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1975-12-09 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月九日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 加藤 六月君 理事 竹内 黎一君    理事 橋口  隆君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君    理事 愛野興一郎君 理事 深谷 隆司君       山崎  拓君    山本 幸雄君       加藤 清政君    久保 三郎君       和田 貞夫君    野間 友一君       有島 重武君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本民営鉄道         協会会長)   川崎 千春君         参  考  人         (京浜急行電鉄         株式会社取締役         社長)     片桐 典徳君         参  考  人         (近畿日本鉄道         株式会社取締役         社長)     今里 英三君         参  考  人         (成城大学経済         学部教授)   岡田  清君         参  考  人         (全国消費者団         体連絡会代表幹         事)      工藤 芳郎君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月九日  辞任         補欠選任   中村  茂君     久保 三郎君 同日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     中村  茂君     ――――――――――――― 十一月二十日  公共料金等値上げ中止に関する請願(大橋敏  雄君紹介)(第三二八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  公共料金値上げ反対に関する陳情書外三件  (第二八二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件(私鉄運賃改定問題)      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に私鉄運賃改定問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、日本民営鉄道協会会長川崎千春君、京浜急行電鉄株式会社取締役社長片桐典徳君、近畿日本鉄道株式会社取締役社長今里英三君、成城大学経済学部教授岡田清君、全国消費者団体連絡会代表幹事工藤芳郎君、以上の方々を本日参考人として御意見を承りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 横山利秋

    横山委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。  去る八月に大手民鉄十四社から普通運賃平均二八%の運賃改定申請がなされ、十二月二日運輸審議会答申があり、五日に物価対策閣僚協議会了承を得て、同日審議会答申のとおり認可され、来る十三日から十四社平均普通運賃二四・六%、通勤定期三二%、通学定期二七・八%の値上げ実施されることになったのであります。  今回の大手民鉄運賃改定は、昨年に引き続き二年連続であり、二年間に倍に及ぶ値上げを受ける住民もあり、加えて先月には国鉄料金改定があり、来年には国鉄運賃改定がうわさされ、国民は相次ぐ足代の値上げ動向にきわめて強い関心と不安を抱いておるのであります。  一方、従来から沿線住民利用者から私鉄王国といった強い非難、不満等もあり、この機会に私鉄当局に対しては、輸送機関本来の公共使命に徹し、住民本位対策を積極的に進める方策について深い期待が寄せられております。  本日は、大手民鉄関係学識経験者利用者代表方々に、それぞれの立場から実態対策の御説明、御所見を伺うことといたします。何とぞ本問題について忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  次に、議事の進め方でございますが、最初高橋鉄道監督局民営鉄道部長より大手民鉄運賃改定について説明を聴取した後、川崎参考人片桐参考人今里参考人岡田参考人工藤参考人の順序で要約して御意見を賜り、その後委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願い、また委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承ください。  まず政府から説明を求めます。高橋鉄道監督局民営鉄道部長
  5. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 運輸省鉄道監督局民営鉄道部長高橋でございます。  大手十四私鉄運賃改定につきまして、お手元に説明資料が配付されておると存じますので、それに基づきまして簡単に御説明をさせていただきます。  大手民鉄鉄軌道事業経営内容は、昨年の運賃改定、これは四十九年七月二十日から実施されたものでございますが、平均増収率が二八・八%でございました。この昨年の運賃改定申請から改定まで二年を要し、この間に石油ショック影響に基づきます大幅なべースアップあるいは電力料金値上げなど申請書原価計算には織り込まれておりませんコスト増が生じたために、改定後なお相当収入不足、これは当時の発表では平年度べースで約四百九十億円の収入不足というふうに言われております。このような収入不足を見込まざるを得なかった上に、その後の人件費増加を含みます諸経費増加によりまして、四十九年度鉄軌道事業収支は、経常収支で約四百八十二億円の赤字、これに配当所要額法人税等負担を加えますと約六百十三億円の収入不足、これは収支率で申し上げますと、八四・二。収支率と申しますのは、総収入を総支出で割ったものでございまして、これが一〇〇であればちょうど収支とんとんということでございます。収支率が八四・二%になると算定されております。  このような鉄軌道事業収支悪化によりまして、大手民鉄は昨年の改定に引き続きまして今年の八月末に運賃改定申請を行ったのでございますが、運輸省といたしましては、二年連続運賃改定であるということにかんがみまして、運輸審議会に諮問するとともに、申請者経営実態大都市におきます交通施設整備状況国民生活への影響等、諸般の見地から特に慎重に検討を加えてまいりました。  その結果、四十九年度大手民鉄鉄軌道事業収支相当悪化しておりまして、現在の運賃水準で推移いたしますと、五十一年度収支は約八百八十八億円の収入不足、これは先ほど申し上げましたような収支率で申しますと八一%ということになりまして、さらに一段と悪化する見込みである。他方、大手民鉄は、その公共的な使命達成のため、今後とも安全の確保通勤混雑緩和旅客サービス向上ということを図るために、輸送力増強等いろいろな工事推進していかなければならない状況にある。  そういうことで、十二月二日に運輸審議会答申を得ましたので、それを尊重するとともに、十二月五日には物価対策閣僚協議会了承を得まして、十四社平均値上げ率普通運賃が二四・六%、通勤定期は三二%、通学定期は二七・八%、また主要線区最低運賃は、十四社とも現行四十円を六十円とする運賃改定を同日認可をいたした次第でございます。これによります増収率は二四・八%でございまして、申請増収率二九・九%を大幅に圧縮するものでございます。  なお、一部の大幅値上げになる区間につきましては、鉄道利用者の急激な負担増を避けるために、五十年度中は特別な配慮を行うことといたしております。これは前回改定の際にも、値上げ率が三分の二以上になる区間につきましては六六・七%までに値上げ率をとどめるという暫定的な措置を講じておりますが、これと同様のことでございます。  このような運賃改定は、会社ごとに七日間以上の公告期間を経まして実施される予定でございます。  これが消費者物価に与える影響は〇・一%弱というふうに見込まれております。  それで、この運賃改定に伴います五十一年度増収額は八百十三億円というふうに見込まれておりまして、その結果といたしまして収支率は九八・三%というふうに改善される予定でございます。なお、その結果若干の収入不足が残るということになりますが、これは企業努力によって吸収させることとしたいと考えております。  今回の運賃改定に当たりまして、運輸省は、大手民鉄安全対策輸送力増強等工事推進を図るとともに、大手民鉄に対し事業経営の一層の合理化を行い、今回の運賃改定後はできるだけ長くこの改定運賃水準を維持するよう事業者を強力に指導していくとともに、不動産事業部門を初めといたしまして兼業部門収支鉄軌道事業適確な遂行に悪影響を与えることのないよう将来とも事業者指導監督いたしまして、場合によっては、兼業について将来法規制を行うということも検討したいと考えておる次第でございます。  次に、数字的な資料、それから改定経過等資料として添付してございますが、時間の関係もございますようで、簡単に御紹介だけするにとどめたいと思います。  一番目が、大手民鉄運賃改定経過でございまして、先ほど申し上げましたように、八月二十九日に申請が行われまして以来、運審の諮問、公聴会運審答申物価対策閣僚協議会了承認可というふうな経過を書いてございます。  次に二番目は、改定内容でございまして、増収率値上げ率、それから割引率について数字を出したわけでございます。  それから次の資料は、運賃値上げ率定期運賃割引率につきまして、各社別数字を明らかにしたものでございます。  それから四番目の資料は、大手民鉄鉄軌道収支の四十九年度実績と、それから今回の運賃改定の対象の年度と申しますか、平年度であります五十一年度の推定でございます。  それから五番目が、大手民鉄鉄軌道業生産性の推移を示した表でございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。
  6. 横山利秋

    横山委員長 これにて政府からの説明聴取は終わりました。     —————————————
  7. 横山利秋

    横山委員長 次に、参考人各位の御意見を賜りたいと思います。  まず、川崎参考人にお願いいたします。
  8. 川崎千春

    川崎参考人 私、日本民営鉄道協会会長川崎千春でございます。  まず、このたびの運賃改定に至りました理由及び運賃改定概要を御説明申し上げたいと思います。  大手民鉄十四社は、本年八月二十九日旅客運賃改定申請いたしまして、御審議をいただいておりましたが、去る十二月五日運輸大臣より改定認可をいただきました。  昨年七月に運賃を、平均増収率は二八・八%でありますが、改定しましたにもかかわらず、本年再び改定申請いたしました理由を御説明申し上げますと、前回改定申請から認可まで二年間を要し、その間に起こった石油ショック影響に基づく大幅なベースアップ電力料金値上げ等コスト増要因認可運賃に十分に織り込むことができず、二年前に申請しましたものに近い率で認可されましたので、改定後なお相当額収入不足を見込まざるを得なかったわけでありまして、さらに、その後の人件費その他諸経費増加により、昭和四十九年度鉄軌道事業収支は、支払い利息配当所要額等分担後、約六百十三億円の収入不足となり、民鉄経営が著しく悪化してきたので、このまま推移すれば五十一年度には約一千六十三億円の収入不足が生ずると予想されまして、ひいては公共輸送機関としての使命を果たすのに非常に困難な事態に立ち至ることを危惧いたしたことが理由の主なものであります。  今回御審議の結果、以上の民鉄経営の苦しさを認めていただき、認可をいただいたわけですが、その内容はきわめて厳しいものがあり、十四社平均値上げ率は、普通運賃申請の二八%に対し二四・六%、通勤定期申請三六・三%に対し三二%、通学定期申請三〇・三%に対し二七・八%、また主要線区最低運賃は、現行四十円から六十円または七十円とする申請に対し全部六十円と統一され、その結果、増収率申請の二九・九%を相当に下回る二四・八%と圧縮されました。なお、一部の値上げ幅の非常に大きい区間につきましては、鉄道利用者の急激な負担増を避けるため、特別の配慮を行うこととされております。  この運賃改定に伴い、五十一年度には八百十三億円の増収が期待されますが、なお約七十八億円の収入不足が残ることとなり、これは企業努力により吸収することが要請されております。さらに、認可に当たり運輸省当局から、輸送力増強安全確保サービス改善のための施設整備推進すること、合理化推進によりこの運賃水準をできるだけ長く維持すること、兼業部門収支鉄軌道部門悪影響を与えないよう十分配慮すること、鉄道部門収支工事計画進捗状況等を常時鉄道利用者等にPR活動すること等につきまして、特に要請がございました。  今回、民鉄運賃改定の御認可はいただきましたが、今後の経済情勢はなお厳しさを続けてまいるものと考えておりますので、御当局の査定、要請を謙虚に受けとめ、企業努力を一段と深めていくことが必要であると存じております。  要請のありました諸事項につきましては、これまでももとより努力してまいったわけでございまして、第四次輸送力増強等五カ年計画もおおむね予定どおり進めておりますが、今回の認可までの間に寄せられました利用者の声に率直に耳を傾け、公共輸送機関としての使命を果たすため、さらに一段と努力を重ね、皆様方の御要望にこたえる覚悟でございます。  最後に、お願いでございますが、鉄道経営の基盤を確立するためには、企業の不断の経営努力はもとより大前提でございますが、適正な運賃水準の確立に加えて、政府助成措置の拡大もぜひとも考えていただきたいと存じております。諸先生方におかれましては、現在果たしております役割りをよく御理解いただきまして、今後一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。  以上をもちまして私の陳述を終わります。
  9. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、片桐参考人にお願いいたします。
  10. 片桐典徳

    片桐参考人 私は、京浜急行電鉄株式会社社長片桐典徳でございまして、民営鉄道協会広報委員長を務めております。  それでは、関東大手七社についてその概要を簡単に御説明申し上げます。  御承知のとおり、関東大手七社は、都心部を基点としておおむね放射状的に約千百キロの営業路線を持って、一日平均九百三十二万人(四十九年度)の旅客を輸送いたしております。輸送人員で見ますと、大都市鉄道輸送の四〇%近くを受け持ち、大都市交通圏通勤通学の足としての役割りを果たしております。  また、個々の路線について見ましても、遠く明治三十一年から大正の初期に開業され今日に至っているものもあり、戦後開通したものもあり、その立地状況についてもさまざまで、ことに国鉄など他の交通機関競合関係にあるものも少なくなく、路線としての経済性収益性についてはかなりの格差がございます。  また、これを経営の面から見ますと、過去三カ年間のうち鉄軌道部門収支が均衡したことは一度もなく、収入不足は年とともに増加いたしております。四十九年度大手七社の鉄軌道部門収支を見ましても、支払い利息配当所要額分担した後で約三百十三億円の収入不足となっております。このような不足を生じましたのは、昨年七月の改定のときに織り込めなかった四十九年度春闘による大幅ベースアップ及び石油ショックに基づく電力料金等の諸経費の高騰が原因であります。今年に入りまして物価はやや鎮静したものの、春闘によるベースアップは依然大きな物件費資本費増加と相まって、鉄軌道部門収支は五十年度で七社合計三百七十三億円の収入不足が見込まれ、さらにこのまま推移しますと、五十一年度は約五百二十七億円の収入不足が予想されるのであります。  私どもはこの悪化を手をこまねいて見ているわけではございません。機械化自動化推進し、省力化に努め、業務量増加にもかかわらず従業員を逆に減らし、労働生産性向上を図ってまいりましたが、いかんせん、労働集約的事業の性格からくる人件費増大と、通勤通学輸送緩和のための大幅な設備投資による資本費増大が大きく経営を圧迫しているものであります。  このような経営環境の中にあっても、四十七年度にスタートした第四次輸送力増強等五カ年計画は今日も続けてまいっております。その実施状況を見ますと、四十九年度までの三カ年の投資実情は、七社合計二千五十四億円で、計画に対する実施率は約九〇%になっております。この結果、ラッシュ時一時間当たり混雑率は、実施前に比べて三%とわずかながら緩和しておりますが、しかし、この実績は、計画策定当時から今日までの工事費値上がり等を考えますと、工事ベースでの進捗度は満足したものとは申し上げられません。計画期間もありますので、引き続きその達成努力いたす所存でございます。  さて最後に、本年八月の申請概要関東七社で申し上げますと、五十一年度を平年度としまして、その改定率は、普通運賃で二八・五%、通勤定期で三八・六%、通学定期で三〇・五%となっております。これによります増収額は約四百六十七億円で、増収率は三一・四%となります。  これに対して、去る五日運輸大臣から改定の御認可をいただきましたが、その内容はまことに厳しいものがありまして、七社平均値上げ率は、普通運賃で二五・四%、通勤定期で三四・四%、通学定期で二八・一%と圧縮され、また、利用者への負担増を避けるための特別措置も講ぜられまして、七社合計では約三百九十四億円の増収が期待されますが、なお四十一億円の収入不足が見込まれておる状況でございます。  この上は一層企業努力経営合理化推進して、鉄道基本的使命達成努力いたす所存でございますので、よろしく御理解を賜りますよう心からお願い申し上げます。  終わります。
  11. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、今里参考人にお願いいたします。
  12. 今里英三

    今里参考人 私は近畿日本鉄道株式会社社長今里英三でございます。  関西五社を代表いたしまして、運賃改定認可をいただくに至りました事情について総括的に御説明を申し上げます。  京阪神地区旅客輸送における民鉄役割りは特に大きく、その輸送シェア国鉄地下鉄等を含む総鉄道輸送の五七・五%を占め、関西五社での一日平均輸送人員昭和四十九年度で六百五十二万人に達するのであります。  こうした民鉄の重要な役割りを深く自覚し、私ども昭和三十六年度から四次にわたり引き続き輸送力増強長期計画を鋭意進めてまいったのであります。現在実施中の昭和四十七年度を初めとする第四次輸送力増強等五カ年計画の総額は、五社合計二千六百四十四億円で、その主要工事としては、線路複線化、ターミナル駅の大改良並びに都市部線路連続立体化等であります。  この計画の眼目の第一は、ラッシュ時の平均乗車効率を少なくとも二〇〇%以下とするための輸送力確保を図る混雑緩和であります。四十九年度の五社合計ラッシュ一時間の輸送力は二十二万一千人で、乗車効率は一九九%であります。もし輸送力が現状のままで推移しますと、五十一年度には乗車効率は二〇六%とふくれ上がることが予想されます。この対策として、新造車両の投入、ホームの延伸、変電所増強などによって輸送力増加させ、乗車効率を一九五%程度にまで引き下げる計画であります。  目標の第二は、安全の確保であります。御承知のとおり、鉄道事故のほとんどが踏切道に集中しております。このため、踏切警報機自動遮断機等の取りつけ、踏切支障検知装置設置などにより保安設備の強化に努め、最近四カ年間、事故件数は四四%減少するに至っております。さらに、踏切事故抜本的解決を期するため、私どもは延べ約八十キロに上る線路連続立体化踏切の整理、統廃合等に鋭意努力を続けております。このほか、ATSを初め列車無線装置設置レールの重軌条化PCまくら木の採用、さらにはロングレールの敷設など、列車運転の安全を高めてまいるつもりであります。  次に、第三の目標は、サービス向上であります。近年要望の多い車両冷房化については、今後新造する車両はすべて冷房車とし、また在来車もできる限り冷房車への改造を行い、五十一年度冷房化率を四十九年度の三六%から四八%にまで高める考えであります。さらに、駅の冷房化やエスカレーターの設置も進めてまいる所存であります。  以上申し述べました三つの項目を主体とした投資額は五社合計年度平均五百二十九億円となって、過去の三次通算十一年間にわたる単年度平均投資額二百九十六億円に比べ実に約八割増の額に上り、また、その実施状況は、四十九年度までの三カ年間投資実績は五社合計千五百四十二億円で、計画に対し実施率、金額でございますが、九九・八%となっております。  次に、今回私ども運賃改定申請いたしました理由は、ただいま川崎会長が申し述べましたとおりでありまして、昨年七月の改定直後の五社の四十九年度決算収支においては、差し引き二百四一十七億円の収入不足を来たしたのであります。  もちろん、この間、旅客誘致等増収努力は無論のこと、経費節減にもできる限り努力を重ね、特に支出の約半分を占める人件費については極力節減に努め、昭和四十五年を基準とする業務量は一〇%増加したが、従業員は逆に一〇%削減し、車両走行キロで見た生産性を二二%向上いたしました。しかしながら、年々のベースアップはもはやこれら企業努力の限界を越え、総収入に占める人件費のウエートは四十七年度の四六%から四十九年度には五六%になったのであります。さらに、支出のうち、減価償却費支払い利子分担額などの増加企業収支の重圧となっている大きな要因であります。  このような情勢で推移いたしますと、現行運賃水準のままでは五社合計で五十一年度四百三十四億円の収入不足が予想され、公共輸送機関としての使命達成に非常に困難な事態を来すと考え、やむなく運賃改定をお願いするに至った次第であります。  しかしながら、今回御認可運賃改定実施されましても、五十一年度において鉄軌道部門は、五社合計で三百三十七億円余りの増収が期待されますが、なお三十五億円の収入不足となることが予想されます。これに対しましては、私どもは今回の御認可に伴う監督官庁の御通達をかたく遵守することはもちろんでございますが、今後ともできる限り企業努力を続け、収入不足をカバーしていかねばならないと決意を新たにいたしております。  何とぞ、私ども経営困難の状況を御賢察くださいまして、今後とも深い御理解と御指導を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  13. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、岡田参考人にお願いいたします。
  14. 岡田清

    岡田参考人 私は成城大学経済学部岡田でございます。  以下民鉄運賃の改正問題につきまして、二つの観点からお話をしてみたいと思います。  その第一点は短期的な視点で、今回の運賃改定が果たして必要と言えるのかどうか、言えるとすれば、いかなる理由からそういうことが言えるのか。この点を明確にしたい。それが第一点であります。第二点は長期的な視点ということになりまして、民鉄運賃問題に内在する問題点が恐らく二つあるであろう、その二つの論点につきまして私の見解を述べてみたい、こういうふうに考えています。  早速第一点でございますが、今回の運賃改定が果たして必要かどうか、その性格は何であるかということにつきまして、私は次のように考えているのです。いままでの運賃改定の経緯を見てまいりますと、公共料金は原則として四年周期の状態を続けてまいりました。しかしながら、昨年からことしにかけましてはそれが一年間に縮まった。これはどこに一体原因があるのか、こういう点でありまするが、これは御承知のように、二つの原因を挙げることができます。その第一の理由は、昭和四十八年のエネルギーショック以来の一般的なインフレーションによるコストの上昇、これが民鉄経営におけるコスト上昇の非常に大きな原因になっているという点であります。それから第二点は、御承知のように、昭和四十九年七月の運賃改定が、その間に二年間の認可のおくれが発生しておりまして、前回運賃改定のおくれによるコスト上昇の吸収が不十分のままであった。俗に言われます積み残し現象が発生している。この二つの理由によって、今回の運賃改定問題が四年周期が一年周期に転換してしまった、こういうふうに考えているわけであります。  したがって、この状態を一体どういうふうに理解するかということでありまするが、現在の民鉄経営の状態から考えてみますると、恐らく能率的な経営その他の観点から見まして、この一年周期に転換するのはむしろ外部的な要因によるものである、こういうふうに判断せざるを得ないのであります。  ちなみに世界各国の政策の実態はどうなっているのか、一、二の例を挙げてみたいわけであります。その例はロンドンの例でありまするが、ロンドンでは、御承知のように、本年二度の運賃改定を実行しております。昭和五十年度といいますか、ことしの運賃改定は、三月に三五%近い運賃改定をいたしまして、さらに十一月に二五%の運賃改定をしているわけであります。続きましてニューヨークの例でありまするが、これは本年九月に三十五セントの料金から五十セントに引き上げを行っているのです。こういうふうにして考えますると、世界各国とも都市交通機関が政策的な意味では共通性を持ちながら運賃改定に路み切っているということであります。言いかえますると、エネルギーショックをいかにして交通体系の中で取り入れていくか、これは運賃改定以外には方法はないのではないか、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  以上のようにして考えますると、四年周期が一年周期に転換したことは、われわれ一般の利用者の立場から言いますると、決して望ましいことは言えませんけれども、しかしながら、今回は非常事態というふうに断ぜざるを得ない、こういう意味で、今回の運賃改定は外部的な要因に依存するものである、こういうふうに判断をしているわけであります。  続きまして、二番目の長期的な視点で内在する問題点が二点ある、こういうふうに申し上げましたが、その中身を説明していきたいと思います。  一般に民鉄運賃改定につきましては二点の問題点が内在する。その一つは認可過程における問題点であります。それから二番目は、兼業問題に関する一般的な世論が非常に疑惑に満ちている、こういうふうな二点についてでありまするが、最初に認可過程について申し上げますると、認可の査定方式、これは、今回の運賃改定につきましては、運輸省努力が実りまして、原価資料の公開並びに運賃決定基準の公開、この二つの点でいままでの運賃改定に見られない新しい境地が開かれた、こういうふうに判断しているわけであります。しかしながら、御承知のように、認可査定方式におきましては、これは会計制度の問題並びに運賃決定基準上の問題、この二つの点で依然として問題は必ずしも完全に解決がついているようには思えないわけであります。しかしながら、この点は、世界各国とも現在の状況のもとではこういう形での認可方式はとらざるを得ない状態になっておりますので、今後認可査定方式の一層の改善を期待したいところであります。  レートベース方式につきまして一言申し上げますると、これはむしろ過剰投資をもたらす可能性の方が強い、こういうのが実態でありますので、すでにアバーチ・ジョンソン効果と言われますように、レートベース方式が持っております問題点そのものが存在しておりますが、しかしながら、現在の鉄道運賃改定問題につきまして、これにかわる方式は理論的にも非常に立てにくい、こういうところから世界各国で採用されておりますので、政策的にはやむを得ない基準方式である、しかしながら、それについては内在する問題点がございますので、今後ともこの点について改善あるいは留意する必要がある、こういうふうに考えております。  第二点の行政手続の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、前回運賃改定が二年の長きにわたっております。二年以上の時間を要しているのです。その前でも、過去の運賃改定時をさかのぼってまいりますると、大体一年ぐらいの期間を要しているのです。こういうふうな行政手続が現在の運送法と申しますか、現在の行政法体系の中で適切であるかどうかという点はなお反省を要する点であります。理論的にも、一般にディレーコストというふうに呼んでおりますが、運賃認可の遅延によるコストの発生、これをどういうふうに評価するかという点につきましては、必ずしも明快に基準が表示されてない、あるいは明示されてないという点が問題ではなかろうかというふうに考えております。そういう意味で、行政手続におきましては、以上二つの点におきましてなお改善の余地がある、この点がここで説明しておきたい内在する問題点の第一点であります。  それから第二点は、兼業問題でございまするが、鉄道経営に対する疑惑の中で最も大きな問題はこの兼業問題ということであります。兼業問題がどういうふうに考えられているか、あるいは考えるべきであるかという点は、御承知のように、現在あらゆる企業が、ダイバーシフィケーションというふうに呼んでおりますが、業態が多様化している。たとえば映画産業は映画産業だけではない。そういう意味では、あらゆる産業にダイバーシフィケーションの徴候が非常に強く出ているのが現在の実態であります。そういうふうな状況の中で民鉄だけについてこのダイバーシフィケーションを認めないという状態は現在は考えられない、基本的な考え方としてダイバーシフィケーションを特に認めないということはなかなか困難ではなかろうかというふうに考えているのです。それに加えまして沿革史的に見ましても、都市開発と需要の喚起というふうな二つの点では非常に積極的な経営努力をやってまいりましたので、そのことが日本の都市に与えた非常に大きな貢献をかえって無視することになってしまう、こういう意味で、現段階で兼業問題に対して過度に厳しい状況を法的に形成することには私は賛成ではありません。その意味で、兼業問題についてはなお改善の余地があると考えておりますけれども、基本的にはダイバーシフィケーションを認める、こういう態度をとっております。  それから続きまして、同じように四十八年段階におきます土地ブームの時期にとられました行動につきましては、決してほめたことばかりではないという点で全面的に承認しているというふうには私の方では考えておりません。それはどういうことであるかと言いますと、資本の機会費用が非常に高いという方向へ金が回ることは民間資本の場合は当然でありますけれども。土地問題に対して非常に投機的な行動に出ることは、これは鉄道の公共事業という観点から望ましくないというように考えておりますので、この点については今後なお改善の余地があるというふうに判断しているのです。  最後に、そういうふうな観点から現在兼業問題について多大の疑惑を呼んでおりますけれども、これについて法的規制をするとかあるいは社会的に糾弾するとかいうことよりも、むしろ民鉄事業の経営者自身が自主規制のための倫理綱領とも言えるようなものを作成して世論の期待にこたえるべきである、そういう意味で、倫理綱領の作成ということを提案して私の参考意見を終わりにしたいと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員長 どうもありがとうございました。  次に、工藤参考人にお願いいたします。
  16. 工藤芳郎

    工藤参考人 全国消費者団体連絡会代表粋事の工藤でございます。  今日の私鉄運賃値上げに対して私たち全国消費者団体連絡会は一貫して反対をし、そして鉄道そのものをどうか利用者本位のものにしてもらいたい、こういう形で、八月二十九日の申請の前からこういう要請運輸省あるいは関係各社に対して続けてまいったわけであります。不幸にして今日値上げ認可をされたわけでありますけれども、この間にわたって運輸省に対する要請などを行いましたので、それを通じて運輸省問題点でかみ合った点さらに今後の解決にまたなければならない点それぞれありますので、そういった点を申し上げたいと思います。  第一は、私鉄というものを見る場合に、運輸省は一貫して最も狭い意味での鉄道部門ということを取り上げてきたのがこれまでの姿勢であります。鉄道というのを考える場合に、御存じのように、今日、私鉄は、たとえばきょうお見えの京成電鉄をとってみますと、四十九年度の営業収入中の各部門の占める割合を見ますと、四十九年度の上期では鉄道部門は二六・九、下期も二六・九、不動産部門が四八・七、その他が二四・四、こういうふうになっていますし、東武鉄道の場合でも、四十九年度上期が鉄道部門四一・五、不動産が三二・七、その他が二五・八、全体を見ましても、鉄道部門がその他の部門に比べて収入が多い私鉄は近鉄、阪急、阪神、それから小田急がありますが、その他はいずれも鉄道部門以外の収入が多い、こういう実態であります。  こうしてみますと、鉄道というものを見る場合に、不動産部門あるいは観光部門その他の部門と鉄道部門とを果たして切り離して見ることができるのかどうなのか。現実の上に立ってみますと、これは私はできない。また、沿革的に見ても、鉄道とその他の兼業部門との関係というものは切り離しがたく結びついて、相互依存の上に発展をしてきたという歴史があるわけでありまして、これを切り離して見るというのは、会計上を見ましても、有価証券報告書などを見ましても、これはそういうふうな形態になっていない。鉄道会社の、一法人でありますから、その法人の中の一つの部にしかすぎないわけでありまして、税法上から見ても会計上から見ても、どの部門から見ても、鉄道部門だけを切り離して論ずることはない。ただ運賃値上げのときだけ鉄道部門のみを切り離して論ずるというのが、利用者から見て全く不可解な点であります。いわばベニスの商人でありませんけれども、血を一滴たらさずに肉一ポンドよこせ、こういう論理に似ているわけでありまして、実際できない。これは私鉄自身にお尋ねをいたしましても、たとえば鉄道建設のために借りたお金が実際は不動産の買い占めに回っているというようなことがあります。また、人事の面で見ても、鉄道部門の部長がいらしゃいますけれども、やはり近鉄なり京成電鉄なりの社長さんであって、全体を管理監督をされている。組織上、人事上、財政上、あらゆる面から見て一つの法人である。そうしてまた対外的に見ましても、その一法人が関連企業に対して莫大な投資、融資等をやっているという形で、鉄道部門を切り離してみるということに対して大変無理があるということを運輸省と再三にわたって話をしてきたわけであります。  問題になりますのは、鉄道部門の損益。こういったような場合に、先ほどの御説明のように六百十三億の赤字が生じた。しかし、これはいわゆる営業外費用、各関連事業部門に共通したたとえば支払い利息、こういったものを各事業部門の投下固定資産に案分して割り振りをするということで、こういった莫大な赤字が発生するわけであります。ですから、私たちが承知し得る範囲の資料としては、株主総会に提出する営業報告書あるいは大蔵省に提出する有価証券報告書、こういったものがあるわけですが、これを見る限り、どう見ても鉄道部門は全体としては赤字ではない。特に五十年の上期の決算内容を昨日運輸省からいただきましたけれども、これなどを見ますと、十四社で九十六億二千百万の黒字を計上しているわけです。赤字は東武、京成、東急、南海、西鉄でありまして、その他は黒字であります。こういう形でありますが、そういうせっかく鉄道部門で上げた収益、これに対して営業外費用を固定資産に応じて案分をする、こういう方式をつまり便宜的にとらざるを得ない。私は、この兼業部門との関係がやはりすっきりしないと、私鉄問題についての損益は論じられないのじゃないか。きわめて便宜的に論じてきた、その便宜的な方法についても大変問題があります。  御存じのように、投下した固定資産という場合に、全事業の固定資産の中に、従来は含めませんでしたけれども、今日では分譲土地を含めております。それから鉄道部門の中には建設仮勘定、建設中の資産を含めているわけです。全事業固定資産の中に占める鉄道部門の固定資産は幾らか、こういうふうに営業外費用を割り振っていくわけでありますから、分母に来る全事業固定資産プラス分譲土地建物、この分譲土地建物は、帳簿価格、取得価格でありますから、大変安いわけです。たとえば小田急の例をとりますと、町田市で持っている小田急の土地は、一平米当たり七千五百円程度で評価をしているわけであります。坪当たり、三・三倍でありますから、二万数千円ということになりますが、こういう土地は現実にはないわけです。これを分母に持ってきますから、鉄道部門にかかってくる利息の負担率が大変高くなる。さらに分子に来る建設仮勘定、建設中の資産というのは、御存じのように、現在では物価騰貴、建設資材などが値上がりしていますから、時価もいいところでありまして、大変高いものになっております。分子を大きく分母を小さくしますから、結局負担をする割合が大きくなる。こういうことで、しかも、この建設仮勘定、鉄道部門の固定資産、前提となる固定資産そのものが、どこまでが鉄道部門の固定資産なのかということが非常に明確でない。  たとえば、先般運輸省立ち会いのもとで西武鉄道の西武新宿駅に参りまして、西武本社からも専務に立ち会っていただいて見たのです。あそこには西武新宿のターミナルに駅ビルが建っております。二百一億の総工費だという。地下四階、地上二十四階。聞いてみますと、鉄道で使うものは一階、せいぜい二階、八階までは賃貸ビル、それから九階以上はプリンスホテル。この二十四階建てのビルで二百一億の総工費がかかりますが、このうちで鉄道部門に十七億七千二百万を負担してもらう、こういうわけであります。なぜ鉄道部門にそういうものをかけるのか。二百一億のビルは何のためにつくったのか。目的的にものを考えてみますと、プリンスホテルをつくり、賃貸ビルをつくるために鉄道を足場にしただけの話でありまして、鉄道をつくるために上のプリンスホテルや賃貸ビルをつくったのではない。これはもう常識であります。それなのに鉄道部門には十七億七千二百万の負担をかけている、こういうやり方をするわけですよ。さらに、既存のものといたしましては、池袋駅あるいは新宿駅などは私鉄国鉄が入り乱れて、財産区分が一体どうなっているのかわかりません。  こういうように、一つの会社の中でも、一企業の中でも鉄道部門とその他の部門が鮮明に峻別できない。また、他の事業者との関係においても、今日鉄道の固定資産というものがどれだけあるのかというのを運輸省は恐らく調べたことがないだろうと思います。これは私鉄が申告したものにのっとってやっているんだと思いますけれども、これらは全面的に洗い直しをしなければ、鉄道とは一体何なのかということがはっきりしない。しないままで議論を今日にしてきているわけであります。鉄道というものがはっきりしないままに赤字、黒字を論じてきているというのが今日までの問題なんで、この際そういった点をきちんとするように運輸省にも要請をしてまいりましたが、運輸大臣はこの前にお会いしましたときでは、そういう方向で努力をしようということでありますから、そういう点をきちんとする。兼業部門をやることがいいか悪いかという以前に、鉄道部門の赤字、黒字を論じるのならば、鉄道部門を鮮明な形で出してみていただきたいということが第一点であります。  そこで、これまで運輸省がとってきた方式によって問題になる点を申し上げなければならないと思います。  一つは、先ほど岡田参考人からもありましたが、事業報酬方式であります。この事業報酬方式は電力やガスでもこういうふうな形がとられているわけでありまして、いわゆる支払い利息配当金を運賃の原価の中に算入をするということでありまして、一般の民間会計にはあり得ないことであります。ことしの会計学会が六月に長崎大学でありましたけれども、その学会の中でも、このレートベース方式は不当であるというような意見が出ております。学会でそういうことが言われると同時に、われわれ利用者から見ますと、四十九年度実績を見ますと、支出総計が三千八百七十三億、そのうちで事業報酬、支払い利息配当所要額等が、きょう手元にいただきました資料によりますと、六百六億ありますから、一六・二の割合です。つまり百円の中で十六円二十銭が支払い利息配当金というのが四十九年度実績であります。今度値上げ運賃の原価を見ましても、大体十五円六十三銭くらいが利息と配当金になっているわけであります。これに事業報酬制度というものをとる場合には、公共料金でありますから、一定の法令の根拠や算定基準が明確でなければならないということもわれわれ主張してまいりました。これは電力の場合は電気事業法の十九条、ガスにつきましてはガス事業法の十七条に、一応適正な原価に適正な利潤を加えたものを総括原価とするという法令があるわけでありますが、私鉄の場合には、地方鉄道法にはそういうことはありません。運輸大臣にお尋ねいたしましたら、大臣は、これは法律が古いからだ、こうおっしゃるのでありますけれども、法律が古いからないというのではやはり納得ができないわけでありまして、ないままに昭和三十七年以降事業報酬方式をとっているわけであります。だとするならば、法律がなければ法律を改正するなり、あるいはまたその基準を明確にしなければならない、根拠を明確にしていただかなければならないということも強く要請をしてまいっております。今回の査定におきましては、事業報酬率を八%にするということが書いてあります。これは電気やガスについて参考にしたというふうなことを聞いていますけれども、御存じのように、ガスや電力は兼業部門を持たない公益事業であります。ですから、これは参考にすべきではない。莫大な兼業部門を持っている私鉄私鉄なりの事業報酬のあり方を特別に、国会議員の諸先生方もお入りいただきまして、そういう場をつくっていただきたい。そうでなければ、法律の根拠もない、何となく電気やガスがやっているからというようなさじかげんで事業報酬を認めるというようなやり方では、われわれは納得ができないわけであります。  さらに問題になりますのは、こういった支払い利息が発生する根拠は莫大な借入金であります。きょうお見えの京成、京浜両社は、大手私鉄の中でも金融機関の支配が一番高いわけであります。お手元に差し上げました消団連の資料にも詳しく書いておきましたけれども、生命保険会社や銀行が六〇%以上株を持っておられるわけであります。こういったところから莫大な投資をしていただいておると同時に、借入金をしているわけです。今日生保や銀行は、大株主であると同時に大口債権者でもあるわけでありますが、こういったところから借り入れた資金で輸送力増強計画などを進められるわけであります。  問題なのは、こういった輸送力増強計画をされておるわけでありますが、これができ上がった段階で、これだけの費用がかかったから利用者にこれだけの負担をしてくれろということを今日まで言われてきているわけでありますが、一つ大事なことは、計画をつくる事前の段階でこれを国民の前に明らかにしていただいて、どれくらいの費用になるのか、それはだれに負担をさせるのかということを明確にしていただかないと、できてしまってから借金のしりぬぐいを利用者にさせるというような形ではまずいのではないか、こういった点も言っているわけです。  さらに、この資金の使い方並びに財源でありますけれども、たとえば金利コストの安い政府関係資金を借りられて、それが鉄道建設に使われるのではなくて、本来鉄道建設に使われなければならない資金が土地の買い占めなどに回っているということも聞いています。この点については、鉄道財団抵当法といったもので借りた金は事前には運輸省がチェックをするけれども、事後にはこの金が一体どのように使われたかをチェックする制度がないのだということを実は聞いているわけです。これではしり抜けになるわけでありまして、お金に色分けがつかないということを理由にして流用されていくということも聞いておりますけれども、これは重大な問題であろうと思っております。こういった点で、兼業部門との関係が大変重要でありますし、その辺を識別する制度なりシステムをぜひともつくり上げていただきたいと思うわけであります。  最後に、私は、今日、鉄道は全事業的に見るべきだ、将来、政策的に鉄道だけが独立するような段階になりましてからは別でありますけれども、現在では兼業部門を含めて一つの企業として損益状況経営状態を見るべきだ、またそうせざるを得ない現状にあるというふうに思うわけであります。そういう観点で見ますと、今日の私鉄は、先ほども申し上げましたが、十四社だけで関連企業七百九社持っておりまして、これに対して投資額が千三百二十六億六千万、貸付金が三百七十五社に対して千七百五十四億六千万、債務保証が八千八百四十五億一千万、その他の有価証券投資額が千百三十三億四千万、販売用土地建物は帳簿価格で六千七百七十一億、保有土地の面積だけで二億平方メートル、後楽園球場の一万五千倍の土地を保有されているわけであります。こういうふうな投融資をやっているわけでありますから、利用者から見た場合に、決して私鉄が赤手であるというようなことは考えられないわけであります。この点については運輸省が査定に際して若干開発利益をこちらに回せというような御指示はされたようでありますけれども、まだ実りあるものというふうには必ずしも言えないと思っております。われわれはこれを反国民的投資、特に土地ブームのときには莫大な土地を買い占めて、そして物価騰貴を進めた張本人の一人が私鉄資本であるというふうに思っておるわけでありまして、この辺にメスを入れなければ、私鉄経営状想については国民の前に公開されたというふうには言えませんし、また、こういった遊休土地を、今日地方自治体の財政が大変困っていますが、こういうところを公共用地として学校建設や病院や公共住宅の建設に政府が保証されて適正な価格で放出をされる、それこそが私鉄資本が利用者本位、国民本位のものに一歩前進する道ではないだろうか、このように思うわけであります。  以上をもちまして参考人としての公述を終わります。
  17. 横山利秋

    横山委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  18. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入りますが、岡田参考人は所用のため正午に退席される予定でございますから、質疑をされる方はさよう御了承ください。  また、大体一時前後まで質疑を続けるつもりでございますが、多数の御質疑がありますので、質問をなさる方、お答えくださる方、それぞれ簡潔にお願いを申し上げます。なお、座ったままで結構でございますから、どうぞお願いします。  それでは加藤六月君。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 参考人各位にはただいま大変貴重な御意見を開陳いただきまして、ありがとうございました。  私は自由民主党でございますが、ここに至るまでのいろいろな経過等も相当勉強し、議論してきたと思うわけでありますが、改めて参考人各位に御意見を承りたいと思います。  質問はやや抽象的になると思いますが、まず工藤参考人に承りたいと思います。いま私たちの一番議論の多かったのは、兼業部門問題についての議論をずいぶんやったわけですが、私鉄運賃公共料金だという御発言がございました。そうすると、兼業部門を含めた私鉄全体を公共的な会社と見るのかどうかという点ですね。現実の段階としてわれわれがいろいろそこでやったんですが、総合的にデパートをやり、観光をやり、不動産部を持ち、いろいろやったその私鉄というものを総合的に公共的機関と見るのか、それとも、いま議論された鉄軌道部門だけを公共的機関と見、これを公共料金的性格の対象の中に入れるのかどうかという点、これが一点です。  それから、私鉄経営から見て、しかも私鉄運賃公共料金であると言われるわけですが、その場合には、兼業理論はよくわかりましたが、私鉄兼業を勧めるのがいいのか悪いのかということですね。もし参考人の御意見を進めていきますならば、兼業をどんどんやらせてどんどんもうけさす、そうしてそれを鉄軌道部門に回すいろいろな方法を講ずるならば、公共料金である私鉄運賃値上げしなくても済む、ということになると、兼業部門を奨励されるのかされないのか。もちろん大前提があると思いますが、この点について工藤参考人に承りたいと思います。  それから、岡田参考人に。非常に長期と短期問題についての御意見をいただき、特に私たちも、この査定方式ですね、運賃基準、これを国民大衆に理解できるようなはっきりした基準、方式を打ち出すべきである、いやしくもどんぶり勘定は許されないということではずいぶん議論をいたしたわけです。私鉄は公共企業である、公共機関である、私たちはそれを言って逆に運賃値上げを抑制してきたんですけれども公共輸送機関に対してそれなら国は一体どういう助成をしておるかという反省をいつもしておるわけです。端的に、いまもお話に出ましたけれども、開銀の融資があります。これは特利の分と普通利の分があります。それからあとは鉄建公団のP線方式という、これしかやっていない。そうしますと、いま工藤参考人もおっしゃったんですが、工事をやる前にたとえば費用を明らかにしろと言われますね。そうすると、ある地区においては高架方式と地下方式、地下方式にやるとたとえば一キロ百億かかる。どんな安い金利でいっても、五%にすると金利だけでも五億円。その一キロによる運輸収入全体を見ますと、一番いい路線で六千万か七千万しか上がらない。金利の十分の一に近い水揚げしかないというときに、私鉄公共輸送機関として決めつけていく場合における国の助成というものはどうしたらいいか、ひとつそういう問題についてお考えがあったら、承りたいと思います。  それからその次には、これは川崎参考人に承りたいと思いますが、今回の運賃改定で、一体何年持つとお考えかということが一点です。  それから、あなたは大変厳しい査定を受けた、こうおっしゃいました。しかし、どうですか、この表を見ますと、皆さん方の申請した分よりか七十八億厳しく査定しておりますね、それは何かで補ってもらわなければならぬ。いろんな方法があるかもわからぬけれども、第一は企業努力ですが、どういう企業努力があるかということです。  それから、これは今里参考人にも、会社の名前が出たのですが、不動産部門との、いわゆる兼業との関係で法的規制あるいは行政指導的規制というものをやった場合に、これは会社としては遺憾ですが、関西私鉄五社を代表してお話があったんですが、あえて喜んで姿勢を正す意味で受けるお気持ちがあるかないか。  それから、片桐参考人についでに伺いますが、国鉄との並行路線での運賃問題がいつも議論されるのですが、これはどちらを基準にその運賃をやったらいいかということについてお教えいただきたい。  時間が余りないので非常に簡単なんですが、そこら辺についてお伺いしたいと思います。
  20. 工藤芳郎

    工藤参考人 一つは、兼業部門を含めて私鉄全体を公共性と見るかという御質問でしたね。これは公共性ということを一般に論ずることでは意味がないと思いますから、公共料金というものを値上げすることについて、その他の事業部門がどういうように関係するかというふうな観点での御質問かと思うのですけれども、そういう意味では、鉄道運賃だけは、現在の制度では政府が介入して認可をする料金でありまして、一つの公共料金でありますが、その他の事業部門については、不動産にしろ観光にしろ、そういう形にはなっていないわけです。  しかし、公共性というふうに言うならば、鉄道会社が——本来公益事業というのは、労働関係調整法の八条で公益事業の一応定義がありますね。われわれは公共料金を生み出す公益事業主体を見る場合に、一応労働関係調整法の八条を参考にするのですけれども、そこにはいろいろ限定的に書いてあります。つまりあの労働関係調整法の八条には「公衆の日常生活に欠くことのできないもの」だということが前提になっているわけですが、それが鉄道だと思うのですね。その他の部門はどうかと言いますと、公共性という点では、広い意味ではやはり企業の社会的責任というのが今日いろいろ言われていますが、そういう意味でやはり公共性を持っていると思うのですね。ただ、これを政府が現在の段階でどういうふうな規制をするかということについては、これはいろいろ議論もあるところだと思います。ただ、現実には民鉄協会というのがありますが、この地方鉄道法にかかわるものについては独禁法の適用除外になっておるわけですね。ところが、不動産のことまで民鉄協会で、きょう川崎さんもいらっしゃいますけれども、お話をしているのかどうか知りませんけれども、これは鉄道については独禁法の適用除外、しかしその他については除外にはなっていないわけでしょう。しかし、混同されておるのは民鉄さんの方でありまして、われわれから見ると、国民生活に及ぼす重要な影響があるものは、やはり政府はチェックしてもらわなければ困ると思うのです。そういう意味で、公共性は全体的にあると思います。ただ、その度合いは、料金や価格を決めるについて政府が介入するかどうかということになりますと、現在では鉄道部門だけだ、こういうふうになっておるのだと思います。  二番目の兼業部門を将来どうするかということでありますけれども、御存じのように、地方鉄道法は第九条というのが昭和四年まであったのですね。これは「地方鉄道会社ハ監督官庁認可ヲ受クルニ非サレハ他ノ事業ヲ営ムコトヲ得ス」というのがあったわけです。今日では電気事業法の十二条、ガス事業法の十二条にはそういう趣旨のことで、兼業が原則的に禁止されておるわけです。ですから、昭和四年のいきさつを、ひとつ国会の先生方お調べいただきたいのでありますけれども、どういう形でこれが削除されたのか。その後、つまり私鉄鉄道を足にしながら分譲地をつくり、宅地開発をやり、観光地を開発していくという形で発展をされてきたわけでありますから、兼業部門をどうするかということになりますと、鉄道兼業部門をやること自体が現実に悪いとは私はいま思っていません。ただ、そのやり方が、鉄道という公益事業を看板にしながら——先ほどの西武鉄道のビルは私は典型的な縮図だと思いますけれども鉄道を踏み台にして伸びていっているというのが、今日までの民鉄の姿であります。こういう姿はおやめいただきたいということでありまして、兼業部門そのものをどうするかということについては、これは鉄道部門と切り離してやるという一つの見方、それから監督官庁認可を受けてやっていくというような見方、いろいろあると思いますが、その点については一定の結論を今日の段階では持っておりません。
  21. 岡田清

    岡田参考人 御質問は二点あったかと思います。  その第一点は、現在の査定方式がどうかという点であろうと思います。この点につきましては、公共料金であるがゆえに査定するということにつきまして、査定がうまく機能している間はよろしいのですが、たとえば工藤さんとちょっと違いまして、アメリカのネーダーという消費者運動家がおりますが、その人は何を言っているかといいますると、一国の交通体系を考えるときに公共的な規制がかえって鉄道をだめにしてしまう、むしろより一層の自由を与えることが一国の交通体系を発展させるものである、こういうふうな見解を表明しているわけであります。その意味で、過度な査定がいままで行われてきたように私には考えられるのです。それは、具体的に会計制度その他の厳密化を進行させることよりも、むしろ時間の引き延ばしによって運賃の引き上げを抑えてきた、こういうふうな傾向がありますので、この点は厳に慎むべきことである、こういうふうに判断いたしております。  それから第二点でございますが、助成方式、この点につきましては、地価の上昇が非常に激しいために、御指摘のように、投資管理が非常にやりにくいというのが現在の実態ではなかろうか。もし都市交通政策上、民鉄を活用していくという政策展開が認められますならば、これは土地助成のようなものをもっと政府は検討すべきである。そうして厳密な意味で地価のような所得の再分配政策に関連するものについては、これはむしろ国家助成によって処理して、しかも鉄道建設並びにその運営については運賃体系によって処理すべきである、こういうふうに判断いたしておりますので、今後の投資政策に対しましては政府はかなり積極的な助成を行うべきである、こういうふうに考えております。
  22. 川崎千春

    川崎参考人 お答えいたします。  ただいまの運賃改定は、五十一年度を平年度ということで、いろいろな予想を立てて計算いたして認可をいただいたもので、五十一年度運賃改定をせずにいけると思っておりますが、これも前回に狂乱物価等の価格高騰がありまして、異常な過渡期にあったわけでありまして、そのために赤字を非常に大きく累積したわけでありますから、そういうような特別の事情また物価騰貴等がない限りは、五十一年はわれわれはやっていく予定であります。  なお、五十一年以後についても、われわれは先ほども申しましたが、企業努力その他をやってできるだけこれは長くもたせたいということで、物価の高騰その他が政府予定しておられる程度のわずかの物価の成長率であるならば、われわれは続けていきたいと思っております。  それからもう一つ、今回の運賃値上げが厳しい査定を受けたという点についてでありますが、私どもは、ただいま申し上げましたように、五十一年度を平年度としていろいろの予想を立てて、ぎりぎりいっぱいの運賃値上げ申請いたしましたわけで、これは最も理想的な私鉄といいますか、都市交通の最も理想的な運営をするために、われわれが考えますともっと大きくなるのでありますが、昨年も値上げをいたし、また今回も値上げをするというような事情でありますので、できるだけ切り詰めた程度の運賃申請をいたしたわけで、それが査定を受けまして七十八億円積み残すということになりましたので、したがって、私どもは非常に厳しい査定であると感じておるのでありますが、しかし、この積み残しをそのままにするわけにまいりませんので、これは鉄道部門に対してまた特別の合理化その他省力化を進めるつもりでおりますが、鉄道部門については、先ほども片桐参考人その他皆さんが申し上げましたが、非常にこれは合理化の限界に来ておるということでありまして、なかなか合理化が困難でございます。しかし、何とかこれをできるだけの努力をしてまいり、なおそれでどうしてもこの赤字を埋めることができないというような場合には、やはり会社全体の事業別に企業努力をいたしまして、何とかこの赤字、不足額を補てんするつもりでございます。
  23. 今里英三

    今里参考人 ただいまの御質問は、不動産兼業が問題になっている、その規制なんかの声も出ているがどうかというふうに存じます。  兼業につきましては、歴史的なものがございます。戦前でもいわゆる鉄道自体の補完的な役目を果たすために、兼業——輸送の問題またはいわゆるサービスの問題、そういう面で戦前からずっと興ってきたものでございます。ところが、戦後われわれの鉄道につきまして、私鉄につきましては政府の助成というものが、はなはだ失礼な言い方ですが、まるっきり戦前と違ったようなことになって、われわれ自体が自主的に生きていかなければならないという羽目になったわけであります。また、従来国鉄と非常に友好関係で、あるいは国鉄の陰で御厄介になっておったものもなくなってきたわけであります。そういう意味から、自分らが生きるために、やはり有効な兼業を育て上げるということは、まずわれわれ経営者として考えるのが当然かと思います。もちろん、いま規制がなくなったらどうかというのじゃなしに、やはりそれが、たとえばいわゆる不動産でございますと、まずこれが輸送の役目、大都市中心に住民が集まるのを疎開させるといいますか、そういう意味でいわゆる沿線に誘致するということ、これが住宅政策にも沿い、またわれわれの交通量をふやすという意味にも当たりますので、これについて沿線の開発というものに力を入れたのが戦後の大きい兼業経営があり方でございました。それがだんだんと経済成長になるにつれて、運賃の行政といいますが、先ほども出ておりますけれども、決してわれわれは満足すべき運賃改定をもらっておりません。早いときで一年余り、今回は二年、前の四十九年の場合は二年一カ月、その前は一年九カ月と、最も物価の上がって、そうして経営の苦境に追い込まれるさなかにあって、適正な運賃改定を上げられなかった、これは国の物価政策にもよるのでやむを得ないということで私たちは忍んできたわけであります。しかし、われわれは交通使命を果たすためにどうして課題として与えられておる輸送力増強、近鉄の場合におきますと三十六年からこの五十一年を入れますと二千二百億の工事になります。この工事、最近十年間に難波への乗り入れ工事、三キロでございますが、これは約二百億かかっております。その前には新生駒トンネルを掘っておりまして、これも莫大な金をかけております。それから最近いわゆる運転保安を重点とした大阪線の新複線化を十六キロ単線複線化をいたしました。これも百五十七億かけまして、この十一月の二十三日から開通いたしております。そういうふうに、いわゆる各社の課題として与えられた輸送力増強サービスよりもまず輸送の緩和というものに重点を置いて莫大な投資を続けてきたと思うのであります。これをどこでつじつまを合わすかと言えば、兼業によらざるを得なかったわけでございます。したがいまして、私は、兼業の今後の経営についてのあり方とか経営態度とかそういう面についてはいろいろ議論もあるし、われわれも反省もし、そうして自粛もしなければならぬと思いますが、やはり鉄道経営そのものとの、いわゆる兼業でも不動産において多いと思いますが、分離のできるものは皆分離いたしてきております。そういうことで、規制ということについては私は好ましくありません。
  24. 片桐典徳

    片桐参考人 ではお答えいたします。  国鉄並行区間運賃はどうあるべきか、こういうようなお話でございましたので、大体これを拾ってみますと、国鉄私鉄の並行区間は、戦前、戦後、大体同じくらいでやっておったわけです。大体戦前も国鉄が上げると同時に私鉄も同日上げた。それで戦後を見ますと、二十八年の一月十五日までが国鉄運賃私鉄運賃と同時施行でございます。それで、三十四年、次の運賃改正から国鉄の方がちょっと早まったりしたわけです。ですから、国鉄運賃改正は現在では八回、民鉄の方は今度で八回になっておりますので、一回国鉄の方が早かったということでございます。  それから、大体四十年までがほとんど同一対キロ制をとっているところは同一運賃でやっておりました。ですから、並行路線は同一運賃が好ましいと思います。  ただ、社会情勢が最近違ってまいりまして、定期券なんかは企業負担になってきた関係で、便利のいいところ、それからヘッドの早いところ、こういうようなところで、昔は十分、二十分歩いても国鉄に乗るとか、私鉄へ歩いても乗るということで、大体並行路線は一緒になっておった。今度はちょっとヘッドが、ラッシュの時間が二分半ヘッド、国鉄は十分ヘッドというようなところになると、早い方で乗れるということで、定期券は企業負担がございますので差はあってもいいと思いますが、大体多少の差ぐらいで余り差があってはいけない。いままでは一回おくれておりましたから、長距離におきましては民鉄の方がずっと安かったわけです。今度上げていただきましてどうやら定期券は長距離は同じくらいな率になったと思います。運賃も同じだと思います。  以上で御答弁を終わりますが、大体同じ運賃くらいが好ましいと思いますけれども情勢が大分変わってきておりますので、その点は多少差があってもいいんじゃないか、そういうふうに感じております。
  25. 横山利秋

  26. 久保三郎

    久保(三)委員 時間もたくさんありませんから、簡単にお尋ねします。  一つは、民鉄部長にお尋ねするのは筋違いなんですが、大臣じゃないけれども、きょうは大臣代理というような意味でお尋ねしたいのです。  運賃値上げ——値上げというか改定というのか、これが審議中というか公聴会を開いている最中に、あなたのところの運輸大臣は、年内には上げなければいかぬだろうという新聞発表までしているわけです。積極的に記者会見しているわけですね。こういう態度自体がやはり国民の納得しない一つの原因であるんだが、こういう問題についてどういうふうに考えておられるのか。  それから民鉄協会の川崎さんにお尋ねしますが、先ほどあなたの最後のお話の中に、政府の助成についてもお考えをいただきたいというお話があったが、私は社会党の久保三郎でございますが、社会党としては、この国会というか、先国会以来四つの法案を出しているんです。御存じでないでしょう、恐らく。しかし、民鉄協会にはこの法案を出す前にも出した後でも、法案の内容をつけて、御意見がありましたら承りたいと言って書状でありましたが、お送りしてあるはずです。いまだに御返事ありません。  それから、運賃値上げについて、私は運輸委員会がホームグラウンドなんですが、きょうは運輸委員会が開かれておりませんのでこちらに来たのでありますが、いままであなたたちからの要請は、ここにある緑色の小さいパンフレットを一枚いただきました。われわれ多少専門的にやっておりますからわかりますが、これでは納得しかねる面がたくさんある。きょうは時間がありませんから申し上げませんが、こういうことでは、専門に扱う国会議員さえ理解できないんだから、利用者はもっと理解できないだろうと思うのです。そういう点について工夫なり、反省と言ったら失礼ですが、ありましたら、お答えいただきたい。  それからもう一つは、民鉄部長に伺います。十四社一括申請で一括認可ということでありますが、この十四社の中にはいろいろな経営の差があるわけですね。だから、黒字もある。さっき工藤参考人からお話がありましたが、赤字の会社というのは二つか三つしかない。赤字でも黒字でも関係なく運賃というものは上げなければいかぬものかどうか。赤字なるがゆえに上げるのか、黒字であっても当然のごとく上げなくてはいけないのか、その辺の基準はどういうものか。  それから、事業報酬についても、工藤参考人からでしたか、お話がありましたが、これが今度は八%に、去年あたりからそういうふうに考えているようでありますが、政治献金というのはどこから出したらいいのですか、どこから出すのか。事業報酬の中からでも出しますか、どうですか。  それから、民鉄協会にもこれはお伺いしたいのでありますが、政治献金を各会社とも出しているわけです。一番大口は国民協会に出しているわけでありまして、私どもの手元には、資料としてある新聞から来たものは四十九年度の上期でありまして、ことしの分はありません。ありませんが、大体五百万以上、六百万以上それぞれ会社が出しておる。そういう政治献金について民鉄協会は割り当てを受けてやっているのかどうか。会社は、これはどこから出しておられるのか。  それから、岡田参考人にお伺いしますが、先ほどの兼業の問題、工藤参考人もお話しありましたが、私も過去の民鉄の果たした役割りというものはやはり今後もあっていいのではないかと思うのです。いわゆる鉄道路線を引くことによって地域を開発していく、あるいはもっと快適なものを何かつくっていくというそういう役削りは必要なんでありますが、工藤さんが挙げたように、デパートのための鉄道をつくるという形が最近出てきている。まあそれは一つの例であります。あるいは土地を買うための鉄道、しかも大体いま十四社の持っている土地は約二万ヘクタールと言われています。しかもこれは市街化調整区域なんです。市街化区域じゃない、市街化調整区域。しかも開発計画というのは半分もないんじゃないかというふうに見ているのですよ。この利息を払うだけでも大変だろうと思っているのです。これはどういうところに原因しているのかというと、あの土地ブームも問題がありますが、大手十四社の大株主はみんな生命保険会社か銀行なんです。たった一つ、ある会社は銀行でない国土計画という会社が大株主の一員になっているだけで、十三社は全部です。その尤たるものは第一生命、日本生命、三菱銀行、そういうものが全部ランクになっております。こういうものは当然、鉄道の発展というよりは、土地ブームのときには率先して資金を土地買いの方にくるっと回しました。自分が大株主である開発も兼ねているような私鉄に仕事をやらせたのは理の当然だと思うのです。あたりまえの結果が出てきたと思うのです。  それともう一つは、乗る者の立場からいくならば、そういう生命保険会社とか銀行とかいう金融会社が大株主になっている現実を検討する必要がある。乗り物は大衆のものでありますから、これはやはり企業の民主化からいって株式を、資本をもう少し民主化していく必要があると私は思うのです。そういう工夫をしないで兼業の問題を議論しても、不毛の議論ではないかというふうに私は思うので、この点はどういうふうに思いますか。  それから、これも民鉄部長にお伺いしたいのですが、九月期の決算は今度の値上げの中に入れたのかどうか、考慮したのかどうか。  それからもう一つ、これはやはり岡田参考人にお伺いした方がいいと思うのでありますが、都市交通におけるところの運賃は、いまのように種々雑多の交通機関企業が入り乱れている中で、いままでのような歴史と沿革とそういうものを土台にして運賃原価を計算していくようなことはもはや時代おくれであるし、利用者から見ても不合理なものがたくさんあると思うのですね。そこで、新しい運賃システムというか、そういうものを考えていく場合には、たとえば共通の乗車券の発売をするとかあるいは運賃決定基準というか、そういうものを年ごとに決めていくとかということが一つだと思うのですね。  それからもう一つは、いま運輸審議会という一つの民主的な機関ということになっているのでありますが、果たしてそうであるかどうかは疑問がたくさんありますが、一番問題なのは、利用者が全然その中に入っていけない、あるいは利用者の声を聞いてもこれを吸い上げることがちっともないということですね。これは工藤参考人にお伺いしますが、あなたたちは毎回問題を出しているのですが、一つとして取り上げられたためしがないのではないか、と言っては過言かもしれませんが、ないのですね。その主張が不当であれば、これはやむを得ませんけれども、正当であるならば、正当に反映されるのが民主的な世の中のシステムだと私は思うのですが、あなたたちはそういう意味から言って、いまのような立場で運審公聴会に出て公述人として述べて帰ってくるだけ、あるいはこういうところで述べるだけでは私はだめだと思うのですね、もはやこれは運賃が決まった後ですから。決まる前に先ほどお話しのような意見が反映できる決定機関というか査定機関というか、そういうものは何かお考えでありましょうか。  それからもう一つは、これは民鉄部長に聞くよりは、京浜の社長さんにお伺いしましょうか。あなたのところの業務報告書を見せていただいたのでありますが、あなたの方のことを爼上に上せて大変恐縮なんでありますが、長期の借入金が三月末で三百四十三億あるのですね。それで資本金が百三十六億というのですね。それからもう一つは、鉄軌道ばかりでなくて、全事業の利益が三十六億七千三百万なんですね。支払い利息が三十六億五千六百万なんですよ。大体全事業の営業利益と支払い利息はとんとんなんです。こういう体質改善についてあなたたちはどういうふうにお考えでありましょうか。  時間が来たようでありますから、以上で終わります。
  27. 横山利秋

    横山委員長 時間の都合上、まず岡田参考人の御答弁からお願いいたします。
  28. 岡田清

    岡田参考人 私に対する御質問は二点であったかと思います。第一点は、兼業問題について、土地ブームに乗って市街化調整区域を購入した、その金利負担の問題を運賃査定上どういうふうに判断するか、これが第一点であったかと思います。  私は先ほども申し上げましたように、土地ブームに乗って過大な土地の買収をやったことについては、民鉄について非難が集中してもある程度やむを得ない面があったのではなかろうか……
  29. 久保三郎

    久保(三)委員 先生ちょっと。お話し中ですが、ぼくがお尋ねしたのは、そういう現実になったのは、十四社というか私鉄の資本構成が、いわゆる親玉が金融機関である、だから、そこにいっているのではないか、こういうことです。
  30. 岡田清

    岡田参考人 それはもうちょっと後でお答えしようかと思っておりました。  株主構成につきましては、鉄道の株主構成上、俗に言われますような金融資本が大きなウエートを占めていることについてどう考えるかというふうな御指摘並びにその金利問題が中心であったかと思いますが、御承知のように、鉄道資本の沿革的なことを考えてまいりますと、どうも一般大衆資金がなかなか鉄道に流れていかなかったという側面が歴史的にやはりあろうかと思います。その歴史的な経緯をもうちょっと株主多様化の方向に向かって改善できるところがあれば、私はむしろ行う方が望ましい、こういうふうに判断いたしておりますので、資金調達力との関係を踏まえながら改善する必要があるのではないか、これは私の意見ということになりますが、そういうふうに感じております。  それから第二点、金利の問題を除いて第二点でよろしゅうございましょうか。——都市交通機関について共通乗車券その他の発行、あるいは新しい運賃システム、決定基準についてどういうふうに考えるかということでございますが、この点は、御承知のように、世界各国と比べましても日本が現在までのところ行っていない側面でございまして、ロンドンあるいはパリその他に比べますと、まあ、おくれていると言うのが適切かどうかわかりませんが、現状では十分にこれが導入されていないということが言えるかと思います。ただ御承知のように、いままでは昭和十三年の陸上交通調整法その他の関係もございまして、現在までのところではそういうふうなシステムが導入されていない実態なんです。しかも全体の都市交通の運賃体系に大きな問題を引き起こしてこなかったということがその実態だろうと思います。しかしながら、今後乗り入れその他の問題が起こってまいりますると、併算制、通算制との関係をどう考えるか、その他必ず、イギリスではこれはアシミレーション・プリンシプルと呼んでいますが、運賃の同化原則というものの適用が、そういう問題が日程に上ってくるであろうと私は予想しているのです。そういうことで今後運輸政策上も検討課題として検討する余地はあるというふうに判断いたしております。
  31. 横山利秋

    横山委員長 それでは、岡田参考人にはお忙しいところ御出席ありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
  32. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 先生の御質問は四点ございましたので、一括して答えさせていただきます。  第一点は大臣の発言の問題でございますが、これにつきましては、私はその場に立ち会っておったわけでもございませんし、真相がどうであったかというのは実はよくわかりません。しかしながら、その後大臣が運輸委員会等におきまして御答弁をいたしておるところ等によりますと、大臣としては新聞に書かれたような発言をしたつもりはないので、あれはあくまで大手私鉄運賃改定認可の手続というものについて話をしたわけであって、一方的に年内認可をどうとかというふうなことを私は言ったつもりはないので、むしろ運審答申を尊重してやるというその手続のことを話したので、心外であるというふうなことをたしか御答弁していたかと思います。私としてはそれ以上のことはわかりません。  それから二番目の問題でございますが、十四社一斉申請の一括認可という点についてでございますが、今回の運賃改定につきましては、先ほど来申し上げましたように、前回改定の際に、全社につきましていわゆる積み残しというものがございまして、その結果、四十九年度の決算の結果によりますと、十四社とも経常収支で全部赤字でございます。先ほど来のどなたかのお話で黒字ということがございましたが、これは営業収支だけ見ますと、何社か黒字のところはございますが、それに利息の負担を加えますと、各社とも全部赤字でございまして、その合計が約四百八十二億円である、それに配当負担とかあるいは法人税の負担というものを加えますと、約六百十三億円の収入不足になる、かようなことでございましたので、今回は一応一斉の申請が行われ、そしてまた一斉の認可が行われた。つまり一斉の認可と申しましても、確かに会社別にいろいろと収支状況につきましては格差がございますので、運賃値上げ率等におきましては、その辺につきまして十分の配慮をしたつもりでございます。  それから三番目の問題は、政治献金は一体どこから出すのかというふうなお話でございましたが、今回の運賃改定に当たりましては、政治献金というものは一切コストとしては見ないというふうな計算をいたしております。ただ、御参考に申し上げますと、従来、私鉄の政治献金の出どころとしましては、一般管理費という中で扱っておりました。それで、その一般管理費につきましては、各事業部門がその経費を案分して負担するというのが原則でございますが、案分して負担する際に、政治献金は除いたものを鉄道部門負担するというかっこうをとっておりますので、今回の運賃改定に際しまして原価計算からは除かれておる次第でございます。  それから最後の、五十年の九月の決算は検討したのかという御質問でございましたが、実は五十年の九月期上期の決算は十一月の末ごろに数字が出てまいりまして、実際に私どもの作業は九月からやっておりまして、十一月の末ごろにはほぼ案といいますか、事務的な案というものはまとまっておったわけでございますが、そういった数字が出ましたので、早速それを見直しをいたしましたところが、ほぼ私どもの考え方というものがかえって裏づけられるというふうな結論になった次第でございまして、そういう意味で五十年の九月期の決算も考慮したというふうに私どもは考えております。
  33. 川崎千春

    川崎参考人 御質問にお答えいたします。  助成措置の点を私、冒頭にお願いを申し上げたわけでございますが、これは一般の助成措置として、税制の問題であるとかあるいは開銀融資の金利であるとか、鉄道建設公団方式による助成措置であるとかという点で、ぜひこれをできるだけ強力化していただきたいとお願いをいたしましたわけで、先ほどお話しの法案は、中小私鉄の助成法案かと存じますが、私ども民鉄協会に中小委員会というのがございまして、中小の全部が集まりまして、その法案の内容はいろいろ検討いたしておりますが、現在でもいろいろ予算面で助成措置を受けておるわけでありますが、何としましても中小が非常に経営の危機に直面している会社が多いわけでありまして、ぜひともその点につきましても助成措置の強化をお願いいたしたいと存じておるわけであります。  なおもう一つ、先ほどのPR雑誌の件でございますが、PRにつきましても運輸省からも御指示をいただきましたのですが、いろいろの点でまだ行き届かない点がございましたので、きめ細かくいろいろ検討をいたしまして、協会の広報委員会におきまして、単なるPRのみでなく、いろいろ要望等もまとめた何らかの方法をとりたいと思っておりますので、その点いろいろ御指示をいただきまして、御趣旨にのっとりまして大いに私どもそういう趣旨の徹底を図りたいと存じております。
  34. 久保三郎

    久保(三)委員 値上げが終わってからじゃ、川崎さん、だめですよ。
  35. 川崎千春

    川崎参考人 お答え申します。  いままで確かにそういう意味でPRが多少不行き届きであったと存じますが、単なる値上げとかそういうことでなく、われわれは今後PRに関しまして、あるいは沿線の利用者ともいろいろお話し合いを常時進めてまいりたい、そういう考えでございますので、いままでの点は確かに多少不行き届きの点があったと存じますが、今後その点反省いたしまして、大いにPRに努力いたしたいと存じております。
  36. 横山利秋

    横山委員長 川崎参考人、政治献金の問題と、もう一つ、いま質問者から、四つの法案をお手元へ送ったが承知しておるかという質問がありましたが……。
  37. 川崎千春

    川崎参考人 政治献金につきまして申しあげます。  政治献金は私ども、先ほど来いろいろお話の出ておりますように、公共事業体一本の会社でありませんで、複合体でいろいろの兼業を兼営しておる会社体になっておりますので、各社で、協会としましては政治献金しない、そういう申し合わせはいたしておりません。したがって、政治献金いたすことがあるかと存じますが、先ほども民鉄部長のお話にもございましたように、私どもは、運賃値上げあるいは鉄道部門にそういう負担の全然かからないような計算を立てておるような次第でございます。
  38. 久保三郎

    久保(三)委員 われわれの法案のことをお答えありましたが、中小私鉄が主ですが、中小私鉄ばかりじゃなくて、もう一つあるのですよ。御存じないようですね。検討されているというんだが、いいか悪いかぐらいの返事をもらいたいという質問なんですよ。もう大体一年になるのです。それほどの誠意がないのかどうか、私はこれをここで伺っているわけです。御存じなければ、御存じなくて結構です。  それから、政治献金は民鉄協会自身も出しているんですよ。協会というのはやはりをういうことをやるところなんですね。
  39. 川崎千春

    川崎参考人 お答え申し上げます。  政治献金の点は、協会として政治献金はいたしておりません。  それから、法案の点につきましては、中小の私鉄に関する助成法案であると存じておりましたが、その点は私まだ存じておりませんので、大至急調査いたしまして、また御報告申し上げます。
  40. 久保三郎

    久保(三)委員 やっていますよ。この新聞を上げますか、古いけれどもね。
  41. 片桐典徳

    片桐参考人 お答えします。  三月末の京浜急行の借入金は千二百三億円、営業利益が三十六億七千三百万円、それから税引き前の利益が十三億二千万円、これが三月末の決算でございます。  いまの御指摘は、借入金利子が三十六億円で営業利益ととんとんじゃないかという御質問だと思いますが、それは、非常に冷房化その他に投資をやっておるのと、それから、三崎線が一部開通をいたしましたものですから、そちらの方が全然稼働しておりませんので、そういう関係で三月末のあれは大変利息の支払いが多かった、こういうことが実態でございます。
  42. 久保三郎

    久保(三)委員 事実はお認めになったんですが、それで結構なんでしょうか、体質を改善されるのにはどうしたらいい、だろうかお考えですか、こういうことを聞いているのです。
  43. 片桐典徳

    片桐参考人 お答えします。  そういうことで、新線をちょこっと延ばしましてもえらくかかるものですから、それがすぐには稼働しない、それではどうすればいいんだろう。それを運賃値上げというわけにはまいりませんで、旅客誘致の海水浴場その他を誘致いたしまして、できるだけ企業努力をする、それからサービス改善をして、できるだけ沿線の方へ誘致するというようなことで、できるだけ経費をしぼって努力をしてなるべく長もちさせたい、こういうことでいっぱいでございます。御了承願います。
  44. 工藤芳郎

    工藤参考人 運輸審議会のあり方でありますが、一つは運営の面です。これは運輸審議会の一般規則によりますと、「公聴会において公述しようとする者は、公聴会開催前に、当該事案の申請書その他の書類並びに第三十五条及び第三十六条第三項に規定する文書及び証拠資料を、運輸審議会が公示する場所において閲覧することができる。」という規定があるわけであります。われわれ公述しようとする者が、まず第一に公聴会があるかないかを知り得る手段としては官報しかないわけです。官報並びに運輸審議会が、大手私鉄の場合のみでありますが、新聞記者発表をして新聞に若干掲載されるということで、多くの私鉄利用者は、まずこの公聴会そのものがあることが周知されないという点があります。  いよいよこれが、知った者だけでありますが、公聴会に行って公述しようとしますと、この申請書その他の書類あるいは法に規定する文書及び証拠資料、こういったものを実は見せていただいたことがないわけであります。申請書そのものも、これは審議会でいずれ確かめたやと思っているのですが、閲覧用の申請書とそれから本当の申請書とは別建てになっているのではないか。これは西武鉄道で確かめましたところ、私は去年の資料を持って西武鉄道で、これは申請書なのかと言ったら、いやそれは申請書じゃありません、皆さん方に必要なものだけつくったものだ。表紙には閲覧資料、こういうように書いてあります。もし、申請書そのものさえ見せていないのであるとするならば、これは一般規則に違反をするわけでありまして、いずれ審議会に確かめたいと思っているわけであります。さらに、その他の書類、ここが一番知りたいところですが、見せていただけない。さらに、申請書そのものを見せていただいた場合でも、コピー一つしていただけない。運賃原価がどうなっておるのかという総括原価表がありますが、そういったものがコピーしてもらえない。これは電気、ガス等と比べますと、通産省は担当官が非公式にこれをコピーしているが、私など公述するのに昨年は、これはガスのときでありましたけれども、東京瓦斯の値上げ申請書を担当課長に私が借用書を入れまして借りてくるというようなのが実態なんですね。運輸審議会においては貸してくれません。同時にコピーもくれません。ですから、われわれは最低必要な資料を手元に取るのに大変骨が折れるというのが今日までの現状であります。今回は原局である運輸省そのものが担当課の方で多少努力していただきましたけれども、これは初めてであります。運輸審議会の運営がいかに利用者本位でないかという一端を述べたわけです。  さらに、運営の基本的な問題は、審議会の方は、第九条によって、「年齢三十五年以上の者で広い経験と高い識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て、任命」されているわけですが、この方々公聴会では私たちの公述を一方的にお聞きになるわけで、どの点がどのように採用されたかということは明らかにならない。今回も、審議会の会長にぜひとも認可という結論が出る前にお会いしてその点を確かめたいということだったのでありますが、当局の方でその運びにならなかったのは非常に残念に思っているわけです。  どういうところに問題が出てくるかと言いますと、これは裁判官的な立場で公述人に臨まれるわけでありますけれども、裁判でありましても、御存じのように、裁判の審理には書面審理と事実審理とあるわけであります。場合によれば、証人を呼び、また現場検証ということもあるわけです。先ほど私、一例を申し上げました西武鉄道の駅ビルの問題などは、審議会委員が現場検証すべきだというように思うわけです。ですから、裁判の制度でもないし、一体どういう位置づけをすればいいのかとわれわれは実は疑問に思っているわけなんで、少なくとも疑問に思っている建設仮勘定などが不当に鉄道部門負担をかけやしないか。京成の上野ビルだとか西武鉄道の新宿ビルだとかというようなところには審議会先生方がぜひ調査に行くというくらいのことはしていただかないと、わからないだろうと思うのです。  また運用の面は、原局の民鉄の監理課が、私の承っているところによると、十八人ないし十九人でやっている。私鉄関係だけでも、御存じのように、全国で百四十五社あるわけです。大手が十四社ありますが。各陸運局にいろいろ事務の分配はしていると思いますけれども、やはり大事なところだと思いますから、審議会の事務局が何人いらっしゃるか知りませんが、ここは御存じのように、航空から国鉄からバスから、あらゆるものを審議をされているので、こういうスタッフで、人数の面から、量的な面からだけ見た場合でも、これらの運営が十分慎重にとは言われておりますけれども内容的に見て十分点検できるかどうか大変疑わしいというふうに思っています。  そこで、構成の問題ともあわせ考えてみました場合に、少なくとも給料もつい最近までは五十五万の給料を審議会委員には差し上げていると言いますが、そういうふうな多額な給料を差し上げることはどうかと思うので、実はもっと委員を広げまして、利用者の代表などもたくさん入れまして、そして高等官ぶりを発揮されるのではなくて、もっと国民に密着した審議をされた方がいい。これは今回の石油審議会の問題などでも、利用者の代表、消費者の代表を入れていただきまして一定の成果を上げているわけであります。そういうふうに審議会をもっと開かれた審議会にぜひしていただいた方がいいのではないか。  さらに、審議会だけでこの私鉄運賃の問題は事足りるとは思いません。そこで、今日のような機会を再三持っていただくことは私は大変必要であると思いますし、やはり同じ鉄道でありましても、国鉄に比べますと、三大都市圏では私鉄の方が利用者が多いわけです。したがって、公共性が強いと言わなければならない。一方は国会審議、一方は認可というような点で、国会審議にできればなお結構でありますが、そうでない場合でも、少なくとも関係地方議会などで十分意見を聴取するというようなことも考えていいのではないか。たとえば、きょうお見えの近鉄さんなんか分場合ですと、奈良、和歌山、大阪、京都、愛知と、そういう重大な大きな都市の市民にみんな関係があるわけであります。そういったところの議会の意見などは、この運賃の査定に当たっては何にも聞かされない。  公聴会の開き方も、従来は東京だけだったのです。昨年から東京と大阪で開くようになりました。これでは不十分であります。やはり各社ごとに開くならば、十分事前に公聴会の日時、場所等を関係住民の要求などを入れて——今日通産省などでは、ガスの公聴会は必要的開催になっておりますが、たとえば公会堂にするか地元の市役所を借りるかというようなことは、利用者、消費者の代表と話し合いをしてするような方に発展をしてきたわけです。ですから、公聴会のあり方そのものも、十四社を一括してあるいは二分してやるというような大ざっぱなものではなくて、もっときめの細かい、利用者意見が十分反映できるような仕組みに改善をしていただきたい、かように思っております。
  45. 横山利秋

    横山委員長 川崎参考人は補足されますか、先ほどの……。
  46. 川崎千春

    川崎参考人 先ほどの政治献金の点でちょっと補足して申し上げたいと思います。  日本民営鉄道協会として政治献金をしたという御質問がございました。これは実は日本民営鉄道協会というのは、ちょっと日時ははっきりいたしませんが、昭和四十四、五年ごろに改組をいたしてできました協会でありまして、その前は私鉄各社で私鉄経営者協会というのがございまして、その後これを財団法人日本民営鉄道協会ということで改組をして、新たに出発をした協会でございまして、その協会になりましてからはございませんが、その前の私鉄経営者協会という時代にあったかと存じます。これはその後の日本民営鉄道協会としては一切政治献金は扱っておりません。その点、御承知おきを願います。
  47. 横山利秋

  48. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まず川崎参考人民鉄部長に伺うわけでございますけれども、九月期の決算等を見ますと、営業利益が全体で二六%増加しておる、こう言われております。各社ごとの営業利益等を見ますと、やはりいろいろ経営規模に大きな差がありますので、内容が非常に違うわけであります。南海等は、鉄道部門の欠損だけでも前年度に二十一億、本年度が十八億という、約四十億の赤字が出ているわけですね。それに比較しまして小田急等は、鉄道部門だけでもかなりの利益を上げていらっしゃる。先ほど金利負担等の話もありましたから、そういう問題については承知をいたしておるわけでございますけれども、各社によって、その経営内容においてあるいは規模において相当な格差があるわけであります。近鉄の例を引けば、プロ野球も持っていらっしゃるし、兼業部門もかなり大きいと伺っておるわけであります。そういうように各社ごとに経営内容において非常に格差があるのに、なぜ運賃の一斉値上げ申請をしなければならないのかというような疑問がかなり投げかけられております。これについて川崎参考人のお答えをいただきたい。  また、民鉄部長としましては、どうしてもこのように大手運賃値上げ申請を一括で受けなければならないのか、その明確な理由があるならば伺いたい。これが第一点であります。  それから第二点といたしまして、今度の値上げ申請が、ある程度その率が圧縮されたわけですが、この問題について、その圧縮された分については企業努力によるべきである、こういうようになっておるわけでございますが、片桐参考人の会社といたしましては、どのような企業努力を今後なさるのか。やはりそういった企業努力によりまして、圧縮された収益のマイナス面をどのようにカバーしていくであろうかというのは、利用者にとってかなり関心の深い問題だろうと思いますので、この問題についてお伺いをするわけであります。  それから、今里参考人にお伺いをいたしますが、この私鉄運賃値上げ申請をされるたびに、いわゆる兼業部門の問題が話題になるわけでございます。私は必ずしも兼業部門は反対でないのでございますけれども、これを拡大をするという形になりますと、企業全体でもうけたときにまた新しい会社をつくるというような形で、どんどん発展をなさるわけでございますけれども、そういう形が繰り返されておりますと、際限なく広がっていくような気もするわけであります。そういう意味でも、兼業部門の収益というものがもう少し鉄道部門に還元されてしかるべきじゃないか、こういうような意見もあります。そういうような点から考えまして、兼業部門の拡大についてはやはり何らかの努力が必要なんではないかというふうに私は考えるわけでございますが、これについての御意見を承りたいと思います。  それから、川崎参考人にもう一点伺いたいわけでございますが、いわゆる土地ブームに乗りまして各私鉄の会社が大変に土地を取得していらっしゃるわけであります。資料によりますれば、京成電鉄の取得していらっしゃる土地は合計で二千三百八十九万平方メートル、金額にいたして約八百五十億、こうなっております。一体この八百五十億の中の自己資本率がどのくらいになっておるのか、おわかりならばお知らせいただきたい。と申しますのは、最近土地ブームが去りまして、ここにつぎ込んだ金がいろいろ金利を生んで、そしてそれが経営悪化の原因になっているのではないかという批判が最近非常に多いわけでございますので、そういう批判的な疑問にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  それから、もう一遍ひとつ川崎参考人にお伺いをしたいわけでございますが、最近、私鉄は特に企業性を重んずるわけでございますので、収益性の高い、営利性の高い特急とか急行、そういうものは増発するけれども、地域社会に密着した普通電車等は軽視されているというような訴えがかなり私のところにも来ております。そういった意味でも、この営利性と公共性という問題について、やはり一定のバランスを明確にされる必要があるのではないか、私はこういうふうに思います。利用者のためにもこの点のお答えをいただきたい。  それからもう一点、民鉄部長にお伺いをいたしますけれども、これは先ほどの兼業部門との拡大につながるわけでございますけれども、いわゆる兼業部門の収益がどんどん拡大をされておりますけれども、これは企業の独立採算制という問題からいきまして、それなりの根拠はあるわけでございますけれども、基本はやはり鉄道から出たんではないかというような率直な御意見がかなり一般的に多いわけでございます。また、大手十四社の投信、貸付金、手持ち不動産の評価額は、鉄道の赤字の十八倍にも上る、こういうような問題が全国消費者団体連絡会の方から指摘をされております。これだけのものが鉄道を基本にその利益を積み立てられてきたんだから、そう簡単に値上げをしなくてもいいんじゃないかというふうに受益者は考えている、こういう点もあろうかと思うのでございますけれども、そこら辺の関連を今後どう処理し、行政指導されていこうとするのか、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  49. 川崎千春

    川崎参考人 お答えいたします。  最初の御質問の、九月期決算で各社が相当増収になっておるというお話ですが、前年の場合の運賃値上げが多少寄与をしておりますから多少は上がっております。しかし、前年のときに積み残し額が非常に多かったので、収入が多少ふえましても、経費はそれ以上にふえておるというようなことで、結果はどうもそれが黒字になっておりません。先ほど来もいろいろお話が出ておりますが、直接の営業収支で黒字であっても、これに金利負担その他を割り掛けますと、赤字になるわけでございます。  それから、非常にその中に格差があるというお話がございました。確かに確差が多少ございます。私は京成電鉄でございますので、京成電鉄とかあるいは南海さん、わりあいに業績が上がらないというようなことがございますが、これは立地条件とかあるいは周囲の環境とか、いろいろな点がございまして、また、その会社の最初にできました年次、私ども京成電鉄は明治年代に創業した会社でありまして、昔は都電の延長みたいな形で宿場を伝わっていくということで、線路は曲がりくねっておる、区間は非常に細かいとか、いろいろな事情がございまして、これを高速鉄道並みに鋭意改善を加えておりますが、いろいろな意味で、多少そういう設備も改善をするのに非常に資金も要り、また沿線の市町村その他とも非常に接触がむずかしい。立体化にしましてもあるいは高架化にしましても、非常にいろいろな点、設備がかかるわけでございます。そういうことでどうしても合理化その他もおくれておるというような意味で、多少格差がございます。しかし、公共料金でありますので、競争線の関係もありますが、いろいろそういうものを勘案して、できるだけわれわれも格差を減らすべく努力をいたしております。  しかし、この格差のあるものの一斉値上げはおかしいというお話がございましたが、いずれにしても全部が赤字を計上しておりますので、運賃差が多少出ましたけれども、そういう意味で私どもは一斉値上げをいたしたわけでございます。  それから、これは京成電鉄のお話のようでございますが、土地ブームに乗って各社が不動産の取得を非常に進めたということでございますが、大体私鉄事業というのは、もう最初から、これは昭和の初めごろから沿線開発を主体として各社がやっておりまして、土地に関しては相当のベテランでございます。それで沿線開発という意味で沿線の土地を主として開発する、そういうことで、土地に関しては相当の経験を持っておりますので、土地ブームに乗って単に土地を買い占めたということではなくて、また昔からデベロッパーであるということを自認してやっておりますので、これを買って、ただよそへ転売するとかなんとかいうことでなく、その地方なり各地の地元とよく話し合いをしまして、これを開発するという目的で土地を買っておりますものでございます。  それから、京成電鉄で大体六百万坪以上の土地で八百億以上持っておるということでございますが、これの自己資本率ということになりますと、私どもはこれはほとんど借入金によって賄っておるのでございます。それで、先ほども申し上げましたように、この買い取りました土地は、沿線なり各地方の地元と話し合いをしまして、これをどういう開発をするか、そういう点で全部協議をしまして、あるいは住宅公団であるとかその県の開発公社であるとか、そういうところとお話し合いをして現在開発を進めつつありますので、これによって、これの収益が上がらないので鉄道負担をかけるというようなことは全然ございません。その点、お答えしておきます。  それからもう一つ、これも京成のお話でございますが、全般としまして収益性の高い特急とか急行とか特殊のものに大いに力を入れて、普通を虐待し、通勤者の方を虐待しているような感じであるというお話がございましたようですが、これはほとんど全般に、特急であっても急行であっても普通でも、全部その地域の方々に最高の便宜を図って、結局通勤者を主体とした運転をやっておりますわけで、遠い方は急行の方が便利である、またある程度近い方は普通に乗って、それを急行に途中で乗りかえるというようなことで、バランスを見て経営をいたしておるはずでございます。普通しかとまらないという駅に急行をとめてくれというお話もございますけれども、全部とめたら急行にならなくなってしまうわけで、やはり乗降人員とかその駅の重要度とか、全体をにらみ合わせまして、現在大体この辺が妥当であるという線で運転をいたしておる次第でございます。
  50. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 最初の御質問の一括の認可という問題でございます。十四社一斉の申請ということでございますが、申請事業者におきまして任意に行うわけでございまして、運輸省におきまして一斉に申請しなさいというふうな指導をいたしておるわけでは毛頭ございません。申請はあくまで事業者の任意で行うわけでございます。たまたま今回の運賃改定につきましては、一斉の申請が行われたわけでございますが、私どもとしてはその点については、先ほどもちょっと申し上げましたように、前回運賃改定でいわゆる相当多額の積み残しがあったということ、それから四十九年度鉄軌道部門収支が各社とも経常収支では赤字ではあるし、それに配当所要額などあるいは法人税などの負担を加えますと、相当収入不足であるというふうな事実がはっきりいたしておりましたので、一斉の申請もやむを得なかったというふうに考えております。したがいまして、今回また一斉の認可というふうになった次第でございますが、私どもとしては、こういう方式がいいかどうかという点については、やはり疑問を持っております。将来については、さらにこういった点については検討をいたしたい、かように考えております。  それから次の問題は、兼業部門との関連でございます。この点につきましては、私どもは、従来から大手民鉄兼業部門をたくさんやっておりますけれども、鉄軌道は鉄軌道として収支相償うようにすべきであるというふうな基本的な考え方を持っております。これは、もし全体の兼業を含めました全事業でコスト計算をするというふうなことに相なりますと、従来はそういうことはございませんでしたけれども兼業部門収支いかんによって鉄軌道の、いわゆるこれは公共料金でございますが、そういう公共料金が左右されるというのは非常に不合理である、鉄軌道部門収支が逆によいにもかかわらず、兼業部門が悪いために運賃を上げなければならぬというふうなことが、理論的には考え得るわけでございまして、そういうことは非常に不合理であるという点が一つの問題でございます。それから、もしそのような考え方でまいりますと、従来から鉄道収支が悪いということでございますので、勢い兼業部門の方に私鉄としてはさらに力を入れざるを得なくなる。そういうことになりますと、矛盾というものがますます拡大してまいりまして、場合によっては、鉄道事業の今後とも必要である輸送力増強等工事に対する投資も自然とおろそかにされるおそれもあるというふうな問題点があります。それから、兼業部門と一緒に考えるということになりますと、どうしても鉄軌道部門合理化とか効率化というふうな経営努力につきましても、どちらかと言えば、おろそかにされるおそれもないではないというふうな、いろいろな問題がございまして、私どもとしては、あくまで兼業部門と切り離して、鉄道鉄道だけで収支が相償うということを基本として運賃問題を考えるというふうに考えておる次第でございます。  なお、将来につきましては、特に土地の兼業等につきましては、いろいろな土地に対する規制の問題、土地に対するいろいろな重課税の問題というふうなものもございまして、従来のように鉄道の赤字を埋めたような利益が上げられるかどうかという点については、必ずしも保証できないというふうに考えておりますので、むしろ将来については、そういう兼業鉄軌道事業の的確な遂行の妨げにならないように行政指導をするなり、あるいは場合によっては、その法規制もして適切な措置をとっていくべきではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  51. 片桐典徳

    片桐参考人 お答えをいたします。  大体企業合理化の問題のお尋ねでございますが、人員を整理しないでとにかく合理化省力化をやっていこうということで、京浜の例を挙げてみますと、大体出札業務のオンライン化、車掌駅案内放送、それから早朝深夜の閑散駅の無人化、変電所の無人化、こういうことを現在でも積極的に推進をしております。  それから、今後残された企業努力、どういう問題があるかということを拾い上げていまやっておるのでございますけれども、PTC等の信号制御の集中化、これは列車の運行管理システムの信号制御システムですが、これは一括やりますと信号所の信号人が要らないというような装置でございます。その保守を少々省いても安全なような設備の開発等に努力してまいりたいと思っております。しかし、すべて安全性というものは最重点に置かなくちゃなりませんので、そう合理化をやるとか省力化をやるといっても限度があるわけでございますので、その点は気をつけまして、できるだけ運輸雑収とかいうようなものを努力したい。ただいま申し上げた経営合理化ができるようなものはやる、それから人員をむやみに整理をするというようなことは一切やらないというようなことで、各民鉄ともいろいろできるところからやって、それに相手がありますから、それを会社で決定をいたしましても、なかなかすぐ実行できるところとできないところもございますので、その点も十分御理解をしていただきたいと思います。そういうことで企業努力は一生懸命にやりたいと思いますから、よろしくどうぞお願いいたします。
  52. 今里英三

    今里参考人 兼業の収益の還元を考えなければいかぬ、そしてこれから兼業をどういう形で拡大していくかという御質問であったかと思いますが、兼業の収益の還元につきましては、先ほどちょっと申しましたように、兼業そのものが歴史的に大きくなってきておりまして、そして現在の輸送体制ができておるのは兼業があったからだと私は言い切りたいと思います。私自身長い間経理を担当してまいりましたから、そういう面でかなり収益の還元はできたと考えております。しかし、現在高成長の時代と違って低成長時代になったのでございますし、また、われわれ自身もすでにその線で、四十八年のオイルショック前後から、そういう経営体制についての切りかえといいますか、いわゆる自粛といいますか、そういう面についてかなり慎重に検討してまいってきております。だから、今後兼業をやることによって従来過去にやったそういう収益還元ができるかどうかということも反省をしておりまして、また、従来のような運賃行政ということであれば、また何らかの形に依存せなければなりませんが、先ほど部長からお話がありましたように、やはり将来適当な時期の運賃改定というものもわれわれ期待できると思いますし、またそうあらねばいけませんと思います。またそうでなければ、われわれの鉄道の輸送というものについて責任を持ってやれないのじゃないか、こう思います。そういうことを期待のもとに私たちはいま今後の兼業については慎重に考えてやっていかなければいかぬと思っております。これは各社共通だと思います。
  53. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの川崎さんの、最初の質問に対する御意見はちょっとかみ合わなかったのですが、いま民鉄部長からもお話がありましたように、今回営業収支ということを考えると全体としては赤字であるから、たまたま一括申請になったのだというお話でありますね。しかも、今後においては一括申請については疑問があるから考えたいというお話がございました。そういうふうにいろいろ経営規模が大変各社とも違うわけでございますので、やはり民鉄関係全体としましても、その企業その企業によりましての実情に基づいた運賃申請というふうになってしかるべきではないか、こう思うのでございますけれども、重ねてこの点をお伺いしておきます。
  54. 川崎千春

    川崎参考人 お答えを申し上げます。  ただいま先生のお話のとおりだと思います。今後必ず運賃申請が一斉であるとかまた一斉でないとかいうことでなく、やはり各社ともいろいろ事情がございますし、また非常に大きな改善計画とかそういうものが今後実施される可能性もある。ですから、そのつどやはりそういう特殊の会社については運賃改定というものが行われる場合もあるかと思いますので、全部一斉申請ということになるかどうかはわからないと思います。そういう意味で、私どもはこれは新規に運賃値上げをどういう形にするかということは、そのつど考えるべきであると存じております。
  55. 横山利秋

    横山委員長 最後に、和田耕作君。
  56. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう時間もないようでございまして、また同僚委員からいろいろの質問がありましたので、私も御質問申し上げたい点については、大体理解することができました。  その一つは、皆さんから感想を聞きたいのですけれども、公共事業の経営者、これは国鉄でも同じことなんですが、運賃を上げると今度は労働賃金ということで、運賃値上げと労働賃金との問題がいつでも関連するような状態がここ二、三年あると思うのですね。労使は非常に厳しく対決をして、今度の八日間の国鉄ストでもそうですか、対決はしておりますけれども、全体からながめると、何か労働賃金と運賃との関連等から見て、まあ、アベックだというふうに見られる面が、国民の印象としては相当強くあるような感じがするのですね。そういう場合に、私鉄運賃運輸省認可をするという形で、そこに運輸審議会というものがあるのですけれども、この運輸審議会の構成自体は先ほど工藤参考人が指摘されたような面が私はあると思うのですね。なかなか公正な立場からの歯どめにはなっていないということがある。国鉄の場合は国会で審議する法定主義になっているわけですけれども、国会で審議をすると、御案内のように、これは決めなければならぬ問題が何年も何年も決まらないという問題があって、法定主義から認可主義へ変えろというような意見も出てきているというようなこともありまして、いま申し上げたようなことがこのまま進んでいきますと、国民の側からすれば、非常な無力感みたいなものが出てくるおそれなしとしないわけですね。そういうふうな感じを私は持っているのですけれども、これは今回の私鉄運賃値上げの問題と直接関係して申し上げておるわけじゃないのですが、今後の問題として、経営者は当然社会的な責任を果たすためには、赤字ではやっていけない、必要な値上げはやっていかなければならないという感じはごもっともだと思うし、といって国民の側からすれば、物価は今年なんか一三%くらいなのに、運賃だけが三〇%も上がったんじゃたまらないという感じが出てくるのももっともなことでございまして、そういうふうな問題の歯どめとしてどういうふうなことが考えられるのか、これは感想で結構です。この点は運輸省として特に考えなければならぬ問題だと思うのです。というのは、運輸審議会の構成を今後検討するということを含めて、こういう点についてひとつ感想を運輸省から聞かせていただきたいと思います。
  57. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 運輸審議会の構成等の問題は、実は私、お答えする立場にはないのですけれども、現在の委員方々はそれぞれ全く中立的な立場で審議を行っておられると思います。したがいまして、必ずしもそれに利用者の代表とか、あるいは労働組合の代表とか、そういうふうな利益代表的な方を入れなければ公正な審議ができないというふうには私は考えておりませんし、現在の審議会委員方々それぞれが全く中立的な立場で審議をされておると確信いたしておりますので、御心配のようなことは私はないと思います。私、運輸審の構成問題について答弁するだけの権限を持っておりませんので、その辺で御容赦願いたいと思います。  それから、運賃ベースアップというふうな関連の問題でございますが、これは運賃を上げるということを予定したベースアップというふうなことは実際問題としてはあり得ません。私はこの辺は確信いたしておりますけれども、ただ、鉄道従業員につきましても、いま赤字であるから、あるいは収支が悪いからベースアップをしないというわけにはなかなかまいらぬと思います。ただ、その場合に、事業者の立場としては、私どもの希望でございますけれども、やはり自分の経営努力でそういうベースアップを吸収するというふうな確信のもとにベースアップというふうなことを考えていただきたいと思っております。しかしながら、実際問題としまして、鉄道事業というものは大きな固定資産を使っておりますけれども、どちらかというと、労働集約的な事業でございまして、賃金が上がってまいりますと、それを企業努力で一〇〇%吸収するというふうなことは、実際問題としてはなかなかむずかしいかと思います。ただ、そういうことであるからといって、ベースアップをするたびにまた運賃を上げなければならぬというふうな事態は好ましいとは思っておりません。できるだけ経営努力によってそういうものが吸収されていくというふうなことが欲しいと同時に、ベースアップのときにもそういった、何といいますか、見込み……
  58. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう権限のないことを余り言わぬ方がいい。
  59. 横山利秋

    横山委員長 参考人全部に御答弁を願いますか。
  60. 和田耕作

    和田(耕)委員 はい。
  61. 川崎千春

    川崎参考人 ただいま運賃値上げと賃金上昇、ベースアップといいますか、そういうものとの関連がどうかというふうなお話でございましたが、私どもは、運賃値上げが、在来の運賃値上げの方式から言いますと、どうしてもおくれおくれになって非常におくれておるということで、やはり物価の上昇とかベースアップ等を勘案して運賃を上げていただいておるわけです。そこで、その関連が、運賃値上げになるからベースアップしても構わないんだとか、ベースアップになったから運賃を上げるんだとかいう関連は、私どもは全然考えておりません。  ただ、私鉄の賃金は、全体から見ると、ちょっと一般水準より低いのであります。それでしかも、仕事量は夜中とか朝四時半とか、早朝から深夜まで勤める、そういうわりあい激しい勤務でありますので、余り賃金が安いと、なかなか要員を募集するのに骨が折れる。そういう点で一般産業とちょっと違うわけでありまして、どうもそこいらがなかなかむずかしい問題で、ただ何でも安ければいいというわけにもまいりませんし、要員の募集という点を考えますと、ある程度の水準に近いものを出さなければならぬというような意味もありまして、まあ、これは各社別に賃金ベースも違うのでありますけれども、そういう意味で、運賃ベースアップとを関連させる意思は毛頭ございません。その点だけちょっと申し上げておきます。
  62. 片桐典徳

    片桐参考人 お答えします。  いま川崎参考人が言われたとおりでございまして、運賃と賃金の悪循環というお話でございますが、これはいまお話がありましたとおり、鉄道は人手が非常に多く要る商売である、また職員が非常に深夜作業をやる、それから隔日交代、三交代という変則勤務であります。それから、保線とか架線とか電気の関係の職員はほとんど夜間作業で、電車がとまってからやる。そういうことで、非常に採用困難でございます。それからもう一つは、運転士の社員は非常に重要な仕事をやっておるわけです。ですから、それを養成するのに半年かかりますし、運転士に優秀な人を入れませんと大変なことが起きる。そういうために、ある程度の世間並みの賃金はどうしても出さなくちゃならない。そういたしませんと、優秀な社員が集まりませんから、ある程度の世間並みの賃金ということで、できるだけ賃金を安く抑えてやればいいじゃないかというようなことを運賃に反映するということでなくて、とにかくできるだけ優秀な社員を採用して、それからりっぱな安全運転をする、安全確保をやる、それから十分サービスで貢献する、そういうことで考えておりまして、運賃値上げとは全然関係なく、とにかくそういうりっぱな態度で、りっぱなサービスをやり、りっぱな安全運転をやるということで私どもは考えておりますので、どうかその点も御理解願いたいと思います。
  63. 今里英三

    今里参考人 ただいま会長と片桐参考人が申されたことと同意でございます。
  64. 工藤芳郎

    工藤参考人 人件費の問題であります。一つは、今回の、運輸省もそうでありますが、私鉄は総原価の中に占める人件費の割合が非常に高いということを言っているのですが、若干過大な評価があると思うのです。これは一般的に労働集約産業的な要素があるということは決して否定はいたしませんけれども私鉄の場合は、先ほどの退職給与引当金でありますが、つまりこれが全部人件費の中に含まれているわけですね。四十九年度人件費は千八百五十六億二千六百万であります。しかし、その中に引当金が百九十六億五千二百万万、つまり一〇・五八%もの引当金が人件費の中に入っているわけですね。いまの五十年三月末の退職給与引当金の残高が千五百四十九億あります。ですから、人件費が高いということはありますけれども、こういう引当金が全部そっくり入れられているわけですから、これを除いたものを運輸省は公表すべきで、入れた場合はこうだ、入れない場合はこうだということを国民に知らせませんと、非常に誤解を生むだろうと思うのです。しかも、退職給与引当金を昨年積んだのが百九十六億、ところが、実際使用したのが六十二億でありますから、平均しても実際三八・三%しか使わない。一番ひどいのは名鉄でありまして、積立額の七・八%しか、これは昨年度の積立額に対する割合でございますけれども、七・八%しか使わない。  こういうふうに、一般の利用者、消費者に誤解を与えるような数値を監督官庁が用いたのではまずいと思うのですね。ですから、この点は、人件費が高い、低いということを論ずる以前に、基礎数字を正確なものにする、どちらを選ぶのもそれは税法上の問題ですから御自由ですけれども、ひとつきちんとしたものを、引当金をとった場合はこうだ、こういうふうにきちんとしていただきたいと思います。  それから、全般的な問題については、今度の私鉄運賃値上げ理由を見ますと、実はことしの七月二十一日に発表された財政制度審議会の中間報告に「公共料金等のあり方」というのがあるのです。これの総論は、公共料金の水準を一般物価水準に比較して長期にわたって著しく低い水準に据え置いてきたということが、いろんな公益事業に赤字を生んだということを言っているのですけれども、この総論をそっくりアプリケーションしまして出したのが、私は私鉄運賃値上げ理由になっていると思うのです。前回値上げの積み残しだとか言う。去年までは輸送力増強計画をやるからお金が要る、したがって値上げをしてくれと言っていたのですよ。今回はこういうことを言い出した。政府とまさに相通じて、あるいは財政制度審の答申を見たのかもしれませんが、こういう形で値上げ理由を作文しておると思うのですよ。  最近は新価格体系ということで、公共料金の一斉値上げ政府は、物価大臣と言われている福田企画庁長官なんかもやることを前提にしておられるわけですね。ですから、今回の私鉄運賃値上げは、まさにいまから、通常国会で出てくるのであろう国鉄運賃の問題の実質審議に私は入っていると思うのです。ですから、先ほどどなたか先生から御質問ありましたように、国鉄との並行路線の問題、これは考慮に入れて運輸省は結論を出すということですね。昭和二十八年までは同時値上げ、それ以降はシーソー値上げですから、国鉄を高くしたり私鉄を高くしたりして、追いつ追われつしながら差額を絶えず埋め合わしてきたのが今日までの私鉄値上げでありますから、そういう政府の大まかな指導があって、運輸省が事細かに指導したかどうかは私は承知しておりませんけれども、そういう政府値上げするぞという枠をはめておいて、その論調に合わしていく、数字国鉄運賃の来年の値上げを考慮して勘案して、そうしてやったのがこの結論じゃないかと思って、やはり物価問題、人件費、賃上げの問題と総論的に、概括的に見ることも大変重要でありますけれども、今回の運賃値上げに関してはそのように感じてならないのであります。
  65. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、経営者が今度運賃値上げ内容をごまかしておるということは考えておりません。いろいろ根拠があってやっておられることと思うし、運輸省もそうだた思いますけれども、しかし、先ほど申し上げたような傾向になってまいりますと、やはりぎりぎりの責任感みたいなのがなくなって、結局は国民の税金にずっと寄ってくるというような安易さを感ずるのですね。したがって、そういう問題については今後国会が決めろなんて、国会は余り偉そうなことは言えないので、おかしな状態もあるわけですよ。法定主義というのは、運輸省がきちんとやっているかと言えば、そういうふうなことは考えられない。この公共料金の決め方という問題については、何とか一般国民の意向を合理的に反映するような形を考えながら決めないと、不信感を生んでくるわけだという感じがするのですがね。そういう感想を申しまして、質問を終わります。
  66. 横山利秋

    横山委員長 委員長から若干の質問と意見を申し上げたいのですが、今回の私鉄十四社運賃改定認可について運輸省から協議を受けたと思うのですけれども、経済企画庁としてはどのような意見を述べていますか。
  67. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 経済企画庁といたしましては、運輸省から御相談がございまして、私たちといたしましては、前回値上げにつきまして、改定の際に二年かかったというようなこともございまして積み残しもあるというふうなこと、それからその後の人件費の値上がりとか石油の値上げというようなことから、コスト等につきましてかなり上がっておる、こういうふうな事情からいたしまして、その後一斉に値上げが出てきたことにつきましてはやむを得ないのではないかと考えておったわけでございます。  ただ、その運賃値上げの幅なりあるいは時期等につきましては慎重に検討をしてきたわけでございまして、その結果、内容等につきましても運輸省とともに十分審査いたしまして、適正な値上げ幅というふうなことで今回認めることにしたわけでございます。
  68. 横山利秋

    横山委員長 きょういろいろとたくさんの質疑応答がございましたが、委員長としてその中で特に関心を持ち、御留意を願いたい点を少し申し上げますと、運輸省に対しましては、運輸審議会の構成、運営、委員の数等について、利用者沿線住民に密着して意見の反映、吸収が容易に行われるように検討を加える必要があるという点が各委員から力説されました。この点について、民鉄部長はぜひ大臣に十分御検討をするよう御報告願いたいと思います。  また、今回は値上げ申請の査定基準方式について従来に比しかなりの前進は認められるものの、特に本日力説されました兼業部門の問題がございまして、その査定についても区分を明確、厳格に輸送機関本来の使命に徹するよう、業界の指導、監督を強化する必要があるという観点から幾つかの質問が行われたことについても、大臣に十分御報告を願いたいと思います。  また、民鉄協会につきましては、運輸審議会民鉄各社に対しても、経営努力及び経営合理化推進輸送力増強、安全の確保旅客サービス向上、日常の広報活動の強化などについて遺憾なきを期することを要望しておりますが、特に旅客サービス向上の点やあるいは日常の広報活動の問題ですか、どうも私鉄各社は経営の実情を率直に利用者に知らせていないのではないかという質問がいろいろ出ておるわけであります。運賃値上げなどの問題は、利用者とのコンセンサスが十分でないと決してうまくいかないものでありますから、お話がございましたように、平素からの広報活動を十分今後ともに強化をしていただきたいと思います。  また、民鉄経営内容は各社さまざまであって、したがって、従来のような各社の一斉申請に対し一斉認可というような方式では、便乗値上げというようなことも起こるし、また、地方、地方の特殊性もあるという意見が十分展開をされました。この点についても御留意を願いたいと存じます。  また最後に、民鉄運賃値上げが昨年七月に次いで二年連続であるということについて、いろんな角度の質問が行われました。その趣旨は、今後は当分の間値上げは慎重にあるべきである、今回の値上げがもう既定の事実といたしましても、今後の値上げは慎重にあるべきであるという趣旨が底流にあることをお含みおきを願いたいと存じます。   これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しいところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきありがとうございました。ここに委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、来る十一日木曜日、午前十時から理事会、午前十時十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会