○武藤山治君 私は、
不況で操業低下、
倒産、
失業、就職難、さらに
インフレ、
物価高のもとで苦しみ悩んでいる
国民大衆の声と心情をくみ取り、
日本社会党を代表して、
自民党三木内閣の施政
方針及び現下の
政府の施策について、当面の国内
経済、
財政金融の問題にしぼり、提言を交え、内閣の見解を伺いたいと思います。(
拍手)
一昨日の
三木総理の施政
方針演説を聞いて、多くの
国民は安心しましたか。確信のない、具体性のない
財政金融政策には失望したのではないでしょうか。
国際経済は大変なんだ、困難なんだ、難局だぞ、一、二年しんぼうしてくれとこぼし話、泣き言めいた表現が多過ぎたのであります。(
拍手)
国民が聞きたいのは、
原因や泣き言ではない。
政府がいつ、何を、こうするから、結果はこうなるだろう、だから
国民の皆さん安心してください、
協力してくださいということを
国民は聞きたいのであります。それが聞けなかったのは、まことに残念でなりません。
私は、具体的に伺いますから、
総理も具体的に明確に答えてください。(「立ってやれ」と呼ぶ者あり)立っておるから台を持って参れ。やじは弁論の華と言うが、それはやじではない。
本年一月二十七日、当本
会議で、
成田委員長の
質問に答え、
三木総理は、五十年度予算は、現在の条件のもとにおいて最善の予算であると答えました。また、当日、
自民党松野政調会長は、
代表質問の中で、五十年度予算は健全
財政を堅持したと言えます。と自画自賛をいたしました。いまでも
総理、五十年度予算は最善の予算だと思いますか。健全
財政だと言えますか。
目下、大蔵省の
見通しでは、三兆五、六千億円の税収
欠陥になるだろうと言われている。この税収不足の
原因は、雨や雪が降る自然
現象ではないのです。
政府の
経済見通しが誤ったところにあります。
税収の積算は、
経済見通しの数字を基礎にはじき出すのです。たとえば、源泉
所得税の税収見積もりは、
昭和五十年度に
雇用は一%ふえる、給与総額で前年比一八%増加すると見込んで源泉
所得税の積算をいたしておるのであります。もちろん、
政府の
経済見通しの中で、五十年度の
個人消費支出は一八・四%ふえると
経済見通しを
政府の
責任で発表したじゃありませんか。
ところが、
春闘の結果は、この
見通しよりはるかに低い、全産業では二一%以下の給与上昇にとどまったのであります。そのため、源泉
所得税は三千億円を上回る歳入不足、税収全体で三兆五、六千億円の税収不足となったことは、重大な過ちじゃありませんか。
総理は、先ほど、
政策に間違いはなかった、
失敗はなかったと言いますけれども、この私のただいまの説明を見ても、いまだ間違いはなかったと言い張るのですか。この
見通しの過ちの
責任はだれにあるのでしょうか。
財政担当
責任大臣である大平さんでしょうか。
総理から
経済運営を任された福田さんの
責任ですか。それとも、大福戦争の
意見の調整や補強なりを怠った
三木総理自身の
責任ですか。(
拍手、
発言する者あり)私は内閣の統一見解を求めたいのであります。そうでないという片岡君のやじ、しからばコンピューターの
責任とでも言いたいのか。(
拍手)
次に、
財政欠陥の処理を年度内増税と歳出削減でやらないのは、
政府の怠慢であります。二月、三月の段階ですでに歳入
欠陥が莫大に生ずるだろうということはほぼ判明していたのでありますから、通常
国会で速やかに真相を明らかにし、税制と歳出の見直しをやり、大
改革に着手すべきではなかったのですか。それが健全
財政主義というものではないのですか。
われわれは、不公正是正の具体化のために税制の大
改革を提言し、税制
改正案も正式に通常
国会に
提案をしました。この
提案は、赤字国債を
発行しなくとも、具体的に、税制
改正によって今日の
財政危機を乗り切ることが可能であることを、
国会を通じて
責任をもって証明をしたのであります。(
拍手)
その
一つは、
金融機関、保険会社の貸し倒れ引当金は貸し金総額の千分の十、大商社の卸売業は千分の二十となっている。
金融機関の引当金総額は一兆一千億円を超えております。この千分の十を千分の五にして課税をすれば、それだけでも約二千六百億円の増徴となります。これは法律事項ではありません。したがって、年度内に実行しようと思うなら、直ちに
政府はできるのです。
三木内閣はこの制度を、千分の十を千分の八にしよう、しかもそれを二、三年間で徐々に少々改善をして、本年度の年度内増税わずか二百六、七十億円にとどめようというのです。これは一体どうしたことか。
政治献金の見返りかと、
国民はいら立ちを感じているのであります。(
拍手)
政府の見解を求めます。
第二に、減価償却資産の耐用年数も法律事項ではありません。したがって、年度内増税が可能であります。もし今日の耐用年数を一五%、一律短縮をした場合、
資本金一億円以上の法人に課税しただけでも、三千億円程度の増収は確実であります。なぜ
政府はやらないのか。
第三は、
金融機関以外の引当金が今日二兆四千四百六十二億円程度あります。特別修繕引当金、退職給与引当金、製品保証引当金等々の課税強化についても、年度内に
政府がやろうと思えば実行できるのであります。これを
企業に支障のない範囲内で課税をしても、私の試算によれば、三千億ぐらいは優に徴税できるのであります。なぜ
政府はそのような
努力をしないのか。
第四は、年
所得一千万以上の者が
昭和四十九年度で
日本にはどのくらいいるか。給与
所得者で四万人、
事業所得者で二十五万人程度で、
所得総額は約七兆円であります。これらの高額
所得者は、年間三百万や四百万の
所得者と比較しては、かなりストックも増加し、
生活にも余裕があるはずであります。これら高額
所得者に一〇%の
所得税の付加税を掛けると、概算しても一千三百億円の増収となるのであります。
わが党は、この高額
所得者に対する一〇%の付加税を、
社会保障基金という新しい制度をつくって、
生活の苦しい非納税者約一千万人の人々に税の還付をしようという
考え方であります。
社会保険料、
国民保険税、これらの低
所得者階層に対して、その一部をこの基金によって肩がわりをしようという新しい制度を
提案するのであります。
このことにより、上から下へ
所得の再分配を行い、さらに低
所得者の
生活防衛、福祉
優先、なお需要喚起にもなるという名案ではないでしょうか。
自民党政府に果たしてこれらの決断ができるか、
総理の見解を伺いたい。(
拍手)
五番目には、いよいよ来年度の
財政編成期を迎え、
政府は大変頭を痛めているようであります。これから検討しなければならぬ幾つかの
財政問題があります。
その
一つに、配当
所得者は四人家族構成で今日四百五万円まで
所得税は全然かかりません配当優遇
措置になっている今日のこの事態を、本則である累進課税に改めるならば、これだけで五百億の税収は即座に実現するのであります。
第六に、
成田委員長が一月二十七日に本
会議で提言している土地再評価税、もしくは
土地増価税あるいは
富裕税についても検討しなければなりません。
土地ブームによる地価上昇、
インフレによる評価増、すなわち土地の含み益は膨大なものであり、民間の調査と国土庁の国土利用白書の土地調査結果をもとに試算をしてみますると、
資本金一億円以上の法人の含み益は、四十八年度末で帳簿価格と時価との差が約九十五兆円の巨額になる、これが担保力となり、信用拡大につながっていることは御
承知のとおりであります。この九十五兆円、たな卸し資産を除いた土地資産に課税を五%したとしても、四兆七千五百億円の増税ができます。
第七番目に、まだまだ
租税特別措置、準備金、
交際費、法人間配当の非課税、これらの課税適正化をすべきものがたくさんあります。これを改廃すれば、優に一兆円の税収は十分あるとわれわれは計算をいたしておるのであります。大法人は、国の
援助がなくても心配はありません。
中小企業や
農業のように弱い、小さい、競争力の乏しいものにのみ、国家の補助や助成の特別
措置が必要なのであります。(
拍手)
自民党政府は、まずこれらの数々の税制
改革を断行し、不公正の是正を実現し、なおかつ、歳入が不足したからという状況ならば、これから無理やり
国会でたばこ、酒の増税をしようとしている今日の
三木内閣、いま私が
提案をしたような数々の不公正是正を断行した後に、酒、たばこの増税をどうしてもと
国民に頼むならば、また話は別である。しかし、
政府は、それらの
努力を怠り、安易な増税を大衆課税に求めることは断じて納得できません。(
拍手)
さらに、安易に赤字国債で歳入
欠陥をことごとく埋めようとする姿勢は、健全
財政、均衡
財政の見地からも承認できません。年度内増税で国債
発行はストップする必要があります。
政府はわれわれの主張に真剣に取り組む意思があるかどうか。
総理は
経済に弱いと評されているが、この常識論には答えてもらわねばなりません。(
拍手)
また、歳出削減、圧縮の
努力もまだまだ足りないと思います。
歳出を膨張させるかつての
各種の長期
計画、港湾五カ年
計画だ、道路十カ年
計画だ、
高度成長経済の遺物である長期
計画がまだ十六本もある。福田副
総理はこれは一時眠らしておくとは言ったが、それに対応する新たなるものはまだ提示されていない。各省はこれに基づいて予算
要求をする。大平さんがねじりはち巻きでこれをとめようとしても、そういう
一つの基礎の
計画があるから、大義名分になって、予算はますます膨張するのです。いまこそ、歳出の圧縮、大削減を断行するためには、これらの長期
計画の
改定を急がなければならぬと思いますが、このままずるずると明年も同じ轍を踏むのかどうか、
総理の決意のほどを伺いたいのであります。(
拍手)
次に、国債問題であります。
わが国は、第二次世界大戦中国債の
発行が累増し、戦後の
インフレーションを起こし、旧円封鎖、新円切りかえの大手術を行った。われわれはあの苦々しい経験を忘れてはなりません。通貨増発、信用膨張がもたらす混乱を
防止しなければならないと決意したはずであります。そのため、わが国は、戦後
昭和四十年まで約二十年間国債の
発行を禁じ、歴代
政府も節度ある健全
財政を堅持してきました。
ところが、皮肉にも、
昭和四十年、時の
大蔵大臣福田さんのときに、ついに長期国債の
発行に踏み切り、四十年度は千九百七十二億円の
発行であったが、ついに四十六年度は一兆一千八百余億円、四十九年度は二兆一千六百億円と、雪だるま式に国債
発行は増加し、本年六月末の累積十兆五千六百六十億円の巨額になったのであります。さらに、今
国会で国債を三兆円か三兆六千億円か、いまだ
補正予算を出しませんからわかりませんが、三兆六千億にも及ばんとする増発にいまや追い込まれようとしているのであります。五十年度だけで五兆六千億以上の
借金財政になり、本年度末には
国債残高十六兆となる見込みであります。
国民の大多数の人々が不安に思うのは当然ではありませんか。
財政法第五条は、
日銀引き受けによる国債
発行を禁止しております。その
理由は、日銀券の乱発による
インフレを
防止するためであります。ところが、
自民党政府は、
発行と同時に日銀が引き受けなければいいんだと詭弁を弄して、歯どめなき国債
発行を続けました。
国民の皆さん、現在の十兆五千億余の国債はだれが持っているとお
考えですか。
日本銀行がその三四%以上を保有し、
金融機関が二〇%、個人保有は一〇%にすぎないのです。残りは大蔵省資金運用部が保有をしている
実情であります。この銀行保有の二〇%、約二兆円は昨年
発行のものだから、本年度間もなく、またまた日銀に引き受けさせることは間違いありません。しかも、本年度国債五兆五、六千億円も
発行するのですから、日銀のマネーサプライは激増し、信用拡大、通貨膨張は必至の勢いであります。明年度からまたまた
物価戦争となり、
日本国民の
生活は右に左に不安定に動揺させられる結果になりそうであります。
日本銀行法第二十二条で、日銀は国債の「引受ヲ為スコトヲ得」と定められているから、
発行後一年経過した国債は引き受けても、法律に反しないと主張しているのが
自民党政府です。第二十条によるオペレーションの対象に国債が含まれているではないかと反論するのですが、日銀法は一体いつできた法律ですか。
昭和十七年二月、まさに戦争中の遺物なのです。われわれが通貨価値安定のための日銀法の
改正を主張しているのは当然ではないでしょうか。(
拍手)
三木総理、赤字国債の
発行という
歴史的
措置をあなたの
政府のときに断行するのですが、後世の史家が
三木内閣をどう評価するかを十分反省して、信用膨張、
インフレに通じない歯どめ、節度、限度、条件を検討し、個人保有に徹底した
措置がとれると
国民の前に
約束できますか。うそをつくと、来年はばれますよ。
大蔵大臣、
日銀引き受けを禁止して、個人消化に徹する国債
発行をするのか、従来と同じ方式で
発行するのか、個人に魅力ある利回りで個人保有に値する短期国債にするのか。その
内容を明確にしてください。従来の制度のまま国債
発行を続ければ、明年度後半から
インフレを刺激し、また
物価騰貴を引き起こす要因となると思うが、
物価担当大臣、副
総理、福田さんの見解を聞きたい。(
拍手)
ここまで
財政が紊乱すると、
経済安定法とか、あるいは
財政再建法というような新しい制度を確立しないと、単年度
財政主義だけで果たして処理し切れるのかどうかという重大な問題に逢着していると思います。この
財政の
危機を
三木内閣はどう克服するのか、その展望を示してほしい。
国債
発行で
インフレ刺激要因が増大するのに加えて、本年九月一日から消費者
米価が一九%上がり、私鉄運賃も三〇%引き上げ申請が行われ、はたまた、
国民の総意によって通過しなかった酒、たばこの増税をまた
提案をし、
郵便料金も引き上げをしようとしている。鉄鋼初め工業製品のカルテルあるいは値上げの動き等々、
物価動向は必ずしも安定していない。明年度は国鉄運賃、電話料金など、メジロ押しの公共料金引き上げ、これで
不況対策の行き過ぎがあれば、直ちに
物価にはね返る危険があります。これらの
物価上昇要因について、その限度をどう見るか、国債
発行とあわせて、その見解を伺いたい。
不況対策と
地方財政の問題も重大な問題であります。
先月二十二日、私は大蔵委員会で
質疑を行い、第三次
不況対策の
効果について大平さんにただしました。
公共事業七〇%上期執行
目標は、当時五二・八%の進捗率でありました。
昭和四十七年の同期が五四・四%だったことと比較し、本年はテンポが遅いと指摘をしたのであります。その
原因は何でしょう。すなわち、
地方自治体財政が極端に困窮し、地方の負担である三分の一あるいは四分の一の自治体負担を受け入れる財源がないからであります。本年度の
地方財政計画では、
公共事業の総額は三兆六千二百十二億円です。これに対する地方負担額は一兆三千九百四十七億円に上ります。さらに、国直轄の道路、河川、港湾、失対などの
公共事業で、当然国がやるべき仕事を地方自治団体が負担をさせられる額が二千四百九十八億円あります。これらの
公共事業消化のためには、
地方財政で合計一兆二千八百四十五億円という膨大な負担をしなければならない仕組みです。
政府は今
国会で
補正予算を組み、地方自治団体への交付税減収分おおよそ九千億円程度かと思いますが、その九千億円程度の約九〇%ぐらいを大蔵省資金運用部で貸し付けようという
計画の模様であります。
地方自治体は本年度すでに七兆八千億円の起債、借金であります。七兆八千億円の地方自治団体の借金に加えて、またまた
地方交付税の減収分を借金で賄おうとしているのが
三木内閣の姿勢であります。
地方財政はいよいよ硬直をし、住民の期待に応じられなくなることは明白であります。
また、国直轄
事業への自治体負担二千四百九十八億円はどうすればよいと
考えているのか。この際、国直轄
公共事業に対する地元負担は廃止すべきだ。全国知事会は負担金納入拒否を決めたようでもあります。
政府の明快な
方針を聞きたい。
なお、
地方自治体は従来、税収の伸び、すなわち自然増収が年約六、七千億円ありました。本年度はそれがゼロであります。
地方財政計画に組み入れられてない定員外の職員、臨機職員、福祉サービス、これらの支出はことごとく
地方自治体は不可能になります。
政府はこれを放置しておくのか。今回行った
景気浮揚のための
公共事業費三千億円の
追加について、地方自治団体に負担をかけないように執行すべきだ。
政府の
態度を明確にしてください。
財政投融資による約四千億円の
公共事業費のうち、
大型プロジェクト千二百億を
計画しているということを昨日
政府は決めたようであります。この千二百億の
大型プロジェクトを高速自動車道や新幹線、これらの大型に使うことをわれわれは中止せよと
要求をいたします。そうして、住宅、
生活環境
整備、教育施設、福祉
関係にこれらの金を重点的に使えと
要求をいたします。そして、そのことは、全国に公平公正に均てんするような資金の流れをつくると思うのであります。約四千億円の財投支出予定
内容は一体どういう
内容なのか、昨日の閣僚
会議において恐らく討議をしたと思いますので、
補正予算の出ていない現段階においては、本議場を通じて
政府に
質問をする以外に手がありません。明らかにしてください。
交付税減収分約九千億円を借入金で埋めると決めるようだが、決めるのか決めないのか。元利償還は当然国がやるべきと思うが、
地方自治体に負担をさせるのか、国が正式にカバーをするのか。
地方自治体の財源強化こそ住民福祉に通ずる最も肝心な予算であります。
地方財政が疲弊こんぱいをすれば、
生活環境の
整備も住民の福利増進も空念仏に終わるのであります。この際、
政府は思い切って交付税の引き上げ、第二交付税の創設を早急に実現すべきであります。
さらに、
金融政策について伺いたいと思います。
経済は
物価問題だけではないのであります。
資本主義
経済の成功か
失敗かのバロメーターは、完全
雇用が達成され、さらに、
物価が低いところで安定しているかどうかなのであります。完全
雇用が破綻し、求人倍率は〇・五八くらいでしょう。
物価は一〇%以上の上昇でしょう。これでも
経済政策は
失敗していないと言い張るのか。
国民に陳謝しない内閣の
責任ある統一見解を承りたい。(
拍手)
水田三喜男元
大蔵大臣は、派閥研修会で
政策の後手後手を
批判しております。引き締め解除もまず
金融政策から適時適切に断行すべきだったが、
政府はタイミングを失し、後手後手の後追い
政策しかできなかった、
政府は、財界首脳の強力な陳情を受け、
不況対策を
財政でやる
態度を決めたが、適当でない、年度内波及
効果を期待することのできない
財政措置を国債
発行で大騒ぎをするのは問題であります。と水田さんは
批判をしておるのであります。
政府は、日銀と打ち合わせ済みで、近々に
公定歩合の
引き下げを行うようであるが、七・五%をどの程度
引き下げるのか。
引き下げによる需要
効果はどの程度と見ているのか。さらに、
引き下げは、単に大
企業の金利負担を軽くするだけで、需要には回らないのではないかと思うが、それらの目的や
効果を明らかにしてください。(
拍手)
今度
公定歩合を
引き下げる際には、預金金利も
引き下げるということを日銀総裁と
大蔵大臣は協議した模様であるが、零細な預金者がようやくためたわずかな貯金を一%
引き下げようということを聞いて、
国民は全くあきれ返っているのが私は真相だと思います。
それもそのはずです。昨年十月には
消費者物価は年間二五・五%上昇、
卸売物価は、二月には三七%という異常上昇でございました。上がれば上がりっぱなしで、
物価はもとに戻らなかった。そのころ預金金利は、銀行一年物定期で七・七五%、郵便定期は七・五%だったから、
消費者物価と比較をすると、年一八%も目減りした。逆に、
企業への貸出金利は平均九%台だったから、
卸売物価上昇と比較すると、約二〇%以上の借り得になっている。預金者大衆は一八%も目減り損、借入金の多額にある大法人は二〇%の得をした。まさに対照的ではありませんか。
物価が上がったときに、預金金利も目いっぱい上がったのならがっかりもしないが、預金金利は
物価に連動しない仕組みだ。もし預金金利を
公定歩合に連動させる方法を
考えるならば、法人預金と個人預金を分離し、法人預金だけ
引き下げる
措置をとるのが当然ではないか。(
拍手)
しかも大手銀行は、昨年五百億または六百億円も利益を出している。大銀行や大法人に利益を得させるために、低い預金金利を押しつけられていることになる。
国民の皆さんは、
自民党はしょせん庶民大衆の味方ではない、あきらめよう、いまこそ
政治革新に目を向け、制度、
構造の
改革に英知とバイタリティーを傾けることが、
国民大衆の判断の分かれ道であると私は思うのであります。(
拍手)
本年三月末の個人預金総額は百二十八兆三千四百四十七億円あります。年七・五%の金利がつけば、
国民のふところに九兆六千二百五十八億円の預金収入があります。それを一%
引き下げ、六・五%にされると八兆三千四百二十四億円になります。すなわち、預金金利一%
引き下げられると、個人預金者だけで一兆二千八百三十四億円の損をしたことになるのです。一億人の預金者と見て計算すると、一人年間十二万八千円の被害をこうむることになります。だから、この方法を安易に選んではいけないのであります。個人預金の金利の
引き下げに
社会党が
反対をする
理由は、ここにあるのであります。
国民の皆さんはどう思いますか。
コールレートが高過ぎる。これでは貸出金利は下がらない。銀行間の貸借であるコールレートは
公定歩合より低きに位置するのが、正常な
金融のあるべき姿なのであります。わが国はどうか。預金金利を
引き下げようとするならば、このコールレートをまず下げるべきではないでしょうか。本年六月のコールレートの水準は一〇・五%から一一%、七月は一一%、
公定歩合と比較して余りにも高過ぎるのではないか。これらに改善の手を加えないで、預金金利
引き下げを先行させる
自民党政府の弱い者いじめは承認できません。
大蔵大臣、コールレート
引き下げの指導を思い切ってすべきだと思うが、どうするか。
見通しと見解を明らかにしてほしい。(
拍手)
次に、
財政による
不況対策として、
一般会計から四千億円支出増を
考えているようだ。また、
財政投融資
計画の
追加で、
景気対策費は三千七百億円ぐらいになり、合わせて約八千億円程度の
景気刺激策であります。財界首脳が
政府にハッパをかけた威勢から見ると、意外な数字となりそうであります。それもそのはずであります……