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1975-10-28 第76回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 小山 長規君 理事 塩谷 一夫君    理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君    理事 小林  進君 理事 田中 武夫君    理事 林  百郎君 理事 山田 太郎君       植木庚子郎君    江崎 真澄君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    塚原 俊郎君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    藤井 勝志君       保利  茂君    細田 吉藏君       前田 正男君    村田敬次郎君       森山 欽司君    安宅 常彦君       阿部 昭吾君    阿部 助哉君       石野 久男君    岡田 春夫君       多賀谷真稔君    楢崎弥之助君       堀  昌雄君    湯山  勇君       荒木  宏君    田代 文久君       野間 友一君    正森 成二君       松本 善明君    北側 義一君       田中 昭二君    小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         経済企画庁調整         局長      青木慎 三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         科学技術庁研究         調整局長    伊原 義徳君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省矯正局長 長島  敦君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省条約局長 松永 信雄君         大蔵大臣官房長 長岡  實君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 松川 道哉君         大蔵省理財局次         長       原   徹君         大蔵省銀行局長 田辺 博通君         文部省初等中等         教育局長    今村 武敏君         文部省体育局長 安養寺重夫君         文部省管理局長 清水 成之君         厚生大臣官房長 宮嶋  剛君         厚生省公衆衛生         局長      佐分利輝彦君         厚生省環境衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省薬務局長 上村  一君         厚生省社会局長 翁 久次郎君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         厚生省年金局長 曾根田郁夫君         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業大臣官         房長      濃野  滋君         通商産業大臣官         房審議官    藤原 一郎君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君         通商産業省基礎         産業局長    矢野俊比古君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 廣瀬  弘君         郵政省人事局長 浅尾  宏君         労働大臣官房長 桑原 敬一君         労働大臣官房審         議官      細野  正君         労働省労働基準         局長      藤繩 正勝君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君         建設省住宅局参         事官      救仁郷 斉君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     村田敬次郎君   田代 文久君     荒木  宏君   津金 佑近君     野間 友一君   松本 善明君     正森 成二君   正木 良明君     北側 義一君   矢野 絢也君     田中 昭二君 同日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     正示啓次郎君   荒木  宏君     田代 文久君   野間 友一君     津金 佑近君   正森 成二君     松本 善明君   北側 義一君     正木 良明君   田中 昭二君     矢野 絢也君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和五十年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ――――◇―――――
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を行います。山田太郎君。
  3. 山田太郎

    山田(太)委員 まず質疑の冒頭に ただいま大きな問題となっておりますスト権の問題について一言お伺いしておきたいと思います。  スト権結論の時期につきましては、三木総理は、最初は前内閣の公約を受けて秋ごろまでには出すと公言しておられましたが、昨日の当委員会において、結論は、期日は明示できないけれども今秋中には出したいと思っていると。私はこの言葉一つとらえてみても、やはり三木総理が独禁法の取り扱いについてどんどん姿勢が後退してきた、これと同じようなことを感じざるを得ないのでございます。やはりこれは私一人のみの問題じゃないと思います。自民党党内事情もあるようでございますが、今回のスト権問題は、現在の労働問題の焦点でございます。したがって、この三木総理姿勢の後退は、労働問題に大きな、しかも決定的な影響を及ぼすものと思います。したがって、この点について明確な三木総理のお考えをまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 昨日も山田君もお聞きになっておったと思いますが、田中内閣のときに今秋結論を出したいという意向を表明されましたので、私もできるだけそれを尊重して、政府の方としては方針は変わりません、できるだけ今秋結論を出したいと考えておる次第でございます。
  5. 山田太郎

    山田(太)委員 報道によりますと、政調会長ですか、結論は今秋中には出せないというふうな意味報道があります。真偽はともかくとして、三木総理総理として、その点について今秋中には結論を出したいと思っているという点については間違いございませんか。総理として、もう一度念を押しておきたいと思いますので、御答弁をお願いします。
  6. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま申しておるとおりです。山田君御承知のように専門委員会懇談会でやっている最中ですからね、それから閣僚協議会を開くわけです。そのときに党ともいろいろ連絡をとるわけですが、政府方針としてはできるだけ秋までに結論を出したいということで、これから努力をしたいと考えておるわけでございます。
  7. 山田太郎

    山田(太)委員 期日というものは明示できないけれども今秋中には結論を出したい、この点については毛頭変わらない、こう理解してよろしいですね。――うなづいていらっしゃるから、そう私も総理答弁が間違いないことを判断しておきます。  そこで、本論に入りまして、先ほども申し上げましたように、三木内閣政治姿勢が、独禁法改正問題につきましてある意味においては明確になったんじゃないか。どういうことかといいますと、やはり国民の側よりも自民党側自民党サイドあるいは産業界の側というふうに、三木総理の目がそちらの方へ向いてしまっているというふうな感触を受けるのは、これは国民の多くの考えでございます。したがって、三木内閣が絶えず主張されました社会的不公正、これは言葉だけあって実がないというふうに受け取られてもやむを得ない実情になっております。また現実三木総理総理になられて、そうして公約されたことが余り実現してないというふうなことを受け取られております。ましてや失業は百万人を突破したり、あるいは中小企業の倒産、あるいはエンゲル係数を見ましても第一分位と第五分位の格差がますます拡大していっている。こういう点は、やはり実情はこういう社会的不公正が拡大している、この実情は否めない現実でございます。  そこで、まず最初国債問題についてお伺いするつもりでございますが、国債の処理問題は、これはインフレあるいは増税ということに関連が非常に多い問題でございますので、昨日同僚委員から質問もございました。多少は重複する面もあるやとも思いますけれども、少々その点についてお伺いしておきたいと思います。  そこで、まず最初大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵大臣は五十年度当初予算のとき、四十九年度は二兆一千六百億円、それが二兆円、すなわち千六百億円の国債の減額をした、国債依存度は一〇%以下になったと自負されました。ところが、今回は巨額な赤字国債を発行なさるわけでございますが、やはりその責任というものについてこれまで何回も聞かれてきております。しかし私は、大蔵大臣がその点についての責任というものを余り感じていらっしゃらないんじゃないかというふうな感じを受けるわけです。たびたびで恐縮ではありますけれども、真実の責任感に満ちあふれた答弁を求めておきたいと思います。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 当初のもくろみに反しまして、巨大な公債、しかも特例公債を発行しなければならないような事態を招来いたしましたことにつきまして、財政当局者といたしましてもとより責任を痛切に感じておる次第でございます。この責任をどのようにして果たしてまいるかということにつきまして、私は私なりに考えてまいったわけでございますけれども、ともかくこの事態についてなすべきことをなしておかなければならぬ。そのことのために全力を挙げてまいることが当面私の責任を果たすゆえんでないかと存じまして、微力を傾けていま鋭意努力をいたしておるわけでございます。
  9. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの御答弁ではただ言葉だけがあって、どう自分の行動にあらわすかというふうな点には全く触れられていないように思いますが、やはりこの点について多くを論ずる余裕は時間的にございません。  そこで、先日の当委員会においてわが党の正木委員からの質問に答えられまして、大蔵大臣は、来年度赤字公債をお願いしなければならないと思います、こういうふうにおっしゃっていました。この来年度赤字国債をお願いしなければならないという腹づもりの額はどのようなお考えでございましょうか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 山田先生も御案内のように、ただいまの経済状況でございますけれども、不況が底入れいたしたというものの、回復のテンポは必ずしも速くないわけでございまして、明年度に顕著な回復を見まして、われわれが期待する税収が確保できるというような状況では必ずしもないように思われるのでございます。したがって、明年度相当額公債をお願いしなければならぬ状態になるのではないかという予想をいたしております。  しからば、どのくらいの公債発行を予定しているかということでございますけれども、これは歳入歳出全般にわたりまして、こういう厳しい環境でございますので鋭意切り詰めてまいりまして、ぎりぎり最小限度におさめなければならぬわけでございまして、そういった作業を鋭意進めておる段階でございますので、幾らぐらいになるかということを計数的にいま申し上げる用意はないわけでございます。ただいまの段階において申し上げられますことは、相当額、依然として公債、しかも特例公債に依存せざるを得ないであろうという予想を持っておるということと、しかしそれは最小限度にとどめなければなりませんので、歳入歳出全般にわたりまして厳しい見直しをやらなければならぬということで、鋭意政府といたしましていま努力をいたしておる最中でございますと御報告を申し上げる次第でございます。
  11. 山田太郎

    山田(太)委員 金額ははっきり言えませんが、やはり特例公債でお願いしなければならないと思います、要点はこういう御答弁だと思います。  そこで、これは計算が間違っているかもしれませんが、私なりに単純計算をいたしましたのですが、五十年度補正予算基礎にして計算してみますと、租税、印紙収入とかそういうもので一〇%なりあるいは一五%と単純計算してみますと、十三兆四千六百十億円掛ける一・一、こうすると十四兆八千億円、それから一・一五を掛けてみますと十五兆四千八百億円、それから歳出規模の方は二十兆八千三百億円掛ける一・一で二十二兆九千億円、まあ端数がございますが、一・一五、一五%として見ると、これが二十三兆九千六百億円、それから公共事業費二兆九千七百億円掛ける、これを高く見て一五%あるいは二〇%と計算してみますと、二〇%の分にしますと三兆五千六百四十二億円、これはよほどうまくいってでございますね。したがって、歳出の二十三兆九千六百億円から歳入の十五兆四千八百億円並びに建設国債三兆五千六百億円、そのほか専売納付金とかあるいは官業収入あるいは政府資産整理収入あるいは雑収入等一兆三千四百億円と計算してみますと、差し引き三兆五千六百億円、端数を切り捨てましたが、これがやはり赤字国債に頼らざるを得ない来年の見通しになるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、私が申し上げた試算をすぐそのままいま頭で計算なさるということは無理かもしれませんが、こういう試算から見ると、私のいま申し上げた試算についてのお考えと、また来年度赤字国債見通しというものをあわせてやはり何らかの一応のめどくらいは立つのじゃなかろうかと思いますので、重ねてもう一遍お伺いしておきます。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 重ねて恐縮でございますけれども、いま計数的に明年度どれだけの公債発行四条公債はどれだけ、特例公債はどれだけということを申し上げられる用意は、正直に申しまして政府は持っていないわけでございます。  ただ、こういう厳しい状況でございますし、特例公債を発行するという異例な事態は早い機会に脱却しなければならぬことでございますので、しかもその努力明年度予算の編成から始めなければならぬわけでございますので、鋭意歳入歳出両面にわたりましての見直しをいまやっておりますということを御報告申し上げておるわけでございまして、計数的なことを申し上げるには相当の時間の経過と余裕を与えていただきたいと存ずるのでございます。政府の方で大体の腹づもりができてまいりまするならば申し上げられると思いますけれども、いま全くそういう用意はまだないのでございます。
  13. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、そう大きな差は、状況が急変しない限りはないと思うわけでありますが、来年度もやはり同じく赤字国債に依存しなければならぬ、こうなりますと、両方合わせて約六兆円というふうな、単純計算ではございますが、そういうふうに考えざるを得ないわけでございます。そういたしますと、来年度もやはり特例法でお願いしなければならぬ、しかもやはり十年ということになると、今年度の分とそれから来年度の分と、十年とすれば十一年間ですね。その十一年間で、先ほどの試算基準にいたしますと、約六兆円を償還していかなければならぬ、こうなってくるわけです。したがって、毎年五千億円は償還していかなければいかぬ、こういうふうな単純計算になるわけですが、昨日の当委員会で、この償還計画の問題について大蔵大臣はおしかりといいますか、年次計画をしっかりしてないということと、同時にこの国債処理について、国会の議決を経なければならないという点について、やはり憲法で保障されたこの問題をないがしろにするということでおしかりを受けたようでございますが、この点についての償還計画というものをどういうふうに――まだ決まってないかもしれませんよ。まだ決まってないかもしれませんが、大体こういうふうな線には持っていきたい、昨日の当委員会でお答えになったばかりでございますから、どういうふうに持っていきたいかというふうな線はまだ出ておりませんか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 今度の補正予算特例公債法案によりましてお願いをいたしておりまする特例債は十年満期国債でございまして、これの消化につきましてただいままでに本委員会で私が申し上げたことを整理いたしますと、この公債は六十年の満期に当たりまして全額完済いたしますということを申し上げておるわけでございます。しかも、その財源は借りかえ財源にはよりませんということを申し上げておるわけでございます。それから、国債整理基金特別会計にその償還財源として積み立てるべきものといたしましては、百分の一・六の定率繰り入れが一つでございます。二つは、前年度剰余金全部を特例公債発行期間中は整理基金特別会計繰り入れるということが第二でございます。第三は、予算状況によりまして、特別会計一般会計から予算上の繰り入れをいたしたいという三つのことを約束申し上げておるわけでございます。  これに対しまして、本委員会におきましては、それだけではなお具体性を欠くじゃないかという御指摘なのでございます。そうなってまいりますと、これから償還期までの財政計画財政運営の問題に当然触れていかざるを得ないと思うのでございまして、いませっかく本委員会の御注意がございましたので、これから先の特例公債発行期間中あるいはそれが発行しないで済むようになりましても、まだ償還していない時期における財政運営はこういう方針でやってまいりますということにつきまして、もっと具体的に政府の意のあるところをまとめまして、本委員会に御報告しなければならないといま鋭意整理いたしておるところでございます。
  15. 山田太郎

    山田(太)委員 その点についてはまた別の時点で明示なさることと思いますので、次の問題に移らせていただきます。  そこで、来年度国債費、これは一兆七千億円と言われておりますが、この見通しはどうでしょう。
  16. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 いまの御質問のように、数千億はふえる予定でございますが、問題といたしまして、来年度国債が全体の規模がまだ未確定でございますのであれですが、ことし発行した額がすでに五兆五千億になっておりますので、数千億のオーダーではふえると思います。
  17. 山田太郎

    山田(太)委員 財政制度審議会が、国債依存率といいますか、これを安全弁として五%の線におさめるのが妥当だという結論を出しておられますが、本年度はもう二六%をオーバーしたわけです。今後のこの依存率、この点については、どのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 本委員会でも御答弁申し上げておりますとおり、国債の発行自体が直ちにインフレにつながるというものでないということはたびたび申し上げておるとおりでございまして、財政の規模経済との間にバランスのとれた状態でございますならば、その適正な規模の中で適正な公債を発行してまいることは必ずしもインフレを招くものでないと一般的に申し上げることができると思うのでございます。そういったことを前提にいたしまして、その年々の財政の規模を決めてまいらなければならぬわけでございます。したがって、一般的に何%でなければならないという原則があるはずのものではないと思うのでございます。ただ、財政審議会でも申されておるとおり、この依存率はそう高目であっては困ると思うのでございまして、私どもといたしましてはできるだけこれを低率に持っていくように当面努力していかなければならないものと考えております。
  19. 山田太郎

    山田(太)委員 どうも先の問題のことですから明確なお答えが出ないのも当然かもしれませんが、しかし大蔵大臣としてその点についてはやはり多少の腹案なりあるいは見通しというものがないと国民は非常に不安でしょうがないわけですから、ただこの場所を言い逃れしさえすればいいというふうなお考えはないとは思いますけれども、どうも漠然とした抽象論が多いような気がいたします。  そこで、実は先日の本会議でわが党の坂井議員が質問をいたしましたことにつきまして、その質問は、御存じのように、赤字国債は買いオペの対象にすべきではないのではないか、ところがお答えは、建設債も赤字国債も変わらない、そういう御答弁でございました。そう私は記憶しておりますが、それに間違いありませんか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 日本銀行の買いオペは、適正な通貨量を市場に供給する方便といたしまして、国債をその媒体として選んでおるわけでございますので、問題はそれが四条債であるか特例債であるかということで区別すべきものではなくて、供給する通貨の量が適正であるかどうかということでその当否が判断されるべきものと思うのでございます。そういう意味で、この間坂井議員の御質問に対しましてはお答えをいたしたつもりでございます。
  21. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、従来の政府方針といたしましては、国債は防衛費には充てない、これが従来の政府方針だったわけです。この赤字国債もそういう点についてはどうお考えでございますか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 従来は特例債は発行していないわけでございまして、発行いたしておりますのは公共事業あるいは出資、貸し付け等に使いまする財源としての建設公債に限られておったわけでございます。したがって、御指摘の防衛費につきましては建設公債で賄われておる筋のものではないと考えております。しかし、今度の特例債といいますのは、全体として租税、印紙収入その他の歳入が予定された額に達しなかったので巨額の歳入欠陥を生じました、それを補てんするために発行を認めていただきたいということでございまして、これは予算の執行をいたす場合におきましてどうしてもやらなければならぬことでございます。したがって、この特例公債というのは歳出全部にかかっておる性質のものと私は心得ております。
  23. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、この赤字国債とそれから税収とは全く同じということですか。これは性格が違うんじゃありませんか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 税収の不足を特例公債で補てんするという考えでございまして、これは申すまでもなく、非常に異例な措置でございますので、できるだけ早く、こういう状態から脱却しなければならぬということは、たびたび申し上げておるところでございます。
  25. 山田太郎

    山田(太)委員 私がお伺いしているのは、いまおっしゃる御答弁だと、税収も赤字国債も同じだというふうになります。特例法による赤字国債が、これは特別の事態だということはわかりますよ。だけれども、いまの御答弁だと、税収も赤字国債も一緒じゃないか、こういうふうな判断にならざるを得ないわけです。全く同じだというふうなお考えですか。どこに区別があるのですか。建設国債、これはいわゆるいい意味の、ほめられたことではありませんが、赤字国債と比較すれば性格はいい方です。これでさえも、いままで防衛費には使わなかった。ところが今度の赤字国債は、性格的に言うたら、どちらかというと悪い性格と言っても過言ではない赤字国債です。これもやはり国債という言葉はつくけれども、その点においては、内容はてんで違うものです。これはたちが悪い国債です、言葉は適当でないかもしれませんが。それで、いい性格の建設国債、まあ、いい性格とは言えませんが、一応は、比べればです。そうすると、それは防衛費には使わぬ。いわゆる消費的経費であるから防衛費には使いません、こういうふうなことだった。ところが、その点については全く悪い性格の赤字国債は使うということでございますか。そうなると、ちょっとこれは問題がある。大きく発展しますよ。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 税収も特例公債による収入も、一般財源といたしましての性格は、仰せのとおり同一でございます。しかし、税収は本来の財政の主たる財源でございますけれども、特例公債というのはきわめて異例の措置でございますので、できるだけ早く、この発行は取りやめなければならない性質のものでございますが、今日のような状況で、税収それ自体が不足いたしておるので、これを補てんする、やむを得ない措置として暫定的にお認めいただきたいという趣旨でございまして、なるべく早く、こういう状態から脱却したい。そのためにはあらゆる努力をいたしますということは、政府が申し上げておるところでございます。
  27. 山田太郎

    山田(太)委員 苦しい事情はわかりますよ。苦しい事情はわかりますが、端的な例で申し上げますと、この赤字国債は将来、国民が払っていく分です。まあ家庭で言うならば借金です。この借金を何に使うかわからぬというふうなことに、結論としてはなるわけですよ、全体的に言いますれば。たとえば、この予算書を見ましても、コード番号が同じです。同じ2に入っています。建設国債が1、赤字国債も普通の税収と同じように2のコード番号の中に入ってしまうわけです。そういたしますと、この借金はどういう方面に使われるのかということが、歳出が明らかにならなければ、やはり国民は安心できぬわけです。また、予算審議をするわれわれの立場といたしましても、その点が明確にならなければ、真の意味において国民の皆様方の代表として、そうしてこの予算審議をするに当たって、何に使われるかわからぬことになってしまうのです。いわゆる税収も、それから赤字国債も、同じコード番号の2に入ってしまっておるのだから、家庭で言うならば、おやじが借金した。家を建てるために借金したのならまだいい、残る。だけれども、まあ競馬なんて言うと語弊がありますが、何に使うかわからぬ、そういうふうな借金をされたんでは、国民はたまったものではないわけですよ。  私の言わんとするのは、この赤字国債が、いわゆる打ち出の小づちとか、あるいは御用金のような、そういう考えになってはならぬということも含めて、やはりこれに明示されなければ、私ども国会議員といたしましても、報酬をいただいておりますが、その報酬はこの赤字国債からいただいているというふうなことになると、これはとんでもないことになります。国民の借金の中からいただいているということになるわけですからね。これは極端な例ですけれども、考えれば、そういうことも言えるじゃありませんか。そういう点から、やはり歳出の面もちゃんと明らかになるようにしていかなければならないのじゃないか。と同時にそのことが、赤字国債がだんだん野方図になっていきやしないか。特例法はあれども、だんだん野方図になっていきやしないかという点において、非常な危惧を抱いているのが一般の国民でございます。大蔵大臣はたびたび御答弁なさっていますが、やはりインフレになるんじゃなかろうか、あるいは何かの面で増税があるんじゃなかろうか、言葉を端的に申し上げれば、付加価値税なんかが出てくるんじゃなかろうか、そういうふうな危惧を抱いております。そうすると物価にしわ寄せされてくるし、物価はどうしても上がってくるじゃないか、こういうふうな危惧を抱いているわけですから、その点についてのお考えと将来へのお考え、計画を、歳出についても明確にしていく、そうしてそれをどのようにやっていこうとするかという点についても、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 冒頭に申しましたように、公債は、税収等の歳入の不足を補てんする目的で発行を認めていただきたいということで、予算特例法案を御審議いただいておるわけでございます。それで問題は、いち早く通常の歳入を充実いたしまして、特例公債に依存しないような状態を早く招来するということが眼目でございまして、その点は財政演説でも強調いたしたところでございまするし、私どもが今後の財政運営につきまして一番、力点を置かなければならぬところと考えております。  それから第二の点は、しかし、そういう異例な措置をお願いする以上は、いま山田先生御指摘のように、これは普通の漫然たる処置では国民は承知するものでないということは、そのとおりと心得ておるわけでございます。したがって、短期間の間に償還をする、償還財源はこのように厳しい措置をとりますということを申し上げておるわけなのでございまして、決してこれをいつまでも漫然、続けてまいるというようなイージーな考え方を持っておるわけではないことは、万々御了承願いたいものと思います。
  29. 山田太郎

    山田(太)委員 私のお問いしたことに、具体的な面についてはお答えがないようでございますので、あわせて、もう一点お伺いしますが、この予算書にありますコード番号1と2、これはどういう区分けになっていますか。コード番号1、コード番号2はどうなっていますか。予算書を審議する上において、その点は大切なことです。コード番号1と2の区別をちょっと言うてください。大蔵大臣がそういうことを御存じないはずはないと思うのですが、御存じなければ、しょうがないです。
  30. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 歳入コード番号でございますので、歳入の性格に従いまして区分いたしております。歳出につきましても、部、款、項その他、歳出の目的に従いまして区分しております。  1、2の区分につきましては、いますぐ調べまして御返事いたします。――いま山田委員質問の1、2でございますが、款が1、項が2でございます。款につきましては、歳出の性格によりまして大きく区分いたしまして、さらに中分類といたしまして項が出てまいっておるわけでございます。
  31. 山田太郎

    山田(太)委員 建設国債はどっちだ。歳出のコード2は何かを聞いているんだ。
  32. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 歳出入の項目でございますが、歳出入の項目は必ずしも連動はしていないと思います。防衛の施設は、たしか2のコード番号になっておりますが、それが国債の性格によるコード番号と連動しているということはないと思います。
  33. 山田太郎

    山田(太)委員 それは主計局長さん、認識不足ですよ。コード2は税収分によって区分けされております。1の方は、建設国債のときには1のコード番号で区分けされております。いままでずっとその例になっております。
  34. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 答弁するのかしないのか、どっちだ。吉瀬主計局長、しっかりしろ。
  35. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 歳出入項目は、おのおの別の形でコード番号を付しております。先生は、防衛のコード番号が2になっているということで、これは建設国債による収入じゃない、あるいは税収によるものじゃないという御質問かと思いますけれども、歳出入のコード番号は別の論理でつくられておりますので、そういう事実はないと思います。
  36. 山田太郎

    山田(太)委員 私の言わんとする眼目は、歳出も厳しくチェックできなければだめじゃないか、いいかげんな使い方をされたのでは、国民はたまったものじゃないということです、極端な言い方ですよ。したがって、歳出についても、ちゃんと明確にわかるように、そういうふうな措置を将来、講ずべきじゃないかということを言わんがために、設定しておるわけです。この点についてのお考えをお伺いしておきます。
  37. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、歳出につきまして十分な御審議をいただかなければならぬばかりじゃなく、一般に国民の理解が得られるものでなければならぬわけでございまして、予算書のつくり方におきまして、それが十分でないという御指摘でございますならば、その点は十分改善していかなければならぬことと思います。
  38. 山田太郎

    山田(太)委員 この問題だけに時間を使うわけにはいきませんが、先ほど大蔵大臣の御答弁のように、この点は大切なことです。歳出面においてもきちっと、国民に納得できるような方法を講じてもらいたいことを強く要望して、次の質問に移らせていただきます。  次は、外交、防衛問題に入らせていただきますが、本年に入りましてポストベトナム以降、朝鮮半島における南北朝鮮の軍事的対立が一時クローズアップされました。米国の極東戦略は明白に東北アジアに重点が移ってきたと言っても過言じゃないと思います。このことによって、日米間の一連の戦略構想の中で、八月末でございましたか、シュレジンジャー米国防長官が韓国及び日本を訪問し、朝鮮半島における北朝鮮の軍事力は脅威だとの認識が一致したかのようでございます。このような国際情勢のもとで、坂田防衛庁長官は、有事の際、日米間に何の取り決めもなく、日米の役割りがはっきりしないのは不自然ではないかというふうなことで、日米防衛協力構想を公にされております、まだ未確定の線を含めてでございますが。  そこで私どもは、朝鮮半島に有事の事態が起きた場合、安保条約上どのように対処するのか、安保条約の原点に返って質問をしていきたいと思います。  そこで、総理にお伺いしますが、朝鮮半島に有事の事態が起きた場合、安保条約第五条はすぐ発動するのかどうか、その点について総理あるいは外務大臣にお伺いします。
  39. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 朝鮮半島に有事の事態が起こりました際に、その事態が、わが国の平和と安全あるいは極東の平和と安定というものに密接な関係があるというように、わが国が判断いたします際、米国から協議を求められるということはあり得ることでございます。その場合には、わが国の国益に従いまして、具体的な情勢に基づいて、イエスあるいはノーという返事をいたすべきものと考えます。
  40. 山田太郎

    山田(太)委員 ちょっとおかしいのですがね。何を言わんとしているのですか。事前協議制と勘違いしたのですか。五条を私は言いました。
  41. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 安保条約五条との関連であるかというお尋ねであれば、その際、五条自身が発動されることはございません。
  42. 山田太郎

    山田(太)委員 ない、そうでしょう。まずは現段階においては、そういうようにお答えになるよりほか、ないでしょう。  そこで時間の関係で、ちょっとはしょって質問したいと思いますが、極東の範囲ですね。極東の範囲は朝鮮半島全域に及ぶのか、あるいは韓国までを指すのか、その点についてお伺いしておきます。
  43. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に極東の範囲は、厳密に地理的に規定し得るものではないということは、従来から政府がお答えをしておるところでございますが、一般的には、しばしばフィリピン以北並びに日本その周辺というふうに言われて解釈されておるわけでございます。
  44. 山田太郎

    山田(太)委員 外務大臣は御承知ないようですがね、同僚の川崎委員質問になったとき、これは昭和四十三年二月二十九日ですがね。極東の範囲に「北朝鮮は入っておりません。」となっております。何を答弁しているのですか。
  45. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこで次に、極東におきまして日米両国が、この条約に申します共通の関心、安全について関心を持っておる地域ということになりますので、韓国は、ただいま仰せられる極東の範囲であります。あるいは俗な言葉で申しますと台湾地域もそれに入るわけでございますけれども、朝鮮半島の北の部分あるいは中国大陸といったようなものは、この条約に申します極東の範囲とは、われわれは考えておらないわけでございます。
  46. 山田太郎

    山田(太)委員 ということは、極東の範囲に韓国は入る、こういうことですね。そういたしますと、今度は極東の周辺ということになりますと、北朝鮮は入りますか、どうですか。安保条約の原点に立って質問をいたしますと、私は申し上げたはずです。北朝鮮はどうですか、極東の周辺でございますか。
  47. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この条約の目的との関連におきましては、極東の周辺という地域にも入らないものと考えます。
  48. 山田太郎

    山田(太)委員 それはちょっとおかしいのじゃないですか。椎名外務大臣が御答弁になったときに、ベトナムは大分離れているのですよ、あんな遠く離れているのですよ。ところが、ベトナムは極東の周辺でございます、したがって軍需物資等々の補給は、在日米軍基地から持っていったって構わないのでございますというふうな意味のことを言っておられるわけです。極東の周辺というものにベトナムが入っておるわけです。これは昭和四十一年六月一日の議事録でございます。では、ポストベトナムになったときに、この極東の周辺ということから取り去られるのですかという質問が、せんだって、やはり同僚委員からなされております。これは昭和五十年六月十六日の議事録でございます。そのときのお答えは、「この関係」すなわち極東の周辺ということです。「この関係もまたインドシナの新しい事態ということによって何ら変更を受けるものではないというふうに考えております。」したがって、ポストベトナム、ベトナム戦争が終わった後も、ベトナムはやはり極東の周辺と考えております、こうなっておるわけなんです。あんな遠く離れたところ。ところが、韓国のすぐ隣、言うならば政府答弁は、そこにオーソリティーが存在するというふうな表現をしておりますけれども、これが周辺でないというのはおかしいじゃないですか。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのゆえに、冒頭に実は地理的に厳密に規定し得る概念ではないと申し上げたわけでございまして、この条約との関連で申しますならば、条約の前文にございますように「両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有する」云々ということでございます。したがいまして、ベトナム戦争が行われておりました当時、あの地域が極東ではありませんでも、極東の周辺というふうに政府考えておりました。と申しますのは、ベトナム地域の平和の維持というものが、わが国及びわれわれの関心を有する範囲の極東に関連ありと考えたからでございます。  そういうような意味では、韓国の平和と安全というものは、われわれに直接の関連がございますけれども、朝鮮半島の北の部分、これは、われわれがこの条約で考えております平和と安全の問題として直接の関心を有する地域ではない。それは北側に何が起こっても構わぬという意味では、もちろん絶対にございません。そういう意味ではございませんが、われわれがこの条約を結ぶことによって、平和と安全を直接両国の責任あるいは関心のもとに維持しようという地域は、朝鮮の北の部分は、われわれがそういう意味での影響力と申しますか、及ぼし得る地域ではないというふうに考えるべきであろうと思います。
  50. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、朝鮮半島の北の部分という表現を使われましたね。韓国の北、すなわち北鮮です、言うならば、もうちゃんと国名も、国連においてもオブザーバーも全部、各機関に出しておりますね。朝鮮民主主義人民共和国です。この朝鮮半島の北の部分は、安保条約の規定に立ったときには、やはり極東の周辺ではございませんということですか。もう一遍、明確に聞いておきます。これは波及すべき事柄が余りにも大きな問題ですよ。明確にしておいてくださいよ。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのとおりに考えております。すなわち、この条約との関連で具体的な意味は、仮にその地域に紛争あるいは戦争等の事態が起こりましたときに、わが国におります米軍が、わが国に持っております基地を、いろいろな意味で利用し得るかし得ないかということがこの条約との関連でございますので、したがいまして、この条約との関連では、ただいま御引例のような場合はこの条約に言う極東あるいは極東の範囲ではない。繰り返すようでございますが、もとよりそれらの地域に何があってもわれわれの知ったことではないと申しておるわけではございません。(山田(太)委員「周辺ではないのですね」と呼ぶ)ございません。この条約との関連では、周辺とはやはり考えないというふうに思っております。
  52. 山田太郎

    山田(太)委員 初めて明確な御答弁になったと思います。  私がなぜこの問題を提起するかというのは、やはりわが国の国民の生命、財産を守る、自衛するということは、これは非常に大切なことでございます。しかし、と同時に、やはり何といたしましても戦争に、あるいは紛争にわが国民が巻き込まれるようなことがあっては絶対相ならぬというそういう信念のもとに私はお伺いしているわけですから、まずその点を誤解ないようにしておいてもらいたいと思います。  したがって、世上うわさされているような、三木さんがアメリカに行かれ、あるいは外務大臣も同行し、あるいは日韓米軍体制等々が云々というようなことが非常にうわさされておりますが、そういうふうな点から考えても、もしも万が一というときになったら、極東の周辺に含まれるということと含まれないということ、極東の周辺じゃありませんということは非常に大事なことでございますので、あえてお伺いをしたわけでございます。  極東の周辺ではない、こう明確にされたことで、次の質問に移らせていただきます。
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一言づけ加えせさていただくことをお許しいただきたいと思いますのは、もちろんその点、山田委員誤解をしておられるとは思いませんけれども、この条約との関連におきましては、それらの地域は極東あるいは極東の周辺ではないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、事態が起こりましたときに、この条約そのものは自衛ということを根本にいたしておりますから、そのような自衛権が発動される場合、発動の、つまり行動の範囲というものについては、これは必ずしもただいま申し上げましたいわゆる極東、極東の範囲に局限されるものではない、この点は一言つけ加えさせていただきます。
  54. 山田太郎

    山田(太)委員 そうすると、またえらい発言をなさいましたね。自衛の範囲においては極東じゃ極東じゃないというふうな問題じゃありませんと、これはどういうことですか。  そうすると、紛争があった場合は、北鮮であろうとも在日米軍はそこにどんどん軍需物資等々を補給しに行ったって構わぬ、あるいは自衛隊もと、そこまではおっしゃっていないのだけれども、構わぬということですか。そうなると、ちょっとこれはおかしいのですよ。あなた要らぬことを言うたから、なおさらおかしな話になる。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 敷衍をして申し上げますと、極東の範囲というものにつきましては、先ほどの御質問、私のお答えで一応はっきりいたしたわけでございますが、その範囲にある地域が武力攻撃を受けました場合に、その武力攻撃に対する自衛権の発動は厳密にこの範囲に限られるかと言えば、無論そうばかりとは言えない。ある意味で、その範囲の外側まで行動が及びませんとこの範囲の安定が守れないということは、これはすぐに考えられることでございますから……(「おかしい」と呼び、その他発言する者あり)
  56. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 静粛に。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 もちろん、そのような行動が無限にどこまでも及び得るものではない。これはかってこの委員会でも、たとえばそれはインド洋まで及ぶかとかいうような御質問が何度もございまして、もちろんそれには相当因果関係に基づくおのずからの制約はございますけれども、簡単に申しましたら、自衛をする場合に領海、領域に限られるかというのと似たような観念になるわけでございまして、自衛をするためにはそれが領海、領域以外に出るということは、これはことに航空機なんかの場合には、もう至極私はあり得ることである。無限にその範囲を延ばすという意味ではございませんけれども、行動の範囲が厳密にこの範囲に限られるということでは自衛の目的を達し得ない場合があるであろうというふうに考えます。
  58. 山田太郎

    山田(太)委員 それは在日米軍のことを言うているのですか。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 在日米軍のことを申しております。
  60. 山田太郎

    山田(太)委員 まさか自衛隊のことじゃございませんでしょうね。
  61. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 安保条約とのお話でございますので、在日米軍のことで、自衛隊のことではございません。
  62. 山田太郎

    山田(太)委員 先ほどあなたは自衛と言うたのですよ。自衛のためにと言うたのですよ。訂正しなさい。
  63. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 つまり、自衛と申しましたのは、侵略という意味でなく、この安保条約によりまして集団的な自衛権があるわけでございますから、やはり自衛のためということでございます。
  64. 山田太郎

    山田(太)委員 集団的自衛というのはどういう意味でございますか。集団的自衛のためにとはどういうことですか。これは委員長、話になりませんね。わかっちゃいないですね。集団的自衛とはどういうことですか。
  65. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 大臣が申されましたのは、米軍の行動が極東の地域に必ずしも限定されることはない。しかしながら、その米軍の行動についてはいろいろ制約がある。その第一といたしまして、米軍の行動については国連憲章で認められておりますところの集団的自衛権の行使としての行動しか認められない。すなわちそれは……山田(太)委員「米軍ですか」と呼ぶ)米軍についてでございます。侵略があったときにその侵略を排除するための自衛権の行使としての行動の制約というものがおのずから出てくるということをおっしゃったわけでございます。
  66. 山田太郎

    山田(太)委員 いまは米軍の立場に立っての集団自衛でございます。国連憲章に基づいてという意味も、それはもちろん含まれているわけだ。そこで、外務大臣は、集団的自衛というのはわが国のことじゃないということをはっきり言うておいてくださいよ、これは。
  67. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 宮澤外務大臣、はっきり言いなさい、はっきり。
  68. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 つまり、ただいまのお尋ねが、わが国が米国の安全、平和に関連して自衛権を発動できるかと言えば、そういうことはもちろんございません。わが国自身の平和と安全について国連憲章に定めるところの自衛、こういう意味でございます。
  69. 山田太郎

    山田(太)委員 わが国は集団的自衛権を発動するというわけじゃありません、またそれはできもしませんと、こういうことですね。あなたがちょっと要らぬことを言うたものだから……。  そこで、前の椎名外務大臣は――もう一遍聞いておきましょう。はっきりしておくため、もう一遍聞きます、念のために。  安保条約の原点に立ち返ってという質問で私は出発いたしました。そこで、朝鮮半島の北の部分は、いわゆるベトナム紛争のときの極東の周辺と椎名外務大臣は答えられました。それは何かというと、やはり在日基地を使って米軍が物資補給等々をしているというのは、これは構わないのですと、こういうことです。ただし、そのときの議事録がありますが、敵性国と見られてわが国が攻撃を受けるようなことがあっても、それはやむを得ませんねというふうな意味のことです。しかし、近いところであったら大変危険なことでございますが、ベトナムは非常に遠いところでございますからそういう心配はございませんという答えがここに書いてあるわけだ。したがって、この点を強くぼくは言うているわけです。したがって朝鮮半島の北の部分が――極東の範囲じゃありません、もちろん。だけれども、極東の周辺に入ると入らないとでは大きな違いが出てくるわけです。わかってくださいましたか。したがって、その点を明確にしておいてください。
  70. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 先ほど外務大臣が、北朝鮮、朝鮮の北の部分は極東の周辺ではないという御答弁をされたわけでございますが、これは在来から実は申し上げておりますように……(山田(太)委員「在来言うてないよ」と呼ぶ)いや、極東の周辺という言葉は、実はその条約上はないわけでございます。それで、ベトナムのときにこれが非常に問題になったわけでございますが、ベトナムにおいて紛争が発生している、それに対して米軍が行動するということが安保条約上許容されるかという趣旨の御質問に対して、ベトナムというのは極東の周辺であって、そこにおける事態は極東の平和、安全と無関係ではない、したがって、米軍の行動というものは安保条約上許容されるという御説明をしてまいったわけでございます。  その意味合いにおきまして、北朝鮮というものが、ベトナムで紛争が発生している、あるいは武力抗争という状態が発生している、それと同じような状況が北朝鮮で起こった場合に米軍が行動することがあるかという御質問になるだろうと思うのでございます。その場合に、ベトナムにおいて発生した事態と同じような事態が北朝鮮において発生した場合に、米軍が行動することはない、そういう意味でこれは極東の周辺でないという御答弁でございます。そうでなければ論理的には合わないわけでございまして、その点は御了解いただきたいと思います。
  71. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの答弁は非常に明快でございました。したがって、極東の周辺に入らない。これはまた当然そうでなければならぬと思います、私の質問した趣意から言うならば。まあこの点は後の機会にまた論議を重ねていきたいと思います。  そこて、日韓の――もう前置きは抜きにして端的にお伺いします。日本と韓国との軍事的な関係はあるのかないのかということをお聞きしたいわけです。というのは、やはり外交にいたしましても、あるいは軍事、この言葉は適当でないかもしれませんが、外交も軍事も、平和憲法にのっとって行動する以外にないわけです。したがって、日本と韓国は基本条約に基礎を置いて、軍事的な面は何らないというふうにいままでも答弁していらっしゃいますけれども、この点について、もう一遍明確に総理大臣からお答えを願っておきたいと思います。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国と韓国との関係は、ただいま御指摘の基本条約に定められておるわけでございまして、普通の意味で両方の間の軍事的な関係はないと考えております。
  73. 山田太郎

    山田(太)委員 と申し上げましたのは、これは大分前のことでございますけれども、韓国の国会におきまして、四項目の日本との軍事秘密協定があるという質問が出ております。やはりポストベトナムの際に、いまはデタント状態ではございますが、やはり国民は相当心配をいたしました。したがって、そういう点に力点を置いて、そういうものを土台にして質問を展開いたしますから、誤解はしないでください。あくまでも国民の安全を、国民の生命、財産を守るということが基調だということを原点にして質問いたしますから、その点を誤解ないようにしていただきたい。  そこで、わが国の防空ですね。これは昭和三十五年、バッジシステムによっていわゆる自主防空体制に入ったわけでございますが、まあ敵という言葉はいまの現在適当ではありませんが、ほかの言葉がないのですが、敵味方の識別はどのようにして識別するのか。この点について、これは防衛長官はすぐ役人を出されますが、これは基本的な問題ですよ。防衛長官、御存じないですか。御存じなかったら、知らないと言うてください。
  74. 丸山昂

    ○丸山政府委員 大変技術的な問題が絡みますので、私から御答弁申し上げます。  御案内のように、バッジと言われます警戒管制システムがございます。その警戒管制システムのもとになっておりますのは、全国の二十八カ所のレーダーでございまして、このレーダーの覆域に入りました航空機、これにつきましてはレーダーの監視員がこれを識別するシステムになっております。現実には運輸省の方から民間機につきましてフライトプランを御連絡いただきます。それから私どもの自衛隊の固有の航空機につきましてはもちろんそういう情報を流しておりますので、これも知っております。それからアメリカでございますが、米軍機につきましても、これは米軍からの情報提供がございまして、フライトプランを承知しておるということでございまして、こういうフライトプランがわかっておりますものは、現実にレーダーの上に、画面に出てまいります、ブラウン管の表面に出てまいります航跡をたどって識別をするということになっておるわけでございます。これはもちろん機械的に処理されます。  そこで、これによって不明のものがあるわけでございますが、不明のものにつきましては、航空機自体にレーダーから質問の電波を出しまして、それに対する回答が入ってくる、こういう装置が載せてあるものがございます。これにつきましては、当然その航空機の識別ができるということになるわけでございまして、通常、軍用機等につきましては国際的に共通の符号というものが定められていないということからいたしまして、この質問の電波を出しましても、それに対する回答がない、あるいは回答が解読できないというようなものもあるわけでございます。こういったものにつきましては、再度フライトプランをチェックし、それからその他の情勢を判断いたしまして、最終的にスクランブルをかける、こういうことをやっておるわけでございます。
  75. 山田太郎

    山田(太)委員 誤解があってはいけませんのでこの際ひとつつけ加えておきますが、私どもは自民党と立場は違いまして、安保条約に対する態度は明確に違いますので、その点はひとつはっきりしておきたいと思います。それから自衛隊に対する考え方もやはり自民党と全く同じじゃございません。このたびの党大会でも明確にしておりますが、やはり国土警備隊、この点を明確にしておりますので、その点をまず前段に断っておきませんと誤解があってはいけませんので、その点をお断りしておきます。  そこで、いま防衛局長の御答弁は、やはりレーダー、すなわち電子的信号、日本語で言えば電子的信号です。記号といいますか、この電子的信号によって軍用機を識別する、こういうことでございますが、これは先ほどの答弁では米軍機とはあるが、ほかにはないということと解してよろしいでしょうか、どうでしょうか。
  76. 丸山昂

    ○丸山政府委員 軍用機に関しましては、米軍機は原則として全部連絡があります。それから外国の一時訪問のがございますけれども、たとえば外国から軍用機にVIPが乗られて日本を訪問されるというような場合がございます。これはそれぞれ出先の大使館から外務省に口上書がまいりまして、フライトプランがあらかじめ提出されます。したがいまして、これについては先ほど申し上げたいわゆるフライトプランがはっきりわかっておる部類の方に入るかと思います。したがいまして、軍用機につきましては、私ども知っておる限りでは米軍機だけであると申し上げてよろしいかと思います。
  77. 山田太郎

    山田(太)委員 この電子的信号というのは、これは言葉をかえて言えば電子的暗号による信号、こういうふうに解してよろしいですか。軍用機の方です。
  78. 丸山昂

    ○丸山政府委員 暗号という言葉がどういう意味になるのか大変不明確でございますが、すべて暗号ということになれば、いまの航空機の通信はすべて暗号ということになってしまうかと思います。いずれにいたしましても、軍用機にしましても航空機にいたしましても、ただいまの信号については、一応これを解続する原則というものが決まっておりますから、それによってはっきりと識別できるということでございます。
  79. 山田太郎

    山田(太)委員 そうすると、米軍と日本とだけはあるというさっきのお話でしたね。では、ほかの国からそれはわかるのですか、その電子的信号が。ほかの国軍機にわかるのですか。あるいは他国からわかるのですか。
  80. 丸山昂

    ○丸山政府委員 解読の規則がわからなければ、たやすいかむずかしいかは別にして、普通簡単にわかるものではないと思います。
  81. 山田太郎

    山田(太)委員 スパイだとか、あるいは日本がこの前の大戦のときには暗号を解読されておったために、それが敗戦の大きな原因であったとさえ一部には言われておりますね。それはそれが全部じゃないけれども、やはり敗戦の大きな原因であったとさえ言われておりますが、やはり他国にわかってしまうというふうなそういうものじゃ――スパイとかいうふうなものは別として、そういう暗号というのじゃないでしょうか。他国にもすぐわかるのですか、スパイとか解読、こういうことは別として。
  82. 丸山昂

    ○丸山政府委員 簡単にわかるようなものであればこれを逆用されるという危険性を持っておりますから、(山田(太)委員「だから暗号でしょう」と呼ぶ)通常解読しにくい方法を使っております。ただ、暗号とおっしゃる意味が、どういう意味で暗号という言葉をお使いになっておるかということで、私が暗号と言えば暗号かもしれませんし、暗号でないと言えば暗号でない。通常いまの航空機の識別をするについてはきわめて普通に使われておる、こういうものであるということでございます。
  83. 山田太郎

    山田(太)委員 航空機の識別については、これはもちろん民間航空機についても運輸省がちゃんとやはり識別方法をしておりますね。だけれども、私が聞いているのは軍用機の問題を聞いているわけです。したがって、この軍用機の場合は、日本とアメリカは日米安保条約に基づいて当然他国が知り得ない電子的信号があるはずでございますね。これはさっきおっしゃったことです。ところが、この日本とアメリカの電子的信号によって敵味方の軍用機を識別する。これは日米安保の立場から一応わかります。ぼくの聞いているのは、やはり他の国がこれを知っているのか、知ってないのか、これを聞いているわけです。それが知っておるんでは、これは何にもならぬことになる。どうですか。
  84. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 外国がわかるんじゃ暗号ではないよ。
  85. 山田太郎

    山田(太)委員 委員長が言っておる。他の国がわかるんでは信号じゃないじゃないか。
  86. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいまの識別について米軍機だけが使っておるか、こういうことでございますけれども、私どもの体験によりますと、韓国機が日本に入ってまいります場合に、米軍のコールサインを使用したという事例が一回ございます。
  87. 山田太郎

    山田(太)委員 韓国軍機が日本に入ったときに米軍のコールサイン、すなわち電子的信号を使ったというのですか。
  88. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいま私申し上げましたのは間違いでございまして……(山田(太)委員「そうだろう、ちゃんと答弁をとっている」と呼ぶ)技術的に間違えました。米軍のコールサインを使ったことは承知をいたしております。いまの電子信号でございますが、電子信号を使ったのかどうか、こういう点については私も関知しておりません。
  89. 山田太郎

    山田(太)委員 そうではあろうと思います。  そこで、わが国は、まあ、わが国と言っておきますが、日米以外の電子的信号、私はわかりやすいために暗号という言葉を使いますが、日本は他の国、日米以外の電子的信号、暗号を知っておりますか。
  90. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいまの電子信号については、私どもの承知している限りにおいては、日米の間以外には知っておらないというふうに承知しております。米韓の間においてどうであるかについては、私ども関知しておりません。
  91. 山田太郎

    山田(太)委員 米韓においては日米と同じようなことが行われているかどうかは関知しない、こういうことでございますね。私は韓国のことだけ聞いたわけではないのです。他の国というふうに聞いたわけです。韓国だけのことを聞いたわけではない。もう一遍その点はっきり言ってください。(「あいだの間か、それとも韓国の韓か、どっちなんだ」と呼ぶ者あり)
  92. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 想像はやめてください、暗号だから。(笑声)
  93. 丸山昂

    ○丸山政府委員 日米の間におきますただいまの電子信号、これにつきましては共通の電子信号を使っておりますけれども、これについて日米以外の国が知っておるかどうかという点については、私どもは知っておらないと思います。
  94. 山田太郎

    山田(太)委員 私がいま聞いたのは、日本がよその国の分を知っておるかどうか。
  95. 丸山昂

    ○丸山政府委員 日本は知っておりません。
  96. 山田太郎

    山田(太)委員 そこまで引っ張ってくるのにずいぶん苦労したがね。  そこで、ここで私は一つのことを提起したいのでございます。というのは、先ほどまでの答弁は、日米においては、敵味方識別の暗号が、電子的ではありますが、ある。ところが、他の国とはない、また他の国の分も知らない。防衛庁長官、よく聞いておいてくださいよ。ちょっと人ごとのような顔をしておる。言うては失礼でございますが、文部大臣当時長いつき合いではありますが、文部大臣と同じような気持ちでおられたのでは、ちょっとたまったものじゃないと思う。  そこで、防衛庁長官は余り御存じないようでございますね。――一言聞いておきましょう。防衛庁長官、こういう点知っていますか、知っていませんか一重大な問題なんですよ。まあ後で聞きましょう。  そこで、私が申し上げたいのは、先ほどまでの防衛局長の御答弁から、これは自衛隊の公文書です。自衛隊の公文書のAKAA二八三、これがあるはずです。総理もひとつ聞いておいていただきたいと思う。それからAKAA二〇〇二、先ほどからの、日本とアメリカは敵味方識別の電子的信号を使っておる。これは公文書です。ぼくは中身まで言っておるわけではありません。この自衛隊の公文書のAKAA二八三、AKAA二〇〇二、これがあるかどうか、この点をお聞きしておきたいわけです。
  97. 丸山昂

    ○丸山政府委員 私も全部をカバーし切れないので、ただいまおっしゃいました文書が当方にあるかないかにつきましては、調査をさしていただかないとはっきりしたお答えができないと思います。
  98. 山田太郎

    山田(太)委員 調査をさしていただかないということでございますが、では、電話ですぐ聞けばわかることでございますよ。私はこれからちょっと別の質問をしますから、すぐ電話してください。
  99. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 すくわかりますか。――では、次の質問してください。
  100. 山田太郎

    山田(太)委員 何も委員会をつとめるのが目的でやっているわけじゃないのですから。しかし、質問が続けられなければ、詰まらざるを得ない。そうでしょう委員長委員長、よく判断しておいてくださいよ。元来なら、調査するというのだから、それが来るまで待つのが当然です。しかし、補正予算のことですから、あえて続けるわけです。その点を総理以下わかっておいていただきたいと思います。  そこで、私はなぜこういうことを聞くかと言うと、これはわが国が、米極東戦略に組み込まれておる日本の位置といいますか、あるいは平和憲法の規制の歯どめをどこに置くかという、こういう基本から、この実態を明らかにして言っているわけです。国会議員の一人といたしまして、やはりそこに重大な責任を感ずる一人といたしまして、私は質問を展開するわけです。ただ単に暴露すればいいなどというふうなつもりは毛頭ないことは承知しておいてください。しかし、事は重大であるから、あえて具体的な面を私は提示しておるわけでありますから、その点をはっきり認識しておいていただきたいことをあえて付言しておきたいと思うのです。――まだわかりませんか。
  101. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 丸山防衛局長、聞いているのかな。
  102. 丸山昂

    ○丸山政府委員 聞いております。
  103. 山田太郎

    山田(太)委員 では、総理、先ほど一度御答弁いただきましたが、日本と韓国にはやはり軍事的関係というものはいささかもない、またそのとおりでなければならぬはずです。それにいささかも曇りがあってはならぬということです。というのは、わが国民の生命、財産を守るという立場に立ったときに、これは当然な責務だと思います。昔の軍部のようなことがあっては相ならぬのです。また、いまの自衛隊がそうだとは言うておるわけではございません。しかし、その視点に立ったときに大切だからこそ、あえて言っておるわけでありますから、総理大臣にもう一遍、時間つなぎではございませんが、このいささかも曇りがないという、そういう点について明確な決意をもう一遍ひとつ述べておいていただきたい。
  104. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 先ほど山田委員から、韓国の国会で秘密の軍事協定というものが日本と韓国の間にあるというようなことが言われたがというような御発言がございましたが、御自身がそんなことは信じておいでにならぬと思いますが、もしもそういうことが誤解を与えてはなりませんので、もう絶対にさようなことはない、いささかも曇りはない。こういうことで、ないことは、これは明らかにいたしておきます。
  105. 山田太郎

    山田(太)委員 次の質問を続けるのには、いまの回答が来ないと続けられませんのですが……(発言する者あり)
  106. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 やじらないでください。電話中ですから。
  107. 山田太郎

    山田(太)委員 委員長、時間の勘定だけはとってくださいよ。
  108. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 時間は見ております。ストップウォッチがあるのだから、ちゃんと正確に見ている。
  109. 山田太郎

    山田(太)委員 時間が相当まだかかるようですから、私が総理に提示します。  総理、これをひとつ――先ほど申し上げたのが、二八三、二〇〇二と申し上げましたね。ちょっと見てください。
  110. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは技術的なものでございますから、調査いたしまして、まだ詳しいことはよくわかりませんが、いずれにいたしましても、AKAA二八三それからAKAA二〇〇二、この二つともございます。AKAA二八三は、これは識別のためのコードのようでございます。それからAKAA二〇〇二は、これは識別に直接関連はございませんが、情報交換といいますか、こういったものに関する中身のようでございます。これはいずれも先ほどからお話の出ております米軍との間の航空機の識別についての日米の共通のコード使用に関する問題でございまして、したがいまして私どもの判断では大変技術的な中身のものであるというふうに判断をいたしております。現物はまだ私見ておりませんので、それ以上のことは申し上げられません。
  111. 山田太郎

    山田(太)委員 技術的な範囲のものでございますというお答えですが、私が先ほど申し上げたように、軍事的な韓国との協定があると言っているわけはない。しかし、そう思われてもやむを得ない事態があるじゃないかということを提起しておるわけですからね。このことは非常に重大なことなのです。出してこいと言ったって、もちろん出してくるはずはありませんよ。したがって、いま突然それを持ってこいと言われたって、時間がかかるのは当然じゃないか、こういうようなお考えは当然だと思います。したがって私は次の質問を続けていったわけだ。しかし、中身が違うのです。中身は事が重大であるから言うておるわけです。ほかの面にも及んでいくから――ほかのことも言えと言うならまた別だけれども、ほかのことに及んでいく大事な問題であるから、言うているわけなんです。したがって、その点を誤解ないようにしておいてもらいたいと思うのです。  では、その中の国名を――これからわかっていきます。AKAA二八三、それからAKAA二〇〇二の相手国をひとつ出してください。それに書いてあります。問題はここなんです。軍事的なことだから大変だと言うているのです。
  112. 丸山昂

    ○丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、日米の共通コードの中身になっておるようでございますが、これは日米間の取り交わしておりますものでございますので、米軍の了解を得ませんと中身について申し上げることができない性格のものでございます。
  113. 山田太郎

    山田(太)委員 そこが問題点です。その中に、では韓国と台湾がございますか。
  114. 丸山昂

    ○丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、私まだ中身を見ておりませんので、ただいまの御質問にお答えできません。
  115. 山田太郎

    山田(太)委員 ただあるということだけを私が返事を求めたのも悪かったかもしれませんよ。しかし、防衛局長が知らないというふうな、そういう事柄のものじゃないはずなんです。  では、私の方から言いましょうか。これはそのものではありません。民間の方々に迷惑を及ぼしてはいけないから、そのものずばりではありません。  AKAA二八三、これは軍用機の識別のものです。これはエフェクティブ、すなわち有効期間、一九七五年、ことしです。スペシャル・ハンドリング・リクワイヤード・フォーUSAとあります。アメリカですね。それからAUS、オーストラリア、それからCAN、カナダ、それからJAP、日本、ニュージーランド、まあ全部挙げてもいいですが、そのほか六カ国あります。そのユースオンリーになっております。  それからAKAA二〇〇二、これは大体さっき申し上げた十一カ国、ユースオンリーです。先ほど申し上げたように、これは軍事的なものです。しかも軍用機識別のものでございます。したがって、これの中に台湾があり、韓国があり――私の方から申し上げる、答えられませんということですから。あえてこれをなぜ言うか。私も軍事機密法的なことを知らぬわけじゃありません。ただ、先ほどからたびたび申し上げておりますように、日韓の間に――日米はこれは一応安保条約であるわけでございます。日米のことのみしか知らないという局長答弁だったわけです。ところが、あにはからんや、ちゃんと十一カ国同士でユースオンリーになっておるのです。長官は御存じないですか、こういうことを。知らないでしょうな。
  116. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は承知いたしておりません。
  117. 山田太郎

    山田(太)委員 長官が承知しておったら、これは大変なことですね。と言って、やはり防衛局長も知らないようなふうでございました。したがって、シビリアンコントロールの問題をあえて出すわけじゃないけれども、現場においてはちゃんとそういうことが次々行われているということも、これは明白になってくるわけですから、その点をよく考えていただかにやならぬと思います。  それでは私はもう一点申し上げましょう。これは防衛庁長官、聞いておいてくださいよ。総理も聞いておいてください。  AKAC六二、これがあるかどうかは電話で聞いておいてください、防衛局長。  これは内容は軍事業務でございます。しかもこれは特別の、いわゆるシークレットになっています。先ほどのはコンフィデンシャルでございます。秘でございます。これは極秘でございます。いいですか。いま総理にお見せしたとおりです。先ほどのはコンフィデンシャルなんです。これはシークレットになっています。これも一遍見ておいてください。これはちょっと前と事柄が違うのです。(発言する者あり)言わんとしているところわかっていないのですな。聞きたくなければ、耳をふさいでおいてください。事柄、大事だからです。  このシークレットは、先ほど申し上げたように、軍事業務用です。しかもこれは日本とアメリカと韓国の三国だけで使うものです。先ほど総理の御決意は、憲法の規定から言いましても、当然日韓の軍事協定はもちろんない、また同時に、日韓米の集団軍事体制というのもあってはならぬということでございます。これは間違いないですね。いささかも間違いないですね。私の言うているのは、その鏡にいささかも曇りがあっちゃならぬということです。総理もいささかも曇りがあっちゃならぬというお答えでございます。ところが、この点についていささかも曇りがないどころじゃない、大きな曇りがあるということを私があえて言うたわけです。  なぜこういう質問をしたかというその含意は、先ほど申し上げたとおりでございますから、あえて重複を避けますけれども、その点を十分承知しておいていただきたいと思います。  ということは、こういうことは、あれほど総理が明言されたけれども、やはり秘密協定があるんではなかろうか、こう類推されてもやむを得ない面がありはしないかと、おとなしい言い方にしておきます。この点について総理はどう御判断をなさいますか。もちろん先ほどの御決意には間違いはないと思いますので、もう一度お伺いしておきます。
  118. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま山田委員から御提起になった問題は、防衛庁でよく調べて、十分な説明をいたすことにいたします。しかし、秘密の軍事同盟というようなものは絶対にありません。
  119. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、防衛局長、いま申し上げたAKAA二八三、AKAA二〇〇二、これははっきり認めましたね。それからいまの六二、この六二についても、あるかないかは、これは答えを聞いていませんね。これは電話をかけて聞いてくださいと言うていたはずです。
  120. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいま電話で照会中でございますので、もうちょっとお待ちをいただきたいと思います。  ちょっと申し上げますと、いまの、さきに二つ御提示のありました日米のコードの共通使用というもの、これはいずれにいたしましても、わが方の防空識別圏に入ってまいります航空機の識別のために使用しておるわけでございまして、日本から外に向かっての作戦行動というようなものに関連のあるものではございません。
  121. 山田太郎

    山田(太)委員 防衛局長、さっきの答弁と今度は違ってきたじゃないか。あなた知らないと言うた。よその国は知らぬと言うたが、よその国も知っておるということだ。また、お互いそれぞれの十一カ国で共有しているわけだ。しかも軍事的な――軍事ですよ。軍用機ですよ。そんな単なる言い抜けでここをごまかそうとするなら、まだやりましょうか。  それともう一点、いま六二は電話してもらっておりますね。それを提示できますか、あるいは秘密理事会でも提示できますか。
  122. 丸山昂

    ○丸山政府委員 後の書類につきましては、ただいま照会して調査をしておりますので、その中身を見てからでないとはっきりしたお答えはできません。
  123. 山田太郎

    山田(太)委員 これはそのままストレートというわけじゃありませんが、これはやはり日米韓三国の軍事同盟的なものに通ずると見られてもやむを得ないものですよ。  じゃ、そういうことがどんどんあっていいと言うのですか、総理は。どんどんそういうことが行われておっていいというんですか。どうですか。その点をもう一遍はっきりしておきましょう。
  124. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 山田君、いま急に問題を提起になりましたので、事実をよく調査をして御説明を申し上げると言っておりますので、まだ事実をしっかりと把握しておりませんから、事実を把握して、いまの問題についてその場合にはもっと説明ができると思います。
  125. 山田太郎

    山田(太)委員 では、事実をはっきりするまで待ちましょう。ぼくが聞いたのは、そういう聞き方をしたんじゃないんですよ。それでは、調べるまで待ちましょう。
  126. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 丸山防衛局長。はっきりした答弁が必要だな。
  127. 丸山昂

    ○丸山政府委員 AKAC六二でございますが、これはございます。ございますが、中身は極秘でございますので、それについては申し上げることはできません。
  128. 山田太郎

    山田(太)委員 私が問題を提起したことに対して答えてないのですがね。いま総理はごらんになったとおりです。日米韓です。あることは明確ですね。あるけれども、中身は出せないということですか。
  129. 丸山昂

    ○丸山政府委員 存在は申し上げましたとおりでございます。ございます。中身につきましては、これも米軍との打ち合わせででき上がっておるものでございますので、了解なしには提出はできません。
  130. 山田太郎

    山田(太)委員 いいですか。もう一遍聞いてみましょう。ぼくはさっき国の名前を少々挙げて言いました。二八三、二〇〇二の方は十一カ国ですか十カ国ですか。あわせて六二は三カ国ですね。
  131. 丸山昂

    ○丸山政府委員 一番最初に御提示になりましたAKAA二八三、これは十一カ国でございます。それから(「日米以外は知らないと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)日米以外知らないというのは、日米以外の国について関与しているかということは私どもは知らない、こういうことでございます。  それから二番目と三番目についてはわかりません。
  132. 山田太郎

    山田(太)委員 この国会の場所で私があえて質問している含意はいまのとおりです。また憲法によって国会議員に与えられた任務と責務と権限によってやっているわけです。米軍の了解を得なければ答えられませんという答えです。では、米軍の了解を得てもらいたいと思うのです。この点は明確にしておきたいと思います。
  133. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは日米間の防衛協力の問題につきまして、やはりできないものはできないわけでございます。ただ、日本の安全を守るために、いろいろの情報を日米安保条約に基づきましてわれわれが入手するということは非常に必要なことだと考えるわけでございます。それを余りにも明らかにすること、それ自体はやはり日本の安全にとっていかがかと私は思うわけでございます。しかしながら、先ほど総理からお答えがございましたように、日韓の間において秘密協定があるとかなんとかいうことはございません。
  134. 山田太郎

    山田(太)委員 ぼくは日韓の間に秘密協定があると言うたことは一遍もないじゃないですか。総理はそれはありませんと、軍事協定ありませんと言われておる。だけれども、現実においてはユースオンリーであるんだということを言うているわけです。したがって、この点について米軍の了解を得られれば答えられるんだということだから、米軍の了解を得るまで待ちましょう。
  135. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 山田君に申し上げます。  軍事的の問題であって、アメリカの了解を得られれば発表できることでありますが、相当の時間がかかると思います。したがいまして、これは、もしそれが米軍で発表してもいいということであれば、何かの機会にそれを発表することもあるかもしれないし、あるいは発表できないときもあるかもしれない、したがって、これは理事会でよく協議をすることにいたしますが、それでよろしゅうございますか。理事会で検討いたします。米軍の了解を得られたときには理事会でひとつよく検討いたしまして、納得のできるような方法で申し上げます。
  136. 山田太郎

    山田(太)委員 では委員長の仰せでございますので、幸いにいま予算委員会に小委員会がつくられております。したがって、了解が得られるならは一これはわかりませんよ、しかし了解が得られるならば、この小委員会においてもやはり秘密小委員会もやろうと思えばやれることでありますので、その点をひとつ委員長からもう一遍お答え願っておきたい。
  137. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 理事会の了解を得て小委員会ができておりますから、小委員会で発表できることであれば発表するように善処をいたします。(山田(太)委員「秘密小委員会で……」と呼ぶ)その点は秘密小委員会になるかあるいはどうするか、返事が来た結果によってそういう処置をとります。
  138. 山田太郎

    山田(太)委員 先ほどから申し上げましたように、補正予算の大事な審議の委員会でございます。何もこの問題が大事でないという意味でありません。しかし、多くの国民がこの補正予算の結果を待ち望んでいらっしゃることは間違いない。そのためにやはり審議もしているわけです。したがって、予算委員会は何を審議されても構わぬわけですが、そういうために私も委員長のお話を、御意見を了といたしますが、やはりこの問題についての質問は、そういう意味から留保さしていただきたいと思います。
  139. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承知いたしました。
  140. 山田太郎

    山田(太)委員 では最後の締めくくりにひとつ総理に。――総理は安穏にお休みの様子でございます。大きい声は出しませんが、これはけしからぬことだと思います。やはり本当にいまの日本の事態を憂えるならば、こういうことが次々あってはならぬのですよ。そうでございましょう。ぼくはそれを総理に助け舟を出してあげたんだ。ところが総理は勘違いして答えちゃった。調査してきますまで待ってくれと言ってきたわけなんです。その点はおくとして、やはり居眠りなさるというのはお年かもしれませんが、よくないことだと思います、こんな大切な問題のときに。お疲れのときはゆっくりお休みになっても結構でございましょう。しかし、当予算委員会においてそれをなさってくれちゃ困りますね。  そこで、私はあえて総理に申し上げます。先ほどから申し上げますように、こういうことが次から次あってはならぬことです。したがって、日米ならば、ほかの国はなしにして、日米ならばいまの安保かあるのたから――基本的な考えは私とも安保に対しては違います。自民党とも違います。しかしいま現実にはあるのだから、したがって、日米ならばこれはやむを得ない面があるわけだから、やはり日米だけに現段階においては限るべきではなかろうかという点が一つ、それに対する御意見と、それからもう一つは、やはりシビリアンコントロールというものはしっかりしておいてもらいたいという点が二つと、それからもう一つは、国民を再び戦争に巻き込むおそれのないようにしていくためには、あらゆる手段、方法を使わなければならぬことは当然ではございますけれども、やはり巻き込まれるおそれがある危険なそういうことは、避けていくということが大切じゃなかろうかという趣旨から、以上三つ、その点についてお答えを願って質問を終わりたいと思います。
  141. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 第一番は、日米安保条約による日米の協力ですから、日米間のいろんな取り決めというものはいろいろあるわけでしょうが、それに限るべきである。  二点は、シビリアンコントロールというものは、これは当然に全般に通じてシビリアンコントロールが機能しておらなければならぬ、これは当然のことでございます。  戦争に巻き込むということは、もう山田委員も私も戦争に再び巻き込むようなことがあっては断じてならぬということ、どうしてそういう事態を防いでいくかということが政権を担当する者の一番頭を離れないことでございます。そういう事態は起こらないように絶対にしなければならぬ。こういうことで国民に強く責任を感じておる次第でございます。
  142. 山田太郎

    山田(太)委員 以上で私の質問は終わります。ただ、余りにも答弁に、ある面においては誠意がなかったと思います。問題が問題でもありました。その点は認めますが、しかしこんなに長くかかるはずじゃなかったわけです。したがって、問題をたくさん用意してある。国民生活防衛の問題もどんどん聞きたかった。それができなかったことは非常に残念でございますが、以上で質問を終わります。
  143. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 防衛庁当局にひとつ。ただいまの御注意の点はごもっともだと私感じておりますから、よく全体を把握しておいてもらいたいと思います。  これにて山田君の質疑は終了いたしました。  午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十四分開議
  144. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  145. 野間友一

    野間委員 最初に私は労働問題についてお聞きをしたいと思います。  戦後、すべての公務員を含めまして、労働者がストライキ権を含む労働基本権の保障をかち取ったわけであります。ところが、占領下、マッカーサーの一片の書簡、これによって公務員労働者からスト権を剥奪し、その状態が、さらに政令二〇一号、そしてまた国内法の体系の中に組み入れられる、こういう状況が今日なお続いておる、こういう現状であります。     〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 そこで、国際的にも、あるいは憲法の観点からも、このような違法な状態、違憲の状態がそのまま存置されておるということは、私は許されない、こう思うわけであります。その点について総理に、まず、公務員労働者のストライキ権、これらの問題について、早期に占領下の遺物から解放して公務員労働者のスト権を保障すべきである、こう考えますが、いかがでしょう。
  146. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この問題は、田中内閣以来の一つの懸案にもなっておりますから、政府はできるだけ今秋結論を出したい。しかし、いまは専門委員懇談会でいろいろ論議されて、それから閣僚協議会に来るわけで、その段階で党の意見もいろいろ徴して結論を出したいということでございますので、いろいろな方面の意見も聞きながら、いまのこの実態に即した冷静かつ合理的な結論を出したい、こう考えております。
  147. 野間友一

    野間委員 私はそういうことをお聞きしておるのじゃなくて、ストライキ権を剥奪された経過をずっと説明して、その中で、公務員労働者にスト権回復すべきであるという見地から総理に見解をお聞きしたわけですけれども、問題をそらせてしまわれました。  そこで、それじゃ具体的に、いまのお話に関連して聞きますけれども、総理、労働者に政府として、一つの側面は使用者としての側面があります。もう一つの側面としては行政庁、行政府としての側面があるわけですね。この二つの側面から労働者に対して、スト権についてはこの秋には結論を出す、こういうふうに約束をされておる。しかも、これは長谷川労働大臣も含めて、六月時点の国会答弁の中でも、秋には結論を出しますと、はっきり言われておるわけですね。ところが、本予算委員会におけるきのう、きょうの答弁を聞いておりますと、私は、後退した感じを受けておるわけですね。しかも、きのう、あるいはきょうの朝刊によりますと、自民党は、秋に結論を出すということについては見送る方針、こういうふうな見解を出しておる。これは松野政調会長の談話としてもありますけれども、非常に後退をしたという感じを免れないわけです。  そこで、お聞きしますけれども、これは自民党政府とは別ですから、政府は労働者に約束をし、また、国会を通じて、国会の中で正式に、秋に結論を出すと、明確に答えられておるわけですね。そこで、お聞きするのは、一体、きのう、きょうの答弁は私は後退したという印象を受けるわけですけれども、後退されたのか、あるいは従前のように、秋には結論を出しますという基本的な見解、このものについて変更はないと受けとめていいのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  148. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま、田中内閣以来のそういう約束を尊重したいと思って鋭意努力をしているわけで、御承知のように、今度の専門委員会懇談会もときどき開いて真剣に検討していること、おわかりのとおりでございますから、この秋をめどに結論を出したいということで努力をしておる政府姿勢には変更はございません。
  149. 野間友一

    野間委員 いま公労協の関係についての専門懇が開催されておるということを聞いておりますけれども、六月時点で、これははっきり労働大臣も、本年秋には政府結論を出したい。あるいは政府委員も同じように、いずれにいたしましてもこの問題につきまして秋をめどに結論を出すと、こういうことを言っておられるわけですね。総理のいまの答弁も、決してこの線の後退ではないというふうに言われたわけですけれども、私は、一日も早くすべての公務員労働者にスト権回復するという強い姿勢で臨まれるように強く要望して、この問題についてはこの程度にいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  私が次にお聞きするのは、いまの不況の中での中小企業の問題についてであります。  現在、中小企業者が七百三十万、そこで働く労働者が三千万、こういうふうに言われております。この中小業者とそこで働く労働者が、いま自民党政府の冷酷な仕打ちの中で大変深刻な事態に落とし込められておる、戦後最悪の事態が到来しておるということは明らかであります。  若干の数字を調べてみましても、たとえば、生産の面で言ってみますと、これは四十五年並みなんですね。一方大企業は、生産の面で言いますと四十七年の秋並みと、これは統計上明らかに出ております。しかも、この秋から暮れにかけてその経営は危機的な状況に直面して、従業員の解雇とか、あるいは休廃業、こういうものの多発という形で表面化するおそれがあるというのも事実であります。しかも、いままで一次、二次、三次というような不況対策をとってまいりましたが、これも金融面では一定の影響はあったかもわかりませんが、しかしながら実需を伸ばしていくことには結びついていない、このこともまた明らかであります。  さらに深刻なのは、業者の見通し、これについて生産あるいは売り上げの予測について言いますと、減少予測が三四%、そして横ばいを予測したものが四〇・二%、これを合わしますと七四・二%ですね、三分の二の人たちが、見通しが横ばいかさらに悪化するというふうに言っておるわけです。こういう認識を総理は持っておられるのかどうか。  総理は、七十四国会、昨年の暮れの国会で、中小企業に対してはきめの細かい政策をとっていくんだと、こういうことを言われました。しかし、そういうことを国民に約束されながら、いま申し上げたように実態はこういうものなんですね。しかもこれは私が勝手につくり上げたものじゃなくて、通産省が九月五日に主要企業と中小企業の動向というようなものをまとめた、この中を私は引用して読み上げただけであります。そういう点から考えますと、きめの細かい政策をするという約束をしながら、実際にはこんなに深刻な事態に落とし込められておる。一体総理は、これについてどのような責任をお感じになるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  150. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 企業が、中小企業に限らず一般的に、不況のもとに大変な営業不振の状態にあることは事実であります。中小企業のためにも、どうしてもやはり景気を回復しなければ、これは中小企業が安定をしないわけで、金融面では、政府は今回の景気対策の中にも、約五千億円近い中小企業の融資の枠を広げたり、常に中小企業に対する配慮を加えておるわけです。  また中小企業の官公需に対しても、いままで四十八年二七・七%、四十九年が三〇・三%、今年の目標は三二・九%と、だんだんと中小企業のシェアというものを拡大するように努力をしてきておるし、また景気対策の場合を考えてみても、業種別、地域別にきめ細かいというのは、たとえばある地域では親企業が非常に経営がふるわない、そういうので、たとえば造船なら造船、その下請というものが非常に困っておる。こういうものに対して、一般的な景気対策ばかりでなしに、地域別あるいは業種別にも通産省を中心としてきめの細かい配慮をいたしておるわけで、中小企業というものが安定しないと日本の経済の安定はありませんから、いろんな点からいって、よその国よりも違った、中小企業というものが、雇用の面からいっても、生産の面からいっても、大きいウェートを日本は持っておるわけです。そういう点で配慮をいたしておるわけですが、何分経済全体がこういう不振な状態でありまして、ややもすれば弱い立場にある中小企業が打撃を受けやすい。こういう点で、どうしても早く景気を回復しなければ根本的には解決しないということで、国会に対しても、補正予算、関連法案の御審議の促進方をお願いをしておる次第でございます。
  151. 野間友一

    野間委員 私が聞いたのは、あなたは七十四国会の施政方針の中で、中小企業などの弱い立場にあるものの動向については注目して、それに対する対策をきめ細かくやっていきたい、こう言っておるわけですね。ところが、冒頭に申し上げたように、実際の中小企業の実態というものは、本当に想像を絶する深刻な事態なんですね。ですから、これからの問題についてまた聞きますけれども、去年の暮れからずっと今日まで同じような状態が続いて、塗炭の苦しみにあえいでおる、これについてどのように責任をおとりになるのかということをお聞きしたわけです。これに対する反省も、私はいま総理答弁から全く受けとめることはできませんでした。  そこで、先ほど触れられた不況対策あるいは補正予算についてお聞きしますけれども、わが党の青柳議員が、今国会の中で、第四次の不況対策は、本四架橋あるいは新幹線と、相変わらず大企業本位あるいは産業本位というものでないかということを指摘いたしました。これについては福田総理が、生活関連に重点を置いたものであるというふうに反論もされております。  私はその点については、そうではない、納得できない、こう思うわけでありますけれども、それはしばらくおくとして、ここで聞きたいのは第四次の不況対策ですが、これで公共事業を起こすことによって、中小企業、あるいはそこで働く労働者に本当に効果がいくのかどうか。それとも、大企業だけに効果がいって、中小零細企業、あるいはそこで働く労働者、ここには効果がいかないのではないかということが非常に大きな問題であると思うのです。要するに、この公共事業をどの立場に立って行うか、具体的にこれが弱いところにいくような保証をする手だてがあるのかないのか、こういうことだろうと思うのです。  日銀の統計、これは調査月報ですけれども、あるいはその他のここに新聞の切り抜きもございますけれども、森永日銀総裁とか、あるいは経団連の関係等の発言を見ましても、この不況の中で大企業は耐久力があるんだ、こういうことをみずから言っておるのですね。いままでの蓄積があるからしんぼうできるし耐えることができるんだと、代表的な財界の人も発言しておるわけです。ですから、いま総理は言われたけれども、今度の四次の不況対策、これは、三次までは効果がないということは政府の資料でも認めておるわけですけれども、今度の不況対策、これが具体的に本当に中小企業にいくという、こういう保証があるのかないのか、ひとつその点についてまずお聞かせ願いたいと思うのです。
  152. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今回の景気対策におきましては、まず一番中心は住宅なんです。それに住宅関連というので下水道、上水道、それから道路、治山治水、そういうものを加えておるわけでありますが、例外的に、いわゆる新幹線、そういうもの、それから高速道路、これもやることにいたしております。  そこで問題は、中小企業にそれらの事業の配分がどういうふうにいくかということでありますが、政府は、一次、二次、三次とも、事業を執行する場合には中小企業になるべくチャンスが与えられるようにということを念願しておるわけです。そこで、三〇%は中小企業のシェアとしょうという目標を立ててやってまいりましたが、実績は三〇%をやや超える、こういう状態のようです。今回のものにつきましても、大規模プロジェクトなんというのはごくわずかでございますから、中小企業にいく機会というものは、いままでよりは多くなし得るかと思うのです。行政執行上できる限りそういう方向で善処をし配意したい、こういうふうに考えます。
  153. 野間友一

    野間委員 今度の不況対策のウエートが、産業基盤にウエートがあるのか、あるいは生活基盤にウエートがあるのかということについては見解を異にするわけですけれども、副総理がいま言われた生活基盤の整備、しかも中小企業に仕事をと、こういうことを仮に前提にした場合に、私が聞いておるのは、具体的に本当に中小企業に仕事を回せるというような保証、段取り、手だて、こういうものがあるのかないのか、これは重要だと思うのです。たとえ生活基盤の整備ということでそこに公共事業を起こしたところで、これを大企業が全部とっていく、あとはそのおこぼれだけを中小企業がちょうだいする、こういうことになれば、何をしておるかわからぬ、こういうことになるわけです。したがって、具体的にその段取り、手だて、こういうものをどのように考えておられるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  154. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど来御説明があったわけでありますが、今度の補正予算におきましても、できるだけ中小企業向けの仕事がふえるように配慮をしていかなければならぬわけでありますが、これは、仕事が細目決定いたしました段階におきまして、従前各省に中小企業庁からお願いをしておりましたと同じような方法で、できるだけその実現を期していきたい、こういうように考えております。
  155. 野間友一

    野間委員 どうも具体的な手だて、段取り、これについて聞きますと、いま答弁もありましたけれども、従前と同じようにというような答弁しか返ってこないわけですね。私はやはり具体的に、本当に段取り、手だてを考えずに、生活基盤だからこれは中小企業にいくであろうというようなこと。しかも、いまの段取りについて聞きましても、従前のとおりだ、従前のような方法で、こういうことしか返ってこないわけですね。これは一向に前進していない、こう言わざるを得ないと思うのです。総理、具体的な手だて、段取り、これは当然とるべきじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  156. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 具体的にいろいろ手配をしておりますので、その手配の具体的な内容は長官から説明をさせます。
  157. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 今度の補正予算につきまして、特に公共事業関係を中小企業の方になるべく回すようにという点でございますが、今月の十三日に各省の担当官会議を開催いたしまして、今度の補正予算につきまして、極力中小企業に回していただくように、分割発注あるいは共同受注、こういうものをいろいろ活用していただくように、中小企業庁から各省にお願いをいたしたところでございます。  特に、今度の公共事業につきましては、そのうちの約半分が地方に対する補助事業ということになっておりまして、従来の実績で見ますと、地方が行います事業の場合には小口の事業が多うございますので、昨年度の実績でも大体六十数%が中小企業に回ったという実績が、これは抜き取りでございますが、出ておりまして、そういう意味でも、今回の公共事業につきましては、相当中小企業に回るものというように期待をいたしておるところでございます。
  158. 野間友一

    野間委員 その十月十三日のやつは知っておりますけれども、結局従前の方法しかとっていない、ここに問題があると思うのです。  そこで、この官公需――公共事業はそうでありますから、官公需の発注についてのいろいろな問題について若干の質問を申し上げたいと思います。  この点について、わが党は一貫して、中小企業に五〇%以上を義務づけるということを提起して、すでに国会の中でも、そういう中身を持った官公需法の改正、こういうものを出しておるということについては御承知のとおりであります。そこで、この関連でお聞きしますけれども、政府は、五〇%までは努力するけれども、まあせいぜい努力していまは三二・九%、これは五十年度の目標ですが、これが精いっぱいだ、こういう答弁が返ってくるわけですね。この三二・九%というのは、これ以上はちょっと無理だ、精いっぱい努力したということは、確信を持って言えるのかどうか、この点どうでしょう。
  159. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 四十九年度の目標は、御案内のように三〇%を切っておりましたけれども、不況の現状にかんがみまして、各省にお願いいたしまして、三〇%をようやく超えるというところまで持っていったわけでございますが、本年は、いま数字をお述べになりましたが、三二・九%ということを目標にいたしております。これは、政府の仕事はその性質上、中小企業に回せる分野が比較的少ないわけなんです。府県などの仕事はそれが非常に多いものですから、府県によっては七割あるいはそれ以上というところもあるのですけれども、政府の場合はなかなかそうはいきませんので、三三%ということをいま目標にしておりますが、今後とも、中小企業の力がつき、さらにまた技術が進歩する、そういうふうなことがだんだん実現していくと思いますが、それに応じましてだんだんとシェアをふやしていきたい、こう思っております。
  160. 野間友一

    野間委員 いまの時点では三二・九%という目標、これは最大のものであるというふうに理解してよろしいですか。
  161. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりでございます。
  162. 野間友一

    野間委員 そういう答弁が返ってきたので、一、二具体的にお聞きしたいと思いますけれども、まず大蔵省ですけれども、これはいろいろと大蔵省当局に話を聞いたわけですけれども、本省分で言いますと、四十九年度の実績が四四・九%、五十年度が四五%、こう変わらないわけですね。その四五%の根拠、これを聞きますと、四十九年度の実績に予算の増加分をプラスした配分だ、四十九年度の実績をそのまま五十年度目標にした、こういう答弁が返ってくるのです。これは会計課の役人の話であります。名前は避けます。  そこで、それでは、法律とかあるいは閣議決定が何度もなされておりますけれども、この方針と違うじゃないかというふうに詰めて聞いたわけですね。そうしますと、それじゃ四五%だから五〇%ぐらいにしたい、こう言うわけです。では、具体的にどのように五十年度の四五%の目標を五〇%にするのか、こう言いますと黙ってしまう、こういう始末なんですね。つまり四十九年度の実績をそのままスライドさせる、これが大蔵省のとった五十年度の目標を決めるこの問題なんです。こういう状態で果たして本当に官公需を中小企業に回すという姿勢があるのかないのか、これは明らかに出ておると思うのですね。しかも、いろいろ詰めて大蔵省の役人に聞きますと、大蔵省の名前を出して予算委員会が取り上げるのは勘弁してくれ、こういう答弁が返ってくるのです。  冒頭にも申し上げたけれども、本当に塗炭の苦しみにあえいでいる中小企業に対して、少しでも多く仕事をつけてやる。先ほど通産大臣は、現時点ではこれで精いっぱいだ、政府は地方自治体と違うんだ、こういう答弁がありました。しかし、いま申し上げたように、大蔵省で聞いただけでも全く努力の跡が見られない。これは事実なんです。大蔵大臣、もっていかんとなさいますか。姿勢です。
  163. 大平正芳

    大平国務大臣 中小企業に対しまする発注の確保につきまして、私ども鋭意努力しなければならぬことは仰せのとおりでございます。大蔵省におきましても、ひとり本省ばかりでなく、地方部局、それから開銀、輸銀、公庫等を通じまして、発注の確保に努力いたしておるところでございまして、四十九年度全体といたしまして、四一%の実績が見られておるわけでございます。四十七年度は三九・七%ですが、四十八年度の四一・六%に比べまして、四十八年度から若干低位になっておりますことは、大変残念でございまして、今後一層努力いたしたいと思います。
  164. 野間友一

    野間委員 そういう割合とかいろいろな問題についての前に私お聞きしたいのは、いま申し上げたように姿勢の問題ですよ。単に四十九年度をスライドしただけだ。これで努力があると言えるかどうか。いま通産大臣は、これはもう現在では最高だ、こう言われた。ところが、実際、大蔵省本省分だけでも、聞きますとスライドしただけだ。こういう姿勢で本当にいいのかどうか、こういうことなんです。努力の跡が見られないということなんです。  次に、官公需の特定品目について少しお聞きしたいと思います。通産大臣、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思いますけれども、官公需の特定品目というのがありますね。外衣、下着とか、あるいは繊維、あるいは機械すき和紙、その他幾つかありますね。こういうものについては、中小企業に特別にということで特定品目として決められた、こういうわけですね。ところが、ずっといろいろ調べてみますと、驚いたことには、その中小企業に発注をするという特定品目として決めたもの、この中で大企業に対する発注が異常に多い。これまた事実なんです。つまり、閣議でも決めた特定品目、中小企業にこれを発注しよう、こういう方針を決めながら、実際にはこれとは全く逆である。これは事実なんですね。  そこで、具体的にお伺いしますと、外衣あるいは下着類の問題、これは建設や厚生等々、ずっと調べてみましたら、たとえば建設省は、特定品目である外衣、下着類について七〇・五%が大企業に発注されておる、これが実態なんです。これは特定品目で決めた以上、しかもこれは努力すればできる。ほかの省庁で中小企業に対する比率の高いところもありますけれども、建設省では外衣、下着類で七〇・五%が大企業だ、こういうのが実態ですけれども、これはけしからぬと思うんですね。これをぜひ中小企業に回すというふうにすべきだと思うけれども、その点についてどうでしょう。
  165. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 特定品目と申しますのは、いま先生御指摘のような外衣類、あるいは家具とか機械すき私紙、印刷の関係、潤滑油といったような中小企業が受注しやすい品目を特定いたしまして、こういう品目につきましては、発注計画を事前に、中小企業団体中央会等の機関を通じまして、中小企業者に流しましてこの入札等に参加しやすくする、こういうことで中小企業の受注をふやすようにいたしておるわけでございます。  たとえば、家具について見ますと、四十九年度中小企業向けに五四%が出ておりますし、印刷は八七%が中小企業向けに回っております。  ただいま御指摘の外衣につきましては、四十九年度の実績は一三%でございまして、確かに比率が少ないのでございますが、大量の制服等の発注の場合には、中小企業の場合には、規格外のものが受注されましたりした場合に、その賠償の問題等もございまして、非常に大量の場合には大企業に発注される、そういう例も見られるわけでございますけれども、中小企業庁としましては、さらに中小企業向けをふやしていただくように各省庁にお願いをいたしているところでございます。
  166. 野間友一

    野間委員 具体的に言いますが、建設省は、七〇・五%、これを大企業に発注しておる。これは改善する余地があるのかないのか。簡単に一言でいいですからお答えください。
  167. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 従来はそういうようになっておったようですが、五十年度から全額中小企業から購入する、こういう方針で進めております。
  168. 野間友一

    野間委員 全額五十年度から中小企業に発注する、こういうことですね。これは実際まだ発注してないのです、聞いたら。詰めてやるとすぐぼろが出るわけです。  それでは厚生省にお聞きします。また厚生省がひどいのだ。九八・八五%、これは外衣、下着類ですが、これを大企業に発注しておるわけです。これは全くけしからぬ話です。具体的に一、二聞きますと、たとえば国立病院の白衣があります。これは特会で年間十五万着ですね。それから一般会計の分として検疫官の制服があります。これらについてどこから購入しておるのか、具体的にひとつお答え願いたいと思います。
  169. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 御質問の外衣につきましては、四十九年度分につきましては西武から購入いたしております。
  170. 野間友一

    野間委員 総理、お聞きのとおり西武百貨店から購入しておるのです。西武百貨店は大企業です。特定品目に指定しながら、しかも九八%以上を大企業から買うておる。この事実は一体どうなんでしょうか。なぜこんなに大企業から買っておるか。この十五万着の国立病院の白衣についてなぜ中小企業に発注しないのか。これは聞きますと、十五万着あって二十種類ある、三十三社が応札してそのうちの九社が中小企業であった。こういう話も聞きました。しかし、少なくとも、その結果西武が落としたとしても、たとえば十五万着を分割する。分割発注は政府方針なんです。閣議決定の中には出ている。分割をして、中小企業に注文をする、これは閣議決定の方針じゃありませんか。これは是正できませんか、厚生大臣。
  171. 田中正巳

    田中国務大臣 この問題について先ごろ質問がございまして、わが省では六〇%程度というマクロの数字を私は聞いておったわけですが、しさいに調べてみると、先生御指摘のような問題があります。これについては、率直に申して、私、気がつきませんでしたから、今後ひとつ厳重に、督促をいたしまして、できるだけその方向に進めて改善をいたす所存でございます。
  172. 野間友一

    野間委員 総理大臣、通産大臣はみえを切られますけれども、こういうことなんです。  特定品目はこれで一応終わりまして、さらに、庁舎の管理等、あるいは清掃ですね、これを聞きたいと思います。  本来、庁舎の清掃や管理については、本来の各省庁の任務である、私はこう思うのです。これを外に出すということ自体について、私はこれは納得できないわけです。ただ、それはしばらくおくとして、問題はこの庁舎の清掃、管理ですね、これらを一体どこに発注しておるのか、こういうことなんです。  通産省にまず聞きますけれども、これは大企業に発注しておるのか、あるいは中小企業に発注しておるのか、いかがですか。一言で結構です。
  173. 濃野滋

    ○濃野政府委員 資本金一億五千万円、約二千人を抱えましたいわゆる大企業に発注しております。
  174. 野間友一

    野間委員 議員会館も中小企業なんですね。それから聞くと厚生省も中小企業でやらしておるという。通産大臣、どうでしょうか。これは中小企業にどうしてやらせないのです。あなたのところは元締めでしょう、官公需の。いかがですか。
  175. 濃野滋

    ○濃野政府委員 私どもの現在の状況を御説明いたしますと、庁舎を分割をいたしまして発注をいたしますには、作業の上でいろいろ問題があるということ。それから第二に、やはり事故が起こりましたときのいろいろな補償等を考えまして……(野間委員結論だけ」と呼ぶ一指名競争入札にいたしておりますので、結果といたしまして、ただいま申し上げたような結果になっておるわけでございます。
  176. 野間友一

    野間委員 私が聞いておるのは、大企業でなくして中小企業にかえるかどうか、こういうことです。ほかの省庁で、あなたが言うならまた問題を出しますけれども、中小企業でりっぱにやっておるところがあるのです。いかがです。
  177. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいまのような御指摘もございますので、今後中小企業者へも競争の参加可能性がありますようなことを、ひとつそういう方向で努力をしてみたいと思っております。
  178. 野間友一

    野間委員 次に、工事についてお聞きします。  これは土木、建築の関係です。建設省にまずお聞きしますけれども、建設省はかなり仕事は多いわけですね。公共事業というものの中で占めるウェートが非常に高いわけですけれども、いろいろ調べてみますと、本省よりも、地方建設局あるいは工事事務所、ここの事業が圧倒的に多いわけですね。ところが、これは閣議決定にもあるわけですが、たとえば地方の支分局ですね、こういうところの契約限度額を引き上げるように努力せいというのが一貫してなされておるわけです。ところが、その工事事務所の契約限度額ですね、これは現在三千万なんです。これはそのとおり間違いないのかどうか、いかがですか。
  179. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 地建の出先の事務所の契約額は三千万円でございます。
  180. 野間友一

    野間委員 これはしかも四十六年からずっと据え置きなんです、総理。諸資材の高騰や人件費のアップがあるのにこれは四十六年から三千万の契約限度額がそのまま据え置きなんですよね。これはどうなんでしょうかね。三千万といいますと、普通の民間の家でもそうでしょう。これだけしか工事事務所では権限がない。そうすると、これ以上はどこへいくかといいますと、地建の方ですね、地方建設局。だから、地元の中小企業者に仕事の発注、注文ができない、こういう障害がずいぶん出ております。この三千万の限度額、これは閣議決定にもありますけれども、これを引き上げるというふうにすべきだと思いますが、どうですか。
  181. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 結論を申し上げますと、引き上げるつもりで検討いたします。ただ、三千万だからといって中小業者が全く指名参加ができないということをしておりません。私どもは、中小業者を絶対の至上命題として優遇せよということの指令を出してやらしておるつもりでありますから、そういう意味では努力をしておりますが、三千万は現在の時点では検討せなければならぬ額だというふうに考えておりまして、検討いたしたいと存じます。
  182. 野間友一

    野間委員 いいかげんな答弁かどうかわからぬけれども、いまここで約束されたわけだから、これはぜひ守ってほしいと思います。  建設省の本省の直轄分を調べましても、工事について、中小企業関係は三七・七%、これは非常に低いわけですね。この原因はそこにあるわけです。
  183. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 ちょっと御説明さしてもらいますと、中小企業者の優遇というのは、われわれいま絶対の至上命題でやっておりまして、できるだけ工事も分割してやれ、それから大業者の場合でも中小業者を組み合わしたいわゆるジョイント方式でやれといったようなこと、特に地元業者を最優先せよということでやっておりまして、そういう方向で私どもは改善されておると思っておりますが、おっしゃるように、四十九年度の直轄の実績は四〇・四%であります。公団は二二・五%でありますが、五十年度の目標は、さらに直轄を四三・三%、公団を二三・六%の目標で進めておりまして、この目標はぜひ果たしたいと思っておりますし、果たせると思っておるわけであります。ただ、直轄とか公団は事業の規模が非常に大きいものですから、そういう意味で比較的中小業者の参加する機会が少なかったのであります。ただし、補助事業につきましては、もうほとんど中小業者を参加させるようにしまして、四十九年度実績にしましても六七・一%までは中小業者が占めておるわけでありまして、そういう意味では、中小業者の優遇を私どもは全面的に努力をいたしておると思っておりますし、さらに今後は御期待に沿えるように努力をいたしてまいります。
  184. 野間友一

    野間委員 これは個別に、いま特定品目あるいは役務、工事、この三つの分類についてその二、三の例を私はここで挙げました。検討する、改善すると皆言っていますね。通産大臣は、これが最高だ、こう言っておる。これは事実と違うわけですね。  そこで私は、いまの特に不況の中での中小企業をどう救済するかという点から、これは抜本的にやはり改善する必要があるんだ。先ほど四次不況対策の関係でも申し上げましたけれども、いままでのようなしきたりでは、こういうような問題が解決できないわけです。これは改善されますか、総理
  185. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 昭和四十一年の官公需の中小企業受注確保に関する法律というのは、私が通産大臣のときにつくって、国会の御承認を得た法律で、せめて五〇%ぐらいは持っていきたいということでああいう立法を手がけたわけでございますから、いまの中小企業に対して限度があっても、工事を分割なんかしましたら、そうすればやはり中小企業に対しても回っていくわけで、こういう一般に経済活動が不振なときですから、中小企業のみならず皆やはり仕事が減っておるわけですね、全般的に。そういう点で、中小企業もやはり同じような影響を受けるんですが、これはやはり毎年三、四%ずつは上がっていっておるわけですが、これでは五〇%には相当時間もかかるわけです。もう少し中小企業に対する受注の割合というものを政府部内においても高めるような努力はしなければならぬ、いたしたいと考えておるわけであります。
  186. 野間友一

    野間委員 私、聞いておるのは、高める努力のその具体的な中身を聞いておるわけです。いまちょっと私が調べただけでもこういうものが出てきたわけです。したがって、いままでのようなやり方じゃだめだということを申し上げておるわけですね。これは改善する余地があるのかないのか。総理として、あなたがきめの細かい政策をするというふうに言われる以上、いまのような問題を取り上げて改善の方向で検討する必要があるんじゃないか、こういうことですが……。
  187. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは各省において工夫をすれば、私はやはりもう少し受注率を上げていかれる。皆それぞれの各省によって事情が違いますが、それはやはり今後政府としては、いろんな工夫をこらして中小企業の受注率というものを高めるような努力をいたします。
  188. 野間友一

    野間委員 問題はその具体的な手はずなんです。そこで、関連して聞きますけれども、いまこの官公需の問題について、どのように、どこで集約して、どこで数字を出すのか、割合を出すのかということなんですね。これは中小企業の官公需協議会、これがあります。これは各省庁の中小企業官公需の担当官、これが集まって協議をする、こういう形になって、それを受けて閣議決定、こういう手続になっておるわけですね。この手続そのものは、これはそのとおりだと思いますけれども、まずその点だけ確認しておきたいと思います。そうであるのかどうか、それだけです。
  189. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 官公需確保法に基づきまして、毎年その年の予算中小企業向けの発注方針につきまして閣議決定をすることになっております。そのために、中小企業庁が主宰をいたしまして、各省庁の官公需担当官を集めまして、各省の方針等を協議いたしまして、それをまとめまして閣議決定をいたしております。
  190. 野間友一

    野間委員 これが実際、形骸化しておるわけですね。私も、幾つかその担当官に当たってみました。また、中小企業庁も当たってみました。ところが、年に二度しか開かれていないということ。つまり、政府方針を決める前に全部持ち寄りなさい、そこでそろばんをはじく、それからその翌年度の目標を決める、これは第四・四半期にやるわけですね。この二度しかやられていない。しかもこれは全く中身が形骸化されておる。こういう中で問題が出てきておるわけですね。これは担当官に聞いたらそうなんです。  そこで私は提起したいと思うのですけれども、これはやはり四半期ごとにも、この中小企業に対する仕事の発注状況、その進捗状況、こういうものを常に検討しながらその進捗状況を公表していく。そういうプッシュがなければ、なかなかいいことを言っても具体的には効果は上がらない。確かに、パーセントが下がるのじゃなくて上がっておる事実は、私は認めますけれども。だから総点検して、決めた方針は公表されたり、実績もこれは公表されますね。これを年に一度でなくて、やはり四半期ごとにも区切って進捗状況を調べて、問題はどこにあるのか、隘路はどこにあるのかというようなことを突き詰めて、そうして可及的に官公需の仕事を回していくという方向で私はこの制度を改善すべきである、こう思うのですけれども、これは通産大臣、いかがです。
  191. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど来申しておりますように、一昨年に比べて昨年は約一割増加したわけですし、ことしはさらにまた一割、こういう順を追って増加をしておるわけでございますが、御指摘もございましたので、いまお話のありましたいろいろな点で改善できるところは改善をしていきたい、こう思います。
  192. 野間友一

    野間委員 この改善の中身として具体的に提起しました。こういう方向でぜひ改善していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  193. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 昨年度につきましては、十二月末で一遍途中の実績を全部集計をいたしまして、その結果に基づきまして各省反省会をいたしまして、さらに御努力を願うように各省にお願いをした次第でございます。  今年度につきましては、一応九月末での上半期の実績をまとめるということで現在作業中でございますが、何しろ契約件数が六百万件ぐらいに上りますし、事業所数も三万カ所ぐらいに上っておりますので、大変に手間のかかる仕事でございまして、一応半年、半年で結果を見ましてさらに改善をいたす、こういうふうにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 野間友一

    野間委員 非常に不十分で、私は少なくとも四半期ごとにということを強く要求して、まあ通産大臣、それについて検討するという話でありましたから、さらにこれは詰めてやっていきたいと思います。  関連して建設省に聞きますけれども、事業協同組合の活用の問題です。これは、官公需法も組合を活用せいというふうになっておりますし、また、閣議の決定の中でもこの活用が出ております。ところが、どうも建築については、建設省は四十八年まではこの事業協同組合を活用していない。これまた事実ですね。これは閣議決定して、その中でも事業協同組合の活用というのが言われておるわけですけれども、これは建設省が非常に怠慢なんです。四十一年にこういうものができながら四十八年まで全くネグっておった。これは事実です。しかも、その次官通達等見ましても、事業協同組合の活用というものは全く入ってないわけですね。  事業協同組合の活用、これは中小の零細企業が、先ほど共同受注の問題がありましたけれども、一人一人の業者ではなかなか困難だということで、事業協同組合をつくって、そこで受けていくという制度ですね。こういう方針を決めながら、建設省は全く具体的にはこういう手だてをしてこなかった。これはもうけしからぬと思うのですね。だから、これについて私は、もう少なくともいまの時点で次官通達を直ちに流して、そして末端まで行政指導で事業協同組合を活用し、また事業協同組合を育てていく、こういう姿勢に立たなければならぬ、こう思うのですけれども、どうでしょう。
  195. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 中小企業育成ということで、共同化の問題とか事業協同組合の育成の問題は、われわれも積極的に考えておるわけですよ。ただ、御理解を願いたいのは、この組合というものが、加入、脱退が自由であるということ、組合員の責任が資金を限度とした有限責任であるといったこと。その組合員自体の一人一人が建設業者なんです。それが一つになって一つの事業をやろうというところにいろいろな問題点がありまして、みずからがそういう体制になりかねるところがありまして、私ども、でき得ることなれば事業協同組合を強化して、そういう組織も十分に整備されたものになってもらうこと、そしてそれが要望があれば、私どもはこれに発注することは決してやぶさかでございません。これははっきり申し上げておきたいと思うのであります。  ただ、事業協同組合を健全に、いわゆる受注体制のできるように育てていくということに、われわれの足らなかったところがあるかもしれません。そういうふうな意味において、この間新設の建設業振興基金もできましたし、そういうふうなものによって今後の事業協同組合の組織を十分に強化をいたしまして、そして受注の資格ができ、それだけの意欲が出てくれば、われわれはそれに応ずることにやぶさかではございません。この点だけははっきり申し上げておきます。
  196. 野間友一

    野間委員 もう少し具体的に聞いておるのは、次官通達を出して流しましたね。これが末端に行きますと組合は対象外だということなんです。これは具体的に入札したかどうかという問題でなくて、門前払いを食わされるところに問題があるわけですね。そこで、少なくともここに門戸を開いて、事業協同組合から申し入れがあった場合には、これはやはり優先的に扱う、こういうのを使うことを促進するとか、そういう方向でやる必要があるのじゃないかということなんです。
  197. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 通達も出しましょう。このことはもう協同組合の人々はよく知っておると思っておるわけでありますけれども、さきに言ったようないろいろ事情があって進んでいないことは事実でありまして、そういう通達も出して、そして強力に組織の強化もしてもらって、そして御希望があれば、それだけの受注資格ができれば、必ずそれにこたえるということに今後努力をいたしてまいります。お約束をいたします。
  198. 野間友一

    野間委員 それじゃ、これはこれ以上詰めはいたしませんけれども、実際受けておるところでもEランクなんですね、これは本当に切実な問題なんです。官公需、四次不況対策を言われますけれども、この具体的な手だてがなければどうしようもないのです。そこで聞いておるわけですね。しかも、これは政府方針と違うわけですから、もっとこれはやはり指導を強めるというのはあたりまえな話なんですね。  しかもこれは、事業協同組合の登録を受け付けておるところでも、ランクがEなんですね。これはけしからぬ。そこの組合員が、個々をとりますとBランク、Cランク、これはずいぶんあるわけですね。ところが全体としては実績がないということでEランクに指定される。これは一千万以下ですね。全然これらの効果というか、機能が発揮できない。至急にこのランクの問題についても改めて、ぜひ活用すべしということを重ねて申し上げて、次の質問に進みたいと思うのです。  先ほどから申し上げておりますとおり、一つは、官公需をふやすためにいまの制度ではだめだ、いまのような形だけの協議会で、それぞれ各省庁の担当官が持ち寄って、それを単に集計するような協議会ではだめだ。これをもっと実りのある、実効性のあるものにするためには、やはり四半期ごとに皆集めて、そして問題はどこにあるのか、隘路はどこにあるのか。私がここで指摘しただけでも幾つかのものが出てきたわけですね。そういう問題を詰めて、そしてこれをふやすために努力をするというのが法の趣旨であり、政府方針でなければならぬ、こう思うわけですね。ところがこれがネグられておった。そういう点については、四半期ごとにまとめてこれを公表して、さらに隘路を研究して、これをさらにふやすような方向で検討を進めていくというようなこと。それからもう一つは、いま申し上げた事業協同組合に対する受注の問題ですね。これは、あちこち行きますけれども、非常に皆関心と期待と怒りを持っておるのです。電電公社やらあるいは警察方などでは、このいわゆる通産省からの官公需の適格組合、こういう資格を持ちまして、自分に入札に参加させてくれというふうに行きましても、窓口で、いや自分のところは組合を対象としていないとか、あるいは全くそんなものがあるかないかわからないというような、こういう無理解な態度を示しているということなんですね。これは中小企業等協同組合法でも、こういう共同化、協業化を進めるためのこういうものを重視しておりますし、また、官公需を特に土木、建築について言いますと、これを本当に中小企業に発注するためには、これが最もと申しますか、非常に私はいい手だてだと思うのですね。建設省も、いま言いましたけれども、四十八年までは全くネグっておる。四十八年からはやっと受付を開始しつつありますけれども、しかし受注は実績ゼロです。だからこういう点の改善ですね、これも含めてやらなければならない。  これを要約して言いますと、幾つかやはり問題があるわけです。伸ばすための手だてと、それから具体的にどのようなことで伸ばしていくか、確実に中小企業に仕事を保障していくかということですね。この点について、本当にきめの細かい政治をやる、中小企業に対して心配をかけないとおっしゃるなら、やはりいま幾つか出てきた問題についても、ぜひ改善するような検討をすべきである、こう思うのです。  そこで改善の中身になりますけれども、私はひとつこれまた提起したいと思うのですけれども、いまの四半期ことの公表と同時に一いまの不況は単に、仕事の確保、あるいは金融の面、あるいは雇用不安とか、それぞれが個別独立した問題ではないと思うのです。全部これは連動しておるものなんですね。ですから、これらの問題については、私は、内閣あるいは政府の中に、この不況の対策本部、こういうものを設けて総合的に、仕事から金融から、あるいは雇用の問題から、そういうものを論ずるような、あるいは適切に手だてをとるというような施策がとられてしかるべきだ、こういうふうに提起をするわけですけれども、これは総理いかがですか。
  199. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 最初に私も申したように、中小企業なんかの場合は、地域的にも業種別にもきめの細かい手を打たなければならないので、これは主として通産省の地方の通産局を中心にしてやらしておるわけで、やはりその方が中央に機構をつくるというよりも、実態をよく知っておるそういうものが取り扱ってやる方が私は実際的だと思う。このいままでやっておる方式、言われるとおり金融も雇用もあるいは受注も、これは相互に関連性があることは野間君の言うとおりですから、そういう実態を常に把握しておる地方の通産局が中心になってやらしたい。また中小企業の受注の問題は、中小企業庁が私はいいと思う。何かやはり責任官庁があって、そして、野間君四半期ごとと言うのですけれども、いま中小企業庁長官がいろいろ説明したように、これは大変な仕事でありますから、半期ごとに、一体どういう状態になっておるか、どういうところにネックがあるかということで、受注率を高めるような努力をするような指示をいたしていきたいということでございます。
  200. 野間友一

    野間委員 結局、私が具体的に提起した問題についてお答えにならない。つまり、公表の問題から対策面の問題から、こういう手だてをして本当に段取りがなければやはりだめなんですよ。風が吹けばおけ屋がもうかる式に、これは生活基盤に仕事を起こせば中小企業が潤うんだというような従来の発想ですよ。これじゃとうていだめなんですよ。それをぼくは具体的な事実を挙げて改善の方向を提起したわけです。ところが、その方向に従って検討するということは言われますけれども、具体的にこれを取り上げてそうするということはなかなか言われない。これはぜひそういう見地で取り上げなければ、総論では耳ざわりのよいことを言われても、なかなか実際には効果がないし、白々しくしか聞こえないということになるだけの話だと私は思うのです。それについて、ぜひ私が提起した問題をまじめにひとつ考えていただきたい、このことを要望して次の質問に移りたいと思います。  次に労働関係について、少し民間日雇い労働者の問題についてお話をお伺いしたいと思います。  きょう実は私たち日本共産党中央委員会が労働大臣あてに、この雇用失業の緊急対策についての申し入れをいたしました。いまとりわけ深刻なのは民間の日雇い労働者の問題なんです。これは、東京都の労働課の調査の統計等もありますけれども、一カ月に三日とか四日、これしか就労することができない。こういう人たちがいま東京だけで七千人近くいる。民間日雇い労働者の数が全国で、実数はつかめませんけれども、大体七万とも十万とも言われているわけです。これらの不況の中で最もしわ寄せを受けた民間日雇い労働者、これをどうするのかということは緊急を要するわけです。しかも月の就労日数が三日ないしは四日。それは中には十五日とか六日というのもございますけれども、しかし深刻な事態は変わりありません。しかも九月までは、東京都が独自に事業を起こしまして、こういう民間の日雇い労働者も吸収しておりました。それでもなおかつ、実際に就労した人のこの月の平均はこういうことで出ておりますね、大臣。しかもこれが十月からは東京都独自のものがなくなりました。きょうも実は共産党の社会労働の関係の石母田委員とか寺前さん等が、山谷へ、あるいは大阪の方へ入りました。物すごく深刻なんです。こういう状況は一日も早く解決しなければならぬ。放置できないと思うのです。  総理、十月からは東京都の特別の事業はなくなりましたから、一カ月に一日か二日しか働けない。こういう人たちは、簡易宿泊所に宿泊することも、金がありませんからできないわけです。もう公園とか駅頭等でごろ寝をしてルンペンの暮らしなんです。物すごく深刻なんです。これらに対してどう対策を立てていくのか。これは本当にいま焦眉の急だと思うのです。これはいかがですか、どうされますか。
  201. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 まさに私たちも心配していることでございます。そういう意味からいたしましても、公共職業機関、そういうものを通じて、一方には建設省、運輸省、農林省、そういう各関係機関などによって、今度の総合景気政策、そういうものに、発注の場合に事前に把握しながら就労の機会を得たいということで、熱心にいま進めているところであります。
  202. 野間友一

    野間委員 十月八日付で各都道府県知事等あてに局長名義の通達を出しておりますね。それじゃお聞きしますが、この通達を出して、これによって、いまのような、東京とか大阪、あるいは神奈川、これらの深刻な民間の日雇い労働者の労働力が吸収されるというふうに、あなた本当に確信を持って言えるかどうか、その点まずお伺いします。
  203. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 お答えします。  御案内のように、十月八日に職業安定局長の名前をもって各都道府県に通達を出しましたことは、公共事業の発注機関との密接な連絡によって、発注状況を事前に把握して積極的な求人開拓をしっかりやれ、こういうことであります。そしてまたきのうも、全国の所管課長会議を開きましてこれをさらに指示をして、私たちのできる万全のことをやってそうした方々に就労の機会を得させたい、こういう気持ちでございます。
  204. 野間友一

    野間委員 しかしこれは強制力ないわけでしょう。ただあっせんだけなんですよね。しかも、いま不況の中で潜在失業者と申しますか、隠れた失業者も入れますと、二百万とも三百万とも失業者がいると言われておるわけですね。一般的に一片のお願いでこういう深刻な事態が解消されるというふうにもし本当に思われるなら、私はそれほどおめでたいことはないと思うのです。恐らく大臣自身もそういうことは考えられてないと思うのですね。これだけの失業者が、不況対策の中で若干吸収ができたとしても、私が申し上げておるのは具体的なこの事実なんですね。こういう人たちが本当に吸収できるというふうに、あなたは確信を持って言えるかどうか、いかがですか。
  205. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 こうしたスタグフレーションと雇用不安のときでございますから、こういう問題については、確信という――一つ一つのケースについては言えませんけれども、全般的な総合政策の中に、また、こういうときにこそ私たちの機関が熱心に推進するということによって、事業の開拓、あるいは求人の開拓、こういうものに努めてまいりたい、こう思っております。
  206. 野間友一

    野間委員 では、重ねて聞きますが、労働省からもらった資料を先ほどから引用しておりますけれども、これは東京都の労働課がつくったもの。こういう深刻な事態ですね。この通達を出して努力すればこういう事態はなくなるのか。問題は、十四日以上の就労がなければ失業認定できません、したがって保険金の給付はできませんということで、これは少なくとも十四日以上就労、これがなければどうしようもないわけです。しかも先ほど申し上げたように、月に一日というような深刻な事態ですよ。それじゃ心配かけずに、本当に努力をしてこういう問題を解決いたしますということを、この場からこういう方々に対してあなたは本当に確信を持ってお約束できますか。もう一度お願いします。
  207. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 確信と言われてもなかなかお答えできませんが、とにかく懸命な努力をして、そういう方々が就労の機会を得るように、ありとあらゆる手だてを講じてまいりたい、こう思っております。
  208. 野間友一

    野間委員 ありとあらゆる努力と言われても、これはあっせんだけなんでしょう。総理、私はちょっと一遍お聞きしたいのは、東京でも六千人以上の方々が、宿なしで月に一日か二日しか働くことができない、これほど本当に深刻な事態はないと思うのですよ。しかもいま、何とかあっせんして云々という大臣の答弁がありました。しかしそれは確信を持って言うことはできないと、これは大臣みずから言われておるわけですね。  私は、こういう緊急な事態でありますから、新たに一定の地域を限って、新たに民間の日雇い労働者を対象に仕事を起こして、そこで吸収する。もし労働省が、この通達によって努力をしてこのような労働者が吸収できる、こうおっしゃるなら、少なくともそれが確実に保障されるまでの間、少なくとも仕事を起こす。少なくとも月十四日以上仕事をしてもらって、失業認定で何とか自分の暮らしを立てていく、こういう保障はしてしかるべきである。事業を起こしてしかるべきである。私はこう思うのです。東京都でも独自にやったじゃありませんか。総理、こういう切実な問題についてひとつお答え願います。
  209. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 あなたもお話ありましたように、二日、三日というところもあるし、ほかのところは十一白、十二日というところもある、こういうお話でございましたが、おっしゃるのは、山谷の問題が一つの地域でなかろうか、こう思われます。これは従来も、東京都が先ほど御質問にあったように関係していることですから、将来にわたって、東京都とも相談をしながら対策を練ってまいりたい、こう思っております。
  210. 野間友一

    野間委員 その対策の中身ですけれども、私、具体的に提起しておるのは、特別に民間日雇い労働者、この人たちを吸収できる事業を、これは緊急な事態ですから――附則二条の凍結解除とか中高年齢法の問題もあります。それはいま言いませんけれども、少なくともいま事業を起こすということをぜひやってくれという要求が強いわけですけれども、これは事業をやりませんか。私はやることを要求するわけですけれども、どうでしょうか。
  211. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 御承知のように、従来とも山谷の問題につきましては、東京都も事業などを起こしておりまして、おっしゃるとおり、五月か八月からか一時やめておる、こういうこともありましたので、こういう場合のことでもございますから、東京都と相談をしながら善処してまいりたい、こう思っております。
  212. 野間友一

    野間委員 善処の中身は、事業を起こすということ、私の質問に答える答弁ですから、そういう方向で努力されると思いますけれども、総理、最後に、いまの問題について善処ということを言われましたけれども、その事業を起こすということ、これをぜひひとつ約束していただきたいと思うのです。
  213. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これはいま労働大臣が言いますように、東京都の関連もあるのですから……(野間委員「大阪、神奈川もそうだ」と呼ぶ)それは自治体ともよく相談をして、できるだけ仕事が与えられるように努力をしますというわけですから、いまそれは精いっぱいの誠意のあるお答えだと思います。
  214. 野間友一

    野間委員 いま東京都の問題を言われましたけれども、これは人に任せるような問題じゃないのですよ。国が積極的にやらなければならぬ。弱い者の立場を考えてきめの細かいとおっしゃる以上、政府が当然第一に東京都がやらなくてもやはりやらなければならぬ。これは責務があると思うのです。その点について、これら事業を早急に起こして、そしてこの最も弱い立場の人をいたわる適切な施策をされるよう強く要求して、一応これで私、終わりまして、関連として荒木議員に譲りたいと思います。
  215. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 荒木君より関連質疑の申し出があります。野間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。荒木宏君。
  216. 荒木宏

    荒木委員 前回、郵便料金の値上げについて、国民生活にいかなる影響を及ぼすか調査をして報告をするように求めまして、その調査の結果を受け取りました。  これを見ますと、国民の生活は今回の郵便料金の値上げによってまことに重大な影響を受ける。たとえば新聞を読めない人が出るだろう。何人ぐらいだと思います。郵便省の報告にある文書によれば、六十五万人という数字がある。経営が困難だ、これではやっていけないと言われておる団体、また業界、そういった大変な影響が列挙されておるのです。私はそれを見てこう思ったのです。こんなにひどい値上げをやろうとする。それじゃ三木内閣姿勢は一体どうなんだろうか。果たして政府部内、皆さんの方では、それにふさわしいようなやり方をしておるだろうか。ところがここに大変な問題がある。それも幾つもある。  私は一つの例を申し上げたいのですが、東京に練馬の郵便局というのがあります。十月二十六日にこれがレクリエーションをやった。そしてそのレクリエーションの案内を職員の家族の子供あてに大量に出した。このレクにいらっしゃい、レクリエーションリーダーという名前でもって大量に出した。この文書が無料なんです、これ。しかも単に無料だというだけではない、これは速達なんですよ。文面を見ますと、クイズ、ゲームもたくさんやります、大きなおなべにおでんもつくっております。いかがでしょうか。国民には大変な値上げを強いる。一方その三木内閣政府機関の皆さんのやり方は、こういうところには無料で大量に、しかも速達でと、こうくる。この事実はもうすでに郵政省の郵務局長も認めている。きのう来の事実指摘で認めている。  そこで郵政大臣に伺いたいのですが、国民の方は新聞も読めない、経営も困難、こういう事態でありながら、片や子件におでんというので無料で速達というのは、あなた、これはいささかひどいんじゃないですか。これは郵便法二十条の無料郵便物の取り扱いの乱用にわたるのじゃないでしょうか。これは認めているのですから、事実関係はもういいのです。大臣の意見をひとつ伺いたいのです、あなたからいただいた報告書に関することですから。
  217. 村上勇

    ○村上国務大臣 このことは決していいことではありません。厳重に処置したいと思っております。
  218. 荒木宏

    荒木委員 これは一つの郵便局だけじゃないのです。この件だけで見ても五つの郵便局が一緒にやっているのです。これは数からいってもかなりな量になっている。しかも速達で、ここに現物があります。総理、よくごらんになってください。しかもあて名は小学生の子供なんですよ。それだけじゃないのです。この郵便局では年賀はがきが四こうり紛失をした。どこへ行ったかわからない。大きな束がどこかへ行ったままでわからない、こういう状態がある。それから福島県の会津若松郵便局では、同じ市内でありながら、二日たっても三日たっても郵便物が届かぬのです。こういう事態がある。ストライキじゃない。私は事実を調べた。それから大阪の中央郵便局、これは十月の三十一日、寺尾差別判決糾弾、狭山完全勝利中央総決起集会なるものが開かれるそうです。ここへ郵便局の職員が九名公費で参加をするという。  私は郵政大臣に伺いたいのですが、国民にはこれだけの大幅値上げで大変な影響があるということを、あなたみずからがお出しになった文書で認めていらっしゃる。それでいて、一方ではいま私が申したような事実が、たとえばレクリエーションリーダーというふうな名前のもとにやられている。これはあなた、かの悪名高い郵政のマル生事件のときにいろいろな役割りを果たしたああいう人たちでしょう。ブラザーだとか、あるいはレクリーダーだとか……。  私は、現場の第一線の職員の人たちはもう大変な御苦労になっていると思う。にもかかわらず、政府機関のそういった管理職あるいは政府の関係につながる方針のために、こういった状態が現場で起こる。一方、国民は大変な値上げ。いま私が挙げた事実について、郵政大臣、これは事実を調べて、そして国民の疑惑を明かす上からも国会に責任を持って報告をしていただきたいと思う。いかがですか。
  219. 村上勇

    ○村上国務大臣 昨日その事故の報告を受けましたので、首席監察官に命じて十分その真意を確かめております。判明……。(荒木委員「議会に報告しますか。」と呼ぶ)報告いたします。
  220. 荒木宏

    荒木委員 いま言った四つ全部ですよ。
  221. 村上勇

    ○村上国務大臣 わかりました。もし詳細必要ならばお答えさせます。
  222. 荒木宏

    荒木委員 いやいや、いいから、四点報告すると約束してください、もう時間がないから。
  223. 村上勇

    ○村上国務大臣 報告いたします。
  224. 荒木宏

    荒木委員 いま私が挙げた四点について、郵政大臣、調査して報告すると言われましたので、その点の質疑は報告を待ってまた続けたいと思いますので、御留意願いたい。  第二点は、たばこの原価の問題であります。これも前回にこの場で私の方で指摘をして、そして専売公社の方から報告書が出されました。私はそれを拝見しましたが、これはまことにけしからぬと思うのです。二十六円ということを言い、それから仕向け地も香港だということを言って、その事実のあるなしということをあわせて報告ということを求めた。ところがその点について報告がなされていない。従来の経過を記載しただけ。そこで、その問題の報告とあわせて、公社の経営には、資産の管理、譲渡に同じく重大な疑惑がある。国民に大変な値上げを強いておきながら、同じく三木内閣の運営のやり方、姿勢としてまことに大きな問題がある。  それは専売公社の土浦の倉庫というのがありました。これは土地が約千三百平米、建物千八百平米ですが、四十八年にこれを常陽新聞というところに公社が譲渡した。譲渡価格は坪六十七万円であります。ところが、それから三日たった後に、その土地はその新聞社から常陽興産というところに転売された。と同時に、今度はその土浦の京成百貨店に転売をされたこれは登記簿謄本で事実経過は明らかです。そこで私は、こういうころがしと言いましょうか、昔は国有財産だったのでしょう。公社がそれを受け継いで管理をしておって、それを譲渡をした途端に、それが次々と譲渡をされていく。果たして価格が適正であったのであろうかという疑問を持ったわけです。  そこで調べてみますと、このすぐ近くにある、場所も土地柄も同じようなところが、日本生命が取得しておりますが、これが坪百二十万です。しかもそれは専売公社が処分をしたよりも二年も前ですよ、四十六年。どうでしょうか。二年も前に一般に譲渡されたその価格が百二十万円だとその地の商工会議所の人は言っている。ところが、それから二年たって公社が処分した土地がそれの約半値だ。これで果たしてきっちりやっていると言えるだろうか。これで国民に値上げということが通るだろうか。この件についての調査と報告。  それからなお調べてみますと、公社は年々莫大な土地と建物を次々と処分しておるのです。たとえば高崎工場というのがありますが、これは敷地約二万坪です。これを順番にずっと切っては処分をしていっている。金沢の方も処分をしました。本来公社法によりますと、製造工場並びにこれに準ずる重要財産は国会の議決が要るということになっている。私はいまその点の法律論争をしようとは思いませんが、しかし常識的に言って、こんなにいまだかつてない大幅な値上げをやろうとしておるときに、うんと安い値で次から次へと財産を処分しているということがあっては、これはこのままじゃ通らぬというふうに思います。  そこで、公社の総裁に、いま私が挙げた三つの点について、調査をして報告を受け、国民の疑惑を晴らす処置をとっていただきたい。答弁を求めます。
  225. 泉美之松

    ○泉説明員 お答えいたします。  第一点のたばこの原価の問題でございますが、この点は、さきの通常国会の際、大蔵委員会でも問題になりまして、世界のたばこ製造者は、専売国と言わず民営国と言わず、たばこの原価は公表いたしておらないのでありまして、それは、製造たばこにつきましては大変な国際競争になっておりまして、したがってその原価を公表いたしますと、競争上不利な点が出てまいるということで、各国とも発表いたしておりません。ただ、たばこの値上げにつきまして原価がわからないと審議ができないということで、それに必要な範囲の資料につきましてはお渡し申し上げておる次第でございます。  それから、先日お尋ねがございました香港向け及びソ連向けの値段につきましては、ソ連は、その際申し上げましたように、昨年契約の残りとして九月末までの分につきましては二十六円で売りました。十月以降につきましては三十一円八十銭で売ることにいたしております。香港向けは、これは新しい契約で五十年度の契約になりますから、四月から三十一円八十銭で売っておるのでありまして、原価を割っているという事実はございません。  次に、土浦にありました倉庫につきましては、昭和四十八年の暮れに競争入札で売りまして、それを落札いたしましたのは、お話しのとおり常陽新聞社でございます。その価格が安いではないかというお話でございますが、この建物は大正十年に建てた木造でございまして、もう五十年以上を経過いたしておりまして、その価額は大したものではありませんし、むしろそれを片づけないとその土地が利用ができないというような状況でございましたので、更地価格よりはむしろ安目になっておることは事実でありますが、競争入札で譲渡いたしたものでありますので、私どもはその譲渡価格は適正であったと思っております。ちなみに、その面積は千三百九十八平米でございまして、値段は二億八千五百五十二万五千円に相なっております。  なお、その土地につきましては、競争入札で譲渡いたしたものでございますから、その土地をどういうふうに使用するかということにつきまして、目的を付款としてつけておりません。したがって、その土地が他に譲渡されるということがあってもいたし方ないと存じております。  次に、お話しのように、公社は現在各種の資産を処分いたしておりますが、公社の製造工場は、戦後復旧する段階で、木造のものを建てたり、あるいはすでに建てられておりました織物会社等の建物を急遽購入いたしまして工場にいたしておりまして、工場の環境条件としてははなはだ適切でございませんので、その建てかえをいたしてまいっております。その合理化をいたします過程で、新しい製造工場をつくりますと旧工場の跡地が不要になりますので、その跡地を処分いたしておるわけでございます。その点につきましては、公社法の規定に基づきまして、公社は、製造工場を譲渡し、あるいは重要な資産を処分するときには、国会の議決を経なければならないということに相なっております。お話のありました高崎工場につきましては、国会の議決を経ておりませんが、これは新しく高崎工場を建てまして、あとの旧工場はへいだけになりまして……(荒木委員委員長、簡単にお願いしますよ」と呼ぶ)
  226. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 簡潔に願います。
  227. 泉美之松

    ○泉説明員 土地だけで、まあ周りのへいなどぼろぼろになっておったというような状況でございまして、これを十一億円で売り払ったわけでございます。私どもとしましては、重要な資産の処分につきましては国会の議決を求めるのが筋合いだと考えておりまして、現在までのところ総資産の千分の五というのを一応の目標にいたしまして、それを超えるような資産につきましては国会の承認を求めることにいたしておりますが、高崎工場は総資産の千分の一・三でございまして、そういう意味で承認を求めなかった次第でございます。
  228. 荒木宏

    荒木委員 時間がありませんので、総裁、後でそれは文書で出してください。それから郵政大臣の先ほどの話も文書でお願いしたいと思うのです。
  229. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 よろしゅうございますか。
  230. 荒木宏

    荒木委員 郵政大臣、よろしゅうございますね。  最後に一言伺っておきますが、この歳入欠陥の時期に不急不要の歳費を削減すべし、こういうことで防衛庁の募集業務のあり方についてお尋ねしました。職員が失業者を一本づりにして、正式採用するまでの間、丸市運輸というトラック会社に次々送り込んで、その賃金は防衛庁の職員が受領している、こういう事実を提起しましたが、その事実について、職業安定法、労働基準法違反でないかどうか、どう処置をしたか、これを労働省に伺いたいと思います。  なお、この丸市運輸という会社は、労働基準法、労働組合法などなど数々の法律違反がありまして、是正勧告を三回、京都地方労働委員員会、中央労働委員会、京都地裁、東京地裁、京都市長からも命令を受けている。こういった数々の法違反を重ねた事業所に対して、労働省の処置並びに監督機関としての運輸省の措置これを伺いたい。  もう一点は、防衛庁から紹介をした労働者の間に強盗犯人がいたということを防衛庁は認めましたけれども、それについて責任を感じないかどうか。この三点を伺って私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  231. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 自衛隊京都地方連絡部職員の賃金の代理受領の問題でございましたが、これはその後調べたところによりますと、地方連絡部職員のあっせんによって採用した労働者が十六名、賃金約五十五万円を直接本人に支払っていなかったということ、本人にかわって賃金を受領した自衛隊の職員が合計六名で延べ十一回。そこで、こういう事実は労働基準法第二十四条に定める賃金の直接払いの原則に抵触するものでありまして、防衛庁の方にもそのことを申しておきました。  さらにまた、この丸市運輸が労働基準法その他によく違反をするということでございましたから、これは何遍となく是正勧告を行って、将来ともにこの勧告を実行することを期待しております。(荒木委員「職安法はどうですか」と呼ぶ)労働基準法違反と職安法違反と二つ。
  232. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先般、募集業務に関する調査についてのお尋ねがございましたので、調査の結果を御報告申し上げたのでありますが、とにかく、このように同一企業に対しまして継続的にアルバイトの世話をした事実は、職業紹介事業を行っておると考えられてもやむを得ず、まことに遺憾でございます。今後は職業安定機関を通じて実施することといたし、このような事態のないように指導していきたいと考えております。  それから、丸市運輸に世話をいたしました十六人の中に強盗容疑で指名手配中の者が含まれておりました。これは世話をした時点で地方連絡部が犯罪の事実を全く承知しておらず、かつ本人の成績が優秀でございましたため採用予定者としたものでございますが、照会の結果、犯罪の事実が判明いたしたため、直ちに採用予定を取り消したものでございます。  また、地方連絡部の職員がアルバイトをした者の給与を本人にかわって受領をしておったということにつきましても、これは本人以外の者が給与を受領するということは行き過ぎでございますので、今後はこのような誤りのないように指導をしていきたいと考えております。
  233. 木村睦男

    ○木村国務大臣 ただいまの件で道路運送法上のいろいろな処分がございますが、それらに該当いたしますかどうか、労働省関係の調査の結果が最終的に確定いたしましたときに、それと照らし合わせて善処いたしたいと思います。
  234. 荒木宏

    荒木委員 終わります。
  235. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 正森君から関連質疑の申し出があります。野間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。(「もう持ち時間はないじゃないか」「持ち時間はないけれども特に許すと言ってくれよ」と呼ぶ者あり一特にこれを許します。正森成二君。
  236. 正森成二

    ○正森委員 私は二十三日に、トヨタ自工の悪徳商法と思われる問題について質問をいたしました。そこで、その後の政府のおとりになった処置と指導状況について、PR文書については環境庁から、それから未対策車の生産の問題については通産省から、それぞれ御報告を承りたいと思います。
  237. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 私ども、三月と九月におきまして、二度にわたって通達を出しまして、いわゆる対策車への切りかえの促進、かけ込み増産の防止ということに努めてまいっておりました。九月の状況につきまして、実績がわかりますのは十月の下旬になるわけでございますが、私ども、トヨタにつきましてはやや懸念をいたしましたので、十月の上中旬に引き続きまして状況把握に努めたわけでございます。十月の二十日、私どもは会社の責任者に、私どもに対する責任ある説明をほしいということで連絡をしたわけでございますが、二十三日、先生に御指摘をいただいたわけでございまして、二十三日の日に私がトヨタの副社長に会いまして、実態の説明を求め、かつ内容にわたりまして厳重な注意をいたしたわけでございます。その辺の事情をちょっと数字について御説明申し上げます。  私ども、八月の時点におきまして、十一月末までの状況把握の参考にするために、各社から九、十、十一という各月の生産の予定につきまして一応把握をいたしておりました。この九、十、十一の予定に対しまして、十月の二十三日にトヨタから持ってまいりました数字は、たとえばこれは九月の実績になっておるわけでございますが、未対策車につきましては約二〇%の増産が行われております。それから対策車は五〇%減。数字がもともと小さいのでございますが、予定より少ないという状況でございました。それに加え十月も、これはまだ見込みでございますが、当初私どもが得ておりました見通しと比較いたしまして、やはり未対策車の増産がかなりあるという状況がうかがわれました。さらに十一月の予定、これは会社側からの聴取によりますと、未対策車につきまして九万七千台の計画、それから対策車につきまして一万五千台の計画、こういう報告を受けたわけでございます。  私どもは、このトヨタと各社と比較いたしますと、対策車の出が非常に遅いということにつきましては、かねてから注意を実はいたしていたわけでございますが、この九月、十月におきます未対策車の増産、それから対策車の減産という事実を踏まえましてトヨタに一層努力を要請をいたしました。具体的には、対策車を極力増産に努めてくれ、それから未対策車を極力減産するように、こういう指示を与えまして、これは十一月の生産を目前に控えまして、社内的には部品の調達あるいは取引先との契約の関係その他で大変な問題がございますので、会社としては慎重に検討いたしまして、昨日、通産大臣のところに参りまして、通産大臣から直接社長に対しまして厳重な注意をいたしまして、社長はその席で、未対策車の生産を約半減をいたします、それから対策車を増産をいたしまして、それぞれ約四万台、四万四千台程度にいたします。これにいたしますと、対策車の比率が約五〇%になるわけでございます。トヨタを除きます他社の対策車の比率というのが四四%でございますので、平均から見ますと少しよくなるわけでございますが、これ以上の未対策車の切り込みというのは、これはいわば部品関連のとりわけ中小企業への影響等も配慮いたしまして、現在の時点におきましては最大限の企業側の努力かということで、当省としても了承をいたしたわけでございます。  なお、本件の措置に伴いまして、大臣の方から会社側に対しまして、関連の企業、とりわけ中小企業へ不当にしわ寄せがないように、会社の指導と責任において本件の処置に万全を期してほしい、こういうことを大臣から申し渡しております。会社側は深く陳謝をし、今後の措置につきまして万全をとるということを大臣に明らかにいたしております。  以上でございます。
  238. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 二十三日にお尋ねがありまして、私から説諭をするというお約束を申し上げました。二十四日通告をいたしまして、二十五日午前十時半責任者を招致いたしまして、新聞でごらんになっているように厳重に注意をいたしました結果、昨日には、パンフレット、マニュアルにつきまして速やかに回収をする。また、規制適合車の生産体制を一日も早く整備するようにということに関しましては、ただいま通産から申し上げたように、姿勢を改めて規制適合車の生産に大いに努力する、こういうことになったわけでございます。
  239. 正森成二

    ○正森委員 いま一応の御報告がございました。その中で特に通産省に申し上げたいのですが、他社が四四%くらいで、それに比べると余分になっておるというような表現でありました。しかし、十一月でも一〇〇%対策車にするように努めるというのが本来のあなた方の通達の趣旨なんですから、四九・九%になったから余分になっておると、いかにも何か悪いものが余分になっておるというような表現を局長がなさるということは、それ自体国民にとっては非常に不本意なことであろうというように私は思います。環境庁の局長は、トヨタの方が用語が不適切であったという表現に対して、用語の問題ではない、姿勢の問題だというように厳しくおっしゃられたようでありますが、そういう姿勢が通産省でも必要じゃないかというように思います。  なお、この問題について回収されたということでありますが、このPR文書はそれぞれの広報担当者にもう公表してございますから、正しい原則について改めてPRをし直すような問題とか、何部くらい一体こういうパンフレットが配られていたのかという問題も、私はあわせて御報告を承りたいと思いますし、特に、十一月に対策車が最小限度にしましても四九・九%実際に生産されるのかどうか、それが中小下請業者にしわ寄せにならないのかどうか、そういう問題について、一カ月とは言わず半月ごとにでも国会に報告をしていただきたいというように、重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、一つだけ私は伺いたいと思うのですが、ここにヘッドランプがあるのですが、それが五十年八月に福岡市で火事を起こしているのですね。それはなぜかというと、ここにユニットカバーというのがあるのですが、そこはカーボンブラックとゴムとの合成になっているのですが、ユーザーユニオンの調査によりますと、カーボンブラックを八〇から九〇%まぜておる、そのために絶縁体が良導体になって火事が起こっておるという問題があるわけです。普通こういう事故を起こしますと、これはリコールということになって、運輸省に届け出をして、新聞広告をして回収しなければならぬ。ところがそういう問題を全然扱っておらない。  また四十八年十一月に、これはクラウンですが、鹿児島で停車中に全焼いたしました。そのために、三カ月の新車でありますが、中に入っていた幼児が二人とも焼死するという事件が起こりました。それはなぜであるかというと、計器盤の後ろの配線不良が原因であります。ところが、そういう重大な事故について、これまた、明らかになりますとこれは新聞に広告をしなければならないということで、企業のイメージダウンと損害が起こるということで、いずれもこれを隠しておるという問題があります。(発言する者あり)あと一分です。この問題について、内密にするために、被害者の人に、トヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売会社、鹿児島トヨタ自動車株式会社が、御墓石料ということで五十万円包んでいって、訴訟になると事が公になるから示談にしてくれ、そうすれば五百万円お金を貸してもいいし、保険金を一千万円取るように手伝ってもいいというようなことを言っておる。  こういう問題を考え合わせますと、トヨタ自動車工業の企業姿勢というものは、もしそういう欠陥車が起これば、運輸省の方の定めに従ってリコールの手続をとって新聞広告をしなければならない、回収しなければならないのに、そういうことをやれば一億円かかる、内々でやれば二千万円で済む、そういう姿勢については私は断じて納得することができない。したがって、前回私が質問しました問題も含めて、依然としてトヨタ自動車の社長を証人ないしは参考人として喚問していただくことについて理事会の御審議を賜りたいということを申し上げて私の質問を終わります。
  240. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 理事会において相談いたします。
  241. 野間友一

    野間委員 これで終わります。
  242. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 これにて野間君の質疑は終了いたしました。  次に、阿部昭吾君。
  243. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 法務大臣にお伺いをいたします。  人身被害等の公害を起こすということをあらかじめ知っておってその企業が操業したという場合に、一体どういう罪に問われることになるか。
  244. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 御質問が抽象的なものですから、どういう犯罪が成立するかよくわかりませんので、刑事局長答弁させます。
  245. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 刑事局長、おりませんか。
  246. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いまこっちへ向かっておるそうですから……。  そうですね、公害を起こすことを業者が知っておって、そうしてその防止対策をしないでその操業を始めたために、公害が起きて人が死ねば、それは未必の故意とか、そういうことはあるでしょうし、障害が起きれば傷害罪ということになりましょうし、しかし、よくわかりません、私。
  247. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 環境庁長官、また通産大臣にお尋ねをしますが、六価クロム公害でいま問題になっております日本化工、この会社が韓国の蔚山に進出をしております。これが八月一ぱいあたりで竣工したのではないかと思います。この韓国に進出をした日本化工に対して、かつてわが党の同僚議員が公特の委員会等において、日本においてこのように六価クロム公害を出しておる日本化工が、これが明らかでございますのに韓国蔚山に進出をした、したがって、かの地においていま地域の住民その他の非常な反発を買っておるのであります。こういう状況に対して、環境庁及び通産省はどういう対応の仕方をしたか。これについては、両省協議をして御返事いたします、こういう答弁が行われておるのであります。その以降どういう状況になったか、どうしたかということを御報告願いたいのであります。
  248. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 経過は、まず、ことしの通常国会の予算委員会の分科会におきまして、阿部助哉先生が、海外に進出する企業がいやしくも公害輸出にならぬような措置をやるべきだと思うが、これについて今後政府としてどうするか、こういうことの御質問がありました。その後六価クロム問題が起こりましたときに、公環特で参考人に対する質疑のときに、この問題を起こしました会社の社長に対しまして、社会党の土井委員がいろいろ質問をされたことがございます。その席には政府側は出席いたしておりません。私は国会における質問にお答えしました責任上申し上げますけれども、それは阿部委員の御趣旨に対しまして、公害を輸出するというようなことになってはその国民に大変な御迷惑をかけることだから、政府部内で善処しようと申し上げた。  その内容を申し上げますと、第一に、経団連は、四十八年以来海外進出をする場合に、いわゆる投資指針というものをつくりまして、その中に、これから外国に進出をする企業は、日本の公害対策と同じように、公害の輸出にならぬような規制を十分お互い自主的にやっていこうじゃないかということを決めて、これを徹底いたしていただいておるのが一つ。  次に、私ども、やはりそれぞれの国には公害関係の対策あるいは法規、技術の点についてまだ未熟の点がございますので、これらを技術的に協力をするという措置をとったことが第二でございます。  第三は、御承知のように、いま一国の公害対策のみならず人類全体の環境保全というものが真剣に国際的にも言われている最中でございますので、国際的に考えましても、日本の進出企業か当該国においてそういうようなことのないように、通産当局を通じまして十分指導をしていただくということにいたしております。  問題の蔚山の工場につきましては、私ども承っておるところではまだ操業を開始していない。韓国は、この問題につきまして、大体日本と同じ程度の規制値を決めておるようでございます。また、韓国の蔚山進出の企業の設備は、徳山工場と同じ最も近代的な進んだ設備をするようでございまして、絶対に無公害であるようにということを私どもの方からも望みまして、会社もそのつもりで鋭意準備をしつつある、まだ操業には至っていない、かように聞いております。
  249. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの小沢長官の御答弁によりますと、向こうで公害を出すような状態にはならないと思っておる、こういう御答弁だと思います。しかし、その保証があるのかということになりますと、私はその保証はないのだと思います。したがって、韓国の地域の市民運動なりマスコミ関係者なり、この蔚山無機、つまり日本化工の進出をいたしました合弁会社のあり方に対して住民運動も起こっておる、こういう状況になっておるわけであります。いまの小沢長官の説明では、確たる保証はないというふうに私は思います。  そこで、三木内閣がいつまで続くのか、小沢さんがいつまで環境庁の長官であるのか、それはわかりません。韓国の政府がいつどの時期までいまのままでいるのかもわかりません。しかし韓国という朝鮮半島の民族の存在は永遠だと思うのであります。したがって、ここに進出をいたしました日本の企業が公害の輸出を行った、こういう状況になったのでは、これは大変な問題だと思います。したがって、少なくとも、日本の企業が進出をする、その公害基準につきましては、日本の国内法でもチェックできるような仕組みが必要なのではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  250. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 それは少し無理じゃないでしょうか。先生、外国に進出をして、その外国の法規によってやるものでございますから、それは無理だと思いますが、しかし、現実の指導、現実の行政のやり方としては、御趣旨に沿うように努力をしていると私は申し上げたわけでございまして、法的な規制を、日本の企業が外国へ、いかなる国に進出をする場合でも日本の法律を守らなければいかぬということを言うのは、私は、法律から考えても少し無理じゃないか。しかし、公害を輸出するようなことになってはいかぬという御趣旨はもうそのとおりでございますし、われわれもそう考えます。また、先ほど言いましたように、人類全体の環境保全ということは国際的にも大きな重要問題になっております。したがいまして、そういうことのないように適切な指導をするということで、その弊害をなくしていかなければならない、かように考えております。
  251. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 通産大臣、この六価クロム公害の日本化工が蔚山進出を計画いたしましたのはいつなんですか。私の判断では、日本の国内において日本化工の六価クロム公害が表に出てまいりまするはるか以前に、この進出計画はすでに組まれておって、すでにその工場自体の内容の計画はずっと進んでおったと思うのです。したがって、日本でこの日本化工の六価クロム公害が問題になった当時は、もうすでに向こうでほとんど形はでき上がっておった、こういう状況だと思うのです。日本化工はいまでさえも、経過御案内のように、事実が全部明らかになるまでは責任を回避しておったのです。  いま日本の企業が海外に進出をする場合、特に第三世界、開発途上国に進出をする場合に、先進国あるいは日本などに比較をして、公害について比較的緩やかであるということで出ていくのが多いのです。いま環境庁長官答弁のように、公害は起こさない、かの国の法律基準には従っておる、こう思っておる、こういう御答弁なんでありますけれども、私は、少なくともいまの日本化工という会社の、いま国民的に指弾をされております六価クロム公害のあらわれてきた最近の傾向からいって、韓国蔚山に進出をした日本化工の工場が、いま長官が言うように、公害のおそれ一切なしというような万端の設備その他一切のものを整えておるなんというふうには、どうしても思えないのです。これはいまの長官のそれこそいいかげんな答弁で、将来、少なくとも日本は公害企業を輸出したなとという汚名を――私は時の政権の問題じゃないと思うのです。これはもう日本民族と朝鮮民族の関係は永遠なんです。私はその中で必ずこれは大きな批判を受けることになると思うのです。だからこそ、よそへ行った企業だから日本じゃどうにもならぬのだ、あとはそこの良識に待つしかない、モラルの問題だ、これだけでは片がつかぬ問題だと思うのです。  通産大臣、恐らくそれは向こうに行った企業ですから通産省は余り関係ありませんとおっしゃるのかもしれません。しかし、少なくとも、最近この事実が問題になる以前の段階で、六価クロム公害のこの日本化工は、向こうに進出する計画は全部整っておって、問題になったころは向こうでは設備でも何でも全部かっこうがついておったんでよ。いまそれをがらっと変えたというなら、変えた事実をしっかり踏まえていらっしゃるのでしょうか。
  252. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 まず最初に事実関係を簡単に申し上げます。  蔚山の無機化学の重クロム酸ソーダの製造計画は三段階に分かれておりまして、最終的には、韓国産のクロム鉱石を使用いたしまして、クロム製造までを一貫生産いたしまして、韓国内の需要の確保並びにわが国への輸出を目的といたしておるものでございます。  そこで、この製造設備及び公害防止設備は、日本化工の徳山工場で使用しておりますものと同程度の高い技術の水準がございまして、韓国内の法規に十分適応しておるものと考えております。これは事実でございますが、しかし、先ほど小沢長官が申し述べましたように、わが国の企業がアジア各地域に進出をいたしましていろいろと問題を起こす傾向がございましたので、一昨年の六月に海外進出企業が全部集まりまして、今後はトラブルが起こらぬようにひとつお互いに気をつけようということで行動基準というものをつくったわけでございます。現在はその行動基準をフォローアップすることにもなっておりますし、つい最近はチームをつくりまして、二、三日前にASEAN五カ国、東南アジア各国にこの進出企業の実情等も調査に派遣をいたしました。  いずれにいたしましても、いま御質問の事実関係はこういうことでございますが、今後とも、進出企業がもちろん公害等の問題を現地で起こさないように、十分注意してやるように指導してまいるつもりでございます。
  253. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは三木総理にお伺いしたいのですが、私どもが心配いたしまするのは、今後日本は外国とのそういう意味での関係というものを非常に慎重にしなければならない立場にあると思うのです。したがって私は、いま、徳山の設備はうんと十分なものであったなどとおっしゃるが、徳山でも大問題を起こしておるのです。いま一々それは申し上げません。したがって、今年のあの江東地域、小松川地域で問題を起こすはるか以前の段階で、問題が表立つ以前に向こうにはもうちゃんとかっこうがついておったのです。それを大きく変えたという話は私どもまだ聞いておりません。したがって、通産省では調査に行かれたというのでありますが、私はこれは、将来の日本と朝鮮民族の関係、こういう意味で非常に重要な問題、また、日本の将来の対外関係の、ある意味で言えば基本的な非常に重要な問題だと思います。したがって、通産省の調査のみならず、これが将来向こうで問題になってからじゃ私、いけないと思うので、国会でも調査をする、こういう方針を提案したいと思うのでありますが、これは委員長に後でお計らいを願いたいと思います。これが一つ。  それから、総理大臣、こういう場合、外国に行ってしまった企業は外国の法律に従えばよろしい。しかし率直に言って、この日本のような公害工業国と異なるいろいろな事情にあると思うのです。公害が起こってからじゃやはり遅いんですね。したがって、いま行動基準その他でチェックをしておるとおっしゃるのですけれども、やはりもっと厳しいチェックの仕方というものを、海外に進出する企業に対して日本の国においてはっきり樹立をするということが、今後、よそさんの国、世界に対する日本のあり方として責任ある姿じゃないか、こう思うのです。そういう方向での、たとえば法律、制度ではいろいろなあれがあるでしょう。海外に行った企業を日本でどういうふうに規制をするかということにはいろいろな限度があると思います。この最大限のことをやるということが、私はやはり日本の世界に対する責任ではないか、日本の置かれておる現状からいって、これは非常に重要なことじゃないかと思います。総理大臣、どうでしょう。
  254. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 発展途上国は公害問題を日本のように厳格に考えない国が多いわけですが、やがてこの問題はやはり大問題になってくることは明らかですから、そういうことで日本が公害輸出国であるという汚名を着ることは、非常に日本の将来に対してマイナスですから、これはいまは寛大であるとしても将来必ず問題になるということを考えて、この問題は、日本の進出企業というものが日本のごとき厳しさというものを持つことが、私は企業の良心だと思う。  それならこれを法律で規制という阿部君の一つの御提案は、法理論としては環境庁の長官が言われたとおりです。したがって、あの行動指針というものは、経済団体の非常にりっぱなことを書いてあるわけですから、これが励行されるということが、作文に終わらないで、やはり進出企業が、企業の社会的あるいは人類的責任といいますか、そういうもので自粛をする、また政府の方としても、地域的に一遍進出企業というものを点検するような一つの方法をとってみましょう。そしてそういうことがないかというようなことに対しても、企業がみずから決めておるし、これを励行してもらうための政府の指導の強化と、その進出企業の実態というものに対して、政府実情を調査をして、お互いに戒めるような道をとっていきたいと考えております。
  255. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この問題は、通産省だけにお任せしておくわけにはいかないと思います。もうすでに経過としては、韓国でもこの問題について大変な問題が起こっておるのです。したがって私は、当然にいろいろな具体的な手だてが講ぜられておるものと思いましたら、ちっとも具体的には進んでいない。前進した手だてが講ぜられた実績はない。まさかあすの予算委員会が終わるまでと言っても無理でしょう。したがって、今国会の会期中に、どういう手だてをして、どういう状況をどのように判断をしてどうしたか、こういう報告を正確に出すこと、これはよろしいですね。  それから第二は、単に行動基準や何かでよそへ行って守られるくらいならば、ちっとも問題がないのです。この間イランかイラクかどこかで日本の見本市をやっておった。そこで流しておったあれは日本の軍歌を盛んに歌っておったという。日本を知らない人が大ぜい来ておったらよろしいでしょう。知っておる人が来たらこれは大変だと思うのです。そのくらい海外に進出しておる日本企業というのは無神経なんです。したがって、行動基準や何かで、将来、われわれがいま指摘するような、国家間、民族間のそういう懸念なしなどということを考えておるとすれば、私はちょっと問題にならないと思うのです。そういう意味で、行動基準などではない、やはりもっと一歩前進をした、ただ守れという道義的な規定ではなくて、それを守らなかった場合やはり一定の制裁もちゃんとする、こういうものが私は必要だ、こう思いますが、どうでしょう。
  256. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実はそういう問題がございますので、先ほども申し上げましたように、海外進出企業の代表者、それから学者等の十数名から成るグループを外務省と通産省の方から派遣をいたしまして、いま主として東南アジア各国の調査をさしております。来月の中旬には帰ってくる予定でございます。これは、行動基準がいかに守られ、進行しておるかということについて調査をさせるためにやったわけでございますが、その中には、受け入れ国の環境保全への配慮、こういうことも入っておるわけでございまして、広範な報告がされると思います。いずれにいたしましても、その報告を待ちまして、これはもうどうしても日本としても今後必要なことでございますから、万全の策をひとつ講じてみたいと考えております。
  257. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この問題だけで時間をとっておることはできませんので、次へ進みますが、今国会の間にその報告を正確に行ってもらいたい。東南アジア全般はもちろんでありますか、いま特に日本の国内において大きな問題になっております日本化工、この企業の合弁会社として現地に進出をした蔚山無機、その企業が公害を出すおそれ一切なしと、その事実に確信が持てるとすれば、設備その他の内容まで一切含めて正確な報告をひとつ求めたい。それはよろしいですね。
  258. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 報告をいたします。
  259. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 次に移ります。  住宅金融公庫が今回、十月初めに新しい融資の受け付けをされました。実は春の融資受け付けの際、代行金融機関、これが一括して架空名義の申込者をつくりまして不正融資をやったのであります。この事実は、すでに住宅金融公庫の方におきまして、事実を明らかにしていろいろな処分等を行われたようであります。  この結果、どういう状況が起こったかといいますると、今春七万四千戸でしたか、この枠に対して、四月二十八日に一日で十三万数千戸の申し込みかあったというので、申し込みを締め切るという状況になったわけなんです。この不正融資の事実は、どうも住宅金融公庫で発表しております内容よりはもっと広い、こういうふうに私どもは調査をしております。したがって、この不正融資の事実、概要、これを簡潔に御報告をいただきたいことが一つ。不正代行金融機関に対してどういう処置をされておるか、これが第二。まずこの二つだけ、公庫の総裁おいでをいただいておりますので、御答弁をいただきたい。
  260. 淺村廉

    ○淺村参考人 お答え申し上げます。  実は、ただいま御指摘がございましたように、この四月に行いました住宅金融公庫の個人住宅融資の申し込みの受け付けが大変な盛況でございまして、一日で締め切らなければならぬというような状態が現出したわけでございます。ただ、その受け付けにつきまして、一部の受託金融機関の業務の執行がややルーズに流れたのではないかという懸念が持たれましたので、私どもで各金融機関につきまして、詳細にわたって調査をいたしたわけでございます。その結果、まことに残念でございましたが、私どもから見まして適正を欠く受け付けだと思うものが出てまいったのでございます。  その内容を申し上げますと、私どもは全国に数多い金融機関に業務を委託いたしておりますが、公庫の申し込みを受け付ける受け付け方というもの、ルールをちゃんと示してあるわけでございます。その公庫の指示に違反して、たとえばいま先生の御指摘がございました、業者が一括してお客さんの申し込みを代行して持ち込んできたとかいうものを受け付けた。私どもはそういう点に特に重点を置いて調べたのでございますが、そのほかにも、私どもでは銀行のあらゆる支店に業務を認めておるわけじゃございませんので、やはりこういう大事な仕事でございますから、能力のないところには私どもの仕事は扱わせないことにしております。ところが、そういう約束を守らないで、私どもが認めていないようなところで受け付けをして、そして自分のほかの店へ回してきたというような事例が出てまいりました。それからなお、これはまあ一面においてやむを得なかったかと思いますけれども、申込書類が大変不備なまま受け付けておった、こういうような事例もございまして、そういうようなことがいろいろわかりましたので、私どもでその後、この処置についていろいろ検討いたしまして、金融機関に対する処置は別といたしまして、善意の国民大衆に御迷惑をかけてはいけないと考えましたので、公庫で改めて内容を精査した上で、融資の対象として差し支えないと判断いたしましたものは合格にいたしたわけでございます。  そこで、どういう処置をしたかということでございますが、こういう私どもの業務の代行をさしております金融機関が全国に九百八十七ございます。この受託金融機関のうち、こういうルーズな業務を行った金融機関の猛省を促すために、二つの金融機関に対しては、半年間の業務委託の停止を行いました。その他、先ほど申し上げましたような、いろいろな不適正と見られる方法の受け付けをやりました金融機関に対しましては、その状況の重い軽いによりまして、七つの機関に対しましては、金融公庫の総裁名の文書で厳重に注意を喚起し、百十の機関には支所長から文書または口頭で厳重に注意を行ったわけでございます。  金融機関の一部についてこうしたルーズな業務の処理があったということは、公庫としてまことに遺憾千万でございまして、大変申しわけなかったと存じておる次第でございます。
  261. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま総裁はさらっと御答弁されましたが、私はこの問題はもっと根が深いと思っております。九百幾つかの代行金融機関のうち百幾つかが不正にやった、したがってそれに処分と厳重注意を百幾つかに対して行った、こういうようにさらっと言われましたが、公庫ですでに明らかにしておりますのは、千八百戸ほどが不正に受け付けられた、こう言っておるのでありますけれども、私はもっと広いと思っております。  その証拠には、四月二十八日の午後三時段階の速報というのを、当日公庫は各代行金融機関から集約をしております。この戸数と、二日、三日後になって、二十八日一日で締め切りましたというこの受け付け戸数との間に、三倍から四倍くらい、あるいは五倍くらいになっておる代行金融機関も非常に多いのであります。午後三時で中間の集約をやって、速報ですといって出したものと、恐らくまあ代行金融機関、午後の五時あたりまでやったとしても、四倍、五倍、ひどいのは十倍近くもなっておるなどという確定受け付け戸数などということになるのは、これは私はちょっとおかしいと思います。いま公庫は代行機関といろんな関係がおありでしょう。将来この代行機関の皆さんに真剣に公庫の業務をやってもらわなければならぬという事情もあるでしょう。しかし問題の根は、いま総裁がさらっと報告されたほど単純なものではない、もっと非常に深刻だと私は思っております。その証拠に、私どもの周辺でも、ささやかなマイホームの夢をずっと持ってきて、やっと二十八日受け付け開始だといって申し込んで一日でだめになった、こういう皆さんが物すごくいるわけであります。いわんや翌日はもう締め切りでありますから全然どうにもならなかった、こういう状況。したがってこの事実は、単純に外へどうするかということだけじゃなくて、内部的にはもっとやはり厳しい見きわめをして、その上から、庶民のマイホームの夢というものをおかしなものにしてしまうということにならぬような態度が必要だというふうに私は思います。  そこで、この住宅政策でありますけれども、これは特に大蔵大臣と副総理にお伺いしたいのであります。  住宅建設というのは、いまのこの不況対策という意味でも、特に国民の消費を伸ばす、こういう意味からいいましても、最終需要にすぐつながる部分なんですね。この住宅建設が、先刻私は公庫にお調べをしてもらいましたところ、今度の十月の融資を受け付けました段階でも、希望者に対して七二%が融資をすることにいたしました、一五%は補欠にしております、こういうことであります。したがって、まあ一三%か一二%程度が外れた分です、こう言っておるのであります。しかし、この住宅建設というものが、いまのこの日本経済の不況を立て直す、最終需要に直ちに直結しておるという面でも、しかもこれは一般庶民の生活の場に直ちにつながるという意味でも、私は大変に大きい意味を持っておると思います。したがって、いま十月ですから、残っておる一二%、一三%をどうするかということは問題があるでしょう。あるでしょうが、少なくとも住宅を建てようというので公庫に希望を持っておる皆さんを、もう一三%程度のもの――この補欠という扱いが将来どうなるのかわかりませんけれども、この程度のものは、やはり全部抱えていくというぐらいの態度が必要なのじゃないかと思います。これはぜひひとつ副総理の、経済担当閣僚会議責任者として、また大蔵大臣財政運営という面からお考えをお聞きしておきたいと思います。
  262. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあお考えとしては私も同様に考えます。したがって、今回の景気対策といたしましても、その主力は住宅対策だ、こういう考え方をいたしておるわけです。そこで七万戸の公庫住宅を追加するというようなことにしたのですが、しばしば御説明申し上げておりますように、大体、この住宅を中心とした財政措置一兆六千億円、これでまず下期の景気対策としては十分である、こういうふうに考えておりますので、この際としては、さらにこれを追加するという踏ん切りはなかなかむずかしいのですが、なお、住宅政策は非常に大事なものでありますので、今後とも住宅政策はいろいろな角度から重要視していく、こういうことにつきましては全く御同感でございます。
  263. 大平正芳

    大平国務大臣 住宅建設それ自体が最終需要を喚起するばかりでなく、住宅の建設に伴いまして、家具、調度その他、耐久消費財の需要につながるわけでございますので、不況対策といたしまして住宅対策の持つ効用というものは、御指摘のとおり高く評価さるべきものと私も考えます。  第二の問題といたしまして、さらに追加的な財政投資を考えるべきじゃないか、需要が非常に熾烈じゃないかという御指摘でございます。財政の許す限りそういう方向に考えてまいりたいと思いますけれども、これはひとり財政資金ばかりで賄っておるわけではございませんで、民間資金との間のタイアップで建設が行われておるわけでございますので、金融機関等が住宅ローン等に割愛する資金をできるだけ増枠してまいりますように、またその条件を改善してまいりますように、極力金融機関を指導してまいりたいと思います。
  264. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私はかねて、福田総理大平大蔵大臣経済運営について、微妙な差があるというふうに感じておるのであります。福田総理は、国民の消費を伸ばすということは、物価を抑えなければならぬからいかぬ、こういうふうに私どもは受けとめております。大平蔵相の方は、これだけの歳入欠陥を生じた、しかも中小企業はいろいろな面で非常に深刻である、したがって景気対策に対してもう少し前向きなという、そういう意味での微妙なずれがあるというように私は感じ取っておるのです。  そういう意味で、私は一つの提案ですけれども、今回、公庫に希望をいたしましたがだめになったという方々、この皆さんはなるべく早い次の機会の優先順位を確保してやる。そのかわり今回、それまで待っておるわけじゃありませんから、大蔵大臣のおっしゃいますように、自己資金が相当程度あって、それで公庫の融資に頼るわけでありますから、したがって、その公庫の基準に合致する建て方をして、その融資は次の――来年当初のやつでもいいのです。当初のやつで見てやる、こういうことは可能なのではないか。そうすれば、今回はずれになった、したがってできない、こういう状況になっておる方々が、次の一番早い段階のときに、公庫の基準に合致した建て方をしておるならば優先して融資の対象になるんだということになりますれば、たとえば棟梁や施工業者との関係をいろいろ調整してやるという皆さんもたくさん出てくると思うのです。その程度のことは、私はいまの経済情勢のひどい落ち込みから言って、考えられてしかるべきじゃないかと思いますが、大蔵大臣、どうでしょう。
  265. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう問題につきましては、第一義的には建設省の方でいろいろ御研究になっておると思うのでございまして、建設省とよく相談いたしまして、可能なものでございましたならば取り上げていくということは、やぶさかではございません。
  266. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 さきに総裁がお答えいたしましたように、上期の不適正な申し込み受け付け等についてはお聞きになったとおりでありまして、今後は絶対にそういうことはさせないように努力をいたしてまいります。  なお、今回もできるだけ大きな枠にと思って御要請をいたしたわけでありますが、結論的には下期と合わせて十万戸ということで、これは財政当局も大変御協力をいただいたと思っておりますが、結果が、補欠一五%程度、それから一二%程度は残留ということになったわけです。補欠の一五%は、従来のいろいろな事後の辞退等を考えますと、大体救済できるのじゃないかという見通しを持っておりますが、あと一二%程度の今回漏れた人でありますが、これはやはり抽せん、当せんなどの問題もありますから、私どもは、次の機会には優先的にそういう人々の御要望に沿えるようにしたいと思っておりまして、その点では今後も努力をいたしてみたいと思っております。
  267. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、この住宅建設の問題点として、私は一つ提起しておきたいのでありますが、最近の新聞の広告欄を見ますと、マンションが全部住宅金融公庫の融資つきということで、毎日の新聞に広告があります。これはまだ売れておらぬ分がうんと多いのであります。確かに、マンションに対して融資をする、これは都市化された過密社会における土地の高度利用という観点でこの道を開いた。しかしながら、今回の不正融資の中でも、デベロッパーのマンション建設が架空名義でたくさん割り込むというかっこうかち不正融資が起こったのであります。したがって私は、確かに、土地の高度利用という意味でマンションやそういう集団住宅を融資対象にするということは必要でしょうが、これとささやかな個人のマイホームというものは、やはり区分した枠の設定をやる必要があるのじゃないかと思います。  このことは、きょうここで議論をしようとは思いません。今回の不正の根源も、私はそこにあったと思います。いま土地が非常に動きの鈍い段階に入っております。したがって、デベロッパー、民間のそういう土地に投資した業者が、全部マンション建設に殺到した。それが今回の公庫の不正融資にもつながっておるのであります。したがって次の段階では、デベロッパーのマンション建設の公庫融資対象というものと個人のささやかなマイホームというものとを区分した形で融資枠を設定すべきであるということを一つの提案として申し上げておきたいと思います。  時間の関係で次に移りたいと存じます。  自治大臣、公職選挙法が実施されて半月間経過をいたしました。この公選法は、買収、金権野放しで、そして言論を抑圧するという批判がありました。しかし、改正公選法の中で、私はやはり大きな前進であったと思うのは、公職の候補者等――われわれも含めてでありますが、これは一切の寄付行為を禁止した。花輪だとかあるいは香典まで規制してやるということは、やはり大変な前進だと私は思っております。これがどのように守られるか。これは、民主政治の基礎をしっかり固めていく、あるいは議会制民主政治の信頼をしっかりと確立するという意味でもきわめて重要だと思います。したがって、この実施半月間で、いまの公職の候補者等の寄付行為禁止条項がどういうふうに守られておると自治省では把握をされておるか。私の判断では、閣僚の中でも本当にみんな守っておるのだろうかという疑心暗鬼が寄るとさわると耳に入ってくるのであります。これは一体自治大臣の方はどういう掌握をなさっておるか。  それから立て看板等も規制された。後援会とか政治事務所、政治家の事務所の看板等も規制された。私はこの事務所をそんなにたくさん持っておりませんけれども、県の選管に照会をして、改正公選法で言っております証紙を全部張りました。ところが、私のところに選管の方から証紙の交付という通知が入りましたのは、この法律が実施される前日にやっと通知が入った。あわを食って当日取りに行って、その翌日中に私は全部この証紙を張りました。いまこの立て看板等が改正公選法どおりきちっとなっておるかどうかということをずっと見てみますると、新聞等で全然それが守られておらぬということがよく記事になります。これを自治省では一体どういうふうに掌握しておるのか、今後改正公選法というものをどういうふうに進めようとしておるのか、私は、そのことを考えますると、どうも選挙管理委員会の機能、これも非常に不十分だと思います。それから自治省が新聞広告等々を出した程度で果たしてこれがしっかりと守られるのかどうかということについても、寄るとさわるといろいろな疑心暗鬼がございます。したがって、改正法を施行以来半月の間、自治大臣はどういう掌握をされて、今後この改正公選法の確たる実施の保証のためにどういう対応をなされようとしておるか、ひとつ承っておきたいのであります。
  268. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  大変適切な御質問をいただいておるわけでございまして、実は御案内のように、この公選法は十四日から施行することにいたしまして、その前に地方の選管を招き、この法の趣旨の徹底を期しますと同時に、まず、ただいま御指摘になったところの寄付の禁止の問題、このことは、いままで金のかかる選挙あるいは目に余る寄付をやって買収的な行為をやっておるという非難をぜひとも払いのけてしまわなければならないという固い決意のもとに、自治省といたしましては、その趣旨の徹底について努力をいたしておるわけでございます。すでに法律が通りましてからも、しばしば、テレビとかあるいは新聞、あるいは新聞広告等々を通じて一生懸命PRをし、趣旨の徹底に努めておるわけでございまして、今後においてもこれが徹底を図るべく極力努力をいたす決意でございます。  なお、この立て看板等の問題につきましては、実はいま御指摘になったように、選管というものが非常に人員的にも機構的にも弱い組織でございまして、選管でもって、たとえば全部立て看板がその圏内においてどのように撤去されておるかというようなことを調べることが、なかなか困難なような状況になっております。そこで、われわれといたしましては、一応警察を通じて、まだ不適当な看板があるかというような面を全部いま調査をしてもらいまして、したからといってすぐ警察が警告を出すわけにはいきません。そこで、それを選管にまとめて、選管からその当事者に通告をして撤去を命じ、あるいは適正に直すように指導をいたします。それをいたしましてもなおかつ直らないという場合には、警察から今度本人の方にこれを警告をいたしまして、その警告をしてもなお守らない場合に摘発をしていく、こういう、皆さんからお考えいただくと、いささか手ぬるいではないか、もっと最初からぴしっとやれというお考えがあるかもしれませんが、法律のたてまえ上そういうことになっておりますので、その趣旨で、私としては、この法の精神を実際の面にまで敷衍し、また実行していくように極力努力をいたす決意でありますし、自治省を挙げて実はそのような方途を講じておるということを御了承願いたいと思うのであります。
  269. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私ども率直に言って、立て看板の問題にしても、公職の候補者等の寄付行為の禁止にいたしましても、まだまだ守られておらないというふうに思います。したがって、わが党といたしましては、寄付行為でありますとか、そういうものは告発する体制、こういう体制をひとつ国民運動として展開しよう、こう思っております。自治大臣の方におきましても、ひとつ真剣に取り組んでもらいたいと思います。  それから、中小企業の金融問題についてちょっとお伺いしたいのでありますが、マクロでは回復基調に入った、しかしミクロでは非常な不況だ、こういうことがしばしば言われております。特にミクロ不況の中における中小企業の状態は非常に深刻なのであります。特に年末及びこの冬季間の中小企業の直面する状況は非常にけわしいのであります。  そこで、これに対する対策は一体どうするかということなんでありますが、一つは、大蔵大臣赤字公債を出された。これは市中引き受けということを言われておるわけでありますが、国民一般がそう簡単にこの公債を買ってやろうということには、現状ではなかなかならない。そうするとこれは全部銀行が引き受けることになる。この銀行が将来持ち切れなくなっていけば日銀の買いオペという問題が起こる。そこから紙幣の増発で、また福田さんが盛んに言われております一けた台をどうするかという問題が、三月台で仮に一けた台にしても、またその次に大変な状態が起こりかねない情勢を、いまの政府考えておる公共料金の軒並み値上げの道筋等から言って、私ども懸念いたしております。  そこで、それはそれとして、当面、公債を市中引き受けをやらす、そうすると、これはどうしても民間の金融を圧迫することにつながっていくということを私どもは恐れます。従来、弾力的な運営でこれは乗り切るというふうに言われておりますけれども、この弾力的運営と言いましても、これは弾力的運営をどのようにやられるのかわかりませんけれども、一般金融機関が公債を引き受けなければいけない。いろいろな情勢判断をいたしますと、どうもそのしわ寄せは、ミクロ不況の中で基盤の弱い、最も窮地に立たされる中小企業の上に全部寄っていくというふうに私どもは見ます。  したがって、そういう観点から見ますると、三機関の今度の特別枠は四千八百億と言っております。去年はこれが四千五百億でした。三百億ふやしたのであります、こう言っております。三百億円程度の枠の増加で、ちょうど一年有余ずっと続いてきたインフレからいまのこの不況の段階で、一体、中小企業が乗り切っていくことができるかということになると、私はそういままで論議の中で言われておるほど甘い情勢じゃないというふうに思います。したがって、この三百億という枠を去年よりふやしておるので大丈夫だという言い方は、私どもどうしても納得をしないのであります。私ども、通産大臣にこれは非常に悪いけれども、どうも通産大臣は大企業の方の味方で、大臣傘下の中小企業庁といえどもどうも河本大臣のもとで、ミクロ不況で非常に苦しんでおる中小企業の立場を本当にサポートしてもらえるであろうかということについて、余り大きな期待を持てないのです。したがって、特に三機関の融資という枠の問題を情勢に応じて再検討する、こういう配慮があっていいんじゃないかということが質問の第一であります。  第二の問題は、特にこの三機関の中でも中小企業金融公庫などは、融資申し込みをしてから決定されるまでものすごく時間が長い。特に三機関とも最近ずっと何か長くなっているという感じを、私どもいろいろ苦情を受けまする段階で痛感いたします。これは一つはどうも枠の問題があるんじゃないかということを感じます。一つには、やはりいいかげんな融資をやるわけにいかぬ、国民の金でありますから。要員が不足しておるという感じを強く持っておるのであります。いまのミクロ不況で非常に苦しんでおる中小企業に対して適切な対策を講じていく、金融の対策を講じていくという意味では、一つはいま言ったとおり枠の拡大、もう一つは要員の拡大ということをやらないと、ちょっとむずかしいというふうに私は思います。これは大蔵大臣から御答弁を願いたい。  それからいま一つは、時間の関係で全部申し上げてしまいますが、非常な厳しさにあるのであります。そうすると融資条件の問題であります。本人が努力あるいは怠けたにかかわらず、険しい経済情勢の中でピンチに立っておる。この場合に、たとえば担保など、従来私どもが見ておりますと、時価価額に対して大体六〇%を担保の限度として見ておるように思います。あるいは三機関のいずれかに行きますと、いや七〇%見ておるんだということを言う人もいます。しかし私どもの感覚で言うとどうも六〇%程度にしか見ておらない。こういう厳しい情勢になった段階では、融資条件等も、たとえば担保などは、わずかてこ入れをしてやれば何とか乗り越えていけるという見通しのあるものについては八割程度まで見てやるとか、いろいろそういう条件緩和等も考慮すべきでないかと思うのでありますけれども、大蔵大臣の御答弁を願いたい。
  270. 大平正芳

    大平国務大臣 第一、国債を大量に発行いたします場合に、民間金融、とりわけ中小企業に対する金融を圧迫するおそれはないかということでございますが、たびたび申し上げておりますように、上半期は大変財政資金の散布超過の状況でございます。下半期におきましても、われわれが予定いたしておりまする公債の消化をお願いいたしました後におきましても、財政資金のなお散布超過の状態が予想される金融情勢でございますので、マクロ的に見ましてさようなことがあるとは考えておりません。しかし、金融機関について申しますれば、また時期的には阿部さんが御心配のようなことが起こらないという保証はないわけでございます。したがって、まず資金運用部の余裕資金をできるだけ動員いたしまして、国債ばかりでなくその他の公社債の消化に振り向けるというように努めなければならぬと思っております。しかし現実には、資金需要の状態を見ておりますと、今日私どもが三機関に対しまして四千八百億予定いたしておりまするので、政府としてはまずまずの手当てが可能でないかと考えておるわけでございます。しかし、万が一心配なようなことが起こりますならば、その段階で再検討するにやぶさかではございません。  それから第二の問題でございますが、三機関の要員が不足して貸し付け事務が渋滞を来しておるのではないかという御指摘でございます。これは三機関とも、固有の要員のほかに、広く全国的に代理貸しのネットワークを持っておるわけでございまして、私は一応いまの体制で事務の消化に支障があるものとは思いません。しかし、もしいまの体制で渋滞を来しているようなところがございますならば、それは御要請もございますので、気をつけて改善してまいりたいと思います。  それから第三の問題は、具体的な融資の実行に当たりましての担保その他の問題でございますけれども、こういうときでございまして、新しい厳しい情勢に対応するために、弱い中小企業はどのように身構えていくかという非常に厳しい情勢であることは、私もよくわかるわけでございます。したがって、償還期限の問題でございますとか担保の問題でございますとか等々につきましては、親切に相談に乗って差し上げなければならぬと思うのでございまして、関係金融機関には十分意のあるところは伝えてまいりたいと思います。
  271. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 中小企業金融公庫の総裁においでいただいておるのでありますが、いまの大蔵大臣答弁で、時間の関係で直接お尋ねをしないことにいたしたいと思います。  次に、労働大臣にお伺いしたいのでありますが、倒産はどんどん出る、それに加えて、いま御案内のように、大臣も私も東北でありますけれども、農業だけでは生活ができない、したがって農外所得の方が農業所得よりもはるかに大きいというのが、ほとんどの農業に従事をしておる農村地帯の現状であります。その皆さんがいま間もなく出かせぎに出ようとしておる。ことしは大変な求職難であります。求人が少なくて求職難なのであります。したがって、こういう場合に一体どうするかということなんでありますが、わが党は他の野党ともいま協議をして、今国会に雇用及び失業対策緊急措置法というものを提案しようと準備を進めております。  特に、その中で、時間の関係でまとめて申し上げますけれども、雇用保険法に基づく失業給付であります。これで雇用保険の給付期間は終わりました、就職の意思はございます、しかし職はありません、こういう状況が至るところにございます。それから、年々定型化しております出かせぎ、農外所得が大部分、農業所得はほんのわずかで出かせぎに出てきておる。この皆さんは今日まで、都市社会のいわば建設事業なり都市の再開発なり、これを支えてきた、そういう大きな力だったと思います。この皆さんが就職をしたくともなかなか就職できない、こういう場合に、雇用保険法に基づく失業給付の延長等々の措置、これで救済をすべきではないか。これは今度われわれが他の野党と連合して提案しようと考えておる雇用及び失業対策緊急措置法の第一の点であります。  第二の問題は、とにかく大量な解雇が行われる、この解雇に対して一定の歯どめをする必要がある。そこで、雇用調整委員会のようなものを、労使代表等によって中央及び県段階等々に設置をして、そしてこの大量解雇に対して一定の歯どめをしていく。この雇用調整委員会のそれを経なければ大量解雇といったようなことが安易に行われないような歯どめをしていく、これが第二の点であります。  それから第三番目には、企業倒産等に伴う不払い労働債権があります。労働債権の保全に対して、従来私は非常に不安定だったと思います。この労働債権というものをもっとしっかりと保証していく。さらに失業対策事業、これをどのようにして拡大をするかということであります。  こういう点を柱にした特別措置法、これは大体三年間程度の時限立法として、当面のこの険しい情勢に対応してぜひひとつ実現をしたい、私どもこういう考え方を持っております。これに対する労働大臣の御見解を承っておきたい。これが一つ。  時間の関係で全部まとめて申し上げますけれども、労働大臣のいままでの国会論議や、労働省の幹部の皆さんとお目にかかってみますると、たとえば大学は出たけれどもという状況になってまいりました。それから高校卒にしても地方段階などでは非常に就職が険しいのであります。このことを申し上げますると、労働省は、高校卒、中卒はこれは絶対大丈夫です、こう太鼓判を押すのであります。大学卒も、確かに大企業等は、調査をしてみますると、二十何%かの企業は今年新採用は採らない。しかし中小企業等は二〇〇%もの求人申し込みがございます。したがって、新卒の皆さんが価値観の転換さえ行うならば、険しいといっても就職戦線は大丈夫でありますというのが、大体長谷川労働大臣以下の労働省のキャンペーンであります。  しかし、この間の新聞ごらんになったでしょう。あるところで大卒の募集があった。行ってみたらどこかの保養所の用務員であった。その用務員一人に対して、何十人か希望して行ってみたところが、用務員であったというので、実際にやってみたら大卒は来なかった。大学を出ても用務員になっていけないということは私はないと思う。しかし、従来、労働省も政府も企業も、日本社会も、そういう意味での価値観の転換という流れをつくる努力をしてきたかということになると、私はそうではなかったと思う。したがって、この価値観の転換論だけで当面のこの険しい就職戦線を律するということが、果たして政治の本当に親切なやり方と考えていいのだろうかということになると、私はどうもそうは思うわけにいかない。  したがって、労働大臣以下労働省はどこでも、価値観の転換が大切なときだ、こう言うのでありますけれども、私はこれは現状のそれには即応しない。それから同じように、都市、メガロポリスの社会と地方社会では全然違うのであります。地方で倒産等が起こる、あるいは就職が険しいということになりますと、なかなかそう簡単にいかないのであります。  こういう情勢に対して、労働省が的確な政策を持たれておるかというと、私はどうもそうは思えない。したがって、いまお尋ねいたしました問題点に対して、労働省はひとつ国民に対して希望の道を明確に示してほしいということをお尋ねします。
  272. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 失業雇用問題は非常に大事な問題でございまして、組合の皆さんからもいろいろ要請がございます。また阿部さんお話しのように、この国会中にあなた方が法律案をお出しになるということでして、その要綱の一つ、二つについていまお話がありましたが、いずれそういう法案が出たときにだんだん御審議申し上げながら意見を交換していくということになろうと思いますが、そのうちの一つ、二つの問題についてお答えいたします。  一つは、やはり労働債権の問題等々はこれは前の社会労働委員会の話などもあり、しかもこういう不況のときですから、来年度に何とか目鼻をつけたいというふうに、真剣にいま作業中でございます。  さらに、大量に解雇がある、こういうものに何か委員会でもつくられたらどうだというお話がありますが、これはいずれ審議の段階になろうかと思いますけれども、これは御案内のように、いまの日本においては解雇する場合に予告制度があるわけであります。さらにはまた、大量解雇の届け出制度がありますし、さらにはまた、いままで判例によりまして、解雇権の乱用の法理が定着しておりまして、使用者の恣意的なことで労働者は解雇できないというふうになっておりますから、そういうことなども含めながらいろいろ考えていかなければならぬことじゃなかろうか。いずれにしましても、企業が雇用調整を行いますときには労使の間に十分協議されるのが一般的でございますので、そうしたところで守っていきたい。  最後に大学学生の問題、価値の転換の問題について私が話すことについてのお話がありましたが、これは高等学校の生徒卒業生は、いままでの統計によりますと、ことしほどではありませんけれども、大体二・一倍ぐらいでございまして、まあ大丈夫じゃなかろうか、これは安心していいじゃないか。日本には若年労働者はなかなか貴重なものでございます。それから大学学生につきましては、これは四年間非常に勉強した諸君でありますし、将来の日本を背負う諸君ですから、しっかりこれは希望を持ってもらわなければならぬ。私も企業の諸君と会いますと、企業の諸君も、ことしの大学学生は非常に姿勢もいいし勉強もしてきておりますと。そして大企業は、これは二割、三割ずつ全体的にことしは就職ができないようになっております。中小企業の諸君は、こういうときにこそいい諸君が入ってもらえる、こういうふうに期待しておりますので、より好みと言ってはいけませんけれども、私たちが大学を卒業したときとはわけが違って、寄らば大樹の陰とかじゃなくて、何でもひとつ努力していく、本気で人生にぶつかっていく、こういう姿勢があるならば前途が開けるのじゃなかろうか。そしてこういうときにこそ大事なことですから、来年の三月までひとつしっかりそういうふうな道をつくって御協力申し上げよう、こういうふうな考えで真剣に労働省もほかの方々と連絡をとりながらやっているところであります。
  273. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この問題は、わが方で提案いたします新しい措置法の審議の過程でもっと深めたいと思いますが、いまの雇用保険の失業給付が切れた、しかし就職はできなかった、あるいは季節出かせぎ者が出かせぎに出てきたい、しかし職はない、こういう場合に雇用保険法で言う給付を延長すべきである、この提案についてはどうか。
  274. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 個別延長、いまはとにかく、お年寄りの方々に三百日も雇用保険を差し上げて、そしてまた、むずかしい人には個別延長もしょうという制度をお互いで審議したわけであります。  それからまた、出かせぎでも特別にむずかしいところは、きのう全国の職安課長会議を開いて各県の模様等々も聞きましたが、各県で特にこの際どうしても出かせぎに行くというふうなところは、特別に私の方は求人開拓を送り先と受け入れ先の職安で連絡をとりながらやっていく、こういうことでございまして、いますぐここで、先生がおっしゃったことに対する直接の回答のできないことは残念だと思っております。
  275. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この問題はさらにわが方提案の法律の中で論議を詰めていきたいというふうに思います。  時間がなくなりましたので、農林大臣に伺いたいのでありますが、予約限度超過米というのは一体これは何でしょうか。食管法上どういう扱いをしていこうということになるのでしょうか。  もっと申し上げますと、農林大臣、食管法で生産者が生産をいたしました米を売る場合は政府に売る、これが一つであります。あとは自主流通米、このいずれかによらなければならぬのであります。それ以外の方法で売りますれば、これは食管法違反になるのであります。したがって予約の中には、いまの政府に売る分と自主流通米八百数十万トンが入っておるわけです。今年度は、どう考えましても、六十万トンとも言われ、また食糧庁に言わせますと、首をかしげておりますが、四十万トン程度だろう、こう言っておりますが、予約限度超過米というのが出るのであります。この超過米を一体どうやったらいいのか、農林大臣、きわめて明快にひとつ御説明を願いたい。食管法違反にならない方法でどうやったらいいか、教えていただきたい。
  276. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 御存じのように、九月十五日の作況指数では一〇五という全国の作況ベースからいきますと、やや良ということでありまして、このままの状況で推移をすれば、大体、いま御指摘のありましたような予約限度超過米というのは、四十万トンくらい出るということになるわけでございますが、しかし現在の時点はまだ中間的な時点であります。昨年のいまごろも大体二十万トンくらい超過米が出るということでありましたが、最終的には出なかったわけであります。また一昨年は五十万トンぐらい出るということでありましたが、最終的には七万トンぐらいで済んだわけでございまして、十一月の半ばごろから十二月の初めにかけての最終的な段階を見ないと結論は出せないわけでございますが、私たちは、まず第一にはやはり県間調整によってこれを処理していきたい、そしてそれでもってなおかつ余った場合は自主流通のルートに乗せてこれを処理したいということでありまして、これは毎年そういうことで処理してきておるわけでございます。ですから今日の段階は、まだ中間的な情勢でございますので、はっきりいたしませんけれども、県間調整と自主流通米のルートでもって、もし超過米が出るとすればこれを処理していきたい、こういうふうに考えております。
  277. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 確かに去年はほとんど出なかった。一昨年もまあまあ大したことはなかったということであります。そこで、去年、一昨年と比較をして、ことしはどのように違うかという点であります。それは自主流通米がなかなかそう簡単ではない情勢になりつつあります。これは御存じですね。そういたしますと、県間調整をやっても何をやってもどうにもならなかった分は自主流通米のルートに乗っけるんだと言っても、自主流通米自体がいま頭打ち段階にあるのです。食糧庁も、農林省も、どこでもこのことははっきり確認をされています。県間調整をやっても何をやってもどうにもならなかった分は自主流通米のルートに乗っける、こう言いましても、去年や一昨年のようなわけにはいかない自主流通米の状況にあるのです。このことは御存じのとおりだと思います。  したがって私は、提案として、どうしても県間調整その他でうまくいかなかったこの分は、農林省が考えられております備蓄を繰り上げてやるべきではないかというふうに思いますが、農林大臣どうでしょう。
  278. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 自主流通米が二百五十万トンでありますが、いま阿部委員は、これが頭打ちで自主流通米もはけないのじゃないかというふうな御指摘でございます。現在の段階で部分的にはそういう状態のところもあるように聞いておりますが、私は全国的に見れば二百五十万トンの自主流通米は処理をできるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、どうしても余った場合は備蓄に持っていったらどうだというお考えでございますが、私はそれは一つの考えでもあろうと思うのです。しかし、われわれの備蓄計画というのは、最終的には二百万トン端境期に持ちたいという構想でございますが、これはやはり計画的に年次を追って二百万トンという線に持っていきたいということでございますので、今回もし超過米が出た場合に、備蓄の量をふやして、そうして備蓄に充てるというふうな考え方は持っていない。何とか自主流通米のルートと県間調整でこれは処理したい。また現在、私は、できないことはないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  279. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 米ソの穀物協定がこの間行われた。これは考えてみますると、今年の相当早い時期にソ連が米国に対して千七百万トンの穀物取引の動きを始めた。そういたしますると、あわ食って安倍農林大臣はアメリカへすっ飛んでいって、日本によこす分は大丈夫だろうかというので念を押しに行かざるを得ない、こういう状況にあるわけであります。私は考えまするに、ソ連の穀物協定というのは、きのうでしたかも宮澤外務大臣は、そうは言っても向こうのは、アメリカの作況等が大きく狂った場合はいつでもソ連にやる分はキャンセルできる、そういう歯どめがあるのだ、したがって、日米の長い長い関係からいって、安倍農林大臣が向こうに行って日本の分は大丈夫ということは、これはもう絶対大丈夫だ、こういう意味のことを答弁されたと思います。しかしそうは甘くはない。向こうのは石油協定とうらはらの関係なんです。日本は逆にアメリカのいやがる工業輸出でも何でも無理無理押し込まなければならぬ立場にある。今後このアメリカの穀物貿易というのは戦略的な位置に位置づけられてきておると私は思うのです。  そういう面から考えますると、日本のいまカロリー換算で四割、四〇%と言われておる食糧の自給体制というのは、大変深刻な状況だと考えなければならぬと思うのです。したがって、いま農林省が安倍農相のもとで策定しておる食糧自給計画や何かにしても、私から言わせますと、まだまだそういう厳しさをちっとも認識をしてはおらないというふうに思います。  特に伺いたいのですが、海洋法会議における領海問題は一体どういうふうになっていくのか、これも非常に厳しい。したがって、日本のたん白源であります水産業も、今度は相当なシビアな局面に立たされる。飼料もその大部分を海外のえさに依存しておる。こういう状況から考えますと、日本のたん白源というのは、一体将来どういうふうにしていくかということの確たるめども、ちっとも立っておらない。  私は、そういう面で見ますると、いまの農林省の考え方もそうだし、三木内閣もそうだし、歴代の自民党内閣の食糧問題に対する姿勢というのは、まだまだちゃらんぽらんだと言わざるを得ないのであります。  トインビーは、二十一世紀を支配するのは工業大国ではない、こう言って死んでいったわけですね。私は思いまするに、解放後のベトナムにしても、あるいはカンボジアにしても、どんどん都市人口を農村に展開をさして、農業や農村の基盤を固めるというところから民族国家としての再編成をやろうとしておるのです。私は、こういう状況考えますると、日本の食糧政策、農業政策というのは、まだまだ非常に甘い見方、どうにかなるのだという式の段階にあることは大変なことだと思うのです。したがって、一体日本の食糧政策をどうするかということについて、これはひとり安倍農林大臣のもとで農林省ががたがたやっているだけじゃなくて、やはり食糧対策のための関係閣僚会議のようなものを設置して、三木内閣として本腰を入れて取り組むべきではないかと思います。もっとも三木内閣がいつまで存続するか私はわかりませんけれども。しかし、こういう険しい情勢に立っていながら、まだそういう食糧政策に立ち向かう厳しい姿勢の片りんも私は見出すことができないというふうに言わざるを得ないのです。そのことを一つ申し上げておきますので、後で御答弁をお願いしたい。  時間がありませんので、国土庁長官、三全総の中間報告がきのうあたり出されたようであります。いまの食糧問題もそのとおりであります。したがって一体この三全総というのはいつ正式に決まるのか。三木内閣は、人件費がどうだとか、福祉先取りがどうだとか、あるいは環境整備を自治体がやり過ぎたとか、それが赤字原因だ、財政危機の根源だというキャンペーンを春以来張ってきました。私はこれは本末転倒だと思います。高度成長から流れが変わったんです。流れが変わったにかかわらず、税財政のあり方も、基本的な経済政策の路線はちっとも変えられていない。いままでの惰性のままで動いていると思うのです。ここに今日の財政危機の根源があったと思うのです。そういう意味で、今度の三全総というものは、三%ならば失業者が五百万も出るだろう、八%なら環境がもたないだろう、こう言っておるのです。しかし、まだまだこの三全総の中間報告も、一体どこに基調を置くのかということが定まっておらぬように私は思います。  いま、各省の公共事業の長期計画がずらっとございます。これの途中段階にある計画はたくさんあるわけですが、これを三全総との関係で一体どの時期にどういうふうにしていこうとしておるのか、このこともあわせてお伺いをしておきたい。三全総は一体どこにポイントを置くのか。それから一体いつ定めるのか。これとの関係で、これは副総理になるかもしれませんけれども、各省の持っておる長期計画、これは一体どうするのか。このことをお聞きしたいと思います。
  280. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 米ソの最近結ばれました穀物協定でございますが、いまのお話では、石油とのバーターだというふうな御指摘でございますが、私が聞きました範囲では、石油とは切り離した穀物だけの協定だというふうなことでございます。この協定は五年間で毎年ソ連が六百万トン買わなければならないということでありますし、アメリカが二億二千五百万トンですか、不作でありますが、これ以上である場合は二百万トンは自由に買えるけれども、それ以上買う場合、八百万トン以上買う場合には米ソ間の政府で協議をしなければならぬということで、ソ連にとっては非常に片務的な協定であるというふうに理解をしております。しかし、ソ連は一九七一年、七二年に突発的に穀物を大量に買って、それが世界の穀物市場を非常に混乱させた。日本の畜産にも非常に大きな影響が出ておるわけであります。そういう面からいけば、ソ連側とアメリカとの間に協定ができて、安定的にアメリカから輸出が行われるということは、世界の穀物市場の上において、また、世界貿易の上においては歓迎すべきことであるというふうに理解をしております。  また、私がアメリカに参りまして、私とアメリカのバッツ長官との間で約束をいたしました、これから三年間毎年千四百万トンという穀物は、これは紳士協定ではございますが、日本が伝統的に輸入国であるということで、アメリカ側は優先的に日本に対して穀物の輸出を行うという前提のもとの約束でございまして、これは、日本がこれからの食糧問題を考えるときに、やはり安定輸入というのは大きな問題でございますので、その面で一歩前進であるというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、食糧事情、食糧問題が非常に深刻な事態であるということは、これは私も同じ考えを持っておるわけでございます。特に、いまお話しのような水産関係等につきましては、経済水域二百海里の問題等もございます。また、領海の問題もあるわけでございまして、水産資源につきましては、非常に深刻な情勢にあるわけでございます。また、世界的に食糧が不足をするという長期的な状況の中で、わが国が世界最大の食糧の輸入国であるということも考えると、食糧政策というものはただ単に農政の問題ということではなくて、いまお話しのように、国政問題として取り上げなければならない重要課題であろうと思います。  そうした観点から、私たちとしても、総理大臣のもとに国民食糧会議等を開きまして、各界の食糧問題に対する御意見等も集約をして、そうした集約した御意見のもとに、総合食糧政策の展開といった新しい政策等も打ち出しまして、積極的に食糧政策に取り組んでいきたいという姿勢でございます。非常に困難ではございますが、全力を挙げまして、石油の問題とともに世界的な課題であり、日本にとっては特別に重要な課題でありますだけに、全力を尽くしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  281. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 しばしば申し上げておりますとおり、わが国をめぐる世界環境というものが非常に変わってきております。また、国内の社会、経済の情勢も大変に変わってきておる。そこで、これから不況を脱した後のわが国の経済をどういうふうに持っていくかという新しい路線をしがなければならない。そこで、政府におきましては、新しい計画の長期路線、これをどういうふうにするかという作業を進めておる段階でございますが、その考え方は、何といいましても、成長の高さ、速さ、これをいままでと違ってかなり落としていかなければならぬ、こういうふうに思うのです。それから計画の内容、これはいま作業中でございますが、考え方といたしましては、成長から生活へ、こういうふうな考え方になっていかなければならぬ、そういうふうに考えております。そういう考え方を織り込みました具体的な計画は、その概略案を年内につくりたい、こういう考え方でございます。それを数カ月おくれて正式なものに固めていきたい、かように考えておりますが、そういうことに伴いまして、当然新全国総合開発計画、これがまた改定をされなければならない、こういうことになるわけでありまして、その改定の時期は恐らく来年度に入っていくのじゃないかと思います。  しかし、五十一年度予算編成という問題がありますから、それに何らかの指針を持たなければならぬ。ただいま申し上げましたように、経済運営につきましては概略案を年内につくる、それに整合するように諸計画、新全国総合開発計画も、それのさらにカットダウンいたしました長期計画、これも改定しなければならぬ、こういうことになりますが、その改定は新全国総合開発計画が来年度に入るという関係もありまして、正式にはこれは来年度に入ってからの問題になるだろう、こういうふうに思います。しかし、五十一年度予算の指針ともなるべき方向だけは年内に打ち出しておかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  282. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま福田総理からお話がありましたので、多くを申し上げる必要はないと思いますが、新全総をつくるに当たりましては、このような高度成長から低成長といいますか安定成長というこの時点においては、高度成長の中で高密度の人口集中というような経済社会をつくり上げたということでありますから、水とかあるいは土地とか、いわゆる国土資源というようなものの有限性というものを踏まえながら、環境保全というようなものを配慮しながら、ただいま副総理からもお話がありましたような、生活を中心にしたような考え方で、この究極の目的をそのような点においてつくってまいりたい。なお、概案につきましては、できれば本年末につくりたいと思うのですが、成案をつくるに当たりましては十分国民の声を吸い上げてきめ細やかな計画を立ててまいりたい、こう考えております。
  283. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田君の保留分の質疑を行います。岡田春夫君。
  284. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 きょうは再々質問をやらせていただきますが、最初委員長、お疲れのところをわざわざ御出席をいただきまして敬意を表します。できるだけ委員長方針に従って、私は質問をいたしてまいります。
  285. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ありがとう。
  286. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まず第一に、この前留保いたしております点でございますが、資料として出していただきたいという点で、若干いまだに資料が出されておりません。それは、松前・バーンズ協定に基づくところの共通運用手順、それから要撃準則、それから交戦規則、これらを出していただくようにお願いしますと同時に、了解覚書についても出していたたく、こういうことを要求をしておるのですが、いまだに何らの回答がございません。しかし、最初の点でございますが、松前・バーンズ協定は現在生きている、この点は確認をされました。そうすると、当然これは外交チャネルの間でのお互いの合意の問題でございますから、松前・バーンズ協定というのは当然外務省でも了承しているもの、こういうように見なければならないわけであります。防衛庁は先ほど申し上げたような資料もなかなかお出しにならないわけでございますから、私は外務省の方に要求したいと思うのです。先ほど申し上げたような問題は、協定の中にある言葉でございますが、当然外務省はその内容を知っているはずでございますから、それでは外務省でこの資料をお出しいただけるかどうか、この点伺いたいと思います。
  287. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる松前・バーンズ協定は、日本の防空に関しますいわゆる岡崎・マーフィ交換公文の細目でございます。そういうものとしては承知いたしております。しかし、これは不公表ということになっております。
  288. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の質問に答えてくれなくちゃだめだ。その内容をあなた知っておられるのならば、その協定の中にある共通運用手順、要撃準則、交戦規則を出してくれますかと、こう聞いている。
  289. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まず、防衛庁の方からお答えをいたします。  交戦規則でございますが、これはこの前も御説明いたしました。第五空軍の規則でございまして、この点については、この前も申し上げましたように、アメリカの軍の規則でございますので、先方の了解なしに提出することが困難であるということを申し上げたわけでございます。  それから自衛隊の要撃準則でございますが、この要撃準則は、文書は秘区分に指定されております。秘密の区分に指定されております。その趣旨は簡単に申しますと、相手方にいわゆる手のうちを示すということにおいて国益にとって好ましからざる結果を及ぼすと、こういう判断でございます。  この内容につきましては、いままでも御説明を申し上げておるわけでございまして、簡単に申し上げますと、まず、緊急発進を行った要撃機は、航空総隊司令官あるいは航空方面隊の司令官、あるいはそれらの委任を受けた者の指示に従って、警戒管制部隊の実施する要撃管制によって領空侵犯機を捕捉して、その状況の確認及び必要に応じて行動の監視を行う。それから警告。領空侵犯機を確認した場合には、要撃機は領空侵犯機に対して領土外へ退去または最寄りの飛行場へ着陸を警告する。それから誘導でございますが、これは領空侵犯機を着陸させる場合には、要撃機は航空総隊司令官の指示に従って、その指示する飛行場に誘導する。それから武器の使用については、要撃機の武器使用は、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られる。こういう中身でございます。  それから運用手順。運用諸手順となっておりますが、これは特定の書かれた文書があるということではございませんで、中身を例示的に申し上げますと、航跡表示板、バッジのシステムの後ろに掲げられている表示板でございますが、これに表示をいたします記号の書き方、それから航空情報の通報の仕方、航空情報の中身は速度であるとか高度であるとか方向であるとか、こういったようなものが中身になっておるわけでございます。これはレーダーサイトが昭和三十三年から三十五年にかけまして航空自衛隊に移管された際に、これらの運用についてアメリカ側から訓練を受けておりまして、具体的な手順はそのときに引き継いでおるということでございます。
  290. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 防衛庁長官昭和三十八年三月三十一日付了解覚書、これはあるかないかはわからないというのがこの前の答弁でした。これでは困るのであります。ないならない、あるならある。これは御調査になったのですか、どうなんですか。われわれは根拠を持って質問をしているのです。しかも、フライングドラゴンと称する問題についても、皆さんの方がメモとおっしゃる、この整理番号があるというのに、了解覚書だけはあるんだかないんだかわからない。こういう無責任答弁では困る。調査をしたのか。たとえば整理簿の中を調べたのか、その結果、あったのかないのか、はっきりしていただきたい。
  291. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まず、統幕の現在保有しております整理簿その他について、書庫全部調査をいたしましたが、見当たりません。それから当時の関係者についていろいろお聞きをしたわけでございますけれども、何分にも古い時代のことでございまして、はっきりした御記憶がございません。したがいまして、いまのところあったともなかったとも、私どもの立場では明確に申し上げられないということでございます。
  292. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは私は了解いたしません。あったともないともわかりませんということでは、防衛庁はこういう文書の管理というのはいかに不十分であるかということが明らかであります。フライングドラゴンという、今日まで続いていると私の考えている戦時計画、これの基礎になるものがいまあるかないかわからないということでは、私は了解できません。  しかし、この問題についても、時間が何せ三十分しかないのに、あなたは五分以上も答弁しているんで次の問題に入っていかなければなりませんが、たとえばもっと具体的に伺いますけれども、三矢研究、これについてはこの間お出しになった防衛庁の答弁書がございますね。この答弁書の中に、三矢研究は有事の際において、日米が共通の危険に対処するための総合的な研究である、このように回答されておる。しかし、これはこの三矢研究は登録をされております。登録の番号は、統幕三の第三八の五三であります。これは間違いないでしょう。まずこの登録の番号は間違いであるかどうかを御答弁いただきたい。
  293. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいま御質問の統幕三第三八三〇号についての御質問だったと思いますが……(岡田(春)委員「三矢研究の話だよ。私の質問聞いておいてもらわないと困るんだな。その登録番号はあるんでしょうと言うの、三矢研究は」と呼ぶ)統幕三の第三八の三〇号でございます。(岡田(春)委員「三〇号ですね。――いや、あなたのお答えを言ってください」と呼ぶ)じゃ三〇号について申し上げます。この三〇号は正規に登録された文書でございます。(岡田(春)委員「それは三矢研究でしょう。だってもうはっきりしているんだ」と呼ぶ)これは当時、海原防衛局長が、いわゆる正式のものかというとこれはいろいろの文書がある、と言って答弁されております。それで当時の海原防衛局長が、「防衛庁の正規のと申しますと、これはやはり防衛庁として正式に外部に公表できる、責任の持てるという意味だと思います。」こういう答弁をされておるわけでございます。
  294. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちょっと丸山さん、悪いけど、そこにおってください。  それじゃ、三矢研究の登録番号は何番ですか。
  295. 丸山昂

    ○丸山政府委員 三矢研究の組織、手順、これを定めました中身、これがただいま申し上げました統幕の三の第三八の三〇号でございます。
  296. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 時間をなるべく使わないようにお願いします。  私がいま取り上げている文書は、統幕三の登第三九の甲の二八、この番号は先ほどあなたがおっしゃった三矢研究の統幕三第三八の三〇と非常に似ておりますね。ところがあなたは、似ているのに、片方は正規の登録番号である、片方は正規のものでない、こういう御答弁をこの前されている。違う点は確かにありますね。登という字が入っているのと、甲乙丙の甲が入っている。この点が違うと言える。  それじゃ、ここで伺いますが、統幕三というのはどういう意味ですか。私は統幕第三室だと思います。それから登というのはこれは何ですか。甲というのは何ですか。まあ私は甲は機密区分の表示だろうと思うが、こういう点をひとつ御説明いただきたい。
  297. 丸山昂

    ○丸山政府委員 統幕三は、おっしゃるとおり第三室でございます。この登は恐らく登録の登だと思います。と申しますのは、正規のものは登を用いておるわけでございます。(「だめだよ」と呼ぶ者あり)いま統幕三登第三九甲二八号について私は御説明しているわけです。それから、第三九の意味はよくわかりません。それから甲につきましても、これは当時の関係者について聞いておるわけでございますけれども、これは正規の登録ではございません。甲というこのグループの作業につけた名称のように思われるということを言っております。  以上でございます。
  298. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなた、いまはしなくも答弁されたじゃないですか。登というのは登録の登だと思います、登録されているんじゃないですか、これ。登録されてないという立証がありますか。もし登録をされてないとおっしゃるんなら、あなたに伺いますが、訓令百二、秘密保全の訓令がありますね。これの十七条に基づいて秘密登録簿に記入されているのか、されていないのか。登録をされていないものならこの登録簿に登録されていないはずだ。記載されていないはずだ。登録されているならここにあるはずだ。もしないとおっしゃるんなら、これは今日の登録簿にないその当時の部分について、物的な証拠をもってお見せいただきたい。あなたの口だけでは信用できない。
  299. 丸山昂

    ○丸山政府委員 正規の登録簿に登録されておりませんことは、この前も御答弁を申し上げたとおりでございます。別に登録されておったかということでございますが、その点については、この前も申し上げましたように関係書類の焼却によってはっきりわからないということでございます。それを物的証拠ということをおっしゃいますけれども、焼却されたものについては物的証拠は現在ございません。
  300. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 だめですよ、あの答弁では。いいですか。登録簿の中に記載されていないはずなんだ、登録されていないんなら。だから、記載されていないという事実を物的に挙証してもらわなければ、あなたの口だけでは私は信用できません、こう言っている。そうでしょう。その点が一点。  時間がありませんからどんどん伺いますが、あなたは何か別な登録簿があったかもしれないが云々とおっしゃるが、これは聞き逃すわけにはいかない。別な何か登録簿があるのですか。別な登録簿があるのなら登録簿があるとおっしゃってください。二重帳簿になっているのですか、あなたの方は。二重帳簿は困りますよ。  それからもう一点。整理簿とおっしゃっているが、整理簿を焼いたというのですが、整理簿というのは、正式の名前は何というのですか。その整理簿の名前を明らかにしてください。
  301. 丸山昂

    ○丸山政府委員 繰り返して申し上げますが、本件文書、文書と呼びますか、本件メモは正規の文書でございません。したがいまして、この前も申し上げておりますように、正規の登録簿に登録されたものでない、いわゆる幕僚間の研究のメモでございまして、その当時この幕僚間において作成したメモについての整理番号があったわけでございます。その整理番号が大変正規の番号に類似しております。この点については、きわめて不適当であるということは言えると思いますけれども、これはいわゆる正規の登録簿でなく、いま先生おっしゃった整理簿によって整理されておったようでございます。その整理簿は正式の書類であるかどうか、その整理簿は正式に何というのかということでございますが、これはもちろん正式のものでございませんから、そのグループだけで使用しておるものでございまして、したがって公式の登録簿その他の名称を付さるべきものではないというふうに考えます。
  302. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 納得しません。あなたはいかにも二重の帳簿があったかのごとき御答弁じゃありませんか。  そこであなた、伺いますが、それじゃ「これに関連する諸種のメモ等(整理簿を含む。)は、」云々と、これも焼いたと書いてある。これに関連する諸種のメモというのはどんなものなのでしょうか。諸種のメモというのは、このメモと称するものは大体どれぐらいあったのですか。これではよくわかりませんよ。私が伺った、この前取り上げた問題で、甲の五一、五二から五七まである。それも入っているのですか、どうなのですか。この点一もはっきりしないじゃないですか。その点が一つ。  時間がないから伺いますが、整理簿に記載されているなら、当然秘密区分があるはずですね。公式なものであるかどうかは別として、秘密区分があるはずです。こういう点はどうなっていますか。
  303. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まず第一の点でございますが、この当時にどういう書類があったのかについては、結局、関係者の記憶をたどる以外に方法はございませんので、この席で私がはっきりこういうものがあったというようなことを申し上げることはできません。  それから二番目の御質問でございますが、秘区分がどうであったかということでございますが、これは正式の公文書でございませんから、正式の書類に対して与えるような秘区分というものはもちろんないわけでございます。
  304. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それはあなた、いかにもおかしいじゃないか。秘密区分もない単なる研究だ。それなのになぜあわてて破棄したり焼いたり、整理簿まで焼いたり、しかもその上で、それの引き継ぎ資料まで焼いてしまったのですか。これはわれわれ国民は納得しませんよ。いわゆる完全犯罪を意図しているとしか考えられない。何でそんな秘密にもならないようなものを焼いて隠したのですか。納得できませんよ、これは。しかもあなたはわからない、わからないとおっしゃるが、秘密保全の訓令がありますね。それの四十六条では、この破棄の場合には保全責任者が執行することになっているし、上級管理者がその責任を負うことになっている。これに該当しなくとも、あなた方、破棄をしたり焼いたりするのならば、そういう上司の許可がなければ焼けないはずでしょう。そういう点はどうなっているのですか。こういう点を統幕の方で勝手に、問題になったからこれ、焼くんだ、こんな話は納得できませんよ。しかもあなたの答弁、いかに不十分であるか。焼いたのはいつだと言ったら、昭和四十一年二月。二月何日ですか。何日とはっきり言いなさいよ。しかもその当時の保全責任者ですね、訓令に基づく保全責任者、これは二条から三条、四条にある。そのときの保全責任者は一体だれですか。統幕三室であることは明らかだ。登録番号で「統幕三」と書いてあるから、統幕三室であることは間違いないじゃないですか。しかもその場合の管理者はだれですか。その当時のことをいままであなたはお調べになっているなら、この点明らかになるはずでしょう。そういう点、はっきりしてください。
  305. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 焼いた、焼いたというが、防衛庁長官、焼いたときの年月日をはっきり……。
  306. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 岡田さんにお答えいたします。  その後いろいろ記憶をたどりながら聞いておるわけでございますが、一体その当時の防衛庁長官はだれであったかということで調べました。そうしましたら、松野君なんです。そこで、私が当該メモの焼却当時、昭和四十一年二月に防衛庁長官でおられた松野頼三先生、昭和四十年六月三日から四十一年八月一日まで防衛庁長官として在任されておりましたが、お尋ねしましたところが、こういうような事情がわかったのでございます。  松野元長官としては、御就任以来、三矢研究をめぐって問題とされたシビリアンコントロールを確保するという見地から、庁内の資料等について点検を行われました結果、日米の制服幕僚間の研究メモというものが存在し、これは有権的なものではなく、いわば個人的な性格なものであるということが判明したので、防衛庁長官が命令した作業にかかわる文書以外の疑惑を招くようなメモは一切破棄するように指示された。これは当時、文書の面からシビリアンコントロールを徹底するために必要な措置であると考えられた。なお、米軍に連絡もせず長官の口頭指示で破棄されたことそれ自体が、この種のメモが日米共同作戦に関する正式文書などではなく、有権的なものではないことを立証するものであります、こういうことなんです。私が聞きましたことに対して松野元長官がお答えになったのはこういうことでございます。
  307. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いいえ、私は納得しません。(小山(長)委員「よくわかった」と呼ぶ)小山君は納得しても私は納得しません。いまの御答弁では私は納得できません。先ほどからはっきり、それでは物的に明らかにしてくださいと伺っているではありませんか。正規の秘密登録簿にもないということを明らかにしてくださいと言っているじゃありませんか。これについてもお答えがないじゃありませんか。そればかりではありません。了解覚書もあるかないかもわからないと答えられているではありませんか。これでは審議できません。私はきょうは、時間が三分か四分しかありませんが、もうこれ以上質問ができないわけでございますけれども、しかしながら、私は了解しませんよ。その証拠に、研究のメモ、メモとおっしゃるが、どうですか、昨日楢崎委員質問をされて、あなたの方がアメリカと相談をしてお出しになる、こういった文書は一九七二年三月七日付FSJG-二七六-一一一三-AC/MA、こういうメモだ。メモだと言っている。これはメモじゃない、正式文書です。このメモは、アメリカに相談しなければ返事できないと言っているじゃないか。合意のものじゃないですか。これはメモランダムのメモですよ。あなた、この間答弁したじゃない、私がメモという意味はメモランダムのメモですねと言ったら、そうですと言ったじゃないか。研究のメモというのはメモランダムのメモであります。こういう点はっきりしておいてもらわなければ困ります。私はだから了解できないのです。  最後に、あなた御存じなければ、三木総理にも申し上げておきます。  実は、なぜ三十八年三月三十一日に了解覚書というのができたか、この経過を言いましょう。  これは、昭和三十七年ごろに、七年から八年にかけて、当時は池田総理です。この池田総理のもとに、防衛庁の方から制服の要求に基づいて、安保協議委員会の下部機構として日米間の制服の合意のできるような機関をつくってほしいという強い要求があった。今度の坂田・シュレジンジャーと同じなんですよ。これに対して当時の池田総理は、それはだめだ、いまやるべきではないと言って拒否したのです。その結果行われたのが、昭和三十八年二月から始まった三矢作戦なんです。  もう一つは、三矢作戦というのは自衛隊の内部だけでやったものであるから、制服の諸君はこれでは納得できないのです。そこで、それに並行して進められたのが日米間の了解覚書なのです。そしてこれが締結をされたのが、同じ年の昭和三十八年三月三十一日に了解覚書が日米間の制服の合意として、メモランダムとしてでき上がったのです。これに基づいてフライングドラゴンが進められたのです。こういう経過が真相なのです。坂田さん、よくこういう経過を覚えておいてください。丸山局長はどうもそのころ、おれは局長でないから知らないとおっしゃるが、よく覚えておいた方がいいですよ。こういう経過なのですよ。こういう経過の中でできたんですから、了解覚書がないなんていう話はないのであります。あるのであります。ただわからないと言っているのは、防衛庁は、本当にないのならないと言いますよ。それなのにいままでわからない、わからないと言っているのは、あるからわからないと言っているのです。私はこれでは了解できません。  総理、これほど重大なことが制服の間で進められたのです。しかも、あなたの御答弁の中で、十年前のことだから云々と御答弁になっては困りますよ。これに基づいて毎年というか、時に応じて改定をされている。フライングドラゴンという緊急計画はそのまま残っている。ですから今日の問題なんです。今日の問題であるだけ、私は重視をしている。シビリアンコントロールをやってもらいたいというのはわれわれの希望なのです。そのシビリアンコントロールをやる前に、具体的に全部つくっちゃっているじゃないかというのが私の質問のポイントなのです。だから、この点は単なる局長や大臣の答弁では困る。こういう事態になっているんだということを総理大臣に私は申し上げて、あなたの御見解を伺っておきたい。  なお、私はこの機会に、この問題についてはまだいろいろあります。しかしもう時間がありませんので、委員長にお願いをいたしますが、小委員会がいずれできると聞いております。こういう中でやはり真偽を明らかにしていただきたい。小委員会は、参議院の予算委員会終了後なるべく早くやっていただきたいのであります。希望を申し上げておきます。総理委員長にお願いをいたします。
  308. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この書類が焼却になって、この点、岡田委員がいろいろ御要求されることに答えられないことは非常に残念でございますが、私としては、シビリアンコントロールというものが失われたらこれはもう大変なことになりますから、今後いろいろこういうお話も承って、これはまだ事実関係というものが書類もないから非常にはっきりしませんが、しかしシビリアンコントロールというものを厳格にしなければならぬということについては私は強く感じておりますから、そういう点においては遺憾なきを期したいと思っております。
  309. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 なお、岡田君に私から申し上げますが、理事会で研究いたしまして、そして小委員会に譲るべきものであればそう決定したい、こう考えております。
  310. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、最後ですが、小委員会でこれらの問題をぜひとももっと究明できるように、私としてはお願いをいたしまして、時間が超えましたので、質問を終わります。
  311. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 理事会でよく研究いたしまして、結論を出します。  これにて岡田君の質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  312. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際、参考人出頭要求の件について、お諮りいたします。  明日、全国銀行協会会長の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
  313. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十七分散会