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1975-12-16 第76回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————    委員異動  十二月十六日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     沓脱タケ子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 平井 卓志君                 前川  旦君                 三木 忠雄君     委 員                 岡本  悟君                 永野 嚴雄君                 宮崎 正雄君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 瀬谷 英行君                 戸田 菊雄君                 岩間 正男君                 沓脱タケ子君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君    政府委員        運輸省航空局長  中村 大造君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        環境庁大気保全        局特殊公害課長  酒井 敏夫君        運輸省航空局飛        行場部長     梶原  清君        運輸省航空局飛        行場部環境対策        第一課長     井下登喜男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄職員スト権問題に関する件)  (大阪国際空港等の諸問題に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまより運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣にお伺いいたしたいと思いますが、きのうの新聞に国労動労賠償請求をするということで、あなたの出席された自民党宮崎県連主催政経文化パーティーの席上でおっしゃられたわけでありますが、このことについては、そういう方針であるかどうかお聞きしたいと思います。
  4. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 先般の違法スト国鉄当局の受けたいろんな損害があるわけでございますが、それらに対してどういうふうに処理するかという問題でいろいろ意見交換もやったわけでございます。その損害賠償については法律上いろいろな問題があるわけですね。そこで、一つは、スト指令は受けていないけれども、通勤の機関がないために自宅で待機をしておったと、これにも給料を払わなきゃいかぬ。これらは明らかにストという行為があったために本人が通勤できなかったので、給料は払うけれども、そういう働かない人に給料を与えるということは、やはり国鉄としてはそれだけのそういう損害を受けておるのではないかという問題が一つ。それからもう一つは、八日間列車が動かなかったために入るべき運輸収入が入らなかったと、これもやはり違法ストによる損害ではないか。特に入るべき運輸収入がなくて、そうでなくても赤字国鉄にそれだけの欠損を与えたと。そうすると、その欠損政府が仮に補てんするということになりますというと、これは国民税金で補てんするということになるわけですね。まあ八日間の減収が、たとえば三百億あるいは四百億ということに仮になるとすれば、国民一人一人が三百円ないし四百円の税金をそのために出して補てんするということはおかしいではないか。やはりこれは損害賠償対象になるんではないかというふうなことで、国鉄当局も、法律的にいろいろ問題がありますので、そういう問題を十分法務省あたり検討をいたしたいということで、そういうことを申し上げたわけでございまして、そういう法律的ないろんな検討をいまやっておる最中でございまして、その検討の結果を待って政府側としてもどうするかということを最終的には決めるわけでございますし、また国鉄当局もそれなりにその方針を決めることになろうと思いますが、いま言いましたような事情から、やはり損害があれば、それは法的に請求でき得るものであれば請求すべきであるという考え方を申し上げたわけです。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 大臣考え方の中には、組合運動というものについては非常に迷惑だと、組合は、ストライキなんかやることについては、専門懇意見書と同じように治安対策というような立場、あるいはまた迷惑論という立場のみがあなたの考え方の中に支配していると思うのであります。で、このストライキの問題については、それぞれ関係者公労協の諸君も、国民の皆さんに大変な迷惑をかけたということについては、おわびしたいということも言っているわけです。しかしながら、基本的に労働基本権という問題については、憲法二十八条のたてまえをとるまでもなく、これは組合運動にとってやはり私は命の問題だ、生存権の問題だというように理解いたしまして、それなるがゆえに今日まで平和的な話し合いというものが政労関係において行われてきたと実は思うのであります。昨年の田中内閣のときに、当時の官房長官と話をしながら五項目を結んだ。この五項目内容というものは私はきわめて重要な意義があると思うのです。ことしの秋に総理大臣労働大臣も言っておられたように、また関係公社の総裁も言っておりますように、スト——処分——ストというような悪循環をここで一切断ち切りたいということを言って、歴史的な経過を経た今日までの段階の中で、このことがなかなか——いま三木内閣によってできなかったということに対する、組合側背信行為だと実は言っているわけです。この問題について、ただ、これを受けた迷惑論損害補償というようなことだけに問題をすりかえたような形というものは、私は組合を敵視する一つ考え方の上に立っていると思うのであります。運輸大臣は、いつもそうでありますけれども違法ストだ、違法ストだと鬼の首でも取ったようにそのことを言っていることが、きわめて私は組合側を刺激していると実は思うのであります。あなたも認めておられるように、関係組合は、確かに国鉄財政赤字という問題のよって来る原因と結果というものについては、どういう形でこのようになったのかという点について、それ相当対応姿勢を示して今日まで来ているわけでありますけれども、これらの点と、いわゆる国鉄財政再建の問題と、そうしてあなたのおっしゃる賠償請求との問題についてどういうようにお考えになっておられるか、その点をお聞きしたい。
  6. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 私はもちろん労働基本権というものは尊重すべきものであるという考えに変わりはないわけでございますが、しかし、すべてが現行法による秩序を保つということはもっとそれ以上に根本的な大きな重要な問題であると考えておるわけです。憲法にあります労働基本権も、同じく憲法公共の福祉との調和においてはある程度の制約を受けるということは憲法趣旨もそういう趣旨でございますし、最高裁判例等もあるわけでございまして、その点は青木委員も御異論ないと思いますが、そういうことで現在の公労法ではストを禁じられておる。その法律に違反してああいう行為をやって損害をかけたということは、法治国のもとにおいてはそういう法律違反行為によってこうむった損害はやはり賠償対象にすべきである。そういうことによってこそ初めて社会秩序法秩序も維持され、平和も保たれると、こういう基本的な考えに立って申し上げておるわけでございまして、組合を敵視するとか、あるいは国鉄再建とどうとかいう問題ではございません。これは法治国における一つの大きな基本原則、これはやはり政府国民組合も守ってもらわなければならない問題である。これを一歩踏み外せば世の中は大変なことになるというこの大前提に立って考えておるわけでございますので、そういう意味でひとつ御了解を願いたいと思うわけでございます。     —————————————
  7. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君が委員に選任されました。     —————————————
  8. 青木薪次

    青木薪次君 私は、労働基本権というものは存在する、いかなる立場のもとでも存在する。労働組合がある以上必ずそこに労働基本権は存在する。問題は、これを認知するかしないかという法的手続の問題は、今後において国会を中心として議論していくという課題があると実は思っているわけでありますが、これらの関係等について、むしろ民主主義下において非常に民主主義的な手続やルールをちゃんと決めていくということのための立法措置がいま議論されていると実は思っているわけなんです。大臣も御案内のように、富塚代表幹事は、スト権が与えられるということになるならば、これは年一回ぐらいになるんじゃないか、予想だけれども。特にその場合における組合としても対応策を内外にひとつ発表して理解を求めようじゃないかということさえ実は言っているわけでありまして、これを非常に問題の実態論をわきまえずに公労協を敵視、特に国労動労を敵視するというやり方主管大臣として私は適切ではないというように考えているわけでありますが、片方財政再建のためにぜひ協力してくれということを言いながら、片方ではひとつ片っ端から賠償請求をやって取ってしまうというようなやり方が、これが本当の事態を円満に進めていくという民主主義下の健全な労使関係というものの踏む道であるのかどうなのか、その点についてひとつただしておきたいと思います。
  9. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国鉄再建には、国鉄労使とも一体となって取り組んでもらわなければなかなか再建はできないと思っております。こういう立場に立って、私も先般組合の幹部の方とお会いしたときにもその要請をしたわけでございますが、私はいまの民主主義社会において、法治国の中において、法に違反してある行為をやったということをそのままにして、それで結構だからという前提国鉄再建に協力していただきたいと言うことは、やはり政治を預る者として、あるいは社会法秩序を維持する立場にある者としてはそういうことを言うべきではない。違法行為違法行為として、違法行為をやった側においても責任を持ってもらう。しかし、そのことと国鉄再建という中で労使一体となってやるということとは全然別のことであるというふうに私は解しておるわけでございます。もちろん、争議権の問題については、政府が先般方針を示しましたように、その方針のもとで今後検討をしてこの問題は結論を出すことになっておりますので、スト権は絶対やらないんだ、ストをやったやつは違法行為だという単純な決め方で物を考えていないということはひとつ御了解願いたいと思うわけでございます。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 すでに今日まで七百数十名の人が解雇になっているわけです。それから三十七万人の人が停職とか減給とか戒告とか、そういったような処分を受けているわけであります。で、ILOのいわゆる意見としても、結社の自由委員会等におきましては、余りにも日本政府は過酷じゃないのか、墓場まで処分を持っていくのかということまで実は言っているわけであります。したがって、いまこの国鉄財政再建の問題と違法ストとは別だといういわゆる形式的な区分の立場に立って大臣は発言されておられますけれども、問題は、そういう事態をなくしていきたい、こういう組合側の熱意というもの、労使関係をひとつ安定さしていきたいという考え方、こういうものについて素直に受けて立つ姿勢というものが大臣になければ、この問題はいつまでたっても私は健全な労使関係というものが今後においても存在しないだろうということを、われわれはやはり国民代表という立場からこの問題について非常に心配しているわけでありますから、そういう点について大臣も、いつも私どもの会ったときに話しすることと、急にこういうところへ出たらもう上段から刀を振りかざしたような態度をとられるということはきわめてうまくないというように考えますので、その点については今後とも、これらの問題を含めて、いわゆるあおりそそのかすようなことを大臣みずから言うなんていうことについては私はいろいろ問題があると思うんです。それで、こういう大がかりなストライキが行われれば迷惑を受けている点については、確かにそういう点については組合側も認めているし、こういうことをできるだけ避けるための労使関係というものをつくるためにわれわれも努力しているわけでありますから、そういうことをきょうの段階においては大臣に申し上げて次の質問に移りたいと、こう思っております。  六年間にわたって大阪地方裁判所大阪高等裁判所で争われてまいりました大阪国際空港騒音をめぐる公害訴訟控訴判決が先月の二十七日に出されたのでありますけれども、このことについて一般的な考え方として大臣はどう考えましょうか、お聞きしたいと思います。
  11. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 大阪空港は、ほかの空港に比べまして周辺に非常に人家が密集をいたしておるという特殊な地形の中での空港でございますので、いろいろ周囲の方々に騒音その他で迷惑を及ぼしておることは事実でございます。そういう状況のもとでこういう訴訟が起こされ、今回高等裁判所で二審の判決が出たわけでございます。で、われわれといたしましては、航空交通利便を図るということはやはり運輸行政として大きな一つ責任であるわけでございますので、そういう意味におきまして、航空交通利便の提供のためにいろいろと今日まで努力をいたしてきておるわけでございますが、いま申し上げたような地理的条件空港が置かれておりますために騒音その他で迷惑を受け、またいろいろ被害を生じておる範囲が非常に広いということも十分承知をいたしておるわけでございます。そこで、すでに以前から周辺のそういった対策についてはいろいろと方法を講じ、施策実施をしてまいったわけでございます。今回の判決を受けまして、いろいろ具体的に判決で言われております事柄も逐一われわれも検討をいたしたわけでございます。  ただ、今回の判決を見ますというと法律的に非常に問題点が多くある。たとえば夜間の着発を午後九時以降絶対差しとめるというふうな問題があります。そのことの当否は別として、行政上そういうことが判決で今後とも行われるということになりますというと、行政権というものが司法権によって非常な制約を受けるというふうなことも憂慮されるわけでございます。したがって、こういう行政司法との接点がどうあるべきであるかというふうな法律問題が含まれておりますので、こういう点は、やはり行政当局としては、司法権最高機関による最終的な判断を求めるということは当然やるべき義務がある、また責任もある、こういうふうにも考えるわけでございます。  また、損害補償につきましても、第二審におきましては、将来にわたって、今後そういう騒音の地帯に来られるような人についても補償をすべきであるというような判決が出ておるわけでございまして、これらも従来に例のない、あるいは人格権と申しますか、そういうふうなものを基本にしての一つ判決でございますので、これもやはり司法権最高機関最終決定の意思をはっきり聞きただすべきではないか、そういうふうに考え上告をいたしたわけでございます。同時に、判決の中で午後九時以降の発着について明確に示されておりますので、これはわれわれとしては直ちに守りまして、九時以降の発着国内航空においてはこれをやめるようにいたして、すでに実施をいたしております。ただ、国際航空につきましては、国際間のいろいろな複雑な関係、問題がございますので、そう簡単にこれをとめるというわけにはまいりませんので、これは困るということで、この仮執行につきまして差しとめの請求をいたし、来年の五月までということでそれは認められたわけでございますが、そういうふうにいたしまして、判決の中でわれわれは実施できるものはそうやって実施をいたしております。  同時に、周辺対策につきましては、こういった判決の有無にかかわらず、従前以上に騒音その他の問題につきましてもいろいろと防除措置を遂行してまいる考えでございますし、また、一昨年あたりからは周辺整備機構も活動いたしまして、一層そういった施策に力を入れておるわけでございますし、来年度予算におきましても、こういう方面には特に力を入れて予算を組んでいきたいと、かように考えておるわけでございます。実は年末は例年でございますというと、相当帰省客等で陸上、航空とも要請が強く、混雑をするので、航空におきましても臨時便等も出しておったわけでございますが、ことしはああいう判決も出ましたし、判決趣旨を尊重いたしまして、年末の大阪空港に関する限り臨時便等も一切認めない。こういうことで、これは大阪空港を使って帰省される方には大変な迷惑をかける結果になっておるわけでございますけれども、あえてそういうふうな措置を講じて判決趣旨の励行も一方においていたしておる、そういうふうな状況でございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 夜の発着時間を一時間繰り上げる、それから住民身体的障害を認めて、さらにこの被害がなくなるまで将来にわたる賠償を加えるなど、今回の判決は一審判決とは違った立場住民側全面勝訴ということが伝えられているわけです。こういう判決の出た背景というものについて、大臣はどう考えておりましょうか。
  13. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これは判決の主文並びに理由をずっと読んでまいりますというと、そこにおのずとあらわれておることでございまして、そういう事実がありますから、われわれはできるだけそういった迷惑をかけないように周辺対策等もやってまいっておりますし、それから、ことに伊丹空港につきましては、あの地理的条件から見まして、今後航空輸送の需要というものはふえることはありましても減ることはないと思います。そういうことも想定をいたし、また国際航空においても同じような見通しを持っておるわけでございますので、やはりもっと別なところに、できるだけそういった騒音あるいは排気ガス等の影響の受けない場所に新国際空港をつくるべきであるというふうな方針も決めまして、長い期間にわたりまして航空審議会の答申をもらい、小委員会等で詳細な調査をしていただいておりまして、現在のところ泉州沖新大阪国際空港をつくろうということで、詳細なデータを関係地元にも見てもらっていろいろ意見を出していただくというようなことで新しい新空港建設の計画も進めておるようなわけでございまして、運輸省といたしましても、こういった被害については、現在の周辺対策はそのまま強力に進めていくと同時に、新空港を他に求めるというふうな方法も講じて、航空によるこういった被害最小限度にとどめながら、公共利便であるところの航空輸送力の確保も図っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 十二月二日の政府関係閣僚協で、この大阪高裁の下した判決については、判断当否とか将来の騒音被害に対する賠償金の支払いを認めたことの適否などの点で、実体法手続法上に問題があるということで控訴したわけですね。この実体法手続法上ということは、この場合はどういうことを指すのか、たとえば一審判決、二審判決では、新たな判決内容相当厚みが加わったと、あるいは住民側というのが前進をしたというようなことがあってはならないというように考えていらっしゃるのか。それらの点についてこの場合どういうように解釈をしてこの控訴をされることになったのか。この実体法手続法上の問題について説明をしていただきたいと思います。
  15. 中村大造

    政府委員中村大造君) たとえば差しとめ請求について申し上げますと、人格権というふうないわゆる実体法上はまたいろいろ議論のあるそういう権利を認めて、その前提差しとめを命令したというふうなことがございまして、それから、たとえば損害賠償につきましても国家賠償法第二条を適用しておられるわけでございます。そういうふうな実体法的にいろいろ問題があるということでございます。それから手続法上につきましは、たとえば民事訴訟範囲内におきまして行政上の措置として講ずべきいわゆる不作為義務といいますか、そういうものを命令しておる、こういうふうな問題。これはいわゆる民事訴訟行政法上の問題になろうと思いますけれども、こういう問題がございます。それから、いろいろ身体障害等についても認定をしておられますけれども、そういう補償等認定仕方等についてもいろいろ問題があるのではないかということで、実体法手続法上いろいろな問題が法律的に存在するというふうに考えておるわけでございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 現地では原告側弁護団抗議声明を発表しておりますね。上告によってこれ以上被害者の救済をおくらすべきでないとしてきた世論を無視して、被害住民に対する重大な挑戦である。また、判決欠陥空港である大阪国際空港の公害問題に対して国と被害者との話し合いによる根本的な解決を求めているけれども、国は上告することによってみずから話し合いの窓口を閉ざしたということを言っておるわけでありますが、これはこの場合の加害者としての責任を自覚していない態度であると抗議しているわけであります。このことについてどういうように受けとめておりますか。
  17. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど大臣が申し上げましたように、この空港が他の空港に比べて、より条件が悪い空港であるということは確かでございます。それだけに従来からこの空港における障害を除去するために最大限度努力をしてきておるわけでございます。で、今回の判決に対しましては、これは法律的に申し上げましても、また実体的にもわれわれとしては承服し得ない問題が多々ございますので、これは最高裁の判定を待つということでございますけれども、従来から私どもが貫いてまいりましたいわゆる地元との接触をできる限り図りまして、そして周辺対策音源対策という、このいわゆる騒音対策をさらに積極的に進めていこうというこの姿勢にはいささかも変化はないわけでございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 重大なことは、欠陥空港であるということ、これを指摘している点にあるわけです。じゃ、一体伊丹空港だけが欠陥空港なのかということになりますと、羽田空港の問題でも美濃部都知事は、同じようにひとつ羽田空港についても時間その他についても適用してもらいたいと言っておりますね。それから私どもがいろいろ各地を調べてまいりますると、たとえば名古屋の小牧の空港ですか、羽田にしてもそうでありますけれども、こういう欠陥空港または欠陥空港に匹敵するような空港がたくさんあるというように指摘せざるを得ないと思います。  問題は、こういう全国空港を一度国政の立場において洗い直して、そして将来の航空政策上の問題についてわれわれとしても重大な関心を持ってまいりたいと思いますし、私どもの所属する社会党でもそのことについては重大な関心を持っていま運輸部会としても取り上げているわけでありますが、一番問題な点は、いま現在大阪国際空港欠陥空港である、全国にこれが適用されていくということになったら大変なことだ。しかも将来航空政策上どうしたらいいのかという点についての問題が一番深刻だというように私は考えるわけでありますが、その点、航空局長どう考えますか。
  19. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御承知のように、飛行場における環境基準というものが環境庁から告示のかっこうで出されておることは御承知のとおりでございまして、われわれとしてはこの環境基準に示されました基準を、中間目標が五十三年、最終目標が五十八年ということになっておるわけでございますので、当面この目標を達成するために予算措置を講じ、また法的措置を講じまして、全力を挙げてこの対策に邁進しておるということでございまして、この限りにおいては、これは大阪空港だけではなく、各空港について実態を調査し、騒音の大きさを測定いたしまして、いわゆる騒音対策を実行すべき区域を告示をもって定め、そして計画的に騒音対策実施している、こういう手法をとっておるわけでございます。  たまたま大阪空港は、大臣が申し上げましたように、騒音の密度といいますか、範囲も非常に広うございます。したがって、全国騒音対策費の大きな部分を現在大阪空港に割いておることは確かでございますけれども、それぞれの空港の実態に即しまして、先生御指摘のように今後もさらに実態把握に努めて騒音対策は拡充してまいりたい。ぜひとも環境基準の目標は達成するように、これがわれわれとしては現在課せられた使命であるというふうに思っておるわけでございます。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 私は、大阪国際空港並びにこれに準ずるような騒音公害がもたらしている、これが身体的に受忍限度を超えているというような個所について、ひとつ早急に調査して、その結果をひとつ資料としていただきたい、こう思っておりますが、ひとつ委員長から諮ってください。
  21. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 航空局長、よろしいですか、いま申し出の資料につきまして。
  22. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生の御指摘でございますけれども、身体障害というものと、いわゆる航空機の騒音との因果関係がありやなしやということが、まさにこれ法廷で一審、二審を通じてわれわれとしては重大な争点としていろいろ問題にしてきたところでございます。したがいまして、いわゆる身体的な、身体障害というものが騒音によってあるのかないのか。これは環境庁においてそのような調査をされておるわけでございますけれども、これについての結論は出ていないわけでございまして、身体障害がどのようにあるか、これがいわゆる航空機というものに原因して身体障害があるのかないのかということは、これは実は判定のしようがないというふうにわれわれは判断しておりますので、したがって、そのような調査結果をわれわれの方からお出しするということはきわめてむずかしかろうというふうに思うわけでございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 それは航空局長、おかしいですよ。身体的な被害というのは、耳鳴りと頭痛とそれから高血圧といったようなことで判決は認めているじゃありませんか。そういうことについてまだ因果関係がないなんと言っていることは、これはやっぱり問題を少しはぐらかす議論だと思うのですよ。それはやはりこういう判決の出た段階において、そういうことを私は言うべきでないと考えているわけであります。で、このWECPNLという形の中で、その数字が大阪国際空港の規模またはその規模以下であっても、相当結果として私は身体的障害がそのことによって引き起こされているということは全国的に聞いています。  私は、先般一人で、実は非常に関心が深かったために、この大阪国際空港を視察に行きました。そのときに、学校の児童生徒が鼻血が六割ぐらい出てとまらなかった、この子たちが今度は疎開して他の個所へ行くとこれが治ってしまうというような結果から推してみても、私どもはやっぱり先ほど申し上げたように受忍限度を超えていると考えているわけでありますが、そういうところを調査してくれ。あなたはいいですよ、この結果が因果関係ないというならないで結構だから。私どもはあると思っている。その点についてひとつ調査結果を、欠陥空港と思われるような個所を摘出して資料を提出していただきたい、こう思います。
  24. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほども申し上げましたように、この控訴審の判決でいろいろ述べておられるわけでございますけれども、この中身についてわれわれとしては実体的にも法律的にも承服しかねる点があるわけでございましてこれはいずれ最高裁の法廷においてわれわれの意見も申し述べ、判決を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。  欠陥空港であるという御指摘でございますけれども、これも私どもは、大阪空港が非常に条件として悪い、したがって騒音対策実施することが非常にむずかしい空港であることは認めておるわけでございますけれども、先生御指摘の欠陥空港という言葉がどういう意味を指しておるのか。私、察するところによりますと、これが今度の判決国家賠償法第二条を適用しておるそのまさに原因といいますか、それを端的に言っておられるんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、これもわれわれとしては、最高裁においてこれはわれわれの主張を申し述べなければならないという非常に大きな争点になっておるわけでございますので、この控訴審の判決なり、そういうものを前提にして、われわれはそれの前提で物を考えるということにはおのずから限度があるというふうに考えておるわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、いまのこの騒音公害というものについて、騒音と身体的な被害との関係というものは何ら因果関係がないというような立場でこの問題を見られると、私は本来転倒した議論に発展すると、大阪の国際空港付近の住民の感情を逆なですることになるというように思うんです。ですから、そういう立場に立って大臣はこの問題をどう考えていらっしゃるか、全然因果関係がないといういまの中村航空局長の発言を認めておられるのかということについて答弁をお願いしたいし、また、環境庁の特殊公害課長ですか、お見えになっておりますけれども、調べてありますね、その点をひとつ聞きたいと思います。
  26. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 飛行機の騒音と身体の障害との関係、これは非常にむずかしい問題でございまして、絶対にないとも言えませんし、絶対にあるんだとも言い切れない非常にむずかしい問題でありますからこそ、最高裁においてもそういう判断もあわせてやってもらおうということでございます。  それから、同じく騒音下にある人たちの間で一つの現象が、耳鳴りなり鼻血なり出た場合に、それが騒音が原因で出たのか、その人の体質からそうなったのかというふうなことになりますと、非常にむずかしい問題があるわけでございます。われわれは絶対にそういう害はないんだということは決して言っておるわけではございませんので、非常にむずかしい問題である。だから、どの程度までそういうことを考えるかということに——実は恐らくこれは運輸省だけではございません。医学的にも最終的に明確にするのには相当な時間がかかると思いますが、それほど非常にむずかしい問題であるということを申し上げておるわけでございます。
  27. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) 大臣からただいま御答弁ありましたとおり、騒音と身体障害の因果関係につきましては、非常にむずかしいということにつきましては、私どもも同じ理解をいたしておるわけでございまして、判決におきましても、いわゆる認定されておるのと、それから騒音公害がストレスをもたらしまして、それによって、それが引き金となって第二次的にその疾患、健康被害をもたらす、そういうことで推認をするというようなことが判決の中にも出ておりますが、そこで私どもといたしましては、四十九年度の予算におきまして大阪空港周辺におきます航空騒音と健康被害との関係につきまして、これが一つと、それから航空機、これは主に排ガスと思われますが、これと鼻出血との関係、以上二つにつきまして調査委託研究を学者の先生にもお願いいたしておるわけでございます。  実は鼻出血の関係につきましては、昨日も大阪で検討の会議が持たれたところでございまして、ただいまの段階は総括といいますか、評価といいますか、この段階にございますので、研究結果がまとまりました時点でその因果関係いかんにつきましていずれ明らかにする機会がまいると、かようなスケジュールになっております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 大臣の答弁は、あなたらしくない、奥歯に物のはさまったような答弁で、私は事情は非常にわかるけれども、ただ、むずかしい問題だけじゃ済まされないということを申し上げているわけでありますから、この問題に前向きでやっぱり取り組まなければいけないと思います。  それから環境庁も、いま調べているなんという段階では私は無責任きわまると思う。やっぱりこの問題についてはちゃんと環境庁としては自分のものを持って、一定の結論を持って対応する姿勢がないと、何のための環境庁だということになると思うのですよ。環境庁調査した資料を私は求めたいと思います。委員長、諮ってください。
  29. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 酒井課長
  30. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) 実は、この問題につきましては、これは環境庁内部の問題でございますが、所管が別のセクションでやっておりますので、一応協議した上でお答えいたしたいと思いますが……。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 そんなばかなことがありますか。ちゃんと委員会を開いて適法に議論しているのに、資料が出せないなんということはないでしょう。私は、むずかしいならむずかしいで、因果関係がないならないというおたくの方針を出せばいいんですから、私どもは資料をくれと、こう言っているのですから、こんなことが出せないわけはないと思いますけれども、これは諮ってください。
  32. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 青木委員の資料の請求につきましては、後ほど理事会で取り扱っていきたいと思いますので、青木委員、御了承願いたいと思います。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 はい。  いわゆる判決内容というものは、加害者である国側の施策の不信を私は増すばかりであるというところに問題点があるわけですから、被害の実態を否定できないと私は思うんです。むしろこのことは上告を取り下げて、そして住民側と話し合うという姿勢が私は必要だと思うんでありますが、この点についてはどうお考えになっておりますか。
  34. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど大臣が申し上げましたように、今度の控訴審の判決に対しましては、政府として、これは政府全体の問題として慎重に検討した結果、法律的にも、また実体的にもいろいろ問題があるということで、これは最高裁判断を仰ぐ、こういうことでございますので、上告を取り下げるという気持ちはないわけでございます。ただ、たびたび申し上げておりますように、この判決の中でもやっぱり触れておられるわけでございますけれども大阪空港というものが非常に特殊な条件下にあるわけでございますから、これの被害を軽減するための最大限度努力をする、これは上告する、しないということは関係なくわれわれとしては進めてまいるということは、これはもう一貫してとっておる態度でございます。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 私は局長、対策を講じてこなかったとは言わないんです。これは私ども運輸委員会調査をいたしておりますし、事情も聞いておりますから、そのことは別に否定しているわけじゃないんです。また、航空機の関係等については、さっき大臣も言いましたように、その需要がふえこそすれ減ることはない、こういう事情もわかっているんです。どうしたらいいだろうかということをわれわれ国会議員としても真剣に考えなきゃならぬから言っているんですよ。ですから、そういう立場に立って非常に門戸を閉鎖したような形でもって答弁なさるということは、私は姿勢がよくない、こういうふうに思います。  けさの新聞に、先ほど大臣からも報告がありましたけれども、エアバスはこれは延期して、それから年末年始の増便はない、これは確認していいんですか。
  36. 中村大造

    政府委員中村大造君) そのとおりでございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 エアバスは、将来ともここに導入するということについては、これは方針として考えているんですか。
  38. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは、エアバスはいわゆる音源対策として騒音を少なくし、またいわゆる減便をする、便数を削減する、そういう立場からこれはもうぜひとも導入しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、二日に発表いたしましたスケジュールというものについては、現在環境庁といろいろ技術的に詰めておる段階でございますので、来る二十日に一、二機導入するというこのスケジュールは延期する、こういうふうに申し上げたわけでございまして、エアバスの導入そのものについて、われわれとしてはその方針を変更したといいますか、中止した、こういうことではございません。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 環境庁と、エアバスに対する窒素酸化物の量その他についても見解が違っておりますね。この点についてはまた次回にお聞きしたいと思っておりますが、きょうの新聞ですか、外国でIATAですか、政府措置について、九時以降の減便について、あるいははまた、これはできないということについての何か抗議だか何だか来ているということを聞いたんですけれども、その点はどうなんですか。
  40. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは今度の判決が出ましたので、その内容は当該航空会社に連絡をいたしておりますし、また、九日に仮執行停止の決定がなされまして、その内容についても連絡をいたしておるわけでございます。当然いわゆる外国国際航空会社はこの問題について重大な関心を持っておることは、これはまあ当然でございます。IATAは、これは御承知のように民間の国際航空のいわゆる協会でございまして、そこで重大な関心を持って私あてに発着制限についてのきわめて強い危惧の念を表明してきたということでございます。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 判決の出たときに成田市の市長は、大阪国際空港並みのいわゆるあの判決にのっとった立場でひとつ成田空港についても主張していくのだ、こう言っておりますね。それから美濃部都知事も、やはり羽田空港も横田基地についても大阪空港並みに規制を加えてもらいたいということを言っているわけです。こういう動きは全国的に起こると思っておりますか、どうですか。
  42. 中村大造

    政府委員中村大造君) 今回の大阪高裁判決を契機といたしまして、やはりそういうふうな動きが随所に発生するということはこれはもう予想されることでございますし、またそういう動きについてもわれわれは承知いたしております。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 私は先ほど判決趣旨に従って欠陥空港ということを言ったわけであります。まさに大阪国際空港欠陥空港だと思います。しからば、空港についての航空政策上の立場からどうすればいいのかという点については、私どもも虚心坦懐、この問題については非常に勉強し、政策を打ち立てていきたいと思いますけれども、この点について全面的に資料その他で協力する姿勢があるかどうか、航空局長にお伺いしたいと思います。
  44. 中村大造

    政府委員中村大造君) 今後の空港整備のあり方につきましては、既存の空港についてはこれはもういわゆる騒音対策、これを第一義的に拡充するという方針でまいりたい。したがって、いま策定いたしております第三次の五カ年計画についても、これを最重点に取り上げてまいりたいと思いますし、それから今後建設し、または改良する飛行場については、やはりそういうふうな環境との調和ということを、これをまた大きな柱と考えまして整備を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、そういうふうな関係の資料につきましては御提出していろいろまた御批判を仰ぎたいというふうに考えております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんから……。  憲法上、人格権をどう考えておられますか。それと、環境権との関係について簡単に答えてください。
  46. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは私、法律的に専門家でございませんので、これについて明確なお答えはできないわけでございます。この人格権、環境権というのが憲法上の規定と実体法との間でどうように具体化されていくかということが、まさにこれは法律論としていろいろ問題になっておるわけでございまして、法廷においてもこの問題が争われておるわけでございますので、その内容について私見を述べるとかいうことではないと思います。これについての御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 第三次空港整備五カ年計画をこの際検討するという気持ちはありませんか。
  48. 中村大造

    政府委員中村大造君) 第三次五カ年計画はいま策定作業の最中でございますので、最近のこのような新しい情勢というものを十分踏まえまして、妥当な計画を策定するように努力したいと思っております。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 日本のような人口密集地帯において、内陸に空港を立地することは不可能ではないか、これからは。そう思うのでありますけれども航空局長どうお考えですか。
  50. 中村大造

    政府委員中村大造君) 必ずしも不可能というふうに決めつけることはできないと思います。御指摘のように、そのような適地を見つけることはこれはきわめてむずかしいということは言えると思います。ただ、空港条件というものは、アクセス問題等もございます。お客の利便公共の福祉というそういう点と、環境との調和と、この点の接点をやはり適正なところに求めるということであろうと思います。そういう観点から適地を選ぶと、こういうことに相なろうと思います。必ずしも内陸の空港が絶対不可能ということは私は断定することはできない。ただ、非常に適地を見つけることがむずかしいということは言えると思います。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 全国空港について、もう一度この判決の出た機会に洗い直して対策を講ずるという気持ちはございますか。
  52. 中村大造

    政府委員中村大造君) 現在の第三次五カ年計画の策定は、最近のいわゆる経済情勢、将来の見通しということと、それからやはり今回の裁判にもあらわれておりますような環境問題、こういうものを最重点に取り上げて現在その策定をやっておると、こういうことでございますので、環境問題というものは十二分に要素に取り入れて策定をやっておるということが言えると思います。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんから簡単に答弁をお願いしたいと思いますが、昨年の航空騒音防止法の改正に際して、空港周辺の立地規制がなされたけれども、これを早急に立法措置をすべきだと、こう思うんでありますけれども、その点についてどうお考えですか。
  54. 中村大造

    政府委員中村大造君) 空港周辺の立地規制については、現行法の手法でその効果があらわれるような方法があるか、あるいは新しい立法措置を講じなければならないか、この両方を含めまして現在専門の学者の御意見も聞きながら鋭意作業を進めておるわけでございまして、できれば何らかの成案を得るように努力したいというふうに考えております。
  55. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  56. 三木忠雄

    三木忠雄君 今回の裁判は住民側の全面的な勝訴で終わったわけです。裁判の問題については青木委員から相当質問があったので私は重複を避けたいと思うんですけれども被害者を救うためにもこれ以上、上告をして延ばし、被害者を苦しめるという、こういう観点から上告を私は取り下げるべきではないかと思うんですが、再度この問題について大臣の見解を伺っておきたいと思うんです。
  57. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 青木委員の質問のときにもお答えしたんですけれども、まあ運輸省航空交通行政を預かる者といたしましては、できる限り航空交通利便国民に提供するということを常に頭に持って仕事をやらなければなりませんが、同時に、それが騒音その他公害を発生して、関係の御住民の方にいろんな迷惑や被害を与えるということがあってはならないという両建ての考え航空行政を進めてまいっておるわけでございます。まさにこのような訴訟はその二つの問題の調和点をどこに見出すかということに対しての一つ判断であると、このように受けとめておるわけでございますが、そういう観点に立ってこの判決一つ一つ検討いたしました場合に、やはりわれわれとしては、司法権行政権の接点がどこに置かれておるかというふうなことについて、この判決では航空行政責任を果たすことに非常に無理があるんではないかというふうな感じも持っておりますし、そのほかすでに申し上げましたような法律問題も含んでおるわけでございます。そこで、そういうことでございますから、われわれも責任を持って航空行政をやっていくからには、特に司法権においていろいろなこういう判断が示されておるこれらの問題に、本当に最高司法機関による最終的な判断はいかがなものであるかということを求めるのは当然ではないか、こういうことで関係各省とも十分に協議をいたしまして上告をいたしたような次第でございます。特に一審と二審とも違うわけでございますし、どちらにとって利であるか不利であるかということは別にいたしまして、行政権司法権との問題については、特にこれは最終的な最高判断を求め、それによって司法権のあるべき限界、行政権のあるべき限界というものがそれで明確になるわけでございますから、そういう意味でも上告をぜひすべきであるという判断でやったわけでございます。
  58. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題で、先ほど軽減措置航空局長がとっておると、こういう趣旨の答弁がありましたけれども、具体的に大阪空港に対して、騒音問題あるいは被害者に対する救済処置ですね、恐らく上告すればなかなかまた時間がかかってくる、被害者はまた苦しまなければならないというこういう問題だと思うのですね。いままでの航空騒音一つの機構ができてから、いろんな手を打ってくることはわかりますけれども、さらにこの判決が出た以後において、その住民対策といいますか、住民に対するこの被害の救済のために、具体的にこの判決後における航空局としての態度ですか、考え方というか、この点についてもう一度伺っておきたいと思います。
  59. 中村大造

    政府委員中村大造君) 何分判決が出てまだ日が浅うございますので、具体的にその後どうしたかということは特にないわけでございますけれども、まあ私ども基本的に考えておりますのは、住民のいわゆる生活障害というものを軽減するためにわれわれとしてとることは、一つには音源対策を進めるということと、周辺対策としては移転補償なり防音工事をやる、こういう施策を強力に進めていくということではないかというように考えておるわけでございます。で、その場合に周辺対策、これは移転補償にいたしましても、防音工事にいたしましても、これを進める上においてはわれわれとして十分な予算措置を講ずることは当然でございますが、やはり地元、特に地方公共団体の協力を得なければこれはなかなか進まない。そういう意味において私どもは、この判決というものは判決といたしまして、やはり地元地方公共団体とできる限り密接に連絡をとり、協力を要請しながら進めていかなければならないというふうに思っておるわけがございまして、われわれはこの判決というものを契機にいたしまして、さらに地方公共団体との——ということは、いわゆる地元住民ということに相なろうと思いますけれども、の協力を得て周辺対策を強力に進めてまいりたい、そのための予算措置も十分に講じたい、こういうふうに考えておるわけでございます。現に民家の防音工事等につきましても、ことしになって非常に進んできておりますし、また移転補償についても大体計画をしたとおりの進捗をいま示しておるということでございますので、さらに協力を得てこれを進めてまいりたい。ただ、やはり障害の大きいところから重点的に進めていくということも必要かと思いますので、それにはさらに一層地元の御協力を仰ぎたいというふうに考えております。
  60. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題は深く入りませんけれども運輸大臣周辺機構ができてから音源対策あるいは移転補償の問題等についても私たちもいろいろ意見を承っておりますけれども、具体的に人員の関係とか折衝の問題等について遅々として進まないいろんな問題点が、ネックがあるんじゃないかと思うんですね。この点については運輸省としてどういうふうにこの問題を考えていらっしゃるのか。具体的にいろいろ問題点を取り上げてみればいろんな問題点があると思いますけれども、いまの航空局長の答弁でいくと予定どおり進んでいるという、こういうふうな答弁ですけれども、それほど私は具体的に進んでないんじゃないかと思うんですね。もっと積極的にこういう問題は解決しなければならない問題点がある。地方公共団体の協力という問題についても、やはり運輸省側の姿勢というものがもう一歩欠けているんじゃないかという、こういう感じがするんですけれども、この点についていかがですか。
  61. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 大阪空港の特殊な地理的条件ということに着目をいたしまして、大阪にだけ御承知のように周辺整備機構という特殊な周辺対策の機構を持って強力にその施策を進めておるわけでございまして、実はあの機構ができましてからまだ年数も浅いわけでございます。しかし、できましてから逐次周辺対策相当強力にやっておることは私も認めております。実はあの判決の中でこのことに対する評価が非常に低いことは私としては非常に残念に思うんですが、われわれとしては、ことに最近は非常によくやっておると、かように思っておるわけでございます。これはまあ周辺対策でございますから音源対策ではないわけでございます。  音源対策の問題は、やはり輸送力というものを減さないで音源対策を少しでも進めていこうというところにエアバスの問題があるわけでございます。これはぜひ地元の皆さんも本当に理解をしていただいて、エアバスの導入はぜひやりたい。ただ、音源の方は、騒音の方はおおむね理解をいただいておると私たちは考えておりますけれども、排気ガスの問題がございまして、これはいま環境庁といろいろ詰めております。地元の方にも、環境庁と十分に詰めができなければニアバスは乗り入れませんということもお約束をしておりますので、これはこの方向でやっていきたいと思います。これによって音源対策もある程度成功いたすと思いますし、大切なことは輸送力を減さないでやろうというところに非常にむずかしい問題がございますので、エアバスの問題もそこに出てきておるわけでございますが、両方とも音源あるいは周辺対策ともに今後一層力を入れていきたいと思っております。ことに、こういう判決が出ておるわけでございますから、この判決については、上告はいたしておりますけれども、こういう司法権によるいろいろな判断、こういうものはやはり空港周辺整備をやる者にとっては一つの大きな何といいますか意見として十分考えながら、考慮しながら、一層強力に進めていきたいと、こういう気持ちでございます。
  62. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこで、音源対策のエアバスの導入の問題ですね。環境庁から運輸省航空局長あてにエアバスのいろんな問題点についての資料要求をされておりますね、この点についての回答はいつ出す予定ですか。
  63. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) エアバスの導入問題につきましては、十二月の二日付で環境庁の大気保全局長から運輸省航空局長あて申し入れを行いまして、要するに大気汚染、特に窒素酸化物等の関係におきましていろいろ問題が多うございますので、運輸省からひとつ資料を出していただきたい、それについて十分説明を承りたいと、それから両省庁間におきましてそれらのデータをヒヤリングに基づいて十分合同の評価を行いまして、それからその見解の一致を待って導入するようなそういう手順を踏まれたいと、こういう申し入れをいたしまして、その後、先週十一日でございますか、第一回目の打ち合わせもやったわけでございますが、資料等の検討、あるいはさらに必要な補足調査があればその調査等々を実施の上で評価をいたしてまいりたいと、こういう現在の進行状況でございます。
  64. 三木忠雄

    三木忠雄君 航空局長、私も資料いろいろもらいましたけれども、これをいろいろ具体的に環境庁に資料を提出し、検討を終えるというのはいつごろの予定ですか。
  65. 中村大造

    政府委員中村大造君) これはきわめて技術的な分野でございますので、あらかじめいつという目標時点を設定してやるということではなかろうと思っております。ただ私どもとしては、可能な限りの資料、データを提出して、いま合同で評価をいたしておる段階でございますので、そう長期間かかるというふうには考えておりません。ただ、いつ幾日までとかいう、そういう目標を定めないで、この際徹底的にその技術的な問題については解明をしようと、こういうふうに環境庁と思想統一をいたしておりますので、目下それに専念しておると、こういうことでございます。
  66. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、このエアバスの導入は、環境庁——運輸大臣環境庁長官ですね、この合同協議の結論が出るまで導入はしない、そして住民の了解が得られない限りはエアバスは導入しないと、こういうふうに考えてよろしいですね。
  67. 中村大造

    政府委員中村大造君) 環境庁とのこの問題についての意見が一致する段階を経なければ、エアバス導入についての次の具体的なスケジュールといいますか、進め方を取り決めることにはならないというふうに思います。いずれにしても、環境庁との詰めが終わりました後において今後の進め方というものを決定してまいりたいというふうに考えております。
  68. 三木忠雄

    三木忠雄君 これ、参考に聞いておきたいんですけれども、日本航空と全日空はこのエアバス導入に対してどういう処置をとっていますか。何機購入して、この大阪のエアバス導入のためにどういう対策をいままで講じてこられたんですか、航空会社としては。
  69. 中村大造

    政府委員中村大造君) 日航、全日空ともに、現在いわゆる大型機を保有いたしておるわけでございまして、日本航空が現在二十七機、全日本空輸が十四機、大型機を持っておるわけで、これはいずれも国際線ないしは国内線でいま大部分就航しておるわけでございます。で、問題は、そういうふうな現在保有しておる大型機を大阪空港に投入することによりまして現有機材の稼働率を高めるというメリットがあるわけでございますけれども、現在政府として具体的なエアバス導入のスケジュール作成の作業をまだ命じておりませんので、具体的に航空会社としてこれを取り上げておるというところまではいっていないというふうに承知いたしております。
  70. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、この日本航空二十七機、全日空十四機、これは沖繩とかには就航しているわけですね。しかし、この大阪導入のために機材を購入して待機をしているといいますかね、こういうエアバスがあるんじゃないかと思うんですけれどもね、この点は大体どのぐらいですか。
  71. 中村大造

    政府委員中村大造君) 大阪空港にエアバスを導入する場合に、その使用するいわゆるエアバスはすべてこれは現在稼働しておるものを使用すると、こういうことでございます。で、すでに発注済みのものでまだ受領をしてないものがあるわけでございますけれども、それはその受領した段階でこれを順次投入していくと、こういうことになるわけでございまして、どの機材を大阪に入れるかということについては、これは特に特定はいたしていないと、こういうことでございます。
  72. 三木忠雄

    三木忠雄君 日本航空と全日空のエアバスの材料を私詰めるつもりはないですけれどもね。この一つの問題を取り上げてみましても、やはり航空会社は減便しなきゃならない。エアバス導入計画もやはり運輸省の導入計画というか、こういう問題に非常にちぐはぐになっている点があると思うんですね。私は何もエアバスを導入することに賛成するわけじゃない。しかし、航空行政自身が行き当たりばったりになっている点非常に——私は空港問題にしろ、あるいはあの北海道の飛行機の問題にしろ、いろんな問題が行き当たりばったりになってこの航空行政がとり行われているんじゃないかということを非常に心配をするわけです。特にこのエアバスの導入の問題が住民との間にどういうプロセスを経て住民に了解を得ようとしているのかです。そういう過程を明確にしておいてもらいたいと思うんです。確かに環境庁長官、運輸大臣の方でいろいろされるでしょうけれども、裁判でも出ているように、住民の了解という問題は、どういう形で運輸省としては了解を得ようとしているのか、そのプロセスをちょっと説明しておいていただきたいと思います。
  73. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは従来から、もうエアバス導入計画というものは昨年からわれわれとしては取り上げて、地元といろいろと折衝をしてきたことでございます。それで具体的に言えば、いわゆる十一市協という、この大阪空港周辺の市でもって組織しておられます一つ大阪空港問題に対処する市のいわゆる連合体がございます。私どもとしては、そういうふうないわゆる地方公共団体というものを通じて、できる限りこの地方、地元住民の理解を得るように従来から努力をしてきたわけでございます。で、その過程において訴訟というものがございます。それから調停申請というものもございました。この調停申請団は、人数にいたしますと約二万の方が調停申請を出しておられるわけでございますけれども、そのその大部分の方と中間的ないわゆる調停が成立いたしておりまして、その中に、エアバスの問題についても、これを導入という前提でさらに資料を公開して理解を深めると、こういうふうなことが内容としてあるわけでございまして、われわれとしては、あらゆる方法を講じて地元に対して理解を深めるための努力はいたしてきたつもりでございますけれども、今回の裁判におきましてはあのような判断を下されておるということでございまして、われわれとしては、これはきわめて残念に思うわけでございますがいずれにしても地元の方方とのエアバス問題についての理解を深める努力というものは今後さらに強化してまいらなきゃならない。そのためには環境庁との現在の技術的な詰めというものがやはり前提になろうということでございますので、その結果を待って、さらに理解を求める努力を具体的にいたしたいというふうに思っております。
  74. 三木忠雄

    三木忠雄君 この理解を求める努力として、環境庁は具体的な運輸省から資料が出て来、検討されますね。この具体的な資料等の問題について、検討した資料等については公開しますか。この点について伺いたい。
  75. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) 資料の公開につきましては、両省庁間にまたがっておる問題でございますので運輸省と協議の上で、御相談した上で決めたいと思います。
  76. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは運輸大臣から伺っておきたいです。これはやはり住民側が具体的な調査もいろいろされると思いますし、こういう問題についての資料の公開、せめて地域住民の人たちが理解できるような資料の公開というか、こういう問題については運輸大臣、どうお考えになりますか。
  77. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いずれこの問題は環境庁と詰めて、そして住民の理解を求めなければなりませんので、詰めた結果は説明をすることになろうと思います。説明すればいろいろとまた質問もあろうと思いますから、その資料を示すとか示さぬとかいうよりも、その内容についてはできる限りそういう機会に詳細に説明をして理解を得なければいけないことでございますので、そういう方法説明もやっていきますし、理解も深めたいと思っております。
  78. 三木忠雄

    三木忠雄君 それからもう一つ音源対策国際線の問題ですね。この国際線の問題についてはいろいろ国際的な問題があってむずかしい問題もあろうと私は思います。IATAの抗議も出ておりますけれども、具体的にこの大阪空港国際便について、外交交渉を通して何とかずらしてみるとか、あるいは繰り上げるとか、いろんな方法運輸大臣としてやっていかれる考えはあるのか、どうかですね。
  79. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国際航空につきましては、国際間に航空会社同士あるいは政府間同士いろんな取り決めなり協定というものがあって、国際航空というものがいわばバーター式に行われておるのが現状でございますので、しかも国際的な各地の国際空港を見ます場合に、今度判決で九時以後は禁止はされましたが、これは決定で延ばしてはもらいましたけれども、外国の国際空港で九時以降こういった国際航空機の発着はやっていないとか、いかぬとかいうふうなことは一件もそういう例はございません。全体を見ましても、大体十一時ごろまではいずれの国際空港も着発を認めてやっておるのが現状でございますので、そういう現状の中に日本も国際航空の仲間入りをしておるわけでございますから、いまこういう判決が出たからということで、九時以後は絶対入ってもらっちゃ困るというふうなことを言うべき筋合いではない、言うべきではないと私は考えました。しかし、向こうの航空会社の方で自発的に調整をとられることは一向差し支えないし、結構なことでございますので、事実は全部連絡をしていたわけでございますが、けさの新聞を見ますというと、IATAの方から抗議めいた文書も来ておるというふうな状況でございます。幸いに裁判所もある程度の理解を示してくれまして、来年の五月まではよろしいということになっておりますので、その間は現状のままで進めていくつもりでございます。
  80. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは具体的に大体どこからどういうふうに国際便が入っているんですか。
  81. 中村大造

    政府委員中村大造君) 現在、大阪空港に九時以降入っております便は、三社で週十一便でございます。で、エア・インディアがこれが週二便でございます。それからキャセイ航空がこれが毎日一便ずつ、それからトランス・メディタレニアン航空、これはレバノンの航空会社でございますが、これが週二便ということで、合計いたしまして週十一便、一日平均約一・六便、こういうことでございます。
  82. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣国際的な慣例というお感じで、努力をされるという気持ちはないようですけれども、あと一時間か二時間繰り上げるということで、日本の国についてもわれわれが考えますと、九時以降よりも九時以前に着いた方がいいわけです。これは私はやはり国内便との関係があって国際便をそこへ繰り入れることができないような、あるいは運輸省として努力をされようという気持ちがないのか、これは私ちょっと疑問だと思うのですけれども、インドから着くのに朝、時間帯をもう少し調べてみなければわかりませんけれども、一時間、二時間繰り上げてもいいような感じがするのですね。そうすると、国内便が減るからというふうな理由でやはり運輸省として動きたがらないのか、動く意思がないのか、こういう点が私にはちょっと疑問だと思うのですけれども、この点は分析をされた上で、そしてこれはもう無理だ、外交交渉はしないと、そういう結論を運輸大臣は出されたのかどうかですね。
  83. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 外国の航空便のことでございますから、途中他の空港に寄ってくることもありますし、時間の調整というものはいろいろむずかしい問題がたくさんあると思います。日本だけがその時間を一時間なら一時間繰り上げさすことによって、それがそのまま発地の一時間の繰り上げで済むような問題では私はないと思いますね。いろいろなところに寄ったりしますから、そこでのいろいろな連絡等もございますから。そういうこともありますので、私は現段階では日本から特に九時以後とめてくれということを言うのは適当でない。このことは幸いに裁判所も理解を示されておるわけでございますので、恐らく裁判所の方もわれわれのそういう主張に対して、国際的の航空便であるからもっともだ、仕方ないというふうに理解をしてくれておることと思っておりますが、もちろん先ほど申し上げたように、そういう便ができるだけ繰り上がってくることはそれは結構なことだと思いますけれども、日本からそういうふうにしてくれ、と言うことは、他の空港がそういう制約が全然ないわけでございますので、そういった国際航空一つの仲間に入っておる日本として、日本だけの事情でもって——これはどうしても絶対にいけないということであればやむを得ません。やむを得ませんが、しかし、国際間のいろんな問題を考えますときに、われわれとしてはできるだけの努力をして現在の運航というものは維持してやっていくという立場をとるべきではないかということであのような措置をとり、来年の五月までそれは仕方がなかろうという決定をもらったようなわけでございます。
  84. 三木忠雄

    三木忠雄君 しかし、来年の五月以降どうなるかということはいろいろな問題点があると思います。しかし、やはり努力をしてみるという。特に大阪空港欠陥空港であるという一つのここに問題が出ているわけです。この時点においてやはり立ち入ってこういう三社について特別な協力を求めるという、外務省を通すなりいろいろ外交努力はしてみるべきではないかと私は思うんです。  それはやはり被害者立場になって考えてみれば、融通できるものは、そういう点で国際的な慣例もあろうと思いますけれども、やはり運輸省としてそれだけの努力をしてみようという意欲は運輸大臣は持っていいんじゃないかと私は思うんですがね。これはやはり全然お持ちにならないですか。
  85. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これは繰り返して申し上げるようでございますけれども、やはり国際航空の中で日本からもあちこちに飛んでおりますので、そういう問題もありまして、こちらからいろんな要求を出していけば必ず今度は日本の国際航空についてまたいろんな要求が出てきましょうし、やはりそういう場合には国際的な一つの何といいますか大勢のおもむくところ、状況というものをまず考えなきゃいかぬと思うんです。先ほど申し上げたように、どこの空港でも十一時ごろまでは使っておるというのが現状でございますので、それらの空港がいずれも騒音が全然なくてやっておるわけではございません。それぞれいろんな騒音があり、被害を受ける周囲の人もおるわけでございますが、とにかくそういう中で努力をしながらそうやっておるところでございますので、われわれとしては現状幸いにいま申し上げたように九時以降が二便ぐらいでございますから、そういうことも考慮しますときに、積極的に日本としてこれを何とか繰り上げてくれと言うことは、やはり私は、言うことが果たして将来日本としていい結果になるかどうかというふうなことも考えてみなきゃいかぬだろう、いろいろな点を考えまして、先ほど申し上げたとおりの考えでございます。
  86. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間が来てしまったのであれですけれども、最後に成田空港の開港のめどですね。  それからもう一つは、美濃部都知事が東京の問題について申し入れました、羽田空港の問題について。運輸大臣、受けられたと思うのですね。この問題についてはどういうふうに考えていらっしゃるか。これは具体的に時間をかけて詰めたいと思うんです。これは別の機会にやりたいと思いますけれども、航行違反も大分あるわけですね。五千何回に及ぶ違反航行もやっているわけです。こういう問題等含めて、大阪空港の欠陥問題が出た。じゃ、羽田はどうかというと、やはり大きな問題だと思うのですけれども、こういう問題について運輸大臣はどう対処されるのか。この点についての御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
  87. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 成田はいろいろと努力をいたしておりまして、できるだけ早く開港いたしたいと思って鋭意努力をしております。われわれといたしましては少なくとも年が明けます昭和五十一年、これはもう四年たっておりますから、五十一年中には何とか第一番機が飛ぶように努力したいと思っておりますけれども、まだ正式にそういうことを言い得る段階に至っておりません。  それから羽田空港につきましては、東京都知事からもいろいろな要望が出ておりますので、これはその要望を十分聞きながら、さらに一層周辺対策は進めていくつもりでおります。知事のみならず、大田区からもいろいろな要望も出ておりますので、十分検討しながら周辺対策は進めていくつもりでございます。
  88. 和田春生

    ○和田春生君 今度の大阪高裁判決については、国は最高裁上告をされたわけですから、この点については判決に不服である、そういうことはよくわかるわけですけれども一体あの判決をどういうふうに受けとめられたのか。また、あの判決をきっかけにして、どういうところがこれからの問題点で、それに対してはどういう方針で臨もうとされているのか。大変原則的な問題で抽象的な問いかけかもわかりませんが、政府の心構えを知りたいという見地から、その点、まず最初に原則問題として運輸大臣にお伺いしたいと思うのです。
  89. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この大阪高裁判決の受けとめ方ですが、私は非常に厳しい判決である、しかも従来例のない異例な判決である、こういうふうに受けとめております。  それから上告をいたしました基本的な考え方は、飛行機の着発時間その他というものは、これは私は行政権範囲内であると思いますけれども、今度の判決の中には、自動的に着発時間の変更その他もやらざるを得ないようなところまで示されておるわけでございますので、そこで行政権司法権との接点がそういうことでいいであろうかという問題が一つ。それから被害者損害補償につきましても、総体的に人格権的なもので総括をしての理由にして損害賠償等も認められております。これらもいままで判例のないことでございますので、そういう法律上の問題を中心にいたしまして、やはりこの問題は司法最高機関の最終意思の判断を仰ぐべきであるということで上告をいたしました。
  90. 和田春生

    ○和田春生君 いまの運輸大臣の御答弁は、いままでも出てきている一般的な問題ですが、実は私はこの判決を見て三つのことを感じたんです。  一つは、もっぱら公共性ということを名分として、そして被害住民の受忍、耐え忍ぶということに依存して長い間問題を——放置したとは言いません、いろいろ努力をされておったんでしょうけれども、ここまで追い込んできたそういう政府の怠慢と行政責任、これは改めて考え直さなくてはいけないということが一つです。もう一つは、大阪空港だけならばそれほどでもないと思うんですが、先ほど来二、三指摘されておりますけれども、すぐ日本人社会では短絡的な反応が出てきます。これは国際的に大変深刻な問題に発展するんではないかということを恐れました。そのおそれの一つがけさほどの報道によって現実になってきているわけです。もう一つは、大体こういう問題はもともと裁判にはなじまない性質のもので、裁判というのはどうしてもその性質上、限定された問題を限定された局面でとらえて、それに対する司法的な判断を加えるわけですから、むしろ私は、この問題では何にも解決されないんで、むしろ新しい問題が幾つか提起されているというふうな受けとめ方をしているわけですね。  そこで、きょうは時間をうんとかけてやるわけにいきませんので、ごく原則的な問題に限定してお伺いしたいと思うんですが、まずこの判決について言えば、私は三つの要素から成り立っていると思うんです。一つは、午後九時から七時までの夜間飛行の全面禁止、こういうことで騒音被害を解決しようというのが判決主文の一つです。それから第二は、それが解決できないまでは金銭賠償を認めるということですが、これは裏返せば騒音被害が続いている間は金銭賠償をする。逆に言えば金銭賠償を担保にして騒音被害が残るということですから何にも問題の解決にならない。こういう点があると思うんです。それで第三点としては、これは判決主文ではなくて判決理由書によるんですけれども大阪空港公共性からここをローカル空港に変えることもできない相談だろう。そうすれば、この判決をきっかけにして、原告側もある程度譲歩の余地があるので、騒音あるいは機種とか便数とかそういうものの規制も含めて減便、こういうものについて国側と冷静に話し合ったらどうだということは判決理由書の末尾の方で言われているわけです。  そうすると、第二の点の金銭賠償というのは全然問題の解決に何にもならぬことなんですから、それは被害を受けた人たちに対する補償ということですけれども空港の存在と騒音という問題をどうするかということについてはこれは解決にならない。そうしますと、第一点の九時以降七時までの夜間飛行を全面禁止する、こういうことが騒音対策としての一つの答えとして出されているわけであります。  大阪国際空港だけならいいんですが、早速美濃部東京都知事も反応を示しておりますし、成田の市長も反応を示しているわけですが、これがすべての国際空港に関連をしてくるという形になりますと、国内航空の場合は夜は飛行機飛ばぬでもいいじゃないか、飛行機がなければフェリーもあるし、多少遅いかもしらぬが自動車も利用できるし国鉄もあると、こういう形になると思うんです。しかし、国際航空関係は私はそうはいかないと思う。それは日本が日出る国で、すべての出発点であり終着点であるというんならそれはいいでしょう。しかし、これは飛行機のスピードとスケジュールとそれから時差という問題、距離があるわけですね。  そうすると、多くの中間地点の国々では、私も国際関係の仕事を長くしておりましたから、もう何十回とか、百回も二百回も国際航空を利用していますけれども、夜中に発着をする国際空港はたくさんあるわけです。日本だけが夜は絶対だめだ、これは運輸大臣の言うとおり国際的には通用しない。それをやっていくと、今度のIATAの申し入れ、これは当然ICAOにおいても問題になってくると思うんですけれども、そうなってくると、いろいろな報復手段とか、ギブ・アンド・テークですからやっかいな問題が出てくる。日本だけが国際航空から孤立をする。この場合には飛行機がないから船で行けなんというわけにはいかないです。ヨーロッパまで一ヵ月も二ヵ月もかかって走っておったんじゃ今日の社会では間に合わぬという問題が起きてくるわけです。  そこで、この場合には、国内航空の問題と国際航空の問題というものを、裁判の問題はこれは一応置いといて、行政的に考えると一緒に込みで考えるわけにいかない問題があると思うんです。そういう点に運輸省としてはどういうふうに対応していこうとされているのか。これは非常に重要なポイントだと思うのですが、国内と国際と二つの局面がある、その点を踏んまえて運輸大臣のお答えをいただき、要すれば航空局長から具体的な行政面の措置、今後の見通し等についてお答え願いたいと思います。
  91. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ただいまの和田委員の御意見、私も全く同感でございます。やはりわれわれとしても夜はなるべく静かにということは、もうこいねがうところでございます。そういうことでございますので、できることであれば午後九時と言わずに八時、七時から飛行機は飛ばないことがいいと思います。しかし、反面、航空交通に対する需要も非常に強いわけでございますし、そういうこともなかなか困難でございますが、まあこの判決が出ましたので、これを一つのメルクマールと考えまして、午後九時という時点を強くとらえられておりますので、今後国内におきましては、こういうことを一つの資料として夜間はできるだけ静かな時間を多くとるという努力はしなければならないと思います。  国際間の問題につきましては、全く御指摘のとおりでございまして、日本が国際航空の中で孤立をするようなことになってはこれは大きな国損にもなるわけでございますので、これは別の問題として処理をしていかなければならない。私も和田委員と同じような考えに立っております。
  92. 和田春生

    ○和田春生君 同じように考えているかどうかをお伺いしたのじゃなくて、私がお伺いしているのは、国内便は、夜はできるだけ静かにしようじゃないか、無理に発着することはない、そういう考え方は通用するし、やっぱり今後の環境とか住民の健康上の問題とかいろいろ考えていきますと、人格権とか環境権というむずかしい権利問題を振りかざさなくても、夜はできるだけ静かにと、ごく常識的に考えても通用すると思うのですね。  私がお伺いしているのはそうではなくて、いままだ日本の空港国際空路の中継地点という形になっておりませんが、これからますます国際航空が発展してくると、開発途上国もどんどん持ってくるという形になれば、世界は、二十四時間地球は回っているわけですよ。夜はできるだけ静かになんということを世界じゅうの国がやったら国際空港というのは成り立たない、ごく近距離だけしか。たとえば南回りで行くときに、ニューデリーなんというのはおおむね夜中の発着ですわね。そういうような場合に、日本がすべての始発点であり終点である、世界の航空の元締めであり中心というならいいのですよ。そうではなくて、地球は回っているわけですから、そうなると、日本だけが夜の発着便なんというのはいかないなんということは言っておれない問題がある。現に真夜中の二時、三時というのはないかもわかりませんが、そういう点で、今後発達してくると、相互にお互い乗り入れていく場合に、昼だけはいいが夜中はいけないというようなことは、できるだけそうはしたいと思っても通用しないという問題が出てくるのではないか。そうすると、そういう原則は国内では通用するか知らぬけれども国際的には通用しません。私は国際航空という観点から見れば、IATAが言ってきたことは、これは大変筋の通ったことだと思うのです。  ですから、それを分けて考えた場合に、国際航空という前にこの判決を踏まえながら、どう対処していくか、それで何が大切か、そういうやはり基本的な問題提起が私はなければいけないのじゃないか。国内空港国際空港も込みにしながら、全体としてひっくるめて問題を解決していこうという形では大変なジレンマにはまり込んでいくと思うのです。  先ほど来運輸大臣は、幸いにして裁判所も御理解がございましてということを二回ほどおっしゃっていましたね。裁判所は理解していないのですよ、これは。裁判所が言っていることは、国際も国内も含めて全面的に大阪空港について九時から七時まで夜間航空禁止なんですよ。増便をしない、エアバスを導入しないということを条件にして、来年五月まで暫定的に現在ある国際航空は認めてやろうと、こう言っているだけなんです。幸いじゃないんですね。大変シビアにそこのところは考えておって、少なくとも大阪国際空港に関する判決については、判決趣旨というのは夜間航空は全面的禁止ですよ。しかも年前七時から午後九時までの昼間航空についても減便その他についても話し合えということを判決理由では言っているわけです。話し合いがつくまではずっと補償を続けろということが判決趣旨になっているわけですから、これは国際、国内というものは全然区別していない判決です。そうすると、大阪国際空港というのは欠陥空港、もういよいよだめならば国際線はここはやめるならやめるという判断もあり得ると思うんですが、日本が国際航空からはみ出るというわけにいかない。今後どうされるんでしょうか。  この大阪国際空港判決が、美濃部東京都知事が言っているように、同じように羽田にもやれ、成田市長が言っているように、同じように成田にもやれ、福岡にもやれ、そういう形になった場合に、これはえらい問題になるわけです。国内は解決しますよ、飛ばさなきゃいいんですから。航空会社がいろいろ損害とか利益というのもありますけれども、それは横へ置いておいていいけれども国際空路についてはそれは成り立たない。それに対して今後どう対処していこうか、この判決は私はその出発点だと思う問題の答えではなくて。その点お伺いしたいんです。
  93. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この判決は主文並びに理由書を読みましても、国内航空国際航空と、いま和田委員が御指摘になるような区別をした判断は全然していないんです。たまたま国際航空便については差しとめたり変更することはできませんので、仮執行の問題について差しとめの請求をし、それを認めてくれたということで、私は幸いにもと、こう申し上げたわけでございまして、確かにおっしゃるとおりの問題が将来にわたって出てきます。  ですから、ひっきょうするに主文の第一番目にあります飛行時間を、あるいは着発の時間をどう決めるかということを司法権の発動によって制約を受けるということになりますというと、いまのような国際問題についても、非常に大きな問題で取り返しのつかぬ事態も起きてくるということを憂慮いたしておりますので、そういうことも頭にありますので、ことに第一は行政権司法権とのその辺の接点の問題について、果たして第二審の示すようなことでいいであろうかという意味上告審の判断を仰ぐということで上告をしたわけでございますので、まさしくいま御指摘の国際航空に関する重大な問題については、この判決のままに従っておったんではこれはとても責任は果たせないということから上告をいたしたわけでございます。
  94. 和田春生

    ○和田春生君 そういう判断上告をされたというお話ですが、上告をして最高裁でその点について国側が争っている点が認められて仮に国側が勝訴したという形になったとしても、私は一つも問題は解決しないと思うんです。そうすれば空港周辺騒音という問題はそのまま国際便に関する限り残るという状況になってきますし、大都市周辺にどんどんどんどん人口が集中してきて住居地がふえますと、いまこの裁判の範囲が非常に限定されておりますが、もっと広い範囲にやはり騒音公害というものは存在しているわけですから、その問題は国際関係のは解決されても、今度は地域住民騒音公害というものは何も解決しないという形になって争いが繰り返されていくのではないか、こういう問題がそこに生じてくるというふうに私は考えるわけですね。  そこで、そういう点をいろいろ考慮してみますと、幾つかの問題があると思うんですが、一つは成田空港というものは開港しておりません。しかし、あれは成田に定めたというときからいろいろ議論がありまして、何が何でも断固反対、絶対阻止というのは別としまして、やはり国際空港というものの必要性を認める立場に立ちながらもいろんな点で疑問が提起されておったのは運輸大臣、また航空局長もいままでの経緯で御承知のとおりだと思うんですが、日本の場合、内陸部に夜間も発着を必要とするこういう飛行場をつくる場合には、立地規制ということが絶対条件になるんではないかという私は気がするんです。そうでなければやっぱし後から後から人がやってきますよね。これは飛行場があることを承知の上で来たのだから文句言うなと言ってみたけれども、おれが引っ越したときにはそんな夜中までブンブンブンブンやかましい音を立てて飛ぶとは思っていなかったのだという形になれば、これ水かけ論ですね。どうしてもその立地規制というものが非常に絶対条件になる。  実はこの点について、プロペラの双発機で飛んでいるころから飛行機に乗っては見て、しょっちゅう見ていくうちに、大阪空港はこれえらいことになるぞと。初めあの辺ずっと原っぱでしたですね、戦後の民間航空が始まった当初。そのうちだんだん家が立て込んできて飛行場周辺に押し寄せてきていましたから、これほっておくとえらい騒ぎになるんではないかなということは、たびたび利用しておる人は恐らく皆共通に感じておったのじゃないかと思う。ところが、その立地規制というものは、全く放置されておったと言えば言い過ぎかもわかりませんが、ほとんど手をつけられていなかった。羽田空港についても立地規制というものはなかった。成田空港について立地規制というものはほとんど考えられておりません。  先ほど航空局長は、他の同僚委員の質問に対して、現行法で対処できるのかどうかということについて検討したいと言うけれども現行法で対処できるのならいままで対処してくればよかったじゃないですか。現行法では対処できないから立地規制が行われずに飛行場周辺にどんどん人家が密集してきて、それがプロペラ機からジェット機になる、便数もどんどんふえるという形で問題が起きてきたわけですから、内陸部に夜間の発着を必要とする空港をつくるという場合には、私は日本のような平地面積の非常に狭い国土の場合には立地規制というものは不可欠な条件である。これを一体のものとして考え今後の航空行政空港行政というものを考えていかないと、永遠に問題が解決しないどころか一層深刻化をしていくということがあると思う。  もう一つは、少なくとも国際空港に利用するというところについては、内陸部につくるということをある程度発想転換しなくちゃいけないのじゃないか。成田においても私はいまのままでいくとやっぱし大変な問題が出ると思いますし、またあの空港からの東京都心その他に対する交通、トランスポートの面を考えますと、これ大変なことになる可能性があると思いますから、あれで事足れりとするんではなくて、たとえばいまの羽田空港というものがもう満杯状態で限界に来ていると。それならば羽田空港を手直しをするという面の代替地として成田空港考えていって羽田空港を海上に拡張するのか、あるいは海上にやはり国際空港というようなものを設置して、陸上に住む人間の騒音公害との問題を海を隔てるということによって断ち切る、それにふさわしい陸と海上空港との交通機関考える、そういう面を根本的に今後の政策として立てる必要があるんではないかと思います。現に長崎の新しい空港は海の上に島を削ってできました。そういう騒音の面についてはほとんどいまのところは問題がない、御承知のとおりであります。そうすると、夜間にも発着を必要とする国際空港という問題については、そういうことを考える必要があるのじゃないか。  したがって、国内便についてはエアバスの導入、つまり輸送量をふやして便数を軽減をする、あるいは夜間の発着を停止をする、そういう形で総体的に騒音を減少するという政策は、エアバスがそのままでいいかどうかということは検討の余地があると思いますけれども、そういう形である程度処理もできるし、私は、お互いが冷静になれば話し合いもできますし、高裁判決判決理由の結びにあるようなこともお互いの努力によって、まず政府も反省して率直に話し合う、説得をするという形で道が開けると思うのですが、国際空港についてはそうはいかない。  そこで、この判決をきっかけにして、いま言うような立地規制の問題を空港一体不可分のものとして考えるということと、今後は空港そのものの立地というものを発想転換して考え直して、今二十年、三十年、五十年の、まあ百年の大計というと話がえらい大きくなると思いますけれども考えるときに来ているのではないかと、私はそう考えているわけなんです。そういう点に関しまして、いままで総理大臣運輸大臣はもとより、政府側から一つも積極的な意思表示がない。判決がよかったか悪かったか、勝ったか負けたか、もっぱら議論はそういうところに集中して大変残念に思う。そういう考え方をもとにして、改めて運輸大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。
  95. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 周辺の立地規制の問題は、確かに御指摘のように非常に重要であり、また必要な問題であるわけでございます。まあもともと成田に新空港をつくるかどうかというときにも、そういう問題は一応いろいろと研究をいたしたわけでございますが、確かに御指摘のように、空港ができたときには周辺はそういう心配がなくても、やはり狭い日本のことでございますから、人家の密集ということは当然予想されるわけでございますので、これは遅きに失したかもしれませんが、立地規制の問題は積極的に今後取り組んでいかなければならないと私は考えております。  それから空港そのもののロケーションにつきましては、これは全く御指摘のとおりでございまして、現に大阪の伊丹空港にかかわるものとして、まあこの廃止をも考慮しながら、新関西空港考えておりますのは泉州沖の海上ということでございますので、今後のああいった大きな国際空港につきましては、もう内陸部では無理であろうということからああいう判断になっておりますので、これは今後もそういう方向でまいるつもりでございます。
  96. 和田春生

    ○和田春生君 次の質問は、時間の関係もございまして、ですから、大きな問題ですから今後の機会に譲りたいと思いまして、関連質問があるそうですから、私の質問はこれでやめたいと思います。
  97. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと関連して質問いたしますが、いまの内陸部における空港の問題は、発想転換すべきであるというふうに和田委員の発言がございました。私も全く同感なんです。で、今度の判決でもってもう時間を決められてしまったわけでしょう、朝七時から夜の九時までと。選挙運動の時間にちょっとプラスアルファした程度だと思いますがね。だから、こういうふうに時間を決められてしまうのも無理はないと思うんですよ、ああいう町中に飛行場をつくるということ自体がどだい無理なんですから。だから、もう伊丹空港についてはさっさとあきらめて、あそこはやめてしまうと。そのかわり、かわりの空港をなるべく早くつくるということの方が政治の方向としては正しいじゃないかという気がするんです。しかし、その新しい空港をつくるという泉州の問題だって、一体いつのことになるんだかわからないような状態じゃ困ると思うんですね。だから、ああいう判決が出たのを機会にして、伊丹空港については見切りをつけて、そして新しい空港を建設するということに重点を置いて、それでそのための合意を得るという努力を具体的にやっていくことの方が、国としてはこれはやるべきことではないかという気がするんです。それが果たして具体的に進捗をしているのか、可能性があるのか。泉州ということをちょっと言われました。その泉州の問題について地元の合意が円満に得られているのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  98. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 泉州沖を候補地に決めましたのが、ことしの春ごろでございます。早速私は関係県に参りまして知事にも会い、それから従来の成田空港の轍を踏まないためにも相当詳細な調査航空審議会の部会の方にやっていただきまして、その資料だけでも何といいますか、このくらいあるわけなんですね。それを全部関係市町村に配りまして、ここに空港を建設する場合には、ただ単に空港だけではなくて周辺の都市、何といいますか環境の問題、また開発の問題等含めて詳細な資料をつくりまして、これを全部提示しておるわけです。それで、これをよくごらんになって、これについていろいろ御意見を聞かしてくださいということをいまやっておるわけでございます。仮に海上につくるといたしましても、やはり陸上に全然関係のない問題でもございませんし、漁業の問題もございますので、そういう問題を洗いざらい全部資料を提供してございます。そういうことをいまやっておりまして、それに対する意見を今度は十分こちらが見まして、途中で後戻りをしたり、途中で問題を残して新しい問題にぶつからないようにいま一生懸命やっておる最中でございますので、これはやっぱり年数はかかると思いますが、しかし、この関西新空港をつくると同時に、いまの伊丹空港の廃止も含めて、これをつくるという発想になっておりますから、時間はかかりますが、大体いま言われたような方向で新空港の建設をやろうとしておるわけでございます。
  99. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時から委員会を再開いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後二時二分開会
  100. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査質疑を続行いたします。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、大阪国際空港の公害関係、特に去る十一月二十七日の大阪の高裁判決をめぐりまして若干お伺いをしていきたいと思っております。  十一月二十七日の判決というのは、大阪国際空港をめぐる被害住民百七十万の、まさに先兵として訴えを起こしておられた原告団の皆さん方の、全く完全な勝利だというふうに評価をされておりますけれども、私ども被害住民百七十万を代表して、まさにささやかな要求を、しかも長い間深刻な被害をがまんしてきておったのが、今度裁判の法廷で住民被害というささやかな要求が認められるという判決であったというふうに思うわけです。  私は、この今度の判決をめぐりまして、せんだっても実は公害関係委員会でも環境庁長官にも申し上げたのですけれども、私はこの今度の判決をめぐって政府当局、特に直接その衝に当たっておられる運輸大臣が、どんなふうにこの判決を受け取っておられるかということについて非常に深い関心を持っていたわけです。  で、午前中の審議を通じましてお伺いをいたしましたところが、この判決というのは、大臣のおっしゃったところによりますと、大変厳しい異例の判決だ、しかも行政権司法権の接点のところが大変疑問がある、特に損害賠償の要求等の問題を認めたという点に問題があるというふうなことでの立場上告態度を決定されたということをお聞きをしたわけですが、私は、これは姿勢が間違っているんではないかというふうに、お聞きをしながら実はつくづく感じた。なぜかといいますと、少なくとも、百七十万に及ぶ大ぜいの住民が長い間苦しんでおった。こういう苦しみというのは政府当局、運輸省も御存じないはずはなかった。これが裁判の結果でその被害を認められるというふうなことにならずに、少なくともその行政の衝に当たる運輸大臣がそのことをお認めになって、特に九時以降の飛行は差しとめてほしいというこのささやかな要求が早く実現をされておったならばこんなことにはならなかった。そのささやかな要求が政府当局に認められなくて、やむなく法廷でこの問題が六年にわたって論議されざるを得なかったというところに国民の悲劇があると思うわけでございます。  したがって、少なくともこういった深刻な被害住民の訴えに耳を傾けて、今度の判決の機会に、こういった住民被害に対処していくための大きな反省の立場に立つということがまず第一に必要ではなかったかというふうに実は感じていたわけでございますが、再度、この判決の結果上告に至りましたけれども大臣の御見解を改めて簡潔にお伺いをしておきたいと思います。
  102. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 午前中の各委員の御質問のときにもお話を申し上げたように、今回高等裁判所からあのような判決が出たわけでございます。われわれとしては、飛行場がああいう地理的条件のもとに設置されて運営されておるために、いろいろと周辺の方に被害を及ぼし、迷惑もかけておるということは、承知をいたしておるわけでございます。したがって、できる限りそういう被害最小限度にとどめたいということで、周辺対策等もいままで続けて努力をしてまいったわけでございます。ただ、従来その手の打ち方が必ずしも敏速でなかったということは率直にわれわれも認めております。  そこで、周辺整備機構等の機構もつくりまして、ここ一、二年の間は特に相当強力に進めてまいってきておるような状況でございます。しかし、あの判決の中には、繰り返して申し上げますように、司法権行政権との関係、あるいは将来に向かっての損害賠償についての、いわゆる人格権を中心とした判断の仕方、そういう問題について新しい観点から出た内容判決もございますし、法律問題もございます。そういう問題につきましては、航空輸送公共的な国家の仕事を遂行ていく責任を負っている運輸大臣といたしましては、やはりそこで公共性と関係住民の個々の利害との問題の調整というものをどの辺に求めるべきかということは、非常に大きな問題であるわけでございまして、それらにつきましては、やはり司法権最高の権威である最高裁の最終判決を受けて、そしてこれに最終的な判断をしてもらうということがわれわれとしてとるべき方法である、こういうように考えまして上告をしたようなわけでございます。  かくして上告をしたわけでございますけれども、しかし、あの判決に示されております事柄で実施できることは実施しよう。われわれとしても周辺の人の迷惑はできる限り軽減していくという方向で航空対策をやっておることには変わりはございませんので、たとえば九時以後の国内便の停止等につきましても、これは航空輸送の面からいたしますと、また旅客の面からいたしますと、相当大きな犠牲になるわけでございますけれども、あえてそういうことも実施に踏み切った。  それから音源対策としてのエアバスの問題にいたしましても、これは必ず、エアバスを入れることによりまして騒音問題は軽減されるということはもうはっきりいたしておるのでございますが、一面排気ガスの問題等がございますので、これは環境庁と詰めてまいっておりますが、騒音対策としては、やはりエアバスの乗り入れということは、あの周辺の方にとっても騒音の軽減化ということで非常に効果のあることであるという考えで、エアバスの使用を今後やっていきたいということで必要な措置を現在とっておる、こういうことでございます。  繰り返して申し上げるようでございますけれども、あくまでもそういった周辺対策につきましては、今後さらに一層力を入れてやっていくということには変わりはございません。最高裁におきまして法律問題、あるいは司法権行政権との問題、そういう問題について最終的な判決を仰ぐということは、それはそれといたしまして、周辺対策は強力に進めていくということには変わりはないのでございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 基本的な御見解は何回も伺っておりますので、私は住民の要求というのが非常に節度のあるささやかな要求だというふうに思うわけです。今度の判決が重大な警鐘だというふうに思いますのは、少なくとも住民が、もう飛行機の発着やかましくてがまんがならぬから一切飛ぶのをやめてくれと言っている、そういうまさにむちゃな要求ではないわけですね。せめて夜の九時以降に家庭の団らんや、あるいは勉学や、静かに眠れる環境を確保してほしいというささやかな人間としての要求だった。  この一審判決以後、そういった要求について本当に謙虚に耳を傾けておられたら、いま判決が出て司法行政との関係云々が問題になったりして、これら住民のささやかな要求も含めて上告をするというふうな必要がなかったんじゃないか。これは、そういう基本的な姿勢——公共性の名をかりて住民に非常に犠牲を強いていくというふうな長い間貫かれてきた姿勢が、いまだに反省し切れてないというあらわれではないかというふうに思うんですが、そういった点でこういう節度のある住民の要求、そういった立場行政立場で対処し、解決をしていくという立場をとって上告を取りやめるべきだというふうに思いますが、その点についてはお考えを変える気持ちはありませんか。
  104. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 運輸行政を進める上におきまして、運輸事業による関係者被害等の救済問題、こういうものを含めて私は基本的な立場に立って今回上告をいたしたわけでございまして、この上告をやめるというふうな意思は持っておりません。あくまでも公正な最終判断を得て、さらに運輸行政住民の利害と調和をとりながら進めていきたいということには変わりはございませんので、この基本的な態度の上に立っての上告であるということを御理解をいただきたいと思います。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、運輸省上告に当たっての運輸省見解というのを十二月の二日にお出しになっておられますし、午前中の大臣の御答弁の中にもあったわけですけれども、「騒音障害の防止には特に意を用い、最大限の努力を傾注してきた」というふうにこの運輸省見解にも述べられておりますし、そしてこれは大臣もおっしゃったんだけれども、今度の高裁判決というのは「原告の主張する騒音被害を一方的に採用し、更には、運輸省の行ってきた諸施策を過少評価」していると、そのことが大変残念だということを見解にも述べておられますし、大臣もおっしゃっておられるんですが、その騒音対策が過小評価されたというふうに言っておられるし、片や「最大限の努力を傾注してきた」と言っておられるんですが、それが住民の要求する防止対策と比べてどうであったかというのは、これは判決の結果明らかになっているわけですが、この最大限の努力、あるいはやってきたことが過小評価されたということで言っておられるので、そういった周辺対策について実際どう考えておるのかという点について最初にお聞きをしておきたいんです。今後強化するという一般的なお話はありますけれども、従来どうなんだ、「最大限の努力を傾注してきた」というふうに言っておられるので、その点まず最初にお聞きをしておきたい。
  106. 中村大造

    政府委員中村大造君) 大阪空港周辺のいわゆる周辺対策について、具体的にどのような努力をしてきたかということでございますけれども、いわゆる航空騒音防止法が制定されましたのが四十二年、その後四十九年に抜本的な改正がなされまして、新しい考え方騒音対策を充実するということになったわけで、したがって、それに関連いたしまして予算的にも四十九年度から飛躍的に増大をした、こういうことでございます。目標としては、たびたび申し上げておりますように、昭和五十三年までにいわゆる環境基準の中間目標を達成するということで音源対策周辺対策をやる。で、周辺対策の大きな目標は移転補償と民家の防音工事、こういうことでございます。  われわれはそういうものを実は四十九年度から軌道に乗せ、本当にこれが稼働して実績を上げつつあるのは五十年度になってからだと思います。したがって、過去において努力はしたけれどもその成果が上がっていなかったではないかという御批判に対しては、これはある程度認めざるを得ないと思いますけれども、われわれがこの行政努力を過小評価されたということはまさに四十九年度、五十年度、したがって五十一年度以降五十三年度にかけてこの努力をさらに拡大していこうというこの施策、しかもそれを実施すれば、大阪空港公共性というものを国際空港として、または日本の基幹的な空港としての機能を維持していきながら周辺との調和というものをとり得ると、その施策を進めておるということでございまして、そういう点を理解されなかったというふうにわれわれは判断したわけでございます。具体的にどの程度の予算措置を講じ、具体的にどういうことをやったかということは飛行場部長から説明申し上げます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ時間がたくさんありませんからね、私も全然知らないわけじゃないので、基本的な点だけをお伺いをしておいたらいいんですが、一口に言いまして被害住民はどう言うておるかというと、がまんがならなくてどこかへ移転しなきゃならぬという場合には実際渋々でも喜んで行けるというふうな状況にはなっていない。そういう点では一口に言ってきわめて不十分だ。そういう仕事の進め方についても住民意見がそんたくされない。また関係の自治体の意見もそんたくされない。まさにこの四十九年に端を発して五十年に成果を上げたとおっしゃっておられるその仕事のやり方が、第二審判決訴訟対策でしかないというふうに見られている。これはそうだとは言いませんよ、見られている。しかも整備機構の内部でさえささやかれている。どない言うているかいうたら、これは小手先細工ではだめだ、本当に抜本的対策を立てて取り組まなければあかんなあと大阪弁では言うているんですよ。そういう状況になっているということです。  ですから、これは私は時間の都合があるから一つずつ詳しくはよう聞けませんけれども、たとえば防音対策一つ見ましてもどうかということです。おたくの方の基準では、基準内でいわゆるWECPNL八五以上の地域ですね。そこでは対象世帯三万三千二百世帯ですか。四十九年度九百戸にやったというわけでしょう。五十年度成果を上げておるというので約三千戸ぐらい進んできておるやに聞いております。そしたらね、三万三千以上の世帯に対してやっていくとしたら、これ一体何年かかるんやと、やっぱり十年以上かかりそうに見えますよね。少なくとも十年もかかって防音対策、これ範囲が狭いという住民意見あるんですよ。そのことは抜きにいたしまして、運輸省のコンターの範囲でも十年以上かかるということでは、これは精力的に対策をとってきたということにはならないんです。そこをやはり大臣がおっしゃっているように、積極的にやっていくと言うんだったらどういうふうにやっていくのかという問題がありますよ。  ちょっとまとめて言いますがね。それから、しかもその防音対策について政府が全部お金を出してないでしょう。当初は七五%だったんですね、いま九〇%出しているんでしょう。それで第二室をやっとやるようになったけれども、それについては五〇%しかお金を出していない。これは非常に大きな不満になっております。こういった点を解決するということが必要になってくる。またもう一つは、せっかくつくっても、これはまあ暑いから、防音工事をやったらしようがないから夏は冷房をつけますよね。冷房の電気代というのが月に一万から一万五千以上ぐらいかかるんですね。これがまた負担になってくるということ、あるいは身体の条件では冷房がつけられないということで、せっかく防音工事をやったけれどもあけっ放すというふうなことをやらざるを得ないというふうな状況も起こってくる。そういう身体的な条件の問題は別といたしましても、少なくとも工事をやった後、付帯的に要るようなプラスアルファの経費、そういった問題などが住民の大きな不満になっているわけです。  それからもう一つあわせて言っておきたいのは、新幹線公害ではどうですか、この防音対策は一人に一室の割合になっているんじゃなかったですかね。だから三人家族だったら三室ということになってるんでしょう。大阪空港の場合には五人以上がやっと二室になったんですね。たしかそうですね。そういった点、新幹線公害でも対策を立てておるなら、少なくともどうして大阪空港の、この長い間苦しんできておる人たちに対して同じ水準の施策をとれないのか、この三つの点について御見解お聞きしたいんです。
  108. 梶原清

    説明員(梶原清君) まず民家の防音工事の補助金の割合でございますが、四十九年度は御指摘のとおり七五%、本年度は九〇%に補助金の割合を上げまして、来年度一〇〇%の要求をいたしております。次に維持管理費につきましては、地元の皆様方から強い要望があることは十分承知いたしておりますが、補助金の制度になじみがたいという観点からなかなかむずかしい問題でございます。  次に民家の防音工事の部屋数でございますが、なるほど新幹線につきましては部屋数が多うございまして、私どもの方は、五人以上の世帯につきましては、御指摘のとおり二室にいたしております。これにつきましては、新幹線が深夜まで運行しております事情等から、現在このたくさんの部屋数をされ、私どもの方は二室ということなっておるわけでございます。  冒頭の御指摘にございました点につきましては、私ども五十一年度から開始をいたします第三次空港整備五カ年計画におきまして五十三年の中間目標値、あるいは五十八年の目標の環境基準を達成するために十分な施策を織り込んでまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、いまの算術計算でいったら十年以上かかりそうだけれども、その十年が何年ぐらいに短縮になるんですか。
  110. 中村大造

    政府委員中村大造君) 最初の先生御指摘の件でございますけれども、これは厳密な騒音コンターで計算いたしますとそのような数にはならないわけでございまして、したがって予算をつけて大いにがんばれば、五十三年で中間目標を達成することは可能であるというふうにわれわれは信じて努力をいたしておるわけでございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは二、三年で片をつける方針で馬力を出すということですね。
  112. 中村大造

    政府委員中村大造君) そのとおりでございます。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 同じく重要な周辺対策の移転補償事業ですね、これはWECPNL九〇以上の地域という形で設定をされていますよね。これは私の手元にある資料では、昭和四十九年度末まで四百三十七件ですか、世帯数にして二百十八軒が移転されておるのですね。これもおたくの、運輸省のコンターでは、指定地域内の該当世帯が一万二千五百世帯ですね。一年間に大体幾らやられているか知りませんけれども、これ予算で見ますと、実際に進み出したというのは四十八、四十九、五十ですね。特に四十九、五十ですね。そういうテンポでいきますと五、六十年かかるのと違うかと思うのですよ、移転補償にね。そうしますと共同利用計画、あるいは土地利用計画等の御計画をお持ちになっても、移転補償に五、六十年もかかりますと、さっぱり話にならぬわけなんですが、この点についてはどうなんですかね、どういうふうにお考えになっているか。少なくともいまのコンターの一万二千世帯については防音工事は二、三年というお話でございましたから、どのテンポで進められるのですか。
  114. 梶原清

    説明員(梶原清君) 移転補償につきましては先生御指摘のとおり、四十六年から取りかかりまして、本年十一月までに土地につきましては約十八万平米ほど、建物につきましては御承知のとおり四百九十数件実績を上げまして、金額におきまして百三十一億実施をしたわけでございます。特に四十九年度から大阪国際空港周辺整備機構というものをつくりまして、そこに委託をいたしまして実施いたしておるわけでございます。成果が上がっておるわけでございます。私どもの方の計画としましてはWECPNLの九〇、あるいは九五、区域指定で申しますならば第二種区域、あるいは第三種区域、その移転補償に重点を置きまして今後進めてまいりたいと考えておるわけでございまして、環境庁で告示をされました環境基準を達成できますように計画をいたしておるところでございます。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 五、六十年の計算になりませんか、数から言うたら。一万二千世帯もあるのですからね。千世帯ずつやったって十二年以上かかる。
  116. 梶原清

    説明員(梶原清君) 環境一課長から答弁をさせていただきます。
  117. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) お答えを申し上げます。  移転補償の場合には世帯数で勘定しておりませんで戸数で勘定しております。で、大方の考え方といたしましては、三種区域については約八割程度、それから二種区域については約三割程度というふうに数字を見込んでおりまして、合計いたしまして約二千二百戸というように考えております。したがって五十三年の中間目標あるいは五十八年の最終目標におきましてその二千二百戸については達成し得るものと、そういうふうに考えております。
  118. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると二種、三種地域二千二百戸を五十三年までにやるということになりますと、一年に七、八百戸ずつでいけるということですね。とりあえずその部分をやるということですね。そうしますと、これはいわゆるWECPNLの九〇以上という範囲の一万二千世帯の問題は別個に考えるということですか。あなたの方の範囲はそういうふうにしているでしょう。
  119. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) 二種、三種区域についてどうするかということでございますが、これは移転補償及び民家防音工事によってそれぞれの対策をやっていくということでございます。したがって、移転補償が少なくなればその分だけは当然民家防音工事がふえる、そういった相対的な関係にございます。したがって、五十三年目標、五十八年目標におきましては、そのいずれかの方法によって環境基準の達成が可能である。こういう構想のもとに現在長期計画を策定しているところでございます。
  120. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はテンポが間に合わないんじゃないかと思って心配をしているわけですけれども、その点は、防音工事もテンポを早めるとおっしゃっているんだから、がまんができないから移転をしたいという人たちが、渋々でも移転ができるという条件を確保するというのは何よりも大事だと思うんです。ところが、豊中市だけ見ましても約七割の方々が借地借家人ですね。この借地借家人対策というのはきわめて対策上困難を伴う問題だと思うんですが、これについて地元からも大変強い要求などが出てきておりますよね。代替地の問題、あるいは共同住宅建設の問題、それは進捗状況はどうですか。
  121. 梶原清

    説明員(梶原清君) 代替地の造成事業につきましては四十九年度に約三十億円、面積にいたしまして三万八千五百平米取得をいたしております。五十年度に入りまして三十二億五千万円、取得いたしました用地が七万四千平米でございまして、代替地の譲渡状況でございますが、売り出し区画数が二百八、そのうち譲渡の申し込みを受け付け、あるいは契約済みのものが二十七件に及んでおるわけでございます。
  122. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 共同住宅は。
  123. 梶原清

    説明員(梶原清君) 共同住宅建設促進事業につきましては、いろいろと問題がございますわけでございますが、現在私どもとしましては、公営住宅の建設につきまして関係府県、あるいは関係市と打ち合わせをすることが一つと、もう一つは共同住宅をすでに建設されておりますものを買い取るというやり方でいま進めたいと思っておるわけでございまして、現実に候補に上っておりますものは二棟約六十四戸のものをいま折衝中でございます。
  124. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 代替地が二百八区画で二十七区画、ちょっとふえましたね。ことしの夏ごろまだ一つか二つと言うてたのが少しふえた。ちょっと助かったやないですか。余りその代替地が住民の好ましくない遠距離に配置されておるという点で、これはせっかくお金をかけておるのに住民に歓迎されないという……、いまだって二百八区画のうち二十七では非常に少ないと思いますが、その点をもっと住民の要求、意見というのを入れて配慮しなければならないんではないかというふうに思います。  それからもう一つは共同利用住宅、特に借地借家人が豊中だけ見ても七割というふうな状況から見て、共同住宅の建設の促進というのは非常に重要だと思いますが、その話は何遍でも聞いているんだけれども、まだ一軒も確保してないんですか。折衝中というだけの話ですか。
  125. 梶原清

    説明員(梶原清君) 共同住宅につきましては、まだ折衝中の段階でございます。
  126. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣、いまお聞きのように、周辺整備対策に最大限努力を傾けたというふうに上告のときの御見解にも言っておられるんだけれども、いまお聞きのとおりですよ。七割も借地借家人が移転補償の該当地域におるにもかかわらず、共同住宅の建設促進というのはいまだに一軒も確保できてない。代替地が二百八区画をつくってやっと二十七区画が売約済みか、あるいは申し込みを受け付けたという段階だということですね。これでは住民の不満というのは解決されないのは当然ですよ。しかも、該当住民が非常に頭を痛めておるのは、こういった被害を受けて、いやいやながらどこかへ移転しなきゃならぬという場合に、やっぱり移転補償費に課税されるという問題が一つの大きな隘路になってきている。たしか二千万円まで限度が引き上げられたそうですけれども、大体あの辺は、航空騒音で地価は一般の同じような住宅地と比べたら十万ぐらい低いんですよね、それでも二十五万内外でしょう。そしたら百坪土地を売ったらもう二千万の域を超すんですよね。そうしたら土地を売って、土地と家とを買ってもらってどこかへ行こう思うたらやっぱり課税の対象になってくるというふうな状況、これは非常に対象住民にとっては不満の種になっておりますが、こういった点について改善をしていこうというふうな御意思はないでしょうか。
  127. 中村大造

    政府委員中村大造君) 御指摘のように、いわゆる免税限度額を引き上げる努力はわれわれもやっておるわけでございますけれども、私の知る限りにおきましては、移転補償の現在までの平均をとりますと二千万円以下になっておる。もちろん二千万円以上のものもございますけれども、平均いたしますと大体二千万円以下にはまっておるということと、それから任意買い取りの場合には一般に二千万円が限度ということでございますので、これを直ちに強制買収のときのいわゆる三千万円に引き上げるというのは非常に困難である。ただわれわれとしては、できる限り有利な条件補償がなし得るように努力はいたしておりますけれども、そんな状況でございます。
  128. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、困難だというのは私聞かぬでもわかっている。しかし住民から言えば、何も騒音公害で出ていく必要がなかったら、先祖代々の土地と家で、そこにおれるわけですよ。がまんがならぬからそれじゃ移転しようという場合に、それに税金がかかるというのはこれまたがまんがならぬということになっているわけなんで、被害者立場に立って対処するということで、これは特別に考えてみる必要があるんではないかと思いまして申し上げたわけですよ。全然考えてないということのようですけれども、だから困るんです。  で、移転補償が次々歯が抜けるようにやられていきますと、現地の住民というのは全く大変な状態になって、住環境が破壊されてしまっている。ですから、こういう要求出ているでしょう、当局御承知のように、そこで小さなお商売をやってなさる方々が、周りの何十世帯かが移転補償で外へ出ていった。そのために八百屋さんが成り立たなくなる、お風呂屋さんが成り立たなくなる、散髪屋さんが成り立たなくなるという状態が起こってきておるわけです。そういった点の営業補償——営業補償と言ったらこれは恐らくはまらぬですよね。そういった住民の苦労というものを少なくとも防止をし、緩和するというふうな立場考えるべきではないかというふうに思いますが、どうでしょう。たとえば、もう実に小さな問題だったら大変なことが起こっているんですよ。おたくが買い取ったところがああいう新開地のような住宅地ですから、公道がなくてその奥に家がある。いままでは家の前の道と言うか空き地を通路に使っていた。ところが三十メートルなら三十メートルの間をたまたま移転補償で買い取って、後、跡地管理をいたしますと言ってフェンスを張った。そうしたらその奥の人は、いままでだったら自由に通れたんだけれども、フェンスを張られたために通行ができなくなるというふうな問題まで起こっている。それは住民腹立てますよ。  そういった点をやはり住民被害者立場に立って一つずつ問題を解決していくという姿勢、これがなかったら——これは大変いろいろな各種の問題がありますよ。もう時間がありませんから私これ以上申し上げようと思いませんが、そこで、こういう諸問題をはらんでおるからこそ、裁判所の方でおたくの方がやってきた諸施策を過小評価されたのが非常に残念だとおっしゃっておりますけれども、なるほどお金はつぎ込んではおるんだけれども住民の喜ぶような形になっておらないという点、これは少なくとも反省をしてもらって、本当に必要なお金は必要なだけつぎ込んでいくという立場住民意見やその関係市の意見、そことよく相談をして仕事を進めるというふうなことをやってもらわなければならないと思うんですが、判決を契機にして周辺対策を強化するという立場を表明しておられるんですから、具体的にどういうふうに進めるのかという点を改めてお聞きをしておきたい。
  129. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生おっしゃいましたようにきめの細かい周辺対策、これは移転補償にしても、防音工事にいたしましても、本当に必要なところを重点的に、しかもこの移転補償につきましてもその評価の問題等きめ細かくやっていかなければいけないと思います。で、こういう問題を前向きに効果のあるように実施することが大阪の周辺問題を解決するゆえんであって、こういう問題は裁判では決して解決しない問題であるとわれわれは思っております。したがって、この問題を前向きに解決するためには、われわれもさらに従来のやり方について再検討をいたします必要がありますし、またさらに、この地域、地方公共団体の御協力を得て、そういうふうなきめの細かい施策を進めていく必要があるというふうに思っております。これは判決のいかんにかかわらず、また上告のいかんにかかわらず、われわれとしては最善の努力を尽くす覚悟でおるわけでございます。
  130. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あまり残り時間がありませんので、その点は、せっかく金をつぎ込んでおるように見えるけれども住民の望むことを少しもやってもらってないと、きわめて不十分だと、長いこと苦しめられた住民がていよく苦しめられたあげく放り出された。残った者は去るも地獄、残るも地獄というふうな、そういう感じを持たせないための施策というのは一日も早からんことを切望しておきます。  あと残り時間でお伺いをしたいのは国際対策なんですが、これは午前中の質疑で、国際線の問題は九時以降切るというふうな立場をとらないというふうに大臣もおっしゃっておられるんですけれども、これは差しとめの停止の訴えに対する判決ですか、五月の末までは一応認められておりますけれども、そうしますと、五月の末が過ぎますと差しとめをすることができるようになるわけですが、   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕 そういった点も含めて、国際線についてわずか十一便ですよね。こういった問題、しかも十一便で、御説明があったように三社ですね。これについて本当に被害者立場に立って解決をするというお立場をおとりになるつもりはないんですか。その点どうでしょう。
  131. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは、もう午前中からたびたび申しておりますように、大阪空港国際空港として維持する限りにおきましては、夜のいわゆる時間制限というものは、国際慣行から言いましても九時に短縮するということはとうてい考えられないことであるというのがわれわれの基本的な考え方でございます。で、現に入っておる会社が二つであるとか三つであるとかというその数の大小の問題ではなくて、やはり基本姿勢として、われわれは国際空港として維持する前提での判決であるというふうに御理解をいただきたい。で、仮執行の停止条件、期限をつけておるわけでございますけれども、これは法律的な問題でございますので、これに対して具体的にどう対処するかということは、これはまた法律問題としてわれわれとしてはいろいろ考えなければなりませんけれども、とにかく基本的な姿勢としては、国際線についてはそのように考えておるところでございます。
  132. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は被害者立場に立つというお立場をおとりになるなら、これはたまたま私、いま九時以降に乗り入れをしておる三社の国々の相手国との航空協定を拝見したら、どれにもちゃんとこんなに書いてあるんですよ。これはイギリスのですが、これの十五条に「いずれの一方の締約国も、この協定を改正するため、いつでも、他方の締約国との協議を要請することができる。この協議は、要請があつた日から六十日の期間内に開始するものとする。改正が附表についてのみ行われる場合には、協議は、両締約国の航空当局の間で行うものとする」と、それができたら「外交上の公文の交換によつて確認された後に効力を生ずる」というふうに皆書いてあるんですね。取り決めがあるわけですね。  ですから、本当に被害者立場に立ち、しかも大阪国際空港欠陥空港だということを認めておるわけですから、どうも認めてないみたいにおっしゃったけれども、私は航空局長が認めてないような御発言があってちょっと驚いたんですけれどもね。第一審の判決直後に、現在の三木総理が環境庁長官のころですけれども、もう大阪国際空港欠陥空港だからと言って明言されていられるんですよ。そういうもう一般的共通の認識になっておる欠陥空港でこういった事態が起こっているんだからということで、運輸省がその気になったらこれは解決できる問題ですよ。ああだこうだとおっしゃっておられますけれども、やる気があるのかないのかということにかかっていると思うんです。しかもこの便を見てみますと、エア・インディアの週二回というのは二十一時十五分大阪着ですね。それからキャセイ・パシフィックが二十一時三十分、それからレバノンのトランス・メディタレニアンですか、これは九時三十分ですね。それは外国の時差の関係だとか何とかいう御意見はいろいろありますけれども、時間帯を動かすにしたってほんのわずかでこれは処理がつく問題で、本当に運輸省住民のこのささやかな要求を実現させようと思うならば少しも隘路はなかろうと思うんです。その構えをお持ちになるかどうかにかかっておるというふうに考えますが、重ねて御意見を伺いたい。
  133. 中村大造

    政府委員中村大造君) われわれの基本的な態度は、われわれがかねてから考えております音源対策あるいは周辺対策というものを強力に実行いたしますことによって大阪空港をやはり国際空港として維持していきたい、またそうしなければならないということでございまして、逆に言いますと、そういう必要な機能を維持しながら周辺との調和というものはとり得るというふうにわれわれは確信しておるわけでございます。したがって、先ほど先生がおっしゃいましたように、政府間協定ないしは当局間の取り決めによりまして、そういうふうな協定の内容の変更についての申し出ができるというその手続は確かにあるわけでございまして、私の申していることはそういう手続の道が閉ざされているということではなくて、日本政府の意思として、そういうふうないわば政府間においてお互いに権益を認め合って、権益のバランスの上に具体的な路線が成り立ち、かつその時間帯等についてもそういうふうなバランスの上に立って決められておるという前提に立つ場合に、そういうことの変更を国として求めるということが妥当かどうかということを申しておるわけで、そういう観点に立つとき、たびたび大臣が申しておりますように、それをあえて申し出るということは適当でないという考え方に立っておるわけでございます。  しかしながら、だからといって地域住民被害を無視して事を考えておるわけではございませんので、これはもろもろの音源対策等を強力に進めて調和を図っていくという基本的な姿勢に立っておるわけでございます。
  134. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 国際線の問題というのは、裁判所も外国があるんだから、外国の問題だから折衝の期間も要るということを考えて五月末というのが出ていると思うんですよ。その間に運輸省がやる気がないということになれば、これは住民との信頼関係というのが、もう環境庁長官に言わせると、運輸省住民との関係というのは信頼関係はうまくいかなくなってしまって困ったものだという御発言がありましたけれども、信頼関係なしにこんな重大な問題というのは解決できないわけで、そういった点ではこれは国際関係のことがあるということは私も全然わからずに申し上げているわけじゃないですけれども、少なくともこういった判決まで出るというふうなところまで来ているんだから、運輸省としては解決のために腹をくくるかどうかというところが迫られているというふうに思うのでお聞きをしているわけです。いまそういうことは考えていないということかもわかりませんけれども、五月の末になれば何らか考えなきゃならぬということも迫られるわけですから、それまで上告審の決定が出るかもわからぬというまた淡い期待で住民意見を尊重しないという態度、これはやはり納得ができない、納得しにくい態度なんで、その点は重ねて要望しておきますが、国際線についても、少なくとも住民の要求をきっぱりと入れていけるようにひとつ対処をしていただきたいというふうに思うんです。  関連してエアバスの問題ですが、エアバスは上告を決定されたときに、十二月二十日に乗り入れをするという態度を決定されましたね。で、今度けさの報道によりますと、これは若干延期というのですか、二十日というのは延びたようなんですが、ちょっと私、事情についてわからぬのでお聞きをしたいのですが、同じ十二月二日に環境庁の大気保全局長から十三項目が提示されていますよね。意見の調整を図るという問題が出ておるわけですが、その意見調整が済まないので二十日というふうに決めたのを延期されたのですか。   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕
  135. 中村大造

    政府委員中村大造君) 主な理由は、環境庁との調整が二十日までには済まない、こういうことでございます。
  136. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうだとしますと大変おかしいなと思うのですよね。そういった重要な課題があるにもかかわらず、環境庁と相談せずに十二月二日に、十二月二十日から入れるとして決めているでしょう。どうしてそういうことが——上告を決めているんですね。環境庁から十二項目が出たのは同じ日なんですね。その日の朝だったですかね。時間的に若干ずれがあって、環境庁の方が先に出していましたけれどもね。その辺はどうですか。おたくが決めてから環境庁が出してきたんですか。
  137. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私ども環境庁から受け取ったのは、たしか二日の夕刻であったというふうに思っております。二日に上告を決めますときに、実は環境庁からその以前に、九時以降の国内線について廃止をされたいという要望もあったわけでございます。その中にも減便計画等について発表するようにというふうな希望もあるわけでございます。われわれとしては減便計画を発表するということは、やはりエアバス導入を度外視して減便計画の発表ということはあり得ないというふうな考え方をとっておりますので、減便計画を発表するということは、即もうエアバスの計画を発表するということだというふうにわれわれはとっておるわけでございます。  ただ、具体的なスケジュール、いつ本格的に入れるかということは、これは運輸省の決めることでございます。  それから環境庁運輸省との間で主として排気ガス等の問題についてどのような詰め方をするかということも、これもそれぞれの立場もあるわけでございますから、あらかじめいつまでに結論が出るということは事前にはわからない、こういうことでございまして、したがってわれわれとしては、二十日ということを一つのめどとしてスケジュールを発表したわけでございますけれども、これは環境庁との間で、政府部内でございますから技術的な問題で詰めをする。それで少し時間がかかるということであれば二十日にあえてこだわらないということでこれを延期した、こういうことでございます。  それからもう一つ、これは全く次元の違うお話でございますけれども、執行停止の申し立てについて、執行停止が認められているわけでございますけれども、これにエアバス導入というものが条件として入っておるということでございまして、それに対してどう対処するものかということは非常に問題があるわけでございますけれども、事実としてはそういう事実がある、こういうことでございます。
  138. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで執行停止の判決で、国は地元住民の承諾を得ずにエアバスを導入しないというのがありましたですね。そのこととの関連で私は最後にお聞きをしておきたいと思うんですが、環境庁政府部内で意思統一をしてもらうというのは非常に大事です。住民に対してもその資料は、環境庁では公開をするということははっきり言っておられますから、これはぜひ住民にも発表してもらわないと、公開してもらわないと、承諾を得ると言ったって話は進まぬです。だって運輸省は十二月二十日からエアバスを入れますと言ったら、環境庁からいや待ったとかかったわけでしょう、結局十三項目で合意をせなければいかぬということになったのは。政府部内でさえ待ったがかかるようなことで住民の了解が得られることは期待できない。従来から運輸省は、エアバスについては住民の了解を得たものと考えておりますと部長言っておられましたけれども、その辺もちょっとはっきりしておきたいと思うのですよ。  午前中の御答弁では、これはもう時間の関係がありますから私申し上げますが、局長は執行停止を受けた人が多数おる、十一市協でも御了承を得ておるというふうにおっしゃっておられましたけれども、現状は違いますね。確かに調停申請を受けた二万人の人たち、その中ではエアバスの問題も触れられてはいます。しかし調停を受けた人たちの中で、いまエアバスについては反対だという反対署名運動が現に行われている。十一市協では改めてエアバス導入についての反対決議がなされている。こういう状況の中で——これは最近十一市協の代表、あるいは住民の代表、議会の代表等が運輸省御当局を訪問してその意思表示をしておられるからよくわかっておられると思いますが、そういう中で住民の了解を得るというふうなこと、住民の了解を得なければ入れてはならぬというふうに言われた以上は、これは私は、形の残る住民の了承の姿というものをはっきりするべきではないかと思うんですが、少なくとも関係府県の知事の同意だとか、十一市協の市長の同意だとか、あるいは関係住民団体の代表の了承をする文書だとか、そういった具体的な形に残る了承の姿というのが必要ではないかと思いますが、そういった点についての御見解はどうでしょうか。
  139. 中村大造

    政府委員中村大造君) いずれにいたしましても、環境庁と技術的に詰めることが先決でございまして、その結果は、環境庁と協議をいたしまして、どういうかっこうにしろこれを発表するということにいたしております。それをいたしますことが、やはり地元に対して理解を得るきわめて重要な手段であるというふうに考えておるわけでございまして、その後の進め方については、先生おっしゃいましたような、やはりわれわれとしては地元に対して理解を得るといった必要な努力をいたしたいというふうに考えております。
  140. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 形のある姿で住民が了解を示したという場合には、運輸省だけが、いや一年半も説明を続けてきましたから了承を得ておるものと思いますみたいな話はちょっと通じませんから、少なくとも形のある姿にするべきだというふうに思いますが、その点はどうですか。
  141. 中村大造

    政府委員中村大造君) どのように今後進めますか、これは環境庁と詰めた段階においてよく検討いたしたいというふうに考えております。
  142. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんから終わりたいと思いますが、これは環境庁の仕事ではなくて、少なくとも運輸省の仕事なんで、環境庁と御相談をしてという話は聞けないですよ。だから、だれが見ても、住民が了承したというふうに言えばわかるような形のある姿を要望したいんです。そうしませんと、これは大変重大な段階へ来ているわけでしょう。だから、その点について少なくとも関係府県の知事、あるいは十一市協の市長の御意見、あるいは関係住民団体の御意見、そういうものが文書としてできるというふうなことをぜひやってもらいたいと思いますが、そのお返事を伺って終わりたいと思います。
  143. 中村大造

    政府委員中村大造君) たびたび申し上げておりますように、環境庁とは技術的な問題について詰める、詰めた結果は公表する、後の具体的にどのように進めるかということは、その時点でよく検討をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、いずれにしても、地元の理解を得るための具体的な努力というものはしなければならないと思っております。その方法はどういう方法をとるか、どのように進めていくかということはその時点で検討をしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  144. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 航空のようないわゆる公共交通機関の整備ということと環境問題の解決ということは、非常に重要な問題であるわけでございますけれども運輸省としても従来からそのような施策を進めてきておるところであると思いますが、今後におきまして、環境庁の、環境基準との関係、どのような対策を進めていこうとしておるのか、環境基準は達成できるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  145. 中村大造

    政府委員中村大造君) この環境基準につきましては、先生御承知のように、五十三年の中間目標と五十八年のいわば最終目標、とりあえずは五十三年の中間目標を達成するのがわれわれの使命であるというふうに考えております。  で、これを達成するためには、いわゆる騒音防止法に定めるところに従いまして、音源対策周辺対策を、いわば車の両輪としてやっていくということでございまして、音源対策につきましては、一機当たりの音を少なくすることと、それから全体の便数を削減するということ、それと、この周辺対策を充実することによって環境基準というものはわれわれとしてはどうしてもこれを達成しなければならない、こういう覚悟で現在努力をいたしておるわけでございます。
  146. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 その対策というものには予算その他も伴うことでございますが、運輸行政としてもこの問題というものは非常に重要なことになってきたわけでございまして公共機関を整備していかなければならぬという、これが非常な命題でございます。これをどうやってやっていくかというのが命題であるにプラスしましていまの問題を解決しなければならない、こういうことであるので、運輸行政としても最も重要な問題としてひとつ取り組まなければならぬと思うわけでございますが、大臣の御所見を伺いたい。
  147. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国民の生活水準がだんだん上がってまいりますし、また経済的にも非常に高度の発展を遂げてまいった日本の社会におきまして、やはり交通機関に対する需要というものも非常に大きなウエートを持ってきております。さらに一層これは強くなってまいると思うわけでございます。運輸行政を預かる者といたしましては、この社会的な要請に応じて輸送力の確保を図らなければならないわけでございますけれども、一方、公害あるいは環境整備、そういう問題がこれまた国民の一人一人の生活を維持するために非常に必要な命題になってきておるわけでございまして、まさに交通機関というものは騒音を放ち、また排気ガスを出すという大方の特性を持っておるわけでございます。したがって、この二つをどういうふうに調整をしながら社会の進展を図り、あるいは個人の生活を守っていくかというところに、かつて過去における運輸行政には見られなかった新しい運輸行政として考えなければならない問題が起きてきておると、私はそういうふうにこの問題をとらえておるわけでございます。  そこで、これはやはりわれわれも十分にこういう点をわきまえて運輸行政をやっていかなければなりませんが、また国民の皆さんも、全体のためにはどの程度忍ぶべきであるか、また自分の生活の周辺というものをどの程度に主張し、守っていくかということに、一定の幅の広い常識的な判断をもって対処していただく。この二つがうまく保たれていきませんと、私は、これからの日本の社会においてうまく国民要請にこたえる輸送力の確保ということもできないのじゃないかということを非常に憂うる次第でございます。  したがって、われわれとしてはそういう状況を踏まえながら、こういった騒音対策あるいは排ガス対策というものを進めてまいりたいと思っておるわけでございます。ただ、それに対する手の打ち方が非常に緩慢であったために、輸送力の方が先に進んで非常に国民に迷惑をかける局面も出てまいります。あるいはまた、騒音や公害防止等のために必要な輸送力が過度に抑えられるというふうな面も出てくるかもしれません。いずれも私は正常でないと思います。したがって、双方ともに節度を持ちながら環境も保持できる、そして交通需要にもこたえられるだけの輸送力を確保するという非常にむずかしい問題でございますが、われわれとしては現実の問題はそこにあるわけでございますから、そういうことを十分に考えながら今後の運輸行政を進めていきたいと、かように考えておるわけでございまして、たまたまそういう問題に関連いたしまして今回のような訴訟が起こり、また判決が出てくるという場面が今後とも恐らくあろうかと思います。やはりその判決につきましても、いま私が申し上げたような点からいろいろ十分に検討いたしまして、そしてその判決を受けて立つか、あるいはさらに上告審の方に上告してさらに上位の判断を仰いでいくか、そういうすべてにわたりまして、私は両者の調和のある接点というものを見つけていきながら運輸行政を進めていきたい、きわめて抽象的なようでございますが、こういうことを根幹に持って今後の運輸行政を進めていきたいと思っております。
  148. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまのような観点から考えますと、いわゆるエアバスの導入ということにつきましても皆さんの理解を得られるんではないか。このエアバスはすでにほかの空港でも就航をしておるわけでございますが、たとえばいままでのDC8とかボーイングの707などの在来機と比較した場合に、エアバスというものがどのように違うか、また騒音のレベルはどうなるかというふうな点につきましてひとつ具体的に説明をしていただきたいと思います。  それから第二には、ほかの空港におきましてすでに使っているわけでございますけれども、そこには心配されるような問題はあるのかないのか、それらはいま動いているわけですから……。  その二点につきまして説明をしていただきたいと思います。
  149. 中村大造

    政府委員中村大造君) まず在来型と、いわゆるエアバスとの騒音の度合いの違いでございますけれども、これはたとえば測定する場所によって若干違いますが、DC8とボーイング747を比較いたしますと離陸側、離陸に際しましては約七・三ホン、それから着陸側では場所によって六・五ホンないしは五・八ホンというふうにDC8よりも低いわけでございます。  それからボーイング727とボーイング747と比べますと、離陸側では四・三ホン、着陸側では約一・八ホンから一・九ホンということでございます。DC8、これが一番現在国際線についても稼働をいたしておる在来型の代表的な型でございますけれども、これと747ないしはロッキード一〇一一と比較いたしますと、いずれも六ホンから九ホン、まあ非常にラフな言い方では数ホンの開きがあるということで、音源上これだけの音が小さいということは非常に大変なことであるというふうに思っております。  それから現在大阪以外の各空港におきましては、もうすでにエアバスが国内線については百七十六発着国際線については六十八着、合計いたしまして二百四十四発着、これは毎日いたしておるわけでございまして、それぞれの空港において特にエアバスであるがゆえに問題があるというふうな声は出ていないわけでございます。
  150. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 そうしますと、今後エアバスというものを導入するという考え方、これはまあ空港のあれにもよりますけれども、その基本考え方をひとつ。
  151. 中村大造

    政府委員中村大造君) やはりエアバスのメリットというものは、先ほど申し上げましたように一機当たりの騒音が小さいということと、それから一機当たりの輸送力が従来機に比較いたしまして倍増に近いということでございます。したがっていわゆる騒音対策のうちの音源対策といたしましては、もうこれを導入することによって音源を下げる、これが一番効果的でございますので、大阪空港についても総合的な騒音対策実施しながら空港の機能を維持していくためには、われわれとしてはどうしてもできるだけ早く地元の理解を得てエアバスを導入する必要があるというふうに確信いたしておるわけでございます。
  152. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまのような点につきましては、具体的な問題でございますのでいろいろ努力をされておると思いますけれども、いまどのような努力をされておるか、さらに今後大いに努力せられねばならぬことで、やっぱり理解を得るということが大変大切なことだと思うのですけれども、その点についてひとつお答え願います。
  153. 中村大造

    政府委員中村大造君) このエアバス導入につきましては、もう昨年の春以来その方針を打ち出しまして、地元に対しましてもその理解を得るべくいろいろ努力をしてきたわけでございますけれども、残念ながらこれについて一〇〇%の了解というふうな具体的な賛同を得るに至らなかったことはわれわれとしても非常に残念でございます。これについてはいろいろな原因もあったわけでございますけれども、われわれといたしましては、いまの時点に立ちまして、やはり地元の理解を得るためにも、現在環境庁と詰めております技術的な問題点についてこれをできるだけ早く解明して発表いたしまして、これを地元にもお示しし、そしてしかるべきルートを通じて地元の理解を得るように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  154. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 午前中も午後も、国際線の問題につきましていろいろと御意見があったわけでございますが、インターナショナルの輸送といえば航空輸送であるわけでございますが、外国で夜の制限等が実際に行われておるところがあるかどうかまず伺いたい。
  155. 中村大造

    政府委員中村大造君) 各国それぞれ制限はございますけれども、わが国におけるような制限というものは非常に珍しいわけでございまして、簡単に例を挙げますと、たとえばオーストラリアのシドニーが二十三時から朝の六時、英国のヒースロウが二十三時三十分から六時三十分、香港もやはり同じでございます。大体二十三時から二十三時三十分、遅いところは二十四時、それから早朝六時、大体そういうのが世界的な標準になっておるように承知いたしております。
  156. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 そうしますと、いまお答えのようなのが世界的な標準、趨勢であるということになりますと、今回の大阪空港の場合、非常に影響が大きいわけでございますけれども、機能をどうやって維持するかという非常にむずかしい重要な問題であると思うわけでございまして、国際輸送という航空の本来の使命ということも十分考えてやってもらわなければ困ると思うわけでございますけれども、その点について運輸大臣にひとつ御説明を……。
  157. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 午前中、和田委員の御質問のときにもお答え申したわけでございますが、国際間の交通は、いまやまさに航空機に限られておるわけでございます。しかもそれは、各国の持っております航空機によって相互に乗り入れをし、そこには航空協定を結び、また国際間の航空機関として民間のIATAの機関もあれば、政府機関のICAOの機関もあると、そういうことで協議機関を持ちながら、円滑に国際間の航空交通をやろうとしており、わが国もその一員に入って協調協力体制をとっておる、こういう立場に置かれておるわけでございます。各国がそういうふうな状況にありますので、現在国際間の航空の交通がきわめて円滑に行われておる。この一角が崩れるようなことがありましたら、国際親善にも、あるいは国際間の経済の発展にも非常に大きな支障を来す原因にもなるおそれがあるわけでございますので、ただいま判決で示されておるような着発時間の制限等が、国際線の着発に影響を与えるような事態になりますときには、よほど政府としてもその点をわきまえてしっかりと対処しなければいけないんではないかと、かように考えておりますので、今回の判決につきましても、国内便につきましては強いそういう要請があるのにもかかわらず九時でとめたわけでございますが、国際航空につきましては手をつけない、こういう方針で今日おるわけでございます。  この九時以降の着発について、判決は国内とかあるいは国際航空とかいうことを区別なしに差しとめの判決が出たわけでございますが、これが仮執行の停止について要請をいたし、それが期間を条件にされてはおりますけれども認められたということで、今回はこれでおさまっておるわけでございます。今後ともわれわれといたしましては、国際間の慣習というものは、最低限度日本としてもその線に沿って守るようにしていくことが国際航空交通を維持するゆえんである、かように考えておりますので、それが飛行場周辺の人たちに騒音その他の迷惑をかけるという問題も確かにあります。ありますから、これはひとつ周辺対策としてより一層の策を講じて、少しでも軽減し得るように努力をいたしますけれども国際航空交通というものの一環としてわが国の国際航空交通を考えていかなければならない立場にある運輸省といたしましては、今後ともこういった国際的に慣習化しておるようなことについては極力これを尊重していきたい、かように考えておるわけでございます。
  158. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会      —————・—————