令を定めるというよりも、むしろ若干弾力のある管理要領というようなものを定めて、必要に応じこれを改定していく、レベルアップを図っていくという方針をとりまして、現在道路の維持修繕等管理要領というものを道路局長通達で定めまして地方の維持管理の指導をしておる、こういう状況でございます。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 次の問題に移ります。  次は、道路管理に関する共済制度についてお尋ねをしたいと思います。御承知のとおりに四十九年十一月に飛騨川バス転落事故判決を初めといたしまして、道路の落石あるいは土砂崩れなどによる事故で道路管理者の損害賠償責任を問われる判決が最近多く出ていますが、このように道路管理ミスによる賠償の問題についてでありますが、山間部の道路が特に多いわけなんです。わが国では落石など道路管理をめぐるこういう事故が多発をしているこの道路管理者であります地方公共団体の損害賠償の財政負担というものは非常な多額に上っておるわけなんですが、この道路管理者の損害賠償件数と賠償金額の実績というものはどのようになっているのか、わかる範囲内で結構ですから最初に御説明を願いたいと思います。
  125. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘のとおり、近年道路管理責任を追及されまして、損害賠償請求事案というのは年々件数、金額ともに増加いたしております。最近三カ年におきます数字を申し上げますが、地方公共団体の賠償金支払い状況は、四十七年度に三百五十六件、二億三千二百万円、四十八年度に四百十九件、二億一千九百万円、四十九年度に四百九十六件、三億一千五百万円となっております。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 いま累計の金額を提示していただきましたけれども財政力の弱い町村では非常に困っているわけなんですね。たとえて言えば、四十七年五月、山梨県の早川町で起きた問題ですけれども道路わきのがけから落石しまして、フロントガラスが割れまして運転手が即死した。そこで、遺族は道路管理に手抜かりがあったということで、町を相手取りまして甲府地裁に対しまして損害賠償請求を提訴いたしました。四十九年三月、町は千四百八十万円を支払えという判決が出されたわけなんです。ところが、そういうすぐに金を支払いできるわけがないものですから、町の金庫が仮執行で差し押さえられるというようなこういう事件が起きているわけなんです。この町自身の予算を調べますと、予算規模は約六億円ぐらいの町であるために、その財政力からいってもこれは無理であるということでいま控訴しているというような、こういう事件が起きているということは御存じのはずだと思います。  また、昨年度全国知事会議で、これは山梨県の知事が全国知事会議で、賠償金で地方財政は破綻を来しかねないという窮状を訴えているわけなんです。このように都道府県はともかくとしても弱い町村の負担というものは非常に大きいわけなんです。こういうことに対しまして、建設省といたしましてもこれは何らかの検討をしなくてはならないじゃないかと思うんです。そういう意味から財政力の弱い市町村では多額の賠償に応ずることができないというたてまえから、民間の損保会社と賠償責任保険契約を締結しているところも多いと聞いておりますけれども、まずこういうような財政力の弱い都道府県が、こういう問題に対しましての対処というものをどのように今後していくべきであるのか。それと、いま私が申しました民間損保会社と賠償責任保険契約を締結している実態というものを御説明願いたいと思います。
  127. 井上孝

    政府委員井上孝君) 初めに、市町村を対象としました道路賠償責任保険の実態について申し上げます。昭和五十年四月に全国町村会及び全国市有物権災害共済会がそれぞれ一括して保険契約を締結いたしまして以来、急速にこの責任保険への加入が広がりまして、ことしの十一月の調査結果によりますと、加入状況は市については三百三十一市、町村につきまして二千三百七町村が加入しておるという実態でございます。  ただいま先生の御質問で御指摘のように、財政力の弱い市町村が一たん重大事故につきまして管理責任を問われるということになりますと、もう町村財政が破綻するような金額も考えられますので、私ども昨年の飛騨川の控訴審の判決を機会に、道路管理瑕疵に関する救済制度というものにつきまして至急検討をする必要があるということで、調査費を計上いたしまして、現在社団法人日本道路協会にこの研究を委託をいたしまして、この協会におきましては地方公共団体関係者、学識経験者等を集めていただきまして、道路管理瑕疵救済制度調査特別委員会を設置して、共済制度を含めて検討を進めております。先ほどの市町村がそれぞれ保険に入っておるということでありますが、保険のみに頼るということにもいろいろと問題があるようでございますので、共済制度を検討する必要があるということで、現在鋭意この委員会で検討中でございまして、本年度中に結論が出るというふうに聞いておりますので、私ども建設省としてはその結論を待って必要な措置をとってまいりたいと考えております。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長から道路瑕疵管理特別委員会等を設置してこの対策を講じていると、そうして民間損保会社による損害責任保険の契約等だけでなくして、共済制度についても検討をしているということでございますが、この共済制度に対しましては、それぞれの市町村から、国が基金を拠出して共済制度を発足すべきではないかという意見あるいは要望というものが非常に出ているわけなんです。建設省といたしまして、いま今年内に結論が出て、その結論に応じてこれを考えていくということでございますが、もちろん結論が出なくてはなりませんけれども、問題点はすでに明記されてありますから、この結論が出たという見通しの上に立って、どういう制度の概要あるいは発足の見通しにつきまして、現時点において言われる範囲内で結構ですが、大臣からこの件について御見解を伺いたいと思います。
  129. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いま局長からお話し申し上げたとおりでありまして、道路協会に依頼をして、それぞれ関係の人々にも委員に出てもらいまして調査をやっております。今年度中には結論が出るようでありますから、早急にひとつ検討してみたいと思っております。内容、具体的な問題についてはまだ定かでございませんけれども、いずれにしましても急いで実施をするという考え方で進めてまいります。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 これははっきりと大臣からも局長からもお聞きいたしましたから、これはやはり人間尊重といいますか、そういう立場からも、安定しそうして安心できる世の中をつくる意味からも、地方自治体を救う意味からも、これはぜひそのように実施していただきたい。これは今後私見守ってまいりたいと思いますから、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、いま各地方公共団体では財源不足の対策といたしまして、いろいろな増税、税の新設を考えられておるわけなんです。そういう意味から私は高速道路に関する固定資産税の課税のことにつきまして幾つか御質問をしてみたいと思います。いろいろ火の車の自治体におきましては新税を編み出すために考えていらっしゃいます。たとえばヨット税だとか、国立公園利用税だとか、あるいは法人住民税等の引き上げだとか、あるいは事務所事業所税だとかいろいろな新税が検討されている中で、特に神戸、吹田、伊丹などの市で検討されている問題が、いま私申し上げました高速道路税でございますが、この高速道路税というものは、税理論上あるいは納税者の納得のいく面も私はあるんじゃないかと思いますし、私自身この資料を見たときに、これももっともなことであるし、財源確保のためには当然やるべきであると、私は個人的な立場でそのように思っておりますが、この問題につきまして自治省にまずお伺いをしたいと思いますが、自治省お見えでございますね。  そこで、地方税法の第三百四十八条第二項第五号の「公共の用に供する道路」の規定がございますが、この規定でなぜ料金を取るところの日本道路公団などの高速道路を含めることになったのか、まず最初にこの辺の御説明を願いたいと思います。
  131. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 日本道路公団の高速自動車道路につきましての固定資産税の課税の可否の問題でございますが、実は昭和三十三年に行政実例を出しておりまして、公団等の高速道路は、ただいまお話のございました地方税法三百四十八条に規定のございます「公共の用に供する道路」であるという実例を出しておるわけでございます。その理由といたしましては、一つは公団の性格が非常に公共性の強いものであるということでございます。それからもう一つは、なるほど有料ではございますけれども、これはいわゆる民間でおやりになっている一般自動車道路事業とは違いまして、有料ではあるけれども、その料金はすべて道路の建設費の償還に充てられる。つまり、そこには収益性がないということでございまして、その二点からいたしまして、有料ではございますけれども、公共の用に供する道路たるの性格を失わないという判断でこの実例が出ておるわけでございます。  最近、ただいまお話がございましたように、高速道路所在市町村から高速道路について固定資産税の課税を行いたいという要望が出てまいっておりますが、これは実は四十七年十月からこの高速道路につきまして料金プール制が導入されたということが一つの契機になっておるようでございます。私どもといたしましては、この料金プール制の導入が果たしてただいま申し上げました実例の考え方に変更を来すような重大なる事情変更に該当するかどうか、慎重に検討すべきであろう、かように実は考えておるところでございます。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 もう一度確認いたしますと、あくまで公共性の公団自身が強い性格を持つという理由が一点で、この民間の自動車道路の場合と違って、有料道路の場合とは違って、これは償還をする、そういうたてまえから公共性というものを強く認めたんだと。そうしますと、これは料金徴収期間が経過するならば当然無料道路にすべきそういう立場から、これはいま申し上げました地方税法第三百四十八条の第二項第五号の規定に応じまして、これは免税措置をとられている、このように理解をしているんですけれども、これで、いまの御答弁の中でよろしゅうございましょうか。
  133. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 現在高速道路につきまして、これが「公共の用に供する道路」に該当するという理由につきましては、ただいま申し上げました二点が理由になっておるというふうに思うわけでございます。プール制について申し上げましたのは、従来でございますと、そのある有料道路の区間の償却が終わりますと、そこで無料になる。それがプール制になりましたんで先に延びるということもあるものですから、そういう観点から、従来の実例についての考え方に重大なる事情変更を来しておるのではないかと、その点が所在市町村としてはいま問題にしているところであるというふうに理解しておるわけでございます。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、公共性という立場からこういうような免税措置というものがとられていると思うわけなんです。それがいま申されるとおりに、プール制になってきたというところに問題が提起されてきていると、新しい問題が。  そこで、日本道路公団にお伺いいたしますけれども、お見えになっているでしょう。道路公団見えてないですか。——じゃあ建設大臣、全体を含めましてお尋ねいたしますけれども、この四十七年度道路審議会、昭和四十九年度日本道路公団料金検討委員会で高速自動車国道の料金制度を改めるように答申しているようでありますけれども、プール計算の採用について現在どのようになっているのか、まず御説明を願いたいと思いますが、大臣おわかりにならなかったら、局長かわって概要を。
  135. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘のとおり、道路審議会に料金制度部会をつくっていただきまして、現在及び将来にわたって法律で定められました高速道路を建設するための財源あるいは料金制度等について御検討をお願いしました結果、高速自動車国道はプール料金制をとるべきであるという基本的な線が出まして、四十七年十月に出ました。現在その線に沿って実施をいたしております。  このプール料金制は、御承知のように国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして基本計画を認め、整備計画を出すつど、過去にすでに供用開始をしておりますものあるいは工事中のものも含めまして、プール制で採算がとれるかどうかを検討しながら、採算がとれる範囲内で新たな着手路線を決めていくという考えでやっております。  この考え方は、やっぱり高速道路全国的な交通網の根幹をなすもので本来一体であるべきであるということ、また、料金等も一貫性がなきゃいかぬということ、あるいは採算性の非常によい区間、たとえば大都市と大都市とを結ぶ太平洋ベルト地帯というようなところ、それから地方の方へまいりまして、地域開発の観点からは採算性が非常に悪いというようなところもやはり一体として、全国的な均衡ある開発を図るために必要な基本的な交通手段であります。一体性を持たせるということから、こういうことになりまして、償還期間も早くつくり、かつ交通量の多いところだけが先に無料になるということではなくて、全国的に平準化しようというものでございますので、償還完了後無料にするといういわゆる現在の特別措置法による有料制の性格を何ら変更するものではないという考え方から実施をいたしておるものでございます。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 いまプール制の問題につきまして、ここに四十七年三月二十四日の「高速自動車国道の料金制度について」の答申がありますが、これにはいま局長が申されたとおりに、「高速自動車国道について導入される借入金の償還については、現行制度によれば、路線別の計算に従って行なわれるのが原則であるが、一つの路線と、その路線に接続する路線とが自動車交通上密接な関連を有し、かつ、一体として建設される場合にかぎり、それらの間に合併計算が行なわれることとなっている。しかし、今後もこのような原則をそのまま守っていくことが適当であるかどうかについては、疑問がある。」と、こういうようなプール制の採用についての答申がされているわけなんです。だから、償還をされた路線と、償還をされていない路線とが接続して道路を一体のものにする、合併計算でいくと。大阪で言うならば、御存じのとおり鳥飼大橋は前は料金を取られておりましたけれども、償還が済みましたからあれは無料になっております。このようにしていきますと、路線がどんどん延びるとしますと、従来の計算でいくならば償還の済んだ路線も料金の徴収がされるということになるのですか。そうすると、最初のたてまえと幾分違いが出てくると思いますけれども、この点はどういうことになるんでしょう。これは局長に聞いては申しわけないけれども
  137. 井上孝

    政府委員井上孝君) 私先ほど申しましたように、たとえば高速道路でも東名高速、大阪から名古屋、これはまだ全国的な高速道路網の一部でございまして、その一部を先行的に実施をして料金を徴収いたしておる、供用開始をいたしておるというだけでございまして、有料道路としてはやはり高速道路全体、先ほど申しましたように、現在では審議会でお認め願っております工事中のもの四千八百キロが一体の、一本の有料道路であるという考え方に立っておりますので、特別措置法の定めに従ってやっておるという解釈でございます。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 それはおかしいですよ。いま最初の私が自治省にお尋ねしたのは、その根拠がどこにあるかということで私はお尋ねをしたわけなんです。公共性という立場から他の民間の有料道路との違いというものを明確にして、そこで非課税として今日まで来ているわけなんでしょう。これは、償還が済んだのは一体化ということでどんどんしたならば、これは無料化が——もうどんどんつくっても、償還されたところも同じ徴収されなくちゃならない。そういうことですね、いま私はこれをちょっと疑義を感ずるのです。  そこで、自治省にお尋ねいたしますと、最初に私がお尋ねした固定資産税の非課税とする理由に、いずれかはこの道路建設の場合には該当するであるかわかりませんが、道路がこのように建設され続けるならば、いま言うように無料になるということはないわけなんです。次から次に道路が建設されて、接続していく、接続していくと一そうなりますと、非課税とするのは地方税法の法の趣旨というか、前提との違いが出てくるのじゃないかと、私がいま言っているのは。最初の趣旨というのは、公共性ということで、民間の有料道路との違いという面から非課税の対象になっている。しかし、このようになってきたならば、償還されたところは、この大阪の鳥飼大橋のように、そうするべきであるにもかかわらず、それがどんどん続いていくならば、いつまでたっても料金を取られるということは、この趣旨とちぐはぐになってくるのじゃないかと思うのです。この点は自治省の立場としてどうでしょう。
  139. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 先ほどから申し上げておりますように、道路公団の高速道路の場合、プール制がとられましても、その公団の公共性、あるいは料金を徴収することが収益事業に該当しないという点については変わりがないのだろうと思うのでございます。ただ、いまお話もございますように、従来でございますと、その区間について償還が終われば無料開放される。それが先に延びるというようなこと、プール制の採用によってそれが先に延びるというようなところから、所在市町村としてはいわば従来と事態が変わったのではないかということになっているのだろうと思うのでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、プール制を採用したことによって、いままで申し上げましたような高速道路の性格に変更が来すものかどうか、これについては相当法律上煮詰めなければならないいろんな問題があるのだろうと思うのでございまして、その点については現在慎重に検討いたしておるということでございます。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 これは大きな問題だと思うんです。で、慎重に検討するとおっしゃいますけれども、たとえば具体的な例を挙げますと、大阪の吹田市ですが、ここには南北に名神高速道路が走っております。吹田市内の地域内には大体八・一キロメートル、それから吹田のインターチェンジを起点にいたしまして中国縦貫道路が走っております。吹田市内で三・八キロ。それから近畿自動車道が走っている、〇・六キロ。このように公団の道路道路敷地というものは、面積にしまして六十四万四千平方メーターあるわけなんです。建物が七棟建っております。ところが、いま申されましたように、地方税法の三百四十八条で、公共用の固定資産には課税ができないという、三十五年の自治省から出されているその特例によりまして、この敷地からの税金というものは吹田市に納金されておりません。そこで、吹田市でこれを試算してみました。吹田市で試算しますと、固定資産税は年間一億二千八百万円だと、それから都市税が千二百万円、いま地方自治体はそれぞれ新しい財源をということで新税を考えておりますけれども、これが課税対象になった場合にはこれだけの財源が生み出すことができる。まして同じ公共的性格を持ちます吹田には国鉄の吹田操車場等があります。その国鉄あるいは電電公社などは、固定資産税のかわりに納付金を自治省を通じまして、それぞれの自治体に配分しているわけなんです。そういうことから考えていきますならば、もう償還が済んだ道路でさえも、それが連続されることにおいて、これが料金を徴収されるという、そのもの自身も問題がありますけれども、この他の同じ公共性を持つ国鉄あるいは電電公社等は納付金という形において行われている。こういう点に対しましては、私は少なくとも検討をする余地があるんじゃないかと思いますけれども道路公団の方いらっしゃいませんけれども、最後に大臣、この点に対してお考えいかがでございましょうか、御見解を。——大臣にお尋ねしているんですけれども
  141. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) ちょっと待ってください。
  142. 井上孝

    政府委員井上孝君) 先ほど鳥飼大橋のお話が出ましたが、その辺で私の答弁が不十分であったかと思いますが、プール制を採用いたしておりますのは、御承知と思いますが、法律で定められました高速自動車国道に限定をされております。したがいまして、どこまでも無限に広がっていくというものではございません。  そこで、ただいまのお尋ねの国鉄、電電等の納付金の問題でございますけれども、現在国鉄では固定資産税、非課税になっておりますが、それにかわる交納付金を地方公共団体交付いたしておりますが、これは国鉄等の事業が本来永久有料制を前提とするものでありまして、高速道路は、それに対しまして利用者の特別の便益の範囲内で建設費等の償還のため一時的に有料とされておりますということで、償還後は当然無料開放されるという性格のものでございますので、国鉄等の事業とは性格的に異なっております。したがいまして、国鉄等の事業と同じく、高速道路に交納付金等を負担させるということにはいろいろまだ問題があると考えております。
  143. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) これは固定資産税の問題から考えますと、いろいろ議論の余地あると思うんです。ただ、率直に言って、公団高速道路というのは、償還が終わってしまえば無料になることは、これはもう申し上げるまでもございませんでしょう。その間、私はやはり国民の側から見ても、やはりプール制によって全国一体化するということが本当は筋だと思うんですが、特定の事業に対してやった、そこだけ料金を取った、じゃあもう償還ができたからそこは無料にするといったような、全国がそういうふうに個々ばらばらで、徴収もしておるところもある、していないところもあるといった問題じゃなしに、一貫して北海道から九州の端まで高速自動車道路がぴしっとできて、そこで初めてその価値があるものであって、そういうふうな全国的な一体性のものが必要だということになれば、プール制でいくというのが理想であって、そうあるべきだと私は思っております。しかもそれが全部終わればこれは当然無料化される問題でありますから、これらの固定資産税の徴収対象になるかどうかという問題については、いまも局長からお話があったのですが、私は率直に言って税金の問題あんまりよく勉強しておりませんけれども、そういうたてまえからいくと、どうも局長のいま御答弁申し上げたことが私は適当ではないかという考え方を持っておるわけですが、いかがでございましょうか。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 いや、こちらが聞きたいんですよ。いかがでございましょうかというのは、大臣、こちらがいかがでございましょうかと聞きたいのです。  じゃあ、これはもう時間もありません。これは私またきょうはこのくらいで終わりまして、また次の委員会等でもうちょっといろいろなにいたしますが、東京都におきましても、府中市におきましては、高速道路の下の固定資産税等については取るべきであるというような検討も府中市においてもされておるわけであります。そういうわけで地方団体財源探しに躍起になっておるわけなんです。そういう意味自治省にお尋ねしますけれども、条例、そういうもので、そういう地方自治体がこれは先走りと言えばなんですが、高速道路に課税できるような見切り発車をした場合、そういうような、しないというお考えがあるかわかりませんけれども、しかねないような状態まで来ているわけなんです。そうした場合に自治省としてどのように対処されますか。まずそれをお聞きしておきたいと思うんですが。
  145. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 先ほども申し上げましたように、昭和三十三年に実例を出しまして、道路公団の有料道路については地方税法で申しますところの「公共の用に供する道路」であるという解釈をいたしておりますので、現在地方団体において有料道路に課税をするということは私どもとしては適当でないし、そういうことについては現時点ではやはりやめるように指導をしたいと思いますが、ただ、お話のございました府中市の場合は、これは高速道路の用に供されている敷地があるわけでございますね、高架でございますから。その高架の土地について、たとえば有料でもって駐車場や倉庫のようにその土地を賃貸をされている、こういう場合があるわけです。その場合はまさに道路敷地が一方において道路の用に供されておりますし、他方においていわば課税対象になるような用途に供されておる。こういう二重の目的に使われておるということでございますので、その分につきましてはもちろん一〇〇%課税はできませんけれども、仮に道路について半分、それからそういう倉庫あるいは駐車場用に半分ということであれば、課税標準額の半分について課税をするということは差し支えない、そういうふうに考えておるわけでございます。  高速道路の課税の問題につきましては、これは法律的にいろいろむずかしい問題があろうかと思っておりますが、一方、所在市町村につきましては、先ほどもお話しございましたように、建設以前においてはこれが農地等であって固定資産税収入もあったわけでございますし、一方、救急業務でございますとか騒音の問題とかいろいろな特殊の財政事情もあるわけでございますから、単に課税の適否の問題だけでなくて、そういった所在市町村の特別の財政需要にこたえるための財政援助の道も別にあるのではないか、そういった問題も含めましていろいろ検討をしていくべきものではなかろうかと考えておるわけでございます。
  146. 田代富士男

    田代富士男君 府中市のその問題は、これは高架下を利用している、これは当然のことなんです。だから、この問題についてもいろいろまだほかに問題点がありますが、きょうはもう時間も来ておりますし、一応この固定資産税の問題はここで打ち切っておきたいと思いますが、これはここで打ち切りじゃなくして、継続審議ということにしておきます。大臣が、いかがでございましょうかと、こちらが聞くべきことをいかがでございましょうかと、そういうことじゃ相なりませんから、これは続けてやりたいと思います。  それで、次に南アルプスのスーパー林道についてお尋ねをしたいと思いますけれども、山梨・長野県境の北沢岳部分に残されたまま工事が現在凍結をされております。その後どのようになったのか、この問題に対して、まず経過を簡単に御説明を願いたいと思います。
  147. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 南アルプスのスーパー林道につきましては、昭和四十九年度までに延長で大体九七%でございますが、五十五キロ完成いたしておりまして、全体で五十六・六キロでございます。あと一・六キロ残しまして、ただいま北沢峠付近の工事を中止いたしております。これは昭和四十三年の十二月に、当時の厚生省から認可をいただいたわけでございますが、その当時、北沢峠付近を通るときにはその実施計画についてもう一度協議をしなさいという付記がございまして、それに基づきまして、ただいまの環境庁でございますが、環境庁の方に申請をいたしまして、それに基づいて、ただいま環境庁の方で、そこを通すべきかどうか、どういう形でやるべきか、特に自然環境保全審議会にかけていただきまして、そこの意見を聞くという形で審議をいただいております。そういう関係で、ただいま林野庁といたしましても環境庁と十分調整をしながら対応しておる次第でございます。
  148. 田代富士男

    田代富士男君 委員長から時間だということでございますから、まとめてお尋ねしたいと思いますが、この南アルプスのスーパー林道の観光道路化に対しましては、これはいろいろ問題が提起されておるのは、いま審議会で審議中ということでもおわかりだと思いますが、ことしの夏ごろだったかと思いますが、環境庁長官自身が視察をされまして、ことしじゅうに結論を出すとも、こう言っていらっしゃるわけなんですが、雪解けや梅雨どきには土砂崩れが激しくて、昨年は四十五日間も通行どめになったということを私は調べましたらわかったわけなんですが、この八月と九月、それぞれ土砂崩れで通行中の乗用車が押しつぶされたと、死亡事故も起きているわけです。これは大変なことじゃないかと思いますが、どうしてこういう土砂崩れが激しいかということを調べてみましたら、大断層のフォッサマグナ地帯である。私は地質学者でないですから詳しいことはわかりませんが、こういうような地帯で地盤が日本で一番弱いところである。こういうような亜高山地帯を強引に削って道路を建設したためであるという見解が出されておりますし、先日日本で世界の植物学会が行われたときに、世界の植物学者がこの現場を視察いたしまして、こういう地域を保存すべきであるという、自然保護の面からもそういう意見が出されております。安全通行の確保という点からも工事を中止しろという声が強いわけなんですが、この点に対しましてひとつ環境庁の立場あるいは建設省の立場から、どのようにお考えであるのか、またどのように対処されていかれるのか、これをお願いしたいと思います。  それから、あと街路事業のことについて都市局長にお尋ねしたいと思いましたが、これは時間が来てしまいましたから、御出席いただきましたけれども、次の委員会か何らかの形でやりたいと思います。これも聞きたいと思いましたけれども、これはいまの私御質問をいたしまして終わりたいと思います。環境庁と建設省
  149. 土屋徳之助

    説明員土屋徳之助君) 南アルプスと申しましょうか、一般に山岳の林道の場合、開設工事に伴いまして土砂の崩壊というものが往々に出てまいります。この場合は、通常、自然の破壊を生ずる場合というのが比較的多くなっておりますので、私どもといたしましても、周辺の植生状態あるいは地形、地質等の面について十分検討をして慎重に対処してまいるわけでございます。特に現在審議会で審議中でございますので、この結果を尊重しながら対処してまいりたいと思っております。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 建設省……。
  151. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先生御指摘のように、日本には林道が非常に現在不足いたしております。それと木材資源が非常に足りないということで、ある意味で確かに林道につきましては強硬に延長を延ばすということがございましたために、部分的にそういう状況もあったかと思います。しかしながら、最近におきましては、林道工事をやります場合にも、捨て土の場所それからのり面の保護、その点は十分対応いたしまして、自然保護の工事を徹底的に行いながら林道の延長を延ばすという考え方対応いたしておりますし、今後もその姿勢でやってまいりたいと思っております。
  152. 春日正一

    ○春日正一君 初めに、道路政策の基本的な考え方について大臣にお聞きしたいんですが、御承知のように、ことしの八月に国土庁が新全総の総点検の中間報告(素案)というようなものを出しまして、それの中で新ネットワークの形成ということが先行して生活圏が画一的な近代化が行われて、そうして水路の埋め立てとか屋並みの移転、農地、山林の道路への転用、文化財の破壊など自然的、歴史的風土の破壊が起こっておる。それから生活圏の個性が失われ、生活圏の存立自体が危ぶまれる。巨大都市圏に組み込まれてしまうというような否定的な面が出てきておるというようなことが指摘されておりますし、またこの自然環境の面でも、まあエネルギー革命による経済的な機能の喪失とか、入植者の離農とか、農山村の疲弊、過疎化の進捗というような、政府の経済政策の遂行の結果、そういうものを背景として薪炭林だとか、開拓地、財産区所有の林などが売却され、そうして政府の計画しておる交通ネットワークの整備ということを先取りした企業の土地の取得というものが、四、五年間でもって四十万ヘクタールに及んでおり、この六〇%がゴルフ場や別荘地、レジャー用地というようなものに使われておる。そういう形の無秩序な開発が進行し、自然保護をめぐってもいろいろ社会的な混乱が起こっておるというようなことが指摘されております。詳しくはこれにずっと書いてありますけれども、それ全部を細かく引用すると時間もかかりますし、私はまあ特徴的な目ぼしい点だけを拾って指摘したわけですけれども、こういう指摘は、新全総がうたった開発方針、これの基本とされておるネットワークの形成というやり方で開発可能性全国的に拡大し、そうして中枢管理機能に全国を結びつけていくということを通じて過密と過疎を解消し、国土の利用を均衡させるというような方式自体が問題があったんじゃないかということを問われているんじゃないかと私は思うんですけれども、その点についての大臣考え方大臣はこういう中間報告をもちろん御存じと思いますけれども、それをどのように受けとめられておいでなのか。また、それを今後どのように道路政策の中に生かしていこうとしておいでなのか、その点をお聞きしたいと思うんです。
  153. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いろいろ具体的な問題はまたそれぞれの御質問に応じて、あるいは局長の方からもお答えをいたしますけれども、基本的な考え方はやはり高度経済成長の過程で経済発展を支える、そのための非常に急増する自動車の交通需要に対応するといったことが道路整備の重点であったことはこれはもうそのとおりであります。そこからもろもろの障害ができ、あるいは弊害が生じてまいったことはいろいろ指摘されているとおりでありまして、私どもはそれを決して否定をいたしません。そういう意味から、これからの行政というものは、この道路の交通機能というものに合わせて防災の問題も考える必要があるでしょうし、あるいは採光とか供給施設の収容とか考えなければならぬと思うし、さらにはいま一番問題になっている環境の問題にも留意して、そうして質の高い道路整備を進めていくということにこれからの重点が置かれていかなければならぬことは当然でありまして、そういうふうに努力をいたしていくつもりであります。特に、おくれております地方の特に日常生活に密着しておるところの生活道と申しますか、市町村道と申しますか、こういう問題は非常におくれていることは事実であります。だから、本年からも、そういう方針は持っておりますけれども、さらに今後の道路行政はそういった面にも重点を置いていくことが大きな課題ではないかと、かように考えます。そういった面で、これからの道路行政をいわゆる安定成長の中にあっての方向を見出していくと、そのための全力を挙げていくということが私どものこれからの道路行政一つの方向であり、使命であるという考え方を持っておるわけであります。
  154. 春日正一

    ○春日正一君 それを見ますと、これは私が書き抜いたんだから正確な文句どおりじゃないですけれども、こう言っているんですね。「首都東京をはじめ、中枢管理機能の大集積地である札幌、仙台、名古屋、大阪、広島および福岡を結びながら、全国地方中核都市と連結し、さらに、これらの都市の一次圏内のサブネットワークを介して、日本列島の全域にその効果を及ぼすように、新ネットワークを形成する」。つまり、中枢管理機能の全国的な体系化ということが道路政策の骨組みというか基本的な眼目になっておった。ところが、それについて現実はということで、「このような全国的な国土の骨格を強力に整備することにより、生活圏の大小を問わず画一的に生活環境の近代化が進み、」「それぞれの生活圏のもつ個性が失われ、」「生活圏の存立自体が危ぶまれる」という事態が一面で出てきておると、こういうふうに書かれておるわけです。だから、私はさっき言ったように、大臣の答弁で十分納得できないのは、そういういまさっき読み上げましたような、中枢管理機能を中心としながら全国の町村の末端までをそこに集中するような、そうしてそのための幹線をまずつくるというやり方が、いかに国土を破壊し荒廃さしたのかという問題が出ている。そのやり方、考え方を問われているのじゃないかというふうに私は思うのです。  そこで、もう一つさらにいま問われている問題は、こういう問題があると思います。御承知のように、いまの第七次道路整備五カ年計画というものは、六十年度の長期構想の前提となった経済の見通し、新国土建設長期構想というものに基づいて、それに対応するということで四十八年に三年目でもって繰り上げて第七次ができたわけですね。そうしてそこで考えられておった経済のフレームというものは、今後十五年間の平均成長率は八ないし九%である。国内の総生産六十年度に四十五年の三・四倍、二百三十兆から二百五十兆ぐらいが予定されると。自動車の交通需要が四十五年の旅客で二倍、貨物で三倍。それから自動車の保有台数、四十六年の二・二倍、四千二百五十万台。これは新全総に対応する六次の計画では三千五百万台だったんですけれども、これがこういうふうに算定されております。それから六十年度までのそういうものに合わせて、そのふえる自動車をこなして、現状とほぼ同じ程度の交通の状況というものをつくるというだけで九十九兆円がかかるという計算になっておるようです、私、建設省説明を聞いてみると。そして新ネットワークの形成として高速自動車国道一万キロというのが出てきてこれに加わっている。それで、全体を含めて第七次計画で十九兆五千億という予算が決められたわけですけれども、御承知のように経済が今後十五年にわたって実質七ないし八%で成長するというような高度成長の前提というものは現に完全に崩れてしまった。そうして現在では実質成長率というのは去年はマイナスだったですね、わずかでも。ことしもどうなるかまだはっきりしないというような不安定な状態にある、そうして財政も膨大な赤字を出さなきゃならぬような歳入欠陥を出し、それから地方財政も同様非常に危機的な状態になっておる。しかもその後の経過の中で環境、災害問題が激しくなり、またエネルギーや食糧、土地、水というような資源の問題も非常に重大な問題をはらんでくる、ようになっている。そういうような形で経済の見通し自体がここで大きく変わってきたわけですね。  その点について、三木総理が七十五国会の施政方針演説でも、高度経済成長路線を転換して安定成長と福祉向上の路線へ切りかえなければならないということを言い、その理由として高度経済成長を支えた内外の条件は崩れ去ってしまっておるんだ、こういうふうに言っておるわけですが、そうしますと、当然いままでとってこられた高度成長型の経済の政策というようなものは変えていかれなきやならぬし、安定成長というような方向へ変えていかれなきやならぬというように考えてみますと、先ほども言いましたように、そういう見通しのもとに第七次道路整備五カ年計画というようなものがつくられて、そうして交通需要の見通しというようなものも立てられてきたのが、いま言ったような経済政策の破綻の中で大きくこれ変わってきているわけですし、当然これに伴って経済のあり方、国土利用のあり方も変わるはずですから、道路計画もこれに対応して当然変わらなければならないはずです。単に成長率が落ちたから、あるいは総需要抑制だからということで、いままでの計画の枠組みをそのままにしただけで、ただ、工事の進行のテンポを落とすというようなことでは済まぬ問題になってきておると思うんです。  だから、当然そういう意味では、前段に言いましたネットワーク方式のつくり出したいろいろな矛盾、国土庁が指摘しておるようなそういうものと、それから新しい経済情勢に対応するというようなことを考えてみれば、転換の方向として、後回しにされてきた農山漁村の振興、地方都市の特性に応じた町づくりとか大都市への集中を抑制するというような方向で、それに沿った地方道路の整備や、あるいは高速道路計画見直しやモータリゼーションという方式の見直しというようなものが国民的な立場からやられなきやならないのじゃないか。いまそこへ来ておる。非常に大事な、国の経済でもそうだけれども道路政策の重大な転換点に来ているのじゃないか、そういうふうに思うんですけれども、その点大臣はどう思いますか。当然閣議でもいろいろそういう問題は経済の見通しなんかと絡みながら、道路をどうするかというような話も出ていると思うんですけれども、そういうふうなことが問題にされておいでになるのか。それとも単にいまは一時スピードダウンして、また景気がよくなったら高速道路のこの計画どおりさっと進めるのかどういうふうなのか、そこらが国民も知りたがってるし、私も知りたい。そこをお聞かせ願いたいのです。
  155. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 春日先生考え方はよくわかりました。私は最初御答弁申し上げましたように、急激な経済発展に対する交通需要はこのままではいけないから、それに対応する道路政策をさらに進めなきゃならぬ。そのためには前段申し上げたとおりの方向でこれからはいくべきだと、こういう考え方を持っております。第七次が高度成長当時につくられた計画であることも事実であります。そうすると、これから安定成長なりに向かっていく場合においては、それに即応した計画でなきやならぬことも、これもそのとおりであります。そういう意味で三全総というものがいま計画されておりまして、年度内には恐らく方向が見出せるのじゃないかと思っておるわけであります。ただその場合に、それじゃ三全総、まだこれはっきりその全貌がつかめないものですから、いま検討する、経済の見通しについても御承知のとおりいま検討中でありますから、はっきりしたものをつかめないから申し上げることはできないのでありますけれども、そういう方向に向かって今後の建設行政も進めていかなきゃいかぬことも事実であります。  ただ、道路計画がちょうど五カ年計画の中の真ん中の年でありまして、まだあと二年残っておるわけであります。三全総の出方にもよりますけれども根本的にじゃその道路計画を練り直してしまって、そして新しい縮小したものに持っていくかという問題と、おっしゃるように進度調整をしながら現在の経済に合わした方向で道路行政を進めていくかという問題、こういう問題には根本的なこれは議論をせなきゃいかぬ問題があるわけであります。と申しますのは、いまの全国的な計画そのものも、ただ政府が勝手に、与党が勝手に決めたものじゃないわけなんです。全部全国の各地区、各階層の人々から強い御要望があって、その御要望に応じてできたのがあの集約であります。そういう面をじゃこんな経済の時代になったからずばりとここからここでぶつ切るということはなかなか簡単なものではないし、それにはそれなりにまたその地域の人々が発展に対する一つの夢も持っているはずでありますから、これは政治の問題としてぶった切ってしまって、これだけの計画をこれだけに縮小するといった問題については、これは与党の内部でも非常に議論があるわけであります。それには若干まだ私ども全体計画も、三全総も決まらないし、まだわれわれの計画、五年計画も半ばでありますから、そういった面においてはもう少し時間をかしてもらって検討せなけりゃならぬじゃないかと思っておるわけであります。  特に、これはこの間いろいろ国鉄ストなんかもあったのです。大都市を中心とした生鮮食料品が、この間もここでも議論になったわけですけれども、八日間ほどストップしておきながらも、案外大きな波乱もなしに供給ができたというところは  一体何なのかということをいろいろこれはまた議論をされておるわけであります。普通の年の国鉄が二、三日ストップしたらもう生鮮食料品は大騒ぎをするのが、ああいう状態で、それほど大きく国民にあるいは大都市を中心にして余り不安を与えない程度であれだけのものができたというその原因がどこにあるかというふうなこと。これは考え方によっては道路網というものがかなり整備しておって、長距離のところもいわゆる大型の貨物輸送ができたからああいうことができたのじゃな  いかということを考えると、必ずしも高度成長でやった道路政策がすべてが悪だというふうには解釈できない、これは一つの大きなりっぱな実証ができているのじゃないかと、こういう議論も実はあるわけなんであります。そういうものも考えながらこれからの道路計画を私どもは考えていきたいと思いますが、いずれにいたしましても経済の実態に合った今後の推進方法は考えていかなきゃならぬことは事実でありまして、その方法は先ほど申し上げたとおりであります。   〔委員長退席、理事増田盛君着席〕
  156. 春日正一

    ○春日正一君 国鉄ストのときの食糧の輸送の問題やそういう論もある。しかし、私どもに言わせれば北海道や鹿児島から東京へ野菜を持ってこなくても、関東圏域で十分賄えるような国の経済のあり方というものがあるんじゃないのかと、むしろそういう議論がある。私らはそう考える。  そこで、三全総の問題は、これはできてから通常国会かそういう時期に十分論議もしたいと思いますけれども、さしあたってまだあと二年残っているわけですね、五カ年計画が。そうすると、こういう状況ですから、当然この二年残っている枠の中でも手直しというようなものは必要だろうというふうに思うんですけれども、その点どうですか。
  157. 井上孝

    政府委員井上孝君) おっしゃるとおりでございます。御承知のように五カ年計画、三年を経過しまして、まだ半ばを消化しておりませんので完全達成はもう至難でございますし、またこれを来年、再来年と残りの二カ年を実施いたしますについても、やはり質的な軌道修正をしつつ、近く策定されます新しい経済計画あるいは三全総の線に沿って実施をしていくというつもりでおります。ただ、計画根本的に練り直すということは、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、まだ全国的な経済計画もはっきりいたしておりません。今度は十分これらの全国計画と整合をとった上で新しい五カ年計画を立てるべきであるということで、中身の軌道修正をしつつ近い将来に改定をいたしたいというふうに考えております。   〔理事増田盛君退席、委員長着席〕 また、この見直し作業も法律に基づきます五カ年計画改定するというはっきりしたものではございませんが、新しい経済計画に沿ってわれわれこれからの、来年からの五カ年についても中身をいろいろと検討中でございまして、その中にはたとえば先ほど先生御指摘になりました昭和六十年四千二百五十万台というような自動車の保有台数というものもこの際訂正をいたしまして、いまいろいろと作業中でございますのではっきりした数字は申し上げかねますが、これよりも相当、四千万台を下回るような、自動車保有台数というものを訂正をいたしまして、計画を練り直しておるということでございます。
  158. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、私の言ったのは、二年残っているその二年の中での手直しということを言ったわけですが、そこでお聞きするのが筋だと思いますけれども、時間の関係がありますから、私、建設省の方からいただいた資料を整理して私の方で言いますから、間違っておったら訂正していただきたいと思います。私は、この建設省からいただいた五カ年計画年度の市町村道の道路計画の進捗率を見ますと、一般国道が四七・六%、都道府県道が四三・九%、市町村道が三六・五%、これは補助事業分ですね。それから有料道路が四三・五%という形で、やはり特別市町村道の比率が低いわけですね。そうして改良率とか舗装率というようなものがうんと低いということは、これはもう私言うまでもないからそれだけにしておきますけれども、市町村道の木橋が一万七千橋もあるし、バス路線実延長一万八千キロの中で改良率が五九%、舗装率が五三%、しかも市町村道全体の延長は八十九万キロですからね。そういう意味から見れば、市町村道の整備率というようなものはこれはきわめて低いというふうに言えると思うんです。当然これは先ほど指摘された街路やそういうものをつくるのに急であって、地方にいろいろひずみが出てきたというようなそういうものから見ても、一番おくれているこれをやはり引き上げるということに力を注がにゃならぬし、予算配分その他についてもそうしなきゃならぬと思うんですけれども、その辺はどうなっていますか。
  159. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘のように五カ年計画、第七次道路整備五カ年計画の進渉率を道路の種類別に見ますと、市町村道が他の幹線道路よりも劣っておるということは御指摘のとおりでありまして、実はこの五カ年計画昭和四十八年に策定いたすまでは、市町村道というものは奥地等産業開発道路とか山村振興道路とか過疎地域対策道路等の特別の立法措置のあるものについてのみ市町村道を採択しておったのでございます。そういった幹線道路主義でやってまいったものでございますが、昭和四十八年のこの第七次五カ年計画からそういった方針を一歩進めまして、日常生活の基盤となる幹線市町村道についても、特別の立法はなくても大幅にこれを採択していこうという国民の生活を考慮した計画に練り直したわけでございます。したがいまして、実は七次計画におきます市町村道の規模は五千億という数字でございますけれども、これはその前の第六次五カ年計画に対して実は三倍以上という、金額的にはまだ少のうございますが、大幅に七次計画策定の際に市町村道分をふやしたわけでございます。  それから、したがいまして全体の枠が非常に大きくなったということと、それと毎年度の予算を見ますと、四十八年から四十九年度は実は道路事業費全体はほぼ前年並みの予算でございましたけれども、市町村道につきましては一八%伸ばす、その次の五十年度の予算におきましても同様、全体はむしろ予算が圧縮になりましたけれども、市町村道は十数%伸ばすというようなことで、毎年毎年は他の国道、県道よりも伸び率を大きく持ってまいりました。しかしながら、先ほども申し上げましたように全体の七次計画の規模を急に大きくしたものですからなかなか進渉が間に合いませんで、三年目の進渉率を見ますと、国道、県道よりも劣っておるという結果になりましたけど、この七次計画発足以来、市町村道には特に重点を置いて予算の拡大を図ったということを御了承願いたいと思います。
  160. 春日正一

    ○春日正一君 いままでやらなかったのが今度ふえたというんですけど、五カ年計画財源配分を見ましても、総事業費が十九兆五千億で一般道路事業九兆三千四百億、このうち一般国道が三兆七千五百七十三億、主要地方道が一兆四千六百九十一億、都道府県道が一兆六千二百五十八億、そうしてこの市町村道はまあ一兆八千五百六十五億となっていますけれども、幹線市町村道は五千億で、あとは街路一兆三千億、といって街路は指定都市まで入っているというですから、だからこれは市町村道の予算というふうには一概に見えない。そうすると、先ほど局長も言われたように五千億というものが組んである。そうして地方単独事業が市町村道で四兆七千億というふうに組んであるんで、だから市町村道の整備というのはほとんど地方に任されて、国の財源配分というものが全体の十九兆五千億の中の五千億ですからね、だから非常にこれ少ないですね。  だから、そういうのを比率にしてみましても、この割合にしてみても、補正後の全体分では若干ふえておって三・三%ですか、道路費三・三%となっているんですが、しかし、補正予算そのものの組み方、つけ方を見ますと、一般国道が五五・四、それから都道府県道が一六・四、市町村道が四・三と、それから街路が二〇・九というようなふうにして、当初予算に比べて一般国道は四〇から五五にふえているわけですけれども都道府県道が二一から一六に減り、市町村道は五・二から四・三に減っているというような形で、地方財政が苦しくなって裏負担がつけられないという事情からだと思いますけれども補正で、先ほどからの議論から言えば、市町村道に対する予算はもっと率としてふやさなきゃならぬものが減ってきているというような事実も考え合わせてみますと、そう局長の言われるように、うまくいっているとか、努力の跡が見えるということではないと思うんですよ。だから、そういう意味では、私は時間があるし、ほかの問題もあるから、問題点だけはっきりさしておきますけれども、全体の道路予算の中で市町村道に対する配分というのが非常に少ない、これをもっと大幅にやはり引き上げる必要があるだろうということですね。  それから、もう一つの問題は特定財源の問題。これは今度の法案の議題ですけれども、これの配分ですね。これ見ますと、先ほども二宮委員の質問の中でもちょっと出ましたけれども道路財源としては特定財源でほとんど間に合っておるというふうなお話だったんですけれども、しかし、これの配分を見ますと、国が揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、これを取って一兆一千三百六十五億、それから地方自治体地方道路譲与税、それから軽油引取税石油ガス譲与税自動車取得税自動車重量譲与税、こういうようなものを取って全体で六千四十四億ということになっているんですけれども、このうち市町村に渡るのは自動車取得税の千七百四十七億の七割、それから自動車重量譲与税の六百二十七億、合わせて千八百五十億。だから、特定財源全体の約一割強ぐらいしか地方道路財源には回されてないというような状況になっているわけですね。だから、そういう点を考え、特に先ほど来も問題になったように、補助事業裏負担が取れないというような状態のもとでは、もっとこの特定財源を大幅に市町村に回すべきじゃないかという点が一つ。  それから、もう一つついでに聞きますけれども、いまのシステムでいきますと、管理中枢に幹線で結びつけ、さらに地方中核都市に周辺の市町村を結びつけて広域生活圏というようなものをつくるというそういうやり方ですね。そういうやり方をやって、これは政府からもらった資料ですけれども、こういう形で日本国じゅうの町村まで全部中核都市、それから管理中枢という形で結びつけていく、そしてそのための幹線を優先させるというような形でやられておるために市町村の生活自体が壊されて、先ほどの国土庁の指摘にもあるように、大都市に吸収されてしまうような現象が、現に過疎地の中でさえ、その過疎地の県庁所在地とか主要な都市には人口が集中して、そして周辺部分の過疎が一層ひどくなっていくような過疎県ですね、そういう現象さえあるのですから、だからそういうことのないように、本当に国民がその地域に即して住んでいけるようにするためには、そういうものに対して補助をつける。たとえば一級幹線市町村道とか二級幹線市町村道というような形で規格を決めて、それに対しては補助をつける、その他のものは補助対象にしないというようなこと。そしてこれは過疎対策でもそうだし、山村振興あるいは街路の問題でもやはり同じような基準でもって、その基準に合ったものに補助をつけるというような形で、結局そういう国策に沿ったものにしか補助をつけないために、いわゆる昔からある村なり町のそこでの自足的な生活環境というものが壊されていくというような状況になっている。  だから、そういうふうな補助のつけ方ではなくて、この勧告にも出てますけれども、市町村がもりと自主的に——こう書いてあります。勧告というか、さっきの中間報告の中では、「従来、都市の整備・建設の方向や手法については、法令や諸制度等に基づく全国的な基準によって画一的に定められる場合が多く、」「国の一定の方針のもとに地方公共団体によって都市の整備・建設が行われている。」として、その後の批判として、多様な住民のニーズと意向を十分把握して個性ある都市整備を進めるためには、市町村がみずからの手によって市町村整備計画を策定し、これによって地方都市の環境整備が行われ、国や都道府県地方都市の環境整備が円滑に進められるよう補完的役割りを果たすべきであると言って、このため行政事務の配分、認可権限、財源配分のあり方等、新しい情勢に対応し得るシステムを開発する必要があるというような反省をしているわけですね。私どもこのことはいつも言ってきた、道路の問題のときには。一番もとである自治体がここで住民の声を聞き、そこの生活を円滑にやるための道路をつくっていくと、そういう計画を積み上げながら国全体の道路計画というものもつくられていく必要があるだろう。それがいつも無視されて、大企業の、産業のということで、コンビナートとコンビナートを結ぶような大道路ばかりが計画されてくるということに対して批判をしてきたんだけれども、そのことが国土庁のこの検討によっても一応認めざるを得ない状態になってきておる。  こういう段階で、いま言ったような補助——一級幹線、二級幹線、あるいは過疎とか山村対策とかというような、そういう補助を細かく切って限定してやるのではなく、もっとまとめた財源を市町村に与えて、市町村の裁量でもって必要とする道路を優先的にやれるような、そういう方向に切りかえていくべきじゃないのか、その点をはっきりさしていただきたいと思うのですけれども、どうですか、その点。この二年の間の予算の組み方にもそれは私は幾らかは反映できると思うのです、やる気なら。
  161. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘の市町村道に対するお考え方はよくわかりました。ただ、私ども御指摘の過疎対策とか山村振興計画とかというものを作成する場合には、市町村の自主的な意向を十分尊重して作成されたものというふうに思っておりまして、決して幹線道路のように国の方で一定の基準をつくって、それを押しつけておるというようなことはないものと了解しておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。  それから先ほど前段の方で、市町村に対する今度の補正予算配分が少ないという御指摘がございましたけれども、これは先生の御質問の中にも若干ございましたが、今回の補正予算は第四次景気対策として実施されましたので、私どもとしてはこれが早急に年度内に工事が消化されるということを前提に、そういう観点から編成をいたした結果、当初予算の配分よりやや直轄事業といいますか、国道の関係事業に若干偏ったという結果になっております。  それから市町村の事業をふやすということにつきましては、先ほど申し上げましたように第七次五カ年計画でも相当重点的に思い切ってふやしたつもりでありますが、また一方、この事業を実施いたします市町村の財政はもちろんでございますが、技術的な能力、そういうものにもある程度限界がございまして、逐次これはふやしていくということが適当な方法ではないかと思いまして、実は御承知のように過疎とか特別豪雪地帯とかというような本当に市町村の能力が余りないと思われるようなところでは、県が市町村道の事業をかわって財政財源も持ってやるという代行制度というものを相当大幅に取り入れております。  それから一方、本当に幹線市町村道で整備を急がなければならぬというものは、市町村に対する補助を一方でやります反面、県と相談をいたしまして、市町村道の県道昇格というのも毎年実施をいたしております。こういったいろんな対策で、市町村道整備にあらゆる手段で手当てをいたしております。道路に関する特定財源を市町村に与えるということだけでは直ちに市町村道の整備が促進されるというものでもないと思っておりますので、あらゆるいろんな観点から、角度から、市町村道の整備にこれからも重点を置いて実施してまいりたいというふうに思っております。
  162. 春日正一

    ○春日正一君 一般的なことではそういうことですけれども、いまの説明の中でも言われておりますけれども、いわゆる幹線市町村道というようなものを設定して、広域生活圏というようなものをつくるということで、そことその地方中核都市ですか、これとを結ぶようなものを第一級の幹線市町村道だと、それから二級の市町村道はどうだといってここにも基準が出ていますわ、指定の。こういう基準に合うものだけを拾い上げて、そうして結びつける道路をつくらせるというようなやり方をするために、そこでの足元の暮らしの道路、ちょっと役場へ行くとか、学校へ行くとか、隣の村へ行く、あるいは隣の部落へ行くというような道路が完全に抜け落ちてしまう、そうしてそのためにその地域の昔からある生活の関係というようなものが壊されてしまう、そこが一番問題だし、そこら辺の配慮なしに、結びつけりゃいいということではいかぬと思うんです。その点で私非常に示唆的だと思うのは、この論文にちょっと引用されているんですけれども、あの民俗学で有名な柳田国男先生ですね、あの人が昭和四年に書いた論文の中に、   所謂鉄道網の驚くべき計画は、結局二三の中央市場に向って、輻射線式に進められたので、此頃漸く地方連絡の声が高くなったが、それとても一方の端では、只東京への近路として珍重して居る。……それを軍に自然の成行として諦めてしまうことの出来ぬのは、山脈を隔てた二つの漢を繋いで居る道路の、切れて二つの袋となったことが其一である。嶺の両側は必ず風土を異にし、何れか一方からは海の産物をも入れることが出来る、有無相通ずるに適したる隣であった。それが鉄道が山を貫く場合にも、数多き峠路の一つだけを採用して、其他は悉く無類の僻村と化し去った。  こういう文章を書いているんですね。つまり、私は昭和四年という時期にこの問題に着眼されたというのは、さすが柳田先生だと思いますけれども、いまそれが大規模にやられているわけですわ。そうして昔からの生活圏なり何なりが壊されていっている。そこのところを考えて、私の言いたいのは、そこを考えて、だからその地方の住民あるいはそれを代表する自治体が、隣村との交通やいろいろ考えながら道路を整備していけるような形で、まとめて、自由に使える財源をもっとやる。補助するにしてもこれこれという厳格な規制の補助でなくて、もっと大きな枠組みの中で補助をするというようなことに変えていかなきゃならないのじゃないか。そこを言っているわけですけれども、どうですか大臣、私のこの考え方、間違っていますか。
  163. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 私は決して間違っているとは申し上げません。だがしかし、補助を実際に交付するのに、道路一つの補助を出しても、ちょっとその道路計画を立てて、設計をして、これだけの金が要るからこれだけの補助をあげましょうと、ぴしっとやっているわけですわね。それをまとめて一つにして、それをおまえら中で適当に下の方でやりなさいというわけにはこれは国費は使えぬわけでして、ただしかし、総合的にいろいろ道路計画を立てる場合に、もう少し道路予算をふやして、おっしゃるように、特に市町村道については、これから私は積極的に考えるべきだと思ってやってはいますけれども十分じゃありません。パーセンテージからいっても確かに少ないですけれども、しかし、全体の枠が少ないものですから、伸び率は非常に伸びておるんですよ。国道なんか今年は九三ですから、七%ぐらい減になって、マイナスです。それが市町村道は一七%伸ばしておりますから、そういう面においては大幅に努力しておるつもりでありますけれども、全体が少ないものですから、全体のパーセンテージにすると、おっしゃるとおりの小さいものになるということです。  それから同じ補助金を出すにしても、先ほどからいろいろ申し上げているように、産振法とか、あるいは奥地産業開発法とか、あるいは過疎地域対策法とかいったような、そういう地域立法に基づいてやはりそういうものを重点的にやるものですから、それ以外の法律の適用されない地域は、そのまま補助率なしで、補助金なしでいくという傾向は確かにあるんです。だから、先ほど局長が話したように今年からそういうことをやめます。あってもなくても、必要なものはその町村に市町村道として補助金を出そうという、それはかなり私は前進だと思います。問題は、その額をできるだけ大幅に取るということがいまの場合われわれにやれる精いっぱいの問題だと思うんです。お話としてはよくわかるわけですけれども、現在の場合、国費を支出する場合には、そういう一つの過程を経なければならぬということをひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。
  164. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、将来に向けてはやはり単に補助をつけるんじゃなくて、地方道路財源として交付税みたいな形でまとめて出すというようなことも考えるということまで含めて検討していただきたいと思います。  そこで、今度は実際的な問題に私入らしていただきますけれども、これは簡単な問題です。この写真をひとつ大臣見ていただきたいと思うんです。これは北海道の石狩川の支流のまた支流の清真布川という川ですがね。これは直轄河川で、これは政府の責任で堤防をつくっておるところです。ところが、現状はこうなっているんですね。堤防がここまで来て切れて、ここ道路が通っているところは堤防がないんです。これひとつ向こうへ大臣の方へ行って見せていただきたいと思います。(写真を示す)そういう堤防というものがあっていいもんかどうか。この間の六号台風のときにはこういう状況ですね。その割れたところは増水すると土のうを持っていってふさいで破壊を防ぐというようなことをやって、六号のときには辛うじて防いだようですけれども、それでも危ないところができて、こんなに堤防の裏は崩れかかっているんですね。それからこれが土のうを積んで、これから向こうを見た橋なんですけれども、土のうを積んだ、この上、私立っていますけれども、ここまで崩れてきた。これもちょっと見ていただきたい。(写真を示す)そういう堤防というものが考えられるだろうか、国のやっておる堤防でもって。あいておって水が出そうだったら土のうを積むと、水が引いちゃったら土のうを取っ払ってまたあけておくというようなことが考えられるだろうか。これ、河川局の方も来てもらっておりますからあれですけれども、私、時間がありますから、あともう一つ聞かなきゃならぬから説明しますけれども、現地へ行ってそれを聞いてみたんです、北海道の開発局の方に。そうしたら、そこは栗沢町というところですけれども、その道路は町道なんですね。だから、町道だから町でその道路を上げて、堤防の上へ橋を通すようにしなきゃならぬと。そうすると、北海道ですから四分の三は補助がつきますけれども、それでも二億円かかるところで約四、五千万ぐらいは町が持たなきゃならぬ、とても持ち切れぬと。二十幾つかあるうち十七は河川サイドでもって建設省が主としてその費用で橋はかけてくれたと、あと五つ残っていると。それがそこのところはいわゆるさっき言った幹線道路になるもんだから拡幅しなきゃならないと。そうすると、道路関係になるから河川じゃめんどう見れぬと。ところが、道路の方は補助をもらっても、町では橋はかけられないと、そういうことになっているんですね。  だから、道路河川だと言わずに、そういうようなだれ見たって不自然な危険な状態をなくすために、建設省として何とか手を打てないものかと、私はこれは建設省に対する相談なんです。ここに空知郡栗沢町から来た陳情書がありますけれども、それにもそこを何とかしてほしいということが書いてあるんですね。何とかしてほしいったって、そういうことなんですから、河川で七割持って道路で三割持つとかなんとかいう形でやれぬものかと、その返事を聞かしてほしいんです。そんな状態を残しておくという手はない。
  165. 井上孝

    政府委員井上孝君) 御指摘の清真布川の栗沢町の橋梁につきまして、御指摘ございましたので調べてみました。御指摘のようにこの一町で、この河川改修に関連いたしまして道道、町道等ございますが、二十三橋も、河川改修にあわせて従来短い木橋であったものを大きな橋にしたというようなことで、すでに二十三橋のうち、御指摘のように河川関係河川改修費といいますか、それに一部道路の補助も含めまして十六橋がすでに完成しております。二橋が今年度実施中でございまして近く完成をいたします。残りが五橋、そのうちの一つがこの写真にあります、これはたしか南五号橋という町道だと存じますが、これが大変おくれておりまして、この間の出水で土のうを積んだというような事実があったそうでございます。私ども実は調べましたら、この橋について町当局からまだ国庫補助の申請がないようでございまして、御指摘もございましたので、道を通じまして町当局より要望を出させまして、その上で採択を検討をいたしたいと思っております。
  166. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、これはどういうことなんですか。とにかくこの六号台風のときの栗沢町の要請書では、いま言った清真布川五線橋ということが書いてありますけれども、加茂川必成橋云々という四つの橋をかけるようにしてほしい、かけかえしてほしいというあれが出ているんですね。それで町当局にもいろいろ聞いてみたんですけれども、やはり補助の申請が出てこないというのは、結局いま言ったように二億かかると、そうして北海道だから四分の三補助ということになれば、まあ五千万は持たなきゃならぬと、それも積み込みがないと、だから補助の申請が出ないということになるわけでしょう。そうしてさっきいろいろ言われたように、堤防ができていく過程で、いままでの小さな川ですね、そこに写真があるような、それを上げなければならなくなってんだから、町としてみれば国の施策によって金をよけい出さされるという状況に置かれたわけですから、そこらやっぱり考えて、何とか解決できる道というものを——だから、そういうものを出せばまた建設省考えてくれますか。それを返事してください。
  167. 井上孝

    政府委員井上孝君) 私、道路局でございますので、河川関係のことをいまここで断言を申し上げるわけにはまいりませんが、恐らく私の判断では、これは河川改修と合併ができると思います。したがいまして、現道の幅は河川改修で持っていただきまして、それを広げる幅だけを道路でもって出すと、また町の負担も、河川改修の方は直轄でございますから町負担ございません。相当軽減できるんじゃないかというふうに思っておりますが、なお、御指摘ございましたので検討さしていただきたいと思います。
  168. 春日正一

    ○春日正一君 河川局、お願いしておいたのに、だれか来ておりませんか。——とにかく、大臣そういうことですからね、河川道路と両方で何とかこういうものを解決するようにひとつしていただきたいと思います。これは大臣に頼んでおくのが一番間違いないんだから……。
  169. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 両局でよく相談をさせまして進めたいと思います。
  170. 春日正一

    ○春日正一君 お願いします。  それからもう一つの問題ですね、これは首都高速の方ですけれども、中央環状高速道路というものについて、この計画の概要と進行の状況、これを説明していただきたいんですが。
  171. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 首都高速道路の中央環状線は、総延長で約四十七キロメートルにわたって東京都心部を中心に環状の道路でつないでいこうという計画でございます。つまり、現在できております首都高速道路の路線が、非常に小さな現在走っております環状線を唯一の連結点としまして、それぞれ外側に何本も延びているわけでありまして、そのために現在の放射線から入ってきて都心に入るものはともかくとして、一たん環状線に入って、さらに別の方面の放射線に乗っていくというような交通が非常に多いわけであります。その非常に小さな現在できている環状線に相当多量の交通がいやでも乗るというルートになっておりまして、このためにあそこの部分の合流点で常時渋滞が繰り返されている、都市高速道路としての機能もほとんど麻痺するといった時間帯が非常に延びてきております。  そういうことのために、かねてからいまのような小さな環状線の外側に、かなり外側にもう一本環状線をつくりまして、それによって東名道とか中央道とか東北道等から入ってきてほかの方面に抜けていくという交通の流れをここでバイパスさしてしまう、ショートカットして通すということを考えたわけでございます。もちろん全線ができれば十分にその目的が果たせるわけでございますが、部分的にでもできればその方向についてはそれだけの効果があるというものでございます。現在までの進捗状況は、北池袋の地先でごく部分的に一キロメートルぐらいできております。また、葛飾区の四ツ木地先から足立区の下沼田町までの区間につきまして約八キロ程度、合計九キロが事業を実施中でございます。そういうことで差し引きました残りの三十八キロにつきましては、まだ都市計画も決定されておりません。したがいまして、工事も行われていないということでございます。
  172. 春日正一

    ○春日正一君 これの計画が決定されたのは四十三年ですね、首都圏整備計画一つとして決められたのは。そしてそれは品川区内から北区、江東区を通って東京湾岸道路ということで、こういうかっこうになるわけですね。  そこで、お聞きしたいんですけれども、この中環一期工事となっていますね、これ一期。それから中環二期、それから五号二期、中環これは四期ですか、それから葛飾——川口線、それから六号二期、それから中環三期とこうなっていて、それでこっちの方だけがずっと施行され、あるいは問題にされていっているわけですね。何でこういうふうにされるのか。つまり、中央環状という一つの体系を持ったものですね、それがそれとして問題にされないで、細切れでもって既成事実が一つずつつくられていくというようなやり方ですね。そういうことしたら後で必ず矛盾が出てきて、あそこのあれはまあ解決つきそうですけれども、烏山のところの中央道は、ああいうような形で押しも引きもならぬようなことになるんじゃないですか。全貌をはっきりさせて、そして都民が納得するというような状況の中で工事が進められていくということにならなければならないと思うのですけれども、こういうふうな形でこの葛飾、それから足立ですね、そういうような方向へはもう仕事を延ばしていっておる。ところが、品川やあるいはこっちの方ですね、品川とか新宿とかこっちの方は何も知らぬと、まだ話もないという状態になっているというふうなことですね。どうしてこういうことをされるのか、そこをちょっと聞かしてほしいんですが。
  173. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 中央環状線は、究極的には先ほど申したような非常に小さな環状線だけではこの数多くの放射線を支えるものとしては余りにも不十分である。そのために交通のネックが至るところに発生しているということに対処するためのものでありますが、しかし、この環状線というものは、この環状線を全線ぐるっと回るというような交通を予想しているわけではございませんで、部分的にこれを使いながらバイパスしていく、ショートカットしていくという使われ方を実際するはずのものでございます。そういうことですから、全線が完成しなければその機能がフルに発揮できないというものではなくて、まあ全線開通が最も望ましいわけですけれども、部分的にでも効果のあるという区間は十分に計画されるわけでございます。いま御指摘の主として荒川に沿った江戸川区から葛飾区に至る区間は、中でも東京を中心に北東部あるいは東部に向かって、つまり千葉県の方向に向かって近年非常に著しい交通の増大があります。それを受ける一般街路がはなはだ貧弱であるところから、六号線の延伸とか葛飾——川口線といった形で別途高速道路の建設を実施中でございますけれども、こういった交通が、都心に目的地を持つものはそのまま入るわけですけれども、必ずしも都心に入らないでもいい。むしろ都心に入らないでも別のルート、つまり中央環状線の一部のルート及び湾岸線等を通って東京の西南部の方に抜けていく、あるいは東北から入って西北部へ抜けていくというような交通も相当ありますので、こういったものをはがせようということで考えたわけでございまして、まあ全線の開通とは一応切り離してでも急ぐ必要があるという判断でございます。
  174. 春日正一

    ○春日正一君 それじゃね、そこの切り離した部分の問題を先にお聞きしますけれどもね。この葛飾——江戸川線というやつですね、四ツ木橋のところからずっと江戸川へ出るやつ、あれの進行状況はどうなっていますか、計画の具体化している状況は。
  175. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) いま御指摘の葛飾——江戸川線というのは、葛飾区の四ツ木の地先から、ずっと南に、川沿いに下りまして、江戸川区小島町地先で湾岸線につなごうという延長約十一キロメートルの区間のことでございますが、これにつきましては、先ほど申したようなこの方面の交通に対処するために早急に着工したいと考えまして、首都高速道路公団でこれを実施すべく計画をしているわけですが、この首都高速道路は、まず東京都で都市計画決定をしてもらいまして、その上で公団がその施行を受け持つということになりますが、その都市計画を決定するためのいろいろ準備、地元との折衝を行っている段階であります。
  176. 春日正一

    ○春日正一君 その折衝の段階ですけれども、この部分だけは、この地図にあるように、この四ツ木橋のところから綾瀬川の左岸を通って、それで上平井水門ですか、ここから荒川と中川の背割り堤ですね、これを通ってずっと湾岸道路に行くということになっているんですけれども関係している四ツ木のこの辺というのは非常に人家の密集した地域であって、だからそこにそういう高速道路をつくられたのでは生活環境が全く破壊されるということで、地元の人たちが対策協議会というのをつくって反対もし、そして首都高速道路公団が綾瀬川、中川左岸に建設を予定しておる高速道路計画をやめさせること。計画作成には地元住民の意思を反映させるために、地元住民を加えた適当な機関をつくることということを区議会に請願をして、区議会でも第一項目、首都高速道路公団が綾瀬川、中川左岸に建設を予定しておる高速道路計画をやめさせることというのは全員一致で採択しているわけですね。そしてそれが通ることで、これは大都市ではいつでもそうですけれども、たとえばそれが通る一キロ半ぐらいの間で、西渋江小学校の校庭とプールが削られると、中川中学校の校庭、薬師幼稚園の園舎が削られると、そういうような状態になればもうその学校は存在し得ないですよ。学校の校庭が削られるというようなところに高速道路が通っちゃったらそのまま教育なんて続けられませんよ。だから、そういう意味ではもう学校も何もどっかへ移転さしてしまわなければならぬような問題を含んでおるわけですね。そういうふうな問題もある。そうしてまたその上自動車の騒音とか、排気ガス公害、日照障害というようなことで教育環境が破壊されてしまうし、それから特に渋江小学校の場合は、正午で三分の一、午後一時に二分の一、午後二時以降は校庭が全部日が当たらなくなるというような状態になるわけですね。だから、父母も心配しているし、同時にあの四ツ木橋のところというのは、いまでも非常に交通の渋滞するところですわ、御承知のように。私もたまさか行きますけれども、そこにそういう高速道路ができてランプができるというようなことになれば、あの辺は一層平面においても交通が混雑する状況ができるでしょう。  しかも、考えていただかなければならぬのは、私も下町に若干住んでおったことがありますけれども、あの辺の生活というものは、小さな工場があって、それとのかかわりでいろいろの人たちが生活をしておりますから、内職をやったり、いろいろして。だから、ここは道路通るからよそへ行ってくれといって、よそで住めない人たちですよ。そこでなければ生きていけないような生活環境というものが長年にわたってつくられてきている。そういう地域を通る道路ですから、だから地元の人たちは反対して、そういう請願を直接関係者が出して採択された。その後、今度は高速道葛飾江戸川線反対同盟というものができて、これは木根川、四ツ木一丁目、四ツ木一丁目中町、東四ツ木南町、四ツ木町会、渋江東町会の六町会。それから中川中学校PTA、木根川小学校PTA、西渋江小学校PTA、渋江小学校PTAと四つの学校のPTA。それから四ツ木新盛会、渋江商盛会という二つの商店会。こういう関係した団体が団体として反対同盟というものをつくって、この地元を、綾瀬川の左岸の方を通る、これは絶対やめてほしいということを請願して、これも区議会で採択されておるわけですね。そういう点は総裁御存じですか、そういう運動があるということを。
  177. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 中央環状線の三期の、ただいま局長から指摘をされました区間のことでございますが、これは首都高速道路公団といたしましては、都市計画決定が東京都において行われまして、建設大臣から基本計画の指示をいただき、工事実施計画書によってそれをやると、こういうことになりまして、初めて本格的に首都高速道路公団としてはこの問題に取り組むことになるわけでございます。したがって、ただいま私どもいろいろ情報は聞いておりますし、説明を求められればそれに応じて説明をする等のことはいたしておりますが、まだいわば第一線の、責任を持ってこれを処理しているという段階ではございませんのでございます。  しかし、いまお話のございました中央環状線の三期の通りますところは、主として中川と荒川の背割り堤といいますか、そこの部分でございまして、ただ、上平井水門から上の部分約一キロ余り、一・四キロでございましたか、その部分が背割り堤ではなくて、通るとすれば荒川の本堤を通ることになるわけでございまして、そこは河川の管理上困る、こういうことでございまして、そこからやはり綾瀬川の左岸の方を通ると、こういうことになるというふうな話を聞いておるわけでございますが、地元ではそれをやはり真ん中の背割り堤からさらに延長した本堤の部分を通すようにしてくれと、こういう話がございます。私どもはいろいろ建設省の方、東京都の方の話を伺っておりますが、それは河川管理上困るのだと、こういうことで地元側といろいろ話し合いも進んでおるようでございますが、地元とされましては、綾瀬川の左岸を通ります場合には、それじゃどうするかと、いろいろ学校の問題とか御指摘のようにございますが、私どもは将来都市計画決定がございまして、首都高速公団がこれを担当してやるということになりますならば、その段階で十分地元の住民の方々とはとくとお話し合いをいたしまして、極力住民の方々の御要望に沿って処理をするように努力をいたしたいと、まあかようにただいま考えておるわけでございます。
  178. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、まあ公団の総裁の方はそういうことで、実際言えばまだ公団の出る幕ではないと、東京都が住民との話し合いもし、説明をし、都市計画決定をする、いまこの手続をやっておるという段階で、まあ公団もいろいろ参画はしておるけれども、表面に出る段階ではないということですから、これは建設省の方にお聞きした方がいいと思うんですけれども、とにかくいまの段階が私は一番大事だと思うんです。無理して決めてしまって、東京外郭環状のように決めてしまってから、事業決定やっちまってから大きな反対がばっと起こってですね、いまストップになっておるでしょう、凍結に。そういうことになるんだから、いま都市計画決定やる前の住民との話し合い、住民の納得ということが一番大事なことだし、しかも区議会でも請願もしておる、そういう住民団体も請願もして採択もされておるというような状況ということになれば、これはやはり十分住民との話し合いもやり、意見も聞いて、住民が納得するというまでは強行するべきでは私はないと思う、大きな生活破壊になるわけだから。  それと、先ほど公団総裁言いましたけれども、背割り堤を通ると言いましたけれども、あれ通ったとしても不安があるんですよ、江戸川の方は。たとえば江戸川の反対協議会の方で、いま通っておる高速七号の騒音測定をやると、道路から百二十メートルの荒川放水路の中堤防の上ででも平均六十一ホン、最高七十ホンというような、しかも余り超大型車も少なく、下り線がたびたび渋滞するようなわりあいその騒音の少ない状態でも環境基準を上回っておると。つまり、いま通ると言われておるその堤防の上で七号線の騒音を測ってみたら、環境基準を上回っておるっていうんですから、その上を高速が通れば、それはやっぱり川越した向こうまで環境基準を上回った騒音がいくということがあるわけですから、だから荒川区の近隣の住民たちも決して背割り堤を通るんだから心配ないとは言ってないんですよ。十分にだから調査をして、いろいろな条件を、そうしてデータを出してくれと、騒音、風向き、大気など科学的に予測したデータを毎年季節ごとにつくって示せということをずっと要求してきている。そうしてその五十年三月に左岸住宅地を一部調査を行っているけれども、結果は年内に説明するということで、まだ説明聞いてないというふうな状態ですけれども、やはりだから背割り堤の上を通るから文句なしということじゃなくて、上を通られても川っぷちの人たちには相当騒音が出るということで、反対があるということを、これはしっかり覚えておいてほしいと思うんです。だから、私もうこれ以上ここでこの問題言いませんけれども、とにかくこういう生活にかかわるような大事な問題がかかっているところですから、十分話し合って納得のいくまで無理押しをしないというようにしてほしいと思うんですよ。その点どうですか。
  179. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) とにかく都市計画決定をしなければ工事にはかかれない仕組みになっております。したがって、当面は都市計画を決定するという問題にかかっているわけでございまして、これにつきましては当然都市計画法上もいろいろ手続があります。法律以外でも、実際に直接的な影響のあらわれる多数の方の御意見もあるわけですから、まあ東京都が中心にまず原案をつくられるわけですけれども、私どもも一体となって十分話し合いを進めたいと思います。
  180. 春日正一

    ○春日正一君 私どもも東京都政の与党ですからね、東京都に対しても十分住民の意見を聞いて慎重にやるようにしますけれども、同時に、建設省としてもそういう点で十分東京都を指導してほしいと、そういうふうに希望しておきます。  それから最後に、総論的な部分ですけれども、六号環状ですね。これ地図をずっと見ますと、中央環状というのが、地図を見ますと、(地図を示す)この方がわかりいいから言いますけれども、これ、大体この辺はいま地上を通っている、五反田からずっと目黒の大鳥神社の前を通って、ずうっとこう行っている東京の六号線ですね。あれに大体沿ってこう行っているという感じですけれども、大体その辺の位置ですか。
  181. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) そのとおりでございます。
  182. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、これはもう最後のあれですから、私十分検討してほしいと思うのですけれども、この前の、もう何年か前でしたか、八環線の外側に外郭環状をつくるということが決定されまして、あの辺の住民が超党派で反対して、これには自民党の小山省二さんだの、そういう人から共産党の松本善明さんまで全部入って、区議会議員から都議会議員まで超党派で反対した。それで結局凍結ということになったのですね。だから、あれはなぜそうなったのかと。結局あそこに環状ができて、東名だ、中央道だ、関越道だ、東北道だ、そういうものを受けてくれば、これはもう大変な交通量になるだろうし、住宅が立ち退いたり、学校がさっき言ったように立ち退いたりというようなことで、いままでの環境が根本的に破壊されるような状態が起こるということで再検討してくれということで、みんながまとまって反対したのですけれども、これはあれよりもっと内側でしょう。旧東京都、戦後に広がったあの東京都のちょうど境目くらいなんですね。新宿の西側、池袋の西側、あの辺ずっと通るところでしょう。一番人家が密集したりいろいろしているところですね。ここに環状道路を通すというようなことが実際問題として住民の大きな反対なしにできるだろうか、それが一つ。  それからもう一つは、あなたが先ほど言われたように、通過交通をはかすと言いますけれども、確かに通過交通もはけると思いますけれども、この環状線をつくれば。これと、まあこれが非常に狭いから、ここが。だからもっとはけると、こういうおつもりでしょうけれども、そういってよくなれば、これに出ているように京葉道が入ってくる、それから常磐道が入ってくる、東北道、それから大宮バイパスからこう入ってくる、関越道が入ってくる、中央道が入ってくる、みんなこれで受けるわけでしょう。そうしますと、それは東京へ来る車の中には千葉県や神奈川に行く車もありますけれども、東北地方とか新潟から来る車というのは大体東京を目指して来るわけですよ。だから、ほとんど東京のどこかでおりて、市内にずっと拡散していくわけですから、そうすると地上の交通を非常に激しいものにしてしまう。そういう矛盾が出てくると思うのですわ。だから、むしろ警視庁あたりでも問題にして、いままでの東京都の交通対策でも、どうして東京に車が入るのを防ぐか、あるいは大型トラックなんかは時間制限をして入れないようにするというようなことが東京都の交通対策としての一つの方向になって、それで苦労しているわけでしょう。そこへこういうものをつくって、しかも都心に近いところですわ、これは。つくって、それで東京へ集中する地方からの高速道路を全部ここへつないでしまったらどういうことになるのか、呼び込むことになっちゃう。だから、これは無理な相談ですよ。大体現状と対策から見て逆行するような計画ですよ。だから、これは私は再検討していただいたらどうか、そういうふうに思います。再検討されなかったら必ず大反対運動が起こって、えらいことになると思う。だから、それは再検討していただきたい。同時に、もう一度だめ押ししますけれども、先ほどの葛飾——江戸川線もそういうものの一環としてできるわけですから、だから住民の方がいろいろそういう面も含めて反対しておる、この点を十分くみ取って、住民の納得がない限り強行しないようにしていただきたい、このことを私希望して、質問を終わりたいと思います。
  183. 中村波男

    委員長中村波男君) 増岡河川局長出席しておられるから……。
  184. 春日正一

    ○春日正一君 そうそう、せっかく来てもらったんだから。  さっき道路局長の方からもあらまし聞きましたけれども、例の六号台風で問題になった栗沢町ですか、北海道の栗沢町の清真布川の、栗沢町の方では五線橋と言っておりますけれども、あそこの橋のところが堤防がこう切れてるわけですね。だから、直轄工事の堤防がこんなところで切れて、水が出たら土のう積みますというようなおかしなことないじゃないかということで質問もして、それで、当局も御存じのようですけれども、堤防をずっとつくるために、いままで狭い川を渡っておった木橋を二十三個も堤防に合うようにしていかなきゃならぬと、町ではとても負担し切れないからということで、いままで十六個ですか——私は十七と聞いたんだけれども、とにかく十六個は河川事業として町の負担にならぬようにしてあげられた。ところが、いまの五線橋のところは幹線道路になるものだから、広げなきゃならないから、そうすると道路工事としてやらなきやならぬ。ところが、二億ぐらいかかるのを、三分の二ですか、四分の三ですか、補助を受けても、やはり五千万ぐらいは町で持たなきゃならぬし、とても持ち切れないから何とかしてくれという陳情なんですね。  それで、私もいま大臣にも道路局長にも何とかならぬかというあれしたんですけれども、それは道路河川と両方で相談して何かやってくれぬかということで、道路局長の方は何とかなりそうだという話をされたんですけれども河川局長の方からもその点について考えを聞かしていただきたいんですが。
  185. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 北海道開発局の清真布川の改修は鋭意やってまいったわけでございますが、何しろ付帯工事が非常に多かったわけでございまして、本当を言えば早くこういう協議が成り立ちまして、町当局の財政も非常に窮屈な問題があったものでおくれたわけでございますが、私ども河川の方は早くやりたい、早くりっぱにしたいという一心でございますので、いろいろ町自身の財政の問題も私聞いておりますが、私ども河川とすれば、できるだけやはり道路局と上手にひとつ協定いたしまして、先生のおっしゃるようなそこまでいかないのじゃいかと思っているんです、地方負担が。いろいろわれわれの方も地方財政を十分頭に浮かへまして、道路と川で早く——まず道路の方でやるという意思がありますと、われわれすぐそれについて同時にひとつやらしていただきたいと思っておりますので……。
  186. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、結局さっき道路局長が答弁されたことと、それをいま河川局長が補足をされたというふうに受け取っていいですね。そうすれば、大体うまくいきそうだと。私、地元へ返事しなきゃなりませんからね。
  187. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 御承知のように、これは改良、質が変わっていきますので、やはりルールによって、現況のままやればもうみなわれわれやりますけれども、やはり質的な向上というものはルールがございます。その最小限のものは持っていただかにゃいけない、そういうことでございますけれども、とにかく早く道路もでき、堤防もできることが一番いいわけで、しかも地方財政のこともよくわかりますので、ひとつ道路局とその辺よく協議さしていただきたいと、そういうことでございます。
  188. 三治重信

    ○三治重信君 私からごく簡単に御質問をいたします。  昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案については、民社党としては賛成をいたします。その理由は、今回の補正予算で全体としても建設公債、赤字公債を大量に出しておるこの事情の中で、昨年の道路整備費で相当道路財源が使えるということならば、こういう特例を設けてこの際早目にその財源を使用する、こういうことについてやむを得ないものだろうと思います。  それで、まず第一に、この整備の特別財源としてのガソリン税やその他自動車の関係の税金についてもっとほかの党からも御質疑があったと思うんですが、この二年にわたる非常な増税をさらに続けたいという気持ちかどうか、さらに、現行の特別増税を続けた上に建設省としてはこの財源をさらに増加さすために来年度増税を考えているのかどうか、また、増税を考えているならそのアップ率はどの程度のことを考えているのか、それはどういう理由なのか、これをひとつかいつまんでお話をしていただきたいと思うんです。  時間がないから、こちらの方の希望を先に申し上げますと、ガソリン税とかこういうのは、やはり国際的に石油の資源が四十八年の十月に石油ショックと言われるぐらい国際的にも問題になったわけです。これを国内事情でいたずらに財源として石油にどんどん課税をしていくと、こういうことはやはりまた石油の非常な値上げのいい理由をもたらす。先進国は、われわれの石油資源に非常に利益があるためにどんどん税金をかけられていくのだ、税金をかけられるぐらいならばわれわれの石油をもっと上げてもいいのじゃないか、こういう非常なもっともらしい理屈になるのじゃないかと思うんです。したがって、ガソリン税なんかの増税というものは、やはり石油の価格というものが非常にいま国際的に問題になってきたからには、国内事情だけで判断をしなくて、国際経済も考えてひとつ考えないと、またとんでもないしっぺ返しを食うんじゃないか、こういうことを考えての配慮もあっての御意見かどうかもつけ加えてひとつお願いを申したいと思います。
  189. 井上孝

    政府委員井上孝君) 私ども建設省といたしましては、来年度の予算要求に当たりまして特定財源制度についていろいろ検討をいたしました。御承知のように四十九、五十年度道路予算そのものが圧縮を受けました関係で、昭和五十年度の当初予算で見ますと、特定財源と言われておりますガソリン税、それから自動車重量税の八割というものを積算いたしますと、五十年度当初予算ではその予算額の九八・八%が特定財源あるいは自動車重量税という結果になります。したがいまして、来年度の予算要求はまた別の観点から各省一五%以内ということに抑えられておりますので、道路予算はただいま概算要求では一三%増で要求をいたしております。そういった事情を勘案いたしますと、建設省としても四十八年に定めましたガソリン税の暫定税率、これをこのままの税率で継続をしていただくということ、今年度で切れますので、やはり租特法の改正が要りますが、このまま継続していただくということで建設省は予算を要求いたしております。したがいまして、ガソリン税、自動車重量税について、建設省といたしましては来年度増税を予定はいたしておりません。  また、石油の値上げの問題でございますが、これは主として通産省の方で石油企業の内部分析等含めましていろいろと検討しておられます。私の方からお答えする問題ではないと思いますけれども、やはりガソリン税というものは石油価格に非常に大きな影響を与えますので、そう道路の方で必要だからということで値上げをするということはいささか問題があるのではないかと思います。私どもとしては、繰り返しますが、現行の暫定税率の継続を前提として予算を要求いたしております。
  190. 三治重信

    ○三治重信君 今年度の当初の予算の見積もりと、いまのところ決算額の見込みとはどういう予定ですか。一般のやつだと、この間の補正予算だと四兆五千億もえらい不足をして公債で穴埋めしていくわけですね。今年度の特定財源の方のやつは大体どの程度のプラスマイナス——あるいはマイナスかもわかりません。マイナスだろうと思うんですが、どの程度のマイナスをしているのか。
  191. 井上孝

    政府委員井上孝君) 今年度揮発油税収の予算額は七千八百九十億というふうに財政当局、私の方でも算定をいたしております。現実の揮発油税収の見通しでございますが、これはやはり大蔵省の方でいろいろと見込みを立てておりますので、そちらの方の見解によるべきであると存じますけれども、私ども建設省といたしましてもいろいろといろんな傾向をキャッチをしまして見込みを立てておりますが、今年度の現在までの月別の揮発油販売量あるいは通産省の石油供給計画等を見ますと、先ほど申しました今年度の税収見通しを若干上回る税収があるのではないかというふうにいまのところ見通しを持っております。
  192. 三治重信

    ○三治重信君 ひとつぜひ、今後この財源問題でいろいろ問題になると思うんですが、そうすると建設省の方としては増税の継続で道路特定財源を考えていきたいと、こういうことなんですが、そうすると、きょうほかの党からも御質問があった問題ですけれども建設省としては、大臣一般財源にこういう——さらにこれは道路の特定財源としてはそれの税率でいけると思うんですけれども一般財源が不足するから、それとは別個に一般財源としてガソリン税や自動車重量税を相当税率を加重して増税をしていこうと、こういうことについて、建設大臣として、特定財源の確保の見地からやむを得ぬと判断されて今後対処されるのか、それは反対として対処されるのか、一応いまの心構えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  193. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 増税の問題はいろいろ議論されておりますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、まだ党が決定したわけでもございません。政府の最終決定でもございませんから、片一方には増税があるかと思えば、片一方で減税も非常に強く主張されておるんですから、最終的なものはまだ決まっておりません。ただ、私どもは少なくとも自動車関係から取る税金は道路に使用するということがたてまえでして、道路予算というものを大幅に圧縮して、そして道路財源を仮に増税をしてほかへ持っていくというのは決して好ましいことではないし、私ども決してそういうことは適切な方法でないと、そういう考え方を基本的には持っておるわけであります。
  194. 三治重信

    ○三治重信君 では、二、三の具体的な問題についてちょっとお伺いいたします。  最近非常に不景気になったものですから土地が売れなくなってきた。それでいろいろ陳情を受けますのは、まあせめて道路予定地あるいは公共用地として予定されているのをひとつ先買いしてもらえぬかという問題が非常に出てきていると思うんです。それについて県、市なんかは、先買い制度があるけれども、全般の財源が、お金がないからと言って、むしろ前よりか土地の先買いが後退しているのではないかと、こういうふうに見ておるわけなんですが、やはり前から言われている、道路にしても土地にしても、土地問題、土地の取得さえできれば事業はいくんだということをさんざん言って、聞いておるんですが、こういうふうに非常に不景気の一つの反映として、一般に売るとえらいたたかれるけれども、公共用地の敷地のところで、公示価格もできたことだし、せめて公共用地のところを先売れば、そうすればあんまり買い値もたたかれぬでできるんじゃないかと、こういう判断から、公共用地の予定地について土地の売り込みの——これは売り込みになっているんですね。いつ幾日買ってくれと、こう言ったんだけれども、買ってくれぬけれども何とかしてくれぬかと。こういう問題に対して、ぜひこれは、まあ片方から見れば、公共事業なりいろいろの公共用地取得を従来ガンになっていたのが、この際少し無理をしても来年度でやれる対策を特に考えてほしいと思うんですが、どうなんでしょうか。
  195. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 最近は非常に変わってきまして、ぜひひとつ国の方で買い上げてもらいたいという要望がもう至るところにあるわけであります。本来なれば、そこまでに皆さん御協力願っておるものなれば、早く引き受けて公共事業を推進していくというのが私どもの本当の気持ちであります。ただ、たびたびこの委員会でも議論をされておりますように、市町村段階あるいは県の段階においても、俗に言う先行投資というのが非常に多いわけであります。合わせまして七千一百億ほどあるわけであって、これ自体もまた非常に地方団体の大きな負担になっておるわけであります、利子の支払い等において。だから、まずそれもできるだけ再取得をすることに努力をせなきゃならぬと思って私どもやっておるわけです。ただ、それをしながらも、現在の状態で、現在の公共事業枠内で取得することになりますと、最小限度三年ぐらいはかかるだろうということが予想されておるわけです。そうになった場合に、三年間向こうになっては利子は払わなきゃならぬし、逆ざやができた場合に一体どうするかという問題がすでに議論をされております。せっかく協力してもらって、先行投資をやってもらって、しかもその地方団体にそれ以上逆ざやで損をかけるようなことは、これはさしてはならないということで、私どもはそういう扱いをどうするかということ、これは関係省ともいろいろと協議をいたしております。何らかの方針を出さなきゃならぬ時期にも来ておるわけであります。そういう意味で、これからの新しい先行投資ですか、そういったものはできるだけ抑制をするという方針でいまいっておるわけです、これはもう始末がつかないわけでありますから。ただ、それかといって、それぞれまた地区によりまして、その用地が直ちに、たとえば年度当たり道路をあるいは進めていくために必要な土地であれば、これは公共事業を推進していくために、場合によれば当然買い取りをしなきゃならぬものもあると思います。これはもうケース・バイ・ケースでどうしても進んでいくようにしなきゃならぬと思いますが、全般的な傾向からいって、新規の先行投資はできるだけ抑制をして、そして過去のものをできるだけ早く再取得することにまず努力をしていくということがいまの基本的な考え方であります。ただ、例外のあるということだけは申し上げておきたいと思います。
  196. 三治重信

    ○三治重信君 そういう事情もあるかもわかりませんが、公共事業をやっていく場合に、土地をあれほどやって、先行投資もそれだけの累積の負債になってきたことはわかりますが、そうしますと、ひとつ公債財政に入ってきているわけなんですから、そういう土地の需給について非常な問題を——前には早く売れ売れと言って買った、今度はやめたと。そうすると、一般の住民の希望からいくというと、反対反対ということになると、こういうことに対して一つの案として前からも二、三の人が言っておられると思うんですが、土地の買い上げについて、それを公債というんですか、そういう債券で交付して、それはどうしても必要な人にはそれについて融資の制度もあとは保証するなりいろいろなことを考えて、何かそういう公債や金融債で土地の所有者に渡して解決していくようなこともひとつぜひこれについて考えていただいたらどうかと思うんですが、これは別にいますぐ御回答はいただきませんが、私はこういうものは、結局土地問題を何とか片づけていくといった場合には、しかも公示価格制度もできて土地の値上げを抑えていくということになると、やはり公債なり金融債なりでも、土地と交換してその地主に渡していくと。これの担保の問題をやっていけば、全部いままでの七千百億みたいに現金で買うよりか私はそう資金が要らないで、一つのまたやり方があるのじゃないかというふうに思っております。  その次に、最近何と申しますか、交通統制というんですか、非常に厳しくなって自動車の置き場に困る部面が、これは駐車場としても、また町の買い物や連絡道路にちょっととめておいても非常に罰金を取られる。ひどいのになると、あれレッカー車で持っていかれますと、持っていく方も大変だろうと思うんですが、持っていかれた人はなお大変で、取りに行くのにタクシーで金がかかり、そしてその上さらにまたたくさんの罰金を取られ、レッカー車で一たん持っていかれると大変な負担になっている。そういう意味において、それが全部不良な駐車とばかり言えない問題で、もう少し自動車の置き場をしっかりした対策を立てていただきたいと思うんです。そのためには、実際見るとまだ各地に空き地があり、これはみんな土地の上に権利を取られるために空き地にしているのが非常に多いわけなんですが、こういうようなのも自動車の仮の置き場の提供としてでもひとつやる。ある小さな都市では地主から市が一時借用して、市の責任においてその土地はいつでも地主が必要なときには返すと、こういうような特別な契約をやって、軽い使用料を出して、そして市民に一般の営利の駐車場よりか安い駐車場を提供して喜ばれついる部面もあると思うんですが、こういうモータープールのやつや、そういうものにちょっとした、もっと実際の空いたスペースを——市街地の中で、また市街地の外でも道路の上にずいぶん夜歩くと自動車が置いてあるわけなんです。徹底的に取り締まると同時に、そういう置き場についてひとつもっと配慮なりそういうものについての対策はとれないか、また考えておられるかどうか、ぜひこれはひとつ考えてもらいたいと思うんです。
  197. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 駐車場法による駐車場というものは、年々二〇%ないし一五%程度ずつはふえているわけでございまして、現在全国で言えば五十五万台分というものができておりますが、おっしゃるとおりまだまだ不十分な状況であります。なおかつ路上の駐車が非常に厳格になってきますと、その分をどっかで受け入れなきゃならないという問題になっております。御指摘のような空き地の借用等による一時的な対策も当面はいろいろと工夫し活用しなければならないと思いますが、やはり非常に不安定なものでありますから、その付近に多少時間はかかっても恒久的な駐車施設というものを考えた上でのことでないと、いざ閉鎖になったときにまた大変な混乱を生ずるという問題もございます。駐車場につきましては大部分起債というような制度、一部道路の付属物として実施するものには無利子貸し付けの制度等がありまして、これを活用して地方都市などではかなり効果を上げている場所もありますが、大都市につきましてはいろいろ大都市の交通のあり方も踏まえながら、当面どうしても必要な駐車場に対する対策をいろいろとその場その場に適した方法で解決していきたいと思います。
  198. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つは、最後ですが、街路事業土地区画整理業の中で、これは主にやはり何としても道路を拡幅する、また道路面積を多くするのが非常に多くあろうと思うんです。こういう部面で今度の不況対策ですか、景気対策として、この市街地の再開発や土地区画整理事業に重点を置いてぜひひとつ今後やっていただきたいと思うんです。非常に土地問題が混乱したのも、この市街化区域の中におけるこういう都市計画が、伸長が非常に悪いというところに大きな原因があると思うんです。不況対策として、また景気対策としてやる場合に、そういう市街化区域の中のいわゆる土地区画整理や街路事業、そういうようないわゆる都市計画がどんどんおくれをとらず進めていくことによって、そういう都市計画区域内の土地が有効利用されていくと、こういう部面を重点にひとつ建設省はやっていただきたいと思うんです。これがまたいい環境の住宅をたくさん提供するもとだし、土地の供給にもなるし、景気回復対策にもなると思うんですが、とかく景気回復とかということになると、目立つ大きな道路とか橋をつくるとか、大きな雄大な計画に走りがちだと思うんですが、私はやはりこの従来おくれた、なかなかできなくておくれた部面について重点を置いて幅広くやってもらう、ことに都市の改造について、住民の生活環境の改善になることに重点を置いてやってもらいたいと思うんですが、その点について特に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  199. 中村波男

    委員長中村波男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  201. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案に対する反対討論を行います。  この法案は、現行法では五十一年度財源となるべき揮発油税等の増収分を五十年度補正予算道路財源に繰り上げて充当するために特別措置を設けようとするものであります。しかしながら、こうして財源を充当する政府の道路予算の内容は、高速道路、国道等に重点が置かれていることも明らかなように、高速自動車国道など全国的なネットワークの形成を骨格とする日本列島改造型の道路政策を推進するものとなっています。また、不況対策の上からも、大規模な工事を重点的に発注し、鉄鋼、セメント、大手建設などの需要喚起を優先する大企業本位のものとなっています。わが党は、このような道路予算のために繰り上げてまであえて財源を充当することは容認できないのであります。  今日、国民は、政府・自民党のモータリゼーションに追従した道路政策のもとで深刻な犠牲を強いられています。自動車交通量の増大とその後追い的な道路整備のイタチごっこは、ますますモータリゼーションを助長し、交通事故、交通渋滞と公共交通機関の衰退を拡大再生産するものとなっています。また、排気ガス、騒音、振動、日照妨害など、いわゆる道路公害による国民の生活環境の悪化、一刻も放置できない状況になっています。さらに、高速交通体系中心の道路政策によって町や農村、歴史的、自然的風土の破壊も進行し、地方都市の首都圏への踏み込みも激化しつつあることは、新全総の総点検を待つまでもなく明白であります。このような道路政策は緊急に改めなければなりません。国民の経済的。社会的、環境的な機能を第一義とする道路政策に転換すべきであります。そのためには生活道路、足元道路とも言われる市町村道の整備を重視し、市町村が自主的に執行し得る道路財源を保証すべきであります。  わが党は、このような国民本意の道路政策のもとで財源を充当すべきであることを主張して、反対の討論といたします。
  202. 増田盛

    ○増田盛君 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案について、賛成の討論を行います。  御承知のとおり、この法律案は今回の補正予算の関連法案として提出されたものであり、道路整備緊急措置法第三条の適用について特例措置を設けようとするものであります。  現在の厳しい財政事情及び昭和四十九年度の揮発油税等の決算調整額が約五百三十四億円という例年にない多額のものとなったことを考慮し、この決算調整額を昭和五十年度道路整備費の特定財源として先取りし、使用することにより、景気対策の一環としての道路整備費財源を確保し、その事業の実施を認ろうとするものでありまして、やむを得ない特例措置と考えるのであります。  以上、簡単に賛成の討論といたします。
  203. 中村波男

    委員長中村波男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないものと認めます。  これにより採決に入ります。  昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  205. 中村波男

    委員長中村波男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 中村波男

    委員長中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会