○春日正一君 それを見ますと、これは私が書き抜いたんだから正確な文句どおりじゃないですけれ
ども、こう言っているんですね。「首都東京をはじめ、中枢管理機能の大集積地である札幌、仙台、名古屋、大阪、広島および福岡を結びながら、
全国の
地方中核都市と連結し、さらに、これらの都市の一次圏内のサブネットワークを介して、日本列島の全域にその効果を及ぼすように、新ネットワークを形成する」。つまり、中枢管理機能の
全国的な体系化ということが
道路政策の骨組みというか基本的な眼目になっておった。ところが、それについて現実はということで、「このような
全国的な国土の骨格を強力に整備することにより、生活圏の大小を問わず画一的に生活環境の近代化が進み、」「それぞれの生活圏のもつ個性が失われ、」「生活圏の存立自体が危ぶまれる」という事態が一面で出てきておると、こういうふうに書かれておるわけです。だから、私はさっき言ったように、
大臣の答弁で十分納得できないのは、そういういまさっき読み上げましたような、中枢管理機能を中心としながら
全国の町村の末端までをそこに集中するような、そうしてそのための幹線をまずつくるというやり方が、いかに国土を破壊し荒廃さしたのかという問題が出ている。そのやり方、
考え方を問われているのじゃないかというふうに私は思うのです。
そこで、もう
一つさらにいま問われている問題は、こういう問題があると思います。御
承知のように、いまの第七次
道路整備五カ年
計画というものは、六十
年度の長期構想の前提となった経済の
見通し、新国土建設長期構想というものに基づいて、それに
対応するということで四十八年に三年目でもって繰り上げて第七次ができたわけですね。そうしてそこで考えられておった経済のフレームというものは、今後十五年間の平均成長率は八ないし九%である。国内の総生産六十
年度に四十五年の三・四倍、二百三十兆から二百五十兆ぐらいが
予定されると。自動車の交通需要が四十五年の旅客で二倍、貨物で三倍。それから自動車の保有台数、四十六年の二・二倍、四千二百五十万台。これは新全総に
対応する六次の
計画では三千五百万台だったんですけれ
ども、これがこういうふうに算定されております。それから六十
年度までのそういうものに合わせて、そのふえる自動車をこなして、現状とほぼ同じ程度の交通の
状況というものをつくるというだけで九十九兆円がかかるという計算になっておるようです、私、
建設省の
説明を聞いてみると。そして新ネットワークの形成として高速自動車国道一万キロというのが出てきてこれに加わっている。それで、全体を含めて第七次
計画で十九兆五千億という予算が決められたわけですけれ
ども、御
承知のように経済が今後十五年にわたって実質七ないし八%で成長するというような高度成長の前提というものは現に完全に崩れてしまった。そうして現在では実質成長率というのは去年はマイナスだったですね、わずかでも。ことしもどうなるかまだはっきりしないというような不安定な
状態にある、そうして
財政も膨大な赤字を出さなきゃならぬような
歳入欠陥を出し、それから
地方財政も同様非常に危機的な
状態になっておる。しかもその後の経過の中で環境、災害問題が激しくなり、またエネルギーや食糧、
土地、水というような資源の問題も非常に重大な問題をはらんでくる、ようになっている。そういうような形で経済の
見通し自体がここで大きく変わってきたわけですね。
その点について、三木総理が七十五国会の施政方針演説でも、高度経済成長路線を転換して安定成長と福祉向上の路線へ切りかえなければならないということを言い、その理由として高度経済成長を支えた内外の条件は崩れ去ってしまっておるんだ、こういうふうに言っておるわけですが、そうしますと、当然いままでとってこられた高度成長型の経済の政策というようなものは変えていかれなきやならぬし、安定成長というような方向へ変えていかれなきやならぬというように考えてみますと、先ほ
ども言いましたように、そういう
見通しのもとに第七次
道路整備五カ年
計画というようなものがつくられて、そうして交通需要の
見通しというようなものも立てられてきたのが、いま言ったような経済政策の破綻の中で大きくこれ変わってきているわけですし、当然これに伴って経済のあり方、国土利用のあり方も変わるはずですから、
道路計画もこれに
対応して当然変わらなければならないはずです。単に成長率が落ちたから、あるいは総
需要抑制だからということで、いままでの
計画の枠組みをそのままにしただけで、ただ、
工事の進行のテンポを落とすというようなことでは済まぬ問題になってきておると思うんです。
だから、当然そういう
意味では、前段に言いましたネットワーク方式のつくり出したいろいろな矛盾、
国土庁が指摘しておるようなそういうものと、それから新しい経済情勢に
対応するというようなことを考えてみれば、転換の方向として、後回しにされてきた農山漁村の振興、
地方都市の特性に応じた町づくりとか大都市への集中を抑制するというような方向で、それに沿った
地方道路の整備や、あるいは高速
道路計画の
見直しやモータリゼーションという方式の
見直しというようなものが国民的な立場からやられなきやならないのじゃないか。いまそこへ来ておる。非常に大事な、国の経済でもそうだけれ
ども、
道路政策の重大な転換点に来ているのじゃないか、そういうふうに思うんですけれ
ども、その点
大臣はどう思いますか。当然閣議でもいろいろそういう問題は経済の
見通しなんかと絡みながら、
道路をどうするかというような話も出ていると思うんですけれ
ども、そういうふうなことが問題にされておいでになるのか。それとも単にいまは一時スピードダウンして、また景気がよくなったら高速
道路のこの
計画どおりさっと進めるのかどういうふうなのか、そこらが国民も知りたがってるし、私も知りたい。そこをお聞かせ願いたいのです。