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小林(進)
委員 総理、あなたの
答弁だけは、私はこれをまじめにお受けしますよ。それをおやりになろうというあなたの誠意はお受けします。しかし、残念ながら、現実は、過去三十年の新
憲法下における議会の
審議を通じてこれが行われていないのですよ。私はそれが残念でたまらない。だから、私は、
予算委員会に際して第一番目に言った。これが行われていないじゃないか、これが行われていなければ議会なんというものはサル芝居だ、全く意味がないから、そういう意味のない
予算委員会なら私は開会に応ずるわけにはいかぬと
予算委員長に
理事会で強く申し入れました。その行われていない例をこれから具体的に挙げますから、ひとつ御
答弁をお願いいたしたい。
第一番目は、わが日本の独立と
主権に関する問題です。別な言葉で言えば、金大中のことに関する問題であり、韓国に関する問題です。幾つかの問題がありますが、まずそれから参りますけれども、韓国の問題に関する金大中の問題です。この問題は何遍も私は
国会で申し上げたが、わが日本の
主権に関する問題です。
一つは基本人権に関する問題です。われわれ国政に参与する者として、これは最も重要視しなければならぬ問題であることを、私はこの三年間この
国会の中で叫び続けてまいりました。何回私は
国会の中でこの問題を政府に迫ったかわかりません。それが正しく行われておりますか。私は資料も
国会の中に提出いたしました。皆さん方のためにも資料を配付いたしました。
理事諸君にもやりました。金大中事件に対しまして、古い話は別といたしますが、今次通常
国会が開かれて以来、この金大中の人権問題とわが日本の独立の問題に対して、あなた方は
一体何回この
国会でお約束をされましたか。十二月二十日には、私の質問に対して宮澤外務
大臣は何と
答弁をいたしましたか。「金東雲書記官につきましては、韓国側は犯罪の事実が発見できなかったという結論に達した由でありまして、これはわがほうの警察当局の集めました証拠と異なりますので、何ゆえにそのような結論を出したのか、わが警察当局はそれに満足ではないということを先方に通報をしてございまして、したがってこの点は決着をいたしておりません。」「それから閣僚
会議、これも開くのであれば、このいまの気まずい
関係が解消して、将来に向かって新しい友好
関係が生まれるというような環境において開きたい。そういう環境が早く来る努力はできるだけいたさなければならないと思いますけれども、気まずい環境で開くということは、かえってよくないであろうと考えております。」と、開かないと約束しているじゃありませんか。これは十二月二十日です。これ
一つじゃない。
十二月二十四日には、参議院の外務
委員会のわが党の田英夫さんの、閣僚
会議を開くのかどうかという質問に対して宮澤外相は何と言ったか。「当面はそのような
会議が開かれ得る、そうして将来への発展の第一歩になるというような環境をつくることが大事である、このように考えております。」と、環境づくりが第一で、閣僚
会議を開くような環境でないと言っている。これが十二月二十四日だ。
今度は、ことしに入りまして、一月二十九日だ。これは参議院の本
会議場ですぞ。星野力君の質問に対して、
総理大臣、あなたは
一体何と答えているか。金大中問題について、「
国民の感情としては、まだ何かこう割り切れないものが残っておるわけで、」したがいまして、「金大中氏の自由が回復され、人権問題に対するわれわれの懸念が解消されることを政府は願うものでございます。」と、あなたは、金大中氏の自由が回復されなければ日韓問題は正常化されないと一月二十九日の参議院の本
会議で答えている。悪かったら、私は出所を明らかにしているのですから、みんな
記録を見てください。
まだ言いますよ。今度は五十年の二月三日です。
衆議院の
予算委員会です。わが党の安宅常彦君の質問に対して、あなたは、
三木総理大臣は何と答えているか。「できるだけわれわれはその統一」
——これは南北朝鮮の統一ですが、「に対して邪魔になるようなことはしないようにせなければいかぬとは考えております」と言っている。南北統一の邪魔になるようなことはしないとあなたはここで約束している。
今度は、
昭和五十年六月五日だ。いまを去ることまだ三カ月もたたないほやほやした新しいあなたの
答弁だ。これは民社党の受田新吉君に対する宮澤外務
大臣の
答弁です。「朝鮮半島のかなり微妙なバランスに不測の影響を与えたくないという配慮からでございます。」と答えている。これは、「わが国が北朝鮮を承認しておりませんのは、それが共産主義
国家であるという理由からではございませんで、」「朝鮮半島のかなり微妙なバランスに不測の影響を与えたくないという配慮からでございます。」と答えている。いいですか。これは六月五日のわが
衆議院の
内閣委員会における受田新吉君に対する
答弁だ。
それから、五十年の二月の十八日です。これは参議院の法務
委員会です。金東雲問題について中江要介政府
委員は何と答えていますか。「納得ができないという申し入れば引き続き行っておるし、これについて満足な説明が得られるまで、日本政府としては韓国側に要求し続けていくという方針には変わりはございません。」と答えている。これは後で聞きますからね。これをまだやっているかどうか。
それから、二月の十九日の
衆議院の外務
委員会です。堂森芳夫君の金東雲の問題についての宮澤外相の
答弁です。「韓国側のそのような結論にはわれわれは納得をしていないということを申しまして、現在回答を求めておるという、これは先月の末でございますけれども、さらにそういう処置に出ております。」と、金東雲事件に対しても満足しないんだ、それをはっきり解決せよということを申し出ていると
答弁をしている。われわれに約束をしている。そして、同じく堂森芳夫君の日韓閣僚
会議に対する質問について、
三木さん、いいですか、宮澤外務
大臣は、「環境が改善されたことは私は認めておりますものの、さて、先ほど申しましたような日韓閣僚
会議を再び開くような、そうして、それにそのような大きな意味を持たせるような環境が整備されておるかということになりますと、これはやはりもう少し事態の進展を見ておく必要があるのではないかというふうに思っております。」と言っている。どうですか。開かないと言っております。
それから、三月四日です。この
衆議院の
予算委員会の、ここにおける私の質問だ。それに対して、これは三井政府
委員ですが、「わが国において発生した事件で、わが国における部分につきまして、日本の捜査当局がこれを取り調べる、事情を聴取するということはわが国において行うことが、捜査といたしましてベストであるというように考えておりますので、
関係者のわが国への再来日を求めて調べる、これを基本方針といたして努力を続けておるという状況でございます。」と答えている。これはみんな後で私は
答弁を求めるのでありまするが、こう言っておりますよ。また、三月四日の、金東雲、金大中事件に対する
小林進君の質問に対して、宮澤外相は何と言っておるか。「この韓国の捜査結果には納得がいかないというふうな
立場でございまして、現在、韓国側に対してさらに詳細な説明を求めているところでございます。」と言っているが、求めておりますか。この点。また、「わが国の捜査当局が誠意を尽くしました結果と韓国の捜査当局の結果とが、なお突き合っておりませず、その点については、日本政府としましては満足いたしておりませんので、韓国に対してさらに照会し、説明を求めております」と答えている。
これに対して、
三木さん、あなたは眠たいだろうけれども、太い目をあけて聞いてくださいよ。
三木総理としては、「金大中氏が日本に滞在を許されておって、それを日本の政府が保護する
責任があるわけですね。」
——これはあなたの言葉ですよ。「それがああいうふうに強制的に拉致された。したがって金大中氏の人権という問題に対して非常な関心を私は持っておるのです。日本政府としては
責任を果たしていない面があるわけです。そういう点で、しばしば韓国政府についても、金大中氏の普通人、一般の人と同じような自由の回復というものに対しては非常な関心を持っておるわけです。」とあなたは明確に言っておる。
責任を果たしていないとあなたは言っておられる。そして、「今後とも金大中氏の人権問題というものに対しては、重大な関心を日本の政府は持ってまいります。あらゆる機会を通じて金大中氏の人権が回復されるように努力をしていくつもりであります。」とあなたは言っている。これを受けて宮澤外務
大臣は何と言っているか。「実は最近韓国の副
総理が見えられまして、私と会談をいたしました。その際この問題が話題になりまして、私から、閣僚
会議を開くとすれば、これはいままでの問題がきれいになって、本当に将来への友好ということの最初のステップになる、最初の具体的なあらわれになるというような雰囲気のもとに、閣僚
会議を開くとすれば開くべきものだ。どうも私としては、いまそのような環境が熟しているとは判断いたさない」云々と答見ているじゃありませんか。
なお、ここには、四月の二日には星野君に対する外務
大臣の同じような
答弁がありますが、省略いたします。
なお、三月八日には、田英夫君の質問に対して、これは参議院の
予算委員会ですが、宮澤外務
大臣は、「閣僚
会議を再開するといたしますと、これは、近年のいろいろなわだかまりというようなものを、もうひとつ、お互いにとやかく申さずに、将来に向かって友好の道を開く、そういう契機といたしたい、」「ただいまの状況では、そのような環境が、いわばもう
一つ欠けるところがあるというふうに私としては判断をいたしておりますので、ただいまどの時点で開くというようなことを決定いたしておりません。」と答えている。
六月三日の、今度は
衆議院の
内閣委員会で、わが党の大出俊君の、いわゆる閣僚
会議をどうするかという質問に対して
——これは六月三日ですぞ。宮澤外務
大臣は、「この点は、前々から申し上げますとおり、閣僚
会議を開くといたしますと、やはりこれは将来の日韓
関係が本当に真の友好に立ち返る、十分な友好への再確認の第一歩というものにしたいと私は考えておりまして、そのための雰囲気はまだ十分に熟していないというのが私の判断でございます」と言っている。六月の三日にはこういうふうにはっきりした
答弁を、しかも
国会の中で約束している。
同じく六月の三日、これは自民党の、元の総監、いまの参議院
議員秦野章君の質問に対して、宮澤外務
大臣は、「仮に七月なら七月にでも閣僚
会議を開く用意があるかとおっしゃいますれば、もう
一つ私としては、一たん開きますと、今後文字どおり真の友好の回復の第一歩にしたいと考えておりますだけに、やはりわが国におきましても
国民的な納得が背景として」
——私は、断じてこの約束は取り消しのできないことだと思うが、「
国民的な納得が背景として必要であろうという感じがいたしておるようなわけでございます。」と言っている。
国民的な納得がなければ閣僚
会議は開かぬということを、六月の三日に、しかも自民党の代議士に言っているんだ。参議院の外務
委員会でこういう説明をしている。
六月の六日には、同じく参議院の決算
委員会で、
三木総理大臣が、「日韓両国の環境といいますか、これをもう少し整える必要がある。そういう点でいまのところ七月に日韓の閣僚
会議を開く考えは政府は持っておりません。」と言っておられる。
これほどに明確に、あなたは
国会で十六人の
議員に対してこうやって数多く、衆参両議院のあらゆる
委員会で約束をしている。閣僚
会議はいまでもお開きになりませんでしょうな。これだけの約束があるのですからね。お開きになりましたか。
総理大臣。