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1975-12-12 第76回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十二日(金曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 源田  実君                 中村 禎二君                 杉山善太郎君                 塩出 啓典君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 高橋 誉冨君                 中山 太郎君                 志苫  裕君                 竹田 現照君                 加藤  進君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      小山  実君        科学技術庁研究        調整局長     伊原 義徳君        科学技術庁原子        力局長      生田 豊朗君        科学技術庁原子        力局次長     山野 正登君        科学技術庁原子        力局次長     半澤 治雄君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        内閣官房内閣審        議官       安仁屋政彦君        科学技術庁原子        力局核燃料課長  元田  謙君        科学技術庁原子        力局原子炉規制        課安全審査管理        官        桜井 保孝君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   高橋  宏君    参考人        日本原子力船開        発事業団専務理        事        倉本 昌昭君        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       瀬川 正男君        動力炉核燃料        開発事業団東海        事業所処理建        設所長      中島健太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力行政に関する件)  (原子力発電の安全に関する件)  (使用済核燃料の再処理に関する件)  (原子力船むつ」に関する件等)     —————————————
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日、日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君、動力炉核燃料開発事業団理事長瀬川正男君及び同事業団東海事業所処理建設所長中島健太郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 委員部に聞きますけれども海部長官政府関係では御出席になりませんか。——長官も来ておられますから。  私は実はこういうふうに思うんです。平面的にとらえまして、日本核分裂型の原子力開発行政は、行政先行型で立法が後追いというような形に客観的にも平面的になっております。裏を返して言えば、やはりそれは科技特委員会として設置されながら、そういう位置づけの中で開かれないから、結局客観的には行政が先行して立法が後追いになるというような評価もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、今日的な段階において、たとえば原子力行政懇談会あり方とその方向展望しても、あるいは原子力船問題を一つとらまえてみても、そういうようなことが実は意地悪ではなくて言うことができるかと、そういうふうに思うのであります。  私が非常に心配いたしますのは、何といっても日本原子力核分裂開発に関する限り、やはり政府、そういう行政立場国民に向かって理解協力を得たいと、そういう従来のパターンではだめだと思うんです。ずばり言って、どうしても国民信頼合意を得るという方向について、たとえば三月十八日に発足しておるところの原子力行政懇は、一つ政治的背景からいきましても、発足したのはそれが法律によるとよらないとにかかわらず、やはり内閣総理大臣の重要な諮問機関としてそういうふうに発足しておるわけでありまするけれども、大体やはり私ども年内いっぱいには一つのきちっとした、たとえばわが国の原子力行政欠陥であるとか、開発体制の不備、欠陥というものが、原子力船むつ」の放射線漏れによって象徴的に出てきたんだと、そういうような問題について、これは根本的に原子力委員会あり方にいたしましても、安全審査の問題についても洗い返す必要があるんだと、そういうような時点背景として、三月十八日に原子力行政懇が発足しておるんだというふうに思うわけであります。私どもマスコミを通しまして行政で技術庁長官なり、あるいは局長、その他原子力委員会の各位がそれぞれの時点において、マスコミの活字の中でそういうものを見て、これは大事なことだけれども、というふうに心配をしながら勉強をしておるわけでありますが、きょうは、実はその後の首相の諮問機関としてことしの三月十八日に発足した原子力行政懇談会座長は、申し上げるまでもなく有沢巳先生でありますが、十九回から二十一回に及んでおるもう回数は重ねておると思うんでありますが、その間の経過の概要というものとポイントというものをひとつ、これは長官あるいは事務局長的な役割り生田局長がやっておられると思いますけれども、実はきょうは海部長官が来られれば、これは比喩的に申し上げまして、たとえばスト権ストの問題について専門懇が背骨がひん曲がってあばら骨が抜けておるという評価もあって、いろいろな社会問題が起きておりまするけれども行政懇といえどもいろいろな経過というもの、紆余曲折があって、五体満足でだれが見てもそれで行政が抜本的に出直した形になるかどうかというような、そういう段階を仮定して、大体いつごろそれがぴしゃっと出てくるんだというようなことに対しては見通しというものもこの時点において聞いていく必要があると、こう思うんであります。でありまするから、そういう私のいま申し上げた感覚、そういう点についてひとつお答えいただきたい、こう思うんです。
  6. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 内閣に設置されました原子力行政懇でございますかに関しましては、私は原子力委員長でもございますし、原子力委員会も含めての新体系ということでございますから、むしろ私自体意見を述べたりするのはかえって正当な判断をディスターブしちゃいかんと思いまして、私自体は全然関係してございません。したがいまして、内閣のその問題を扱っている担当者からつぶさに御事情を聞かれた方がよろしいかと思いますので、私の話は正確を欠くといけませんので、そのようにさせていただきます。
  7. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 原子力行政懇談会は、ことしの三月十八日に第一回会合を開催して以来、これまで二十一回の会合を開いております。  当初は原子力行政について各委員の認識を深めていただきたいというような方向で、いろいろな関係の深い方々の御意見あるいは行政側現状説明等が続けられてきたわけですが、そういった段階を一応終わりました段階自由討議等を始めまして、委員相互でいろいろ意見の交換を行ってきたわけでございます。そうしているうちに、やはり議論の核となるいわばたたき台というものを出してもらった方が議論がしやすいじゃないか、こういう話もございまして、十月九日に開かれました第十五回の会合におきまして、座長有沢委員からいわゆる有沢私案というものが提出されまして、現在その有沢私案をめぐりまして各種対案等も出されまして、それを中心に議論が行われておるところでございます。  主たる論点と申しますと、現在の原子力委員会一本でございますが、開発規制という一見矛盾するような行政一つのところでやるのがいいのかどうかという点がございまして、原子力委員会原子力規制委員会対案としては安全委員会というような名称がいいという話もありますが、二分論というのが有力になりつつあります。ただし、その二分した場合のおのおのの委員会所掌事務につきましては、かなり先生方の間でも意見の相違といいますか、そういうものがございまして、まだ一つのまとまった方向に向かっているという段階ではございません。さらには原子力委員会なりあるいは規制委員会もしくは安全委員会といったものの委員長にどういう方をしたらいいだろうかという点も問題になっております。また現在、原子力委員会事務局科学技術庁原子力局ということになっておりますが、新しく二分した場合に事務局をどこに置いたらいいかというような点も問題になっております。さらに現在は基本設計科学技術庁安全審査を行いまして、詳細設計といいますか、事業実施段階になりますと通産省なり、船舶の場合で申しますと運輸省というところに参るわけですが、そういった体制を改めて、たとえば発電用原子炉ならば最初から最後まで通産省が見たらどうかというような御意見もございます。それに対しての疑問あるいは反論といったような点もございます。そういった問題に加えまして、原子力行政にとりまして地方公共団体と国との権限配分と申しますか、事務配分が非常に問題になるわけですが、その点につきましては、現在のところまだ議論が行われておりません。  そういった関係もありまして、私ども事務局としましては、できるだけ早い機会懇談会としての大筋方向がつかめればと、このように思っておりますが、現在のところ、いつごろそういう時期になるかという点についてはまだはっきりはしておりません。ただ、当初予定しましたおそくとも発足後一年以内には、という点につきましては、その条件が満たされるように審議の促進が図られるものと、そのように期待しておる次第でございます。
  8. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いま審議官は、具体的に十月の九日の第十五回の懇談会有沢私案が出されたということに関連をして、しかるべき御見解なり状況というものの片りんをうたっておられると思いますが、有沢私案のほかにいろいろなその流れの中で、たとえば学術会議からの意見書であるとかあるいは電力労連関連の中の意見書であるとか、あるいはまた総評の、まあ総評ということよりも、広範な国民サイドに立ったまあ労働者的なあるいは市民的な国民的な感覚について、やはり酒井委員意見書の提案であるとか、辞任問題だとかいうものもあるというふうに聞いておりまするが、さらに、有沢私案の、という以前に、まあ原子力委員長の代理である井上私案というものも出ておるはずだというふうにわれわれは理解をしておりますし、そういうものを総合勘案して、私が前文句に、日本原子力行政開発は、やはりいままでのような理解協力を得たいというかっこうで、自治体や、それからそこの地域における反対住民を、そんな説得力では前へ進まないんだ。だから合意と納得を得るような方向根幹が、この原子力行政の中においては、やはり政治的な背景は何といったって、「むつ」の放射線漏れによって、やはり下北半島の太平洋上に漂流したという、そういう政治的背景の中で、当時の内閣は田中さんだったでしょう。彼はいみじくもカナダで、これはやはり政府政治責任だと言ったような経過をたどりつつ、いろいろな委員会が発足しておるでしょう。ことに法律に基づく基づかないは論外として、原子力行政懇というものが、見面して、こういうふうにきちっとしたんだから、これを権威あるものとして、そして、そういうものが具体的には三月の十八日に発足しておるという経過の中から、いま申し上げたような大体経過をたどって、われわれはこれは行政の方から聞いたのではなくて、行政が、これは自由は保障されておりまするから、いろいろとマスコミの中から、あるいは情報の中から、またあなたの方からお出しになるいろいろなレポートによって、われわれはそれなりに見ておるわけでありまするけれども、いま臨時国会も終わろうとしておるこういう情勢の中で、やはりいま私が物を簡潔にずばりで聞いておるわけでありまするし、さらに、これは長官にも生田局長にも申し上げておきまするけれども、私は毎度のことでありまするけれども、やっぱり日本原子力行政というものの根幹というものは、私の哲学や思想原点は、何といっても安全第一主義である、それから環境、それから原発立地なんです、原子力発電所をつまり建設するときの立地条件というもの。これを船にたとえれば、船体はどうかと、原子力船にすれば、船体とやはり原子炉と、恐らくその場合には原子炉が心臓でしょう。それから核燃料サイクル、いろいろな公害が出ると、この五つの柱を原点として、私は時勢の流れをはだで感じながら、そして行政で非常に苦労しておる皆さんの意見も聞くんだと。ただし今日的な時点においては、有沢私案があり、酒井意見も出ておるのでありまするけれども、やめておられます。しかし、その意見はどういうふうに反映され、やめたんだから、この意見は要するに言うだけで、これは運用の面ではあっても、実際面としては当てはまらないというようなかっこうで、切って捨ててしまったのかどうかという問題。井上私案というものは、ぼくは相当に、私の感覚している、また了解している範囲においては、有沢私案よりも井上私案の方がもっと先行しておったんじゃないかと思います。それからさらに代案としてあの田島さん、向坊さん、伏見さん、青木さんと、こういう四方が、具体的にはやはり有沢私案に対抗するような案が出て、それは要するにまっすぐした本当に国民信頼合意を得るような、やはり原子力行政懇を通して、そういうふうに説得力があるそういうものが、あなたの論理からいくというと、それはそのとおりかもわかりませんけれども、私はそういうことを平面的に聞いておるんじゃなくて、いま私の言わんとするということをもう少し克明にそれでお聞きしたいと思いますが、一体、きょう井上委員にも来ていただけばよかったと思うんですけれども、この点についても、有沢私案井上私案それから、いずれも行政基本姿勢に触れていないんですよ。だから、たとえばこの田島向坊それから伏見青木対案と言ってもこれは差し支えないと思いますが、こういうものの扱いをどういうような関係に、展望の中で、だから、まだ、七月に大体結論がおおむね粗ごなしができるだろう、十一月末にはできるだろう、いまの政治状況からいくとどうなるだろうというようなそういう点についての見通しは、これは一体どうなっておるんですか。具体的には、私はどうしてもこの時点で具体的に聞いておきたいのは、第十五回の懇談会酒井総評副議長が委員の辞表を提出し、それが受理されておりますね。で、酒井委員は、第十回の懇談会で、原子力行政基本姿勢に関する意見書を出しております。これはそのとおりですね。その内容は、国民原子力行政に対する注文ともいうべき当を得たものであると私はそう思うのです。酒井委員は、懇談会原子力行政の抜本的な見直し検討するのではなく、単なる機構いじりや見せかけのポーズで開発を進めようとするねらいに不満を持ってやめたと言っておるというふうに私は直接的にも間接的にも聞いておるのであります。したがいまして、この原子力行政懇談会が設けられた目的からは逸脱した運営がなされているではないかと、あるいは行政懇が本当に国民合意というものを隠れみのにして、とにかく時間をかけて、そしていろいろの意見も聞いて、結局いろいろという形になったんだという説得力がある行政委員会が構築されなければならぬ、そう思うのでありますが、いま具体的には、この酒井委員意見書とかこの扱いについては、どういうような形に処理されておりますか。それから具体的に私案はこういう形で出ておる、最終ではありまするけれども、仮定すべき最終的な段階の中で、有沢私案というものが出た過程の中で、この四方田島委員ほか三名を含めた対案というものの扱いをこれはどういうふうにいまコントロールしておられるか。それを踏んまえて一体いつごろ、一体年内かあるいは来年になるかというような展望を、ひとつ明快に簡潔にお答えいただきたい、こう思うんです。
  9. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) いま先生からお話がありました井上私案あるいは酒井委員の御意見それから電労連の意見、そういった原子力行政につきましての各種の提言につきましては、広くこれを私ども、もちろん向こうからの要求に基づくものもございますが、逆にこちらから積極的に収集しまして資料として提出いたしておるわけでございます。したがいまして懇談会における検討の場合に、委員皆様方は当然そういったことを念頭に置かれた上で、議論なりあるいは検討というものを加えられておるわけでございます。有沢私案と申しますのも、これを最終的に何が何でもこの形でもっていこうという趣旨有沢委員座長がつくられたわけでは決してございませんで、まあ十四回にわたります懇談会検討過程におきまして、いろいろ述べられました意見を、いわばその後の検討たたき台ということでまとめられたわけでございます。それに対しまして、先生が言われましたような、伏見田島向坊青木、こういった委員から、対案と申しますか、そういったものも出されまして、有沢私案との利害得失等が当然懇談会におきまして議論になっておりますので、最終的にどういう形でまとまりますか、私どものところでまだ予測はつきませんが、そういった各懇談会委員の御意見、それから懇談会に参加されておられない方々原子力行政についての意見というものも十分にこの懇談会では吸収あるいは吸い上げられる、そういう余地が残されておるわけでございます。  結論がいつ出るかという御質問でございますが、これにつきましては、懇談会におきましても、やはりできるだけ早く大筋方向を示した上で原子力行政にプラスになるような方向に持っていってもらいたい。こういう御意見もございますので、早い機会に出ることを期待しておりますが、現段階年内にとかあるいは一月にということをはっきり申し上げる段階には至っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  10. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 具体的にやはり議事録にもマークして、やはり歴史の流れの中で展望をしながらいかないと、大体この学術会議意見書を含めて何々私案というものは、井上五郎私案も含めて具体的に幾つぐらい、どういう——それ、別に機密に属する問題じゃないでしょう。そういうものをひとつ明らかにしてください。  それから、それがいますぐできなければ——ここでできると思いますが、できなければ後で……。
  11. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) どれとどれを出したかということにつきましては、ちょっとすぐにはまとまりませんが、先生の言われました御趣旨に沿いまして、できるだけ広い意見参考にした上で、最善の原子力行政体制をつくろうと、こういう趣旨でございますので、私どもとしてこういうものがある、原子力行政についてこういう御意見があるということで、知り得たものにつきましては、ほとんど全部収集して懇談会に出し、先生方参考に供していると、こういうことは蓄えると思います。
  12. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 言えるということじゃなくて、それは出してくださいよ。それは口頭ではなくて、原子力行政懇談会について、かりそめにも出す側の当事者にしてみるならば、推進派の方にいたしましても、規制派の方にいたしましても、反対派の人についても知能を集中してやはり権威ある行政懇の結果を成果せしめようと、そういう方向の中で出ているはずで、書いたものが出ているはずなんだ、口頭じゃないんだと思うんです。ですから、本来から当然原子力行政懇談会法律に基づこうと基づかまいと、権威ある日本核分裂型原子力開発見直しについて、これが国民に向かって出直しだという一つのそういう説得力のあるものだと、その過程においてはこういう私案が出ておるんだと。最終的には一本にならなきゃならぬと思うんですよ。有沢さんが座長であるから、結局有沢さんの座長として、そう言うという、そういうものを具体的に私ども勉強基礎素材としてこれは重要なポイントになるんだと。いま一つは、たとえば先ほど私はよけいなことを申し上げましたけれども、たとえばスト権スト方向について、専門懇というものが非常に問題になっています。それと同様に、この原子力行政懇の、結局はいまあなたから言われるというと、これはずうっとまだいろんな意見が出ておって、いままだ行き先真っ暗ではないけれども、ことしいっぱいにはできないが、来年だという、そういう詰めの段階がもうきておる。また早く結論を出さなきゃならぬと思うんです。もちろん古くして新しいあやとして急がば回れという言葉が出てくるけれども、その出た結論というものは、国民に向って十分説得力のある、権威あるものが出なきゃならぬのだと、そういうふうに私は考えるから、私なりの一つの、私の思想の根源である原子力行政に対してあるいは姿勢に対して、こういう私は基本的な、哲学的な基本を持っておるんだと、五つの柱を立てておるんだと、こう言っておるわけでありまするから、それでまたそういう点については、これは後で、いま言えなくても、ずっと出ておるものは、それからまた、この井上私案というものも、われわれは、きょうは実は井上さんも、こういう政治状況の中でありますから、限られた時間でありまするから、落ち着いたものはできませんけれども井上私案というものもあるでしょう。そういうものも、それからこの田島さん外三名のいわゆる対案言葉のあやはどうであっても、出たものはそういうものが十分時間をかけ討議されて、そして一つのまとまったものが、仮定すべき重要な段階を経て結論が出なきゃならぬと思う。結論が出なけりゃ、たとえばいろいろな安全審査の問題というものが行政一辺倒で進んでしまって、そして立法が後追い行政になるというようなことは、顧みてやはり原子力開発は、総合エネルギーの中でどうしても原子力が必要だと、まあ森山さんのように、原子力開発に反対する者は科学に挑戦するものだなんという暴論が今日まかり通ることはできやしませんよ。倫理と論理整然とした背景で進まなきゃならぬのだと、そういうふうに考えますし、少なくともこの総理府の中で、やはりこの三月十八日の前には海部長官、それから「むつ」が太平洋で漂流しておる時分には、あれは川島副長官だと思いまするけれども、来てもらって、それなりの当時の意見は聞いておりまするけれども、今日ではずっと流れて、やがてやはり五十年は暮れようとしておるわけでありまするから、来年になってそういう政治状況の中で原子力開発、その重要性安全性といった問題については、不偏不党に、説得力のあるものにならなきゃならぬのだということを私は政治的な立場政治家として言っておるということをひとつ理解してもらって、もう一度その資料は出すなら出すと、文書で出すというかっこうで、いまはわからぬけれども有沢私案にしても対案にしても、これはいまいろいろな機密から出せないんだと言われるならば、そのことをはっきり——それもいいですよ、何でもかんでもということじゃない、いいものを出すためにやはりいろいろな機密事項もあるでしょうから。だけれども、これは自主、民主、公開の原則からいけば明らかにして、私たちでも、国民でも、いろいろとこの原子力に関するキャンペーンが、たとえばテレビの絵にもあるいは新聞にもいろいろ見ておりますよ。われわれはそういうものを見て、また顧みて、二院制を踏襲しておりますから、衆議院の段階とそれから参議院の段階の二院制というものがやはり国会法上、憲法上位置づけられておって、非常にこの、参議院のやはりこの科学技術の開く回数は非常に少ないんでありまするけれども、これは意図的におくれておるわけじゃありませんけれども、客観的にそうだとすれば、われわれはきょうのような政治状況の中でも、わずかな寸暇を開いて、やはりどうなっているだろうということを見きわめていこうと、こういうわけで委員長を中心として理事者間で、限られた時間でやっぱり聞いておるわけでありますから、どうかその辺をひとつ理解をして、これは審議官が来ておられますけれども、やはり実際は生田局長、あなたが原子力行政懇談会のやはり実質上の事務局的な担当もしておられるんじゃないかというふうに私は判断をいたしておるわけでありますが、いずれにしても、審議官の方からお答えください。
  13. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 各種の提言につきましては、まあこの懇談会が一応公開しないという前提で開かれておりまして、提出資料についてもそういう前提のもとに提出されておりますので、まあ提出されました方の御意見を聞いた上で、もし差し支えないと、こういうことになりました資料につきましては御提出したいと、このように考えております。  有沢私案につきましては、すでに座長の御了解を得て外部に出しておりますが、その他につきましては、まだ提出者と申しますか、作成者の了解を得てはおりませんので、これから御意見を聞いた上でしかるべき措置をとりたいと、このように考えております。
  14. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連をして強く要望しておきますが、井上五郎先生は、たとえば原子力行政委員会委員長の代理ということでありますけれども、しかしこれは、私どもの期待の仕方では、井上五郎先生委員私案だと、わたくし案だと、あるいは試みの案だというふうにも理解をしておりますもので、これはかつて毎日で骨格は見ましたけれども、全文を知っておりませんので、そういうものはひとつあなたも言われるように、先生の了解を得てお出しになったらいいだろうと、もうすでに原子力委員として、そして私案も持たれ、また行政懇のメンバーにもなっておられるわけですから、やはり要求もあるし、委員も具体的に委員会通して言っているわけなんだから、お出しになってもいいだろうというふうに杉山委員は言っておったというふうにもクレームをつけてそう言ってください。  それから、酒井委員の方は、私はやはりもらっておりますからこれはいいんです。しかし、この後の扱いについては、私どもはこれを十分——やめたから意見番はもうたな上げだというような扱いをするならば、やめるやめないにかかわらず、任免の、やはり発想の原点において、電力関係労働者や庶民、国民を総括的に代表するという形ではなくても、おおむね五百万なり六百万の労働者の声を背景として委員が出てきておる、そうして意見書も出ておる、全く馬耳東風ではないけれどもかみ合っていない。こういう点でやはりこの意見書を持っておる。これはいいのでありますが、自余の分はひとつ出してもらいたいということをお約束をしておきます。やってくださいね、いいですか。
  15. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 先ほどお答えしましたように、御本人が出してよいという資料につきましては積極的に提出したい、このように考えております。
  16. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 重ねて申し入れますけれども、それから田島さん、向坊さんですか、それから伏見青木さんのこの試案も、これはもうひとつ一応関係当事者に相談かけてみてください、勉強する素材として重要だと思いますので。  それでは先へ進みますが、原子力発電の昭和四十九年度の実績は満足すべき状況であったかどうか、それから五十年度の上期はどうであるか。もう一遍申し上げますが、原子力発電の昭和四十九年度の実績は満足すべき状況であったかどうか。中身は稼働中のもの、それから試転中のもの、建設中のものを含めてやはり目的は機能して発電が……ということで、だからいま申し上げたような四十九年度の実績は満足すべきものであったかどうか、それから五十年度の上期はどうかといった問題についてひとつ具体的に答えてもらいたい、こう思うのです。
  17. 高橋宏

    説明員高橋宏君) まず四十九年度の原子力発電所の稼働状況でございますけれども先生御承知のように、四十九年度におきましては、アメリカのドレスデン二号炉というところでトラブルがございまして、それをきっかけにいたしまして日本でも総点検をする、あるいは同種のトラブルに対して対処するというようなことが実は二回ほど続きました。一つは、再循環系のバイパス配管でございましたし、一つは炉心スプレー系でございました。そのほか加圧水型におきます蒸気発生機の漏洩トラブルでございますが、こういうことがございまして、もちろん発電所の周辺住民に影響を与えるようなそういうようなことでは全くなかったわけでございますけれども、全体として稼働率が非常に低かったということ、あるいはそういうことを契機にして、この故障の発生がひいては周辺住民の皆さんにある不安感をもたらしたということについてはきわめて遺憾でございまして、私ども今後こういうトラブル、安全問題には直接関係なくても、さらにこの稼働率を上げるという努力を今後進めていきたいというぐあいに考えております。  それから五十年度の上期でございますけれども、いま申し上げたような特定のトラブルがありました原子炉は除きますと、残りのたとえば島根でございますとか、あるいは東海の一号炉でございますとか、あるいは高浜等につきましては、ほぼ所定計画どおりの発電を行っておるという実情でございます。
  18. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう少し——時間かせぎをやってもらっては困るけれども、具体的にしてほしかったのだけれども安全性といま申し上げた年次で一体五体満足原子力が機能しておるかおらないかということを安全性というものと一体経済性というものについて、資本は、九大資本といいますか、十六資本といいますか、まあこれは行政面からとらまえて、一体、効率的に動いておれば原子力は少しは高くてもこれはやはり将来は総合エネルギーの中の一つになるんだから、いまの経済性はともかくもという、そういう点について、やはり安全性と経済性について、いま九基なら九基、それから試運転中のもの、建設中のもの、そういったものがどういうような状況でおるかということを、ひとつ高橋さん、あなた専門家だから、もう少し具体的に言いなさいよ。
  19. 高橋宏

    説明員高橋宏君) まず安全性との関連でございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたような最近のトラブルにつきましては、安全上の問題はないと考えております。周辺住民に対します安全性におそれを及ぼすというようなことはない。ただ、いま先生御指摘のように、経済性についての問題は私は十分考慮すべきだと思います。すなわち原子力発電所では約七割ないし七五%が資本費でございまして、稼働率が下がるということは、そのままその資本費を高めるという結果になります。これが、稼働率が、私ども計画稼働率を年間七〇%ということで原価計算をし、将来のエネルギーに対する原子力の位置づけをいたしておるわけでございますけれども、この七〇が五〇%を切る、あるいは四〇%を切るという状態になりますと、当然この動かないために寝ると申しますか、むだになる資本費というものが非常にウエートが高くなるわけでございまして、経済性の上からはこの稼働率を向上させていく、所定の稼働率に持っていくということがきわめて大事であろうというぐあいに考えております。
  20. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは実はその安全性や経済性という問題にも直接にはこれは関係あるないは別として、たとえば地震対策ですね、これは科学技術庁の中の資源エネルギー庁の長官であったか、あるいは通産省のどなたかであったかは別として、何か、どちらですか、地震対策について、これは資源エネルギー庁という省庁がありましたね、あれは通産省ですか、どちらですか。
  21. 高橋宏

    説明員高橋宏君) 通産省でございます。
  22. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 通産省ですか。この担当の関係の方はきょう来ておられませんかね。資源エネルギー庁の方でわかりませんかね、この地震対策について。これは何にしても私の方も……。おられませんね。こういう谷間の中の政治状況の中のあいだがら……。  私が聞きたい意図的なものはこういうことなんですよ。まあいまあれでしょう、具体的な問題として原発が実験段階で非常に危険な状況の中で、具体的には四国電力の伊方発電所で故障や放射能漏れがあるんだと、そういう中で行政訴訟になっておりますね。具体的には裁判所は来年の一月三十日に現場検証をするということが出ておるわけでありますよ、そういうことはおわかりでしょう、新聞にも出ておるわけでありまするから。しかし、一度あったことがどこへもこれが飛び火するということは好ましくないのでありますもので、たとえば、私は新潟県地方区選出で柏崎の原発の立地というものを考えてみるというと、現象面では百十万キロワット、第一号機でありまするけれども、資本の方向づけは八基八百八十万キロワットと、言うならば世界的にも日本的にも集中的な原子力発電原点が位置づけられておるんだ。そういう点から言って、やはりいろいろな先を行くもので現在稼働中のもの、あるいは試運転中のものありましょうけれども、やはり原発立地基本条件は、そのいわゆる原子力の基盤はやはり土木工学から言っても、地震工学から言っても地盤が非常に問題があるんだと、そういうような方向の中でこの地震対策という問題について、私も先ほど申し上げたとおり、行政先行型で立法は後追いになっているんだ、省庁は別としても、大体私の記憶ですよ、この資源エネルギー庁の長官であるか、これはその方が大阪の一つのグループの集まりの中で百億ぐらいを投じて、やはり日本列島は地震地帯であるから、これに十分金をかけていくということを私は新聞で見て、ここまでやはり安全性というものに気がついてくれば、行政も非常に勉強しておられるというふうにそれなり評価しておるわけでありまするけれども、そういう意味でこの地震対策という問題について、いま柏崎の問題を私はどうこうと言うわけじゃないわけでありまするけれども、私もこれを知っておきたいし、それは予算化せられればどういうような形になっておるか、そういう点について大阪でどういう意図的なものであるないにかかわらず、いいことはいいとして、これは会合でやられることを云々するわけじゃありませんが、その点についてはこれはわかっておらなければまたいいんですが、どういうふうですか、その辺は。
  23. 高橋宏

    説明員高橋宏君) いま先生おっしゃいましたように、私ども原子力の立地に際しましては、耐震設計はきわめて重要なテーマであるというぐあいに考えております。それで、従来から静的解析あるいは動的解析によりまして十分裕度を持った耐震設計をいたしておるわけでございますけれども、いまのお話でございますが、私どもは次のようなことを計画しておりますので、その件かと思います。すなわち、そういう耐震設計は十分やっておりますが、いずれにしましても地元の方を含めました皆さん方には耐震問題というのは非常にわかりにくい点も多々あるわけでございまして、基本的には私どもこの耐震問題につきましてもこの安全性を実規模に近い規模で実際に実験してみる、実証してみる。そこで、安全裕度等を確認をして皆様方の耐震に対する不安を解消するということが大事であろうという観点に立ちまして、実は本年度予算から計上いたしまして、先生おっしゃいましたように、大規模震動台に基づきます耐震信頼性実証試験計画を立てております。これはお金の規模といたしますと、いま先生おっしゃったようにかなり大規模なお金の規模になります。それから、震動台の性能も恐らくは日本一と申しますか、世界でも類のないような耐震試験ができる、そういう震動台になるかと思います。なかなかこれは大変な作業でございますけれども、現在官民挙げましてこの震動台の作製、そしてその作製されました暁におきます耐震信頼性実証試験を精力的にやっていきたいということで進めております。
  24. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは長官もそれから根回しの原点であり、また最も勉強しておられる生田局長も何とも黙して語らずですが、大体今度は生田局長にこれは一遍聞いておかなきゃならぬ問題は急いで素通りしてしまっているのでありますけれども、先ほどの行政懇の発想の経過という問題については審議官にも——きょうは長官が、海部長官も来ておられませんけれども、これは非常に政治状況の中で忙しいから来られないとこう言っておるので、それでいいのでありますけれども、三月十八日の第一回の会合について、原子力委員会のあるいは原子力懇談会の位置づけだとか、かみしものつけ方はどうでもいいのですが、少なくともあなたがやはり原子力局長としてたたき台ともなるべきお集まりを委員に願われて、みんなが確認されて、座長が決まって、そういう時点であなたが四つか五つかの大体のやはり理解協力をということでなくて、説得力のある国民信頼合意の得られるような方向に持っていくために、そうして原子力懇談会が機能するためにというので、四本か五本のたたき台になる柱を立てておられると思いますが、その点についてあなたの口からひとつ、私は資料を持っておったのだけれども、どっかへいっちゃったのだけれども、あなた自身がやられておる事実あるわけですから、その点を話してください。
  25. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 先ほど安仁屋審議官から御説明申し上げましたように、原子力行政懇談会三月に発足しまして二十一回やっているわけでございますが、この懇談会の特色といたしまして、原子力の専門家だけでメンバーをそろえないで、むしろ一般の有識者——比較的原子力の専門知識をお持ちにならなくても、非常に識見の高い方に多くお集まりいただきまして、そういう方によって原子力行政あり方を御審議いただくという趣旨でございますので、たとえば有沢先生でございますとか、向坊先生田島先生のような専門家も入ってはおられますけれども原子力行政の知識を余りお持ちにならない方が非常に多いわけでございます。したがいまして、第一回のとき以降数回にわたりまして、これは私だけではございませんで、通産省のエネルギー庁の長官その他からも原子力行政の現状と問題点というような形でいろいろ御説明申し上げました。  その中には、たとえば安全審査の手続がこうなっているとか、公聴会のやり方がこうなっているとか、設置許可はどういう手続を経てどういうふうに設置許可されるとかいうような手続問題も含まれておりますし、先ほど先生の御質問にもありましたような、わが国及び世界の原子力発電の現状がどうであるとか、将来の見通しがどうであるとかいうこともございます。そういう事務的な御説明を数回私も含めまして各省の代表からしたわけでございます。ただいま先生御指摘のは、その一番最初に、私実はお配りしました資料をただいま持っておりませんのですけれども原子力開発利用の現状という形で原子力行政機構が現在こうなっている、それから開発利用の現状がこうである、それから問題点がこうであるというようなことを御説明申し上げたのがただいま先生の御質問のものであろうかと思います。これは特に積極的にどうすべきであるというような試案のような形ではございませんで、現状につきまして御説明した資料でございます。
  26. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは局長はいまそう言っておられますけれども、私の記憶する範囲できょうは資料を、不勉強なところへもってきて、事実のずれがあって忘れちゃったのだから、御本人に聞けば一番いいことだと、聞いたんですけれども、非常に私の意図して質問する答えには受けとめがたいものがあると思いますけれども一つ何々、一つ何々、一つ何々ということで四本から五本のいわゆるたたき台が、私の覚えているのは事故と故障というふうな問題の扱い、これは重大だと。動燃の問題にしても、これから原子力船の「むつ」の心臓は、やっぱり船体もさることながら、原子炉そのものですから、そういうものについて小さな事故、大きな事故、そういったような問題に対する問題の、一つのほぐす糸口になる、そういうものがうたわれておったのだというようなふうに見たのですけれども、それはきょうはもう時間がありませんから……。  それからもう一つこれは聞いておきまするが、もう時間が来ましたか。
  27. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) いや、もう十分あります。
  28. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう十分ですか。  日本——日本列島は太平洋とそれから日本海に取り囲まれておりまするが、日本海方面の海水ですね。海の水もこの中に固有と言っていいような放射性物質というものが溶け込んでおるというふうに私どもは判断しております。測定結果によると、すでにストロンチウム90、セシウム137の量は太平洋側の海水に含まれる量と比べておよそ二倍だといっておるわけであります。その原因は、ソ連、中国、アメリカの核実験で放出されたものが雨の水にまざって降下し、蓄積したほか、放射性物質排出防止装置が原子力発電所より不十分な原子力潜水艦が日本海を航行中に流したものと考えられる。最近日本海沿岸に数多くのやはり原子力発電所がつくられる計画の中で、これから出る温排水中の微量であっても放射性物質がどのように蓄積されるか。こういったものをめぐって多くの科学者が調査研究を始めておるというようなかっこうになるのでありまするけれども、きょうの時点ではそれはやはり農林省であるとか水産庁であるとかいうような、そういう点で、私は、これは志苫委員が後この柏崎を中心とした原発問題については言いますけれども、ただ、これは敦賀、それからあの方面の一帯は、非常に日本海の海域の海水というものは放射線が太平洋岸に比べてみて非常に多いというような、そういう点でありまするので、前段私が言いましたように、何といっても、大きく言えば安全第一でなきゃならぬだろう。それから環境と、原子力発電所を建設するに伴って自然が破壊されて環境が崩れるということはいかぬ。その原点はやっぱり緑や浜を崩して、そして漁民は漁業権を持っておるけれども政府行政の見方は非常に甘いと思うんです。漁民は漁業権をうまく補償してしまえば、これは行政ルートの中に乗せることができるというような、そういう思い上がりがあっては説得力のあるような原子力行政が進んでいかないんだというふうに思うわけでありまするから、こういう問題について、日本海には現に柏崎でも、いまは一号一基でありますけれども、やがて集中的にできるんだと、それから隣のやはり巻というところにもできるんだと。そうして見ると、非常な放射性物質というものが濃度を増していくんだと。そういう点について環境上非常に重要な問題だというふうに理解をいたしておるわけでありまするから、この点について一応これはどういうふうにとらえておられますか。まだそれは——だれか答えてください。  きょうは非常に政治状況の中の谷間の質問でありまするから、それは、あなたは、それ質問されることは自由であるけれども、この予告の関係の当事者おらねから質問できないはできないでいくんだと。これはあれでしょう、長官でも原子力委員会長官でありまするから、あるいは原子力局長においてもそういう点についてひとつ見解をありのままで述べてもらってもいいんです。
  29. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生がお示しになりました日本海の海水の中の放射能でございますが、これは私どもただいま資料を持ち合わせておりませんので、その数字が正確かどうかということはお答えいたしかねるわけでございますが、大体常識的に考えまして、先生がおっしゃいましたようなことは恐らく事実であろうかと思います。この原因が恐らく核兵器の実験によります放射性降下物の影響が非常に大であろうということもほぼ想像できるところでございます。もちろん海水というのはそういう人工放射能の影響を受けませんでももともと放射能を持っているものでございまして、自然放射能を相当多分に含んでおります。特に海底には大量のウラン鉱石があるわけでございますので、本来海水というのは自然放射能を含んでおりますので、海水が放射能を持っているからといいまして、これが人工放射能の影響であるというふうには言うないわけでございます。どこの海水でも放射能を持っております。ただ日本海と太平洋で放射能の程度の差があるということは先生御指摘のような原因もあろうかと思います。  確かに日本海側には若狭湾を中心にしまして原子力発電所がございますけれども、これはそこから出ます排水の中の放射能というのはもうきわめて微量でございます。それに比べますと、これは核実験による汚染の方がはるかに大きいという、これはもう国際的に専門家の間で広く認められている常識でございます。あるいは自然放射能の関係もございますが、これが何によるものかというのは海水を取りまして核種分析をいたしますればおおよその見当はつくものでございます。先生の御質問に対しまして的確なお答えではございませんが、私どもの感じといたしましてお答え申し上げると以上でございます。
  30. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この質問で終わりますけれども、これはもう一点申しますけれども、つまり局長ね、太平洋に比べて日本海はそれはいろいろな経過と現象面から言って、それは書いてあるとおりで、まああたりまえであって、別に急にすべき問題じゃないんだというようなふうに私は受け取りますけれども、これはきわめて日本原子力はたとえば六十年六千万キロワット、それを一七・四%ですか、ダウンして四千九百万トンに減らされても、いずれにしてもこの核分裂型の原子力開発というものがこれは融合型の開発会議が機能して発足すれば別でありまするけれども、その前段の段階においては非常なやっぱり人間の命や健康に、いわゆる原子力公害という問題について水俣チッソのような関係結論が出て、後追いで行政の中で訴訟だ、すべった転んだと言っても、失なわれた生命は取り返しはつかないので、非常に重大だと思いますので、これはまた次の会議でこの「むつ」の方の問題も十分窓口を明らかにして調べますから、そういう点について。  それからもう一つ。これはこれで終わりますが、原子力船懇談会の報告と「むつ」問題について、これはこれだけで時間かかるからきょうはやりませんけれども、実際はこれは長官からたとえば具体的な問題として十二月の五日、これは中部読売新聞でありますけれども、これは読売新聞全般に出ておるでありますけれども、「いつまで〃潔流〃?原子力委」「むつ事件で権威〃沈没〃——批判派抱き込みにも不協和音」ということをて書いあるわけですけれども、これはまあ一応それとして、中身を読んでみればまさにたとえば大山答申では原子力行政懇一つの正しい方向に向かっておるという過程の中で、原子力船問題の懇談会結論は出ておるわけでありまするが、そういう点について原子力船問題はやはり原子力船むつ」と、それから炉と母港問題というものがこれは不可分な関係になるわけでありまするが、私はこの間、長崎にも行ってきましたんでありますが、大体これはこの状況について、まあ時間もありませんから、これでお答えいただいて、私はこれで質問終わりますが、ちょっと答えてください。
  31. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 去年「むつ」問題は青森湾内に帰りまして青森側と協定を結んだわけですけれども、その協定は忠実に実施をしております。ただ三番目の新母港に二年半以後までに移すという問題がございまして、新しい母権を決めなきゃいかぬでございますけれども、その決める前に「むつ」そのものの修理総点検をして健全な体にして、そして母港に送った方が受け入れる方の希望としては大変沿い得るのじゃなかろうかという感じがいたしましたので、新母港そのままでそこで修理するというんではなくて、まず修理点検をしましてから新母港に向かうというふうに考えを変えまして、ただいま修理、総点検の具体計画を進めまして、大体事務的には済みました。  一方、原子力船というものは日本にとって必要なのかどうかという問題がございまして、これも重要な問題でございますから、原子力委員会懇談会をつくりまして、非常にエネルギッシュに勉強いたしまして、大体十年後には世界は原子力船時代に入ると、したがって日本のいままでの造船国、あるいは海運国といたしましては、その時代にいまから対処すべきじゃなかろうかと、したがって「むつ」は、原子力船は修理、点検ができるというのであれば、これを修理、点検をして、そして実験船としての使命を果たすべきだ、そうして将来の、その時代に備えるのが大切じゃなかろうかという結論に、実は懇談会でもなっております。そういう点を踏まえまして、先ほど申しましたようにいろんな準備をじみちにしたわけでございますけれども、大体修理、総点検は安全にできますという結論事業団に出、それをまた役所側でレビューした結果、間違いなく修理、点検は安全にできますという結論に達しましたので、事務的ないろんな作業は全部結局完了したと思いまして、実はきょう八時半から関係閣僚、自民党の三役が集まりまして、去年の「むつ」の問題を処理する際に「むつ」問題対策閣僚会議と言いますか、正確な名前は忘れましたが、ございましたので、それをそのままきょう開きまして、いま申しましたようなのをもっと詳細に経過報告をし、今後は党並びに内閣を挙げてこの問題の処理に当たるという体制をまずつくりまして、同時に今後の、現地等との折衝等は官房長官、それから運輸大臣、科学技術庁長官、三者に一任してもらいたいということで、どこに修理港を置くか、あるいはいつどういう方法でこの委員会を、現地の側と話をつけていくかといったような問題を任してもらいたいということを一任を取りつけまして今後進むことにいたしました。したがいまして、まあ事務的な、あるいは技術的な、専門的な検討は済んだわけでございますから、今後はそういう意味で政治的な折衝と申しますか、そういう段階に入るんではなかろうかと、入るべきだと、それがいつどういうふうになるかということは、今後いま申しましたように三人の責任者に任せられたわけでございますから、相談をいたしまして、また、現地の情勢等もよく聴取いたしまして円満にこの問題を解決するように推めたいという所存でございます。
  32. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一回関連して。大体、いま御三方の、党も含めて合議の中で、大体マークされておるのは長崎県の佐世保重工なりで修理したらどうかということでありまするけれども、地域の県知事なり、それから佐世保の辻市長なり、問題はやはり安全性が国の責任において保証されるということがあくまでも前提であり、いろんな反対同盟もありまするけれども、いずれにいたしましても原子力行政懇の権威ある結論の出る出ないということにはかかわりなく、大体その兼ね合いについては全然関係ないんですか、私が少なくとも聞いた、感じておる点では、原子力行政懇というものがあるのだから、少なくとも現実の段階において、総洗い、総仕上げで、やはりこの原子力船問題も含めて、原子力行政懇で安全だということになって、もし不安全な結果が起これば国が補償するというような段階にあれば、漁民も反対同盟も自治体も安心して受け入れるというような、そういうふうに観測しておりまするが、その点については答えられなければならなくてもいいんですけれども
  33. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 行政懇自体は、「むつ」が安全であるかどうかということを検討する会議ではございません。そうでなくて、国の原子力行政全般を、この際、日本が手がけて以来もう三十年になりますので、実用化段階にも入ってきたこの際、改めてもう一遍見直してみようじゃないかというのが御承知の趣旨でございます。したがって、「むつ自体が安全かどうかという問題とは別種の問題でございます。したがいまして、先ほど申しましたように、私どもといたしましては、現在置かれた段階で最高と思われるスタッフでいままで検討いたしまして、「むつ」の修理、総点検等は安全に、環境を害することなしにできますという結論に至ったことを御報告申し上げておきたいと思います。
  34. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 質問終わります。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 少し国会の状況もざわざわしていますので、余り質問の時間ないようですが、二、三の問題、簡単にお聞きしたいと思います。  質問に入る前に、ちょっと長官に見解を聞いておきたい。これは予告しておかぬで恐縮ですが、私、この間ちょっと機会がありまして、ソビエトのエネルギー問題といいますか、原子力の利用問題などを少し視察に行ってきたんですが、御多分に漏れず解決のできない問題などあって、いろいろと苦労されているようですが、そこで、あの国もやっぱり科学者といいますか、試験研究やっている者と行政の衝に携わっている者との間で表現も大分違うようですが、そこでひとつ非常に印象に残ったことをちょっと申し上げて見解を聞きたいんですが、一つのエネルギーを利用、開発をする場合に、少なくとも百年ぐらいの単位で考えていかなければならぬのじゃないか、せっかく開発したけれども十年ぐらいで種切れになるとか、二十年ぐらいで別なデメリットが出てだめになっちゃうとか、こういうものではだめなんであって、少なくとも百年ぐらいの単位で考えるべきだと思う。そのような視点に立つと、核分裂型のエネルギーの利用というのは、百年間という単位で物を見た場合にデメリットの方が多くて、いわば利用にたえ得ないのではないかと、こういう危惧も一面には持っているという科学者の発言に出くわしたわけでありますけれども、これについて、長官何か見解がありますか。
  36. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) たえ得ないという根拠が、技術的に、あるいは燃料資源的に、いろんな面から考えられるわけでございますけれども、いま、私どもの考え、あるいは世界的にも常識的になっているんじゃなかろうかと思いますのは、やはり核融合あるいは太陽熱、水素関係等の、いわばクリーンエナジーと申しますか、こういう時代に将来エナジーが入っていかなければならぬし、また当然そういう時代になってくるであろうと、ただし、それになるのが一番望ましいのでありますけれども、それになるまでには、少なくとも二十一世紀の初頭でございますので、それまで一体どうするかということになりますと、おおよそ原子力関係で申しますと、いまの核分裂系統の発電によるしかないのではないか。それで、その中でも特にファストブリーダー、これは本命でございますから、増殖炉を早く完成して、そして既存の従来のエネルギーはともに限界がありまするから、燃料済みのものを再処理いたしまして、そしてプルトニウム等の新しいエネルギーをつくり出していく。そして、資源的には、いま申しましたように、ウラン等を余り使わずに必要なエネルギーというものをつくり出していくという、そういう時代に私はなるんじゃなかろうかと思います。したがいまして、いまの石油等が主でございますけれども、だんだんこれが原子力発電核分裂によるエネルギーにかわってまいりまして、全部とはむろんいきませんでしょうけれども、国によっては全部あるいは相当数はそういうものにかわっていくと。しかし、それがそのまま永遠にというものではないので、やがて核融合等が完成してきますれば、そちらの方に移らしていくというふうに考えてございますので、あるいはそういう意味でソ連でも言っているんじゃなかろうか。核分裂ということでありますと二十一世紀の、七十年後くらいになりますか、そのくらいのオーダーで考えていきますと、私はそういうふうに考えるべきだと私も考えます。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 ただいまの長官の話ですが、私が出くわした科学者の意見は、むしろいま長官の述べた見解とはあべこべなんでありまして、もちろんエネルギー資源の問題、そういう問題も含まれてはいますが、ただいまちょっと増殖炉等の問題に触れましたけれども、それは非常にエネルギーを効率的に使うことに、資源を効率的に使うことになるんでしょうが、逆にそれが環境の汚染とか、人類を初めとして生体系への影響とか、そういうものの方がむしろ深刻になってきて、分裂型のエネルギーというふうなものはやっぱり使用に耐えなくなる。こういう視点の方が強かったように私は印象を受けておるわけです。そういうことについては、いずれこの原子力の利用あるいは特に発電をめぐってしばしば議論をされるところでありますから、早い機会に、たとえば融合なら融合という方向に向かうとか、太陽熱の利用に向かうとか、そういう構想を持って、いわばこの核分裂型のエネルギーの利用というものは次の恒久的なエネルギーを利用開発をするまでの過渡的なものとして考えているのかどうなのか、この点をお伺いしたいわけなんです。
  38. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) お話のように過渡的なものとして考えております。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 これはちょっと見解だけ伺ったわけでありまして、そこで通告をしておきました点の二、三でありますが、原子力委員会日本学術会議の間で専門家、科学者レベルでの公開シンポジウムを開こうじゃないかと、こういうことが、あれは九月の半ばごろですか、合意に達しまして、いろいろと何か作業が進行をしておるようでありますが、その経過なり、現状についてまずお伺いしたいと思います。
  40. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力シンポジウムでございますけれども、軽水炉の安全性につきまして、先生御承知のようにいろいろの意見がございます。むしろ一般国民といたしまして、ある専門家は安全だと言い、ある専門家は危険だと言う、どちらの専門家を信じたらいいのだろうかというような疑問がございます。その辺のところが原子力開発利用を進めるに当たりましての問題点の非常に大きな一つだったろうというふうに考えておりますので、この際、この安全だと脅える立場に立つ専門家も、それから従来軽水炉は危険だということを言っている専門家も、これも一堂に集めまして、専門家のレベルで、しかも公開いたしまして討論をしていただく、その結果国民全般に軽水炉の安全性についての認識を深めていただくということをやるべきであるという結論に達しまして、原子力委員会がその方向を決めたわけでございます。  それに基づきまして、広くいろいろな立場の学者の参加を求めなければいけないわけでございますが、原子力関係の学会が非常に多数に上りまして、一つ一つの学会と連絡をいたしましてしかるべき専門家を出していただくということが非常にむずかしいわけでございますので、学会を取りまとめております立場日本学術会議協力の要請をいたしました。これがことしの九月九日でございます。九月の二十七日に学術会議より回答がございまして、現在原子力委員会側と学術会議側と双方で準備委員を出しまして準備連絡会を行っております。現在まで二回行っておりまして、その段階で開催の期日、開催の回数、それからその討議の内容というようなものにつきまして、現在準備を進めている段階でございます。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 いままで準備連絡会等が二回も持たれて、討議の期日とか、回数とか、その内容とかにいろいろ打ち合わせが行われておるというんですが、そのいわゆる中身について、この段階で何か報告できるものがありますか。
  42. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) まだ準備会をやっておりますけれども、残念ながら余り具体的な内容が固まっておりません。余り御報告できることはないわけでございますが、私どもといたしましては、との問題非常に重要でございますので、なるべく早く開催いたしたいというように考えておりまして、実はでき得ればことしの秋ごろ——秋と申しましてももう過ぎてしまったわけでございますが、秋ごろから始めて開催したい、でき得れば項目ごとに分けまして、数回、五、六回程度開きたい。現在その論争の極になっております問題をそこで徹底的に詰めたいというふうに考えて進めてきたわけでございますけれども、いろいろその準備に手間取りまして、年内の開催は現状ではもう全く不可能になったのは大変残念でございますので、なるべく早い機会に何とか私どもは開催したいと、かように考えております。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、いまお話のありました専門家レベルでの公開討論会と言いますか、シンポジウムと言いますか、これの性格をちょっとお伺いしたいんですが、早いころいわゆる公聴会のあり方についての論議がございまして、地方公聴会、中央公聴会、二つに分けての構想というようなのが一時期ちょっと出てまいりました。それについてまたさまざまな意見などがあった経緯が一つあります。いわばそういう中央公聴会構想と言いますかね、そういうものの延長線上にこの公開シンポジウムというふうなものがあるのか、あるいはいまもちょっとお話がありましたように、軽水炉の安全性そのものについてはさまざまな意見がある。軽水炉の安全性ばかりじゃなしに、原子力行政全体のあり方についてもさまざまな意見があって、いわゆることしの春以来、一連の見直しと言われるさまざまな作業が行われておるわけでありますが、そういういわゆるこの見直し作業の中の一つに位置づけられるものなのか、あるいは中央公聴会と言われるものの延長線上としてこれが位置づけられておるものなのか、その辺はいかがなものでしょう。
  44. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいまの御質問の点でございますけれども、少し詳しく御説明さしていただきます。実は、先生御承知の福島の原子力発電所の設置許可に関連いたしまして、第一回の公聴会を一昨年の秋に開催したわけでございます。この一昨年の秋に福島の公聴会を開催いたしまして、無事に終了いたしましたけれども、それが終わりました後での、たとえば国会での御質疑、あるいはマスコミからのいろいろの批判を集めてみますと、その中で一番何と申しますか、最大公約数と申しますか、御意見が共通でございましたのが、一方的に意見を聞くだけのいわゆる聞きっ放しの公聴会というのでは不十分である、むしろもっと対話を取り入れるべきであるという御意見が非常に多かったわけでございます。したがいまして、私ども原子力委員会とも御相談いたしまして、何とかしてこの対話を導入しようではないかということにいたしまして、実はその直後に、ですから一昨年のちょうどいまごろでございますけれども、いま考えておりますのと同じような形の専門家ベースの討論会と申しますか、公開シンポジウムといいますか、これをやろうという計画が当時あったわけでございます。これを進めておりましたところ、いろいろ事務的な面での問題点が出てまいりまして、それから昨年は御承知のように、原子力のいわば狂乱怒濤の時代でございまして、そのまま見送りになってしまいましたわけでございますが、一番最初のこの考え方は、実はそのときに生まれたわけでございます。この公聴会でございますけれども、次の公聴会は柏崎についてやるべきであるという考え方で私どもはいるわけでございますが、その柏崎の公聴会を準備するに当たりまして、ただいま申し上げましたような福島のときの経験に照らしまして、対話方式をどうやって取り入れるかということを引き続き検討したわけでございますし、私どもの、国会で御答弁申し上げたことによりましても、できるだけ対話の方式を取り入れたいということを数回繰り返しまして御答弁申し上げているわけでございます。どうやってその対話をこの公聴会の中に取り入れるかということになってまいりまして検討したわけでございますが、まずその公聴会の性格、特に発電所のサイトで開きます公聴会というのは一体どういうものであるべきか。それから、福島公聴会のときに寄せられました御意見から考えまして、どういう点についての対話が必要であろうかということを考えましたわけでございますが、福島の公聴会の場合も現地の特殊事情につきましていろいろ御希望あるいは御意見もあったわけでございますが、その論点の大部分というのは地元の特殊な事情ではなくて、発電用の軽水炉一般につきましての安全性の問題でございます。これが非常に大きな論点になりまして、恐らく柏崎につきましてもこの地盤の問題その他特殊な問題がございますけれども、軽水炉の全般の安全性についての御意見が恐らく中枢を占めるだろう、今後柏崎に限らず、ほかの地点につきまして公聴会を開くにつきましても、やはり議論の焦点は軽水炉の安全性であろうというように考えましたので、これはやはり一昨年のときに考えましたのと同じようなことで、原子力委員会の主催によりまして、この際軽水炉の安全性についての公開のシンポジウムを開く。これは、たとえば柏崎について地盤の問題があるという問題を別にいたしますと、軽水炉の安全性は、これは柏崎であろうと福島であろうとあるいは他の地点であろうと同じものでございますので、柏崎の設置許可申請につきまして、中央公聴会と俗称されております公開シンポジウムを開くということではございませんで、軽水炉一般についてこの公開シンポジウムを開く。そういうことによって同時にその公聴会における対話方式の導入という、そういう何と申しますか機能も兼ねさせるという考え方でございます。したがいまして、ごたごた申し上げましたので、やや御理解いただきにくいかと思いまして恐縮でございますけれども、二つの性格がございまして、先ほど私が申しましたような、この際その公聴会は公聴会としても、軽水炉の安全性について国民理解を深めるために公開シンポジウムをやるべきであるという考え方が一つと、同時に先生御指摘になりましたような公聴会についての対話方式の導入、特に一審対話と申しますよりも論議が必要である軽水炉の安全性についてこれをやるべきであるということとの二つの機能を兼ね備えたものとして考えまして、この中央公聴会と言われます公開シンポジウムを計画しているわけでございます。したがいまして、柏崎につきまして新潟で行いたいと思っております公聴会につきましては、この中央シンポジウムとダブらないような形で計画いたしたいというように考えております。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 何かちょっとあなたの説明、自身でもあれですが、わかりにくいのですが、もう一度お聞きしますと、軽水炉一般の問題としてその安全性をいろいろ専門家レベルで議論をして、国民からわかってもらうと言いますかね、そういう性格も持たせておるし、もう一つその後段がわからないのですよ。いわゆる公聴会について対話方式を取り入れるという機能もあわせ持たせたいということの説明が何かちっとも私にはわからないのですが、それと地元の公聴会、いま柏崎の問題はひとつの課題になっておるわけですが、地元の公聴会はそれとダブらない方式でやりたいというのは、公聴会で取り上げる内容、テーマ、こういうものがダブらないようにしたいという意味ですか、時期的にダブらないようにしたいという意味ですか、その辺もう一度ひとつ。
  46. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 時期的と申しますよりも、内容的にダブらないようにしたいということでございます。つまり、福島公聴会のときにその内容の大半を占めました軽水炉一般の安全性につきましては、この中央シンポジウムで議論していただくということにしまして、この柏崎の公聴会で、軽水炉というものが安全であるとかあるいは危険であるとかあるいは爆発するのではないかとか爆発しないとか、いうような議論は、これははずしたほうがいいのではないかという考え方でございます。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと中央公聴会、地方公聴会という構想がある時期にあって、そういう表現を使ったかどうか別ですが、わかりやすく言えば、そもそも安全であるかどうかなどという、いわば科学的な専門的なこういう問題は中央でやって、地方でやるのはもっぱらこの立地地点の利害の問題であるとか、そういう問題にいわば焦点をしぼってやりたい。これについては私は六月十三日のこの委員会でもそういうふうに区分をして、素人衆は黙っていなさい、ただ自分の地域の利害があるかないかだけものを言っていればよろしい、安全であるとかないとか、そんなことはよけいなことを言うな、こういうふうにして住民を阻害をすることになるじゃないかという提起をいたしまして、それなり局長の答弁ももらいましたけれども、いまの御答弁からしますと、やっぱり中央公聴会、地方公聴会の構想の延長線上にあって、その中央公聴会に当たるのがこのシンポジウムであるというふうに受けとめていいわけですか。
  48. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ひとつ先生の誤解をお解きいただきたいと思いますのは、これまだ地元の公聴会の内容も細かく詰めておせませんので、中間的な形でしか申し上げられもせんけれども、ただいま先生がおっしゃいましたような地元の公聴会というのは利害関係者からの意見を聞くだけ、主として、何と申しますか、地元に対してどういうメリットがあるかとかどうかという問題だけに限るということは考えておりません。国会におきまして、先生ほか、ほかの先生からもたびたび御質問がありましたたとえば地盤の問題でございますが、こういう問題につきましては、これは中央のシンポジウムではなくて、むしろ地元の公聴会の問題になろうかと思います。  ただ、軽水炉一般の安全性、これはその地盤がどうであろうとも、その軽水炉一般の安全性議論というのはほかにあるわけでございますので、これはまとめて中央でいたしたいということでございます。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、そうしますと、その内容がダブらないようにしたいということですから、軽水炉が現に柏崎に申請をされているものは軽水炉ですから、柏崎で仮に公聴会が行われるとした場合に、そこからは軽水炉の安全に関するさまざまな論議や意見というようなものは除きたいということを意味するわけでしょう。それらについては、公開で行われる専門家レベルでの、しかもそれには従来それぞれ賛否を唱えておった高名な専門家等も入るのだから、それで十分に議論をするから、そこで見ていなさい、聞いていなさいということを意味するわけですか。
  50. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 大体そういうことでございます。そういうことでございますので、たとえばあの福島の公聴会のときも問題になりましたような現在の軽水炉のECCSの作動が完全であるか完全でないかというような議論は、これは一般の問題といたしまして中央のシンポジウムに譲りたい。しかし先生がたびたび国会でも御質問になりましたように、柏崎の予定されている地点の地盤が非常に脆弱ではないかというような御意見は、これはじっくりと承りたいということでございます。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 大体皆さんの進め方のみ込めました。それに対する意見は別でありますが。  そうしますと、この公開シンポジウムというのはいま内容数項目かにしぼって議論を煮詰めておるという話でありますが、この学術会議の方でも、軽水炉一般の安全性にのみ限った公開のシンポジウムであるということについては合意に達しているわけですか。
  52. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 軽水炉一般と申しますか、当然それに関連いたします核燃料サイクルの問題も入ってまいろうかと思いますけれども、そういういわゆる軽水炉の利用に伴います一般的な安全問題に限るということは、原則的に御了解いただいていると考えております。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、先ほど私がもう一方で述べたいわゆる大きい意味での原子力問題といいますか、原子力行政見直しという大きい作業の一つには、何にも位置づけはないわけでありますか。
  54. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 有沢先生座長行政懇談会が、この原子力行政あり方見直しをしているわけでございますので、その行政懇談会の作業と今回のシンポジウムとは直接の関係はございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、軽水炉の安全性全般ということをテーマにする予定でございますし、あるいはそれとの関連でエネルギーの全般と原子力との関係というふうなことも当然取り上げられることになろうかと考えておりますので、そういう面で原子力行政見直しの作業と関係があると言えばあるわけではございますが、制度としては関係ございません。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、もっと話をしぼりますが、いまの局長のお話ですと、そうなりますといま柏崎の問題が部会にかかって審査中であるわけですが、この柏崎現地といいますか、新潟県になりますか、そこで行われるであろう地元の公聴会というのは、この公開シンポジウムのあとになりますね。というのは、軽水炉一般の安全の問題については、そこで言うなというか、言わぬか別にしまして、できるだけ地元の公聴会からはずしたいと言うからには、そういう問題についての専門家レベルでの公開のシンポジウムというふうなものがすでに行われておって、広く一般の国民理解に役立っておるという、そういう状況一つ要るわけでありますから、そういう状況を抜きにして現地でたとえば安全性問題が出ると、いや、それはいずれ偉いのが集まって相談をするんだから、ここでは言うなよというのでは話があべこべでありまして、そういう状況理解というふうなものが事前に行われておれば、この現地公聴会がある程度テーマをしぼるというのに寄与をするということになるわけでありますから、論理的に言いましてね。そのように考えてよろしいですか。
  56. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 私は先生のお説のとおりに考えております。ただ、公聴会開催の期日等もございますので、一方シンポジウムの開催がなかなか手間取っているわけでございますので、シンポジウムが全部完了いたしましたあとで公聴会を開くか、それともシンポジウムが先ほど申しましたように、現在の計画では数回に分けてやる予定でございますので、とにかくある程度進行しました段階で地元の公聴会を開くようにするか、その辺はまだきめかねているわけでございますが、いずれにいたしましても、地元の公聴会を先にやりまして、この軽水炉の安全性に関する部分はいずれ中央でやるからということでは、私はどうも余り合理的ではないのではないかというように考えております。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 きょうはその問題はその程度にしまして、これはきょうはお伺いするだけにとどめておきます。  最後に、これちょっと通告もしておきましたが、最近有吉佐和子さんが「複合汚染」を書いて、農林省が何か反発文みたいなものを書いたりしてまた物議をかもしそうでありますが、そこでふっと思うんでありますが、これは化学関係に従事しておる労働者の方からもいろんな御意見が出始めておるようでありますが、私は所管が科学技術庁であるかどうかを定かにしないで意見を述べるわけですが、とにかく六価クロムの問題が出て大騒ぎをする、塩ビモノマーの問題が出て大騒ぎをする、あるいはさらに古くたどっていけば、カドミウムであるとか水銀であるとかさまざまな化学物質というふうなものが登場をしてきては、それがさまざまなこの人体等に及ぼす影響で騒ぎになるわけであります。そうすると、これは厚生省の関係であるとか、これは産業関係であるから通産省だとか、いやこれは環境庁であるとかというようなことで、いつでもどこが所管なのか所管を見つけるのにまず苦労をしまして、それからさまざまな議論が煮詰まっていくのでありますが、そのときにはもうずいぶんと被害者も出て騒ぎになる。こういうことの繰り返しなんでありますが、たとえば有吉佐和子さんの本をちょっと読んでみると、人間がこの百年間につくり出した物質というのは何でも二百万種類であると、その中でおよそ二十万種類が生産に移されて、アメリカ政府が持っておる有害物質のリストというのは一万数千だと、ヨーロッパの場合には作成中の有害性のはっきりした物質のリストは四万種類だとか、あるいは私たちが日常鼻とか口から、その辺から体の中に入っておる化学物質の数というのは食品添加物だけでも一日八十種類入っているとか、こういう本の記述がありますわね、いささかびっくりさせられるんでありますが。この種有害物質のリストというものは政府全体、国全体としてどこがつまびらかにしておって、どこが製造とか使用とか、そういうふうなものの管理をしておるのかというと、ずいぶんばらばらなような気がする。そこでこの際、そういった有害物質、もちろん元素もありましょうし合成物質等もありましょうが、こういうものについて、たとえば科学技術庁あたり、あるいは科学技術庁が音頭を取ってでもいいんでありますが、何かこう一元的にこの所管をしまして、それの製造とかあるいは使用とかというふうなものについての指示権といいますか、管理権といいますか、もちろんそういうものを持つには事前の研究機関がなければいけませんけれども、そういった一元的な管理というふうなものが行われないと、もはや神経質な人はもう生きていけないんじゃないかというふうな時代に入るんじゃないかと思うんでありますが、そういう点科学という名前がつくから科学技術庁するわけじゃありませんが、科学技術庁の機能の一つにもそういう分野があるわけでありますから、こういう私の漠然とした問題提起でありますが、長官何か御所見がありますか。
  58. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の問題、これは非常に重要な問題であることは申すまでもございません。そういうことでございますので、また、その事の性格上非常に広い範囲にわたる問題でございます。したがいまして、行政省庁といたしましても、たとえば通産省、厚生省、農林省、労働省その他非常に広く所管がわたる、これも御指摘のとおりでございます。そこで科学技術庁といたしましては、現在までこういう広範多岐にわたる、特に化学物質等の安全性の問題、環境への影響の問題等につきましてまず研究という観点からこれは総合調整権がございます。そういうことで研究の推進についての総合調整をしてきたわけでございます。  また一方、環境汚染防止という観点から総合調整をするということで環境庁が設立されまして、環境庁がそういう観点から試験研究、あるいは調査と、こういうことを最近非常に強力に行っておられるわけであります。したがいまして、この一元的な扱いにつきまして先生御指摘のとおりの方向で進まなきゃいかぬとは思いますが、関係省庁にそれぞれに関係いたしますいろいろな法律、たとえば食品衛生法、農薬取締法、薬事法その他非常に多くの法律もあるわけでございます、規制取り締まりの関係。そういうことでございますので、これは政府といたしましては関係省庁十分密接な連絡をとりまして、外から見てばらばらであるというふうなことの印象をいささかも与えないように、今後十分一元的な考え方でもって対処をしてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 これで終わりにしますが、いや、いま関係法律があること、関係省庁がそれぞれ所管をしておることを承知の上で私は申し上げておるんで、ただ、いま局長が御答弁になったように、よく連絡をとってとか、調整を図ってというそういう枠組みではどうももう手に余るんじゃないかと、幸い科学技術庁ではライフサイエンスというようなものを扱うわけでありまして、大げさなことを言えば人類の生存がかかった問題としてこれから深刻に進行をしていくわけでありますから、これも大きな意味で見直しという意味で、たとえば長官あたり閣議なんかでも問題持ち出してこういう問題に検討を始めるというぐらいの取り組みを、規制の枠というようなものじゃもう手に余るというふうなのが率直に言って私の感じなんです。これは先ほども言いました化労労協等からは具体的にどこどこに研究機関をつくってというふうな要望等もこれから出るようでありますが、そういう点については十分な検討を始めてほしいということだけひとつこの機会に要望をいたしておきます。
  60. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時五分まで休想いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  61. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それではきょうは再処理工場の問題について二、三お尋ねしたいと思いますが、いま再処理工場が、通水試験、それから化学試験ですか、それが終わっていまウラン試験に入っておる、このように聞いておるわけでありますが、大体これらの計画は予定どおり遊行しているのかどうか、その点御説明を願いたいと思います。
  63. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ほぼ予定どおり進行いたしております。
  64. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、この化学試験が終了した段階でいろいろ点検をしたところが、八十二カ所ですかの不良個所が発見された。そういうものが十分解決をされないでウラン試験に入ったんではないか、こういうことが言われておるわけでありますが、その内容はどうなのか御説明願いたいと思います。
  65. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ウラン試験ではございませんで、化学試験が終わりました段階で点検いたしましたところ、労働組合の側から八十二カ所の要修理個所があるという指摘がございました。私どもも動燃事業団にその点をよく詰めるように指示をしたわけでございますけれども、必ずしも組合側の主張が明らかでないということでございまして、十分検討いたしました結果、ウラン試験に入るのに支障がないというように考えましたのでウラン試験に入ることを認めた次第でございます。
  66. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはどうなんですか、私たちも、まあ瀬川副理事長ですか、新聞では何らウラン試験に入るのに差し支えはない、そういうことで試験中に必要に応じて手直しをするとか、あるいは補修、改造の必要がないものがあるからウラン試験開始に支障がないと判断をして始めたということを言っておるわけでありますが、やはりわれわれは、できるだけ万全を期していかなければいけないんじゃないか。こういう説明をすれば、ああそうかなとも思いますけれども、しかしまた立場を変えて言えば、やはりそういう、いまの御説明ではわれわれは納得ができないわけですね。もうちょっと詳しく、たとえばこういう問題はこういう理由で別にウラン試験には支障がない、こういうことを直すよりも試験の方を先行すべきであるという、こういうものを、まあこれは八十カ所全部ここで説明してもらうと時間がございませんので、後資料として八十数カ所については、これはこういう処理をして、こういう結果これは必要ないと、これを提出をしてもらいたいと思う。
  67. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 概略の御説明だけさせていただきますけれども、組合側から提示されました八十二件につきまして、処置済みのものが四十八件、半分以上でございます。それから改善手配中のものが五件でございます。それから、ウラン試験を通じまして検討いたしまして必要があれば改善するものとしておりますのが十件、それから、当面処置の必要のないものが十九件ということになっておりますので、先ほども申し上げましたように、八十三件検討いたしました結果、ウラン試験に入るのには問題ないというように考えておる次第でございます。  なお、この八十二項目につきましての性格でございますけれども、操作性の改善と申しますか、操作をしやすくするようなことを目的にしたもの、あるいは作業環境を改善するために提案されたものというようなものでございまして、ウラン試験を実施する上に安全上障害になるような性質のものではございませんので、ウラン試験に入るのは差し支えないという判断をした次第でございます。
  68. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、いまの件は資料として後で提出していただけますか。
  69. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 組合から指摘されております八十二項目につきましては、もちろん資料として御提出いたします。
  70. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、これは九月二十日の未明に、分折課所属の畠中君という方が、試料分析をしておりまして、その試料びんがぬれているので変だなと思いながら分析をやったところが、休憩時間にハンド・フット・モニターというのですか、あれに入れたところがブザーが鳴って非常に驚いた。こういうようなことがあったと聞いておるわけでありますが、どういうわけでその分析課員の手に放射性のある物質がつくようになったのか、この経緯を簡単に御説明願いたいと思います。
  71. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生御質問の件でございますが、九月の二十日に動燃事業団の東海再処理施設の建設所の工務部の分析課の職員の畠中照夫さんという方が分析作業をしておりまして、分析試料を入れましたびんのふたをあけましたときに、そこに入っておりました硝酸ウラン溶液がこぼれまして、この溶液が左手の親指と中指に、微量ではございますが、付着したものでございます。その後直ちに水、中性洗剤等で洗いまして、いわゆる除染措置を講じたわけでございますが、その結果、サーべーメーターにおきまして毎分百五十ないし二百カウントまで減少いたしました。これはバックグラウンド、つまり自然放射能が百カウントでございますので、それとほとんど近いところまで減少したわけでございます。二日後の九月二十二日にもう一度測定いたしましたところ、バックグラウンドと同じレベルまで下がりましたので、その段階で全く汚染はゼロになったというように考えられます。この指の被曝の程度でございますが、試算いたしますと三十ミリレム以下でございます。これは、ICRP——国際放射線防護委員会の基準の中の手の被曝の許容価、これは年間七十五レムでございまして、それと比べますと約三千分の一に当たりまして、きわめて微量でございますので、当然人体に危険を及ぼすような問題はないというように考えております。
  72. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、そうしますと結局、分析する試料は、恐らく硝酸にいわゆる核燃料を溶かした溶液だと思うのですけれども、結局それが手についたためにそういうことになった、そういうことですね。これは結局、こういうことはどこに誤りがあったのか、というのは、今後やはりこういう問題についてはどう改善していくものかということですね。
  73. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) これは、いろいろ原因があるわけでございまして、一概に作業員のふなれあるいは間違い、失敗とは言い切れない点があろうかと思います。問題は、びんのふた、これはゴムでできておりますちょっと複雑な形のふたでございますが、そのふたを明けますときにびんが揺れまして、中の溶液がはねて指についたということでございますので、たとえば、その場合に、ゴムの手袋のようなものをしておりますれば、この指が被曝するということは当然なかったわけでございますし、その辺の問題あるいはそのゴムのふたの構造の問題、その辺に今後検討すべき点があろうかと思いますし、それから、もちろん、このウラン試験というもの自身が全体としてその教育訓練の機会を兼ねているわけでございますが、そういう点も考え合わせまして、さらに、作業員の訓練も十分やらなければいけない、あるいは何と申しますか、作業の要領につきましても周知徹底を図らなければいけないというように考えておりますので、そういう点につきまして今後とも改善をしてまいりたいというように考えております。
  74. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この分析をする人がゴム手袋をはめずにやった。当然びんを扱うとすれば、やはりゴム手装を使わなければ、当然硝酸というものはかかる危険性はこれはやはりあると思うのです。この場合にゴム手袋をはめるべきなのか、そういう作業基準になっておるのか、あるいはこの程度の放射能であれば何ら人体に影響がないからゴム手袋ははめなくていいということになっておるのか、そのあたりはどうなんですか、現場の指示というものは。
  75. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) そこのところが実は一番問題の点でございまして、ゴム手袋をはめますと、どうしても指先の操作がなかなか素手と違いまして自由になりませんので、作業員自身としては実はあまりゴム手袋をはめたがらないという傾向がございます。  ただいま先生御指摘のように、放射能がほとんどゼロに近いような微量でございましても、とにかく汚染しない方がいいという考え方でございますと、ゴム手袋をはめた方がいいということになるわけでございますので、その辺は作業員の作業をやります上の、何と申しますか、希望と、その辺の安全の維持と、その辺二つの要素をてんびんにかけまして、一番合理的な方法にしてまいるというようなことではなかろうかと思います。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 このウラン試験を始めてから、ほかにもこういうウランのいわゆる溶液が漏れたとか、そういうような事故はほかにもあったのかどうか、それはどうなんですか。いわゆる放射線というか、放射能というか、それに関連をする事柄ですね。
  77. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) この問題のほかに、パイプの継ぎ目から溶液が漏れたというようなこと、そのほか数件がございます。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで一つは、私は畠中君がいわゆる休憩時間にようやくわかったと、恐らく分折をして、その溶液が体についてから休憩時間の間には幾らかの時間があったのじゃないかと思うんですけれども、われわれは素人的感覚かもしれませんけれども、そういう放射性の物質を扱う場合には、直ちにそういうことがチェックできるような体制でないと、休憩時間がもっと遅くあった場合には、それまでに気がつかないと、目に見えないものですからね。そういうところに、この現場の放射性物質に対する感覚が私たちの感覚とはちょっとやはり違うのじゃないか、管理が不十分じゃないか、こういう気がするんですけれども。  それともう一つは、洗っても落ちないという、石けんで洗っても落ちないで、また中性洗剤で洗ってもなかなか落ちないと、これはどうなんですか、やはり気がつきやすぐぱっと落ちるようなそういうものはないのかどうか。恐らく何かが、そういう微少な放射能を持った物質が体のどっか、すき間かどっこかに入ったために洗っても落ちないのじゃないかとわれわれは思うんですけれども、こういうのは、あんまり洗剤で何回も何回も洗うということは、体にもよくないわけだと思うんですが、このあたりはどうなっているんですか、そういう緊急の場合の対策としては。
  79. 元田謙

    説明員(元田謙君) お答え申し上げます。  本人は左手の親指と中指の汚染に気がつきまして、直ちに水洗いをしているとわれわれは承知しておりますので、普通ですとそれで汚染はほぼ除去されるものというふうに教育も受けているはずでございますし、除染もされたはずでございますけれども、運悪くつめの間とか、皮膚に少ししみ込んだということがあるいはあったかと思われますけれども、本人といたしましては、通常の教育を受けた除洗方法を用いたということでございますので、本人の、別に除染方法に間違いがあったということではないと存じます。
  80. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ぼくは本人のやり方に間違いがあるというのじゃなしに、当局が、あるいは事業団がやはり教育をしたその内容に、たとえばその除染方法にもっといい道がないのかどうか、こういう点はやはり検討の余地はないのかどうか、つめの間へ入っちゃえば仕方ないかもしれませんけれども、その点どうなんですか。
  81. 元田謙

    説明員(元田謙君) 通常ですと、作業場から出るところにハンド・フット・クローズ・モニター等がございまして、そこでチェックをして出るというふうに教育をされておりますし、それで正しいと思いますが、本件の汚染そのものの量としてもあるいは濃度としてもきわめて微弱だったために、汚洗を水洗いしまして、直ちに手元にあります測定器で、サーべーメーターではかってみるほど問題があると、恐らく認識してなかったのだろうと推定されます。
  82. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、この場合はやはり直ちにサーべーメーターで測定をすることがよかったのか、この点どうなんですか、後から考えて——そういう必要はなかったのですか。
  83. 元田謙

    説明員(元田謙君) 当時の分析課の中での教育を受けていた内容といたしましては、色が余り黄色味を帯びてないような状態であると放射能もきわめて低いもんだろうということもございまして、水洗をすればほとんどバックグラウンド程度に除染をされるものということを考えたんだろうと思います。
  84. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから考えどおりにはいかなかったわけですね、結局。
  85. 元田謙

    説明員(元田謙君) 先ほど御説明申し上げましたように、ウランでございますから多少の娘核種としてのベータ線源も存在するわけでございますが、水洗をすることによって十分除染をしたものと本人としては考えたものと思いますので、その場の本人の判断としては別に間違ってはいなかったものと考えます。
  86. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は本人がどうのこうのということじゃなしに、こういう問題に対処する姿勢としてもっと慎重にやっていかなければいけないんじゃないかと、こういうことをいま言おうとしているわけですけれどもね。  瀬川さんという副理事長さん、後いらっしゃるそうですけれども、このウラン試験というものは全く放射能の心配はないと、こういうウラン試験を行うに当たって従業員にそのように文書で通達をしたと、このように聞いておるわけでありますが、そういう事実があるのかどうか。
  87. 元田謙

    説明員(元田謙君) ウランそのものは放射性物質でございますので、ウランを使うからにはウランそのものの中に含まれておりますウラン238あるいは235は一定の半減期をもって崩壊をするわけでございますから、それに伴いましてアルファ線、ガンマ線あるいは娘核種からのべータ線が出るということは十分動燃としても教育をしていたとわれわれ承知しておりますし、本人もその辺の教育というのは座学、実習等で受けていたというふうに承知をしております。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから私がいま聞いた質問は、よく質問を聞いて答えてくださいよ。瀬川さんがウランテストを開始するに当たって全職員に文書で訓辞をしたと。その内容が、「「放射能がでて健康に害があるといった危険性はまったくない……」」と言っているというんです。そこでここに書いているわけだ。これは「エコノミスト」に載っている記事だから、僕は実際にこの記事が正しいかどうかということはやっぱり当局に確かめた方がいいんじゃないかと思って聞いているわけですから、そういうことがあるかどうか、どうなんですか。わからなければわからなくていいですよ。
  89. 元田謙

    説明員(元田謙君) ウラン試験が開始される前に瀬川副理事長がいろいろ文書をお出しになったということは承知しておりますけれども、その内容についてはいまちょっと記憶をしておりませんけれども、ウランであるから危険性がないというふうなことは恐らくお書きになっていると思います。
  90. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 危険性がないということは書いていると。
  91. 元田謙

    説明員(元田謙君) 思いますが、ただいま手元にその文書そのものを持ち合わせておりませんので、それをそのとおり書いてございますということはちょっといま申し上げられません。
  92. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはやはり「エコノミスト」という雑誌に載ったところで中島さんがこういうことを言ってるわけですから、こういう問題は当局としてもやっぱりちゃんとつかんで、事前通告しなくても、そういう問題については質問があるなしにかかわらず、果たしてこの瀬川副理事長の通達が正しかったのかどうか、これは私はいやしくも原子力行政を監督する庁として、私はこういうものには当然気を配って、その文書が問題になっておれば、すぐ取り寄せてその内容を検討すると、これくらいのやはり積極性があって当然じゃないか、長官どうですか。
  93. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) こういう問題は、慎重な注意をすることはもちろんでございまして、いまお話しのように、念には念を入れてやっていくのが当然じゃなかろうかと思います。
  94. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはあと、どういう文書の通達が出たのか、ひとつ資料として提出してください。  それから瀬川さんは、こういうことを十月二十一日の、これは朝日新聞じゃないかと思うんでありますが、今回のウラン試験について、「水泳を教えるのにタタミの上より水中での訓練が必要であると同様、現場訓練が大切で、それもいきなり深い所でやるのではなく、実地に即して訓練の程度を順次高めてゆくことが必要である。」と。水泳の場合は確かに畳の上で教えるよりも、水中で直ちに教える、水の中にほうり込むということが水泳の訓練としては妥当であるということは、これはわれわれは当然認めるわけでありますが、しかしウラン試験は、いまも言ったように、たとえ微量といえども放射能を持っておるわけですから、そういうものを同じようにたとえをするということは、私はやはり原子力行政を預かる責任者として非常に軽率な引用の仕方ではないかと、私はそのように思うわけですけれども、その点はどうですか。
  95. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 畳の上の水泳の練習という表現が適当であるかどうかは別にいたしまして、ひとつ私どもでこの際御説明申し上げたいと思いますのは、このウラン試験というもの自身が、先ほども申しましたように、その次の使用済み燃料を実際に用います、いわゆるホットテストと言っております、ホット試験に移行をいたします前の試運転であると同時に、教育訓練あるいは機器類の修理、調整、そういう各種の機能を兼ね備えましたものだということでございます。もしも通水試験、化学試験が終わりました段階で完全に教育訓練ができ、完全に機器が修備できるということでございましたら、ウラン試験の必要がないわけでございます。ウラン試験をやるというのは、まさにその微弱な放射能を持ちました天然ウラン、主として天然ウランを用いまして、その放射性物質の特性を生かしながら、同時に安全な方法でその試験をやると、試運転をやるというところに特徴があるわけでございますので、水泳にたとえたのが適切かどうかは別にいたしまして、私どもはこのウラン試験というのはまさにそういう性格のものである。したがいまして、このウラン試験の間に、もちろん一つも故障も起こらず、何も起こらなければそれにこしたことはないわけでございますが、機械のことでございますので、若干のことは当然起きると思います。起きるべきものはこのウラン試験の間に起き、それに基づいて直すべきものは直しておく、それから要員の訓練につきましても、足りなかった部分はこのウラン試験の間に全部充実さしておくということによって初めてホット試験以後の試運転あるいは本格運転が安全にできるわけでございますので、そういう意味におきまして、ウラン試験のところでいろいろ小さなトラブルが起きたということは、これはもちろん起きたことが望ましいとは決して申しませんので、起きるのと起きないのとどちらがいいかと言われれば、当然起きない方がいいわけでございますが、これが起きたということがそのウラン試験そのものの本質的な欠陥であるというような解釈は私どもはとっておりません。むしろこういうことを積み重ねていって、ウラン試験を完作に終わることによって、後の安全性が維持できるという考え方でございます。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ、そこに一つの問題があるんですよ。これは「むつ」の場合でも同じなんです一それは長官もよく聞いてもらいたいんですけれども、それは確かに瀬川さんも核燃料事業団の副理事長という立場にあるわけですから、言っていることは決してむちゃなことを言っているんではない、道理にかなったことは言っていると思うんですね。また、いま話したようにウラン試験そのものが、いわゆるホット試験への一つの訓練と申しますか、そういうようなことでこれを言ったんでありましょうけれども、しかし、やっぱり原子力行政というのは、国民のコンセンサスがなければ、「むつ」の場合も結局ああなったじゃありませんか。それは、中にはあんな微量の放射能を何だかんだ言う方がおかしいと、こういう人もおりますけれども、私はそうじゃなくて、やっぱり原子力行政というのは国民理解を得ながら、やはりそのコンセンサスを得ながらやっていかなきゃいけない問題ですから、そういう意味からいって、これは、われわれもちょっと読んでも、水泳を教えるのに骨の上でやるよりも、ぱぁんと水の中に入った方がいいんだと、それと同じように、こういうウランテストにしたって、やはりこれはホットの前の試験だと言ったって、当然これは放射性物質を扱うわけですからね。それをその座学でいろいろやるよりも、そこへ入って早くやった方がいいんだと、こういう誤解を生むっていうことは、こういうやはり感覚を私は改めていかなければいけないんじゃないかと、こういう点、ひとつ慎重にやるべきじゃないかと思うんですが、長官、どうですか。
  97. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 慎重を要することは事実だと思います。ただ、私は再処理工場の本尊である英国のウインズケールには二回ほど視察に行っておりますけれども、いまの東海の施設から見たら、まるで乱暴な施設で、本当の近代工場と何と言うのですか、昔風の工場との差くらいで、実際申しまして、東海村の設備を見まして、こんなに整備したものかしらんと思って、実は去年でございましたか、びっくりした記憶がございますが、ですから、いまの試験も順を追うて、そうしてだんだんだんだん危険なプルトニウムの試験と申しますか、抽出の試験の段階までいくわけですから、その過程でございますので、それはその過程でそれぞれ慎重な注意をするのは当然でございますけれども、しかし、まあその試験自体はさっき局長も言ったように、もし設備に欠点があれば、プルトニウムを出すこの試験に入る前に全部そこは直してしまうという意味ももちろん兼ねているわけで、従業員の皆さんに対しても、そういうプルトニウムのそのものは大変危ないものでございますから、それに至る前に十分何ものも放射線のないものから、だんだんそういう微少なものを入れてという、非常に慎重な配慮で私はやっている試験経過だと思います。したがいまして、各段階でそれぞれ慎重にやるのは当然でございますけれども、しかし、その慎重の上にも、いま御指摘ございましたように、いろいろ事故と申しますか、いろいろあるようでございますが、まあやむを得ざる事故と言えば、あるいはそういうふうにも解されるかもしれません。したがいまして、お説のように一生懸命これ慎重に、そういう一つの事故も欠点もなしにやれれば、これにこしたことはないのですけれども、しかし、慎重にいままで申しましたような配慮のもとにやっておることでございますから、私は、まあ許される範囲の問題じゃなかろうかというふうに実は考えておるんでございます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、いま瀬川さんが、いわゆる「水泳を教えるのにタタミの上より水中での訓練が必要であると同様、現場訓練が大切で、」云々というところがあるわけで、放射能を受ける危険性のあるそういう作業に関しては、やっぱり「水泳を教えるのにタタミの上より水中での訓練が必要」だという、こういう表現は非常によくないと、よくないということが言い過ぎであるならば、誤解を招く、そういうことで、やはりちょっとわれわれの聞いた感じでも、ともかく机に座って、いろいろ放射能がこうだ、放射線がこうだ、やれガンマ線がこうだとか、そういうことよりも実際現場に当たればいいじゃないかという、こういうことでは非常にやはり困る。たとえ微量の放射線であってもできるだけ低く押えていくということが、ぼくは原則じゃないかと思うのですね。そういう意味で、誤解を招くこういう発言はよろしくないのじゃないかと、そういうことを、そういう点で慎重にしてもらいたいということをどう思うかとお聞きしたわけですよ。どうなんですか、長官は。
  99. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) そのたとえが大変御指摘のように当を欠いたものであれば、瀬川君に御注意申し上げまして、なるべくひとつ、たとえではなしに、実際こういうことだと、こういうふうに慎重にやらしています、やっていますというように、はっきりしていったらいいじゃないかという御注意は申し上げておきます。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは今後やはり専門家がわかるだけでは困ると思いますですね。やっぱり国民大衆にできるだけわかるように、また誤解を招かないようにしていかないと、そういう点は私は政府原子力行政を進めていくには一番大事なことじゃないかと思うのですがね、この点をひとつ要望しておきたいと思うのでありますが、それから非常にわが国の再処理工場は、いわゆるフランスのラ・アーグですか、そういう工場の技術を導入をしたと、ところがアメリカにも再処理工場があるわけですが、アメリカの方式は非常に近代化されて、自動化されているけれども、フランスの方式は非常に人海戦術で、たくさんの人海でやっている。ところが政府は、そういう人手の要るフランス式を導入しておきながら、なかなか人間をよこさないじゃないかと、こういうように言われておるわけでありますが、ラ・アーグの工場では五班三直制、わが国の場合は四班の三値制と、そういうことで、そういう五班編成の必要がないのかどうか、十分四班三直制で作業に支障がないのかどうか。休日もとらなければならないし、その点ちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが。
  101. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 動燃事業団の再処理施設は、フランスのサンゴバン社からの技術提携によるものでございます。サンゴバン社が基本契約におきまして必要といたしました人員数でございますが、これがホット試験の開始時におきまして百九十名ということでございます。それに対しまして、動燃事業団は、その約倍近い人員をすでに確保いたしておりますので、人海戦術というお話はございましたけれども、この要員の確保につきましては問題ないというように考えております。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その前にもう一つ。これは中島さんの資料だけで申しわけないのですけれども、いわゆるウラン試験を始める前に各工場内をいわゆる放射線量率に従って区分をすると。それで大体一時間当たり一・二ミリレム以下のところはグリーン、それ以上五十ミリレムぐらいのところはこはく色に塗るようになっておる。ところが今回は全部グリーンに塗って一・二ミリレム以下という、ところが実際は娘核種が装置内で濃縮しているところは八ミリレムに達するところもあった。こういうようなことが書いてあるわけですけれども、それに対しておそらく皆さんの答弁はそういうものを調べるのが今回の試験であってと、「むつ」のときと同じ答弁がまた返ってくるんじゃないかと思うんだけれども、私はそういう場合にもしそういうことを調べるのが目的であるならば、もっと高いところに全部の色を塗っておいて、それで調べた結果これは実はこはく色に塗っておいたけれども、安全だからこれはもうグリーンでいいんだと、こういうようにしていくならまだ話はわかるわけですね。いつもこれはもう絶対グリーンを塗っておけば全部一・二ミリレム以下だと。実際にはそれ以上のところが出てくる。こういうこと自体がやっぱりできるだけ放射線に対しては慎重に気を配ってアズ・ロー・アズ・プラクティカブルという精神が余り生きていないんじゃないか。この点はどうなんですか。
  103. 元田謙

    説明員(元田謙君) 先ほどのお話はミキサセトラの場所での問題であると思いますが、ウラン試験中でございますので、全般的にグリーンエリアということと、それからホワイトのエリアということでございますが、ミキサセトラの上部の表面におきましては別といたしまして、それから離れた場所におきましてはかなり線量率が低くなっておりまして、グリーンの領域以下だということでわれわれは了解しておりますので、それで差しさわりないものと考えております。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはあれですか、そうするとミキサセトラというのは何ですか、ぼくはよくわかりませんけれども、そういう一・二ミリレム以上のところはなかったんですね、全然。もし、ミキサセトラというところが一・二ミリ以上であるならば、そこはグリーンじゃなくてもう一つ高いランクの色にする必要がないのかどうか。そこは人間が立ち入らない場所なんですか。
  105. 元田謙

    説明員(元田謙君) ただいまの場所におきましても作業環境としてのレベルはグリーンゾーン以下に該当しておったわけでございますから、先ほどお答えしたとおりでございます。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、これに書いているのは、八ミリレムというのは、これはあれですか、あれは時間当たりとも何とも書いてないわけですけれども、結局この場所も時間当たり一・二ミリレム以下で、結局グリーンで間違いはなかったと、こういうことなんですね。ここに番いてあることは間違いなんですね、これは。
  107. 元田謙

    説明員(元田謙君) 八ミリレムと書いてあったと先生はおっしゃいましたけれども、これはミキサセトラの上部の表面におきましてウランのサンプルを抽出するときに軽微な汚染があった、その表面においての線目黒率でございまして、通常作業いたします環境でございます約一メーターとか離れた場所におきましては当然のことといたしましてグリーンゾーンの範疇以下のレベルであったわけでございます。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこのところはまあこれよくわかりませんけれども、これやりとりすると時間たちますから、後でもう少しわかりやすく説明してもらいたいと思うんですよ。こういう雑誌に載っておれば、われわれそれ読んだらやっぱりそう思うわけですから。線量率八ミリレムの場所がありながらそこがグリーンだと。そこは当然一・二ミリ以上であればこはく色に塗るべきじゃないかと。その点はなかなか私の方が理解度が悪いのか知りませんけれども、後でよく別途説明していただきたいと思うんですよ。  それから、先ほどの原子力局長は、私が聞いたのはいわゆる四班か五班かということを聞いたわけなんだけれどもね。あなたのはちょっとこうすれ違いの答弁じゃなかったかと思うんですよ。その点はどうなんですか、四班三直でいいのかどうかということ。まあフランスの場合は五班で三面でやっていると。班の編成を言っているわけです。その点どうなんですか。
  109. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 先生御承知のように、わが国におきまして、たとえば化学工業のような連続操業をいたします、まあ装置工業でございますが、その場合の交代勤務のやり方ですが、従来は三直三交代が主流であったわけでございます。しかし、近年四直三交代がかなり定着しつつございます。これはむしろ週休二日制の導入等によりまして、三直三交代から四直三交代が化学工業、製鉄業等におきましてかなり一般的になっているように考えます。再処理工場でございますが、これはこの労働条件、労働環境から考えまして、一般の化学工業あるいは製鉄業というものと比べまして格段の労働力を必要とするわけではございませんし、世間の一般慣行をそのまま採用してよろしいのではないかというように考えでおりますので、将来そういう一般的な潮流といたしまして五直三交代というようなことが一般的になりました場合は別でございますが、現在の段階では四直三交代ということで十分と考えております。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この点はじゃあ、大体再処理工場は原子力発電所等に比べて被曝線量の量もわれわれの認識ではかなり多いと、そのように考えておるわけでありますけれども、まあしかしそれを考えても、大体化学工業と同じ程度の、一人八時間勤務ですね、これで何ら支障はないと、そういうように判断していいわけですね。
  111. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) そのとおりでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから非常にこの人数においても、最初の通水試験から関係している人は約八十人という、そういうことが書いておりますが、しかも、高校出の若い人あるいは最近よその現場からかわってきたような人が非常に多い。私は、やはりこの通水試験、化学試験、ウラン試験あるいはホット試験、そういうものは当然積み上げていくものであって、もし最初からずっとこの試験に立ち会う人は三百何十人のうち八十人というようなことが事実とするならば、これはちょっと問題じゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  113. 元田謙

    説明員(元田謙君) いま化学試験のときから主として携わっていたのが八十名であったかどうか、正確な数字を手元に持ち合わせておりませんけれども、全体で、先ほども御答弁ございましたように、フランスのサンゴバンからの指摘の数字よりは倍近く多い人数が現在もやっておるわけでございまして、そのうちのかなりな比率の者は長年の経験を有している者が参加しているわけでございます。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 非常に私はこういうことを細かく聞くということは、あなたには言わなかったかもしれないけれども、大体のことは伝えておったわけだからね。また、ぼくがこういうことを質問するということを通告しなくても、いやしくも「エコノミスト」といえば日本でもかなりの人がやはり読んでいる雑誌ですから、そういうところに書かれているいろいろな疑問点については、やはり常にそのことに対する反論——反論というわけじゃない——もしあなた方の言い分があれば、これははっきりそれを国民にPRをして、そういう中からやはり正しい国民のコンセンサスは得られるわけですからね。国会のことじゃないんです。私はむしろ国民のコンセンサスの方が大事じゃないかと思うんですよ。そういう意味で、この現在再処理工場で試験を担当している人たちがどういう経歴であったのか。たとえば最初からずっと、あるいはどういうその教育を受けてきたか、年齢別の人員構成と再処理工場でのいわゆる勤務年数別の構成ですね。これは一人一人言ったら……、大体でね、大体何カ月になれば——この試運転始まってからの年数は決まっておるわけですから、それ以上という者は大体最初からおったことになるわけですからね。そういう年齢別の人員構成、それから勤務年数別のいわゆる人員構成、こういうものを後からでいいですから、それを検討——それはもうすぐ調べればわかると思うんですがね。御提出をいただきたいと思います。その点どうでしょうか。
  115. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいまここにございますので申し上げてもよろしゅうございますけれども、細かく……
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 では、ちょっと言うてください。あるんなら皆さんに。
  117. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 年齢別の構成でございますが、パーセンテージで申し上げます。  十九歳以下が六・八%、二十四歳以下が二〇・六%、二十九歳以下が二〇・五%、三十四歳以下が一六・四%、三十九歳以下が一四・七%、四十四歳以下が九・七%、四十九歳以下が六・五%、五十四歳以下が三・六%、五十八歳以下が一・二%、で平均年齢が三十一・四歳、これが動燃全部でございます。  それに対しまして、再処理工場の従業員でございますが、二十四歳以下が四〇%、三十四歳以下が三三・四%、四十四歳以下が一七・八%、五十八歳以下が八・八%、平均年齢が二十八・九歳ということでございますので、若干動燃全体の平均よりも再処理工場の平均の方が若くなっております。  それから、経験年数でございますが、全体三百二十一名おりまして、全部申し上げてよろしゅうございますか。細かく……
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 経験年数の短かい方だけちょっと言ってください。
  119. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 短い方を申し上げますと、一年未満が十六人、それから一年から二年まで二十三人、それから二年から三年まで四十四人、三年から四年まで二十二人、四年から五年までが十八人、五年から六年までが九名、あとずっとございますが、若い方はその程度でございます。  それで、先ほどの先生の御質問と関連いたしまして、その八十名という数字でございますが、恐らく建設当初のときに、建設当初あるいは建設の過程におきまして、再処理部門に勤務していた者の人数ではないかと思います。  現在の、再処理工場の従業員の熟練度と申しますか、経験年数は、ただいま申し上げましたようなことで、さらに経験年数の長い者もずっとおりますので、全体としてこの三百二十人のうちたとえば一年未満の経験しか持たない者は十六人でございますので、非常に少数であると、かように考えております。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのは経験年数は動燃事業団に入ってからの経験年数でしょう。再処理工場へ来てからの経験年数というわけじゃないでしょう。
  121. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま申しましたような非常に経験年数の少ないところの人たちですが、これは主として高校卒でございますので、高校を卒業しまして動燃事業団に入りましての経験年数でございます。それから経験年数の非常に多いのもございますが、これは何らかの形で動燃事業団以外のところで再処理関係、あるいはそれに非常に近いような作業をやった経験ということになろうかと思います。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この再処理工場はわが国では初めてでしょう。動燃事業団でもいろいろクレンを運転する人もいるわけですから、やっぱりね。私はやはりそういう再処理工場へ来てからのやはりまた経験年数というものを、そういう点ではいまの報告をしていただいた経験年数というものは、これはちょっと私の意図するところとは違うわけです。これはだから別途また、いまの報告ではまだ納得しませんので、いわゆるこの再処理工場へ来てからの年数と、それをひとつ御提出願いたいと思います。  それから、わざわざフランスの工場まで研修に行った人が現在はかなりの人がもうよその——昇進をしたりして現場に携わっていないと、こういう事実はあるのかどうかですね。フランスへ何人研修に行っていま現実にその第一線に立っているのは何人なのか、わかりますか。
  123. 桜井保孝

    説明員(桜井保孝君) ただいまの先生の御質問でございますが、ラ・アーグへ派遣いたしましたのは十五名でございます。それ以外に原研の再処理施設への職員を入れますと約四十名が現在再処理に携わっております。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私はその四十人ほど職員がラ・アーグに派遣をされて訓練を受けたけれども、実際に現場にあって基幹要員となっている人は十人内外に過ぎないと、だから四十人ラ・アーグに行きながら、そういうほかの——十人ぐらいしかいま携わっていなくて、あとの人たちはそれぞれ出世をして動燃本部その他の部課長になってしまっている。偉くなればもちろん部課長という立場でタッチはしているんでしょうけれどもね。実際実習に行った四十人のうち現場でやっているのは十人だということをここに書いているから、そういうことは事実かと聞いているわけなんです。その点どうなんですか。
  125. 桜井保孝

    説明員(桜井保孝君) ラ・アーグへ派遣いたしましたのは十五名でございまして、そのうち現場におりますのは先生御指摘のとおり十数君が再処理工場の現場に携わっております。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 向こうへ行ったのは十五名、現場に携わっているのは十数名——どういう意味ですか、それ。やっぱり向こう十五名といえばこっち十四名とか、そういう十数名——たとえば一千二百というのじゃなしにたった十何名の問題だからね。やはり研修に行った人がどれだけ現場でやっているかということは、当然これは原子力行政の上においても、ぼくは、質問するまでもなしに、ぼくは当然知らにゃいかぬ問題じゃないかと思うのだけれどもね。これはじゃまたあと口頭でもいいですから、この答弁を待っているとあれですから。  それから、もう時間はございませんが、いわゆるウラン試験をやるその材料につきましては、これはいわゆる使用していないウランを使うわけでありますが、組合側はそのウランの経歴を知るために核分裂生成物の混入のチェックを要望した。ところが当局はそれをやらずにこういう問題が起きてからやったところがウラン郷が少量検出をされた。だからこれは使用済みの燃料ではないかということに対して、事業団の方は天燃のウランにもやはり郷が少量は含まれる、こういうように答えておるようであります。われわれはそういうことを聞きまして核燃料の管理が非常にずさんではないか、そういう感じがするのですけれども、そのあたりのことを説明願いたいと思います。
  127. 元田謙

    説明員(元田謙君) ウラン試験に使用いたしますウランにつきましては、燃料集合体あるいは酸化ウランのペレットあるいは酸化ウランの粉末というふうなものを用いているわけでございますが、いずれも天燃ウランまたは劣化ウランの未照射のものということになっているわけでございます。その燃料集合体等につきましても受け入れの際に未照射ではございますけれども、安全上支障があっても困りますので、受け入れ分析というのをガンマスペクトロメトリーでサンプリングの上行っているわけでございます。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは時間がまいりましたのであとの質問はまた連合審査等もありますのでいたしますが、特に長官に最後に要望しておきたいことは、私はきょうの質問は主に「エコノミスト」に載っておった中島さん、この方は実際に現場で仕事をしている専門家ですから、そういう意味でほかの一般の興味本位、と言えばしかられるかもしれませんけれども、そういう雑誌に載っているものとは違う。そういう意味できょういろいろ質問に利用さしていただいたわけでありますが、やはりそういうものについてはそれ以外の雑誌に載った問題につきましてもただ無関心ではなしにやはり科学技術庁あるいはエネルギー庁としてもこのような問題についてはできるだけ慎重に配慮をして、そういう一つ一つの事柄に対して国民の皆さんに正しい理解を得るように、そこでいろいろまた論議をしていくことによって発展をしていくわけですから、そういう点もっともっと国民がどう感じておるかということに対して気を配ってひとつやってもらいたい。このことを長官に要望いたします。それで、それに対するそのように努力するということならそれでもいいですから、答弁いただきたいと思います。
  129. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) そういうふうに努力申し上げます。
  130. 加藤進

    ○加藤進君 原子力船むつ」の問題について質問いたします。  初めに母港の問題でございますけれども、昨年十月四者協定ができてからもう一年以上になるわけでございますけれども、まだ私の聞くところ「むつ」の新しい定係港は決定されておらないように思うわけでございますが、いま佐世保での修理をめぐっていろいろ地元でも大きな問題になっておりますが、科学技術庁としましては、あるいは事業団としまして、佐世保は修理港として地元に願っておられるのか、それとも新しい定係港として地元にお願いをしておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  131. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) まだ地元に正式にお願いする段階になっておりません。修理、総点検の具体計画をいままで検討しておりまして、その結果、これは修理、総点検計画は事業団でつくったものでありますけれども、それを科学技術庁、運輸省あるいは学界の皆さんで再検討した結果、安全なものであるし、環境にも何ら心配を及ぼすようなものでないという結論が出まして、いよいよ修理、点検の技術的な見当はいまの段階ではついたわけでございますから、いよいよこれから修理、点検をするための港をどこにするかという問題に入るわけでございますけれども、けさほども申しましたように、きょう朝八時甲から関係閣僚、自民党の党三役の皆様にお集まりいただきまして、いままでの経過を篤と御説明申し上げ、今後いよいよ折衝等に入るわけでございますから、その時期、方法等は、官房長官、私、それから運輸大臣、三者にお任せいただきたいという結論を得まして、今後その三者でいろいろ現地の情勢等も踏んまえまして、円満に問題が処理できるように配慮しながら進めたいという段階に達したわけでございます。
  132. 加藤進

    ○加藤進君 そうすると、まだお願いするという段階には至っていない。お願いするとすれば、それは新しい定係港という意味ではなしに、修理のためにお願いする、こう理解してよろしゅうございましょうか。
  133. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) そのとおりでございます。
  134. 加藤進

    ○加藤進君 政府はことしの春、新しい定係港として対馬も候補地に挙げられておったと思います。その後、長官も長崎県知事に対しまして白紙に還元するとは言われております、お約束されておると思いますが、まだ撤回するとまでは言っておられないように思いますけれども、その点はいかがでしょうか。新しい定係港として対馬はなお候補地の一つに数えられておるのかどうか、お伺いしたい。
  135. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 加藤先生にはあるいは御説明漏れだったかもしれませんけれども、何遍となくこの問題は御説明申し上げたとおりでございまして、それは対馬の問題の起きたころは確かに母港そのものとしてお願いしたいという候補地を幾つか選定しておりました。ところが、時あたかもたまたま地方選挙の真っ最中でございまして、この問題を突如として持ち出すということになりますと、あるいは選挙そのものにも混乱を来すような問題になりかねませんので、選挙妨害だなんということになりますと天下の大事でございますから、これは選挙が済んでから出しましょうということで、実は選挙が済むのを待っておりまして、その後、いまおっしゃるように、知事から白紙還元といったようなお話もございました。ございましたが、だんだんそうしている間に、大山委員会といって内閣で「むつ」の原因調査のための検討機関ができておりまして、工業大学のかつての学長である大山義年先生委員長になられまして結論が出ました。その結論によりますと、「むつ」は修理はできますよと。それからそのついでに総点検もしなさい、そうすればりっぱな船になりますという結論でございますので、私どもといたしましては、従来青森と去年話し合ったように、まず母港を決め、その母港で修理、総点検をするというよりは、むしろ修理、総点検を先にいたして、船そのものは傷を持っていない、健全な姿になりましたよということにして、母港を希望する個所に折衝していくのが、母港を受ける側の利害関係者、あるいは住民の皆さんにとってはその方が望ましいんじゃなかろうかと、そうすべきじゃなかろうかという考えに立ちまして青森側にも御相談申し上げ、そういうふうに二段構えにしてやる方が万事理にかなうし、よかろうと思うので、そういうことで御了承も得まして、そしてその後修理、点検の具体的な計画作業に入ったわけでございます。計画に入りまして、先ほど申しましたように、冒頭に申しましたように、この計画ができましたので、いよいよ準備、技術的なあるいは事務的な準備は完了いたしましたから、今後は現地側との交渉ないし折衝に入らなきゃならない段階にきているわけですけれども、そうなりますと、いままでの事務、単に技術の問題だけじゃございませんので、もっと党自体として、あるいは内閣自体として総合的に判断して、そして問題の処理に当たろうと思いまして、けさほどそういう会議を開き、責任者を決め、慎重に今後円満に片づくように問題を進めたいということでこれからいよいよそういう作業に入るわけでございます。
  136. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、各地でいろいろあるいは「むつ」の母港探しではあるまいかと言われるようなうわさが飛んでおる地域がたくさんございます。たとえば五島列島だとか、あるいはいや沖繩だとかいろいろございますけれども、いまの長官の御答弁によりますと、現在の段階では修理、点検をまずやらなくてはならならぬ。したがって母港探しというようなことはいまのところまだ具体的にどこを候補地にするか等々のことについては一切考えていないと、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  137. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 修理、点検だけで大体三年近くかかりますので、その間にゆっくり母港の希望地等検討いたしまして決めればよろしゅうございますから、いまのところは母港をどこにするかということは考えておりません。
  138. 加藤進

    ○加藤進君 原船事業団の方にお尋ねしたいと思いますが、いま現在のむつ市の母港の撤去作業というのは若干進んでおるように私も聞いておりますけれども、大体どんなことが進行しておるんでしょうか。簡潔にお願いしたいと思います。
  139. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 昨年「むつ」が現在の母港に十月に帰りまして、その際に締結されました合意協定書に基づきまして、私どもの方に政府の方から御指示があったものでございますが、それに基づいて、この協定に関連いたしました燃料交換期の設備を県外に運び出すということで、これは現在東海村の原子力研究所の方に場所をお借りしまして、そちらにお預けしているわけでございます。  それからまた使用済み燃料を貯蔵をする予定にしておりましたそのプールを埋め立てるという条件がございましたので、これにつきましても作業は本年の初めに完了をいたしております。  それからまた、そのときにクレーンのかぎを地元に、まあ県の方へ預けるということでございまして、これについては、一応県の方にお預けをし、そのクレーンの実際の点検等のときにお借りしておる、それでまたお返しをするという状態でございます。  それからなお、施設の撤去等の問題につきましては、現在新しい定係港がまだ決まっておりませんので、その定係港が決まりましたら、それに従いまして現在の施設をどういうぐあいに撤去していくかというような具体的な検討に入っていきたいというぐあいに考えております。
  140. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、キャスクは東海村にとにかく移したと、それからクレーンは青森県知事にお預けをしたと、それからプールについても、これはもうすでに完了したと、こう言われるわけでございますが、そこで私、プールについてお聞きしたいんですけれども、プールは深さからいうと七メートルあるように私は聞いておりますが、聞くところによりますと、底から二メートル程度の高さにまでは砂袋を埋めてあるけれども、あと五メートルは何ら措置されていないと、こういうふうに聞いておりますけれども、その点から見て、常識的にこれはプールを再ぶ復活させ、あるいは利用する計画があるのではなかろうかという懸念も現地等々に出ておるようでございますけれども、その点はどうでございましょうか。
  141. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) プールにつきましては、ただいまお話のございましたように、大体この深さの半分程度まで、砂を詰めました砂袋で一応埋めてございます。それで実際上現在使用不能の状態になっております。またなお、将来におきましてこのプールをまた使うとか、そういうようなことにつきましてはまだ現在私どもとしてはそういう計画は全く持っておりません。
  142. 加藤進

    ○加藤進君 「むつ」の専用バースですね、これは母港が撤去した後どのように利用されるという予定計画があるのか、あるいは全くそういうものがないのか、その点いかがでしょうか。
  143. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 現在のところまだその撤去後の施設の利用等につきましても具体的な計画は持っておりません。
  144. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、一言で言えば、撤去作業は完了したように言われますけれども、その撤去作業なるものは、いま私が御指摘申し上げ、またお答えがあったように、キャスク、プール、クレーン、こういうものについて若干の措置はとられたという程度であって、これではいざというときにまたもとどおり利用できるような状態を事業団は考えておるのではないか、こういう疑いが当然起こりかねないと思うわけでございますけれども事業団としては、あるいは今後再生させてこれを再び母港として利用する場合にも備えるというお考えはないのかあるのか、その点のお考えをお聞きしたいと思います。
  145. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 現在のところ、「むつ」の施設を再び使うということは考えておりません。
  146. 加藤進

    ○加藤進君 現在のところとおっしゃいましたけれども、あるいは若干将来を考えてみるならそういうことは起こり得るともお考えになっておるわけでしょうか。
  147. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) そういうことは全く考えておりません。
  148. 加藤進

    ○加藤進君 全く考えておられない、こういうことを確認しておきたいと思います。  事業団は、今年度の予算でございますが、ここで新母港の建設費としてどの程度御要求になっておるのか、その内容をお聞きしたいと思います。
  149. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 五十一年度の予算といたしましては、予算要求時点におきましてまだ「むつ」の新しい母港の場所も決まっておりませんし、またこの母港の建設に関連いたしましてはそのサイト、場所によりましていろいろその施設のつくり方、いろいろまた条件等も変わってまいりますので、新しい母港の行き先が決まった段階でその要求をいたすというつもりでおりましたので、新しい定係港の建設費の要求はいたしておりません。
  150. 加藤進

    ○加藤進君 五十一年度の新母港についての建設にからまる予算は要求していないと、五十三年度以降についての予算要求については今日どのように考えておられるのか、これもまた予算要求ができる状況でないというふうに見ておられるのかどうかお聞きしたい。
  151. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 五十二年度の予算につきましてはまだ全く白紙の状態でございまして、五十二年度予算についてはやはり五十一年度に入ってから具体的な作業は進めるということでございますので、現在のところまだ考えておりません。
  152. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと予算措置の上においても新しい「むつ」の定係港については何ら今日手が打たれていないし、あるいは撤去そのものについても部分的な撤去はあるけれども、本体はほとんど無傷のまま今日残っている、こういう現状だと思っていますが、そこでお聞きしますのは、現在の「むつ」の母港建設には何年くらいかかったのか、そしてどれくらいの予算がこれに投入されたのかお聞きしたいと思います。
  153. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 大体新しい母港等の場所によりまして相当変わってくるかと思いますけれども、現在の「むつ」につきましては約二年近くでございまして、施設としての経費は約二十八億程度であったと思います。
  154. 加藤進

    ○加藤進君 とにかく六年を要するような計画が実施されたと、そして予算としても二十六億の巨額が投ぜられたと、こういう状況から見ますと、さて新しい港をいずれは探さなくてはならぬし決めなくてはならぬ、その施設についても考えなくてはならぬという段階が来ると思いますけれども、これはについては予算上その他の点についてほとんどこれらが考慮されておらないというのが現状だと思いますが、その意味で「むつ」が港の撤去を取り決めた四者協定の期限というのはいつくるのでございましょうか。
  155. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 昨年の合意協定書によりますと二年半を目途に撤去をするということになっております。
  156. 加藤進

    ○加藤進君 二年半に撤去するということになりますと、五十一年度、五十二年度には撤去を完了しなくてはならぬと、こういう状況むつ市においては差し迫った状況になっておりますね。にもかかわらず、一方では新しい定係港については何ら手が打たれておらない、計画さえ立てられておらないし、予算措置は言うまでもなく立てられようともしておらないということになりますと一体どうなりましょうか、これ、「むつ」は。
  157. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 御質問でございますけれども、第二母港ということになりますとこれは更地につくる場合と従来港湾であったところを利用する場合と対象によって大変差がつきますので、具体的な予算をどうするといっても、それが決まらなければ予算のつけようもないわけでございまして、ただ修理、点検ということになりますと、修理、点検に必要な施設がありますればそれで済むわけでございますので、具体的に修理、点検というものが決まってまいりますれば、改装の費用がどのくらいかかるとか、あるいは係属地等の費用がどれくらいかかるとか、いろいろ所要の予算が出てくると存じますので、その際はその際として国として処置をして差しつかえないように運びたい、こういうことでございますので御了解をいただきたいと思います。
  158. 加藤進

    ○加藤進君 重ねてお尋ねしますけれども、四者協定の期限というものは絶対確実に守ります、こういうのが科学技術庁及び事業団の決意でありましょうか、その点いかがですか。
  159. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 政府で取り決めしたものでございますから絶対守ります。その二年半というのは「むつ」のハードウェアそのものを「むつ」から移転さしてください、それまでの間に、という趣旨でございますので、それまでには十分移転が可能だというふうに考えております。
  160. 加藤進

    ○加藤進君 続いて「むつ」の改修計画について若干お尋ねしたいと思いますけれども、すでに事業団の方から「むつ」の改修計画についての見通しが出されておりますね、ことしの六月の段階で出されておるわけでございますけれども、この改修計画の内容について主要点だけで結構でございますけれども、簡潔に御説明を願いたいと思います。
  161. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) この「むつ」の遮蔽の改修でございますが、私どもの方で一応この放射線漏れの原因といたしまして主たるものが圧力容器と一次遮蔽体との間のいわゆる空間からのストリーミングによるものが主なものであるということでございますが、それ以外に、やはりこの圧力容器等にありますその貫通部分その他のところからのストリーミング等もいろいろございますので、そういった点についての計算解析をいたしまして、これらを総合してこの改修計画を立てまして、それで一応遮蔽の改修ということにつきまして格納容器の中でこれを抑えるという方法、さらにいえば格納容器の外側で——格納容器の中ではもちろん抑えるわけでございますが、それに加えてその格納容器の外で若干のものは抑えるという、この二つの案につきまして検討をいたしたわけでございますが、検討の結果、このいずれでもその改修は可能であるという結論を得たわけでございますが、なおこの二つにつきまして具体的に工作の方法等につきまして検討を進めた結果、この格納容器の内部におきましては主として圧力容器とそれから一次遮蔽体との間にございます熱遮蔽をやっております部分がございますが、これに放射線の遮蔽効果を持たせるようにこれをなお取りかえるとか、あるいはその制御棒駆動機構の、結局圧力容器の上部にこの遮蔽体を追加する、それからなおその周囲の部分におきまして以前鉄のリングを置いておりました部分を、この鉄リングをはずしまして、この部分を蛇紋岩等を入れましたコンクリートにこれを置きかえるというようなことで上部の方をやります。それからなお下部の、圧力容器の下の方にやはり遮蔽体を追加をする、といいますのは下部からの上下方向へのストリーミングもございますので、圧力容器の下部につきまして格納容器の中に遮蔽体を追加をするということで、一応格納容器の中にはそれだけの遮蔽体をつくる。それからなおこれだけでは十分でございませんので、格納容器の上部に現在鉛とポリエチレンの遮蔽体を置いておりますが、これを取りまして、ここにコンクリートの遮蔽体を置く。それからなお下部には、格納容器の下、さらに二重底の一部に遮蔽体を追加をするということで案をまとめて、大体これでいけるという結論を得ております。
  162. 加藤進

    ○加藤進君 そこでお尋ねしますけれども、この改修計画を立てられるに当たってはその基礎になるべきデータがあると思っていますが、そのデータは私の知るところでは安藤委員会、いわゆる安藤委員会から出たデータに基づくものであるというふうに理解しておりますけれども、それは間違いでしょうか、間違いでないでしょうか。
  163. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) この基礎的な遮蔽の解析をいたしますための中性子の線量、放射線の線量、レベルと申しますか、それにつきましては、昨年放射線漏れが起きましたときに私どもの方の乗組員とさらにその際特に派遣をいたしました調査団によりまして測定を行ったデータをベースにいたしまして、このデータをさらにいろいろ解析を加えたものを、一応そういうデータをベースにして解析は行っております。
  164. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと昨年九月に原研の宮坂さんを中心として、責任者として行われました調査班のデータに基づくものであると、こういうふうに見ていいと思うわけですね。  そこで私、特にこの委員会関係することでございますけれども、昨年の十月十四日には私は運輸委員会で、またことしの六月の二十日にはこの科技特委員会で特に青柳参考人、中島参考人をお呼びいたしましてその点を確かめたわけでございますけれども、こういう専門家の方々の御意見では、口をそろえてこのデータは非常に不十分であるという御指摘があったはずでございます。この点につきまして原子力局政府委員生田政府委員はこの点について、議事録にも載っておりますけれども、次のように答えられております。大変専門家の御意見について共感を感ずるところがございます。「これはでき得ることであれば、やはりただいま中島さんの御指摘がありましたように、もう一度炉を動かしてみて中性子の測定をやってみるということが必要ではなかろうかと思っております。」こういうふうに指摘されております。そして理論的には中島参考人のおっしゃるとおりだということが指摘されておるわけであります。ただし現状から言うとなかなか困難だと、実験をするのはなかなかむずかしいということがもちろんついておりますけれども、理論的に言うなら、本来これが正しいんだとまで科準技術庁の内部においても言われておることが、さて今回の改修計画の中にはどのようにして盛り込まれておるのか、どのようにその点におけるデータの見直しをやられてきておるのか、再検討をやられてきておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  165. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) このとらえましたデータ自身は一応測定をされたものでございますのでそれ自身の再検討ということではございませんけれども、それらのデータを使いまして、現在の設計の解析コードというものを使って、一応、さらにこの前といいますか、ことしの初めに行われました解析に加えて、さらに先ほど申し上げましたように、一次遮蔽体と圧力容器の間のみならず、考えられるその他の影響等についての解析も加えまして設計を一応やったわけでございますが、さらにこれに加えまして私どもとしては、そこにおきます遮蔽材料自身についてどういうものを使うか、またその遮蔽材料を使いました遮蔽体の……
  166. 加藤進

    ○加藤進君 簡潔にお願いいたします、時間がございません。
  167. 倉本昌昭

    参考人倉本昌昭君) 遮蔽効果等につきましての実験をこれから進めていく、またその構造については部分モックアップを使いまして、実物大のモックアップを信いましてこの遮蔽なんかの実験をやりまして、その実験で得られたデータとこの解析結果とを照合し、その実際の解析方法自身の実証性がどの程度あるかというような点につきまして十分なる検討を加え、さらに設計の基準等につきましてもなおセーフティサイドにとっていくというようなことで現在計画を進めておるわけでございます。
  168. 加藤進

    ○加藤進君 時間がございません、最後に二歳だけ。  官坂さんを責任者とする調査班の出されましたデータは私たちも存じています。このデータ以外にさらに厳格な信憑性に富むデータが新たに存在する、あるということなら、そのデータはこの委員会資料としてお出しいただきたいと思います。  そして最後に、生田原子力局長に、私の質問に対してお答えをいただきました、理論的には中島参考人の言われるとおりだと、こういう点についてそれを十分に御承知の上で、不十分さが指摘されているにもかかわらず、そのデータに基づく改修計画が今日進んでおると思いますけれども、その点についての原子力局の御見解をお尋ねしたいと思います。
  169. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生議事録をお読みになりました前回の御質問に対する私の答弁でございますけれども、現在でもそのように考えております。と申しますのは、特に中性子のストリーミング現象によりまして起きました放射線漏れでございますので、理論的に申し上げますれば、私はいまでも「むつ」の原子炉をもう一度動かしてそれで測定すると、「むつ」の原子炉をもう一度測定のために動かせるような寛容さが日本にあることが望ましいと思います。本来、技術開発をいたしますためには、放射線漏れがあったから全く原子炉もストップしてしまうということでは今後の技術開発ができないわけでございまして、たとえばソ連の「レーニン号」の場合も同様のことを起こしております。これは修理いたしまして、その後御承知のように、現在実用船として活躍しているわけでございますので、私は日本原子力の技術、開発のためには、「むつ」の原子炉をもう一度動かして、炉を動かしながらこの放射線漏れの現象をもう一度解析するということが望ましいと思いましたのでそうお答えいたしたわけでございますが、現在の政治的、社会的環境から申しますとこれは不可能でございますので、次善の策としてでき得る限りの準備、あるいはデータをそろえまして修理、改修計画をするということはやむを得ないと思っておりますし、その段階におきまして原子力船事業団の改修計画あるいは点検計画は十分なものと考えております。
  170. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 本日は動力炉核燃料開発事業団関係について御質問をしたいと考えて、すでに副理事長瀬川さん、それから建設所長の中島さんにお見えいただいておるわけであります。諸事情でこの議会というところはなかなか思うように審議ができない点がありまして、残り時間に制限されておりますので、予定をしておった質疑、をきょう十分に果たせないというような状態になっており、あと三十分もないということですが、いずれ国政調査の一環としてまた寄せていただいて、果たさないところはいろいろ聞かしていただくというような機会もつくらなければならぬかと思っておりますが、その点については、ひとつ施設に入れていただいて、話も聞かしていただくというような点で、また後ほど便宜を図っていただきたいと思います。その点はどうでしょう、中島さんなり、瀬川さんなりにお伺いをいたします。
  171. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) ただいまの先生のお尋ねに対しましては、十分私どもも誠意を持っておこたえしますし、また、特に御必要な資料は先々でまたお出しするつもりでございます。
  172. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大変結構な答弁をいただいたところから出発するわけでございますから、きょうは二、三の点を御質問して、せっかく来ていただいたのにかえって失礼な分は後ほど出向くなり何なりしてまた補充をいたしたいと思っております。  この日本のパイロットプラントであり、まあ世界でいってもいまのレベルであればパイロットプラントだというような自負心を持って東海村の施設をテストから稼働運転へというふうに進めておられると承知をしておるわけでございますが、九月四日からテストも大体半ば過ぎて、だんだん仕上げに近い方の段階で、ウランテストに入っておられるわけですね。これらの進行状況、これが予定に従って安全の問題を点検しながら順調に進んでおるのか。その間に幾つかの問題があったようにも聞いておるのですけれども、それらの状況はどうか。いまの段階で、この承知しておられる問題についてごく簡潔にひとつ述べていただきたいと思います。
  173. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) 御指摘のように、ただいま私どもの再処理施設は試験運転に入っておりまして、試験運転の第二段階と申しますか、ウランテストに入っておるわけでございますが、第一次段階の化学試験は、昨年の十一月からことしの四月まで化学試験を行いまして、さらに天然ウラン級のウランテストにかかるために、九月初めまで準備いたしまして、九月四日からウラン試験に入ったわけでございます。この天然ウラン級のウラン試験は、ほぼ半年ぐらいの予定でおりまして、ウラン試験終了後、さにら政府安全審査等に基づくチェックを経て、ホットランの試験運転にさらに入るというわけでございまして、ただいま第二段階のウランテストに入っておりますが、ウランテストはさらに三つの段階に分かれておりまして、第一キャンペーン、第二キャンペーン、第三キャンペーンという三つの段階でございますが、ただいまそのウランテストのうちの第一段階のほぼ終わりの段階——と申しますのは、ウランテストの第一段階は設備の各工程を部分ごとに試験をいたしますので、頭の方のウラン燃料の剪断試験、あるいはその次の溶解工程の試験、さらには回収ウランの脱硝試験というようなことに分かれるわけでございますが、その脱硝試験に、現在、十二月初めからかかっておりまして、十二月の二十日ごろまではほぼ脱硝試験が続くと思います。  御指摘のように、九月の初めから現在までのウランテストの間におきましてトラブルもかなりあったわけでございますが、私どもはいろいろこう問題になっておりますトラブルの大部分は、このウラン試験の過程において手直しをやることができるとか、あるいは訓練の徹底を期すとかいうふうなことで大部分は乗り越えられるし、克服し得るトラブルであるというふうに考えております。  簡単でございますが……。
  174. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大体トラブルがあったにしても、まあ事故というほどのものでもなく、ミニマムトラブルだというふうに、大体、新聞あるいは衆議院の審議の中などでも述べておられるようですけれども、この参議院では、この問題、初めて審議の場に上るわけです。特に新聞紙上にも出され、労働組合との間でもかなりのいきさつのある問題として、九月二十日の身体汚染の問題あるいはその後プルトニウム蒸発かん、これの漏れてきたような問題とか、あるいはたな卸しですか、これをやってみますと、入れたはずのウランの目減りが大変大きいというような問題などを聞いておるわけですね。これがすべて無数に起こっておる、いわばトラブルと言うにも値しないぐらいのトラブルで、あたりまえで、こういうことはしょっちゅう起こっておることだというふうに理解をしていいわけですか。
  175. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) トラブルであるからあたりまえのことであるというふうに軽視しておるわけではございませんので、やはりトラブルでもこれを軽視すれば、また先々で思いがけないことにぶつかるかもしれませんので、決してトラブルを軽視しておるわけではございませんけれども、ただ、九月四日の試験運転以後におきまして、あるものはその部分の設備の手直しをがっちりやらにゃいかぬという問題もありますし、ある種の問題は、やはり当該担当セクションで上の者も下の者も一緒になって取り扱い上の訓練をさらに続ける必要があるというふうに考えられるものもありますし、いずれにしましても、私が先ほど申し上げましたように、皆、重大な事故ということではなくて、かなり対処し得るトラブルであると、また、部分的にはかなり手直しに十分がっちり取り組んで対策を講ぜにゃならぬものもございます。決して全部軽視するというようなことは考えておりません。
  176. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 対処できるトラブルという意味は、つまり、これらの問題はテストを進めながらその過程でやっていくのであって、予定どおりプログラムに従ってその線は進めていくのに支障はないと、当初予定したとおりに大体運転に入っていくことができると、そういう意味ですか。
  177. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) 九月以降のトラブルにつきましては、ほぼ三十件ぐらいあるわけでございますが、いろいろこれを分析いたしまして、やはり手直しを要するものとか、あるいは不手際であったとか、あるいは注意が足りなかったとかいうようなことに私どもは分類して、どういう点を注意すべきかというふうに分析検討しておるわけでございまして、別段この先では起きないんだというふうに考えておるわけではございません。また、現状では当初の予定よりこの試験運転に要する時間というものは若干おくれを生じているということも、私どもは一応いま考えておりますし、たとえばことしの初めは全試験運転期間を一年と考えておったわけでございますが、現在ではほぼ一年半をかけた方がいいというふうに一応慎重は十分期するつもりでおる次第でございます。
  178. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまのような答弁を聞いておると、これは非常にやはり不安を感ぜざるを得ないという点があるわけです。大体、不手際、不注意、さまざまな分類というんだけれども、プルトニウムの蒸発かんからウランが漏れるというのはだれの不注意であったのか、一体そこの不手際というものはどこにあるのか。あるいは、通常一%程度の目減りというようなのが常識である、それ以上になれば問題であるウランの欠損が、三・三%あるいは四%ですか、そういう状況になっておるのはこれは決して事故でも事件でもないというようなことで予定どおりプログラムを進めていく。おくれる場合はそのおくれる理由はまるで自然なことのように、これらの問題の相関関係を明らかにする中で進めていかないというようなあり方ですね。それは結果は事がないにこしたことはありませんけれども、やっぱり「むつ」の事業団が、当初あの船を洋上で修理をしてそのまま実験船として使えるかのような、そういうような状況国民に対して物を言っており、とどのつまり最後になってうまくなければこれは懇談会審議会が次々に置かれて、そしてその間、それと相並んで進んでおる事業について、それを教訓として実行中に見直しをするという姿勢が、並立して進む事業団の中にそういう姿勢が見られないというような点で非常に不安を感じるわけであります。  特に私は、たくさんあるちょっとした出来事の一つ、不手際、不注意の一つとして挙げられている九月三十日の問題について、私は、これを見た限りではそれはそう大きくない事故であるかもしれない。ずっとその後の状況を少し注意深く見せてもらいますと、確かに、毎週のようにと言ってもいいほど、くつの底がどうなったとか手先がどうなったとか、九月二十日のあの事故、類似したようなことはかなり頻発をしておるというような点があります。しかし、あの問題を小さく発表して世論の注意を引くまいとしても、問題は、その本人が規則、規定、指導に従って本人の落ち度がない状況の中で、洗っても洗っても落ちない汚染というようなものをその場で受けるということですね。そうしてそれには、その他のどういう人についても条件が合う。いわば、教育訓練が不十分なままでプログラムの方が進行したというところに私どもは問題を感じるわけであります。特にその点からお伺いをしたい。  あなた自身が書かれた、投稿をされたものを見ましても、瀬川先生、「修理と教育訓練は十分のはず」と、こうなっておるわけです。普通の経営体と違って、テストプラントで安全性の問題については従業員一同よく教育をされて、特にこれらの問題について高い知識を持っていなければならないはずなわけでありますけれども、こういう中であの九月二十日の問題一つ見ましても、本人がいわば保安上の基準ないし作業基準に従って行為をしていたのかしていなかったのかという点では、私どもが見たところでは、本人に落ち度はないようであります。そうして必然的にそういう事故が出ておる。それについて、具体的には全作業員に対してどの程度の作業のマニュアルがあったのかということを聞いてみますと、非常にその点では、開発プログラムの進行に対して現実がおくれておるのではないか。一定の歴史と積み上げのある原研なんかの実態を見てみますと、「放射線安全取扱手引」というようなものがあって、これがすべての作業員に周知をされている。具体的には、被曝防止のためにはどうするのか、放射性汚染の除去はどうするのかと、こう書かれておるわけですね。ところが、動燃の方で同様なものが整備されておるかということを資料提示を求めて調べてみますというと、そのもとの方は、保安の規定があり管理の基準はあるけれども、現場の人がじかにみずからがこれについて知識を持ち対処をするところの手順のところが欠けておるというような点があります。こういう点については、出発前の準備として教育体制が不備であったと言わなければならないのではないか。身体汚染の測定とか除染の問題についても、大体リーダー格のところが現場で相談を受けてどうするかということで、何かが起これはすぐリーダーのところへ行けというところまででとどまっておる。そのときにどれだけのことがなされなければならぬかという問題については、原研の方にはかなり具体的なものがあっても、その点について欠けておるというような点は、姿勢の問題としても非常に問題ではなかろうか。その点についてお答えをいただきたいのが一つであります。  その中で、現実にしかしそういう具体的な指導の体制ができなければこれはテストも運転もできるはずはないわけですから、どうなっておるのかと。その具体的な状況を、それでは記述された資料としてなければ、中に入ってひとつ具体的に調べさしてもらおうと思いますと言うと、それが連絡をしてもなかなか実らない。こういう点も、事業団のあり方について改善を願わなければならない点ではなかろうかと思うんです。それが冒頭に一つ——一遍寄せてもらいましょうということだと、便宜をはかりますということですから、これからは改善されるかもしれませんけれども、先日衆議院の科学委員会から委員会派遣で調査に参っておりますが、それまでには、本事業団については事故がありませんから一般見学以外の調査はお断りをするというような態度をとっておられたわけであります。こういう点は今後は十分改善されるのでなければ、これからの原子力行政の根本的な見直しもしようというような国民的なこの問題に対する取り組みの中で、非常におくれたものと言わざるを得ないのではないか。これについての御意見をいただきたい。  あわせて、この中で、これは瀬川さんあなた、先ほど塩出議員の質問もあった件ですけれども、教育訓練のために練達をした職員、これは十分にあるというのでわざわざ新聞に投稿して、フランスに二十人派遣したと言っておられるんじゃないですか。どう読んでみても、これはフランスに派遣したのは四十人ということになっておるのであって、それの中身が先ほど聞いておると十五人というふうにも言われ、十数人というふうにも言われるんですけれども、それはどうなんですか。国民がああいう問題を通じていろいろ疑問を持てば、それをしかるようにしてぱーんと出されておるものが、これがラ・アーグの、勉強をさした人数は四十人の基幹要員を派遣したとここに書かれているわけですね。この問題についても、具体的な問題を説明してもらいたい。
  179. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) ただいま一遍にたくさんの御質問がありましたんで……。  私の多分朝日新聞の投稿だと思いますが、何人フランスのラ・アーグ工場に訓練に出したかという点につきましては、これは先生の御指摘のように、私は、フランスのラ・アーグと原子力研究所の再処理試験施設と両方の実施研修に四十人出したというふうに書いたつもりなんですが、何か字数を整理する際に、ラ・アーグが四十人というふうに何かなっておりましたので、その点はどうも誤解を招いたことと思って、ちょっと私にも責任があるかもしれませんが、どうも多分字数整理でそこがちょっと表現が狂ったんじゃないかと思っていますが、内容はいま先生の御指摘のように、ラ・アーグには派遣した者は現在、再処理工場に十五人、それから原子力研究所の再処理試験施設で実施にやらした者が二十五人で、合わせて四十人であるというふうに、先生の御指摘のとおりでございます。
  180. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それではマニュアルの問題について御説明いただきましょうか。あなたのところはないですよ、マニュアルは。
  181. 中島健太郎

    参考人中島健太郎君) ただいま御指摘のマニュアルでございます。われわれといたしましては安全作業基準というのを基本にいたしまして、そのさらに下の方でこれをさらに詳しくブレークダウンしたものとして、マニュアルを各種整備してございます。ないということはございません。  なお、このような作業基準といいますもの、あるいはマニュアル類、これはどのような職場でも同じでございますが、仕事をやりながら補完する、さらに充実する、あるいは不必要となったものは削除するということをしていくものでございます。そういったようなとらえ方といたしまして、われわれはこれにかなり取り組んできたつもりでございますし、これからも取り組む、これはまさしく工場がとまるまでの永遠の問題として取り組んでおります。  それから、教育訓練全般につきまして申すならば、私も実はラ・アーグへ行ってきたものでございますし、それから向こうでどのような教育をしてきたかということも調べてまいったものでございます。その数値が方々で引用されておりますけれども、私自身もいろいろと現場でそういう教育訓練を実際に携わってきたものとしまして申すならば、われわれのところは少なくともラ・アーグ以上にはやっております。こんな抽象的なことを言ってもしようがないと思いますので、一つの具体的な例で申しますならば、われわれは化学試験の前に待避訓練ということを実施しました。そして、化学試験を通じて数回実施し、ウラン試験の前にもまたさらに念を入れたものを行っております。ところがラ・アーグの場合には、私が行ったのはちょうどホットテスト——ウランテストの後のホットテストの段階であったんですが、まだ待避訓練はしておりません。
  182. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そんなことを聞いているんじゃないです。
  183. 中島健太郎

    参考人中島健太郎君) いや、私は教育訓練という形で申し上げておるわけでございます。  そういうようなことで、なぜやらないんだと聞きましたら、これはその必要はないと、ホットテストの段階でそういうようなことをやる必要はないんだと。むしろ現在やっている仕事を確実にやるというのが何より大切なあれなんだという言葉がはね返ってきたわけであります。それに比べてわれわれの方は、さらにいま言いましたようなことで数回やってきておるということからも、うちの方がより教育訓練には充実しておるということを申し上げたいと思います。
  184. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それでは時間が来ておりますから、最後に申し上げておくわけですけれども、安全の問題については、国民に対してもそうだし、施設の中では作業をする者に対してどこまでも本当のことを知らせて、黙ってついてくれば間違いがないというような態度でなく、こういう新しい事業はやっていくということでなければならぬ。ところが、原研なんかの場合にはかなり定著をした年月を持っておりますけれども、ここで整備されておるような、そして所内でも、国民にも一定の納得度が高められているようなものに比べて、この事業団の場合には、少なくともかなり安全確認については要求が強く、さまざまな要求が労働組合からも出されておるような中で、具体的に成文のマニュアルが調査をしようとしても提示できないような状況のままで、これは新しい次の段階に入っていっているということですね。そんなものがなければできるはずはないので、言われるように具体的な指導内容はあるでしょう。そのときにとった処置も大体原研等で出ておる資料に見合っておりますし、その点はわかるわけです。さらにそれではその点の具体的なものをといえば、中でリーダーたちが持っておる具体的なメモだとか、そういうものがあります。こういうものの提示についても、他の面から入手はできても、科学技術庁を通じて請求をしても出さないわけですね。科技庁、動燃通じて、大体議員が調査をしようとすれば、非常に調査資料の入手は困難なような状態になっておるということですね。  もう一つ申し上げておきますが、ラ・アーグに派遣した要員というのは四十名派遣したと誓いてあるから、そうだと思って、四十名の名簿をくださいということをこれを出したところが、実際四十人なくて、しかも名簿を出せと言ったら、A、B、C、DからOまでの名前を秘匿した、何かどこか軍隊にでも私は資料要求したんじゃないかと思い違いをするような、そういうものをもたらしてきておる。Aはどこそこに配置をされている。どうしてそういう名簿、どこの官庁だってこの程度のことは出してくるわけですよ。そういう取り扱いがされなければならぬのか。しかもその後について再度説明を申し入れたら、説明をいたしますと言っておきながら、事業団総務課の一人の所員はとうとう私のところへの連絡をそのまま置き去りにしてしまっております。こういう状況をすべて知らせずにおいて、ついて来いという形態がいまもなお改められておらぬ。こういう状況の人たちに指導をされて根本的に見直し有沢委員会の結論定着するだけでも佐々木長官の話では早くて三年というんですね。おそければ何年になるわけですか。六年ですか、十年ですか。こういう状況の中で現体制のまま進んでいかなければならぬということであります。それに対して政府が出しているというのは、科学技術庁に十数人増員するというだけですから、「むつ」問題等が起こる以前の体制のままで起こってくる世論に対しては懇談会結論待ちと、出てきたらまた次の懇談会をつくるんじゃなかろうかと思うようなあり方で、具体的には従来のままで進んでおって、調べようとすればこれに対しては秘密主義。有沢委員会の記録だってなかなか出さなかったじゃないですか。追及をすればこれは議事をとってない。さらに聞いてみると、なんだそうですね。有沢委員会のものはこれはテープだけ置いてあるんだそうですね。そういうことをやっているところは、ぼくもウオーターゲート事件を通じてニクソンがそういうことをやっておったというのは聞いたことがありますけれども日本委員会でどうしてそういうことをやるんですか。  これらの問題たくさん残っておりますけれども、時間がなくなっておりますから、連合審査等の時期も経て続いてお伺いをしたいと思います。  きょうのところは終わっておきます。
  185. 加藤進

    ○加藤進君 ちょっと関連して。  ただいま小巻委員が指摘されたのは非常に重大な問題だと思います。これは科学技術庁が本当に原子力行政国民に開かれた立場で進められているか否かのきわめて大事な分かれ目になる問題だと思いますので、その点につきましては、佐々木長官自身の御所見を最後に明確にお述べいただいておきたいと思います。
  186. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 結論と申しますか、それだけ取り上げてお話しされるのは大変どうもぐあい悪いんでございますが、私が申し上げましたのは、有沢機関が根本的な改革を大規模にやろうとすればするほど、それを具体的に法律で非常に細い作業になりますから、法律にしあるいは予算化し国会を通して、いまの私どものお願いしておるのでも、ことしの四月ごろできてくれればと心頼みにしておったんですけれども、はやいまになりますし、ですから、有沢機関の答申が出まして——いつ出るかわかりませんけれども、ごく近々の間に出たといたしましても、それが実際に全部一遍にやるか、一つ一つやっていくかは別にして、もし仮に順を追うてだんだんだんだん整備していくというかっこうでありますと、申しましたように、これはなかなか国会を通るまでの法律作業だけで私は大変なものだと思います。皆さんには御経験ないかと思いますけれども、私はかって局長時代、原子炉規制法をつくるときにどれほど苦労したかわかりません。これは根本的な改正になりますから大変な作業です、これ。私どもが役所でその改正案を検討しつつございましたけれども、膨大な資料になります。そういうことでございますから、これを法律化し、膨大な改正案で、そして予算をつけて、実際、国会でも審議いただいて通る。通った結果、今度は人事がどうとか、これは必ずまた国会の任命人事になりますから、そういうことを整備して、そしてそれから具体的に新体制で発足ということになりますと、私はやっぱり相当時間がかかるんじゃないかと、その点を申し上げたのでございまして、簡単な改正であればすぐでもできましょうけれども、そうじゃなくて、根本的にという御趣旨のようでございますので、そういうことになりますと、大変時間がかかるんじゃないかという見通しを実際申し上げたんでございまして……。
  187. 加藤進

    ○加藤進君 いやいや、私の聞いておるのは、国会軽視もはなはなだしいような政治姿勢が、今日、原子力局を中心としてやられておるんじゃないかということを聞いたわけでございまして、国会から直接現地の調査に行きたいと言っても、それは認められない、あるいは資料提供を要求しても、十分な資料も出してくれない、こんな状態で国会の審議できますか。責任を持ってくださいよ、その点。
  188. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私の承知している限りでは、御要望のありました資料で出し得るものは全部出しているように記憶してございまして、いままでこの資料が出されないので国会の審議に大変支障を来たしているという具体的な事例は承知しておりません。  それから公開の原則でございますけれども、この公開の原則に関しましては、これは御承知のように、研究の成果の公開でございまして、また同時に商業機密には抵触しない範囲でという、これは解釈は統一されたはずでございまして、何遍となく国会でも討論して、そして政府の統一見解も出しまして、国会もそれは公開の原則はそうだろうということで、私はむしろ国会でも政府側としても定着した解釈じゃなかろうかと思っております。ですから、そういう意味からいたしまして、基本法にあります公開の原則に私どもはもとっているというおしかりは、ちょっと私はないように感じますけれども、もしありますれば是正いたしますので、どうぞ遠慮なくお申し出いただきたいと思います。
  189. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 一つだけ瀬川参考人にひとつこの機会にお尋ねしておきたいのでございますが、この新聞の「「ウラン試験と安全」について」という中に、「水泳を教えるのにタタミの上より水中での訓練が必要であると同様、現場訓練」云々と、こういうのが載っております。水泳の場合は畳の上で練習するよりも水中でやった方がいいということは事実ですけれども、しかしこういうウランのテストのような場合は、やはりいわゆる畳の上の訓練も大事であって、何かこれはたとえとしては非常にちょっとよくないんじゃないかと。ちょっと印象としては、もう事前に机の上でいろいろなことを勉強するよりもいきなり現場の方がいいんだということで、少々軽い程度の放射線は浴びてもいいんだと、こういうようにとれる危険性がある。そういう点で、私は先ほど長官には、こういう表現はやはり非常に与える影響も大きいので、もうちょっと慎重にやるべきではなかったかと、こういうことを申し上げたわけでありますが、その点の御意見を聞いておきたいと思います。
  190. 瀬川正男

    参考人瀬川正男君) あるいは畳という字があったかなかったかどうも覚えてませんですが、いま御指摘のような感触をお受け取りになるとすれば、これはまあたとえもあんまりよくなかったかもしれませんが、ただ私といたしましては、やはりウランテスト中のいろんな経過を見ていますと、まあ私どもたとえば再処理工場の分析課の職員に対しましては、三百時間近くの座学訓練の時間を設けておったわけでございますが、しかしそういう講義等で幾らやりましても、やはりある程度の実地訓練はどうしても必要であるというような感触は、現在でもかなり強く抱いておるわけでございます。ただ、それが骨と水泳はあるいはちょっと比較が悪いという場合もあるかと思いますが、本意は、いま申し上げましたように、やはり講義も必要であるけれども、講義だけでは本当の安全性は期し得ないというのが私の本意でございまして、どうか御了承お願いしたいと思います。
  191. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、いまのような意味ならわかるんですけれどもね、これは「タタミの上より水中での訓練が必要」だと、こうあるわけで、畳の上の訓練よりも、そういうことよりも水中の訓練が必要なんだというね——骨の上の訓練とともに水中での訓練が……まあともかく水泳の場合のたとえば非常にこれはよくなかったんじゃないかと。ただ、まあわれわれは言葉じりとらえるわけじゃありませんけれども、非常に国民に対する——国民の皆さんも敏感になっておりますから、そういう点はひとつこれは政府としても十分配慮してもらいたい、こういうことでございます。
  192. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十九分散会