○佐々木(良)
委員 私は、現在の
経済情勢はきわめて深刻、異常な
状態だと思います。したがいまして、いま内閣自身が本格的に作業自身にもリーダーシップを発揮しながらまとめていかなければならない
状態であって、従来のように、各省別々に積算をしてきて、そしてそれができ上がったところで突き合わせてということでは乗り切れるかどうか、大変私は疑問です。
総理を中心として、あるいは
経済大臣の
責任が
福田さんでありまするならば、それを中心といたしまして、枠組みの方を先にやりながら、あるいは並行的でも結構ですが、下からの積み上げ、その一番基本を中心にしながら、私はいま、リーダーシップを持った
経済の
運営というのは、まず内閣自身の中に行われなければならぬと思います。そのような
意味で、これまでの、各省別々、セクトを中心にして、そうして
予算折衝でも、下から下から積み上げて、まだおれの出る番ではないみたいな話の、そういう
状態ではなくて、内閣自身が、閣僚級を中心にして大枠を決めながら、そして省内をリーダーシップをとって持っていく、こういう体制でこの切り抜けのために全力を挙げられることを希望いたしたいと思います。(「その日暮らし内閣じゃだめだ」と呼ぶ者あり)いまもやじが出ておりますように、私は心配するのは、新聞紙上を通じてそのような作業過程がちらちら幾らでも出る。それに対する言いわけに追っかけられてしまって、本当の
意味の
経済閣僚の総合的な相談がなかなか行い得ない
状態ではないか、こう推察するものでありますから、一層そのことを強く要望するものであります。
次に、四次
景気対策を中心にして、われわれが批判しておりましたところの、支出面において、言うならば生活関連投資を中心にしてだんだん置きかえるべし、大型プロジェクト偏重、これはまかりなりませんぞ、それはそのまま産業基盤投資を強化するものであろう、こういう批判に対しまして
福田副
総理は、今度の
公共投資の中を見ていただければ、新幹線を中心としたものは大したことじゃありません、いまのような生活投資が相当入っておりますからこうこうだ、こう言われました。私もその内容はそのとおりだと思います。しかしながら、時間もございませんが、この問題に対して二つだけ問題を指摘しまして、そうして今後の配慮を要請いたしたいと思います。
生活関連投資と産業関連投資を中心として、行政投資の全般にわたっての実績分析が自治省の手によって行われて、白書みたいなかっこうで出ておることは御
承知のとおり。残念ながらまだ四十八年分しか出ておりません。あれの中を拾いながら判断材料として求めてまいりますと、なかなか重要な問題が出てきておると思います。
その第一点は、生活関連投資の多くの部分が、その事業主体は国ではなくて地方公共団体、しかも市町村を中心としたもの。市町村を中心としたものでありますから、今度の
財政危機によって
地方財政が一番大きな圧迫をこうむっており、今後交付税等の交付を中心にしてある
程度の補いがつくといたしましても、四十八年度にはそのような投資実績は期待するほどにはいき得ないのではあるまいか。したがいまして、
公共投資、行政投資全体の枠の中で、四十八年以降だんだんと改善をされてきた産業投資と生活投資とのバランスが、逆にまた生活投資が
地方財政の逼迫原因を中心として圧縮されてくる危険についてであります。
御
承知のように、従来は四、六ぐらいの割合で産業投資が多かった。それが四十八年度あたりから大体とんとんとなってきた。そのような傾向はもっと助長されなければならないのにかかわらず、この
財政危機を中心として、中央のそのような意図とは別に、
地方財政の緊迫化問題からそのような結果になることを恐れるものであります。この点を第一点としてずいぶんと御配慮いただきたいし、この問題については今後ひとつ追及をいたしてまいりたいと思います。
第二点は、生活関連投資と言われるけれども、生活関連投資の大部分が都市圏、しかも関東、東海、関西・近畿、この三ブロックを中心として、たぶん生活関連投資の七〇%
程度がこの三地域中心に行われておると思います。しかもその三地域の中でも臨海部関係がほとんど大部分を占めており、その三地域の臨海部関係だけで全体の六〇%強になろうとしておる。そういたしますと、生活関連投資というのは、言うならば、
日本国民全部のレベルアップ、あるいはそれの救済に充てなければならぬものであるにかかわらず、目下のこれは、都市化現象に伴って、海綿に水が吸い込まれるようなかっこうで、都市問題という大きな問題の中に吸収されてしまっておって、言うならば、
国民全体のための、われわれが普通想像するような
意味での生活関連投資としての効果を発揮しにくい
状態であるのではなかろうか。格別生活関連投資の立ちおくれ地区は、いまの三臨海地域以外全部でありますから、言うならば、その中でも強弱はあったりいたしましても、その三地帯の臨海部だけを取り除いたあとの産業投資と生活投資とのバランスは、私はやはり相当に悪いものだと思うわけです。
そのような
意味で、この問題については、新たな
政策的な配慮が必要だろうと思います。今後
日本経済の展望の中で、安定成長路線は、
福田さんは今度の
演説で明確に、前国会の六月に私どもが指摘したような
意味での、成長率だけのスローダウンではなくて
経済体質自身を変革しようと、私どもの言葉は少々違いまするし、内容も相当に
アクセントはついておりますけれども、私どもの
方向にほとんど近からしめようという意図をもって行われようといたしておりまするがゆえに、その生活関連投資の内容についてもう少し吟味をいただきながら、このアンバランスの是正を図っていただきたいと思います。
時間がありませんから飛びますけれども、その中で、農林大臣、建設大臣、農林省の大部分の投資、建設省の大部分の投資は、いまの配分でいきますと、産業投資という枠の中に入っておるようであります。しかしながら、その中でたとえば道路というものをとってみても、現在の高速道はほとんど産業投資としてみなしていいと思いますが、地方道の立ちおくれや、あるいはその中でも町村道的なもの、それから上流河川、いわゆる治山治水関係、さらに農林省でいきますと農業基盤、格別、圃場整備等の農業基盤、これらは相当にきめの細かい配慮が行われなければ、農林省内部においても、建設省内部においても、直轄の大きな仕事が必ず優先的に頭をもたげてきておりますから、したがって、いまわれわれが
経済体質自身の変更を考えながらいまの
経済の上向きを考えようとしているこの線に沿って、ひとつ十分に建設省内部、農林省内部において配慮されることが必要だと思います。特にいまの問題について御発言がございましたらいただきたいと思いますが、
福田さんよろしゅうございますか。