○和田春生君 そういう
判断で
上告をされたというお話ですが、
上告をして
最高裁でその点について国側が争っている点が認められて仮に国側が勝訴したという形になったとしても、私は
一つも問題は解決しないと思うんです。そうすれば
空港周辺の
騒音という問題はそのまま
国際便に関する限り残るという
状況になってきますし、大都市
周辺にどんどんどんどん人口が集中してきて住居地がふえますと、いまこの裁判の
範囲が非常に限定されておりますが、もっと広い
範囲にやはり
騒音公害というものは存在しているわけですから、その問題は
国際関係のは解決されても、今度は地域
住民の
騒音公害というものは何も解決しないという形になって争いが繰り返されていくのではないか、こういう問題がそこに生じてくるというふうに私は
考えるわけですね。
そこで、そういう点をいろいろ考慮してみますと、幾つかの問題があると思うんですが、
一つは成田
空港というものは開港しておりません。しかし、あれは成田に定めたというときからいろいろ議論がありまして、何が何でも断固反対、絶対阻止というのは別としまして、やはり
国際空港というものの必要性を認める
立場に立ちながらもいろんな点で疑問が提起されておったのは
運輸大臣、また
航空局長もいままでの経緯で御
承知のとおりだと思うんですが、日本の場合、内陸部に夜間も
発着を必要とするこういう飛行場をつくる場合には、立地規制ということが絶対
条件になるんではないかという私は気がするんです。そうでなければやっぱし後から後から人がやってきますよね。これは飛行場があることを
承知の上で来たのだから文句言うなと言ってみたけれ
ども、おれが引っ越したときにはそんな夜中までブンブンブンブンやかましい音を立てて飛ぶとは思っていなかったのだという形になれば、これ水かけ論ですね。どうしてもその立地規制というものが非常に絶対
条件になる。
実はこの点について、プロペラの双発機で飛んでいるころから飛行機に乗っては見て、しょっちゅう見ていくうちに、
大阪空港はこれえらいことになるぞと。初めあの辺ずっと原っぱでしたですね、戦後の民間
航空が始まった当初。そのうちだんだん家が立て込んできて飛行場
周辺に押し寄せてきていましたから、これほっておくとえらい騒ぎになるんではないかなということは、たびたび利用しておる人は恐らく皆共通に感じておったのじゃないかと思う。ところが、その立地規制というものは、全く放置されておったと言えば言い過ぎかもわかりませんが、ほとんど手をつけられていなかった。
羽田空港についても立地規制というものはなかった。成田
空港について立地規制というものはほとんど
考えられておりません。
先ほど
航空局長は、他の同僚
委員の質問に対して、
現行法で対処できるのかどうかということについて
検討したいと言うけれ
ども、
現行法で対処できるのならいままで対処してくればよかったじゃないですか。
現行法では対処できないから立地規制が行われずに飛行場
周辺にどんどん人家が密集してきて、それがプロペラ機からジェット機になる、便数もどんどんふえるという形で問題が起きてきたわけですから、内陸部に夜間の
発着を必要とする
空港をつくるという場合には、私は日本のような平地面積の非常に狭い国土の場合には立地規制というものは不可欠な
条件である。これを
一体のものとして
考え今後の
航空行政、
空港行政というものを
考えていかないと、永遠に問題が解決しないどころか一層深刻化をしていくということがあると思う。
もう
一つは、少なくとも
国際空港に利用するというところについては、内陸部につくるということをある程度発想転換しなくちゃいけないのじゃないか。成田においても私はいまのままでいくとやっぱし大変な問題が出ると思いますし、またあの
空港からの東京都心その他に対する交通、トランスポートの面を
考えますと、これ大変なことになる可能性があると思いますから、あれで事足れりとするんではなくて、たとえばいまの
羽田空港というものがもう満杯状態で限界に来ていると。それならば
羽田空港を手直しをするという面の代替地として成田
空港を
考えていって
羽田空港を海上に拡張するのか、あるいは海上にやはり
国際空港というようなものを設置して、陸上に住む人間の
騒音公害との問題を海を隔てるということによって断ち切る、それにふさわしい陸と海上
空港との交通
機関を
考える、そういう面を根本的に今後の政策として立てる必要があるんではないかと思います。現に長崎の新しい
空港は海の上に島を削ってできました。そういう
騒音の面についてはほとんどいまのところは問題がない、御
承知のとおりであります。そうすると、夜間にも
発着を必要とする
国際空港という問題については、そういうことを
考える必要があるのじゃないか。
したがって、国内便についてはエアバスの導入、つまり輸送量をふやして便数を軽減をする、あるいは夜間の
発着を停止をする、そういう形で総体的に
騒音を減少するという政策は、エアバスがそのままでいいかどうかということは
検討の余地があると思いますけれ
ども、そういう形である程度処理もできるし、私は、お互いが冷静になれば
話し合いもできますし、高裁
判決の
判決理由の結びにあるようなこともお互いの
努力によって、まず
政府も反省して率直に話し合う、説得をするという形で道が開けると思うのですが、
国際空港についてはそうはいかない。
そこで、この
判決をきっかけにして、いま言うような立地規制の問題を
空港と
一体不可分のものとして
考えるということと、今後は
空港そのものの立地というものを発想転換して
考え直して、今二十年、三十年、五十年の、まあ百年の大計というと話がえらい大きくなると思いますけれ
ども、
考えるときに来ているのではないかと、私はそう
考えているわけなんです。そういう点に関しまして、いままで
総理大臣、
運輸大臣はもとより、
政府側から
一つも積極的な意思表示がない。
判決がよかったか悪かったか、勝ったか負けたか、もっぱら議論はそういうところに集中して大変残念に思う。そういう
考え方をもとにして、改めて
運輸大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。