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1975-11-20 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 越智 通雄君 理事 加藤 六月君    理事 竹内 黎一君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       羽生田 進君    深谷 隆司君       山崎  拓君    加藤 清政君       中村  茂君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 野上 正人君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         文部省学術国際         局情報図書館課         長       吉川 藤一君         通商産業省産業         政策局商務課長 鯨井こう一君         通商産業省基礎         産業局鉄鋼業務         課長      石井 賢吾君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  鈴木  健君         工業技術院標準         部長      齋藤  顯君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 十一月十四日  公共料金等値上げ中止に関する請願津川武  一君紹介)(第二二〇〇号)  同(枝村要作紹介)(第二二四一号)  公共料金抑制等に関する請願多田光雄君紹  介)(第二二四二号) 同月十八日  公共料金抑制等に関する請願塚田庄平君紹  介)(第二五七四号)  同(多田光雄紹介)(第二六三〇号)  同(塚田庄平紹介)(第二六三一号)  同(塚田庄平紹介)(第二六九一号)  公共料金等値上げ中止に関する請願(紺野与  次郎君紹介)(第二六三二号)  同(柴田睦夫紹介)(第二六三三号)  同(庄司幸助紹介)(第二六三四号)  同(多田光雄紹介)(第二六三五号)  同(津金佑近君紹介)(第二六三六号)  同(津川武一紹介)(第二六三七号)  同(中川利三郎紹介)(第二六三八号)  同(平田藤吉紹介)(第二六三九号)  同(松本善明紹介)(第二六四〇号)  同(米原昶紹介)(第二六四一号)  公共料金値上げ反対等に関する請願梅田勝  君紹介)(第二六九二号)  同(瀬崎博義紹介)(第二六九三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二六九四号)  同(中島武敏紹介)(第二六九五号)  同(野間友一紹介)(第二六九六号)  同(山原健二郎紹介)(第二六九七号) 同月十九日  公共料金等値上げ中止に関する請願広沢直  樹君紹介)(第二八〇三号)  同(岡本富夫紹介)(第三〇九五号)  同外一件(鬼木勝利紹介)(第三〇九六号)  同(坂井弘一紹介)(第三〇九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 中村でございますが、公共料金あり方について質問をいたしたいと思います。  きょうから国鉄料金値上げになります。平均して三二%値上げになる、こういうことでありますけれども、今回のこの値上げあり方について私は納得できないわけであります。何で納得できないかといえば、国鉄運賃の方の決定国会議決を必要としています。きょう上がりました料金の方は大臣認可事項、こういうふうになっているわけであります。ですから、いままでの例からいけば、運賃の方が国会で決まってそれに伴って料金の方が認可され、それぞれの認可料金が施行される、こういうかっこうになっていたわけでありますけれども、今回の場合はその逆をやった。逆をやったということは、まだ国鉄の全般的な運賃なり料金の問題について国民の審判を受けないその前に先取りを認可料金でしてしまった、これは全く国民不在料金引き上げ、こういうふうに言ってもいいと思うのです。こういうことが許されるとすれば大変なことになってしまうのではないか、こういうふうに思うわけであります。ですから、どうして運賃を置き去りにして安易な方の認可料金を先にするというやり方をしてしまったか。こういう公共料金あり方についてひとつお伺いいたしたいと思うわけです。
  4. 安田貴六

    安田政府委員 お答えいたしますけれども、まさに国鉄料金のうちの要するに運賃については法定主義でございますので、法律改正を待たなければならぬわけでありますが、いま御質問になっておられまする今度の料金改定は、大臣認可によって値上げができるわけでありまして、要は、私の考えは、国鉄財政が、赤字の累積によりまして、経営面におきましても非常に大きな問題を抱えておるわけでありまして、抜本的には、国鉄運賃改正という国鉄財政の解決上当然問題にならなければならない運賃の問題があるわけでありますけれども、さしあたりどうしても国鉄財政困窮度を緩和するという意味合いにおきまして、やむを得ざる範囲としてこのたびの料金値上げが行われたものだ、かように存じておる次第であります。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、こういう、私に言わせれば、悪例を残して、どんどん認可料金の方だけやってしまうということになれば、法定料金で決まっている運賃の方の先食いをしてしまうことになる。  いま郵便料金についても参議院の方で審議しているわけでありますけれども、これははがきについては、私が申し上げるまでもなく、十円が二十円で二倍、書状については二十円が五十円で三・五倍、第三種料金、これは認可料金になっているわけであります。いま申し上げましたはがき書状の方は法定主義をとっている、国会議決が必要だ。第三種の方は六円が三十円で五倍に値上げされる。それは認可料金でありますけれども、いずれ法定料金の方が国会を通れば、認可料金として三種の六円が三十円になって、五倍になる方も決定されるわけでありますけれども、しかし国会の中でその認可料金の方もあわせていろいろな意見が出、論議されているわけであります。もっと極端に言えば、いま参議院で論議されているけれども三種認可料金の方は、いや大臣認可すればいいからということで、国会で決まる前に決めてしまっても性格上はいいわけであります。しかし、法定料金の方と認可料金の方は関係がありますから、しかもいままでの例からいきますと、法定料金で決まった値上げ率またはそういう幅等を勘案して認可料金の方が決められていく、こういうかっこうになっていたわけであります。  ですから、国鉄の今回の料金のように、運賃の方が決まらないうちにどんどん認可料金の方までなってしまうということになれば、いま私が申し上げたような郵便料金の場合、三種認可料金の方については五倍に値上げされるということで、しかも新聞、雑誌等についてその郵送が五倍に値上がりするから支障が来す、言いかえれば、知る権利が支障を来すではないかということで、新聞紙上、世論等でも非常に問題になっている。こういうことを考えてみた場合に、私は今回のやり方は、法定主義決定する方も外していこう、やめてしまおう、こういう本末転倒のやり方になってきているのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  特に、公労協、五現業に対するスト権問題等がいま非常に問題になっている。それに関連して当事者能力をつけなければいけないという動きが出てきている中で、民営に移管するとか、または料金については法定主義を外すとか、こういうことがいろいろ問題になってきている。そういう政治的な背景の中で、法定の方が決まっていないにもかかわらず、認可料金の方だけ国鉄は先へやってしまう、こういうことについては、赤字が出たから緊急やむを得ざる措置として行ったというけれども公共料金あり方としてはどうしても納得できない。ですから、そういうところは私は経企庁あたりでチェックしていく、こういうことが必要ではなかったか、こういうふうに思うのです。  したがって、今後の問題として、この法定主義決定していくという料金あり方、半面では同じ枠の中の料金認可料金で決めていくというやり方、その基本になるのは、あくまでも法定主義を貫いていくことだと私は思うのです。国民意見を反映する場としての国会議決を必要にする、こういう面が残されない限り、やはり公共料金というものの存在が、認可料金認可料金ということで赤字を埋め合わせる料金決定としてどんどん上げられてしまうのではないか、こういうふうに思うわけであります。  したがって、この法定主義、こういう公共料金決定の仕方について経企庁のお考えをお聞きいたしたい、こういうふうに思います。
  6. 安田貴六

    安田政府委員 国鉄関係運賃並びに料金のみならず、少なくとも経済企画庁としては物価抑制にはなお努力を払っておるやさきでございますので、公共料金等値上げ等については極力抑制を図る立場をとっておるわけでございまして、その点については私ども中村委員のお考え方と全く同様な意見の上に立っておるわけでありますけれども、今回の国鉄料金問題については、国鉄財政の現況にかんがみましてやむを得ないものである、したがって、物価という問題を考えましても、なお今回の処置についてはやむを得ないものである、こういう見解のもとに実施されたわけでございます。しかし、基本的には中村委員のお話しになっておられます御意見のとおりでありまして、私どもは、現在の法体系のもとにおいては、この運賃については法定主義をとる、それからその他のものについては認可主義をとっておるわけでありますが、その体系をいま崩すことを前提として云々という御指摘もありましたけれども、そういう意向は現在のところ私どもはとっておらないわけでありまして、現在の制度のもとにおいて、その運営の中においてでき得るだけの範囲におけるこのたびの料金値上げである、こういうふうに考えておるわけでありまして、基本的には、物価抑制という観点に立って、今後とも公共料金等引き上げにつきましては、極力抑制をできるように努力を払っていく所存でございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 今度の国鉄料金値上げについては、料金決定基礎がまことに不明確だ、こういう意見が強く出ております。それから赤字埋め合わせ値上げで、国鉄赤字国民に転嫁したものだ、こういう意見も強く出ています。そういう状況の中でいまできるだけ公共料金抑制していく、こういうふうにおっしゃいましたけれども、すでに私鉄についても値上げする、こういう動きが出てきています。それから地方自治体等については上下水道の料金値上げ、または学校の授業料値上げ、それから、明年度になると思いますけれども電報電話料金値上げの問題がすでに出てきている。電気料等については、自民党に政治献金を再開するその裏として、値上げの準備が行われるというような報道もなされている。ですから、赤字だから料金を上げていく、こういうことについては再検討していく時期に来ているんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  そこで、お聞きしたいのは、独立採算制公共性、これは両立するものであるかどうか、この点にメスを入れなければ、値上げ赤字値上げ赤字値上げ、この繰り返しになってしまうんじゃないか。いま新価格体系に移行するということがよく言われています。公共料金についても赤字になるから料金を上げていく、このパターンを繰り返していたのでは、何も新しい価格体系への移行、こういうことにはならないと私は思うわけであります。特に安定成長に移行するというふうに言われている中で、公共料金についてもナショナルミニマムをいかにそこに定着させるか、こういう立場独立採算制というものと公共性というものをどういうふうに考えていくか、どういうところにメスを入れていくか、このことを真剣にいま取り組む時期に来ているというふうに思うわけであります。ですから、独立採算制公共性ということについて経企庁のお考えをお聞きいたしたい、こういうふうに思います。
  8. 安田貴六

    安田政府委員 御質問内容は多岐にわたっておるようでありますが、いま中村委員の最後の結びとして御質問のありました、もっぱら国の場合は公共事業、それから地方公共団体の場合は公営企業、若干名前は違っておるようでありますが、大体同じような性格事業についての御質問が主なる御質問であるというふうに考えますので、そういう立場に立ってお答えをいたしたいと思います。  公共事業でも公営企業の場合でも同様でありますけれども、やはり独立採算制という性格とそれから公共事業であるという観点からするいわゆる利用者受益者に対しまするサービスという面と両立しなければならないわけでありまして、したがいまして、そういう両立を前提とした公共料金決定ということはどうしてもこれは避けられないわけであります。したがいまして、国鉄のような場合におきましては国の財政面からも相当協力的な支出がなされておると思いますけれども、たてまえとしては、公益性公共性ともう一つ独立採算制とこの両面から見ます場合には、公共料金はやはり時期時期に応じて経営内容に応じてはある程度の適切な値上げをしてまいるべき筋合いのものではないか。しかし、それはどこまでも最小限度にとどめるべきものである、こういう前提はもちろんございますけれども、私はやはり公営企業とか公共事業とか公共企業であるとかという、そういう性格だけにとらわれて独立採算制を見失った公共料金決定というのは、これは長い目で見ますと、その企業事業の健全な運営あるいは受益者に対する適切なサービス、そういうものができなくなってくるということになってまいると思いますので、やはりどうしてもこの両面から考えながら、その中においてどうしてもやむを得ず公共料金引き上げる場合におきましては最小限度にとどめるべきものである、こういう考え方に立って運営されるべきものである、こう考えております。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 私はこの中で、これからの問題として特にナショナルミニマム中心にした公共料金決定、こういう方向で特に経企庁あたり中心になってひとつ努力していただきたい、こういうふうに思うのです。  独立採算制がたてまえということはわかります。だから、今回の国鉄料金引き上げの問題を見ても、まず法定主義である運賃の方がどういうふうになるのか、それに関連して認可料金の方がどういうふうになるのか。公共事業でありますから、いま赤字で再建問題が非常に問題になっております。そういう再建問題をどういうふうにしていくのか、そしてそういう再建問題の中で国の支出する部分についてはどういうふうに支出され、どうなっていくのか、そういう総体的な中で今回きょうから上がりました国鉄料金決定されてくる、こういうかっこうにならなければ、国民は納得いたしません。いまの御答弁で、相当国支出もなされているまたはいるはずだ、こういうふうに言われますけれども独立採算制ということが先に立って、国の支出、全般的な公共性を維持していく、ナショナルミニマムを守っていく、こういう料金決定になかなかなってこないわけであります。  ですから、私は特にここで、これからの問題として、経企庁中心になって公共料金の中にもナショナルミニマム設定をしていただいて、公共料金あり方について御検討をいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから次に、石油製品値上げ問題についてお聞きいたしたいと思いますが、まず通産省石油価格についての考え方をお聞きいたしたいと思います。
  10. 左近友三郎

    左近政府委員 現在通産省考えております石油製品価格についての考え方を申し上げたいと思います。  現在の石油製品価格水準は、四十八年以来の数次にわたります原油価格の大幅な値上がりに伴いまして上昇は見ましたものの、まだその原油価格値上がりをカバーするに至っていないのが現状でございます。  コスト割れが生じておるということで、いろいろな数字が言われておりますが、われわれといたしましても、現在、石油審議会で精査中でございますが、相当なコスト割れがあるというふうに考えております。それが、この十月一日以降のOPECの大体一割程度の原油価格引き上げという決定を見ましたので、それによってさらにまたコスト割れ状態が拡大するというようなおそれが出てきたわけでございます。  こういう状態でございますので、この状態を放置しておきますと、現在のコスト割れ状態がさらに続くということは、石油企業存続基盤に大きな影響を与える、それはひいては日本のエネルギーの最大の源泉でございます石油安定供給が損なわれる、そういうおそれがございます。したがいまして、国民生活あるいは国民経済基盤をしっかりするためにも、こういうふうな状態は何とか解消しなければならない、こういうふうに考えまして、現在、石油審議会に、石油価格について、いろいろ御審議願っておりまして、この石油業法十五条の標準価格設定というものについての御検討をお願いをしておるわけでございます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 新聞紙等によると、いろいろ経過があったようでありますけれども、最終的には石油業法第十五条に基づく標準額で、石油製品の特に価格の問題については取り扱っていく、こういうようでありますけれども、この石油業法の第十五条の標準額でこれからの石油製品価格決定していくというふうになった理由について、簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  12. 左近友三郎

    左近政府委員 いま申し上げましたとおり、現在の状態については、やはり石油製品の適正な価格というものを指示する必要があるというふうに考えておるわけでございますが、それが単純な行政指導によるよりは、むしろ、現在の事態は、先ほど申しましたように、国民生活の安定あるいは国民経済の発展というもののために、この石油業法十五条に書いてございます趣旨の指導をやる方が明確であり、かついろいろな問題の発生のおそれが少ないというふうに考えまして、十五条の検討ということになっておるわけでございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 石油業法の一条には目的がずっと書いてありまして、「石油の安定的かつ低廉供給確保を図り」こういうふうになっているわけです。先ほどのOPECの一〇%引き上げ、それに関連して、私は、価格というものは、原油が上がったというふうに言っても、販売価格需要供給関係決定されてくるわけでありますし、別に二、三年前の石油ショックほど大幅ではない、まあ一〇%。いま公共料金もほとんど上がっていますけれども、一〇%以上、二〇%、三〇%、五〇%も公共料金を上げるなんて皆さんはいろいろおやりになっている。そういう中で一〇%程度上がってきた。しかも石油業法の一条には「石油の安定的かつ低廉供給確保」、そのためにいろいろこの石油業法を適用していくのだ、こういうふうになっているわけであります。そうなっていけば、この十五条でどうしてこういう石油の現在の状況の中でこの法律を適用して標準額を決めるか、そのことについてまだ私は理解できないのです。もう少し十五条に関連させて納得のできるように御説明願いたいと思うのです。
  14. 左近友三郎

    左近政府委員 石油業法目的はいま御指摘のとおりでございますが、この石油危機以降の石油政策といたしましては、やはり石油製品の安定的な供給というものに一番重点を置かなければならないというふうに考えております。もちろん、その安定供給確保と並行して、なるべく低廉石油製品供給が図られるということの必要性は言うまでもないわけでございますが、現在の世界のエネルギー事情考えますと、やはり安定供給というものを一番中心考えざるを得ないというふうに考えております。  そういうふうな考え方から申しますと、現在のような価格現状では、やはり石油生産販売、流通というものを担当しております石油産業が健全に維持されませんと、安定供給というものが将来にわたって確保されないというおそれがございます。また、現在の時点で石油産業が健全な体質を維持いたしませんと、今後いろいろな問題が起こったときに、消費者あるいは国民経済にいろいろなショックを与えるというおそれがございます。したがいまして、長期的な低廉供給のためにはこの際石油産業が健全であるということが必要であろうということを考えるわけであります。  そういたしまして、現在の事態は、先ほど申し上げましたように、コスト割れという状態になっておりますので、少なくともコストを償うに足る価格というものがこの際設定されて、それが標準的な価格として公示されるということが、今後の取引が適正になされるということになろうかというふうに考えておりますので、現在十五条の適用を考えておるわけでございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 安定供給はいいですけれども安定供給するために値上げするというのだから私は腑に落ちないわけです。法律では安定かつ低廉供給しろ、こういうふうに言っている。ですから、政府財政援助なりそういうことで石油業界の安定的な経営が成るように、価格の面についてはやはり需要供給の中から一定の価格設定されてくるという政策手段をとるのがいま一番正しいのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。そういうことがなかなか早急にはむずかしい。だとすれば、業界一つになって不況カルテルの申請をするというのも一つ方法ではないか、それを価格にこういう法律を適用していく。それは目的が合えばいいわけですけれども、これは「安定的かつ低廉供給確保するため」にいま値上げをして、経営を安定させることによって将来安定的な低廉供給ができるのだ、こういうふうに言われますけれども、将来のことはどうなるのかわかりません。いずれにしても、私はいま申し上げたような財政的な援助または業界不況カルテルを申請する、こういう方法が正しいのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点については通産省としてはどういうふうにお考えなんですか。
  16. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のような手段、ことに政府財政援助をして石油産業というものを健全にならしめるというのも、一つ手段ではないかと思います。  現在、われわれといたしましては、このような石油産業体質を長期的に改善するためにいろいろ対策を考えております。したがいまして、そういう長期的な体質改善策に対しては政府財政的な援助も考慮しておりますが、いますぐ間に合うというわけにはいきませんので、このようなことにいたしたわけでございます。  また、不況カルテルにつきましては、一つ考え方ではございますが、石油業法でまず生産につきましては政府供給計画を定めまして、それに基づく各精製会社生産計画をとって指導することになっております。したがいまして、そういう指導をまずやり、それによってもなおかつ価格について問題があるときには、石油業法の十五条という規定がございますので、石油についてはまず石油業法措置をやってみるというのがわれわれとしての態度ではないかというふうに考えて、現在検討しておる最中でございます。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 いま審議会で審議が始まっておりますが、通産省がこの審議会に、「石油製品販売価格標準額設定に関する検討用メモ」五十年十一月十四日、一項から七項まで検討用メモが私の手元にもありますけれども、メモで、項目だけで中身はよくわかりません。時間がございませんから、この二項の「標準額算定のためのコスト等」、この「等」は何を言っているのか。それから四項の「油種毎の価格決定方式」とは何を言っているか。五項の「標準額設定油種」、種類だと思うのですけれども、これはどの程度に考えているか。ひとつそれだけ、簡潔で結構です。
  18. 左近友三郎

    左近政府委員 最初の「標準額算定のためのコスト等」ということでございますが、石油業法第十五条には「石油製品生産費又は輸入価格を基準とし、石油製品の国際価格その他の経済事情を参酌して」云々というふうなことがございます。この事態をいろいろ検討すべきものということでございますが、大きく挙げますと、コスト生産費あるいは輸入価格に当たりますので、それ以外の、たとえば国際価格とかその他の経済事情ということでございますが、もう一つ問題になりますのは、いわゆる利潤というものを算定するかどうかということでございます。  それから第四項の「油種毎の価格決定方式」と申しますのは、油種ごとに現在の価格がございますが、その価格に対してどれだけ引き上げるべきかということでございます。御承知のとおり、石油は連産品でございますので、まず最初に総括的なコストがはじき出されまして、そして現在の価格とそれから総括的なコストに、先ほど申しました「コスト等」という「等」の部分を積み上げましたものと比較いたしまして、どれだけ上げる必要があるかという、いわば平均値上げ額が出てまいります。その平均値上げ額をどのように各油種に配分するかという方法でございますが、大きく分けまして、現在までやられておる方法に三つございます。一つは等額方式ということでございますが、これは各油種に、先ほど出てまいりました、つまり値上げを必要とする平均値上げ幅をそれぞれ同額ずつ足すという方法でございます。それからもう一つ等価方式というのがございます。これは、各油種に平均的な販売価格に対して一定の比率がございます。たとえば揮発油は二・〇倍とか、あるいは灯油は一・二倍とか、あるいは重油は〇・九倍とか、これは仮の数字でございますけれども、そういうふうな一定の比率がございますので、値上げの幅を比率によって配分するという方法でございます。これでやりますと各油種の値上げの率は一定になります。大きく分けて三つございますが、それぞれ長所、短所がございますので、たとえば値上げ幅の半分を等額にし、半分を等価にするという折衷方式もございます。いずれがこの際に妥当かというものを検討しようということでございます。  それから標準額設定の油種でございますが、これは全油種をやるというよりは、やはり数量が大きく経済に影響の大きいものに限定した方がよくはないかというふうに考えておりますが、過去の例を申し上げますと、昭和三十七年に標準価格設定されましたときはガソリンとC重油が設定されました。現在の時点でもなるべく重点的な品種にしぼっていただこうということで御検討をお願いするつもりでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 標準額の算定ですけれども、生活安定緊急措置法の中における標準価格決定については、法律である程度算定方法がはっきりしていると思うのです。「標準的な生産費、輸入価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額」こういうふうにある程度はっきりしていると私は思う。しかし、石油業法の方の標準額については、別にそういう利潤まで含めての決定方法というものは法律上は明示してないわけでありますが、皆さんの方で——石油会社が一〇%程度の配当も考えるというようなことを新聞で私は見たわけでありますが、「コスト等」という中に利潤をどのくらい見ていくか、それから配当をどのくらいにするかというようなことを勘案して標準額決定するということになれば、いま相当コスト割れば確かにしてきている、赤字だ、そういうふうに皆さんは言われる。そういう中で安定供給を図っていくために十五条を適用する、こういう厳しい条件の中で標準額を決めていこう、こういうわけであります。そこへ利潤をどのくらい見ます、配当を一〇%程度見ます——石油企業の配当状況等の書類がここにありますけれども、四十九年の下半期等についても相当利益を上げているところもあります、また配当も相当出ているところもあります。そうして経営赤字だ、赤字だ、OPECで一〇%上がってコスト割れしている、十五条を適用して、またその価格が——利潤を見ます、配当金を見ます、こういう決定の仕方になっていくと、法律によって行政介入してこういう価格を決めていくという皆さんの考え方は、どうしても私は納得ができなくなってくる。ですから、皆さんの考え方を審議会に提出して、審議会で十分その点も審議していただくわけでありますけれども、そういう状況決定していく経過と内容に反したような、そういうところを優先的に見ていくようなこの標準額決定というものについては十分ひとつ考えていただきたい、こういうふうに私は思うのです。  それから、全部の油種について決定するのではない、こういうふうに言われる、私はそのとおりだと思うのです。やはり重要なものをやっていかなければならぬし、特に灯油等については、価格を決めるにしても、国民生活に非常に関係があるわけでありますから、それをどういうふうに額の決定を関連づけていくかということは非常に重要だと思いますけれども、やはりそういう国民生活に関連のあるものについては相当配慮していく、こういうことが必要だというふうに思うのです。  それから、この価格決定の中に、いままでのコスト割れの分も見る、それから十月以降の原油価格の引き上がる分についても織り込む、当然そうなると思うのですけれども、そういうことを考えていくと、いままでの赤字の分を見ます、将来の分も見ますということになると、その額の決定方式というものが、そのときそのときに対応できるような方程式をつくってそこのところに該当さしていくのか、それとも今度上がるのを待っていてその額というものをそのままずばりで決めるのか。額を決めてしまうのか、方程式を決めるのか、その辺のところをひとつ明らかにしてください。
  20. 左近友三郎

    左近政府委員 価格決定方式でございますが、いまわれわれが事務局として試算をし、審議会にお諮りをしようというふうに考えております一つの計算方法は、やはりこの十月、つまりOPEC石油値上げがございました十月以降一年間の期間を見まして、その一年間における経営の決算が成り立つような形での数字をはじきたいというふうに考えております。したがいまして、在庫についても十月現在の在庫、それから今後の在庫の消費量というものを計算しながら決めるわけでございますので、やはり特定の時期について一定の数字でもってあらわすということでございます。もちろん計算をいたしますのには算式を用いますけれども、その算式がいつでもそのまま適用になるかどうかについては、ややわれわれも自信がございませんので、現在の時点での特定の数字というものを算出したいというふうに考えております。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 利益金と配当の問題について……。
  22. 左近友三郎

    左近政府委員 確かに先生がおっしゃるような御意見はわれわれも考えております。これは一つ標準価格というものをどういうものと観念するかにもよるわけでございまして、通常の事態における価格ということに考えますと、利潤も考えるということになりますけれども、現在コスト割れ状態から脱却しようという時点でございますので、そのときにその程度十分な利潤まで見るのが妥当かどうかという点は大きな問題点であろうということで、これは審議会の委員の方々の意見を十分お伺いしながら決めていきたいと思っておりますし、この標準価格というものがもし平静な事態に移るまでの緊急的な措置ということであれば、少なくとも非常に大きな配当率を期待したような利潤を計上することはやはり考えものであろうというように考えております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 時間が来ていますけれども、もう一点だけお願いします。  それからこの七で言っている「標準額性格」を簡単にひとつ。
  24. 左近友三郎

    左近政府委員 この標準額石油業法第十五条にもございますように、通産省で決めますと第二項によりまして告示いたします。そしてその価格石油製品取引において通産省の告示した価格ということで、いわば取引に際して参考になるということであろうというふうに考えております。したがいまして、われわれといたしましては、個個の石油業者が消費者にあるいは需要家に対して取引をする内容に関与するつもりはございません。また、そういう性格から言いまして、石油業界がこの標準価格を守るために共同行為をいたすということは、やはり独禁法上問題があるということで考えておりますので、これはあくまでこの法律にございますように、通産大臣が告示するという点でとどまるべきものであろうということでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 強制力、罰則はないですね。ですから、そういうことでいいと思うのですが、それに関連して公正取引委員会の見解をちょっと聞いておきたいと思うのですけれども、生活安定緊急措置法案と石油需給適正化法案を審議しているときに、その法案に関連して公正取引委員会経企庁通産省で覚書を結んだわけですね。その覚書は、(ハ)の項で「標準価格等通商産業大臣の指示する石油製品価格を遵守するための協力措置」、この面についてはカルテルを意味しない、こういう覚書ですよ。石油業法の十五条なら十五条で標準額を決める、覚書で言っている方は国民生活安定緊急措置法に基づく標準価格等を決める、それについては石油製品価格を遵守するための協力措置はカルテルじゃない、こういうふうに言っている。そうなってくると、今度の石油業法のこちらの方は、独禁法の面からいって、こういう覚書を結ばなくも疑義は起きてこないのかどうか。私はやはり何か結んできちっとやらなければ、こういうカルテル行為としての問題が起きてくる可能性が非常に強いというふうに思うのですけれども公正取引委員会の見解をお聞きしておきたいと思います。
  26. 野上正人

    ○野上政府委員 石油業法の十五条によります標準価格につきましては、標準価格を主務大臣が定めることができるということで、カルテルを認めているものではございません。そのために適用除外の規定もございません。それから、カルテル行為があれば公正取引委員会としては対処するつもりでおります。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 国民生活安定緊急措置法の標準価格との関連で覚書を結んでいるわけですね。だから、その覚書の関連をちょっと答えてください。
  28. 野上正人

    ○野上政府委員 覚書におきましても、あくまでも政府に対する業界の協力措置を認めたものでありまして、カルテル行為を認めたものではございません。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 そうだとすると、どうして緊急措置法の方の標準価格については覚書が必要であって、石油業法の十五条に基づく標準額については覚書が必要じゃないのか、その点をひとつ明らかにしてください。
  30. 野上正人

    ○野上政府委員 緊急措置法の方は、これ以上の価格で売ってはならないというふうになっておるわけでございます。それで、その間でカルテル行為を認めたものではございません。政府があくまでもこれ以下で売るように指導、監督する、指示する。それから石油業法標準価格は、売買の標準価格でございまして、あくまでもカルテル行為を認めるものではないと思います。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 そう変わりないのですよ。十五条の方は告示する。それから安定措置法の方は標準価格を決めて、そしてそれもやはり告示なんですよね。同じなんです。ただ、罰則については、それに違反したものについては安定措置法の方は公表する。それでもまだ聞かなかった場合には、今度は特定標準価格を決めるという次の段階があるわけです。そちらの方になると、罰則として課徴金を取るとかなんとかということがあるわけです。その緊急措置法の標準価格については覚書を結んで協力を要請し、その程度についてはカルテル行為じゃない、こういうことをしておいて、どうして石油業法の方は結んでいないのか。その結んでいない違いというのが、どうもあなたの言うことでははっきりしない。
  32. 野上正人

    ○野上政府委員 国民生活安定緊急措置法は、あくまでも政府業界に対して個々に協力体制をとることを認めたものでございまして、業界がカルテルを行うことを認めておるということを意味するものではない。だから、その点からいけば、石油業法と同じ形なんです。石油業法においても標準価格政府が告示する。しかし、それはあくまでもカルテルを、業者間の共同行為を適用除外しているものでもございません。それから緊急措置法の方も、カルテル行為があれば独占禁止法の違反となるということですから、同じことではないかと私考えますけれども
  33. 横山利秋

    横山委員長 委員長から申しますが、質問者の趣旨は、片一方で公取が協力措置を約しておることはどういうわけかということを聞いておるのです。
  34. 野上正人

    ○野上政府委員 ですから、その協力措置内容につきましてカルテルを認めたものではないわけなんです。あくまでも政府業界との個々の関係において、指示、監督の範囲内において業界個々との協力体制を認めたものでありまして、カルテルを認めたものではないわけでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員長 それはわかるのですが、それならば、なぜ片一方に公取が協力措置を約して片一方はないのかということを質問者は先ほどから聞いているのです。公取はどうして片ちんばなことをしたのかと。
  36. 野上正人

    ○野上政府委員 私自身は片ちんばなことではないと思っておりますけれども
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 あなたは片ちんばなことではないと言うけれども、中身は同じなんですよ。片方については、そういうことについて協力措置はカルテル行為ではない、こういうふうに覚書を結んでおいて、石油業法の方についてはそれを黙って見ているのか。やはり覚書が必要じゃないんですか。
  38. 野上正人

    ○野上政府委員 石油業法の第十五条で標準価格設定されます。それでこれにつきましてカルテル行為があれば、これは独占禁止法に違反するわけでございます。それから緊急措置法でもカルテル行為があれば違反する。覚書はあくまでも政府事業者との協力関係でございます。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 十五条の方も告示すると言うけれども、これは個々には協力関係は出てくるんですよ。それが横になればカルテル行為だから、それは当然、こんなものがあろうとなかろうとカルテル行為として問題にするけれども、告示すること自身、個々と通産省の間でその標準額を決めれば問題が出てくるのですよ。だとすれば、その程度のものについてはカルテル行為ではないという覚書がやはり今度の場合も必要じゃないですかというふうに私は言っているのです。
  40. 野上正人

    ○野上政府委員 協力措置につきまして、個々にやる限りにおいては、覚書で申しておるように、カルテルでない限りは問題ないわけでございますね。ですから、われわれとしましては現在覚書ということは考えておりません。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  42. 横山利秋

    横山委員長 松浦利尚君。     〔委員長退席、山中(吾)委員長代理着席〕
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 きょうの委員会が本国会では最後になりますから、簡単に質問をして終わらせていただきたいと思います。  それば、御承知のように、わが国はアメリカに次いで電気洗たく機が各家庭に普及をしておるわけです。御案内のとおりに、私はいま家電二〇番を持っているのですが、最近非常に苦情が多くなりました。その苦情は、二・五キロとか三キロとか言われて買ってきた電気洗たく機であるけれども洗えないということで、そういう苦情が非常に多くなってきたわけです。そこで、実はメーカーの技術の人にも来てもらいまして、どこに原因があるかということをいろいろ調べてみましたら、最終的に、日本工業標準調査会が審議しておる電気洗たく機に関するJISをもう少し改めなければならぬのじゃないかという気がしたのです。  そこで、お尋ねをしておきたいのは、実はこれはメーカーの技術の方からもらったのですが、二・五キロ洗える洗たく機というのはこの布が洗える、こういうことなんですね。これです。ところが各家庭へ入りますと、いま景気が落ち込んでおりますから、敷布でも何でも洗たく屋に出さずに自分のところで洗たく機を使うのですね。ところが、これがなかなか落ちない、非常に調子が悪い。子供さんの野球のユニホームなど、あのかたい物を洗うと、全く洗浄能力がない。そういうふうにこのJISが、各家庭が洗浄する物と若干そごをしておるのではないか。JISでは洗浄能力といいますか、洗浄に関する定めというのは余りないのですね。  全部言ってしまいますが、ここに一つの汚れた布切れがついていますね。これをこの中につけて、二・五キロ分でこれを洗浄して、一定時間たったらこの布がどれぐらい透明度があるかということによって洗浄能力の判定をしておる。ですから、逆に言うと、これについておるこの布地よりも汚れがひどいときにはなかなか洗浄能力が出ない、こういう問題があるんですね。  ところが、これはメーカーの技術の人も言っておったのですが、アメリカの基準に照らして大体日本のものもJISがつくられておるやに聞いておるのです。  そういう問題から見て、最近のように景気が落ち込んで、各家庭で物を洗たくするという時代になってくると、これではもうどうにもならぬのじゃないか、もう少し家庭の生活に合ったJIS規格というものをつくっておかないと、高い物を買わされた、結果的には洗浄能力がない、この電気洗たく機は故障じゃないかというので苦情が行く。ところが、よくよく調べてみたら、JISどおりの電気洗たく機で、苦情の方がおかしいということになるのですね。ですから、JIS規格が改正されるまでは、むしろこれが二・五キロなんですよ、これしか洗えないんですよという表示をはっきりさせておかないと、消費者に大変誤解を与えるのじゃないか。ですから、たとえば敷布なら敷布を二・五キロ洗おうとすれば、三キロの電気洗たく機を買わざるを得ない。もう少し高いものを買わなければならぬということで、出費が逆にかさむんですね。  そういった問題点について、私が言っておることに間違いがあればその間違いを指摘していただき、私はもう事前に質問の通告をしてありますから、改めることがあるならこれを改めていく、改めるまでの暫定措置はどうするのかということを答弁としてお聞かせいただいて、なお経済企画庁国民生活局長にも、いまこの苦情が非常に多いのです。ですから、こういう苦情が現実に来ておるという実態を踏まえて、生活局長として、一定のJIS規格ができる間の暫定措置政府としてどういうふうにとられようとするのか、そのことをお聞かせいただいて、終わります。
  44. 齋藤顯

    ○齋藤説明員 御指摘の第一点の電気洗たく機の洗たく容量のことでございますが、先生御指摘のとおり、JISでは金巾の乾燥状態における重量キログラムで洗たく容量を表示しております。いろいろな物が洗たくされるわけでございますので、なかなか消費者にわかりにくい点があるというのは、私もそうであろうと思います。  しかし、JISという性格から申しますと、これはまた洗たく容量の厳密度ということも他方要求されるわけでございまして、最も標準的なものということで、金巾キログラム表示ということで決定しておるわけでございますけれども、御指摘の趣旨をできるだけ解消するという意味から、そのカタログであるとか説明書の中に、実際に家庭で使う最もポピュラーなもの、ワイシャツあるいは毛布、そういうものについてはこの程度洗えますよということを別途徹底させるという方向で私ども考えております。  次に、第二点の洗浄能力のテストの問題でございますが、これはJISでテストの方法は規定しております。しかしながら、テストの基準値といいますか、その方法によって、どの基準が得られた場合にその基準をどういうふうに表示しろということは実はまだなされておりません。と申しますのは、洗たくと申しますのは、非常に複雑な要件が絡み合っておりまして、布の種類、布地の厚さ、水温あるいは洗浄の種類等非常にむずかしいのでございますけれども、しかし、私どもは現在のところそのままでいいというふうには考えておりません。したがいまして、できるだけ早く消費者にわかりやすい基準値を決定したいということを考えておりまして、現在、電機工業会の技術委員会で、学識経験者、中立者等を含めまして、できるだけ早くその基準値を決めていただくという方向で検討しております。  次に、第三点の外国の例でございますが、JISを決定いたしますときには、最近は国際的な横の広がりを、輸出入等も関係してまいりますので、外国ではどうなっておるかということを常に参考にしながら決めていっておるわけでございますけれども、やはり日本独自のものと、また外国ではどうなっておるかというふうなことが重点的に検討される場合もありまして、一律には申し上げるわけにはいきません。しかしながら、この洗たく機の場合には、国際的なスタンダードの標準ということを十分加味して検討しております。
  45. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 御指摘の点でございますが、確かにJIS規格というのは、私は、世の中が変わってくればそれに応じて変更しなければいけないとは思います。したがって、実際に洗たくをされる物が変質をしてくるといいますか、内容が変わってくれば、JIS規格を変えていくというのが筋ではないかとは思います。現に工業標準化法でも、三年ごとくらいに見直しをしろという条項もあるようでございますけれども、ただ本当にそういうように変わってきておるのかどうかということ。あるいは、やはり一つの規格でございますから、非常に厳密な規格が必要でしょうから、一つの標準を決めて、それで何キロということを決めるわけでございますから、いますぐにもっと厚いきれに直した方がいいのかどうかという点につきましては、私もよくわかりませんけれども、少し検討させていただきたいと思いますし、通産省意見も聞いてみたいと思います。  しかし、問題は、いまのお話を伺いますと、やはりカタログデータとかあるいは表示であるとか、そういうものの舌足らずな点が一番問題ではないかという気がいたしますので、この点は少し業界との間でそうしたことを話し合うように、関係方面とも一度検討してみたいと思います。  なお、そうした一般的なPRが必要であれば、この点は生活センターその他を通じまして同じようなPRをしてみたいと思っております。
  46. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、JIS規格をさらに検討していただいて改めるまでは、売る側のカタログその他に、先ほど言われたように、敷布なら何枚ですよ、毛布ならどれぐらいですよということを明確に表示していただく。それと同時に、あくまでも標準規格はこの布の二・五キロですから、逆に言うと、少ない物を電気洗たく機に入れますと、今度は生地が傷むのですね。長もちするはずの生地が、洗たくする容量が少なかったために、生地の傷みが非常に強いわけです。常時少なく洗たくする人は、生地の傷みが早くなるという欠陥もあるのです、二・五キロというのはあくまでも標準ですから。だから、そういうことも親切に表示していただく。だからと言って、洗たくせずに二・五キロためておくのも衛生上悪いわけです。ですから、いろいろな意味で生活面に支障があるわけですが、いずれにしても、表示だけはそういう面についても正確にしていただくことが大変必要じゃないかと私は思います。  これからもますます苦情がふえていくと思うので、いま言われたことをぜひおやりいただきたいということだけ申し上げて、私は、簡単にということですから、これで質問を終わらせていただきます。     〔山中(吾)委員長代理退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員長代理 山中吾郎君。
  48. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私も簡単に、石油部長中心にお聞きしたいのであります。  この間参考人を呼びまして、参考人の御意見を聞いた中で、一応確かめておかないと、これからの灯油問題について疑義が残ってもいけないので、二点だけお聞きしたいのであります。  一つは、石田参考人がヨーロッパの灯油はわが国よりずっと高いんだということを説明されて、そのまま聞きっ放しになっておるのですが、どうもヨーロッパの灯油の使用状況とわが国の使用状況は違った条件があるんではないか。そういう例を引き出すことが——審議会において灯油をむしろ思い切って価格を上げてそして節約をさした方がいいという暴論も出ておる。その思想とずっと関連があるように思って、非常に気にかかっておるわけです。そこで、左近部長の方では、ヨーロッパの灯油と日本の灯油の価格の中で、わが方が安いから高くした方がいいというふうな思想をどういうふうにお考えになっておるか、これは率直にお聞きしておきたい。
  49. 左近友三郎

    左近政府委員 いまお話しのとおり、ヨーロッパにおける暖房用の油につきましては、日本の灯油よりも価格が高いということでございますが、暖房油と申しますのは、灯油とか軽油とかA重油の混合物である場合が多うございまして、日本の灯油と直接比較ができない場合が多うございます。ただ、内容といたしましては、むしろヨーロッパの暖房油の方が品質は劣りますので、そういう点で日本の灯油よりも価格が高いということは言えると思います。  しかしながら、この石油製品価格というものが各国で決定されておりますのは、その国のいろいろな事情、たとえばエネルギーの事情とか経済政策とか消費の状態とか、いろいろな事情によって決定されるわけでございますので、各国の状態をそのまま日本に持ち込むということははなはだむずかしいし、かつ誤りを生ずるおそれもあろうというふうに考えております。  したがいまして、われわれといたしましては、ヨーロッパの灯油が日本の灯油よりも高いという事実はございますけれども、その事実をもって日本の灯油に対する価格考え方というものを直ちに類推することははなはだ問題があろうかというふうに考えておりますし、一方、日本における灯油の現状というものは、家庭生活に必要欠くべからざるものであり、かつ寒冷地域、北海道、東北というふうな地域においては非常に生活上緊急必要なものであるという観念を持っております。したがいまして、このヨーロッパの灯油が高いという理由から日本の灯油を高くしていいということがすぐに出てくるというものでないということは、われわれも当然考えております。
  50. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 わかりました。ただ、わが石油業界の代表の石田参考人が国会の公の席上で、まずそれを理由に灯油価格を上げてもらわなければならぬという説明をしたので、これは公の席上の意見でありますから、通産省においてはいまの御意見で、十分それで指導されてしかるべきでないかと思うので、念を押しでお聞きしたのです。  あと一点。石油価格を灯油を中心として新しい価格体系をつくらなければならないと、これは私も認めるわけでありますが、その新しい価格体系の中身について確かめておかないといけないと思う。私にとってもコストプッシュについてはよく理解をしておるのでありますが、あり方については重大な私にとっての課題でもありますから、お聞きしておきたいと思うのです。  一つは、現在の石油業界が非常に赤字であるから、その赤字を解消してもらいたいというところから、ずっと直結をして新しい価格体系の主張が出ておる。これは非常にある意味においては手前みそであり過ぎて問題であろうと思うのでありまして、この理論だけで価格体系をきめれば、いままでの放漫経営をそのまま解消する価格になるし、経済成長型のままの高い価格で、また自己資本の非常に少ない、毎年一一%以上の売上高を持たなければ利子も払えないような、そういう成長型の企業前提として新しい価格をつくるということになるのです。そこの中には構造的改革は含んでいない。この論理が非常に石油各製品の価格引き上げの大きい理屈になり、そのベースの中に通産省も乗り、そして国会の中においてもそれに対する鋭い批判が出ていない、本当に危険だと思うのです。この点について私はしっかりと一つの思想を確かめておきたいと思うのであります。  そこで、先ほど「石油企業の配当状況等」の資料、これを和田委員からの要求でということでありますが、これは通産省でまとめられたのですか、あるいは企画庁ですか、これの一ページの中ごろの日本石油それから興亜石油の配当率をずっと見ると、四十八年下期、四十九年上期、四十九年下期全部一二、一二、一二と配当がなされておる、日本石油、興亜石油ともそのとおりである。それから昭和石油も一〇、一〇、六、ゼネラル石油も一〇、一〇、一〇である。それから東亜燃料工業はもう二〇、二〇、二〇になっている。これらはりっぱな配当が行われてずっと黒字である。こういう一覧表が出ておる。こういう実態を持っておるのであるが、いわゆる赤字論を一般論として盛んに業界が主張して、そして価格引き上げを各界に要求しておるわけでありますが、この実態を考えても、通産省もあまり業界のベースに乗らないで、国民立場に立って、新しい価格体系を認めるにしても、独自の考え方を持つべきであると思うが、この表の説明を含んで御答弁を願いたい。
  51. 左近友三郎

    左近政府委員 この石油産業というものが赤字で苦しんでおるということだけで今後の価格に対する政策を考えるべきではないというふうな御指摘でございますが、いまお話しがありましたように、従来の石油産業というものは、高度成長という経済の流れに乗って拡大してまいったわけでございますが、石油危機以来経済の方針も変わってまいりましたし、今後そのような量的拡大というものが極端に大きくなるということは考えられないという事態になってきたわけでございます。したがいまして、従来の体質をそのまま今後も存続させる、そしてそれが可能なような価格考えるということが適当でないということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、今後も石油企業が自主的な合理化努力を行って、極力コストの上昇分は自己の努力で解消するという努力を続ける体制は維持したいというふうに考えております。  したがいまして、われわれとしては、今回の価格に対する審議会の御検討をお願いをしておりますけれども、このことだけで問題は解決をしたということは考えておりませんで、実は、それに引き続いて石油企業全体の体質強化と申しますか、新しい産業なり経済のあり方に即応するような石油企業というものをつくっていくような努力を産業においてもしていただきたいし、またわれわれも指導いたしたいというふうに考えております。  なお、この表につきまして若干御説明いたしますと、この日本石油とか東亜燃料工業というふうな会社の四十九年度までの決算は比較的よかったわけでございますが、これにつきましては、四十九年度までは実は、メジャーの子会社といわゆる民族系の会社というものとの間に、メジャーが売り渡す原油価格に若干の差がございました。したがいまして、販売価格は同一でございますが、原料の価格に若干差があったということから、外資系が有利になっておったということでございまして、そういう形で四十九年下期ぐらいまでは、民族系の方が非常に赤字が多くて、外資系は赤字がほとんどないかあるいは黒字であるというふうな会社が多かったわけでございますが、今年に入りまして産油国の政策が変わりまして、メジャーも、自分の関係会社とそれから日本で言えば民族系の会社に原油を売る値段に差がつけにくくなりまして、現状といたしましてはほとんど差がございません。そういうことになりますと、本年に入りましては、外資系も相当経営が苦しくなっておるというふうにわれわれは推測いたしております。この点については、現在、審議会でコストを精査中でございますので、その結果が出てまいるというふうに考えております。
  52. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その原因の一部はわかったのですが、依然として一二%配当しながら、われわれの方に対しては赤字赤字ということを強調して、適正利潤を超えて何かまた政治に働きかけるという危険があるので、もう少し私たちも分析をしたいと思うのでありますが、それにつけて私の感じでは、ことしの六月に元売り価格を三千円上げ、七月に三千円弱上げて大体五千円ほど上げたわけですが、この日本の全石油業界の五千円近く引き上げたことにおける赤字補てんの額は、大体七百億円になる。それは間違ったら後で訂正してくださいよ。その当時、一千億ぐらいの赤字だということから引き上げ論が出たように思うのです。そうすると、ぼろもうけしたことはたなに上げておいて、石油業界が一千億ぐらいの赤字を背負ったときに元売り価格値上げをして、それでもうほとんど七百億ぐらい補てんしちゃった。それは消費者赤字の補てんを、価格引き上げることによって求めたということになるので、私は、業界赤字について半分の責任を持ち、半分は価格を上げることによって消費者に犠牲になってもらうというのならわかるが、いろいろな過去の実績、そこに放漫経営もあるでしょうし、いろいろの企業が責任を持つべきことによって生じた赤字も全部価格に転嫁して、消費者の犠牲において赤字を解消するという精神は、理屈に合わないのじゃないか。  だから、ことしの六月、七月の価格引き上げは、大体、業界自身の責任も含んでの赤字を合わして全部消費者に転嫁をして上げたことになる。これからもまた専心、価格だけを考えて、経営の合理化その他というふうなものを考えないで、価格だけで赤字を解消するということは、みずからの生んだ原因に基づく赤字も、国民消費者に転嫁するということになるのではないか。そういう論理を私は認めるわけにいかない。せめて六割は国民に頼むが四割はわれわれの努力でという誠意を示すべきではないか。  それで、各企業ごとにいまの民族資本その他の関係で、私も半分はわかったのでありますが、非常に赤字の多いところ、また黒字でまだ維持できるところ、その企業によって差があるということも、実は企業あり方でより多く赤字を出すところもあれば少ない赤字でやっていけるところもあることを示しておるわけでありまして、その点は、全部の赤字価格転嫁、したがって、国民にその赤字の責任を持たして解消さすという論理が当然だという考えは捨ててもらわぬといかぬのじゃないか、これはどうですか、部長
  53. 左近友三郎

    左近政府委員 この石油産業において発生した赤字を全部需要家——消費者も含めてでございますが、に転嫁するということは不適当であるという御説は、ごもっともだろうと思います。コスト上昇分を極力合理化によってカバーをして、そのやむを得ない部分を需要家の方に転嫁するという姿勢が基本的に考えられなければならないということは、われわれもそのように考えております。  ただ、石油企業につきまして、ことに現在の事情につきましては、原油価格が大体コストの八割を占めております。したがいまして、合理化を十分努力いたしましても、なかなかそれが吸収しにくいという事情はございます。しかしながら、少なくとも残りの二割についての努力は必要でございますので、この努力をやめて、安易に需要家の方に価格転嫁しようという気分が、もし現在われわれがこういう対策をやっておるときに発生いたしますと、これは将来の石油企業経営にとって非常にゆゆしい問題であろうとわれわれは考えます。  したがいまして、今後の価格決定するというふうなときに当たっても、石油産業あるいは個々の石油企業が十分合理化努力を払う、そして十分努力を払った後のやむを得ないものだけを価格に転嫁していくという基本的姿勢を貫くような指導をやってまいりたいというふうに考えております。
  54. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 もう時間ですからこれで終わりますが、最後にもう一つだけ念を押しておきたいのは、この間の釜萢参考人の意見発表の中に「今日のいわゆる赤字の原因は、電力や鉄鋼、セメント、紙パルプなど、いわゆる大企業向けの油種のナフサ、C重油等の油種が、元売りメーカーの思いどおりに値がとれていないということであります。」そして、「十月三十日の石油審議会で了承されたナフサ、C重油の値上げ参考値も十分に達成し得ないのではないか、この未達成分も見込んで家庭用灯油にもその分を負担させる形で値上げが企図されているのではないかという点で、私は理屈に合わないものであるというふうに考えます。」これはいわゆる業界向けのナフサとかC重油は合理的に価格を決めても、向こうの圧迫によってその目的が達成されない、それを国民生活に影響のある家庭用灯油の価格値上げに影響を与えておるのでないかという疑問なんですね。いわゆる経済成長政策と関連しながら、企業に有利な安い価格でずっと供給してきた。今度はそうはいかないので、合理的に考え値上げを彼らに訴えたところが、力関係で向こうでは応じないから、安く抑えられる。一般の生活関係については、消費者というのは非常に力がないし、価格決定に何らの発言権のないところ、灯油の価格については、何の抵抗もない関係から高くする。弱いところにしわ寄せが来るのではないかという一つの疑問を訴えているわけです。確かにいわゆる大需要家の方はそれだけの圧力も出るし、仮に合理的に定めようとしても、一方の圧力で上げられない。そうしてそのしわ寄せが必ず力のない灯油に来るというメカニズムがあると思うのです。現実にそれが出ておるのではないか。消費者の代表者として切実にそれをはだで感ずるのも、私は実態をあらわしておると思う。  こういうこともありますから、新しい価格体系を定めるについては、自由経済の原則がこうだから需要供給価格が決まる、それが合理的で、一方の生活関係についてはその原則を破るわけにいかぬというふうな、いわゆる自由経済の教科書どおりに考え通産省の頭を切りかえて善処をしていただきたいと思うのであります。参考人のこの間の話を聞きっ放しにできないから、感じたことを申し上げて、善処方を要望して、質問を終わらせていただきます。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員長代理 小林政子君。     〔松浦(利)委員長代理退席、山中(吾)委員長代理着席〕
  56. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、最初に医学書の値上げの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  最近、書籍、ことに医学書が非常に値上がりが激しいということが新聞などにも報道されておりますし、この結果、学生生活に与える影響はきわめて大きいというふうに私ども考えます。全国医学生自治会連絡会などからの調査あるいはまた私どもが話を聞いた内容等によりますと、医学生の年間の医学書の購入額は十万円程度、あるいはまた、多いものになると十五万円以上もこれに費やしているということが調査の結果でも明らかでございますけれども、そのために学生は結局アルバイトをやったり食費を切り詰めたりしているという実態調査も報告をされております。このような事態は、いま医療の荒廃などということが大きく社会問題になっている折に、日本の医学の未来を背負うべき医学生のあり方として、一体これでいいんだろうか。文部省はこの事態について具体的に、いまの医学生の実態について、この改善方に対して何らかの措置を講じているのか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  57. 吉川藤一

    ○吉川説明員 いま先生からお話がございました医学部の学生の図書購入費に関連するお話でございますが、私どもといたしましては、昨年度からことしの国立大学における学生用図書購入費を予算的には約三倍に増加いたしております。それから五十一年度の予算におきましては、ほかの費目を大幅に上回る約五割増の予算をいま要求中でございます。  なお、これらは主として大学の図書館の中に学生用図書として配置されて、学生の利用に供されるわけでございますが、御案内のように、各大学教育において用いられております教科書の購入は学生の個々の負担ということになっておりまして、私どもが学生用図書購入費をふやしまして、大学図書館に配置いたしましても、それぞれの大学におきまして、特に医学教育の場合で申し上げますと、それは医学の教育を受けるための参考書を主としてふやそうとしていくねらいでございます。  私どもも、学生が直接購入をいたします教科書が、近時ほかの物価に比べましてやや高い率において上昇しておるということは憂慮をいたしておりまして、できればなるべく低廉価格におきまして学生が購入できるようにしていきたいという強い希望を持っておるわけでございます。
  58. 小林政子

    ○小林(政)委員 医学書の中にも非常に値上げの率が高いものは、特に二、三例を挙げてみますと、「精神医学入門」これなどは南山堂から出ておるものでございますけれども、一九七二年に千八百円であったものが七五年には三千三百円、あるいはまた「臨床検査法提要」というのも、金原出版から出ているものですけれども、四千三百円が七千八百円に八一%の上昇率、あるいはまた「新病理学総論」、これは四千円であったものが七千二百円で、これも八〇%の上昇率、あるいはまた南山堂の「医学大辞典」なども八七%というような大幅な上昇率。七二年から七五年に比較してみますと相当の上昇率を示しているわけです。  私は、こういう中で、確かに学校図書館の充実を図っていくということは必要なことだとは思いますけれども、しかし、特に教科書として専門的な、医学生にとっては常時勉強していくというようなものについてこれを何らかの形で購入できるような措置を文部省は検討されたことがあるのか。特に高額な専門書について、食費を詰めたりあるいはまたアルバイトの時間をふやしたりというような、こういう実態調査の結果から見ましても、これは何らかの形で、勉強していく場合に必要な図書でもございますし、こういったものに対して貸付金制度を新たに設けるとか、こういった制度等についてもいままでいろいろと検討をされたことがあったかどうか。私は、日本の医学の未来という点を考えますと、教科書は、本当に高価なものであっても、ある程度自分が勉強に必要なものであるという立場で、ぜひ何らかの措置がとられるべきだというふうに教育的な立場から考えます。図書館に設備を充実したと言われましたが、大部分の学生はいまコピーなどもとったりして、やりくりをいろいろしながら勉強をしております。やはり一時的に高価なこの教科書が必要である、こういう場合には、何らかの貸付金制度、こういうものがとれないものなのかどうなのか、この点をお伺いをいたしたいと思います。
  59. 吉川藤一

    ○吉川説明員 御案内のように、基本的には、ただいま申し上げましたように、学生用の図書、教科書の購入につきましては、従前から大学教育におきましては学生の個々の負担とされておるわけでございますが、私どもといたしましては、現在行っております奨学金制度を拡充することによりまして、学生の教育がなるべく円滑に行われるようにしたいというかねがねの希望でございまして、来年度は月額の貸与額を高めるとともに、特に私立大学に学んでおります医科系の学生につきましては奨学金の額を増額いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、医学教育を受ける場合に、教科書の指定というものはある教官によっては行わない場合もございます。ある場合には学生の質問によりまして、こういうふうな教科書を読んだ方がいいというサゼスチョンをいたす場合もございます。  いろいろケースが異なるわけでございますが、先ほど申しました図書館の経費を増額することによりまして、たとえば内科であるとかあるいは外科であるとか、そういう方面の参考書を拡充することによりまして、実質的に学生の負担が減少するような方向で将来検討してまいりたいと考えております。
  60. 小林政子

    ○小林(政)委員 奨学金制度の拡充という話でございますけれども、現在の奨学金制度の中に、この図書講入という点も、新たな角度から十分検討して、ぜひ盛り込んでいくというようなことは当然だろうと私は考えますし、その点についてできるならば何らかの——いますぐこの本が必要だという場合も起こり得るわけですね。そういう場合には貸付金制度などもあわせて検討をぜひ進めていかれるように強く要望いたしまして、公取に対しての質問に入りたいと思います。  いま幾つかの図書の値上がり状況についてお話をいたしましたけれども、私は、ここ一、二年の間で約倍近くも、八〇%以上というような、こういう異常な値上がり率という点についてて、公取が現在調査を進めていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、一体、これだけの大幅な値上げ、こういうものが妥当であるというふうに公取はお考えになっているのかどうか。調査の結果も含めて、具体的に御報告をいただきたいと思います。
  61. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 医学書が最近大変急激に値上がりして、そのために学生が大変困っているというふうなことは、もうことしの六月ごろから新聞等でも出ておりまして、私どもといたしましても関心を持っておりまして、またこれは国会でもすでにお取り上げになったケースもございまして、一般的に、医学書に限らずに、図書の値上がりという問題としてこの問題を考えておりました。そういたしましたところが、九月の十七日に全国医学生自治会連合会という学生の方から、医学書が特に値上がりして困っているという実情の訴えが具体的にございましたので、早速今度はその問題に焦点を合わせて、急いで調べようということにいたしたわけでございます。  医学書も、著作物といたしまして、独禁法上の取り扱いでは再販が認められております。したがいまして、出販元の方でもってある程度自由に末端の小売価格をつけて、それを調整、拘束できるというような制度になっております。したがって、再販制度として認められている場合であっても、法律の要件といたしましては、それが一般消費者の利益を不当に害してはならないという規定がございますので、その規定に基づきまして、果たして医学書がどのような値上がりを示しているか、その理由はどういうことであろうか、それから再販契約の内容が個々の販元との関係においてどういうふうになっておるのかということを調べることにいたしまして、十一月の初めに、医学書を出版しております出版社八社と、それから医学書がほかの出版物に比べて特に高いという相対的な点を調べる必要があるということで、工学書の関係の三社、それから社会科学関係を出版しておる出版元三社、合計十四社に対しまして、値上げの実態、その内容、それから再販契約を実施しているその内容等につきまして、詳細な、ある程度企業の秘密に属するような点にまで立ち入った調査をいたしております。調査表が先週末ぐらいに大体出そろってまいりましたので、ただいまそれを分析いたしまして、果たしてその医学書の値上がりが、どういう理由によって値上がりをしたのか、そしてそれがなぜほかの出版物等と比べて大きいのかというような実態をひとつこれから早急に解明してまいりたいというふうにしております。
  62. 小林政子

    ○小林(政)委員 書籍類は、現在独禁法によって再販が認められておりますけれども、現在、著作物を発行する事業者またはその発行する物を販売する事業者との間の再販契約が行われているものについては、それは独禁法二十四条の二の一項のただし書きで、「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」というふうに法文はなっておりますけれども、「消費者の利益を不当に害する」とは具体的にどのようなことを指して言われているのか、また、その基準は何なのか。医学書の異常な今回の値上げは、やはりだれが見ても余りにも高率の値上げではないかというふうに私ども思いますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  63. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 再販契約が認められておりますと、末端価格をメーカーあるいは販元の方でもって一方的に決めて、そしてそれを拘束できます。そういう場合に一般的に問題になりますのは、中間的なマージンというもの、リベート等を含めまして非常に大きくふくらましておいて、そしてそれを消費者に還元されないような形で流通段階でマージンの分け前を取り合う。その結果、末端の小売価格が定価という形でもって非常に高いものになる場合がある。そういうような場合に一般消費者の利益が害されるおそれがあるというふうな場合が、再販の場合においては非常に問題になる場合でございます。  それで、従来も化粧品とか医薬品につきましても、値上げ等状況の場合においては、これは全部届け出をとっておるものでございますので、値上げ等の場合あるいは新製品を発売する等の場合においては、そういう価格体系等を厳重にチェックいたしまして、主としてその中間的な流通段階でもって大きなマージンが隠されているんじゃないかというような点を中心にして、そういう場合においてはそれを抑えさせるようにいたしております。  では、どの程度の場合にそれが不当であるかということになりますと、これは絶対的な額でもってこれ以上はいけないというような判断はなかなかできませんので、相対的に似たような、たとえば化粧品については似たような化粧品の価格等を比較いたしまして、一般的にこういうふうな価格であるのにこの商品についてなぜこんなようなマージン、リベート等があるのかということで、相対的な意味での不当性というものを資料としてつかんで、それでもって引き下げを命ずるとかいうような措置をやっております。  したがいまして、今回の場合も、書籍が一般的に値上がりしております。それは値上げの理由といたしまして、確かに人件費だとかあるいは紙の値段が上がったとかということ、これはどの出版物にもみな当てはまることでございます。それがどうして特に医学書が高くなっておるのかというようなところからその実態をきわめていって、相対的なところでもって、やはり消費者である医学生の負担が特に不当に課されているというふうな資料が出るかどうかという意味でもって、医学書だけではなく、先ほども申し上げましたように、社会科学の本あるいは工学の本というようなものもあわせて資料としてとっておるわけでございます。
  64. 小林政子

    ○小林(政)委員 出版元あるいは取次店あるいは販売店とあるわけですけれども、定価を決定するのは一体——定価が全部ついておりますけれども、これは具体的にどこでこの販売価格決定されるのか。私はむしろそこに、まあマージン云々というお話もありましたけれども、届け出制にもなっていないという中で、出版元あたりが非常に高い価格をつけているということも当然考えられるのではないか、このように思いますけれども、具体的にはどういうことになるんでしょうか。
  65. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 再販が認められております価格の場合においては、一般的にはメーカーなり出版元が価格をつけております。再販が認められておらない商品の場合においては、出版元なりメーカーは、こういうような値段で売られれば通常な、正常な販売が行われるという意味で、希望小売価格という形でもって価格をつけておるということでございますけれども、再販が行われております場合には、はっきり言うと、希望小売価格ということではなく、むしろ定価という形でもってきっちりとメーカーの方でもって価格を決めて、それはコスト、それから、いろいろたくさんな本を一つの販元で出しておる場合、やはりいろいろな売り方がございまして、自分のところの出しているある本についてはこれはマージンなりを少なくしてたくさん売りたい、それによって利益を得たいとすれば、そういうものについてはある程度その価格を低くします。それからこれは、特定な強い、読者がかたまっているといったようなものについては、物によっては高くつけて、全体的に出版元としての採算がとれるような、そういうような値づけの仕方もいたしておりますので、今度の調査におきましては、特にその値上がり率が高いといったようなものにつきまして、具体的な本の名前を挙げまして、なぜこれについてはこういうふうな値上げがあったのか、その理由はどういうことだということを、過去一年ないし三年の時点でもっての内容を調べるというふうにいたしております。
  66. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、非常に値上げ幅の高いと言われております特に医学書ですね、これは法的再販品目として届け出がされていないわけですから、一体いわゆる再販の書籍なのか、あるいはその対象から外されている書籍なのかということはわからないわけでしょう。実際にいま値上げ率が非常に高いと言われております医学書は、一体どちらに入るんでしょうか。
  67. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 その点も含めまして、その販元でもって小売屋さんあるいはまた取次店と再販契約をしているかどうかという実態からまず調査してかからなければなりませんので、そういう点もいま調査しております。  現に、ことしの八月にちょっと問題になりました出版元について調べました場合には、これは再販契約をしておらないというようなことを言っておりまして、果たしてそれが再販契約をしていないということ、形の上における文書の契約がないということでもってそういうふうに言えるのかどうなのか。それはもっと周囲のいろいろな状況から判断をいたしまして、再販契約をしていないといっても、実は再販契約と実質的に同じことをやっているじゃないかということになりますれば、こちらの方としてさらに突っ込んだ調査ができるということなので、まずそういうようなところから調査してかかりませんことには、著作物の場合においては届け出をとるという制度になっておりませんので、ほかの医薬品等の再販の実態の調査の場合とちょっと違う。まずそこから調査にかからなくちゃならないということでございます。
  68. 小林政子

    ○小林(政)委員 一般の場合、再販の指定物資ということになれば、その品目を申請するということになっておりますね。したがって、公取は、医薬品のこの品物は再販の指定物資である、あるいは化粧品にしても一定の額でもって切っているわけですけれども、そういう届け出がされているから比較的この問題については把握ができるわけですけれども、書籍の場合には、これは法定再販品ということですから、原則としては何か一般の人は、本が全部定価どおり再販品なんだ、こういうふうな認識を持っているわけです。この本が再販の書籍なのか、これは再販でない定価のついている書籍なのかということは全くわからない。  こういうような事態の中で公取が、今回医学書が異常に高率の値上げをしたということで現在調査に入ったわけですけれども、この問題について今後何らか具体的に——全く図書を見てもこれが再販かどうかということすらわからない、公取に届け出もされていない、こういう事態の中で、何らかのこの問題に対しての今後の見通しなり、あるいはまた正しくこれを解決していくという立場に立っての検討がされているのかどうなのか、この点についての意見をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 先生御指摘のとおり、おっしゃるとおりでございまして、書籍についてはそういう点、私どもの方もわかりません。したがいまして、一般の消費者の方もわかりにくいというのが実態であろうかと思います。そこで、私どもといたしましては、いままで指定商品——化粧品、医薬品等の指定商品につきましては、再販制度のあり方ということでもって詳細な調査もいたしまして、切るべきものは切り、そしてその後弊害がないような形での厳重な監視をいたしておりまして、それがある程度軌道に乗ってまいりました段階になりますれば、いわゆる法定再販のあり方につきましてもやはり検討をし直す必要があるのではなかろうか、それにはまず実態をつかむ必要があろうというふうに考えておりまして、そういう全体的な法定再販品についてのあり方につきまして、公取がどのような監視をしたらいいのかということについて十分今後調べていかなければならないと思っております。その一つの具体的な問題といたしまして、今度の医学書の異常な値上がりの問題についてまず調査をいたしまして、それらを通じまして、全般的な法定再販のあり方について検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  70. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、公正取引委員会としては、いま医学書といっても種類も多く、相当の書籍が出版をされておりますけれども、大体他の書籍も含めて、再販に指定をされているこういうものは大体何割ぐらいあるというふうにお考えになっているのでしょうか。
  71. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 書籍につきましては、これはもう古い昔からの慣習がございまして、これは何か販元が値段を決めて、それが末端に事実上守られておる。これは、本という一つの文化財が国じゅうどこでも一定の同じ値段でもって常に売られているということが、文化財の保護だとか発展だとか、そういうようなために役立つんだという認識でもって、慣行として従来そういう再販的なものがもうすでに戦前から行われておったようでございます。それが独禁法ができましたときに、そういう実態を踏まえまして、著作物につきましては、法定再販という形でもって、特に届け出もとらずにこれは一般的に認められるということになっております。  ただ、それだけにしておきますと、著作物という内容も非常に広がってまいってきておりますので、ただ現在のような形でもって届け出も何もとらずに、適用除外の規定だけでもって置いておいていいものかどうかというような点も含めて、これは当然考えなくてはならない問題だと思っております。
  72. 小林政子

    ○小林(政)委員 医学書もこの二年間にわたって、ある書籍などは八〇%を上回るというような、こういう異常な高率の引き上げが行われているという点について、学生の利益を不当にこれが害するものかどうかという基準ですね。これは化粧品その他一般の物との対照比較をもってというふうに言われましたけれども、私はこの独禁法の現在の法律を制定するときには、これはやはり法定再販品についてもいわゆる独禁法二十四条の二の一項に、これは法定再販品であってもこれに準ずるという解釈をしているわけですね。だとするならば、この法律ができるときに一体「消費者の利益を不当に害する」ということはどういう場合なんだ、あるいはまた、その基準などについても当然検討されてこの法律ができたものだというふうに思うのです。そういう考え方からいって、いまの二年、三年という間にもう二倍近く異常な値上がりをしているという実態は、明らかにこれは「消費者の利益を不当に害する」という基準から見て、どのように公正取引委員会はお考えになっているのか。やはりおかしいと思って調査に入られたんだろうというふうに私は認識をいたしておりますけれども、具体的には、この検討されている基準から見て、どのようにお考えになっているのかという点をお伺いいたしたいと思います。
  73. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 先生の御指摘のように、私どももこの書籍の値上がりにつきまして、これがコスト等の値上がりによる値上がりであれば、これは当然ある程度平均的に値上がりしてしかるべきだと思うわけでございますけれども、特にある部門の書籍、たとえば医学書、それからその次に比較的高いものが工学関係の本でございますが、そういうものがなぜ特に高くなるのかという点につきまして、私どもの方として疑問を持っておりまして、そこで、もしもその内容が独禁法でいっております「一般消費者の利益を不当に害する」というような内容のものであれば、これはやはり問題にすべきではなかろうかということで、その点については早く調査すべきだろうというふうに考えておったわけでございます。  その内容は、やはり販元のつけます定価というものの内容をよく分析いたしませんと、どういう理由でもってほかの書籍とその値上がりの率がここ二、三年間をとってみましても違うのかという点について、実態をよくつかみませんことにはわからない。それで、不当と申します場合にも、絶対的な意味の不当というような角度ではなく、ほかの本はこのくらいな値上がりで済んでいるのに、なぜここでこういうふうな値上がりがしているのだというところでもって、やはり相対的な意味において不当ということを判断せざるを得ないということで、医学書だけではなく、もっとほかの本についてもその内容を詳細に調べて、比較しながら検討していかなくてはいかぬというふうに考えて、現在やっておるところでございます。
  74. 小林政子

    ○小林(政)委員 この調査の結果、これはやはり明らかにいたしまして、そしてすべての人が納得のいくように私は公表もしてもらいたいし、それからまた、公正取引委員会として、いまのような現状ではなく、新たに積極的にこの問題の検討も進めていき、現状では届け出も何もないわけですから、つかもうとしても何一つつかめないというこういう事態についての見解も、ぜひひとつ漸進的な方向で検討をすることを強く要望いたしたいというふうに思います。  通産省にお伺いいたしますけれども法定再販品目である書籍、これが具体的には再販でない書籍の場合に、通産省はこれまでどのような指導を一般書籍に対してやってこられたのか、あるいはまた、これからどういう指導を行うつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  75. 鯨井こう一

    ○鯨井説明員 書籍の場合につきましては、通産省が所管をしております一般の工業製品に比べまして、その値段のつけ方につきましても若干違う点があるのではないかというふうに考えております。と申しますのは、書籍の場合には、その内容につきましてその値段がどれだけ適正なものであるかというようなことが非常に大きなウエートを占めるのではないかというようなこともございます。したがいまして、通産省といたしましては、従来から一般的に非常に書籍が値上がりしたような場合には、それが不当なものでありますれば、なるべく下げてもらうようにという要請と申しますか、そういったようなことをすることにつきまして、比較的ほかの品目につきまして行いますよりも消極的な態度をとってきたことは事実でございます。  と申しますのは、ほかの品目のように、コストがこれだけ上がったからこれというぐあいに必ずしもぴったりまいりませんので、その値上げが不当なものであるかどうかということにつきましての判断がなかなかむずかしいという点もあったわけでございます。  したがいまして、たとえば今度の医学書の場合のようなケースにつきましては、たとえば公正取引委員会調査がございますれば、その結果を待ちまして、そこで、もし不当なものであるということでございますれば、通産省としてできるだけのことはいたしたいというふうに考えております。
  76. 小林政子

    ○小林(政)委員 通産省は、医学書がこのように他の常識で考えられるコストの上昇ということよりも相当大幅な値上げが行われているという実態を本当に正しくつかんでいたのかどうなのか、通産省行政指導の中でそのような実態をどこまで本格的につかんでいらしたのかどうかという点、いままで何か特別の対策をそれではおとりになったことがあるのでしょうか。私は恐らくなかったのではないかというふうに思いますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  77. 鯨井こう一

    ○鯨井説明員 最近におきます医学書の値上がりにつきましては、私どもの方にも若干の情報がございまして、それによりましても四十六、七年当たりに比べまして非常に値上がりしておるということは、その状況はつかんでおります。しかし、先ほども申し上げましたように、この価格自体が不当であるかあるいは非常に消費者の利益を害するかどうかという判断につきましては、先ほども申しましたように、非常にむずかしい点もございますので、現在までのところでは、この医学書の問題につきまして特別な手段を講じたことはございません。
  78. 小林政子

    ○小林(政)委員 やはり諸物価の異常な高騰が続いている中で、先ほど申しましたように、これからの日本の医学をもっと前進させ、発展させていくという立場から、医学生がいま勉強したくてもその著書が高くて、非常に生活を切り詰めなければならないと言われるほど深刻な大きな問題に対して、私は窓口である通産省がこの書籍の問題についていち早くその実態を把握し、そして何らかの形でこの問題についての行政指導が具体的にあってしかるべきであったのではないか。何一つ具体的にこの医学書の問題については指導もされていなかった、実態の把握も恐らく十分されていなかったのではないか、こういうことを痛感いたしますけれども、今後これらの問題について十分ひとつ慎重に、物価を引き下げていくという立場からも取り上げていくことを強くこれも要望いたしておきます。     〔山中(吾)委員長代理退席、委員長着席〕  時間がなくなってまいりましたので、次に鉄鋼の問題について、これは通産省と公取に三、三点お伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、七月に新日鉄を初めとする高炉メーカーがトン当たり九千八百円で値上げを要求いたしておりましたけれども、新日鉄とトヨタという、そこの話し合いによって八月の下旬にそれが六千八百円でもって決められた、こういうことが行われたわけですけれども、新日鉄とトヨタで決めたこの価格に結局他の社も全部追随していくというような形でやられたことについて、公正取引委員会の高橋委員長も、このような値上げの仕方は不自然だ、そしてこのような価格の決め方は姿なきカルテルだというようなことまで言っているわけですけれども、このような見解、高橋委員長も言われているこういう見解を公取はお持ちになっていらっしゃるというふうに確認をいたしてよろしゅうございますか。
  79. 野上正人

    ○野上政府委員 先般委員長から、予算委員会でございますか、その席上そういうふうに御説明あったと思います。
  80. 小林政子

    ○小林(政)委員 本来、価格というものの決定が市場での自由な競争を通じて決められるというふうに、政府はいままで何回もそのように言ってまいりましたけれども、今回のようなこの鉄鋼価格の決め方が、競争ではなくて、高橋委員長が言っているような、それこそやみカルテルと思われるようなこういうやり方でやられるということは、私は独禁法の精神からいっても好ましくないというふうに思いますけれども、この点についていかがですか。
  81. 野上正人

    ○野上政府委員 私どもといたしましては、九月下旬からこの価格引き上げ状況につきまして大口ユーザー、それから高炉メーカー、それから鉄鋼問屋と申しますか、鉄鋼商社につきまして事情を聞き、調査を継続中でございます。
  82. 小林政子

    ○小林(政)委員 それは、このような価格の決め方について実態を把握しておくということで、現在調査が行われているというふうに考えてよろしゅうございますね。
  83. 野上正人

    ○野上政府委員 まず実態把握をいたしたい、こういうふうに思っております。
  84. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いままで市場支配を大きく伸ばしてきているこの管理価格、まあ独占価格というようなものについて、今回公取が鉄鋼関係調査に入ったという点について、国民は非常にこれに対して重大な関心を持っているんです。こういう中で一体公取がどういう調査を具体的に進めているんだろうか、どういうことをやるのかということを非常に関心を持って見守っているというのが現状だと思います。この調査現状については、一体いつごろまでをめどにして調査を進めているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  85. 野上正人

    ○野上政府委員 現在調査中でございますので、いつまでということはちょっとお答えいたしかねますが、できるだけ早く調査を終わりたいと、こういうふうに考えております。
  86. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、公取がこのような価格、いわゆる同調的な引き上げあるいはプライスリーダーに追随していくというような、自由な競争じゃないこういう価格の決め方について調査に入られたということを、先ほど確認していいかということでお伺いしたわけですけれども、そうであるならば、私は、四十条の適用をして具体的な強制調査を行うのが当然ではないか、ある程度このような同調値上げというようなやり方については、これはやはり改めさせなければならないという立場調査に入っているのならば、単なる任意調査ではなく、四十条をなぜ適用できないのですか。
  87. 野上正人

    ○野上政府委員 現在のところは、任意調査でもって相手側からの協力を得ましてやっておりますので、四十条を現在のところは使っておりません。
  88. 小林政子

    ○小林(政)委員 任意調査で行います場合には、これはただ任意で調べさせてもらいたいということでやっているわけですから、たとえば具体的な罰則もない。強制調査ではありませんので、罰則もなければ、あるいは虚偽の報告や情報に対しても、それがあったからということに気がついても、これは罰することもできない。こういうことであれば、私は企業側も、まあ任意調査なんだということで、これはちょっと間違ってすみませんというような、軽い気持ちでどんどん資料を出してくる。あそこはちょっと違っていましたというようなことになっていく可能性も出てくるのじゃないだろうか。私は、このような国民が注目をし関心を持っている、しかも鉄鋼業界に対して公取が調査に入るという点では、どうして四十条を適用してもっと正確にその実態を把握なさらないのですか。
  89. 野上正人

    ○野上政府委員 現在のところ、業界からいろいろとお話を聞いております。それで四十条を使う必要は、現在のところはないのではないかというふうに考えております。
  90. 小林政子

    ○小林(政)委員 しかし、かつて公取が具体的に四十条を適用して管理価格調査をずっと進めてこられましたね。あるいはまた再販契約の実施状況、こういった点も実際にはいま公正取引委員会は四十条を適用して著書の問題も調査に入っているとおっしゃいましたね。さらにまた、第二次商社の調査ども四十条を適用してやっているのですよ。何で今回、いままでいろいろと言われてきていた寡占の弊害、あるいはまた価格決定あり方などについてとかく言われてきているこういう業界に対して四十条を適用できないのか。私は、四十条を適用してやることこそが、より正確な資料を公取が調査の結果得ることができるというふうに思います。いままで全然そういうことがなかったというのじゃなくて、何回も四十条を適用してやってきていましたし、いまの医学書が一般に比べて相当値上げ幅が大きいということについても四十条を適用してやってきているのですね。この違いは一体どういうことなんでしょうか。
  91. 野上正人

    ○野上政府委員 医学書につきまして四十条でやっておるということは、私、きょう聞きました次第でございますけれども、現在の管理価格調査でも、任意調査で所期の目的を達して、四十条を使わない調査もございます。それから、ケースによりましては、任意調査目的を達成すれば四十条を使わなくてもいいのではないかというふうに現在のところ考えております。
  92. 横山利秋

    横山委員長 後の質問者の時間の予定がございますから、よろしくお願いします。
  93. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題は、もう時間もないという委員長からの御注意もいまございましたが、私は四十条でやるべきだということを主張すると同時に、現在進めている任意調査、この中でも正確な調査を行い、少なくとも独禁法に違反しているような事実があれば、厳重にこの問題については公正取引委員会が毅然とした態度で処置をとっていくべきだという点を強く要望いたします。  通産省に一点お伺いして質問を終わりたいと思いますけれども、第一次の値上げの中での積み残し分と言われております三千円の交渉が、メーカーと大口ユーザーの間で現在行われているわけでございますけれども、この問題についていま公正取引委員会も具体的な調査を行われている、国民の関心も非常に大きく、物価問題との関係で注目を集めている。こういった中で、いま行われている業界での話し合いを、この結論が出るまでは一時行うべきではない、こういう行政指導をおとりになることが当面の措置としては必要ではないかと思いますけれども、この点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  94. 石井賢吾

    ○石井説明員 鉄鋼の値上げ問題に関しましては、基本的に民間当事者の交渉に待つ、現在のように需給が緩和しております段階におきましては、直接介入を行うことはかえってマイナスだという判断でこれまで臨んできたわけでございますが、今後交渉当事者間で三千円値上げの問題が行われるわけでございますが、これに対しましても、通産省としては基本的に介入を避けるという当初の方針どおりやっていきたいというふうに思っております。
  95. 横山利秋

  96. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まず公取に家電の問題についてお伺いをいたします。  本年の二月二十日、当委員会において消費者を守る立場から家庭電化製品の二重価格表示の問題を取り上げたわけでございますが、その際に二重価格の実態について調査をすべきであると要求をいたしておったのでございますけれども、この問題のその後の経過はどういう状態になっておりますか、御報告をお願いしたいと思います。
  97. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 家電製品の二重価格の問題について先生から御指摘のございました点につきまして、早速調査にかからなければならなかったのでございますけれども、大変調査がおくれて恐縮に存じております。その後、鋭意調査にかかるということで、公取のモニターに本年度お願いするということになりましたので、モニターを通じましてこの実態について調査をいたしたいということで、その後調査をしてまいりました。現在のところ、一応その調査の結果がわかりまして、それについてとるべき点について措置をそれぞれとっておるところでございます。  内容を申し上げますと、今回は公取のモニターにお願いいたしまして、特に不当な二重価格と思われるような実態があるというふうに言われておりますカラーテレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫、この三品目について約三百の小売屋さん、これは東京と大阪——大体東京、大阪の価格の実勢というものが大都市、さらに全国的に影響するという実態が前回の調査等にありましたので、この二地区について約三百店以上の店について調査を六月末に実施いたしました。その結果、値開きの率、メーカーが表示してございます末端の希望小売価格と実際に小売屋さんで売られている実際の価格との開きが非常に開いておりました場合には、これは従来も問題になっておりましたような見せかけの希望小売価格である、ただ小売屋さんの売りやすいようにする価格じゃないかという問題で、この値開きを調べました。その結果、カラーテレビにつきましては一〇・七%、洗濯機につきましては一三・三%、冷蔵庫につきましては一一・六%、約一〇%ちょっとぐらいな値開きの実態が出てまいりました。これは四十七年の六月に公取でもって大都市についてこの実態を調べましたその率とほぼ同じような水準でございました。  ただ、内容を細かに見てまいりますと、やはり問題のある点が見られました。と申しますのは、その値開き率が一五%とかあるいは二〇%とかいうような比較的大きなもの、したがって、見せかけの希望小売価格ではないかという問題になる点が、四十七年の調査よりもいずれも数ポイント高かったという実態が出ておりました。  したがいまして、私どもといたしましては、四十六年に今後の家電業界の二重価格あり方としてある程度の基準を示してございましたその基準に照らしまして、具体的な品目について検討いたしまして、やはり問題があると思われたものが幾つかございました。  たとえばカラーテレビにつきましては松下電器、コロムビアがそれぞれ一機種、電気洗濯機につきましてはシャープ、富士電機が一機種、冷蔵庫につきましては三菱電機、シャープ一機種ずつ、富士電機が二機種という点について、公取の基準から見まして問題があろうという結論に達しまして、これに対しましては早速改善するように警告をいたしまして、とるべき措置について至急に報告するように現在求めておりまして、近くどういう措置をとったかという報告が参ろうかと思っております。それと同時に、メーカーの団体、小売屋の団体六団体に対しましても、今後不当表示が起こらないように十分協力するようにということを要請いたしております。  こういうような実態でございますので、私どもの方といたしましても、これからは定期的にこういう調査をいたしまして、実態を早い機会につかんで措置をとれるようにいたしてまいりたいと考えております。
  98. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 結局、一般消費者はカタログ等に示された価格を標準にして買うわけでございますから、こういうように実勢価格との間に相当開きがあるというのは、一般消費者の損失をメーカー側があえて行っておるというふうにわれわれは見るわけでございます。  この報告をいろいろ検討してみますと、実勢価格において一五%も違うというように、最近非常に拡大されておるという結果が出ておりますね。電気洗濯機等におきましては九百二十七件中三四・六%ですから、約三分の一がカタログの価格と実勢価格とに大きな隔たりがあるという状況になっておるわけでございますので、そういった意味においては、これは不当表示ということだろうと思うのです。  いま公取の方では、各メーカーに対してそういう問題について措置するようにいろいろ通達をなされておるそうでございますけれども、各メーカー側からのそれに対する対応策といいますか是正をする処置ですね、どういった点が浮かび上がってくるとお考えでございますか。
  99. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 メーカー側といたしましては、そのような大きな値開きがあった場合においては、そのメーカーの指示した価格が架空なものになるということでございますので、その点については調査をしてあるはずでございますけれども、なお、こういうような結果が出ておるということで、その点を指摘いたしまして、是正の措置をとらせることにいたしております。  と申しますのは、メーカーの方でそういう希望価格を下げるということが一つでございます。それからもう一つは、メーカーの方では、こういう場合においてはメーカーの希望価格自体を外すということも、措置としてはあるようでございます。現に公取が調査にかかる前、あるいはまた調査にかかりましてからその内容を改めたものもすでにございます。多くのものは希望小売価格を外すというのが多いようでございました。  問題になった機種の中には、もうすでに製造されていないものもあったようでございまして、たとえそうであったとしても、在庫のある限りにおいてはやはり適正な希望小売価格に直すべきであろうということで、それらについての措置を現在報告としてとるようにいたしております。
  100. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それで、この前御指摘を申し上げた例を申しますと、従来十万九千八百円であったものが、カタログによって価格改定が行われ、十二万五千円というふうになった。しかし、実際の仕入れ価格というものはほとんど変わっていない。二十六円ですか、仕入れ価格が従来六万九千二百二十九円であったものが二十六円高くなったというだけのことで、これは問題になったわけでございます。そういうふうに希望価格というものを表示しないということになりますと、そうするとカタログじゃそういうものは入らないのだ、実際に小売屋さんに行ったときに初めて小売価格表示がそこに行われる、こういうような形になると考えてよろしゅうございますか。
  101. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 メーカーの方の希望価格が表示されないということになりますと、今度は小売屋さんの方で、自分の判断でもって値をつけましてこれを表示して売るということになりますので、消費者立場から申しますと、ある意味においては不便という問題が出る場合がございます。ただ、その際に今度は小売屋さんが自分の責任においてはっきりと価格表示をしなくてはならない、他の競争品との比較においてはっきりとした正札をつけて売るということになりましたので、消費者としてはその点を選択の場合の基準にするというような形になるわけでございます。したがって、希望小売価格を廃止しますということになりますと、従来のような商品選択の立場から見れば、ある意味においては不便が残るという問題もございます。
  102. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、実際に新聞広告あるいはテレビ広告なんかの場合には明確に希望価格を表示しておるわけでございますので、そこら辺との矛盾が若干起こってくるのではないかと思うわけです。そういった意味においては、いわゆる価格を数字で示す場合に、絶対にこういういままでのような過去の事例が行われないように各業界としても十分注意をしてもらわなければならぬと思うのですけれども、そこら辺に対する注意は公取でやられるのですかあるいは通産省でやられるのですか、どちらでおやりになるのですか。
  103. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 公取といたしましては、どういうような表示の仕方をしなければならないという積極的な表示の仕方の指導まではいたしかねますけれども、表示されたものが消費者を誤認させるようなものであってはならないという意味において、監視ができるということで、そういう面から不当な価格表示の監視が公取においてはできるということでございます。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、公取さんにもう一点伺っておきますが、この問題に関する措置について報告せよというふうになっておるわけでございますが、いつごろ結論が出ると予測されておりますか。
  105. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 今回の調査につきましては、もう今月末には、どういうふうな措置をとったか、それで十分であるかどうかということは出ることになっております。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 通産省にお伺いをいたしますが、いま公取とのやりとりについて話を聞いていらしたと思うのでございますけれども、希望価格を表示するということは、広告という立場から考えてみれば、当然表示をすることが従来どおり行われていくだろうというふうに私は思うわけです。しかし、問題は、先ほど来指摘しているように、その価格表示というものが実勢価格とは大幅に違う、そういうようなことで今度公取から指摘を受けているわけでございますので、やはり通産省としても明確にそういう実勢価格と希望価格との間において不当な表示価格にならないように注意、行政指導すべき問題であろうと思うのですけれども、ここら辺はどういうふうにされるつもりですか。
  107. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましても、いま後藤部長から御指摘のありましたような趣旨に基づきまして、希望価格の表示が不当表示にならないように業界指導いたしております。また、希望小売価格と実売価格の間に乖離が生じた場合には、小売希望価格価格の撤廃の状況とか、そういう処置につきまして定期的に報告を行わせるようにいたしております。今回の公正取引委員会の事務局の調査結果に基づきましても、同事務局の方から連絡を受けておりまして、当省といたしましても、メーカー及び業界団体に対しまして、価格撤廃等の措置が速やかに末端にまで行き渡るように、徹底するように、体制を強化するように、業界指導いたしております。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 説明員の方ですからその程度の御答弁だと思うのですが、そういう御答弁であっては困るのであって、いままで行政指導しているなら、こういう問題は起こらぬはずでしょう。ですから、もう少し明確に、今度の公取の指摘を受けて、不当表示にならないような実勢価格に近づける、そういう価格表示を行わせるというような指導をしなければだめだと思うのです。もう一ぺん御答弁願いたい。
  109. 鈴木健

    ○鈴木説明員 不当表示になるかならないかというのは、非常に微妙な判断を要することと思いますが、この辺の判断につきましては、公正取引委員会の方で調査の結果に基づきまして判断されるというふうに私ども考えておりますが、私どもといたしましても、そういう不当表示になることのないように業界を十分指導しているわけでございます。非常に小売店の数がたくさんございまして、全国で約五万店あるわけでございますが、これ全体につきまして正確に常時把握するというのはむずかしいわけでございますが、私どもの現在了解しております範囲におきましては、不当表示になるというような事態は起こっていないのじゃないかというふうに了解しているわけでございますが、万が一にも不当表示になるというようなことのないように十分指導いたしておるわけでございます。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなたにこれ以上申し上げる気はありませんが、先ほど来申し上げたように、仕入れ価格が全然変わってないのに、そういう希望価格だけどんどん値上げをするという形、そういうこと自体が消費者の大きな損失になっているわけなんですよ。ですから、この問題を当委員会でも取り上げて公取で問題にされたのであって、そんないまごろ、指導をいままでどおりしておりますなんということで済まされる問題じゃないでしょう。これは要望ですから、ひとつ厳重にその点は行政指導していただきたい。これだけ申し上げておきます。  それから、時間がなくなりますので一点だけ通産省の方にお伺いをいたしますが、いろいろな消費団体から言われていることは、こういう家電なんかの問題について、一部行われているようですけれども、製造年月日等についても明示してもらいたいという希望がありますね。特に今回の調査でわかったことだが、すでに指摘を受けている機種であっても、そういうものがもう製造停止になっておる、こういう実態ですね。そういうような問題がやはりわからなければ、消費者としても非常にその機種を使いにくい、こういうことがあると思うのですね。そういった意味で、たとえば製造の開始年月日並びに製造年月日、こういったことを明示することが必要じゃないかと私は思うのですね。  それからもう一点御要望申し上げておきたいのは、お答えをいただきたいと思いますけれども、最近の家電業界の実態を見ていると、次から次へと新製品を発売いたすわけですけれども、一体省資源政策との関連においてどういうことになっておるのか。ここでは明確なルール規定がなければならないというふうに私は何度も指摘を申し上げておるわけでございますけれども、特にこの問題は、一般消費者が省資源政策との関連はどのようになっているのだろうかということが非常に理解できにくい、そういう実態にあろうかと思うのですね。そういった意味で、これらの問題について一定のルールを明確にする必要があるのではないか、こういうふうに思います。この二つの点についてお答えをいただきたい。
  111. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の第一点の製造年月日の表示の件でございますが、この点につきましては、従来からいろいろ消費者団体等からの御要望もございまして、現在公正取引委員会主宰の表示連絡会におきまして検討中でございまして、もしそのような表示の方向につきまして決まりましたら、それが公正競争規約等にも盛り込まれることになると存じます。  それから新製品発売につきまして一定のルールをということでございますが、これにつきましては、従来からもモデルチェンジが多過ぎるのではないかというようなことも御指摘をいただいておるわけでございまして、私ども通産省といたしましても、かねてより、過度のモデルチェンジは行わないようにということで業界指導いたしておるわけでございます。メーカー側ではモデルチェンジの自粛、モデル数の整理統合をその指導に基づきまして進めておるわけでございまして、順次ではございますが、モデルチェンジ数も減っておるわけでございます。  申し上げるまでもないわけでございますが、モデルチェンジには、販売促進をねらうという要素もあるわけでございますが、同時に、技術進歩の成果を商品化して品質、性能の向上を図るという意味も持っておるわけでございまして、一律に抑制するというのはむずかしいわけでございますが、特に消費者に不当な迷惑を及ぼすというようなことはないように、これからもますますモデルチェンジの自粛を強めるという方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、次に牛肉の問題について農林省にお伺いをいたします。  この前の委員会で私、牛肉の問題を取り上げたわけでございますけれども、その翌日に農林省として、最近の牛肉の値段が高値になっている関係から消費者に対していわゆるおわびの安売りを実施することになった、こう言って六千トン輸入肉を放出されたわけでございますね。まずこの問題について伺いますが、この六千トン放出の成果について、どの程度の影響があったのか、この点をまずお伺いします。
  113. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま先生御指摘になりました牛肉の特別売却につきましては、現在までのところまだ実施しておりません。近々今月末から実施する予定になっております。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうすると、これは実際出回るのは今月末ということでございますか、この放出六千トンを決めた分の出回りは。いかがですか。
  115. 大場敏彦

    ○大場政府委員 具体的に申し上げますと、この特別売却は十月の末から十一月の初めにいわゆるフードウイークということで二週間にわたりまして実施したわけでございますけれども、今回は、やや詳細にわたって御説明いたしますと、今月の二十八日から来月の二十五日、約一カ月弱でございますけれども、年末にかけてぶっ通しで特別販売をする。それから対象の都市でございますが、前回の十月末から十一月初めにかけましてのフードウイークの特別売却は十大都市でございましたのを、さらに範囲を広げまして六十数都市、原則として人口十万以上の都市を対象にして範囲を拡大いたしたい。それから、ただいま数量六千トンということでお触れになりましたけれども、もう少しふやしまして七千数百トン。この数量は十二月の需要量の約二割に該当するもので、かなりの量だと私どもは思っております。これを特別の価格で時価より安く売却する、こういう予定にしております。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、先般もお話を承ったように、いわゆる輸入肉の問題については、一つは中央卸売市場で競りをやるということと、いろいろな団体からの競争入札ということと、随意契約と、三つの方法があるわけですね。今回そのように七千数百トン放出されるということは大変に結構だと思うのでございますけれども、この間から申し上げておりますように、やはり価格の点で買いやすい状態でなければ、牛肉の需要というのは伸びないわけでして、そうすれば生産にも響いてくるという関連がございますね。そういうような意味合いからいきましても、安いものが出回るにこしたことはないわけですけれども、なかなか国内生産価格との問題があって簡単に安くすることができないというようないろいろな仕組みがあるわけですね。  ただ、私が非常に心配をいたしておりますのは、このように非常に市場価格が高くなったときに随意契約で何千トンか放出するというこのやり方は、やはり一定のルールを敷いていただかないと、農林省なり畜産振興事業団なりの恣意的な判断だけで行われたのでは、消費者の方でも困ると思うのですね。いろいろ新聞記事等を見ておりますと、肉屋さんに行って、定時国内産と輸入ものがあれば物によって使い分けを考えるんだけれども、あるときにおいてはストップ、あるときにおいては出回るということではやはり市場というものを安定させることはできないという声もあるわけですね。そういう点から考えてみても、やはりこういうときには随意契約である程度の物を出しますよという、価格という点から考えるのか、あるいは時期的という点から考えるのか、幾つかのポイントがあると思うのですけれども、そういうポイントを明確にする必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  117. 大場敏彦

    ○大場政府委員 牛肉を指定食肉として畜産物価格安定法の対象として価格安定を図っているわけでありますが、その方法といたしましては、法でも規定されているわけでございますが、売り方としては中央卸売市場あるいは指定食肉市場、これは二十三ばかりございますが、そういった市場で競り売りで時価で売却する、それから、食肉の場合には、市場の占有率が低うございますから、消費者団体等を対象といたしまして指名競争入札で入札をするといった売却方式をとるのが原則でございます。いわばマーケットオペレーションによりまして、価格は時価で売却して、供給圧力あるいは事業団の持つ在庫圧力を通じて価格の鎮静効果を期待するというのが、事業団の安定機能の原則であろうと思うわけでございます。今回実施いたそうとしておりまする特別売却は、いわば例外的な措置でございまして、原則としては、そういった事業団の原則的な放出によりましてマーケットの価格が一般的に鎮静するということでありますれば、そういった必要はないわけであります。残念ながら、これは消費者の方々にも御迷惑をかけているわけでございますが、一年半の輸入の途絶の後を受けまして事業団の手持ちが十分ではございません。ございませんので、そういった数量なり在庫圧力を活用して値を冷やすということが、いまのところまだ完全には機能を発揮し切っていない状況でございますので、やはりこの際、年末という特別な時期をつかまえ、それからまだ価格が高いという現状を踏まえまして、消費者の方々に特別な値段でお手元に届けようと、こういった措置をとろうとしているわけでございます。  それから、それが現実に横流しされては大変でございますから、具体的に、その食肉販売店には、これは輸入食肉を販売する店であるというようなポスター等の掲示はもちろんさせます。さらに申し上げますれば、この店には輸入牛肉はどれだけ割り当てになったというようなことも表示させるつもりでありますし、具体的に輸入牛肉の部位だとか料理方法だとか、そういったことにつきましても、詳細表示をさせるつもりであります。なお、そういったことが的確に行われるかどうかということにつきましては、事業団に別途モニタリングの制度をつくっておりますから、それによって監視をしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう少しお伺いしたいのですが、いま事業団として手持ちがどのくらいあるのかということと——わからなければ後でも結構ですよ。それから、来年度またこの放出の予定があるのかどうか、あるいはまた、この程度価格が上がった場合にはやるというような考え方があるのか、そこら辺の問題についてちょっとお伺いします。
  119. 大場敏彦

    ○大場政府委員 在庫のお尋ねでございますが、本来的な姿を申し上げますれば、事業団がたとえば一万トンあるいは二万トンと、数量は別といたしましてかなりの在庫を持っておって、その威力によって市場の価格の鎮静をねらうというのが本筋でございますが、残念ながら、指定食肉制度が発足してから、事業団が在庫を持つ以前に価格が堅調な状態に入ってしまったというプロセスがございますので、いま逐次輸入しておるものを到着次第売り払っているという状況でございますから、いわゆる在庫というものはほとんどないというような現状でございます。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、もう一点だけ要望を含めて申し上げておくわけでございますけれども、農林省は牛肉についても安定帯価格というものを基準にして考えておられるわけですが、私ども生産者等の話を聞いてみましても、やはり需要の拡大というものを積極的にやってもらわなければ結局安定供給ができないんだということを言うておるわけですね。そういう問題を考えたときに、事業団としてもこういう面にもっともっと力を入れていかなければならないのじゃないか。本年度の予算は一千万程度というふうに伺っているけれども、一千万じゃポスターでも刷ればそれで終わりということでしょう。そういうことではだめだと思うのですね。もっと本格的な対策を立てなければならぬと思うのですけれども、今後どういう方針を考えておられるのか、あるいは来年度の予算をこの問題についてはどういうふうに要求なさろうとしているのか、それからもう一点、そういった意味においては、学校給食なんかは使いやすいわけでございますから、輸入肉をある程度放出をされているようだけれども、国内産の問題もあわせてこういうものにある程度使っていくんだという方向を出すことはできないかどうか、これだけ伺っておきます。
  121. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘の点、私もさように思います。需要の増進につきましては、昨年の牛肉の価格が低迷した段階におきましてはいろいろやってはおるわけでございますが、それで十分かという御指摘を受ければ、今後改善する点は多々あると思います。今後畜産の振興を図る上におきましても、需要の増進ということが必要なことは申すまでもないことでありますから、御趣旨のような線に沿いまして、今後予算その他につきましても拡大を図っていきたい、かように思っておるわけであります。  それから学校給食等につきましては、これは国産牛肉を使うのも一つ考え方であろうとは思いますが、価格の点で父兄の負担とかそういったことがございまして、学校給食会等の御希望は、国内産の高いものよりも、やはり児童ということを考えて、廉価な輸入牛肉の方がいいという御希望のようでございますから、学校給食会の方ともそういった点につきましてはよく御相談して、牛肉の供給についてはいろいろお世話していきたい、かように思っておるわけであります。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、この牛肉の問題はまた機会を改めてお伺いすることにいたしまして、農林省の方は結構でございます。  最後に、経企庁の方にお伺いをするわけでありますが、いま家電の問題をいろいろ取り上げたわけでございますけれども消費者保護の立場、この問題をやはり行政的にしっかりしていかなければならないんじゃないかというふうに私どもは実は考えておるわけです。  そこで、国民生活審議会の消費者保護部会の消費者救済特別研究委員会、これにおきましては、去年の七月に消費者被害の救済に関して中間の覚書をまとめて、本年四月本報告を出されましたですね。その報告書によりますれば、消費者被害の実態というものを、大量生産や大量消費、いわゆる企業の経済効率の追求等によって構造的なものから被害の実態があらわれている、こういうふうに唱えておるわけですね。したがって、消費者被害の救済は現行民法や商法だけでは十分に対応できない、こういうふうに言っております。そういうわけで、事業者に無過失責任を課すべきであることを提案しておるわけでございますが、同時に、無過失責任の例外を認めなければならない場合でも、過失の立証責任を転換する必要がある、こういうふうに述べておるわけですけれども、この問題について政府は一体どういうふうにお考えなのか、まず一点お伺いをしておきたいと思います。
  123. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 私ども考え方も、いま先生御指摘のように、最近の消費者被害と申しますのは、やはり大量生産、大量販売方式というようなところから出てきている、いわゆる構造的な被害がふえてきているというように考えております。したがいまして、これに対処するような新しい救済制度というものを新たにつくる必要がある。つくる際も、物の考え方として、この報告書でも指摘しておりますように、事業者の無過失責任的な考え方というものを徹底させる必要があるし、また責任の所在につきましては、連帯責任という考え方をとる必要があるし、また立証責任の緩和というような考え方もとる必要があるのではないかということでございますが、これは全くそのとおりだと思っております。  ただ、この報告書にも書いてございますように、いま直ちに民事訴訟法とかあるいは民法、商法というような大きな法律改正いたしませんとそういうことができないということではなくて、現実の苦情処理とかあるいは行政機関あるいは企業がやっております救済の措置をやりますときに、そういう考え方に基づいてやっていくというようなことがまず現実的ではないだろうか。そして、いずれはそうした民法なり商法なりの改正にまでこぎつけていくというような段階を通りながら、被害者の救済が円滑にいくようにしていくべきではないだろうか、かように考えておるわけでございます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点伺いますが、かなりの都道府県で消費者保護条例が制定をされておるわけですね。こういう趨勢というのは今後もかなり続くものと思うわけです。こうなりますと、消費者保護問題については、どうも地方任せになってしまうんじゃないか、地方の方が先行してしまうということになってしまいますでしょう。これではやはりいけないと私は思うので、消費者保護、救済の基本的な対策というものはやはり立法措置によらざるを得ないのではないか、立法措置が必要なのではないか、こういうふうに考えておるわけなんです。いまの報告もわからぬではないけれども、このままいくと地方の方がどんどん先行してしまって、基本的な対策というのはおくれてしまう、こういうおそれがあるのですけれども、これについてどうお考えでありますか。
  125. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 地方の消費者保護条例でございますが、これは先生御承知のように、中身を申しますと、大きく分けて三つぐらいの中身がございます。一つは、消費者保護に当たっての行政の姿勢といいますか、そういうものをはっきり明文化をするという内容でございます。それから第二番目は、特定のローカル商品につきましての品質の基準をつくるとかあるいは表示の基準をつくるとかというような一種のローカルな規制措置を決めたもの、それから三つ目には、いわゆる消費者の被害が出ましてそれを裁判に持っていく場合の救済基金をつくろうではないか、こういう三つが、いまの条例の大部分を占めているわけでございます。  そのうちの第一の問題は、当委員会で七、八年前につくっていただきました消費者保護基本法といわば同じことを書いてある。それから第二番目の問題は、全国的な商品につきましては関係各省でいろいろの規制法律ができているわけでございまして、そうした意味では保護条例の方がいわば国の措置よりも進んでいると私どもは必ずしも考えておりません。ただ、救済基金の設定につきましては、確かに条例の方が進んでいる面がございます。  そうした意味で、私の方もいま保護部会で先ほどの特別委員会の報告書を具体的にどう制度化すればいいだろうかということを御検討いただいておりますので、その御検討の結果を待ちまして、必要があれば法律的な措置までとりたいというように考えておりますし、また法律的な措置以外にも、予算的な措置あるいは地方のセンターの運営の仕方、そういうものについて統一的な考え方をはっきり示したいというように考えているわけでございます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に政務次官に、いまと同じことを伺うわけですけれども、いまお聞き及びのとおりでございまして、これは早急にどういう対策を立てていくか、立法措置もやらざるを得ない、そういう方向も考えられておるようでございますけれども、より進めていこうというそういう主張があるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  127. 安田貴六

    安田政府委員 国民生活の態様が非常に複雑化いたしておりまするし、またしたがって先ほど来いろいろと御質疑の応酬がありましたように、そのためにこうむる消費者のいわゆる損害と申しましょうか、そういうものをどうして守ってやるかというような点については、確かに従来の制度そのものではどうしても不十分な点があると思っております。  しかし、御案内のとおり、国民生活、特に消費者生活の面にかかわりまする各省庁の関係する分野というのが非常に広うございまして、したがいまして、経済企画庁ではいろいろ専門的な御検討をいただいておるわけでありますけれども、これをもとにいたしまして制度化するということでありますと、その必要性はある程度承知をしておりながら、各省庁間の問題の詰めが非常にむずかしいと申しましょうか、そういう点がまた私は、率直に申し上げまして、あると思うのです。したがいまして、御指摘のような点はまさにそのとおりだと思いますので、私ども経済企画庁としては、要するに、そういう問題の取りまとめ的な仕事を担当いたしておりまする役所でありますから、今後ひとつ、さらに御意見の点については十分に配慮を加えながら、制度化の面についてもより積極的な姿勢で臨みたい、こういうふうに考えております。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これで終わりますけれども、いわゆる一般消費者はいろいろな被害を受けたときに対抗手段を持たないというのが実態でございます。いま家電の問題を取り上げましたけれども、そういう問題の被害についてもそれに対抗する手段というのはないわけですね。そういった意味で、非常にいろいろな産業全般にわたる問題ですから、各省庁との関連、非常にむずかしい点はあろうと思いますが、ぜひひとつこの面は積極的に進めていただくよう御要望申し上げまして、終わっておきたいと思います。
  129. 横山利秋

    横山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十分散会