○楢崎
委員 実はポスト四次防の装備の問題と絡んで、PXL、次の対潜哨戒機、これが輸入か国産かというのはまだ決まっていない。伝えられるところによると、大体ロッキードのP3Cを輸入するのではないかということが言われておる。したがって、私どもとしては、このロッキード社の賄賂が
日本にも
関係があるということが、実は米上院銀行
委員会委員長、民主党のプロクシマイヤー
委員長によって示唆をされておるわけであります。これはまことに重大であると私は思う。
そこで、まず、
わが国会におけるこのエアバス問題の追及が、過去どういう形で行われたかということを明らかにしておきたい。これはちょうどいまから三年前に、ボーイングの747SR、ロッキードのいま言った一〇一一、ダグラスのDC10、この三つが非常な激しい売り込み合戦を
日本で展開した。これにはそれぞれ商社がついておる。ダグラスDC10は三井物産、ロッキードのL一〇一一は丸紅、当時は飯田がついておった。ボーイング747SRはもちろん日商岩井であります。それぞれ商社が絡んで空中合戦をしておった。私どもは、こういう狭い
日本、そんなに急いでどこに行くでして、これほど騒音問題が起こっておるのに、さらにこういう大型のエアバスは必要ではないではないかという観点からいろいろ追及したのです。
まず、四十七年の三月二十四日、予算
委員会で私はDC10を取り上げた。不思議なことに、このDC10は三井物産が中に入っておったのですが、私が調べたところ、思惑買いをして、ロングビーチの生産工場にちゃんともう全日空の印をつけて置いてあった、決まりもしてないのに。その問題を私は証拠を示して取り上げたんです。そしてその次に、いよいよこの
決定が迫ってきた四十七年九月十九日、今度はわが党の上田哲君が参議院の内閣
委員会で、まさにこのL一〇一一を取り上げた。どういう観点から取り上げたかというと、これは議事録のとおり読んでみましょうか。「アメリか大統領選挙に間に合うような時期に機種を設定し、」「ロッキードに金を落とし
ニクソンを勝たせようということになるんだという推定があったら、これをノーだと言えますか。」これは上田君の
質問。それで、私どもはそのとき、
政治的な背景を非常に問題にしたんですよ。まずそのときの
政治的な背景を言ってみましょうか。
四十七年六月、まだ当時補佐官でありましたキッシンジャー氏が
日本に来た。そうして亡くなられた佐藤首相と会われて、そうして日米貿易不均衡の是正のために十億
ドル程度の緊急対米輸入を亡くなられた佐藤
総理に要請をされておる。ニカ月後の四十七年八月、鶴見さんとインガソル駐日大使の会談が行われて、ここでこういうことが合意された。
日本の民間航空会社が四十七年度及び四十八年度において約三億二千万
ドル相当の大型機を含む民間航空機十数機の購入
計画中、まさにもうこのとき半分以上決まった。そうして佐藤さんとかわられた
田中さんが、四十七年九月一日、ハワイに行かれて
ニクソン会談を持たれた。そこで三億二千万
ドルのこのアメリカの航空機の緊急輸入が
決定をしたのであります。このときに、すでに機種はL一〇一一トライスターに決まったという密約があった。この
時点で流れた情報はどういう情報であったかというと、機種はロッキードに
決定、一機について五千万円ないし三億円、百万
ドルのコミッションがメーカーから商社、これは輸入商社です。輸入商社を通じ
日本政界の一部に流された模様、これはアメリカの方からの情報であります。
その時期は
政治的に見てどういう時期であったか。四十七年秋ですから、大統領選挙がこの秋ある。
ニクソンさんのあの大統領選挙が控えておる。わが
日本の方では総選挙が控えておる。そういう
政治決戦の時期が日米双方一致をしておった時期である。そうして
ニクソン大統領とこのロッキード社のA・C・コーチャン社長とは非常に密接な
関係があるのはもう国際的に有名である。インガソル駐日大使がロッキード社の副社長であったことも周知の事実。
田中前
総理の側近と丸紅との親密な
関係、これも周知の事実。したがって、こういう日米双方の
政治的な背景が期せずして一致した
時点でありました。その時期にロッキード一〇一一の機種
決定の時期がわざわざ設定されたのです。わざわざ設定をされたのです、
政治献金の問題があるから。そこで、どういう小細工を運輸省がやったかというと、通達を出した。通達を出して——いいですか、四十九年度にこのエアバスを輸入、運航させるという通達を出した。なぜ四十九年から運航すると
決定したかというと、これは機種を
決定して実際に運航するまでに準備期間が十八カ月かかる。だから四十七年の秋
決定して
政治献金をもらいたい、四十七年秋に
決定するためには、十八カ月先の四十九年度から運航するということを先に決めて逆算すればちょうどだから、四十九年度から運航します、だから四十七年の秋
決定しなければなりません、こういう小細工をやったのであります。
そこで、われわれが国会で追及した点と、アメリカの国会における現在のロッキード社の汚職問題の追及の点と、期せずして非常に一致した点が出てきておるんですよ。
まずピックアップしてあれしてみましょう。私はアメリカから取り寄せた。いま申し上げましたアメリカの上院の銀行
委員会の八月二十五日の公聴会、それから九月十二日の——ことしの九月十二日ですよ。ほんの一ヵ月くらい前なんです。議事録を取り寄せてみた。これはザ・ビューロー・オブ・ナショナル・アフェアーズ、ワシントンにある
政府刊行物センターの発行であります。その中から拾ってみると、
日本に
関係のある点を、われわれの三年前に追及した点とまさに一致した点を拾い上げてみましょうか。
まず、八月二十五日の銀行
委員会公聴会の議事録から拾ってみます。このときサイモン財務長官とホートン・ロッキード社の会長が証人として呼ばれた。ホートン・ロッキード社の会長、この問題についてこう証言しております。われわれの過去の販売活動の詳細を明らかにすることは、外国の役人の大衆的な告発をもたらす。つまり外国の役人がその国の大衆から告発される、大変なことになるから詳細なことは言えないと。プロキシマイヤー
委員長はどう言ったか。ロッキード社の贈賄が広胴型のジェット旅客機トライスターの
日本、カナダ、英国、サウジアラビアの半官半民航空会社に対する売り込みに
関係しておる、これが
委員長の証言であります。それを示唆したわけであります。そしてさらに二百十万
ドル、五百万
ドル、二百万
ドル、この三つに分けて、最初の二つは外国の役人、三番目の二百万
ドルは外国
政府及び政党役員に対してリベートされた、こう述べております。これに対してホートン会長はどう答えたかというと、私はいまの
時点で——「アット・ジス・タイム」と書いてある。いまの
時点ではその
質問に答えたくない、それを繰り返し言っておる。そこで今度は、共和党のジョン・タワー上院議員、テキサス州出身でありますが、この人がこう言っているのです。われわれはいま非常にデリケートな、過敏な事柄を取り扱っておるのだ。もしかしたら、まあやり方によれば、われわれは外国
政府の
一つや二つ崩壊させることができるかもしれない。大変です。外国
政府の
一つや二つは崩壊することができるかもしれないという、これがその証言ですよ。
しかもそのホートン会長は、さらにこういうことも言っていますね。つまりこれは、ロッキードがつぶれかかって、アメリカの緊急貸付保証法によって、二億数千万
ドル、ロッキードはアメリカ
政府の保証を受けて金を借りたわけですね。その金の中から賄賂を出しておるから、こんなばかな話があるかという追及ですよ。これはアメリカ
国民の金でもあるから、アメリカ
国民の金で賄賂するとは何事かという
指摘、つまりアメリカの大衆がロッキード社の賄賂のコストを埋め合わせているのではないか、こういう
指摘に対して、ホートンさんはどう答えたかというと、ほとんどのリベートは航空機の販売
価格に上乗せすることによって取り戻しておるから、何もアメリカの
国民には損害は与えていない。逆に言うとどういうことになりますか。売られた相手方は、それだけ、賄賂の分だけ高く買わされて、その賄賂は航空会社が取っておるのじゃないのです。
政府が取っておる。あるいは政党の役員が取っておる。その分だけ上乗せされて、
日本に
関係があるのは
日本の全日空が買っておるのです。だからその高く買った分はどこで取り返す、結局、乗っておる
国民、
日本の
国民がその賄賂を穴埋めしておるということになるじゃありませんか、この証言から言うと。
そしてこの問題に関して、ロッキードの副社長が自殺をなさっていらっしゃるのですね。このことを聞かれてホートン会長はこう答えておる。外国へのリベートと、先週の金曜日、つまり八月二十二日朝、ロバート・N・ウォーターズという財務担当の副社長が自殺をされたわけですが、それは二十二日の朝、自宅の台所で頭に銃弾を撃ち込んで自殺された。このウォーターズ氏は独身でありました。そして死体のそばに二十二口径のライフルが置いてあった。そうして遺書が置いてあったんですね、メッセージが。この
関係を聞かれてホートンさんは、いまの問題と自殺の間には何の
関係もないと信ずる、彼は働き過ぎであったというのが正しいと答えられてはおります。ところが調査官は、最近のウォーターズ副社長のパーソナル・セットバック、これは私はどう訳すか知りませんが、個人的な敗北とでも言うのでしょうか、を記したメッセージが発見された。調査官が発見しておる。ところがこのメッセージには、再建の賄賂の事例が書かれているといわれている。で、プロキシマイヤー
委員長も、そのメッセージの個個の名前を挙げなかったけれども、さっき言ったとおり
日本、カナダ等々の例示を列挙した。列挙したところに、いまのところとどまっておるわけですね。だから私は、これは大変な問題だと思うのですね。
一つや二つの外国
政府が倒れるというのだから。
そうしてこの賄賂のもらい方は、どういうふうにしてなされておるかというと、これはプロキシマイヤー
委員長の
指摘であります。外国の会社が、その外国の高官によって指定された銀行への払い込みのためのトンネル機関になった。つまり輸入会社がトンネル機関になってその高官に賄賂が渡された、指定された銀行勘定へ払い込んだ上。これが仕組みであります。まさに三年前に流された事実と全く一致しておる。そこで私は、これは重大な問題だと思うんですね、アメリカの国会での証言ですから。しかも銀行
委員長自身がこれをやっておるんです。
日本で言えば、
荒舩委員長がここでやられたというような形になるわけですね。